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2015年3月18日 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第69回議事録

○日時

平成27年3月18日(水)10:09~10:49


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(21階)


○出席者

印南一路部会長 松原由美部会長代理 森田朗委員 西村万里子委員
白川修二委員 花井圭子委員 石山惠司委員 榊原純夫委員
鈴木邦彦委員 長瀬輝諠委員 堀憲郎委員 安部好弘委員
十河功二専門委員 昌子久仁子専門委員 田村誠専門委員
<参考人>
大阪大学大学院医学系研究科 田倉智之参考人
<事務局>
唐澤保険局長 武田審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 佐々木医療課企画官
込山保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○新規特定保険医療材料の加算に係る定量的評価について

○議事

○印南部会長

 ただいまより、第69回「保険医療材料専門部会」を開催いたします。

 まず、委員の出席状況について御報告します。本日は、全ての委員が御出席です。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 まずは、新規保険医療材料の定量的評価について、議論を行いたいと思います。

 医療機器に関する研究分担者であります、大阪大学の田倉教授にお越しいただいておりますので、研究結果に関する御説明をお願いします。

○田倉参考人

 参考人の田倉でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 では、特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準における定量的評価に係る研究について御報告させていただきます。

 最初に、研究の背景でございますけれども、御存じのとおり、特定保険医療材料の保険償還価格の算定では補正が行われております。この補正加算が行われておりますが、各加算への該当根拠や加算率の関係は必ずしも明確でないという御指摘があると伺っております。

 スライドの3ページをごらんいただけますでしょうか。今回の研究の目的でございますが、基本的には、本研究では特定保険医療材料について、予見性が高く客観性も担保された加算ルールの運用のあり方の検討を目的とさせていただきました。

 特に、補正加算率の定量的に算出できる方法論、我々は運用ルール案と呼んでおりますけれども、その構築をさせていただいております。

 あと、原価計算方式における営業利益率の調整についても、理論上想定し得る最大公約数的な要件を構築することを、限定的ながらさせていただきましたので、その御報告をさせていただきたいと思っております。

 スライドの4ページをごらんいただけますでしょうか。研究の具体的な中身のお話をさせていただく前に、研究の論点について簡単に共有させていただければと思っております。

 本研究では、医療機器の各種特性を踏まえた3つの論点に留意した検討を行い、可能な範囲で要件シート案にその内容を反映しておりますけれども、医療機器における論点として3つほど考えております。

 1つは、資料に記載させていただいておりますが、製品の種別につきまして、医療材料は技術特性や使用特性が非常に多様であるため、類似機能区分の分類の議論においても加算要件の当てはめとか細分化の方法について異なるかどうか、慎重な議論が必要であると考えておりました。

 2つ目でございますが、御存じのとおり、術者の影響ということで、医療材料は医薬品と異なり、多々、医療者のオペレーションが発生するということであります。この医師等の技術依存度や負担について考量した評価体系も必要であるため、今回は医師の負担を中心とした軽減なんかについて議論を進めさせていただいております。

 3つ目でございますが、評価の特性として、例えば整形インプラントなどにおいては、その効果の評価が非常に長期にわたるということで、臨床的有用性の議論では、その水準をどう取り扱っていくことが必要なのかということについても並行しながら議論をして研究を進めさせていただいているところであります。

 これらの論点に留意しながら検討しました研究内容について、スライドの5ページ以降で御説明をさせていただきます。

 今回の研究の方法でありますけれども、まず定量的評価要件の検討として、過去の実績の整理をさせていただいております。平成23年度以降に新たに保険償還がされた特定保険医療材料について、算定に関する公表資料、例えば中医協の資料であったり、PMDAの薬事承認の資料などに基づいて、適用された画期性及び有用性並びに改良加算の加算実績を確認して、どのようなケースで、どのくらい加算率が適用されていたのかということを整理させていただきました。

 その結果、45品目が該当しており、うち有用性加算が19、改良加算が26ということで、画期性加算についてはございませんでした。

 スライドの6ページをごらんいただけますでしょうか。さらに充足要件、いわゆる因子の細分化として、今、申し上げた過去の実績を参考にしつつ、各要件の充足状況を確認して、充足しやすい内容とか充足しにくい項目、もしくはその傾向等について整理を行っております。その結果は、先ほど申し上げた3つほどの論点などを考慮しながら充足要件を細分化し、積み上げ可能な評価因子を策定し、結果としてトータルで42の細分項目を設定させていただいております。

 左下に記載しておりますけれども、画期性加算・有用性加算においては、既存要件がイ~ロ、3つございますが、こちらについては細分項目が16項目あり、後で御説明させていただきます。あと、右側の改良加算で、こちらはイ~チ、要件が8つございますけれども、細分項目は26項目を設定させていただいております。それぞれの項目ごとにポイントを設定させていただいておりますが、基本的には1ポイントを中心に、最大で2ポイントの設定をさせていただいております。

 スライドの7ページをごらんいただけますでしょうか。続いて、定量的評価要件の検証を行っております。

 まず、補正加算率の実績整理として、本研究で分析対象とした期間に保険収載されたものについて、過去の加算率を整理しております。具体的には、平均値もしくは加算幅の分布を整理し、その結果をもとに、1ポイント当たり加算率を何%にするかという換算の係数を設定させていただいています。このポイントと換算率から定量的評価の加算率を算出しておりますが、その結果について、最後に従来の加算率、実績と本研究の加算率、定量評価したものを比較いたしました。

 スライドの下段に書かせていただきましたが、実績と本研究の結果に関する検証は、スピアマン順位相関分析と分布対応表、それを我々は分布マトリクスと呼んでおりますが、その一致性で評価をしておりました。

 スライドの8ページをごらんいただけますでしょうか。こちらから、実際の各要件、細分項目についての御説明とさせていただきます。量がやや多いので、かいつまんだ御説明とさせていただきます。

 まず、画期性加算・有用性加算につきまして、例えばイで、こちらは有用な新規の機序を評価するものでございますけれども、4つの細分項目から構成させていただいております。例えばaで、こちらは効果発現のための当該新規材料の作用機序が類似材料と大きく異なることを評価するということであります。bにつきましては、こちらは要素技術を評価する形とさせていただいております。続いてcでございますけれども、これはその他のものについて、保険医療材料専門組織が認める新規の機序があるものについて評価をするという形をさせていただいております。

 ちなみに、このような保険医療材料専門組織の判断を入れさせていただいた理由として、将来の新たな視点に基づいた有用性の評価を行わないといけない場合、もしくは医療機器の場合においては技術特性とか使用特性が非常にブロードでありますので、全てを項目として定義できないものがありますので、そのようなものを含めエキスパートオピニオンでカバーするということを前提に、評価の拡張性とか柔軟性を担保するということを前提として、一定の裁量権を持たせた評価を行うために、このcの項目などを入れさせていただいているということであります。

 4つ目、dになりますけれども、こちらについてはa~cのいずれかを満たす場合において、標準的治療法が確立されていない重篤な疾病を適応対象とするということで、そのようなケースにおいてはポイントを加算する形にさせていただいております。

 続いて、ロについても簡単に御説明させていただきますが、こちらの要件は高い有効性または安全性を評価するものでございますが、医薬品と同様な考え方で、2つの概念から構成させていただいております。

 1つは、ロ-1になりますけれども、こちらは有効性または安全性の内容自体を評価するものとして3つの細分項目から構成しておりますが、aについては臨床上重要な有効性指標において高い有効性や確実性がある場合を評価するものです。bは臨床上重要な安全指標において、今度は高い安全性のほうを評価するという形にさせていただいております。

 一方、ロ-2でございますが、こちらは有効性とか安全性の示し方、いわゆる試験方法とかエビデンスレベルを評価するということで、いずれか1つを選ぶという条件の中において、3つ選択できる形にさせていただいておりますけれども、aは信頼できる比較対照試験などのような非常に高い説明能力があるものです。bはその他の客観性及び信頼性が確保された方法によるものです。最後はcでございますが、前述のもの以外で、医療機器の特性を踏まえて、多少汎用的な、もしくは特殊な議論にたえ得るように、保険医療材料専門組織による補完を行うという形にさせていただいております。

 ちなみに、表の下のほうに幾つか補足をさせていただいておりますけれども、先ほど申し上げましたような作用機序とか要素技術というものについての言葉の定義、もしくは使い方についても今回の研究の中で整理をさせていただいているところでございます。

 続いてスライドの9ページとなりますが、こちらも同様に6つの細分項目から構成させております。時間の関係で、こちらは内容の説明は割愛させていただきます。

 スライドの10ページになりますけれども、ここから改良加算の御説明になります。

 例えば、改良加算のイでございますが、これは職業感染リスクの低減として、いわゆる医療従事者の高い安全性を有するものを評価するもので、4つの細分項目から構成しております。例えばaでございますが、こちらは機能自体を直接評価するような形になります。bは使用方法です。間接的な内容になりますけれども、評価を行うということであります。cにつきましてはその他の工夫で、高い安全性とかを有するということを、保険医療材料専門組織が認める場合はそれを評価するということになります。4つ目のdは、a~cいずれかを満たす場合において、客観性及び信頼性が特に確保されているものであります。例として比較対照試験ということを入れさせていただき、こちらについてはポイントを加算する形にさせていただいております。

 スライドの11ページですが、改良加算のハについては4つの項目となります。

 ニにつきましては、小型化、軽量化で、小児等への適応の拡大を評価するものですが、2つの項目となります。

 ホにつきましては、安全かつ簡易な手技が可能かどうかということを評価するものでございますが、特にこちらについては、先ほど冒頭で御説明した、医療機器の特性を踏まえた3つの論点のうち、術者への影響ということについて議論の上、充足要件として反映しておりますので、少し細かく御説明させていただきます。

 項目のaで、こちらは手術時間の短縮などによる従来の関係者に対する貢献として、例えば専門医に対する負荷が軽減されるというものを評価しようということであります。bにつきましては新たな関係者に対する貢献で、例えば一般のドクターとかその他の医療職種の方々への普及ということで、特定の医師に負荷がかかっていたものを、例えばチーム医療の形で医師の負荷を下げ、医療システムを効率化させるようなものについて評価をするメッセージを多少入れさせていただきました。

 スライドの12ページの要件のヘでございますが、いわゆる形状の保持が可能になる、もしくは耐久性の向上や長期使用が可能というものを評価しますが、こちらは3つの細分項目となります。

 操作性等が向上し、患者にとって在宅での療養が安全になるという、トについては4つの項目から成ります。

 最後の、生物由来材料については2つの細分項目で構成させていただきました。

 スライドの13ページは、各要件にポイントをつけておりますけれども、そのポイントの中身についての御説明になります。

 表の左側が画期性加算と有用性加算の表としてまとめたものでございますけれども、ごらんいただくとわかるとおり、1ポイントを中心とさせていただいて、最大2ポイントまでの配点をさせていただいております。

 ちなみに、この2ポイントの理由は2つございますが、研究の趣旨を鑑みて、1つ目はエビデンスレベルなど、説明力を上げるようなものを評価するということです。2つ目は、各要件の狙いに沿って重点評価をしようということです。例えば、先ほどの画期性・有用性加算のイのa項目は作用機序、いわゆる新規の作用を評価するという項目要件でございますので、作用機序というものをより重点的に評価しようという形にさせていただきました。

 あと、ロ-2で2ポイントの加算がa項目にございますが、ここの部分は先ほど申し上げましたとおり、試験方法とかエビデンスレベルを評価するということで、高い試験方法のものについて、より配点を多くさせていただいたということでございます。

 続いて、スライドの14ページをごらんいただけますでしょうか。ここまで説明させていただきました要件とポイントを加算率、具体的なパーセントに換算する基本係数の根拠を示しているのがこちらのスライドになります。結果の2つ目として、定量的評価要件の検証をさせていただいているものの御報告になります。

 最初に補正加算率の実績整理を行うということで、表が2つございますが、左下となります。こちらは要件種別ごとの加算率の平均で、品目当たりどれぐらいの平均加算率であったのかということを示しています。右側は、その加算幅の分布の構成となりますが、ごらんいただくとわかるとおり、全体的に5%刻みが平均であったということでございます。例えば、表の左の有用性加算(イ)で5.0%、(ロ)になりますと15.0%、(ハ)は10.0%という形で5%刻みになっております。

 一方、右側の表にも記載させていただいておりますけれども、改良加算では3%の幅も2割ぐらいを占めていたということで、今回、医薬品にない医療機器特有の評価の項目である改良加算で、3%の配慮が必要であるということから、医療機器においては、加算率に一定の幅を持たせた議論も必要ではないかということを研究班の中では議論させていただいておりました。ただし、今回御説明させていただく資料については、基本的に換算の加算率は5%を基本とさせていただきます。

 スライドの15ページをごらんいただけますでしょうか。検証の一部として、従来のものと定量方式のものについての相関関係を示したものがこちらになります。1ポイントを5%として算定したものでございます。

 左側の図で、縦軸が定量的評価の加算率、横軸が従来の加算率のもので、ごらんいただくとわかるとおり、統計学的に有意な正の相関関係にございました。

 さらに、スライドの16ページをごらんいただけますでしょうか。同様な検証として、今度は一致状況について分布を整理させていただいております。

 横が実際の、従来の加算率の区分で、縦が定量式の加算の区分ということで、医療機器においては3%からございまして、5%以降については実態として5%刻みとさせていただいております。

 ごらんいただくとわかるとおり、従来式の5%で、今回の定量式で5%のボックスのところ22品目ございまして、他の部分を含めると、5割以上は一致する傾向にございました。

 ただ、この左下のほうに少し外れてくるものとか、右上のほうに外れてくるものがありますので、それについて簡単について補足させていただきます。左下のほうに来るものは従来に比べて今回の方式がより高く評価されたものですが、例えば従来が3%のものについて点数が高くなっているものについては、1ポイント5%で換算しておりますので、その誤差の影響があったと考えています。その他、保険収載されたときから研究班で議論した現在まで少しタイムラグがあり、その間の新しいエビデンスなどが評価に多少影響を与えたと考えております。

 あと、右上のほうでございますが、シンボリックなものとして、従来式が30%で、今回の定量式では20%であった2品目について、こちらはどちらも補助人工心臓になりますが、非常に高価で、特異的な患者さんを対象としたものであったということが、この評価に影響を与えたのではないかと想像しており、こちらについては引き続き整理を進めているところでございます。

 スライドの17ページ、18ページが有用性加算と改良加算ごとに、今、申し上げた分布を分けたものでございますが、どちらも6割とか5割以上の一致傾向が見てとれるかと思います。

 スライドの19ページをごらんいただけますでしょうか。最後に結果の3番目として、営業利益率の調整にかかわる検討について御説明させていただきます。

 こちらについては、十分な時間をかけることができませんでしたが、本研究では一応、営業利益率の調整の考え方として基本コンセプトを整理させていただき、下の表にございますとおり、大きく2つの概念から構成をしております。

 1つは臨床試験成績等から見た革新性ということで、やはり有効性もしくは安全性の創出とか、新しい機序や構造を評価する方針で、対象疾病の治療方法が著しく改善されたものも評価する方向で議論を進めさせていただきました。

 その他の有用性等につきましては、標準的治療法の有無とか重篤な対象者であるか、あとは医療従事者に対する貢献、もしくは使用後における環境に対する影響などについて評価をし、いずれも保険医療材料専門組織により多様な特性についての評価もきちんとできるような概念を入れさせていただきました。

 スライドの20ページに考察等を載せておりますけれども、今回、実績に基づくレトロスペクティヴな分析によったため、多少の制約がございました。具体的には個別品目の特殊事情とか、先ほど申し上げました臨床動向やエビデンスの影響があったということでありますが、論点とさせていただきました術者の影響については、先ほど申し上げましたとおり、改良加算の要件「ホ」などで評価をきちんとさせていただきました。

 その他、評価の特性ついては、改良加算の要件「ヘ」などで一部、試験方法や水準を示すことで対応させていただきました。

 3つ目の製品の種別については、汎用性を担保する評価体系との兼ね合いから具体的な対応に至りませんでしたけれども、今後の特定領域ごとに具体的な評価指標、例えば整形インプラントでは、再置換率とかステントの再狭窄率などを副次的なパラメーターとして導入することで一定の解決が図られると考えておるところでございます。

 スライドの21ページ、最後になりますが、まとめでございます。

 繰り返しになりますけれども、本研究では、予見性が高く客観性も担保された加算ルールの運用のあり方を検討し、一応、検証させていただいたところ、おおむね実績と一致するような形の案を御提案できたのではないかなと思っております。

 結果として、保険収載プロセスにおける予見性及び透明性の高い加算もしくは補正のルールの運用が可能になると考えられました。

 今後は、営業利益率の調整にかかわる検討なども含め、関連データの蓄積と検証を引き続き、継続的に進めていくことが重要であると考えております。

 あと、参考事例として有用性加算と改良加算の例として、今回の運用ルール案で評価したスライドをつけさせていただいておりますけれども、時間の関係で省略させていただきます。

 私からは以上でございます。

○印南部会長

 どうもありがとうございました。

 事務局より補足がありましたら、お願いします。

 企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 今、御報告いただきましたが、部会で御議論いただきまして、この内容でよろしいということであれば、本日の総会に御報告いただきたいのと、4月以降薬価算定では参考として用いているのと同様な取扱としたいと思っておりますので、その点も御議論をよろしくお願いいたします。

○印南部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの田倉教授及び事務局からの御説明に関して、質問等がございましたら、お願いします。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

 今、お話を聞かせていただきましたが、これは従来の試行の中で行われた作業を論理的かつ客観的に整理してポイント化したものと位置づけられると思います。ただ、類似機能区分比較方式における、定量方式と従来方式による一致率が、5割から6割ということで、これについては余り高いとは言えないと思うのですけれども、この辺が限界であると思われているのか、まだ改善の余地があると思っておられるのか。それを確認させていただきたいと思います。

 また、原価計算方式における営業利益率の調整の定量化については、これからの課題であると思います。そうしたことを考えますと、これからも引き続き検討を続けていただく必要があるのではないかと思います。

 質問については、お答えをお願いいたします。

○印南部会長

 田倉教授、お願いします。

○田倉参考人

 御指摘ありがとうございます。

 1点目の、いわゆる一致状況でございますけれども、恐らくスライドの16ページをごらんいただきながらのお話と思っておりますが、厳密な数字の議論をさせていただくと大体5割から6割ということでございます。ただし、多少のずれというものを許容していただけるのであれば、おおむね一致する傾向にあるのではないかと考えています。実際上は、先ほどの相関分析でいきますと大体同じような傾向であるということでございますので、この辺の誤差については、まさに御指摘もあったかと思いますけれども、ポイントの程度とか、加算の率の割合とか、もしくは選定・総計に関わる算定の方法によって数字が変わってきますので、これらについてはよりデータを膨らませるといいますか、情報を集めながら、引き続き検討をさせていただきたいなと思っております。

 2つ目について、いわゆる原価計算のほうの調整のお話でございますが、こちらは、今、お話をさせていただきました、いわゆる機能区分比較方式というものの結果を、ある程度反映しながら、整合性を持って議論しようということです。つまり、やはり今も御指摘があった部分をきちんと整理させていただいた上で、原価計算についても引き続き進めていくのが重要であるのかなと考えております。

 以上でございます。

○印南部会長

 よろしいですか。

○鈴木委員

 はい。わかりました。

○印南部会長

 ほかにございますか。

 白川委員、お願いします。

○白川委員

 大変丁寧な御説明、ありがとうございました。薬と同じように評価項目を並べて、ポイントで加算を決めるという大枠の考え方については、私もこの方法でよろしいと思っております。

 ただ、やはり薬と材料は当然違うわけですので、その辺も大分意識されてこの項目をまとめていただいていると思いますが、よく理解できないのが8ページ目の画期性加算・有用性加算の評価項目の中で、ロ-2として「高い有効性・安全性の示し方」という、要は申請のときにきちんと信頼性・安全性を担保できるような資料が出せたかどうかということを評価しております。

 しかも、このロ-2のaは、たしか2ポイントというふうに先ほど御説明されましたが、点数が高いですね。言いたいのは、要はそんなものはメーカー側の当然の責務であろうと私どもは思っているものですから、それをわざわざ評価するということについての考え方をお聞きしたいというのが1点目でございます。

 2つ目は、ポイント制にして、5%が最低ということになるのですが、医療材料の場合は改良の頻度がかなり多いと認識していますし、実際の加算率は3%からですが、やはりメーカー側へのインセンティブということで言いますと、数%であっても改良加算をつけていくのはそれなりに意味があると思うのですが、5%以下の改良加算ということについて、田倉先生はどういうふうにお考えなのか。あるいは研究班でお考えなのか。その辺を聞かせていただきたいというのが2点目でございます。

 3つ目は、20ページ目のスライドの下から2番目の黒ポツの中で、再置換率などを副次的なパラメーターとして導入するとあり、私もこれはなかなかいい着眼点であるなと思っているのですが、この辺については大分議論された、あるいは先生もいろいろお考えになったのではないかと思いますが、この辺についてのお考えを教えていただけないか。

 と申しますのは、今、費用対効果の分科会をやっており、まだ、もちろん結論が出ていないわけですが、そういう費用対効果みたいな考え方は再置換率等に直接的に関係すると思いますので、その辺をどういうふうに考えていらっしゃるかというのをお聞かせいただきたいというのが3つ目でございます。

○印南部会長

 それでは、お願いします。

○田倉参考人

 非常に的を射た御指摘、大変ありがとうございます。今、3ついただきましたけれども、それらはまさに今回の研究班の中で非常に苦労した点でもあり、注意しなければいけないと我々は考えていた点でございます。

 まずは、先ほどのエビデンスといいますか、資料の提示のお話でございますが、今回はあくまでもレトロスペクティヴな評価をさせていただいたということで、過去にそういった資料があるのか、ないのかというのが事実としてのベースラインになります。ないものについてはできれば御提示いただき、それがきちんとアカウンタビリティーを持って説明できるのであれば、それを評価していこうということをメッセージに入れようということで、実態に即して、なおかつ理想論に近づけていくためのやり方として、今回こういう提示になったと御理解いただければと思っております。

 あと、医療機器は一変が多いというお話でございまして、その中において改良加算を中心とした3%というものが実態としてあることについては、これもあくまでもアイデアといいますか、今後の検討のお話になろうかと思いますけれども、いわゆる改良加算のみは加算率を3%にするという考え方もあり得るかと思います。その結果として、全体とのバランスはどうなるかとか、そういうものについて、今後引き続き検討しなければいけないのかなと思っております。

 3つ目で、副次パラメーターのお話がございますけれども、いわゆる先ほど申し上げた整形インプラントの再置換率とかステントの再留置の率については、この分野においても比較的データがあり、議論をしやすいと考えております。ただ、これを同じレベルで汎用的な要件として、なおかつポイントを入れていきますと、他の領域とのバランスが非常に悪くなるということで、今回、まずは汎用性がある、統一的な議論ができることを前提とした仕組みを御提案させていただいています。あえて領域特性のところは外させていただいたのですが、全体のバランスをとった上で、その中の領域ごとの議論は、逆に言いますと多分、臨床の先生もしくは専門医の先生方を含めて、手ざわり感のある再置換率みたいなものをお使いになったほうが精度の高い数字ができるのではないかなと思っており、いわゆる階層を分けた、多重構造の算定の仕方というものを今後御議論いただくべきかなと思っております。

 以上でございます。

○印南部会長

 よろしいですか。

○白川委員

 これからスタートということでございますので、当然データを集積され、必要な修正をこれから検討していくことになるかと思いますが、考え方としては我々もすっきりしたと感じておりますので、ぜひ研究を深化させていただくようにお願いいたします。

○印南部会長

 ほかに御質問はございますか。

 堀委員、お願いします。

○堀委員

 大変御苦労さまでございました。わかりやすい指標が示されたという印象を持っておりますが、薬価とも同じような印象を持っているのは、御苦労されたのは恐らく、過去の実績評価もあって、それと大きなそごを来さないような指標を設定するという拘束があったのだろうと思っております。そういった意味では研究班として御議論されて、こういうふうな指標を入れるべきである、あるいはこの指標は少し再検討すべきであるということがあったにもかかわらず、それをやると過去の評価実績とそごを来すので採用できなかったという御苦労があったかどうか。

 また今回、精度を上げるという意味で副次的なパラメーターのお話があって、これを入れればさらに精度が増すという御提言ですけれども、今、申し上げたような、何か今後の課題として研究班から御提言を受けるようなことがあれば部会としてはありがたいと思うのですが、その辺の御議論があったか、なかったかだけ、お答えにくいかもしれないのですが、お聞きしたいと思います。

○印南部会長

 お願いします。

○田倉参考人

 ありがとうございます。

 今まで申し上げた内容とかぶるところがありますけれども、やはり領域特性が非常に医療機器の場合はブロードで、背景も違うものが多いようです。あと、対象の患者さんにおいても非常に多様性があるということで、汎用性を担保することが非常に難しかったということでありますが、その中にあって特に議論があったのは小児の議論でした。改良加算の中に要件があります環境への影響なんかについても、医療機器の場合においては非常に大きな議論になるのですが、これをサイエンスとしてデータを、もしくはエビデンスをきちんと書類ベースで出していけるのかどうかという話が挙げられます。

 あとは、術者の影響なんかについても臨床研究というものが行われているのかどうか、それに基づいた議論が今後進めていけるのかどうかということについては、過去を振り返ったときにはなかなか難しそうであります。ただし今後、そういった議論をしていくことがやはり革新性の評価につながるということで入れさせていただいておるのですが、そこが過去と将来を見据えたところのギャップといいますか、ジレンマとして、顕著に今回の研究班の中では出てきていた項目でございます。

 以上です。

○印南部会長

 よろしいですか。

○堀委員

 はい。

○印南部会長

 ほかにございますか。

 石山委員、お願いします。

○石山委員

 1点教えていただきたいのですけれども、研究の結果のスライドの16ページがありますね。5割以上が一致する傾向にあったとありますけれども、もっと高いほうがいいのですが、ここで補足説明がされている2つのポツがありますね。これはわかったのですけれども、同じページの表を見ると逆に実際の加算が20%で研究の結果が10%、あるいは実際の加算が30%で研究の結果が20%、という10%の差がついているものが2点づつありますね。これはどんな理由なのですか。

○田倉参考人

 先ほども申し上げさせていただいたところなのですが、顕著でわかりやすい例として、従来30%で20%であったものは両方とも、補助人工心臓という非常に高価で、重度の心不全の方を対象としたものであって、ここが多少、汎用的な評価の中において、数字が小さくなる可能性もあった訳です。ただし、これを保険医療材料専門組織とかの補足評価の加算か何かでカバーしていくことを考えていかなければいけないかなということが、今回の研究班の一つの方向性として出ております。

○石山委員

 それは、次の17ページで書いてありますように、有用性ということで評価したわけですね。

○田倉参考人

 そうです。

○石山委員

 わかりました。

○田倉参考人

 ありがとうございます。

○印南部会長

 ほかに御質問等、あるいは御意見はございませんでしょうか。

 それでは、田村専門委員お願いします。

○田村専門委員

 医療機器・医療材料の特性に御配慮いただいた御検討をいただきまして、ありがとうございました。田倉先生を初め、研究班の先生方に感謝申し上げます。これで加算も申請も透明性を持って議論がしやすくなるのではないかと考えております。

 それで質問なのですが、今、何人かの先生もおっしゃっていましたが、加算率はおおむね一致したと言えるという御議論ですが、1つは今回、残念ながら画期性加算の例がございませんで、画期性加算は特に最低が50%からで、画期性加算はイ、ロ、ハの要件をそれぞれ満たせば画期性加算に該当するというのが本則ルールでございますが、場合によってはイ、ロ、ハの1つずつがしっかり認められれば画期性加算に該当するようなこともあると思います。

 そうしますと、このルールから行きますと、15%でも場合によっては画期性加算になるということであると思いますが、今回の場合、例がございませんので、多分、検討のしようがなかったのだと思いますが、その辺についてどんな御議論があったか、お教えいただきたいです。

 それから、今、石山委員がおっしゃったこととも関連するのですが、特に従来の加算率に比べて研究の加算率が低いものは、実はいずれも改良加算ではなくて有用性加算のものでございまして、特に実際の加算率が高いものについて、4品目が10%で、1品目が5%の差があるということで、補助人工心臓の話は御説明いただいたのですが、傾向的に一貫してそういうずれが出ているようで、ここについて何か御議論があったらお教えいただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○印南部会長

 お願いします。

○田倉参考人

 御指摘ありがとうございます。

 先に、従来の実績と定量化したものに関わる、特に有用性加算の数字の乖離についての御指摘でございますけれども、今回、先ほど来申し上げている要件シートの中には、保険医療材料専門組織のエキスパートで補完ができるような仕組みにしているのですが、研究班においては保険医療材料専門組織を持っているわけではありませんので、そこのポイントが抜けているということです。恐らく臨床実態をよく御理解いただいている専門委員の先生方が、そこをきちんと評価していただければ、今、御指摘のあったところは多分、企業の方々が思いをくみ取れるのではないかという期待値は入っております。

 もう一つは画期性加算のところで、今、お話があったのはスライドの13ページで、この画期性加算・有用性加算のところをトータルで整理して合算しますと15ポイントであるため、例えば5%にすると75%なので、制度で100%を認めているものとの差の御指摘なのかなと思っています。先ほども申し上げておりますけれども、この換算する加算率については、今回は5%でやっていますが、実態として3%も考慮しないといけないようです。これが特に医療機器の場合には考えられるということで、これはあくまでも今後の議論といいますか、一つの考え方でございますけれども、換算の率を上下で2~3%ぐらい振ると、今回規定されている100%というものもカバーできるということです。画期性加算の実績が具体的に出てからの検討にはなりますが、こちらについても報告書自体のほうには、一つの考え方として参考までにディスカッションのところに入れさせていただいているところでございます。

 以上であります。

○印南部会長

 よろしいですか。

○田村専門委員

 はい。

○印南部会長

 ほかに御質問等はありませんか。

 それでしたら、この議題についてはこのあたりとして、本日の総会へ報告させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○印南部会長

 それでは、本日の議論はこのあたりにしたいと思います。

 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。

 本日の「保険医療材料専門部会」は、これにて閉会いたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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