ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会)> 第13回社会保障審議会福祉部会 議事録(2015年2月5日)




2015年2月5日 第13回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成27年2月5日(金)16:00~18:00


○場所

KKR東京「瑞宝」
(東京都千代田区大手町1-4-1)


○出席者

田中滋 (部会長)
石橋真二 (委員)
猪熊律子 (委員)
鎌倉克英 (委員)
(代理:西條由人参考人)
(代理:山口保参考人)
関川芳孝 (委員)
高橋英治 (委員)
(代理:後藤修文参考人)
武居敏 (委員)
橘文也 (委員)
花井圭子 (委員)
福間勉 (委員)
藤井賢一郎 (委員)
藤野興一 (委員)
堀田聰子 (委員)
松原由美 (委員)
松山幸弘 (委員)
宮本みち子 (委員)
柳川純一 (委員)

○議題

とりまとめに向けた議論

○議事

○田中部会長 皆さん、こんにちは。

 定刻となりましたので、ただいまより第13回福祉部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきどうもありがとうございます。

 まず、委員の出欠状況について、事務局より説明をお願いします。

○西辻総務課長 本日の委員の出席状況でございます。

 本日は、川井委員、黒岩委員、小林委員、高橋福太郎委員、対馬委員、三好委員から御欠席の連絡をいただいております。

 また、黒岩委員の代理といたしまして、神奈川県保健福祉局福祉部の西條由人参考人。

 小林委員の代理といたしまして、日本介護福祉士養成施設協議会常務理事の山口保参考人。

 高橋福太郎委員の代理といたしまして、全国福祉高等学校長会副理事長の後藤修文参考人にお越しをいただいております。

 なお、猪熊委員、藤井委員、堀田委員からは若干おくれるとの御連絡をいただいております。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 議事に入ります前に、毎度のことですが、ただいま御紹介のありました欠席委員の代理として出席いただいている参考人について、皆様の御了承を頂戴したいと存じます。

 本日御欠席の黒岩委員、小林委員、高橋福太郎委員の代理として、西條由人参考人、山口保参考人、後藤修文参考人の御出席について異議はないでしょうか。

(異議なしと声あり)

○田中部会長 ありがとうございます。

 次に、議事に入る前に資料の確認を行います。

 事務局から説明をお願いします。

○西辻総務課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきたいと存じます。

 本日は、配付資料といたしまして、横の資料でございます、資料1定款の公表について。

 同じく横の資料でございますが、資料2法令遵守体制の整備について。

 縦の資料でございます、資料3社会福祉法人改革について。

 以上、3点を配付させていただいております。

 御確認をよろしくお願いいたします。

○田中部会長 では、ここから議事に入ります。

 事務局より、最初の資料2つ定款の公表について法令遵守体制の整備についての説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、資料1定款の公表について御説明申し上げます。

 1ページをおあけください。

 定款の公表についてでございますが現状と課題としております。

 現在、定款につきましては、社会福祉法人が行う事業の範囲や組織のあり方など、重要事項を定めるとなっておりますが、これにつきましては、事務所への備え置き、閲覧、公表の対象となっておりません。

 一方、一般財団・公益財団法人におきましては、これを備え置き、閲覧の対象といたしております。

 考え方でございます。

 社会福祉法人につきまして、公益財団法人と同等以上の透明性を確保するとともに、今般の制度改革に伴いまして、経営組織の強化や再投下計画に基づく社会福祉事業または公益事業の内容を定めた定款というものを公表すべきではないかということでございます。

 この点につきまして、御議論いただければと存じます。

 これにつきましては下の(参考)にございますが、社会福祉法人の在り方等に関する検討会報告書におきましても、定款の公表を義務づけることを検討すべきとされておりました。

 続きまして、資料2でございます。法令遵守体制の整備についてです。

 現状と課題でございますが、一般財団・公益財団法人等におきましては、大規模法人について、理事会において職務執行のコンプライアンス(法令遵守等)を確保するための体制整備を決定することを義務づけております。

 下の(参考)をごらんいただければと思いますが、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の第90条でございます。その5項におきまして、これは一般財団法人にも準用しておりますが、大規模一般社団法人である理事会設置一般社団法人においては、理事会は前項第5号に掲げる事項を決定しなければならないとしております。

 この前項第5号に掲げる事項が、その上の第4項の第5号でございまして、理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他一般社団法人の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備とされております。

 この事項につきましては、理事会が理事に委任することができないとして、4項で定めております。

 すなわち、大規模法人におきましては、コンプライアンスの体制を理事会が決定しなければならないとしているという法令の状況でございます。

 考え方でございます。

 社会福祉法人におきまして、一般財団・公益財団法人と同様に、理事の職務執行についてのコンプライアンス(法令遵守等)を確保するための体制整備について、理事会の議決事項とし、一定規模以上の法人については、その体制整備を義務付けてはどうかという点でございます。

 以上、御議論いただければと思います。

○田中部会長 ありがとうございました。

 今、説明のありました定款の公表法令順守体制の整備について、御意見や御質問がありましたらお願いいたします。

 よろしいですか。特段の御質問はございませんか。

 では、次の議題に移ることにいたします。

 この部会では、昨年8月から合計12回にわたって議論を行ってまいりました。

 今回は、社会福祉法人制度の見直しに関する審議結果についての、取りまとめについての議論を行います。これまでの議論に基づき、事務局に報告書の素案を作成していただきました。これをもとに議論を行ってまいります。

 事務局から、資料の説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 ただいま、部会長からお話がございましたとおり、これまでの部会の御議論に基づきまして、事務局におきまして報告書の素案を作成いたしました。その素案でございます、資料3を説明させていただきます。

 資料3社会福祉法人改革について(案)でございます。

 まずはじめにとございますが、これは経緯を掲げております。

 この報告書におきましては、制度的な対応が必要な事項を中心に取りまとめております。

 1ページお開きください。

 まず総論でございます。総論の第1段落目につきましては、社会福祉法人の歩みと貢献について、ここに記述しております。

 次に、簡単にポイントだけ申し上げます。

 第2段落目でございますが、こちらにつきましては、介護保険の導入や、平成12年の基礎構造改革などの、社会福祉を取り巻く状況の変化について記載しております。

 第3段落目でございますが、ここにおきましては社会福祉法人が、こうした社会福祉制度の変化の中で、その位置づけが変化しているということ。そして、基礎構造改革のときに新設されました、社会福祉法第24条経営の原則を引用いたしまして、こちらに社会福祉法人の本旨につきまして記載しております。

 3ページの一番上でございますが、社会福祉法人の本旨といたしまして、社会福祉事業の中心的な担い手であるとともに、地域における多様な福祉ニーズにきめ細かく対応し、既存の制度では対応できない人々を支援していくことを位置づけているものであるということを記載しております。

 3ページの次の段落でございますが、こちらにつきましては福祉ニーズが多様化・複雑化している中、公益性と非営利性を備えた社会福祉法人の役割が重要になっているということ。そして、その今日的な意義は、社会福祉事業に係る福祉サービスの、供給確保の中心的役割を果たすとともに、他の事業主体では対応できないさまざまな福祉ニーズを充足することにある。したがいまして、これまで以上に公益性の高い事業運営が求められるということを掲げておりまして、法人のあり方そのものを見直す必要があるということを書いております。

 次の段落でございますが、こちらにつきましては平成18年の公益法人制度改革について紹介しております。

 そして、最後のこの改革においてはの段落でございますが、これは現代の日本社会が公益法人に求める公益性が具体的な姿として示されている。こうした公益性は、公益法人の一類型である社会福祉法人に対しても当然要請されるものであるということを記述しております。

 その次の段落でございます。

 こちらにつきましては、平成26年に閣議決定された規制改革実施計画について記述しております。

 そこの最後のところでございますが、社会福祉法人が備えるべき公益性・非営利性を徹底し、本来の役割を果たすことを閣議決定、規制改革実施計画が求めているということを記述しております。

 次の4ページをごらんください。

 一番上の段落でございますが、こちらは厚生労働省の社会福祉法人の在り方等に関する検討会における検討について記述しております。この中で、社会福祉法人のあり方に対しまして意見が取りまとめられていることを紹介しております。

 そして、最後の段落でございますが、昨今、一部の社会福祉法人による不適正な運営が指摘されているということ。そうした中で、公益性・非営利性を徹底する観点から制度のあり方を見直し、国民に対する説明責任を果たすことが求められているということを記述しております。

 以上が総論でございます。

 この次に社会福祉法人制度の見直しについて記述しております。

 まず1.基本的な視点といたしまして、3つの視点を掲げております。

 第1の視点でございますが公益性・非営利性の徹底でございます。

 社会福祉法人が、旧民法第34条の公益法人の特別法人として制度化されたという経緯、現在の今日の福祉ニーズが多様化・複雑化する中でその役割がますます重要になっているということ。

 そして、平成18年には、公益法人改革が行われたということを踏まえまして、公益性・

非営利性の徹底の必要性があるということを記述しております。

 5ページでございます。

 2番目の視点といたしまして国民に対する説明責任について記述しております。

 こちらにつきましては、多様な事業主体が福祉サービスを供給されるようになっているということ。そして、一部の社会福祉法人による不適正な運営のため、社会福祉法人に対する信頼が揺らいでいるということから、社会福祉法人の存在意義が問われているということ。

 これを受けまして、制度改革によりまして社会福祉法人のあるべき姿について、国民に対する説明責任を果たすための制度改革が急務であるということを記述しております。

 3番目の地域社会への貢献でございます。

 こちらにつきましては社会福祉法人の今日的意義と、地域貢献に係る使命を責務化する必要があるということを記述しております。

 続きまして2.経営組織の在り方の見直しでございます。

 経営組織の現状と課題につきましては、今日の公益法人に求められる内部統制(ガバナンス)の機能を十分に果たせる仕組みとはなっていないという問題意識を記述しております。

 6ページでございます。

 また、一部の社会福祉法人において指摘される不適正な運営というものがあるということを記述しております。

 それに対しまして、また、平成18年の公益法人制度改革におきまして、新たな機関設計が導入され、ガバナンスの強化を図ることとされていることを紹介しております。

 こうした状況を踏まえまして、規制改革実施計画においてもガバナンスの強化が求められているということを記述しております。

 こうした基本的な方向性を踏まえまして、7ページの(2)をごらんください。

 理事・理事長・理事会についてでございます。

 まず(理事・理事長・理事会の位置付け・権限・責務・責任)でございますが、理事・理事長の役割・権限・義務・責任を明らかにし、理事会による理事・理事長に対する牽制機能を制度化するという方向が示されております。

 具体的内容は、その以下のポツでございますが、理事の義務と責任を法律上明記すること。

 理事長について、代表権を有する者として位置づけ、権限と義務を法律上明記すること。

 理事会を法人の業務執行に関する意思決定機関として位置づけ、その権限を法律上明記すること。

 一般財団法人・公益財団法人と同様に、理事等に対する特別背任罪、贈収賄罪が適用される法制上の枠組みや欠格事由に関する規定を整備することが掲げられております。

 また、その次の段落でございますが、当部会においても御議論がありました内容でございますが、一般財団法人・公益財団法人と同様に、理事長以外に特定の業務の執行を行う業務執行理事を置くことができるようにすることが必要であるということを記述しております。

 続きまして(理事の定数)でございます。

 理事の定数については、現在6人以上という取り扱いとなっております。内部統制(ガバナンス)を実効性あるものとする必要性を考慮いたしまして、現行の6人以上という定数を法律上明記する必要があるということを記載しております。

 (理事の構成)でございます。

 理事の構成につきましては、親族その他特別の関係がある人の理事への選任について、厳しく制限しております。

 また、学識経験を有する者、地域の福祉関係者、施設庁等の事業部門の責任者を理事として参加することを求めております。

 今回の改革におきましては、同族支配の禁止の趣旨を徹底するとともに、地域ニーズに即した、質の高いサービスを機動的な経営により提供するため、こうした現行の理事の構成に関する取り扱いを法令上明記する必要があるということを記述しております。

 (3)評議員・評議員会についてでございます。

 評議員・評議員会につきましては、まず一般財団法人・公益財団法人と同様に、必置の評議員会を議決機関として法律上位置づけ、理事・理事長に対する牽制機能を働かせるため、評議員会に理事、監事、会計監査人の報酬や選任・解任等の重要事項に係る議決権を付与する必要がある。また、このような重要な役割を担う評議員の権限・責任を法律上明記する必要があるとしております。

 (評議員の定数等)についてでございますが、これにつきましては2つ目の段落ですが、理事と評議員会の適切な牽制関係を築くため、理事と評議員の兼職を禁止し、評議員の定数については、理事の定数を超える数とすべきである。また、任期については、4年とすべきであるとしております。

 次に、評議員の定数についてですが、当部会において御議論のありました、規模の小さい法人においては、適任者を確保することが容易ではないとの指摘があります。小規模法人について定数の特例を設ける経過措置が必要との意見があったことを記述しております。

 続きまして(評議員の選任)でございます。

 これにつきましては段落の後半でございますが、評議員の選任・解任については、一般財団・公益財団法人を参考に、定款で定める方法によることとし、理事または理事会が評議員を選任または解任できないようにすることが必要であると記述しております。

 続きまして(評議員の構成)です。

 これにつきましては、評議員会を議決機関として位置づける場合には、その重要な権限に鑑み、事業に対する識見を有し、中立公正な立場から審議を行える者であることを重視した構成とすることが適当であるとしております。

 続きまして(運営協議会)です。

 これは、当部会におきまして御意見が出たものが盛り込まれたものです。

 議決機関として位置づける評議員会のかわりに、各法人に地域の代表者や利用者または利用者の家族の代表からなる運営協議会を置き、意見を聞く場として位置づけることが適当であると記述しております。

 続きまして(4)監事についてです。

 監事につきましては、まず(監事の権限・義務・責任)についてですが、11ページでございますけれども、後半のほうにございますように、監事につきまして調査権限等の監事の権限を法律上規定するとともに、理事会への報告義務、監査報告の作成義務や監事の責任についても法律上明記し、適正かつ公正な監事監査を促すべきであるとしております。

(監事の選任)につきましては、一般財団法人・公益財団法人と同様に、評議員会の議決事項とすることが必要であるとしております。

 また(監事の構成)でございますが、これについては、財務諸表等を監査し得る者と、社会福祉事業についての学識経験者または地域の福祉関係者とする現行の取り扱いを法律上明記することが適当であるとしております。

 (5)会計監査人についてです。

 これにつきましては、設置義務について一定規模以上の法人に対して、会計監査人による監査を法律上義務づける必要があるとしております。

 また、その次の段落ですが、その権限、義務、責任を法律上明記すべきとしております。

12ページでございます。

 (会計監査人の設置を義務付ける法人の範囲)でございますけれども、これにつきましては、監査に対応できる事務処理の体制と監査費用の負担能力、所轄庁の監査との役割分担等を考慮し、以下の要件のいずれかに該当する法人とすることが適当であるとしています。

 収益(事業活動計算書におけるサービス活動収益)でございまして、企業で言う売上高に相当するものでございますが、これにつきまして収益が10億円以上の法人としております。そして、当初は10億円以上の法人とし、段階的に対象範囲を拡大するとしております。

 ○2でございますが、負債(貸借対照表における負債)でございますけれども、20億円以上の法人としております。

 このいずれかに該当する法人を範囲としております。

 続きまして(会計監査人の設置の義務付けの対象とならない法人に対する対応)です。

 これにつきましては、会計監査人の、設置の義務づけの対象とならない法人については、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人による財務会計に係る態勢整備状況の点検等、または監事への公認会計士または税理士の登用を指導し、こうした取り組みを行う法人に対する、所轄庁による監査の効率化を進めることが適当であるとしております。

 続きまして3.運営の透明性の確保でございます。

 これにつきましては、まず情報開示の現状と課題について述べておりますが、13ページをごらんください。

 (公益法人制度改革における情報開示)で、平成18年の公益法人制度改革におきまして、積極的な情報を開示することがされているということを紹介しております。

 続きまして(社会福祉法人における対応)でございますが、規制改革実施計画におきましても情報開示が求められていることを紹介しております。

 これを受けまして2つ目のポツでございますが、社会福祉法人については、旧民法第34条公益法人の特別法人として制度化された経緯等を考慮いたしまして、積極的に情報を公表し、その運営を社会的監視のもとに置くことにより、適正な法人運営を担保するとともに、国民に対する説明責任を果たすことが期待されるとしております。

 具体的な(2)情報開示の方向性でございます。

 定款、事業計画書、役員報酬基準を新たに閲覧対象とするとともに、閲覧請求者を国民一般に拡大する必要があるとしております。

 また、貸借対照表、収支計算書、役員報酬基準を公表対象とすることを法律上明記する必要があるとしております。

 本日御議論いただきました定款は御了承いただきましたので、これはここにつけ加える形になります。

 また、次のポツでございますが、既に公表を指導している現況報告書について、役員区分ごとの役員報酬総額を追加した上で、閲覧・公表の対象とすることを法令上明記することが必要であるとしております。

 公表の方法については、国民が情報を入手しやすいインターネットを活用することが適当であるとしております。

 続きまして4.適正かつ公正な支出管理です。

 これにつきましては、規制改革実施計画において求められている内容について紹介しております。

15ページをごらんください。

 まず、第1の柱であります適正な役員報酬についてです。

 役員報酬等については、公益財団法人等と同様に、定款の定めまたは評議員会の決議により決定することとすることが必要であるとしております。

 また、公益財団法人等と同様に、不当に高額なものとならないような理事、監事及び評議員に対する報酬等の支給基準を法人が定め、公表することを法律上義務づけることが必要であるとしております。

 そして、国民に対する説明責任を果たし、適正な水準を担保するため、役員等の区分ごとの報酬総額(職員給与または職員賞与として支給される分を含む)を公表するとともに、個別の役員等の報酬額(職員給与または職員賞与として支給される分を含む)については、これを所轄庁への報告事項とすることが必要であるとしております。

 第2の柱でございます関係者への特別の利益の供与の禁止等です。

 これにつきましては、特別の利益供与を禁止する規定を法令上明記することが必要であるとしております。

 また、関連当事者と取引内容の情報開示について、現況報告書及び現行の社会福祉法人会計基準における財務諸表の注記事項において開示の対象となる関連当事者の範囲について、公益財団法人制度を参考に、以下の要件を加えることとしております。

 また、次のポツでございますが、社会福祉法人会計基準において、取引内容の範囲について、公益法人会計基準と同様に取引額が100万円を超える取引とすることが必要としております。

 その次のポツでございますが、なお、この財務諸表の注記において開示の対象となる取引の範囲が取引金額の要件により拡大することに伴い法人の事務負担が増大するとの懸念があり、効率的な運用について検討する必要があるとの意見があったことを記述しております。

 続きまして5.地域における公益的な取組の責務でございます。

 これにつきましては、まず福祉ニーズが多様化・複雑化し、既存の制度では十分に対応できない者に対する支援の必要性が高まっているという認識を示しております。

 これにつきましては、さまざまな主体が創意工夫して対応していく必要がございますが、社会福祉法人についてはその本旨に従い、他の事業主体では対応が困難な福祉ニーズに対応していくことが求められていることを記載しております。

 続きまして、社会福祉法人は、社会福祉事業に係る福祉サービスの供給確保の中心的役割を果たすだけではなくて、既存の制度の対象とならないサービスに対応していくことを本旨とする社会福祉法人と解されていることをまず記述いたしておりまして、次の17ページでございますけれども、営利企業等では実施することが難しく、市場で安定的・継続的に供給されることが望めないサービスを供給すること、すなわち、既存の制度の対象とならないサービスを無料または低額な料金により供給する事業の実施が求められるということを記述しております。

 これにおきましては、また、規制改革実施計画においても、生計困難者に対する無料・低額な料金の福祉サービスの提供などの社会貢献活動の実施の義務づけが求められていることを記述しております。

 これらを踏まえまして、社会福祉法において、日常生活・社会生活上の支援を必要とする者に対して無料または低額の料金により福祉サービスを提供することを社会福祉法人の責務として位置づけることが必要であるとしております。

 また、次の段落でございますが、こうした地域における公益的な取り組みを責務とするに当たり、当部会におきまして御意見が出ましたが、措置費や保育の委託費の使途制限について見直すほか、本部経費について弾力的な運用が必要との意見があったことを記述しております。

 続きまして6.内部留保の明確化と福祉サービスへの再投下でございます。

 まず、基本的な視点でございますが、社会福祉法人については、その高い公益性と非営利性にふさわしい財務規律を確立することが求められるとしております。

 次のページ、18ページをごらんください。

 この上で、いわゆる内部留保のあり方については、これまでその実態を明らかにし、適正な活用を促す仕組みがなかったことをまず記述しております。

 規制改革実施計画におきましても、内部留保の位置づけを明確化し、福祉サービスへの再投資や社会貢献での活用を促すとされているということを記述しております。

 また、いわゆる内部留保につきましては、ここは簡単にポイントだけ申し上げますが、その存在自体が余裕財産を保有していることを意味してはいないということを記述しております。

 こうした法人の公益性等を考慮すれば、いわゆる内部留保の実態を明らかにし、国民に対する説明責任を果たすことが求められるということを記述しております。

 次の段落でございますが、社会福祉法人が内部留保の実態を明らかにし、すなわち現在の事業継続に必要な財産以外に活用できる財産を保有している場合には、これを計画的に福祉サービス(社会福祉事業または公益事業により供給されるサービス)に再投下し、地域に還元することが求められるということを記述しております。

 なお、ここで公益財団法人について記述しております。

 公益財団法人等に適用される遊休財産保有制限がございます。これは一定の額、すなわち1年分の公益目的事業費相当額でございますが、遊休財産の保有を認めております。

19ページですが、しかしながら社会福祉法人については、その特性を踏まえまして、必要最低限の財産を除き、社会福祉事業または公益事業に再投下することが適当であるとしております。

 他方、公益財団法人等におきます、いわゆる収支相償の基準というものがございます。

 これにつきましてはこちらにございますとおり、社会福祉法人につきましては、その収支相償の基準そのものを適用するのではなく、中長期的な事業運営をも考慮し、福祉サービスへの計画的な再投下により、公益性を担保することが適当であるとしております。

19ページの(2)内部留保の明確化です。

 これにつきましては、全ての財産を対象に、当該財産から事業継続に必要な最低限の財産の額を控除した財産額を導き、これを福祉サービスに再投下可能な財産額として位置づけることが適当であるとしております。

 ここにあります控除対象財産額につきましては○1社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等(土地、建物、設備等)○2現在の事業の再生産に必要な財産(建替、大規模修繕に必要な自己資金)○3必要な運転資金(事業未収金、緊急の支払いや当面の出入金のタイムラグへの対応)を基本に算定することが考えられますが、これらにつきましては内部留保を的確に明確化するに当たってのかなめとなる部分でございますので、その詳細な内容については、制度実施までの間に専門的な見地から検討の上、整理する必要があるとしております。

 また、控除対象財産額の算定につきましては、社会福祉法人が国のガイドラインに従い、使途を明記した財産目録及び控除対象財産計算書を作成し、所轄庁に毎年度提出することが必要であるとしております。

 続きまして福祉サービスへの計画的な再投下でございます。

 これにつきましては、再投下可能な財産がある社会福祉法人につきましては、社会福祉事業または公益事業の新規実施・拡充に係る計画(再投下計画という)の作成を義務づけることが必要であるとしております。

 この再投下計画ですが、福祉サービスへの再投下の内容や事業計画額が計上されることになりますが、その計画を検討するに当たりまして、優先順位を考えるべきであるとしております。

 第1に、社会福祉法人は、社会福祉事業の実施を主たる目的とする法人でありますから、社会福祉事業への投資(社会福祉法人による利用者負担の軽減など社会福祉事業に関する地域における公益的な取り組みを含む)を最優先に検討する必要があるとしております。なお、実質的に社会福祉事業と同じ機能を担う、いわゆる小規模事業についてもあわせて検討をするとしております。

 第2に、さらに再投下財産がある場合には、社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手であるとともに、既存制度では対応できない地域ニーズにきめ細かく対応することを本旨とする法人であること。規制改革実施計画において、社会貢献活動が求められていることを踏まえまして、社会福祉事業として制度化されていない福祉サービス(社会福祉法第26条の公益事業により供給されるサービス)を地域のニーズを踏まえて無料または低額な料金により供給する事業(地域公益事業という)への投資を検討するとしております。

 第3番目に、さらに再投下財産がある場合には、その他の公益事業への投資を検討するとしております。

 上記の考え方に従いまして、第1に社会福祉事業等投資額(利用者負担の軽減措置や小規模事業への投資額を含む)、第2に地域公益事業投資額、第3にその他の公益事業投資額の順に検討の上、再投下計画を作成することとする必要があるとしております。

 その際、再投下財産額及び○1~○3の投資額等については、国のガイドラインに従い適切に記載されているかどうかについて公認会計士または税理士による確認を求めるべきであるとしております。

 また、地域公益事業については、後述の地域協議会を活用するなどして事業を行おうとする地域の住民等関係者の意見を聞くことが必要であるとしております。

 次に再投下計画については、議決機関化した評議員会の承認を得た上で、公認会計士または税理士の確認書を付して所轄庁の承認を得ることが必要であるとしております。

 そして、この所轄庁による承認についてでございますが、国が示す統一した基準に従い、主として以下の視点から計画の妥当性を所轄庁がチェックする必要があるとしております。

 第1に、再投下財産額と事業規模の合理性です。これにつきましては、公認会計士または税理士による確認を経たものとなっております。

 第2に、社会福祉事業等については、自治体計画(介護保険事業(支援)計画等)や人口動態を踏まえた地域の需給に照らした合理性でございます。

 第3に地域公益事業については地域協議会における協議結果等との整合性、公益事業としての妥当性でございます。

 続きまして地域協議会です。

 地域協議会につきましては、社会福祉法人が地域における公益的な取組を実施するに当たり、地域における福祉ニーズが適切に反映されるよう地域協議会を開催することが適当であるとしております。

 地域協議会の機能といたしましては、第1に地域における公益的な取組に係る地域における福祉ニーズの把握。

 第2に地域における公益的な取組の実施体制の調整等。

 第3に地域における公益的な取組の実施状況の確認でございます。

 次の段落ですが地域協議会は、所轄庁が地域ケア推進会議等の既存の協議会を活用するなどして開催することとし、その運営については、社会福祉協議会が中心的な役割を果たすケースが想定されるとしております。

 また、次の段落の最後のところでございますが、各地域における福祉に関する協議会の設置状況、活動状況を踏まえた柔軟な運用を認める必要があるとしております。

 また、次の段落でございますが、所轄庁において関係市町村と連携することが求められるとしております。

 (5)財務規律におけるガバナンスです。

 社会福祉法人の公益性を担保する財務規律につきましては、以上申し上げました適正かつ公正な支出管理、内部留保の明確化、福祉サービスの計画的な再投下につきまして、それぞれ実効性あるものとするために、社会福祉法人の内外からのガバナンスを強化することが必要であるとしております。

 具体的内容は、ここに記載したとおりでございます。

 最後の段落でございますが、運用に当たり、専門性を発揮し、中立公正な立場から牽制機能を働かせることができる体制等を確保する必要があるとしております。

 続きまして7.行政の役割と関与の在り方です。

 (1)行政の役割と関与の在り方についての基本的視点でございますが、このため、所轄庁による指導監督を実効性のあるものとするための制度的な整備が重要であるとしております。

 次のページでございますけれども、当部会におきまして意見がありました地域によって異なる規制や、必要以上に厳しい規制に基づくものがあるとの指摘がございました。このようなことを踏まえまして、法人の自立性を前提とした指導監督のあり方を実現することが必要であるとしております。

 また、地方分権が進む中、国・都道府県、市等は、それぞれの機能と役割を明確にして相互の連絡調整や支援を行う観点から重層的に関与する仕組みが必要であるとしております。

 社会福祉法人の財務や運営に関する情報を指導監督に活用するほか、都道府県において収集分析の上、サービス利用者や法人経営者の利用に供する等活用する仕組みが必要であるとしております。

 (2)指導監督の機能強化でございますが、まず第1の段落でございますけれども、立入検査等に係る必要な権限規定を整備するとともに、経営改善や法令遵守等について柔軟かつ機能的に指導監督することができるよう勧告・公表に係る規定を整備することが必要であるとしております。

 次の段落でございますが、専門性を要する分野等においては外部の機関等を積極的に活用することにより、全体として指導監督の機能強化を図ることが必要であるとしております。

 次の段落でございますが、その中で適正な法人運営を効果的に確保するため、以下の要件を満たす法人については、定期監査の実施周期の延長や監査項目の重点化等を行う仕組みを導入することが適当であるとしております。

 ○1と○2に掲げておりますが、内容については省略させていただきます。

25ページの次の段落ですが、また、所轄庁は、会計処理等に係る指導監督や再投下計画の承認等を行うに当たっては、公認会計士など財務・会計に関する専門的な知見を有する者の意見を聞くことなどにより、適切な指導監督等を実施することが適当であるとしております。当部会におきます、所轄庁の監督の機能についての御意見を踏まえて記載したものでございます。

 (3)国・都道府県・市の役割と連携の在り方についてです。

 これにつきましては、

○1都道府県においては、広域的な地方公共団体として、管内の市による指導監督を支援する役割

○2国においては、制度を所管し、適正な運用を確保する役割

を担うこととし、そのために必要な連携等に係る規定を整備することが必要である。

としております。

 次の段落でございますが、平成25年度に社会福祉法人の指導監督権限が都道府県から市に委譲されました。これを踏まえまして、都道府県には広域的な立場で研修を行うなど、市における指導監督を支援する必要があるとしております。

 また、国においては、指導監督が法定受託事務であることに鑑み、所轄庁全体の指導監督について、指導監督に係る基準の明確化等を徹底する必要があるとしております。

 次の段落です。

 財務諸表、現況報告書等の財務や運営に関する情報についてですが、

○1都道府県は、広域的な地方公共団体として、管内の法人に係る書類を収集の上、法人規模や地域特性に着目した分析等を行う等により、管内所轄庁の支援、地域住民のサービス利用、法人による経営分析に活用できることにすること

○2国においては、都道府県において収集した情報を基に、全国的なデータベースを構築すること

が必要である。としております。

 続きまして、法人の広域的な事業展開に対応するため、社会福祉法人の所轄庁による法人監査と、当該法人の事業所が所在する区域の行政庁による施設監査との連携を図るために、必要な規定を整備することが必要であるとしております。

 その他の規定でございますが、合併について議決機関化した評議員会の議決事項とするとともに、必要な規定を整備することが必要であるとしております。

 3の項目でございます。社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しについてです。

 まず、基本的な視点でございます。

 第1段落でございますが、後半でございますけれども、その給付水準などの制度設計について民間との均衡を考慮しつつ、長期加入に配慮した給付水準など、職員の定着に資するような仕組みとすべきとしております。

 また、2つ目のポツでございますが、措置制度から契約制度への移行、多様な経営主体の参入など社会福祉事業のあり方が変容する中、社会福祉法人と他の経営主体とのイコールフッティングの観点から、公費助成のあり方について見直すべきとしております。

 まず2.給付水準についてです。

 これにつきましては、第2の段落でございますが、国家公務員退職手当制度において、民間との均衡を考慮して支給水準の見直しが行われております。

 社会福祉施設職員等退職手当制度と比較しましても、長期勤続に配慮した支給乗率となっております。

 これらを受けまして、民間との均衡を考慮しつつ、職員の定着に資するよう長期加入に配慮したものとすることが適当であることから、国家公務員退職手当制度に準拠した支給乗率とするとともに、その際、既加入職員の期待利益を保護する観点から、適切な経過措置を講ずることが必要であるとしております。

 続きまして3.合算制度についてです。

 次のページをごらんください。

 出産、育児、介護その他の事由により退職した職員が、社会福祉事業の職場に復職しやすい環境を整える観点から、合算制度をより利用しやすい仕組みとすることが必要であるとしております。

 このため、被共済職員が退職した日から2年以内に再び被共済職員になった場合、前後の期間を合算する規定について、中小企業退職金共済制度の通算制度において見直しが検討されている方向制度と同様に、期間を3年以内に見直すことが適当であるとしております。

 続きまして4.公費助成についてです。

 前回改正において、介護保険における民間とのイコールフッティングの観点から、介護保険制度の対象となる高齢者関係の施設・事業については、公費助成が廃止されております。

 前回改正を審議した当福祉部会の意見書におきましては、ここは省略させていただきますが、障害者関連施策など制度自体の枠組みの変更が検討されている中で同時に結論を得ることが困難である等の理由から、公費助成が維持されております。将来の検討課題とされております。

 続きまして、29ページです。

 まず、それらを踏まえまして29ページの一番上の段落でございますが、障害者総合支援法等に関する施設・事業(児童福祉法に基づく障害児を対象とする事業を含む)につきましては、介護関係施設・事業において公費助成が廃止されていること、他の経営主体とのイコールフッティングの観点などから、公費助成のあり方を見直すべきであるとしております。

○1障害者総合支援法等に関する施設・事業については、前回改正時に公費助成を維持する理由とされた障害者関連施策に係る制度移行が完了したこと等から、前回改正時の介護関係施設・事業と同様に、既加入者の期待利益に配慮した経過措置を講じた上で、公費助成を廃止する。

○2保育所については、

-子ども・子育て支援新制度が平成27年度から本格施行されること

-平成29年度まで待機児童解消加速化プランに取り組むこと

などを踏まえ、公費助成の在り方について更に検討を加え、平成29年度までに結論を得ることとする。

○3措置施設・事業については、他の経営主体の参入がないこと等から、今回の見直しでは公費助成を維持する。

としております。

 次の段落では、公費助成の見直しに伴う法人の掛金負担の増分の影響について、見直し後の報酬等の改定において、適切に報酬等に反映されるようにすべきであるというふうに記述しております。

 最後におわりにでございます。

 まず、第1の段落は省略させていただきます。

 第2の段落、30ページでございます。

本報告書では、社会福祉法人が、その公益性・非営利性を高め、本来の使命を果たし、国民に対する説明責任を果たすことができるよう制度の見直しを求めている。社会福祉法人に関係する者には、それぞれの立場から、制度改革の趣旨を踏まえ、国民の信頼に応える社会福祉法人の在り方を実現するよう求める。

としております。

 その次の段落でございますが、

特に、社会福祉法人は、その本旨を踏まえ、地域のニーズにきめ細かく対応し、事業を積極的に地域に展開することにより、喫緊の課題となっている地域包括ケアシステムの構築において中心的な役割を果たすことが求められる。

としております。

 最後の段落でございますが、

今後の福祉ニーズの多様化・複雑化を見据えた場合、公的セクターや市場における福祉サービスの供給だけでは、こうしたニーズに十分に対応することは困難である。公益性と非営利性を備えた民間法人である社会福祉法人が、地域のニーズにきめ細かく対応し、それらを充足していくことが重要であるが、効率的・効果的に福祉サービスを供給していく観点から、適切な法人の在り方について、今後議論を深めていくことが重要である。

としております。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいま説明のありました報告書の素案について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○武居委員 全体を一括してということですね。

○田中部会長 どこでもいいし、全体の流れに関してでも結構です。

 どうぞ。

○橘委員 それでは、いくつか質問させていただきます。

まず1点は、社会福祉法人制度改革は、何年度からこれを実施されようとしているのでしょうか。

それから、15ページに関連当事者との取引内容の情報開示についてとありますが、グループホームを開設いく中で、なかなか民間の家やアパートなどを貸してくれる方が少ないことから、理事、評議員の方みずからアパートとか家を建ててくれて、それを貸していただいているケースが結構あります。

 この取引額がそのまま開示されてしまうと、すごく誤解を受けるのではないかと危惧しています。

 この取引がどのような内容のものだということのが説明あるいは表示できるような仕組みがあると誤解されないと思います。ただ、単純にその取引があることだけが開示されてしまうと、この理事さんは商売しているのではないかとか、単純にもうけ主義でやっているのではないかなど、誤解が生じてしまします。

 ですから、公表するに当たって誤解が生じることのないような仕組みを御検討いただきたいと思います。

 それから、29ページにあります退職手当共済制度ですが、公費助成を維持する対象施設、事業所として措置施設とありますが、障害児入所施設は措置と契約とが混在している状況でありますので、この障害児入所施設は、ぜひ公費助成の対象施設として継続していただけるよう検討していただきたい。

○田中部会長 2点御質問と、1点御要望がありましたが、いかがでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 施行時期についてでございますが、基本的には制度改革は、現在、検討していますのは28年度を考えておりますけれども、その内容につきましては、それぞれの項目におきまして、例えば準備期間が要るもの等ございますので、その施行期日については、これから検討していくことにしております。

 それから、取引内容の公表につきましては、基本的には今回の趣旨は、情報を開示しまして、公明正大に運営が行われているということを、国民に対しての説明責任を果たすという趣旨でございます。

 今、委員から御指摘がありましたようなその他の事情については、それが情報開示に資するという点がありますれば、情報開示すること自体は意義があると思われますので、運用の中で何ができるかを検討してみたいと思っております。

 退職手当についてでございますけれども、これについては、今回は措置施設事業というものについては維持するという方向にしております。

 その趣旨は、基本的には報酬等で支払えていない部分について、今回はその措置、そういうものについては対象外にするという形にしておりますので、そのような施設の中で、両方入っておられるというケースがございますので、例えば割合を半分にするとか、その辺の仕組みを今後検討していきたいと思っております。何らかの対応をしていきたいと思っております。全体をそのまま適用除外するのではなくて、そういう措置であるかどうかに着目して検討したいと思っています。

○橘委員 よろしくお願いします。

○田中部会長 柳川委員、お願いします。

○柳川委員 28ページ目にある、公費助成について申し上げます。我々民間企業も介護業界に参入している昨今、法人の根本的な制度相違を踏まえつつ、やはり同じ会計基準やルールの適用に近づけるための継続的な議論が必要ではないかなというのが1つ目の意見です。

 もう一つは、会計に絡むこととして監査についてです。法人の更新制度や法人の格付のようなものを、今後検討していくということが必要なのではないか思います。

○田中部会長 御意見として、ありがとうございました。

 高橋委員、どうぞ。

○高橋英治委員 日本保育協会の高橋でございます。

 特段、このまとめに関してということではなく、多分今後の運用上の問題になってくるのだろうと思うのですけれども、例えば10ページの、今回、評議員という位置づけが議決機関になる等々ということもあります。

 例えば、評議員を今持っていないところが新たに評議員会を設置する場合は、恐らくここに書いてありますように選任委員会をまずつくって、そこで評議員を選んでいくという格好になると思います。

 それから、構成も今までは地域代表等々というような方が入っておられたと思うのですけれども、今回はその権限が非常に重要になることから、中正公立な立場から審議を行える方を重視した構成にしてほしいということなどがありますが、これはまた運用上の問題で、では、例えば具体的に中正公立な立場から審議を行える者であることを重視した構成という方はどういう方なのかとか、そういったこれから運用を考える上で、先ほどの選任委員会も、では、どういう格好で選任委員さんを選ぶのかとか、そういったことも早めにいろいろ議論して示していただければと思っております。

 以上でございます。

○田中部会長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 10ページの運営協議会についてでございます。

 以前のこの部会の議論の中では、必置という話ではなかったように記憶をしております。 法人の規模等によりまして、非常に小規模である地域に限定されているような法人であれば、その地域の利用者や地域の代表の声を聞くということは、法人全体の運営に直接的に意味があると思うわけですが、中には広域的に事業をやっている法人もございます。

 そういう広域的に事業をやっている法人は、どこか一つの市についての意見を聞いたとしても、ほかの地域に直接関係するとはなかなか想定しにくい点がございます。

 したがいまして、一律に利用者の意見を聞く、それから地域の声を聞くというようなことを、運営協議会という固定的なところでやってしまうのはどうなのかという疑問を感じております。規模によっていろいろな運用があっていいのではないか。

 と申しますのは、25ページの上から4行目のところに、法人運営が適切に行われている法人という中に、運営協議会の議事録を提出するというところで、義務的な表現になっているところがやや気になるところでございます。

 したがいまして、運営協議会というのは幾つかのパターンをある程度設けて、各法人の形態によって対応する。つまり、基本的に地域の利用者の意見を聞く、地域の意見を聞くというようなものが反映されればいいのではないかと思います。

○田中部会長 運営協議会に関して、それから評議員の選任委員とか、評議員の人選はどのように決めていくのかという御懸念がありましたので、お答えください。

○岩井福祉基盤課長 まず、評議員の選任と構成につきましては、委員の御指摘のとおり大変重要な事項と考えております。

 これにつきましては、公益法人の例などもございますし、その他いろいろな観点から、これを今後検討してまいりたいと思っております。

 それから、運営協議会につきましては必置ということではなくて、設置できるというふうに御議論いただいたと記憶しております。

 これについては、また行政の指導監査との関係で、これも義務づけているわけではなくて、運営協議会による議事録等があれば、監査等においてまたそれを活用するというふうにして、ある意味でインセンティブを与えるという形に考えておりますので、そういう柔軟な運用ができるような仕組みにすることが適当ではないかと考えております。

 いずれにいたしましても、評議員会につきましても運営協議会についても、これを現在検討しておるところでございますので、できるだけ速やかにこれをあるべき姿を示していきたいと考えております。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 運営協議会について、武居委員のおっしゃるとおり、事務局のおっしゃるとおりだと思いまして、少し追加したいことがございます。

 まず、必置ではなくて置きたいところは置くという言い方は変ですけれども、武居委員がおっしゃったように、広域展開をしておられる法人であれば、これは必置とするかどうかはわからないですけれども、できる限り置くべきだろうというふうに私は思います。

 それから、なおかつ置いた上で意見を聞いて、きちんと理事会に届くようにということをしていただくことが重要ではないか。それを全て聞いたことをやらなくてはいけないということではないと思うのですけれども、やらないならやらないなりの理由なり答えがあるわけですから、地域と対話していく仕組みというものを広域展開しておられる社会福祉法人を持っていただくという仕組みだろうと思っております。

 したがって、武居委員がおっしゃるように、もともと小規模で地域に密着しているような法人では不要という考え方になろうかと思います。

 構成メンバーですけれども、これも自由度を持たせていただくことが可能であれば、例えばこれでありますと、地域包括支援センターの職員でありますとか、行政の地区担当をしている保健師さんとか、そういったような方々にも入ってきていただけるような仕組みのほうがいいのではないかということが1点。

2番目は、ここまでの議論でいろいろホールディングであるとかグループ化みたいな話が、今回、十分検討が進まなかったというのは時間的な問題で了解しておりますけれども、やはり今回の取り組みというのは、地域ごとで一緒にやっていける法人。これは社会福祉法人だけではなくて、NPO等が入ってもいいことだと思うのですが、一緒にやっていくことが効率的であればどんどん一緒にやっていただくということを考えますと、運営協議会に関しましても、ある地域の障害の法人と、母子の法人と、老人の法人が一緒にやるといったようなこともあっていいのではないかと思いますので、そのあたりはぜひ、柔軟な仕組みになるように御検討いただければなと思います。

 それから、運営協議会から離れるのですけれども、22ページの所轄庁が行う地域協議会のほうなのですけれども、真ん中あたりにその運営については社会福祉協議会が中心的な役割を果たすケースが想定される。

 これは日本語の読み方なのでございますが、当然、社協というのはこういう役割を果たしていただくことが期待されている団体だとは思いますけれども、やはりこれは途中おっしゃったように、地域ごとによっていろんなやり方があろうし、社協も現状としてこういった役割をしっかり果たしてくださる社協もあれば、なかなか期待しにくいところもあるという状況を考えますと、読み方によっては社協がやるというふうに読めますので、例えばといったような書き方ではないかなというふうに思います。

 それから、改めてなのですけれども、社協も社会福祉法人でございますから、今回の枠組みは当然遵守していただかなければいけない。プレーヤーの一つになるわけでございますから、プレーヤーの一つがまとめ役をやるというのは、どういうものかなという問題が生じてくると思います。

 社会福祉協議会は、本来であれば今回の社会福祉法人の批判に当たるようなことは、同族性ということはまずあり得ませんので、そういった問題が起きていないにせよ、公共的、公益的な役割を社協がやっておられるかどうかについては、疑問を持たれる方々が多い現状でございますから、今回の取り組みをやっていただきたいという考え方をしますと、社協が取り組んでもらったほうがいい地域もあれば、そうではない地域もあろうと思います。

 それから、常用金に関しても私の知る限り、一般の施設等事業社会福祉法人ほど同じ傾向ではありませんが、かなりばらばらでございますけれども、しっかりと常用金を持っておられる社協はいらっしゃいます。そういったお金は使っていただこうと。

 お金にさまざまな名目がついておられて、さまざまな使い方をしておられるケースが多いのですけれども、これもこれを機にきちんとやっていただくということが重要になってくるのではないかと思います。

 済みません、ついでで幾つかほかのことを申し上げますと、21ページに、これはきちんと議論していただきました順番のことでございまして、21ページの2段目に○1社会福祉事業等投資額があって、2番目が地域公益事業投資額、3番目その他。これはこのとおりだと思うのですが、これは繰り返し言っていることになって申しわけないのですけれども、社会福祉事業というのが法律で決めている、かなり明確な線を引く事業であるがゆえに、そもそも社会のニーズのスピードに追いついていないところが多々あろうかと思います。

 例えば、前も申し上げましたけれども、定期巡回随時対応型サービスであるとか、地域包括支援センターであるとか、こういったものは社会福祉事業でございませんし、あるいは今回、特養が要介護3以上の方しか入れなくなる。2、1の方は住宅の問題だということで、社会福祉法人の中には低廉な住宅を、地域の空き住宅をつくってやっておられるところはあるのですが、これも社会福祉事業にはならないと思うのですけれども、社会福祉事業にならないが、本来の社会福祉事業をやる上で欠くべからざる公益事業、あるいは今後の社会福祉事業を発展させるための欠くべからざる公益事業というのはあると思うのです。

 ここに、○1には社会福祉事業等というふうに書いていただいておるのですが、下を読みますと等は私が言ったものまで入っていないように思いますので、このあたり、線引きについてはこれからいろいろ決めていかれるときの議論になるかと思いますので、ぜひそのような。時代がかわってきて、武居委員が前におっしゃっておられましたように、特別養護老人ホームが不要だと言われた時代があるわけでございまして、今は特別養護老人ホームがない世界は考えられませんが、果たしてこれがいつまで続くかどうかわからないという中で、地域包括ケアが進められていく中で、社会福祉事業でないものにも非常に重要性が高まってくるといったようなことが見えておりますし、今回、社会福祉法人に対する批判というのも、社会がどんどん移り変わっていく、日本型雇用、日本型福祉が成り立っていかない中で、谷間に落ちる、本来あるべきニーズになかなか応えてくれていないということが一つの要因だと思いますから、それを考え得るに、社会福祉事業ということに限定しすぎない言い方なり、書き方をしていただいたほうが現実的かなと。

 このあたり、何が等に入るかというのは、これは所轄庁の御判断とかそういったこともかかわってくるのではないかと思いますけれども、いずれにせよ法律等々で、余りにも明確な線引きはしにくいのかなというふうに思っております。

 以上です。

○田中部会長 今のは、社協の位置づけですね。

 社協と例示すると、読む人によっては必ず社協と読まれてはいけないとの御質問でした。

 それから、社会福祉事業と、社会福祉法人の本旨で、今事業になっていない事柄に手を出すのは、これで言うとどういうふうに読めるかについてでしたが、いかがでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 社協については、基本的にはそもそも法人の趣旨といたしまして、こういう社会福祉事業の関係者の連絡、調整とかそういうことを目的とされておりますので、社協のほうでもこういうことをもうちょっとやろうという機運もあると聞いております。

 そういう意味で、できるだけこういう既存の資源というのを活用するという意味で、御議論がありましたし、書かせていただいております。

 例えばと入れるかどうかですが、想定されるというのは基本的にはそれをするべきだと言っているわけではない趣旨でございまして、そういうケースが、例えばというよりはもう少し主体的にあるのではないかという意味で、大変拙い表現ですが、書かせていただいております。

 一応そういう説明ですが、以上です。

 それから、いわゆる再投下の順位については法律的な整理で、基本的には社会福祉法人は、社会福祉事業を主たる目的とする事業ですので第一優先と書いておりますが、今、委員がおっしゃいましたとおり、新たなニーズとして定期巡回型のサービスとか、そういうものがあるという中で、これは基本的には制度の順番というよりは、現場で法人なりあるいは所轄庁との対話の中で、ニーズの強弱という議論がある中で、社会福祉事業が全くニーズがないという地域は余り想定できないわけですけれども、それ以上にそういう定期巡回型とかいうものがあれば、そこはそちらが投下されてしかるべきだというような判断ができるのではないかという趣旨で、私どもは考えております。

○田中部会長 石橋委員、鎌倉委員の順でお願いします。

○石橋委員 先ほど藤井委員がおっしゃった20ページの、再投下財産があるところについは再投下計画を策定しなければいけないというところなのですが、やはり今おっしゃられたように、この○1、○2、○3の順位について非常に区分がしにくい。それから、予算の配分もしにくいということなどから、国のほうで、もしガイドラインを作成されるのであれば、そういう具体的な例示をしっかりと示していただきたいというのが一つ。

 それから、以前地域公益事業の中に人材育成事業という例示があったような気がいたしますけれども、この人材育成事業というのは、具体的にその区分に入るのか、それともほかのところに入るのかというのを確認させていただきたいと思います。

○田中部会長 人材育成のことについてお答えください。

○岩井福祉基盤課長 それは、再投下財産を再投下する中で、例えば、社会福祉事業にかかわられる人材に対する投資、人材育成もございましょうし、処遇の改善もありましょうし、そういったものはその中で取り組んでいただくというふうに想定しております。

○石橋委員 そういうことでよろしいのですね。

○岩井福祉基盤課長 はい。

○石橋委員 基本的に、社会福祉法人が行うサービスというのは対人援助サービスであって、より質の高いサービスを行うためにより人材の質を高める必要性がありますので、人材養成とか質の担保ということについて、報告書には余り触れられておりませんので、そのこともどこかで触れられて書かれたほうがいいのではないか、という意見です。

○田中部会長 課長、どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 念のためですが、養成事業とか養成校は社会福祉事業ではございませんので、公益事業の中でできる場合がありますので、そういうものであればそちらのほうに分類される。

 私が申し上げていたのは例えば人材育成とか、研修とか、人材の開発とか、そういう趣旨で申し上げました。

○石橋委員 わかりました。

○田中部会長 鎌倉委員、どうぞ。

○鎌倉委員 同じ箇所なのですけれども、前回の委員会のときに、地域公益活動の説明の際に、社会福祉事業等投資額の部分のところで、社会福祉事業等に関する説明の中に、施設の新設、増設がありました。先ほど藤井先生が言われたところの、新たなサービスの展開の部分の説明に加えて記していただきたい。次に人材開発の箇所ですが、石橋委員が言われた介護福祉士のことと関係するのですけれども、職員の育成・資質向上というところ箇所に社会福祉士とか介護福祉士の活用を、また、人材育成というところに認定社会福祉士とか、今後予定されている認定介護福祉の育成についても、養成校とともに、社会福祉法人も積極的にかかわっていくという文言を、この説明のところで触れていただければとお願いしたい。

 それから、8ページ目のところなのですけれども(理事の構成)のところで説明されていますが、社会福祉法人の学識経験を有する者とか、地域の福祉関係者、社会福祉施設を経営する法人に当たる施設長というふうに人材を書いておりますけれども、今、福祉のほうにおきましては社会福祉士及び介護福祉士等が、福祉専門職として明確に位置づけられておりますので、理事の構成員として社会福祉専門職というの文言を加えるよう検討していただければと思います。

 以上です。

○田中部会長 御要望をどのように扱うかは、事務局とまた検討いたします。

 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 この間の議論のまとめをほぼ網羅していただいており、異論はありません。

 ただ、全体として、例えば措置施設である我々の児童の分野等で言いますと、実際は目の前の子供たちのケアでもう精いっぱいという現実があるのです。

そういう中で、例えば保育所などでも事務員が配置されていないところがいっぱいあるのです。また、社会的養護の分野では、事務員は各施設に1人いるのですけれども、小さいところではここで言われるレベルの事務を、果たしてすぐにやれるかどうかと言ったら、甘えるなと言われたらそれまでですけれども、かなりしんどいと思います。

 それから、そういう意味では経過措置の取扱いが重要です。先ほど伺いましたら、28年度から実施ということでしたが、28年度からさらに若干の経過措置がなされるのかどうかということとか、28年度までが経過措置だというのかどうかなど、大変気になるところです。

それからもう一つは、法人の自主性と言いますか、アイデンティティーは本当に大事にしたいと思うのです。

 例えば、ほんの一部の法人が不祥事をおこし、それが伝えられると、行政監査が、まるで摘発監査のような形でなされることがありますが、大多数の優良な社会福祉法人にとって、これは非常に抵抗感があるのです。

 それこそ、そうならないように法人のアイデンティティーも大事にしていただいて、むしろそういう優良な社会福祉法人を育てるという観点での行政等の監査をお願いしたいと思います。

 それはどこで対応していただけるのかわかりませんが、そういう問題もあるということを認識していただけたらありがたいと思います。

 以上です。

○田中部会長 所轄庁との関係ですね。

28年度からについて御質問がありましたが、いかがですか。

○岩井福祉基盤課長 ちょっとほかの御質問にも一応お答えて、よろしいですか。

○田中部会長 どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 先ほどありました再投下の内容に、例えば人材関係などをどう入れていくかということですが、基本的にこれは、社会福祉事業の全体像の中でどういうものがあるかということを国が示すべきものは示しあるいは地域とか法人の実践に委ねるところは委ねるという議論が必要だと思いますので、大変恐縮なのですが、個別の事項については、ここにレベル感なく入れるというのは、なかなか難しいかなと思っております。

 また、理事の構成のところも、これは資格に着目した概念ではございませんので、どういう資格の人が入るべきということは、なかなか入れられないかなと思っております。趣旨は、いろいろとお承りいたしたいと思いますが。

 それと、経過措置の件でございますけれども、今回の改革は、基本的には、社会福祉法人のあり方というものが早急に見直すべしという社会的要請があると考えております。これは、別に本当は、一日も待てない話でございまして、本当は、あすからでもすべきことはすべきだと思っております。

 ただ、今、委員からもありましたように実際の事務体制などもありますので、その辺は当然、準備ができるようなスケジュール感は必要かと考えておりますが、少なくともそれは、なるべくできる限り早くしなければならないと。

 一方、国といたしましては、そういう法人の体制を支援するためのさまざまな制度とか仕組みは早急に講じていきたいと考えております。

 以上です。

○田中部会長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 1点要望と2つ質問があります。まず要望ですが、3ページのところで、この社会福祉法人の見直しのきっかけについて、一部の社会福祉法人による不適正な運営がと幾つか指摘されております。この部会の中で検討されたときに社会福祉法人で働く方たちの処遇のことが、大きな課題になっていたかと思います。

 報告書案には、これから福祉ニーズが多様化・複雑化しているとか質の高い人材が求められるといったことは記載されております。それと同時に、やはり介護等々を考えた場合あるいは保育を考えたときに、福祉人材は、これからさらに必要ではないかと思います。そういう意味で、可能であれば3ページの一方から始まるパラグラフの上あたりに、人材の確保あるいは処遇改善が非常に課題となっているというような現状の指摘を認識として記載していただきたいということが1点です。

 次に、これは質問ですが、10ページに、先ほども出ました選任委員会というのがありますが、この選任委員会というのは一体誰が指名するのか、一体どういう人が想定されているのかがよくわかりません。さまざまな委員会が報告書案の中に出てきますが、選考委員会のようなものをつくって決めていく必要があるのかということも含めまして、どのようなイメージなのかを教えていただければと思います。

 次に、その下の評議員会と運営協議会の関係ですが、まず(評議員の構成)で地域の代表と出ています。それから、利用者の家族等々が出ていて、これが望ましいとしながら、下のほうで事業に対する識見を有し、中立公正な立場からとなっております。上で書いた地域の代表と利用者の家族という文言と下の中立公正な立場との関係、中立公正な立場の地域の代表なのか、下から逆に読むと少しわからなくなるので、ここがどちらを主としているのか教えていただきたいと思います。

 また、下の運営協議会のところですが、これは、評議員会に代わりとあり、評議員会を設けない場合に設けることができるような記載となっております。そうしますと、評議員会は義務で運営協議会は別に義務ではないとすると、運営協議会を設けなかった場合は、必ず評議員会を設けなければいけないと逆に読むのか、それとも設けない評議員会に代わってということであれば、評議員会を設けないで運営協議会に全部切りかえていくということが可能なのか、そのあたりの関係性が少しわかりません。

 また、運営協議会というのは、上でありましたように地域や利用者の意見が反映できるような人を入れなさいというようなことが書いてあるのですが、ここには公平中立という記載がありません。

 そうしますと、運営協議会というのは、公平中立な立場からの意見を反映するような人でなくてもいいという意味にも読めますが、ここはそういう意味なのかどうか。評議員会を設けない場合の運営協議会を設けるというこの関係性がもう少し丁寧に書かれていたほうがいいのかなと思うのと、ちょっと先ほどの選任委員会のイメージがよくわからなかったので、その辺について教えていただければと思います。

 以上です。

○田中部会長 御質問がありましたので、お願いします。

○岩井福祉基盤局長 まず、第1点目の人材確保等の件でございますが、この人材確保については、当部会の専門委員会で御議論いただいておりまして、こちらはこちらで今、御議論をいただいておりまして、いずれおまとめいただけるということで基本的には、そちらのほうでのことだと認識しておりますが、さはさりながら社会福祉法人について、改革自体の内容ではありませんが、現状認識とかあるいは背景として人材確保とかあるいは職の問題というのが重要であるというのは、当部会でも御議論がございましたので、この辺をどのように表現するのか、できるのかなどは、部会長とまた御相談させていただければと思います。

 第2点目でございますが(評議員の選任)の点です。

 これにつきましては、まずその選考的な制度といたしましては、公益財団等の制度がございます。今回、当部会でも御議論ありましたが、大切なことはこの評議員会が理事、理事長を牽制する役割でございますので、理事、理事長による選任、解任ということは絶対にあってはならないということかと思います。これにつきましては、基本的にはそういうことがないようにかっちりと仕組むことが第一だと思っております。そして、その評議員をどのように選ぶのかについては、先ほども申し上げました公益財団法人等の例がございます。この中では、基本的には評議員会は、まず評議員が選ぶということが第一です。それから、定款で定めの方法というのがございまして、これはある意味、選任委員会のようなものでございますが、第三者的な機関的なものが選ぶという仕組みがとられています。

 特に、初めのときにどのように選ぶかが重要だろう、というような御指摘をいただくと思いますので、これについては、まず公益法人などの実態などをよく確認いたしまして、かつその社会福祉法人と公益法人の場合、地域との関係とか数なども全然違いますので、そういう実態などをよく調査しまして、ここをしっかりと組み立てたいと考えておりまして、そういう意味で先ほど申し上げた次第でございます。

 第3点目でございますが(運営協議会)です。

 これは、私の説明が大変わかりにくくて皆様に混乱させていまして申しわけございませんが、まず、評議員の構成のところでございますけれども、評議員については、現行の制度では原則諮問機関の評議員会になっておりまして、諮問機関といたしまして、地域の代表とか利用者の家族代表を加えることは望ましいという運用をしております。

 しかしながら、今回この評議員会が諮問機関から議決機関になりまして、全体のガバナンスのかなめとなる機関でございますので、このような諮問機関的な性格ではないのではないかというのが当部会での議論でございます。

 したがいまして、ここの読み方は、地域の代表、利用者の家族の代表を加えることを望ましいということではないということですね。それが否定されるわけではなくて、中立公正な立場とか指揮権を有する立場の方に入っていただくことが適当であるという意味をここであらわしております。

 その上で、評議員会と運営協議会の関係でございますが、評議員会は必置で全ての法人に置いていただく必要がございます。

 その上で、先ほど申し上げましたように、現行では評議員会は原則諮問機関でございまして、地域代表とか利用者家族の意見を聞く場になっているケースがございます。評議員会が議決機関になりますと、そういう機能がある意味でなくなりますので、それを代替する形で運営協議会が設置できるようにしてはどうかということです。その設置できることにしてはどうかという任意設置という趣旨はなぜかというと、評議員会が現在でも任意設置だからです。

 したがいまして、現在の評議員会の機能を代替するものとして、運営協議会を置いてはどうかという趣旨でございます。

 以上です。

○田中部会長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 選任委員会につきましては、これから組み立てるということかと思います。運営協議会については、その上にあります評議員会に代わりというのが、評議員会が現在持っている機能にかわってという意味合いであり、評議員会は議決機関で必置である。そうすると上の文章は、まず評議員会はこういう人を選ぶべきだという記載であり、しかしながら地域住民の声も必要であるという読み取り方をすれば良いのですね。

○岩井福祉基盤課長 さようでございます。

○花井委員 わかりました。

○田中部会長 評議員会に代わりという日本語が誤解を招いたので、これまでの諮問委員会としての評議員会の機能にかわりとか何か、文章を間違わないようにしましょうね。単なる国語の問題だと思います。

 関川委員、それから西條参考人の順でお願いします。

○関川委員 同じところでございますが、1つは理事会の位置づけでございます。事務局の報告書案を見ますと、8~9ページの(理事の構成)で、現行の理事の構成に関する通知上の取り扱いを法令上明示するとありますが、今回の社会福祉法人制度改革の一番重要なポイント、ガバナンスの確立という観点から見ますと、今、議論がありましたとおり、評議員会が議決機関となり、そして理事会は執行機関になるわけですが、新しい制度のもとでの執行機関にふさわしい理事の構成が、現行の通知と同じ構成でよいのでしょうか。そこが、少し御意見をいただきたいところでございます。

 評議員会の必置を前提に考え、業務執行理事、その他理事などを選任するわけですが、極論すれば理事を全員法人施設長など、施設の運営にかかわる職員でもよいのではないかと考えておりました。

 そうした考え方からいたしますと、この現行の理事の構成に関する取り扱いを法令上明記して学識経験者を入れる、地域福祉関係者を入れるという取り扱いは少しいかがなものかなと思っています。

10ページの(運営協議会)ですが、やはり位置づけが非常に気になっております。このガバナンスの仕組みの中で評議員会があり、理事会があり、そして監事の役割があり、という、経営組織の構成の中でどうして、運営協議会が(3) 評議員・評議員会についての最後に記述されるのでしょうか。

 改めて、仮に新たな経営組織の一つの重要な役割を担うのであれば、やはり章を変えてそのコンプライアンス強化の観点から、なぜ運営協議会がこの社会福祉法人の経営組織の中で必要なのかを明確に書き、運営協議会の役割としてさまざまなステークホルダーに対して説明し、意見を聴取することの役割が重要なのだと書き、そして運営協議会のメンバーの構成を明記し、可能であれば意見聴取事項を列挙するぐらいの位置づけで組織構成を別出しにして書いていただいたほうが、その役割は明確になるのではないかと思います。

 私も運営協議会は任意設置で結構だと思いますけれども、何かここに書かれますと、従来、評議員として地域代表の方に意見をいただいてきましたが、新たな評議員会の役割を考えると、地域代表の方は評議員には相応しくないので、運営協議会においてポストを用意しましたというような、誤った読まれ方をされるのではないかと思います。

 もう一点よろしいでしょうか。これは表現の問題なのですが、12ページの3.運営の透明性の確保のところの前で所轄庁による監査の効率化を進めることが適用であるという表現がありますけれども、これは読み手に誤解を与えないでしょうか。会計監査人の設置の義務づけの対象とならない法人に対して、公認会計士等の財務関係に関する体制整備状況のチェックをお願いするのは、所轄庁の監査の効率化を進めるためだと読まれてしまうのは少し困るので、こうした取り組みを行う法人に対して監査項目の重点化などの配慮を行う、というような表現にしていただいたほうが、趣旨が通るのではないかと思います。

 あと、最後になりますが、先ほど来からの20ページの(3) 福祉サービスへの計画的な再投下の優先順位の書きぶりも、こうしてまず社会福祉事業をし、さらに再投下財産がある場合には地域公益活動を行い、そしてさらに再投下財産があればその他公益事業と書かれてしまうと、余裕財産を再投下する順番であるかのように読まれてしまいます。

たとえば、社会福祉事業で全ての余裕財産を使ってもらうことを求め、余裕財産が残らないので○2、○3は必要ないということにならないか心配でございます。報告書はの書き方は、あくまでも計画作成を検討するに当たっての優先順位を上から3つ並べてあるわけですが、これはあくまでも検討の順位でお金を優先的にそこに全部使ってなおかつ余れば○2番のステップに進んでいいよ、○3番のステップに進んでいいよというものではないと私は理解しましたが、それでよろしいでしょうか。

 特に、この再投下計画を作成するに当たって、地域ニーズを踏まえつつ、最終的には法人の自主性をぜひとも尊重していただきたい、法人のガバナンスに任せていただきたいと考えております。

所轄庁の側で、例えば特別養護老人ホームをつくってください、保育所をつくってください、もう残っていないから地域公益活動をする必要がありませんよあるいは、その他の公益活動をするだけの余裕はないはずですというような助言や指導をされないように、国の側でも所轄庁にその点をしっかり御指導いただきたいなと思っております。

○田中部会長 3点というか、4つですか。

 理事会と評議員会が、それぞれ何を決めるかに関する御質問が最初で、運営協議会が2番目で、3番目が12ページ、最後が優先順位です。これらについてお答えください。

○岩井福祉基盤課長 まず、第1点目は、理事会の構成のお話だと思うのですけれども、このような結論になったのは当部会の御議論の結果なのですが、もう少し私が内容を敷衍いたしますと、現在、その理事会という規定が法律上ないと。運用で理事会を設けていまして、その構成は今、ここにあるような構成でございます。

 今回の内容は、構成が問題というよりは、法的位置づけがないということと、その権限とか義務、責任の位置づけが明確になっていないということでございまして、その点をすべしという結果でございますので、そうしたということです。

 構成についても若干御議論があったと記憶しておりますが、このような内容から特に御異論はなかったと記憶しておりますので、この形でよろしいのではないかと思っております。

 運営協議会については、基本的には、必置の理事会とか評議員会とは異なりまして、任意設置という形で置かせていただいております。その位置づけは、この部会での御議論はもちろん地域とのコミュニケーションの場というツールといたしましては重要であるのですけれども、それは議論の経緯としては、やはり評議員会になっていたところを担うのだという御意見でございましたので、そういうところを踏まえて、置く場所としてはここが一番妥当かなという形で置かせていただいております。

 効率化という言葉については、重点化という言葉もあったのですが、もう少し重点化と申しますと、ここをやって、ここはやらないというだけでございますので、効率化というある資源を最も有効に使うという意味で、監査の効率化という意味で表現しておりまして、さまざまな機能を向上させるという意味も含めて、ここに記載させていただいております。

 検討の順位ですが、これはまず第1には検討の順位だというのは、繰り返しここに書かせていただいております。ただ、先ほどの御議論にもありましたが、やはり地域のニーズとの中で高いものから入れていく。ニーズが同じであれば、結果的にはこの優先順位はこの検討順でありますが、ニーズを把握しながらやるという意味では、その充当順位的にニーズを入れていくという意味もございますので、そういうことが全部読めるようにこのような中では、書き込んでいる次第でございます。

○田中部会長 西條参考人、どうぞ。

○西條参考人 ありがとうございます。

 今の関川委員の御発言にも関連するかと思うのですけれども、そもそも社会福祉法人の本旨という問題です。この報告書の中にもいろいろ出ておりますが、2~3ページにかけて社会福祉法第24条の解釈の問題が入っています。ここで社会福祉法人の本旨についてまた、8行目のほうで改めて社会福祉法人の今日的な意義として他の事業主体では対応できない様々な福祉ニーズを充足することにより、地域社会に貢献していくことにあると、こんな記述があるのですけれども、別に、社会福祉法人の本旨として、このことは今に始まったことではなくて、新たな今日的な意義でもなくて昔からある意義ではないかと思っています。

 その意味で、第24条というのは、措置時代に行政にかわって社会福祉事業を実施してもらっていた社会福祉法人に対して、措置から締約になっても他の事業主体では実施できない社会福祉事業の中でも、当時の入所系の第1種社会福祉事業を民間の主体性というものを発揮して、また、より透明性を高めていただいた上で実施してもらう、そのための根拠として位置づけたものと理解しておりまして、つまり社会福祉事業をやってこそ初めて社会福祉法人と呼べるのであって、それは第22条の定義にも書いているように社会福祉法人とは社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人、これは明確になっているわけですよ。それが、何か地域公益事業を優先するような書きぶりといいますのは、私として、行政としてといいますか、県民ニーズとしてもいかがなものかなと思います。

 この関連で、17ページの6行目に社会福祉法において、日常生活・社会生活上の支援を必要とする者に対して無料又は低額の料金により福祉サービスを提供することを社会福祉法人の責務として位置付けることが必要であるとありますけれども、今の話で何も社会福祉法人の新たな責務として位置づけるのではなくて、こうした事業は必要だと思います。社会福祉事業の1つとして法に明確に位置づければ、第2種社会福祉事業、私どもがやっていますライフサポート事業も、地域ニーズを踏まえてきちんと社会福祉事業としてやっているわけですよ。ですから、新たな責務というよりも、むしろ社会福祉事業にこういった事業が位置づけるべきではないかと。

 その関連で地域公益事業、ここでもさまざま議論があったと思いますけれども、これも他の事業主体では対応できない事業なのか、それとも他の事業主体でもやってはいるけれども、余裕財産があるからやるのか、その辺の整理はどうなっているのか、ちょっとわからなくなってきたのですが。

○田中部会長 地域貢献事業と社会福祉事業の関係ですね。御説明ください。

○岩井福祉基盤課長 今、参考人が言われましたように、社会福祉事業が主たる目的であるということは、繰り返しここで御説明し、今回の報告書でもそれを強調しております。

 先ほどから御議論ありましたように、再投下の優先順位も社会福祉事業が第一優先であると。これは、今回の当部会におきます財務規律のところだけで4、5回御議論いただいたと思いますが、非常に熱心な御意見、御議論の結果出てきたものだと思っておりまして、その点はちゃんと反映されていると思います。

 ただ、先ほどからおっしゃいますように別に違わないと思いますけれども、社会福祉法人の本旨というものは、この基礎構造改革のときに一定程度、明確にされています。それは、おっしゃるとおり昔からあるものなのですけれども、介護保険が導入されあるいは措置から契約になる中あるいは株式会社、NPO法人がどんどん参入する中で社会福祉法人をどう位置づけるかという議論が、当時されております。

 その規律が24条でございまして、コンメンタールを紹介するまでもないですが、当時の立案者の記録としてつくられているものと認識しておりますが、社会福祉法人は本来民間の社会福祉事業を経営者として有する自主性、自立性を回復することによって、社会福祉事業に係る福祉サービスの救急確保の中心的役割を果たすだけではなく、地域におけるさまざまな福祉事業にきめ細かく柔軟に対応し、あるいは制度のはざまに落ちてしまった人々への支援をも創意工夫を凝らした福祉経営のもとで行うことにより、地域における福祉需要を満たすことを本分とする存在として今日捉えられるべきものであると。ここらは省略しますが、このような観点から平成12年改正では社会福祉法人法について社会福祉法人の経営の原則いわゆる24条に関する規定の施設等々を行ったと書いております。

 当時から、背景、経緯の目的はそういう趣旨でございまして、実際その社会福祉に関する研究者あるいは法人関係者の中でも24条におきますふさわしい事業というのは、重要な概念だと言われておりまして、今回そのふさわしい事業のところをも含めた24条を明確化にして徹底するという趣旨もございますが、世の中の社会的要請を含めてこのような責務が設けられるものと認識しております。

 そういう意味で、今回の改革は、以前から始まっている一連の基礎構造改革の集大成かなと考えておりまして、参考人がおっしゃることと別に違いはないと思いますけれども、そういう趣旨だと御理解いただければと思います。

○田中部会長 先に、福間委員、それから武居委員の順でお願いします。

○福間委員 今、課長からの御説明がありましたけれども、私も基本的には、地域公益であったり無料低額の事業というのが、社会福祉法人として、今までやっていることの当然延長線上であるし、これまでの事例の中にもたくさん、前回の中でも紹介がされているものだと思います。

 ただ、今の段階でも、やはりここにもあります、いわゆる内部留保と言われるものとかさまざまな中で、ある意味ではきちんとここで整理いただいた必要なものは、法文上も明記していただくことがかえって地域の皆さんにもここにありますという。法律というのは、誰もが読めるものですので、別に隠してはいないのですけれども、通知というのは探さなければいけないものですけれども、法律はそういう点ではすぐに見つかりますから、やはりそういうところに書かれているということは、私は非常に意味があると思っておりますし、そういう意味で、よりこれまで以上に積極的にできるのではないのかなと、まず、申し上げたいと思います。

 それで、1つ御質問と確認なのですが、12ページのところです。

 これまで、全くある意味では、議論としてはされていないところの確認なのですが、(情報開示の取組)のところで3行目のところですが、毎会計年度終了後2月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、収支計算書を作成し、監事の意見を記載した書類を付して各事務所に備え置く云々と書いてあるのですが、ちょっと確認なのですが、これは2カ月以内に作成したものは、この手続まで全てやるということは、結局、決算書を作成して承認を得るということは、評議員会で議決を得る。今、現行規定では理事会が議決すると。そして、たしか所轄庁に提出までが2カ月以内の範囲なのかということを、まず、念のためにお聞きします。

○岩井福祉基盤課長 現行の仕組みですが、提出自体は、3カ月以内に提出することになっております。これは、作成するのが2カ月以内という趣旨でございます。

○福間委員 わかりました。ありがとうございます。

 その作成のレベルですが、公益法人の場合も3カ月以内に所轄庁に提出ですので、そこの部分ではいいと思うのですけれども、実は、2カ月以内に議決までというのが、今回のこういう整理をしていくと評議会までの日程調整をして議決をしてということは、少なくとも5月の中旬には監事が終わって通告、評議員会の召集をしなければ、公益法人の場合ですと2週間前にしなければいけないとか、そういう定めがありまして、リミットが変わってくるのですね。

 そうしますと、作成したものの期限とかをいろいろ考えますと、この場合の2カ月以内というのが、果たして本当にちょっと全てがそうだといえばなかなか難しいのですが、実は、本当に3月末で締めて会計調整期間という皆さんがやっているのは、やはり4月で5月までかかって、ぎりぎりなのですね。ぎりぎりでやっている今の状態が、結局は監事さんを大目に見てくれとか、そういうことにまでなりかねないことなので、厳密にやればやるほどそこには、事務的な時間もきちんと置かないとミスが起きてしまうという点では、タイムラグがもう少しほかとの関係でもここは、再確認の意味で議論をされていないところなので、余りひっくり返してはいけないと思いますが、あえて言わせていただきました。

○田中部会長 2カ月以内がどこまでを含むのかも。

○岩井福祉基盤課長 ただいまの福間委員の御意見は、実務も考えまして基本的には、余り遅くなりましても再投下計画等の意味がありませんので、公益法人と同じ3カ月以内に提出というのが基本ラインだと思います。その中で実務が動くようなスケジュールは今後、検討させていただきたいと思います。

 それと済みませんが、先ほどちょっと私、このスケジュールの話でちょっと思い出したのですが、施行の関係なのですけれども、一応28年度が基本的な制度の施行と考えておりますが、これは法律の立て方の問題で、例えば公布日施行という枠組みもあり得ます。これは、別に法人において準備とかする必要のないものとかそういうものがございます。そのものもございますし、ですからそういうものは27年の夏とかに成立したら、その段階でもう施行されるものもございます。全体的に28年度を1つの基軸といたしまして、中には施行日が、そこからずれるものなどがございますので、それは今後、検討してまいりたいと思っております。

 以上です。

○田中部会長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 15ページでございます。

 これは、以前の部会のときにも少し意見として述べさせていただきましたが、あわせてもう一回お話をさせていただきたいと思います。適正な役員報酬は、そのとおりであると思いますし、役員報酬の総額や規定の開示もそのとおりだろうと思います。

 ただ、役員報酬の開示、施設長を兼務する理事についての開示は、いわゆる職員の給与や賞与についてもあわせて開示することは適当ではないのではないかと思います。

 と申しますのは、雇用契約に基づく職員給与と役員として委嘱された職務に対して支払われる役員報酬とは別のものと考えるべきではないのかなと思うところがございます。

 しかしながら、今まで担当行政官庁の指導の中においては、理事が施設長を兼務する場合については、役員報酬を支払ってはならないとする指導が、ある県によってはあったと聞いていますので、そういう指導であるとか会計上の経理区分の資金移動の制限等の問題があって役員報酬を支払われない職員理事が多かったと思われます。

 今後はもちろん、役員報酬として支払うという形にすればいいと思いますが、役員としての報酬が支払われていないのに、役員報酬が支払われているような開示の仕方は、適切な内容ではないと思いますが、いかがでございましょうか。

○田中部会長 課長、お願いします。

○岩井福祉基盤課長 これは、この会で御議論いただいた内容でございますけれども、その社会福祉法人の実態といたしまして、職員としての給与を受け入れられているケースもかなり多いと。その役員と職員としての給与の区別というのも、なかなか勤務実態等を把握してこれを区別することもなかなか難しいと。

 社会的な要請といたしましては、基本的には、それは役員であるか職員であるかではなく、その責任ある立場の者がどのような給与を受けられているかというのを公益法人として明らかにする必要があるのではないかという観点かと思います。

 これを踏まえまして、規制改革実施計画の閣議決定につきましても、職員給与等を含めて開示するという方向が閣議決定されている状況でございます。現在の社会福祉法人に対する指摘等も踏まえまして、信頼を回復しその説明責任を果たすという意味では、ここは一体として公表をしなければ、役員報酬だけを公表するということだけでやると、これはかえって説明責任を果たせなく、むしろ弊害があるのではないかと私ども事務局としては考えております。この部会でも基本的にこれは、全体で開示してよろしいのではないかという御議論だったと記憶しております。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 だんだん、この会議も終わりに近づいてきておりまして、言いたいことを言おうとしますと、並べると8点ありましたので、ざざっと述べてまいります。

 まず、先ほど事務局のほうからおっしゃった17ページの日常生活・社会生活上の支援を必要とする者に対して無料又は低額の料金により福祉サービスを提供する云々が、コンメンタールにも位置づけられている立法趣旨であるとおっしゃっていただきまして、私もそのとおりだと思います。

 ただ、この理解は、政策法務とか法廷法務をやっている人間にとっては当たり前のことであっても、社会福祉法人関係者にとって当たり前になっていないという現実がございます。ですので、先ほど福間委員がおっしゃっておられたように、これを、どこかこれに書いていただくということが重要ではないかなと。これで誤解が少なくなるのではないかと思います。

 ただ、1点なのですが無料又は低額の料金による福祉サービスを提供するという書き方なのでございますが、これを福祉サービスに少し限定され過ぎることがどうなのだろうかという意見が2番目でございます。

 例えば、石橋委員、花井委員がおっしゃった人材確保育成に関して、自法人のことをきちんとやるというのは、これは何も入らない、やらなければだめだという話にすぎないと思うのですけれども、他の法人と他の民間の企業等にも含めた利益が資するようなことは、私は社会福祉法人に期待したい。例えば、初任者研修というものをやって、自法人に誘導するのではなくて、地域の方々に働く方になっていただくあるいは福祉系の研修というのは、基本的に現場サイドでできるような工夫をこれまでしてきましたので、実務者研修であるとか、そういったものをより安価で就職先を限定しないあるいは他法人が入ってこられる形で、社会福祉法人一つでやってもいいのですが、ほかの法人から入ってきたときに非常に安価でやってもいいよと、こういったタイプのものも社会福祉法人が地域の人材育成のために貢献していると読んでいただくことが重要ではないかなと思っております。

 そうしますと、ここに書いております無料又は低額の料金により福祉サービスを提供するという福祉サービスがちょっと読みにくいかなと。

 要は、ここは、内部留保がなくても見えざる資産を使っていろいろな形で地域貢献をしていかれるということが社会福祉法人の本旨ですよというコンメンタールに書かれていることだと思いますので、その点、御検討いただければと思います。

 3番目ですけれども、19ページの下以降に、内部留保をどう明確化していくかということが、技術的な問題があるというようなことをお書きいただいているのですが、これに関して松原委員のところでやられて、田中滋委員会の中でしっかり検討して私も参加してよくわかったのですが、大幅な方向性はそんなに関係者によって違わないのですが、細かい点で議論がありますし、やたら大変だということがわかりまして、これの検討の時間なり経過措置なりというのはしっかりとっていただくように、かなり技術的な問題としてあらかじめ前提としていただければと思います。

 4点目でございますが、先ほど来、行政からの監査あるいは内部監査、外部監査等々の話の中で行政監査が今度どうなっていくか、特に、藤野委員が余り行き過ぎたみたいなこともあるのではないかという話もございましたが、やはり、これは国が法定受託事務としてやっていただいているものですから、まず、どういう監査が行われているかというのを膨大な量にはなると思うのですけれども、きちんと把握しておいていただきたいということと、今の監査に関して、仮に社会福祉法人がこれはおかしいではないかということになりますと、行政法にのっとったような手順を踏まなければいけないと思うのですけれども、もう少し、ADR的な訴えていけるようなものがないと、相当あります所轄法人が今回の法改定の趣旨をどこまで理解していただけるかどうかというのは不安に思っているところでございます。

 次が、5点目でございますが、理事会に関する議論が少しあったところでございますが、業務執行理事という議論があったのを入れていただいたのは大変ありがたく思っておりますけれども、この構成でいきますと、代表理事と業務執行理事以外は執行しないのだという構成になるはずなのでございますが、一般財団、一般社団、公益法人も含めてなのですけれども、ちょっとここが、実は余りそのとおりに動いていないといいますか、誤解が結構多いところでございます。

 社会福祉法人に関していいますと、現実問題として所轄官庁の指導等がありまして、理事長が執行的なことをやっていない名誉職的なかかわりをしておられるケースが、所轄庁によっては多々見られると思っております。これが、すっかり変わるということになるわけでございますので、この点の理解がないと大変難しいかなということだと思いますので、先ほど議論があったと思うのですけれども、今までの理事会とは違うのだと、その他の理事に関しても業務執行を決定するだけではなくて、きちんと行われているかどうかを監視しなければいけないといったような、全国にたくさんあります社会福祉法人の理事の方々にみんな理解していただくというのが肝になると思いますし、時間は、あすにでもとおっしゃるのはまさに私もそのとおりだと思いますが、やはりある程度このあたりは時間がかかるかなと思っております。

 6点目ですけれども、これも福間委員がおっしゃったことにかかわる理事、評議員のことなのですが、現実には今の社会福祉法人では理事会評議員会が、人員が兼務しているということもありまして同一日に行われておりますが、今回の改定をいたしますと、理事会と評議員会というのは違う役割を持つことになりますので、評議員会はせいぜい年に2回あるいは3回といったところになりましょうが、理事会は、むしろ月1回でも開いていただきたいと。同一日にあるということは、まず余りないのではないかといったようなことになるかと思いますが、今、同一日にやっているというのはどこに規定があるわけでもなくて、さまざまな今の規定及び所轄庁指導の中で同一日にやっているケースが余りにもふえているということでございますが、これが常識として経営者のメンタルモデルを構成しているものですから、このあたりの誤解も解きながらやっていただく必要があると。

 7点目でございますが、これは藤野委員と話していたことなのですが、本部機能強化ということが、さんざんここの議論で出たと思うのですけれども、17ページのところに本部機能の経費や弾力的な運用についてお書きいただいているのですが、ちょっと見たところこれ以外書いていないかなと。やはり本部機能強化というものが、具体的な制度、施策になるかどうかは置きまして、改めて強く言っていただけないかなという気がしております。

 これが最後で8点目でございますが、大変細かな話になるのですけれども、収賄罪についてでございますが、13ページを見ていただきますと、これが実質上、ごく一部の大変困った社会福祉法人というものをきちんと取り締まれるという中では、有力なツールになると思いますので申し上げることでございますが、これは過去の資料ですが、お手元の第2回の資料2の13ページでございますが、下のところに(参考)として書いていただいております、あり方検討委員会での話でございます。

 下半分に合併・事業譲渡等に際して、関係者間で多額の現金をやりとりすることや、地位を利用して利益を得ることは、社会福祉法人の非利益性に反し云々かんぬんで役員解職勧告や贈収賄罪の対象とする云々と書いてあるのですが、これはこのままこの当部会で生きているわけではございませんが、これを掲載していただいている趣旨を踏まえますと、これは現に報道等されていることにかかわることなのですけれども、多くの場合は、もとの理事さんが全て入れかわっておりまして、退職金規定をつくってしかるべき金額をいただくというケースが多うございます。

 そうしたときに、下手をすると、理事をやめた後にもらうという手段をつくろうと思えばつくれるわけでございまして、いわゆる事後収賄罪の適用をしない限り収賄罪が適用できない。財団、社団においては、事後収賄罪の規定がございませんで、このあたりをちょっとどうするかということを、この趣旨を踏まえれば、収賄罪の適用というものをどういったときに有効であって、どのように備えるかという各論の検討をいただきたいなと思います。

 それから、やはり各論ということになりますと、収賄罪に関して大きいのは、公的な補助金をもらいながら建設する際に特定の業者と結びついて収賄行為が行われるという可能性がなくはない。

 このときに現在の社会福祉法人において、理事がこの行為に、もちろん小規模の法人でありますと理事が直接その行為にかかわっていることが多いのですが、理事ではなく、それなりの責任を持った人間が、この行為に及ぶということが相当考えられるわけでございまして、職員に関して収賄罪を適用するのは、みなし公務員、ちなみに国立大学ですと、教授が研究費に関して不正をやりますと収賄罪が適用されるのですが、我々、民間の学校法人ですと適用されなくて大変ありがたい仕組みなのですが、ありがたくはないですが、そのようにJR等でも職員に収賄罪が、たしか適用になったと思うのですけれども、ある程度しかるべき役職にもあって、特定の行為に関しては、職員においても収賄罪が適用されるようなものも、これを機に少しケーススタディーをしていただいて検討していただくということができないかなと思っております。

 以上、特に御返答いただくというより、意見として申し上げます。

 以上です。

○田中部会長 報告書の文言にかかわるところは検討いたします。それ以外は、御意見として承ります。

 時間になってまいりましたが、報告書について多分最後の機会になりますのでどうですか。

 猪熊委員、お願いします。

○猪熊委員 事務局に2点お尋ねしたいと思います。

 1つは、1617ページのところの(地域における公益的な取組を実施する責務)というところです。

 法律において責務というものの重みというか、意味合い、位置づけがどういうことなのかを教えていただければということです。

 無料とか低額の料金でサービスを提供するということで、これは、もう既にやっている社会福祉法人にすれば、失礼な話というか一々そんなことを言われなくてもやっていますよというようなことでしょうけれども、反対に、例えば義務づけや罰則もないと非常に軽く見られて、ではやらなくてもいいやというところが出てきても困ると思いますので、法律における責務の重み、位置づけについてお聞かせていただきたいというのが1点です。

 もう一つは、2021ページで『再投下財産額』がある社会福祉法人に対し、社会福祉事業又は公益事業の新規実施・拡充に係る計画(再投下計画という。)の作成を義務付けるということで、その計画に関しては、承認を得たり、地域のニーズに合っているかチェックされたりということになっているのですけれども、実際にその計画を行ったかどうかという実績の報告が大事だと思います。それは、2021ページにはないのですけれども、23ページの3 福祉サービスへの再投下の4ポツの実績の所轄庁への報告と公表 等、ここに書かれているということかというお尋ねです。

 いろいろな計画を出してもらっても、きちんとやっているかどうかが大事だと思います。今回の改革は、いろいろな部分で公益法人並びにはしたけれど、まだまだ甘くて第1段階だというような厳しい見方もあるでしょうし、一方、既に法人に期待される活動をやっている法人はもっとさらにやって頂き、十分できていないところはこれからきちんとやってねという熱い期待が社会福祉法人全体に対してあると思いますので。そうした活動をきちんとやっているかどうかというのは、この23ページのところに書いてあるという読み方をすればいいのかというのが、2つ目の質問です。

○田中部会長 2点、御質問がございました。

○岩井福祉基盤課長 まず、地域における公益的な取り組みの責務でございますが、責務というのは、法人がこういうことをしなければならないあるいはすべきだということを法律として宣言しているものでございまして、これ自体は重いものだと考えています。

 それを担保する意味で、この制度におきましては、今、まさに委員がおっしゃいましたが、まず、法人にその結果を公表していただくということ、それから行政庁に報告していただくという形になります。法律上、責務としてかかわっておりますので、その本来の責務を果たしていない法人に対しては、指導監督の対象になるかと考えておりまして、それ自体は制度的には重いものだろうと考えております。

 再投下計画等に基づきます事業の実施については、今、まさにおっしゃいましたが、先ほども申されました23ページのところにございますように、それを公表していくという仕組みを現在検討しています。表現に問題があるかもしれませんが、ここで一応あらわしております。

○田中部会長 松原委員、どうぞ。

○松原委員 まず、全くの蛇足で恐縮なのですけれども、先ほど藤井委員から私が実施した内部留保の研究についてコメントがありましたので、若干だけ補足させていいただきます。先ほど大まかなところは賛成だったが、細かいところでは意見が分かれたという総論賛成、各論反対の研究であったという御指摘がございましたが、唯一意見が分かれたところは、特養が借金を利益で返すことが良いのか否か、その点だけです。それにつきましては、さすがに借金を利益で返すことを認めないとなると、それは倒産するモデルになってしまうので、そのような考えはあり得ないということで最終的に一委員を除き全員が賛成しておりますし、その点はどの事業者に聞いても、金融機関、研究者、会計学者、会計士コンサルタントなどに聞いても、それは当然だと答えておりますので、特段、研究結果に対して意見が割れた研究ということではなく、賛同を得た研究だということを一言申し添えておきます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 よろしゅうございますか。

 どうぞ。

○西條参考人 時間がない中、1点だけお願いしたいのですが、22ページの地域協議会なのですけれども、地域協議会の機能と、そのものには、全く異論はないのですけれども、ここで9行目、所轄庁が設置主体となるということがあるのですが、例えばここで今、所轄庁といえば町村に存する法人は県がやりまして、県域をまたがる法人は、国が所轄庁となっていますが、現実問題、地域のニーズ把握をこれら国なり県なりが一部地域、町に乗り込んでいって把握をするという、どうもこれがイメージできないのですね。

 これまでの地域福祉のニーズの把握というのは、法人自身とか、そして存する地域、通常福祉ニーズの把握ということであれば市町村レベルだったと思うのですけれども、その場合、国とか県は、所轄庁としてどういう立場で参画するのかがイメージできないのですね。

 もう一つ、所轄庁という立場で地域公益活動との関係で言えば、あくまでこれまで形式的な審査という話もあったのですけれども、その方向でも一致しないこと。あと、所轄庁は一方では法人の事業認可権を持っているわけですね。社会福祉事業として定款に位置づけられるかどうかというのを認可するのが所轄庁の役割であって、みずから協議会に参画して事業をつくっておいて、みずから認可するというのは、どうも指導監督のあり方からも整合性をとれるのかどうか不安なのですけれども、その辺、あえてここで所轄庁を出すという意味はどこにあるのかというのがお答えいただきたいのです。

○田中部会長 地域協議会と所轄庁について、お答えください。

○岩井福祉基盤課長 これは、前回も私、御説明しましたけれども、所轄庁がその再投下計画の承認を行うに当たって、その単位に地域協議会におきます地域ニーズというものを把握するということが必要でございまして、所轄庁の主たる役割はそこの場を設定することであろうと。

 そして、今、おっしゃいましたように郡部の場合につきましては、これは都道府県が所轄庁になるわけですが、これは各町村などと連携していただいて、既存の協議会がございますので、そういう中でそういうニーズを把握していただくと。いずれにしても、所轄庁としても必要な内容だと思っております。

 また、その認可権限との関係のお話があったのですが、少なくとも地域協議会というのは、別に何か意思決定をする場ではございませんので、そういう中で地域のニーズを把握するということで、まず、場をつくる。場合によっては、それに参加していただいても私は、全然問題ないと思いますけれども、そういうような運用をしていただくことが必要ではないかと。

 県におかれましては、これは今までもされていたと思いますけれども、それぞれの地域におきますニーズと一緒に法人の対する指導監督をするという意味では、所轄庁であるべきだろうと。

 その実務のところを、例えば、社会福祉協議会とかが、いろいろとやっていくということも考えられるということは、ここにも書いてあるとおりでございますので、そういう意味である程度かなり地域において柔軟な地域の実情に応じた仕組みにしていただいてよろしいのではないかなと思っています。もちろん、必要な基準等は国で責任を持って定めるつもりであります。

○西條参考人 都道府県レベルだったら、まだ課長がおっしゃっていることはよくわかるのですけれども、国が所轄庁である法人については、どのようにこの地域協議会の機能といいますか、発揮させればよろしいのか。

○岩井福祉基盤課長 これにつきましても、基本的には国においても同様でございますが、御存じのとおり地方分権で都道府県をまたぐといいますか、するものについても今後地方分権で都道府県等に移譲されていきますので、国が所轄として担う部分は、全国団体のように極めて限定されていく形になろうかと思います。その点は、問題ないかと思っております。

○田中部会長 よろしゅうございますか。

 社会福祉法人が世の中に信頼されて、信頼の上で自主性を高め自由に行動するためには、私たちが議論してきたような、やや面倒くさくて厳しいと感じられるかもしれませんが、ガバナンスについても情報交換についてもきちんとしていかなければならない。これは、裏腹の関係ですので、今、この報告書で言っているような、今、していないところからすると厳しめに感じることこそが、実は応援になると理解していただいて報告書をまとめたいと思います。

 きょういただいた御意見も踏まえまして、事務局と相談して、次回に報告書を取りまとめたいと存じます。

 次回の開催について、説明をお願いします。

○西辻総務課長 次回の開催につきましては、追って連絡をさせていただきます。

○田中部会長 活発な御議論、どうもありがとうございました。本日の審議は、これにて終了いたします。

 御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会)> 第13回社会保障審議会福祉部会 議事録(2015年2月5日)

ページの先頭へ戻る