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2015年1月30日 障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年1月30日(金)14:00~17:00


○場所

TKPガーデンシティ竹橋ホール10B
(東京都千代田区一ツ橋1-2-2 住友商事竹橋ビル10階)


○出席者

佐藤進座長、吉川隆博構成員、田村綾子構成員、寺島彰構成員、野沢和弘構成員、山下幸子構成員

○議事

○佐藤座長

 定刻になりましたので、ただいまから第 3 回のワーキンググループを開催いたします。皆様には、御多忙のところ、またお足元が悪いところ、お集まりいただきましてありがとうございます。

 まず最初に、委員の出欠状況や、資料の確認をお願いします。

 

○福井企画課課長補佐

 構成員の出席状況ですが、本日は大塚構成員から御都合により欠席との御連絡を頂いております。また、田村構成員が少し遅れていらっしゃるようです。また、前回も申し上げましたが、作業チームの構成員にも関係団体の御意見を聞いていただいたほうが、今後効率的、効果的に議論が行えるのではないかということで、本日も作業チームの構成員にも同席をしていただいております。

 それでは、本日初めて出席される作業チームの構成員を御紹介いたします。和洋女子大学生活科学系准教授高木憲司様です。独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局研究部部長の志賀利一様です。

 続きまして、資料の確認をいたします。本日は資料 1 から 9 までお集まりの団体の御意見をお配りしております。以上、お手元にございますでしょうか。過不足等ございましたら事務局にお申し付けください。

 

○佐藤座長

 それでは、議事に入ります。今日のスケジュールについて、最初に御紹介いただきたいと思います。

 

○福井企画課課長補佐

 初めに、本日お越しいただいている団体の方々を御紹介いたします。公益財団法人日本知的障害者福祉協会様、全国身体障害者施設協議会様、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会様、障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会様、特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会様、特定非営利活動法人全国地域支援ネットワーク様、一般社団法人日本筋ジストロフィー協会様、公益社団法人全国脊髄損傷者連合会様、全国自立生活センター協議会様、以上 9 団体の方々でございます。本日の進め方ですが、 3 団体ずつ 3 つのグループに分けてヒアリングを実施いたします。一団体 10 分以内で御発言をいただき、グループ全体の発言の終了後、 25 分程度を質問の時間とさせていただきたいと考えています。御発言が 8 分を超えた段階で、事務局から一度合図をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。これを繰り返しまして、全体で 3 時間程度を見込んでおります。

 

○佐藤座長

 今、紹介のあったようなスケジュールで進めてまいります。長時間になりますので、御協力をお願いしたいと思いますが、合わせて、時間配分にもあらかじめ、お 1 10 分ということで御案内を差し上げているかと思うのですが、それを厳守していただくということで、できるだけ多くの御意見や御質問を交わせるようにしたいと思います。円滑な議事運営に御協力をお願いいたします。まず最初に、日本知的障害福祉協会よりお願いいたします。

 

○日本知的障害者福祉協会河原政策委員会委員長

 論点について御説明をさせていただきます。お手元の資料 1 に沿って、今回も「見直し規定」の 6 項目について取りまとめたものを御提案させていただきます。

1 点目、常時介護を要する障害者等の支援についてです。 1 点目。常時介護を要する障害者の具体的な状態像、特に知的障害の方には身体介護というキーワードではなく、支援、見守りというスタンスがありますので、その辺の意味を含め、 2 つ目のポツに書いてありますが、社会モデルの視点ということで、この表現を常時介護から常時支援と改めるべきと記載をしています。

 それと並行して、知的障害の方には身体的、医療的に支援を必要とする方であるとか、重度の自閉症の方等、行動障害の激しい方の常時支援、触法の方は多方面の方の支援が必要ですので、それに向けた人材育成の取組が、この支援については非常に重要であると考えています。

 パーソナルアシスタンス等については、骨格提言の内容にもありますように、今後、新たな制度として創設すべきと思いますし、そこで挙げられている重度訪問介護につきましては、対象者の要件の拡大が図られることを検討ということで挙げております。

2 点目。障害者等の移動支援について。これにつきましては障害者の権利条約の第 9 条の移動の保障等に沿って、フォーマル・インフォーマルにかかわらず、障害のある方の移動を保障すべきと考えます。それに当たっては、現行の移動介護の支援を個別給付とすべきと考えております。なお、この運用に当たっては、通所、通園等々、様々な方が柔軟にこの制度をできるように、内容について検討すべきと考えます。

3 点目。障害者の就労、その他の障害福祉サービスの在り方についてです。まず 1 点目。個別給付の在り方について、先ほども常時介護の所で御案内させていただきましたが、社会モデルの観点から、介護給付という名称を生活支援給付という名称にすべきと考えます。サービス体系につきましても同様に、生活介護という名称を、これも社会モデルの視点から社会生活支援と、また同じホームヘルプの事業である居宅介護を居宅支援に変更すべきと考えます。

 それから、就労支援の見直しに当たっては、どんなに障害が重い人たちでもきちんと働けるような合理的な配慮に基づく環境整備が重要であると考えます。

 それから、今後障害の重度化、高齢化等に対して、医療的なケアの必要性をということで、サービス体系の中に障害者の訪問看護を導入すべきと考えます。

 それから、一般就労している方が勤務形態に応じて、就労していない日に福祉サービスの利用ができるようにというようなことも、サービス体系全体の中で考えています。

1 つが就労支援についてです。就労移行支援事業につきましては、職場定着のための人的な支援の配置、一般企業からの離職者へのセーフティネットの体制づくりと、この両期間について原則 2 年から 4 年ぐらいの幅に延長すべきと考えております。就労支援の就労 A 型事業につきましては、利用者の就労を保障するという観点から、雇用保険の加入はもとより、厚生年金が可能な就労時間と最低賃金を確保すべきと考えます。就労継続 B 型について、個別のニーズに沿う点から、特別支援学校の卒業生等々が、柔軟にこのサービスを使えるような仕組みと、本事業から一般就労へ導く場合の仕組みの構築をすべきと考えます。就労に関わるその他事項につきましては、所得補償、賃金補填の在り方については、骨格提言に沿って、今後検討すべきと考えております。

 それから、一般企業における障害者の実態を把握し、就労時間が長い雇用の割合に応じた企業にインセンティブが働くよう、助成金の在り方を検討すべきと考えます。

4 点目。障害者支援区分の認定を含めた支給決定の在り方についてです。まず、障害支援区分の認定につきましては、今回、見直しをされた障害支援区分の認定が支援の必要性、社会モデルに着目した点は非常に評価しております。今後も支給決定に当たっては、客観的な判断基準として、このプロセスを導入すべきと考えます。支給決定の在り方と仕組みについて、まず支給決定に当たっては、サービスを利用する方のニーズ、意思が反映されて、サービスを使えるよう、市町村の状況等でサービスの阻害がないようにということが大事と考えます。

2 ポツ以降、特に知的に障害のある方の場合、当事者の意思を尊重したケアマネジメントの仕組みが大事であるというところと、以下のところでそのケアマネジメントを行うに当たってのアセスメント等のツールの開発と、アセスメントのツールの開発に当たっては、障害特性に応じたアセスメントツールの作成、調査項目以外に障害に特化したものの作成が重要と考えます。

 次、支援ガイドラインです。これは骨格提言の中では、支援ガイドライン等々が挙げられておりますが、まだこの内容については非常に不明な点があるというところでは、導入については反対でございます。なお、サービスの支給決定に当たっては、公平性を担保する点から、第三者機関の設置・活用が望ましいと考えます。

 次、相談支援に関わる内容です。相談支援専門員が中立・公平的に業務を行う意味での資格化の検討が重要かと思います。それから、相談関係のところで、都道府県の責務について。市町村で相談関係の事業を行っていますが、各都道府県の市町村格差があるというところでは、改めて都道府県が主導的な立場をとって、この相談事業を率先して、実効的に支援することが望ましいと考えております。

5 点目。障害者の意思決定支援の在り方等々です。まず、障害者の意思決定の在り方につきましては、障害者基本法、障害者総合支援法に意思決定に配慮した支援という言葉がありますが、法の運用に当たっての指針等を明らかにする必要があると考えます。特にサービス等利用計画、個別支援計画の作成に当たっては、障害がある人たちの意思能力を尊重した上で、さまざまな手段を試みることが、これらの計画が指針の基に動くことが重要と考えております。意思決定支援を実効あるものとして、取り組むために必要なこととして、意思決定支援の定義、特に知的に障害のある方の意思決定の条件整備、困難ケース等が対応できる、意思決定支援を行う人材育成の強化、それらの決定をチームによる仕組みによって取り行うことの推進、意思決定支援を客観的に判断できる第三者機関の設置、並びに意思決定に関する法の制定というようなところの検討が必要かと思います。

 成年後見利用促進の在り方についてです。これにつきましては、代理決定の方法として、その意思決定支援が支援する意思決定に相当するものとして議論すべきだと考えております。

 それから、エンパワメントの支援としての成年支援型後見制度への転換を目指すということで、まず 1 点目、代行決定の抑制と、本人の意思に沿った意思決定ということで、後見型の類型は、権利条約の 12 条に反するものと考えますので、この辺の検討と、本人の意思決定ができるように、最大に支援を尽すというところの部分と、成年後見に当たっての研修等が必要かと思います。

 最後、高齢の障害者に関する支援の在り方についてです。制度的には介護保険等 65 歳以上の問題がありますが、重度高齢化に対する支援策として、介護保険と別に障害者に特化したサービス体系の構築が必要と考えます。具体的なサービス体系の運用については、利用者が様々なサービスを選択できるような施策、それに合わせて高齢になった在宅の方、家族の問題に対応すべきハード面、ソフト面での支援、地域での移動保障等の施策の重要性、居住支援の強化として、夜間支援の強化等々、 5 点の機能を備えた居住支援の場、総合支援法の附帯決議にある小規模入所施設等、ユニット形式で昼夜を問わない支援の施策の必要性があるかと思います。

 最後、その他ですが、 3 年後の見直しに関わる検討事項につきましては、必要に応じ各団体との協議が行われるようにお願いしたいと思います。以上で、知的障害者福祉協会の提案を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。

 続きまして、身体障害者施設協会協議会からお願いします。

 

○全国身体障害者施設協議会三浦制度・予算対策委員会委員長

 本日は私どもの協議会の会長の日野は、バックシートに座っておりますが、総合福祉部会において、また政策委員会に所属しております関係から、福祉のほうで発言をしなさいということでお許しをいただき、発言させていただきます。よろしくお願いします。

 資料 2 を御覧ください。原案の 5 項目について、このような形を取りまして、その中に含ませております。総合福祉部会の提言については、今後の目指すべき方向だと評価をしております。ですが、施行後、 3 年後の見直しについて、財源、そしてサービス提供体制の整備が不可欠であると考えております。

1 番目は、自己実現を可能とするサービス体系を構築するという項目立てをしておりますが、 1 つ目に各サービスの受給の組合せに制限を設けないようにすべきということを提案させていただきます。現行、個別支援や社会生活支援、移動支援の利用等を、施設入所者であっても使えるように変えていただきたいということです。特に移動支援は、地域生活支援事業、市町村事業であることから、十分な支給決定がなされず、希望するサービスが利用できておりません。また、関連をして、障害者支援施設は住まいの場であるのですが、土曜、日曜に関しまして、私どものような常時介護と医療的ケアを必要とする機能障害の重い方々の施設利用者でも、土日の日中はサービス報酬が得られない形であるのが総合支援法の現行の仕組みです。土日の利用に関しまして、訪問介護を認めていただけないかということを挙げております。要求では、要は重い介護のある方は帰省や外泊するにしても介護なしではどこにも行くことができないので、余暇という概念が余りないのです。ですから、切れ目のないサービスが必要であると思われます。それも家族介護をあてにしないといいましょうか。家族も高齢者でありますので、そういう仕組みの構築を権利条約において個人の権利として示されている事項を前提として、個別給付と地域生活支援事業のメニューを見直していただきたいと望みます。

2 番目に、障害支援区分によるサービス受給の種類・量について制限を設けない仕組みを提案いたします。これは、条約も基本法も障害の定義、社会モデルで障害を捉えるということが決まりました。障害支援区分は、基本的には区分判定の調査項目は余り大きくは変わっておりませんので、医学モデルで障害を見るという範囲です。そうしますと、条約の言う、社会モデルの障害の捉え方というところは課題があります。今は区分の縛りで受けられないサービスなどもありますし、十分な居宅介護サービスが受給できるという状況でもありませんので、支援区分の差を設けないということを要望したいと思います。これは条約 19 条の B 項を根拠といたします。

 次に、サービス支給決定プロセスの見直しに関しましては、できれば現在の障害支援区分判定は支援判定という所にとどめおき、そしてその後の支給量やサービス内容は協議でもってということを提案しています。相談支援事業者を中心に、行政と当事者の三者の協議の中でという提案でございます。それから、全ての障害者支援施設に相談支援事業を義務付ける。非常に増えている地域の相談、間に合わない地域の相談、移行及び入所について決め細かい対応を行う機能を確保すべきということを提案しております。

5 番目。高齢の障害者に関しましては、介護保険サービスと障害福祉サービスいずれかを選択できる仕組み、若しくは併用を提案しております。少なくとも、第 2 号被保険者、 40 歳から 65 歳という方々に関して、サービスの選択権の保障をお願いしたいと思います。要介護高齢者が高齢障害者であることがなかなか意識されず、権利条約の縛りの中に高齢の障害者も入ってくるのではないか。介護保険制度の見直しも重要な課題ではないかと見ております。

6 番目。意思決定支援に関しましては、まばたきや口文字での意思表出を支援する施設スタッフ、私どもの利用者のことですが、その専門性を評価していただきたいと。その体制づくりの拡充を申し出たいと思います。

 それから、特定の生活施設で生活する義務を負わないことという 19 条の規定に関しまして、みんなが合意できるような入所も明らかな方法であり、みんなが合意できること。入口がすっきりしている、分かる。皆さんの意見をきちんと踏まえて行っているということなどを明らかにしていければと思うところです。ちょっと役が変わりましたので、更に少し混乱をしているような感じがいたします。

2 番目は提案です。チャレンジ応援プランということを提案いたします。それは、施設に入所されていても籍は置いたままであっても、外での体験ができる、地域生活の体験ができるというプランです。利用者に負担増なく、そして戻れる場所があるということが、大変地域生活に不安がられる御家族の背中を押すこともできるので、このようなプランを提案させていただきたいと思います。内容に関しましては、かいつまんでですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○佐藤部会長

 ありがとうございました。それでは、 3 番目に、日本身体障害者団体連合会からの発表をお願いいたします。

 

○日本身体障害者団体連合会森常務理事

 まず最初にお話しておかなければならないと思っておりますのは、私は障害者制度推進会議の 55 名の構成員の 1 名で、日本障害者団体連合会の代表として参画したものです。この自立支援法のできた経過、あるいは総合支援法になった経過という一連の流れがあったわけですが、そもそも一番の出発点は、私が捉えているのは支援費制度の発足から問題だったと思っています。そういう意味で、いろいろと支援費制度、あるいは自立支援法について、逐次改正を要望していったものであります。ついで、こういう状態になったわけです。総合支援法ができるときに、我々としましては、 1 つは権利条約を尊重していただきたい。それと、改正基本法に沿ったものにしてもらいたい。 3 番目は骨格提言を最大限尊重していただきたい。 4 番目は、国と訴訟団との合意文書があるわけですが、これも尊重してもらいたいし、自立支援法で非常に良い点もいっぱいあるわけですから、その良い点は、十分反映してもらいたい、そのような前提で私たちはやってまいりました。したがって、特に今回の附則第 3 条の規定の問題につきましては、我々としましては、この大きなテーマとして考えております。この 3 条がなければ、おそらく障害者総合支援法そのものも障害者団体では相当な反対があったのではないかと私は思っております。そういう面からいいまして、この在り方に関する論点整理におきましては、是非骨格提言を見直してもらって、それに沿ってやっていただきたいと思っています。この骨格提言が全部できるとは思っておりませんが、非常に良い面もあるわけですので、尊重してもらいたい。特に私のほうでは 1 ページにまとめてありますが、 1 つは地域生活支援事業の義務的経費化ができないのだろうかと。 2 番目は、応能負担に基づく収入認定の範囲は、本人単囲ということでできないのだろうかと思っております。なお、コミュニケーションの支援の通訳と介助というのは、お互いに利用しているわけですので、大分面倒を見てもらっているようですが、原則は無料ということで検討してもらったらどうかと。居宅介護を受けている障害者が入院した場合、必要な家事援助が全く医療法の問題があってデッドロックに乗っているということで、これも検討してもらえないかと。

5 番目は、私は移動の問題では、いろいろと区別されておりますが、移動という状態から、一本化に整理しながら、個別給付化できないのだろうかと。

6 番目は、実費負担の適切な水準の確保の実現です。

7 番目が、いまだ問題になっております 1 8 時間を超える介護サービスについての市町村負担軽減を含めた全国共通の仕組みを構築してもらえないか。重度訪問介護については、パーソナルアシスタンスは制度をを創設したらどうだろうか。

9 番目は、いわゆる地域生活という形でやるならば、やはり「地域基盤の整備 10 カ年戦略」のようなものを作らなければ、とても進まないのではないかということです。

10 番目は、就労支援と日中活動支援等の根本的な仕組みを考える。 11 番は居住はグループホームとケアホームを一緒にしていただいたものがありましたが、やはり居住支援という全体の状態から見てもらったらどうかなと思っております。

 大きな 2 番目ですが、やはり障害は、前は程度区分となっておりましたが、障害を程度区分ということではなくて、支援とすべきではないかということで、これは支援費になっておりますが、骨格提言では支給決定の在り方そのものについて出ておりますので、この辺の検討もしてもらえないだろうかと思っています。

3 番目が精神障害者及び高齢障害者に対する支援の在り方ですけれども、精神障害者の場合はそれぞれの団体が出ておりますので、高齢者の問題については、介護保険優先原則が 7 条にありますが、これに対する規定を見ていただけないかということで。この辺を検討事項にしていただければ幸いと思っております。以上でございます。ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 はい、ありがとうございました。それぞれ 3 人の方々、時間をしっかり守っていただいたので、 25 分程度の意見交換ができるかと思います。

 それでは、どちらからでも結構ですので、まずは 3 人の意見表明に関して確認や質問がありましたら、御発言いただきたいと思います。

 

○山下構成員

2 団体の方に質問があります。 1 点は、日本知的障害者福祉協会様にお尋ねします。資料 1 1 ページ目、常時介護を要する障害者等に対する支援についての所です。パーソナルアシスタンスついて言及がありましたが、骨格提言の中では重度訪問介護の発展的継承によるパーソナルアシスタンスということでありましたが、今回の資料の書きぶりの中ではパーソナルアシスタンスと重度訪問介護を別項目で書いてあります。これは、重度訪問介護の対象拡大ということとは別に、制度としてパーソナルアシスタンスを創設すべきという提案でよろしいのか。また、もし何か具体的な提案があれば教えていただきたいというのが、私からの 1 点目の質問です。

 もう 1 点は、全国身体障害者施設協会様にお伺いしたいことです。資料 2 2 ページ目 (6) 意思決定支援に関連してという所です。すみません。こちらで理解が及ばなかったのですが、障害者権利条約第 19 条と書いている所の中で、皆が合意できる仕組みの検討というのを口頭で説明されましたが、その内容をもう少しお話いただけると幸いです。以上です。よろしくお願いします。

 

○日本知的障害者福祉協会河原政策委員会委員長

 御質問ありがとうございます。パーソナルアシスタンスの導入については骨格提案等でもあるので、重度訪問介護と分けた所もあるのですが、仮にパーソナルアシスタンスを重度訪門介護等に相当する場合に、現行の要件の部分がすごく狭いという点と併せて、議論をしていく必要があるのではないかと、このように書き振りを 2 つに分けています。その必要性については重要だと思いますが、運用と実効の所は、現行の仕組みを含めて、もう少し検討したほうが良いかという点を含めて、このような項目にしています。

 

○全国身体障害者施設協議会三浦制度・予算対策委員会委員長

 資料 2 2 ページの所、少々分かりにくい説明と表記で申し訳ありません。第 19 条というのは地域生活圏の保障であるわけですが、骨格提言の頃の議論では、入所施設はあるべきか、あってはならないものなのかというような議論に、そこを根拠としていきました。少し前の話です。

 入所施設を運営していますが、暮らしている方々はほかに選択の余地がなかったり、介護棟が私どもの所は非常に高いものですから、皆さん、医療機関か福祉施設かという選択肢の中で暮らしている方も多く、自分の意思ではないはずだと周りから、皆さんは言われていました。ですが、実際に施設に暮らしている方々の側にいますと選択肢が余りにないので、出る仕組み、若しくは入所施設を中間的に使う仕組み、地域生活支援事業と入所支援の垣根を払ってみてはどうかと、全体的にはですね。

 そういったものがなかったので、非常に苦しい思いもしました。義務を負わないということはどういうことなのか、社会一般の皆さんに知っていただけるような、解釈の合意なのですが、意思決定ということは非常に重要なことだと思うので、それを全くできない方々の場合には、誰が代理となるのかということも含めて、第 19 条はいつも話題になりますので、ここを丁寧に読み解いていくことが必要ではないかという意味を込めた文章表記です。

 

○山下構成員

 はい、ありがとうございます。

 

○佐藤座長

 はい、ほかにいかがでしょうか。今のことについて、権利条約の第 19 条にこう書いてある、当たり前のことだと思うわけですが、現実に我が国の制度や慣習で、義務なんか誰も負わしてないと思うのですが、やはり今の御説明では皆が合意できる仕組みというのは何を指しているのか、よく分からなかったのですが、もう一度説明していただけますか。

 つまり、義務で施設に入っている人というのは制度の上でも、建前の上でもないですよね。そういう制度にもなっていないですね。だから、そこの規定について皆で合意ができる仕組みとはどういうことか、よく分からなかったので、もう一度お願いします。

 

○全国身体障害者施設協議会三浦制度・予算対策委員会委員長

 義務を負わないというか、その前の役は義務付けられないこととされていたのですが、入所施設以外の選択肢が、他のサービスが充実していない場合には、義務付けと同じ意味ではないかと、当時の総合福祉部会などでは議論がありました。その中で入所施設に暮らしている方々の実態は、私たちは入所施設をしている者ですので、利用者の方たちが肩身が狭かったり、施設にいることがいけないことかというような疑問を持つなどの歴史的経過がありました、その当時のことを話しますと。ですから、その義務付けられない、義務を負わないこととはどういうことかに関して、皆さんが解釈、合意できるような仕組み、仕組みというのは少々文章表現が良くなかったのではと思っているのですが。

 

○佐藤座長

 この皆というのは誰を指すのですか。

 

○全国身体障害者施設協議会三浦制度・予算対策委員会委員長

 皆というのは社会の人々全てなのですが。

 

○佐藤座長

 はい、分かったようで分からないですね。

 

○全国身体障害者施設協議会三浦制度・予算対策委員会委員長

 では、もう少しきちんと説明します。

 

○佐藤座長

 例えば、ある方の身体障害が非常に重くて介護度も高くて、医療的な様々なケアも必要だと。この人が施設に入るのは、止むを得ないという話なのか、むしろ、そのほうがいいという話なのかといったことは有り得ると思います。しかし、その人一人一人が住んでいる地域の社会支援の整備の状況も違うだろうし、その人を取り巻く家族の状況も違うので、状態が同じ人だからといって、施設か在宅かという線引きはできないと思うのです。そういった意味で言うと、合意という意味がよく分からないのですね。くどいようですが、もう一度説明をしてください。

 施設利用を止むを得ない、仕方ないという意味は分かります。ある地域である家族が、様々な社会関係の中にいる人が、この人の場合は止むを得ない、この人の命や生活を支えるのは、今のところ施設しかないかもしれないということは、十分に有り得ると思います。そのことに対して、良いとか悪いとか、余人が言うべきではないと、普通には考えるわけですよね。それだけで言えば、同じような状況にある人でも、その人が暮らす社会地域の社会支援の整備やら、あるいはその人の家族を含めた社会的な諸関係で、必ずしも施設を利用しなくても何とかなったと。その人は元々、いろいろ頑張ってでも地域で暮らしたいという人であればなおのこと、それはハッピーですよね。

 それは皆の合意ということで、社会と言えども誰が合意するのだろうと、よく分からないのですが。

 

○全国身体障害者施設協議会三浦制度・予算対策委員会委員長

 分かりました。少々、広く言ってしまいましたけれども、もちろん意思確認できる本人が一番なのですが、施設を利用する方も家族も、それから当事者の団体やリーダーの方々も、本人やその一番身近な方々が意思を確認し、自分で希望してという言葉を使うと、非常に選択肢がなかったと言う方々もいらっしゃるのは事実なので苦しくなるのですが、第 19 条の A 項にある、特定の生活施設で生活する義務を負わないことに関して、それしか選択肢がないという状況を作らないということを目指さして、ここに書いていますので、皆というのは社会の全てと言ったのが、利用者も取り巻く環境の方々も、施設を運営する私たちも、という意味です。すみません。そのことに集中してうまく説明できなくなっていますので、後ほど整理できたら、また。

 

○野沢構成員

 日本知的障害者福祉協会の河原さんにお尋ねします。パーソナルアシスタンスについては、新たな制度として創設すべきであると書いていますが、どのようなイメージで協会内で議論されているのかを知りたいです。例えばスウェーデンではグループホームかパーソナルアシスタンスかということで、グループホームに暮らしている人はパーソナルアシスタンスを使えないし、パーソナルアシスタンスを使う人はグループホームに入れない。二重給付になってしまうということですよね。

 日本の場合だと入所施設かグループホームで暮らすか、そうでなければパーソナルアシスタンスかという選択だと思います。そうでなければ予算が膨大に掛かってしまいます。では、そのときにどうするのかという議論は、様々な立場の方々がしていますが、例えばパーソナルアシスタンスを地域で進めていこうという人たちにとって、それは入所施設を減らしていって、その分の予算で地域で独り暮らしをする人たちのあれを進めていこうという議論は結構聞きます。現実的な 1 つの方法としては、それも有りなのかとも思うのですが、福祉協会の中で議論されているパーソナルアシスタンスとは、どういうイメージ像なのか。どういう制度なのかをお聞かせください。

 

○日本知的障害者福祉協会河原政策委員会委員長

 はい、ありがとうございます。まず結論から申しますと、具体的にパーソナルアシスタンスの内容についての検討は、協会内部でまだ始めていません。ただ、今も野沢先生から指摘がありましたとおり、予算との配分等もまだ全然議論のない中で、日本の制度の仕組みとして、まだ全く馴染みが薄い言葉であり、定義や中身についてもまだまだやらなければいけない。それは後の意思決定支援も含めた中での議論になっていくのではと思います。その辺を見た中で、対象の範囲を限定すべきなのか。骨格提言の中に、就労の箇所やほかの箇所にも、応援団としてのパーソナルアシスタンスというものが入っていたと思うのですが、そういった全体的な所を含めて、この仕組みが、特に知的障害の方にとっては重要なパートナー、支援だと思うので、議論をしていかなければいけない出発点に立ったかな、といったところです。

 ですからこれは、仕組みのアウトプットとしてこういう制度ですが、いろいろなものが多分絡んでくる中での議論かと、今のところは考えています。答えになったか分かりませんが、すみません。

 

○佐藤座長

 よろしいでしょうか。

 

○吉川構成員

 すみません、引き続き日本知的障害者福祉協会の河原さんにお尋ねします。 2 点あります。 1 点目は 1 ページ目の重度訪問介護についてです。こちらは要件が限定的なので対象者を拡大して欲しいというご意見かと思いましたが、重度訪問介護、現行のサービスそのものが使えればいいというお話なのか、それとも、もう少し何かそこにご意見があるのかを確認させてください。

 もう 1 点は、 2 ページ目の障害者訪問看護を仕組みとして導入すべきという考えについてですが、こちらも医療的なケアを要する方に必要な支援だと思うのですが、訪問看護を仕組みとして導入することが、組合せとして利用できるようにということであるのか、それとも障害福祉サービスそのものに仕組みとして導入するというイメージなのか。その辺りについて教えてください。

 

○日本知的障害者福祉協会河原政策委員会委員長

 御質問ありがとうございます。まず重度訪問介護については運用が始まったばかりなのですが、そのサービスにフォーカスを当てると、重度の障害のある方も使えるようにと制度の運用があったのですが、行動援護を要する方ということで、今、使える方の対象の入口が非常に狭くなってきている、我が協会としては、もう少しサービスがいろんな方に使えるようになっていってほしいという願いがありましたが、今は割とそこに限度があるので、そこをまず制度上変えていってほしいという流れの中で、これがパーソナルアシスタンスにシフトしていくのであれば、先ほどの野沢先生の意見にも繋がるのですが、当然対象の要件というものがそこに限定をされるというのはその制度自体が非常に使いにくいだろうという、そこを合わせていくべきかなと、このような形で提案を出しています。

 それから訪問看護については、 1 点制度上、介護保険が訪問看護という仕組みを使っていて、障害のある方が今、仮に看護を受ける場合には、医療保険の枠の中で訪問看護、医療の中での看護は受けられるのですが、いわゆるそれに相当しない方たちへの仕組みというのが、実際、訪問としては要件がないということで、今後、障害のある方が重度化、高齢化していく、ましてや医療的ケアが必要になってくる場合、実際に現場の者と家族の方も介護されるかと思いますが、その部分では看護師さんが訪問をして、医療的ケアを受けるという仕組みが障害のほうにもきちんと制度としてあるべきです。ですから、重度化、高齢化、重症心身の方を含めた医療的ケアの必要な、障害のある方たちでも安心して暮らしていける制度として、新たに創設をしていただきたいというのが提案の趣旨です。

 

○佐藤座長

 はい、ありがとうございました。

 

○田村構成員

 続いて、日本知的障害者福祉協会さんにお願いします。意思決定支援の箇所ですが、チームによる意思決定支援の仕組みの促進の、このチームというのは本人のよく知る方々でということは分かるのですが、その次に、それを客観的に妥当性を判断できる第三者機関とは、どういうところを想定しているのか。そのときに妥当性、意見を求めるのは一体誰なのかについて、意見を伺います。

 

○日本知的障害者福祉協会河原政策委員会委員長

 御質問ありがとうございます。まだ議論に不足なところがありますので、全部答えられるか分かりません。申し訳ありません。 ○4のチームによる意思決定支援の仕組みの箇所では、特に上の箇所の制度上の仕組みであるサービス等医療計画や福祉サービスに関して、その適性をどのように判断するかという点が、今のところ行政の支給決定権であったり、相談支援専門員の見立てである等、非常に狭い範囲でしかないので、そこをもう少しチームで担保できるような仕組みが必要ではないかというのが、○4の答えです。

 ○5の第三者機関の必要性という箇所の具体的な議論については、今回このような提案を掛けながら、仕組みの妥当性も含めて議論いただける切っ掛けとなればいいかなというところと、これは後段の成年後見の部分と繋がるかと思うのですが、なかなか本人の意思を個人で代理決定するのは難しいのではないか。特に知的障害の方というのは、いろいろな仕組みで担保できたとしても、なかなか保障し切れないのではないかと、妥当性を第三者的に諮れる所はないかとイメージは持っているという程度です。むしろ、これを切っ掛けに具体的な議論があれば、その中にも参加させていただきたいというのが狙いでもあります。答えになっているか分かりません。すみません。以上です。

 

○木村作業チーム構成員

 最初の知的障害福祉協会さんですが、支援のガイドラインの導入で、全国中心のガイドラインは確かに非常に難しいと思うし、ガイドラインができるために今の支給決定内容が削られるようなことがあると、逆効果だとは思うのですが、片方では市町村間での差がかなりあるということも言われている中で、何らか格差をならすような仕組みも要るのではないかというのが、ここの趣旨だと思っているのですが、それについてはどうお考えですか。

 

○日本知的障害者福祉協会河原政策委員会委員長

 御質問ありがとうございます。また不十分な箇所があり、申し訳ありません。言葉が足りなかったのですが、前回の骨格提言の中で、支給決定するに当たって、協議調整というキーワードがありまして、協議調整を支えるものとしての支援ガイドラインというものが提案としてありました。協議調整の担保としての支援ガイドラインがイメージしにくいという点があったのと、幾つかの市が実行しているという話もありましたが、そこを全国一律で考えていくことがいかがなものか、それも含めて今回、このような形でまとめています。

 ただ、いずれにせよ、ガイドラインとは別に協会の支給決定の在り方の箇所でも書いてありますが、基本的に本人のニーズが満たされるような仕組み、それも市町村の状況等、そういつた仕組みがまずないようにということが、支給決定に当たっての大前提だと思いますので、このような表記をしています。よろしいでしょうか。

 

○寺島構成員

 日身連の森常務理事に質問です。資料の中に、コミュニケーションについては原則無料とするという箇所があったと思いますが、骨格提言では、コミュニケーションは人間の基本的な活動なので、それを保障するのは無償であるべきだと書いてあった気がしますが、これについて、何か追加で説明いただければと思います。

 

○日本身体障害者団体連合会森常務理事

 この問題は実を言いますと、費用負担の問題なのです。一般的に掛かるものについては有料にしろと。しかし、障害に伴う費用は無料にしろというのが、ある一部の意見でした。

 また一部には、やはり収入に応じて負担すべきものはすべきではないかという形であります。費用負担の問題については中が別れているところがあります。その面から言いまして、私がお話しているのには、その件も入っていると思いますので、この場でできればいいなと提起しているわけです。

 

○佐藤座長

 はい、ありがとうございました。もう 1 人ぐらい質問の時間がありますが。

 

○高木作業チーム構成員

 まず日身連の森さんにお尋ねします。先ほど知的福祉協会の方にも野沢さんから質問があったように、パーソナルアシスタンスについてのイメージがあれば、教えていただきたいということと、知的障害者福祉協会、そして身障協もだと思いますが、施設入所者にも移動支援を使わせてほしいという所があり、更に個別給付化してほしいという意見もあるのですが、通常では二重給付となる部分について、なかなか厳しいと思うのですが、地域生活支援事業という所で何とか、自治体の判断で行っている部分もあるかと思いますが、これを個別給付化すると二重給付に完全に掛かってしまうので、余計に難しくなる気がします。その部分については、二重給付そのものを認めてほしいという主張なのかをお聞きしたい。

 それと、高齢障害者の部分については、介護保険をまず使うことに現在なっているそうですが、同じく、障害者権利条約の概念の中で、他の者との平等というものがある中で、障害者だけそこは選択式という所も権利条約の関係上、そこをどう考えるかという点を併せてお聞かせください。

 

○佐藤座長

 それではそれぞれお三方、できるだけ簡潔にお答えください。

 

○日本身体障害者団体連合会森常務理事

 パーソナルアシスタンス、これは基本的に私がイメージを持っているのは、野沢先生がお話したとおり、施設あるいはグループホームは対象外だと思います。在宅の人たちについて、いわゆる今は官制というか、役所辺りの人たちが選んだ人を付けると。そうではなく、障害者自身が選んで、それにお願いすると。

 実はこれは東京都で 47 年のとき、行いました。そういう経験がありましたが、今回、自律支援法になってからは消えてしまっているということなので、やはり相当プライバシーも皆に入ってくる問題ですから、気心を知っている人じゃないとなかなかうまくいかないだろうと、私は思っていますので、まず障害者を選ぶというシステムにしてもらいたいです。

 

○日本知的障害者福祉協会河原政策委員会委員長

2 点御質問ありがとうございます。 1 点目の移動介護についてですが、これは先ほど三浦さんからもありましたが、今、土日の入所において、人員が制度上行き届いていないという点を含めて、言い方が良くないのですが、人員に応じて利用者の状況が左右されてしまうという点を、何とか打破したい。それが結果的に二重給付と言われてしまえばそうかもしれませんが、そういう所のインセンティブを取りたいという思いの中で、これが入っているのが 1 つです。

 それから、介護保険との関係の中では、逆に今、 65 歳になると原則介護保険が優先という法律がありますね。それが逆に言うと年齢で切り替わっていくところが、特養等で障害のある方の状況に制度がフィットしているかが、逆に問題としてあるかと思われます。そういった問題も頭に置きなかがら、障害のある方の高齢化に対して政策があってしかりではないのかと思います。すみません。勉強不足で、まだ権利条約との関係等について、今後また勉強していきたいと思いますので、いろいろ教えてください。以上です。

 

○全国身体障害者施設協議会三浦制度・予算対策委員会委員長

 はい、ありがとうございます。二重給付という概念を持っていませんでした。社会生活と日常生活を総合的に支援する法律の中で生活をされていますので、社会生活部分が今、日常生活支援で、例えば生活介護としますけれども、その中ではとてもその人の社会生活までサポートできるような人員体制ではないです。ですから、移動支援に莫大な時間を求めているわけではないのですけれども、施設入所の方々にも、地域の一員として移動できる、施設入所者が地域生活者と基本は一緒なんだと、地域の一つとして、……と夜間支援を行っているという前提で考えて発言していますので、その部分を何とか工夫できないものかと思いましての意見です。

 それから、もう 1 点の他の者との平等という部分ですが、 40 歳から 65 歳の、例えば第 2 号被保険者は、他の者との平等をみるならば、やはり障害者としての扱いのほうが扱いが当然ではないか、障害福祉サービスが受けられて。今、第 2 号被保険者の方々も介護保険を優先する自治体があると聞いているので、そう思います。ただ、積極的差別是正措置、 Affirmative Action で考えると、実態として障害者の方々が自分の家族を形成する機会が得られなかったり、就労できなくて収入が年金だけの方が非常に多いので、その方々を思うとき、他の者と全く平等にしてしまった場合の障害者の方の不利益は確かにあると思いますので、併用を認めていただきたいということです。

 

○佐藤座長

 はい、ありがとうございました。それでは時間になりましたので、お三方の意見表明は以上で終わります。どうもありがとうございました。

 では続きまして、 3 つの団体の方、お願いします。日本相談支援専門員協会、それから日本グループホーム学会、それから全国地域生活支援ネットワークのそれぞれの代表の方、お願いします。

 

○佐藤座長

 では、よろしいでしょうか。相談支援専門員協会さんからお願いします。

 

○日本相談支援専門員協会鈴木理事

 本来ですと代表理事の玉木が伺うところですが、所用により理事の鈴木康仁が参りました。資料に基づきまして説明いたします。私どもは 3 つの点を申し上げたいと思います。 1 つ目は高齢の障害者の対応について、 2 つ目は支援区分の決定のサービス等利用計画の関係性について、 3 つ目は意思決定支援についてです。

 介護保険の被保険者である 65 歳以上の障害者が要介護状態又は要支援状態となった場合、 40 歳以上 65 歳未満の者の場合は、その要介護状態や要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身上の変化に起因する特定疾病によって生じた場合、介護保険制度と重複する自律支援給付については、原則として介護保険を優先することが障害者総合支援法の第 7 条により定められています。

 障害者総合支援法第 7 条の規定により、障害福祉サービスであっても介護保険に相当、類似するサービスは介護保険での提供となります。そのため、介護保険優先原則は高齢の障害者の地域生活に影響を及ぼしています。現場ではなぜ 65 歳になると従来受けてきた障害福祉サービスを継続できないのか、なぜ介護保険優先なのか、なぜ介護保険サービスの利用により有料になるのかというような疑問の声も挙がっております。その結果、本人の意思や選択権が考慮されることなく要介護認定を受けることとなり、認定された要介護度ごとに定められた介護保険サービスが優先され、障害福祉サービスの利用が制約されることになる事態も生じております。

 厚生労働省は、障害者自律支援法に基づく自律支援給付と介護保険制度との適用関係等についてを通知し、介護保険優先原則を基本としながらも障害者の心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様であり、介護保険サービスを一律に優先させ、これにより必要な支援を受けることができるか否かを一概に判断することが困難であることから、障害福祉サービスの種類や利用者の状況に応じて当該サービスに相当する介護保険サービスを特定し、一律に当該介護保険サービスを優先的に利用することはしないこととすると定めていただいております。

 しかし、全ての市区町村においてこれらを共通に解釈され、制度や支援が同水準に実施されているかというと大変、疑問があります。市区町村によっては実際、解釈や実施に差異があり、そのため同じ障害や生活、所得状況にあったとしてもサービスの利用や選択に格差が生じていると思っております。今後の高齢の障害者の課題です。 1 つ目は、基本的な理念の確認を今一度したほうがいいと思っております。 2 つ目は、先ほど申し上げましたように市区町村ごとに差異が出ておりますので、地域の実情における課題整理が必要だと思っております。

 基本理念の確認といいますのは、当然ですが年齢や障害等に関係なく「共に暮すインクルージブル社会の構築」に取り組むという基本理念、できる限り分野や制度の縦割りを払拭していくことが大切だと思っております。 2 つ目の地域の実情における課題整理としては、地域における活動への参加を介護保険制度も含めて、どのように作ることができるか。高齢の障害者の特性に合った誰もが暮らしやすい社会の構築をどうするかという視点が重要だと考えております。

 具体的には、一律に介護保険優先ではなく障害の必要性による選択できる制度が必要であり、 65 歳という年齢によって生活の水準や質を引き下げてしまう場合がある。こういうものに配慮する必要があるのではないかと思っております。そのためには、総合支援法の第 7 条の見直しをお考えいただきたいと思っております。 2 つ目は、介護保険優先原則のために障害福祉の給付や市区町村事業が打ち切られたり、支援が途切れてしまうことがないようにする必要があると思っております。

3 つ目は、高齢の障害者の生活を支える上でサービス等利用計画が果たす役割は大変重要だと考えております。サービス等利用計画をベースに選択できる制度の構築が必要だと考えております。 4 つ目は、障害者権利条約の諸原則です。障害福祉施策を再構築する必要があると思っております。

 支援区分の決定とサービス等利用計画の関係性についてです。平成 24 年度の改正障害者自律支援法により、障害福祉サービスを利用する全ての方に対し、サービス等利用計画案を支給決定の根拠と位置付けられたことは、大変大きな改正点です。障害支援区分に関しては、知的障害の方や精神障害の方の特性に配慮して、より適切に支援区分が決定されるということで改善がなされたことは、大変評価しております。

 支給決定プロセスに関しては、市区町村が障害程度区分、障害者を取り巻く状況、サービス利用意向等を勘案して支給決定していたプロセスから、相談支援専門員が利用者のニーズに基づくアセスメントの下、作成したサービス等利用計画案に基づき、市区町村がサービスの種類、支給量を決定するというプロセスに変更していただきました。これは、セルフプランも含めて利用者のニーズに基づく支給の在り方に一歩近づいたものと受け止めております。

 しかし、いまだ支給料の決定に関しては、サービス等利用計画案を十分に吟味することなく自治体が独自に作成した支給決定基準を機械的にといいますか、それぞれの市区町村の判断で優先させてしまうのではないかという状況も見受けられます。この決定に関しては、法の趣旨に基づき今一度、市区町村に対して遵守がなされるように徹底をしていただくよう要望したいと思います。今後の支給決定の方向に関しては、障害支援区分によらなくても支給の必要な方に対しては相談支援専門員が関わりつつ、協議・調整をベースとしたフォーマル・インフォーマルを問わず本人を中心に計画が作成されていく方向を目指していくことが、必要ではないかと思っております。

 意思決定支援についてです。障害者権利条約第 12 条を見ますと全ての人となっておりますが、全ての障害者のと変更をお願いいたします。生活のあらゆる面において、ほかのものと平等を基礎とする法的能力を共有すると権利条約の 2 項に記載されており、それが保障されております。これは、障害のある全ての人が意思決定を行う権利を有することを意味していると思います。障害のある人々は、意思決定、これは法的能力の行使を行う必要があると認められており、政府に対しても必要とする支援にアクセスできるようにするための適切な処置を取るということを求めております。

 更に障害者基本法第 23 条には、障害者の意思決定の支援に配慮して障害者及びその家族、その他の関係者に対する相談業務、成年後見制度、その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が適切に行われ、広く利用されるようにしなければならないと規定されております。意思決定の権利を持つということは個人的な生活での意思決定、健康管理に関する意思決定、金銭、資産管理等の意思決定、あらゆる生活の場面において意思決定が行われるということを意味しております。

 こうした意思決定においては、どのような生活を希望するのか、その生活の実現には何が必要とされるのかを自らが決定していかなければなりません。しかし多くの障害のある方々の場合、自分の希望する生活の在り方について基本的な情報や体験が圧倒的に少ない。また、言い変えますと選択肢が少ない中で生活を希望していかなければいけない、あるいは決定していかなければいけないと思います。

 情報の伝達方法や具体的な体験が、この場合重要になると思います。また、言葉や意思表出の弱い重度の障害者の場合には、意思決定支援はその人と支援者の信頼関係とその人となりを知る関係性が求められます。その人の希望する生活をイメージできないと支援はできないのではないかと思います。支援者の希望する生活に誘導してしまう結果になることを十分に注意しなければならないと思っております。相談支援の現場ではコミュニケーションの取りづらい重度の方々、あるいは精神障害の方々の希望や願いをどこまで汲み取り日常生活に反映させていくのかということが必要だと思います。

 こうした障害のある方々の意思決定については、支援や体験に基づいた協働的意思決定を通じて本人のエンパワーメント力を育くんでいくことが必要だと思っております。時間がありませんので、今後の課題としては意思決定支援として、当然ですが相談支援専門員の本来の任務であり権利擁護者としての相談支援専門の在り方を整理し、意思決定支援の明確な定義がなされていない中では、意思決定支援のガイドラインを作成する必要があると思っております。また、思いや願いを実現するためには、意思決定支援ということだけではなくて意思表明支援と意思決定支援の 2 本の柱での整理が必要だと考えております。私の話は以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。続いて、グループホーム学会からお願いします。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 グループホーム学会ですが、グループホームだけの問題ではなくて、私どもが障がい者制度推進会議総合福祉部会に参画して論議した過程や骨格提言を実現できるように論議する立場から、意見や要望を述べたいと思っております。よろしくお願いします。

 資料 5 を基に説明いたしますが、時間の関係で全ては論じることができないかもしれません。主な検討項目に関して、常時介護を要する障害者等に対する支援です。市町村での居宅介護の支給決定で大きな格差が生じている現実があります。障害が重くても居宅介護、日中活動の場の提供があれば、地域での暮らしが可能になる多面的な支援が必要であると考えています。在宅でもグループホームでも安心して暮らせる障害福祉サービスの充実を図っていただきたいと思っています。

 課題としては、重度訪問介護の対象者拡大では行動関連項目 10 点以上の行動援護対象者に限定されてしまいましたが、行動関連項目 10 点以下の障害のある人や行動障害がなくても独り暮らしを目指す知的障害者や精神障害者等も重度訪問介護の対象になるよう是非、再検討をしていただきたいと思っております。

2 番目の課題としては、総合福祉部会の骨格提言で論じられているパーソナルアシスタンスの導入も検討してほしいと思います。先ほど前段でパーソナルアシスタンスの質問がありましたが、総合福祉部会の骨格提言やパーソナルアシスタンスの論議は、居宅介護事業全体を見直す中でパーソナルアシスタンスの導入を是非、目指そうという論議だったと思います。そういう意味では、今、札幌市では重度訪問介護支給決定者を対象にパーソナルアシスタンス事業を実施しております。例えば、重度訪問介護 100 時間分のお金をダイレクトペイメントとして障害当事者に支払い、障害当事者が家族以外の自分が信頼できる介助者を雇うことができるサービスです。この中では、今の重度訪問介護で使えない病院入院時におけるコミュ二ケーションの支援等もパーソナルアシスタンスを使って、自分の介護を得意な人にお願いすることも実現しております。

 障害者等の移動の支援です。地域生活支援事業の移動支援は、障害福祉サービスの移動支援として位置付けるべきではないか。理由としては、重度訪問介護、行動援護、同行援護は障害福祉サービスの支給決定を受ければ、全国どこでも事業者と契約して移動の支援を受けられます。それ以外の障害のある人は、市町村の移動支援を利用することになります。異なる市町村でも利用できるようにするためには、地域生活支援事業、市町村事業から障害福祉サービスに位置付けることが妥当ではないかと思います。

 移動のアクセス権は障害のある人にとって重要なサービスであり、権利条約に即して必要であれば常時でなくても通学、通所、通院、就労にも利用できるように解釈を再検討してはどうかと思います。併せて地域の特性上、公共交通機関を利用できない場合には車両を利用しての移動支援の在り方等の財政負担を伴う福祉有償運送以外の論議も必要だと思っております。特に地方では人口が減って、なかなか福祉サービスを使うのが困難な障害のある方もいますので、是非、在り方を検討していただきたいと思っております。

2 ページは、障害者の就労の支援、そのほかの障害福祉サービスの在り方に関してです。特に総合福祉部会で論議したデイアクティビティ。例えば生活介護や自立訓練や就労継続 B をを統合して、仮称デイアクティビティという事業を是非、再編して考えてはどうかという提言です。理由は旧法の障害者自立支援法で 6 事業に整理されましたが、必ずしも利用者にとって必要な日中活動のプログラムを提供、選択して実施できているわけではありません。

 そういう意味では、特に地方で生活介護やほかの事業がなくて就労継続 B の事業所しかない地域の人は、自分は日中活動でスポーツ活動や芸術活動やいろいろなことをしたくても、就労継続 B 1 日中作業をしなければならないという選択肢が狭まる今の現状は、是非、見直すべきだと思います。利用する人のニーズに合わせてプログラムを構成していくような生活介護を再編成したデイアクティビティの実現ということを是非、検討していただきたいと思っています。

 また、現在は月マイナス 8 の原則日数がありますが、障害の度合や家庭の状況や地域の状況で週末や祭日等の支援が必要になる利用者もいます。原則日数が設けられていることで、土日の支援に困る人たちもたくさんいます。今現在、原則日数を超える申請をすれば、市町村で理由が妥当であれば土日、日中活動に通うこともできるようになっています。デイアクティビティ事業の再編に当たって原則日数の枠を超えても個別支援計画、あるいはサービス等利用計画で支給決定ができるように是非、検討していただきたいと思っております。就労に関しては、時間の関係で省略します。

 療養介護でも日中活動は、他の事業所に通えるようにしてはどうかという提案です。療養介護は入院が前提ですが、日中活動は入院の方も近くの生活介護に通うとか、以前の重症心身障害児・者の通園事業が生活介護事業になっている所に通うなど、多様な選択肢も入院の人にも必要ではないかと思っております。療養介護対象者を日中活動で受け入れる場合は、医療ケアの問題も含めて看護師の配置が必要な場合は報酬上評価するようにして、入院、療養介護だから 1 日中病院機能の福祉施設で生活をせざるを得ないというところは是非、見直してはいかがかと思います。

3 ページです。地域生活支援事業の日中一時支援を、障害福祉サービスの短期入所の日中利用に統合してはどうかという提案です。自立支援法になったときに日中一時支援を短期入所の日中利用から市町村事業に移した経過があります。日中一時支援事業は、義務的な地域生活支援事業ではないので、全国には日中一時支援をやっていない市町村もあります。そういう意味では全国で平等に支給決定する上では、是非、日中一時支援を短期入所の日中利用にもっていくことは、それほど難しくないと思います。

 障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方です。特にグループホームが一元化になって、窓口であなたは身体介護が必要かどうかという質問で身体介護が必要でないと表明する精神障害の人たちに対して、きちんとした支援区分の認定ができなくて非該当になっている人が各地で続出しています。その場合には、必ずサービス等利用計画を作って身体介護等をもっと配慮する窓口の姿勢も必要ではないかと思います。

 時間の関係で最後のページに移ります。精神障害者の社会的入院の解消に向けて今いろいろな取組が行われています。精神科病床をグループホームに転用する論議や実際そういう方向で 4 月から始まろうとしています。以前からあった現存する地域移行型ホームも含めて利用する人が公正な立場で自分の意思が言えて、利用計画を作って早く地域のグループホームに移行できる配慮が必要かと思います。

 介護保険との問題です。今現在、 65 歳になると介護保険を優先ということが地方にあります。例えば生活介護を使っている人は、介護保険のデイサービスに通えないか、グループホームを使っている人は認知症のグループホームに変更できないかという自治体からのいろいろな申し出があります。障害福祉サービスの支給決定自体、申請段階で介護保険優先でハードルが高くなっている現状もあります。ここで、そういう意味では介護保険優先の考え方をもう少し自己決定の立場から見直す必要があると思います。

 特に施設入所支援のサービスを受けている方は、介護保険の被保険者から除外されましたから介護保険のサービスを利用する場合は、 3 か月以内に退所する条件で施設所在地で要介護認定を受けることになります。 3 か月以内でというところはすごくハードルが高いので、是非、見直しをしたらいかがかと思います。以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。地域生活支援ネットワークからお願いします。

 

○全国地域生活支援ネットワーク片桐事務局長

 今日は代表理事の大原が所用のため欠席ということで、私から説明いたします。

 常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労支援その他の障害福祉サービスの在り方についてです。まず、常時介護を要する障害者等に対する支援です。私たちのネットワークの会員団体の所で、なじみのある所で言いますと、重度障害者等包括支援、後ほど出てきますが重度訪問介護、行動援護というサービスがあります。重度障害者等包括支援の類型がありますが、全国的には支給決定者が非常に少ないと認識しております。報酬や運用については見直しが必要であると考えております。

 平成 26 4 月から重度訪問介護を知的・精神障害まで拡大いたしました。アセスメントを目的に居宅内において行動援護が利用できるようになったということは、非常に歓迎すべきことです。これは、以前から要望を出しておりましたが、重度訪問介護については現行制度では 15 歳以上になっております。この対象年齢については、引き下げるべきと考えております。理由としては、 15 歳以下の重度の身体障害の個別支援サービスは、実は移動支援しかないということで、 15 歳以下は地域生活支援事業で 15 歳以上は国の給付です。

 ただ、行動援護になると知的障害の重い方だと特に年齢は関係なく使えます。知的障害と精神障害で使えるサービスが分かれている状況です。 2 番目は居宅内の行動援護の利用についてです。これは、支給決定や市町村の判断によります。重度訪問介護の利用を前提にしていると現行の書き振りになっていますので、重度訪問介護は 15 歳からということで、 12 歳、 13 歳だとだめですということで居宅内の行動援護が使えないという事例が散見しております。

 一方、行動援護については重度訪問介護の知的・精神の拡大のところで、アセスメントや重度訪問介護の移行が前提という形で、実際はそうではないと聞いておりまして、外出を中心としたものの言葉が外れて、外出でなくてもいいのですよという立て付けにはなっております。ただ、市町村によるとアセスメントや重訪への移行前提と認識しているところがあるので、そこにはこだわることなく、私たちは、元々行動援護については、総合的な支援類型としてお家の中でも外でも使えるようにしてもらいたいという要望を持っておりましたので、日常的な支援に利用できる改正をお願いいたします。

 その他、障害福祉サービスの在り方についてです。訪問型生活訓練事業の創設を要望しております。現行では通所の生活訓練の利用者が通所を前提にして必要に応じて訪問による生活訓練を受けることができます。ですが、通所が前提になっており、例えば生活介護や就労継続 B 型で自分で通う練習をしたいということですが、正に二重給付になるのでできません。なので訪問型生活訓練事業を創設して、通所型の訓練事業、ここが大事で指定を受けなくても訪問型単独の指定で、実施ができるようにする必要があると考えております。

 更に高機能発達障害の方のための支援サービスの開発をお願いできればと思っております。重度の障害のある方のサービスメニューはまだまだ足りないところもありますが、一定水準までは来ていると考えております。高機能発達障害の方の具体的なサービスメニューはまだまだ発展途上だと考えております。ほかの障害と比較しても特性を考慮いたしますと、現行のサービスとは別の枠組みのサービスが必要と思っております。是非とも全国の取組を集約し、高機能発達障害の方にもフィットしたようなサービスメニューの開発のための検討を行っていただければと思っております。

 障害支援区分を含めた支給決定の在り方です。 4 月から変更になりまして支援区分になりました。正確に区分が出ないと言われていました知的・精神の方にも適性に出るようになったということは歓迎すべきことです。しかし高機能発達障害の方で、軽度ではあるのですが累犯や触法という非常に支援が難しい方々は区分がなかなか出づらい。あるいは生きづらさや困難が評価されない点が残りますので、何らかの形で改善が必要ではないかと考えております。

 意思決定支援の在り方、成年後見制度の利用促進の在り方です。障害者の意思決定支援については、どんなに重い障害があっても本人の意思があるということを前提に、その意思を決定するためにはどのような仕組みと支援が必要かを考えております。一方で本人の意思決定については様々なステージがあり、例えば医療を受けるかどうかという生命に関わることから、住まいをどこにするかという人生に関わること、自分が着る服はどれにするかという日常生活に関するところまで非常に幅があると考えております。在り方は簡単ではないとは思いますが、まずは研修など障害者と関わる全ての人たちが、本人の意思決定を最大限に尊重する研修制度が必要だと思っております。

 現行の成年後見制度です。代行決定が権利条約に反すると指摘されておりますが、障害福祉サービスの利用の観点で、契約の締結や介助、金銭トラブルの回避など、本人が不利益を被ることがないようにするためには、十分ではないにしろ成年後見制度は必要であると考えております。その上で、成年後見制度の利用を阻む要因としては、本人の負担の問題や成年後見人への不信、手続の煩雑などが考えられますので、利用促進に向けては本人負担の軽減、後見人、保左人、補助人の資質向上、手続の簡素化や手続の支援を充実させていただけれはと思っております。

 高齢障害者に対する支援です。障害のある方の重度化と高齢化については、私たち全国地域支援ネットワークとしては最重要課題として捉えております。例えば入所施設の方、グループホームの方もそうですが、特別擁護老人ホームが必要だというのですが入れません。仮に入れるような要件になったとしても、市町村とすれば今現に入っているでしょ、今障害者施設で支援を受けているでしょと大体は優先順位が下がってしまうということが現実としてあります。

 更にそれぞれの障害特性を勘案しますと、障害福祉サービスの枠組の中で最後まで暮らし続ける仕組みが必要であると思います。私も昨年、参加いたしましたが、障害者の地域生活の推進に関する検討会において、 1 つの建物における共同生活介護の設置数のグループホーム特例が示されました。この中で 20 名までよろしいという特例も示されたので、ここの枠組みについては高齢障害の方への一定の重装備の住居として期待を持っておりましたので、実際に計算をしたり運営のスキームを考えてみました。

 特に高齢障害の方、日中活動にも通えなくなってしまった方を想定した枠組みで考えますと、現行の報酬制度の組合せでは非常に運営が難しいことが分かってきました。日中活動に通えなくなった高齢かつ重度の方、さらにはグループホームの特例の中には多機能拠点整備型という言葉もありました。行動障害や重症心身障害などの濃厚な支援が必要な方への居住支援サービスとしては、現行のグループホームでもない入所でもない新たな多機能な居住支援型の創設の検討が必要ではないかと思っております。また、私どもの試算の中では建物がそれなりの大きさ、行動障害の方、重身の方に耐え得るスペックだと考えますと、非常に建設コストが上がるという中で、現行制度の補助単価では事業所の負担が非常に大きいということも明らかになっておりますので、この単価の大幅な引上げの検討も必要ではないかと考えております。以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。今、 3 つの団体から御意見が表明されましたので、引き続き質疑ないしは確認あるいは意見交換を行っていきたいと思います。では、どちらからでも結構ですので、よろしくお願いします。

 

○野沢構成員

 いろいろな団体の方が骨格提言を守ってくれ、パーソナルアシスタンスを導入してくれと言うのですが、イメージされているものはかなり違うのではないかという気がしてきました。グループホーム学会の光増さんに教えていただきたいのですが、札幌の 100 時間分というのは、月ですか、週ですか。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 月です。

 

○野沢構成員

1 日に換算すると 3 4 時間です。これでいいのですか。重度の方が一人暮らしをする 3 4 時間をパーソナルアシスタンスで行けますか。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 重度訪問介護の支給決定を受けて、月 450 時間とか 500 何十時間、あるいは 24 時間を受けている人が 100 時間分をバーソナルアシスタンスを使ってやっているという現状です。

 

○野沢構成員

 その中の 100 時間をパーソナルアシスタンスで。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 そうです。

 

○野沢構成員

 これから骨格提言の中で実現していこうというバーソナルアシスタンスも基本的にはそういうものを想定しているということでよろしいのですか。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 骨格提言で言っているパーソナルアシスタンスは、必ずしも重度訪問介護の 100 何時間を削ってという意味合いではなくて、今の居宅介護全体を見直していこうという論点だったと思います。

 

○野沢構成員

 骨格提言ではなくて、グループホーム学会が考えているパートナーアシスタンスというのは、どういうものですか。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 グルーブホーム学会は、今、個別のホームヘルプサービスを使っている人が経過措置で、また延長になりましたが、より障害の重い人が、例えば入院などをしたときに、今のホームヘルプサービスでは病院に付添いが付けないような条件もあります。そういう意味では入院したときにグループホームには長期入院の僅かな加算はありますが、慣れた人が介護するというのは難しいので、パーソナルアシスタンスの導入は活用できるのではないかと思っています。

 

○野沢構成員

 制度としては、いわゆるスウェーデン型のグループホームかパーソナルアシスタンスか二者択一ではなくて、今の日本の居宅介護をパーソナルアシスタンスに運用をより柔軟にしていこうというイメージですか。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 そうですね。例えば、施設入所の人も長期で帰宅しているときに居宅介護を使うとか、パーソナルアシスタンスを使って、その代わり施設入所支援のほうは外泊の加算は請求しないで、併給扱いをしない形であれば、施設入所支援の人も、外でそういうサービスが使えるようになるのではないかと思います。

 

○野沢構成員

 分かりました。もう 1 つ、この話はあまりしたくないのですが、精神病院内のグループホーム、ここにもあるように病院の建物を活用して認めるという結論ではないはずです。すり替えがよく聞かれるのですが、そうではなくて、検討会に出して、あるいは厚労省が省令改正で出しているのは、敷地内に病棟とは別の独立した構造のグループホームを作ろうというものです。

 ここは大事なところなのでお聞きしたいのです。しかも、その中にはいろいろな条件を付けていて、 2 年間使用の限定、本人が希望する人だけ、外部との出入りの自由、病院スタッフとは別のスタッフが運用に当たる、あるいは外部の第三者のチェックで間違っていないかを決めていこう。それでも駄目ならこの制度はやめようと。いろいろな条件を付けているのですが、それでも駄目なのでしょうか。なぜ駄目なのでしょうか。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 難しい条件を付けてハードルを高くしているということは承知しております。ただ、精神科の病床を、例えば個室に変えるとか、病棟転換の一環では、病床そのものをグループホームに作り替えることも可能になっています。個室とか、いろいろな条件が。

 

○野沢構成員

 それはどうですか。大事なことなのですが、私はそういう認識はないのですが。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 施設基準が合致すれば。

 

○佐藤座長

 では、事務局からお答えください。

 

○竹林障害児・発達障害者支援室長

 設備構造上、病棟から独立させるということですので、物理的に元病棟だった所を造り変えることは可能ですが、それは設備構造上、独立させるということなので、病棟とは全然違うものだということが大前提です。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 例えばつながっている病棟をつながらなくして、原則個室で、今のグループホームの基準に合わせる事業者申請をすれば可能にはならないのですか。あくまでも精神科病床の定員削減の分は敷地内に別な建物を建てるという条件なのですか。そこが大事なところなので。

 

○尾崎精神・障害保健課課長補佐

 敷地内ということで別棟の場合もありますし、建物の中を活用する場合もありますが、先ほど竹林室長が申し上げたとおり、例えば出入口は必ず別にする、直接中の廊下で行き来できないようにするということで、繰り返しになりますが、構造上、病院とは別のものにするという厳しい条件になります。

 

○野沢構成員

2 年間限定した運用と、それでも駄目ですか。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 今の現存する地域移行型ホームの 2 年間の使っている人の実態がだんだん減ってきているとは思いますが、ハードルを高くして限定するのはいいとしても、やはり原則的には精神科の病院の敷地内に経過措置のグループホームはなるべく作らないで、地域に移行するような政策誘導をしたほうがいいとは思っています。

 

○野沢構成員

 もう少し突っ込んで聞きますと、いろいろな社会的入院をしている人のアンケートで、 1 割ぐらいは外に出たくないと何 10 年といるわけです。本来はそうではないと思いますが、怖い、できていないというのは 1 割ぐらいいると言うのです。そういう人を医療の患者から切り離して福祉のユーザーにまずなってもらう。そこでワンクッション置いて外に出していくのは駄目なのかと思います。

 直接外に出ても、かなりの割合の方が再入院してきます。そういうことを考えたときに、こういう選択肢は果たしてどうなのだろうか。それは後回しだという議論がありますが、それでも毎年 1 万人ぐらいずつは病棟の中で亡くなっていくわけです。そういう人たちのことを考えたときに、今すぐできることとして、こういうものも選択肢としてありなのではないかというのも、全く話にならないのですかね。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 全く話にならないという言い方ではないのですが、なるべく地域の中に精神科から病床削減して移行する人たちのグループホームも、あえて精神科病院の中に建てなくても、その周りとか地域に造ってもいいと思います。だから、いろいろな事情があるとは思いますが、いろいろな選択肢があっていいと思います。

 

○野沢構成員

 ここばかりがそんなに批判の集中砲火を浴びるようなのかと私は理解できなくて、もっと病床を削減して、 20 万人を出していこう。その受け皿をみんなで作っていこうよという所になぜ焦点が当らないのか。必ずこれが出てくるところがあるので、それが不幸な感じを持っているのです。ここで議論してもしょうがないので、この辺で終わりにします。

 

○佐藤座長

 ほかにいかがですか。

 

○田村構成員

 相談支援専門員協会の方にお伺いします。高齢障害者の対応についてで、結果的には市町村によって解釈・実地に差があると述べられていましたが、これはほかの団体からも繰り返し出ている話だと思います。そもそも相談支援専門員がきちんと一人一人の利用者の状況をアセスメントして、最も適切なサービスはこれだということをどのぐらい主張できるのかということと、市町村がそれに対しても「でも、介護保険優先なのだから駄目ですよ」と言われてしまったときに、そこでもう少し協議する余地は持てないのだろうか。これは相談支援専門員の質にも少し関わることではないかと思いますが、そこについてはどうお考えですか。

 もう 1 つは、当然市町村によって地域のサービスには差があることは致し方ない部分かと思いますが、市町村単位で相談支援事業をやっていくと、どうしても格差の問題が市町村の中だけでは見えてこないと思います。もう少し広域に、例えば都道府県の自立支援協議会等で話し合われれば分かる課題もあるかと思いますが、市町村の中だけでは、なかなかそこが打破できないことではないかと思いまして、その辺りは専門員協会で何か議論などされているようであれば、少し教えていただきたいと思います。

 生活支援ネットワークに伺います。最後で特に高齢、かつ重度の方ということですが、この中に精神障害のある方で長期入院しておられる方も、随分高齢化していますので、対象となってくるかと思いながら聞いていました。現行、グループホームでもなく、入所施設でもなく、新たな多機能居住支援類型というのは、箱物として想定しておられるのか、それとも居住の場で様々な支援が提供できる仕組みのようなことをおっしゃられているのか。もし具体的なイメージがありましたら、伺いたいと思います。以上、 2 点よろしくお願いいたします。

 

○日本相談支援専門員協会鈴木理事

 それでは、相談支援専門員協会からお話いたします。まず質ですが、当然協会としても相談支援専門員の質を担保していかなければいけません。特にこの 3 月までの計画を立てなければいけないということに追われておりまして、大分問題意識は持っております。

 先ほどサービス等利用計画と新区分の決定についてでもお話しましたが、市町村にあってはその計画を見て、それが支給決定の前提にあるということをしていかなければいけませんが、最近の計画を見ますと、安易なセルフプランに流れてしまっているような市町村もあったりするものですから、まだまだそこまで市町村に対して説得力を持っていないというのは実情として認めざるを得ないと思っております。

 では、いつまでにそれができるのかとか、どういう方法でということをきちんと議論をしていかなければいけないと思っております。幸いにも相談支援従事者研修、これは初任者研修、現任研修、更には専門コース別研修という方法とか、各都道府県ごとの相談支援専門員協会あるいは日本相談支援専門員協会ではインターン制度などを使って質を高めていこうという動きもありますので、そういった流れの中で質を担保していくことが必要かと思っております。そういった形で質を上げていくということに尽きるのかと思っております。

 それから、市町村単位では限界があるのではないかというお話です。これはそのとおりで、都道府県の自立支援協議会などが機能しているかどうかにもメスを入れていかなければいけないと思っております。つい先週、 1 23 日でしたが、全国の自立支援協議会の関係者にお集まりいただいて、連絡会という形で、特に都道府県の自立支援協議会が機能していかなければいけないというところで動きもしておりますので、そういった流れの中で質を上げていく。また、相談員一人一人の質を上げるだけでは限界がありますので、体制を整えていくことが必要かと思っています。

 私自身が現場でやっておりますと、どうしても市町村の担当者も給付要綱などに頼らざるを得ません。そこに介護保険が優先となっていますと、なかなか計画の内容まで踏み込んで吟味して、こちらが優先だとしていただけてないのは、私どもの説明の仕方にもあるかもしれませんが、どうも事務的に過ごしてしまっているところがあります。ですから、その辺りをもう一度見直していただきたいと思っています。以上です。

 

○全国地域生活支援ネットワーク片桐事務局長

 田村構成員から御質問いただいた件ですが、いわゆる高齢化重度の中には精神病院から移行されている方なども当然入ってくると思います。私たちが想定しているのは、まずは高齢で重度の方、若くても重度という方もこの対象になってくるかと思います。建物のものなのか、機能のものなのか、両方を想定しております。もともと障害者の地域生活の推進に関する検討会で示された案によりますと、まず 20 名サイズのグループホーム、その中にはショートスティも入ってくることもあると思います。そこには相談が入っていったり、ヘルパーが入っていったりということが想定されております。

 まず 20 だったら 20 という方だけが支援を受ける場ではなくて、地域の方、在宅生活で支援が濃厚にあれば在宅で暮らせる方もいらっしゃれはずなので、そこには行動障害にたけたヘルパーがその場所に出掛けていくとか、在宅ではちょっと難しいのだが、月に何日かショートスティを受け入れることで暮らしが継続できる方もいらっしゃるだろう。そういうことも想定して住居、地域支援系のメニュー、特にはショートスティ、ヘルパーのサービスなど、少なくとも複数のサービスを組み合わせて高齢障害の方、地域の障害の特に重い方が支援を受けていく。

 そういった濃厚な支援をするためには、ある一定のボリューム、建物のボリュームだったり、職員の数、 OJT の研修の仕組みが要ると認識しておりますので、それは検討会の中でも議論されたところで、ある一定のサイズで必要であるという認識の中で、こういった要望をしております。ただ、現行のグループホームの、特に報酬制度の関係で言うと、ベテランの職員の賃金が払えるような試算がなかなか出なかったというのは、こういったペーパーで出させてもらいました。

 

○佐藤座長

 ほかにいかがですか。介護保険優先うんぬんを言うときに、必ず皆さん介護保険優先のために従来使っていたサービスが使えなくなっているというけれど、そういう現実が本当にあるのか、どの程度あるのか分からないのです。その件に関して、このワーキンググループの 1 回目に、実態としてそういう問題がどの程度起きているのかを調べてほしいと事務局にお願いした記憶があります。この議論は最初から出ていましたので、運用がまずければそのようなことは起こり得るとは考えられます。あたかもそのために障害のある人が介護保険優先の原則の中で困っているということが今日の議論の中にも出てくるわけです。それについて調べてほしいと申し上げた記憶が私にはあるのですが、そちらはどうですか。まだ調べていませんか。あるいは今後時間をかければ調べていただけますか。

 

○小泉障害福祉課課長補佐

1 回目のときに、確かに私からその話はさせていただきました。対象市町村が多い調査ですので、まだ調査の精査に時間がかかっている状況です。現在集計中ですので、それができ次第、その状況については御報告できると思います。

 

○佐藤座長

 相談支援専門員協会のペーパーを読んでいますと、そもそも介護保険優先制度が駄目なのだという話と、これを運用する上で市町村の格差があまりにも大きいから問題があるのだという話と混在しています。

 骨格提言には明確に介護保険と障害福祉サービスはおのずと違うと、私にはあまりその意味がよく分からない。おのずと違うという部分が分からなかったのですが。そういう前提で書いてあるわけで、結論があらかじめあるわけですが、そのことを含めて、少なくとも厚労省としては、介護保険優先の原則によって従来受けていた障害福祉サービスが受けられなくならないようにしなさいと。通知の文言上そういう解釈をしているはずなのに、現実にこういうことがたくさん起きているとしたら、それは介護保険優先という原則が間違っているのか、あるいはそのことを利用して財政難も含めて、サービスの水準を各市町村が切り下げようとしている所が多いのか、その辺はもう少し調べた上で議論しなければいけないのではないかと思います。その辺りで、もし具体的にこういう現状があるという例があったら教えていただきたいと思います。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 先ほど 65 歳以上になって、生活介護から介護保険のデイサービスにどうして通えないのだと、ある市町村からあったときは、それは本人の自己選択で、地域に介護保険のデイサービスがないから通えないのだと説明したときに、地元の自立支援協議会で諮るから、理由書を明確に書いてやらないと支給決定の再延長はできないという話を受けたことがあります。

 

○佐藤座長

 一般的にそうなのか、たまたまある意味では非常に希なケースだったのか。希だとしたら、そこはちゃんと注意すれば済むわけですね。

 

○日本グループホーム学会光増代表

 希なケースだけれども、そういう方針の市町村はそれを必ずやっているという実態もある。あるいは申請自体のときに、 65 歳以前に障害福祉サービスを使っていれば、グループホームも利用できるのに、 65 歳なので介護保険優先だから、知的障害の人たちがいるグループホームが支給決定しないという自治体もあります。これは厚労省の調査で出てくるのではないかと思います。

 もう一方、逆な方向で、先ほど私が述べましたように、施設入所支援の人も以前は介護保険をちゃんと払っていたのです。しかし、自立支援法の新体系に全て入所施設が移行する段階において、介護保険の被保険者から除外されたのです。中に利用している人で、自分はもう 70 80 歳になって、知的障害の施設入所支援ではなくて、介護保険の特養に行きたい、老研に行きたいと言ったときに、被保険者から除外になっているので、 3 か月以内に退院しなければ市町村の要介護認定を受けられないという現状があります。それは是正してほしいと思います。

 

○全国地域生活支援ネットワーク片桐事務局長

 制度的なところもそうですが、現実的に現場で何が起きているか、例えば入所更生施設で言うと、 30 年前、 40 年前にできた。みんな元気いっぱいで、グラウンドで運動会をやっていた方々が、どんどん年を取っていき、エレベーターもなくて、階段もいっぱいある中でバリアありなのです。

60 歳前半でも介護保険の相当重いクラスになる方もいらっしゃいます。あるいはそういった方々も当初は軽くて、どうしてこういう所に入所でいるのだろうという方がグループホームに行って、一軒家でグループホームに住んでいた。その方が老いていったということで、それぞれのサービスの障害福祉のグループホームなり、入所施設なりを持っているスペックが、彼らの障害に耐えられなくなってきているというほうが、どちらかというとリアリティーがあるというか。

 一軒家でも階段があるので、昇れるが明日にでも危ないとか、入所施設の中でも階段もあって、食堂まで行くのに車椅子に乗っているのだが、職員が 4 人で階段を毎日毎日昇り降りしているとか、そういう所で、ここの施設では職員の負担も含めて介護保険の施設でなければ難しいのではないかと思い始めている状況が、今の状況かなということで、制度とはちょっと違うようなリアリティーをネットワークとしては持っています。介護保険で使えないというのは、今、佐藤先生がおっしゃったことは、私たちとしては、レアケースという認識を持っています。

 

○佐藤座長

 あと、お一方ぐらいは大丈夫です。

 

○野沢構成員

 相談支援専門員協会の鈴木さん、 3 ページで言葉や意思表示の弱い重度の障害者が支援者の希望する生活に誘導してしまう結果になることに気を付けなければいけない。これは極めて重要な指摘だと思います。ここパーソナルアシスタンスを考えるときに特に重要で、かなり長時間の個別の支援です。ここでこれが起きてしまうと、予算の無駄だけではなくて、障害者本人の権利侵害にもつながると。では、どうするのだということです。こういうときにこそ、成年後見が必要なのかと思いますが、成年後見は駄目だということで意思決定支援。意思決定支援は相談支援専門員の本来業務であるという非常に素晴らしい問題提起をしていただいているのです。

 では、本来業務として何をするのか。意思決定支援のガイドラインと意思表明支援、意思決定支援の二本立ての整備でこの問題がクリアできるのかどうか。どうすればいいのだろうというのはずっと悩んでいるのですが、どうですか。

 

○日本相談支援専門員協会鈴木理事

 議論を内部でもしっかりしていかなければいけないと思います。確かにアセスメントをして、計画、プランニングというように移っていくわけですが、アセスメントの手法をしっかり確立していく。既に確立している部分もありますが、これをプランニングにつなげていくということを整理していく。それが相談員の質を上げていくことだと思います。その流れの中で意思決定支援、そしてガイドラインを構築していくことが必要です。これが 1 つ目です。

2 つ目の意思表明支援は、当然意思を決定していくわけですが、意思をうまく表明できない人たちもいます。ここの部分にもちゃんとスポットライトを当てて、相談員はそれをうまくアセスメントしていくことではないかと思っています。まだしっかりと議論ができていない部分もありますので、今後は協会内部で検討して御提案ができるようにしていきたいと思っております。

 

○日本グループホーム学会光増代表

1 つ言い忘れました。この 3 年後の見直しの規定の論議の中には、親とか障害当事者の意見をよく聞いてという論議がありましたよね。今日はいろいろな事業者団体、当事者ももちろん出ていますが、知的障害の当事者や精神障害の当事者も含めて、先ほどの意思決定支援の問題やサービス提供の中身の生の声を時間があれば、是非、ヒアリングしていただきたいという思いがあります。よろしくお願いします。

 

○佐藤座長

 分かりました。それでは、今、頂いた御意見も含めて、その問題に関しては、今後事務局と協議をしたいと思います。お三方どうもありがとうございました。

 それでは、ここで 10 分ほど休憩を取りたいと思います。前回は続けてやりましたが、最後はだんだん疲れて議論が雑になってもいけませんので。できれば 4 8 分から始めたいのですが、遅くても 4 10 分には開始できるようにしたいと思います。

 

                                     ( 休憩 )

 

○佐藤座長

 では残り 5 時までの時間を使いまして、御意見を頂いていきたいと思います。まず、筋ジス協会からお願いします。

 

○日本筋ジストロフィー協会八代

 日本筋ジストロフィー協会の八代です。今日は矢澤副理事長が、所用により出席出来ませんので、私から報告させていただきます。初めに、「筋ジストロフィーに対する福祉政策の現状と課題」というところに、はじめにと書いてあります。昨年春に、筋ジストロフィー協会は第 51 回全国大会を迎えた。わずか 43 名から発足した「全国進行性筋萎縮症児親の会」の尽力により、昭和 39 年厚生省 ( 現在の厚生労働省 ) から、「進行性筋萎縮症児対策要綱」が発表されるに至りました。その結果、筋ジストロフィー患者の救済措置として、他国には類を見ない筋ジス病棟が次々と整備されてきた。この病棟は教育機関が隣接し、患者の生涯の療養の場であり、現在まで多大な成果を挙げてきた。当該の筋ジス病棟で行われている医療や生活の具体的な様子は一般市民はおろか、医療関係者にも熟知されず、この成果が活用されないことが懸念されるとともに、在宅では常時介護が必要な人にとっては、この「進行性筋萎縮症対策要綱」では網羅されなく、一般の障害福祉サービスの利用となっています。 2012 10 13 日、国連で「障害者権利条約」が採択されました。 2014 1 20 日には日本で批准され、この条約が法律と憲法の間に位置し、現在に至っていると思います。

 現状と課題。少子・高齢化の時代を迎え、ノーマライゼーションが採択され、筋ジストロフィーといわれる人たちが普通の小・中学校に通い、在宅療養を選択する患者の増加と、更に、現在の医療費の削減や、独立法人化した国立病院機構病院における経済面からの人員削減、自立支援法などの時代のうねりの中で、筋ジストロフィーで療養生活する人たちへの支援の在り方が検討されてきた。筋ジストロフィー医療は第 50 周年を迎え、昨年、第 1 回目の筋ジストロフィー医療研究会が開催され、多職種との筋ジス研究が継続されようとしています。独立行政法人国立病院機構の組織・業務全般の見直し ( ) には、長期療養患者の QOL の向上が明記されており、必ずしもほかでは実施されない筋ジスのセーフティネットの分野と合わせて、在宅医療も推進し、医療水準を向上するとされております。現在療養している人たち、旧筋ジス病棟の QOL の向上が今以上に充実して、切り捨てのない障害者総合福祉法となるように期待します。

 支援サービスの体系について。筋ジストロフィーなどの筋疾患の多くの人たちは専門的医療の発達特に呼吸器の管理の進歩により平均寿命が延び、重度・高齢化が進み、中でも福祉の充実により QOL 向上が図られ、自立した生活が実現して、更に望む方が増えております。以前は 20 歳までと言われた人たちが、大学生活を送り、社会に進出しやすくなり、社会との関わりを持たれる人たちも増えてきています。少し本題になる前に、『全国から NPPV でつながる愉快な仲間達』の冊子を紹介させていただきます。この冊子の題名の裏には、ほとんど常時介護、重度訪問介護の必要な人たちです。「呼吸器を使用しながらも、気管切開は嫌だと、自立生活がしたいと、一生懸命生きている私たちのことを分かってくださいとい」というのが、この副題です。この冊子は全国から 14 名の呼吸器について問題がある人たちと、患者さん同士で情報を交換して、より良い生活を送りたいとの願いで冊子ができています。 DMD 、デュシャンヌ型筋ジストロフィーは大変重篤な病気です。 DMD だけでなくても SMA の人の協力、ミオパチー・ウールリッヒ筋ジス、福山型の人たちで、新難病法がよく分からないということで、「呼吸器 NPPV を使用していますが、こんな工夫をして生活している私たちのことを分かってください」という気持ちで、綴られています。今日用意してきたのですが、表紙の絵は、 17 年の間に 12 枚の油絵をコツコツ描き上げた人が描いています。

1 人だけ紹介します。「気がつけば呼吸器利用者のフロントランナーに。私はデュシャンヌ型筋ジストロフィー、 NPPV との付き合い 22 年目に入ろうとしています。これまでの道のりを振り返ってみよう。 1991 年、併設の養護学校卒業後、呼吸不全の状態が深刻となり、日中でも無意識に睡魔が襲っていた。頭が重たく感じ、集中力もなく、実は気管の切開をしていないと、人工呼吸器をつけられない、いつ意識を失ってもおかしくない状態だった。私は気管切開を否定していたのだ。直接看護師さんたちに話してはいないが、両親には気管切開をするなら死んだほうがいい」と。そういう副題がついておりますので、必要な方、持ってきましたので御覧いただければ幸いです。

 常時介護を要する障害者に対する支援、障害者等の移動の支援について、具体的に述べさせていただいております。これらの実現のためには、事業所が安定的な運営ができるように、固定報酬、安定的な運営ができる報酬体系。

 常時介護を要する、 2 番目として、介護職員のスキルアップの処遇改善。痰の吸引と呼吸ケアができるような必要な措置をお願いします。今、地方では介護ヘルパーの不足が深刻です。経営上の理由でサービスエリアの縮小や、呼吸器利用の人たちに消極的な動きすらあります。しかし、普通に生きたいと願う当事者の家族から言うと、非常に残念でなりません。命の重みを口にされる現代だからこそ、命に関わる障害福祉サービスを底上げして、社会の問題として共に考えていきたいと思います。

 障害支援区分の実態について。一定の区分、例えば 5 6 で、全体の PA 制度の適用等を可能にし、どんなに障害があっても働ける環境を作ってください。現在スタートしている障害児支援事業の整合性を取りながら支給決定を検討してはいかがか。 1 例ですが、気管切開で重度訪問介護、程度区分 6 を受けながら、生活している人がいます。そういうことをお伝えしたいと思います。

 このように筋ジストロフィー協会の会員の方々が、思いを綴った冊子を用意しておりますので、御覧いただければ幸いです。

 

○佐藤座長

 よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、続いて全国脊損連合会の方から御意見を頂きたいと思います。

 

○全国脊髄損傷者連合会大濱副代表理事

 障害者総合支援法施行後 3 年の見直しにあたってということで、意見書を提出させていただいています。まず、附則第 3 1 項から引用していますが、「高齢の障害者に対する支援の在り方について」から説明させていただきます。障害者が 65 歳、特定疾患については 40 歳に達した際に介護保険サービスを利用するか否かについては、選択制とすべきである。理由としては、障害者施策での「自立」は、インクルーシブな社会参加を志向している。要は、障害者であっても、健常者と同じように社会に参加して暮らしていけるというのが、障害者の自立の在り方、場合によっては就労することでタックスペイヤーにもなる。それが障害者の自立ということです。

 一方、介護保険でいう「自立」は、 ADL の自立をいかに維持するかという、介護予防的なリハビリテーションの視点に重点を置いている。したがって、介護保険と障害者政策、これは全く異質のものであって、これを一定年齢でつなぎ合わせようとすること自体が、かなり根本的な矛盾をはらんでいるのではないかと、私たちは考えています。その次に、実際に地方で起こっている問題を具体的に挙げています。例えば、障害程度区分 6 でないと障害者総合支援法での上乗せ支給を認めないという市町村があるなど、おかしな現象が起こっています。ですから、是非この高齢の障害者に対する支援の在り方については、障害者の状態や生活が 65 歳になってから急に何かが変わるということではないので、今後は 65 歳以上であっても障害福祉サービスを選択できるという制度に直してもらわないと困るということが、 1 点目です。

 次に意見書の 2 です。これについては衆議院の附帯決議の第 10 項と参議院の第 9 項を引用しています。その中では、常時介護を要する障害者等に対する支援その他の障害福祉サービスの在り方等の検討にあたっては、国と地方公共団体との役割分担を考慮しつつ、重度訪問介護等、長時間サービスを必要とする者に対して適切な支給決定がなされるよう、市町村に対する支援等の在り方についても十分に検討を行い、ということになっています。私たちとしては、将来の最終的な制度の在り方としては国庫負担基準を廃止してもらいたいという思いがありますが、やはり国の財政が非常に厳しいということで、なかなかそれは時間が掛かると思います。ですから、私たちが主に当面の措置として提言しているのは、 2 番目と 3 番目です。

2 番目については、障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会の骨格提言の中にも取り入れられています。現行制度では、国の負担割合が二分の一、そして市町村と都道府県が四分の一ずつですが、そのうち1日8時間未満の訪問系サービスに対する市町村の負担割合を 1 %増やして、それで浮いた都道府県負担分の 1 %分を都道府県単位でプールしておくという考え方です。この仕組みですと、例えば突然 ALS の障害者が出た、あるいは私たちのような頸髄損傷者が突然交通事故で出たというように、障害者が今まで数人しかいなかった小さな市町村に重度障害者が出てくると、市町村負担が非常に重くのし掛かります。ではその市町村が対応できるかというと、現行の負担割合や国庫負担基準では、到底対応できないということになってしまいます。そこで、先ほどの1%分を都道府県でプールして、小さな市町村に配分する仕組みができれば、財政規模がかなり小さな市町村でも過度な負担がかからない。この場合、私たちの試算では、1日8時間以上の訪問系サービスに対する市町村負担は 5 %程度に引き下げることができると考えています。これが 2 点目です。

3 点目ですが、入所施設やグループホームの場合、居住地特例が適用されることは、皆さん御存じかと思います。今、隣りで筋ジス協会の方がご説明されましたが、筋ジス病棟からその周辺に地域移行するというのは、実際にかなり多いです。具体的な事例を挙げますと、沖縄県宜野湾市の筋ジス病棟から、宜野湾市内のアパートなどに障害者が地域移行しています。そこで私たちが提案しているのが、その場合は市町村負担の一部を持ち越す、居住地特例では入所前や入院前の市町村が負担しているわけですから、退所後や退院後も訪問系サービスの市町村負担の半分を負担していただきたい。そうすれば特定の市町村に過大な負担が掛からないということで提案しています。

最後が意見書の 3 です。常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労の支援その他の障害福祉サービスの在り方についてです。これは附則第 3 条第1項でうたわれています。これについて私たちの考え方を申し上げますと、1点目として、重度の障害者が入院した場合、やはり介護内容やコミュニケーションが非常に難しいため、看護師さんではとても対応できないという問題が生じます。私もそうですが、入院する際、とてもではないけれども看護師では対応できないので、やはりヘルパーさんが付いてくださいという話が、病院からあります。一応病院は完全看護が基本になっていますが、個別の対応はなかなかできません。したがって、入院中もきちんと介護をつけてもらいたいと、特に重度障害者に対してはそう考えています。

2 点目は、通勤中・就労中・通学中・授業中についても障害者の特有の介護方法を習熟したヘルパーが、在宅と同様に、重度訪問介護を提供できるように基準を改正すべきだということです。これはシームレスな介護ということで、骨格提言の中にも入っています。例えば就労の場合は総合支援法ではなく、雇用助成金から障害者介助等助成金が支給されて、介護者を付けられるという制度になっています。ですが、自宅とは異なる介護者がいきなり来ても、簡単に介護はできるものではありません。ですから、やはりシームレスということで、自宅での介護者が勤務中でも介護できるということであれば、重度障害者も働くことがかなり現実的になってきます。ですので、是非この制度は作っていただきたいと考えています。

 要は厚労省の縦割りの制度を廃止しなくてはならないということです。旧労働省と旧厚生省の垣根の話になると思いますので、是非このあたりはよろしくお願いします。

3 点目ですが、重度障害者があちこちに移動する場合、なかなか電車で移動できないという事情があって、自動車を使うことが多いわけです。その場合、介護者の運転も介護の1つとして認めていただきたい。現行制度ではこれは駄目なので、運転中の部分は介護給付費の請求から外すことになっています。何かあったときはすぐ停車して、介護ができる体制を常に取っていますので、報酬算定の対象にしても特に問題がないと考えています。以上です。ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。それでは意見発表の最後になりますが、全国自立生活支援センターから御意見をお願いします。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 全国自立生活センター協議会副代表の今村と申します。今日は代表の平下のほうが所用により、私のほうから御説明させていただこうと思います。資料一番最後のほうに付けていただいております。

 まず 1 枚目のほうです。各論に入る前に、私どものほうでお願いしたいというところは、考え方の基礎、 ( 常に立ち返るべきもの ) と書かせていただきました。既に当然のことといえば、当然のことで、皆さんそれ前提にお話ししていただいているものとは思っておりますが、改めて申し上げておきたいと思います。何のためにやっていくのかというところですが、御存じのとおり、障害者の権利条約、これは昨年批准しました。それを着実に実現していくというのが前提になります。この総合支援法の中では取り分け、条約の中では第 19 条をどう実現するかというふうに考えるということだと思います。

 また、もともとこの条約の批准のために国内法整備してきましたので、改正された障害者基本法にうたっていること、その中でも取り分け第 2 条・第 3 条というものを考えたいと。総合支援法も、この条約それから基本法ができ、骨格提言を踏まえて議論されてきたので、総合支援法の中にも当然それが生かされているわけで、そちらも押さえておきたいと。もともとの骨格提言で言っていたシステム全体的に網羅したい、ベースとしていただきたいです。その骨格提言、 6 つのポイントの観点というのは押さえておきたい。こういったものの議論が煮つまったときには、どこに立ち返るべきものかというのは全くないわけではなくて、ここにやはり立ち戻って、ではこれを実現するにはどうしたらいいのだろうかと。そうしないと、財源がどうか。そこから入ってしまいがちになことになります。もちろん財源は無視できない重要なものではありますが、どのようなものを目指していくのかということを、やはり条約基本法、総合支援法、骨格提言、こういったものを今一度考え方の基礎として、共通認識としていただきたいなと思っております。

 その上で、 3 年後のこの検討規定で 5 項目、全体としては細かく分けると 11 項目ほどになるかと思います。その中でも全部はページの関係で入れられなかったのですが、私どものほうで議論してきたものを入れております。

 まず、常時介護を要する者のほうですが、対象者としては日常生活全般に常時の支援を要する全ての障害者、また知的・精神障害の人たちにも重訪が広がりましたけれども、今行動障害 10 点以上の者に限られているという現状がありますので、まずそれ以外の人たちも広げていくということから入る。それだけではなくて、その下にも書いたような、更に広い範囲の人たちに対しても、盲ろう者等の人のことも含めて、対象にしていくといいのかなと思っております。

 内容としては、 ( シームレス利用 ) と書きました。先ほど大濱さんのほうも申されておりましたけれども、やはりここでは行先であったり、場所場面とか、そういったものによって制限をするのではなくて、どういう支援が必要だからという、その観点からということで、そういったシームレスな利用を制限しないで、利用を可能にしていくことを求めます。項目で挙げますと、通勤・通学と、それから通年長期。この通年長期も非常に曖昧で、非常に解釈が市町村の担当者によってもかなり変わったりもします。何をもって通年長期がなぜ駄目なのか、そういった明確な理由説明はどこもされてないと思います。そのときに、立ち返るべきものと考えたときに、この社会的障壁は何かと考えたときに、こういった制限というのは社会的障壁にあたるのではないかと、我々は思っております。ですので、総合支援法もそういった社会的障壁を除去するに資するということ言われておりますので、そういう観点からもこれはなくしていただきたい。

 それから、これも大濱さん言われてましたが、入院中の介助。これ本当に必要になります。ここ、是非考えていただきたい。あとヘルパーの運転中であったり、国内外を問わず、資格の必要なときというところ。介助の必要性のニーズはその場面によって変わるものではないので、もしくはむしろ増えるところもありますから、そういったところも利用できるようにということです。

 それというのは考え方の基礎として、他の者との平等という、障害のない人との平等と言ったときに、そういった制限をすることで社会参加を疎外する原因になってしまわないかということで考えております。障害のない人が日常的に楽しむ余暇活動等というような書き方をしました。これは何かといいますと、例えば移動支援との考え方とも関係しますけれども、市町村の担当者によっては居酒屋とか、そういう所に行くのは好ましくないようなのは駄目というのがあります。では、障害のない人たちが居酒屋へ行くことはやましいことをしているのかというようなことになりますから、障害のない人が普通にやっている余暇も含めて、そういったものは支援の必要な人もそれを制限すべきではないのではないかと思っております。それをひっくるめると、シームレスな利用にしていくというふうに思っております。

 それから財源の仕組み。これも骨格提言のほうに書かれました2 -4 の財政の在り方というところあります。先ほど大濱さんのほうで細かく説明していただきましたので、こちらは省略します。あの内容を具体的な提案がされていますので、これが本当に実現できるのか。もしくは問題があるとしたら、どういったところか。では、その問題点をどうすれば改善できるのか。本当にそこを検討していただきたいと思っております。

 それから介護保険対象者の国庫負担基準を下げるということは、これは後の高齢者のほうにつながりますが、下げないでいただきたいと。それと報酬単価でいうと、身体介護に比べて著しく重度訪問介護の報酬単価、大変低いというものに対して、これは身体介護並みに近付けていっていただきたいと思っております。それから移動支援、これも個別給付に戻していただきたいと思っております。その下の各地の市町村で、社会通念上と書いているのは、先ほど居酒屋の例で示したような、そういったようなことが結構ありますので、やはりこれは社会的障壁除去というものであって、他の者との平等という観点から是正していただきたいと思います。

 次のページの障害支援区分。これは障害支援区分に変わりましたが、それによっての影響を実態調査をしていただきたいというのがあります。現在の国庫負担基準と連動している在り方というのを、それが本当に良いのかどうかの廃止も含めて、見直しをしていっていただきたいと思います。

 それから支給決定で、並びにその意思決定の支援の在り方です。基本的にはエンパワーメント支援というものの充実を図る。これを基盤整備とともにと。骨格提言は 10 カ年戦略というように言っておりましたが、本当にそういった長期計画の下に具体的にエンパワーメント支援とかいうものであったり、退院施設から移行するときの地域基盤整備等を行いながらやっていくと。その意思決定の中ではパーソナルアシスタンス制度というのも組み込みながらと考えております。時間がなくなってきましたので、次に行きます。

 意思疎通支援のほうです。こちらのほうとしては、例えば盲ろう者の方たちへの通訳の派遣。これもパーソナルアシスタンスの中に組み込んだ形でやっていけるといいのかなと思っております。それから精神障害者の支援というものについて、時間があれなので、そこに書いたようなことを提案したいと思います。

 それから高齢者の支援ですが、これは高齢者のほうはもともと障害のある者が 65 歳を迎えた場合と、高齢になってから障害者になった場合ということで、対応が、制度が変わってくるものがあります。これをやはり同じようにしていっていただきたいということ。

 先ほども国庫負担基準の話をしました。国庫負担基準が介護保険利用者についてはグっと下がるということの問題がずっと起きています。これを是正していただきたいと思っております。ちょっと急ぎ足になりましたが以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。お三方の意見の表明がありました。全体を 5 分ぐらい延長させていただいて、あと 25 分、質疑ないしは確認、御意見等々頂きたいと思います。では、どちらからでもどうぞ。

 

○山下構成員

 全国自立生活センター協議会様に質問させていただきます。意思決定支援に関わる部分です。こちらの「意思決定支援」の所では、「意思決定支援に密接に関わるパーソナルアシスタンス制度の実現を」とあります。ここで、意思決定に困難があるとされている方々にとって、ここで書かれているような利用者の主導、骨格提言の中でも書かれていることですが、利用者の主導、支援を受けての主導といったことが、具体的にどういう形が想定できるのかということです。先ほどの休憩前の質疑の中でも、支援者の意向へと誘導されてしまう危惧があることも議論されていました。こうしたパーソナルアシスタンスの制度の実現をと言ったときに、意思決定に困難があるとされている人についてどう考えるか、そうしたことについて具体的な例などがもしあれば教えていただきたいと思います。以上です。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 ありがとうございました。御質問の答えは、支給決定のほうも絡むのですが、まず、例えば支援が必要な人、意思表示等が難しい人と出会って、数日間の付き合いで、それが相談支援専門員など、いろいろなコーディネーターが絡んだ短い付き合いの中で、本人の意向を汲み取れるとは思っておりません。なので、長期間付き合いながら、その中でだんだん意思疎通が汲み取れたり、また当事者からの信頼を得たりという関係作りは、非常に必要かなと思っています。なので、支給決定の 2 番目に「現在の地域移行支援、地域定着支援を、親元からの自立生活実現までの移行期間にも利用できるようにすること」という書きぶりをしております。現行制度では地域移行などをこの制度に当てはめるのは早いかなと思って書いたわけなのです。どういうことかというと、親御さんが元気なうちからホームヘルパーや、いろいろな周りの支援者など、どんどん親、本人を交えて接するようになっていく、その繰り返し、積み重ねの中で、だんだんと移行していくというふうに思っております。そういった中で本人が最初からどうあるべきだという話ではなくて、そういった付き合いを続ける中で、本人、それから御家族や支援者がそれぞれに考えながら、本人の意思表示というのはどういった形で示されるのかというのを模索しながらしていくという、非常に道のりが長くなりますが、そういった繰り返しの積み重ねの中で、年単位でやっていくというふうに考えております。そういった年単位で支援に移行していくということができるような制度設計もしたいと思っているわけです。答えになっていますでしょうか。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 

○吉川構成員

 大濱さんにお伺いします。 3 の入院中に重度訪問介護を利用できるようにという御意見に関してですが、介護、支援もそうですけれど、コミュニケーションを含めて個別性が高いと思いますので、本当にそこがかなり深刻なニーズだと思いました。それで少しお伺いしたいのですが、仮に、もしこれが入院中に利用できると考えたときに、例えば医療機関側などで何か配慮が必要なこととか、ただ制度上使えるということだけではなくて、実際に使うときに、何かこういう工夫とか、こういう課題があるのではないかということが、もし想定されるものがあれば教えていただければと思います。

 

○全国脊髄損傷者連合会大濱副代表理事

 医療機関側の配慮ということですかね。難しいですね。もちろん医療機関にもできることはしてもらって、介護してもらっていいと思いますよ。ですが、例えば体位交換 1 つにしても、私たちは、かなり特殊な体位交換をする事例が多いわけです。そうなると、看護師さんが介護内容の1つ1つに全部習熟して全部やるというのは現実的ではないように思います。それから、この人は何時間おきにやる、この人は必要になったらすぐにやるなど、人によってかなり違ってきます。ですから、それを現行の 7 1 の看護師さんの配置基準でできるとは思えません。ですから、 7 1 の配置基準の中でできることは当然やっていただくのですが、そうではないところは慣れたヘルパーがやらないと、安心して入院できないというのが私たち重度障害者の現状です。そういう意味で、この件を提言しています。

 

○佐藤座長

 よろしいでしょうか。ほかの委員の皆さんはいかがですか。

 

○寺島構成員

 日本筋ジストロフィー協会にお尋ねします。 4 ページの下部にある、「現在スタートしている相談支援事業との整合性」という所と、その下の「障害者の意思決定支援の在り方、成年後見制度については一部割愛致します」という所なのですが、これを読んだだけでは具体的によく分かりません。もう少し説明していただけると有難いのですが。

 

○日本筋ジストロフィー協会八代

 まず、相談支援の実情なのですが、今ちょうど私の所に 12 月に変更の連絡で相談員が来たのですけれども、その地方というのですか、役所のほうでは相談支援事業が動いているからということで相談支援に来ているのですが、実態的にはまず相談支援施設の事業する前に介護ヘルパーの要員が不足しているので、その架空の数字を作っても、実際その相談支援事業所のケースワーカーがそれを調整する労力というのですか、機能ははるかに超えている状態が、地域によってだと思うのですけれども、介護職員の人材不足が起きていると思います。だからその辺を実態調査していただいて、その相談支援事業に結びつくようなことをお願いしたいと思います。

 

○佐藤座長

 あとはどうですか。

 

○日本筋ジストロフィー協会八代

 筋ジストロフィーに限れば、気管切開をしている人で、あとその意思は、コミュニケーションが取れれば十分できる人が多いと思います。それで入院中というのですか、入院したときは、入所している人が結構多いのですが、在宅で今どんどん増えていますので、入院中になったときにコミュニケーションができる方法としては、パーソナルアシスタンス制度、いわゆるその人をよく知っている人が介護に当たってもらうということが、円滑にその制度を運用する方法だと思います。先ほどお話がありましたとおり、体位交換にしろ、いろいろな呼吸器若しくは痰の吸引にしろ、やはり病院ではそれぞれやり方が全く違うので、それを熟知している、常に身の回りのことを分かっているような、そういうパーソナルアシスタンスの人材を育成するという意味もあって、いわゆる家族のような関係でいられるようなものがモデルとしてあれば、その運用がたやすくなるのではないかなという考えです。

 

○寺島構成員

 その部分は分かりました。質問の仕方がよくなかったと思うのですが、この「 NPPV に変更により程度区分は変更ありませんが半分の支給時間で足りて、仕事も出来ます、社会参加も可能になりました」という所がどういうことかよく分からなかったのと、その下の所で「意思伝達装置機材は進歩しています」という所なのですが、この機材と PA 制度をどんなふうに組み合わせたらいいのかということをお聞きしたいのです。

 

○日本筋ジストロフィー協会八代

 私は、 1 回気管切開をしているのですよ。それで気管切開で病院に 1 年ほど入院して、やっと在宅に移行しました。そのとき当然、ある程度区分が 6 なのですけども、 330 時間の支給時間、それでも追い付かないですね。それと 100 時間くらいの自費によって在宅生活を送っていたのです。それでは結局、人によっては怖い、医療的な配慮ですが、気管切開する場合もあるのですけれども、今の人工呼吸器の管理の方法とかやり方によって、いわゆる鼻マスクの方法で十分生活ができる状態ができます。いわゆる廃用性萎縮というのですか、 1 回寝てしまって、 1 週間寝てしまうと元に戻るのに 1 か月くらいかかってしまうのですよ。当然寝たきりで、 1 回寝て気管切開してやれば、 1 回ベッドに寝られれば、やはりほとんど戻ることが難しくなるので、できるならばそういう医療的なものと、呼吸をきちんと管理することによって、筋ジストロフィーは相当寿命を伸ばすことができるようになっていますので、そのようにお願いしたいということです。

 あと、その意思伝達装置のことについては、細々とした、今はパソコンなりコンピュータなり、スイッチ類もいろいろ発達しています。それを上手にその人に合わせる形で使うことによって意思伝達が十分可能になるので、そういうのを制度、仕組み的な中で、単に意思伝達装置がいくらだけではなくて、やはりその人に合わせた形でスイッチを作ることが大事ではないかなと思っています。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。ほかの皆さんはいかがでしょうか。

 

○野沢構成員

JIL の今村さんにお聞きします。パーソナルアシスタンス制度の所で、利用範囲の制限をなくすということがありますが、時間の制限についてはどうなのかということと、ほかのサービスとの併給についてはどうなのかというのをお聞きしたいのですが、どうでしょうか。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 時間の制限。

 

○野沢構成員

 例えば、先ほどのように月 100 時間、あるいは必要ならば、もうずっと 24 時間 365 日なのか。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 必要な人には必要なだけという、もともと重度訪問の発展という考え方なので、重度訪問の中の一部をという形ではないと考えています。

 

○野沢構成員

 それと、例えば日中系の事業、就労なども含めて、必要ならば就労の場もパーソナルアシスタンスがずっと続くというイメージですか。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 はい。そうです。

 

○野沢構成員

 そうすると、相当予算が膨らんでいくと思うのですが、それはもう織り込み済みなのですか。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 これは、それこそ実態調査なり、どれだけのニーズがまずあるのかという調査からやってみたらいいかなと思っています。そこからどれだけの予算が必要なのかということを、まず議論してみたらいかがでしょうか。

 

○野沢構成員

 それと、なかなか意思表示が難しいタイプの人たちですよね。今日のここのヒアリングはもう皆さん判断能力もコミュニケーション能力も十分にある方で、こういう方にとってのパーソナルアシスタンスは私もイメージできるのですが、判断能力にハンデがあって、なかなかコミュニケーションが取れない、先ほど長い期間一緒にいることによって、信頼だとか意思疎通が可能になるというお話をされたのですけれども、果たしてそれだけでうまくいくかなという気がして。というのは、私の長男が重い知的障害と自閉症で、 28 年一緒に暮らしていますが、まだ分からないです。イギリスのメンタル・キャパシティ・アクトのベスト・インタレスト論みたいなことがよく分かるのですが、複数の選択肢を示して、複数の人からいろいろ意見を聞いてとか、いろいろ試してみると、本当に肝腎なところの、彼が何を考えているのか、何を求めているのかというのは分からないことが多いですね。どんなふうにその人たちの意思決定はやっていく、何かそういう議論をされているのであれば教えていただきたいのですが。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 議論というか、今正に JIL もその辺の支援に力を入れていこうということで、プロジェクトチームを作って検討を始めているところです。まず現状の問題として、私たちも、取り組めばすぐできるなんて思っていなくて、これは非常に時間のかかる難しい問題だと思っていますが、制度的な問題として、そういう人たちは結局、現実的にはやはり入所施設に行くしかないという、特に親御さんがいなくなったときというのは、そういう風習があるのが現実であるということ自体を何とかしたいというのがあります。難しい、だからそういう人たちは施設に収容するしかないのだという現状をなくしたいというのは、まずあります。では支援者がどう言ったらいいのかというところなのですが、私どもも派遣事業をやっていますので、そこで強度行動障害のあることがあります。二十歳前後のときは、非常にすぐパニック状態になりやすくて、何かがきっかけで物を壊してしまったり暴れてしまったりという状態がありましたが、そうやって抱え続けていく中で、それも年齢的なものであったり、そういった形で、本人は今はそういった行動は落ち着いてきていますけれども、関係を切らずにずっと続けてきたことで、まず当事者本人が、親御さん以外の、うちのヘルパーの人たちの中でも何人かに心を許してきたりという、そういう関係性が徐々にできてきている。我々も全部、御自宅を出てアパートを一緒に探して、場所を提供してヘルパーを付ければすぐにうまくいくかということは、そうではなくて、本当に付き合い続けられる人を徐々に増やしていかないと体制も作れない。親御さんから、今日こういうことがあったのですけれど、これはどういうことですかと聞きながら、多分こういうことを本人は言いたいのではないかという、お互いに本当に、皆が試行錯誤しながら、本人からも何らかの意思表示はありますし、その積み重ねをやっていくしかないのかなと思っています。その中で、そういう意思表示が難しい人たちのパーソナルアシスタンスは、どういったものがいいのかなというのが、だんだん見えてくるのかなと思っています。今の現状の中では、そういうことにどういう仕組みがいいのか、どういう内容がいいのかということを検討できる状況にはないので、その辺は本当に長期間の移行期間を支援できるような体制を作っていくというのがいいのかなと思っています。

 

○野沢構成員

 誤解されるとあれなのですが、私はそういう親の立場ですが、そういう判断能力やコミュニケーション能力にハンデのある人が、入所施設に行くしかないなんて微塵も思っていないし、そうではない生活を求めたいと思って、今このパーソナルアシスタンスについて、いろいろ悩みながら議論しているわけです。

 もう一つだけ。この「新たな意思決定支援に対する報酬体系を設定する」はどういうことですか。意思決定をしたらどんな単位か、そういうイメージですか。どういうことですか。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 そうではなくて、今現在、普段付き合いながらやっていったり、金銭管理なども現実ヘルパーが対応して、そこにコーディネーターが時々相談に乗りながらという形になっているのです。要は、意思決定支援も含めたものに対しては、結局ホームヘルパーの報酬体系しかない。実際に対応しているのはヘルパーが中心となっているものに対して、それとは別に意思決定支援をどう設計するかは、そこまで具体的に議論はできていませんが、ホームヘルパーの報酬単価以外のこういったものに対する報酬体系を考えてみてもいいのではないかという提案です。

 

○佐藤座長

 もうそろそろ時間が来そうですけれども。

 

○高木作業チーム構成員

 脊損連の大濱さんと JIL の今村さんに質問です。まず、 1 ページ目の最初の高齢障害者の件なんですけれども、多分大濱さんも御存じだとは思いますが、障害者施策においても自立訓練という事業もあります。国連権利条約でももちろん、リハビリテーションの項目もありますので、自立支援という観点は入っているので、介護保険等の考え方が障害福祉の考え方と、全く異質な概念とまではなかなか言えないと思うのですけれども、その辺いかがですか。

 

○全国脊髄損傷者連合会大濱副代表理事

 障害者施策の場合は、子供から老年まで幅広い年齢層やライフステージが対象です。それに対して、介護保険は老後の介護が必要な人を対象にしています。この2つをつなぎ合わせること自体、やはり相当おかしいという実感を私たちはずっと持っていますし、現場からの苦情や意見も聞いています。ですから、やはり学校に行く、社会で働くという障害者と、定年まで働いてきて、その後、では自分は老後をどうするのかという高齢者。高齢者は、その中で痴呆をはじめとした様々な病気が発生して介護を受けるわけですが、そのリハビリと、障害者が受けているリハビリ、これから自立していく、社会に出ていくためのリハビリというのは、やはり私は違うのかなと考えています。

 

○高木作業チーム構成員

 そうですね。だから、自立を促すいろいろな事業も組み込んではいるけれども、ということがありますよね。あとは見解の違いの部分もあると思いますので、それ以上の確認はこの場ではいたしません。

 あと、 JIL の今村さんのほうなのですが、これも重々御承知だとは思うのですけれども、開いて下の、常時介護を要する所の「○3財源の仕組み」で、 3 つ目の矢印の「身体介護に比べて著しく低い重度訪問介護の報酬単価を、身体介護に近づける」という所があります。これはもう御存じのように、身体介護は短時間のスポット的な介護を想定しているので、行ったり来たりというふうな移動時間と移動のコストと記録の時間等々が組み込まれた時間で高くなっている。一方、重度訪問介護のほうは、比較的長時間滞在型の訪問介護を想定されているということで、一律にその単価の比較だけはできないというところがあると思います。単純に比較はできないというところは前提として押さえておかないと、議論の前提として少しおかしな話になってくるかなと思いました。意見なのですが、それに対する御意見は何かありますか。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 ここで一番言いたいのは、重度訪問介護の単価がまだ低いということですね。その内容を比べてというよりも。

 

○高木作業チーム構成員

 分かりました。一律に比較はできないということが確認できれば大丈夫です。

 

○佐藤座長

 今のつながりになりますが、大濱さんは国庫負担基準を明確になくせとおっしゃっていますよね。やはり財源問題がありますが、その結果としてもう青天井で幾らでも必要なだけ払うべきだという趣旨でおっしゃっているのか、それから要るか要らないか全部誰のコントロールもしないで利用者側に委ねるべきだという趣旨でそういうふうにおっしゃっているのか、確認のためにお願いします。お一人ずつでも、大濱さん代表して、もう時間もないですから。

 

○全国脊髄損傷者連合会大濱副代表理事

 何でもかんでも青天井で、例えば A さんが思っただけ自分の希望どおりの支給量を決定すればいいとか、そのようなことは全く考えていません。新たな相談支援の仕組みもできましたので、計画相談支援を踏まえてきちんと必要な支給決定が受けられるような仕組みを作らないと、障害者が安心して地域で暮らしていけないと考えています。その上で、最終的には国庫負担基準の撤廃も必要ではないかと思います。ただ、今、佐藤座長がおっしゃったように、やはりそれは簡単に実現できる話ではありません。財務省の意見もあります。一方で、国庫負担基準の枠が全く足りていない市町村もあれば、逆に余っている市町村もあるわけです。したがって、まずは費用の 1 %分を保険のように都道府県でプールするシステムを作って、少しでも運用しやすい制度にしていただきたいということで、今日の意見書の2に挙げさせていただきました。国庫負担基準の撤廃については、今すぐとは考えていません。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。大濱さんと考え方が違うのなら、おっしゃっていただいても結構ですが。

 

○全国自立生活センター協議会今村副代表

 違いはしませんけれど補足というか。よく青天井になるという議論をされるのですが、決してそうではないと思っています。なぜかというと、 24 時間必要な人を制度上 OK にしたら、皆が皆長時間希望するという危惧をされるのですが、実際に支援していて、また自分も利用者としての経験から、まずそれはないと確信しています。なぜかというと、 24 時間本当に必要な人は本当にそうでないと不安だし、実際生きられないから言うのであって、実際に幾らヘルパーとはいえ、第三者が 24 時間 365 日傍らにいるというのは煩わしいです。なので、最初は不安でそういうことを主張するかもしれませんが、きちんと相談にのったり支援をしていく中で、本人からそんなに要らないということが、まず出てくるという実態があります。また、そのために相談支援というのもありますし、本人の言い分だけを全部聞けばいいという話ではなくて、そのために制度設計をしようなんて思ってはいなくて、そのための相談支援であり、そういう PDA で本当に実際にやってみて、それをプラントし、チェックしてモニタリングしていくというその繰り返しでいくので、絶対青天井にはならないと確信していますし、そういったときに立ち帰るものは、やはり権利条約であったり骨格提言であったりというふうに、何が社会的障壁になるのかと考えていただければなと思っております。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。今後いろいろ論点を絞っていく際に、現実の問題として、まだ日本の障害者数といわれている約 800 万人のうちの 10 %強ぐらいの人しか使っていないですよね。だからそれは大丈夫だと言われても、皆が使い始めるときにもきちんと制度として耐えられるということが必要だと私は思っているので、今伺ったのです。

 では、自分でしゃべっておいて時間が来ましたというのも恐縮ですが、特にないようでしたら、次回は 2 2 日になりますけれども、本日はここで終了させていただきたいと思います。では事務局からお願いします。

 

○福井企画課課長補佐

 本日はお忙しい中どうもありがとうございました。次回は今、座長からもおっしゃっていただきましたが、 2 2 日の 9 時半より厚生労働省の専用第 14 会議室にて開催いたしますので、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

 


(了)

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