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2014年11月20日 第85回労働政策審議会職業能力開発分科会記議事録

職業能力開発局

○日時

平成26年11月20日(木)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室(12階)


○議題

(1) 職業能力開発施策について
(2) その他

○議事

○小杉分科会長 定刻となりました。定足数に達しておりますので、ただいまから第85回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日の出欠状況ですが、原委員、高橋了委員、大隈委員、河本委員、諏訪委員が御欠席です。なお、諏訪委員の代理人として日本商工会議所の福田産業政策第二部副部長が御出席でいらっしゃいます。また、大久保委員は所用により途中退席されます。

 それでは議事に移ります。議事次第にありますとおり、本日の議題は「職業能力開発施策について」「その他」の2件です。それでは、事務局より、議題1「職業能力開発施策について」、資料1から資料3について説明をお願いします。

 

○宮下総務課調査官 お手元の資料1を御覧ください。これまでの議論を踏まえた論点の整理()です。課題と見直しの方向性ということで、2構成でまとめてあります。まず、1「課題」です。企業の支出する教育訓練費や自己啓発に取り組む労働者の割合が減少傾向にあること、ニートとフリーターの人数が高止まりしており、非正規雇用労働者として最初の仕事に就く者が約4割近くいること、将来を支える若者を始めとした人材の最適配置を図り、その能力を最大限いかすためには、職業訓練や職業能力評価制度などの労働市場インフラの戦略的強化が必要であることの3点を挙げています。

 続いて、2「見直しの方向性」です。若者に対する職業能力開発については、職業安定分科会での検討と併せて、(1)「若者に対する職業能力開発について」に記載があるとおり、若者に対する職業訓練、職業能力評価、個人の主体的なキャリア形成支援、ニート等の若者に対する職業的自立支援等を更に促進することについての検討を挙げています。詳細につきましては、参考資料2に、昨日開催されました若年労働者部会の報告書()を提出していますが、これについては後ほどポイントだけ御説明いたします。

 続いて、若者をはじめとする労働者の職業能力開発への対応として(2)から(4)までの3点について検討事項を挙げています。まず、(2)「産業界のニーズや労働者の属性を踏まえた企業内訓練を含む職業訓練の推進について」です。公的職業訓練の計画策定に当たり、関係者のニーズの把握を強化すること。在職中の職業訓練の受講を容易とする取組の促進。企業内の人材育成について、助成金の活用促進などの必要な支援や好事例の周知、その際には、キャリアアップの機会に恵まれにくい労働者に対する教育訓練機会の拡充の支援に留意すること。都道府県労働局を職業能力開発行政の拠点として位置付け、ハローワークに職業能力開発行政の機能を行わせること。民間教育訓練機関の育成、職業訓練の質の担保・向上に向けた更なる取組。学校等の関係機関と連携した就業意識の醸成や技術・機能の向上への取組などが挙げられています。

 続いて、(3)「新たな職業能力評価制度の構築について」です。技能検定制度について、産業活動の変化等に即応した職種等の見直しや、若者等に対する積極的な活用促進や受検環境の整備。対人サービス分野を重点に、業界団体主体の職業能力検定を整備すること。ものづくりの魅力の発信強化やものづくり人材の効果的な育成の在り方の検討などが挙げられております。

 最後に、(4)「職業人生を通じた労働者の主体的なキャリア形成について」です。労働者本人のキャリア形成の促進及び国、事業主等による支援。就労支援機関等に対するキャリア・コンサルタントの配置等を通じて、キャリア・コンサルティングを受ける機会を整備すること。キャリア・コンサンタントの質や専門性の確保や、資格としての性格付けの整理。ジョブ・カードについては、職業人生を通じて利用者が効率的に活用できるよう見直すことや登録キャリア・コンサンタントの名称等を見直すこと。これらが挙げられております。

 資料2では、第82回から第84回までの主な意見をまとめております。議論の参考にしていただければと思います。

 資料3ですが、前回、キャリア・コンサルティングと新たなジョブ・カードについて、誰を対象とし何のために使うのかを整理すべきとの意見があったところです。このため、それぞれにつきまして、離職者、在職者、新卒就職希望者に区分して整理したものです。1枚目は、キャリア・コンサルティングについて対象者ごとに、主な実施内容、実施者、行われる場所について整理してあります。例えば離職者(転職を希望する在職者、訓練受講者を含む)については、キャリアの棚卸し支援、自己・仕事理解の支援、キャリア目標の設定支援などを、機関内に配置されたキャリア・コンサルタント有資格者が、就職支援機関内で行っていると整理しています。在職者、新卒就職希望者については御覧のとおりです。

 同様に2枚目は、新ジョブ・カードについてです。対象者ごとに、活用の目的と、自己理解・仕事理解、キャリア・プランの作成、職業能力開発の観点から、具体的にどのように活用されるのかを整理した表です。例えば離職者であれば、蓄積した訓練の評価や職務履歴などの職業能力を証明する情報と、新ジョブ・カードの情報から作成した応募書類を求職活動時に活用することが考えられ、免許・資格、職務経歴、学習・訓練歴などを新ジョブ・カードに本人が記入することなどで自己理解や仕事の理解ができ、また目標や目標のために修得が必要な能力など、自身のキャリア・プランを本人が記入することなどで、キャリア・プランを作成することができます。そのキャリア・プランを踏まえて職業能力訓練をすることにより、職業能力開発が行われ、訓練機関としては訓練成果等の評価ができるということになります。

 そのほか、在職者、新卒就職希望者については、御覧のとおりです。

 続いて、参考資料2は、昨日行われた若年労働者部会の報告書()です。第1「はじめに」と、第2ということで、2部構成になっております。第1「はじめに」では、今後の若者の職業能力開発やキャリア形成に当たっての視点が記載されています。ポイントだけ御説明いたします。若者は将来を担う貴重な人材であり、フリーターやニート数が高止まりする中、社会全体で支援をすることが重要であるということ。支援を行うに当たっては、個々の状況を踏まえ「個別的」に、一過性のものではなく「持続的」に、関係機関が連携して「包括的」に、就職する時代に起因する不遇を生み出さないために「恒常的・安定的」に実施することが必要とまとめております。

 第2では、今後の若者に対する職業能力開発及び勤労青少年対策の在り方について記載しています。(1)職業訓練として、公共職業訓練での若者向けの訓練メニューや雇用型訓練の推進、学校に対する積極的な情報提供・発信や学校等との一層の連携。

(2)職業能力評価では、職業能力検定について対人サービス分野を重点に整備するとともに、技能検定3級などのエントリーレベルの整備をすること。

(3)個人の主体的なキャリア形成支援では、若者を支える人材としてキャリア・コンサルタントの資質の向上を図り、その養成を促進すること、ジョブ・カードについては所要の見直しを行い普及促進すること。

(4)ニート等の若者に対する支援では、地域若者サポートステーションについて、より効率的・効果的な事業となるよう必要な見直しを行い、安定的に事業を運営すること。また、関係機関との連携や理解・協力により、各施設が有するノウハウの普及等を通じて機能を強化すること。

(5)勤労青少年福祉対策については、勤労青少年福祉法が昭和45年にできておりますが、こちらの法律について、若者の充実したキャリア形成や雇用のために必要な法律として発展的に整理すること。

(6)その他として、関係機関との連携の下に、若者に対する職業能力開発を推進し、各施策を一体的、有機的に実施すること、また利用者の立場に立った広報や情報の発信という点が盛り込まれています。資料につきましては以上です。

 

○小杉分科会長 それでは、ただいまの説明について、皆様の御意見、御質問をお受けします。いかがでしょうか。

 

○新谷委員 資料2として今回の論議が始まった930日の第82回から第84回までの分科会における主な意見をまとめていただきましたが、本日はこれまでの分科会論議に基づいて資料1として論点整理案を提示頂きました。

930日の第82回の分科会では、職業能力開発局長から、今回は分科会論議を踏まえて、職業能力開発促進法の改正を中心とする必要な法的措置を行いたいという説明がありました。もともと今回の検討のベースになっているのは、厚労省内に設置された「職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」の報告書であって、それを中心に論議が進められてきましたが、能開法改正を念頭に置いた場合、本日示された論点整理案の領域は、能開法がカバーする領域の中でもかなり限られた分野に特化されている印象が否めません。

 今回の論点整理案では、若者を中心とする職業能力開発に関する論点整理がなされていますが、職業能力開発の領域には、例えば高齢者や障害者の能力開発という領域もあります。今回の論点整理案は、そうした領域には触れていません。今後、報告書の取りまとめをするにあたっては、見直しが必要な全体像を示した上で、今回はこの領域に注力して法改正を行うというシナリオを示すべきです。つまり、今回のように、新たな職業能力評価基準の整備やキャリア・コンサルタントの見直し、更にはジョブ・カードの見直しなど、厚労省の改正したいポイントのみが個別に示され、職業能力開発の見直しの全体像が見えていないのではないか、という懸念があるのです。今後は、いま指摘した見直し領域の全体像についても分析しつつ、今回の分科会の論議は「この点にフォーカスしていく」という論理展開とすべきであると思います。この点について事務局で見解があれば教えていただければと思います。

 

○吉永総務課長 御指摘いただいたとおり、能開行政には様々な課題がある中で、省内の検討会、あるいは部外の有識者を含めた検討会で御議論いただいたものをベースとして、当分科会で御議論いただいています。それぞれの中でかなりフォーカスした形での議論になっていたので、「職業能力開発」という言葉の持つ広がりからすると、やや個別テーマが並んでいる色彩はあるということは否めないだろうと思います。私どもとしては、様々なテーマがありますし、現在、職業安定局を中心として、あるいは能開分科会でも若年者雇用部会の議論もありますが、若年者にフォーカスした議論があるだろうと思っております。

 一方、能力開発の施策は基本的には若い方を中心とした施策であるというのがこれまでの伝統的な考え方ですが、さはさりながら、それだけでいいのかという考え方もあります。今回は確かに個別テーマ性が強い中身が並んではいますが、それぞれはある意味で職業能力開発のインフラとなるべきものではないかと考えております。評価制度にしても、キャリア・コンサルタントにしても、ジョブ・カードにしても、それぞれインフラとして整備をしていくことが制度的な問題として1つあるのではないかと考えております。

 訓練の内容、あるいは障害者の訓練や高齢者の訓練について、特化した制度的枠組みがあるのかどうか検討していく必要があるわけですが、訓練メニューをいろいろ考えていくことはもとより必要ではありますが、制度的な枠組みとして、高齢者だから、若年者だからというのはフレームワークとしてどうなのかというところもあると思います。若年者を対象として考えた場合については、若年者部会の報告書にありますとおり、雇用型訓練やデュアルシステムといった極めて有効な考え方があります。一方で在職者、キャリア・チェンジを行うような場合も含めて、有効な訓練はどのようなものがあるかといった課題は、引き続き検討を進めていきたいと考えております。

 

○新谷委員 たしかに930日に開催された第82回分科会で示された論点案から考えれば、公労使三者の意見によって見直しの方策が大分具現化してきたと思います。しかし、印象としては厚労省が予算を確保して実施したい施策があって、それに対して後付けで論議をしてきたという整理になっている印象が否めません。例えば、キャリア・コンサルタントについて言えば、対象や主体毎にキャリア・コンサルティングという枠組みの中で、キャリア・コンサルタントはどのような役割を担うのかという論点こそを検討すべきです。しかし、厚労省の提案は、現在約4万数千人いる標準キャリア・コンサルタント以上の者を10万人まで養成するという数値目標の達成に主眼を置いた内容であって、職業能力開発全体の枠組みの中でどのようにキャリア・コンサルティングを行っていくべきであるのかという点が後で議論をされるという、非常に奇異な論議になっているわけです。

 今申し上げたように、能開法改正という全体的な枠組みの中で、今回の見直しの焦点とする領域の位置付けをもう少し明確にさせておく必要がある。この点を改めて申し上げます。以上です。

 

○小杉分科会長 その点は、これから取り組んでいただけるわけですね。

 

○吉永総務課長 本日の事務局から整理した論点については、補足する点、また記載の訂正が必要な点がありましたら、幅広く御議論いただいて、全体としての今後の職業能力開発の在り方の取りまとめに向けて御議論を進めていただければと思います。

 

○宮川職業能力開発局長 今、吉永課長から御説明したとおりですが、全体の構成としては最初の回で申し上げたとおり、職業能力開発法制も含めて全体の議論という形で御議論いただきたいと思っております。報告書もそういう形でまとめていただくスタンスです。今日のペーパーは、あくまでも論点整理の途中経過のものですので、そういう意味でやや突出した部分があったり、偏った形になっておりますが、最終的には全体を議論して、ただ、今回はこういう観点でこういうところをやったらどうかとか、例えばこういうものについては更に引き続き検討すべきではないか、あるいは運用ベースでこういうことをやるべきではないかといったことも含めて、報告書なり、建議なりの文書としては全体をカバーしつつ、その中で法制的な事項等もあるでしょうし、法制的でない事項もあるでしょうから、そういうものを取捨選択していただきながら、若干減り張りはあるにしても、全体をカバーした形での最終的な取りまとめにしていただければと思います。

 

○小杉分科会長 そういう位置付けで、御了解いただけましたでしょうか。

 

○大野委員 是非、全体の課題と方向性の議論のまとめをしていただきたいと思います。それから、個別のテーマの見直しの方向性について、資料12番でこの間の議論がたくさん書いてありますが、その前提となる1の課題の部分で、この課題は職業能力開発をめぐる課題ということで、例えば企業の教育訓練費が減っているとか、若者の問題とか高齢者の問題とか書いてあります。厚労省としていろいろな行政の取組をやっていますが、その行政の成果が何で課題が何だと、だから見直しの方向性はこのようにいくのだと書いていただいたほうが、より分かりやすいのではないかと思います。

 

○大久保委員 今の1の「職業能力開発をめぐる課題」について、最初に書いてある企業の支出する教育訓練費が減少傾向にあるということと、自己啓発に取り組む労働者の割合が減少傾向にあるという2つの問題は、スタートラインとして非常に重要な問題だと思うのです。つまり、この課題に書いていることがその後の見直しの方向性で全体のストーリーとしてつながっていくことがとても大事で、一番最初の指摘としても大事だと思います。

2つ目の若年の所の整理は、本当にこれでいいのかなと思います。ニート60万人、フリーター182万人ですが、非正規の問題に関しては、「在り方研究会」のときにも議論が出たと思いますが、より課題を具体的に絞って、その中に不本意で非正規だという人が何万人いるとか、雇用保険の対象、セーフティネットは拡大したけれども、それに満たない短期的な就業を繰り返している人が何万人いるとか、あるいは一部の非正規の人たちは固定化しているとか、そういった問題に対処するものではないかと思います。

3つ目の「職業訓練や職業能力評価制度等の労働市場インフラの戦略的強化が必要」というところが、1つのポイントだろうと思います。毎年、事業として予算取りをするもの、その時々でやるものと、ずっと経年で予算措置を取りながらインフラとして機能させていこうとするものと、大きく2つの領域があって、今回は法改正を踏まえた整理ですから、特に労働市場インフラの戦略的強化に該当するものは何で、そういうものはきちんと法的にも位置付けをしていくという道筋なのだろうと思うのです。その辺りがよりクリアに見えるようにまとめていただくのがいいのかなと思います。

○小杉分科会長 新谷委員が最初におっしゃった、全体の構図をここでもう少しきちんと書き込めということですね。

 

○高橋()委員 今の1の課題の所を改めて読むと、3番目の○の最後の行に「労働市場インフラの戦略的強化」とありますが、これは課題なのかどうかというと、恐らく目指していく方向性なのではないかと思うのです。そうした戦略的強化が見直しの方向性の柱として書かれていくものであって、その前の段階の課題は、先ほどの大野委員の指摘とも重なりますが、基本的にここに書いてある「我が国の将来を支える若者を始めとした人材の最適配置を図り、その能力を最大限いかしていく」というのは、これまでもずっと職業能力開発行政として取り組んでいたことなのではないかと思うのです。今に至ってこれが新しい課題としてあるのではなく、これは永遠不滅というか、今後ともずっと根幹としてあるべきことで、それに対して行政としていろいろ取り組んできたのだけれども、十分にそれがいかしきれていないところがあって、それが課題として書かれて、それで今後の方向性としては労働市場インフラを戦略的に強化していくとしたほうが、流れがあって説得力が高まるような印象を持ちました。意見です。

 

○小杉分科会長 これまでも労働市場インフラとずっと言ってきて、やってきたわけですが、まだそこが十分ではないから次の課題になるということですね。

 

○豊島委員 私も課題は上の2つであり、3番目の「労働市場インフラの戦略的強化」は方向性であると思います。

また、PDCAという用語はよく出てくる言葉ですが、職業能力開発施策について言えば、PDはあるわけで、Cがないのです。論点整理案では課題が冒頭に示されていますが、まずはこれまで実施してきた施策を分析し、何が不十分で、だからこれが課題なのだ、という流れが必要です。最終的な報告書では、こうした課題分析も見えるようにまとめていただきたいということを、私からも申し上げておきたいと思います。

 

○小杉分科会長 Cに当たる部分をもっと書くということですね。

 

○水町委員 大きな問題を1つと、具体的な問題を1つコメントします。1つは、新谷委員や大野委員がおっしゃったことと重なる点がありますが、この紙に出てこない、恐らく背後で検討を考慮されているであろう点についても少しオープンな場で何らかの位置付けをして、検討していただいたほうがいいのではないかと思います。大きな流れとして、例えば「成長戦略」や「日本再興戦略」の中で職業訓練や職業教育がどのように位置付けられているかという関係で、今後の論点整理や課題がどうなっているかという中で、この課題について労使が第一義的に責任を持って対応すべき問題なのか、国の施策・政策として展開すべき問題なのか。それが財政面での位置付けと重要に関わってきますし、具体的な政策の展開において民間の役割を重視してそれを促すのか、国の役割がどうなるか、国の役割の中には関係省庁があるので、関係省庁の中での調整をどうするか、更には自治体との関係をどうするかということで、全体としての機能統合、部分的にはそれぞれの論点の中に出てきますが、その全体の問題について財政面との関係も含めてどこまで具体的に書き込むか。そういう問題と個別の問題をリンクしながら検討されていることを位置付けながら議論することが大切かと思います。

 もう1つは具体的な問題で、資料1の論点の整理の(4)「職業人生を通じた労働者の主体的なキャリア形成について」です。世界的に見ても、労働者個人が主体的に自分でこういうキャリアを展開しようということを促進することは重要になってきていますし、日本の大きな流れから見ても、企業の中で教育訓練をすることはなお重要になってくると思いますが、それを補完したりサポートしていく面でも個人のキャリア形成は重要だと思います。その中の1つの方策・ツールとして、外国では、教育訓練休暇を個人にどう与えるか、フランスでは2013年の雇用安定化法で、既に昔から有給の教育訓練休暇が労働者に認められていましたが、それを転職してもサポートできるようにしようということで、労働者個人個人の勘定を作って、個人勘定で転職しても貯金のような休暇はポータブルなものにするという改正が労使の合意の上で法律化されました。日本ではどの段階でどのように進めていくかが課題だと思いますが、差し当たり教育訓練休暇を1つの施策として、財政的に支援する助成金だけではなく、選択の機会としての教育訓練休暇の制度をどう日本で位置付けていくか。これは、例えば行動計画の中に盛り込みながらそれをサポートしていくという段階もあるかもしれないし、休暇として、形成権として法律上教育訓練休暇を無給ないし有給で認めていくという方向性も、将来的には考えられると思いますが、それを1つの選択肢として検討することをどこかで始めていただければと思います。

 

○小杉分科会長 これまで主体的なキャリアについては休暇の話は出てきていませんでしたが、今後その辺もということですが。

 

○三村委員 今回の若年労働者部会でも出てきた「個別的・持続的・包括的」という、巨視的な生涯を通じたキャリア形成のグランドデザインがきちんとしていて、その中で個々の議論がどこに位置付けられているかを確認して展開していなければ、いつも場当たり的な、短期的な戦術的な方策で終わってしまうのではないかと思うのです。ある意味では、それは省庁をわたったものかもしれませんが、国家戦略として、生まれてから人生を終えるまでのキャリア形成をどうたどっていくのかというグランドデザインが根幹にあるべきだと思います。

 ジョブカードについて3点申し上げます私も今、学生のジョブ・カードの開発について学生のキャリア担当者ともいろいろやり取りをしていますが。学生がジョブ・カードに対して前向きでないと、ある大学のキャリア担当は話しています。学生ジョブ・カードを試行的になさっているかと思います。うまくいっている事例や、これに関するデータ等をお取りになっているのであれば、お示しいただきたいと思います。2点目は、キャリア・コンサルタントと話をしながら、ジョブ・カードを書くときに離職者や経歴がない方は書くものがない場合があります。そうした場合を想定し、書く材料が年金の定期便や雇用保険の被保険者資格取得届出確認照会票等に記載されているといった工夫をすることで、取得しようとする動機付けが高まるのではないでしょうか。

3点目は、現在、大学はキャリア・デザインといったいろいろな科目を設定して、1年生からカリキュラム上配置している所も多いです。そうすると、授業の中でジョブ・カードをどう活用するかの事例の提案をしていくことによって、こうした授業科目にジョブ・カードを教材として採用することができ12年生からの長期的な形でジョブ・カードの存在を学生に知らしめることができのではないかということで、提案です。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 学生ジョブ・カードですが、これまでの実績では9,000人が取得、うち2,000人が職業訓練以外での活用という状況です。大学におけるキャリア形成の授業においても、学生ジョブ・カードを活用して自らの振返り、キャリア・コンサルティングなどを行って、学生のキャリア・ビジョンの明確化や就職活動の準備等を行っているといった大学の事例を把握しております。

 また、学生ジョブ・カード活用のレスポンスですが、平成25年度に学生などを対象に調査を実施しており、学生ジョブ・カードを作成した学生からは「自己分析等に有効」とか、「自分の強みが理解しやすい」といったことから、今後も利用したいという方が51%でした。一方、残りの49%は企業が独自のエントリー・シートを活用していることなどから、活用に前向きになれないという評価で、総じて自己分析や自己理解といったキャリア・プランのツールとしての役割は評価されているのではないかと思います。

 これらを踏まえて、見直し案は、学生のキャリア・プランの作成の観点から、学習の状況や社会活動で学んだこと、自己分析・自己理解に関することを書きながら、最終的には今後の目標等を書かせるようなものとなっております。この中身については、現在どういうものを書くかについてはキャリア・パスポート構想研究会等で検討しています。

 

○高倉委員 今、ジョブ・カードの話が出ましたので、ジョブ・カードについて意見を申し上げます。

現在のジョブ・カードの取得実績を見ると、91.3%が職業訓練受講時の取得となっています。要するに職業訓練時にしか使用されていないという問題があるのだと思います。さらに、特に大企業での活用が進んでいない現状がありますが、そもそもジョブ・カードについて内容を含めて「知っている」と回答した事業所は16.2%と、認知度が低いことも大きな問題であると思います。

こうした状況を踏まえれば、政策目標としては、ジョブ・カードの取得総数だけではなく、活用実態も把握していくことが必要ではないかと思います。また、ジョブ・カード取得者数を300万人とする目標については、活用実態を踏まえた上で見直すことも検討することも必要であろうと思います。

 加えて、見直しの方向性についてですが、労働側としては、ジョブ・カードが全ての労働者の生涯を通じた訓練事項とスキルの証明書となるように見直しがされるべきだと考えます。ジョブ・カードの使用を訓練受講時の一過性に終わらせることなく、訓練から在職まで一気通貫で活用するための方策が、報告書には盛り込まれるべきだろうと思います。その際には、例えば、人事職務制度等が未整備な中小零細企業で働く労働者が自身のキャリアの棚卸しのツールとして活用することができるなど、具体的な活用モデルを示すべきであると思います。

また、ジョブ・カードが労働市場におけるマッチングツールとして活用されるためにも、国が権威付けをしっかり行った上で、企業や業界団体を巻き込んだ活用に向けた取組を行うべきと考えます。

 

○小杉分科会長 この点は、これからの検討の中で受け止めていっていただければと思います。

 

○豊島委員 見直しの方向性の(2)に「産業界のニーズや労働者の属性を踏まえた企業内訓練を含む職業訓練の推進について」ということが掲げられています。この表題については、これまでの議論を踏まえた意味が込められていると思います。

一方で、キャリア形成支援のあり方を論議した際には、労働側から、対象者や実施主体毎の役割分担を整理すべきとの意見を申し上げました。この点、職業訓練についても、対象と実施主体を明確にすべきであると思います。つまり、仕事に必要な能力の開発は企業が行い、離職者については国が行うという整理が必要であると思います。それが「労働者の属性を踏まえた」という所に込められているのかもしれませんが、そのことを明確にしていただきたい。この点が1点目です。

2点目としては、特に非正規雇用労働者をはじめとするキャリアアップ機会に恵まれない労働者に対する職業訓練機会の拡充の支援についての記述がありますが、非正規労働者、あるいは中小零細企業で働く労働者の方がきちんと訓練を受けることができるようにする、ということが本当に必要だと思います。そういった意味で、キャリアアップ助成金をはじめとする各種助成金や制度がしっかり活用されることが大事だと思います。つまりは、助成金や制度が十分活用されるためにも、申請手続の簡便さや情報の周知が重要であると思います。報告書には、これらの点についても書き込んでいただければと思います。

 

○小杉分科会長 これもしっかり受け止めて、これからの検討に入れていただきたいと思います。

 

○大久保委員 もう1つ、見直しの方向性の(4)「職業人生を通じた労働者の主体的なキャリア形成について」ですが、これは前回のこの分科会でジョブ・カードとキャリア・コンサルタントの話にフォーカスしていて、全体観がもう少し見えるようにという話があったと思います。少し書き足していただいたのですが、もう一歩ストーリー立てがほしいという感じがあります。「職業人生を通じた」というのは、当然、職業寿命が延びてくるとか高齢化に対応しているのでしょうし、「主体的な」というところも非常に重要なポイントで、一番最初は自己啓発が減少傾向にあるというところから課題がスタートしているので、そういうことを受け止めながらもう少しまとめられないかと思います。

 もちろん、企業側が人材育成について大きな責任を持つのは当たり前の話で、大前提ですが、それに加えて個人の主体的なキャリア形成を支援していくための仕組みを整備していこうという話です。主体的なキャリア形成というと、自分自身のキャリアをプランニングすることと、もう1つは自己啓発などを通じて職業能力を高めていくこと、私はこの2つは両輪のようなものだと思っています。そうすると、自己啓発が低下している中で、あるいは能開として掲げているKPIの中の1つに自己啓発の比率がありますが、これは1回も達成したことがないわけで、大きな課題として残っているわけですから、そのことに対して専門実践教育訓練に予算を配置して、自己啓発を促進する形を取っている。加えて、キャリアのプランニングや自己啓発全体を支えるものとして、今まであったジョブ・カードをどちらかというと個人が主体として活用していくツールとして、もう1回位置付けをし直して整備をする。さらに、個人がキャリア形成をする上で、必要なときにそれについて寄り添って相談の相手をしてくれるキャリア・コンサルタントの量的・質的充実を図っていくというストーリーがもう少し分かるような形で書いていただくと、一般の人たちにも伝わると思うのですが、現状では唐突に2つ出てくる感じがまだあると思うのです。そんなところを考えていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 大変良いストーリーを展開していただいたのではないかと思います。

○豊島委員 今、大久保先生がおっしゃった、仕事をするために必要な能力に関する訓練は企業で行う、このことは大前提であると思います。自己啓発の促進については、先ほど水町先生がおっしゃったように、労使で社内制度として支援の枠組みを確立している企業もありますが、仕事をするために必要な能力に関する訓練は企業で行うことが大前提です。建議を取りまとめるに当たっては、この大前提を書いていただきたい。

繰り返しになりますが、自己啓発の促進は重要であると思いますが、仕事に必要な能力の取得のための訓練を自己啓発として整理して、労働者の費用負担で「あそこに専門学校があるから、通ってやってこい」ということはあり得ません。こうしたの大前提についてはしっかり書き込んでいただきたいと思います。

 

○大久保委員 能開の議論としては、(4)に関してはそういうことなのかなと思いますが、実際には労働政策全般でいくと、この問題に関連している周辺の問題もあると思っています。先ほど水町さんが御指摘された休暇の問題も1つかもしれませんし、あるいは今の働き方や長時間労働の削減の問題、残業削減の問題を議論していることも自己啓発につながっていくところで、そこのストーリーをきちんと書くことによって様々な周辺的な労働政策との関連も分かりやすくなっていくと思いますので、その辺りを意識してうまくまとめられるといいなと思います。

 

○新谷委員 論点整理案2ページの下に「労働者の置かれる状況によって、第一義的に支援に責任を負う者が異なる」との記載があります。これは企業の在職者については第一義的に企業が能力開発の主体を担い、一般の離職者については国が能力開発の主体を担うということを書き分けたものではないかと思います。報告書をまとめるにあたっては、この文意が明確となるよう書き分けをお願いしたいと思います。

 また、資料3として、対象別のキャリア・コンサルティングの内容、実施主体を区分して示した資料をご提示いただきました。大分整理が進んだと思いますが、この整理は一過性で終わらせるべきではない。今回の資料では、離職者、在職者、新卒就職希望者といった対象毎にキャリア・形成支援の内容を整理いただきましたが、特に在職者の部分については、中小企業では取り組みが遅れている傾向にあるなど、企業によってばらつきが大きい。この状況をどうやって底上げしていくかという点が重要です。もちろん企業規模別によっても格差があるでしょうし、同じ企業規模であっても会社毎のスキル引上げのマインドによって、キャリア形成支援の深度は異なってくる。それを横断的に引き上げるための役割を国が担うべきであると思うのです。この点は企業に任せていてもなかなか進まないと思いますので、そのためには一体何をすべきなのかを国として考えるべきです。この点は、労働側から繰り返し申し上げているように、例えばキャリア・コンサルティングの標準的なモデル、あるいは好事例の収集、分析、周知といった方策を、国として実施すべきであると思うのです。これを併せて、キャリア・コンサルタントを専門性を持った有資格者として純化させていくことも必要ですが、純化した専門的な有資格者の方がどういう役割を担っていくのかということこそを論議すべきです。その上で、初めてキャリア・コンサルタントの数をどうするかといった点や、企業での活用をどのように進めるかという論議につながっていくものと思います。

 そういった意味で、資料3でまとめていただいたキャリア・コンサルティングの実施内容を対象別にどういうモデルを描いていくのかが重要です。この点は分科会資料で終わらせるだけではなく、もう少し深掘りして検討すべきであると思います。

 

○高橋()委員 抽象的な意見で恐縮ですが、(4)「職業人生を通じた労働者の主体的なキャリア形成について」の最初の○の出だしに、「効果的な職業人生」という言葉がありますが、「効果的な職業人生」とは何なのかが少し分かりにくいと思いました。小見出しはしょうがないとしても、ロジックとしては労働者の方が主体的なキャリア形成に努めることによって、豊かな職業人生を送っていただくというのがストーリーなのではないかと思うのです。多分その意味なのかもしれませんが、少し工夫していただいたらよろしいのではないかと感じました。

 

○小杉分科会長 この文章は誤解を与えますね。

 

○高橋()委員 効果的ではない職業人生というのはあるのかなと思ったものですから、蛇足です。

 先ほどジョブ・カードの話が出たので、ジョブ・カードについてコメントをします。これは短い文章なので書かれていないと思いますが、いずれ建議のときは、これまでなぜジョブ・カードがうまくいかなかったのか、その辺りの要因分析もきちんと書き込んでいただいたらいいと思います。また、「職業訓練受講者だけでなく」と書いているので、今最も有効に機能しているところはしっかり今後もやっていくのだという思いが書かれていると思いますが、そうであるならば、もともとこの制度が発足した経緯に立ち戻れば、フリーターやニート、職業経験が必ずしも多くない方々に対する制度であったことに照らして、本来的な制度が始まってきた部分もしっかりやるのだというところも打ち出していったほうがいいのではないかと思いました。

 その上で、全ての労働者がジョブ・カードを使うというのはどうなのかと思います。あくまでも労働者の主体的なキャリア形成を支援する選択肢の1つであるという位置付けを明確に打ち出していったらよろしいのではないかと思います。そのときに、先ほどの効果的ということとも関係しますが、2行目に「効率的に」と書いてあって、効率的というのが何のことなのかが分かりにくいのです。「利用者が、効率的に」と書いてあるのが少し分からないので、本文化するときには、これこそ「効果的に」なのかよく分かりませんが、もう少し記述をしていただいたらいいのではないかと思います。

 最後に、「また」以下に「登録キャリア・コンサルタントについては名称等を見直すこと」とありますが、できるならば、建議のときに例えばという形で、具体的な名称の変更名までも織り込めたらよろしいのではないかと思います。私の個人的な意見を申し上げれば、例えば「ジョブカード作成アドバイザー」とか、そういった具体的な案を組み入れて建議に書いたらどうかと思いました。

 

○小杉分科会長 ありがとうございます。具体的な点を頂けるのは大変有り難いことです。

 

○高倉委員 資料12ページの2つ目の○に「専門実践教育訓練をユニバーサルサービスとして効果的に実施する」とありますが、かへてから労働側は、専門実践教育訓練をユニバーサルサービスとして展開していくべきであると主張してきました。そういった意味で、厚労省としても主体的に労働者のキャリア形成に資するような訓練プログラムを開発し、指定していくことが重要であると思います。

 この点、昨年末の分科会でも、事務局からは、専門実践教育訓練の指定講座は、より実践的な講座を開発していく旨の答弁がありました。また、具体的な指定基準を論議した本年4月の分科会においても、公益委員と労働側から、「第一弾の指定講座には偏りがあり、特にホワイトカラーの労働者が働きながらキャリアアップが図れるようなプログラムの開発が重要である」という指摘もしました。

そもそも専門実践教育訓練は、質の担保をしていく観点から、小さく産んで大きく育てるということがコンセプトであったはずで思います。現在、専門実践教育訓練の指定基準は、施行後3年後に見直すとされていますが、質を担保していくことを前提としつつ、3年を待たずとも厚労省が主体となって攻めの観点から講座の開発、指定に取り組んでいくべきであると思います。

 

○吉永総務課長 専門実践教育訓練の指定講座については、先般御紹介したとおり、800を超える講座を来年4月分から指定している状況にありますが、来年4月分の第二次の募集により、一応全ての県で申請が出てくる見込みになっております。もとより教育資源が地域地域で偏りがあるので、そういう中で全ての訓練を希望する方がその地域で受けられるかという課題はあるわけですが、少なくとも訓練メニューとして、特に就職に結び付きやすいものの幾つかについては、各都道府県において受講ができる環境は整ってきたのではないかと思っております。現時点ではこれが第一段階だと思います。

 ただ、4月分の施行で見て、御指摘にありましたとおりかなりばらつきがあるし、その分野も偏りがあるというのは御指摘のとおりだろうと思います。いずれにしても、全体としての指定状況を整理した上で、何が足らざる点なのかは私どもとしても分析した上で、必要があれば新たな基準も考えていくこともあろうかと思います。大枠の基準は、制度発足時に御議論いただいた討議の中で、どういう講座を開発していくのか、既存の講座を指定するというよりは、むしろ開発のほうにもしかしたら重点を移すのかもしれませんが、いずれにしてもそういう観点で少し内部で検討を進めていきたいと考えております。

 

○新谷委員 今、高倉委員が発言されたとおりで、確か第75回の能開分科会の議事録を見ても、当時の企画官が、現在の講座の内容が十分ではないという認識の中、厚労省としてプログラム開発を取り組んでいきたいということを発言しています。

 この点は水町委員も、現在の専門実践教育訓練の指定基準では、ホワイトカラーの労働者に対する講座が非常に少ないのではないかとの指摘をされていました。業務独占資格・名称独占資格に関する講座は、訓練の質を担保するために養成施設のある課程のみに限定をしていますし、また、専門学校に関する講座も講座内容に偏りがあります。結果、ホワイトカラー労働者の方が受講したいと考える講座が余りない。この点、文部科学省との連携や、能開局自らがプログラムを開発し指定していくということを前提として、制度がスタートしたのだと思います。

そもそも専門実践教育訓練の指定基準は、制度開始が10月に迫る中、法改正から非常に短期間で策定しなければならないという制約がありました。そうした中で、スタート時の指定基準は第1弾となる今年10月の講座開設に間に合わせるための限定的な基準であって、その後は講座を充実させるための基準づくりを行うということでした。

 しかし、先ほどの事務局の答弁を聞く限り、いつ何を行うのかが分からない。繰り返しになりますが、現行の指定基準はあくまでも10月施行あるいは4月開講は第1弾であるという認識の中で策定したものです。その認識の下で、厚労省自らが、訓練メニューや訓練プログラムの開発、講座の開拓を積極的に取り組んでいくべきです。そうでなければ、年間890億円という巨費を労使が拠出する雇用保険料から投入することに対する説明がつかない。年間890億円という予算額は従来の能開行政の予算の半年分を投入する規模であって、この点は能開局としても重く受け止めるべきです。そういった意味で、今の答弁では指定基準の見直しを行うのか否かが全く分からないので、改めての答弁をお願いしたい。

 もう1点。資料の2つ目の○の記述ぶりが、「専門実践教育訓練をユニバーサルサービスとして効果的に実施するなど」とあり、この点は良いのですが、最後の文末表現は「能開行政の機能を担う」という締めになっています。この記述は、行政機能の部分と、専門実践教育訓練は独立の項目で2つに分けて記載すべきであると思います。

 

○小杉分科会長 答弁をお願いします。

 

○吉永総務課長 これに関しては記述を圧縮している関係でこうなっていますが、最終的にはきちんとした形で提出させていただきたいと思っています。全体については、やらないと申し上げたつもりはなくて、きちんとやっていきたい。文科省とも相談をしながら、どういうことが可能かと、選択肢は広めに考えていきたいと思っています。もとより新たに開発するのはかなり難しい話ですので、実際、どういう所が受皿になるのか。基本的に専門学校の分野ですと、手挙げ方式の中ではそれなりのボリュームが出てきているという中で、これから先広げていくのは、なかなか難しい部分があるかと思っています。

 大学院については様々な制約もある中で、大学のような機関を活用していく方策もあるのかとは個人的には思っていますが、いずれにしてもそういう訓練メニューの開発と、どういう所でやっていただけるのかというところ、このあたりを組み合わせて、いくらいいプログラムを開発しても、受けていただける所がないとどうしようもありませんので、そういうところも含めて文部科学省とも相談しながら検討を進めていきたいと考えています。

 

○上原委員 資料1(2)2つ目の○の一番下の行ですが、「働きながら職業訓練の受講を容易とする取組を進める」と書いてあります。質問ですが、今、厚生労働省で具体的に何か想定している仕組みはあるのですか。

 

○吉永総務課長 例えば訓練メニューとして、働きながら実際に受講する形になると、夜学とか、あるいは週末とか、そういった様々な時間帯も含めた形でのメニューが1つあると思っています。実際にどういう形でできるのか、あるいは通信教育であるとか、様々なメニューがあるわけですので、環境づくりと併せてそういったものもできると思っていますので、せっかく専門実践教育訓練のような仕組みもあるわけですので、それを在職者の方も受けられる仕組みを進めていきたいと考えるところです。

 

○上原委員 関係で、(2)は「労働者の属性を踏まえた」と書いてあるのですが、国家戦略でも成長産業に人を移動することを言われているのですが、そういう視点も入るのか、企業内でAの職場よりBの職場のほうが適しているのではないかということなのか、その辺はどうなのでしょうか。会社としては、他の会社へ行かれたら困ってしまうわけで、その辺が押さえ方としてどうなのかと思いました。

 

○吉永総務課長 一つ申し上げることは、企業内で正に企業の特殊能力についての訓練は、企業が実際に運営していくしかないわけで、いくら教育訓練の機関を勧めても、そういう所はないという中で、そういう能力開発を進めていくのはひとつあるのだと思います。

 一方で、実際に高校、大学を卒業して就職して、そのまま定年まで迎えられる人が今までに比べると少なくなっていく中で、いかなる意味であれキャリアチェンジをしていく、企業の中でも違う職種に就いていくとか、あるいはほかを選択する方も出てくる。これは自律的に行うかどうかもありますが、そういう中で様々な選択肢に向けた形の訓練を展開していくことが必要だと思っています。私どもとしても、別に転職を促進する気は毛頭ありませんし、可能であれば、通常の方であれば企業の中で職業人生を全うできることが、少なくなってきておりますが、一つの考え方ではないかという思いも共有していますので、そういう中で、一方でそういうキャリアチェンジをするような社員についての訓練をどう考えていくのかということではないかと思っています。

 

○水町委員 今、新谷委員と上原委員がおっしゃったこととも重なりますが、転職支援としての教育訓練をどう位置付けて推進していくかが、全体として若者対策がメインに来ていますが、実際上は企業の現場、外国のどの国でも中高年層の労働力需給のミスマッチは、これだけ変化が激しくなると起こっていて、日本でもその問題が起こって、労働力需給のミスマッチが起こったから安易に解雇していいかというと、どの国でも安易な解雇につなげたら、どちらとも不幸になるので、安易な解雇につながらないためにも転職支援をしっかりやっていこうということを、政策の基本に位置付けていて、日本はそれが余りうまくいかないから、不幸なハラスメントとか退職勧奨が現場で起こっていることとつながっています。そうならないようにどう再就職支援をしていくのかのプロセスの中での再教育訓練ですが、新谷委員のおっしゃったように、現行の制度だと、専門実践教育訓練は、それを利用して中高年のホワイトカラー層を転職につなげていくシステムにはなっていないので、そこを部分的に広げながらそれを活用していくのか。

 あと、(4)の中で「キャリア・コンサルティングの機会を整備」と書いてありますが、今言ったような方々は、必ずしもキャリア・コンサルティングに相談すれば、すぐ訓練できるタイプのものでもないので、実際にはどういう場で訓練をし、訓練の内容は民間がやるのか国が助成するのか、どういうメカニズムをつくるのかが非常に重要ですし、かつ、実際上起こる収入減に対して財政的にどう支援するのか、その2つがポイントになってきて、恐らく専門実践教育訓練だけであったり、キャリア・コンサルティングの充実だけでは多分対応できない問題です。

 ただ、これはここの分科会の構造で言うと、職業能力開発分科会だけの所掌ではなく、ほかの省庁とかほかの局にも関わってくる問題なので、そういうところの調整が必要だと思いますが、少なくとも教育訓練という観点からは、この局として、分科会として、こういう方向で、ほかの省庁や局とも連携しながら進めていくという方針を(4)の中に入れていただいたほうが、キャリア・コンサルティングの充実だけではうまくいかない問題が世の中に一杯あって不幸な事態が起こっているので、そこら辺も少し盛り込んでいただければという意見です。

 

○小杉分科会長 御要望として承って、うまく反映していただければと。

 

○大久保委員 今の議論とも関連するのですが、在職者に対する訓練は、基本的にはその企業の中における人材育成と、ある種連携したり役割分担を果たしながら、企業の中で更にレベルの高い仕事に取り組んでいくことが基本的な目的でいいと思うのです。そういうことを一方で書くことと、もう1つは、体制が変わった場合。特定なケースで、今、地方創生の議論をやっていますが、例えば、中高年の中には、Uターンをして自分の出身地に戻って活躍をしたいという考え方をする人も多くて、その支援をしようということも議論されているわけです。そうなった場合については、今までの経験をいかしつつUターンをする。地元に帰って働くときに、今までの仕事の経験のほかに事業計画を作って銀行とのやり取りをして、財務的なところを見るとか、そういう資質とか知識がプラス・アルファであると、地方に行ったときに非常に活躍している傾向があるのです。例えば、そのプログラムが先ほども言っている専門実践教育訓練の中にメニューとしてあって、そういうのを使えるみたいなストーリーがあるはずです。転身を支援することと、企業の中でキャリアアップを図っていく、更にいい仕事をしていくという話を、きちんと書き分けないと、何のための施策なのかが疑心暗鬼になりがちなので、そこの書き方を少し工夫する必要があるのかと思います。

 

○小杉分科会長 今、この整理の中では、転職を希望する在職者は離職者のほうのグループで整理されていますね。そういう形になるのでしょうか。その辺はどう整理されていますか。

 

○吉永総務課長 「在職者」も非常に幅広い概念ですので、正に転職を希望して、会社に面接に行っているかどうかは別にしても、転職活動をしている方もいらっしゃいますし、5年後に転職しようと思っている方々もいらっしゃいますし、在職者といっても割とフリーター的な形あるいは契約にて働いていらっしゃる方もいる。それぞれ置かれている状況が違う非常に幅広い在職者の中で、それぞれが活用できる枠組みを考えていくことです。非常に単純化した形で離職者・在職者と分けてしまっているので、実はその辺りが資料の中ではなかなか反映できていないところがあるのではないかと思っています。

 いずれにしても、離職を考えていらっしゃる方については、もちろん濃淡はあるにしても、離職者的な要素を勘案しながら、キャリア・コンサルタント等々のいろいろな施策を考えていくことだと思っていますし、キャリア・プランを考えていくことは、当然そういうものが含められたものだと思っているので、そういう意味での活用もできる方策は考えていく必要があると思っています。

 

○新谷委員 今、公益側のお二人の委員から、キャリア・コンサルティングに関する重要な御指摘を頂きました。この点、在職者の分析をする際には、3人に1人まで増えてしまった非正規労働者の視点を意識して分析すべきです。非正規労働者層は各種アンケートでも、教育訓練機会が乏しいという結果が示されているので、労働側としては、非正規労働者という視点での分析もお願いしたいと思います。

 

○浅井委員 「職業能力開発をめぐる課題」を皆さんの議論を踏まえ、私なりに整理して考えますと、「職業能力開発をめぐる課題」に1つ書かれていない点で、変化のスピードが極めて速くなっていて、今までのスピード感では日本が取り残されてしまうことを明示しておいたほうがいいのではないかと思います。変化を具体的に言えば、技術変化のスピード、新興国のキャッチ・アップ、成長のスピード、若者の意識の変化のスピード、の3つが上げられるかと思います。そうしたことが、2の「見直しの方向性」にも大きく影響を与えているように思います。

2つ目は、質的変化。例えばものづくり一つを取り上げても、私はものづくりの研究をしているので、その点に着眼しながら述べますが、従来、ものづくりの魅力を伝えるのは、極めてシンプルな言葉で記述しがちでしたが、例えば、からくり人形とロボットくらいの大きな技術的な違いがあって、ISS、国際宇宙ステーションに若田さんと一緒に行ったロボットと比べて、からくり人形であればメカニカルな機構けで動く、この部分の技術に焦点をあてて技術を深掘りしていけばいいのだけれども、ロボットは、機械、電気、電子、素材に係る技術、AI、人工知能、クラウドも含め多岐にわたる技術、そうした要素技術をトータルで探求していかなければ行けない。技術が桁違いに大きく変化していく、こうした質的変化の面にも注力していかないと、日本が取り残されてしまうのではないかと改めて感じました。スピードと質的変化、両方を言及してもいいのではないかと思います。

 

○小杉分科会長 分かりました。課題という所で、その辺も含めてということですね。

 

○水町委員 先ほど、転職を希望する在職者が離職者に入っているという表現だったのですが、置かれている状況は、自分が希望して退職したいと思っている人ではなくて、実際は在職者でずっと一企業にとどまりたいと労働者個人としては希望しているけれども、急激な変化の中でそういう状況に置かれない状況にある人で、転職も1つの選択肢として置かれている人たちが、これは労使双方のニーズの中で、労働者個人のキャリア形成の問題ではなくて、労使の集団的な制度的な選択肢として転職せざるを得ない。転職するという1つの選択肢の中で、どう支援するかという問題なので、それがもしかしたら離職者と在職者の間で抜け落ちているのかもしれないという気がしました。

 

○小杉分科会長 「希望」という言葉ではないということですね。

 

○水町委員 そうです。

 

○三村委員 資料12「見直しの方向性」の(1)「若者に対する職業能力開発について」と書いてあって、○があって、「また」という所があるのですが、この文章は最初のリード文とかぶっているので要らないのではないか。「以下の方向で対応することを検討してはどうか」ということで、ここは「以下」がなく、(2)が始まってしまうので、この2行は要らないのではないか。

 

○宮川職業能力開発局長 ここはまだ文章がよく練れていないということです。構造だけ説明しますと、最初のリードは若者のことについては(1)で触れていて、それで終わっているのです。一応、「また」の所で、また前の文が浮かび上がってきているという構造にはなっているのです。

 

○三村委員 そうすると、この「以下」は(2)を指すのですか。

 

○宮川職業能力開発局長 そうです。(2)以下を指すということですが、これはそういう関係性だけの話なので、文章のときにはまた工夫します。

 

○三村委員 分かりました。それと、(2)の一番最後の○に、「次世代を担う人材を育成するため」ということで、学校教育との関連が示されています。この部分に関しては、内容的に見るとものづくり体験や技能講習に特化されていて、学校との連携に関しては、(1)「若者に対する職業能力開発について」に入るべきではないかと思います。学校関係として後に「学生等」と大学しか想定していない書かれ方をしているので、やはり小・中・高を含めて、生徒・学生も対象になりますので、生徒も加えていただければと思います。今、中・高ではキャリア教育の一部として職場体験やインターンシップ等が盛んに行われ、例えば職場体験は98.6%の中学でやっているわけです。そういうものへの関わりを含めた記述があって然るべきかと。と思われます。そういった意味では、そうした若者の職業能力の開発の一部として、学校等との連携の強化を書いていただければと思っています。

 

○小杉分科会長 学校間連携をもう少し幅広い位置付けにして、また文科省用語では学生と生徒は全く違うので、それはきちんと並列して書くようにということだと思うので。

 

○豊島委員 資料11ページ、一番下の○で「職業訓練を受講する側の視点や多様な労働者の置かれた状況を踏まえ、職業訓練が必要な人に情報が届くよう積極的な情報提供の在り方の検討を進めるとともに」という記述があります。これは正に1の「職業能力開発をめぐる課題」の2番目の○に記載されているようにニートやフリーターの数が高止まりしている原因の1つが、職業訓練が必要な人に訓練の情報が届いていないということなのだと思います。この点は本当に重要です。

 職業能力開発の各種制度があることを知って、そうした制度にアプローチできる人は特に問題はありません。しかし、本来、訓練等が必要であるのに訓練制度の存在自体を知らないという人が余りに多い。そうした方と個人的に知り合えば、各種制度を教えて、訓練を受けて仕事に就くということもあるのですが、訓練等が真に必要な人に情報が行き届くような仕組みが必要です。難しい課題であるとは思いますが、報告書では、情報提供を強化する方向でとりまとめを行うべきであると思います。

 また、(3)の○の2つ目に「現行の技能検定ではカバーできていない対人サービス分野を重点に」という記述があります。この記述は、業界団体が設計主体や運営主体となって産業界で真に活用される実践的な職業能力検定を整備するという視点が現行制度では欠けていたということの反省の証左の1つであると思います。その上で、一番大事なことは、新たな職業能力評価制度が、産業界として企業横断的な評価制度が必要であるというニーズを踏まえて策定され、実際に活用される、ということであると思います。業界で活用されることがあって初めて、労働者側がその評価制度を活用する意欲が湧くのです。こうした、産業界のニーズを元に産業界が主体となって評価制度を設計し、労働者も評価制度を活用してキャリアアップする。さらには、その評価制度が企業横断的な制度として権威付けされる、ということが一番重要であると思います。こうした点が明確となるように記述していただきたい。業界内で活用され、労働者のキャリア・アップ、更には処遇改善や雇用の安定につながる、といった好循環が最終目標です。この点をもしっかり意識できる文章にしていただきたい。

 最後に、(2)2ページの一番上の○の「企業内の人材育成について」という項目の一番下の「雇用型訓練について、ジョブ・カードと有機的に接続を図りつつ、更なる実施を推進すること」という記述についてです。前々回の分科会で、雇用型訓練の実施企業の99%が中小企業であって、大企業で行われているケースはほとんどないという御説明がありました。この点、大企業でも雇用型訓練がもっと活用できないのか、していただけないのか、と思います。雇用型訓練の実施を通じて非正規雇用の方を安定雇用へ誘導していくことは極めて重要であり、その意味で大企業においても広く雇用型訓練が実施されるよう助成の在り方等も含め、検討が必要ではないかと感じます。以上です。

 

○小杉分科会長 分かりました。私は情報の周知という意味では、正に学校等の関連機関との連携が非常に大事だと思っています。制度を小・中等教育段階できちんと知ることが、まず最初に必要ではないかと思います。

 

○高橋()委員 単純な質問です。最後のページの2番目の○のキャリア・コンサルタントについての記述ですが、「処遇の適正化を図るため、資格としての性格付けを整理する」というのはどういうことを意味しているのか、具体的に、どのようなことを施策として展開しようとしているのかを教えていただきたいと思います。

 

○吉永総務課長 現状では、キャリア・コンサルタントの方は非正規型、あるいはテンポラリーに働いている方が多いという状況があります。これは現状でのキャリア・コンサルタントの位置付けの裏返しではないかと思っていますので、質や専門性を確保するということで、安定的にキャリア・コンサルティングをきちんと実施できる雇用なりの在り方というものができる形を目指していくことが必要ではないかということで、こういう形に記載しているものです。

 

○高橋()委員 「資格としての性格付けを整理」というのは、どういうことですか。

 

○吉永総務課長 現状ではキャリア・コンサルタントは、前回も御説明していますが、技能士として1級技能士・2級技能士という形で能力を評価したものと、140時間という基本的な受講基準である標準キャリア・コンサルタントという資格と、あとは今回、名前を変える方向でという形になった登録キャリア・コンサンタント、都合4つの類型があるという状況です。

 標準的なキャリア・コンサルタント以上が、ある意味専門性を持っている方と考えていますが、これについても現状では10の機関で具体的な講座や試験をやっているという状況です。そういう意味で質や専門性を確保していく、あるいはキャリア・コンサルタントのサービスを受ける方が、一定の期待を持って受けられるような環境を作っていくという意味で、性格付けを整理してはどうかを、1つの検討課題として掲げさせていただいています。

 

○宮川職業能力開発局長 おっしゃられるように、文章的に「処遇の適正化」は結果論であって目的論ではないという御趣旨ではないかと思いますし、そこのところはまた文章化するときに、これは端折って書いているので、処遇の適正化の話と質や専門性の確保の話は、資格としての性格付けの整理の際には位置付けが少し違うと思うので、今、高橋委員がおっしゃられたことも含めて、そこは少し整理させていただければと思います。

 

○高橋()委員 ここからは意見です。キャリア・コンサルタントの質を確保していくという意味で非常に重要なのは、経験値を積むことではないかと思うのです。それの結果として処遇の適正化にもつながっていくと思うので、どうやってそうした経験値を積む機会を確保して育成していくかという視点のほうが、現段階においては、施策としての重要性から言えば、よりそちらのほうにシフトしたほうがいいのではないかと、私の個人的な意見だけ申し上げたいと思います。

 

○三村委員 キャリア・コンサルタントの専門性については、対象とするものは若年者から高齢者まで幅広い専門性を求められて、それが全てできる方は恐らくいらっしゃらない。ですから、ある意味で専門に特化していく、科目を作っていくとか分野を作っていくことも1つの在り方かと思います。学校もキャリア・コンサルタントの方が来たものの、全く学校教育を御存じない方がいらして当惑することもありますので、ある程度それぞれの専門性が見えるような資格の在り方も考えていただければと思います。

 

○小杉分科会長 高橋委員の言われた経験値とかなり重なる部分がありますね。

 

○宮川職業能力開発局長 今回、先ほど吉永課長からも説明した今のキャリア・コンサルタントの状況を踏まえて、今、三村委員からもお話がありましたように、資格を取った方々が専門性を発揮していく中で経験を積んでいく。ただ、例えば弁護士で言えば、弁護士であれば全てのことが一応できる、法律上は可能となっていても、例えばそこは労働問題、企業法務、いろいろな刑事、民事ですみたいな形になっていくように、言わばキャリア・コンサルタントと名乗ってきちっとしたものが提供できるものが保証された上で、その中に更に専門性を発揮し、今、先生がおっしゃった方向性としてもしかしてあるとすれば、1級、2級という今の形のキャリア・コンサルタントのレベルの中でそういうものが出てくるのであれば、そちらにそれを分ける、あるいは、そういう特化した形での分野で受けられるようにする。自分はこういう特化した形の試験で受かった者ですみたいなものをやるとか、いろいろな方向性が出てくるのかなと思います。そのためにも、高橋委員がおっしゃられたように、機会を積むための制度的なある意味でのインフラとして、この資格制度をどうするかを考えていく必要があるのではないかと思います。

 

○高橋()委員 蛇足ですが、今、キャリア・コンサルタントの数を増やそうということと、その経験値を積もうということの両立をどうやって図るのか。そこは悩ましいのではないのかと、感想だけ述べたいと思います。

 

○小杉分科会長 その解決策は少し難しいですね。

 

○板垣委員 本日提出いただいた資料3の離職者・在職者・新卒就職希望者といった対象毎のキャリア・コンサルティングのあり方を示していただきました。この枠組みの中には、離職者と在職者の中間の方、つまりは事業構造改革等に伴って非自発的に退職せざるを得ない者に対するキャリア・コンサルティングという視点も必要ではないかと思います。

 

○小杉分科会長 離職してしまったら離職者ですが、多分、危機にさらされている人という位置付けではないかと思うのですが。

 

○板垣委員 整理していただいた資料の中では、非自発的に退職せざるを得ない方についても、在職者ないし離職者という軸に入っているいう理解で良いでしょうか。

 

○小杉分科会長 退職者の中に多様な人がいると、そういう形で軸になるということでよろしいのですか。

 

○宮川職業能力開発局長 恐らく、この表は3分類型するという、ある意味で理念型の話だと思っています。先ほど申しましたように、離職者と在職者の間はきちっと分かれているのではなくて、ある意味重なっている部分は当然ありますし、希望している方の中にも、そうせざるを得ない方々も含めていろいろな方々がおられます。ですから、離職者の中にも、非自発的な離職の方もおられれば、自発的な離職者の方もおられれば、その中間的な様々な形態の方々がおられると思うのですが、そういう方々に対して、まず少なくとも離職者として考えられる主な実施内容としては、こういう流れになります。ただ、その類型の中には、当然この中身の強弱は付いてくるという形の整理、理解ではないかと思います。

 

○小杉分科会長 よろしいですか。皆様、ほかにありますか。そのほかになければ、今日の議論は、この件についてはここまでといたします。「その他」ということで、事務局より御案内があります。

 

○伊藤能力評価課長 その他の報告事項ということで、お手元の参考資料4をお開きください。この間の審議の中で技能振興の取組そのもの、そのPRの強化の必要性について御指摘いただいたことを踏まえて、前回、当面の大変大きな取組である技能五輪についての御案内を申し上げたところです。今回もそれに関連して現在進めている技能振興に係る代表的な取組2点について、報告、紹介申し上げます。

1点は、1枚目にある卓越した技能者の表彰制度です。「現代の名工」という呼称で広く知られている仕組みです。昭和42年にスタートした表彰制度で、卓越した技能者を表彰することで広く社会一般に技能尊重の気風を浸透、こういった目的で半世紀近く運営をしてきています。具体的には、下にありますように、都道府県知事等の推薦の下で、極めて優れた技能を有する、言わば幅広い技能分野のそれぞれの第一人者で、なおかつ現役の方を対象とした表彰制度です。

 具体的には、毎年、おおむね150名の大変幅広い技能分野、先ほどロボットとからくりの大きな差異といった御指摘も頂きましたが、ここでは代表例で6名だけ掲げていますが、それこそロボット、「はやぶさ」に関わる中間基幹的な技能者であったり、工芸美術に近い分野の技能者、さらに最近は食のサービスに関わる技能等、大変幅広い異質の、しかし、それぞれ技能者としてあるいは技能としての魅力、価値、産業活動や国民生活への貢献を有していらっしゃる優れた技能者の表彰です。この仕組みに関して、本年も1110日「技能の日」にこの表彰を行い、報道機関はじめ各方面の御理解を得ながら、例年にも増して各受賞者、あるいはこうした仕組みの重要性について取上げていただきましたが、それでもまだまだ不十分と思っています。いろいろな御指摘も頂きながら更に工夫し、この表彰制度の運営、そのPRに努めていきたいと思っております。

 もう1点、2ページ以下です。「若年技能者人材育成支援等事業」、昨年度からスタートしている技能振興に関わる基盤的かつ大変幅広い取組ですが、その中心的な取組が、下に掲げている「ものづくりマイスター」による技能実習、若年技能者等を対象とした実践的指導です。卓越技能者を顕彰することが直接の目的ではなく、各地において若年技能者あるいは学生・生徒に対する実践的指導に従事いただく人材を、言わばリソースとして開発・活用していくということです。

 具体的には、製造、建設、いわゆるものづくり分野の112の職種を対象とし、技能士1級相当以上の実務経験15年以上で、なおかつ実践指導の意志・能力を有する方、こういった方々を各地で開拓、認定をした上で、中小企業、訓練校、工業高校などをはじめとする各学校の学生生徒、実践的な技能指導を受けるニーズを一方で開拓し、そのマッチングを行いながら、この実践指導の取組を広げていこうという取組です。

 実例については、その後に2ページにわたって掲げています。緑色の資料は中小企業派遣による実技指導の実例、その後のオレンジ色の資料は学校を対象とした実技指導の実例です。いずれも技能検定や技能競技大会の課題などを活用するといったことが典型例ですが、先ほど申し上げた要件を満たす「ものづくりマイスター」による短期集中型の実践指導の取組です。

 それぞれの日常的な訓練、あるいは職務授受の中では得られない大変大きな成果、さらには、その後に技能検定合格といった具体的な成果に結び付く事例も多々生まれています。現在、「ものづくりマイスター」は全国で約4,000名を超える規模にまで開拓が進んできており、一層の普及を図る素地が整いつつあるものと思っています。

 最後のページにありますように、本事業、指導を行うマイスター側、また指導を受ける企業・学校側双方に浸透を図ることで、初めて実効を生むということで、それぞれに対し一般的な仕組みにとどまらずに、この間蓄積した活用好事例やモデルプログラムの普及、また、この仕組みに関しては学校教育の中での位置付けも大変重要ということで、当然、文科省に対する協力要請、周知なども、ここにあるような様々な手法を講ずることによって、今、正に展開中、浸透中です。

 「ものづくりマイスター」は、今ほど申し上げた事業振興そのものに意味があるとともに、この間御紹介申し上げてきている技能検定・技能競技大会をはじめとする様々な技能振興の取組のブリッジ役、相乗効果を期すための中核的な取組という意義も有するものと私どもは思っています。そういった観点から、卓越表彰、「ものづくりマイスター」を含めた技能振興の各事業に、委員の皆様方に一層の御理解、御支援を頂ければということと、本日、提出している論点案の中でも、ものづくり体験、技能講習の実施、ものづくり魅力発信といった関連する論点も提示しているところですので、次回以降の本分科会の中でも、これら施策・取組の在り方について御意見を頂戴できればと思っています。よろしくお願いします。

 

○小杉分科会長 これに対して何かありますか。三村委員から、何かコメントがありますか。

 

○三村委員 先ほどの小・中学校向けのものづくり体験事例集の作成・配布ということで、ここに図も出ていますが、学校で使うとすると動画が割と使いやすいと思うのです。動画の活用について好事例も入れながら、「このような授業の展開もできます」ということを、厚労省のネット上に配信していただくと、各小・中学校では生活の時間あるいは総合的な学習の時間等でも展開できるいい題材になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

○小杉分科会長 更に発展する可能性は感じられますね。ほかにありませんか。特にないようでしたら、本日の議論は以上とします。次回の日程については、改めて事務局から連絡いたします。議事録の署名人は、労働者側の新谷委員と使用者側の上原委員にお願いします。本日はこれで終わります。どうもありがとうございました。


(了)

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