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2015年1月23日 第30回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

○日時

平成27年1月23日(金)15:00〜17:00


○場所

東京都千代田区隼町1−1
ホテルグランドアーク半蔵門 「富士東」(4階)


○出席者

神 野 直 彦 (部会長)
植 田 和 男 (部会長代理)
柿 木 厚 司 (委員)
菊 池 馨 実 (委員)
駒 村 康 平 (委員)
出 口 治 明 (委員)
花 井 圭 子 (委員)
原 佳 奈 子 (委員)
森 戸 英 幸 (委員)
山 口  修 (委員)
山 本 たい人(委員)
米 澤 康 博 (委員)
岩 間 陽一郎(委員)
菅 野 雅 明 (委員)
堀 江 貞 之 (委員)

○議題

年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方について

○議事

○神野部会長 それでは、定刻でございますので、ただいまからちょうど第30回の年金部会を開催したいと存じます。

 毎々ではございますけれども、委員の皆様方には大変お忙しいところを御参集いただきまして本当にありがとうございます。伏して御礼を申し上げる次第でございます。

 本日の委員の出席状況ですが、小塩委員、柿木委員、小室委員、小山委員、佐藤委員、武田委員、藤沢委員、宮本委員、諸星委員、山本委員、吉野委員から御欠席との御連絡を頂戴しております。

 本日御欠席される柿木委員の代理として、日本経済団体連合会より阿部参考人、山本委員の代理として日本商工会議所より大井川参考人の御出席をお願いしたいと思っておりますので、御承認いただければと思います。よろしいでしょうか。

(委員 異議なし)

○神野部会長 それでは、そのように御了承いただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。

 御出席いただいております委員の皆様方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しているということをまずもって御報告申し上げたいと存じます。

 また、本日の議事、「年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方」については、専門委員の方にも議論に御参加いただくことにしておりますので御紹介させていただきます。

 まず、岩間専門委員でいらっしゃいます。

 それから、菅野専門委員でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。

 なお、同じく専門委員でいらっしゃる伊藤検討作業班座長代理は御欠席との御連絡を頂戴いたしております。

 さらに、堀江専門委員は遅れて御出席いただけるという御連絡を頂戴していることを御報告申し上げておきたいと思います。

 それでは、議事に入ります前に、事務局から出席者の御紹介と資料の確認をさせていただきます。事務局、よろしくお願いいたします。

○総務課長 それでは、事務局からの出席者でございますが、お手元の座席図のとおりとなっておりますので紹介にかえさせていただきます。

 続きまして、お手元の資料でございます。確認をしたいと存じます。本日の配付資料について御説明を申し上げます。

 まず、本日の議事ではございませんが、前回の年金部会で御議論をいただきまして部会長に御一任をいただきました「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を皆様のお手元に置かせていただいております。

 続きまして、本日の議事に関しまして、資料1といたしまして「年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班報告(議論の要約)」。

 続きまして、資料2といたしまして「年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班における意見(未定稿)」。

 続きまして参考資料、それから柿木委員、花井委員からの御意見の提出資料を配付させていただいております。

 また、お手元にファイルが2つあるかと存じます。第1回から第6回までの検討作業班の資料、それから議事録を少し薄い方のドッジファイルに用意をさせていただいております。よろしく御確認をいただきたいと存じます。

○神野部会長 資料のほうはお手元で御確認いただけましたでしょうか。

 それでは、恐縮でございますが、カメラの方々にはここにて御退室をお願いできればと思っております。御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○神野部会長 それでは、ただいまも事務局のほうから御紹介がございましたが、議事に入ります前に、前回の年金部会で私に一任いただきました「社会保障審議会年金部会における議論の整理」につきまして、資料のほうをご覧いただければと思います。御一任いただきましたので、事務局と相談の上、修正をさせていただいております。

 事務局から、ここにつきまして御説明いただければと思います。

○年金課長 では、お手元の資料に沿いまして、修正点のみ御紹介をさせていただきます。

 まず2ページ目の中ほど、1で「労働参加の促進とそれを通じた年金水準の確保」の中で、就労の機会の拡大ということに合わせて安心できる就労という趣旨を盛り込んだほうがよいのではないかということで、原委員より御意見を頂戴いたしました。それで、いろいろ考えたんですけれども、年金が特に適用拡大等々によりましてどのような働き方を選択しても安心して働くことのできる基盤となると、そのような要素をつけ加える形で反映をしたいと考えた次第です。

 続きまして、3ページ目です。基礎年金の調整期間の長期化、あるいは相対的に水準が大きく低下をしていくということに関して、「相対的に」というのは何と比べてという部分が抜けているのではないかという御指摘が駒村委員よりございました。これは部会の場でも一昨日、御説明させていただきましたが、基礎年金の調整期間が報酬比例部分に比べて長いということ、あるいは平成16年の財政再計算結果と比べても調整期間が長くなっているという趣旨を説明させていただきましたが、その趣旨を書き込んだ次第でございます。

 続きまして、4ページ目です。「適用拡大に関する大きな方向性」、中ほどからやや下の部分でございますけれども、ここに「労働参加の促進に向けた社会全体の取組を進めていく中で」というふうに追記をいたしました。これは山本委員より、適用拡大と積極的な労働市場への参加というのをある意味セットで考えるべきではないかという御意見を踏まえた修正ということでございます。

 続きまして、ページは飛びますが17ページ目、「年金制度内における再分配機能の強化」というところの最後の部分でございますけれども、年金だから必ず保険料が給付に紐付いていなければならないという、この「紐付く」という言葉のニュアンスがやや不明瞭というか、わかりにくいのではないかということでございまして、あの場でも御説明申し上げましたが、納付した保険料が全て比例的に給付の算定基礎となるというふうに、定義に厳密に整理をさせていただいております。

19ページ目、第3号被保険者の記述の中で、第一義的に適用拡大を進めていくということですが、合わせて縮小や見直しというものを並行して進めるというニュアンスを入れ込むべきではないかという御意見を武田委員より頂戴いたしました。これに関しましては、適用者保険の適用を進めつつ、「第3号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを踏んでいくことが必要である」というふうに反映をさせていただきました。

 それから、最後の部分になりますが、25ページ、合わせて一昨日報告をいたしました企業年金の関係で、公的年金のレポートに関しても企業年金との関係を記述すべきではないかという御意見を菊池委員、駒村委員のほうからいただいたところでございます。ここは、企業年金部会の報告も踏まえまして、最後に「本部会における」という段落を追記させていただく形で整理をしたいと思います。

 簡単に読み上げます。「本部会における公的年金制度の課題と並行して、新設された企業年金部会において、中小企業への普及・拡大やライフコースの多様化への対応など企業年金制度等の改革についての議論が行われた。年金制度の持続可能性と年金給付の十分性をいかに両立させるかについては、先進諸国共通の課題となっているが、いずれの国もこの矛盾する課題の解決策として、就労期間の長期化とともに私的年金等の自助努力の奨励の拡充に取り組んでいる。今後は、これまで述べてきた公的年金の課題への対応とともに、公私の年金を合わせて老後の生活保障をどのように確保していくかという観点からの検討も求められる。」

 以上、部会長と御相談をさせていただいて、加えました修正点について御報告を申し上げます。以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 この件につきましては、私に御一任いただいた件でございますので、これにて御承認をしていただいたということにさせていただきたいと思いますが、御質問があれば承りますが、よろしいですか。

(委員 異議なし)

○神野部会長 それでは、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは、議事のほうに入りたいと思いますが、お手元に議事次第がいっているかと思います。御照覧いただければと思いますが、本日の議事は「年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方について」という議題を設定させていただいております。

 御案内のとおり、年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方については検討作業班のほうで、正式に言うと年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班において議論をしていただいて、それを本部会のほうに御報告を頂戴するということになっております。検討作業班のほうで精力的に議論をしていただいた上で、議論の要約を作成していただいたということでございますので、検討作業班の座長でいらっしゃり、本年金部会長の代理でいらっしゃる植田部会長代理のほうから御報告をしていただくということにさせていただきたいと思いますが、それに先立って事務局から検討作業班の議論に際して提出した資料を参考資料としてお配りしているかと存じます。

 これについてまず御説明をしていただいた上で、植田部会長代理に御報告いただければと思っておりますので、森参事官のほうから御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○大臣官房参事官(資金運用担当) 今、部会長からございましたように、座長の御報告に先立ちまして事務局のほうから参考資料でございますが、報告を聞いていただく前にちょっとお話させていただきたいと思います。

GPIFのガバナンスの在り方につきましては、本年金部会におきまして8月20日に検討のアジェンダとして御了承いただきまして、1015日にこの部会におきまして御検討いただいて、そのときには厚生労働大臣も同席させていただきましてご検討いただいた結果、本体等の審議もございますので今、部会長からございましたように別途検討作業班を設けてという形で審議することになりまして、11月4日に作業班の体制等につきまして年金部会で御報告させていただいたところでございます。

 また、11月4日、同日でございますが、この検討作業班につきまして立ち上げまして、その際も厚生労働大臣に同席させていただきまして「精力的に議論を願いたい。」ということで挨拶差し上げたところでございます。

 その結果、この作業班につきましては、御参加いただいた委員、専門委員の方々には非常に恐縮でございますけれども、ほぼ毎週という形で御審議いただきまして計6回、1217日まで御議論いただいたところでございます。その際に事務局のほうで出させていただいた資料を参考資料として取りまとめたものでございまして、本部会でもいろいろと説明したところでございますので、なるべく重複を避けて簡単に説明させていただきたいと存じます。

 めくっていただきまして、有識者会議の報告書でございます。これにつきましては、何回か当部会でも御説明差し上げました。

 2ページでございますが、この報告書につきまして、運用についてはデフレからの脱却を図り、適度なインフラ環境に移行しつつある我が国経済の状況を踏まえれば、国内債券を中心とする現在のポートフォリオの見直しが必要。新たな運用対象を、分散投資を進めることを検討すべきという提言がございました。

 それに合わせましてガバナンス体制の強化という話がございまして、特に3枚目の右でございますけれども、「GPIFに係る改革の工程表」ということでございますが、2でございまして、運用の見直しとリスク管理を含むガバナンス体制の見直しをセットで実施することが重要ということが言われてます。

 それで4ページ目でございますが、これにつきましては、作業班の初回に有識者会議の座長でございまして本作業班の座長代理として指名されました伊藤先生のほうから御説明がございまして、GPIF、「目指すべきガバナンスの仕組み」ということで、特にパターン2、担当大臣はこの新たな組織に対して中期的な運用目標・リスク許容度を提示し、報告を受ける。この組織におきましては理事会と執行を分離し、理事会が意思決定をし、CIO等その他役員が執行し、そのCIO等につきましては理事会が任命する。そして、理事会と執行部というのは兼ねない。 そして、注でございますけれども、「理事会本体は基本ポートフォリオ・運用対象等の基本的事項を審議・決定し、より具体的な運用計画・実施方針等については、一部の理事等で構成される投資委員会が審議・決定する仕組み。なお、投資委員会のほか、リスク管理委員会・ガバナンス委員会等の設置についても検討」ということが御提言として示されている旨、御説明いただいたところでございます。

 それで、その次に、6ページ目以降でございますが、現行のGPIFのガバナンス体制がどうなっているかということにつきまして、事務局として御説明差し上げたところでございます。現行のガバナンス体制につきましては、左の図でございますけれども、これは独立行政法人でございますので

厚生労働大臣が年金制度の設計・年金財政の検証をいたしますが、一番下の箱でございますが、理事長が独任制ということで基本ポートフォリオ等に係る最終的な意思決定、執行を行う。

 ただ、これは普通の独法と違い運用委員会というものがございまして、経済・金融に関して高い識見を有する者等を委員とし、非常勤で月1回程度の開催でございますが、設置されているということで、厚生労働大臣、運用委員会、理事会がどのように意思決定にかかわるか等につきまして御説明差し上げたところでございます。

 8ページは、先ほどの有識者会議におけるところのガバナンスの仕組みでございますので飛ばさせていただきまして、9ページがGPIFにおける独立行政法人におけるところのリスク管理です。GPIFにおきましても、理事長のもと業務の有効性・効率性の確保、法令等の遵守の体制、損失危機管理体制ということで各種会議を設けて実施している。監事なり、独立行政法人評価委員会、運用委員会、年金部会ということで実施している体制等につきまして御説明差し上げたところでございます。

 めくっていただきまして10ページでございますが、1031日に基本ポートフォリオの変更をした際に、運用委員会からガバナンス体制の強化についてさらに建議がございまして、「内部統制の強化」ということで運用委員会のもとにガバナンス会議を設置する。もしくは、「投資原則」「行動規範」を設置する。コンプライアンスオフィサーを新設する。「リスク管理体制の強化」ということで、よりマクロ経済分析や市場予測、ALMといいますか、運用資産と年金給付の一体分析を行う。リスクにつきましては、単純にトラッキングエラーとかだけではなく、複線的なリスクを管理するものと専門人材の強化について建議し、GPIFが取り組んでいる旨、御説明しております。

 他方、11ページ目でございますが、仮に理事会等を設置しますと、どんな組織が我が国の公法人制度であり得るかということで幾つか紹介いたしました。

 1つは12ページでございますが、NHKです。これは、、別途、経営委員会というものを設けまして、そこが基本方針、会長以下を選任する。経営委員会と役員等については兼任しないという形です。

 または、日本銀行ということで13ページでございますが、政策委員会ということで、これは執行部である総裁なり副総裁も加わって通貨及び金融の調節に関する事項等の決定、もしくは日本銀行の業務等について実施するという形です。

 また、別途、株式会社に特別の権能を与えるということでございまして、14ページでございますけれども、日本郵政株式会社ということで、先ほど申しました有識者会議にある委員会設置型会社にかなり近いような形のガバナンスについても御説明したところでございます。

 また、作業班におきましては15ページ目以降でございますが、「諸外国の年金基金のガバナンスについて」もさらに詳しく御説明したところでございます。

16ページ以下、一回年金部会でも御説明しておりますが、オーストラリア、オランダ等の例も含めまして、ガバナンス体制につきまして御説明差し上げたところでございます。

 ぱらぱらと見ていただきまして20ページでは、年金基金につきまして国際的にはどのようなガイドラインがあるかということでOECDのガイドライン、これは一度年金部会でも御説明いたしました。

 さらに、21ページにISSA、国際社会保障協会ということで社会保障基金等も含めた国際機関でございますが、そこのガバナンスということで、OECDのガバナンス等について共通の部分も多いけれども、投資目的に典型的にいろいろ重大な違いがあるので、若干違いがあるというところにつきましても作業班で御説明した次第でございます。

 さらに23ページ以下でございますが、今回の場合はガバナンスということで年金基金内部の構造が重要であるということでございまして、諸外国の年金のガバナンスにつきましても個別でございますが、カルパース、カナダの公的年金でございますCPPIBを例に出しまして詳しく見ていただいたところでございます。

 特に理事会の構成メンバーということで、カルパースというものでございまして、ここは加入者代表、州政府、州政府は雇用者という立場等もございますけれども、そういう形で13人の理事で、非常勤で構成している形です。

 そして、そこの意思決定・監督機関ということで24ページでございますけれども、理事会の下に各種の委員会、投資委員会、ここは給付業務もやっていますので年金・医療給付委員会というものがある。ただし、投資委員会というのは理事会とほぼメンバーが一緒でございまして、基本的に月1回、理事会を実施している形です。

 あとは、理事会と各委員会につきまして専決事項がどうなっているか。カルパースにつきまして、25ページです。

 それで投資委員会、まさに今回GPIFは投資専門でございますが、投資委員会には一体どういう権限が委譲されているかということで、投資リスクの選好とか許容度の設定とかにつきまして、御説明差し上げたところでございます。

 あとは、カナダの年金基金につきましてCPPIBでございますが、ここの理事会の構成メンバー、こちらはカナダのさまざまな地域からの代表ということに加えまして、金融等の能力を持つものが十分確保されるよう指名された12名の理事ということでございまして、メンバーでございますけれども、カナダはオンタリオ州というのが非常に人口が多うございますので、人数的に12名の中にオンタリオの方は結構入っておりますが、見ていただきまして、金融の方、弁護士の方、保険会社の方のほか、今の理事長につきましては8番、女性の方でございますが、国際的な精神疫学の権威の方がやっている旨理事会構成について御説明したところでございます。これも、全員非常勤でございます。

 カナダのユニークな例としまして28ページでございますが、この理事会のメンバーを構成する場合、これは州と連邦の共同制度でございますので、州と連邦の財務大臣のほうでそれぞれ1名の委員を指名して指名委員会というのを組織しまして、それで決定するという仕組みについて御紹介したところでございます。

 また、カナダのCPPIBにつきまして理事会と各種委員会につきまして、これも投資委員会は理事全員で構成されるのですが、監査委員会なり人事報酬委員会、ガバナンス委員会ということで、理事会は年6回、各委員会は年3回〜6回開催される頻度等、また30ページにおきまして理事会の専決事項等について見ていただいたところでございます。

 このような資料を説明いたしたところ、委員の方々からも議事の中でいろいろ資料のお求めがございました。

 1つは32ページでございますが、諸外国の年金制度で、運用で損失等が出た場合に例えば給付と調整している例がないかということで、カナダなりスウェーデン等の例について御説明させていただいたところでございます。

 あとは、33ページは仮訳が34ページでございますので日本語のほうを見ていただければよろしいと思いますが、公的年金積立金の国際的な状況は一体どうなっているかということでOECDの資料でございますけれども、多い順に額なり、GDPへの割合について御説明差し上げたところでございます。

 また、35ページ以降、これもめくっていただくと36ページに仮訳がついていますが、まさに諸外国の公的年金の理事会等におきましてどういうふうな特徴があるかということで、世界銀行の補助金を受けてある研究者の方がつくった資料を見ていただいたところでございます。 構成人数につきましては独任制もありますが、合議制のところが多く、代表につきましては政労使の三者構成のところも多うございますが、例えばオーストラリアとか、カナダとか、ニュージーランドとか、英国連邦系でございますけれども、よりメンバーの専門性が強くて独立性が高いような公的年金もあらわれているという姿につきましてご覧いただいたところでございます。

 また、37ページでございますけれども、国民の説明責任ということでユニークな例ということでございまして、カナダのCPPIBにつきましては矢印の下から2つ目でございますが、ここに加入します9つの州で一般国民向けに新聞紙上で参加を募りまして公開ミーティングを開催し、CEO、最高責任者が自ら出向いて投資方針などについて直接国民に語りかけ、質問を受ける機会をつくっている例について御説明したところでございます。

38ページ以降は年金部会で御説明したことがあるかと思いますが、年金積立金の管理運用につきまして、自主運用が始まったときからどのような形で推移してきたか、各種報告書について、40ページまではお求めに沿いましてもう一度御説明差し上げたところでございます。

41ページにつきましては受託者責任、これはやはり被保険者のためということで重要だということでございまして、米国における例、エリサ法におけるものです。エリサ法は企業年金で適用されるのですが、労働省通知で密度の高い規定がなされている。他方、州の基金におきましては、各基金等でガバナンスをやっているケースが多い。

 条項自体につきましては、エリサ法の条項、忠実義務と慎重な専門家の注意義務というものがございますが、それは44ページ以降でGPIFの現行の理事なり、理事長にも法文的には同じようなルールが適用になっているということで御紹介差し上げたところでございます。

 また、49ページ以降につきましては被用者年金の一元化との関係ということで、委員から資料要求がございました。

 被用者年金につきましては申すまでもなく、今年度の10月からGPIF、国共連、地共連、私学事業団ということで、運用につきましても同じ基本方針で、同じモデルポートフォリオで運用するということで、そのような関与の仕方がどうなるかということで50ページ、51ページで御説明し、それぞれ各共済のガバナンスについてどうなっているかということで御説明いたしました。国共済、地共済、日本私学事業団につきましては意思決定機関のところですが、運営審議会ということが別途設けられて、委員の定数のうち半数は組合員を代表するものでなければならない等、そういう特色のあるガバナンスについて御説明したところでございます。

 以上、資料はこのバインダーで分厚いんですが、重複のないエッセンスみたいなものについて御説明させていただきました。

○神野部会長 どうもありがとうございました。議論を生産的に進めるためにも作業班、検討作業班の議論に際して提出した資料について参考資料として御説明を頂戴いたしました。

 それでは、それを前提にしながら、検討作業班の座長でいらっしゃる植田部会長代理からおまとめいただいたものについて御報告いただければと思います。よろしくお願いします。

○植田部会長代理 それでは、私から資料1に基づいて御説明させていただきます。

 今、御説明がありましたように6回の会議を開いたわけですが、なかなか難しい問題で、議論も難航を極めまして、取りまとめもなかなか大変でございました。この資料1は、そういう意味で合意できた点と、意見が対立して合意できず残った点のうち、主なものをまとめたものでございます。

 1つ申し上げれば、きょうの冒頭で、おとといの取りまとめについておととい出た意見を非常にきめ細かく修正して取り入れられているということがございましたが、この資料1についてはそういうところまで至っておりません。ですので、とりあえずの要約でありますし、今後の議論のたたき台というような性格のものであると理解いただければと思います。それで、これを読み上げてもいいんですが、時間がもったいないということもありますので、この議論の要約のまた要約を私からさせていただきたいと思います。

 まず、GPIFのガバナンス改革の理由ないし背景ということについて委員間でどういう見方になったかということでございます。これはもちろん、公的年金の積立金は年金の加入者、あるいは現在から将来にかけての被保険者のものであって、そういう受益者の利益に沿わないようなことが起こるというリスクをなるべく低くしたい、最小化するというようなガバナンス体制が望ましいという考え方でございます。

 より具体的には、運用に対して過度に短期的、あるいは恣意的な政治的な介入、例えばよく言われるPKOのようなものが起こらないようにすることが望ましい。あるいは、GPIFの内部で運用していく際に不適切、不必要なリスクテイクが行われる。あるいは、不正行為が行われる。こうしたことも起こらないことが望ましいというようなところが議論の出発点でございます。

 こうしたリスクをなるべく小さくするためには、ガバナンス体制としては現在のような一人で理事長が決める独任制よりも複数の理事による合議制、あるいは意思決定、合議制が望ましい。同時に、意思決定や監督と執行の適切な分離が望ましい。この2点が、この作業班で特にはっきりと大体の合意ができた点ではないかと思います。

 その上でもう少しつけ加えますと、その前に1つ注釈のようなことを申し上げますと、今のような配慮をどの程度徹底するべきか、することが望ましいのかという点は議論にもなったんですが、実はGPIFの運用の在り方はどのようなものであるかということと非常に密接に関係している。どの程度の分散投資が行われるのかということと密接に関係しているということでありまして、これは多くの人の感じであったわけですが、必ずしもこの点に踏み込むことがこの作業班のマンデートとも思いませんでしたし、時間もございませんでしたので、この点については今後の課題ということで残ってございます。

 合議制にすることがよろしいと申し上げた理事会の基本機能のところでどういうことをすべきかということですが、これは資料1では2ページ目の第2節のところになりますが、時間の関係で細部までは残念ながら煮詰まらなかったということでございます。

 ただ、大まかなところを申し上げますと、現在のGPIFの運用委員会で審議されている事項の多くは引き続きこの理事会で審議されるが、大きな違いはそれが決定事項になるものが多いということかと思います。それから、現在と比べて重要度が増すのが執行部に対する監督・監視の機能、あるいはそれに関連した議論ということだと思います。その中に執行部、幹部の任命も理事会が行うのが望ましいということが皆さんの御意見だったかと思います。

 それから、若干予算的なこととの関係で議論になったのが、組織全体としてどれぐらいのコストをかけるのが望ましいのかという点であります。ここは意見が分かれまして、コストは少々かかってもその結果パフォーマンスが上がればよろしい。つまり、パフォーマンスからコストを引いたネットのパフォーマンスでこういう議論は判断すべきであるという意見が一方にあり、他方に、そうではあっても絶対水準としてのコストを抑制するという視点を持つことも大事であるという意見もございました。

 それから、先ほどの事務局の資料の中に出てまいりましたが、諸外国の例では、理事会は意思決定に当たって投資委員会その他の小委員会を活用するというケースも見られる。これについても若干議論したわけですが、小委員会をつくるとしてどういう機能を持たせるか。理事会の補助機能にとどまるのか、あるいは理事会の機能の権限を一部委譲したものとするのか。もう一つ議論が煮詰まらずに、これは今後の課題であるというところでございますし、こういうものは必要ないという意見もあったということをつけ加えさせていただきます。

 一番議論が白熱したのは、第3節の「理事会、執行部の構成・任命」のところでございます。合議制の理事会ですから、理事が複数選ばれるということになるわけですが、どういう人をどのように選ぶかということでございます。

 まず、理事に求められる能力という点が一つ議論されました。これについては、資金運用に関する専門性を重視すべきだという意見もあったわけですが、より広く経済や金融、あるいは年金、年金制度についてのさまざまな知見、さらには組織運営の能力といったことも加味して専門性を評価すべきであるという意見が多く展開されたように思います。さらに、年金制度に対するステークホルダーの意見を尊重すべきであるというのも大勢の意見だったかと思います。

 ただし、これをどのように担保すべきかという点についてはいろいろな意見がございました。例えば、労使双方から1人ずつ理事会に入るというような意見もございましたし、あるいはもっとたくさんのメンバーを労使から出すべきであるという意見もございました。そうした場合も、今、述べました理事に求められる能力、適切な資質を持った人を選ぶべきであるという意見もございました。

 選定プロセスについては、最終的には厚生労働大臣が任命し、したがって解任権もあるという意見が大勢であったわけですが、ただ、その任命等のプロセスを透明化するために何らかの指名委員会のようなものをつくるべきではないかという意見もございました。

 ただ、この場合、どういうふうにつくるのが望ましいのかという点については、もう一つ具体案が煮詰まらなかったというところでございます。

 それから、引き続き理事会等の構成でございますが、監督と執行分離するという観点から執行部が理事となれるかどうかという点について、かなりの時間が割かれて議論が行われました。一方に、両者を分離するという観点から執行部は理事になるべきでないという強い意見がございました。他方に、執行部が理事会に入っていないと意思決定そのものに必要な情報が理事会に十分上がらない。あるいは、有効な対外説明ができない。組織のシンプリシティーという観点から、両者を無理に分離しているということに問題があるというような見方から、執行部がある程度理事会に理事として入るということもあり得るのではないかという意見もございました。あるいは、入っていたほうがいいという意見もございました。

 これは対立のままだったのですが、一応簡単な採決を作業部会の中でとった結果によりますと、両者の中間の案ですが、執行部からCEO1人は理事会に理事として入ってもいいのではないかという案が一応最多得票であったということを申し添えます。

 最後に、新しいガバナンスのもとでのGPIFの「政府との関係」というところでございます。これについてもいろいろな意見がございましたが、1つの大きなポイントは、これまでのように財政検証を政府のほうできちんとやって、それに基づいて目標利回りと許容リスクを政府は決定するわけですが、そのプロセスにGPIFが自ら考えている運用に伴うリスクリターンのトレードオフをちゃんと示して、それをもとに政府に利回りとリスクを選んでいただくということで、運用を年金制度全体の中に位置づけることが重要であるというのが、これも大勢意見でございました。

GPIFが選ぶ基本ポートフォリオについてですが、これは政府に対してはどういう関係になるかという点について報告制でいいという意見もございましたが、大勢は承認ないし認可制とし、ただし不承認の場合には、厚労大臣が不承認という決断をくだす場合には理由を公表すべきであるという意見が大勢でございました。

 あとは、予算についても基本ポートフォリオと基本的には同じという意見が多かったということでございます。

 私からは以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。おまとめいただいた植田座長に心より敬意を表するものでございます。また、検討作業班の委員の皆様の御苦労に対しても感謝を申し上げたいと思いますが、検討作業班の委員の方々から補足で説明していただくことがございましたら承っておきたいと思います。

 さらに、冒頭事務局から御紹介がありましたように、柿木委員、花井委員から提出資料がございますので、これも御参照いただければと思います。

○植田部会長代理 冒頭に申し上げましたように、全ての意見を私の要約の中に書き切るということはできませんでしたので、少数意見も含めてさまざまな意見を要約してポイントを書いた資料を事務局に用意していただきました。これが、資料2になってございます。それだけでございます。

○神野部会長 ありがとうございます。

 では、どうぞ、補足説明をお願いいたします。

○花井委員 本日、柿木委員が欠席ということで阿部常務理事が参考人として御出席されておりますが、私から説明させていただきたいと思います。

 年金部会から柿木委員と私が検討作業班に入らせていただきまして、その中で述べてきたことの意見が十分に反映されていないのではないかということで、改めまして労使共通の考え方について述べさせていただきたいと思います。短く御説明したいと思います。

 まず「1.背景」のところでございます。冒頭に、公的年金積立金の運用は公的年金制度の一部であり、その目的は「専ら被保険者の利益のため」にほかならない。そして、GPIF法第3条の法文を考え方の基本原則として記載してございます。

 そして、アンダーラインのところです。このように、今後も公的年金積立金の運用が年金財政・制度を補完する取組みである以上、運用に係る最終的な責任が厚生労働大臣にあることを大前提にした運用組織の見直しを行うべきではないかということです。

 さらに、その下のところです。運用執行を監督・監視する局面で、被保険者の代表の意思が確実に反映されるガバナンス体制を構築すべきであるということ。

 そして、その下のところです。運用の在り方は検討作業班の議論の対象とはならなかったわけですが、専ら被保険者の利益のために、他事考慮せず、最低限のリスクで年金財政上必要な運用利回りを確保するための運用を行うことにとどまらず、市場の価格形成や民間の投資活動等を歪めないこと、さらに民間企業の経営に直接影響を与えないこと等、運用に当たり遵守すべき基本的事項に関する従来の政府方針は堅持すべきであるということです。

 次のページに移りまして、「合議制機関のあり方」でございます。(1)の2行目の右のほうです。現行の理事長による独任制よりは、複数メンバーが相互に牽制しながら意思決定する合議制のほうが、政治的介入をできるだけ回避する観点からも望ましいと考えるということです。

 (2)の2行目でございます。合議制機関の存在そのものを形骸化させる懸念を払拭できない以上、各種委員会ということが提案されておりましたが、設置には反対であるということです。

 (3)のところです。運用結果の国民への説明責任が厚生労働大臣にあることは当然であり、合議制機関と執行部もそのために必要な説明責任を果たす必要があると考えます。

 (4)のところは、強制徴収した保険料の一部が運用原資である以上、費用控除後の収益拡大を図る観点だけでなく、執行部の規模・報酬を含む運用に係る費用抑制の努力も当然行うべきであります。

 2.は「合議制機関の構成」ということで(1)のところです。多様な知識・経験を持つ人材から構成されるべきであるということで、資金運用に関する専門性のみ重視することは適切ではないと考えます。

 次のページにいきまして、(2)でございます。被保険者から強制徴収された保険料の一部である以上、労使をはじめとする被保険者の代表が合議制機関に入ることは当然であるということ。現行GPIF運用委員会での被保険者の代表、これは実際には労使団体によって推薦されておりますが、各1名となっております。この人数のままでは少な過ぎ、被保険者の代表がより多くの人数を占めるべきであると考えます。

 (3)は、合議制機関に限らず、執行部にも共通して、運用組織の役職員は専ら被保険者の利益のために高い職業倫理に基づき行動すべきであるということで、資金運用等の専門家が常勤で運用組織に入る場合ということで守秘義務等々について記載したところでございます。

 3.が「政府との関係」ということで、合議制機関の人事権を有するだけではなく、基本ポートフォリオの決定やGPIFの予算に関して、厚生労働大臣の認可を要するのは当然であると考えます。

 (2)は、年金財政全体のリスク管理の観点から、厚生労働大臣が特に必要であると認めた際、GPIFに対して必要な措置を要請できる規定をあらかじめ設けるべきではないかと考えます。

 最後に、「なお」ということで、公的年金制度の収入の柱は保険料であり、積立金運用に過度な期待をかけることは、責任ある対応とは言えないとしています。

 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○神野部会長 柿木委員代理、どうぞ。

○阿部参考人(柿木委員代理) 柿木の代理でございます。柿木と花井委員の連名ということで、先ほど花井委員から御説明ございました資料を出しておりますが、2点ほど追加でございます。

 まず1点目は、本来運用に係る組織のガバナンスの議論をする大前提として、そもそもどういう運用をするのかという議論がなされるはずだったのですが、いかんせんガバナンスの在り方に関する検討作業班ということでありました。そういう意味では、運用がこれからどうあるべきかということについては詰められた議論になっていないわけでありますので、そうであればということでありますが、今までの運用に関する基本的な考え方は変わらないのだろう。これは、1ページ目の下のほうのなお書きの部分でございます。

 それからもう一つ、やはり一番気になっておりますのは、一体誰が責任をとってくれるのかということでありまして、これは仕組み上からいっても制度上からいってもやはり厚生労働大臣が年金制度の責任を持つという中でこの運用の在り方、あるいは組織についても責任を果たすべきだということでございます。年金の運用というのは、年金制度の枠組みの中で果たしていくべきというのがお願いでございます。以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございました。

 出口委員、どうぞ。

○出口委員 私も作業班に入っておりましたので少し意見を申し上げさせていただきたいと思いますが、すごく難しい問題を植田座長がきちんとフェアにまとめていただいて大変ありがたく考えております。

 議論の中で感じたことを申し上げますと、私はガバナンスという言葉に大きく3つぐらいのガバナンスがあると考えております。

 まず1つは、このGPIFというのは何であるのか。それをどのようにガバナンスしていくのか。これは、政府とGPIFの関係と言いかえてもいいのですけれども、そういう大きいガバナンスの問題がまず1つあると思います。その中でたまたま先ほどは御紹介されませんでしたけれども、1つ大きな違いは、個人のお金と公的基金はリスクをとることができる。民間はリスクをとることができない。それをとるべきだという御意見がありました。

 これは、私も資金運用という観点のみで考えれば個人と公的年金、公的資金はリスクをとることができる。民間は、今のBISのもとではとれないということはよく理解できるのですが、とるべきかどうかということはそれとは全く違う問題である。今の年金制度の枠組みの中で、リスクをとるべきだというベースに立って議論をするのかどうかということは大変大きな問題であると考えておりまして、まずこの位置づけが大事だ、政府のこういう仕組みの中で公的資金の位置づけをどういうふうにとらえるのかという大きいガバナンスの問題が1つあると考えております。

 作業部会は、後から申し上げます新しいGPIFのガバナンスのことを議論したので、そこは部会長代理からもお話があったようにそれほど詰まった議論はできなかったと思いますけれども、ぜひこの年金部会の中では、リスクをとることができるということと、とるべきかどうかという、そこの本質論はきちんと議論をしていただきたいと個人的には思っております。これが、第1点です。

 第2点は、法律改正で新しいガバナンスの仕組みができるということは大変望ましいことだと考えておりますけれども、現行で既に運用の多様化は進んでいるわけです。そうであれば、法律改正まで待たずに今の状況の中で、例えば株式のウエートも飛躍的に増えているわけですから、きちんとガバナンスが利いた仕組みができているのかどうかということは、現行のGPIFのリスク管理等の在り方については事務局からも御説明をいただいたのですけれども、本当にそれでいいのかどうかというのをきちんとモニタリングしていく必要があると思います。現行のGPIFのガバナンスは大丈夫なのかということは、やはり年金部会としてもきちんと見ていく必要があるのかなと思いました。これが、2つ目のガバナンスです。

 3つ目のガバナンスは、まさに作業部会で議論をした、植田先生に御苦労いただいてまとめていただいたこの仕組みです。この仕組みについて、植田先生のほうで一番議論が分かれたのは執行部が理事会に入るかどうかという点だという御指摘もありましたけれども、でもこの問題も最終的には最初に申し上げた公的な資金でどんどんリスクをとっていくべきだと、シュッドの議論に立つのであれば、例えばやはり理事会と執行部の分離ということも出てくると思いますので、この議論も実はその最初の価値観からかなり影響を受けていると私自身は思います。

 私自身は、日本銀行と同じように執行部と理事会のメンバーを兼ねるのが望ましいと考えています。その一番大きい理由は、今のGPIF100人前後の規模ですから、そこに執行責任を持たない理事が3名ぐらいはいつも常駐するという御意見が多かったのですけれども、それはどう考えてもやはり税金の無駄遣いではないか。日本銀行もきちんとワークしているので、私は小さい政府という観点からもそのようにに申し上げたのですけれども、この問題も最初に申し上げた大きいガバナンス、ここの延長線上でどういう組織が望ましいのかという結論がちがってくると私は感じました。

 それが参加させていただいた感想ですけれども、本当に植田先生にはフェアにまとめていただいて大変ありがとうございました。感謝を申し上げたいと思います。以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私もこの作業検討班に入らせていただいておりましたので、一言だけ申し上げたいと思います。

 今、出口さんからもお話がありましたように、今回いろいろな意見があったわけですけれども、植田先生のほうで非常に適切にバランスよくまとめていただいたということで、私も感謝しているところでございます。

 ただ、議論自体は、実はなかなか意見がまとまらなかった部分も多かったし、具体的な組織とか体制といったようなことについてはあまり踏み込んだ議論ができなかったということで、そういう意味ではちょっと残念なのですけれども、基本的に必要な部分については十分まとめていただいたと思っております。

 私自身は、このまとめ等を改めて拝見して思いますことは、理事会と執行部を対立概念で考えるといったお話もございましたけれども、全体として見た場合には基本ポートフォリオをどう決めるかというのが、これは釈迦に説法でございますが、これがパフォーマンスの8割、9割を決めてしまうといった先行研究もあるわけであります。そういう意味では、今後は理事会で決める基本ポートフォリオといったものの持つ意味というのが非常に大きくて、被保険者、受給者の立場から見た場合には、年金のパフォーマンスというのは実は理事会の決定によって規定されているといっても過言ではないと思うわけです。ですから、そういう意味で理事会というものの役割というのが非常に大きいなといったことを改めて感じている次第でございます。

 ちょっと感想めいたコメントになってしまい恐縮ですが、あとは今日の柿木委員と花井委員とが連名で出されている資料ですが、これはちょっと私も驚きまして、労使で連名で出された書類というのはこの年金部会ではあまり見た記憶がないのですが、この中で特に私も作業班で申し上げたことが指摘されています。それは費用抑制の部分です。日本年金機構をはじめ、年金にかかわる業務組織というのはいろいろとあるのですが、それらのほとんどは税金でもってその経費が支出されているのですけれども、GPIFについてだけは経費は運用収益の中から払うような仕組みになっている訳です。もともと運用収益というのは当然受給者、被保険者に帰属するものでありますから、それも年金の財産の一部であるのですが、そこからGPIFの費用はいろいろなと支弁されているわけです。

 今日の議論の要約でも予算の決定に際してはネットのパフォーマンスで考えるということが書かれており、もちろんそれはそれで正しいんですけれども、その基本としてやはりこのお金が一体誰に帰属しているものかといったことを常に意識して、その使い方については厳しい目で見ていくことが必要だと思いますので、私はこの連名で書かれている文章の中で、なるほどと同感しておりまして、費用抑制についての努力を行うべしというのは非常にごもっともなお話であるなと拝見しておりました。以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。

 岩間委員、どうぞ。

○岩間委員 岩間でございます。植田先生にまとめていただいて、私も非常によくまとめていただいたと感謝いたします。

 幾つか私の感想を申し上げたいと思いますが、リスクを過度にとるということが妥当なのかどうかというのは、どういうリスクが適量なのかということに絡んでくると思います。現実に、先ほども出口委員がおっしゃいましたけれども、ポートフォリオはかなり変わっておりまして株式の比重が多くなっている。あるいは、新しいアセットクラスにも検討が及ぶということになりますと、それはとりも直さず、もちろんリスクは計測されておりますけれども、リスクはとっているということでありまして、そのリスクをどうやってきっちりとマネジメントできるかというのが今の体制でいいのかどうかということになってくる。それがこの議論の私どもに課せられた課題の一つであろうと、私は認識して参加させていただいたわけでございます。

 それで、実際にそのときにもちろんそのマンデートをどう決めるかということについては、国の年金でございますし、国の年金であっても受給者サイドも拠出をしている。国の負担もあるという中で、最終的に受給者の利益が最大化することが大事であるということは理の当然で、そういう観点は皆さん共通の認識でいらしたと私は思いますが、そのときにどうやったらしっかりとリスクマネジメントができるのか。そのときに、理事会の役割と執行部の役割というのをどういう具合にバランスさせるのか。チェックアンドバランスをどうとったらいいのかというのが議論だったと私は思います。

 そういう意味でいうと、今の独任制よりは合議制のほうがよかろう。執行と監督を分離させるのがいいだろう。これは、基本合意だったと私は思うんです。ですから、運用の効率化というのをどういう面で図るのか。パフォーマンスがよければいいとするのか。コストが最小化されればいいとするのか。あるいは、必要なコストを与えるとして、それがネットでいいものが出てくる。しかも、持続的に担保できるようなものが出てくるということにどうしたらいいのかということがある。

 その意味でいいますと、いろいろな御意見はおありだったと思いますが、私はやはり分離をしてチェックアンドバランスが有効に効くという形をとるのが必要なんじゃないかという観点で議論に参加させていただいたということでございます。

○神野部会長 菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 2点ほど申し上げたいと思います。もちろん、私ども作業班の意見というのは全ての面で全員一致したわけではありませんが、むしろ私の認識としては、かなり重要な点においては作業班のメンバーの間での合意が見られたという印象を強くもっています。

 例えば、合議制の理事会を設置することについては、先ほど植田座長のほうからお話がございましたように合意があったと思います。それと、以前に、かなりのメディアで誤解があるような記事を私は拝見いたしましたけれども、昨年10月末にGPIFが基本ポートフォリオの見直しを行い、国内株式のウェイトを引き上げた時に、これはPKOではないか、との記事がかなりみられました。まさにそういう誤解が起きないような、PKOと誤解されるような組織にしてはいけない訳ですが、そのためにはどのような形にすれば実効性があるかという点につき、各論では少し意見が違いましたけれども、この点に関する問題意識については多くの委員の間での合意があったと思っています。

 このほか、私自身も6回の会合で非常に勉強させていただきましたので御礼申し上げたいのですが、例えば、GPIFが過度なリスクをとるべきかどうか、という点についての議論です。これは、そもそも「過度な」というと、言葉の定義により「とるべきではない」というのがそこに当然含意されているわけですけれども、ここで言うところのリスクには2つあるということです。

 1つは、ポートフォリオから上がる収益の変動という意味でのリスク、もう一つは、GPIFという組織は運用目標利回りが与えられているわけですので、その運用利回りが達成できなくなるリスク、この2つのリスクがあります。その二つのリスクをいかに最少にするか、がポイントなわけであります。一般には、前者のリスクが意識されているように見えますが、後者のリスクについても考慮する必要があります。

 ですから、リスクをとるか、とらないかという問題設定ではなくて、ある程度のリスクはとらざるを得ないというのは議論の出発点であり、その上で、どのようなガバナンスがいいのか。例えば、国債を全部持てば収益の変動は非常に小さいかもしれませんが、特に現状のような金融環境では目標運用利回りは達成が非常に困難という状況だと思いますので、そういうリスクも考えないといけないということを広く理解していただきたいと思います。

 次に、ここは非常に議論が分かれた点ですけれども、理事会のメンバーについての議論です。理事会のメンバーがその拠出者の利益を代表する、あるいは被保険者の代表者だというのは一つの言い方としては正しいと思いますけれども、作業班で出た議論を紹介しますと、GPIFにとってのステークホルダーは現世代ではなくて当然将来の世代、まだ生まれてきていない世代の人たちの利益、世代間の公平性ですね。そういったものにも配慮する必要があるという点が重要です。そして、公的年金には税金も投入されていますので、その拠出者の代表というのはイコール国民の代表であるというような観点が必要ではないかという気がいたしております。

 また、理事の資質要件も重要な論点です。いわゆるフィット・アンド・プロパーと言われる要件につきましては、その専門性という抽象的なことは当然ある程度あるにしても、どのような専門性かという点につきまして私の意見として申し上げたのは、まずやはり資産運用に関する専門性、これは最低限ある程度のメンバーの方が持っていただきたい。それが、国民の代表として将来の世代にも責任が持てる決定をする必要最低要件だろうと思います。

 こうした要件を満たした上で、理事の方々のバックグラウンド、背景というのはさまざまであって然るべきだと思います。当然その中には労使も入れば、いろいろな分野の専門家の方々に入っていただきたいと思いますが、GPIFの資産運用の是非を判断できる専門性というのは最低必要な資質要件と思います。

○神野部会長 ありがとうございました。

 堀江委員、どうぞ。

○堀江委員 私も、植田先生と伊藤先生がまとめられたもので尽きていると理解をしていますが、一点つけ加えさせていただきたいと思います。

 私も専門委員として参加しましたが、GPIFの投資は独立して考えているものではなく、この年金部会で定められた年金財政上の要件を満たすことが投資に求められているわけです。主と従という関係というと、あくまでも年金財政が主であって投資は従です。年金財政で決められた要件をできる限り少ないリスクで到達したいというのがGPIFの与えられた使命です。私は運用委員を務めていますが、年金財政で求められる要件の下ででガバナンスがどうあるべきかということを考えたつもりです。

 植田先生と伊藤先生でまとめられた資料の中に尽きてはおりますが、その中で1点、補足させていただきたい点があります。基本ポートフォリオを決めて、それがかなりの割合の投資リターンを決めるというのは事実ですが、さらにリスクを下げるために分散投資も必要ですし、いろいろな手だてをしなければいけません。

 今、マーケットインパクト等の関係で非常に幅広い許容範囲がGPIFの執行部に与えられているという状況から考えると、基本ポートフォリオを決めただけで執行部の管理ができているかというと、私はそうではないと思っています。

 岩間委員がおっしゃったチェックアンドバランスが非常に重要です。つまり理事会の監督機能、執行部に対する監督機能が非常に重要であると私は認識しております。その観点でいうと、植田先生が書かれており、私の意見でもありますが、一つの意見として、監督と執行は明確にメンバーも分け、理事会のチェックが執行部に対してちゃんと効く体制が今の状況では非常に重要ではないかと考えております。

○神野部会長 ありがとうございます。

 植田部会長代理から議論の要約を御報告いただき、その前に事務局から参考資料について御説明いただき、また、今、御参加いただいた委員の皆様方から補足の説明をいただきました。これをめぐりまして御意見、御質問がございましたらどうぞ。

 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 ありがとうございます。2つ大きくブロックを分けて、意見と御質問をさせていただきたいと思います。

 検討部会の先生並びに植田先生におかれましては、大変難しいテーマをやっていただきましてありがとうございました。リスクをとりにいく状態になっている以上、きちんとしたガバナンスを確立するというのは大変重要なことだろうと思います。

 ちょっと資料について気がかりというか、これは細かい話なんですけれども、お願いしたいのは、資料の作成者というか、分析はどなたでつくったものか、よくわからないものが中に幾つか入っていますので、事務局としては、例えばきょうの資料1は植田先生が取りまとめられたものであるし、資料2については議事録をまとめたものなんだ。それで、これは事務局がまとめられたのか、委員がチェックされたのかはわかりませんけれども、こういうものはちゃんとやっていただく。

 さらに、席上配付された資料の中にも誰がつくられたかわからない資料もありまして、平成2612月1日の参考資料というのもどなたがつくられたのか、分析が書いていないんですね。そういったものが審議会の席上にあるというのはあまり望ましくないので、それはちゃんと誰がつくっているか、大抵のものは厚生労働省年金局と書いてあるんですけれども、中にはないものがあるので、それはお願いできればと思います。

 それから、2点ほど資料をお願いしているんですけれども、どうなったかということでございますが、1119日の資料2で、GPIFの基本ポートについて12ページで上下のパーセンタイル75とか、あるいは90も出るわけですけれども、最大、最小でどのぐらいのリターンとロスが出るのかというのは絵で書いてありますが、これはちゃんと数字を出してやるべきではないか。この程度の情報は当然出すべきじゃないかというお話をしたと思うんですけれども、そのときはGPIFの担当者の方から検討していただくということで、いまだに出てこないということでございます。

 それから、きょうの資料の参考資料2の21ページのところで、私はISSAのことについては以前、一度申し上げておりますが、ISSAのことについて触れてはあるんですけれども、先ほどの検討会委員の御議論もあるわけですが、重要なことがいろいろ決まっていない中で、このISSAというのはILOの外局でもあって、まさに社会保障基金に関する国際的なグローバルスタンダードを一応提示しているということになると思うんです。

 それで、この資料についてこれだけしか書かれていないんですけれども、本来はグッドガバナンスガイドラインが100ページほどのものがもう発表されていて、この中は全てが運用にかかわるものではなくて、数理から組織運営からその通知の方法までいろいろ細かいことがありますので、全部が運用ではありませんけれども、ものによってはかなりの運用にかかわる部分に言及されている。こういうISSAのレポートをどのぐらい紹介して議論の材料にしていただいたのか、よくわからないので、これは必要な部分を配付されたらいかがかと思います。

 これは先ほど出口委員からもお話があったかもしれませんけれども、そこに書かれていることはおそらく全体を通じてグッドガバナンスに関する基本的な考え方が書いてありまして、その1つは説明責任である。もう一つは透明性である。それから、受給者に対する、あるいは年金加入者に対する給付の予見可能性である。それから、拠出者の参加である。こういうことが明瞭に書かれている。

 それから、先ほど岩間委員やほかの方からも議論がありましたチェックアンドバランス、これに近い表現もありまして、組織内部の抑制と均衡という言葉が基本的な組織づくり、ガバナンスをつくるときの重要な考え方であるということが書いてあるんです。

 そういうことになれば、今日のまだ幅がある、あるいは望ましいと書かれている部分についてもある程度議論は収れんできるのではないかと思います。そういう意味では、資料を2点出していただきたいと思っております。

 内容について、2つほどコメントをさせていただきたいと思います。資料1の中で、1つはガバナンスを強化する際に重要なのはPKOの問題であり、そして2ページ目には上段に「不適切な執行」と書いてあるんですけれども、不適切な執行とは例えばどういう状態を指すのか。これによって、執行部門と理事部門の関係というのもまた変わってくると思いますし、必要な内部の組織の話も変わってくると思いますので、ここはどういう議論が行われたのかということを確認したいと思います。

 それから、なかなか発言回数がないので一遍にやってしまいますけれども、先ほどの労使のほうから出された報告書ですが、私は日ごろ経団連の方には適用拡大しようとか、花井さんにはマクロ経済政策をかけるんだとか、あまり労使とは合わない話も多いわけですが、特に3ページ目のGPIFの理事の合議制のメンバーにより拠出者の代表を入れるべきだという点について私は賛成であります。

 これは1つ理由がありまして、これから厚生年金基金が代行返上していくわけで、最終的には20兆を超える積立金がGPIFの運用の対象に入ってくるわけですね。既におとといも、企業年金に対するガバナンスをきちんと理事に対して労使が拠出者として参加するんだということは確認されているわけです。今の厚生年金基金も理事に労使が半分ずつ入っているということになるわけですので、代行返上したときに今まで以上に労使の拠出者が入らなければむしろ参加性が後退するということになりますので、複数入れるというのは当然じゃないかと私は思います。以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、まず最初に資料の作成者等々にコメントがあればどうぞ。

○大臣官房参事官(資金運用担当) どうも失礼いたしました。

 まず、資料2でございます。年金積立金の管理運用に関するガバナンスの在り方検討作業班における意見につきましての作成でございますけれども、これは先ほど植田座長からもございましたように、少数意見につきましてもできるだけこの場で御紹介してほしいということで、私ども事務局におきまして原案を作成しまして作業班の先生方に見ていただきまして揃えたものでございますが、未定稿という形で出させていただいています。そういう性格の資料でございます。

 あとは、個別にこの中で作業班に出した資料につきましては、事務局で出したものは基本的には事務局の責任という形で出させていただいたものでございます。

 それから、駒村先生御依頼の資料につきましては御説明いたしたいと思います。

 まず運用の関係ですが、すみません。今回ガバナンスという関係で失念いたしましたけれども、また検討しまして次回等に御用意いたしたいと考えております。

 あとは、ISSAにつきましては、社会保障組織全体に関するグッドプラクティスにかかるところのガイドラインと、今回紹介させていただきました社会保障基金の投資にかかるガイドラインと、2種類あるかと存じます。インベストメント・オブ・ソーシャルセキュリティーファンド、その中で特に関連のあるところということで、今回A、B、Cで3パートに分かれているんですけれども、投資ガバナンス構造のところで諸組織の責任、受託者責任、社会保障機関のガバナンス構造と組織での視点につきましては、これはプリンシパルについては全文を記載しているところでございますが、御存じのとおりこういうものにつきましては、その中で推奨例とか、視点とか、非常に細かい補足がついております。どの程度のものがよろしいかどうか、また御相談させていただきますが、この辺は検討してまた資料を出させていただきたいと思います。、例えば、Cパートはどういうものが書いてあるかといいますと、例えばヘッジの在り方はどうかとか、むしろその運用自体にかかるものでございますので、ここら辺はISSAのインベストメント・オブ・ソーシャルセキュリティーファンド、時間も限られていますのでどの程度のものを御紹介させていただくかについては、また御相談させていただきたいと存じます。以上でございます。

○神野部会長 「不適切な執行」ということに関してどのような議論があったのかということについて、植田部会長代理よろしいですか。

○植田部会長代理 駒村先生が御質問になった点は、私も座長として皆さんに対して具体例を挙げてみろという問いかけを何度かした点でございます。

 ただ、残念ながらこれがぴったりという具体例を紹介できるというところまでいっていないのですが、私なりに個人的に今、申し上げられることとして、あるいは一部議論になった点ですが、1つは広い意味の不正行為ということだと思います。

 それから、もう少し運用プロパー的なところで申し上げますと、例えば現在のGPIFですと、基本ポートの中心点からの乖離幅は非常に大きく設定されていますけれども、それが仮に将来の姿として執行部、その乖離幅の使い方の基本原則を例えば理事会で決めて、その上でどう使うかは執行部がやりなさいとなった場合、基本原則を守らずに恣意的な運用をしてしまったというようなケースが考えられるかと思います。あるいは、運用外よりアクティブな方向にいきまして、例えば株であってもプライベートエクイティー的なものにいく。

 そういう場合に欧米でよくあるやり方は、基本ポートの株にあるリスクリターンプロファイルがあって前提とされている。それよりも同じか、もうちょっといいものをプライベートエクイティーでとれるからやっていくんだ。それで、執行部にそれは任されるということだと思うのですが、そのリスクリターンプロファイルが現実には意図的、あるいは非意図的に歪められたものであるとか、そういうようなケースが考えられるかと思います。

○大臣官房参事官(資金運用担当) 補足させていただいてよろしいですか。

 「不適切な執行」につきましては、すみません。植田座長に御説明していただきましたけれども、議事録でどういう御議論があったかにつきまして御紹介させていただきたいと存じます。

 第3回でございますが、「執行部の暴走」とはどういうことかということで座長からも問いかけがございまして、出席されていない伊藤座長代理のほうから御説明がございましたので、その文をちょっと読ませていただきます。

 「少しコメントしますと、暴走しないとはどういうことかでございますが、ファイナンス、金融機関の話でいうと、例えば損失が出ました。来年、財政検証が迫っています。このままいくと物すごく責任を追及されるので、リスクは高いけれどもリターンが高いというインフラ投資なり、何投資でもいいけれども、そういうものに手を出すということで、リスク、リターンのところでちょっと大きなかけに出る」。そういうことをするのは執行部の暴走だということで、伊藤代理から御紹介いただいたところでございます。

○神野部会長 特に阿部参考人と花井委員からコメントはございますか。

○阿部参考人(柿木委員代理) 花井委員と私ども連名で出させていただいた資料でございますけれども、今回の検討作業班の取りまとめの要約として示されたものの中で基本的な一致がまだ十分でないもの、あるいは複数案併記になっているものについて、基本的には私ども拠出者代表として労使はこう考えているということを示したものであります。

 あえて言いますと、もう一度同じことをこの年金部会の場で申し上げたいということで提出したものであります。

○神野部会長 お待たせいたしました。どうぞ、米澤委員。

○米澤委員 今、運用委員長をさせていただいておりますが、今回はこの検討作業班のほうには入らないで外から見させていただきました。それに関して感想と、それからむしろ前半のほうの話に関して私の認識等を述べさせていただきたいと思います。

 ポートフォリオが大きく変わったのは言うまでもないんですけれども、そこでもって何か基本的な方針が変わったというふうな認識を私は持っていなくて、相変わらず安全かつ効率的なことでポートフォリオを策定しておりました。

 ただ、変わったのはその経済の状況、環境が著しく前と違うように認識したので、どなたかも正しく指示されていましたけれども、リスクというか、その裏側で安全にというのは年金財政を着実に達していくということを第一目的にしますと、こういうようなポートフォリオというのは必然的に出てくるんじゃないだろうか。

 ですから、単にそのポートフォリオの振れ幅ではなくて、短期的には賃金上昇率を下回る。長期的には予定の積立金を追いかけられないというのはリスクということで我々は認識して、それをやっていくためには極めて経済環境が厳しくなって、ちょっと前まではやはりアベノミクスが成功すれば金利が上昇していくことは避けられないということになりましたし、もうちょっと直近だとますますゼロ金利が続くということで、いずれにしても大変だということで改定させていただいたので、安全かつ効率的というのは捨てたつもりは全くございません。

 ただ、今回はそれとは別に資産の多様化ということを改めて書かせていただきましたので、ここに関しては少し質的な影響があるのではないかと思います。市場性の資産に比べてリスクの測り方がなかなか難しいので、そこに関してはより慎重にしていかなければいけない。市場性資産のリスクは目に見えるわけではないんですけれども、プライベートエクイティーとか、インフラとか、より目に見えにくくなってくるものでございますので、よりリスク管理が重要になってくるということは本当にそのとおりだと思っています。現状認識はそういうことでございます。

 他方、このガバナンス組織に関しましては、私は個人的には今回の大きな変更にかかわらず、やはり前から独任制に関しては問題が少なからずあるということだったので、たまたまタイミングが重なって、必然的に行わなければいけないという理解でおります。

 それにおきまして、今回の報告は皆さん御指摘のように非常にうまくまとめていただいて、それを見ている限り、私が変えなければいけないと思っている大半のところはかなり合意があるんじゃないでしょうか。理事会制にするということ、ないしはもうちょっと突っ込んで理事会と執行部、監視と執行とを分けるというところも含めて、大半の方はそれに合意されているということで、ここのところでは少なくとも合議制にする。それから、できればそこは分けたほうがいいということまでも、大半においては合意できているのではないだろうかと思っております。あとは、それをいかに実現するかということだと思います。

 ですので、繰り返しますが、表面上はポートフォリオの変更に伴ってガバナンスの在り方も変えなくてはいけないというのはそのとおりですけれども、ガバナンスの在り方に関しては以前から指摘されているところは多々あったわけですのでいいチャンスだと思いますし、今後またということも大変だと思いますので、ここのところできっちりつくっていただければいいかと思っております。以上、感想と御提案でございます。

○神野部会長 ほかはいかがでございますか。

 菊池委員、どうぞ。

○菊池委員 私は合議制でというところはよろしいんじゃないかと思いますが、その上で理事会のメンバー構成に絞ってコメントさせていただきます。

 資料を読ませていただいて、いろいろな御議論があったということは了解いたしましたけれども、私の立場からすると社会保険、税ではなくて社会保険の仕組みであるということについてどこまで共有されていたのかという点が1点ございます。日本の公的年金制度が税ではなく社会保険の仕組みであるということの一つの大きな意味というのは、やはり拠出主体ですね。これは事業主、被保険者を含みますが、拠出主体が運営に参加する、参加できるということにあるのだと思います。

 これは、保険者自治という言い方をすることもありますが、そういう意味ではNHKと比較するのが悪いとはいいませんが、そういう観点からすると、むしろ例えば医療保険、介護保険における報酬の決め方にどう拠出主体がかかわっているのかとか、その反面、税のみで賄われている障害者の自立支援制度は障害当事者の方はその意思決定に入れない。アドバイザリーグループはありますけれども、基本的に国が決める仕組みになっているとか、その辺も十分参考になるのではないかと思います。もちろん短期保険、長期保険の違い、それから介護報酬、診療報酬は政治的に決まる部分があって、年金資産運用のほうはかなり高度な専門性が必要であるというのは理解するんですけれども、社会保険というフィルターで物を考える必要もあるのではないかということがございます。

 そういう視点からしますと、専門家に対して拠出者に対する説明責任を負わせれば足りるというのではなくて、やはり拠出主体、加入者を意思決定に参加させることにこそ社会保険という仕組みをとっていることの意味があるのではないかと思うわけです。将来的に資金運用で万が一、数字的にもゼロではないと思うのですけれども、不測の事態が生じた場合に誰が責任を負うのか。もちろん拠出主体、拠出者側というのは運用の専門家ではありませんし、十分な知識も持ち合わせていないわけですが、しかし、そうであればこそ、共通の理事会ならば理事会という意思決定の場において、その専門家がその拠出者の代表に対してある意味で教育的な観点も踏まえながら、その意思決定に必要なだけの丁寧な説明を十分尽くしていくということが求められるのではないか。

 その上で、その拠出者代表が加わって意思決定を行うということで、仮に万が一、何らかの不測の事態が生じたとしても、あのときの意思決定にはあなたたち拠出者代表の人たちもかかわっていましたよねと言うことができるわけです。つまり、そこで手続的にその結果に対する正当化というか、合理化ができるということであります。

 ですので、繰り返しますが、社会保険としての公的年金の性格からすると、理事会のメンバーは、過半数かどうかまでここで明言はできませんが、相当数が拠出者代表で占められるべきでありますし、場合によっては将来世代や受給者といった方々の利害も勘案する必要があるとすれば、プラスアルファーで公益代表的なメンバーも入れていく。少なくともそういったメンバーによって過半数が占められるべきものではないかと思っております。

 あとは、質問というか、確認というか、諸外国のことをお調べいただいて参考になったのですが、日本の社会保障制度を調べる際によく外国のことでドイツがどうなっているかというのを我々は必ず参照するんですけれども、ドイツについて全く触れられていないようなのですが、これは何か理由があるのか。ドイツの人たちはかなり細かくいろいろなことを考えながら議論するので、ちょっと関心があったのですが、そこをお聞きしたいということです。

 それから、たくさんの国について調査されておられて参考になるのですが、何人、どういう人が入っているかというよりは、どういう考え方でこうなっているかということが重要だと思うんです。それは学者の仕事だろうと言われてしまうといたたまれなくなるのですが、これからどういう形で決められていくのかというタイムテーブルもあるのでしょうが、もし可能であれば主要国とか、わかる部分だけでも、なぜこういう構成になっているのかというあたりがわかれば非常に参考になるのではないかと思いました。以上です。

○神野部会長 森参事官、どうぞ。

○大臣官房参事官(資金運用担当) 今、菊地先生から出ましたドイツとか、英国とか、一体公的年金基金がどうなっているかにつきましては、この作業班でも御質問を花井先生からいただいたところでございます。

 それで、委員からの請求資料ということで34ページでございますけれども、各国で公的年金積立金がどうなっているかということで、アメリカとか日本とかサウジアラビア、韓国とあるけれども、よく言うような英独仏とか、フランスはあるんですが、非常にプレゼンスが少ないんじゃないかという話でちょっと御質問があったところでございます。

 英国とかドイツにつきまして、英国は、また御議論があるかと思いますが、そもそも給付の水準が低いので余り積立金を持っていない。ドイツは、スライドの方式とも関係しまして余り積立金を持っていないとのことなので、この積立金の運用については目立った議論がないということで今回御紹介しなかったところでございます。

○神野部会長 どういう考え方等々の資料は、今でなくてもいいのですが。

○大臣官房参事官(資金運用担当) そもそも年金財政における積立金の考え方につきましては、別途わかる範囲でまた用意したいと存じます。

○神野部会長 森戸委員はお帰りになるそうなので、どうぞ。

○森戸委員 ずっと部会自体に出られなかった上に、この話にいきなり何か気の利いたことはあまり言えないんですけれども、感想みたいな話になってしまって恐縮ですが、簡単にコメントだけ申し上げます。

 伺っていて、関係者、皆で話し合ってコンセンサスに基づいてやるのがいいというのと、市場で効率的、機動的に運用しようというのが両立するのかという難しい話をされたのかなという印象が1つあります。

 それから、お話を伺っていて、公的年金の市場で今までよりもいろいろな資産なり、多様な資産で少し昔よりはリスクをとるような運用をしていく。それから、ガバナンスが大事だというのが企業年金でしているような話と同じでありまして、企業年金と公的年金の区別というのは、もちろん部会も違うし、違うものとして議論してきたんですけれども、そもそも何が違うんだというような大きな話も少し頭によぎってきたところであります。

 あとは、ドイツが何でないんだというのは菊地先生と同じで私も思っていたのですが、もう一つはカルパースの話がよく出てくるのですけれども、公務員の年金ではありますが、私の感じではあれは大きな企業年金ではないかと思っていまして、ちょっと違和感がなくはないです。公的年金の話として出てきているというのは、ちょっと違和感がなくはなかったということはあります。

 それから、駒村先生がおっしゃったことは基本的によくわかるのですが、ただ、ちょっと気になったのが厚年基金からお金が代行返上というか、くるので、労使が参加しているんだからという、その発想はわかるんですけれども、ただ、厚生年金基金が縮小の方向にきているのは、労使がちゃんとやっていると思っていたらやっていなかったということがあるわけです。

 別にここにいらっしゃる労使の方に何か文句をつけるつもりはないんですけれども、あれはいろいろ運用の仕方が総合型がメインでしたので、ちょっとガバナンスが効きづらかったというのはありますが、ただ、まさにさっきGPIFでもしあるとしたらどんな不正な行為かというときに「事務局の暴走」という単語が出たんですけれども、そこで起きたようなことが厚生年金基金であったような、つまりちょっと目標に向けてやばいからリスクをとろうというのがまさに厚年基金で起きたことだと思うので、それを理由に労使が参加すべき理由とされると、ちょっと私は違和感があったということだけ一言申し上げておきます。感想みたいなことで申しわけないです。

○神野部会長 ほかはいかがでしょうか。

○駒村委員 今のところは例の厚生年金基金のときに議論した話で、もっときちんとガバナンスに書かなければいけなかったというのはそのとおりなんですけれども、今よりはとにかく形骸的だった。それをやらないと参加が後退しちゃいますので、まずちゃんと参加させて、さっき菊地先生がおっしゃったような形で労使が理事に参加する中で、場合によってはいろいろと学ぶこともあるだろうという話を含めての話です。今の厚生年金基金の問題を起こしたままの形で労使が参加すれば、これはまさに形骸化以外の何者でもない。ただ、参加の程度が下がってしまうのではないかという意味で数量的な話で申し上げたので、質的な話ではないんです。

 それで、菊地先生から大事なお話がありまして、社会保険と税の違いというのはやはり社会保険自治という発想があるわけですので、拠出者がきちんとかかわっていくというのは大事な大原則だろうと思います。そういう意味では、先ほど米澤先生が大きな方向はというふうなことをおっしゃったんですけれども、確かにガバナンスに関して幾つかは方向は向いていると思うんですが、肝心かなめな、例えば先ほどの不適切な執行が起きないようにどうするのかといったことに対して、チェックアンドバランスの部分はまだ未成熟な議論がたくさん残っていますので、やはりこういうところはちゃんと詰めないといけないのかなと思っています。

 その辺がないと、先ほども植田先生のお話を聞いていたり、事務局のお話を聞いていたわけですけれども、やはり執行側のある種の情報の非対称性や知識の非対称性があって、どうしても金融にかかわる方というのはリスク志向があって、前へ前へと出てしまう。そうなってくるのを防ぐためには、やはり組織内で専門的にチェックできる。暴走していないのかどうかをチェックする機関が必要ですし、多様な視点でちゃんとグリップを握っていることが大事かと思いますので、その部分の議論がまだ未成熟だと思います。

 特に、この部分について拠出者の代表者である労使が違和感を持っているというのは大変重要な点だと思いますので、まだまだ部会のほうでこういう極めて重要な部分は議論したほうがいいんじゃないかと思います。せっかくこういう議論をやる以上、もし運用に問題が出た場合は、受託者責任というのは法律的にはそうでしょうけれども、おそらく政治的な責任も必ず出てくるテーマでございますので、やはりきちんとした組織をこの際ですから考えたほうがいいんじゃないかと思います。以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。

 どうぞ。

○山本委員(代理出席) ありがとうございます。きょうの議論で、検討作業班の議論の要約ということで、これそのものの中身については特に各論の部分でこれがいいとか、悪いとかということではございませんけれども、あくまでも全体のいささか観念論めいた所感ということで述べさせていただきたいと思います。

 きょう事務局からいただきました資料の32ページに「諸外国の年金制度による運用と給付等の調整の関係について」と、それからカナダの説明責任の資料もございましたので、若干これにもかかわることなんですけれども、ガバナンスの在り方そのもの以前のことになるかもしれませんが、昨年10月に基本ポートフォリオが見直されたということで、その際にこれはGPIFの本質論、そこまで立ち入ってのお話はもちろんできないとは思うんですけれども、その権限とか権能、これはGPIFというよりもその理事会かもしれませんが、その基本ポートフォリオを誰がどこまで見直すことができるのかといった決定プロセスにおいて、やはり保険料の拠出者である企業ですとか労働者の意見を十分聞くべきであるということは間違いないのではないかというのが意見でございます。

 昨年の10月のポートフォリオの見直しについても、その詳細なプロセスはよく存じ上げませんけれども、これが一つの観念的な言い方になりますが、国民のコンセンサスをとれた上での見直しだったのかどうかということも含めて、やはり説明責任という部分は考えなければならないのかと思っております。

 ガバナンスはいろいろございますけれども、それを考える上での前提ということですが、やはり繰り返しになりますけれども、積立金というのは保険料という形で強制徴収された国民の共有財産である。その運用の見直しについては、当然労使をはじめ国民のコンセンサスのもとで行うのが、やはり繰り返しですが、筋であろうと思っております。

 それで、ガバナンスの強化という点でテクニカルな部分でいろいろ議論が出ておりましたけれども、いずれにしましてもGPIFがそれぞれの出資者自身がリスク責任を負う。民間のファンドは全く違うものなんだ。あくまで公的年金制度の枠内にあるものであって、それは厚生年金保険法を見てもやはりそういったニュアンスでしか受け取れないものであるということは述べたいと思います。

 改めてGPIFは国民の財産を預かっている性質のものであるということに立って、市場運用の在り方、あるいはガバナンスだけではなくて年金制度そのものの在り方、具体的にはいわゆる給付にどのような影響を与えるのかといった部分とパッケージで考えるべきではないかと思っております。

 そこで、先ほどの事務局資料の32ページの「運用と給付等の調整の関係」という部分なんですけれども、ここでカナダ、スウェーデン、日本というふうに書いてございますが、この詳細は私も承知しておりませんけれども、諸外国では運用時に損失が発生した場合に、これを将来世代に先送りにならないようにということで速やかに処理する仕組みであるというふうに私自身は理解しております。

 日本の場合は、積立金の運用結果が基礎年金部分にまで最終的には影響を与えるものだということになるわけです。そういった事実を踏まえれば、これはどこで誰が議論するのかわかりませんけれども、今後のガバナンスということについてはGPIFの本質論かもしれませんが、年金給付への影響、年金制度そのものと関連づけて一体的に議論したほうがよろしいのではないかと思っております。以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございます。

 では、どうぞ。

○阿部参考人(柿木委員代理) 昨年の基本ポートフォリオの見直しの話で一言だけ申し上げたいのは、ゼロ金利状態がずっと続いていて、国債を中心とした運用では必要な利回りは確保できないという、ある意味での緊急避難的な措置だったと思うわけであります。

 それで、今後、日銀の物価目標でありますとか、あるいはアベノミクスを遂行しているところで、金利も徐々に変わってくるという中で、今のような金利状態下での債券から株式にシフトしていくことが今後未来永劫続くというような考え方で運用の在り方とか、それにかかるガバナンスの在り方を考えるとやはり無理がある。あくまでも今は緊急避難的な措置であるということだと思います。

○神保部会長 ありがとうございます。

 花井委員、どうぞ。

○花井委員 先ほど来、GPIFの説明責任等々のお話が出ているかと思いますが、それに関連して質問を1つと意見を述べさせていただきたいと思います。

1031日に実行されました基本ポートフォリオの見直しにつきまして、この年金部会で何回か単年度の最大損失は幾らかという質問をさせていただきましたが、それに対してお答えいただけませんでした。その後、GPIF運用委員会の議事要旨が公表されまして、その中で30兆という数字が出ていたということと、つい最近の国会での質問主意書に対する答弁、閣議決定された答弁ですと、これは26兆というふうに出ているということで、この差は一体何なのかということを今日でなくてもいいですので、ぜひ教えていただきたいということが1つです。

 それから、最大損失が30兆なのか、26兆なのか、いずれにしても、国民からすれば年間の保険料に匹敵するような数字のリスクで、このリスクは違った捉え方もあるとは思いますが、国民の目線からいったリスクということで使わせていただきますと、そういうことをもう少しきちんと説明する責任があるのではないでしょうか。そういうことを示した上でポートフォリオを変えたのかどうかということは、やはり今後の大きな課題ではないかということで、意見として述べさせていただきたいと思います。以上です。

○神保部会長 ありがとうございました。

 今のことについてコメントできますか。

○大臣官房参事官(資金運用担当) 今の点だけでございますけれども、先ほど御議論がございました、基本ポートフォリオにつきまして単年度でどれだけぶれ幅が出るかとか、そういうものにつきましてはまた別途資料を出させていただきたいと存じます。

 ただ、1つだけ申し上げたい話でございますけれども、リーマンショックがございましたが、あれを受けましても年金積立金の運用利回りというのはプラスでございます。そういう意味では、年金積立金は単年度のぶれだけを見るというのもまたこれは誤解があるかと思いますので、そういうことも含めまして資料をご用意いたしたいと考えております。

○神野部会長 ありがとうございました。

 では、どうぞ。

○原委員 きょうはいろいろと御説明いただきありがとうございました。作業班の皆様、大変お疲れ様でございました。

 いろいろ聞かせていただいて、私の立場でお話をさせていただくと、特に直接国民の皆さんに説明するとか、御質問を受けるということが多い立場ですので、このガバナンス体制の在り方ということでいうと、やはり公的年金という部分で、公的年金というのは国民の積立金ということですから、国民に対してわかりやすい形でぜひお願いしたい。それには、やはり透明性とか対外説明ということをきちんとしていただいて納得がいく形で、それこそどういうことが行われているかということもわかりやすく伝わるような形をとっていただく。

 ガバナンスということについてしっかりチェックしていくというのはもちろんだと思いますので、そういった意味でもいい形を、特に国民の年金ということですのでわかりやすく、何が行われているかわからないようなことではなくて、きちんとわかりやすい形で定期的な説明ですとか、そういったことも兼ねていただきながら、考慮していただきながらやっていただきたいと思います。

 公的年金は支え合いの制度という形で皆さんに、若い方にも根強く残るような誤解とか不安といったものを払拭している最前線にいる立場の者も大勢おりますので、こういったところで何か誤解が起きるようことがないように、ぜひお願いしたいと思っております。以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○菅野委員 ありがとうございます。いろいろな方からいろいろな議論が今、出ているわけですけれども、まさにそれはGPIFが公的年金ということで、その公的というところと年金資金を運用するという2つの性格があるために、どちらにウエートを置くかによって少し見方が変わってくるんじゃないかという気が私は個人的に強くいたしております。特に、公的というところから発生するのが、広く国民に対する説明責任ということで、これは私的な年金とはかなり違うと思います。

 それで、その説明責任という点に関しましては、どのような資質要件を有する人が理事会を構成するかという点に加え、理事会が国民に対してどのように説明責任を果たすかという点を議論することも重要だと考えます。例えば、カナダの公的年金にあるように、国民の中に入り公開討論会を積極的に行って、国民の理解を得ているというような御説明が先ほど事務局のほうからもありました。ぜひGPIFもそのような形で積極的に国民の中に入っていって説明していただきたいというように私は思っております。

 そしてもう一つ、年金資金運用という面においては、これはかなり技術的なものでして、私的年金とか、そのほかの投資ファンド等とかなり近い性格があると思います。ここではむしろ受託者責任という観点から与えられた運用利回りを中長期的に達成するということが当然求められるわけです。そこにおいては、理事会の機能というのは執行部をしっかりと監督する。そして、その受託者責任を果たせるようにするという機能も求められているわけですので、そこもどういう背景の人がくればいいのかという議論とはちょっと違うのではないかと思います。

 すなわち、仮にそれで不適切な執行、それはいろいろあります。先ほどのような意図的な不正というもののほかに、例えば事故みたいなものもありますので、そういう事故を最小限に防ぐような体制というものが求められているわけで、それが理事会の一つの重要な責務だと思います。それも国民からの受託者責任の一つだと思いますので、そういうことがわかる専門的な知識の人がやはり理事会にいていただきたい。それが国民からの期待に応えることであり、責任を全うするということだろうと思います。

 もう一つは、先ほど山口委員からございましたように、実は基本ポートフォリオが決まった段階で80%、90%のリスクリターンの関係が決まってしまっています。もちろんその10%、20%というのも非常に大きなもので、そこを無視していいというものではないわけですけれども、むしろそういう拠出者代表及び国民による議論という観点からは、その目標リターンを決めるときにもっと積極的に関与していただくことのほうが、GPIFのガバナンス以上に重要なのではないかという気がいたしております。以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

○出口委員 今、菅野委員が言われたように、確かに公的年金という性格と、資金運用という性格がある。それはそのとおりだと思うのですけれども、多分これは運用にかかわらず、歴史的推移を見てきたら、何事でも専門家に任せたときにどんな結果になったのかという反省を我々はもっと持つべきではないかという気がします。

 今の政治体制そのものも普通の常識を持つ素人が判断することが、やはり一番正しいと。私は、これは人間の知恵だと思っていますので、確かに運用という専門的な分野ではありますけれども、それ以前にこのGPIFの場合は130兆ということですが、これは連動しますから、共済等を含めたら160兆とか170兆という物すごい巨額の資産ですね。日本の株式の売買高と比べればこの巨額性はわかるので、こういう巨額なものを本当に専門家に任せていいのかどうか。そこの原点というのは、やはり別途議論すべきではないか。

 そこがこの問題の組織形態とか、いろいろなものについても全部尾を引いているので、私が冒頭に申し上げました大きいガバナンス、これはどういう規模の、どういう性格のお金で、どういうふうにマネージするのがいいのか。これは菊池委員が先ほどおっしゃいましたけれども、理事会にどういう人が入っているのかという考え方とか理念みたいなものをちゃんと議論しなければいけない。属性よりもその考え方が大事だということと私は同じだと思いますので、そこの議論をやはり年金部会の皆さんできちんとシェアしなければ、これは議論を誤るのではないかと思っております。

○神野部会長 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 今の菅野委員の御意見なんですけれども、やはり幾つか違和感のあるところがありまして、説明は誰に対して誰が行うのかというのは、先ほども申し上げたように社会保険料でやっているという以上、しかも積立金の9割以上は厚生年金でありますので、やはり拠出者のほうにちゃんと向き合わなければいけない。もちろん国会でパフォーマンスについて御説明するのは当たり前の話であろうと思いますけれども、それが果たして年金制度にどういう影響を与えるのかはやはり年金部会に対して責任を持って説明していただくというのが制度上の形ではないかと思っております。

 それから、理事に入るメンバーの話も、先ほど多様性というものをお話ししましたけれども、アンドリュー・ゾッリの『レジリエンス』という本がありますけれども、その中に非常に重要なことが書いてあるのは、どうしても金融界の方が集まると、プロが集まると同じリスク志向になってしまうということで、自信過剰になったり、戦略上の脆弱性や集団的思考が出てしまうんだということで、やはり理事の部分については多様な考え方を持つ人間を入れなければいけないと思います。

 これは実際にやっている取り組みであって、アメリカ陸軍はレッドチームというものを入れて、必ずメインの指揮官の判断が正しいかどうか、別途チェックするということをやっております。専門家だけで、金融に詳しい人だけでつくるというのは同じ方向に向いてしまいますから、それはチェックにならないと思いますので、私はちょっと違和感を覚えました。

○米澤委員 今までも我々の委員会でも程度は議論の余地があるかもしれませんけれども、代表者を入れるというのはかなり合意ですね。それは、当たり前ですね。エージェンシーの問題からいってもそういうふうに書かれていますので、デレゲイテットのアセットマネジメントですから当然だと思いますので、それはもちろんだと私は理解いたします。今までだってそのようになっているというふうに理解していますので、それがなくなるということはあり得ないと私は思います。

○神野部会長 ほかにいかがですか。

 どうぞ。

○植田部会長代理 最後に、最初のほうでちょっと申し上げて作業部会でもうひとつ議論にならなかったという点、つまり運用とガバナンスの関係ですね。しかし、きょうの皆さんがおっしゃったことに実は直接、間接関連する部分が非常に多いと思うのですが、それに関しては作業部会のまとめというよりは私の個人的な意見を申し上げようと思います。

 これは、堀江委員のところでつくられた資料を見ていてわかったのですが、カナダが90年代に公的年金制度をどういうふうにしていくかということを決めようとした際に、運用とガバナンスを一体で考えないといけないということで、そこでの言葉によりますと、「法定型ガバナンスモデル」というのと「独立型ガバナンスモデル」という2つのプロトタイプを考えた。

 前者は、今のちょっと前までの日本のパターンにかなり近くて、運用は割とシンプルで上場している金融資産に限る。それで、究極的な責任ないし説明責任は担当大臣にある。それで、ガバナンスのストラクチャーも法的できちんとしていてかなりシンプルである。

 他方、後者は運用のところで見ますと、ある意味ではもう少し高度であって、非上場物、インフラとかプライベートエクイティー、こういうものを分散投資でいろいろ買っていく。それで、説明責任という点については大臣が理事会にその説明責任をデリゲートする。当然、ガバナンスは若干独立性が高まるけれども、それに対するチェックアンドバランスをうまく効かせるような組織形態を考えるということを両方検討した結果、カナダの場合は後者に近いパターンを選んだということだと思います。

 それで、日本を振り返って見てみますと、これも複数の方がおっしゃったと思いますが、運用のところは若干後者のモデルに少しずつ接近しつつあるという面が否めないのだと思います。これは、いいか、悪いかということはまた別問題でありますが、ひとつそういう事実があるかと思います。それで、翻って作業部会の議論を見てみますと、だからこそガバナンスをきちんと強化しないといけないというのが一部の方の見方であったように思います。

 他方、また一部の方は、そういう意味でガバナンスの議論を通じて運用がこういうふうに若干高度化、あるいは一部の見方によればある種のリスクが高まる方向になりつつあるのを、後追いで認めるのは何か潔しとしないというような気持ちもおありのように拝見してきたところでございます。

 ただ、いずれにせよ運用が難しくなりつつあるというのは事実でして、ガバナンスに関する話を放っておくわけにはいかない。そういう意味では、少なくとも冒頭、2番目でしたか、出口委員がおっしゃいましたように、現行でやや強化されつつあるGPIFのガバナンス体制だけで本当に十分なのか。モニタリングをはじめとしていろいろやらなくてはいけないことがあるし、延長線上でこの作業部会で議論させていただいたような案、方向性も場合によっては考えていただくということかと思いました。以上です。

○神野部会長 申し訳ありません。予定の時間をオーバーしておりますので、本日の審議につきましてはこのあたりで閉じさせていただければと思います。本日は極めて精力的な御議論を頂戴いたしまして本当にありがとうございます。盛りだくさんの御意見を頂戴いたしましたが、きょうの議論を踏まえながら次回に引き続き議論を続けていきたいと思っております。

 それでは、この辺で閉じさせていただきますけれども、次回以降等々、連絡事項がございましたら事務局のほうからお願いします。

○総務課長 次回の開催日程につきましては、また追って連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○神野部会長 それでは、私の議事運営の不手際で予定時刻をオーバーいたしましたことを重ねてお詫び申し上げまして、本日極めて生産的な御議論を頂戴いたしましたことを重ねて感謝申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。


(了)

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