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2015年2月25日  第3回へき地保健医療対策検討会(議事録)

○日時

平成27年2月25日(水)14:00〜


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)
東京都千代田区霞ヶ関1−2−2


○議事

○西嶋救急・周産期医療等対策室長 それでは、少し定刻よりも早いですけれども、各構成員がおそろいでございますので、これから第3回「へき地保健医療対策検討会」を開催させていただければと思います。

 先生方には御多忙のところ御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

 本日の出席状況といたしましては、14人の構成員の先生方全員御出席ということでございます。お忙しいところ、まことにありがとうございます。

 また、本日、参考人といたしまして、自治医科大学地域医療学センター、森田喜紀参考人にお越しいただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。


○梶井座長 皆様、こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。

 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。

 まず、資料の確認を事務局よりお願いいたします。


○西嶋救急・周産期医療等対策室長 資料の確認をさせていただければと思います。

 資料1といたしまして「へき地保健医療計画の今後の対応について」。これは議事次第と座席表、構成員名簿の後についてございます。

 資料2といたしまして「全国へき地医療支援機構等連絡会議について」ということで、森田参考人からの資料でございます。

 資料3「へき地保健医療対策検討会における論点整理」。

 資料4といたしまして「医師のキャリア形成において地域医療支援センターとへき地医療支援機構の果たす役割」ということで、これは澤田構成員から提出いただいている資料ということでございます。

 資料の過不足がありましたら、御連絡いただければと思います。

 また、記者の方々、カメラ等の撮影はこれまでとしていただければと思います。


○梶井座長 ありがとうございました。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日の議題は、お手元にございますように、1といたしまして「へき地保健医療計画の今後の対応について」であります。

 2番目としまして「全国へき地医療支援機構等連絡会議について」であります。

 3番目は「へき地保健医療対策検討会における論点整理」でございます。

 4番目が「その他」となっております。

 それでは、議題1について、事務局より御説明をお願いいたします。


○西嶋救急・周産期医療等対策室長 資料1、表裏の1枚でございますけれども、ごらんいただければと思います。

 まず、「へき地保健医療計画の今後の対応について(案)」ということで、事務局のほうでまとめさせていただきました。これにつきましては、第1回の検討会より事務局案等、お出しさせていただいておりましたけれども、「へき地保健医療対策は地域医療の取組などと連動してきており、それだけを切り取って計画を立てるのは困難ではないか」、あるいは「へき地保健医療対策は医療計画の中の一部となることで、ほかの施策に埋没してしまい、後退するのではないか」というような御意見をいただいたところでございますので、下のところに対応案ということでまとめさせていただいてございます。

 病床の機能の分化と連携の推進による効率的で質の高い医療提供体制の構築と、在宅医療・介護の充実等の地域包括ケアシステムの構築が一体的に行われるよう、平成30年度から医療計画を介護保険事業(支援)計画の作成時期に合わせて計画期間を6年に改めるなど、平成30年度より各種の新しい計画が開始されることとなってございます。

 へき地保健医療対策につきましては、医療計画の一事業に埋没しないよう、医療計画策定にかかる指針とは別に「へき地保健医療対策整備指針」を作成し、医療計画と連携させ一体的に検討を行うことが必要ではないか。

 都道府県では、医療計画でへき地保健医療対策に関する基本的な内容を記載し、当該医療計画を受けたへき地保健医療対策に関する個別具体的な内容を「へき地保健医療体制整備指針」に基づいて作成をいただいてはどうかということでございます。

 例示としてお示ししてございますけれども、従前の医療計画は、へき地での現状、課題、そういった対策ということで、大枠のことについて各都道府県のほうで記載していただいているところでございますし、従前のへき地保健医療計画におきましては、かなり具体的な中身を入れていただいてございますので、そういったものを整備指針という形で今後記載をいただいてはどうかということでございます。

 当該指針に基づいた計画については、実施期間を、医療計画と合わせるような形で原則6年としますけれども、へき地での状況の変化に弾力的に対応できるように、状況の変化に合わせてその都度改正できることとしてはどうかということでございます。

 また、平成28年度、29年度につきましては、都道府県において第11次へき地保健医療計画を引き続き実施していただくとともに、当該検討会での議論を踏まえてそれぞれの県で実施した計画の評価を行っていただき、その結果、新たな取り組みが必要になったような場合には追加して対策を実施していただいてはどうかということでございます。

 そういったものをイメージ図としてお示ししているのが裏のところでございます。

 今回、へき地保健医療体制整備指針という形で事務局案として御提示をさせていただいておりますが、従前であれば、へき地については医療計画とへき地保健医療計画、2つあるような形になってございまして、それぞれの関係が曖昧であったということでございますので、「参考」のところに書いてありますが、例えば周産期事業、ほかの事業でも既にこういった取り組みをしているわけですけれども、医療計画に基づく具体的な内容を整備指針という形で落とし込んで、各都道府県に書いていただいているという事例がございますので、へき地につきましても、医療計画というものと指針というのを明確に違うものだと位置づけさせていただいた上で、それを連動させて都道府県で運営をしていただくというふうにしてはどうかということが、今回事務局案としてまとめさせていただいているものでございます。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。

 ただいま資料1につきまして、事務局より御説明をいただきました。

 この点に関しましては、第1回の本検討会で御議論いただきましたけれども、それを一歩踏み込んだ内容になっているかと思います。御質問、御意見等いただければと思います。よろしくお願いします。金田構成員、どうぞ。


○金田構成員 金田です。非常に適切な対応だと考えます。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。前田構成員、どうぞ。


○前田構成員 ありがとうございます。前田でございます。

 まず、この指針の作成の時期をお教え願いたい。医療計画と指針とのギャップ、ずれがどの程度あるのか、その辺のお考えをお聞きしたいということです。

 あと、対応策のところで、この計画のところはずっと書いてあるのですが、例えば計画がスムーズにいっているのか、いっていないのか、フォローアップの体制、その辺のことはお考えではないのかということをお聞きしたいと思います。

 以上です。


○梶井座長 事務局、お願いいたします。


○西嶋救急・周産期医療等対策室長 まず、医療計画につきましては、平成30年度から始まりますので、通常であれば、その前年度、29年度に各都道府県で医療計画をつくっていただく。そのための指針というものを従前、前の年、これで言えば28年度ですけれども、厚生労働省の医療計画の検討会のほうでお示しをしているという状況だと思いますので、30年に向けて医療計画もそういった形で今後やっていくのだろうと思います。

 へき地保健医療体制整備指針につきましても、基本的には医療計画のその議論と並行して、国のほうでも当検討会で中身については御議論いただいた上で、都道府県の中でも同じ時期に策定していただき、平成30年からスタートしていただくということをイメージとしては今、考えているところでございます。

 また、2点目の評価ということですけれども、現在走っている医療計画をつくったときから、その医療計画の中でもPDCAサイクルを確実に回していこうということで、国の検討会でもまとめられているところでございますので、今回新たにつくります整備指針につきましても、具体的には28年度、中身についてはこの検討会で御議論いただく形になりますが、その中でもそれぞれの項目について、どのように評価を各都道府県でしていただくのか。つまり、PDCAをどのように回していくのかということについても、その際にあわせて御議論いただければと思っております。


○梶井座長 前田構成員、いかがでしょうか。


○前田構成員 確認ですが、評価の点なのですけれども、これは都道府県での評価でしょうか。例えば国全体で評価するというふうな方向性やイメージはございませんでしょうか。


○西嶋救急・周産期医療等対策室長 医療計画と同じようにということでは、まずは各都道府県でPDCAを回していくというのが現実的かなというふうに思いますが、必要に応じて、恐らく次の新しい指針をつくる際には、これまでの指針に基づいて、それぞれの都道府県がどういう取り組みをしてきたかということも含めて、この検討会で御議論いただいた上で、新たな指針をまた改正をしていただくということになるのではないかなというふうに思います。


○前田構成員 ありがとうございます。


○梶井座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。有澤構成員、どうぞ。


○有澤構成員 今、国のほうで地域医療の医療構想を策定していると思うのですね。そういったところにもこういった課題とか検討課題というのを入れられているのでしょうか。


○西嶋救急・周産期医療等対策室長 あの中でもいわゆる地域包括ケアとか、そういったことが今、言われていますが、基本的にはその地域の中でどのようにして医療を完結していくのかという文脈で御議論されているというふうに思います。

 本検討会は、地域医療という大きな枠組みというよりは、その中でも特にへき地医療についてどういう対策が必要かという観点で御議論いただいていると思いますので、当然それらが無関係であることは難しい、そうあるべきでないと考えておりますので、今日のこの後の論点整理の中でも、いわゆる地域包括ケアであるとか、全体の医療政策の中でへき地医療をどう考えていくかということについて、事務局のほうでも少しまとめさせていただいておりますので、後ほど委員の中でも御議論いただければと思います。


○梶井座長 よろしいでしょうか。


○有澤構成員 はい。


○梶井座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。

 当初、埋没しないようにということがこの検討会から強く出たのですけれども、そういう意味では、白川構成員、いかがでしょうか。


○白川構成員 今回のPDCAサイクルの中で十分そういったものがチェックされていくのではなかろうかと思っておりますし、期待をいたしております。


○梶井座長 ありがとうございました。

 今回この医療計画の中に記載して、さらに整備指針を示すということで、そのところ、埋没しないようにということに対する一つの大きな方針が示されているのではないかというふうに思うのですが、よろしいでしょうか。

 皆様から御意見をいただきました。それから、おおむね皆様の御賛同が今、得られたのではないかと思いますので、この方向で進めていきたいと思います。それで御異議ございませんでしょうか。


(「はい」と声あり)


○梶井座長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、議題2に移りたいと思います。議題2は「全国へき地医療支援機構等連絡会議について」でございます。

 全国へき地医療支援機構等連絡会議というのは、振り返ってみますと、この検討会の前の検討会、11次のへき地保健医療計画に対する検討会の際に、平成21年ですけれども、各都道府県に設置されていますへき地医療支援機構の担当者が一堂に集まって協議をする場があったほうがいいのではないかとの意見がでました。そして、各都道府県のことだけでなくて、他がどういうふうにいろんな取り組みをなさっておられるのか、あるいは課題がその中で解決されたものもある。自分たちのところでは解決されていない課題もある。そういうものを皆さんで共有、御議論いただいていくと、各都道府県間の格差の是正にもつながるのではないか。あるいは各都道府県間にまたがるようないろいろな事項の調整にもつながるのではないかという御意見が出まして、それを受けて、全国へき地医療支援機構等連絡会議を実施すべきとの提言が前の検討会でなされました。

 これを受けてこういう連絡会議が始まりまして、これまでに計6回の会議の開催に至っております。この会議には厚生労働科学研究費の補助金を得まして、私たちはへき地医療対策についての研究を進めさせていただいております。私たちの研究班もこの会議に参加させていただいておりまして、都道府県の皆様の御意見とかも承らせていただいているという状況です。

 その中で、都道府県の実際にへき地医療を担当しておられる方々が何をお考えなのかということも出てまいっておりますし、そういうことを踏まえて、この検討会で検討を進めていくことも非常に有益ではないかと思いまして、今日はその会議の様子を森田参考人にお話しいただければということで、来ていただいた次第でございます。

 それでは、よろしくお願いいたします。


○森田参考人 自治医科大学地域医療学センターの森田です。本日は、このような発言の場を与えていただいて、ありがとうございました。

PP

 先ほど梶井教授からも言われましたように、全国へき地医療支援機構等連絡会議で都道府県から挙がった意見などをまとめさせていただきましたので、報告させていただきます。

PP

 研究班について、連絡会議の成り立ち等報告させて頂き、話の中心は今年度の連絡会議で出された意見について報告させていただきます。

PP

 梶井先生を研究代表者とした「都道府県へき地保健医療計画の検証ならびに次期策定支援に関する研究」という研究班で活動を行っております。分担研究者や研究協力者は、このような先生方で構成されております。

PP

 研究班は、昨年度、その前の年度の研究班の活動を受けて、今回は26年度、27年度にわたって活動しております。

PP

 当研究班は、大きく分けますと、調査事業としてのへき地医療体制に関する調査であったり、都道府県個別訪問を行っています。個別訪問では、今年度も1月から2月にかけて各都道府県の県庁などを訪問させていただいて、情報交換などをさせていただいております。

 他に、本検討会での研究成果の報告や、全国へき地医療支援機構等連絡会議の支援のために、当研究班でグループワークの企画立案やファシリテーター等をさせていただいております。

PP

 先ほども梶井先生から報告がありましたけれども、平成21年度に開催されましたへき地保健医療対策検討会で、国・都道府県が果たすべき役割として、「へき地医療支援機構の専任担当官の方々が参加する『全国へき地医療支援機構等連絡会議』を設け、都道府県間の格差の是正や各都道府県間にまたがる事項の調整などを、国と協働して実行する必要がある」、このような提言が出されております。

PP

 それを受けて、平成22年度より全国へき地医療支援機構等連絡会議が開催されました。

こちらでは参加した都道府県の方によるグループワークが行われ、我々研究班は、グループワークの企画であったり、当日のファシリテーターとして参加しております。

 第1回目が平成22年5月に行われ、取り組み事例の解説や、問題解決のプロセスの理解をグループワークで行っております。2回目が同年の12月に行われ、へき地保健医療対策における課題と改善案についてグループワークで話し合われております。

 第3回が平成24年1月に行われておりまして、各都道府県で作成された第11次へき地保健医療計画やへき地医療の課題について議論されております。

PP

 平成24年度から25年度で、具体的に課題を掘り下げるような形のグループワークが行われています。

 第4回が平成2410月に行われているのですけれども、医療従事者を確保する方策であったり、育成する方策であったり、あと、支援機構と支援センターの連携についても話し合われております。

 へき地保健医療対策に関する協議会の活用、へき地医療拠点病院を中心とした代診医派遣、そして、住民・患者の視点を反映させるための方策といった、このような課題について議論されました。

 平成2512月に第5回が行われましたが、ここではへき地保健医療対策における協議会の活用や、へき地看護の充実、へき地歯科医療の充実、薬剤師の薬剤などが議論されております。

PP

 このような連絡会議を通じて、以前にもちょっと御報告させていただきましたけれども、各都道府県の情報交換の活性化であったり、へき地保健医療対策の重要項目に関する重点的な議論の促進、アイデアの共有とかが図られたのではないかと思います。

 従来、へき地での薬剤師の薬剤というのはなかなか議論に挙がってこなかったのですが、このような連絡会議を通じて新たな視点というものも提示できたのかなと思います。

PP

 平成26年度第6回全国へき地医療支援機構等連絡会議は、昨年1219日に開催されております。

 グループワーク全体のテーマは、「第11次へき地保健医療計画におけるPDCAサイクルの活用」、このようなものをテーマに掲げさせていただきました。

 具体的な内容なのですが、まず、連絡会議に参加する前に、各都道府県のへき地保健医療を担当されている方に、第11次へき地保健医療計画の策定時の課題と目標、計画実行後の状況、課題・目標が達成されたかどうか、計画を行っているときに新たな課題が出ていないかどうか、あと、目標の達成、未達成の要因は何か、このようなものについて各都道府県で把握していただいて、それを持ち寄ってもらうような形をとっています。

 それを受けて、次期へき地保健医療計画あるいは第6次医療計画に反映させるための仕組みについて、グループワークを行いました。

PP

 このグループワークですけれども、グループ編成は、昨年に関しては、各ブロックごと、北海道・東北であったり、関東・甲信越であったり、このようなグループに分かれてグループワークを行っております。

 各都道府県で事前に行った計画の振り返りを基にしまして、来年度以降に反映させるべき課題や、取り組むための仕組みについて議論を行っていただいています。

 その後、グループワークの内容を各グループから発表していただいて、発表後に質疑応答、意見交換を行っております。

PP

 昨年度、非常に活発な議論を行っていただいたのですけれども、その中で、今後のへき地保健医療対策に向けて重要な項目というのが、各都道府県の担当者の方あるいは専任担当官の先生方から示されております。へき地保健医療計画での目標設定、都道府県をまたいだ連絡/連携の場、地域枠/自治医大卒業医師のキャリア支援、へき地での地域包括ケアシステムのあり方、へき地医療拠点病院/へき地診療所の支援、この5項目に集約されましたので、今から詳細に報告させていただきます。

PP

 まず、目標設定についてなのですけれども、課題の抽出というのは各都道府県で行われているのですが、特に目標値の設定がされていないというのが、各都道府県の方々も認識されております。特にアウトカム指標の設定に関しては、計画上、非常に難しいのではないかという御意見をいただいています。

 現状では、診療所の数がどうだ、拠点病院の数がどうだというストラクチャー指標であったり、代診医を派遣したかどうかといったプロセス指標が中心だという現状です。

 あるいは、目標値を設定している場合にも、評価とか分析がまだまだ不十分だという意見が出ておりまして、計画を評価する組織の位置づけというものが各都道府県、不明瞭ではないかという意見が出されています。

PP

 では、今後どうすればいいかということで議論していただいたのですが、やはり機能性の高い組織をつくるためにはどうすればいいのかということで、各都道府県、へき地医療対策協議会に参加されている人数が非常に多いということもあり、下部組織としてのワーキンググループをつくってはどうか、あるいはへき地保健医療に関する圏域ごとの分科会の設置なども意見として出ております。

 あと、行政だけで評価するのではなくて、医療現場の指標、例えば罹患率であったり、死亡率であったり、そういった現場の指標や住民の方の地域医療に対する満足度のような住民指標、これら複数の指標を組み合わせて評価してはどうかという意見が出ております。

 このような都道府県、市町村、医療者、住民、多角的な分析は、今後へき地医療においても必要ではないかと思われます。

PP

 次に、「都道府県をまたいだ連絡/連携の場」になりますが、やはり医師、看護師は主要都道府県に集中しているという現状があります。医療資源についても、同じ一都道府県においても地域によって非常に偏りがありますので、なかなか一都道府県だけで医師や看護師不足を解消することは困難ではないかという意見が出ています。

 地元大学に加えて、都道府県以外の大学医局との調整。これは地域枠・自治医大卒業医師の定着率を考えたときに、都道府県によっては、隣接する都道府県の地元大学の医局からの派遣が多くて、自分の都道府県の主要な病院のポストがどうしても埋まっているとか、同じ地域枠のキャリア、自治医大のキャリアを考える上で、隣接する都道府県の医局との調整も必要だという現状が示されました。

 あとは県境のへき地における地域医療です。これは隣接する都道府県の医療機関との連携が今後も必要ではないかという意見が出されています。

PP

 こちらも今後の方向性ということで、話し合いがされました。

 現在、全国へき地医療支援機構等連絡会議というのは、全国単位で行っておりますので、昨年はブロックごとに行ったのですけれども、各都道府県をミックスすることもありますので、今後はブロックごとに意見交換、意見の共有が行えるような場を定期的に開催してはどうかという意見が出ています。

 こういうブロックごとの問題となると、直接関係のある都道府県あるいは大学、そういった隣接するところとの協議の場を公的に設置してもらいたいという意見も出ています。

 へき地の救急医療におけるドクターヘリの運用であったり、あと、代診医の派遣、巡回診療を含めて、都道府県をまたいだへき地医療の診療支援体制、都道府県をまたいだシステムづくり、このようなことも今後つくっていかないといけないという意見が出ています。

PP

 次に、「地域枠/自治医大卒業医師のキャリア支援」です。今年の3月に地域枠の初めての卒業生が出る都道府県も多いのですが、まだキャリア作成支援というのはちょっと不十分だという意見が出ています。

 特に義務年限、自治医大も地域枠も同じなのですが、この中で専門医取得期間をどう位置づけるのかというのは、都道府県の方々は非常に頭を悩ませているような現状です。

 まず、新専門医制度は全容が明確になっていないため、研修プログラムの策定であったり、プログラムを実施する医療機関への支援といった必要な施策が立てづらいという意見が出されています。

 あとは、いざ専門医をとろうとしたときに、へき地、地域での勤務が考慮されないと、なおのこと医師が偏るのではないか、そのような意見も出ています。

 では、実際に義務年限の中で、専門医の取得を前倒しにして研修などを早く持ってきたときに、現在派遣している、特に自治医大卒業医師は関係するでしょうけれども、人事のローテートに数年の空白ができるのではないかという懸念もあります。

 また、専門医を取得する場合に、それを前倒しにして早く専門医を取ってもらったときに、その後、診療所や、へき地・地域の拠点病院に勤務した場合に、今後の更新ができないのではないかと懸念されています。

 そもそも地域枠の本来の目的というのがありますので、このような専門医の取得だけが優先されてしまって、本当に医療を必要とする地域住民の方のニーズが置き去りにされて、専門医だけの議論が進んでいるのではないかという懸念も都道府県から示されています。

PP

 そう考えると、この会議でも出されたのですが、へき地で医師を勤めること、まずその価値があることを伝えないといけないのではないか、そして、地域住民のニーズ、このようなものも大学、地域枠の学生、地域枠卒業医師に伝える必要があるのではないかと言われています。

 へき地・地域勤務の位置づけとして、専門医取得におけるへき地・地域での診療経験の評価、特に総合診療科専門医においては、何らかの評価をしてもらいたい、今後へき地・地域で勤務する場合に、更新を含めた専門医取得の支援というのが各都道府県で必要ではないかという意見が出されました。

 また、新専門医制度をにらんで地域医療提供体制というのをもう一回考えないといけないという意見が出されていまして、必要な医師像をもっと具体化していったり、診療体制の見直しであったり、学会などに提案したり、あとは実際の地域で生活されている方がこの新専門医制度、特に総合診療科専門医について、まだまだ知らない部分も多いと思うので、今後地域でも新専門医制度でこういう医者ができるのですよという情報発信をしていく必要があるという意見が出されています。

PP

 次に、へき地での地域包括ケアシステムという観点で、グループワークの内容をまとめています。

 へき地では高齢者も多く、疾患の予防・治療だけではなくて、介護も含めた地域包括ケアシステムの構築が必要なのですけれども、なかなか人的・物的資源が限られている部分もありますので、医療だけではなく、実際は介護サービスの地域間格差も大きい都道府県があります。

 ただ、場合によっては、へき地で限られた地域だからこそ医療、介護、福祉が一体となったワンストップサービス型の施策が展開できている地域や、診療所とかもありますので、むしろへき地だからこその先進事例もあるかと思います。

 今後地域包括ケアシステムの観点から地域医療を考えると、各診療科の専門医もこのようなシステムをより理解して参加していただかないとならない、そうなった場合に教育体制がまだまだ整備されていないのではないかという指摘がありました。

PP

 現在の第11次へき地保健医療計画には、地域包括ケアシステムに関しては特に記載が求められておりません。今後、へき地保健医療計画などに多職種連携に関する具体的方策であったり、あと、へき地でも可能な限り医学療法士や介護福祉士といったコメディカルの方の確保、このようなものも明記すべきではないか、地域包括ケアシステムに関連する教育に関しては、拠点病院とか診療所の場を利用した卒後教育というのをもっと積極的に進めていっていいのではないかという意見が出されました。

 あと、医師・看護師だけではなくて、予防歯科としての歯科医療、とくに口腔衛生に関しての重要性を卒前・卒後教育で強調する必要があるという意見が出されています。

 薬剤師というのは、都市部では在宅医療というのは非常に関わりが強くなっていますけれども、へき地に関してはどうしても薬剤師不足とかもあって、まだまだ行き届いていない部分もありますので、まずはこのようなへき地保健医療対策に関する協議会に薬剤師会とか、そういった方々が参加していただいて、問題の共有をしていく必要があるという意見が出ています。

PP

 最後になりますけれども、「へき地医療拠点病院/へき地診療所の支援」になります。

 課題としては、まだまだ医師・看護師の確保が不十分であるところがあって、へき地診療所では医師と看護師の高齢化が進んでいまして、退職した場合の後任確保が懸念されているような状況です。

 へき地診療所の支援体制も、特に急な代診の対応が困難になっている都道府県もあります。なおかつへき地医療拠点病院の医師不足で対応ができなかったり、あと、看護師も同じようなシステムが本当は必要なのだという意見が出されています。

PP

 今後は潜在看護師の復職支援を行って、特に地域に根差した方、そのような方がへき地診療所、へき地医療拠点病院に復帰できるような対策を行っていく必要がある、あと、社会医療法人をもうちょっと活用してはどうか、へき地医療拠点病院の負担を軽くすることもできますし、玉突き支援という形で代診支援が行われたり、あと特定診療科のカバーも実際にできている都道府県もありますので、このようなことが提案されました。

 「地域医療支援センター/へき地医療拠点病院間の連携」ですけれども、地域医療支援センターを公的医局(総合医局)として捉えているような都道府県もありまして、そのようなところでは医師もそうですけれども、今後他職種の確保であったり、支援体制といったものも検討していくということです。

 看護師については代診制度も今後構築していく必要があるという意見が出されました。

PP

 今後、へき地保健医療対策の重要性というのは、人口が減少していく地域が増えてきますので、今までのへき地保健医療計画で培われた議論であったり、施策であったり、このようなことが今後幅広く活用されていくことが期待されると考えております。

 以上になります。ありがとうございました。(拍手)


○梶井座長 森田先生、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御発言に対して、御質問ございますでしょうか。こういう形で6回のへき地医療支援機構等連絡会議が行われて、毎回、今日見ていただいたようないろんなテーマで各都道府県から参られた皆様が御議論いただいて、御発表していただいた。

 今日は、第6回目、昨年行われたものの発表の取りまとめをしていただきました。

 佐々木構成員、どうぞ。


○佐々木構成員 資料の10ページ上段「4 へき地での地域包括ケアシステム」の【今後に向けて】の中で、☆印の3つ目で歯科医療について触れられております。そして、前後の流れを見ますと、ここは卒後教育とか、「教育」という言葉がたくさん入っていますので、地域包括ケアシステムの中でも教育的なことが論じられているのか、☆印の歯科のところの1行目に「訪問歯科診療や予防歯科への取組」ということで、今、御説明の中でも予防歯科というのが強調されていたかと思いますが、「予防歯科」という言葉は、教育的な独自の言葉なので、ここで唐突に出てきたので、流れからして違和感があったのですが、これは教育的な意味で使われているのでしょうか。地域にはちょっとなじまないような言葉なのですか。


○森田参考人 これはここだけがニュアンスがちょっと違っていまして、予防歯科というのは、特に都道府県ベースで考えていったときに、へき地における歯科治療というのは、住民の方々が評判の良いところを聞いて受診してしまう方も多いので、へき地の場合には誤嚥性肺炎の予防であったり、そういう観点からの予防歯科として取り組んでいる都道府県も多いため、今後それをより充実させる必要があるという意味で、施策としての予防歯科の取り組みというニュアンスです。


○梶井座長 どうぞ。


○佐々木構成員 どちらかというと、我々も当然いろいろな歯科疾患や誤嚥性肺炎の予防の重要性は認識しているのですが、「予防歯科」という言葉になると、ちょっと違うようなニュアンスにも感じるので、ちょっと御質問させていただきました。


○梶井座長 そのほかいかがでしょうか。高村構成員、どうぞ。


○高村構成員 同じく10ページですけれど、へき地で地域包括ケアシステムに取り組んで、へき地医療を支えるということですが、ここの中で看護について触れられていないようですけれども、地域包括ケアシステムとして多職種連携で在宅医療を行うためには、看護の果たす役割も大きいと思いますが、看護に対する期待、役割についてはどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。


○森田参考人 研究班に看護の先生にも加わってもらっていることもありまして、今回1月から2月にかけて各都道府県を回っているところでも、やはり看護師さんの役割というものを伺っているのですが、この地域包括ケアシステムを考えていったときに、特に在宅医療では訪問看護の方々とか、そういう方々が非常に必要になってきますので、ここには書いていないのですけれども、研究班としてもそれを意識して取りまとめているところです。

 へき地においては、どうしても診療所での看護師さんの確保とか、拠点病院の看護師さんの確保といったことに目が行きがちなのですが、こういう地域包括ケアシステムという観点からも看護師さんを巻き込んだ取り組みというのが当然必要になると考えております。ありがとうございます。


○梶井座長 どうぞ。


○高村構成員 ありがとうございました。

 地域医療を担うには、へき地診療所とか拠点病院の看護師の充足も必要ですけれど、訪問看護でへき地医療を担っていくことも今後は考えていく必要があると思います。拠点的なところに看護師を置くのは難しい状況と思いますから、訪問看護という視点をへき地医療に取り入れていくことを考えていただきたいと思います。


○森田参考人 ありがとうございました。


○梶井座長 ありがとうございました。

 松岡構成員、どうぞ。


○松岡構成員 へき地医療支援機構という連絡会議ということだったのですが、これの参加構成員をちょっと教えてほしいのです。というのは、PDCAサイクルで計画を回していくにしても、医療者といいますか、地元の大学の先生方とか大きな病院、基幹病院の担当の先生方が入ってこないと、本当に計画だけで終わってしまうような気がするものですから、その構成員をちょっと教えてください。


○森田参考人 連絡会議の構成員の方に関しては、中心となるのは都道府県のへき地保健医療担当者、行政の方、それにへき地医療支援機構の専任担当官の先生、その方々が中心になっております。

 各都道府県でへき地保健医療対策に関する協議会などには、多くの都道府県で大学の方が入っているケースが多いですので、こういう連絡会議で話し合われたことが各都道府県の協議会で情報共有、検討される形になっております。


○松岡構成員 青森県でもその会議に一応参加しているのですけれども、多分こういう形のフィードバックがないですね。その辺は残念だと思います。


○梶井座長 基本的には実務者の方々の会議だと思います。そして、現状の問題点とか課題、あるいはこれからの取り組み等について皆さんで話し合って、持ち帰っていただいて、これは繰り返しになりますが、へき地医療等に関する協議会というのが立ち上がっていますので、そこで御議論いただく。そこの協議会には先生がおっしゃったようなメンバーの方々が入っておられるということです。

 さらにそれを促進させていただくために、私たち研究班としては、ちょうど年が明けた今の時期、1月、2月、皆さんで手分けして、大体40都道府県を回らせていただいて、どういうふうに各県に持ち帰られて報告されているかとか、そのあたりも確認させていただきながら、私たちも一緒に考えさせていただいているという状況です。ただ、各都道府県によって異なっていることは確かだと思います。

 そのほか。金丸先生。


○金丸構成員 金丸です。

 この会議で本当によく意見を出していただいたのかなと。そして、よくまとめていただいたのかなと思って感謝しているのですが、資料の8ページ、キャリア形成というところが一つの鍵になるかなというところがあるのですが、ただ一方で、就労環境の問題も当然キャリア形成には含まれるのかもしれませんが、それともう一つ、8ページの一番下、赤の枠で囲ったところ「専門医の取得が優先され、地域のニーズが置き去りにされている」、この視点を非常に大事にしていかなければいけないし、地域のニーズが置き去りにされないように大事にしていっていただきたい視点かなと思うのです。

 キャリア形成と住民ニーズは、ややもすると乖離、ここが葛藤の場所にもなるのかなと思います。

 それと、自治医大の卒業医師の仕組み、非常に仕組まれた仕組みのおかげで、今日、へき地医療がぎりぎり崩壊しなかったというところが言えるのかもしれない。ただ、残念ながら地域枠の卒業生に関しては、各県、少し情報不足かもしれませんが、自治医大の枠組みにかなり近い地域枠もあれば、全くそうでない、緩やかな地域枠もあり、幅があって、そこのところのジレンマもここにあるのかなと。もう少しこのあたりが整理されて、日本として全体の方向性のベクトルが自治医大の枠組みに近い形で動かないと。そうなると緩やかな結果として、医師の勤務場所の選定にもかなり違ってくるのかなと。

 報告の評価のところでも、評価としてはアウトカムが出にくいとか、結果としてのプロセスであるとかというのは、まさに毎年のようにわからない。来年が見えない。だから、継続的な部分も立ちにくいし、結果としてのアウトカムも難しい。現場ではこの繰り返しがあるのかなと。

 それに加えて、全国の大学、医局が非常に厳しくなってきてしまっていて、今までは九州でいってもそうですが、県境を越えて大学が応援していたのが、地元の県だけでも手いっぱいになって、引かざるを得ない。そうすると、そもそも地元の県だけでできなかった県は、そこに依存した部分でまたこれも壊れていってしまう。そういったこともある。

 ここに出ていますが、高齢化の問題、現場の医師、看護師も非常に高齢化していっています。本当に危ないところまで近づいてきているのが現実にあるのではないかなと思います。そうなったときに、へき地医療拠点病院でさえも医師確保がままならなく、そしてそこからの応援支援体制も、結果としてそれがうまくできないということがここに盛り込まれております。

 そういった中で、社会医療法人というのは、私たちの県でも今、相当動きが活発化していただいていまして、社会医療法人の使命と役割で今、少しずつこの動きが入っていただいている面もありますので、こういったことがこの会議でもちゃんと出ておりますし、また後ほど説明があると思うのですが、高知県が相当先進地で、そのあたりも少し踏み込んだ形で、体制としても相当貢献していただいた先進の県ではないのかなと思っています。これは現実足元のところを本当によくまとめて、抽出している意見なのかなと思って見させていただきました。


○梶井座長 ありがとうございました。

 工藤構成員、どうぞ。


○工藤構成員 私もこれを全体的に見て、すごく細部にわたってまとめられていて、自分の考えもこの中に入っているなと思って見させてもらいました。

 9ページの中で「自治医大卒業医師のキャリア支援」と書いてあって、☆の2つ目に「地域での診療経験の評価」とあるのですが、これは自治医大の先生だけでなくて、私は3月で定年になるのですが、本当に地域でずっと長年働いてきている医療専門職の評価というのはどうなのだろうと。いつも給料だけでなくて、そういうところをすごく疑問に思っていたのですね。自分は投稿したりとか、論文を書いたりして、いろんな発言の場、こういう会議にも出させてもらうような立場になりましたが、地域は本当に疲弊しながら、全部背中に背負って先生方とか関係者が働いているので、ここはぜひ自治医大のお医者さん以外の、そういう人たちの診療経験というか、地域で働いていることを評価するようなことがあれば、ちょっと先が見えるのかなというふうに思って聞いていました。

 下のほうなのですが、人的・物的資源が限られているということで、まさにうちの町でも内科の先生が2人でやっているのですが、サテライト診療とか、専門の先生の派遣がなければ医療自体が崩壊するような状況なので、ここも本当にそうだなというふうに思っています。

 住民を都市とか専門の先生がいるところに行かせるのでなく、住民のところに専門の先生が来てくれる。需要から言えば、常駐するだけの専門の診療は要らないのですけれども、月に1回、月に2回でもいいので、そういうふうにして地域を支えるようなシステムがどんどん広がっていけば、ある程度は計画の中で何人というふうにならなくても、そういう応援体制をきちっとつくっていくということがすごく重要かなと思って聞きました。

10ページ目の上、☆の4つ目「在宅医療における薬剤師の役割」というのもすごく大きいなと思って、ここで出て、全くそのとおりと思いました。私のいる枝幸町というところでも薬剤師がいなくて、半年事務長さんがすごく苦労して、たまたま私の知り合いの東大の看護の院生を受けた御主人が京都大学の看護部長までなっていて、その先生に相談したら、京都から薬剤師を毎月派遣してくれたのですね。それでしのいで、ようやっと暮れに薬剤師さんが1人見つかって、国保病院に1人配置ができたのですが、そういう意味では、医師以外の専門職の充足。先ほどの看護師の在宅医療の看護の充足もあるのですが、医師にかかる負担をほかの職種で埋めていくというあたりでは、薬剤師さんの確保も非常に大事かなと思って聞きました。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。

 白石構成員、どうぞ。


○白石構成員 隠岐島前病院の白石です。

 話の中でいわゆる救急搬送とかドクターヘリのことがどのぐらい話をされた、どんな形で話をされたかをちょっとお聞きしたいのです。というのは、地域包括ケアシステムみたいな生活ベースの在宅医療系のことというのは、その地域で頑張れば何とかなると思うのですね。あと、特に医師にとっての負担感というのは、幅の広さという意味で言うと、まだどうなるかわからないけれども、少なくとも総合診療医というものができることになって、そちらの方向に向かっていると。ただ、どうにもならないのが、救急で自分のところで手に負えない、ファーストタッチはするけれども、受け入れてくれる病院、それから搬送手段ですね。

 ドクターヘリがこの数年でいろんなところに配備されて、そこのところはすばらしくよくなったと思うのです。昼間は。でも、病気というのはいつなるかわかりませんので、夜中に患者さんを受け取ってくれる、あるいは迎えに来てくれるという仕組みがあるところもあれば、ないところもある。

 隠岐は幸い島根県の防災ヘリが頑張って夜も島まで迎えに来てくれるのですよ。だけど、頑張って迎えに来るというのでいいのかという話ですね。山のほうには飛ばない。海なので、障害物がないからということで飛んでくれるのですが、では、安全性とかいう意味で、例えば諸外国だったり、ほかの県で夜間の搬送、ヘリコプターを本当に使えないのか、使えるのか、どうやったら使えるのか。

 基本的に田舎の小さな県だと、防災ヘリは1機しかないですね。ヘリコプターというのは、1年間の間に恐らく2カ月ぐらいはドックに入るのです。その間、代替の手段がどうなるかというのは各県の努力に任されている状況で、自衛隊が頑張っているところもあれば、海上保安庁がサポートに入る場合もある。

 ところが、それもコントロールされていないので、例えば島根県で言うと、海上保安庁はどちらかというと本業ではないよ、頼まれたから仕方なくやっている。確かにそうなのですね。海上保安庁は、医療用に患者さんを搬送するということは多分規定に書かれていないですね。だけど、その辺のところを地区で、あるいは県でどうにもならない、そういう救急搬送、特に医師の負担感の多いところを、ある程度少し上のレベルから、どこまではきちんと確保しようよみたいなことをできればこういう中でしていってくれたら、すごいいいなと思うのですけれども、その辺の救急搬送のやりとりのようなところ、ドクターヘリがちらっと1行書かれていますが、それはどうだったかなというのを教えてください。


○森田参考人 ドクターヘリに関しては、ここ数年で今まで持っていなかったところが持つようになってきて、ようやく現場の救急隊の方も認識されて、実績件数がふえてきたというところもあって、夜間の活用とかに関しては議題、話に出ていなかったのが実情です。

 あと、県境の救急に関して、都道府県ごとの協定を結んで、隣接する都道府県がドクターヘリを派遣できるとか、そういったところの話は出ていましたけれども、先ほど言われたように、夜間であったり、防災ヘリの活用とか、そこまではまだ。恐らく今後そこまで踏み込まないといけないのかなと思います。


○梶井座長 ありがとうございました。

 まだいろいろ御質問等がおありかもしれませんが、いずれにしましても、今、示された意見は研究班の意見ではなくて、あくまでもへき地医療支援機構等連絡会議に参加された皆様の御意見だということであります。

 大切なことは、結構幅広い意見、いろんな意見が出ているということであります。

 もう一つ重要なことは、こういう意見が参加されました四十数県の都道府県で共有されたということで、この連絡会議がなければ、そういうことがないまま、各都道府県の取り組みでずっと続いていくということになります。そういう中でヒントを得たり、お互いがその後、連絡をとり合ったりというような流れが出てきたということは、大いに評価すべきことではないかなというふうに思います。

 それでは、森田参考人、ありがとうございました。

 続きまして、議題3に入りたいと思います。「へき地保健医療対策検討会における論点整理」でございます。

 資料3に関しましては、これまでの検討会で本検討会の構成員の皆様、あるいはヒアリングも行わせていただきましたけれども、その際の皆様の御意見、さらにただいま出てまいりましたへき地医療支援機構等連絡会議に参加された皆様の御意見を検討会の論点として事務局で整理していただいたものです。

 今後、この検討会としましては、この論点をもとに報告書をまとめていきたいと思っております。

 順番に見ていきたいと思います。

 最初の論点1は、「地域医療支援センターとへき地医療支援機構における医師のキャリア形成支援」についてであります。

 これまで検討会では議論がなかったところですけれども、総務省行政評価局より、厚生労働省が、医師のキャリア形成支援の実施については、地域医療支援センターとへき地医療支援機構の取り組みの一体的実施も含め、検討することとの指摘を受けています。

 ということで、地域医療支援センターとへき地医療支援機構における医師のキャリア形成支援について議論をお願いしたいと思います。

 これについては、実際に高知県でへき地医療支援機構の専任担当官として勤務しておられます澤田構成員より、高知県の事例について御紹介いただければと思います。その後に皆様の御議論をお願いしたいと思います。

 澤田構成員、よろしくお願いいたします。


○澤田構成員 よろしくお願いします。

 高知県でへき地医療支援の仕事をしている澤田と申します。

 まずは、お手元の資料4の1ページ「医師のキャリア形成において地域医療支援センターとへき地医療支援機構の果たす役割」というタイトルで資料を作成しました。

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 まず資料の2ページ目を開いていただいてお聞き願います。

 地域医療支援センターとへき地医療支援機構の比較ですが、まず設置場所についてですが、センターが大学内であるのに対して、機構は県庁内や拠点病院内に設置されていることが多いです。

 主に関係する機関としては、センターが県や大学、高次医療機関であるのに対して、機構では市町村とか国保直診、連合会等と、関係機関が若干異なっていると考えております。

 また、教育分野についても、センターが医療や専門分野で病気とたたかう医療を主体としているのに対して、機構の方では地域包括ケア全般を網羅し、生活を支える医療を主体としており、両者には守備範囲に若干の違いがあります。

 また、今回の議論となっておりますキャリア形成については、センターが専門医取得を主体としているのに対して、機構は総合医やへき地勤務医師養成を担っていて、教育対象や教育拠点についてもこのように違いがあります。

 そして、2017年からの新専門医制度に関しても、総合診療専門医、これは地域を診るという専門医という位置づけなのですが、地域を診るということ、いわゆる地域包括ケアや在宅などの分野については、やはり機構との連携が求められるのではないかと考えております。

 最後の学生実習や臨床研修についても、研修先には違いがあります。

 提言等については、最後にまとめとしてスライドで挙げておりますので、ここでは省略致します。

 3ページ目のスライドは、センターの一般的な目的や体制、役割について記載したものです。医師の地域偏在の解消やキャリア形成支援、そして医師確保などの役割を持った組織として平成23年度からスタートしました。

 下にはセンターの業務をお示しします。センターの業務は、7つの枠に囲まれた内容のとおりで、医師確保の支援や地域医療に従事することへの不安を解消するための方策、情報発信、コーディネートなどがあります。

 次のページを開いていただきまして、これは高知県の地域医療支援センターのイメージです。本県ではこのような形で運営がなされておりまして、センターとは別に高知医療再生機構という組織を設置して役割分担を図っております。

 具体的な役割分担については、4ページの下のスライドに示すような形で運営がなされていて、上半分の2つの枠内に記載されている業務がセンターとしての役割。下半分の4つの枠内に記載されている業務が高知医療再生機構の役割となっています。

 本来はこの2つの組織が一体となって地域医療支援センターというイメージになるわけですけれども、高知県の場合は、この地域医療支援センターができる前に高知医療再生機構という組織が立ち上がっていたものですから、そのまま残して役割を分けて、両者が連携・協力して医師のキャリア形成支援や県内医師の適正配置などに取り組んでいるという状況です。

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 5ページ目に高知県のへき地医療支援機構の概念図を載せています。見てお分かりのとおり、市町村や国保直診のへき地診療所、へき地医療拠点病院など、一般的に地域包括ケアに関係する組織が中心となって構成された仕組みであることがわかります。

 これらを前提としまして、これからスライドでご説明をさせていただきます。

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 高知県で実際に行われているへき地勤務医師やプライマリ・ケア医師、いわゆる総合医の育成教育システムについて御紹介をさせていただきます。

 地域医療研修は、平成16年より必修科目として現在に至っております。

 4つ目に書かれているとおり、厚労省としても、へき地・離島医療での研修を推奨しており、高知県では県内の基幹型の臨床研修病院のプログラムを統一して、そのシステム化を図ってまいりました。

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 医師・診療科の偏在については、専門医にとっては自らの専門性がより発揮できる大きな病院、病床数や患者数、スタッフ等が多い医療機関での勤務を望むことから、どうしても都市部に集中してしまうために生じると考えられ、これからは総合医の育成・教育にも重点を置くべき時代に入ったと言えます。

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 この図は、総合医と専門医の違いについて示した図ですが、一般的には専門医が短期間に医療資源を集約して、ある患者さんの人生に直角にかかわる、そういった高度医療が主体であるのに対して、総合医は、患者さんの人生に長期間寄り添い支えていく、いわゆるパラレルにかかわる医療であるということを示した図です。

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 この図は、1,000人の一般住民を対象にどんな健康問題が発生するかを調べたデータですが、一般病院や大学病院、いわゆる専門医を受診、もしくは入院する患者さんというのは約20%程度しかなく、ほとんどの住民はプライマリ・ケア領域で対応される事例であり、総合医に対する社会的ニーズも高いということがこの図でも分かると思います。

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 8ページ目の上ですけれども、地域医療研修の魅力についてご説明します。臨床診療や救急については、高次医療機関で中心的に学ぶ重要な分野です。ですが、下の茶色の枠に囲まれた分野、地域包括ケア、プライマリ・ケア、在宅、介護保険、福祉・行政との連携、予防・保健等は、なかなか高次医療機関では学ぶことができない領域であるということを知っておいていただきたいと思います。

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 これらの写真は、へき地医療には生活や地理的なハンディ、在宅医療、自然との共生といういわゆる「暮らし」、「住民の生活」が見える医療。言い換えますと、生活イコール行政ですから、へき地医療は行政との連携も求められる医療だと言えます。

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 このように、予防接種や住民教育、リハビリ、出張診療、無医地区診療など、いずれも高次医療機関ではなかなか学ぶことのできない分野ですが、地域医療としてはどれも欠かすことができない大切な分野です。

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 高知県では、中山間地域に位置するこの3つの病院をへき地医療支援と総合教育の拠点に位置づけまして、地域包括ケアを学ぶ現場として運営を続けてまいりました。いずれも中小規模の自治体病院です。政策的にこれらの病院に医師を集中配置することによって、周辺のへき地診療所への医師派遣はもちろんのこと、地域包括ケアに関する医学生、研修医への教育などの役割を担ってまいりました。

 今後こういった病院と周辺のへき地診療所を1つのブロックとして広域に、かつ「面で支えていく仕組み」を県として考えていくことが求められる時代になったのではないかと考えております。

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 黄色い大きな丸が、地域医療教育の拠点となる病院で、その周辺にあるへき地診療所とグループ(ブロック)を複数作って相互の病診連携をより強化しております。このように指導医の数も一定数を確保しています。

 これから地域枠や奨学金受給者出身の医師が増えるということで、新たに大井田・渭南病院というグループを1つ、今年の4月より新設しています。

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 この図に示すとおり、初期研修医2年目の先生72人を5つのブロックに各々1名ずつ1年間継続して派遣されるように、派遣調整を機構が行っております。

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11ページ目の上の図になりますが、派遣調整や運用の詳細について記載しておりますので、後ほどゆっくりお読みいただき、参考にしていただければと思います。

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11ページ目の下ですけれども、このように都市部の大学病院や高次医療機関から高知県にわざわざ地域医療研修にやってくるようになりました。私の出身大学の先輩のつてとか、高知医療再生機構の理事長の人的ネットワークなどを活用して始めた仕組みですが、今では口コミでの評価もあって、このように地域医療研修に関しては、ほぼ毎年フルマッチで推移している状況です。

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 この図に示す通り、研修医の先生方が途切れずに連続して派遣され、研修医の給与は派遣元が負担するということで、受け入れる地域の教育病院にとっても一定のメリットを感じていただける仕組みにしています。派遣する側、受ける側がウィン・ウィンの関係であるということもポイントになっています。

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 研修医の先生方の派遣イメージですが、まずは黄色と茶色のセルに当たるのが高知県内の研修医の先生です。まずは県内の初期研修の先生方に希望調査を行って優先的に配置を行い、空白の部分、紫色のセルに当たる部分を県外からの研修医の先生が埋めていく形にしています。高北グループというのは、基本的に県外の先生を主体として受け入れる病院として位置づけております。

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最後になりますが、総合医やへき地医療勤務医師のキャリア形成に関する視点も含めた、高知県内のへき地診療所についての現状と課題について説明します。

 まず、1については、常勤医師を配置する従来型のへき地診療所で、一般的な運営形態です。通常は病棟がある診療所は複数配置となっています。

 2に示した指定管理型の運営への移行というものも徐々に始まりました。高知県では、隣接する市町村にあるへき地医療拠点病院や高知大学、地元大学への指定管理の事例があります。

 3については、常勤医師体制から医師派遣型へとへき地診療所の運営のあり方が変わった診療所の事例を示しています。今後このような運営形態が全国的にも増加していくのではないかと考えています。

 この派遣の仕組みをきちんとやっていくためには、継続的に循環型、重層型の医師派遣ができるへき地医療拠点病院の位置づけが大変重要になってくると考えています。

 4は、複数のへき地診療所を一体型で運営する形で、いわゆる集約化、効率化に当たる運営形態です。

 5は、入院施設を持つへき地診療所、19床の一般病床が多いのですが、大体は2名の医師で当直を組むわけです。余り一般的には知られていないのですが、実はその診療所で勤務する医師は、年間の半分は当直をして束縛されていることになります。

その当直業務に対する負担軽減を目指した支援もこれから必要となります。これがなければ、病床をもつへき地診療所の医師の確保は極めて困難となってしまいます。

 6は、へき地勤務医師のキャリア形成ということで、へき地に勤務しながら高次医療機関での定期的な研修を行う仕組みも、これから地域枠出身医師などを迎えるにあたって不可欠の取り組みとなります。

 高知県ではへき地診療所と高次医療機関との兼務(併任)や、週1回程度の定期研修などの方策で、へき地で勤務する医師のモチベーション維持にも努めています。

 7としては、へき地診療所から病院への逆方向の当直支援です。これは広域で地域の救急医療体制を守っていく仕組みです。さきに説明したいわゆる「ブロック制」と言われる仕組みで、広域に、かつ「面で支えていく仕組み」となります。これは病院勤務医師側にとっても当直回数が減ることにより負担軽減にもつながる取り組みとなります。

 8が最後となりますが、へき地医療要件による社会医療法人の認定など、これからは民間病院の活力を利用したへき地診療所への医師派遣の仕組みも高知では2カ所で始まっています。

 すぐ下の図をご覧いただきますと、このように医師は1つの市町村に留まることなく、医療圏を越えての循環型、重層型派遣による支援が行われ、まさに「面で支える医療」の形態が求められる時代になってきたと考えています。

今後、超高齢化、過疎化を目前に迎えようとする市町村の首長さんや地域住民の皆さまには、これから自分たちの診療所がこれらのどの形態で運営していくべきなのか、しっかりと見極めて話し合いを重ねていくことが求められます。

 最後は、まとめのスライドになります。

 先述の「提言」にも当たるところですが、これから迎える超高齢化社会に向けて医療は大きく2つに分けられます。

 1専門医療。病気を診断し、治していく医療。

 2地域包括ケア・在宅医療等で、これは生活や暮らしに寄り添い、支える医療。

 専門医制度に向けてのキャリア形成は、地域医療支援センターを主体として進めていくべきだと私は考えます。

 ただし、生活や暮らしに寄り添い、支える医療については、一部、国保直診や市町村などとの連携・調整も求められることから、全てを一括して地域医療支援センターだけに依頼するということは困難だと考えます。

 そのために、基本的には都道府県の実情に合わせて、一部についてはへき地医療支援機構との連携・協力を図るべきだと考えております。

 「最後の砦」という言葉があります。これは救命救急センターや高度専門医療の分野でよく用いられる言葉ですが、私は、日本の医療にとって、へき地・離島医療こそが「最後の砦」だと考えています。

 へき地・離島、中山間地域に暮らす地域住民の方々は、実は医療機関の選択肢が本当にごくごく限られています。ほとんど選ぶことができない状況にあります。

 そのへき地・離島、中山間地域に暮らす住民の方々のためにも、「最後の砦」が切り捨てられたり、崩壊するようなことがあってはならないと考えております。

 以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)


○梶井座長 ありがとうございました。

 高知県の取り組みを非常にわかりやすく御説明いただきました。

 さて、御質問、御意見をお願いしたいと思います。松岡構成員、どうぞ。


○松岡構成員 お話、ありがとうございました。非常に感動したのですけれども、どうして高知ではこんなにうまくいっているのか。そのポイントを教えていただければ。


○澤田構成員 私がキーポイントとして考えている点は、へき地の第一線にある3カ所のへき地医療拠点病院です。これは高知県の中山間地域に位置する中小自治体病院ですが、ここにあえて政策的に医師を集約したことが、結果的に功を奏したと考えています。通常、このようなへき地・中山間地域にある中小自治体病院というのは、医師不足に最も悩んでいる所ですが、高知県ではこれらの病院に6人、5人、4人といった数で常勤医師を配置し、これで採算が成り立つのかとよく聞かれるのですが、医師が増えるとそれなりに業務も増えて病院収益も上がります。私としては、医師数にある程度の余裕がないと、若手医師や学生さんへの教育も十分にはできないと考えておりますし、例え、それが田舎にある病院であっても、若干の余裕やゆとりを持たせることによって、地域医療教育や周辺のへき地診療所への代診などのへき地医療支援を担うなど、様々な役割が産まれてくるものと考えています。高知では恐らく、この3カ所のへき地医療拠点病院への医師の集約こそが1つのキーポイントになっていると考えています。


○松岡構成員 政策的にというのは、どういう形で。


○澤田構成員 

 自治医科大学の卒業医師の義務年限内については、基本的に県の人事配置に従って勤務を行うわけですが、高知県では義務修了後の先生方がそのまま多く先述の3カ所のへき地医療拠点病院を中心に残って下さっていた経緯がありまして、そこに義務内の先生方を人的な余裕がもてる程度の人数だけあえて複数配置をしたということです。


○松岡構成員 ありがとうございます。


○梶井座長 前田構成員、どうぞ。


○前田構成員 どうもありがとうございました。非常に感動いたしました。

 僕は先生に最初聞こうと思ってメモしておったのですが、先生が最後に言われた部分が重要だと思います。いわゆるこの制度は、地域枠にしろ自治医科大学にしろ、義務年限内の異動というのは制度によって規定されているわけですね。ちゃんとキャリアが支援されているというふうに思うのですが、問題はその後だと思うのです。

 へき地に定着していただければいいのですが、そういうわけにもいきませんので、県内定着とかそういった形で、定着率を評価してみると都道府県でかなり格差がありますね。これを前提にして、自治医科大学以外の地域枠の学生が今、まさに卒業してこようとしている時期なので重要です。これだけ都道府県で自治医科大学を卒業したドクターの定着率に格差があるということは、恐らく都道府県内での制度設計がかなり違っていて、定着して働けるような環境が整えられているところは、そういうふうに定着して育っていく。

 制度の問題ではないかもわかりません。もしかすると、そういうふうに自然に定着する雰囲気であった可能性もあります。それはわからないのですが、ということは、全国の大学から地域枠の学生が卒業してくる今の時期が一番重要であると思うのです。今の時期にボタンのかけ違いがあると、恐らく10年後、20年後にかなりの格差が都道府県で出てくるのではないかと思うのです。先生、その辺をどうお考えになりますか。


○澤田構成員 ありがとうございます。

 私は県の立場で、地域枠出身または奨学金を受給して卒業した医師と年に1回は必ず面談を行っています。また在学中の学生さんについては、県の寄付講座である家庭医療学講座の教授が同じく必ず年に1回面談をする形にしています。それと、地域枠出身の学生さん達には、へき地医療実習とか地域の中核病院における専門診療科も含めた形での学生実習への参加をある程度義務づけています。そこで研修報告会や懇親会などの機会を活用して、県の担当者らとのコミュニケーションも図るようにしています。

 こういった形で、彼らが抱いている不安や心配事などを一つ一つ説明して、その不安を解消してあげる場の設定、いわゆるフォローアップ体制を作っているのが1つです。

 もう一つは、県の中にへき地医療支援機構の専任担当官のような、現場の医師と県行政とをつなぐパイプの役割を持った医師の存在もやはり欠かせないと思うのです。そうすると、現場の先生方と県との関係が良好になって、県のことを一定ご信頼いただける。もしくは県の担当者も来年度の人事配置に向けて、必ず県の担当者が実際に地域に出向いて現場で医師だけではなく市町村長さんや担当課長さんらも含めてヒアリングを行う。

 そんな形で、決して特効薬というのはないかも知れませんが、毎年の一つ一つ、こつこつとコミュニケーションを積み重ねていくことによる相互理解や情報共有、それと若い先生たちの不安を解消する、そういったことを積み重ねていくことが重要ではないかと考えています。


○前田構成員 ありがとうございます。

 高知の例は、今説明があったように不安解消であるとか、へき地の体験であるとか、それから行政と現場とのインターフェース役のドクターがいるとか、こういった取組があって成功されているのだというふうなお答えだったのですが、全国の都道府県で成功しているところ、定着率の高いところの取り組みをまとめると、結構いいヒントになるのではないかなと思うのです。

 ちなみに、長崎県は定着率が非常に低いのですが、そういった例を参考にして何かの対策を打っていくべきだと思いました。地域枠の学生が出てくる今の時期が一番重要だというふうに思います。どうもありがとうございました。


○澤田構成員 1つ参考までにご紹介申し上げますと、高知県では、県と高知大学、地域医療支援センターの3つの組織が情報共有するための、地域枠や奨学金受給者に関する面談情報などが集約されたデータベースを作成する方向で現在動いています。毎年行う面談を各部署で行いデータベースに入れて管理していく。これは勿論、対象となる学生さんや地域枠出身の先生方の同意を得てやっていますが、そういった形で情報共有を行い、毎年フォローアップを積み重ねていくことが、これから重要になってくると思います。県はお金だけ出して後のことは全て大学に任せっきり、そういうことだけはないように県としても努力をしていくべきだと考えます。


○前田構成員 大学の参加というのは必須と考えてもいいですね。


○澤田構成員 もちろんです。


○前田構成員 ありがとうございました。


○梶井座長 白石構成員、どうぞ。


○白石構成員 先ほど前田構成員が、へき地の定着率は置いておいてと言われたけれども、実はそこを置いておいたらだめで、へき地に義務年限内に残っている人が残りやすい体制をつくらないと、絶対学生、そんな夢、ないのですよ。

 先ほど工藤構成員が言われたように、僕は多分3つあって、1つは総合診療といっても、幅の広さ、あるいは今の医学の進歩というのは結構大変なので、パート医という形で、いわゆる領域別専門医の人が来て自分の診られない患者を診てもらう。できればノウハウや少しプラスアルファを教えてもらうという関係性です。もちろん、住民にとっていいということ。あと、言われたように、代診が、休みの代診だけではなくて、週末代診。

 僕らも今、6人で40床の病院をやっていますけれども、4〜5日に1回当直なのです。そうすると、気持ち的に回らないですね。それを解消するために、うちは月に2回週末に近隣の大学病院から来てもらって、それだけで年間700800万使っています。でも、それが地域に残れる一つの大事なところ。

 もう一つは、先ほど言いましたように、救急かなと。

 だから、パート診療ということと、負担軽減、週末も含めた代診。2日に1回の当直というのはあり得ないですからね。それと救急の受入病院か受入手段というものを確立すると、へき地でやる負担感が随分とれるのではないか。

 僕は17年島でやっていますけれども、やれているのは、やはりそこだと思うのです。

 逆に松岡先生みたいにやられている、これがあるとやれるよというのが多分あるのかなと思いつつ。

 最後に質問したいのは、さらっと政策的にここに優先配置と言いましたが、ほかの町村で医者を欲しいところがいっぱいありますね。ここにいっぱい書いてあるのは、常勤医切望ですね。


○澤田構成員 そうです。


○白石構成員 そこに何とエクスキューズ、あなたのところへ送れない、こちらに優先配置ですというのを、説得はどういうふうにされるのかということをちょっと教えていただきたい。


○澤田構成員 

 高知では高知県へき地医療協議会という、へき地診療所を管理・運営する首長さんや担当課長さんや県、現場で勤務する医師で構成される組織があり、その協議の場で、これから後に続いていく若手の先生方を育てていく医療機関がないと継続性が保てないということを毎回口を酸っぱくして説明を尽くしています。今後育ってくるであろう地域枠の先生方も含めてですが、これらの地域医療教育の拠点となる病院をしっかりと守っていかないと、へき地医療や総合診療専門医に対する憧れや思いはあるけれど、それを学ぶ場がなければ、残念ながら専門の診療科や大学医局の方に取られてしまうことになると。そのためにも、今はへき地診療所の先生方が若干は少なくなっているかもしれませんが、その代わりにこういった教育の拠点となる病院に重点的に医師を配置することによって、地域医療に従事する医師を必ず育てて将来的には地域貢献をしてもらいますと。またそれらのへき地医療拠点病院から、定期的に医師を派遣することによって、当該地域の医療は必ず維持され、これまで通りの週5日の外来は無理かもしれませんが、例えば週3日の外来は何とか確保しましょう。診療所の廃止を思えば、地域住民の皆さんにとっては必ずメリットを感じていただけるはずです。

 そういった形で、先ほども幾つか診療所の新たな運営事例を示しましたが、将来を見据えて今は「我慢の時期」だということを関係する首長の皆さまには共通認識で持っていただいている。そんな意識合わせや説明の場があるということです。


○白石構成員 ありがとうございました。


○梶井座長 釜萢構成員、どうぞ。


○釜萢構成員 大変先進的な高知の事例を伺って、どうもありがとうございました。

 その前にも関係するところですけれども、今、専門医のあり方について検討が厚労省で進んでおりますが、まだはっきりした方向性が出ていないというふうに認識しています。しかし、前期研修2年を修了した医師がその後、医師としてのキャリアを積んでいくための仕組みというのがぜひ必要で、平成29年4月までにはきちっとそろえなければならないということになっておりまして、その仕組みはしっかりつくっていかなければならないと思いますが、日本の今までの医療の体制を見てみますと、諸外国においては、ある時点、例えば医師資格を取得した時点の成績によって、成績の優秀な人が専門領域に行って、そして余り成績が振るわなかった人がジェネラリストになるというような分け方をしているところもあります。そのことによって医師の収入も変わってくるというような仕組みを取り入れているところもあります。

 日本の場合は、そういうことは今まで行われておりませんでした。そして、大学を中心に専門領域をかなり深めた後に、卒後、しばらく経験を積んだ後に地域の医療に携わってくるというような形の経過をたどる医師がかなり多くて、その人たちが地域の医療を支えてきたという歴史があります。

 今後、これはどういう形で皆さんの合意が得られるかということになりますが、日本では、諸外国のように試験の成績で優秀な人だけが専門領域に行くというような方向は余り合意が得られないのではないかと考えています。ですから、ある程度専門の領域の経験を積んだ後で地域の役割を担う。

 今日の澤田構成員の資料8ページの上の2つの部分と下の四角という枠組みで、そして確かに最後のまとめにも書いてありますが、「病気を診断し、治す医療」と「生活や暮らしに寄り添い、支える医療」という大きな2つの方向という御指摘は、そのとおりだと思いますけれども、これを厳密に分けて、こちらに行ったら、もうほかのほうは行けないというようなことには日本の場合はならないであろうと思います。

 総合診療専門医ということが今、とても関心を集めていますが、その技量を非常に深めた方がへき地の医療に携わるということは非常に理にかなっていると思いますけれども、総合診療専門医が今後たくさんつくられて、その人たちがへき地の医療を大いに担うという状況は、なかなか考えにくいことです。したがって、むしろどの専門領域を専攻した人もきちんと地域の医療を担えるような形に制度をつくる。特に専門医の仕組みをつくるということが必要なのではないかと考えます。

 今後、また専門医のあり方等もへき地医療は大いにかかわってくるので、そのことについて、また御議論があるのかもしれませんが、現在の日本の医療の体制で、ある程度専門医の経験を積んだ人も含めて、地域の医療を改めてしっかりと学び直すというような体制も我が国においては現実的で、また必要なことなのではないかなというような印象を持っておりますので、申し上げました。


○梶井座長 ありがとうございました。

 金丸構成員、どうぞ。


○金丸構成員 金丸です。

 先に質問された何人かの先生と少し重なるところもあるのですが、高知県はすごいと思いました。これは歴史も重ねた部分と相当鍵になる先生方がいらっしゃって、そして県が、大学がその結果として1つになった形で多分できているのだろうなと推察したわけです。

 その中で、高知県で72名の研修医。これは初期ですね。


○澤田構成員 そうです。研修医2年目の先生方です。


○金丸構成員 そのうち36名ぐらいが県内で、県外も含めているわけですね。


○澤田構成員 そうです。


○金丸構成員 配置は、特に県内に関しては、36名全員の研修医をここで希望をとりながら調整し、配置されているわけですね。


○澤田構成員 はい。


○金丸構成員 恐らくここが大学と一緒にならないとやれないのではないかというのが1つです。それは確認でした。

 もう一つは、前田構成員と白石構成員の話の関連ですが、前田先生がおっしゃったことと同じことなのですが、義務後の先生が相当定着されているのですね。何とかかんとかあっても定着されている。後ろに背中が見えるので、それでつながっている。それが前提ということを前田先生もおっしゃったのだと思うのです。

 ただ、高知県が、義務後に残る姿として、どこに残って。つまり、大学のセンター内に職責として残って、そのローテーションの中に入っていく姿なのか、あるいはいわゆる定位置、総合医局的な、機構の職員という身分で、義務内の人と合わせて現在15名がなされている。その辺はどうなのですか。


○澤田構成員 義務修了後、やはりキーになるのは、地元の大学です。高知県ではすでに継続が決まりましたけれども、大学に設置された寄附講座が重要な存在になっています。その名称は家庭医療学講座です。一般的に医学部の学生さんは、大学では専門医の先生方は沢山見られるのですが、いわゆるジェネラリストや総合医と言われる先生方のイメージがどうしても持ちにくいそうです。高知県では、この寄附講座を開設することによって、教授やスタッフの先生方の存在によって総合医を認知することができ、また先生方は、お昼御飯を学生さんらと一緒に食べながらコミュニケーションを図っていて信頼も厚い。そんな総合医としてのイメージをしっかりと学生さんらに持ってもらえる先生がいるということが一つ大きいです。

 2つ目は、先に述べましたへき地医療支援機構が県の中にあって、市町村との窓口の役割を担うこと。

 3つ目は、へき地医療拠点病院です。高知県では8カ所の病院が指定されていますが、そこの現場責任者として義務修了後に残っていただく。拠点病院の医師、専門医の先生方をうまく使って派遣調整や後方支援を行うということが実は非常に重要な役割になってきます。代診医の派遣調整は大変重要でして、派遣調整のコアになる医師がへき地医療に従事した経験があることがとても大切なのです。

これらのポストにへき地勤務を経験した先生方が集約されていくと、県と大学が連携しやすくなり、夏期学生実習や、地域医療研修などのシステム化も図れて、将来的に地域医療を志す先生がこれから出てきてもしっかりとした受け皿になれる。そんなふうに考えています。


○金丸構成員 恐らく高知県は市町村の熱意というか、市町村の受け皿というか、環境と義務明けの先生方が非常にいい形でマッチングして、残る割合が高くなって、そこももう一つのヒントを持っているのか。各県、恐らくこれがミスマッチで、思いはあるけれども

すれ違って、なかなかそこがうまくならない。つまり、自治医大、卒業は相当あるのだけれども、そこの部分が絡まずに、この体制がとれないのかなと思って。

 最後の質問ですが、地域枠の学生がこれから出てくるということなのですが、そもそも入るときからがもう一つ鍵かなと思っているのです。だから、その途中は見事にモチベーションを落とさないようにいろんなかかわりをしてなされているというのが当然あるのですが、県によって地域枠のそもそもの契約、拘束的な契約の幅に相当違いがあるように感じられるのですが、高知県だとどのような契約で地域枠があるのでしょうか。


○澤田構成員 ありがとうございます。そもそも高知県では特定診療科と言われる小児科、産婦人科、脳外科、救急などの医師不足の深刻な診療科の専門医を優先的に育てることに主眼を置いて地域枠が立ち上がりました。そのため、へき地医療に従事する医師を目的にはしたものではありません。償還免除に関しては、高知市、南国市、土佐市、いの町の一部を除く、いわゆる人口集中地域を除く100床以上で一般病床が60%以上の病院であるなど、規定があります。

 高知県では地域枠の学生さんが25人いて、それに奨学金受給学生を入れると30人以上となります。私としてはへき地医療を目指そうという気概をもった学生さんは、その中の2人でも3人でもいいと思っています。決して10人も要らないのです。自治医大の卒業生は毎年2人か3人ですから、プラス2人か3人でもいいのです。そういった思いを抱く学生さんや若い先生方をきちっと見つけ出して、しっかりとフォローアップできる、その仕組みや受け皿を是非作りたいと考えてこれまでずっとやってきたので、これから出てくる地域枠出身の先生たちも、へき地診療所というのはさすがに難しいでしょうけれども、せめてへき地医療拠点病院までであれば、研修医時代にも約1カ月間現地で生活をしていますので、その病院の良さはある程度分かってくれているのです。

 また、地域で骨を埋めてくれよというのは無理だと思いますが、例えば半年や1年だけでよいと言うことであればもしかすると引き受けてくれる方もいるかもしれません。半年希望の医師が2人いれば1年間の勤務が果たせますね。いずれにしても、必ず往復切符、いわゆる「帰りの切符」を手渡して派遣するという仕組みについて、これから地域医療支援センターを中心として考えていく必要があると考えています。


○金丸構成員 ありがとうございました。


○梶井座長 すばらしい御議論になっていると思います。全ての人が残ってくれなくてもいいのだと。本当にそういう選手を見出すというお話。それから、往復切符を持っていってもらうのだと。非常にわかりやすいと思います。

 それから、先ほどの釜萢構成員の意見も実はすごく大事だと思うのですね。総合診療専門医だけがということでなくて、どんな専門医でもそういう地域へのマインドを持っていくということが、お互いがリスペクトしながら支え合うということにもつながっていきますので、私はすごく重要な御意見だと思いました。

 そのためには、実は地域枠か、一般枠かというふうに卒前教育を分けるのではなくて、やはり地域医療を通した医師のマインドの育成ということが今、求められているのだと思います。そこのところがまだまだ充実していないのではないかと思うのですけれども、前田構成員、どうでしょうか。


○前田構成員 ありがとうございます。

 まず、先ほど白石構成員からちょっとだめ出しをいただきましたが、それは先ほど言われた片道切符の問題があるからです。へき地への定着ということに焦点を置くと片道切符の議論になるので、それはさておきということ、そういう意味で申し上げました。補足いたします。

 教育なのですが、医学教育モデル・コア・カリキュラムというのがあります。これは平成13年にできて、全国の医学部はこのガイドラインに沿った教育をするようにというふうな指導がなされています。平成19年の改定のときに、地域医療臨床実習、地域医療の教育というのが大々的に取り上げられたわけです。それまで地域医療というのはコアにはなかったのです。19年のときに地域医療教育というのが入ったのですが、その中で学外に出て臨床実習を行うようにという指導がなされています。それにはプライマリ・ケアであるとか、保健、医療、福祉、介護であるとか、そういった内容がかなり盛り込まれております。ですから、このガイドラインに沿って全国の大学が教育を行うということであれば、地域医療臨床教育というのは必須、いわゆるコアなわけでございます。

 全国の大学にはいろんな設置理念がありますし、そして足並みもそろっておりませんが、全国の大学では、最近、地域医療教育をどんどん取り入れて充実してきております。その中にはへき地医療教育も入っております。それからプライマリ・ケア教育も入っております。ただ、足並みがそろっていない。

 不安定な要素として、一つには地域医療教育を担っている教員は、寄附講座の教員がかなりの役割を担っているという点があります。それと予算です。新たな教育を盛り込むということであれば、予算がかかりますので、その予算をいかに確保するかというのが非常に大きな問題になっております。ですから、卒前で医学生全員に対して安定的にへき地医療教育を行うということであれば、地域医療、へき地医療の対策の一環として教育面で安定的な整備が必要ではないか思います。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。

 大変盛り上がっておりますけれども、非常に重要な視点、場所だと思います。よろしいでしょうか。金田構成員、どうぞ。


○金田構成員 金田です。

 岡山大学の話なのですが、数年前に医学部地域枠の1年生から1週間の地域医療実習が始まって、今、だんだん学年もふえて、さらに一般学生にも評判になりました。今、医学部全学生を1週間地域医療の現場で実習させる方法で動いています。岡大自体も学生もこの数年で地域医療に対する認識が大きく変わったと感じています。

 以上です。


○梶井座長 前田構成員。


○前田構成員 手前みそながら長崎大学も数年前から全学年を対象に地域医療教育をやっています。医学部、歯学部、薬学部、保健学科、全部一緒にやるというのをやっております。全国では足並みがそろっていないというのがあります。


○梶井座長 先ほど出ました平成19年のことを思い出しました。そのときに私もメンバーに入っていたのですが、最初は講義の導入だけでいいのではないかという意見もあったのですね。しかしながら、これは実習なくして講義だけで何も伝えられないということで、結局はメンバーの御賛同が得られて、今、授業だけではなくて実習も必須にしましょうということになって、あれから10年はたたないのですけれども、そういう意味では、いろんなことが変わってきたという感はあります。ありがとうございました。

 白石構成員、どうぞ。


○白石構成員 先ほどの議論で、確かに専門医が地域医療マインドを持って地域にということは、もちろん理想だと思うのですが、残念ながらうまくいくのかなというか、それがうまくいかなかったために医局からの派遣制度が失われたというところもある。

 むしろそうなるのが一番いいのですけれども、方法論を相当変えないと。実際初期研修のプログラムも2年目は適当でいいみたいなことに変わってしまいましたね。どちらかというと地域医療マインドを育成するという初期研修の2年間というのが少し後退している現状で、僕が学生実習などでかかわっている中で、専門医の人は地域医療に向かうかというと、向かう流れはないな。島根も10年前から地域医療、全員現場へ出すということを始めていますが、それでもなかなか難しいのではないのかなということをちょっと思っています。


○釜萢構成員 白石構成員の御指摘もそのとおりだと思いますが、今後の専門医の研修のプログラムをしっかりつくっていく段階で、どの方向に向かうに当たっても、例えば眼科の専門医になる方も地域医療あるいはへき地のところで研修したことが大きく、強く評価されるような仕組みがぜひ必要だと思っています。


○白石構成員 そういう意味から言うと、先ほどのパート診療、工藤構成員が言われたように、例えば眼科の専門医を取るときに、最後の1年間は週に1回はへき地の100床の病院へ行けよと。それをやらぬと専門医をやらぬぞみたいな。


○釜萢構成員 そうです。


○梶井座長 多分地域医療マインドと言うと、先生がちょっと勘違いされたことだと思うのですけれども、実は地域医療マインドというのは、地域を見たり、その人の生活を見たり、家族を意識して診療しましょうということです。そうすると、専門医がそういうことを全く無視していいのかというと、そうではないと思うのです。それは医師としての基本的な要件だと思うのです。ですから、それを身につけてもらうと、いろんなことが変わってくるのかなと思うので、「地域医療マインド」という言葉をあえて私も使わせていただきました。

 大分時間が参りました。澤田構成員、どうもありがとうございました。


○澤田構成員 どうもありがとうございました。(拍手)


○梶井座長 まだ論点整理がございますので、ここで5分間休憩させていただきたいと思います。

 

(休  憩)

 

○梶井座長 それでは、再開させていただきたいと思います。

 論点2につきまして、これまでに私たちは議論してきませんでしたので、まずは事務局より御説明をお願いしたいと思います。


○西嶋救急・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。

 それでは、資料3をごらんいただければと思います。「へき地保健医療対策検討会における論点整理」ということでございますが、先ほど澤田委員からお話がございましたのは論点1についてでございますが、少し事務局のほうから追加をして説明させていただければと思います。

 この資料の1ページ目の下のところに、先ほど最初に座長からお話がございましたように、総務省のほうからの指摘ということで、へき地支援機構と地域医療支援センターとの関係について検討すべしということで、いただいているものでございます。

 次のページをめくっていただきますと、全国的にへき地医療支援機構と地域医療支援センターがどういう状況にあるかということを少しまとめさせていただいてございます。

 上のところを見ていただければと思いますが、設置根拠ということで、地域医療支援センターについては、今般の医療法の改正において、法律の中に努力義務ではございますが、設置について記載させていただいてございます。

 一方で、へき地医療支援機構につきましては、今、法律上の位置づけではございませんで、いわゆるへき地保健医療対策等実施要綱の中に記載させていただいているところでございます。

 先ほど澤田構成員のほうからもございましたけれども、それぞれの設置の場所ということで、非常に小さい字で恐縮ですが、2ページ目の下のところに各都道府県ごとに県名、地域医療支援センターの設置場所、へき地医療支援機構の設置場所を記載させていただいてございます。いずれも県庁にあるというところから、大学病院であるとか、あるいは県立病院等に置かれているということで、これについては県によって非常にばらつき、独自性があると思っております。その中で先ほど高知県のほうから御紹介があったということでございます。

 3ページ目の上のところに論点1ということで、「主なご意見」として書かせていただいているのは、澤田構成員の資料のほうから抜粋をさせていただいたものでございますので、先ほどの構成員の各委員の先生方の御意見も踏まえつつ、今後修正をしていきたいと思います。

 論点2ということでございますが、先ほど座長からお話がございましたように、これまでこの委員会では特段御議論がなかったところでございますが、先ほど来へき地医療拠点病院の重要性という御指摘が各委員からございましたので、「へき地拠点病院の実施要件等の検討」ということを議題2というふうにさせていただいてございます。

 3ページの下のところには、へき地医療拠点病院でどういう事業を行うのか、定められていることを記載してございます。

 「(4)事業の内容」というところでアからクまでございます。

 先ほどありましたけれども、巡回診療をするとか、あるいは代診医の派遣をするとか、派遣医師等の確保ということも含め、こういったことがここに盛り込まれているということでございます。

 一方で、4ページ目の上のところを見ていただければと思いますが、では、先ほど来ありました医師の派遣等について、へき地医療拠点病院、全国に296カ所ありますけれども、どの程度のアクティビティーがあるかということを、特に巡回診療、医師派遣、代診医派遣、この3つの項目で実態を調査したものがこの表でございます。

 規模別の割合というところで言えば、拠点病院と言っても病床数にかなりばらつきがあるということがわかりますが、2点目の巡回診療実施割合ということで言えば、296カ所あるうちの201カ所で全く1年間巡回診療をしていないということがわかります。

 同様に、医師派遣の実施割合。これは同一組織間の医師派遣は除いていますが、それについても198カ所は全く1年間実績がない。

 代診医の医師派遣についても187カ所は全く実施がないということでございます。

 その下の「参考」のところですが、いずれも1年間全く行っていなかった施設が296のうち67カ所、全体の2割強の施設で見られるということがわかっております。

 そのほかのへき地拠点病院の要件。例えばIT等による診療支援であるとか、そういったこともその下のところには盛り込ませていただいているところでございます。

 ※印のところに先ほど来少しお話がございました社会医療法人のへき地医療について、要件が示されてございますので、それについては1、2と書かせていただいていますけれども、基本的にはへき地の診療所に53日以上派遣するということがその基準として定められているわけであります。

 御参考までに4ページ目の下のところには「地方分権改革に関する提案募集に係る検討」ということで、熊本県さんのほうから、社会医療法人の認定要件でへき地の診療所への医師の派遣というふうになっていますが、それだけではなくて、先ほど来ありましたが、へき地医療拠点病院への医師の派遣について、認定要件としてはどうかということが提案としてなされてございまして、現在、この件につきましては、3月12日までの締め切りでパブリックコメントを厚労省の方からさせていただいてございまして、その結果を踏まえて、来年度の4月1日以降、例えばこういったものを入れるべきだということであれば、それを施行するというふうに予定されていると担当課の方から聞いているところでございます。

 そういった背景等を踏まえまして、5ページ目の上のところですが、「へき地医療拠点病院の実施要件等の検討」ということで、現状を先ほど来御説明していますけれども、その中の論点といたしまして、へき地医療拠点病院については、先ほど要件をお示ししてございますが、実績が物語っているように、この要件の中では、例えば何件以上何をしないといけないかというのを明記されてございませんで、全くしていないということをもって、直ちに例えば拠点病院を取り消すとか、そういったことが必ずしもこの中だけではできていないという状況で、基本的には都道府県が指定をしていますが、都道府県の判断で指定をしたり、あるいは取り消しをしたりという現状でございますので、その基準を例えば明確化するということをどう考えるかということについて、御提示をさせていただいております。

 例といたしまして、例えば恒常的に年間○日以上の医師派遣のある施設であることとか、あるいは巡回診療や医師派遣についての実績のない施設については、へき地医療拠点病院という看板をおろしていただくべきではないかとか、そういったことについても御議論をいただければと思います。

 また、先ほど来ありましたけれども、へき地医療拠点病院を支援するということがへき地医療を確保するには重要だという御指摘でございますので、それを支援する方策をどのように考えるかということについて、問題提起、論点として挙げさせていただいてございますので、よろしくお願いいたします。


○梶井座長 ありがとうございました。

 御意見ございませんでしょうか。金丸構成員、どうぞ。


○金丸構成員 金丸です。

 先ほど来話題にも出ていますが、へき地医療拠点病院の立ち位置というのは非常に鍵になるかなと実感しているところなのですが、先ほど来先進事例もお聞きしながら、そこのポイントをつくことが一つの扉かなと思ったところです。そのためにも、こういう実態、これがそのままそうかなというのを実感しながら、現実的にリアリティーを感じているわけです。そこにはそうならざるを得ない背景があるのだろうと思われるところでもあります。

 だから、場所によって、規模によって、あるいは医師確保の状況によってままならない現実がここにあらわれているのではないかなと推察すると、先ほどの3ページの「実績要件等の検討」というのは、事業内容がアからクまであるわけです。場所によっては、派遣はできないけれども、教育には相当力が入ってやれているとか、要件の幅の評価というか、それを認めていく方向。議論されているのかもしれませんけれども。もちろん、実際に医師派遣であるとか、巡回診療であるとか、代診医であるとか、ここがメーンというところにはあるわけですが、先ほど来議論になっている教育ということも同じぐらいの位置づけで評価されていいのかなと。学生教育にしても研修医教育にしても。そこの評価の幅というのをぜひ検討していただくのが1つ。

 もう一つは、社会医療法人、例えば100床以下、50床以下の規模の拠点病院というのもあると思うのです。その規模にもよるかなと思うのですね。単純に19床の診療所ということが今、規定されているわけですが、立ち位置によっては、50床規模以下で拠点病院ということがあって、しかし、そこにこれをやりたくてもやれない。あるいは先ほど高知の事例でありましたが、住民あるいは市町村の理解を得ながら、ある程度拠点化して、そこで今はこれで頑張るのだと。そこら辺にも資するところがあるようにも思えますので、そういったこともここに直結する。いわゆる支援というところですね。そこが論点としてまとめていただけるといいのかなと思ったところでした。


○梶井座長 ありがとうございました。

 白石構成員、どうぞ。


○白石構成員 僕も全く同感で、特に教育です。特に地域推薦枠の人たちを中心に、いかに地域医療マインドということを教えるかと。学生にとっても非常にわかりやすいセッティングなのです。

 実際教育ということに時間を割いても収入が上がるわけではないし、すごい負担なのですけれども、それに対する見返りというのは、少し研修費みたいなものが入る場合もありますが、ほとんどないのが現状で、やはりこういう形で評価をしてくれると、すごくいいなと。それは研修医だけでなくて、学生も対象ですね。ということに全く同意です。

 もう一つは、これは多分1の要件の中に入っていないような気がするのですけれども、救急車の受入率。要するに、へき地というところは、病院がここしかないのでへき地拠点病院になっているのですね。住民の安心ということから言うと、へき地では、救急車がたらい回しにならずに、必ずそこに来る。しかも、そこに専門医がいるかどうかということに関係なくやってくるわけです。そうすると、その地域の救急車の何%以上を受けていると、それは役割を担っているのではないかなというようなことをつけてもらえるのはどうかなとちょっと思ったりしました。

 もう一つは、先ほどから言われているへき地拠点病院には、優先的にパート診療、代診医を派遣していただくシステムができると、もっとうまく回り始めるかなと思いました。


○梶井座長 ありがとうございました。

 澤田構成員、いかがでしょうか。


○澤田構成員 私は、この内容で良いと思います。問題ありません。


○梶井座長 金田構成員、どうぞ。


○金田構成員 金田です。

 民間病院の立場から考えると、拠点病院の持続可能性を考えた場合に、経営的視点というのは避けて通れないのではないでしょうか。10年間の合併特例債がなくなる中で、今後社会医療法人の役割というのが大きくなってくるのではないかと考えます。

 それともう一つ、今、協議されている地域医療連携推進法人制度、それも踏まえた社会医療法人と自治体病院との連合体をつくっていって地域に責任を持つという体制づくり。すなわち、社会医療法人には経営がなかったら潰れるわけですから、命がけでそこをやっている、そういった社会医療法人の経営力のところをうまく活用して、地域の責任を持てる体制づくりというのが今後の課題ではないかと思います。


○梶井座長 よろしいでしょうか。

 それでは、論点2につきましては、皆様の意見を承ったということで、終わりにしたいと思います。よろしいですか。

 論点3に移ります。「超高齢化、人口減少社会に応じた適切な医療提供体制」。今までの「主なご意見」を抽出したものがそこにあります。

 「地方中山間地を中心に超高齢化、人口減少が進み、地域の病院では医師・看護師不足が発生している。診療所においても医師の高齢化、後継者の不在等が起きている。へき地医療は日本の近未来地域と言える。人口減に対して病院経営者は適切なダウンサイジングを行うことが必要ではないか」。

 2点目です。「今後、へき地診療所における常勤医師の確保が極めて困難になる可能性が高く、その対応策として、診療所の出張診療所化や循環型で複数の医師を派遣していく体制等、集約化やブロック制といった形でへき地診療所を維持していくというような見直しの議論が重要」。

 この2点が盛り込まれております。これについて御意見をいただきたいと思います。澤田構成員、どうぞ。


○澤田構成員 へき地診療所医師の確保は市町村レベルで検討するのは大変に厳しい時代になっています。医師が確保できなければ即へき地診療所は廃止するという議論にならないように、先ほどご説明させていただいたように、広域で、いわゆるブロック制で医療を確保していく、「面で支えていく」姿勢だけは是非堅持してへき地の医療を確保していった欲しいと思います。

 先ほど述べた通り、へき地に暮らす住民の方々にとっては「最後の砦」なので、そこでへき地診療所が廃止されると、足を持たない地域住民が恐らく診療の機会を失ってしまう可能性があります。逆に、都市部は大変に便利で交通機関も発達しています。どこへ行ったらいいか迷うほど医療機関もありますが、へき地診療所は、そこに暮らす住民にとってオンリーワンの医療機関であるという認識を是非忘れずに次期計画につなげていって欲しいと思います。


○梶井座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。金田構成員。


○金田構成員 ダウンサイジングを行う必要があるというのは、私の意見だと思うのですが、やはりダウンサイジングしただけでは小さくなって行き詰まってくるので、近隣の病院と地域連携推進法人を含めた連携から連合し効率化していく流れが地域医療を守っていくためには必要になってくると考えます。統合が一番いいですけれども、統合は実際難しいので、連合して責任を持っていく体制づくりが必要だと思います。

 もう一点、自治体病院でダウンサイジングが進まない理由の一つは、補助金が病床単位では出ているのですね。実はこれを最近知って驚いたのですけれども、それだったら当然ダウンサイジングは進まないだろう考えます。地域医療連携推進法人制度がその切り札になるのではないかと思います。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。

 白川構成員、どうぞ。


○白川構成員 私は、全国の離島の代表として申し上げるわけです。どこでこの発言をしたらいいのかわからずに今、発言しているのですが、結局、超高齢化、超人口減少社会というのは、離島がその先端を行っているわけでございまして、数十人の島とかいうのもございまして、医療機関そのものがない。

 例えば小笠原諸島、父島、母島を例にとってみますと、1日以上船でかかるのですね。そこは高齢化率が10%ぐらいしかないのです。私は驚きまして、なぜそうなのだと。介護の必要がある方とか、妊産婦であるとかいう方は前もって東京に出ていかざるをえないのです。施設に入った方は、重病な患者とか、入院患者とか、介護の方はもう帰れぬわけです。

 そういった中で、高齢化率が低いのですね。公務員関係者も多いために若い。だから、子供の数は多いのです。鹿児島県の三島村とか十島村は、鹿児島市内に村役場があります。両村10の島で1000人しかいない。そういった島々があるのです。そういったところの医療は県なり市町村なりが相当な苦労をしていると思います。それは行政の責任であるわけですけれども、そういう島がある。特に妊婦などは、新しい命が生まれるけれども、非常にリスクが高い。そういった面をぜひへき地医療の面で頭の隅に置いて捉えていただければ助かります。

 私のところは2万8,000人もおりますから、医療機関は民間が7つもあります。自治体病院も1つあります。大変恵まれておりますけれども、そういった島があるということをぜひ御理解いただきたいと思っております。


○梶井座長 ありがとうございました。

 松岡構成員、どうぞ。


○松岡構成員 以前にも少し説明させていただいたのですけれども、診療看護師さん、ナースプラクティショナーさんの活用が必要になってくるのではないかなと思います。実際今、一緒に働かせていただいているのですが、実際の臨床ではシニアレジデントの1年目ぐらいの能力があります。

 外国を見渡しますと、アメリカ、カナダでもへき地からそういう人たちが発生してきておりますし、イギリス、スコットランドでもGPと一緒ぐらいの割合の人たちがグループ診療の中で働いています。

 ですから、日本の中で制度的にいろいろあるとは思うのですが、へき地や離島に限って言えば、そういう人たちを有効に活用するという方向が必要になってくるのではないかなと思います。


○梶井座長 ありがとうございました。

 金丸構成員、どうぞ。


○金丸構成員 今のことに関連していいですか。今の件は、住民の目線から見ると相当なハードルがあるように思うのですね。島だから医師がいない、島だからどこかに行かなければいけない、あるいはへき地だから選べない。選んで暮らしていると言われたらそれまでかもしれませんけれども、しかし、そこに暮らして、医療、教育となると、非常に根幹のところがあるので、その部分に関しては相当ハードルが。例えば僕らがへき地に行っても、やはり専門医に診てもらわぬとだめだもんねと。医師の中でもある現実を照らせば。言っていらっしゃる意味はわかるのですけれども、そこの部分においてそこの理屈はなかなかハードルが高いのかもしれないなというのは、暮らしてみて実感するところでもあるのですね。


○松岡構成員 おっしゃっていることはよくわかりますけれども、では、現実をどうするのだという話になると、そういうふうな方法が必要だということです。


○金丸構成員 そうですね。先生のお話もわかるのですが、ハードルは相当高いですよね。


○梶井座長 前田構成員。


○前田構成員 梶井先生の班会議のほうで都道府県に訪問させていただくわけですが、そこで感じたことは、地域枠で奨学金を使った医師養成は、県の事業として大体動いておるわけですね。ですから、卒業した医師は義務を負って、県の関係医療機関のほうに派遣されるというケースが多いわけです。

 その一方、へき地診療所というのは、市町村が管理している医療機関がかなり多いわけです。そこはいわゆる地域枠の県の養成医の派遣対象からちょっと外れているところがあるわけです。県の関係医療機関であると、今から輩出されるであろう地域枠のドクターがこれからかなり派遣されていって、玉突きでへき地診療所がカバーされるということも考えられるのですが、そういう面で、澤田構成員が言われた面で支えるとか、連携して支えるとかいったところに行きつくのですが、それにも時間がかかるだろうと思うのです。

 ですから、へき地の診療所の医師確保ということに関しては、リクルートする体制にも焦点を当てていただければと思うわけです。長崎県が離島の診療所の医師をリクルートするのに医師募集説明会を全国でやっております。大都市圏の何カ所かでやっております。それでリクルートされたドクターが活躍されていて、非常にいいドクターが来られているケースもあります。ですから、そういったところを組織的にリクルートする、広報するような体制も一つ考えて、常勤医師の確保につなげていければなというふうに考えました。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございます。

 さて、そろそろ論点3については終了いたしたいと思います。

 続きまして、論点4です。「都道府県をまたいだ連絡・連携の場の設置」。へき地医療等の連絡会議の御意見もありましたけれども、そういうことも踏まえた御意見が以下のようになります。

 「長崎県の壱岐では島であるがゆえに提供できる医療に限界があり、必要時には福岡の医療機関に患者を搬送するなど県をまたいだ連携を実施している」。

 「一県だけで医師・看護師不足を解消するのは難しく、他県と接する地域では、それらの県との協働の中で医師・看護師不足に対応していく必要がある」。

 3番目です。「へき地対策を行っていくには、隣接する県同士でブロック毎に意見交換等ができる協議の場を設置し、県を越えた連携を考えていく必要があるのではないか」。

 4番目です。「地域医療機能推進機構(JCHO)のような全国的なネットワークを持った組織を活用したへき地対策も有用ではないか」。

 こういうヒアリングを行わせていただいたときの意見を踏まえたものでございます。

 さて、これについて御意見をお願いいたします。白石構成員。


○白石構成員 看護のことについてなのですけれども、医師も同じですが、以前ここで言ったような気がするのですが、看護教育課程の中に中小病院の教育というものがほぼ抜け落ちている。実際500床、1,000床の7対1看護というところで看護師さんたちは学生時代に実習を積むと。

 「地域看護」という項目はあるのですが、保健師さんの後ろをついて回るだけなので、いわゆるへき地の診療所であるとか中小病院の医療というのを見ずにナースの免許を取るのですね。実は地域で地域完結型医療となってきているように、役割分担というところで今やっていくと、看護だけでなくてリハなどもそうなのですけれども、急性期をやっていると急性期だけしか診ないので、その後、その人がどうなったかという、医療者が一番喜びとするところ、おかげさまでよくなりましたというのを見ることなく次へ流していくというので、充実感なく疲弊していっている実情があって、そこのところをうちの病院などは上手に発信できるようになったので、看護師さんとかリハビリなどの新卒の人が横浜から就職に来たりすることが奇跡的にできているのです。

 やはり奇跡的ではだめなので、仕組みの中でそういう地域の看護、恐らくリハもそうではないかなと思うのですが、そういう小さなところ、スタートの急性期から慢性期まで診ているような医療機関で教育を組むということをプログラムに入れていくと、随分変わるのではないかなと思っております。


○梶井座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。工藤構成員、どうぞ。


○工藤構成員 私も今の白石構成員のお話と全く同感でして、自分も臨床、大病院にいたときにはわからなく、どうして何回も指導した人がまた入院してくるのだろうというふうに思ったときに、結局、すばらしい施設、流し台があって、あれがあって、これがあってというところでリハビリをしておうちに帰ったとしても、おうちというのはそういう状況ではないのですね。

 なので、結局、その人の生活をちゃんと見ていたのかと疑問に思って、それで保健師のほうに進学して、地域に入ったのですが、若いときは命を救うことに全霊をかけて、それで自分のキャリアがすごく上がったような気がしていたのですが、ところが、地域に出ていると、医療というのは一瞬ですね。その人たちは地域で家族と一緒に暮らしている、その中の一つの医療なのだということを地域に出て初めて気づかされたので、自分がやってきたのは地域看護。地域看護はそこが弱いなと。

 病院の婦長さんたちを集めて毎月一緒に、地域の看護をどうしようということで、それは保健とか医療とか関係なく、看護者としてそこをちゃんとやっていこうということで、ずっと勉強会を重ねてきていて、北海道では地域医療連携室というのは大きな病院しかないのです。だけど、宗谷の枝幸町では師長さんたちと連携して、町長に地域医療連携室をつくってほしいということで、初めて小さな町でもつくったのです。そうすると、都市の病院からいろんな人が返ってくるときに、意外と都市の病院の連携室もうまく機能していなくて、いきなり患者さんをぽんと返してきたりということで、そういうのをつくると、どんどんいろんなことが見えてきた。

 そういう意味では、看護職とかリハビリの先生もそうなのですけれども、医師だけに負担というのでなくて、みんなで地域をつくっていくという視点においては、教育を含めてそこもきちっとしていかないと、地域全体が満遍なく回らないだろうなというのは思っているところで、本当に白石構成員さんのおっしゃるとおりだというふうに思います。


○梶井座長 ありがとうございました。

 高村構成員、どうぞ。


○高村構成員 先程の意見に反対ではないですが、中小病院での実習ということになりますと、受入体制がなかなか大変で、実習受け入れができないという状況がありまして、大きい病院が実習を受け入れております。

 そして、看護教育では地域看護学で、訪問看護実習がありまして、病院から退院された人が在宅でどのように過ごしているかということを学んでおります。在宅に帰ったときにいろいろな工夫をしながら生活をするということの学びは得ていると思います。


○梶井座長 ありがとうございました。

 論点4に関しましては、都道府県をまたいだということで、ここについての御意見はまだ出ていないようですけれども。金丸構成員、どうぞ。


○金丸構成員 金丸です。

 4番目ですが、「(JCHO)のような全国的な」。社会医療法人もそこに当たるのかなと思うし、全国的に済生会病院の組織であるとか、隣県、かなり近い所で立ち位置を持っていらっしゃる、規模も安定している部分が多いように思いますので、病院によっては県を越えて受け入れも、あるいはこういう支援ということも現実に起こっている部分があると実感するので、代表してJCHOが書いてあると思うのですが、済生会であるとか、あるいは国立病院機構であるとか、あるいは社会医療法人、全国的な立ち位置でこのようなかかわりが重層的に入ることもこれに当たるのかなと思ったところでした。


○梶井座長 ありがとうございました。

 前田構成員。


○前田構成員 4の「都道府県をまたいだ連絡・連携の場の設定」の中の3番目のへき地対策を行っていくために、隣県同士でブロックごとに意見を出し合うというところですが、へき地医療支援機構等連絡会議ではブロックごとにディスカッションが行われています。今日、その説明もあったのですが、あれは、恐らく初めての取り組みですよね。

 そういった中で私は興味深く見させていただいているわけですが、実は都道府県の担当者のほうもそういった機会を期待されていて、待っておられたところがあって、あそこで意見交換をされて、そのまま連携につながっています。へき地医療支援機構等連絡会議では、勝手に都道府県同士が連携をしていくという現象が生まれてきました。それもあの会議があった直後からです。ですから、ああいう取り組みというのはぜひ推進していただきたいと思うのです。

 医療計画の中にへき地保健医療計画が埋没しないためには、評価と働きかけ、この2つが重要だと思うのです。評価は先ほど出ましたので、こういった働きかけをぜひやっていって、埋没しないような制度設計にしていただければと思います。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。

 白石構成員、どうぞ。


○白石構成員 ここの議論になじまないのかもしれないのですけれども、都道府県をまたいで患者さんが移動するときに困るのは、やはり医療情報なのです。今、ITの時代になってきたので、医療情報をいかにクラウドのような状況で管理するかとか、実際患者さんが移動するときのスムーズな、シームレスな連携ということがすごく大事なのではないかなと思ったので、つけ加えてさせていただきます。


○梶井座長 ありがとうございました。

 都道府県をまたいだというこのテーマについて御意見もいただきましたし、それから看護教育の視点でも御意見をいただきました。ありがとうございました。

 続きまして、論点5に移りたいと思います。「へき地に対応した新たな専門医制度の検討」。

 「主なご意見」としましては、「新たな専門医制度によって、指導医や専門医認定施設等の多い都市部へ医師が偏在することがない様に、へき地勤務に対するインセンティブやへき地診療所なども包含した形の研修プログラムの策定等、医師偏在を悪化させないような制度設計の検討が必要ではないか」ということでございます。

 これについて御意見、いかがでしょうか。どうぞ。


○釜萢構成員 へき地の問題ももちろんなのですが、医師の偏在、診療科の偏在ということが今、非常に問題になっておりますけれども、なかなか解決策がすぐ見えてこないという中で、今、取り組み始めたばかりの段階ですが、全国の医学部長病院長会議と日本医師会とでこの問題を検討する仕組みが今、動き始めつつあるわけでございまして、その情報をお伝えしておきたいと思います。


○梶井座長 大切な情報をありがとうございました。

 事務局として、この点について何かございますでしょうか。


○西嶋救急・周産期医療等対策室長 先ほど森田参考人のほうからも少し御報告がありましたけれども、連絡会議の中でも、各都道府県の現場の方々から、新たな専門医制度が地域にどう影響を与えるのかということについて、非常に不安に思っていらっしゃるという御意見が多かったというふうに思います。

 先ほどありましたけれども、この検討は十分に進んでいない、オープンになっていないということもこれまたありということだと思いますが、そもそも新たな専門医制度がどういう考え方で、どういう状況にあるのかという現状について正しく構成員に御理解いただいた上で、御意見をいただくことも大事かなと思いますので、今日いろいろ御意見もありましたので、次回別途時間を設けさせていただいて、この点についてはまた御議論いただければと思います。


○梶井座長 皆様、いかがでしょうか。もう少し詳しい情報を入れていただいて、それをもとにこの論点整理について、皆様の御意見を交わらせていくということでよろしいでしょうか。


(「はい」「よろしくお願いいたします」と声あり)


○梶井座長 では、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、論点6「へき地におけるチーム医療の推進」でございます。

 「主なご意見」としましては、「へき地医療こそチーム医療という考え方をさらに推し進めていって、色々な職種の得意分野を結集する必要がある」。

 続きまして、「へき地におけるチーム医療にも歯科が参加できるような施策が必要」。

 3点目です。「在宅医療で2カ月に1回ぐらいの診療の頻度であっても、その間を薬局の薬剤師がカバーをする等、薬剤師は地域医療に関わっており、へき地医療対策の中で活用が可能ではないか」。

 4点目です。「人的資源の乏しい地域においては課題ごとにそれぞれの職種が連携を構築することは困難。岡山県の真庭市では、認知症対策をきっかけに色々な職種で連携がされている。今ある資源をどのように活用していくかが重要であり、包括的な連携が必要」。

 さて、皆様の御意見を伺いたく存じます。有澤構成員、どうぞ。


○有澤構成員 1つに、へき地と言っても、例えば離島であったり、北海道のように広域分散したり、限界集落みたいなところもあったりすると思うのですね。そういった中で、その地域、地域ごとに検討もしなければいけない。チーム医療というのは、その中にある医療資源、それぞれの専門職同士が地域ごとでしっかりと連携をしていくことが必要だと思うのです。

 特に医師、看護師さん、そういう方が当然治療の中心になるわけですけれども、そういった中で、今、ここにも書いてあるのですが、薬学的管理も含めて、薬局を有効に活用していただきたいということです。2025年の地域包括ケアの構築を目指している中で、今、薬局は、地域健康情報拠点薬局推進事業という形で事業を展開しておりまして、これがしっかりと相談体制、チーム医療を組んでいくというものを目指しておりますので、ぜひ地域ごとに検討されるということ。

 もう一つ、薬局は、当然医師や看護師さん方と連携した中でセルフメディケーションの支援もできる、相談体制も整えていくというふうに進めておりますので、予防という観点でも地域住民、特にへき地の方にはそういうところを知らしめて、しっかりと活用していただけたらと思います。


○梶井座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。佐々木構成員、どうぞ。


○佐々木構成員 資料1の7ページ6.へき地におけるチーム医療の推進の主なご意見の○の4番目にありますように、前回岡山県の真庭市での事例の報告を受けたわけですが、ここでは認知症対策をきっかけに歯科が歯科医師会を通してチーム医療がうまくいった事例かとお聞きしましたが、御存じのように、これから始まります地域包括ケアも含め、全てチーム医療になっていくかと思いますし、今年から出ました基金を通して歯科医師会では、在宅訪問歯科診療を全国で基金の財源を使ってスキルアップしないと、なかなかチーム医療に加わりにくいところもありますので、今、そういう在宅訪問歯科診療のスキルアップも進めているところでございます。

 へき地におけるチーム医療に歯科が参加できる施策が必要ということをよろしくお願いします。


○梶井座長 ありがとうございました。

 前田構成員、どうぞ。


○前田構成員 チーム医療の推進の件で御意見申し上げます。チーム医療、いわゆる構成員としては医師、歯科医師、薬剤師、介護関係、保健関係など、プレーヤーがいろいろいらっしゃって、たくさんの職種が関与するものであります。都道府県の訪問をしておりますと、部署ごとに担当が違うわけです。どこの県とは言いませんが、部署ごとに違っていて、歯科医師のことは担当が違いますので、よくわかりませんとか、そういった回答が返ってくることもあります。

 ですから、各都道府県でチーム医療を推進するということであれば、担当部署が集まって協議する場を設定していく必要があるのではないかなと強く思っております。部署を統合するということは非常に大変なことでございますので、そういった機会、協議する場を都道府県の中につくっていただく。その中で現状の把握であるとか、目標の把握であるとか、取り組みの共有化であるとか、そういったところを図っていただくというところが重要だと思います。

 以上です。


○梶井座長 重要な御指摘ありがとうございました。

 金丸構成員、どうぞ。


○金丸構成員 金丸です。

 まさにここのところが、先ほどプレゼンテーションの中にもありましたけれども、地域包括ケアあるいは地域包括ケアシステムというところに真正面に直結している部門だと思うのです。離島もさまざま、山間地もさまざまで、全部へき地という一つのくくりではあるのですが、在宅医療と言ってもさまざまな現実があり、集落の分布とか、あるいは家族の構成であるとか、現実は非常に厳しくなってきているのだと思うのです。

 だからこそ、4番目にもあるように、今ある資源をどう活用していくかで包括ケアシステム、今、前田構成員が言われた縦割りを崩して、みんなでそこについて取り組んでいくことを目指す姿ということで、構成員としては、医師、歯科医師、薬剤師、そこにある職域、そして住民の皆さんも一緒にというところがここに入ってくる姿かなと思ったところでした。


○梶井座長 今、金丸構成員が取りまとめていただいたような感じですけれども、よろしいでしょうか。

 続きまして、論点の7番目に行きたいと思います。「へき地医療の重要性、やりがいを見出すような教育」。きょうの御議論の中にもこの点が随分出てまいりました。ここに書かれていることを読み上げたいと思います。

 教育というキーワードから地域医療あるいはへき地医療を盛り上げていくという方向性を考慮することが非常に重要なテーマではないか。

 大学の医学部の教育において、医師の使命として地域にどういう貢献をしなければいけないかということについて、改めて学生が考えられるような機会を与えていくことが必要。

 看護教育も学生の段階から地域医療、へき地医療の重要性、やりがいを見出すような教育を行うことも必要。

先ほどの中規模、小規模の病院での教育のこともここに入ってくるかなというふうに思います。

 さて、ここの論点整理の部分についての御意見を賜りたく思います。有澤構成員、どうぞ。


○有澤構成員 薬剤師も漏れなく地域偏在というのがかなりあります。先ほど工藤構成員からお話があったと思いますが、そういったところで、薬学部が6年制になった中で6カ月の実務実習というのがあります。そういった機会、あるいは薬学部は今、地域入学枠というのも設けていますので、実習の中でそういったものも組み込んで、へき地医療の重要性とかやりがいを薬剤師にも見せるような機会をつくってもらえたらいいと思います。


○梶井座長 ありがとうございました。

 畠山構成員、どうぞ。


○畠山構成員 せっかく来たので、一言意見を言わなければいけないと思って。

 先ほどからへき地になかなか定住しないという御意見がございましたけれども、お医者さんが地域医療というか、大都市でないところで若いときに患者さんと温かい接し方をするというのは、そのお医者さんの長いお医者さん人生において物すごく大事なことだと思うのですね。

 うちの地域の病院にも若い研修医さんたちがいらっしゃるのですが、私たちはボランティアで月に1回ランチを提供しているのです。先ほどのようにお医者さんたちはすごく大変な勤務をされている中で、きちんと食事をとられていない方もいらっしゃるので、若い人たち、私たちの子供のような医師たちにランチを提供して食べてもらうということをやっているのですが、それだけでもそのお医者さんたちは、患者さんに対するあれもそうですけれども、地域に対しての温かみとか、そういうのを物すごく感じていらっしゃると思うのです。

 研修期間が終わって、そこに定住しないかもしれないのですけれども、地域の住民に温かくしてもらったということは、その人のお医者さん人生の長い間にきっと何かすごくいいものをもたらしてくれるのではないかと思うのです。そういう意味で、へき地、うちなどの場合は幾つかありますが、そういうところでお医者さんが若いときに研修するというのは物すごく大事なことではないか。そういうことを考えています。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。とても医学教育の根源にかかわる部分ではないかというふうに思います。

 そのほかいかがでしょう。白石構成員、どうぞ。


○白石構成員 先ほどの6番のチーム医療のところにもつながるのですけれども、地域包括とかこれからの日本のことを考えたときに、学生教育の中で、薬剤ももちろんそうだし、医者もそうだし、看護も。先ほど高村委員が言われたように、へき地に来てもらったらいいけれども、教える体制はどうなのだとか、教えるレベルはどうなのだというところは確かに問題がある。一つは、教育というところに対してのインセンティブが余りにもなさすぎるのではないかなと。

 名目上はへき地拠点病院のところに教育の何とかと書いてありますが、実際それですごいお金が入ってくるとか、人が余分に加配されるとかいうことがないので、そういう担保があれば、へき地の拠点病院というのは次の世代を育てるのに必死ですから、あらゆる職種の教育カリキュラムの中に、県によって状況が違うと思いますけれども、へき地拠点病院的なところでしばらく学生実習をする。そこで住民さんとの触れ合いみたいなところも入れると、医療者になってよかったなというようなプログラムがつくれていくのではないかなと思いました。


○梶井座長 実は医学教育の中で学生たちを地域に送り出しますね。そこは教育環境をつくっていっているのですね。ですから、それは医学生のための教育環境だけではなくて、当然研修医の受け入れということも考えていますし、そのときには医師対医師だけではないのです。多職種の人に教えていただくのです。ですから、自然とその病院全体あるいは診療所全体の教育環境がそこには備わってきているということで、それを一つ一つ確認すればよいのだと思います。

 ただ、背中を見て育てましょう、育ってくださいという時代ではないと思います。教育と言うからには、標準化があって、皆さんに同じようなものを学んでいただいて、そしてそこには当然評価があります。そういうことをきちっと明記して、今、全国に広げる必要があると思いますけれども、もうかなりできつつあるのだと思います。ですから、それをより推進するような形に持っていくということも大事かなというふうに思います。

 済みません、ちょっと私見を述べてしまいました。

 前田構成員、どうぞ。


○前田構成員 先ほどから教育はいろいろ出てきておりますが、地域医療教育、へき地医療教育をやっていくためには、大学として3つ大きなものが必要です。一つは大学内の担当部署です。これを安定的な担当部署にしていく必要があると思います。寄附講座が担当しているというと不安定ですので、そこに優秀な教員をリクルートすることがなかなか難しい。ですから、安定的な担当部署を確保する必要がある。

 それと、予算です。これはいろんな競争的資金をとって運営しておりますが、年度が限られていますので、これも非常に不安定です。地域医療教育、へき地医療教育を安定してやれるように予算措置が必要だということです。

 もう一つは学外の指導者です。学外の指導者、チーム医療の指導者が大学にとっては宝です。ですから、学外の指導者が一緒に教育をやれるような雰囲気づくりをしていくということが必要です。

 その中で1つ提案があるのですが、今、保健、医療、福祉、介護、いろんな職種が出ましたが、地域に志向があるといいますか、地域をよく考えるのに社会福祉士などの職種があります。医師としてはどうしても医療モデルのほうに頭が行ってしまいます。しかし、社会福祉士は生活モデルで考えていくので、医学部、歯学部、薬学部など、医療系の学部と社会福祉系の大学、学部、この辺が一緒になって教育をしていくような枠組みが重要です。地域包括ケアシステムを進めるのであれば、今後そういった取り組みが必要な時代が来るというふうに思っております。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。

 澤田構成員、どうぞ。


○澤田構成員 一般的に教育というのは平等性や公平性が求められるわけですが、医学部の場合、地域枠、奨学金受給学生と一般枠という2つの異なる制度が存在します。本来は2つの制度は公平、平等であるべきなのでしょうが、私は、地域枠、奨学金受給者に対してはあえて「特別なアプローチ」が必要ではないかと思います。大学によってはそれを敬遠する大学もあるかも知れません。でも、先ほども述べましたが、県や地域医療支援センターによる本人への個別のアプローチによって、本人が一体どういうことを考えているのか、どんな希望があるのかをきちんと膝を交えてディスカッションして、コミュニケーションをとらないといけません。また、へき地医療実習など県や大学の企画する行事への参加を義務づけるなど一定のアプローチが必要であり、決して彼らを放置していてはだめだと思うのです。

 都道府県の立場であれば、お金だけ出して、後は全てを大学にお任せするというスタンスではだめだと思います。また、先ほど前田先生が言いました学外の指導者、もしくは地域の第一線で白石先生のように頑張っておられる先生方と直接コミュニケーションをとっていただく、話を聴く、そういった場をどう準備できるかも大切なので、そういった特別なアプローチやフォローアップの必要性ということも、あえて追加させていただきたいと思います。


○梶井座長 高村構成員、どうぞ。


○高村構成員 看護師不足についてですけれど、潜在看護師の掘り起こしをしておりまして、復職支援事業等も行っておりますが、なかなか効果が得られませんで、看護師不足は慢性的に続いております。在宅においては本当に不足状況で、これから高齢化社会を迎えるにあたって、看護師を在宅に充足することは大きな課題となっております。

 平成26年度から始まりました新たな財政支援制度、基金の事業としまして、今までは卒業時に病院就職があたり前の状況でしたが、今後は新卒者を在宅で採用する取り組みが始まると思います。県によりましては、在宅で実際に新卒者を採用しているところもあります。まだまだ数件で少ないですが、これからは、教育プログラムが整備されることによって、新卒者の採用が可能になり、人員確保に繋がると期待しています。


○梶井座長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 いろいろな御意見を賜りました。

 それでは、論点整理として挙げられているものの最後、8番目です。「へき地医療に対する国民(住民)の理解の必要性」。

 「主なご意見」を読ませていただきます。

 へき地では日常的にそれぞれの専門の医療を提供することは困難だが、定期的に巡回診療を実施したり、へき地診療所とへき地医療拠点病院との連携を図ることなどにより医療を受けられる体制にあるということを住民に理解してもらう必要があるのではないか」。

 2番目です。「適正受診をするなど、住民が地域全体でへき地医療を支え、地域医療を崩壊させないということを理解することが必要ではないか」。

 以上です。

 御意見をお願いいたします。金丸構成員。


○金丸構成員 まさにここがもう一つ大きな鍵かなと日ごろ感じているところなのですね。先ほど畠山構成員も言われたのですが、これはそもそも長い歴史の中でずっとへき地に暮らして、医療というのは非常に厳しい現実があり、今も厳しいし、これからも厳しさを増していくかもしれないということがあって、そこに暮らす方々は、そもそもすごく遠慮深く、我慢強く、そしてこのことに対する理解も、ある一定のレベル以上の理解をしていただく部分は相当あるのかなと。ただ、その子供たちが外に行き、孫たちになってくると、地元で暮らしている方と、都会に行った子供たち、孫たちのそこら辺の捉え方との差がこれからは少し気になってくる部分があるのですが、現実においては相当我慢強く、そして相当理解して、応援していただいている背景があるのかなと思います。

 そういう意味で考えると、遠慮深く受診しない、救急でも我慢してしまう。こちらのほうがむしろ心配なところがあって、そこを一生懸命啓発していくことも大事だということと、予防ということを通してこのことを一緒に考えて取り組んでいくといいのかなと。

 教育との接点が一番ここにあると思います。先ほど言われたあらゆる職種、医師に限らず、薬剤師、歯科医師、学生が地域に来て住民に触れる、そして温かい住民の気持ちに触れていくのですね。そこですごくすり込まれていく。これはすごく大事なポイントだと思います。

 そういう意味で、ここを深めていく整理を。もちろん、現実に多くのところで住民の方は立ち上がっていただいていますので、そういうところがさらに全国的に広がっていくこと。実際認識されているのはあるとは思うのですが、それを改めて表に出していただくようなことでいかれると、すごく鍵となるのが1点。

 もう一つポイントは、先ほど来白石先生が言われている救急なのです。奥に行けば行くほど、いざというときどうするのだと。救急車もない。夜になるととんでもない姿。ここが一番。昼間は日常の生活習慣において対応していただく。だから、これを面として支えていただいて、最低限困らないような仕組みをとっていただくことで理解ができる。夜とか、あるいは休み・休日、いざという救急のときにどうなるのだと。ここがもう一つ鍵になるような気がします。先ほど来白石先生も言っていますが、そこら辺の住民の理解が得られるような方向性で救急の仕組みを。

 つまり、隣も遠い、動く力も、隣を応援する、運転する力もなくなったしまった。老老介護、あるいは認知症同士の介護。特にへき地において暮らしの姿がさまざまに変わってきていることを考えると、住民の理解がそういったところで仕組まれることによってさらに増し、そして予防から、そして応援からという教育にいい形でまとまっていくところにもつながるかもしれないというのが、現場を見て感じているところなのですが、いかがでしょうか。


○梶井座長 そういう意味では、実際にすばらしい住民活動をなさっています畠山構成員に御意見を賜りたいと思います。


○畠山構成員 すばらしいかどうかわからないのですけれども、うちの地域も適正受診というのができなくて。何でかというと、一般住民は病院の中がわからないではないですか。お医者さんというのは、すごくお給料が高くて、何でもできると思っているわけなのですね。だけど、普通の人間で、私たちが活動していたときに36時間勤務というのが普通にあって、私たちがいろんな講座をやってもなかなか人が来ないので、寸劇にして、お医者さんの一日の勤務というのを表にして、36時間がどれだけ大変かというのを具体的に言って歩いたのです。そしたら、新聞とかいろんなもので36時間勤務というのはわかっていても、具体的に朝行って、一晩泊まって、また次の日に診療するのだということを目で見て、ああ、そうだよね。夜勤をやったら朝に帰るけれども、お医者さんたちは朝に帰らないで、また診療するのだねということで、少しずつわかってきて、少しはよくなってきたのではないかな。

 住民も自分が自分がという気持ちがあるので、私たちも大変だけれども、お医者さんだって大変だ、同じ住民なのだということで、だんだんしゃべっていったら、うちの地域はだんだんよくなってきました。でも、これからも続けなければいけないと思っています。
 そんなすばらしくない。


○梶井座長 いえいえ。何かの機会がありましたら、ぜひその寸劇をごらんになっていただければ、これはすごい説得力があるのですね。畠山さんは、そういう意味では大変な名優です。今の話は医療関係者から住民へ言ってもなかなか伝わらないのですね。住民から住民へ伝えるというのがすっと入っていくような気がいたします。そういう意味で、その先には当然住民を含めた協働という輪も広がっていきましょうし、それがまた地域力の向上にもつながっていってというふうに思います。

 畠山構成員がお住まいのところの病院は医師が半減したのですね。ですけれども、救急車はどんどんふえていって、それでも疲弊しないで医師はやっておられる。いろんな活力を見ていますと、住民の方々の御理解とか御支援があって、ここでやっていこうというお気持ちになっておられるから、今の医師は頑張っておられるのではないかなというふうに拝見しております。

 では、松岡構成員、どうぞ。


○松岡構成員 へき地医療もそうなのですけれども、これから超高齢化社会になっていって、パラダイムシフト、医療供給体制もシフトしていけば、否応なく総合診療専門医がその中心になっていくようなところが出てくるのですね。なので、総合診療専門医とは一体どういうものかということを周知する動き方も必要になってくるのではないかなと思うのです。


○梶井座長 まさにそのとおりだと思います。

 前田構成員、どうぞ。


○前田構成員 先ほどから教育の話が出ているのですが、ぜひ国民の方々に理解していただきたいことがあります。学生のうちからリアルな地域医療を体験して、臨床に強い医師を育てるためには、やはり臨床実習の充実、診療参加型の臨床実習というのがどうしても必要で、避けて通れないのです。このためには国民の方、住民の方々に教育に参加していただくというふうな視点がどうしても必要になってきます。

 最近は、臨床実習でも学生が同席するのを拒否されるようなことが結構頻繁に起きておりますので、ぜひ医学教育を理解していただいて、ともに臨床医を育てていただきたいと思います。将来的に直接の受益者は国民になるわけですから、医療関係者だけではなくて、国民もぜひ教育に参加していただきたいということをお願いしたいと思います。


○梶井座長 まさに地域医療教育は一丸となって、住民の方々も入って教育に携わっていただければというふうに私も思います。

 ということで、きょうは3時間用意していただきました。本当に皆さんからいっぱい御意見をいただいて進化させることができました。

 今日の御意見をあえて取りまとめませんでした。事務局のほうで今日の御意見を踏まえて論点整理をさらに行っていただいて、次回、もう一度検討会が開かれるようですので、その報告書案を御提示いただければというふうに思う次第です。

 最後に「その他」とございますけれども、事務局から何かございますでしょうか。


○西嶋救急・周産期医療等対策室長 今日はありがとうございました。

 特に事務局からございませんが、先ほどの議論の中でご説明させていただきましたように、専門医制度のことについての御議論と、先ほど座長からも御指示がございましたが、本日の先生方の御意見も入れて、報告書案を事務局のほうで御提示させていただきますので、次回はそれをもとに、検討会としての報告書案について御議論いただければ幸いでございます。

 以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。

 今日はそういうことで意見をどんどん出し合っていただきましたので、今度報告書として取りまとめていただいたものを見せていただいて、またそれで御意見を伺うということになろうかと思います。

 時間もちょうど3時間となりました。今日は本当に長時間にわたりありがとうございました。これで終わらせていただきたいと思います。


(了)

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