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2015年5月20日 第50回 がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成27年5月20日(水)17:00~19:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(6階)


○議題

(1)がん対策推進基本計画の中間評価について
(2)今後のがん対策方向性について
(3)その他

○議事

○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第50回「がん対策推進協議会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

 まず、委員の出欠状況について御報告いたします。

 永山委員が少しおくれております。

 また、本日は、佐々木委員、宮園委員より御欠席の連絡をいただいております。

 なお、本日も3名の参考人を招聘しております。

 国立がん研究センター、がん対策情報センター長の若尾文彦参考人です。

 同じく、がん対策情報センター、がん医療支援研究部長の加藤雅志参考人です。

 日本医療研究開発機構戦略推進部がん研究課長の佐藤礼子参考人です。

 それでは、以後の進行は、門田会長にお願いいたします。

○門田会長 皆さん、2カ月にわたり、17時からのスタートということで、遅い会議の連続ですが、いよいよ、この会も5月と6月、あと余すところ2回、最終的には、前から言っております中間評価と次期の今後の方向性ということで最終版をつくらなければならないタイミングになっております。本日もよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、資料の確認を事務局のほうからお願いしたいと思います。

○がん対策推進官 資料の確認をさせていただきます。

 資料1「がん対策推進協議会委員名簿」。

 資料2-1「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」の達成見込みについて」。

 資料2-2「進捗管理指標一覧」。

 資料3「がん対策推進基本計画中間評価報告書(案)」。

 資料4「『今後のがん対策の方向性について』報告書(案)」。

 資料5「日本医療研究開発機構(AMED)におけるがん研究について」。

 資料6「HPVワクチンに関する検討状況について」。

 資料7「『がんサミット』プログラム(案)」。

 資料8「検討会等の取組状況について」。

 参考資料1「がん対策推進基本計画中間報告書」。

 参考資料2「がん対策推進基本計画」。

 参考資料3「学校におけるがん教育の在り方について」を付してございます。

 また、机上配付資料としまして、資料の指標詳細がございます。

 以上、不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

○門田会長 よろしいでしょうか。特に問題ございませんか。

 ないようでしたら、本日の議題1から進みたいと思います。

 まず、議題の「()がん対策推進基本計画の中間評価について」ということでございますが、本日は、まず、最初に研究班のほうから、がんの年齢調整死亡率の統計予測と指標の測定結果に関して御説明をいただき、

そして、その後、事務局のほうから中間評価報告書作成の進捗状況あるいは現時点のものを説明していただいて意見交換に入りたいと思います。内容が違いますので、まず、若尾参考人のほうから、年齢調整死亡率のお話をしていただき、そこで一度ディスカッションし、それから、事務局の中間評価報告書についてのディスカッションをするという順番に進みたいと思います。

 それでは、まず、若尾参考人から御発表をお願いします。

○若尾参考人 どうもありがとうございます。

 発表の際に、資料2-2にあります進捗管理指標についても触れさせていただいてよろしいでしょうか。

○門田会長 はい。

○若尾参考人 それでは、報告させていただきます。

 毎回研究班として報告させていただいておりますが、まず、最初に2-1につきましては、研究班のアクティビティーということではございませんで、国立がん研究センター、がん対策情報センターのがん統計研究部の作業として出たものを御報告させていただきます。

 スライドの2枚目、基本法は2006年で、基本計画の第1期のものが2007年6月に出ました。

 それで、2007年6月の際に、全体目標として、がんによる死亡者の減少で75歳未満の年齢調整死亡率20%減というのを挙げていただきました。

 このとき、2007年にスタートしているのですが、2007年の時点で死亡率が出ていたのが、2005年の死亡率で、この計画の中には2005年の92.42015年、つまり、ことしの年齢調整死亡率で73.9にするというのが目標となっています。

 実際に対策が始まるのは、2007年以降なのですが、そのときにはかれるものということで、少し前倒しになった数値が示されております。

 スライドめくって3枚目、ごらんになってください。

 こちらの一番下のところにありますが、本当に当初の平成19年の5月に開催されました、第3回のがん対策推進協議会、きょうが50回ですから、47回前の推進協議会で配られた資料が、こちらのがん情報サービスの中にあるのですが、そちらに詳しい策定のための状況を書いてあります。20%の根拠としまして、そのときのトレンドで自然減が10%、それで、目標であります喫煙率を半分にするということで1.6%、がん検診の受診率50%、これも個別目標になっていますが、それで4.0%。がん医療の均てん化、これは非常に質の高い医療をしている病院の生存率が多くの病院に反映される、全てのがんについて反映されるということで4.7%、合わせて10%、この自然減に加速して、合計20%というのが、この当時、第1期の計画の際に出されております。それを今回、予測値で評価いたしました。

 スライドの4枚目、がん統計の短期予測ということにつきましては、こちらも脚注のところにありますが、昨年の7月にプレスリリースしまして、今までがんの統計というのは、少しおくれた統計を出させていただきました。欧米などでは、もっと新しい統計予測というのを出しているということで、昨年7月初めて我が国のがんの罹患数あるいは死亡数の予測という形で出させていただきました。

 ことしの2015年分につきましても、今月の初め、やはり予測数として出させていただいて、罹患数が98万人というような数字を提示させていただいたところです。

 このように、短期予測の手法を用いて、2015年の値を予測するということを今回やらせていただきました。

 スライドの5枚目、短期予測は、そこに書いてありますが、97年から2013年のデータを基に、今回、201420152016と丸のところの数値を予測させていただきました。

 それによりますと、2015年の年齢調整した値が76.7ということで、当初目標値である73.920%減ですけれども、策定時の2005年に比べまして、17%減ということになっています。

 それ以降につきましては、個々の要因についての状況です。

 まず、成人の喫煙率、これは、喫煙率が半分ということが当初の計画の中で想定されましたが、2005年の喫煙率、男女計で24.2が平成13年で19.3です。

 スライドの7枚目、そこから13年まで出ていますので、15年につきましては、これも欄外にありますか、2005年から2013年の対数線形モデルによりまして、2015年の値を出して26%減です。7が男性で、8が女性です。スライドの9枚目が男女計のものとなっています。

 男女計のもので、こちらが半分減というところで、同じ手法を用いて2005年から2013年の値で、2015年の値を見ると、26%減となっております。

 スライドの10枚目、赤字のところにありますが、もし、喫煙率が半減した場合が1.6%下がるというのが試算の中です。これが目標とされていました。

 ただし、その下の赤字のところですけれども、予測値では26%減ということで、この26%減が死亡率に及ぼす割合として0.2%、これが現状の見込みとなっています。

 スライドの11枚目、がん検診の受診率向上、こちらにつきましては、国民生活基礎調査ではかられておりますが、検診につきましては、線形近似でトレンドをとるというよりかは、今回の値は、2013年の国民生活基礎調査のデータを使わせていただいております。

2007年、2010年、2013年と3つのポイントがございますが、その2013年の状況で代替しました。

 スライドの12、もし、2015年に50%達成したという場合には、全体の死亡率が4%減るという推定をしていたのですが、今回、達成されたのが、今回の受診率で出したところが2.5%減るというところになっております。

 スライドの13、受診率が上がることで、もっと早期がんの割合がふえることが期待されるのですが、まだ、著明な増加が見られていないという状況となっています。

 それから、要因の3番目です。均てん化ということで、全国どこでも質の高い医療が受けられるということで、これをはかる指標とすれば、1の標準診療の実施率、クオリティー・インデックスというものと生存率があるのですが、今回は目標を策定したときには、生存率を使っています。生存率につきましては、こちらに書いてありますとおり、5年生存率で5年後にはかりますので、時間がかかるということと、直接アウトカムを出しますので、わかりやすいというところがございますが、現時点では7府県の生存率から全国値を推計しているという状況です。

 今後、将来的には全国がん登録で計測が可能となるということがございます。

 その左側にあります、標準診療の実施率なのですが、こちらは本当にいい医療が行われているということをはかることができますが、解釈は専門的な知識が必要ということと、計測するのが、現在は研究班レベルで行われているというところがございます。

 スライドの15、今回、生存率で評価をしようというふうに考えていたのですが、今の状況を御説明しますと、このように、一番、地域がん登録に基づく5年生存率で最新のデータは、2003年から2005年の診断例、つまり、今回のがん対策推進基本計画の前のデータとなっています。これ以降のデータにつきましては、今年度の末までに出される予定で、残念ながら新しい計画が、もうがん対策推進基本計画の1期のもの、始まって以降の5年生存率がとれていないというのが状況です。

 ただ、トレンドを見ますと、このように、地域がん登録ですので、ステージではなくて、限局、領域、遠隔と非常に大まかなくくりでの進行度で分けているのですが、やはり、20032005になるにつれて生存率が上がっていることが確認できます。

 スライド16では、がん種別のものを示しておりますが、がん種別で見ても生存率が上がっているのですが、対策が行われた以降の生存率がとれていないというのが状況です。

 スライド17です。それでは、何ではかるかということで、今後の可能性として、QIというのがございまして、17のところにございますが、もともと研究班でスタートしまして、研究班のほうでクオリティー・インデックスの候補をつくりました。そちらにつきましては、これも研究班のホームページに、このような形で診療の質指標という形でつくったものを公表しているところです。

 さらに、これも研究班的な活動なのですが、都道府県拠点のがん登録部会におきまして、QIをはかるということで、これも研究班として公表しているようなところです。

 均てん化の状況としましては、繰り返しになりますが、生存率については、時間がかかるということで、まだ、2006年のデータは出ていないという状況で、今後、QI、研究班レベルでやっているものをしっかりとはかるということが求められてくると考えます。

 スライド19、その他の指標ということで、直接今回の計算とは、生存率の影響というわけではないのですけれども、未成年者の喫煙率が減っているというところ。

 それから、指針に基づかないがん検診を実施する市町村がふえていると、逆行しているということも起きています。ただし、チェックリストの実施割合は増加しているというところがございます。

 あと、実際の質としては、後ほど御説明しますが、今回、拠点病院につきましては、クオリティー・インデックス及び5年生存率の数値は出すことができました。ただ、それかあくまで拠点病院だけですので、本来であれば、より広い範疇の病院でのQIを行う必要があると考えています。

 スライド20、こちらがまとめになるのですが、上側が、先ほどお示しした目標です。それに対して、赤字のところが、現時点の予測で、喫煙で0.2、がん検診で2.5、均てん化につきましては、先ほど御説明したとおり、まだ生存率が出ておりませんので、値が出ておりません。

 ただし、全体として死亡率のトレンドから全体で2015年には17%と下がるということが予測されております。なので、もし、自然減が10%ということになると、がん医療の均てん化で4.3%ということになります。そうしますと、上下で比べていただきますと、喫煙率のところが、1.60.52、それから、検診50%が、4.02.5、均てん化で4.74.3ということで、どれも目標を達していない状況で、合計で17%下がっているという状況です。

 スライド2117%ということで、85%の達成率にとどまることが予測されております。それには、喫煙率、がん検診受診率が目標の前提に届いていないということであります。

 均てん化については、生存率がはかれていないということと、一番下ですけれども、死亡率の減少につながる対策を、やはり、まだ、第2期の終了まで2年ございますので、対策を加速させて、さらに計測可能な指標で評価を続けることが必要だと考えております。

 大変申しわけないのですが、続きまして、資料2-2をごらんになってください。関連するところで、今回、3点だけお話をさせていただきます。

 まず、全体としまして、前回の49回にお示しした資料と大きく違うところは、患者体験調査の値が、前回、小数点以下、四捨五入していて表示していなかったのですが、今回、小数点以下まで出させていただいております。また、若干数値が変更されているところがございますが、それは、再集計した結果となっております。

 5ページのA11をごらんになってください。こちらが、先ほどお示ししましたQIの部分です。拠点病院のうち、169施設のデータを対象として出しておりますが、これは、ガイドラインに書かれている標準的な診療が行われているかということをDPCとレセプトのデータなどから解析したものです。

 例えば、乳切後の放射線治療実施率、これは27%にとどまっているという状況でございます。

 このように、実際、病院で標準治療がどのくらいの割合で行われているかということが確認できます。

 それから、前の4ページのA18eです。妊孕性に関する情報なのですが、こちらにつきまして、大変申しわけないのですが、数値が間違っていることが判明しまして、今、25.2%となっているものが39.8%となります。こちらで過少の値を提示していたことがわかりまして。39.8%に訂正してください。

 留意点のところも数値が変わってきますので、これはまた、最終的な資料のときにお示ししたいと思います。

 最後の点で、14ページ、A37の部分で、希少がんです。希少がんは、前回か前々回も希少がんの初診から治療開始までの待ち時間ということで、これが希少がん以外と希少がんが同じ値で、希少がん2週間未満というのは、短いのではないかと御指摘をいただきまして、その理由はということを我々のほうでも検討させていただきました。

 さらに、今週の月曜日の希少がん検討会でも、この部分のことが話題となりまして、御報告しておいたほうがいいのではないかと思って、ここで御報告させていただきます。

 こちらは、質問としましては、何らかの症状や検診があって、病院を受診した日から、医師ががんと説明されるまでということでお聞きしているのですが、この患者さんの捉え方で、治療した病院から封筒が送られているようなことがございますので、その病院にかかってからと誤認しているのではないか。最初にかかったところからではなくて、最後の治療病院にかかってから治療開始までということで、誤解があるのではないかと考えています。

 その辺につきましては、さらなる解析が必要なのですが、この値については、そのまま、これが事実をあらわしているものではないのではないかと考えております。

 関連しまして、きょう、その次の話題で出てきますが、このように各指標について数値はありますが、その数値の背景となるさまざまな条件があって、きょう、机上配付で非常に厚い資料をお配りしておりますが、そこに書いてあるような、いろいろな配慮があって指標の解釈をしないといけないという中で、例えば、中間報告の中に数値だけ上げていただくと、本当はいろいろな留意点があるのに、それを配慮しないで、数字だけが一人歩きしてしまうと、それは、やはり避けたほうがいいのではないかと思いまして、しっかりとデータ源が何で、どういうふうに算定した結果であるというのをわかる形で掲載していただきたいと思います。

 長くなりましたけれども、以上です。ありがとうございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 年齢調整死亡率の話で、少し予測よりもおくれていると。幾つかの分析をしていただいておりますが、それについての御発言、一部、今のデータそのものの修正のお話もございましたが、まず、年齢調整死亡率のことについて、どなたか御発言をお願いしたいと思います。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員 2005年から2015年という、その10年をどこにとるかという問題なのですが、これは、後で御説明がある、資料3の7ページにも書かれています。もともと第1期の基本計画が2007年の6月に策定されて、普通は、やはりそこをベースにして、そこから10年だろうなと思うのです。そこの10年をどうとるかというのは、ちょっと議論しておいたほうがいいのかなと。

 私も長くこの委員をやらせていただく中で、目標が達成されないのはとても残念ですし、普通2007年から10年間で評価させていただいて、今からもう少し頑張って、ぜひ目標を達成できたらいいと思います。

○門田会長 どうぞ。

○若尾参考人 本当に、実際は、対策が始まる前、計画が始まる前からのところをベースラインとしているのですが、実際に何で2年前になっているかといいますと、実際の数値がはかれないということがございます。

 今回、2015年の数値を出しましたのは、あくまで予測値でございまして、これが、第2期が終わる29年になりますと、2005年の実測値というと、また語弊があるのですけれども、推計値が出ます。その時点で、本当の最終のがん対策の評価ができると。そこを例えば、2017年のデータを出すために、2019年にならないとデータが出ないということで評価ができないのですので、評価可能な数値ということで、少し前倒しになっているものと考えます。

 それで、こちらは、当時、第3回の推進協議会等で議論されたことだと思いますので、こちらは、これで、今回はかって、次の第3期に向けて、では、本当にリアルタイムにどうはかるか、どういう指標で、あるいはどういうものを全体目標としてはかっていくかということを御議論いただければと思います。

○門田会長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 今の点に関しまして、私も同意見なのですけれども、2005年のデータをもとにはかるしかないという点だけれども、対策自体は開始が2007年からなので、その前の2年というのは、対策を打っていない期間ということになるわけです。ここでは目標を達しがたいということをネガティブに考えないで、第2期計画でまだ残された期間は2年ぐらいあるわけですから、これからどういう対策を打つべきか、ということを中心に議論すべきだろうと思うのです。ただ、分析はしっかりして、達成困難にはどこにどういう問題があって、それを、あと残された期間をどう生かすかということに向けたほうがいいと思っています。

○門田会長 私もちょっと気になって、基本計画を読み直しますと、全体目標は、2007年から10年間の目標、そういう表現になっているのです。

 ですから、これは、第1期のも第2期のもほぼ同じような表現になっている。そうすると、やはり書いていることに正確に我々は反応しておく必要があるのかなという気がするのです。

 ですから、今、大切なことは達成したか、しないかという点が1つありますが、今、堀田委員がおっしゃられたように、対策がどうかということを考えれば、例えば、20%という数値に頼るのではなく、例えば、7年なら7年、8年なら8年でも、その傾き具合が何ぼで、どのくらいの比率だから、どうだ、こうだというふうな理論値も出てくるのではないかと思うので、その辺をどうするかというのは、皆さんの意見を聞いて、姿勢を正すというのか、決めていたほうがいいのかなという気もするのですけれども。

 そのあたり、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○若尾参考人 本文ではないのですが、きょうの参考資料1の第1期の中間報告書の42ページをごらんになっていただければ、かなり明確に書いてあるのですが、これが、平成22年に行われたときのものなのですが、このときの目標に関する進捗状況ということで、ベースラインが平成17年、つまり2005年で、そのときが20年、2年前のものをはかって、目標が10年後の2027年というふうにされております。

 なので、そのときではかれる最新の死亡率ということで、どうしても2年前倒しになってしまっているのが、今までの考え方だと思います。

○門田会長 だから、数値を出せば、そういうことにはなると思うのです。だけれども、対策がどうかという評価をするということになれば、8年であろうと、何であろうと傾きを計算しながら平均1年何ぼということでいいのではないかと、それのほうが正しい表現になるのではという気がする。

 ですから、対策をしていない2年も含めて、何年というふうなことを、ここに何かやっていることと、出している結果とが食い違っているところということは避けたほうがいいのかなという気がしますけれども。

 たしか、前のときに、私も責任者の1人になりますが、こういう数値を出して、今、おっしゃられるようなことになったわけですけれども、考え方として修正するのであれば、修正してもいいのかなという気もいたしますけれども。

 どなたか、そのほかの御意見はございますか。

 どうぞ。

○堀田委員 そうしますと、先ほどのように、計画期間が過ぎて2年ぐらいたたないと、最終評価ができないということを前提に考えなければいけないという話ですね。だから、計画期間が終わったときに、すぐにその評価ができるわけではなくて、2年ぐらいたつと、ようやく死亡率データが確定するということなので、今回は中間評価ですから、あくまで中間的な予測値でもって、さらに対策を強化すべき点は何なのだという議論をやるべきかと私は思います。

○門田会長 対策は、もうおっしゃるとおりだと思います。

 事務局、どうぞ。

○がん対策推進官 今の議論について補足をいたしますけれども、先ほど言及がございましたので、資料3の7ページをごらんいただきますと、少し先取りして恐縮ですけれども、前回から、今、まさに門田会長がおっしゃったような問題意識を踏まえまして、若干修正というか、加筆をしております。

 7ページの後段のほうの「また」以降ですけれども、また、2005年から2015年の10年間の変化について全体目標が設定されているということですけれども、がん対策推進基本計画によりもたらされた効果を、より正確に計測するという観点から、今後、前基本計画が策定された平成19年、2007年から平成29年、2017年、要するに対策が行われた期間に応じた年齢調整死亡率の変化を検証することも考えられるというような記載にしております。これについては、また、後ほど御議論いただければと思いますけれども、要は考え方としては、2005年から2015年という、既に設定されている目標については、それはそれで中間評価の機会を捉えて、推計値で、一応、その検証というか押さえておきながら、第3期の計画というものを、今後、策定をはかっていく中で、それは参考にすると。

 ただ、10年間なり5年間の対策の検証ということも一方で必要かと思いますので、その観点からは、若干第3期にずれ込みますけれども、第2期がどうだったのか、あるいは1期、2期でどうだったのかということを検証する観点から、2017年の値、これについては、さらに2年後にしかわからないわけですけれども、少しおくれてしまうということもシェアに入れてというか、それを持さず、多少おくれますけれども、結果的にどうだったのかということをレトロスペクティブに対策の評価として行うということも必要なのではないかというような趣旨で二段構えの書き振りにしておりますので、これについても、後ほどでも結構ですけれども、御議論をいただければと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 確かに悩ましい、最初から少し表現が悩ましいことで、ここまで来たということだと思いますので、そこのところをうまく修正という単語を使うべきではないかもわかりませんけれども、記載の内容を正しくどう理解し、そして、どう反映していくかということで、今のような表現も1つの方法かもわかりませんが、どうぞ。

○濱本委員 私も資料3と、先ほどの資料2と照らして申し上げたいと思います。

 今、御説明がありましたように、資料3のほうです。資料3の御変更いただきました部分の、さらに推進が必要と考える事項の中段のところ、喫煙率減少及びがん検診受診向上

に関連する施策、これが、もちろん周知のとおり、死亡率減少の施策の柱だったわけなのですけれども、それを具体的に示すものとして、先ほど、若尾先生のほうから御発表がありました、資料2の20ページ、もともとの目標の20%減の内訳、そして、現時点での予測の内訳、こういったものを対比させて、喫煙率半減を例にとりますと、喫煙率半減は、これだけ死亡率削減に寄与する予定であったところ、現在の達成率はこうであるということから、さらに推進する施策として必要性があるということを、読むほうに導きやすいのではないかと思います。

 そして、前回、堀田委員の発想の転換が必要ではないかと、今ある施策という以上に、そこが岩盤に突き当たっている節もあるのではないかと、その御発言は非常に重要でいらしたと思っております。

 ですので、さらに推進が必要な事項とした内容を中心に云々の後に、新しい施策を導き出してつくり出していくといういう記述も入れていただけたらと思っております。

 この2点は、がん対策基本法から推進計画までを通じ、救える命を救うという、当初からの最大の命題でしたので、これに対しては、現在こういう状況であるということの根拠と、そして、先を見越した施策、展望というものをしっかり書き込んでいただきたいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 ちょっと、資料3のディスカッションは、これはまた説明をいただいてからしたいと思いますので、一応、今の御発言は、そのまま記録に残してもらうことにして、皆さんに、そういうふうにお願いしたいと思います。

 先ほどの若尾先生の御説明の中で、年齢調整云々について、幾つかの表現的なところを検討する、堀部先生、何かありますか、どうぞ。

○堀部委員 基本的な質問で申しわけないのですが、もともとのがん対策推進基本計画策定時の20%減の中の自然減10%というのは、その正体は何でしょうか?また、予測時点で、その数値が変わっていないこともよくわかりません。これが半分を占めているわけですから、その背景を御説明いただければと思います。

○門田会長 若尾先生、お願いします。

○若尾参考人 10%減は、やはり、その時点でのトレンドを見て出しております。

 具体的には、90年から2005年のがん死亡率の減少を見て、それが、このまま持続すれば、2005年から2015年で10%と見込んでいます。

 要因は、何かといいますと、それまでに行われたがん対策の効果があらわれているというのが、一番大きなくくりでの説明になると思います。

 それで、今、堀部先生がおっしゃったように、とはいえども、がん対策がどんどん蓄積されていくので、その1%というのは継続するというのは、さらに推測が複雑になりますけれども、本来であれば、どんどん加速されていくものかもしれません。ただ、90年から2005年の15年のトレンドで見ると1%だったので、それをそのまま伸ばしているというのが現状です。

 それなので、先ほど、お示ししました資料2-1の中の均てん化のところXとしましたのは、実は自然減10%が、これもはかれないところですので、これを10とすると、ここが4.3になりますけれども、ここが10というのは確定できないので、ここはXと出させていただいたところでございます。

○堀部委員 もう一つ確認ですが、その予測において、高齢化が急速に進むということも加味されて、同じように自然減があると見込まれているのですか。

○若尾参考人 これは、もう年齢調整していますので、そこは加味してあります。

○門田会長 そのほか、よろしいでしょうか。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 ここには、データがないのですけれども、全体の今後の対策を考える上で、死亡率減少の中身がどのようなトレンドになっているかということも重要です、例えば、がん種別を見たときに、死亡率が非常に下がってきている胃がんとか肝臓がんもあれば、一方で上がってきているものもあります。こうしたトレンドの全体をながめたときに死亡率減少に向けて特に対策を打つべきがん腫は何なのだということも結構重要なポイントではないかと思います。できれば、そういうデータも今後出していただければありがたいです。

○門田会長 確かにそうですね。臓器によって全然違いますからね。

 どうぞ。

○若尾参考人 がん種別の状況につきしても、これも2015年の罹患数、死亡数の予測のときにやりましたが、同じことでがん種別の推測というのはできますので、それによって、胃がんがどのくらいの数になる、肺がんがどのくらいの数になるというのは出せますので、それに基づいて、各がん種の死亡率減少への寄与率というのは出すことができますので、これは、また、どこか別の機会で御報告できればと思っております。

○門田会長 ありがとうございます。

 永山委員、どうぞ。

○永山委員 ありがとうございます。確認ですが、20ページのがん医療均てん化のXというのは、10の中に含まれている数字ということなのですか、それとも17プラス何とかになる数字なのですか。

○若尾参考人 ここは、はかられていないのでXとしまして、ただ、本当に算数でいきますと、0.2足す2.5足すXは7なのです。なので、無理やり計算すると、ここは4.3になるということですけれども。

○永山委員 それが4.3だということに。

○若尾参考人 はい。ただ、その4.3は、こちら全体から引き算で出したもので、均てん化としてのデータはないので、Xとさせていただきました。

○永山委員 わかりました。

○門田会長 ほかにもまだあろうかと思いますが、少し事務局のほうの今の作文のほう、資料3についてのお話を聞きながら、もし、意見が出るようであれば、そのときにもおっしゃっていただくということで、次に進みたいと思います。

 では、事務局、お願いいたします。

○がん対策推進官 それでは、資料3をごらんください。

 主な変更点について御説明したいと思います。まず、表紙をごらんいただきますと、前回、この報告書の作成主体をもう少し明示したほうがいいのではないかということで、厚生労働省並びにがん対策推進協議会ということを記載してございます。

 めくっていただきまして、目次ですけれども、大きな変更点としましては、第3章の中間評価の最初に「I 概要」というものをつけさせていただいております。

 全体を見て、すぐ要点がわかるような概要が必要ではないかという御指摘でしたので、5ページと6ページの2ページにわたって、その概要をつけてございます。

 5ページを確認いただきますと、全部で4つの項に分けて2ページにわたって概要をつけております。

 1点目が、全体目標ということで、今、御議論いただいた20%減も含めた3つの全体目標についての概要です。

 2番目が、重点課題ということで、4点ございますので、6ページにわたって4点の重点課題についての概要をつけております。

 3番目が、その他の分野別施策の主立った、1、2で出てこない領域についてつけております。

 4番目が、全体包括する事項について概要としてつけております。

 7ページ、先ほど前倒しで御紹介してしまいましたけれども、さらに推進が必要と考える事項の中身ですけれども、先ほど御説明したとおりですが、前段につきましては、減少傾向にあるものの、全体目標の達成が難しいということを踏まえて対策をさらに進めていく必要があるという内容です。

 後段は、先ほど、御説明したとおりです。

 括弧書きにつきまして、前回、がん対策推進協議会としての意見であるということを明示すべきであるという御意見もありましたので、がん対策推進協議会として、さらに推進が必要と考える事項という記載で全体も統一しております。

 続まして、主立った変更点ということで、20ページの緩和ケアの項目ですけれども、主な追加点としましては、加藤先生の研究班のほうで、医療従事者の緩和ケアに関する意識調査を御紹介いただいておりましたので、その概要をつけ加えております。

22ページにつきまして、緩和ケアの最後のところですけれども、全体をまとめるような書き振りを加えております。全体として、緩和ケア提供体制の検証と整備を進める必要があると、まとめるようなパラグラフをつけ加えております。

23ページが、地域の医療介護サービスというところですけれども、この推進が必要と考える事項として、その後、出てきた御意見を加えております。地域でのネットワークの構築に関しまして、出てきた意見をつけ加えております。

28ページにつきましては、病理診断に関しまして、国立がん研究センターのコンサルテーションシステムのほかに、病理学会としてもコンサルテーションシステムがございますので、その実績を加えております。

37ページ、予防の項目ですけれども、この中で、特に受動喫煙に関して、具体的に今後必要な対策をつけ加えてはどうかという御指摘がありましたので、その具体的な記載を書き込んでおります。

39ページ、がん検診、早期発見のところですが、先ほど、少し御紹介がございましたが、国のがんの指針以外のがん種の検診を行っている自治体の割合をつけ加えております。

43ページ、研究の最後ですが、医療の国際展開といったような観点についてもつけ加えております。

48ページ、がんと就労のところですけれども、ここも最後に全体をまとめる記載をつけ加えております。がんになっても安心して暮らせる社会の構築を一層推進するというまとめのパラグラフを加えております。

 主な変更点の御説明は、以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 御質問、御意見ございませんでしょうか。

 内藤委員、どうぞ。

○内藤委員 本当に細かいところなのですが、21ページのところで、緩和ケアの普及啓発の部分なのですが、国民等の等がついているのがよくわからない。この等というのは、何か意味があるのですか。21ページの一番上です。緩和ケア研修修了者数のところです。

○がん対策推進官 別の記載から引っ張ってきたものではあると思うのですが、ちょっと確認をいたします。確認をして、必要があれば是正いたします。

○門田会長 そのほか、いかがでしょうか。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 少し全体的なことにはなるのですけれども、指標としての数値を入れていただいて、具体的な参照できるデータを出していただいたのはとてもいいと思いますけれども、その数値のデータ源ですね。これが、付録として報告書の後ろに付けるという話なのですけれども、このデータ源が何で、解釈の注意点があるかということをコメントしないと、数字が一人歩きするのではないかという心配がございます。

 したがって、データ部分に注記を小さい字でもいいから入れていただくか、添付資料の何ページ参照できるかということをはっきり示していただかないと、誤解を生む部分もあると思います。

 もう一つは、指標としてここに取り上げられた項目が、最適な指標の数値なのかというのも少し検討の余地があると考えます。

 そして、例えば、19ページにあります死亡場所という指標も、23ページの2カ所出てくるのも気になるところです。

 また、指標の中で、自宅というのは、自宅のみなのか、あるいは施設というのは、どこまでを施設と言っているのかはっきりしないと、在宅の実態が見えないのではないかと考えますので、そういうことも含めて、指標データは丁寧に出したほうがいいのではないかと思いました。

○門田会長 事務局、どうぞ。

○がん対策推進官 ありがとうございます。そういう意味では、説明が漏れておりましたけれども、先ほどの資料2-2の縦の詳細なデータにつきましては、最終的には、資料3の報告書の後ろに一体としてつけ加えるようなイメージで考えておりまして、こちらの本文のほうに抜粋をしている指標につきましては、それぞれ緩の7とか、全の1とか、いろいろ指標の種類が書かれておりますので、それは、その付録としての詳細版のどこかということがわかるようにという趣旨ではおります。

 ただ、その対応関係がわかりにくいということですとか、一人歩きの懸念がございますので、そこは注書きをするなり、ページを示すなりを検討したいと思います。ちょっと悩ましいところとしましては、余り詳しく書き過ぎますと、それはそれでちょっと見にくくなってしまうという点がございまして、見やすくしたほうがいいというような御指摘も当初いただいていましたので、そのバランスを見ながら考えたいと思います。

○門田会長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 先ほどの内藤委員からの御質問なのですけれども、実は、国民等というのは、21ページですけれども、表にあります一般市民というふうに置きかえていただいたらわかりやすいと思うのですけれども、実は、この委託事業における緩和ケアの普及啓発につきましては、一般市民だけではなく、看護師や医療者に対しての普及啓発という部分も兼ねているということで、ここに書かれている分に関しましては一般市民と置きかえて、国民となりますと、では、医療者も国民なので、余りいい言葉ではないと思いますので、一般市民等を対象としたと書きかえていただけますと、その等の中には一般市民ではない、実は医療者も含まれているという感じと見ていただければと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員 34ページの受動喫煙にかかわる部分なのですけれども、受動喫煙対策も大変重要なのですが、ただ喫煙率が下げどまっていることを考えますと、やはり全面禁煙というものを、吸えない環境を推進するのが、やはり本筋だと思うのです。

 そういう点では、空間分煙という言葉、これが果たしていいのか、あるいは2行目にある受動喫煙防止対策助成金、これも事実上分煙を進めている形になっていると思いますので、少しここはお考えいただいて、こういう書き振りが入ってもいいのですが、今後、分煙ではなく全面禁煙を進めていくという形をとらないと、喫煙率の低下が望まれない。ひいては、先ほどの20%減が達成できないということになると思いますので、ぜひ、御検討いただきたいと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 永山委員、どうぞ。

○永山委員 同じたばこ対策のところですが、先ほどの死亡率への寄与度を見ても、禁煙対策というのは、前回の堀田委員の発言にもありましたが、これまでとは違う考え方で、新たな対策を打っていく必要があると思います。これは、濱本委員がおっしゃったことと、私も同じ考えです。

 厚生労働省の協議会というところで、どこまで言及できるかわかりませんが、全面禁煙の問題であるとか、たばこ税の問題であるとか、あとは、全体としての禁煙をどのように進めていくのかということを、よりはっきりと書ける範囲で書いていかないと、先ほどの死亡率の低下というところが、そちらも下げどまってしまうのではないかという心配があります。

 それから、死亡率に関係して、がん予防のところで、やはりがん検診の受診率の問題もあると思います。これは、何度か協議会でも申し上げておりますが、やはり制度的にがん検診の主体が、今の自治体などでいいのか、そういったことも含めて、より多くの方が受けやすい、受けるインセンティブがある、受ける気になる、そういった形の制度にしていくということも含めて検討するという形で盛り込んでいただければということを希望したいと思います。

○門田会長 ありがとうございました。今、述べられた2点については、多分、一番重要なことだし、このタイミング、特にオリンピックが受動喫煙云々というところ、これも問題になってきますね。ですから、喫煙の問題については、第1回の協議会が始まったときから、いろいろ話題になって、先ほどのディスカッションの中でも、喫煙率半減という単語、これは第1期のときにすごくディスカッションをし、協議会では強く半減しましょうと言ったのですが、結果的に盛り込まれなかったという経緯もありました。

 そういった意味で、そろそろ20%の目標が非常に難しいということが目前に来ているとすれば、あと、残った道は、やはり、今以上に強調してほしいという気はしますね。とにかくがん対策推進協議会とすれば、やはり、そのくらいは述べておくべきかなという気もいたしますが。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 私も全くそれに同感です。このまま減らしましょうと言っているだけでは。なかなか行動や、実際の低下に結びつかないのではないかと考えます。受動喫煙に関してはある程度の法規制を含むような対策をやらないと、達成は無理ではないかと思います。たばこの値段も世界的な市場から言えば、わが国は相当安いというのが現実です。ちょうど、本日、日本学術会議が東京都の受動喫煙防止条例の制定を求める緊急提言というのを出しております。その中では、法整備も含めて、東京オリンピックに、海外の人が来るときに日本が恥ずかしくない環境を整えるべきだということを提言しています。時代としては、もうそういうところに来ているのかなと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 では、堀部委員、それから、西山委員、お願いします。

○堀部委員 44ページの小児がんについての記載ですが、がん対策推進協議会として、さらに推進を必要と考える事項について、1行目に、小児がん拠点病院を中心とした云々とあります。小児がん拠点病院を中心ということはいいのですが、ここ2年間の整備状況を見ても、拠点病院以外の施設で多くの患者さんを診られている現状からすると、やはり、上にも書かれていますが、地域の医療機関との連携体制が非常に重要と思います。是非、連携体制の文言も入れていただければと思います。

 3行目に「二次がん等の晩期合併症に」と書かれていますが、どうして二次がんを先に出さなければいけなのか疑問です。二次がんに関して、早期発見もさることながら、現病の治療での対策が重要です。晩期合併症で個別に挙げるとしたら、例えば、妊孕性の温存や、自立支援、就労支援のような、その後のフォローで重要な項目を挙げていただくか、もしくは、具体的な文言を出さずに、「さまざまな」に変えるのがよいと思います。二次がんだけが突出した記載は、いかがかと思います。

 4行目に、教育現場や職域等で正しい情報を発信するとありますが、とりわけ、職域での発信は、必ずしも利益につながるわけではありません。発信の仕方次第で、微妙な問題が生じますので、この文言についても吟味をいただきたいと思います。

 以上です。

○門田会長 小児がんについてですね、池田委員、どうぞ。

○池田委員 今の意見に全く賛成でして、この文言の中に、どうしても小児がんは数も少ないので、拠点病院を中心とした高度医療というか、医療の集中化ということが、まず、第一義的なものではあるのですけれども、やはり、このデータを見ても、医療を集約化したところで、最初に治療を受けられる人というのは22%で、4人のうち3人以上は地域で受けているわけでもありますので、まずは、第一歩として、拠点病院で高度医療を目指すというのはいいのですけれども、やはり、それと同時に、今、堀部先生もおっしゃられたように、このがん対策推進協議会として考える事項の中に「新たな治療法の研究開発を引き続き推進するとともに」の後に、地域医療機関とも連携するというような文言を入れていただけるといいなと思いましたので、意見として言わせていただきます。よろしくお願いします。

○門田会長 ありがとうございました。事務局もよろしいですか。

 では、西山委員、どうぞ。

○西山委員 先ほどの死亡率の点も一緒に絡めての質問なのですけれども、ほとんどの議論が喫煙だとか、検診だとかいった予防に集中していますけれども、本来、このがん対策推進協議会で一番議論しなければいけないのは、治療、医療のレベルのアップということなのではないでしょうか。

 それが、どの程度死亡率の低下に還元され、どこが足りないかということを明解にしないと、今後のがん対策をする上で問題になるだろうと考えます。

 特に、先ほどトレンドで10%との話をされましたけれども、例えば、5年生存率に関しても、ごく一部分の病院だけでも、また、早期、領域、そうした旧い分類法であっても、なんらかの結果が出され、それが、例えば、すごく進んだ段階のがんではほとんど変わっていないとしたら、それはどのがん種で、次は進行がんの研究を重点的に進めるべきだといえるようなデータがないと(議論が進まないように思います)。本来、治療で患者さんが苦しまないように、さらにいい治療を求めるべき、というがん腫、段階、やその課題を探らなければいけないので、標準的治療がどれだけ広がったかというデータだけでは厳しいような気がしています。そうした点に対する記述が、5番の「医薬品、医療機器の早期開発、承認等に向けた取り組み」にも、それから、「がん研究の領域」にも全く反映されていない。

 私が言うのも何なのですけれども、たくさんの経費を使ってがん医療の進歩に貢献しない試みや、急ぎ重点的に行わなければならない課題が、ちょっと見えにくいのです。例えば、ここに5年生存率のごく一部分、がん診療連携拠点病院だけでも、そうしたデータや、コメントをつけ加えることが可能なのでしょうか。

 若尾委員、よろしくお願いします。

○若尾参考人 先ほど御報告しなかったのですが、資料2-2の4ページのところに、これは前回から追加されているのですけれども、拠点病院の5年生存率、これは新しいもので2007年のものが出ております。なので、これなどは追加することができるということと、先ほど少し御説明が不足していたのですが、今回の死亡率の予測を全体で出しまして、部位別のもできるのではないかという堀田委員からの御指摘がありましたが、部位別で、例えば、今、胃がんと大腸がんが減っていますけれども、その減少が鈍化しているとか、あるいは肝臓がんは非常に減っているとか、乳がんは横ばいになっている、子宮頸がんの死亡率が急速に増加しているというようなことは出ていますので、それぞれ、どのがん種の対策が必要だということは出すことができると思います。それは、トレンドから出して、だから、そのがん種の治療法を進めるべきだということにつなげることができるのではないかと思います。

○門田会長 何とか間に合いますかね。大丈夫ですね。

 そのほか、どなたか、濱本委員、どうぞ。

○濱本委員 がん研究のところについてお尋ねいたします。

41ページのがん研究の個別目標、最後の4行のところに、要約しますと、がん患者の参画などを図り、ここで1つがん患者が出てきています。関係省庁の連携や研究者間の連携を促進する機能を持った体制を整備し、続いて、有効で安全ながん医療を、がん患者を含めた国民に速やかに提供することを目標としたということが、まず、挙げられております。

 このがん研究という項目の中は、患者の参画ということが、他項に比べまして多くうたわれているところであり、とても関心を持っておりました。

 それで、取り組むべき施策のところには、例えば、がん研究全般の実施状況と、その成果を国民に積極的に、まず公開し、そのことによって、がん研究に対する国民やがん患者の理解の深化を図る。そして、がん患者が積極的、主体的に臨床研究に参画しやすい環境を整備する、などについて記述がされておりますが、この報告書()には、全くそのあたりの進捗や検証の記載がありません。がん研究に対して、臨床研究にとって、これから患者の参画が不可欠であると考えるところからもぜひ知りたい、進捗を知り、また、今後の課題というのは知りたいところであります。

 この後、AMEDに対する御解説があるかと思います。その設立により、いろいろな業務の移行ですとか、作業更新中で非常にお手間をおかけしているところかと思いますが、ぜひ患者参画の部分については記載をしっかりとお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○門田会長 ありがとうございました。

 湯澤委員、どうぞ。

○湯澤委員 済みません、先ほどの喫煙対策のところなのですけれども、やはり、たばこの性質上、嗜好品というところがありまして、職域であるとか、飲食店というところは、まだまだ喫煙率が高いと思うのです。

 先ほどの法規制の対策と並行して、やはり成人の、もしくは職域の受動喫煙の害というか、そういったものの教育も並行して進めていく必要があるかなと思います。

 理解した上で分煙、それから、禁煙をするというようなことのほうが進みやすいのかなと感じております。

○門田会長 ありがとうございました。

 緒方委員、どうぞ。

○緒方委員 今回、この委員会の委員にさせていただきまして、本当に感謝するところです。

 1つ、患者の立場からお願いしたいことがあります。がん研究で治療法としては、放射線療法、化学療法、手術療法と大きな柱が3つあるようになっていますが、今、私たち患者の間で話題になり、関心があるのは免疫療法です。

 私、実はずっと気になっていたのですけれども、この委員会では、ちょっと言葉にするのをためらわれていたのですが、ここにきて、NHKで日曜日の夜、また免疫療法のことが放送されました。

 そんなこともあって、もうそろそろこの委員会でも取り上げられてもいいのではないかなと、そんな気がしています。

 実は、今、日本で認可されているmelanomaの治療薬として免疫療法があるそうですが、アメリカでは、もう肺がんにも使われているということなのです。患者会でも、何人も肺がんで、本当に治療法がなくなっている人がいます。その人たちにとっては光なのですが、みんな真剣に新しい治療薬を待ち望んでいます。そろそろ免疫療法という言葉も、この委員会で挙がってもいいのではないかと、患者の1人として思いました。よろしくお願いします。

○門田会長 ありがとうございました。

 上田委員、どうぞ。

○上田委員 おっしゃるとおりで、がん免疫療法の問題は、研究のあり方を考える委員会のときには、がんの治療法は3つではなくて、免疫療法も入れたらという議論はされていたのです。だけれども、一般治療として導入するには、まだちょっと早いのではないかということで、その免疫療法という言葉は落とした経過もあるのです。

 しかしながら、現在、急速に科学的な免疫療法が進んできています。一部、melanomaに関しては、御案内のとおり、ほぼ標準療法になります。ただ、それが、研究の流れと実臨床が、少し歯車が合っていなかったのです。当然ながら、問題点はまだいろいろあるのですけれども、今後の方向性として、記載をすべきではないかという気持ちは、私自身は、そちらに関心が強いものですから、思っているところです。

 ただ、どういう記載をするか、もう少し慎重でなければならないところもあります。がん免疫療法という場合に、今、ちょうど文科省の次世代がんプロジェックとでも厚労省の実用化事業デモがんの基礎から臨床までの研究を強化し、推進しております。今までの免疫療法とどういうふうに違っているのかとか、治療効果の物差しがもう少しきちんとしてこないと、余り軽々に書き過ぎたりすると、それが一人歩きをすると、ちょっと微妙なところもあり、現在、研究班として免疫療法のガイドライン作りも精力的に進めております。また、皆さんと一緒に考えたいと思います。

○門田会長 どうぞ。

○緒方委員 このように、お返事いただいたことにすごく満足です。上田委員、ありがとうございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 若尾委員、それから、道永委員。

○若尾参考人 今の関連で、資料3の42ページのところに、今の時点でも若干記載があるようです。上から3行目ですね。平成26年度からは、免疫機構をターゲットとした創薬や希少がんの分野で、そういう新しい技術のものが異分野融合を図り、よりシーズの育成と加速する取り組みを実施しているということで、研究分野では記載があって、全く触れていないということではないと思います。ところどころ記載はあると思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 道永委員、どうぞ。

○道永委員 緩和ケアのところにちょっと戻っていただきたいのですが、20ページです。

 在宅のところで、地域医師会とのネットワークという言葉を使っていただいておりますが、前回の加藤参考人からの御報告では、特に緩和ケアに関して地域連携が進んでいないという御報告がありました。

 それを踏まえて、最後の2行のところなのですが「緩和ケアの地域連携に関する取組については、より一層の推進が必要である」という文言がありますが、その前の進捗状況というところで、緩和ケアセンターの整備が、まず、義務化されることになっていますので、緩和ケアセンターを中心として、地域医師会、在宅をやっている先生方がいらっしゃいますので、そちらのネットワークを強化して、タイミングよく患者さんを在宅での緩和ケアに回していただくということを、ちょっと書いていただければと思っています。

○門田会長 よろしいですか。

 こういう意見が幾つか出てきていますが、タイムスケジュールは、どういうふうに、6月の会では、もう最終版を承認していただけるぐらいの感じにしたいですね。それしかないですね、ちょっとお願いします。

○がん対策推進官 一応、次回は6月10日で全体の取りまとめを行えればと思っています。我々としては、6月10日でセット版ということでお示しをして、そこでオーソライズができればと思っていますので、きょう、この後の時間で御意見をいただいたのは極力反映をしますので、あるいは、きょう言い足りなかった御意見については、この後、またお寄せいただいて、それをまた、できれば事前に確認いただいた上で、6月10日、ほぼセット版ということでお示しができればと考えています。

○門田会長 それで、受け付けるというか、何か意見を、メールでいつも受けていただいていますが、一応のデッドラインは、どのあたりをめどにして送ってもらったらできるかと。

○がん対策推進官 いろいろ実務上のことを考えますと、1週間以内には送っていただければと、来週の水曜日までに送っていただければと思います。

○門田会長 ということであれば、最終版に盛り込めると、その前に、もう一回皆さんの御意見を最終版に近いもので御意見をもらってということですので、ぎりぎりの時間ではないかと思うので、まだ、言い足りないとか、まだ、加えてほしい、あるいは御意見があれば、どうぞ。

○細川委員 今の道永委員からの御意見のとおりなのですけれども、実は、私、緩和ケアセンターをつくるときに、都道府県診療拠点だけではなく、全ての診療拠点病院に同時につくっていただきたいということを発言させてもらったのですけれども、実は都道府県緩和ケアセンターというのは1つで、全部の府県の分をカバーするというのは不可能で、もう既に悲鳴が上がっているのです。

 といいますのは、拠点病院で医師だけでしたら、1人、2人のところは何ぼでもあるのですね。支援センターの中にもソーシャルワーカーのいないところもあるという状態。それから、MSWの方でも医療に詳しい方もおられるのですが、そうではない方がおられて、むしろナースの人手がほしいというところもあるのですけれども、ナース業務として加味されていないところもある。全然人がそろっていないところに、全部都道府県の患者が集まってきたとしても全く対応できない。

 それから、救急のベッドを確保しろと、365日確保しろですけれども、2人で一体どうやって365日確保するのかということで、既に辞表を出している医師も出てきているという状況なのです。

 ですから、もし、書いていただくのなら、都道府県拠点病院だけではなく、拠点病院全て、もしくはがん診療を行う病院に緩和ケアセンターを設置することが必要であるというような文言も入れていただければ、私は将来的にはいいと思うのですが、いかがですか。

○道永委員 おっしゃるとおりです。本来、まだ、都道府県のがん診療拠点病院にも設置がちゃんとできていないというのが現実なので、まず、そこかなとは思いますが、それぞれがん診療をやっているところで緩和ケア、センターという言葉は使わなくてもチームがあるわけですから、そういうところとうまくコラボしないといけないと思っています。先生のおっしゃるとおりだと思っています。

○門田会長 どうぞ。

○濱本委員 私は、都道府県がん拠点病院ではない、国指定の自治体の中の拠点病院の御担当者からよく聞きます。自分の病院の中に緩和センターがほしい、上からのお達しによって動くのではなくて、自主的に把握して早く動いていきたいということです。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 次々と御意見をいただいて、非常にうれしいのですけれども、進行上、先ほどおっしゃっていただきましたように、1週間ということを限度に、事務局のほうまで文書で届けていただくというふうにしたいと思いますが、よろしいですか、ぜひ、口頭でしゃべっておかなければならないという方がいらっしゃいましたら、お聞きいたしますが、よろしいですか。

 では、工藤委員、どうぞ。

○工藤委員 済みません、簡単に。

30ページのC4g「ピアサポーターによる相談支援を実施している拠点病院の割合」。これは、開始した時期が、そんなに長く経過していないのですけれども、2014年で16.9%、皆さんは、この数字をどのように捉えるでしょうか。

 それを踏まえて、31ページのがん対策推進協議会として、さらに推進が必要と考える事項の中には、ピアサポーターという言葉が1つも出ておりません。もし、ピアサポーターの登用を重要視するのであれば、ここにピアサポーターという言葉を一言入れていただいて、ピアサポーターを含めたところの情報提供というような文章を載せていただければと思います。

 ただ、ここでよけいなことですが、私は病院でのピアサポーターの活用の仕方には、もっと検討の必要があると考えています。よろしくお願いします。

○門田会長 ありがとうございました。

16.9は、非常に少ないという。

○工藤委員 と思うのですけれども、必要なものであれば、もっとふえていていいはずなのですが、ピアサポーターが、活用という言葉はおかしいのですけれども、病院に入らない理由というものがあると思うのです。ですので、どこまでも活用を進めたいということであれば、推進のところにピアサポーターを入れてという文言を入れるべきですし、問題があるのであれば、その問題をまた検証していく必要があると思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 御意見をいただいて、最終版を皆さんにお送りする、そのときに、また、修正をやっていただくということで、6月の協議会に向けて整えていきたいと思います。

 ありがとうございました。あとは、メールでお願いいたします。

 それでは、引き続きまして、議題2「今後のがん対策の方向性について」ということで、これも事務局のほうで取りまとめていただいておりますので、資料4について御説明をお願いいたします。

○がん対策推進官 それでは、資料4をごらんください。

 めくっていただきますと、目次ですが、大きな変更はございません。前回の御意見、それ以降の御意見を踏まえて反映しております。ライフサイクルをステージというふうに全体を直しております。

 4ページ、「1 将来にわたって持続可能ながん対策の実現」ということで、幾つか追記がございまして、特に4ページの一番下のパラグラフですけれども、堀田構成員からいただいた意見書からの反映ですけれども、ゲノム情報に基づく先制医療等の記載を加えております。

 5ページの一番上の段落、がん医療の均てん化と集約化の適正なバランスの検討といったことも加えております。

 次の段落の一番下ですけれども、都道府県の取り組みで、いいものについて共有するといった体制について記載しております。

 5ページの下のほうですけれども、患者の尊厳の項目ですが、2つ目のパラグラフで、主体的に療養選択を行うといったような表現に若干修正をしております。

 6ページ、ライフステージのところですが、AYA世代の記載について、ひとくくりにはできなくて、その中でも幾つか違った課題、ニーズがあるといったようなことで、AYA世代の中で若干書き分けを行っています。

 7ページ、高齢者のがんと認知症を併発するような問題についての追記を行っております。

 以上でございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明について、御意見、御質問を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

 特に御意見は、もう思うところは全部反映されているということでよろしいでしょうか。

 ちょっと単語を、2の全てのがん患者が尊厳を持った生き方を選択できる社会の構築、今、盛んに健康寿命延伸という単語をすごくいろんなところに使っていますね。健康寿命とか、生命予後の平均寿命とか、そういう単語があってもいいのかなと、ぱっと感じたのだけれども、どういう形で入れるのか、何かあれば、お願いしたいと思います。

 そのほか、どなたか、よろしいですか。

 堀部委員、どうぞ。

○堀部委員 6ページのAYA世代のことですが、最初の段落の5行目に、参考としてアメリカ国立がん研究所では15歳から39歳として対策を講じているというアメリカのAYA世代の定義を出しているのですが、これまでの厚労省の記載は、15歳から30歳未満の括弧づけの記載がしばしば見られます。ここで、39歳までとすることに何か意図がありますか?その世代をAYA世代と認識してもらう意図があるようにも思えるので、かえってAYA世代の範囲を曖昧にしている気がするのですが、いかがですか。

○がん対策推進官 特に、こういうことで行くということではなくて、あくまで参考ですので、特に必要ないということであれば、別に割愛することも可能ですが、いかがいたしましょうか。

 以前、阿南委員のほうから年齢もあったほうがいいのではないかという御指摘を踏まえて、幅広い例を参考につけているという経緯ではあります。

○門田会長 どうぞ。

○堀部委員 後段に、前回の堀田委員の発言を受けて書かれているように、思春期と若年成人の共通点と相違点を整理しながらということであれば、年齢は広げておいたほうがよいと思いますので、その部分の記載と一貫性を持たせるのであれば、この際、広げるのもよいのではないかと思います。

○門田会長 しかし、具体的な数値を書き込んで、ある意図も何もなしで、ただ漠然と広げるという、協議会としてはどうなのだと言われるとあれですね。

 堀田先生、何かありますか。

○堀田委員 具体的に年齢としての線引きをどこにするというイメージはありませんがやはり、世代ごとに特有の課題がありますね。妊孕性の問題も含めてですが、そういったことにきちんと対応するということが大事であって、何歳以上は対策するとか、しないとかという話ではないのかなと思います。

 一般的に言って、日本では、例えば、小児科学会ではAYA世代というのは、どういう捉え方ですか。

○堀部委員 いや、妊孕性のことを考えると、この年齢は高いほうがいいかなと思いますが、AYA世代の中でのがん種は、と若年成人とでは分布が異なります。とりわけ20代後半になると、ぐっと上皮性がん、成人がんが増えてしまいますので、がん種の特性の観点では、年齢を低く絞っておいたほうがいいということになります。しかし、妊孕性のようにがん患者さんの抱える問題に対する対応の点では広げたほうがいいと思います。先生から御指摘されているAYAのAのほうで抱える問題と、YAのほうで抱える問題の相違をきちんと認識されればよいと思うのですけれども、AYA世代で集計を出す際に、どこの年齢で切ってデータを出すかという問題もありますので、やはり、きちんと定義をしておくことが重要ではないかと思います。

○門田会長 そうすると、どこかでディスカッションをしてもらうにしも、ただアメリカの例として、ここに数値をぽんと並べても、括弧をとりあえずは外しておいたほうがいいですかね。

 永山委員、どうぞ。

○永山委員 やはり、「AYA世代」という言葉は、一般の方にはあまり知られていないので、大体何十代ぐらいの方かというのはあってもいいのではないかと思います。例えば、およそ10代から30代とか、その具体的な年齢を示すことで定義づけられてしまって一人歩きするおそれがあるということであれば、大体それぐらいの世代の方々の表現は可能かなと思いました。

○門田会長 阿南さん、どうぞ。

○阿南委員 私も、今のと同じ意見なのですけれども、AYA世代というと、やはり、まだまだわかる人が少ないので、それで、思春期と若年成人というと、それぞれに認識が、ばらつきが出てくるのかと思うと、やはり、せめて何十代ぐらいの記載はほしいかなという気はします。

○門田会長 ここでぱっと、ここの文章としてそういうふうな表現をするのか、あるいはそういうことを定めて云々というような形で、ひとまず専門のところに置いて、ここでは明らかにしないでおくのか、どちらを選びましょうか。ちょっと、余りディスカッションなしで、ぱっと数値だけここで、どうぞ。

○堀部委員 私は、外したほうがいい派なのですけれども、要は思春期と若年成人という日本語で十分年代は伝わると思います。10代から30代としてしまうと、10歳から39歳までが一括して扱われ、その後、それが定番になりかねないので、私は年齢を入れないほうがよいと思います。

○門田会長 では、その意見を頂戴して、ここでは括弧内は省略して、今後検討する内容であるという認識は、どうぞ。

○がん対策推進官 今の御指摘を踏まえると、AYA世代の、今、参考となっているところの括弧内に、思春期及び若年成人と入れるということでしょうか。

○門田会長 それは、それでいいのですか。

○堀部委員 はい。

○門田会長 では、そういうことでよろしいですか。

 では、でき上がったところで、もう一度皆さんに見ていただいて、御意見をいただくと。

 そのほか、どなたか、内藤委員、どうぞ。

○内藤委員 最後、希少がんの方や、若年性のがんの方、いろんな方の代弁者が、ここには参加をしていらして、本当に次に進む御意見が出たと思うのですが、私が感じるのは、これからすごい高齢の方がふえて、皆さん御存じのように、すごい数で施設がふえて、いろんな形が変わってきています。

 そうすると、高齢者で認知症があって、がんの方の代弁者は、ここにいないなという感覚があるのです。それで、がん対策基本法は、もちろん、高齢者で、認知症で、がんのある人も対象ですね。でも、そこがどうも漏れてしまったというか、本当に認知症で、がんの治療という人たちは、もう高齢だからいいよとか、早期発見も漏れてしまったりして、そのまま返されてしまうというような方も非常にふえてきておりますので、5ページに「障害のある者では」と入っています。ここで、高齢で認知症のある方々も、いろんな、そこを守る人たちを含めて情報をきちんと共有して、尊厳を守った生き方ができるというようなニュアンスが1行でも入っていただけると、これからも本当に、次の5年というのは、また形が違ってくるのではないかと思います。そこをちょっと入れていただくと、そこのある意味かなりの数の方たちが、長寿がんを含めてふえてくるのに、何かちょっと漏れているのではないかなという実感が、臨床医としてはします。その辺をよろしくお願いします。

○門田会長 最後の7ページの赤のところは。

○内藤委員 そうですね、もうちょっと何か入れていただきたい。

○門田会長 もう少し足りない。

○内藤委員 はい、そう思います。まだ代弁していないというか、非常に困っていながら、訴える言葉もなく、きちんとしたお医者さんも常設していないような施設で最期を送らざるを得ない方も、非常にこれからふえそうな予感がしますので、そこも、この国としてきちんと見守っていただきたいと思います。

○門田会長 では、ここは内藤委員に。

○内藤委員 文を送ります。

○門田会長 よろしいですか。

○内藤委員 はい、わかりました。

○門田会長 こちらについても1週間以内ですね。

○内藤委員 はい、わかりました。

○門田会長 そのほか、どなたか、よろしいですか。

 では、もし、そのほか出てきましたら、今、申しましたように、1週間以内に事務局のほうまでメールでもお届けいただきたいと思います。

 それでは、この件は、これで終わりまして、AMEDがスタートしていることでどうなっているのかという話がございましたが、そのことについて、佐藤参考人から御説明をいただきたいと思います。

HPVのワクチンの件についても御説明していただけるのですか。

○がん対策推進官 はい。

○門田会長 では、続けて教えていただきたいと思います。

 まず、佐藤参考人、お願いいたします。

○佐藤参考人 では、よろしくお願いいたします。

AMED、日本医療研究開発機構、がん研究課の課長をしております、佐藤礼子と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 お手元に資料5という形で、カラーの資料が配付されているかと思いますので、これに沿って御説明を申し上げます。

 まず、AMED設立に当たっての問題意識でございますが、医療分野の研究開発に関しては、かねてから文部科学省、厚生労働省、経済産業省がばらばらに研究開発を実施してきて、基礎から切れ目なく研究開発を支援する体制というものが不十分であるということが指摘されてまいりました。

 また、臨床研究や治験の実施体制が不十分で、新薬の創出に時間がかかるということも課題として認識されておりました。

 こうした問題意識を踏まえまして、平成26年5月に関連法案が成立しまして、平成27年4月、先月になりますけれども、AMEDが発足したということでございます。

 1枚目のスライドに、設立趣旨と法人の業務ということで簡単にお示しをしてございますが、設立趣旨のところをごらんいただきますと、基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進・成果の円滑な実用化。下のほうになりますが、医療分野の研究開発及びその環境の整備の実施、助成等の業務を行うということになっております。

 2ページ、研究開発体制の全体的なところですが、まず、健康・医療戦略推進本部というものが内閣に設置されておりまして、本部長は、内閣総理大臣でございます。

 こちらで2とありますけれども、医療分野研究開発推進計画というものが策定されまして、それに沿って、文部科学省、厚生労働省、経済産業省で予算要求等がされまして、それを集約化して、実施のところをAMEDが行うということになっております。

 青で囲んでありますが、国立研究開発法人、日本医療研究開発機構ということで、研究費等の配分を委託契約に基づいて研究機関、研究者に対して行っていくということです。

 右下のところをごらんいただきますと、赤字でありますが、研究費等のワンストップサービス化を目指す。そして、基礎から実用化までの一貫した研究管理を行うということになっております。

 3枚目、組織図をお示ししております。管理部門、支援部門、事業部門と大きく3つに分かれておりまして、特に事業部門、こちらに幾つかの部がございます。戦略推進部というものの中にがん研究課がございまして、こちらで主にがん研究については担当をさせていただいております。

 また、戦略推進部の中でごらんいただきますと、比較的疾患に沿った分け方になっておりますが、一方で、戦略推進部以外のところをごらんいただきますと、産学連携、国際事業、バイオバンク、臨床研究・治験基盤事業、また、創薬支援戦略と、こういった疾患割のものというよりは、むしろ横断的な、研究支援基盤の整備にかかわるようなものが設定されておりまして、私どものAMEDのほうでは、主には戦略推進部の中にあります、疾患別の研究と、横軸に当たります戦略推進部以外の部等との連携を縦横連携ということで銘打っておりまして、これをしっかり推進していきたいと考えております。

 4枚目、予算額ということで御提示しておりますが、1から9まで9つのプロジェクトをお示ししてございます。

 医療分野の研究開自体は非常に多岐にわたりますけれども、各省の関連する研究開発プログラムを連携して、1つのプロジェクトとして、一体的な運用を図るということを目指しておりまして、それを各省連携プロジェクトとして9つ定めております。これが、4枚目のスライドの1から9に当たっておりまして、これをAMEDが一元的に管理していくということとしております。

 このうちの「6ジャパン・キャンサー・リサーチ・プロジェクト」を、私どもがん研究課で担当するということになっております。

 5枚目「5.法人に求められる主な業務」ということで示してございます。幾つか記載がございますが、特徴的なものは、最初の枠にあります「医療に関する研究開発の実施」のプログラムディレクター(PD)、プログラムオフィサー(PO)等を活用したマネジメント機能というところが特徴的でございます。

 先ほど申し上げました、9つの連携分野がございますが、この分野ごとにPD、プログラムディレクターを設定いたしまして、そのPDを中心とした課題管理体制を整備していくということとしております。

 このPDは、分野全体のプロジェクトの運営に責任を持つという立場になっておりまして、そのPDのもとで、事業ごとにプログラムスーパーバイザー、PSと私ども略しておりますが、PSが事業ごとのプログラムディレクターに当たるような形で、また、PSのもとでPOが各研究課題の進捗管理等を行っていくと、そのような体制になっております。

 従来では、研究班が主体的に進捗管理を行っていくということが主流であったかと思いますが、今後は、言ってみれば研究班ではない立場の、第三者の立場にあるプログラムディレクター、プログラムオフィサー等が積極的に、その進捗管理を行い、関与していくと、そして、実用化を目指していくのだということを目指しております。

 6枚目、こちらに先ほど申し上げました、ジャパン・キャンサー・リサーチ・プロジェクトの概要図をお示ししてございます。

 若干字が小さくて恐縮でございますが、上の2段目に黒枠で囲んであるところをごらんいただきたいと思いますが、基礎研究の有望な成果を厳選し、実用化に向けた医薬品・医療機器を開発する研究を推進し、臨床研究等へ導出する。

 また、臨床研究で得られた臨床データ等を基礎研究等に還元し、医薬品・医療機器開発を初めとする、がん医療の実用化をがん研究10カ年戦略に基づいて加速するということにしておりまして、先ほど来、御議論があります、がん対策推進基本計画に基づく、がん研究10カ年戦略を踏まえて、私どもも進めていくと御理解いただければと存じます。

 このスライド自体は、左から基礎研究から実用化までのフェーズごとに分けて整理をしてございまして、この中に大きく分けて3つの事業、プログラムがございます。

 緑色になっておりますのが、次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラムとなっておりまして、こちらが文部科学省の事業です。

 それが、主には、基礎研究から応用研究のところに記載があるわけですが、それが、続きまして右側にあります、革新的がん医療実用化研究事業ということで、厚生労働省の事業になりますが、こちらに導出をしていくということをうたっております。

 また、その下に青い枠になっておりますけれども、未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業ということで、こちらは経済産業省の事業となっております。

 この3つを一体的に推進していくということが、ジャパン・キャンサー・リサーチ・プロジェクトとして目指されていることということになります。

 最後に、7枚目のスライドで、私どもがん研究課の担当事業の概要をお示ししてございます。

 私ども、がん研究課に関連して、AMED中長期目標として求められておりますものを5点挙げておりまして、そのうちの1つは、一番上を見ていただきますと、5年以内に日本発の革新的ながん治療薬の創出に向けた10種類以上の治験への導出ということを中長期目標として掲げられておりますので、これを目指して、研究を推進していくということになります。

 それ以外にも、小児がんや難治性がん、希少がん等について言及がされておりますので、ごらんいただければと存じます。

 その下に、先ほど申し上げましたPDPSPOによる管理体制をお示ししております。

PDが堀田知光先生で、左側、次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラムという文部科学省の事業のほうを、PSを宮園浩平先生にお願いしておりまして、右側、革新的がん医療実用化研究事業、厚生労働省の事業のほうは、PSPDと兼任という形で、堀田先生にお願いしてございます。

 ここに掲げられている先生方とともに、がん研究課のほうでは推進していきたいと考えております。

 最後になりますが、AMEDの末松理事長は、生命、生活、人生という3つのLIFEを包含した研究開発を応援するという事を掲げておりますので、がん研究課としたしましても、そのような形で進めていきたいと考えております。

 私からは、以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 どういう状況になっているのかという御質問が出ましたが、今の御説明に対して御質問はございますか。

AMEDの中も、堀田委員が、このPDPSをやっておられて、我々と近いところにいらっしゃるので。

 緒方委員、どうぞ。

○緒方委員 先ほどの質問と関連しているのですが、AMEDさんの今後の治験への計画として、免疫療法は入っているでしょうか。

○堀田委員 新薬の開発というプログラムの中には免疫療法も当然入れてございますし、今、世界のトレンドとしては、そこが非常に重要であります。従来とは違った科学的根拠のしっかりした免疫療法を開発して、それを均てん化、実用化していくというのが目標になります。

○緒方委員 期待して待っている人がたくさんいますので、ぜひ、よろしくお願いいたします。

○門田会長 そのほか、どなたか、よろしいですか。

 ないようでしたら、その次、もう一つのほうですね。HPVワクチンはどうなっているのだという御質問が出ておりましたけれども、そのことにつきまして、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○結核感染症課予防接種室長 結核感染症課の予防接種室の佐々木といいます。

 それでは、資料6に基づきまして御説明をさせていただきます。HPVの現状ということでございますが、こちらのタイトルにございますように、HPVワクチン接種後の症状というものが出ておりまして、これに対して、新たな医療体制の整備と調査についてということで、昨年でございますけれども、前大臣のほうから、このような内容が発表されているというところでございます。

 経緯につきましては、皆様、御承知のとおりだと思いますけれども、1つ目の○にありますように、定期接種化された後に、慢性の疼痛、それから運動障害などを中心とする多様な症状というのが出てきたものですから、25年の6月以来、この症状の発生頻度が明らかになり、国民に適切に情報ができるまでの間は、定期接種の積極的な勧奨を差し控えようということになっているところでございます。

 このような状況の中で、先ほど御紹介のように、昨年、前大臣からの指示をいただいているものでございます。

 3本ございます。よりよい医療の提供、検討のための情報の充実を目指して3つの対策ということでございます。

 初めの「1.医療体制」というところでございますけれども、追い追いまた詳しく説明しますが、協力医療機関というものを各県に少なくとも1つ整備しましょうということでございます。

 2点目といたしましては、こうした副反応の報告をしっかり上げてもらおうということで強化を行っているということ。

 3点目でございます。追跡調査を実施すると。この副反応報告がなされた後に、その後の状況はどうなっているのかということでの追跡調査を実施しているというところでございます。

 順次説明したいと思います。

 2枚目、これが診療体制、相談体制のイメージ図になっております。向かって左の一番下に被接種者というのがございますけれども、この方が予防接種を地域で受けまして、何らかの副反応が出たということで、実際に、地域の医療機関を受診したというときに、実際に、これらをしっかりとフォローできるような体制をつくろうということでございました。

 真ん中にございます協力医療機関というものを各都道府県に1つつくりましょうということでございます。

 役割としましては、地域の中核医療機関として、接種・診療体制を整備する。必要に応じて、専門医療機関を紹介するということで、都道府県単位で、地域で支えられる診療体制を構築しようということでございます。

 右上にございますような専門医療機関、これは厚生科学研究費でこうした痛みの研究などを中心にやっていただいている専門医療機関からのアドバイスも受けながら協力医療機関が地元の地域医療機関も支援すると、こういう体制になっているところでございます。

 3枚目、こうした協力医療機関の選定状況でございますが、ことしの4月1日現在でございます。全都道府県に、合計70医療機関を選んでいただいたというところでございます。

 その内容等につきましては、厚生労働省のホームページに掲げております。

 また、こうした協力医療機関が円滑に診療を実施できるように専門の医師等による研修を現在、順次実施しているというところでございます。

 4枚目のスライドが2本目の柱ということになります。HPVワクチン接種後の副反応報告の強化ということでございます。

 対象症状、対象者については、こちらに記載のとおりでございますけれども、強化の具体的な方法といたしまして、確実に接種医が、被接種者、ワクチンを受ける方に対して、接種後、対象症状が発生した場合は、速やかに接種医療機関に相談するように依頼するとともに、接種医療機関以外の医師の治療を受ける場合も想定されますので、その場合には、HPVワクチンを接種したといったようなことをきちんと医師に伝えるよう依頼をしているところでございます。

 2点目、今、1つにつきましては、対象症状を呈する症例については、関連性が高いと現場で認められる場合には、厚生労働省のほうまで報告していただきたいということを注意喚起したということでございます。

 この注意喚起の内容につきまして、5枚目のスライドになります。

 このHPVワクチンの報告すべき副反応として、この対応をやる前に示していた内容というのが、上の部分のブルーの部分でございます。改正前には、症状に応じて期間などを示しておりまして、赤で囲っておるところが、いわゆる医師の個別判断でもって判断していただいたところでございます。

 これらについては、従来、期間などを定めていなかったところでございます。

 一番下の部分を少し明確化するということで、通知で、ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種に当たっては、接種後の広範な疼痛、運動障害を中心とする多様な症状が発生する場合も報告対象に含んでくださいということで、通知で明記したという対応をとっております。これが2点目でございます。

 最後に、3点目の追跡調査の充実ということでございます。

 現状、課題をごらんいただきますと、HPVワクチン接種後の副反応でございますけれども、若干古い数字でございますが、平成26年3月31日時点で、合計2,475例の副反応報告があったというところでございます。

 こうした副反応報告につきましては、重篤なものについては、企業が追跡調査を行っているというところでございますが、課題として、例えば、転院された場合には、追跡ができなくなるなどの問題がございました。また、その後の状況の把握が必要だということで、さらなる充実ということで、下の箱でございますけれども、症状の内容、程度、治療などについて情報を充実させるということでございます。

 調査の対象といたしましては、原則として全ての副反応報告を対象にフォローアップをしたというところでございます。

 方法としましては、企業を通じて医師に調査法を記入していただく。

 さらに転院等により追跡ができなかった場合には、市町村にお手伝いいただきまして、個人にも働きかけるなどの調査を行うなどの対応を行っている。

 これらの追跡調査の結果につきましては、平成27年2月末日までに情報の提出を求めてきたというところでございまして、これらの内容を現在、整理をしているところでございます。事後、専門家に検討していただくということにしております。

 7ページは、市町村を通じた患者個人への調査ということで、少しややこしい図でございますけれども、ブルーのところで書かれている矢印については、従来、製薬企業のほうから患者さんがかかっている医療機関に対する調査を従来やっていたところでございますが、例えば、一番左にございます患者さんが、医療機関Aから医療機関Bに転院したというような事態があった場合に、医療機関Aで、その事実を把握していなかったような場合には、市町村に個別に患者様に当たっていただき、その上で、医療機関Bの調査を実施していくというような調査をしたということで、赤い部分は、新たに市町村に協力を得て実施している内容ということになります。

 スライドの8、こちらは、厚生労働省が実施しているということではございませんが、日本医師会、日本医学会の合同シンポジウムというものが開かれましたので、こちらについての御紹介でございます。

 昨年の1210日でございますけれども、座長を日本医学会長、司会を医師会常任理事といたしましたシンポジウムが行われたところでございます。

 後援者につきましては、さまざまな立場の方々に話していただいたというところになります。

 その内容を簡単に、少し文字が多くて恐縮ですけれども、概要をまとめたものが9ページでございます。

 さまざまな立場の研究者が参加しましてシンポジウムが開催され、発表の概要というものを示しているものでございます。

 この中では、HPVワクチンの有効性についての発表、それから、副反応検討部会というところで、この状況について議論をしておりますが、そこの議論の紹介、それから、HANS症候群といった可能性の紹介。治療法の1つの考え方の紹介など、こちらに記載のような、さまざまな御意見が出たというところでございます。

 こうした議論、シンポジウムを踏まえまして、最後、10ページでございますけれども、座長取りまとめということで、3本柱が示されたというところでございます。

HPVワクチンの接種を進めていくべきと考えるとした上で、取りまとめ事項として示された発言を3つにまとめたものでございます。

 1番目といたしまして、前のページにも記載しましたように、専門家の間でも、幾つかの異なる見解が出ているということがございまして、今後も専門家による究明の努力が重要だということが言われております。

 また、これらの症状を呈したワクチンを受けた方については、因果関係の有無や病態にかかわらず、その回復に向けて、医師会、医学会、行政ともに治療・支援体制を強化することが大切だということ。

 最後に、ワクチン接種には、リスクのあること、ないことの両面があるということを踏まえ、国において接種のあり方について科学的根拠に基づいた検証を行うようにというような宿題をいただいているというような状況でございます。

 簡単ではございますが、このような形で、積極的勧奨の差しどめという状況と、現在までの対応を御紹介させていただきました。

 現在、取り組んでおりますのは、最後の追跡調査の結果というものの精査、分析をさせているところでございますので、この内容がまとまり次第、副反応検討部会という場で議論をしっかりとしていきたいと考えています。

 以上 でございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 委員の皆さん、何か御質問はございますか。

 阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 ありがとうございました。

 前回、補償についても教えていただきたいということで申し上げたのですけれども、定期接種になる前に、そうした症状が出た方に対しては、入院相当の症状がないと補償がおりないと。そして、定期接種後に、そういった症状が出た方には、今、補償がちゃんとされているという状況について、今、どのようにお考えでいらっしゃるのか。

 もう一つ、定期接種の積極的な勧奨を差し控えという文言についてですけれども、今、実際に、ある紙面では、年間7,000人が子宮を失っていると。

 それから、温存できた治療でも、実際に不妊や流産のリスクが高いということが報告されていまして、やはり、ワクチンの重要性というのはあると思うのですけれども、今、この状況で、それでも、年間1,000人の方が、自分の意思でワクチンを接種していらっしゃいます。

 そういった、ちょっと迷っているけれども、やっぱり打ったほうがいいなと思う方が、恐らくもう少しいるのではないかと思うのですが、ところが、定期接種の積極的な勧奨を差し控えるという言葉が、余りにも怖い印象を与えているのではないかと思います。

 この因果関係が明確になるまでに、恐らくまだかなり時間がかかるとは思うのですけれども、今、実際に70医療機関選定済みということで、改めて、もう少し柔らかい表現で再度通知をしていただくことはできないのかと思っております。よろしくお願いいたします。

○門田会長 どうぞ。

○結核感染症課予防接種室長 予防接種室長でございます。

 まず、1点目の救済の状況ということでございますけれども、今、委員のほうからの御指摘のような状況であるということでございます。

 定期接種化される前は、基金事業ということでやっておりましたので、その場合は、PMDA法という、いわゆる一般の医薬品が副作用を受けたときに受ける救済の制度が適用され、一方、定期接種化された後は、予防接種法による救済の枠組みの対象になるというところでございます。

 そこは、1つの考え方として、その制度の中に、例えば、入院相当という違いがあるというのは承知しておりますが、現行は、制度の趣旨にのっとって情報を収集しながら、現行の制度のもとで作業を進めていくというようなことが必要ではないかと思っております。

 2点目の部分でございますけれども、こちらについても、さまざまな見解の方々がいろいろな意見を言っておられる中で、シンポジウムのほうからも科学的根拠に基づいてしっかりと議論してほしいと言われておりますので、そういった定期接種に乗っかっているワクチンの対応、どういう運用をしていくのかというのは、副反応検討部会というところがございますので、そういうところで、いろんな方々の御意見ですとか、科学的な知見ですとか、それから、直近でやっております追跡調査の結果、そういったものもきちんと踏まえた上で議論をいただく必要があるかと思っております。

 以上でございます。

○門田会長 よろしいですか。

○阿南委員 はい。

○門田会長 そのほか、緒方委員、どうぞ。

○緒方委員 実は、私も子宮頸がんの手術を受けた者で、失うものがいっぱいあります。そういう意味で、今、がんワクチンにブレーキがかかっていること、ちょっと残念に思っております。

 資料の10ページの3に、ワクチンには、接種をすることによるリスクと、しないことによるリスクの両面がある。ここがすごく大切だと思うのです。そこにしっかりと数字を乗っけて、阿南委員の意見に少し追加することになりますが、最初の文言のところに入れることで、随分受けとめ方は違うように思います。ぜひ、検討していただきたいと思います。

○門田会長 どうぞ。

○結核感染症課予防接種室長 貴重な御意見をありがとうございます。

 やはり、今、おっしゃられたように、迷っている方があるということでございましたので、私どももしっかりと情報を反映させて、必要な方に、必要な情報が届くように対応していきたいと思っております。

 これまでも、こういったことがございましたので、受ける方、保護者の方、医療従事者の方にリーフレットなどを配布しているところでございますけれども、そういったものも、こういった知見の蓄積がありましたら、アップデートするなりして、努力していきたいと思っております。

 ありがとうございました。

○門田会長 緒方委員、どうぞ。

○緒方委員 私は、神奈川県のほうで、中川先生と一緒に、中学生を対象にがん教育をお手伝いさせていただきました。

 それで、中川先生が子宮頸がんのがんワクチンを受けた人と、軽くおっしゃったのですけれども、本当に今、少ないのです。すごく残念なのですけれども、対象となる中学生、高校生、その御父兄だとか、学校の医療関係者の方々にも届く情報であってほしいと思います。よろしくお願いします。

○門田会長 よろしいですか。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員 私、福島支援にも少し携わっているのですが、低線量被ばくに非常に近い、これは因果関係を導き出すということは、非常に難しいだろうなという気がします。

 一方、定期接種になって、積極的勧奨をとりやめた国は日本しかないわけですね。なぜ、我が国でだけ、こういった問題が起こっているのか、また、20代、30代、とりわけ、子宮頸がんは、今、30代前半が最も多いわけですね。そして、20代、30代の患者さんは、20年間で倍増しています。

 一方、副反応の問題はさておき、7割程度の発症を抑えるということを考えると、また、海外においては9割を抑えるような新たなワクチンも開発されている。

 そういう中で、国際的に我が国だけ子宮頸がんの患者さんがふえる可能性がある。また、ある学年から、また、かなりの差が出てしまうこともあるということで、緒方委員がおっしゃるような、あるいは、10ページ目にある、打たないことのリスクですね。このリスクに対する考え方というものを、ぜひわかりやすく国民に、とりわけ保護者あるいは児童に説明していただかないと、これは歴史的に見て、国として非常に大きな禍根を残すのではないかと思います。ぜひ、よろしくお願いします。

○門田会長 ありがとうございました。非常に大切なことです。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 私は、先ほど、がんの死亡率のところで、疾患別にきちんとトレンドを見たらどうかという提案をしましたけれども、明らかに子宮頸がんは、罹患率も死亡率も上がっています。ほかのがんが下がるトレンドの中で、子宮頸がんが上がっているということに対して、我々がん対策推進協議会が無策であっていいのかと思うわけです。ワクチンについてはもちろん、副反応によるつらい思いをされている方が、一方であるわけですから、それに対する救済は大切です。そのことと、国としての施策というものは切り分けて考えるべきではないかと、私は思います。どんな対策でも、一定の副反応が起こる可能性はあるわけですから、それに対する救済は手厚くする、しかし、対策としては正しいことをやらないと、私は、国のがん対策の歴史を誤るような気がします。

○門田会長 ありがとうございました。

 緒方委員、どうぞ。

○緒方委員 たびたび済みません。どのような体質の方が、そういう副反応を起こすのかといったような研究もなされているのでしょうか。

○門田会長 どうぞ。

○結核感染症課予防接種室長 さまざまな研究というのをやっております。ただ、体質によってというようなところについては、特段そういった方向での議論はやっていないかと思います。もし、そういった点で追及すべきというような科学的な意見等が出てきましたら、そういった内容も踏まえて検討していく必要があるかなと思っておりますが、現在、研究しておりますのは、病態ですとか、治療のあり方、こういったもの、現場の症状を呈している、副反応を呈している方というのは、そこを求めておりますので、そこに重きを置いて研究をしていただいているという状況にございます。

○門田会長 少なくとも、我々協議会とすれば、発がんをどう抑え、あるいはコントロールしていくかというのは、我々のメーンのテーマですので、皆さん、同じような気持ちではないかと思います。多分、感染症室長としても同じようなことを思って、どういうふうに進めるべきか、ということを考えていらっしゃるのだと思うのですが、我々の気持ちは、今、皆さんが御意見を言ったお気持ちだということで、ぜひ対策をよろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、もう予定の時間を少し回りましたけれども、あと、事務局のほうから、資料7、8が残っております。この2つについての説明をお願いいたします。

○がん対策推進官 時間も押しておりますので、簡潔に報告いたします。資料7につきまして御説明します。

 「『がんサミット』プログラム()」ということでありまして、6月1日、月曜日に、がんサミットというものを厚生労働省主催で行います。

 狙いとしましては、きょうも含めて、さまざまながん対策における課題、まだまだ対策を進めるべき点について御議論をいただいておりますけれども、そういった課題について対策をさらに推進していくという狙いを込めまして、関係者が一堂に会するような場をつくってはどうかということで、このがんサミットというものを開催いたします。プログラムの内容は、ごらんいただければと思います。

 資料8について御説明いたします。

 各種関係の検討会等の取り組み状況でございます。

 まず「がん登録部会」ですけれども、がん登録法の施行が、来年の1月1日ということで、それに向けて政省令、それから関連するマニュアル等の検討を行っているところであります。

 2ページの上ですが「がん検診のあり方に関する検討会」ということで、現在、主に乳がん検診と胃がん検診の検診項目のあり方について検討を行っております。乳がん検診については視触診の位置づけ、それから、胃がん検診については内視鏡の位置づけをどうするかといったことを主な論点として検討を進めております。

 「緩和ケア推進検討会」につきましては、緩和ケアの従来からの質の向上等の課題について検討しておりまして、最近は、あわせて地域における緩和ケアの提供体制のあり方といったことも検討課題に加わっております。

 3ページの上「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」を3月に立ち上げまして、これまで4回議論を行っております。希少がんのさまざまな課題について順次検討を行っておりまして、本年夏をめどに取りまとめを行う予定でおります。

○文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 文部科学省でございます。

 学校におけるがん教育のあり方に関する報告書、こちらのほうを昨年度、3月31日に取りまとめまして、各教育委員会等に送ったところでございます。

 こちらにございますとおり、大きく3点、学校におけるがん教育を取り巻く状況、2番目では、学校におけるがん教育の基本的な考え方、3番目では、今後の検討課題ということでまとめさせていただきました。

 特に、2.の基本的な考え方、こちらはがん教育の定義、これは、初めて定義づけたものでございます。健康教育の一環として、がんについての正しい理解と、がんと向き合う人々に対する共感的な理解を深めることを通して、自他と健康と命の大切さについて学び、ともに生きる社会づくりに寄与する資質や能力の育成を図ると。

 これに基づいたがん教育の目標、これも2点、1つ目は正しく理解すること。2つ目は健康と命の大切さについて主体的に考えることができるようにする。

 具体的な内容としては、アからケまで、9点についてまとめました。こちらは、後でお時間があるときに、参考資料3についてございますので、その2ページからごらんいただければ、細かい中身が書いております。

 4としては留意点、どういったことに配慮しなければいけないかということで、これに基づいて、本年度、平成27年度、がんのモデル事業で取り組んでいただいているところでございます。

 また、今後の検討課題として、これは国がやるべきこととして、教材の開発、外部講師の確保、研修、評価、教育課程の位置づけ、特に1番目にあります教材の開発については、本年度中に行いまして、作成した教材を来年度、また、モデル事業で、それを活用しながら使っていただき、必要があれば更新していきたいと考えているところでございます。

 あと、次のページからはスケジュールと、がんの教育総合支援事業の概要が書いてありますので、お時間あるときにごらんいただければと思います。

 以上でございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 ただいまは、がんサミットの話、それから、それぞれの検討会の進捗状況のお話がございましたが、どなたか御質問ございますか。

 よろしいでしょうか、特にないようでしたら、本日の議題は、これで全て終了ということになりますが、全体を通して、どなたか御発言はございますか。

 よろしいですか。

 では、ないようでしたら、これで終わりたいと思いますが、事務局のほうから連絡をお願いいたします。

○がん対策推進官 活発な御議論をありがとうございました。

 先ほど、会長のほうからもございましたように、本日の資料3と資料4、その中間評価の報告書()と今後の方向性についての()につきまして、さらなる御意見がございましたら、来週の水曜日までに事務局にお寄せいただければと思います。5月27日、水曜日までにお送りいただければと思います。それに基づきまして最終案を固めて、次回で取りまとめができればと考えております。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 この協議会も6月の協議会で最後ということになります。冒頭にも申し上げましたけれども、我々の今回のメーンの仕事は、この2つのことに集約されるのではないかと思いますが、あと、これから御意見を出していただき、そして、また、事務局からその修正案が行くと思いますので、それを見ていただいて、ぜひ6月10日の段階で、それを最終的にお認めいただければと思っておりますので、御協力よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、本日は、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。


(了)

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