ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 健康局が実施する検討会等 > がん検診のあり方に関する検討会 > 第13回がん検診のあり方に関する検討会議事録(議事録)(2015年4月23日)




2015年4月23日 第13回がん検診のあり方に関する検討会議事録(議事録)

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成27年4月23日(木)16:00〜18:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(12階)


○議題

(1)乳がん検診について
(2)胃がん検診について
(3)その他

○議事

○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第13回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 本日は、2名の方に参考人として御参集をいただいております。

 まず、認定NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構理事長の三木一正参考人です。

 続きまして、山形大学理事・副学長の深尾彰参考人でございます。

 本日は、全ての構成員に御出席をいただいております。

 次に、資料の確認をいたします。

 座席表、議事次第に続きまして、資料1「乳がん検診における新たな知見について」。

 資料2「リスク層別化検診」。

 資料3「胃がんリスク評価の検討」となってございます。

 資料に不足、乱丁等がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。

 特にないようでしたら、この後の進行は大内座長にお願いいたします。

○大内座長 では、第13回の「がん検診のあり方に関する検討会」の議事を開始いたします。

 最初に、議題1の「乳がん検診について」ですが、本件につきましては、祖父江構成員より資料1を使って御説明いただきます。

 祖父江先生、よろしくお願いします。

○祖父江構成員 では、資料1をごらんください。

 乳がん検診における新たな知見ということで、最近結果が報告されつつある状態ですけれども、J−STARTという乳がん検診の有効性を比較試験、特に超音波の上乗せ効果を見る試験というものを御紹介させていただきます。

 資料1の下段がJ−STARTJapan Strategic Anti-cancer Randomized Trial)の略ですけれども、始まったのが平成18年、2006年ですから、もう10年ぐらい前ですけれども、当時の戦略研究という仕組みで始まりました。

 当初、5年間戦略研究でカバーされていましたけれども、5年たった段階で第3次対がん、今は革新的がん医療実用化研究事業でカバーされている研究班であります。

 当時、戦略研究が始まったときに黒川先生がその責任者でありましたけれども、いつまでもランダム化比較試験のできない国であってはいけない。これは臨床試験、治療に関してはもう既にランダム化試験というのが普及されつつありますけれども、検診に関しては個人ベースのランダム化ということでのランダム割りつけということでの比較試験は日本ではまだされていなかったのです。そういうことがやはり日本でも証拠に基づいたがん政策を進めるに当たってどうしても必要だということで始まった研究であります。

 ページをめくっていただいて、研究実施体制は、戦略研究の発足時ですけれども、戦略研究リーダーとしては、座長の大内先生、それから、東野先生、私、斎藤先生、山本先生、遠藤先生のあたりがコアとなって、石田先生とか鈴木先生とか東北大の先生方がかなり中心的にされています。深尾先生も入っています。栗山先生もそうですね。

 当時、背景として、下段ですけれども、乳がん検診における超音波の有効性を検証するということを課題に挙げたわけですけれども、我が国で乳がん死亡、罹患もそうですけれども、急増している。特に、日本人の特徴としては40歳代に多い。高濃度乳房、デンスブレストの方が40歳代には多く、その高濃度乳がんに関していうと、マンモグラフィで十分な感度が確保できているかというと、そうではない。超音波というものが補填的に扱われる可能性があるわけですけれども、その乳がん検診における超音波検査というのが標準化されておらず、ひいては死亡率減少効果は期待できるけれども、それを検証しているというデータはまだないという状況でした。ですから、まずは超音波検査による乳がん検診の標準化ということが非常に重要な課題でしたし、それを用いての大規模試験、RCTによる有効性の検証ということがぜひ必要だということで、40歳代の人に限って両群10万人、これは40歳代に限っているというところでかなり大変な研究ですけれども、それを正面切ってやりましょうということを大内先生が決断されてというか、我々もかなり持ち上げたというところがありますけれども、たきつけたといいますか、そういう状況で始めたものです。

 一方に、超音波を上乗せする。超音波プラスマンモグラフィ群、それとマンモグラフィ単独群というツーアームのデザインで、プライマリーエンドポイントとしては、検診の精度、感度、特異度にしていますが、こうした設定の仕方をしているのは、やはり戦略研究の枠組みが5年間であったということが強く影響しています。本来ならば累積進行がん罹患ですとか、乳がん死亡とかというものをエンドポイントとすべきだと思いますけれども、それはセカンダリーエンドポイントとして掲げている。

 マンモグラフィは全乳房の記録性・再現性があり、精度管理が確立されている唯一のEBMであるということですけれども、超音波は、再現性に問題がある、精度管理が確立されていない、有効性を示す根拠がないと。しかし、有望である検査なわけです。

 次の裏側にいっていただくと、研究班として研究自体を遂行するということの前提に、超音波検査の標準化ということがぜひとも必要だということで、超音波による乳がん検診ガイドライン、講習会を開くということで、まずは標準的な方法を設定し、取り決めを行い、それを普及するという活動を行うということが班の割と大きな課題でありました。こういうような取組をかなり精力的にされたわけです。

 研究自体の仕組みとしては、下段にあるようなJ−STARTの大規模RCTの実施ということで、研究リーダーは東北大の大内先生。厚労省とか対がん協会がサポートに入っていますけれども、データセンターとしてはCROのJ−CRSU、臨床試験支援ユニット、Clinical Research Support Unitがデータセンターとして機能し、研究班の事務局としては東北大学、分担研究者が研究的な内容の取り決めをするということですけれども、実際に検診を行うところとしては研究参加団体、施設データセンター、これが全国23都道府県、42団体。地図を見ますと、全国にまたがっておりまして、こういう組織でもってRCTを遂行したということです。研究委員会、データモニタリング委員会として、教育プログラム、精度管理・安全性、統計解析委員会といったものが設置されたという状況です。

 次のページにいっていただいて、平成18年から研究費は始まっていますけれども、実際に検診が開始されたのは平成19年、研究計画とかを詰めてということでしたので、これだけおくれていますけれども、その後、研究のデザインとしては、初回受けていただいて、2年目にもう一回同じ検診を受けていただき、その後フォローする。その枠組みを1年ずれて4回行ったということです。ですから、A1、B1、A2、B2、A3、B3、A4、B4という集団が、Aがマンモグラフィ+超音波併用群、B1が単独群という形で2回ずつ検診を行い、それが終わったのが平成24年度で、それ以降はデータを収集し、解析するということで現在論文化に至って発表、「The Lancet」にということになっております。

 下が新規登録者数の内訳で、全体として7万6,196人、総計のところで、これだけの方が登録されています。当初、個別ランダム化がうまくいくのかという懸念がありまして、やや安全パイを置いたといいますか、参加していただけなかったらどうしようかというところで、非ランダム化とか、あるいはクラスターRCT、これは市町村ごとにランダム割りつけをするというようなことですけれども、そういうアームも置きましたが、結果的には個別RCTのところが7割強を占めるということで、非常に個別ランダム化ということが40歳の女性に関してはうまくいったと、受け入れられたということを示す結果だと思います。

 7万6,000人のリクルートが成功し、次のページにいっていただくと、適格基準等で解析対象にならない方を外しますと、全体で7万2,717人の方が解析対象になったということです。初回の検診の参加者がこれだけですけれども、2回目の検診をぜひとも受けていただかないといけないということで、4期にわたって行った人たち、それぞれの2回目の受診率がParticipatedと書いてあるところですけれども、トータルで見ていただきますと74.9%、5万4,000人の方が2回目の検診を受けていただけたということです。かなり高頻度で2回目の検診も受けていただいた。受けていただけなかった方については、質問票を配付し、乳がんと診断されましたかとか、そういうようなことを聞いて罹患状況を把握しています。それが22.8%。つまるところ、追跡不能になった方々が全体として2%、1,454人と、かなりきちんと追跡をしたという状況にあると思います。

 ページをめくっていただいて、ベースライン時の受診者特性が解析対象者についてですけれども、3万6,000、3万5,000の方々、例えば検診受診歴がPrevious BC Screening, yesというのは両群が77.0とか76.5%、これぐらいの人が前回の受診歴があるというような方です。Childbirth、出産歴がある人が8282.9、あるいはFamily History of Breast Cancer、乳がんの家族歴がある人たちが12.612.8、両群頻度としてはバランスがとれた形で分布しています。これがRCTですけれども、うまくいっているということの証拠だと思います。

 初回検診結果が、Subjects Analyzedのところから見ていただければいいと思いますが、7万2,717人で、Category III+というのが要精検と判断したというところで、スタディーグループが12.6%、コントロールグループが8.8%です。

BC Detectedは乳がんの発見された例の数が184例、117例。

 その後、2年間で中間期がんとして発見された人、Interval cancers18例と35例、このDetectedIntervalの和でもってDetectedを割ったSensitivity91.1%、77.0%。SensitivityRecall Rateのほぼ逆数、補数みたいなものですけれども、87.791.4と、これが主たる結果です。ですから、スタディーグループでSensitivityがコントロールグループに比べて高い。半面、Specificityは低い。ある意味、当たり前と言ったら当たり前ですけれども、こういう結果になりました。

 検診の方法別、次のページにいっていただくと、Intervention armControl armで、SensitivityMG positiveというのはマンモグラフィが陽性である。そのうちでマンモグラフィのみが陽性であるというのが34例あるいは72例です。US positiveが、超音波ポジティブ、US only positiveは超音波のみがポジティブだと。CBEというのが両群に対して医師の視触診をやっていますので、clinical breast examinationがポジティブで、CBEというのがControl armについてのみ8例あります。Intervention armCBE only positiveはありません。全てUSがカバーしているというところが割と注目されるところです。それぞれのSensitivityを方法別に見ますと、US positive70.1%で一番高く、次いでMG positive57.9。両群のMG positive、マンモグラフィの感度を57.971.7Interventionの場合低く見えますが、これはUS positiveというかUSを上乗せしていて分母が202と高くなっていますから、上乗せで143例がUSのために、あるいはUSオンリーだと61ではIntervention armだけで見つかっているので、その分、分母が上乗せされてMG positiveの感度が低めに見えるとは計算上なっています。

 感度がそうですけれども、発見率という指標で見ますと、ディテクションでMG positive0.32%、US positive0.39%、CBE0.13、コントロールのほうだと0.3とか0.13とかという値です。これは発見率という指標で見た場合のそれぞれの検診法別の数字であります。

 次にいっていただくと、このあたりからおもしろいといいますか、注目すべきところが出てきますけれども、まず、検診群、対照群といいますか、US上乗せ群とマンモ単独群で、検診発見例の中でのステージ分布というのがそれぞれ184例中の例えばステージゼロの割合が27.7あるいはステージ1が50.5に対して、ネガティブですから、Interval Cancer18例に対しては0が5.6、1例ですね。Iが44.4、それに対してII期が44.4と、進行がん、より進行がんで見つかっているということですけれども、ほかのがんに比べると中間期がんでもそんなに進行していないという印象ですね。同じようにMG単独群でもIntervention cancerのほうで若干進行度が高いかな。ですけれども、そんなに目に見えて高い、進行しているわけでもないです。

 検診法別のステージとしてもう少し細かく、USあるいはMG、それぞれで別に見てみますと、MG、これは一番上のところは視触診はプラスマイナスどちらか問わないということで、一番上がMG単独で見つかった群の病期が0、I、II+というように、2312、6と。両方でMGUSで見つかったのが173920と。US単独で見つかったものが114214と、こういう分布をしています。MG単独で見つかった人は23例、0ですね。0というところがいわゆるノンインベーシブのブレストキャンサーとほぼ対応しておりまして、今、乳がんに関してもいわゆる過剰診断問題というのがありまして、ノンインベーシブのうち、放置しても症状を呈さないようながんというものがあり得るということが今割と話題になっています。マンモグラフィによって単独で見つかる群においてこういう0期が比較的多いわけです。

 一方、US単独で見つかる群は、I期が42例なのです。0期はむしろ11例と少ない。ですから、USオンリーで見つかる群というのは、早過ぎもせず、遅過ぎもせず、ちょうどいいところで見つかっているという。I期ですから、サバイバルベネフィットといいますか、早期で見つけることによる死亡率減少ということが期待できる群でありますし、そういうところをUSが見つけているというところで、このステージ分布を見ると非常に有望であると言えると思います。

 あとのページをめくっていただいて、あとは要精検率、陽性反応適中度で、US単独ですとPPVが、Recall rate5.2PPV2.1である。両方とも陽性ですと1.415.0と。ここが一番PPVは高いですけれども、US単独だと5.3%で3.4というようなことが要精検率と陽性反応適中度。片や、Control armのほうは7.51.2で、全体として要精検率は12.68.8ですから、やはりIntervention armのほうで要精検率は高くなるということがあります。

 不利益の一つとしての精検ですけれども、Control armIntervention arm、それぞれでのBiopsy performedの割合が4.531.82ですから、Intervention armでやはり高くなります。特にFine needle aspiration3.341.21と。超音波で見つかった病変に関しては、超音波のガイド下でbiopsyをすることが比較的安全にできるというようなことがありますので、特にそこで高くなったということもあるのかもしれません。

 ということで、これが結果です。ですから、この結果だけ見ると、まだ感度の段階なので、進行がん罹患減少ですとか、あるいは死亡率減少ということは必ずしも示されたわけではありませんが、ステージ分布、特にUSオンリーのステージ分布を見ると、かなり有望かなということがこの結果で示されていることだと思います。

 以上です。

○大内座長 御説明ありがとうございました。

 私が研究リーダーなのでなかなかコメントしにくいので、その点をお許しください。

 今日は報道関係者の方々が多くいらっしゃるので、ここでお願いがございます。4ページをもう一度見ていただいて、今回はこのJ−STARTが開始されてから10年目を迎えるわけですけれども、プライマリ・エンドポイントについてデータ解析が終了して論文化し、ここに「The Lancet」とありますが、この点、実はまだ解禁されたわけではございません。具体的に言いますと、3月3日付でアクセプトです。通常ですと2カ月ほどかかりますので、あと1〜2週間お待ちいただきたいと思っています。プレスリリースは必ず行いますので、そのときに初めて報道関係者の方々が取り扱われることはぜひお願いしたいのですが、本日は国の厚生労働省の検討会ということで、貴重なデータということもあってお出しいたしましたので、その点についてはぜひ御理解のほどをお願いいたします。もちろん、後で御質問をお受けいたしますので。

 まず、構成員のほうから、本件に関しまして御質問をお願いいたします。

 どうぞ。

○井上構成員 方法について確認をさせていただきたいのですけれども、こういう研究で2回目以降のリピートの参加率というのは非常に重要になってくるかと思うのですけれども、これはどのように勧奨されてこういう姿になったのか教えてください。

○祖父江構成員 ですから、最初からデザインとして2回受けてくださいということは了解をいただいて同意を得た集団であるということはまず大きいです。

○井上構成員 ただ、そううまくはいきませんね。

○祖父江構成員 そうですね。一般には繰り返し検診の受診率は5割ぐらいですか。

○大内座長 繰り返し検診、2年ごとに受けている方を具体的に調べましたところ、検診受診率が高いと言われている宮城県の中の宮城県対がん協会のデータで調べても、繰り返し検診を受けている方は50%未満、49%でした。したがいまして、井上構成員が御指摘の75%は高いのですが、今、祖父江構成員が言われたように、最初に研究に参加される方が同意書を書くときに、2回目の検診も同じ方法で受けますとサインされていますので、そういったことも影響されているのだと思います。

○井上構成員 特にリマインドがなければ。

○祖父江構成員 もちろん、リマインドというか、そういうことはやっています。個人受診勧奨ということはもちろんやっています。

○松田構成員 40歳代に超音波を併用した乳がん検診は非常に感度が高い。しかも通常新しいモダリティを使うと特異度はもちろん下がり過剰診断が懸念されますが、マンモグラフィと比較するとあまり過剰診断が多くはないだろうというようなお話だったかと思います。大変ありがとうございました。

 今日の先生のお話と違ってくるのかもしれないのですが、今後、乳がん検診では視触診を必ずしも併用しなくてもいいという形になろうかと思うのですが、今回、視触診のみで見つかった乳がんは併用群がなかったですね。ということになると、視触診を仮に外すとなると、要精検率が下がって特異度が上がり、感度はそのまま担保されて、マンモグラフィ単独検診と比べるとさらに有効性というか、差が開いてくるのかなと思うのですが、もし視触診をやらなかった場合のデータなりが計算できていれば教えていただきたいと思います。

○祖父江構成員 視触診単独のRecall rateというのが9ページの一番上のほうの表でいくと0.7%とか1.2%ですね。この分だけRecall rateが下がるということだと思います。

○松田構成員 コントロール群は視触診を外すともっと感度が下がりますね。

○祖父江構成員 だから、8例がそうです。

○松田構成員 そうすると、その差がかなり出てくると。

○祖父江構成員 ポジティブにならないですね。

○松田構成員 もう一つよろしいでしょうか。この研究を始めるに当たって、超音波あるいはマンモグラフィは従来から精度管理がされていたかと思うのですけれども、超音波の研修などを始めて多施設、幾つかの地域で行ったということかと思いますが、その施設ごとによって特に超音波の精度に差があったのかどうかというような検討がもしなされていたら教えていただけますか。

○祖父江構成員 私は存じ上げません。

○大内座長 研究組織として、3ページ下に研究班の委員会が記載されています。この中に教育プログラム委員会、精度管理・安全性評価委員会とあります。具体的には3番の精度管理・安全性評価委員会、当時、名古屋医療センターにおられた遠藤登喜子先生が委員長としてデータはお持ちです。ただ、今、キーオープンしたところで、これから施設ごとにどうであったかということを再度チェックが入りますけれども、これまでの経緯から見ると、やはりでこぼこは存在しています。マンモグラフィについても同じなのですが、やはり精度管理上はある一定の枠をはめれば、それから逸脱するところもあったことは確かです。

○松田構成員 ありがとうございます。

○大内座長 どうぞ。

○菅野構成員 2点ございます。

 今のお話ですと、正直、自治体でやるときにはかなり個別検診化されているわけですけれども、マンモグラフィだと医師会に集めるなりして二重読影という形で割と均一して見られるわけですが、そうすると、エコーの場合はなかなかそういったことは難しいということなのかというのが1つ。

 あともう一つは、40代は結構真っ白にマンモグラフィだと写ってしまうので、こういう超音波でできないかということがありますが、私はわかっているつもりなのですが、自治体の立場でいうと、より若年層にも可能性があるのかということをよく言われまして、例えば30代でこれをやっても効果があるのかと言われますが、今回はそれはやっていないわけですが、そういう可能性が実際にあるのかどうかというのを、ないならないと言っておいていただけますと、我々としては助かるかなということで御質問したいと思います。

○祖父江構成員 30代の超音波検診の有効性ですか。どうですか。私はあまり考えていなかったですけれども、確かに罹患率の意味でいくと無視できない大きさではあると思いますが、やってみないとわからないというところでしょうね。すみません。

○大内座長 乳がん罹患率は年齢階級別に見た場合に、30歳代から急激に増えて、さらに3539歳までは無視できないほどになります。具体的にいいますと、子宮頸がんの罹患率の4倍以上だと思います。昭和62年度からの第二次老人保健事業のときに乳がん検診が30歳代からということで、特例で入っていました。ですので、今でも全国的に30歳代の検診を実施しているところも存在することは事実です。

 菅野構成員の立場は確かに行政から見た場合、これをどうするかというのは大きな課題でして、この40代での超音波検診の有効性が一定程度出た場合には、それを同じような乳房構成を持っている、少なくとも3539歳までは、私見になりますが、準用も可能かなと思っています。ただし、それは相当の条件つきになると思います。現時点での検診の対象者は40歳以上となっておりますので、対象年齢について拡大するかしないかについては、また別途検討が必要であろうと思っています。

 精度管理も含めてこのルールを守っていただければ、私も実は最初にこの精度管理のマニュアルをつくるときに、若年層への導入に当たって、この基準を守ることを条件に妨げるものではないということの文言を付しています。といいますのは、全国からいろいろな質問があったのが事実だからです。

 では、斎藤先生、どうぞ。

○斎藤構成員 今のJ−STARTを論じるに当たって、1つ重要なポイントはエンドポイントが死亡ではないということです。このことが今の30代問題にも関係するのですけれども、今回示された結果はあくまでも中間指標によるものであり、有望であるということですね。過剰診断についての解釈が先ほど祖父江参考人から述べられましたが、ステージ分布だけでは断じられないので、やはりもう少しかたい指標の証拠がないと結論は下せないということがまず1つです。

 対象年代に対してはJ−STARTのデータをもとにして、それを外挿して若年でも有望であろうということは言えるかもしれませんが、40代以上に比べるとより有望であることの確実性は低いということを考えておかないと、いたずらに超音波もオーケー、年代も下にシフトすべきだという短絡につながるおそれがあるので、注意が要ると思います。

○大内座長 菅野構成員の最初の質問、もう一度繰り返してもらえますか。

○菅野構成員 医師会等で二重読影がマンモグラフィだとできるわけですが、その点。

○大内座長 私のほうからお答えします。

 二重読影については、基本的にエコー検診もこのトライアルではしています。具体的には超音波検査を実施する人は、医師でも技師でもいいのですけれども、多くは臨床検査技師あるいは診療放射線技師です。その判断をするのは医師ですので、医師が必ずその画像をチェックします。いわゆるダブルチェック体制をとっておりますので、マンモグラフィほど全乳房をカバーしているわけではありませんけれども、代表的な画像、最低両乳房とも2枚から4枚以上残すことを義務づけています。ですので、ここに書いてあるように、いわゆる記録性、再現性に問題があった、それを解決すべく二重読影という方法をとっています。

 ほかに御質問はいかがですか。よろしいですか。

 本日は、このような形で乳がん検診における新たな知見ということですが、超音波による乳がん検診の有効性評価の研究であるJ−STARTのプライマリ・エンドポイントに関するデータを皆様にお示しして、今後の検討課題とさせていただければと思います。また次回以降、改めてまた議論をしたいと思っております。

 では、議題2に移ります。「胃がん検診について」でございます。

 この胃がん検診につきましては、初めにお二人の参考人から続けて御説明いただきたいと思っています。その後でまとめて御議論いただきます。

 最初に、三木参考人のほうから、資料2をもとに説明願います。

○三木参考人 本日は参考人として御招致くださいまして、座長の大内先生初め、関係各位に感謝申し上げます。

 資料2の1ページ下段でございますが、これはポルトガルでの前向きコホート研究で、2回以上内視鏡検査で3〜5年追跡した1万3,118人の集団に対する報告で、446人がペプシノゲン(PG)法陽性で、274人が内視鏡検査を受けて、5年後までの間に6人の胃がんが発見され、早期がんが3人いましたが、対照の陰性群のほうからは、その期間で胃がんが3人発見され、早期がんが1人で、欧州白人を対象としたPG法の精度は、日本人と同様であったという報告で、欧州初のPG法の有効性・精度に関する日本の成績の追試報告です。これをまず1番目にリスク層別化検診実施の根拠として挙げたいと思います。

 2ページ上段を見ていただきたいのですが、これはMAPSガイドラインといって、ヨーロッパその他で常識なのですが、Management of precancerous conditions and lesions in the stomachの略語です。胃がんの前がん病変である萎縮性胃炎、腸上皮化生はその診断にはPG法が有用であるということをまず述べているとともに、胃がんを予防するための前がん病変に対するピロリ菌除菌を進める、としています。また、内視鏡による経過観察の間隔は、病変の広がりと異型上皮の所見により6カ月、1年、3年毎などとしているガイドラインです。24の国と地域から、63人の世界中の専門家が集まって、病理、内視鏡、その他で合意形成が75%の賛成を得てなされた、有名なガイドラインです。これもリスク層別化検診の1つの根拠・前提になります。

 2ページ下段は、IchinoseOhataらがWHOの機関誌、インターナショナル・ジャーナル・キャンサー2004年に出し、世界的に有名な表ですが、 Hp IgG抗体価とPG法による胃炎のA群、B群、C群、D群の、4群分類という方法を、初めて提案しました。 Hp のピロリ菌のIgG抗体価( Hp )とPG法の併用法です。A群は健康な胃粘液で Hp −、PG法−、B群はピロリ感染胃炎で Hp +PG-、C群は萎縮性胃炎で Hp +PG+、D群は強度の萎縮性胃炎で、 Hp -PG+です。

 3ページ上段を見ていただきますと、内視鏡像が出ておりますが、内視鏡の専門家でしたら、一べつすればA群、B群、C群、D群とすぐ判定できます。すなわち、左側から、健康な胃粘膜、ピロリ菌感染胃粘膜、萎縮胃粘膜、高度萎縮胃粘膜です。前向きにコホートを8年間追跡調査した結果です。A群からはその期間中に胃がんが発見されませんでしたが、B群は年率0.1%、1,000人に1人、C群は0.2%、500人に1人、D群は1.25%、80人に一人、発見されました。健常男性4,655人で行った研究です。世界で最も引用されている、慢性萎縮性胃炎のリスク層別化の論文の一つです。

 下段は、私が報告した、東京都某職域における胃がんリスク層別化検診で、A、B、C、D、胃炎の各群の比率を年次別に示しております。2001年では、A群は50%でありましたが、2002年にはA群が52%になり、B群は26%であったけれども、翌年23%という割合でして、B、C、D群全てを内視鏡で見るには人数が多いということで様子を見ていましたが、皆様も御存じのように、2005年にはピロリ菌発見の功績でWarrenMarshallの両氏にノーベル賞を授与されるわけです。そんなこともあって、胃がんリスク層別化検診を、試験的に導入していただけないかということを企業の責任者にお願いし全社員に無料で導入しました。結果は、2007年度受診者1万5,043人、この5年間の間に社員の構成が変わり、健康な胃粘膜が71%、ヘリコ感染胃粘膜が19%、翌2008年は、それぞれ73%、17%、次の2009年は76%、14%、2010年は78%、12%、要するにA群が毎年2〜3%ずつ増加して、B群は2〜3%減っていくということを報告しました。

 4ページ上段を見ていただきますと、その職域では胃がんが2007年度に12人発見され、次の年に8人、2009年には3人、4年目、2010年に1人になりました。こうやって閉鎖された職域で繰り返しリスク層別化検診を行うと、このような胃がん発見数になり、リスク層別化胃炎別では、2007年は、B、C群がそれぞれ8人、4人、2008年は5人、3人、と3年目、2009年にはB群のみ3人、4年目、2010年にはD群のみが1人発見され、組織型別では、分化がんから未分化がんに変化したことを報告しました。

4ページ下段は、3年分の成績をまとめてABCメソッドという名称で、2011年に英文で初めてピロリ菌感染症である胃がんの撲滅対策として、ABC法を概説したものが日本学士院紀要英文誌です。

 5ページ上段を見ていただきたいのですが、ラトビアのLeja准教授らが、日本から測定試薬を輸入し、この報告の追試を初めて実施し、A、B、C、D群の比率は日本と同様であったということで、ABCメソッドという、我々の文献を初めて引用し、これは白人のリスク層別化にも使えることを報告しました。

 5ページの下段でございますが、Gutに、ピロリ菌抗体測定とPG法併用法、すなわち、リスク層別化検診が、胃がんリスクを判定する現在使用できる最良の非侵襲的な検査法であるとして、証拠レベル1a、グレードでBという大変高い評価をいただきました。これは24の国と地域の専門家・教授、ドイツのMalfertheiner教授や、フランスのMegraud教授、イギリスのMorain教授など、ヘリコバクター、胃がん、病理などの専門家らの共著であり、アメリカのGraham教授共著者の一人です。こういう権威のある報告が出ました。

 6ページ上段を見ていただきますと、萎縮性胃炎進展に伴う胃がんのハザード比が先の2004年の報告と違い、16年間、前向きにコホートの追跡を行い、発見胃がん87人の分析で、A群2例、B群37例、C群44例、D群4例であり、ハザード比がそれぞれ、1、8.917.769.7と、A、B、C、Dへと有意に増加していくということを報告したわけですから、この論文は非常に信頼性があると考えます。

6ページ下段は、同論文の中で、未分化型胃がんの累積発生率を見ると、B群と言われるものの中で、いわゆる彼らが言うγ群、I、II比が3以下で70以上のPGI値を示すものは有意に未分化胃がんの確率が高いという、リスク層別化検診を実施する際の指針とすべきことを報告しておりますし、図の上方右のように、B群の中でもPGIIの値の絶対値を見ると30以上を超えたものは明らかに未分化胃がんのリスクが高いということも報告しております。

また、図の下方は、B群でもヘリコの抗体価が高いとそれは分化型胃がんの確率が高く、C群でもPGIが低いと分化型胃がんの確率が高いということも報告しており、これも、エビデンスになると思います。

 7ページ上段は、東京医大の後藤田准教授が、日本胃がん学会誌に報告しているので皆様もごらんになったと思うのですが、秋田でも前向きRCTを行っております。ピロリ菌感染減少時代における新しい対策型胃がん検診システムの構築に必要なプロトコール作成と実現可能性に関する研究。愛称でガラパゴススタディーと言われております。エックス線検診を受けて、有所見者は内視鏡検診を受ける群と、リスク層別化検診を受け、リスク別に内視鏡検診を受ける群600人前後の2群に無作為に割りつけし、3年間前向きに追跡し、3年目に胃がん発生を検討した中間報告でございます。初期の計画は6年計画になっております。6年で有意差が出ると彼らは信じて実施したわけです。結果は、3年目でエックス線検診群からは胃がんが発見されず、胃がんリスク層別化検診群からは、早期がんが3人発見されました。0対3では両群間で有意差検定はできないものの、傾向があるという報告です、昨年、この研究が出ているということはエビデンスの一つと考えます。これが厚労科研の研究ですから願わくば6年続いて欲しかったのです。私もこの研究の毎年の経過報告を聞くたびに、長く続けばいいと思っていましたが、3年で科研費交付が終了したという話を聞き、非常に落胆しました。このような前向き研究は、さらに続けるべきではないかというのが私の意見でございます。

 7ページ下段は、目黒区のデータで、5年ぶりに昨年勉強会で報告されました。目黒区では、区民は、オプションで、自由に、リスク層別化検診と、エックス線検診のどちらを選んでも良いとされています。受診者は、リスク層別化検診は3万27人、エックス線検診群は9,611人で、胃がん発見数は、それぞれ73人対6人でした。発見率はそれぞれ、0.240.06、早期がん数は53対1と、リスク層別化検診が圧倒的に多く発見されました。早期がん率もそれぞれ72.6%16.7%でした。行政の負担した費用は、両者ともほぼ同じでした。この5年間で、それぞれ1億2,886万円対1億2,599万円です。単純に計算すれば、リスク層別化群では1人の胃がんを180万円で発見できたということで、つまり、従来の12分の1で済みました。2倍、3倍だったらバイアスということも考えられますが、リスク層別化検診は圧倒的に費用対効果が良いということになります。また、初期の検診単価は、エックス線検診の場合は1万3,100円に対し、リスク層別化検診では4,300円ででき、3分の1であるということも述べております。

 8ページ上段でございますが、人口41万都市である横須賀市、中核都市ですね。ここで139,290人に対してリスク層別化検診を行い、昨年の横浜の胃がん学会で報告されました。一番注目された演題でございます。平成24年度の5月から平成25年度の2月28日まで、市内在住の40歳以上の全員の市民に対し、リスク層別化検診を呼びかけ、B、C、D群の8,162人に内視鏡を行い、同時にピロリ菌感染者には保険診療でピロリ菌除菌療法も行ったという発表が、水野先生からなされております。

 横須賀市では、平成19年度と20年度、従来のエックス線検診では胃がんが1人も見つかっていなかったそうでございます。そこで、市役所と医師会が合同で何とかしたいということで、24年度より試験的にリスク層別化検診を開始したということです。過去の平均値を見てみますと、11年間で10万人ほどを対象にエックス線検診が行われ、平均0.07%の胃がん発見率でした。オプションでPG法をやっている方もいて、0.18%でした。今回、胃がん発見率が0.5%になったということは、単純に見てもエックス線検診の7倍で、しかも、早期がん発見率は78.7%、85人であったことを報告しております。

 8ページ下段ですが、品川区胃がんリスク検診2年間の結果が今年の3月の日本内科医会で、瀬底先生により発表されました。目黒区その他の報告に刺激を受け、医師会、および行政を説得して始められたとのことですが、5,593人が受診し、精検受診率は63.7%、発見胃がんが23例、発見率が0.41%、そのうち早期がんが22例、早期胃がん率95.4%でした。品川区の過去の平均胃がん発見率は0.09%ですので、単純に計算して4倍以上になりました。これが、始まったばかりの品川区のリスク層別化検診の成績です。

 9ページ上段は、日本医師会雑誌に出ている京都市伏見区の結果、西東京市の東京都医師会雑誌に出ているデータ、および、目黒区、品川区、横須賀市の5自治体の結果を単純に足したまとめですが、法定健診の4074歳までを対象に8万人近く行い、要精検率が44.4%、内視鏡2次精検受診率57%、2次精検受診者数2万人、その結果、胃がんが285人発見され、発見率0.36%、従来のエックス線検診より4倍ほど高く、早期がん数227人、早期がん率8割で、明らかに高いという現状にあるということを御報告します。

 9ページ下段ですが、142の自治体で、私どもインターネットで検索しましたが、オプション、パイロット採用も含め、全国の8%を超える自治体で行われております。多い都府県は、栃木県が13、群馬県が13、埼玉県が10、東京が16、8区8市、神奈川県が19ということで少し関東寄りに多い傾向です。また、今回、独自に行ったアンケート調査による主要企業でのリスク層別化検診の採用状況は、4月現在、全国で百数十社になっています。

10ページ上段ですが、5年前に、「リスク検診マニュアル」1版を、昨年改訂2版を出版しました。A、B、C、Dのみの分類では不完全であります。御存じのように、2年前、2013年から慢性胃炎のピロリ菌除菌療法が保険収載されているわけです。それで、このB群を例えば除菌しますと、ピロリ菌+というのは−になってしまうわけです。それが偽A群として何十%かA群に入ってしまうわけですから、そういう意味では現状のA、B、C、D分類は各群の割合が全く信用できないほど変わってきています。完全な未感染か既感染か、現感染かと分けることが最も重要になってきております。したがいまして、A、B、C、Dの検診間隔の提案はやめて、除菌した先生に御相談して、定期的に内視鏡検査を受けてくださいと書きかえておりますので、ぜひこれを広めたいと思っております。

ただ、胃がんリスクの層別化ができるということはIchinoseらの報告のとおりで、A群、B群、C群、D群へとリスクが直線的に高まります。また、除菌しても、十数年たっても胃がんが出るわけですから、追跡はずっとしなければいけないということで、フォローアップが重要だということを強調したマニュアル本です。1版は71ページの本でしたが、改訂2版ではいろいろな先生方の見解を全て掲載し、233ページになりました。もう四千数百部売れ、近日中に増刷するとのことです。それだけ多くのニーズが各市町村からあったということだと思います。

10ページ下段の表でございますが、御存じのように、WHOが、昨年20年ぶりにVolume 8という勧告文を公表しました。1994年にピロリ菌が胃がんの主な原因であると言われたときには、私を含め、誰も信じませんでした。その後、ヘリコバクター学会ができて、ヘリコバクター学会ほかが保険局に申請し、2年前に、慢性胃炎のピロリ菌除菌が保険収載されました。今現在、爆発的に140万人も行われ、1万何千人という胃がんが発見されたという仮の報告を耳にしておりますが、すばらしい成果が上がり、除菌による胃がん対策というのが効果を上げております。WHOでは、2年前から試験的研究が行われ、今回、Gastric cancer prevention study by predicting atrophic gastritisGISTAR研究が公表されました。20年ぶりにWHOの勧告文が再び世界に発信されました。

 日本や韓国のようなピロリ菌感染が多い国、いわゆる強毒株と言われるアジア株のある地域ではこういう方法をやったほうが良い。ただし、イギリスやアメリカのような白人では効果を上げるかどうかわからない。東南アジアの国々では黙認せずに積極的に除菌を勧めたほうが良い、という前文から始まり全190ページの厚さの英文ですので、読んでいない人も結構いるかもしれませんが、その151ページに、 Hp 除菌・PG法による胃がんリスク層別化検診で胃がん死亡を予防する多施設無作為化試験研究、まさに萎縮性胃炎を予知して胃がんを予防する研究が1年前に始まったと書いてあります。3,000人の試験研究を終え、これから3万人に拡大して、15年かけ、死亡率減少効果で有意差検定ができるのでこれを推し進めると書いてあります。

40歳以上、書面による同意、有症状者の検査、精査、両群50%を無作為化割りつけして、2群に分けて非侵襲的検査群と便潜血検査群。これはボランティアで来た方に何もメリットがないと大変お気の毒なので、便潜血検査が陽性であれば大腸内視鏡検査は無料、というおまけ付きの研究を始めました。除菌群と非除菌群に分けて、上部消化管内視鏡検査群と非検査群に分けて、いろいろな十数項目にわたるものをチェックする予定で膨大な予算が組まれたとのことです。MAPS指針というのは、最初に申し上げた24の国と地域と63人の専門家の意見を入れて作られた、内視鏡経過観察を行うガイドラインです。胃がん死亡率減少効果を15年後に結論を出すと書かれています。

以上が、主な現状です。まだ始まったばかりの検診でございますが、御報告しました。

 まとめますと、我が国での試験的試行結果から、リスク層別化検診は、胃がん発生の病因と科学的根拠に基づいた検診方法であると考えます。我が国での胃がん対策として現時点で考えられる実施可能な、最も費用対効果のよい、かつ簡便で安全な方法論であると考えます。

 ただし、実施に当たっては、期待される成果を得るためには、従来の各種の検診方法でも全て同様なのですが、留意しなくてはならない注意点が、多数存在することを検診従事者全てに周知徹底し、これを指導、解決していくことが、今後の最も大切な課題であると考えております。

ありがとうございました。

○大内座長 三木先生、ありがとうございました。

 では、続きまして、資料3に関しましては、深尾参考人から説明願います。

○深尾参考人 よろしくお願いします。

 今回の検討会のテーマでありますリスク層別化検診につきましては、受診率の伸び悩み、あるいは読影医の育成不足、こうしたエックス線検査による胃がん検診が幾つかの問題を抱えている中で、将来を見据えた新たな検診システムとして内視鏡検査による検診とともに重要な方法であると認識しており、日本消化器がん検診学会でもシンポジウム、ワークショップなどの主題として再三取り上げまして議論を願っているところでございます。

 また、本学会では2012年より、胃がんリスク評価研究会という附置研究会を立ち上げまして、胃がんのリスク評価の方法の科学的検証とその応用について突っ込んだ検討をしていただいております。

 本日の資料の2ページ、小さい字で一つ一つ振ってある2〜7ページまで、これは6回にわたります研究会での議論の中間報告の概要を代表世話人の吉原先生におまとめいただいたものです。今日はこの中間報告を中心としてお話を進めたいと思います。

 この小さな字で書いてある3ページ、これに附置研究会で用いた胃がんリスク評価という言葉、名称についての意味について述べています。この研究会を立ち上げる際、提案された名称は、胃がんリスク検診、あるいはそのものずばりのABC検診でありました。しかし、このような名称では現状のエックス線検診にかわる検診というイメージがぬぐえないとの意見があり、また、胃がんのリスクを評価する方法論と、それを予防対策として応用する方法論は別に考える必要があるという意見もありまして、検診という言葉はあえて入れておりません。そのようにいたしました。

 このスライドでお示しするように、胃がんリスク評価とは、診断ではなく罹患リスクを評価すること。つまり、それのみでスクリーニング検査ではないこと。効率的な予防対策に役立たせること。正確を期すためには画像情報も必要であること。あるいは先ほども触れられましたピロリ感染の除菌、これも考慮すべきであるとしています。いわゆるABC分類が罹患リスクの評価として妥当である。これについては小さな字で示した8ページ、9ページ、大きな4、5ページの下と上の図表に示したとおりでございます。

 中間報告の4ページをごらんください。先ほどの大きな2ページの下ですが、附置研究会で継続的に検討されている事項が6つほどございます。これだけ検討課題がありますので一番上のところに三木先生も御指摘になりましたが、検診担当者や受診対象者にリスク評価を用いた検診はいまだ検討の段階であることを周知するように注意喚起をしております。

 この検討課題をさらに集約すると、小さな5ページ、大きな3ページの上になります。3点に絞られます。第1点目は、血液検査のみで正確なピロリの未感染者、いわゆるABC分類で言いますところのAを判定することができない点でございます。これは8ページの表をもう一度見ていただきたいのですが、ピロリ抗体−、萎縮なし、いわゆるA群からも1,000人当たり2とか3とか罹患があります。ピロリ抗体の抗体価に問題があり、検査のカットオフ値を下げるべきだとか、A群と判定しても画像診断で未感染であることを確認すべきだとか、その対象法についてはさまざま意見があります。

 また、ピロリ除菌がルーチン医療になった現在、この群には除菌後の感染者が含まれることになり、話はさらにややこしくなっております。この辺の議論については6ページに戻っていただいて、附置研究会での検討状況が示されております。私個人の見解を述べさせていただくと、実は未感染をより正確に判定することにより、現在の胃がん検診システムの効率化は格段に進むと考えています。例えば未感染と判定した人たちには次回の検診の対象から除外し、胃がん検診は原則感染者と既感染者のみを対象にするという方法を考えています。この場合、検診はエックス線検診検査でも内視鏡検査でもいいと思います。層別ということでいえば、未感染者とその他、せいぜいこの2層でやってはいかがかということです。この方法によりまして、胃がんリスクの極めて低い集団にレントゲン被曝や内視鏡検査の偶発症などの副次的なリスクを回避できるのではないかと思っております。これについては以前学会のシンポジウムの司会をやったときにまとめとして発言いたしましたところ、会場から同意の拍手をいただいております。

 次の課題がB、C、D、高リスク群の管理方法です。三木先生の資料の最後にあったと思いますが、B、C、D群は定期的な内視鏡検査、それから、その後の受診間隔等の具体的には主治医と相談とありました。以前のプロトコールではBは何年後と、Cは何年後というような記載があったのを修正されたようです。この修正は正解でありまして、以前のプロトコールは必ずしも根拠に基づいてはいなかったと思われます。これも三木先生が触れましたけれども、特にB群では生物学的に悪性度の強く進行の早い胃がんが発生することを和歌山県立大学のグループが16年の追跡調査をもとにして報告しております。これは12ページに三木先生と同じソースですが書いてございます。

 ここで大事なのは、この論文の趣旨は、このB群における足の速いがんがあるということの警鐘であります。ここでABC分類後の管理システムについて、医療体制の面から考えてみたいと思います。17ページ、最後の大きな9ページのところです。これは学会の附置研究会のメンバーでもあります滋賀の中島先生が主催しておりますピロリ菌を考慮した胃がん検診研究会の冊子から拝借したものです。上の左の図は従来とありますが、現在の胃がん検診のシステムです。対象集団に保険サービスとしてエックス線検査による検診を提供し、必要な人が医療として内視鏡検査を受けるというやり方です。大事なのは、検診の受診者全員の精検の要否、精検受診の有無、精検の診断など、検診にまつわるデータは実施主体である自治体がファイルとして保持して、将来の精度管理等に利用しているわけです。これは胃がん検診のみならず、ほかのがん検診についても共通した我が国のがん検診の体制であります。

 今、議論しているリスク層化別検診というのは、上の右側の図で、対象集団からリスクの高い集団を拾い上げ、その集団を囲い込んでエックス線検査なり内視鏡検査なり検査を繰り返していくというやり方で、今の考え方からしますと、保険サービスとして実施するのは対象集団のリスクの工程を振るい分けることだけで、その後は医療体制の中でというような格好になるのではないでしょうか。

18ページ、その下に少し詳細な図がございます。筆者らは、ここの中島先生たちは、一次予防をしながら効率化する胃がん検診とか、個別化またはテーラーメイド胃がん予防検診という表題をつけております。右側に私の意見を吹き出しに書いております。内視鏡対象集団でハイリスクを囲い込む部分の問題点は前にも述べたとおり、リスクの高い集団をいかにして効率的に拾い上げるかというより、リスクが極めて低い胃がん検診が低く、胃がん検診が必要のない人たちをより適切に除外するという発想が先ほども言いましたようにベターだと思います。それにはまだまだエビデンスが必要であります。

 その下の青い吹き出し、誰が責任を持って囲い込むのかについては、先ほど触れましたように現状の考え方では、囲い込みは医療機関が医療体制の中で行う形になるでしょう。行政が定期的な内視鏡検査を必要とする患者のデータを将来に向けて管理していくことは、内視鏡検診の体制が万全に整った地域であればともかく、一般的には困難と言わざるを得ません。責任体制がとられない状態では十分な検診受診者のデータ管理ができないことが最大の問題だと思っております。

 囲い込み自体がうまくいっているとは思えない事例を御紹介します。15ページ、1つ前の8ページの上です。これは東京都医師会が胃がんリスク検診をやるということを提案した文章に引用されている表、図表であります。上の図は、これは西東京市でリスク検診を開始したところ、受診数も、胃がん発見数も増加したというものです。先ほど三木先生もこのようなことをお示ししていただきました。

 下の表は、これは幾つかの自治体でのリスク検診の成績であります。注目していただきたいのは精検受診数のところ。赤で精検受診率を書き込みました。ごらんのように、各地域の精検受診率は、この検診の趣旨から言いまして囲い込みの割合であります。これが30%から50%であります。囲い込み開始の段階でこの数値はその後の体制を議論する以前の問題と言わざるを得ません。

 5ページに戻っていただきます。附置研究会が指摘しております3つ目の課題は有効性の評価についてであります。2014年版の「有効性に基づく胃がん検診ガイドライン」でもペプシノゲン検査、ピロリ抗体検査、両者併用、これはいずれもレベル3でありました。死亡率減少効果を検討した研究はペプシゲノン検査単独で幾つかありますが、今話題にしているABC分類を検診に用いたものについては報告がありません。この検診はそもそも一次予防を目指しているのだから、罹患率を指標としている。現在の胃がん検診と同じように死亡率で評価しなくてもいいという意見を聞いたことがございます。一次予防の評価指標は実施した対象集団における罹患率であることは言うまでもありません。しかし、それは将来目指すのは罹患率の減少です。現在の検討は層別した各層ごとの罹患率の比較のみであり、減少を観察するまでには至っておりません。このリスク層化別の目的が、それではがんの早期発見であるとみなせば評価指標はやはり死亡率減少が正しいと思います。2014年版のガイドラインで内視鏡検診が証拠レベル2プラス、推奨レベルBに格上げになった経緯でおわかりのように、今さら是が非でもRCTをとは申しません。ABCを用いた検診を実施している地域で胃がん死亡者をケースにしたウェルデザインのケースコントロール研究をぜひ進めてほしいと思います。

 最後に、ピロリ除菌についてちょっと触れます。除菌療法の適用拡大は胃がんの予防対策に大きな影響を及ぼすことは論を待ちません。しかし、成人のピロリ菌感染者の除菌がその後の胃がんの発生をせいぜい30%程度しか減少させないことを世界の各地で行われたRCTで明らかにされております。13ページにメタアナリシスの結果をお示ししてございます。

 したがって、除菌した後も内視鏡検査による医療管理がなされるべきであり、少なくとも胃がん検診を継続して受診していくことは必要となります。日本消化器がん検診学会としては、その必要性を周知するために2013年4月に、14ページにありますように理事会に表明いたしました。問題は、先ほどから議論しているABC分類による胃がん検診のプロトコール、先ほど三木先生がお示ししたプロトコールに除菌治療が組み込まれている点であります。もうこうなりましては、ABC分類後は完全に医療に任せろという意思表示にもとれます。この方針でよいのかどうか、先ほどから説明しているとおり、保険医療体制を現在の保険医療体制、あるいは将来の体制を勘案して考えていただきたいと思います。

 以上です。

○大内座長 深尾先生には日本消化器がん検診学会理事長のお立場でお話しいただきました。ありがとうございました。

 それでは、お二方の参考人の説明がありましたので、質疑応答に入りたいと思います。

 どうぞ。

○菅野構成員 御報告ありがとうございます。

 私のほうで見たのは、自治体、指標にしておりますのが陽性反応適中度というのを結構日ごろ大事にしているところなのですけれども、今いただいた数字から出ていなかったので電卓をたたきますと、大体0.5とか0.6とか0.7とかそのぐらいのものが多いかなと思ったのですけれども、今、国のプロセス指標の目安としては1%以上エックス線とすると、これは陽性反応適中度とすると必ずしも高くない、検診として見るとですね。そのときに気になるのは、要精検率が4割弱という数に及ぶ。そうすると、今、最後、深尾参考人からもありましたが、自治体の立場からすると、結局はほとんどの方が国保だということも考えると、それが保険財政においては検診を受けた4割の方が胃カメラを飲む。そうすると、エックス線と比較したときにかなり費用もかかるし、インフラも相当程度今後必要になってくるという話になるのかなと思ったのですが、陽性反応適中度というのはこれぐらいなのでしょうかという御質問です。

○大内座長 では、三木先生、お願いします。

○三木参考人 資料8ページ上段に示します、横須賀市の場合、そこに吹き出しで書いてありますように、発見率は0.5%、陽性反応適中度は1.3になるわけですが、41万都市で13万人を対象にやっても1.3になって、これは手挙げ方式で62の施設ですね。採血をしたところが136施設で、それらの平均値をあらわしています。早期がん率が先ほど問題になっておりましたが8割というのは、明らかに従来のエックス線検診より良い効果を上げているという証拠になりますので、これほどの大きな自治体で、これだけ均一に、短期間に行なった結果は有望なデータではないかと思っております。

○大内座長 どうぞ。

○深尾参考人 陽性反応適中度という言葉は完全な横断研究の言葉ですね。今、三木先生も議論しているように、これは横断的なスクリーニングでないわけです。となると、陽性反応適中度を議論するのが多分違うのです。

○三木参考人 あまり意味がない。

○深尾参考人 意味がない。何年間追跡した話、これはどうなのですか。これは追跡ですか。

○三木参考人 2年目を今やっているようですけれども、まだ発表されていません。

○深尾参考人 これは横断ですか。

○三木参考人 ある年度に限って1年間。

○深尾参考人 これだったら比較できますね。でも、それを今議論しているのではなくて、ハイリスクを追跡していく、それの効果ですね。

○三木参考人 そうです。

○深尾参考人 そうすると、これはあまり意味がないのです。

○大内座長 どうぞ。

○斎藤構成員 そのとおりなのですが、少なくともプログラム内での累積の発見数になりますね。

○深尾参考人 レントゲンも同じようなものを出さないといけない。

○斎藤構成員 ですけれども、それがいいために、やはりシングルスクリーンで基本的に基準をクリアしていないと、とてもプログラム内でそういったパフォーマンスは期待できないわけで、やはり今の議論は成立すると思います。

○大内座長 よろしいですか。

 どうぞ、もう一回。

○菅野構成員 そうすると、意見的なのですけれども、4割の方がカメラを飲むということは、事実上、内視鏡検診の発見率に近いようなイメージがあります。最初の三木参考人のお話では検診としてエックス線と直接比較した形でお示しもいただきましたが、これはあくまでリスク評価だということでお話が進むのだとすると、比較の仕方とかが適切なのかわからなかったのです。これは実際リスクとして見たときには、単独の年で見てリスク検査とエックス線検診を比較するのではないのだと思うのですが、もう一度よろしいですか。

○三木参考人 質問の意味がよくわからないのですが、7ページ下段を見ていただきたいのですが、目黒区の場合は、最初にコンピュータで5年計画を立てて、受診者がエックス線検診とリスク層別化検診の両方は選べないようにして、オプションでどちらでも良いとしているのです。住民の任意であるところがポイントです。エックス線検診受診者が9,600人であったのに対し、リスク層別化検診受診者は3万人で、小さな区ではありますけれども、かなり信頼できる数字が5年ぶりに発表されたということで、これを今回初めて報告させていただきました。精検の受診率は、エックス線検診で47%、リスク層別化検診で54%ですので、目黒区民の場合は、いずれの検診もそれほど受けていません。その中で胃がん発見率に4倍の差があり、早期胃がん率は、それぞれ16.7%に対し72.6%であることも報告されているわけですから、明らかな有意差であると考えます。

 また、その下に書いてあるように、繰り返しになりますが、行政の総予算が同額なのです。これだけの有意差があるわけですから、リスク層別化検診は明らかに費用対効果が良いということになります。目黒区が、5年前、全国で一番初めに始めたわけです。まだ始まって4〜5年の検査法ですが、その後、西東京市、京都市伏見区などが続いています。

 先ほど問題になったように、B群を除菌したら全部A群に入って偽A群が増加するということは確かです。ですから、どういうカットオフ値にすればそういう群を拾い出せるかという研究も今年の学会で発表する予定で、目黒プロジェクト研究が進行しております。3万人を全部行政でデータを持っており、現在分析中です。昨年のヘリコバクター学会で神戸の青山先生がおっしゃっているような、ピロリ菌IgG抗体価の3〜9を含めれば、10%ぐらい陽性群が増えるのですが、ほとんど全部の胃がんが拾えるというのがわかってきました。前向きにこうやって研究していかないといけないのですが、5年の歴史しかない方法論ではありますが、明らかに、両群間に有意差があると考えます。費用対効果に一番敏感なのが企業ではないでしょうか。百数十社で胃がんリスク層別化検診が始まっているということは、データヘルス計画という後押しもあります。リスク層別化検診の有用性を報告する英文論文を投稿した企業報告もあると耳にしております。

○大内座長 斎藤構成員、どうぞ。

○斎藤構成員 三木先生にお尋ねしますが、今、菅野構成員の話につながって、まず、こういうABC検診と言われているものが出てきたのは先生のお仕事によるもので、敬意を表したいと思います。

 ただ、今日の先生のプレゼンテーションをお聞きして、有効性という言葉を使っておいででしたが、その根拠は発見率というようなものを指標にして論じられていると理解しました。それはいいとして、こういう発見率を論じる場合に、例えば今話題になっている7ページの下段の表もそうですし、その後のほうの表もそうなのですけれども、この2つの方法を比較するときに、背景のリスクを比べなくてはいけないと思うのです。恐らく導入時にはそれまでとは違うポピュレーションが入ってきますから、具体的に言うと初回の受診者、それまで受診歴がない方たちが多いのではないかというのが一般的な傾向だと思うのですが、そういうことを調整されているのかということが1つ。

 もう一つは、先ほどの菅野構成員の話にもありましたが、事実上これは定期的にやる内視鏡もスクリーニングの枠組みに入っているということで、費用の勘定という話が出ましたが、この費用に内視鏡が入っているのか、入っていないのかということで全然違うと思うのです。例えば7ページの下では恐らく六十数%ぐらいが内視鏡に回っていると思うのです。そういったコストに内視鏡が入った上でおっしゃっているのか。

 もう一つ、この表についてお聞きすると、これだけフォローアップしていると、もう死亡データがあるのではないかと思うのですが、そういったデータを見ておられるか、この3点を教えていただければと思います。

○三木参考人 私がやった研究ではないので、そういう細かいことまでは、今、次の学会にすると思いますけれども、ある程度の分析が可能な段階に入ったということを御説明しているわけでございます。

 リスクに分けられるということは、深尾参考人もおっしゃっているように、これは確かな事実です。リスクに分けられないなどということは濱島先生もおっしゃいませんし、また津金先生もおっしゃっていないのです。また、今年の濱島班の12回のデータは皆さん御存じだと思うのです。内視鏡が有意差を持って有効だと結論づけているわけです。どうでしょうか。聴衆の方々に本当にお聞きしたい。リスクに分けられる、内視鏡は優れている、その2つを合わせて、5年間でこれだけの報告が出たことは、対策型検診として有望と思われませんか。このような成績を11年にMAPSガイドライン作成委員として、日本の代表として、意見を述べ、その後GUTのガイドラインが出たのです。イギリスのMorain教授も激賞し、リスク層別化検診を広めるよう、逆に激励されたわけです。そして、昨年、WHOから第8巻の勧告文が出たのです。その中で、GISTAR研究が公表されたのです。3,000人の試験研究の後、3万人にして15年行うと言っています。後藤田先生の研究班が3年で終了せずに6年、9年と継続していれば、有意差が出てくるはずと考えます。助成金交付終了の事情は、詳しくはわかりませんが、良い研究であり、そういう前向きな議論をしなければいけないと思います。

○大内座長 7ページの表の中で、胃がん1人発見コストがありますけれども、今、斎藤構成員から質問のあった3点目、内視鏡検査の費用は入っているのですか、いないのですか。

○三木参考人 詳しくは覚えていないのですが。

○斎藤構成員 多分2万人に内視鏡をやっているぐらいの勘定なので。

○三木参考人 要精検者を外来へ全員紹介しているわけですから、確かに、区がまとめた資料の中には入っていないはずですね。確かにそうですね。マンパワーから言って、検診センター内のみで全て受け入れることは不可能でございます。ですから、一義的に重要なことは各地域の医師会の先生方にお願いすることになります。それと行政が連携しないとこういう結果は出ない。除菌もやらなければいけないわけです。保険局課長から、胃がんはピロリ菌感染性疾患であるということが認定されたわけですから、これは世界の常識なのですが、それも組み合わせてやることが最も効率のよい胃がん対策ではないでしょうかと申し上げているわけです。仮に実施したとしてもご説明したような結果になる。

 私どもの機関紙にも書いておりますが、群馬の大和田先生が現在の保険の点数で計算してトータルで医療費が安くなるのか、高くなるのかという研究を報告しております。現在の保険点数で計算し、リスク層別化検診を導入すると、年間133億円の費用が節減できるということを、日本臨床に報告しております。これも、我々のリスク層別化検診を推奨する一つの根拠です。ぜひ見ていただきたいと思います。

○大内座長 先生のこれまでの御経験と今後の見通しについて、いろいろ検討を進めなければいけないのですが、いわゆるリスク層別化検診に関しては、あくまでもこれは検診のモダリティという枠ではなくて、予防ではないかと私は思うのですが。

○三木参考人 あくまでもこれは分類でございます。

○大内座長 そうですね。

○三木参考人 その後、画像検査をしなければいけない。それがセットになっているわけです。ですから、内視鏡をできるところでは内視鏡検査を推奨しておりますけれども、地方その他で内視鏡医のいないところはもちろんエックス線検査で、それでも、結果を得るためには、WHOが言うように15年はかかると思うのです。ですから、できるところから導入していくのは、既に、内視鏡2次精検受診者2万人の結果でいいのではないかというのが我々の考え方なのです。

○大内座長 それがいいかどうかの判断は、客観的な評価が必要であって、深尾参考人が最後に言われましたように、少なくともケースコントロールスタディ、症例対象研究が必要ではないかということに関していかがでしょうか。

○三木参考人 それが後藤田先生のような研究ですが、3年で助成金交付中止になってしまっておりますので、私はこれをどうしてもっと続けてくださらないのかと思います。

これは聞くところによると厚労科研です。

○深尾参考人 後藤田さんの論文を見ましたけれども、費用効果をアウトカムしているのです。死亡率は一切目的のところに書いていないのです。600人でそもそもサンプルされたのが二百何でいいという書き方をしていたので、あれはその辺で続かなかったのではないかと思っていたのです。

○三木参考人 そうでしょうか。検診システムのどちらがより優れているのか、エックス線群とリスク群に分けて3年目に胃内視鏡検査を行う。胃がん発生数で評価して、エックス線検査群では発見胃がんがゼロだったのに対し、リスク層別化検診群では、早期がんが3人見つかったのですから。

○深尾参考人 3人しかいなかった。

○三木参考人 3人しかと言われても、3年間では結果は出ません。この助成金を交付中止して、それでそういう研究をせよというのはどういうことなのでしょうか。これを続行しないで何をやるのですか。文献を持ってきましたから、では聴衆の方に見ていただきたいですね。この論文を見てそう7読み込めるかどうか。

○大内座長 斎藤構成員、どうぞ。

○斎藤構成員 我々の間では通じる話も、オーディエンスもいることなのでちょっとだけ補足しますけれども、この後藤田さんのものは600人、2つアームですね。内視鏡のほうは大体400人やっているわけです。エックス線は10%、だから六十数%対10%の内視鏡の差なのです。ですから、これがスクリーニングの差かどうかということは言えない。内視鏡をほぼ全例にやるか、少数にやるかという差を見ているものだと考えます。

 もう一つよろしいですか。重要なことを1つ言いたいのですけれども、三木先生の5ページ目の下段のレポート、これはマーストリヒトレポートと呼ばれるもので、私も何度か読んでいて結構細部まで覚えているのですけれども、これはどういうものかというと、ガイドラインとなっていますが、名前にもあるようにコンセンサスレポートです。ですから、ある意味、エキスパートオピニオンベースなのですが、ただ、一応推奨はエビデンスとひもづけてつくるという作成方法が書かれています。この推奨を見ていただくと、1aレベルで推奨度Bとなっていますね。方法を見ると、マトリックスからいくと推奨度Aなのです。なぜBかというと、方法を見ると、結果は複数の研究の結果の一致しない場合には推奨を下げるということが書いていまして、一致していないということが1つあります。

 それは納得できるのですが、1aの内容が質のよいRCT、しかも一様性といいますかばらつきがない研究のメタアナリシスによるものとなっているのです。ここで引用されているのがほとんど全て三木先生の論文なのですけれども、それは大変敬意を表したいと思いますが、それらはいずれもRCTではないのです。ですから、これは何らかのエラー、私自身は間違いだと思いますが、この1aで推奨度Bでコンセンサスベースのガイドラインとはいえ、そういう推奨がビックジャーナルに載ったということは事実としても保留をつけるというか、もう一回検証し直さないと、これはこのままうのみにはできないと思います。

○三木参考人 今、斎藤構成員の言ったのはGutのことですか。

○斎藤構成員 そうです。

○大内座長 三木参考人から最後に示されていますGISTARスタディーに関してなのですけれども、これはクリニカルトライアルズに載ったのは、この4月ですね。

○三木参考人 はい。

○大内座長 これから3万人のトライアルを行うということですね。

○三木参考人 そうですね。15年かかるそうです。

○大内座長 ですので、このような形で検証していくというのが今の姿だと思うのです。

○三木参考人 もちろん、それが一番正しい理想形ですけれども、こういう内視鏡を使った研究は、よくヘリコバクター学会の元理事長も言っていますけれども、早期がんをほぼ100%落とさないで診断できる国というのは日本しかないのです。ですから、日本のデータのほうがより重要だと思います。目黒区のデータ、横須賀のデータなどというのは、積み重ねで精検受診者数が2万人を超えた段階で、こういう数字が今年出たということは、やはりこれは前向き研究ですので、そういう傾向にあるということは認めてほしいと思います。

○大内座長 深尾先生、この件に関して、RCTがこのように欧米で、海外で始まっているわけですが、日本としてABC検診あるいはリスク層別化検診の証拠を得るためには、先ほど先生が言われたように症例対象研究、具体的にどのようにされたらいいでしょうか。

○深尾参考人 この計画は日本の胃がん検診の現在のレントゲンのことは一切関係なくやるわけですね。それは現実的ではないですね。これはこのまま日本でできません。エックス線と比較するという計画をサンプルサイズ、計算したことがあるのですけれども、べらぼうですね。10万とか20万必要。とてもではないけれども、できません。

 私が思うには、ここに書いてあるWHOのこれは臨床のセッティングなのです。例えば糖尿病患者をスクリーニングして血糖とかヘモグロビンA1Cで見つける。そして、それを医療にやって血糖の値によって治療レベルをこうするということを考えると、分類のところ、スクリーニングのところはABCで、あとは除菌するなり追跡するなり、これは医療のセッティングだというような、ここのトライアルも全く医療です。我々の発想として、検診のあり方検討会でそういうものを検討に入れるかどうかを逆にお考えいただきたいと思います。

○三木参考人 逆に、私が言わせていただきますと、では、できないということがわかっていることをやりなさいと言われても、仕方がないと思います。べらぼうな数とべらぼうな年限がかかるのですと、よくぞ言っていただきました。だから良いと思われる人々がオプションで選ぶことを認めるべきだと私は言っているわけなのです。自主判断で実施する市町村を容認すべきですし、また、そういう企業も、それを温かく見守っていくしかないのです。もともと、リスク層別化分類法とセットになった内視鏡検診なのですから。

○大内座長 先生の今までの積み重ねた御苦労はあって、本日ご説明願ったわけですので、国のがん対策に関連する大変貴重なコメントかと思いますが、がん検診のあり方に関する検討会では、基本的には対策型検診を我々は扱っています。ですので、EBM、科学的根拠に基づいたということが前提になっていることは我々共通した認識です。では、そのEBMが途中なものに対してどのような書き方にするか、あるいは報告書を出すかというところで我々は悩んでいるところでして、そこをさらに詰めていきたいと思っています。

 では、松田先生、どうぞ。

○松田構成員 三木先生、深尾先生、ありがとうございました。

 今日、深尾先生が先ほどお話しになったように、血液を用いた胃がんのリスク評価は画像と組み合わせると非常に有望で、明らかに Hp 未感染と診断できるものについては胃がん検診の対象から恐らく外していけるのだろうということだったかと思うのですが、三木先生の10ページ目の資料の上についてお聞きしたいと思います。A群についてはこれまでは胃がん検診、内視鏡にしろ、レントゲンにしろ、先生は恐らく内視鏡のことを言われているかと思うのですが、不要だと言っていらしたのが、不要の後ろに4番という番号が振ってあって、有症状者は画像診断をしたほうがいいということと、あとは過去に画像診断したことがない人については御相談くださいと書いてあるかと思います。でも、これまで過去の私たちの画像診断ではあまりヘリコの感染のことを言ってこなかったと思うのです。胃がんがあるかないかということは話をしても、あなたは慢性胃炎だとか、ヘリコの感染があるということを言ってこなかったので、これは必ずしも今まで画像診断を受けたことがあるから Hp 未感染ということを言っているわけではないのだと思います。一度は画像診断をしていただいたほうがいいのかなと私もA群について思っています。

 あとB、C群、ヘリコの感染群なのですけれども、血液検査によるリスク評価の問題点とすると、精検受診率が非常に低い。その前に要精検率が高いということもありますが、精検受診率が低くて継続の内視鏡検査になっていないというところが問題かと思います。この人たちを精検受診率を上げ、定期的な内視鏡あるいはそこにエックス線が入ってきてもいいかと思いますが、定期的な胃がん検診に結びつけるためにはどうしたらいいとお考えでしょうか。

○三木参考人 これはエックス線検診でも同じ問題があったのです。ですから、渋谷先生がコール、リーコルのことを研究して報告しているように、根気よくコンピュータでそれをちゃんと管理して通知をしなければいけないということです。目黒区でも5年間の計画を立ててコンピュータで一度受けた人は絶対受けられないようにしていたそうでございまして、そうやってコントロールしなければ結果は出ないのです。この苦労というのは、私も最後に申し上げましたように、さんざんやっていかないといけない。各種の検診法と同じ問題点はあります。

 ただ、リスクには分けられる、それで内視鏡は有効である、この2つのセットを行なって何がいけないのだという人々が始めたとして、それはしようがないのではないかというのが私の考えで、エビデンスでも何でもありません。インプレッションです。胃がんが、ピロリ菌感染疾患であるなら、それを加味した方法論のほうが、がん対策として優れているのではないかと思って実施した自治体が140もあって、高名な会社が百数十社今月から導入しているという現状です。データヘルス計画という保険局の要請に応えて、そのデータを今年から提出するというのですから、もう数年たてばそんな疾患の数や何かも全てが把握できるようになるとは思いますが、そういうことを義務づけて実施するというようなきめ細かな対策を立てた上なら、それだけ失敗する危険が少なくなると思います。

○大内座長 三木先生からインプレッションという言葉を聞いたので、何となく私の責務ではなくなるような気がしました。がん対策基本法の中に基本理念として科学的根拠に基づくがん医療の提供とありますので、それを受けて行っているのが対策型検診でございますので、そこまでハードルが高いとお考えいただければ、今後も引き続き研究をしていただきたい。対策型でなく、任意型であれば一定のかなりしっかりしたインフォームド・コンセントと体制も整備された上で、しかもデータがとれるような形でさらに積み上げていただければと思っております。

 井上さん、どうぞ。

○井上構成員 質問がかなりプリミティブな質問に戻ってしまうのですけれども、先ほどから出ている、いわゆるABC検診をリスクの層別化に用いた検診を行っていくという、もちろんEBMですからエビデンスということで行っていくとなった場合に、これはいつもわからないのですけれども、一発やればいいという考えなのですか。それとも、何年かに一遍ずつ受けるのか。

○三木参考人 我々の出版したマニュアル本にも書いておりますが、理論的には一生のうち1回やってヘリコが陽性か陰性かというのを調べておけば良いということになります。陽性だったら保険局医療課の指示に従って除菌治療をする。その後は一生、経過観察になりますから、実地医家のほうに回していただければそれで良いわけでございます。結果として胃がんが多く見つかるのですから。現に、保険が通ってから御存じですか。既に100万人以上、この1〜2年で除菌治療が行われているのです。私も聞いて驚いたのですけれども、一万数千人のがんが見つかっているというのです。今集計中だということです。こんなことはあるのですか。

 結局、内視鏡に誘導すればそれだけ早期がんが多く見つかったのだそうですから、これはエビデンスではないですかと言っているのです。恐らく、日本ヘリコバクター学会その他から出てくると思います。ここにいらっしゃる構成員には日本ヘリコバクター学会の役員もいらっしゃらないようですし、日本胃がん学会の役員もいらっしゃらないようでございますが、これらの学会では今、真剣に、検討しています。ピロリ菌除菌が、保険収載された時代では、そういうデータが、特にデータヘルス計画と直結すれば、数年のうちに出るでしょう。それから軌道修正して、このカットオフ値を変更したり、検診間隔も何年に一遍、というようなことをアドバイスできるようになると思います。本日御説明した5自治体では、独自の判断で実施した結果です。ですから、旧来の70以下、3以下というカットオフ値の報告が多いです。京都市伏見区の場合はちょっとカットオフ値を変更していますけれども、偽A群のことを考慮せずに実施した場合でも、このぐらいの報告が出ています。さらに偽A群を考慮すれば、もっと精度がよくなるということを申し上げているわけでございます。

 昨年の日本ヘリコバクター学会では、それが最大の議論でした。どうやって偽A群を選び出すのか。その偽A群と言われるものは、 Hp IgG抗体価が3〜9に入るのではないか。それを来年までに蓄積し、発表される見込みです。現在では、目黒区の目黒プロジェクトではその数値までが見えてきている。だから、コンピュータに、各種データを入力し、分析することが重要なのです。

○大内座長 深尾先生に、日本消化器がん検診学会の理事長としてのお立場でお伺いしたいのは、胃がんリスク評価に関する研究会を持たれて、これは継続検討事項になっていまして、例えば2ページ目の小さな数字でいうと4番目のスライドで検証を続けると書いてあって、さらに右側の5ページの評価の課題3点、その中でも3番目の効果、有効性の評価ということでありますが、今でも、この研究会は継続中なのでしょうか。

○深尾参考人 はい。継続中です。今度の6月の総会のときにもやります。

○大内座長 そこでまた新たな動きはあるのでしょうか。

○深尾参考人 新たな動きというと、これを継続検討。メンバーがいろいろデータを出してきますので、それを検討する会ですから。

○大内座長 例えばこの検討会は厚生労働省健康局長諮問の検討会ですので、私どもの責任もあるのですが、何らかのプロトコールの提案等はできないのでしょうか。

○深尾参考人 できます。それが最終的に方針、リスク評価を用いた胃がん検診という。リスク検診ではなくて、これを上手に使った胃がん検診というシステムですね。そういうのを目指して、先ほど私が言ったように、A群の未感染者だけ何とかがっちり除いて、それを除外した検診をするような、そういうプロトコールをいずれつくるのが最終的な目標なのです。

○大内座長 祖父江先生、この件に関していかがですか。

○祖父江構成員 いろんな要素があるかもしれませんが、もっと単純化して言えば、未感染者をとにかくきちんと同定しましょうと。その人たちに関しては、原則検診は要らない。既感染者、現に感染している人あるいは今まで感染したことがあるけれども、今菌がない人については、胃がん検診を行う。

○深尾参考人 そういう考え方です。

○祖父江構成員 これだけでいいのではないですか。あとは胃がん検診の実際の方法とか間隔とか、それはもちろん吟味すべきだと思いますけれども、未感染者をきちんと同定するという方法を確立し、それを運用する。きちんと既感染者の方々には胃がん検診を行う、これで十分ではないかと私は思うのです。

○三木参考人 全く同感です。それを実行してほしいと思います。それにはピロリ菌感染の有無を調べなければいけませんし、そうすれば医療に回るのと検診に回るので分かれると思うのです。一次予防と二次予防を組み合わせた対策が効果を最も上げると考えています。

○祖父江構成員 ですから、除菌をする、しないという判断も、要は既感染の人に関しては検診をするということであれば、除菌をしようとしまいと検診の対象者なのですから、それは個々判断があるとは思いますけれども、検診の対象者としてずっと運用していくのでいいような気がするのですが、それでオーケーですか。

○三木参考人 大賛成です。それを決めてほしいと思います。先程も深尾理事長がおっしゃったように、この先、死亡率減少効果の検証に何年かかるかわからないわけですから。毎年5万人亡くなっているということが事実なのです。

○深尾参考人 その検討は必要です。そうやって振り分けて除外した検診が有効かどうか、それはやらなければいけないです。

○三木参考人 それを目指してデータを蓄積していけば良いのです。

○大内座長 斎藤構成員、どうぞ。

○斎藤構成員 今、びっくりするような議論になっているような気もするのですが、もちろん、いろいろ有効性はまず検討が大事、検証が大事ですね。その後、それと同時に、どうやってやればいいのか、あるいはどうやってやれるのかというところが全くまだブラックボックスなのです。

 実は、検診を施策で導入する重要な条件、クラシックな条件には書かれていないのですけれども、例えば英国で条件にしている必須条件の一つは、有効性、利益不利益バランスのほかに、マネジメントする指標と枠組みができていてきっちりやれるというのが実はあるのです。この場合、それをどうやってやればいいのか、それができるのかというデータは全然なくて、むしろ先ほど三木先生のお示しになった幾つかのテーブルを見ても、深尾先生の御指摘のデータを見ても、全然うまくいっていないのです。

 さらには、ここに載っていませんが、非常に先進的に2〜3年かけた体制構築をしてやったようなところで、全くうまくいかない。20%しかコンプライアンスがないという報告もありまして、今のところ成功例はないのです。

 去年、昨年の消化器関連の集合した会でも、大きなセッションで、先ほど深尾先生は、あとはこの先は対象を絞ったら医療に任せるというお話がありましたが、そこで語られたことというのは、「医療に任せてもらってもできないよ」というジレンマそのものだったのです。それが現状です。ですから、有効性を評価する、もう一つはきちんとやれる体制を構築する、そして、そのフィージビリティ、実行可能性をちゃんと検証した上でないとできなくなる。できなくなった場合、どういうマイナスがあるかというと、検診の現場で一番最初に大事なのは、対象者の管理なのです。この件で直接関係するのは、除菌するしないにかかわらずという話がありましたが、除菌する、しないの管理ができるかどうかということがあります。除菌を間違うと実はハイリスクを放置という話になりますので、そこから始まっていろいろマネジメント上の問題がありまして、そういう問題が今見えていないとは思いますが、氷山の水面の下の部分みたいな大きさの問題があるということは申し上げておきたいと思います。

○大内座長 ほかに御意見ございますか。

○三木参考人 斎藤構成員がご指摘の問題については、日本ヘリコバクター学会などで、既に回答を出しています。陰性高値群を入れる、ということを推奨しているわけですから、3〜9のHp IgG抗体価値を入れれば大部分が拾えるという報告があります。ですから、日本ヘリコバクター学会や日本消化器内視鏡学会などの意見を取り入れるとかということで、そういうものができてくる。昨年までの報告では、そういうものが考慮されていない段階です。今年になって、新しい成功例が報告されてきたのです。ですので、リスク層別化検診をここで一律に禁止するようなことはしないでほしいと思います。私の言いたいことは、アラカルトとしてリスク層別化検診を導入したと報告している自治体もあるのですから、全国の8%もの自治体が導入し始めているということは、無視すべきではない。もし禁止措置などなされますと大混乱を起こすかと思います。

 厚生労働の部局によって言うことが違うのかということにもなりかねないので、そういうことはないようにしていただきたい。

○大内座長 福田構成員、どうぞ。

○福田構成員 1つだけ。ちゃんと理解できていないのかもしれないのですが、こういう検診をやるときに費用対効果も考えないといけないと思いますので重要な御指摘をいただいていると思うのですけれども、1つ確認したいのです。

 三木先生にお話しいただいた、例えば目黒区の例などだと、ABC検診かエックス線検査かどちらかをやるというようなことで、代替みたいな形で見えるのですが、深尾先生のお話の中だと、基本的にはリスク評価は画像診断を、画像検診を置きかえるものではないので両方必要で、深尾先生のものの大きな9ページの絵が描いてあるところだと、あくまでもエックス線とか内視鏡検査をやるための対象者を絞り込むのに使うというような位置づけなのですが、それはそういう理解でよろしいですか。

○三木参考人 いろんな方法論がその地域の実情と財政によって、あるいはマンパワーによって変わると思うのです。一律ではないということ。東京とか大都市の大阪などは内視鏡医が多数いますので可能なところもある。あるいは群馬県1つ見ても、前橋市のように内視鏡で全部やってもできるところもある。しかし、それもできない、エックス線も受けられない、受けるとしても精査はエックス線しかないというグループもあると思うのです。だから、認める方法をそういうのもあり得るとしておかないといけないと思います。

○福田構成員 そうすると、例えば費用対効果の観点からいうと、個別の検診に幾らかかってというだけではなくて、一連の診療経過でトータルで幾らかかる。さらにいうと、それによって発見された治療に幾らかかって、死亡までどのくらいかかるのでという比較をしなくてはいけないので、そのコースは自治体によっていろいろ、財政によっていろいろということなのでしようか。

○三木参考人 そうですね。公表されていませんね。ですから、データヘルス計画に期待するところが大きいのです。マイナンバー制とデータヘルス計画が動き出せば数年のうちにそういうものも明らかになってくると思います。

○福田構成員 必ずしも現段階ではこの手順でやるのがベストだということはないということでよろしいのですか。

○三木参考人 今の段階では、こういう自治体の自主的な判断でやっているわけですから、こういうものも温かい目で送ってほしいということでございます。導入している企業が混乱しないように、これもアラカルトにあるというようにしていただければ良いわけです。

○福田構成員 ありがとうございます。

○大内座長 道永構成員、どうぞ。

○道永構成員 今さらで申しわけないのですが、三木先生の9ページの上の段のスライドですが、要精検者数というのは、精検が必要だということはA群以外と思ってよろしいのですね。

○三木参考人 そうです。

○道永構成員 二次精検というのは、ぱっと見たときに私はバイオプシーのことかと思ったのです。

○三木参考人 違います。2万回、カメラを飲んだ人ということです。

○道永構成員 わかりました。ですから、A群がいたのが大体56%ぐらいで、今現在としてはA群が78%ぐらいいらっしゃるということで、これは以前のデータも入っているからかもしれませんけれども、A群以外が非常に多いという感じがするのです。

○三木参考人 これは、昔は75%がA群と言っていたのですけれども、B群の除菌が実質的に入りまして100万人超えまして全部入ってしまって20%ぐらい入っている市町村もあるのです。それがみんな入ってきますので、そういう数字が出ているところがあるということになります。もう本当に地域によって胃がんの発生率も北海道から沖縄まで違いますので、自主性に任せるということがとても重要ではないかと考えます。

○道永構成員 あともう一ついいですか。今、マイナンバーのお話をされたのですが、医師会としてはマイナンバーに医療情報を入れることは大反対していますので、よろしくお願いします。

○大内座長 そろそろ時間になりましたので、よほど重要なことがありましたらどうぞ。

 では、簡単にお願いします。

○菅野構成員 大分自主的な自治体と出てきたので、そこだけ。今、八王子も実はこの表にも載せていただいて、国がんの協力も得て、検査検証事業として始めたところですが、以前にも紹介したのですが、そこを通じて大変なのは、やはり倫理的な問題です。自治体は個人情報に非常に一生懸命ですが、倫理的にそれをやっていいことか悪いことかということが確立していない段階で公費を投入して、基本的には健康な人がやるわけですから、結果的に健康な人がカメラを飲んで、不安もそうですし、何かが起こったときに、自主的にやっている自治体は倫理上の責任を今とれる状況でやっているのだろうかということで、やるのであれば自主的とは言いながらも、一定のきちんとした倫理的枠組みは整えないと、公の機関としてはいけないのだと1つだけ言わせていただきました。

○大内座長 よろしいでしょうか。

 それでは、本日は乳がん検診についての最新の知見と、胃がん検診についてはリスク層別化検診に絞り込んで御意見をいただきました。活発な御議論をありがとうございました。

 では、マイクを事務局のほうに一旦お戻しいたします。

○がん対策推進官 参考人の方も含めまして活発な御議論、ありがとうございました。また今後の参考にさせていただければと思います。

 次回の検討会につきましては調整の上御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

○大内座長 それでは、本日、第13回の「がん検診のあり方に関する検討会」をこれにて終了いたします。ありがとうございました。


(了)

健康局がん対策・健康増進課

代表 03−5253−1111(内線3826)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 健康局が実施する検討会等 > がん検診のあり方に関する検討会 > 第13回がん検診のあり方に関する検討会議事録(議事録)(2015年4月23日)

ページの先頭へ戻る