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2014年12月10日 第59回労災保険部会議事録

労働基準局労災管理課

○日時

平成26年12月10日(水 )15:00~


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

委員

荒木 尚志 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
岩村 正彦 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
大前 和幸 (慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 教授)
永峰 好美 (読売新聞東京本社編集委員)
黒田 正和 (日本化学エネルギー産業労働組合連合会 事務局長)
齊藤 惠子 (UAゼンセン 政策・労働条件局部長)
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会 総合労働局長)
田久 悟 (全国建設労働組合総連合 書記次長)
立川 博行 (全日本海員組合 中央執行委員 国際・国内政策局長)
吉村 健吾 (日本基幹産業労働組合連合会 中央執行委員)
明石 祐二 (社団法人日本経済団体連合会 労働法制本部主幹)
小島 政章 (株式会社竹中工務店 安全環境本部長)
田中 恭代 (株式会社旭化成アビリティ 代表取締役社長)
新居 康昭 (日本通運株式会社 取締役 常務執行役員)

○議題

(1)労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)

(2)行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱、労働者災害補償保険法施行規則、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則、労働者災害補償保険特別支給金支給規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部改正関係について(諮問)

(3)社会復帰促進等事業に係る平成25年度成果目標の実績評価及び平成26年度成果目標等について

○議事

○岩村部会長 ただいまより第 59 回労災保険部会を開催します。

 本日は、小畑委員、中窪委員、佐藤委員、桐明委員が御欠席です。

それでは、本日の議事に入ります。お手元の議事次第に沿って進めていきます。第 1 の議題は「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。

 本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛ての諮問案件になっています。それでは、事務局から説明をお願いします。よろしくお願いします。

○労災管理課長 まず、省令案要綱について、読み上げた上で、内容を御説明させていただきます。

○労災管理課長補佐 ( 企画 )  では、読み上げさせていただきます。資料 1 を御覧ください。厚生労働省発基 1210 1 号、労働政策審議会会長樋口美雄殿。別紙「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、貴会の意見を求める。平成 26 12 10 日、厚生労働大臣塩崎恭久。

 別紙、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱第 1 、労災保険率の改正。労災保険率 ( 船舶所有者の事業に係るものを除く ) を、別添 1 のとおり改正するものとすること。

 第 2 、船舶所有者の事業に係る労災保険率の改正。船舶所有者の事業に係る労災保険率を 1,000 分の 49 とすること。第 3 、第二種特別加入保険料率の改正。第二種特別加入保険料率を、別添 2 のとおり改正するものとすること。第 4 、第三種特別加入保険料率の改正。第三種特別加入保険料率を 1,000 分の 3 とすること。第 5 、労務費率の改正。労務費率 ( 請負による建設の事業に係る賃金総額の算定に当たり請負金額に乗ずる率をいう。第 7 において同じ。 ) を、別添 3 のとおり改正するものとすること。

 第 6 、請負金額の取扱いの改正。請負による建設の事業に係る賃金総額の算定の基礎となる請負金額には、消費税及び地方消費税に相当する額は含めないものとすること。第 7 、労務費率の暫定措置の廃止。労務費率について、請負金額に 108 分の 105 を乗じて得た額に所定の労務費率を乗ずるとしていた暫定的な取扱いを廃止すること。

 第 8 、その他。その他所要の規定の整備を行うものとすること。第 9 、施行期日等。 1. この省令は、平成 27 4 1 日から施行するものとすること。 2. この省令の施行に関し、必要な経過措置を定めるものとすること。別添 1 以下については読み上げを省略します。以上です。

○労災保険財政数理室長 それでは、私から諮問内容である労災保険率等の改正内容について説明します。

 参考 1-1 に省令案の概要があります。内容を大きく分け、労災保険率の改定、労務費率の改定、請負金額の取扱い等の改正となっています。まず、労災保険率の改定について説明します。

 参考 1-2 です。労災保険率の算定方法ですが、上から 4 つ目の四角の所で労働保険の保険料の徴収等に関する法律第 12 条第 2 項の中に、将来にわたって、労災保険事業に係る財政の均衡を保つことができるように、過去 3 年間の災害率等を考慮して業種別に設定すると規定されています。

 具体的に詳細を定めたものが、労災保険率の設定に関する基本方針です。こちらの全文については 4 ページ以降に付けています。概要について、 2 ページにありますのでこちらを御覧ください。

 労災保険率については、業種別に設定すること、原則として 3 年ごとに改定をすること、過去 3 年間の給付実績等に基づいて、短期給付、長期給付に分けて算定することとなっております。その際に、料率が一挙に上昇する業種に対して、激変緩和措置を講ずることとなっています。

 これらのルールに基づき、業種それぞれのものについて算定した改定 ( ) の概要をまとめたものが、資料 6 ページです。現在の労災保険率は、平均で 1,000 分の 4.8 です。過去 3 年間の給付実績等を反映し、改定案では 1,000 分の 0.1 低下して 1,000 分の 4.7 となっています。このうち、現在の労災保険率から引上げとなるのが 8 業種、据置きが 23 業種、引下げが 23 業種となっています。この改定により保険料負担は、全体で年間 278 億円軽減と見込んでいます。

 資料 7 ページです。こちらは労災保険率を構成する各要素別に見た改定の状況が書かれています。業務災害の保険率については、業種ごとに異なるので、ここでは全業種で平均平均した値を小数第 2 位まで記述しています。

 今回の改定案では、業務災害分のうち短期給付分、いわゆる休業補償給付や療養補償給付といったところですが、これは 1,000 分の 2.23 で現行と同水準。長期給付分は年金給付ですが、こちらは重大災害の減少などを反映し、 1,000 分の 1.44 から 1,000 分の 1.24 と低下しています。

 非業務災害分は、通勤災害に対する給付と二次健康診断等給付に要する費用の分です。これは改定前と同じく 1,000 分の 0.6 です。社会復帰促進等事業と事務の執行に要する費用は、こちらは 1,000 分の 1.0 から 1,000 分の 0.9 1,000 分の 0.1 低下となっています。

 一番下の年金積立調整費用は、こちらは積立金の過不足を調整する部分です。積立金については、将来の労災年金給付に必要な金額を積み立てているところです。実際に必要な金額に対して、現在の積立金の額が若干上回っている状況です。その剰余をマイナスの保険料率として事業主の皆様に還元することになっています。こちらは 1,000 分の 0.4 マイナスとなっています。

 次の 8 ページです。現在、労災保険率は 55 の業種に分類しています。昨年 3 月に当部会でも報告をしたところですが、平成 25 2 月~ 3 月にかけて、労災保険の業種分類についての有識者による検討会「労災保険の事業の種類に係る検討会」を開催し、こちらで御議論いただいた内容を取りまとめた報告書において、食料品製造業とたばこ等製造業を統合すべきであるとされたことを受け、今回の改定では両業種の統合を行うこととしたものです。その結果、労災保険の業種数は現行の 55 から 54 となります。

 次の 9 ページが、業種ごとの現行の労災保険率と改定案となります。先ほど説明をしたとおり、引下げとなるのは 23 業種。全業種の約 4 割を占めています。ほとんどが 0.5 1 の引下げですが、建設の事業など大きく引下げとなる業種もあります。なお、引上げとなる業種については※を付けている 8 業種ですが、算定された数値をそのまま労災保険率に反映させると保険料が一挙に引き上がる業種があるため、事業主の負担能力等も考慮し、激変緩和措置として引上幅を最大でも 1,000 分の 1 としています。

 激変緩和措置については、 10 ページを御覧ください。激変緩和措置は引上げとなる場合に引上幅を最大でも 1,000 分の 1 としたほか、激変緩和措置を行う前の労災保険率の算定結果が現行の労災保険率よりも高い場合でも、業務災害の発生度合いが下がっている場合には労災保険率を据え置くこととしています。

 前回の激変緩和においては、業務災害の計算上の料率が下がる場合に据え置くとしておいたところですが、計算上の料率いうのは、あくまでも今後の予想値を用いたものですので、今回は賃金総額に占める給付の割合を実績ベースで比較して災害が増えているか、減っているかを判断できる災害発生度合で見たものに変更しています。

 続いて、東日本大震災への保険給付に対する労災保険率の改定における対応について説明をします。 12 ページを御覧ください。前回 3 年前の改定時においては、震災関連の給付については実績値がまだ出てきていないこともあり、震災に係る費用負担は平成 27 年度改定において算定することとされていたところです。

 今回の改定に当たり、平成 23 年度から平成 25 年度における実績を精査したところ、短期給付については、御覧のとおり平成 23 年の 109 億円から徐々に減っており、既に給付は収束しつつあるということで、今後の給付があったとしてもこれは些少と見込まれます。

 長期給付については、年間 25 億円程度が出ており、平成 25 年度末時点の震災関連の年金受給者は約 1,600 人であることから、今後給付を行うに当たり必要な金額、責任準備金として保有すべき金額は約 650 億円と算定しています。

 一方で、平成 25 年度末における労災保険の積立金は、震災関連分も含め、全ての年金受給者に対するものとしての責任準備金の額が 7 7,496 億円であるのに対し、現在の積立金が 7 8,000 億円であることから、震災関連分を含めても上回っている、充足しているといった状況です。こうしたことから震災分として、改めて料率を賦課する必要はないと判断しており、今回は料率化しないこととしています。

 続いて、予定利率の見直しについて説明します。予定利率については積立金の保有額の算定に必要となるもので、長期給付分の保険料率に影響するものです。今回予定利率を見直しをさせていただきたいと考えています。 14 ページのグラフにあるとおり、この 10 年間運用利回り、つまり実績値が予定利率を下回るといった状況があり、いわゆる逆ざやの状況が続いているといった状況です。

 労災保険の積立金については、各種法令に基づき全て財政融資資金に預託することとされており、いわゆる他の公的年金などのようにポートフォリオを見直す、運用先を見直す、そういったことにより運用利回りを改善させることができないため、逆ざやが生じていると将来に対して負担の先送りになってしまう可能性があります。

 そういった観点から、予定利率を適正な水準に設定したいと考えています。そこで実際に預託している額と金利を見ると、次回の料率改定は 3 年後になりますが、そこまでは少なくとも 1.73 %程度の利息収入が得られると試算しています。

 また、今年度に入ってからの預託金利、ここでは 1.4 %~ 1.5 %と書いていますが、本日付けからまた利率が下がってしまい、 1.2 %になっています。本年に入ってから 1.2 1.5 %といった状況です。こういったことを勘案しても、予定利率は今後見込まれる 1.7 %に設定することが適当ではないかと考えています。

 続いて、参考 1-3 です。先ほど業種別の保険率を示しましたが、今回の算定結果に至った計算の経過を示した詳細の資料です。このうち下から 10 番目の所に船舶所有者の事業があります。年金積立調整費用、ちょうど右から 3 分の 1 辺りの所ですが、船舶所有者の事業を除く業種で、積立金の返還分はマイナス 0.4 となっているところですが、船舶所有者の事業では、今回 1,000 分の 22.4 としています。平成 22 1 月に船員保険の職業性疾病部門、職務上疾病及び年金部門が労災保険制度に統合された際に、労災保険と船員保険の財政方式の違いにより、統合された年金受給者の将来給付分として保有すべき積立金が 1,388 億円不足していたことから、これを過去債務分として 35 年間かけて 1,000 分の 23.4 の保険料率で償還していくとしていましたが、統合当時と比べて船舶所有者の事業の労働者の減少度合が緩やかになってきたことから、今後見込まれる賃金総額についても、統合当時の見込みよりも多くなると見込んでいます。そういった直近の状況を踏まえて算定したところ、過去債務分の料率は 1,000 分の 1 引下げとなりました。船舶所有者の事業について、全体の保険料率も 1,000 分の 49 1,000 分の 1 引き下げといった状況になっています。

 続いて、第二種、第三種特別加入保険料について説明します。参考 1-4 1-5 です。参考 1-4 が区分ごとの改定案をまとめたもので、参考 1-5 が改訂結果の計算過程になります。特別加入保険料率についても基本的には一般の労災保険率と同様の考え方で、特別加入区分ごとの各 3 年間の給付実績等に基づき、料率を算定しています。一人親方等の第二種特別加入については、 18 の区分のうち 8 つの区分で引下げ、 5 つの区分で据置き、 5 つの区分で引上げといった状況です。また、海外派遣労働者に係る第三種特別加入保険料率については 1,000 分の 1 引下げ、 1,000 分の 3 となっています。

 続いて、労務費率の改定です。参考 1-6 を御覧ください。請負による建設の事業の場合、請負金額に一定の率を乗じて賃金総額を算出する特例が認められており、この一定の率を労務費率と言っています。

 この労務費率については、労災保険率の改定に合わせて 3 年ごとに改定を行っています。この 1. にあるとおり従来、請負金額については、消費税相当額を含んだ前提で労務費率を設定していました。そのため、平成 26 年、今年 4 月に消費税率が 5 %から 8 %に引き上げられた際に、消費税率 8 %を含む請負金額に現行の労務費率を乗じると、保険料の増額となってしまうという不合理が生じてしまうことから、今年の 4 月以降請負金額に 108 分の 105 を乗じて、それに労務費率を掛けるといった暫定措置を講じています。

 しかしながら、この暫定措置については事業主側、行政側双方において事務処理が煩雑になること、また、今後消費税率の改定が行われた場合において、また更なる暫定措置を講じる必要があることから、平成 27 年度から適用する労務費率については、消費税額を請負金額に含まない前提で設定し、保険料の申告時には消費税を含まない請負金額に労務費率を乗じた額を賃金総額とみなすよう事務処理を変更することとしています。

 また、改定に当たり建設の事業の労務費率の実態を把握するために調査を行っており、その調査に基づき労務費率を改定しています。本年の 5 月~ 6 月にかけて実施した調査の結果が、参考 1-6 2 枚目になっています。この調査結果の中位数をもち労務費率を設定することを原則としておりますが、労務費率が大きく変動すると労災保険率も影響することから、上げ下げ幅は 1 %を原則としています。

 ただし、機械装置の組立て又は据付けの事業の組立て又は取付けに関するものは労務費率がほかの区分と比べると 2 倍程度ということもありますので、こちらについては 2 %以内の上げ下げ幅にしています。

 この方針で設定した労務費率が参考 1-6 1 枚目の 3. の所です。今回の調査結果について、消費税込み、ここで言う従来べースですが、中位数はいずれも先ほど申した 1 %、 2 %以内に収まっていることから調査結果を整数値にまとめることをもって今回の改定案としています。

 これにより、今後消費税率の改定が行われた場合においても、暫定措置を講じる必要性がなくなります。また、本年 4 月以降行ってきた請負金額に 108 分の 105 を乗じるといった暫定措置についても、本年度末をもって廃止することとしています。

 労災保険率の改定内容についての説明は以上です。

○岩村部会長 それでは、ただいま御説明いただいた労災保険率等に関する一連の省令案の改正の要綱について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

○齊藤委員 資料 1 4 ページ以降の別添 1 において、労災保険料率の改正案が示されております。諮問案件でもありますので、確認させていただきます。

 まず、激変緩和措置の労災保険率の引上幅の上限についてです。激変緩和措置は参考 1-2 4 5 ページの、労災保険率の設定に関する基本方針に基づく措置であること自体は理解をしております。こちらの 10 ページに、平成 27 年度労災保険率の改定に当たり、労災保険率の引上幅の上限を 1,000 分の 1 とする一方、 11 ページにおいては、※の所で、激変緩和措置を講じる業種以外の業種は、激変緩和措置分の 1,000 分の 0.1 を一律に負担するとしております。

 前回、平成 24 年度改定時においても、同様の措置が取られた経緯もありますが、今回の引上幅の上限を 1,000 分の 1 と設定した背景と考え方を、改めてお伺いしたいと思います。

○岩村部会長 では、事務局からお願いします。

○労災保険財政数理室長 まず、 1,000 分の 1 がどうかという話ですが、現在の保険率の設定の考え方になってから 1,000 分の 1 でずっとやってきたということも 1 つの参考としています。それと併せて、激変側措置による負担軽減分を他の業種で負担することになりますが、その負担の大きさが余りにも大きくなってしまうと、問題があります。そういったことも勘案したところ、激変緩和措置による引上幅を 1,000 分の 1 、それで 1,000 分の 0.1 を他の業種で負担していただくといったことで考えています。

○岩村部会長 齊藤委員、よろしいでしょうか。

○齊藤委員 はい。

○岩村部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○立川委員 激変緩和措置の適用業種についてお伺いします。参考 1-2 11 ページですが、今回は、激変緩和措置を講じる業種が 12 業種、そのうち労災保険率を据置く業種が 8 業種ということになっています。前回、平成 24 年度改定時には、労災保険の据置きに関して質問させていただきましたが、据置業種については、収支の改善が見られることが分かる場合には据え置き、据置きした業種の収支が悪化していく場合であれば、次回以降に引き上げるとの答弁がありました。今回、平成 27 年度改定に当たっても、そのような考え方を踏襲しているかを伺いたいと思います。

○労災保険財政数理室長 基本的にはその考え方を踏襲いたしております。ただ、激変緩和措置の考え方としては、前回は算定上の料率という見込みの料率で判断していたのを、今回は実績ベースの災害発生度合の比較で行っております。実際に算定料率が高かったとしても、災害発生度合が改善されている、災害が減っていると認められる業種については、据置きということにさせていただいております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

○立川委員 はい。

○岩村部会長 ほかにはいかがですか。

○黒田委員 同じく参考 1-2 12 ページ、東日本大震災による労災保険率への影響の所の予定利率の見直しですが、前回 3 年前には、検討項目として先送りされ、その影響と対応案が今回示されたわけですけれども、結論としては、新たに賦課などは必要なし、料率化しないということです。それは積立金の累計金額が平成 25 年の年度末でも 7 8,008 億円であること、そこから照らして考えても、事務局の提示どおり、料率化しない対応が適当ではないかと思っています。こちらは意見です。

 もう 1 点は、要請で、 14 ページの予定利率の見直しの所です。積立金の運用状況及び予定利率の見直しについて、グラフに示していただいておりますけれども、積立金の預託状況を踏まえて、適正な予定金利を設定していくこと自体は、健全性の確保の観点からも、大変重要であると思っております。

 ただ、近年の利回りの実績からは、今後も予定利率の見直しを適宜実施していかなければいけないとも考えています。事務局におかれましては、透明性確保の点からも、予定利率などの見直し状況を、都度、この本部会で御報告いただけるように要請したいと思います。以上、 2 点です。

○岩村部会長 ありがとうございます。事務局は何かありますか。お願いします。

○労災保険財政数理室長 予定利率の見直しについては、従来から労災保険率の設定の際に検討をするといったことを当部会でも御議論されておりますので、その辺については、今後とも引き続きそのようにさせていただきたいというように考えております。

○岩村部会長 ほかによろしいでしょうか。特にないということでよろしければ、本件については次回の部会において、引き続き議論をしたいと考えますが、それでよろしいでしょうか。

(異議なし)

ありがとうございます。

 それでは、議事次第の 2 番目の議題に移ります。読み上げると非常に長いので、要するに、いわゆるマイナンバー法の施行に伴う労災則などの一部の改正についてということになっています。これも先ほどと同じく、諮問案件です。では、事務局で資料を用意していただいていますので説明をお願いします。

○労災管理課長 それでは、議題 2 の「マイナンバー法の施行に伴う、労災則等の一部改正について」御説明いたします。

○労災管理課長補佐 ( 企画 )  まず、最初に読み上げをいたします。資料 2 を御覧ください。

 厚生労働省発基 1210 2 号、労働政策審議会会長、樋口美雄殿。別紙「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱 ( 労働者災害補償保険法施行規則、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則、労働者災害補償保険特別支給金支給規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部改正関係 ) 」について、貴会の意見を求める。平成 26 12 10 日、厚生労働大臣塩崎恭久。

 別紙、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案要綱 ( 労働者災害補償保険法施行規則、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則、労働者災害補償保険特別支給金支給規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部改正関係 ) 。第 1 、労働者災害補償保険法施行規則の一部改正。 1 、労働者災害補償保険法に基づく請求等のうち一部について、記載事項に個人番号を追加するものとすること。 2 、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定により、従前提出を求めていた添付書類等と同一の内容を含む特定個人情報の提供を受けることができるときは、当該添付書類等が省略可能であることを明示するものとすること。第 2 、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部改正。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則様式第 1 号及び第 6 号に法人番号を記載する欄を追加するものとすること。第 3 、労働者災害補償保険特別支給金支給規則の一部改正。労働者災害補償保険特別支給金支給規則に基づく申請のうち一部について、記載事項に個人番号を追加するものとすること。第 4 、厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部改正。厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則様式第 1 号及び第 7 号に法人番号を記載する欄を追加するものとすること。第 5 、その他。その他所要の規定の整備を行うものとすること。第 6 、施行期日。この省令は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行の日から施行するものとすること。ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行するものとすること。 1 、第 1 1 及び第 3 、同法附則第 1 条第 4 号の政令で定める日。 2 、第 1 2 同法附則第 1 条第 5 号の政令で定める日。以上でございます。

○労災管理課長 その人のいわゆるマイナンバー、番号制度の施行のために、厚生労働省所管の省令改正を整備省令の形で行う中で、労災保険法施行規則などの改正を行うために、諮問させていただくものでございます。

 参考 2-2 です。既に御案内のことと存じますが、平成 25 年度に番号法が成立しているところです。その概要がこちらの資料です。

 次ページに、個人番号の利用範囲が記載されています。労災保険制度においては、厚生年金との併給調整を行っておりますが、日本年金機構から個人番号を用いて情報提供を受けることで、従来提出を求めていた添付書類の省略を可能とすることを考えております。

 次ページの番号制度においては、個人番号とは別に、法人などに対して法人番号が付番されます。この番号を活用することで、日本年金機構の厚生年金適用事業所の情報、あるいは法務局の法人登記簿の情報を効率的に検索して、労働保険の未手続事業所対策を効率的に行うことができるというように考えているところです。

 次ページは、番号制度全体のスケジュールが示されています。平成 27 10 月から個人番号、法人番号が付番される予定です。平成 28 年から番号制度がスタートいたします。しかしながら、個人番号を含む個人情報、いわゆる特定個人情報ですけれども、これについての国の機関同士の情報連携については、紫色の所のとおり、平成 29 1 月から予定しています。

 具体的に諮問させていただく省令改正については、参考 2-1 です。労災保険の省令改正について大きく分けると、 2 の改正内容の所にある (1) (3) の個人番号に関わるもの。それから、 (2) (4) の法人番号に関わるものです。 (1) (3) については、個人の方が労災保険の請求や特別支給金の請求をなされる際に、個人番号を記載していただくことで、厚生年金の受給情報や住民票の情報を年金機構などから入手し、従来提出を求めていた添付書類が省略できる旨を明記するものです。 (2) (4) は、法人の方が、労働保険関係成立届など提出される際に、法人番号を記載していただくための記入欄を設ける様式改正です。

 具体的には、参考 2-3 です。例えば、 1 ページ目の一番下に法人番号の欄が設けられますが、こういう形で様式を改正するものです。これらの施行日については、様式改正に関わるものが平成 27 10 月、請求時の記載事項に関わるものが平成 28 1 月、日本年金機構との情報連携に関わるものは、平成 29 1 月をそれぞれ予定しています。議題 2 については以上です。

○岩村部会長 それでは、ただいま説明いただいたマイナンバー法の施行に関わる労災則等の改正について、御質問、御意見がありましたらお出しいただきたいと思います。

○吉村委員 諮問案件であり、意見と要請をしておきたいと思います。参考 2-1 には、改正内容が整理されておりますが、説明いただき、法人番号に係る内容についての省令改正事項であると理解しております。

 参考 2-3 は、諮問されている内容について具体的な様式が示されておりますが、特段意見を付すべき問題はないと受け止めております。

 今後、本制度の施行に当たっては、個人情報に関わる内容であり、十分な事前の周知と、事後のフォローを要請しておきたいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。御意見ということだと思います。ほかにはいかがでしょうか。特にないということでしたら、これについても諮問案件ということですので、次回の部会において、引き続き審議をしたいというように考えていますが、それでよろしいでしょうか。

(異議なし)

ありがとうございます。

 それでは、次の議題に移ります。議事次第にある 3 番目の議題は「社会復帰促進等事業に係る平成 25 年度成果目標の実績評価及び平成 26 年度成果目標等について」です。これについても資料を用意していただいていますので、事務局から説明をお願いします。

○労災管理課長 それでは、議題 3 の「社会福祉促進等事業に係る平成 25 年度成果目標の実績評価及び平成 26 年度成果目標等について」を御説明いたします。

○労災管理課長補佐 ( 企画 )  お手元の資料に沿って御説明させていただきます。まず資料 3-1 の主な論点です。本日の議題は 3 つ御用意しております。まず、議題 (1) 社会復帰促進等事業に係る平成 25 年度成果目標の実績評価及び平成 26 年度成果目標についてです。平成 25 年度の評価等については、 7 月の部会で御議論いただいたところですが、独法の運営費交付金による事業など、その段階では実績が出ていないものなどについて、今後評価を行うものとし、積み残した事業というものがあります。これが 15 事業です。本日はこの 15 事業について、実績が出ましたので、議論のポイントにありますように、 B 及び C 評価の目標未達成事業について、主に原因を分析の上、改善措置が講じられているか、こういったことを中心に御議論いただければと考えております。ちなみに目標未達成事業は下にありますように、 B 評価が 1 事業、 C 評価が 1 事業、計 2 事業です。次に議題 (2) ですが、平成 25 年度評価の 27 年度概算要求への反映状況についてです。 25 年度評価については、先ほどの積み残し 15 事業の評価を終えましたら、全ての事業について評価いただいたことになります。こちら 25 年度の評価を踏まえ、どのように 27 年度の概算要求に反映しているか、こういったところについて御議論いただきたいと思っています。特に B 及び C 評価の事業については、 7 月の部会で御議論いただいたものも含めれば、全部で 10 事業あります。こういったものがどのように反映されているのかを御説明させていただきたいと思います。最後に議題 (3) 平成 27 年度新規事業についてですが、 27 年度概算要求において、新規で要求しました事業は 4 つあります。これらについて御説明させていただくとともに、必要性は妥当か、社福事業で行う必要はあるか、こういったことについて御議論いただければと考えています。

 議題 (1) について、資料 3-3 を御覧ください。積み残した 15 事業のうち、 C 評価、 B 評価の事業について御説明いたします。まず、 C 評価の事業は、事業番号 56 、技能実習生に対する事故・疾病防止対策等の実施のための経費です。これは技能実習生の安全衛生の確保を図るため、技能実習生の事故・疾病防止に関するマニュアル、チェックリスト等を作成する、また、安全衛生アドバイザーや、メンタルヘルスアドバイザーを配置し、受入れ企業団体に対して、相談、助言を行うとともに、要請等に基づき実地指導を行う、こうした事業です。この事業については、アウトカム指標を技能実習 1 号の死傷者年千人率が 6.48 以下という形の指標を設定していたところ、 25 年度実績は 6.52 ということで、目標に届かず、 C 評価となったものです。理由の欄の、目標未達成の理由については、労働災害被災者数の把握に当たり、 24 年度分までは技能実習生の 2 号といった方々を受け入れている機関を調査対象としていたところ、 25 年度分より、技能実習生 1 号のみを受け入れている機関も調査対象として広げたこととか、実績として、建設業、金属製品製造業等の業種において、労働災害者数が増加したことに伴い、全体の数が増加したことが要因と考えております。

 また、改善事項の欄の、各方面から技能実習制度の適正化が求められている中、安全衛生における取組は引き続き必要であるとの認識の下、本年度は専門家による巡回指導件数を 25 年度と比べ約 2.5 倍にし、違反が多い安全衛生分野に係る指導を強化することで、受入れ企業における労災防止に努めていることとしています。また、労災被災者数が増加傾向にある建設業については、「安全衛生マニュアル」を作成し、また、金属製品製造業については、これは 25 年度に作成いたしましたマニュアルの配布、こういったような取組も実施することにより、労災防止に関する周知啓発を一層推進しているところです。

26 年度のアウトカム指標ですが、 6.48 以下という形でお示しています。このアウトカム指標については、この部会の前に開きました、 11 28 日ですが、社会復帰促進等事業に関する検討会において、 6.52 以下との指標を提示いたしましたところ、委員の方から、単に前年度の実績をベースに目標を設定するのではなく、毎年度、より高い目標の設定を図るべきとの御指摘をいただき、この部会において御指摘を踏まえたものを提示させていただく旨、御回答させていただいたところです。検討会でお示しいたしました 6.52 以下の指標については、 25 年度分より調査対象を約 4 割拡大したことにより、分子である技能実習 1 号の死傷者数が必然的に多くなったことを踏まえながら、 25 年度実績と同じ数値である 6.52 を設定したものです。

 ただ、検討会におけるより高い目標の設定を図るべきとの御指摘を踏まえ、先ほども御説明いたしました、専門家による巡回指導件数を 2.5 倍に拡充することとか、各種マニュアルでの周知、作成等を通じて、労災防止に関する取組を一層推進することとしていることから 25 年度分以降、調査対象が大幅に拡大されていることを踏まえつつも、 6.48 以下ということで、より高い目標を提示させていただいているところです。

2 ページは B 評価の事業です。事業番号 5 、障害者職業能力開発校施設整備費です。一般の職業能力開発校で職業訓練を受けることが困難な障害者等を対象に、職業に必要な技能・知識を習得させ、又は向上させるために、障害者職業能力開発校の訓練機器及び施設の整備を行う事業で、労災勘定からは施設整備費を計上しているところです。評価指標としては、建物が有効活用されているかどうかを測るため、アウトカム指標に就職率 61 %以上、また、アウトプット指標に施設の充足率 80 %以上といったものを設定していましたが、アウトカム指標については就職率 61 %以上を達成したものの、アウトプット指標について、 75.3 %ということで、目標に届かず、 B 評価となったものです。理由は、求職障害者のうち精神障害者や発達障害者の求職申込み件数が大きく増加している中、現状は精神障害者や発達障害者に対応した訓練コースの設定が少ないことを要因として考えています。

26 年度については、労働市場の動向や各種ニーズ等を踏まえた訓練科目の見直しを行うことで、より一層の充足率の向上を図り、また、就職を希望する精神障害者や発達障害者に対応するため、訓練指導員に対して指導技法等を提供する事業に取り組んでおり、引き続き支援難度の高い障害者の受入れ体制を整備しています。 26 年度のアウトプット指標ですが、 25 年度と同様、充足率 80 %以上というものを設定しています。

 次に資料 3-4 の、社会復帰促進等事業に係る平成 25 年度評価の平成 27 年度概算要求への反映状況です。 B 及び C 評価の事業のうち、増額要求を行っているものについて御説明いたします。まず、 C 評価の事業について、これは事業の見直し又は廃止、このような評価ですけれども、こういった中、増額要求を行っているものとして、 1 ページの 2 事業があります。 1 つ目が事業番号 71-1 、労働時間等の設定改善の促進等を通じた仕事と生活の調和対策の推進です。これは労働時間の設定改善を進め、ワーク・ライフ・バランスの実現を図るため、中小企業事業主団体等がその傘下の事業主に対して、労働時間設定改善の相談や指導等を行った場合に助成する、団体向けの労働時間等設定改善推進助成金、また個別企業向けの職場意識改善助成金、こういったものを支給するような事業です。

 この事業については、労働時間等設定改善推進助成金、団体向けの助成金ですが、こちらについて満足度調査の結果が目標に届かなかったことや、支給決定件数 10 件以上とするとした目標が未達成、こういったことを受け、 C 評価になったわけです。一方「経済財政運営と改革の基本方針 2014 」において、ワーク・ライフ・バランスを抜本的に変革することが求められるとともに、「『日本再興戦略』改訂 2014 」においても、長時間労働抑制策を進めることとされていることを踏まえ、引き続き本事業を実施すべく予算要求をしたところです。

27 年度の見直し内容ですが、労働時間等設定改善推進助成金については、目標が未達成であることや近年利用実績が低調であったことなどを踏まえ廃止する一方、支給実績も多い職場意識改善助成金、個別企業向けの助成金について、支給対象の拡充等を行うため、増額要求したところです。

 事業番号 17 、労災特別介護施設設置費です。こちらは在宅での介護を受けることが困難な高齢労災重度被災労働者に対して、介護サービスを提供するための施設で、入居者の安全な生活環境の整備を図るため、施設の特別修繕を行う事業です。この事業については、アウトカム指標を緊急性の高い介護施設の修繕の実施と、このような形としていたところ、入札不調により、予定していた修繕が実施できず、目標を達成できませんでした。しかしながら、本事業は設備等の経年劣化を伴う修繕を行う事業で、入居者の安全な生活環境の整備を図るため必要であるとの認識の下、引き続き本事業を実施すべく予算要求をさせていただいたところです。 27 年度の見直し内容ですが、入居者の生命・生活維持に直接影響を及ぼすような緊急性の高い修繕案件、こうしたものが存在するため、増額要求をしたものです。

 次に、 B 評価の事業について御説明いたします。 4 ページを御覧ください。 B 評価というものは、施策は継続だが予算額又は手法等を見直す。このような評価ですが、増額要求を行っているものが 2 事業あり、 4 5 ページにあるものです。まず、 4 ページの事業番号 71-2 、テレワーク普及促進等対策です。こちらは、 2020 年にはテレワーク導入企業を 2012 年度比で 3 倍、週 1 日以上、終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の 10 %以上にする等の政府目標に向けて、適正な労働条件下でのテレワークの普及・促進に取り組む事業です。この事業につきましては、テレワーク実施時の労務管理の留意点や成功事例の紹介等を行うテレワークセミナーの開催といったものについて、アウトプット指標でセミナーにおける集客数を 300 人以上という形で設定しましたところ、目標に届かなかったものです。 27 年度の見直し内容ですが、仕事と子育て等の両立が可能となる適正な労働条件下でのテレワークの普及・促進のため、適切な人事評価等が可能となる新たなテレワークモデルを確立するための実証事業の拡充を行うとともに、テレワークに取り組む業界団体への支援、テレワークに係る気運の醸成のためのシンポジウムの開催等を新たに実施することから、増額要求をさせていただいたものです。

5 ページの事業番号 5 、障害者職業能力開発校施設整備費です。先ほど資料 3-3 でも御説明させていただきましたが、障害者職業能力開発校に対する施設整備費です。訓練機器の更新について、より緊急性の高い機器に絞って要求することにより、要求額の削減を図っている一方、大規模耐震改修工事や消防設備の不備によって、消防署から指摘を受けている施設の建て替えなど、スケジュールの後ろ倒しが困難なものがあり、こうしたものについて要求額が増となったものです。ここで社福事業検討会において、全体にわたる御意見として頂戴しましたものを御紹介いたします。社福事業で行うべきか一つ一つしっかりと考えるべき、また各事業の重要性、緊急性が分かるようにしてほしい、こういった御意見を皆様方から頂いたものですので、次回以降の予算要求への反映の際には、しっかりと分かるように、宿題事項として検討させていただきたいと思っております。

 最後に、新規事業の御説明ですが、資料 3-5 を御覧ください。 4 つの新規事業について、簡単に御説明させていただきます。 1 つ目は、長期にわたる療養が必要な労働者の復職等支援についてです。 2 ページ目の、労働環境の変化等により作業関連疾患が増加していまして、また医療技術の進歩に伴い、これまで治らないとされていた疾病が治るようになり、職場復帰を目指して治療を受ける労働者や、治療を受けながら就労する労働者等、長期にわたる療養が必要な疾病を抱えた労働者が増加している、このように認識しています。しかしながら、長期の療養の間、勤務条件の問題等から元の職場で勤務することが困難となるケースといったものが、一定程度存在しているという形で認識しています。

 このため、本事業は社会復帰促進等事業、 29 条の第 1 号の事業として、長期療養が必要な疾病を抱えた労働者の「復職支援を行う復職等支援コーディネーター」の養成といったものを行い、また、医療機関と事業場の橋渡しをすることで、治療を行いながら就労を継続するためのモデル事業を実施するための事業を要求しています。

2 つ目に 4 ページ目の、東電福島第一原発の施設内の緊急医療体制強化への支援です。東京電力福島第一原発事故では、事故直後、東京電力が労災被災者に対応する医師等を独力で確保できませんで、厚生労働省が医師のあっせん等を行い、医師の 24 時間常駐を実現いたしたところです。現在は日本救急医学会が中心となり、「ネットワーク」を構築し、医師のあっせん等を行っている状況です。しかしながら、こういった取組については、ボランティアなので、その継続性が確保されていないとか、また他の原発では同様のネットワークが存在していないといった問題があります。そのため、本事業において、安全衛生確保等事業として、緊急時に原発内に派遣される専門人材の育成、また、原発内外の連携を強化するための地域連絡会の開催、労災被災者搬送訓練等、ネットワークの永続性確保及び他原発への対象拡大といったものを実施することとしています。

3 つ目に、 7 ページの過労死等防止対策推進法の施行に要する経費です。過労死等防止対策推進法は本年 11 月に施行されたところですが、この法律において、国は過労死等の防止のための対策を効果的に推進する責務を有することとなっています。また、過労死等に関する実態の調査等を行う施策、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、これに対する国民の関心と理解を深めるための施策を実施することとされています。このため、本事業は、安全衛生確保等事業として、企業、労働者等を対象とした、過労死等に関する意識や過重労働防止に対する取り組み状況等についての調査研究、また各種媒体を活用した周知・啓発、 11 月の過労死等防止啓発月間でのシンポジウムの開催といった新規事業としての経費を要求しているところです。

4 つ目に、未熟練労働者に対する安全衛生教育の推進のための経費です。今後、未熟練労働者の増加が見込まれることから、未熟練労働者への安全対策、とりわけ安全衛生教育の充実が一層重要となると思っています。このため、本事業は安全衛生確保等事業として、労働災害が多い製造業、とりわけ安全管理体制が脆弱でノウハウの乏しい中小規模の事業場において、未熟練労働者に対する安全衛生教育がより効果的に行われるよう、未熟練労働者への安全衛生教育の実態等をヒアリングし、安全衛生教育の実施に係る事業者向けのマニュアルを策定する、こうした事業を要求しています。新規事業については以上です。

 最後に参考資料、その後の資料を御説明させていただきたいと思います。資料 3-6 、社会復帰促進等事業費の推移についてを御覧ください。社会復帰促進等事業費については、平成 17 年度から目標管理、こういった今の PDCA サイクルみたいなものを実施しています。また社会復帰促進等事業費の予算額については、平成 21 年度予算までに、 17 年度予算の 4 分の 1 を削減し、 917 億円規模を目標とし、着実に予算の削減に取り組んできたところです。下のグラフにありますとおり、 21 年度補正後の予算、また 23 年度の補正後予算、こちらについてはリーマンショックあるいは東日本大震災の影響を受けまして、未払賃金立替払事業などについて、補正予算を組んだ結果、対前年度より予算が増額になっていますが、こういったものを除くと、目標に沿った削減が図られてきているところです。

27 年度の概算要求額については、 683 億円と、対前年度費で 0.2 億円の減額となっています。

 資料 3-7 、資料 3-8 は、社会復帰促進等事業費各号別のものですが、そういったものの推移とか、未払賃金の立替払の状況については、説明を省略させていただきます。

 資料 3-9 労災保険経済概況を御覧ください。この表は 27 年度要求から遡って 5 か年の労災保険全体の財政状況について示していますが、今回、 25 年度の決算が出ましたので御報告いたします。 25 年度の決算は収入が 11,492 億円で、 24 年度決算と比較し、 326 億円増加しています。一方、支出は、 24 年度決算と比較して 255 億円減少の 11,926 億円となっています。この減少の主な要因は、下の保険給付費等の減少といったものが要因として挙げられるところです。収入から支出を差し引いた決算上の収支ですが、 434 億円のマイナスとなっています。このマイナス分については、積立金より補足して決算を終了しています。

 この結果、平成 25 年度末の積立金累計額は、先ほど料率のところでも御説明いたしましたが、 78,008 億円となっています。赤字の決算はこのような形になり、積立金を取り崩していますが、これは予定された赤字でして、積立金については、平成 20 年度までにほぼ必要額が積み上がり、更に近年、年金受給者が減少傾向にありますので、必要な責任準備金も減少し、それに応じて積立金も減少していくという関係で、 26 年度以降の予算上も、赤字を計上し、決算上においても赤字になるというもので、当面このような赤字の決算の状況が続くものというように考えています。資料の説明は以上です。

○岩村部会長 ただいま事務局から説明のありました、社会復帰促進等事業に係る実績の評価、あるいは成果目標に関して御意見、御質問がありましたらお願いします。

○新谷委員 説明の中にも何回か出てきましたが、この社会復帰促進等事業については、政府と使用者において懇談会が設けられ、そこでまず話合いが行われているといます。私ども労働側は、そこに参画する機会がありませんので、この場で意見を何点か申し上げておきます。

 まず資料 3-3 1 ページに書いてあります、技能実習生に対する事故・疾病防止対策のための経費が C 評価だったということです。これは、アウトカム指標の千人率が未達ということです。技能実習生については、今年の 6 月にまとめられた政府の成長戦略「日本再興戦略改訂」 2014 の中でも、制度の適正化を前提に、職種の拡大であるとか、受入期間の延長といったことが政府の方針として閣議決定され、それを受けて、現在、法務省と厚生労働省の共管による検討会が進められています。そういう状況の中で、政府として外国人技能実習制度については適正化とともに、対象者を広げていくことが同時に検討されています。

 外国人技能実習制度については、まずもって制度の適正化が求められています。この制度についてはいろいろ社会的な批判を浴びており、国内からの指摘だけではなく、アメリカ国務省の人身取引報告書においても、奴隷労働であるとの指摘までなされています。これは、毎年毎年指摘されています。技能実習生が健康で安全に働く職場を、我が国がどのように政府の責任として確保していくかは大事な視点だと思います。

 その上でこの目標が 6.48 となっているのですけれども、これは高い目標であるという説明が先ほどありました。この技能実習は 1 号だけを取っていますけれども、今は 1 号と 2 号を合わせて 15 万人程度の方が来られています。職種別には、一番多いのが金属機械で、その次が繊維・服飾、その次に多いのは食品製造、その次が農業、その次が建設という順番になっています。ここには建設が書いてあるのですが、建設のウエイトはそんなに高くないです。職種別の千人率は加重平均を取れば出てくると思うのです。一般の労働者に比べて、技能実習 1 号の実績 6.52 というのは、加重平均にしたら、全労働者平均と比べ、これは高いのか低いのかをまず教えてください。これが 1 点目です。

2 点目は、これを改善する、ということで、改善事項に書かれているのが、巡回指導件数を 2.5 倍にする、それで改善をするということでした。資料では、その目標を 2.5 倍した結果が、安全衛生アドバイザーによる実地指導が 850 件、メンタルヘルスアドバイザーが 150 件となっていますが、技能実習 1 号の受入れ実習機関が全国に何箇所ぐらいあって、どれぐらいカバーしているのかを教えてください。この 2 点をまず教えてください。

○岩村部会長 これは、担当のほうから説明していただけると思いますので、よろしくお願いします。

○事務局 外国人研修推進室の池田です。 2 点御質問を頂きました。 1 点目は適正化を前提に議論を進めている中で、職種別に見ると、普通の実習生で考えれば繊維だとか、その他の業種も多い中で、日本人との比較がなされているのかという点についてです。日本人との比較については、技能実習生数が全体の日本人の労働者と比べると、数としては非常に少ないということ、特定の職種でしか受け入れられていないこと、働く期間が最長でも 3 年であるといったことなど様々の違いがあるので、一概に比較はできないと考えています。日本人との比較については、今後更に安全衛生部局とも精査してまいりたいと考えております。

 ちなみに繊維業での業種の労働災害発生者数、技能実習生数についてみると比較的低い中で、建設や金属製品は割合としては高くなっていて、そういう対策として安全衛生マニュアルなどを作成、周知に努めていく取組をしています。

2 点目についてですが、安全衛生のアドバイザーについてどれだけ専門家がカバーしているかについてです。アドバイザーについては、安全衛生アドバイザーとメンタルヘルスアドバイザーと両者の専門家を用意しております。平成 26 年度において取り組むこととしております人数は、全国で安全衛生アドバイザーが 23 名、メンタルヘルスアドバイザーが 7 名ということで、東京本部だけではなくて、北海道から九州など全国に配置している中で、必要に応じて指導などをしています。

○新谷委員 質問に答えていただいてないのですが、それはデータがないからかもしれません。もう一度質問しますが、特に後段は、改善項目、人数のことを質問しているのではなく、実習の受入機関、技能実習 1 号の受入機関がどれぐらいあって、それが今は 850 件が目標になっているわけですから、そのカバー率がどのぐらいなのかをお聞きしたかったのです。要するに改善すると言っているのであれば、どのぐらいをカバーしているのか。例えば 3 分の 1 ぐらいはカバーしているのか、 10 分の 1 なのか、 100 分の 1 なのか、それが全然見当も付かないわけです。人数ではなくて、実施機関のカバー率を教えてください。分からなければ後でまた教えてください。

 発言の主旨は、問題があるということを指摘して、予算を減らせなどと言うつもりは全然なくて、労働側としては、実習生の受入れについては、制度の適正化がまずあるべきだと考えています。実態としては、不適切な事案が多数あって、パスポートを取り上げたり、労働基準法関係の違反が多数あったり、監督官が立ち入ると 8 割の事業所で違反があります。技能実習生の健康と命を守るために、こういう活動は是非やってほしいのです。

 ところが資料 3-4 3 ページを見ると予算が減額されています。政府の方針として、ここは拡充すると閣議決定しているにも関わらず、 3 ページでは平成 27 年度予算が減額されてしまっているのは非常に残念だと思います。ここは、是非力を入れてやっていくべきということを、意見として申し上げておきます。

○岩村部会長 担当室のほうでは、今の御質問の点についてはいかがですか。

○事務局 具体的な御質問については、追って先生にコメントしたいと思います。御意見の部分については御意見として承ります。

○岩村部会長 今の件について何かありますか。

○田久委員 建設に関しては増えているということで、外国人だけではなく、今は労災事故自体が増えている関係があります。この安全衛生マニュアルを作成するという部分では、外国人ということではなくて、やはり全体を通じたところできちっと災害防止に向けたものとしてのマニュアルを完成させていただきたいという要望は是非伝えておきます。

○岩村部会長 別の件でも手が挙がっていましたのでお願いします。

○吉村委員 資料 3-4 1 ページです。事業名が「労働時間等の設定改善の促進等を通じた仕事と生活の調和対策の推進」ということで、長時間労働は労働側も問題である、削減しなければならないと思っている内容です。そこの見直しの内容として、団体向けの助成金を廃止する一方、個別助成の拡充等を行うこととしておりますが、本事業の成果については、労働側からは非常に不明瞭であるという印象が拭えない状況にあります。このような状況にもかかわらず、概算要求では増額されていますが、本事業はどのような目的、指標に対して何を実施しているのかを改めて説明してください。

○岩村部会長 担当部署からお願いします。

○事務局 労働条件政策課です。「労働時間等の設定改善の促進等を通じた仕事と生活の調和対策の推進」ということですが、まず大きな柱として個別の企業に対する支援に力を入れて今後やっていきたいと思っている点があります。 1 つには、資料にも書かせていただきました個別企業に対する職場意識改善助成金 ( 個別助成 ) について、支給対象の拡充等を検討させていただいております。これによって、労使で個別企業で取り組む中小企業の方に助成をしていくのが 1 つです。

 それ以外にも個別企業への支援として、都道府県労働局に、働き方・休み方改善コンサルタントという、主に社会保険労務士からなる専門家を配置しております。その者による職場の実態に応じた長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進等についての支援をさせていただいています。

 個別企業の支援以外にも、地域や業界団体に対する支援も、気運の醸成という観点からも必要であると考えています。例えば一例を申し上げますと、地域のイベントをやっている日に、地域ぐるみで年次有給休暇の取得を促進すると、そこで年次有給休暇の取得に対する意識等が芽生えてくるという活動も併せてやらせていただいています。

 さらに、ホームページ等で好事例等の発信を今後引き続きやっていこうと思っております。そういう中で先進的な取組をやっている企業等についても紹介していきたいと思っています。塩崎大臣の下に、長時間労働削減推進本部を設置していて、その中でも厚生労働省の幹部自らがリーディングカンパニー等に働きかけ、そこで労働時間の改善であるとか、年次有給休暇の取得促進等について働きかけをするというようなことも、併せて取り組んでいます。

○吉村委員 質問なのですが、 1 点目の具体的な取組で言われた、職場意識の改善の助成金というのは、具体的にどのような助成なのでしょうか。

○事務局 職場意識改善助成金の内容について御説明いたします。支給対象となるものとしては、労務管理担当者に対する研修や、中小企業診断士等の専門家によるコンサルティングの経費、労働能率の増進に資する設備・機器等、例えば小売業がPOS装置を購入することにより、労働時間が短縮できるようであれば、そういうものに対する助成をやっています。

○岩村部会長 ほかにはいかがですか。

○新谷委員 示された論点の 3 つ目の、平成 27 年度の新規事業について意見を申し上げます。資料 3-5 に新規事業を 4 つお示しいただいています。社会復帰促進等事業の目的には、安全衛生の確保等の事業も含まれています。その中には、労働者の安全と衛生の確保を行う事業が当然入ってきます。

 昨今の労働災害を取り巻く状況を考えると、今年の 8 月には厚生労働省から、今年上半期の労働災害発生状況が非常に厳しい状況になっているということを踏まえ、緊急要請が行われました。特に死亡者数が昨年同時期に比べて 20 %近く増えている。業種別に見ると建設、第 3 次産業、製造業、陸上貨物運送で非常に増えているということが、分析として出ています。社会復帰の新規事業は、それぞれについて非常に重要な事業だと思います。後ほどその各論については意見を申し上げようと思います。こういう現下の緊急事態の状況の中で、この対策だけで大丈夫なのかということです。

 もちろんこれは新規事業だけではなくて、既存の事業の予算の積み増しとか、事業の見直しの中で行っていく。もちろん社会復帰等事業だけではできないということもありますけれども、この新規事業が、そういう視点からいって、現下の状況の中でこれがふさわしい事業なのか、これで足りるのかということについてお考えがあれば教えてください。

 もちろん安全衛生対策については、別途、労政審の安全衛生分科会を三者構成主義でやっており、そこで議論されています。ここに出てくるような事業が、冒頭に申し上げたように我々労働者が入っていない社会復帰等の事業の懇談会の中で、政府と使用者だけで話が進められて、その結果が出てくる。この体制については従来から労働側が主張しているように、非常に違和感があるということも重ねて申し上げておきます。

○岩村部会長 後段は御意見の表明ということだと思いますけれども、前段については御質問ですので、事務局からお答えください。担当課からお願いします。

○事務局 安全衛生部計画課です。資料では平成 27 年度要求の新規事業ということで、こういう形で出させていただきましたが、御指摘のとおり、現下の状況を踏まえ、どういう対策を取っていく必要があるのかについては、今後も引き続きその状況を見ながら、適切な対策を打てるように予算要求も含めて対応してまいりたいと考えております。

○新谷委員 分かりました。これは新規事業だけではないと思いますけれども、今、重点業種対策として、第 3 次産業、陸上貨物、建設、それぞれに重点対策が打たれています。もちろん、それは社会復帰等事業だけではないのでしょうけれども、予算的には対策も含めて、今言った重点業種対策はきちんと選定されているのかどうかを、もう一度確認させていただきます。

○岩村部会長 担当部課からお願します。

○事務局 引き続き計画課です。業種や事故の型など、重点対策の対象については、適宜、労働災害発生状況などの各種情報を踏まえつつ、選定してきているところですが、今後とも、適切に対応してまいりたいと考えております。

○岩村部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○黒田委員 続いて意見になると思います。資料 3-5 5 ページの過労死等の防止対策推進法の施行に要する経費の所です。これは平成 27 年度の新規事業である、過労死等防止対策推進法の施行に要する経費ということです。我が国においては、毎年 100 名を超える労働者が過労死と認定されているとおり、長時間労働の是正が進んでいないことから、過労死等の撲滅に向けた取組の強化は喫緊の課題であると思います。

6 ページや 7 ページには、国の責務とすべき事項が記載されています。過労死は突然発生するわけではなく、労働時間の規制強化とは切っても切れない関係があります。労働側としては、過労死等の防止に向けては、「過労死等の防止の対策」と「労働時間規制の強化」密接不可分な両輪だと考えており、意見として強く申し上げておきます。

○岩村部会長 御意見ということで承ります。

○齊藤委員 新規事業の 8 ページの、未熟練労働者に対する安全衛生教育の推進のための経費に関して意見を申し上げます。学校卒業後に初めて就いた仕事が、非正規雇用である若者の割合が増加しており、直近では 4 割近くにまで及んでおります。また、正社員として働ける機会がなく、非正規で働いている労働者の割合は、 25 34 歳では 26.9 %と 4 人に 1 人を超えている状況です。新規学卒者の卒業後 3 年後の離職率は、大卒平均で 32.4 %、高卒平均で 39.6 %までに上っております。人手不足が生じている職種や、非正規雇用労働者の割合が高い産業では離職率が高くなっています。

 こうした若年労働者の実態に鑑みて、労働側としては未熟練労働者に対する安全衛生教育の推進は容易ではないと認識しております。したがって、事業者向けマニュアルの作成等を行うというだけでは対策として不十分であると考えておりますが、事務局の考えを確認いたします。

○岩村部会長 担当部課からお願いします。

○事務局 安全衛生部安全課です。未熟練労働者に関しては委員御指摘のとおり、非正規労働者が多くなって、経験の短い方の割合が増えています。仕事に不慣れな方が災害に遭いやすいという状況がありますので、まずは雇入時教育を徹底して行っていただくこととしています。中でも規模の小さい製造業で、教育のノウハウを十分に持っていない所は、雇入時教育をやっていただくように働きかけをしても、なかなか動けないという状況があろうということで、ノウハウをまとめたマニュアルを作ろうというのがこの事業です。

○齊藤委員 未熟練労働者に対し、十分な対策が講じられるよう、社会復帰促進等事業の議論の場においても、きめ細かな議論を行うべき、ということを意見として申し上げます。○岩村部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○立川委員 社会復帰促進等事業に関する成果目標等に関して意見を述べさせていただきます。できれば要望に応えていただけないか、と思います。社会復帰促進等事業は、業務又は通勤災害等による、被災労働者や遺族に対する保険給付、被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者やその遺族の援護、適正な労働条件の確保を図ることにより、被災労働者の福祉の増進を図ることを目的にしています。

 その事業の中には、労働者の安全と衛生の確保に関する必要な事業である、安全衛生確保等事業も含まれています。このように当該事業は、労働者の安全と衛生の確保、それから社会復帰などの労働者に必要な事業であり、その事業の適切な、ないしは適正な成果目標の設定や実績評価に当たっては、本来、労働者の参加が求められるのではないかと強く思います。本日は労働者側の委員からも、改善ないしは要望的な意見が述べられていると思います。参考 3-1 の、社会復帰促進等事業に係る目標管理に関する基本方針には、社会復帰促進等事業に関する検討会における検証結果については、労災保険部会においても論議を行い、それを PDCA サイクルの一環として位置づけることが記載されております。

基本方針と齟齬のないように PDCA サイクルを回していただくよう是非ともお願いしたい。労働者の意見を今後も反映させていただきたいと思います。

 それから、以前から申し上げていることですけれども、社会復帰促進等事業の検討の場には、 ILO の三者構成主義に基づき、公労使の参画が求められているはずです。労働者側の観点からの検証も必要であると考えておりますので、参画について検討いただければと思います。

○岩村部会長 事務局から何かありますか。

○労災管理課長補佐 ( 企画 )  従来から御意見を頂いているところですけれども、まずは保険料を御負担いただいている使用者で検討会を行い、本日や 7 月に開催しました部会の場でも同じようなことをやらせていただき、その目標設定においても御意見を頂戴し、それについては反映したいと思っておりますし、評価についても同じです。ですから、こういう部会の場で御意見を頂ければ、それを貴重な意見として受け止め、しっかりと反映していきたいと思いますので、こういう形で引き続きやらせていただければと思います。

○立川委員 検討の場への参画についてはいかがでしょうか。労働者としての視点から意見を述べさせていただいて、より適切な評価目標や実績評価に、労働側は協力できるのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

○労災管理課長補佐 ( 企画 )  検討会の場は、今と同じように使用者だけでやらせていただければと思っております。それと同じように、この部会で多くの御意見を頂いておりますけれども、そういうものも貴重な御意見としてしっかりと受け止めて対応したいと思いますので、今のとおりやらせていただければと思います。

○岩村部会長 そのほかにはいかがですか。

○新谷委員 先ほども申し上げ、今も立川委員が申し上げたのですけれども、 ILO の三者構成原則との関係で、社会復帰等の事業の懇談会というのが、政府と使用者だけで行われるのはなぜなのかを教えていただけますか。

○岩村部会長 事務局の考え方をお聞きしたいということだと思います。

○労災管理課長 私どもとしては、三者構成主義については、こうした審議会等で十分 ILO 条約を担保できるよう、政策の立案、あるいはいろいろな労働政策の実施について議論させていただき、それをしっかり実施していくことで担保してきたと理解しております。社会復帰促進等事業については、先ほどから御説明しているとおり、従来の形でやらせていただいておりますけれども、いずれにしても施策全体の様々な意思決定、あるいはその実施というのは、この三者構成の形で審議会の場、あるいはいろいろな場で、連合あるいは経団連等から意見を聴取した上で実施させていただいていますので、なにとぞ御理解を頂戴いたしたいと考えております。

○岩村部会長 従来からの議論ですが、端的に言えば三者構成主義については、私自身も非常に重要だと考えております。他方でそれをどこの下のレベルまでやるのかという話でもあります。結局のところ、本日は資料の説明をしていただき、また御議論いただいているところでもありますので、なるべく三者構成の場であるこの場で、もし労側のほうで御意見等があれば、積極的にお出しいただき、その上で事務局のほうでも、それを真剣に受け止めていただいて、反映できるものは反映させるということで、この件については臨んでいただければと考えておりますし、事務局にもそのように要望したいと思います。よろしくお願いいたします。ほかにはよろしいでしょうか。

 よろしいようでしたら、以上をもちまして本日の部会は終了させていただきます。本日の議事録署名委員として、労働者代表については吉村委員に、使用者代表については小島委員にお願いいたします。よろしくお願いいたします。以上をもちまして閉会といたします。本日は、お忙しい中を皆様どうもありがとうございました。


(了)

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