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2014年12月12日 第88回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成26年12月12日(金) 15:00〜17:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(中央合同庁舎第5号館6階)


○出席者

永井部会長
相澤委員、今村委員、江藤委員、大澤委員、
菊池委員、桐野委員、塩見委員、玉腰委員、
手代木委員、福井委員、山口委員、横川委員、
渡邉委員

○議題

1.「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」報告書について
2.国立感染症研究所の評価報告等について
3.戦略研究の追跡評価について
4.「遺伝子治療臨床研究に関する指針」の一部改正について
5.「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の一部改正について
6.遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について

○配布資料

資料1−1 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 報告書(概要)
資料1−2 臨床研究に係る制度の在り方に関する報告書
資料2 国立感染症研究所の評価報告等について
資料3−1 戦略研究の追跡評価について(概要)
資料3−2 戦略研究追跡評価報告書(がん対策のための戦略研究(乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験))
資料3−3 戦略研究追跡評価報告書(がん対策のための戦略研究(緩和ケアプログラムによる地域介入研究))
資料3−4 戦略研究追跡評価報告書(エイズ予防のための戦略研究)
資料3−5 自殺対策のための戦略研究
資料4 遺伝子治療臨床研究に関する指針の一部を改正する件について(概要)
資料5 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の一部改正について(概要)
資料6 遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について
参考資料 1 厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料 2 遺伝子治療臨床研究実施計画の申請及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する参考資料

○議事

○中山研究企画官

 まず、傍聴の皆様にお知らせします。傍聴に当たりましては、既にお配りしている注意事項をお守りくださるようにお願いいたします。それでは、一部遅れている先生がいらっしゃいますが、これから開始させていただきたいと思います。第88回厚生科学審議会科学技術部会を開催いたします。委員の皆様には、御多忙の折お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日は6名の委員から御欠席の連絡を頂いておりますが、出席委員は過半数を超えておりますので会議は成立いたします。現時点でも成立しているのですが、成立することを御報告します。続きまして、本日の会議資料の確認をお願いしたいと思います。「議題次第」、資料番号が付いていないもので「本日の審議事項等の概要」という紙が付いていると思います。本日は16まで議題がありますが、全て報告事項です。その後に「座席表」、資料1-1、資料1-2、資料2。資料3については15までということです。さらに資料4、資料5、資料6となっております。その後は参考資料12が付いております。もし何か不足等がありましたらお知らせいただければと思います。それでは、永井部会長、議事の進行をよろしくお願いします。

○永井部会長

 それでは、議事1「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会報告書」について御報告をお願いいたします。それでは、事務局から御説明をお願いします。

○神ノ田研究開発振興課長

 「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会報告書」については、昨日、既に公表しているもので、その概要を御説明いたします。

 資料1-1の報告書の概要版と、資料1-2の報告書の本文を御用意しております。まず、資料の説明の前に、これまでの経緯、背景について若干御説明いたします。

 昨年来、臨床研究の不適正事案が問題化して、その再発防止の対策等について検討委員会において御検討を頂き、今年の4月に報告書が取りまとめられております。その報告書では、2つの対応を求められております。1つは倫理指針で、その見直しによる対応です。2つ目が、法制化の必要性の検討ということでした。1点目の倫理指針の見直しについては、前回の科学技術部会において御説明したとおりで、近日中に文部科学省、厚生労働省の共同告示として公布される予定です。本日、御報告するのは、2点目の「法制化の検討」ということです。その内容については、資料1-1に沿って御説明します。

 まず、1.法規制の必要性等についてです。1つ目の○に記載しているとおり、法規制による臨床研究が萎縮することのないように、全て法規制により対応するということではなく、研究者等による自助努力などの法規制以外の対応とバランスを図ることが重要という考え方に基づいて、2つ目の○に記載しているように、欧米の規制を参考にして、一定の範囲の臨床研究について法規制することが必要と提言されております。

 欧米の規制については、資料1-222ページを御覧ください。表に日本と欧米の法規制の対象についてまとめております。上の表が対象のところです。日本では治験のみを法規制の対象にしておりますが、米国・欧州では、臨床研究の一部についても法規制の対象にしており、その範囲は米国では未承認・適応外の医薬品・医療機器を用いる臨床研究。また欧州では承認あり、適応内のものも含めて、医薬品・医療機器を用いる臨床研究全般を法規制の対象に含めております。また、下の表に規制内容の違いをまとめております。日本、米国、欧州とも倫理審査委員会の審査、届出、研究の実施基準、副作用等の報告など、ほぼ同様の内容について規制をしております。ただ、1点異なるのが米国では製薬企業等の透明性確保についても規制しているという点が異なっております。

 23ページが、透明性確保に関する規制の概要です。米国ではサンシャイン・アクトにより、10ドル以上の対価の移動について公開を義務付けておりますが、日本、欧州においては、業界による自主規制で対応している状況です。

 資料1-12.法規制の範囲についてです。報告書では、被験者に対するリスクと社会的リスクの2つのリスクに対応するという考え方に基づいて、被験者に対するリスクのある未承認又は適応外の医薬品・医療機器等を用いた臨床研究と、社会的リスクに対応するということで、広告に用いられることが想定される臨床研究を法規制の範囲とすることが妥当ではないかとまとめられております。

 3つ目の「具体的な規制や対策の内容」についてです。

 (1)倫理審査委員会については、委員構成等の要件を設定するなどにより、倫理審査委員会の質を確保するための方策が必要としております。

 (2)臨床研究に関する情報の公開等については、臨床研究の実施状況が適切に公開されることは、研究の質の確保、不適正事案発生時の迅速な対応のために有効としておりますが、研究者の知的財産権保護にも配慮が必要としております。

 (3)臨床研究の実施基準については、モニタリング・監査の実施、記録の保存等の臨床研究の質を確保する観点からの取組、またインフォームド・コンセント、個人情報の保護等の被験者保護の観点からの取組について、ICH-GCP等を踏まえた基準の策定・遵守が必要とされております。

 (4)有害事象発生時の対応については、速やかに倫理審査委員会への報告を求めるべきとしており、併せて行政当局が把握できるような仕組みを検討すべきとされております。

 (5)行政当局による監視指導及び研究者等へのペナルティーについては、行政当局には必要な調査や、措置を講じさせる等の権限の確保が必要と。また、罰則については、いきなり罰則をかけるのではなく、改善命令等に応じないなど、悪質な場合に限定すべきとされております。

 (6)製薬企業等の透明性確保については、製薬企業等の取組状況も踏まえ、法的規制も視野に対応を検討するべきとしております。検討会においては、製薬企業の関係者からヒアリングを実施しておりますが、今後は資金提供等の状況については全てホームページ上で閲覧できるようにすると説明しておりました。そのような取組状況も踏まえた上で検討していくということです。

 4.その他については、ディオバン事案等では生物統計家などの臨床研究に関わる専門家が病院にいないことが背景にありましたので、この臨床研究の関係の人材育成が必要という提言を頂いております。また、2つ目の○として、製薬企業や業界団体における自主的な広告審査の枠組み作りや、行政機関による監視・指導体制の強化などにより、医療用医薬品の広告の適正化を図るべきという提言を頂いております。

厚生労働省におきましては、この報告書の提言を踏まえて、今後法案作りの作業を進めていきたいと考えております。説明は以上です。

○永井部会長

 それでは御質問、御意見を頂きたいと思いますが、いかがですか。

○相澤委員

 いつ頃の立法化を予定しているのですか。

○神ノ田研究開発振興課長

 その点についてはまだ決まっておりません。作業については急ぎたいと思っておりますが、国会に法案を提出ということについては、ほかの重要法案との関係もありますので、現時点では申し上げることが難しいという状況です。

○永井部会長

 ほかにいかがですか。この広告規制のところはやや分かりにくいところです。これは製薬業界に遵守を求めるということですが、研究者の責任と製薬業界の責任というのはどのように分けられているのですか。

○神ノ田研究開発振興課長

 正にそういったところを今後詰めていかなければいけないと思っております。こちらの検討会報告書では大きな方向性として、ディオバンでも問題になった広告に関係するような部分について、しっかりと、広告するのであれば臨床研究について質の確保が必要という御意見と受け止めております。具体的にどう規制をかけるかについては、今、永井部会長が御指摘されたような方法も1案としてあるかと思いますが、ここはどういう形であれば法制化できるかというところを今後詰めていきたいと考えております。

○永井部会長

 手代木委員どうぞ。

○手代木委員

 製薬協の副会長の手代木です。今、おっしゃったように、私ども製薬協としてもとにかく広告に関してどのように今後取り組んでいったらいいのかというのは、私どもの常任理事会という一番上位の会でも議論を始めております。現実的には、いわゆるパンフレット類みたいなものを含めると、1年間に出てくる数が数千種類ある中で、本当にどのようにそれを確保していくのか。ただ、どうしてもクオリティについてはきちんと確保していかないといけないだろうと。それをどのようにやっていくか現実を踏まえながら、厚生労働省ともタグを組んで、きちんと透明な形でさせていただきたいと思います。先生御懸念のとおり、いろいろな臨床研究の中には、本当に今までトライしたことのないイノベーティブな研究が含まれている場合があります。先生方のイノベーションを阻害しない形と、それをどのようにツール等に入れた上で広告をしていくかということは分けて考えないといけないという認識は私どもも持っております。

○永井部会長

 一連の問題の背景に臨床研究の質の問題があるわけですが、更にその背景には日本の臨床研究の研究費が極めて少ないことがあります。世界的に見たときに、かなり非常識な少ない研究費で臨床研究が行われてきたという背景があります。こういう法律を機会に規制を強めるのではなく、やはりきちんと研究費を確保して行えるような仕組み、あるいはそうした研究費の提供ということも含めての規制ではないかと思います。是非、それは製薬業界の方にもお願いしたいと思います。

○相澤委員

 この報告書を読むと、医療品・医療機器等法第66条で、規制を考えると読めるのですが、その理解でよろしいのですか。

○神ノ田研究開発振興課長

 そこも含めて、医薬品・医療機器等法の改正で対応するのか、あるいは新しい新法を作るのか、その両方なのか、その辺はまだ現時点では固まっておりませんので、そういった選択肢がある中でどう詰めていくかということが、今後の課題になってくるかと思います。

○福井部会長代理

 広告のことについて、一言。当初は広告に用いられることが想定されなかった臨床研究が終わった後、広告に用いることは一切できないのでしょうか。概要の文書では、プロスペクティブな判断を行うことのみ記載されていて、レトロスペクティブには広告ができないのかよく分かりません。またよろしくお願いします。○神ノ田研究開発振興課長

 その点は検討会の議論の中でも御指摘を受けておりまして、研究をやってみたら良い成果が出たと。それは広告に使えないのかという御指摘を受けていますので、そこは支障のない形で法規制するにはどうしたらいいかというところを、今、正に検討しているところです。

○永井部会長

 よろしいですか。ありがとうございます。それでは、議事2にまいります。報告事項です。国立感染症研究所の評価報告等について御報告をお願いいたします。本件については、国立感染症研究所長の渡邉委員より御説明をお願いします。

○渡邉委員

 皆さんのお手元の資料2を御覧ください。平成25年度の機関評価として、214日に外部委員の先生方によって評価を頂きました。外部委員のメンバーは、一番最後のところを見ていただくと、岩本先生を委員長として、ここに掲げてある先生方にお願いしてあります。

 そこで頂いた評価結果等が、21ページに平成25年度の機関評価報告書。31ページからは研究開発課題についての報告書を頂いております。それについての感染研の対処方針が5ページに書かれております。機関評価は3年に1度行っております。その間に各部で行っている業務の内容についての評価を毎年行って、ですから毎年評価を行うのですが、機関評価としては3年に1度で、今日はその総合的な評価を報告させていただきます。

 内容に関しては、1ページの「概要」を御覧いただいて、各項目ごとに評価を頂いているのですが、その中で主な4つの点を今日は御報告して、それに対してどのように感染研として対処方針を考えているのかこれから述べたいと思います。

 まず、意見等で、これは各委員から出された意見ですが、1つは感染研のミッションというのは、感染症に対しての科学的な知見を提供し、リスクアセスメントを行う。そのためには、感染症に対する各基礎的・応用的研究、検査、調査・サーベイランス、ワクチン等の生物学的製剤の国家検定等の感染症対策上に必要な業務がなされており、国の中央機関としての役割を果たしているという評価を頂いております。

 ただ、米国の危機管理の機関であるNIHCDCFDAと比べると予算規模、人員等において全く比較にならないぐらい少ないわけです。NIHCDCFDAを合わせるとトータルで恐らく2万人ぐらいの数になると思いますが、感染研はこの業務全て、NIHCDCFDAの業務全てを担っているわけではありませんが、NIH機能としては感染症の基礎的研究でNIIDCDCのサーベイランス機能と、FDAのワクチン等の検定機能を行っているわけですが、正規所員としては320名が研究職として働いています。そういう状況においても3つの機能を担う国家機関として独自の歴史的な発展を遂げてきて、現在予算等が削減されている中においても、国内の新興感染症であるSFTSVという新しい病気の発見や麻疹排除の可能性の科学的な根拠等について、国民の安心・安全に直結する重要な成果を多数上げているという評価を頂いております。

 2番目として、感染症法に基づいた国内の感染症の現状、課題を明らかにするためのin house予算での基礎的研究費や、研究事業費などの減少が極めて激しい状況であるということを合わせると、そういうところを確保するために国の緊迫した財政事情は理解できるが、国民を感染症の脅威から守り、国民の安心・安全を担う感染研の機能を維持、充実させるためにも、このような基盤的研究費等が強く確保されることを要望すると委員会としても意見を述べていただいております。

 3番目として、感染研の役割というのは、感染症に対するリスクアセスメントを科学的に行うということですが、専門的な知見が正しく政策に反映されるようなフォローをすることも重要である。また、一般国民からして、科学的に正確な情報が分かりやすく唱えられたり、いわゆるリスクコミュニケーションが重要であるというコメントを頂いております。そのためには、国民や各方面のステークホルダーにも今以上に分かりやすく説明をし、理解を得ていくことが重要です。

 4番目として、感染研が持っている検定機能に対して、この独立性を確保すべきであるが、検定と研究開発が同じ部署で行われているなど、利益相反の疑いが生じる可能性があるということで、今後、検定の部署と研究開発の部署を組織上分離させる等の検討も必要であるということです。

 それらの御意見に対しての感染研の対処方針としては、1番に対してはA)に書きましたが、評価委員会によって感染研の実績等が高い評価を頂いているのは非常に有り難いことである。CDCFDANIH等々、感染研の業務が比較されがちですが、組織体制が異なるということ。かつ予算や人員規模が非常にかけ離れているということで、比較すること自体になかなか無理があるわけですが、その中でも米国に劣らぬほどの業績を上げていることは、感染研の所員の努力の賜物であると考えております。

 2番として、予算、人員が削減される中で、感染研の機能を1人が2役、3役の努力を重ねているわけですが、それに余り頼り過ぎると疲労困憊となる可能性があるということで、評価委員会のコメントにあるように、国が国民の生命を守るために、健康危機管理体制の確保の重要性に鑑み、感染研の人員予算の削減を行わないよう、むしろ、増員増額を行っていただけるように強く国等に要望を続けていきたいということです。

 もう1つは、来年4月から日本医療研究開発機構(AMED)が発足するわけですが、ここの研究資金を感染研としても今後取っていく努力を行うことは当たり前ですが、AMEDの研究資金というのがイノベーション等の実用化研究が主題であるとうたわれておりますので、余りこれに偏重し過ぎると、感染研の本来の業務である危機管理機能としてのサーベイランスや、検査体制のレファレンス機能の研究資金が減少することが危惧されるということです。このAMEDにおいても、これらの資金を支援していただくような体制を作っていただくこともさることながら、in house予算の確保も十分考えていただきたいということを期待すると述べてあります。

 続いて、3番のアウトリーチ活動に関しては、今まで一般公開とか、市民講座「知の市場」、メディア意見交換会など、いろいろなことを進めているわけですが、今後ともこの辺の充実を図っていきたいということです。今度新しくWebシステムが変わりますので、そこに合うような形での検討を重ねていきたいということです。新しいSMSとかfacebookとか、いろいろなものが各方面でも利用されておりますが、そういうものも感染研としても利用し、感染症のいろいろな情報を分かりやすく国民等に伝えるような努力を続けていきたいということです。

 最後の項目としては、ワクチンの検定等々の利益相反の問題です。本来は、制度や組織を完全に分けることが理想的ですが、この組織問題に関しては、感染研というよりは厚労省本省との相談が必要であると考えております。

 現在の組織内において、所内においてもこの問題は昔から議論されており、一時製剤部だけを感染研が持っている村山庁舎のほうに全部分けるということで、ウイルス製剤部とか細菌製剤部を作って分けたことがあります。そうすると、一部の職員に検定の負担がかかることと、評価上の問題が起こりまして、検定業務を再び各部に分散化させるということを近年行っております。

 かつ、昨今、2005年以降から国の施策としていろいろなワクチンが国民に接種されるということで、この10年来で10種類以上の新しいワクチンが日本でも導入されております。そうすると、検定の量もそれに応じて大きくなってくるということで、その辺の問題をどのように解決するかということで、省内においては検定項目の削除を科学的に考えて、削除しても品質上問題はないものを削除の方向に持っていくということで仕事量の削減等も行っております。

 利益相反に関する今後の取組としては、1つは、検定担当者はワクチン開発のシーズ開発までを原則として、それ以後に関わる臨床試験等には関与しないというのが1つです。

 たとえシーズ開発のみでもそれに由来するワクチンの検定はシーズ開発を行った部とは異なる部が行うことが第2の案です。もう1つは、多くの海外の規制機関が実施しているように、毎年検定検査担当者が利益相反に関する宣誓書を提出して、それを義務化させるということでCOIの問題をクリアできないかどうかを現在検討しております。感染研に対する機関評価の報告としての概要は以上です。

○永井部会長

 それでは御質問、御意見を頂きたいと思います。運営費交付金というのはかなり減少しているのですか。

○渡邉委員

 感染研の場合運営費交付金というか、一般予算ですので、予算を申請するということで行っております。そして、人件費を入れて年間大体60億ぐらいで、それが毎年シーリングがかかりますので、あるときには10%ぐらい削減されている形で、だんだん10年前に比べると、例えば感染研の中の研究事業費というのは6割か7割ぐらいまでになっているという現状です。

○福井部会長代理

 人もお金も少ないことと思います。人も予算も足りなかったために具体的にこういう仕事ができなかったとか、このタイミングでやるべきこういう仕事ができなかったということをもっとアピールされると、国民からもっとサポートしてもらえるのではないかと思います。人も予算も足りなくても、先生方はやってしまうから、少なくてもいいのではないかと思われてしまうのではないかと危惧します。

○渡邉委員

 実際、危機管理に関しては優先してやらざるを得ないので、やらないと、今度はなぜやらなかったのかということで、逆にそれ自体で存在意義がないではないかと言われてしまいますので、無理してでもやらざるを得ないところはあります。今のエボラとか、今回起こりましたデングの問題とか、そちらを優先して行うような形でやらざるを得ないのが現状です。もう少し余裕を持ってできるにこしたことはないのですが、やらないという選択があればいいのですが、なかなかそれはできないのが正直なところです。

○桐野委員

 国の機関ですから、一律予算削減で、一定のパーセントをかけて減らしてくると思いますが、感染研の業務は減らせないという基本的な政府内の意見、合意が必要ではないかと思うのは、どう考えても感染症のサーベイランスをしたり、研究をしたりする感染研の役割は拡大の方向に本来あるべき状況にあると思うのです。状況がそうにもかかわらず、予算を一方的に、機械的に削減するのは分からない。特に最近鳥インフルエンザ、エボラ、2004年にはSARSというのがアウトブレイクでありましたが、どれを取ってもそう簡単に対処できるものではないし、エボラが来た場合、感染研は相当大変な負荷がかかると思いますので、その辺のところは是非政府としても配慮すべきであると思います。

○渡邉委員

 ありがとうございます。

○相澤委員

 我々が抱えている将来の危険ということをもっと政府全体に考えてもらわないといけないので、福井委員からも御指摘がありましたように、研究の重要性を指摘していただくのがよろしいと思います。

○渡邉委員

 ありがとうございます。

○永井部会長

 ほかにはよろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。

 続いて、戦略研究の追跡評価について事務局から報告をお願いします。

○中山研究企画官

 では、戦略研究の追跡評価について報告いたします。まず、資料3-1を御覧ください。

 戦略研究全般について皆様御承知のとおりかもしれませんが、平成1610月の科学技術部会において、戦略研究というものを実施していこうということで決定され、平成17年度以降から戦略研究が実施されております。基本的には、戦略研究というのは、5年間ということで、その23年目の中間時点で中間評価を行い、更に終わった後に事後評価を行う。その上で、更に23年たった頃に、追跡評価を行うということで実施されています。

 既に、平成17年度からは、下の図の所にありますが、糖尿病予防のための戦略研究とか、自殺対策のための戦略研究ということが実施され、昨年、追跡評価を実施されました。

 今年度については、その下のがん対策のための戦略研究の2課題、更にエイズ予防のための戦略研究の1課題について、本年1020日に開催された戦略研究企画調査専門検討会という所において、追跡評価を行ったということですので、これについて報告させていただきます。

 なお、昨年、追跡評価を行ったというもののうち、自殺対策のための戦略研究ですが、この2課題のうちの1課題については、昨年、論文化するためにいろいろ中途の状況で、十分な報告ができなかったというところもありましたので、今年に入ってしっかり論文化もされた状況もあり、その後、進捗があったということで、こちらについても研究成果を報告するということにさせていただきます。では、それぞれの課題について担当の課から1つずつ報告いたします。

○がん対策健康増進課益池主査

 健康局がん対策健康増進課の益池と申します。では、がん対策のための戦略研究について報告いたします。

 がん対策のための戦略研究については、平成18年度から平成22年度にかけて、乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験と、緩和ケアプログラムによる地域介入研究の2つの研究を、戦略研究として実施してまいりました。まず、乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験より、報告させていただきたいと思います。資料3-2です。

 こちらの研究については、研究代表者、東北大学の大内憲明先生に務めていただいております。研究内容としては、現在、乳がん検診は、視触診とマンモグラフィーを併用する乳がん検診を実施しています。4049歳の女性については、科学的な根拠について多少不十分なところがあるとの御指摘もあり、それらを踏まえて、40代女性を対象に、更に超音波を併用する群と、併用しない群とで比較を行うという試験です。

 中ほどで、研究計画内容については、まず最初に超音波の講習を実施し、検診を行う医師、技師に対する精度管理を行いました。その後、40代の女性について、介入群と非介入群ということで、それぞれ2群間で比較を行うことになっています。合計23都道府県、42団体が参画して、オールジャパンでの研究体制を整えていただき、研究を実施していただきました。最終的な登録については、2ページ目になります。

 解析結果ですが、介入群は38,313名、非介入群が37,883名、合計76,196名の登録がありました。こちらについては、戦略研究が終了後もフォローアップを実施しており、現在の未把握率は3.5%ということで、研究計画時の目標とした5%未満の未把握率を達成できており、現在もこれについては、追跡的に調査を行っております。

 研究のプライマリ・エンドポイントとして、感度、特異度、がん発見率というものを掲げていまして、こちらについては暫定的なデータですが、介入群と非介入群で感度が、92.9%対81.0%ということで、有意差をもって感度は超音波検査を併用した群が良いという結果が出ています。また、がん発見率に関しても、超音波併用群で0.48%、超音波検査を実施しない群で0.31%と、こちらも統計的に有意差をもって上昇を認めています。

 こちらの研究については、現在も当課の研究事業で、継続的に支援しておりまして、データ解析を行っています。

 別途、がん検診の在り方に関する検討会で、検診の指針等を検討しており、データの解析がまとまった際には、乳がん検診の中に超音波検査をどのように位置付けるかということも含めて、検討を行っていきたいと考えています。乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験に関しては、以上です。

 続いて、緩和プログラムによる地域介入研究について報告いたします。こちらについては、帝京大学医学部の江口研二先生に研究代表者を務めていただきました。

 2ページは、山形県、千葉県、静岡県、長崎県の4つの地域で、地域緩和ケアプログラムというプログラムによる介入でアウトカムとして、在宅死亡率や専門サービスの利用数等々を見ていますが、それらがどうなったかということを比較する試験です。

 地域緩和ケアプログラムとしては、利用者に対するマニュアルの提供や、患者、家族に対する市民講習会の開催、また、地域での多職種連携カンファレンスの実施等々の介入を実施しています。

 4ページに研究結果が出ています。研究結果として、まず今回行った地域緩和ケアプログラムは実施可能なものであるということと、自宅死亡率となっていますが、これが介入前が下の表を見ると、6.7%となっていたものが、10.5%まで上昇を認めております。そのほかは、専門緩和ケアサービスの利用数が増加したことや、外来患者ではもともと質の評価がよかったものが底上げされ、また、終末期患者においては、質評価、quarity of lifeとも改善したという結果が出ています。また、医師、看護師の困難感、特に地域連携に関する困難感が改善したという報告を受けています。

 アウトカム研究のほか、プロセス評価として、介入に参加いただいた医療者等からアンケート調査を行っています。そちらについては、今回の地域連携におけるネットワークの構築が、患者アウトカムを改善する基盤となったというような報告を受けています。

 この研究結果に関しては、現在のところ、具体的な施策に反映できているというところではないのですが、現在、地域包括ケアシステムの構築等も踏まえながら、がん対策課では、在宅を含めてどういった緩和ケアが適切かということを議論を進めているところです。がん対策課からの報告は以上です。

○疾病対策課北原課長補佐

 健康局疾病対策課の北原と申します。続いて、エイズ予防のための戦略研究について、所管課から説明いたします。資料3-4、スライドについて説明いたしますので、25ページから御覧ください。

 エイズ予防のための戦略研究については、首都圏及び阪神圏の男性同性愛者を対象としたHIV抗体検査の普及強化プログラムの有効性に関する地域介入研究ということで、公益財団法人エイズ予防財団理事長の木村哲先生が主任研究者、名古屋市立大学の市川慎一先生が研究リーダーとなり、平成18年から平成22年にこちらの研究が行われております。

 25ページの下半分に、研究が開始された当時の背景について、HIV及びAIDS患者数の年次報告の推移を示しています。●が同性間の性的接触によるHIV感染、○は同性間性的接触によるAIDS発症数を示しています。こちらを見ると、1990年代後半、特に2000年代に入ってから●及び○の男性同性愛者間でのHIVAIDS患者数が増加したということが分かります。また、この当時、治療が進歩したことで、もし早期にHIV治療が開始ができれば、AIDSの発症を防ぐことができるようにはなっていましたが、平成17年時点では、HIV感染者のうち、20%はAIDSを発症してから感染が判明し、早期発見がなされていないという状況がありました。このような背景を踏まえ、本研究が開始されています。

研究の目的に関しては、スライド3に記載されています。

 26ページの上半分、男性同性愛者に対する効果的な啓発及び介入方法を開発し、早期発見のためのHIV検査の受検者を増加させることで、新規のAIDS発症患者数を減らすということを目的に研究が行われました。

 具体的な介入地域としては、首都圏及び阪神圏となっています。首都圏に関しては、26ページの下半分、新宿2町目のゲイNGOとの連携により、男性同性愛者の方に訴求性の高い啓発資材の開発、具体的には人気のゲイモデルを起用したポスター等を作成していただいたりとか、ゲイバーなどの商業施設へそれらの啓発資材を配布すること、また、ゲイメディア、東京FMなどのメディアとのコラボレーションということを行っていただいております。

 27ページの上半分、阪神圏においては、ゲイNGOとの連携による各種の啓発活動に加えて、クリニックとの連携をした検査キャンペーンが行われました。

 31ページの14と書いてある下半分、研究結果について、AIDS発症数の報告ですが、上半分のグラフが首都圏、下半分が阪神圏です。■で書いてあるものが、今までの値から推計したAIDS発症数の値、△、×で示したものが、これが実際の報告数となります。首都圏においては、2010年のAIDS患者者の報告数は69件で、今まで推計された値よりは、16.1%推計を下回っていたということです。

 阪神圏においては、2010年のAIDS患者報告数は57件で、推計値よりも高いという結果が得られました。

 28ページの下半分、一方、MSMの検査の受検率が増えたかどうかという副次項目については、こちらが啓発の効果を示していますが、男性同性愛者、MSMの方が実際に検査を受けたかどうかということで、特に今回のキャンペーンと連携した保健所を定点の保健所というように、ここでは定義をしています。図1の上の図では、定点の保健所におけるHIV検査を受けた男性同性愛者の割合が折れ線で、検査の陽性率が棒グラフで示されています。定点保健所における男性同性愛者の割合は、5.2%から8.8%に増えました。また、HIVの陽性率は普通の保健所では0.5%程度ですが、この研究開始時は0.3%であったものが、2010年の終了時には0.8%に増加したという報告をいただいております。

 下の図2の所が、保健所における啓発資材の認知割合ですが、MSM、男性同性愛者以外の男性、若しくは女性においては、啓発資材の認知というものについてはほとんど認識されていませんでしたが、ターゲットとした男性同性愛者においては、啓発資材の認知割合は、18%から50%までの増加が認められました。

 29ページの上半分が、阪神圏での結果です。阪神圏のほうでは、クリニックと連携しており、クリニックにおける啓発資材の効果を見ています。上の図3では、折れ線で実際にクリニックで検査を受診した男性同性愛者の割合を示していますが、2007年には6.0%であったものが、2010年には23.1%、また検査の陽性率に関しては、保健所では0.5%であったものが、クリニックでは5.5%と非常に高い数字だったということです。図4に関しては、クリニックにおける啓発資材の認知割合を示していますが、▲の太線のものが阪神圏で行った啓発資材の認知割合ということです。異性愛者の男性、若しくは女性においては、啓発資材というのはほとんど認知はされていなかったのですが、目的とする男性同性愛者においては、研究開始時の2007年にはゼロ%であったものが、2010年の時点では40%近くにこの啓発資材の認知がされていたということです。

 34ページの上半分が、こちらの研究成果を受けての行政の取組です。今回の戦略研究の成果を受けて、まず1つ目、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針は、こちら最終の改正は平成241月に行われていますが、男性同性愛者については、NGOとの連携を進めていくということで、今回の取組が予防指針に反映される形となりました。

 また、2番目ですが、厚生労働省重点都道府県等エイズ対策担当課長連絡協議会という所で、AIDS患者の報告数が多い自治体を対象に行っている協議会ですが、こちらでこの戦略研究を中心とした取組が紹介されております。

 3番目は、今回この取組によって、コミュニティセンターというものが立ち上がり、ゲイコミュニティに対して、ゲイコミュニティの中から活動を行っていくということで立ち上がったものです。これが研究費で行われていたものを、成果を受けて、今、予算事業として事業化され、現在に至るまで運営を行っている状況です。

 4番目は、阪神圏のクリニックと連携して行われた検査キャンペーンに関しては、大阪府がその事業を引き継ぐ形で事業化を行っています。AIDSからは、以上になります。

○精神・障害保健課福生課長補佐

 では、最後に自殺対策について、精神・障害保健課から、資料3-5のスライドで説明させていただきます。

 まず、自殺企図の再発防止に対する複合的ケース・マネージメントの効果、多施設共同による無作為化比較試験、通称、ACTION-Jというものについて説明いたします。背景ですが、皆様も御存じかと思いますけれども、死亡原因から見た自殺の状況は、2030代までの死因の1位が自殺を占めており、10代に至っても23位を占めているという、かなり高い状況です。

 また、我が国の自殺数の推移としては、平成10年までは約25,000人で推移していたものが、平成10年以降は急騰し、平成24年までは3万人を上回っていたというところです。現在は、3万人を切っているところですが、実は、今年の911月に至っては、昨年と比べて増加しているという結果が出ており、まだまだ予断はできない状況です。そういった背景から、自殺対策のための戦略研究を行ってまいりました。細かな実施体制としては、こちらのスライドを御覧ください。

 ACTION-Jについては、具体的にどのようなことを行ってきたかというと、救急搬送される状況として、平成22年の自損行為の状況については、救急車による出場件数73,570件のうち、自損傷行為というものが非常に一定数いるということと、また、自殺企図者においては、約8割近くが精神疾患を患っているという結果があります。そういった方に対する精神的な介入というのは、非常に有効ではないかということを考えられていたところですが、先行研究を全て研究班のほうでも確認させていただきましたが、なかなか有効性というものに関して見いだせてない状況でした。そういった背景から、今回、ACTION-Jにおいては、自殺企図の既往は自殺の最大の危険予測因子とされている一方で、救急医療現場において精神的なアセスメントがなかなかなされていないという状況があります。そういったものに対して適切なケース・マネージメントを行うことによって、再企図を防止しようというものが今回のACTION-Jの目的でした。

 11ページは、ACTION-Jの概要です。ACTION-Jの目的についてはこちらの記載のとおり、救急部と精神科が連携している全国17の研究参加施設に救急搬送され、入院となった914名の自殺企図者を登録し、介入群と対照群の2群に無作為に割り付けています。このうち、対照群に関しては、全く介入しないというわけではなく、基本的に通常診療等を行っていただく群というイメージをしていただければいいと思います。介入群に関しては、通常診療に加えて、ケース・マネージメントをしっかりと行う群という意味です。

 2番は、介入群に割り付けられた自殺企図者には、ケース・マネージメントの手順書に従い、複合的ケース・マネージメントを実施しています。また、更に追跡終了後も主たる評価項目として、自殺企図の再発発生率を比較しています。また、自殺関連アウトカムは、出現頻度は極めて低く、ばらつきが大きいため、ACTION-Jでは十分な症例数を確保し、性別、年齢、過去の自殺企図既往の有無で調整した後、対照群と比較しています。自殺を対象とした無作為化比較試験に関しては、研究倫理の面から諸外国においても、ハードルが高いとされていますが、今回に関してはそのプロセスを実現しているところです。

 12ページの下に、具体的なケース・マネージメントについてですが、まず、初期介入としては、患者様に対して、身分、所属を名乗ります。更に、患者様がどうして自殺に至ったのかということの情報収集とアセスメントをして、心理教育、いわゆる自殺に至る一般的な皆さんの心理状況についての説明と、自殺は予防できるということを、御本人と御家族に対して説明いたします。その後、精神科受療支援とかかりつけ医の調整、生活の問題解決のための情報提供と地域ケアの導入というものを救急病棟に入院時で行っています。更に退院後の介入としては、引き続き退院後の生活情報の収集と、アセスメント、また、精神科受療支援とかかりつけ医との調整、生活の問題解決のための情報提供と、地域ケアの導入とモニタリングを比較的頻回に行っていたというところです。

 13ページは、ACTION-Jの評価項目です。主たる評価項目を先ほど申し上げましたが、自殺企図の再発発生率です。副次評価項目としては、自殺未遂の再発発生率と自殺死亡の再発発生率、全死因死亡率の再発発生率という形です。

 続いて、成果ですが、ACTION-Jの達成状況として、研究同意が得られた914名を試験介入群460名、コントロール介入群454名で行っています。

 14ページの下に、研究参加者の属性についてです。

 15ページの下に、介入の実施率と遵守率です。介入群も含めて約98%以上という、かなり高い遵守率を守っています。これに関しては3にありますとおり住民基本台帳及び死亡票を利用した追跡調査も行っています。

 17ページ、追跡調査後6か月以内に関しては、介入群のほうが対照群と比べて、自殺の再発発生率が、約50%減少するという強い予防効果が得られることが分かりました。更にこれを細かく調べたところ、男性と比較して女性のほうが、また高齢者と比較して若年者のほうが支援の効果が得られやすいということでした。

 19ページ以降が、ACTION-Jを行っていただいた先生方から厚労省への提案という形で頂いております。

 今まで私たち厚生労働省としては、救急現場における取組として行っていたところです。20ページの右下の所で、精神医学的評価を促進する施策としても、厚生労働省としては診療報酬上の点数で、自殺未遂者に対する救急精神科医療の評価を行っていることや、自殺未遂者に対する手引やガイドラインを作成したりとか、そういったところを行っていましたが、今回初めてと言っていいほど自殺未遂者に対するケアに対してエビデンスが出たということですので、今回の研究結果を基に、現在行っている施策等の擦り合わせを行い、自殺対策に対して、より促進していきたいと考えております。以上です。

○永井部会長

 ただいまの報告について、御質問、御意見を頂きたいと思います。

○今村委員

 今の戦略研究を、それぞれ興味深く聞かせていただきました。その中で1つ、資料3-2で、乳がん検診における超音波の有効性ですが、この研究は、私ども日本医師会も、若干の研究助成を行わせていただいているということで、特に興味深く聞きましたが、結果として、40歳代におけるエコーの有効性ということが証明された結果ですけれども、この結果をもって、今後の我が国の検診体制というものにどのように組み込まれていくのか。できれば、スケジュール感を合わせてお聞きしたいと思います。

○がん対策健康増進課益池主査

 がん対策課からお答えいたします。こちらに関しては、まだデータが確定していないというところがありますので、確定次第、また論文に投稿などいただく予定になっていますが、並行して検討会で、どのような形で位置付けるかということを、検討していきたいと思います。最終的にどのような形になるかは、その検討会の中でもんでいただきたいと考えております。

○今村委員

 恐らくはこの結果を基にして、エコーが検診体制に組み込まれるというように考えておいていいですか。

○がん対策健康増進課益池主査 現状、確かなことを申し上げられない状況です。

○今村委員

 申し上げられない状況というのは、この結果がいかされないこともあり得るということなのですか。

○がん対策健康増進課益池主査 この結果をどう活用するかについても、その検討会で有識者から意見をお聞きして、練っていきたいと考えております。

○今村委員

 是非、この成果をいかすような方向で検討していただきたいと思います。

○椎葉厚生科学課長

 補足をさせていただきます。資料3-24ページ、上から4つ目、当該研究に関連した施策の検討状況等という所があります。先ほど説明があったように、今、がん検診の在り方に関する検討会において、がん検診の項目や方法、精度管理等について議論を重ねているところです。乳がん検診については、今やっている視触診とマンモグラフィーの併用方法は、今後、マンモグラフィー単独法の可否について議論をしていく予定ですが、本研究の結果に基づいて、乳がん検診における超音波併用検診の有効性についても検討を行っていきたいということです。今のところ、こういう状況だというところです。

○永井部会長

 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

○大澤委員

 大澤でございます。緩和ケアについて伺います。緩和ケアが実際に行われた場所というのは、山形、千葉、静岡、長崎の4か所で行われているようです。その行われた4か所で違ったデータというか、こちらにはまとめたデータがありますが、その行われた4か所で違ったデータというか、実際に行われた場所それぞれの間では、異なっていたとか、そういうことはないのでしょうか。何となく環境的に違いが起こり得るような気が致します。

○がん対策健康増進課益池主査

 正確なところをすぐにお答えすることは、今、難しいのですが、違いがあったということは研究者の方から報告を受けております。

○大澤委員

 受けていないという事は、違いはないのですか。

○がん対策健康増進課益池主査

 多少の違いはあるということは聞いております。

○大澤委員

 質問した理由は、地域によって違いがある場合に、同じ介入でも環境によっては効果的であったり、効果的でなかったりということがあり得るのではないかと思い、そういう点も含めて、実際の応用が必要であろうと思いました。

○がん対策健康増進課益池主査

 この研究成果をどう活用していくかということも含めて、そちらについても、今後議論していきたいと考えております。

○山口委員

 3番目のHIVの関連の報告に関してですが、血液製剤で問題になるのが、人口当たりのHIVの献血のときの陽性率が、大阪が突出してずっと高いということがあります。血液製剤の安全性の観点で、すり抜けもあることから、できるだけそういう所に来ないというか、献血には来てほしくないということで、ほかのところに要望していますけれども、今回の成果というか、研究成果からすると、阪神間で非常に陽性率が高いという、バックグラウンドがそういうことがあるのかということと。

 もう1つは、7ページに、陽性率の高いことを受けて、大阪府で事業化を検討しているという、この辺がどのような事業化を今後検討されていくのか、国がどのように管理をしていくのか、教えていただければと思います。

○疾病対策課前田課長補佐

 疾病対策課からお答えいたします。1点目の近畿圏は、この介入研究と関係なくという言い方はよくないのですが、もともと首都圏でAIDS発症者、HIV陽性者という形が多かったのですけれども、近年、首都圏は横ばいになっている中で、残りの地域では、漸増しているという状況です。ですので、特に首都圏から別の地域のほうの対策が重要になっているところが、正に御指摘のとおりです。この戦略研究だけでは全体のトレンドを止めるほど、この期間内の影響が出るほどではなかったという状況です。ただ、先ほど御披露させていただいたとおり、地域の取組を進めていることと、NGOの介入方法が非常に効果が高いということで、大阪のほうのNGOの団体の所に対する助成が非常に弱いところもありましたが、そこに対する重点的な支援が、今までは研究という感じでやっていましたが、事業化できないかということで、大阪府とか、そういったところからも御意見を頂いているというのが現状です。

○山口委員

 ありがとうございました。

【「 戦略研究の追跡評価について」については、当日欠席された川越委員より下記のとおりコメントがあった。

○川越委員

「戦略研究は、国家の医療の方向性を常に念頭においた研究内容でなければならない。特に今回の地域緩和ケアに関する戦略研究は、国としての在宅医療の推進という戦略が明らかに明示されているので、検討すべきはOPTIMを普及することがその戦略目的に合致しているかどうかである。その意味から本研究を評価すると、研究としての体裁は整っているが、OPTIMの普及が本当に在宅医療―この場合はがん患者を対象とした在宅ケア―の推進につながるのかの視点が欠けている。地域緩和ケアの普及にとって何が重要か、OPTIM研究の中でもこのことの考察をしっかりすべきだと考えている。これからの施策を検討する場合、この戦略研究の成果の評価を慎重にすべきだと思う。

○永井部会長

 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 では、次の報告事項にまいります。「遺伝子治療臨床研究に関する指針」の一部改正につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○中山研究企画官

 それでは報告します。資料4を御覧ください。

 遺伝子治療臨床研究につきましては、遺伝子治療臨床研究に関する指針というものがあります。一方で、再生医療等の安全性の確保等に関する法律というものが今年の1125日に施行されたという状況です。遺伝子治療臨床研究の指針というのは、遺伝子をそのまま体内に投与する場合と遺伝子を導入した細胞をヒトの体内に投与する場合があるのですが、後者の遺伝子を導入した細胞をヒトの体内に投与する場合については、この新しくできた、1125日から施行されました再生医療等の安全性の確保等に関する法律の適用になるということで、これまでは指針の対象としていたわけですが、法律ができたということがあるので、そちらのほうの規制に、基本的には、指針の対象外として法律の適用対象になるので指針の適用対象からは外したという措置を行ったということです。

 もう1つ、別の話題としましては。この1ページ目の最後の3行ほどに書いてありますが、遺伝子治療臨床研究に関する指針の中に「生殖細胞等の遺伝的改変の禁止」という規定があります。これについては、いわゆる、細胞に遺伝子を入れて投与する場合を「ex vivo遺伝子治療臨床研究」と呼ぶならば、そのex vivoについても、再生医療の新法のほうで適用対象になったから外したと申し上げましたが、そちらに生殖細胞等の遺伝的改変の禁止の規定があるわけではないので、これについては、引き続き適用させる必要があるので、適用対象としたもの、しないものにかかわらず、ここの部分については、そのまま適用するように残したということです。

 その他、薬事法という法律がありますが、薬事法も1125日付けで薬事法から名前が変わりました。そういったことでその名前が変わったことに伴う、また、その内容の中で再生医療等製品に対する規定ができたということがありますので、それに伴った、いろいろな規定の変更があったので、それを指針上にも反映させたという改正を行ったということです。それについて3ページ目に新旧対照表がありますが、以上申し上げたようなことを踏まえて改正がされたということです。

○永井部会長

 ありがとうございます。御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。山口委員、何かコメントはありますか。

○山口委員

 ないのですが、ただ、今後残ってくるのが、遺伝子治療というのは、遺伝子を改変するという遺伝子改変のところが生物多様性、いわゆるカルタヘナ規制がかかってくるのですが、それについてはまた別途議論をしないといけない。要するに、審査をしないといけないところが今度は残ってくるかなと思います。

○永井部会長

 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それではこの件はここまでとして、次に、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の一部改正につきまして御報告をお願いいたします。

○中山研究企画官

 資料5を御覧ください。資料4と一緒に説明しても良かったのですが、同じような話でして、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針というものもあります。これについても、内容的なものの変更はこちらはありません。適用対象を無くすとか、そういったことはなくて、いわゆる薬事法が改正されたことに伴ってその名前が変わったということと、再生医療等製品というものが定義され、それに対する規制が整備されたということがあるので、それに伴ってこちらの指針もそれに対応して整備をしたということで、あくまで形式的な話であるということです。

○永井部会長

 ありがとうございます。よろしいでしょうか。では、この件は了解といたします。

 続いて、議事6にまいります。遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○中山研究企画官

 報告します。資料6を御覧ください。これは、遺伝子治療臨床研究としては承認されて実施されている、あるいは、これから実施するというタイプもありますが、そういったものについて実施施設から、計画の変更がありましたとか、あるいは、重大な事態がありましたということについて報告をするというものです。

 まず、自治医科大学附属病院です。資料63ページ目からです。難治性B細胞性悪性リンパ腫瘍に対する遺伝子治療臨床研究です。この実施については、既に審議され、了承されているということですが、まだ症例が組み入れられていない段階だということです。その段階において、海外において同様の研究で遺伝子治療との関連性が否定できない死亡例が発生したということで計画の変更をしたいということです。これについては、前々回ですが、820日の科学技術部会においてもそういった事態があったということで報告し、計画の変更をしたいということでの報告をさせていただいたわけですが、その内容について上がってきて、基本的にはその変更の内容は妥当であろうということで判断したというタイプのものです。

 変更の内容については5ページの真ん中辺りからあります。基本的に、「変更理由」という欄がありますが、当該遺伝子治療との関連性が否定できない2例の死亡例が報告されたと、米国でということですが。これについては高サイトカイン血症が関わっていると考えられるということです。それに対応して、一番下に「今後の研究計画」という欄がありますが、上から56行目までありますが、「高サイトカイン血症が関与する重篤な有害事象(低血圧、呼吸不全、けいれん、意識障害等)」、こういったものへの対策を講じることとしたということです。その後からが具体的な内容で、その概要について申し上げますと、当該有害事象の予防策としての抗けいれん薬の予防投与、発生時の対応に関しての追記を行った、有害事象発生時における各部署として、集中治療部、神経内科等との連携体制を構築した、それに関しての記載の追記をした、あるいは、6ページ以降になりますが、同意説明文書等に関して当該有害事象に関しての追記を行った、こういったことを行ったということです。先ほど申し上げましたとおり、本臨床研究に登録した患者はまだいないということで、この改めた内容で、これから研究を進めていきたいということになっております。

 続きまして、これは変更申請ということで、この内容は妥当であろうということで了承したということですが、この次は変更報告です。それは15ページ以降にあります。同じ研究でして、これについては、人事異動に伴う研究者とか役職等の変更ですので、これは内容的なものではありません。

 さらに21ページ以降には、今度は千葉大学医学部附属病院からの切除不能悪性胸膜中皮腫を対象とした遺伝子治療臨床研究についての変更報告が上がっております。この内容については、29ページの対照表を御覧いただくとよろしいかと思います。その下から5番目の所ですが、基本的にそのモニタリングについて、定期的モニタリングを実施するということに加えて、監査について年1回実施するということで、その監査についての手順を新たに定めて実施するということです。そういった形で監査を追加し、その手順書も定めたということでの追加が行われたという変更報告です。

 次に、三重大学医学部附属病院です。これは31ページからになります。これは急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群に対する遺伝子治療臨床研究です。これについても、変更の報告内容としましては38ページを御覧いただければと思います。横になっております、その中の下のほうにありますとおり、採血量を変更したということです。当初の計画よりもリンパ球の増殖がなかなかしなかったということで、100mLから200mLへの変更をしたと。この変更に当たっては、全体会議として統括責任者その他の研究者による検討を行って、あくまで安全性を確保し、研究に必要な細胞数を確保し得る採血量ということを確認した上で200mLへの変更を行ったということです。

 さらに、39ページの一番下ですが、対象患者の除外基準についてです。もともとの計画では、遺伝子を導入するためのTリンパ球を採取する日より4週間以内に、抗がん剤、免疫抑制剤、放射線療法を行った者に関しては自動的に除くという計画だったのですが、それぞれの患者の状況によっても変わるだろうということもありますし、あるいは、免疫抑制剤を打ってから4週間以内でも末梢血細胞数が回復して採血が可能になる例が十分に予測されるというような、いろいろな状況もあったということで、それぞれ、一律に、4週間以内にこういった治療を行った人を除外するというよりは、これは除いて、最終的に適切な患者数かどうかを総合的に判断するという形で実施することとしたいということです。

 同様に併用制限薬につきましても、最初からこういった併用制限薬、副腎皮質ステロイドですが、「こういったものを併用制限薬とする」という部分は削除して、対象疾患ではステロイド薬の投与例が多いと言う一方で、適切な制限期間は不明であるという状況もあるので、候補症例ごとに、それぞれ検討することとしたいということでの変更が行われたということです。

 最後に、重大事態等報告です。45ページ以降を御覧ください。三重大学医学部附属病院において実施されているものです。これについては、50ページにありますとおり、被験者死亡ということです。50ページの3「遺伝子治療との関連」の記載を御覧いただければと思います。遺伝子治療実施6か月後の急性骨髄性白血病の病勢進行及び正常造血能低下に伴う感染症による死亡ということです。さらに、遺伝子治療臨床研究期間において遺伝子導入Tリンパ球による関連有害事象が観察されなかったということと増殖性レトロウイルスが観察されなかったということで、遺伝子治療との関連性はないものと考えるということで判断され、これについても、妥当であろうという判断をしたということです。

 次に51ページから、これが最後です。九州大学病院の網膜色素変性に対する視細胞保護遺伝子治療臨床研究です。56ページにありますとおり、これについては右膝半月板損傷があったということですが、もともと、この症例の方は臨床研究薬投与前から両変形性膝関節症が存在していた、治療も受けていたということで、臨床研究が行われた後に急速に病状が悪化したという病歴もないということで、変形性膝関節症の自然経過として発生したものであろうという判断がされたということで、臨床研究薬、遺伝子治療等の有害事象との間の因果関係は否定的であると判断したということです。これについても、妥当な判断であろうと判断したということです。

○永井部会長

 ありがとうございます。それでは御質問、御意見はいかがでしょうか。ございませんでしょうか。御意見がなければ了解といたします。よろしいでしょうか。

 そういたしますと、本日の議事は全て終了です。事務局から何かございますでしょうか。

○椎葉厚生科学課長

 厚生科学課長ですが、事務局から御報告がございます。科学技術部会の委員ですが、来年21日に改選をすることになります。この際、本日の第88回の部会におきまして永井部会長が退任されるということになりましたので、永井部会長から一言御挨拶をお願いしたいと思います。

○永井部会長

 10年間お世話になりましてありがとうございます。私がこの部会に関わりましたのが2005年になります。その前に疫学研究ガイドラインというWGにも加わっております。それ以来、様々なガイドラインがこの10年間、作られてまいりました。臨床研究ガイドラインは2回改正になりましたし、ヒトゲノム遺伝子解析あるいはヒト幹細胞を用いた臨床研究なども大きな課題でした。前半はガイドラインの時代が随分続きましたが、後半になりますと、これが今度は法律になってまいりました。再生医療等の安全性確保に関する法律であるとか今度の臨床研究に関する法律、さらに、日本版NIH、いわゆる日本医療研究開発機構の法律とか、随分、この10年間で大きく変わったように思います。

 振り返れば、10年前はほとんど何もなかったということになりますし、言ってみれば、急速に近代化した明治10年か20年のような段階で、余り急いでいろいろなことが起こりますと、走り過ぎたり転んだりなどということが起こることも懸念されます。そういう意味でこの科技部会の役割は非常に大きいと思います。ほとんどの審議事項は委員の先生方の御協力で、まず問題なくきたかと思います。しかし、時々考えさせられることがあります。これは、いつ、どこに入っているか分かりませんので、うっかりしていますと誰も気が付かないということもございます。この部会は最後の砦ですし、これからもいろいろな見直しが必要だと思いますので、更に慎重に御議論いただきたいと思います。

 これからは、データに基づいて政策が決められていくという時代ではないかと思います。臨床研究、疫学研究、いろいろな問題はありますが、余り厳しく規制せずに、是非これを推進していっていただければと思います。10年間、本当にお世話になりましてありがとうございました。

 

 

 では、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。次回の日程は、また御連絡ということです。どうもありがとうございました。


(了)

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