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2014年10月23日 医道審議会保健師助産師看護師分科会看護師特定行為・研修部会 第3回議事録

医政局看護課看護サービス推進室

○日時

平成26年10月23日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)


○出席者

秋山 弘子 (東京大学高齢社会総合研究機構特任教授)
有賀 徹 (昭和大学病院長)
大滝 純司 (北海道大学大学院医学研究科・医学部・医学教育推進センター教授)
釜萢 敏 (日本医師会常任理事)
神野 正博 (社会医療法人董仙会理事長)
桐野 高明 (独立行政法人国立病院機構理事長)
    ※高は、はしごたか、以下同様
真田 弘美 (日本看護協会副会長)
末永 裕之 (日本病院会副会長)
高田 早苗 (日本看護系大学協議会代表理事)
田邊 政裕 (千葉大学大学院医学部医学教育研究室特任教授)
中野 絹子 (恩賜財団済生会看護室室長)
中山 洋子 (高知県立大学特任教授)
新田 國夫 (全国在宅療養支援診療所連絡会会長)
平井 みどり (神戸大学医学部附属病院薬剤部長)
三塚 憲二 (公益社団法人日本歯科医師会副会長)

○議題

(1)特定行為に係る看護師の研修制度における特定行為について
(2)特定行為研修の内容等について
(3)その他

○議事

○習田看護サービス推進室室長補佐 少し定刻を過ぎてしまいましたが、ただいまから「医道審議会保健師助産師看護師分科会第3回看護師特定行為・研修部会」を開催いたします。

 本日は御多忙のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は秋山正子委員、永井良三委員、春山早苗委員から、所用により御欠席との御連絡をいただいております。

 以降の議事運営につきましては、部会長にお願いいたします。桐野先生よりよろしくお願いいたします。

 カメラはここで退席をお願いいたします。

○桐野部会長 おはようございます。

 まず資料の確認をお願いいたします。

○習田看護サービス推進室室長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。

 まず、お手元に議事次第、座席表、委員名簿。

 資料1「特に検討が必要な行為について」。

 資料2「特定行為研修について」。

 参考資料1「特定行為に係る看護師の研修制度の関係法律等」。

 参考資料2「第20回チーム医療推進会議(平成251029日)資料3」。

 参考資料3「診療の補助における特定行為(案)及び指定研修における行為群(案)に関する意見募集の結果」。

 参考資料4「特定行為及び特定行為区分に関するご意見」。

 参考資料5「特定行為(案)に対する学会からの補足説明について(概要)」。

 参考資料6「特定行為区分(案A)」。

 参考資料7「厚生労働科学研究費補助金地域医療基盤開発推進研究事業『看護師等の高度な臨床実践能力の評価及び向上に関する研究』平成25年度総括・分担研究報告書(抄)」。

 参考資料8「医師臨床研修制度の関係法令等」。

 参考資料9「特定行為に係る看護師の研修制度の概要」。

 参考資料10「第1回看護師特定行為・研修部会における委員の主なご意見」。

 参考資料11「第2回看護師特定行為・研修部会における委員の主なご意見」。

 乱丁、落丁等がございましたら事務局までお申しつけください。大丈夫でしょうか。

 それでは、部会長、引き続きよろしくお願いいたします。

○桐野部会長 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日の議題は、特定行為に係る看護師の研究制度における特定行為についてというのが1番。2番が特定行為研修の内容について。その他となっています。

 議題に入ります前に、前回、第2回の部会の後に、事務局に部会の委員の先生方から意見が寄せられておりますので、事務局から報告をお願いいたします。

○釜萢委員 先生、申しわけありませんが、その前に発言をさせていただきます。

 日本医師会の釜萢でございます。

 第1回、第2回の部会の議論のあり方について、いささか疑問を持っておりますので、冒頭でこの部会の位置づけについて確認をさせていただきたいと思います。

 保助看法上では、特定行為や特定行為区分等について省令で定めることとされており、厚生労働大臣がこれらを定める際には、あらかじめ医道審議会の意見を聞かなければならないとされております。その医道審議会が本部会であります。

 しかしながら、第1回、第2回の議論を振り返りますと、チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループで十分議論したのだから、改めて本部会で一つ一つ検討する必要はない。議論をゼロに戻すべきでないというような意見が多く見られました。

 私は本部会で検討することがゼロからの議論であるとは全く思いません。前回、他の委員からも本部会に提出されたものは案とされていたので、この場で検討するのかと思っていたという御発言もありました。

 法律上、この部会で検討することが位置づけられているにもかかわらず、ワーキンググループでの議論を追認すればよい。この場で検討することすら認めないというような進め方には大変疑問を持っております。ワーキンググループの結論に対して、その後の国会審議や学会から改めて意見が出されているわけですので、そこは真摯に受けとめて、一つ一つ検討し、修正すべきところは修正するというのが国民の皆さんにも安心してもらえる制度にするために必要なことであり、この部会の国民に対する責務だと思います。

 時間の問題はありますが、時間がないから議論できないというのは理由になりません。

 そこで、厚生労働省の福島審議官に確認させていただきたいのですが、法律上、この特定行為等に関する事項を議論するのはこの部会であり、ワーキンググループの取りまとめをただ追認するために設けられたものではないと考えます。したがって、前回承認された29行為以外の12行為について、学会の意見も踏まえて一つ一つ検討し、修正や削除するなど丁寧に議論していくべきと考えますが、厚労省としてはどのように考えているのかお答えいただきたいと思います。

 それから、特定行為に含まれない場合に、現場でやっていることができなくなるという議論がありましたが、特定行為は手順書で行う場合は研修を要するということであって、実施できなくなるということはないと考えていますが、その点についても改めて確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 以上です。

○桐野部会長 お答えいただけますか。

○福島審議官 まず特定行為の内容についての決定の仕方でございますけれども、お手元の参考資料1にもございますように、今、釜萢委員からお話がありましたように、保助看法上、医道審議会の意見を聞いて厚生労働省で定める。これは第三十七条の二の1ページ目の3のところでございます。「厚生労働大臣は、前項第一号及び第四号の厚生労働省令を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない」。前項第一号、第四号は特定行為がどういうものであるかということと、特定行為研修についてのことを決めるときに意見を聞くということになっております。

41行為につきましては、これまで有識者会議でありますチーム医療推進会議あるいはチーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループにおいて、案として御提示いただいたものと認識をしておりまして、有識者会議における取りまとめに当たりまして、事務局から学術団体等の意見やプロトコール試行事業の結果等を踏まえて、改めて審議会で御議論いただくという旨で御説明をして、御了解いただいたということだと理解しております。これは参考資料4の1ページ目の2つ目の○に、看護課長からの説明で書いてあるとおりでございます。

 私ども、これまでの経緯がございましたので、41行為については事務局からこの審議会におけるたたき台という形でお示しをしたものでございますので、この行為の範囲をどこまでにするのかということは、この審議会でお決めいただくことで、委員等から御意見がある行為については、引き続き御議論をいただければと考えています。

 2点目の御質問でございますけれども、特定行為とされなかった行為についてでございますが、これはもちろん診療の補助行為として、医師または歯科医師の指示のもとに看護師が実施することが可能。これはこれまでも何度かこの会議でも既に御質問があり、御説明を事務局からさせていただいたところであります。

 以上でございます。

○釜萢委員 どうもありがとうございました。

○桐野部会長 それでは、もとに戻って御意見があった件について説明をお願いします。

○岩澤看護課長 第2回の部会終了後、3名の委員の先生方から御意見をいただきました。

 お一方は釜萢委員で、今、御発言があった内容でいただいております。

 もう一方は真田委員、そして、本日御欠席の永井委員からでございます。

 永井委員から寄せられました御意見について、事務局から紹介させていただきます。

 特定行為は、現在、一部の看護師が行っているものであり、そうした看護師が安心してできるようにするのが今回の法律の趣旨と思います。したがって、危険だからさせないではなく、きちんと教育を受けた看護師のみが行うべきと考えます。これまでの検討会の議論では、従来行われた行為ができなくなるのは困るという意見が多くありましたので、その線に沿った議論が望まれます。

 永井委員からの御意見でした。

○桐野部会長 どうもありがとうございました。

 そのほか釜萢委員、真田委員からも御意見をいただいていますが、釜萢委員は今のことでよろしいですか。

 それでは、真田委員、お願いします。

○真田委員 ありがとうございます。日本看護協会の見解として提出させていただきました。

 先ほど釜萢委員が41項目に関して、前回、ワーキンググループ、推進会議、養成試行事業、業務試行事業などのエビデンスを通して41項目に決めたのだから、これ以上に検討する必要はないという認識で進められてきたという御意見がございました。

 日本看護協会といたしましては、今回の特に本会議の1回、2回の検討を非常に重要視すべきだと考えております。安全を担保すべき行為であるがゆえに特化した研修を行うことで、41項目を実施できるようにと大多数の委員が賛同したと認識しております。つまり、特定行為の決定に当たっては、これまでの検討プロセスと2回分科会での検討プロセスを重く受けとめる必要があるということを述べさせていただいております。

 以上のことから、41項目を特定行為とするとともに、次の検討課題である研修制度の内容について議論を進めていただきたいということを、前回の会議の後の意見としてまとめました。

 以上です。

○桐野部会長 今、3人の委員から御意見をいただいたのですが、何か委員の方から御意見があればお願いしたいのですけれども。

 意見の進め方ですが、41行為を丸ごとAll or nothingで全部認めるのか認めないのかという進め方は余り現実的でないので、これまでもその中で比較的争点のなかったものについては、一応これはいいですねということで29は特定行為として入れようということまでは来た。12項目については、確かにきちんと議論をすべきであるという意見がございます。

 事務局からもそういう説明がございましたので、12の項目については具体的に1つずつ御意見をいただきたいと思っております。

 特に検討が必要な行為ということで、資料1の一番最初のページに12並んでおります。その中でフラットに1つずつやっていくのは余り現実的でないと私は思いましたので、関連学会から平成25年7月の意見募集時に行為のリスク、医療安全等の観点から、特定行為の案から削除すべきであるという御意見がなかった3行為、やさしいほうからやっていこうということなのですけれども、1つは人工呼吸器モードの設定条件の変更、4番目ですね。病態に応じたインスリンの投与量の調節。下から2つ目ですか。それから、一番下の脱水の程度の判断と輸液による補正。これは1つずつ御意見をいだきたいと思います。

 まず、人工呼吸器モードの設定条件の変更。これはいかがでしょうか。

○神野委員 ノープロブレムだと思います。

○桐野部会長 特に御意見がないのであれば、次に進みます。

 病態に応じたインスリン投与量の調整。これはいかがですか。

○釜萢委員 これは国会で質問が出ていることですが、学会等もいろいろ検討の結果、特定行為に含まれるのが妥当だという認識であると私は思っております。

 日本医師会の立場としますと、日本医学会傘下の学会から非常に懸念を示されている行為については、スタートの時点で特定行為に含めるというのは十分議論が必要だろうと思っておりますし、場合によってはスタート時点では入れないほうがよいかなというものも今後出てくるであろうと思っております。

 研修に当たって、実際に研修を指導する医師が、これは特定行為に含まれて当然だなというふうに、皆さん大部分が納得なさるものがこの行為に含まれるべきであって、指導する医師がこれはどうかなと思われるようなものについては十分検討が必要であろうというのが私どもの認識です。このインスリンに関しては特定行為としてふさわしいと思います。

○桐野部会長 ありがとうございました。

 ほかになければ、脱水の程度の判断と輸液による補正。これはいかがでしょうか。

○新田委員 地域で脱水等の補正は、ある意味で当たり前の行為として看護師さんも含めて判断が行われることでございますので、私は入れるべきだと思います。問題はないと思います。

○桐野部会長 ほかに御意見いただけますか。

 有賀先生、お願いします。

○有賀委員 今、新田先生が地域において当然だという話で、結論的には私もそう思うのですが、標準化された一定の教育を看護師さんに受けていただいてというか、学んでいただいて、それでこれに行くという大事なプロセスがあるので、今やっているからいいという問題では多分ないのではないか。少し気になったので発言しました。

○新田委員 そのとおりだと思います。

○桐野部会長 ありがとうございました。

 この3つについては一応、入れるという方向でよいだろうという御意見だったと理解します。よろしいでしょうか。

 今、3つ一応やったということで、次に飛び飛びになるのですけれども、経口・経鼻気管挿管チューブの位置調整、腹腔ドレーンの抜去(腹腔穿刺後の抜針を含む)については、このたび事務局が関連学会に依頼した補足説明において、特定行為(案)からの削除という御意見がなかったものでございますが、これについて御意見をいただきたいと思います。

 まず経口・経鼻気管挿管チューブの位置調整。これはいかがでしょうか。

○釜萢委員 これについても、一部医師の中に不安を感じる意見もあると認識しておりますが、学会ともいろいろ御相談し、また、御教示を賜る中で、これは特定行為に含めるべきであろうと判断しております。

○桐野部会長 どうもありがとうございます。

 そのほかございますでしょうか。よろしいですか。

 そうしたら、次に腹腔ドレーン抜去(腹腔穿刺後の抜針を含む)についてはいかがでしょうか。

○神野委員 専門は消化器外科でございますけれども、入れるほうではなくて抜くほうですので、これは特に問題はないと思います。

○桐野部会長 腹腔ドレーンの抜去は問題がないだろうという御意見ですが、よろしゅうございますか。

○末永委員 これも当然教育をやった上ということなものですから大丈夫だと思います。ただし、腹腔ドレーンは抜くときでも、例えばNetz大網が入り込んでいたりだとか、そういうこともあったりするものですから、それも含めた教育をすれば別に問題ないと思います。

○桐野部会長 有賀先生、お願いします。

○有賀委員 しつこいですけれども、抜こうとしたけれども、抜かなかった。これも判断できることを前提にして、だから抜けるという話なんだと私は思うのです。やさしいからとか、難しいからという話ではなくて、この議論の俎上に乗らない採血だって、ひょっとすると患者さんが死んだかもしれないという、結果的にはインシデントですけれども、いわゆる医療事故のようなことを経験しないわけではないのです。ですからやらないということも含めてやれるという、それが大事なのではないかと思います。

○桐野部会長 ありがとうございます。

 そのほかありませんか。この5項目については関連学会から削除すべきであるという御意見がなかったもので、コメントがあった、いろいろな御意見があったものですけれども、12の中でこの5つについては、特定行為の中に含めるというふうにしてよろしいでしょうか。

 それでは、このたび事務局が関連の学会に依頼した補足説明におきまして、特定行為とすることについて賛否両論の意見があった行為として、経口・経鼻気管挿管の実施、経口・経鼻気管挿管チューブの抜管、橈骨動脈ラインの確保、胸腔ドレーン抜去、心嚢ドレーン抜去、褥瘡の血流のない壊死組織のシャープデブリードマン及び褥瘡慢性創傷における腐骨除去。この7項目がございます。これについて御意見を伺いたいと思います。どうぞ。

○岩澤看護課長 学会に補足説明をいただいた資料は、本日参考資料5ということでお手元に置かせていただいております。

 前回いただきました意見の後、6ページの褥瘡の血流のない壊死組織のシャープデブリードマンと、7ページの褥瘡・慢性創傷における腐骨除去について皮膚科学会から御意見が届きましたので、本日、掲載させていただいております。

 デブリードマンについては形成外科学会が行為名、行為の概要の修正が必要という御意見でしたが、皮膚科学会は削除すべきという御意見。腐骨除去につきましても皮膚科学会から削除すべきという御意見をいただいたところでございます。

 事務局からの説明は以上です。

○桐野部会長 きょう全部残りの7項目について終わらせるのは無理があるので、少し今と同様に御意見を伺った上で、また継続審議をしたいと思うのですが、まず挿管関係です。経口・経鼻気管挿管を実施し、そして、それを抜管するという行為について御意見があればお願いします。

○釜萢委員 先ほど有賀先生から、今回のこの特定行為の研修の意義あるいは重要性について御指摘をいただいて、私もそのとおりだと思いますが、この特定行為の研修を円滑に導入するという観点からしますと、この特定行為の研修について研修を担当する医療現場が必ずしも十分その内容をよく理解していない現状がありますし、この制度が円滑に進むための協力が得られるかどうかというところにも懸念があります。特にこの挿管、抜管に関しては直接携わる麻酔科学会からきょうの資料にも出ておりますけれども、理事長先生のお名前で非常に詳細な、丁寧な御意見が寄せられており、これを無視して本部会でこの行為を特定行為に含めるということは、私どもとしては適当でないと考えております。ですから、この挿管、抜管について特定行為に含めることは反対であります。

○桐野部会長 そのほか何か御意見ございますか。

○有賀委員 結論から言いますと、私は反対ではない賛成の立場であります。

 麻酔科の先生方にコメディカルの職種についていわば技量を上げるための作業をお願いしているというのは、全国的には救急救命士の挿管などについて、麻酔科の先生方には手術場で随分やっていただいております。本件もかなり積極的な麻酔科の先生もおられましたし、昭和大学では実は消極的な麻酔科の教授だったので、少し出発がおくれましたけれども、そういうわけで麻酔科の先生方にすべからく皆さんOKかというと、救命救急のときですらでこぼこがあったことは間違いない。

 麻酔科学会の理事長がやはり慎重にという話があることは、私がいわゆる議長としてやっていたころから盛んに言われていますので、十分にわかっておりますが、地域の急性期医療にしても慢性期医療にしても、麻酔科の先生の直接的な支配下にないような局面で医療が展開することはたくさんあるわけです。現に私が昭和大学の前の病院に赴任したころも、麻酔科のドクターが最初1人しかいなかった。結局ICUでも、救急外来においても、よくできる看護師さんに当時、包括的指示なんていう言葉もありませんでしたけれども、一生懸命勉強し合いながらそこそこの水準でお手伝いをいただいたという歴史がございますので、そういうことまで考えると人的資源に比較的恵まれていないような局面において助けてもらうということは十二分に必要だ。それはむしろ国民のためになるわけなので、その部分を勘案して麻酔科の先生方に看護師さんについてもぜひよろしくお願いしたいという話をするのが私は筋ではないかと思います。今、大変だということはわかりますけれども、もっと大変なところはいっぱいある。「総力戦でいこうぜ」という感覚でございます。

○釜萢委員 有賀先生の御指摘はよく理解できるのですが、ここでもう一度よく振り返ってみなければならないことは、特定行為の研修というのは、手順書に基づいて医師が原則いないところでやるということであります。そのことと、急性期の現場で例えば麻酔科医がいない状況で、その麻酔科医の代わりを急性期医療において診療の補助として看護師に担ってもらうという場面は、今回の特定行為の研修の仕組みとは別のものであると認識しております。ですから急性期の現場で直接的に指示を行うに当たって研修をするということは、現実にどんどん行われておるわけですし、そのことと今回の特定行為の研修という枠組みとは別のものではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○有賀委員 当時、特定行為とか包括的指示はなかったのですが、実態としてはたった2人しかいない脳神経外科医の手術場からの指示によって、今のことが展開していたという話です。ですから、麻酔科の先生のかわりをナースにさせているのではないのです。先ほど救急外来の話をしたので急性期とおっしゃっていますが、この間、新田先生がおっしゃいましたが、慢性期もそうですが、ドクターが駆けつけるまでの間に何とかしてほしいという話があったり、救急外来で気管挿管をしたほうがいい患者さんがいたりするのだと。それで麻酔科の先生がいない。そこにドクターがさっと駆けつけることができないという局面があるんですよということを言っているわけです。

 だから全く関係ないところで起こっているというわけではもちろんないのですが、局面局面によっては助けてもらってもいいのではないかという、そういう話をしているわけです。だからこれは医療を広く展開する中でのある場面ということで、麻酔科の先生のかわりをしようと言っているわけではないのです。救急外来においては、例えばその患者さんがいずれ内科のドクターに面倒を見てもらうことになれば、それは内科の先生が最初からいればやってくれたかもしれないし、外科だったから外科かもしれないし、今で言えば救急医がという話になるのかもしれませんので、麻酔科の先生のかわりではないのです。

○末永委員 ちょっと視点を変えまして、実は釜萢先生がいろいろ心配なさっていることはよくわかりますし、麻酔科学会が言っていることも確かに正しいことを言っているわけです。ところが、それを全て満足させるというと、これは特定行為として完璧に認めないという話になってしまうわけで、実は私も例えばこういうような研修をしても、バックアップ体制がないところですぐにやれるとは思っていません。多分やられるというのはこういう特定の研修の教育をきちんとして、バックアップ体制があるところからまず始まると思うのです。そういうところでは危険なところでそれをやれという指示はまず出ないと思いますし、そういうようなまず第一歩がないと、2025年以降には全く進まないと思うのです。

2025年に至るまでに、また例えば何年間たってこういう行為でどうだったかということの検証をするだとか、その上で変更を加えるだとか、そういうこともあってもいいのではないかと私は思いますので、初めから危険だからということではなくて、やはりこれは危険なこともある。先ほどの挿管だけではなくて、いろいろな動脈からの採血の問題も当然そうですけれども、そういう危険なことがあるよという教育をきちんとして、そういう判断力を教育の中で教える。それで危険が伴うことであれば、それはバックアップ体制、要するにドクターがついていなければやらせないだとか、そういうふうな教育をすればいいのではないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

○釜萢委員 看護師に医師が直接指示して診療の補助を行ってもらうための研修を今後どんどん実施することについては、全く異論はないのですが、今回のこの特定行為というのはまた別の枠組みになっているわけで、例えば先ほど有賀先生が御指摘になった救急の現場については、医師はその患者さんに対する手順書を書くことはできないわけです。ですから、そういう場面は本来この制度の範囲の中のものではないわけでありまして、この制度はあくまでも今まで議論を重ねてきた特定行為という枠組みの中でどういう研修を行わせるかということを考えるべきであります。したがって、少なくとも制度をスタートさせる段階で、この挿管、抜管を含めるというのは、危険だからだめということではなく、この特定行為の枠組みの範囲からは外れるように思うのですが、いかがでしょうか。

○神野委員 御懸念よくわかります。ただ、まず1つは先ほど釜萢委員おっしゃった、これは医師のいないところでやるという前提だけではないわけで、医療資源が乏しいところとか、あるいは緊急の場合なども含めると、医師がいるのだけれども、その場にいないということを含むということで御理解いただきたいと思います。

 それから、今の手順書のお話ですけれども、例えば救急外来にいらした患者さんがいわゆる手順書なしで、もし救急外来にいらした患者さんに手順書を医者が書くとするならば、それは直接的指示であって、今、私は理解する中の今回の包括的指示というのは、これこれこういう状況の患者さんがいらしたときに、これとこれとこれを確認して、これに注意しながらこういうことをするというのを包括的指示というふうに理解しますので、とするならば、緊急時に医師がいない局面でそういうチェックリストをきちんとやって、確認しながらやるのは包括的指示のもとでできる話ではないかと思います。

 今、根本は恐らく各学会の先生方、大変恐縮ですけれども、皆さん大学の教授の先生方が理事長とか幹部でありまして、大学病院に比べると地域の病院あるいは地方の病院というのは明らかに医療資源が乏しくて、麻酔科の医師に関しても大学病院なら十何人いてもおかしくないわけですけれども、地域の病院に行くと麻酔科の医師も少ない。救急の医師も少ないという中で手伝っていただく。看護師さんも本当は嫌かもしれないけれども、お願いします、手伝ってくださいというのが今回の趣旨だったのではないかと思います。

 以上です。

○高田委員 看護の立場でこれを言うのは大変苦しいところもあるのですけれども、実際に麻酔科学会の意見書等々も拝見しますと、つまり挿管を危険なく実施できるようになるまでというのは相当程度の訓練が必要であるということがかなり丁寧に書かれていて、看護師がこういう教育訓練を受けて、本当にそういう緊急の場面に役に立つというか、できるというところの技術水準にまで持っていく、あるいはそれを維持するということがどの程度本当に現実的なのだろうかという疑問を私は正直なところ感じます。

 そこにかける投資、先ほど医療資源が乏しい云々ということがかなり必要性の議論として出ていたかと思うのですけれども、そうであれば当然その教育訓練の時間的あるいは人的な投資の問題も当然出てくるわけなので、そこには相当程度かかる。だけれども、それ以上にできる人たちがふえるということに本当になっていくのかというのに若干疑問があります。こういう技術というのは、たまにあるということでは全然技術水準を維持できないだろうと思うのです。当然本当に何例も何例も重ねて、初めてさまざまなケースに対応できるということになるという麻酔科学会の御意見というのは、私は十分納得いくものと読ませてもらったのですけれども、そこにどのように持っていくのかという教育訓練の実際的なところを考えると、本当に正直、少し慎重に考えたほうがいいのではないかということを感じます。特に医師が不在のところでということに関しては、相当程度慎重に考えるべきではないかと思っています。

○釜萢委員 高田委員がおっしゃるのは、私はそのとおりだと思います。

 先ほど神野先生からのお話と私は全く認識が違います。というのは、こういう類型の患者さんが来たときには、こういうふうな対応をするという、それがもし包括的指示で行われ、患者さんを特定した手順書でなければ、医師はその患者さんを全然診察していないという場面が起こり得るではないですか。それは医師としては全く責任がとれないし、そんなことは診察していないのに医療行為を行うことにつながりますので、その点は大きな誤りではないでしょうか。

○真田委員 私は神野先生の意見に賛成しています。というのは、地域に今、本当にニーズがあるかどうかということが非常に重要なのだと思います。ニーズがあるからこそ、この手順書で行うケアが必要だということを何度も確認している状況だと思います。

 その証拠に、手順書検証施設での詳細な評価を見せていただくと、経口・経鼻挿管の実施というのは99床とか200床以下の規模の小さい病院です。実際に手順書のもとに最も多い回数実施しており、そして実際に成果として、何も危険なことは起こっていない、この事実をもってニーズと実績は手順書で行うことができるということをまさに示しているのではないかと思っております。

○神野委員 厳密な意味で医師法はどうこうということになりますと、先生おっしゃったとおりのことがいっぱいあると思いますけれども、例えば救急外来に患者さんが入って心停止になっていたときに、医師が来るまで何もしないのか、あるいは病棟で夜中の2時、3時に急に心停止になったときに、医師が駆けつけるまで指示なしで何もできないのかということになると、そうはいかないというのが現状ですので、ある程度力をつけている方に医師が委ねるということがあっていいのではないかと思います。

○釜萢委員 それは直接的指示があったかどうかということが大事であって、医師が全然診察していない方に看護師の判断で何かをやってもらうというのを、この公の場で考えることではないのであって、誰も何もする人がいないところに瀕死の方がおられたときに何かをやるというのは、よきサマリア人の法則でそれはいいのです。だけれども、それはここで議論する内容ではないと思います。

○神野委員 公でないところで話したいと思います。

○桐野部会長 挿管のことは意見がいろいろ出ておりますが、確かに難しいことで、麻酔科学会が心配しておられることもよくわかるのですけれども、結構難しい問題のある操作については、現に個別的指示で行われているという状況から考えれば、もっときちんと系統的にトレーニングをして、教育をした上でやっていただいたほうがいいのではないかという意見も一方であるということだと思いますので、気管内挿管・抜管については置いておきます。

 橈骨動脈ラインの確保というものがございますが、これは除外すべきだという意見があると聞いておりますけれども、いかがですか。これは緩和医療学会だと思います。これにつきましては参考資料5の8ページにあります。ただ、日常的に動脈ラインの確保をやっておられると思われる救急医学会は、これを入れることに反対ではないのです。

○末永委員 緩和ケアというのは例えばモニターだとかいろいろなことをしないというのが基本だと思いますので、緩和ケア学会からこうやって出てくるというのは違和感を実は感じています。

 橈骨動脈も大体、個別的指示でもやらせていませんけれども、基本的には外から触るところであるところを圧迫すれば止まったりだとか、そういうことがあるものですから、神経損傷ですとかそういうことだけの注意の教育をすればできるのではないかと思います。

○桐野部会長 ほかの7項目に比べると、ほかのものは恐らくやり方によっては命にかかわるような御心配があるのだろうと私は想像しているのですけれども、これはちょっと失敗しないほうがいいに決まっていますが、うまくいかなかったら押さえていればいいので、なぜ反対されるのかよくわからない。やはりこれは考えるべきだという御意見はございますか。

○有賀委員 恐らく非常にしばしばこの作業をやっているのは、集中治療室に勤務する人たち、集中治療医だとか救急医だとか、手術場では多分モニタリングが必要なので、ラインを確保するということになると思いますので麻酔科の先生方だと思います。ですから、非常にしばしばやっている人たちが、本件については看護師さん助けてくれやという話があることは私は非常によく理解できるのですけれども、緩和医療はそんなしばしばやっているわけでは多分ないと思いますので、書いてあることはそうかなというふうな気がしますが、こちらに引っ張られるのは不自然な気がします。

○桐野部会長 学会としてそういうお考えであるということは、十分拝聴した上で決めればいいことだと思うのですけれども、どうもこの橈骨動脈ラインだけは7つの中でちょっと特殊で、ほかのものについては行為の結果、場合によっては危ないよという気持ちが学会の御意見の中に伺えるのですが、これだけはよくわからない。

○釜萢委員 有賀先生が今いらっしゃるところで大変恐縮ですけれども、救急医学会の御見解は、そこに今、書いてあるのが現状の御見解ですけれども、過去の意見聴取においては、これはお調べいただければわかりますが、特定行為としては認めないという御判断もかつてはございました。

 橈骨動脈ラインの確保においても非常に後の対処に危険を生じて、大変だったという御経験も現場ではある中で、反対意見が出てきたであろうことも私は理解できると思います。しかし、現在の医療の状況の中でこの行為がどうなのかということになりますと、静脈注射いうものもかつては医師しかしていなかったわけですから、今回の検討の中で橈骨動脈ラインの確保については、特定行為に含めるのが適当ではないかと私は判断しております。

○桐野部会長 ありがとうございます。

 そのほか御意見ございますか。橈骨動脈ラインについては除くべきだという御意見は全くありませんので、これは今回の特定行為の中に含めるということで、次に進みたいと思います。

 今度は胸腔ドレーン、心嚢ドレーン。胸腔と心嚢、つまり胸郭のドレーンですね。技術的には抜くだけであれば引っ張れば抜けるのですけれども、抜けないこともある。恐らくだからその後のいろいろなことが問題なのだろうと思います。

○釜萢委員 御発言がないので発言させていただきますが、まず胸腔ドレーンについては、抜去後の再挿入が必要になった場合の対応が非常に困難であろうという御指摘です。それを研修させて、危険性を十分認識した結果行為をやらないという選択もあるという御意見が当然出るだろうと思いますが、あくまでもこの特定行為の研修のスタートの時点で胸腔ドレーンの抜去については慎重であったほうがよいと思いますが、いかがでしょうか。

○桐野部会長 心嚢ドレーンも同様の御意見と考えていいですか。

○釜萢委員 はい。

○桐野部会長 それでは、このドレーン抜去については2つあわせて御議論いただければと思います。田邊先生、どうぞ。

○田邊委員 私は医師、特に研修医の教育に携わっている者ですが、胸腔ドレーンの抜去に関してはかなり神経を使って指導するようにしております。私自身は外科医でしたので経験しているのですが、術後の胸腔ドレーン抜去に関しては施行後に気胸を起こす危険性がありますので、かなり神経を使ってやっていました。研修医にとっても難しい手技は、特定行為として看護師さんがやるというのは結構難しいのではないかという感じをいたします。心嚢ドレーンについても同様でございます。

○桐野部会長 有賀先生、どうぞ。

○有賀委員 研修医と現場で働いておられるナースとのベーシックな教育のプロセスについて差があることはわかるのですけれども、研修医もそうやって学んでいくわけです。ですから、看護師さんたちもそうやって学んでいくという、その部分のしんどさが多少高いという話が万が一あったとしても、このような行為がこの場に載ってきたというにはそれなりの理由がありますので、そういうふうなことを乗り越えて勉強して下さいというのは、大事な話なのではないかと私は思います。ですから、難しいからやめておけという話が先ほどからちょこちょこありますけれども、難しいからやめておけではなくて、だからたくさん勉強してくれという話になるわけで、そういう意味ではある日、あるとき胸腔ドレーンを抜くというような局面ではなくて、比較的しょっちゅう入れたり抜いたりしているという場面で、本件について勉強した看護師さんたちが手助けしてくれるということになるのではないかと思いますから、私はよけいたくさん勉強して、きっとできるようになってほしいということで、先生の言うことに反論したいと思います。

 以上であります。

○真田委員 もともとこの胸腔ドレーン、心嚢ドレーンが特定行為として挙げられた理由に戻りたいと思います。それは救急あるいは手術後、病院に入院中の方々で、先生方が手術に入ってしまった後、丸一日出てこられないということも多々ナースたちは経験しています。1日でも早く患者さんのADLの拡大ということを考えたときに、この項目は非常に重要ではないか、ならばナースがトレーニングをすれば行えるのではないかという理由があったと思います。ですので先ほどからも申し上げますけれども、ニーズがあるという前提にどういう教育をしたらよいかということも含めて検討していただきたいと思います。

○新田委員 私は在宅においても胸腔ドレーン抜去は可能だと思っています。その場合に再挿入等々の問題については、もちろんこれは難しい話でございますが、その判断をするのも医師でございますから、医師の判断で行う胸腔ドレーン抜去であれば、逆に言うと早期退院も可能であるし、ドレーンのまま帰ってきて在宅で暮らしたほうがさらに高齢者にとってはいいという意味で、在宅で抜く場合はあると思います。それは医師の指示のもと、特定の行為として行うということで私は訓練を受けるべきだろうなと思います。

○高田委員 これはお聞きしたいのですけれども、再挿入が必要ないであろうとか、あるいはその危険性がどのぐらいあるとかいうような事前の予見と言ったらいいのでしょうか、予測はどの程度、ここでこういうことを聞いていいのかわからないのですが、かなりの精度で予測可能であるということであれば、特定行為して成立可能だと思うのです。そこが非常に難しいということであれば、実際に仮に含めたとしても現実的にできる範囲というのは極めて限定的になるのかなと思われるので、済みませんが、これを医師の委員の方々にお聞きしたいのですけれども、いかがなのでしょうか。

○新田委員 簡単に治療すればよろしいでしょうか。やはり抜く前に少しクランプという行為を行って、それで数日見て、それで問題がなければという、もちろんにそれを手順に従ってやるという、そういうことでございます。

○神野委員 それか、多く想定されているのは、もしかしたら例えば開胸手術後の胸腔ドレーンではなくて、がん性胸水とか、心嚢水とかで、例えば在宅の先生が胸腔ドレーンを入れて胸水を抜いて何時間後に抜いてほしいとか、そういうケースも多々あるやに思います。恐らく開胸手術後の胸腔ドレーン抜去については、どの医師も指示することはないと思うのです。それよりも今、言ったような胸水、心嚢水系統の胸腔ドレーン、心嚢ドレーン抜去というのは、大いに現場としてはあり得るのかなという気がいたします。

○桐野部会長 本当に抜けば心タンポナーデになる可能性があるものを指示するとはとても思えないのですけれども、そういうことを御心配されているということかなと思います。

○中野委員 現場では医師の数が少なかったり、いろいろな状況があるのですけれども、手術室に行って大体何時ごろ戻ってきてドレーン抜去できるよというふうな予定でいても、いろいろなことが起きてくると、それができないことは多々あるのです。そうすると夜遅くに先生が手術を終わって戻ってきて抜管しようというのは、なかなか厳しい状況があるのです。看護師の不足とか。ですから、患者さんにとってどうしたらいいのかと考えると、十分な知識を持っていて、そしてやれるような状況にしていただいたほうが、私は患者さんにとってのこれからがあるのではないかと思いますので、ぜひこれはOKにしていただければと考えております。

○釜萢委員 また少しもとに戻りますが、この制度は今後もずっと見直しながら、さらに拡充をしていくものと考えられるのですから、スタートの時点で検討項目全てこれに取り込まなければいけないということはないのです。今、中野委員からの御指摘のような要請が非常に多くなれば、またそこで範囲を拡大すればよろしいので、スタートの時点で不安のある、異論のあるものについては、それを無理してこの中に含めるべきではないというふうに私は申し上げておるところです。

○桐野部会長 この後、研修について御議論いただく時間をとりたいので、12項目のうち、少なくとも1つ橈骨動脈ラインについては12から外して皆さんが御賛同いただいた特定行為の中に入れるということで、大きく分けると気管内挿管の2つ、ドレーンが2つ、褥瘡の処置について2つ議論がまだ残っているという前提で、この6つについては引き続き御議論いただきたいと思います。

 新田委員、どうぞ。

○新田委員 戻すつもりはありませんが、気管内挿管について先ほど釜萢委員の話がありましたけれども、確かに我々が必要とする場合は特定の人に行うことではないのです。あるときに包括的に行う。呼吸保持のために行ってほしい。たまたま遭遇して、ということでその場合は特定の手順の中で行う特定の人ではないということの中で、そういうことが起こり得るときに、例えばマスクによる呼吸保持がいいのか、挿管による呼吸保持がいいのか。確かに挿管行為は先ほど麻酔科学会の話がありますけれども、そうではなくて、その人を助けるために何が必要なのか、誰が行うか、そういう意味で特定行為という枠組みを外しながら、さらにそのことをもう一回研修するというような意味合いで、私はまた議論していただきたいと感じます。

 特定行為と先ほど釜萢委員が言われた中に入ってしまうと、なかなかその中には入らない対象者が結構います。いざという場合は。という意味で、ほかの人たちを皆さん特定のわかる人たちに対して医師の指示が必要です。そこがちょっと違うなというふうに思っていて、ただ、看護師さんに挿管行為が必要な行為は、日常にひょっとしたらあることはあると思います。よろしくお願いします。

○桐野部会長 その場合は個別具体的な医師の指示によって現実に行われているし、行っていただくことはできるということだと思います。

 ということでよろしいでしょうか。だから6項目については引き続き議論をいただく必要があるのかなと思います。

 それでは、まだ6項目ほど残っておりますし、引き続いて。

○中山部会長代理 先生、1つだけいいですか。6項目は引き続きの検討で問題はございませんが、褥瘡のことは今日は検討しませんでしたが、褥瘡に関することは高齢者ケア、在宅ケアにおいては看護にとっては大きいことです。前のドレーンのことも同じですが、どういう患者さんだったら指示書が出せるのかという、指示書の対象となる方々の問題では医師の判断、指示書を出すかどうかの医師の判断の大きいところだと思います。ここは今回の趣旨、在宅あるいは高齢者ケアを充実させるということから考えると、ドレーンの抜去と褥瘡のことについては、ぜひできる方向で、どういうふうにすれば特定行為にできるかという形で先生方の知恵をいただければと私は思っております。そのことだけ加えていただいて、今後の検討に回したいと思っています。

○桐野部会長 ありがとうございます。

 神野先生、どうぞ。

○神野委員 場の問題をきちんとしなければいけないし、救急の本当に初見の場の問題と、ずっと私たちが診ている患者さんの場合と2つあって、診ている患者さんの場合は繰り返しますけれども、例えば胸腔ドレーンにしても褥瘡にしても、最初はドクターが何回かやるのです。大体看護師さんと一緒にやって、例えばがん性胸水で胸腔ドレーンを入れて、それを週に1回、2回やっていくうちに患者さんもなれているし、看護師さんもなれているし、状態も安定している。では次からやっておいてねというのはありかなと思うし、それは恐らく褥瘡の処置に関しても同じように、最初はドクターがやって、横で見ていて、この患者さんの場合のデブリードメントはここだけはやっておいてよというのを何回か一緒にやった上で、次、自分行けないからやっておいてねというのは包括的指示でありかなと思いますので、これは次の研修とも絡むかもしれませんけれども、場の話をきちんとすることで、ある程度絞り込めるのかなと思います。

 もう一点だけ、恐らくここで落としどころの話をしてあれですけれども、挿管の話が最後まで残りそうな気がするのですが、場合によってはヒアリング等でいろいろな学会等の御意見を伺うというのも、これは事務局に考えていただかなければいけないかもしれませんけれども、ありなのかもしれないかなと思います。

○桐野部会長 ありがとうございます。

 先に進みたいと思います。どうもありがとうございました。ただ、6つの行為につきましては、関連学会からの意見も伺う必要があると思いますので、次回に参考人としてお越しいただければと思っているのですが、いかがでしょうか。

○真田委員 参考人として学会の意見をお聞きするということがあり得るのならば、特定行為に対する業務試行事業をなさった実際の施設の先生方にも来ていただいて、両論をお聞きしたいと思います。

○桐野部会長 もちろん丁寧にやっていく必要があると思いますが、まずは除外するべきだと非常に強い意見を言っておられる方々の専門的な立場からの意見を聞いておく必要がどうしてもあると思いますので、関連学会からのヒアリングを優先したいと思いますが、よろしいでしょうか。

○有賀委員 今の挿管と麻酔科学会の件で麻酔科学会からお話を聞く。それはそれで一定の時間を費やすのは私は構わないと思うのですけれども、恐らく私が昔やったみたいな話ではないのですが、比較的病院として体系的にその看護師さんたちに教えているという事例が多分あるはずです。

 今、真田先生がおっしゃったのはトライアルとして今までやってきた中で教育したり教育されたりということがあるわけですね。現に必要性があるのでこの場で議論に至っていて、そして、今しがた言われたように、少しずつやっていけばもちろんいいということは論理的には全くそのとおりでいいのですけれども、もう待っていられない。もっと早くやろうという歴史観を持っている人たちだっているわけなので、そういう意味では真田先生が言うみたいに現にそれを実践している人たちがいたら、その方たちのお話を聞くというふうにしていかないと間に合わないのではないかと私は思います。末永先生が先ほどそういうようなことをおっしゃったのですけれども、多分、同じだと思うのです。

○釜萢委員 その点についてはぜひ発言をさせていただきたいのですが、有賀先生はじめ、この事業を非常に積極的にお進めになり、急いで拡大すべきだというふうにお考えになっておられる方は、そういう御意見だと思いますが、医療界全体を見て、そのような意見が大多数であるとは私はとても思いません。

 現場でしっかり研修の実を上げていくためには、幅広い施設でこれが行われていかなければいけないということを考えると、必要だからどんどん進めてという意見ばかりでないんだということもしっかり踏まえて、本部会で議論をしていかなければ決してうまく導入できないと認識しておるものですから、繰り返し申し上げている次第でございます。

 以上です。

○桐野部会長 ありがとうございます。

 ここの立場は、もちろん全国レベルで言えばいろいろな御意見があることは事実だと思うのですが、そういう意見を取りまとめて、保助看法を改正して、ここまではやろうということが決まっているわけですから、そのやろうということを整然ときちんと準備をしておこうということが、この部会の趣旨だろうと思いますので、確かに特定行為41のうち今のところ6つについては、まだこの部会内部でもいろいろな意見があり、学会からも意見があるということを一応、現状での前提とした上で、多くの委員の方が41近いところまで認めてもいいのではないかというふうにおっしゃっているように思います。これは私の印象です。多数決でやったわけではないのですけれども、ただ、やはりいろいろ御心配されている委員もおいでになることは事実ですので、入れることについて非常に心配であるというお考えの学会には現状での意見を確認していただく必要があると思いますので、ヒアリングが必要な項目、行為及び学会をまず私のほうで検討させていただいて、次回、学会の先生方に可能であれば来ていただくということでよろしいですか。

○釜萢委員 今の御発言の中で、多数決というようなお話が出てきましたが、それは私は全く賛成できません。

○桐野部会長 そうは言っていません。多数決をとったわけではありませんのでと言いましたけれども。

○釜萢委員 ですから、本部会の中では私のような意見は少数派かもしれませんけれども、しかし、全国の医師を背負って意見を申し述べているわけでありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○桐野部会長 すみません、誤解を招いたかもしれません。多数決をとって申し上げているわけではないと言っただけのことです。

 それでは、議題2に入っていいですか。議題2は特定行為研修の内容等について御審議をいただきたいのですが、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。

○岩澤看護課長 それでは、資料2「特定行為研修について」をお開きください。

 特定行為についての研修制度では、厚生労働大臣が指定した指定研修機関で特定行為区分ごとに研修を実施することとされておりまして、この特定行為研修と指定研修機関の基準については、厚生労働省令で定めることとされているものでございます。

 2ページ、特定行為研修の内容として検討が必要と考えておりますのは、ここに書いております事項でございます。総論3点と各論4点でございます。

 これらについては第20回チーム医療推進会議において提示された内容を参考に、どのように考えるか御審議いただきたいと思っております。ですので、チーム医療推進会議で提示された内容について、4ページから御紹介したいと思います。

 まず、想定される指定研修の受講者です。この制度では指定研修の受講者の要件そのものを設定するものではありませんが、研修内容を検討いただくに当たりましては、どのような看護師を念頭に置く研修なのか。共通認識を持って検討いただけるように想定される受講者が、チーム医療推進会議ではまとめられて報告されております。

 医療現場の状況によるため、一律に示すことは難しいが、おおむね3~5年の実務経験者ということで、3~5年の実務経験を有する看護師をここでは2点挙げております。所属する職場で日常的に行う実践を、根拠に基づく知識と経験を応用して自立的に行うことができる。また、チーム医療のキーパーソンとして機能するまでには至っていないが、チーム医療の一員として十分に機能している者。このような者を受講者として想定してはどうかという案でございます。

 次が指定研修の基本理念でございます。5ページになります。この研修はチーム医療のキーパーソンである看護師が患者、国民や医師その他の医療スタッフから期待される役割を十分に担うため、高度な臨床実践能力を発揮できるよう医療安全に配慮した実践と振り返りを繰り返しながら、自己研鑽を継続する基盤を構築するという理念で進めてはどうかという案でございます。

 6ページ、研修の実施方法についてのイメージです。前回も少し御紹介いたしましたが、2つの場合が考えられるということで、左が指定研修機関で講義・演習、実習まで実習施設を有していることから、全て実施する場合と、右に書いてございますように、指定研修機関では講義・演習を行い、実習施設は別の主体のところで行うという場合が想定されるというイメージでございます。

 次に、研修での教育内容になります。7ページをごらんください。指定研修では医師が患者を特定した上で手順書に基づいて特定行為を実施するように医師から指示が出され、それを受けて看護師が手順書に規定された病態の範囲にあるかの確認を行って特定行為を実施し報告するという流れ。これを実施できるような研修内容が必要になってまいります。

 そこで研修内容としては、下の枠囲みに書いてありますが、左側に書いてあります。包括的指示、手順書の指示で実施するために必要な共通の知識、技能と、右側にあります行為区分に応じた内容を研修内容として組み合わせる、このような研修の枠組みでまとめられてございます。

 具体的には8ページになります。手順書によって実施するために必要な共通の知識、技能として5つの到達目標。そして、この到達目標を達成するために必要な教育内容として、臨床病態生理学から特定行為実践までの内容が出されております。

 それを共通知識、技能として、行為区分というところでは10ページになりますが、特定行為区分ごとに、区分の中に複数行為が含まれているものが多うございますので、その行為区分で共通して学ぶべき事項と行為それぞれで学ぶべき事項、このような枠組みで考えられると思います。

 そして、行為区分での到達目標がその上に書いてございます2点です。

 最後のページになりますが、研修内容を学ぶ受講者の評価について、指定研修機関で取り決めておくべき事項案がまとめられております。

 まず、単位認定についてですけれども、必要な時間数、講義・実習を受け、そして習得の確認については科目ごとのレポート試験などを行うということや、確認するためには外部評価者を含む体制で行うことが望ましいのではないか。

 4つ目の●になりますが、成績の評価や単位の認定に関する事項は、指定研修機関で科目ごとに策定をするということ。また、受講者にとって重要な科目については試験を課す。技術的な難易度の高い行為については、実技試験で習得状況を確認するという案でございます。

 最後の2つは実習施設との関連ですけれども、実習施設は指定研修機関と連携体制が十分整備されていること。指導者が指定されていること。また、手順書による特定行為の指導、実習ができる実習施設であること。さらに利用者、患者への説明が適切になされることなどが要件として求められるのではないかということです。

 指定研修機関と実習施設が同一でない場合、受講者の習得状況の確認について指定研修機関は実習施設にその確認事項を提示し、評価方法についても実習施設と事前に調整して取り決めておく必要があるという案でございます。

 また、これらの指定研修を実施するに当たっての留意事項として、受講者の利便性向上の観点から、教育内容の一部をeラーニングで提供することを可能としてはどうかという案でございます。

 説明は以上です。

○桐野部会長 特定行為研修という今回の制度の中でもまた1つ大きな検討項目なのですが、今、御説明がありましたチーム医療推進会議から提示された内容を参考にして御意見をいただければと思いますが、そういう進め方でよろしいですか。

 そうしますと、まずここに書いてございます総論的なことについて何か御意見ございますか。

○末永委員 よろしいでしょうか。指定研修機関での研修というのは、講義・演習という部分と実習は同じところと違うところというものがあるわけですけれども、その講義・演習というようなプログラムには何か同じような教える項目、教育というのが書いてございますが、どれぐらいのものを御用意されていて、期間をどれぐらい、例えば講義・演習と実習の比率はどれぐらいだとか、到達目標が達成される期間をどれぐらいに想定しておられるのか、教えていただけませんでしょうか。

○桐野部会長 これは誰か答えられますか。

 ちょっと順番が前後しましたけれども、結局これは指定研修機関で講義・演習を行うのはどれぐらいのボリュームであるかという御質問だと思いますが、そのボリュームの参考のために8ページに指定研修の到達目標、教育内容等(案)と書いてございますが、そこでこの特定行為を行う看護師の一般教育のなかに臨床病態生理学以降たくさん項目がございまして。

○末永委員 私が聞こうと思いましたのは、例えば大学院教育だとかもありますね。大学院教育と今度のこういう特定項目の研修の教育内容にどのような違いを持たせるのかだとか、あるいはそういう教育内容がある程度わかった人たちがやるのだから、これはある程度簡素化して実習に重きを置くようにするのかとか、そういうことをお聞きしたかったわけです。

○桐野部会長 これについては特定行為研修のあり方について十分な知識と技能、基本的な考え方を十分身につけて、備えた上で具体的な技術を身につけて現場に臨む。つまり、個々の断片化した技術だけを習得すればよいというもではないというのが基本的考え方ではなかったかと思いますが、この少なくとも講義・演習の部分のボリュームについては何か御意見ございますか。

○高田委員 その前に、その前にといいますのは関連するかなと思うのですけれども、おおむね3年ないし5年の実務経験というふうに受講者の想定がなされているのですが、3年で大丈夫なのか。私は基礎教育の現場で仕事をしておりますので、病院で実際に若い看護師たちをたくさんごらんになっている委員の方にぜひお聞きしたいのですけれども、5年程度のほうがいいのかなと個人的には考えるところがあるものですから、3年で大丈夫かというのを済みませんが、お願いします。

○桐野部会長 今、高田委員がおっしゃった問題、つまり想定される受講者の問題を最初にやらせていただきます。

 今、3年から5年の実務経験でよいのかという御質問がありましたけれども、どう思われますか。

○新田委員 3年ないし5年がいいかどうかというのは別にして、これは具体的に想定した場合に3~5年とすると、病院の看護師等が多く受講するという実態があると思います。そして、その人たちが実際に特定の研修を受けて地域に出てくるにはさらに7~8年、10年程度かかるだろう。

 何を言いたいかというと、地域の今キーパーソン等になっている看護師さんたちがきちんと受講できるようなことを優先というか、それが私は重要だと思って、その人たちはおおむね10年以上、訪問看護師さんも含めて、そういう人たちがこういう行為ができれば、特定の研修ができれば、私は地域が充実してくるなと思うのです。

 こうやって書いてしまうと、どうしても若い看護師さんたちが受講しやすいのだろうなと。そういう人たちをつくった場合に、なかなか地域におりてこなくて困るなというのが正直な印象でございます。3~5年がいいかどうかは別の話でございます。

○中山部会長代理 私もこれを見せていただいたとき、3~5年以上かなと思いました。ミニマム3~5年は要るということで、それ以上の人たちという意味だったのかなと思っています。3~5年では先生がおっしゃるように20代の看護師がほとんどになってしまって、10年や20年の人はどうしてくれるという話になるので、私はこれはミニマムが3~5年で、それ以上の人たちを対象ということだったのではないかと思っているのですが、その辺はいかがですか。

○桐野部会長 これは心は「以上」だと思います。この文言は少し注意して、今、中山先生が言われたような誤解を招きますので。

 どうぞ。

○中野委員 3~5年でどうかと、これは非常に難しいことだと思うのです。ただ、急性期の病院の平均在職年数などをいろいろ考えることと、実際に現場で看護師たちの成長度合いを見ていったときに、私は5年ぐらいなのかなと正直思う部分もあるのですけれども、ただ、人によっては3年ぐらいで相当の知識と技術をもってやる人もいますし、施設の状況にも本当によるので一概に言えないのですが、3~5年以上なのかなというふうに私も思います。

 ただ、新田委員もおっしゃっていましたけれども、訪問看護ステーションの場合は臨床経験がどれぐらいしているのかとか、技術の状況はちょっと病院等の施設でいる人とは違いがあるような気がしますので、もう少し長いのかな。ですから、それ以上の人たちが参加する可能性はあるので、3~5年以上なのかなと曖昧な考え方なのかもれしませんけれども、そんなふうに私は思いました。

○桐野部会長 神野先生、どうぞ。

○神野委員 これからつくる制度ですので、既にキーパーソンの人が入りにくいですね。「キーパーソンとして機能するまでに至っていないが」って、では誰って難しい表現かなと思います。そうすると看護師長さんとか訪問看護ステーションのリーダーの方は行けないのという話になってしまいますね。この辺も言葉を選んでいただきたいと思います。

○桐野部会長 このまま要件として書いてしまうと問題なので、やはり要件として書けるものは実務経験何年以上とか、そういうわかりやすいことではないかと思います。医師の場合は、大学を卒業して医師免許をとれば2年間初期研修をした上で後期の専門医の研修を始めるわけです。ですから、3~5年というのが短いのかどうかというのはわかりませんけれども、幾ら何でも実務経験10年以上とかいうのは現実的ではない。それを要件にしてしまえば。

○新田委員 私は今、神野委員が言われたようにチーム医療の一員として十分機能している者だけでいいと思います。そうすれば、そこに資格する人たちがほとんど入ってくるかなと思います。

○桐野部会長 言葉はわかるのですけれども、チーム医療の一員として十分に機能しているかどうかをチェックするんだという話になると、何となく変てこな話になるので、こういう方がいいのではないかというものであって、実際に正面を切って書く場合は実務経験何年以上みたいなことになるのではないかと私は思います。

○真田委員 なぜこれが入ったかという経緯なのですけれども、指定研修の基本理念のところを見ていただくと、最初に指定研修はチーム医療のキーパーソンであるということが期待されているということでした。

この方々の目標がチーム医療のキーパーソンになることならば、現時点では、キーパーソンとして機能するまでには至っていないという説明だったと思います。これを消していただくほうが、違和感無くいろいろなナースにアプライしていただけるのではないかと思います。

 もう一つは、指定研修についての3~5年の検討というのは、受講者の要件を規定するものではないということが書いてあるので、特にこの箇所に関しては「以上」を入れてしまえばよろしいのではないかと思います。

○桐野部会長 受講者の要件を設定するものではないという意味が、ここはどういう意味ですか。これはここにこのように3~5が望ましいと書いても、それを縛るものではないということですか。

○笹子看護職員確保対策官 事務局でございます。

 こちらに書かせていただいているのは、指定研修を受ける看護師さんがどういう方々が望ましいかという理念でありまして、それと省令で何を書くかということは違います。省令で何年以上の経験を有した看護師さんが研修を受けるべきだというのは、法令上、書けることにはなっていませんので、そこは分けて御議論いただければと思います。

○桐野部会長 わかりました。指定研修を受ける受講者の望ましい姿ということを示している文言であると理解していただきたいと思います。

 この問題について、したがってこれ以上議論するかどうかは。次に進んでいいですか。

 では、続いて基本理念の案で5ページに書いてある、今真田先生が言われたことだと思います。特定行為研修の研修のあり方について、保助看法のほうに書かれている文言で言えば、看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るために行うというふうに書いてございまして、これに合致した理念が必要になると思いますが、この問題についてはよろしゅうございますか。細かい文言や日本語としての表現とかいろいろと細かく言い出すとあるかもしれませんけれども、どうぞ。

○有賀委員 読んでいて別に無理に問題点を指摘しなければいけないところはないと思うのですけれども、ちょっと気になるのは、医療安全に配慮した実践と振り返りを繰り返しながらという、このくだりは全ての医療者に関して言えるわけで、ここに並んでいる人たちは全部そうなのです。だからそういう意味では当たり前過ぎてだから何だという感じになってしまうので、私の気持ちとしては、発揮できるよう自己研鑽を継続する基盤を構築するということでよろしいのではないかという気がする。

 特定行為が危ないだの怖いだのという話がいっぱいあったので、事務局も医療安全とかを入れたほうがいいのだろうというふうになっていった文脈だと想像はするのですけれども、医療者として読むと何も指定研修だけではなくてみんなそうなので、当たり前過ぎるかなというのが感想です。

○桐野部会長 この部分については、先ほど日本語と言ったのは、私もここのところを感じたのですけれども、今の有賀先生の御意見はこの理念の中の3行目以降で、高度な臨床実践能力を発揮できるよう、途中を削除して、自己研鑽を継続する基盤を構築するものでなければならないという文章になるということなのですけれども、お願いします。

○三塚委員 歯科医師会サイドの確認になりますが、指定研修の基本理念のところの一番下のところに「特定行為とは、医師または歯科医師の指示の下」と出ているにもかかわらず、基本理念の中に「特定行為に係る看護師の指定研修」云々で「患者・国民や、医師その他の医療スタッフ」となっていますが、下のところで医師、歯科医師の指示のもとで行っているのであれば、当然ここは「医師・歯科医師その他の医療スタッフ」になるべきではないかと思います。

○桐野部会長 おっしゃるとおりだと思います。ここは「医師・歯科医師」とすることでよろしいですか。全ての医師の表現は医師・歯科医師にするべきだろうと思います。

 これはここで議論して全部終了ということではなくて、一応、案としてリファインして確定しつつ、次の会までに御意見をいただくというやり方で進めていって、いよいよ最後にまとめて、どうしてもということであればまた御意見を聞くというやり方でいかざるを得ないと思います。ですから、この問題については今、有賀先生が言われた御意見と、三塚先生から御指摘があった件については、修文を次の案とするということで次に進んでいいですか。

 次は指定研修機関等の研修実施方法についてのイメージということで、6ページに図解がある件なのですが、これは指定研修機関において全て最初から最後までやる場合もあれば、指定研修機関と実習施設が分離していて協力しながらやる場合もあるということを示しているのだと思いますが、これについて御意見ございますか。

○高田委員 指定研修機関と言うからには当然、指定を受けることになると思うのですけれども、こういうプログラム、こういう陣容で云々というふうに。その場合に左の実習も全部含むということであれば非常に話が単純なのですが、実習は別のところでするというときには、どういう病院でどういう指導者のもととかいうことも含めて、あわせてその指定を受けるという考え方になるという理解でよろしいのでしょうか。

○桐野部会長 これは法令のもとでは1または2以上の特定行為に係る特定行為研修を行う学校、病院、その他のものであって、厚生労働大臣が指定するものを言うということですから、ここにはそこまでは定めていないと思うのですが、そこの理解は事務局から何かありますか。

○笹子看護職員確保対策官 事務局でございます。

 高田委員、御指摘のとおりでございます。

○桐野部会長 これはここで今、高田委員からございましたように、指定研修機関とそれに協力する病院をセットであらかじめリストに挙げて、つまり指定研修機関さえ決めればあとはどうでもいいというものではないということですね。

 もう一つ、eラーニングの活用というものが時々出てきますが、これについて何か御意見ございますか。これも最近ソフトウェアがすごく進歩していて、かなり高級な教育が提供できるようになっているように思うのですが。

○真田委員 ぜひ積極的に取り入れるべきだと思って、ここに入れていただいているのだと思います。地域で仕事をやめないで継続してこういう新しい研修制度を受けられる方々をふやすという意味でも、座学のものはeラーニングにすべきだと考えております。

○桐野部会長 わかりました。

 何か御意見ございますか。お願いします。

○平井委員 神戸大の平井でございます。

 eラーニングのことで、非常に広がっておりますし、重要なことだと思うのですけれども、これはどこが責任を持ってやるかとか、そういうようなことは今、決めなくてもいいのかもしれないのですけれども、ただ書くだけだと進まないと思うのです。だから具体的にどういうふうにしてやるかということもよく検討してやっていかないと、責任の所在をはっきりさせておかないと、それから、評価をどうするかということもきちんとやっていかないと、なかなかやるやると言っても難しいところがあると思いますので。

○真田委員 全て含めてeラーニングという定義でございます。評価まで全て。eラーニングは全て双方向という考えで組み立てられていると言えますので、今、先生がおっしゃった、その人が本当に受けているかから始まって、最後の評価に至るまでをeラーニングのプログラムとするべきだと思います。

○平井委員 各研修指定の施設がやるという形をイメージされているのですか。

○真田委員 それは今からの検討ではないでしょうか。

○桐野部会長 eラーニングを行う施設についても、指定研修機関の1つであるという前提ですね。そうなりますね。

○末永委員 時間が講義・演習と実習となっていますね。この講義・演習の部分で指定研修機関でなくてもeラーニングだったらできるということになりますでしょうか。要するに実習期間を長くする、そのためにもeラーニングを利用して、その講義・演習はちょっとコンパクトにするという、そういうこともできるわけでしょうか。

○桐野部会長 いかがですか。最初に講義・演習のボリュームというか期間はどうであるかというのが最初、先生から御質問があったのですけれども、もう少し先なのでちょっと待ってください。ただ、講義・演習の部分をeラーニングで入るからといって、非常に楽になるというわけではないのですね。そこにちょっと誤解があるのです。つまりそこで学ぶべき内容については一定の要件があると理解して。

 大滝先生、お願いします。

○大滝委員 北大の大滝です。

 eラーニングについては、確かに今までのワーキングの議論でも細かいところは詰めていなかったと認識しています。ただ、御存じのように例えば文科省がeラーニングで単位を与えるのにかなり厳しい条件を設定しているという例もありますように、一体何をもってeラーニングで変えられるか、どういうことが条件になるかというのはこれから詰める必要があるのだろうと思います。そこはとても重要なところです。がんプロフェッショナルのプロジェクトの中で、eラーニングが相当強力に推進されているので、それが1つの例になると思います。がんプロフェッショナルは各地域別のeラーニングも立ち上げていると同時に、筑波大学が全国クラウドを立ち上げて運用していろいろな教材が集まっています。そのように教材を共有していくことも、こういったeラーニングを促進は大事になってくるだろうと思います。その辺のところも今後、関係者で検討していく必要があると思います。

 以上です。

○桐野部会長 教育内容のイメージについてですが、今、最初に末永先生から御質問のあったボリュームとか長さの問題はちょっと残りの時間では無理なので、教育のボリューム、教育内容ごとの評価の仕方などについては、次回また議論していただきたいと思います。

 指定研修の到達目標、教育内容等(案)、表Aと書いてあります8ページは、ここに盛られているものをざっと見ますと、確かに基本的に学ぶべきものがほとんど網羅されているように思うのですが、これについてはいかがでしょうか。

○神野委員 今のeラーニングとの兼ね合いになるかもしれませんけれども、今後、技術、腕は実習病院でよろしいと思います。問題は判断だと思います。判断力をつけるためにはここにあるIPW、いわゆるグループワークがきっと重要になってくる。とすると、その分はeラーニングは難しいかもしれないと思います。そのときはスクーリングみたいな形で集合教育というものが必要になってくるかなという気がいたしました。その辺は中身によっていろいろ分けていく必要があるのかなと思います。

○桐野部会長 この表に書いてございます教育内容については、もちろん細かいことはいろいろあるかもしれませんけれども、大体こんなものかなという感じがいたしますので、もちろん細かいことについても後で御意見をいただくということでいいと思いますが、ページをめくっていただきまして10ページに、行為の区分に応じた指定研修の到達目標、教育内容等(案)表Bというものがございます。それはそれぞれのことを総表にして出したものではなくて、ここでは直接動脈穿刺による採血ということに関して共通して学ぶべき事項、学ぶべき事例等が挙げてありますが、こういう形で指定研修の到達目標、教育内容等を1つずつ具体化していくというやり方については、これでこういうふうにやるということでよろしいですかね。

 いろいろなことが入っているので議論が進めにくいのかもしれませんが、今、御意見をお願いしているのは、それぞれの到達目標や教育内容について、ここの表に例示してあるような方法で全体像をつくっていくという、個々の10ページにあります学ぶべき事例の1、2、3、4、5とある、そのうち何番は要らないではないかとか、もう少し加えたらいいではないかという議論は置いておいて、このようなやり方でこの内容をつくっていくことについてはよろしいですね。

○神野委員 中身的には、参考資料7の福井先生の研究班でこういったことが今まで十分に検討されてきているのですね。それにのっとったような形だと思いますので、そういった前提の研究があるということでよろしいかと思います。

○桐野部会長 神野先生が言われたのは参考資料7ですね。研究代表者、福井次矢先生の個々の指定研修に係る教育内容ということで、非常に細部にわたって書いてありますが、これは教育の専門家がおつくりになれば、細部は違うかもしれませんが、基本的フレームワークはこういう形になるのかなと思います。

 だんだん残り時間がなくなってきたので、特定行為研修についてはほぼ1時間ぐらい今、御意見をいただいたのですけれども、とてもこれで全部審議をしたというわけにはいかないと思いますが、ここに盛られている基本的な考え方は既に定められた法令によって縛られる部分もありますし、法令に従ってもっと具体化していくべき事項もございますので、その具体化の方法としてはチーム医療推進会議がつくったこの案を基本的に参考にして、このやり方に沿って今後さらに細かくしていくということでいいのではないかと思いますけれども、この特定行為研修について、資料2についてはざっと見て御意見いただければお願いをしたいし、もし十分時間がないということであれば、次回の部会までの間にこれについても御意見を寄せていただければありがたいと思います。

○高田委員 全体の共通基礎とも言うべき内容が表Aと理解してよろしいわけですね。そうしますと、これだけたくさんの、しかもたくさんの数をつくる等々のことが前回、前々回に出されていて、しかも仕事をしながらという受講者に見合うような内容ということを、一方で質の担保ということが当然、求められてくると思うのです。多様な研修機関が多様なプログラムというようになりかねないところもあるので、少なくとも例えば共通基礎の内容に関しては、標準的なものを例えば厚労省になるのかよくわかりませんけれども、あるところでつくって、その教材等も含めてeラーニングで使えるとか、何かそのようなことを考えるほうがいいと思います。

○桐野部会長 次回以降の議論で、さらに具体的な教育内容あるいは教育のボリュームあるいは評価の仕方などについて御審議をいただくことになると思うのですが、これをさらに現状に合致して、案として使えるたたき台がどうしても必要ですので、それについては大滝委員及び田邊委員に御意見をいただいて、取りまとめをしていただいたものをもとに審議を進めていただくというやり方を採用したいのですけれども、前にも大滝先生にはお願いをしているのですが、そういうことでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桐野部会長 ありがとうございます。それでは、大滝先生、田邊先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 申しわけありません。1時間しかなかったので十分とは言えませんけれども、ある程度の御議論をいただいたということでございますので、先ほども申しましたように資料2につきましては、追加の御意見についてはぜひ事務局にお寄せいただきたいと思います。事務局で整理をお願いします。

 予定の時間が来ましたので、本日の審議はここまでにさせていただきたいと思います。何かちょっとこれだけはということはございますか。よろしければ、事務局から何かありますか。

○習田看護サービス推進室室長補佐 次回は先ほど御提案いただきました、特に検討が必要な行為について参考人をお招きして、ヒアリングを実施させていただきたいと思います。

 開催日時及び場所等については、改めて御案内申し上げます。

 それでは、次回以降についてもどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○桐野部会長 どうもありがとうございました。第3回はこれで終了いたします。


(了)

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