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2014年12月3日 第5回 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会

医薬食品局食品安全部監視安全課

○日時

平成26年12月3日(水)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第12会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○山本座長 それでは、少し定刻より早いですが、皆様おそろいのようですので「食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会」を開催いたします。

座長を務めさせていただきます東海大学の山本です。

本日は、五十君委員、大澤委員、川崎委員、工藤委員が所要のため御欠席とのことです。

また、参考人として食品産業センターの川向技術環境部次長、株式会社イトーヨーカ堂の坂野QC室食品担当マネージャー、オブザーバーとして農林水産省食料産業局企画課食品企業行動室の横田室長に御出席いただいております。

それでは、議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いします。

○事務局  それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をごらんください。

まず、これまでの取り組み状況の説明資料といたしまして、資料1-1「中間とりまとめで示された『今後の施策の方向性』の対応状況」。パワーポイント3枚つづりの資料になっております。

資料1-2としまして「HACCPに関する条例改正の進捗状況」。こちらは文書での説明資料と結果の2枚をつづったものになっております。

資料2といたしまして「我が国におけるHACCPの普及状況を踏まえた更なる普及方策の方向性」。こちらはパワーポイントの資料で5枚つづりになっております。

食品事業者に対する支援についての説明資料といたしまして、資料3-1「『HACCPチャレンジ事業者』(仮称)の支援について」。こちらはパワーポイントで3枚つづりの資料となっております。

資料3-2「HACCP導入自主点検票」。これはと畜場編。

資料3-3として、この自主点検票の食鳥処理場編。

資料3-4といたしまして、HACCP自主点検票の一般食品編が続いております。

最後に、資料4といたしまして「検討会の進め方について(案)」という順番になっております。

また、参考資料の1~4といたしまして、これまで開催いたしました第1回~第4回目までのHACCP検討会の資料をつけております。

資料は以上となります。資料の不足等はございませんでしょうか。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、議事に入りたいと思います。

昨年の9月からこの検討会の中で、委員の方々からの御意見や参考人の方々からのお話を踏まえ、我が国におけるHACCP普及のための方策を検討してきました。

第3回検討会終了後には中間取りまとめを行い、それを受けて都道府県等が条例を定める場合の技術的助言として、厚生労働省が示している管理運営基準に関する指針や、と畜場法に基づく省令及び食鳥処理法に基づく省令を改正し、HACCPによる衛生管理を新たに規定することとしました。

前回の検討会では、こういった改正を背景として、業態に応じた普及を進める観点から、食品等事業者がHACCPを導入するための参考となる手引書を御確認いただいたところです。

今回は、前回の検討会以降の施策等の進捗状況について事務局から報告するとともに、今後のさらなるHACCP普及のための方策の方向性について御議論いただきたいと考えております。

また、今回の検討を踏まえ、春ごろには普及を加速化させるための具体的な普及方策について示していければと考えております。

それでは、まず前回の検討会以降の施策等の進捗状況について、資料に沿って事務局より説明をお願いします。

○事務局  そうしましたら、資料1-1及び資料1-2につきまして御説明させていただきます。

まず、資料1-1で「中間とりまとめで示された『今後の施策の方向性』の対応状況1」ということでございます。

1ページ目、対応状況1でございますけれども、中間取りまとめにおきましては、御案内のとおりHACCPの段階的な導入を図る観点から、コーデックスのHACCPガイドラインに基づく基準を設定するということでガイドラインを改正しまして、従来の基準と選択できることとすべきであるというふうにされてございます。

その後の対応として、前回報告させていただきましたが5月12日にガイドラインを改正いたしまして、各自治体に対しまして、来年の3月末までに条例の改正を依頼しているというところでございます。

【その後の進捗状況】でございますが、そこに書いてございますように、8月28日に全国の自治体を集めました講習会におきまして、厚生労働省におけるHACCPの推進の取り組み、また、条例改正の必要性について御説明を申し上げたということでございます。

10月9日には都道府県等に対しまして、条例改正の進捗状況についての調査を実施してございまして、1030日にその結果を都道府県等に周知してございます。その概要につきましては、後ほど御説明申し上げたいと思います。

2ページ目「対応状況2」ということで、食肉及び食鳥肉に関してございますが、これにつきましても中間取りまとめにおいて、一般食品と同様にHACCP導入型の基準を設定することについて関係者の意見を聞きながら検討すべきであるとされまして、これも前回御報告させていただいたように関係の省令を平成26年4月28日に改正いたしまして、27年の4月1日に施行することとしてございます。

【その後の進捗状況】といたしまして、1024日にやはり都道府県のと畜検査員及び食鳥検査員を対象といたしましたHACCPに関する研修会を実施したということでございまして、そのほかに業界団体主催の会議でありますとか研修会に出向きまして、HACCPの必要性について御説明を申し上げているというところでございます。

次の3ページ目「対応状況3」ということで、そのほか中間取りまとめにおきましては、事業者に対する支援として、国において具体的な例示を作成して導入を強力に促進すべきということも指摘いただいております。これを踏まえまして、前回報告したところでございますけれども、業者さんにとってわかりやすい手引書、これはいわば入門編になるわけでありますけれども、その手引書を作成してございます。

また、HACCP導入のための動画を作成しているということで御報告申し上げましたけれども、前回以降の進捗状況といたしまして、その手引書あるいは動画につきましては厚生労働省のホームページに公表いたしておりまして、どなたでも閲覧・印刷することが可能な状況になっております。また、動画につきましてはDVDとして各自治体あるいは関係省庁に配布してございます。

先ほど申し上げましたけれども、そのほか自治体の食品衛生監視員であるとか事業者さんに対しまして各種研修会等を実施しているということで、ちなみに8月以降これまでに20回以上実施しているという状況でございます。

続きまして、資料1-2でございます。先ほど紹介いたしました「HACCPに関する条例改正の進捗状況」でございますが、これは1016日現在の調査結果ということでございます。

1番にありますように「対象自治体」といたしまして、都道府県、指定都市、それから中核市を合わせて110自治体となっております。

「主な調査内容」といたしましては、そこにございますが、条例改正の進捗状況ということで、議会に諮る段階かパブコメ中かといったようなことです。それから、条例改正を議会に諮る具体的な時期、施行の予定日、あわせてHACCP導入施設を把握する具体的な方法が設定されているかどうかといったところも聞いてございます。

結果の概要でございますが、まず1つ目。110自治体のうち、条例改正に向けて対応していただいているのは102自治体あるということで、92.7%でございまして、改正に向けて準備が進められていることがわかります。

2番目に、議会に諮る時期でございますけれども、2月が最も多いということで、次いで3月となっておりますが、今年度中に議会に諮るというふうに回答があったのは全体の うち91自治体で、89.2%ということで、既に11月の議会に諮って審議に入っている自治体もあるということでございまして、条例化に向けた作業が着実に進んでいるものと受けとめてございます。

次に、施行の予定日でございますけれども、来年4月1日が最も多いということでございまして、全体の80%、82自治体が4月1日施行を目指して作業を進めていらっしゃるということでございます。

4月施行に間に合わないということで回答いただいている自治体については、準備が整わないといった理由であるとか、あるいは周知期間を設ける必要があるのではないかと考えているということでございましたが、これにつきましては条例改正のスピードアップをお願いするであるとか、あるいは今回は規制強化でないということで、周知期間は特に設ける必要はないのではないかというようなことで話をさせていただいておりまして、4月施行に間に合わせていただくように改めてお願いをしております。

また、導入施設の把握方法を定める予定については、13自治体において予定があるということでございましたけれども、検討中と答えた自治体、12自治体もあったということでございます。

以上、簡単ではございますが、これまでの対応状況について御報告申し上げます。

○山本座長 ありがとうございました。

ちょっと私から1点だけ確認したいのですけれども、資料1-1の対応状況3で、手引書が8種類と書いてありますが、ホームページには7種類ではなかったかなと思うのです。

○事務局  補足させていただきますと、8種類のうちの今、ホームページに掲載しておりますのが、食鳥肉処理以外の7種類ということでございまして、食鳥肉処理につきましては現在最終確認を行っているおりまして、近日中に掲載したいと考えております。

失礼いたしました。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に関しまして御意見、御質問等ございましたらお願いしたいと思います。

○内堀委員 質問、いいでしょうか。対応状況3のところの一番最後にいろいろ研修会等されているというのを書いてあるのですけれども、そのときの参加者の反応というのですか、どんな感じなのでしょうか。しようがなくて聞きに来ているような感じなのか、やる気になっているのか。その辺の感覚を知りたいのです。

○事務局  事業者さんに対しての説明会あるいは研修会ということでいいますと、主催者としては業界団体の方から講師の派遣要請があってお話をさせていただくというスタイルでありますけれども、そういう意味ではやる気のある業界さんであるということが一つ言えようかと思いますが、出席なさっている方も随分熱心にお聞きになって、質問という点でもより具体的な、私どものほうではこういう形でやっているのだけれどもなかなかこういう点がわからないとか、そういう面での細かい実際的な御質問もふえてきていますので、それを伺う限りにおいてはいろいろと取り組みはなさっているのではないかなと考えているところです。

○内堀委員 ありがとうございました。

○山本座長 ほかにございますか。

○池戸委員 その関連になるかもしれませんが、今までガイドラインも改正されたり、あと説明会等もされて、それで特に自治体さんに対する御説明ということで、多分これから いろいろな助言をされる立場からすると、現場に一番結びついている非常に重要な役割をされる立場の方ばかりだと思うのですが、普及するに当たって、特に自治体の立場でこうしてほしいとかこういう課題があるとかそういうのが、もしこれまで聞いておられるのなら、その反応を聞かせていただければ。逆に言うとこの後のどういう対策が必要かということにも関連すると思いますので、この後に御説明あるかもしれませんでしたけれども、 もしわかれば教えていただければと思います。

○山本座長 よろしいですか。

○事務局  はい。1つは、HACCP普及についての自治体の反応ということで申し上げれば、条例化の話は先ほど申し上げたとおりでありますけれども、4月施行に向けて条例化の作業を進めていただいているということと、人材育成については、準備の間に、これま でも研修会・講習会等をやっていらっしゃる自治体もあるわけでありますけれども、それを充実していくということをお考えになっているところもございます。

それから、お聞きするのは、人材育成の重要性というものは私どもも含めてみんなで共有しているということだと思いますが、国においてそういった人材育成のための取り組みをもっとやってほしいという声を率直な意見としてはお聞きしております。

それを受けまして、また後ほど議論いただければと思いますが、研修については継続的にやっていくということで、今年度中にも地域ごとに、各ブロックごとに都道府県の職員を集めた研修会を今般お示ししたような手引書をさらに使って、どんどん実施して人材育成をしていきたいと考えております。

○池戸委員 ありがとうございました。

○山本座長 やはり今後は人が育っていかないと、これも普及は難しいという考えが皆さん共通の認識ではあると思いますけれども、ほかに何かございますか。

もう一点確認させていただいてよろしいでしょうか。

資料1-2の条例改正の進捗状況で「改正予定なし」というのが1自治体あるのですけれども、これは今年度できないという状況なのですか。

○事務局  はい、少し補足をさせていただきます。

資料1-2の裏側をごらんいただきますと、別添ということで具体的な数字を掲載しております。そのうちの「1.関係条例改正の進捗状況」のところで、太字で囲っているのが102自治体ということで、条例改正の手続を進めていただいているということでございます。

では、残り8自治体はどうかということでございますけれども、ここにつきましては個別に御確認をさせていただいて、未定ということがございますが、周りの自治体の動きを少し様子見をしながら検討していきたいというようなことを考えていらっしゃるというのが多かったように思いますが、そういう意味での未定ということ。

それから「要綱での対応を検討中1」となっていますけれども、条例を改正しなくても、要綱でHACCP普及を図っていきたいということで、決してHACCP普及について消極的ではないのですが、その方法論として要綱で対応したいと考えていらっしゃるところがあるとか、あるいは法令担当部局とのやりとりの中でなかなかまだ交渉中といいますか、説明を行っているところということで予定が立たないということで、こういった自治体も未定のところに入るのかと思いますが、そういうことが理由になっているということでございます。

これら自治体に対しましては、個別に条例改正の必要性とか、あるいは法令部局に対する説明ぶりといいますか御質問事項などがございますので、それに対してお答えをお示しするとかいうことでやっておりまして、これらの自治体でさらに御検討いただくということになっております。

先ほど申し上げたとおり、この調査の時点が1016日現在でございますので、それ以降さらに検討をお願いしておりますので、状況としては変わってきているところもあるかと思います。今後もフォローアップをしていきたいと思っております。

○山本座長 ありがとうございました。

○高谷委員 この管理運営基準のガイドラインの話は、基本的にHACCPがあろうとなかろうと、基本的に47年につくった管理運営基準あるではないですか。食品衛生法改正前の条文では19条の18の第2項のところかな。そうすると、これはいきさつがあってこれをやれと言ったものだから、HACCPが入った入らないでということで、条例改正をしないとおかしくないですか。そうするとこの条例は改正しないけれども、前の条例でやるという意味なのですか。

○事務局  ここで言っている要綱での対応というのは、まさに管理運営基準ということではなくて、通知で改正をするというようなお考えのもとにおっしゃっているということでございまして、今、御指摘のあったような、では既存の管理運営基準を改正しないのかという点では我々が意図するところと少し変わってきますので、その点についてはこの条例の改正をしていただくようにお願いはしているということでございます。

○高谷委員 念のためですけれども、管理運営基準の話は基本的にはいろいろな過去の事例、事件があったから、都道府県知事がこういうものを定めてちゃんと管理しましょうねという話で、ソフトの面で強く出したわけですね。それまではなかったものを。だから、それをないがしろにされてもらっては困るだろうと思うのです。

そもそも、もともとの管理運営基準さえきちんとやっていれば、一般的衛生管理はできるはずなのです。だから、私がこだわっているのは、HACCP型のものを入れようが入れまいが、この管理運営基準というのは本当に大事な話なので、ここをしっかりやってもらえればしっかりとHACCPに向かって動き出せるはずなので、それでこだわっているのですけれども、そこをしっかりしてもらわないとだめ。状況どうですかではなくて、変えなければだめよとかもっと強く指導してもらわなければだめなのではないかと思うのです。

○事務局  管理運営基準との関係で申し上げれば、御指摘のとおり今回、従来の基準に加えてHACCPの基準を設けたということで、HACCPの趣旨からしても、上乗せの基準ではなくて同じ基準として扱っていただくということから、こういう形で、先ほど申し上げましたけれども、通知でいいではないかということのお考えについては趣旨が違うということです。本来の条例の既存の管理運営基準によらない方法であっても、HACCPをとることによって管理ができるということですから、その従来の基準を改正しないままでいるとそれは上乗せになってしまうということの御説明を申し上げて、強く条例化をお願いしているということでございます。

○滝本監視安全課長 恐らく高谷委員の御指摘は、日ごろの食品衛生監視員の日常の指導・監督において、この管理運営基準に基づいた指導・監督がしっかりと行われているのかどうかというような御指摘かと思います。

どちらかというと、営業許可は施設基準に基づいてやっておりますので、許可を与えているときにはその施設基準に合っているかどうか、あるいは更新のときにそれが欠けていないかどうかということにややもすると重きを置いた指導が行われているのかなというふうな、それはもし違っていれば田崎委員のほうから否定をしていただきたいのですけれども、ややもするとそういったところがあるのかなと思います。

我々としてはこの管理運営基準は非常に重要な基準だと思っておりますし、食品の取り扱いについて非常によるべきところの基準だと思っておりますので、今回そういう意味ではHACCP型のものの基準を入れたということは、今後の監視指導のあり方も根底から変わってくるのかなということも期待をしているところでございます。

○山本座長 ありがとうございました。田崎委員、何か補足がありましたら。

○田崎委員 特に補足はございません。施設基準については、施設を変更しない限り問題はありませんが、管理運営基準の監視については監視員が常時指導するわけではないので、事業者の自主的衛生管理が重要なポイントになってきますし、事業者の方が自主的に積み上げていくのが今後の目標でもあると思います

○山本座長 ほかに何かございますか。

従来型の管理運営基準というのは、当然一般的衛生管理ができるようにつくられているわけですけれども、余りにも網羅的過ぎて、オーダメードの管理になっていない部分があったように私は理解しているのですが、そうなるともう少しHACCP型を導入することによってHAの部分がしっかりとできれば、そこに合った必要な一般的衛生管理を構築しつつ、HACCP型に移行していけるのではないかということで今回導入されたというふうな理解をしていますが、それでよろしいですかね。

なかなか一遍にというよりは、ちょっと方向性も違ってきている可能性もありますね。ディメンションが違うような。でも、まずは一般的衛生管理は必要なので、皆さんもう一度しっかりとやり直してほしいというところがあると思います。

ほかにございませんか。

では、特にないようでしたら、その次の「更なる普及方策の方向性」について、事務局より御説明をお願いします。

○事務局  資料2及び3、続けて御説明申し上げたいと思います。

まず、資料2をごらんください。今回のHACCPの普及促進は、幅広く食品を取り扱う事業者さんを対象としておりますけれども、事業者の方のHACCPに対する認識というものは千差万別であるというようなこともございまして、一口に食品事業者と言っても、業種も異なれば扱っていらっ

しゃる商品の種類や製造量、それから従業員の数等々異なっているということでございますので、そもそもHACCPのニーズ、HACCPを導入する必要性も業種ごとに違うのであろうと考えられるわけであります。

したがいまして、今後HACCPを普及していくということにつきましては、そうした事業者さんのHACCPに対する必要性、HACCP導入の必要性の違いをよく認識しておくことが必要ではないかということでございまして、その観点からの整理をさせていただいた資料になります。

特に以下の3つの観点からHACCP導入の必要性が高いということで、重点的にそういったところに対して普及を図っていくことが重要ではないかということでございます。

3つ挙げてございますが、1つは衛生管理の一層の徹底を図るという観点でございます。食生活の多様化であるとか、グローバル化に伴うフードチェーンがどんどん長くなっていくというようなこともございますので、そういうことから食品自体、加工食品がふえるというようなことで、製造工程が複雑化しているということもございます。また、それを反映して食中毒が起こった場合に、広域化・大規模化することも多くなってきているということでございますので、そういった観点から特にHACCPの導入が必要な業種というものがあるのではないかということが1つ。

2つ目でございますけれども、輸入食品の安全性を確保する観点でございます。日本は、御案内のとおり輸入大国でもあるわけでございますので、相手国に対して的確なHACCPの実施を求めていくということが今後課題となっているということでもございますので、そういった観点での必要性が高い業種。

3つ目でございますが、輸出促進の観点でございます。そこに書いてございますように、諸外国への輸出のニーズが高い事業者さんといいますか業種があろうかと思いますので、そういった観点からの整理でございます。

さらに、その下にございますように、特定の業種というわけではございませんが、事業者さんが取引先等からHACCPに関する衛生管理の実施やその証明を求められるケースもふえてきているということでございますので、そうしたニーズに応じた支援というものにも取り組む必要があるのではないかということでございます。

また、具体的にどういった業種においてHACCPの普及を特に進めていくかにつきましては、そこにございますように、関係業界のニーズも踏まえながら検討を進めてはどうかということを書かせていただいております。

2ページ目でございますが、以上の認識を踏まえまして、現状の分析を2ページで行っておりますが、1ページ目の「現状分析」ということころでございます。これまでの御議論でも確認をいただいておりますけれども、中小規模の事業者のHACCPの導入率は3割程度であるということでございます。

下の棒グラフでございますけれども、少し詳しく業界ごとに見てみますと、導入率は業種ごとに違いがあるということがわかります。また、各棒ブラフの太線で囲った部分、これは今、グラフの横に凡例がございますが、今はまだHACCPを導入してはいないものの、導入について実質的に検討に入っているといった事業者さん、あるいは実質的な検討に入ってはいないけれども、今後検討する予定というような事業者さん。言ってみれば予備軍といいますか、HACCPに関心をお持ちの事業者さんということが言えようかと思いますけれども、そういった割合も業種によって異なることがおわかりになるかと思います。

3ページでございますけれども、「現状分析」の続きになりますが、こうした予備軍の事業者さんが全てHACCPを導入されたというふうに仮定すれば導入率はどうなるかということを示させていただいておりますが、各業種ごとの棒グラフで左側が現状、右側がそういった予備軍のグループを足したときの導入率ということでごらんいただきますと、下に書いていますように、こういった事業者さんが全てHACCPを導入した場合の導入率は、乳製品製造業者では9割を超え、それ以外の業種においても、5割程度になるという業種もあるということがおわかりになるかと思います。

そういうことを踏まえまして、次の4ページになりますけれども「更なる普及方策の方向性」といたしまして「基本的な考え方」でございますが、1つ目は、こうしたHACCPに関心のあるといいますか前向きな事業者さんに対する普及といいますか助言等の支援をしていく必要があるのではないかということでございます。そういったことをすることによって、次に続く事業者さんをつくっていくということにもつながっていくということで、普及を促進することになっていくのではないかということでございます。

2つ目は、消費者や流通・販売業界も含めまして、HACCPに対する本質的な理解・関心を醸成していく必要があるのではないかということでございます。

導入率の低い業種におかれましても、消費者や流通・販売業界も含めて社会全体でHACCPに対する理解や関心が深まれば、特に消費者のためにというようなことでそれにお応えするような取り組みも出てくるでしょうし、それが競争力向上のためにもつながっていくということになれば、HACCP導入の検討が積極的なものになっていくのではないかと期待されるところでございます。

3番目に、HACCP適用に当たっての柔軟性の話でございますけれども、HACCPは高度で難しいというイメージが根強いということで、こうした心理的なハードルを解消するための普及啓発を行うということは重要であるというのは、これまでの御議論でもいただいたところでございます。また、実際に導入する際に、事業者が現場でそのまま活用できるようなツール、こういったものを開発するのに支援していくべきではないかといったことでございます。

柔軟性といいましても、中小の事業者さんでも7原則を確実に実施するための柔軟な方法ということで、検討をさらに進めていってはどうかということで書かせていただいております。

次のページにまいりまして、4つ目でございますけれども、メリットを向上させる仕組みづくりということも、考え方の1つとして御議論いただければということでございます。

食品製造事業者さんからは、HACCPに取り組むことのメリットが感じられるような仕組みづくりが求められているといった声があるということがございます。それから、流通・販売業界等におかれましては、製造業者等がHACCPに取り組んでいるかどうかということがわかるようにしてほしいとのニーズもございます。

一方、これまで御議論いただきましたけれども、認証制度については、これまで取り組んでまいりました総合衛生管理製造過程の承認制度がそうでございますが、認証を取得することが目的化してしまったといったことや、HACCPは認証を求める一部の事業者さんのみが実施するものと認識されてしまったといった面があるということもございまして、今回の制度自体はこういった認証制度という形をとっているわけではございません。

そういう中での支援ということで考えますと、事業者がコーデックス基準に適合したHACCPを実施しているかどうか、これを自主点検によって点検をしていただきまして、そういった事業者さんの取り組み状況を行政としてもアピールする仕組みといいますか、業者さんがアピールするのを行政としても支援する仕組み、こういったものを検討してはどうかということでございます。

それから、5つ目でございますけれども「食品産業全体での推進の必要性とHACCPの適切な運用確保の重要性」についてでございます。

HACCPの導入メリット、効果というものは、フードチェーン全体でHACCPによる衛生管理が実施されることによって最大限発揮されるということだと思われますので、そういう点で食品製造事業者の方がHACCPを導入しますと、これはよく経験された方からのお話としてもお聞きするわけですけれども、原料を仕入れてくるといった場合に、そういった原料の管理という面でも、言ってみれば川上である1次生産段階であるとか、あるいは今度は製品を流通させていくということで、供給先にも製品の管理の輪を拡大していくということにつながっていく、つなげていきたいというお声をお聞きするわけですけれども、そういうフードチェーン全体でHACCPの取り組みを進めていく必要があるのではないかということだと思います。そういう点では、関係業界におかれましてもHACCPの適切な運用が確保されるよう、必要な研修等の支援を行うことが求められるのではないかと考えているところです。

こういうHACCPの適切な運用管理の確保という点では、行政の役割も大きいのではないかということで、先ほどあったような人材の育成というものもこの中に入ってくるのではないかと思っております。

続きまして、資料3-1でございますが、先ほど食品事業者さんが自主点検をしてアピールする仕組みということでお話をさせていただきましたが、その具体的な取り組みの提案でございます。「HACCPチャレンジ事業者」ということで仮称でございますけれども、これを提案したものでございます。

その趣旨でございますけれども、先ほど申し上げたとおり認証ということについてはそれが目的化するとか、あるいは一部の事業者さんのものだというふうな認識が広まった面もあるということで、今回の制度自体は認証の形をとっていないということでございます。

一方で、先ほどございましたように、事業者さんのニーズといたしまして、取引先から衛生管理の実施状況について証明を求められる場合がある、あるいはHACCPの手順に沿って、段階ごとに何をすべきかをわかりやすく示してほしいという声もございます。

こういうニーズを踏まえまして、事業者さんとして中小規模の事業者さんも含めて食品産業全体でHACCPの普及を図っていくために、HACCPに取り組む事業者さんが点検を実施して、それを公表するというような仕組み、これには行政もその検証を行うという中でかかわってくるわけですけれども、そういった仕組みを検討してはどうかということでございます。

これによって、事業者さんの主体的な取り組みの動機づけということになるだけではなくて、都道府県等による効果的な助言・指導、あるいは監視ということの実施につながることが期待されるということを考えております。

その支援方策の骨子でありますけれども、HACCPに取り組む事業者のアピールを支援するというようなことで、先ほど言ったような公表をしていくことで支援をしていければどうか、また、ツールということで、事業者さんが取引先等から求められた場合の証明する材料、こういった説明ツールを整備することが必要ではないか、そういったツールについては英語版をつくってはどうかということでございまして、これについては具体的に次のページでイメージ案を示しておりますので、そちらをごらんいただければと思います。

順に追って御説明申し上げますと、まず1でございますけれども、厚労省において事業者が記入するHACCP導入に関する「HACCP自主点検票」、コーデックスの7原則12手順の実施状況をチェックするものでございますが、これを作成するということで、2枚めくっていただきますと、資料3-2から3-4。これがそれぞれと畜場、食鳥肉処理場、一般食品に関しての点検票の【案】ということでお示しをさせていただいています。これをごらんいただきますと、一番左側に手順が書いてありますけれども、まさにHACCP12手順に沿ってチェックができるようになっているということでございます。

先ほどの資料3-1の説明のほうに戻らせていただきますと、これを厚労省が作成してお示しをするということで、厚労省及び都道府県等のホームページにこういったHACCP自主点検票を掲載するほか、各種説明会等の際にはこういった事業者に対してこういったものを配布・周知をしていくということです。

3番目として、事業者さんはこのHACCP自主点検票を記入して都道府県等に提出するということで、これはあくまでも任意の取り組み制度としてこういう形ではいかがかということでございますけれども、都道府県等は提出があったその点検票については、事業者さんの名前や取り組み状況等を取りまとめてHACCPチャレンジ事業者として公表するとともに、厚労省にも報告する。

公表の際には、下のほうにイメージとして書いてございますけれども、自治体のHACCP、これは自治体独自の取り組みとしてHACCPに関連する認証制度等を設けているところもございますので、そういった自治体のHACCPの認証の状況やあるいは輸出HACCPEUとかアメリカに輸出する際に、輸出のための認定制度というのが別にございますので、そういったものをお取りになっている事業者さんであれば、そういったものもあわせて掲載する。あるいは民間でいろいろな認証制度がございますけれども、そういった取得状況もわかるようにしてはどうかということでございます。

公表に当たりましては、公表事業者に違反がないということまで行政が担保しているというわけでは決してなく、あくまでも自己点検として取り組んでいらっしゃるということが届出といいますか申告があったということでございまして、そういった取組をしていらっしゃる事業者さんを支援するということでございます。

5番目に、厚労省においても全国分を取りまとめて公表するというようなことで考えておりますし、また、関係の業界に対しても情報提供してはどうかということになってございます。

次の最後でありますけれども、具体的なイメージの2ということでございますが、説明ツールの整備ということでございますが、先ほども申し上げたとおり、事業者さんが取引先等から衛生管理の状況について求められるケースがあるということでございますので、1つは、先ほどの自主点検票をもって取引先に提出することで受け入れられるという場合もあるでしょうし、それだけではなくて、やはり第三者の確認を得る必要があるということになればということでございますが、厚生労働省において「HACCP監視指導票」ということで、これは先ほどお示しした点検票、ベースは同じものになるわけでありますけれども、行政側が使う場合には監視指導票ということになるのかもしれませんが、そういう監視する際の点検票ということで、恐らく内容的にはほとんど同じものだと思いますが、そういった形で監視指導票を作成してはどうか。そうすることによって、説明を求められた場合にはこういった監視票を提供することができるようになるということでございます。

事業者からの求めがあれば、都道府県等は当該事業者に係るHACCP取り組み状況を記載した文書として監視指導票を提供するということで、こうなってきますと実際に申告があって立入検査をして、監視員のほうがこの点検票に基づいてチェックをした結果をその証明として事業者さんにお渡しすることになるものです。これまでも求めに応じて保健所のほうにこういった証明を要請されるケースというのがあり、今後HACCPの基準が本格スタートしてくれば、こういうニーズというものも高まってくるのではないかということが考えられますので、それに対応するための方策として、こういった監視票というもので対応してはどうかということでございます。

最後ですが、輸出に取り組む事業者さんのための英語版のツールということで、こういった点検票あるいは監視指導票の英語版をつくることによって海外に向けての情報提供することができるものになっていくということで、輸出促進策にもつながっていくということを考えております。

実施時期につきましては、平成27年4月以降、体制が整って順次開始していってはどうかと、そういったことを目指してはどうかということで書かせていただいているところでございます。

以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

さらなる普及方策ということで、1つは取り組んでいる事業者、そういう方々の公表をしていくというような方向性、そういうチャレンジ事業者という言い方で御提案があったかと思いますけれども、そういう方向性はどうかということ。また、自分で取り組んでいる内容を自主的に点検できるようなツールとしての点検票。これを提案していくというような方向性をお示しいただいているところでございます。

このことに関しての御意見、御質問等がございましたらいただきたいのと、また、そのほかにもさらなる御提案といったところがございましたら御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

では、高谷委員。

○高谷委員 HACCPの取り組みは、自主的な取り組みでいくのですね。強制ではないのですね。自主点検票のところで「審査内容」とは何ですか。だから発想が変わっていないのだろうと思うのですよ。

要するに、私が言いたいのは、HACCPを自主的に取り組んでやる。それを監視委員は指導・助言してあげるのでしょう。ここはだめだ、ここはだめだと。こちらはこういうふうにしたほうがいいよというふうにやっていかなければだめだろうと思うのです。そうすると、今までの監視員はおいこらの世界だから、基本的に警察行政をやっているのと同じですね。それを、ここで発想を変えろという話なのです。かなりきついのだろうと思うのですよ、監視員さん。普段の監視指導をやっている人たちにHACCPでどういうふうにやらせようかという。だからこんな「審査内容」などと、「審査」などと出てくるのではないかなと思うのですけれども、結構きつい話なので、こういうところからきちんと考えておいてあげないと、監視員さんがどうやって業者を指導しようかと、助言をしようかということにならないので。やることはいいことだと思うのだけれども、本当にいけるかなと心配するのです。そこは大丈夫ですか。

○事務局  ありがとうございます。

確かに自主点検票ということで、まさにHACCPそのものが自主管理の一つのツールでございますから、いかに事業者さんが自主的な取り組みをやっていっていただくかということを支援していくかというのが、指導・助言する行政の求められるあり方だと思います。

そういう点で、この点検票で「審査内容」というふうなタイトルは確かにおかしくて、点検内容とするとか、修正したいと思います。先ほど言ったように、この内容がタイトルを変えれば監視票にもなり得るということもあって「審査内容」となってしまったところもありますが、そういったところから少し整理をしなければいけないというのは御指摘のとおりだと思いますので、御指摘に従って適切に修正していきたいと思っています。

今、行政のかかわり合いということで申し上げましたけれども、これまでの議論でいただいたように、HACCPというのは立ち上げて、その後プランを維持管理していくということが極めて重要であるというふうに御指摘いただいていますし、そのように考えておりますので、そういう点では「おいこら」という話もございましたけれども、行政の立ち位置としては、そういう維持管理をするに当たって、適切に事業者さんに維持管理していただくことも立入検査等においてチェックをして指導していっていただくという点では、立ち上げのときとは違って、多少しっかりと指導していくという面はあるのだろうと思っております。

そういった面での監視指導のあり方という点でも、都道府県等のほうからは、国のほうでそのあり方について示してほしいという声も聞いておりますので、手引書とは違いますけれども、そういった監視指導のマニュアルということについても今後検討していきたいと思っております。

○高谷委員 平成7年に総合衛生管理製造過程を導入したのです。そのときの自戒を含めて、これをやったがためにHACCPの普及がおくれたとここで反省はしています。だからそれは私も自戒をしておるのですけれども、確かに総合衛生管理製造過程をなぜやったかというのは、それなりの事情があってやったはずなので、それはそれの意味があったなと思うのですが、それをやるときに、やはりこれも手挙げ方式で、自主的にこういうことをやりたいからと手を挙げた人に、どういうことをやっているのと調べていて、じゃあいいよとやったけれども、実際には、それぞれ役所が入ってチェックしたときには指摘ばかりなのです。取り締まりをやっていたわけです。だから進んでいないというのは間違いないはずなのですね。

だから、どうやって監視員さんが従来やっている監視指導のときの考え方を変えて、今度は指導・助言をするという立場にするというのが大事な話だろうと思うのです。そこはここでどうやって読み取るかというところをきちんとしなければいけないと思うのです。

「更なる普及の方向性」のところで、こういう1、2、3の順番も大事だと思うのですけれども、HACCPはなぜ取り入れるかという話は基本的に考えると既におわかりだと思うのですが、病原微生物に汚染されていないものをいかに消費者に提供していこうというのは裏としてあるわけです。そうするのは、食中毒をいかに防止しようかという話とつながってくるのだろうと思うのですけれども、施設別に見ると、今、食中毒を一番大きく出しているのは飲食店営業ですね。次は家庭となるけれども、実質は家庭ではなくて、飲食店営業は施設別で飲食店営業と旅館とか仕出しとか分けていますが、営業許可の区分からいうと、旅館であろうと仕出し屋であろうとみんな飲食店営業ではないですか。それを足して食中毒の発生件数を見たら圧倒的に多いではないですか。そこは中小、小規模が一番多いわけです。そこをコントロールしないと。外に目を向けるのはいいのだけれども、国内の食中毒の発生を防止するという意味では、中小の小のそこのところをしっかりしないといけないと思う。

そうすると弾力的運用というのはどこかで出てこなければいけないだろうと思うのですけれども、多分このとおりにやっていたら、これは大きな施設ばかりだから。この監視票や何かを見たら、自主点検票とか見たら、こんなのがちがちやったら。だから、そこはどうやっていくかというのはやはり大事なところなのではないかなと思うのです。

○事務局  御指摘何点かございましたけれども、資料2の今後のさらなる普及方策の方向性ということで、幾つかの観点を整理させていただいておりますが、まさに御指摘のあった部分というのは食中毒対策という点でございまして、そういう点では1番目に挙げている衛生管理を徹底していく観点だという中で取り扱うべきものだと思っておりまして、フードチェーンというふうにここの中では書いていますが、大規模化するということで、それは一つの事象として考えなければいけない点ではございます。

それから、御指摘のあったように食中毒の発生施設別で見てみますと、飲食店が圧倒的に多いというのはございます。その点については我々も認識をしておりまして、今回手引書をお示しさせていただいていますけれども、飲食店の中でも特に大量調理施設、そこに対しての手引書を設けております。

それをスタートとしていろいろな飲食店についてどのようにHACCPを普及していくかということについては、御指摘のような柔軟な考え方が必要になってくるのだろうと思いますけれども、その点についてはむしろこれまでのいろいろな取り組み、飲食店に対しての一般衛生管理の徹底という点での取り組みなども業界団体等されているわけですから、そういった取り組みを踏まえた形で、我々としてもこのHACCPの適用については考えていきたいと思っております。

それから、指導員といいますか食品衛生監視員が、いかに監視だけではなくてそういったところに対しての指導・助言をしていくかという、まさに食品衛生監視員としての力量が試されるということだと思いますので、そういう点ではしっかりと人材育成というのは、繰り返しになりますけれども、我々としてもやっていくつもりにしております。

○山本座長 はい、田崎委員、どうぞ。

○田崎委員 高谷委員の御質問に絡みます。自主点検票なのですが、審査内容が段階的・具体的ということで非常に重要なことだと思っています。審査内容が段階的・具体的であれば、例えば今回のような形でガイドラインをそのままこの自主点検票は落とし込んでいるものですが、これでいくと恐らく審査内容の物差しとなる基準とか、あるいは内容等が示されないと、HACCPに関する知識の乏しい事業者の方はやはり内容を読み解くことができずに、適否の判断が難しいのではないかと思われます。大手の事業者の方であれば理解が深まっている方もいらっしゃるので、わかるかもしれませんが、業界全体のボトムアップであれば、例えば一部の製品とか一部の製造ラインに導入できている時点でチェックできる欄を新たに設けるとかですね。少なくとも微生物的な危害要因について、危害要因分析できた時点でチェックできるとかそういった欄を設けていって、より具体的にわかりやすくしてあげる工夫が必要なのかなと思いました。もちろん微生物的ではなくて、コーデックスが示す科学的なものも含めて設ける必要があるのかなと思います。

一方、我々が指導する。今後、行政からお願いするというケースも多々出てくることもあるでしょうし、一緒に考えていくということが必要です。事業者の方は取引先から衛生条件をよく休されることもあるようですが、取引をアピールするツールとして、監視採点票とかを使って活用している現状がございす。そういった意味ではHACCPの指導票は現在の監視採点票とは別に、行政と事業者が一緒に考えるツールとしての監視指導票をつくっていただきたいと思います。点検票の内容とは、そういったところで整合性を保っていくという必要もあるかなと思っています。これはお願いしたいところでございます。

○山本座長 ありがとうございました。

重要な御指摘があったかと思います。まずは食品衛生監視員、これからどう教育していくかということと、これまでもやってきた経緯はあるのですけれども、うまく浸透していっていない部分があるのだろうということで、さらなる教育ですかね。そういうものの必要性を指摘していただいていると思います。

それから、HACCPは今後選択制導入ということで進んでいくわけですので、それまでの間は食品衛生監視という立場よりは、どちらかというと促進・推進させる助言者のグループとしてのかかわり方が第1段階としては必要なのだろうと考えておりますが、それにしてもなかなかツールが少なくて、指導員の方自体も非常に困っているところかと思いますので、今後手引書以外にも、やはり水産食品に関してのものがありますけれども、FDAが出しているようなハザードコントロールガイドみたいなもので、食品群ごとにハザードを考えていきやすいような、そういうものを有識者の間で進めてつくっていくような形にしていく必要もあるのかなと考えています。

将来それが進んでいって導入されると、今度は食品衛生監視員は義務化された時点では助言ができなくなるのですね。査察者になってしまいますので、その辺の切りかえのところにおいていかにちゃんとした査察者になれるか。要するに間違いだけを指摘する査察者ではなく、どういう考え方でHACCPが運用されているかを的確に判断できる食品衛生監視員に育っていかなければいけないだろうと思います。

もう一点のほうは、飲食店ですね。なかなかそこへの柔軟な対応というのは難しいという御指摘ですけれども、これをどうしてもやっていかないと食中毒予防にもならないだろうということなのですが、以前調査した段階でニュージーランドなどの導入状況を見ますと、やはり飲食店まで広くカバーするというようなことを考えてはおられますので、その辺のハザード分析のやり方についてはもう少しやりやすいような形のやり方を提供してあげるとか、記録のあり方、それから一般的衛生管理をどこまで推進すればいいのかというようなことを例示的に示していくというのは、一つ大事なことかなと思っております。

そのような具体策をもう少し皆さんからいただきながら将来の検討ということをしていきたいと思うのですが、御意見ありましたらいかがでしょう。

はい、池戸先生。

○池戸委員 先ほどから御意見出ていますように、今回助言という言葉は非常に重要な意味を持っていると思っています。助言と指導の違いというのはやはり明確にしたほうがいいのかなという感じがしております。その点では、監視員の方もなかなか御苦労も多いのではないか。ある意味ではコンサル的な立場にもならざるを得ない。そうすると最終的に人材をどうやって育てるか、指導するというか助言する方のですね。という話で、やはり実効を得るにはちょっと時間がかかる部分もあると思うのです。

ただし、相手の事業者というのもいろいろな業態もありますし、規模も違いますので、その辺の反応を見ながら相手に合わせた形での助言という話になってくると、そこがきめ細かな対応という形でまた重要かと思います。

それで、こういう対応、対策というのでしょうか、普及の促進という観点からいくと、やはりある程度効果があったかどうかという評価判定ですね。政策目標という言い方でもいいのでしょうけれども、そういう客観的評価というものを常に把握した上で、効果がない部分はこれからどうするかみたいな、一過性の対策ではなくて、そういうものを踏まえて、その反応に合わせた対策というような、事業者と助言者双方向で常に実態把握をしながら検討していくということが必要かと思います。

その点では、先ほど資料2において、それぞれの普及の状況が数値で、グラフで書かれていたと思いますけれども、これは今からスタートで、数値のスタートの点での実態から、これからどんどんそういう取り組みが進む中で業者別あるいは規模別のところの状況もわかってくるのではないかと思います。その辺の指標づくりのところを、全国ベースで、横並びで正確にできるだけ捉えられるようなことを頭に置いた形での対策が有効かなと思います。特に前向きの事業者。ここは割合効果がすぐわかるのですけれども、やはりさきほど、フードチェーン全体というお話もありましたので、下請けとかそういったようなところも含めると、まだ関心がないとか、余り今のところ導入する予定はないみたいなところも意識を高めていただくことが大切です。そういう意味では決してこれは押しつけではなくて、メリットがあるということが理解していただければ、広がる効果もあるかと思います。

消費者からすると、フードチェーンの途中のほかのところが一生懸命やっていて、一部でも的確でないと安全なものが伝わらない、提供されないということにもなりますので、そういう点では特に販売のところなども含めて、フードチェーン全体で相乗効果が出るような施策をやっていただけるとありがたいなと思っております。

○山本座長 御指摘ありがとうございました。

 やはり効果判定しながら、PDCAというのですかね。それを回してうまく進めていかないといけないだろうということだと思います。

ほかに御意見ございますでしょうか。

○内堀委員 資料の2について、気がついた部分で言わせていただきたいと思うのですが、必要性が高い業種に絞ってというかそこを選定してやっていこうということだと思うので、それはそれでいいと思うのですけれども、ただ、先ほどの話にもあったとおり、業種を絞ってやる以上そこでの効果が本当にあったのかどうかみたいな話はちゃんと評価できるような指標はつくっておいてやったほうがいいかなと思いますというのが1つ。

そうやってやったときに、ターゲットにならなかった業種については置いてきぼりになってしまう可能性もあるので、その辺に対するフォローみたいなことも考えておいたらいいかなということです。やる気のあるところにサポートするというのは非常に必要だと思うのですけれども、それに乗り切れないところは残されてしまう、置いてきぼりになってしまう。それで格差ができてしまうのかなという感じもしますので、それが資料3-1でホームページで公表されることになってしまうとなると、格差が見えるような形になってしまうのは非常に危惧するところなので、その辺はフォローが必要かと考えました。

あと、資料2の5ページ目ですかね。HACCP導入に取り組むメリットということの記載があるのですけれども、いろいろな面でメリットを出していくというか、そういうメリットがあるのだということを強調していってもいいのかなと思うのですが、1つは、ここに書いていないことで言うと、食品事業者の中で働いている方々ですね。やる気になるというか、例えば点検票で自己評価するわけではないですか。自分たちの足りないところが見えてくるし、ここまでできているのだということも逆に見えてくると思うのですね。そういう使い方ができるようにしたほうがいいのかなという感じもします。

だから食品事業者で働いている方々にとってもメリットが出てくるのではないかなということも認識していただいたほうがいいのかなというか、それをちゃんと言ってあげたほうがいいのかなという感じはしました。それがひいては食品をつくっている方々が、そういうふうに自分たちの仕事の到達点をちゃんと評価した上でやっていただいていることが消費者に伝わってくれば、安心感にはやはりつながっていくのだろうなとは思いますのでね。そんなことを思いましたのが1つなので、そのような記載をしたほうがいいのではないかなということですし、あと、やはり働いている方々の視点に立ってのこういった点検帳票などもつくったほうがいいのかなという感じを持ちますね。

3-1の資料で、これはさっき言ったとおりなのですけれども、やはり公開されることによってのデメリットみたいなものが出てくるかと思いますので、その辺のフォローは必要かと思いましたということです。

3-2の点検票ですね。先ほど言ったとおりなのですけれども、従業員の方も使えるし、企業の経営者の方も、経営者というか品質保証の責任者の方がこういうことで評価するにも使えるし、あるいは行政の方がその工場の評価をする際にも使える、どの辺が弱いのかを見るためにも使える、いろいろな使い方ができるようなものにしておいたほうがいいのかなという感じを持ちます。

この言葉だけ見てもよくわからないというのでしょうかね。やはり難しい部分が多いので、手引書などに書いてあるような言葉、わかりやすい言葉を使ってあげたほうがいいのかなという感じがしました。これだけ見て従業員の方も、例えば入って3年目、4年目の従業員の方もこれを見て評価できるというぐらいなものにしてあげたほうがやりやすいのかなというか、行政の方々もそれでも使えるのかなという感じを持ちますので、そのようなことを考えてはどうでしょうかということです。

あと、3-2とか3-3、3-4みたいなツールが、事業者と行政サイドのコミュニケーションのツールみたいなことになるのはいいのかなと思いますので、そんなような位置づけでも考えていただいてもいいのかなという感じを持ちました。

以上です。

○山本座長 ありがとうございました。貴重な御意見だと思います。

はい、事務局、どうぞ。

○事務局  何点か御指摘いただいておりますけれども、事務局のほうから関連する事項について御説明させていただければと思います。

政策評価としてのフォローアップということで、まず導入状況を今後もきちんと把握していく必要があるのではないかということでございましたけれども、施設においてのHACCPの導入状況の把握につきましては、先ほどのアンケート調査で自治体のほうでも何らかの形で把握をされるという動きもございますが、私どもとしても、政策評価という面からも継続的に今後把握をしていくということでその必要性を感じておりまして、自治体の協力を得ながら事業者さんに対してアンケートを行っていくということを今、考えておりまして、4月以降本格的なスタートを前に今の段階、今年度中に、そのベースとなる状況については近日中に依頼をしまして、調査を開始したいと考えております。今後も逐次そういうことをやっていくことによって適切にその状況把握をして、問題があればその都度分析をして対処するというようなことでやってまいりたいと思っています。

それから、点検票についてもっとわかりやすくということもございましたので、今回提示させていただいたのは、まさに12手順に沿った形で基準をそのまま書いたような、単なるたたき台というようにお考えいただければいいかと思いますけれども、それをもとにいろいろな事業者さん、行政、いろいろな関係者の御意見を賜ってつくり上げていきたいと思っております。

といっても、なかなか全部意見を反映してしまうと今度膨大なものになって、シンプルなものがかつ求められているのだとすれば、少しその辺も踏まえて整理をしなければいけないと思っていまして、1つは、これだけではなくて、手引書でかなりわかりやすく解説したものもございますので、そういったものとこれをうまく利用していただくということも考えていただくことも必要なのではないかなと思っています。

それから、公表に当たってのデメリットということで、それが生じないような形で工夫すべきだということでございますので、その辺についてはやはりよく留意しながら、関係者の意見も頂戴しながらこの事業について検討してまいりたいと思っています。

まさにこの点検票が行政とのかかわりの一つの接点になるということで、おっしゃるとおりそういったことも我々としては期待して、これを持っていけば相談に乗ってもらえるとかそういう関係づくりにも貢献するのではないかなということで考えているところでございます。そういう意味合いからも、この点検票についてはしかるべく修正等を行ってまいりたいと思います。

それから、点検票については働いている現場の方の御意見なども踏まえてということでございましたので、関係者の方も御意見なども頂戴したいと思っています。

○山本座長 御意見をいろいろいただいていますので、それらについて少し整理して、より使いやすいものにということだと思いますが、ほかにこれに関して。

はい、どうぞ、川向さん。

○川向参考人 今、自主点検票の話が出ましたが、先ほどおっしゃっていたように各業界団体等に、各団体が作成しているマニュアル等も整合性含めて御確認頂くようにして欲しいということと、農水省のFCPで「協働の着眼点」「ベーシック16」のような、一般衛生管理や企業姿勢等、総合的なコミュニケーションに関するものがまとめられているので、そのようなものとの整合性もあったほうがいいのではないかと思います。

そのほかに、HACCPの普及策についてですが、中小零細事業者への十分なフォローが必要ということで、食品衛生監視員に指導をいただくという構想は賛成ですが、その構想を進める場合には、人数の妥当性、HACCPに関する指導力、理解度、食品衛生監視員の教育計画等について適正かどうか検証が必要になってくると考えます。

それとは別に、事業者の視点で事業者側に寄り添って現場に入り込んで親身に指導するコーチやファシリテーターの確保、プール化、派遣の仕組み等も必要ではないかと考えます。食品産業センターとして以前から発言していますけれども、中小企業基盤整備機構のような仕組みが必要になってくるのではないかなと考えます。

資料2のところで質問ですが資料2の1ページ目で、今後8業種について手引書が出されるということですけれども、中小零細事業者を想定して8業種以外の業種をどのように進めていくかもポイントであるかと思いますので、もし厚生労働省で進め方の考えがあればお教えいただけたらと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、事務局いかがですか。中小企業向けにもう少し普及策について。

○事務局  今後の方策としてですけれども、中小含めてわかりやすいテキストを、先ほど整理をさせていただいたような観点から、あれはあくまでも対象を絞り込んでいるということでは決してなくて、今回の制度自体は食品を広く取り扱う業者さんを広く対象にしているわけですが、優先順位といいますか、重点的にまずこういった観点から力を注ぐべきところということで申し上げているわけでありますけれども、そういう観点から、中小を含めてどういった業界なりにこういったわかりやすいものが必要とされているかというようなことをヒアリングしながら、優先順位というものは今後設定してまいりたいと思っております。

○山本座長 はい、田崎委員。

○田崎委員 今の関連もあるのですが、資料2で一番最初に広域・大規模化するおそれのある業種とか、あるいは相手国とか輸出、主に国家戦略もあるので当然の話だと思いますけれども、そういった視点から見ていくと、やはり課題はリテールになってくると考えます。今回8業種手引書をつくっていただいたのは全部製造業なので、資料でいくと資料2の2ページ目になります。HACCPの導入状況のところを見ていただきますと、パンとか菓子の製造業。大手もありますけれども、都内などですと中小が多く、飲食店も含めると、7原則、柔軟性を考慮したという具体的な内容が示されないとなかなか次に進まないと考えます。当初は製造業中心ということですけれども、全体をボトムアップするのだという考え方があるなかで、置いてきぼりにならないように慎重に考えていかなくてはいけないと思うのです。

現状としては、今までの方向性からいくと、製造業中心に少しずつ普及させていくという、考え方でいいのか。それとも、段階的に全体的に網羅しつつボトムアップしていくという方向で進めていくのか。そこら辺のお考え方をお伺いしたいところです。

○山本座長 はい、高谷委員。

○高谷委員 その前に、私、役所の応援をするつもりはさらさらないのですが、1026日からヨーロッパにWHOEU本部とコーデックス等々訪ねて行って、EUでは特にフレキシビリティー、柔軟性対応の件について聞いてきたのです。

時間が少なかったのですが、これもそもそも発端は、2003年にコーデックスが、小規模またはHACCPの導入に躊躇している、迷っている方々を対象に、政府宛てにこういう考えでやったらどうという文書を出していますね。コーデックスが2003年に出した。それを受けて、EU2005年に自分たちの域内でどういうふうに対応しようかというので検討を始めたというのは、たしか前回か前々回か豊福さんが訳した資料で御説明されたと思うのです。

それの確認をEUではしたのですが、時間が短いということもあって簡単に申し上げますと、2006年から施行はしているのですが、変えてはいるのですが、実際にそのフレキシビリティーというのはどの項目を対象といったら、7原則は対象というのです。それで、実際にどの項目をどうするのと具体的な事例を聞いたら、まだ決めていないということ。だから難しいのですよ。やはり小規模とかそういうところに対して、どの部分でどういう柔軟性を持たせるかという話があるではないですか。少しずつは出てきているのですよ。これは衛生規範をちゃんとやっていればモニタリングはやったにみなすよとかいうのはあるのですが、そんな話は出てくるけれども、具体的に全部どうだと詰めていると、まだ決まっていないと、こういう話。だからそれだけ難しいという話だと思うのです。

対象はどの業種が対象といったら、農作物をつくっている者以外は全て対象。だからレストランから何から全部対象なのです。でありながら、そういうような状況ではあるということは間違いなので、少なくとも小規模で本当に小さなところのものの対象というのは、対象にはするのだけれども、何を柔軟的に対応するのかというのは今のところまだ向こうも決めかねているというのは、EU自体も決めかねているというのが現状だということです。

もう少しまとまった報告書ができればと思うのですが、まだ中途半端な報告書しかないのですが、そういうような状況なので、多分日本も一遍にどっといってしまうというのはかなりきついかなとは思っているので、そんなことも考えながらやっていかないと。ここで示したら多分、これをやれるのは多分大手がやれるのだろうと思うのだね。さっきの広域化・大規模に対するおそれが高い業種でやっていたら、多分どこかの給食センターみたいなところとか何とかなってしまうから、でかいところだと思う。そういうところはできると思うのですれども、その辺のラーメン屋さんにやれよといったら、ラーメン屋さんのCCPを知らなくても、CCPをちゃんとコントロールしているのだよ。加熱を随分しているから、あんなのはCCPをコントロールしているわけです。知らなくてもやっているのだね。だからそういうところもあるし、そういう意味では、結構何がというのはきついかなと思う。

今のところ聞いてきた限りでは外国でもそうだから、進んでいるほうがそうなので、日本はもっときついかなという気はしているのです。

応援ではないですけれども、こんな状況です。

○山本座長 ありがとうございました。

では、事務局、どうぞ。

○事務局  ありがとうございます。

幾つか御指摘をいただきました。中小も含めてきっちり支援をしていく、置いていかれるところがないようにという御指摘もございまして、事務局からも先ほど御説明しましたが、まさに今回さらなる普及方策ということで御議論いただきたいところでございます。資料の2で2枚目にございますが、大規模な事業者についてはHACCPの取り組みというのは進んでいるわけですが、国内の中小の規模の事業者においては普及率が3割程度ということで、ここをいかに伸ばしていくかということが非常に大事な話だと思っています。

その下にある「業種別のHACCP導入状況」で、次のページにも検討中あるいは今後検討する予定と言っているところを合わせたときの伸び率といいますか見込みというのは、これは中小も入れた、小規模も入れた数字でございますから、決して大規模の事業者についての数字ではなくて、中小も含めて今、検討に前向きなところをしっかり支援をして導入してもらえれば一定の形になってくる。そこの支援をいかにしていくかという話だと認識しています。

先ほど調査の話もございましたけれども、自治体と協力しながら今、その調査について検討しているわけですが、その調査の中においては、事業所において導入済みなのかというところもそうですけれども、検討中という中でどれぐらいの準備を今、それぞれされているか。導入の時期は1年以内なのか3年以内なのか、5年以内なのか。そういったことも、検討の温度感もわかるような形でそれぞれの取り組み状況というのを自治体のほうで把握をしていただくようなことを考えています。事業者の数としてはもちろん中小のほうが当然多くなるとは思うのですけれども、中小も含めてそういった状況を確認した上で、それを見て、いわばその調査票が個別の事業者のカルテといいますか、取り組み状況がわかるようなものになれば、それを見てどこで困っているのかなということも頭に置きながら助言・指導ということにも活用していただけるような形で進めていければということで今、考えているところでございます。

そういったことで、資料2の1枚目ですけれども、HACCPの取り組み自体は幅広く食品等事業者に対して普及をしていくということが大前提ではあるのですが、そういった業界のニーズが高いところは取り組みへの支援が進みやすいでしょうし、業界としても取り組みが前向きに進んでいくということが期待されますので、そういったところを伸ばしていくという趣旨でこういったことを書いています。ここは1~3まで検討の視点を書いてありますが、大規模のところを念頭に置いているというよりは、むしろ中小の伸び悩んでいるところをいかに伸ばしていくかというときに、どういった業種で例えば手引書みたいなものがあれば進んでいくのだとかそういったのは、まさにこの検討会で、先ほど田崎委員からも御指摘がありましたように、どういった業種であればいいというのは自治体の観点でありますとかそれぞれの業界の観点で御指摘をいただければ、それを踏まえて手引書の作成なども進めていければと考えています。資料2の1枚目はそういう切り口を書いておりますが、これにこだわる必要も必ずしもないわけですが、こういった観点から考えた場合に、例えばこういう業種というのがありましたら、この場でも御発言、御指摘いただければと考えています。

○山本座長 ありがとうございました。

普及方策、全体的か段階的か部分的かというのも、なかなか一気には結論が出るような話ではないのですけれども、それぞれの業界団体ごとに、やはり取り組んでいくのだというような機運をまずは醸成していただくのが非常に大事なのではないかなと思います。

その前段階としてはこういうものがあるのだということも知ってもらわなければいけないわけですね。HACCPが衛生管理としてあるのだということを御存じない方たちも大勢まだおられますので、そういうところにも広めていかなければいかないということで、全体を含めたキャンペーンみたいなものが必要なのと、それぞれの業界団体ごとへのきめ細かなアプローチというのですかね。そういうものが今後、自治体を含めて必要になってくるのだろうなというふうには今、印象を持っているところです。

ほかに何か、具体的にこういうことをやっておいたらいいのではないかというような御意見がございましたら、ぜひこの場で御発言いただければと思います。私が申し上げたのは、かなり抽象的なことしか申し上げていません。

○山本座長 はい、どうぞ。

○田崎委員 チャレンジの事業者ということで、メリット感を出していこうという話だと思うのですけれども、例えばほかの自治体もいろいろな認証制度とかを持っていて、ホームページ上で公表するなどしています。事業者側にとっては、例えば公表により取引が有利になるとか、そういった実質的メリットを求めている部分だと思います。

ただ、今回の従来型基準との公平性についてという点で、先ほどの話にも出ましたけれども、50条において事業者が最低限守るべき基準として管理運営基準があるわけですが、基本的には従来型と導入基準のどちらかで基準を担保していればいいといった仕組みだと思います。そういった点において片方の、HACCP導入型基準をとっている人だけ公表すると、公平性という目で課題はないのかという疑問がございます。

多分各自治体で今後法制化する際に、公表理由を求められます。根拠として情報提供をするのがサービス行為なのか、それとも何か法的な部分で根拠を設けるのか、あるいは通知レベルの指導なのかというところですね。少しそこら辺の整理というか、考え方も示していただけると助かります。

同じ管理運営基準を守っているのに片方だけ公表されるということが、公表されない事業者にとって不快感が出てくるかもしれないという点で、何かあればお聞かせ願いたいと思っています。

○山本座長 事務局、お願いします。

○事務局  ありがとうございます。

今般の管理運営基準のガイドラインの改正は、先ほど御説明いただいたように、HACCPによる衛生管理と従来型の衛生管理、アプローチは異なるわけですけれども、いずれも公衆衛生上必要な妥当なものであるという前提で規定をいただく条例改正を今、進めていただているところでございます。

いずれの衛生管理によっても、公衆衛生上必要な管理がされているというわけでございますけれども、中間取りまとめにおいても御指摘をいただいておりますように、従来型の衛生管理は食品の種類等によらずに網羅的に行うべき取り組みを規定している。一方でHACCPによる管理は、食品の種類でありますとか特性に応じて、危害要因の分析、重要管理点の設定等を行うことで管理を行うということでアプローチが違うものでございます。中間取りまとめにおいても、公衆衛生上妥当という意味では両方とも妥当でありますし、同等なものですが、アプローチが違うということで、HACCPによる衛生管理は、効率的に確実な衛生管理を行うことができるというものであるというふうに認識をしています。

そのほかにも食品側の、現在食品の流通がグローバル化しているという状況下におきまして、輸入や輸出といった際の管理を考える上で、これはHACCPに限らずですが、各種基準というのが国際基準と整合するということは非常に重要なことでありますし、それは輸出入にかかわる事業者にとっても重要なことなのだろうと思っています。

ということで、こうしたことを踏まえて、HACCPによる管理の導入の支援するために手引書の作成ですとかそういったことを行っているわけですけれども、それに加えて、そういう支援の一環としてHACCPによる衛生管理、事業者のチャレンジを支援するということでHACCPによる衛生管理を推奨する取り組みとしてこういったことを考えられないかというふうに今回お示しをしたものでございます。条例の中に規定を置いて規制の一環としてやっていただくということでは考えておりませんで、あくまでサービスといいますか支援といいますか、そういった一環でやっていただければいいかなということで考えております。

また、この仕組みは個々の事業者の求めに応じてということで考えておりますので、公表してほしいと思うところはそういうアクセスを自治体にしていただくということを念頭に置いています。その取り組みをしていただければ誰でも公表の対象にはなり得るという意味で、機会の均等という観点からも、必ずしも不公平ということではないのかなと考えております。

いずれにしても、具体的な仕組みは今回お示しして詰めていく必要はあると思いますので、引き続きお知恵をいただきながら、いい仕組みになるように進めていきたいと思っています。

○山本座長 よろしいですか。

従来型のものは、本来やっていて当たり前という言い方は変ですけれども、公表しなくても全員がやっているものだというふうに理解はしている話ですね。ですから、新たにHACCP型をやっていくところが自主的にやっているのを公表してほしいということに関して、サポートするようなシステムという形で位置づけていただければなということだと思いますので、まだ細かい点、詰めなくてはいけないところはあるかと思いますけれども、そのような方向性というのは一つ大事なことなのかなと思います。委員の皆様方がそれでよろしいということであれば、それも検討していって進めていただければと思うのですが、よろしいでしょうか。

○田崎委員 50条の中ではなくて、別の条項であると確実にこれらを差別化できる、それが成立するとは思ったのですが、同じ条項の中に対等な位置、フラットに存在するので、気になっていました。

○山本座長 解釈上いろいろ難しいところがあるかもしれませんが、種々の御意見をいただきまして、具体策についてもある程度示していただけたと思います。

ということで、今後ますますHACCPへ向けての取り組みというのを推進していければなと考えているところでございます。

そうしましたら、今後の検討会をどう進めていくかということで、事務局から御説明いただけますか。

○事務局 資料4をごらんください。「検討会の進め方について(案)」ということでお配りしております。

〈今後の進め方について〉、下でございますけれども、1月から3月にかけて、春ごろになるのですが、具体的な普及方策について御議論をいただくということで、本格的なスタートである4月以降になりますが、それに向けての準備段階として具体的な普及方策について継続しての議論をいただければなと考えているところでございます。

○山本座長 ありがとうございます。

これに関しまして御指摘、御意見ございますか。

○高谷委員 先に言ったほうがいいですか。

○山本座長 はい、どうぞ。

○高谷委員 今までずっと説明、何回かやっていただいて、これだけのことで普及しましょうよと言っていて、やはり監視員中心に考えていらっしゃるのです。それで、食品衛生監視員さんが全国で何人いて何人実働するのという話は、6,000人~8,000人いて何千人動くか。これに入り込んだらほかの仕事はできないじゃない、監視員さん。多分監視員さんだけでは無理な話です。とてもじゃないけれどもね。1,600人~1,700人、全国で尻をたたいて3,000人動かしたところで無理な話だと思うのです。

そうすると、人材育成というのが大事だと思うのですね。いかに人材育成するか。監視員さんのOBとかね。やはり食品衛生を知らない人に何かやってもらうというのは大変な話でしょうから、そういう方々の知識を持った人で、OBの方々をいかに人材育成していくのかということが大事な話だと思うので、やはり普及しようと思ったら人材育成しないとだめだろうと思うのです。では、どうやってというと、コーディネートしたりアドバイスしたりできる人を、能力のある人をつくっていかないと、とても監視員だけではもうもたないだろうと思う。なんぼ本省が頑張っても下が動かないと思う。だって、手足がなければ都道府県は動きようがないのだもの。だから、そこを考えていただく。そういうことを今度ちゃんとやっていかなければだめではないかなと思います。

○池戸委員 私もかなりそこは心配なのです。心配というか、いかに効率的にやるかというところの知恵がやはり要るかと思いまして。やはりこれは自主的取り組みなものですから、当然行政の担当者が中心というのが一番効果があるのですけれども、民間レベルのいろいろな業界団体のそういったところのサポートなどもリンクしてやっていただいたほうが、実情もよくわかっているかと思うのです。

特に私が心配しているのが、1回目の資料のところで、食品の製造業の従業員数が約5万2,000の中で、3人以下が2万ぐらいを占めるのですね。それで、さっき高谷委員が言われたように、ヨーロッパも全く同じ状況の中で、そこがそういう3人以下のところに対してどうやってやるかというところですね。

HACCPというのは非常に難しいという観点になって、かつ営業まで影響するみたいな、そういうものではないということをどう理解してもらうかですね。やはりそういった本当に小規模のところに対してどうやって原理を頭の中に入れていただくか。かつウエートが結構大きい部分ですから、どうやってやったらいいかというのをもう一回知恵を出したほうがいいのかなという、そういう感じでおります。

○山本座長 ありがとうございます。

では、事務局からお願いします。

○事務局  人材育成の具体的な進め方という御指摘をいただいておりますけれども、前回も高谷委員のほうからはそういった仕組みづくりといいますか、人材育成のための活用ですね、人材の活用ということも含めた進め方ということも御提案いただいておりまして、その点については、行政側としては実際に都道府県の業務が課題になっている中で、新たなHACCPの普及ということについてどのような役割で行政に絡んでいただくか、いわゆる都道府県に協力いただくかということになってくるわけですけれども、やはり効果的な監視という点でも必要性があるわけで、点検票などもそういうことに貢献するのだろうとも思いますが、人材育成という面でも行政のできる部分と、あるいは先ほどから御指摘があったような指導・助言、あるいはもっと深く入り込んでコンサルタントとなるとなかなか行政では手が回らないという部分もあるわけでありますので、そういった点はそれぞれ業界のお力をかりるなどして、やはりこういったものについては先ほどあったような観点から全体で取り組むことが必要だということで、それぞれの役割をしっかりと見据えてみんなで頑張っていくということでお願いしたいと思っていますので、ぜひ次回以降、そういう意味では業界の取り組みなども加えてそのあたりの進め方について御議論いただければと思っております。

○山本座長 ありがとうございます。

なかなか教育の仕組みづくりというのは難しいところがあるかと思うのですけれども、これまでも取り組んではきているのですが、なかなか押しなべてというか、一律にそういう普及体制というのは整っていないというところをもう少し掘り下げないとだめかなという気がいたします。一義的には業界団体の方たちの自主的な認識を高めていただくような、そういうことが大事なのだろうとは思いますけれども、それをサポートしながらということですかね。そういう形で進めていくのが一番理想ではあるのですけれどもね。

それにしても、そこに向けての教材であるとかそういったものも、今後少しずつは整備していかなければいけない。今の手引書のものだけでは足りない部分が当然ありますし、HA、ハザード分析をやる上でもそういうものをどう考えるのかというのを具体的な形で示してあげられるような教材がつくれれば本来はいいのではないかなと思いますので、その辺についてもまた委員の先生方からも何かお知恵をいただければと思います。

きょうのところはかなり議論が出ているように思いますけれども、この辺で今後の進め方については終了させていただきたいと思います。

議題としては「その他」がありますけれども、事務局、何かありますか。

○事務局  ございません。

○山本座長 それでは、今後の予定について、事務局からお願いいたします。

○事務局  次回につきましては、別途、日程調整をさせていただいた上で、開催を決めさせていただきたいと思っております。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、本日の検討会はこれで終了させていただきます。

長時間ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。


(了)

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