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2014年11月18日 第13回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会

○日時

平成26年11月18日(火) 16時00分~18時00分


○場所

厚生労働省専用第23会議室(6階国会議事堂側)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館


○議題

1 薬害教育教材に関するアンケート調査(平成26年度)の結果について(報告)
2 学校教育における薬害の取扱いについて(報告)
3 薬害教育教材の活用について
4 薬害に関する資料等の調査について

○議事

○衞藤座長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより、第13回「薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会」を開始いたします。

 皆様には、お忙しい中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、千葉大学の高橋浩之先生が欠席となっております。また、大平委員がまだお着きになっておりませんけれども、やがてお見えになると思います。参考人の金先生もまだお着きになっていらっしゃらないようですけれども、始めたいと思います。

 本日は、まず、薬害教育教材について、今年度分のアンケート結果も踏まえながら、今後の薬害教育教材の活用について議論を進めていきたいと考えております。

 次に、薬害に関する資料等の調査について、現在の状況等を、本日参考人としてお越しいただいている法政大学大原社会問題研究所の金先生と齋藤先生に御報告いただいた後、今後の進め方について御議論をいただきます。

 また、7月に人事異動があったとのことですので、事務局からまず御紹介をいただきたいと思います。お願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室主査 事務局から7月の事務局の人事異動について御紹介申し上げます。

 まず、医薬食品局長として神田が着任しております。本日は体調不良により欠席となっております。

 続きまして、医薬品副作用被害対策室長として岡本が着任しております。

○医薬品副作用被害対策室長 岡本でございます。よろしくお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室主査 続きまして、総務課課長補佐として紀平が着任しております。

○総務課長補佐 紀平と申します。よろしくお願いいたします。

○衞藤座長 また、本日は、薬害教育教材の議題がありますので、前回に引き続き、文部科学省の方にも参加いただいております。事務局からの御紹介をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室主査 文部科学省初等中等教育局教育課程課、千々岩課長補佐です。

○千々岩課長補佐(文部科学省) 千々岩でございます。よろしくお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室主査 続きまして、同省スポーツ青少年局学校健康教育課、西田係長でございます。

○西田係長(文部科学省) 西田と申します。よろしくお願いします。

○衞藤座長 それでは、資料の確認をお願いいたします。

 事務局から説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室主査 本日は資料を7点お配りしておりまして、議事次第の配付資料のほうにも記載しておるのですけれども、資料1として「薬害教育教材に関するアンケート調査(平成26年度)の結果について」というものをお配りしております。

 続いて、資料2としまして「文部科学省報告資料」をお配りしております。

 資料3-1として「薬害教育教材の活用方法等について」という資料をお配りしております。

 資料3-2として「活用の手引き」の充実と視聴覚教材の検討の方向性について」という資料をお配りしております。

 資料3-3として「委員のご指摘を踏まえた教材の変更について」という資料をお配りしております。

 資料4-1として「薬害に関する資料調査等について」という資料をお配りしております。

 資料4-2として「厚生労働科学研究の状況について」という資料をお配りしております。

 以上7点、駆け足となりましたが、資料の過不足などがあれば教えていただければと思います。

○衞藤座長 それでは、本日の議題に入ります。

 最初の議題は「薬害教育教材に関するアンケート調査(平成26年度)の結果について」です。事務局において、昨年度に引き続き、薬害教育教材に関するアンケート調査を実施したとのことですので、その結果について事務局から資料の説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室主査 それでは、事務局から、資料1「薬害教育教材に関するアンケート調査の結果について」を御説明申し上げます。

 まず、P1の2にありますように、昨年は東京都の中学校のみがアンケートの対象だったのですけれども、今年度は全国の1万1,131校の中学校を対象としてアンケートを実施しております。5にありますように、回収率は昨年度の29.2%、一昨年度の21.9%よりも低い11.4%となっております。P2以降で、「←」で昨年度の結果と比較しておりますが、昨年の対象は東京都の中学校のみでしたので、対象が異なるので、平成24年度の結果との比較も適宜行うように記載しております。

 まず、教材の使用状況です。「授業で使用(予定)」が41.8%と、昨年の25.9%、一昨年の19.0%よりもかなり高くなっておりますが、実際の中学校数で見ると、一昨年の465校から531校へと70校ほどの増加になっています。

 続きまして、使用した教科は「社会科」が最も多く58.7%となっており、昨年、一昨年から顕著に増加しています。一方、「保健体育科」での活用も、昨年、一昨年よりも減少したとはいえ、30%の水準となっています。

 次は、昨年の委員からの御指摘により新設した設問ですが、取り上げた単元については、社会科でいうと「人権」が最も多く、次いで「消費者の保護」「公害問題・社会問題」の順となっております。また、保健体育科では「医薬品の適正使用」「エイズ・感染症の予防」の順となっています。少数ではありますが、「薬害」という単独の授業をやっていただいている学校もございました。

 教材の使用時期は26年度用の教材として明記して配付しましたので、一定の効果は見られているのですが、それでも25年度に使用したと答えた学校が33.6%もありました。

 なお、ここには記載してございませんが、「使用した」との回答ではありますが、こうした学校の使用状況としては、ほぼ全ての学校で教材を配付するだけの対応となっています。

 続いて、教材の発送時期については「早すぎる」と答えた学校が31.5%となっておりまして、その理由としては、年度末は人事異動のため保管や引き継ぎが困難、中学校3年生の最初はまだ歴史をやっているので、年度明けで十分間に合うといったもので、適切な時期の希望としましても、年度が明けて1学期が多数を占めております。

 続きまして、教材のわかりやすさについては「全体にわかりやすい」と回答した学校が多数ではございますが、2割弱の学校からは「わかりにくい部分がある」との回答があり、その内容は、これまでのアンケート結果とほぼ同様で、「聞きなれない語句や専門用語が多い」「特別支援学校等のため」「中学生には難しい内容」といったものでした。

 詳細につきましては、P4からP6にまとめておりますが、例えば「聞きなれない語句や専門用語」としましては、病名について、各症状について、教員自身の知識も不足しており、詳しい説明ができなかったという御意見であるとか、「中学生には難しい内容」としたものには、そもそも薬害とは何かを大人でも知らない人が多いにもかかわらず、パンフレットのP1~P2の説明と図がわかりにくいために、中学生にとって一層理解しがたいものとなっているという御意見や「情報量が多過ぎる」という御意見や「全体的に難しい」という御意見。あるいは「ポイントが明確でない」という御意見の中には、消費者の保護というよりも人権の保護で使うのがいいのではないかという御意見であるとか、行政の取り組み(政府の役割)としては紹介しにくい、人権侵害の例としては有効であるという御意見や、見開きごとにある「学習のポイント」が抽象的過ぎるという御意見。また「責任の所在、原因の部分の記述に問題」では、「関係者がそれぞれの役割を果たす」とは少し具体性に欠け、中学生には理解を深めにくいように思いますという御意見。あるいは「具体的な改善案」では、薬害の責任の所在をもっとはっきり記述してほしいといった御意見や、薬害自体を知らない生徒も多く、年代順に並べるよりも、薬害とは何かなどについてわかりやすく説明したほうがよいという御意見がございました。

 続きまして、もとのP3のほうに戻っていただきまして、今年度から新設の質問ですが、活用の手引の有用性、活用の手引の改善点については「役に立った」という声が多い一方で「指導者用の事前知識を学べるものや指導案が欲しい」「教科書や学習指導要領とリンクさせて欲しい」といった改善意見がありました。

 こちらも詳細をP7からP8のほうでまとめておりますが、何点か御紹介いたしますと、まず「指導者用の事前知識を学べるものや指導案が欲しい」では、活用の手引は留意点だけの記述なので、教師用として押さえておくべきポイントがあったほうがよいといった御意見や、結局、厚労省のホームページを見なければならないといった御意見。「教科書や学習指導要領とリンクさせて欲しい」という御意見の中には、具体的な指導案の例を出してほしいといった御意見がございました。また「短時間で教えられる内容を示してほしい」という項目には、活用しようとすると時間がかかり過ぎてしまう、短時間で扱えるようなものがあるとよいというような御意見。「ワークシート等を充実、改善して欲しい」という御意見の中には、活用事例へのアドレスを示すよりも1つでも2つでも活用事例を示してもらうほうがわかりやすいといった御意見がございました。

 最後に、また3ページのほうに戻っていただきまして、授業での活用方法、工夫した点等につきましては、詳細はP9からP12にまとめております。具体的な授業の進め方までは把握できませんが、例えば、社会科では人権と絡めた活用が多いようです。他方、活用に当たっての課題としては、時間がないという御意見が多く、視聴覚教材のような補助教材が必要との御意見もございました。

 資料1について事務局からは以上です。

○衞藤座長 それでは、ただいまの調査結果に関しまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。特にございませんか。

 それでは、後の議題とも関連いたしますので、このまま先に進み、後ほど、ただいまの御説明に関連して何か御質問等が生じました場合にはその時点で出していただければと思います。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。「学校教育における薬害の取扱いについて」でございます。

 薬害教育教材に関連して、文部科学省より学校教育において薬害がどのように取り扱われているのかについて、直近の状況を御報告いただきたいと思います。

 それでは、文部科学省からの御説明をお願いいたします。

○千々岩課長補佐(文部科学省) 失礼いたします。文部科学省教育課程課でございます。着座で失礼いたします。

 資料のほうは、資料2といった形で御用意させていただいておりますので、そちらをごらんいただければと存じます。

 まず、資料2の1枚目でございます。こちらは、学習指導要領あるいは学習指導要領の解説における医薬品や薬害の記述についてでございます。こちらにつきましては、改めてという形の御説明になりますが、1枚目が中学校の状況についてまとめておるものでございます。

 左側に社会科の記述、学習指導要領や学習指導要領解説の記述がございます。ここでゴシックあるいは下線などを引かせていただいておりますが、消費者の保護あるいは消費者の安全といった関連で薬害について触れるといった形も可能となっておるところでございます。

 また、右側、保健体育におきましては、医薬品についての記載がなされておるところでございます。

 1枚おめくりいただければと思います。裏の紙でございます。裏は、高等学校についての状況でございます。左側が、公民科という中で、現代社会、政治・経済の学習指導要領、それからその解説といったものになります。特に学習指導要領解説の下のほうにつきまして下線を引かせていただいておりますが、「薬害問題などを扱い、行政や企業の責任にも触れるようにする」などの記載がございます。このような形の扱いとなっておるところでございます。

 右側の保健体育につきましては、医薬品関連の記載があるといった状況になっておるところでございます。

 この学習指導要領は、中学校につきましては平成24年度から既に全面実施という形になっております。高等学校ではちょうど昨年度から学年進行で実施されているといった形になっておるところでございます。

 次の紙でございますが、この学習指導要領等の記述を受けました教科書の記述の最新の状況でございます。上側が中学校でございますが、中学校は、社会科(公民的分野)の中で、全部で7点ある教科書のうち5点については薬害についての記述がなされておるところでございます。保健体育につきましては4点中3点の記載となっております。

 高等学校につきましては、公民科、保健体育科、全ての教科書に記載がなされております。現代社会は12点中12点、政治・経済は8点中8点、保健体育科は3点中3点といった形に教科書の記述はなっておるところでございます。

 それから、資料にはございませんが、その他、文部科学省における取り組みの状況について御報告申し上げたいと思います。

 まず、昨年11月、あるいはことしの7月にもそうなるのですが、中学校や高等学校の社会科あるいは公民科の各都道府県・政令指定都市の教育委員会に指導主事といった指導担当の者がおりますが、その指導主事を集めた会議において、厚生労働省さん作成の薬害教材について紹介をしておるところでございます。

 それから、昨年11月の社会科や公民科の指導主事を集めた会議におきまして、特に薬被連さんに御作成いただきました「薬害防止教育の推進のお願い」といった資料の配付もさせていただいたところでございます。

 文部科学省としましては、このような会議の場において周知をしたり、薬害教育の教材について文書にて各都道府県・政令指定都市の教育委員会に周知依頼をするなどの取り組みを行ってきておるところでございますが、今後とも厚生労働省さんと連携しながら取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明は次の議題とも関連いたしますので、質疑はまとめてお伺いしようかと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 それでは、3番目の「薬害教育教材の活用について」、来年度の教材配付に向けてさらなる教材の活用方法について御議論をいただきたいと思います。

 まずは、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室主査 資料3-1「薬害教育教材の活用方法等について」を御説明申し上げます。

 今後の教材の活用の促進に向けて、今年度のアンケート結果を踏まえた方策について事務局としての案を整理させていただきました。まず、来年度版の教材配付に向けてですが、教材の送付時期に関して、今年度は2月ごろに配付しましたが、先ほど御紹介したように、「早すぎる」との回答が30%強あったことなどを踏まえ、年間指導計画の作成に間に合うように、平成27年1月ごろに、あらかじめパンフレットの見本を添えて全中学校へ予告した上で、人数分のパンフレットを送付するのは平成27年4月としてはどうかと考えています。

 次に、アンケートの締め切りにつきまして、今年度は4月としておりましたが、アンケートの回収率が低かったこと、それから、今年度のアンケートで「アンケートの回答〆切が早い」といった回答があったことを踏まえまして、来年度は平成27年7月としたいと考えております。

 また、調査項目につきましては、回答作成の負担を軽減するため、これまでと同様の回答となると見込まれるような設問は外しつつ、来年度、これまでと取り扱いを変更するような、新しい取り組みの部分について新たに設問する形で簡素化してはどうかと考えています。

 具体的な案につきましては、別添2として添付しております。変更箇所を赤字で書いておりますので、ごらんください。

 続きまして、さらに活用の手引について、アンケート結果におきまして教材と教科書、学習指導要領とのリンクを求める回答や、「消費者の保護」とともに「人権」などの内容で使用するとの回答が多かったことも踏まえまして、別添1にもありますように、消費者の保護以外の関連する内容も追記してはどうかと考えております。

 以上が来年度に向けた取り組みですが、平成28年度以降に向けた取り組みとしまして、資料3-2を用意しております。アンケート結果を踏まえますと、教育現場において時間の確保がなかなか厳しい状況がある中で、この教材の活用を促していくには、現場の先生方がより取り組みやすくなるように、活用の手引の充実であるとか、映像教材といったツールについてもう少し検討していく必要があるのではないかと考えております。来年度に間に合わせることは難しいかと存じますが、平成28年度以降に向けまして、アンケートの結果も踏まえて、この資料に記載してあるような観点に留意しつつ、そういったものの検討をしてはどうかと考えておりまして、現段階では3-2は大変ざっくりした資料ではございますが、皆様の御意見を賜れればと存じます。

 続きまして、全体をざっと御説明する観点です。

 続いて、資料3-3「委員のご指摘等を踏まえた教材の変更について」を御説明申し上げます。この教材については、前回の検討会までに委員の先生方から年表の部分に関する修正意見が2点ございました。

 具体的には、1に記載しておりますが、1点目として、年表の最初に記載されている「ジフテリア予防接種による健康被害について」の御意見です。昨年、栗原委員より「ワクチンにジフテリア毒素が残っていました」では責任主体が不明確であるということから修正すべきとの御意見をいただいております。

 2点目はイレッサについてです。こちらについては、参考1として、2枚目に、前回の検討会の議事録の抜粋をつけておりますが、大きな社会問題になったなどの理由から、イレッサを年表に加えるべきとの御意見をいただきましたが、昨年、事務局では回答を保留しておりました。これに対する事務局の対応(案)を2に記載しておりますので、ジフテリア、イレッサの順番で御説明いたします。

 まず、ジフテリアについては、ワクチンを製造した企業の所長に対して罰金刑が確定している一方で、国の委任業務を実施していた大阪府の職員は刑事告訴され、裁判が行われたものの無罪となっております。こうした事実関係を踏まえまして、責任主体を明確にするという観点から、資料に記載しているように、現在の記載に「企業の製造ミスが原因で」をつけ加える修正案が考えられます。

 次に、(2)にイレッサに関する対応案を記載しております。この年表については教材の導入部分に当たり、年表中の事例から単なる副作用とは異なる共通点を考えることで、薬害とはどのようなものかを考える流れになっていると認識しております。御指摘をいただいているイレッサは、肺がん治療薬を使った方の一部に重い肺炎が起こり、それが原因で亡くなった方も出た事例でございますが、裁判では、国及び企業に法的な責任がないことが確定しております。また、厚生労働省では、この裁判の過程で、イレッサの事案はいわゆる薬害の問題というよりも副作用情報の患者への伝え方の問題との考え方を大臣コメントとして示しております。それを参考2のほうにつけております。

 現在の年表につきましては、これまでの検討会での議論を踏まえまして、必ずしも企業の法的な責任が認められていない事例も記載されていることは承知しております。しかしながら、この年表は、中学生を念頭に事例の共通点を考えさせることを狙いとしている中で、先ほどから御紹介しているように、アンケート結果でも、年表がわかりにくいであるとか、薬害とは何かがわかりにくいといった意見がかなりありますが、現状では、薬害の明確な定義であるとか、事例の掲載の意図について丁寧に説明を行うスペースをパンフレットの中で確保することもなかなか難しいかと思います。そうした状況の中で、イレッサのような事例を単純に年表に追加することには慎重な検討が必要ではないかと考えております。

 先ほど御説明しましたように、アンケート結果全体を踏まえまして、指導の手引の充実や映像教材の検討が必要ではないかと御提案させていただいておりますが、中学生用の教材という視点を踏まえて、こうした全体としての取り組みとの関係も踏まえて御議論いただいたほうがいいのではないかと事務局としては考えております。

 事務局からの説明は以上です。

○衞藤座長 資料の質疑応答に入る前に、高橋寛委員から、高等学校において薬害について講義をされたとの御報告がありますので、よろしくお願いいたします。

○高橋構成員 別の資料がありますので、ごらんください。昨年の10月に、進学校なのですけれども、こちらのほうで1、2年生を対象に薬害の講義をさせていただきました。子供たちの反響はすごく大きく、講演をやってよかったなと思います。

 次のページをごらんください。その子供たちにアンケートを行いました。要は、私が話す前に薬害を知っていたか否かということです。これは学年とクラス別に書いておりますけれども、結論を言いますと、2年生のほうが知っている数が多く、1年生は2年生よりは知っている数は少ないということであります。この学校は全県の中学校から受験をしてということなので、もちろんばらつきもあると思います。その薬害をどこで知ったかというのが左下に書いてあります。我々がつくったこのパンフレットを知っていたかというような質問はしておりませんので、もしかすれば、このパンフレットを知っていた子はもっといるのかも知れませんが、明確にこのパンフレットを見たことがあると答えたのは3名しかいなかったということであります。

 先ほどもありましたけれども、実は当時の高校2年生は平成23年に中3でありまして、高校1年生は平成24年度の中3という形になります。もしかしたら、先ほどアンケートにあったように、平成23年のときにはこのパンフレットの配布を一生懸命やったので、そこで子どもたちは少しは知っていたのかなということもあります。もしくは、高校に入ってから薬害というのを少し知ったということも考えられますので、ここではその限定はできませんけれども、まず、学年間で差があったということと、パンフレットを覚えている学生はわずかであったということが今回のアンケート結果から見えるのではないかと思います。

 あと、その裏は、養護教諭の先生の御配慮から、これは全校生徒に配る「保健だより」ですけれども、このような形でやっていただいたということで、いわゆる、薬害の講演をやれば子どもたちに反響はあるという結果をまずは皆様に御報告だけさせていただきたいと思います。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 それでは、先ほどの事務局からの説明やただいまの高橋委員の御報告を踏まえて、今後の薬害教育教材の活用方法等について御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。

 花井委員、どうぞ。

○花井構成員 いろいろあるのですけれども、やはり先生方の意識にも濃淡があるし、基本的には現場は非常に忙しいということなので、先生方が使う解説・指導案をもうちょっと考えたらどうか。

 具体的には、まず、学校の教科のところに絡めてちょっと扱うバージョンと、時間がとれて薬害をやるバージョンと、大ざっぱに、ロングバージョンと関連ショートバージョンみたいなものがあっていいかと思います。それから、アンケートにもあったように、単なる消費者保護だけではなくて、人権とか保健体育とか幾つかあるわけです。その使う分野ごとにも分けてあれば、ツールとしてはそのほうがいいかなと思うのです。

 私も必ずしも現場を知らないのですが、現場の先生がやりやすいように、また、その現場の類型に合わせて幾つかのバージョンをつくってあげるのが親切なのかなとちょっと思いました。最初は、教諭はインターネットで厚生労働省のホームページを見れば、大人であれば読み下せばわかるだろうと割と楽観視していたのですが、やはり難しいという意見も。恐らく、そこは先生も難しいという感じがあるのかなと思いますので、そういう意味では、もうちょっと手取り足取り使い、それはちょっと失礼ですが、もっと使いやすい形にしたほうがいいかなと思いました。

 以上です。

○衞藤座長 教師用の解説ないし指導案に関しての御意見でしたけれども、ほかにいかがでしょうか。

 矢倉委員、どうぞ。

○矢倉構成員 アンケートの回答を見させていただいて、私たちは薬害についてはかなり知っているわけですけれども、このアンケートの結果から、ああ、なるほどな、こういうところがわかりにくかったのだなということが私たちはわかったのです。そういうことから、今後わかりやすくするためにはどうしたらいいかなということを考えていく必要があると思います。

 まず、その1点目から考えますと、一番大きな根本的な問題を言いますと、やはり中学校の指導要領の内容から考えて、この内容と教科書と薬害の副読本がなかなかリンクしない。そこら辺に大きな問題点があるのではないかと思うのです。文科省の先生もお見えになっていますので、ぜひ厚労省とそういった話をされて、教科書とのリンクをどうするかというようなことなども考えていただければ、もう少しわかりやすいものになったのではないか。教師用の手引とか、ワークシートとか、そのようなもので部分的に解決していこうとしても、これはちょっと難しいのではないかと私は思いました。

 以上です。

○衞藤座長 学習指導要領とか教科書とのリンクという点をより重視した御意見だということだと思います。先ほどの点は指導書ということだったですけれども、いかがでしょうか。ほかに御意見ございますでしょうか。

 手嶋委員、どうぞ。

○手島構成員 きょう、この文章をずっと読んでいたのですけれども、このアンケートの結果をもう一度復唱してみて、確かに中学生で受験一辺倒で一生懸命やって、薬害の教材のお勉強は難し過ぎるとか、そのような話。それは前々から聞こえていたことなのですけれども、アンケートに書かれている内容で、この文章として、知りたいことが書かれていないという一言が書かれてあるのです。結局、私も、薬害の副教材を作成する検討会の委員として、どうしても疑問に思っていることは、率直にここに書かれていたというのが、知りたいことが書かれていない。皆さんもお感じになられたのではないかと思うのです。今「薬害を学ぼう」という副教材の率直な意見というのを真摯に考えるべきではないかと本当に思います。製薬企業は薬の危険性を知りながら、なぜ販売したのか、国は対策をとらなかったのはなぜか、知りたいことが書かれていない。子供たちの素直なアンケート調査の結果というのを文章にしていただいた厚労省の方々も確かにすばらしいなと私もきょう思いました。これは、私がずっと疑問に思っていたことなのですけれども、私たちもこれをもう少し追求して、この薬害を学ぼうというのをもうちょっとわかりやすい言葉でつくっていかないといけないのではないかと思います。

 もう一つ気になることは、このイレッサにかかわる記載についてです。端的に、その法的責任がないことが裁判を確定したということで、厚生労働省としては、その副作用情報の伝え方の問題ということでそう書かれてありますけれども、結局は、薬害とは何かがわかりにくいという意見もあるから、イレッサというのは、確かに、副作用だ、副作用だということを一辺倒に言い出せれば、あれだけ社会問題になった薬害をそれで片づけるというのは、私としてははっきり言って不満が残るし、多くの国民の人たちも、これでだめだということになれば、不満に残って、ずっと思う人は多いと思います。わかりにくい薬害でしょうけれども、その中に、これと同列にして片づけることはやめていただきたい。私たちはもっといろいろ勉強して考えていかないといけないのではないか。よろしくお願いします。

○衞藤座長 大平委員、どうぞ。

○大平構成員 感想文からしますと、学生さんたちの意見とか教師の意見からすると、割と難解な言葉が多いということ。それから、もうちょっと明確に、薬害の発生と原因というのですか、それからそれに対しての対処と、結末がどうなったのかということがはっきり明示されるということ。いろいろ年数がたっている事件もありますけれども、そういうことを考えると、何か明確な理論づけといったらおかしいですけれども、そういうものがないとわかりづらいのではないかと思うのです。

 ここでも出ているように、副作用の問題と実際の薬害の問題のすみ分け、また、きちっとした明確な位置づけとかというのがなかなか。これは専門家でも難しいところでありますけれども、逆に、副作用問題、健康被害の問題、薬害の問題と出てくると、どれをとって主体的な薬害の問題なのかというところが教材としてはわかりにくいのではないかと私は思っていました。そこをある程度は道筋を立てていくということをしないと。薬害というのは副作用全体を含むのかどうなのかというところをもう少し検討していくことも必要なのではないかと私は感じています。

 そうしないと、教材として、薬の安全性の問題とか、実際に事件として起きて、そして、HIVですと偏見・差別の問題を今も引きずっているとか、そういうのがありますし、それから、薬の安全性の問題だけではなくて、それに起因するいろいろな社会問題がそこに包含されているというところを考えると、事件性の問題と、原因と結果で法的な問題が問われたのかどうかとか、そういう問題も含めて、高学年に対してはそれをきちっと提示できるような形にしないと、健康教育と薬害教育というところで、そこはどのようにすみ分けていくのかというのを考えていかないといけないのではないかという私の意見です。

○衞藤座長 ほかにはいかがですか。

 矢倉委員、どうぞ。

○矢倉構成員 手嶋さんと大平さんの2人の発言に関連しますが、例えば、アンケートの中でわかりにくいと思った部分や、その理由というところの回答部分についてです。

 例えば「その薬は、本来何のために使用されていたのか記述してほしい。(サリドマイド、キノホルム)」と書いてあるのです。私も改めてこのアンケートをずっと読んでみて、「薬害を学ぼう」のパンフを開いてスモンのところを読んでみますと、このキノホルムについての説明が、これが薬害なのだよ、これで起こったのだよという説明には不十分な説明なのです。だから、薬害って何なのと言われても仕方がないなと、私はこのアンケートを読んで、このパンフレットに記述している内容を見て改めてそう思いました。薬害って何なの、どうして起こったの、それがぼかされているのです。だから、何だかわからないということになっているのではないかという私の思いです。

 以上です。

○衞藤座長 少し内容に関する議論に入ってきていると思いますけれども、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○花井構成員 来年度に向けてできることと、ちょっと先を見てできることがあると思うのですが、特に責任、誰が悪かったのかみたいな、端的に言えばそれは書いていないわけです。確かに、素朴に考えれば、誰が悪かったのという見方に答えていないから、一般理解からすれば何となく隔靴掻痒な感じになっているのです。

 ちょっと考え方なのですが、責任という言葉の使い方もあるのですけれども、年表のところは、行く行くは、それぞれの原因薬物、被害者のこうむったもの、そして裁判というカテゴリーを入れるか、責任というか、そこはちょっとあれなのですけれども、例えばイレッサを例にとれば、最高裁で国もメーカーも責任がないということは認定されているわけだから、それは書いていいと思うのです。一方で、被害者はこういう部分がもっとできたのではないかという主張がありますと書き添えてもいい。

HIVでも、国に責任があるとは恐らく書けないと思うのです。裁判所が認めた責任は痛感しているけれども、裁判所が認めた責任というのは、裁判の書類を全部載せないと、それを指して、これは認めたということしか認めていなくて、例えば、危険と承知の上で非加熱製剤が売られていることを放置した責任を認めたとは多分国は言わないし、そこはそういう問題はあるけれども、中学生なので、言い方を変えて、例えば、最後に「役割」と出ているわけだから、役割のひっくり返しが、役割を果たし切れなかったということなので、そこは、何がまずかったのかというところを一覧で見られるようにした上で、薬害の定義みたいな話ではなくて、薬害というのは、先ほど大平委員が言ったように、広がりがあって、たとえ危険な薬が販売されても、医療機関の対応とか、患者の消費者としての判断とか、そういうところも今後は考えなければいけないとか、そのようなところに書き直したほうが多分。

 最初に開いた年表が余りにもビジーだというのが1つあると思うので、そこは、多少ざっくりになるけれども、割と一覧めいて、責任、被害の状況、原因になった薬、何の薬、そして国のやるべきこと、そういうことを書くみたいなことにする方向で考えるべきかなと思いました。

 一方で、先生方のサポートをする映像教材を考えているようなのですが、そうなると、そのコンテクストを踏まえて映像教材も構想しなければいけないということになるかなと思うので、そこは再来年を見据えた話と来年を見据えた話とちょっと分けて議論したらどうかなと思いました。

○衞藤座長 今のお話は、年表のバージョンアップは来年を見据えたお話ということですね。

○花井構成員 来年度にこれを冊子につくらせて配ることが可能であれば、それはそれでもいいのですけれども、来年度であれば難しそうな気が。要するに、議論して、今、幾つか論点があるし、書きぶりも相当チェックしなければいけないと思うのですが、そういうことをやって、つくって、もう一回業者に発注して、これでと。それにあわせたビデオも考えてつくって、来年4月1日にどんと送れるのであれば理想的ですけれども、それは難しいかなと勝手に思って、先ほど、分けたらどうかと言ってしまったのですが、それは事務局、どうなのですか。

○衞藤座長 先ほど来、わかりにくいという御指摘があって、いわばそれに答えるような意味合いで、一番最初に挙げた年表のところは実際にわかりにくいという意見が出ているし、そこを書きかえるとしたらという観点で。ですから、それは短期的か中期的かは別にして、今後検討していくべきだという御意見だと思いますが、それは技術的にどうかということは次に考えなくてはいけないことだと思います。そういう理解でよろしいでしょうか。

○花井構成員 そうです。

○衞藤座長 ほかにいかがでしょうか。

 望月委員、お願いいたします。

○望月構成員 今いろいろなアンケート調査結果をお聞きした上で、何をここで議論したらいいのかが、私、まだ見えないところがあります。いろいろな調査結果から、つくったパンフレットがわかりにくいということはたくさん指摘されているところだということはわかりましたが、実際の教科書では先ほど一覧表で出ていましたが、その教科書の中の薬害に関する記述はどんな記述がされているのかというのを、見させていただきたいと思いました。その教科書の中に書かれている記述をさらに補助教材としてこれを使って補強してもらおうとしたときに、どのような補助教材になっているとよいのかという見方も必要ではと思いました。

 結局、補助教材としては厚生労働省がつくっているのですけれども、実際の学校教育の学習指導要領とか、その指導要領解説とかというのは文科省がおつくりになっていて、教科書も文科省の学習指導要領にのっとってつくられているという状況の中で、厚労のほうのここの会議だと、私たちのつくったこれしか見ていないわけです。私、これをどのように改善していく必要があるのかとかも、教科書がどのようであるかが分からないと。改善するには、ここは1つの課題ではないかと思うのです。

○衞藤座長 そうしますと、きょうは文部科学省の方から、学習指導要領と学習指導要領の解説に関しての資料の御説明をいただいたのですが、実際には、中学校の社会とか高等学校の公民で教科書は既につくられていて、存在しているわけで、その中身に関しては我々は情報を共有していないという状況があるということですので、それは一体どうなっているのかということが1つだと思います。その上で、こちらの補助教材としてのこれの中身を対比させて、あるいはリンクさせて考えるというような方向の検討につながるのではないかというような御指摘だったかと思います。

 教科書を集めること自体はそんなに難しくないと思いますので、また事務局のほうで集めていただきたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室主査 文部科学省のほうと協力して情報提供できると思います。

○衞藤座長 では、それはまたよろしくお願いいたします。

 引き続き、御意見を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 花井委員、どうぞ。

○花井構成員 何度も済みません。今の望月委員のお話なのですけれども、そういう言い方をすると、また迷走すると思うのです。このパンフレットはいいのです。厚労の薬害を知っている人たちがいかにわかりやすくそのコンテクストを出すかでよくて、むしろ教科書とのすり合わせはこの指導案で考えたらどうか。逆に、教科書を見て、今の現場がこうだから、それに合わせてその副教材をつくろうとしてしまうと、主客が逆転する。これは薬害をわかりやすく書いているのですけれども、これを教科書とリンクする使い方として考えるほうが。これはあくまで中学校の教科書の副教材ではないわけです。薬害のパンフレットなので、そこはちょっと。だから、この内容をもっとわかりやすくとか、薬害という文脈をわかりやすく、先ほどの大平委員の意見ですね。それをもうちょっとわかりやすく、もしくは簡素にするというバージョンアップ。さらに指導案に関しては現場の教科書等々を見て、先生方がそれとリンクしやすいような指導案のメニューを幾つか出す。こういうのが私の最初の意見です。パンフレットを余り教科書にすり寄った形で考え出すと、このパンフレット自体を一番最初に策定したときの議論のカオスにまた戻ってしまう気がちょっとしました。

○衞藤座長 この教材はこの教材として改定作業を進めていけばよいだろうということですね。

 望月委員、いかがですか。

○望月構成員 それにしても、一度、教科書の内容は拝見させていただきたいと思います。それをこれに反映する、しないというのは、ここの中で。今、花井先生が言ったように、指導者用にこれを教科書の展開の中でどのように利活用していただくかの手引みたいなほうで改善をしていくというのは、私、賛成です。ただ、教科書がどのようになっているかだけはここで一度見させていただきたいと思います。

○花井構成員 もちろん、それには賛成です。

○衞藤座長 両方、相反することではないので、それぞれ情報を集めて、また内容を改善していけばよいかと思います。

 そのほかいかがですか。

 倉田委員、お願いいたします。

○倉田構成員 資料3-2の1のところにあります「『活用の手引き』の充実について」というのは、やはりすぐにでもやっていかなければならないことではないかと私は思っています。回答例を掲載したり、極力わかりやすく簡単なものにするようにというのは、配るだけで終わってしまうのではなく、たとえ配るだけとしても、教師が配るときにポイントを幾つか言いながらとか、メモをつけながら渡すと、活用のされ方も全然違ってくると思います。

 また、文科省にあるポータルサイトで講師の派遣の記述があったように思うのですけれども、実際にどれぐらい講師をお願いするような事例があったでしょうか。講師をお願いしてよかったと、アンケートのどこかに書いてありませんでしたか。

○医薬品副作用被害対策室主査 ポータルサイトのほうには、講師派遣のことについてそのように記載はしているのですけれども、何件ほど事例があるかということは事務局では把握しておりません。

○倉田構成員 そうですか。

 私も文科省のポータルサイトを見てみたいのですけれども、蛇のようにだーっと長くて。でも、ここに到達したいと思えば2~3分で到達はできるのです。いしずえのところに専用の連絡先が明記してありましたけれども、そこに連絡をすると、講師をお願いするのに、例えば1時間なのか30分なのかとか、もう少し概要がわかるように書いてあれば、ひょっとしたら講師を頼んでみようか、自分たちで無理だったら講師を頼んでみようかなと思う。もう少し概要が書いてあればいいのではないかと思って見ました。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがですか。

 事務局から何かありますか。

○額田室長補佐(医薬品副作用被害対策室) 今、倉田先生からあった講師の関係ですけれども、薬被連の方々の御協力を得て講師に行っていただいておりますので、薬被連の方とお話をしないとうまく載せられるかどうかというのはわかりませんので、その辺だけはちょっと御理解いただければと思います。

○衞藤座長 ありがとうございます。

 そのほか。

 高橋委員。

○高橋構成員 誰に言えばいいかわかりませんけれども、次の目標設定をどこにするかという議論をぜひしていただきたい。もちろん、アンケートををやって、パンフレットもよくしたい、教材もよくしたいという意見はいいのですけれども、いつも議論になって、結局、中学校というのは忙しくて何もできないのだよというのでは、ここでどんなに議論しても前に進むことができない。このパンフレットをつくるときには、再三、授業はやるのですよねというのを確認しながらつくってきたはずなのですけれども、実際には現状の通りです。理由を聞けば、内容がわからないとか。もちろん、その言い分も十分わかるのです。ですけれども、このパンフレットを使って、わかるところだけでもやってもらわなければいけないというのが1つだし、これだけの「わからない」という意見が出てきているということは、我々が認識している以上に薬害のことを知らない人がまだいっぱいいるということではないでしょうか。子供だけではないです。大人でもです。細かいことを伝えてほしいなどと誰も言っていないのです。薬害というものがあるのだということを知ってほしいという願いで多分このパンフレットはつくったはずで、薬害を教えられる人をこのパンフレットでつくろうなどというミッションではなかったと思います思います。ぜひ次の目標を少し議論していただければと思います。

○衞藤座長 いかがでしょうか。

 望月委員、お願いします。

○望月構成員 先生のおっしゃるとおり、私もここで何を議論していいのか、はっきりよくわかっていないので、もしそのようにはっきりミッションをしていただいた上でここで議論できれば、皆さん、もう少し意見を言いやすくなるのではないか。

 それとは別に、今の先生のお話の中で、私、ちょっとだけひっかかっているところがあります。このパンフレットは薬害を知ってもらうということにとどまってしまうのではなくて、薬害を知った上で、みんなでその再発を防止する方向に持っていくためにどうあるべきかを考えるための資料としてつくったと私は認識していて、少ない紙面の中で最後のほうに、どのように社会は変わっていく必要があるのだろうかというのも入れたのです。中学生にこれだけの内容を本当に理解してもらうためには、多分、普通の授業の中でちょっとやっただけではかなり難しい話だと思うのです。最初の、薬害は何なのだろう、どうして起こったのだろう、そこだけでもすごく難しい話なのかなと思っています。

 話がちょっと変な方向に行ってしまったのですけれども、これは薬害を知ってもらうためだけのテキストではないということだけは、先生方、委員の皆さんにもう一回意識していただきたいと思ってちょっと発言しました。

○衞藤座長 この資料をつくるときにいろいろ議論したことに戻ったような。何のためにこれをつくったかというようなことは、今、一応振り返っていただいたわけですけれども、それは一応よろしいですね。この数ページの構成をどのようにするかというのを考えて、年表から始めて、最後はやはり「薬害が起こらない社会を目指して私たちにできること。」としたという経緯があったかと思います。これについてはよろしいですね。

 どうぞ。

○栗原構成員 先ほど講師要請がどんな状況なのかというお話がありました。私、薬被連の中で、医・歯・薬・看護系の大学からの要請があった場合の派遣の窓口をしておりますが、そのことも含めて、この教材を活用した授業の広がりをどうやって模索していったらいいのかなということで、この秋に、私たちに講師を要請してきた二、三の大学の御担当の方に相談をかけてみました。実は、この教材を使った授業の広がりを期待しているのですが、つきましては、そちらの大学の1コマ、被害者が出向く1コマを、その大学の立地する周辺の中学校の先生方に公開していただけませんかと。直接そこに社会科の先生なり中学校の先生たち、もちろん高校の先生も含めてですが、出向いて行って、みずから直接被害者の話を聞くことができるような仕組み、場ができると、この実践への動機づけに期待ができるのではないかということで二、三、相談をかけましたら、某県の県立大学のほうで、わかりましたと。来年の2月に予定している講義1コマを公開するということを当大学から県内の学校に通知を出しますということを言っていただいたところが1校出てきました。これから講師依頼をしてこられる大学に対してそんなことを提案していこうかなと考えております。

 それから、これまでの間、大学以外の中学校などから、この教材に関して、相談にもならなかったのですが、2件連絡が入ったことがありました。ただ、それはお2人とも養護教員でした。ということで、その話は具体的な中身に入らずに中断してしまったということでした。

 以上です。

○花井構成員 関連していいですか。

○衞藤座長 どうぞ。

○花井構成員 今、栗原委員のおっしゃった話ですが、幾つかの大学で、実は被害者が出向いている授業について公開講座をやっているところがあるのです。今の趣旨から言えば、そこでと思うのですが、公開講座と言いつつ、事実上、教室のキャパの埋まりぐあいを見ると、ここに来たら席が足りないかなということで、市民の方が2、3人入っているとか、そういう感じなのです。文部科学省さんが来ておられるので、考え中なのかもしれませんが、一般的に公開講座を入れるようにというのは文科省として推進してとか推奨してとかそういうことはあるのですか。

○千々岩課長補佐(文部科学省) 大変恐縮ながら、我々、初等中等教育局というところで、申しわけございません。

○花井構成員 そうであれば、教室の段取りだけの話なのです。どれだけ来て、学生さんが座れなくなったらどうにもならないというのがあるので。ただ、一方では、公開しているよという建前では公開講座というのもあって、スキーム上はあるのであれば、うまく利用することは、今の栗原委員の提案はもしかしたらあり得るかもしれないので、また文科省の高等教育のほうでそういうことがあるのかどうかというのをちょっと聞いておいていただけたら助かります。

○衞藤座長 では、薬害教育教材の活用方法等についてはほかに御意見ございますでしょうか。

 それでは、教材におけるイレッサの取り扱いについてはさまざまな御意見があったと認識しておりますので、引き続き議論していくということで、来年度の教材、また解説書とか視聴覚教材とか、そういったものに関しましては、本日、皆様からいただきました意見を踏まえながら、事務局案をまた充実・改善していっていただくということで検討していただければと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

○花井構成員 ちょっと待ってください。よろしくないと思います。どこまでやるのですか。普通は事務局の都合で、ここまでは今やって、ここは無理だとか言って、ぎりぎりと仕切るのですが、何か非常にリベラルな事務局で、自由にこちらが出しているのですけれども、できることとできないことがあるから、結局、できる射程のところ、今確実に固めておく部分と、将来的課題としての部分は既に事務局のほうである程度実務的な読みがあると思うのですが、それをちょっと披露していただかないと。単に、後は検討してではまずい。

 私の意見を先に言いますと、指導案は来年までにちょっとモデファイしたらいかがですか。

 以上です。

○衞藤座長 では、対策室のほうから。

○医薬品副作用被害対策室長 今のところ、事務局としてのと申しますか、現場が時間がなくてということを言っていますので、配る時期が年度をまたいでしまうと、配ってしまうだけですぐ終わってしまうとか、そういういろいろな声、お話があるので、ことしに関しては、教材は、来年度27年度に関しては基本的にはこのままで、配り方については年度が明けてから配ってほしいというお話、そういう声も先生方からすると大事な話なので、そのあたりを対応したいというのが私ども考え方です。

 その上で、今おっしゃったような、もう少し先生用の手引の充実とか。私も中学校の現場の先生と少しお話をしますと、やはり3ページ、4ページの、被害者の方の声が載っているページというのは物すごく評判がいいといいますか、そこを生徒の方に実際に読んでいただいたり、そこはすごく使いやすいというお話があります。講師派遣の話もありますが、全ての学校に講師が行くのもなかなか難しい中で、映像のような補助教材をとっていければ、現場にとってはより使いやすくなるのではないか。

 それから、どういうものを伝えていくのかというのは、これまでかなりの議論の蓄積があるかと思います。それは単に議事録ということではなくて、そこをもう少しその手引の中で、指導案であったり、用語の解説であったり、できることを28年度に向けて事務局としても作業をし、御議論いただければありがたいかなと、そういう考え方でおります。

○衞藤座長 では、27年度に向けてというか、28年度に向けてということで事務局から案が示されているわけですが、それに関しましてよろしいですか。

 年表の内容に関する御意見が出ましたけれども、それについては28年度に向けての議論ということになりますね。

○医薬品副作用被害対策室長 結局、その指導案なり現場の先生方は、今、どういうメッセージというか、どういうことを伝えていきたいのかということをもう少し明確にといいますか、共通認識を形づくっていく中で、今の年表のままでいいのかどうかということの御議論になっていくのではないかと、そのような形です。年表だけをどう変えるという議論をするよりは、どういうことを中学生なり、高橋先生から高校でやられているというお話がありましたが、その段階でどういうことを伝えたいのかという認識をつくっていく中で、年表についてのあり方も御議論になるのではないか、そういう認識でおります。

○衞藤座長 それでは、薬害教育教材に関しましては、今の段階ではこういうことで、次年度に向けて進めるということでよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○望月構成員 資料3-2というのはどういう立ち位置にあるのでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長 立ち位置といいますか、資料3-1の中で、とりあえず、配付の時期であるとか、アンケートの時期であるとか、そういうことを来年度に向けて改善をしていきます。ここの資料3-2にありますのは、28年度以降、再来年度以降に向けてこういうものを御議論いただいて、事務局としてもつくっていければと。つくる際に、委員の皆様から、どういう方向でつくればいいのか、あるいはどういう点に注意をしてつくればいいのかといったところを御議論していただきたいと思いまして、アンケートの内容から、こういうことを要望する声が上がっていますので、そこを拾って、作成に当たっての観点といいますか、そういうものを事務局のほうで書かせていただいたということでございます。

○望月構成員 そうすると、先ほど花井委員から短期的に手引は充実したほうがいいよねというような御意見があったと思うのですが、ここに事務局が挙げていただいた、○がついている7つのものは、もうちょっと足したほうがいいとか、そういう議論はここでは今の段階ではしなくてもいいということですね。先ほど私が教科書を見たいと言ったので、それを待っていただくという、そういうことでよろしいですね。

○衞藤座長 次年度、27年度の「活用の手引き」の到達点といいますか、それと28年度はまた違うわけですから、一応この資料3-2は28年度ぐらいを目途とした案としてつくっていただいているのですけれども、議論の中ではもっと早くに充実すべきだということがありました。では、その部分はどうしますかということになりますね。

○医薬品副作用被害対策室長 早く充実したほうがいいというのは、もちろん早くやったほうがいいことは事実でございますが、これだけの論点を整理し、御意見を伺い、あるいは、現場の先生方の御意見も聞かないと、なかなか使える形にはならないのかなと。そういう意味で、来年度からすぐにというのはなかなか難しいのかなと。

 おっしゃいますように、学習指導要領、それから教科書の中でも取り上げ方はあるかと思いますので、そのあたりを先生方のほうにもお送りしながら、引き続き議論を継続していくということでございます。

○衞藤座長 矢倉委員、どうぞ。

○矢倉構成員 ちょっと質問ですけれども、よろしいでしょうか。

27年度の「薬害教育教材の活用の手引」に「教師の皆様へ」という文章がありますね。これは、私、不勉強で、26年度は「教師の皆様へ」というのは出ていたのでしょうか。

 この下線のところが変わったのでしょうか。どこが変わったのでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室主査 赤字の部分が平成26年度からの修正部分で、アンケートの結果で「人権」や「公害」に関連させて使っていただいている学校が多かったものですから、それが教師の皆様の参考の情報になるかなと思いまして、ことしはこの赤字で。配るときはもちろん黒字になると思いますけれども、「人権」や「公害」を追記させていただいています。

○衞藤座長 それでは、薬害教育教材に関する議論は、討議をかなり要する部分は28年度に焦点を置いてということで、その間、資料、教科書等もいろいろ集めていただいてという、大体そういうスタンスで改編をしていくということで、27年に関しては先ほど御説明があったとおりということで御了解をいただけますでしょうか。

○望月構成員 そのときに、先ほど教科書を見たいということもお願いしたのですが、今、そこの手引のところに出ていた学習指導要領の「人権」のところですとか「公害」のところも資料として出していただけるとありがたく存じます。お願いいたします。

○衞藤座長 では、次回以降の資料のときにお考えいただきたいと思います。

○手嶋構成員 済みません。

○衞藤座長 はい。

○手嶋構成員 昨年、裁判途中だったからということで、そのときは、イレッサを入れません、裁判が終わったらと、私も厚労省の方と話をしていたのですけれども、結局はここに書いてあるようなことで、今年度はもう入れないということですね。

○衞藤座長 室長、お答えをお願いします。

○医薬品副作用被害対策室長 来年度につきましてはちょっと難しいかなと思っております。教師の考え方でありますとか、先ほど薬害というものについて明確化したほうがいいのかどうかで御議論がございましたので、そのあたりを踏まえながら、引き続き議論させていただければと思っております。

○手嶋構成員 ありがとうございました。

 前、去年の話の中では、訴訟が終わったらという話でしたので、次年度は入るものと私も思っていたのですけれども、今度、入らないという話になっているのです。副作用の問題ですからということではないと私は思っているので、これだけはもう一度考えていただきたいと思っております。

○医薬品副作用被害対策室長 昨年の件、御意見をいただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、どういうものが薬害であるのかが明確でないとか。確かに訴訟があるのでイレッサを入れることはなかなか難しいというように訴訟中は申し上げておりましたけれども、その上で発行したパンフレットについて、現場のほうでなかなかわかりにくいのではないか、あるいは薬害とかもっと明確化したほうがいいのではないかというお話がありますので、そういった整理をした上でイレッサをどう位置づけるのかというような御議論をしていただくのだろうと思っております。

 今、この場で、載せますとも載せませんともそういうことはなかなか申し上げられないかなと思っておりまして、どのようなことを伝えたいのかということを議論する中で検討していくというように私どもとしては理解しております。

○衞藤座長 この件に関しましては、本日、結論が出ないので、引き続きの審議ということで御理解いただきたいと思います。主として28年度に向けてこの中身をいろいろ検討していくというお話の中で一緒に考えていただいたらよろしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

 それでは、次の議題に進ませていただきます。

 「薬害に関する資料等の調査について」でございます。昨年度の検討会でも報告がございましたが、昨年度から薬害に関する資料等の実態調査の取り組みを進めています。

 まず、事務局から、資料調査の概要や現在の進捗状況について御説明いただき、その後、冒頭に紹介させていただきました金先生と齋藤先生より、資料調査に関する研究の状況について御講演をいただきたいと思います。

 まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室主査 資料4-1「薬害に関する資料調査等について」を御説明申し上げます。

 薬害に関する資料調査等の厚生労働省としての取り組みについてまとめております。資料4-1の1に記載しておりますように、今年度の薬害に関する資料調査・目録作成費として1,197万円を計上するとともに、この後、金先生からも御発表いただきますが、昨年度から2カ年の事業としまして、厚生労働科学研究で、資料等の実態調査や資料の整理・保管のためのマニュアルの作成等を行っていただいております。

 2でこれまでの進捗状況をまとめておりますが、昨年夏に引き続きまして、ことし8月にも被害者団体の方にお集まりいただき、薬害資料調査のための会合を開催しております。

 なお、今後の取り組みのあり方については、金先生の発表も踏まえて御議論いただければと存じておりますが、当面の話としまして、平成27年度については、金先生に作成いただいたマニュアルを用いた資料整理の実証や資料の公開の条件づけのあり方を研究してはどうかと考えております。また、被害者の方が高齢化しつつある中で、薬害再発防止に生かす観点から、証言映像の収録を行いたいと考えております。

 事務局からは以上です。

○衞藤座長 続きまして、金先生と齋藤先生より御説明をお願いいたします。20分程度でお話しいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○金参考人 金と申します。

 きょうの研究班の報告は、まず、流れとして言うと、2013年度の研究結果が資料4-2-マル1です。それは平成25年度の総括報告書でありますが、これをまず私から報告させていただきます。

 2番目に、資料4-2-マル2で2014年度の進捗状況について報告させていただきます。

 3番目に、薬害を学び再発を防止するための教育ということで、資料の目録入力の教育をしながら、現場の話を齊藤さんから報告させていただきます。

 それでは、資料4-2-マル1をごらんください。時間が余りないので要約だけを紹介することで、それ以外の内容については後で読んでいただければと思います。

 最初に、4-2-マル1の資料の「研究概要」の2ページをごらんください。「研究目的」としては、もう既に事務のほうで説明がありましたので、その次からちょっと見ていただけますか。

 研究方法としては、記録管理学的な観点からアプローチしています。記録というものは、最初に作成して、それを整理・活用・廃棄・保存というライフサイクルがあります。それぞれの団体がつくった資料は、そのプロジェクトが終わった後には廃棄されることが多いです。記録管理学的な観点から見ると、歴史的に価値がある記録や証拠となる記録、行政的に必要な記録は永久保存が必要と思われます。このように、歴史的、証拠的、行政的価値のある記録を永久保存するため目録記述や評価・選別作業が必要となります。

 調査方法としては、活動の流れに沿ったインタビュー調査、現場調査を行って、記録学観点から分析しております。現場調査では、記録管理概要、レイアウトの図を作成して、どれぐらい保存ができているか、あと、どういう形態で資料があるかということを調査し、デジタル化をしているかどうか、あと、機密記録があるかどうか、その管理はどのようにしているかというのを調査して、最後に、今の保存状態はどのようになっているかというのを全体的に把握しています。

2013年度の調査結果をごらんください。その結果を見ると、2013年度は薬害被害者9団体を回りました。それをまず事例にしてほかのところにどんどん拡大すればいいと思っております。

 一応、9団体を調査した結果、非常に難しい問題が出ています。例えば、被害者団体の作業人員が少ないとか、資金がないとか、保存書架など、資料整理に対する体制が整っていない団体が多いということです。もちろん、目録化とか電子化まで進んでいる団体もありますけれども、放置状態にある団体もあり、そのギャップが大きいということが問題であります。

 特に調査団体の資料は、個人情報など機密管理を要する資料が多いのです。その記録を管理する際には極めて注意が必要だと思っています。それは、2014年度、ことしの作業に反映しております。調査の際には、まずインタビューから始めて、運動発生の経緯に従ってどのような資料が蓄積されてきたのかについて、インタビューフォーマットに沿って綿密な聞き取りを行って、保存されている資料を拝見しました。

 その結果については、後ろの28ページをごらんください。28ページから64ページまで、それぞれの団体ごとに、資料量とか、形態・媒体とか、ファイル名、あと、収納場所とか分類、機密区分有無、その他のことについて詳しく調査をしました。それが29ページと30ページに載せてあり、31ページは書架がどのようになっているかということを調査しました。もちろん写真は撮っていますけれども、この報告書には載せないようにしました。それは個人情報などを保護するために載せなかったのです。

 それで、7ページをごらんください。そこに2013年度の薬害被害者団体記録管理現状調査結果が記載されております。匿名にしたのはもちろん保護のためです。それで記録管理の概要を見ると、5番目が少ないほうです。それから、7番目が123.2fmで、すごく膨大な資料が残されているということがわかります。

 その次の8ページをごらんください。8ページは、資料をどれぐらい保存しているかということで、それぞれ資料の形態、電子化がどれぐらい進捗しているか、保存の媒体の変換がどれぐらいかという詳しいこと、あとは、団体の高齢化ということも書いてあります。これは、これからの目録作業とか保存管理ができるかどうかがすごく重要なところなので、それも書いております。

 9ページをごらんください。9ページを見てみると、各団体が収集している資料の形態種別があります。そこを見ると、文書と刊行物、あと、モノ資料、視聴覚資料、写真などがあります。その写真が持っているものです。テープとかは20年ぐらいたったものもあるので劣化しているのです。こういったものは早く保存処理をしなければいけない部分があります。

 9ページの一番下のほうを見てみると、段ボール箱にそのまま置いてあるのです。このまま5年、10年置いてあると、その中にカビが発生したり、虫が入ってしまうから、これも保存状態が非常によくないケースです。

 次の10ページをごらんください。資料の保存状況は、先ほどオーディオがあったのですけれども、ここには映画フィルムとかビデオもあります。こういったものの中に非常に重要な教育教材として使われるものがいっぱいあるのですが、この資料からどういうものが教育教材として使われるかは、調査だけでは把握できないのです。だから、目録入力作業をして、その後にこれを1点1点全部聞かないといけない、そういうかなり難しい作業が残っています。法政大学の大原社会問題研究所の環境アーカイブズでは、今、このテープのデジタル化作業をしてありますので、そのノウハウを生かして作業をすれば、ちょっといい教育教材として使われるのではないかという気持ちは持っています。

 時間が余りないから、後ろのページはごらんください。

66ページが2013年度に我々がつくった資料目録フォーマットです。これは簡単で、この後にもっと詳しい情報が入っている入力作業のことについては、後で齊藤さんから説明があると思います。こういうフォーマットを、去年、仮でつくって、ことしはそのフォーマットに従って作業をしているという感じです。

 それから、67ページから70ページまで薬害に関する参考文献がありますけれども、これは全部ではないのです。ことしの作業の中で入っているものは、こういう薬害に関する図書は団体ごとに整理してここに入れようかなと思っております。

 ここまでが2013年度までの作業の結果です。要するに、現在運動している団体の資料も記録管理に関する専門的知識がまだないという状況と、あと、人件費、スペース問題などがあって、体系的な資料保存は難しい状態でございます。活動が終わった団体は言うまでもないと思います。

 それで、薬害に関する開発や教育・研究などへの効果的な利用のためには、また貴重な資料の永久保存のためには、現在使っているレコード段階のことをきちんと分類・整理しなければならないと思います。

 今、我々は薬害団体を回りながら本当に感動を受けています。本当に命をかけて記録をして、それを保存していることが私の心の中にしみ込んで、すごく感動を受けています。本研究チームと10団体、薬害団体は、資料などを統一的・体系的に分類・整理・保管するための方法を検討、実践していることです。これによって、資料がなくなることなどを防ぎ、重要な記録を啓蒙・教育教材として使うことが可能になると思います。

 それから、2014年度、資料4-2-マル2をごらんください。2014年度の主なポイントは、10団体が目録作成ができるかどうかということがあります。一番重要なことの中では、劣化された資料をどのように保存するべきかを先に検討しなければいけないということが、回りながら本当にわかりました。というのは、もう既にアンケート調査とか、インタビューをしてもらったその記録があるし、あと、裁判記録の中で永久保存しなければいけない資料があるのですが、そういう資料が劣化してぱさぱさしている状態です。

 その資料はユニークで1つしかないのです。そういうことは日本の歴史の中でその記録がなければわからないという状況になることです。だから、その資料をまず先に保存措置をしなければいけないということが非常に重要な点だと思います。

 目録入力作業などについては齋藤さんから説明があると思いますが、私からは、回ったときのことを踏まえて、今の分析を中心に報告します。

 もう一点は、資料を公開・保存するためには、整理するとき、それを考えなければならないのです。薬害被害を受けた人たちの記録というものは秘密にしなければいけないことがあるのです。そういうのは個人情報がたくさん入っているから、特に医療記録などは、フランスの場合は100年も公開しないケースがあります。公文書としては30年たったら再分類して公開するというICAという国際的な基準がありますけれども、医療記録とか薬害記録などについてはそういう個人情報が入っていますので、その本人がそれを公開して、薬害を防ぐための資料として使ってほしいという御意見があるときは別だけれども、それを取り扱うときは非常に注意が必要だということが回りながらわかりました。

 そういうことを考えて、今、10団体に、公開・非公開・要審査ということで分類を行うことをお願いしています。それは個人情報保護の法律に基づいてやっています。

 各団体を巡回するとき、資料の作成者が薬害を防ぐための教育教材として使ってほしい資料があるのです。その場合は、公開できるように、そこは公開してもいいよ、教材として使ってもいいよということをチェックする欄をつくって、それで今、1点1点やることをお願いしています。

 時間が過ぎました。

 これからの課題としては、各団体が入力した目録を全部集約して、それを検討・訂正・分析するつもりです。京都スモンの場合、そうなのだけれども、1人ではできないところがあるのです。支援がなければ入力が難しいところは、この研究チームから支援をするとか、いろいろ工夫をしたいと思っております。

 目録作業の優先順位を決めて今やっていますが、全部はできないのです。だから、ことしはマニュアル作成と訂正を中心に作業をしているのですけれども、各団体それぞれに違うところがありますので、事情を聞いて、やりとりを変えるとか、そういうことを考えています。

 あと、ファイル用品の追加購入の手順と費用の捻出について検討しました。これは保存の問題なのですけれども、すごく劣化しているものが多いので、そのために保存封筒とか、中性紙でつくっている保存箱などをどのようにするかについて検討しています。

 あと、公開・非公開は先ほど申し上げました。

 それから、今、各団体が提供する教育教材の収集を図っていますが、収集の方法としては、複製及びデジタル化を考えています。それから、図書・雑誌の参考文献の追加ということがこれからの課題であります。

 私から最後にちょっと申し上げますと、先ほどの11ページの資料3-2ですが、厚労省の欄ですけれども、中高生向けのビデオ作成とか、被害者団体の人が学校とか市民に教育するとき、今やっているこういう資料調査を活用して教育教材として使ったらとてもいいのではないかと思います。

 もう一点は、被害者団体に高校生とかが整理作業に参加することを提案します。というのは、夏休みとかのボランティアで簡単なもの、主に図書とかは全部公開もできるし、入力もできるから、現場を訪ねて、そこで入力作業をやる。最近、高校生はすごく早いのです。入力作業はすごくできるから、そこをちょっと考えたら、資料整理もできるし、教育もできるし、いろいろな面でいいのではないかと思っております。それで、被害者団体と教育現場を連携して薬害の再発を防ぐことができるのではないかと思っております。

 私からは以上です。

○衞藤座長 引き続き、齋藤先生からお願いいたします。

○齋藤参考人 では、お手元の資料4-2-マル3をごらんください。私は、リサーチアシスタントとして金慶南教授のお手伝いをしております齋藤と申します。

 まず最初に、記録の調査をする段階で何をしたかといいますと、被害者を取り巻く関係性を把握し、どこからどういう資料が発生したか、まずそこを押さえておくということが必要なことです。

 これらの記録は、事件の真実を示す資料の適正な保存と公開により、次世代に継承していくために、どんなものが存在するかというのを調べました。先ほどからイレッサの話題が出ておりますが、このパンフレットにありますように、非常にわかりやすい漫画がもう既にできております。それから、薬剤のモノ資料とか書籍の場合は、裁判記録とか、医療関係者の真実を述べたものが書籍になって発行されたりしております。

 それと、簿冊や紙袋の資料等もありましたが、これらは本当の生データです。裁判記録の原本や医学調査データなどがございます。

 それと、先ほどから視聴覚資料というのが出ておりましたが、これも媒体としては古いタイプなので、再生する装置がだんだん少なくなっていくために、DVDとかCDなどに焼きつけるという作業が必要となっております。

 それから、大変いい教材になりそうなものがこの会員誌なのです。本当に心から訴えている言葉がこれらの中には書かれています。さらに進んでいる団体は、ホームページ等をつくって電子資料で保存を始めています。

2014年度の活動についてこれから申し上げますが、目録作成と資料整理のため、7月の間に巡回をいたしました。そのときにまず示したのがこの入力マニュアルです。この入力マニュアルに従いまして目録を作成していただくことになったわけですが、目録は、先ほど金教授が公開・非公開とかおっしゃっていましたが、判断を誤らないようにみんなこのようにプルダウンで入力できるように設定してあります。それから、非公開理由も、個人情報なのか、政策上非公開なのか、その他の理由なのかというように分けて、最終的にデータを収集したときに分析に誤りがないように設定してあります。今ごらんいただいていたのは、Pという記号がついて、これは文書なのですが、図書の場合はbookのB、視聴覚の場合はvisualのV、モノ資料の場合はmaterialのMというように資料の種類を分けて目録をとっていただくことにしました。

 2番目として、現物の整理方法の事例作成を被害者の方たちと一緒にして、適性ファイル用品の使い方と検索のための記載方法を御指導してまいりました。

 このときに、まず、目録化における各団体の状況ですが、10団体のうち、自主的にできるということがわかったのが7団体、補助が必要なのが2団体、自力では難しいというところが1団体ありました。これらの詳細については、4-2-マル2の3ページにある表に詳しく出ておりますので、そちらをごらんください。

 目録化における各団体の状況内訳です。時間がないのでここでは詳しくは申し上げませんけれども、自主的にできる団体というのはどういうところかというと、既に電子化をし始めているとか、エクセルの入力は何ら問題がないとか、世代的に若い人がいるということです。それから、弁護士さんがいらっしゃる団体はかなり早くに電子化に着手され、既に個人情報のマスキングまで進んでいるというところもあります。

 補助が必要な団体はどういうところかというと、まず、エクセルのフォーマットに手書きで入れられるけれども、パソコンへの入力は外部スタッフの応援が必要であるとか、先ほど金教授が高校生の援助があれば何とかできるのではないかと言っていましたが、そのような入力援助です。

 もう一つは、劣化し始めている資料を電子化して複製をつくる。これは現場ではなかなか難しい団体がございましたので、それは研究班のほうでお手伝いする可能性はあります。

 それから、1つだけ、自力では全く難しい団体がございました。こちらは1人でやっているというところもあり、量的に多くない、東京都内ということもあるので、研究班が通いながらお手伝いして完成を目指すという方向になっております。

 2番目の訪問目的は、新しいファイル用品を用意するということです。これは、長期保存のために酸性劣化しないための用品を備えるということで、中性紙の封筒と中性紙の保存箱を用意いたしまして、それの表記の仕方、箱と封筒の関連づけなども指導してまいりました。それから、簿冊がかなりあるということなので、中性紙の背幅が伸縮するファイル、ここでは金具は一切使わない。金具はさびの原因になりますので、金具は使わないで、中性紙だけでつくった伸縮ファイルを用意いたしました。それと、下の段の写真ですが、中性紙保存箱のコストが余りにも高いので、廉価版として、保存箱のA4サイズも用意いたしました。のりに関しては、図書館のラベルで使われているのりです。できるだけ化学変化が少ないものを選んだり、または、単なるホッチキスですが、これもさびる原因となるので、ステンレスのホッチキスを用意しました。クリップも、金具のクリップではなく、プラスチックのクリップを使っていただくようにお願いしてまいりました。

 最後に課題についてです。これは教材とかかわるお話ですけれども、次世代の子供たちに見てほしい手紙、訴状、画像、生の声などがたくさんございます。これらを原告の了解を得て、個人情報保護を踏まえた公開方法を探っていく必要があると思います。

 それから、ISBN番号がついている書籍というのは市販品なので、これらが目録化して多くの人に読んでもらえるようにしたいと思います。もちろん、先生方も気軽に手にとれるような感じで目録が用意してあって、注文すればすぐに取り出せるというようなものです。

 それから、先ほど申し上げたファイル用品の知識を普及させるということ。

 最後に、被害の事実を示す記録は決して廃棄せず、後世に残すべき歴史的資料であることを周知していきたいと思っております。

 以上です。

○衞藤座長 大変詳細な御説明をありがとうございました。

 残りの時間が5分ほどになってしまいましたが、ただいまの御説明に関しまして御質問等ございますでしょうか。御意見でも結構でございます。何かございますか。

 矢倉委員、どうぞ。

○矢倉構成員 この自力では難しい団体というのは、多分、京都スモンのことだろうと思います。実際、私1人でこつこつとやっているのですが、なかなか進みません。人をお願いしてやったりしていることもありますが、具体的に、研究班でお手伝いしてくださって完成を目指すと書いてございますが、これはいつごろからそのようなお手伝いをお願いできるのでしょうか。

○金参考人 実名で京都スモンと言っても大丈夫ですか。

 この間、写真を撮って持ってきたのです。それで、図書の入力作業を今やっています。写真を撮って、研究班で入力できるものは、今、進行中です。京都に直接行かなければいけないものについては、相談をして、いつということになると、栗原さんとか一緒に行きます。

○矢倉構成員 高齢化していまして、私自身も高齢化なのですけれども、作業はやはり大変です。

○齋藤参考人 大変ですね。承知しております。

○矢倉構成員 どうしても主観的な考えが入ってしまうので、整理できつつあるものはできるだけほかの方にも集まってもらって、集まるといっても知れていますけれども、了解を得て話し合うようにしているのです。そのようにはやっているのですが、作業がなかなか。まだ入力というところまでいかないので。

○齋藤参考人 わかりました。

 もし入力作業ができない場合は手で書いてもいいし、それから、この間行った人と一緒に支援するために行きますので、安心してください。

○矢倉構成員 手順としては、いきなりやって失敗したらまずいと思いました。

○齋藤参考人 そうですよね。

○矢倉構成員 下書きから始まっているのですけれども、それをまた整理していくのがかなり大変だなと思っています。

○齋藤参考人 では、これが終わった後に改めて連絡します。

○矢倉構成員 どうぞよろしくお願いいたします。

○衞藤座長 それでは、いろいろ大変な作業のようですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間がもうなくなってまいりましたので、薬害に関する資料等の調査に関しましては、今、御説明いただきました方針で進めていただいているということでよろしいでしょうか。特にアドバイスとかがあれば、今ここで出していただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○衞藤座長 ありがとうございます。

 そろそろ時間も来ておりますので、何かほかに全体として特段御意見がなければこれで終わりにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 それでは、どうもありがとうございました。

 事務局から次回の日程等についての御連絡がありましたらお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室主査 次回の開催予定は未定となっておりますので、また事務局より日程調整について追って連絡をしたいと思います。

○衞藤座長 それでは、これで本日の検討会を終了いたします。長時間にわたり大変お疲れさまでございました。ありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局総務課
医薬品副作用被害対策室
TEL 03-5253-1111(内線2718)

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