ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録(2015年3月13日)




2015年3月13日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成27年3月13日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

委員

大野委員(部会長)、石井委員、尾崎委員、斉藤委員、佐々木委員、佐藤委員、根本委員、二村委員、宮井委員、由田委員、吉成委員、鰐渕委員

事務局

山本基準審査課長、黒羽課長補佐、大田課長補佐、松倉専門官、小川専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 山木専門官
農林水産省消費・安全局農産安全管理課 峯戸松補佐

○議題

(1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について
・ 動物用医薬品トリクラベンダゾール
・ 農薬及び動物用医薬品テフルベンズロン
・ 農薬キザロホップエチル及びキザロホップPテフリル
・ 農薬ベンジルアデニン
・ 農薬アシュラム
・ 農薬セダキサン
・ 農薬トルプロカルブ
・ 農薬フルチアセットメチル

(2)動物用医薬品の試験法の告示改正について
・ クロルスロン試験法

(3)その他

○議事

○事務局 ただいまから、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を開催いたします。本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、本年 1 月に審議会委員の改選がございまして新体制となりまして、初めての部会の開催にあたります。まず、基準審査課長の山本より御挨拶申し上げます。

○基準審査課長 おはようございます。基準審査課長、山本でございます。委員改選の後、初めてということで一言御挨拶申し上げます。先生方におかれましては、年度末の大変お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。今回、任期改めて 3 人の新しい先生方にも御参加いただきましての新体制でございます。この部会、非常に 1 回の審議ボリュームも、それから開催頻度も大変多くて、先生方お忙しい中、大変恐縮ではございますが、食の安全ということは非常に重要なことでございます。また、国民の皆様も、非常に関心が高いテーマでございます。是非、先生方の忌憚のない御意見、御審議をよろしくお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 本日の出欠についてです。本日は佐野委員、永山委員より御欠席されるとの御連絡をいただいております。農薬・動物用医薬品部会の委員 14 名中、 12 名の御出席をいただいておりまして、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立していることを御報告いたします。

 先ほど、基準審査課長の山本のほうからも説明ございましたが、本部会におきましては、引き続き大野委員に部会長をお願いすることとなりました。また、今回の改選により 3 名の委員が新たに就任されましたので、部会の開催にあたりまして、まず御紹介をさせていただきたいと思います。東京農工大学大学院農学研究院動物生命科学部門准教授の佐々木委員でございます。

○佐々木委員 佐々木でございます。どうぞよろしくお願いします。

○事務局 日本生活協同組合連合会組織推進本部環境事業推進部長の二村委員でございます。

○二村委員 二村です。よろしくお願いいたします。

○事務局 もうお一人、東京海洋大学海洋生物資源学部門教授の佐野委員でございます。本日、佐野委員は御欠席ということで御連絡をいただいております。

 本日の部会で御審議いただきます品目につきまして、利益相反に関して該当される委員はいらっしゃらなかったことも報告させていただきます。それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大野部会長 議事に入らせていただきたいと思います。今聞いて、あまり意識してなかったのですが、今年度初めてだということで、本当に先生方には、この農薬の審議に対してずっと協力してくださって、ありがとうございます。また、新しい先生も入ってくださって、協力してくださるということで御礼申し上げます。この部会は、この場での審議はもちろんのこと、事前にもいろいろ御意見をいただいて、それで事務局案を作成していただいています。事前の検討とこの場での検討と、両方やっていただいて、大変負担が多いと思います。今、基準審査課長がおっしゃったように、国民の期待もあるような、非常に重要な会議ですので、是非これからも御協力よろしくお願いいたします。

 最初に、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日お配りしました資料は、まず議事次第と配布資料の一覧、更に委員名簿と関係省庁の方の出席者の名簿を付けた資料、次に座席表がございます。その後ろに、本日御審議いただく品目について、それぞれ資料 1-1 、資料 2-1 のように、報告書を資料 9 まで配布させていただいております。その後ろに、資料 1-2 、資料 2-2 のように、食品安全委員会の評価書等についても、同様に資料 9 まで配布させていただいております。そのほかに、報告事項として資料 10 から資料 12 をお配りしております。資料 10 は、「急性参照用量を考慮した残留農薬の基準見直しの進め方」についてです。資料 11 は、農薬クロチアニジンの意見募集の結果についてです。また、机上配布資料として、寄せられた個々の意見や部会報告書等を、こちらの紙ファイルにて御用意しております。最後に、資料 12 として、平成 25 年度農薬等のマーケットバスケット調査の結果に関する資料になります。不足している資料等ございましたら、事務局までお願いいたします。

○大野部会長 よろしいでしょうか。それでは審議に入らせていただきたいと思います。本日は、農薬について 6 剤、それから動物用医薬品について 1 剤、それから農薬・動物用医薬品 1 剤、試験法 1 品目について御審議していただきます。先ほど申しましたが、報告書案の作成にあたりましては、先生方にいろいろお世話になって作成しているところでございます。どうもありがとうございます。

 それでは、議題 1 の食品中の残留農薬等の基準値設定ということで、動物用医薬品のトリクラベンダゾールの審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。

○事務局 最初の剤、動物用医薬品トリクラベンダゾールです。資料 1-1 、部会報告書案を御覧ください。本剤はポジティブリスト制度導入時に、新たに設定した暫定基準の見直しについて御審議いただくものです。今回初めて御審議いただきます。 

1. 概要です。 (2) 用途は内部寄生虫駆除剤です。チアベンダゾール系の肝蛭駆除剤であり、国内では搾乳牛を除く牛の経口投与剤に承認があり、海外では牛、羊、山羊などに使用されています。化学名及び構造式については、記載のとおりです。

2 ページの (5) 適用方法及び用量を御覧ください。上の表に国内での使用方法、下の表に海外での使用方法を記載しております。

3 ページ、対象動物における残留試験についてです。分析対象の化合物はトリクラベンダゾールのほか、代謝物 A B 、代謝物 D 。このほか、アルカリ分解後に抽出され、代謝物 D に変換できる化合物について分析しております。分析法の概要については、記載のとおりです。アルカリ分解後、酸性条件下で、親化合物を含む分析対象の代謝物を代謝物 D 、ケト - トリクラベンダゾールに変換させ、代謝物 D を定量する方法です。本剤は、今回暫定基準を見直すにあたり、コーデックス基準を採用する案としています。そのため JECFA の評価に採用された残留試験について、記載をしております。

 残留試験結果については、 4 ページから記載をしております。牛、羊の残留試験が行われております。

 続きまして 5 ページを御覧ください。 3.ADI の評価についてです。ラットの繁殖毒性試験を用いて、 ADI 0.002mg/kg 体重 /day と設定されております。

4. 諸外国における状況です。先ほどお話しいたしましたように、 JECFA において評価されており、国際基準が設定されております。また、 EU 、オーストラリア、ニュージーランドにおいて、基準の設定がなされています。

5. 基準値案です。規制対象は、トリクラベンダゾール及び酸性条件下で代謝物 D に変換される代謝物といたしました。動物体内においてトリクラベンダゾールは速かに代謝物 A 及び B などに代謝されることを踏まえ、これら代謝物を網羅した規制対象としております。また、 JECFA EU 等においても、同様に代謝物 D であるケト - トリクラベンダゾールに変換される親及び代謝物を規制対象としております。

 基準値案については 7 ページの別紙 1 を御覧ください。今回、暫定基準を見直すにあたりコーデックス基準を採用する案としております。豚については、コーデックス基準が設定されていないこと、また国内での使用はなく、当該食品の基準値設定に必要なデータの提出がなかったことから、基準値を削除する案としております。

6 ページに戻り、暴露評価についてです。 TMDI 試算により、一番高い妊婦で、 10.0 %の ADI 占有率となっております。詳細については 8 ページの別紙 2 を御覧ください。一番最後のページは、答申 ( ) となります。事務局からは以上です。御審議、よろしくお願いします。

○大野部会長 それでは、順を追って御審議お願いいたします。まず、化学名、構造、その辺についていかがでしょうか。

○吉成委員 問題ありません。

○大野部会長 適用方法、薬理作用、そのあたりについてはいかがでしょうか。宮井先生、よろしいですか。

○宮井委員 よろしいと思います。

○大野部会長 尾崎先生はいかがでしょうか。

○尾崎委員 はい。

○大野部会長 佐々木先生もよろしいですか。

○佐々木委員 はい。

○大野部会長 体内動態、代謝物、その辺についてはいかがでしょうか。吉成先生。

○吉成委員 先ほどの御説明で、 5 ページにありますように、非常に速かに代謝物 A B に変換されるということと、 A B のほうが親化合物の残留性が高いということと、個別に測定するより D に変換して測定されるという方法でいろいろ分析されてますので、この案のとおりでよろしいのかなと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。私もそのように思いましたが、ほかの先生はよろしいでしょうか。

 それでは、安全性の面で、鰐渕先生いかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構かと思います。

○大野部会長 先生方、御意見いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、分析結果について、いかがでしょうか。御意見ございますでしょうか。よろしいですか。根本先生もよろしいですか。

○根本委員 はい。

○大野部会長 基準値と国際的整合性、そのあたりについてはいかがでしょうか。特に、これは問題ないですか。それでは、全体を通して御意見ございますでしょうか。根本先生、お願いします。

○根本委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、残留分析のほうでは、熱アルカリ溶液で処理しておりますので、恐らく結合性残留も含めて測定していると思うのですが、今後試験法を作ったりということを考えた場合に、やはり規制対象にはそういった結合性残留も含むというふうに考えてよろしいのでしょうか。

○事務局  EU 、また今回示しています JECFA のデータもそうなのですけれども、実際に熱アルカリ処理をされていますので、その辺のデータについては実際に JECFA の評価書に記載がありまして。アルカリ処理を行うと、組織に結合した代謝物が回収することができて、実際に回収率が上がるとされています。

 今回の基準も、コーデックス基準を採用している以上は、そのデータを用いた基準となっておりますので、現在の日本の検査法というのはそのアルカリ処理が含まれておりませんので、そちらを踏まえた試験法の開発が必要かと思います。

○根本委員 分かりました。ありがとうございます。

○大野部会長 これは、結合物も測るように規制対象にするということですか。それとも、分析法がそうなっているから、この措置だとそれも出てきてしまうから、それも最初に含めたと。そういう技術的なものなのか、原則的なものなのか、いかがでしょうか。

○事務局 技術的なものかと考えます。

○大野部会長 そういうことで、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 ほかにございませんでしょうか。吉成先生、お願いします。

○吉成委員 細かいところなのですが、 10 ページの答申 ( ) のただし書きの、「今回基準値を」というところの、ケト - トリクラベンダゾールの化合物名なのですが、途中に「 2H- 」というところがありますが、「 H 」をイタリックにしていただくということと、あと「 - 」の間にスペースが空いているような気がしますが、確認して、修正していただければと思います。

○大野部会長 事務局、よろしいでしょうか。

○事務局 はい。

○大野部会長 二村先生、いかがですか、全体を通して。山内先生など、いろいろ御意見伺ったのですけれど、どういうタイミングでも結構ですので、お願いいたします。

○二村委員 分かりました、ありがとうございます。

○大野部会長 それでは、若干修正がありましたけれども、その修正したものをもって、この部会の報告とさせていただいて、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 次の品目です。次の品目はテフルベンズロン、農薬・動物用医薬品の審議をお願いいたします。では、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 二剤目のテフルベンズロンです。資料 2-1 を御覧ください。本剤は、昨年 12 月の部会で、その他のきく科野菜への適用拡大申請、コーヒー豆へのインポートトレランス申請と、暫定基準の見直しについて御審議いただき、御了承されたものでございます。今回、韓国から、とうがらしへの基準値設定依頼がございましたことから、再度御審議いただく剤で、今回で 2 回目の審議となります。

 本剤は殺虫剤として使用されており、化合物名、構造式、物性については記載のとおりです。適用の範囲及び使用方法については、 2 ページから 4 ページにかけて記載しており、今回対象となる、とうがらしの使用方法は 4 ページになります。 4 ページ (2) (2) (3) の表になります。

 続きまして、作物残留試験の分析についてです。今回、とうがらしの分析法を 5 ページに追記しております。また、作物残留試験結果については、今回新たに、とうがらしの作物残留試験を別紙 1-3 11 ページに追記しております。

 また 5 ページに戻り、 ADI の評価については、変更はございません。 6 ページの諸外国における状況についても、変更はございません。残留の規制対象についても、前回と変更はなく、基準値案については 12 14 ページの別紙 2 を御覧ください。今回、基準値設定の要請がなされたとうがらしについては、 12 ページの一番下に、その他のなす科野菜に基準値を設定しております。そのほかについての基準値の変更はございません。

 続いて 15 ページの別紙 3 の長期暴露評価については、今回、その他のなす科野菜が追加されましたが、 ADI 占有率はほとんど変わらず、前回と同じ、最も高いもので、 ADI 占有率は 67.3 %となっております。最後に、 17 ページからが答申 ( ) となります。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 これは 12 月に審議したばかりですので、それほど、今までと違うところは、先生方の御意見ないかとは思いますが、一応御意見を伺いたいと思います。

 まず、薬理作用とか化学構造、代謝、分析対象物、そのあたりについて、更に気がついたところはございますでしょうか。よろしいですか。

 では、毒性の面でも、よろしいでしょうか。

○鰐渕委員 はい。記載のとおりで結構です。

○大野部会長 では、新たに、とうがらしが入ったということで、その分析法、分析結果、その他も含めて、何かありますでしょうか。特に、問題はないですね。

 基準値の設定と国際的整合性、それはよろしいでしょうか。

 では、全体の暴露として、先ほど説明がございましたように、 ED1 ADI 比で 67.3 %ということで、以前のときとほとんど変わらないということで、基準値以内に納まっているということで、よろしいかと思いますが。

 全体を通して、何か御意見ございますでしょうか。特にございませんか。

 これについては事務局案の修正はございませんでしたけれども、それをもって、この部会の報告とさせていただいて、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 それでは 3 品目です。キザロホップエチル、キザロホップ P テフリルについての御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 キザロホップエチル及びキザロホップ P テフリルについてです。本剤については、 1 月の部会にて一度御審議をいただいたものですが、規制対象について多くの意見をいただいたことから、継続審議としていただいたものです。規制対象について検討し直した部会報告書案を作成し、お配りしております。

 規制対象の部分とそれに関連する箇所を除けば、前回の御審議いただいた内容に変更はございません。本剤は代謝物の関係が少々複雑ですので、改めて御説明させていただきます。

 資料 3-1 を御覧ください。今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準設定依頼及び魚介類への基準値設定依頼が、農林水産省からなされたことに伴い、食品中の農薬等のポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準値、いわゆる暫定基準の見直しも含め、本部会において報告するものです。

 参考にお示ししているとおり、現行の基準値については、暫定基準のことですが、キザロホップエチルにのみ設定されております。その基準値の留意点として、この基準値にはキザロホップ、キザロホップエチル、キザロホップ P 、キザロホップ P エチル及びキザロホップ P テフリルが含まれるとされております。まず、これら 5 種類の成分について御説明させていただきます。

1. 概要に 3 つの品目が示されておりますが、これら 3 つが農薬成分として使用されているものになります。それ以外のキザロホップ及びキザロホップ P については、これらが加水分化によって生成する代謝物のことを示しております。

 農薬成分である 3 つについては、 2 ページ目の (4) 構造式及び物性について、示しております。キザロホップエチルというのは R 体と S 体が 1 1 で混合しているラセミ体のことで、我が国において農薬登録があるものです。一方、キザロホップ P エチル及びキザロホップ P テフリルについては国内に登録がありませんが、海外では使用されているものです。キザロホップ P エチルというのは R 体のみのもので、キザロホップ P テフリルというのは、エステルの部分が異なる構造となっております。残るキザロホップの構造については、 10 ページの上段に示しております。キザロホップについては代謝物でもございますので、代謝物 B とも呼ばれております。

 報告内容に移ります。 1 ページ戻り、概要についてです。本剤はフェノキシプロピオン酸系の除草剤で、脂質合成阻害により効果を示すと考えられております。化学式、構造及び物性については、記載のとおりです。

3 ページが適用及び使用方法を示しております。キザロホップエチル、キザロホップ P エチル及びキザロホップ P テフリルについては、それぞれの使用方法を記載しております。今回申請のあっただいこんについては、四角で囲っております。

6 ページ目から、キザロホップ P エチルの使用方法を示しております。

7 ページ目からはキザロホップ P テフリルの使用方法を示しております。キザロホップ P エチルについては広く諸外国で使用されておりますが、キザロホップ P テフリルについては、オーストラリア等で使用されており、基準値が設定されております。

9 ページ目が、作物残留試験についてです。キザロホップ P エチル及びキザロホップ P テフリルについては、各国で作物残留試験を実施しており、様々な方法で分析が行われております。

10 ページ目に示している方法が、国内の分析法についてです。国内の分析法は 2 種類行われており、方法 1 についてはキザロホップエチルを加水分解した後、代謝物 B を更にメチル化しております。この代謝物 B をメチル化したものを代謝物 D といいますが、この代謝物 D の濃度に換算係数を乗じてキザロホップエチルとして、残留濃度を算出しております。方法 2 については、加水分解して得られた代謝物 B の濃度をそのまま、キザロホップエチルに換算しております。ただ、国内の方法ではキザロホップ代謝物 B の抱合体は測定されていないことが確認されております。

 続きまして海外の分析法です。アメリカ及びオーストラリアの分析方法を示しております。アメリカの分析方法は、キザロホップ P エチル、代謝物 B 及び代謝物 B の抱合体を更に、 MeCHQ へ化学的に変換した後、これを定量することによって得られた残留濃度に換算係数を掛けて、キザロホップ P エチルとしての残留濃度を算出しております。この方法についてはオーストラリアでも一部実施されております。

(2) が作物残留試験結果についてです。国内で実施された作物残留試験結果は別紙 1-1 、海外で実施された作物残留試験結果については別紙 1-2 1-4 に示しております。 国内で実施された作物残留試験と海外で実施された作物残留試験における分析対象は、親化合物がそれぞれ異なっておりますが、以下の 2 つの点から、提出された作物残留試験成績をお互いに読み代えることによって、キザロホップエチル、キザロホップ P エチル及びキザロホップ P テフリルについては一本化して、残留基準を設定する案としております。

 まず 1 点目についてです。食品安全委員会においてはキザロホップエチルのラセミ体及び R 体の試験の比較から、両者の動態及び代謝は同等であり、毒性プロファイル及び毒性の程度はほぼ同等であると考えられたと評価がなされております。この点を踏まえ、キザロホップエチルとキザロホップ P エチルの残留はほぼ同等であると判断させていただきました。

 続いて 2 点目です。オーストラリアにおいては、キザロホップ P エチル製剤とキザロホップ P テフリル製剤を使用した場合の残留の程度は、ほぼ同等であると評価がなされております。この点から、キザロホップ P エチルとキザロホップ P テフリルの残留の程度はほぼ同等であると、判断させていただきました。以上、これら 2 点により、キザロホップエチル、キザロホップ P エチル及びキザロホップ P テフリルの残留の程度はほぼ同等であると考えられることから、提出された作物残留試験をお互いに読み代えることによって、残留基準値を一本化してよいと判断しました。

 続きまして 12 ページです。 4. 魚介類の推定残留量については、国内に登録のあるキザロホップエチルについて試験が実施されております。魚介類の推定残留量については、今回、規制対象を親化合物ではなく、代謝物 B とする案としていることから、代謝物 B に換算した値を記載しております。

5. 畜産物への推定残留量についてです。飼料を介して畜産物にどの程度残留するかの試験が行われております。乳牛及び産卵鶏の 2 つにおいて残留試験が実施されており、その結果を示しております。

14 ページには推定残留量を算出しており、表 3-1 及び 3-2 にそれぞれ畜産物中の推定残留量を示しております。ただ、今回測定している対象は代謝物 B のみであるので、得られた数値をそのまま基準値を設定する参考のデータといたしました。

6.ADI の評価についてです。食品安全委員会において、キザロホップエチル及びキザロホップ P テフリルについてそれぞれ評価がなされております。両者を比較して、より小さい値であるキザロホップエチルの ADI をキザロホップエチル及びキザロホップ P テフリルのグループ ADI として、評価がなされています。

 続きまして 7. 諸外国における状況です。 JMPR において、毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。諸外国においては、記載のとおりの基準値が設定されております。

8. 基準値案についてです。 1 月に御報告いたしました当初の案では、残留の規制対象をキザロホップエチル、キザロホップ P テフリル及び代謝物 B をそれぞれ親化合物であるキザロホップエチルに換算したものの和とする案としておりました。今回お示ししております規制対象の案は、親化合物、代謝物 B 及び加水分解によって代謝物 B に変換される代謝物を全て代謝物 B に変換したものの和とさせていただいております。これは、代謝物 B がキザロホップエチル、キザロホップ P エチル、キザロホップ P テフリルから、それぞれ共通して生成される代謝物 B であり、これらを親化合物にそれぞれ換算して管理することが困難であると考えられるため、代謝物 B は代謝物 B として測定し、親化合物は代謝物 B に換算して規制する案としております。ただ、今回、国内の分析法では抱合体を測定しないということを説明させていただいたかと思いますが、海外では抱合体も測定しております。この点については、海外と国内の分析値に違いが生じてしまうことになっておりますが、今回は規制対象に国内では分析されていない抱合体についても、加水分解によって代謝物 B に変換される代謝物の 1 つとして規制対象に含める案としております。これは一部植物代謝試験において代謝物 B の抱合体が、代謝物 B に次いで主要な代謝物であること、国内の残留値に抱合体由来の代謝物 B を上乗せしたとしても十分カバーできていること、脱抱合によって生じる恐れのある代謝物 B についても安全上は規制すべきであること、また国際的整合性の観点から抱合体も規制対象に含める案としております。

 また、代謝物 B については、今回御審議いただくキザロホップエチル、キザロホップ P エチル及びキザロホップ P テフリル以外にも、プロパキザホップという農薬成分から生成する代謝物でもあります。共通代謝物の考え方については、昨年 12 月の部会においてジクロベニンという剤がございましたが、今回についても、代謝物 B だけを見た場合、どの親化合物由来のものか判断できないため、「キザロホップ、プロパキザホップの基準値が設定されている食品から代謝物 B が検出された場合は、プロパキザホップの使用状況等を確認した上で、規格基準の適用判断すること」という一文を入れさせていただきました。

 なお、食品安全委員会における食品健康影響評価においては、農薬畜産物の暴露評価対策物質をキザロホップエチル、キザロホップ P エチル、キザロホップ P テフリル及び代謝物 B 。一方、魚介類中の暴露評価対象物質としてキザロホップ P エチル及び代謝物 B としております。これらに基づいて基準値を設定したのが、別紙 2 のとおりです。

 今回、規制対象を代謝物 B としております。したがいまして、基準値案で示している値は、代謝物 B 相当量を示しております。一方、今回見直される現行基準については、現行基準がキザロホップエチルにのみ設定されていることから、キザロホップエチルの値を示しております。これらの基準値に基づいて暴露評価を行ったものが、別紙 3 です。

 今回、基準値案としてお示ししている値は代謝物 B 相当量です。グループ ADI の根拠となったキザロホップエチルの値を用いていることから、代謝物 B 相当量に換算係数を乗じることでキザロホップエチルに換算した値をもって、暴露評価を行っております。それらによりますと、最も高い幼小児において 45.2 %の ADI 占有率となっております。

 最後のページは、答申 ( ) です。事務局からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 丁寧な御説明、ありがとうございました。これについては、確か前回、代謝物、分析対象物でしたか、それ以外については御審議をいただいたと思いますが、何かございましたら、またお聞きしたいと思います。では、化学名、化学構造、その他については特に変更はございませんでしょうか。はい、ありがとうございます。

 薬理作用、用途、そのあたりについてはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、規制対象物質についていろいろ御説明いただきましたが、吉成先生、いかがでしょうか。

○吉成委員 事前にもお話し聞かせていただいて、代謝物 B で規制するというので、よろしいと思うのですけれども。先ほど、ちょっと説明がありましたが、分析法で国内の方法で入らない可能性があるというところは、それは問題ないということで、よろしいのでしょうか。それがクリアされるのであれば、全て代謝物 B に変換して、規制するのがよいと思うのですけれども。

○事務局 国内の作物残留試験結果には、抱合体由来の代謝物 B が含まれていないということなのですが。規制対象に含むべきという理由は、先ほど御説明させていただきました。一方、キザロホップエチルに関しては通知試験法が定められておりますが、それについても抱合体由来の代謝物 B は含まれていないということですので、今回の規制対象に抱合体を含める場合は、同時に通知試験法を変える必要があるのかなと思っております。

○大野部会長 よろしいでしょうか。

○事務局 すみません。ちょっと補足させていただきますと、基準の改正と試験法の通知が同じタイミングでできればいいのですけれども、試験法の開発に非常に時間がかかりますので、先に基準の改正をさせていただきたいと思っております。現在、やはり新規物質については試験法の開発のほうが少し遅れて実施するということにはなるのですが、厚生労働省のホームページで、実際の作物残留試験の試験法とかを情報提供させていただいたりして、対応しております。

 あとは、各試験法について、各試験機関で、その妥当性評価のガイドラインというのを示させていただいておりますので、そういう情報を基に各試験について、妥当性評価をしていただいて、通知試験法ではないのですが試験を実施していただくような体制になっております。

 ですので、毒性とか、残留性を考えて、まずは規制対象を決めるというところが重要かと考えております。

○大野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 私からお聞きしたいのですけれども、分析法がよく分からないので、お聞きするのですが、代謝物 B に変換する代謝物も含めるということですけれども、代謝物 D もそれに含まれるということで、よろしいですか。

○事務局 国内の分析法の方法 1 については、加水分解によって得られた代謝物 B をメチル化して、代謝物 D に変換したものを測定しております。ただ、代謝物 D については植物でも見られる代謝物でありますので、今回規制対象に示しております加水分解によって得られる代謝物に、代謝物 D も含まれるものと理解しております。

○大野部会長 ありがとうございます。分析の先生方、それでよろしいですか。入ってくるということです。切れるか切れないかというところが、どうもよく分からなくてお聞きしたのですが、ありがとうございます。

 それでは、その他の分析法と分析結果、そのあたりについてはいかがでしょうか。よろしいですか。

 では、安全性のところは、鰐渕先生、よろしいですか。

○鰐渕委員 はい、記載のとおりで結構です。

○大野部会長 それでは、基準値と国際的整合性、そのあたりについてはいかがでしょうか。特によろしいでしょうか。

 では、全体を通して、何か御意見ございますでしょうか。吉成先生、お願いします。

○吉成委員  16 ページに、代謝物 B を共通に生じるというプロパキザホップというのが載っているのですけれど、これ立体が特定されている、ラセミ体ではなくて、この構造で合っているのですか。それだけちょっと確認なのですけれども。

○事務局 ちょっと今、手元にある資料では確認できませんので、この立体がこのとおりで正しいかどうかということについては、後日御連絡するという形でよろしいでしょうか。

○大野部会長 はい、お願いいたします。

 そのほか、御意見ございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは確認していただくところがございましたが、化学構造ですので、確認していただいて、もし立体構造がちょっと違っていたら、また直すということを御承知いただいて、事務局案をこの部会の報告とさせていただいて、よろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。

 次の品目は農薬のベンジルアデニンです。これについて事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料 4-1 です。ベンジルアデニンですが、本剤についてはポジティブリスト制度導入に伴って設定された暫定基準の見直しについて御審議いただくもので、本部会で御審議いただくのは、今回が初めてとなります。 1 番の概要、品目名の所です。ベンジルアデニンとベンジルアミノプリンという名称を記載しています。これは、一般的に用いられている名称が 2 つあるということで、このように書かせていただいております。用途は植物生長調整剤で、タンパク質合成促進効果や生長促進効果を持ったもので、例えば着果の促進などを期待して用いられるということです。化学名、構造式及び物性は記載のとおりです。

2 ページです。 2 番の適用の範囲及び使用方法は記載のとおりです。

4 ページ、 3 番の作物残留試験です。分析対象の化合物はベンジルアデニン、分析法の概要は記載のとおりです。また、作物残留試験の結果については、 6 ページの別紙 1 に記載しておりますので、御参照ください。

4 番の ADI の評価です。食品安全委員会により、ウサギの発生毒性試験を根拠とし、 0.062mg/kg 体重 /day という値が設定されております。

5 番の諸外国における状況です。 JMPR における毒性評価はされておらず、国際基準も設定されておりません。オーストラリアにおいて基準値が設定されております。

6 番の基準値の案です。残留の規制対象としては、ベンジルアデニン本体、親化合物としております。なお、食品安全委員会における暴露評価対象物質も同様に設定されております。具体的な基準値案は 7 ページ以降の別紙 2 を御覧ください。現在、暫定基準が設定されておりますが、国内で登録のあるものを除き、全て削除する案としております。 10 ページの別紙 3 に「暴露評価」を記載しております。いずれのグループにおいても、 ADI に対する割合は 0. 数パーセントとなっております。答申 ( ) 12 ページに記載しております。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 これは初回審議ということです。順を追って御審議をお願いいたします。まず、化学名、化学構造、物性のあたりについて、いかがでしょうか。

○吉成委員 化学名ですが、I UPAC のほうの最初のフェニルの P が、実際には化学的には正しいのですが、報告書では小文字にするということになっていたと思いますので、 CAS のほうと同じように、そこを変えていただければと思います。

○大野部会長 薬理作用、用途についてはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、代謝と代謝物、測定対象物については吉成先生、いかがでしょうか。

○吉成委員 動物上ではあまり親は出ないのですが、植物では、親化合物がほとんどということですので、今の案でよろしいかと思います。

○大野部会長 私も同様に考えました。代謝実験で親が出ている、代謝物でもだいこんなどで出ているのですが、定量されていないということで、親化合物だけでよろしいかなと思いました。安全性の面で鰐渕先生、いかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構です。

○大野部会長 今までのところで、先生方から御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、分析法、分析結果についてはいかがでしょうか。分析法の概要は長く書いてあって、フォローできないところがあるのですが、よろしいでしょうか。

 基準値、国際的整合性についてはいかがでしょうか。暴露評価でも TMDI 値が最高でも 0.4 %で、低いということで。よろしいですか。

 それでは、全体を通して御意見はございますでしょうか。特にないようですので、化学名の所の、一番最初の P を小文字にする。ここを修正したものをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。

 次は農薬のアシュラムについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料 5-1 、アシュラムについて説明いたします。今回の残留基準の検討については関連企業からインポートトレランス申請が行われ、残留基準の設定要請がなされたこと、及び食品中の農薬等のポジティブリスト制度導入時に新たに設定された暫定基準の見直しについて、本部会で御審議をお願いするものです。

 概要です。アシュラムはスルファニルアミド系 / カーバメート系の除草剤です。作用機序、化学名、構造式、物性等は記載のとおりです。

2 ページ、 2 番の適用の範囲及び使用方法です。本剤の国内での使用方法を記載しています。

3 番の作物残留試験です。親化合物のアシュラムを分析対象とし、記載の方法で分析をしています。この国内で実施された作物残留試験の結果については、 6 ページの別紙 1 にあるとおりです。

4 番の畜産物への推定残留量です。乳牛における残留試験が実施され、 (2) 推定残留量のとおり、畜産物の MTDB より畜産物の推定残留量を算出しています。

4 ページ、 5 番の ADI 及び ARfD の評価です。 ADI 0.36mg/kg 体重 /day と食品安全委員会が評価しており、ゴシック体で記載があるのは評価書の抜粋です。ラットを用いた 2 年間慢性毒性 / 発がん性併合試験において、ラットの雄で副腎褐色細胞腫が認められ、マウスで精巣ライディッヒ細胞腫が増加したものの、腫瘍の発生機序は遺伝毒性によるものとは考え難く、評価に当たり閾値を設定することは可能であると考えられたと結論づけております。 ARfD については、 3mg/kg 体重と評価しております。

6 番の諸外国における状況です。 JMPR における毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されていません。主要国地域においては、米国においてさとうきび、牛乳など、 EU においてりんご、さとうきび等、オーストラリアにおいてばれいしょ、ホップ等に基準値が設定されております。

7 番の基準値案です。残留の規制対象を親化合物アシュラムとする案としています。食品安全委員会における食品健康影響評価においても、暴露評価対象物質として、親化合物のみを設定しています。 7 ページからの別紙 2 、基準値案です。国内登録のあるもの、今回、インポートトレランス申請のあったもの以外は基準値を削除する案としています。

 続いて、暴露評価の結果です。まず、長期暴露評価の結果は 10 ページの別紙 3 です。 TMDI 試算で、一番高い幼小児で 0.5 %の ADI 占有率となっています。短期暴露評価については 11 ページの別紙 4-1 で一般の 1 歳以上、 12 ページの別紙 4-2 で幼小児 (1 歳から 6 ) で確認をしており、いずれも 0 %という数値になっております。 14 ページの最後が答申 ( ) です。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 これも初回審議です。順を追って御審議をお願いいたします。まず、化学名、化学構造、物性について、吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員  CAS の化学名ですが、「 Methyl 」と「 [ 」の間にスペースが必要だと思いますので、そこだけ入れてもらえばと思います。

○大野部会長 薬理作用、用途についてはいかがでしょうか。宮井先生、佐々木先生よろしいでしょうか。

 薬物動態と代謝、分析対象物質について、吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 植物ではほとんど未変化体で、動物ですと未変化体に加えて代謝物 M1 と言われているアセチル化体ができるのですが、毒性試験でも、暴露が担保されている化合物でもありますし、それほど量も非常に多いというわけではないということで、今回の案のとおりの親化合物のみでよろしいかと思います。

○大野部会長 植物についてはそうですが、代謝物 M4 、山羊で結構出ているというのがあったと思いますが、その点については、古い測定だから信頼できないというようなことを伺ったのですが、そういうことでよろしいですか。

○吉成委員 代謝物 M1 が確かに多い動物があったのですが、アセチル化されているもので、毒性同等ということと、植物で特異的に出ているという代謝物でもなくて、ラットでも出る代謝物ですので、安全性試験でも、毒性というのか、担保されていると思いますので、私はそれは測定に入れなくてよろしいかと思いました。

○大野部会長 分析の先生方はいかがでしょうか。山羊で代謝物が認められているのもあるのですが、測定が古くてあまり信頼を置けないということなのですが、そういうことでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 分析対象物質については親化合物のみでいいという御意見ですが、安全性の面ではいかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構だと思います。

○大野部会長 今までのところについて、先生方から御意見はございますでしょうか。

 それでは、分析法と分析結果についてはいかがでしょうか。よろしいですか。基準値と国際的整合性についてはいかがでしょうか。よろしいですか。全体を通して、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、これについて化学名の所でマイナーな変更がございましたが、それをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。

 次の品目はセダキサンです。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局  6 剤目のセダキサンです。資料 6-1 を御覧ください。セダキサンは現在国内に残留基準値は設定されておらず、今回アメリカよりばれいしょへのインポートトレランス申請がなされたことにより新たに基準値を設定するもので、部会での審議は初回となります。

 本剤はピラゾールカルボキサミド系の殺菌剤で、コハク酸脱水素酵素阻害剤であり、 TCA サイクルを阻害することにより殺菌作用を示すと考えられております。化学名、構造式、物性については、記載のとおりです。

2 ページの適用の範囲及び使用方法については、今回インポートトレランス申請のなされたばれいしょの使用方法を記載しております。

 作物残留試験の分析についてです。分析対象は親化合物で、分析方法は記載のとおりです。作物残留試験結果については、 8 ページから 9 ページに記載されております。

3 ページ、畜産物への推定残留量です。畜産物についてはコーデックス基準が設定されており、今回 JMPR の評価書より分析法、残留試験等を記載しております。まず分析について、分析対象は親化合物と代謝物 B 、代謝物 E 及びそれらの抱合体で、分析方法については記載のとおりです。

 家畜残留試験においては、乳牛の残留試験が行われており、結果は 4 ページの表 1 です。この結果に関連して JMPR では、肉牛及び乳牛における MDB をそれぞれ、 0.09ppm 及び 0.08ppm と評価しており、乳牛の推定残留量については 6 ページの表 3 に記載しております。

4 ページ、産卵鶏における残留試験です。飼料への残留が定量限界未満であることから残留試験は実施されておりませんが、別途代謝試験が行われており、結果については表 2-1 5 ページの表 2-2 に記載しております。これらの結果に関連して JMPR では、産卵鶏における MDB 0.01ppm と評価しております。また、これを受けて JMPR は、いずれの部位においても推定残留量が 0.01ppm を超えないとし、残留基準値を 0.01ppm と設定しております。

 続いて 6 ページ、 ADI 及び ARfD の評価についてです。 ADI については、食品安全委員会により慢性毒性 / 発がん性併合試験の無毒性量 11mg/kg 体重 /day より、 0.11 と評価されており、 ARfD については急性神経毒性試験の無毒性量を 30 より 0.3mg/kg 体重と評価されております。

 続いて、諸外国における状況です。 JMPR により ADI 及び ARfD が設定されており、コーデックス基準が小麦、大麦等に設定されております。その他の国や地域については 7 ページに記載のとおりです。

7 番の基準値案です。残留の規制対象はセダキサンの c1s 体、 trans 体の総和としており、食品安全委員会の評価においても親化合物のみとしています。基準値案については、 10 ページの別紙 2 を御覧ください。今回、インポートトレランス申請のあったばれいしょのほかに、小麦、大麦等にコーデックス基準が設定されておりますので、それらを採用しております。これらの基準値案により長期暴露評価を行ったものが、 11 ページの別紙 3 で、 TMDI 試算により、最も高い幼小児で 3.1 %の ADI 占有率となっております。

 続いて、短期推定摂取量の評価については、 12 ページの別紙 4-1 が一般の評価で、 13 ページの別紙 4-2 に幼小児の評価について記載しています。いずれも、 ARfD に対する割合は 100 %を大きく下回っております。最後に 15 ページが答申 ( ) です。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 これについても初回審議です。化学名、構造式、物性について、吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 大丈夫だと思います。

○大野部会長 薬理作用、用途についてはよろしいでしょうか。

 体内動態、分析対象物質についてはいかがでしょうか。

○吉成委員 動物でも植物でも、 10 %を超えるような代謝物が出るには出るのですが、作残試験の結果から見るとほとんど出てきませんので、報告書の案のとおり、親化合物のみでよろしいのではないかと思います。

○大野部会長 私も同様に考えました。佐々木先生よろしいですか。

 安全性の面ではいかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構です。

○大野部会長 今までのところで、先生方から御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 分析法、分析結果についてはいかがでしょうか。

○斉藤委員  3 ページに記載のある畜産物の分析法です。確認ですが、作残は HLB cleanup していますが、畜産物のほうは抽出して、すぐに LC-MS/MS で分析していて、 cleanup はしていないという理解でよろしいのですか。

○事務局 はい。

○大野部会長 ほかの先生はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 基準値、国際的整合性についてはいかがでしょうか。暴露評価でも全然問題ないということです。

 それでは、これについては修正はございませんでしたが、事務局案をもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 次に、トルプロカルブについての御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 トルプロカルブについて、資料 7-1 により御説明させていただきます。トルプロカルブは初回審議です。農林水産省より、新規の農薬登録に伴い、米の残留基準設定について依頼がございました。併せて、魚介類にも基準設定の依頼がございました。そのため審議を行っていただくものです。

1 番の概要です。トルプロカルブは殺菌剤で、イネいもち病菌の付着器のメラニン化を阻害します。その結果、付着器から植物体内への菌糸の侵入が阻害され、感染阻害作用を示すものと考えられております。化学名、構造式及び物性は御覧のとおりです。

2 ページ目の適用の範囲及び使用方法についてです。国内で稲のみの適用となっております。続いて作物残留試験ですが、分析対象化合物をトルプロカルブ及び抱合体を含む代謝物 B とし、分析法の概要は記載のとおりです。作物残留試験の結果は、 6 ページの別紙 1 に示しています。

3 ページ、魚介類への推定残留量についてです。水産動植物被害予測濃度は、水田 PECt1er2 を算出し、 1.5ppb となっています。また、トルプロカルブはオクタノール / 水分配係数が 3.28 であり、魚類濃縮性試験が実施されていないことから、回帰式により生物濃縮係数を 127 と算出しています。これらの値を用い、推定残留量は 0.952ppm と算出されております。

 次に ADI の評価です。ラットを用いた 2 年間の発がん性試験の無毒性量を用い、 ADI 0.2mg/kg/ 体重 /day と食品安全委員会で評価いただいています。 ARfD については、ラットを用いた一般薬理試験における無毒性量がカットオフ値以上であることから、設定の必要なしと評価いただいております。

6 番の諸外国における状況です。 JMPR 、欧米等の主要国において、基準は設定されておりません。

7 番の基準値案については、規制対象をトルプロカルブとする案としています。こちらは 4 ページの下のほうに記載してありますが、作物残留試験において、抱合体を含め代謝物 B がトルプロカルブと同程度の残留が認められております。代謝物 B の構造や代謝経路を考慮すると、代謝物 B がトルプロカルブより強い毒性を示すとは考えにくく、仮に同等の毒性があるとしても、暴露評価における ADI 占有率が十分に低いことから、規制対象として代謝物 B を含めない案とさせていただきました。

 また、食品安全委員会においては、代謝物 B がラットの試験において認められていませんが、代謝物 C の精製過程における推定代謝物であることから、暴露評価対象物質をトルプロカルブのみと設定しております。

7 ページの別紙 2 が、基準値案です。これらの基準値案により、暴露評価を行った結果を別紙 3 に示しています。 TMDI 試算により、最も高い幼小児の ADI 比は 2.0 %となっています。最後のページが答申 ( ) です。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 これについても初回です。化学名、化学構造、物性について、吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 問題ないと思います。

○大野部会長 薬理作用、用途についてはいかがでしょうか。宮井先生、よろしいですか。

 体内動態、薬理動態、分析対象物質も含めて、吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 御説明にあったとおりに、植物で代謝物 B という水酸化されたものが出るのですが、ラットの代謝経路を見ますと、その後に代謝物 C という水酸化されたところが更にカルボン酸になるものに速やかに変換されるようですので、植物で作残試験に出ていますが、ラットでの暴露は十分に担保されて、動物では速やかに代謝されるだろうということで、原案で問題ないのかなと思っています。

○大野部会長  B の毒性も親化合物と比べて強いことは考えられないということでよろしいですね。私も同様に考えました。

 安全性について、鰐渕先生、いかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構です。急性参照用量は今回は設定せずに大丈夫というようです。

○大野部会長 今までのところで御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 分析方法、分析結果についてはいかがでしょうか。魚介類の推定残留量も計算されていますが、それについてもよろしいですね。

 基準値、国際的整合性についてはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、これについては変更がありませんでしたが、事務局案をもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 次はフルチアセットメチルについての御審議をお願いいたします。これも初回審議です。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局  8 剤目のフルチアセットメチルです。資料 8-1 です。本剤は暫定基準の見直しについて御審議いただくもので、部会は初回です。フルチアセットメチルは除草剤として使用されており、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼを阻害することで殺草効果を示すものと考えられております。化学名、構造式、物性については記載のとおりです。

 適用の範囲及び使用方法については 2 ページです。国内ではとうもろこしへの農薬登録がなされており、その使用方法を記載しています。作物残留試験については、分析対象は親化合物と代謝物 M5 で、分析法については記載のとおりです。作物残留試験結果は 6 ページの別紙 1 に記載しており、全て定量限界未満です。

3 ページ、 ADI 及び ARfD の評価についてです。 ADI は発がん性試験より 0.001 と評価されており、 ARfD については 4 ページに記載されていますが、フルチアセットメチルの単回経口投与等により生ずる可能性のある毒性影響は認められなかったことから、設定の必要なしと食品安全委員会で評価されております。

 諸外国における状況についてです。 JMPR による毒性評価はなされておらず、国際基準は設定されておりません。その他の国や地域については、記載のとおりです。

 基準値案の規制対象については、代謝物 M5 の残留が定量限界未満であることから、規制対象は親化合物のみとしており、食品安全委員会の暴露評価対象も、親化合物のみと評価されております。

 「基準値案」については、 7 ページの別紙 2 です。これらの基準値案により暴露評価を行ったものが、 8 ページの別紙 3 で、 TMDI 試算により、最も高い幼小児で 1.6 %の ADI 占有率となっています。最後に 10 ページが答申 ( ) です。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 これも初回審議です。化学名、化学構造、物性について、いかがでしょうか。

○吉成委員 問題ないと思います。

○大野部会長 薬理作用、用途についてはいかがでしょうか。宮井先生、よろしいですか。

 薬物動態と測定対象物質については、吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 植物において未変化体に加えて、今回測定されている M5 あるいは M8 という別の代謝物もあるのですが、そういうものは比較的出るのですが、作残試験を行ってみると低いということと、 M5 はラットでの暴露も担保されている化合物であるということから、報告書の案のとおりの規制対象は親化合物のみということでよろしいのではないかと思います。

○大野部会長 私も同様に考えました。

 安全性の面では、鰐渕先生いかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構です。

○大野部会長 今までのところについて、先生方から御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 分析方法、分析結果についてはいかがでしょうか。よろしいですか。

 基準値、国際的整合性といった面ではいかがでしょうか。これについてはとうもろこしについてしか設定されていませんが。よろしいでしょうか。

 これについては修正はございませんでしたが、事務局案をもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 次はクロルスロンの試験法についてです。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局 クロルスロン試験法について説明します。資料 9-1 です。まず、クロルスロンという物質は、牛に使用される寄生虫駆除剤です。日本では承認がありません。クロルスロンについてはポジティブリスト制度導入時に設定された暫定基準の見直しが平成 22 年に行われました。その際、「現時点で得られている知見からは、クロルスロンの遺伝毒性及び発がん性について結論を導くことは困難であるため、 ADI を設定することは適当でない。」とする食品安全委員会の答申を踏まえ、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会において、「食品に含有されるものであってはならない」と改定することとされました。従来、不検出の基準を含む農薬等については、試験法の検出限界により規制が行われることから、規格基準の改正と同時に試験法を告示し、合わせてその検出限界を別途通知しているところです。

 以上のとおり、クロルスロンの試験法について開発を進めておりましたが、今般その開発が終了し、同試験法について御審議いただくものです。また、この試験法については、残留農薬等公示分析法検討会というものがあり、当部会の根本委員と永山委員にも構成員として御参加いただいているものです。

 概要です。分析の対象化合物はクロルスロン。分析対象を検討したものとしては畜水産物です。

 試験法の詳細は 3 ページと 4 ページの別紙ですが、ザッと説明します。試料からアセトンで抽出し酢酸エチルに転用し、アセトニトリル / ヘキサン分配で脱脂した後、エチレンジアミン -N- プロピルシリル化シリカゲルミニカラムで精製して、 LC-MS/MS で定量確認するといった方法です。検出限界が事実上の規制値になりますが、 0.001mg/kg です。

2 番の真度及び精度の評価についてです。以下の 10 食品を対象として、真度及び併行精度の確認を実施し、目標値を全て満たしていることの確認が取れております。

3 番の答申 ( ) が、先ほど御覧いただいた 3 ページ、 4 ページです。事務局からは以上です。

○大野部会長 これは分析法ですので、分析の専門家の先生方に御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。斉藤先生、いかがでしょうか。

○斉藤委員 記載のとおりで問題ないと思います。

○大野部会長 佐藤先生、根本先生はいかがですか。よろしいでしょうか。ほかの先生はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、この部会として、この試験法について承認していただいたということでよろしいですか。

 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。

 本日いろいろと御審議いただきましたが、それについての食品衛生分科会での取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 分科会における取扱いについて記載されている、横の 1 枚紙を御覧ください。平成 22 3 3 月に了解された食品衛生分科会における確認事項に基づき、本日の部会で御審議いただいた農薬 6 剤、動物用医薬品 1 剤、農薬及び動物用医薬品 1 剤、試験法 1 品目について、分科会での取扱いを御説明させていただきます。

 本日御審議いただいた品目のうち、セダキサンとトルプロカルブについては、新たに残留基準を設定するものですので、区分 1 とする案といたしました。また、クロルスロン試験法については、食品衛生分科会における確認事項において、試験法の取扱いに関して規定がありませんので、告示改正に該当することから、こちらも区分 1 とする案とさせていただいております。アシュラム、キザロホップエチル及びキザロホップ P テフリル、テフルベンズロン、トリクラベンダゾール、ベンジルアデニン、フルチアセットメチルについては、既に設定されている残留基準の一部改正に該当することから、区分 3 とする案とさせていただいております。

 なお、テフルベンズロンについては、 12 月の部会で御了承いただいた内容も含め、分科会に御報告させていただくことにしております。説明は以上です。

○大野部会長 ただいま説明を頂いた分科会での取扱いについて、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、テフルベンズロンに関しては 12 月の部会で御了承いただいた内容も含めて、分科会で報告させていただきます。そういった形で、分科会長の御了解を受けた上で、そのように進めたいと思います。

 それでは、事務局から今後の手続について説明をお願いいたします。

○事務局 本日御審議いただきました農薬 6 剤、動物用医薬品 1 剤、農薬及び動物用医薬品 1 剤、試験法 1 品目については、食品安全委員会からの通知を受けていることから、何品目か修正が必要なものがございますが、御確認いただいた修正版をもって、部会報告書とさせていただきます。

 今後の手続については、パブリックコメント、 WTO 通報、消費者庁協議等必要な手続を進める予定としております。

○大野部会長 今回修正したのは、ほとんどマイナーな所ですので、確認をしないでもいいのかなと思いますが、それでよろしいでしょうか。

 では、事務局にお任せしますので、よろしくお願いいたします。

 そのほかに報告事項はございますでしょうか。

○事務局  3 件の報告事項があります。それでは、まず資料 10 から御説明いたします。資料 10 は、急性参照用量を考慮した残留農薬の基準の見直しの進め方についてです。

11 月の本部会において、急性参照用量の導入に当たって、推定摂取量の求め方等について御説明させていただきましたが、その際、今後、その ARfD の設定の進め方について、どうやっていくのかというところについては、また検討の上御説明させていただくことになっておりました。今般、それにつきまして御説明させていただきます。

 まず、 1 の基本的な考え方ですが、本部会では、昨年 12 月より ARfD を考慮した残留基準の設定が開始されており、今後、新規開発や適用拡大、暫定基準の見直しのため、食品安全委員会で評価される農薬については ARfD が設定され、その結果を踏まえて基準を設定することとしております。

 一方で、基準の設定や見直しの予定がない多くの農薬については ARfD を設定し、計画的かつ効果的に現行基準の検証を行っていく必要があります。

 新規や適用拡大による申請品目の処理作業は、従来と同様に遅滞なく進めつつ、その一方で、こちらの図にお示ししていますように、毒性及び暴露量が大きいと考えられる農薬から優先的に見直し作業を進めていきたいと考えております。

 次に 2 番目として、具体的な当面の作業方針を御説明いたします。毒性及び暴露量については、具体的には一番下の括弧内にお示しした既存のデータを用いて優先度について、検討していきたいと存じます。

 毒性指標については、 JMPR 又は欧米で設定された ARfD を主に用いて、それらが設定されていない場合には、 ADI を用います。また、暴露量については、地方自治体又は検疫所で実施されたモニタリング検査における各農薬の検出率及び国内における農薬製剤の出荷量を用いることにしております。

 これらのデータを基に、上の 2 つの○でお示しした条件に該当する農薬について、優先的に作業を進めていきたいと考えております。

1 つ目の条件は、 ARfD が比較的小さい 0.01mg/kL 体重未満であって、検査の検出率が 0.1 %以上の農薬、又は出荷量が年間 800t kL/ 年、以上の農薬です。

2 つ目の条件は、 ARfD 0.03mg/kg 体重未満と、 1 つ目の条件より少し毒性が低い農薬も含まれますが、検出率が 1 %以上、又は出荷量が年間 2,000t kL/ 年以上と暴露量が比較的大きいと推定される農薬です。

 これらの条件の両方又は一方に該当する農薬については、 2 ページの裏側の※の 1 に記載したように、さらに国際機関等の ARfD の評価内容や、各農薬の農作物ごとの適用状況や残留量、それから、各農作物の消費量などを踏まえて、 2 年程度で ARfD の設定の目途が立つよう、作業を進めてまいりたいと考えております。

 また、※ 2 にあるように、こちら、当たり前のことではありますが、上記の条件に該当するか否かに関わらず、今後、国際機関等の ARfD により、農薬の短期摂取量の試算を行う中で、 ARfD を超過するおそれがある食品があり、かつその食品への残留の可能性も高いことが判明した農薬については、速やかに基準の見直しに係る作業を進めることとしております。

 事務局からの説明は以上ですが、 11 月の本部会での委員の御意見を踏まえまして、農林水産省からも ARfD 導入に係る基準の見直しに関連する取組があれば御説明をお願いいたします。

○農林水産省 それでは、農林水産省から本件に関しての当省の取組について御説明いたします。

○大野部会長 お願いします。

○農林水産省 まず、ただいまの厚生労働省の事務局からも御説明がありましたが、計画的に、効率的に見直しを行っていくということが必要ですので、当省としては、その評価のための資料の収集とか、整備ということに積極的に協力させていただき、評価が効率的に、計画的に進められるように努めてまいりたいと考えております。

 また、 11 月の部会で、今回の急性参照用量を考慮した基準値の見直しということで、当然使用方法の変更を伴う場合がありますので、生産現場に混乱が生じているのではないかという御懸念を委員からいただいたところですけれども、我々としては、そういう混乱を生じるということについては、未然に防止したいと考えております。まず、導入の内容やそれに伴う影響等について、生産者を指導している都道府県に事前に十分な説明を行うとともに、また、同じ都道府県等に当省から通知を発出し、こういう新しい評価を行うことによって、農薬の使用方法等が変更する場合の情報提供や連絡の体制等を整備しており、生産現場で混乱が生じないようにということで努めております。現時点で特段、これまでいろいろな情報を提供してまいりましたが、大きな混乱は生じていないのではないかと考えております。以上でございます。

○大野部会長 ただいまの説明について、先生方から御意見、御質問はありますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、次の報告について説明をお願いします。

○事務局 続いて、資料 11 を御覧ください。クロチアニジンの残留基準改正に係るパブリックコメントの結果について御報告いたします。

 クロチアニジンについては、昨年 12 月のこの部会において、既に残留基準値案について御了承を頂いておりますが、その後に実施したパブリックコメントの結果について御報告させていただくものです。まず、おさらいになりますが、これまでの経緯を資料の 1 枚目を使って御説明いたします。

 クロチアニジンについては、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴って、農林水産省から厚生労働省へ基準値設定の要請がなされました。これを受けまして、食品安全委員会に対して、食品健康影響評価の諮問を行い、その結果を踏まえ、平成 25 6 26 日のこの部会において、残留基準の改正について審議を行っていただきました。

 同部会で了承された改正案について、平成 25 10 4 日から 11 2 日にかけて、一度パブリックコメントを実施したところですが、厚生労働省においては、寄せられた御意見の内容を精査するとともに、当時、急性参照用量を考慮した残留基準設定のための準備が、おおむね整っていたという事情も踏まえて、クロチアニジンについては平成 26 4 7 日に食品安全委員会に対し、 ARfD の設定を含めた食品健康影響評価の再評価を諮問をいたしました。

 食品安全委員会による評価の結果については、昨年 10 7 日に厚生労働省に通知され、これを受けまして、冒頭に申し上げたとおり、昨年 12 24 日の本部会において、クロチアニジンの残留基準の改正案について再度御審議をいただき、御了承をいただいたところです。そして、今般、同部会で了承いただいた改正案について、本年 1 23 日から 2 21 日の期間にパブリックコメントを実施し、その概要について報告させていただきます。

 まず、今回のパブリックコメントでいただいたコメントの総数については 271 件です。また、主な御意見については、別添のとおりということで、資料の次ページから具体的な意見の内容を記載しております。こちらについては、事前に資料をお送りしており、御覧いただいているかと思います。時間の関係上、かいつまんで御説明いたします。

 まず、御意見については、記載しているとおり、 (1) (8) までの分類した上でお示ししております。この分類方法については、先ほど経緯の中で申し上げた 1 回目のパブリックコメントの結果を御報告したときの分類に沿って、同じように分類しております。 1 回目のパブリックコメントの結果については、資料の一番後ろのページに参考としてお付けしておりますので、適宜御覧ください。

 別添のほうに戻っていただき、 (1) (8) の分類の仕方について最初に注意点を申し上げたいと思います。御意見について先ほど申し上げたとおり、総数で 271 件ありましたが、 1 つの意見の中にいろいろな御意見が複数含まれているものもありました。こういうものについては、 (1) (8) の複数の項目に該当するものについては、それぞれ重複して分類をし、その件数をカウントしています。そのため、この資料にお示しした (1) (8) の件数を全て足し合わせると、 271 件よりもかなり多くなっておりますが、それは今申し上げた重複して分類するという理由によります。ただし、いずれの項目に分類すべきかというのが必ずしもはっきり読み取れるものだけではなかったので、そういったものについてはある程度、事務局で主に該当すると思われるところに分類させていただきました。したがって、この件数の内訳については、あくまでも目安として御覧ください。また、御意見の中には事実とは異なる御意見もありましたが、あくまでも寄せられた御意見をなるべくそのまま記載しております。

 具体的な中身について御説明いたします。 (1) の農薬の登録、使用に関する御意見です。主な意見として、幾つか列挙しております。 1 1 つの説明は省略させていただきます。特に多かった意見としては、クロチアニジンを含めたネオニコチノイド系農薬について、ミツバチの大量死の原因ではないかということが指摘されており、特に EU などにおいては、その使用が一部制限されるなどの規制が行われています。それに対して、日本では、その流れに逆行して使用拡大を進めているのは問題ではないかという意見が特に多くありました。また、見た目がきれいな野菜よりも安全な野菜が食べたいという意見や、有機農業などを支援してほしいといった意見がありました。

 既に御承知のとおり、この部会で審議いただいている残留基準は、食品を通じた人への健康影響を防ぐための基準ですので、直接的にはミツバチへの影響を考慮して、その基準をどうこうするという仕組みにはなっておりませんが、こういったミツバチに関する御意見については、農水省などの関係省庁に情報提供させていただいて、御検討いただきたいと思っております。

(2) の残留基準に関する御意見ですが、主な意見としては、残留基準の緩和には反対します。また、欧米に比べて基準が高過ぎるのではないか。また、どうして基準値をそんなに緩和しなければならないのかという理由が分からない、などといった意見を頂いております。

 これについては、既に昨年 12 月の部会で御審議いただいたとおり、現在の残留基準案については、食品安全委員会で設定された ADI ARfD に照らして、科学的な安全性に関しては問題がないということは、既に御確認いただいているとおりなのですが、残留基準がどのように設定される仕組みになっているかとか、また、安全性がどのようにチェックされているかといった仕組みについては、厚労省においても、今後も国民の皆様に丁寧な説明を心掛けていきたいと考えております。

(3) の暴露評価に関する御意見です。主な意見としては、我々は 1 つの食品だけを食べているわけではなくて、 1 日にいろいろな食品を食べたり、あるいは食品以外にも、水や大気といった所からの物質の摂取もありますので、こういったことも合わせて考慮すべきであるという意見や、また、幼小児への暴露量が成人に比べて高くなっていることは問題ではないかという意見を頂いております。

 暴露評価の手法については、いつも御審議いただいているとおり、 ADI との比較においては、 80 %以内に納めるということで、残りの 20 %の中に水や大気からの摂取も考慮するという考え方に立っております。また、短期摂取量については、国際的な手法と同様の手法で暴露評価をいただいているところです。

 また、幼小児に関する御意見ですが、これも御承知のとおり、 ADI ARfD を設定するときには、成人と幼小児の感受性の違いなども安全係数の中に組込んで設定されておりますし、本部会で御審議をいただいている暴露評価についても、幼小児の体重や食品摂取量のこういったものの違いを考慮して、評価を頂いているところです。

(4) の毒性評価に関する御意見です。虫を殺す農薬ですので、人間にも有害ではないか。特にネオニコチノイド系農薬は、神経に作用する農薬ですので、人の脳、特に発達過程にある子どもに対しての影響が懸念されるのではないか。また、今回、急性参照用量が新たに設定されておりますが、それが EU に比べて 6 倍高い値になっているという御指摘をいただいております。

 クロチアニジンの ADI ARfD は、食品安全委員会で設定されたものですが、国際機関である JMPR が設定した値とそれぞれ同じ値となっておりまして、食品安全委員会において、適切に評価されたものであると考えております。

(5) については、今回御意見はありませんでしたが、前回の分類に沿うということで、一応、項目としては記載しております。

(6) の食品の輸出に関する御意見です。高い基準値、つまり残留量が高いと、海外に対して農産物を輸出ができなくなるのではないかという意見を頂いております。これは、食品の科学的な安全性の評価とは少し別の観点の御意見かとは思いますが、このような意見もあったことを紹介させていただきます。

(7) の環境影響に関する御意見です。先ほどの (1) の所で御説明したミツバチとも一部重複する御意見ですが、ミツバチを含めて生態系への影響が懸念される。こういった農薬については、予防原則にしたがって、慎重に検討すべきであろうという御意見を頂いております。また、人間への影響を見るだけではなくて、農薬の使用が環境やミツバチに与える影響も考えて規制をしてほしい。長期的に見れば、巡り巡って人のほうにも影響してくるのではないかという意見などを頂いております。こちらについても、農水省や環境省など、関係省庁に頂いた御意見を情報提供させていただきたいと思います。

 最後、 (8) のその他の御意見です。前回のパブリックコメント、これは先ほど、経緯の中で御説明した、 1 回目に実施したパブリックコメントですが、そこで多くの反対意見があったにもかかわらず、それが反映されていない。これではパブリックコメントを実施した意味がないのではないかと。また、メーカーの利益よりも、消費者や環境のことを考えてほしいという意見などを頂いております。

 前回のパブリックコメントについては、先ほど経緯の中で御説明したとおり、新たに急性参照用量を設定することも含めて、食品安全委員会に再度評価を依頼をするという手続を取らせていただきました。また、その際には、パブリックコメントの中で提出いただいた、発達神経毒性に関する動物試験のデータなども追加で提出するなどの対応を厚生労働省としては行ってまいりました。また、この部会においても、食品安全委員会の再評価の結果を踏まえて、昨年 12 月に再度御審議いただくという形を取りまして、慎重に審議を重ねてきたと考えてはおります。以上、簡単ではございますが、パブリックコメントの結果について御報告いたしました。事務局からは、以上です。

○大野部会長 ただいまの説明について、先生方から御意見、御質問はありますでしょうか。

○二村委員 ありがとうございます。こういう課題についてたくさんのパブリックコメントがきたということで、事務局の皆様は大変だったかとは思いますが、このように意見をまとめて出していただいたということについては、大変意義があることだというように思います。こちらのテーマではないような意見もたくさんありますが、これだけ関心が高いテーマだということを御理解いただいて、関係省庁等に是非しっかり意見を伝えていただくことと、それから、それぞれに伝えましたということではなくて、どのように受止めたかということを、今後についてもフォローしていただければと思います。ここでお答えできることではなくて、食品安全委員会とか、農水省や環境省等でお答えいただかないといけないような質問のほうが多いかなと私も拝見して思いましたが、各省庁できちんとお考えいただければと思います。大きな仕組みの中でいろいろな基準とか、使用方法が決まってきているということを、たくさんの方に理解していただく機会にもなるかなと思いますので、是非、前向きに捉えて御対応を進めていただければと思います。以上です。

○大野部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。

○鰐渕委員 非常にきれいにまとめていただいていると思います。是非とも、重要なことは今言われましたように、安心・安全という形で、いわゆる消費者の皆さんに対して、発信すると、どうして人に対し安全なのだということを十分説明できる、これだけいろいろな形で試験をしてきて、人に対しては十分安全な量を設定しているのだということは言うべきで、同時に、環境に関して、虫とか、そういうものに対することは関係省庁にしっかり言っていただいて、そちらのほうで少し正確なデータを取っていただき、その上で、次のステップ、規制も含めて考えていくことをしていただかないと、ここで答えることではないというように思います。

○大野部会長 ありがとうございます。農林水産省から特に御意見がありましたらお伺いしたいのですが、ミツバチの大量死に対するそういったことについての考えとか、農水ではどうやっているかとか、いかがでしょうか。

○農林水産省 ミツバチへの影響について、農林水産省で、どのように考えて対応をしているかということについて簡単に説明させていただきます。

 まず、そもそもネオニコチノイド系農薬について、今回クロチアニジンのネオニコチノイド系農薬ということで非常に関心が高いということもあるかと思いますが、このネオニコチノイド系農薬に限らず、やはり農薬の中でも殺虫剤ですが、もともと虫を防除するための目的とした薬剤になります。どうしても大なり小なりミツバチに影響を与えるということは考えられることになります。そういうこともあって、農薬の登録に際して、ミツバチへの影響を見る試験を実施しており、それをメーカーに提出させて、ミツバチへの毒性の大小を見ております。

 そういうデータに基づいて、例えば従来から使用上の注意に、ミツバチへの毒性がある程度高い物については、巣箱にかからないようにするように注意事項を付すとか、また、農薬を使用する農家、生産者の方、蜂を飼育する養蜂家の方、同じ方ではありませんが、同じ地域で農業と両方をされている場合がありますので、そういった両者の間で都道府県等を介して情報提供を共有していただき、被害防止に努めていただくということを従来から指導させていただいているところです。

 ただ、ミツバチの被害の原因ということで、農薬を指摘されているので、農林水産省としても、ミツバチの被害の全国的な発生状況をより正確に把握して、ある程度の数のミツバチが 1 度に死んでしまうというような事例がありますので、事故の発生要因を踏まえて、被害防止対策を検討するということが必要ですので、平成 25 年度から 3 年間にわたって、養蜂家とも協力してミツバチの被害状況の調査を実施しております。

 これは、被害がありましたら、その状況等を報告いただいて、ミツバチが死んでいるということで、そのミツバチの死骸を提供いただき、例えばどういう農薬を浴びているのかということを分析し調査しております。

 まだ、調査の途中ですが、昨年、最初の平成 25 年度の 1 年間分について、中間取りまとめという形で公表したところですが、その調査の結果を見ると、ミツバチへの被害というものが、水稲開花期、稲の花が咲く頃に発生している割合が多いということ。また、そのミツバチの死骸の分析を行うと、水稲の開花期前後に水稲に来るカメムシを防除する農薬撒布が行われることが多いのですが、そういった水稲のカメムシ防除に用いられるような農薬が比較的検出されています。これは当然、ネオニコチノイド系農薬もこれに使われますし、それ以外の系統の農薬も含めて様々な種類の農薬が検出されている状況です。

 こういったものを見ると、全てミツバチの死亡が農薬が原因かどうか、当然ミツバチが死ぬ程度の量を暴露しないと、検出されても因果関係は分かりませんが、やはり農薬も原因の 1 つであろうというように考えております。

 また、この調査を行う際、以前から農家と養蜂家との間で情報提供ということを指導してまいりましたが、その状況を確認したところ、やはり一部で、うまく情報提供がなされておらず、要は、情報提供というのは例えば農薬をいつ頃撒布するとか、どこに巣箱が置いてありますとか、そういうことが互いに分かっていないと被害の防止対策が取れないわけですけれども、そういう情報の共有が十分でなかったというような事例とか、情報提供はされていましたが、被害防止措置を取ることが十分できていなかったということも分かってきました。

 これらのことを踏まえて、引き続き因果関係等の調査は進めてまいりたいと思っておりますが、その調査結果を待つのではなく当然防止対策を取るということは必要かとは思います。まず、当面の対策ということで、改めて通知を当省から発出させていただき、ミツバチが殺虫剤を浴びないようにすることが大事かと思いますので、農業の方と養蜂家の方が都道府県の関係団体、農業者団体や養蜂農家の団体もありますので、関係団体等を経由して農薬の撒布時期とか、巣箱の設置状況等を、まず情報を共有しないと何も考えられませんので、そういった情報を共有する。今回の調査で、水稲の開花期に比較的に被害を生じることが多いということでしたので、周辺を水田に囲まれたような場所には、できるだけ巣箱を設置しない。できるだけ蜂が農薬や殺虫剤を浴びるようなことがないためにそういうような場所には設置を避けることや、ミツバチが暴露しにくい剤形の農薬については、農薬と一口に言っても、いろいろな剤形があります。水に溶かしてまくものもありますし、粉のまままくものや粒の形であまり飛散しないような形の剤もありますので、例えばそういった農薬を用いることを検討するとか、そのようなことを指導しております。

 ミツバチ被害の調査については、先ほどもお話ししたように 3 か年の予定で、来年度も引き続き調査を行っていくこととしておりますので、その調査結果を踏まえて、更に対策等を必要であれば検討していきたいと考えているところです。

○大野部会長 日本でもミツバチのそういう被害が出ているということですね。

○農林水産省 そうですね、被害というのは、巣箱の前に例えば、ミツバチの 1 つの群が数万匹の単位ですので、ある程度の被害だと、 1,000 匹とか、 2,000 匹の単位で死んでいるということはあります。ただ、欧米等で問題になったのは、いわゆる CCD と言われる、女王蜂とか、幼虫だけを残してほかの働き蜂がいなくなるというような報告はありませんので、今のところそういった異常を含めて、何かあれば報告を上げてもらう形にはなっております。まずは農薬を浴びた後に数千匹単位で死んだということが、ミツバチ被害の 1 つの原因ではないかと考えております。

○大野部会長 直接当たることによって、ミツバチが死んだのであろうと、そういうことですか。ただ、農薬をまいて、例えば、ミツバチは蜜を集めそれを介して死んだのではなくて、直接の暴露というように考えているということですか。

○農林水産省 現在の調査は全て解明できているとは限りませんが、死んだ事例が発生した時期が水稲の開花期に多く、当然その時点で近くの農薬の使用状況等も調べてみると、やはりカメムシを防除等のために殺虫剤を撒布した事実等もありますので、少なくともそういう事例については、直接浴びたということが原因ではないかと考えられています。

○大野部会長 蜜を介してそういう被害が起きているのではなければ、例えば箱にかからないようにするとか、そういう対応でいいのではないかと思いますが、もし蜜を介して影響が出ているとすると、対応が違ってきますよね。ほかの昆虫への影響も考えなければいけなくなってきますね。分かりました。平成 25 年から平成 27 年の 3 年計画でやっているということで、もうしばらくしたら来年の今頃は、ある程度の結論が出ているのではないかと思います。ほかの先生方から御質問、御意見はありますでしょうか。それでは、松倉さん、峯戸松さん、どうもありがとうございます。

 クロチアニジンについては、昨年 12 月のこの部会で、残留基準について御審議いただいて、御了承を頂いているところです。引き続いて、食品衛生分科会で報告をすることになっておりますが、予定どおり進めさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 次の報告について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料 12 について御説明いたします。平成 25 年度食品中の残留農薬等の 1 日摂取量調査の結果について御報告をさせていただきます。こちらにつきましては、いわゆるマーケットバスケット調査と言われているものでして、厚生労働省において、毎年度実施しているものです。

 このマーケットバスケット調査の概念を簡単に申し上げますと、通常の厚生労働省や都道府県が行っている残留農薬のモニタリング検査とは違いまして、通常の検査というのは、単一の食品を測って、残留農薬の量が基準値を超えていないかどうかをチェックするというものなのですが、マーケットバスケット調査のほうは、日本人が平均的に食べている食事の内容に基づいて、市場からいろいろ食材を買ってきて、日本人が平均的に食べている量に基づいて試料を分別しまして、それらを混合したものを測って、その中の残留濃度を調べるという調査方式です。日本人が平均的に摂取をしている農薬の量を、より実態に則した形で把握ができると考えています。

 具体的な平成 25 年度の調査結果につきましては、 4 ページ以降の別表を御覧ください。調査機関は 15 の地方自治体の衛生研究所等に御協力をいただいております。大体毎年度、これぐらいの数の機関に御協力をいただいて実施をしているところです。

5 ページ、別表 2 調査対象農薬等ですが、こちらに記載のあるとおり、平成 25 年度におきましては、全部で 41 物質の農薬等の分析を行いました。これは先ほど申し上げた 15 の分析機関で全て 41 物質ずつを測っているということではなくて、それぞれの機関ごとに分析対象とする農薬等の種類は異なるのですが、それらの重複を除いた全体の数として、 41 物質という形になっています。この農薬等の選定の考え方なのですが、毎年度同じ物質を測っているわけではなくて、その都度見直しを行っております。平成 25 年度におきましては、冒頭申し上げた行政のモニタリング検査において特に検出率の高いもの等を優先的に選んで対象としております。それ以前は、結構たくさんの農薬を測ってもほとんどこのマーケットバスケットだと検出されてこないといったこともありましたので、平成 25 年度におきましては、検出率の比較的高いものを優先的に選んでおります。

6 ページ、別表 3 に国民健康・栄養調査食品群別表というのを付けております。これは厚生労働省で毎年実施をしております国民健康・栄養調査がありますが、この中で国民の皆様がどのような食品をどれぐらいの量を食べているのかというのを調べるのですが、そのときに、こちらにお示したような 1 群、 2 群、 3 群から 14 群までありますが、このような分類にしたがって、それぞれの食品の食べる量を調査をしております。今回のマーケットバスケット調査におきましても、 1 から 14 群に分けて、それぞれの食品群の中での残留農薬の量を調べるという形をとっております。

 続いて 13 ページ、別表 4 を御覧ください。別表 4 は、今申し上げた国民健康・栄養調査、平成 20 年度から 22 年度の 3 か年の平均的な調査結果をお示ししたものです。先ほど申し上げた 1 群から 14 群まで、正確には 14 群は水ですのでこの表には 13 群までしか書いていませんが、各群別に国民がどれぐらいの量を食べているかということを調査した結果をまとめたものです。横の列に地域がずっと書いてありまして、北海道、東北、関東 1 と、地域ブロックごとに分類をして集計をしております。そこに記載してある数字は、 1 1 日当たりの食べる量ということで、グラムで表示しております。今回のマーケットバスケット調査におきましても、この食べる量に基づいて、市場から買ってきた食品を組み合わせて、調査試料としております。このように地域ごとに食べる量が少しずつ異なっております。例えば北海道で検査したデータにつきましては、北海道で食べる量に基づいて、食品を構成しています。

15 ページ、別表 5 を御覧ください。別表 5 は平成 25 年度検出農薬等と分析結果ということで、ここから結果の御説明になります。最初に申し上げた 41 物質が調査対象となりましたが、それら全てについて残留農薬が検出されたわけではございません。具体的には 27 の物質について、いずれかの自治体、また、いずれかの食品群において、農薬等が検出をされております。

 検出された物質についてお示ししたのが別表 5 になります。この表の見方なのですが、一番上のアセタミプリドの例で御説明しますと、調査機関 (1) から (5) までありますが、これは 5 つの自治体で測っていただいたという意味です。それぞれ物質ごとに調査対象の機関は異なりますので、例えばアセフェートですと、 (1)(2) という 2 つの機関で測ったという意味になります。また、 (1) (2) というのは、特定の自治体を指しているものではありませんので、その物質ごとに (1) が指している自治体というのは共通ではございません。右側に分析結果として、 1 から 14 まであります。これは先ほど申し上げた食品群ごとに測っているという意味で、そのように分けて記載をしています。数字が入っている所は、検出限界以上の実測値が検出されたものを記載しておりまして、数字が入っていない所は検出されなかったということを示しております。全体を眺めていただくと、 6 群、 7 群、 8 群あたりで検出される頻度が多いのですが、大体野菜や果物がこのあたりの群に含まれています。

17 ページの別表 6 を御覧ください。別表 6 は先ほど別表 5 で説明したいずれかの自治体、またいずれかの食品群で農薬等が検出された場合、それらの農薬等につきまして、その農薬等を 1 日平均どのぐらい摂取しているかということを算出し、それが ADI に対して何パーセントを占めるかということをお示しした表です。農薬の名前がずっと並んでおりまして、その右側に ADI の値を示しています。 ADI は通常 0. 幾つという数字がよく御覧になる数字かと思うのですが、ここでは平均体重を掛けた値としておりますので、このような数字が入っています。その右側に平均一日摂取量という記載があり、それぞれの農薬等ごとに、先ほど御説明した検査結果に基づいて 1 日の食事からどのくらいの農薬等を摂取しているかということを算出したのがこちらになります。 1 点申し上げると、先ほど別表 5 で御説明したとおり、実際の値が検出されているものはその値を使って計算をしているのですが、実際には検出されていない食品群、あるいは自治体のほうが数としては多くなっております。この検出されていない部分につきましては、残留農薬等がゼロと考えるのではなくて、検出限界の 20 %相当に当たる量が残留しているというふうに仮定をしまして、この一日摂取量を計算しています。一番右側は対 ADI 比ということで、今御説明した平均一日摂取量が ADI に対して何パーセントを占めるのかということを記載をしています。平成 25 年度のデータというのが、今回御報告するデータでして、その左に書いてある平成 21 年度から平成 24 年度につきましては、今回調査対象とした農薬等の過去の調査結果を参考としてお付けしているものです。 AD I 比の平成 25 年度の調査結果を御覧いただきますと、全て 1 %を下回り、 0. 何パーセントという値になっておりまして、 ADI に対して十分に低い値となっていると考えております。

1 点、この中で御説明をしたいことがあります。この平成 21 年度以降の経年の変化を見ていただいたときに、 ADI 比の所で御覧いただければと思うのですが、例えばアセフェートのように、平成 21 年度、平成 22 年度は 3.36 %、 1.59 %と算出されていたものが、平成 25 年度は 0.09 %というふうにかなり低くなっております。同じような傾向の物質が少し下にありますクロルピリホスで、これも例えば平成 24 年度は 6.17 %だったものが、平成 25 年度では 0.29 %と大分下がっております。また、下から 3 つ目になりますが、メチダチオンにつきましても、 4 %とか 5.92 %という値が過去にあったものが、今回は 0.17 %とかなり下がっております。これらの要因につきまして、実際に農薬等の摂取量、残留量が減っているという可能性ももちろん否定はできないのですが、それ以外の要因の 1 つとして、先ほど検出されなかった部分については検出限界の 20 %相当が残留していると仮定しているというように御説明申し上げました。正確には定量限界なのですが、定量限界が下がれば、それに応じて 20 %相当量というのも下がって、その結果別表 6 で算出されてくる値も下がるという関係性にあります。実は平成 25 年度から、このマーケットバスケット調査を自治体に実施していただくに当たって、定量下限をどのように設定するかということについて、国から方針を示させていただいております。平成 24 年度までは特にその方針は示さず、各自治体の分析機関の判断でやっていただいていたのですが、平成 25 年度からは、基本的には定量限界が 0.01ppm 以下になるように測ってくださいという方針を示しております。その上で更に、 ADI が小さいものについては、更に一桁小さい 0.001ppm まで、少なくともそこまで定量できるように測ってくださいという方針を示しています。その結果、 25 年度の報告された結果を見てみますと、定量下限は従来に比べてかなり下がっておりまして、おそらくそれが原因となって、この算出されている ADI に対する割合も下がっているのではないか、それが要因の 1 つではないかと考えております。

 先ほど、具体的な物質として 3 つ申し上げました、アセフェート、クロルピリホス、メチダチオンの 3 つについては、 ADI の欄を御覧いただけたら分かるとおり、ほかの物質に比べて、 ADI がかなり低い値となっております。 ADI が低い物質については、定量下限がある程度低くても、分母である ADI が低いがために、検出されない場合にその定量下限の 20 %相当量を使ったときに、数パーセントという、比較的高い値がこれまで出ていたのですけれども、平成 25 年度からは、この定量下限をかなり下げたということで、ほかの物質と同じように、 1 %を下回るような値になっているのではないかと考えております。

 説明が少し長くなりましたが、最後、 18 ページの別表 7 を御説明させていただきます。こちらは、先ほどの別表 6 はいずれかの自治体又は食品群において検出された農薬等をまとめたものだったのですが、別表 7 は、いずれの食品群でも検出されなかったものをリストアップしております。ただし、全てをリストアップしているのではなくて、分析をした自治体の数が 4 つ以上であるものについて、リストアップをしております。その結果、ノルフロキサシンとフラメトピルの 2 物質だけが該当しておりますが、こちらについても対 ADI 比は 1 %を下回っています。以上、平成 25 年度の調査結果について御報告をさせていただきました。現在、 26 年度の調査を引き続きやっておりまして、また来年度以降もこの調査を続けていきたいと考えております。以上、御報告を終わります。

○大野部会長 丁寧に説明していただき、ありがとうございました。御意見、御質問はございますでしょうか。

○斉藤委員 時間が超過しているのですが、 2 点ほどお答えいただきたいのですが、非検出の場合の LOQ × 0.2 というお話でしたが、これはいつくらいから、どの根拠を持ってそのように設定されたのでしょうか。以前、ダイオキシンのときは定量限界× 2 分の 1 とか、若しくは定量限界そのものを入れるというのが行われていた時期があったかと思うのですけれども、 0.2 というのはいつぐらいから、根拠はどこからきたのでしょうか。

○事務局 まず、いつぐらいからというのは、ちょっと今手元に情報がないのでまた確認させていただきたいと思います。 20 %を使うか、 50 %を使うかというのは、幾つか調査のやり方としてあるというふうに承知はしているのですが、この農薬のマーケットバスケット調査につきましては、従来から 20 %を使っているということで、経年変化などを比較するという意味で、そのあたりを継続しているという意味になります。一番最初に 20 %を採用したときの考え方というのは、今遡った情報は手元にございません。何パーセントに取るかによって、最終的な ADI に対する割合というのは変わってくるかと思いますので、仮に最も保守的な値として定量限界と同じ残留があると仮定したとしても、今回の結果からすれば、仮に単純計算で 5 倍残留していると仮定したとしても、 ADI に比べれば十分低いというふうには考えております。

○斉藤委員 ダイオキシンのほうは、マーケットバスケットでもいまだに 0.2 でやられているという認識でいいのですね。

○事務局 すみません。ちょっと今、確認できませんので、後ほど御連絡させていただきます。

○斉藤委員 あともう 1 点なのですが、そうすると、 25 年度のだけが 0.2 だということは、別表 6 は平成 21 年から 24 年は比較できるけれども、それに対して 25 年は比較の意味がないと、そういう理解でよろしいですか。

○事務局  20 %というのは 25 年度だけではなくて、 24 年度以前も 20 %です。算出の方法としては、同じようにしております。

○斉藤委員 各自治体の設定がばらばらだったのを、 25 年度のみ統一したということ。

○事務局 そうですね。 25 年度以降という形になりますが、統一したというよりも、少なくともここまでは定量できるようにしてくださいというように定めて、それ以上はもっと低いところまで定量できるかどうかというのは、各分析機関の検査能力とかに委ねてはおります。

○斉藤委員 そうすると、 21 から 24 までは N.D. に対する算出方法は、各自治体によってかなりばらばらだったということですか。

○事務局 定量下限については、分析機関によって異なります。

○斉藤委員 そうすると、やはり 21 から 24 25 を直接比較するのは難しいというような考え方のほうがよろしいのではないですか。先ほどの 25 年度のは大分経年変化で減っているという、そういう認識でしたけれども、一概にそういうふうに言ったらちょっとまずいのではないかなという気がしたので。

○事務局 そうですね。そのような認識でおりまして、実際の農薬等の残留量が下がったという可能性も、必ずしも否定はできないのですが、それ以外に、今言ったような分析のときの定量下限の取り方という要因が考えられます。

○斉藤委員 計算方法上そういうふうに見えているという、言い方は悪いですけれども、そういうようなことですよね。

○事務局 はい。そういった要素が影響していると思います。

○斉藤委員 ありがとうございます。

○大野部会長 ありがとうございました。ほかに。二村先生お願いします。

○二村委員 私もちょっと今の点で、結果を精密にしようということで、調査方法などを統一していただいたり、推計の精度を向上していただいているという点ではいいと思っているのですが、この報告書自体に、推計方法をこのように変更したのだということを、是非明記をしていただきたいというのがお願いです。というのは、こういった報告書というのは、このまま使われることが多くて、いろいろな消費者団体の学習会ですとか、いろいろな所で使われたりしますので、そのときになぜこの数字が変わっているんだということが、ちょっとミスリードしてしまうのではないかと思います。なので、この結果自体がどうとは思っていないのですけれども、推計の方法なり、精度推計の方法などをこのようにしているのだということを、方法は前に書いてあるのですけれども、先ほどの定量限界の話も記載がありませんので、明記を是非していただきたいなと思います。特に先ほど ADI 比のほうのお話があったのですが、結構消費者の方が見るのは、左側の平均一日摂取量だったりするのですよね。そうしますと、こちらの数字というのはそれぞれ相当みんな変化をしているように見えますので、そういった意味でも、推計方法を変えたということの情報が必要ではないかなと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 先ほど御説明した定量下限について、 25 年度から厚労省として方針を示させていただいたというところは、調査手法に関わることですので、何らかの記載をさせていだければと思います。

○由田委員  1 点だけ。聞き漏らしたのかもしれないのですが、各地方自治体の衛生研究所等が、実際にサンプリングを行っている時期というのは指定しているのかばらばらなのでしょうか。

○事務局 特に何月というのは指定しておりません。

○由田委員 そうすると季節によって大分変わる可能性が十分にあると。なおかつ国民健康調査のデータというのは 11 月の調査なので、かけてくるとかなり大きくずれていることも考えられるというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

○事務局 特にその時期は何月というのは指定はしていないのですが、 25 年度の調査に関しては、年度の下半期に大体調査をやっていただいているという実態はこざいます。

○大野部会長 石井先生、何か追加でございませんか。

○石井委員 各自治体で調査の時期とか異なると思うのですけれども、大体この調査を頂くのが 8 月、 9 月で、それから、併用して別の調査とかも行いまして、そちらの報告を挙げるのは 10 月で、おそらくわりと 10 月とか、遅くても 11 月ぐらいに実施しているのが実態ではないかなと思います。

○大野部会長 そういうことは、その報告書には書かれているのでしょうか。

○事務局 各自治体からの調査報告書の中に、試料の収集年月日、日まで書いてあったかどうか定かではないのですが、収集月みたいなことも書いていただいているかと思います。

○大野部会長 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。どうもありがとうございました。

 それでは、次回の予定についてお願いします。

○事務局 次回の本部会の開催日程ですが、平成 27 年の 4 21 日を予定しております。詳細については、追って御連絡差し上げます。また、本日、机上にお配りしました紙ファイルの資料につきましては、そのまま机上に置いていただければと存じます。

○大野部会長 ありがとうございました。それでは、先生方から追加の御質問あるいは御意見はございませんね。それでは、これで本日の部会は終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省食品安全部基準審査課
03-5253-1111 内2921

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録(2015年3月13日)

ページの先頭へ戻る