ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 職業安定局が実施する検討会等> 生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会> 第2回生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会(2015年3月16日)




2015年3月16日 第2回生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会

○日時

平成27年3月16日(火)


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室


○議題

高年齢者の雇用・就業の現状と「生涯現役社会」の実現を図るための課題

○議事

○清家座長 定刻となりましたので、ただいまから「第 2 回生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」を開催いたします。

 まず今回、初めて御出席の委員の方がおられますので御紹介をさせていただきます。京都大学大学院人間・環境学研究科教授の小畑先生です。敬愛大学経済学部教授の高木先生です。

 議事に入ります。前回は高年齢者の雇用・就業の現状と課題について皆様方から活発な御意見を頂きました。その際、何点か追加で関連するデータを提出していただきたいという御要望がありましたので、まず冒頭に事務局から追加説明をお願いします。

○雇用開発企画課長補佐 資料 1 にあります前回分の追加資料について御説明させていただきます。資料 1 をおめくりください。

 まず 65 歳以上の有職者の産業です。こちらは産業によって高齢者の割合に違いはあるのかという御質問を頂きましたので付けております。御覧いただきますと不動産業、物品賃貸業、サービス業、生活関連サービス業、娯楽業などにおいて 65 歳以上の高齢者の構成比が高いとなっております。

 次は就業形態別、 65 歳以降の就労意向と就労希望年齢のデータです。こちらについては、雇用者と自営業者とで就労意向に違いがあるのではないかという御質問を頂きましたのでお付けしております。御覧いただきますと、赤枠で囲っております部分が 70 歳くらいまで働きたい、 75 歳くらいまで働きたい、 76 歳以上まで働きたい、働けるうちはいつまでも働きたいというような御回答です。農林漁業、自営業や個人事業主、フリーランスの方々については赤枠の部分が多くなっています。一方、雇用者の方につきましては比較的赤枠の部分が低くなっている形になっています。

 次のページは就業形態別、 60 歳以降の就労の理由です。こちらにつきましても、自営業の方と雇用者の方で働く理由の違いということで付けさせていただいています。こちらを御覧いただきますと、現在の就業状態で在宅就労の方以外はいずれも生活費を得たいからという回答が多くなっていることが見て取れます。

 次のページも自営業の方、雇用者の方、それから年金の有無などで働き方の意向の違いがあるのではないかということに関連して付けております。御覧いただきますと、雇用者については年金だけでは生活できないのでなお働かなければならないという割合が 16.3 %となっておりますが、自営業の方についてはそれが 27.2 %と差が出ております。

 次は継続雇用者の雇用形態です。お出ししました前回の資料で、継続雇用者の雇用形態については正社員と回答している者が非常に多かった状況があるのですが、実際はそうではないのではないかという御指摘がありましたので改めて提出した資料です。御覧いただきますと、継続雇用者の雇用形態については 1 年単位としている企業が 8 割ということですので、こちらのデータでは御指摘のとおり正社員ではなく、 1 年単位の者が多いということです。

 次は定年到達の後に継続雇用された者の割合についてです。継続雇用後、実際に何歳まで働いているのかという御指摘に対してお付けした資料です。 60 歳定年の到達者のうち、継続雇用された人の割合では 8 割となっております。現在、平成 25 年から施行されております改正法に経過措置が付いておりますので、その経過措置を利用している企業において 61 歳までの基準の適用年齢まで到達している者というデータがありましたのでそちらを付けております。到達者のうち、引き続き契約更新をした人は 9 割という結果になっております。

 雇用確保措置導入により企業の賃金制度への影響があったのかというデータです。こちらは高齢者雇用がほかの世代にどういう影響を与えているのか、という御質問があったことに対して付けているものです。御覧いただくと、雇用確保措置の実施に当たり企業で課題となる点について、例えば他の世代に影響を与える人件費負担について増すと答えているのが 11.2 %となっており、それほど多くない。更に (2) 、これを課題とした企業についても、現役世代の賃金水準切り下げに影響してしまうような、一定年齢以上の社員の賃金水準を今より切り下げると回答したところは 12.1 %と余り多くはない状況になっております。

 次は高年齢者雇用確保措置と若年者の雇用の問題です。高年齢者の雇用が進めば、逆に若年者は代替されて減ってしまうのではないかという問題意識かと思っております。こちらを御覧いただきますと、高年齢者雇用確保措置が義務化されました平成 18 年前後、若年者の就業率に大きな変化は見られない。大体横這いになっているということです。それから大卒の求人倍率、水色の点線では雇用確保措置が義務化された 2006 年からぐっと上がっていますが、リーマン・ショックが起きました 2008 年の後から逆に下がり始めているということで、景気の変動にも大きく影響を受けることが分かるデータです。

 次のページについても、都道府県ごとに平成 14 年を 1 として平成 24 年の値を見たものです。 55 歳以上の雇用者数が増えると、逆に 15 歳から 34 歳の方が減るかと言いますとそういった関係は見られなかったというデータです。

 その次も若年齢雇用者と高年齢雇用者の関係ということで、同じような問題意識でございます。こちらについても相関関係はありません。

 更にその次、こちらは高年齢入職者と若年入職者の関係です。こちらも高年齢者が増えたからといって若年者が減るといった関係は見られなかったというデータです。

13 ページを御覧ください、要介護 ( 支援 ) 認定率と高齢者の就業率について調べたものになっております。高齢者の健康と就業との関係について分かるデータを、というお求めに応じてお付けしております。こちらを御覧いただきますと、都道府県別の要介護認定率と高齢者就業率の分布ですが、高齢者の就業率が高い都道府県ほど要介護認定率はどちらかというと低い傾向にあるのではないかといったデータになっております。

14 ページも健康と就業との関係です。こちらは高齢者の就業率が高い都道府県ほど、医療費が低くなるという傾向にあるのではないかという資料です。

 最後のページも健康と就業の関係です。こちらはシルバー人材センターの会員の方について調べたものです。 3 年前の健康と要介護者率の関係、 (2) 3 年前の外来受診回数と要介護者率の関係、 (3) 50 歳頃当時の日常生活上の支障の有無と要介護者率の関係ということになっております。それぞれシルバーの会員の方と一般の高齢者の方とで比較をしております。いずれもシルバーの会員の方、青いグラフのほうが要介護率が低いのではないかというデータが取れたということです。前回の宿題につきましては以上のとおりです。

○清家座長 ありがとうございました、ただいま事務局から御説明いただきました。前回、資料を御要望になった先生などから、あるいはそれ以外の先生も含めて御質問や御意見がありましたらお願いいたします。

○酒井先生 細かいことなのですが、高齢者と若年者の雇用の関係について資料をお示しいただいたのですが、高年齢者の雇用と若年者の雇用が代替関係にあるのかということについて、今回の資料では「無い」ということかと思います。たしかに学術的な研究の動向を見ても、高年齢者の雇用と若年者の雇用の関係については代替関係は無いとする報告が多いかと思います。ただ、研究によっては代替関係があるという研究結果もあります。また、若者だけでなく、高年齢者の雇用が実はパートの女性の雇用を奪っているのだというような研究報告も最近あります。ですので、「代替関係があるという結論は明確には出ていない」というくらいが総合的な評価としては穏当なところなのかなということを感じました。高年齢者と若年者の代替関係ということに関しては、まだ結論が出ていないという感じなのかなというように思っております。

○山田先生 今、酒井先生がおっしゃった点と同じ関係のことなのですが、確かに研究自体としては高齢者の雇用が伸びると若年者の雇用がマイナスになるというのは国際比較研究にも出ていない。要するに、雇用全般が伸びているところでは高齢者雇用も伸びている。一部、代替関係があるという研究もありますけれども、多くは代替関係はないと。出版バイアスのようなものを考えたとしても、そういったものが少ない。代替関係を指摘するものが少ないということを考えれば、どちらとも言えないというより、逆にむしろ代替関係はないというように考えるのがいいかと思います。万が一、懸念されるように代替関係があったとしても、代替関係があるということの政策インプリケーションは何だという話になると思います。非常に数少ない論拠が正しい、となったとしても、ならば高年齢者の雇用量を引き下げればいいのかという話になってくると思います。そういったことにはならないはずです。人口が減少する中、また長期的に就労収入が重要になる中、どのように高齢者雇用を促進していかなくてはいけないかというところが政策インプリケーションにとっては重要になってきます。数少ない論文を根拠にして、高齢者雇用と若年者雇用の代替について懸念するのはどうかというのは、私は議論があるところではないかと思います。以上です。

○清家座長  OECD の報告等で国際クロス・セクション・データなどの分析を見ると、ここにあるようにむしろ正の相関が見られる。 OECD などは、それを lump of labour fallacy 、要するに労働一括りの誤謬と言うのでしょうか、つまり労働を一括りにして代替関係を前提としたような誤謬があるけれども、国際クロス・セクションなどを見るとむしろそうではない関係が見える。これは県別のクロス・セクションですが、やはり同じような結果が見られるという面では基本的には相関がないか、むしろ正の相関があるという結果が多いと思います。そうではない結果もあるということなので、そうではない結果もあるがという留保も置いた上で基本的には国際的には、あるいはこの日本国内の横断面データ等では相関がない、あるいは若干緩い正の相関があるというように見られているという感じでよろしいのではないでしょうか。一応、留保は置いておく必要はあるけれども。確かにどちらか分からないというところが少しあるにしても、基本的には相関がない、正の相関があるという結果となっているのは確かなので、留保を置いた上でこういうデータを示したらどうかと思います。いかがでしょうか。

○北浦先生 私はミクロ的な観点から今の問題について申し上げますと、若年者のマーケットと高齢者のマーケットは企業の立場において別であるという考え方があります。そういった意味では、いろいろな研究の中で相関性が見えにくいというのは事実だろうと思います。

 ただ、企業の実態からすると、大体 2000 年くらいから団塊の世代が 50 代後半以降になってきています。賃金あるいは人件費が非常に高騰する時期になっている。そのため、総人件費抑制の中で押さえるということをやってきているのですが、その一方で継続雇用をやることによってその分が人件費負担として結構出てきています。

 そういった流れの中において、トータルの人件費の抑制という指向と高齢層を継続雇用していくコストというものを呑み込んでいくため、行動として、例えばその時の経済情勢やその時のマーケットの事情に応じて間接的に若年者に影響を与えるということもないことはないと思います。事実、そういう時は採用抑制というものがあるわけで、それが例えば若年者だけでなくパートであるとか他の一般の人材にも及ぶこともあるのではないかと思います。

 企業の事情からすると、この時期というのは 2000 年以降においてはやはり人件費が非常にアップしている。やはり、高齢者が増えていくことが 1 つ要因になっているということは否めない事実だろうと思います。ただ、それがダイレクトに効いているかどうかはまた別問題だろうと思います。

○清家座長 今の点、先ほど御説明いただいた 8 ページなどを見ると、これは平成 19 年の JILPT の調査ですが、人件費負担が増すことが確かにある。それに対する対処として非正社員、あるいは新卒採用の抑制もあるのですが、一番大きいのはやはり継続雇用後の賃金水準の調整かと思います。総人件費の増加に対する対処というのは大きく分けると 2 つあって、賃金の調整か人員の調整かということになると思います。 JILPT の調査などを見ると、どちらかと言えばもちろん人員の調整もやっているのだけれども賃金のほうの調整を主としてやっているというような感じではあると思います。しかし、人員の調整もないわけではないということでしょうか。

○山田先生 今の点は非常に重要なことだと思います。私も JILPT の企業データを使っていろいろな条件をコントロールした上で、先ほどから議論に上がります、若年雇用と高齢者雇用の代替が起きていないかというのは確認したことがあります。全員の定年年齢を引き上げるような形の企業に関してはひょっとしたら新規採用とマイナスの相関があるかもしれない。ただ継続雇用について、特に再雇用などを利用して高齢者の雇用を増やしているところでは実は若年雇用も増えているという結論が出ていて、それは多分よくお分かりになることだと思います。

 要するに、賃金のフレキシビリティーを持っているところでは実は高年齢者雇用と若年雇用というのは代替関係にならないどころか、正の相関が出てくるという点があります。むしろ北浦先生のほうがお詳しいと思うのですが、企業がどういった高齢者雇用の在り方をするかで大分違ってくるというのがあります。とりわけ、継続雇用の賃金水準の引下げというのは前回も発言しましたが、企業は非常に大きなフレキシビリティーを持っています。場合によっては、新卒社員並みに引き下げてしまうところもある。逆に、そのように下げたところでは、高年齢者というのはこれでは食えないからといってむしろ辞めてしまう、別の就職先を探してしまう、ということがある。企業にとっては、高齢法があったところでそれは重いオブリゲーションかというと、賃金水準の切下げというフレキシビリティーを持つ企業にとってはさほど問題にはならない。むしろ高齢者雇用をどのように進めていくか、しかも高齢者の所得保障、生活保障を考えながらどのような在り方を考えていくほうが生産的な議論になるのではないかと考えています。

○清家座長 スタティックなところで見れば、そこに賃金の硬直性があった場合に人員面でのトレード・オフがあるということは否めないと思います。しかしこの問題を考える時、より動態的に考えた場合に当然若年労働力が減ってくるわけですから、それに対して高齢層の労働可能人口が増えてきますので、そういう面では代替というよりは補完関係のほうが強いというのは基本的なスキームだと思います。ただ、ある一時点で静態的に見た時、例えば賃金の調整が十分にできない場合などで代替関係が生じる可能性はあるという留保を置いた上で、しかし静態的に見たところでも、少なくともマクロで見ると必ずしも代替的な関係ではなくてむしろ補完的な関係、あるいは特段両者の間に代替補完関係が有意には見られないというところかと整理できるかと思います。そういうようなところでよろしいでしょうか、ほかに追加資料のところで御質問や御意見はございますか。

○高木先生 先ほどから話に挙がっている賃金のことなのですが、 8 ページにある資料が平成 19 年ということで、前々回の改正法に関する状況を示していることになると思います。前回の法改正というのは、前々回の法改正よりもより企業にとって圧力が増しているのではないかということが考えられるわけです。私が行った調査によると、前回の改正法後企業が人員調整、あるいは賃金調整を全社的にやっていくかもしれないのです。例えば新卒者の採用をもしかしたら抑制するかもしれない、あるいは全社的な賃金システムの下方修正をしていく。こういったことを検討せざるを得ないと答えている企業がかなりあったわけなのです。

 前々回の改正法の時にはそれほど賃金に対して大きな影響が見られなかったとしても、今回の新しい改正法の下ではもしかしたらこの辺の状況が変わってきて影響が出てくる可能性があるのではないか。そうすると、先ほどからデータに出ています若年層との代替関係ももしかしたら今後は可能性として出てくるということも考慮しなければならないのではないかと考えています。

 もう一点、別の観点なのですが、お示しいただきました資料の 13 ページと 14 ページにありました健康状態と高年齢者の雇用問題なのですが、データで見ると就業していることと健康状態との関係が、就業しているから健康が維持されているかの如くに示されています。しかし、データだけではどちらが影響を及ぼしているかというのは見えてこないと思うのです。私自身の研究においても、やはり就業していることによって健康がある程度維持されやすいということはヒアリング調査からも出ているのですが、統計的に示した時にはもしかしたら健康であるがゆえに就業しているという可能性もあるわけです。その相関関係の矢印がはっきり出てこない。これは非常に重要な点なので、その辺も分かるようなデータが示されると有効なのではないかと考えています。以上です。

○阿部先生 今の点、第一に全国求人情報協会と言ったと思いますが、全求協と言われる協会が調査したデータでは多分、 8 ページの JILPT の調査と同じような結果になっていたのではないかと記憶しています。

 全求協の調査は今回の平成 25 年度の改正、希望者全員の雇用確保措置がなった後の調査を 3 回くらいやっているのですが、それでも 8 ページと同様の結論の感じが出ていたと思います。賃金調整をやるのですが、 8 ページの (2) の下の段と同じような感じだったような気がします。

 新卒採用などもそれほど大きく影響は受けていなかったような気がしていて、比較的うまく行っていたのではないか。うまく行った理由はたまたま景気が良かったからではないかと理解しているところであって、もし景気が悪くなったら総額人件費を増やすことができなくて、もしかするといろいろな手当をする必要があるかもしれないという感じがします。

 もう 1 つ、その調査で面白かったのは、これを機に定年制をやめたという会社が特に中小企業でかなりあったということがあります。そもそも定年制を持っていない企業、あるいはそもそも定年制が要らないというか、若い人たちで構成されているような企業は定年制を持っていない会社も多いかもしれません。その結果で言うとこれを機にやめたということですので、継続雇用でやるよりも定年制なく働ける、働ける期間だけ働いたほうが中小企業にとっては労務管理がしやすいという面があったのかなという気がしています。

 最後に高木先生がおっしゃったこと、私も重要だと思っています。今回お出しいただいたのは 2000 年と 2010 年度の関係であって、 2000 年に 65 歳以上の就業率を取って、その後 10 年後、つまり 75 歳以上になった人たちの後期高齢者医療費を見ているということなので、ある程度は因果関係は見ようとしているのかと思うのですが、問題は長野県や岩手県の 65 歳以上は頑健な人が多い。頑健な人が多いので、 75 歳になっても頑健という関係は捨て切れないところはあります。ただ、一応、 2000 年当時働いていることが 2010 年の医療費を下げる可能性はあるということは言ってもいいかなという気はしています。これが 2000 年と 2000 年とか 2010 年と 2010 年だとちょっと問題かもしれません。ただ、まだまだ全てコントロールしているわけではないのでよく分からないところはあるのですが、就業は健康にはそれなりのプラスの効果を持っている可能性はあるかと思います。

○秋山先生 因果関係を見るのはそれほど簡単ではありません。私どもが柏市で取り組んでいる就労事業ですが、就労を希望した人の中で就労しないコントロール・グループを作るのは難しいのでタイムラグを置き、つまり、就労の時期をずらせて、就労前と就労 6 か月、 12 か月、 18 か月で身体機能、認知機能、人のつながりについて追跡調査をしています。まだデータ収集中ですので結果は公表しておりませんが、傾向としては就労の効果が出ている。少なくとも維持をしている。していない人に比べて認知機能の注意力などは向上しているという結果が出ています。もう少し長期間にわたって、サンプルを増やしてエビデンスに基づいた政策や施策提言ができるようになればよいと思っております。

○清家座長 健康については、健康状態が就労に影響を与えるというのは繰り返し確認されているわけです。就労が健康に影響を与えるというのは今、お二人の委員が言われたようにある程度ラグを取るなどして見ることで、少しずつ確認されつつあるところかなということだと思います。健康が就労に影響を与えるというのはスタイライズド・ファクトとして確立していると思いますが、逆の因果関係については今のところ、どうもそうらしいけれども、更に確認をしていく必要があるということでしょうか。ただ、その可能性は高いということが示唆されたということだと思います。よろしゅうございますか。

 今日の本論のほうに入りたいと思います。中年期以降における職業生活設計のための環境整備と中年期以降の再就職の促進について、まず論点を事務局から説明していただいて、その後意見交換をしたいと思います。事務局、お願いします。

○雇用開発企画課長補佐 資料 2-1 です。高年齢者の雇用・就業の現状と課題、中年期以降における職業生活設計ということで題しております。職業生活設計に対する労働者の姿勢です。正社員、正社員以外ともに自ら職業生活設計を考えたい、どちらかといえば考えたいというものが半数以上です。

 従業員本人による 60 歳以降の職業生活の設計について、従業員と企業それぞれに聞いております。従業員による検討状況については、これまで 60 歳以降の職業生活の設計について考えてきたかという問いに対して、考えてきた、ある程度考えてきたが 6 割です。それから、企業が正社員に検討を期待していることについて、自ら考えてほしいと思うかということについては、そう思う、ややそう思うが 9 割で、 9 割が自ら考えてほしいと考えているということです。

60 歳以降の職業生活の設計について考える機会があるかということです。まず、赤いグラフが 60 64 歳の継続雇用者が機会があったと答えているものです。青は企業が与えていたというものです。労働者、企業ともに上司との面談、人事部門の担当者との面談、自己申告ということを通じて職業生活設計について考える機会があるということになっております。

60 歳以降の職業生活に関する社内の相談等の現状と研修の必要性です。 (1) は、 45 歳以上の正社員に対する相談やアドバイスの実施状況についての企業の状況です。余りできていない、できていないという所が高くなっています。 (2) は、実際に企業で相談やアドバイスを受けたかについて継続雇用者の回答です。こちらについても、余り受けることができなかった、受けることができなかったというものの割合が高くなっております。 (3) は、 45 歳以上正社員を対象として、研修の必要性があると企業が考えているかどうかということです。必要、ある程度必要という所で 6 割強です。継続雇用者については、 7 割強の方が研修の必要性があると考えております。 60 歳以降の職業生活について、研修の実施状況です。全体で 1 割ぐらいの企業がやっているということです。受講の対象については、 40 代、 50 代という所は余り多くなく 50 代が 7 割以上と多くなっております。

60 歳以降の職業生活に関する相談等の機能強化のために必要なことについて聞いております。まず、会社に必要なこととして企業が必要と考えること、継続雇用者が考えることについて分けて聞いております。企業は従業員の能力の把握、会社が必要としている能力の把握というものが必要だと考えております。同じく、 60 64 歳の継続雇用者も能力と会社が必要とされている能力を把握してほしいと考えております。

(2) は、 60 歳以降の職業生活の相談やアドバイス機能の強化のために行政に何をしてほしいかということで、企業と労働者に聞いております。企業は、相談等の機能の強化、企業への資金援助、他企業の先進事例の情報提供を求めているという結果です。継続雇用者は、同じく、相談機能、専門家を養成してほしい、求人などの労働市場に関する情報提供をしてほしいと求めているということが分かります。

 キャリアに関する相談の利用経験と要望について聞いております。キャリアに関する相談の利用経験については、正社員は 13 %、正社員以外は 7.4 %です。 60 歳以上のキャリアに関する相談の利用経験ありが年齢計よりも多少、正社員では、高くなっているという状況です。一方で、キャリアに関する相談の利用経験がなしというのは、正社員、正社員以外ともに 8 9 割ということで実際には利用していないという方が多くなっております。

 企業においてキャリアコンサルティングの仕組みを導入している状況について調べております。平成 18 年から調査を取っており、ずっと横這いできましたが平成 24 年から増えて平成 25 年には 33 %という状況です。

 教育訓練休暇の利用状況と要望について聞いております。正社員の所では、勤務している事業所に教育訓練休暇制度があって利用したことがあるという人は 3.8 %にとどまっています。実際に制度はあるが利用したことがないという方は 18.2 %です。利用できない、制度がないというものは 1 %、 75.4 %ということで非常に制度がない所が多くなっている状況です。

 定年・退職前に準備したことです。棒グラフの部分は、実際に労働者の方がやったことです。折れ線グラフは、実施したもののうち勤め先から援助を受けた割合です。労働者の方がやったことは、健康管理や体力づくりが一番多くなっております。特にこれといった準備はしていなかったという方が半数に及んでいます。それから、企業が労働者に対して援助したものとして多いのが、定年退職後の働き方や生活に関するセミナー・説明会、継続雇用や再就職のための訓練や研修です。

 企業が高年齢従業員に対して行う研修の方針と状況について、企業に聞いております。企業の 50 歳以上の正社員を対象とした教育訓練の方針です。専門知識・技能取得のための研修、意識改革に関する研修ということで、それぞれ重要と答えている割合が3割、6割あります。企業が 60 歳以降の従業員に必要と考える能力については、第一線で働く能力が必要、現役世代の力、助けになるような能力が必要が6割、4割です。企業が 50 歳以上の正社員に対して実施している研修としては、専門知識・技能取得のための研修、マネジメント能力に関して多くなっている状況です。

 職業能力開発に対する取組の状況です。会社によるこれまでの取組状況としては、特に何の研修もなかったとお答えになっているのが半数強です。高齢者自身の取組状況としては、会社の研修を基礎に知識や技能を伸ばす努力をしてきたという方が 44 %です。自分で意識的に能力開発に取り組んだことはないという方は 33.9 %です。

 有業者の職業訓練・自己啓発の実施状況です。職業訓練・自己啓発をした中の内訳です。勤め先が実施したものの中では、勤め先での研修が一番多くなっております。自発的に行ったものについては、自学・自習が一番多いとなっております。雇用者の職業訓練、自己啓発の実施状況です。職業訓練、自己啓発をしたというのが正規だと半数近く、非正規だと 3 割近くです。勤め先が実施したものの実施状況です。 65 歳以降は、正規について少し割合が減っていることが見て取れます。非正規は、勤め先が実施するものについては年齢によりそれほど大きくないということが見て取れます。

 教育訓練の最近 1 年間の受講状況です。 9 割が何も受けていないということになっております。高年齢者の教育訓練の受講状況です。前ページの内訳です。何を行ったかといいますと、 55 59 歳の男性は法律、 60 64 歳は品質・安全、 65 69 歳でも同じくとなっております。女性は、医療・福祉・介護に関する知識が 55 64 歳で多く、 65 歳以上ではパソコン・ワープロ・インターネットが多いとなっております。

off-JT の受講状況です。年齢計では正社員は 5 割の方が受講されております。年齢別に見ますと少し年齢が上がるにつれて、正社員の方は減っていっているという状況が見て取れます。逆に青の正社員以外の所では年齢によってそれほど大きく異なっているということではないという状況です。

60 代前半の継続雇用者の研修の実施状況です。実施していないという所が 9 割です。実施している 2.8 %の企業に聞いたところ、研修の実施目的としては技能や知識の陳腐化を防ぐため、仕事の効率を上げてもらうためが多くなっています。

 自己啓発の実施状況と実施方法です。正社員の方については、自己啓発を行った方が年齢計で 44.3 %です。 60 歳以上になると 33.6 %です。ほかの年代の方は、ラジオ、テレビ、専門書、インターネットなどによる自学・自習ということを実際の実施方法としてやっておられます。 60 歳以上の方は社内の自主的な勉強会、研究会への参加という方の割合が高くなっております。自己啓発を行った理由です。現在の仕事に必要な知識・能力を身に付けるためが正規では 87.7 %、正社員以外では 79.3 %です。

 自己啓発の業務への役立ち度です。役に立ったというものが9割ぐらいになっております。 60 歳以上については、役に立ったと回答している割合がほかの年代より多少高くなっているという状況です。自己啓発の問題点を自己啓発を行わなかった労働者の方に聞いております。自己啓発を行わなかった正社員については半数以上おられまして、自己啓発に問題を感じるということで問題点を教えていただいたところ、仕事が忙しく自己啓発の余裕がないという方が 5 割です。

 自己啓発の延べ受講費用です。色別にかかったお金の額が書いてあります。正社員については 60 歳以降になりますと 1,000 円未満、 1,000 10,000 円未満とかける費用が少ない方の割合が増えています。非正社員については、そういう傾向はありません。自己啓発の費用の補助です。自己啓発を行った方が 44 %ぐらい、そのうち費用の補助を受けた方が 46.8 %というのが年齢計になっております。 60 歳以上の方については、自己啓発を行った方が 33 %のうち費用の補助を受けた方が 71.7 %ということで正社員の 60 歳以上の方については、費用の補助を受けた方の割合が高くなっている状況です。

 企業の高年齢者に対する自己啓発の促進策です。業種別に取っておりますが、公的資格取得への援助ということで建設、運輸、金融・保険、専門技術・教育など、多くの業種が公的資格取得への援助を行っております。通信教育に対する経費助成や専門知識・技術についての情報提供についてもそれぞれの業種で行われております。

 職業能力開発施策の概要です。現行の職業能力開発施策について付けております。 1 枚目の紙が全体像についてお示ししたもの、離職者の能力開発、在職者の能力開発ということで構図が出ております。公的職業訓練の状況についての資料を付けております。事業主の行う教育訓練に対して助成金で国が援助するものについて付けております。こちらについても事業主が行う教育訓練に対する支援、一旦、雇用していただいて企業内で実習と座学を組み合わせて実施する訓練について付けております。主体的なキャリア形成、個人に対して給付する教育訓練給付の施策について付けております。 1 枚目が一般教育訓練給付、 2 枚目が専門実践教育訓練給付ということで、こちらは、中長期的なキャリアアップを支援するものとなっております。

32 ページは、主体的なキャリア形成に対する支援の施策です。キャリアコンサルティング施策について付けております。キャリア・コンサルタントの資格のレベルとさらにキャリア・コンサルティングを活用したジョブ・カードという仕組みを使って、求職者と求人企業とのマッチングや職業能力の修得を促進するための施策について載せております。 36 ページは、主体的なキャリア形成支援に対して、企業に行っていただくことに対して助成金を出すという平成 27 年度からの新たな助成金について付けております。

37 ページ以降は職業能力評価制度ということで、技能検定や業界検定、社内検定の認定制度という施策について付けております。資料 2-1 については、以上です。

 資料 2-2 です。中年期以降の再就職の促進です。(1)中高年齢求職者のニーズについてです。 2 ページは、企業規模別・年齢別離職理由ということで、男性を取っております。どの企業規模でも個人的理由で離職された方が非常に多くなっております。 100 人以上の規模では、 60 歳代の方で定年という方の割合が大きくなっています。 100 299 人、 300 999 人、 1,000 人以上というところでの定年という所が多くなっています。逆に 5 29 人、 30 99 人の所では、定年は一番大きな理由ではないということになっております。

 無業者の方の就業希望の理由です。失業しているからという方が全年代で理由として多いものになっています。 65 歳以降の男性については、収入を得る必要が生じたからという方が 22 %です。転職希望理由です。男性については、全年齢について収入が少ないというのが転職希望理由です。 55 歳以上の転職者の就職理由です。正社員、非正社員ともに収入のためという方が多くなっています。職種と企業規模です。管理職、専門・技術職の方については、収入のためよりも自分の経験や能力をいかしたいからという所が多くなっています。ほかの職種については、収入のためというのが多くなっています。企業規模別に見ますと、収入のためというのが全部で多くなっている状況です。

 現在、仕事をしている主な理由です。平成 21 年度と平成 26 年度の比較の表です。いずれも経済上の理由というものが一番多くなっております。次に、いきがいや社会参加のためという理由が多くなっております。 65 歳以上の雇用者の 1 か月当たりの労働日数です。 11 20 日以内という方が半数、 21 日以上という方がそれぞれ 3 割ということで、多くの日数を働いておられるということが分かります。就業希望者の希望職種です。年齢別に職種ごとに取っております。専門的・技術的職種に就きたいという方が男性の全年齢で全般的に多いです。

 就職希望者の就業希望形態です。男性について、正規の職員・従業員で働きたいという方が 59 歳までは多くなっておりますが、 60 歳以降になりますとパート・アルバイトで働きたいという方が半数を超えるという状況です。高年齢者の希望職種です。新規求職者の申込件数が多いものとして、 55 歳以降の男性については、運搬・清掃等の職業、輸送・機械運転の職業、事務的職業の申込件数が多いです。

 企業の高年齢者の受入状況です。最初に雇用対策法における募集・採用における年齢制限の原則禁止の規定についての説明です。現在、雇対法については、事業主は労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして、厚生労働省令で定めるときは労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないと規定されております。点線囲みの中に例外があります。定年年齢で辞めていただく場合、長期勤続によるキャリア形成のために弱年者を対象に募集したいという場合、 60 歳以上の高年齢者や特定の年齢層の雇用を促進する施策、国の施策を活用とする場合に限ってですが、その対象となる方を募集する場合に年齢制限が認められる等ということになっております。

55 歳以上の高年齢者の採用理由です。職種ごとに採用の理由を述べております。経営管理職については、経営幹部の確保という理由が多くなっております。技術・研究職、営業・販売職、技能職、事務職については高い技能・技術・ノウハウを活用したいからという理由が多くなっております。その他の職種の所で、 55 歳以上の労働者しか応募してこなかったからというものも見られます。

50 歳以上の正社員の受入れの状況です。過去 3 年間に受け入れたことがあるというのが 56.8 %です。 50 59 歳を出向・転籍の受入れで受け入れたというのが 24.9 %です。中途採用の受入れで受け入れたというのが 40.7 %となっております。 60 歳以降になりますと出向・転籍が 9.3 %、中途採用 24.2 %ということで 50 59 歳層と比べると減っているという状況です。一方で、過去 3 年間に受け入れていないが過去に受け入れたことがあるが 10 %、これまで一度も受け入れたことがないという所が 32 %という状況です。

 年齢別の入職経路です。年代別に職業紹介機関を利用したか、また、縁故・出向等で入職したかということについて聞いております。 45 49 歳層までの方々については、広告で入職したという方が多くなっております。 50 64 歳ぐらいまでになりますと、縁故で入られたという方が多くなっております。 65 歳以降になると縁故で入られた方、広告で入られた方が両方多いという状況です。

50 歳以上の正社員の受入れに利用した媒体です。合計で見ますと、ハローワーク・人材銀行が 5 割近く、出向・転籍が 5 割近くとなっております。業種ごとに利用している媒体にばらつきがありますが、そういう状況になっております。 55 歳以上の高年齢者の職種別の採用経路です。経営菅理職、技術職・研究職については縁故で入られている方が多く、営業・販売、技能、事務職、その他はハローワークを利用されている方が多いということになっております。

 入職者に占めるパートタイム労働者の割合です。青い線が男性、赤い線が女性です。青い線の男性について見ますと、 50 54 歳以降から入職された方については、パートの方の比率が増えていくという形で見て取れます。転職入職者の賃金変動状況です。転職入職者の賃金変動状況を年齢階級別に御覧いただきますと、年齢が上がるほど賃金が増加したという方は減っていって減少が多くなるという傾向です。 45 歳以上では減少が増加を上回っているという状況です。

 次に高年齢者の再就職活動についてのデータです。 21 ページは、現在の求職活動の有無です。 55 69 歳層の現在就業していない場合についてお伺いしております。就業していない方について就職活動をしているかというと、就職活動をしているという方が 5 割を超えております。就業していない場合に求職活動を行っている場合は、年齢層が若いほど高い傾向で、 65 69 歳になりますと、していない方が増えるという状況です。

22 ページは、高年齢者の転職入職者数の推移です。 23 ページのグラフを御覧いただきますと、各年齢層で平成 12 年を起点として折れ線グラフにしております。 65 歳の方々が平成 23 年に伸びております。 60 64 歳層についても、全体として増加傾向です。 50 59 歳の方は、それに比較すればなだらかな形になっております。 24 ページは、ハローワークにおける高年齢者の就職状況です。 55 59 歳、 60 64 歳、 65 歳以上で区切っております。新規求職者数については、 55 59 歳層が平成 22 年度ぐらいから少し減り始めています。 60 歳層は平成 23 年ぐらいから減っているという状況です。 65 歳以上については、新規求職者数がずっと増えてきているという状況です。就職件数についても、 55 59 歳層については平成 23 年ぐらいから少し減っていて、 60 歳層も平成 25 年は少し減っています。 65 歳以上については、どんどん増えているという状況です。就職率については、いずれの年代についても大体上がっている傾向です。

25 ページは、先ほど御覧いただいたもののグラフ化のような形です。緑色の 65 歳以上が増えているということが分かると思っております。 26 ページは、男性の高齢者の新規求職申込件数、就職件数上位の職業です。 60 64 歳層の求職者では、運搬・清掃・包装等の職業、自動車運転の職業が新規求職、就職件数ともに多いです。 65 69 歳では、加えて居住施設・ビルの管理と清掃についても増えているということになっております。次のページが同じく女性です。 60 64 歳層については、一般事務、清掃、飲食物調理が新規求職申込件数、就職件数共に多いです。 65 69 歳については、その他の運搬・清掃・包装等の職業も増加している状況です。

28 ページは、年齢別の離職期間です。雇用動向調査は、 60 64 歳までは 15 日未満という方が多くなっています。 65 69 歳になりますと 15 日未満は 3 割弱ですが、 6 か月から 1 年未満と長期化する方も 3 割弱と増えております。次のページは、失業して仕事を探していた期間です。今のものと少し似ているのですが、こちらは JILPT の調査で対象者が微妙にずれております。定年到達後又は定年後に退職し仕事を探していた方で、一旦、失職している方です。 60 64 歳層で 6 か月以内だった方は 40 %、 1 年ぐらいかかった方が 27.6 %です。 65 69 歳については、 6 か月以内が 39.2 %、 1 年以内が 18.7 %です。ただ、 2 年かかる方の割合は 65 69 歳層のほうが多いということです。

30 ページは、 65 歳以上の高年齢者の主たる収入源です。平成 21 年の調査でも、平成 26 年の調査でもいずれも本人又は配偶者の年金という所が多くなっております。 31 ページは、高年齢者の就労総合支援事業ということで、ハローワークで行っております高齢者の就職支援の事業について付けております。次がシニアワークプログラムということで、技能講習や面接会を一体的に行って、高齢者の再就職を支援しようという現行施策です。

33 ページから出向・転籍による労動移動についてデータを付けております。 34 ページは、 60 歳に到達する前の正社員を他社へ転籍させる制度を持っている企業です。実施している・あると答えた所は 1.6 %、実施していないないと答えたのが 97.8 %となっております。 (3) 制度を活用できる年齢です。 44 歳より前から活用できるというのは少なく、 44 歳以降で活用できるという仕組みが多い状況です。

35 ページは、出向元と出向先の関係です。出向元の企業規模別と産業別に取っております。どういう規模から出向するとどのぐらいの規模の出向先に入れるのかということです。 300 人から 999 人や 1,000 人以上の大きい所については、出向先も 1,000 以上や 300 999 人以上と大きい所が多いです。 100 299 人の所は同じぐらいの規模の所に行くですとか、 30 99 人の所は 5 29 人、 100 人という形で少し出向元の規模の所と出向先が対応している例が多いです。ただ、 4 人以下の所は 100 299 人の所に出向している所が多いです。下が業種別の所です。製造業から出たら製造業に行かれる、卸売、小売から出られたら卸売、小売に行かれる。サービス業はサービス業とそれ以外の方が両方あるということが見て取れます。

36 ページは出向の状況です。出向・転籍制度があるか、全く実施されていないかということを聞いております。実施されていない所が 5 割近くです。出向・転籍の適用年齢については、 55 歳頃からという所が一番多くなっております。出向・転籍先で勤務可能な年齢については、 65 歳までであるという所が 49.9 %です。

37 ページは、出向の状況です。出向・転籍の経験の有無ですが、 55 歳以降に出向・転籍による別企業への異動経験なしが、 85.2 %、ありが 8.3 %です。今の会社に出向・転籍して来たときの年齢については、 57.5 歳が平均年齢です。出向・転籍後の雇用主の変化については、出向期間中は両者に雇用され在籍出向し、転籍後は今の会社に雇用が 5 割近くということで一番多くなっております。出向・転籍先の今の会社への異動のパターンについては、出向中に出向元の定年により退職し、出向元より定年後の雇用先が提示されて今の会社を選択したという例、出向中に定年退職して改めて今の会社と雇用契約を結んだという方法、出向中に転籍し転籍先で定年してそのまま継続雇用というパターンが見て取れます。今後、何歳まで雇用されるかについては、 65 歳までが 62.6 %ということで一番多くなっております。

38 ページは、出向・転籍についての現行の施策として、公益財団法人産業雇用安定センターの概要を載せております。次のページが産業雇用安定センターの実績の推移を出向と移籍に分けて付けております。資料 2-2 については、以上です。

○清家座長 ただいま事務局のほうから資料 2-1 「中年期以降における職業生活設計」、資料 2-2 「中年期以降の再就職の促進」という点について御説明いただいたところです。これから個別の論点について議論を進めてまいりたいと思います。ただいまの事務局からの御説明の資料に対する御質問、御意見も、もちろん併せて御発言いただければと思います。また、この検討会の論点案全体については、前回、配布のものと同様ですが、今日も参考資料に付けていただいていますので、参考資料を御参考にしていただければと思います。まず、論点2「中年期以降における職業生活設計のための環境整備」について、特に生涯現役社会を実現するために、中年期以降の労働者の職業生活設計、職業能力開発をどのように進めていくべきかということ。さらに、中年期以降の職業生活設計、職業能力開発を充実するために、どのような支援策が考えられるかといった点について、御意見を賜れればと思います。皆様方、どうぞ御自由に御発言いただければと思います。

○山田先生 いろいろとたくさんの資料を御紹介いただきまして、ありがとうございます。論点の 1 点目なのですが、資料で議論のために必要だなと思うのは、例えば資料 2-1 6 ページに、企業が 45 歳以上の正社員を対象として求めることとか、 60 64 歳の継続雇用者が求めることについて、本人若しくは企業がどう考えているのかというのはあるのですが、実際にそれを受けたところで、どのぐらいまで企業で雇用されていたか、要するにアウトカムが分からないと、結局、何を推進していいかというのをなかなか議論しにくいところがあるかと思うのです。ですから、まずはそれによって本当に継続雇用が進んでいるのか、進んでいないのかというアウトカムをクロスできるような資料でお示しいただきたいと。そうしないと、何が効果的か分からなければ、なかなか議論をしづらいという点があります。もちろん今回いただいた資料でも議論は可能なのですが、そこの部分が政策をどのようにするか、議論するときには重要になってくると思います。そういうのは御用意いただくのは可能でしょうか。

○雇用開発企画課長補佐 資料をお調べして、お役に立てる資料があるかどうか探したいと思っております。

○清家座長 次回ぐらいまでに、できる範囲で資料を整理していただければと思います。山田委員、よろしいですか。

○山田先生 はい。

○北浦先生 資料 2-1 の関係で申し上げたいことですが、 60 歳定年を決めたとき、あるいは 65 歳の継続雇用を決めたときに、既に企業の中においては高齢期においては複線的なコース選択、特に大企業の場合にはそういう形を作ってきたわけです。 65 歳までの継続雇用もその線の中での選択肢として作るという形になっていたわけですが、今回こういう 65 歳までの継続雇用が完成していく、そういうプロセスの中において、このコース選択という複線的な姿、それがどう変わってきたのかというところが本当は見られるといいのではないかと私は思っております。ただ、そう申し上げても、それに該当する統計があるかとか、データがあるか、なかなか難しいのだと思うのですが、既にそういう複線的なコース選択があって、その中に高齢期の職業生活の支援、援助があるのだと。この点は 1 つ重要な点で、忘れてはならない点かと思います。なかなか資料がないので出せないのだろうとは思いますが、その点を 1 つ。

 もう 1 点、資料 2-1 で中年期以降の支援ということになるわけで、特に能力開発の関係が相当論じられております。企業の中においても、ここにあるように何かしらの教育研修が行われたり、自己啓発の支援が行われていることは事実なのですが、中年期以降ということになりますと、能力開発の意味合いが少し変わってくるのだろうと私は思います。というのは、やはり高齢者の雇用継続をするときによく言われる長年培った知識・経験・技能等を生かしてということがあるように、それぞれの知識・技能・経験がそれなりに蓄積をされ、出来上がってきている。その中において、中年期以降の研修は、もちろん新知識を必要とする場合があります。そういうものに対応しなければいけないのもありますが、既存の知識・技能・経験を再編成していく。そういったような意味合いの能力開発が実は非常に重要であろうと思います。

 その意味では、極端に言うとリカレントする方もいらっしゃるわけですが、そこまで行かなくても企業の中において、能力開発をやるとすれば、どういう形であるか。そうすると、それは 1 つはまず個人によっての違いが大きい。それから、そういう蓄積されたものを再編成するのは、かなり自己の主体的な意識でやっていかないとできない。つまり、研修という方法よりも、むしろそれは自己啓発という形を取っていくのだろうと思います。

 その意味において、中年期以降においては、能力開発はかなり自己啓発に重きを置いて、それを研修その他で補完をしながら支援するといったようになっていくのだろうと思います。現実に企業は大体、その辺を端境期にして、それ以前は育成的な観点で研修を強化します。もちろん最近は自己啓発も相当、若年層も入れてきておりますが、中年期以降になりますと、それぞれの資質・能力を見定めていく。こういうことになると思いますので、そこで自己啓発はかなり重要だろうというのが 1 点です。

 関連して申し上げますと、それを行うためには、かなり相当な支援が要るだろうと。単に研修プログラムを作るというのではなくて、それは個人という単位になってきますので、この中の資料にもありますようなキャリア・コンサルティングといったものがかなり必要になってくるのだと思います。その要諦は何かといいますと、これまでの仕事の経験を棚卸しする。そのところから始まるのだろうと思いますので、正そういったような取り組みを行っていかなければいけない。

 そのことについては、キャリア・コンサルティングの普及ということもありますが、同時にこ現行のジョブ・カード、そしてそれが更に今度はキャリア・パスポートに拡張されるというときに、そういったものをどう使っていくか。これは転職支援ということもありますが、社内的な活用の方途としてのキャリア・パスポートのようなもの、それを使いこなせる体制を作っていくことが必要だと思います。

3 点目に、自己啓発の関連で申し上げたいのは、前々から指摘されているように、自己啓発支援策においての最大のポイントは 3 つあるということです。 1 つは費用、 1 つは機会、 1 つは時間だと。こういうことで有給教育訓練休暇があり、あるいは費用に対する助成金支援があるということがありますが、もう 1 つ機会、チャンスという問題をやはり考えていかなければいけないと思います。都会地においては、かなりそういう機会に恵まれている。あるいは社内的な自主勉強会でもよろしいのですが、そういったものを例えば地方の人たちが受ける場合はどうするかとか、あるいはそういった中で時間的ゆとりのない中で、何とかやっていくにはどうしたらいいか。そうなると、最近の利用としてはインターネット利用であると。そういう通信的な手段を使いながらやっていくような教育方法も、もっと考えなければいけない。

 そうすると、そういった機会の現状を考えなければならない。自己啓発の機会というのは、単に今、専門学校や何課の教育機会があるというだけではなく、そういったものがきちんと整備されて、それが受けられるかどうかが重要です。そういった形のところの施策も重要なのではないかと思います。

○秋山先生 最近、キャリアプランの研修を、 50 歳に始める企業が増えているようです。研修を受けて初めてこういうことを考えたとおっしゃる方が非常に多い。これは 50 歳では遅く、 40 歳のときにやってほしかったという声も聞きます。本来はキャリアプランは、若いときに始めるのがよい。

 最近、官庁などで若い方が人事に対して、自分はできればこういう所に異動したいという希望を出される方がいる。キャリアプランがあって、それに従った形で働きたいという意思を持つ若い人たちが、出始めていると聞いています。 20 代、 30 代前半の方たちです。 50 歳や 60 歳からではなく、若いときから職業設計をする仕組みを作っていく必要があると思います。それが1つです。

 もう 1 つは、今、資料を拝見しますと、自己啓発や研修は、ほとんど企業内の研修か、自学・自習ですが、大学の役割を見直すべきではないかと思います。若者の教育に専念しているのは日本の大学の特徴です。大学が再教育、学び直しにも取り組み、各人が人生 90 年、 100 年を設計し、軌道修正しながら生きていくことを支える。大学教育の役割を見直していく必要があるのではないかと思います。

○酒井先生 私の意見は、北浦先生、秋山先生と多く重なるところなのですが、 60 歳以降の職業生活の設計を考える上では、働く者にとって内発的であることが重要なのかという気がしております。その中で、特に働く人たちがセカンドキャリアを考える大きなインセンティブとなるのは、やはり経済的な状況、つまり老後の生活において、どのぐらい収入が必要であるのかといったことの認識ではないかと思います。先ほどお示しいただいた資料の中には、例えば企業においてライフプラン策定のための研修を行っている企業の割合が非常に低いという状況も示されていましたが、そのような老後の生活設計的な観点からのセミナーといったものがやはり重要ではないかと考えております。そのときに問題になってくるのは、セカンドキャリアへ目を向けさせるような機会を作ることは、企業にとって本気で取り組むモチベーションがあることなのかという点だと思いますが、プロスポーツの世界と同じような考え方で、セカンドキャリアの機会を与えないことには良い人材も採用できないのだという観点が今後は必要なのかという気がしております。

 もう 1 点なのですが、現在、企業がどういう研修を行っているのかという状況を見ますと、専門性を磨くというキーワードで語られることが多いのかと思いますが、個人的には安易に専門性という言葉を打ち出していくのは危険かという気がしております。といいますのは、やはりこのような技術の進歩が早い時代においては、現在、専門的であると呼ばれている仕事も、 5 年、 10 年後には奪われるかもしれない。そういう状況を考えると、専門性という言葉で括られるようなものへの安易な誘導は危険かと思います。むしろ先ほど北浦先生もおっしゃっていましたように、それまでのキャリアを組み替えるような取組、そういうほうへ目を向けさせることが重要なのかという気がしております。そこに例えば大学といったものが関わることによって、更に充実したものが形成され得るという可能性を感じております。以上です。

○高木先生 職業生活設計に関してなのですが、日本の場合、国際比較で見た場合に、従業員一人一人の意識が非常に低いということがあります。それはなぜかというと、やはり考えますところ、その企業にずっと居続けることの安定感から、自分で自分の職業キャリアを顧みないということが実際あるのではないかと考えるわけです。先ほどから出ている職業能力の開発であるとか自己啓発ということなのですが、私が考えるのはそれを従業員や労働者一人一人の責任としないということです。逆に企業という立場で、それをマネジメントしていくという考え方も必要なのではないかと考えます。

 これは私自身の研究の成果で、常にステートメントとして言わせていただいていることなのですが、先ほどから出ていますセカンドキャリア、あるいは一括りでいうと、キャリアセミナーであるとかカウンセリングといったものを、 50 代、 40 代できちんとやっていく。しかし実際には、 40 代でももう遅いと思うのです。入社した 20 代のときから開始すべきだと思います。それを個人がやるのではなくて、企業としてそれをオーガナイズすることが、必要なのではないかと考えています。

 もう 1 点、現在の労働力人口の年齢階層別の分布を見ると、 40 代が非常に多くなっています。 40 代をピークとして、ピラミッド状になっているわけです。この 40 代が何かというと、学校を卒業して労働市場に初めて出て、そのときがちょうどバブルの景気の良いときだったということで、大量採用されている年代なのです。この人たちが 40 代になって、皆さんが企業の中核を担う仕事をできる方であればいいのですが、全ての人が企業の要望に応じることができる人になるわけではないということがあります。

 今、景気が良くなって人材不足が生じてきていると言われているのですが、片やその一方で、同時に企業の中では、ある人材の過剰状況が出ているのだろうと思うのです。それが例えば 40 代であり、あるいは 50 代かもしれないということになるわけです。そうしますと、 60 歳以降、あるいは 65 歳以降の就業は 60 歳までにどのように活躍して働いてきたのか。この延長線上にあるわけですから、やはり 60 歳まできちんと活躍して働ける、そういった場を作ることが重要になってくるわけです。そうすると、当然 60 歳まで、あるいは 65 歳までは企業で雇用することを前提とする中で、しかしながらなかなか難しい人々がいるかもしれない。その人たちがセカンドキャリアとして活躍できる場を用意することも、 1 つには考えとして置いておく必要があるのではないかと思います。

 このときに、先ほどから出ている職業生活設計をする、あるいは能力開発をする機会をつくるときに、キャリアセミナーとかカウンセリングで自分の経験の棚卸しをさせる、技能・知識の棚卸しをさせる。こういったことを企業がオーガナイズすることによって、それは必ずしもセカンドキャリアを見詰め直す、あるいは出向・転籍、あるいは転職することを前提とする形ではなくて、あくまでも我が社でずっと働き続けてもらうことを前提とするのですが、一旦棚卸しをして、自分のキャリア・能力を見詰め直していただくことには意味があると思うのです。そういう機会を与えることによって、ずっと居続ける人々は自分の技能・知識を更に高めようと、その方向性が見えてくることがありますし、あるいはそこで棚卸しをした結果、もしかしたらほかの場に、あるいはグループ企業に、あるいはグループ外にも自分が活躍できる場があるのではないかと。そのことに気付く、そのきっかけになる可能性もあるのではないかと思うのです。あるいは、この資料にありましたように、出向・転籍、あるいは縁故という形で中高年層が他社に移っていくということがあるのであれば、それを活用した形の全体的な人材の最適化が図られていかなければならないのではないかと考えています。以上です。

○阿部先生 皆さんが言っていることはそのとおりかと思うのですが、高齢者のキャリアとか、あるいはキャリアを向上させるための職業訓練ということを考えると、いろいろな問題があるのだなということが、これでも分かったと思うのですが、特に企業がどれだけ主体的にキャリアを考えさせられるのかとか、職業訓練をやるのかといったところは、まだまだ課題は多いだろうなと。そもそも企業がキャリアとか職業訓練に対して、何かやるというインセンティブをどう持たせるかというのがすごく大事かとは思いました。そういう意味で、今の段階ではなかなかそういうインセンティブを持ちにくい企業も、例えば今後 10 年後、あるいは 15 年後、 20 年後といった社会の中では、どうなっているのかと、少しその絵を見せないと、今の段階ではなかなかインセンティブを持ちにくい中で何かやれと言っても難しいので、 10 年後、 15 年後、社会がどのように変わっていて、労働力がどのように変化しているのかを見せた中で、どういうインセンティブを持ち得るのか、あるいは持ってもらうためにはどういう援助が必要なのか、あるいは社会全体でどのような支援をしていくのかという方向で考えたほうがいいのかという気はしました。

 その点で言うと、資料 2-1 18 ページですが、 60 代前半の継続雇用者の研修の実施状況で、実施しているという会社は 2.8 %しかないわけですが、どういう会社が実施しているのかは非常に興味があります。あるいは実施していない会社はどうしてなのか。 (2) を見ますと、「技能や知識の陳腐化を防ぐため」と、かなり積極的に活用しようとして、活用するためには技能・知識の陳腐化を防がなければいけないというところが大きいだろうということでやっていらっしゃると思うのです。そういう意味で、今この 2.8 %の企業はどういう状況に置かれてやっているのかといったところを少し見ていくと、多分あと 10 年、 15 年すると、 2.8 %が 30 %になり、 40 %になる可能性はあるのではないかと、人口動態などを考えると思いますので、この辺りを少し丁寧に深掘りしてもいいかと。ただ、 2.8 %なので、ちょっときついとは思いますけれども、そんな印象を持ちました。

○清家座長 ここまでのところで、事務局のほうから何かお答えになることはありますか。特によろしいですか。

 次に論点3「中年期以降の再就職の促進」についての議論に進みたいと思います。まだ論点2についての御意見等がおありの場合も、併せて御議論いただければと思います。論点3については、特に生涯現役社会を実現するために中年期以降の労働者の再就職をどのように進めていくべきか。また、労働市場における中年期以降のマッチング機能を向上させるための施策として、どのようなことが考えられるかといった点について、御意見を頂きたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○阿部先生 意見ではなくて、まず資料の質問なのですが、資料 2-2 36 ページです。 36 ページの (4) にある「現在の勤務先へ出向・転籍できたか」、あるいは「で来たか」、どちらなのかというのがまず質問です。

○雇用開発企画課長補佐 出向・転籍で来ましたかと、申し訳ございません。

○阿部先生 そうですか。そうすると、出向・転籍で来たという答えが 13.4 %なのですが、多分、次のページも同じデータですよね。そうすると、そこだと 8.3 %なので、この差は 55 歳以前から、もう出向に来ているという理解でよろしいでしょうか。

○雇用開発企画課長補佐 ちょっと調べますので、後ほどお返事をいたします。

○清家座長 ではそれは調べていただいて、引き続き御意見をお願いします。

○秋山先生 人生の後半はマラソンの後半戦と同じで、個人によってばらつきが大きいので、何歳からとか何歳までと、一様に就労ニーズを議論するのは難しいです。私は働く側の立場から関わっていますが、そういう点から見ますと、中高年者の就労ニーズは非常に多様です。能力も多様。同じ企業でなくてもよいですが、企業で働きたいという人たちにとって、恐らく一番大きな課題は、ヘッドハンティングの対象になるようなエグゼクティブと、新聞広告で仕事が見つけられる人たちの間にある、経験とスキルを持っているミドル層ですね。この問題に関しては、それぞれの企業で努力をされる必要があると思いますが、同時に人材活用の支援サービスを作っていく必要があるかと思います。ただ単に仕事をマッチングするだけではなく、能力の評価や教育も含むパッケージとしての人材活用の支援サービスが必要です。

 もう 1 つは、初めのキャリアではやるところまでやったから、定年後は自分が住んでいる地域で働きたいと思っている人も大勢います。定年後は地元に貢献できる仕事をしたい、体力的に通勤が少しきつくなった、介護の必要があるなど様々な理由で自分の住んでいる地域で働くことを望む人がいる。こうしたニーズに民間の人材活用支援サービスで対応するのは難しいと思います。自治体の就労支援が必要です。地域の課題解決は退職者の就労の場になります。子育てや虚弱高齢者の支援は地域の大きな課題です。そのような課題を解決する形で地域に仕事を作り、地元での就労を希望される元気シニアをうまく配置していく。また、セカンドライフの就労は、柔軟な仕組みがよいと思います。例えば、企業で継続雇用でハーフタイムで働きながら、あとの半分は地元で働く兼業、副業のような働き方をして、 65 歳になったら地元のほうで 100 %、あるいは70%に移行。民間の人材活用支援サービスと、地方自治体の就労支援システムをうまく活用して柔軟にセカンドライフの職業設計ができる環境の整備が望まれます。

○酒井先生 中年期以降の再就職の促進を考えるに当たっては、これは言うまでもないかもしれないのですが、ハローワークや雇用保険の在り方と一体的に考える必要があるのかという気がいたします。例えば雇用保険に関しては、現在、年齢の適用上限は 65 歳ということになっていますが、場合によってはこの適用上限が適切かということも含めて検討していく必要があるかもしれないという気がしております。

 それに関連するのですが、中高年の人たちの再就職の際に、マッチングの機能の向上ということが論点3に書かれていますが、そもそもどういった種類のミスマッチが生じているのか。これを明らかにすることはすごく難しいのかと思うのですが、何らかの形で確認しておくことが必要なのかと感じております。

○小畑先生 資料は大変勉強になるのですが、 2 点ほど発言させていただきたく存じます。 1 つ目ですが、先ほど秋山先生もおっしゃったように、例えば介護の問題を抱えていらっしゃる働く人、又は心身の不調とか体力的な問題を抱えていらっしゃる方など、休職するほどではないけれども、離職も避けたいと。そういう場合に現在、非常にシンプルな正社員か非正社員かといった雇用のチャンネルしかないという場合に、結局、正社員はちょっと難しいということですと、もう非正規しかないということで、パートタイマーの働き方に社内で移ったところが、期間満了ですよと言われて雇止めに遭ってしまって、紛争が生じるという事例もあります。そういうことを考えますと、正社員だけれども、いろいろな働き方ができるような複線化というものがあれば、そうした人たちの紛争は減少させることができるのではないかということを 1 つ考えました。

 もう 1 つ、先ほど阿部先生のほうから、ちょっと企業のインセンティブというお話も出ましたが、この資料を拝見しますと、いわゆる技術を持った方、専門的技術的職業が例えば資料 2-2 8 ページなどでも、希望職種としては多いわけです。 13 ページを拝見しても、高い技能、技術、ノウハウの活用が多いということでは、技術を持った方は非常にニーズがあるということが分かるわけですが、そういった高い技能を持った方がほかの会社に転職することを考えた場合に、それから秋山先生が先ほど兼業・副業のようなこともということもおっしゃったのですが、そうした兼業・副業の観点も考え合わせると、現在、企業によっては例えば非常に高度な企業秘密を持っていて、それに関する技術を持った人に関しては秘密保持の契約をしたり、競業禁止の契約をしたりもしている。

 そのようなことを考えますと、もちろんキャリアを展望する。広い観点からキャリアを展望するというのは非常に重要なのですが、技術者が人気があるだけに、そうした技能に関しての今の勤務先とのトラブルが生じないだろうかということは少し気になりまして、そういったことについてはむしろ企業のほうでもある程度、防衛するところは防衛しなければいけないし、働く人たちの希望もかなえなければいけないということで、そういった観点を含めた上での研修のインセンティブのようなものも考えられるかということを思考いたしましたので、その点も補足させていただきたく存じます。以上です。

○山田先生 私のほうからは 3 点あります。 1 点目なのですが、確かに中年期以降の労働者の再就職をどう進めていくかということで、もちろん失業後、再就職できなかったりという人がいるので、そこのサポートは必要になってくると思うのですが、それを余りにも強調しますと、逆に企業内で何とかこの人をずっと雇い続けるにはどうすればいいのかという知恵が出てこなくなる可能性がありますので、まず中年期以降の労働者の再就職を余り前面に打ち出すと、そういった逆の問題も生じることについては、まず気を付けなくてはいけないということだと思います。

2 点目に関しては、第 1 回のときに酒井先生から御指摘がありましたように、これからかなり問題になってきそうだというのは、介護のために仕事を辞めなくてはいけないということです。今、小畑先生のほうからも御指摘がありましたように、介護を理由とするものについて、短時間正社員制度のようなものをもう少し拡充していくことで、なるべくキャリアが中断しないようにすることは非常に重要だなと思いました。

3 点目としては、マッチング機能を向上させるためにどうしたらいいのかということなのですが、これも繰り返しになるかもしれないのですが、どこでミスマッチが発生しているのかということです。もう 1 つ、懸念材料としては多分、今、非常に人手が足りないのは介護の分野だと理解しておりますので、そこに一般的なキャリアを積んだ人をシフトさせるというのは本当にできるのかは、よくよく考えてマッチングの話は議論したほうがいいと思います。私からは以上です。

○北浦先生 私も 3 点ほどあります。 1 点目は、今、山田先生が 1 点目に御指摘なさったことは大変重要なことだろうと思います。結局、転職といっても再就職といっても、それが自発的な、あるいは本人の意思でというところが前提にかぶさりながら議論していかないと、生涯雇用において継続雇用という、企業の中にできるだけ長く働き続ける場を作るという基本思想が崩れてしまうというのは全くそのとおりだろうと思います。その場合に考えなければならないことは、なぜ企業は要らなくするのか、要らないというのか。そこのところをもうちょっと考えていく必要があるのだと。本当に要らないのかと。

 そういう意味ではいろいろあるのですが、一番大きい点として、 1 つには体力、健康の問題もありますが、企業として仕事がないと。ここの人たちに対する仕事がない。その仕事の与え方について、例えば一番端的に言うのは、管理職のポスト不足、そこの中における余剰感というものが 1 つ動機付けになっているというのはあると思うのです。そういった意味でいうと、そこのところが単に管理職という形でなく、これは前から言われていることですが、本当の意味での専門職という形での処遇ということで、それが長く働き続けるような形へスイッチングできるかどうか。そういったところも、もっと真剣に考えないといけないと思うので、そういう人事管理施策の研究・検討に今回は相当力を入れていかないといけないのではないかと、これが 1 点目です。

2 点目は資料に即してですが、資料 2-2 を見てみますと、 15 ページに年齢別入職経路の表が出ております。これを見てみると、高齢層の所には縁故。縁故と言っていますが、実はこれは前の会社というのが結構多いので、会社あっせんという形が多い。ですから、この意味でいくと、将来的にはこれがいいのかどうか、もっと外部市場をきちんと整備しなければいけないという議論もあると思うのですが、先ほど来の話とも関連して、この辺の年代は一番その人をよく知っているのはその会社、勤めてきた会社であると。そうすると、そこのところが中心になって、いわば内部労働市場的なものを拡張しようという形で、本来、移動を行っていく。それがいわゆる失業なき労働移動の考え方だと思うのですが、そういった形が割と成功しているのだとすれば、そういった機能を充実していく必要があるのだろうと思います。後ろのほうに出ている産業雇用安定センターなどというのは、正にそういった機能を持っているわけですが、そういった内部労働市場的な機能を少し拡張するような形で、うまく移し替えていく。

 ただ、これは表には出ていなかったのですが、その辺の実態を見ると、移動の流れとしては大企業から中小企業という流れが多いのです。ですから、先ほども御指摘がありましたが、それによってのミスマッチというのは発生しやすい点があると思いますので、その辺を含めてもっともっと移動の流れを研究して、また駄目だったので戻っていく、あるいは駄目だったのでもう駄目になると、こういうことのないようにしなければいけませんので、単に動かすというのは変な言い方ですが、そういった移動を援助するだけではなくて、その後のフォローアップ的なものまで考えていくような姿勢が必要かと思います。

3 点目ですが、そういった再就職その他の問題を考えるときに重要なのは、先ほどと絡みますが、やはりジョブ・カード、あるいはキャリア・パスポートの利用ということだろうと思うのです。そういった意味において、雇用政策として、まだこれからだと思いますが、きちんと位置付けていくことが大事だと思います。そのときに一番重要な点は、これは昔ミレニアム・プロジェクトをやったときに出たのですが、こういうジョブ・カード的な最大の問題は、日本の場合に仕事をベースにしたときには共通言語がない。共通言語、要するに職務というものが 1 つあって、それが誰もが同じようなイメージで使えるような世界であればよろしいのですが、なかなかそこが共通言語になっていないので、そこを作らないと、ある所では評価しても、ある所での評価につながらないという問題もあります。ですから、単にジョブ・カードを作ればいいというのではなくて、それを機能させるためには、今言ったような問題もありますので、そういったところの議論がまだこれからだと思いますが、そこは是非検討いただきたいと思います。

 ついでながら、この際ですので申し上げますが、女性のことも大事だと思っております。 4 ページの表に、女性の場合に肉体的負担、時間的負担が大きくて辞めるという方が非常に多い。これはほかのところと突出しておりますので、多分、介護系とか福祉系のことなのだろうと思うのですが、そのような事情があるのであれば、そこのところはもうちょっと仔細に分析して整理いただいたほうがよろしいのではないかと思います。以上です。

○山田先生 先ほど申し上げるのを忘れたことで、追加なのですが、今、女性という話が出てきて、雇用保険の話で OECD から失職レポートが出されており、そこで指摘されているのは若年とか女性の雇用保険の給付水準が十分かどうかということです。もちろん経済学的には、雇用保険の給付水準が高くなると、失業期間が長くなるとよく言われているのですが、実はもう 1 つ雇用保険のより重要な問題としては、ちゃんと雇用保険給付の受給期間中に自分にぴったり合った良い職が探せるのかどうかということですね。単に失業期間と言っても、要するに求職期間が長ければいけないというわけではなくて、当然ながらマッチングの高い仕事を探すために十分な期間、十分な給付水準があるのかどうかということなのです。それについては、まだきっちり検討されたことはないと理解しておりまして、ひょっとしたら高齢者、若しくは若年者、女性、非正規の給付期間、給付水準について OECD は低いと指摘しているわけですが、そこの部分についてはもう少し検討しなくてはいけない。要するに雇用保険という、社会保険の中でマッチング機能が重要な制度なので、本当にマッチング機能が高いのか、低いのかというのは、きっちり 1 回検討してみないといけないということは、ちょっと付け加えたいと思います。

○高木先生 雇用保険に関しての期間のことであるとか、その期間に適切な仕事が探せるのか、あと水準の話があったのですが、それと併せて資料の 29 ページを見ていただきたいと思います。この研究会では、やはり 65 歳以上までも働く、 70 歳までもできる限り働くことを前提として議論がされているわけです。この表で例えば 65 69 歳で、失業していた期間が 6 か月以内というのが多いのですが、しかし 1 年あるいは 2 年経ってから、職を見つける方もいらっしゃるわけです。しかしながら、現行制度によると、雇用保険の対象者が 65 歳までとなっています。これは大きな問題ではないかと思うわけです。もしも国として 70 歳まで働ける人は働いてほしいということを提言するのであれば、この辺りの期間の見直し、年齢の見直しですね。そういったことも含めて議論する必要があるのではないかと考えます。

 これとは別にもう 1 点なのですが、マッチングの問題を考えますと、これは 2 種類あると思うのです。数量的なマッチングというものがあります。当然、労働需給の関係を見て、数量的な数合わせをしていくと。このマッチングを見るということも大切ですが、より先進的には能力の質のマッチングが非常に重要になってくると考えるわけです。このときにマッチングがなされていないから、マッチング機能をきちんと持った市場にしていこうという議論になるのですが、その前提は、今この人がこの会社で、この能力がうまく生かし切れていないから、ほかの所に移るとうまく活用して活躍できると。そのマッチング先を探そうということになるかもしれないのですが、もしかしたら、厳しいことを言うようだけれども、ある企業でこの方はこの企業では要らないと言われてしまう。ほかの企業に移って、この人は要ると言われるような人材であるかというと、やはりこの企業でも要らないと言われてしまう可能性が多々あるわけです。と考えると、どこの企業に行っても、あるいは何歳になっても、必要とされるような人材になるための人材育成、能力の質の向上、ボトムアップが非常に重要になってくる。この先に 60 歳以降の就業継続というものがあるのだろうと思います。

 当然、能力が高く、何歳になってもいてほしいと言われる人材であるならば、 60 歳を超えても現行企業で働ける可能性が高まってくるかもしれませんし、そのような高い能力をお持ちの方が新しい産業であるとか、雇用を生み出していくなど、そういった活躍をしていく可能性もあるわけです。この研究会でも、 60 歳前後ではなくて、全体的な遡ったところでのキャリア形成であるとか人材育成、そういったことをちゃんと議論に含める必要があるのではないかと考えています。以上です。

○阿部先生 雇用保険のお話が出ましたので、私も関心がありますのでお話したいと思います。ジョブサーチをする際に、一般的に仕事に就くかどうかといったときに、理論的には留保賃金がどのぐらいの高さにあるかということが大事になりますよね。特に若年者の場合には、もしかしたら山田さんが言っていることが起こる可能性があるのですが、高齢者の場合に留保賃金の大小を決めるのは雇用保険だけかというと、必ずしもそうではなくて、年金とか、あるいはそれまでの蓄え、資産などといったものも影響しますよね。そうすると、若年に比べれば、当然ながら高齢者層のほうが絶対的に留保賃金が高くなっていると。留保賃金が高い割に、良い仕事が探せるかというと、実際、生産性がどうなっているかという議論もあると思うのですが、なかなか難しいかとは思うのです。

 だから、ジョブサーチする際には、留保賃金がどのように設定されるかで相当変わってくるので、雇用保険があればいいという議論では必ずしもないだろうと思うのです。むしろ自身の生産性と見合う賃金にマッチングできるかどうかですとか、あるいは先ほどおっしゃっていたように、介護職に全員就けることが経済全体にとって本当に生産性を高めることになるのかとか、そっちのほうをどうやってうまくマッチング機能を作っていくかというほうが大事かとは思っています。

○山田先生 保険給付水準と期間のことを申し上げたのですが、本体のことだけに集中しないで、もちろん今、阿部先生がおっしゃったように、二事業の役割は非常に重要だと思います。また、留保賃金について言えば、被用者であれば厚生年金があるという話で、留保賃金が高いということなのですが、周知のとおり報酬比例部分についてもどんどん受給開始年齢が上に引き上げられていく途中ですから、留保賃金が制度的にどんどん低くなっているということが念頭にあって話したということを補足したいと思います。

 もう 1 つ補足ついでに申し上げると、論点2に関わるところなのですが、いわゆるキャリア形成とか、経済学の用語でいうと人的資本投資ということを言っているのですが、考えなくてはいけないのは非正規雇用がものすごい勢いで増えているということなわけです。これは正に合成の誤謬で、企業としては社会保険、本来だったら海外では非正規雇用にも社会保険はきっちり全部掛けていますから、日本がおかしいのですが、日本の場合には非正規雇用で一定労働時間未満の人は掛けなくていいと。そうすると、完全に非正規雇用を雇うインセンティブが金銭的に働いてしまう。しかも非正規雇用であるから、景気が悪くなったら切ればいい。そうすると、人的資本投資が非常にプアなものになる。実際に統計などを見ても、非正規雇用と正規雇用の人的資本投資というのは、訓練機会は全然違います。

 ですから、そういうことを考えて、長期的に日本の生産性を上げることを考えれば、実は単に今考えている正社員だけではなくて、非正規雇用に対する人的資本投資というところから考えないといけないですし、これは前々からの私の持論ですが、非正規雇用へ社会保険の被用者保険のカバーを拡大しないと、適用を完全にしないと、企業にとっては非正規雇用を雇えば社会保険料が浮くのだという考え方をしますが、実は日本経済全体にとっては非常にまずいことになっていることは改めて指摘したいと思います。

○雇用開発企画課長補佐 先ほど宿題を頂きました 36 ページと 37 ページの所で、勤務先への出向・転籍した人の割合が合わないのではないかという御指摘がありました。 36 ページは 55 59 歳の働いている人を対象に質問をしていまして、 55 歳以前に出向・転籍で来た人も含むという数字となっておりました。一方、 37 ページについては、 60 64 歳の働いている人を対象に質問しておりまして、 55 歳以降の出向・転籍に限定していたということで、表題が 36 ページのほうが「出向の状況 (60 64 ) 」となっておりますが、こちらは 50 59 歳に修正させていただきたいということと、対象の人数が異なっておりましたという報告です。紛らわしくて申し訳ございません。

○清家座長 時間がまいりましたので、本日は以上とさせていただきます。次回以降の日程について、事務局からお願いいたします。

○雇用開発企画課長補佐 次回は 4 9 日の 13 時から 15 時での開催を予定しております。議題としては、論点4の「高年齢者の多様な就業の場の確保」を中心に御議論いただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○清家座長 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 職業安定局が実施する検討会等> 生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会> 第2回生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会(2015年3月16日)

ページの先頭へ戻る