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2015年3月12日 障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ「手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方に関する論点整理のための作業チーム」(第2回)

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年3月12日(木)14:00~16:00


○場所

TKPガーデンシティ竹橋10階ホール10C
(東京都千代田区一ツ橋1-2-2住友商事竹橋ビル)


○議事

○鈴木情報支援専門官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回「障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ『手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方に関する論点整理のための作業チーム』」を開催いたします。

 構成員の皆様方には御多忙のところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 続いて、構成員の御紹介をさせていただきます。

 前回、高橋委員が御欠席でしたが、今回構成員の皆様が全員おそろいということでございますので、前回にも御紹介をさせていただきましたが、改めて構成員の皆様を御紹介いたします。

 浦和大学総合福祉学部教授で、本作業チームの座長を務められます寺島彰様です。

○寺島座長 寺島です。どうぞよろしくお願いします。

○鈴木情報支援専門官 東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、大沼直紀様です。

○大沼作業チーム構成員 よろしくお願いします。

○鈴木情報支援専門官 埼玉県立大学名誉教授、佐藤進様です。

○佐藤作業チーム構成員 よろしくお願いします。

○鈴木情報支援専門官 和洋女子大学生活科学系家政福祉学研究室准教授、高木憲司様です。

○高木作業チーム構成員 よろしくお願いします。

○鈴木情報支援専門官 札幌市保健福祉局障がい保健福祉部障がい福祉課自立支援担当課長、高橋誠様です。

○高橋作業チーム構成員 よろしくお願いいたします。

○鈴木情報支援専門官 続きまして、資料の確認をさせていただきます。

 資料1、団体ヒアリング等を踏まえた事項について。

 資料2、障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ「手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方」に関する団体意見。

 資料3から資料7は、各団体の御意見をお配りしております。

 以上、お手元にございますでしょうか。過不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。

 それでは、ここから座長に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○寺島座長 寺島です。どうぞよろしくお願いします。

 手話通訳のために御発言の際には最初にお名前を言っていただきますようにお願いいたします。

 きょうは、団体の皆様にはお忙しい中おいでいただきまして、ありがとうございました。第1回の作業チームでのヒアリングの結果を受けまして、いろいろ議論いたしました結果、資料1にありますようなことについて、もう少しお聞きしたいということで、きょうお集まりいただきました。どうもありがとうございます。

 それでは、議事に入る前に、きょうのスケジュールなどについて、事務局から御説明をお願いいたします。

○鈴木情報支援専門官 本日の流れについて、簡単に御説明させていただきます。お手元の議事次第をごらんください。

 事務局から議事の(1)団体ヒアリング等を踏まえた事項について、5分程度説明をさせていただきます。その後、このヒアリング等を踏まえた事項やその他の御意見につきまして、各団体から10分以内で御発言いただきます。御発言が8分を超えた段階で事務局から一度合図をさせていただきます。各団体の御発言終了後、委員の皆様と各団体の皆様で御議論いただく予定としております。

 終了時間は午後4時を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○寺島座長 寺島です。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 議題1「団体ヒアリング等を踏まえた事項について」、事務局から説明をお願いいたします。

○鈴木情報支援専門官 資料1について簡単に御説明させていただきます。

 この資料1につきましては、ワーキンググループでの各団体のヒアリング、それから前回第1回目の作業チームでの議論を踏まえましてまとめたものでございます。大きく5つにまとめてあります。

 最初の大きい四角のところの1つ目、「意思疎通支援事業についてどのように考えるか」というところでございます。○が2つありますが、1つ目が、「現行制度の内容・運営についてどのように考えるか」。2つ目の○は、「意思疎通支援事業についての財政的措置のあり方についてどのように考えるか」。

 1つ目の○の下に4つほどポツがあります。

 1つ目のポツ「意思疎通支援事業の対象者の範囲をどのように考えるか」。

 ポツの2つ目「介助技術に関するものや意思決定に関するもの等と意思疎通支援事業との整理についてどのように考えるか」。

 ポツの3つ目「意思疎通支援事業についてそのニーズや支援のあり方についてどのように考えるか」。

 ポツの4つ目「小規模市町村等での事業実施についてどのように考えるか」。

 ○の2つ目、財政措置のあり方についてでございますが、その下のポツ「個別給付化した場合のメリット・デメリットの整理についてどのように考えるか」。

 これが大きな1つ目の事項でございます。

 続きまして、大きな2つ目の事項でございますが、「意思疎通支援関係の人材養成についてどのように考えるか」というところでございます。

 その下の○「意思疎通支援の人材養成についてそのニーズや支援のあり方についてどのように考えるか」。

 ポツが2つありますが、1つ目「研修カリキュラムのあり方等についてどのように考えるか」。

 ポツの2つ目「専門的な知識を必要とする意思疎通支援についてどのように考えるか」。

 これが大きな2つ目でございます。

 続いて、3つ目でございます。◎としまして、「意思疎通支援に係る支援機器の活用等についてどのように考えるか」。

 その下の○は「支援機器の活用、開発普及の取り組み等についてどのように考えるか」。これが3つ目でございます。

 4つ目の◎は「合理的配慮との関係についてどのように考えるか」。

 5つ目の◎は「教育・放送分野等福祉施策以外の分野との関係についてどのように考えるか」。

 以上、大きく5つの事項に分けたものでございます。

 資料1については以上です。

 資料2については、前回お渡ししたものでございますので、説明は省かせていただきます。

 説明は以上でございます。

○寺島座長 寺島です。ありがとうございました。

 これはワーキンググループの団体ヒアリングと第1回作業チームでの議論を受けて、団体ヒアリング等を踏まえた事項について作成したものです。

 この団体ヒアリング等を踏まえた事項やその他の御意見につきまして、各団体から御意見をいただき、その後、委員の皆様と一緒に御議論させていただきたいと思います。

前回の作業部会の議論を踏まえまして、5団体にお越しいただいております。

 それでは、事務局から団体の御紹介をお願いいたします。

○鈴木情報支援専門官 事務局でございます。

 それでは、本日お越しいただいている関係団体の方々を御紹介いたします。

 社会福祉法人日本盲人会連合様。

○藤井氏(日盲連) よろしくお願いします。

○竹下氏(日盲連) よろしくお願いします。

○鈴木情報支援専門官 一般財団法人全日本ろうあ連盟様。

○小中氏(ろうあ連) よろしくお願いいたします。

○鈴木情報支援専門官 一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会様。

○新谷氏(全難聴) よろしくお願いします。

○鈴木情報支援専門官 社会福祉法人全国盲ろう者協会様。

○福島氏(盲ろう協) (会釈)

○鈴木情報支援専門官 特定非営利活動法人日本失語症協議会様。

○園田氏(失語症) よろしくお願いいたします。

○鈴木情報支援専門官 以上、5団体の方々でございます。

 以上でございます。

○寺島座長 寺島です。どうもありがとうございました。

 それでは、5団体から御発言をいただきたいと思いますので、最初に日本盲人会連合様からお願いいたします。

○藤井氏(日盲連) 本日は、このような場で発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。日本盲人会連合組織部の藤井と申します。よろしくお願いします。

 まず、私のほうから本日改めて提出させていただきました意見書の説明をさせていただいて、後ほど総括的に私どもの会長であります竹下のほうから補強させていただくという形で発言させていただきます。

 まず、いきなり中身に入らせていただきます。

 1点目に、情報の点訳者、音訳者。点訳者というのは、書物とか文字の情報を点字に訳する者。音訳者というのは、音声で読み上げましてデイジー化したり、録音物として提供する、そういう人たちでございますが、現在、点字図書館あるいは社会福祉施設等から点字情報、音声情報が視覚障害者、あるいは関係者に情報提供されておりますけれども、これらを制作するのには必ず晴眼者であるとか、音訳、朗読する人が必要なわけですが、現在、音訳、点訳については、ほとんどボランティアの人に依存して制作がなされております。

 したがって、提供される情報には非常に大きなばらつきがあるということがございまして、非常に悩ましいところでございます。

 さらに、これらの点訳者、音訳者を育成するのも幾つかのサポートがございますが、ほとんどボランティアの人に頼ったり、経験者の人に頼って育成してきたという経過がございまして、全国的に見ても点訳者、音訳者の数が非常に少ないという状況がございます。ですので、こういう方たちをきちっと育成していくということが必要でございまして、この人たちを育成する事業を意思疎通支援事業の中にきちっと位置づけていただきたいと考えております。これが1点目です。

 2点目でございます。これらの点訳者、音訳者をせっかく育成しても、その方たちがさらに技量を上げたり、あるいは私たちにとって非常に必要な専門的な知識、数学であったり、科学的なものであったり、そういったものの専門的な知識を習得するためには、かなり高度の、そしてきちっと学術的に裏づけのある点訳、音訳をしていただく必要がございますので、音訳物、点訳物、後ほど申し上げますが、テキストデイジーなどを訳する専門家の育成もあわせて事業の中に組み入れていただいて、その方たちが将来展望を持ってこういう事業に携われるような、こういう形をぜひつくっていただきたいというのが2点目でございます。

 3点目にマルチメディアデイジーの導入ということを書かせていただいております。これは先般のヒアリングでも申し上げましたけれども、現在、コンピュータ等IT機器を使って視覚障害者に対する情報提供がなされるようになりました。こういった機器がどんどん発展しておりまして、これらを制作するためにはこの状況に追いついていく必要があるということ。さらに、御存じのように、パソコンのみでなく、いろんな情報機器が出ております。例えば個別の製品名を申し上げて申しわけありませんが、iPadであるとか、iPhoneであるとか、そういうタブレット端末を使って情報を入手したり、発信したりということがございますけれども、特にマルチメディアデイジーに対して、その制作に携わる人の育成と情報提供について、これらも事業に組み入れていただきたいというのが3点目でございます。

 さらに、これらの情報機器をちゃんと当事者が使えないと、せっかくの資料が無駄になりますので、これらを使えるようにするために指導するという状況が必要でございますので、福祉団体であるとか、さまざまな機関でこういう機器を利用する講習会、あるいはマンツーマンで教えるような、そういう指導員の育成をぜひ考えていただきたいと考えております。

 4点目は、ちょっと色合いが違うかもしれませんが、私どもは外出時に同行援護事業という事業を活用させていただいて外出したり、外出時の情報提供を受けております。

 しかし、これらは外出時には利用できるわけでございますけれども、いざ自宅にいて、さまざまな日常の手紙でありますとか、あるいは回覧板、あるいはいろんな引き継ぎ物とか、電気屋さんとか水道屋さんとか、いろんな情報のやりとりがございますが、視覚障害者はその情報を識別したり、読んだり、こういうことが日常的にできないということがございます。ところが、この支援体制がないので、代読、代筆者の派遣を事業化していただくということを要望しております。

 時間が来ましたので、竹下にかわります。

 以上です。

○竹下氏(日盲連) 済みません、1~2分で終わります。竹下です。

 2点だけ補足させてもらいます。点訳、音訳のところで皆さんに御理解いただきたいのは、例えばボランティアに頼っているということですが、そのボランティアの質というものがばらばらだというのは藤井が言ったとおりです。例えば1つの点訳において、正確度が95%としましょう。高そうに見えます。ところが、1ページに約500字あるとしましょう。そうすれば、1ページに25文字のミスがあるわけです。そういう文章は読めますでしょうか。

 文化系と言ったら、文学者に怒られますけれども、文化系のものは、誤読があっても、前後での読解はある程度可能です。ところが、英語や数学、化学の世界では、点字の打つ点を1つ間違えただけで全く意味が通じなくなります。こういうことを考えますと、専門性を確保した点訳者、音訳者の養成、さらにはそうした養成が我々の図書館等も含めた努力によって維持されてきているにもかかわらず、そういう人たちが実働していかなくなります。それは、その人たちがボランティアの活動では時間的な確保ができないからであります。その点で、専門的な知識や情報を確保するためには、そうした養成とともに、養成された専門点訳、音訳者たちの活動が安定的にできるシステムが必要だということであります。

 もう一点はITといいますか、コンピュータの関係ですが、コンピュータが出始めたころには、コンピュータによる情報格差、デバイドが言われ始めました。ところが、最近は、視覚障害者の中ではコンピュータを使いこなせる、使いこなせない。そういう端末機を使える、使えないということで、さらに別途の格差、デバイドが生じてきています。これらを克服するためにも、そうした機器の指導を行ってくれる指導員というものを確保することが必要だということが、今回の意思疎通の上での私たちの強い思いであります。

 以上です。

○寺島座長 どうもありがとうございました。寺島です。

 続いて、全日本ろうあ連盟からお願いいたします。

○小中氏(ろうあ連) 全日本ろうあ連盟の副理事長の小中でございます。着座のまま説明させていただきます。

 今回、発言する機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 箇条書きで、余り清書しておりませんが、意見を述べさせていただきます。このレジュメに合わせて発言をいたします。

 まず1点目、意思疎通支援事業をどう考えるかにつきまして、対象範囲については、やはり障害者手帳を持っていない、例えば中度、軽度の難聴者の方、要約筆記のニーズのある方がおられます。また、18歳未満の子供たち、例えばろう学校の高等部の生徒さんたちが、もし病院に行く場合、手話通訳が必要となります。こういうケースも現実には存在します。ですから、範囲を広げていただきたいと思っています。

 2番目は、意思決定支援に関することでございます。意思疎通支援につきましては、手話通訳事業においては、手話通訳者、さまざまなろう者の支援をしてきております。相談支援の事業と同じような状況で、さまざまな障害福祉サービスを利用するための説明、質問、話し合いというところから意思疎通が必要になる支援でもあります。

 また、言語の通訳のみならず、この内容を説明したり、さまざまな情報を補っていく、そして本人が判断できるためのさまざまな支援が必要なケースが多々あります。

 例えばろう学校のような教育を受けた経験の、一般校との違い、教育経験の違い、また、重複のろう者もおります。また、それぞれ環境的な要因で孤立せざるを得ないようなろう者もさまざまおります。

 手話通訳だけではなかなか支援が行き届かないという部分についての重層的な支援、情報支援が必要なケースもございます。ですから、意思疎通支援、意思決定、一体となったケースも多々あるということを御理解いただきたいと思います。

 そういうケースも踏まえた上で検討していただきたいと思っています。

 また、意思疎通支援のあり方について考えた場合に、差別解消法、これは行政サービスの合理的配慮という側面も必要になりますし、また、職場において、雇用促進法の中での合理的配慮という側面も28年度にスタートする、そういう法的な位置づけの関係もありまして、合理的な配慮の推進、手話通訳の意思疎通支援における役割との整理というのがまだ実施できていない状況にありますので、まず役割の整理が一義的に大事かと考えております。

 また、小規模市町村の事業実施につきましては、文には載っておりませんが、例えば手話通訳設置事業の実施率が30%と非常に低い水準になっています。幾つかの市町村が広域的に拠出をしてというようなさまざまな努力はしておりますが、なかなか実現に至らない面もあります。どこで誰が決めるのか、これもなかなか難しい問題であります。そのあたりもきちっと検討していただければありがたいと思います。

 都道府県の広域性ということを考えたときに、核になるのが聴覚障害者情報提供施設であろうと思います。ですから、市町村の分室的なものの考え方も考慮して検討いただきたいと思っております。

 2番目ですが、財政的な措置のあり方。個別給付の場合については、手話通訳などの事業につきましては、手話通訳派遣に関する要綱、「モデル要綱」という言い方を私たちはしておりますが、モデル要綱の作成をし、厚生労働省に通知をしていただき、それに合わせて充実をする努力が必要となってまいります。やはり財政的な側面が壁になって、なかなかここが反映できないという問題が現実にございます。

 もし個別給付に変えた場合、全国的に同じ基準で実施するという仕組みになりますので、社会参加を促進するという意味では、大きく貢献できるのではないか。そういうメリットはあるだろうと思います。

 また、それにあわせて、支援者の位置づけがボランティア的な非常に弱い立場で頑張っている方々が多い現状にあります。設置通訳として働く、正職員化は少ないという現状もありますので、安定していない身分保障の中で通訳をしているという状況を改善することにつながるということにもなります。

 また、事業所の対応についても必要になる。その中での設置という位置づけも考えられるメリットもあるのではないかと思います。

 しかし、一方でデメリットがございまして、意思疎通支援、手話通訳の恩恵を受けるというのは、必ずしもろうあ者のみならず、聞こえる、社会もつないでいく、お互いに双方向性が必要な仕組みになっています。そのような考え方で利用者負担を求めないというようなことでこれまでやってまいりました。そのあたりがモデル要綱にも反映されております。

 こうした面を十分に考えていただきたいと思っております。

 また、「団体派遣」という言い方をしておりますが、例えば不特定ろうあ者が集まる会議や研修、集会の場におきまして、その場合の手話通訳派遣については、現在の地域生活支援事業の中での充実、さらに広げていくということも大事だろうと思っております。個別給付にはなじまないと考えております。

 とにかくメリット、デメリット、さまざまございますが、慎重に考えながら、全国どこでも必要なサービスが同じ水準で提供できるシステムというものの確立、また、地域生活支援事業の特性を生かしながらということも併用しつつ、考えていく十分な時間、検討も必要だろうと考えております。

 次に、人的養成の問題、人材育成についてですが、手話通訳技能認定試験というのがございます。合格者が手話通訳士という資格を取得するわけですが、しかし、手話通訳士に合格した人たちの平均年齢を見ますと、地域で養成をした人たち、手話通訳になって経験を積みながら試験を受けてという合格者、そういう養成は10年から15年という長きにわたる経験が必要になってまいります。

 平均的に手話通訳士の年齢は50歳と高年齢化をしているということで、これは非常に危機感を覚えております。そのために、手話通訳養成のあり方の見直しをぜひお願いしたい。手話通訳士の高等教育現場での育成、その手法についても視野に入れて検討しなければならないと思っております。

 これは国家資格につながっていくと思いますが、そういった高等教育機関での養成、また、地域の養成、この2本立てのあり方を検討する必要があると考えています。

 また、地域の養成につきましては、講師について、非常に不足しているという大きな課題があるということです。ですから、講師養成のシステムは現在はありません。そのために、講師を養成するということにつきましては、きちっと充実化を図らなければならない。これは喫緊の課題として検討していただきたいと思っています。

 申しわけありません。時間が過ぎてしまいましたが、あと2つだけお願いいたします。

 ちょっと急いで話をしたいと思いますが、支援機器というものは非常に大きな役割を果たしていますが、使えなかったり、あるいは使うことでさらなる困難が生じる、そういった人たちもいるということを配慮しなければならない。使えるための練習というものが必要になる。ですから、使えないと困るという人がたくさんいるということも改めて頭に置いて、どのような支援が必要かという検討もあわせて必要になります。

 ろう者・難聴者の場合、支援機器として、例えば電話リレーサービス、あるいは遠隔地での手話、あるいは要約筆記通訳者のサービスということもあります。それも申し添えておきたいと思います。手話言語条例が制定された地域において、試行的な、先進的な取り組みがあるということも申し添えておきます。

 このリレーサービス、遠隔地における遠隔手話サービス等につきましては、手話通訳者の雇用が必要になるということもお含みおきいただければと思います。

 最後に、合理的配慮につきましてです。基本的にアクセシビリティーの環境を整えるということは非常に重要な視点でございますので、社会のあらゆる分野、場面において意思疎通支援が進展していくということが重要だと思っています。この状況が進むと意思疎通支援の役割が少し小さくなると思いますが、しかし、そのためには、合理的配慮に基づく支援の体制をどのようなあり方で進めればいいのか、今は全くわからないという状況ですので、支援者も手話通訳士においても、誰に頼むか、どのようなレベルの人に頼んでいけばいいのか、謝金負担はどのようになるのか。まだ決定していない状況です。

 これまで通訳の実績と関係ないようなところで手話通訳の存在もあり、いろいろと混乱する事態も正直心配される部分ですので、まず合理的配慮に基づく意思疎通がどうあるべきか、十分に考え、検討することも国の責務ではないかと思っています。

 推進体制について、役割分担も考えながら、合理的配慮の内容、そして福祉サービス、意思疎通、この2つの側面を検討していただくということが大切だなと考えております。

 以上です。ありがとうございました。

○寺島座長 寺島です。どうもありがとうございました。

 続いて、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会様、お願いいたします。

○新谷氏(全難聴) 全難聴の新谷です。ヒアリングの機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。意見内容は、着席して説明させていただきます。

 設問が非常に多くて、回答が短時間では難しいのですけれども、1番目の「意思疎通支援についてどのように考えるのか。現行制度の内容・運営についてどのように考えるのか。(1)意思疎通支援の対象者の範囲をどのように考えるのか」。これにつきましては、前回のヒアリングのときにも意見を出しておりますが、手帳保持の障害者だけではなくて、それ以外の聞こえに困っている方が随分いる。こういう人たちが意思疎通支援を利用できない現在の制度は非常に問題がある。それから、意思疎通ということ、コミュニケーションの本質から言えば、聞こえる人も意思疎通支援事業を必要とする場面があるということをお話しさせていただきました。

 ということで、現在は手帳制度というものが全体の基準になっておりますので、これをすぐやめてどうこうという制度変革は非常に難しいと思いますので、現在の現実的な方法としては、現在の身体障害者福祉法の聴覚障害の認定範囲のところを議論していただいて、世界保健機関が40デシベルよりも聞こえの悪い人を聴覚障害というふうに一応見ていますけれども、そういう範囲まで手帳の取得範囲を広げれば、実際上、意思疎通支援を必要とするほとんどの聞こえに困っている方は、その範囲に入ってくるのではないかと思います。非常にいろんなところに絡む大きな問題でしょうけれども、その点を避けて障害者の範囲の議論は難しいのではないかと思います。

 2番目の介助技術に関する意思決定支援と意思疎通支援事業の整理について、どのように考えるかということなのですが、聴覚障害だけに限定しますと、介助、移動支援、そういうものと純粋な意思疎通支援とはちょっと違うのではないかということで、意思疎通支援は意思疎通支援のサービス体系の中で提供される。それから、介助、移動支援は別のサービス体系として提供されるということのほうが制度としては明確ではないかなというふうに思います。

 3番目、意思疎通支援事業についてのニーズや支援のあり方について。この場合、最大の問題は利用者の範囲だと思いますけれども、前回この部分については4点の問題を出させていただきました。

 1つは、利用目的の拡大ということです。現在、地域生活支援事業で区市町村の実施要綱が利用目的を決めているのですが、趣味がだめとか、宗教にかかわることはだめとか、政治的な色彩のあることはだめとか、非常に制限がついております。この制限の妥当性というのは非常に議論があると思いますけれども、普通に考えれば、社会にとって害悪をもたらすような目的以外のものは、極力広く意思疎通支援事業の利用目的として認めるべきではないかと思います。

 2点目は、都道府県の意思疎通支援事業の利用範囲の拡大です。今回の総合支援法でこの部分の制度が始まったわけですが、まだまだ都道府県の意思疎通支援事業の事業量も小さいし、さまざまな制限を持っておりますので、この部分について、都道府県の役割は何かというところから意思疎通支援事業の拡大をお願いします。

 3番目のポイントとして、全国レベルの集まりについて、今、意思疎通支援事業の費用の負担先というのがないということで、キャッチボールみたいな自体が生じております。こういうところでどういうふうに全国レベルの集まりに対して意思疎通支援事業を提供するのか。簡単な方法としては、国の予算で実施。実務は都道府県なり市町村が担当するということも考え得るのではないかなと思います。

 4番目、小規模市町村での事業実施をどのように考えるのか。要約筆記についてはかなり切実な問題でありまして、小規模市町村では現実的に要約筆記を利用する必要が少ないとか、事業に従事する支援者が少ないとか、さまざまな問題があります。それ以上に市町村の事業実施担当者が事業の内容をよく承知していない、問い合わせがあっても答え切れていないということで、ニーズがあっても、それが顕在化しないような実態があるのではないかと思います。

 そういう意味で、自治体の要約筆記に関する周知というのが非常に大切かと思いますけれども、小規模自治体においては実務を担当することは非常に困難なので、大都市もしくは都道府県ベースの事業体に事業を全部委託して、費用だけを負担するという形をとらざるを得ないのではないかなと思います。

 大きな2番目の意思疎通支援事業の財政措置の個別給付化したときのメリット、デメリットですが、これは財政措置の面から云々するのではなくて、意思疎通支援、ないしコミュニケーションの本質から議論いただきたいというのが私たちの立場です。意思疎通支援、コミュニケーション支援を必要としているのは、片方の人だけではないです。それを受ける人も必要としています。そういう人の集まりに対してコミュニケーションが求められる。もっと言えば、大きな人の集まりにもコミュニケーション支援というのが求められるわけなので、個別給付というようなレベルで議論するのではなくて、そういうコミュニケーションが必要とされる場合の情報保障をどういうふうに提供していくのかという観点で議論いただきたいと思います。

 現実には総合支援法の施行により、聴覚障害者の団体の集まりに対する情報保障も現在、徐々に進んでいるという状況がありますので、この点を評価して議論いただきたいと思います。

 それから、人材養成の問題なのですが、要約筆記のカリキュラムというのが4年前にでき上がって、今、徐々に広がっているのですけれども、やはり事業実施している自治体の担当者、当事者も含めて、学ぶべき内容、要約筆記講習会で教えるべき内容ということについての理解が非常に不足しているのではないか。だから、現在のカリキュラムを十分咀嚼した上で、それぞれが工夫できる余地で講習会をやっていけば、充実が図れるのではないかと思います。

 専門的な知識を持った意思疎通支援者の養成については、そういう現在の研修、講習会で卒業して、登録した人が現場に出ると。現場に出た人に対して、今度は専門性というか、個別分野の専門知識をどういうふうに持っていただくかという課題になりますので、それについては、恐らくこれからケース・バイ・ケース、いろんなところで学習活動をして充実せざるを得ないかなと思います。

 はしょっていきます。支援機器の活用、開発普及の問題なのですけれども、これは私たちの団体にとっては非常に大きな問題です。大きく言って、聞こえそのものを支援する支援機器もありますし、全ての音声情報を文字化するような支援機器もある。そういうことで、現在は補装具とか、地域生活用具とか、そういう形で福祉サービスとして提供されておりますが、福祉サービスでどこまでを担うのか、一般製品、民生機器がどこまでの範囲を担うのか。

 もっと言えば、環境整備として整備されるような大がかりな文字表示設備、補聴援助システムをどうしていくのか、こういうところは障害者差別解消法との絡みも考え、障害者基本計画による制度整備、施設整備の中で考えていくべきではないかなと思います。

 4番目の合理的配慮は、非常に大きなテーマをぼんと出されたので、びっくりしているわけですけれども、合理的配慮と今、私たちが関心を持って使っております福祉サービスとの役割分担というのは、これからもっともっと議論していかないといけない。恐らく障害者差別解消法の個別分野のガイドラインづくりの中で、福祉サービスは何を担うのだ、合理的配慮は何を担うのだ、環境整備は何を担うのだという議論が出てくると思いますので、そういう中で双方の関係を考えていただきたいと思います。

 最後、教育とか放送分野など、ほかの分野との関連をどのように考えるかということは、合理的配慮の考え方と非常に結びつくと思いますけれども、現在の福祉サービスは全部本当に福祉サービスとして担うべきなのか。それから、民間で合理的配慮とか提供されているものの中に福祉サービスとして担うものがあるのではないかということで、一度その辺をリセットした形で、それぞれの役割分担を議論していくというようなプロセスが必要なのではないかなと思います。

 時間を超過して済みませんでした。

○寺島座長 どうもありがとうございました。寺島です。

 続いて、全国盲ろう者協会様、お願いします。

○福島氏(盲ろう協) 全国盲ろう者協会の福島です。

 私たちは、前回も申し上げましたように、非常にニーズが特殊です。前回は、スピーカーと画面が両方消えたテレビみたいなものですというお話をしましたが、非常にニーズが特殊だということと、あとは数がそんなに多くない。全国統計で1万4,000人ですが、現在、福祉制度とつながっている盲ろう者は900人程度なのですね。そういったことから、今回の意見を求められている項目、さまざまにございますけれども、きょうは1点に絞ってお話ししたいと思います。

 つまり、盲ろう者という状況で生きていく上で何が必要かと考えたときに、意思疎通あるいはコミュニケーションの保障、私たちの事業で言えば、通訳・介助員の派遣事業と言いますが、これは非常に根本的なことですので、その点に絞ってお話をしようと思います。

 資料6に書いてございますが、コミュニケーションと言った場合に、ややもすると、便利な生活をしていくために必要なものという感覚がありますが、私たち盲ろう者の生活にとって、コミュニケーションがないと生きていけない、死んでしまうという感覚なのです。

 憲法の25条でいうところの基本的な生存権、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、生存を保障してほしいというこの権利が私たちにとってのコミュニケーション支援だと思っています。しかも、それはある必要なときに時々必要になるというのではなくて、ずっと継続的に日々必要で、一人一人の盲ろう者にとって必要なので、そうすると、一体どういった制度設計になるかということを考えた場合、今回問われている論点の中の主に1番の最後のほうになりますが、経費の負担、財政というところに関連するのですが、つまり、個別給付なのかどうか。個別給付のメリット、デメリットはどうかという問題に関連してなのですけれども、まずはお金をどうするかということの前に、そもそもその事業が個別給付に向くのか、向かないのか、なじむのか、なじまないのかが多分重要な問題だろうと思っています。

 そういう観点からしますと、私たち盲ろう者のほうは、先ほど申し上げたように、生きるか死ぬかという生存にかかわるような部分が、盲ろう者にとってのコミュニケーションですので、日々毎日必要で、一人一人必要だというふうに考えると、これは個別給付になじむ事業なのだろうなと思っています。

 食事やトイレのように、そのまますぐに生物学的に死んでしまうというわけではないけれども、コミュニケーションが絶たれてしまうと、人間として生きていけない、文化的な存在として生きていけないという意味で、一人一人の盲ろう者にとって必要ではないかなと。したがって、基本的には個別給付になじむ事業だろうと思っています。

 その上で、具体的にどういうことが考えられるかをまず申し上げたいと思います。具体的には、今の制度の形の中で考えられることとしましては、現行の例えば重度訪問介護の対象者を盲ろう者にまで拡大して、その業務内容に盲ろう者のコミュニケーション支援、通訳・介助支援ということを加えることで、盲ろう者に対する通訳・介助員の派遣が個別給付になる。それが1つの現実的な方策かなというふうに考えております。

 この場合、一般の重度訪問介護とは別に、盲ろう者を主たる対象とする重度訪問介護事業所の基準を設けたり、そこで働く通訳・介助員の資格や、その資質の向上、養成といったことも別途考える必要があるだろうと思っています。

 ただし、問題は、それで全てオーケーというわけではなく、ここが難しいところなのですが、盲ろう者の障害の状況が非常に多様で、完全に見えなくて、完全に聞こえない、例えば私のような人間もいれば、ある程度見えて、ある程度聞こえる人もおられます。障害が進行していくような人で、最初は比較的自由に出かけたりすることができる人もおられます。なので、同じ人の中でも状況が変化する、あるいは盲ろう者の中でも非常にニーズが重い人、中には盲ろうプラス車椅子の人なども割といらっしゃいますので、そういった重い人から比較的軽度な人たちまでいらっしゃるので、必ずしもずっと支援が必要だという人ばかりではない。そうなってくると、個別給付よりも地域生活支援事業のほうがなじむ人たちもいるだろうと。

 もう一つの観点は、盲ろう者は数が余り多くないと申し上げましたけれども、今、制度を利用している盲ろう者は全国で900人ぐらいですが、この制度というのは、通訳・介助員を利用する盲ろう者という意味です。そうなると、例えば東京とか大阪は100人以上の利用者がいるのですが、中には数人しかいないとか、10人ぐらいしかいないといった県もあって、そうなってくると、事業所方式、個別給付でやるというのは実際上難しいかなと思いますので、そう考えますと、盲ろう者に対する通訳・介助派遣事業の展望を今の制度との関係で考えたとき、1つには、個別給付化することが大きな流れではあるのだけれども、地域生活支援事業としての通訳・介助員派遣事業も少なくとも当分は存続させることが必要だろうと。

 存続させる2つの制度の切り分けは、1つは数です。盲ろう者が非常に少ないか、あるいはそこそこいるかというところ、個別給付の事業が成り立つかどうかというところが1つ。

 もう一つは、一人一人の盲ろう者のニーズが軽いのか、重いのか、ニーズが非常に複雑なのか、単純なのか、そういった部分で切り分ける。

 なので、具体的には大都市圏でありますとか、比較的盲ろう者の利用人数の多い地域には、地域生活支援事業と個別給付の両方が存在して、そして当面地方の数の少ないところでは地域生活支援でしばらくはつないでいく。そういう制度設計のイメージができるかなと思っています。

 現在でも例えば視覚障害の方々が個別給付と地域生活支援事業を使い分けておられるわけですが、そういった前例もありますので、こういった制度も可能なのではないかなと思って御提案しております。

 ほかにもいろいろございますが、まずはインフラ整備と言うべきコミュニケーションの基盤が保たれないと何も始まらないので、この1点に絞ってまずはお願いしたいと思っています。

 以上です。

○寺島座長 寺島です。どうもありがとうございました。

 続いて、日本失語症協議会様、お願いいたします。

○園田氏(失語症) 日本失語症協議会の副理事長、園田でございます。

 隣にいますのは八島理事長でございます。済みません、着座にて失礼いたします。

 本日は、ヒアリングの機会をいただき感謝申し上げます。

 以前にも申し上げましたが、失語症とは脳の言語野の障害で、発話の際、あるいは聞き取りの際に脳の中で言語化することができない障害で、日本には推定50万人ぐらいいると言われます。

 意思疎通支援事業について。現行の制度の内容。言語障害、音声機能障害者については、公的に認められた人材の育成がなされていません。このことが失語症者の社会参加を阻んでいる大きな要因の1つです。失語症者の個人支援に関しましては、コミュニケーション支援と同時に、移動支援の併給も認めるべきです。失語症者は、上下肢の麻痺の有無にかかわらず、移動中の表示、アナウンス等の社会資源の理解困難で、単独で外出が困難な者も多くいます。単独での移動困難な失語症者も多く入ることを御理解ください。

 現行制度への適用。本来は失語症者に対しても特化した対応の意思疎通支援が必要でありますが、当座の対応として、全国大会等の折、社会福祉協議会等へ要約筆記者の派遣を依頼しましても、現在、要約筆記は聴覚障害者が対象になっているのでと派遣を断られます。自治体レベルで行われているこの制限を早急に外していただきたい。

 対象者の範囲ですが、身体障害者手帳及び医師の診断書に失語症の記載のあるものが適切かと思われます。しかしながら、失語症で身体障害を伴う者は、重度認定がおりますと、手帳所持のメリットが少ない言語障害認定を受ける者が非常に少ないのです。所持者になぜ失語症の記載がないのかと聞きますと、失語症記載は不要という医師が多いと当事者や家族から申し出があります。医師は失語症の記載があっても何のサービスもないから無駄であると言うそうです。

 意思疎通、意思決定について。失語症者本人の発信力を理解し、言葉にあらわすことのできるものを養成することで、失語症者の尊厳の確保、権利擁護は可能であり、意思決定は失語症者本人で可能な場合が多いのです。独居で高齢の方、あるいは全失語で家族でさえもその意思を推しはかれない場合には、本人の権利擁護のために成年後見制度の利用も考慮することが必要であると思われます。

 いずれにしても、失語症者御本人の発進力を利害関係なく理解する公的な会話支援者の存在が必要だと思います。このような御相談は協議会には少ないのですが、公的制度として会話支援者が存在しないため、当事者の会話の御支援をお断りする形になっています。

 人材育成、専門職としての意思疎通支援者の制度化の必要性、意思疎通支援のあり方については、情報を適切に要約し、適切な方法で伝えること。失語症者にとり、他者との意思疎通を図ることは、本人の基本的人権確保のために必要不可欠です。国が認めた専門職としての意思疎通支援者の制度を確立していただきたい。対話支援者、失語症者の要約筆記者の両者とも個人支援に関して、支援者は非常に日常生活に深くかかわる場合や重い責任を伴う場合もございます。公的なサービスとして位置づけ、制度とすべきです。

 現在、四日市市、市川市、名古屋市等で行われているボランティア事業が全国に普及され、失語症者の意思疎通支援者が制度として1日も早く実行化されることを望みます。

 失語症者の意思疎通支援者の要請について。会話支援カリキュラム案。失語症者に対して要約筆記カリキュラム案を記しています。会話支援者は障害の特性を理解し、日常生活、福祉制度、権利擁護、対人援助等において失語症者の社会参加を支援するものであり、失語症者の多様なニーズに対応できるような知識・技術を学ぶこと。失語症者の個人に対する支援であるので、倫理規定をしっかり定めること等が必要となります。

 要約筆記者においても、失語症の障害特性を深く理解していただき、失語症者の社会参加を支援するものであり、その上で、失語症者にとって理解しやすい方法での要約筆記を行うことに必要な技術・知識を習得するものとします。また、その上で、会話ボランティアの養成もしていただきたい。

 派遣に関しましても、個人向け、団体向けなど、きめ細やかな支援が可能であるようなシステムが望まれます。

 支援機器について、意思疎通支援機器として絵文字等の開発普及が必要だと思います。現在、数種類の意思疎通支援機器が販売され、また、地域に開発研究されているものもございますが、私どもの団体にも試験的な使用、あるいはモニターなどを時折依頼されます。それらの機器に関して、利用が拡散していない。というか、失語症のある方が常時使用しているという状態にはなっていないように思います。

 それらの機器を日常生活用具として認定、さらに販売する折には、使用方法の講習、フォローアップなどの策を無料で講じる必要があります。仕様書などの文字や文章を理解することが難しい失語症当事者にとり、体験会、講習会は必要不可欠なものです。

 合理的配慮に関しましては、長くなりますので、意見書の中をごらんになっていただきたいと思います。

 放送・教育の分野。

 まず、教育の分野におきましては、失語症を持つ児童生徒の支援がなされていません。事業支援者の配置や障害を配慮したテキストの工夫、形式をとるなど、配慮していただきたい。児童生徒、また、大学生などの教育を受ける権利を奪うことのないような支援配慮を望みます。

 放送の分野。緊急放送など、命にかかわる情報に関しては、端的な単語や絵文字等での発信が必要です。

 司法にかかわる保障。司法制度全体において、失語症者が選任する意思疎通支援者の配置等、また、失語症者に対する意思疎通支援を制度化すべきであります。憲法上の権利である裁判を受ける権利や適正手続の保障の観点から必要です。

 司法にかかわるこのような事柄に関しましては、日本失語症協議会といたしまして、昨年末、裁判員制度と失語症者の人権保障、情報保障の要望ということで、法務大臣、最高裁判所長官、日弁連に陳情書を出しております。

 選挙権、被選挙権。被選挙権の行使につきましても、失語症者が適切に行使できるような支援が必要です。国民主権の観点からも必要不可欠なものです。

 非常時。非常時や災害時の情報の表示につきましては、失語症者の命にかかわることですので、確実に理解できるよう、わかりやすい絵文字やマーク等で表示する必要があります。

 また、公共の場に専門職の意思疎通支援者を配置することを義務づけること。会話支援者の配置等、失語症者の意思疎通支援を保障するさまざまな取り組みの検討が必要だと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございます。

○寺島座長 どうもありがとうございました。寺島です。

 各団体の皆様には時間のない中、おまとめいただきまして、どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまから議論に入りたいと思いますけれども、最初に委員の皆様から御質問をする形で議論を進めたいと思います。委員の皆様、何か御質問ありますでしょうか。高木委員、お願いします。

○高木作業チーム構成員 高木です。

 先ほどの失語症協議会の方に御質問なのですが、2ページ目の中段ぐらい、2番のちょっと上ぐらいのところで「コミュニケーション支援と移動支援の併給も認めるべき」ということなのですけれども、これは外出時にコミュニケーションを担当する方が1人と移動を担当する方が1人で、2人張りつくというようなイメージなのですか。それとも1人がコミュニケーションも移動もお手伝いをするというイメージなのでしょうか。

○園田氏(失語症) 基本的にはお一人が2つのことを担っていただきたいということなのですが、今はばらばらの制度になっておりますので、難しいかな。でも、1人がいいです。

○高木作業チーム構成員 ということは、併給ということではないということですね。

○園田氏(失語症) ごめんなさい。言葉の間違いです。申しわけありません。

○高木作業チーム構成員 わかりました。

○寺島座長 済みません。発言の前にお名前をお願いします。

○園田氏(失語症) ごめんなさい。

○寺島座長 寺島ですが、ほかに御質問ありますでしょうか。よろしいですか。

 では、寺島から1つ。今、御発言いただきました日本失語症協議会にお伺いいたしますが、既に支援が行われている地方自治体があるということが書いてあったのですが具体的にはどんなことをされているのでしょうか。

○園田氏(失語症) 失語症協議会の園田です。

 現在、四日市市、市川市、名古屋市、北九州とか横浜、武蔵野などでやっているものは、会話パートナーといって、会話ボランティアです。言語聴覚士が養成しておりまして、そこで簡単な講習会を開き、実習をして、4日間程度の講習なのですが、それを行って、友の会や個人宅への会話支援というか、1人で寂しく過ごしている方のお話し相手に伺うようなことになっております。

 中に市が養成しているところもあり、言語聴覚士が個人的に養成しているところもあり、さまざまでございますが、市が養成しているところは、その市の中のものだけ。市の外に出てはいけないとか、いろいろ制約があり、なかなか普及しておりませんという状態です。ただ、ボランティアです。

○寺島座長 寺島です。

 どういう場合に派遣するとか、具体的な条件などはあるのでしょうか。

○園田氏(失語症) いえ、それぞれの市で、それぞれの養成をしており、それぞれの規定があり、統一はとれておりません。園田です。

○寺島座長 寺島ですが、では、共通しているものはあるのですか。

○園田氏(失語症) 共通しているのは会話支援です。

○寺島座長 どういうときに。

○園田氏(失語症) 友の会などでお隣の人と会話ができないときに間に入っていただいて、短く端的に伝えたり、あるいは漢字単語でメモ程度を伝えたりしているということです。

○寺島座長 寺島ですが、在宅でも行われていると言われましたが、在宅で1人の方の場合にのみ限られているのですか。

○園田氏(失語症) それはそれぞれなのですが、もちろんお友達を呼んだとき、健常者と失語症者の間を取り持つとか、失語症同士のものもございます。

 この間、東京で派遣された方は、福祉施設にいらっしゃる重度の失語症の方で、福祉施設ではお忙しいので、誰も話しかけてくれない。1人で一日中寂しいから話し合いになってくださいと言って、派遣を養成に来たところがございます。

○寺島座長 寺島です。どうもありがとうございました。

 ほかの委員の皆様で。大沼委員、お願いいたします。

○大沼作業チーム構成員 大沼です。

 全日本ろうあ連盟に御質問したいのですが、対象者の範囲について、18歳未満の聴覚障害児にもというふうに提案されていますけれども、実際は今、ろう学校の生徒、一般の高校にインテグレートして入っている重度の聴覚障害生徒などの現状は、確かに情報保障は非常に不十分なのですね。このことについて私も同意できるのですが、特にろう学校に入っている重度の子供の中に、今、人工内耳をつけてろう学校に入っているという子供がふえてきています。

 人工内耳の聞こえというのは補聴器と同じように、音声の聴取に非常に効果がある子供が多い一方で、音を聞くのには役立つけれども言葉を聞くには効果があまりない子供もいるわけです。そのため人工内耳をつけていても、ろう学校らしい教育のほうが適応する子供もいるわけですが、全日本ろうあ連盟が聴覚障害児に対する意思疎通支援にも積極的である場合には、人工内耳を装用した聴覚障害児に対する情報保障についても、全日本ろうあ連盟としての考え方、姿勢について確認しておく必要があるのではないでしょうか。

 ついでにもう一つだけ加えてお聞きしたいのですが、高等教育機関での専門的な手話通訳士の養成ということについて、現状は、ある限られた数の高等教育機関や専門学校が試みているかもしれませんが、これを本格的にやっていくとなると、今、やれそうな高等教育機関だけで賄えるものなのか、あるいはもっと有望な大学、高等教育機関等にそういったことを期待されているのか、そんなことをお聞かせいただけませんでしょうか。

 以上、2点です。

○小中氏(ろうあ連) 全日本ろうあ連盟の小中でございます。御質問ありがとうございました。

 適切にお答えできるかどうか、ちょっと自信がございませんが、人工内耳につきましては、全日本ろうあ連盟といたしましては、人工内耳を装着した子供たちを含めた対応につきまして、いろいろ考え方をまとめる作業を始めたところであります。ことし、来年の2年間で検討する予定になっておりまして、耳鼻科の医師、あるいは保護者の方々、教育関係者の方々が集まり議論を進めております。

 基本的には人工内耳、補聴器、同じように難聴の状況になるということも考えて、サポートが必要であるわけです。そのサポートの中で、要約筆記であれ、手話通訳であれ、使える制度があって、実際に使っている経験を重ねていく、そういう面は非常に重要だろうと思っています。ろう学校の中で要約筆記、手話通訳を依頼する場合に費用が必要になる。教育費から出せばいいのですが、同時にその経験を積みながら、踏まえて、子供たちが自分の力で実際に依頼をし、そして利用するという経験もあわせて必要だろうと思っています。これは学校教育費から出す場合もある。あるいは福祉制度も使える。両方あってもいいのではないかと思って申し上げました。

 それからもう一つ、手話通訳士養成につきまして、高等教育機関においてということなのですが、これに関しましては、1番の問題は高等教育機関で、例えば4年間勉強して卒業し、その後、実際に仕事をする場所がない、これが現状でもあります。これが1つの壁になっているかとも思います。

 専門職としてきちっとした位置づけで養成する。つまり、若いときから働ける人をふやす。そういう状況のための、例えばニーズがどのような数値目標なのか、また、どのぐらいの学校が必要なのか、今後の検討課題にはなりますが、少なくとも今の地域の養成だけでは既に限界に達しております。非常に難しい状況にある。年齢的にも高齢化しており、人数的にも減少していく心配がある。これは基本的な学校教育の中での養成、そして就職、そして専門職として働ける、そういった道筋を考えて、検討していただく必要があるかなと考えています。

○長谷川氏(ろうあ連) 全日本ろうあ連盟の副理事長、長谷川でございます。よろしくお願いいたします。補足をさせていただきます。

18歳未満の児童についてということですが、確かにろう学校高等部、中学部の生徒にいろいろ聞いたことがあります。ヒアリングをしましたら、手話通訳者派遣を利用した経験はありますか。実際ありませんでした。例えば病気の場合はどうするのかと聞きましたら、家族が協力をして、口話、口の形を見ながら、家族が手話、筆談を通してという形で受診する。本当に十分な医療を受けられないという生徒が困っているという声も聞きました。

 なぜかというと、派遣要綱というのは、「聴覚障害者」という記述があるからです。「児」というものがないわけですね。子供が対象外。ですから、その判断がどうなのかと。ですから、もう派遣できないという気持ちになってしまう。ですから、要綱の中に「者」「児」という言葉が入れば、依頼はできるという可能性がふえると思います。

 2つ目は高等教育における人材育成ですけれども、高等教育のみならず、政見放送というものもありますが、例えば司法、裁判、検察、警察といったときに非常に高度な専門性が必要な場合、2年前改正された障害者支援法の中に意思疎通支援事業というのがあります。専門性の高い意思疎通支援を行う者と派遣、そのような必須という形での記述があります。2年間この状況を見ながら、なかなかそれが顕著にあらわれていない。ですから、その前提は、まず専門性の高い支援者を育てる、養成するためのカリキュラムというものも必要になってまいりますし、また、養成するための講師をどうするか。講師を養成するということもあわせて必要だ。そういう位置づけを考えていただきたいと思います。

 そうすれば、環境が整い、そして高等教育、先ほど盲の方もおっしゃいました。数学、物理、専門性の話についてきちっと通訳できる、正確性を持った担保ができるのではないか。

 以上です。

○寺島座長 どうもありがとうございました。寺島です。

 ほかに委員の先生方で御質問。高橋委員、どうぞ。

○高橋作業チーム構成員 札幌市の高橋です。

 1つ、2つお尋ねしたいのですが、まず、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の新谷理事長さんに教えていただきたいのですが、意思疎通支援事業というのは、先ほど全国レベルに対する派遣は、なかなか断られるという趣旨のお話があったかと思うのですが、具体的にどういう例とか、もう少しイメージできる事例があれば、教えていただきたいと思うのですが。

○新谷氏(全難聴) 例えば私たちの団体で東京で全国大会を開くというときに、情報保障として意思疎通支援事業を利用したいといった場合に、今、東京都の事業はあるのですね。だから、東京都に依頼するという方法があります。

 それ以外の方法になると、参加者が居住している市町村の制度を使って申請して、その要望を東京都の事業体が全部集めて調整して、参加者の市町村に経費を振るという方法も現実にはあると思うのですけれども、とにかく非常にややこしいわけですね。

 東京都の場合、東京都がおっしゃっているのは、東京都というのは、そういう大会、集まりが非常に多い。これは東京都が開催地だから、ここで負担してくれといっても、それは困ると。東京都は、事業としては東京都民が対象なので、それ以外から参加者が来るような大きな大会を全部東京都が費用負担するというのは、それはないよと。そうすると、行き場がないわけですね。今は現実に私たちの団体の大会であれば、団体が自己負担して、情報保障を頼むということにならざるを得ない。何度も何度もこういう大会を開きますと、かなり経費がかかるわけです。

 もし国が当事者のそういう活動を支援するということを考えられるのであれば、国レベルの事業、予算としてあって、それで実施、開催自治体にその費用を渡す。もしくは開催事業体が国に対して費用請求してくるという方法が考えられるのではないかなと思ったのですけれども。

○高橋作業チーム構成員 高橋です。ありがとうございます。

 私の勝手な思い込みだったのか、東京都内でそういうケースのときには、東京都さんが相当負担していただいているのかなという思い込みもあったものですからね。一自治体で東京都が多くなりがちですので、それは自治体の財政問題としては深刻な問題なのでしょうけれども。

 私は、札幌市でございます。札幌市も北海道の中では多くのいろいろなイベントがあります。札幌で似たような全国大会をやられるケースの場合に、当然、札幌市内の当事者も入ってきます。地方からもいらっしゃいます。市内で行われている場合には、絶対数は足りないですが、何百人もいらっしゃったときに、その通訳等々をできる担い手というのは限られていますが、ある程度は担えれるのかなと思うのですけれども、一人一人に介助者がつくというのは、おっしゃるとおり、確かに難しい問題なのかなと思います。ありがとうございました。

 質問をもう一つ。それぞれの団体に大きいくくりでお尋ねしたいのですけれども、幾つかの団体で、個別の要約等々、介助していただいているケースは、そのとおりなのでしょうけれども、例えば在宅時において、先ほど事例がありましたが、例えばお手紙を代読してあげるとか、そういう居宅介護、訪問ヘルプサービスのいわゆる情報保障サービスというのでしょうか、そういうものがあったらいいなという趣旨が、それぞれににじみとれるのですが、非常にざっくりとした感覚としては、そういうものをお望み、欲しいということでしょうか。

○寺島座長 竹下会長、お願いします。

○竹下氏(日盲連) 日盲連の竹下です。

 今の高橋課長の御質問、ありがとうございます。視覚障害者の関係で言うと、現在の認識としては、地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業の一環として、自治体の判断で視覚障害者の家庭にヘルパーを派遣して、代筆、代読をサービスとして行っている自治体があります。数は今、正確にわかりませんが、100以上はあると思います。それは自治体の運用なり内容によっては、その体系もばらばらですし、全国的ではないというのが現実です。

 私たちは、それを全国一律にということが今回の要望ではありますが、先ほどホームヘルパー云々とおっしゃいましたけれども、居宅支援、介護保険もそうだけれども、ホームヘルパーは代読、代筆を基本的にやってくれません。そのために、どうしても視覚障害者世帯においては、先ほど藤井が申しましたような、居宅内でのさまざまな文字処理のために必要があるときの派遣を求めて、自治体がそれを実行しているところがあるというのが現状だというふうに認識しています。

○寺島座長 どうもありがとうございました。

 全日本ろうあ連盟はいかがでしょうか。

○長谷川氏(ろうあ連) 全日本ろうあ連盟の長谷川でございます。

 ホームヘルパー派遣、デイサービス等について、今、非常に大きく悩んでいるのはコミュニケーションという部分の問題です。ろうの高齢者の方、結局、ホームヘルパーが来ても、手話がわからない方には何を言っているのかわからない。ですから、手話通訳にそこに同行してもらうということは非常に負担が多いという悩みも事実あるようです。基本はそういうところが多いですね。

○寺島座長 寺島です。

 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会はいかがでしょうか。

○新谷氏(全難聴) 難聴というのはちょっと厄介なところがあるのですね。最後は筆談でやればいいではないかという議論がいつもあって、恐らくヘルパーさんにつけて、要約筆記を帯同していっている人はいないと思うのです。ヘルパーさんに書いてちょうだいと言って、書いてもらって用を足している、そういうレベルでみんな我慢してしまっているのですね。

 だけど、問題になるのは、老人ホームに入った難聴の方は、日常コミュニケーションをどうするのだという話になると、わかりませんけれども、意思疎通支援者をその中に常駐させるのがいいのか、そういう難聴の方が暮らしている老人ホームの介護士なりヘルパーの方がもっともっと筆談でコミュニケーションするというローカルなコミュニケーションスキルを持つのがいいのかというのは、非常に問題があると思う。

 ただ、今、一番の問題は、私どもが個別給付といいますか、障害支援区分認定を受けて、あるサービスを要求するというメニューがないわけですよ。今のメニューの中にコミュニケーション支援は入っていないわけですね。だから、少なくともそれをとる方法がないので、地域生活支援事業の特例みたいなので、とにかく必要なときに要約筆記を頼む、もしくは手話通訳を頼むという方法に今、なっていると思います。

○寺島座長 寺島です。

 では、全国盲ろう者協会、お願いします。

○福島氏(盲ろう協) 福島です。

 まず、訪問ヘルパーに関連して申し上げますと、これは聴覚障害の方とも共通ですが、訪問ヘルパーさんが盲ろう者とコミュニケーションができないということがかなりあって、そのときにわざわざ通訳者に来てもらってということがあったりするのですね。逆に通訳者、通訳・介助者がホームヘルプの仕事もできればいいのですが、資格が違いますので、それができないということで、今後人材養成の中で訪問ヘルパーの方に盲ろう者向けの通訳・介助技術を覚えてもらったり、あるいはその逆をして、両方できる人たちをふやしていきたいなというのが私たちの戦略の一つです。

 もう一つ、より根本的に盲ろう者が家の中でどんな情報を求めているか、どんなコミュニケーションを求めているかということなのですが、端的に言えば、全てです。どんなことでも求めているのですね。何しろ見えること、聞こえること全てが奪われているので、テレビもない、ラジオもない、新聞もない、音楽もない、散歩も行けない、庭も見られない、あらゆるものがないない尽くしなので、およそ無駄なコミュニケーション、無駄な情報はない。なので、理想を言えば、起きている時間帯はずっといてもらったほうが人間らしく生きられるというのが今の本音です。

 例えば家族がいれば大丈夫かというとそうでもない。私自身もそうですけれども、兄弟などとコミュニケーションをとることができないわけです。通訳者がいないと、そういうことができない。

 この前、ある成人した女性にインタビューしていてショックを受けたのですが、ずっと家族に反対されて親戚の法事とかに通訳・介助者を連れていけなかったけれども、頑張って説得して連れていって、初めておばあさんと話ができた。おばあさんが自分のことを思っていることがようやくわかって、すごくうれしかったという話があって、ショックを受けました。

 そういう状況ですので、盲ろう者の場合は、どんな情報でもコミュニケーションでもありがたいと思っているということです。

 以上です。

○寺島座長 どうもありがとうございました。

 では、日本失語症協議会、お願いします。

○園田氏(失語症) 失語症の園田でございます。

 失語症の方も同じようにどんな場面でも、どんな情報でも受けたいということです。失語症というのはリハビリでよくはなるのですが、完治はしません。そして、しゃべらないでいると、リハビリで獲得した言葉もどんどん忘れていきます。そして、もとの状態に戻ります。

 ですから、常に話をしていたい、聞いて理解をすることを練習したい、計算したいという欲望がございます。ですから、会話の支援者というのは、日常会話もそうなのですけれども、前に裁判のことがあるのですが、失語症の方というのは、一から十まで表現することができない。通訳者も推測が入る。ということで、裁判の証言とか、検察の陳述が公式に認められておりません。というか、却下されます。

 したがって、証言もちゃんとできない。そういう実情があって、基本的人権が脅かされていると申し上げているわけです。

 つまり、日常生活においては、会話や社会生活、社会参加の支援者が必要ですし、公的なものに関しては、しっかりと制度化され、失語症のある方の意見、陳述をしっかりと認めていただけるような会話支援、要約筆記支援が必要だということになってまいります。

 ありがとうございます。

○寺島座長 どうもありがとうございました。

 委員の皆様から御質問ありますか。大沼委員、どうぞ。

○大沼作業チーム構成員 大沼です。

 日本盲人会連合にちょっと御質問したいのですが、マルチメディアデイジーを使って情報保障支援をするという方法がこれから有望なものだというふうに認識したのですが、データ制作の支援者の養成というのは、どの程度のものが要求されるものなのか。例えば専門性の高い養成プログラムというのは、大学レベルみたいなところでやらないといけないのか、今後の展開をしてくれそうな組織等は今あるのか。そこら辺をちょっとお聞かせいただけないでしょうか。

○竹下氏(日盲連) 竹下です。

 マルチデイジーということでもいいわけですけれども、まず基本となるのは、私は門外漢なのですが、テキストデータというものが全ての基本になるのだそうです。すなわち、テキストデータをつくる段階で誤読をチェックしたりして、より正確なテキストデイジーをまずつくるボランティアと、養成課程が必要なのだそうです。そのテキストデータをその後、音声できれいに読めるようにするテキストデイジーに変換していくとか、それから画面に読み上げる形で弱視の人や、学習障害を持った人のために音声と画面読み上げが同時に進んでいく、そういう加工というか、そういうことができる段階に行くという一つの流れなのだそうです。僕は、そうしか言えない。

 今、先生の御質問の中で私がこの前お聞きしたのは、さらに専門性のあるときに、専門書を単純にデータとして、紙媒体と違う形にしたときに、正確にそれが学術内容として伝わるかということについては、より専門的なチェックはしないとまずいだろうという話は聞いています。

 ただ、現時点ではそこまですらいけていなくて、まずはテキストデータを作成する過程で誤読をなくしていくボランティアの養成が、民間の補助金をもらいながら、日本点字図書館や日本ライトハウスなどで一部行われている状況だというふうにきょうの午前中伺ってきました。

 以上です。

○寺島座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○藤井氏(日盲連) 日盲連の藤井です。

 育成の課題について御質問があります。マルチメディアデイジーの場合、メーカーの方と一緒に勉強すれば、ある程度のレベルには、ソフトを活用してデイジー化するという意味では、できるだろうというふうに認識しておりまして、今まで音訳、点訳をなさった人であれば、あるいはパソコンで視覚障害者に情報提供されている人であれば、数週間の研修で可能だろうというふうに思っておりますが、では、先ほど竹下が申しましたように、より高度に、より正確に、例えば教育活動の中で活用するようなデイジーをつくるとすると、もう少し高度な知識と教養が求められますので、かなりの教育を必要とするというふうに認識しております。

 さらに、先ほどありましたが、図表であるとか、表であるとか、そういったものになると、これはこれから研究していくという段階にあるかと思いますが、マルチメディアデイジーは、視覚障害、聴覚障害、重複障害だけでなくて、知的障害であるとか、ディスレクシアの方々にも有効な手段であるというのは、ぜひ御認識いただきたいと思います。

 以上です。

○寺島座長 どうもありがとうございます。寺島です。

 委員の皆様から。佐藤先生、どうぞ。

○佐藤作業チーム構成員 佐藤です。

 先ほど来、いわゆる専門性のある通訳、これは手話通訳であれ、点字であれ、例えば法律の専門家である竹下さんに伺いたいのですが、さまざまな物すごく膨大な法律そのもの、しかし、これは長い時間をかければ少しずつ点訳が進むのかと思いますけれども、同時に、膨大な判例があると思うのですが、弁護士として活動されていく上で、非常に高い専門的な内容の情報に触れる場合は、例えば竹下先生の場合はどういうふうになさっているのか。自分の中でイメージを上げるために、そのあたりを教えていただければと思うのですけれども。

○寺島座長 どうぞ。

○竹下氏(日盲連) 竹下です。ありがとうございます。

 確かにデータ処理の上で録音にせよ、点字にするにせよ、世間の紙媒体の全ての情報を点字化、音声化というのは、多分不可能という言葉は当てはまらないにしても、ほぼ無理だと思っております。そのために、視覚障害者の場合は2つの方法を工夫していると思っております。

 1つは、自分にとって必要不可欠な部分の段階ごとに点字化するもの、音訳化するもの。さらに音訳もせずにデータのままで処理しようとするもの。さらには、その都度アシスタントに読み聞かせによって処理するもの。これを区分けしていかないと、大量の資料を処理することは不可能だと思っています。

 ちなみに、私のことで言いますと、判例集というのは戸棚に何段あるか数えられませんけれども、それこそ判例集だけでも毎月4冊「判例時報」というのが届くわけですが、それを全部点字に直すことはあり得ないことであります。

 そういう場合、私の場合でいいますと、最近ちょっとサボっておりますが、目次だけを必ず点字化しておいて、常に必要な判例をその目次から探して、それをアシスタントに探させて、そこから点訳にするか、録音にするか決めるということになります。これは1つ大きな流れであります。

 余計なことですけれども、最近、裁判所の流れがよくなりまして、世の中がこういうデータの時代ですから、裁判所に出す書類、基本的に準備書面で読まれるのは、今は全部データで出せという時代なのです。そのために、相手の弁護士が出したデータも裁判所を通じたり、直接弁護士からこちらがもらえる時代になります。ですから、データでいただくことによって簡単に点字化することもできるようになった。時代の流れは、僕が三十数年前に弁護士になった時代と雲泥の差であります。

 もう一つ、大きな流れの問題は、そういってみても、例えば夜中でも勉強したいと思ったときに専門書を使えるようにしようという動きがあります。石川准君を中心にやっているデータ化であります。例えば一般のテキスト化されたもの、単純なデジタル情報をどんどん蓄積して、多少の誤読があっても、専門書としてそこから自分が利用できるストックといいますか、データバンク化していって、各専門分野ごとにデータベース化したもので研究者が自分の研究資料を獲得できるようにしているという工夫もなされている。僕はやったことがありませんが、お聞きしております。

 以上です。

○寺島座長 どうぞ。

○佐藤作業チーム構成員 佐藤ですが、もう余り時間がないようですけれども、今の竹下さんのお話と同じようなことについて、福島さんからコメントいただければと思うのですが。

○福島氏(盲ろう協) 私は大学教員が本業ですので、竹下さんとは別の意味合いで、いろいろ文献を読んだりしないといけません。あとは、大学の先生方はおわかりのように、大学の中にはいろいろな会議の資料、膨大なものが出てくるわけです。これらはセキュリティーの問題とかで必ずしも電子媒体でもらうことができなかったりしますし、人事資料などもありますので、そうなってくると、紙で配ってもらうしかない。そして、外部の点訳者などに頼むこともできませんので、内部のスタッフに頼んで点字にしてもらったり、あるいはスキャンしてOCRで読んで、テキストデータにして読む、あるいはその場で指点字は読んでもらうといったことで使い分けています。

 純粋な文献自体は、機械がスキャンした上で校正したり、あるいは知り合いであれば、ほぼ強制的に、あなたは本を出したようだけど、データを持っているよねと言って送ってもらったり。もちろん、もともとの原本は買いますが、墨字の原本を買っても読めませんから、原本を買ったら、データを下さいというふうに頼んだりするのです。出版社の中には提供してくれるところもあります。

 あとは、学生などには、レポートはメールで出せというふうに言っています。メールで出さなかった人間には成績を出さないということ。だから、電子化されたものでないと受け付けないというふうに最初に決めてしまえば、今の学生さんはみんなやっていますので、今はそれで特に問題ないです。

 でも、30年前、私が学生のころ、みんな点字で、それも手で打ったりしているような人もいましたし、物すごい大変でしたね。

 今後の要望としては、点字データについて言えば、一般の出版図書などが自動的に電子化されて、視覚障害者を使えるようになれば随分楽になるのだがなと思っています。

 以上です。

○寺島座長 どうもありがとうございました。

 あと残り10分ぐらいしかないのですけれども、言い忘れたとか、こういうことは最後に言っておくということがありましたら、各団体の皆様から2分ずつお願いできますか。

 では、竹下会長、お願いします。

○竹下氏(日盲連) 1点だけです。この作業チームが整理していただいている柱の中の「合理配慮との関係についてどのように考えるか」という大見出しがあるわけですが、先ほど新谷さんもおっしゃったけれども、これは非常に重大で、しかし、まだ議論が進んでいないというふうに思っています。

 重要なのは、差別解消法の5条に基づく国や地方公共団体がまず行うべき環境整備として、どこまで充実させるか。これが意思疎通支援においても、社会整備ないしは環境整備という中で、そこがまず問われてくるのだろうと認識しています。

 その上に立って、合理的配慮というのは、まさに個別性のある配慮でありますから、そういう環境整備を基礎に置いた上で、さらに各障害の特性に応じた、あるいは個々の障害者のニーズに応じた配慮のあり方というものが、柔軟に提供される条件をどうつくり出すということではないかなと思っております。

 以上です。

○寺島座長 どうもありがとうございました。

 では、全日本ろうあ連盟、お願いします。

○小中氏(ろうあ連) 全日本ろうあ連盟の小中でございます。

 コミュニケーションは私たちにとって、生きていくための情報、また、人とのかかわりにとって非常に重要な要素です。その制度を長い間積み重ねてきたわけですけれども、しかし、厚生労働省の検討の中で、意思疎通支援をやる者の派遣等につきまして、平成25年3月27日にモデルになる要綱が出されました。ここに合わせて進めていく取り組みが必要だと考えております。ただ、予算的な措置の面に壁があるということ、そこをどう解決していくのか。非常に大きな課題になるだろうと考えています。

 合理的配慮をどう進めていくのか。これができない場合に、例えば福祉サービス、例えば手話通訳等の考え方があるかもしれませんが、いずれにしても、予算の壁をどう考えていくのか。予算がないだけではなく、どう工夫ができるかということが必要だと思います。必要な通訳が受けられる方策があるか。そういうことについても十分な時間をかけて議論をすることが大事かなと考えています。よろしくお願いいたします。

○寺島座長 どうもありがとうございました。

 では、全難聴、お願いいたします。

 1点だけです。支援機器の問題なのですが、先日の金曜日、土曜日、テクノエイド主催でシーズ・ニーズマッチング交流会があって、非常にいい試みだと思ったのですけれども、現在の補装具、地域生活用具の切り分けの部分が現状のニーズに合っているのかどうか。

 特に日常生活用具というのは古いメニューが残っていて、例えばファクスを日常生活用具として支給を受けますなどというのは、聴覚障害者も余り申請しないわけですね。みんながそれよりももっと欲しがっているのは、もしかしたらスマートフォンかもわかりませんけれども、そういうことで、現在の状況に合った日常生活用具の見直しというのはやはり頻繁にやっておきたいということがあります。

 もう一つは、人工内耳、先ほど話が出ましたが、これは医療機械で手術時点は、内部機器も外部機器も費用が非常に高いのですけれども、全部医療保険で賄われているのですが、終わった後、内部機器は変えるわけにいかないのですが、外部機器は70万、80万するわけです。これが今、保険の対象、支援の対象ではないので、5年ぐらいで経年変化で壊れてしまって、メーカーとしては保証期間が切れているから有償ですと言うと、自己負担で70万、80万出さないと機械を入れかえられないということで、自治体から厚生労働省のほうにかなり要望を出ていると思うのですが、やはり自治体に聞くと、国の施策として出てこないと対応は難しいと。熊本、静岡、北海道の自治体は、それを待っていられないということで、自分で特別事業としてそういう助成制度をつくっているところがありますけれども、やはり国として人工内耳の外部機器みたいな高価なものをどういうふうに扱っていくのかという検討を進めていただきたいと思います。

 以上です。

○寺島座長 どうもありがとうございました。

 それでは、盲ろう者協会、お願いします。

○福島氏(盲ろう協) きょう、ここにいる私を含めた5人の団体、皆さん共通だと思いますが、意思疎通ですとかコミュニケーション、情報というものは、人間にとって本当に基本的な人権の保障につながるのだということをぜひ改めて共通認識として持っていただければと思います。

 日本の法制度、福祉施策を含めて、ややもすると、いわゆる衣食住に偏ってきた嫌いがあると思います。人間は食べたり、飲んだり、トイレに行ったりするだけで生きられるものではなくて、コミュニケーションや情報がないと生きられませんので、そこをぜひお願いしたいということ。

 あと、今後、私たちの要望を親部会に伝えていただくと同時に、親部会での審議の中でも必要に応じて、我々の声が反映できるような仕組みを検討いただければと思います。

 以上です。

○寺島座長 どうもありがとうございました。

 それでは、日本失語症協議会、お願いします。

○園田氏(失語症) 失語症協議会、園田でございます。

 失語症は代替手段のない、つまり、会話に代替手段を持たない見えない障害であるということを御理解いただきたいと思います。

 そこで、コミュニケーション、「人間は考える葦である」という言葉がありますけれども、失語症の方は考えることはできます。でも、それを言葉で表現することができません。

 ということで、日常生活に非常に困難を催しております。コミュニケーションは、福島先生もおっしゃるように、人間として生きていくのに一番重要なことです。現在、ADLということで、起きる、お風呂に入る、食べるとか、そういうことだけを重視する傾向がございますが、人間としてコミュニケーションがスムーズにいく、それこそ喜びを感じ、これから頑張って生きていこうということのあらわれだと思います。

 したがって、見えない障害である失語症のことをよく御理解いただき、御支援を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○寺島座長 どうもありがとうございました。寺島です。

 大体時間になりましたので、ここで終わりたいと思います。

 今、皆様からいただいた御意見、議論いただいたことを含めて論点整理をしたいと考えております。

 では、最後に事務局からお願いします。

○鈴木情報支援専門官 事務局でございます。

 本日は、御多忙の中、御議論いただき、どうもありがとうございました。

 次回の開催ですが、3月27日金曜日、午後4時より開催いたします。場所は未定でございますので、追って御連絡させていただきます。

 以上でございます。

○寺島座長 どうもありがとうございました。

 それでは、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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