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2015年3月2日 児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会(第6回)

雇用均等・児童家庭局総務課虐待防止対策室

○日時

平成27年3月2日(月)17:00~19:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

委員

松原委員長 秋山委員 泉谷委員 磯谷委員
岡井委員 木ノ内委員 草間委員 佐藤委員
菅野委員 辰田委員 中板委員 浜田委員
平井委員 平田委員 藤川委員 卜蔵委員
武藤委員

オブザーバー

警察庁

厚生労働省

塩崎厚生労働大臣
安藤雇用均等・児童家庭局長
木下大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭、少子化対策担当)
古川総務課長
大隈家庭福祉課長
川鍋虐待防止対策室長
尾高家庭福祉課長補佐

○議題

(1)新任委員の紹介
(2)専門委員会での検討事項について

○議事

○尾高家庭福祉課課長補佐 定刻の17時になりましたので、ただいまから第6回「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 委員会開催に際し、塩崎厚生労働大臣より御挨拶申し上げます。

○塩崎厚生労働大臣 児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。

大変お忙しいところ、本日お集まりいただきまして、皆様方には日ごろから児童虐待防止対策の推進に御尽力をいただいておりますことを改めて感謝を申し上げたいと思います。昨年9月に第1回目の専門委員会の際に私から御挨拶を申し上げ、その後、精力的に5回にわたって御議論いただいて、虐待の予防、それから重篤化防止の観点から、妊娠期から切れ目のない支援や初期対応の迅速化の工夫などについて御提言をいただきました。これらの考え方は12月の児童虐待対策に関する副大臣等の会合で取り上げられ、また、その対応策にも反映していただいたところでございまして、改めて先生方の御尽力に感謝を申し上げたいと思います。

また、本専門委員会におけるこれまでの御議論の中で、やはり自立に向けた支援というものが必要と認識しております。私も、児童養護施設などにも随分行きますが、そういったところで、一旦退所された方が戻ってくる、あるいは施設に戻ろうとしても戻れないことがありますから、いろいろな問題に直面をして御苦労されるということをよく伺ってまいったわけでありまして、そういった自立に向けた支援のあり方についても議論するべきという御意見があって、本日から新たな委員にも加わっていただいて御議論をいただくということを大変私としても期待を持っており、感謝を申し上げたいと思います。

私も、虐待を受けた子どもたちなど社会的養護が必要な子どもへの支援の充実に議員連盟などを通じて取り組んでまいったところでございます。大臣就任後も都内の児童養護施設を訪問し、先週は都内で母子生活支援施設や子ども家庭支援センターなどでいろいろなお話を伺ってまいりました。もっとも当事者のお話ではなくて、むしろ行政側、そして、母子生活支援施設において支援している側のお話を伺ってまいりましたが、この虐待というものが本当に色濃く、それぞれの抱えている問題に感じられたわけでございまして、先生方に御議論いただくことが極めて大事だと考えています。

4月から生活困窮者自立支援法が施行になりますけれども、そこでの子どもたちの問題が大きな課題です。学習支援が必ずしもうまくいってない、高校卒業ができればいいのですけれども、高校進学率というのはよく取り上げられますが、ちゃんと卒業したかどうかというのを見てみると、厳しい環境の子どもたちはやはり卒業ができないで中退してしまうということもありますし、東京の児童養護施設などへ行きますと大学まで行く子どもが結構いますけれども、我々の地元の児童養護施設へ行きますと、何年ぶりかで大学に行けるかもしれないというような話もあって、せめて専門学校だけでも卒業した方が、自立した生活を送るうえではいいと思ったりしますけれども、特に特別な奨学金があるわけではなくて、普通の子どもとして扱われてしまう。このかつての要保護の子どもたちが、18歳以降、なかなか厳しい環境の中でうまくいくというのは至難の技だったりすることでありますので、今回、現場の方々や子どもの声を反映しながら、先生方にぜひ、自立に向けての様々な御提言をいただければありがたいと思っているところでございます。

私自身も、機会を見て自らも学び、また自民党の中の議員連盟などでもいろいろな新しい試みをして勉強しようとしていますので、国会議員の理解が深まることも大事でありますので、ぜひまた先生方から御提言をいただき、皆様方のお知恵をかりながら、日本の将来を担う子どもたちがしっかりと育っていくように皆様方の御尽力をお願い申し上げたいと思います。

本日は大変お忙しいところお集まりいただき、新たなスタートを切っていただくわけでございますが、何とぞよろしくお願い申し上げて、御挨拶といたします。ありがとうございました。

○尾高家庭福祉課課長補佐 それでは、公務がありますので、大臣は退席いたします。

○塩崎厚生労働大臣 では、よろしくお願いいたします。

(塩崎厚生労働大臣退席)

○尾高家庭福祉課課長補佐 カメラの撮影は、一旦ここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○尾高家庭福祉課課長補佐 初めに、委員会の運営に当たり、委員の皆様にお願いがございます。

視覚・聴覚障害をお持ちの方などへ情報保障の観点から、御発言等をされる場合には、発言者は挙手をする。挙手をした発言者に対し、委員長から指名する。指名を受けた発言者は氏名を名乗ってから発言する、ということとしたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。

 最初に、資料の確認をさせていただきます。配付資料は、議事次第、座席表、資料1から6までとなっております。

 また、本日公表しました子どもを守るネットワーク等調査結果を御報告させていただいております。

 資料の欠落等ございましたら、事務局まで申しつけください。

 なお、本専門委員会は公開で開催し、資料及び議事録を公開することを原則とさせていただきます。御承知おきいただければと思います。

 お手元に資料2を御用意願います。

 次に、本委員会の経緯及び運営について御説明します。

 本専門委員会は、「副大臣等会議」で決定された5つの課題を中心に5回にわたる議論を行い、子どもの虐待を未然に防ぐとともに、虐待を受けたとしても重篤化する前に迅速に発見し、的確に対応できるように課題への対応を昨年11月に取りまとめさせていただきました。

 一方で、専門委員会の御発言の中では「これまでの議論を踏まえ、自立に向けた支援の在り方や初期対応についても、一時保護所や児童養護施設、里親等のあり方と一体的に考えるという視点も必要である。」といった御提言をいただきました。

 このような経緯を踏まえ、お手元、資料2のとおり、昨年11月に虐待予防、重篤化防止の観点から御提言を取りまとめていただいた委員の方々を、初期対応検討チームと、また、松原委員長を初め、秋山委員、泉谷委員、磯谷委員、菅野委員、辰田委員、浜田委員と、今回から御参加いただく木ノ内委員、草間委員、平井委員、平田委員、藤川委員、卜蔵委員、武藤委員の14名の方々を自立支援検討チームと位置づけ、本日より自立支援のあり方を中心に御議論いただきたいと考えております。

 また、自立支援検討チームによる御議論の取りまとめの後には、引き続き、本専門委員会全体で、初期対応から自立支援までのトータルの御議論を予定しておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、新任の委員の皆様の御紹介をさせていただきます。資料1をお手元に御用意ください。資料1、おめくりいただきまして2枚目、委員名簿がございます。この☆印の順番で御紹介いたします。

 公益財団法人全国里親会副会長、木ノ内博道委員。

 東北福祉大学特任教授、草間吉夫委員。

 福岡県志免町健康課課長補佐の作本和美委員。

 公益社団法人日本看護協会常任理事、中板育美委員。

全国自立援助ホーム協議会副会長、全国児童家庭支援センター協議会会長、平井誠敏委員。

全国乳児福祉協議会副会長、平田ルリ子委員。

社会福祉法人大阪児童福祉事業協会アフターケア事業部部長、藤川澄代委員。

日本ファミリーホーム協議会会長、卜蔵康行委員。

全国児童養護施設協議会副会長、武藤素明委員。

また、本専門委員会の議事に関連するオブザーバーとして、警察庁村瀬室長に御出席をいただいております。

次に、事務局の職員を紹介いたします。

雇用均等・児童家庭局長の安藤です。

大臣官房審議官雇用均等・児童家庭、少子化対策担当の木下です。

総務課長の古川です。

虐待防止対策室長の川鍋です。

家庭福祉課長の大隈です。

私は、家庭福祉課課長補佐の尾高でございます。

どうぞよろしくお願いします。

それでは、以降の進行は松原委員長にお願いいたしたいと思います。

○松原委員長 お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。この会合としては引き続きますので、第6回になりますが、新しい課題も含めて議論していくことになります。皆様方の御協力を得て実りのある成果を得ていきたいと思います。よろしくお願いします。

それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。

 新任委員の紹介が終わりましたので、(2)の検討事項についてというところに進みたいと思います。事務局からまず御説明をお願いいたします。

○大隈家庭福祉課長 事務局の家庭福祉課長の大隈と申します。よろしくお願いいたします。

議事の(2)検討事項についてですが、資料3「自立に向けた支援のあり方に関する検討事項等について」という資料に沿って御説明させていただきます。

まず、表紙をめくっていただきますと、「検討事項」ということで課題(1)から課題(4)まで記載しております。これが今回、自立支援ということで、その関係で新たに追加した課題でございますが、それぞれについて、この資料では、まず第1回目ということで、現行制度と現状について、以下のページでまとめさせていただいております。

次の2ページでございます。課題(1)は「児童の安全確保を最優先にした一時保護の実施について」ということで、その下に、趣旨として「迅速、確実な一時保護の実施と一時保護中の支援のあり方」ということでまとめさせていただいております。

これにつきまして、【現行制度と現状】でございます。まず、平成25年度の実績ですけれども、所内の一時保護が約2万1,000件で、うち児童虐待が1万件少し、47.5%、一時保護委託につきましては約1万2,000件で、うち児童虐待が5,38044.8%となっております。所内一時保護の平均保護日数は29.0日というのが平成25年度の実績です。

年間平均入所率が100%を超える一時保護所、これは平成25年1月から12月の間の一時保護所132カ所についての数字ですけれども、100%を超える一時保護所は6カ所、それから81100%の一時保護所は24カ所という現状にございます。

それから、一時保護の判断基準につきましては、子ども虐待対応の手引きの中で「一時保護決定に向けてのアセスメントシート」を示しておりまして、また、一時保護解除の判断基準といたしましては、同じ手引きで「家庭復帰の適否を判断するためのチェックリスト」を示しているところでございます。児童虐待を主訴として一時保護した件数のうち、施設入所または里親等委託した件数は28.1%、一方で、一時保護所からの帰宅等の件数は67.3%となっています。

これが25年度の福祉行政報告例の数字でございます。

それから、一時保護所の設置主体は、都道府県、指定都市等ということで、これが1つ目の課題の【現行制度と現状】でございます。

次の3ページは、課題の2つ目、「親子関係の調整のための取組」についてですが、その中で、その下にありますとおり、「児童相談所と施設、児童家庭支援センターの役割と機能」についてまとめてございます。【現行制度と現状】につきましては、今、児童相談所、施設、児童家庭支援センターそれぞれにおいて親子関係再構築の支援を実施しております。

施設におきましては、施設にファミリーソーシャルワーカーの配置義務化、それから心理療法担当職員の配置というのがまず1つございます。それから、平成24年3月に施設種別ごとに施設の運営指針、里親養育指針というのを定めておりまして、この指針の中で家族への支援について規定しているというのが2つ目でございます。それから3つ目ですが、その1年後、平成25年3月に、同じく施設種別ごとに親子関係再構築の支援事例集というのを作成して、実際に取り組んでいる事例を施設等の御協力をいただいてまとめております。それから、26年3月には親子関係再構築支援のガイドラインを策定するということで取組を進めておりまして、こうした形で親子関係の再構築支援を進めているというのが現状です。

児童家庭支援センターにおいても親子関係再構築支援を行うことが可能ということになっておりますが、あとは児童相談所と施設が連携の上で親子関係の調整を行う必要があるということですが、児童相談所で虐待の初期対応等がなかなか大変なところで、これに時間をとられるため十分な対応ができていないケースがあるのではないかという現状でございます。

それから、入所児童は必ずしも家庭復帰できる児童だけではないということで、その後にデータが書いてございます。児童の今後の見通し「保護者のもとへ復帰」ということで、これは乳児院の施設長の方に聞いた調査、平成25年2月の調査ですけれども、「保護者のもとへ復帰」というのは23.4%、それから児童養護施設の施設長に同じく聞いたところ、そういう見通しは27.8%ということでございます。

これにつきましては、資料4に関連の資料、社会的養護の現状がございまして、資料4の20ページに、このもとのデータがございます。平成25年2月の児童養護施設入所児童等調査、5年に1回調査しているものですが、これの赤い枠でくくったところの数字のうちの乳児院と養護施設を今こちらで御紹介しておりますが、ほかの施設についてはそこの資料にあるとおりでございます。

もとの資料3に戻っていただきまして、最後の○ですが、児童家庭支援センターを有効に活用している自治体がある一方で、設置していない自治体もございます。全69自治体のうち22自治体ということでございます。

続きまして、課題(3)でございます。「措置児童の確実な自立につなげていくため、施設、里親等に養育されている間に必要な取組について」ということでございます。これは、その下の分類として1、2とございますが、1が施設、2が里親についてでございます。

まず1でございますが、「施設として取り組むべき職業指導等のあり方と方法」、これにつきましての【現行制度と現状】でございます。施設職員は学校と連携して入所児童の進路指導を行っていただいております。職業指導員を配置いただいている施設では、この職業指導員が実習指導とか就職活動の支援を行っていただいております。それから、直接の就職支援以外にも、自立に向けた、社会人として巣立っていくに当たって必要な、例えばビジネスマナーとか金銭面の管理などについても、この施設職員がさまざまな指導を行う中で取り組んでいただいているという形です。それから自立につなげるという観点で、支援が必要な場合には、20歳に達するまで措置延長は可能ということになっております。

また、職業指導を行っていただいておりますが、直ちに就労に結びつかない場合もあり、職業指導員の配置施設も必ずしも多くないということで、平成26年で言えば、児童養護施設等の中で44カ所が職業指導員配置ということでございます。

それから、大学等に進学する入所児童が少ないということで、先ほど大臣の御挨拶にもございましたが、平成25年度末で高校を卒業した児童養護施設入所児童のうち、5月1日現在の進路について、大学等は11.4%、専修学校等は11.2%ということでございます。

それから、就職または大学等に進学したが、1年以内で離職したり退学したりする児童も多いということでございます。これはその下にデータがございますが、就職したが、1年以内で離職した児童等の割合は43%。これは中学卒業児童。それから、高校卒業児童については26.6%。これは全国児童養護施設協議会からいただいた調査結果で、平成24年の数字でございます。

調査のベースは違いますけれども、その下に全国の中学、あるいは高校卒業後、これは全体の話ですが、就職1年目離職者の割合は、中学卒業だと40.4%、高校卒業だと19.9ということで、少し低い数字になっております。

それから、大学等に進学した後に中途退学した施設入所児童等の割合についても同じく全国児童養護施設協議会の調査をお借りすると、年平均6.2%となっております。これも調査のベースは必ずしも同じではないですが、平成24年の文部科学省のデータでは、全国の大学等中途退学者の割合は2.65となっております。

それからあとは、18歳のところでの話ですが、一時保護中に児童が18歳に到達した場合におきましては、そのまま一時保護を継続すること、あるいはそこから施設入所措置を行うことができないというのが現状の取扱いとなっております。

措置延長を一旦行って、18歳を超えたという後に、例えば別の施設に措置変更できないかというと、それは今はできないという取扱いとなっております。

それから、次の5ページでございます。課題(3)の2で、今度は「里親や里親に委託している児童に対する支援」についての【現行制度と現状】でございます。

まず、里親支援ということについては、児童相談所、あるいは施設等の里親支援機関が担っていただいているということです。里親委託児についての自立支援計画というのは児童相談所が作成することになっております。あと、現場の声ということで、里親の方は委託解除されることを心配して、児童相談所に相談するのを躊躇してしまうという声も一部に聞かれるところでございます。

それから、4つ目のところですが、里親委託児につきましては、大学等への進学の割合が比較的高い。下にデータがございますけれども、平成25年度末に高等学校等を卒業した児童のうち、平成26年5月1日現在の進路ということで、里親に委託された児童につきましては、大学等は23.3%、専修学校等は20.0%ということで、その右側に児童養護施設の数字がございますけれども、それよりは高い数字にはなっております。

ただ、その下に学校基本調査ということで、全高卒者という形で言うと、それよりは低い数字となっております。

また、里親委託児は、大学等への進学の割合は比較的高いということではありますが、それに伴って、里親の持ち出しによる金銭的負担が大きいとの声も現場からいただいております。

それから、18歳過ぎた後、委託解除されても、里親と児童が関係を持って実家的な役割を担うというところですけれども、ここについては公費負担の制度はありませんので、金銭面の負担が大きくなるという声もいただいているところであります。これが現状でございます。

それから、課題(4)、最後の課題ですが、これも小分類として2つ設けております。1つ目は「自立援助ホームの機能や施設における居場所づくりの取組と工夫」ということです。自立援助ホームにつきましては、義務教育修了後の児童が20歳に達するまで入居できる事業ということで、就労しながら自立に向けた支援を行うというものです。平成2610月現在で118カ所ございます。次が児童養護施設入所児童等の場合は、先ほどと重なりますけれども、原則18歳未満ですが、20歳に達するまで措置延長することは可能ということです。

ただ、次のところですが、自立援助ホーム、あるいは児童養護施設等の措置延長の仕組みはいずれも20歳に達するまでの制度ということですので、20歳以上になると、児童福祉での支援というのは、入所という形ではなくて、生活とか就労についての相談支援ということで、次のページの退所児童等アフターケア事業のことですが、次のページで御説明させていただきます。

いずれにしても、相談支援のみということですので、取組が十分ではないという声もございます。

児童養護施設退所児童等についての支援として、まさに自立援助ホームへの入所はございます。ただ、ここは、最初に申し上げたとおり、就労しながらということが前提でございます。実際の自立援助ホームの入所児童で就労している児童は、もちろんいるわけですけれども、一旦就労したけれども、離職して、今は働いていないというような方も現実にはいらっしゃいます。

最後は【再掲】ですけれども、就職または大学等に進学したけれども、施設退所後1年未満で離職または退学する児童が多いということがここでの現状でございます。

最後、7ページでございますけれども、居場所づくりの取組と工夫の2つ目で、「施設退所児童のアフターケア」についてでございます。児童福祉法の児童福祉施設の各施設の定義の中で、退所児童等に対する相談、それから、その他の援助について規定されております。児童養護施設や各施設について、法律の中で、この施設がこれこれを目的とするものであると書いてありますが、それぞれの施設ごとに退所児童等に対する相談その他の援助を行うことは法律上は規定されているということでございます。

2つ目のところですが、退所児童等アフターケア事業というものがございます。こちらは、資料4の14ページに退所児童等アフターケア事業の資料がございまして、これは児童福祉や就業支援に精通したスタッフを配置して、ソーシャルスキルトレーニングとか相談支援、生活支援、就業支援を行うというもので、地域生活や自立の支援、退所した者同士が集まって意見交換や情報交換、情報発信を行えるような場の提供などを内容とするものでございます。

下のほうに図もございますが、生活面での相談というのが左側で、箱の右側につきましては、就業支援もあわせて行うことができるということで、これは都道府県、指定都市、児童相談所設置市が実施主体ではございますけれども、社会福祉法人等に委託して実施することも可という事業でございます。

その次のページに実際の実施状況がございまして、これが平成2610月の「退所児童等アフターケア事業実施状況」で、平成2610月で20カ所ということになっておりまして、そちらに掲げておりますような自治体で、それぞれ運営事業者、社会福祉法人であったりNPOであったりという形で取り組んでいただいております。

資料3の7ページ、もとのところに戻っていただきますと、2つ目の○が今の部分でございます。退所児童等アフターケア事業による支援を実施しておりますが、平成2610月で20カ所ということでございます。

それから、退所した後、引き続き見守り支援等が必要な児童につきましては、児童福祉法の指導委託ということで、児童家庭支援センターなどに指導委託も可能な仕組みにはなっております。

それから、次のところは施設につきまして、現に入所されている児童の支援が中心になっておりますので、本来、法律の規定上は行うことになっている退所児童等に対する相談支援が必ずしも十分に機能していないのではないかということでございます。

それから、次のところ、退所児童は全国にいる一方で、退所児童等アフターケア事業を実施している事業者は限られているということです。今現在、先ほどの資料にありましたとおり、20カ所ということもあり、あるいは地域的に特定の自治体にたくさんあったりというような形もあって、現時点では事業者は限られているということです。

それから、次のところですが、児童家庭支援センターに対する指導委託も取組に地域差があるのですけれども、全体としては数はそれほど多くない。平成25年の全国児童家庭支援センター協議会の調査をお借りすると、センターごとに指導委託を受けているのが、年0人から多いところでも年19人というぐらいの幅の中に入っているというのが現状でございます。

最後、これは【再掲】でございますけれども、20歳以上になると児童福祉での支援というのは、入所ではなくて、退所児童等アフターケア事業などの生活就労の相談支援ということになっていますので、日々、日常の生活支援という形になると手薄になっているというようなことで現状がございます。

それぞれの課題と、それの現行制度と現状について事務局としてまとめさせていただいた資料は以上でございます。

○松原委員長 ありがとうございます。

またこの会合が進みますと課題ごとに議論していきたいと思います。きょうは後ほど、こういう形で新たにスタートする1回目ということですので、前の期の1回目と同じように、各委員からそれぞれのお立場で御発言していただこうと思っておりますから、当面、今、事務局が説明いたしましたこのこと、資料3についての御質問があれば受けたいと思いますが、いかがでしょうか。

どうぞ、武藤委員。

○武藤委員 武藤です。

 ちょっと基本的な質問をしたいのですけれども、きょうここにいただいたペーパーで課題を出していただいて、それから制度の現状分析をしているということで、この中に出された内容で検討するということなのですか。もう少し広くいろんなことも入れていいというようなことで考えているのでしょうか。基本的なところの理解でお聞きしたいと思います。

○大隈家庭福祉課長 今回の課題(1)から(4)という形で、基本的に今回、自立支援、今までの、去年の11月までの流れ等を受けて、あと自立支援の課題として考えているものということで課題(1)から課題(4)という追加をさせていただいておりますので、基本的にはこの枠で御議論いただきたいとは思いますけれども、ただ、資料の中で現行制度と現状とかいう形で書かせていただいた範囲、この枠の中で、それ以外の側面もあるとか、そういう形で議論が膨らんでいくということはもちろんあると考えております。

○松原委員長 あくまでも事務局のほうで御用意いただいた課題ですので、派生的に出てくることがあるかと思うのですね。先ほど大臣が御挨拶でおっしゃっていらした母子生活支援施設も今回入っておりません。ただ、そこにも虐待を受けた子どもがいますし、母子生活支援施設と児童相談所の連携ということも課題になるでしょうし、自立援助事業ということで言えば、今、子どものシェルターも活動、少ないですけれども、始まっておりますので、そのことも話題になっていくのかなと思いますから、ぜひそれぞれの課題に紐付けて、各委員の持っていらっしゃる御経験や御意見を伺いたいと思っております。

ほかにはよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○草間委員 草間です。

 ちょっと伺いたいのですけれども、4ページのところで、施設、里親等に養育されている間に必要な取組についてのことですけれども、社会的養護を受けた方の全国的な実態調査はこれまでやったかどうか教えていただきたい。たしか東京都では23年の8月に報告を出されておりますけれども、国のほうで過去にあったかどうか、ちょっとお尋ねいたします。

○尾高家庭福祉課課長補佐 ちょっと正式名称を忘れてしまいましたが、セーフティネット補助金という補助金で全施設における退所後児童の実態調査を団体が行ったものがあります。厚生労働省のホームページのほうには載せているところであります。

○松原委員長 よろしいでしょうか。

 それでは、きょうは、いずれ全委員からはお話を伺うのですが、自立支援チームの第1回目ということですので、自立支援チームのほうに位置づけられている方からお話を伺い、その後、その他の委員の方からもお話を伺いたいと思っております。

 大勢いらっしゃいますので、前回の初期対応のときもそうだったのですが、お一人3分ということでお願いしたいと思います。目安ですけれども。余り長いようですとちょっと私のほうで言葉を差し挟ませていただきます。

 それでは、資料2のほうを見ていただいて、2枚目が自立支援検討チームになりますので、この名簿順に御発言いただきたいと思います。秋山委員からお願いします。

○秋山委員 秋山でございます。

私は、東京都の独自の事業かと思いますが、児童養護施設に専門強化チームというのが配置されておりまして、そこに属しています。専門家チームといいますのは、児童精神科医、作業療法士、心理士、言語療法士です。その中で私は小児神経科医として児童養護施設に行っているわけですけれども、そこで見た子どもたちに対して、発達の支援だとか学習の支援がまだ不足していると感じています。

また、同じ児童小児神経科医として行かれている先生からの話ですと、情緒障害の子どもたちに対して、環境調整ではどうしても難しいお子さんたちには、やはり薬物療法の治療も必要かというところで、そういう治療をするときに、保護者の承諾を得るのが困難な場合があるという難しさもあるようです。そのあたりも入所している子どもたちへの支援として取り組んでいただければと思っております。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

それでは、泉谷委員、お願いいたします。

○泉谷委員 泉谷でございます。

今、厚労省さんのほうからお伺いした2件、私のほうで今考えていることをお話しさせていただきたいと思いますが、1点目は、「児童相談所と施設、児童家庭支援センターの役割と機能」のところで親子関係調整のための取組をどうしていくかというところがありましたけれども、多分、親子関係を調整していく以前に、虐待をしている親御さんについては、親御さんの今までの成育歴ですとか、どうしてそういう事態に至ったかというところの親御さんの背景を探っていくという支援はとても重要かなと、実際に自分が支援していたときも感じていたところがあります。先ほど委員長のほうからお話もありましたが、実は今回メンバーに入られていませんけれども、母子生活支援施設のほうでは、母子生活支援施設の自立支援計画を立てるに当たって、お母さんの受けとめということをしていかなければ自立につながらないという形で支援を日々していらっしゃると思います。そういったところで、親子関係調整の取組以前に、やはり母親だとか父親、親をどう支援していくかというところの議論も1つしていくことは必要なのかなと思っていて、そこの示唆を母子生活支援施設の方々がされている市民の支援のところから受けることができるかなと考えているというのが1点目です。

それから2点目ですけれども、児童家庭支援センターの委託のケースが、非常に伸び悩んでいるところがあったかと思います。実際に私も児童相談所にいて児童家庭支援センターの方とお仕事をさせていただいたときに、どこまで児童家庭支援センターの方にお願いしていいのかというところがいつも悩むところとしてありました。この利用率を上げるというところを考えるときには、1つは、児童相談所で実際に業務をしている福祉司の皆さんに、児童家庭支援センターがどういうことができるのかという周知をどのようにしていくのかというのをもう一つ考えていく必要があるのかなと思いました。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、磯谷委員、お願いします。

○磯谷委員 自立支援に関して、もちろん子どもたちがしっかりと、ある意味、普通に働いていけることが理想ではありますが、現実にはなかなかそのようなことが難しいお子さんも多くいらっしゃるように思います。虐待を受けていると、心の傷があると言われますけれども、恐らくその後遺症といったところで精神的に不安定だったり心理的に問題があったりというお子さんがいて、そういう中で、この自立というのがなかなか難しくなっている。逆に言えば、そういうハンディを抱えた子どもたちも前提にして自立ということを考えなければいけないのだろうと思います。

2点ありまして、1つは、特に平成23年の法改正のときの、ある意味、積み残しではありますけれども、接近禁止命令の拡大という問題があると思います。現状では、28条で、施設に入っているケースだけ、接近禁止命令が使えるということで、しかし、どうも実際のニーズを見ると、施設を出た後、親がまたかかわってきて、結局親のところに戻ってしまうとか、あるいは少なくともそういう不安を抱えているとかいうケースを聞くことがあります。

これについては、当時から、必要ないという議論ではなくて、どこで、例えば20歳で線を引くのか、もっと上まで必要なのかとか、あるいは要件、判断をどうするのかといったところで詰めなければいけない議論がまだ残っている。そういうことで積み残しになったと思っているので、やはりここのところはどこかで議論しなければいけないと思います。

もう一つ、非常に大切なのは、見ていると、児童養護を離れた子どもたちが住むところでして、そういう場所はあるようでないですね。特に精神的な不安定さを抱えている方が安心して、サポートを得ながら住めるところというのがやはり不足していると思いますので、こういったところは議論していく必要があると思っています。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、木ノ内委員、お願いいたします。

○木ノ内委員 木ノ内です。

里親に委託されている子どもというのはやはり里親の努力によって自立支援をしているなあという感じ、先ほどのデータにもありましたけれども、最近は、20歳までの措置延長というのは国のほうの取組としてなされているわけですけれども、自治体によってさまざまなのですね。徹底されてない。それから、20歳までと言いながら、3カ月ごととか1年ごととか、小刻みに措置延長していくということもあったり、それから、20歳までの措置延長の中で、居所して、例えば里親のうちにいなければ措置延長しませんというようなことで、せっかくこういう大学に行きたいと言ってもなかなか通えないとか、そういう問題があったり、それから、進学支度金というのが、約30万ぐらいですかね、出ますけれども、それが出なくなるのですね。措置延長することによって。ですから、この辺なんかも、措置延長という中でもう少し細かく見ていくと、十分な配慮がされてないなということを思います。

それから、最近の報道によると、静岡県が、大学卒業まで、22歳まで自立支援に取り組むのだというようなことを言っておりまして、ちょっと参考になるのかなと思って見ております。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、草間委員、お願いいたします。

○草間委員 私のほうで気づいたのは3点申し上げたいと思います。

1つは、自立援助ホームが基本的には20歳ということです。ただ、問題を起こす人というのは時間軸って余りないわけですね。だから、どのように自立して、シームレスのケアをどうやって担保するか。これは大きな課題です。私はここで皆さんにいろいろ伺って勉強したい。そのシームレスの担保をどうしていくか。生活保護に切りかえていくのか、あるいは、既存でいくと厚労省のハローワークとかジョブカフェとの連携強化、こちらのほうを強化していくのか。いずれにしても、当事者にとっては余り関係ないわけですね。自立に向けての、こちら側の社会的サポートをどう担保していくのかというのが1つ課題かなと思います。その中でハローワークとかジョブカフェとの連携等があるだろうと思います。

2つ目が、私は自治体の首長をやっていましたので、児童家庭支援センターを設置してない自治体が22自治体あるということで、こちらについての働きかけの関与を強めていく必要があるだろうと思います。基本的には地方交付税等で財源措置をされるということですけれども、ここの部分は大きな課題になるし、それぞれの児童家庭支援センターのあるところでのセーフティネットの役割、これの強化にもつながるだろうと考えています。

3点目が、児童虐待等で入ってくる子どもたちというのは、長い期間、虐待による心理的な影響等をずうっと引きずってしまうということで、自己肯定感をどのように促進していくかというのが大きな課題です。その中で、心理職への活用も1つあります。あるいは、最近ですとライフストーリーワーク、イギリスで始まったライフストーリーですね。そういったものを活用する。こういったものが有効。いずれにしても、自己肯定感の促進をどのように図っていくか。これは児相と、あるいは保護者等々の連携が必要ではないかと感じました。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、菅野委員、お願いいたします。

○菅野委員 菅野です。

児童相談所の立場というよりも、私自身、心理司としてずっと子どもたちとか家族の発達支援をやってきたところから、少し考えていることを述べさせていただきます。

基本的に、虐待が典型的に権利侵害ということで、子どもたちの発達にすごいひずみを与えていくというところで、大きなテーマになっています。今、児童相談所はそういう問題の初期対応に本当に追われています。私は長いこと心理司をやっていて、介入後の子どもたちの育ちですね、そのことがすごく気になっていますが、手がつけられていない。本当はそこをやらなければならないのだけれどもできない現状というのがあって、ちょっと苦しい思いをしています。

介入後の部分で、施設さんであるとか、いろいろ機関のところにお願いできるところは、そこと連携をしながらと思うのですが、今回の検討に上がってこない在宅のまま、ひずみを抱えて社会的に自立していくという一群もかなり多いのですね。自立支援という意味からすると、思春期以降、これは多分20歳ぐらいではなくて、30歳ぐらいまでの長いスパンを考えなければいかんと思うのですけれども、そういう人たちの心のケアもありますし、それからソーシャルスキルですね。実際に技術的に身につけていくとか、そのようないろいろな課題があるのではないか。この自立支援の御議論の中から抽出して、いわゆる公的機関、公的援助の届かないところの子どもたちにも何か光が当たっていけばいいなあということを思いながら参加させていただきます。よろしくお願いします。

○松原委員長 よろしくお願いします。それでは、辰田委員、お願いします。

○辰田委員 辰田です。

私のほうからは、まず課題(1)のところにあります児童の安全確保を最優先にしたというところですが、一時保護の100%を超えるところが6カ所ということですけれども、実際の感じは、首都圏のほうは需要がとても多く、地方と違うのかなと思っています。その辺を一律に考えるのでなく、分けて議論していく必要があろうかなと思っています。そして、一時保護の決定、また解除について、正確な情報をどれだけ集められるか、5回までの会議の中でありました児童相談所が行う調査の回答の義務、そこの辺をきっちり固めていただいて、適切なアセスメントが行えることが必要かと思っております。

そして、今後、児童相談所のダイヤルの3桁化が行われる予定です。さらに児童相談所は初期対応に追われてくる中で、児童相談所と市区町村の業務の役割をもう一度見直す整理が必要と思っています。

あと、施設措置、また里親委託された子どもへの支援について、家庭に帰る子だけが家族再統合でありません。施設に入っている子どもについても、どのように親とまた交流できるようにしてくるのか、また傷ついたケアができるかというところ。児童相談所はそこまでの体制が十分ではありませんので、有効に機能できる体制づくり、また使える資源というのを考えていかなければならないかなと思っております。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、浜田委員、お願いいたします。

○浜田委員 浜田です。

自立支援という枠組みの中で申しますと、我々弁護士が、最近、親のいない、または親権喪失、親権停止等で親権を行使する人がいないような子どもに未成年後見人としてかかわることがふえてきました。何も弁護士に限らず、その他の専門職も含みます。広く親族以外の、我々のような専門職が未成年後見人として、その子の自立支援だったり、その他全般的なサポートに当たるという機会が明らかにふえてきていると理解しています。

今回の議論と直接絡んでくることかどうかもわかりませんけれども、我々弁護士のような、民間にいて、児童相談所でも施設でもなくて、行政機関でもなくてというところでそのようなかかわり方をしているというところにもスポットを当てていただけるように、この会議の中でもそこらの実態をお知らせしていきたいと思いますし、そのような幅広の議論をこの自立支援のお話の中でさせていただければなと考えています。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、平井委員、お願いいたします。

○平井委員 私のほうからは、児家センと自立援助ホームの立場から少しお話を差し上げます。

児家センのほうはいろいろとここの定義のところにも出てまいりますが、今、児家セン、全国で105カ所なのですね。今なかなか伸び悩んでいるところもございますが、先ほどの話もありましたように、一応児童相談所1カ所に1つぐらいは必要だなあと。児家センというところは、やはり気軽に地域からの相談を受けられるという利点も1つあるということ。それともう一つは、要対協への参加はしているのですが、行政からの要請とか、それが積極的になされてない部分もありますので、その辺も絡めてうまく機能できるようにしていっていただきたいと思っております。

それとあと、家庭調整というか、親子関係の調整等のことも出てきておりますが、児家センは、多くは施設退所後の親子関係というか、調整、また地域で発生した要支援家庭の支援を行っている状況が結構ございます。そういった意味では、児家センというところは世帯全体の支援、世帯支援を行うというような意味でも、皆さん活躍されているところでございます。

それとあと、児家セン指導委託、児相の指導委託のことが出てまいりますが、これは児相との関係等々や調整がちょっと難しい面がありまして、先ほどのデータでも、少ないとやはり0件、多くて19件というようなデータが出ているように、児家センとしましては、極力そういった児相の指導委託も受けていこうという気持ちはあるのですが、児相との絡みというのは今なかなか難しいという地域もございます。

あと自立援助ホームのことに関してですが、自立援助ホームは最終的に20歳までが措置できるようになりましたので、児童養護施設は20歳までの措置延長、自立援助ホームは一応19歳で入ってきても措置ができるということで、その辺は以前と比べて、そういった年齢の高い子どもたちの自立支援には十分活用できると思いますが、20歳以上になった場合、自立援助ホームの、ある意味ボランティア的、ホームによっては年齢超過の子ですね。それは拠出の関係もございますが、スペースがあればそこでアフターケア的に面倒を見ているという状況もございます。

あと、自立援助ホームに入所してくる子どもというのは虐待含めていろんな問題を抱えておりまして、就労が前提なのですけれども、今、就労以前の問題を抱えている、就労まで行き着かない子も結構おりまして、自立援助ホームに入所してくるのですが、就労に至るまでがなかなか時間を要するという子どもたちも結構います。

それともう一つは、施設関係も含めて中退ケースがほとんどです。この高校中退をできれば養護施設の側で何とか防ぎたいと思うのですが、そういうわけにいかず、やはり中退ケースが多いということは、そこでまた1つ、援助も必要ですけれども、行き場を失っていくという状況も結構目立つところでございます。そんなところで、就労につなげるための一応自立援助ホームがあるのですけれども、自立援助ホームの機能も少し見直しが必要かなというところもあるかと思います。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、平田委員、お願いします。

○平田委員 乳児院での一時保護ですが、乳児院は2歳未満のお子さんであれば一時保護で預かることが多くあります。ちょうど全乳協で平成25年度に乳児院で一時保護でお預かりした子どもの実態調査を行いました。まだ、調査データを精査していないので大枠しかお話しできないのですが、大体毎年2,000件超の一時保護児をお受けしていて、その約半数が委託解除になり家庭等に帰っています。その委託解除の判断のときに、「自信を持って帰した」との回答は5.4%でした。「家庭復帰の目途がついたから」と、「不安だけれども帰した」と、児相の判断で帰したような状態がみえます。これは実際現場での体験でみると、親御さんの申請理由については一応解決しているように思うが、子どものほうから検討すると、この育て方だと次に課題が出てくるのではないか。もう少し関係機関が支援に入ったほうがよいのではないかというケースが結構あるということです。児童相談所の今の業務の多さを考えると、虐待であれば介入しやすいけれども、要保護とか見守りの時期に介入する難しさなのかなと感じています。

それに、親子関係のところでは、現在、精神疾患等を抱えた親御さんたちが増えているときに、乳児院が支援するときの大きな課題は、親御さんが子どもの成長・発達に応じた子育てを学ぶ場所や機会がないことです。子どもが赤ちゃんのままでずっとミルクオンリーで育てばよいですが、次に離乳食、幼児食と形態が変わります。これを地域の保健師さん等が指導に入るのですが、その指導のみでは親御さん自信の日常生活を変えていくことの難しさがあるという現実です。ある意味で上手に施設などの関係機関を使いながら2年3年と見守りに入れば、多分やっていけそうな家族が多くあるのに相談等の支援途切れていくという現実が結構あると思います。

そういう支援をするとき、市町村の窓口と児童相談所と県の窓口の連携がなかなかうまくいかないことも多く、親支援と子どもへの支援が手を結ぶことが非常に難しいこと、もうひとつは、福祉事務所との連携をとるのも非常に難しいケースによく出会っています。縦関係の行政を超えて連携できるようにする必要があると感じています。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございました。それでは、藤川委員、お願いします。

○藤川委員 大隈課長から御説明ございました7ページの課題(4)の2、施設退所児童のアフターケアというところがございます。私どもの法人はまさしく施設退所児童のアフターケアをするためにできた法人です。施設を出て自立につまずいて、やがて、ホームレスになってしまった子どもたちなどの相談事例に日々格闘しているという現状なのですけれども、それらの多くの事例の中から見えてくる、自立できない、失敗してしまう子どもたちの課題って一体何なのかと。少年院鑑別所とか少年院送致になる子どもたちも少なくない中で、本当にこの子たちに適正な自立支援というのがこのたびの委員会で先生方の御意見から見えてくればありがたいと思います。実はこの委員会ではできる限りの私どもの相談の事例、実情、もちろん発達障害の子もおりますし、そうでない子もおりますし、うまく頑張って自立している子もいれば、そうでない子どももいる、少年院からとうとう刑務所まで入ってしまっているといういろんな成功事例、失敗事例、たくさん事例でございますので、それをこのたびは御紹介させていただければいいなと思っています。

 以上でございます。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、卜蔵委員、お願いいたします。

○卜蔵委員 卜蔵です。私のほうからは3点ほどお話しさせていただきたいと思います。

1点は、先ほど木ノ内委員のほうからもお話あったことと少し重複するのですけれども、ファミリーホームも、里親家庭と同じように、措置解除になった後もファミリーホームの中で支援しているということが多いわけですけれども、ファミリーホームは第2種社会福祉事業ということであるわけですが、その中に、施設がアフターケアというのはその事業役割の中に入っているわけですけれども、ファミリーホームについても、例えばアフターケアを1つきちっと明文化した中で、子どもたちのアフターケアというのもファミリーホームが行うということを明記していただくと、子どもたちの自立について、事業があるがゆえによりやりやすくなるのではないかということをファミリーホームの中で思っているところです。

それと、これから自立支援というのを考えていくときに、現行制度の枠組みの中でできることと、あるいは制度を新しく変えたり法律を変えたりしなければならないところがあると思うのですけれども、制度の運用を変えるところですぐにでも手をつけられるところがあるのかなと。例えば先ほどの措置延長なのですけれども、平成24年だと思いますけれども、措置延長の積極的活用ということで通知を出していただいて、そこで、かなり多くのところで積極的に行われるようになったと思うのですけれども、ただ、いまだに基本的に措置延長はなしというところと、より積極的に活用されるようになったところの地域格差が非常に大きいと思うのですね。せっかくいい制度があっても、それを運用するところがどういう姿勢をとるかというところでかなり大きな違いが出てくると思いますので、そこの運用を変えて、すぐにでも対応していくことが必要なのかなあということを強く思っているところです。そういう意味では、各自治体の自立支援の本気度といいますか、そこが制度の中で試されてくるのかなと思っています。

それと、直接的なここでのことではないと思いますが、私、被災地に行って、震災後、震災遺児、孤児の大学の進学の支援ということで、多くの大学で、例えば授業料の減免であるとか、入学金の免除とか、そういったことが行われてきました。それと同じように、やはり社会的養護にある子どもたちの例えば進学支援とかそういったところの必要性というのを広く、こうした議論の結果を踏まえて社会にアピールしていくというか、認知していく必要があるのかなと考えております。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、武藤委員、お願いします。

○武藤委員 まず、基本的な考え方なのですけれども、現状からすると、この自立支援に向けた取組が、各地域、それから各施設で最も格差になっているところなのではないかと思っています。運営指針をつくったりハンドブックつくったりして、最低こういうことを目指しましょうよとするのですが、でも、現実的にはやはり、この自立支援に向けた取組というのが社会的養護の現場で格差が生じていると思いますので、この委員会を通じて、その差、格差をなくすというのですか、そういうことも含めて大胆な問題提起をしたほうがいいのではないかということを感じています。

 あと具体的なところですけれども、3ページの児童家庭支援センターです。先ほど平井委員からあったように、将来的には、この児童家庭支援センター、私たちは通称「児家セン」と言っているのですけれども、これを全施設に標準装備するというのですか、付置するというような方向性で「社会的養護の課題と将来像」では出しているのですけれども、まだまだ、ここのところの進捗状況からすると、非常にみんなつくることをちゅうちょしているような気がします。

いずれにしろ、子育て支援だとかアフターケア、自立支援、それから里親支援も含めると、この児童家庭支援センターをもっと拡充するということをやっていかなければいけないのではないかなということを日ごろから感じていますので、そういうことも少し、具体的にどう拡充するのかということなんかも検討の課題ということで入れたほうがいいのではないかと思っています。

 それから、3番目の4ページの自立支援の取組なのですけれども、ここでは主に職業指導等ということで、「等」がついているから構わないのですけれども、職業指導というところが主に挙げられているような気がするのですけれども、ここはもう少し膨らませて、さまざまな体験といいますか、さっき草間委員がおっしゃっていたように、自己肯定感を育むようなことも含めた自立支援の定義を考えた方が良いと思います。それから、学習指導についても学力向上だけでなく、広く生きていく力というのですか、そういうことも含めて広げた意味での自立支援をどう各施設や里親が展開するのかということについても、具体的な成功事例だとかも含めて出していくといいのではないかなと思っています。

 それから、大学進学の問題については、大学4年生まで公費で全てを賄うということはなかなか難しいと思うのですけれども、公費助成のあり方を検討するとともに、それから各施設で今後社会貢献だとか地域貢献をしなければいけないという社会福祉法人のあり方の検討とも相まって、もう少し大学支援をする資金、そういうものを具体的にどうするのかということについても問題提起できるといいのではないかと思います。

 それからもう一点は措置延長のことなのですけれども、これも私が個人的に調べたところでは、今、250名ぐらいということですけれども、だんだんふえてきていると思いますので、この措置延長の実態をしっかり調査して、今後どうあるべきかということについても提言できていいのではないかと思っています。

 それから、就職と大学支援というのがあるのですけれども、もう一つの層として、ひどい虐待を受けた子どもたちだとか、非常に重い障害を持っている子どもたちなんかも結構児童養護施設等に、今、措置されて来ているのですね。いわゆる自立が難しい子どもたちの出口のところというのはまだまだ十分な対策が講じられてないのですね。そういうことで、そういうことも含めて検討したほうがいいのではないかなと思いました。

 いずれにしろ、現状について調査もしながら、ここに抜けているところも補強しながら検討したほうがいいと思います。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

それでは、まずは出席された委員全員の方にお話を伺いたいと思いますので、一旦ここで、名簿上では自立支援のほうの検討チームの委員の方の御発言を終わるのですが、引き続いて御発言をいただきたいと思います。

岡井委員からお願いいたします。

○岡井委員 私は日本産婦人科医会を代表して来ております。ここに参加している理由は、委員の先生方は御存じだと思いますが、0歳児で虐待により死亡されるというお子さんの場合、0日、出産したその日のうちというのが全体の17%も占め、それも母親が加害者であると言うことからです。その中の70%ぐらいは望まない妊娠で出産したケースということがありますので、その妊娠中から母親に対して、出産後に支援が必要な人を早目に認識してこちらが支援していくこと、すなわち、産婦人科医師が対応を早くすればそういう事例も防げるケースが出てくるのではないかということで、切れ目のない対策でしたか、そういうタイトルがついたところのスタートの部分を担っているというわけです。

 産婦人科医会としましては、27年度の医会の事業の柱の2番目に挙げているのが、妊産褥婦のメンタルヘルスケアの充実です。妊婦健康診査のときに、産科医師、助産師がより強い意識を持ってメンタルヘルスに関して診ていこうではないかと、そういうことを一般の産婦人科施設等にも啓発し、実際にそのための活動をしていくというのを挙げています。

 それからもう一つ、私たちのところに投げられてくるのは、望まない妊娠というものをどうして防いでいくかということになりますが、この件に関しては実は思春期の教育がとても大事でありまして、その点について、日本産婦人科医会と日本産科婦人科学会、それから周産期新生児学会、母性衛生学会等8つの学会が下村文科大臣に宛てて、もう少し思春期の教育、平たく言うと性教育ですね、それをもっと日本はしっかりやってほしいという要望書を提出する準備を今しているところであります。

 というのは、外国と比べてみますと、日本では本当にそういう望まない妊娠を避けるために必要なことをきちっと教えていないという事実があって、教えようとしても、どうも文科省が余り積極的にならないという現実があるので、それを打破しないとまずいということでそういう動きをしています。

 これらが私から皆さんに御報告することです。以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 岡井委員のところと少し重なるところもあるのかもしれないですけれども、子どもたちが、自分たちが家族をつくって、そして子どもを産んで育てていくというときに、どこに相談できるのかというところが恐らく見えてないのだと思います。何回もこればかり言って申しわけないのですけれども、思いがけない妊娠窓口「にんしんSOS」では、匿名で受けていますが、施設の出身の子の相談もあります。。妊娠して、どのようにしたらいいかわからない。2人ともお互いに全然相談する親すらいないというような相談もある中で、私たちは地域の保健師さんに、体のことから相談に乗ってもらえるということでつなげてはいるのですけれども、それをもうちょっと、施設の中にいるとき、あるいは、形は何でもいいのですけれども、自立援助ホームとかいろんなところにいるときでも、自分の体に気がつく、体に関心を持つ、大事にする、相談する、自分たちは支えられているんだという思いをもてるよう、体のこと、それからあと子どもを産み育てるところという切り口で追加していただきたいとすごく思います。

私は簡単にそれだけ、1点だけです。

○松原委員長 ありがとうございます。中板委員、お願いします。

○中板委員 保健師の立場から、本日のテーマに沿ってお話をさせていただきたいと思います。

 まず課題の(1)のところですけれども、先ほどもお話がありましたが、乳幼児の一時保護の解除について、家庭復帰の適否を判断するためのチェックリストがございますけれども、こちらのチェックの後、家庭復帰した後に地域の中ではどのような課題を抱えながら生きていくのか、どのような課題を抱えながら乳幼児と生活していくのかということを、地域の中で共有して、そのリスクを背負いながら生きていくということを支えるためのネットワークという形で支援のアクションプランを要対協等々としっかりとできるということが理想だと思います。そこがまだまだ不十分ではないかと思っている点がございます。

 また、自立支援について、被虐待児が自立していくことの困難さを大前提に考えていかなければならないと思っております。そういったお子さんたちが地域の中でセーフティネットの中に守られて自立していく道筋というものと、自立するための期間というところを、私たちがどれだけ考えながら支えていけるのかということについては再度考えていきたいと、個人的には皆さんのお話を伺いながら思いました。

 自立援助ホームがございますけれども、先ほどのお話にもありましたように、就労しているということが一応原則になっています。自分で勉強しながら進学を目指している、あるいは資格を取得したくて勉強している、そういった人たちにとっては利用することが難しい現状にあります。そういう中で、シェルターもとても数少ないわけですけれども、そのシェルター等を頼りながらそちらに行く。そういった中では、セーフティネットと考えたときに、シェルターそのものが不足している。これがビジネスモデルには、とてもではないけれどもなり切れないというところでは、やはり財政支援をしながら、シェルターみたいなところをしっかり広げていくということも1つ必要ではないかと考えます。公的サービスのすき間を埋めるとても重要な位置ではないかなと思ったところです。以上です。

○松原委員長 ありがとうございました。さまざまな御意見が出て、今後の議論に非常に参考になる御意見をいただけたと思います。

私も委員の一人として少し発言させていただきますが、まず一時保護の課題が挙がっていまして、これもすごく大切な部分だと思います。資料にもありますように、一時保護のうち半分は虐待以外の子どもが保護されているのですね。そういう子どもと、さまざまな、これは非行関係の子どももいますし、被虐待児童を一緒に処遇できるのか。それから、これは100%超えているいないにかかわらず、生活環境が整っているのか、虐待を受けた子どもは本当にほっとする場であるのかどうかということは一度きちっと議論してみる必要があるのかなと思います。

それから、2点目ですけれども、何人かの委員からも御発言がありましたが、親子関係調整の場合、親が変わるということは非常に重要で、施設等で、あるいは里親さん等で非常に大切に育てられ、子どもが成長しても、親のほうが変わっていないと、家族再統合のところでうまくいかないということで、分離後の在宅支援をどうするかというようなところも非常に大切なのかなと思います。

それを考えますと、どこがやるのかということで、私は、児童相談所、児童養護施設それぞれ応援していくための児家センも非常に大切だなと考えておりますが、今、非常にネットワークが強調される中で、乳児院、児童養護施設等が意外と、少し過激な言葉を使いますと、孤立しているのではないか、さまざまな地域の支援のネットワークの恩恵を受けていないのかなあと思うのですね。そこを進めようとすると、二重措置の問題になって、うまくいかないところもあるのかもしれません。

例えば学童保育、児童養護施設の子どもが利用できるかどうかというようなことも課題になってくると思いますし、幾つかそのように、施設、里親さん等を応援する、特に里親が最近強調されているのですが、逆に施設はそこのところが割合と抜けているかなと。先ほど秋山委員が東京都の専門機能強化型の施設のお話をされました。やはり一定の効果があって、施設を応援することによって施設側は楽になっている、これは確かにあるところで、何ができるのかということを考えたいなと思いますし、中板委員もおっしゃっておりました課題(4)のところではシェルターのことも少し考えてみたいなと思っております。

さて、皆さんの御協力によって、今までの各委員からの御発言を受けて、御意見のやりとり、あるいは事務局への御質問、あるいは説明に対する御意見、あるいは、例えばこんな資料があればいいなあというような御要望等をお聞きできる時間、少し残せましたので、これから先は、順番にということではなく、手を挙げて、私のほうで指名させていただきますので、どうぞ御自由に御発言をお願いしたいと思います。

どうぞ。

○木ノ内委員 木ノ内です。

 先ほど自立支援関係のお話で措置の延長というお話をしましたけれども、養育の現場といいますか、養育環境の問題で言うと、里親の場合に、被虐待児の場合には専門里親という制度があるのですけれども、これがなかなか十分機能していない。圧倒的にやはり被虐待児童のほうが多いものですから。ですので、専門里親の制度といいますか、種類を見直す。例えば養育期間が2年ということになっているのですね。そういう問題を見直すとか、それから、養育里親が被虐待児童を見ているということもあって、その辺の問題がちょっとあるかなと思うのと、それからもう一つ、里親のもとに早期委託といいますか、早い段階で委託があれば絆がしっかりできるのですけれども、今非常にふえているのは、高齢児童といいますか、高校生あたりで来て、措置解除のときに里親が支援してあげるということがなかなか。それが幼児とかいうところから養育していれば、やはり人ごとではないので力になりますけれども、そういう高齢児の委託が最近ふえているというのもちょっと気になるところです。

○松原委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○草間委員 私のほうで2つあります。この中では出てこなかったのですが、私は首長在任中、児童福祉を専門にしていましたので、要対協の強化を図れたのですけれども、これは各自治体間でバラつきが出てしまっています。これをどのようにある程度レベルアップしていくか、これは大きな課題です。

バラつきの要因は、1つには行政機構の問題があります。専門職性が確立されていない。それから、人事異動があって、全く素人が担当者となってしまう。こういう実態がある。このような中で、要対協に対する首長の理解が低い。私は厚労省からプレッシャーをかけられたことがあって、児童福祉専門官を任期制職員で採用したり、要対協の毎月開催、研修会実施などを講じてきました。

 児家センと児相と、それから要対協をうまくリンクさせていくというのがセーフティネットとして役割は1つあるなと思います。

もう一つが、今から7年半前ですが、当時、村木審議官から、私が厚労省に招かれて虐待の防止策ということでお話ししたことがあります。これはソーシャルアクティブの世界になるのですが、虐待というのは発生してから対応すること、つまり事後対応が特色ですね。誰が起こすかわからないという不確実性の問題にどう対応するか。生活保護も同じです。誰が起こすかわからない。そのときに、児童福祉施設、乳児院とか養護施設とか保育園とか、あるいは幼稚園、歩いていける距離にあるところで、子ども服リサイクルショップみたいな、いわゆる子どものグッズをやりとりする市場をつくることによって情報をキャッチしていく。そういうコミュニティマーケットみたいなものの子ども版をつくって、そして、子育て家庭の子育て情報や実態を早期に把握・発見し、早期介入できるような仕掛けというのがモデル事業としてあったらいいのではないかと考えております。

 これはこの議論とはちょっと違いますけれども、繰り返しますが、要対協のここの部分の働きかけ、どのようにしていくかというのと、コミュニティマーケットというのですか、早期介入する仕掛けをどうしていくかというのも未然に防ぐという大きな水際作戦としては、必要ではないかなと考えています。

○松原委員長 ありがとうございます。泉谷委員、手を挙げていらっしゃいました。

○泉谷委員 泉谷です。

 先ほど平井委員のほうから高校中退の話があったかと思うのですが、高校中退に関しては、もちろん施設の方の御努力もあるかと思いますが、高校にスクールソーシャルワーカーを設置するということも今後1つ議論として出てくるかと思います。きょう新聞報道で、川崎の事件を通して、大阪府立大学の山野先生が、中学校とか高校でのスクールソーシャルワーカーの活用のことについて意見を述べていらっしゃいましたけれども、学校の問題というのは学校のところでやることもあるかと思うので、学校のところでソーシャルワーカーを受け入れてくれるかという基盤の整備等も必要なのかなと思います。自立ということを考えたときには、そういった社会資源の一つとしてスクールソーシャルワーカーということも考えていかなければいけないのかなと思います。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○菅野委員 失礼します。菅野です。

 一時保護の話を少ししておこうかなと思います。今、うちの児童相談所で言えば、人口規模が55万ぐらいのところで定員が12名ぐらいです。最近多いのが、逮捕、それから親の入院ですね。そういう形で、いわゆる虐待の介入というよりも、あした生活できないという状況に追い込まれた子どもたちがガサッと入ってきたりするのですね。そこで一定の枠をとられてしまいます。それが多分、ここに挙がっている児童虐待ではない。でも、ある意味、貧困であったり、環境的にはまずいという意味では、広い意味では不適切な環境下にいる子どもたちですけれども、統計上は多分虐待に分類できないところの子どもたち。この子たちも実はケアが必要ですし、不起訴になって出てきたからすぐ帰せるというわけでもなく、ケースワークをしながら、安全な養育についてサポートして帰していくということもするわけですね。

今、実を言うと12名のままでずうっと続いていて、一時保護委託を6人ぐらいしています。それはファミリーホームさんにもお願いしているし、里親さんにもお願いしているし、施設さんにもお願いしているという状況の中でどうにか切り抜けていっている。綱渡りのような状況でやっていますし、1つ大きな出来事、事件があったら、どこへどのように子どもたちの安全を確保しようかというところで日々悩むというところがあります。

 もちろん、滋賀県の特徴として、児童人口に対して、施設で預かれる、人数が少ないというせいもあって、里親さんとかファミリーホームさんにかなりお願いしているという実情があります。ただ、実際に里親支援というところでかかわっていくときに、里親さん、地域で暮らしています。その地域で暮らしている里親さんが難しい子どもさんを面倒見てもらうわけですね。

ですから、そこで暮らしている里親さんをどう応援するのか、地域の理解をどうつくっていくのか、大きな課題になっているのかなと。委託のときに関係機関に集まっていただいて応援会議をする取り組みを頑張ってやっています。なかなか一筋縄ではいかない子どもたちですし、御苦労いただくことも多く、サポートしきれないところもあって、とんでもない子の委託はどうしようかなと悩むときも多くあります。

 さっきの発言はどっちかというと児相長らしからずというか、心理職としての話でしたが、児相の中にいて、周りの職員たちの動きを見ていて今思うところというのをちょっとだけ披露させてもらいました。

○松原委員長 ありがとうございました。ほかに。

辰田委員、どうぞ。

○辰田委員 今、一時保護の話が出ましたので、ちょっと話が膨れてしまって申しわけありませんけれども、今いろんな事件が起きていく中で、思春期のお子さんが、きょうだいだとか、知人とか、殺したくなってしまうという、そしてまた、自傷など、家庭での養育は厳しいと警察等から、通告を受けます。でも、医療機関のほうは、入院の必要はない。結局どこで受けるかというと児童相談所。でも、福祉的な一時保護の枠組みの中でそれが果たして十分な安全確保できるかというと決してそうではないのです。では医療機関のほうで一時保護委託を受けてくれるかというと、なかなかそこも厳しい。今、そういった医療の必要な子どもについての一時保護のあり方もあわせて検討していくことが必要かなと思っています。

○松原委員長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。

 どうぞ、平田委員。

○平田委員 今後のネットワークということで、福岡市で、NPO主催で、精神科医と小児科医、シェルター、弁護士と施設、里親さんというネットワーク会議に参加したときに、乳児院からは精神疾患を持つ親御さんの情報共有や、支援方法のやり取りができる、また産婦人科の方だと、先ほどのお話にも出ましたが、今、精神科業界でやり始めたことを教えてくださり情報共有できました、支援にかかわる人たちが同じテーブルに座る機会が、それぞれの地域であると、支援の輪が広がりやすいという話でした。ぜひ、このような機会に各地域でそのような場が持てるよう検討いただけるといいなと思います。

 もうひとつは、一時保護は、やはりアセスメントをどうするかが課題だと思います。親と子それぞれと、あとは関係性アセスメントができると、虐待ではなくても、要支援でどのように組み支援するかが見極められるように開発していただけることを希望したいと思います。

○松原委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。

 武藤委員、どうぞ。

○武藤委員 自立支援のことで、今回の川崎での事件ではありませんけれども、中学生、高校生時代の自立というのですか、そういう部分について、非常に困難な問題もいろいろ抱えている世代というか、家庭というか、子どもたちというか、そういうのは結構ふえているような気がします。自立援助ホームなんかも、施設から来る子どもたちよりも、今、一般の家庭でなかなか自立ができなくて、直、一般の家庭から自立援助ホームに来るという子どもたちも多くて、いわゆる中高生世代の自立をもっと幅広くやるシステムというのですか、そういう検討も行うべきだと考えます。仮にここの中で自立援助ホームがそういう機能を果たすということであれば、今のホーム数では全然足りないし、全国各地にどのぐらい必要なのか、それからどういう機能が必要なのかということをもう少し幅広で考えていかないといけないのではないかと思います。

今までは、施設を出た子どもたちで、なかなか自立できない子どもたちのための援助ホームがあったというような色合いが強かったのですけれども、どちらかというとそういう一般の家庭の子どもたちも受け入れていることが多くなりつつある現状にあり、さまざまな課題を抱えている子どもたちに対応するということであれば、もうちょっと今の自立援助ホームの機能でいいのかどうかということは検討していっていいのではないかなと思います。

 もう一点はアフターケアのところで、私も児童養護施設の現場に長くいるのですけれども、施設によっては、平均勤続年数が3年とか4年ぐらいしかないという施設も実はあるのですね。先ほどどなたか言っていたように、アフターケアというのは人の問題なのですね。だから、関わる機関も必要なのですけれども、この人に相談したいという部分があって、在園中に関わった人が長期的にかかわれるような条件づくりをしていくのかということもとても大事です。アフターケアは量的でなくて、質的な拡充の中で、長期的に人材を定着させるということなんかも含めて検討する必要があります。それから、施設が実家的な機能を本当に果たせるのかどうかということなんかも含めて、機能充実のためにもう少し具体的な問題提起を今後していきたいなあと思っていますので、そんなことも論議の中に入れていただければと思っています。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょう。

 お願いいたします。

○平井委員 今、武藤委員のほうから自立援助ホームのことが出ましたので、言われるとおり、自立援助ホームのほうは児童養護施設等の出身の子どもたちは大体6割ぐらいですかね。あと4割ぐらいは家庭から何らかの親子関係不調とか虐待を受けて、女の子なんか、性虐待を受けて入所してくるケースも結構あります。女の子も男の子もあれなのですが、うちでのケースも結構今はあるのですが、やはり高校生ですね。先ほど高校中退と言いましたけれども、極力、自立援助ホームに入るがゆえに、学校をやめて就職というような感じのケースも結構多かったのですけれども、今、女の子の虐待のケースなんかは、高校3年生で、もう18超えているのです。誕生日が早いものですから。

これは前からくどいように私も言っているのですけれども、そうすると、児相、措置できないのですね。児童養護施設には。結局、自立援助ホームのほうは、先ほど申し上げたように、一応20歳になるまで措置ができるものですから、そこで措置を打って、高校生活、最後送らせて、そこから就職という形にする。

そうするとどういうことが起きるかというと、通常、先ほど言ったように、就労を前提としているということで、通常の子は何らかの形で仕事しながら、自立援助ホームは一般生活費は少ないものですから、ですから、食費等の利用料は入居者からとっているわけですね。そうすると、働いている子は何とかお金を入れることはできるのですけれども、高校、全日で通っている子なんかは、学校終わってからアルバイトだけでもう精いっぱいで、それでほかの入居者と同等にお金を、今、全国、平均3万円ぐらいなのですね。利用料というか、食費等がほとんどなのですが。それも賄っていかなくてはいけない。結構きつい状況に追いやられて、そこでまた、下手したらつぶれるというケースもあります。

ですから、何らかの形で、私、自立援助ホームの機能の見直しと先ほど言いましたけれども、そういったところも含めて、18歳を超えて児童養護施設に措置ができるのかできないのか。では、もう自立援助ホームしかないと、自立援助ホームの措置で救えないのかと、こういった問題も発生してくるのですね。ですから、前々からいろんな方も申し上げているように、学年というか、18の年度末、20歳の年度末、ここまでは何とか措置という形で、そこから、養護だったら措置延長とかですね。自立援助ホームも22ぐらいまでは措置延長という形を本来ならとってもいいかなと思いますけれども、この辺はまた議論しながらと思っています。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございました。大体よろしいでしょうか。

それでは、いろいろ御意見をいただきまして、今後またいろいろ深めていける課題もいただけたかなと思っております。

それでは、次回の日程について、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○尾高家庭福祉課課長補佐 ありがとうございます。

次回の専門委員会の日程につきましては、各委員の日程をお伺いし、できるだけ早い日程で開催したいと思っております。決まり次第御連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○松原委員長 それでは、本日の専門委員会はこれにて閉会といたします。御出席の委員の皆様、どうもありがとうございました。


(了)

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