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2015年5月12日 第27回医薬品・医療機器等対策部会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成27年5月12日(火)18:00~20:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室


○議事

○事務局 開会に先立ちまして、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りいただきますよう、よろしくお願いいたします。また、本日の部会は従来の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは、議事に入るまでの間とさせていただきますので、マスコミ関係者の方におかれましては御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 定刻になりましたので、ただいまから「第 27 回医薬品・医療機器等対策部会」を開会いたします。本日御出席の委員の先生方におかれましては、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、本部会委員 14 名中、 12 名の出席をもちまして部会を開催いたします。なお、寺井委員、望月委員は欠席との連絡を頂いております。

 初めに、前回平成 26 3 12 日の開催以降に委員の交代がありましたので、御紹介いたします。公益社団法人日本医師会の高杉先生の後任として、今村先生に、国立国際医療研究センターの目黒先生の後任として、労働者健康福祉機構横浜労災病院の田代先生に、日本製薬団体連合会の浅田副委員長の後任として、千葉副委員長に御就任いただいております。

 続いて、前回の開催以降に事務局側でも人事異動がありましたので、紹介いたします。医薬食品局長の神田です。医薬食品局安全対策課長の宇津です。同じく、安全対策課安全使用推進室長の上野です。医政局総務課安全対策推進室医療安全対策専門官の草間です。独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監の俵木です。同じく、安全第一部長の近藤です。

 また、本日は議事ごとに参考人から御説明いただくこととしており、それぞれ御説明いただく前に御紹介いたします。これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。この先、議事進行は外部会長にお願いいたします。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○外部会長 九州大学の外です。座長を務めさせていただきます。どうぞ、御協力をよろしくお願いいたします。台風も近づいておりますし、議題も非常に豊富ですので、手際よくやっていきたいと思います。御協力よろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○事務局 配布資料の確認をいたします。お手元にお配りいたしました資料ですが、議事次第、座席表、委員名簿、参考人名簿、配布資料一覧となっております。以降、資料 1 「子どもによる医薬品誤飲事故 消費者安全法第 31 条第 3 項に基づく経過報告【概要】」。資料 1 の別添資料として「チャイルド・シニアパネル試験の実施」。補助資料として、経過報告の本文を添付しております。

 資料 2 「子どもによる医薬品誤飲事故に関する最近の防止対策」。資料 2 に関する参考資料として、「知っておきたい薬の知識」という黄色い冊子を添付しており、議題の中で紹介いたします。

 資料 3 「誤接続防止コネクタに関する国際規格の導入について」。続いて、同名の資料となりますが、資料 4 「誤接続防止コネクタに関する国際規格の導入について」。資料 5 「新規格の導入に伴う医療事故防止対策 ( ) 」。資料 6 「血漿分離器の取り違え事故の再発防止策について」。資料 7 「膜型血漿分離器と持続緩徐式血液濾過器の取り違え事故をうけた製造販売業者の取り組みについて」。資料 8 「血漿分離器の取り違え事故の防止について」。資料 9 「医薬品・医療機器等の安全使用に関する調査結果について」。次のページには、資料 9 の別添資料となる図表を添付しております。資料 10 は、「 PMDA 医療安全情報」が 3 種類。資料 11 「医療事故の再発・類似事例に係る注意喚起について」。参考資料として、当部会の設置要綱等、 3 種類の添付があります。最後に、当日資料が 3 種類ございます。議題 1. 「子どもによる医薬品誤飲事故の防止について」につきまして、日本薬剤師会、日本製薬団体連合会及び参考人の早稲田大学の小松原先生より資料の提出がありましたので、それぞれお配りしております。

資料は以上になります。不足等ありましたら、お申し付けください。

○外部会長 よろしいでしょうか。それでは、議事次第に従って、議事を進めてまいります。検討事項の議題 1 は、「子どもによる医薬品誤飲事故の防止について」です。これについて、まず事務局より説明をお願いいたします。なお、この検討事項に対する御質問については、全ての説明の後に一括してお受けしたいと思います。

○事務局 子どもによる医薬品誤飲事故の防止に関しては、近年、消費者安全調査委員会による調査が実施されており、昨年 12 19 日付、消費者安全法第 31 条第 3 項に基づく経過報告「子どもによる医薬品誤飲事故」が公表されております。その内容においては、小児のいたずらや誤使用により事故が生じないように対策を施したチャイルドレジスタンス( CR )容器の使用が有用であるという言及が行われており、現在このチャイルドレジスタンス容器については消費者安全調査委員会による更なる調査が進められております。こういった状況を踏まえ、今後厚生労働省として、この容器に関する取組方針について、本日の部会において各委員から御意見を伺いたいと思います。

 まず、本日は参考人として、消費者庁消費者安全課事故調査室の土庫様と、消費者安全調査委員会専門委員の多田先生にお越しいただいておりますので、昨年 12 月に公表されました消費者安全調査委員会による調査結果報告の概要と、引き続き実施されておられる検討事項について御説明をお願いいたします。

○土庫参考人 消費者庁の土庫と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。子どもによる医薬品誤飲事故は、公益財団法人日本中毒情報センターによりますと、 5 歳以下の子どもの誤飲件数が、平成 18 年以降増加傾向にあり、厚生労働省から報告されている平成 24 年度「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」によりますと、小児の誤飲事故の中で、医薬品・医薬部外品の誤飲事故は、たばこに次いで多いとされているところです。この点については、皆様に御案内のとおり、本年公表されました平成 25 年度の同モニター報告によりますと、昭和 54 年以来初めて医薬品・医薬部外品の誤飲事故がたばこを上回り、小児の誤飲事故の報告件数が 1 位となったとの報告がなされたところと理解しております。

 このような次第で、私どもの調査委員会は、平成 25 10 月、本件事故について、「公共性」が高いこと、「多発性」があること、「消費者 ( 子ども ) 自身による回避可能性」が低いことといった点を考慮し、事故調査を行うことといたしました。本日は、これまで調査委員会が本件について公表してまいりましたものをベースに説明申し上げたいと思っております。なお、公表物以外については、お答えが難しいことを御了承いただけましたら幸いです。

 それでは、まず私から平成 26 12 月に公表させていただいた経過報告書の内容を紹介いたします。本調査は、第 1 に子どもの医薬品誤飲事故について、日本中毒情報センターから提供いただいた情報を分析し、1. 5 歳以下の子どもの誤飲事故のうち、発生場所の多くが自宅であり、 1 歳から 2 歳が 70 %を超えること、2.誤飲した医薬品のうち、医療用医薬品が 65 %近くであること、3.誤飲した医薬品のうち、約 65 %は大人用の医薬品であること、4.特に錠剤、そのほとんどは再封不可能な PTP (プレス・スルー・パック)包装と思われますが、この誤飲については、 1 10 か月の値が最も高いことが分析されました。

 次に、誤飲した子ども、あるいは誤飲未遂の子どもの保護者計 501 名への意識調査を行いました。その結果、子ども本人が取り出した場合のうち、本来の取り出し方による誤飲が半数のほか、かじって取り出したなど、本来の取り出し方以外で誤飲するケースが半数近くありました。自宅での発生場所は、テーブル、台、棚など、服用のために置いた場所で発生するケースが最も多いということです。子どもの誤飲について、事故の発生自体を知らなかった保護者は、 3 分の 1 で、誤飲事故が発生した場合の対処方法を知らない保護者は 3 分の 2 以上でした。

 第 3 に、小児科医師及び日本中毒センターからの事故情報によりますと、子どもが誤飲して重い中毒症状となり入院事例がみられる医薬品は、向精神薬、気管支拡張剤、血圧降下剤、血糖降下剤の 4 種でした。調査委員会では、小児の医薬品事故の背景的要因として、身近にある物は何でも口に運ぶ、人の模倣をするといった子どもの行動特性が影響していること、保護者が子どもの誤飲事故について十分に認識していないことがあり、特に注意を要する医薬品として、先ほど言及いたしました向精神薬など 4 種の医薬品が考えられるとしております。

 そこで調査委員会では、医薬品の包装容器等の製品面での課題を中心として、引き続き調査を行うとともに、当時の時点における調査結果に基づき、厚生労働省に対して、保護者への広い周知や家庭内での適切な管理を促すこと、誤飲により重い症状を呈する医薬品については、医薬品の処方・調剤の際に、保護者に対して情報を伝えること、家庭で事故が起きた場合に、相談・指示できる機関の情報を保護者に提供することを意見し、消費者庁に対しては同内容の注意喚起を求めたところです。

 現在、我が国国内で使われている医薬品包装容器については、資料 1 の概要の最後のページに示しております。子どもの医薬品誤飲を防止する手段として、チャイルドレジスタンス包装容器があり、経過報告書のその後の検討については、多田専門委員から説明いたします。

○多田参考人 消費者安全調査委員会で専門委員をやっております多田と申します。よろしくお願いいたします。では、資料 1 別添を使ってパネル試験の概要について説明いたします。 2. の辺りから説明をしていきますが、第 1 段落、第 2 段落は割と一般論ですので飛ばし、第 3 段落辺りから入りたいと思います。

 単刀直入に申しまして、今回のパネル試験の目的は、子どもにとって安全で、かつ高齢者が使いやすい、つまり、チャイルドレジスタンスで、かつシニアフレンドリーな容器に求められる力学的な要件を明らかにしようということです。なぜ、力学要件が必要になるのかを、まず説明したいと思います。

 皆さん御存じだと思いますが、欧米ではこのチャイルドレジスタンス、そしてシニアフレンドリーを検証するために、パネル試験が行われています。これは、パッケージを作る製薬会社にとっても、試験をする試験機関にとっても、非常に労力の大きい試験です。というのは、毎回 100 人ぐらい子どもを連れてきて試験をやらないといけないので、試験機関にとっては非常に労力が大きいわけですね。一方で、製薬メーカーにとっては、子どもに安全で高齢者に使いやすいパッケージを作ってくださいと言っても、ノウハウがないとそんなもの作れるわけがないわけです。ですので、そのパネル試験に代わるものとして、何とか力学的な要件を明らかにできないか。

 力学要件というのは、例えばあるパッケージについては何ニュートン以上の力がないと CR ではないというような要件のことです。もし、こういう要件が明らかにできれば、製薬会社にとっては、それが 1 つの明確な設計指針になるわけです。試験機関にとっても、荷重試験器を持ってきて、そのパッケージがその力以上の力で開くかどうかを検証すれば、それをもって子どもに対する安全性と御高齢の方に対する使いやすさを検証できるわけですね。ですので、こういうモチベーションで何とか力学的な要件を見つけようということが目的になっております。

3. の項目において、実際にどういうことを行っているかを説明いたします。 3 つめの点のところですが、第 1 項目としては、今回対象になっている PTP 包装容器ですが、お子さんはどれぐらいの方が取り出しに失敗して、御高齢の方はどれぐらい取り出せるのかを、とにかく調べております。 3. の最初の点に戻ります。それと同時に、被験者の方の基本的な特性と、被験者の方の手の基本的な特性を計測しております。

 次に、それぞれの項目について具体的な内容を説明いたします。資料の 2 ページ目に参ります。 4.1 のところです。まず初めに、被験者の方の基本的な特性ですが、これは性別、それから大人の場合には年齢、子どもの場合には月齢を聞いております。それと同時に、利き手も聞いております。

 ちなみに、今回の実験に参加した子どもと大人の年齢構成は、おおよそ下の表のようになっております。お子さんの場合には、 42 ヶ月から 51 ヶ月。 3 か月おきに、大体 3 4 3 ぐらいの割合で、男女同数の子どもが実験に参加しております。大人の場合には、 50 歳から 70 歳まで、 5 歳から 10 歳ぐらいの間隔刻みで、男性 30 名、女性 70 名が実験に参加しております。ちなみに、これは欧米で行われているパネル試験の要求事項に倣った年齢構成になっております。

 次に、手の基本的な特性ですが、これも 4.2 を見ながら順番に説明いたします。まず初めに、手の大きさは、 2 つの寸法を計測しております。手長というのは、簡単にいえば手首から中指の先端までの距離です。 2 つ目が、手の幅です。これは、第二中手骨の骨頭と第五中手骨の骨頭を結ぶ線の距離を表しております。これは、両方ともノギスを使って計測をしております。 2 点目は、握力です。これは、一般的な握力計を使って文科省が定める方式に従って、左右 2 回ずつ計測しております。あとは、ピンチ力を計測しております。ピンチ力というのは、親指と人差指で薄い物を摘むときの摘む力のことを表しております。以上が、手の基本特性に関する計測です。

 最後に、 3 ページ目の 4.3 を見ながら、具体的な PTP 包装容器を使ったパネル試験の内容について説明いたします。計測の際には、被験者の方が計測員からある水準の PTP 包装容器を渡されます。 1 分間の試行の間で、何個の錠剤を取り出すことができたのかを別紙 1 の用紙を使って、どんどんスコアリングしていきます。最後の別紙にありますが、 PTP の包装容器を模したようなイラストの上に、どの場所の薬剤を何番目に開けることができたかを記録していく形になっております。

 ちなみに、取り出せたかどうかの判断については、写真による開封判断基準を付けておりますが、基本的には箔材が全く変形していない、若しくは箔材が凹んだだけの場合には、これは「未開封」とみなしております。一方で、箔材が破れて完全に中身が取り出せた、若しくは箔材の一部が切れて中身が見えるような状態になっても、これは開封できたものと今回はみなしております。

 元の資料に戻ります。「計測員は、子どものテストも大人のテストも 3 名以上で行うこと」も要求しておりますが、この辺りも欧米のパネル試験のプロトコルに倣っております。

 最後に、お子さんと大人を対象にしたテストの具体的な方法です。まずお子さんの場合ですが、子どものテストは原則として 2 人一組みで行っております。さらに、お子さん単独でやるわけではなく、保護者が同伴することが望ましいという要求事項も定めております。この 2 点についても、欧米のパネル試験に倣っております。 3 番目に、子どものテストの場合には、基本的には取り出しが簡単なものから行っていき、あるところで取り出すことができなくなったら、それより荷重の高いものは実験を取りやめてもいい。つまり、合理的な範囲で試行数を減らす工夫は許容するとしております。

 一方、大人の場合ですが、こちらは 2 人一組みではなく、 1 人ずつ試験を実施しております。大人の場合には、子どもの場合とは逆で、基本的には開けにくいパッケージから試してもらって、もしそれが開けられてしまったら、それより簡単なものは試行しなくてもいいと。子どもの場合と同じで、合理的な理由がある場合には試行数を減らす工夫をしてもいいと定めております。以上、簡単ではありますが、パネル試験の実施の概要について説明いたしました。

○外部会長 消費者庁、消費者安全調査委員会から、子どもの医薬品誤飲の現状等について説明していただきました。何か質問等あるかと思いますが、厚生労働省のこれまでの子どもによる医薬品誤飲事故の防止に対する取組について説明を求めた上で、質疑を含めた議論を進めたいと思っております。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 お手元の資料 2 を御覧ください。子どもによる医薬品の誤飲問題について、厚生労働省の近年の取組の概要をまとめております。先ほど御紹介いただきました消費者安全調査委員会による調査報告のほか、資料上段の 4 つ目の○の箇所になりますが、医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室においては、家庭用品などに関連した健康被害情報を収集するため、皮膚科・小児科の病院や公益財団法人日本中毒情報センターの協力を得て、「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」として、例年発行を行っております。これらの近年の調査結果においては、子どもによる医薬品の誤飲事故が多く発生していることが指摘されており、中には入院に至るような事故もあることが報告されております。

 この状況に対し、平成 24 年度には厚生労働省からは処方又は調剤等の際、保護者等へ誤飲防止に関すること、例えば、保管管理について注意喚起することなど、各地方自治体及び医療関係団体等に対し、周知依頼を通知しております。また、昨年 12 月には、先ほどの消費者安全調査委員会から意見を頂き、例えば薬袋への注意点記載や、誤飲事故が発生した場合の対処方法について、適切に情報提供を行うこと等の実施について、改めて各地方自治体や医療関係団体等に対して周知を依頼いたしました。近年の通知の履歴は、下の参考にあるとおりです。

 また、医薬食品局総務課では、日本薬剤師会と共同で冊子「知っておきたい薬の知識」を作成し、毎年秋の「薬と健康の週間」の実施において、地方自治体への配布を通じて、薬局等にて保護者の方への配布を行い、家庭で医薬品の保管をする際に注意すべき点などの啓発を実施しております。お手元の冊子は、平成 26 10 月版で、その 7 ページ目の上部に対象箇所があります。なお、平成 27 年度版の作成においては、昨今の状況を受け、誤飲防止に係る内容の充実を図ることも検討しているところです。

 そのほか、当省、 PMDA のホームページにおいては、関係通知や、昨年 12 月の消費者庁 News Release について掲載を行っております。なお、資料後段にあります包装容器に係る対策についてですが、近年の調査報告においては、チャイルドレジスタンス容器の有用性が言及されております。これを受け、当省からは各関係団体宛てに、医薬品の安全性向上のための検討依頼を通知した履歴があります。近年の通知の履歴は、下の参考にあるとおりです。近年の取組は以上となります。

○外部会長 このように、これまで厚生労働省としては、注意喚起、あるいはチャイルドレジスタンス容器の検討依頼等といった防止対策を実施してきたとのことです。この件について、これから御意見を頂きたいところですが、日本薬剤師会や日本製薬団体連合会から事前に意見提出を頂いておりますので、まずその内容を伺いたいと思います。薬剤師会からの意見について、森委員より説明いただきたいと思います。

○森委員 少しお時間を頂きたいと思います。日本薬剤師会提出資料を御覧いただければと思います。今、厚生労働省からも様々な対策が紹介されましたが、通常、私ども薬局の店頭では服薬指導時に口頭であったり、厚生労働省と作った「知っておきたい薬の知識」であったり、薬袋への保管管理に関しての注意記載などの手段によって、注意喚起を行ってきました。また、昨年 12 月に消費者安全調査委員会から、子どもの医薬品誤飲事故に関する経過報告が厚生労働省からなされ注意喚起された際には、通知内容に沿い、家庭における保管時の留意点や、誤飲した際の相談機関等についての情報と、薬袋へ子どもによる誤飲に関する注意点を記載する等の方策を講じることを改めて会員に周知をさせていただいております。

 そういう中、消費者安全調査委員会がまとめた経過報告の概要を拝見しましたが、今まででは考えられない事故が起こってきたのかなと。例えば、子どもの手が届かない所に保管をしなさいというような指導を行ってきましたが、子どもが椅子を置き、棚の上から取り出すような事例や、錠剤を取り出すというよりは、かじって飲んでしまうという様々な事故が起きているとのことで、改めて安全対策をする必要性を感じています。

 そうした中、 CR 容器の導入等に対しての本会の基本的な考え方を述べたいと思いますが、まずは国民への教育・啓発を一層推進していただきたいということです。これは、医薬品等の管理について、国民がそもそも学ぶ機会が少ないということではないか、ということです。子どもの誤飲事故ということを考えると、兄弟姉妹、両親はもちろんですが、子どもの生活環境にいる人誰もが関与することがある。そうした中で、対策ということでは、そもそも教育・啓発活動を再度充実することが一番重要なのではないかと思っています。

 続いて、 CR 容器の導入に関してですが、子どもが取り出しにくいということは、本来の服用者へ影響する。特に高齢化社会を迎えた中で、高齢者や細かい作業を行いにくい患者、あるいは介護者などへの影響を是非考慮していただきたい。先ほどシニアフレンドリーということがありましたが、そういう点に関しても十分考慮しながら、進めていただきたいと思っております。

 資料の裏に行って、次には費用を含めた多角的な検討を行っていただきたいということです。本政策の目的は、あくまでも子どもの誤飲防止ということで、 CR 容器の導入は手段だと思います。導入に関しては、費用が掛かるのはある程度致し方ないのかもしれませんが、どれだけ費用が掛かるかというのは、また別の議論となってくるのではないかと思っています。

  また、先ほどお話しましたが、かじって出してしまう事例が多いということを考えますと、少し極端な例ですが、薬の容器がなめて苦かったら、小さな子どもはそれ以上やらないのかなと。ここは様々な観点からの対策が必要ではないかと思っています。

 次にチャイルド・シニアパネル試験に関しての意見ですが、このような一定の試験を行い検討するのは非常に良いことだと思います。ただ、本試験はそこで用いた PTP シートの素材・形状や、錠剤・カプセル剤の組合せで一定程度引き出された結果ということであります。市販されている医薬品の現状を考えると、様々な錠剤があり、大きさがあります。そういうことを考えたときに、何かガイドラインを作成するのであれば、より慎重に検討いただければと思っております。

 最後に繰り返しになりますが、 CR 容器を導入することももちろん重要ですが、根本的な対策も考えることが重要ではないかと思っています。以上です。

○外部会長 資料を基に薬剤師会からの御意見をまとめていただきました。続きまして、日薬連からの意見について、千葉委員からお願いしたいと思います。

○千葉委員 私どもも先ほどの森先生と基本的には考え方が同じです。製薬企業としてどういうところに取り組めるのか、ということを述べさせていただきます。

 当日配布の資料の 1 ページ目では、主に PTP 包装を中心に論述しておりますが、これは PTP 包装で一番事故が多いためそれを論述しているにすぎません。 CR 容器は PTP 包装に限るものではありませんので、いろいろと検討させていただきました。

まず、日本病院薬剤師会様は、 4 月末からゴールデンウィーク明けには既にホームページの Web サイトに誤飲問題の啓発に関するポスターが掲示されております。製薬企業としては、こうした啓発の支援に着手していくべきかと考えています。また、私どもとしては PTP 包装も含めてバラ包装容器も、リードタイムやコストもそれ相応に掛かることを念頭に置き、いろいろな角度からの工夫改善をしていく必要があるかと思っております

 ところで、先ほど森先生がおっしゃっていた、かじるという行為は、 PTP 包装を指や手で押し出す行為の力よりも、明らかにニュートン数が桁違いに掛かるわけで、 PTP 包装を少し加工しても、なかなか防げるものではないと考えております。よって、必要に応じて新たな考え方の CR 容器の開発も検討していかなければならないと考えております。また、交付を受けた医薬品に子どもが容易にアクセスできない保管庫、これは具体的に言いますと、鍵が掛かるようなもので、単に子どもの目に触れないようにするということだけではなくて、容易に開封できない、薬にアクセスできないようなものも検討の余地があるのではないかと考えております。

 なお、 5 歳児ぐらいになりますと、通常の開け方になってしまいますが、乳幼児を対象とする 2 歳以下のかじる行為について、先ほど森先生もおっしゃられましたが、本当にできるかどうかは分かりませんが、味を苦くした PTP 包装というのも検討の余地はあるのではないかと考えております。

○外部会長 製薬業界から御意見を頂きました。 CR の概念についてもお話いただきましたが、かじるという子ども特有の行動と言いましょうか、つい口に入れてかじってしまうという辺のことも問題ですし、 CR 容器の導入に際しては、設備投資との兼ね合いということも、産業の実現可能性という意識の観念から、議論が必要かとも思われます。

 ただ、消費者安全調査委員会からも出ておりました力学的要件の検討ということも、非常に重要な課題でもありますので、この辺も検討することが必要かと思います。

 ところで CR 包装容器については、本日、土屋委員が実際の製品を持参しているということですので、どのようなものなのか、お話ししていただければと思います。また、参考人として、本日は早稲田大学理工学術院から小松原先生にもお越しいただいておりますので、今回のパネル試験や、こうした容器に関するお考え等をお聞きしたいと思います。まず土屋委員からお願いします。

○土屋委員 今、サンプルを回しますが、これは昨年ドイツで開かれました医薬品のパッケージの展覧会のときに入手したもので、 1 番のものが、いわゆる PTP 包装の形でありながら、チャイルドレジスタンスをやっているという形で、 2 番ものものは、実はヨーロッパでの調剤は箱渡しの文化ですので、その裏側に分厚い紙が貼ってあることによってチャイルドレジスタンスを守るという方式です。一方、アメリカはいわゆるボトル調剤ですので、ボトルがチャイルドレジスタンスになっていれば、それは出せないという形です。そして、我が国での調剤は PTP シートを一生懸命数えて渡すことが多いという特徴がありますので、先ほど森委員からあったように、その点を踏まえた注意喚起をしつつということにならざるを得ないということがあります。

 私は今回のことを考えるに、この部会そのものがそうですが、使用の安全ということを検討してきたわけですが、今までの使用の安全というのは医療者のヒューマンエラーを防止するための議論と検討をずっとやってきました。それが一段落したというのは、前回のこの部会でも話があったとおりで、最近では大体その対策はとられたと思います。今度は第 2 段階として、正に新しい段階として、いわゆる交付した後というか、渡した後の医薬品について、家庭における安全性を確保する、使用の安全を確保する方策を考えようというのが、今回のテーマなのだろうということになりますし、これは平成 14 年に出た医療安全推進総合対策に記載されている使用の安全が第 2 段階に入ったということで、その第 2 段階の対策をどう考えるかということになると思います。ただ、第 1 段階は実は製薬企業が負うところがすごく多く、製薬企業で容器を変えてもらったり、包装を変えてもらったりという形でしたが、第 2 段階になり、家庭という話になりますと、製薬企業でできることもあるかもしれませんが、一方で調剤レベルにおいて防止を図ることも可能になってくるわけです。そういった意味では、一体誰の、どこのエラーを防止するための方策を立てるのかということをきちんと検討する必要があると思います。

 ところで、今、回しております、 1 番のサンプルの PTP 包装のコストは 1 シート当たり 30 円と言っています。そうすると、我が国の薬価で最低薬価のものに 3 円のプラスをすることができるかというと、我が国は資本主義ではありますが、医療制度はいわば共産主義的な要素がありますので全国一律の価格ということからいくと、そのコストを簡単に乗せるということは欧州のようにできないであろうということがあります。

 そうすると、調剤レベルであれば、例えば、小児誤飲防止加算とか、調剤料に付加するということは可能かもしれませんが、森委員もおっしゃられたように、とにかく我が国の制度に合った国民の負担の仕方を考えないといけない。一律に全部製薬企業がやると、それはコストに完全に上乗せされてしまいますので、そういったことは少し考えるべきだろうと思います。

 今回、消費者安全調査委員会でこのパネルテスト試験というか、こういう具体的な取り組みが行われているということは非常に大事なことです。今後、これを現実的に実現可能な形での実験というか、そういうことを含めて、更にいろいろなことを検討していくことが重要だと思いますし、そういうきちんとした研究がされないといけないのではないかという気がします。

 それから、製薬企業にはむしろ対策品を作ることよりも、まずは包装に関してのデータを公表していただきたいのです。実は今、包装のこの大きさが何センチ掛ける何センチという標準はどこにもありません。それから、各企業は何ニュートンで開くのかとか、そういう力学試験の結果も恐らくお持ちなのだと思います。それは別に隠しておかなくてはいけないものではなくて、広く公表されれば、それを使って人間工学の先生方が、ああだ、こうだという議論をする材料にもなるわけですので、その意味で今、お持ちのデータを公表していただきたい。実は、 5 番にある対策品のサンプルは、裏にチャイルドレジスタンスを図るための強化シールを貼ることになっているのですが、我が国では PTP 包装の大きさが全然一定になっていないものですから、そのためにシールはシートごとに種類を用意しなければいけなくなってしまう。もし規格が 1 つ、あるいは 2 つであれば、 2 種類のものさえ置いておけば、そういう対策を調剤段階でやることも可能になるものですから、そういう意味で、少し規格が自由になり過ぎているのではないでしょうか。

 あるいは子どもが興味を持たせないようにすることも重要です。これは海外の PTP の多くは表も裏もアルミで、中身が見えないのですが、こうしたものは日本では中身が見えないからって、ものすごく不評なのです。でも、中がきれいだと子どももきれいだなと思うかもしれませんし、そういったことを含めて言えば、中身が見えないということも興味を削ぐということに有用かもしれません。先ほどから話題にあがっていますが、苦味とか、私は唐辛子でも何でもいいから、そういうグッズでも作って、子どもが PTP 包装をなめたら、ギャッとなってもう 2 度と口にしないという体験をさせることも大事なのかと思ったりします。頭で考えて開けるのではなくて、興味を持って開けるわけですから、興味を削ぐような対策を考えることが必要なのかという気がします。今回、せっかくこういうパネルテスト試験の試みが出てきたので、そのことをきっかけにきちんといろいろなケースを考えて、それから落着くところに落ち着かせるというか、そういう対策が必要ではないかと思います。

 あと、誤飲防止に掛かるコストを最終的にはどこが負担すべきか、という意見もありますが、私はあれだけテレビ CM を製薬企業がおやりになるのだったら、その最後の 15 秒間は必ず誤飲防止とか、そういうことのコマを共通で入れさせると。あの 4 年前の震災のときに AC が「あれがこだまでしょうか」といった CM が頻繁にあって印象的でしたが、あのぐらいの頻度で製薬企業の CM が入っています。ああいうことで、森先生が最初におっしゃった国民啓発をするのが第 1 番だと思いますので、あの頻度で CM の最後にそれが入れば、かなりの効果を得るのではないかという気がします。業界としてそういう形の協力をしていただけると助かるのだけれどなという気がします。

 ですから、それぞれが今やれること、やるべきこと、まだデータもないわけですが、データがないから何もできないかというと、そうではないと思いますので、是非、そういった検討をしていただければと思います。以上です。

○外部会長 続いて、小松原先生から御発言いただきます。

○小松原参考人 早稲田大学の小松原と申します。私は人間生活工学が専門で、中でも製品の誤使用やヒューマンエラー防止をやっております。今日は発言の機会を頂きまして、大変有り難く思っております。

 子どもの医薬品の誤飲事故ということで資料を準備しておりますので、それを使って説明させていただきます。子どもの関わる製品事故は、いろいろな所で問題になっておりまして、いくつかお手伝いをしてまいりました。例えば経済産業省ですと、電動玩具・電熱玩具等に関わる電安法の基準がございます。その基準づくりのお手伝いを致しました。また、消費者庁関係でしたら蒟蒻入りゼリーやスーパーボールの窒息事故に関わる委員会委員もさせていただきました。今回の資料は、それらでの経験を踏まえて、医薬品誤飲について整理致しております。

 基本的に安全はリスクを下げるという話になります。リスクは事故のひどさと、事故の生起頻度の積で概念付けられます。蒟蒻入りゼリーの場合には、子どもが食べても窒息しない形状にするということで、ひどさコントロールが可能だったのですが、医薬品の場合には薬効を抑えましょうということはできないので、頻度コントロールが基本になります。ただし、子どもが飲んでもそんなに重大な事故にならないような医薬品であれば、生起頻度コントロールはする必要はさほどないという言い方もできると思います。しかしいずれにしても生起頻度をあらゆる手段を尽くしてコントロールするというのが、今回の課題になると思われます。

 では、どうやって生起頻度を下げるかという話ですが、まずは事故のシナリオを考える必要があると思われます。誤飲の場合、 1 つは、子どもが触れてしまうのが問題で、触れさせないようにするためのコントロールが必要です。触れさせないというのは物理的に触れさせないと同時に、子どもに触れるモチベーションを与えないようなコントロール、この 2 つが重要になります。

 次に、実際に医薬品に触れてしまった場合について考えます。この場合のコントロールも全く同じ話で、 1 つは触れたが、それ以上の行動、つまりそれ以上手に持っていようと思わせない、口に入れようと思わせないようにコントロールする。 PTP 包装は子どもからすれば、ほとんどガラガラ玩具と同じような感じで、中で小さい玉がカシャカシャ動くので楽しいと思います。そういう感覚で手に取って、楽しんでいるうちに、かじってしまうことがあると思います。その辺りの面白さを減じるような、包装性状のコントロールです。

 それから、先ほど何人かの先生が御指摘になっていましたが、実際に口に入れてしまった後のコントロールも可能です。苦味剤塗料というのがあります。現にリカちゃん人形がそうで、リカちゃんのハイヒールや、ハンドバックは全部苦味塗装になっています。それらを口に入れてペチャペチャしてしまうと窒息する恐れがあるので、ペッと吐き出すように苦味剤塗料で塗装しています。そのようなことは現に行われています。

 最後の手段としては、口に入れられない、押しても中身が出せない、出そうとしても錠剤が出てこないなどという CR 的な話が出てくると思います。 CR も幾つかのやり方があって、開封手順が長いとか、子どもは複合動作ができませんので押して回すとか、今回課題になっている子どもの指の力では出せないという力学的コントロールなどがあると思われます。

以上示してきたようにやりようは複数あるので、これら全ての手段を的確に使うことが課題になると思います。

 資料の裏側は作業仮説です。子どもの発達段階と、こういうことで開けてしまうのではないかという推察の仮説を立てさせていただきました。子どもは基本的に発達段階があって、敏感期にはその行為を非常に好みます。月齢や年齢ごとに、好む行動があります。その行動自体を言い聞かせて制限することはできません。特に 1 2 歳だと、ほとんど医薬品という認識はないわけで、身近に玩具的な要素のあるものがあれば手に取り、そして口に入れてしまう。 2 3 歳になると親の模倣行動で「何かいいことをやっているんじゃないのかな」とか。 3 4 歳ぐらいになってくると、 self medication のつもりで、薬には種類があるということもわからず、おなかが痛いから自分で飲んでみる、というようなこともあるかもしれないということもあります。鋏が使えるようになるのは 3 4 歳ぐらいということで、軟らかいものだと自分で切って出してしまうこともあるかもしれません。PTP包装の開封・誤飲は 1 2 歳児が多いという話だったのですが、この辺の発達と実際の行動について、丁寧にきちんとした基礎資料を取っていく必要があると思います。

 力学的制御ということですが、消費者安全調査委員会がなさっている実験は非常に貴重なものです。子どもに関する体力や筋力などのデータは非常に乏しいのです。実際に実験がやりにくいという話もあります。ですから、各方面にとっても、貴重なデータになると思います。ただし、 PTP 包装の基準値として扱うとなった場合には幾つか検討していただくというお願いをさせていただきたいと思います。

1 つは、今回のサンプルの分散がどのぐらいかという話があって、土屋先生も御指摘になりましたが、逆にいうと現在の PTP 包装がどのぐらいの強度、サイズなのかということが調べられ、その性状のものが実験サンプルに含まれている実験が必要であると思います。

 あとは実際の開封行動も、押して出すだけではなくて、かじって出すとか、指をテコにして押し出すとか、幾つかのやり方があると思いますので、あらゆるやり方における出せる、出せないを見る必要があると思います。

 あとは消費生活上の諸課題で、これは往々にして製品安全全般における問題になります。 1 つは本来の使用者に対してバリアになるということを、どう考えるのかという話になります。100円ライターの場合も同じでした。チャイルドレジスタントにしたら、お年寄りが自分で火を付けられなくなったという問題があります。そういうのをどう考えるか。

2 番目は非常に悩ましい話なのですが、一部の方の安全を考えて製品事故防止を考えると、非常に価格が高くなってしまう場合に、それには関わりがない大多数の消費者に価格転嫁をすることが、社会的に受容されるのか、社会的合意がとれるのか、という議論は、常に付きまとってしまいます。この辺りは慎重に考える必要があると思います。

 いずれにしても、子どもが PTP 包装を開けて飲んでしまうことの対策ついては、モチベーションのコントロールから実際の力学的コントロールまで、かなり幅広いやり方が考えられます。その辺りの全体を俯瞰した上で、適切な対策を複数打ち出す必要があるのではないかということが、人間生活工学の観点からの意見になります。以上です。

○外部会長 貴重な御意見ありがとうございます。リスクマネジメントに関する非常に詳細な検討事項を分かりやすく説明していただきました。非常に参考になることかと思います。

 これまでいろいろな方々から御意見を頂きました。ここで今日、御参加の委員から御意見を伺いたいと思います。子どもの医薬品誤飲事故防止に関するこれまでの取組、そしてこれからの対策等について、御意見を頂きたいと思います。いかがですか。

○原田委員 チャイルド・シニアパネル試験について詳細を伺います。 1 つは今回頂いた資料ではまだデータは出てないと思いますが、その後、データが出てきた段階でどういう形でカットオフポイントを決めていくのかということに関して見込みをお持ちですかという点です。

 関連して、質問というよりは意見になりますが、私自身は現在、高齢者にとっての使いやすさ研究をやっている立場から、チャイルドレジスタンスよりもシニアフレンドリーの方が気になりました。このデータを取っていただいたことは、私自身、大変高く評価しております。しかし、例えば、今回のデータで 60 70 歳で一番上の方が 70 歳ですが、我が国では現在 75 歳以上の方が人口の中で 12 %を占めています。薬を摂っておられる方たちの比率からいくと、そこはもっと高くなっているというのが 1 点です。しかもこうした試験をする所まで出かけてこられる元気な方よりも、むしろ出て歩くのもなかなか大変という方たちの方がお薬を飲んでおられる。そこに例えばお孫さんがいらっしゃる、といった状況を考えたときに、確かにチャイルドレジスタンスも大事ですが、シニアフレンドリーもとても大事な問題で、開けられないがゆえに本当に飲めなくなってしまって、ヘルパーが来るまでは、もう飲まなくていいやとなってしまうのは、医療関係の先生方からすると、一番避けたいことではないかと思います。

 そういう意味で、「チャイルドレジスタンスを!だけどシニアフレンドリーもね」というのではなく、どちらかというと、シニアフレンドリーを優先しつつ、ぎりぎりチャイルドレジスタンスをどう組み込むか、というように優先順位を変えていただいたほうがいいのではないか、というのが高齢者研究をしている者からの意見です。

 特に力学的要件でそうした環境が作れるかということに関しては、私自身が認知心理学研究者だということもありますが、疑問を感じます。例えば、ピンチ力を測ったとしても、チップピンチとキーピンチというのがあり、それだけでも随分値が変わります。逆にひねって出す場合などもあると考えると、一体レジスタンスとしての最大値をどのようにして力学要件だけでカットオフポイントを作れるのか、少なくとも私の知識の範囲内ではよく分かりません、というのが 1 点です。

 また、さきほどから土屋先生が回してくださっている CR 容器のサンプルを見ますと、非常に複雑なものが出てきています。特に 5 番のサンプルは、プラスティック部分ではなく、紙の部分を押して、その上で裏の紙を剥がすと薬がポロッと出てくる仕組みとなっていましたが、これは恐らく高齢者は使えません。どうやったら出てくるのか分からなくなって、ハサミで切ってしまうということが多分出てくると思います。

 高齢の患者さんが体調が良くないというだけではなくて、例えば、夜になって、少し覚醒水準が落ちてきたとき、そういった「どうやって開ければよいか」といった判断がガクンと落ちるというのも高齢者の特徴としてあります。ですので、力学要件も大事だと思いますが、それは最小限の要件であって、それをクリアしたら、それでオーケーですということにはちょっとならない。とりわけシニアフレンドリーということを考えると、そこは非常に難しいと思い、是非、広い観点からの調査を続けていただきたく思います。どうするのが一番いいのかということについては、まずはデファクトスタンダード的にいい形のものが出てきて、そこに収斂していくことが大事なのかもしれません。。いろいろな話になりましたが、以上です。

○外部会長 実際には高齢者が薬を飲んでいて、そちらが飲みづらくなる可能性が出てくる。そういう視点からの配慮が必要ではないかという御意見だと思います。ほかにいかがでしょうか。

○伊関委員 私も降圧剤を服用しているので、飲みにくいのはちょっと困るのですが、小松原先生がおっしゃったように、危険性の少ない薬よりは、中毒を起こして入院するような、向精神薬、気管支拡張剤、血圧降下剤、血糖降下剤に限局した対策を、頻度も含めて考えると、まずとるべきではないかと思います。それ以外の副作用が少ないのは注意喚起とか、いろいろな啓蒙活動を行い、重要な有害事象が起こるものに対して、少なくとも当該薬に限局して実行するのが一番早いのではないかと思います。

○外部会長 いかがですか。当然ながら、もしチャイルドレジスタンスの容器にする場合には、今のように優先度からいえば、重症化する、小松原先生のリスクで言えば、事故のひどさという部分が非常に大きな薬から対策を打っていくことになるかと思います。これは消費者庁の方も同じような御意見だと思います。ほかにいかがですか。

○原田委員 もう 1 点だけ、今の御意見を聞いて思い出したのですが、血圧降下剤が大変危険というお話、なるほどと思ったのですが、それを国民がどのぐらい知っているでしょうか。例えば、向精神薬等が「子どもには絶対良くない」というのは、多分ほとんどの人が理解していると思うのですが、非常にたくさんの高齢者が毎日のように飲んでいて、普通の薬というイメージがある降圧剤について、「これは危険なもので、子どもの手には絶対渡らないようにしよう」という意識は余りないのではないか、そのような気がします。ですから、まさに小松原先生がおっしゃった「ハザードの被害の大きさ(ひどさ)」という意味で、これだけは気を付けてほしいというもののリストアップし、特に「普通の人の知識・イメージから離れているものについて」重点的に周知するというのも大事かもしれないと思います。

○土屋委員 日本病院薬剤師会も啓発が大事だということで、消費者庁から原画の提供を受けて、ポスターを作って、待合室に貼るようにということでやっています。本当に啓発をどう行っていくのかということからいくと、改正された薬事法の第 1 条の 6 では、責務とまでは言いませんが、国民としての役割が定義されておりまして、適正使用のためにいろいろなことをやっていこうということです。別に国民に責任を押し付けるのではなくて、そういうことも含めて、国民啓発というものをきちんとやっていくということは、ありとあらゆる機会を使って薬というのは食べ物と違うのですということを、きちんと教育していくことです。これは小さい子どもは学校薬剤師とか、そういったところかもしれませんが、まず親に気付きを与えないといけない。要するに子どもは知識があって誤飲をしてしまうのではなくて、知識も何もなくて興味でやるわけですから、これを防ぐためには、ある程度親が見ていてあげなければいけないということからすると、本当に国民の啓発を絶えずやっていくことが必要なのだという気がします。

○千葉委員 正にハイリスクの薬、血糖降下剤、高血圧、喘息の治療薬などは、まず率先してというところですが、容器という意味での率先ではなく、注意喚起という意味での啓発が最優先です。ハイリスクの薬を作っているメーカーだけが、ジェネリック企業も含めて対策を打つということではないと思います。ハイリスクの薬しか作ってなければいいのかもしれませんが、それも作っているという実情を考慮すると、一概にその分野だけを出しにくい PTP 包装にするのは設備投資の課題だけでなく、本来服用する患者さんのアドヒアランス低下を考慮すれば、いかがなものかというのも 1 つ意見として述べさせていただきます。

○森委員 啓発ということと、シニアフレンドリーということで言えば、最近、高齢化になってきて飲み間違いや飲み忘れがあって、一包化にしていることが多くあります。それでも切りにくいので、さらに薬局では親切に切りやすいようにしていて、その中にいろいろな薬が入っているのです。そういう意味では、本当に悩ましい。やはり啓発が必要なのかな、と思います。改めて患者の身近にいる薬局、薬剤師がきちんと指導をすることが重要なのだと考えます。

しかし、高齢者には飲み忘れがないように、手元に薬を置いて、ちゃんと飲んでくださいという指導をしている反面、どこか子どもの手の届かないところに仕舞いなさいというと、忘れてしまうと言われることもあり、非常に悩ましいです。さらに言えば、いつも子どもと一緒にいれば注意はできるのですが、普段は高齢者だけであって、たまに子どもが実家に帰ってくるような場合で、実家では薬がいつでも手に取れるようになっているというような状況も容易に想像できます。こうした中で、国民を啓発する薬局、薬剤師はきちんと指導をすることが、まず前提にあった上で、その次の対策として、どういうことが全体で考えられるのかということを改めて考えていくべきではないかと思います。

○外部会長 ほかにいかがですか。注意喚起はもちろんやってきたところですが、小松原先生の下から 2 行目に書いてありますように、「漠然とした注意喚起ではダメ」なのだ、しっかりとした目的を持って国民へ啓発あるいは注意喚起をしなければいけないということなのかと思いました。厚生労働省からは、作成した冊子に記載があるということでしたが、「手の届かないところに保管」という今の数行の注意喚起では、多分不十分だと言わざるを得ないような気がします。今回、新たに消費者庁からの御意見も頂きましたし、テーマとして浮き彫りになってきたわけですので、国民、製薬企業も我々も一丸となって、このことの周知を徹底すべきではないかと思います。何か御意見、追加はありますか。厚労省から何かありますか。

○医薬食品局安全対策課長 先生方、いろいろな御意見ありがとうございました。子供の誤飲対策としてまず第一は、啓発をしっかりするということの御意見だったかと思います。私どもは例えば「薬と健康の週間」といった機会で取り組んでおりましたが、その内容を充実させていくという方向もいろいろ検討したいと思います。

 今日の主要な論点でしたチャイルド・シニアパネル試験については、力学という観点だけということについても考えるべきという指摘もありましたが、試験法として検討するという意味はあるということだったかと思います。ただ一方で、その結果を受けてどのように生かしていくかどうかという点については、いろいろな面で慎重に検討すべきだというような御意見を頂きました。私どもとして、これら御意見を踏まえて、それに対応するようなことをいろいろ考えていきたいと思っております。どうもありがとうございました。

○外部会長 今後のいろいろな課題が浮き彫りになったかと思います。私たちも知らない子どもの発達と行動というか、その辺ももっと詳しく調査すべきことかとも思います。そして、何よりこれは注意喚起する側としては、子どもを育てる母親、父親という若い世代への配慮、啓発というか、その辺も重要かと思います。例えば、母親教室なり、 1 歳、 2 歳児を実際に扱われる御両親への教室というか、そういう所があるのであれば、そういう所でしっかりと教えていくことも含めて、徹底して国民全体で小児の医薬品誤飲防止に努めなければいけないのかなと思いました。

 時間もありますので、この辺でこの議題については終わりにしたいと思います。消費者庁や消費者安全調査委員会の方におかれましては、本部会の議論をフィードバックして、今後の取りまとめに向けて参考にしていただければと思います。それでは、検討事項 1 をこれで終了したいと思います。お越しいただきました土庫様、多田先生、小松原先生、どうもありがとうございました。

○外部会長 それでは検討事項 2 に入りたいと思います。検討事項 2 は「誤接続防止コネクタに関する国際規格の導入について」です。これについては、まず背景や経緯について事務局より説明をお願いします。なお、この検討事項についても、御質問については全ての説明の後に一括してお受けしたいと思います。それでは事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料 3 を御覧ください。コネクタ誤防止接続について、日本においては平成 12 8 31 日の「医療事故を防止するための医療用具に関する基準の制定等について」通知に基づいて、経腸栄養ラインの関連製品については、輸液ラインとは物理的には接続できない形状にすることを求めてきているところです。

 今回、資料 3 の下のほうに示してありますが、「呼吸器システム及び気体移送」、「経腸栄養」、「四肢のカフ拡張」、「神経麻酔」及び「皮下注射及び血管系等」の使用用途ごとに形状を変えて、相互の接続を不可能にするというコネクタの国際規格 (ISO) が制定されるという情報を受けております。

 今後、誤接続防止をより万全に期する方針として、日本において製造販売される対象製品について、これを新規格として適用することを検討しております。それに伴って、新旧規格品の切換え時期における医療上の安全対策が必要になってまいりますので、本部会におきまして、各委員の御意見を伺いたいと思っております。

○部会長 医療機器の誤接続による事故も既に非常に多く発生しています。これまで胃管チューブの誤接続防止については、既に我が国でも対策がとられました。今回、複数のカテゴリーに分けて、新しい ISO 、国際規格を導入するということが図られているようです。これについて今回の議題として挙げられているところです。国際規格の概要や切換えのスケジュール、医療現場へのアナウンス状況について、本日参考人として ISO 会議にも参画しておられる日本医療機器テクノロジー協会所属企業の加納様、佐藤様をお招きしておりますので、説明をしていただければと思います。よろしくお願いします。

○加納参考人 御紹介いただきました加納と申します。よろしくお願いします。

○佐藤参考人 御紹介いただきました佐藤と申します。栄養の関係のカテゴリーの主査をやらせていただいております。

○加納参考人 では、資料 4 です。これには、日本医療機器産業連合会傘下の団体で MTJ 、日本医療機器テクノロジー協会と日医工 ( 日本医療機器工業会 ) 、アメリカの AMDD 、欧州の EBC という 4 つの団体が関わるのですが、今日は MTJ から私が代表して説明いたします。

2 枚目のスライドです。背景としては先生方御存じのように、 1990 年代にルアーコネクタの付いた医療機器が栄養剤や麻酔剤、圧縮ガスと広範に使用され、誤接続による不適切な投与によって患者の死亡や障害が報告されるようになり、懸念が高まってまいりました。

 事故防止のために使用者への教育訓練や、色による識別等が行われてまいりましたが、根本的には用途別に物理的に、形状を変えないと駄目だろうということで、 2006 4 月頃から ISO IEC がジョイントワーキングを設置して、誤接続できない形状の検討が始まってまいりました。

3 枚目です。具体的には 6 種の異なったコネクタを規定することによって、相互の非互換性を確立することを目指すこととなりました。その 6 種の異なったコネクタは何を示すかというと、 4 枚目のスライドを見ていただくと、呼吸器、栄養、泌尿器、血圧計、麻酔、血管・皮下の 6 種のカテゴリーごとに異なったコネクタを検討しようということで、今、検討が進んでまいっております。対象医療機器の例としては、真ん中のカラムに挙げておりますので、それぞれ御確認いただきたいと思います。一番右側に担当工業会を示しておりまして、そこが主となってこの検討を指導しております。

 私は MTJ から出ておりますが、呼吸器と血圧計は日医工 ( 日本医療機器工業会 ) が担当になって、この規格の制定に関わっております。

 規格化のスケジュールはスライドの 5 枚目です。先生方も御存じかと思いますが、規格制定予定 FDIS と書いてありますが、 FDIS は最終国際規格原案と申しまして、国際規格になる 1 歩手前の段階です。 FDIS 以降は国際規格となる間までには言葉の微調整はあっても、数値、規格の変更はないと言われておりますので、今回の規格、規制スケジュールは FDIS 成立時期がいつかということで示しております。

 そうしますと、呼吸器は 2016 4 月、栄養、血圧計、麻酔、血管・皮下は今年の 7 月、 10 月が予定されており、大体年内には国際規格が成立する運びとなる予定です。

 一方、海外はどうかと言いますと、米国カリフォルニア州で 2016 1 1 日に ISO80369-3 という栄養のカテゴリーに関する規格を取り入れる。その翌年の 2017 1 1 日には ISO80369-6 という麻酔のカテゴリーに関する規格を法制化して、新コネクタへ切換えをすることが決定しております。まだ規格は決まっていませんが、カリフォルニアの州法としては決定しております。決まった段階ですぐ取り入れることになっています。欧州はどうかと言いますと、 MDD ですが、米国と大きな時間差がなく、規格化の可能性が大となっております。それを取り入れる検討も現在始まっております。

 こうしたことを受けて、 6 枚目のスライドですが、現在のところ、業界内では、お手元にあるようなことを予定しております。誤接続防止コネクタ ( スモールボアコネクタ ) に順次切り換えていくと。 2017 年、つまり 2 年後の 4 月から栄養のカテゴリーに関する製品群について、続いて麻酔のカテゴリーに関する製品群については、その翌年の 4 月から新しく ISO になった規格、新規格のものを医療機関に届けていこうと計画しております。順次、呼吸器、泌尿器、血管・皮下のカテゴリーのものへと切換えを進めてまいりたいと思っています。なお、切換期間は 6 か月間。この間で各医療機関にお願いをして、医療に支障がないようにできるだけ混在期間を少なくする。大体半年でギリギリだろうと踏んで、現在のところは考えております。

 もう 1 つは、変換コネクタです。これは使用しないように医療機関と製造販売業者が相談をして新規格に移行していこうと考えています。また、今の栄養、麻酔のカテゴリーに関わるところは、認証基準、承認基準、 JIS があって、こうしたものの変更も考えていかなければいけないのですが、規格が決まらないことには何もできませんので、それが年内一杯には決まるという見通しですので、その段階から検討していただこうと考えておりまして、お願いをしております。

 最後に 7 枚目のスライドです。このような状況を受けて、工業会として規格制定が進められている旨を、重ねて申し上げて、栄養や麻酔、医療安全等の関連学会及び日本医師会、看護協会といった職能団体とも調整の上、医療現場への案内をしていく所存です。また、先ほど申し上げたように今年 7 月、 10 月になりますと、ほぼ規格が具体的に決まりますので、そうした段階になりましたら、このような寸法になりましたとか、このような形状になることがほぼ決まりましたといった情報の提供量を拡大して、御案内をしていこうと考えております。以上です。

○外部会長 このように大胆なといいますか、大幅な改革が行われようとしています。しかも、工業会のほうから率先してこのような提案がなされていることは画期的かと思います。これについて、今回の新規格導入に伴う医療安全上の対策について、事務局から再度説明をお願いします。

○事務局 資料 5 を御覧ください。先ほど御紹介いただきましたけれども、現在、各業界団体との協議の下、新規格の導入時期について調整を図っております。最も早いカテゴリーである経腸栄養のものについては 2017 ( 平成 29 )4 月の導入開始を検討しております。

1 点目の新旧規格品の切換えについてですけれども、新規格に適合する製品と既存品との間では、基本的に相互の互換性がないと聞いております。また、患者体内に留置を行う製品も存在しておりますことから、一定の併存期間を設ける必要があります。この併存期間については、医療現場等での対応に必要な期間を考慮し、 6 か月間の設定を予定していて、切換えに際しては、医療機関と十分に調整を図ることを徹底いただくものとしております。

2 点目は、新規格品と既存品との接続を可能にする変換アダプタ、いわゆるトランジットコネクタと呼ばれるものは発売しないことを併せて指導させていただく予定です。なお、関係医療機器については、新規格に基づく承認や認証を取得次第、各メーカーの判断でバラバラに出荷を開始していくと、医療現場における在庫管理等に混乱を起こす懸念があります。そのため、出荷開始時期については統一を図る必要があると考えております。以上です。

○外部会長 これまでは、規格が 1 つであり、三方活栓で何でもそこから入れることができました。そのことは、医療現場では非常に便利であり、その便利さを今回は医療安全のために不便にする。そのことが安全につながることであるという動きかと思います。ただ、これをするにはお金の動きがどうしても付いて来ることだと思います。この負担をどのようにカバーするか。実際に作る工業会にとっては大きな負担になるのではないかと思います。その辺の問題もクリアしなければいけないかと思います。各委員より、今厚生労働省から提案のあった今回の新規格導入に伴う医療安全上の対策について御意見を頂きます。

○今村委員 「切換えに関しては医療機関と十分に調整を図ること」と書いてありますけれども、これは変更あるべしということなのですか。このように思っているけれども、調整の結果変更もあるということなのですか。この「調整」という意味はどういうことなのですか。

○外部会長 厚生労働省の今回の防止対策の 1 2 行目から 3 行目、「切換えに関しては医療機関と十分に調整を図る」とありますが、この「調整」という意味は、この新規格導入の中止ということもあり得るかということです。

○安全対策課長 この「調整」ということの意図ですが、これは新規格の導入を見直すかということではありません。医療現場での混乱がないように十分な情報提供を行っていただくとともに、この 6 か月間の中で円滑に切り替えをいただけるように調整をしていただきたいということです。今回この会議で委員の皆様にお伺いさせていただいておりますのは、国際規格の導入を見直すということではなく、既存の製品との切換えをするに当たり、医療現場での混乱がないようにするにはどのような対策を講じるべきなのか、例えば切替えの期間について、今は 6 か月と考えておりますけれども、これが浸透を図るために十分な期間であるかどうかについて御意見を頂ければということです。

○外部会長  ISO の規格に、我が国の機器も合わせていくという、この大方針はそのまま進めていくということです。

○松月委員 日本看護協会です。医療の現場には、外国製品のいろいろなカテーテル類が入っています。今、日本の中にあるものとは少し形状が違って、同じ目的で使うものであったとしても使い方が様々で、看護師は製品ごとに使い方を覚えなければいけないという煩雑さがあります。この ISO を採用するということであれば、私たちは、これは日本製だからこう使う、外国製だからこう使うという区別はなくなるので、非常によろしいかと思います。が、かなり大掛かりな形状の変化ではないかと思います。

 そこで一番懸念される、切換えたときの事故に対してどう安全を担保するかということについて事例を申し上げます。過去に、インスリン製剤が統一された時期がありました。あの時には、病院の中で院内で採用するのは 1 つにしようと決め、成功した体験があります。具体的には、切換える前の教育を徹底的に行いました。何月何日になったら、指示もこのように出してください、それまでにあなたはこういうことに気を付けてやるのです、というシミュレーションも含め、 1 年ぐらいかけて広報しました。切換えの場面では、何月何日の夜中の零時に引き上げる、搬入はこの人たちがやるというような非常に細かい手順まで全部準備し、それを事前に教育しました。これらのことで、何の事故もなく切換えられたという体験があります。

 そのことから考えると、出荷の統一から半年間併存というのは、日本中の切り替えを考えるとしようがないかと思います。大事なことは、切り替えの手順や、新しい規格の使い道はこのようになります、今まではこうだったのだけれども、現場ではここに気を付けて、換わるのですよ、という教育をすることが一番重要だと思います。かなりいろいろなものが換わりますので、本当にその製品を使っている病院が津々浦々まで、きちんと教育が行き届いた上で切換える形にして、それによる患者さんへの影響は是非避ける、それが一番重要かと思います。そういう意味では、出荷してから半年間の教育が非常に重要だと考えております。

○外部会長 貴重な御意見だと思います。

○田代委員 臨床工学技士の田代です。規格の浸透は非常に重要なことでよろしいかと思います。ところで、このコネクタの中で、いわゆる機械的な医療機器に接続する部分が出てくると思うのです。その時に、そのような医療機器はそう早いペースで物は入れ換わらないという問題がどうしても出てくると思います。そうなると、その機械を長持ちさせる、長く使うためには、どうしてもトランジットの回路が必要になってきてしまいます。その換えるための手順とかコストも含め、患者の周りは機械も含めて関係する所なので、やはりその部分も考えていただきたいと感じております。

○外部会長 この新しい規格を導入するに当たり、先生が御指摘になったように、いろいろな所へ波及する問題が出てくるのだろうと思います。それを是非クリアしなければいけない。そのためにはコストのことも関わってくる。注射器側も大きく変わってきますので、これはコストの面も含めて非常に懸念します。病院の中に別な機種、また規格の注射器も置かなければいけないことになってきます。特に麻酔薬については、静脈と、脊髄の近くや硬膜外に同じ薬を入れますから、その度に注射器を換えなければいけない。プレフィルドシリンジについては、その辺の規格も換わるということで、非常にコスト面でも、場所の面でも、いろいろな課題があると思います。医療安全のためには、そういうことをクリアしなければいけません。

○三田委員 工業会を代表してお話します。松月先生、田代先生からいろいろ貴重な御意見をありがとうございました。今回の切換えは、先ほど安全対策課長が言っていたように、その期間も滅菌品であれば、例えば 2 年間とか 3 年間の有効期限を持っているもの、病院の中にあるものを、それではどうやって切り換えていくのだという時期の調整が非常にキーポイントになるのかなということが 1 つあります。

 病院の中にある、カートに乗っているものも全部交換しなければいけないということも出てきます。今まで私どもも、工業会としてはいろいろな反省があって、例えば透析用血液回路のロック化も、非常に時間を掛けてロック化を全部切り換えたとか、そういう過去の経験をいかしながら、事前に教育とか、病院の中のどこにものがあるのだとか、そういうことをいろいろな学会に、これから事前にアナウンスを始めていきます。そこでいろいろな課題を抽出しながら、協力していただきながら進めていきたいと思っています。こういうことがあるのだというのが、本日の会議の中で周知されたと、そのことについて、今後いろいろな関係団体にお話をしていきますので、是非切換えについて御協力を頂きたいということで進めさせていただきます。

○外部会長 いただいたコメントからは、切り換えに向けた強い決意を持ってこのように対策を立てているのだと思います。ただ、これには先ほどから出ているようにコストの面もあります。この辺、医政局からも何かコメントはありますか。

○医政局総務課医療安全推進室医療安全対策専門官 新規格製品の導入に関しては、各医療現場の御意見を伺いながら、きちんと進めてまいりたいと思いますので、どうぞ御協力のほどをよろしくお願いいたします。

○外部会長 適切なご対応をお願いしたいと思います。これについて、また何か御意見等がありましたら、事務局のほうへお寄せいただければと思います。新規格の切換えについては、これからまた適切に進めていただければと思います。検討事項 2 についてはこれで終了いたします。お越しいただきました加納様、佐藤様どうもありがとうございました。

○外部会長  それでは報告事項に移ります。報告事項の 1 は、「血漿分離器の取り違え事故の防止について」です。本議題については、過去の医療事故に対する改善対応の取組の紹介になります。まず、経緯について事務局より説明をお願いします。御質問については、全ての説明の後に一括してお受けいたします。

○事務局 資料 6 を御覧ください。最初のページは、 2011 年に(平成 23 年)発生した血液濾過器と血漿分離器の取り違えによる死亡事故です。内容や背景については裏面のスライド 3 ページ目の表にあります。この案件に関して、平成 25 4 月より、再発防止策について、関係者で協議を重ねてまいりました。そして、今回はものの観点から改善するという報告を受けておりますので、事例紹介とさせていただきます。

 概要については、スライド 2 ページ目にある表にまとめてあります。本件の取り違えについては、製品の入っていた直方体の箱を管理する際に、奥行きが長くなるように配置しておられ、つまりは手前のほうには箱の小さい面しか見えないように配置していました。そして、視覚に入るその面には、用途を示す文言や製品名が記載されていなかったことが要因であることが原因であったと考察されたことから、個装箱の全面に一般名の表示を行うことの報告を受けております。こちらは既に実施済みです。

 今後は、本体の一般的名称表示も大きくすること、バーコード照合システムを導入することに加え、血漿分離器については、接続部( D ポート)の口径の規格を変更することで、濾過器に使用する回路とは、そもそも接続できなくするという検討が行われています。詳細については、本日は業界団体、関係学会、職能団体から、それぞれ有識者、参考人をお招きしておりますので、各対応を御紹介いただきます。

○外部会長 まず、対象医薬品の改善対応について、本日は参考人として日本医療機器テクノロジー協会血液浄化部会の青木様にお越しいただいておりますので、説明をお願いいたします。

○青木参考人 日本医療機器テクノロジー協会血液浄化部会の青木です。資料 7 を御覧ください。膜型血漿分離器と持続緩徐式血液濾過器の取り違え事故を受けた、製造販売業者の取組について御報告いたします。

2 ページ目です。「医療機器の取り違え事故に対する対応を検討する会」と称し、持続緩徐式血液濾過器と、膜型血漿分離器の取り違えによる死亡事故の発生を受け、学術・職能団体より、関係業界団体へ呼び掛けがあり、再発防止策を検討してまいりました。学術・職能団体の先生方及びこれまでの会合は以下の表に示すとおりです。

3 ページ目は、製造販売業者、旭化成メディカルの取組になります。膜型血漿分離器と持続緩徐式血液濾過器の取り違え事故をなくすためにということで、先ほども御報告がありましたように、事故を受けて 2015 5 月までに視認性向上ということで、個装箱の全側面に一般的名称、製品名を表示しております。右のほうに「変更前」「変更後」ということで、変更前は長いほうの面にしか、この赤丸で囲ったような一般名、商品名を表示しておりませんでした。変更後は、全側面に一般的名称、製品名を表示しております。

 また、 2017 年の予定としては、バーコード照合システムを搭載した、次世代血液浄化装置の上市を予定しております。これにより治療モード、回路、フィルターの組合せをバーコードで管理することが可能になります。私どもは、このバーコード照合システムを搭載した血液浄化装置により、治療モード、回路、フィルターの組合せを管理することで、先生方が意図した治療が適切に施行されることをゴールに据えております。ただ、次世代装置が市場に浸透するまで、 5 年から 10 年程度かかることが見込まれております。そのため、次世代装置が市場に浸透するまでの間、学術・職能団体の要望に応え、 2017 年を予定しておりますが、膜型血漿分離器の D ポート、いわゆる血漿が出てくる出口側の形状を変更することを考えております。これについては、複数の製造販売業者がある持続緩徐式血液濾過器ではなく、より製造販売業者が少ない膜型血漿分離器の D ポートの形状を変更することとしました。

4 ページ目に移ります。膜型血漿分離器の D ポートの形状変更案とスケジュールです。 D ポートの形状変更案です。膜型血漿分離器の D ポートに、ルアーロックのオスのコネクタを接続します。今現在、膜型血漿分離器及び持続緩徐式の血液濾過器の D ポートの形状は、 ISO8637 という両者同一の規格に沿ったものと

なっておりますが、今後、膜型血漿分離器については、左側の ISO80369-7 、これは現在の ISO594-2 の内容がシフトして近く制定される規格ですが、 6 %ルアーのルアーロックに換える予定です。こちらにすることで、膜型血漿分離器と持続緩徐式血液濾過器の D ポートの形状が異なるようになり、同一回路の接続は不可となります。

 なお、これは、今回膜型血漿分離器の製造販売業者の対応だけではなく、回路メーカーの協力も不可欠です。形状変更に伴う課題として、設計開発及び部材の追加によるコストアップは避けられないと考えております。安定供給継続のために、本件改良に伴う償還価格については厚生労働省に要望したいと思っております。

 下のほうの四角には、スケジュールを予定として載せております。本日の医薬品・医療機器等対策部会後、回路メーカーとの調整を開始し、 2 年でこの製品を上市したいと考えております。

 最後のページです。 D ポートの形状変更時及び変更後の課題として、希望する治療モードに対し、膜型血漿分離器と回路を一緒に間違えるリスクがまだ最終的に残っております。また新旧製品の混在期が最大で 3 年間生じます。フィルターの滅菌後、使用期限が 3 年のためです。そのため製造販売業者が、医療施設・従事者及び販売業者への周知徹底を行うこととし、回路メーカーと切り換え時期や、想定される混在期間を調整し、医療施設・従事者及び販売業者への周知徹底を行った上で、適切に切換えを実施していく所存です。

 最後に、各学術・職能団体へのお願いとして、製造販売業者が行う周知徹底に加え、先生方からも、この変更を行った上での新たな医療事故防止のため、医療従事者への教育・周知徹底をお願いする所存です。以上で、血液浄化部会からの報告は終わります。

○外部会長 過去の不幸な医療事故を踏まえ、製造販売業者でもこのように積極的な取組が行われています。そして、今後のこともここに課題として書かれております。こうした事故の再発防止については、ものの改善に加えて、ヒトに対する対策も非常に重要です。この点について、関係学会や職能団体における対策等について、本日は各代表の方を参考人としてお招きしております。まず、日本急性血液浄化学会所属の東京女子医科大学血液浄化療法科の秋葉先生。日本人工臓器学会所属の山梨大学医学部救急集中治療医学講座の松田先生。日本透析医会所属の河北総合病院透析センターの篠田先生。日本臨床工学技士会会長の川崎先生。日本臨床工学技士会副会長で善仁会本部医療安全・医療情報管理部の本間先生。本日はどうもありがとうございます。改善対策の紹介については、代表して秋葉先生より御紹介いただけるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。

○秋葉参考人 私は、日本急性血液浄化会で医療安全倫理委員会の委員長をやらせていただいております。今回は、医療者の立場から御報告させていただきます。

 まずは、スライドの図 2 番目を御覧ください。これは、京大から発出されたネブライザーにエタノールを入れて患者さんを死亡させたエタノール事故からの教訓を踏まえた事故報告書です。この教訓を踏まえ、臨床工学技士による管理が行われなかったこと、移植外科の診療体制が不十分であったことを指摘した上で、改善策が提出されました。この報告書が、京都大学病院から発表される前の医療者の対応と、発表後の医療者の対応に分けて報告させていただきます。

 次のページです。この横線が入っている所がその発表前後です。まず、事故が起きて 1 か月後に、日本アフェレシス学会理事長から、アフェレシス学会の Web サイトに、「持続血液濾過法における血液浄化器選択ミスに起因した医療事故に関連して - より安全な治療提供のための周知徹底のお願い」が出ております。

 次のスライドの下にお示したのが、この Web サイトのコピーです。グリーンで囲んであるように、医療スタッフは血液浄化器の適切な選択と使用を実現するために、その原理や特徴などを含む知識・技術を取得すべく、日夜研鑽を積む必要があると指摘しただけではなくて、濾過側回路接続部が、透析液接続部と同じ形状になっている。また、商品名も類似しており、血液浄化器接続ミスを防げるような、安全面に配慮した改善を、製造業者に強く要望することを指摘しています。

 次のページは、 2012 1 月、 3 か月ほど後になりますけれども、日本臨床工学技士会は、装置・回路の安全基準についての提言を発出しております。 ICU 又は ICU に準じた場所での施行に限定し、血液浄化療法を熟知した臨床工学技士が常時立ち会う安全体制が必要であると訴えています。

 次に事故後の対応です。 2012 年末になり、ほぼ事故から 1 年後ですけれども、刑事事件としての調査が一段落して、京大の塚本先生が、急性血液浄化学会で事例報告と再発防止策を公開されました。これを、私たち血液浄化学会は受けて、事例調査報告書を入手し、事故の検証と対応策策定を、この治療に携わる医療者で行おうと呼び掛けて活動を始めました。これが、先ほど御紹介していただいた呼び掛けです。それにより、医療の安全を高めるための方策をいろいろ協議させていただきました。

 メーカー側の対応は先ほど御紹介いただきましたので、私に課せられた役割は、医療者側の対応についてです。医療機器の安全を高めるためには 2 つの行き方があります。まず、使用者に医療安全の安全な操作を励行するように教育をしていく。もう 1 つの方法は、医療機器の安全を高めるということです。本日、私はこの医療者の質を高める努力を御紹介いたします。その下にある、医療血液浄化を専門とする医療者の対応 (2) です。まず、安全に施行できる医療者をしっかりと育成したいということです。この両方に関わる各種の学会、医師会等がいろいろな努力をしております。

 関係の医師、臨床工学技士等が、医療安全を十分わきまえた知識を持って、そして十分な訓練を受けることが大切です。ここに示すように専門医制度、それから認定指導者制度等々を作り、技士・医者のインセンティブを高めていくことで対応しております。ここに人数が記載してありますけれども、一番多い透析医学会でも、専門医の数は 5,400 名、今回問題となったアフェレシスの専門医は 271 名、急性血液浄化学会の指導者は 172 名ということで、まだまだ各施設に行き渡る数ではありません。

2 番目に、この医療者をどう配置するかという問題です。特に臨床工学技士が問題になりましたので、臨床工学技士をどこに配置するかというモチベーションになることです。臨床工学技士を配置することで、病院の経営が良くなる方向へ保険制度を動かしていくことをお願いしている段階です。実際には、特定集中治療室管理料というのがあります。非常に限られた素晴らしい集中治療室だけが対象ですけれども、院内に臨床工学技士が常駐しているという縛りがあり、これによって大きな点数が付く形になっています。もう 1 つは、医療機器安全管理料として、常勤の臨床工学技士が 1 名以上配置されているという、非常に緩い形ですけれども、こういう形でも臨床工学技士を配置するという形で進ませていただきます。こういう形で、しっかりと透析ができる技士、そして医者を育てる方向、そしてその人たちをしっかりとその病院に張り付けさせるという動きをしていただいています。

 最後のページでこの事故をまとめます。透析室以外という、不十分な環境で、臨床工学技士などの専門スタッフに恵まれない、そして十分な教育を受けていない医師がセッティングするという、多重の悪環境の中で起こって、しかもその発生後も、その発生した事態を把握できない、診断できなくて死亡に至っているという、非常に寂しい悲しい事故でした。今後、透析室や ICU などの環境で、血液浄化専門医の指示のもと、臨床工学技士によって治療が行われれば、現状でもより安全、ほとんど安全な治療ができることです。

 しかしながら、この治療自体が救急の現場や夜間、重症者に、しかも不定期に行われるという性格を持っていることを考えると、これらの条件が満たされなくても、医療安全が確保できる治療環境づくりが望まれるというようにまとめさせていただきました。以上です。

○外部会長 秋葉先生、ありがとうございます。このように、非常にしっかりとした対応が、関連企業の方、なおかつ関連する学会、臨床工学技士会等が一緒になって対策を立てています。単に医療機器の改善だけではなくて、人の育成にも非常にしっかりとした対応をしてきたことが紹介されました。本当に素晴らしい取組かと思います。この件に関して御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○田代委員 臨床工学技士の田代です。旭メディカル様の対応の D ポートの件でお聞きします。 D ポートの変更で、現在の規格から、 ISO80369-7 というルアーロック、 6 %ルアーと書いてあります。ここに規格があるということは、血漿交換以外でも使われている可能性はないのでしょうか。この規格が、他の医療機器、医療材料等で使われている規格ではないのかを確認したいと思い、質問させていただきました。

○青木参考人 お答えします。 ISO80369-7 という規格自体は汎用のものであり、他の医療機器において使われているものではあります。しかしながら、血液浄化という、いわば特殊領域における製品の検討ですので、用途的に他の ISO80369 7 の製品と交錯して誤接続するというリスクの発生は無いと考えられ規格選択として妥当という判断をしております。
○田代委員 もう
1 点お聞きします。ダイアライザーを見ると、赤と青というように分かれて作ってあると思うのです。血漿交換のポートに対して色を付けるような手段は今後採っていくのかどうか。径を変えるだけではなくて、色を変えることも行っていくのかどうかをお聞きします。

○青木参考人 今現在、現状の膜型血漿分離器にはポートの横に、回路と同じようなシールで色分けをしております。現在の回路と、現在の製品を組み合わせる所には、見分ける誤接続防止のシールは既に貼ってあります。

○田代委員 かなり小さめのシールですよね。 1cm ぐらいの丸いシールがポートの横に付いているだけで、組み立てている最中にはそんなに目に付かないのです。コネクタには色が付いているのですが、思いのほかファストフィルターのほうは目立たない。若い技士がプライミングするときに、どっちに濾液を付けて、圧をつけるかを悩んでしまうぐらい分かりにくい部分があるのではないかと思うのです。その辺は検討できないかどうかということです。

○青木参考人 今までも、これまでの会合において、血液浄化部会等でもその点は検討している最中です。また、その点に関しては血液浄化部会に持ち帰って検討させていただきます。

○松月委員 日本看護協会です。秋葉先生に教えていただきたいのですが、資料 8 6 枚目の図にあります、血液浄化を専門とする医療者の対応 (2) 、医療者の育成の所で、臨床工学技士が 1988 年から 3 7,133 名という数字は、安全な血液浄化を専門とする臨床工学技士の数ということですか。

○秋葉参考人 田代先生の前で説明するのは厳しいのですけれども、臨床工学技士は、卒業段階では血液浄化一般について従事できることになっています。ただ、現実的には医者と同じで、それぞれ専門分野に分かれています。呼吸器が専門とか、ペースメーカーが専門等々、専門部門に分かれています。それぞれ専門特化されているわけですけれども、今後、各病院で進められている夜間の当直制だとか、そういう所では共通の技術として、血液浄化も皆でやっていけるような形になっていくと理解しております。

○松月委員 診療報酬上の配置基準の改定がありました。このことで専門分化が進むことも大事です。これからも臨床工学技士に頑張っていただけたらすごくうれしいと思います。よろしくお願いいたします。また、その教育を、それぞれここに挙げている団体の方々が行っていると考えてよろしいのでしょうか。

○秋葉参考人 はい。その通りです。

○外部会長 本対策部会は、医療機器や医薬品のものの観点から議論をする安全対策部会でした。ですから、ヒューマンの問題については直接なかなか取り上げる機会がなかったのですけれども、本日は 1 つの医療事故を踏まえて、安全体制の確立のためには医療機器だけではなくて、ヒューマンの方面からの安全対策が非常に大事なのだというところを教えていただいたと思います。この面は、是非医政局のほうでもしっかりと踏まえて対応を取っていただければと思います。本日お越しいただきました先生方ありがとうございました。これで、この議題は終わります。時間も押していますので、報告事項に移ります。その他、事務局からの報告事項をお願いします。

○事務局 前回開催以降に実施いたしました厚生労働省の取組を御紹介いたします。資料 9 を御覧ください。「医薬品・医療機器等の安全使用に関する調査結果について」御説明いたします。医療機能評価機構が実施する事業で、収集公表された医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の内容について、 PMDA の有識者会議であります医薬品・医療機器・再生医療等製品安全使用対策検討会において、安全管理対策に関する検討が行われ、その結果が厚生労働省に報告されております。この結果のその後の取扱いについては、前回第 26 回本部会において、当部会の開催を待たず、厚生労働省のホームページ等で公表するということでご了解を頂きました。これに伴い、平成 26 年度以降の医療事故情報、ヒヤリ・ハット事例については、 PMDA の有識者会議の検討結果の報告という形で、次の資料 9 別添資料のとおり、厚生労働省のホームページ掲載による公表を行っておりますので御報告いたします。

 続いて資料 10 、枝番で 3 種類あります。こちらは、前回開催以降公表されております、 PMDA 医療安全情報です。参考としてご紹介させていただきます。

 最後に資料 11 を御覧ください。こちらは、過去に通知や、先ほどの PMDA 医療安全情報において、注意喚起を実施しているにもかかわらず、最近の医療事故情報、ヒヤリ・ハット事例の分析結果において、引き続き見いだされた再発・類似事例についての、再喚起方法として、定期的に発行している「医薬品・医療機器等安全性情報」の参考情報として掲載することを開始しております。資料 11 の内容は、直近の 4 28 日に公表された 322 号に掲載されている内容です。以上報告とさせていただきます。

○外部会長 何か御意見はありますか。ないようでしたら、以上で本日予定していた事項は全て終了となります。事務局から追加で何かありますか。

○事務局 最後になりますけれども、本日の議事録については、後日送付させていただきますので、内容の御確認をお願いいたします。なお、御確認いただきました後は、厚生労働省のホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○外部会長 それでは、これで閉会といたします。ちょうど時間ギリギリに終わることができました。御協力をどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課
代表・電話:03-5253-1111

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