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2015年3月3日 障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年3月3日(火)17:00~19:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室(中央合同庁舎第5号館12階)


○出席者

佐藤進座長、大塚晃構成員、吉川隆博構成員、田村綾子構成員、寺島彰構成員、野沢和弘構成員、山下幸子構成員

○議事

○佐藤座長

 定刻になりましたので、ただいまから「第 6 回障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ」を開催いたします。皆様にはお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず、事務局から委員の出席状況、また、資料の確認をお願いいたします。

 

○福井企画課課長補佐

 構成員の出席状況ですが、本日は大塚構成員から遅れて到着する旨の御連絡を頂いております。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料 1 「障害者等の移動の支援について」、資料 2 「障害者の意思決定支援・成年後見制度の利用促進の在り方について」、資料 3 「障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方について」、資料 4 「総合支援法の見直しにおける支給決定の在り方への提言」。資料 1 から 4 までをお配りしておりますので、御確認ください。以上です。

 

○佐藤座長

 では、議事に入ります。事務局から、本日の進め方について説明をしてください。

 

○福井企画課課長補佐

 本日は、障害者等の移動の支援、障害者等の意思決定支援、成年後見制度の利用促進の在り方、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方に関する論点について、議論をお願いいたします。まず、前半の 1 時間を障害者等の移動の支援、意思決定支援、成年後見制度の利用促進の在り方に関する論点について御議論をいただき、続いて障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方に関する論点について、後半に御議論いただきます。終了時間は 19 時を予定していますので、よろしくお願いいたします。

 

○佐藤座長

 では、最初に障害者等の移動の支援、障害者等の意思決定支援の在り方、障害福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の利用促進の在り方について、資料説明をお願いいたします。

 

○照井障害福祉課課長補佐

 まず、資料 1 を御覧ください。「障害者の移動の支援について」、説明いたします。 1 枚めくっていただいて、障害者の移動の支援についての「現状」です。一般的な個別給付に関する移動の支援の現状、地域生活支援事業に係る移動支援の現状と、 2 つに分けています。

2 ページです。それぞれの事業の現状について、移動の支援とはどういったことを対象にしているかを整理しております。まず、居宅介護における移動の支援の範囲ですが、こちらは通院等介助という事業で、病院への通院、官公署での手続ですとか、指定地域移行支援事業所などを訪問する場合に限定をしております。

2 つ目、生活介護、短期入所、自立訓練等々の日中活動系サービスへの通所に関する移動につきましては、事業所の送迎を報酬で評価しています。

 続きまして 3 つ目の○、訪問系サービスです。重度訪問介護・同行援護・行動援護など、移動支援が可能な訪問系サービスについては、その目的が「社会生活上必要不可欠な外出、社会参加のための外出」とされておりまして、「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出」というのは、対象外とされております。

 ここで対象外とされている事業につきまして、現状どうなっているかというと、通勤等の外出につきましては、障害者雇用納付金制度の助成金で、一定期間ですが、通勤を容易にするための措置を実施した事業主に対して、その費用の一部を助成する制度があります。

 障害福祉サービスはどうかといいますと、先ほど言いましたとおり、通勤は対象外ですが、経済活動に関する外出ということで、障害者たる事業主の勤務中の移動支援につきましても、併せて対象外となっています。

 もう 1 点、通学についてですが、「通年かつ長期にわたる外出」ということになっておりまして、対象外としております。実態としましては、放課後等デイサービスの送迎サービスが、結果的に下校時の移動支援になっている場合もあるようです。

 参考として一番下です。障害者差別解消法の中では、それぞれの実施主体の合理的配慮というのが求められてくるとなっておりまして、当然、教育、就労であるとか、そういった現場サイドの合理的配慮について、今後、規定をされていく予定になっております。

 3 ページです。「地域生活支援事業に係る移動支援」です。こちらについては、先ほど申し上げましたような、個別給付のような一律のルールがあるわけではなくて、実施主体である市町村の判断で、それぞれの地域の特性、利用者のニーズに応じた柔軟な形態で実施をすることができるとなっております。具体的な実施形態としては、➀➁➂という形の形態が想定をされております。それに対して、予算の範囲内で市町村が支弁した費用の 100 分の 50 以内を補助することができると規定しております。

 参考として、通勤、通学の運用についてどうかというところなのですが、通勤訓練などで一定期間利用ができるというようなことで、一定の要件を設定して対象としている自治体が 27.4 %。通学についても、保護者の疾病などで、送迎が一時的にできない場合ですとか、あとは通学ルートを学ぶための訓練的な利用という要件のもと、対象としている自治体が約 6 割弱という形で運用をしております。

 ヒアリングの中で、移動支援に関して主な意見が出ていますが、主立ったもので申し上げます。通勤、営業活動等の経済活動、通年かつ長期、社会通念上適当でない外出についてのヒアリングにおける主な意見です。こちらは基本的には全て要件の緩和で、通勤、通学も利用ができるようにしてほしいというような御意見がほぼ全てという形になっております。その中でも例えば下から 4 つ目ですが、難病のこども支援全国ネットワーク様なのですが、ヘルパー自身が運転する車による通学支援も必要であるというようなこと。その 2 つ下の全国肢体不自由児者父母の会連合会なのですが、通勤時の移動支援は福祉サービスでなく企業が提供することが必要ではないかということです。一番下ですが、そういったことを包含をした意味合いもあるかと思うのですが、社会常識上、社会通念上適当でない外出という条件は、障害者権利条約の理念に照らして排除すべきであるというような御意見も頂いております。

 5 ページ目、地域生活支援事業の移動支援についてです。こちらは、基本的には個別給付化をしていただきたいというようなことが、一番大きな意見になっております。さらに上から 2 つ目の○ですが、日本自閉症協会様から、単価の充実を図る必要があるというようなこと。日本発達障害ネットワーク様は、複数利用者に対して 1 人の支援員が付けられるといった柔軟なサービス体制を整備していただきたいなどの要望が寄せられています。

 6 ページです。全国精神病者集団様、入院中の精神障害者の退院支援等のために、入院中の移動支援の利用ができるようにしていただきたいというようなこと。パーソナルアシスタンスを含めた送迎サービスなどにより、通勤手段が確保される必要があるというような御要望、社会就労センター協議会様。入所施設においても、必要な場合には移動支援の利用ができるようにするべきであるという御意見などを頂いております。

 こういったことを踏まえまして、事務局案としまして、今後、議論を深めていく必要があるのではないかということを 3 つまとめています。 1 つ目は、個別給付に係る移動支援と地域生活支援事業に係る移動支援の役割の分担についてどのように考えるのかということ。 2 つ目は、現在、支援の対象となっていない通勤や通学等について、支援の対象者やそのニーズ、支援主体等をどのように考えるか。 3 つ目、入所中、入院中等の移動支援について、ニーズや支援主体をどのように考えるか。大きくこういった論点が、今後議論を深めていくべきではないかというように考えております。

 以降につきましては、参考資料となっております。現状、移動支援がサービスで付いている事業の一覧であるとか、障害支援区分別、障害種別で移動の支援というのは現状どういったものがあるのかということについて、マトリックスを作ったものです。移動支援につきましては以上です。

 

○佐藤座長

 続いて、資料 2 をお願いします。

 

○曽根障害福祉課地域生活支援推進室虐待防止専門官

 説明時間 5 分と言われていますので、少し駆け足で説明させていただきます。「障害者の意思決定支援・成年後見制度の利用促進の在り方について」資料 2 を御覧ください。

1 ページ、意思決定支援の在り方の「現状」です。障害者基本法において、国及び地方公共団体が意思決定の支援に配慮するように明記をされております。総合支援法においては、指定障害福祉サービス事業者や、指定障害者支援施設の設置者、相談支援事業者の責務として、意思決定の支援に配慮するということを明記をしています。さらに平成 25 年度、 26 年度の障害者総合福祉推進事業において、意思決定支援の在り方並びに成年後見制度の利用促進の在り方の調査研究事業を実施しております。

 これにつきましては 10 ページをお開きください。概要が出ておりまして、 25 年度につきましては、団体、事業者からのアンケート調査、海外の文献調査。成年後見制度については、利用実態の調査やヒアリングを行いました。 26 年度はまだ実施中ですが、検討会議を設置いたしまして、実際に意思決定支援をしている団体に来ていただいて、実践報告をしていただいたということと、今後、ガイドライン作成に向けて報告書を取りまとめているところです。

 成年後見制度につきましては、成年後見制度の利用につながりにくい要因を類型化した上で、 1 つは成年後見に対する研修を受けていただいて、その前後で利用に対する意向がどのように変化したか、というようなことを検証する研修を行っています。こちらの研修については、大塚構成員に研究委員長をしていただいています。

 資料を戻っていただき、「ヒアリングにおける主な意見」ですが、「意思決定支援」について大きく 2 点に分類しております。「支援の提供内容・方法について」という点と、 3 ページから「支援のための人材育成」の 2 つの整理をしております。

 まず、「支援の提供内容・方法について」です。総合支援法の「意思決定に配慮した支援」について、明確な原則・運用指針が必要であるという御意見ですとか、意思決定支援の定義や意思決定支援のために必要な条件整備、困難ケースに対応できる人材育成が必要であるという御意見。「意思決定支援のガイドライン」を作成する必要があるという御意見。代行決定ではなく、法的能力を行使するための意思決定支援について検討を進めるべきとする御意見。契約行為に関して当事者の権利を尊重するべきという御意見。原則本人も参加して、本人の信頼する支援職員、家族、後見人を含むチームで意思決定支援を行うことが重要であるという御意見。意思決定支援と密接に関わるパーソナルアシスタント制度を導入することという御意見。情報バリアフリーの観点から、分かりやすい情報提供を行うべきという御意見。意思決定支援に対する報酬体系を設定すること、とする御意見も頂いています。

3 ページをめくっていただきますと、「支援のための人材育成」になります。こちらにつきましては、特に長期入院精神障害者の方については、団体が権利を主張するアドボケイトの育成・派遣が必要であるとする御意見。意思決定についてコーディネートできる人材育成を進めてほしいという御意見。相談支援専門員やサービス管理責任者研修と同等の位置付けとするべきとする御意見です。入院中の精神障害者の地域移行を促進するためにも、意思決定を促していくための人材確保が必要とする御意見を頂いています。

 「今後議論を深めるべき事項 ( ) 」ですが、障害者に対する意思決定支援の仕組みや提供方法をどう考えるかという観点と、意思決定支援の実施に当たっての人材育成をどう考えるかという観点について整理をさせていただきました。

 次いで「成年後見制度の利用促進について」です。現状は、知的障害者福祉法、精神保健福祉法において、市町村が後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦を行うような規定ですとか、平成 24 年度には、市町村の地域生活支援事業において、成年後見制度利用支援事業を必須化。 25 年度には成年後見制度法人後見支援事業という、法人後見を行う団体を養成する研修事業などの補助をする事業を必須化しております。 25 年度、 26 年度の推進事業については、先ほどの御説明と同様です。

 「ヒアリングにおける主な意見」です。 1 点が「現行制度の利用の支援について」、 2 点目は 6 ページからになりますが、「制度の在り方・運用について」という 2 点を整理させていただきました。

 現行制度の利用支援につきましては、費用の助成制度が必要である、拡充が必要であるとする御意見ですとか、本人の負担軽減、後見人等の資質の向上、手続の簡素化が必要であるという御意見。後見報酬助成を更に充実させる必要があるという御意見を頂いております。

5 ページを見ていただきますと、「制度の在り方・運用について」です。障害福祉サービスでの自己決定、契約行為等を支援付き意思決定支援で行えるよう配慮するべきですとか、後見以外の保佐、補助の制度を分かりやすく説明して、利用促進をするような支援が必要であるとする御意見。障害者権利条約 12 条の、法律の前に等しく認められる権利という条項に配慮することが必要であるという御意見。本人が不利益を被ることがないようにするためには、現在の制度は十分ではないにしろ、現段階では、ある程度後見的な支援が必要ではないかとする御意見も頂いています。また、医療同意に関する御意見。欠格条項の廃止に関する御意見。また、法定後見の後見・保佐・補助を定期的に見直す仕組みの必要性。そのような御意見を頂いています。

 「今後議論を深めるべき事項 ( ) 」としては、成年後見制度の利用支援については、既に一定の措置を行っているところですが、更なる支援についてどう考えるかという観点。利用者ごとの適切な類型の選択等、成年後見制度の適切な利用についてどう考えるか、という 2 点について、今後深めるべき事項案として提示させていただきました。その後のページは参考資料となりますので、御覧いただけたらと思います。以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。大きくは 2 つ、 2 番目の課題については更に 2 つに分けられますけれども、最初の移動支援に関する問題と、意思決定支援並びに成年後見法の利用について、成年後見制度の利用についての議論ということで、これから討議を進めていきたいと思います。まず最初に、移動支援のことに関して、論点として提起されている点が資料の 7 ページに 3 点にわたってありますが、そのことに関する御意見と、併せて先ほどの説明に関して確認、質問がありましたらそのことも含めて、 7 ページの 3 つの事項を意識しながら議論を進めてまいりたいと思います。では、どなたからでも結構ですので、構成員の皆さんの御意見を伺いたいと思います。

 

○山下構成員

 山下です。よろしくお願いします。資料 1 「障害者等の移動の支援について」の所です。「今後議論を深めるべき事項 ( ) 」の 2 点目。通勤や通学については、かなりヒアリングの中でも要望が出ていましたが、その中で支援主体について、どのように考えるかという論点が出ています。総合支援法を根拠に福祉サービスとして行うのか、それとも学校や事業所が責任をもってとするのかというところは、ヒアリングでも意見が様々であったかと思います。

 この場は、支援法 3 年後見直しのワーキンググループではありますが、差別解消法や雇用促進法と、総合支援法とは別の法律、別の省庁にまたがる議論を要するものだと思います。ただ、ここまでの今私が話した議論については、これまでも課題のまま置かれていた部分でもあると思いますので、具体的な議論に向けていくということが必要であるという認識を持っています。

 ただ、もう少しお話させていただければ、差別解消法で合理的配慮をと考えても、例えば民間は努力義務で、公については義務でというような差が生じてしまう可能性や、そもそも合理的配慮については、実施に伴う負担が過重でないことという条件もあるということから、一人ひとりの保障というところについて差が生じるという懸念もあります。そもそも通勤ができないということになると、特に就労などでは働こうというインセンティブが下がってしまうということもあるので、支援法を根拠としないならどのように行っていけるかというところは論点かと思います。以上です。

 

○野沢構成員

 野沢です。事務局に確認というか、分かったら教えてほしいのですけれども。通学、通勤のニーズというのは非常に高いと思うのですが、今も山下構成員から話が出ましたが、他省庁にまたがりますよね。文科省とか、あるいは通勤の場合には経営者だとか、労働部門だとか、この間の政府だとか、他省庁間の整備というのはどのようになっているのか、現状を教えていただきたいのです。企業側が合理的配慮の中で行うべきだという意見も中にはあったりだとか、あるいは学校側も合理的配慮でやれという意見もあれば、企業や学校は来た段階からの義務が発生するのだというような意見もあるので、その辺りを、こちら側がどう議論するかは別にして、省庁間でどのような整備が今の段階でされているのかというのを確認したい。

 もう 1 つは通勤、通学の移動というのを個別給付にしていると、かなり財政が相当膨らんでいくと予想されるので、なかなか慎重だというのは分かるのですが、財政以外の個別給付にしない理由にはどういうことが挙げられているのかを教えていただきたいのですが。

 

○照井障害福祉課課長補佐

 事務局からお答えいたします。他省庁ですとか労働部門とのやり取りにつきましては、差別解消法の合理的配慮に関しまして、今、内閣府を中心に合理的配慮について議論が進んでいるところです。その中で教育の分野であるとか、就労の分野、企業の分野とは、合理的配慮の考え方については整理がなされていく一方で、福祉がどのようにコミットしていくかというようなところも含めて検討を進めているところです。

 もう 1 点、個別給付にしない財政以外の通勤、通学の理由なのですが、もう 1 点ありますのは、マンパワーの問題だと思います。通勤、通学というのは基本的にほぼ同じ時間帯に一斉に移動しますので、その時間帯だけ非常に大量のガイドヘルパーが必要になるということも、問題としてあるのかなと考えております。

 

○野沢構成員

 まだ他省庁とのあれは、整備されていないということですか。分かりました。

 

○佐藤座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○寺島構成員

 寺島です。盲ろう者通訳介助員派遣制度というのは、都道府県など地方自治体で実施している所があると思うのですけれども、これは、どちらかというとコミュニケーション支援の枠組みに入っているのでしょうか。それとも移動の支援の枠組みで話をしてもいいのでしょうか。

 

○竹垣自立支援振興室長

 現行の盲ろう者の通訳介助員派遣事業は、意思疎通支援の中で整理されております。当然、介助、移動の支援というような部分は含まれてはおりますけれども、通訳介助のほうをメインとして意思疎通支援の中で整理をされています。

 

○佐藤座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○吉川構成員

 吉川です。私のほうからは、入院、入所中の方の移動支援についてです。 6 ページのヒアリングの中でも御意見がありますが、ここでは精神障害者の退院支援等のために、入院中の移動支援の利用を可能としてほしいという御意見ですが、精神障害者の方の場合には、退院支援に向けて、これから更にそれを促進していくという施策の流れもありますので、是非、このことについては検討する必要があると思っています。

 特に病院とか居住施設に入所されている方、特に病院に入院されている精神障害者の方は、なかなか福祉サービスの対象者であるという認識が、御本人にも又は医療機関内にもその辺はなかなかまだ高まっていないところもあります。地域相談支援という形で、地域移行に向けたいろいろな支援が行われているわけですが、精神科病院の立地条件から見ても、やはり退院後の通院であるとか、いろいろな事業所のサービス利用、そういったところの訓練等も考えたときに、この入院中の移動支援というのは非常に重要と思いますので、そういった障害特性も踏まえて検討していただければと思います。以上です。

 

○佐藤座長

 よろしいですか。私も 1 つ確認したいのですが、「社会通念上適当でない外出」というのは、例えばどういうものを想定されているのか、どなたかお答えいただけますか。

 

○照井障害福祉課課長補佐

 事務局でございます。社会通念上適切でないものというのは、国でこういったものが想定されるというものについてはお示しをしておりません。基本的には自治体さんの御判断によるものなのかなというようなことで、これまでは対応させていただいております。ですから、一般的に何がよくて何がよくないのかというようなところについては、そういった状態に今なっています。

 

○佐藤座長

 基本的には誰も決められないという意味でもあると思うのですけれども。今回の議論の中心は、この移動支援に関していうと、 3 点にわたってまとめてあるように、 1 つは移動支援という援助そのものを個別給付にすべからくするべきであるということが、今後なじむのかどうかという議論になると思うのですけれども。現行で言えば、現状の今の話のようなことで言えば、個別給付にしたところで、官公庁に行くとか通院とかと、目的がしばられていると、この問題はどうしても出てきますよね。つまり、何が駄目で何がいいのかという、移動支援になじむのかということに関して含めて考えていかないと、一般的な個別給付にすべきだということだけでもないだろう。しかし、公的なサービスとして支えられている以上、それは何らかのあえて言えば制約が必要にもなるだろうという辺りを踏まえて、個別給付化の問題をどう考えるかということだと思います。

 それから、通勤や通学の問題も、課題としてこれを移動支援のサービスの中に加えるか加えないかということですが、先ほど他省庁とも進んでいないということですが、例えば特別支援学校であれば、もうバスを整備しているという話が文科省サイドから出てくるかもしれないけれども、現状で言えば、バスの停留所まで行く間というのは、なかなか負担が大きいというようなことがあったりして、これをどう考えるのかというのは、引き続き課題になるだろうと思います。

 その辺りで、ここは結論を出す場ではなくて、基本的な論点を整理して示す場所だと思いますので、今、私が申し上げたようなことも含めて、もう一度論点整理をしていただきたいなと思うのです。ほかによろしいでしょうか。

 

○田村構成員

 今、佐藤先生がおっしゃったことと少し関連するのですが、論点の一つは、移動を支援することによって、何を保障するのかということだと思います。必要な手続等に関してのみということになりますと、障害をおもちの方々1人ひとりの豊かな暮らしを保障するところまではいかないでしょうし、もちろん公的サービスですので上限があり、制約があることは理解するわけですが、その一方で、その人が望む暮らしをどのように実現していくかということを考えたときに、先ほどから出ている「社会通念上望ましくない」という表現があることによって、ほかの方の価値観によって、その人の希望が阻害される可能性があるのではないかということを懸念いたします。

 もう 1 つは、成年後見制度の中でもよく話に出るのですが、愚行権というような言い方で、たとえ愚かなことだと周りから見えることであっても、その方がそれをやってみることも権利として保障する必要があるのではないか、という発想などから考えたときに、他者が社会通念という形で、このことは望ましくない移動だと判断していいのかどうかということも、本人の自己決定を尊重する発想や、一人の人としてその人格を尊重する発想からすると、どのように捉えていく必要があるのかということについて、検討がなされるといいのかなと思います。

 

○野沢構成員

 確認なのですが、ここは論点整理をするための議論ですよね。これについてどう思うかという、自分の個人的な意見というのは言わないほうがいいのですかね、言っても意味はないのですかね。

 

○藤井障害保健福祉部長

 意見を言っていただく中で、 1 1 個の論点がもっとブレイクダウンされていくということもありますから、そこは気にせずに御意見を頂ければと思います。

 

○野沢構成員

 はい。 1 つ、障害者の法定雇用率が 1.8 から 2.0 になったり、精神障害の方が義務化されたときに、労働部門の障害者雇用促進課で検討会が開かれて、国連の権利条約の批准下における現場を、どうしていくのかというようなことが議論されたときに、私もメンバーでいたのですが、これからは知的や精神の方が相当伸びてきていて、かなりそういう方たちが主流に近い状況になっていったときの新しい障害者雇用のモデルとして、これまでみたいに、一般就労したらもう福祉から卒業したというような感じで切れてしまうと、知的や精神の方たちはなかなか定着できないのではないかという議論があって、だからこそ福祉の支援、福祉の制度とのコラボレーションが必要なのだという意見が盛んにされたのです。その辺りをもう一度、この議論をするときにも、そちらサイドの議論というのを絡ませた議論が必要ではないかなと思ったりします。

 それともう 1 つは、中に「企業の負担でやるべきだ」とあるのですが、普通に考えてみると、どんどん企業は福利厚生は削ってきていて、日本的な雇用の常識から見ると、何となく企業がやってもいいのかなという感じですが、グローバル化していく中で、欧米のジョブ型雇用に近いような形にどんどん変わっていく中で、これを企業にやりなさいと言ったときに、企業は引くと思います。その辺りも踏まえた現実的な議論というのは、必要ではないのかなという感じがします。

 福祉サービスを受ける側、あるいは福祉の受給から、働いて納税者になっていくということは、一体どのぐらい経済的なメリットがあるのかということも知りたいと思いますし、今これを個別給付にしないというのは、基本的に働く重い障害者というのは、家族の負担で送迎などをやっているわけで、そうすると家族側の負担、あるいは就労できないという支障についても考える必要があるなと思っています。ほかにもいろいろ言いたいのですが、とりあえず論点整理の御参考までに。

 

○寺島構成員

 寺島です。論点整理ということで 1 つ挙げておいていただきたいのは、先ほどから話が出ているように、他省庁の壁を超えて、こういった要望を実現するような形の取組が必要ではないか。そういうところも入れておいていただきたいと思います。

 厚生労働省は予算獲得に頑張っていただいているのですが、今の世の中、他の省庁も障害者支援については責任を持っています。合理的配慮などの議論もその一環なのだろうと思いますが、そういう観点から言えば、どこから始まっても構わないので、他省庁を動かすようなことをいろいろな各分野から言ったほうがいいのではないかと思います。皆様が言われていますように、例えば、雇用であれば労働行政であるとか、教育でしたら文部科学省、入院のための移動支援などは国土交通省など、そういうプロパーのセクションがあるでしょうから、そういった職員の資質とかを高めるとか、制度を作るとか、そういうことが行われれば良いのではないかと思いますので、是非、論点整理の中でも、そういった枠組みを超えたこともどこかに書いておくということが必要なのではないかと思っています。

 

○大塚構成員

 大塚です。移動の支援ということで、「今後議論を深めるべき事項」という案の中で、個別給付に係る移動支援と地域生活支援事業に係る移動支援の役割分担ということで、端的に思うのは、個別給付というのは正に本人にお金が付くというので、個別給付化するものをもっと多くしていくということが必要かと思います。そして、むしろ地域生活支援事業については、集団における移動みたいな、個別では対応できないところについて、きちんと見ていくことが考え方としては基本かと思います。

 ただ、移動支援、個別給付に全てすると言っても、それはなかなか現実的ではないと思っています。どのような人に対して、どのような目的において、どのような量をきちんと提供するかというアセスメントとその仕組みがないと、支援費制度において、あのときは裁量的経費でしたが、移動支援によって崩れたということも含めて、なかなか現実的なものにならないと思っています。そのように枠組みをきちんと決めて、個別給付にするということは考えるべきかなと思っています。

 

○寺島構成員

 寺島です。ヘルパー自身が運転する車による支援というのは、幾つか出ていたようですが、これをやっている地方自治体とかはあるのですか。もしないとすると、何が理由で駄目ということになっているのでしょうか。

 

○照井障害福祉課課長補佐

 一般的に、移動中、利用者さん御自身の車をヘルパーの方が運転している時間というのは、報酬の算定対象外としております。通学はそもそも、現状、その対象になっていませんので、通院等介助の事業の範囲内である場合であっても、運転中は支援ができる時間帯ではないという理由で、報酬の算定対象外としております。そのことと通学とを絡めて御要望をされているのではないかと思います。

 

○寺島構成員

 この記述の意味は、報酬の対象にならないのを、なるようにしてくれという意味ですか。運転している車で送ること自体がいけないというわけではないですね。

 

○照井障害福祉課課長補佐

 ここでは重度訪門介護ということになっておりますが、通学については基本的に報酬の算定対象外としておりますので、通学支援の移動手段の一部として、ヘルパーが運転する車であっても通学支援として認めていくべきではないかという御意見だと思います。

 

○佐藤座長

 意見としてはそういうことだと、サービスとして認めろという意味だと。別に、善意でその人の車を運転してはいけないということは。

 

○寺島構成員

 構わないですか。

 

○佐藤座長

 構わないのではないですか。ただ、それに対価が発生するとタクシー業界であるとか、代行業であるということで。しかし、それは今のところ公的なサービスでは対応していない。ここの意見は、それを公的なサービスとして対応すべきだという意見なのですね。

 確かに一般的なガイドヘルパーでやろうとしても、公共交通機関を利用ということが原則だとしたら、私が住んでいる埼玉県の西の地方でも、バスしか通っていない町が周りに幾つもありますから、無理なんですね。そういう矛盾は、常に今後の課題として在り続けるだろうと思います。

 

○吉川構成員

 今の意見の御参考になるかどうかですが。私が以前にお伺いした事業所で、ヘルパーさんがずっと関わっている対象者、実はその人が精神障害者の方だったのですが、だんだん外に意識が向いてきて、やっと出られるようになってきたと。精神障害者の方だけではないかと思いますが、そういう気持ちはやはり波があると思うので、本人がそういう気持ちになったときに、「では、一緒に出てみようか」と。そのときに、ヘルパーさんが使っていた車で本来ならば行ってみようかということで、少し外に出ることができたらよかったのだけれども、そのヘルパーさんが言われるには、事業所の内規で、職員の車に利用者を同乗して運転することが、規則として禁じられているという。

 恐らく事故とかの対応とかがあったかと思いますので、そういったところも併せて検討する必要があるのかなと思いました。

 

○佐藤座長

 参考として、少し時間を頂けますか。埼玉県には生活サポート事業という制度がありまして、 950 円を利用者と市町村と県が持ち寄って、 2,850 円の 1 時間の単価で、基本は何をやってもいいということになっているのです。市町村によって多少色合いは違うかもしれませんが、基本は何をやってもいい。だから、今日は養護学校のスクールバスの停留所まで迎えに行けませんのでお願いしますというのは、ヘルパーが生活サポート事業の事業所がそこに代わりに迎えに行くということもありだし、かつては家族旅行に行きたいのだけれども、この子がいるとほかの兄弟が親と一緒に楽しめないところもあるので、付き添いに来てほしい。それもありですということだとか。社会通念上適切でない要求に関しても、どちらでもお連れしますと。残念ながら目的地がビルの 2 階で、エレベーターがないビルだったので、残念ながら帰ってきたそうですが、これは明らかに社会通念上、恐らく福祉サービスとしては適切ではないと思われますが、そういう縛りもなく、いまだにまだあるのです。

 だけれども、利用者負担が発生するということと、市町村の負担も大きいということで、自立支援法ができて以来、どんどんと個別支援のほうに移ってきて、そのサービスはかなり利用者が減ってはきていますが、ひな形としては、そういうところからそもそも出発していると思うのです。

 だけれども、実際に全国一律のサービスにしようとすると、いろいろな。 3 分の 1 ずつ利用者負担があり、市町村負担があり、県の負担があるということが総合支援法とのかなりの違いですが、そういうことを折り合って、全体としてどこら辺ぐらいでやっていけるのかという現実的な調整もしないと、全てが、いろいろなことが制度の中で一元的に解決できるとは思わないのですが。

 

○野沢構成員

 野沢です。もう 1 つだけですが、車両を使った移動支援を佐賀県が、具体的にどういうものか忘れたのですが、やろうとしたところ、地元のタクシー業界からいろいろと反対があって、運輸局の許認可絡みがあって、それを巻き込んでの議論になっているという話があります。

 その辺りを古川さんが知事だったときにやろうとして、うまくいかなかった。彼は今は国会議員になったので、やりたいみたいなことを言っているので、きっとそういう議論は出てくるはずなので、その辺のタクシー業界とか運輸行政との絡みというか、仕分けみたいなものについては、調べていただけると有り難いなと思います。

 

○寺島構成員

 教えていただきたいのですが、介護タクシーというのがありますよね。介護タクシーは介護保険を使えたり使えなかったり、地方自治体で違うようなのですが、そういったものは障害者の移動支援に関して使えるような制度などはあるのでしょうか。

 

○佐藤座長

 ありますよね。

 

○川又企画課長

 老健局にいたときに、福祉有償運送という仕組みがあって、それは地域で協議会を作って、そこで野沢構成員がおっしゃったような、タクシー業界だとか、そういう方々も入った、関係者が入った協議会で議論をしてオーケーということであれば、その地域で NPO などが有償の運送サービスを、公共サービスもないような地域に限ってできるというやり方がある。それは高齢者、障害者に限ったことではないと思います。

 

○佐藤座長

 ただ、タクシーと全く同じ料金にしないと協議会がオーケーしないということで、私がかつていた法人でやって、車も整備したのですが、特定の人しかお客さんが付かないですから、維持はとてもできない。だから 2 3 年で撤退しました。それで普及しないのだと思いますね。

 続いて、意思決定支援に関する議論に移ります。ここは資料 2 3 ページに「意思決定支援の在り方について」の論点の整理があります。「成年後見制度の利用促進について」と分けて議論を進めます。どちらからでもどうぞ。

 

○野沢構成員

 野沢です。いろいろな団体からヒアリングをしても、意思決定支援の考え方がそれぞれ違っているような気がするので、まず意思決定支援とは何なのかということが、論点としては大事だなと思います。それがあった上で、初めてそれを現場に生かしていくためのやり方、制度というものがあるのではないかと思うのです。

 例えばイギリスがやっているような Mental Capacity Act のやり方を見てみると、どうしても日本の成年後見を変えていくことまで踏み込まないと、とてもではないけれども意思決定支援はなかなか届かない気がします。あのイギリスのやり方も、国連の委員会からは、あれは違う、一部は駄目だということは言われているので、もっとそもそもの議論が必要だという気がします。

 それと、それを実現するための制度で、成年後見以外のところでも、例えばイギリスの IMCA みたいなものが日本でも必要になってくるのかなという気がしますし、その辺りの具体的な制度設計、理念、技法、人材養成、幾つかその辺りを分けて考えていくかなという気がします。

 

○寺島構成員

 寺島です。この要望を見ていますと、ほとんどが成年後見制度自体に対する要望のようです。先ほどの議論と同じですが、司法制度では、財産管理が中心になっていて身上監護が不十分だとか、いろいろな問題を抱えているのではないかと思うので、そういう部分について改善していただくようなことを、こういうところでも言っていいのではないかという気がします。

 それを前提に、福祉で支援している、例えば市町村申立てをどうするかということ、あるいは、自立生活支援事業をどうするかということに、議論を進めればいいという気がします。

 

○大塚構成員

 大塚です。障害者の意思決定の支援の在り方ということで、「今後議論を深めるべき事項」に 2 つの○があります。 1 つは、障害者に対する意思決定支援の仕組みや提供方法をどう考えるか。もう 1 つの○は、意思決定支援の実施に当たっての人材育成です。

 これはどう考えるかによるのですが、意思決定の支援の仕組みや提供方法というのは、支援の方法だとか内容、ソーシャルワーク的なものだとも取れるということなので、これについてはサービスではあるけれども、お金のかからないサービスかなと思っています。

 一方において、意思決定支援の実施に当たっての人材育成ということになると、意思決定支援の、専ら行う人の人材育成をするのだ、そういう人を配置するのだということになると、これはサービスになるわけです。そうすると、意思決定支援とはサービスなのか、あるいは枠組みとしてのサービスか、あるいは人材も含めた、行う人も含めた、そういうことを考えているのかどうか。どちらとも言えないかもしれませんが、今どう考えればいいのかなということをお聞きしたいと思います。

 もともとサービスなのか。サービスなのだろうけれども、お金がかかるサービスなのか、人材まで用意してきちんとして提供するような仕組みの中のサービスなのかということです。お金のかからないソーシャルワークの支援方法として位置付けるかということだと思います。そういうことが大切な論点かなと思っています。

 

○佐藤座長

 事務局から何かコメントはありますか。

 成年後見法に関しては、できるだけ抑制的にするべきだと言いつつ、意思決定支援については報酬をよこせという、同じ人がそういう議論をするというのは、この議論が非常に難しいということを象徴しているように思えるのですが。

 先ほど野沢さんがおっしゃったけれども、意思決定支援とはそもそも何なのか。前回だか前々回のときに、「私は自分の息子のことがいまだに分からない」とおっしゃいましたよね。だから、多分誰も分からないことを無理矢理分かったようにしてやることになることが一番おそろしいということで、そのリスクをどうやって回避するか。その結果として、意思決定支援というものがどういうものなのかということが深まっていくと思うのです。それにもかかわらず、意思決定支援ありきで議論すると、間違えると思うのです。

 でも、国会決議にあるように、議論しなければいけないということだと、厚生労働省としては、何らかの意味で論点の整理をしなければいけない。いかがですか、どう扱うべきか。

 

○田村構成員

 どう扱うべきかというのは、私はよく分からないなと思いながらの発言です。障害のある方といっても、障害の特性によっても表現の仕方、あるいは情報の取り方に違いがあると思っています。かつてですと、インフォームド・コンセントやインフォームド・チョイスという形で、まず説明を聞いてどうしたいかを考えるとか、幾つか提示された選択肢の中から 1 つ選ぶといった方法がとられていた時代もあったと思います。しかし、ここ最近、意思決定支援と言われるようになってきて、その方がどういう情報の中から自分がどうしたいかを整理して考える、そのプロセスに寄り添い、最終的には自分はこうしたいのだということを体験も経ながら、自分の考えを見極めていくプロセスに寄り添うということだとすると、先ほど大塚先生もおっしゃったように、ソーシャルワークの中で個別に行うこともかなりあると思います。そうであれば周りで関わる従事者が、そういう力量を高めていくための取組は重要なことになると思うのです。

 でも、それだけではなくて、今回出てきている話は障害のある方の権利を守るとか、その方が持っている権利を主張できるようにサポートするとか、そういう文脈もあるかと思います。そうなると、支援する側も、この人にはこういう権利があるとか、こういう主張をしたいだろうと汲み取るといったかかわりが必要になってくるのかなと思います。それをサービスという形で何か仕組みを作ってやるというのが、具体的なイメージが湧きにくく感じます。成年後見制度であれば、契約行為のときに代理をするとか、一緒に相談しながら決めていくということで、割と分かりやすい仕組みではあると思うのですが、この意思決定支援については、やはり定義をもう少し明確にする必要があるのではないかということを強く感じています。

 なお、精神障害のある方たちの話になりますが、精神保健福祉法改正の議論のときに、当事者の方が同じ当事者としての気持ちをもっともよく分かるという発想から、「代弁者を作る必要があるのではないか」ということで、代弁者制度が議論されていました。その後、代弁者から意思決定支援者に言葉がすり替わっていっている中で、精神障害の方に関しても、代弁ではなくて意思決定を支援するのを周囲にいる当事者が一番やれるのだという主張があるのですが、そこについてはもう少し具体的にどのようにやれるとお考えなのかを当事者の方にもお聞きできるといいなと思っています。もしそういったことか既にどこかで声が上がっているようであれば、それを拾っていただければと思います。

 

○大塚構成員

 大塚です。いろいろなお話が出ていて、意思決定支援は障害のある方にとって大切なことなので、前向きに取り組むべきことだと判断しています。ただ、非常に難しいということも前提として考えるべきだと思います。

3 つぐらい要素があって、 1 つは意思決定する人のことがあると思います。障害の特性、障害の対応、言葉は余りよくないので使わないほうがいいかもしれませんが、意思決定能力というものがあるとすれば、意思決定能力もそれぞれ異なるわけです。それが第 1 の要素です。

 第 2 の要素は、意思決定の内容があると思うのです。日常生活のこと、お昼御飯に何を食べる、どうしようということもあるし、人生上の地域生活への移行をどうするか、入所施設から、精神科病院からどうするかということもあるかもしれない。あるいは延命治療の停止という、医療的なことまである。そういう人生、生命あるいは生活と多様なものがあるということです。

3 つ目の要素は、特に意思決定の環境というのがあると思います。情報の提供の仕方、支援する人の能力、情報提供する場所によっても違って、慣れた場所でリラックスして聞ける場所。このような 3 つの要素が絡み合いながら意思決定支援を行うということは、途方もなく難しいことだと思うのです。それを 1 つの概念において、簡単に意思決定支援をしましょうということ、やらなければならないことだけれども、非常に困難なことにチャレンジするということを理解していていただかないと、検討にならないと考えております。

 

○佐藤座長

 当初の予定で、成年後見法の利用促進に関しての議論を含めて 1 時間強ということですので、成年後見法の利用促進に関してのまとめも含めて、これから進めていきたいと思います。 6 ページに 2 点挙げられています。これらのことに関して、意思決定支援と深く関わっていると思いますので、両方の点を含めて、議論が進められればいいかと思います。

 

○野沢構成員

 野沢です。この論の立て方で「成年後見制度の利用促進について」とやってしまうと、なかなか言いにくいのですが、そもそも今の日本の成年後見制度を変えなければいけないのではないかという議論が 1 つあって、現状の成年後見制度などは利用してはいけないという意見が強いわけですよね。そもそも本人の権利を抑制するようなものは変えなければいけない。厚生労働省だけで議論できることではないのですが、成年後見制度の権利条約の批准した後での成年後見の在り方みたいなものを、 1 つ踏まえておかないと、利用促進と言われても、ちょっとなという感じがします。

 そのときに利用できるものとすれば、どういうもの。後見ではなくて、保佐とか補助とか、それでも駄目だという人もいるのでしょうけれども、そういう議論が必要かなと思います。先ほどの意思決定支援単体だけでの議論というのは難しいなという感じがして、やはり成年後見との絡みで意思決定支援についても議論しなければいけないと思います。

 先ほども大塚さんがおっしゃっていたように、いろいろな次元が入り乱れて議論されているので、なかなかこんがらがってしまって分からないのですが、法律行為だけではなくて、事実行為についても、生活のあらゆる場面について意思決定支援が必要なのだみたいなことになってくると、これは大変なことです。当面、意思決定支援が現実的に必要な場面というのは、相談支援だとか、サービス等利用計画を作る場面だと思うのです。その支給決定の在り方も含めた、その辺りとも絡めて意思決定支援について考えていくというのは、 1 つの現実的な議論の仕方かもしれないなと思っています。

 

○佐藤座長

 いかがでしょうか。

 

○寺島構成員

 寺島です。成年後見制度利用支援事業というのは必須事業化されているわけですが、成年後見制度、これは障害者ではないのですが、高齢者については、例えばそれまでは親族による後見人のほうが多かったのが、最近は逆転していて、どちらかというと組織的な後見をしているところのほうが数が増えている。それは実態としては、成年後見制度が悪用されていて、本人の財産を奪われたりとか、そういうことが起こっているようなのですが、障害者に関してはどうなのかということは、今、調査をやっている大塚先生、何か御存じでしょうか。

 

○大塚構成員

 最後のほうがよく聞こえなかったのですが。

 

○寺島構成員

 高齢者に関しては、成年後見制度を利用して財産を奪われてしまうことがあるように聞いているのですが、障害者についてはよく分かっていないのですが、もしそういうことがあるとすれば、成年後見制度の活用方法をきちんと考え直さなければいけないなと思います。そういう意味では、この成年後見制度利用支援事業の妥当性とか、そういうことを検討してもいいのではないかという気もするのですが、障害者の実態について、調査で分かったことがあったら教えてください。

 

○大塚構成員

 一時は、障害者分野においては措置から契約になりまして、契約制度というのは、成人においては御家族はできないわけですので、御本人が契約するときに、判断能力の困難な方については成年後見人を立てないと、原則的には事業の利用という契約にはならないということの大前提があろうかなと思っています。

 そういう中において、障害分野においては、御家族が契約の主体となって、親族の後見人があると。ただ、最近においてはいろいろな市民後見人も含めて広がってきましたので、様々な形でそれを超えて。

 多分、その辺のサービス利用に当たる契約の主体について、成年後見制度を利用するのかどうか。成年後見制度ができたのが 2000 年からですから、 10 数年たって、そろそろこれについての一番根本問題としての成年後見、そして成年後見制度利用のことも含めて、一定の見解が必要なのかなと。もうそろそろ 15 年たちましたので、サービスの契約主体としては、誰がなるのかということの方向性を見いだす必要があるのではないかと思っています。

 

○吉川構成員

 吉川です。また違う意見になるのですが、私が少し思ったのが、今の意思決定支援の在り方の議論が主になる対象者の方は、現在、意思表明、意思決定が難しい方を前提として、どういう支援を行うかという論点の検討だと思います。

 やはり障害者の方の中には、例えば障害が徐々に進むような方、若しくは判断能力とか意思決定の能力が一時的に難しい状況にあっても、それが少し改善するような状態に波のあるような方もいらっしゃると思います。そういった状態の方もいらっしゃるということを考えたときに、御本人の意思、もし将来そういうようになったときとか、そういう状態になったときに、自分としてはどのような支援を受けたいのかとか、御自身の意思が、そういう方についてはできるだけ踏まえられるようにというか、反映できるような意思決定支援の在り方もあってもいいのかなというのが、非常に気になりましたので、そのことも発言しておきます。

 

○佐藤座長

 これは障害福祉課の所管ではないでしょうけれども、高齢者、障害者ともにいろいろな役所の手続などの代行サービス、今は権利擁護事業、昔は地域生活支援事業とか、社協単位でやっているのは、まだあるのですよね。

 それで、私の経験で。この契約が妥当かどうかということを社協が今一確信が持てないときに、県に置かれた審査会でそれを検討する。医師、弁護士、学識経験者とで構成するというので、私はその枠で 10 年以上前ですが何年か関わったことがあるのですが。絶対に無理です。御当人もいない所で、こういう人です、ああいう人ですと。この代行の契約を結ぶのに、社協としてはちょっと自信がないのですが、どうでしょうかと言われて、もっとこちらは自信がありませんという返事をするしかないのです。

 そういう制度を作っていくと、そういうことを整えて、あたかもその人の権利を保障したかのような話になることというのは、とても危険だと思うのです。その下で人材育成などというのはどういう人が、例えば私の経験から言うと、医師、弁護士あるいは私が、適切な人材なのかどうかと言われても、やっているほうも全然自信はないですから。

 原点に戻ると、最初に野沢さんが言われたように、そもそも何なのかということに関して時間をかけて議論すべきだ。しかし時間がないというならば、それはそれで堂々とペンディングにしてもいいのではないかと。そういう選択も含めて、論点の整理をしたほうがよろしいのではないかと思います。

 

○田村構成員

 田村です。成年後見制度に関しては、必要なのか必要ないのかということも再度考える必要があるのかと思います。本当に経済的に搾取されてしまっている障害のある方などのことを思いますと、その財産を守るためということで、家庭裁判所も監査が入りますので、後見人は搾取せず管理していて、お金がこれだけ保持されているということが分かる仕組みになっていることについては、最低限、権利保障している仕組みかなと思うのですが、それ以外のところで、実際に身上監護の部分などは、家裁でもほとんど監査はされていないのが現実だと思います。そうすると御本人の意思をできるだけ反映できるような支援をとか、契約をと言っても、その質については本当に確認する術はないということだと思います。

 特に、専門職で後見人をやっている場合ですと、その専門性に依った形での支援になりますので、 1 人の障害者の方に対しても、弁護士がやるのとソーシャルワーカーがやるのでは、随分と目の付けどころも変わってきますし、それを御家族がやる場合でまた大きく違ってくると思います。本ワーキンググループの役割ではないと思いますが、そもそも成年後見制度について検討する必要はあると思います。

 一方で、ここで成年後見制度の利用促進について、更なる支援をどう考えるかが挙げられているのですが、もし単純に更なる促進を考えるのであれば、後見人等を担える方を増やすということと、御家族がやる以外ですと後見報酬という問題が出てきますし、市町村が利用促進事業をどこまで積極的にやれるかという話になると、当然お金のことが付いてくるわけで、市町村によってはかなり消極的という所も少なくないかと思います。ここはお金の問題で、解決がある程度できると思うのですが、利用を促進すればいいのかどうかという根本の議論が、本来は先に必要ではないかと思います。

 

○佐藤座長

 まだ議論が尽きないところですが、 4 月ぐらいまでワーキングは何回かは開かれる予定になっていますので、また議論を進めたいと思います。

 では、資料 3 「障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方」に移ります。今日は 3 年後の見直しに関しては、障害者自立支援法違憲訴訟における訴訟団と厚生労働省との基本合意も踏まえつつ、関係者の意見を聴きながら検討を行う必要があると考えます。

 そこで、訴訟団と厚生労働省との議論において、特に「支給決定の在り方」について、訴訟団の意見を強く聴く必要があるということですので、本ワーキンググループ開催要綱に定められた参考人として、参考人をお招きいたしました。紹介をお願いします。

 

○福井企画課課長補佐

 参考人を御紹介いたします。障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団の長岡健太郎様です。

 

○佐藤座長

 参考人には、事務局からの資料説明の後に御意見を伺います。では、事務局から資料説明をお願いします。

 

○小泉障害福祉課課長補佐

 障害福祉課です。資料 3 「障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方について」の御説明をいたします。非常に多岐にわたりますので、大きく皆様の御議論に資するよう 3 つに分けております。 1 つ目が「支給決定プロセス」、 2 つ目が「障害支援区分」、 3 つ目が「国庫負担基準」という形で分けております。順を追って御説明します。

 まず、「支給決定プロセス」についてです。 2 ページの「現状」ですが、平成 24 年度から支給決定プロセスを見直して、市町村は支給決定を行うに当たっては、サービス等利用計画案の提出を求めるものとして、利用者の意向が反映される仕組みとしているとともに、相談支援専門員が支給決定の過程に第三者として加わるという形になっております。

 また、サービス等利用計画については、平成 27 年度からは基本的に全ての利用者を対象にしています。サービス等利用計画に関して、平成 27 年度の報酬改定においては、手厚い人員体制や関係機関との連携等により、質の高い計画相談支援が提供された場合には、それを評価する仕組みとして、相談支援に係る報酬上の評価を図る予定としております。また、引き続きの検討事項として、基本報酬の評価、モニタリングの実施頻度について、実態を把握することとしております。

 相談支援専門員については、実務経験と研修の修了が要件となっておりまして、研修の実施主体である都道府県に関しては、必要な経費を地域生活支援事業において助成しています。研修については、初任者研修、現任研修及び専門研修という形で構成されております。

 また、平成 27 年度予算案の地域生活支援事業においては、市町村協議会において、医療機関、教育機関の専門職等も含めた多職種によるサービス等利用計画や、個別支援計画の評価・助言の実施など、先進的に地域資源の開発・利用促進に向けた取組の支援を行うというものも盛り込んでおります。

3 ページに移ります。支給決定基準の、そもそもの仕組み上の点になります。支給決定基準と異なる支給決定、いわゆる「非定型」と呼ばれるものの支給決定を行うに当たっては、支給決定案について市町村審査会の意見を聴いた上で、個別に適切な支給量を定めることとしております。また、支給決定に不服がある場合は、都道府県に対し不服申立ても可能となっております。下の図は、支給決定のプロセスについて簡単に図式化したものです。

 続いて 4 ページ、ヒアリングにおいて寄せられた意見に関してです。 4 ページに関しては、いわゆる「協議・調整」等に関しての御意見を頂いております。また、 5 ページには、当事者の意見の反映をどのように行っていくかとか、第三者機関の設置についての意見も頂いています。

 続いて 6 ページを御覧ください。相談支援に関する主な意見を頂いておりまして、便宜上大きく 3 つに分けております。 1 つ目が、相談支援専門員の資格に関するもの。 2 つ目が、相談支援事業者に対する財政支援に関する意見。 3 つ目が、相談支援に関する都道府県の役割についての御意見です。 7 ページは、それに当てはまらない「その他」ということで、頂いている意見を記載しております。

 以上を踏まえると、「今後議論を深めるべき事項 ( ) 」としては、 1 つは、利用者本人の意向を反映させるために、支給決定プロセスにおいてどのような課題があるのかという点。もう 1 つは、適切な支給決定が行われるために、計画相談支援の質の確保についてどう考えるべきかという点の 2 点挙げております。

 続いて、 8 ページの「障害支援区分」についてです。障害支援区分については、以前の障害程度区分では、知的障害者や精神障害者については一次判定で低く判定されてしまって、市町村審査会での二次判定で引き上げられる割合が高いという課題がありまして、障害の特性を反映するよう見直すべきではないかという指摘がなされておりました。そのため、平成 26 4 月に施行された障害支援区分においては、知的障害や精神障害の方の特性をより適切に評価するために、認定調査項目や各調査項目における選択肢の判断基準の見直しを行いました。

 以下が障害支援区分に関するヒアリングの意見です。 8 ページに記載しているのは、「障害支援区分」の在り方に関するものです。 9 ページは、障害支援区分の「支給決定プロセスでの活用」の方法と、その下については、障害程度区分から障害支援区分に変更したこともあって、その「審査判定実績の検証」に関する御意見を頂いております。 10 ページは、「区分認定の手続」について頂いている御意見です。 11 ページにおいては、障害支援区分認定における「障害特性の反映」について御意見を頂いております。 12 ページは「その他」ということで、それに当てはまらない部分についての御意見も複数頂戴しております。

 以上を踏まえて、「今後議論を深めるべき事項 ( ) 」として 3 つ挙げております。 1 つ目が、障害支援区分の意義・位置付けについてどのように考えるか。 2 つ目が、障害支援区分の活用についてどのように考えるか。 3 つ目が、障害支援区分の認定における障害特性の更なる反映についてどのように考えるかという 3 つを挙げております。

13 ページです。最後に 3 つ目のポイントですが、「国庫負担基準」についてです。国庫負担基準については、障害者総合支援法では、国の費用負担を「義務化」することで財源の裏付けを強化する一方で、「義務化」の名の下に無条件で全て負担することは財政上困難であり、障害福祉に関する国と地方自治体間の役割分担を前提に、限りある国費を公平に配分し、市町村間のサービスのばらつきをなくすために、市町村に対する国庫負担の上限を定めたものです。

 ただ、こちらについては、個人のサービスの上限ではなく、あくまで市町村に対する国庫負担の上限となっておりまして、介護の必要度が高い者が多い市町村には、その人数に応じて国庫負担を行える仕組みであるとしていますし、また同じ市町村の中で、サービスの利用が少ない方から多い方に回す柔軟な仕組みも盛り込んでおります。

 また、平成 27 年度からは国庫負担基準の見直しを予定しておりまして、この中では重度訪問介護及び重度障害者等包括支援利用者数の割合が 5 %以上の市町村については、市町村全体の国庫負担基準総額の 5 %のかさ上げを行うこととしております。

 また、重度障害者の割合が一定以上であることなどにより、訪問系サービスの支給額が国庫負担基準を超過している市町村については、地域生活支援事業により助成を行うとともに、それでも国庫負担基準を更に超過してしまう小規模市町村については、障害者総合支援事業費補助金において市町村支援事業により財政支援を行っています。

 国庫負担基準の現状は、これまで全市町村の 9 割程度の市町村に超過負担が生じない水準を維持するために、報酬改定の都度、引上げを行ってまいりましたが、平成 25 年度の実績では、全市町村のうち 75.8 %の市町村に超過負担が生じない状況になっており、全国ベースで見ますと、平成 24 年度から訪問系サービスの国庫負担基準額が総費用額を上回る状況になっております。

14 ページは、ヒアリングにおいて頂戴した意見です。 1 つ目は、国庫負担基準の廃止・見直しに関する御意見。 2 つ目は、介護保険者の国庫負担基準に関する御意見。 3 つ目が、障害支援区分と国庫負担基準の関係に関する御意見となっております。

 以上を踏まえて、「今後議論を深めるべき事項 ( ) 」として、 15 ページに記載しておりますが、障害者が地域で必要な介護が受けられるような国庫負担基準の在り方についてどのように考えるかという点です。なお、先ほどの御意見にもありました介護保険対象者における国庫負担基準については、高齢障害者支援に関する作業チームでも現在議論中となっています。以降のページについては参考資料ですので、必要であれば適宜御参照いただければと思います。事務局からの説明は以上です。

 

○佐藤座長

 続いて、違憲訴訟団から、今日は資料も用意していただいていますので、説明をお願いします。時間の都合、 10 分程度でよろしくお願いします。

 

○長岡弁護士

 先ほど御紹介いただいた長岡と申します。本日は、このような発言をする機会を与えていただき、誠にありがとうございます。私は、障害者自立支援法違憲訴訟や、和歌山で 1 24 時間の公的介護を求めて裁判をした脳性麻痺の方、あるいは ALS 患者の代理人として介護保障の問題に関わってまいりました。そのような立場から意見を述べさせていただきます。

 事前のペーパーに沿って、口頭で要点を述べさせていただきます。まず、「基本となる考え方」ですが、総合支援法の施行 3 年後の見直しに関しては 3 つ。障害者自立支援法違憲訴訟団と国との基本合意文書。いわゆる骨格提言。 3 つ目として、和歌山などの一連の介護保障訴訟で示されております「支給量個別即応の原則」。これら 3 つが基礎とされなければなりません。詳しい中身についてはペーパーに記載しておりますので、全ては読み上げませんが、障害者福祉政策は、憲法や障害者権利条約に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するためのものであること。支給決定の際には、支援を必要とする障害者本人の意向や、その人が望む暮らし方を最大限尊重すべきであるということ。他の者との平等を基礎として、当該個人の個別事情に即した必要十分な支給量が保障されるべきこと、といった辺りが基本的な考え方となります。これらに沿って法律及び政省令、規則の見直しがなされなければなりません。

 続いて、私がこれまで扱ってきた事例なども参考にして、「現に存在している困難事例」を御紹介いたします。まず 1 つ目ですが、家族介護が過重になっているという事例です。この事案は、 60 歳代の妻が全身の運動機能が侵される ALS を発症したという事案です。痰の吸引やコミュニケーションのために、 1 24 時間、常時の介護が必要です。政令市で夫と 2 人で暮らしています。

 この市では国庫負担基準を基にした支給決定基準がありまして、これによると、 1 12 時間の公的介護が上限となっております。そのため、夫は仕事を辞め、介護に専念をしていますが、心身共に疲労し、妻に「人生はめちゃめちゃだ。一生を介護に捧げている」、「俺、もう逃げ出したい」という言葉を投げるということで、心療内科にも通っているという状況です。妻はこのような夫の介護負担を考慮して、「気管切開はしない」と、症状が進行したおりには、ああ、もうそのまま亡くなるのだということを家族に告げているという状況です。

2 つ目の事例です。 1 つ目のような最重度の例ではありませんが、生まれつきの難病により、身体障害と知的障害がある 30 歳代の男性のケースです。親元、施設、病院などでの生活を経て、 29 歳のときに政令市で一人暮らしを開始しております。難病によって、てんかんの発作があったり、四肢麻痺がありまして、トイレ、水分補給、体位の調整には介助が必要と。これらの介助は、あらかじめどのタイミングで必要になるかというのが分からないわけですので、やはり 1 24 時間、常にそばに介護者がいる必要があるということになります。

 支給決定基準がありまして、 1 11 時間が上限とされています。本人の意向、あるいは体調にかかわらず、その足りない分は、短期入所であったり生活介護といったサービスを利用するように迫られると。こういう施設系のサービスを使わないとなると、介助をする人がいなくて、トイレ介助、水分補給のための介助、発作が起きたときに必要な介助が受けられないということになるわけです。ただ、難病がありますので、体調に波があったりして、毎日、生活介護事業所などに通うことも難しい状況です。

3 つ目の事例です。これは知的障害者の事例で、障害支援区分は 3 、行動障害が 10 点未満ということで、重度訪問介護の要件は満たさないと。しかし、日常生活動作やコミュニケーション支援のために常時の介助が必要という事案です。親の介護は難しく、またグループホームにもなじまない。本人の希望としてもアパートで一人暮らしをしたいということですが、公的介護としては 1 9 時間程度にとどまっていて、実際には 24 時間体制でヘルパーが付いているのだけれども、支給量が足りないという事例です。

 以上の事例を踏まえて、こういうことを解決するためにどういう方策が必要かというところです。 (1) として、支給量の個別即応の原則を法律に明文化することが必要と考えております。骨格提言及び一連の介護保障の訴訟の中でも、支給量は障害者 1 人ひとりの個別ニーズの積上げによって決めるべきであるという考え方が取られていますが、このような考え方を法律上も権利として明文化すべきということです。

 続いて (2) 、現行の障害支援区分を使わずに支給決定をすべきであるということです。現行の障害支援区分では、区分認定の数値によって、重度訪問介護等、特定の施策が利用できなくなるという制約があります。あるいは機能障害を重視しているために、知的障害者、精神障害者、難病のある人の介護ニーズが必ずしも支給量に反映されないという問題があります。 3 点目として、国庫負担基準や支給決定基準によって、区分が支給量に連動する結果、結局、個別の支給決定が実現しないという問題があります。このような障害支援区分は抜本的に見直し、骨格提言を踏まえ、個別ニーズを積み上げて支給決定する仕組みを法律上確立すべきであると考えます。

 次に、 (3) 個別事情を踏まえた支給決定システムの充実について述べます。先ほども紹介された、サービス利用計画を勘案して支給決定を行うという仕組みは、個別ニーズを積み上げての支給決定を実現する可能性を秘めているものであると考えております。しかし、課題もありまして、サービス等利用計画案は、決定の際に市町村に「勘案」されるにとどまり、必ずしもこれに基づく支給決定が実現するとは限らないということです。また、サービス等利用計画に基づく決定が実現しなかった場合に、障害当事者が市町村と再調整をしたり、あるいは実効性のある不服申立てをできる仕組みはないといえます。指定相談支援事業所の数が不十分という問題もあります。

 そこで、市町村がサービス等利用計画案と異なる計画に基づく決定をする場合には、その理由を説明する義務を負うということであったり、再調整、あるいは実効性のある不服申立てを可能とする仕組みを作ることが必要と考えます。

 それから (4) 勘案事項の見直しです。現行の勘案事項の問題点として、障害支援区分や心身の状況といった機能障害、あるいは日常生活動作に関する「できる / できない」を重視すると、医療モデルに偏っているという問題があると考えます。これを、権利条約や障害者基本法も採用する社会モデルの考え方に基づいて改正すべきです。その際に、権利条約も前提とする他の者との平等という観点、つまり障害のある人が障害のない人と同じ市民生活を営めているかどうかという観点を重視すべきです。

2 点目ですが、介護を行う者の状況という勘案事項がありまして、これに基づいて家族の介護が過剰に期待されているという状況があると思います。この点については、このような勘案事項を削除するなど、障害者の家族に肉体的な介護義務があるかのごとき誤解を与えるような現在の規定は改めるべきであると考えます。

 時間もありませんので駆け足で行きますが、 (5) 国庫負担基準問題については、現実にはやはりこれが支給量を抑制する側面があると思いますので、そういうことがないように、国や都道府県、市町村がきちんと自治体の負担能力を越える場合には、国が最終保障を実施する責任があるということを法律上明記すべきであると考えます。

4 番の所はですね、現行の法制度を前提としても、違法とされる取扱いがされているところがあると思いますので、きちんと実態調査とその是正をすべきであるということです。

 最後の「結論」の所です。どれだけ重度の障害があっても、必要な支援を受けながら住み慣れた地域で暮らすということは、障害者の権利条約でも認められた当たり前の権利ですので、このような権利が絵に描いた餅とならないように、個別事情に即した支給決定を可能ならしめる仕組みを構築しなければならないと考えております。少し時間が超過しましたが、以上です。

 

○佐藤座長

 どうもありがとうございました。今の御説明に関して、構成員から御質問や御意見がありましたらお願いします。質問にお答えいただければと思いますので、よろしくお願いします。

 

○山下構成員

 山下です。私からは、大きく 2 点発言させていただきたいと思います。 1 つは、支給決定プロセスについてです。もう 1 点は、国庫負担基準に関わるところです。

 まず支給決定プロセスについて、資料 3 7 ページを御覧ください。「今後議論を深めるべき事項」の中で、利用者本人の意向を反映させるために、支給決定プロセスにおいてどのような課題があるかという事項があります。これについて今回のヒアリングの中で、日本相談支援専門員協会様から、先ほどの長岡弁護士からもあったように、支給量の決定に際し、各自治体の支給決定基準が機械的に優先されているというような状況があることが分かりました。本来、市町村はサービス等利用計画を勘案した上で支給決定を行うということになっていますが、このヒアリングの中での意見を受けて、もっと相談支援事業者のアセスメントや計画の中身というのが支給決定プロセスに絡んでいけるような、そういう手立てが必要だと思います。本人の意向を実現させていくための計画なのだ、という周知を行っていくことが必要です。その意味で、この「協議・調整」という所にもあるように、本人それから市町村、相談などの協議・調整の仕組みの構築というところが 1 つ課題になるかと思います。

 もう 1 点は、国庫負担基準についてです。こちらは「今後議論を深めるべき事項」の所で、 15 ページに事項案が書いてあります。国庫負担基準についてですが、先日の常時介護の作業チームの中で、名古屋市の木村構成員が、名古屋の中では真に必要な人には必要なサービスを支給決定する方針を自信をもって行っているけれど、国庫負担基準ゆえにどうしても市の持ち出しが多くなっているというような、国庫負担基準水準を課題とする発言がなされていました。

 確かに市町村において、訪問系のサービスについては国庫負担基準を無視した支給決定というのはどうしても難しいかと思います。しかしそうなってしまうと、現状、長時間介護を要する障害者にとっては、なかなか地域での一人暮らしという生活の選択肢の成り立ちが難しくなるのではないかと思うし、それは権利条約の 19 条、また総合支援法の基本理念にも抵触するところにもなってしまうかと思います。

 国庫負担基準が上限ではないということ、国も毎年そういう通知を出してはいますが、やはり長岡弁護士のペーパーにもあったように、市町村の支給決定の際に、国庫負担基準というのがどうしてもありきになってしまうことの問題。そうではなくて、個々に必要な量の決定がなされるためにどうすればいいかという論点、この辺りはきっちり議論していくべきだと思います。

 

○佐藤座長

 ほかにいかがでしょうか。参考人に伺いたいのですが、実例も含めていろいろな御意見がありましたけれども、煎じ詰めて言うと、国庫負担基準をなくせということを含めて、利用者が参画したサービス利用計画に基づいて、それも全額保障されるべきだと。言葉は悪いですけれども、言ったら言った分だけそれは保障するべきだということとしていいのでしょうか。

 

○長岡弁護士

 そういう話では。

 

○佐藤座長

 それはコントロールする必要がないという。

 

○長岡弁護士

 コントロールというか、まず何を第一に考えるべきかというところで、その人の個別事情に応じた支給決定というようなことであろうと考えています。先に、例えば財政でこれだけのパイがあると。これをどのように配分するかとか、この範囲内で支給決定をすべきであるというようなことではなくて、やはりその人がどういう生活を送りたいと考えているのかであったり、個別のニーズを積み上げていった支給決定というものが実現すべきであるということが、煎じ詰めて言うとそういうことかなとは考えています。

 

○佐藤座長

 私が聞きたいのは、その結果というのは、つまり全部積み上げていった結果、言ってみれば際限がないとか、歯止めが利かないとか、そういうことになって、そのことは財政問題としてどのように措置されるべきかと。つまり当初から予算を立てられないということになるのではないかと思うのですが。

 

○長岡弁護士

 個別のニーズを積み上げた結果が、その青天井になったりとか、際限なく膨らんでいくということにはならないと思いますけれども。その個別のニーズを踏まえた支給決定をするということを念頭においた予算措置等を考えるべきであるし、システムとしてもどのような仕組みがいいのかと。プロセス、支援区分であったりとか、そういう引受け手の仕組みがありますけれども、そういうことを考えていくべきであろうと思います。

 

○佐藤座長

 言葉にするとそういうことで、私も同意、同感するのですが、だけれども実際に前もここで申し上げたのですが、日本の障害者は 780 万人いると発表されていますけれども、実際に障害福祉サービスを使っている人は現状は 83 万人だということで、実は 10 %程度で、もっとたくさんの人たちがそのサービスを必要としているわけで。個々の問題ではなくて予算全体が際限がなく青天井だというおそれは、十分にあると思うのですね。おそれというか、全然追いつかない。支援費が始まったときに、あっという間に支援費制度が破綻したのは、予算措置が全然間に合わなくて破綻したことがあるわけです。そこら辺をどのように整理されているのか、お伺いしたいのですが。

 個々の障害のある人たちが望む生活を実現するために、支援を受ける権利は当然ある、そしてそれに応える義務も社会全体としてはないわけではないと思います。しかし、それは障害のある人たちの問題だけではなくて、いろいろな問題を抱えている社会ですから、いろいろなことを解決しなければいけないということを踏まえた上でも、このコントロールは必要でないということでしょうか。むしろそういう制度を作ることで、市町村がそのことをある意味利用して抑制的にやってしまうことになるから、国庫負担基準は廃止すべきであると、このようにおっしゃっているというように理解してもよろしいでしょうか。

 

○長岡弁護士

 繰り返しになってしまうようなのですが、支援費のいわゆる破綻したとされている原因がどうかというところまで話をしだすと、かなり議論も拡散されてしまうと思うので、どうかと思うところもありますけれども、やはり基礎として、権利条約を批准して、先ほど座長もおっしゃったように、全ての障害者が、どこで誰とどのように生活するかということを決める権利があって、そのために必要な支援というのを社会の側できちんと公的に保障すべきであるというところにまず立って、制度設計をどのようにするかを考えていかないといけないということだと思います。

 現状として、個別事情に即した支給決定をすべきであるということは、今の国の制度でもそういう前提があると思うのですが、他方で、市町村で格差があったり、その国庫負担基準によって必要な支給量が出ないというような状況もあるということであれば、それをどのように改善していくのかを考えないといけないと思います。

 

○野沢構成員

 このままだと座長との論争で終わってしまいそうなので。私は提案なのですが、今後の議論を深めるべき案の中に、支給決定の在り方と国庫負担についてですけれども、自治体の負担と責任についてどう考えるかというのは、あってもいいのではないかと思うのですね。自治体の負担能力を超えるという議論がいろいろあるのですが、国の負担能力はとうに超えているような気もして、だから困っているわけですよね。自治体は自治体で財源を確保する方法はないわけではないですね、徴税権がありますので。でもそうやってしまうと格差が広がっていくし、住民の負担になって、住民が自治体から逃げていってしまう。でも、今や国レベルだって、国から出るとか、資産を移してしまうとかそういう段階になってきたので、やはりその辺はより現実的な今の時代に合った考え方をしていかなければいけないと私は思います。

 それともう 1 つは、先ほど言ったみたいに、個々のニーズというのはどのように考えていくのだろうと。そこに財源があって、いいサービスがあって、隣の人がいいサービスを受けていれば、みんな同じようなサービスがほしくなっていくわけです。現実的には。青天井ではないというようにおっしゃいますけれども、横には広がっていくと思います。ニーズは相当。その個々のニーズはどう考えたらいいのかというのは、私は必要かなと思います。

 それともう 1 つは、障害のない人と同じレベルの生活とは、一体どういうものを想定したらいいのかと。今、長岡先生がおっしゃるように、格差は非常に大きくなり、平均的な日本人の生活レベルはどのくらいなのだろうと考えるのですが、貧困家庭なんて、子どもたちが食べるものもない、学校も通えない、それで引きこもってしまっているなんていうことを見ると、公的な財源はもうちょっとそういうところに回したほうがいいのではないかと私はどうしても思ってしまいます。

 私には身内に障害者がいるので、障害者福祉をもっともっとよくしたいという気持ちは強いのですが、それでもやはり今の日本の平均的なというか、障害のない人と同じ程度の生活レベルというのは、ここでシビアな議論ですけれども、しておくべきかと思います。その 3 点、どういう整理されるか分かりませんけれども、議論をしないとなかなか本音の議論は深まっていかないのではないかなという気がしたので、あえて申し上げました。

 

○佐藤座長

 ほかの方はいかがでしょうか。

 

○大塚構成員

 支援費制度というお話が出て、状況は異なるので一概に比較はできないとは思います。ただ、あのときに移動支援も含めたホームヘルプサービスを使い始めてということで、財政破綻ということであったと。そのときにホームヘルプサービスを提供していた事業所は、知的障害などについては市町村レベルと半分にも満たなかったと。少し使い始めて、ああなったというような認識なわけです。そうすると、それ以後、支援費制度、障害者自立支援法、総合支援法ということの中において、先ほど座長がおっしゃったように、障害のある方が何万人いて、どのくらいの方がサービスを使っている。それからこの自立支援法以降、あるいは支援費制度以降どのくらいの数に広がったのか。そしてその量的なものとして、どのくらい増えたのかということも含めて、少しの見通しというか、状況が分からないと。

 これからどんな障害の重い方も地域で、私も大賛成で、そうなるべきだと思っていますし、その仕組みを作りたいと思っています。ただそのときの前提として、どのようにやればそれが一番リアリティーをもってできるのか、あるいは一歩として、どのようにできるのかという、その素材というものの判断がもう少しあると、もう少し判断できるのではないかなと思っています。

 

○山下構成員

 山下です。事務局の方にお尋ねしたいのですが、国の財政支援として、例えば「重度障害者に係る市町村特別支援事業」など地域生活支援事業の中で行われているものがありますが、こうした補助金や地域生活支援事業は、とても大切な取組かと思うのですが、実際に、これはかなりの自治体の中で確実に実施されているのかどうか。せっかくの国庫負担基準をフォローするような仕組みということもありますので、有効に活用ができればと思うのですが、その点について、もしお分かりであれば教えていただきたいと思います。

 

○照井障害福祉課課長補佐

 事務局からお答えいたします。地域生活支援事業の重度訪問介護等の補助事業については、もともとその地域生活支援事業そのものが事業も含めて任意の事業ということもありますので、自治体によって実施をしていたり、していなかったりという形になっています。もう一方で、補助金の事業については、現状で超過市町村のうちの半分弱ぐらいのその自治体が、その補助金の申請をしていて、この補助金によって超過額はなくなるということではないのですが、予算の範囲内で執行させていただいているのが現状です。

 

○佐藤座長

 よろしいですか。

 

○山下構成員

 はい。

 

○長岡弁護士

 関連して。今の都道府県による援助事業に関して、必ずしも全ての都道府県で実施していないと思いますけれども。私が聞いた事案で、都道府県が事業をしていたのを、あるとき打ち切ってしまったので、それによって市町村のほうで負担がかなり多くなってしまったということで、それまで 24 時間介護を受けていた人が、月でいくと 100 時間以上減らされてしまったケースがあったりしました。やはり、それも本人には関わりのない事情によって、そういう支給量が突然下がってしまうという現実はあるのかなと思っています。

 

○佐藤座長

 今、長岡参考人から出たケースなどについて、何か事務局でつかんでおられる情報はありますか。

 

○照井障害福祉課課長補佐

 そういう実例は、すみません、把握はしておりません。

 

○佐藤座長

 その突然やめたという、具体的にどこの県だと言えないですか。まずいですか、守秘義務がありますから。

 

○長岡弁護士

 ええと、あとでお伝えします。

 

○佐藤座長

 別に、事務局にちくるという話では全然なくて。話しにお互いにリアリティーをもってしゃべっていきたいと思うので。それは困りますよね、いきなり。

 

○長岡弁護士

 宮崎県です。

 

○佐藤座長

 いきなりそれを前提にして、来年からありませんよという話は、ちょっとそういうことは困ると思いますから、はっきりさせたほうがいいと思うのですが。

 

○長岡弁護士

 宮崎県がやめてしまったということを聞いています。

 

○佐藤座長

 ほかにいかがでしょうか。そろそろ予定の時間が。

 

○長岡弁護士

 少し補足させていただきます。先ほど野沢さんのほうから、ニーズをどのように測定するのかというような話がありまして、それに関連するのか分かりませんけれども、障害支援区分ができる、できないというようなことを重視している、これを社会モデル的にできないかと。その人がどのような生活をしたいのかということであったり、ペーパーにも書いていますけれども、生活上の支援がない場合にどういう生活上の支障が生じるのかというような、社会モデル的な項目によってニーズをある程度客観的にアセスメントするということができないかなと考えています。

 これはニュージーランドなどでは、日本よりもより社会モデル的というか、 3 ページで囲っていますような、こういう視点からの調査項目を設けているというように聞いています。あるいは、サービス利用計画案に基づく支給決定というのも、本人がどのような生活をしたいのかというようなニーズを、そのニーズをそのままということではなくて、相談支援員なりとも協議・調整しながらやっていくということだと思いますので、この辺りをより進めていくというようなことも必要なのかと考えているところです。

 

○佐藤座長

 そろそろ時間ですけれども、構成員の皆さんからの御意見や何かありましたら。

 

○大塚構成員

 確かに、これからの重い障害の方も含めて地域での生活ということを考えると、公的サービス抜きには考えられないということで、公的サービスをどのように増やしていくかは非常に重要な観点だと思っています。またそれだけではなくて、例えば提案の中に本人中心計画を作りなさいと。例えばアメリカのランターマンなど、カリフォルニア州の本人中心計画というのは、いかにナチュラルサポートを増やしていくかということだと書かれています。ナチュラルサポートというのは、正に友だちであるとか、地域の人たちであるとか、そういうことも含めて総合的に本人に関わる人を増やして、その人を支えようという仕組みだと書いています。

 もちろん公的なサービスは重要だとは思いますけれども、それに関わるむしろインフォーマルな、ナチュラルなものをどこまで支援計画の中に位置付けながら、その人の豊かな生活を確保していくかということが、余りにもちょっと我が国は少なかった。サービス等利用計画の中でも、インフォーマルなことも含めてというのは非常に少ない例だったと思っています。そういう新しい次元というものも含めて、それが多分、豊かな地域生活、多くの人たちと関わることが豊かな地域生活だと思っていますので、そういう観点も少し長期的に見れば考えていくべきことかなと思っています。

 

○佐藤座長

 そうですね。地方自治体でお金がない所は、そういう努力を本当にすべきですよね。まだ、今月もう 1 回ワーキングがあって、 4 月も日程調整をしているようですので、まだ少し議論ができると思います。今日は時間がきましたので、これで閉会としたいと思います。事務局から何かありましたら、お願いします。

 

○福井企画課課長補佐

 本日は御多忙の中、どうもありがとうございました。次回は 3 17 15 時~ 17 時を予定していますので、よろしくお願いいたします。場所はまた追って御連絡をさせていただきます。

 

○佐藤座長

 本日はこれで閉会いたします。参考人、どうもありがとうございました。


(了)

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