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2015年1月30日 第9回医療法人の事業展開等に関する検討会 議事録

医政局医療経営支援課

○日時

平成27年1月30日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

田中座長 (慶應義塾大学名誉教授)
猪熊委員 (読売新聞東京本社社会保障部部長)
今村委員 (公益社団法人日本医師会常任理事)
大道委員 (一般社団法人日本病院会副会長)
梶川委員 (日本公認会計士協会副会長)
川原委員 (株式会社川原経営総合センター代表取締役社長)
鶴田委員 (全国衛生部長会会長(静岡県理事))
西澤委員 (公益社団法人全日本病院協会会長)
長谷川委員 (東邦大学医学部教授)
日野委員 (一般社団法人日本医療法人協会会長)
松井委員 (立教大学法学部教授)
松原委員 (明治安田生活福祉研究所主席研究員)
長瀬参考人(山崎委員代理) (公益社団法人日本精神科病院協会副会長)
浦野委員 (全国社会福祉法人経営者協議会総務委員長)
太田委員 (公益社団法人全国老人福祉施設協議会総務・組織委員長)
瀬古口委員 (公益社団法人日本歯科医師会常務理事)

○議事

○田中座長 おはようございます。定刻になりましたので、第9回医療法人の事業展開等に関する検討会を開催いたします。足元の悪い中お集まりいただきましてありがとうございました。

 議事に入る前に、委員の出欠状況や事務局より資料の確認等をお願いします。

○事務局 まず、本日の出席状況ですが、橋本委員につきましては欠席との御報告を頂いています。山崎委員につきましては、御都合がつかなかったため、代理での御出席となっています。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。本日の資料は、議事次第に加え、資料1「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度の見直しについて()」、資料2「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設について(概要)」、資料3「地域医療連携推進法人(仮称)内における病床の再編の医療計画上の取扱いについて」、資料4「医療法人の透明性の確保及びガバナンスの強化について」、資料5「医療法人の分割における適格分割について」、11月、第8回の資料です。資料6「平成27年度税制改正大綱」、資料7「社会医療法人の認定取消時の一括課税の見直しについて」、参考資料として、「医療法人の事業展開等に関する検討会開催要綱」、「委員名簿」となっております。資料の不備等がありましたら、事務局までお伝えいただければと思います。

○田中座長 ありがとうございました。早速最初の議題に入ります。まず、資料1「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設について」です。皆様方の前回までの議論を踏まえて、新たに資料を作成していただきました。その資料の説明を事務局からお願いします。

○事務局 それでは、資料1「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度の見直しについて()」を御覧ください。前回検討会が11月の末で、そこから約2か月ほど時間があった関係で、政府部内、内閣法制局などとやり取りをしまして、この制度に関する検討も並行してやらせていただきました。その内容を詰めた形となっています。

 1は、地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設について、従来から御議論を頂いていますが、最初のブロックで、非営利新型法人と一般名称で呼ばせていただいたものにつきましては、地域医療構想を達成するためのひとつの選択肢という趣旨でございまして、複数の医療法人が統一的な方針を決定して、横の連携を強化する。グループの一体的経営によりヒト・モノ・カネを有効に活用するというものです。

1.新型法人の法人格の関係です。法人格の考え方は、今申し上げた内閣法制局との間でいろいろと議論、検討をさせていただいた関係です。1ポツ目は、地域における医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するため、という所はこれまでの議論とは変わっていませんが、都道府県知事は、一般社団法人のうち、一定の基準に適合するものと認めるものを新型法人として認定するという形です。

 これまで事務局で考えていたのは、医療法人の一類型という発想でしたが、病院の取扱いが必須でないというのが議論の大勢でしたので、そこを条件として医療法人というのは法人格としては馴染まないのではないか。一般的な非営利型ということで一般社団法人をベースとした上で、一定の基準の中で、医療法人と同様の規制なりメリットを加えるということで、この検討会や、厚労省が考えていることは実現できるのではないかというサジェスチョンを頂きまして、このような形。基準を適合して都道府県知事が認定するというスキームの中であれば、これまでの議論と齟齬がないような、そして法制的にも問題ない形ではないかということで、この一般社団法人をベースにして、認定する知事の認定というスキームを考えているところでございます。

2ポツのところで、それに関連しまして、今回の議論の中で、この検討会でもありましたが、社団型、財団型については、法人を社員とするという考え方、社団型というのは、内閣法制局としては、自然な流れで、法制的にも支障がないという形ではないのか。財団型については、そう簡単に考えつくスキームではないということで、財団型につきましては、社団型をひとまず前提としてスタートして、状況を見ながら検討をするということが2ポツです。

 次の名称の考え方ですが、これも前回の座長からの御指摘、ほかのいろいろな方からの御指摘がありまして、どうするかということを部内、内閣法制局とも相談をして、サジェスチョンを頂きながら検討しています。この目的が地域医療の連携の推進だという趣旨ですので、若干長いですが、今、申し上げた趣旨をそのまま名称という形で、地域医療連携推進法人という形で考えてはいかがかということで、仮称という形ですが、これを前提として、用意をさせていただいています。

2.からですが、事業地域範囲の考え方については、従前から特段変更がありませんので、地域医療構想区域を基本として、新型法人が定めて、知事が認可するというものです。

3.新型法人の参加法人の範囲につきましては、1ポツで、病院、診療所、老健施設を開設する、複数の医療法人その他の非営利法人を参加法人とすることを必須という形にしています。

 「それに加え」という所がこれまで議論のあったところでございますが、地域包括ケアの推進のために、介護事業をどうするのかというのが、前回もいろいろと御議論がありましたが、地域包括ケアという概念は、今申し上げた地域包括ケアの推進のためという趣旨で考えていきますと、医療と介護と両方という形も十分に考えられるということで、ただ、一方でこれまで議論してきた前提が医療ですので、医療中心で1ポツの最後が必須という形で、医療が必ずと。2ポツの最後の文末が「できる」ということで、介護事業、地域包括ケアの推進に資する事業というのは、オプションとして、参加することもできるという形で考えてはどうかなということです。

3ポツの所で、これまでも言ってきましたが、そもそもの非営利新型法人ですが、営利法人を参加法人・社員とすることは認めないということを改めて記載させていただいています。

 その4ポツですが、他地域で、広範囲でやられている法人については、多様な非営利法人が参加できるようなことで、当該地域の病院に限った形で参加することも考えられるということです。

 その5ポツで、これまでの議論でもありましたが、現在の社会福祉法人制度改革も並行して検討されている中で、社会福祉法人の参加の在り方について、整合性を図る必要があるということです。

4.新型法人の業務内容です。(1)統一的な事業実施方針の決定ということで、1ポツは前回と同じですが、医療関係の話ですが、統一的な事業実施方針を決定するというのが基本的な業務ということです。

2ポツの話は医療が中心で、医療機関相互間の機能の分化、業務の連携に関する事項は必須とするという趣旨です。「また」という所が、参加法人の範囲と連動している話です。先ほど申し上げた地域包括ケアの推進に資する事業に関する事項を記載するということも可能であるという話です。

3ページ目の2つ目のブロックの「なお」から始めている段落は新しい事項です。この資料を離れていただき、資料3を御覧ください。地域医療連携推進法人(仮称)内における病床の再編の医療計画上の取扱いについてです。この地域医療連携推進法人が病院の機能分担、業務連携をやっていく中では、病床の再編が有効となる場合も考えられるということです。一方で現行、医療計画上の基準病床数という制度がありまして、その中においては、病床過剰地域において、個々の病院の増床等がなされた場合には、知事の勧告の対象となるというものです。

 具体的にはその下の※ですが、数字だけを御覧いただければと思いますが、200病床、200病床の所が35050と分ける場合、A病院が200から350に増えておりますので、ここは勧告の対象となるという趣旨です。

 ただ一方で、最後の段落ですが、都道府県においては、同じ法人内でしたら、病床の再編が病床過剰地域でも同一法人内であったら勧告を行わないといったこともやっています。これらを総合的に考えますと、今回の地域医療連携推進法人の趣旨に鑑みますと、下線部ですが、地域医療連携推進法人の参加法人に係る病床の再編の場合においては、病床過剰地域でも、地域医療構想区域を基本とした地域における病院等の間での病床の融通を認める基準病床数の特例を設けることを検討するとしてはどうかというものです。

 資料13ページ(2)にお戻りください。その他の業務ということで、幾つか書いています。1ポツ、参加法人の共通業務、管理業務です。1ポツは従前どおりで、研修を含めたキャリアパス、医薬品、医療機器の共同購入ができます。2ポツの所で、資金貸付等、貸付、債務保証及び出資につきましては、返還義務があるという制度で、税制上問題が発生するわけではないので認めるけれども、租税回避の手段となるような贈与につきましては認めないとしてはどうかということで、これまで御議論のあった中、事務局として考えている案です。

2つ目の○です。関連事業を行う株式会社・一般社団法人等への出資ということです。関連事業を行う株式会社の出資についてもいろいろと御議論がありましたが、新型法人の出資の達成に必要な範囲内にある関連事業、こういった株式会社につきましては、新型法人側が意思決定を主導するという観点から、例えば株式保有割合を100%にすると、一定割合以上とするということを条件に出資できるとしてはどうかと。

2ポツですが、一般社団法人への出資については、基金ということであれば、返還義務がありますので、認めてはどうか。いずれにしてもこういう出資の状況については毎年度知事に報告するということで、こういった形で、これまで御議論があったところをまとめてはどうかと考えています。

4ページです。一番上の○です。新型法人自身による病院等の経営です。こちらも従前から御議論があった点です。この点につきまして、いろいろ考え方はありますが、一定程度新型法人の統一的な方針の決定等の業務、中心的な業務に支障のない範囲内として、知事が認可した場合に限っては、認めてはどうか。病院等の経営を禁止するというのは法制的にも厳しいのではないかと考えています。

2つ目の○が、新型法人に対する支出です。従来どおりですが、事務局人件費などにつきましては、会費等で賄う形。一方で共同研修、共同購入につきましては、個別に委託として支出するということを考えています。

5.新型法人のガバナンスの仕組みです。1つ目の○は議決権の取扱いです。これもかなり御議論のあったところでございますが、議決権につきまして、原則は社員は各1個の議決権を有するということは同じですが、今回の新型法人が参加するという趣旨に鑑みれば、定款で別段の定めをすることができるということでもいいのではないか。ただ、この場合においても新型法人の目的に照らし、不当な差別的な取扱いをしないこと、あるいは提供した金銭、その他の財産の価額に応じて、異なる取扱いを行わないことなどを要件としてはどうかというものです。

 次の○です。参加法人の統括方法等です。こちらについても従前どおりですが、予算なりの重要事項について、関与の仕方として、意見の聴取などという一定の関与の場合と、承認というところまでの強い関与の場合のどちらかがあり、選択できるというものです。

 その対象として、予算、借入金、事業計画、こういったものを考えています。各新型法人ごとにそれを追加できるというものです。

5ページです。一番上のポツは、前回と変わっていませんが、一般の医療法人社団における社員につきまして、法人も社員になることが可能であるということを明確するというものです。これは従来からの話ですが、営利法人はその場合には、当然社員になれないということは変わりありません。

1つ目の○、参加法人の加入・脱退です。今回の制度は、加入も脱退もそれぞれ任意という形でございますし、その手続はそれぞれ定款や内部規則で定めることを可能とするということです。脱退の場合につきましては、貸付金の清算ということを条件とするということも考えられます。ただ、定款等で定めた場合におきましても、やむを得ない理由がある場合には脱退可能とするということです。

 その次の○、新型法人の理事長要件についてです。こちらにつきましても御議論があったところですが、今回の新型法人というのが、複数の医療法人等を統括するという新しい法人の代表であるということですので、その業務はかなり重要だということに鑑みまして、全て都道府県知事の認可を得るということとしてはどうかと考えています。

 次の○です。地域医療連携推進協議会(仮称)の開催等です。これも名称、法人名称と合わせたような形で、変更させていただいていますが、地域関係者がこの協議会を開催しまして、新型法人へ法人運営に反映するために、意見が具申できるということで、それに併せまして、新型法人はその意見を尊重するというものです。

 その次のポツですが、地域医療に関して、設定した目標を基に、この協議会がきちんと目的が達成されているかどうかを評価するということです。併せて、地域関係者の意見を反映するという観点で、3ポツ目、新型法人においては、地域関係者を理事に任命するというものです。

6ページ目です。6.新型法人の非営利性の確保等というところです。1つ目のポツですが、余剰金の配当禁止・残余財産の帰属先の制限につきましては、従前どおりで限定するという趣旨です。

3ポツ目ですが、冒頭に申し上げた営利法人は参加法人にしないということと連動するような話で、役職員についても、役員、社員には営利法人の役職員を就任させないという趣旨です。

 次の○ですが、都道府県医療審議会からの意見聴取ということで、これも従前どおりですが、医療計画等の関連計画の整合性を確保するということに加え、都道府県医療審議会にこういった知事の認可のときには、意見を聴かなければならないという形です。

7.新型法人の透明性の確保です。ここは従前と同じです。1ポツ目は、ロゴマークを表示しなければならない。2ポツ目は、外部監査実施、ホームページでの公告を義務付ける。3ポツ目は、委員の方々にも御意見を頂きましたが、連結財務諸表についてで、統一的な運営を確かに資するというメリットがあります。一方で、会計基準が異なっている、多様な法人が参加するということですので、この点は技術的な課題を引き続き整理しながら検討していく必要があるということです。

 資料17ページ以降は、別途説明をしたいと思います。それ以外の関連ですが、資料2がその概要です。今申し上げた内容が横紙、1ページ目の中心的な部分が入っています。資料2は、今申し上げたような話を仕組みという形で図示させていただいたものです。左上のブロックは地域医療連携推進法人だと、太線の所はその内部です。参加法人はそこに参画していく。右側が医療審議会・知事などが、公益性、非営利性を担保するために監督をしていくというものです。

3ページ目はイメージですが、こういった法人を作った場合の効果、メリットです。左側の矢印が、対立というか、競争しているような各種医療機関たちが、右側、グループ化することにより、先ほど申し上げた病床の融通ということや、医師の再配置などもできるわけですので、より適切な医療が病床機能の分化・連携は当然できますし、住民の方々への医療サービス、地域包括ケアが進むのではないかというイメージです。

4ページ目は、今言ったメリットの中で、大きく分けて2種類あります。左側が経営効率を向上させる。今申し上げたような地域医療・地域包括ケアを推進するような内容が右側です。合わせまして、グループとしてブランド力、競争力であったり信頼感につながっていくということで、これが地域にできますと、政府として目指している地方創生という観点にもマッチしたような制度になるのではないかという趣旨のペーパーです。以上で議題1の説明を終わります。

○田中座長 ありがとうございました。前回に比べて幾つかの点で変化がありました。ただいま説明のありました資料について、皆様方から御意見や御質問を伺います。どうぞ。

○今村委員 これまで、新型法人というのは、医療法人の一類型として議論してきたかと思っていましたが、今の御説明では、一般社団法人の中から要件を満たしたものと変わっています。これまで、厚労省内のこの検討会での議論を無駄にしないためにも、設立関係、業務関係、議決権関係、役員、ガバナンス関係、非営利性の確保等々、医療法の規定を準用するように強く要望したいと思います。

 ということで、まず、一番目に、「法人格の考え方」です。新型法人は、現行の社会医療法人同様公益性の非常に高い法人であると思います。ということで、社員の構成に、医療法の第42条の2のような同族制限要件を追加することを求めたいと思います。また、参加法人とならない社員が有り得るというようにも聞こえますが、これは、地域医療推進のために参加法人が集まって新型法人を作るという、新型法人のもともとの趣旨と異なっていまして、参加法人以外の社員がイニシアティブをとって決めた事業方針に参加法人が従わなければならないという結果を生みかねない。このような結果が生じないようにしていただかなければなりません。社員となり得る非営利法人についてですが、例えば、営利法人が社員であるような、営利法人が実質的に支配する非営利法人が新型法人の社員となることも可能になるような感じもします。NPOや一般社団法人を無制限に認めることなく、社員となる法人の背後まで含めて、営利法人が間接的に社員となることを禁止すべきであります。

 次に、新型法人の参加法人の範囲です。1つ目のポツ。参加法人の範囲は、原則は地域で病院等を開設する複数の医療法人、その他の非営利法人であって、このことは、本検討会でおおむね了解されていたものと考えています。そこで、あくまで例外的な措置として、定款の定めるところにより、地域包括ケアの推進のために、介護事業その他、地域包括ケアの推進に資する事業のみを行う非営利法人を認めてよいとすべきだと考えます。

4つ目のポツ。新型法人の事業地域範囲を超えて病院等を開設している法人の参加を認める場合、本部機能から切り離して、新型法人の統一的な事業実施方針が広域展開する法人の事業方針に優先することを明記するべきだと考えます。

 新型法人の業務内容、統一的な事業実施方針の決定の3つ目のポツ。「基準病床制度の融通」ということが書いてあります。これは、知事の認可要件と考えてよろしいでしょうか。少しお聞きしたいのですが。

○田中座長 最後の点、質問に答えてください。

○事務局 まず、最後の御質問からお答えいたします。これは、当然、病床の変更を伴う場合には、医療法に基づく都道府県知事の許可が要るということですので、また、医療審議会にも当然かかるということです。

○今村委員 ありがとうございます。

○事務局 そういったことを前提に、こういう運用を認めてはどうかという趣旨でございます。

○今村委員 是非、そのようにしていただきたいと思います。ということで、地域医療連携推進協議会(仮称)となっていますが、この場の協議で、参加法人間の病床の融通は認められないという結果がもし出た場合には、知事は増床の許可をしない、あるいは、知事の勧告の対象となるということでよろしいですね、その場合。

○事務局 今の御指摘ですが、5ページの地域医療連携推進協議会の所です。この協議会の役割としては、新型法人に意見具申をするということでして、それに対して、新型法人はその意見を尊重するものという制度に私どもはしたいと考えています。そういうことが前提ですので、協議会が出した意見と矛盾するような申請が出てくるということであれば、それは法人として正当なプロセスを経て提出された申請ではないと考えられるので、そういう場合には、都道府県医療審議会の意見を聞いて不許可となる、そういう運用になると私どもは認識しています。

○今村委員 ありがとうございます。是非、そうしていただきたいと思います。次に、参加法人の共通業務や管理業務等の実施。2つ目のポツですが、貸付等については、現行の医療法人制度と同様に、原則、剰余金等の配当とみなされる行為は行ってはならないと考えます。

 次に、関連事業を行う株式会社一般社団法人等への出資です。これも、原則として、現行の医療法人制度と同様に株式会社への出資は認められないと考えますので、例外を認めるとしても、株式保有割合は100%である場合に限るべきだと思います。これらは、非営利の徹底のために非常に重要なことでありまして、抜け道を与えるような制度設計にはするべきではないと考えています。

 病院等の経営ですが、これは、新型法人は、附帯業務や収益業務を実施することは可能ということになるのでしょうか。少しお聞きします。 

○事務局 今の御質問ですが、附帯業務と収益業務は若干趣旨が異なると思いますので、私どもとしては分けて考えていきたいと思っています。と言いますのは、医療法人で認められている附帯業務の中には、例えば、保健衛生に関する事業ですとか、あるいは、看護職員の養成所を設置すると、そういう非常に医療に関係の深いものもあるわけです。そうした業務については、この法人の趣旨で考えますと、附帯業務というよりは、むしろ共同で行うことも有り得るような事業といった位置付けのものが多いのかと思っています。11つ精査をしていく必要があるかと思いますが、御指摘のあった附帯業務については、むしろ、法人の趣旨にかなうものが多かろうということですので、これは、法人の中でこれを共同でやろうということになれば認めていくという方向性ではないかと思っています。

 一方、収益業務については、これとは全く性格の違う話でして、共同事業的なもの、あるいは、介護事業等に、今おっしゃったとおり、例えば100%株式保有割合ということを前提に、そこは認めるということですが、逆に言うと、それ以外は認める必要はないのではないかということにも考えられますので、そこは、政府部内でまだまだ調整が必要ではないかと考えていますが、今村委員の御趣旨も踏まえて、私ども精一杯調整してまいりたいと考えています。

○今村委員 ありがとうございます。病院経営というのが、統一的な事業実施法人の決定等の業務に支障のない範囲内として知事が認可した場合としていますので、仮に、附帯業務、あるいは収益業務を認めるとしても、同様の要件を設けるべきだと考えます。

 次に、議決権の取扱いですが、これも非常に議論のあったところです。議決権は、一社員一票とするべきだと考えています。これは、私どもが繰り返し主張してきたところです。仮に、百歩譲って、議決権の例外を認めるということであれば、これも繰り返しになりますが、参加法人以外の社員がイニシアティブをとって決めた事業方針に、参加法人が従わなければならないという結果が生じないように強く要望いたします。

 次に、参加法人の統括方法等です。協議承認という強い関与は認められません。3つ目のポツ。一般の医療法人社団について、自然人のみならず法人も社員になることが可能であることを明確にする。この場合においても、営利法人は社員になれないものとする。このことについてですが、先ほど、社員に関連して申し上げたとおり、間接的な営利法人による医療への関与を排除する必要があります。例えば、医療法人の社員となる一般社団法人A、そのAの社員である営利法人Bというように、もとをたどると営利法人に行き着くような場合も、医療法人社団の社員となれないようにしなければなりません。そうでなければ、営利法人の間接参入に直結する仕組みとなります。また、一般法人には、社団だけではなく財団もあるということですので、この制限の手法については、現時点ではできるだけ幅広に解釈できるようにしていただいたほうがいいと考えています。

 次に、理事長要件です。これは医師要件が削除されていますが、この制度の趣旨というのは、地域医療を再構築するということです。複数の医療法人等を統括するという点に鑑みまして、医師の経営に対するチェックというのは必要条件です。医師以外の者が理事長になった場合には、理事の一定割合を医師にすることが条件だと考えています。

 次に、地域医療推進協議会(仮称)の開催等です。2つ目のポツ。これは、7番目とも関連しますが、新型法人の地域貢献についての透明性を確保するため、新型法人の設立目的が達成されているかどうかを評価するだけではなく、公表すべきです。また、その際、事業報告書も公表対象とすることを要望いたします。資料2の横書きの趣旨にも、「地域医療構想を達成するために」と書いてありますので、新型法人が地域医療構想に反する動きをしたときには、認定権者の知事は責任をもって厳しく指導監督すべきだと考えます。以上でございます。

○田中座長 個別項目に関して、御意見、あるいは要望等を言っていただきまして、ありがとうございます。どうぞ、それぞれの項目について、賛否、あるいは御質問ありましたらお願いいたします。

○浦野委員 社会福祉法人の立場から、2点申し上げたいと思います。社会福祉法人が一気に参加するというイメージではない感じとは言え、参加できる形になっています。どうしても気になるのは、社会福祉法人の資金がどう動いていくかということです。もともと、社会福祉法人は、法人外部への資金拠出を禁じているのが基本であり、そういうルールの下で経営されています。そのときに、いわゆる事務局経費的なもの、あるいは、共同購入などの分担金ということで実費であれば別に問題はないと思うのですが、新型法人が一般社団法人に出資をするとか、株式会社に出資をするときの出資原資を社会福祉法人が負担をするようなことになったら、社会福祉法人の原則に反する話になります。社会福祉法人がお金を出すことについては、厳しい制約がもともとあるのだということだけは十分に踏まえていただきたいと思っています。

 それから、2点目ですが、新型法人による統括の方法ということで、強い関与、弱い関与という二通りのことが出ています。今まで何度も申し上げていますが、今、社会福祉法人改革が検討されていて、その中で、従来、諮問機関であった評議員会を重要事項の議決機関にするという方向が示されています。その議決機関たる評議員会の意思と新型法人の意思に齟齬を来した場合、社会福祉法人としては、絶対に評議員会の意思に従って行動をすることは譲れないと思います。そのことを阻害することのないように進めていただきたいと思っています。

○田中座長 社会福祉法人の立場からの意見表明、ありがとうございました。

○太田委員 私も、社会福祉法人の立場から一言御意見を申し上げさせていただきたいと思います。4ページの5の、「新型法人のガバナンスの仕組みについて」の箇所です。浦野委員からも、今、お話がありましたが、新型法人の参加法人に対する関与の仕方として、「意見聴取・指導を行う一定の関与と協議・承認を行う強い関与、これのどちらかにするかを事項ごとに選択できる」とありますが、その対象事項には、事業計画や予算、それから重要資産の処分などかなり重要な項目が含まれています。社会福祉法人の場合は、こうした重要事項については、新型法人の強い関与を認めてしまった場合に、社会福祉法人の本来の目的や経営の自立性というのが損なわれてしまう可能性がありますので、このような事項については、事項ごとの選択とするのは参加法人のうち医療法人に限っていただく等の御配慮をいただければと思います。

 それから、(医療法人とは)法人種別が異なる社会福祉法人などの参加法人については、一定の緩やかな関与のみという整理でまとめていただければ大変有り難いと思います。また、一定の関与の仕方についても、意見聴取はいいとしても、指導するというような書き振りはやや少し書きすぎではないかと思います。いずれにしても、社会福祉法人は、福祉部会の議論を踏まえて、新型法人の強い拘束力をもって社会福祉法人を取り組むような仕組みにはならないように、御配慮のほどお願いをしたいと思います。以上でございます。

○田中座長 今後の取りまとめに向けて、それぞれのお立場の意見を言っていただく必要があります。社福について伺いました。ありがとうございます。

○長谷川委員 もう大体イメージが固まってきて、議論が進んだなという印象を私自身はもっています。これは私からの提案というか希望なのですが、地域の医療を効率的に提供するというときには、これ全文の1ページの、例えば4行目、「グループの一体的運営により、ヒト・モノ・カネを有効に活用する」とありますが、情報の活用というのが不可欠なのです。特に、いろいろな医療機関で、今、データを相互参照しようという動きがいろいろな地域レベルではなされていて、こういった情報の参照、あるいは共通の、例えばサーバーなりクラウドでもいいのですが、それを使うことが非常に重要な要素になっています。

 今、医療機関の情報というのは非常にレギュレーションが厳しくて、医療法人に対しては、例えば、委託することによってそちらのサーバーを使わせてもらうなどということは可能なのですが、この新しい法人というのは、新規、多分、法律で決まる法人ですので、そういう幾つかの医療機関の情報の委託によって、いわゆる保全業務みたいなものを行うのが柔らかい形でもし可能であれば、全体を1つの情報として扱って、各医療機関、参加の法人からの診療情報を一体運営するというような、そういうことを可能にするようなスキームを是非入れ込んでいただくと有効に動くのではないかと思います。そういう意味で、提案としては、ヒト・モノ・カネに加えて情報と。あと、3ページの「その他の業務」の参加法人の共通業務や管理業務等の実施という所に、診療情報の管理、一体的な運用ということを、是非項目として付け加えていただくことを提案させていただきます。

○田中座長 ありがとうございます。地域医療推進にとって情報は不可欠です。そのことを明記したほうがよいという御意見でした。

○瀬古口委員 先ほど今村委員のご発言とほとんど重なっていて、もう言い尽くされたかとは思いますが、1点確認です。4ページの一番上の○の所です。「新型法人の統一的な事業の実施、方針の決定等の業務に支障のない範囲内として知事が認可」となっています。ここの所については、参加法人ではないという解釈の下かということと、「統一的な事業実施計画の決定等の業務に支障がない」ということについては、当該病院等は議決権を持たないと解釈してよいのかということについて、確認だけさせていただきます。

○田中座長 質問にお答えください。

○事務局 少し最初の御質問の趣旨を確認させてください。

○瀬古口委員 「新型法人の統一的な事業の実施、方針の決定等の業務に支障のない範囲内として知事が認可」とは、新型法人というものが中心となって、この参加法人の意見というものでないという解釈でいいのかということです。

○事務局 参加法人が社員として、当然、こういう重要事項は社員総会で決めるので、参加法人の全体の意思の下に、この新型法人が、やはり何らかの形で病院等を経営したほうがいいという判断があって、初めてこの新型法人が病院の直接開設をするということですので、この制度の前提としては、新型法人の意思と参加法人の意思というのは、いろいろ議論した上で、最終的には一致したものとして法人全体として運営していくという趣旨でございます。

○瀬古口委員 結構です。その確認だけでございます。

○鶴田委員 都道府県の立場から、幾つかの確認と質問をします。まず、病床規制の観点で、新しい法人の中で病床のある程度の融通性ができるようになるのは、私は都道府県の医療政策を担当する立場から歓迎したいと思います。今、各医療圏においては3つのパターンで空床が多くあります。1つは、医師の確保ができない病院。もう1つは、看護師の確保ができない病院、若しくは両方。その他とあると思うのです。そういう中で、病床の融通が効くようになるということは、地域医療の再編を行う上では有用だと思います。そうした中で、幾つか質問をしたい。新しい法人というのは、例えば、資料44ページにある、医療法人、社会医療法人、社会福祉法人、一般社団法人等、ここにあるように、新しい枠として地域医療連携推進法人が出来て、それぞれの元の法人はそれぞれの規制を受けるという理解でよろしいのですね。基本的には。

○田中座長 お答えください。

○事務局 今回の新型法人は、1ページの1番の「法人格の考え方」の1ポツの所ですが、法人格自体は一般社団法人と。

○鶴田委員 それぞれの法人にも資料4の一般社団法人の枠内の規定が全部かかるという理解でいいのですか。

○事務局 基本的には、はい。その上で、医療法人の規定も併せて認定基準の中で盛り込んでいきますので、両方の内容が重なると。

○鶴田委員 新しい法人(地域医療連携推進法人)の中にいろいろな法人が入るから、各法人はそれぞれに二重の法人格をもつように思っているのですが、それでよろしいのですね。

○事務局 先ほどの、資料2を御覧いただいて、絵と言いますか図を作ってみた2ページ目、もう少し前のほうのもの、「地域医療連携推進法人制度(仮称)の仕組み()」というものです。この左上の所が地域医療連携推進法人、新しい非営利新型法人でして、これは一般社団法人というものです。そこの中に、社員、参加法人、そういう名前ですが、下のほうの医療法人たちが参画していくということです。当然、医療法人Aは医療法人のままですので、それは二重というわけではなくて、医療法人は医療法人だけの話です。その2つ意味。

○鶴田委員 二重という意味は、資料22ページの地域医療連携推進法人と医療法人、若しくは、地域医療連携推進法人とその他の非営利法人Dとかですね。

○事務局 参加法人の法人格はそのまま残るということです。

○鶴田委員 そのままですね。次に、文章的な点ですが、3ページの下の、関連事業を行う株式会社・一般社団法人等への出資の下から2番目のポツですが、「一般社団法人への出資については、贈与とならない、基金に出資することを認める」とありますが、この意味というのは、出資については、基金に出資する場合は贈与とならないという理解と同じですか。意味が少し、日本語的によく分からない。

○事務局 失礼いたしました。御趣旨としてはそのとおりでして、一般社団法人の中に基金は作れる形になっていまして、それは返還義務のかかった制度で法律上位置付けられていまして、そこに出資するということです。

○鶴田委員 次に、5ページ並びに資料22ページの、先ほど説明をされた地域医療連携推進法人制度の仕組みの中にある、理事会に地域関係者を含む、地域関係者を理事に任命するとありますが、まず、先ほどの今村先生の質問に絡むのですが、資料2のスキームの「地域医療連携推進協議会の市長、医師会等」と書いてあるのは、あくまで、この地域医療連携推進法人に対する意見であって、全体の意見というのは医療審議会の意見を踏まえるわけですね。この絵のとおりに。そうした場合に、この理事会の地域関係者というのはどの範疇までを含むのか、端的に言うと、都道府県職員は入るのか、入らないのかでも結構なのですが。例えば、県立病院長とか、そういう職員が都道府県医療審議会に入ってくるわけですよね。理事には、例えば保健所長とか含めて、そういう人も念頭に置かれているか否かを教えてほしいと思います。

 それと、一緒に質問しますが、先ほどの資料13ページの「100%にする等一定割以上とすることを条件に出資できる」とありますが、ここに営利性を求める、利益を求める懸念はないのでしょうか?

○田中座長 理事会と協議会のメンバーの重複などがあるかというような意味も含まれていましたが、どうぞ答えてください。

○事務局 最初の御指摘は2つ論点があるような、また整理が必要だと思いますが、両方兼ねるのがいいのかどうかという、第三者性の問題と言いますか、そういう観点が1つ。それから、自治体職員の場合は、恐らく、国家公務員と同様に兼職については原則は禁止で、許可制ですとか、それから勤務時間との問題、兼ね合い等もありますので、例えば、協議会に市長さんなりが入って自治体との意見調整を図ることは想定していますが、その部下として、職員の方に入っていただくのが私どもとしてはいいのかなとは思いますが、そういう兼職の問題との兼ね合いもありますので、少し、そこは整理をさせていただきたいと思います。

 それから、株式会社への出資の所は、ここは、この検討会の中でも御意見があったところです。認めるのであれば100%とすることで、100%としていれば、利益が出た場合でも全てこの非営利法人に還元されるということですので、何と言いますか、ぎりぎり非営利原則と齟齬のない形で整理できるのではないかということで、こういう御提案をさせていただいています。

○川原委員 病床の融通とかインセンティブができたというところで前進したという感じを持ちました。私から2点ほど要望、若しくは質問をさせていただきます。まず1ページで、一般社団法人の一類型という形で今回の地域医療連携推進法人を位置付けるというお話ですが、その場合は税制上でいう非営利型法人になることができるのかを確認したいと思います。

 非営利型法人になると、収益事業だけ法人税課税という形になり、大きく要件としては剰余金の分配禁止、残余財産は国へ、あとは特別利益供与の禁止、同族役員3分の1という要件がいろいろあったりするのですが、それらがクリアできていた場合には、この非営利型法人で税制上の優遇は受けられるという形でよろしいのでしょうか。

○事務局 税制関係につきましては、この制度化をまず図り、これが法律の仕組みとして明確になった後に、政府部内あるいは党の関係でどういった整理をするのか、仮に何らかの優遇を求めるのであれば、税制改正要望をしていくということで、現時点ではまだ私どもは必ずしも明確に整理をしておりません。ベースが一般社団法人ということですので、一般社団法人としての税制の取扱いがベースになると考えております。

 先ほど今村先生からもいろいろ御指摘がありました医療法のいろいろな規制をできるだけ準用するようにという観点から見れば、医療法人並みという考え方も1つあるのかなという議論を内部ではしておりますが、いずれにしてもまず制度化を図り、その後にどういった税制にするかは次のステップとして、更に検討していきたいということです。

○川原委員 税制の優遇というのも、かなり大きなインセンティブにもなるのかと思いますので、なるべくなるようにお願いしたいと思います。

○事務局 御指摘もありますが、ただ、他の法人とのイコールフッティングという観点もありますので、バランスの取れた税制ということではないかと思っています。

○川原委員 もう1点、4ページの新型法人の資金源についてお聞きしたいと思います。参加法人から基金という形で新型法人は資金拠出を受けることは可能なのでしょうか。新型法人の設立時などの資金はどのように調達するかについてお聞きしたいと思います。

○事務局 御質問の点ですが、現行、医療法人で基金は設けられていますが、今回、医療法人並みですので、同様に一般社団法人には基金も法定化していることも併せて考えれば、そういう仕組み、やり方も十分に考えられるかと思います。あとは法人ごとに御判断いただければということです。

○田中座長 西澤委員、梶川委員の順でお願いします。

○西澤委員 今回かなり整理されたのですが、まだイメージが湧かない面が幾つかあるので質問したいと思います。まず参加法人ですが、医療法人であれば持ち分の医療法人も当然対象だと思いますが、確認です。それから公立病院あるいは公的病院は参加法人として対象なのかということをお聞きしたいと思います。

○事務局 2つ御質問いただきましたが、持ち分のある医療法人、社団法人につきましても非営利法人ですので、参加可能です。

 それから公立病院・公的病院は、様々な法人格があるわけでして、現在それぞれの所管の関係省庁等々、調整しているということですので、どういった扱いをするか、その点は政府部内で調整中です。

○西澤委員 分かりました。だとすると、4ページの統括方法ですが、ここで参加法人の該当事業に係る予算等の中で、一定の関与、意見聴取、指導あるいは協議承認となっており、持ち分ありの法人の役員の選任を書いていますが、持ち分のある法人に対しての役員の選任あるいは重要資産の処分などが、果たしてできるのかということが1つ疑問に思います。

 それと公立病院・公的病院の扱いは分かりませんが、例えば公的にしても、済生会とかいろいろあると思います。そういう病院に対しても資産の処分や役員の選任ということで、本当に協議・承認は可能なのか、かなり疑問ですが、その辺りのお考えを聞かせていただければと思います。

○事務局 先ほど社会福祉法人につきましても御意見がありました。ここは一般論として2つの選択肢の下に、更に重要事項も決定にかからしめることができるという制度の立て付けを説明しているところです。

 私どもとしましては、御指摘のあった公立病院等も含めて、地域医療連携という観点から見れば、できる限り医療機関を経営する非営利法人が広く利用可能な制度にしたいということです。

 一方でそれぞれの法人の設立の趣旨、法律あるいは規制の趣旨から見て、どこまでがこういう関与の強さに馴染むのか、あるいはどこまでの重要事項がこうした手続にかからしめるのが適当かということにつきましては、運用上の問題として更に整理をしていきたいということで、ここに書いてあるからといって、全ての法人について、個別の事項が運用上、全てに馴染むと申し上げているわけではないということを御理解いただければと思います。

○西澤委員 分かりました。これは先ほどの社会福祉法人と同じように医療法人でも同じですし、あるいはほかの出資母体でも同じなので、このような規制というのは普通は考えられない。それぞれの法人が責任を持って経営しているわけで、そこでこのような所まで関与されると、経営者にとってもかなり負担が大きいというか、無理がかかるのではないかという気がしております。

 もう一点は、株式会社への出資です。株式保有を100%で株式会社へ出資ができるということであれば、別にこの事業を新型法人が直にやっても同じことかなという気がするのです。要するに株式会社でするようなことを新型法人も同じようにできるので、あえて株式会社に出資しなくても新型法人の業務としてできるのではないかと思いますが、その辺りはいかがですか。

○事務局 そこは私どもはオプションとして考えたいということがあります。それから今村委員からは新型法人が直接やる収益事業について歯止めをかけるべきではないかという2つの要請があるものですから、収益事業の実施をどの程度認めるのかという議論もあるということです。

 一方で、株式会社という形態でやることでの経営母体としての株式会社の有用性という議論も、政府部内ではあるわけですので、そこは一律に役所としてどちらかというよりは、法人ごとにどういったことでやるのが適当かということを判断していただくような仕組みのほうがいいのではないか、そういう意味では選択肢としては設けたいということです。

○梶川委員 6ページの新型法人の非営利性の確保の一番下の段には、新型法人の役員・社員には営利法人の役職員を就任させないと書かれているのですが、何か特定の条件を付してなのですか。

 組織における営利性・非営利性というのは分かるのですが、個人が非営利であるか営利であるかは、私はどうしても違和感があります。営利法人の役員が、個人のレベルで非営利な人、営利な人いうのがいるわけではないので、これはむしろ違うロジックの中で整理が必要なのではないか。

 と申しますのは、例えば取引関係があって、利益流出につながるような法人の役員であるとか、競業避止みたいな別のロジックなり、勢力分散とか、そういった違うロジックがある。そうすると、仮に非営利の役員でも勢力分散であれば、同じ条件にもなるでしょうし、必ずしもそれは営利に限ったものではないので、どのロジックで整理をするかです。ただ、営利法人の役員だから、営利性に富んだ行動をするというのは、一般的には難しいのではないかという気がします。

 その裏返しですが、関連事業に対する出資で、100%の所で新型法人に意思決定を主導することを担保するという、この内容の中で、今申し上げたところで、もし営利法人の役員であれば、新型法人の役員になれないということがあると、例えば新型法人の意思決定を主導することを担保する方法論というのは、どのような形を取られるのか。普通は会社の主導権というか、意思決定をコントロールするのは役員で実際の行為を開始するということは非常に有効な手立てにはなると思いますが、そういう方法論が一切ないとすると、どういう形で関連子会社を。もちろん役員の選任権でコントロールするのかなということはあるのですが、手段がそういう話に限られてしまうのかという、その辺をお聞きしたいと思います。前半のほうが中心的な質問です。

○田中座長 2点ありましたが、お願いします。

○事務局 梶川委員の御指摘の趣旨はそのとおりで、若干こちらも舌足らず、書き足らず、説明足らずの部分があったかと思います。現行の医療法人制度において、営利法人等の役職員を兼務していないと書いてありますが、医療機関の開設、経営上利害関係にある営利法人等の役員、職員を兼務していないというように、御指摘のとおりの話を医療法人制度の中で制限を設けておりますので、この新型法人も医療法人と同様というスキームからして同じだということですので、それを念頭に置いた形です。

2つ目の御質問の関係ですが、株式会社の意思決定は株主総会で決まるという観点から、ここでは株式保有割合を例えば100%ということで、最終決定について、完全に新型法人が取るという意味で主導するということで書いております。それ以外の方法も確かにあり得るのかとは思いますが、最終的な最高意思決定機関の株主総会を決定するというところでの担保が絶対的に必要なのではないかということで、意思決定を主導する上で株式保有割合は、例えば100%にする等という形で書いているという趣旨です。

○梶川委員 不勉強で申し訳ありませんでした。十分に分かりました。

○田中座長 私もそこは気になっていまして、地元の有識者が、たまたま地元の優良な公益性の高い企業の非常勤取締役になったら、この医療法人に関われなくなってしまうのは、やはり締め過ぎかなと感じていました。ありがとうございました。

○大道委員 私は大阪の私立病院協会の仕事もしております。私自身が大阪のほぼ中心部で病院を営んでいることもありまして、その近辺は病院が非常に過密地帯です。大体車で30分で行ける距離に250を超す病院があり、診療所の数は4,000を超えます。その中にあって、最近10年間を見ていますと、自然にお互いの機能分化、役割分担ができつつあるように私は思っております。ただ今回、新型法人によって競争より協調と言われていますが、医療機関の少ないエリアでしたら、それは正に当てはまるかなと思いますが、医療機関の過密な所に幾つかのこうした新型法人ができたときに、競争より協調ではなくて、協調より競争になるのではないかという危惧があります。それはできてからのことだといたしましょう。

 実はこの会も9回を数えるわけですが、残念ながら私は未だにこの新型法人の必要性が理解できておりません。今、喫緊に必要なのか、あるいはこれがないとできないことがあるのかというところが、まだ私の頭では理解できません。しかし、作るとなれば、これが医療法人の業務を広げる1つの方策だとするのならば、それもありかなという気もいたします。

 これはお願いですが、スタート時には非常に細かい網の目でスタートしていっていただきたい。その中にも不都合があれば、その時その時に応じて網の目を1つずつ大きくしていくといった方策は取れないものかと思います。今までの話を聞いてきますと、今後検討によって、場合によればいかようにでもなるような部分があればいけないと思うわけです。ですから、是非そのような方策で進めていただくことをお願いいたします。以上です。

○田中座長 貴重な視点ありがとうございました。

○松原委員 意見です。当初、新型法人の名前が非営利ホールディングだった頃は、割と非営利性の堅持が強く謳われていたと思いますが、名前が変わってきた辺りから非営利性の堅持が少し後退しているのではないかと危惧しております。

 具体的には、理事長要件のところで、一人一票は原則ですが、定款で別段の定めをすることができるというのは、公益法人に倣っているところです。ただ、公益法人も別段どのような定めをしているかというと、実例はなく、一人一票の運用しかされていないのが現実です。今回一人一票以外となると、ベッド数に応じた議決権となるのかなと想像されます。ベッド数に応じてだと、ある種財産規模に応じてということなので、持っている資産に応じて、つまり資金を多く所有するところがより多く発言できるということになり、非営利性に抵触してこないかと懸念します。

 あと理事長要件についても、理事長要件が医師というのは日本独特ですが、前回申し上げましたように、日本の非営利組織というのは先進国の非営利組織とは違って持ち分があるとか非常に特殊です。ただ、それはそれでいい面もたくさんあったわけで、そういった所を補強する意味でも医師の倫理が働くところが営利化に対し非常に歯止めになっていた部分も多いと思います。こういう所が今回は弱くなってくるということで、一番危惧するのは、これらをもって、営利に近いではないか、それでは営利を入れてよというなし崩し的な営利参入の手段に使われはしないかということです。

 そもそも医療を提供する組織とか、医療を提供しているのが、なぜ非営利組織かということを、もう一度考えてみると、患者と医療提供側に大きな情報の非対称性があるところで、しかも公的資金を用いサービスを利用しない人まで強制的にお金を徴収されて制度が運営されている。公的資金で賄われている所で、営利目的でやられては困るよ。そんなことをしたら制度が崩壊するというのがあって、非営利性を徹底しようということになっております。非営利徹底というと、すぐ岩盤規制だとか避難され、既存団体を守ろうとしているかのように言われますが決してそういうことではないわけです。国民を守るための規制なのです。そういう非常に重要な問題だということですので、是非、今回決めたことが将来営利が入ることの第一段階にならないように全面的に非営利の理念とか、非営利性を堅持しなければいけないといったことを中に盛り込んでいただきたいですし、これを作る法人もそういったことがまず第一に前面に出てくるような仕組みにしていただきたいと思います。

 今回はまだどうなるのかよく分からない状態ですが、生まれた後にもっともっとこれが大きくなるように支援策が出てきたときには、地域でものすごい影響力を持つ組織になる可能性も秘めていますので、非営利性の堅持は、よくよく徹底していただきたいと思っております。以上、意見です。

○田中座長 この検討会の委員の多くは、松原委員の見解を共有していると私は感じています。ありがとうございます。

○松井委員 いろいろ取りまとめてくださって、ありがとうございます。細かい点になって恐縮ですが、2点ほど確認の質問をさせていただきます。1点目は、4ページの統括方法のところです。先ほど各委員から参加法人と新型法人の関係の話が出ておりました。この中に意見聴取・指導という弱い関与の方法があるのですが、かりに指導の内容に参加法人が従わない、あるいはその指導を妥当と考えていないので異なる行為をしてしまうということがあった場合に、参加法人が行った行為はどう扱われるのでしょうか。

 例えば承認という強い関与の場合には、参加法人が承認なしに行った行為は、その行為自体の効果が無効になるということがあり得るのですが、仮に指導の内容と異なる形で重要な資産を処分してしまった、あるいは勝手に第三者から借り入れてしまったというときに、この借入れとか処分の効果はどうなるのだろうかということです。

 弱い関与を前提にしていますから、第三者に対しては影響を及ぼさないというのが筋になるのかなという感じがします。つまり、参加法人の裁量で行った行為が尊重される方向で考えていくことになるのではないかという気がいたします。いずれにしても、これは、例えば資産の処分を受ける第三者、あるいは貸し付けを行う第三者からすると、参加法人について、何を確認すれば貸せるのか、あるいは何を確認すれば資産の処分を受けられるかという話にも関わってきますので、意見聴取・指導が、第三者との取引にどういう影響を及ぼすのかということが気になるところです。

2点目は、5ページの脱退に関するです。この制度は、各参加法人が任意で参加して、基本的には協調関係でやりますから、あまり大きな問題が起こることはないと思いますが、仮に新型法人と参加法人との間で意見の相違が出たときには脱退というのは1つの究極の手段として残っているわけです。そのときに貸付金の清算がないと原則として脱退ができないとなっています。これは一般社団法人にはない要件ではないかと思います。これが入っている理由はどこにあるのでしょうか。2点よろしくお願いいたします。

○田中座長 2点の質問に答えてください。

○事務局 1点目を私から御説明いたします。意見聴取・指導と書いていまして、指導という言葉が適当かどうかは先ほど御指摘もありました。法制局とも、どういう言葉が適当かということも含めて、まだ検討中ということを前提として申し上げたいと思います。

 いずれにしましても、この弱い関与の場合には法的な強制力がない、緩やかな連合と言いますか、そういったことを念頭に置いているということですので、法的な意味では、例えば行政指導もそうですが、従わなかったからと言って、そのことについての強制力はないという整理だろうと思います。

 そういうことですので、第三者との関係で言えば、指導の有無ということは、その取引の正当性には影響しないと考えるべきではないかと思います。ただ、法人内部のガバンナスと言いますか、在り方の問題として、いわばみんなで決めたことに対して従わない法人をどう扱うかは、法人内部の取決めの問題として、極端に言えば、この法人から出ていただくことも含めて、法人の中でお決めいただくことではないかと考えております。

○事務局 2点目は貸付金の話です。資金貸付けが現行の医療法人制度では医療法人から行うことはできないという制度の中で、新型法人という中でグループ内においては資金融通、貸付けができるという特別な枠組みを設けているという観点から申し上げると、脱退とするという場合は新型法人という枠内から外れる形になりますので、資金貸付けがそもそもなされない状態にまた戻っていくということが制度全体からすると前提なのではないかと考えておりまして、この貸付金の清算等を条件としてということを書いています。おっしゃるとおりの点はもちろんありまして、この場合は「条件として」とフワッと書いています。

 一方で法律上、やむを得ない理由がある場合には、脱退を自由にできるというのももちろんありますので、そこの前提を崩すのはなかなか簡単ではないという感じもしております。その辺はどういう形での整合性を取っていくのか。原則としては、今申し上げた趣旨から貸付けの清算を求める形だろうとは思っていますが、法律上、どこまで規定していくかは、引き続き検討させていただければと思います。

○田中座長 議題1については、一渡りよろしいですか。

○瀬古口委員 歯科医師会からですが、資料22枚目にある中で、医療法人の一番下に括弧書で参加法人の非営利法人に限るということで、病院・病院・診療所・介護事業とあります。先ほどからお話を聞いておりますと、医療法人の理事長の中には、医師・歯科医師に限っておりまして、この中で診療所と歯科の診療所は今まで大きく分けられていることが多い。

3ページの「地域医療連携推進法人の設立の効果・メリット」の法人設立前と設立後の図を見ていきますと、これまでは左のほうに精神、産科、小児救急、その他2人という所に歯科は入っていたと理解できましたが、右を見ると、歯科医師という文字が1つも入っておらず、病床のある有床の歯科の診療所、並びに20人以上いる大きな法人の持つ診療所もありますので、ここで歯科という診療所も入れていただければという要望です。

○田中座長 議題1はここまでといたします。まだ政府部内の詰めとか、内閣法制局との詰め、ほかの法律との詰めは残っているようです。本日の委員の皆様からの御発言を踏まえ、一方で政府の中での作業を進めて、取りまとめに向けて案を準備していただかなくてはなりません。これは閣議決定に基づいており、選挙がなければ、本当は年内という目処でしたので、選挙の分だけ遅れているとは言え、一応私たちとしてもある程度の結論を出さなくてはなりません。

 繰り返し申しますが、委員の皆様の御意見、また政府内の様々な部局や内閣法制局と詰めて、次回までに検討会の取りまとめ案を事務局で用意していただくようにお願いしておきます。

2番目に移ります。「医療法人制度の見直しについて」、説明をお願いします。

○事務局 議題2は、医療法人制度の見直しです。引き続き資料17ページを御覧ください。「医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化」ということで、これまで御議論いただいていた内容と基本的には同じ内容で、そのまま書いております。(1)として医療法人の経営の透明性の確保、会計基準の適用、外部監査を一定規模以上の医療法人に義務付けます。具体的な会計基準は、四病協で作成いただいたものを基本に検討します。2つ目の○は、計算書類の公告の義務付けです。こちらも同様に、一定規模以上の医療法人に計算書類の報告を義務付けます。3つ目の○は、いわゆるMS法人(メディカルサービス法人)との関係の透明化・適正化のために、学校法人、社会医療法人と同様に、毎年度報告させるという内容です。

 これに関係して、「一定規模以上の」という表現にさせていただいております。どの程度のイメージで考えるのかについては、これまでの検討会でも御議論いただいておりますが、事務局なりにもう少し考えたことがありますので、御意見を頂ければと思っております。資料44ページ、5ページです。これは9月の第6回検討会で出した資料で、その際も御議論いただいた点です。「一定規模以上」という中でどう考えていくのか、前回、各種法人の状況を御紹介し、御議論いただいたところです。

 その際、医療法人の下のほうに※でありますように、現行制度では特に負債額100億円以上の法人は望ましいとなっていることを考えていきますと、事務局のたたき台としては、「一定規模以上」というのを考えるに当たって、負債額100億円以上というのがその基準になるのではないかと考えております。例えば、一般社団法人は負債額200億円、公益社団法人は負債額50億円ですから、そこまでずれてはおりませんが、まずどういった基準がいいのかという御意見を賜れればと思っております。

 併せて、社会福祉法人の関係です。ここは現行制度で数字を書いておりますが、並行して行われている改革の中では、負債額20億円、収支計算額10億円という基準も念頭に検討するという形で議論されていると承知しております。例えば、社会医療法人については今申し上げた水準とか、同じ非課税法人同士で同じにするとか、もう少し厳しく、全法人を対象にするということも考えられますので、具体的に負債額100億円とか、負債額20億円とか、社会医療法人は全部とか、そういったものを「一定規模以上」という中での念頭に置いております。その点について御意見を賜われればと思っております。

 資料18ページは、(2)医療法人のガバナンスの強化です。理事長・理事の忠実義務、任務懈怠時の損害賠償責任です。従前に加えた点としては、現行医療法人の理事会というのは、通知に基づいて設置いただいておりますが、今回は忠実義務なりを課すということも併せ、理事会そのものの設置権限、役員の選任方等も医療法に規定し、明確にするということであろうという話です。2点目は従前どおりです。一般社団法人なり社会福祉法人改革でやろうとしている内容と同様の形で、忠実義務、任務懈怠時の損害賠償責任を規定して明確化してはどうかということです。

2.医療法人の分割についてです。これも従前どおり現行ではできない、制度上は認められておりませんが、分割計画書を作成し、知事の認可ということで分割できるものとしてはどうかと。その対象ですが、「持分あり」は既存の制度ですので対象とはせず、「持分なし」に限ります。ただ、税制上の優遇がある社会医療法人や特定医療法人は、それ自体が優遇されておりますので、対象外としてはどうかと考えております。3.の社会医療法人の内容とも併せて別の資料がありますので、そちらで説明させていただければと思います。資料5は先ほどの分割の前回と同じ資料ですので、御参考までにというものです。

 資料6は検討会でも御議論いただいていた内容で、税制改正大綱ということです。昨年末に自民党・公明党で決まったものと同じ内容を年明けに閣議決定したというもので、御議論いただいた内容も一定程度入れております。上のほうの○は、社会医療法人の認定制度の見直しに伴う税制上の所要の措置です。12とあり、1が2県にまたがる場合に、かなり小規模の診療所のようなものがあったときも、社会福祉法人の要件では一定の数値基準を満たさないと法人自体が認定されないという制度について、ちょっと過剰な規制になっているのではないかという趣旨からの検討要請が、地方分権改革会議から投げかけられてきました。その点では、例えばその範囲を二次医療圏と隣接する市町村というように、一定程度近接する範囲内に置くとか、それぞれの県の医療計画に、その法人や病院の位置付けを明確化することで担保することによって、法人全体として社会医療法人の要件を満たすという内容です。

 2は、へき地診療所からの医師派遣、巡回診療が年間53日という要件です。その2行目にありますように、へき地医療拠点病院を絡ませた仕組みではどうかということです。これも地方分権改革会議からの要請です。こちらについては一定程度、数値基準を53日ではなくて106日で、それを純増する場合に限るという形で、新しい要件として認める等の御承認をいただいているところです。併せて一番下のポツは、先ほどの分割の話の関連です。前回も御説明申し上げたように、現行で非課税となる基準の中に、株式保有という継続保有要件があります。それについて、医療法人は株式は関係ないので除外するということも、この法改正、法律制度の創設の前提として認められたものです。

 資料7がそれと連動した、もう1つ別の話として、「社会医療法人の認定取消時の一括課税の見直しについて」という題名です。社会医療法人は一定基準において知事が任命しますが、それが取り消された場合、社会医療法人は非課税ですので、非課税分については一括して、当該年度の所得として課税をするという制度に現行ではなっております。それは他制度も含めて、そうなっているという話です。しかし、一括して課税するというのは過度な規制ではないかということで、昨年や一昨年も提出している税制改正要望を、昨年8月に出させていただき、昨年12月には長期検討課題という形になっております。これまでは認められないという話でしたが、長期検討課題ということで一歩前進です。

 そこに連動するような形で一定程度、医療法の中でも制度設計をした上で、また税制改正につなげていくためのスキームを長期検討の中でやっていこうと考えており、※以下の最後の3つのポツのようなスキームを想定しております。医療法人が取り消された場合も、特別な計画を策定しますと、社会医療法人のみに認められている収益業務などを継続して実施できます。そういった場合は2つ目のポツの救命初療室などの施設とか、救急用自動車といったものに充てます。3ポツでは、この計画の状況を報告するということです。税制改正との関連で申し上げますと、現行の医療法の中では収益業務というように限定しているものを、税制改正要綱がまた来年度以降も実施でき得て、この範囲を拡大するという一括課税となっているものを対象とすることも、視野に入れて検討します。まず、その前に医療法の中のスキームを、今申し上げてきた新型法人と併せて、医療法の改正法案に盛り込んではどうかということを検討しております。今申し上げた内容が、先ほどの8ページの最後の3.社会医療法人認定要件見直し等々という中で書いております。「取消時の経過措置」というのは、そういう趣旨として書いているものです。

○田中座長 では、ただいまの説明に関する御質問、御意見をお願いします。

○今村委員 まず7ページの一番下、メディカルサービス法人との関係の報告についてです。このメディカルサービス法人の範囲というのは、いつ頃決定するのか、そのスケジュール感を教えていただきたいのです。このMS法人の議論というのは、もともと新型法人が医療法人の一類型ということであれば、そのことが当然適用されるというように理解しておりましたが、必ずしもそういうものではないということでしたら、新型法人にも最低限、同様の報告を求めるのは当然だろうと思います。新型法人が営利子会社を持つ場合には、子会社の内容も含めて開示する必要があると考えておりますが、いかがでしょうか。

 次に、医療法人の分割についてです。医療法人を分割することになれば、大規模な病院の集約・チェーン化というのが、これまで以上に加速するのではないかと思います。これで地域医療構想や、地域に密着した医療提供体制を失わないようにしていただきたいと思います。こういう制度設計が、今国会中に法案が提出されると聞いておりますが、このことについては、これまで十分な議論がされていなかったのではないかと思っております。

 それから資料5の中ほどに、適格分割というのはその事業の主要な資産と負債が移転している必要があると記載しておりますが、では、具体的にどのようなケースで適格分割が考えられるのかを教えていただきたいと思います。

○事務局 1点目のメディカルサービス法人の報告の範囲のスケジュールというのは、医療法人に報告の義務を課するもので、法律でやっていくという趣旨から鑑みて、医療法改正法案の成立がまず前提になっております。ですから、そうすぐではないのではないかと考えております。例えば、施行が法律の成立後1年なり2年後となれば、その中で適切なタイミングで決定したいと考えております。ですから法案までに決めるという形のスケジュール感ではありません。

 もう1つの御質問である分割の関係ですが、資料5を御覧いただければと思います。どういうケースかということに関しては、下の図を御覧いただければと思います。右側が適格分割でない分割です。適格分割というのは税制上の用語、フレーズで、今も株式会社で認められている制度です。適格分割になると非課税になるのですが、一般に考えられるのは、逆に民間の適格分割でない分割で、1つが2つに分かれるものだろうと思います。

 ただ、一方で税制上優遇される範囲内としての適格分割というのは、新設と吸収とがあります。例えば株式会社だと複数の法人、株式会社が組織再編をするようなパターンだと、それぞれ3つ、2つに移っていくということです。中段の表の一番上に、「株式会社の適格分割(共同で事業を営むための分割の場合)の要件」としておりますが、共同で事業を営んでいる場合というのが前提になっております。現行制度ですと同じような、関係するような株式会社がこの内部を組織再編して、新しい法人に分ける、平たく言えば1つの子会社たちの組織再編のような形で、ある部門を別の子会社に移すということは、いずれにしても実態として親会社の意向で全部が動いている中では、課税するほどの話ではないということから、株式会社においては適格分割という制度が認められているという趣旨です。

 医療法人の場合はこういうものがあり得るのかというと、実態次第ですので何とも言えない部分ですが、税制の面でもこういうものが入っていくという趣旨で、それと分割制度自体が直接リンクするわけではないということで、このペーパーがミスリードな形だったのかもしれません。ただ、一般的に想定されるような分割は、右側の適格分割でない分割のパターンかと思っております。

 また、一方で事業譲渡という枠組みは、現行と同様に存在し続けるわけです。これは法人格を分けるというところにどれだけの価値というか、意義があるのかという場合があるということで、昨年の国会で社団と財団の合併という新しい枠組みを設けた際に、国会のほうでも分割というのは必要ではないかという御意見や議論もあった中で、こういう分割という制度も設ける。それを使うか使わないかは当然、法人ごとの御判断でという内容です。

○今村委員 先ほども申し上げたように、この議論というのが、まだ非常に未成熟な感じがするのです。また、株式会社については理解できますが、地域医療構想と非営利性との整合をどう図っていくかというのは、相当難しい問題ではないかと考えますので、十分に省内で御議論いただきたいと思います。

○事務局 今の御指摘を踏まえて、更に議論をしたいと思います。

 他方、冒頭から御説明しておりますとおり、これは都道府県医療審議会の議を経て、知事が認可した場合に認めるものです。そういった意味で地域医療構想との整合性は、そうしたことで確保していく、そうした前提の下に認めていくということです。

 それから、全体的なスケジュールで申し上げますと、先ほど座長のほうから、実はこの検討会は年内目標だったという御指摘をいただきました。様々なことがあったとはいえ、できる限り速やかに何とかまとめたいと思っております。法律改正事項ですので、社会保障審議会医療部会でも更に御議論していただきたいと思っております。

 今国会の全体的な法案提出期限がどうなるのか、まだ本予算が提出されておりませんので、必ずしも明らかではありませんが、新聞情報等によりますと、2月半ばに本予算が提出されますと、今日説明している内容を全体として医療法等の一部改正案ということで、恐らく3月中旬、下旬には提出するということです。与党でどういう御議論があるかというのもありますが、そういったプロセスの中で、更に検討を深めたいと考えております。

○今村委員 先ほど松原委員からも御意見がありましたように、医療の公益性あるいは非営利性について、認定権者である知事の責任というのは非常に大きいものがあると思います。そのことについても御配慮いただければと思います。ありがとうございました。

○梶川委員 医療法人の透明性の確保の外部監査のところで、先ほど事務局から、一定とはというのがありましたが、考え方として少し申し上げたい点があります。社会福祉法人などもそうですが、近年、非営利や公益性の担保にとって、経営の透明化というのは非常に重要であろうという形ができていると思います。パフォーマンスが出にくいという意味も含めて、ある意味では営利企業以上に経営の透明度がすごく重要で、社会の信頼を得ることになるのではないかと思っております。

 そういう観点で一定の限度を考えるときに、株式会社などは負債の規模とか資本の規模とか、どちらかというと債権者保護であったり、投資家保護であったりということをメインに考えた基準づくりがあるのです。今申し上げたような非営利、公益性のあるサービスを提供されているということで言えば、どちらかと言うとサービス業務の提供量を、ある程度の社会的な影響度の尺度にされることが非常に重要ではないかと。

 更にこの点に関しては、普通の営利企業以上に議論を深めたところで考えていただくのがいいと思います。この点、社会的に非常に要請されているところではないでしょうか。社会福祉法人の議論などは、かなり厳しいスタンスを取っておられる。それも作成者側の議論として、そういう形を取られておりますので、平仄をいろいろ考えていただければと思います。

 あと、社会からの制度としての信頼性をある程度カバーしているということが、一定の社会制度を義務付けられたときに、非常に必要になるのではないかと思うのです。そういったカバー率のようなものも、今後考えていただければと思います。それに対して効果性と効率性の問題をどのように組み合わせ、その数字を求めていただくかということになると思いますので、またそのような観点で御検討いただければ幸いと思います。

○田中座長 的確で理論的な整理をありがとうございました。

○西澤委員 資料6の社会医療法人の認定の要件の件です。1と2というのが、今回新しく出されております。まず1です。もともと社会医療法人というのは、公益性の高い法人ということで、医療計画上の5事業をしていることを要件にしたと記憶しております。その中で医療計画は、やはりそれぞれの県においてが基本ということで、今までは複数の県に医療機関を持っていた場合には、それぞれが要件を満たすこととなっていたと思います。今回の場合は隣接しているということで、非常にまれな例かもしれませんが、今までも社会医療法人になった法人の中で、これと似たようなケースがありました。そこでは何らかの工夫をしながら対応した。即ち、既存の同じようなケースでは対応していた例もありますので、そういう面から見て、これはいかがかなという気がしております。今回、何らかの事情でこれが入るのであれば、できるだけ特例だということで、1つの県で要件を満たせば、ほかの県がOKというところまで拡大しないと。あくまでも原則はしっかり守っていただきたいというのが要望です。

2番目ですが、5事業の中でへき地医療というのが、年間53日の要件があります。ただ、これは要件の中で、今でも一番緩いのではないかと言われている要件だと思っております。今回は直接ではなくて拠点病院へ出して、その拠点病院がへき地に派遣あるいは巡回診療をするということです。これは恐らく拠点病院がへき地のほうに医師を出したくても、なかなかいないので、ほかの病院から出すことによって行きやすくなるということだと思うのです。

 しかし実態を考えますと、拠点病院に対してはあくまでも派遣ですから、106日、臨時で行くわけです。しかも拠点病院のドクターは、常勤医が出ていくわけです。それでプラスマイナスゼロに見えますが、拠点病院にとっては常勤医が106日いなくなるのに臨時で来ても、果たしてそれでプラスマイナスゼロになるのか。見方によっては、これは拠点病院に非常に負担が掛かるシステムかと思っています。拠点病院へ派遣する病院にとっては、いいのかもしれませんが、拠点病院にとっては問題があると思いますので、その辺りはもう一度検証していただければと思います。へき地診療所へ直接行くというのが原則です。これは非常に厳しいのですが、厳しいからこそ社会医療法人の要件だと思っております。その辺りもきちんとお考えいただいてと思っております。

○松井委員 先ほど梶川委員から透明性の確保の話が出ましたので、それに追加する形で、若干のコメントだけしたいと思います。先ほど梶川委員がおっしゃったように、負債というものを基準に掲げますと、監査をする理由として、どうしても債権者保護に焦点が当たってしまいますので、確かに理論的にはちょっと引っ掛かるところがあるかと思います。では、どう説明していけばいいのだろうかということを考えてみました。

 医療法人の透明性を高めるという場合、公益的な観点からそれをすることになりますので、本来であれば全ての医療法人に監査を実施したほうが好ましいということになるのではないかと思います。しかし、それは当然コストの負担等の話が付いて回りますので政策的には採用できません。そうしますと、透明性を高めるという要求があることを前提として、そのために監査費用の負担をし得るだけの法人にこれを実施するのが好ましいというのが、多分制度的な説明になるでしょう。そうなりますと、そのような負担能力をどのような形で制度化し、線引きを行うするのかという議論になります。そのときに、伝統的に使われてきた負債という基準がよいのか、あるいは先ほど梶川委員が御提案されたような、別途公益性を反映した何らかの負担能力を示す基準というのがあり得るのか、という議論になっていくのではないかと思います。

 最終的には制度にどう書くかという話になりますし、負債基準というのは制度を作る上で、コストの掛からない方法であるというのは認識しておりますから、それでも構わないとは思います。ただ、先ほど梶川委員からの意見もありましたので、ほかの可能性があるのか、つまりコスト負担能力という観点からどのような基準があるのかというのは、一応確認する作業は行ってもいいのかなという感じがしました。説明の仕方の話だけで恐縮ですが、以上です。

○田中座長 メディカルサービス法人は、法律用語ではないですよね。法律に書くときは「関連当事者」と書くのですか。

○事務局 法律の条文ですので、まだ決まっているわけではないのですが、ほかの法令なりでは「関連当事者」とか「特殊な関係」とか、いろいろな用語を使っておりますので、その中で書いていくのではないかと考えております。

○田中座長 検討会の報告のほうは構わないとしても、「メディカルサービス法人との関係」ではなく、「いわゆるメディカルサービス法人を含む関連当事者」でしょうね。MS法人ではない関連当事者もあり得ます。

2番目の点について、ほかにはよろしゅうございますか。こちらについても先ほどのタイムスケジュールが掛かってきますので、本日の議論も踏まえ、また関連当局、政府内との調整をした上で、検討会の取りまとめを事務局で用意していただくようにお願いいたします。

 本日はここまでとしたいと存じます。では、事務局より次回の案内をお願いします。

○事務局 本日はありがとうございました。事務局において関係方面の御意見を聞きながら、取りまとめに向けた準備を進めていきたいと思います。次回の日程については2918時からを予定しております。また、本日議論した論点については時間の関係上、発言できなかった御意見等がありましたら、事務局まで御連絡を頂ければと思います。

○田中座長 本日はお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。以上でございます。


(了)

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