ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働政策審議会(職業能力開発分科会) > 第84回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録(2014年11月6日)




2014年11月6日 第84回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

職業能力開発局

○日時

平成26年11月6日(木)14:00〜16:00


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室


○議題

(1) 職業能力開発施策について
(2) その他

○議事

○小杉分科会長 定刻となりました。既に定足数に達しておりますので、ただいまから第84回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。

 本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の出席状況ですが、浅井委員、水町委員、三村委員、上原委員が御欠席です。原委員は途中から出席という御予定で、大久保委員は若干遅れているようです。

 それでは、議事に移ります。議事次第にありますとおり、本日の議題は「職業能力開発施策について」「その他」の2件です。

 議題1「職業能力開発施策について」、資料1から資料3について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 まず、資料1について御説明をさせていただきます。初めに資料1-1です。本日の論点()をまとめています。論点の柱ですが、「職業人生を通じた労働者の主体的なキャリア形成を支援する方策について」です。

1点目が、その方策について、国、事業主、労働者等の関係者の役割を含めどのように考えるか。次は、労働市場において主体的なキャリア形成を支援するため、キャリア・コンサルティングの機会の整備の方策についてどのように考えるか。3点目が、企業内において、キャリア形成支援のマインドやこれに関する基礎的な知識・スキルを待たせることなど、キャリア形成支援の裾野を広げていくことについてどのように考えるか。次が、キャリア・コンサルタントの質及び専門性の確保・向上について、またキャリア・コンサルタントの活用やその処遇についてどのように考えるか。

 次がジョブ・カードに関するものでして、1点目がジョブ・カードについて、更なる効果的な活用のため、今後どのような見直しを行うことが求められているか。ジョブ・カードについて、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールとして見直す方向性についてどのように考えるか。最後が、ジョブ・カードについて、職業訓練、職業能力評価制度、キャリア・コンサルティングなどの職業能力開発施策とどのように有機的に連携を図るべきか。

 以上、論点()として、掲げています。以上が資料1-1です。

 次に、資料1-2について御説明させていただきます。「職業人生を通じた労働者の主体的なキャリア形成を支援する方策についての参考資料」です。

 まず、1ページ目。「職業能力開発施策の概要」についてまとめたものです。皆様、既に御案内のことかと思いますが、上段には「離職者の能力開発」として公的職業訓練ということで、公共職業訓練、求職者支援訓練について掲げています。

 その下が「在職者の能力開発」。事業主等の行う教育訓練の推進ということで、キャリア形成促進助成金等の助成金関係、そして労働者のキャリア形成支援ということで教育訓練給付、キャリア・コンサルティング施策の推進。そして職業能力評価ということで、技能検定を初めとする職業能力評価制度等。また国際協力ということで、技能実習制度等を掲げています。右上ですが、ニート等の若者の職業的自立支援ということで、地域若者サポートステーション事業、その下にジョブ・カード制度を掲げています。

2ページ目をお願いいたします。キャリア・コンサルティングについてです。キャリア・コンサルティングとはということですが、「個人が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう個別の希望に応じて実施される相談その他の支援」でして、すなわち、個人自らが職業選択あるいは能力開発について、自ら意思決定ができるように支援をしていくものです。

 ここにあります図は、キャリア・コンサルティングの個別相談の流れを示しています。興味・適性あるいは職業経験の棚卸しをして、自己理解を深め、そして労働市場、企業等に関する情報提供等を踏まえて仕事の理解、そして必要によって職業体験、職場見学などの啓発的経験を経まして、キャリア・プランの作成、あるいは目標の設定ということで意思決定を行っていく。ここまでが中心的なキャリア・コンサルティングの流れです。その後、それを実行に移して、そしてその状況を把握しつつ、必要に応じてサポートを実施していく。それが主な流れとなっています。

 その下のページです。そのキャリア・コンサルティングを担う専門人材でありますキャリア・コンサルタンについてです。現在、キャリア・コンルタントについては、複数のレベルがあります。まず、中段の所にあります「標準レベルキャリア・コンサルタント」です。キャリア・コンサルタントの養成講座。これは厚生労働省が示した140時間の養成モデルカリキュラムを満たす講習の受講を経まして、キャリア・コンサルタントの能力評価試験に合格した者であります。全国、約39,500人おります。その上のレベルとして、技能検定ということで、キャリア・コンサルティング技能士、この1級そして2級というレベルのものがあり、合わせて全国で約5,500人となっております。これらを合わせて、いわゆる有資格者と言っております。その下のレベルで資格ではないのですが、ジョブ・カード講習、これは14時間程度なのですが、これを修了した登録キャリア・コンサルタントがおります。これは全てを合わせて、右下の平成25年度末約87,000人という状況になっております。

4ページです。その標準レベルのキャリア・コンサルタントの能力評価試験を実施している団体の一覧を掲げています。現在、10団体ありまして、そのうち5つがNPOになっております。残り公的等の団体が3つ、株式会社も2社入っております。

 この10団体の試験の合格者、会員登録している者と、技能士を合わせた者を対象に行ったアンケートによる調査、その結果を56ページと掲げています。活動状況等の調査です。キャリア・コンサルタントの活動の場、5ページの左側ですが、活動の場としては、ハローワーク等の公的機関が22%、企業内が約22%、そして大学・短大等の教育機関18%という順になっています。その活動頻度ですが、ほぼ毎日活動しているという者が44%、不定期に活動しているという者が25.6%という実態になっています。

6ページです。左側は主な活動の内容です。「一人の支援対象者との相談」ということで、個別相談、これが約6割を占めております。そのほかキャリア・コンサルタントの役割として、左側にキャリア形成に係るセミナー等の研修も行うということで、約20%弱が実態となっております。右が就業形態ですが、非正規社員・職員として勤務しているという者が約4割ということで、最も高くなっています。その次が正社員・職員ということで、約3割という実態になります。

 その下、企業におけるキャリア・コンサルティングの導入状況です。以前にもお出ししている資料ですが、キャリア・コンサルティングの導入事業所の割合、慣行として行われるものを含むと3割強という数値になっております。キャリアに関する相談を行っていない理由としては、「労働者からの希望がない」「相談を受けるための人員を割くことが難しい」というような調査結果となっております。

8ページです。キャリア・コンサルタント養成に係る助成措置です。1つ目が「キャリア形成促進助成金」です。キャリア・コンサルタントの養成講座受講について、事業所内の開発計画に基づいて受けるという場合は、その受講費用や受講中の賃金が助成の対象となっております。また、その試験の実施、あるいは技能検定の受検についても、同様に受検料、賃金の助成が対象となっております。また、キャリア・コンサルタントによるキャリア・コンサルティングに掛かる費用、謝金や委託費等についても、対象となっています。

 その下9ページです。「教育訓練給付金」の関係です。これは本人自らが受講するという場合、養成講座を受講する場合に、指定を受けている講座の受講料が支給の対象となっています。

10ページです。職業能力開発推進者講習について掲げています。能開法に基づいて、企業内での設置が努力義務となっております。職業能力開発推進者に対して、キャリア形成に関する知識・技能を付与することを目的として、都道府県の能力開発サービスセンターにおいて実施をしています。中身ですが、労働者に対して行うキャリア形成に関する相談や、キャリア・コンサルティングの基礎的な技法、いわば導入レベルのキャリア・コンサルティングに関する内容の講習を実施しています。これによりまして、企業内におけるキャリア形成支援のマインドといいますか、理解あるいは基礎的知識・技法の浸透につながっているのではないかと考えています。

11ページです。これは「日本再興戦略」の改訂版をお示ししております。中ほどのキャリア・コンサルティングの体制整備が盛り込まれています。

12ページです。ジョブ・カード制度については、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング、実践的な職業訓練、訓練修了後の職業能力評価の情報をジョブ・カードに取りまとめ、就職活動における活用を促進することによって、求職者と求人企業とのマッチングや、実践的な職業能力の習得を促進し、安定的な雇用への移行等を促進することを目的としているものです。

 その内容ですが、下の13ページ。ジョブ・カードについては、履歴シート、職務経歴シート、キャリアシート、そして評価シートから構成をされております。

14ページです。ジョブ・カードの主な機能・期待される効果についてということで、3つ柱が立っております。1点目が、キャリア・コンサルティングでの活用によるキャリア形成上の課題、職業訓練の必要性の明確化等。2つ目が、職業訓練の評価での活用による外部労働市場でも通用する評価、職業能力の「見える化」の促進。3点目が、応募書類としての活用による企業と求職者等のマッチングの促進というものになっています。

15ページです。ジョブ・カードの活用状況です。平成20年度の制度創設から今年7月末までですが、115万人にジョブ・カードを交付しております。内訳としては、職業訓練や公共職業訓練などの訓練受講による交付が約105万人、そしてハロークにおける一般求職者等への交付が約10万人となっておりまして、一般求職者への交付が進んでいないという実態にあります。

16ページ、ジョブ・カード交付・活用の根拠についてという資料です。ジョブ・カードの活用については、求職者支援訓練については省令において、それ以外については、全て通達に基づいているという状況です。

 その下のページです。先ほどの115万人、このカード取得者の進捗状況を年度ごとの累計数でグラフ化したものをお示ししております。御覧のとおりです。

18ページです。非常に表が細かくて恐縮ですが、ジョブ・カードの交付を機関別に推移を見たものです。中ほどにあります「訓練実施機関」による交付が39%でして、最も高くなっています。次に高いのが一番上の能開機構、高・障・求機構によるものでありまして、約35%。次が労働局によるもので、約17%という状況になっています。

 その下、平成24年度ですが、ジョブ・カード制度の認知状況等のデータです。ジョブ・カード制度を認知している事業所の割合は、調査対象の6割を超えておりまして、認知については進んでいるものの、内容を含めて知っているという回答は、2割を下回るという現状となっています。

20ページです。ジョブ・カード制度の主な動きをまとめたものです。平成20年度にジョブ・カード制度が創設をされまして、その後平成234月に新「全国推進基本計画」が策定をされております。これによりまして、職業能力形成機会に恵まれない者に限らず「広く求職者・在職者・学生等を対象として普及」するとされたところです。そして、その下ですが、平成26年、今年の6月ですが、産業競争力会議の中間整理、あるいは日本再興戦略などにおきまして、ジョブ・カードを学生段階から職業生活を通じて活用できるものとして見直すことなどが盛り込まれたところです。

 その内容がその次の21ページにあります。ジョブ・カードの抜本的見直しでして、これを踏まえまして、今年5月から「キャリア・パスポート(仮称)構想研究会」等を立ち上げまして、見直しに向けて議論を行い、9月に中間取りまとめを行ったところです。

22ページがその中間取りまとめの内容です。まず背景ですが、技術革新の進展等に伴う労働者に求められる職業能力の変化、産業構造の変化等から、個々の労働者の状況に応じた職業能力開発、多様な人材の希望に応じた必要な分野への円滑な就職の支援等の一層の充実が必要となっていることから、ジョブ・カードについては、個人の履歴、職業経験の棚卸し、職業生活設計等の情報を蓄積して、訓練の受講・キャリア選択等で活用する「生涯を通じたキャリア・プランニング」のツール。そしてもう1つとして、免許・資格、教育・訓練歴、訓練成果の評価、職場での仕事振り等の職業能力の諸情報を蓄積して、応募書類として活用する職業能力証明のツールとして見直すべきとされたところです。

 下のページは、これらツールとして効果的に活用する上での現行のジョブ・カードの主な課題を掲げています。1つ目が、求職・求人応募時において、職業能力評価関係情報と併せて、外部に出しにくい個人のキャリア形成上の課題を含めた情報や、JIS規格の履歴書とは異なる様式による履歴情報などの各シートをまとめて活用することを求めているということ。又は様式が主に求職者、あるいは訓練受講者向けであって、必ずしも在職労働者のための様式となっていないことが挙げられています。

 見直し後のジョブ・カードの活用の形態としては、個人が職業経歴関係情報等を項目別に電子化をして、継続的に蓄積し、場面に応じて抽出・編集して活用ができるようにするべきものとされております。更に、見直し後のジョブ・カードについては、対象とする訓練を雇用型訓練等の特定の訓練から多様化していくと。労働者の中長期的な、キャリア形成に資するものとするものであること。また、見直し後のジョブ・カードはキャリア・コンサルティング、職業訓練、能力評価の各施策とつなげるものとされております。ジョブ・カードについては、以上です。

24ページからは、本年10月より施行されました専門実践教育訓練についての資料です。本年3月の雇用保険法の改正によりまして、初回の場合は、2年以上の支給要件期間を有する被保険者に対して、教育訓練に要した費用について、最低で60%相当額、上限年間48万円とする拡充が行われたところです。この給付の対象となります専門実践教育訓練については、非正規雇用労働者である若者をはじめとした労働者の中長期的なキャリア形成に資する教育訓練を対象とするということとしまして、当分科会において御議論いただきまして、25ページにあるとおり指定基準を今年5月に策定をしたところです。

 この指定基準に基づいて審査を行いまして、26ページにありますように、今年101日付けで863講座を指定しています。現在、来年41日指定分の申請を117日まで受け付け中でありまして、全国における利用が進むよう、指定講座の確保に努めています。

27ページは、一般の教育訓練給付金の概要です。3年以上、初めての場合は1年以上の支給要件期間を有する被保険者に対して、教育訓練に要した費用の20%相当額、上限10万円を支給するものでして、受給者は近年増加傾向にあります。

 また、それに伴いまして、28ページにあります指定講座についても増加をしておりまして、現在9,360講座を指定しております。教育訓練給付関係は以上です。

 最後は29ページです。職業能力開発促進法の中の関係者の役割の部分の抜粋を付けております。中ほどの「関係者の責務」ということで、第4条、「事業主」、あるいは「国及び都道府県」、それぞれについて条文を参考としてお示しをしております。資料1については、以上です。

 

○宮下総務課調査官 続いて資料2ですが、前回と前々回までの議論がありましたものの御意見をまとめております。

 資料3です。前回、御意見がありました点に関する資料を提出させていただいています。1ページですが、公共職業能力開発施設と学校等との連携に関する取組事例についてまとめた資料です。事例1ですが、工業高校の生徒に対する技能講習の実施、事例2では、中学校の生徒に対する職場体験への協力などとなっております。

2ページです。技能検定制度の対象職種に関する就業者数の観点で見たカバレッジについてです。ものづくり技能分野では約8割、対人サービス技能分野では約2割という状況になっています。特に、対人サービス技能分野では、生活衛生(理・美容等)は約13%、飲食調理・飲食接客等は80.8%と中でも差があります。販売店員や営業など、その他の対人サービスはカバーしていないという状況になっています。

3ページです。指定試験機関方式の技能検定の実態と課題です。例えば、試験実施主体ですと、一般・公益社団、NPO法人が多く、事業主団体としての性格が強いものから、職能団体、試験団体としての性格が強いものまで様々です。課題として、特に事業主団体性が薄い指定機関の職種で、検定成果の人事・採用等での活用は限定的であるというような課題になっています。その他、試験内容や、財政などの実態と課題については、御覧の表のとおりとなっております。

4ページです。前回、アメリカ、イギリスなどの取組を提出したところですが、アジア諸国の職業能力開発対策がどのような状況かという指摘がありましたので、中国、韓国に加えまして、東南アジア諸国についてもまとめております。韓国、インドネシア、マレーシア、タイは、若年者向けの訓練といったものを実施しているようでして、特にタイではドイツの協力を得たデュアル・システムを実施しております。その他、韓国では512種類の国家技術資格制度、シンガポールでは労働力技能証明制度、タイ・ベトナムでは日本の協力による技能評価制度などがそれぞれ導入されているという状況になっています。簡単ですが、以上です。

 

○小杉分科会長 本日のテーマは「職業生活を通じた労働者の主体的なキャリア形成を支援する方策について」ということで、関連施策等を説明していただきました。ただいまの説明について、質問あるいは御意見を伺いたいと思います。いかがですか。

 

○大野委員 私の方から意見として、企業内におけるキャリア形成支援をどういうふうに考えるかというところに関して、今回出ているようなキャリア・コンサルタントや、ジョブ・カードという制度案を関連付けて意見を述べたいと思います。ジョブ・カードについては、平成234月に広く求職者・在職者・学生等を対象にして普及させるという基本計画を理解した上での意見です。

 一企業の例で非常に恐縮ですが、私どもの会社の中で10年前に、人事の部門の中にキャリアカウンセリング部というのを作って、これは今でも存続しております。なぜ作ったかと言いますと、当時、賃金制度を職務給的なものに変えたので、職務給とキャリア形成というのは密接なものですから、そういうコンサルティングをやろうではないかということで始めて、現在に至っております。部下に数名ですが、キャリア・コンサルタントの資格を取らせて、併せて産業カンウセラーの資格も取らせたのですが、現在に至っております。今現在、今も56名ですが、うち1名は2級の技能士を持っております。

 それを10年間やってみて何が相談として機能したかというと、実はキャリア・コンサルティングというのは当初考えたことではなく、例えば職場の労務問題、人間関係の問題であったり、その後、10年間の中で国としても制度化されたような、例えばセクシャルハラスメントだったり、パワハラだったり、いわゆるハラスメントの相談。あるいは健康問題、メンタルヘルスの問題。そんなようなところが実は主な話題になって、それはそれでその後、この組織はハラスメントの相談窓口にもなりましたし、メンタルヘルスの施策もやろうということで、組織の中に保健師を入れて、産業医の先生と連携を取りながら考えていく。そういうふうになっていったのです。

 キャリア・コンサルティングを、企業の中でキャリア形成することに関しては、これは第一義的にはそれぞれの企業の中の人事制度の中で、上司と部下、あるいは組織が考えていく問題であって、あくまでキャリア・コンサルタントが企業の中でやるのは補完的なものだろうということなのです。当初は、会社のいろいろな組織の中にキャリア・コンサルタントを養成したらどうかという考えもあったのですが、実際にはそういうことがあったので実現には至っていません。あくまで、これは人事制度の中で、上司、部下、あるいは組織がやるのが、企業の中のキャリア形成支援ということに至ったからです。それがキャリア・コンサルタントについての評価です。

 ジョブ・カードについても、今回、在職者について人材力強化のためにジョブ・カードを使いやすいものにするということもありますが、考えてみると、在職者の人材力強化というのは、正に企業というのは良い人材を確保して育成するというのは、企業活動の根源そのものなのです。やはり、企業の中で独自に行われているべきものですし、100社企業があれば、人事制度は100通りあるわけで、恐らくキャリア形成支援のためのいろいろな面談のツールなども100通りあると思います。

 ですから、そこは企業の自主的な活動に在職者については任せるべきというか、それが基本にあると思っています。それがもしない場合や、参考にする程度というのであれば、ジョブ・カードについても理解をしますし、キャリア・コンサルタントについても補完的なものにならざるを得ないかと私は思います。

 一方で、もっとマクロ的な中で産業構造の変化という問題で、労働力を新しい産業に移動させていくことについては、これはどうするべきかという具体的な意見が私にはありませんが、企業の中にキャリア・コンサルタントを置くとか、ジョブ・カードを普及させることとは別のスキームの問題ではないかと思います。以上、意見です。

 

○新谷委員 ただ今の大野委員の御発言の内容に、一部賛同するところもあります。論点表には、「職業生活を通じた労働者の主体的なキャリア形成を支援する」という大きなテーマで幾つか論点項目が示されておりますが、もう少し論点の整理を行わないと、絞り込みができないのではないかと思います。

また、資料1-2のまとめ方としても、例えば1ページ目に職業能力開発施策の概要が記された後、2ページ目にはいきなりキャリア・コンサルタントの説明がなされています。この資料のつくりには違和感があって、なぜこういう資料提示になったのかよく分からないところです。

 その上で、労働側としては、論点表のポツ1にあるように、国、事業主、労働者等の関係者の役割をどう考えるかということを、実施主体とその対象毎にマトリックスの中で考えていく必要があるのではないかと考えています。つまり、ここに書いてある内容について、誰に対して、誰が行うのか。対象者と実施主体との組合せで整理をしていくべきではないかと思います。

 大野委員からも御指摘があったように、キャリア形成支援を考えるに当たって、在職者に対するアプローチと、一般離職者に対するアプローチは当然違うわけです。もちろん、これから社会に出て行く学生に対するアプローチも違うので、そういった対象者を、まず大きく、在職者、離職者、学生などといったセグメントに分けて、それぞれの対象毎に誰が支援の主体的に担うのか整理をする。キャリア・コンサルタントについて言えば、そのマトリックスのどの領域で必要であるかという整理をする方が、論点整理ができるのではないかと思います。

 そういった意味で、まず、在職者に対するキャリア形成支援の実施主体は、企業が主体となるべきと思います。大野委員がおっしゃったように、企業では既に各社長い伝統の中で人事制度と結び付けたキャリア形成の仕組みを構築しているケースが多いと思います。それは尊重していくべきだと思います。ただ一方で、企業規模によってかなり格差があることも事実です。また、企業毎にアプローチの仕方もバリエーションがあると思います。よって、国が、企業内キャリア形成の望ましいモデルを示した上で、そうしたモデルに沿って取り組む中小企業などに対して、財政的な支援を行っていくアプローチという方向性が検討されるべきではないかと思います。以上が在職者についてです。

 次に、離職者等の一般求職者についてです。こうした方は、企業の関与が難しい対象層ですので、まさに国が主体となり、国の責任でキャリア形成支援を行っていくべきであると思います。

また、大学を卒業して労働市場へ出て行く学生も、検討の対象に加えるべきです。学生については、厚労省だけではなく、文科省とも連携する必要がありますので、文科省との連携の中で、学校が主体となって取り組むアプローチが必要であると思います。

 その上で、今申し上げた対象別に考えたときに、それぞれの対象者毎にキャリア・コンサルティングを実施する主体は誰なのか。その1つがキャリア・コンサルタントということになるかと思いますが、そもそもキャリア・コンサルタントの役割を整理しておかないと、キャリア・コンサルタントを10万人養成するという数値目標が示されても、企業側としても戸惑うばかりなのではないか。そういった意味で、キャリア・コンサルタントの専門性を確保した上で、専門性が確保されたキャリア・コンサルタントがそれぞれのステージの中でどのような役割を発揮していくのか、という整理をすべきです。こうした整理がないと、キャリア・コンサルタントの活用の論議はつながらないのではないか、と申し上げておきます。以上です。

 

○高倉委員 キャリア・コンサルティングの機会の整備の方策について、新谷委員から意見を申し上げましたが、私からも改めて意見を述べさせていただきます。

まず、離職者等の一般求職者に対しては、国が主体となってキャリア・コンサルティングの機会を提供すべきです。そのために、キャリア・コンサルティング技能士や標準レベルキャリア・コンサルタントを養成し、国が主体となって適切に配置していくことが必要なのではないか。

 また、学生については、早い時期から授業の中などでキャリア教育を行うと思います。加えて、ハローワークの連携という視点で見ると、高校とハローワークは一定程度連携が取れていると思いますが、大学生はハローワークとの接点が非常に乏しいのではないか。よって、大学の就職課とハローワークとの連携推進や、希望する大学生に対するキャリア形成支援の機会の提供などの工夫が必要ではないかと思います。

 最後に、在職者に対する能力開発については、大野委員や新谷委員からも指摘がありましたが、既に企業毎に創意工夫したキャリア形成支援策を講じているわけです。そうした事例を尊重しつつ、その中でキャリア・コンサルタントの有資格者がどのような役割を発揮すべきなのかという点について、考えがあれば教えていただきたい。

 

○小杉分科会長 3点目は質問でしたので、お答えいただけますか。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 企業の中におけるキャリア・コンサルティングの在り方ですが、企業それぞれにおいて様々な取組を既に行われておりますので、必ずしもいきなり有資格者のキャリア・コンサルタントを配置しなければならないとか、配置するというところまでは、なかなか難しいのかと考えております。

 ですから、まずは在り方研究会の報告書の中にもありますが、職場の中で日常的に部下のキャリア形成に責任を持っている管理者等にキャリア形成支援のマインドや、基礎的な知識を勉強していただいて、企業におけるキャリア形成支援の必要性や意義の理解を広げていくところから進めていくべきではないかと考えております。

 

○小杉分科会長 よろしいですか。

 

○高橋()委員 キャリア・コンサルタントについて意見を述べます。資料1-2のスライド3にあるように、キャリア・コンサルタントは、キャリア・コンサルティング技能士の方が5,500人、標準レベルのキャリア・コンサルタント方が約4万人いらっしゃいます。一方で、登録キャリア・コンサルタントの方も約42,000人いるわけで、一口でキャリア・コンサルタントと言っても、専門性には随分幅があるのが実態です。

 登録キャリア・コンサルタントの方の専門性については、第82回分科会において労働側から、ジョブ・カード制度の概要や事務処理の方法などの14時間の講習を修了しただけでキャリア・コンサルタントとして名乗ることが可能であるとの課題を指摘申し上げました。こうした登録キャリア・コンサルタントの方が本当に専門性を有しているのかも含めて、キャリア・コンサルタントの質、専門性の確保の問題を解決、整理していく必要があるのではないかと指摘したところです。

 その上で改めて、登録キャリア・コンサルタントに関して2点意見を申し上げます。

1点目は、登録キャリア・コンサルタントについては名称を変更し、技能士や標準レベルのキャリア・コンサルタントの者と差を付けて一線を画すべきではないかということです。

2点目は、質や専門性を確保すされたキャリア・コンサルタントを養成するためには、より専門性によってステップアップできるような仕組みが必要なのではないか、ということです。 なお、9月に公表された「職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」の報告書でも、登録キャリア・コンサルタントについては、役割、位置付け、名称、求められる資質の整理が必要であると指摘がなされています。こうした指摘や本分科会での意見を踏まえて、制度の見直しをしていただくように要請をしたいと思います。以上です。

 

○小杉分科会長 ありがとうございます。引き続き、ほかの論点でも結構です。

 

○板垣委員 企業内におけるキャリア形成の支援の裾野を広げていく、という観点から発言をさせていただきます。企業内という観点からは、先ほど来複数の委員からも発言があったように、企業内では既に企業内人材育成という観点から何らかのキャリア形成支援措置が講じられているケースが多いことが実態です。それぞれの企業独自のやり方でキャリア形成支援が実施されている実態を踏まえれば、企業ごとのやり方が尊重されてしかるべきではないかと思います。今企業内で実施されている方法を尊重しつつ、対応が遅れている企業などについては、国としてモデルの展開などを行い支援していくべきである、ということが1点目の意見です。

 もう1つは、非正規労働者についてです。私の出身組織の職場の状況などを見てみると、非正規労働者に対する能力開発やキャリア形成支援は、正規労働者と融和して行われているケースもあります。一方で、非正規労働者に対する取組が遅れてしまっている企業については、それぞれの企業の実態を踏まえつつ、新たな支援施策を取り入れていくといった実態を踏まえたアプローチが必要ではないかと思います。以上です。

 

○小杉分科会長 特にキャリア形成支援室からありますか。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 先ほどの裾野を広げていくという観点については、それぞれ企業で独自の取組をされているということで、その取組を尊重するというお話でしたが、こちらとしても当然そのように考えております。先ほど御説明した職業能力開発推進者講習等において、導入レベルのキャリア・コンサルティングのいろいろな知識等について講習等を行っているわけです。それを持ち帰っていただいて、それぞれの企業の中での施策にうまく合わせていただいて、特に強制というわけではないので、それを踏まえて取り組んでいただければと考えております。

 

○小杉分科会長 非常に進んでいる所もあれば、そうでない所もあるというのが実態ですが、その辺についてお願いします。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 各企業において、その取組にかなりばらつきがあります。規模や業種等によって違いがあります。ですから、キャリア形成、人材育成等に関しての取組を底上げしていくことも国としての役割と考えております。それについては、今年度

キャリア・コンサルティング研究会において様々な好事例等の収集を今しております。また来年度においても、中小企業におけるキャリア・コンサルティングの実態や課題等についても調査をしていく予定ですので、そういったことを踏まえて好事例なりを普及、促進という形で進めていきたいと考えております。

 

○新谷委員 事務局の答弁がよく分かりませんでしたので、改めて意見を申し上げます。

資料では、キャリア形成支援について、キャリア・コンサルタントとジョブ・カードの記載が中心となっているのですが、そもそもキャリア・コンサルタントが活躍する具体的な場面が想定できないのです。要するに企業内のキャリア形成において、キャリア・コンサルタントがどういった役割を担うのか。先ほど好事例の収集とおっしゃっていましたが、企業によってキャリア形成支援の仕組みにばらつきがある中、どのように全体的に引き上げていくのか、そのためのプログラムやモデルを提示すべきです。そして、その中でキャリア・コンサルタントにどういった役割が求められるのか。こうしたトータルパッケージの提示がないと建設的な議論ができない。ジョブ・カードといったツールや、キャリア・コンサルタントという人の問題だけを取り出して全体を論議することは無理です。こうした点は「来年度考えます」というのではなく、まさにいま本分科会の審議の中で論議をしていくべきではないかと思います。以上です。

 

○宮川職業能力開発局長 今回の資料で足りなかったと反省しているのは、まず、この議論が、主体的なキャリア形成をどうやって支援していくかということです。そうすると、離職者にしても、在職者にしても、企業内で様々なキャリア形成支援を行っていく上で、いわばキャリア形成支援にまずばらつきがあって、その中でキャリア・コンサルタント、あるいはキャリア・コンサルティングのような手法を使っているかどうかという意味でもばらつきがある。要は、キャリア形成支援について恐らく皆様方の御意見として、そういうものを進めていくことはいろいろな形で必要だろうと。ただその中でキャリア・コンサルタントが行うキャリア・コンサルティングは今現状はどうなっていて、今後どう位置付けていくのか。そういう議論の中で、キャリア・コンサルタントはどうしていくのか。こういうような議論を進めていく形で資料を整理させていただき、議論をしていただければと思いますので、そのような形でよろしいですか。

 

○原委員 新谷委員がおっしゃっていることと似ていると思いますが、そもそもこの論点を事前に御説明いただいたときも、私も何が論点なのか正直分からなかったという感じで、それはそのときお伝えしたのですが。

 新谷委員は、マトリックスを使って議論すべきだとおっしゃったのですが、私もそれに賛成です。大野委員から一連の御紹介がありましたが、やはりいろいろな人がいて、本当に必要としている人と、必要としていない人がいて。主体的にキャリア形成をしたいのに、あるいは主体的なキャリア形成をする必要もあるのに、できない人が誰なのか。必要ない人は、大企業にお勤めの方とかたくさんいるわけです。ですから、する必要があるのに多分できない人に絞って、それが誰なのか分かった上でこの場で議論したほうが、もう少し具体的な議論ができて生産的ではないかと思います。ですから、新谷委員の意見に賛成というのが1点です。

 もう1点は、今、新谷委員がヒューマンキャピタルとおっしゃっていましたが、この論点の中に、主体的なキャリア形成を支援する環境整備という話はいろいろ出ているのですが、併せて、インセンティブについても議論していった方がいいかと思います。主体的なキャリア形成の前提には、多分、人的資本投資、ヒューマンキャピタルのインベストメントが前提になっていると思います。インベストメントは投資なので、右肩上がりの経済だったらインセンティブを持ちやすいですが、今そういう経済ではなく、先が見えない中でどうやってキャリア形成に対してインセンティブを与えていくのか。それは個人が勝手にやることかもしれませんが、動機付けという面も併せてこの場で議論していけたら、もう少し効率的な話になるかと思います。むやみに投資してもしょうがない時代なので、効率的にインセンティブを持ってやるという議論がもしできたらいいなと思います。

 

○小杉分科会長 いまいちよく分からないのですが、インセンティブというのはどういうことを言われているのですか。

 

○原委員 主体的と言うと、労働者自身にどうやってやる気を持たせるかなので、意欲を持って取り組める環境を作っていくことが大事だと思います。職業能力開発は人的資本投資なのですから、将来、右肩上がりのキャリアが待っているならば一生懸命やりますが、どうもそれが見えない時代に、でもキャリア形成は必要だからやったほうがいいですよと言っても、それはどうやっていいのか分からないという話になってくるので、インセンティブ、動機付けの話みたいなものを、私も具体的にアイディアはないのですが、将来的にそういう論点も加えていただけたら有り難いです。

 

○小杉分科会長 キャリア・コンサルティングという議論が、インセンティブがむしろない中でどうやって意欲を高めるか、自分のキャリアを見ることによって、それをインセンティブにしようという議論がコンサルティングの中に含まれているので、そことの整理がつかなかったということです。

 

○大久保委員 キャリア・コンサルティングに関しては、在り方検のときにも私は質問したのですが、2つのお話が少し入り乱れているような感じがしています。もちろんある一定の質を担保されたキャリア・コンサルタントが、例えばハローワークのような機関で、まだ十分に数的に足りていないと。いわば求職者、離職者が行ったときに丁寧に時間を取って相談できるだけの体制がまだ整っていないと。そういう意味で、まだ不足しているという議論があります。これは分かりやすい議論です。

 もう1つの議論は、例えば、企業の中などにおいて、人材育成を担当する上司であったり、あるいは人事部門の人たちが、人材育成を進めていく上で、担当している人が基礎的なキャリア・コンサルティング技法みたいなものを持っていた方がいいのではないか。それはキャリア・コンサルタントではないです。それはマネージャーだったり、人事だったりするのですが、そういうスキルを持っていることはプラスになるのではないかと。ですから、そういうものがどこかで学習できる機会があったりとか、簡易なプログラムでそういうものが社内研修の中で導入されて、上司向けに展開されてもいいのではないかという議論とか、2つが入り混じっていたはずなのです。それが何か、不足何万人みたいな話になると、急に中身が分からなくなってしまうので、その辺りを少し解きほぐして、今、何が課題なのかということを整理する必要があるのではないかと思います。

 

○小杉分科会長 大変よく分かりました。

 

○大隈委員 冒頭で大野委員と新谷委員が言われたように、やはり、対象者をきちんと分けないと議論がかみ合わないのです。今、言われたことも一緒だと思いますが、実際に在職者と離職者と学生はアプローチの仕方が全然違うと思いますので、そこは切り分けて何をするのかということをやらないと駄目です。

 例えば、私は企業にいますが、企業内でキャリアアップとか、キャリア形成と言ったときに何を考えるかといったら、基本的にはその人を企業内で活用するためのキャリアアップなのです。外へ持っていって何かすることに、お金を出すつもりは毛頭ないわけです。これは前も言ったかもしれませんが。他社へ行くとか、そういうことが前提ではなく、会社の中でのキャリアを形成して活用する。そうなったときは、当然、そこの上司は、Aさんに、次はこういう仕事をやらせるために、こういう技術を付けなさいと普段から考えているわけです。それを人事部門とか、研修部門に相談に来て、こういうものを受けたらどうだという話になるわけです。私はそこの部分しか詳しくは言えませんが、企業内はそういうアプローチです。実際に離職されている方は、基本的には国がやられているような施策をきちんと取っていくということは大事です。学生さんは、将来に向かって何を身に付けるべきかということを基本に教えてもらったらいいかと。ここは切り分けが必要かと思いました。

 

○小杉分科会長 分かりました。

 

○河本委員 今のそういった意味でも、キャリア・コンサルティングと同じように、ジョブ・カードも、誰を対象に何のために使うのかを整理してこの論議もしないと、企業の中でも育成の記録としていろいろなものを持っているものと、また別にカードを運用していくことが本当に機能するのかというのは、少し疑問に思うところがあります。今までのジョブ・カードが、どういうふうに、何が生かされてこなかったのか。なぜできなかったのか。そもそも在職者のために作ったものではないので、そうなっていないのは当たり前なのに、そこが課題だと書かれていると少し違和感を覚える中で、ジョブ・カードも誰を対象に、何を目的に使うのかということを整理して運用していく必要があるかと思います。

 これは作ったら耕し続けなければいけないし、先ほど持っている人が何万人というのがありましたが、アクティブが何万人なのか、本当にそれが今生きているのが何なのかという数値も見ていかないと意味がないかと感じています。

 

○小杉分科会長 ジョブ・カードについての御議論も出てきましたが。

 

○新谷委員 ジョブ・カードについて、意見を申し上げたいと思います。

15スライドに、現在の発行総数が書かれており、発行総数115万枚のうち訓練の際に発行された数が105万枚、残り10万枚が一般求職者などに発行されたとのことでした。

 そもそもジョブ・カードは、訓練履歴を示し、その訓練の情報が労働市場でのマッチングに使われるということが目的とするものでした。この点、在職者に対してジョブ・カードを活用するということが、どういったメリットや役割があるのかという点が整理されていないのではないかと思います。先ほど大隈委員がおっしゃったように、企業とすれば、在職者に企業内訓練をした上で外部労働市場での再マッチングのためにジョブ・カードを活用するとは考えていないわけです。よって、企業内の在職者に対してジョブ・カードを活用する意義については、もう少し深掘りした論議が必要であると思います。

 そもそも労働市場全体で言えば、圧倒的に在職者の数が多いのです。5,500万人も雇用労働者がいて、公務員を除けば4,000万人強の民間労働者がいるわけで、そういった意味で、ジョブ・カードのマーケットは非常に広いのです。しかし、使われ方、使い方に対する具体的な提起がないのです。ですから、数値目標だけを示しても、企業での活用は進みにくいと思います。

 この点については、「在職者に対するジョブ・カード普及のための実務者会議」が昨年5月にとりまとめた報告書でも同じ課題が指摘されています。つまり、ジョブ・カードを活用した人材育成、人材管理の充実によって労働生産性が向上し、企業の経営状態等の改善につながるといったような、企業の経営者が積極的に活用できるような好事例の発掘し、そのモデルの普及を図るべきということです。単純に訓練受講者についてのみを対象として発行するということでは、ジョブ・カードの普及は難しいのではないかと思います。以上です。

 

○小杉分科会長 ジョブ・カードについては、今の見直しの方向が正にそういう方向ですので、塚本室長からお願いします。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 まず、ジョブ・カードの現状ですが、15ページの一般求職者等へのジョブ・カードのところですが、残り5万人程度が在職者というわけではなく、在職者の部分については、今後どのような形でジョブ・カードを在職者に対して活用すべきかというの検討が行われているという意味で、この部分の利用はほとんどないというのが今の状況です。

 これまでのジョブ・カードについて、非正規雇用労働者等に対する訓練を行い、それをジョブ・カードに取りまとめ、マッチングに使うという形での活用については、雇用型訓練の場合は、そのまま訓練先が就職先で有効ということになりますが、他の企業に行くといった場合については、様式自体が、例えばJIS規格の様式になっていないとか、キャリア・コンサルタントの方が外部に出しにくいキャリア形成上の課題を含めた情報を書いているといったような、非常に個人の方が求職活動に使いにくいものであるということもあって、他社にジョブ・カードを持って就職活動をすることがなかなか難しい状況です。

 また、ジョブ・カード自体が求職者、また訓練向けということもありますので、書いていきますと、転職しなければいけないのという感じになってしまうという側面もあり、在職者の活用については、うまくいかないようなものになっていた。

 これを現在、キャリア・パスポートの研究会の中では、23ページ辺りにポンチ絵、その概要が書かれておりますが、1つ目としては、生涯を通じたキャリアプランニングのツールということで、これまでも情報として収集しておりますが、例えば個人の履歴とか経験の棚卸し、またキャリアプランを例えば訓練時だけでなく生涯を通じて蓄積していく。随時、キャリアプランを見直し、また必要な訓練を行うものに活用してはどうか。それらを集めると、下の職業能力証明のツールの部分ですが、例えば、職務経験とか訓練の結果を集めることによって、職業能力の見える化を図った職業能力証明のツールとしても使えるという面での活用を、これまでの課題を解決して在職者の方が入職して退職するまで使うようなツールにしてはどうかということが、現在、パスポート構想研究会の中で議論されていると思います。

 

○新谷委員 私が申し上げたかったのは、22ページに記載されている見直し案を、更に具体的に検討する必要がある、ということです。「在職者向けのジョブ・カードはどういうふうに活用するのか」という題目だけが書かれても、その普及は進まないと思います。企業が在職者にジョブ・カードを活用するにあたっては当然に費用がかかり、企業としてはそうした費用を回収できるのかといった投資回収を考えることが当然です。そうであるならば、ジョブ・カードを活用すれば従業員の管理がより効率化できてスキルアップするといった分析をもう少しすべきではないかと思うのです。お題目だけでは、企業での活用は進まないと思います。

 もう1点、先ほど大久保委員や高橋委員が指摘をしていましたが、登録キャリア・コンサルタントの位置づけを明確にする必要がある。そもそも14時間のジョブ・カード講習を修了すれば「登録キャリア・コンサルタント」という名称が与えられるわけです。つまり標準レベルや技能士のキャリア・コンサルタントの方と同様に「キャリア・コンサルタント」を名乗ることが可能で、せっかくスペシャリストとして養成をしているのに、ジョブ・カード講習の受講者もキャリア・コンサルタントという名称で呼ぶことができるのであれば、役割や位置づけの明確化はなかなか難しいのではないかと思います。キャリア・コンサルタントの社会的地位を確立するためには、専門性によって純化していく必要があるのではないかと思います。事務局の考えがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。

 

○宮川職業能力開発局長 もともとジョブ・カード講習で登録キャリア・コンサルタントという形にしたのは、ジョブ・カード制度を普及していく上で、特に初期の段階の場合には職業能力形成機会に恵まれない方々に対しての訓練をやっていくと。そういう訓練を受けさせるためには、キャリア・コンサルティングは必要でしょう。ただキャリア・コンサルタントがその時点ではある意味数が少なかった。こういうものは対応できないとすると、ある意味、簡易な方法でキャリア・コンサルタントを養成し、それに基づいて職業能力形成の少ない人たちに速やかに様々な訓練を受けていただこうという発想で、恐らくやったのだろうとは思うのです。

 ただ、今回の議論を続けていく中で、キャリア・コンサルタントという方々の職業としての専門性、今の段階では名称があるだけであって、名称独占でもなければ、様々な義務的なもの、例えば守秘義務という問題についても何も整理されていない。そういう専門資格を持った方々、もちろん技能士の1級、2級のように指導レベルや熟練レベルの方々は既に出ているわけですから、そういう方がやるキャリア・コンサルティングの資質の確保とともに、そういう人たちの資格としての性格付けをきちんとした上で、登録キャリア・コンサルタントについては、先ほど名称の変更も含めて様々なものを整理していく段階にきているのではないかと考えております。

 

○小杉分科会長 分かりました。

 

○大久保委員 ジョブ・カードと在職者の関係なのですが、ジョブ・カードはキャリア・パスポート構想研究会での議論の中では、在職者にどうするかという切り口から議論を深めているわけではないのですね。要するに、何に使うかという目的から入っていき、キャリア・プランニングに使うケースもあります。もう1つは、転就職の応募をする際に能力証明ツールとして使うことがありますね。ある意味、機能面から2つに絞り込んでいくと。キャリア・プランニングツールとしてジョブ・カードを使う、あるいは個人がそれを作るときに、それは別に在職者は全く対象外になるわけではなく、例えばそれが在職で非正規で、新しい所に転職しようとする人は、自分自身でキャリア・プランニングのためにジョブ・カードを使うというケースはあるでしょうとか。あるいは、教育訓練給付金のようなものを使って自己啓発をするときに、自分で次のキャリアのことを少し思い描いて考えた上でやるときに、自分なりにジョブ・カードを作ってみることはあるでしょうという話をしていたのだと思っていました。

 これは、どちらかというと企業側の話ではなくて、個人がキャリア・プランニングをするときに使い勝手のいいものを作りましょうという議論をしていたので、改めて在職者ということを表面に出されると、議論をしてきた人間としてもちょっとすっきりしない感じはするのですね。

 

○宮川職業能力開発局長 補足いたしますと、22ページの上のほうの「生涯を通じたキャリア・プランニングのツールとしての活用」という理念図の中に、在職段階、特に正社員の問題だとすれば、正社員は様々な過程の中で、特に企業内では当然キャリアアップをやっていきます。それは、先ほど大隈委員や大野委員からお話がありましたように、企業の中でのキャリアアップは、もちろん企業のために当然企業がやっていきます。ただ、そういうツールにもこれは活用できますよ、使いたいのであればという意味付けもあります。

 それから、右下のほうに、「ミドル〜引退過程」の中でキャリアチェンジしていくという場面の中で、様々なキャリアチェンジの場面があります。例えば、定年年齢あるいは最終的に終わったときにもう次の所に行きたいとして、それを企業も支援していくといったような場合に、企業の中でどういうことをやってきましたねというものを証明する機会もあるでしょう。それから、例えばこういう機会が多いと困るのですが、どうしても企業がある意味整理していくなど様々な過程の中で、企業を移動していただくとして、その際には、例えば法令に基づき今までの職務経理等を企業は証明する場面も出てきますが、そういうツールとしてもこれは活用できるなど、様々な過程の中で、こういうツールがキャリア・プランニングの中で様々な側面で使えるのではないか、あるいは使っていくものとしていくべきではないか、というような形で、先ほど大久保委員からお話があったように、いろいろな面でも使えるという、機能の問題としてキャリア・プランニングツールとして考えた上で、しかもそれが様々な場面でも活用できるというような形で、今、中間取りまとめの段階まで議論をして、最終的な取りまとめに向かっている状況です。

 

○大久保委員 あえて補足したいのですが、ジョブ・カードそのものに関しては、今回の新ジョブ・カードにおいて個人のものなのだと。要するに、個人が生涯にわたってキャリア形成をしたり、キャリア選択をするときに使うツールなのだということが全面に押し出されているので、あまり企業側の都合でという感覚ではなくて、今、局長がおっしゃったことも個人が必要なときに会社がそれを提供する必要性があるとか、義務があるのかという話ですので、あまり企業側でコントロールしてジョブ・カードをどうするという視点の議論はしていないのですね。その辺りは誤解があるといけないので、あえて申し上げたいと思います。

 

○宮川職業能力開発局長 補足させていただければ、これはジョブ・カードを作っていく、運営していく中では、やはり企業の方々の御協力も十分頂かなければ、例えば評価シートの話ですね。企業の中で評価された場合の様々な評価があれば、それを取り込んでいくというイメージです。今までのジョブ・カードというのが、どちらかというと訓練を始める時点でのものにやや実際上、実行上、運用上そこに集中していたことの反省に立って、やはり様々な方々はこういうものを活用できる中で、キャリア・プランニングのツールとしても、あるいは職業能力証明のツールとしても、そういうことによって労働移動を円滑にも行うこともできますし、様々な企業内でのキャリアアップについても活用できる。いろいろな面で御本人が職業生活を続けていく中で、企業の中で活動していく中で必要なものとして御議論いただいているのではないかと、私自身は思っているところです。

 

○豊島委員 15ページのスライドに関して、意見と質問をいたします。

まず、15ページのスライドの中で、「ハローワークにおける一般求職者への交付」とありますが、先ほど大久保委員からも話があったように、ハローワークの体制が十分でないということも、ハローワークでのジョブ・カード交付が進んでいない理由の1つであると思います。本分科会の論議でも、ハローワークに職業能力開発の専門的な人員を配置していくべきという議論がありますが、改めてこの点を強調したいと思います。

 その次に、学生等へのジョブ・カード交付数は0.9万人にとどまっています。22ページを見ると、「生涯を通じたキャリア・プランニングのツールとしての活用」のスタートラインの所に、学校卒業段階、就職指導と書かれております。この段階で普及に努めるということが、大変重要だと思っております。学生用ジョブ・カードというのは、20124月から導入されましたが、発行枚数は9,000枚にとどまっています。学生用ジョブ・カードの一層の普及のために、文科省とはどのような連携をされているのかを伺いたいと思います。

加えて、18ページには「ジョブ・カード交付機関別の推移」が記載されていますが、発行機関の所に大学が入っていない。9,000枚の学生用ジョブ・カード発行数の中には大学で発行されたものがあるのかも伺いたいと思います。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 まず、学生ジョブ・カードの普及に関する文科省との連携ですが、この普及のための通達自体も私ども厚生労働省と文科省とが連名で、関係機関を通じて学生等に対して活用の働きかけ等を行うよう通知を行っております。また連携ですが、今回様々な見直しの検討を行っていますが、この中でも文科省と今後この分野をどうするかについて、連携を取りながら検討も進めております。

 次に、学生ジョブ・カードの9,000人ですが、これは大半が職業訓練関係での活用となりますので、学生ジョブ・カードの部分については、各訓練の項目などに散らばって9,000人という形になっております。

 

○豊島委員 大学のキャリアセンターなどが発行しているのではないのですね。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 大学のセンターだけではないですね。どちらかというと、訓練関係での発行を、学生なので、大半が学生ジョブ・カードの活用になっているかと思います。

 

○豊島委員 ジョブ・カードを、生涯を通じたキャリア・プランニングのツールとして活用するときに、学校卒業段階、キャリア教育の相談の段階で使うことが重要であり、その段階で社会人や職業人として問われる資質、社会人となった後にどのようにキャリアアップをしていくモチベーションをしっかり持ってもらうことが大事だと思います。そういう意味では、文科省と連名で通達を出すのは結構ですが、各大学のホームページでキャリアセンターなどを見ますと、それぞれ独自のいろいろな求職進路指導カードなどを工夫して策定しているケースもあります。そうした例を参考に、実際に使い勝手が良いものにしていくことが重要でると思います。

 学生用ジョブ・カードの活用方法は、厚労省のホームページにも様々記載がなされていました。また、文科省と連携して、大学で実際に活用してもらうような働きかけも大事になると思います。更に、ジョブ・カードをまさに履歴書と同様に就職活動で活用するためには、国としてもジョブ・カードに対する権威付けをきちんとしていくことが大事であると思います。

 ジョブ・カードの普及のためには、企業、業界団体、大学などの関係機関を広く巻き込んで取り組んでいくことが重要ではないかと申し上げておきたいと思います。

 

○小杉分科会長 ほかに御意見はありませんか。

 

○高橋()委員 豊島委員の御意見に真っ向から反対するような形になるかもしれませんが、私は学生用のジョブ・カードはそもそも交付する必要が全くありませんし、そんなことは制度化するべきではないと思っています。新卒採用は、やはり独特の慣行ですし、それぞれ各社が独自に取り組めばいい話で、各社の仕様に沿った形で採用することであり、それでよろしいのではないかという気がしております。

 その関係で私がすごく前から気になっているのは、参考資料2でも配られているのですが、「ジョブ・カードの見直しに関する中間とりまとめ」の最後から2ページ目に、「学生を対象とした活用」とあります。気になっているのは、インターンシップの参加・受講歴及びその評価を新ジョブ・カードに記載して、就職活動時に活用できるようにすることが重要だという文言があります。我が国の場合は、就職活動は非常に早期化、過熱化がかねてより問題になっております。インターンシップというのは就業体験であると、一線を画しておく必要があります。それを、政府が自ら公的な制度として、インターンシップの参加・受講歴をジョブ・カードに記載して就職活動時に活用できるようにするなどとしたら、インターンシップに参加すれば、より就職が有利になるといった間違った印象を与えかねないことになり、ますます就職活動の過熱化を惹起しかねないことであり、こういうことは絶対にやってはならないと私は思っております。

 それから、ジョブ・カードに関連しては、訓練と結び付けてやる制度で何故いけないのかなという素朴な疑問があります。それを言い出したらしょうがないと言われたら、訓練と結び付けてやるから二事業でやっても何となく理屈は付くなとは思うところ、今回の見直し案のような形で、より労働者のための制度だと抜本的に改めていくなら、もう二事業で見ていく理屈が成り立ちにくいのではないかという気がしております。もし、このような形で見直しをしていくのであるならば、一般会計で実施をしていくのが適当なのではないかという気がしております。

 最後に、キャリア・コンサルティングのことについても一言申し上げたいと思います。在職中のキャリア・コンサルティングは、各委員がお話ししたので被せることはいたしません。雇用政策的に大事なことは、やはり求職時、これは新卒だったり転職だったり、あるいは第二の人生を含めると思いますが、その就職時におけるキャリア・コンサルティングを政策としてしっかり手当てをしていくことが重要であろうと理解いたします。そうすると、重要なプレーヤーはやはり教育機関であり、公的な就労支援機関だと思います。

 その関係で、先ほど宮川局長が御答弁されたことにも関連して、資料も再構成していただくということですが、本日の資料を見るとそうした公的な就労支援機関におけるキャリア・コンサルタントの配置状況や、キャリア・コンサルティングの実施状況といったような資料は、一切登場してこないということになっております。是非、次回以降は、そうした資料も合わせて御提示を頂き議論させていただきたいと思います。これはお願いです。

 

○豊島委員 使用者側委員から、学生にはジョブ・カードは不要という指摘がありましたが、この点について意見を申し上げます。例えば、キャリアパスポート(仮称)構想研究会で文科省が提出された資料を読むと、大学設置基準、短期大学設置基準の改正ということで、社会的、職業的自立に関する指導等の制度化が1つ目にあります。また、産業界のニーズに対応した教育改善充実体制整備事業も記載されていますが、大学でどれだけ企業が現に求めている学生たちを送り出していくかという視点は重要です。この点、労働市場に円滑に入っていける学生は問題ありませんが、新卒でなかなか正社員になれなかったり、労働市場に入っていけなかったりする学生もいるわけです。大学のキャリア教育は、就職試験の通過のノウハウなどが中心で、学生自身のキャリア形成といった観点でややもすると乏しい。つまるところ、学生の中にも、ジョブ・カードを活用するにふさわしい対象者もいるのではないかという問題意識があるのです。

 

○小杉分科会長 この件に関して、事務局からありますか。

 

○大久保委員 大学生とジョブ・カードの関係をどうするかは随分大きな論点で、これはキャリア・パスポート構想研究会でも何度も議論をしているところです。先ほど、インターンシップとジョブ・カードという話が出ましたが、キャリア・パスポート構想研究会の中で私も申し上げて議論しているのは、まず大学側が行うキャリア教育です。その中にはインターンシップもありますし、社会活動的なものもあると思います。こういうものを、それぞれの大学が推進をしていって、これは各大学がやることは決まっており、展開をしていくと。

 企業側の協力がないとインターンシップはできません。今は、できれば最低でも週5日程度以上は日数を取って、それに前後の授業を組み合わせると、大体時間数は60時間程度になり、学校の1つの単位の認定にもなると。そういう形で、就業体験を広げていけないだろうかという議論を産学一緒になってやり始めております。いわゆる、ワンデーとかツーデーという感じのものではなくて、本当の就業体験としてのインターンシップを普及させることが非常に重要だと思っています。

 そのときに、企業側がそのインターンシップを受け入れたときに、そこで就業体験を積んだ学生に対して、きちんとそれをフィードバックすることも必要だろうということで、経済産業省がそのフィードバックシートのモデルを作ったりしているのですね。それを学校に戻して学校側としてもインターンシップに対する評価を、多分これは授業になれば付けるのだろうと思います。そういう形で、学校の教育の一環として、きちんとした形でインターンシップを成立させていくというのが一義的にあると。そのときに、学校でやったキャリア教育の成果などがありますから、そういうことについて在学時代にこういうことをやってきたということが、学生が就職段階で伝えるときに、書式に落として二次的に使ってもいいのではないかというのが、ジョブ・カードにおけるインターンシップという考え方です。

 私は、もともと高橋委員がおっしゃったように、インターンシップと就職活動を過度に切り離すことには、別の意味では反対なのです。それは置いておいて、そのような前提でこのジョブ・カードの位置付けについては考えるべきだと思っています。学生生活の中で学校の成績もあるでしょうし、そこでどういうことを学んできたということも当然あるでしょう。それ以外に、キャリア教育でどういうことを体験してきたかもあるでしょう。そういった学生にとっての様々な要素を、学生が就職段階では活用できるようなものの一環として、そういう書式があってもいいのではというのが、私がその場で申し上げて議論したことです。

 

○宮川職業能力開発局長 今、大久保委員がおっしゃったとおりです。インターンシップの評価というのは、少し誤解を招く表現だったのかなと思います。実際、議論として一応経産省の御協力も頂いて、こんな感じの評価かなというものを実際出したときに、議論として、こういうものはあくまでも企業が学校に対してバックすることは当然のこととして、インターンシップをやったわけですから、それをその学生が就職活動時に活用するとすると、それはないでしょうと考えられる。あくまでも、インターンシップという学校の活動について、学校がどう評価しているかということまでは、今、大久保先生がおっしゃたように、正に二次的にそういう評価があっても然るべきです。それは、あくまでも大学の評価であり、企業が何かこうでしたというような話では本来ないのではないかというような議論で、少しその辺りのインターンシップの扱いについては、より慎重にいろいろ議論していく必要がある。少なくとも、高橋委員のおっしゃった方向の問題意識をもって、今、議論しているようなところです。

 それから、今回のジョブ・カードの性格付けがどうなるかについては、最終的な結論がまだ出ておりません。ただ、今までが余りにも訓練に偏りすぎていたなと思われる。これはある意味では反省ですが、では訓練はもういいというわけではなくて、やはり雇用型訓練を中心として様々な訓練を行っておりますが、やはりキャリア・コンサルティングというものがないまま訓練を行っていくことは、職業能力開発行政的にも、あるいは適切な職業紹介を最終的にやっていく意味での職業安定局が、公費をかけてそれぞれ行政をやっていく上でも、キャリア・コンサルティングという形で適切な能力開発、訓練を受けた上で適切に職業紹介をしていくという一環の中でのツールとしては、これはその重用性は変わらないと思います。

 ただ、今までがそれに余りにも集中しすぎていた。このツール自身は、そういう意味ではもっと大きなものが可能性としてあるのではないかという意味で、様々な議論があり、その中では、個人が持っていくことにより、いろいろな場面で、就職活動のみならず、求職活動期間のみならず、在職中にも第二の職場に移るときも、様々な場面で行うことが可能になり、かつそれについても企業としてもメリットが様々な部分であるという趣旨で、性格付けができるのではないかと考えております。

 二事業をどうするかという話については、性格付けも含めてまた整理させていただければと思っております。いずれにしても、今の段階で1つは訓練が全然関係なくなったのではないこと。もう1点は、これについてはオール事業主あるいは個々の事業主にとってみても、非常に役に立つ制度としてもっていくべきだろうという趣旨を考えているところです。

 

○新谷委員 先ほどの高橋委員の発言の中で、今、局長が答弁されたこととも関係しますが、二事業とジョブ・カードとの関係は、従来通りで変わらないと思います。それは、先ほど大久保委員から指摘があったように、ジョブ・カードの位置づけが、個人のキャリア形成に視点を置いたものになったとしても、ジョブ・カードというキャリア証明ツールを使って、就職という労働市場の中でのマッチングに活用がなされるということ自体は変わらない。結局、ジョブマッチングできた事業主は、高いスキルの労働者を採用することができるという果実を得るわけですから、当然二事業の負担で今後も運営すべきであると、労働側としては考えております。

 

○原委員 簡単な質問です。新ジョブ・カードの設計が個人のものだということに重点が置かれているということを、大久保委員からの説明で理解いたしました。河本委員が、先ほど実は誰のためにということをおっしゃって、制度設計を新しくなさっている中で、例えばどんなボリューム感で考えていらっしゃるのかを教えていただければと思います。一般求職者、学生、在職者と主なユーザーがいて、大体どの層がメジャーなユーザーになっていくと考えていらっしゃるのか。大体、何対何対何ぐらいで将来見通しをされて、こういう新制度を議論されているのか。もし見通しがあれば教えていただければ、何に議論の論点をおけばいいのかが分かると思うのですが。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 今、研究会等で具体的にボリューム感の検討はなされていませんが、当面の間の話からしますと、やはり基本的には公共職業訓練の活用が1つ大きなボリューム感としてあるはずではないか。その次の話として、訓練を受けてジョブ・カードを作った。しかし、これがマッチングで使われていない。ここの障害については、見直しによって取り払われることになると思います。例えば、今までジョブ・カードを交付していただきちょっと時間がたっているというような方も、今後仮に求職者となったときも使えるようになり、ここでもボリュームは出てくるのではないか。

 それから、在職労働者個人が持つことになりますが、例えば今後、企業、訓練に絡まない形での評価シートの活用も、個々に各企業、例えば中小企業等で必要な場合には、評価シートを作って評価していく部分が出てまいります。ただ、これについては非常に評価シートの作成等指導、援助等に時間がかかりますので、ここの部分については広がるとしてもかなり時間がかかってくるのではないかと思います。

 学生については、例えば今までの調査等では、非常に利用意向があるのですが、就職の場面では、エントリーシートと異なるのでということで、半分辺りはもう使えないのではないかと思っていらっしゃる。この辺りついての障害も、今後の見直しによって取り払われるのならば、活用も広がるのではないかとは思います。

 ただ、いずれにしろ当面の間はかなり手間をかけてやっていかないといけない部分もありますので、ボリュームの中心は訓練関係のところとなります。ただ中長期的には、個人の方が入職から退職まで所有する制度に変わる場合には、かなり広がっていくのではないかと思います。ボリューム感についての詳細はまだ十分に検討していない段階です。

 

○小杉分科会長 ほかに、皆様から御意見、御質問はありますか。よろしいようでしたら、本日のこの件についての議論はここまでといたします。その他、委員の皆さんから何かないようでしたら、事務局より1点御案内がありますのでお願いいたします。

 

○伊藤能力評価課長 能力評価課です。本日、資料番号が入っていません委員の皆様方の机上配布資料として、カラーの「技能五輪全国大会及び全国障害者技能競技大会について」という資料をお配りしております。本資料について御説明、御案内を申し上げたいと思います。前回の分科会においても、技能競技大会の活性化、アピール強化の点について御指摘を頂きました。また、御案内のように今月が職業能力開発促進月間に当たります。この月間の中心的な事業として、両技能競技大会開催ということで、この機会をお借りして御紹介申し上げるものです。

 御案内のように、技能五輪全国大会については、青年技能者がその技能レベルの日本一を競う大会です。また、全国障害者技能競技大会(アビリンピック)に関しては、障害のある方々が日頃職場で培った技能を競う大会として、毎年開催しているものです。この両大会について、相乗効果を期す観点から、原則同一地で併催という形をとり、また原則各都道府県との共催という形で全国で開催をするという考え方の下で、毎年の計画を立てております。

 本年はものづくり県を標榜しております愛知県との共催といった位置付けで、この資料にもありますように、アビリンピックに関しては今月1121日から名古屋市国際展示場で、また技能五輪全国大会については、その翌週1128日から、こちらは愛知県各地の全13会場で開催します。アビリンピックは24職種、参加選手が約340名、全国大会については41職種で過去最多の1,200名の選手参加といった規模です。また、全国大会はこの資料にもありますように、翌年の国際大会の選手選考も兼ねております。具体的には、中ほどの表にありますように、来年8月にブラジル(サンパウロ)で開催されます国際大会の選手選考を兼ねての開催というような位置付けです。

 資料の2ページ以降に、この度私どもから発表しました全国大会及びアビリンピックの具体的な実施競技職種、会場日程等に関わる資料、またこの大会に合わせて後ろから2枚目に、アビリンピックの併催事業としての「障害者ワークフェア2014の概要」といった関連事業についても、併せてその周知資料を添付しているところです。

 前回も御指摘を頂戴しましたように、私どももせっかくのこうした技能競技大会の意義、魅力といった点について、多くの方々に御承知を頂きたいということで、アピールに努めているところです。御覧になった方も多いかと思いますが、昨日の朝のニュースなどでも、かなり大きな取り上げをされたところです。是非とも、能開分科会の委員の皆様方、これら事業の趣旨を改めて御理解いただき、事業振興、アピール等お力添えいただきたいことはもとよりですが、週末であったり御多用の時期でもあり、また東京からは離れているのですが、もし委員の皆様、御都合がつくようであれば、せっかくのこの機会に全国大会、アビリンピックの御視察を頂ければという気持ちも持っているところです。もし御都合がつく委員の方がいらっしゃいましたら、私ども能力評価課、また能力開発課にお申し付けいただければ、是非とも御案内を申し上げたいと思っております。何とぞ、よろしくお願いいたします。

 

○小杉分科会長 ほかに特にないようでしたら、本日の議論は以上といたします。次回以降の日程については、改めて事務局から御連絡申し上げます。また、本日の議事録の署名人は、労働者側は高倉委員、使用者側は高橋()委員にお願いいたします。それでは、本日はこれで終了いたします。御協力ありがとうございました。


(了)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働政策審議会(職業能力開発分科会) > 第84回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録(2014年11月6日)

ページの先頭へ戻る