ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 健康局が実施する検討会等 > 希少がん医療・支援のあり方に関する検討会 > 第3回希少がん医療・支援のあり方に関する検討会(議事録)(2015年4月27日)




2015年4月27日 第3回希少がん医療・支援のあり方に関する検討会(議事録)

健康局 がん対策・健康増進課

○日時

平成27年4月27日(月)15:00〜17:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○議題

(1)診療提供体制について
(2)病理診断について
(3)研究開発について
(4)その他

○議事

○濱課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第3回「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様には御多忙の折、御出席いただきましてまことにありがとうございます。

 本日の構成員の皆様の出欠状況ですが、全ての構成員様より御出席の連絡をいただいておりますが、小村先生が若干おくれるという御連絡をいただいております。

 また、本日は参考人としまして、国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院希少がんセンター長、川井章参考人。

 国立がん研究センター東病院院長、西田俊朗参考人。

 国立がん研究センター中央病院がん対策情報センターがん政策科学研究部長、東尚弘参考人。

 国立がん研究センター中央病院研究支援センター研究推進部長、福田治彦参考人。

 国立がん研究センター中央病院がん対策情報センター長、若尾文彦参考人に御出席いただいております。

 それでは、以後の進行を堀田座長、よろしくお願いいたします。

○堀田座長 皆さん、こんにちは。本日は第3回目と進んでまいりました。本日もいろいろ議題を用意させていただいております。

 まず最初に、診療提供体制について、そして病理診断、研究開発についてが主なテーマであります。今まで2回ありましたが、第1回目は全体的な状況の把握あるいは定義についての議論をいただきました。第2回は定義あるいは情報に関してご意見をいただきました。特に受け側の患者団体の御意見をいただいて、情報提供体制のあり方について検討してまいりましたが、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、事務局から資料の確認をお願いします。

○濱課長補佐 お手元の資料を御確認お願いいたします。

 座席表、議事次第に続きまして、資料1「希少がんの診療提供体制について」。西田参考人御提出資料。

 資料2「希少がんの迅速かつ正しい病理診断を提供するために 病理コンサルテーションシステム・ネットワーク構築」。佐々木構成員御提出資料。

 資料3「Cooperative GroupJCOG」。福田参考人御提出資料。

 資料4「希少がんの診療体制、研究体制、病理診断体制、支援に関する要望」及び「希少がん患者からの声」。西舘構成員、馬上構成員御提出資料でございます。

 参考資料1「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」開催要項。

 参考資料2「希少がんの定義」。

 参考資料3「希少がん対策ワークショップ報告書」。

 参考資料4として、希少がん患者全国連絡会意見書。

 以上でございます。資料に不足、落丁等がございましたら事務局までお申し出ください。よろしいでしょうか。

 では、以上をもちましてカメラをおさめていただきますよう、御協力のほどお願いいたします。

○堀田座長 では、早速始めますが、まず最初に先ほどの本日の参考人のところで御紹介いただきました川井参考人については中央病院でいいのですが、東参考人、福田参考人、若尾参考人は中央病院の所属ではありませんので、そこのところは訂正をよろしくお願いします。

 それでは、まず最初に資料1を踏まえまして、診療提供体制を御検討いただきたいと思います。まずは西田参考人からよろしくお願いいたします。

○西田参考人 がん研究センター東病院の西田でございます。よろしくお願いします。

 きょうはこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。

 資料1をまず出していただいて、最初のところで私に与えられましたのは希少がんの診療提供体制についてお話をしなさいということですけれども、きょうのお話は主に東病院の病院長と申しますよりは、GISTという希少がんをこれまでやってきた一研究者としてお話をさせていただきますので、その点を御了解いただきたいと思います。

 1枚目の下のところにきょうのお話の概要があります。ほとんどが既に1回目と2回目にお話があると思いますけれども、一度振り返って希少がんの診療の現状を確認させていただいて、その次に私が考える、これが理想的ではないかと思うようなアイデアを出させていただきます。それの背景と根拠、私の友人その他から資料をいただきました諸外国、主にヨーロッパとアメリカですけれども、その事情を拝見しながら、そういう根拠を出していきたい。最終的には一遍に全部というのは難しいと思うので、こういう道のりはどうでしょうかという提案でございます。

 1枚めくっていただいて裏側です。復習になりますが、両隣に川井参考人と東参考人がいらっしゃいまして、もう既に話があったと思いますけれども、希少がんの特徴は御存じのように頻度が少ない。したがって医療者も経験が少ない。中には肉腫のように組織型が非常に多様で、場所もいろいろなところにできて、診療科が1つでないという腫瘍も結構たくさんある。しかも疾患ごとに頻度が大分違う。例えば軟部肉腫であれば比較的頻度は高いのですけれども、後で出ますレティノブラストーマで言ったら日本で年間100人ぐらいしかございません。だから頻度が非常に違う。ただ、その辺の希少がんを全部合わせると全がんの5分の1ぐらいになるということで、全部合わせたロングテールにするとある程度のインパクトがある腫瘍である。

 問題点としましては先ほど申しましたように、情報の欠如であったり認知されていない。要するに情報の欠如の中にはガイドラインがなかったり、あったとしても不十分であったり、専門家がいなかったりということもありますし、後で病理のほうで出ると思いますけれども、結構病理診断が医師によって大分違ってくる。これは第1回目に少し川井参考人がされたと思いますが、そういうあれがあります。診断基準が未確立なものも結構まだあります。

 治療法に至っては、頻度が少なければ少ないほど欠如しているものもありますし、専門家がはっきりとしない疾患もございます。開発に関しましては症例不足で第3相試験をやるのがなかなか難しい領域が結構たくさんありますし、正直申し上げてお薬の開発に関して言えば企業側が全く興味を示さない分野もございます。そういう問題点があるかなと思います。

 1枚目の下に行ってもらって、この前、1回目のときに川井参考人が多分データを出していただいたと思いますけれども、病理診断に関してはいろいろなデータがございますが、大体一般的には10%台、完全不一致というのは病名がそもそも間違っているというものがございます。一部不一致というのは病名は正しいのだけれども、悪性度の診断が大分違うというものがございます。これはフランスである先生が肉腫の薬物療法だけで計算してみると、その不一致によって年間大体200万ユーロぐらい損失しているのではないかという見積もりを出している論文がございます。これは学会発表でございます。

 外科治療あるいは放射線、薬物治療に関しましては、MDTと書いていますけれども、集学的治療チームあるいは診断治療チームでやることによって再発率が低い。つまり治る率が上がって臓器の機能や副作用とか、その辺が予防されて抑えられることがわかっていますし、トータルするとみんなこの辺はレトロスポクティプなデータですけれども、総医療コスト、診断から最後までというものを考えると、コストが下がるというデータがヨーロッパから出ています。

 開発に関しては、ここのところは非常に難しいところがあります。エビデンスに基づくフォローというのは患者さんの被爆であったり医療コストを減らすというような、最近私どもがやっているGISTの世界では出てきています。そんなにCTでしょっちゅうフォローしなければいけないことはないのではないかというヨーロッパの意見が出てきていますし、開発をするところに関しては先ほど言いましたように、企業は売り上げが日本であれば年間5億円ぐらいなかったら医療開発しないと言っていますので、その辺の開発が1つ問題があるかなと思います。

 1枚めくっていただいて上のほうにまいります。これが私が今、考えている、こうなってくれればいいなという、主に大人と小児に分けているのですけれども、基本的には同じです。一番大事なのは臨床診断、病理診断が正確に行われるということが大事。これがそもそも違っているのが結構、私がGISTをやっているときにそうですけれども、あります。そもそも違う診断で違う治療をやっていて効くはずがないので、そこを正確にすることが大事で、そのためにはネットワークあるいはセカンドパソロジー、コンサルテーションシステムを使うことが必要かなと思います。

 一番理想的には外科治療のところ、現在がんで確実に治るか治らないかを決めるのが外科治療だと私は思うのですけれども、外科治療のところはある程度集約化できたほうがいいのではないかと思います。標準的な薬物治療、確立したものに関してはある程度がん拠点病院のようなきちんとした病院でやれば、それほどすごい、外科治療ほど集約は要らないだろうと思いますし、フォローに関してはもう少しディスパースになって、広い範囲に行っても大丈夫だろう。そこで問題になってくるのが多分AYA世代であったり、小児の患者さんが大人になったときの問題が出てくるのではないか。そこでバトンタッチがうまくいければいいかなと思います。

 医療開発に関しては福田参考人が後ほど述べますので、ここは割愛させていただきます。

 以下、もう既に1回目に川井参考人が申し上げた話ですけれども、日本の現状で言いますとScatteredというのはばらばらで余り集約されていないという意味なのですが、川井参考人が申しましたように、例えば成人の肉腫で言えば有名な、ある程度肉腫をやっているという病院でさえも年間15例ぐらい。骨肉種に至っては平均2例ぐらいになる。これは別に肉腫だけではなくて、例えば小児であったとしても年間20例以上の症例を扱っている施設は全国で10例ぐらいしかない。そんなにたくさんないのです。みんなばらばらで1〜9例ぐらいという形になっていることが1つ問題だと思います。

 1つめくっていただいて、そういう中で一番大事なのは診断が正しく行われるということだと思いますけれども、先ほど言いましたように、これはフランスから出たデータですけれども、ローカルで診断したものが中央の肉腫専門医が診て完全に一致するのが56%、約半数強です。10%ぐらいはもともと病名が違っている。中には良性疾患を肉腫と診断しているものもあるということです。一部不一致は先ほど言いましたように悪性度の違いです。それを換算すると大体基本的には200万ユーロぐらいの損失がある。ケモセラピーだけです。

 では、これはヨーロッパだけの話かと言われると、日本で見ると例えばこれは成育の先生からいただいた横紋筋肉腫、これはセカンドパスをやったときの完全不一致率が大体20%ぐらいあります。GISTで私どもが今、レジストリーを今、少しやっているのですけれども、それが完全不一致率が5%、部分的に不一致なのが15%、全部で20%ぐらい。GISTというのは希少がんに入らないぐらい診断あるいは治療が確立している病気です。なおかつこの程度だと御理解いただければ非常にいいかなと思います。

 そうしますと、病理あるいは臨床診断のコンサルテーションというのは非常に重要になってくるということで、1つその下のほうを見ていただいて、がん研究センターの東参考人がおられます情報センターでやっている病理の診断コンサルテーションを御紹介申し上げたいと思います。

 そこでは目的は病理診断を通して適正ながん医療の均てん化に貢献すること。それから、病理診断の精度を上げることを目的にこれをやっています。この情報センターがやっているのは、各病院から依頼を受けて、それぞれの専門家に任せるということをやっている。専門家が診断したものをまたもとに戻すということをやっているのですけれども、もともとお聞きするところ350ぐらいを目標にして、現在400前後でほぼマキシマムになってきているということで、これは一般のがんもあります。乳がんとかその辺もありますが、たしか一番多かったのは肉腫だったと思います。

 同じようなシステムを小児で生育の先生がやられています。そこでは遺伝子解析その他を一緒にやっているのですけれども、この辺のシステムは基本的に例えば追加で検査しても自分の費用でやられているわけです。そうすると真面目にやればやるほど赤字になるようなシステムになっている。実際に今、希少がんでは非常に免疫染色以外にFISHRT-PCR、ここに書いてある以外に遺伝子変異の検索というのは非常に重要になってきた。特に亜型を決めたり診断基準を決めたりする。それが結構、今、効果になってきているということです。

 ただ、こういうコンサルテーションをきちんとつくることは、教育上も非常に重要である。そこに書いてあるように外科の手引きをつくったりすることができます。実際に私が委員をやっていましたヨーロッパのConticanetというグループがあります。そこではちゃんとバーチャルでスライドをつくって教育システムに応用しています。

 次のスライドに行きます。海外の状況を見ますと、主にはフランスであります。なぜならばそこからの情報が一番多かったからというだけです。フランスでは23の希少がんのクリニカルネットワークがあります。それ以外にパソロジーのネットワークが4つあります。パソロジーのところに関しましては軟部肉腫、骨肉種、NECneuroendocrine carcinoma)、mesotheliomaの4つでございます。例としてここに地図を出しておりますのは軟部肉腫の病院ネットワークです。赤いところがcoordinating centerで3つあります。regional centerはばらばらと各県に大体1つぐらいな感じで散らばっていると思います。こういう感じでフランスはやっています。INCaが基本的にはセカンドパソロジーをマンダトリーにしています。実際にこれは多分データをもらったときの、いつのデータかがわからないのですけれども、多分軟部肉腫に関しては70%ぐらいがカバーされた時点だと思うのですが、それをやったときの肉腫疑いで出されたものの25%は肉腫ではなかった。逆に言えば75%が正確な肉腫だった。NECに関しては11%が違った。これは実はセカンドパソロジーが一番進んでいるのが軟部肉腫で、NECはたしか当時40%ぐらいだったと思います。ですから進んでいる程度はさまざまですけれども、そういう形でやっている。

 イギリスに関して言えば、御存じのように特定の施設、NICEに希少がんを集約しています。ドイツやアメリカに関しては、聞いた範囲では自然集約化以外は行政的な集約は全くないと伺っています。

 次に下の話にまいります。治療はどうだということですけれども、これは既に1回目の話のときにあったと思いますが、幾つかこれ以外もたくさん論文が出ています。特に肉腫の手術に関してはSpecialized Surgeonsでやったほうが予後がいい。上の右側は化学療法です。化学療法も肉腫の専門チームがやったほうが予後がいいというふうに言われています。ただ、トータルのコストにすると、CPGというのはガイドラインに沿って多職種チームがちゃんと介入してやったかやらなかったかというだけですけれども、ガイドラインに沿ってちゃんと多職種チームでやったほうが総額コストが安くなっているという報告、これは全部レトロですので、御了解いただきたいと思います。そういう報告が既にあります。

 1枚めくっていただいて、先ほど一番最初に申しましたように、希少疾患と言っても頻度はさまざまです。右手の上のほうにあります網膜芽腫ですけれども、日本で聞くと年間100例くらいです。こういうものもありますが、軟部肉腫は2,500ぐらいあります。GIST1,000ぐらいあると思います。そうやって頻度によって集約化するのが違うだろう。例えば網膜芽腫であれば見ていただくとわかるように、右の真ん中ぐらいのところですけれども、がんセンターと成育と名古屋医療センターで、それ以外のところは年間1けたぐらいしかありません。ヨーロッパではほとんど4カ所が手術をしている、あるいは治療をしているという状況らしいです。

 一方、軟部肉腫に関しては日本は後で福田先生からお話があると思うのですけれども、26施設ぐらいあります。ヨーロッパに行きますと先ほど述べたようにイギリスは13センターです。フランスは3つのcoordinating center23expert center、イタリアは2、アメリカは5+8という形で進んでいます。ある程度頻度によってやっていかなければいけないかな、集約化をしていかなければいけないかなと思います。

 では、集約化すれば患者さんはハッピーかということに関しては、これは希少がんではないのですけれども、その下を見ていただいて、左側にどうしても集約化していくと遠いところに行かなければいけない。これは宮城県の蒲生先生から頂いたデータですが、がん患者さんが二次医療圏を超えて遠い専門病院に行ったときとそうでないときを比べたものですけれども、どうしてもそういった専門病院、遠い専門病院に行くと通院時間が長くなって交通費が高くなる。それに対して負担感は非常にある。右側の上です。ただ、そこで受けた医療に対する患者満足度は、やはりそういったところに行ったほうがいい。希少がんであるとそれがさらにもう少し遠いところに行くことが予想されますので、1時間ではなくて例えば2時間、3時間ぐらいになる可能性が非常に高いのではないかと私は考えます。

 海外の状況を見ます。イギリスは先ほど言いましたようにNICEが推進してレコメンデーションとして集約化が進んでいます。ここはある程度集約施設に対して政府がある程度のサポートをしている。ある程度というコメントが書かれています。フランスもそうです。フランスはINCaがネットワーク化して、そのネットワークの基幹施設に関しては少しファンディングがあるようです。プラスアルファ、フランスの場合はセカンドパソロジーに対して保険収載がありますので、そういった基金が入っているということです。イタリアはコメントが返ってこなかったのでわかりません。ドイツとアメリカは基本的には公的なものは一切ありません。患者団体が中心になっているのがアメリカの場合はあると伺いました。

 患者さんがそういった遠いところに行くことに対してサポートがあるかということに関して、どこの国とも今のところない。アメリカが唯一、企業あるいは患者団体が一部サポートしていると伺っております。この辺がどこかでカバーしていかなければいけないことかなと思います。

 次にまいります。希少がんの中で一番大事なのは、正しい情報がちゃんと医師にも患者にも届くかどうかというのが一番大きいかなというふうにこれまでやってきて思いました。ですから正しい情報を発信するところを決めておいたほうが、いろいろな情報がネットで流れる時代になっていますので、疾患の正しい情報、専門医や専門病院の正しい情報を流せるようなセンターがあったほうがいいと思います。

 特にそこが先ほど言いました病院のネットワークとカップリングすれば非常にいい仕事ができるのではないか。例えばセカンドパソロジーと情報センターがうまくカップリングすることによって、ある程度レジストリーにも貢献できるであろうし、レジストリーができればそこからある程度データが出てくるのではないか。これは私が多少妄想しながら考えたことでございます。

 1枚めくっていただいて、先ほど言いましたようにフランスなんかは23のネットワークをやっているわけですけれども、全部が動いているわけではありません。実質、動いているのは片手よりは多いのですが、両手で数えるぐらいです。ですからやはりどこかから始める。どこから始めるかというのは診断することによって治療法が変わったり治療薬があったりする、あるいはその開発が進んでいるところからやっていくのが一番現実的ではないか。もちろん治療開発があれば当然診断基準を決めなければできないはずですので、こういうことを決めるでしょう。そうすると病理診断というのは非常に重要になってきますから、当然ネットワークとしてそれをやらなければいけない。

 その次には先ほど言いましたように、どこに患者さんがどの程度いるかという情報がぜひ必要ですので、患者会の人たちを入れながら希少がんの情報センターのようなものができれば、最終的にはそこを通してレジストリーができればいいなと思います。そういうふうなデータ収集ができれば、初めて本当に正確なガイドラインができるのではないかと考えております。それができないと、例えば患者さんが本当に集約化していくということも適正なところに運ぶことが非常に難しい。外科治療のところですね。難しいと思いますし、臨床開発する上でもこの頻度なので、このぐらいの研究でいこうというのがそこから出てこないと思いました。

 最後、一番下ですけれども、まとめですが、まず診断基準を明確化して、中央病理診断をやって正確な診断を患者さんに与えることが1つのキーのポイントです。

 患者及び医療機関に正確な情報を届ける。できたらレジストリーのようなデータベースがつくれるような施設、組織があればいいと思います。それをベースにガイドラインをつくっていくというのがいいと思います。実際にGISTのガイドラインをつくってみたのですけれども、製薬メーカーが治験をやっている間は更新できるデータは出るのですが、やめた途端になかなか新しいデータが出てこないというふうになります。やはりそれはある程度そういうことができていないというのが問題かなと思います。

 ということで、ある程度情報をレギュレーションしながら制度設計をしていく必要があると思いますし、そうしないと例えば私が医者の立場で考えると、私が医者でGIST専門医で生きていけるかといったら現実は難しいです。現実はそれだけでは食えない。誰もだからGISTの専門医になりたい人はそう出てこない。そうなるとキャリアパスが見えないと専門医は育たないので、ある程度集約化してやらないといい医師は育たないかなと思いました。

 以上でございます。

○堀田座長 ありがとうございました。

 これまでの議論も踏まえた上で、総括的なお話と今後の集約化あるいは均てん化の情報、特に診断のことを強調されました。少し時間をとって皆さんに御意見をいただきたいと思います。なお、病理に関しては後で佐々木先生から御報告いただきますので、そこはまた別途議論させていただくとしまして、特に情報だとか診療提供体制につきまして何か御発言があればよろしくお願いいたします。

 集約化に関していろいろ切り口があると思うのですけれども、西田先生のお考えだと緩いというか、患者主体の集約化といいますか、余り拠点病院化という考えよりは、どちらかというと自発的な集まりのほうがいいのか、先生のお考えはいかがですか。

○西田参考人 正直申し上げて、強制的にやってもいいのかもしれないのですけれども、そうすると、そこで結構犠牲になるものが出てくるかなというのがあって、ある程度緩やかな集約化のほうがいいかなと思います。その緩やかな集約化の前に、また病理の話は後で出てきますけれども、正しい診断を提供するというのが前提になってくると思う。それがないと次のステップには踏み込めないのではないかと思っています。

○堀田座長 岩本構成員、どうぞ。

○岩本構成員 九州大学の岩本でございます。

 先生が御説明されたこと、ほぼ全面的に賛成でございますけれども、患者さんに十分な情報を与えて、そして適切な専門医のところに行って、適切な治療を受けるということが究極の目的だと思うのですが、私は整形外科ですから骨軟部肉腫のことを言いますと、整形外科の中で骨軟部肉腫の診断にかかわっている人は非常にまれなわけです。それは希少がんだからそれだけ専門家は少ない。そうすると、患者さんが一番最初に相談するのは身近の普通の整形外科医で、その人たちが正しく専門家に送ることが非常に重要で、それがなければ専門家のところにたどり着くことはなく、適切な治療を受けることもない。ということは専門家のことも重要ですけれども、腫瘍を専門としていない一般の教育も極めて重要だということをつけ加えさせていただきたい。

○西田参考人 先生おっしゃるとおりだと思います。

○堀田座長 重要な御指摘だと思います。これは息長くやっていく必要があって、一挙に解決というわけにはいきませんけれども、ここのベースがしっかりしていないとなかなか専門医にたどり着かないという問題があるという御指摘ですね。

 そのほか御意見いただければ。馬上構成員、どうぞ。

○馬上構成員 西田先生、御発表ありがとうございました。いろいろな問題点を挙げていただいて、解決策まで挙げていただいて、本当にありがたいと思っております。

 患者としましては、今、専門医がどこにいるかということが見えにくい状態にありますので、御提案いただいたレジストリーデータなどを利用して、どこに専門医がいて、どんな症例数があって、どんな手術数があるかということを見える化していただく、またはマッピングしていただくのが大事かなと思います。そういうものは今、院内がん登録というか、がん登録法が動いておりますので、追々はっきりした数字というのは見えてくるのでしょうか。

○堀田座長 その辺は若尾参考人、お願いします。

○若尾参考人 院内がん登録では診断された数あるいは治療された数は出てきますが、専門医がいるかどうかということについては、がん登録では行われないことになります。

○馬上構成員 それはお医者様がどれだけ症例数があるかということはわからないということなのですか。

○堀田座長 院内がん登録は施設としての登録なもので、個人の医師の登録ではないので、専門医の情報は恐らく学会の中でお互いに認知しているという状況が現状ではないかと思います。

○馬上構成員 では、そういったところを見せていただければと思います。

○堀田座長 いかがでしょうか。確かに患者さんから見ると、その病院で何例か経験しているらしいと行ってみたら、その専門医は去年異動しましたみたいな話がないとは言えないですね。そういったことも含めてどこにどういう情報があるかというのがわかるようにしないといけないということだと思います。

 川井参考人、何かありますか。

○川井参考人 その件に関してですけれども、院内がん登録あるいはがん登録で集められるかたいデータもさることながら、今、参考人からもお話がありましたが、どの先生がどれくらいの経験があるのか、あるいは肉腫であってもこの先生は化学療法の専門家なのか、手術の専門家なのかということなどに関する、ある意味ソフトなデータに関しては、現在なかなか見える化されていない。一方、週刊誌とかを見ると本当にいい加減な情報が大きく出ている。そのギャップというのは非常に大きいと思います。

 加藤構成員が現在行っております希少がんホットラインにかかってくる相談も、かなりの部分はそこの問題に患者さんが困っていらっしゃる。この病院はたくさん患者さんがいるはずだけれども、行ってみたら自分の求める、あるいは行うべき治療はされていなかったということが事例として多くあります。このような、ソフトな情報、その領域の専門家である医者でしかなかなか実態を把握できていない情報をどこかできちんと持っていて、これら信頼できるソフトな情報をきちんと帝京してゆくことが大事かなと思います。

○堀田座長 それは専門診療についてのデータをどこがどうやって集めるかというところに落とし込んでいかないとなかなか難しいですね。何かアイデアとか、御意見でもよろしいですが、ないでしょうか。御自由に御発言ください。

○川井参考人 これはなかなか難しいと思うのですけれども、1つは学会というものが情報をコンファームする、支えるという一番大きな信頼性の担保になると思います。例えばがんの領域であればがんの専門医がございます。抗がん剤の領域であれば化学療法専門医というものがありますが、あるいは整形外科であっても整形外科の専門医というものがありますけれども、希少がんの専門医というのは数から言っても、医者の専門性から言っても恐らく将来、きちんとした専門医制度というのはなかなかできづらい情報、できづらい領域だと思います。私はすべての希少がんの専門家ですよ、というのはそもそもつくりようがない。肉腫と脳腫瘍と小児科を一緒に専門にするような医者はできませんので、希少がんの専門医というのは多分将来的にも今議論されているような専門医制度にはなじまないと思います。そうでなくて、医者のコミュニティーの中で皆が仕事をしてゆくうえでの知恵として知っている“あの先生はこの病気のこの領域の専門家だよ”という情報をある程度学会が担保した形でどこかに集めておくということが具体的な方法かなと思いました。

○堀田座長 岩本構成員、どうぞ。

○岩本構成員 日本整形外科学会の骨軟部肉腫の相談窓口というものを設けて公表しておりますけれども、そういうふうな学会側が提示して患者さんが見られるようにするというのが1つの方法ではないかと思っています。まだ不十分な点もありますけれども、それを改善して患者さんが望むような情報がそこで得られるようにするというふうにすれば、御期待に応えられるのではないかと思います。

○堀田座長 ただ、さまざまな学会ホームページに患者さんがアクセスしてどこにどのような専門医がいるかというのを見るのは難しいので、情報自体はどこかに集約しないといけませんね。それで、そこへアクセスすれば基本的な情報は得られるというふうになっていないといけないのかなと考えます。

○岩本構成員 はい。ただ、ホームページは一般の方がアクセスできる欄がありますので、そこにアクセスすれば知ることができるようになっています。

○堀田座長 リンクを張ればいいという話かもしれません。

 西舘さん、何か御意見ありますか。

○西舘構成員 ありがとうございます。

 前回も少しお話しましたように、拠点のない地域というものがありまして、首都圏のように専門の先生方が多くいらっしゃる地域と違って、例えば東北のほうへ行きますと拠点となる病院が1つしかなかったり、そこに通うために3時間、4時間かかる場合もあります。ですから、ある程度人口に対しましてこの地域では希少がんに関しては専門の先生は何名という形で決めていただいて、その数を常に保っていただく。先生が動かれてもかわりの先生を充てていただいて、質、数を保っていただくことも必要ではないかと思います。

○堀田座長 御要望はもっともだと思いますけれども、なかなか勤務地まで指定できないというのがありますので、そこらあたりは今後の課題として詰めていく必要があります。

○西舘構成員 要望としまして。

○堀田座長 ほかにいかがですか。馬上構成員、どうぞ。

○馬上構成員 西舘さんのお話を受けまして、患者としては専門医を探すのがすごく難しいというところがあるので、地域でどこかそういうセンター的なところがあれば、最終的にはそこに行けば相談なりトリアージなり、そういったことをやっていただけるようなところがあればというふうには思うのですけれども、先ほどの情報の一元化というのもそういうことで、いろいろな学会のホームページはあるのですけれども、患者は全部探し切れないので、地域でも、インターネット上でも探しやすいような集中化というものを何らかの形でやっていただきたいなというのはあります。

○堀田座長 そうですね。

 若尾参考人、どうぞ。

○若尾参考人 そういった意味で、私どものがん対策情報センターのがん情報サービスでは拠点病院の情報を集めていますが、今、川井参考人がおっしゃったようなソフトな情報がないので、今後、各学会と連携して骨軟部肉腫であれば整形外科学会の相談窓口あるいは希少がんではこの学会のこの窓口というのをそれぞれマッチングしていけば、その情報にうまくつなげていくことで、我々の持っている情報をさらにブラッシュアップすることができるのではないかと考えております。

○堀田座長 実際にインターネット上の検索であればワンストップでできるのですけれども、直接に対面で相談したいとか、診療してほしいということになると、もう少しエリアが限定されないと対応しにくいですね。そこらあたりはどのようにしらいいとお考えでしょうか。

○若尾参考人 やはり少しエリアを絞るとなると、希少がんですと各二次医療圏というのは非常に難しいことがあると思いますので、まずは都道府県拠点病院に希少がんの窓口を設けるということが一番現実的なところではないかと思います。

○堀田座長 そうですね。拠点病院では、そこに専門家がいるかどうかに加えて、他の病院の情報を紹介できるというような役割ができることが重要ですね。現状では、都道府県拠点に専門家を集中して、そこに人事配置するということは余り現実的でないように思います。

 岩本構成員、どうぞ。

○岩本構成員 先ほどの話に戻るのですけれども、患者さんがアクセスする先というのも重要ですが、先ほどの西田先生の話の中にも腫瘍と思ったけれども、腫瘍でないものが20%ぐらいという話がありましたが、それを考えると患者さんが日ごろかかっているかかりつけ医の方の基本的な診断能力をつけるというのが希少がんのところでは重要ではないか。ある程度これは腫瘍だと思うかどうかというところから始まるのではないか。それがあって専門家のところにたどり着くのではないかと思いますので、対面で診ている人はかかりつけ医の人とそこのところの教育が重要ではないかと思っています。

○堀田座長 それはそうだと思います。

 西田先生、今までのことに対して先生のお考え、コメントをお願いします。

○西田参考人 私の考えというよりも、何枚目でしたか。フランスの肉腫のマップが海外の状況というところがあったと思うのですけれども、ある程度ここも距離とかそういうものを考えながら、フランスの場合は各県なのですかね。ある程度距離感を持ちながら、この辺に1つぐらいは要るだろうという感じでセッティングしている。それをさらに全体をコーディネートするセンターが3つぐらいあるという形でやっているので、こういう構造がどこかに要るのではないかと思います。決してこれはやりなさいというわけではないのですけれども、決して悪くはないシステムかなと情報に関しても思っています。

○堀田座長 そうしますと、正しい診断にたどり着くための方策につきまして話題を進めたいのですが、佐々木構成員に資料を準備していただいていますので、まずそれをお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○佐々木構成員 よろしくお願いします。東京大学の人体病理学の佐々木と申します。

 今回は希少がんの迅速かつ正しい病理診断を提供するために、病理のコンサルテーションシステム、ネットワークの構築について御発表させていただきます。

 アンケートの結果を踏まえてというサブタイトルをつけさせていただきましたけれども、実は東先生が研究代表者としてやっていらっしゃいます「希少がんの定義と集約化に向けたデータ収集と試行のための研究」というものがありまして、これを活用しまして診断を行っている病理医に対してアンケートを実施いたしました。その結果でございます。

 2枚目のスライドですが、アンケートの対象は診断を実際に行っている病理医に対して行いました。

 2部構成としまして、第1部では欧州の希少がん分類「RARECARE分類」のLayer1Layer2に記載されているがん種、257診断名がついているのですが、これのそれぞれ下記の4項目をYESNOで回答してもらいました。

 (1)このがんは「希少がん」に含まれると思いますか。

 (2)このがんを、最近5年間で1症例以上診断したことがありますか。

 (3)このがんを診断する際には、専門家(コンサルテーション等)に確認したいと思いますか。

 (4)このがんの病理コンサルテーションを充実すれば、予後の改善が期待できると思いますか。

 こういう4項目を257診断について、それぞれ回答してもらうようにいたしました。

 第2部は、希少がんに関しての自由な意見を記述形式で記載してもらうという形式にしました。アンケートの有効回答者数は177名でした。3時間ぐらいかかるアンケートで非常に大変だったのですが、その割によく答えてくださったと思っております。

 スライド3です。アンケートの回答者の内訳でございます。施設の専任病理医数が2人以上の病院のほかに、後で出てきますが、1人病理医の病院は非常に多いのですけれども、しかも忙しい方が多いのですが、1人病理医が全体の約4分の1の回答が得られております。年齢階級、専門医の取得率、そしてどこの施設に所属するかというのもアンケートで伺いました。専門医の取得率は全体の大体8割くらいということで、アンケートに回答してくださった方の8割が専門医を取得していらっしゃるということです。

RARECARELayer1Layer2に含まれる疾患の内訳というのが4枚目のスライドになります。がん種が実は186疾患ということで、Layer2までですと非常にがん種の割合が高くなっております。この中で右側の円グラフですが、50%以上の病理医が希少がんと回答した疾患の割合です。がん種が数が多いということでがん種の疾患数が多いのですが、左下の棒グラフ、希少がんの率というものを見てみました。肉腫が28疾患含まれていましたが、この28疾患のLayer1Layer2の肉腫の中で、希少がんと病理医が考えているものが全体の約半分あった。脳腫瘍は40%、がん腫は31%、血液が25%でした。さらに希少がんとした疾患中、コンサルテーションを希望する疾患率はどれぐらいあるかということを調べてみますと、実は肉腫では85%以上の病理医がコンサルテーションが必要であるという回答を得ていて、かなり高い率であると思いました。同じように脳腫瘍で7割弱、血液では6割弱の病理医がコンサルがあれば非常に安心する正確な診断にたどり着くというような回答が得られました。

 5枚目のスライドです。問4に病理コンサルテーションを充実すれば予後の改善が期待できると思うかという質問を病理医に投げかけましたが、右側の棒グラフをごらんください。RARECAREの疾患カテゴリー別の病理診断コンサルにより予後の改善が期待できる疾患率というのは、実は肉腫では何と9割ぐらいの疾患を病理医が病理診断がしっかりすれば予後が改善できるだろうというふうに回答しておりました。血液では約半分、脳腫瘍でも5分の1の患者さんの予後の改善に期待できるという回答が病理医から得られております。

 6枚目のスライドですが、アンケートの1部のまとめです。病理医が希少がんとした疾患はRARECAREの頻度による疾患名とほぼ一致しておりました。

 (2)ですが、肉腫では85%以上の疾患でコンサルテーションの必要性を感じているということで、かなり高い率で現場で診断する病理医がコンサルテーションの必要性を感じているという結果が得られました。

 (3)ですが、希少がんの病理診断コンサルトを充実することで予防改善につながるという回答が非常に多数寄せられていたというのが、今回のアンケートで非常に印象的であったことでございます。

 アンケートの第2部は底の四角に書いてありますように、自由回答形式にさせていただきました。

 7枚目のスライドです。第2部の問1は、病理医が考える希少がんの頻度ということです。円グラフで書かせていただきましたけれども、10万人当たり何人ぐらいが希少がんと考えるかという質問に関しましては、大体5人未満が7割弱、10人未満が20%で、2つ合わせて約90%の病理医が大体10人未満が希少がんだろうということで、今回、希少がんの定義は6人未満ということでしたが、それとほとんど差異がないような結果がアンケートでも得られました。

 問2としまして、国策の優先順位ということで、どういうことが現実としてあった場合に国策を優先して考えるべきかということなのですが、やはり第1位は生命予後が悪いということは国として対策を早急に講じるべきであるということで、重要度が非常に高いという人数が最も多かったのですが、病理診断ということで2番目は診断が困難であることに対して、国の政策が非常に優先順位が高いのではないかと答えていました。

 問3bに集約化についてという質問を設けました。左側に書かれていますように、病理診断や画像診断、手術、化学療法、こういうものを集約化するとしたらどうするか。ただ、集約化しない場合には集約化しないという回答欄を設けさせていただきまして、回答をいただきましたところ、病理診断に関しましてはいろいろな項目の中で最大なのですが、99名の方が実は集約化しないほうがいい。その数は大体6割弱の病理医が集約化しないという回答が寄せられております。

 8枚目のスライドですが、病理診断を集約化すべきでないという中で意見として多かったものを挙げました。

 (1)国立がんセンター・病理学会などのコンサルテーションシステムを活用すれば、病理診断に関しては患者集約の必要はない。むしろ患者を紹介しているうちに病理診断までの時間がかかり、治療がおくれる。病理診断バーチャルネットワークの構築、ネットワークで病理診断部門を連結、これが必要ではないかという意見も多数寄せられております。

 また、地域中核病院全てにバーチャルスライドスキャナーを政府の財政支援のもと装備してはどうか。体制整備により特に希少がんでは正診までの時間が短縮する可能性があるということを挙げている病理医が多数いらっしゃいました。

 下にバーチャルスライドスキャナーというものを書かせていただきましたが、写真は実際に東大で使っているバーチャルスライドスキャナーです。病理の標本を焦点深度を変えて画像として取り込むことで、標本というのはガラスのプレパラートですが、パソコンのモニター上で通常の顕微鏡と同様に倍率を変えて観察することを可能にする装置です。テレパソロジーなど実際の病理診断の現場で使用されております。画像容量が大きく、従来のネットワーク回線では転送不可能でありましたが、最近、転送可能な技術が開発されまして、画像を実際に送ることが容易になっております。実はこのバーチャルスライドスキャナーに関しましては2006年、厚生労働省がん対策推進室におけるがん診療連携拠点病院の遠隔画像診断支援事業の財政支援によって、約200台のバーチャルスライドスキャナーが既にがん診療連携拠点病院に入っております。

 スライドの9枚目、希少がんの病理診断の問題点について2つ挙げさせていただきます。

 まず、皆さんも御存知だと思うのですが、病理医不足があります。(1)は実は1人病理医の病理医率を示させていただきました。実は病理が専任でいる病院はふえてきておりますが、実は1人病理医の病院が非常にふえている。何が困るかというと、コンサルタントに相談したいと思ったときに相手がいないという病院が、実に全体の45.8%を占めております。

 2番目に、病床数に対する常勤病理医が勤務する病院の割合ですが、ごらんいただきますように500床を超えるような大きな病院でも病理医が専任で勤務する病院の割合が64.5%ということで、日本ではまだまだ大きな病院であっても病理の専任がいないという病院が非常に多数存在しているということが問題点として浮き上がってきております。

 3番目、平成26年の病理専門医の地域分布です。これは非常に地域格差があります。関東支部には35%以上の病理医が集中していまして、地域格差は3倍以上とも言われております。このような地域格差が実際に病理の診断に一部影を投げかけている原因ではないかと考えております。

 (4)はアメリカとの比較になります。アメリカでは人口10万人当たりのアメリカの病理の診断医を100としますと、日本は32.1と人口10万人当たりの病理医の数はアメリカの3分の1未満です。さらに大きな違いは、アメリカは専門の臓器のみを診断しております。私の知っている知人も前立腺がんしか診ない。ただし、前立腺がんの診断に関しては非常に深い知識を持っているというような、専門分野しか診ないというような体制が構築されていますけれども、日本の場合には実は1人の病理医が全身の疾患を診断するということで、どうしても広く浅くなりがちであるということになります。ただ、日本の病理医の場合でもサブスペシャリティーをほとんどの病理専門医が持っていますので、その分野に関しては非常に深い知見を有している病理医というのが実は非常にたくさんいるということになっております。実はこのサブスペシャリティーに関しましては、最近、病理学会で把握するためにアンケートをとりまして、専門医のサブスペシャリティーを大体把握できております。

 さらに2つ目の問題点としましては、希少がんの病理診断は診断が難しいということがあります。1回目の検討会でも話していただきましたが、例えば卵巣腫瘍の場合には境界悪性病変という言葉、Borderline malignancyという言葉が診断基準の中にも入っております。大腸ポリープのような非常に頻度が高い疾患でも良性から悪性へ連続的に移行する。腺腫の中にがんが一部混じっているというようなものがわかっております。

 さらに子宮腫瘍では病理診断基準が完全には確立していない。西田先生の発表の中にもありましたが、こういうものが非常にたくさんある。例えば子宮平滑筋腫の分類は右側の四角にまとめましたけれども、8つぐらいの診断基準があります。左側のベン図に示しましたが、右側のマル1〜マル5は実は子宮平滑筋腫というものです。良性です。マル8が子宮平滑筋肉腫というものです。悪性です。非常に悪いとされています。この重なった部分に実はマル6とマル7、異型子宮平滑筋腫というものとSTUMPという病変が入ります。STUMPは右側の四角の一番下に書かせていただきましたが、uncertain malignant potentialと書いていますが、悪性度がよくわからない腫瘍が実はこの真ん中の部分に入ってまいります。このように診断基準が必ずしも確立されていないというのが、実は子宮の腫瘍では非常に問題視されている。ただ、この重なりの部分、ベン図の真ん中の部分、マル6、マル7の部分はサブスペシャリティーであればあるほど狭くなります。専門外になればなるほどここの部分が広くなって、それが診断の不一致につながるのかと考えております。

11枚目のスライドですが、病理診断のコンサルテーションシステムは実はたくさんあります。病理学会の本部・支部で運営しておりますコンサルテーションシステム。日本病理学会の病理情報ネットワークセンター、コンサルテーション掲示板・会議室。国立がんセンターのコンサルテーションシステム。特定機能病院等による有料コンサルテーションシステム、たくさんあるのです。重要なのは、実は入口は違うのですが、コンサルタントは共通の限られた病理医に全て集中するということでございます。

 病理学会のコンサルテーションシステムの模式図及び実績を表にまとめさせていただきました。病理学会が運営しているコンサルテーションシステムの問題点は、まずコンサルタントを決定するまでに非常に時間がかかっているということでございます。コンサルタントは限られており、事務局が都合などを伺って、あるいは人選に時間、手間が非常にかかっていることで診断の遅延につながっております。これは先ほど少し言いましたが、コンサルタントが非常に重なっていて、ほかからのコンサルテーションを受けているので今はちょっと受けられないよということで、コンサルタントの決定に非常に時間がかかっているというのが問題です。

 さらに、コンサルタント病理医の負担が非常に大きい。これは西田先生のお話の中にもありましたが、実は病理学会が行っているコンサルテーションシステムのコンサルタントは無報酬です。また、診断に苦慮する検体が多くて、しばしば免疫染色とか遺伝子検査などが必要になってきますが、これは全てコンサルタントの施設で持ち出しで行っています。時に数万円ぐらいお金がかかるのですが、こういう支援が今のところなくて、こういうものが日本病理学会のコンサルテーションシステムの問題点として挙げられております。

 実は日本病理学会には、12枚目のスライドですが、もう一つのコンサルテーションシステム、これは新しくつくったものですが、病理情報ネットワークセンターというものを病理学会の100周年記念事業の一環として立ち上げました。3,000万円ぐらいのお金を投入して立ち上げたのですけれども、病理医のクローズドのサイトで病理学会のホームページの中につくっております。臓器別の病理組織標本など、バーチャルスライドをアップすることで教育用にも使用可としております。また、診断に苦慮した症例のバーチャルスライドでのコンサルテーションの依頼も可能です。会議室というコンテンツがありまして、複数の病理医が同時にその標本を見て鑑別診断などディスカッションするという機能も備えております。最終的には下に小さい字で書かせていただきましたが、やはり未染色のプレパラートを使って免疫染色や遺伝子検索などが必要になってきますけれども、当たりをつけるという意味では非常に有用なコンサルテーションシステムかなと思っております。

13枚目のスライドですが、国立がんセンターの病理コンサルテーションシステムです。実態を簡単に箇条書きさせていただきますと、毎年1,000万円ほどの予算で運営されている。病理診断医には1件6,000円ぐらいの謝礼が実際に支払われております。ただ、この謝礼というのは運営交付金や税金によって賄われていることになります。

 下の四角が問題点ですが、日本は国民皆保険制度で米国のような高額のコンサルテーション料、数万円から10万円以上とられますけれども、これを患者負担で受けられるようなシステムの構築は現実的には困難であろう。コンサルタントの負担に対する対価、特に骨・軟部の専門家のコンサルタントにはフル稼働でコンサルテーションを委託していて大変な負担になっている。さらに、しばしば診断に不可欠である免疫染色、遺伝子検索はコンサルタントの持ち出し、これは病理学会でも全く同じですけれども、6,000円の謝礼が対価になっていないという問題点が挙げられております。

 さらに京都大学で有料コンサルテーションシステムを運営しておりますが、件数が多くなるとコンサルテーションを処理するための手続、必要な染色等を追加する作業量が非常に増加する。この増加に伴いましてコンサルテーションを依頼される病理医だけでなく、コンサルテーションを依頼される周囲、その施設の周囲の検査技師等にも非常に負担がかかっています。ただ、部門別の稼働収支には反映しないものが多くて、人数の増員等につながらないという問題を現場では抱えているようでございます。

 参考として、非常に小さくて申しわけないのですが、病理診断に関する診療報酬上の問題点、アメリカと比較したものを掲載させていただきました。アメリカでは米国の病理診断料というのはMedicareの資料を書かせていただきましたけれども、難易度や標本枚数によって非常に多段階になっているというもので、肉眼診断も円換算で1,527円と書かせていただきましたが、そういうものから4万5,000円ぐらいのものに非常に細かく分類されています。日本の診断料は一律4,000円ということで、こちらも非常に問題がある。さらに病理診断料の算定というのは月1回だけなのです。そこに書かせていただきましたように、月初めに胃生検を1回診断してしまうと、同じ患者さんで何検体出てきても診断料は以降とれないという問題点があり、これはここの検討会とか、厚生労働省の健康局の問題ではなくて医療課の問題かもしれないのですが、こういう問題を抱えているということを御認識いただければということで書かせていただきました。

 次のスライドが我々東大病院で実際に行っている病理診断支援の模式図です。このようにインターネットはスマートVPN回線を使っているのですが、現在3施設行っていますけれども、非常にスムーズに行えて、全くバーチャルスライドによる診断には問題がないということを示させていただいております。

 次のスライドですが、実は文部科学省で課題解決型高度医療人材養成プログラムというものの募集があって、そこで特に東北地方をうちの大学で支援できないかというもので提案したものでございます。これもネットワークをつなぐということが基本になっておりますが、東北の場合には病理専門医が非常に高齢化しているということと、人材不足ということで人が足りないということで、この支援を考えたシェーマでございます。東大には病理専門医が11名いるのですが、この専門医で何とか東北の病理診断を支援できないかということで考えたものでございます。大学間のセキュアな基盤構築を行って、それぞれの大学の特色を生かした補完的な病理診断の連携と診断体制の構築を考えておりました。

 さらに4番目にありますけれども、難病性疾患・がん、特に希少がんを含むのですが、この病理診断支援及びデータベースを構築して、一旦は病理学会の情報をネットワークセンターにためますけれども、これをしっかり利用できるような形でサイバー大学等を利用して皆さんに情報を提供して、それを見ていただくというものも公開したいと考えております。

 最後のスライド、結語ですが、希少がんでは特に迅速かつ正しい病理診断が早期治療導入の上では最重要。そのためには最前線での的確な診断が得られるためのコンサルテーションの迅速化、充実こそが求められると考えております。

 病理学会が行っている2つのコンサルテーションシステムの活用は可能です。ただし、希少がん病理診断を十分にサポートするためには、人やホームページの管理等の支援が若干必要かなと思っております。さらに診断に不可欠な免疫染色、遺伝子検索などがコンサルタントの完全な持ち出しになっており、仕組みあるいは支援策の検討が必要で、平成28年の診療報酬改定がありますが、こういうものでの報酬化というものも少し考えていかなければいけないかなと思っております。

 さらにバーチャルスライドを用いた診断支援ネットワーク構築、これは迅速診断、希少がんの診断には非常に有用です。バーチャルスライドスキャナーは厚生労働省の支援でもって200施設ぐらいに入っておりますが、実はがん診療連携拠点病院を中心に入れてくださっているのですが、実際に必要な1人病理医の病院にこれが装備されている病院が非常に少ないのです。ですので、例えば装置を装備するのに支援等をいただければ、バーチャルスライドで気軽にコンサルテーションを依頼できるようになり、時間がかかることもなく病理ネットワークセンターなどでディスカッションができるようになるのかなと考えております。

 以上です。ありがとうございました。

○堀田座長 よくまとめていただいて、問題点もクリアだと思います。

 基本的には今、御発表いただきましたように、病理診断そのものについては、患者が移動するというのは今の情報化時代にそぐわないだろうというのは皆さん一緒だと思います。問題は遠隔診断するシステムがきちんと確保されているか。そういったネットワーク化ができるかという問題です。今、御紹介いただきましたように、幾つか自発的に行われる、あるいは国の施策として行われているコンサルテーションシステムが既存としてあるのだけれども、全部を網羅しているわけではありません。これをどう今後、集約化していくのか、あるいはシステムをネットワークとしてきちんと構築するかという問題だと思います。

 佐々木構成員の御発表に御意見や御質問がありましたらよろしくお願いいたします。

○岩本構成員 コンサルテーションシステムとかネットワークが極めて重要だということで、私も非常に先生のお考えどおりだと思います。もう一つの問題は、病理医不足のことを言われましたけれども、希少がんをサブスペシャリティーとする専門の病理医が少ないのではないか。私たち骨軟部腫瘍なのですが、骨軟部腫瘍を専門とする病理医が少なくて、むしろ減少傾向にあるということが大きな問題で、この絶対数をふやすことがネットワークを構築する上でもコンサルテーションする上でも、要するに相談する相手がいなければどうにもならない。ぜひふやす方策を私たちは考えるべきではないかと思っています。

○堀田座長 ちなみに佐々木先生、肉腫を対象にして挙げた場合に、肉腫なら私が診断しますから、どうぞ送ってくださいというレベルの病理医というのはどのぐらいいらっしゃるのですか。

○佐々木構成員 10名ぐらいだと思います。ただ、実は日本病理学会の総会の中で病理診断の講習会というものを積極的に行っていくということで、本当の専門家に行く前に、ある程度層別化できるようなある程度の診断ができますよという病理医の教育をやっていく必要があるのかなということで、病理の診断講習会というものを開いております。そこでは難しい病理診断ということで肉腫なんかが頻繁に講習会の題材として取り上げられておりますので、そういうところで一般の病理医のある程度の肉腫に関しては診断ができるような能力を高めていくことは、1つ学会としてやるべきことかなと考えております。肉腫の本当の専門家というと本当に少ないので、増やしていくことが重要だと思うのですけれども、そういうある程度診断能力を高めるということも学会の努力として行っていきたいと思っております。

○堀田座長 ほかの希少がんでも同じような傾向があるのですか。希少がんなら何でも診ますという人は余りいないのですか。

○佐々木構成員 いないです。全部臓器別とか疾患別に分かれています。

○堀田座長 馬上構成員、どうぞ。

○馬上構成員 御発表ありがとうございました。

 病理の問題は本当に患者にとって生死にかかわるもので、きょう資料で出させていただいた要望書なのですけれども、1番に病理診断の正確性と迅速性の向上を挙げさせていただきました。体験談のほうにも病理が二転、三転されて何年も病院を回っていらっしゃる方がいらっしゃいますので、今、御発表いただいたような病理医が不足しているところを補って、ネットワークシステムとか診断を向上させるという対策を早急にやっていただきたいというのは、本当に患者側からは申し上げたいと思います。

 1つ質問なのですけれども、1人病理医のところに装置がないとおっしゃっていたのですが、もし1人病理医のところにこの装置が全部行き渡ると、希少がんの方の病理というものがより迅速になる可能性というのは大きいのでしょうか。

○佐々木構成員 あると思います。非常に使いやすい装置なので、簡単に実は希少がんだけではなくて、私も1人病理を6年やったのですけれども、背中をたたいてほしいという診断はたくさんあるのです。こう思うのだけれども、これでいいか。そういうものはバーチャルスライドスキャナーがあれば、これはどうですか。こう思うのだけれども、どうですかという相談は気軽にできるようになると思いますし、実際にバーチャルを備えてあるところでは、こうなのだけれども、これはどうですかという相談がよく来ますので、やはりそれはできるようになるのではないかと思います。

○堀田座長 そのバーチャルスライドスキャナーについては、双方が持っていないとだめという形になりますか。

○佐々木構成員 依頼する側が必要なのです。

○堀田座長 受ける側はどうですか。

○佐々木構成員 受ける側はパソコンだけあれば大丈夫です。

○堀田座長 スライドが見られればいい。

○佐々木構成員 はい。

○馬上構成員 ぜひ1人病理医のところにそれを配置していただいて、希少がんの患者を吸い上げていただきたいと思っています。

○堀田座長 松本構成員、どうぞ。

○松本構成員 病理診断についてです。現在のコンサルトという形ですと病理診断については、意見を述べるという程度の内容であり、責任をとらないレベルになってしまいます。そこできちんと財政的な裏づけ、つまり料金が発生すれば、確定的な診断をつけるようになると思います。両者には、診断のクオリティーにおいて大きな違いがあると思うのです。今は財政的な裏付けに乏しく、ほとんど病理の先生方の善意で支えられた診断です。

ですから財政的な裏づけがあり、例えば1件5万、6万という料金が発生して診断をつけるということこそが、病理診断のクオリティー、精度を上げるためにも絶対的に必要だと思います。善意でやっているうちは、なかなかうまくいかないのではないかと思っています。

 

○堀田座長 いわゆるコンサルテーションではなくて、最終診断の責任を持つということになるのですか。

○松本構成員 そうです。私はそこのところまで必要なのではないかと思います。

○堀田座長 加藤構成員、どうぞ。

○加藤構成員 国立がん研究センター中央病院と東病院の希少がんホットラインには、毎日のように病理の不一致とか完全不一致という電話がかかってきて、その電話が個人の方とか小さな病院の方の先生方から来ることがあるのです。肉腫までは診断できたけれども、わからなくて2、3カ月たったら患者さんのぐあいが悪くなってしまったのでどうしたらいいですかという問い合わせがあるのです。そのときに病理診断コンサルテーションシステムというものを知らなかったという方が結構先生方で多いようなので、病理学会のほうとかでもう少し周知していただければ、もう少し希少がん患者さんが助かるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○堀田座長 なるほど。

 馬場構成員、どうぞ。

○馬場構成員 佐々木先生に非常にわかりやすい資料をおまとめいただきまして、ありがとうございました。病理医が全国的に非常に不足している。中でも希少がんを診られる方が非常に少ないという割には、病理の先生方は集約を余り希望されていないというところがありますので、やはりコンサルテーションシステムを充実させることが非常に重要だろうと思います。そして、どこにどういうふうにアクセスすればコンサルテーションができるのかということの情報も流すということと、もう一つは最終的なコンサルトを受けた先生方が正確な診断を下すために、遺伝子検索等までする上でのコストはかなりかかるというところは、何らかの財政支援をしないと質の担保ができないかなと考えております。

 以上でございます。

○堀田座長 そうですね。4,000円一律というのではなかなかペイしないということと、診断医に何らかのインセンティブが働かないとこれ以上過重に、しかもボランタリーでやるというのは限界があるという話だったと思いますが、皆さんその辺の認識は同じでしょうか。

 そのほかよろしいでしょうか。そうしましたら時間の都合もありますので、後でまた総合的にディスカッションをさせていただくことにいたしまして、次は希少がんにある程度絞った形にはなるかと思いますけれども、臨床研究、臨床試験について福田参考人からお願いします。

○福田参考人 国立がん研究センターの福田治彦と申します。

 国立がん研究センターを中心に活動しております多施設共同研究グループのJCOGというグループのデータセンター長をやっております。私の方からは、実際に希少がんに対して研究者主導の臨床試験をやっているのは日本ではJCOGだけだと思いますので、その現状をお示しして、どういうふうにJCOGを活用していただけるかという展望といいますか、御意見をいただければと思います。

2のスライドは釈迦に説法ですが、がん治療の特徴を示しています。希少がんに限らず、手術と放射線治療と薬物治療が、がん治療の3本柱と言われていますが、それぞれ1つの柱で根治するがんは決して多くありませんので、多くのがん種においてこれら複数の手段(モダリティー)を組み合わせる治療が標準治療となっており、その組み合わせる治療を集学的治療と呼びます。多くの希少がんにおいても集学的治療が標準治療となっていることが多いという状況であります。

 めくっていただきますと3のスライドですが、そのため循環器等の薬物治療を単独で行うような疾患領域とは異なって、多くのがん種の患者さんに対しては、このような複雑な治療開発の道筋がどうしても必要になります。薬物療法で言いますと、製薬企業が担います単剤としての治療開発や併用の薬物療法の開発がありますが、それだけではなくて手術や放射線治療と組み合わせる集学的治療の治療開発というものが必要で、その多くが右下の部分に相当するわけですが、これらは誰かがやらないといけませんが、製薬企業は行いませんので、研究者が主導でやってきたというのが世界的な趨勢であります。

 4枚目のスライドですが、それをヨーロッパやアメリカで担ってきたのが、がんの多施設共同臨床試験グループであり、これをCooperative Groupと呼びます。それらが集学的治療の開発(後期治療開発と呼びます)の研究者主導試験を担ってまいりました。アメリカでは1950年代後半からたくさんありますし、ヨーロッパでもたくさんありますが、有名なところではEORTCというものが有名です。日本ではこのCooperative Groupの構築が非常に遅れて、30年ほど遅れたことががんに対する研究開発の遅れの大きな原因になっていると思っています。このCooperative Groupというものの特徴は、試験ごとの組織ではなくて、恒常的な活動を行っておりまして、がんでは非常に欧米では一般的でありますが、がん以外では決して一般的な組織ではありません。がんに特化した組織というか形態ということであります。アメリカにおいてはどれぐらい一般的かといいますと、がんの臨床試験、全ての製薬企業の治験など全部含めて、がんの臨床試験に参加されている患者さんのうち6割が、9つありますCooperative Groupのどれかの試験に参加しておられるということで、非常にメジャーな存在であります。日本ではそれほどメジャーにはなっておりません。

 5枚目のスライド、ドラッグラグの問題も含めまして抗がん剤に関してもアメリカが最も先進国といいますか、進んだ状況であるというのは皆さん御存じのとおりですが、何が違っていて、何が真似できるのかということを知っておく必要があると思いますので、アメリカの体制について少しお示しします。少しビジーな絵ですけれども、一番上が厚労省に相当します健康福祉省と呼ばれるところで、それの下に皆さん御存じのFDAという食品医薬品局というところと、それの並列でNIHという政府機関があります。

NIHというのは26のおおむね疾患別に分かれた国家機関の集合体なのですけれども、そのうちの1つ、最大のものがNCINational Cancer Institute)であります。NCIが何をやっているかといいますと、その左下にあります、全米で60の、NCIがサポートしているキャンサーセンターにお金を出してがんの研究をやらせている。それから、真ん中の下にありますが、NCIがスポンサーするCooperative Groupにお金を出して臨床試験をやらせているわけです。実はそれだけではなくて、NCIの中のCTEPと呼ばれる部分の隣のDTPというところがあるのですが、これが実はワシントン郊外に工場を有する研究所を持っていまして、NCI-Frederickと言うのですが、ここで抗がん剤の治験薬の製造をしています。国の機関が抗がん剤を治験薬として製造し、それをNCIがスポンサーするキャンサーセンターに配って、医師主導治験あるいは国家主導治験と言われる形でがんの治療開発を行っています。第2相試験までやって有望なものを無償で製薬企業に譲渡をし、製薬企業が第3相試験を治験として行ってFDAに申請をして、それが承認されれば抗がん剤が市販されるという構造になっているわけです。市販された抗がん剤をCooperative Groupが待ち受けていて、併用化学療法とか集学的治療の開発をするという体制です。すなわち左上に書いておりますが、国家機関がみずから抗がん剤を製造して治験を実施するというところが日米で最も違うところであります。もちろんヨーロッパにもこれに相当する機関はなくてアメリカだけでありますので、抗がん剤がアメリカで最もたくさん新しく生まれてくるというのは、まさにこの仕組みがあるからです。これが一番大きな違いです。これを全部日本で真似するわけにはいかないので、日本は別の方法をとる必要があるかと思います。

Cooperative Groupの仕組みというのは、こういうアメリカのがんに対する治療開発体制全体の中の1つの仕組みであります。おおむねその試験ごとではない恒常的な組織としてあるわけですけれども、統計家が率いますStatistical/Data Centerと呼ばれるところと、MD(医者)が率いますOperations Officeと呼ばれる2つのヘッドクオーターを持ち、がん種別のサブグループがあって、その下に参加する医療機関があるという構造を持っていて、NCIがこのようにつくっておりますので、アメリカ、ヨーロッパの、特にアメリカですけれども、Cooperative Groupというのは皆こういう同じ構造を持っております。

 7枚目のスライドですが、こうした背景から、がんのCooperative Groupの使命というのは、一言で言いますと製薬企業がカバーしない治療開発を行うことと言えます。これはすなわち大きく2つあって、後期治療開発と希少がんの治療開発ということになります。後期治療開発としては多施設共同での併用化学療法と集学的治療の開発の第2相試験、第3相試験が使命となります。企業が行わない部分です。

 下に黄色で囲みましたように、希少がんの治療開発も、当然各希少がんの領域単独で人、組織を維持するのは効率的ではありませんので、やはり希少がんの治療開発に関してはアメリカでもCooperative Groupがそれぞれのがん種ごとのサブグループを持って研究開発をしているというのが国際的な姿であります。適応外使用に関してもCooperative Groupが担ってまいりました。

Cooperative Groupというものが大体どんな感じかというものを見ていただくために、8枚目のスライドでありますけれども、アメリカの代表でSWOG、ヨーロッパのEORTC、我々JCOGと並べました。臓器グループ数としては1020ぐらい、医療機関数としてはJCOG2.5分の1ぐらいになります。試験数も半分以下ぐらい。年間に開始する試験数も3分の1ぐらい。まだまだJCOGSWOG等には及ばない状況ではあります。

 めくっていただきまして、そのようにある意味、アメリカを真似てつくってきた仕組みでありますけれども、9枚目のスライドにありますように、JCOGは国立がん研究センターの研究開発費の研究班を中心とする多施設共同臨床試験グループと説明ができます。JCOGとしては任意団体でありまして、法人格は持っておりません。去年末の時点で32の研究班の集合体となっております。

10ページ目、JCOGの機構ですが、アメリカのCooperative Groupをモデルにつくりましたので、ほぼ同じ構造をしています。専門領域別グループが16ありまして、希少がんに関しては骨軟部腫瘍、脳腫瘍、皮膚腫瘍、頭頸部癌も入れると4つになります。骨軟部腫瘍グループは今日お見えの岩本先生が代表者を務めておられます。このような構造をしております。

11枚目ですけれども、グループ別の患者登録数を示したものですが、やはり胃がん、大腸がん、肺がんといったメジャーながんが多いのは当然でありまして、脳腫瘍グループ、骨軟部腫瘍グループというのは頻度が少ないですから、約1%程度の患者さんの登録がされていることがわかります。

12枚目、下の部分ですが、これはJCOGの特徴を示したものですけれども、臨床試験登録がされている試験の治療の内訳を示したものです。左から6つがアメリカのグループなのですが、SWOGとかNCCTGとかCALGBというのはマルチモダリティーといいますか、集学的治療の治療開発をやるグループと称しているのですが、実際には薬物療法の試験が大部分でありまして、このうち幾つかは製薬企業のスポンサーを受けた治験という形でやっているものもあります。

 国内の日本のグループ、右のほうでWJOGJALSGもほとんど薬物療法ですが、JCOGは、手術のみの試験も世界で一番たくさんやっていますし、集学的治療の開発を比較的バランスよくやっているということになります。

 希少がんの話にいきますが、7ページ目の13番目のスライドに示しましたように、希少がんグループに相当します骨軟部腫瘍グループ、脳腫瘍グループ、皮膚腫瘍グループそれぞれ30施設、35施設、17施設ありますが、がん診療連携拠点病院かどうかということを見てみますと、ほとんどが都道府県拠点もしくは地域拠点です。ほかのメジャーなグループは市中病院ですとか県立病院の割合がもう少し高いのですが、希少がんの3つのグループの特徴としてがん診療連携拠点病院の割合が非常に高いということが言えます。

 希少がんとしてのモデルが骨軟部腫瘍グループだと思うので、14枚目のスライドでお示ししました。一応、全国満遍なくおおむね散らばっているという状況がごらんいただけるかと思いますが、先ほどもお話が出ていた東北、信州、山陰、四国あたりはJCOGの骨軟部腫瘍グループとしては手薄な部分かもしれません。

15枚目のスライドを見ていただきますと、グループ別の参加施設数も希少がんのグループは参加施設が割と少ないほうに入っております。JCOGに参加している担当医は全てデータベースに登録されているのですが、その人数を示したのが右側で、やはり脳腫瘍、骨軟部腫瘍、皮膚腫瘍が登録担当医も少ない。それを参加施設数で割ったのが15枚目の下のスライドで、1施設当たりの登録担当医数を示しました。これは、その診療科における医者の数ですから診療科の規模をあらわしていると思うのですが、脳腫瘍、骨軟部腫瘍、皮膚腫瘍グループというのは少ない。つまり診療科としても少ない医師で何とか日常診療も負担しながら研究に参加していることがよくわかります。

 下の16枚目のスライド、ここから私見といいますか意見になりますが、均てん化と集約化は先ほどからも出ていますが、研究の観点から見てもやはり実施機関の集約化はやむを得ないと思います。というのは、がんの集学的治療の臨床試験というのは基本的に誰がやっても安全というわけではありませんので、先ほどのしっかりしたがん診療連携拠点病院を中心にやらないと患者さんを危険にさらすことになります。安全に、科学的、倫理的に臨床試験をきっちりやれる病院というのは特に希少がんでは少ないと言わざるを得ないと思います。実際に都道府県がん診療連携拠点病院と、地域拠点の中でも大学病院がほとんどを占めています。ですので各臓器グループというか診療科別にネットワークはつくらざるを得ないと思うのですが、全体としてはそれぞれのグループでのJCOG参加施設にそれ以外の臨床研究中核病院を若干足したような4050施設ぐらいが、実際には集学的治療の研究者主導の臨床試験をやる構造として現実的であろうと思います。これが100150ぐらいまでになると患者さんの安全が保てないと思っています。

 ただ、下のポツですが、治験とかの実施状況の「情報の均てん化」は当然可能だと考えていまして、現在のところ、実施中の研究・治験の情報というのは必ずしも患者さんが見やすい形で取りまとめられておりませんので、これをがん対策情報センターと協力しまして、実施中の研究の情報を研究実施医療機関から集めて、それをホームページでわかりやすく患者さん・御家族あるいは他の医療機関に提供します。そして、患者さんを研究実施医療機関に紹介していただくという形が一番現実的ではないかと考えています。

 最後めくっていただきまして、これは国立がん研究センターで川井先生の希少がんセンターと我々の研究支援センターとで構築し始めたシステムなのですけれども、左側が既存の今あるシステムです。これはがん対策情報センターのがん情報サービスの中に「がんの臨床試験を探す」というコーナーがありまして、これがUMIN-CTRという研究者主導の臨床研究が登録されているデータベース、企業主導治験のJAPICというデータベース、医師主導治験の日本医師会のデータベース、の3つから網羅的にがんの臨床試験あるいは治験を引っ張ってきて、それをいろいろながん種別に見られるようにしたサイトであります。ただし、これは希少がんに特化したものではなくて、全がん種に対応しているということと、網羅性を重視しておりますので、必ずしも1つのがんに限ったときに情報が見やすい形になっているわけではありませんので、これを希少がんというくくりで、例えば骨軟部腫瘍あるいは骨軟部肉腫、脳腫瘍、皮膚腫瘍みたいな形で抽出して、別のページに引っ張ってきます。それを実際に臨床試験や治験に参加される希望のある患者さんあるいは患者さんが診療されている医師が見たときに、どこに行けばどの治験あるいは臨床試験をやっているんだということが見やすいようなサイトを構築しようということで、現在着手したところであります。

 以上です。

○堀田座長 臨床試験、臨床研究という視点から希少がんについて解説していただきましたけれども、何か御質問や御意見はありますでしょうか。

 臨床試験に登録するときに、当然診断をつけてから登録をするわけですね。希少がんを対象とするJCOGのグループは、病理診断の部分はどういうふうにやっているのですか。最終的に中央病理診断をやるのでしょうけれども、登録する段階ではどのようにやっているのですか。

○福田参考人 登録する段階では、施設の病理の先生が診断した診断名に基づいて登録をせざるを得ないので、それで治療は始めるのですけれども、骨軟部腫瘍グループの試験は基本的に全部病理の中央診断をやることになっていますので、後から病理の検体を集めて中央病理診断を行います。ですので施設の診断が中央診断とどれくらい不一致だったかというのはJCOG試験に関しては全部わかっています。ただ、今までやったJCOG骨軟部腫瘍グループの試験では肉腫でなかったものを肉腫と診断されているという不適格例はほとんどなかった。1例もなかったのではないかと思います。ですのでJCOGの骨軟部腫瘍グループに入っている施設の病理の診断はかなり確かだろうと思っています。ただ、問題はほかのところから照会してくる患者さんを集約化するときに、そこをどう担保するかというところがテーマかなと思います。岩本先生、何か補足ありますか。

○岩本構成員 極めて一致率が高くて、中央病理診断で最終的に確定するのですけれども、地域の各病院の病理診断が間違っているというのはほとんどなくて、今までで2例ぐらいでしたでしょうか。それぐらいのものでほとんど一致しております。

○福田参考人 細かい亜型の不一致はあるのですけれども、その試験に入れるべきでなかった人が入ってきたというのはなかったと思います。

○堀田座長 そういうことですね。そうしますと一定程度、質が保証された病理診断というのはできるということで、後で振り返ってみるとそんなに先ほど報告があったほどの不一致率はないと考えていいのでしょうか。

○福田参考人 今のところ30施設ぐらいできちんと臨床試験ができる施設に限っていますので、そこの中だけで見る場合にはできているのですが、それを広げるときにどう質を担保したまま広げるかというところだと思います。

○岩本構成員 ただ、中央病理診断のシステムが今後も必要かどうかというと、絶対に必要だと思っております。というのは先ほどの婦人科の病理診断の難しさのことがありましたけれども、骨軟部腫瘍は非常に診断が難しいので、中央病理診断で質を担保するということは今後も続けていきたいと思っています。

○佐々木構成員 JCOGの骨軟部腫瘍グループの30施設というのは非常にレベルの高い病理医が配属されている病院であり、複数の病理医がいる病院がほとんどなので、恐らく正診率が非常に高いと思うのですが、施設を広げていったときには事前の中央診断支援は必要になってくるだろうと思います。その中央診断を1つの施設に集約すると負担になるので、ネットワークを使ったり、コンサルテーションシステムを使ってサポートできるような体制を構築できればよりいいと思いました。

○堀田座長 そうですね。臨床試験に乗せるというレベルと、日常診療としてサポートするのは少し違いますね。そこの差が出ているのかなと思います。

 馬上構成員、どうぞ。

○馬上構成員 福田先生、ありがとうございました。

 アメリカのNCIとか5,000億円ぐらい予算があって、物すごく活発になさっているということですけれども、日本でもJCOGでいろいろやってくださっているということでありがとうございます。

 要望書のほうにも書かせていただきましたが、集学的治療というのは希少がんに非常に不可欠なものですので、その発展をぜひお願いしたいのと、お薬がないと治るものも治りませんので、臨床試験というものをすごく展開していただきたいなと思っているのですけれども、前々回の先生方の発表で国際共同治験のお話があったと思うのですが、そこら辺はJCOGのほうではどのように展開されているかお伺いしたいのですけれども、あと少し右下のところに小児がんと白血病が入っていないと書いてあったのですが、そこのところも御説明いただきたいと思っております。

○堀田座長 福田参考人、お願いします。

○福田参考人 2つ目の御質問からお答えしますが、白血病に関してはJALSGというグループが昔からありまして、そういう意味でほかでやっているのでJCOGではやっていない。小児がんも同様で、小児がんのグループは昔からほかにありまして、現在、小児の血液病と小児の固形がんのグループが全国で1つになってJCCGというグループになっていますので、それはそちらのほうでしっかりやっていただいて、我々JCOGとしては成人の固形がんを自分たちが責任範囲と考えてやろうとしています。

 国際共同治験に関してはJCOGとしては行っておりませんが、研究者主導の国際共同試験は幾つかやっています。日韓のものが1つあり、アメリカとやっているものが1つあります。希少がんに関しては今、小腸がんの共同研究が計画中なので、そういうテーマがあればそれに応じた対応といいますか、その試験はやろうとしています。ただ、残念ながら骨軟部腫瘍や脳腫瘍で、直接国際共同研究になるネタというかテーマは今のところありませんが、必要に応じて対応しようとしています。

 もう一つ、適応外使用に関しましても、骨肉種とか軟部肉腫に関しては、実は例えばアメリカでは効果が定まっていて使えるのだけれども、日本で使えない薬というのは現時点ではありませんので、そういう意味では現時点ではJCOGにおける3つの希少がんの中でドラッグラグがあるドラッグはないと認識しています。ただ、まだ評価が定まっていなくても次に出てきそうなものという意味ではパソパニブというお薬があったり、幾つか候補はあるのですが・・。ヨーロッパやアメリカで使えていて、日本の希少がんで使えない薬があるかどうかというのは、JCOGでは基本的にはそれを踏まえた上で治療開発をしようとしていますので、そこは大きなドラッグラグに関しては、希少がんのこの3つのグループに関してはないと理解しております。

○堀田座長 希少がんは種類がたくさんあるので、治療開発、特に早期の治験といったものも含めて標準的な治療の確立はこれからも進めていっていただきたいのですが、その辺の展望はいかがですか。

○福田参考人 ネガティブなことばかり言いましたけれども、ドラッグラグがある状況での適応拡大というのはJCOGとしては重要な領域だと思っていますので、適応拡大をするべき状況に関しては、JCOGのほかのグループでは積極的に取り入れております。適応拡大目的の先進医療Bの試験はJCOGで今、5本目を走らせていますので、そういう意味では希少がんでもドラッグラグに相当する適応拡大の試験のテーマが出てくれば、当然それは取り組みます。

○堀田座長 ほかに御意見ありますか。

 それでは、今までを通して何か全体的なことについて御意見を賜りたいのですが、1つ、意見書という形で出ているものがございますので、それについて事務局から説明をお願いできますか。

○濱課長補佐 参考資料4としまして希少がん患者全国連絡会から、この希少がん検討会への意見書を頂戴しておりますので、少し事務局から御紹介させていただきます。

 最初のところ少し読ませていただきますが、本検討会で10年〜20年先の希少がん対策強化のビジョンをつくり、重要な基本計画の審議と並行し、当会の意見として患者本位の観点から「具体的な行動展開」を求めて、患者救済を急ぐことを進言いたします。

 国がんと大阪で「希少がんセンター」と「希少がんホットライン」の設置を急ぎ、ブロックごとにでもこのネットワークを構築いただきたい。医療の本質ですが、「今現在、苦しんでいる患者さんを救って頂く事」を一番にお願いしますという意見書で、特に先ほどもお話が出ましたように、ネットワークということでIT遠隔診断、治療のシステムを構築する中で、この希少がん医療の均一化を図ることが重要ですという意見書がこの検討会に上がっていますので、事務局から御紹介させていただきました。

 以上です。

○堀田座長 今までのディスカッションの中にも大分入ってはいましたけれども、特にITを使った診断等につきましてはネットワーク化が重要だということの御指摘と、希少がんでも特に谷間に落ちてしまうような本当に少ない希少がんについても光を当ててくださいという御意見だったと思います。

 何かそのほかに御意見はございますでしょうか。そうしましたら、今までのことにつきまして全般でも結構でございますので、情報の集約化あるいは均てん化も含めて考え方にこれまでの議論を深めていただければと思います。いかがでしょうか。

 希少がんは皆さんの御意見では患者さん自身を集約化してしまうというのは、ある意味、外部からの力ではなかなか難しいので、患者さん側の選択としてちゃんと専門医と施設を選べるような情報をきちんと提供していくということが大方の意見と思います。それから、専門医のいる施設にたどり着くのに物すごく時間がかかってしまうような地域をどうカバーしたらいいかという、こういう2つの相反する問題がありますけれども、この辺はどうお考えでしょうか。例えば片道何時間もかかるような場所で、そういう専門医もなかなかいないという地域をどうカバーしていったらいいか。なかなか難しい問題だと思いますけれども。

○馬上構成員 患者の経験からいいますと、小児がんなどは網膜芽細胞腫の例もありますように、皆さんそこでしかない治療というものがわかれば飛行機に乗って国立がんセンターのほうにいらしています。あと、先ほどの満足度のほうも県外の方が満足度が多かったので、そういった点では情報を教えてくだされば患者は伺うことができるのかなと思っていますけれども、ただ、やはり弱者の方には何らかの支援はいただきたいと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 実際に専門医にたどり着いて、何らかの相談に乗っていただくというだけでも随分違いますね。それで地元に帰って治療を受けるということに納得できることもあるので、自由なアクセスをふさいでしまって、ここの地域の人はこの病院にしかかかれないみたいなことになったら、それはむしろ患者さんの要望や実態に合っていないということなのだろうと思います。

 いかがですか。松本構成員、どうぞ。

○松本構成員 私は施設のインセンティブとペナルティーということも大事ではないかと思っています。例えば軟部腫瘍では悪性の頻度は、100例に1例、500例に1例程度のものです。そうすると、患者さんは悪性の疑いがあることもしらされず、簡単に手術されてしまいます。切除されてみて初めて、悪性だったということがわかることもよくあります。すなわち、ただ手術することによってお金を稼ぐために、十分な配慮がなされずに治療されてしまうことがある訳です。ですから、もし悪性であり、不適切な治療が行われた場合には、治療にかかった費用が認められないあるいは減額されてしまうようなシステムがあれば、医療者側も慎重になると思います。

 すなわち、きちんと診断されて治療した場合には治療したことに関しての正当な診療報酬が得られるのだけれども、そうでない場合にはそれがディスカウントされるといいますか、ペナルティーですね。そういうものがあればある程度の集約化はすすむのではないかと思います。

○堀田座長 1つの考えだとは思いますけれども、それを一般化するとなかなか大変なことになるなという感じです。

 まだ御発言いただいていない渡邉先生あるいは道永先生、何かございますか。

○渡邉構成員 では、私のほうから。

 今いろいろと希少がんということで一般的に、特に軟部腫瘍でお話があったのですけれども、実際のケースといいますか、患者数がかなりばらつく例がございますね。そうすると、やはりそういったそれぞれの疾患に合わせた体制というものが必要なのかなというのが1つで、もう一つは集約化ということの議論のところで、先ほどJCOGの話というのは臨床治験といいますか、実際の治療研究をやるための体制の部分と、実際に一定のレベルの医療を提供するための拠点ということと分けて考える必要があるのかなと。そこは感じました。

 特に私どもがやっているようなATLの場合には、地域性の問題とかいろいろなそれぞれの特徴がありますし、それぞれ大きく希少がんとしてのあるべき対応の仕方という枠の中での議論と個々の疾患の特性に合わせた議論というものを個別にやっていったほうがいいのかなと思って聞いていました。

○堀田座長 ありがとうございます。

 この希少がんの検討会は、全体として医療提供体制あるいは情報、診断のコンサルトをどうするかということで、個々の個別の疾患の議論はまたもう少しブレークダウンしたところでやっていただくことになるかと思います。

 道永構成員、いかがですか。

○道永構成員 まず希少がん情報センター、これは絶対に必要なのかなと思いました。どうしても患者さんがどうやって専門の先生方の情報を得るかということがメーンになってしまいますが、いわゆる先ほどからかかりつけ医の先生というお話も出ましたので、医療関係者、医師ですけれども、地域で診ている医師がそういった専門の先生たちがどこにいらっしゃるのかという情報を持つことも大変必要なことなのかなと思いました。

 あとはネットワークが非常に大事で、先ほどから病理診断がどれだけ正確に、迅速にできるかということがまず基本のようなので、コンサルテーションという言い方ではなく、やはりある程度、もう少し財政的な裏づけができるようなきっちりとした形にして、それも恐らく知らない先生がいるので、こういうことがあるということの情報提供が医療者に必要であると思いました。

○堀田座長 ありがとうございます。

 財政的な裏づけまでを含めたコンサルテーション、診断支援システムというのは、いろいろなところにあちこちばらばらしていてはいけないので、もしやるとしたらどこかに集約していくような、それは恐らく病理の専門医は大体皆さん共有されているのだけれども、たてつけがそれぞれ歴史的な経緯で少しずつ違うということですかね。佐々木先生、その辺はどうお考えですか。

○佐々木構成員 そうですね。特に診療所から出てくるような病理の検体ですね。こういう検体についての扱いというか、それが1つ問題になるのかなと思います。大きな病院にかかっていれば、1人病理医であっても病理専門医であって、コンサルテーションシステムはもちろん知っておりますけれども、もっともっと小さないわゆるかかりつけのお医者さんで出されたものに関しては、必ずしも病理の診断するきちんとした施設に行っていない。衛生検査所の中で病理検査として扱われているものはあると思うのです。そういうときに、そういう方たちからもコンサルテーションシステムのほうに乗っていくような仕組みというか、そういうものがありますよという周知というか、そういうものはこれから学会としても努力していかないといけないのかなと思っております。

○堀田座長 ありがとうございます。

 小村構成員、何かこれまでの御意見を聞いていて御意見があれば。

○小村構成員 第1回目のときに東先生からお話があったのですけれども、私は口腔がんを専門にしていて、口腔がんの立場から言わせていただきたいのですが、口腔がんに関しては比較的集約ができていると一番最初、冒頭の紹介のときにお話がありました。

 きょうの西田先生のお話を聞いて、疾患頻度に応じた集約化が必要ではないかという御提案をいただいているのですけれども、口腔がんに対しては比較的頻度的にも多くて、それが現状では各都道府県の拠点病院を中心としたところに集約化されているような状況にあるのではないかと思っています。

 病理診断に関しましても、口腔がんは90%くらいだと扁平上皮がんの診断そのものに関しては余り問題はないのかなと。ただ、頭頸部がん全般で考えてみますと頭頸部がん、軟部腫瘍とか軟部悪性腫瘍、骨悪性腫瘍、かなり全体的に見れば比較的多い部分を占めるので、そのところの診断というのは非常に現実でも苦労しているので、こういうふうな診断システムが生まれてくることは非常にいいことではないかと思うのです。

 ただ、今お伺いすると病理のシステムをつくった場合に、今、東大の場合、11人ぐらい病理の先生が診断をしておられるということなのですけれども、果たしてこれが口腔がんとか病理の診断、病理学会がやっておられる診断システムに乗せた場合に、マンパワーとして十分足りるのかどうかというのが1つ懸念としてあるのではないかと感じました。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございます。

 病理医が不足する中で、過重になっては困るという御意見だと思いますけれども、そういう点も含めて今後もう少し総合的にがんプロフェッショナル養成基盤推進プラン等も動いておりますし、病理学会としてもふやすよう努力されているのだと思います。

 どうぞ。

○福田参考人 福田です。

 先ほど臨床研究ができる部分というのと、診療をしっかりやる部分というのは別の視点でという御意見が出ていました。確かにそうで、別の観点からの議論は必要なのですが、がんの集学的治療に関しては実際それが両方できる病院が別かというと、それは全然別ではなくて、集学的治療をしっかりやれる病院イコール集学的治療の臨床試験をしっかりやれる病院ではあって、どちらかしかできない病院というのは現実問題まずないです。これは経験的に見ても。それが多分、循環器とかと全然違うところで、循環器とかは例えば降圧薬の治験をやるために開業医さんのネットワークとかやって、治験をしっかりやれるリソース、インフラというのが育ってきたと思うのです。それが高度な循環器のケアができるかというと、そうではない。循環器とか単剤の薬物療法の臨床研究、治験というもののインフラと、がんの集学的治療は全然違うという認識を持っていただきたい。要するに何が言いたいかというと、しっかりした集学的治療の研究ができる医療機関を整備すれば、それは日常診療として高度な診療ができる部分の発展につながるということを視点として持っていただきたいということです。というのはNCICooperative GroupのプログラムとかNCIのキャンサーセンターのプログラムにはそう明記してあるのです。日本は治験の部分と高度な診療の部分が別物みたいな議論がされているので、少なくともアメリカのそこの部分のモデルに関しては、私はアメリカのモデルのほうが正しいと思っていますので、それが結果的には研究がちゃんとできる。研究者主導の集学的治療の研究ができるというのとがんの集学的治療ができる病院というのは、ほぼ一致しているという認識を持っていただきたいと思います。

○堀田座長 おっしゃるとおりだと思います。要するに研究をしっかりやれるということは患者さんを丁寧に観察しないと実施できませんし、安全性も守れないので、そういう意味では診療のレベルも上がっていくという相互の関係があるのだと思います。ただ、特殊ながんについて特別に関心を持って一生懸命やっておられる先生の経験と知識や診断能力をどうやって生かしたらいいかという話になるのだろうと思います。

 そのほかに御意見ございますか。馬上構成員、どうぞ。

○馬上構成員 アメリカのNCIでは希少がん研究を国家プロジェクトとして強力に推進されているということを伺ったので、日本でもAMEDができたということで、きょうも全員の先生方が希少がんは不利な状況であるということを認識されているということですので、何らかの形で強力に推進していただけると、国民誰もが希少がんになる可能性がありますので、ぜひそこのところをお願いしたいと思っております。

○堀田座長 ありがとうございます。

 特に誰も異論のない話ですね。AMEDもそういう指向は持っていて、研究開発もオープンな企業が喜んで手を出すところではなくて、むしろアンメット・メディカルニーズに応えるものを中心にやるんだということは宣言していますので、そこは期待したいと思います。

 そのほか御意見ございますでしょうか。よろしいですか。松本構成員、どうぞ。

○松本構成員 佐々木先生がおっしゃったことで非常に重要だなと思ったのは、骨軟部腫瘍の場合、検体が普通の検査センターに出てしまうことがしばしばです。そうすると、検査センターでの診断のクオリティーに問題が出てきます。診断に対してのきちんとした財政的な裏づけがあれば、検査センターからさらにコンサルトということもできると思いますので、そこは整備するのが大事だと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 そのほかはよろしいでしょうか。本日の議論は大体皆さんの御意見をいただけたと思いますので、このあたりで閉めさせていただきたいのですが、事務局から、正林課長、今までの御意見を踏まえて何かメッセージがありましたらよろしくお願いします。

○正林がん対策・健康増進課長 何となくのコンセンサスができつつあるので、私どもは大変喜んでおります。次回もまだまだ気づかない、残された課題なんかもあるかもしれませんので、そこについてまた御議論いただき、だんだん議論が集約する方向に向かっていければと期待しております。ありがとうございます。

○堀田座長 ありがとうございました。

 報告書の取りまとめに入っていくのは次回以降だと思いますけれども、その時点でいろいろまたメール等で御意見をいただければと思います。事務局はがん対策・健康増進課にお願いしたい。

 それでは、次回以降も含めて事務連絡をお願いします。

○濱課長補佐 活発な御討議ありがとうございました。

 次回の検討会につきましては、5月18日月曜日の17時より省内、厚労省で開催を予定しております。19時までの予定でございます。先生方には追って事務局より御連絡させていただきます。

○堀田座長 それでは、本日は皆様、どうも御協力ありがとうございました。これにて閉会いたします。


(了)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 健康局が実施する検討会等 > 希少がん医療・支援のあり方に関する検討会 > 第3回希少がん医療・支援のあり方に関する検討会(議事録)(2015年4月27日)

ページの先頭へ戻る