ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会)> 第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録(2015年1月15日)




2015年1月15日 第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成27年1月15日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用15・16会議室


○議事

○石田室長補佐 それでは、定刻になりましたので「第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。

 本日は、御多忙のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。

 続きまして、出欠状況について御報告いたします。

 本日は、蒲生委員、福島委員から御欠席の連絡を受けております。また、沼尾委員から、おくれて来る旨の連絡を受けております。

 現在、委員17名のうち14名の方々に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 また、阿真参考人と筑波大学小児科教授の須磨崎参考人にも御出席をいただいております。

 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表、資料1~11、参考資料1~5と、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配付資料一覧と御確認いただき、不足の資料等がございましたら、事務局にお申し出ください。

 申しわけありませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○石田室長補佐 それでは、ここからの進行は岡部分科会長にお願いいたします。

○岡部分科会長 おはようございます。天気は悪くなる中ですけれども、お集まりいただいてありがとうございました。きょうは、第6回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」ということで開催しますので、どうぞ活発な御意見をよろしくお願いいたします。

 それから、参考人として阿真参考人と須磨崎先生においでいただいて、お忙しい中、ありがとうございます。

 それから、会議の途中ですけれども、2名の傍聴人の方から発言を申し込まれているので、おいでいただいてありがとうございました。後ほどお話を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、最初ですけれども、事務局から、この審議参加に関する遵守事項についての報告をお願いいたします。

 事務局、どうぞ。

○石田室長補佐 審議参加の取り扱いについて御報告いたします。

 本日御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請資料への関与について申告をいただきました。各委員、参考人からの申告内容については、机上に配付しておりますので、御確認いただければと思います。

 本日の審議事項は、B型肝炎ワクチン、財団法人化学及血清療法研究所、MSD株式会社、日本脳炎ワクチン、財団法人化学及血清療法研究所、財団法人阪大微生物病研究会を予定しております。

 本日の出席委員の寄附金等の受け取り状況から、森委員が日本脳炎ワクチンの審議の際「退室」、中野委員がB型肝炎ワクチンの審議の際「議決に参加しない」に該当いたします。また、庵原委員と中野委員が日本脳炎ワクチンの薬事承認に係る申請書類に関与されていますので、庵原委員と中野委員が日本脳炎ワクチンの審議の際「退室」に該当いたします。そのため、日本脳炎ワクチンの審議の際に「退室」に該当する森委員、庵原委員、中野委員の取り扱いについてお諮りいたします。

 なお、このほか「退室」や「議決に参加しない」に該当される委員はいらっしゃいません。

 以上でございます。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 今、事務局から報告がありましたけれども、参加規程によると、庵原委員、中野委員が申請書類に関与しているために「退室」、森委員が寄附金等の受け取り状況から「退室」等になっておりますが、当部会が必要であると認めた場合には御意見をいただくことができる、とあります。ただし議決には参加しないということになります。それぞれの先生方は専門領域の立場からこれらの研究を進めているので、もちろん公平な立場からということがありますけれども、ぜひ御意見として伺いたいと私は思うのです。これについて御異論があれば、おっしゃっていただければと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、忌憚のない御意見をお願いいたしたいと思います。

 早速、議事のほうに入っていきたいと思うのですけれども、事務局はそれでよろしいですか。

 それでは、議事次第に従って、議事、報告事項と行きたいと思います。

 議題のほうは、1つは、HB、B型肝炎ワクチンについて定期接種化をどうするかという議論と、2番目は、日本脳炎ワクチンの特例措置対象者についてであります。いずれも、既にこの厚生科学審議会の下の基本方針部会のほうで一定の議論を行って、提言という形では出ているのです。一部メディアなどでも報道があったようですけれども、それについて、専門家の方の議論は既に部会のほうでやっているので、親会であるこの分科会で広い分野の方々から御意見をいただいた上で、最終的な結論にいく方針になっております。ということなので、部会に出席されている先生方もおられますが、そこにおいでにならなかった委員の先生方からまず積極的な御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いします。

 最初に、B型肝炎ワクチンについて議論を行いたいと思います。これは先週の9日に行われているのですけれども、例えば、今まで国会の附帯決議の中で、HBについて、水痘ワクチンなども含まれていましたが、それについてもう少し技術的な検討あるいは研究データ、すなわちエビデンスが必要ではないかということがこれまでの議論の流れだったのです。それについて須磨崎先生を中心にする研究班、これは前の森島班から続いているのではないかと思いますけれども、そこで非常に濃厚な研究を行っていただいたというのがありますので、そのことも含めてきょう議論していきたいと思います。須磨崎先生からも後でお話を伺うことになります。

 それから、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、このB型肝炎ワクチンについては、傍聴される方からの発言希望がお2人からありますので、これも今までと同様、事務局側が資料説明その他をやった後で、限られた時間ではありますが、傍聴人の方から御意見を述べていただいて、そういった意見も含めてこちら側の構成される委員の中での議論を行うとなりますので、よろしくお願いいたします。

 今までのところで何か御質問はよろしいでしょうか。

 それでは、資料1と参考資料1について資料説明からスタートしたいと思います。

 氏家補佐からよろしくお願いします。

○氏家課長補佐 お手元に資料1「B型肝炎ワクチンの技術的検討の経緯」を御用意ください。昨年度まで行われていた検討の経緯について御説明させていただきます。

 ページをおめくりいただきまして2ページ目です。日本におけるB型肝炎対策は、1986年に、母子感染防止事業としてB型肝炎ワクチンを使った感染防止処置が公費で実施されるようになりまして、現在は健康保険適応で行われているところでございます。

 また、国際的な動きとしましては、1992年に、WHO(世界保健機関)がB型肝炎ワクチンのユニバーサルワクチンということで出生直後に全ての方に予防接種を実施するよう勧められるようになりまして、現在、2013年末までに183カ国で乳幼児の予防接種が導入されているという環境がございます。

 国内におけるB型肝炎の接種を広く促進することに関する取り組みについては、予防接種制度の見直しについて第二次提言をいただいた際に、医学的・科学的観点からは広く接種を促進していくことが望ましいという結論が得られました。

 それに基づき、2013年に、予防接種法の一部を改正する法律案に対する附帯決議におきまして、安定的なワクチン供給体制や継続的な接種に要する財源を確保した上で、定期接種化の結論を得るように努めることとされているところでございます。

 3ページ目の資料は、第二次提言の概要が示されたものでございまして、3.のところを見ていただきますと、B型肝炎ワクチンを含む7ワクチンについては広く接種を促進することが望ましいと結論されたものでございます。このうち、B型肝炎とおたふく風邪以外のワクチンについては既に定期接種化がされているところです。

 ページをおめくりいただきまして、4ページ目。これは、WHOが公表している資料でございまして、B型肝炎のワクチンを3回実施・導入している国を色別に示したものでございます。日本はデータがないということで白塗りになってございます。注釈で右下に書かせていただきましたように、日本では、全員に対して予防接種は行ってございませんが、予防接種と免疫グロブリンによる垂直感染予防が母子感染予防として実施されているところでございます。

 次からは「平成25年度における検討状況」としまして、5つの観点で検討されてきた内容、そして昨年度までの結論を示したものでございます。昨年度の本分科会でも御報告させていただいた内容でございますので、下枠の囲みのところを中心に御説明させていただきます。

 1番目が「小児期におけるB型肝炎の疾病負荷について」でございまして、小児において一定の割合で水平感染が生じていることが示唆されており、小児での水平感染を予防することを主たる目的として、ユニバーサルワクチンによる接種が望ましい、全ての方に対する予防接種が望ましいと考えられるものの、実際の導入にはさらなる実態解明と評価が必要と考えられるということで、これは検討事項として残っている部分でございます。

 2番目としまして「接種開始時期について」でございます。「小児期における水平感染の疾病負荷がより明らかになり国民に広く接種機会を提供する場合には、標準的には生後2か月からの接種を開始すること(生後12月まで)とする」と。これは、昨年度までの基本方針部会の審議で一定の結論を得られたところでございまして、出生直後ではなく、出生して生後2カ月のところで標準的には接種を開始することが望ましいとしたものでございます。

 3番目は「小児期での接種終了後の思春期での追加接種について」でございます。こちらについては、B型肝炎は1シリーズ3回の接種をするのが標準的な接種回数になってございます。その3回の接種を終えた方が、一定の期間を経て、免疫を再度獲得するために追加で接種を行うことの是非について検討した内容でございます。結論としましては、小児期での接種終了後の思春期における追加接種の必要性は現時点においては低いと考えられるが、先行する諸外国の知見を参考にしつつ、引き続き検討する必要があるものと考えられるということで、現時点においては追加接種の必要性は低いという結論でございました。

 4番目は「国民に広く接種機会の提供を開始する際に時限措置として対象者の拡大対応の必要性について」でございます。仮に広く接種を開始した際には、その対象とならない方に、キャッチアップと呼ばれている時限措置をどこまで行う必要があるか。これについても、こういったワクチンの供給・実施体制の確保、必要となる財源の捻出方法等を検討した上で、可能であれば、明らかな水平感染のリスクがある年齢層にまで対象者を拡大することが望ましいと考えられるものの、小児期における水平感染の実態をより明らかにする必要があるということで、これも課題として残っていた部分でございます。

 最後、5番目は「B型肝炎ワクチンの違いについて」の議論です。現在、国内で流通していますB型肝炎ワクチンは、ワクチンのウイルス株の遺伝子型がCとAの2種類のタイプのワクチンが流通している状況がございます。国内で主に使われている遺伝子型Cのワクチンではなくて、遺伝子型Aのワクチンについては海外で広く使用されていることから、疫学的データや動物モデルでの実験等で異なる遺伝子型のウイルスに対しても予防効果が証明されているという状況がございますが、主に日本で使用されている遺伝子型Cのワクチンについては、生体内でのデータが不足しているという指摘を受けたものでございます。結論としましては、遺伝子型Cのウイルス株のワクチンを国民に広く接種機会を提供する際に用いるためには、ほかの遺伝子型のウイルスに対する予防効果を明らかにする必要があるということで課題事項となっていた点でございます。

 これらの課題につきまして、昨年度から厚生科学研究費補助金肝炎等克服政策研究事業を研究班で実施していただいておりまして、その研究成果について資料2で御報告していただきたいと考えてございます。

 事務局からは以上です。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 引き続いて、参考人として来ていただいた須磨崎先生から資料2についての御説明をお願いします。

○須磨崎参考人 資料2を見ていただけますでしょうか。厚労省の研究班の報告をさせていただきます。私は研究代表者を務めております筑波大学小児科の須磨崎と申します。本研究は、班員の先生方に行っていただいた成果であり、深く感謝しております。

 では、次のページを見ていただけますでしょうか。

 本日は、大きく分けて2つのことを報告させていただきます。

 1つは、小児期における水平感染の実態把握を行うための研究として、大規模疫学調査と血液センターにおける若年初回献血者の成績です。

 2つ目は、B型肝炎ワクチンの違いに関する研究として、動物実験による成績と実際に人に使用した場合の結果を報告させていただきます。

 それでは、次のページをごらんください。まず、大規模疫学調査の成績です。

 次のページをめくっていただけますでしょうか。「対象と方法」と書いてあるページであります。健康小児から採血する機会は限られておりますので、以下の1)から4)の集団について検討いたしました。

 1)は、小学4年生で行われている小児生活習慣病健診の残余血清を用いた検討です。これらは一般小児をよく反映する集団ですが、一部地域でのみ行われているため、さらに広い地域の実情を明らかにするために、2)から4)の検討を行いました。2)は、国立感染症研究所の血清銀行の検体で、3)は、成人ではB型肝炎が比較的多いとされている大都市、九州地方、北海道などの小児の病院受診者の残余血清を用いた多施設共同研究です。4)は、名古屋市立大学附属病院の小児患者で、診療のために行われたB型肝炎検査のまとめの成績です。それぞれの検査数及び年齢、測定方法は下記に記したとおりであります。

 次のページをごらんください。上段は、ウイルス感染の直接的な指標となるHBs抗原陽性者の成績です。右端の名古屋の結果は、大学病院受診者で診療のために検査が行われた患者様が対象であり、陽性者には、母子感染、水平感染、輸血後肝炎が含まれていました。そこで、B型肝炎を疑われていない小児を反映した集団として、岩手県、茨城県、血清銀行、多施設共同研究の成果をまとめますと、検査数は合計1万2,190人分であり、そのうち3人のみがHBs抗原陽性でありました。したがって、陽性率は0.025%でした。下段は、一過性感染を示唆するHBc抗体陽性率です。1万390人を検査したところ51人が陽性であり、陽性率は0.49%でした。

 次のページをごらんください。HBc抗体陽性者の地理的分布を見ますと、いろいろな市町村に散在していることがわかります。

 次のページをごらんください。一般小児におけるこれまでのHBs抗原陽性率の調査成績をまとめました。下4つの赤枠は、今回の大規模疫学調査の結果を示しております。B型肝炎の母子感染防止事業が開始された後の報告を赤字で示しております。1986年から2014年まで調査による違いはありますが、今回の大規模調査の0.025%という結果と大きな違いはありませんでした。

 次のページで、血液センターにおける若年初回献血者の成績をお示しします。「対象と方法」をごらんください。調査対象は、平成22年4月から平成24年3月までの2年間における全国の初回献血者107万人の成績であります。計算方法については次のページで説明させていただきます。

 次のページの細かい表の部分を見ていただけますでしょうか。初回献血者におけるHBs抗原陽性率とそこから計算した母子垂直感染率と水平感染率を%で示しました。左から、献血時の年齢、出生年、青色のカラムは男性献血者、赤色は女性献血者のHBs抗原陽性率です。上から下へ献血者の年齢が若くなり、一番下は総合計です。

 赤の*1で示す太い横ラインは母子感染防止事業の開始時期を示しております。例えば下から2番目、17歳から21歳の献血者のHBs抗原陽性率は、男性0.03%、女性0.02%です。一番右側の3つのカラム、少し紫色になっていると思いますが、ここは計算によって求めた感染率です。

 *2で示してある母親のHBs抗原陽性率は年齢別の出生率とHBs抗原陽性率から算定しました。

 母子垂直感染は、母子感染防止事業開始前は、母親のHBe抗原が陽性の場合90%、陰性の場合10%の確率で児に感染すると仮定し、処置を開始した後は95%が感染予防に成功し、5%が感染すると仮定して計算しました。母子垂直感染率は、防止事業前0.096%から、開始後、0.014%、0.012%と激減しております。

 水平感染率は、献血者のHBs抗原陽性率から母子垂直感染率を差し引いたものです。この数字には、基本方針部会のときにお示しした数字に誤りが見つかりましたので、訂正させていただきます。上から0.0360.0340.040というのが基本方針部会の数字でしたが、お手元にある資料のように、正確には0.039%、0.046%、0.016%です。おわびして訂正いたします。

 いずれにしても、26歳以下の若年者では、垂直感染よりも水平感染のほうが多いことが判明しました。水平感染への対策が重要であることを示す成績です。

 次のページをごらんください。若年献血者におけるHBs抗原及びHBc抗体の成績をまとめました。下の赤枠内は先ほどの小児の大規模疫学調査の結果をまとめたものです。この献血者の結果と先ほどの疫学調査の結果は類似しており、HBs抗原陽性率はほとんど同じ0.02から0.03%であり、その8~10倍のHBc抗体陽性者が存在することから、成人前に感染した人の10%前後が慢性化している可能性があると考えられます。

 次のページをごらんください。これは、HBs抗原陽性の母親から出生した児に対する予防処置がどの程度行われているのかを知るために、ある県で全数調査を行ったものです。妊婦健診受診者と出生届け出数、そこに書いてある出生者数ですが、これはほとんど一致しており、健診受診率は平成21年から23年までほぼ100%でした。日本の現状ではほとんどの妊婦が健診を受けてHBs抗原検査を受けていることがわかります。

 次のページをごらんください。ここからは前の森島班の成果を示させていただきます。これは水平感染のメカニズムを推測した研究であります。動物モデルを使って、血液以外の体液中に感染性のウイルスが存在することが示されました。このことから、B型肝炎ウイルスは感染力の強いウイルスであることが示唆されます。

 次のスライドをごらんください。B型肝炎の集団感染の事例を森島班でまとめたものです。相撲部やフットボール部などの接触スポーツや保育園などで集団感染事例が報告されています。血液以外の体液による感染の可能性が考えられます。

 次のページをごらんください。ちょっと細かいスライドですが、平成26年度の田尻班の研究成果を示させていただきました。母子感染以外の家族内感染を示す14家庭のウイルスDNAの系統樹解析を行ったところ、同一のウイルスであることが証明され、家族内の水平感染であることが分子生物学的に示されました。

 次のページに、小児B型肝炎ウイルスの感染疫学について、現在までの経過、研究をまとめました。一般小児におけるHBs抗原陽性率は、母子感染予防処置により激減し、現在は0.025%、95%信頼区間では0.0220.027%と推計される。HBc抗体陽性者はHBs抗原陽性者の数倍以上存在する。1986年以前は、若年層キャリアのほとんどが母子感染によるものであったが、母子感染予防処置後の若年層キャリアの多くはB型肝炎ウイルスの水平感染によると思われる。母子感染予防のみでは防げない集団感染や家族内感染などの水平感染が小児の日常生活の中で起こっている可能性がある。今後、小児においてもB型肝炎ウイルスの水平感染に対する対策を進める必要がある。

 次のページをごらんください。ここからは遺伝子型が異なるウイルスに対するB型肝炎ワクチンの効果についての研究をお話しさせていただきます。先ほど事務局からお話がありましたとおり、遺伝子型Cのワクチンは日本国外での使用実績が乏しく、現在、若年成人で流行している遺伝子型AのB型肝炎ウイルスに対して感染防御効果があるかどうかが検討されるようにということが求められておりました。ワクチン抗原であるHBs抗原の塩基配列の遺伝子型AとCを比較すると、重要部分であるA領域では3カ所のみアミノ酸が異なります。

 次のページをごらんください。B型肝炎ウイルスは、ヒトやチンパンジーの肝細胞にのみ感染します。このウイルスの感染実験を行うために、ヒトの肝細胞を体内に持つキメラマウスを使用しました。遺伝子型Cのビームゲンを接種した人からつくったモノクローナル抗体を用いて、遺伝子型CとA及びエスケープ変異株であるC-145Rの感染が阻止できるかどうかを検討いたしました。

 次のページをごらんください。2種類のモノクローナル抗体、116抗体と478抗体を使って、おのおの3匹のキメラマウスを用いてHBV感染の有無を調べたところ、遺伝子型CとAのB型肝炎ウイルスは100%感染防御されました。エスケープ株であるC-145R116抗体では感染防御できず、478抗体では3匹とも感染が防御されました。したがって、HBs抗体価がある程度高い場合には、いずれの遺伝子型も感染防御は可能という成績であります。

 次のページをごらんください。次に、どの程度のHBs抗体があれば感染を防御できるかという定量的な検討を行うために、ヒトの初代肝細胞を用いたビームゲン由来の抗体によるB型肝炎ウイルス感染防御実験を行いました。上段は、ウイルスと抗体を混合してから培養細胞に感染させた場合、下段は、ヒトの体内のモデルとして抗体と肝細胞をまず混合し、その後にウイルスを感染した場合の結果です。右側の棒グラフは、10倍ずつ希釈した抗体と遺伝子型CとAのB型肝炎ウイルスを混合し、どの濃度で感染が防御できるかということを比較したものです。

 各グラフの一番左のCtrlと書いてあるのは抗体なしの場合で、100%感染しているのがわかります。抗体を次第に希釈していくと、遺伝子型CのウイルスはHBs抗体濃度が5.5mIU/mLまで希釈しても感染防御されるのに対して、遺伝子型Aの場合は55mIU/mLで感染が防御されました。私どもが行った大学生578人に接種したワクチンの抗体価の獲得状況を見ますと、82%がこの55mIU/mL以上の抗体を獲得していますので、このモデル系では多くの人がワクチン接種後に得られるレベルの抗体で感染が防御できることが示されました。

 次のページをごらんください。実際に13人のビームゲン接種者の血清を採取して遺伝子型CとAのペプチドとの反応性を検討しました。個人ごとに反応パターンは類似しております。したがって、ワクチン接種者の血液中には遺伝子型に関係なく反応するHBs抗体が存在するということが示唆されます。

 次のページをごらんください。最後に、実際に遺伝子型AのB型肝炎ウイルスのキャリアの母親から出生した児に遺伝子型C由来のビームゲンを接種した場合の感染防御効果をお示しいたします。

 次のページに患者さんの状況をお示しします。遺伝子型AのB型肝炎ウイルスに感染しているキャリアのお母様から出生した4名の児でビームゲンが接種されました。症例4は、2回のビームゲンを接種し、3回目のみA由来のヘプタバックスに変更された例であります。

 次のページをごらんください。4症例のHBs抗体価の経時的な変化です。4カ月から6歳までの抗体価は、WHOの推奨する10mIU/mL以上を保っており、4人ともHBs抗原陰性、HBc抗体陰性であったことから、母子感染予防はうまくいっている、成功したと判断されました。

 最後のページをごらんください。動物実験及びヒトでの結果を踏まえて、遺伝子型C由来ワクチンの効果についてまとめました。マウス及びヒト肝細胞を用いた感染実験により、遺伝子型C由来のワクチン(ビームゲン)によって得られた一定濃度の抗体は、遺伝子型AのB型肝炎ウイルスに対しても感染防御効果を有するということが考えられました。ビームゲン接種者には、遺伝子型に依存せず、HBs抗原と反応する抗体が存在することが示されました。遺伝子型Aのキャリア母体から出生した児4例にビームゲンを接種したところ、母子感染を防止できました。以上のことから、遺伝子型Cのワクチンも、Aのワクチンと同様に定期接種に使用できると考えられました。

 以上で研究班の成績の報告を終了いたします。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 御質問のほうは後で伺うことにして、引き続き、傍聴人の方からの発言を伺いたいと思います。

 今回、2名の方においでいただいています。時間がお1人2分間という極めて限られた時間で大変恐縮なのですけれども、この発言のためにおいでいただいたことに厚く御礼申し上げます。

○石田室長補佐 先生、済みません。資料3の説明が終わった後に発言をいただくことにしています。

○岡部分科会長 失礼しました。

 傍聴人の方、失礼しました。私の勘違いで順番が。資料3についての説明がまだのこっていたので、先に氏家補佐、お願いします。

○氏家課長補佐 事務局から資料3について説明させていただきます。

 先ほど資料2で御報告いただきました、須磨崎先生を中心とした研究班の報告をもとに、技術的検討結果の案としてお示ししたものでございます。

 2ページ目をごらんください。小児での水平感染がどの程度あるのかという課題に対して大規模疫学調査を実施していただきまして、HBs抗原の陽性率は0.025%でした。。また、HBc抗体陽性者がHBs抗原陽性者の数倍以上存在することが報告されまして、こういったことは過去にB型肝炎ウイルスに暴露した小児が一定程度いらっしゃるということが考えられる状況となっています。

 また、初回献血者を対象とした17歳から21歳における同様の検討におきましても、小児での結果と同様の傾向が見られておりまして、HBs抗原率が0.02から0.03%、HBc抗体が0.20から0.25%ということで大きな差異を認めない。こういったことは幼少期に特定の小児でウイルス感染が生じている可能性があるということが示唆されました。

 こういったことを受けまして、全出生者を対象に広く予防接種を実施することができれば、長期的にはB型肝炎による社会的疾病負荷のさらなる軽減につながると考えられる状況でございます。

 続きまして、交差反応の検討につきまして報告をまとめたものでございます。遺伝子型C由来のB型ワクチンを接種することで、遺伝子型Cのウイルスだけではなく、遺伝子型AのB型肝炎ウイルスに対しても予防効果があることが示唆されました。日本で流通する遺伝子型AとCの2つのワクチン製剤ですが、いずれの製剤を接種することによっても異なる遺伝子型のウイルスに対する予防効果が期待されるという結論でございました。

 最後、4ページ目。これまで行ってまいりました技術的検討の結果(案)ということで事務局提案をさせていただいてございます。これまでの技術的検討結果を踏まえ、仮に国民に対して広く接種機会を提供する場合、下記の対応としてはいかがか。

 1点目、予防接種対象年齢は出生後から生後12月までとする。

 2点目、標準的には、生後2カ月からのB型肝炎ワクチン接種を実施する。実施スケジュールとしては、生後2カ月目、3カ月目、そして7~8カ月目を念頭に置いております。また、感染のリスクが高い場合、具体的には家族の中で母親以外の方にB型肝炎のウイルスをお持ちの方がいらっしゃる場合などにおいては、出生直後の予防接種も考慮されるということを念頭に置いております。

 3点目です。使用するワクチン製剤は、遺伝子型A型、C型、どちらのウイルス由来の製剤も選択可能とする。

 下にただし書きがございまして、仮に国民に対して広く接種機会を提供する場合とございますが、今回の検討というのは技術的検討でございまして、こういった広く接種の機会を促進するためには、前提として、ワクチンの供給・実施体制の確保、必要となる財源の捻出方法などの検討を行った上で、関係者の理解を得るとともに、副反応も含めた予防接種施策に対する国民の理解等が必要となりますことを改めて強調させていただきたいと思います。

 また、次の報告事項にも挙がってございますが、この(案)については先般の1月9日に行われました予防接種基本方針部会において了承していただいておるところでございます。そこでの意見としましては、これまでどおり、お母さんからの垂直感染予防というのは継続して実施する必要があるであるとか、今後も必要に応じてB型肝炎にかかわる研究、疫学情報のデータ収集といったものを続けていくべきである。こういった御意見もいただいているところでございます。

 事務局からは以上です。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 先ほどは失礼しました。

 それでは、お2人の傍聴人の方で、お1人目が渡辺孝氏、お2人目は田中義信氏。お2人とも2分間なのですけれども、最初に簡単に自己紹介をしていただいて、それは2分間の中に入れませんから、実質の発言が2分間ということでよろしくお願いします。

 それでは、お1人目の渡辺孝さん、お願いいたします。

○渡辺孝氏 座ったままでいいですか。

○岡部分科会長 どうぞお座りください。

○渡辺孝氏 皆さん、おはようございます。

 私は、今、全国で6,500名の会員がおります日本肝臓病患者団体協議会の代表幹事を務めています渡辺孝と申します。きょうは、この発言の機会を得ましたことを本当に感謝申し上げます。いろいろ情報を得ておりますけれども、皆さん方の御努力でこのユニバーサルワクチンが着々と進んでいることは、肝臓で苦しんでいる私たち患者会にとっても非常にありがたく、うれしく思っています。本当に感謝申し上げます。

 そこでちょっと発言をさせていただきますが、きょうの読売新聞の1面に、2015年度の厚生労働省の予算が閣議決定されたという記事がございました。その1面の一番上に「子育て重視の予算」と大きな文字で書かれました。私は「子育て重視」というのは、単にこども園をつくるとかいうことではなくて、産まれた小さな赤ちゃんからすくすくと育てていく、そういう社会をみんなで育てていくのが本当の子育てではないかと私は思っております。子供手当を出すとか、そういうことではなくて、本当に聖意あって生まれてきた日本人でしょう。日本に生まれてよかったなと。そして、病気もせず、防げるB型肝炎を救ってあげたいと思って、私は5年前から、厚生労働省に対してこの予防接種の定期接種化をお願いし、要望してまいりました。また、毎年、厚生労働省への予算要望として、この項目も入れて、早く実現していただきたいということを常々お願いしてきました。

 あわせて、世界・日本肝炎デーがございます。御存じのように、WHA(世界肝炎連盟)が提唱しまして7月28日、日本も厚生労働省の関係で5月を7月へ持ってきて7月28日が日本肝炎デーになりました。その日本肝炎デーにまず日本肝臓病患者団体協議会、通称・日肝協と言いますが、いち早くそこに加盟いたしまして、世界の肝炎患者と手を携えて肝炎撲滅に一生懸命取り組んでいこうという決意でございます。

 そういった肝炎デーフォーラムにもこのお話を提案させていただきました。そして、つい最近、11月2日、3日に栃木で行われましたけれども、日肝協の全国総会、代表者会議でも表明し、国民の理解を求めてきたところであります。なぜこういうことを患者会がやるのか。私は、予防接種することが目的ではないと思うのです。これは手段であって、何のために接種するかということをみんな考えなければいけない。

 釈迦に説法ですが、人間の行動には目的と手段が必ずあるそうです。手段が目的になってしまったら本末転倒になるという先生もおられますので、私たちはなぜこういうことを強く言うかという根拠・目的です。子供からB型肝炎感染を防ぎ、健康で健やかに育んで、将来の日本を担う大切な子供たちを肝炎から救うことが1点でございます。

 少子化が進む日本、子供たちを大切にし、社会全体で支えていく日本にしていきたい。日本の将来を明るい社会にし、元気な子供たちの姿を私は見たいと思っています。肝炎患者をなくしていきたいと思っています。二度と肝炎患者の苦しみを子供たちに味わってほしくないと思っております。

 もう一点お願いしたいのですが、この分科会で御審議いただきまして内容が決定し次第、大変申しわけないのですけれども、速やかに予算化していただいて、そういう仕組みを組んでいただく。財務省はうるさいことを言っていますけれども、そういう国民的な動きを説得、納得していただいて、予算の計上も早急にしていただいて、一日も早くユニバーサルワクチンの実施化をしていただきたい。先進国でやっていないのは英国と日本だけだそうですけれども、イギリスは去年から始まったと聞いています。恥ずかしい日本にならないように、そして、このユニバーサルワクチンをやらないために、日本の歴史上、将来に問題点を残さないようにしていただきたいと思っております。

 どうもありがとうございました。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 引き続いて、田中義信さん、よろしくお願いいたします。

○田中義信氏 おはようございます。全国B型肝炎訴訟原告団代表の田中義信です。今回、発言の機会をいただきましてありがとうございます。

 私は、B型肝炎から、6年前、6センチもの肝臓がんを発症し、当時、5年の生存率が50%、10年の生存率が10%と言われました。その感染者の1人として発言させていただきたいと思います。

 B型肝炎ワクチンの定期接種化を実施するに当たり、私たち感染被害者が特に配慮を求めたい点について発言させていただきます。それは、ワクチン接種の推進に当たっては、B型肝炎についての偏見・差別が助長されないように十分配慮をしていただきたいということです。

 今回の議論は、小児での水平感染を予防することを主たる目的としていますが、これは、B型肝炎ウイルスの感染力の強さから、感染者との接触により感染の可能性があるということを当然の前提としています。しかし、資料の感染事例を見ても、相撲とかレスリングという格闘技を行う場合や、小児のかみつきによる感染など、特殊、濃密な接触の場合に感染があり得るというものです。

 B型肝炎ウイルスは日常生活での接触では感染しないものです。私たち感染者自身、そのように理解していますし、指導もされています。現実に日常生活での感染は経験していません。実際、感染者からいただいた声です。

 「感染者は、偏見・差別におびえながら窮屈な生活を強いられています。先日の新聞報道には日常生活でも感染するかのように記載され、もっと窮屈な生活が始まるような気がしました」。以上、声です。

 今後、ワクチン接種を定期化するということは、接種の必要性、すなわち感染の危険があるものだということを広く国民に知らせていくことになりますが、不正確な広報は、B型肝炎ウイルスは感染力が強い、感染の危険があるということをひとり歩きさせ、偏見・差別の風潮を強めたり、B型肝炎患者、感染者を危険視し、排除する考えを生じさせる機能性もないとは言えません。

 特に配慮を求めたい正しい情報と広報・周知は3点です。

 第1点は、B型肝炎ウイルスは普通の生活では感染しないこと、血液や体液を介する濃密な接触の場合に感染の可能性があり、そのような万一の感染を防ぐために大事をとってワクチンを接種するのだということ。

 第2に、B型肝炎の感染原因の多くは、母子感染と、集団予防接種での接種器具の使い回しなどの医療行為にあり、感染者自身には感染の責任がないこと。

 第3に、B型肝炎についての新たな偏見・差別を生じさせることがないようにするだけでなく、今まで以上に偏見差別をなくするための方法・政策を実施すること。

 最後に、定期接種化された場合においては、副反応情報の報告・集積の体制をきちんととっていただくようお願いいたします。

 以上、発言を終わります。ありがとうございました。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 それでは、今の傍聴者の方の発言も含めて、これらを参考にしてディスカッションを続けたいと思うのですけれども、時間が30分弱ぐらいになると思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

 それでは、議論に入りたいと思います。どうぞ御意見を自由におっしゃってください。

 大石委員。

○大石委員 感染研の大石です。須磨崎参考人のデータについてちょっと教えていただきたいのです。

 大規模疫学調査で水平感染が10歳ぐらいまでに一定数あるということをお示しになりました。そして、先ほどの傍聴人のお話にもありましたように、大学生等のスポーツで感染が起こるという事例も報告されています。この水平感染というのは、小児のころから少しずつふえていって、10歳以降も、思春期の時期にも、青年期にも少しずつふえていっていると理解したほうがいいのでしょうか。

 いかがですか。

○須磨崎参考人 その点を明らかにするためには、子供の年齢別の抗原陽性率とか、そういったことを一番知らなければいけないのですけれども、ここにもお示ししましたように、1万人を検査して数人という頻度であり、HBs抗原陽性者がとても少ないので、、正確に年齢別の頻度を出すことはできないのです。今回の大規模調査で1万人検査して、0.025%という数字と、献血者が16歳ぐらいの年齢のところで同じように0.02とか0.03とかいう数字でありますので、そういうところから考えると、小児期にはHBs抗原陽性者が一定数いる。小児期にどんどんふえていっているかどうかということは別ですけれども、小児期に一定数の陽性者がおられて、それがその後少しふえていくのかもしれない。成人のほうは検査しておりませんけれども、そういうことですので、もしワクチンを行うとすれば、その小児期の一定数の患者さんは母子感染よりも水平感染が多いということが計算上も出ておりますので、そういった対策が必要なのではないかと考えております。

○大石委員 ありがとうございました。

○岡部分科会長 ほかにはいかがでしょうか。御意見でも御質問でも構いません。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 須磨崎先生にちょっと教えていただきたいのですが。

 先ほど、ビームゲンを578名の大学生にやって、感染防御ができる抗体価に達した人が82%という数字を教えていただいたのですが、それと同時に、いわゆるジェノタイプAに感染した子供に対するビームゲンの予防効果が100%できたということですが、この82%という数字と合わない気がします。そうすると、18%は感染防御ができないと解釈すべきなのか。そこを教えていただきたいと思います。

○須磨崎参考人 ちょっと舌足らずの説明でした。あくまで、実験ではジェノタイプCのワクチンを使ってAのウイルスをブロックできるというところで、この55mIU/mL

という数字がでてきました。一方、先ほどの82%の数字は、実際に大学生に接種した場合に55mIU/mL以上の抗体価を得た人の割合です。大切なことは、WHOとしては10単位、10IU/mL以上あれば感染は防御できることになっておりますので、実際の防御効果を判定するためには、この55ではなくて10という数字を使います。。その場合にはワクチン接種後に95%程度以上の人が防御能を得ることができます。年齢によってもちょっと違って、赤ちゃんのほうが抗体獲得率が高く、成人ないしは老齢になられると抗体の獲得率が下がります。そういったことから、HBワクチン接種後には、95%ぐらいの方は抗体が獲得できるされています。55mIU/mL82%という数字は、実験で得られた中和能の抗体レベルを分かっていただくために、お示しした数字であります。

○岡部分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

 三田村委員、それから桃井委員、お願いします。

○三田村委員 三田村でございます。このような詳しいデータ、ありがとうございました。

 少し伺いたいのですが、ビームゲンでやった場合、AもCも一応免疫はできるということですが、同じようにできると考えてよろしいのでしょうか。

○須磨崎参考人 実験上では、遺伝子型が異なると、感染防御能は10倍程度異なるという数字がでております。しかし、実際の人では、共通A領域に対する抗体が主として産生されるので、、そういった意味ではほとんど効果に差はないと思います。ただ、実際にウイルスが感染した状況を想定すると、例えばC由来のワクチンを接種して遺伝子型Aのウイルスに暴露されたとか、逆にAのワクチンを使っていてCのウイルスに暴露されたとか、そういうときには、厳密に言うと、実験上の中和能に5.555という数字がありますから、抗体価が低い場合には感染する可能性があるということです。しかし、その55mIU/mLという数字でも、ワクチンを接種すればほとんどの人が超えられるレベルであるということです。

 もっと正確に言いますと、感染したかもしれないというデータはあるのですけれども、発症したというデータはないのです。したがって、HBワクチン接種後に10mIU/mLを超えれば、血液検査をしたら、ひょっとしたら感染したかもしれないという検査結果は出るかもしれませんけれども、肝炎は発症していないということで、通常は気がつかないという状態になると思われます。

○三田村委員 このようにお尋ねしたのは、実際に、今、母児感染予防で接種していますが、今までは6カ月未満の時期に3回目をやってしまったせいかもしれないのですけれども、一時は抗体価がすごく上がるのですが、その後、思い出したように、数年後に患者様がいらしたときに、かなり下がって10ぎりぎりという例が少なくはないような気がするのです。そうすると、ここですと、55では確かに防止効果はあるかもしれないのですけれども、実際に数年たったときにもっと下がっている可能性は十分あるのではないかと思って、その点ちょっと心配だったのです。

 例えば、海外でヘプタバックスがずっと何年も使われてきたと思うのですけれども、海外で小さい子接種して、その後の思春期に集団感染が起こったとか、そういう事例はあるのでしょうか。

○須磨崎参考人 御質問ありがとうございます。

 ちょっと細かい話になるのですけれども、感染ということと発症ということは区別する必要があります。ごくまれに、抗体価が低下するとB型肝炎ウイルスに感染する例はありますが、それによって集団発生が起こったとか、感染力のあるような肝炎の患者さんになるとか、入院するような患者さんが発生したという報告はありません。だから、検査をすると感染したということが分かるかもしれないけれども、御本人にとっては病気になったという自覚はないので、心配は要らないのではないかと現在は考えております。

○三田村委員 もう一ついいですか。

○須磨崎参考人 はい。

○三田村委員 遺伝子型Aの母児感染の方に接種した後の抗体価の推移がありますが、3回目だけヘプタバックスを使っているので、実際、私たちがやっている場合、一般的には同じものでやってしまうのですが、例えば1回でもまぜると効果がある可能性があってこのようになさったのでしょうか。それともたまたまこうなってしまったということですか。

○須磨崎参考人 実際には異なるワクチンを併用するということが理論的には、いいことかもしれないし、悪いことかもしれないですが、その辺は正確なデータはありません。調べてみますと、併用された方が5%前後は現在もおられるようです。病院によってワクチンは何を採用しているかが異なりますので、例えば里帰り分娩をされて、生まれたところでワクチンを受けて、もとの御自宅に戻ったときに違うワクチンを使っているとか、そのようなことはあると思います。私たちの示した症例4の結果では、併用しても大丈夫であったという結果です。

○三田村委員 どうもありがとうございました。

○岡部分科会長 桃井委員、どうぞよろしくお願いします。

○桃井委員 同様に資料2の遺伝子型の異なるワクチンのウイルス感染に対する効果に関して教えていただきたいのです。

 資料2の20ページのデータは、nが3ですから、100%とは書いてありますけれども、このn=3という例においてこうだったということで、100%という評価は科学的には難しいと評価されます。

21ページのデータで、ビームゲンによる遺伝子型Aに対する防御効果として、下段のほうがより生体に近いシミュレーションの実験モデルだと思いますので、下段の5.5 mIUと低くなったときには10%ぐらいという感染結果が出ていますが、こういうデータは、例えば100万人に接種した場合に、外挿するとどのぐらいに推定されると考えるのでしょうか。Aを何%とするかによって数字が全く違ってしまうでしょうけれども、どのぐらい問題があるのかないのかということの数字の根拠を少し示していただくと、資料3に書いてあるような予防効果に差はないとの評価がより理解できると感じました。

 例えば100万人に0.02%として200人の慢性化を防ぎたい場合に、抗体価が低くなった際のこの実験上の10%は無視できる範囲であるというのがあれば、安心してこの資料3の結論を了解できるという印象がありましたので、その辺を教えていただきたいと思います。

○須磨崎参考人 御質問どうもありがとうございます。

 実際にこのワクチンのときに、今、三田村委員もおっしゃいましたけれども、抗体価というのは接種してから経時的にかなり下がっていくのですが、ワクチン接種後の効果の持続期間はどの程度であるか、という問題だと思います。ほとんど抗体がなくなっても実は感染が防げるということが現在の主流の考えです。HBs抗体価がたとえゼロであったとしても、抗体がなくなっても、HBワクチン接種後に一旦中和抗体が産生されれば、その後も、免疫の記憶が残っているということです。実際に、ワクチン接種後に抗体がなくなった方にワクチンを再接種しますと、抗体がぼんと上がるものですから、ブースターがかかると言いますけれども、そういう効果を考えておりますので、その時の抗体価だけで物を言っているわけではありません。データとして一番はっきりしているのは、アメリカの献血者を370万人と調べますと、ワクチンを接種してHBs抗体があるのに感染している人が6人見つかっています。そういう方たちは、確かに遺伝子型Aのタイプのワクチンを受けていて、遺伝子型A以外のウイルスに感染していることがわかっているのですけれども、そういう方をずっとフォローアップすると臨床的な肝炎は起こらないで、ウイルスも消えていくということです。

 従って、HBs抗体価が低い場合には、ウイルスの感染が起こる可能性はあるかもしれませんが、いわゆる生体にとっての肝炎は起こらないということは確立されておりますので、抗体価の数字に余りひきずられなくても良いと思います。現在の考えでは、ワクチン接種後に、10mIU/mLを1回超えれば、そのあとHBs抗体がなくなっても、一応今のところ、感染はあるかもしれないけれども、発症は防げるということが基本の考え方です。その辺のところを御理解いただければありがたいと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 亀井委員、どうぞ。

○亀井委員 先ほどの須磨崎参考人の報告、あるいはまた世界の潮流、そしてWHOの出している方向性、こんなことを考慮すると、今も反対の意見というのはほとんどないわけです。ですので、今後、具体の検討に入っていくのだろうと思います。早かったら28年度からの実施という方向になるのではないかと思うのですけれども、今、この自治体の中で任意接種している自治体がいかほどあるのか。その実施しているところはどんな費用負担でなさっているか。事務局のほうでわかっているのがあったら、ちょっと教えていただければと思います。

○岡部分科会長 では、氏家補佐。

○氏家課長補佐 独自に福祉のサービスとして住民に対して接種の機会を設けている自治体が幾つかあるとは伺っているところですが、そういった制度を正確に把握するという仕組みがないものですから、国としては、幾つの自治体でそういったサービスを実施しているかは把握してございません。また、それぞれの自治体が独自のサービスとして行っている内容でございますので、その内容、幾らの費用的負担があるのかについてもまちまちであると理解してございます。

○岡部分科会長 亀井委員、続けてどうぞ。その次、坂元委員。

○亀井委員 我々としては最も気になるところですので、できましたら、会長のもとでこの資料の調整をいただけたらなと思っています。よろしくお願いいたしたいと存じます。

○岡部分科会長 ちょっと待ってください。それは国として可能ですか。今の、任意としてだけれども、自治体がサービスとして負担をしている。実態はなかなか難しいのではないか。国でなくても、任意接種として例えば出荷量でどのぐらいかといったような大体の検討はつくのではないかと思うのです。これは、例えばワクチン産業とかメーカーの方の御協力を得なくてはいけないと思うのですけれども、すぐに出てくるかどうかは。

 課長、どうぞ。

○井上結核感染症課長 結核感染症課長でございます。

 亀井委員、御指摘ありがとうございます。今の御指摘を受けまして、私どもといたしましては、例えば市町村長会その他関係者の協力、あるいは全国の衛生部長会等々、関係者の協力を得ながら、今、亀井委員が御指摘の資料をなるべく早い機会に整えるように努力をしたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

○亀井委員 それでは、会長のもとで調整をお願いしたいと思うのです。

 さきの会議でも申し上げましたけれども、昨日、963,400億の予算が閣議決定されたわけでございます。そんな中で、地方創生に7,200億、加えて子供・子育てについてはこれからより手厚い支援をしていくのだということで述べられているわけでございます。あと、残りのロタとおたふくについても、今後、平成29年度、つまり平成29年4月、10%に税率が上げられる。そのようなところを目途に、そういう検討・研究をなされていったらいかがなものかなと思わせていただいておるのです。

 私、実はロタをやっているのですが、これは90%以上の方が受けていただいています。重症化が避けられて、これは非常に効果があるものでもございますので、一度そのような検討もしていっていただければと思わせていただいています。よろしくお願いします。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 では、坂元委員。

○坂元委員 ただいま亀井委員からB型肝炎の任意接種に関して御質問があったと思いますが、川崎市では、1歳半と3歳児健診で、ほぼ全例、母子手帳の予防接種の済み率をチェックしておりますが、ほぼ100%ですが、総数は1万3,500人ぐらいを調べております。そこでB型肝炎の任意接種率が1歳半で27%ぐらいは受けておられて、3歳で10%なので、この1年半で3倍近くふえていることになります。多くの方がヒブと肺炎球菌接種のときにかかりつけの小児科の先生がB型肝炎の予防接種を一緒にお勧めしているというのが実態だと思います。多分、これは年々ふえていく数字なので、川崎市では補助はしていませんけれども、実態としてそれぐらいの方が任意で受けているという数字でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 中野委員、どうぞ。

○中野委員 本日は分科会ということで、技術的な検討とあわせていろいろな方々からの声が大切なことだと思いますので、お2人の傍聴人の方々からいただいたことに関して意見を述べさせていただきたいと思います。

 私は、2人の傍聴人の方々から、それぞれ違った観点からとても感銘を受けました。私は、現場の小児科医でございますけれども、最初いただきました渡辺様からのお言葉に関しましては、子供のための保健医療ということで、ワクチンというのが1つの手段だということは非常にありがたいお言葉で、ワクチンのことも含めて、今後そういった観点からの充実は、私も小児科医としてぜひお手伝いができればと思っております。

 また、田中様から頂戴いたしました、病気を予防するということは大切だけれども、日常生活で簡単にうつるものではないのだという言葉は本当に強く受けとめたいと思います。ある意味で、感染症の歴史は日本でも世界でも差別の歴史であって、私は感染症を専門にやっておりますけれども、いろいろなところに差別の歴史がございます。そうなっては絶対にいけないと思います。おっしゃられるとおりに、水平感染は頻度が高いものではございませんけれども、田中様も冒頭に述べられましたこのB型肝炎ウイルスというのは、肝臓がんとか肝硬変とか、重篤な疾病を起こす病気でございます。その病気を起こすウイルスであるからこそ、頻度は低いけれども、有効なワクチンがあるのであればワクチンで予防する。そこは絶対忘れてはならないことでありまして、最後にいただきました安全性のモニタリング等含めて、今後、まずは全ての子供たちに接種するということを始めた上で、そこを継続していくことが大切だと思っています。

 あと、技術的な課題のところで抗体価の話が幾つか出ました。須磨崎参考人を初め研究班の先生方が、すばらしいデータ、非常に説得性のあるデータを構築していただいたと考えております。須磨崎先生も先ほど少しおっしゃられましたけれども、確かに、ワクチンを打ってしばらくすれば抗体価は下がります。ただ、このB型肝炎ワクチンというのは、基礎免疫がついていればすばらしいブースター効果のあるワクチンの性格を同時に持っておりまして、諸外国のデータ、国内のデータでも、抗体価が下がった方でも、追加の接種を行うと抗体価は基礎免疫のとき以上に上がるというデータが多いと思うのです。大体2週間から4週間もすれば上がるのではないかと思います。

 一方、B型肝炎ウイルスというのは潜伏期間が3カ月ぐらいあるわけでございますので、たとえベースラインの抗体価が低くても発症は予防できるのではないか、不幸な転帰になることはお一方でも防げるのではないか、そんな思いで考えておりました。

 最後に申し上げます。私、現場でワクチンを打っておりますと、小児期の定期接種ももちろん大切なのですが、今、B型肝炎はいろいろな方々にたくさん打たれています。例えば海外渡航される方。あと、医療機関に勤められる方。医療関係のお仕事の方は皆さん打っていらっしゃいます。今まで大人で初めて打っていたのが、小児期に基礎免疫をつけることによって、先ほど申し上げました、基礎免疫ができてその後のブースター効果も期待できるということで、B型肝炎を予防するステージは一歩前に進めるのではないかと思っています。私は定期接種化に賛同いたします。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 三田村先生に先ほど御意見をいただいていたので、専門分野ではない方として、阿真参考人、沼尾委員、戸田委員からそれぞれ一言ずつ御意見をいただければと思うのですが、いかがですか。

○阿真参考人 先ほど亀井委員から自治体の補助についてのお話があったのですけれども、国としてではなくて、Know!VPDの会のページには補助の一覧がHPにも近々あがるそうです。全額補助している自治体もたくさん出ていますので、そちらも参考になるかと思うのです。私たちの父親、母親の話ですと、B型肝炎は打っている人がすごく多いです。補助がある自治体とか補助が余りない自治体もありますし、小児科の先生から勧められて自己負担ではありますけれども打っているひとが増えているワクチンですので、これが定期になるということはとても喜ばしいことだと思います。

○岡部分科会長 沼尾委員、いかがでしょうか。

○沼尾委員 私、技術的なことは全くわからないので、ちょっと気になったことを財政の観点から申し上げたいと思います。

 今回の技術的な検討も踏まえて広く定期接種化が考えられることで、国民に対してより安心・安全な暮らしが提供できることは大変よくわかったのですけれども、資料3の最後のところに書かれているとおりでして、必要となる財源の捻出方法をどうするかということと、実際にこれを定期接種化するのだとすると、現場の自治体が相当混乱するのではないかとういうことを心配しています。

 今回この資料をいただいて、市町村の関係する部署に、例えば助成ないしは公費をどのぐらい入れているのかというのをちょっと聞いてみたのです。成人用の肺炎球菌ワクチンなどの場合は入れていたところが結構多かったのですが、B型肝炎の場合には、これを市町村の単独の補助でやっているところはほんどないということも聞きました。そういう意味で言うと、これを本当に定期接種化するとなると、市町村に事務負担が一気にのしかかるというようなところが非常に心配でもあります。

 他方で、自己負担で実施していることについて、市町村に対して公費でやってくれという要請が自治体の現場でこれまで出てこなかったということだとすると、それはニーズとしてどう捉えればいいのか。もちろん、必要なものは必要だということ、やらないよりやるほうがいいのだろうということはよくわかるのです。そういったところも含めて、水平感染する可能性があるということであれば、当然、そこはそこできちんと情報として伝えた上で、国民に対するサービスというのでしょうか、安心・安全なために定期接種化が必要であるということであれば、技術的にはそれはやればいいのだけれども、それに対して本当に国民が、その追加的な財政負担を租税で賄ってでも導入していこうというところで合意が図られるかどうかということが問われますし、この点が非常に重要なのだろうと思います。

 先ほど亀井委員から、消費税が10%に上がったときという話がありましたけれども、10%分の消費税率については、社会保障・税一体改革で、その財源の使途については既に箇所づけされている世界ですので、本当にこの予防接種が公費で乗っかってきた場合、その分何を削るのか、あるいはその分の追加的な負担を考えるかというところが必要で、そういったところまで含めた関係者の理解と合意があって初めてこの制度がきちんと普及していく。国民にも理解されてきちんとした形で機能していくものになるのではないかと思います。

 もう一つ気になっているのは、やはり副反応の問題でして、子宮頸がんのワクチンのこともあったりして、現場で、予防接種は本当に大丈夫なのかということが全くわからない。ふつうは素人ですからみんないろいろな情報が錯綜する中で混乱もしている。それに対して自治体の現場でも、新しい予防接種が出てきたときに、それをどのように住民に説明をすればいいのかというところも悩ましいのだと思います。そういったところも含めた窓口、現場に対する一定の情報提供や情報共有も含めた実施体制をぜひ考えていただきたいと思います。そのようなところがきちんと整うことこそ、この制度が有効に機能していくための要件ではないかと私は考えます。

 以上です。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 最初の財源的な話は事務局にお願いして、副反応のほうですけれども、これは新しいワクチンではないので、もう既に何十年と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、10年や20年は使っているワクチンで、今までのワクチンに関する有害事象から言うと、従来使われているワクチンの中では最も低いほうに入るのです。ですから、そういう意味での御心配はないと思います。ただ、そういう啓発であったり説明は今後も必要だろうと思いますので、私たち事務局側も十分な説明をしていったほうがいいのではないかと思います。

 では、財源的な話を。

○氏家課長補佐 御意見をいただき、ありがとうございます。資料3の冒頭に前提として記載されている事項のとおりでございまして、御指摘がありましたように、ここで技術的な検討に決着がついたとしましても、こういった国民に対して広く接種機会を提供する仕組みを実際に行うためには、前提としましては、ワクチンの供給・実施体制の確保、そして必要となる財源の捻出方法に関する検討が必要でございまして、さらには、こういった関係者の理解を得るとともに、副反応を含めた予防接種施策に対する国民の理解といったことが整って初めて広く国民にこういった接種の機会を提供できるという内容のものでございますので、技術的な検討をある程度一定の結論を得た上で、こういった関係者との協議を進めてまいりたいと事務局としては考えているところでございます。

 また、御指摘のありました市区町村に関する財政負担等の要望に関しましては、定期接種のA類疾病ということで第二次提言をいただいてございますので、予防接種法上は交付税措置が9割とられるということと、これまで市町村会や町村会等からこういったB型肝炎ワクチンの定期接種化に関する要望書といったものは過去にもいただいているという状況がございます。

 副反応につきましては、予防接種法に基づいて接種を行う場合には、副反応の報告制度に基づき医師に報告を行っていただく義務がございますので、具体的にどのような副反応の報告をする必要があるのか。そして、個別通知を行う具体的な方法といったこと等の課題となる詳細な案件を整理した上で、制度に基づいてより安全に実施する体制については、今後またさらに検討を継続していく事項だと考えてございます。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 そろそろ時間もあれですので、済みません、最後に戸田委員にお話しいただいて、坂元委員はいいですか。

 ちょっと戸田委員から先に。

○戸田委員 大体の方向性が見えたかなと思います。今後につきましては、定期の接種化に向けた作業に入られるという状況になってくる。その際、実施主体は私どものほうになってくるということなのですけれども、ただ、昨年の10月ですか、2つのワクチンが定期接種化されたばかりという状況と聞いてございます。また新たな追加となってくると、現場が若干混乱する可能性があるのかなと。そのことをいかに回避するかということが大事だと思ってございます。

 また、先ほどから話に出ておりますけれども、B型肝炎の任意接種を地方単独事業で助成している自治体は余りないと私どもも把握しております。市町村としましては、新たな事務負担という形になってまいります。今後の定期接種化に向けての作業に当たりましては、実施体制の整備等について、特に厚労省は丁寧にお進めいただけたらありがたいとまず思うところでございます。

 今回のワクチンは、今もお話にありましたけれども、A類に分類されるのかなと。それで、特交で9割ということになってくるのかなと思いますけれども、特にその財源の捻出・確保につきましてくれぐれもよろしくお願いしたいと思います。

 それと、0歳児に3回の接種ということであります。被接種者の負担の軽減についても御一考いただければありがたいと思います。また、子宮頸がんワクチンの積極的な勧奨が差し控えられている中で、定期接種全体に関する信頼を確保するという意味でも、先ほどもありましたが、住民説明という部分が非常に大事と思ってございます。慎重に準備を進めていただければありがたいと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、時間がちょっと迫ってきているのですけれども、坂元委員と三田村委員は先ほど手を挙げられたので、一言ずつどうぞ。

○坂元委員 この定期化を進めて、自治体からのお願いというのは、大きな財政負担を伴うということとともに、1つの問題として、定期化が始まれば、定期化に漏れた人のキャッチアップをどうするかという議論が当然出てくると思います。それをどこまで自治体として負担してゆくのか、そういう議論が財政的な面ともかなりかかわってきますので、そういう議論を速やかに適切に行っていただきたいということです。

 以上です。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 三田村委員、どうぞ。

○三田村委員 ありがとうございます。

 定期接種化を早く進めてほしいと思うのですが、ワクチンが2種類あることとか、母児感染の予防措置と違うスケジュールになるということとか、現在いらっしゃる保因者の方の問題などがあります。傍聴者の方からのお話もありましたように、始まったときには、疑問とか混乱とかが現場でかなり起こりそうな気がしますので、またデータをいろいろ集めて、正しい情報を伝えていただいて、混乱のないようにしていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、結論のほうに持っていきたいと思うのですけれども、御意見を伺った限りは、特にこの分科会の中でこれを定期接種化すべきではないという意見ではなくて、定期接種化については了承いただけると結論づけていいのではないかと思います。よろしいでしょうか。

 ただ、それに当たっては、従来行われている母児感染の予防に関して、陽性者から出生された子供さんに対する対策は早期にきちんとやっておく。メカニズムがどのようになるかということはいろいろあるかと思いますけれども、それをやっていただくということがあろうかと思います。ワクチンの副反応に関するリスクをどう考えるかというのは、常にバランスをとって考えなくてはいけないので、特に専門家がわかっているだけではなくて、一般の方にそれを十分説明しながら、きょう、あす始めるということではないので、そういうコミュニケーションもしっかりとっていただく。我々のほうはとらなくてはいけないということではないかと思います。

 このワクチンは、決して急性の肝炎を直ちに予防するのではなくて、将来、我々の子供たちから肝がん、肝硬変というものが出てこないことが第一義だろうと思います。少数例ではありますけれども、今までの母子感染予防接種事業がうまくいかなかったから切りかえるのではなくて、母子感染予防接種事業によるキャリアの低下というのは、物すごくきれいな数字が須磨崎先生からも出ていたのですけれども、それに加えて、さらにいい方向にB型肝炎対策を向けるということではないかと思います。

 ワクチン接種によって免疫を持っている方が周りにふえてくれば、現在、HB抗原陽性の方が余り肩身の狭い思いをしないで済む。つまり、感染のチェーンを断ち切れるわけです。そういったこともあろうと思いますし、中野委員のほうでおっしゃっていただいた感染症と差別は私たちもいろいろな問題を抱えているのですけれども、そういうことがないように持っていくこともこれをきっかけに一歩進めていただければと思います。

 これは世界に向けてかなりいい線に行くのではないかと期待するところですけれども、それに向けても、厚労省としては、この委員会の意見を受けて、財源とか実施の問題、これからいろいろ御苦労はあると思うのですけれども、ぜひ実現に向けていただければと思います。

 これで、HBのほうに関する結論としておきたいのですけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、議事を進めたいと思います。

 次は日本脳炎です。日本脳炎については、今までの勧奨接種が一時とめられていたときのその後のキャッチアップをどうするかということになると思うのですけれども、これにつきまして、資料の説明と提案といいますかプランを事務局から御説明いただければと思います。

 山岸補佐、お願いします。

○山岸室長補佐 では、資料4「日本脳炎の積極的勧奨の差し控えに対する平成27年度の対応について(案)」と、参考資料2「日本脳炎の定期の予防接種について」のほうに来年度の対応を含めまして今までの対応について書かれた図がありますので、両方御参照いただければと思います。

 まず、資料4から説明させていただきます。

 1つ目としまして「第1期の予防接種について」です。積極的な接種勧奨を差し控えていた平成17年度から平成21年度の間に3歳または4歳になった者(以下「対象者」という。)については、第1期の初回接種及び第1期の追加接種(以下「1期接種」という。)が十分に行われていないことから、平成23年度から1期接種の不足分として積極的な勧奨を行ってきましたが、平成26年度末で対象者への積極的な勧奨は終了いたします。

 2つ目としまして「第2期の予防接種について」です。平成27年度に18歳になる者(平成9年4月2日から平成10年4月1日までに生まれた者)については、第2期の予防接種(以下「2期接種」という。)が十分に行われていないことから、平成27年度中に第2期接種の不足分について積極的な勧奨を行うということです。

 3つ目としまして「その他」。積極的な勧奨の差し控えが行われた期間に定期の予防接種の対象者であった者のうち、1期接種を完了していた者については、市町村長が実施可能な範囲で2期接種の積極的な勧奨を行っても差し支えないということを案としたいと思います。

 参考資料2を見ていただくと、来年度の予定について詳細が理解しやすいかと思います。平成19年度から平成26年度生まれの方については既に積極的勧奨が再開されていますので、通常の接種のスケジュール、3歳児で1期、9歳児になったときに2期ということで進めさせていただく予定でございます。

 それから、B、オレンジ色の年齢になっている部分、平成13年度生まれから平成18年度生まれの方々については、23年度から順次、9歳、要するに2期の通常の勧奨が行われてる時期に1期が漏れていた方については積極的な勧奨をさせていただいております。その対応が今年度で終了いたしますので、来年度からはその1期の漏れた方々に対する積極的な勧奨はしないということでございます。

 2期につきましては、2期が漏れた方に対して今年度から18歳になった年度において2期の接種の勧奨をさせていただいております。来年度は、平成9年度生まれの方に対して、2期の漏れた方に対して積極的な勧奨をするというところでございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 今までも差し控え中止のときに接種を受けていなかった方に対して、その権利をきちんと留保するということでキャッチアップという形でやっていたのですけれども、それの残りの分をどのようにするかということのかなり技術的な提案ではあると思うのです。これについての御意見はよろしいでしょうか。

 部会のほうでは一応このスケジュールはいいだろうということになっていますので、何か特に御異論、御意見があれば。

 大石委員、何かありますか。

○大石委員 特に異論があるわけではございません。賛成なのですけれども、日本脳炎の小児の累積接種率の調査と、今回提案の2期の予防接種の接種率についても、私が代表をしている予防接種班の研究班の中で調査を継続していく予定にしておりますので、御了解いただければと思います。

○岡部分科会長 どのような実態かというのは、先ほどのB型肝炎ももちろんですけれども、あれで調査が終わるのではなくて、引き続き研究はやっていただきたいということです。

 スケジュールについてはよろしいでしょうか。特段の御異論がなければ、これは技術的な検討を経ているので、この分科会でも御了承ということで御理解いただければと思います。

 それでは、事務局提案についてもこの分科会でも了承するとしたいと思います。ありがとうございました。

 次は、報告事項について幾つか順次お願いしたいと思います。

 議題3のほうです。今、この分科会の下には基本方針部会と副反応検討部会、それから、今後のワクチンの必要なことを検討する部会とありますので、これの審議状況についての御説明をいただければと思います。

 これは氏家補佐と高城室長からですか。それから、それぞれ部会の会長がおられますので、もし補足的な御意見がありましたらお願いします。

○氏家課長補佐 まず、お手元に資料5を御用意ください。前回の第5回予防接種・ワクチン分科会以降に開催された予防接種基本方針部会の審議状況について御報告させていただきます。

 前回1月9日に実施されてございまして、1ページ目の委員全ての方に御出席をいただきました。

 審議状況につきましては2ページ目になりますが、先ほど議論いただきましたB型肝炎ワクチンについて、そして日本脳炎ワクチンの特例措置対象者について御議論をいただきまして、先ほど了承いただいた内容について検討の結果、御了承いただいた事項でございます。

 その他の報告事項につきましては、副反応報告の取り扱いについては資料7で、3種混合ワクチンについては資料8で、平成26年度麻疹・風疹ワクチン接種率については資料10で別に報告させていただきますので、割愛させていただきます。

○岡部分科会長 高城室長。

○高城予防接種室長 続きまして、資料6に基づきまして、副反応部会における審議状況につきまして、先回の分科会以降2回開催してございましたので、御説明させていただきます。

 おめくりいただきまして、2ページ目からでございます。平成261029日に第11回の副反応検討部会を行ってございます。

 以下、概要でございます。

 麻疹、風疹、おたふく、水痘、A型肝炎等、こちらに記載のワクチンにつきまして、平成26年7月末までの副反応報告をもとに審議が行われた次第でございます。この際報告されました全ての症例の概要並びに後遺症症例、アナフィラキシー症例、死亡症例のより詳細な経過等の資料をもとに審議されまして、これまでの報告において各ワクチンの安全性に重大な懸念は認められないと評価されたものでございます。

 また、子宮頸がん予防ワクチンにつきまして、事務局から副反応報告症例についてのその後の状況の追跡調査の強化につきまして、調査の方法、対象などを報告させていただきまして、部会の皆様の御意見を踏まえた上で近日中に調査を開始する予定ということを報告してございます。

 次のページでございます。平成261219日に第12回部会を開いてございます。その概要でございます。百日ぜき、ジフテリアほか、記載のワクチンにつきまして、平成26年9月末までの報告をもとに審議を行いました。先回のものと同様、副反応報告された全ての症例の概要をこちらに記載のより詳細な経過の資料をもとに審議されまして、こちらにつきましても、これまでの報告において各ワクチンの安全性に重大な懸念は認められないと評価されたところでございます。

 以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 基本方針部会は私が部会長なのですけれども、先ほどの御説明で特に補足することはありません。

 桃井先生、副反応検討部会のほうは何かございますか。

○桃井委員 報告事項としては追加はないのですが、先ほどの御意見で副反応に関する懸念等の御意見が出たことでもわかりますように、副反応について大変強く感じるのは、国民の理解の仕方、です。ワクチンの効果は確率、即ち数字で出ますので、科学的に正しい情報を伝えても一般には極めて実感しにくい情報となります。なおかつ、予防ですから、感染症に罹らなかったという事実も感覚的に国民は実感しにくい。社会に流行しなかったという事実も、流行したという事実よりははるかに実感されにくい。したがって、この両方の性質から、ワクチンの効果はいかに科学的に情報を伝えても国民には極めて実感されにくいのが予防接種の特性だろうと思います。

 その一方で、リスクというのは、有害事象にせよ、副反応にせよ、個別の症例で提示をされますので、それが少数であっても、国民には極めて認知されやすい、実感されやすい、心理的に情報が受け取られやすい特徴があります。そうしますと、効果とリスクの評価において、科学者は科学的に適正な評価に努めますが、国民にとっては、副反応や有害事象がより大きく心理的に情報として受け取られやすいという特性があります。

 この特性は、極めて少数例の副反応有害事象であっても、認知心理学でよく言われるように、母数がどれだけ大きいかということは無視される傾向があります。これは、よい、悪いではなくて、人間心理の事実ですので、国民の情報の受け取り方を十分に理解した上で、科学的評価がより受け止められやすいの広報を考えていただくことが、国民の利益を最大限に上げる最も必要な方策だと思います。今までは科学的に正しい情報を伝えることに専念してきたように感じております。それだけでは国民にとってプラスの情報として伝わらないということも今回のさまざまな問題で大変強く感じますので、国民のための予防接種ですから、国民が心理的バイアスなく受け取れる広報戦略をぜひしっかりお考えいただきたいと強く願っております。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 リスクコミュニケーションに関する必要性を改めておっしゃっていただいたのだと思います。

 亀井委員、どうぞ。

○亀井委員 桃井委員にお尋ねします。

 子宮頸がん予防ワクチンについての調査というのはこれから始めるということで、今現在をもって報告いただけることは何もないということでいいのですか。

○岡部分科会長 では、今のまとめのこともあるので、事務局から。

 課長からですか。どうぞ。

○井上結核感染症課長 結核感染症課長でございます。亀井委員の今の御質問、どちらかというと、事務局が答えるのが適切かと思いますので、桃井委員に対する質問ではございましたが、かわって私からお答えさせていただきます。

 子宮頸がんワクチンの接種後に生じたさまざまな症状につきましては、副反応報告をもう一度徹底して上げていただきたいというお願いを医療現場にもしているとともに、実際に、接種後に生じたさまざまな症状、それぞれの患者さん、その後、どういう治療を受け、どういう経過をたどったのかということについて目下調査中でございます。

 この調査というのは、ことしの2月の末を目途に報告を上げていただくようにお願いしているところでございまして、現在情報が上がっている最中ですので、最終的に取りまとまり次第、改めて副反応検討部会での議論をお願いしたいと事務局では考えているところでございます。

○亀井委員 本件については、自治体にとっても、あるいは国民にとっても大きな関心事でもございますので、スピード感を持って御審議いただければと思っています。

○岡部分科会長 課長、どうぞ。

○井上結核感染症課長 御意見、承りました。そのように心がけます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 そのほかにはよろしいでしょうか。

 それから、きょうは流通部会は特に御報告はないですけれども、何かありますか。

○庵原分科会長代理 次の1月の流通部会はこの後に予定していますので、この分科会の間はなかったということで御理解いただければと思います。

○岡部分科会長 小森委員、どうぞ。

○小森委員 亀井委員から子宮頸がんワクチンの副反応等についての御質問がございましたので。

○岡部分科会長 流通部会のほうについては一応これで切っておいて、それは今後の議論であると。それで小森先生のほうに。

 どうぞ。

○小森委員 亀井委員から子宮頸がんワクチンの副反応についての御質問がございましたので、補足で1点だけ御説明をさせていただきたいと思います。

 日本医師会、日本医学会といたしまして、真に冷静で、そして医学的・科学的な観点からの議論をする場を設けたいと思いまして、去る1210日に日本医師会、日本医学会の共催シンポジウムを開催したところでございます。それぞれのお考えをさまざまな観点から、御発表いただき、そして討論させていただいた上で、座長としての取りまとめを行い、記者会見をして、一定の意見を述べ、また、厚生労働省等に対しましての御提言をさせていただいたところでございます。これからの審議にぜひお役立てをいただいて、国民の最大の利益、そして幸福のために資することを願っております。

 ちょっと補足をさせていただきました。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 資料の説明としては、今度はDPTなのですけれども、HPVの話が出たので、報告事項として資料9についての説明を先にやっていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

○高城予防接種室長 それでは「HPVワクチン接種に係る診療・相談体制について」ということで、資料9に基づきまして御説明させていただきます。

 1枚おめくりいただきまして、このHPVワクチンにつきましては、接種に伴って慢性の疼痛等の症状が広く報告されたこともございまして、現在、積極的勧奨を差し控えている状況でございます。その中でさまざまな検討をしておりまして、昨年の8月に前大臣から診療体制をしっかりと構築するようにという発言をいただきました。これに基づきまして、真ん中に書いてございますけれども、事務局のほうでも、ことしの11月以降、各自治体のほうに、各自治体に少なくとも1つの協力医療機関を整備いただきたいということでお願いをしてきたところでございますが、現時点までに各都道府県でどれだけの協力医療機関を整備いただけたのかという点についての御報告になります。

 おめくりいただきまして、協力医療機関の選定状況でございます。こちらは、タイトルにございますように、平成27年1月15日現在の状況でございます。

 1つ目の○は、先ほど御紹介したとおりでございます。赤で囲っておりますように、平成27年1月15日現在、選定報告のあった都道府県は43都道府県、65医療機関でございます。なお、未報告の4都道府県につきましても、現在は具体的な医療機関名の提示があるということで、現在手続中という連絡もございます。そのほか、協力医療機関の名称、窓口となる診療科等の情報については厚生労働省のホームページにも記載しております。そのほか、協力医療機関で診療に従事する医師等に対しては、都道府県の医師会が中心となりまして専門医の医師等による研修を実施する予定としているところでございます。

 おめくりいただきまして、ちょっと小さい字になりますけれども、こちらがホームページに記載している一覧表でございます。

 また、その次のページでございますけれども、厚生労働科学研究班でもいろいろと研究しておりまして、その関係の医療機関というものが、この牛田班というものと、後ろのページの池田班というものがございます。

 失礼しました。11月にお願いをしたと申し上げましたけれども、済みません、訂正いたします。9月29日に協力医療機関の選定を都道府県に依頼しております。

 報告は以上となります。

○岡部分科会長 今、HPVについては、そういう動きで引き続き検討がなされているというところになります。

 それでは、報告事項を前のほうに戻します。(3)の「2定期の予防接種等による副反応報告の取扱いについて」になります。

 谷田川専門官からお願いします。

○谷田川予防接種専門官 それでは、資料7をお手元に御用意ください。定期の予防接種等による副反応報告の取り扱いについて変更がございましたので、御報告を申し上げます。

 先ほども氏家補佐から御説明しましたとおり、副反応報告の取り扱いについて、改正薬事法が平成251127日に交付され、平成261125日に施行されたことに伴いまして、副反応報告書の報告先が厚生労働省からPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に一元化されたところでございます。

 資料7をおめくりいただきまして、2ページ目。平成251127日公布の「薬事法等の一部を改正する法律」につきまして、改正後とそれまでの法律について参照してございますので、ごらんください。

 変更点といたしましては、従前、旧薬事法、現在の医薬品医療機器等法に基づく副作用報告と予防接種法に基づく副反応報告は別々に報告先が決められておりました。従前は、予防接種法に基づく副反応報告は厚生労働省に提出していただいたところでございます。これを昨年11月の法の施行に伴いまして、PMDAに一元化することで、よりスムーズな副反応報告をしていただくことを旨としております。

 なお、従前どおりの取り扱いとなっておりますのは、副反応報告の自治体への情報提供を本省からさせていただくこと、また、医療機関からの副反応報告がなかった場合に、被接種者や保護者等からの副反応報告が自治体を通じて可能となっておりますが、これに関しましては、厚生労働省にこれまでどおり報告していただくことになっております。

 一番最後のページでございます。4ページ目に副反応報告制度について図解をしております。赤文字の「1副反応報告」は医療機関からPMDAへ矢印が向いておりますが、従前の仕組みですと、これが医療機関から厚生労働省に向いていたところでございます。そのほかの情報の流れ等に関しまして大きな変更はございませんので、その旨もあわせて御報告させていただきます。

 以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 これはもう既に走っているというところでの御報告です。

 それから、毎度申し上げますけれども、この副反応報告制度の「副反応」とは、副反応と確定されたものの報告ではなくて、いわゆる有害事象として幅広にとっているという御理解を多くの人にしていただければと思います。

 引き続き、資料の説明をやっていただいて、後でまた総合的に御質問、御意見その他があればと思いますので、そのように進めさせていただきたいと思います。

 この次は、DPTについて。説明は滝補佐ですか。よろしくお願いします。

○滝室長補佐 引き続きまして、三種混合ワクチン(DPT)の販売中止について御報告をさせていただきます。

 資料としては、資料8「3種混合ワクチン(DPT)の販売中止について」の事務連絡と、参考資料5「3種混合ワクチン(DPT)及び4種混合ワクチン(DPT-IPV)の取扱いについて」の事務連絡となります。

 なお、参考資料5には、補足として、厚生労働省のホームページ上にありますポリオワクチンに関するQ&Aを裏面につけさせていただいております。

 それでは、資料8「3種混合ワクチン(DPT)の販売中止について」の事務連絡をごらんください。

 平成26年3月12日に発出いたしました参考資料5「3種混合ワクチン(DPT)及び4種混合ワクチン(DPT-IPV)の取扱いについて」の事務連絡におきまして、3種混合ワクチンの販売が順次終了していく旨の連絡をさせていただいたところですが、全ての販売会社における通常の市場でのワクチン販売が終了した旨の連絡がありましたので、平成2612月4日付にて、3種混合ワクチン(DPT)の販売中止についての事務連絡を発出させていただきました。

 これまで厚生労働省のホームページ上では、平成26年4月9日更新のポリオワクチンに関するQ&Aの中で、3種混合ワクチン及び不活化ポリオワクチンの接種を始める場合には、原則として4種混合ワクチンを使用するようお示しさせていただいているところでございますが、現時点においても、不活化ポリオワクチン単独または4種混合が合計4回を超えて接種することとなる場合には、本事務連絡をもって対応させていただくこととなりました。

 さて、本事務連絡を発出後1カ月余り経過したところでございますが、都道府県及び市町村等から、例えば経口生ワクチンを2回接種済みで、3種混合ワクチンの接種が完了していない場合、どのワクチン製剤の接種を完了させればよいかという質問を多く頂戴しているところです。この質問に関しましては、ポリオワクチンに関するQ&Aの問9にも記載しているところですが、現在、全ての販売会社における通常の市場でのワクチン販売が終了したことから、4種混合ワクチンを使用していただくようお願いさせていただいているところでございます。

 これまで各医療機関より3種混合ワクチンが必要な旨の相談を受けた場合には、都道府県及び市町村より3種混合ワクチンの必要性及び医療機関における4種混合ワクチンへの切りかえ状況等を随時御確認していただいた上で、厚生労働省からワクチン製造・販売業者に個別販売の依頼をさせていただいているところでございます。

 なお、現在、供給可能なワクチンは、有効期限が平成28年7月15日までの北里第一三共ワクチン株式会社のワクチンとなります。今後も都道府県及び市長村から納品希望があった場合には、引き続き当課において対応させていただきたいと考えております。

 事務局からは以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、引き続き、MRの2期について中間報告のような形で入ってきていると思いますので、これについて氏家補佐から御説明をお願いします。

○氏家課長補佐 資料10をお手元に御用意ください。

 定期接種として実施しています麻疹の予防接種の2期、9月末までの都道府県の接種率取りまとめについて御報告させていただきます。

 麻疹の2期接種と申しますのは、就学前の1年間ということで、5歳から6歳の方を対象に4月から開始して、翌年の3月までに接種をしていただくものでございまして、その期間の約半分が終わった9月末までの各都道府県の接種状況になってございます。全体の接種率が59.6%になってございまして、この接種率というのが麻疹に関する特定感染症予防指針に基づき95%を目指しているところございまして、約半分の期間を過ぎたところで59.6%となっているといった報告でございます。

 また、同様に、この麻疹のワクチンはMRワクチンという形で風疹を含有するワクチンを使用してございまして、風疹も同様に95%の接種率を目指しており、麻疹とほぼ同等の接種率になってございます。

 ページをめくっていただきますと、2ページ目は同じ内容になってございますが、3ページ目は接種率の良い都道府県から順番に並べ直したものでございまして、最も高い県で68.9%、最も低い都道府県でも50%以上の接種率があるというような状況でございます。

 4ページ目を見ていただきますと、昨年度の同時期、9月末までの接種状況と比べてどうかということですが、全体としては、接種率が0.5%上昇しているということで、昨年と同等もしくはそれよりもやや改善している接種状況でございます。

 現在、半分の期間を経過したところで50%以上の接種率が全ての都道府県で実施されているところではございますが、指針の中でも、接種の対象者には特に早期に接種を実施していただく観点で、4月から6月にかけて、特に接種を勧めていただいています。今年度の対象者の接種期間は、残り1月、2月、3月と3カ月となってございます。就学前にまだ接種を受けていない方に対する積極的勧奨といったことを踏まえて、接種率95%を目指した取り組みを行っていただいているところと考えてございます。

 事務局からは以上です。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 これは9月の時点ですけれども、小学校入学前までですから、この1、2、3月の間にぜひお勧めいただければと思います。特に各自治体、あるいは医療機関の関係者の方、よろしくお願いいたします。

 それからもう一つのほうは、予算(案)のほうになりますけれども、資料11について石田補佐から御説明をお願いします。

○石田室長補佐 資料11について御説明させていただきます。

 平成27年度予防接種対策の予算(案)につきましては、約153,000万円、対前年度6.3%の増加となっております。今回、新規事業としまして、資料の一番下に「」と記載しているのですけれども、予防接種記録の電子化に係る経費約250万円を計上しておるところでございます。

 その内容としましては、現在「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、いわゆるマイナンバー法に関連した議論も踏まえて、予防接種記録の電子化に向けた調査・検討を行うこととしております。

 次に、個別の項目について御説明させていただきます。まず1つ目としましては、予防接種法に基づく予防接種健康被害への医療費・医療手当等の救済給付金として約12億円、新型インフルエンザ予防接種の健康被害給付金としまして約7,700万円、ポリオ2次感染者への健康被害給付費としまして約940万円など、約126,600万円を計上しております。

 2番目といたしまして、公益財団法人予防接種リサーチセンターが行っている予防接種健康被害者への保健福祉相談や訪問指導等の補助金としまして約3,800万円を計上しております。

 3番目といたしまして、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、いわゆるPMDAの交付金である予防接種副反応報告整理・調査事業として約6,000万円、厚生労働省、感染研、PMDAが副反応報告を即時に共有し、それぞれが調査等を実施するための経費等としまして約480万円、予防接種後副反応・健康状況調査といたしまして約2,500万円など、約9,000万円を計上しています。

 なお、参考としまして掲載させていただいているところですけれども、予防接種副反応分析事業については、平成26年度補正予算として約3,000万円を計上しているところでございます。その内容は、現在、PMDAで入力された副反応報告に重篤な事例や異常な集積がないか、国立感染症研究所等で手作業で分析等を行っているところですけれども、より迅速な分析等が行えるソフトウエアの開発を行うための経費を計上しているところでございます。

 4番目といたしまして、自治体の予防接種従事者を対象に、全国7ブロックで行っている研修事業について約310万円を計上しているところでございます。

 5番目といたしまして、予防接種に関する相談体制の充実や医療従事者に対する安全技能の研修の実施のため、都道府県で設置している予防接種センター機能への補助金として約3,700万円を計上しているところでございます。

 6番目といたしまして、予防接種に関する普及啓発費として約210万円を計上しているところでございます。

 7番目といたしまして、厚生科学研究費として医薬品の開発の関係で218,300万円の内数、また、予防接種の政策を推進するための研究費として約2億4,100万円の内数を計上させていただいているところでございます。

 最後になりますけれども、8番目といたしまして、厚生科学審議会及び疾病・障害認定審査会などの開催経費等や予防接種事故発生調査費及び感染症流行予測調査費、先ほど説明しました予防接種記録の電子化に係る経費などといたしまして約9,400万円を計上しているところでございます。

 予算の概要としましては以上でございます。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 なかなか大変な中だとは思うのですけれども、あらかじめということで効果が見にくいところがあるのかもしれませんが、いい方向に向けていただくため、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 報告事項としては一応これで終わって、時間があと数分なのですけれども、全体的にまとめて何か御意見があれば。

 庵原委員、どうぞ。

○庵原分科会長代理 庵原です。

DPTワクチンのことに関しまして、今、世界的に、特に先進国では百日ぜきが話題になっていまして、多くの国で再興している。DPTワクチンがなくなったとなると、一般の人たちは、日本は百日ぜき対策をどうするのか、もう忘れられるようになるのではないかという心配の声があちこちから聞こえてくるのですけれども、これに関しまして、国としては、百日ぜきにこれからどのように取り組もうとしているのか、その辺の御意見を何かお持ちでしょうか。その辺の確認をしたいのです。

○岡部分科会長 山岸補佐、どうぞ。

○山岸室長補佐 では、事務局からお答えいたします。

 従前、定期接種としてDPTが接種されていた幼少時については、DPT-IPV、いわゆる4混で対応可能と考えております。また、庵原先生御指摘のお話は年長児の感染等のことだと思いますけれども、年長児、成人における百日ぜきの抗原を含むワクチンに関しては学会等で治験の報告がされていると聞いております。その年齢層に対する議論といいますのは、年長児、それから成人向けのDTPが仮に入手可能になった際にはまた議論が進められていく可能性があるかなとは思っております。

○岡部分科会長 どうぞ。

○庵原分科会長代理 要するに、百日ぜきはまだ日本でも疾病負担がどのぐらいあるかわかっていないような状態なので、疾病負担から広く拾って、本当に必要な感染症であるかどうかというところからきちっと押さえていく必要があるのではないかという考えをしているのですけれども、この点に関していかがですか。

○山岸室長補佐 現在、研究班のほうで実態を調査する研究を進めていただいていると理解していますので、そちらの結果を待ってお話を進めていきたいと思います。

○岡部分科会長 定期接種の導入ということで幾つかのワクチンギャップの解消で今までこの委員会も随分動いているわけですけれども、百日ぜきをどのようにしようかというのは世界的に見ても重要な問題ですし、山岸補佐がおっしゃったように、現に研究班も動いているので、DPTDTその他、これも含めての議論はこの分科会の中でも引き続き取り上げていくということで事務局のほうもぜひよろしくお願いいたします。

 きょうの会議は大変実のある会議だったと思います。それでは、電気も消えて時間もちょうどぐらいなので、これで終了にしたいと思います。

 終わりに当たって課長から御挨拶をどうぞ。

○井上結核感染症課長 結核感染症課長の井上です。閉会に当たりまして一言御挨拶申し上げます。

 岡部分科会長を初め、委員の皆様におかれましては、本日の御議論で、この分科会の前身である予防接種部会からの課題となっておりましたB型肝炎ワクチンにつきまして取りまとめをいただきまして、ありがとうございました。また、この場をおかりいたしまして、本日の取りまとめまでの過程で技術的な検討に御尽力いただいた関係者の皆様にも厚く御礼申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、本日の審議結果、取りまとめ結果を踏まえて、B型肝炎ワクチンについてここで御議論いただいた技術的な検討以外に必要なさまざまな検討を早急に行い、関係者の理解を得て、一日でも早く国民の皆様に対しまして広く接種機会を提供できるよう努力を続けていく所存でございます。

 簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。委員会からもぜひ実現に向けて御努力をよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の会議はこれで閉会としたいと思うのですが、事務局から何かアナウンスがありましたら、どうぞ。

○石田室長補佐 次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。

 事務局からは以上でございます。

○岡部分科会長 では、どうもありがとうございました。

 本日は閉会です。


(了)

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