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2015年2月25日 第89回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成27年2月25日(水) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(中央合同庁舎第5号館19階)


○出席者

【委員】

福井部会長
相澤委員、井伊委員、石原委員、磯部委員、今村委員、
大澤委員、川越委員、菊池委員、桐野委員、塩見委員、
玉腰委員、中村委員、西島委員、宮田委員、門田委員、
横川委員、渡邉委員

○議題

1.部会長の選出及び部会長代理の指名について
2.研究費の公募について
 (1)平成27年度日本医療研究開発機構研究費の二次公募について
 (2)平成27年度厚生労働科学研究費補助金の二次公募について
3.その他

○配布資料

資料1-1 平成27年度日本医療研究開発機構研究費 公募課題(二次)(案)
資料1-2 平成27年度厚生労働科学研究費補助金公募要項 (二次)(案)
資料2 「厚生労働分野の研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」の主な内容
資料3 「遺伝子治療等臨床研究に関する指針を定める件(案)」に関するパブリックコメントの募集結果について
資料4 厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針の一部改正について
資料5 ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針に基づく申請が失効となる研究課題一覧
参考資料 1 厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料 2 厚生科学審議会関係規程等
参考資料 3 ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料

○議事

○中山研究企画官

 まず、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りくださるようお願いいたします。ただいまから、「第89回厚生科学審議会科学技術部会」を開催いたします。委員の皆様には、御多忙の中お集まりいただきましてどうもありがとうございます。私は厚生労働省大臣官房厚生科学課研究企画官の中山です。今回、部会長の選出を新たにいたしますので、それまでの間、議事進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず議事に入る前に、本日の会議資料の確認をお願いしたいと思います。議事次第、座席表、資料1-1、資料1-2、資料2、資料3、資料4、資料5、その後は参考資料が13まであります。これとは別に1枚の紙で、第89回厚生科学審議会科学技術部会の審議事項等の概要があります。もし資料の欠落等がありましたら、いつでも構いませんので、お申出いただければと思います。

 今回から新たに科学技術部会の委員になっていただいた方もおられますので、初めに委員の紹介をいたします。参考資料1を御覧ください。あいうえお順に名前と所属を読み上げますので、一言、御挨拶をお願いしたいと思います。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の相澤英孝先生です。

○相澤委員

 知的財産法を専門にしています。

○中山研究企画官

 公益社団法人日本看護協会専務理事の井伊久美子委員です。埼玉医科大学産婦人科教授の石原理委員です。

○石原委員

 生殖医学生殖内分泌学を専門にしています。

○中山研究企画官

 東京医科歯科大学大学院主任教授の磯部光章委員です。

○磯部委員

 循環器内科教育臨床研究をしております。

○中山研究企画官

 公益社団法人日本医師会常任理事の今村定臣委員です。東京女子医科大学名誉教授の大澤眞木子委員です。クリニック川越院長の川越厚委員です。

○川越委員

 在宅医療に取り組んでいます。

○中山研究企画官

 東海大学法学部法律学科教授の菊池京子委員です。独立行政法人国立病院機構理事長の桐野高明委員です。東京大学大学院理学系研究科教授の塩見美喜子委員です。女子栄養大学教授の武見ゆかり委員は御欠席です。北海道大学大学院医学研究科教授の玉腰暁子委員です。

○玉腰委員

 疫学、公衆衛生学を専門にしています。

○中山研究企画官

 日本製薬工業協会副会長の手代木功委員は御欠席です。国立障害者リハビリテーションセンター総長の中村耕三委員です。昭和薬科大学長の西島正弘委員です。中日新聞社中日新聞社編集局文化部記者の野村由美子委員は御欠席です。独立行政法人国立循環器病研究センター理事長の橋本信夫委員は御欠席です。聖路加国際大学理事長の福井次矢委員です。日経BP社特命編集委員の宮田満委員は少し遅れているようです。がん研究会有明病院長の門田守人委員です。日本医用光学機器工業会理事代行(富士フイルム株式会社再生医療事業推進室)の横川拓哉委員です。国立感染症研究所長の渡邉治雄委員です。御欠席の委員も含めますと、以上22名の方々に委員をお願いしております。次に厚労省側です。技術総括審議官の鈴木です。

○鈴木技術総括審議官

 前回前任の委員長が退任しましたので、本日は部会長を選任していただきます。また、2次公募について御議論いただくことになります。AMED日本医療研究開発機構が今年の4月にオープンいたしますので、それに向けて様々な御相談をすることがあると思いますので、よろしくお願いいたします。

○中山研究企画官

 厚生科学課長の椎葉です。

 議事に進みます。議事1は、部会長の選出及び部会長代理の指名についてです。参考資料24ページです。厚生科学審議会令第6条の第3項に部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任するという規定があります。部会長の選出をお願いしたいと思います。選出の方法は委員の互選という形になっていますので、お図りしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○川越委員

 福井次矢委員を推薦したいと思います。推薦理由についてあえて言うことはないと思いますが、一番ふさわしい方ではないかと思ったので推薦させていただきたいと思います。

○中山研究企画官

 ありがとうございました。ただいま川越委員から福井委員に部会長をお願いしたらどうかという御発言がありましたが、いかがでしょうか。

                                  (異議なし)

○中山研究企画官

 それでは御異議がないようですので、福井委員に本審議会の部会長をお願いしたいと存じます。以降の議事運営については会長にお願いしたいと思いますので、前へお願いいたします。

○福井部会長

 ただいま部会長という大役を仰せつかりました。この部会が厚生行政において非常に重要な役割を果たしていることは、重々承知しております。先生方の御協力を得て円滑な運営に努めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 議事を進めます。審議会令第65項に、部会長に事故があるときは、あらかじめ指名する委員がその職務を代行するとされております。会長代理については、私から指名させていただくことになりますので、相澤委員にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 議事次第に従って会議を進めます。研究費の公募について、事務局から説明をお願いします。

○中山研究企画官

 資料1-11-2です。資料1-1については、題名にあるとおり日本医療研究開発機構研究費公募課題()となっており、これまでもこの1年余り何度も説明してきたところですが、厚生労働科学研究費については、日本医療研究開発機構AMEDと呼ぶことになっております。AMEDに集約する研究費と引き続き厚労省が実施していくという研究費の2つです。資料1-1は、AMEDに集約する側の研究費の公募です。資料1-2は、引き続き厚労省で実施する研究費の公募です。本来であれば、AMEDに集約する研究費は2次公募以降はAMEDで公募することが望ましいわけです。立ち上げにいろいろな手続があって公募の開始がかなり遅れる可能性があるということもありまして、3月中の段階で厚労省として公募手続を開始するということで、AMEDと等調整が済んだということで今回、課題を御審議いただくという形になりました。

 資料1-1です。II.各公募研究事業の概要等です。110まであります。この中でAMEDの集約型の研究費は9つの各省連携プロジェクトがありまして、19が各省連携プロジェクトに位置付けられているものです。ただし、連携施策の中には入っていないけれども厚労省としては、医療の研究という観点で重要な課題はたくさんありますので、そこについては10ということで、厚生労働行政に関わる医療分野の研究開発ということで、まとめております。今回の公募課題については、14ページに課題名が記載されております。

 今回、注意しなければいけないのは2次公募ですので、1次公募で原則、新たに公募しなければいけないものは、ほぼ全てというか課題として挙げたのですが、その後の予算の増額ができたかというところの状況も踏まえて、2次公募を行うということですので、必ずしも全プロジェクトにおいて2次公募があるわけではないということは御承知おきください。

 まず、オールジャパンの医薬品創出では、創薬基盤研究事業の中でバイオ医薬品の品質管理等に関わる人材プログラムの開発という課題が挙げられております。これについてもう少し具体的な内容は、56ページです。例えば創薬基盤推進研究事業の中でバイオ医薬品の品質管理等に関わる人材育成プログラムの開発は、6ページを御覧ください。目標としては、バイオ医薬品の開発過程においてということ、様々な知識が必要だということなので、バイオ医薬品の規制に関する知識を含め、一連の製造工程上の品質管理に関わる人材育成に資する教育プログラムを作成していくことが研究課題である。1課題当たりの年間の研究費は、1,000万円程度ということで公募することになります。

5ページです。医療技術実用化総合研究事業です。医師等研究者養成カリキュラムの標準化に関する研究が挙げられております。具体的な内容は78ページです。7ページの研究事業の方向性の8行目、9行目にありますとおり、高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会の報告書が昨年の4月にまとめられております。臨床研究に従事する医師を含めた幅広い関係者に対する教育研修機会を確保するということが求められておりますので、これに対応した形で、こうした研究課題を置いたということになろうかと思います。

1ページです。医薬品等規制調和・評価研究事業です。これは、厚生労働省の中でも医薬食品局の中で医薬品や医療機器の規制を行っている部局が持っている研究課題です。111まであります。基本的には各種医薬品の品質や安全性の評価を行うための試験法、評価方法の開発という研究が挙げられていることかと思います。

 今回、1つ予算として大きなものとして挙げられるのは、(8)官民共同による重篤副作用バイオマーカー開発研究事業があります。この内容については1819ページです。基本的には、何をここでやろうとしているのかは、18ページの(3)求められる成果の2段落目にあります。薬物性肝障害や間質性肺炎、重症薬疹が出た患者さんに共通に見られるようなタンパク質などのバイオマーカーを探索していくという研究です。それを官と民が共同で実施していこうということです。こういうことがあらかじめ分かれば、医薬品の開発が途中で中断されることを前もって知ることもできますし、実際に認められてからの適正使用にも資するということで、やりたいということになっております。

2ページです。がんの研究です。がん研究に関しては、1次でも多くの課題が公募課題として挙げられました。今回は、がん研究の推進の有識者(PDPO)から、がんの本体解明に係る研究やがんの予防、早期発見に係る研究は、研究費として投じられている予算が比較的少ないので推進していく必要があるのではないかと御指摘を頂いたということで、こういう課題が挙げられております。

3ページです。脳とこころの健康大国実現プロジェクトの中の認知症研究開発事業です。認知症研究開発事業については、1次公募では公募はありませんでした。2次が最初の公募です。1つ目が、3ページにプレクリニカル期におけるアルツハイマー病における客観的画像診断・評価法の確立を目指す研究ということで、課題が書いてあります。47ページに今の研究課題の内容が書かれております。これまでは、軽度認知障害のものを対象とした画像診断や評価法の研究はやってきたものの、今度はプレクリニカル期ということで、症状が出ていない時期におけるアルツハイマー病の画像診断評価法の確立を目指す研究をこれから進めていこうということで、14,000万規模の予算を立てて課題を公募したいということになっております。

48ページです。認知症予防法等の確立を目指し、大規模コホート研究を全国展開するための基盤に関する研究です。これについては、既に行われている地域コホートのデータを集約してということで、1万人規模の認知症に係るコホート研究を実施するために手順書やシステムの開発を行う研究ということで、1億円程度で公募をしたいということで挙げられております。

3ページです。一番下から成育疾患克服等総合研究事業における小児の疾患の研究です。更に4ページです。循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究ということで、循環器疾患や糖尿病等に関する研究課題が挙げられております。長寿科学研究開発事業についても地域づくりによる介護予防を推進するための研究、あるいは障害者対策としても、進行したALS患者等を含む障害者のコミュニケーション支援機器の開発などの研究を公募したい。統合医療については、漢方などのエビデンスを集める研究を進めたいということで挙げられております。これがAMED集約の研究費です。

 資料1-2です。厚労省で引き続き実施する研究ということで、厚労省の施策に密着したといいますか、施策の推進に資するような研究課題ということになろうかと思います。課題名については、2728ページです。まず、疾病・障害対策研究分野として、成育分野です。先天性心疾患児の成人期以降も含めた長期予後の把握のあり方に関する研究が挙げられておりますし、がん政策推進総合研究事業でも効果的な普及啓発体制の構築に関する研究が挙げられております。その内容は33ページ以降に書かれております。目標に書かれておりますとおり、様々な効果的な普及啓発方法等の立案、その効果を実証する試行的研究を実施していきたいということであろうかと思います。

27ページです。生活習慣病・難治性疾患です。循環器疾患・糖尿病に関する政策研究も5課題ほど挙げられております。実施の健康日本21のアクションプランに資するような研究、第2次に資する研究、様々な行政課題に関係する研究が挙げられていることかと思います。次に長寿・障害総合研究においても、長寿科学政策、認知症政策、障害者政策ということで、政策課題を解決するための研究課題というのが、27ページに挙げられておりますとおり実施されるということかと思います。

28ページです。地域医療基盤開発推進研究事業です。60ページです。真ん中辺りに、医療提供体制の構築・整備や良質な医療の提供、医療人材の育成・確保、大規模災害時の医療確保という視点での研究がまとめられているのが地域医療基盤開発推進研究事業です。そういう視点で28ページにありますような臨床効果データベースの連携及び効率的運用のための研究など3課題が挙げられております。最後に、医薬食品局の規制に関係する政策研究です。血液製剤の安全性確保のための病原体不活化、低減化等に関する研究が1課題挙げられております。

 ざっとで申し訳ございませんが、資料1-11-2の説明は以上です。

○福井部会長

 ただいまの説明について、何か御質問、御意見等ございませんか。よろしいでしょうか、膨大な資料で、全てに目を通して御意見をというのはなかなか難しいとは存じますが、大きな流れとテーマについて御覧になっていただいて、よろしいでしょうか。

○川越委員

 ここでAMEDの研究費について説明がありました。これは、暫定的なことですか、それとも今後もここにいつも議論されるというか上がってくるのですか、どういう御予定ですか。

○中山研究企画官

 今後の手続について、AMEDと調整が済んでおりませんので、まだ明確には申し上げられません。基本的には、どういう研究を実施していくべきかということに関して、厚労省として立案する際に科学技術部会の先生の御意見を聞くということは変わりませんし、実際にこういう公募がされましたということが結果として報告ということになるかもしれませんが、いずれにしろ科学技術部会において、審議あるいは報告いたします。

○福井部会長

 よろしいでしょうか。私から質問です。先ほどのAMEDの資料の表紙の裏側のII10項目あるとおっしゃいましたが、10項目の10番目は、今後もAMEDの研究テーマとしてこのような構成で進められるのでしょうか。それとも当部会に出すために、10番目に厚生労働行政のものが入っているのでしょうか。

 ○中山研究企画官

 いずれもここに挙げておりますのは、AMED集約型の研究ですので、医療分野の研究開発推進計画があります。その内容に従って各省とAMEDは研究を進めていくことになっております。9つのプロジェクトとともに、そのほかのものも推進計画の中には入っておりますので、あくまで、10番目についてもAMED集約型の研究として引き続きやっていくということです。

○福井部会長

 そのほかにはいかがでしょうか。

○渡邉委員

 研究実施期間が、研究課題によって15年までという形で分かれているのは、分かれる根拠というかそういうものがありますか、例えば5年のものも1課題と見受けられます。AMEDに行った場合、前に5年を1つの目安にしようという動きがあるという話を聞いたことがあるのですが、必ずしもそうではないのですね。みんな小間切れ3年とかフラグメントしているような今までどおりの形になるのですか。 

○中山研究企画官

 結論から申し上げますと今までどおりと考えております。厚労科研費の場合は基本的に3年程度というのが全体として多いと思います。あらかじめもう少し長い期間、認知症の研究だったと思いますが、そういうもので少し一定の期間が必要だと見込まれるものは5年ということで置く場合もあります。あるいは、あくまで単年度で終了させられることが最初から分かっているものについては、1年ということで期間を設定します。これまでどおりではないかと思います。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。それでは、このことについては報告を頂いたということで、次に移ります。審議事項等の概要にありますように、その他の中で厚生労働分野の研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインの発出について、報告していただきたいと思います。事務局より説明をお願いします。

○中山研究企画官

 御説明いたします。資料22枚目以降を御覧いただくと、厚生労働分野の研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインが、本年の116日付で発出されています。1枚目に戻りますが、その概要について御説明いたします。このガイドラインはどういうものかと言うと、基本的にはデータの捏造、改ざん、盗用といったものが行われた場合、これを特定不正行為と呼んでいますけれども、特定不正行為が行われた場合の対応の仕方と言いますか、手続についてまとめたガイドラインであるという位置付けかと思います。これについては、これまでも科学技術部会でも御報告させていただいていますが、昨年の8月末に文部科学省は既にほぼ同じ内容のガイドラインを出していますので、我が国の研究機関においてはおおむね知られている内容かと思います。

 この内容をかいつまんで御説明します。(1)研究機関の管理責任が第1節に書いてあります。これは、あくまで研究者自身の規律を前提とすることは言うまでもないことですが、それを前提としつつ、研究機関が責任を持って不正行為の防止に関わることにより、不正行為が起こりにくい環境がつくられるように対応の強化を図る必要があり、組織としての責任体制の確立による管理責任の明確化などを記載しています。

(2)不正行為を抑止する環境整備が第2節です。研究機関が「研究倫理教育責任者」の配置など必要な体制整備を図り、研究活動に関わる者を対象に研究倫理教育を実施することを記載しています。

(3)研究機関、配分機関における規程・体制の整備及び公表が第3節です。研究機関及び配分機関が、研究活動における特定不正行為の疑惑が生じたときの調査手続や方法などに関する規程等を整備し公表することを記載しています。

(4)特定不正行為の告発の受付、事案の調査、これも第3節です。研究機関における調査期間の目安の設定、調査委員会に外部有識者を半数以上入れることなど、告発の受付から事案の調査までの手続・方法について記載しています。

(5)特定不正行為に対する措置、これは第4節に書かれています。特定不正行為にかかる競争的資金等の返還を定めるほか、競争的資金等の交付の制限については、競争的資金等だけでなく、運営費交付金等の基盤的経費により行われた研究活動の特定不正行為も対象となることを記載しています。「さらに」以下ですが、奨学寄付金等の公的資金以外の資金により行われた研究活動における特定不正行為についても、同様の措置を行う記載を追加しています。文部科学省のガイドラインでは特段記載はされていませんが、厚労省の場合は、こういった民間の資金のようなもので行われた研究で不正行為があった場合でも、同様の措置を行う。交付の制限を行うという措置を明記したということです。

(6)組織としての管理責任に対する研究機関への措置が第4節です。研究活動における不正行為への対応体制の整備等に不備があると確認された場合は、厚生労働省が管理条件を付与し、管理条件の履行が認められない場合は当該機関に対する間接経費の削減等の措置を講じる旨を記載しています。やむを得ない場合はということになると思いますが、そういった措置も講じることを記載しているということです。

(7)厚生労働省による調査と支援、第5節ですが、このガイドラインの実施状況のフォローアップ、研究機関に対する履行状況調査の実施、研究倫理教育の標準的なプログラムの作成支援、研究機関における調査体制への支援について記載しています。

(8)適用ですが、本ガイドラインは文科省のガイドラインと一緒ですけれども、本年41日から適用します。以上です。

○福井部会長

 ありがとうございます。ただいまの説明について御質問、御意見等ございませんか。

○塩見委員

 省ごとにガイドラインがあり、ほぼ似ているとおっしゃっても混乱の元だと思いますので、日本の中のガイドラインとして1本に絞るということは、今後、ないのでしょうか。

○中山研究企画官

 総合科学技術会議が、基本的な考え方の部分をまとめていて、各省に対応を求めるという構造になっています。厚労省としては、その総合科学技術会議とほぼ並行していたのですが、文科省がもっと具体的なガイドラインを発出したことがあったものですから、文科省と並びを取って出すことにしたとなっています。ほかの部局のこともなかなか言い難いところですが、そういった構造になっているということです。

○塩見委員

 例えば、1人の研究者が厚労省からもらって、文科省からもらってとなると、そういう方はたくさんいらっしゃいますよね。

○中山研究企画官

 はい。

○塩見委員

 例えば先ほどのお話ですと、公的資金以外の資金で行われた研究活動における不正行為に関しては、文科省と厚労省は違うとおっしゃったじゃないですか。そういう扱いだと混乱の元だと思います。

○林田補佐

 厚生科学課の林田と申します。例えば補助金の制限に関しては、一応、内閣府のほうで各省の競争的資金の担当者が集まる会議がありますけれども、その中では各省の裁量でされるべきことであるとなっています。ただ、我が省が恐らくそういう判断をすれば、基本的には各省もそれに準じたと言いますか、並びの対応を取ることが想定されていますので、書いてないから他の省庁はやらないということにはならないと考えています。

○福井部会長

 横の連携をとっていただきたいということではないかと思います。

○塩見委員

 それが大事だと思います。いろいろ混乱はありますので、世の中に。

○宮田委員

 私の理解では、AMEDでエルシーの部門が多分できているので、そこでそれなりの議論が行われてくるのではないかと期待しているのです。

○中山研究企画官

 一応、そういったことに対応したグループが、AMEDの中に置かれることは間違いありませんので、当然のことながら医療分野の研究開発という視点で言えば、3省共通のところとして機能することになると思います。ただ、具体的にそこがどう機能していくかということがまだ見えていません。

○宮田委員

 自分の頭を整理したいのですが、AMEDが支出する研究費に関しては、厚労省と文科省のガイドラインは適用されないのですか。要するに予算としては紐付けられていますよね。

○中山研究企画官

 ちょっと今、そこの整理はまだされてないですけれども。

○宮田委員

 是非、整理してください。というのは、もう1個できてしまう可能性があるということです。

○中山研究企画官

 そうですね。

○西島委員

 先ほどの塩見委員の質問とも関係するのですが、文科と厚労が独自にガイドラインがあるということで、実際、我々大学で規程等を作るわけですけれども、そのときには、実際問題として両者をカバーするように作ることになると思います。そういうことで対応はできると思っています。実際、今、来年の4月からということで大変な思いでやっているところですが、そういうことで対応すればいいのではないでしょうか。

○塩見委員

1個にしたらいいのではないですかね。

○福井部会長

 塩見委員、御発言がありますか。

○塩見委員

 そうなると、大学ごとに違いが出てきてしまうと思うのです。なので、1つのほうがいいかなと思いますけれども。

○福井部会長

 先に相澤先生から、よろしいですか。

○相澤部会長代理

1つの資金に対して2つ以上のガイドラインが適用されると、混乱を招く虞があります。1つの研究に対して複数の資金が入っているものに対し、違うガイドラインが適用されるのも混乱を招く虞があります。西島先生のご指摘の通り、各大学は努力して対応しているとは思いますが、効率的な事務処理は必要です。ガイドラインを作成するときに、文科省と強調していただいて、福井先生が小委員長を務められて、作成されたガイドラインもありましたので、できるだけ協調して作成していただきたいと思います。複数のガイドラインに異なることが記載されている場合には、その対応に困難が生じる虞すらあります。ガイドラインの目的は不正行為が行われないようにすることにあるので、そこは各省庁が協調してくださいというのが、塩見先生の御意見だと理解しております。齟齬がないように、できれば各省庁のガイドラインのどこが違うかという比較表でも付いていれば対応しやすいのではないかと思います。

○中山研究企画官

 今の御指摘、本来、1つであるべきではないかということは承らせていただきたいと思います。一応、今回、厚労省としてのガイドラインを出したということですが、基本的に文科省のガイドラインと平仄も含め、ほぼ全て一緒だということではあります。一部だけ違うのが、厚労省としては奨学寄付金等の公的資金以外の資金で行われた研究活動でも、何か不正が認定されれば、厚労省はそういった人にはお金を出さないことを明示した部分だけですので、研究者の皆様方において、こういった手続を定めてくださいというところで文科省と齟齬があるということは全くない。そこは全く一緒だということは付け加えさせていただきたいと思います。

○西島委員

 今回は研究活動ですけれども、経費の不正に対するガイドラインも確か文科省から出ていると思います。厚労省のほうはどうかということと、先ほどのコンバインするということですが、研究活動と不正経理ですね、両方とも不正行為なわけで、規程としては、あまりたくさんあるのは望ましくないので、そういうところを一本化できるような工夫ができないかどうかについて、お伺いしたいと思います。

○中山研究企画官

 まず最初については、文科省と同内容のものを厚労省として既に出している状況です。今回のようなガイドラインと、そうした経理の不正に関して一本化すべきだということですかね。

○西島委員

 ほかのところではどうかということも含めてですけれども、相澤先生のような専門家から御意見を。

○相澤部会長代理

 経理不正の場合は金額がはっきり出ているのに対し、研究不正は、研究活動が行われていないのに支出されているのであれば、これは不正経理にもなりますが、研究活動が行われている場合には、不正経理とは違う側面もあります。そういう側面がありますので、一緒にしたほうが分かりやすいか、別にしておいたほうが分かりやすいかは、研究現場の方々で検討していただいたほうがいいのではないかと思います。

 それから、研究者の皆さん方に分かりやすいように、文言の統一は図られているのでしょうか。

○中山研究企画官

 基本的に合っています。

○宮田委員

 ちょっと頭を整理させてください。要するにこのガイドラインの目的というのが、厚生科学研究費がきちっと執行されることを保証するという立場ですよね。文科省も多分そうだと思います。ただ、総合科学技術会議ぐらいのレベルになると、国における科学研究が公正に執行されるという立場に変わりますよね。今回、文科省と違うところで、奨学寄付金などで行われた研究でも不正を行った場合、助成の対象にならないというのは一歩進んだ考え方で、今までのように厚生科研費以外でやっていたら見ないという態度でなく、厚労省は臨床研究に関しては、きちっと研究者に対して公正な活動をするように求めるという、いいメッセージをここに出しているのです。ですから、そういう意味では文科省も当然のことながらそれをやるべきであって、各省のエゴイズムで自分たちの予算において正しくやっていれば、日本の研究はいいのだという状況は、もうディオバン事件以降、ないです。だから国民が国家を通じて科学研究に血税を投入するときの合意を形成するためには、科学研究がしっかり公正に行われる仕組みが必要なのです。そういう意味では、このガイドラインのほうを各省庁に何とか呑んでもらう努力をすべきだと私は思います。

○林田補佐

 ですから、各省庁の競争的資金担当者が集まる内閣府の会議で、しっかり情報共有は行うことになっています。例えば農水省支配下の独法であっても、そういう研究不正が確定した場合には、速やかに教えてくださいという取決めはないですが、それはお願いをしているところです。恐らく当省でこの研究者Aさんに対しては、こういう措置を取りますということになれば、厚労省の補助金だけ取っていればそれで解決するわけですけれども、恐らく他省庁の研究費も取得されている場合は他省庁も多分、当省のやり方を踏襲と言いますか真似るだろうとは考えています。

○宮田委員

 それは単なる期待で、同じ国家とは思えないような発言だと私は思います。もう少しそこをスパッと言い切れるような形で、各省庁の協調と情報共有を進めていただきたいと思います。

○林田補佐

 慎んで承ります。

○鈴木技術総括審議官

 先ほど宮田委員もおっしゃった、AMEDがどうするかというところが私は非常に大事だと思います。この規程は4月までの間にAMEDで整備することになっています。議事録に載せるのはあまりよくないかもしれませんが、結局、この寄付金等による奨学金的研究に不正があった場合に、補助金としての研究費に影響させるかどうかについて、両省間で意見が合わなかったというのが現状です。それに対する解釈は、私たちは宮田委員と同じような解釈ですけれども、文科省はそうではないというところで、1つは、AMEDがどちらのラインでいくかというところが、恐らく研究の世界におけるディファクトスタンダードがどちらになるかということだと思います。我々としては是非、先生方の御支援もいただいて、このスタンダードがディファクトになるようにしたいと思っています。

○福井部会長

 よろしいでしょうか。渡邉委員、どうぞ。

○渡邉委員

5ページのデータの保存・開示の所で、「研究データを一定期間保存し」という書き方になっていますが、個人は本はデータを永久的に保存すべきだと私は思います。何かあったときに、ある意味、自分の正当性を主張できるただ1つの根拠であると思うのです。この「一定期間」という意味は、新聞等では10年とか出ましたけれども、この辺の考え方はどういうふうになっているのか教えていただきたいと思います。

○林田補佐

 御指摘のとおり文科省の諮問機関だったと思いますが、5年、10年という基準が示されたのは承知しております。そちらの御意見を反映させるかどうかというところは検討しているところです。ただ、いろいろな民法上の債権のことであるとか、あとカルテも5年となっているのを、いきなり10年と書いていいものかどうかを含めて検討している状況です。

○福井部会長

 人を対象とした医学系研究の倫理指針では、最終的に研究結果を発表した後5年と書いたように思います。それらとの全体的な整合性を取っていただいたほうがいいのではないかと思います。

○渡邉委員

 ただ、現在、分子生物学会のホームページに80何件の告発があり、その中の1つは感染研にも関係しているので、鋭意、調査をやっているのですが、そのときに5年だと証拠がないので、その当時のそれが正しいのか正しくないのか判断しづらい。あまり短いのは、その本人の名誉を逆に守るという立場から考えた場合に、本人にとって不利益になるのではないかと私は思うのですが、その辺のことも少し考慮していただいたほうがいいのかなと思います。

○鈴木技術総括審議官

 恐らく義務として、全てのデータについて何年保存しなければいけないかという議論と、渡邉先生がおっしゃったように、研究者が証拠をきちっと保存しておいて、御自分の研究の正しさを立証するためにどのぐらい持っておられるかという議論は、ちょっと別のものだと思います。例えば全てのデータを10年、15年持っていなければいけないということにすると、それは相当程度コストもかかるし保存自体が大変だということになりますので、ミニマムとして、規程としてどうするかという話と、それ以上、オプショナルでどうするかというのを分けて考えたいと思います。

○福井部会長

 よろしいでしょうか。ほかにはございますか。

○相澤部会長代理

 関連して、保存義務は研究者が負っているのですか、それとも研究機関が負っているのですか。研究機関が負うのであれば、例えば5年、10年としても、研究者が転出してもそこのデータは保存できますけれども、研究者が転出したり、お亡くなりになったりして、研究者は組織にいなくなってしまっても、保存できるとは思いますが、研究者が追っているのであれば、難しい気がします。

○林田補佐

5ページを御覧いただきたいと思います。一応、整理としましては、研究機関が実施する事項として、研究者に対して一定期間、研究データを保存し、必要な場合に開示することを義務付ける規程を整備してくださいということですから、今のところこの規程を定めてくださいというところで、それ以上でも以下でもないと。だから転出とかあれば、基本的に研究者が自分のデータをきちんと保存するところに依存する形になる。さすがに転居してしまった場合、転居元の研究機関が研究データを保存する義務はないのかなと考えています。

○福井部会長

 この文章ですと、研究者が移ったとしても研究者自身が保存しておくと、そういう文章ですね。

○鈴木技術総括審議官

 恐らく、一義的には研究機関が研究者に、こういうことをやってくれというのをまず置く。正に部会長代理がおっしゃったように、研究者が異動するとか死亡するということが起こった場合に、機関の責任としてどうするかは追加して考えなければいけない。つまり個人のデータを研究者が異動した場合に持って行けるかというと、多分持って行けないと思います。そういうことから機関の責任を少し規定しなければいけないという御指摘だと思います。それは預からせていただいて検討させていただきたいと思います。

○福井部会長

 桐野委員、どうぞ。

○桐野委員

 これはちょっと難しくて、例えばラボによっては、若手の研究者が研究した場合に実験ノートを残すことを要求するラボもあれば、移動する場合に持って行くことを許すラボもありますので、研究者と言った場合に筆頭著者なのか、そのラボの責任者なのか、研究費の獲得者なのかはちょっと難しいので、この研究者という名称が必ずしも一義的に定まらないという問題があります。ただ、常識的に考えれば働いたラボで保存するか、本人がそのラボと相談の上、責任を持って移動しても保管するかということだろうとは思いますが、ちょっとそこのところが確定しないという問題があります。

○福井部会長

 今村委員、どうぞ。

○今村委員

 今の議論とも関係するのですが、このガイドラインというのは個々の研究活動に適用されるような印象ですけれども、それは当然のこととして、それを研究機関としての責任というか、そういうものがはっきりしない。個別の研究活動にのみこういうことがあって、それを統轄する大きな組織としての研究機関については見過すというか、そういうところがあると組織のきちっとした体制というのが、なかなかうまくいかないのではないかと思うので、研究活動プラス研究機関としての対応というのも考えるべきではないかと感じています。

○福井部会長

 いかがでしょうか。

○西島委員

 今の点については第1節にある管理責任ということで、最終的にはそこの長、責任者が責任を負うという理解で、よろしいかと思います。

○桐野委員

 基本的にはそのとおりだと思います。ただ、研究の場合は非常に複雑で、ある組織に属しているとき、そこの長と考えを全く異にする研究を始める若手がいた場合に、若手がやった新しい研究のデータを誰が保管するかという問題で非常にもめて裁判になったりしたことがあります。つまり、完全にラボの所属の研究者とチーフが一致して、仲良く1つの目的に向かっていればいいのですが、まるで対立するような研究を始めてしまったような場合に、ちょっとそこは微妙なのです。先ほど何で私がそう言ったかというと、研究機関に保存することを義務付けてしまうと、場合によっては面倒なことが起こるかなと思ったので、これは研究者又はその研究機関のどちらかが責任を持った保存するということで、いいのではないかと思う次第です。

○福井部会長

 ありがとうございます。

○相澤部会長代理

 今村先生の御指摘の点ついては、16ページ以下の特定不正行為及び管理責任に対する措置で、17ページに組織としての管理責任に対する研究機関への措置とありますので、このガイドラインの中では対応が図られているのではないかと理解しています。この理解でよろしいでしょうか。

○福井部会長

 事務局のほうはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○林田補佐

 組織として必要に応じて管理条件を付与し、その管理条件を満たさない場合には間接経費の削減も検討するとか、それなりに組織に対してもペナルティが記載されていますので、一定の抑止力になるのかなと考えています。

○福井部会長

 そのほか、いかがでしょうか。

○鈴木技術総括審議官

 先ほどの桐野委員の御発言についてですが、実際の保存者は研究機関であるか、研究者であるかというのは事情によっても違うと思います。ただ、機関としては、どちらかが必ず保持していることを確保することが大事だと思います。そこを強調するということになります。

○福井部会長

 ありがとうございます。それでは、このガイドライン自体は116日にもう発出しているわけですね。

○中山研究企画官

 はい。

○福井部会長

 今日、いろいろな御意見をいただきました。このガイドラインはどこかの時点で改定することがあると思いますので、そのときには考慮していただくようお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。続きまして、「遺伝子治療等臨床研究に関する指針を定める件()」に関するパブリックコメントの募集結果について、御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。○中山研究企画官

 資料3を御覧ください。遺伝子治療等臨床研究に関する指針ということで、この科学技術部会の元の委員会で案がほぼ出来上がったとして部会にも報告させていただき、かつ、その後、パブリックコメントを実施しますということで部会で議事にさせていただきましたが、そのパブリックコメントを行った結果がまとまり御報告させていただくものです。

 昨年1223日から今年の121日まで、パブリックコメントを実施しました。御意見については8件ありました。結果として申し上げると、御指摘いただいた点は正にそのとおりで、ガイドラインではこういった規定をしていますという回答が8件中7件あります。最初の12にありますように、いろいろな遺伝子治療臨床研究の指針に書いてあることは、再生医療の新法が昨年11月からもう施行されていますし、そういったところで規定があるので、そちらのほうでやればいいのではないかと御指摘を受けています。確かにそれはおっしゃるとおりで、指針からは再生医療新法で扱われるものは除外するという規定になっていると答えているのが、12です。

3について御説明しますが、今回、指針の改正で遺伝子治療臨床研究の指針の対象となるものとして、これまでは対象疾患がかなり限定的に書かれていました。これについては資料32枚目の裏を御覧いただければと思います。現行の指針では遺伝子治療臨床研究については、このガイドラインができた当初、リスクとかまだよく分からない部分もあったということだと思います。「重篤な遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症候群その他の生命を脅かす疾患又は身体の機能を著しく損なう疾患であること」と、疾患で限定という部分がありましたが、これを今回はなくしているということです。これについては年数を経て一定程度リスクが分かってきた部分もあり、一方で、対象疾患は限定しなくても国における委員会において妥当性と言いますか、そういったものを審査することには変わりありませんので、入口のところで疾患を限定するのではなく、しっかりとした計画申請があったら、それに対してしっかり審査を行うことによって対応することにしましたと、パブリックコメントの回答をさせていただいている状況です。

 その他、45678とありますが、この辺につきましては基本的には御指摘のとおりですということで、そのように指針の中でも規定していることが書いてありますが、1つ入れるとすると5です。倫理審査委員会については、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が最近まとまりましたけれども、ここにおいては研究機関以外が審査した審査委員会による審査も可能とすべきではないかという御指摘を頂いています。これについては、もちろん統合指針のほうと合わせる形で、こちらの倫理指針についても変えていて、そこについては資料33枚目の表、真ん中より下の所にあるとおり、実施施設はということで「審査委員会が置かれているものであること」と従来あったのですが、ここは外しています。その機関における審査以外でも可能となっている状況であるということです。

 御指摘の8に、モニタリング及び監査に従事する者について、当該研究機関に属する者でもよいのか。他の研究機関の第三者機関に委任することが望ましいのか等々ありますが、これについては最近まとまった医学系研究指針のガイダンスや、今後、当指針のQ&Aにおいても、この辺の考え方については示していきたいと考えているとして、回答案とさせていただいています。以上です。

○福井部会長

 ありがとうございます。ただいまの説明につきまして御意見、御質問等、いかがでしょうか。これにつきましてはよろしいでしょうか。御了承いただいたということで次に進みたいと思います。「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針」の一部改正について、御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○中山研究企画官

 それでは御説明します。資料4を御覧ください。本件は、「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針について」というのがあり、これを一部改正したということです。どういったことなのかについては2枚目を御覧ください。3つ目の○の実験動物の飼養及び管理並びに苦痛の軽減に関する基準を基本にして、それに基づいて各省の基本指針ができている状況です。

2枚目の裏で厚生労働省の基本指針の概要ですが、動物実験を行うに当たり、動物実験責任者は実施機関の長に計画申請し、動物実験委員会に審査を依頼して報告を受けるといった一定の手続について定められているわけです。今回改正したのは、先ほど申しました環境省の基準のところで、自己点検及び評価のところに外部検証が追加されました。したがって、厚生労働省の基本指針においても外部検証を追加したというのが改正の内容です。

3枚目で、外部検証が追加されたことと共に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」による民法の改正により、実施機関を修正しました。もともと厚生労働省の基本指針で、(3)民法第34条の規定により設立された法人(厚生労働省が所管するものに限る)に対して、この基本指針を適用する規定があったわけですが、いろいろ法律の改正があり、厚生労働省が所管するものが内閣府に所管が変わったり、地方自治体に変わったものがあると聞いていますが、(3)の部分がなくなり、結局、これを定める必要がないとして削除するという文言上の修正になります。

3枚目の裏にありますとおり、220日付で一部変更を行った通知を発出しています。具体的にどう変わったか新旧で示すと、一番最後です。今、申し上げたとおり民法うんぬんの設立された法人という部分を完全に削除したのと、自己点検及び評価の所で、「自ら点検及び評価を行うとともに、当該点検及び評価の結果について、当該研究機関等以外の者による検証を実施することに努めるものとする」としました。これは努力義務ですけれども各省の指針も同様で、努力義務として追加させていただきました。以上です。

○福井部会長

 ありがとうございます。ただいまの説明につきまして御意見、御質問等をお願いいたします。これにつきましても御了承いただいたということで、よろしいでしょうか。続きまして、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針に基づく申請が失効となる研究課題一覧」について、事務局より報告をお願いします。

○許斐課長補佐

 研究開発振興課再生医療等研究推進室です。資料5を御覧ください。昨年1125日に再生医療等安全性確保法が施行され、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針が廃止されました。これに伴い、当該指針に基づく申請が失効することを御報告いたします。申請が失効する研究課題は13件ございます。これらにつきましては、ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会から研究代表者宛に指摘事項を伝えていましたが、昨年1124日までにヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会で了承されなかった課題です。各研究機関の長には、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の廃止に伴い、当該申請が失効した旨を通知でお知らせしています。なお、今後、当該申請にかかる研究課題を実施する場合には、再生医療等安全性確保法の規定に従い、手続を行っていただくよう通知していることを申し添えます。以上です。

○福井部会長

 ありがとうございます。ただいまの説明につきまして御質問、御意見等、ございますか。

○相澤部会長代理

 これは、手続的には新しいほうに引き継がれるのですか。それとも再申請になるのですか。

○許斐課長補佐

 新しく申請していただくということになると思います。

○相澤部会長代理

 引き継がれないということですね。

○福井部会長

 そのほかには、いかがでしょうか。それでは、この件につきましても御了承いただいたということにさせていただきます。これで全ての議事が終了いたしましたが、その他、事務局から何かございますか。

○中山研究企画官

 次回の日程につきましては、委員の皆様に改めて日程、開催場所等について御連絡を差し上げたいと思っています。事務局からは以上です。

○福井部会長

 ありがとうございます。それでは、本日はこれで閉会といたします。


(了)

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