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2014年10月7日 第5回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成26年10月7日(火)10:00~12:00


○場所

東海大学校友会館「阿蘇の間」
(霞ヶ関ビル35階)


○出席者

田中滋 (部会長)
猪熊律子 (委員)
鎌倉克英 (委員)
川井太可子 (委員)
(代理:西條由人参考人)
(代理:田中愽一参考人)
関川芳孝 (委員)
高橋英治 (委員)
武居敏 (委員)
橘文也 (委員)
田中滋 (委員)
対馬徳昭 (委員)
(代理:平川則男参考人)
福間勉 (委員)
藤井賢一郎 (委員)
藤野興一 (委員)
堀田聰子 (委員)
松原由美 (委員)
三好昇 (柳川純一)

○議題

業務運営・財務運営の在り方について

○議事

○田中部会長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより、第5回「福祉部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりいただき、ありがとうございます。

 まず、委員の出欠状況について、事務局より説明をお願いします。

○西辻総務課長 それでは、本日の委員の出席状況につきまして御報告をいたします。

 本日は、石橋委員、黒岩委員、小林委員、高橋福太郎委員、花井委員、松山委員、宮本委員から御欠席の御連絡をいただいております。

 また、黒岩委員の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部の西條由人参考人、小林委員の代理として、日本介護福祉士養成施設協会副会長の田中愽一参考人、花井委員の代理として、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長の平川則男参考人にお越しをいただいております。

 なお、藤井委員におかれましては、遅れて出席されるとの御連絡をいただいております。それから、堀田委員についても若干遅れているようでございます。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 毎回ですが、議事に入ります前に、ただいま御紹介のあった欠席の委員の代理として御出席いただいている参考人について皆様の承認をとる必要があります。本日御欠席の黒岩委員、小林委員、花井委員の代理として、西條由人参考人、田中愽一参考人、平川則男参考人の御出席について異議はありませんでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中部会長 ありがとうございました。参考人の方も御発言ください。

 続いて、資料の確認を行います。事務局から説明をお願いいたします。

○西辻総務課長 それでは、お手元の資料につきまして確認をさせていただきます。

 本日、配布させていただいております資料としましては、まず、資料1「業務運営・財務運営の在り方について」。これは事務局からの資料でございます。

 その次に、資料2といたしまして、冊子とパンフレットになっております「社会福祉法人であることの自覚と実践」。これは武居委員からの提出資料でございます。

 資料3といたしまして「社会福祉法人が取り組んでいる社会貢献活動例について」。これは橘委員からの御提出資料でございます。

 資料4「社会福祉法人(老人福祉施設)における地域福祉活動について」。それから、その次に厚い本もついております。「社会福祉法人における生活困窮者等への生活支援機能に関する調査研究事業報告書」。これが資料4といたしまして福間委員からの御提出資料になります。

 資料5でございますが、「社会保障審議会福祉部会(第5回)提出資料」ということで、これは藤野委員のクレジットがついております。藤野委員の提出資料でございます。

 資料6でございます。「つしま医療福祉グループ社会福祉法人ノテ福祉会〈地域公益活動〉」という資料でございます。これは対馬委員からの御提出資料でございます。

 資料7でございますが、「『社会福祉法人の「さらなる地域貢献」とこれからの生活困窮者自立支援のあり方検討部会』報告書の概要(大阪府)」。さらに、次の資料もそうでございます。これは報告書本体になります。これが関川委員の御提出の資料でございます。

 最後に「参考資料」といたしまして、前回第4回の福祉部会における主な意見の概要を事務局で取りまとめたものをつけさせていただいております。

 以上でございます。御確認をよろしくお願いいたします。

○田中部会長 ありがとうございました。

 では、議事に入ることにいたします。

 本日は、福祉関係団体の委員及び私が指名させていただいた委員に地域公益活動に関する発表をお願いしております。

 初めに、事務局より資料1の説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、資料1につきまして御説明申し上げます。

 本日、委員の先生方から配布資料につきまして御説明いただくのに先立ちまして、本日の議論のために地域公益活動に関します論点について事務局において用意させていただきました。

 資料の2ページを御覧ください。地域公益活動につきましては、規制改革実施計画におきまして社会貢献活動が取り上げられたことが経緯にございます。また、前回の部会におきまして、3ページの財務規律について御議論いただきました。この中で、公益性を担保する財務規律の柱といたしまして、○1適正かつ公正な支出管理、○2余裕財産の明確化、○3福祉サービス・地域公益活動への再投下という仕組みを御議論いただきまして、おおむねこの方針について御了承を得ているところでございます。

 この財務規律の中で、最終的な部分の余裕財産の再投下先といたしまして、福祉サービス・地域公益活動への再投下というところがございます。この仕組みの中で非常に重要な部分でございますので、今回の部会において御議論いただきたいと考えております。

 この地域公益活動につきまして、今回は以下の論点を特に念頭に置いて御議論いただければと思います。

 資料の2ページに戻りますが、まず第1点は「福祉ニーズの多様化・複雑化、多様な経営主体の参入といった状況の下、社会福祉法人の社会的使命の観点から、『地域公益活動』の定義や範囲について、どのように考えるべきか。『地域公益活動』と社会福祉事業・公益事業の関係について、どのように整理すべきか」という点でございます。

 そもそもこの部会におきまして、第1回以来、社会福祉法人の公益性について、それを高めるということについての御議論を進めていただきました。そのような社会福祉法人としての公益性の観点から、社会福祉法人の社会的使命は何かということについて、一定程度議論が深まっていると考えております。そうした中で、そもそも社会福祉法人が余裕財産も投下しながら行う地域公益活動をどのように考えるべきか、それは企業が行っているCSRとはどう違うのか、そういう点につきまして御議論いただければと思います。

 また、4ページにございます規制改革実施計画(閣議決定)におきましては、「すべての社会福祉法人に対して、社会貢献活動(生計困難者に対する無料・低額の福祉サービスの提供、生活保護世帯の子どもへの教育支援、高齢者の生活支援、人材育成事業など)の実施を義務づける」とされております。このように、社会貢献活動につきまして、大きな方向性、具体的な内容が示されていることを念頭に置きながら御議論いただければと思います。

 また、2ページの1個目の○の後段にございます「『地域公益活動』と社会福祉事業・公益事業の関係」でございます。前回の福祉部会においても議論がありましたが、社会福祉法人の行為能力といたしましては、福祉的な活動を行う場合は社会福祉事業または公益事業の範囲に整理されると考えられますが、その中でどのような位置付けになるのか、その関係についても念頭に置いて御議論いただければと思います。

 第2点目でございます。「『地域公益活動』の実施に関し、地域のニーズを把握する仕組みをどのように構築すべきか」という点です。地域公益活動につきましては、当然、福祉サービスの性格上、地域のニーズに基づくものと考えられます。この中で、地域のニーズを把握し、そして地域においてその内容を調整する、すなわち福祉に関する様々な資源をどのように再配分するかということも含めまして、どのような仕組みを構築すべきかということを念頭に御議論いただければと思います。

 これにつきましては、「社会福祉法人の在り方等に関する検討会報告書」におきまして、5ページの2つ目の○にございますが、「地域における公益的な活動の内容については、○1地域住民の代表、福祉・医療等の専門職、地方公共団体の職員などから成る協議会による評価を活用する仕組みや、○2市町村の策定する『地域福祉計画』等地域で必要とする支援や福祉サービスの基盤整備の方針等の活用など、具体的に各地域で定められる仕組みとすることが考えられる」という提案がされています。このようなものも参考にしていただきまして、地域においてニーズを把握し、そして調整する仕組みというものを念頭に御議論いただければと存じます。

 3点目でございます。「規制改革実施計画において、『すべての社会福祉法人に対して、社会貢献活動(生計困難者に対する無料・低額の福祉サービスの提供、生活保護世帯の子どもへの教育支援、高齢者の生活支援、人材育成事業など)の実施を義務づける』とされている」。このような閣議決定につきまして、これをどのように制度化するかがポイントになります。すなわち、社会貢献活動というものは、そもそも社会福祉法人の本来的な事業でございます社会福祉事業等の基礎の上に立つものと考えられます。その社会福祉事業等を拡充するという形になろうかと考えられますが、そのように考えれば、本来事業である社会福祉事業等が適切に実施されることが前提になると考えられます。この点を念頭に置いて御議論いただければと存じます。

 第4点目でございます。「再投下計画における『地域公益活動』と福祉サービス(社会福祉事業・公益事業)の充実との関係、位置づけをどのように考えるべきか」という点でございます。前回御議論いただきましたとおり、余裕財産を再投下していただく対象としては、この地域公益活動と福祉サービスの充実があろうかと考えられます。

 そもそも社会福祉法人におきましては、福祉サービスが本来的な事業でございますが、そのような社会福祉事業等は経常的に事業の中で適切に実施されているものと考えられます。また、そうされるべきものと考えられます。そのように適切に実施された上で、さらに利益が発生し、それが余裕財産として形成された場合には、これを地域ニーズに充てる。すなわち、他の主体では取り上げられないような地域ニーズを把握し、先じて、まずは取り上げて地域ニーズの充足に充てるということは、社会福祉法人の本来的な使命に関わるのではないかという御議論も前回ございました。そのような点を踏まえて、この再投下の場合における地域公益活動と福祉サービスの関係を念頭に置いて御議論いただければと存じます。

 最後でございますが、「再投下計画に位置づけられた『地域公益活動』について、その定義や範囲に照らした内容の適正性の確保、その実効性の担保という観点から、行政の関与の在り方を含め、どのような仕組みが考えられるか」という点でございます。この部会におきまして御議論いただいております財務運営・業務運営における公益性を担保するためには、財務規律における公益性が担保されることが必要でございます。そして、それは、最終的には余裕財産の再投下の対象においても公益性の担保が重要になると考えられます。

 特に地域公益活動という概念を設けるに当たりまして、その地域公益活動がそれぞれ地域におけるニーズを正しく反映しているか、あるいは資源の配分の観点から適正な内容になっているかということにつきましては、それを確認することが大変重要でございます。その中で、行政の役割も重要かと考えております。

 また、規制改革実施計画におきましては、先ほどの4ページの規制改革実施計画の3つ目の○でございますが、「所轄庁が必要な措置をとるべき旨を命ずるほか、業務の全部若しくは一部の停止や役員の解職の勧告、さらには解散を命ずることができることを明確化する」とあります。社会貢献活動をしない社会福祉法人に対してという文脈で書かれていますが、社会貢献活動を担保するという観点からの行政の役割が閣議決定され、提案で書かれております。

 このように地域公益活動の実行を担保するという観点からも、行政の指導・監督等が求められているということを踏まえ、どのような仕組みが必要かということを念頭に置いて御議論いただければと存じます。

 事務局からの説明は以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいまの説明に対する質疑は委員からの発表の後にあわせて行うことにいたします。

 次に、福祉関係団体の方々から御発表をお願いします。学会ではありませんが、全体の時間の都合上、与えられた時間を守っていただくようお願いいたします。

 初めに、高橋英治委員、お願いいたします。

○高橋(英)委員 何分で。

○田中部会長 短くて申し訳ありませんが、5分でお願いします。

○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。冒頭にお詫びを申し上げなければなりません。

 本日、他団体の方がたくさん参考資料を出されておりますけれども、準備が間に合いませんで資料を添付できておりません。今日のところは、地域貢献と思われる事例をいくつか口頭で簡単に御報告、御説明をしたいということと、次回の部会には参考資料として配布できるような準備をしたいと思います。

 まず、地域公益活動につきまして、観点が合っているかどうか分かりませんが、いくつか事例を申し上げたいと思います。

 前提として、保育所は歴史的にといいましょうか、これまでの経過として、地域の様々な団体などから成る組織の構成員として存在しているところが現在も多くあります。そういった中で、地域課題、特に子供・子育てについての援助・支援を行っております。

 また、平成6年から始まりましたエンゼルプランで地域子育て支援ということが明確に言われ始めていますけれども、それが補助事業化される前から保育所の機能として子育て家庭支援というものが求められていて、保育指針にも地域における子育て支援が記載され、その解説においても、役割・機能、また地域の関係機関との連携、地域の子育て力向上への寄与が言われております。

 保育指針の中の1つのコラムとして、例えば中高生と赤ちゃんとの触れ合い交流を実施することが書かれておりまして、例えば保育士が学校に出向き、事前事後学習を含めて取り組んで、児童が赤ちゃんや子育てへの関心を高めたり、保護者の方との関わりを深めたりといった実践もされています。また、市町村においては、生後4カ月までの乳児のいる全ての家庭に保健師や児童委員などが訪問して相談・援助に応じたりする事業も行われています。実態として、滋賀県の大津市などでは、行政も当然関与しているわけですけれども、保育所の保育士が地元の民生委員さんなどと一対になって全戸を訪問している事例もあります。

 さらに、保護を必要とする子供たちへの対応についても、保育所の役割として、虐待の防止や対応を積極的に進めたり、要保護児童対策地域協議会、子どもを守る地域ネットワークとの連携を図ることが求められ、そのことも保育指針の中に既に盛り込まれているということでございます。

 そういった中で、時間も限られていますので、2つ、3つぐらいの具体的な事例を申し上げたいと思います。

 まず、大変細かいことで恐縮ですけれども、1つ目は、日本保育協会の中に実は若手の青年部という組織があります。その青年部では、保護者、親に対して子育てについての様々な思いとか見方をつづった『HUG』という本を何年か前に出版しています。その売り上げ、それから寄附金や募金を募って、さらにメンバーで負担も行いながら、福島の原発の放射線量の関係で園庭が使えない保育園にバスをチャーターして出向いて、何人かのメンバーで、栃木県内のメンバーの保育園の園庭で外遊びをしっかりさせて、また連れて帰るということを行っています。現在でも月に1回程度ですけれども、継続的に行っているということを聞いております。これも、できましたら、次回、資料としてお付けしたいと思います。

 2つ目は、御存じかもしれませんが、大阪では、市内の民間保育園で作る大阪社協の保育部会という組織の中で、愛称を「スマイルサポーター」と言うらしいのですけれども、地域貢献支援員という制度を始めております。これは、保育園を育児や介護、虐待問題などを早期にキャッチする地域の拠点にする試みであります。民間保育園にいる担当者の育児相談員の中から、ある一定の研修を受けたベテランの相談員をその支援員として、現在は大阪府知事の認定もされるようになったように聞いておりますけれども、そういった活動をしていくものです。これは、保育園単体で問題を解決するのではなく、相談を聞いて、民生委員や行政などと連携をしながら、病院や老人施設、障害者施設、NPOなどの関係機関や既存の支援制度を紹介するものであります。

 具体的な内容としては、入所園児の保護者でない女性の方から、夫からDVを受けていると相談があった際に、行政と連携して保護したというケース。それから、独居の高齢者の方から介護を受けたいけれども何も分からないと相談されて、ケアマネジャーを紹介したという事例もあるようでございます。

 さらに、もう一つだけ事例を申し上げますと、延岡市内のある保育園が中心となって「おやこの森」という組織を作っています。これは、市内の民間保育園で組織している団体が母体になっているのですけれども、平成12年には子育て支援センター、16年度にボランティアの方の協力で保育サポーター派遣事業を行い、地域に保育サポーターを派遣していく。平成17年にはファミリーサポートセンター、平成21年からは生活困窮家庭を対象にした家庭支援スタッフの訪問事業を行っているようでございます。細かいところを説明しますと、時間がもう経過をしていますので、次回の部会のときには参考資料としてお付けしたいと思います。

 ちょっと経過しました。以上でございます。ありがとうございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 続いて、武居委員、お願いします。

○武居委員 私からは、お手元にブルーの資料が付いておりますので、これを基に少しお話をさせていただきたいと思います。

 少しセンセーショナルな文字もついておりますが、全社協の中に社会福祉施設協議会連絡会、私どもの社会福祉法人経営者協議会を始め、橘委員、藤野委員、福間委員、それから保育関係も含めた社会福祉施設や社会福祉法人の組織として連絡会を設けておりまして、ここで社会福祉法人の仲間がどのような地域における公益的な活動をしているのかという調査をし、それを基に整理して、社会福祉関係者にこの仕事をどんどん進めていこう、もっと広げていこうというためにつくったパンフレットでございます。

 時間もございませんので、4ページ、5ページをお開きいただけますでしょうか。先般、社会福祉施設の皆さんに、地域における公益的な活動はどんな活動をやっているのかというアンケートをとりました。そして、そのアンケートで出てきた具体的な事例を整理し直したものの整理がこの4ページ、5ページについているものでございます。

 1つは、社会福祉事業の中に○1、○2、○3、○3-ア、○3-イと書いてありますが、社会福祉事業に位置付けられるものの中で、地域における広域的な活動に当たると思われる分類に入るもの。それから、公益事業の中にも、○4、○5と書いてありますが、公益事業の中に位置付けられると思われるもの、そしてそれ以外のもの。つまり、現行制度の枠の中でどこに位置付けられるのかというような整理の枠組みにしてみました。

 そして、次のページが、アンケートに出てきた具体的な事業をその枠の中に当てはめて、どんな事業があるのかということを整理したものでございます。例えば「○1自己財源による社会福祉事業の実施」については社会福祉法人減免というようなことをやっております。つまり、そういうものは自己財源による社会福祉事業の実施、社会福祉事業の中に位置付けられるものとしてここにあるのではないか。

 それから、○2については「実施している社会福祉事業を受け皿とした公益的な活動」。つまり、事業をやっている中で、上の四角の中の3番目「生活困窮者自立支援法に基づく就労準備支援事業の実施」や、次に「生活保護受給者や生活困窮者等の雇用」ということが書いてあります。つまり、我々のやっている事業のところにそのような福祉対象者の方を雇用したり、仲間に入れたりすることによって行っている公益的な活動の整理。

 それから、○3のアとイは「実施している社会福祉事業の延長上にある公益的な活動」と言えるもの。

 例えばアの方は、直接実施している社会福祉事業の利用者を対象とする。つまり、保育の事業をやっていれば、その保育の中でさらに延長保育であるとかをやっている。食物アレルギーを有する園児への対応として、例えば家庭に対してレシピの提供とか、2番目のポツですが、施設入所者の地域支援のためにアパートを借り上げて対象に向けての支援をするとかいうようなこと、つまり、直接利用者の延長上にある事業。

 イの方は、直接事業をしている直接的な対象者ではなくて、同じような対象の人で地域にいる人々を対象にしたもの。例えば、地域にいる障害者を自分たちの保育所に入れて、保育所の中で障害児の保育をするとか、施設を退所した人に対してさらに継続的な何らかの支援をするとかいうようなものが○3に当たるものではないか。

 次の○4、公益事業の中に基づくものですが、定款記載の公益事業の中でも自己財源によってしている事業。給食サービスであるとか、地域の総合窓口設置のようなもの。

 ○5は、公益事業の中に位置付けられるものと思うもので「地域福祉、社会福祉の向上に向けた活動」。整理の仕方が必ずしもいいかどうか分かりませんが、例えば、刑余者の自立支援の仕事であるとか、ボランティアの受け入れであるとかいうようなものがここに当たるのではないか。

 さらに、現行制度の枠の中に入らないかもしれませんが、「○7その他の取り組み」として、例えば被災地への義援金の問題とか、地域のつながりや再生を意図した夏祭りとか地域交流事業などがこれに当たるのではないか。

 ○6は、持っているノウハウや人材や施設や設備を生かした取り組み。災害、福祉避難所の協定などもこれに当たるのではないか。

 そのように○1から○7まで少し分類してみました。これらの全てが、いわゆる社会福祉事業的な地域における公益活動と言えるかどうかは別にしまして、少なくとも、今、私どもがやっている事業として、いろいろな施設や社会福祉法人がこのような事業をやっているということの意味でございます。

 そして、過去、新しい社会福祉事業の多くは、このように先駆的な試みをした各事業所等の事業が広く全国に拡大していくという経過をたどってきた事実があると思います。例えば、養護老人ホームというシステムしかなかったところから、そこのケアの必要な人を対象にして、寝たきりの人を対象にした事業をしようということで、特別養護老人ホームというような新しいシステムができてきたという経過があると思います。

 以上のような内容の中で、次にいくつか問題提起をしたいと思いますが、制度としての判断基準の難しさというのがあると思います。○1から○7まで挙げましたが、全て地域における公益的な活動と言えるかどうかの判定のようなものが必要なのではないかと思います。

 そのためには、まず1つは、その地域の利用者にとって意味があるかどうかの判定というのは、やはり地域によって違うのだろうと思いますので、その地域で判断をしなければならないのではないか。

 2番目は、成果を予測して計画をしたとしても、すぐ成果が出るかどうかという問題があるのではないかと思います。例えば一定の実績をもって判断するというようなことが必要になるかもしれません。

 そして3番目は、判断する主体でありますが、その活動が地域にとってどのような役割を果たしているのかというところは、その地域で判断をする必要があるということでありますので、例えば、前回の在り方等に関する検討会で出ていたような地域福祉計画の委員会でありますとか、地区社協などが適当なのではないかと思われます。

 行政における関与の問題も大きな問題としてあると思います。行政が関わることはもちろんそこで必要だと思いますが、かつての経過を見ますと、行政だけで判断をしますと、例えば前例でありますとか、隣の町との横並びというようなことで、およそ硬直的な判断になる危険性があるのではないかと思われますので、そこの行政の関わり方については、いくつかの中の委員会等に入っていただくのはあれですが、行政だけで判断するということがないようにした方がいいのではないかと思われます。

 もう一点、最後に、サービス提供上の問題、つまり、今、お話をしたものは、制度としての判断の話でありますが、具体的サービスの提供上の問題があると思います。つまり、サービスの必要性の判断。直接利用者やニーズの中からサービスの必要性の判断をしたり、そのサービスを具体的にどう提供するかというような管理をするのは、本来、ソーシャルワーカーの重要な仕事である。つまり、我が国の資格で言えば、社会福祉士。きょう、鎌倉委員がおられますが、社会福祉士の仕事であると思われますので、そういうところに関しては社会福祉士をもっと任用すべきであろうと思われます。ただ、社会福祉士のいない種別や法人もございますので、そこをどうするかの問題はあると思います。

 それから、サービス提供上の問題としてもう一つ。私どもの組織は小規模な法人等が多い中で、人材も規模も小規模な法人が単独でこれらの事業を実施したり、計画したりすることが不可能に近いと思われますので、そのような法人がいくつか集まって、共同して、資金や人材を出してできるようなシステムを作ることが実行可能にする近道ではないかと思われます。

 最後にもう一点だけ。地域における公益的な活動というのは社会福祉法人が本来事業の一部として取り組むべき事業であると考えるとすると、やはり、硬直的にならない新たな第二種社会福祉事業というように位置付ける必要があるのではないかと思われます。

 長くなって申し訳ありません。以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 続いて、橘委員、お願いします。

○橘委員 私どもは知的障害福祉を担っている団体ですが、会員施設・事業所が全国に約5,800あります。今年その会員施設・事業所において、どのような社会貢献活動が実施されているかを調査いたしました。知的障害の方々に対する差別や偏見、阻害ということにはまだまだ根強いものがあります。地域で生きていくことの難しさ、それにどう取り組んでいけばいいのか。強度行動障害や、奇声を発する自閉症の方たちが街中に住むこと自体が阻害されて、グループホームの建設に対しても反対運動が起きたりしている。そういう知的障害のある人たちをケアすること自体が社会貢献活動であると言っている法人も数多くあります。その中で、さらに支援力を高めていくために社会貢献活動は必要なのだろうと思っているところで、本会の資料にもありますように「地域住民への啓発活動」ということは、当然、貢献活動として行っていかなければいけません。

 それから、「地域への安心・安全の提供」も大きな社会貢献であると思っております。記載にありますように、防災型地域交流スペースを緊急時に提供することを地域住民の方に対してお示ししている法人もたくさんあります。

 それから、「地域への直接支援」ということで、高齢化地域、過疎地域等における地域内の環境整備や自治体活動の代理運営も多く行っております。前々回でしたか、委員の方のどなたかが、うちの法人では地域の中でお祭りを行っていると発言され、少し笑っている委員の方もいらっしゃいましたが、今、町内会の会員加入率が、都会でも田舎でもかなり落ちています。そんな中で、うちの町内会はおじいちゃんやおばあちゃんを招いてお祭りもできない、担える人たちがいないということを相談にくるわけです。そうしますと、私たち社会福祉法人の職員のマンパワーを生かして、一緒に行いましょうということで、お祭りや町内のイベント、清掃活動などを地域住民と一緒になって実施しているところもたくさんあります。これも大きな社会貢献活動だと思っております。

 それから、「高齢者への支援」では、配食サービスがあります。地域の単身の高齢者への配食は、市町村事業と連携しているところもありますけれども、法人独自でやっているところも多くあります。私の法人のグループホーム利用者の方などは、社会福祉協議会と連携して単身高齢者の福祉除雪を行っています。毎年、雪が多く降りますので、高齢の方も困っているわけです。市町村社協の事業でもあるのですが、私たちは独自に出向いて、「お元気ですか?」と声を掛けながら除雪のサービスをしております。これも北海道あたりでは多くの施設で行っている貢献活動だと思っております。それから、高齢者の買い物の支援等々も行っています。

 さらに、私たちの団体では、約5,800の会員施設・事業所がありますけれども、お互いに会費を納めていろいろなセミナーを開催しております。それから、社会福祉士養成所や本会独自の知的障害関係事業所職員向けの通信教育の事業を行っておりまして、これらは会員である社会福祉法人の人材により成り立っているものであり、我が国の障害福祉の担い手に対する人材育成等に大きく寄与する社会貢献だといえるのではないかと思っております。

 お時間は過ぎてしまいましたでしょうか。

○田中部会長 いや、大丈夫です。

○橘委員 ありがとうございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 次に、福間委員、お願いいたします。

○福間委員 お手元に冊子も入れさせていただいておりますが、私ども老人福祉施設の多くが社会福祉法人であるということと、地域貢献活動について、特に生活困窮者自立支援法も施行されますし、地域での生活困窮者への支援という観点から、どのような取組実態にあるかということを初めて調査させていただいたというものでして、初めてなのでまだまだ十分ではありませんが、後ほどお目通しください。

 ポイントだけいくつか申し上げますと、この中に「主たる拠点」での情報収集とか活動と書いてございますが、この「主たる」というのは、そこの法人における主たる施設であったり、法人本部であったり、地域活動を行っている拠点という意味での「主たる拠点」ということで聞いております。

 そして、情報収集についても、生活困窮に関わる情報収集、まずニーズ把握という意味での情報収集がどの程度できているか。一番多いのは、自治体の色々な介護保険事業計画であったり、高齢者計画であったり、又はそれぞれの自治体での色々な指導体制とか、そういうものが一番多いのですが、情報収集の必要性の意識についてはまだ五分五分でして、どういう活動をしたらいいかがよく見えていない。その情報の取り方が分からないというのもまだあるという点では、皆さんもがいている状態にあるのかなということを感じます。

 それから、6ページ、7ページのところですが、そうした情報の収集とか活動支援体制について、まず法人の規模で聞いております。法人の規模というのは、全体として大きな施設を経営しているとか、複数経営していれば、法人全体の職員数も多いことになりますので、そのあたりでの規模を聞きながら、地域支援がどの程度行われているかというのを聞いております。全体には、法人規模が大きいと財政的にも余裕があるので、取組もある程度進むだろうという点は出てまいりますが、小規模でも、地域密着型の法人なり施設になりますので、逆にそういう意味での対応もされているという点で、それぞれの特性があるのかと思いました。

 7ページは、これからの分析が必要なのですが、法人の設立を2000年以前と移行でちょっと整理してみました。そうしますと、2000年以前に設立された法人の方が地域支援の活動の数値が高いというのが出ておりまして、社会福祉法人としての設立の歴史とかアイデンティティーで、介護保険以降にできたものとは、創設者の意識とか、やや違うのかなと。このあたりはこれからの課題としてより深掘りしなければいけないと思っております。

 それから、9ページ以降のところでは、実際に地域包括支援センターとか老人介護支援センターを運営している法人の方が地域への対応の数値も全体に高いという点では、そういうアンテナ的な機能が果たしているのではないかということを感じます。

10ページですが、試みとしてやらせていただいたものでして、地域の様々な機関に人を派遣しています。介護系ですと、介護保険審査会とか入所判定委員会とか介護認定審査会とかあるのですが、その他に、地域社会との連携ということで、行政や他の社会福祉法人、自治会等々に人を直接出して色々なことで協力するということが伺えます。仮にその人数を最低賃金で計算して時間数でやると、どの程度お金が使われているのか、やや数値化して、人件費に置き換えたらこれぐらいの金が投じられているのだと、見えるものとしてこういう試みがあっていいのではないかと。決してこういう数字が計上されているわけではありませんけれども、目に見えない金額というのは実は明らかにされていないので、ちょっと試みてみたというものであります。

11ページからが事例ですが、どんなことをしているか、ポイントだけ申し上げます。

 北海道の事例は、札幌郊外のベッドタウンからやや過疎化しつつある状態の中で、その地域の団地とかそういうものが余ってくる。それを活用して何かできないかということで、住民のニーズを把握しながら、法人として住民のたまり場を運営して、そこから生活支援の取組をするということで、これは住民と一緒になって法人が取り組んでいる例であります。

12ページは、ほかの町村も含めてのポイントを書いてございますので、後ほどお目通しください。

13ページは、福岡の法人施設における配食サービスです。配食サービスはよくある実績ですが、今や地域における過疎の中で孤立死というのは避けて通れない。ただ、孤立死だけを防止するのではなくて、孤立死されても発見されないという大変不幸な状態にまでなっている。こうした配食を毎日することで死亡直後に確認されるという例もいくつも出ているということでは、地域での孤立をいかになくすかという試みの実績であります。

19ページの例は、福島県の授産所で取り組んでいたヒマワリの種から油をつくるというものが原発でできなくなってしまったというのを漏れ聞いた茨城の養護老人ホームが、「では、自分のところでそれをやろうではないか」ということで、ヒマワリの種を取り寄せて、育成して、たくさんできたその種を回収して、福島に持っていって油を搾り出す作業に協力するというような活動です。これ自体が県内の養護老人ホームにだんだん広がって、それだけでは足りないということで、今度は県内の小・中学校に働き掛けるというようなことで広がってきているという例でございます。

 結果、学校の子供たちに対しても非常に大きな社会的な活動の意識を目覚めさせることにもなりましたし、県内のそれぞれの施設が横につながって共同で取り組むことになった。これらの費用は大したことなくても、お互い法人で資金を出し合って、職員もそのサポートをしながらやるということで取り組んだ例でございます。

 最後の例ですが、大分県の国東半島にある限界集落で小規模多機能施設が作られていく中の話であります。これも大変過疎化する中で、小学校が廃校されて、近くにできた特養がそこの地域での色々なニーズを聞きながら、お年寄りたちにアンケートで聞くと、集まる場所がない、一日会話もしていないと。そういう中で、では、たまり場を作るところからやろうということで、1カ月に1回の居酒屋的なことから始まるのですが、それ自体が町おこしになって、移り住む人が増えて、廃校となった小学校の隣の小学校は来る子供が増えてきた。小さい取組ではありますが、過疎の町をみんなでおこしていく、元気にしていくという取組を法人が一緒になって作り上げていったという例でございます。

 こうしたもろもろの取組が行われているということを御紹介させていただきます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 次に、藤野委員、お願いします。

○藤野委員 資料5で出させていただいておりますけれども、私のところの法人を中心に、5分程度と思っています。

 まず、私のところは、社会的養護の児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、乳児院、里親支援機関事業というかたちで、里親の開拓や、ファミリーホームを含めた里親の支援、推進のほか、自立援助ホームを2カ所、また保育園も運営しています。子供たちに必要なことに次々取り組んできた結果、気が付くと様々な事業を実施することとなっていったという法人であります。

 法人としては、剰余金などというのはほとんどありません。措置の世界では、本当にありません。むしろ、やればやるほど赤字部門が増えるようなこともあります。では、それをどこで補うかといったら、寄附で補う以外になく、とにかく1,000万以上の寄附を毎年集めております。現在は建物の建て替えをしておりますが、その自己財源がないので、5,000万円の寄附をお願いしてやっております。

 私の法人は、例えば自立援助ホームを2カ所やっております。ホームを始めた当時は、施設を出た子供にその後の支援がなく、悲惨な状況にありました。これを何とかしようということで、当時制度にはありませんでしたが、OBの家を作ることにし、アルバイトや無給ボランティアで応援することで、何とか運営してきました。そんなことをして、平成9年にようやく児童福祉法に位置付けていただいたということがあります。

 そういう意味で、我々社会福祉法人というのは民間の組織ですので、先駆性を発揮し、地域貢献を含めて地域ニーズに応えながら、それを制度に乗せていくという役割を担ってきたのだと思います。

 我々の事業そのものが社会貢献だと思っておりますけれども、そういう中ででも、例えば、○1の事業などは、 情緒障害児短期治療施設 で常勤医師が必置になっておりますが、その常勤医師が外来の無料相談を行うものです。小児精神科の医師というのは足りませんから、地域の要望がすごく大きいのです。そういう要望に応えるためには無料で診察する以外にないのです。もう10年以上無料診察、無料相談をやってきましたが、財政的に、もうもたないということで、 情緒障害児短期治療施設 にもう一人常勤医師を連れてきて、社会福祉法人立の診療所を開設し、現在に至っています。

 ○2の事業というのは、今、虐待の問題というのはすさまじい状況です。施設で見ている子供はまだましなのです。地域にいっぱいいるのです。時間がないので詳しく触れられませんが、どの地域でも、児童相談所はパンク状態です。また、市町村に窓口を設け、要保護児童対策地域協議会を中心として、市町村の取組が求められていますが、機能しているところはかなり少ない。そんな状況の中で、今後は、社会的養護の施設、法人も、地域の児童福祉の拠点として、積極的にこうした問題に取り組んでいく必要があるということで、こうした活動を続けて色々やっております。

 あとは見ていただいてということで、私からの発言を終わります。

○田中部会長 ありがとうございました。

 続いて、部会長として事前に指名した委員の方に御発表いただきます。

 初めに、対馬委員、お願いいたします。

○対馬委員 対馬でございます。資料6を事前に提出させていただきましたので、その資料に基づいて説明をさせていただきます。

 現在、社会福祉法人ノテ福祉会は、地域公益活動としては[1]から[4]の4つの事業を行っているところでございます。

 2ページ目でございます。ライフサポート事業。私どもノテ福祉会は、在宅で身体介護サービスを中心に行っていますので、生活支援をサポートするためと、制度で救済できない高齢者の支援をこのライフサポート事業として行っているところであります。

 食事の宅配については3食でございます。

 洗濯サービスについては、各御家庭に洗濯ネットを置いて、そこに汚れた衣類を入れてもらって、満杯になると電話をもらい、ヘルパーがお預かりをして洗濯をし、たたんで、またお届けするというサービスです。

 生活支援サービスについては、掃除を始め、自宅の電球が切れた時や、パンや牛乳の宅配をコンビニエンスストアに頼んだ時の対応を行っています。コンビニでは、電球や牛乳、パンの配達をしてくれるわけですが、玄関に置きっぱなしとなります。そのときに利用者さんから電話をいただくと、ヘルパーが行って、電球の交換だとか、パン、あるいは牛乳を冷蔵庫に入れるとか、冷蔵庫の整理整頓をするなどの支援を行います。

 おたすけコールについては、私どもが開発しました24時間のサービスの機器を貸与しています。例えば相談相手が欲しいときや、緊急時の対応についてもリーズナブルな価格でサービスを提供しています。

 これは全て法人の利益から還元していますし、なおかつ、その低額な負担ができない場合については、法人の独自減免で、30%、50%、場合によっては100%まで減免を行っています。

 3ページになります。私どもは長年高齢者介護をしてきましたが、近年は、障害者の社会自立の就労支援として行っているところであります。就労継続支援A型事業所「なかま」豊平、そして真栄の2つの事業所があります。就労内容としては、介護助手や、タオルたたみ、清掃などをノテ福祉会から業務委託を受けています。そして最近は、私どもにセントラルキッチンをつくりましたので、そこで1日4,000食の食事を作るための野菜の下ごしらえについても活躍してもらっているところであります。

 4ページ「ボランティアスクール事業」であります。私どもノテ福祉会は、施設や在宅で活動してもらうために、ボランティアスクールを開催し、ボランティアを育成しているところであります。スクールで教える内容としては、高齢者の体・心について勉強してもらっています。そして、修了後は、ノテ福祉会が設置しています施設・事業所だけではなくて、地域でボランティアをすることも自由にしているところであります。

 5ページ目「アンデルセングルメ祭り」です。私どもノテ福祉会は、1年に一度、9月の1週目の土曜日にこういったお祭りを開催しています。26年度の開催はちょうど20回目でありまして、5,100名の参加をいただきました。開催目的としては、地域住民に、我々が現在挑戦していますノーマライゼーションについて知っていただくためと、ノテ福祉会の理念、そして、現在、開発実践をしています特別養護老人ホームを核としたノテ地域包括ケアについて理解をしていただくためであります。

 6ページ目であります。今、紹介させていただきました地域公益活動だけで果たして良いのかと私は考えています。社会福祉法人で特別養護老人ホームを経営している法人はもっとやるべきことがあると考えます。ここで私見を述べたいと思っています。

 特別養護老人ホームは、施設に入居している方だけの介護をしていてはだめだと思います。特別養護老人ホームが社会に認められるためには、地域の中・重度の高齢者の介護をしなければならないと考えています。

 7ページです。その中で、地域包括ケアの要となる事業の1つであります小規模多機能型居宅介護は、平成2410月1日現在で事業者数が3,371カ所。経営している法人の内訳としては、社会福祉法人が1,057、営利企業も頑張っていまして1,543カ所です。現在、事業所の数は4,512カ所以上になっていますので、営利企業と社会福祉法人の差はさらに開いていると予測をします。

 なぜ社会福祉法人がこの事業に取り組まないかといいますと、大都市圏で月額280万円の赤字、地方で月額230万円と、大変大きな赤字になるためだと考えます。

 8ページです。もう一つの地域包括ケアの要であります定期巡回・随時対応型訪問介護看護。この事業はノテ福祉会が20年の歳月をかけて開発したものであります。事業所数は、平成2410月1日現在で61カ所、法人の内訳としては、社会福祉法人が12カ所で、営利企業は36カ所です。現在400カ所を上回っておりますが、社会福祉法人と営利企業の比率は変わらないと考えます。これもなぜ社会福祉法人がやらないかといいますと、大都市圏で月額300万円、地方で月額200万円の赤字が出るためと推測します。

 9ページです。このような状況では社会福祉法人が批判を受けるのは当たり前だと考えます。株式会社が、赤字を出しながらも、地域包括ケアの一端を担うために努力をしているところであります。私は、世界に誇る特別養護老人ホームが蓄積した介護のノウハウが社会福祉法人の財産でありますし、この財産をもってして地域に貢献することが地域貢献のあるべき姿だと考えます。

10ページです。全国の特別養護老人ホームの数が平成26年3月現在で約7,800カ所であります。現在の特別養護老人ホームの入居申込者の概要については、全国で524,000人、そのうち要介護度3から5までが346,000人です。

11ページです。よって、1カ所の特別養護老人ホームが核となり、地域の50名の高齢者に地域包括ケア体制で2つのサービスを提供しますと、大都市圏を除き、入居申込者は解消できると考えております。今、社会から社会福祉法人に対する批判を受けています。こういった取組をすることによって批判がされないと考えます。

 したがって、言いたいことは何かといいますと、今審議会の中で地域公益活動について議論されていますが、2025年対策の地域包括ケアの活動についても地域公益活動に含むべきだと考えています。

 以上であります。

○田中部会長 どうもありがとうございました。

 最後になりましたが、関川委員、お願いいたします。

○関川委員 大阪府立大学の関川でございます。意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 社会福祉法人が生活困窮者の自立支援においてどのような役割を担うべきかについて、大阪府が報告書をまとめました。資料7でございます。報告書自体も合わせてつけさせていただいております。今回は、その概要版をもって説明させていただこうと思います。

 私自身も検討部会の委員として参画して取りまとめたものでございますが、大阪府として、生活困窮者自立支援システムを構築・構想した上で、広域自治体から見た社会福祉法人に期待する役割について検討をしております。この資料に基づきながら、地域公益活動をめぐるいくつかの検討課題について私なりの考え方を述べさせていただこうと思います。

 まず、検討に当たっての基本的な視点でございますけれども、今後とも社会福祉法人制度を持続可能なものにするためには、制度改革を検討する上で、公益性のみならず、公共性についても検討を深めておくことが重要と考えます。社会福祉法人に求められる公共性につきましては、木村忠次郎氏が局長であった時代と今日では当然異なっております。中でも、基礎構造改革後、介護保険支援費制度の創設によって、地方自治体が措置を執る責任が限定的なものとなりました。当事者間の契約により利用関係が形成され、かつ、多様な事業者が参入可能になってしまった結果、措置制度以外の施設経営について公共性を認めることが難しい制度構造に転換したと考えております。

 私自身、制度に精通する学識経験者との議論において、社会福祉法人の実施する介護サービスや障害福祉サービスには公益性は認められるが、公共性は認められない、社会福祉法人制度を検討する視点として公益性と公共性を区別して整理するべきであるという指摘を受けたこともございます。公共性という社会福祉法人が本来よって立った基盤が形骸化しているにもかかわらず、社会福祉法人自身が措置制度に変わり、公共性を高める事業の創出・転換に十分関心を持たなかったことが大きな問題であったと思います。

 基礎構造改革の中間まとめでも、社会福祉法人について地域に根差した社会福祉サービスの担い手にふさわしい公共性、信頼性、効率性を確保する必要があるとされましたけれども、地域における公益的な福祉活動に関しては先駆的な事例を除いて必ずしも十分展開されてきていませんでした。私は、今回の制度改革の重要な柱の1つとして、社会福祉法人による地域貢献活動については、公益性とともに公共性を取り戻す仕組みと位置付けて考えております。

 公共性に関するニーズについては、武居委員が御紹介いただいたように様々ございますが、社会福祉法人は、何よりもまず、貧困、社会的孤立など様々な現代社会が抱える問題に対し、社会福祉のセーフティーネットとしての役割をいかに担うか、いかに何をすべきかを提案できないと、制度としての社会福祉法人の存在意義を否定されかねないと思っております。セーフティーネットの構築は公的責任によって行われるべきものです。地方自治体と連携し、その役割を代替・補完することが社会福祉法人に求められている公共性であると考えられます。

 大阪府では、平成15年に社会福祉審議会意見具申において、社会福祉法人は高い公共性を有する特別な法人類型である、そして、そのノウハウ、専門性を活用し、新たな公の一翼としての役割を担うことが望ましいと述べられております。これを受けて、介護老人福祉施設を経営する社会福祉法人は、コミュニティー・ソーシャル・ワーカー(CSW)を配置し、地域の要援護者、生活困窮者に対して、ワンストップ、アウトリーチ、寄り添い型の総合生活相談、生活困窮者レスキュー事業を社会福祉事業として行ったものです。

 社会福祉事業とは、社会福祉法が規定する生活困難者に対して、その住居で衣食その他日常の生活必需品もしくはこれに要する金銭を与え、又は生活に関する相談に応ずる事業として、各法人の定款にも記載し、実施いたしました。各法人からは会費として拠出を求め、社会貢献基金として財源を確保し、社会福祉法人が共同して、生活困難者に対して必要に応じて緊急的な生活支援を行う体制が作られました。同様に、保育園においてもスマイルサポーターの仕組みが立ち上がっていることについては、先ほど高橋委員に指摘いただいたとおりでございます。

 かれこれ10年間こうした活動を展開してまいりましたが、それについての実績は、資料の3枚目、大阪府社協事務局に作っていただいた資料の左下隅にこの10年間の実績が紹介されておりますので、御参照ください。

 こうした実績を踏まえて、大阪府は、今回、生活困窮者自立支援のシステムの構築を検討したわけですけれども、大阪府下のすべての社会福祉法人に対し、地方自治体と協力・連携し、生活保護受給者及び生活困窮者など、様々な困難を抱え、援護を要する人たちに対し、法が定める生活支援の活動を自主的に行うなど、セーフティーネットの構築の要となる事業を担っていただこうというものでございます。

 2枚目の資料を御覧になっていただければ、どういう役割が期待されているか御理解いただけると思います。

 まず1つは、各市町村が生活困窮者自立支援法に定める事業を委託しようする場合には、それを積極的に受託し、事業を実施すること。自治体によっては、全ての事業を実施しない場合があります。地方自治体自らが行う場合には社会福祉法人への事業委託の可能性はありません。しかし、こうした場合であっても、社会福祉法人には独自の取組として総合相談の窓口を設け、就職活動の支援、経済的援助、家計相談支援、就学・学習支援、就労訓練、中間的就労の受け入れ、直接雇用に積極的に広く関わっていただきたいというのが、大阪府としての期待でございます。

 あわせて、社会福祉法人には、大阪府のコーディネートの下に、CSWとの連携であったり、社協の居場所作りの設置の協力であったり、大学との連携であったり、社会の様々な関係機関とつながりながら、生活困窮者支援について総合的なトータルパッケージの構築に寄与してほしい。まさに、社会福祉法人には、大阪のセーフティネットの構築において、大きな役割を担うことが期待されています。

 こうした活動が、大阪府の関与の下、社会福祉法人としての公共性を高めるものであるということは言うまでもございません。

 最後に、これとの関係で2点だけ御指摘しておきたいことがございます。

 第一に、生活困窮者に対する総合的な生活支援のような事業活動は、再投下計画に位置付けられるべき地域公益活動になりますが、これは、社会福祉事業としてぜひとも位置付けていただきたいものでございます。第二に、生活困窮者に対する総合的な生活相談・支援の活動によって新たに発見された支援のニーズに対して、法定事業以外の支援を社会福祉法人が事業化することがございます。こうした場合には、現在の仕組みでは、社会福祉事業にも公益事業にも含まれないものになってまいります。公益事業の範囲については、告示を都度改定することが難しいとすれば、例えば、都道府県の地域福祉支援計画で必要と認めたもの、あるいは都道府県の社会福祉審議会において地域が必要とすると認めたものといったような包括的な規定をぜひとも検討いただきたいと思います。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 後半では、これまでの御説明や発表を踏まえて質疑を行います。御意見、御質問のある方はお願いいたします。

 松原委員。

○松原委員 本日のテーマの地域貢献活動について、留意点は大きく4つあると思っております。

 第1は、この話の出発点として、雰囲気としては、今まで社福が、非課税であるにもかかわらず、こうした地域公益活動をしていなかったのはけしからん、だから義務化しろという風潮が感じ取れるのですけれども、そうではなくて、今まではルール上できなかった。今まではAという事業で得た資金を勝手に別の事業に利用できなかったので、今指摘されている地域貢献活動が許される環境になかった。それは誰が悪いとかいう話でなく、社福が悪いわけでも厚労省が悪いわけでもなくて、社会環境に応じたそういうルールだった。それが今、社会環境の変化で、社福が色々な社会ニーズに対応する必要があるという中で、資金の流用をもっとしやすくしましょうと。そういう社会環境の変化の中で出てきた話だという認識を出発点として、これは社福がサボッてきたから懲罰的に義務化しようという話ではないのだという認識がまず必要だと思っております。

 第2は、本日の資料の2ページ目の「論点」の上から3つ目の○に「規制改革実施計画において、『すべての社会福祉法人に対して、社会貢献活動の実施を義務づける』とされている」とありますけれども、前回、課長からもお話があったと思いますが、あくまで余裕資金があるところがこういったことに投下しましょうということであって、赤字のところとか、または、将来必要な事業資金を持っていないところまで必ずしなければいけないということに対しては問題があるのではないか。財源をどうするのかという問題があると思います。

 また、それに関連しまして、ある程度これを義務化するにしても、経過措置を考えていく必要もあると思います。

 3点目としましては、地域公益活動を行うには、何を行うかによりますけれども、行うと、やはり継続性が求められると思うのです。この話の出発点として、内部留保が溜まっているのなら使ってくださいという話が背景にあったわけですけれども、使ったらなくなってしまうので、その際の継続性をどのように考えていくのか、また財源をどのように考えていくのかという継続性と財源の整理が必要なのだろうと思います。

 4点目としましては、何を地域公益活動とするかとも関わりますけれども、考え方として、余裕財産がある場合は使いましょうという話。では、余裕財産とは何なのか。言い換えますと、将来事業に必要な財産というものは何なのかということを原点に返ってしっかり検討しなければいけないと思います。これは今回のテーマではありません。今後のテーマとなりますけれども、これについては、例えば、将来何が起こるか分からない、分からないからそれは一切考慮しないというのは、経営上非常に無責任だと思うのです。経営ということを考えると、将来に対するリスクに備えていく必要があるという考え方が必要だろうと思います。それを考えないと、将来的に禍根を残すようなことになるだろうと危惧しております。あくまでも民間ですので、民間活力を生かした自立した経営を目指すという意味でも、ここは慎重に検討していく必要がある点だと思っております。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 三好委員、お願いします。

○三好委員 ちょっと質問させていただきたいのですけれども、先ほど御説明いただいた中で、全国老人福祉施設協議会、福間さんのお話がありました。ちょうど7ページのところになりますけれども、2000年の介護保険制度導入以前と導入後の認識のところで、地域における様々な事業サービスを実施しているところの認識が違うというお話がございました。私ども、市で法人を色々と指導していて、措置時代の流れが、昔から法人を作って寄附をして設立した方と、新たに2000年以降、事業に特化する、又は社会福祉事業として様々な事業展開をするといった方のほうが公益性・公共性が非常に高いのではないか、社会福祉事業に十分精通した上でされている方が多いのではないかと認識したのですけれども、御説明の中では、2000年以前の方のほうが非常に熱心であるというお話があったわけでございます。その辺の具体的なものというのがあるのでしょうか。もしございましたら、お話しいただければと思っています。

○福間委員 実際の意識調査まではできておりませんので、単なる感想のレベルに近い状態ではあるのですが、先ほど来、ノテ福祉会さんとか、他の方々の発表を伺っていても、やはり20年、30年という歴史を重ねている法人というのは、地域での問題の把握であったり、実際に介護保険事業以前からの福祉事業も随分やられておりますので、地域での問題の把握だったり、地域での人間関係とか、そういうものが歴史的に作られてきている部分は多いのではないかと思います。

したがって、実際のサービスでも、例えば社会福祉法人の減免というのは制度的なものですので、それを除いて、配食サービスであったり、色々な相談援助だったり、そういうことになると、直接関わっていく部分ですので、ある程度地域での関わりが作られているのといないのとでは違うのではないかというのが、私なりの感想です。

 もちろん、社会福祉法人として取り組まれたという2000年以降のところもございますが、中には、特養をやろうではないかと。そうすると、社会福祉法人にしなければいけないというところから、制度上やらなければいけないからやるということで、今、ここで議論されているようなところまでの意識があるところと無いところというのは、分かれている部分があるのではないか。いろいろなディスカッションをしていても感じるところなので、あえてそういうことを言わせていただいているということです。

○田中部会長 ありがとうございました。

 堀田委員、お願いします。

○堀田委員 さまざまな取組を伺って非常に勉強になりました。伺いながら、改めてこの「論点」で示されているところ、それから、これまで既に様々な検討会の中でも御指摘があったところではないかと思うのですけれども、地域のニーズに従った形でどのように地域公益活動を展開するのかを考えたときに、行政の関与の在り方なども書いてありますが、多分、二段構えで考える必要があるなと思われます。地域のニーズを把握する仕組みに関しては、それこそ介護保険の方では日常生活圏域ニーズ調査などがありますし、地域ケア会議とかも含まれているところなので、各法人ごとにばらばらにそれぞれニーズを把握するということも、それはそれで突き詰めていただければと思うのですけれども、面としてこの圏域全体でニーズを把握するということの中に、地域福祉の分野ではコミュニティー・ソーシャル・ワークでなどもきっとやられているし、それらのものもできれば地域ケア会議とかに持ち込んでいただいて、地域福祉計画と書いてありますけれども、地域包括ケア計画の中に日常生活圏域の中の様々な領域を超えたニーズが反映されていくことを期待して、その中に、この地域公益活動に期待するような領域みたいなものも設定する。それが市町村単位なのかどうか分からないですけれども、まずは地域を基盤としてニーズを把握するというのは、自治体なり何なり、このレベルで考えていくことが必要ではないかと思います。

 そこで、保健所単位だか、どのレベルでやるかはちょっと検討する必要があると思うのですけれども、その上で、地域包括ケア計画か何かに位置付けたその地域のニーズを反映した実行領域みたいなものがあったとして、それに基づいて、その地域の中にある各社会福祉法人がこの地域公益活動をしっかりやっていくという上では、各法人の中に地域密着型サービスの運営推進会議みたいなものかと思うのですが、様々な関係者を入れ込んだ形で、面で把握したニーズを基にやっていくということを担保しながら計画を作ってやっていくみたいな二段構えのほうが効率的なのではないかと思いました。

 というのが、前半申し上げたかったことです。

 とはいえ、既に検討会の報告書でも例示されているところですし、様々な調査も行われているので、始まりのところの実行領域みたいなものもある程度作っていけるのかなという感じもしたのですけれども、お話を伺っていて感じたのは、生活の中での課題が複雑化して、複合化して、再生産されているという中で、改めて本人の力、その環境であるところの家族の力、地域の力、あるいは仲間の力を引き出すにはどうしたらいいかということに向けて、皆様、日々様々なイノベーションをやっていらっしゃるのだろうなと感じたのです。

 話をお聞きしていて感じたのが、その複雑化する中で、本人、家族、地域の力を引き出すために皆様がやっていらっしゃることは、領域を超えるということと、世代を超えるということが1つポイントになっているのかなと思いました。その領域というときには、法人種別も超える、社福法人の中でも同様ということでしょうし、もしかしたら民間とも一緒に地域の中でネットワークということの意味の領域でもそうですし、高齢・障害・母子、さらに他の一般のビジネスとか、スポーツとか、アートとか、農業とか、いろいろ組み合わせていくということもあると思うのですけれども、そういう領域を超える、そして世代を超えていくみたいなこと。そういうことができていくための場を作るとか、交流であるとか、中にこもっていた資源を外に出すとかということなのかなと思われましたので、それぞれの団体がやっていらっしゃる様々なことを基に、この論点にもありますが、公益活動というものをどのように位置付けるかということの考え方は、多分、1回で済むものではなくて、ある程度きちんと議論をする継続した場が、関係団体の中でも結構ですが、あってもいいのではないかと思いました。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 対馬委員と同様、個別の地域のニーズをそれぞれ把握するだけではなくて、地域包括ケアシステムの計画の中でどのように考えるかという方向も重要だとの御指摘ありがとうございます。

 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 松原委員が言われたことに私は基本的には賛成です。

 まず、仕組みの問題で、今まで硬直化というか、社会的貢献ができるようなシステムになっていなかったのではないかと。具体的には、例えば我々が色々な事業を展開する場合に、措置費だからそちらに回してはだめ、公益事業のほうに回してはだめと指導されることがあります。そういう事業との職員の兼務もだめというように非常に硬直しています。

例えば児童の分野で言えば、職員配置などにしても、制度そのものが戦後ほとんど変わっていない。そんな中で、必死になって様々な新しい事業に取組んでいるので、剰余金などは出ないわけです。松原委員が、財源を持っていない法人のケースについて話をされました。そういう意味で、今、児童虐待が6万6,000から7万3,000というような形でうなぎ登りに増えていて、計算上3日に1人が亡くなっているという状況です。ニードの把握はもとより、今、目の前にある危機的な状況への対応が常に求められています。

 そういう中で「社会的養護の課題と将来像」を、厚生労働省と我々が議論の末に作りあげ、それを何とか29年度には実現しようということで今進めていますけれども、そのすき間、足りない部分は民間である社会福祉法人が必死で対応しているわけです。その「社会的養護の課題と将来像」でも、地域展開ということを3本の柱の1つにしています。

 社会的養護の分野には、今、4万7,000人の子供がいるわけですが、さらに地域には、支援につながらない子ども達がたくさんいます。だから、在宅の支援も含めて、何とか支援の仕組みを作ろうということでやっています。民間の先駆性、献身性、あるいは民間の活力といいますか、そういうものを社会福祉法人は担ってきました。今後も、社会福祉法人がその力を存分に発揮できるよう、税制の問題も含め、社会福祉法人制度をよりよいものにしていただきたいと思います。

○田中部会長 西條参考人、お願いします。

○西條参考人 まず、本日発表いただいた各事例につきましては、どれも立派な地域貢献活動でございまして、日頃から地域福祉の向上に向けて様々な活動に取り組んでいただいていることを、自治体として感謝申し上げます。

 問題は、本日、武居委員に提出いただいた資料の4ページ、5ページに「『地域における公益的な活動』のイメージ」というのが整理されておりますけれども、所轄庁としては、この事業は何をやっても特段構わないといいますか、自主性を尊重して構わないという考え方を持っています。ただ問題は、法令に基づいて社会福祉事業として認可できるか、あるいは課税・非課税の対象とする事業なのかという判断をどうするかということなのです。

 例えば、この中で大阪府さんの方でもやられています生活困窮者支援を神奈川県で始めています。同じようなスキームで事業をやっているのですが、これについては既に社会福祉法上位置付けられている第2種事業でございますので、所轄庁としても認可をさせていただいています。要は、誰がどの事業を社会福祉事業として判断するか。これは、法律上しっかり明記する必要があるのではないかと考えております。

 もう一つ議論になっています「義務付ける」ということをどう法的に担保するのか。法人の自主性、自立性というものは当然守らなければいけないし、社会福祉法上でも経営自主権は法人の根幹となることでございます。これを侵すようなことがあってはならないと考えております。

 行政が計画に基づいて法人に何か事業をお願いするというのはどうもなじまないのではないかと考えております。行政の指導を強化すると、逆に、行政に守られているという、また措置時代に逆行するという懸念もあります。

○田中部会長 平川参考人、お願いします。

○平川参考人 ありがとうございます。

 大変先進的な事例が発表されておりまして、興味深くお話をお聞きいたしました。ぜひともこういう取組が全ての社会福祉法人で普遍的な取組となることが大変望ましいと考えているところであります。

 老施協から出されました資料4の5ページから6ページに関連して、これは生活困窮者に限った取組と思いますが、社会福祉法人減免について取り組まれているところは大変多いと思います。その一方で、他のサービスについては10%台という形になっておりまして、これをどうやって普遍的な取組として進めていくかというのが課題かと思います。これについては、社会福祉法人にそれを強制するという考え方も確かにあるかもしれませんが、主体的な判断として社会福祉法人がよりこういう形で取り組んでいくべきだとも考えていたところであります。

 様々な発表があった中で1つ気になったのは、通常の社会福祉事業の延長線上の取組であるのか、それともそれとは全く別なのかというところが余り整理されていないのではないかというところです。地域公益活動についての類型化というのが全社協の社会福祉施設協議会連絡会から資料として出されておりますけれども、このような類型化をする中で、行政がどのような形で、地域公益活動であるのかどうなのか、認可するのか認可しないのかということも含めての整理が必要ではないかと考えているところです。

 社会福祉法人が持つ社会資源は地域に貢献していくことが大変望ましいと思いますので、それを制度的にどうやって類型化していくのかというような課題があるのではないかと思います。

 あと、余裕資金があるかないかによって、地域公益活動をやるやらないというような議論もありますけれども、基本的には、こういう社会貢献活動は、資金のあるなしにかかわらず、社会福祉法人の本来的な取組ではないかと考えているところであります。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 猪熊委員、それから川井委員の順でお願いいたします。

○猪熊委員 非常に参考になる発表でありがとうございました。

 武居委員と対馬委員に質問いたします。

 武居委員の資料「社会福祉法人であることの自覚と実践」は非常に参考になりました。この4ページ、5ページの表に書かれているところを見ての質問です。といいますのも、社会福祉事業・公益事業と、地域公益活動との関係がどういうものなのか、前回の部会の時にも、どう整理すればいいのかというのがよくつかめなかったので。この表を見て考えを進めることはできたのですが、本日、武居委員に出していただいた4ページ、5ページの表と、事務局が資料1で出しております「業務運営・財務運営の在り方について」の3ページの「財務規律のイメージ」の表を照らし合わせて見ていて、両者の関係性についてお尋ねしたいと思った次第です。事務局の3ページに「社会福祉法人の事業」の中に、「社会福祉事業」「公益事業」とございます。社会福祉法人として認可されている主体たる事業、本来事業ということだと思います。それを行った上で、余った資金で行うべきとされる地域公益活動というのがあります。ただ、今日の発表を聞いていると、地域公益活動はみんな重要なもので、こういうものをやるのが社会福祉法人の役割というか、本来事業にしてもいいのかなというぐらい重要なものだと思うのです。

 さて、武居委員の4ページ、5ページの図表を見ますと、社会福祉事業は第1種、第2種とございます。下の方に公益事業とございます。事務局の方の事業と照らし合わせてみて、ここに書かれているものは、社会福祉法人が本来やる事業を書いているものなのか、本来事業をした上で余った資金で行う地域公益活動というのはこの中に含まれて書かれているものなのか。うまく質問ができないのですけれども、そこの区分けをどのように考えていらっしゃるのか。そもそも、制度で定められた社会福祉事業をやるのは当然で、それにとどまらない地域貢献活動をせよと言っているのですけれども、本来事業と地域公益活動というものの整理を武井委員がどう考えていらっしゃるかというのを、改めて、この図表の上でお聞きしたいというのが1点です。

 あと、対馬委員にもお尋ねがございます。7ページと8ページのところです。地域包括ケアの要となる事業には、小規模多機能と定期巡回・随時対応があり、それらは、営利企業の方が社会福祉法人よりやっているというお話がございました。これらは介護保険事業なので、介護報酬から運営費が出ているというものですが、なぜ赤字が出ていても営利企業がこれほどできているのかということを、もし御存じでしたら教えていただきたいというのが質問です。

○田中部会長 お答えいただけますか。

○武居委員 それでは、私から。

 先ほどの4ページ、5ページについての猪熊委員の御質問ですが、既にやっている事業について、各施設や法人が自分たちが地域における公益的な活動だと考えているものを挙げてもらって、それを分類して整理するとこの表のようになるのではないかという整理の仕方ですので、今後考える地域における公益的な活動そのものがどのように位置付けられるかというように位置付けたわけではないことをまず事前に御理解いただく必要があるのではないかと思います。

 その上で、当初、地域における公益的な活動は、財源の当てがないものを中心に考えるべきではないかという話があったと思います。したがって、そのことがありましたので、現行で社会福祉事業に位置付けられているものの中にも、財源の当てがなく、自己財源でやっている社会福祉事業もありますねというようなことでここに書いてあるというようなことで整理をしてあると思います。

 そして、私が最後にお話をしたのは、こういう色々なものがあるのだけれども、社会福祉法人が本来やる事業の1つとして地域における公益的な活動を位置付けるのだとしたら、社会福祉事業などと全然別のものとして位置付けるのはやはりおかしい感じがいたします。

 ただ、その場合に、先ほど神奈川県の委員からもお話がありましたように、現行の社会福祉事業に位置付けられるかどうかを判断してしまいますと、非常に限定列挙された、要するに硬直的な内容しか社会福祉事業として位置付けられない現行制度の枠の中で考えてしまいますと、それはもう全くはみ出したものになってしまいますので、もう少しフレキシビリティーのあるような事業について第2種社会福祉事業として位置付ける、これを判断するのがむしろ必要だと感じる地域の中での機関がその意味を判定すればいいのではないかというような意味合いでお話を申し上げました。

 この程度でよろしゅうございましょうか。

○田中部会長 対馬委員、お答え願えますか。

○対馬委員 私は2025年の地域包括ケアシステムの中で要となるのが小規模多機能型居宅介護、もう一つが定期巡回・随時対応型訪問介護看護と考えています。現在、この各事業を行っている法人としては営利企業が多く、その次が、社会福祉法人です。

 2年前に会計検査院による小規模多機能型居宅介護についての検査が行われました。約40数億円の交付金を各市町村に支出しています。その結果、交付金を受けて事業を立ち上げたにもかかわらず、検査の結果、事業所に行ってみると、利用者より職員の数が多いという実態だったわけです。要するに、利用者が小規模多機能型居宅介護を使っていないということでした。

 小規模多機能型居宅介護の運営は大変難しいです。我々も20カ所以上の事業所を経営していますが、事業として経営を黒字にするノウハウが必要なわけです。そういう意味では、将来を見据えて、営利企業については2025年の「地域包括ケア」を担おうとしたところについては、赤字部門であってもノウハウの構築のために積極的に取り組んでいます。

 次に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護についても、今、403ヵ所の事業所があります。多くの営利企業がこれを担っています。私は、もともと社会福祉法人で特養介護をやってきて、その中で21世紀を見据えるとこういったサービスが必要だということで開発実践をしてきたわけであります。介護を売りとしている特養が残念ながらこのサービスをやっていないところに大変疑問を感じているわけです。社会福祉法人で特養をやっている事業者が、まさしくこういう事業を赤字を出しながらも頑張っていけば、今回のような、社会福祉法人に対する批判はなかったと考えます。特養は、経営が楽な施設の中での介護をやってきていて、リスクを負う事業については、社会福祉法人が負ってこなかったために批判が出ていると思います。そういう意味では、営利企業は2025年の中で生き残りをかけた対策として赤字を出しながらやっているというのが実態ではないかと考えるところでございます。

○田中部会長 先行投資ではないかという解説でしたね。

 川井委員、どうぞ。

○川井委員 感想になるかもわかりません。

 初めにおっしゃっていた方もいらっしゃいますが、きょう御発表いただきましたお話等を聞いていまして、今回は、適正かつ公正な支出管理がされて、その内部留保として認められたものをどう活用するかということだったと思うのです。

 その中で、地域公益活動というのは何だろうといった整理をしていただいて非常に分かりやすかったのですが、地域公益活動の中には、例えばリサイクルとか街の清掃とか、そういう福祉から少し離れたようなものから、もちろん福祉としての活動があろうと思います。今日のお話を聞いていましたら、私の感想では、その福祉としての活動が主なのかなと思っています。

 そういう中で、現在も地域の中でボランタリー的にやれるし、自治会がやっているような部分をどうサポートしていくかというところの話。それから、「論点」の中にあります、規制改革の「すべての社会福祉法人に対して、社会貢献活動」という文面に対しましては、先ほど申しましたように、いわゆる内部留保をどう適正に活用していくかということですから、みんな必ずこれがあるという前提ではないわけです。あるところに対して適正に活用していただきましょうということですので、先ほど申しましたように、地域貢献的な、例えば、住民でもできるサロン活動のような支援であったり、見守り活動の支援であったりというものから、先ほど申しました生活困窮者に対する無料低額の福祉、施設を作るとか、箱物というものもあるのかもしりません。こういうことを考えていきましたら、財源を何パーセントその事業に掛けていくのかということも必要なのか。どう考えていったらいいのかというような議論も必要なのかなと思いました。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 福間委員、お願いします。

○福間委員 「論点」の中にございますけれども、社会福祉法の中で市町村との関わりとかを読んでいきますと、1つは、基礎構造改革で市町村の地域福祉計画の策定をきちっと義務付けて位置付けている。その中には、市町村が社会福祉を目的とする事業を経営する者の意見を反映させて、地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する計画を作るのだとあります。この福祉を目的とする事業というのは、先ほど武居さんがまとめられているところの社会福祉法人全体の事業そのものでありますので、そこにきちっと参画をし、そして地域全体に対して福祉を高める。そこで社会福祉法人が何をするかということを自らも考えていくということが1点だと思うのです。

 もう一つ、地域の協議会の関係で申し上げますと社会福祉祉法には歴史的には社会福祉協議会とも書かれているわけです。この市町村社会福祉協議会の構成員の中には社会福祉事業を経営する者が入る、入らなければならないと書いてあるわけです。この場合は、社会福祉事業を経営する者ですから、まさに社会福祉法人なわけです。ある意味で、それが形骸化されている部分もあるかもしれませんが、本来そういう形で関わっていれば、市町村の中で、住民も、民生委員も、自治会も、皆さん社会福祉協議会という中で一緒に考えて、そして行政が策定する地域福祉計画に意見を出していき、社会福祉法人も関わる。

 今の法律の中にあるこうした仕組みをうまく落とし込んで、どこかにそういう位置付けをきちっと明確にしていくと、住民なり行政が関与する協議会だったり、地域福祉計画とか、そういうものとの関わりがより明確になった上での公益の事業、地域公益活動というものの位置付けを整理すれば、新しく何かを作らなくても、今の体系の中でも整理されるのではないかと思うのが1点です。

 それから、もう一つだけ加えさせていただきますと、大阪での取組は私たちも大変勉強になっております。今申し上げた府の社会福祉協議会における社会福祉事業、社会福祉法人の傘下が元々法律で位置付けられている状態を、ある意味で日本で一番きちっと維持継続して強化されているのが大阪だと思うのです。多くのところはそこが形骸化されている。そういう形の中で、大阪は施設協議会が一緒になって取り組むということが行政もサポートしながら作られたのではないかと思います。これは、私は議論に参加しているわけではないのですが、自分なりにそういう感想を持っています。ぜひそういう点での構築を強化していただければと思います。

○田中部会長 地域の計画作りですね。地域包括ケア、あるいは地域の福祉の計画作りに参加することは、法人にお金がないとかあるとかによらず、そこに参加して計画を一緒にしていくことこそがまずはスタートである。大変いいことを言っていただきました。

 では、最後にお2人、田中参考人と藤井委員、お願いします。

○田中参考人 皆さんの報告に、日常の活動について、まず敬意を表したいと思います。

 感想になるのですが、私は地域と福祉事業という関連においては、従来から地域が福祉事業をどのように支えるかという視点であったと思います。戦後の様々な歴史があったと思います。それも脈々と続いていると思いますが、近年の色々な構造改革の中で環境変化があって、そしてそのことが問われているのだなと思います。ただ、その中において、福祉事業を地域が支えなくてはいけないという部分がまだまだあると思います。一律にこのようなものを義務化といいますか、明確化といいますか、ということは、少し慎重にすべきであって、それぞれの事業体に合った地域と福祉事業の在り方を考えていく必要があると思います。

 これは感想でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 猪熊委員が提起された問題はこれから重要になってくるのではないかと思うのですけれども、今の法令で言う社会福祉事業と、今ここで言っている地域公益事業との関係でございますが、社会福祉事業というのは、武居委員からもありましたように2つ特徴があると思います。1つは、限定列挙であること。限定列挙であるがゆえに、通所介護は社会福祉事業なのだけれども、訪問介護は違うとか、在宅介護支援センターは社会福祉事業だけれども、地域包括支援センターは違うとか、法律でそう決まっているからとしか言えないような線があり、一般の方にはちょっと分かりにくい点がある。

 2番目が、どなたかからありましたように、これが社会福祉事業に当たるかどうか。幅を持って読み込める事業については、それを読むかどうかが地方公共団体の側にあるということでございますから、社福のほうで、これはやる必要がある、社会福祉事業としてやれると思ってお願いに行くと、それは社会福祉事業ではない、公益事業ですねと。公益事業はうちの県では認めませんよみたいなことがこれまであったということの硬直的なことにあるのではないかと思います。

 今、ここで地域公益事業と話しているのと同様に、違う角度の2つの特徴があるのではないかと思います。1つは、自分たちの資産を投げ出す。前回との関係で、余裕資産、余裕資金の話が出ておりますが、松原委員がおっしゃったとおりで、今、余裕資金がないところはできないのかという話になってしまいます。私は、経営で言うところの見える資産と見えざる資産という観点が重要でありまして、見えざる資産、すなわち、地域とのネットワークであるとか、社福としてのノウハウであるとか、こういったものをお金の掛からない方法で、先ほど兼務すらできないというお話がありましたが、兼務することによって、これも厳密に言うとコストがゼロではないわけでございますけれども、どの社会福祉法人も、どの社会福祉事業も最低基準ぎりぎりで人を配置しているということはまずあり得ませんので、そういったプラスアルファの部分については、今の社会福祉事業のプラスアルファ部分を見えざる資産でやっていけるということを踏まえますと、私は義務化と。お金を使うかどうかというのは、松原委員のおっしゃるとおりで、義務化になじまないケースもあるのだろうと思います。

 この地域公益事業の定義として、見えざる資産、見える資産を社福の側から出していくのだと。つまり、行政からお金を出してもらうものではない。寄附に頼る、寄附を募るということも含めた上で自主的に出すということだろうと思います。住民の方のボランティアをお願いするということも含めて。

 2番目が、経営自主権といったお話がありました。これは、主体的に判断できる、自主的にやっていけるということが重要だろうと思います。行政からお願いされてもいいのだと思いますが、行政からお願いされたらやらなければいけないとか、行政に頼まれたので仕方なくやるということではなくて、やはり自主的に自分たちとして社会福祉法人のミッションとしてやっているのだと。したがって、様々な特徴もあると思いますし、自分たちの活動の特性を生かしたものになるのだろうと思います。

 ただ、そのときに、皆さんの議論にありますように、1番目の問題は、何をやるか、どう決めるかという問題。2番目は、どこの範囲まで入るか。これは猪熊委員がおっしゃったことだと思うのですが、それが出てくると思います。

 どう決めるかに関しては、私は、堀田委員の意見に基本的に賛成でございまして、まずは自主的に決めるということなのですけれども、前回来、申し上げていますように、何らかの地域からのニーズをくみ上げる。堀田委員は運営協議会として言及していただきましたけれども、私も運営協議会のようなタイプのものを必ず置いて、しかも、そこで議論されて、地域のニーズに合うということが、社福へのお願いといいますか、社福との協議としてきちんと残っていく。これが情報として行政も見られるし、地域の方も、あるいはホームページに出していただいて全国的に見える。その中から自分たちとしてやっていくもの、やらないもの、今取り組むもの、将来取り組むものを決めていく。そういう決め方。

 さらにこれは「2段階」と堀田委員がおっしゃったような、地域福祉計画であるとか、さまざまな地域包括ケアに関わるものとうまくリンクするようなものになる仕掛け、仕組み立てが必要なのだろうと思います。地域の計画として、ニーズがあるものが、今喫緊にあることをやらないで、社福はこれがやりたいというのではなくて、やはり地域のニーズに調和する仕掛け、仕組みですね。かといって、やらされている感の中でやりますと、いいものができませんので、あくまでも社福が自主的に考えて地域のニーズに対応していく、あるいはイノベーションを起こしていくということだろうと思います。

 2番目は、どこまでを地域公益事業として見なすのか、あるいはあり得るのかという点。猪熊委員がおっしゃった、これは福祉ではないでしょうと例示されたのが実は福祉と関連してきているのが今のややこしさだろうと思います。ごみの問題であるとか。

 と言いますのは、社会福祉法人に新たな役割を期待していることもあると思うのですけれども、これまでの福祉というのが、家族とか、地域とか、そういったものがかなりカチっとしているところに乗ったところで社会福祉事業みたいなものがあったのが、そういったものに期待できない。1970年代に日本型福祉の含み資産みたいなことで言われたものが、もう含み資産でなくなっている状況の中で、そこで社会福祉法人がどうしていくかということでございますから、私は、地域の産業おこしぐらいのことも社会福祉法人はやらないと、地域そのものが崩壊していくようなケースもありましょう。様々な地域と関わるようなことについては、幅広にニーズがあるのではないかと思います。

 もちろん、いくら何でもこれはというものはあるのでしょうし、おのずとどこかで範囲は設定するにしても、狭い意味での福祉の言葉にこだわらないといいますか、それを超えたようなことに社会福祉法人への期待があるのではないかと思います。

 以上です。

○田中部会長 三好委員、どうぞ。

○三好委員 短くお話し申し上げたいと思います。

 市の立場としまして、公益的な範疇は、福祉関連事業だけにこだわらず、社会貢献全体で地域で議論できる内容にしていただければと思っております。今回、地域の住民代表、福祉関係者も入れた協議会の活用ですとか、そういう意味でも、地域の意見を聞いて貢献活動を考えるということは大賛成でございます。ぜひその形をしていただきたいと思っております。

 ただ、指導している市の立場から申し上げますと、福祉事業そのものが市町村に限られるものではございません。したがって、参集範囲、エリア、活動も市町村を超える形がかなり多くの市町村であります。したがいまして、市町村だけの計画というわけではありませんので、広域的な検討ができる仕組みもぜひ必要だろうと私は思っております。市だけの限定ではなくて数町村。これは、一番始めにちょっと申し上げました指導ですとかそういうことにもつながるかもしれませんが、そういう全体を考えて、地域全体、面を大きく考えるような形のものが必要だろうと思っています。それは、専門性があり、また、多様性があります。したがいまして、一市、また一市町村の社協だけで考えられるものではないと思っていますので、その点もぜひ考慮に入れていただければと思っています。よろしくお願いいたします

○田中部会長 松原委員、どうぞ。

○松原委員 非常に簡単に一言だけ。

 社福ができるところはどんどん色々やっていけばいいと思うのです。先ほどから何度も繰り返しお話がありますように、地域の協議会だの、委員会だの、どんどん出席していただいて、自分たちができることは何かをそこでも探して提案していただけるということは非常にすばらしいと思います。大賛成です。ただし、かといって、地域にある問題は全部社福がやらなければいけないというような前提は違うと思います。例えば、自動車会社が自動車以外の事業をしないから社会から批判されるか、そんなことはないです。当然、今、社会貢献活動の問題で非課税絡みで話がありますけれども、学校法人が教育以外やらないからといって、教育以外の地域貢献をしろという話になっていないわけです。できるところはどんどんやっていかなければいけないと思います。地域の問題は全部社福がしなければという前提ではない。

 地域の問題の検討会に社福がどんどん関わって、積極的に発言、リードしていくのは重要だと思いますけれども、全ての問題が社福で解決するということでもないという前提も必要だと思っております。

○田中部会長 一わたり終わりましたけれども、私も一言言いたくなりましたので、2分ぐらい。

 今日の話のタイトルが、そもそも財務運営から出ているため、事務局の図柄でも財務状態が地域公益活動につながる書き方になっています。しかし、地域公益活動に参加する余裕資産は何もお金だけではないです。先ほど藤井委員も言われましたけれども、社会福祉法人が持っている広義の資産は、障害者ケアや高齢者ケア、児童ケアの技術であり、それを身につけている働いている方々であり、さらに社会福祉畑の人が持っている街作り、地域作りの機能も広い意味では資産なのです。ここで言っている余裕資産はお金の話ですが、社会福祉法人が持っている機能を使うことが地域公益活動であって、金だけに限ってしまうと、金がなければ行わなくてもいいとか、金があっても、それは将来事業のためだから取っておくのだから地域貢献活動を行わないなどの考え方になりかねません。地域公益活動を必ず社会福祉法人がするべきとの提示は、金を投下せよとの意味だけではないと最後に言わせていただきました。

 課長も本当は最後に何かおっしゃりたかったのかもしれませんが、よろしいですか。

 時間になりましたので、本日はここまでとさせていただきます。

 次回の開催について事務局より説明をお願いします。

○西辻総務課長 次回でございますが、1016日木曜日の18時から、厚生労働省内の会議室で開催を予定しております。詳細は追って連絡させていただきます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 これにて本日の審議は終了いたします。御多忙の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。また、発表いただいた方に感謝申し上げます。

 


(了)

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