ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会)> 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会 第169回議事録(2014年12月3日)




2014年12月3日 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会 第169回議事録

○日時

平成26年12月3日(水)10:30~11:17


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(21階)


○出席者

森田朗小委員長 印南一路委員 松原由美委員 田辺国昭委員 西村万里子委員 野口晴子委員
矢内邦夫委員 白川修二委員 花井圭子委員 石山惠司委員 榊原純夫委員
鈴木邦彦委員 中川俊男委員 万代恭嗣委員 堀憲郎委員 安部好弘委員
福井トシ子専門委員
<事務局>
唐澤保険局長 武田審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 佐々木医療課企画官
込山保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○DPCについて
 ・平成25年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の分析について
 ・平成26年度激変緩和措置対象病院への特別調査について

○議事

○森田小委員長

 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第169回「中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会」を開催いたします。

 委員の出席状況について御報告いたします。本日は全員出席の予定ですが、西村委員がおくれていらっしゃるようです。

 それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。

 初めに「DPCについて」を議題といたします。

 まず「平成25年度DPC導入の影響評価に係る調査『退院患者調査』の分析について」につきまして、事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 中医協診-1というものと、診-1参考という、2つの資料を用いまして御説明を申し上げます。

 まず、診-1のほうでございますが「平成25年度DPC導入の影響評価に係る調査『退院患者調査』の結果報告」。これは毎年度のものを定例的に行っているものでございますけれども、今般、それに対して、この基本問題小委員会で御指摘頂いた事項がございましたので、それに関してDPC分科会のほうで再度議論を行ったというものでございます。

 御指摘の点は、1ページ目にございますとおり「『退院時転帰の状況』について、『治癒』の項目がDPC対象病院において減少している点」と「『平均在院日数』が継続的に短縮している点」でございます。

 2ページ目をお願いいたします。

 2ページ目の「II DPC対象病院における『治癒』の減少に関して」という、このページでございますが、これ自体は10月8日の基本問題小委員会におきまして御提示させていただきました資料の抜粋でございます。

 今回、指摘事項の1つ目でございます「治癒・軽快」の状況に関して、このような形で提示をし、結果ということで「『退院時転帰の状況』については、『治癒+軽快』に着目した場合、全ての病院類型において若干増減は認められるものの経年的な変化の傾向は認められない」というまとめを出したわけでございますが、それに関して【指摘事項】にございますとおり「治癒・軽快」とすれば経年的な変化は見られないかもしれないが、出来高病院においては「治癒」の割合が上昇しているのに、DPC対象病院においては「治癒」が経年的に減少しているという原因を明らかにするべきであるという御指摘でございました。

 3ページ目からでございますけれども、これは1110日、1126日にDPCの分科会を開催いたしまして、その際に用いました資料を5ページまでつけておるところでございます。

 まず、3ページ目の「○1 治癒・軽快の定義について」でございますが、そもそも病院が患者さんに関して治癒・軽快等をつける場合に、どういう定義になっているか。

 これは出来高、DPC対象病院共通の定義でございますけれども「治癒」に関しては「退院時に、退院後に外来通院治療の必要が全くない、またはそれに準ずると判断されたもの」。

 「軽快」に関しては「疾患に対して治療行為を行い改善がみられたもの。原則として、退院時点では外来等において継続的な治療を必要とするものであるが、必ずしもその後の外来通院の有無については問わない」ということで、治癒・軽快というところに一応定義をつけているわけでございますが、ごらんになっていただくとおり、多少どちらかなと迷う部分もあるかもしれないという議論もございました。

 その他「寛解」「不変」「増悪」という定義もあるわけでございますが、今回、3ページの下段から4ページにかけてはDPCの群別、それから4ページの中段以下には、準備病院、出来高病院を含めまして「治癒」「軽快」「寛解」から死亡と至るまでの割合というものを、全体的にどういう傾向かというのをあわせて示させていただいているところでございます。これに関する分析といいますか、検討の結果は後ほど説明いたします。これはデータとして、4ページ目にはそういうものがついております。

 それから5ページ目でございますけれども「○3 再入院種別」ということで、これはDPC病院等に関して、2回に分けて治療を行うような場合、これは「計画的」としております。

 「予期された」というのは、患者さんの病状等から見て悪化して再度入られるような可能性もあるのではないかと考えていた場合。

 「予期せぬ」というのは、そういった病状から見て予想外の再入院ということで、ページの下のほうにございますけれども、一応定義づけをしておるところでございまして、こういったような傾向なども含めてDPC病院と出来高病院に関しての議論を行ったところでございます。

 6ページ目をお願いいたします。以上のような資料を用いまして、DPC分科会で出ました【主な意見】ということでございます。

 さまざまな視点の議論が出たわけでございますけれども、まず「○1治癒・軽快の定義」というものに関する議論でございますが「『治癒』と『軽快』の定義の違いは、『退院後の継続的な治療』を行うか行わないかという点だけではないか」。先ほど少し触れさせていただきましたけれども、少し区別するのが難しい点もあるのではないかという御意見です。

 「高齢化に伴い、なんらかの基礎疾患をもつ患者が多いため、入院目的の疾患を治療し退院しても『治癒』にならないので、『治癒』が減少し『軽快』が増えているのではないか」。これは、例えばがんに関しては「治癒」と考えていますが、ある程度、急性期の疾患というものに対応したのだけれども、合併症をお持ちで、そのほうで外来があるから、なかなか「治癒」と書けないのではないかということの御指摘でございます。これは、ある意味「治癒」「軽快」というものの定義が曖昧であるために生じているということであるかもしれないということでございました。

 それから、出来高算定病院においては、診療報酬請求上、疾患ごとの転帰を設定し、総合的な転帰を設定することとしておりません。DPC対象病院は、入院に関する転機ということを一つ定義づけるというルールになっておりますので、総合的に勘案して「治癒」「軽快」等をつけるわけですが、出来高病院はデータを出していただくときに便宜的に選んでいただくので、選択の課程が少し違うのではないかということでございます。

 また「急性期を脱した患者を、その後の機能(リハビリ等)を担う病院での治療に移すなど、病床機能分化をすすめた結果、治癒率が低下し、軽快率は上昇している」。引き続きの外来が必要という段階の方が次の病院のほうに転移しているということもあるのではないかということでございました。

 それから「○2『治癒』『軽快』以外も含めた追加集計値」。先ほどの「増悪」から死亡等でございますが、これを全病院種別で比較しますと特段増加していないということもありますので、いわゆる粗診・粗療ということが起こっているとまでは言えないのではないでしょうかということでございました。

 「○3再入院種別」に関しまして、これもいずれの病床種別でも似たような傾向ということになりますので、DPC対象病院において、無理に患者を退院させているということまでは言えないのではないでしょうかというような主な意見がございました。

 全体としての【まとめ】といたしましては、この退院患者調査での指標は、DPC病院が機能分化を進めている今の状況から見て「治癒」単独ではなく「治癒+軽快」として、推移をフォローアップして評価をしていくということが妥当ではないかということでございます。

 なお、この「治癒+軽快」という形で分析をしてきておりますのは、25年だけではなく24年、23年も同様の形で取りまとめをしてきておりますので、そういう意味では引き続き同じような指標でいいのではないかという御指摘でございました。

 続きまして、7ページ目からでございます。「III 『平均在院日数』に関して」でございます。

 7ページの一番上の表が、10月8日の中医協の基本問題小委員会でお示しした資料の抜粋の部分でございまして、平均在院日数はDPC対象病院でより短く、また全体的にも継続的に減少しているということに関して要因分析を進めるべきという御指摘がございました。

 分科会のほうで2回に分けて議論をしたわけでございますが、そのときに用いました資料が7ページの下からの部分でございまして、まず1つ目がDPC/PDPSの点数設定方式のパターンでございます。

 平均在院日数のところを第II日としまして、25パーセンタイル値のところを第I日ということで入院期間Iというのを設定しまして、このIのところの手前の上に伸びているAの部分とBの部分の面積が同じになるような形の設定をしていくというようなことでございます。

 それから8ページでございますけれども、DPCの仕組みの続きでございますが、効率性指数という指標が医療機関別係数IIに設定されておりまして、在院日数の短縮が評価されるという仕組みを制度上持っております。

 次に、8ページの○2の2つは、出来高でもそういうルールがあるという例でございます。一般病棟入院基本料でございますが、平成14年から平均在院日数が算定要件となっているところでございます。

 また各種入院料の例として、救命救急入院料でございますが、入院の短期の部分は手厚い報酬設定がされているというところでございます。

 9ページ目でございます。その他の議論です。これはフリーディスカッションでございますので、特段資料は提示しておりませんが「○3 医療技術等の進歩」ということでも意見交換がございました。

 また「○4 病床機能の分化」というところで、各病院が機能分化で次のリハビリ等の病院に転院していただくということに関しては、これはDPC病院、出来高病院も同様の割合であったということでございます。

 これらの資料を踏まえまして、10ページ目がDPC分科会の【主な意見】【まとめ】でございますけれども、まず○1のところはDPC特有の影響ということですが、DPD/PDPSにおける点数設定では、平均在院日数短縮のための取り組みが診療報酬の設定に反映されるということになっておりますので、取り組みが進むということがあるのではないか。

 また、在院日数の全国平均値が公表されておりますので、各病院がその値を目標値にして、ここでは「質」という表現をしておりますけれども、医療の提供に関して、改善の取り組みを進めた結果、平均在院日数が短縮されているのではないかという御意見もございました。

 また、DPC制度以外に関しても、在院日数が短いほど評価をする仕組みになっているので、全体的に短縮する状況にあるのではないかということです。

 「○3 医療技術等の進歩」というところでありますが、これは在宅、外来での化学療法の増加というものも一つ関連があるのではないか。

 それから、急性期からリハビリを積極的にしていくことで、離床までの時間が短縮され、入院期間短縮というのもあるのではないか。

 あとは、内視鏡手術や血管内治療などの、侵襲性の低い技術が進歩したということもあり、入院日数が短くなったのではないか。

 あと、褥瘡、感染、緩和ケア、嚥下などのさまざまな専門的看護師等の取り組みによりまして、合併症の発生を抑えることやADLの低下を防ぐということが可能になったということも御意見で出てきたところでございます。

 また、○4でございますが「病床機能の分化」というところで、転院の割合は出来高も含めて経年的に増加の傾向にあり、急性期を脱した患者の受け皿となる病床が整備されてきた結果「平均在院日数」が減少していると推定できるのではないかということでございます。

 その主な意見の【まとめ】として、平均在院日数の減少には、さまざまな要因が複合的に絡み合っておって、そういうことで総合的に短縮してきているのではないかということでございました。

 なお、参考資料でおつけしておりますのは、今回分科会でも議論に使いましたけれども、「治癒」「軽快」などの群別の折れ線グラフでございます。

 それから、4枚目以降、通し番号7ページ以降は108日の中医協の資料をおつけしておるところでございます。

 なお、補足の説明でございますが、ほかのページも共通なのでございますが、例えば9ページで、DPCI群、II群、III群、DPC準備病院、出来高病院という施設類型にしております。

 実は、昨年の平成24年度の報告では、こういう施設利類型での比較はしておりません。当時は、DPCに参加した時期により比較していたのですが、今回は平成24度に導入した、群別のまとめをしており、以前とは比較できませんが、全体の傾向としては同じということでございます。

 それから、ここにDPCのI群、II群、III群はこれらのDPC対象病院ということで、診断群分類に基づく請求ということをしておるわけでございますが、DPC準備病院は、データを出していただいて、かつ将来的にDPCに入ることを希望している出来高請求をしている病院でございます。

 ですので、出来高病院かDPC病院かという議論をしていただく際には、DPC準備病院も一応、出来高病院ということで御議論いただく必要があるということでございます。

 

 説明は以上でございます。

○1○3○1○2○3IIIII○2○3○4○1○3○4II○森田小委員長

 ありがとうございました。

 ただいまの御説明につきまして、御質問・御発言がございましたらどうぞ。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

DPC分科会で再検討をお願いしたわけですけれども、本日、なぜ小山分科会長がお見えになって説明をされないのでしょうか。

○森田小委員長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 この資料自体は、毎年DPC分科会において内容を確認していただき、専門的なコメントもいただいておるところでございますが、定例的な報告でございますので、従来から、事務局が御報告をさせていただいております。

○森田小委員長

 どうぞ。

○中川委員

DPC分科会から報告があって、大変失礼な形だったと思いますが、それを差し戻したということは重大なことだと思うのです。その結果について、分科会長が御自身でいらして説明されないというのはおかしいと思いますよ。

 資料の診-1の2ページの[結果]のところで「若干増減は認められるものの経年的な変化の傾向は認められない」。経年的な変化の傾向は認められないということを問題にしたのです。

 しかし【指摘事項】のところで、これは出来高病院と比べてということを強調し過ぎています。私は、何も出来高病院のほうが質がいいとか、レベルが高いとか、そういうことを言ったつもりはありません。どうも、論点が少しそれて分科会に戻ったのかなという気がしてなりません。

 その次に、5ページの全入院種別で再入院の分析をしていますが、I群、II群、III群ともに予期せぬ入院が、これも経年的に明らかに増加していますね。

 それと、診-1参考の通算ページの15ページ。再入院全体のうちの予期せぬ入院を見ると、これも例えば、II群は20%を超えるようになっているではないですか。明らかに経年的変化は明確ですよ。

 こういうことも含めて、真摯に分科会で再検討したのかどうか疑わしい。

 特に、通算ページの15ページの一番下から2行目。「またI群、II群はその他の病院類型と比較した場合に『計画的な再入院』の割合が多く、『予期せぬ再入院』の割合が低い」という、これはI群、II群がその他よりも低いからいいという書きぶりではないですか。どういう発想をしてこういう文章になるのか、甚だ疑問です。

 今の、予期せぬ入院が経年的に増加しているということは明らかだということは認めますか。

III○森田小委員長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 今、御指摘いただきましたのは、診-1の資料の5ページの上の図表と、参考資料1のほうの通し番号15ページの【表6-1】というところの違いだと思います。

 これは、補足して御説明するべきだったかもしれませんが、参考資料の15ページについております資料が、もともと基本問題小委員会にも出させていただいたものです。

 参考資料1の15ページの資料というのは、「計画的」「予期された」「予期せぬ」と分けていますけれども、これを全部足したら100になるように、つまり、再入院の中での割合で整理しておりました。

 これに関して、1110日のDPC分科会で議論をした際、退院全体の中で再入院がどれぐらい起こっているかという資料に修正したものを資料として提示してほしいとの要望がありましたので、集計をし直して出したのが、診-1の5ページのものです。

 済みません、そういう意味では違った資料が、十分な説明がなくこうやってお示ししておりましたので、誤解を与えました点は大変申しわけないと思っておりますが、そういう両方の資料を踏まえての議論をした結果ということでございます。

 ご質問への回答になっているかどうかですが、以上でございます。

○中川委員

 いや、答えていないです。

 全再入院のうちの割合であるというのは、そんなことはわかっていますよ。経年的な変化として、予期せぬ再入院の割合がふえているということを認めますかと聞いているのです。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 数字を見ますとDPC病院、準備病院、出来高病院を含めまして、全体的に「予期せぬ」というのが少し増加していると思います。

○中川委員

 必ず出来高病院も含めてと、議論をぼやかさないでくださいよ。

 その次に、診-1の6ページですが「治癒」ということが低下したという指摘に対する発言がここに書いてありますけれども、2つ目の○で「高齢化に伴い、なんらかの基礎疾患をもつ患者が多いため、入院目的の疾患を治癒し退院しても『治癒』にはならないので、『治癒』が減少し『軽快』が増えているのではないか」という、これは一体どういう発想でこういう発言となるのか。入院目的の疾患が治癒したら、どう見ても治癒ではないですか。もし、それを治癒としないのだったら、それこそ基本的な問題がある。

 そして、この次の出来高病院においては、請求上、総合的な転帰を設定することがないためという、これも議論が歪曲しているのです。出来高病院とDPC病院を比較して言ったわけではないのです。

 その次の○2の追加集計値のところですけれども「粗診・粗療が起こっているとは言えないのではないか」という、粗診・粗療が起こっているなんて指摘しましたか。

 それから、次の○3の「再入院種別」のところですが「無理に患者を退院させているとは言えないのではないか」。どうしてそんなことが言えるのですか。

 【まとめ】のところですけれども「『治癒+軽快』をまとめてアウトカム指標としてモニタリングすることが妥当ではないか」と書いてありますけれども、私は「治癒」と「軽快」は独立した指標としてモニタリングしていくべきだと強く申し上げたいと思います。

○2○3○森田小委員長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 御指摘を何点かいただいております。

 6ページ目の点でございますが、まず「○1治癒・軽快の定義」の2つ目の○のところでございますけれども、確かに御指摘を踏まえますと事務局のまとめた文書が拙い点があるのかもしれません。先ほど「治癒」「軽快」の定義を説明いたしましたけれども、もともとどちらを選ぼうかというのが若干悩ましい設定になっております。DPCは制度上、主たる、最も資源投入した疾病がどうなったかということに関しての転帰を記載するように、医療機関にお願いをしているわけでございますけれども、それが十分徹底していないという可能性があるのではないかなという議論も踏まえて、まとめた文章でございます。

 それから、3番目の○に関しましては、DPCの準備病院だけでなく、出来高病院でもデータ提出をいただいている病院がございまして、そちらのほうでも、まとめて転帰をつけていただくようにお願いしてはおるのですけれども、取り組みについて少し差があるのではないかというような御意見があったことをまとめたものでございます。

 また、「粗診・粗療」とか、「無理に患者を退院」というところに関しましては、従来から、中医協で、DPC等の包括払の議論をする際に、そういうようなご発言が時折ありましたので、そういったことを踏まえて、DPC分科会の委員からも発言がありましたので、記載をしたところでございます。今回、中医協でそういう御指摘があったという認識で記載したものではございません。

○1○2○中川委員

 今のお答えは十分とは思えませんが、それ以上お答えにならないのだろうから次に移らせていただきますが、10ページをごらんください。平均在院日数短縮のことに関してです。

 これは、この分科会の意見でも、診療報酬で政策的に短縮を誘導したということは、これは共通の理解だということでいいですね。

 お答えいただけますか。

○森田小委員長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 診療報酬の制度を見直しするに当たって、中医協でさまざまな議論をしていく中で、現状の制度設定がされているという理解でございます。

○中川委員

 そこで問題は、○1の2つ目の○です。「DPC対象病院では、その値を努力目標に質の改善に取り組んだ結果、平均在院日数が短縮されているのではないか」。平均在院日数を短縮できるということは、質が改善されたということなのですか。これは私ども常日ごろから指摘していますが、平均在院日数の短縮の弊害というのが至るところで見られている。特に、勤務医の疲弊もそうですよ。

 そして、その下に「在宅、外来での化学療法の増加により、入院の必要が少なくなったためではないか」。これは、全ての患者さんが化学療法は外来でやりたいとおっしゃっているのですか。

 その辺、どうですか。まず、質の改善から。

○森田小委員長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

DPCの議論を超えておりますので、私が全てお答えできるかどうとは思いますけれども、まず1点目の努力目標のところでございますけれども、DPCでは診断群分類ごとに平均在院日数等が提示されておるところでございますので、各病院においては自分が同じ病気の患者さんを診療した場合に、自分の病院の日数と全国平均とが比較できるということでございます。

 その中で短縮をするとした場合に、例えばクリティカルパスを取り入れるなど院内での取り組みを進めることによりまして、在院日数短縮ということが可能なものもでてきており、そういうものは標準化が進んできております。

 標準化が進んできますと診断群分類によっては、各病院間で、例えば入院日数のばらつきが少なくなるということもでてきまして、平成26年改定でも、別の点数設定がされたところでございます。

 質の改善という表現が、DPC分科会で出ました議論を集約化し過ぎた点もあるかもしれませんが、各病院が取り組みを進めた結果、平均在院日数というのが短縮されているのではないかということかと思っています。

 また、全ての患者さんが外来化学療法を望まれているかどうかということにつきましては、今、データが手元にはございませんけれども、少なくとも外来化学療法とをお望みの患者さんがおられるということと、医療の現場での取り組みが進んで来ているという状況ですますので、そうした状況を踏まえて、中医協で議論し、外来化学療法の評価をしてきていると理解しております。

 それぞれさまざまな御議論をいただいて、制度の見直しというのを常にしていただいているという理解であります。

○森田小委員長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 我が国の平均在院日数が極端に短くないということが、やさしい医療といいますか、日本の医療のすばらしいところだと思うのです。それを常に毎回毎回、平均在院日数の短縮をスローガンのように言い続ける。これは、私は既に見直す時期に来ているし、過ぎていると思いますよ。これだけDPC病院がふえた現状において、このDPCという制度をこのままでいいのかどうかという検討は常に謙虚に、積極的にやらなければならないと思っているのです。

 それで、私は今回のDPC分科会の再検討にはがっかりしました。経年的変化が明らかでないという根拠が不明なのです。診療報酬上で平均在院日数短縮を誘導した結果、治癒率が経年的に、明らかに低下して、予期せぬ入院の割合が明らかに上昇しているのです。このことを重大なことだと考えて、今後、中医協でもいろんな分科会、検討会でも議論してほしいと思います。

DPC分科会に対しては、中医協では、特に診療側の私は全く納得していないということを再度お伝えいただきたいと思います。

 以上です。

○森田小委員長

 ありがとうございました。

 この件につきまして、ほかの御発言はございますでしょうか。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 今の件につきましては、平均在院日数を短縮すれば医療費が抑制できるのではないかというお考えの方もいるようですが、結局、実際は単価が上がりますからそのようにはなっていないと思います。これ以上平均在院日数を短縮しようとお考えであれば、現場の疲弊が増加しますので、より手厚い配置を考えていかないと無理ではないかと思いますので、そういう意味では限界だと思います。

 意見でございました。以上です。

○森田小委員長

 ほかに御発言はございますでしょうか。

 白川委員、どうぞ。

○白川委員

 私自身は、平均在院日数は全体としては減らすべきだと思っております。

 何もDPCの平均在院日数を減らせと言っている意味ではなくて、例えば精神疾患の平均在院日数は1年というのは余りに長いでしょうと私どもは思っておりまして、全体としては下げていくべきである。個々にはDPCだとか慢性期だとか、いろんなケースがあるのでしょうから、それを一緒くたにしてやる議論をする気は全然ございませんけれども、DPCDPC。中川先生がいろいろな御指摘をされましたし、私も同意できる部分も確かにございます。

 特に、予期せぬ再入院が若干ふえているということは、前回の改定のときにも、7日以内の再入院がどうとかいう議論も大分させていただきましたけれども、これは引き続き関心を持って我々も議論を続けなければいけない重要な項目だと認識をしております。

 以上でございます。

○森田小委員長

 ありがとうございました。

 では、万代委員どうぞ。

○万代委員

 私も、中川委員の御指摘のとおりだと思います。

 全体の平均在院日数を一からげにしてという白川委員の御指摘もそのとおりだとは思いますが、特にDPCを代表されるような、急性期の入院医療についてはかなり平均在院日数については限界が来ているのではないか。もちろん、それぞれの疾患ベースによると思います。

 さらに、中川委員がおっしゃったように、有意差があるかどうかは別として、ここは数字を見れば中川委員の御指摘のとおりだと思いますので、中川委員だけではなくて私も、ぜひDPC分科会のほうでもう少し詳細に検討いただきたいと考えております。

○森田小委員長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございますか。

 よろしいですか。

 この件は大変重要な論点を御指摘になったと思いますので、それも踏まえまして。

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 本日、御指摘いただきましたさまざまな点につきましては分科会のほうに御報告申し上げて、引き続き議論し、適宜、また基本問題小委のほうにその結果を御報告申し上げたいと思います。

○森田小委員長

 ありがとうございました。

 それでは、特に御発言ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとさせていただきます。

 続きまして「平成26年度激変緩和措置対象病院への特別調査について」。これにつきまして、事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 中医協診-2-1、それから、少し厚手のものでございますが、左肩ホチキスどめの診-2-2を用いまして御説明を申し上げます。

 まず、診-2-1でございますが「平成26年度激変緩和措置対象病院への特別調査(案)」でございます。

10月8日の中医協基本問題小委におきまして、平成26年度改定において激変緩和対象となった医療機関に対し特別調査(アンケート調査)を行うことが了承していただいたところでございます。

 中身といたしまして、まず「I 概要」ですが、26年度の改定の中のDPC制度全体の移行措置、調整係数を平成30年度までにゼロにしていくというものでございますけれども、それに関しまして、個別の医療機関の経営等を考慮しまして、2.0%を超えて変動しないよう、暫定調整係数を135施設について調整を行ったということでございます。

 次回改定では、調整係数の75%が置換されるという予定で、調整係数から基礎係数と機能評価係数へ置きかえますので、さらにそういった対象病院がどうなっていくかということもございますので、それの今後のあり方の検討のための資料を集めるというものでございます。

 「II 調査方法(案)」でございますが、この135病院を対象といたします。医療機関名は非公表でございます。

 それから「(2)調査内容・目的」でございますが、まず1ページ目の一番下、財務状況でございます。

 これは診-2-2でございますと、最初のほうは記載要領がついておりますが、通し番号の13ページ。これが調査票そのものでございますけれども、財務の状況に関しまして、13ページから14ページの頭の部分まで24年、25年の間のところを聞かせていただくということでございます。

 それから、診-2-1の裏側、2ページ目でございますが、人員配置医療体制でございます。

 人員配置は先ほどの診-2-2の14ページ、医療提供体制は15ページに記載しておりますが、医療計画における5疾病・5事業、在宅医療に関しまして、調査対象医療機関がどのような役割を担っているかというものを調べるものでございます。

 そして、調査票16ページからは、診療行為の入院前外来への移行ということで、従来は入院中に実施していた検査等々について、外来のほうの置きかえというものをどの程度やっておられるかということを調べるものでございます。

 それから、17ページがDPC制度参加の経緯ということで、DPC制度に参加される前と参加される後で診療内容等々の取り組み、設備投資等々、いろいろと取り組まれたということについて記載をいただくことになっております。

 最後に調査票の18ページ、19ページでございますが、激変緩和措置制度そのものについての評価等でございまして、今度の要望なども自由記載でしていただくような様式にしているところでございます。

 以上のような調査内容につきまして、調査の負担軽減のためデータ入力用のPDFファイルを配付させていただき、御回答いただくということでございます。

 これは、対象医療機関自体は名称非公表でございますので、取りまとめも非公表とさせていただきます。

 今後の予定でございますが、本日御了承いただけますれば、調査票を対象医療機関に発送し、収集、分析して、DPCの分科会で検討した結果をまた基本問題小委のほうに御報告いたすというような予定でございます。

 御説明は以上でございます。

○森田小委員長

 ありがとうございました。

 ただいまの御説明につきまして、御発言はございますでしょうか。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 このアンケートの内容を見ますと、非常に細かい内容になっておりまして、病院の経営状況が丸裸にされるような内容だと思います。これは対象が135病院ということで限られてはいるのですが、通常のアンケートと同じように、回答は任意なのかどうかということを教えていただきたい。要するに、回答しない場合、どこが回答しないかわかるわけですが、それに対しては特にペナルティーのようなものは考えていないのかどうか。そういったものを教えていただきたいということが一つございます。これは質問でございます。

 それから、診-2-2の10ページの中を見ると「負債」のところに「○5固定負債」、退職給付引当金が入っております。

 これは先程の実調のところにもありますが、公立病院はこれが義務づけられるということで入れているのですけれども、民間病院も病院会計準則とか医療法人会計基準などではやるべきとなっていますが、これを入れると赤字になってしまうのでやれないというところもあると思います。公立病院の場合は、赤字になれば一般財源から繰り入れればいいので、それで済んでしまうわけですけれども、民間の場合は赤字になることによって新たな融資が受けられなくなったり、赤字が続くと融資を引き上げられて倒産してしまうようなことも起こるわけで、簡単にはできないものだと思うのですが、これは、これから民間病院も必ずやらなければならないものとお考えなのかどうか。

 逆に言えば、これをやると赤字になってしまうこというのは今の診療報酬の単価が低いせいだと思うのですが、これはぜひ、そういう意味では退職給付引当金が普通の企業と同じようにできるぐらいの診療報酬にしてほしいという要望にもなるわけです。現時点でこの扱い、これは民間病院にとってはどのような意味を持つのか。これは義務なのか。それについても教えていただきたいと思います。

 それと、診-2-2の13ページを見ますと、現況調査ということですが、課税か非課税かによって経営状況は実際に違ってきます。病院種別というか、課税の病院なのか、非課税の病院なのか、それがわかるようにしていただく必要があると思いますが、どのようにお考えか。

 以上、質問させていただきますので、御回答をお願いします。

○5○森田小委員長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 3点ほどございましたが、まず調査に関しましてでございますが、DPC病院は中医協で特別調査をするとした場合には、基本的には調査に協力いただくルールになっております。従来も各病院に調査へ御協力をいただけておりますので、今回も御協力いただけるのではないかと理解しています。

 また、診-2-2の記載要領の中の、さまざまな負債の取り扱いとか税金の取り扱い等々がございますけれども、基本的に医療機関に、今回の激変緩和調査に当たって、書けないような内容を書いてくださいというお願いはするつもりはございません。記載可能な内容をきちんと書いていただければというだけでございます。

 問題は、そういうデータを集めたものをどう分析、評価をしていくかということだと思いますので、そこは分科会でも御指摘を踏まえて、分析、意見交換をさせていただきますし、中医協のほうでもそういう点でさまざまな御議論をいただければと思います。

 なお、繰り返しになりますが、対象医療機関自体は非公表でございますので、取り扱いを十分注意して、情報管理はきちっとしたいと思っているところでございます。

 以上です。

○森田小委員長

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 法人種別もぜひわかるようにしていただきたい。非公表だから我々はわからないのでしょうが、委託したコンサルタント名まで書くようになっていますので、これが漏れますと、逆にそのコンサルタントに依頼が集中しかねないようなことにもなりますので、取り扱いには注意していただきたいと思います。

 以上です。

○森田小委員長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、これはここで御承認いただく件でございますね。

 特に御意見がないようでしたら、中医協で御承認いただいて調査を進めるということでございますが、よろしゅうございますね。

(委員首肯)

○森田小委員長

 ありがとうございました。

 それでは、本日の小委員会の議題は以上で終わりでございます。

 次回の日程等につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の基本問題小委員会はこれにて閉会といたします。

 ありがとうございました。

 それでは、5分後に総会を開催いたしますので、よろしくお願いいたします。


(了)
<照会先>

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代表: 03-5253-1111(内線)3288

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