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2015年2月12日 第1回生涯現役社会の実現に向けた雇用・就労環境の整備に関する検討会

○日時

平成27年2月12日(木)


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室


○議題

高年齢者の雇用・就業の現状と「生涯現役社会」の実現を図るための課題

○議事

○雇用開発企画課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第 1 回生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会を開催いたします。本日は御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。座長が選出されるまで事務局のほうで進行をさせていただきます。私は職業安定局雇用開発部雇用企画課長の北條でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。本日は第 1 回目の会合となりますので、議事に先立ちまして参集者の方々を 50 音順に紹介させていただきます。東京大学高齢社会総合研究機構特任教授の秋山先生。中央大学経済学部教授の阿部先生。本日は御欠席ですが、京都大学大学院人間・環境学研究科教授の小畑先生。公益財団法人日本生産性本部参事の北浦先生。法政大学経済学部教授の酒井先生。慶應義塾長の清家先生。本日は御欠席ですが、敬愛大学経済学部教授の高木先生。慶應義塾大学経済学部教授の山田先生。以上の方々です。次に、事務局側を紹介申し上げます。厚生労働省職業安定局長の生田です。職業安定局雇用開発部長の広畑です。職業安定局雇用開発部高齢者雇用対策課長の福士です。雇用開発企画課長補佐の立石です。高齢者雇用対策課長補佐の渡部です。以上です。それでは、ここで検討会の開催に当たりまして、局長の生田から御挨拶を申し上げます。

○職業安定局長 皆さん、おはようございます。本日は委員の皆様、大変お忙しい中、当検討会に御参集をいただきまして、本当にありがとうございます。最近の日本経済は穏やかな回復基調が続いておりまして、雇用・失業状勢につきましても着実に改善が進んできております。今後人口減少が見込まれる中で、日本が経済成長を続けていくためには、女性や高年齢者の方が働きやすく、意欲と能力のある若者が将来に希望を持って働ける環境を作っていくことが必要です。また、長寿化の進展を踏まえますと、持続的な経済成長だけではなく、高年齢者の方々が豊かな生活を送っていただくためにも、就業の観点からの検討を行っていくことが重要です。このために、法的整備に向けて動いている女性、若者の活躍促進と並びまして、いかに高年齢者の方の活躍促進に取り組むかが、雇用対策の重要課題であると重く認識しております。団塊の世代が 65 歳に到達し、また 65 歳以降も働き続けたいと希望する方が増えている中、 65 歳以上で働きたいけれども働けない方の数が 200 万人以上にも上るという調査結果もあります。このような高年齢者の方の希望を踏まえ、生涯現役社会の実現を一層推進していくためには、企業における 65 歳までの継続雇用を基本としつつ、 65 歳以降の活躍の場として高年齢者の多様な就労の場を確保する、それを支援する取組みや、中年期以降の自発的なキャリア選択を可能にするような支援の仕組みなどの検討が重要であると考えております。本検討会におきましては、このような観点から今後必要となる制度、施策の方向性につきまして、専門的見地から様々な見識を承りたいと考えています。本日は本当に恐縮ではありますけれども、国会関係の用務によりまして私が途中退席をせざるを得ない状況になっています。しかしながら、どうか委員の皆様には忌憚のない御意見や、活発な御議論を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

○雇用開発企画課長 ありがとうございました。プレスの撮影はここまでになりますので、カメラのほうは御退室をお願いします。それでは、皆様のお手元にある資料を確認させていただきます。まず議事次第がありまして、その次に資料 1 として本検討会の開催要綱があると思います。次に資料 2 として議事の公開について、次に 3-1 3-2 として高年齢者雇用・就業の現状と課題と題し、議論の参考となる基礎資料を付けております。さらに、資料 3-3 として 2 年前に今回の検討会と似たような名称でしたが、生涯現役社会の実現に向けた検討を行った検討会がありましたので、その検討会の報告書の概要を付けております。資料 4 として本研究会の論点の案を示しています。欠落等、ございませんでしょうか。ないようでしたら、資料 1 の本検討会の開催要綱について説明したいと思います。

 資料 1 です。本検討会の開催の趣旨・目的です。日本の人口は既に減少傾向に入っており、また、人口の高齢化もますます進展してきております。このような中で、 65 歳以上の高齢者の方のうち、働きたいと希望する方も増えてきております。実際に 65 歳以上の就業者数も増えてきているという状況にあります。このような人口減少社会、高齢化社会の中で成長を維持していくためには、人材こそが我が国の最大の資源であるという認識に立って、年齢に関わりなく働く意欲のある高齢者が、能力や経験をいかして将来現役で活躍し続けられる社会環境を整えていくことが必要です。このような生涯現役社会の実現を一層推進するためには、企業における 65 歳までの高年齢者の継続雇用を基本としつつも、その上に 65 歳以降についても企業雇用だけでない多様な雇用就業形態によって高年齢者が働ける場を確保していくことが重要であると考えられます。この点については、これまでもシルバー人材センターを中心に取り組んできましたけれども、これをはじめとして地域においてどのように雇用就業機会を確保していくのかについて、なお一層取り組み、検討を進めていかなければいけないと考えられます。本検討会におきましては、これらのことを推進していくため、どのような制度や施策が必要となるのかという点について参集者の皆様の検討をいただき、今後の方向性について有益な示唆を賜りたいと考えております。このことにより、生涯現役社会の実現に向けて 1 歩も 2 歩も前へ進んでいきたいと考えております。

 本検討会における検討事項につきましては、 2 に掲げていますけれども、高年齢者の雇用・就業の現状を押さえた上で、今後生涯現役社会の実現を図るためにどういう点が課題であるのかを明らかにし、さらに、生涯現役社会の実現を図るためにどのような制度や施策が必要となるのかということで、その方向性について検討をいただきたいと考えています。検討のスケジュールとしては、本日を皮切りとして 5 6 回程度想定しています。 5 月を目途に検討の内容を報告書の形でまとめていきたいと考えています。検討会の運営につきましては通常の検討会、研究会と同様ではありますが、まず本検討会の性格は、職業安定局長が学識経験者の皆様に御参集いただいて開催するという形式のものであります。また、座長は参集者の互選により選出し、必要に応じて座長が座長代理を指名することができることとしております。座長は必要と認める場合には関係者の参加を求めることができるとしておりますけれども、これは参集者以外の方からヒアリングをすることを想定したものです。また、検討会は原則として公開としています。また、検討会の運営に必要な事項は安定局長が定めることとしています。参集者は先ほど紹介したとおりですけれども、別紙に一覧表を示しています。

 続きまして、この要綱に従いまして座長の選出に入りたいと思います。要綱におきましては、座長は参集者の互選により選出することとしていますけれども、本日御欠席の参集者もいらっしゃることから、事務局で参集者の皆様に予めお伺いを立てましたところ、清家先生に就任いただくことで皆様の了解をいただいておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。また、要綱では座長が座長代理を指名することができるとされていますけれども、清家先生から事前に阿部先生にお願いしたいという指名をいただいており、また、阿部先生からも御了解をいただいておりますので報告申し上げます。

 それでは、ここから清家先生に議事、進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○清家座長 はい、分かりました。それでは皆様方、どうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、議事の公開について申し合わせをしておきたいと思いますので、事務局から説明をお願いします。

○雇用開発企画課長 それでは、資料 2 に沿って説明を申し上げます。本検討会は原則公開としますけれども、次の1〜4に該当するため、座長が非公開が妥当であると判断した場合に限って非公開とすることができるとしております。1は、個人情報保護の必要がある場合です。2は、特定の個人などに関する専門的事項を審議するため、公開すると外部圧力などのために率直な意見交換ができなくなる場合です。3は、公開することで国民の誤解、憶測、混乱を招くような恐れがある場合です。4は、公開することで特定のものに不当な利益または不利益を与える恐れがある場合です。これらは厚生労働省の審議会等会合の公開に関する指針がありまして、これに準拠した一般的な基準となっております。以上です。

○清家座長 ありがとうございました。議事の公開につきましては、ただいま事務局から資料 2 に基づいて説明があったような形で取決めをしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 引き続きまして、早速ですが本日の議事の内容に入りたいと思います。議題の高年齢者の雇用・就業の現状と、生涯現役社会の実現を図るための課題について事務局から説明をお願いします。

○雇用開発企画課長 資料 3-1 です。この資料は議論の基礎資料となるデータ集ですが、 1 として、高年齢労働者の増加に関するものから始めたいと思います。 2 ページの棒グラフから申し上げます。このグラフはよく出てくるグラフですけれども、日本の人口の推移を示したものです。全体として人口が減少傾向にある中で、 65 歳以上人口が増加し、それが 2060 年には全体の 4 割まで達するだろうという推計が示されています。また生産年齢人口は通常 15 64 歳とされていますけれども、これも 2010 年には全人口の 63.8 %と、 3 分の 2 弱まであったところですが、 2060 年にはこれが 50.9 %と約半分にまで下がってしまうという推計も読み取れます。次の 3 ページの表は、人口ピラミッドの変化を示したグラフです。これを見ても人口の高齢化が分かるわけですが、 1 つのポイントとして、緑の点線で示した団塊の世代が、ちょうど生産年齢人口とされる年齢を卒業し、 65 歳以上人口の層へ入っていく段階にあるということがわかります。団塊の世代が 65 以上にどんどん入っていくという状況が読み取れると思います。 4 ページのグラフは、 55 歳以上の高齢者はどの区分で区切ってみても増加していることが分かりますけれども、そのうちの雇用者については絶対数で見ても、構成比でみても増加しているということです。 5 ページは働く意思と能力のある者の数である労働力人口の推移を見たもので、全体としては近年減少傾向にあるものの、黒い太い枠線の 60 歳以上層は一貫して増加しています。

6 ページは、人口に占める労働力人口の比率の推移を見たものです。高年齢者において近年上昇傾向で、平成 18 年度の高年齢者雇用確保措置の義務化を契機に、 60 歳から 64 歳層で伸びています。 2013 年には 65 歳以上層では人口の 2 割が働く人となっています。 7 ページですが、先ほどお示した労働力人口は、仕事の意思と能力があっても実際に仕事に就けない失業者の方も含んでいる数字でしたが、これはそれを除いて、実際に仕事をしている人の割合について推移を見たものです。先ほどの労働力人口の比率とほぼ同じ傾向であろうかと思います。 8 ページは就業率を国際比較したグラフです。日本は 60 64 歳の男性で比較対象国の中ではトップとなっています。 65 歳以上層でも、韓国に次ぐ高い水準となっています。 9 ページのグラフは有業者数と就業希望者のグラフです。就業希望者とは、無業者のうち収入のある仕事をしたい者の数で、いわば潜在的労働力に相当する方の部分だといえます。高年齢者と女性が働き手として期待されていると言われていますけれども、正にこれが出ていまして、緑色の線で囲んだ 65 歳以上層において、実数を計算すると 207 万人相当となっています。

10 ページの表は、 35 64 歳の男女に、 60 歳以上において収入を伴う仕事をしたいかどうかと尋ねた調査の結果です。 65 歳を超えて働きたいと回答した人が赤い枠の部分ですが、約 5 割を占めていまして、就業希望の高さが示されていると思います。 11 ページの表は 60 69 歳の高齢者に就業の理由を尋ねたものです。 60 64 歳層では生活の糧を得るためとする割合が高いわけですが、 65 69 歳層では健康にいいからとか、生き甲斐、社会参加のためとする割合が増えてきているという状況が見えます。 12 ページの表の (1) 60 64 歳で現在働いている人に対して、 65 歳以降も働きたいですかとお尋ねしたもので、働きたいとする方は、赤い枠で囲った所に相当する 3 割程度となっています。更に 65 69 歳層も同様に、 70 歳以降も働きたいかを尋ねてみますと、半数近い人が働く意向をもっていることが分かるかと思います。

13 ページからは高齢者の雇用就業の現状です。今どうなっているか現状をもう少し細かくみていきたいということです。 14 ページの表は、 65 歳以上の有業者がどういう職種に就いているのかという表です。絶対数では、男性は販売、農林漁業、生産工程といったところに集中しています。女性では農林漁業、事務で多いことが分かります。構成比では、管理職層、あるいは販売類似職業、これは職業分類上、仲介業務を行うもので、例えば不動産やクリーニングの取次ぎといった業務のことですが、それから家庭生活支援サービス、これは主に家政婦などの仕事です、それからビル管理、農林漁業といったところの割合が高いということが示されていると思います。 15 ページの表は 35 64 歳の男女のうち、 60 歳以降も収入を伴う就労をしたいという方に対して、では、どういう形態がよろしいですかと尋ねたところ、大半がパートタイムなどの社員を希望しているということです。 16 ページの表は定年・退職後の「就業形態」の希望と、実際上どういう就業形態に就いているかという現状との差を示したものです。希望の段階では正社員を希望していた人が多いと思いますけれども、現実としては 60 歳以降において、嘱託・契約社員、パート等で働いている場合が比較的多いのではないかと思います。 17 ページは有業者の「就業形態」で、年齢層別に見ています。 60 歳未満までは正社員が 5 6 割といったところで、 60 69 歳になると自営業とパートが 2 割ずつですが、 70 歳以上になると自営が 4 割と高い割合となっています。

18 ページは、 65 歳以上の有業者の「就業形態」の推移です。 65 歳以上の有業者について、どのような就業形態が増えているのかをみるわけですが、まず全体図は、昭和 62 年と平成 24 年を比較して、 65 歳以上の有業者は約 2 倍となっています。全体的に約 2 倍となる中で、自営業、家族従業者は近年減少傾向で、一番増えているのは、非正規ということがよく分かると思います。 19 ページは定年退職後の「勤務形態」の希望と状況です。希望の段階ではフルタイムが多かったのですが、 60 64 歳では、現実的に見て、 4 割がフルタイムで働いていることがわかります。ある程度希望がかなえられている状況があるのかもしれません。先ほど 16 ページの表では、正社員の割合が確か少なかったと思います。ただ、フルタイムか短時間かという区分で見ると、フルタイムが比較的多いということから、結果としては男性を中心にフルタイムで嘱託とか契約社員として働いている方が多いのではないかという推測が成り立つのではないかと思います。

20 ページは、有業者の「年間就業日数」です。年間どれだけ働いているのかを見たわけですが、黄色い所において、年齢層が高まるにつれて増えているということがみえます。要は 200 日未満のところが年齢層が高まるにつれて増えているというようにみえるかと思います。 21 ページは有業者の週間就業時間と就業の規則性について見たものです。これも黄色い所で、年齢層が高まるにつれて 30 時間未満の所の割合が増えるということと、不規則就業、あるいは季節的就業の割合が増えるということがみえます。

22 ページは勤務先の従業者規模についてみたものです。年齢層が上がるにつれて 30 人未満、一番左側ですが、企業に在籍している方の割合が増加していると。 60 64 歳層では約半数、 65 69 歳層では約 6 割が 30 人未満の企業に在籍していることが分かります。

23 ページは高齢者の生活の主な収入源についてです。年齢層が高まるにつれて本人あるいは配偶者の賃金収入から年金収入のほうへ収入源がシフトしていると。当然と言えば当然ですけれども、そういう状況が見られます。 24 ページが公的年金収入額の状況です。受給者本人について見たものですが、全体的にばらつきが大きいところが分かると思いますが、特に女性のほうが男性に比べて受給額が低い傾向があると思います。 25 ページは、年金を含む仕事以外の収入の額を男性について見たものです。 65 69 歳において、 20 25 万の層が多いことが分かります。 26 ページは、有業者について年間収入額を勤務先の従業員規模別にみたものです。右上の黄色い網掛けですが、 55 59 歳層において、 500 万以上の収入があるという人は、大企業ほど多い傾向が見られますが、 60 歳を過ぎてしまうと、企業規模によっては年間収入額の分布に大きな差はないのではないかというように見えます。

27 ページは学卒後ただちに企業に就職し、同一企業に継続雇用している労働者、ここでは「標準労働者」と呼ばれていますけれども、これについて賃金カーブをみてみたものです。全体として、近年フラット化が進んでいるということで、 1995 年、 2000 年、 2005 年ぐらいまでは 55 59 歳がピークだったわけですけれども、ピークは 2010 年に 50 54 歳のほうに、ちょっと前倒しになっているのかなという傾向も見られるかと思います。以上が高年齢者の雇用の現状を若干細かくみたものです。

 そこで、 3 番目のデータですが、高年齢者の雇用・就業について、どんな課題があるのかを考えるための基礎データです。 29 ページの図表ですが、これは 60 歳代前半層を 10 人以上雇用している企業に尋ねた調査です。 10 人以上雇用しているのですから、ある程度 60 歳代前半層の働き方についてノウハウも蓄積されているのではないかと思いますけれども、そういった企業に対して、 60 歳代前半層を雇用してよかったのかどうか、効果があったのかどうか、働きぶりの評価はどうだったのか、満足度はどうかという観点で尋ねたものです。その結果としては、生産性の向上や定着率の向上、モチベーションの向上といった項目が左側にならんでいます。それぞれの項目において、ある程度効果があったという所が大半を占めており、概ねよい評価だったのではないかと思われます。 (2)(3) で見ましても、働きぶりの評価、あるいは満足度についても、概ねよい評価であったかと思われます。 30 ページは高年齢者の雇用の場の確保をするに当たって、事業主に対してどんな課題があるのですか、とお尋ねしたものです。上のほうから高年齢社員の担当する仕事を自社内に確保するのが難しいとか、管理職社員の扱いが難しいという回答が上位にきています。一方で、下のほうですが、特に課題はないという所も 3 割弱あったということです。

31 ページは、高年齢者の活用・雇用確保の課題について、 60 歳代前半層の就業者 10 人以上の、ある程度ノウハウのある企業に尋ねたものです。本人のモチベーションの維持・向上、本人の健康といったところが課題という回答が上位にきています。 32 ページの表は、今度は 60 69 歳の高齢者本人に聞いています。 65 歳を過ぎても勤めるためにどんなことが必要ですかとお尋ねしたのですが、やはり健康・体力、仕事の専門知識・技能があること、こうしたことを上位に上げる方が多いことが分かります。 33 ページは、 65 歳以上の従業員に対する事業主の関わり方です。関わり方と事業主が高齢者の働きぶりに対して、どんな満足度を示しているか、どういう関係があるのかをちょっと突っ込んで聞いたものです。結果としては、事業主が 65 歳以上の従業員に対して、期待する役割を知らせたり、 65 歳以上の従業員の能力・適正をちゃんと把握しているという企業においては、従業員の働きぶりに対する満足度と高い相関関係があるということが示されています。ここからいろいろなことが読み取れると思いますけれども、 1 つの考え方としては、こういう従業員に対して、期待している役割を知らせるとか、能力適性をちゃんと把握するということが、従業員の高いパフォーマンスを引き出す背景となっているのではないかということが示唆されるのではないかと思われます。

34 ページは、事業主に対して、 65 歳以降の雇用の取組をするのに当たって、どんな必要な支援があるのかと、必要な支援は何かとお尋ねしたものです。人件費等の経費助成を欲しいというところが過半数を占めています。それから個人の健康管理への支援というものが 4 割ぐらいであるということで、ここら辺が上位を占めています。

35 ページは、 65 歳以降の働き方の具体的なイメージです。資料出所は、高齢・障害・求職者雇用支援機構において、 70 歳まで働ける企業推進プロジェクトというものを平成 19 年当時開催し、そこの中でいろいろな議論がある中で提言をされたものです。それを簡潔に 1 枚紙にまとめたものです。 65 歳以上はどんな働き方がいいのかというイメージを出したわけですが、1番として、技能伝承です。優秀な技能を有する高齢者が後輩に技能を伝承していく、その技能伝承役になることが 1 つの大きな役割ということです。2が、ジョブシェアリングです。週の前半後半で分けたり、隔日で分けたり、いろいろな分け方があると思いますけれども、仕事を分けてそれで柔軟に仕事をしていく方法があるのではないかということ。3は、専門技術を活用した在宅勤務です。インターネットの社会ですから、そうしたものを活用して在宅で勤務して、成果物を出していくという方法もあるのではないかということ。4が、シニアサブマネージャーです。これは責任者の代行です。正社員の責任者が常時いないときに、その代理役としてマネージャー役を果たせるのではないかということです。5は、シニアスタッフ店舗です。店舗によっては業務量の繁閑がある店舗があるわけです。土日が忙しいとか、お昼が忙しいとかあるわけですが、そこのスタッフ不足が生じている時間帯に、短時間で高齢者にたくさん働いていただく方法があるのではないか。6は、地域の企業が共同で高齢者を受託する受皿となるような会社を設立するという方法です。7は、出身企業が OB に対して出資をして、その OB が出身企業から仕事をもらうというようなことで、独立して自営業を開く方法があるのではないかということです。8は、 NPO への支援です。 NPO を立ち上げると、経理部門とか渉外部門で専門的な経験のある人が少ないとか、 1 人雇うまでもないような業務量などのときに単発的に仕事ができるようなこともあり得るのではないか。9は、企業支援の NPO 等です。要は企業の OB が集まって NPO を設立して、そこで仕事をしていこうではないかというような取組みも可能性としてはあるのではないかなと。当時、いろいろな議論の末に、ここら辺の働き方というものを 65 歳以上は追求したらどうかという提言があったということで御紹介いたしました。これが資料 3-1 の基礎編です。

 続いて資料 3-2 です。高年齢者雇用・就業の現状と課題の2の所の 4 です。これは企業の雇用で、主に継続雇用制度が設けられているわけですが、その概要をお示ししたものが 2 ページです。高年齢者雇用安定法という法律がありまして、この中で幾つかルールが定められています。その柱となるものが、 8 条の 60 歳以上定年、 9 条の 65 歳までの雇用確保措置です。雇用確保措置とは、定年の引き上げや継続雇用制度、定年制の廃止という方法のいずれかの措置をいうわけですが、 24 年の法改正により、 65 歳までの雇用確保措置が原則として希望者全員を対象とするという改正がなされたものです。これが今の高齢者雇用制度の一番根幹になるようなルールです。

3 ページは、この雇用確保措置の進展状況をグラフでお示したものです。一番右側の平成 26 年を見ると分かると思いますが、確保措置を実施している企業全体としては 98.1 %、そのうち全員が 65 歳まで働けるというところまで到達しているものが 71 %、更にそのうち 70 歳まで働ける企業もありまして、 19 %という数字が出ています。 4 ページは、高年齢者雇用確保措置の内訳です。圧倒的に継続雇用、いわゆる再雇用制度とか嘱託、勤務延長制度とか定年以外のところで継続的に雇用していく制度ですけれども、これの導入を図るという所が 80 %以上を占めています。 5 ページの、この希望者全員が 65 歳以上まで働ける企業の状況をもう少し細かく見ますと、企業規模別では、 31 人〜 300 人の比較的小さい所の企業のほうが割合が高いと、それぞれどの企業規模でも割合が伸びていることが分かります。 6 ページは定年到達者の動向です。こうした継続雇用制度が設けられる中で、その制度の対象となって継続雇用をされる人の割合が 81.4 %ですが、継続雇用を希望しないということで定年で辞めてしまう方も 18.3 %いるということです。では、なぜ定年で辞めてしまうのかが 7 ページに出ています。不満だったのだと思いますけれども、これが原因で継続雇用をしなかったという理由が羅列されています。その中で男性は、賃金問題が大きかったという方が比較的多かったということがわかります。それから下の段になりますが、ほかの会社に転職したかったという方も多かった。女性はむしろ、健康上の理由とか趣味やボランティアをしたかったという方が多かったことが分かるかと思います。 8 ページは、継続雇用者の雇用形態を企業に調査したものです。複数回答で、その企業の中でどんな形態があるのかを聞いています。多くの企業は、自社の中で、正社員以外の嘱託・契約社員等で雇用していると。同時に正社員で雇用する企業もありますけれども、非正規の者が多いことが分かります。 9 ページは、継続雇用後に給与がどのように変化したかを、企業側と労働者側と両方から聞いてみたものです。企業規模別では、右から 2 列目の 50 %以上半減してしまったという大企業が多いと思います。男女別では、男性が比較的減少幅が高い層にシフトしているのではないかということが分かると思います。

10 ページの、今度は継続雇用後の勤務日数・時間の変化について見たものです。一番左側の列ですが、日数・時間も定年前から変わらないという形を取っている企業が 9 割で、複数回答ですが、これが一番多かったということです。 11 ページは継続雇用後の仕事の内容・責任・労働時間がどのように変化したかを尋ねてみたものです。一番左側ですが、仕事も責任も労働時間も変わらないという方が過半数を占めています。 12 ページは、継続雇用後の仕事に取り組む気持ちが変化したかを御本人に聞いたものです。 60 64 歳の方について、 60 歳以前の頃と比べてどうかを聞いてみたところ、変わっていません、緊張感をもって仕事をしている方が、男性で 55 %、女性では 8 割を占めています。 65 69 歳層になると、男性ではちょっと割合は落ちており、女性でも落ちているかと思います。

13 ページは、改正高齢法に対応するため、社内組織や人事・処遇制度等を全社的に変更・新設したかを企業にお尋ねしています。改正高齢法とは先ほども若干申しましたが、平成 24 年の改正で、企業が講ずべき 65 歳までの雇用確保措置が原則として希望者全員となったという改正です。この改正に対応するために、企業全体で人事・処遇制度等を見直したかどうかという話です。一番下の、無回答あるいは特になしという企業が 65 %、今後実施を検討しているとする企業が 55 %で、それが過半数になっています。見直したという中では、賃金制度の見直しが約 1 割、今後見直すという所が 2 割で、この辺が大きな変更点になろうかと思います。 14 ページが、その改正高齢法に対応していろいろと人事・処遇制度を変えたとすると、それによってどんな影響が出ているかをお尋ねしたものです。 1 つはポジティブな影響が上に並べでありますが、ベテラン社員の残留をして現場力が強化したという所が約 4 分の 1 ぐらいで、それ以外にも幾つかのポジティブな影響について示されています。ネガティブな評価は表の下の部分に示されていますが、一番多いのは、総額人件費の増大で、これもまた 4 分の 1 ぐらいが回答をしています。 15 ページは、継続勤務、継続雇用者が 65 歳以上も勤務できる可能性があるかを尋ねたものです。継続雇用されたということで、普通は 65 歳までが多いわけですけれども、それ以降も勤務できるかについては、できる所が全体の 68.7 %と比較的高い数字だったと思います。ただ、それはどのような方を対象とするかですが、会社が個別に要請したときというのが 7 割ぐらいとなっており、全員が希望すれば勤務できるという状況にはまだまだなっていないかなと思います。

16 ページは、もう少し細かく、 70 歳以上まで働ける企業の割合を、ほぼ悉皆調査でみたものです。 31 人以上規模企業では、 19 %が 70 歳以上まで働けると。ただこれも、基準該当者 70 歳以上という所が真ん中ほどにピンク色で示してありますが、つまり、全員が 70 歳まで勤務というわけではないものも含まれた数字ということです。 17 ページは、 65 歳より先の雇用確保措置を実施してないと、あるいは今後検討している企業について、その検討内容はどんなものかを尋ねたものです。継続雇用制度の上限年齢を引き上げるという所はむしろ少なくて、どんな方法であるかを考えなければいけないけれども、上記以外の方法で、企業の実状に応じて働くことができる何らかの仕組みを考えていきたいというところが約半数を占めています。 18 ページは、 65 歳より先の雇用確保措置を、実施も検討もしていないという企業についてお尋ねしています。その理由ですが、 65 歳までの対応で精一杯で、 65 歳から先の雇用は差し迫った課題ではないという回答が、 48.5 %で最も多かったということです。この資料の最後ですが、 65 歳より先の雇用確保措置を実施あるいは実施していないが検討といっている企業に対して、 65 歳より先の雇用確保措置を実施するとすれば、どんなことが必要なのか、あるいは既に実施していることがあれば教えてほしいということで、継続雇用者の処遇改定が 30.7 %と、多いことが分かります。以上が基礎資料の説明です。

 続いて資料 3-3 です。本検討会の前に平成 25 年当時にやはり生涯現役社会を目指した働き方に関する検討会がありまして、その議論の内容が報告書としてまとめられています。その中の提言の部分について、ごく簡単にポイントだけをお示ししたいと思います。下の枠ですが、 1 点目は高齢期の就労・社会参加に向けた意識改革が重要だということです。高齢者が退職後に活躍の場を見出すためには、企業で働いていた頃の意識要素を持ち込むのは駄目だということで、地域の支え手となる観点から、意識改革をしていかなければいけないという点がポイントです。そのために生涯を通じたキャリア構築を促す取組みとか、柏市で産官学連携により、こういった取組みが進められていますので、これに学ばなければいけないのではないかということが言及されていました。 2 点目はシルバー人材センター社会福祉協議会、地域包括支援センター NPO などの連携を強化し、情報を共有する体制、これを「プラットフォーム」と呼んでいますけれども、これを作って、地域の仕事のニーズを開拓し、意欲のある高齢者とマッチングをしていくことが必要なのではないかということが言及されていました。 3 点目はシルバー人材センターの機能強化、活性化です。 4 点目は高齢者の専門知識や技術を活用できる企業を掘り起こして、高齢者とマッチングをすることが重要だという点。 5 点目は企業に対して、高齢者を活用するための人事管理手法に関する情報提供をもっと強化すべきではないかという点。このようなポイントかと思います。

 最後に資料 4 になります。これは本検討会の論点の素案です。 1 つとして、論点1です。企業における高齢年者雇用の促進ということで、生涯現役社会を実現するために、企業にどのようなことが期待されるのか。そのために企業に対してどのような支援策が考えられるのかということです。本日は、まず総論の議論をお願い申し上げまして、そのあと後半において、この論点1の検討をお願いできたらと考えています。論点2は中年期以降における職業生活設計のための環境整備ということで、職業生活設計・職業能力開発をどのように進めていくべきなのか、そのためにはどんな支援策が考えられるのかという論点です。論点3は中年期以降の再就職の促進です。これをどのように進めていくべきか、そのためのマッチング機能の向上をどのようにすればいいのかがポイントかと思います。この 2 点目、 3 点目については、次回の検討会のテーマになろうかと考えています。

 論点4は、高年齢者の多様な就業の場の確保です。そのために、どんな方策が考えられるのか。特にシルバー人材センターの機能強化をどうすればいいのかとか、地域において、高齢者の多様な就業の場を確保・提供するにはどうしたらいいのか、ということがテーマになろうかと思います。この4は次々回以降の検討のテーマになろうかと思います。ただし、全般的にこの論点は相互に密接に関連すると思いますので、1は1だけ、2は2だけということではなくて、それぞれの論点を中心にしつつも、他の論点にも言及していただき、幅広い検討をお願いできたらと思います。以上です。

○清家座長 ありがとうございました。今、事務局から資料 3-1 3-2 3-3 の内容を御説明いただいたところです。また資料 4 に従ってこれからの論点についても一通り御説明いただきましたので、まず、今、事務局から御説明のあった資料に対する御質問あるいは御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

○山田先生 私のほうからは 2 つ意見と、あと 1 つ資料に関する質問をさせていただきたいと思います。まず資料 3-1 3-2 、非常に詳細な基本となる資料について御説明ありがとうございました。その上で 1 つ目の意見ですが、高年齢者雇用安定法の影響というのは非常に大きいというのが、この資料を拝見していて感じるところです。例えば資料 3-1 7 ページですが、明らかに平成 18 4 月の高齢法の改正によって 60 歳代前半の就業率が高くなっている。特に御説明はありませんでしたけれども、そのちょうど 5 年後の 2011 年を見ますと、 65 69 歳層でも就業率が上がってきていますので、高年齢者雇用安定法の改正というのは非常に大きなインパクトがありますし、生涯現役社会に協力していただくという意味で、こうしたものが基本となって大枠を示すという意味では、これが基本となると思います。企業のほうも闇雲にそこまで雇用を確保しなければいけないということではなく、資料 3-2 9 ページを御覧いただくと分かりますが、お示しいただいたように企業のほうには継続雇用後の賃金率の水準についてフリーハンドがあって、賃金調整をかなり行っている。

 もう 1 つ、今日、御説明いただいた資料 3-2 5 ページに示されていますように、希望者全員が 65 歳以上まで働ける企業の状況については、多くの企業が 65 歳以上まで働けるようになっていることを見ると、どんどん健康寿命も延びているわけですから、その健康寿命の延びに応じてこうした雇用確保を進めていくような大きな枠組みが、これからは必要になるのではないかと思いました。これが 1 点目の意見になります。

2 点目ですが、高齢者の生涯現役社会の実現と言った場合に、当然、男性と女性がいるわけですけれども、資料 3-1 8 ページの御説明で日本の男性高齢者の就業率は高くなっていますが、もう 1 つ注意しなければいけないのは男女差が激しいということです。男女の就業率の差が日本は非常に大きくなっている。 OECD の報告書などにもありますように、これは当たり前のことですけれども、中年期の就業率が非常に相関が高くなっていて、以前と比べると、よく言われる M 字型の就業率の M の谷間の部分については徐々に上がってきていることはありますけれども、様々な理由で 30 代に継続就業が難しい状況がある。ですから、単に高齢者雇用のことを考えるだけでなく、高齢期の就業率で男女差が大きいことを考えれば、女性の特に 30 代における継続就業をどう進めるか。これはいろいろと言われているわけですが、とにかく育児と家庭が両立できるようにしなければいけないとか、コース別人事管理みたいなことをやめて、もっと本格的に活躍できるようにしなくてはいけない、長時間労働を規制しなければいけないなど、非常に大きな問題があるわけです。それとセットで考えていかなくてはいけなということです。これが 2 つ目の意見になります。

3 つ目は質問ですが、資料 3-2 18 ページと 19 ページです。かなり雇用確保措置ができる企業が増えてきたわけですけれども、ちょっと私が分からなかったのは、 18 ページの「 65 歳までの対応で精いっぱい」という、この「対応」というのは具体的にどんなものを意味しているのか。もちろん、質問項目としてはこれしかないので、これ以上ここを深掘りするわけにいかないと思いますが、この対応というのは一体何かということと、 19 ページの「継続雇用者の処遇改定」と言った場合の「処遇」というのは、一体何を言っているのか。これも質問項目がこうである以上、深掘りはできないですが、一体何かということが気になったところです。もし何か他の資料等で御存じのことがあれば教えていただきたいと思います。私からは以上です。

○清家座長 最後の点は資料の内容に関する御質問です。お答えできる範囲で事務局からお願いします。

○雇用開発企画課長 資料の項目はこれだけなので、これ以上の情報はないのですが、私の推測で申し上げると、この資料自体は平成 20 年の統計なのでちょっと古いと。 65 歳までの希望者全員の雇用確保措置がまだ実現していない状況の中で、これから 65 歳まで希望者全員をどうするのか企業が苦労していた状況だと思います。それを割り引いて考えなければいけないのですが、基本的には 65 歳までの賃金の問題とか、処遇、雇用形態の問題など、企業の雇用管理全体をどうやっていくのか、モラルをどうするのか、ほかの資料にも出てきましたけれどもいろいろなことをクリアしていかなければいけない。そこのところが精いっぱいで、 65 歳以上のことまではまだまだ思い至らないと、当時、そういう企業が多かったのではないかと思います。

 それから、 19 ページの継続雇用者の処遇改定ですが、これも同様だと思います。先ほど賃金の問題が比較的高いウエイトを占めているという話がありましたが、それに伴って賃金の問題と人事評価の問題をどうするのかは密接不可分ですし、雇用形態をどうするのか。健康を守るための長時間労働を削減するには、どうしたらいいのかという問題も有するかもしれません。そういった諸々のものがこの中に入っているのではないかと思います。

○山田先生 ありがとうございます。

○清家座長 ありがとうございます。ほかに御意見をどうぞ。

○秋山先生 今回、初めてですので少し枠を広げて、ここでカバーされていないことについても意見を言わせていただきたいと思います。全体のスタンスとして高齢者の雇用だけ取上げるのは無理があると思います。今までの雇用制度をそのままにして、 60 歳から後をどうするかというところだけに焦点を当てるのは、長期的に見ると近くまた見直しをしなければいけないことになると思います。人生 90 年とも 100 年とも言われていますが、その人生を一人一人が設計して生きていく時代になりましたから、キャリアは 1 つではなくて 2 つとか 3 つの人も、これからどんどん出てきますそういう状況に対応できる制度も展望に入れながら、高齢者雇用を検討していかなければいけないと思うのが 1 つです。

 もう 1 つは、定年後のことだけに絞って考えますと、セカンドライフはマラソンの後半戦と同じようで非常にばらつきが大きい。身体能力、経済力、自由になる時間においても、介護や孫の世話などいろいろあって、ばらつきが多い。だから、その人が持っている能力と時間を最大限に活用できる就労の場の提供が重要だと思います。

 私自身は、高齢者を生活者としての立場から常に研究してまいりましたので、働く側の視点がもう少し必要ではないかと感じます。特に 65 歳以上の雇用について、 1 つの働く場のオプションとして、柏市で 80 歳くらいまでは働いて食べていけるまちをつくりたいと思い、社会実験に取り組んでいます。働く側の立場に立ち、多様な人たちのニーズに対応できる就労のシステムを検討していく必要があると思います。

○清家座長 ありがとうございました。ほかに、北浦委員、どうぞ。

○北浦先生 質問と意見が混じったような形になるかもしれませんが、 2 点ほど申し上げます。 1 点目は、この検討会、あるいは課題のところから見ますと雇用だけでなく就業というのがテーマになっているわけで、結局、この就業というところをどこまで考えて守備範囲にするのか、これによって結論が違ってくるだろうと思います。資料 3-1 17 ページに就業形態の表があるのですが、これからターゲットになる 65 歳以上となると自営業種の比率が大変高い。 70 歳以上になるともっと高い。そういう方が自営業主に転化したのかというと、そうではなくて農業や林業など他の職業別、産業別がありますように、もともとそういう自営業主の方がいて、この方々はどちらかというと生涯現役型の働き方をしている。その影響というのがあると思います。それが入り混じった形で統計が出ていますので、例えば意識調査などを見てみると、いつまで働きたいというのは両方の方がお答えになる。それが雇用労働者の場合の意識と、そういう自営業主的な形の意識とどう違うのか。例えば生活事情との関係となると年金制度がそれぞれ違っています。それによる老後の生活設計の仕方も、多分、影響を与えているのだろうと思いますので、そういう雇用、就業、特に就業も従来からずっと自営業でこられた方々、あるいは途中から転化した方々が混じっていますので、何かその辺の実態を少し整理しながら考えていく。恐らく 70 歳ぐらいまでを考えたら、就業形態的には雇用だけでなく広く考えていくことが望ましいだろうと思います。その意味で、そこは区分けをして考えなければいけない。その辺の統計がもうちょっと細かく出ているといいのですが、なかなかそこまで見られないということであれば、その点を含んだ形で議論をしていったほうがいいのではないかというのが 1 点目です。

2 点目は、雇用ということを考えますと、資料 3-2 8 ページに出ている雇用形態を見ますと、継続雇用者のところで自社の正社員というのが非常に多い形になっています。定年延長をしている所はというと実際には少ない。恐らく定年延長がある程度 1 歳刻みで上がっていて、正社員となっている場合もあるのだと思いますが、現状から見ますと恐らく再雇用が基本だと思います。そうすると、ここで言う正社員の範疇に入っているのか入っていないのか。ちょっと比率が高いような気がしますので、この辺は実態をもう少し精査いただいて教えていただければ有り難い。これは質問というか今後においてということです。

 実はそのことと関連して、これは統計ではないのですが、前のページに出ていますように、 8 割の方が法改正によって 60 歳以降、 65 歳までの継続雇用に乗ったとなっています。現状において入口は確かにそうなのですが、何歳まで実際にいるのかというところはもうちょっとつかんでおいたほうがいいと思います。これは法制度上の経過措置がありますので、経過措置適用となると必ずしも 65 歳ではない。もう 1 点は、自発的に結構そこまで行かないという方もいらっしゃるのです。うちは 65 歳まで働けるけれど、 61 歳や 62 歳で辞めるというケースもある。ですから制度上は 8 割で万々歳なのですが、実態からいくと結構そこのところに動きがあります。その辺のところがなかなかこういう調査では出てきません。一応、これで 65 歳まで完成したのだというふうに制度上はできているのですが、実態からいくとまだまだ 65 歳のところでも、そういう層に対してどういう手立てをしていくのか、きめ細かく見ていく必要があるのではないかと思います。 2 番目は意見ということです。以上です。

○清家座長 ありがとうございます。統計に関する御質問もございましたが、いかがでしょう。

○雇用開発企画課長 何点か御質問があったのですが、自営業者の話は私も関心があって、自営業者というのは今まで正に生涯現役を地で行くような働き方をしている方が多かったわけです。そこのところがだんだん落ちている、少なくなっているというのは、生涯現役社会をつくる上ではどうなのかなという問題意識は確かにあるのです。ところが、それを 65 歳になってから起業させて自営業者を育てていくというのはなかなか難しい。銀行もお金を貸してくれないとかいう問題もあるので、それをやるのであれば、もっと若い層からその対策をやらなければいけないのかなと思います。そこの層について問題意識を一方で持っていかなければいけないというのは、おっしゃるとおりのことかと思います。

 意識調査について、正に自営業者の意識の話と雇用者の意識の話が混ざっているかもしれないと。年金をちゃんともらっている人と、もらえない人の意識も違うだろうと。そこのところは区別してしなければいけないということについては、統計があるかどうか見てみますので、もしあれば次回にお示ししたいと思います。

 雇用継続については、形上は、企業ベースではその制度が進んできているけれども、個人で見たときにその制度の恩恵を受けて 65 歳までいける人が全員なのか、そうでもないだろうと。途中でいろいろな理由で辞めてしまう方がいるとすると、その人たちはどういう実態になっているのか、これについても大きな問題意識があると思います。これも統計があるかどうか調べて、あれば次回にお示ししたいと思います。

○清家座長 ありがとうございました。酒井委員、どうぞ。

○酒井先生 私のほうから 1 点、感想めいたことになってしまいますけれども、先ほど山田先生から、高齢者の就業率に関しては男女差が大きいという話がありましたけれども、資料などを見てみると、就業する理由、しない理由といったものにも男女差が大きいのかなというふうに感じています。具体的に例えば資料 3-2 7 ページに、継続雇用を希望しなかった理由として、男性では賃金を挙げる人が多いのに対し、女性では健康上の理由、趣味やボランティアをしたかったという理由を挙げる方が多いという説明がありました。この資料で私が注目したのは、健康上の理由等もそうですが、女性に関しては家族などの介護のためという理由で 18.8 %、約 2 割近くがこれを理由に継続雇用を希望しなかったと答えているところです。

 今、マスコミ等で介護離職というような言葉が話題になっていますけれども、家族の介護の事情というのは 30 代、 40 代に生じるというよりは、 50 代、 60 代が多いということが統計などでも示されています。そうしますと、企業へ何かを求めていくという際に従来的な処遇ということだけではなく、こういうような介護と仕事を両立させるために、どうしたらいいかというところの施策が重要になってくる。特に女性に関してはこういう施策が重要になってくるという印象を持っています。

 女性のほうの就業を高めることが重要と私が考えるのは、例えば海外の研究などですと、男性の高齢者の就業というのは奥さんのほうの就業に依存するという研究結果もあるからです。すなわち奥さんが働いていると旦那さんも働く傾向がある。そういう意味でも女性のほうへの対応が重要になってくるかなと、この資料を見ながら思いました。それが私の意見です。

○清家座長 ありがとうございました。阿部委員、何かございますか。

○阿部座長代理 今、この段階でお話しようかどうか迷うところですが、 2 つあります。まず 1 つは論点1に関わるので後からお話しようと思います。もう 1 つのほうですが、先ほども山田さんから、資料 3-2 9 ページで賃金の調整が企業はかなりうまくできているような御発言があって、大企業ほど賃金のグラフ幅が大きいという御説明がありました。これを見ますと、 10 %、 20 %未満までのところでいくと総計で 15.3 %で、それ以外の人たちは大きく下がっていくわけですが、なぜ下がるのか少し興味があります。

 それは、清家先生を前にしてお話するのはあれですが、ラジアー型の制度的な要因によって下がっていくのかどうかという点です。ラジアー型の場合、生産性は一定だとしても、若いときには安い賃金をもらい、高齢者で高くもらっている。それでも、再雇用の段階になると賃金は大きく下がってしまうけれども、その場合には生産性が変わっていないわけです。ところが、もう一方、ラジアー型の賃金体系でなければ、完全に生産性が下がるから賃金が下がっていくのだと。どっちが大きな影響をもたらしているのだろうかというのは、少し検討していく必要があるのかなという感じはします。ただ、簡単に分析ができるかというと、なかなかこのハードルは高いので難しいのですが、例えば今後、もし企業でヒアリング等ができたら、何で賃金が下がるのか聞いてみたらどうかなと思っています。というのは、論点3の再就職の促進と関わりがあるのではないかと思っているのですが、中高齢期の再就職がうまくいかない理由は、賃金が低くなってしまうことが 1 つあると思います。なぜ賃金が下がるのかというのがある程度明らかになっていけば、もしかしたらマッチング機能が少しでも向上する余地があるのではないかと思っています。もし今後、そういう企業のヒアリング等ができましたら、高齢期のところで賃金が下がるのはなぜなのか、直接問うてみたいなと思っているところです。

○清家座長 ありがとうございました。今までのところで資料 3-1 3-2 3-3 に関する御質問、御意見を伺ってまいりましたが、引き続き、今度は論点全体について資料 4 にある論点1から4について、あるいはこの論点の背景であるとか、さらに論点に付加すべきものといったことも含めて少し論点全体、ということは、この検討会の視野と言いますか、討議すべき全体像についてまず幅広く御意見を伺い、その後、最後の時間で論点1に焦点を絞って議論したいと思います。まず論点全体あるいはこの検討会の視座と言いますか、スコープについて、もう既に先ほど秋山委員からもそのような御指摘を頂いておりますけれども、皆様ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。あるいは論点1、2、3、4、先ほど課長のほうから提案していただきましたけれども、何かこれ以外にもこういう点があるのではないかとか、あるいはこの視点の背景はどんなことなのかといったことでも構いません。

○阿部座長代理 直接、この検討会で検討すべき事項かどうかというのは、ちょっとよく分からないのですが、雇用、就業されている、あるいは事業でもいいわけですけれども、働いている有業者の健康状態というのは、一体、どうなんだろうというのがちょっと気になります。というのは、雇用や就業の場で健康状態そのものが問われる。つまり健康の状態が多様というか、病気に罹りやすい人とそうでない人、体力的に衰えている人とそうでない人を、労務管理しなければならないという大変さもあるわけですが、もう一方で、就業する、有業であること自体が高齢者の健康増進に影響しているとすれば、この雇用や就業というのは、全体で見れば社会的にはポジティブな影響を与えている可能性が高いわけです。そういう意味でも就業環境の整備に関する検討会ということではありますが、有業者の健康状態が一体どういう状態なのか見ておくことは、もしかしたら大事なことではないかと思いました。それは秋山先生が先ほどお話になった、生活者の立場としての雇用者、有業者という観点からも大事ではないかと思った次第です。

○秋山先生 これはおそらく、事務局のほうが正確なデータをお持ちだと思いますが、高齢者の就業率と高齢者の医療費の間には、県別で見ると緩やかな関係があって、高齢者の就業率が高い県は高齢者の医療費が低いという厚労省の報告があります。因果関係は分かりません。したがって、私どもの柏市における高齢者就労プロジェクトでは、因果関係をデータでおさえたいと思い、就労前、就労後 6 か月、 12 か月、 18 か月と追って、身体機能と認知機能と人の社会関係を測定しているところです。まだデータ収集中ですが、ポジティブな結果が出てきています。

○清家座長 健康の問題、全ての観点から考えていますね。

○秋山先生 それは非常に大切だと思います。

○清家座長 ほかに何かございますか。よろしいですか。私のほうから 2 点だけ、この全体に関わることで、そういう視点にも留意してはどうだろうということがございます。 1 つは、この検討の対象となるタイムスパンというか、どのぐらいのスパンで考えるか。あるいはどのあたりの時期を主に考えるか。もちろん、これはそこに限るわけではありませんが、私は、この 2015 年から 2025 年までの 10 年間というのは非常にクリティカルな 10 年だと思っています。 2025 年というのは、制度的に厚生年金の男性の支給開始年齢が最終的に 65 歳になるということもありますが、人口ピラミッドの図にもありますように、実はこの 10 年間というのは団塊の世代が 65 歳から 75 歳の間を通過する時代にあたっています。ちょうど今、 65 歳以上の人口 26 %のうちのほぼ半分が 65 74 歳層で、残りの半分が 75 歳以上層です。これが 2025 年になると全て団塊の世代が 75 歳以上層になりますので、この比率が、確か 2 3 ぐらいにまで 75 歳以上層が増えていきます。今、議論になった健康改善の効果がどう出るかですが、少なくとも今までの経験値から言うと、 75 歳を超えると急速に医療需要、要介護需要が増えてきますので、そういう面で言うと、これからの 10 年間は 65 74 歳の人が、いかに 75 歳以上の人を支えることができるかというモデルを作る一番大切な機会だと考えています。団塊の世代の人などに頑張ってもらって、 65 歳以上の高齢者一括りではなく、その中の比較的若いところの 65 74 歳層がどう社会を支えるかということを、モデルとして作っていく意味で大切な時期ではないかと思います。タイムスパンとしては特にここ 10 年ぐらいの間、しかも年齢層 65 74 歳ぐらいのところをかなり意識した議論というか、報告書になってくるのかなと思っています。

 ちなみにこれに関連して付言すると、御案内のとおり、今、 65 歳の人の平均余命は男性が 19 年ぐらい、女性は 24 年ぐらいですから、そうしますと 65 歳になった人は男女とも、ざくっとした数字で言えば 20 年間、平均余命があるわけです。進学率が高まっていたりして、現役が 20 代の前半から 60 代の半ばまでという話ですと、現役期間 2 に対して引退期間 1 といった比率になりますから、これではちょっと経済社会はもたないことは明らかなので、そういう意味でも、 65 歳以上のところに現役期間をどう延ばしていくかということがポイントになります。いずれにしても、この 10 年間は非常に大切だということと、その中で 65 74 歳層が極めて大切だということを指摘しておきたいと思います。

 もう 1 つは、雇用の流動化と多様化ということですけれども、流動化というのは、当然、プラスとマイナスの両面があるわけです。流動化のプラス面は、既に能力のある人が、その能力を最もいかすことができる職場であるとか働き方で働くことができる。そのことによって本人も幸せになるし社会全体の生産性も上がる。一方で雇用の流動化することの最大の問題は、特に若い人、あるいはまだ能力が身に付いていない人にとっては、雇用が流動化すると人的資本投資が行われません。流動化した雇用の場では企業は人に投資しませんし、自分自身も将来の仕事がはっきり分からないような中では、なかなか人的資本投資ができないので、これは若い人にとってはとてもよくないわけです。

 そういうふうに考えると、実は今、雇用流動化をしましょうというような議論が出てきているのですが、それが一番問題なく当てはまるのはこの高齢層だと思います。高齢層というのは既に能力を身に付けている人たちで、その人たちが、もしかすると今の職場では十分な能力が発揮できないとすると別の職場に移って行く。あるいは今の働き方では十分に能力が発揮できないとすると、もうちょっと多様な働き方で働いていく。

 また少し余談になるかもしれませんが、派遣労働などのポジティブな面は、能力が既にある人が派遣労働によって、その能力を最も適切に発揮できる所で働くところにあるわけですか、つまり流動化、多様化というのはプラス面とマイナス面があるのですが、そのプラスの面が一番効きやすいのは高齢層のところで、逆に言うと、若いところがあまり多様化したり流動化したりするとよくない。そういうことを考えると社会全体で雇用の流動化、多様化を進めるという場合には、ここの部分で主に進めて、逆に言うと若いところはあまり多様化、流動化しないようにしていくことが望ましいかもしれないと思います。そういう面で特に 65 74 歳層での雇用の多様化、流動化のポジティブな側面が、どのように実現されていくかも、もう 1 つのポイントではないかと思っています。

 そうしましたら、今日は時間も押していますので具体的な論点に入っていったほうがよろしいかと思います。論点1、企業における高年齢者の雇用の促進ということで、生涯現役社会を実現するために、企業にどのようなことが期待されるかということと、生涯現役社会の実現に取り組む企業に対して、どのような支援策が考えられるかという、2つのかなり具体的な問題意識が書き込まれています。必ずしもこれにとらわれずに前広に御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。山田委員、どうぞ。

○山田先生 先ほど申し上げた意見の繰り返しになりますが、今清家座長から検討の対象を 2025 年にするということで、時間的にはあと 10 年ということでかなり短いわけですね。

先ほど、阿部座長代理からも御指摘がありましたように、要するに賃金のプロファイルが再雇用後にかなり落ち込むわけですが、全体で見れば賃金カーブはフラット化していると。非常に長い時間をかけて、実は緩やかにフラット化しているというのは、やはり企業内部で賃金体系をいじるのがいかに難しいかを示していると思いますし、またそれには時間をかなりかけなくてはいけない。そういうことを考えますと、やはり何らかの形で 65 歳以上、もちろん健康などそれぞれ、ばらつきは大きくなるとは思うのですが、 65 歳以上の雇用確保もなるべく早く視野に入れなくてはいけないと。視野に入れなくてはいけないというのは幾つか理由がありますが、まず賃金体系若しくは雇用管理の調整に非常に時間がかかる。しかも、雇用確保措置を取る年齢の引き上げについては、 10 年ということを考えれば、それこそ生まれ月に応じて自動的に調整していくような仕組みがないと、 5 年に一遍徐々に上げていくのではとても追い付かないということも考えていかなくてはいけないということですね。

 それから 3 つ目は、少しずれるかもしれませんが、健康のばらつきはやはり会社にいる時間は非常に長くて、そこの部分の生活習慣病の管理も重要で、それがうまくいっていないと、高齢期にかなりばらつきが出てくるという話があります。これは、この検討会のスコープではないかもしれませんが、当然そういった長時間労働による弊害は明らかに労災認定にも入っていますから、その辺りのコントロールも当然長く働き続けるには必要になってくるでしょう。あとは、酒井先生から御指摘がありましたが、これもこの検討会のスコープではないかもしれませんが、介護離職の問題はこれからは避けては通れませんから、そこの部分をどうするかも直近の課題としては何らかの回答を出していかなくてはいけないと考えております。

○清家座長 ほかにいかがでしょうか。

○北浦先生 論点1に関して、 2 つだけ申し上げたいと思います。 1 つは、この雇用の促進ですが、先ほど清家座長もおっしゃったように、雇用継続だけ、雇用延長だけで考えるのか、他の企業あるいは他の仕事へ移っていく枠組で考えていくのか、その両面をにらんでいくわけですが。今までの制度的には前者を大体中心に法制度的に管理してきたわけで、今回もし議論して更に先を見ていくのであれば、そのあとの部分はかなり今回重点になるのかなという気はいたします。そのことは、不安定な雇用をつくるという意味ではなく、あくまでもそういう選択肢として整備をするという観点から考えていく必要があるというのが 1 点だと思います。

2 点目は、では雇用を継続させていく、あるいはまた再就職で受け入れるに当たり、企業の立場で考えたときに、高齢者のメリットがいろいろと強調されます。能力があります。しかしながら、現実的にいろいろな面で進まない、あるいは先ほどありましたような賃金の格付けがあまり高くできない。これは、いろいろな事情もありますが、そういう中の 1 つとして、やはり高齢者の持っている、言葉はあまりよろしくないのですが、リスクといいますか、高齢者を雇用することのリスクや問題点なども隘路になっているようなところをもっと掘り下げて検討すべきかと思います。先ほどの健康の問題などは大きなリスクで、せっかく働いていただいてもすぐ休まれてしまうという問題もありますし、途中で辞めてしまうといったことで、短期的にしか取り扱うことができないのだという企業の方もいらっしゃるわけで、そういったようなリスク面あるいは健康ということになりますと、これは健康保険の費用の問題にも跳ね返ってまいりますし、いろいろな意味でそういうリスク的なものを考えていく必要があると思います。特に、建設や製造の現場ですと、安全衛生の問題では大体労災の被災率は 50 歳代以上から高くなっていて、 60 歳以上はかなり被災率が高くなっております。そういう安全衛生的な問題もあると思いますので、そういった面を含めて、それにきちんと対応できるような形で企業に前向きの態度を取ってもらうという政策が大事かなと思っております。

○清家座長  1 点すみません。私も舌足らずだったかもしれませんが、継続雇用はやはり 65 歳までは大切だと思うのですね。ですから、 65 歳までは継続雇用あるいは定年の延長をしっかりやっていただく。むしろ、先ほど申し上げた多様化、流動化が重要になってくるのは、正に今大きな議論になる 65 74 歳ぐらいかなという理解です。

○阿部座長代理 私は、論点1の下の、どのような支援策が考えられるかということに関連してなのですが、多分高齢者の雇用の促進というのは、一面では高齢者の雇用、就業率が上がるですとか、有業率が上がるというポジティブな側面もあるのですが、もう一方で、もしかしたらほかの世代にネガティブな影響を与えている可能性があるかもしれないという問題はあるだろうと思いますね。例えば、若年者の就業が進まなかったのかどうか、あるいは若年層や中年層で賃金調整が行われたかどうか。耳にするところによりますと、例えば企業によっては若い人たちの賃金を下げるということも実際行われたということで、雇用促進が必ずしもポジティブだけではなくて、ネガティブな影響を与える側面はあります。そのネガティブな側面をつぶしていかないと、高齢者雇用が促進されたとしても、社会全体でいい状況になったのかは、また違う話になってしまいます。ですので、実際高齢法の再雇用制度を導入した企業で雇用は全体の中でどうなったのか。例えば、資料 3-2 の中には、総額人件費が上がりましたというような会社が 26 %、 4 分の 1 ぐらいはあったと思います。それにどのように対応してきたのかをよく考えていかないと、どういう支援策があるのかは見えてきません。例えば、高齢者に対する助成を直接行うことが、結果的にほかの世代にマイナスの影響を与えてもいけませんので、それをトータルで企業の雇用促進、全体としての雇用促進にどうつながっていくかを少し幅広に考えていく必要はあるのではないかと思います。

○秋山先生  65 歳までは企業で働けるシステムを作ることを前提にして意見を述べさせていただきます。当然のことですが、雇用する側にとっても、働く側にとっても、メリットがあるようなシステムを作っていかないと、恐らく長続きはしないだろうと思います。これからの雇用状況は全員が働かなければなりません。男性も女性も高齢者も、その中にはいろいろな人がいます。今までのように、均質な労働力ではありません。高校や大学を出た主として男性が働き、家で主婦が全面サポートしてくれる、そういう人たちが働くという前提ではなく、子どもを育てながら夫婦で働く、高齢者も働く。少し体の弱い人もいれば、時間がない人もいると。そういう労働力に見合った形で雇用の側の制度を整えていく必要があります。したがって、仕事の洗い直しをして、組み替えていく。多様な人たちみんなが働けるような仕事の出し方。例えば、毎日 1 時間半かけて通勤はできないけれども、うちで働けると助かる人は大勢います。大企業の少なくとも 20 %ぐらいの仕事は在宅でできるのではないかと思います。また、テクノロジーによって力の必要な作業のかなりの部分は補完できるでしょう。ロボット技術などを活用して多様な人たちが安全で生産性を落とさないで働けるような職場環境を整える。すでに企業でかなり取り組んでいらっしゃいますが、さらに推進する必要があると思います。私が知っている例では、自然光に近い照明をどこの企業も追求していますが、はっきり見える照明を開発する。自然光とは違いますが、はっきり見えることは、高齢者の多い職場では非常に重要です。目が少し霞んできたときに、段差や字が見えやすい。安全で生産性が落ちない職場環境をつくっていく更なる努力が必要かと思います。

○酒井先生 論点1は、企業に対してどのような支援策が考えられるかということなのですが、これも先ほどからいろいろ話が出ているかと思いますが、企業ということで想定するのが大企業なのか、中小企業なのかということで変わってくるのかなという気もします。その前提として、そもそも現在中小企業で働く高齢者が多いというような資料を、先ほどからお見せいただいていますが、その現状をどのように捉えるかが重要になってくるかと感じています。

 例えば中小企業で働く高齢者が多いというのは、単になかなか新卒採用で若い人を採れないから、その結果として中小企業で働く高齢者が多いと考えるのか、それとも中高年を積極的に採用しているということの顕れとして捉えるのかで、どういう支援策を考えるのかも変わってくるのかなという気がしております。

 もう 1 点は、これも先ほどから何度も出ているかと思うのですが、高齢期の就業を考えるに当たっては、やはりその前の中年期以降の就業というものが重要になってくるかと思います。いろいろな資料を総合的に判断しますと、やはり先ほどもお示しいただきましたが、例えば専門職などですと、高齢期、特に 65 歳以降も働いているというような結果が見られます。では、そのような資料から考えるところ、専門職になれば職業人としての寿命が延びるのかということですが、中年期から始めて専門職になるというのはなかなか難しいのではないか。そうすると、何が重要になってくるかというと、もっと中年期より前の段階、さらにいえば若いとき、新卒時からどのようなキャリアを歩むかということを、企業全体として考えていくことが重要になってくるのではないかということです。こう言ってしまうと、やや取り留めもなくなってしまうのですが、企業で最初から、スタート地点からのキャリアという意味で考えていくことが重要なのではないかと感じます。

○清家座長 ここまで、論点1あるいは論点全体について、少し委員の皆様方の御意見を伺ってきましたが、ここまでのところで何か事務局からお答えになることはありますでしょうか。

○雇用開発企画課長 特にありません。

○清家座長 それでは、引き続きもう少し論点1について伺っていきたいと思います。この論点1、今、酒井委員がお話になりましたように、あるいはほかの方々のお話にもありますが、企業におけると言ったときに、その企業のタイプといいますか、企業の規模や業種によって、いろいろ違いが出てくるかと思います。一方で、政策的対応は、政策はよく規模別の対応等はありますが、個別、業種別の対応といったようなことは、行政手法的にはなかなか難しい部分もあるかと思います。その辺りもどう考えるかということは、 1 つの論点かもしれませんね。

 それからもう 1 つは、今政府において地方創生ということが言われておりますが、地方の企業といいますか、私の知っている限りでも、比較的生涯現役で、しかもいわゆるグローバルニッチトップというのでしょうか、そういう比較的競争力のある企業は、地方に多いように思います。逆に言うと、地方でグローバルニッチトップで頑張っている企業は、案外生涯現役の仕組みになっている所が多いような気がいたします。そういった地方の企業のあり方に学ぶという視点も、企業のあり方を考える際には大切にはなっているかなと思います。

 それでは、論点1についていろいろなポイントを頂きましたので、事務局におかれましても、今日頂いたポイントを整理していただき、また必要なデータなども準備していただければと思います。今日は部長も御出席ですが広畑部長から何かコメントはございますか。

○雇用開発部長 今、座長からも整理していただきましたので、まず一番考えやすい企業での雇用継続ということで、論点の一番最初にもってまいりましたが、その辺りについて今日は多角的な御意見を頂きましたので、事務局でも整理いたします。また、場合によってはヒアリングなども活用しながら整理をしていければと思っております。

○清家座長 何か委員の先生方、この際少し言い残した点はよろしいですか。

○阿部座長代理 今、清家先生が地方創生との関係でお話になったと思いますが、地方でよく若者がいないと言っていますよね。もしそうだとしたら、企業はどういう人材を採るのだろうと。地域労働市場でいえば、若者がいなければ中高年、高齢者となっていくわけですよね。だとしたら、若者の比率や若年者の比率と高齢者の雇用の比率というのは、どういう関係になるのかを少しデータを集めていただいて、それが今後若者が減っていく社会に日本全体がなったときに、自動的に高齢者雇用が進むのか、進まないのかを評価する材料になるのではないかと思います。もし、若者がいなくて企業がもう高齢者を活用するとなっていけば、特段何か高齢者雇用の促進を旗を振ってやる必要はあると思うのですが、雇用させるための助成金などはいらないかもしれません。ですから、その辺りも少しデータが次回以降出てくれば、参考になるのではないかと思いました。

○清家座長 おっしゃるとおりで、やはり行政手法として様々な財政的な支援を行うことも 1 つのインセンティブですが、同時により重要なのは本当の意味で役に立つ情報の提供、あるいはいろいろなロールモデルを示していくのは非常に重要かと思いますので、よろしくお願いいたします。

○北浦先生 簡単に一言だけ申し上げます。生涯現役企業の事例集がお手元に配られており、少し私も関与しています。そういうところを見てみますと、非常に高齢者の方の比率が高く、そのまま生涯現役に向かっていく企業が結構現状としては多いような気がいたします。そういった意味で、かつていわゆる高齢者の比率の多い産業と若者の多い産業とに分かれてしまって問題だという議論がありました。先ほどの阿部先生のお話と裏腹になりますが、やはりそういったところはよく見て分析をすることが大事なのかなということです。同時に、やはり高齢者の方だけで固まられては困るわけで、やはり若い方もいて、次につないでいく姿にならないといけません。現実に、こういう事例集などでは、長く頑張っている先輩の姿があるので、現役の若い社員も頑張れるのだというような事例にもなっておりますので、そういったようなところも見ていかない。とするときに、断絶をつくるような形で高齢者だけが生涯現役になって、そのあと企業が続かないということになっては困りますので、そういったようなところも含みながらやっていく必要があるのかと思います。具体の施策ということではありませんが、今の事例を見ますと、大体若い世代のこともやはりつないでいくということがかなり強調されているように思います。技能継承というものがありましたが、そういうところを中心にしていくのも 1 つの施策の方向としてあるかなと思います。

○清家座長 先ほど阿部委員も言われたように、世代間のウィンウィンの関係をつくることが大切で、それは企業内においても技能の継承であるとか、そういう形で必要ですし、社会全体にとっても例えば高齢の方がもっと育児サービスを担う、あるいは介護サービスを担うことによって、若い世代の女性の就労の環境がよくなっていく、あるいは中高年の人が介護離職などをあまりしなくてもいいようになってくるというような意味で、社会全体としてもうまくベテランの方の能力が活用されることが、より若い世代の働き方等にプラスの影響を与えてくることがあると思います。

 そういう面でいいますと、先ほど冒頭に山田先生が言われたような、例えば女性の高齢者の就労率が低いのをもっと何とかする。もちろん、女性だから家事サービスや介護サービスというのではありませんが、多分ずっと後のほうの論点になってくると思いますが、シルバー人材センターの会員などは圧倒的に男性が多くて、女性が少ないですから、これからシルバーでそういった生活支援サービスへの派遣なども考えていくとすれば、やはり女性の高齢者の就労を高めることで全世代的なウィンウィンの関係を促進するというような視点もあるかなと思っております。

○秋山先生 地域で高齢者のための仕事をつくったり、あっせんをしたりしますと、若い人の仕事を取るのではということは頻繁に言われます。その点については、日本に限らず国際的な研究結果から高齢者が働くことは若い世代にも恩恵があるということが一応合意形成できていると思うのですが、繰り返し疑問視されます。働くことによって生産者となり、納税者や消費者にもなることにより、経済の活性化に貢献します。

○清家座長 そうですね。それを各論の前提として少しいろいろなところで。

○秋山先生 これはこういう場で議論することではないと思いますが、前提として抑えていく必要があるのではないかと思います。

○清家座長 それでは、そろそろ時間がまいりましたので、この辺りで議論は閉じさせていただきたいと思います。次回以降の日程などについて、事務局からお願いいたします。

○雇用開発企画課長 次回は、 3 16 ( ) 10 時〜 12 時での開催を予定しております。議題としては、論点2の中年期以降における職業生活設計のための環境整備。論点3の中年期以降の再就職の促進を中心に御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○清家座長 どうもありがとうございました。

 


(了)

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