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2014年12月19日 平成26年度第7回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録(第二部)

医薬食品局安全対策課

○日時

平成26年12月19日(金)
第二部 19:00~20:30


○場所

厚生労働省専用第15、16会議室(21階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)ジェブタナ点滴静注60mgの安全対策について
(2)その他

○議事

○事務局 定刻となりましたので、始めさせていただければと思います。「薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」の審議を再開したいと思います。

 本日の御出席の委員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日の調査会は公開で行いますが、カメラ撮り等、審議に入る前までとさせていただきますので、御理解、御協力のほど、お願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧噪にわたる行為をしないこと、座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の委員の出欠でございますが、先ほどの会でも御紹介いたしましたとおり、事前に望月委員から欠席の連絡を受けております。したがいまして、安全対策調査会委員5名のうち4名、本日御出席いただいておりますので、「薬事・食品衛生審議会」の規程により、本日の会議は成立することを御報告いたします。

 また、本日は参考人といたしまして、日本医科大学医学研究科大学院教授の近藤幸尋先生、国家公務員共済組合連合会虎の門病院臨床腫瘍科医員の三浦裕司先生にそれぞれ御出席いただいております。ありがとうございます。

 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 以後の議事進行は五十嵐座長にお願いいたします。

(カメラ撮り終了)

○五十嵐座長 それでは、これから議事を始めます。

 初めに事務局から、審議参加に関する遵守事項につきまして御説明をお願いいたします。

○事務局 御報告いたします。

 本日、御出席いただきました委員及び参考人の先生方におかれましては、過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄附金・契約金などの受け取り状況を御報告いただいております。

 本日、議題(1)に関しまして、五十嵐委員からは、サノフィ株式会社より50万円以下の受取、アステラス製薬株式会社より50万円以下の受取、柿崎委員より、ヤンセンファーマ株式会社より50万円以下の受取、近藤参考人より、アステラス製薬株式会社より50万円を超え500万円以下の受取と申告いただきました。

 なお、競合品目、競合企業につきましては、事前に各委員に資料をお送りして確認いただいております。

 利益相反につきましては、以上のとおりでございます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。ただいま事務局から説明いただきました審議参加に関する遵守事項につきましては、御了解いただけますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 それでは、競合品目、競合企業の妥当性を含めて御理解をいただいたとしたいと思います。

 それでは、事務局から、今日の配付資料の御説明をお願いいたします。

○事務局 お手元の資料、上から議事次第、1枚紙でございます。それから、資料一覧、本日御出席いただいています委員、参考人の一覧。次に座席表。

 その次に資料1といたしまして、ジェブタナ点滴静注の適正使用に関するお知らせ。

 資料2といたしまして、「ジェブタナ点滴静注投与患者における発熱性好中球減少症」。

 次に、非公開資料でございますが、資料3のA3の大きな資料でございます。

 横の1枚紙でございますが、資料4といたしまして、添付文書の改訂案、事務局案でございます。

 参考資料1といたしまして、「ジェブタナ点滴静注60mgの添付文書」。

 参考資料2といたしまして、「ジェブタナ点滴静注60mg適正使用ガイド」より抜粋した1枚紙でございます。

 以上でございます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。資料に関しまして、過不足は特にございませんか。大丈夫ですか。はい。

 それでは、議題の「ジェブタナ点滴静注60mgの安全対策について」、これから議論したいと思います。

 事務局から始めに説明をお願いいたします。

○事務局 本日は、先週、製造販売業者の方が医療機関に対して適正使用のお願いを配付し、適正使用の徹底を行いました前立腺がんの治療薬でありますジェブタナ点滴静注の安全対策について御検討いただければと考えております。

 まず、お手元の参考資料1の添付文書をご覧いただければと思います。

 本剤は、サノフィ株式会社が開発いたしました医薬品でございまして、右側の中ほどの効能又は効果にありますように、前立腺がんを適用とし、用法・用量といたしまして、プレドニゾロンとの併用において、成人に1日に1日、25mgm2 を3週間間隔で点滴するという製剤でございます。なお、患者の状態により、適宜減量することとなっております。

 次のページをおめくりいただきまして、左上でございますが、本剤の減量・休薬・中止の基準を四角囲みのほうで記載しております。

 本剤でございますが、このページの右下の副作用を見ていただければと思います。先週、企業のほうが医療機関に発熱性好中球減少症という副作用について情報提供したわけでございますが、こちらにつきまして副作用の項の国内第I相試験でございますが、上から3行目で発熱性好中球減少症が24例、54.5%に発症。それから、その4行下にはGrade3以上の副作用としまして、同じく発熱性好中球減少症で24例、同じ数で54.5%出たというものでございます。

 このような状況でございましたので、これは当初からの添付文書でございますが、1枚目にお戻りいただければと思いますが、「警告」で、好中球減少症、それから発熱性好中球減少症等の重篤な骨髄抑制があらわれるということ、その結果、さらに感染症になって死亡に至る例があることを注意喚起しております。これは、国内の臨床試験では死亡症例は出ていないのですが、海外の臨床試験では死亡症例が出たということで、ここで注意喚起をしております。それに当たって、本剤では、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分知識・経験を持つ医師のもとで、適切とされる症例についてのみ投与するということも「警告」に書いてございます。

 それから、1枚おめくりいただきまして、2枚目、使用上の注意の2つ目の左側の下になりますが、重要な基本的注意の(1)で、重篤な骨髄抑制が高頻度にあらわれるということで、1)といたしまして、投与後は頻回に臨床検査を行う。異常が認められた場合には、減量、休薬又は投与を中止するということで、適切な処置を行うこと。また、本剤の投与にあたっては、G-CSF製剤の適切な使用についても考慮することとしております。

 また、2)でございますが、発現したときには、直ちに抗生剤の投与等の適切な措置を行うことということを注意喚起しております。

 それから、次のページでございますが、重大な副作用の(1)が左上にありますが、これの1)骨髄抑制で、発熱性好中球減少症の比率。下のほうにも、同じく、本剤の投与中は定期的に血液検査を行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は投与を中止する等、適切な措置を行うこととしております。

 具体的な減量・休薬等に関しましては、1つ前のページの左上の四角囲みで書いております減量・休薬・中止基準の2つ目のカラムに、発熱性好中球減少症が起こった場合には、右側の処置というところで、症状が回復又は改善し、好中球数が1,500mm3 を超えるまで休薬し、その後用量を20mgm2 に減量して投与するという記載をしているものでございます。

 なお、6ページに承認条件が書いてございますが、本剤については、国内の治験症例が限られてございますので、全症例を対象に使用成績調査を実施するということが承認条件でついている医薬品でございます。

 それでは、資料1を見ていただければと思います。1枚紙でございます。これは、先週月曜日の夜に企業のほうがホームページに掲載し、火曜日から医療機関に情報提供した資材でございます。大きな囲みで、重篤な発熱性好中球減少症の発現に注意してくださいということでございます。

 大きな四角のすぐ下が概要でございますけれども、本剤につきましては、ことしの9月4日発売開始以降、3カ月間の間に約200例の患者が使った。その中で、重篤な好中球減少症・好中球数減少が31例、発熱性好中球減少症が11例。これは、重複が2例ございますので、症例としては40症例でございます。その中には死亡する症例が5例報告されましたということがありまして、その5例の簡単なラインリストが下のほうについております。

 これらを受けまして、企業のほうが大きな四角囲みで、これら5例の報告につきまして、4例が1サイクル目に発現していること、特に、治療中については、頻回に血液検査などを実施すること、それから、発熱が認められた場合には、直ちに検査をするとともに、適切な抗菌薬の投与をしてくださいということ、最後に、G-CSFの適切な使用も考慮してください、と、この4つの注意書きについて、先週、医療機関に対して企業のほうが情報提供したものでございます。

 裏のほうでございますが、具体的な抗菌薬、治療の仕方でございまして、具体的な抗生物質の名前、それから、スコアに応じた、さらに組み合わせるような抗生物質の種類などの具体的な形で示しています。あと、「再評価」というというところで、好中球数が500/μLまで回復するまで治療を続けてくださいということを、ガイドラインに基づいて情報提供しているものでございます。

 続きまして、資料2をごらんください。1217日時点の本剤における発熱性好中球減少症の状況でございます。企業が先週、情報提供した後に、全症例について、再度、発熱性好中球減少症について、あるかどうかについて調査した結果でございます。

 1ページ目でございますが、これは発熱性好中球減少症によって死亡した5症例で、先週、企業が医療機関に対して情報提供したものと変わらず、追加の死亡症例はないものでございます。

 見方でございますが、報告事象名が書いてありまして、下線を引いてありますのが死因として報告された副作用名でございます。次のカラムが年齢。それから、本剤投与時の患者の状態、本剤を投与した時の量ということで、総量がわかるものあるいは「/m2 」で出されたものと、分かる場合は両方併記しております。それから、投与開始から発熱性好中球減少症が発現したまでの日にち。それから、発現してから死亡に至るまでの日数。その次に、血液検査日と値ということで、検査日と、それに対する白血球あるいは好中球の数値を書いております。最後に、右側の備考といたしまして、G-CSF製剤の投与状況。それから、発現後に措置した抗生剤、どういうものを使ったのかということを書いております。

 具体的に死亡症例について御報告させていただければと思います。この資料2は公開資料と考えておりますが、資料3のほうが具体的な症例経過と医師等のコメント等もございますので、適宜、御参考にしていただければと思います。説明のほうは、資料2を中心にさせていただければと思います。

 まず、第1症例は、60代後半の前立腺がんの患者で、合併症といたしまして、間質性肺疾患、高血圧を有する方です。本剤投与時の状態といたしまして、間質性肺炎などの陽性進行の指標となりますKL6が高目で、パフォーマンス・ステータスのほうはゼロでございました。本剤投与前日の白血球数は6,100であり、投与2日後には約半数の3,040になっていたため、予防的にG-CSF製剤が投与され、その後、白血球数が回復。2回目投与の前日には5,790になっていました。2回目の本剤投与後5日後に白血球数が1,000になりまして、発熱性好中球減少症を発症。翌日からG-CSF製剤とメロペネム1gを投与しましたが、発症から3日後に死亡した症例でございます。担当医は、死因は大葉性肺炎、間質性肺疾患及び発熱性好中球減少症としております。

PMDAで評価した結果、大葉性肺炎及び間質性肺疾患に関する情報は不足しておりますが、発熱性好中球減少症と死亡との因果関係は、既に使用上の注意に記載のある副作用による死亡であり、否定できないと判断しております。

 次に、症例番号2でございます。60代後半の骨転移を有する前立腺がん患者でございます。投与当日の好中球数が4,765でございまして、投与6日目に919となり、発熱性好中球減少症を発症。G-CSF製剤を投与開始。また、翌日から抗生剤としましてセフェピム2gを1日2回投与開始いたしました。しかしながら、その日にお亡くなりになってしまった症例でございます。担当医は、死因は心停止と発熱性好中球減少症としております。心停止に関する情報は不足しておりますが、発熱性好中球減少症と死亡との因果関係は、同様、使用上の注意に記載のある副作用でございますので、否定はできないと判断しております。

 次に、3症例目でございます。70代の骨転移を有する前立腺がんの患者で、既往歴といたしまして、2型糖尿病、高脂血症、肝機能異常のある方でございます。投与時の状態といたしまして、PSが1でございました。本剤投与当日の好中球数が2,078であり、投与6日後にゼロとなり、発熱性好中球減少症が発症。当日からG-CSF製剤及び抗生剤を投与しましたが、翌日に死亡したというものでございます。抗生剤の種類、投与量等に関する情報は得られておりません。担当医は、死因は発熱性好中球減少症と敗血症性ショックとしております。PMDAといたしましては、これはいずれも副作用と死亡との因果関係については否定できないものと判断しております。

 次に、症例番号4をご覧ください。60代前半の骨転移を有する前立腺がんの患者で、合併症といたしまして骨転移に伴う下肢麻痺によって発症した褥瘡等のある方でございます。投与時の状態といたしまして、37℃台の発熱があった方です。本剤投与前日の好中球数が2,178でありまして、投与7日後には19以下となり、発熱性好中球減少症が発症。その日に死亡した症例でございます。担当医は、死因と好中球減少症、無顆粒球症及び発熱性好中球減少症としております。発熱性好中球減少症発症当日に抗生剤が使用されていますが、その量は情報が得られておりません。これら担当医が死因とした副作用と死因との因果関係につきましては、否定できないものと判断しております。

 最後の死亡症例でございますが、症例番号5をごらんください。70代の骨転移を有する前立腺がんの患者でございまして、合併症といたしまして糖尿病等がある方で、投与時の状態といたしましてPSが1でございました。本剤投与日の好中球数が5,494であり、投与5日後に800となり、発熱性好中球減少症が発症。当日からG-CSF製剤を2回、及び抗生剤としてセフトリアキソンを投与、翌日にはセフトリアキソンにかえてセフォゾプラン1g、1日3回を投与いたしましたが、発現後4日後に死亡した症例でございます。担当医は、死因は発熱性好中球減少症及び敗血症としております。これら担当医が死因と判定いたしました副作用と死因との因果関係につきましては、否定できないものと判断しております。

 以上が発熱性好中球減少症に関します死亡症例でございます。

 次の2ページ以降でございますが、1217日までに発熱性好中球減少症を発症したが、それにより死亡に至らなかった症例のリストでございまして、23例報告されております。

 概要を申しますと、投与患者は、60歳代前半が1名、60代後半が6名、70代が15名、80代が1名、現時点では不明というのが1人でございます。発熱性好中球減少症の発現につきましては、投与後7日前後の方が多く、G-CSF製剤が投与されたと確認できた例は、そのうちの18例。しかも、そのうち予防的投与というのはナンバー13とナンバー22でございます。

 なお、最後のページでございますが、3.その他の死亡症例といたしまして、軽度の発熱性好中球減少症を発症したものでございますが、既往歴といたしまして肺繊維症をお持ちの患者様で、発熱性好中球減少症は発症後翌日には回復した症例でございますが、その後、間質性肺炎のために本剤投与20日後に死亡したという症例でございます。

 本剤投与されているのは、全例調査の結果、208例でございますが、死亡に至った症例はこの1例と、冒頭に説明した5例、合計6例というのがこれまでの報告でございます。

 最後に、資料4をご覧ください。1枚紙でございます。報告された症例を踏まえまして、本剤の添付文書の改訂案というものを事務局のほうで作成いたしました。これについて御報告させていただければと思います。

 左側は現行でございまして、右側が改訂案。現行に対しまして追加したいというものが、右側の下線を引いているところでございます。特に、今回につきましては症例の経過が早いということもございまして、既存の注意書きの(1)の1)の最後の「本剤の投与にあたってはG-CSF製剤の適切な使用に関して考慮すること」というところにつきまして、より丁寧に追記することを考えております。

 右側でございますが、本剤の投与にあたってはG-CSF製剤の適切な使用を、最新のガイドライン等を参考に考慮すること。特に発熱性好中球減少症のリスク因子といたしまして、括弧に65歳以上、PS不良、発熱性好中球減少症の既往歴、広範囲の放射線治療を受けている方、あるいは腫瘍の骨髄浸潤等を有する患者においては、G-CSF製剤の予防的投与を考慮すること。

 それから、3)といたしまして、一番下の対処の項でございますが、発現した場合には、適切な抗生剤の使用について、ガイドラインを参照することを追記できればと思っております。

 最後に、参考資料2というものをごらんください。1枚紙でございます。本剤の適正使用ガイドより抜粋したものでございますが、G-CSF製剤につきまして具体的な投与方法を記載しているものでございます。

 発症した後の治療的投与について説明しているものでございますが、これの裏をごらんください。裏のほうで、G-CSF製剤の1次予防的投与ということでございまして、初回化学療法前の評価ということで、こういうスキームで、推奨グレードといたしまして、ハイリスクについて使ったらどうかということでございます。

 今、本剤は208例使われておりまして、そのうち28例の発熱性好中球減少症が御報告されておりますので、比率としまして大体13%になっております。この推奨グレードBに大体当たるものなのかと考えております。

 本剤のリスク評価というところでございますが、ASCOとかNCCN、それからヨーロッパの基準が表に入っておりまして、これらの内容を参考にいたしまして添付文書の案のハイリスクのところの括弧書き等を記載しているものでございます。

 長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、この症例についての御見解、あるいは今後の事務局の対応案につきまして、今日は参考人の先生、お二人おいでいただきましたので、初めに近藤先生から御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○近藤参考人 本剤カバジタキセルは、欧米のほうが先行して発売されておりまして、いわゆる去勢抵抗性の前立腺がんと言いまして、ホルモンが効かなくなったものに関して化学療法を行うということで、日本で先行に使われていたのがドセタキセルというものであります。ドセタキセルを使った後のこのカバジタキセルは、同じタキサン系の薬でありながら、よく効くという触れ込みというか、そういう知識がありまして行っていたのですが、実際、フェーズワンの試験を見てみますと、44例中に100%で好中球減少症が見られるという状況があります。ただ、そこでは死亡例はないという状況だと思います。

 この各症例で、200例で5例お亡くなりになられているということですけれども、全ての情報が入っているわけではないのですが、いわゆる貧血で輸血を頻回に行っていたり、途中の経過を見ますと、ヘモグロビンが7.7とか、もともと骨髄機能というか、予備能が低い症例に投与していることによって、こういう発熱性好中球減少症が非常に強い状況で起こってしまったのではないかということが推測されるわけです。

 もともと前立腺がんというのは、高齢男性ということと、骨転移を非常に多く起こすということがございますし、それに対して例えば放射線治療をやっていたり、抗がん剤の先行投与がなされていて、骨髄の予備能が低くなっている可能性が十分にあるので、このジェブタナという薬はもろ刃の剣というか、効果と副作用のレンジが非常に狭いお薬であると予想されますので、管理というのが非常に重要になると思います。ですから、その管理においては、先ほど示されていたような頻回な採血。特に、1サイクル目で起こっているということがございますので、頻回な採血でチェックしていくということと、G-CSFの予防投与というのも考慮していく必要が十分にあるのではないかと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 もう一つ、改訂案につきまして、この文言はいかがですか。

○近藤参考人 改訂案の文言の下線のところでございますけれども、最新のガイドライン等を参考にということで、先ほどの参考資料2をカバーしていると思われますので、それでよろしいかと思います。また、広範囲放射線照射等というところが、多分前治療歴ということに、先ほど私がお話ししたドセタキセルの前投与といったことも含んでいるのではないかと思いますし、腫瘍の骨髄浸潤というのも、多発性の骨転移でもともと骨髄機能が低下しているというのを含んでいる表現だと思いますので、一応、先ほど私がお話させていただいたことは、この文言ではカバーされているのではないかと思います。

 また、頻回な測定が必要だということはもともと書いてございますし、今回、発熱性好中球減少症が発現した場合も、先ほども参考資料のような状況で、ガイドライン等を参考にしてきちんと行っていくという形の改訂案なので、私が思っていることはカバーされているのではないかと考えます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 続きまして、三浦先生のほうから御意見をお願いいたします。

○三浦参考人 よろしくお願いします。私は、薬剤の問題点と使う側の問題点、この2点についてちょっと意見を述べさせてもらおうと思います。

 まず、薬剤の問題点としては、海外の第III相試験と第I相試験の副作用の発現頻度を直接比較することは科学的には余りよくないのですけれども、海外ではFNの頻度は余り高くなくて8%ぐらいであった。日本のフェーズワンでは50%ぐらい起きているということで、今までも検討されていると思うのですけれども、今後も例えば人種差とか個体間の差がないのかどうかということは、引き続き科学的に検討を続けていく必要はあると思っております。だからといって、ジェブタナが実際、現象上、余りにも危険過ぎるかというと、そういうわけでは私はないと思っていまして、適切に管理すれば、患者さんのベネフィットのある薬剤だと思っております。

 まず、使う側の管理の課題ですけれども、3点まとめて言いますと、1点目は、ジェブタナの適格性があるのかどうかという、患者さんに使うところの条件をしっかりと見きわめる必要があると思います。

 2点目が、適格性にもかかわってくるのですけれども、G-CSFの1次予防投与ですね。ニュートロピニアが出てから使うのではなく、抗がん剤の投与が終わった翌日から適切なガイドラインに沿った1次予防投与をしっかりと周知すること、実施していくことがG-CSFの適正使用の上で重要です。

 3点目は、FNが起きたときの対処についてです。G-CSFの適正使用とFNの管理というのは、抗がん剤を投与する医師にとって基本であり、身につけておかなければいけない知識と技術でありますので、そこをしっかりと周知していかなければいけないと思っています。

 特に、このFNのことに関してですけれども、FNというのは、オンコロジーエマージェンシーの状況ですので、熱が出て1時間とか数時間以内に対処しなければいけないというものです。あとは、先ほど述べた抗生剤の種類、投与量といったものに関しても、しっかりと周知が必要かなと思っております。

 改訂案につきましては、この文言に関しまして、私は非常にバランスよく書かれているのではないかと思います。これに加えて、先ほど適正使用ガイドの参考資料にもありましたように、特にG-CSFの予防投与、1次予防という言葉を誤解して理解されている医師がかなり多いので、ここをきちんと参考資料みたいなもので周知していくことが重要じゃないかと思っております。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、お二人の御意見を伺ったわけですけれども、委員の先生方、御意見いかがでしょうか。

○柿崎委員 欧米が先行発売ということですけれども、欧米では全例、1次予防しているのが通常でしょうか。

○三浦参考人 実際のプラクティクスはちょっとわからないですけれども、FDAの添付資料を訳されている資料だと、今回、改訂案で書かれたように、65歳以上とか、そういうハイリスクをしっかり具体的に提示して、そういう症例にはG-CSFの1次予防投与をshould be consideredというかなり強い形で考慮しなさいと書かれてあるので、恐らくそういう使用がされているのではないかと思われます。

○五十嵐座長 どうぞ。

○遠藤委員 先ほど近藤先生のほうから、44例のFNは出ているけれども、死亡例はないというお話だったのですけれども、そのときのG-CSFの投与というのはどういう状況だったのでしょうか。

○近藤参考人 このときはG-CSFは使われておりますが、1次予防という形で使われてはいなかったと思います。ですから、今、お話もありましたけれども、リスクの高い人は1次予防を考慮するべきだと考えております。

○五十嵐座長 どうぞ。

○大野委員 資料3を見ますと、死亡に至った患者さんは事前にドセタキセルを投与されて、多分、それが効かなくなったので、これを投与したのだと思うのですけれども、生き延びた方はそういう処置をしないで、このジェブタナを初めて投与した患者さんのように見えてしまうのですけれども、この理解は正しいのでしょうか。そういう情報が入っていないだけなのでしょうか。

○五十嵐座長 事務局、どうぞ。

○事務局 事務局で回答します。

 恐らく情報がとれていないのではないかと思っております。回復している場合は、そのときに情報がありまして、死亡症例の場合は企業のほうで情報をとっていくと思います。

 本剤の添付文書の効能効果に関する使用上の注意というところで、本剤の化学療法未治療の前立腺癌における有効性及び安全性は確立していないということですので、何らかの化学療法を前に行っていると考えられますので、今、標準療法はドセタキセルでございますので、恐らく一度はやっていらっしゃるのではないかと思います。

○大野委員 わかりました。前のそういう類薬を投与して効かないものに投与するのはだめなのかなと読んでしまったのですけれども、そういうわけじゃないのですね。ありがとうございます。

○五十嵐座長 ほかはいかがですか。特に、改訂案につきましては、御意見いかがでしょうか。

 どうぞ。

○遠藤委員 先ほどの近藤先生のお話でも、「等」のところに化学療法の治療歴も含まれるというお話があったのですけれども、この場合、ここにきちんと明記するというのはどうなのでしょうか。「等」に入っていますよと言っても、この文書を見たときに、添付文書上は、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとでと書かれているので、本来であれば、皆さんわかっていただけるのだろうと思うのですけれども、現状はいろいろなことが起きているので、ちょっと長くなりますけれども、そこも外出しにして書くというのはいかがでしょうか。

○五十嵐座長 つまり、「広範性放射線照射やがん化学療法などの強い前治療歴」と出すということですね。

○遠藤委員 はい。

○五十嵐座長 いかがでしょうか。

○事務局 事務局のほうからお答えさせていただきます。

 先ほど近藤先生がおっしゃっていただいた部分ですけれども、事務局としましては、特に広範な放射線照射等の強い前治療歴の中には、おっしゃるようなものも含まれるのですが、主には前立腺がんの多くの患者さんに多発性骨転移があって、骨転移に放射線をかける状況は非常に多い。そういう場合に、特に骨髄の予備能が低下しているので、特に注意を喚起したかったのは放射線照射というところでしたので、こういった文言にしております。

 あと、前治療ですが、発熱性好中球減少症の既往歴というのを入れてございまして、ここは仮に前治療でドセタキセルをやっていても、特に減量が必要ないとか、G-CSFの治療も必要ないという状況の場合もあると思いますが、実際にドセタキセルを使って好中球減少を非常に来しているとか、特にそういう方でリスクがあるので、前治療の状況という意味では、どちらかというと好中球減少症の既往歴という意味で書かせていただいております。

 繰り返しになりますが、「等」の中にいろいろ読めるようにしてあるのですけれども、特に骨転移に関する放射線ということで書かせていただいたものでございます。

○遠藤委員 FNの既往歴で入っている。当然ですけれども、そこに入っているということですね。わかりました。

○五十嵐座長 どうぞ。

○事務局 先ほどの補足でございます。資料2の5例の死亡例でございますが、ナンバー1、2、3、5がドセタキセルの投与の中で既往歴があることになっております。

 以上でございます。

○五十嵐座長 そうすると、文言につきましては、あえてがん化学療法という言葉は入れないということでよろしいですか。

○遠藤委員 含まれるということであれば了承します。ただ、先ほど三浦先生のお話もありましたが、知識経験を持つ医師のもとでというところをもっときちんと確認していただくことが大事なのかなと思いました。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、この事務局案につきまして議決をとりたいと思いますけれども、いかがでしょうか。これを御承認いただけますでしょうか。よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 それでは、この事務局案に賛成いただきましたので、このジェブタナにつきましては、より適正に使用されるように事務局案どおりに添付文書を改訂するとともに、企業に対しましては、情報提供資材の修正等がもしありましたら、医療機関への周知をより徹底することにしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。それでは、御異議なしということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 では、今後の事務局の方針につきまして、お話をお願いいたします。

○事務局 御審議、ありがとうございました。

 本日御審議いただきました結果に基づきまして、添付文書の改訂手続を進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。

○事務局 では、一言お礼申し上げます。

 この調査会は、当初予定しておりませんでしたが、急遽、この議題、ジェブタナの件を入れさせていただきました。本当にお忙しい中、調査会の先生方には残っていただきまして、また近藤先生、三浦先生におかれましては、この件に関して、わざわざお越しいただいて、専門的な見地から御意見いただきまして、どうもありがとうございました。

 このジェブタナについては、市販後、早期にこのような報告がございましたので、添付文書等の改訂も踏まえて対応していきたいと思いますし、また今後も我々、PMDAとともに注視していきたいと思います。それで、またその状況を御報告するような機会もあるかもしれませんので、引き続き御指導、御意見等をいただければと思っております。

 本日は、どうもありがとうございました。

○五十嵐座長 それでは、今日の調査会をこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。


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