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2014年11月27日 第8回医療法人の事業展開等に関する検討会 議事録

医政局医療経営支援課

○日時

平成26年11月27日(木)15:00~17:00


○場所

全国都市会館 大ホール


○出席者

田中座長 (慶應義塾大学名誉教授)
今村委員 (公益社団法人日本医師会常任理事)
堺参考人(大道委員代理) (一般社団法人日本病院会会長)
柴参考人(梶川委員代理) (日本公認会計士協会 常務理事)
川原委員 (株式会社川原経営総合センター代表取締役社長)
鶴田委員 (全国衛生部長会会長(静岡県理事))
西澤委員 (公益社団法人全日本病院協会会長)
日野委員 (一般社団法人日本医療法人協会会長)
松井委員 (立教大学法学部教授)
松原委員 (明治安田生活福祉研究所主席研究員)
塚本参考人(山崎委員代理) (公益社団法人日本精神科病院協会病院経営管理委員会委員長)
浦野委員 (全国社会福祉法人経営者協議会総務委員長)
太田委員 (公益社団法人全国老人福祉施設協議会総務・組織委員長)
瀬古口委員 (公益社団法人日本歯科医師会常務理事)

○議事

○田中座長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、第8回「医療法人の事業展開等に関する検討会」を開催いたします。

 議事に入ります前に、事務局より委員の出欠状況と資料の確認をお願いします。

○事務局 まず、本日の出席状況でございますけれども、猪熊委員、橋本委員、長谷川委員につきましては御欠席との報告をいただいてございます。大道委員、梶川委員、山崎委員は御都合がつかなかったので、代理の方に御出席いただいておるという状況でございます。

 また、医政局長は所用のために欠席をさせていただいております。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認いただければと思います。

 本日の資料につきましては、議事次第のほかに、資料1「非営利新型法人制度の創設について」。

 資料2「医療法人制度の見直しについて」。

 資料3「医療法人の分割における適格分割について」。

 参考資料としまして、橋本委員からの意見出し。

 参考資料として、本検討会の開催要綱、委員名簿となってございます。

 資料の不備等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。

○田中座長 ありがとうございました。

 早速、最初の議題に入ります。まず、「非営利新型法人制度の創設について」です。前回の議論や省内での検討を踏まえて、事務局に加筆をしていただきましたので、説明をお願いします。

○事務局 それでは、資料1「非営利新型法人制度の創設について」をごらんいただければと思います。

 おめくりいただきまして、「地域連携型医療法人制度(仮称)のポイントと論点」ということで、今し方、座長からもございましたけれども、前回の御議論とか事務方としての検討などを含めた形で加筆させていただいております。

 まず、この名称につきまして、地域連携型医療法人という、委員から御提案のあった名前を使わせていただいてございますけれども、ほかにもいい名前がないかという御意見もあるように聞いてございますので、また御意見いただければと思ってございます。斜体字になっておりますところは、前回資料とおおむね変わっていないような内容になってございます。ゴシック体、黒い太字になっているところが、今回、矢印をして内容を書きかえた内容、矢印がない場合には単なる追加という形で加筆しておるところでございます。

 まず、1.新型法人の事業地域範囲の関係でございますけれども、前回まで2次医療圏を基本としてという表現をさせていただいてございましたけれども、昨今の法改正の考え方も踏まえまして、地域医療構想区域が適当ではないかという御意見がございましたので、それに合わせるような形で書かせていただいてございます。

 2.新型法人の対象範囲。

 1つ目は、複数法人の参加でございます。

 2つ目は、参加法人等の範囲でございます。矢印の先でございますけれども、参加法人の範囲につきまして、事業地域範囲内における医療事業を実施する法人とすることとしてはどうかということで、その上2行の斜体字のところでございますけれども、前回の資料では、法人・個人を問わずという表現をさせていただいてございましたけれども、個人はなかなか難しいのではないかという御意見がありましたことから、こういう法人という仕切りとしてはどうかという形で書いてございます。その場合、社団の場合は参加法人を社員に、財団の場合は代表する人を評議員という形で、それぞれ新型法人に参画していくということではどうかという話。

 あと、社会福祉法人、いろいろございますので、どういう形なのかというのは引き続き検討することとしてはどうかということでございます。

 おめくりいただきまして2ページ目でございます。

 2つ以上の事業地域範囲、広範囲で病院を開設している法人や自治体病院の取扱いを書かせていただいてございます。これは前回と同じでございますけれども、法人として全国的な独立行政法人、日赤法人といったところが参加するけれども、3行目、対象を当該地域の病院に限って参加。例えば仙台医療センターとか岡山病院といったようなところに限って、それぞれの新型法人に参加することとしてはどうかという話を書いてございます。

 中段の次のポツでございますけれども、地域内の介護事業を実施する者の関係でございますけれども、社会福祉法人制度改革が現在議論されているということで、その中の公益性・非営利性といった形で規制が厳しいので、どういう形がいいのかという課題があるという考え方。一方で、地域包括ケアの観点から、介護事業を実施する法人も対象とする考え方ということで、ある意味両論を書かせていただいたところでございます。

 3.新型法人の業務内容ということで、(1)統一的な事業実施方針の決定でございます。新型法人の主な業務でございます事業実施方針の決定でございます。その内容を2ポツ目にゴシック体で書かせていただいてございます。中ほどから、医療機能の分化・各医療機関の連携といった事項は必須でどうかという話と、次のページからございます、その他の業務に関してはどうするかというのは、それぞれの法人の自治に委ねることとしてはどうかということでございます。

 おめくりいただきまして3ページ目でございます。今し方申し上げた、その他の業務の関係でございます。

 幾つかございますけれども、まず1つ目が参加法人の共通業務、管理業務といったものでございます。キャリアパスの構築、共同購入、資金貸付といったものを想定してございます。

 その中の2ポツ目の資金貸付の関係でございますけれども、3つ目の段落で矢印で書いてございますけれども、資金貸付というだけではなく、実際の現金を伴わないような債務保証や出資を一定の範囲に限って認めて、一方で贈与については認めないという考え方。一方で、現行の医療法人と同様に、貸付については認めないといった考え方があるのではないか、引き続き議論が必要。これにつきましても、先ほどもありましたけれども、社会福祉法人は対象としないこととしてはどうかという形でございます。

 2つ目の「○」としまして、関連事業を行う株式会社・一般社団法人等への出資ということでございます。

 新型法人は、原則として出資はできないこととするが、関連事業への出資に一定の条件を付することも含めて、どのように考えるのかというのが前回でございますけれども、矢印の先でございます。株式会社への出資は認めないという考え方と、一方で、地域包括ケアの実現を推進するには、この新型法人の設立趣旨の達成に必要な範囲内にある関連事業に対しましては、3行目からですが、新型法人側が意思決定を主導することを担保するために株式保有割合を一定以上、例えば過半数以上などということを条件に出資できるとする考え方があり、引き続き議論が必要というものでございます。

 それに加えまして、一般社団法人の中に、例えば基金を持っているところであれば、そういうところに出資するとなれば贈与とならない形なので、そういう中で一定範囲内で認めることとしてはどうか。

 あわせまして、当該出資の状況については、毎年度、知事に報告することで制度を担保してはどうかということでございます。

 おめくりいただきまして4ページ目でございます。

 新型法人自身が病院を経営するかどうかの観点でございます。矢印の先でございますけれども、経営リスクや業務負荷がございますので、本部機能に支障のない範囲として認可された場合に限って認める考え方。一方で、本部機能に逆に特化する観点から、認めないという考え方と両論ありますので、引き続き議論が必要。

 下のブロックでございますけれども、管理運営経費の徴収ということで、前回、基準が曖昧なのではないかという御指摘をいただいたところでございます。矢印の先でございますけれども、1ポツ目、事務局人件費、事務室賃貸料、総会開催経費といったものにつきましては、会費等として支出する。

 一方で、研修・購入のような共通事務・共同業務につきましては、業務委託として個別に委託料を支出することではどうかということでございます。

 おめくりいただきまして5ページ目で、新型法人のガバナンスの仕組みの関係でございます。

 1つ目、議決権の取扱いでございまして、かねてより大きな議論になってございますけれども、1つは、各社員は1個の議決権を有するという現行の医療法人制度と同様とする考え方。もう一つは、原則として1個の議決権を有するけれども、公益認定法人に準じて定款で別段の定めをすることができるとするといったものでもいいのではないかという考え方でございまして、引き続き議論が必要ということでございます。

 下のほうは、参加法人の統括方法等ということで、黒字のところでございます。前回も資料の図の中に描いてあったものを字に落とし込んだものでございますけれども、新型法人の意見聴取・勧告とか協議・承認のような事項になるのは、参加法人の該当事業に係る予算、借入金、事業計画といったものなどに関することでございますけれども、3行目、これらに加えて、各法人ごとに対象事項、例えば役員の選任などを追加することもできるということでございます。

 その下の*印でございますけれども、統括の関係で言いますと一般の医療法人社団の関係でございますけれども、自然人だけではなくて、法人も社員になることを明確にしてはどうか。この場合も、当然でございますけれども、営利法人は社員になれないという形でございます。

 おめくりいただきまして6ページ目でございます。参加法人の加入・脱退ということでございまして、これは前回とほぼ同じで、最後の*のところで、一般社団法人・一般財団法人という一般法規定と同様の制度だということを書いてございます。

 2つ目のポツが新型法人の理事長要件ということでございまして、これは複数の法人を代表している重要な職務なので、全て知事の認可を経るとする考え方でありますとか、現行と同じように原則医師で、知事の認可があった場合に医師でない者も選出できるといった考え方があり、引き続き議論が必要。

 3つ目の「○」でございますが、地域協議会の開催の関係でございまして、前回御意見いただいたところでございまして、3ポツ目ですが、地域医療に関して設定した目標・貢献度を基に、設立の目的を達成しているかどうかというのを評価することとしてはどうかということでございます。

 おめくりいただきまして7ページ目でございます。

 5.新型法人の非営利性の確保等ということでございまして、3つ目の「○」でございますけれども、設立認可の際に医療審議会の意見聴取ということでございます。現行の医療法人制度と同じでございますけれども、設立認可の際には医療審議会の意見を聴かなければならないとした上で、知事が認可することになってございまして、それは今般においても同じだという趣旨でございます。

 その下でございますけれども、6.新型法人の透明性の確保ということで、参加法人の病院が新型法人に入っているか入っていないかが一般の方々にもわかるような形で、それを表記する。くだけた形で言えば、ロゴマークをつけるような、同じような標識のようなものが必要ではないかということでございます。

 3ポツ目、前回、意見が多かったところでございますけれども、全体を通した連結した財務諸表と呼んでいいのかはあれですけれども、必要なのではないか。これは、統一的な運営に資するというメリットがあるのではないかという御意見でございます。ただ、会計基準が異なる多様な法人が参加するということでございますので、技術的な課題を整理しつつ、検討することとしてはどうかということでございます。

 あと、本日、御欠席でございますけれども、橋本委員から参考資料ということで、後ろのほう、「意見出し」をいただいてございます。細かい内容とかも多うございますので、ポイントだけ御紹介させていただきまして、この後の御議論に役立たせていただければと思います。

 1ポツ、2ポツの話は連動しているような話でございまして、先ほど1ページ目、特に2ページ目で引き続き議論が必要と入れてございますけれども、医療事業・介護事業という範囲をどう考えていくのかということについて、介護事業についても含んだほうがいい。医療事業だけに限定するのはどうなのかという趣旨の御意見だと理解してございます。

 3番は、その次の統一的な事業実施方針の決定というものが、どういった内容になるのかというのをもう少し詳しく、病床区分の再配分、病床数規制の緩和といったものの検討が必要ではないかという御意見でございます。

 4ポツは、関連事業を行う株式会社・一般社団法人等への出資ということで、これをもう少し範囲を広げてはどうかということでございます。

 5ポツは、参加法人の統括は、事業の統括を行うのか、法人を統括するのかということでございます。これは表現ぶりがちょっと難しいのですけれども、この場でお答えすると、事業の統括を前提としまして法人を統括するという、両方あわせ持ったような形なのかなと理解してございます。

 6ポツが、地域協議会の地域関係者は、いろいろな方がいるのではないかという御意見でございます。

 7ポツですけれども、非営利性の話でございまして、医療審議会の話は先ほど申し上げたような形で、現行の医療法人制度でも、非営利性の担保のために医療審議会の意見を聞かせていただいているということと連動したような考え方だということでございます。

 8ポツ、透明性の確保で、外部監査、財務諸表の公告に加えまして、ミッション、経営方針、経営活動といった報告も義務づけるべきという御意見を橋本委員から頂戴してございます。

 長くなってしまいましたが、以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 きょう、前半ではこの資料1を議論いたします。

 初めに、名称の話を取り上げます。前回、地域医療連携型医療法人なる名前も提案されました。私の個人的な意見ですが、いいとは思うのですけれども、次の点から、私はこの新しい法人を地域医療連携型医療法人とするのには賛成しかねます。理由は、全ての医療法人は地域連携を行うべきだからです。地域連携型という名前をここがとってしまうと、ほかの法人は地域連携しなくてもいいのかとか、していない法人というとんでもない誤解を与えてしまうので、本来、医療法人は全て、あるいは99%は地域医療連携を行うべき存在です。したがって、新型法人だけを地域医療連携型と呼ぶのには違和感があります。

 地域連携はとても大切です。とても大切であるがゆえに、特定の少数だけできるかもしれない、この法人が名前をとることには違和感があります。以上が私の意見ですけれども、皆さん方、どのような名前があるかないか。今まで統括もありましたし、いろいろな案がありますけれども、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○今村委員 私としては、前回、地域連携型医療法人ということで一応可としたのですけれども、座長がそう言われればそうだなという感じもしますので、再度、統括医療法人ということでどうでしょうか。

○田中座長 いかがですか。地域が入ることは問題ないですね。基本的に地域単位の話をしていますから、地域の後につく形容詞を、医師会案の統括とか統合とか連合とか、何かつけたらどうかと雑談で話していました。連合は、特定の団体の名前があるからよくないかもしれないけれども、地域統括型とか地域統合型とか地域連合型とか、何か思いつかれないでしょうか。きょう決める必要はないですけれどもね。病院団体は特にないですか。

○西澤委員 すぐにはちょっと思い浮かびません。

○堺委員代理 今は特に思いつきませんけれども、座長がおっしゃったように、地域連携というと余りにも限定してしまって、ほかの法人を除外する懸念があるのでよくないと思います。統合というのは、余りにも英語を直訳という感じで、もうちょっと独自性のあるものを次回までにまたお考えいただいたらいかがですか。

○田中座長 では、それで事務局は大丈夫ですか。もう少し皆さん方の案を伺ったり、事務局も頭をひねったりして、地域何とかの部分をわかりやすい言葉にしていきましょうか。

○事務局 私どものほうでもいろいろ考えてみたいと思います。また、委員の皆様もよい案があれば、事務局のほうにいただければと思いますので、お願いいたします。

○田中座長 ありがとうございました。

 次に、ただいまの資料の1から3、「新型法人の事業地域範囲」、「新型法人の対象範囲」、「新型法人の業務内容」の最初の4ページについて、委員の方々から御意見、御質問があれば発言をお願いいたします。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 まず質問ですけれども、「医療事業(病院、診療所等)」とありますが、この「等」というのはどういうものを想定しておられますか。

○事務局 現行の医療法人が行っておりますのが、病院、診療所、あと老健施設ということでございますので、基本的に老健施設を念頭に置いているということでございまして、済みません、今回の資料上は「等」という書き方をさせていただいたということでございます。

○今村委員 私どもが主張しておりました医療機関を経営するという意味と、この医療事業を行っている者が参加するということで理解してよろしいですね。

○事務局 それは、その理解で一致していると思っております。

○今村委員 ありがとうございます。

 個人は参加対象としないという御説明がありましたけれども、それはそれでよろしいのではないかと思っております。

 それから、業務内容にかかわることですけれども、新型法人から参加法人への貸付、それから債務保証及び出資というのは「剰余金の配当とみなされる」場合には、当然のことながら認めないということですね。

○事務局 それは、当然そうなります。

○今村委員 それから、参加法人間の貸付については、参加法人内部の支配関係といいますか、こういうものが懸念されるということで、これも認めないということでよろしいですね。

○事務局 貸付をどのようにこの新型法人の中で行っていくのかというのは、また具体的な方向、例えば新型法人が貸付を行うという主体に必ずなるということも一つの考え方だと思っておりますし、このあたりの議論をまた事務的にも検討を続けていきたいと思っております。

○今村委員 従来から言っておりますけれども、金融機関からの融資を原資とするようなことをして参加法人に貸し付けるということはないのですね。

○事務局 金融機関は民間の事業機関でございまして、この新型法人自体も民間の機関でございまして、法律の制度上として、そこを規制、禁止するというのはなかなか難しいのかなと思ってございます。一方で、それをメーンターゲットにしているということでもないのかなと思ってございまして、どういう形がいいのかというのは、またちょっと考えてみたいと思います。

○今村委員 それから、ここに掲げてあります贈与禁止というのは、当然のことですね。

 それから、社会福祉法人が貸付の対象にならないということについても、これはそのとおりだと思います。

 また、新型法人への貸付というのは、社会福祉法人からだけでなくて、そのほかの公益性の高い法人、例えば公益社団法人とか独立行政法人とか学校法人とか社会医療法人といったものも対象外とするということで大体理解してよろしいですか。

○事務局 先ほどと同じような回答になってしまいますけれども、貸付などの制度をどういった形で行っていくのかということ。今、新型法人が借りる場合ということをおっしゃっておられまして、後のほうにもありますけれども、本部経費だけでちゃんと賄い切れれば大丈夫でございますけれども、そうでない場合などの対応について、どのような制度がいいのかというのは、済みません、引き続き事務的にも検討していきたとい思います。

○今村委員 よろしくお願いします。

 それから、関連事業を行う株式会社、一般社団法人等への出資ですけれども、これは現行の医療法人制度と同様に出資は認めないという、この考え方は当然のことだろうと思います。その後に出てきます「一定の条件で出資を認める」案は、これは前提として、原則として出資はできないという理解でいいのですね。

○事務局 原則としてというのは、何という表現をしていいのかあれですけれども、当然、業務に関連する関連事業でないと、この場合であっても当然できないので、その上のほうの斜体字の括弧書きに書いてございますけれども、関連事業ですと、介護事業とか医薬品等の共同購入等とか。当然、この新型法人が全体として業務を行っていくという中の話でございますので、それ以外のところに出資するという話は当然認められないという制度をイメージしてございます。

○今村委員 それから、一般社団法人というような設立が比較的容易な法人の参入というのは、当然慎重にやらなければいけないということだろうと思いますし、この一般社団法人等への出資というのも認めないということで理解してよろしいですね。

○事務局 そのページの下のところ、一般社団法人への出資の次に基金に出資と書いてございまして、現行医療法人の中にも基金を持っている法人が幾つもあると思います。この場合の基金というのは、平たく言えば黒字になった場合に、それを原資にして出資元に返金していく。出資金は返ってくるという前提の、実態としてはかなり貸付に近いような制度としての基金への出資という概念でございまして、それは先ほど委員御指摘の贈与を認めないという話と近い概念でございまして、貸付という形に近いような基金に出資するということは、一つの選択肢ではあり得るのではないかという趣旨で、ここの部分を書かせていただいているということでございます。

○今村委員 いわゆる非営利性の確保といいますか、株式会社等への出資というのは、これは考えてみれば営利行為そのものと言ってもいいような感じなので、ここのところの非営利性の確保というのは、もっと厳重な感じで明記していただきたいと思います。

○田中座長 総務課長、お願いします。

○事務局 きょう、特にゴシックで提示させていただいているところは、幾つかの選択肢も含めて、こういう考え方もあるのではないかということで事務局から御提示させていただいているものでございます。一つ一つ、今、今村先生から御確認いただきましたとおり、事務局の意図としては、今、水野から御説明したとおりでございますけれども、そういったことでいいのか、あるいはもっと別の考え方もあるのか、もっと広く認めるべきという考え方もあり得るかもしれませんし、そういった点を本日御議論していただきたいという意味で資料を提出させていただいているということでございますので、よろしくお願い申し上げます。

○今村委員 もう少しつけ加えさせていただきます。新型法人自身による病院等の経営ですけれども、これは後段に、新型法人の本部機能に特化する観点から、新型法人自身による病院等の経営は認めないということですけれども、これは当然そういうふうにしていただきたいと思います。本来業務に支障のない範囲というのが非常に不明確といいますか、定義自体が難しいというのと、その病院が赤字になったら、支障が出てきたからやめなさいということも言えない。

 そもそも新型法人というのは、参加法人による医療や介護の提供を推進するということですから、これに支障がないということが前提だろうと思いますので、ぜひこれは守っていただきたいと思います。

 以上です。

○田中座長 今村委員からいろいろと意見がございました。

 ほかの委員の方々はいかがでしょうか。西澤委員、お願いします。

○西澤委員 今の今村委員の質問とダブることもありますが、1ページ目の参加法人等の範囲です。この「診療所等」は、いわゆる老人保健施設という説明がございました。医療サービスをしているということだと思いますが、例えば訪問看護ステーションなども医療をやっているわけです。医療保険からの収入があるわけです。このあたりはどのようにお考えでしょうか。

○事務局 現行の医療法人がやらなければいけない本来業務というのが、病院、診療所、老健ということを前提にしてございまして、今回も地域連携型医療法人(仮称)で医療法人という枠の中か、かなりそれに近いような法人制度でございますので、基本的には医療法人の枠と、その医療事業の考え方は同じにしていくのかなと考えてございますけれども、これもどういった範囲がよろしいのかと、先ほどの介護事業も含めて御意見いただければと思ってございます。

○西澤委員 関連ですが、社会福祉法人との関係ですが、ここの医療事業を実施する法人の中に、社会福祉法人も上のほうには含まれていると考えてよろしいのでしょうか。

○事務局 ここでは、医療事業を実施する法人の種類は医療法人に限らないような形で書かせていただいておりまして、この場合の事務局の意図としては、社会福祉法人など、ほかの法人も入っているという意味でございます。

○西澤委員 わかりました。

 それでは、これからの議論にもなりますが、病院をやっている社会福祉法人もありますが、病院をしていないが老人保健施設をしている社会福祉法人、それから、先ほど言った訪問看護ステーションを入れるとすれば、訪問看護ステーション事業をやっている社会福祉法人もその場合は対象となるという解釈でよろしいですね。

○事務局 前者2つは、医療法人のやっておる病院、診療所、老健と同じということで入ってくると思いますけれども、訪問看護ステーション自体は医療法人の本来業務としての範囲には入ってはいないので、そこの取り扱いをどうするのかというのは、また御議論いただければと思っております。

○西澤委員 もう一点よろしいですか。3ページですが、関連事業を行う株式会社等への出資ですが、関連事業を行う株式会社というのは、あくまでも新型法人と何らかの関係がある株式会社と捉えてよろしいのでしょうか。

○事務局 ここで書いている趣旨は、何らかのという以上に、事業として、基本は医療事業でございますので、医療事業に関係するような事業を行っているような、上の括弧内に介護事業・医薬品等の共同購入と、斜体字のほうに例が書いてございますけれども、新型法人の設立趣旨の達成に必要な範囲、この新型法人の業務に関係するという意味での関連事業と書いております。

○西澤委員 済みません、ここに書いてあるのは、新型法人がこの関連事業をやっている株式会社には出資できるとなっていますね。ということで、株式会社自体と新型法人との関係を聞きたかったのですが。

○田中座長 総務課長、お答え願います。

○事務局 ちょっと誤解を招くような表現で、大変申しわけございません。ここで言う関連というのは、事業の範囲としまして、事業の性格として、この新型法人の設立趣旨、地域医療連携でございますとか、さらには地域包括ケアの推進といった事業の範囲にあるものについては、出資できるようにしてはどうかということでございます。その代表例としましては、上の斜体になっているところでございますけれども、介護事業もあれば、医薬品等の共同購入等、ほかにもあるわけでございますけれども、そういったものの一定の事業の範囲にあるものを、まず確定させるということでございます。

 新型法人と、その出資先の関係ということになりますと、これは例えば株式会社の場合には株主ということになるわけでございまして、そういったことを前提に非営利側が、新型法人側が意思決定の主導権を握るという意味では、株式の最低でも過半数は持っているということになりますし、それでいいかどうかということも含めて、条件をつけた上で出資できるという考え方もあると思います。あるいは先ほどおっしゃったように、そういうこともやらないほうがいいのだという考え方もあると思いますので、そういった点につきまして議論いただきたいという趣旨の資料でございます。

○田中座長 堺先生、どうぞ。

○堺委員代理 先ほどの1ページに戻るのですけれども、医療事業についての西澤委員の御質問に対して、いろいろ御説明があったのですけれども、私の理解は、そもそもこの新型法人制度というのは、現状では地域包括ケアがなかなかうまくいかないので、少し考えようということだったと思うので、もしそうであれば、病院、診療所等にもうちょっと幅を持たせてもいいのではないかという感じがするのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○事務局 医療事業は医療事業ということだと思いますけれども、その医療事業の範囲がどういったものが適切なのかというのをまた考えていきたいと思います。

○田中座長 浦野委員、お願いします。

○浦野委員 参加法人の範囲について、もう一度確認したいのですけれども、「病院、診療所等を実施する法人」の中には、病院、診療所等を行う社会福祉法人も想定されるという御説明がありました。資料1ページの一番下のなお書きですと、社会福祉法人の具体的取扱いについては引き続き検討すること、とされています。また、資料の2ページでも引き続き議論が必要であるという書きぶりになっております。

 今、社会保障審議会福祉部会において社会福祉法人のあり方がかなり深く議論されている。その中でポイントは、非営利性をさらに徹底することや、ガバナンスを強化すること。その中で、非営利性という観点とガバナンスの強化という観点から言えば、特定の利害関係者の役員への就任が制限されていることに代表されるように、何か特定の外部の影響力の支配下に置かれるということがあってはならないという、ここが大事なところだろうと思うのです。

 その観点から言うと、早急に社会福祉法人を入れてしまうというのはかなり難しい話だろうと思います。そういう意味では、ご説明にありました病院、診療所等を経営する社会福祉法人も想定されているというのが、どういう意味なのかがわからなくなったので、確認したいと思います。

○田中座長 社会福祉の側の法律による規定について、どう思うかという御質問と理解しましたが、いかがでしょうか。

○事務局 今回の(仮称)地域連携型医療法人の一番の狙いとして、地域包括ケアの推進ということですし、その中でも特に地域医療の機能分化・連携みたいな話になってくるのかなと思ってございます。そういう意味で、事業としての医療に着目した形で、この地域連携型医療法人というのが設立されるのかなという理解に立つと、医療事業をやっている主体というものは、個人は別ですけれども、法人であれば、それが何法人なのかというのは特に区別をつける必要がない形で、幅広い参加があってはどうかなと考えていたところでございますけれども、いろいろ書いてあるとおりでございまして、まだまだ議論が必要な部分でございますので、ほかの方々も含めて御意見いただければと思っております。

○田中座長 太田委員、どうぞ。

○太田委員 ただいま浦野委員からの御発言もございましたけれども、前回の検討会でも申し上げさせていただきましたが、社会福祉法人も医療法人もそれぞれ特有の社会的使命を持っており、役割・責任を果たすために、それぞれの法人法とか事業法などが定められておりますので、法令に沿った組織運営、事業運営をまずは優先していただくべきということは、前回と同じ意見でございます。

 本日の資料のスライド2にゴシック体で書かれております、いわゆる「地域内の介護事業を実施する者については」、公益性や非営利性を確保する観点から厳しい規制が講じられていることを踏まえれば課題があるという書きぶりもございますし、地域包括ケア推進の観点から介護事業を実施する社会福祉法人等も対象とするという考え方も両論併記の形で記載されておりますので、引き続き御検討いただきたいと思います。

 いずれにしましても、現在、社会保障審議会の福祉部会で介護事業を実施する法人については、地域の介護・福祉を守る拠点としての特性を生かした地域支援のあり方が検討されているところですので、もう少し福祉部会の議論を見守っていただきたいと思っています。

 以上です。

○田中座長 松井委員、どうぞ。

○松井委員 今の参加法人の範囲につきまして、社会福祉法人に関しては、もし連携したいのであれば、新型法人に取り込まなくても、個々に提携関係を結べばやれるわけです。では、新型法人に取り込むという議論のどこに意味があるかというと、仮に社会福祉法人が提携関係にある医療法人群と違う戦略をとろうとしたときに、新型法人の側からある程度拘束をかけられるということに多分一番の意味があるだろうと思います。そうだとしますと、実態として、今、そこまで拘束をかけたいという需要があるのかどうか、いま一つわからないというところがございます。

 例えば、ある社会福祉法人と連携をとって、その連携関係にある社会福祉法人が突然変節して、新型法人の方針と全然違う方針をとり始めた。この場合に幾らでも代わりの社会福祉法人が見つかるのであれば、それはそんなに大きな問題ではない。逆に、参加法人である社会福祉法人に変節されると代替が利かず、非常に戦略的に困るということになると、それは拘束できるようにしておかなければいけない。

 そのあたりの実態が私はよくわからりませんので、何か具体的な提案があるというわけではございません。ただ、もしそこまで強く社会福祉法人を拘束しなければいけないという理由がなければ、いろいろと議論の余地があるものを無理に取り込む必要はないのかな、という感触を持っております。

○田中座長 浦野委員、どうぞ。

○浦野委員 今、松井委員がおっしゃったように、相応の強い拘束力を持って社会福祉法人を取り込む仕組みを考えるとすると、先ほど私が言いました、社会福祉法人が特定の外部の影響力の支配下に置かれるということがあってはならない、という大原則を崩す話になってしまいますので、そういう新型医療法人を構想するとすれば、社会福祉法人を入れることは無理になってしまう。もうちょっと緩やかな、自発的な連携とか協働という形での法人制度を考えないと、法人格が違うさまざまなものを入れることが難しくなるのではないかと思います。

○田中座長 どうぞ、堺先生。

○堺委員代理 ただ、1つお考えいただきたいのは、以前、地域医療支援病院というものがございまして、あれを想定したときには、どういうわけか社会福祉法人、宗教法人、学校法人が入っていなかったのですね。それで、後で随分苦労した経験があるのです。そういう意味では、排他的にいくのか、ある程度包括的にいくか、それはそれぞれの考えが違ってくると思うのですけれども、そういうこともあわせて御検討いただければ、法律を1回つくるのでしたら、何回もそれを変えるというのはかなり非効率なことですから、お願いしたいと思います。

○田中座長 私からも質問が2点ありまして、1つは、今の参加するタイプですね。参加するのは、あくまで法人ですね。別の法人に属する傘下病院だけ参加することはないですね。法人格を持っていないところが、例えば市の直営病院が参加する形は難しいと理解します。県立病院や市立病院が独法化せずに参加することはない。

○事務局 その点につきましては、2ページ目の一番上の*印の5行目でございまして、自治体病院の場合ですと、都道府県なり市町村というのが法人格を持ってございますので、そこが上の3行と同じように、広域的な独法とかと同じような形で法人として参加した上で、対象を地域の病院に限って参加するということもできるのではないかということは。

○田中座長 地方独法になった上でなら参加できるのですね。ならなければできないとの理解でよろしいですね。

○事務局 そのあたりをまた事務的に、法制的にも可能かどうかというのを、検討・調整しているところでございます。

○田中座長 1ページに法人と書いてあるので、学校法人の病院だけが参加する形もない。

○事務局 学校法人が参加して、その法人のもとにある病院が対象になってくる。

○田中座長 学校法人は、教育も行っているし、研究も行っています。それらについても、この新型法人が指導するのですか。

○事務局 この法人がやるのは、2ページ目の下半分の新型法人の業務内容でございますけれども、医療機能の分化、医療機関の連携といったものを。

○田中座長 普通、会社の世界、企業の世界で、何らかの形の親会社の下に入ったら、全部の戦略が基本的に制約を受けると理解します。大きい会社の一事業部だけが入る形態は別の親法人への参加ではなくて、産業の連盟とか懇親会とは言わないまでも、何らかのクラブのようなものであって、別の親法人ではないですね。各種の病院会も、別に個別の病院には経営に関して命令しませんので、それこそ法人格のない病院も病院会や病院協会に参加できるわけです。だけれども、新型法人は、法人なのです。法人の傘下に入ることは、下に入ったものは経営について上の決めたことの制約を受けるわけですよ。学校法人が入るのは、ちょっと理解できません。

 どうぞ。

○事務局 十分説得的に説明できるかどうか、自信はありませんが、今、私どもが想定しております法人格というのは、本部機能のところが1つの法人になるということでございます。その社員としまして、参加法人、例えばA医療法人、これは今までどおり独立したA医療法人という存在のまま、本部機能を持っている新型法人の社員として参画するということでございますので、その病院そのものがA医療法人のものであるということ自体は、変わらないということでございます。

 その上で、本来であればA医療法人の病院の運営はA医療法人で全て決められるわけですけれども、それを本部機能を持っておる新型法人について、一定程度、どこまで協議するかというのは、強い場合、弱い場合と、後の資料のほうに出てきますけれども、ここに例えば協議・承認をとるということでもって、全体の役割分担とか連携という機能を高めていこうということでございますので、そういう意味で病院そのものは引き続きA医療法人が経営しているということです。

 ただ、方針とかやり方、あるいは事業の共同化等を本部を持っている新型法人でやろうということでございますので、そういう意味で営利企業の場合は、確かに株主ということになりますので、一部事業部だけが親法人の支配を受けることは恐らく想定できないだろうと思いますけれども、今までは確かにそういうものはなかったかもしれませんけれども、一事業部だけの方針について、本部があるような法人類型をつくることを含めて検討しているということでございますので、その法人のあり方として、こういうことはおかしいとか、こういうあり方がいいということは、有識者あるいは関係者の皆様に御意見いただきたいと思っております。私どもの意図としては、そういうことでございます。

○田中座長 今、課長の説明された医療法人が加わるなら理解します。だけれども、私の言っているのは、例えば医療が全体業務の10分の1にすぎない、もっと大きな法人が参加することが何か変だなとの指摘です。医療法人にかかわる説明については、課長のおっしゃるとおりです。そうではなくて、学校法人慶應義塾が新宿区地域医療法人に加わる形態はないでしょうとの質問と同じです。そうすると、教育や研究まで、その法人の下に入ってしまいますね。

○事務局 若干言いわけになりますが、これはあくまで任意の参加ということで、必ず入らなければならないということはないわけでございますし、それから、現に少しタイプは違いますけれども、岡山大学さんからは非営利ホールディングカンパニーという名前で、各地域のその他の公的病院も含めた共同化のような提案が政府に対してなされまして、その受け皿を検討していくという使命も私ども、持っているわけでございますので、確かに座長おっしゃるように、ごく一部の事業のためだけに全体が入るのかということもありますけれども、病院の単体の、特に地域医療というところだけを方針としてすり合わせていくということは、全くあり得ないということではないのかなと思います。

○田中座長 地域医療で大学病院が中心になって、地域の病院間で連携を組んでいく方向

自体はすばらしいことですから、それについては、いい医療のために大いに進めていただくべきだと思うけれども、それとこの新型法人論とのすり合わせがないと言っているのです。もし新型法人論で押していくならば、大学が病院を切り離して、病院が何らかの形で独立の法人格を持って、しかし本体のもとの大学との連携をとりつつ、法律上、別法人になって新型法人に加わるとしないと、法人論と合わないでしょうとの意味です。

 それと、地域医療連携を大学が中心になって行うことは、この新型法人でなくともできるから、そういう意味で申し上げているのです。

○事務局 十分御説明したかどうかということはありますが、大学法人の別法人化ということも、閣議決定の中ではこれは文科省さんの方になろうかと思いますけれども、それはそれで検討していくということになっております。

○田中座長 それなら、このスキームと合うと思います。

○事務局 両方を視野に入れながら、話がどちらが先かというのはなかなか難しいものがありますけれども、座長、御指摘の点も政府全体としては検討することになっておるということでございます。

○田中座長 どうぞ。

○堺委員代理 ただいま座長は、大変すばらしい御提案というか、おっしゃっていただいた。今まで、大学があって、大学は教育、研究、臨床をやっているのですけれども、これは個人的な見解ですけれども、大学病院を切り離すということは十分ありだと思います。そういうことも将来的には視野に入れて御検討いただければ、もちろん今もいいのですけれども、日本の医療がさらによくなるのではないかということを思っています。

○田中座長 そうすると、このスキームとすり合わせができるので。地域連携に反対しているわけではないのですよ。スキームとしての成立の可能性を言っているのです。

 もう一つありまして、3ページの株式を一定割合以上保有する案にも違和感があって、一定割合とはすなわちよその株主がいるわけですね。親法人の下に子会社があって、その子会社の一部を別な法人が持っているとは、その子会社の利益の一部は外へ出ていくわけです。利益は人為的にいろいろな操作ができるので、うまく操作すれば、頭のいい、悪い人がいれば、親組織がどうあれ、この非営利新型法人の傘下から利益を抜く方法になり得るのです。一定割合以上は、かなり危険な考え方だと私は思います。

 私の記憶が間違っていなければ、昔、アメリカで非営利の親組織が営利子会社を持つのを認めていたときに、100%という制限をかけていたと思います。これだと、業務上、株式会社が行いやすい分野について、親の非営利組織が子会社の株を100%持っていれば資金流出はない。今村委員は絶対反対と言っておられましたが、百歩譲ったとして、100%持っていないと、これは資金流出の穴をつくることになるのではないか、が私の懸念です。今村委員が言われるように、初めから禁止してしまえば、それで終わりなのですけれどもね。

○今村委員 今の医療法人制度でそのままいって、もう出資は認めないとしてしまえば、それで済むことなので、わざわざいろいろな関連事業とかの範囲を決めて、そこには出資できるような可能性を持たせるというのは、今、座長が言われたような抜け道を幾らでもつくることにつながるので、これは今の医療法人制度と同じようにしていただければと思います。

○田中座長 私は2つ質問させていただきましたが、皆さんの意見はどうですか。西澤委員、お願いします。

○西澤委員 先程の自治体病院ですが、これを1ページの参加法人の範囲に置きかえてみると、参加法人の範囲に自治体立病院が入る。そして、開設者が自治体なので、社団の場合は参加法人を社員ということでは、自治体が社員でよろしいのですか。であれば、県立病院であれば、県が参加法人で社員ですね。そして、許可をいろいろ出すのが医療審議会で、そこのトップは知事でしょうか。この関係がよく理解できないのですが、説明いただければと思います。

○事務局 御理解としては、そのとおりであるというか、県立病院であれば県が社員になっていくということでございますけれども、先ほどの話と若干重複しますけれども、この場合、医療事業をやっていく、その医療事業の範囲内として、県は社員として権限を持つというか、見識を持って、病院の設置者として参加するという話と。

 一方で、この設立認可を都道府県知事がやっていくというのは、新型法人全体としての許認可権者という話でございまして、そこは同一人物だというよりか、役割がそれぞれ中で異なっていると理解しておりますけれども、自治体病院のあり方も先般、御議論がありましたけれども、現在、引き続き事務局で、法制的にもこういう形で大丈夫なのかという点について検討を続けていきたいと思います。

○田中座長 それも法人論から言うと、独立行政法人になって入ってもらったらきれいですね。法人の中に入るとは、2つの親組織に属さないことだと思うのです。全日本病院協会と日本病院会に加わっても構わない。それは協会だから、個々の医師がスポーツクラブA、スポーツクラブBに入っても構わないのと同じように。仲間でみんなをよくしましょう、にあたります。本件は仲良しクラブではなく、上位目的ははるかに高尚ですが。だけれども、法人が2つの親会社を持つ形は変ですね。法人の一事業部だけが入る組織は、それを親法人とは呼べないのではないか。

 新型法人論をしているのか、そうじゃなくて、新たな病院の地域連携団体をつくりたいとしているのかの差だと思います。病院の連携団体をつくりたいなら、県立病院が入ろうと、市立病院が入ろうと、大学病院が入ろうと、それでいいですよ。地域医療に熱意を持つ地域単位の病院連合体を、既存の全日本ベースの病院団体とは別につくりたい。それは、公益社団か何かでよい。ここで言っている、いわゆるホールディングス論からスタートしていた、ガバナンスをある程度権利を持つ話とは全然違うと思います。ガバナンス論を言えば、法人ガバナンスの責任者でない病院が入ってくるあり方は変ですよ。

 それとも、地域医療のために新たな団体をつくりたいなら、それはいろいろなところに属している病院が同時に加盟し、地域のために頑張っていただければいいけれども、それは地域医療推進病院連合とか呼ぶべきであって、法人格はきっと公益財団とか公益社団です。以上は矛盾があってはいけないと言っているので、地域連携の方向はいけないと言っているのではありません。法人論として矛盾を起こさないようにしないと、無理やり何か、電車とバスをくっつけたような乗り物をつくっている感じがするので、申し上げているのです。

 どうぞ。

○事務局 御指摘の点、全くそのとおりだと思いますので、よく留意しまして法制的にも詰めてまいりたいと考えております。

○田中座長 済みません、座長がしゃべり過ぎました。

 時間の都合もありますので、4と5と6ですね。ごめんなさい、どうぞ。

○川原委員 先ほどの関連事業を行う株式会社については、田中先生が100%とおっしゃられたのは、もしやるとしたら100%というのは確かにそのとおりだと思います。株式会社のほうに利益をつけかえることによって清算時などに剰余金の配当的な形で外部に出ていく可能性がありますので、それを防ぐためにも、やるのであれば100%が必要なのではないかと思います。

 それと、4ページの管理運営経費の徴収のところで「会費等」とあるのですけれども、この会費については、会費で余剰金が出た場合、その余剰金についての法人税上の取り扱いという部分では、税務当局と調整とかはなされているのでしょうか。

○事務局 事務的な検討の話で、こういう場で恐縮でございますけれども、税務当局とこの法人制度をどういうふうな形でやるという話を意見交換させていただいているという状況でございます。一方で、どういう形になるのか自体は、本検討会がまだ途中であるように、まだまだでございますので、向こうの返事というか、向こうもそれで全てを決める状況にはないというのが現状でございます。

○田中座長 どうぞ。

○川原委員 それで、先ほど今村先生も剰余金の配当禁止は非常に大事だとおっしゃられて、確かにそのとおりだと思います。一方、機能分化とか、いろいろ進めるときには、資金というのは非常に大事な部分だと思います。ですので、スムーズな資金の融通というあたりができるような形で、過度な制約は加えない、ただし、剰余金の配当禁止には抵触しない範囲でというあたりを御検討いただければなと思います。

○田中座長 戻っていただいても結構ですが、ここから5ページから7ページまで、「4.新型法人のガバナンスの仕組み」、「5.新型法人の非営利性の確保」、「6.新型法人の透明性の確保」についての御意見、御質問をお願いいたします。

 瀬古口委員、どうぞ。

○瀬古口委員 5ページと6ページで私の思う点を2点述べさせていただきたいと思います。

 新型法人の参加法人に対する関与の仕方でございますが、参加法人の統括方法といたしまして、事業計画や予算等の重要事項等について、参加法人が新型法人に意見を聴取して、新型法人が勧告を行うという一定の関与と、協議をして承認を得るという強い関与を選択できるということにつきまして、そもそもこの参加法人は、個々の人格を有して新型法人に参画するものであるので、特に重要事項について新型法人が強い関与を行使した場合、参加法人の本来の設立の趣旨とか目的が損なわれるおそれがあり、新型法人は一定の関与に止めるべきと考えてます。

 そして、次の6ページでございます。参加法人の加入と脱退につきまして、貸付金の清算は、当然のこととしても、人と物と金の有効活用の部分におきまして、CTあるいはMRIなどの高額医療機器を共同で利用している場合において、高額医療機器を保有する参加法人が脱退した場合、新型法人の事業の遂行に大きな支障を来すこととなります。また、グループで採用した職員の取り扱いにおきましても、簡単にはいかない問題が想定されますので、脱退については要件をしっかりと定款で定める必要があると考えております。

 また、脱退した法人が再加入を希望することも想定され、この場合には、脱退した際の問題が解消されていること、及び一定期間につき再加入を認めないとか、何らかの手当てが必要ではないかと考えております。

 以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 まず、議決権の取扱い、これも従来からいろいろ言っておりますけれども、社員は各1個の議決権を有するもの、これは大原則です。この新型法人というのは、もともと地域包括ケアをサポートするという目的ということなので、議決権に差異というのは設けるべきではない。定款によって変更できるとすることはやめたほうがいいと思います。

 それから、参加法人等の統括ですけれども、今、瀬古口委員がおっしゃったように、承認という形の強い関与というのは、個々の医療機関の既存法人の独自性を非常に毀損する形になりますので、競争よりも協調を進めるということもございますので、ここは意見聴取あるいは勧告というぐらいの緩やかなものにとどめておいたほうがいいのではないかと思います。

 それから、一般医療法人の件ですけれども、この場の議論というよりは、また別個にやったほうがいいのではないかと思います。

 それから、理事長要件ですけれども、今、医療法人制度では、原則医師または歯科医師となっておりまして、これは知事の認可があればそうでない場合もあり得る、こういうことを原則にしていけばいいのではないかということで、この点については大体一致したのではないかと思っておったのですが、別の考え方もあるような書きぶりになっているので、これはもう一遍、ここで確認しておいたほうがいいのではないかと思います。

 それから、地域協議会(仮称)の開催等についてです。こちらは、新型法人への意見具申、評価だけではなくて、これこそ非営利性や地域への貢献というものを知事あるいは医療審議会等に報告・建議ができるような権限を有するようにしてほしいと思います。

 また、この地域協議会というのがちょっとわかりにくいのですけれども、法人内部の組織というのではなくて、地域医療構想における協議の場というものがありますけれども、こちらに位置づける方が妥当なのではないか。これこそ外部からのきちんとした非営利性の担保、あるいは地域の医療というものに対して、どういうふうに貢献しているかというものをきちんと評価するということですので、こういう地域協議会の位置づけというものをもっときっちりしておいていただきたいと思います。

○田中座長 松原委員、お願いします。

○松原委員 議決権の取扱いについてですけれども、原則、1人1票だと思います。ただし、公益認定法人に準じて定款で別段の定めをすることができるという考え方があるという点について、もし別段の定めをすることを認める場合には、ある一定の縛りを設ける必要があるだろうと思います。あくまで新型の「非営利法人」をつくろうとしているのですから、わざと非営利性が浸食されるようなものを一生懸命導入する必要はないだろう。

 もし1人1票じゃないものも検討する場合には、資本の論理が働かないような、非営利性が担保されるような決め方はどういうものなのか。そこの検討が必要で、定款に定めれば法人の自由というのはないと思います。もう一段検討が必要だろうなと思っております。

 私は、1人1票よりもっと重要なことは、どういう人がトップになるかということだと考えております。トップが誰であるかがその組織全体がどうなるかに最もきいてくると思うので、そういう意味で理事長要件が重要です。病院とか福祉もそうだと思うのですけれども、持ち分がある、または持ち分がなくても実質、私的所有のような形になっているというところが、日本の非営利組織の代表の特徴だと思うのですね。

 先進国の非営利組織であれば、財産が個人に属したりしないわけで、日本の歴史があって非営利組織がふえたわけですけれども、そういう日本の非営利組織の特徴を踏まえると、今までそういう日本特有の文化・歴史の中で非営利性を担保していたものを崩すことには本当に慎重にならなければいけない。理事長要件も、別に医師じゃなくてもいいじゃないか、もっと経営効率を考える人がやってもいいじゃないかという考え方もあると思いますけれども、医師の倫理というものが非営利性を担保してきた部分もすごく大きかったと思いますので、この点の再評価ということも今後は必要だと思います。

○田中座長 ありがとうございました。

 柴委員代理、どうぞ。

○柴委員代理 梶川の代理の柴と申します。

 統括方法で厳しい方法と比較的緩やかな方法とあるのですけれども、こちらにつきましては、理事長の責任がどれほど重いのかということに比例する話なのかなと思っています。一般の事業会社の親会社のトップは、グループ全体の経営成績に責任を持っておりますので、そういった意味で子会社を統括し、ここで書いてある厳し目の統括を敷いているということと同じような話なのかなと理解しております。

○田中座長 浦野委員、お願いします。

○浦野委員 統括方法についてですけれども、仮に社会福祉法人が新型法人に参加するとして、社会福祉法人が本来持っている理事会、評議員会での意思決定と、新型法人の意思決定が矛盾したときに、社会福祉法人自体の意思決定が劣後するということになってしまうと、社会福祉法人の自立性がかなり危うい話になってしまう。

 ですから、調整するとか意見のやりとりをするというレベルであればともかく、社会福祉法人側の意思決定を強く拘束する、あるいは社会福祉法人でなくても、参加する個々の医療法人の意思決定を新型法人が強く拘束することになると、個々の法人の自立的な意思決定ができなくなってしまうので、そこはかなり問題があると思います。

○田中座長 後半について、ほかに御意見ございますか。どうぞ、松井委員、お願いします。

○松井委員 私に何か強い主張があるというわけではないのですが、違う意見を言っておいたほうがいいかなと思いまして、敢えて違う意見を申します。

 まず、議決権に関して、新型法人の中に規模の違う病院あるいは医療法人が加わっている場合に、すべての法人について1個の議決権という平等の議決権しかないとしますと、結局、新型法人を選択する余地が狭められてしまうかもしれません。先ほど松原委員がおっしゃったように、議決権について別の定めを認める場合にどういう形があるのか、確かに慎重な検討は必要です。たとえば、拒否権を与えるような形にするのか、複数の議決権を与えるのか、そのほかの方法か、いくつか議論の余地はあると思います。ただ、選択の余地が全くなくなるというのがよいのかな、という素朴な疑問がございます。

 もう一つ、統括方法に関しまして、協議・承認という方法が非常に不人気で、どうしたものかしらとも思ったのですが、この方法は、参加法人が新型法人をつくる際に選択できるという前提なのです。従いまして、もし承認という強い形が嫌だったら選ばなければいいのですね。先ほど申しましたように、場合によっては参加法人に強い拘束をかけたいという形で新型法人をつくりたいという要請があるときに、協議という選択肢しかないというのは、最初から選択肢を狭めすぎてしまう懸念があるかなという気がしております。

 ただ、だから必ず承認という制度を入れましょうとか、議決権につきましても定款で別の定めを認めなければならないというわけではございませんで、そういう議論もありうるかな、という問題提起でございます。

○田中座長 ありがとうございます。

 こちらの話はこのぐらいにしますかね。もう一度、私も確認しておきますが、この会の上位目的は、効率的で質の高い地域の医療提供体制をつくることです。それについては、誰も反対していないどころか、皆、賛成です。私もそれこそが日本の医療のあるべき姿だと思います。

 そのときに、役に立つツールの1つとして新型法人が考えられているわけですが、新型法人を通らないと効率的で質の高い地域医療体制ができないことにしてしまってはいけない。別に既存の医療法人のグループでもいいし、大学が中心になっても、市役所が中心になってもいいけれども、効率的で質の高い地域医療体制をつくればいい。新型法人というルートをとったほうが何らかの形で便利だと思う人たちは選択していいとしないと、新型法人を通らないと地域の連携ができないといった制約をかけてしまっては絶対いけないと思います。

 そのための発言であって、先ほどは事務局を攻撃したわけではないので誤解のないように。じゃないから許してね。事務局が答えていたような、あれもこれもみんなこの法人にくっつけようとすると無理が出るのではないか。この法人が担うべきところで、この法人が動きやすいようにする話と、それよりも上位概念である地域医療連携をつくりやすい話とは、議論のレベルを分けていかないといけない。この法人に全部くっつけようとすると、結局何もできなくなるのではないかとの意味で申し上げたので、新型医療法人に反対しているわけでもないし、地域医療連携に反対しているわけでもないことを確認させていただきます。

 どうぞ、今村委員。

○今村委員 今、座長が言われたとおりのことで、もともと第1回の検討会議のときに私、わざわざこういうことをつくらなければいけないのですかと申し上げたら、つくることはもう既に閣議決定ですから、そのことは翻さないでくださいと、そこから議論が始まったので、何もこの新型法人に全部が加入するということでは全然なくて、これを使ったほうがその地域のためによくなると考えたところだけが入ればいいということですので、これは全くそのとおりで、そのことを国民にも十分に理解していただかなければならないと思います。

○田中座長 ありがとうございます。

 非営利新型法人制度の創設については、本日の委員の先生方からの議論を踏まえて、なかなか難しいとは思いますが、検討会の取りまとめに向けた資料を事務局で御用意ください。

 次に、「医療法人制度の見直しについて」に移ります。

 事務局から資料の説明をお願いします。

○事務局 資料2「医療法人制度の見直しについて」をごらんいただければと思います。

 おめくりいただきまして、「医療法人制度の見直しのポイントと論点」と書かせていただいてございます。これは、ここ数回の検討会の中で御議論いただいた内容につきまして、1つの資料にまとめたということでございます。順を追って御説明させていただければと思います。

 1.医療法人の透明性の確保及びガバナンスの強化についてということで、9月の第6回検討会で行った内容でございます。社福の改革などを踏まえつつ、以下を含む必要な措置を講ずることとしてはどうか。

 (1)医療法人の透明性の確保ということで、1つ目は、会計基準の適用・外部監査ということでございます。その下2行ほどでございますけれども、一定規模以上の医療法人を対象にして、今、申し上げたようなことを義務づける。

 「また」という2段落目のところでございますけれども、具体的な会計基準につきましては、四病協で作成いただいた医療法人会計基準を基本に検討することとしてはどうか。

 2つ目の「○」が計算書類の公告でございまして、医療業の経営の透明性を高める必要があるということで、こちらも一定規模以上の医療法人に計算書類の公告を義務づけることとしてはどうかということでございます。

 おめくりいただきまして2ページ目でございます。メディカルサービス法人との関係の報告ということでございまして、医療法人といわゆるメディカルサービス法人の関係の透明化・適正化が求められているところでございますので、学校法人と同様に、事業報告として関係を報告させることではどうかということでございます。

 (2)が医療法人のガバナンスの強化ということで、理事長、理事の忠実義務、損害賠償責任等ということでございます。その次の行からですけれども、理事長、理事は医療法人の業務執行をやっておりますので、その責任は大きい。一方で、責任範囲に関する規定は設けられていない。重要な損害賠償責任を求められるかどうかが法律上明確でないということで、一般社団法人と同様に、理事長、理事の忠実義務、損害賠償責任を医療法に規定して明確化することとしてはどうかということでございます。

 おめくりいただきまして3ページでございます。

 2.医療法人の分割について、これは前回、10月の第7回検討会で行ったものでございます。これは別の資料がございますので、飛ばさせていただきまして、3.社会医療法人の関係でございまして、これは9月の第6回で行ったものでございます。へき地医療拠点病院に医師派遣を行う一定の医療法人を社会医療法人の認定要件として加えられないかということで、地域の実情を踏まえた要件とすることができよう、関係者、税務当局と調整することとしてはどうかという内容でございます。

 その上の、今、申し上げた分割の関係でございますけれども、資料3をごらんいただければと思います。前回、10月の第7回におきましても、分割はどういうものなのか、特に非課税となる適格分割というのはどういったものかということを、もう少し詳細を提示してほしいというお話がございましたので、今回、資料として作成させていただいたものでございます。

 まず、下3分の1ぐらいの図のようなところをごらんいただければと思います。今回、言っております分割というのは、いろいろな形の分割がございます。特に左側は複数の法人が登場するような分割で、2つだったのが3つになるようなものであったり、2つがあって、そのうちの一部が移っていくもの。あとは、右側に書いていますのは、1つのものが2つに分かれていくという分割でございます。このうち、適格分割とほかの株式会社制度でも言われているものは、組織再編成、事業再編の中の一貫として言われているものでございまして、左側の2つのほう、複数の法人が登場するような分割のことを指してございまして、右側のほうは適格分割でない分割という形で呼んでございます。

 この適格分割になりますと、法人税が非課税というか、課税繰延べ、不動産取得税が非課税ということでございまして、そのための要件が中段の部分の内容でございます。上から、事業が関連しているのかどうか、事業規模がおおむね5倍を超えないか、役員が引継になるのかどうか、資産移転のほうは主要な資産がちゃんと移転するのか、従業員引継ということで、従業員のおおむね80%以上が引き継がれるのか、事業はちゃんと継続していくのかという要件でございまして、これらにつきましては、仮に医療法人の分割制度を設けた場合にも適用可能ということでございます。

 ただ、一番下に書いてございますのは株式の要件でございまして、こちらのほうは医療法人には関係ないものでございますので、医療法人の場合は不要とするという税制改正要望を提出しているところでございます。

 これらをまとめたような形で、先ほどの資料2の3ページに戻っていただければと思います。現行上、医療法人の分割は制度上できないということでございますけれども、他の法人類型と合わせるような形でできることとして、分割計画書をつくって知事が認可するといったスキームではどうか。その対象としては、持ち分あるいは既存の法人しかないので対象とせずに、持ち分なしについて認める。その場合では、税制上、それで認定を受けております社会医療法人、特定医療法人は対象外とすることとしてはどうかということでございます。

 以上でございます。

○田中座長 説明ありがとうございました。

 ただいま事務局から説明のあった資料について、各委員から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。今村委員、どうぞ。

○今村委員 医療法人の分割ですけれども、税制上の問題というのは書いてあるのですけれども、大いなる目的といいますか、趣旨といいますか、あるいは地域医療の観点から見てどうなのかということをちょっと御説明いただきたいことと。

 それから、対象が持ち分なし医療法人ということになっていますが、これは今、どのぐらいあるのでしょうか。それをちょっと数というものを教えていただきたいのですが。

○事務局 後段の話でございますけれども、前回もちょっと似たような御質問があったのでお答えしましたけれども、対象となりそうなのは、持ち分がなくて、単なる診療所というか、病院を持っているような割と大きな法人と考えますと、現行では950余りということで、約1,000法人が対象となり得るという話になるのかなと思ってございます。

 この分割制度を設ける趣旨でございますけれども、医療法人という形は事業譲渡という形で行っていくという際の手続の煩雑さというものもございまして、例えば債権者なりに個別にちゃんと承認を得ないとできない、雇用関係の承認を得ないとできないという形で、医療法人の中の病院なり診療所を切り出していくということになりますと、それぞれ法人全体としてというよりか、個別の法人に分けたほうがよりいい経営ができる場合があり得るのかなという話を念頭に置きながら、また一方で、この図にもありますように、いろいろな形でよりよい法人のもとに移行して医療業を継続してやっていくことができるという趣旨も含めて、利用するかしないかは、それぞれ法人ごとの判断に当然なりますけれども、これが医療法人における一つの選択肢としてあった方が、法人側からの利便性の高まりということにつながっていくのかなと思っている次第でございますので、御意見いただければと思ってございます。

○今村委員 ありがとうございました。

 これについても、制度上の措置というのは期限がついているのですか。

○事務局 制度上の措置ということでございますけれども、こちらのほうも再興戦略という中で閣議決定されているということでございまして、年内に検討し、その結果に基づいて制度的措置を速やかに講ずる。その中の1項目で、医療法人の分割、会社分割同様のスキームを医療法人について認めるという内容が今年6月に閣議決定されているという状況でございます。

○今村委員 これも本年中に結論を出し、次年度中に制度的措置を講ずると、これに含まれるのですね。

○事務局 制度的措置を速やかに講ずると、6月の閣議決定においてはなってございます。

○今村委員 制度的措置の期限というのは、新型法人と同じですね。

○事務局 より細かく申し上げれば、制度上の措置を来年中に講ずることを目指すというのが新型法人のほうでございまして、制度的措置を速やかに講ずると書いてあるのが医療法人の分割のほうでございます。

○今村委員 来年と速やかにの違いですね。

○事務局 そこは文言上は違いますけれども、事実上はもう年の暮れでございますので、いずれにしても来年早々にという趣旨では同じかなと考えております。

○今村委員 ありがとうございました。

○田中座長 どうぞ、日野委員。

○日野委員 2ページ目の医療法人のガバナンスの強化の丸ですが、これは理事長というのは現行の医療法人のことが書いてあるのですか。

○事務局 新型法人に限らず、現行の一般的にあります医療法人のことであります。

○日野委員 新型法人もこれが適用される。

○事務局 ここでは直接的には検討してございませんけれども、そういう御指摘も踏まえて考えて検討していきたいと思います。

○日野委員 これはどちらにするか、ぜひ決定しておいていただきたいのですが、医療法人の理事長に損害が発生したとき、その賠償義務というのが課せられると、先ほど日医から意見が出ましたように、閣議決定で無理やりスタートさせる制度にしては、足を引っ張るというか、きつ過ぎるというか。この要件のために理事長就任をためらう人は多いので、これはかなり慎重に考えていただきたい。できれば、こういうスタートですから、緩やかな制度にしていただきたいなと思います。

○田中座長 御要望でした。

 松井委員、どうぞ。

○松井委員 今のガバナンスの点につきまして、このような規定を置かなくても、法人の理事は法人に対して委任関係に立つと思いますので、もし何らかの注意義務違反があれば損害賠償責任を負わなければいけません。

 従いまして、このような規定が入りますと、確認的な規定になると思うのです。ただ、日野委員がおっしゃったご懸念を敷衍しますと、前にも少しこの検討会で申しましたが、社員による代表訴訟を入れると理事の責任は途端に厳しいものになると思います。会社法には代表訴訟の規定があって、一般法人法にもあるのですけれども、株式会社でこの規定が入ったときの経緯を見ますと、大規模な会社のガバナンスの問題を念頭に置きながら代表訴訟が入っています。そうしますと、そのような前提を持たない医療法人の場合、この制度は余り適していないのではないかと思います。かえって、内紛等のときに、これをこじらせるような形で使われる懸念がないかということがあります。

 従いまして、一般社団法人等に倣って規定を整備するというときに、代表訴訟に関してはかなり慎重に考えていただいたほうがいいのではないか、というのが私の個人的な感触です。そうなると、社員から理事に対する監督が弱くなるのではないかという批判もあり得るのですけれども、医療法人の場合は別途、監督官庁のコントロール等がありますので、社員のコントロールに代替するものがあるということで、そこは補えるのではないかという気がしております。

○田中座長 御指摘ありがとうございました。

 どうぞ、お願いします。

○松井委員 続けて申しわけございません。分割の話ですけれども、私、医療法人の分割というのが、まだすっと飲み込めませんで、医療法人を分割するという場合には、単純に病院などがよその法人に移ることになるのかなと見ております。仮に分割により病院を移転しましたというときに、先ほどの資料3で言いますと、吸収分割の絵が描いてございますが、医療法人Aの持っている病院が医療法人Bに吸収されるという絵がございます。このとき、医療法人BからAに対して何らかの対価が動くのでしょうか。何らの対価もBから出てこないとなると、これは単純にAがBに贈与していることになるのではないかという気がしまして、これは果たして分割と呼ぶのかどうか、よくわからないというのが1点です。

 それとはまた別に、仮に分割の制度を認めるとなると、そのときの意思決定等は、今、医療法にある合併と同じものとして考えればよいのでしょうか。医療法上の合併は、例えば社団の場合は総社員同意、財団であれば寄附行為の規定が必要ですけれども、もし分割の制度をつくるときには、これと同じような要件でつくっていくというイメージでよろしいでしょうか。

○田中座長 では、2つの点について、お答えください。

○事務局 最初の対価の関係の話でございますけれども、適格分割に限らない、一般的な分割で申し上げれば、それは当然法人同士の決めでございますので、どういった形でやっていくのかという、対価を伴う場合も場合によってはあり得るということだと思います。

 ただ一方で、この適格分割という形で現状言われているものにつきましては、先ほどの組織再編成というものが最初の趣旨になっているということも含めて、対価、金銭を伴うようなことではないということになっているのが現行制度でございまして、医療法人もそれに加わっていくということが考えられるわけでございまして、そうなると、対価というか、金銭を伴わないような形になるのかなということでございます。

 もう一方の合併とのパラレルの話でございますけれども、前回の検討会の中でも資料として、どのような現行の制度、会社法と医療法であるのか、合併と分割でやるのかというマトリックス図を3ページのほうで出させていただきました。会社法は会社法で、合併と分割というのはパラレルのような形になってございますので、医療法で導入するとなれば、合併と分割とパラレルのような形になるということだろうと思っております。

 一方で、規定の内容は、もちろん株式ある、なしを含めていくと、会社法と違ってくると思いますので、会社法と医療法の横並びになる必要は当然ないのですけれども、そのあたり、法制的にどのような観点で、より丁寧に法律上に記載すべき事項についてもあるかもしれないなと事務的には考えておるわけでございます。ということで、御質問への事務局としての検討状況としてのお答えに替えさせていただきます。

○田中座長 よろしいですか。

 西澤委員、お願いします。

○西澤委員 資料3ですが、適格分割と適格分割でない、ということで、吸収分割はわかりますが、適格のほうの新設分割はよくて、もう一つの適格でないものとの違いですね。適格でないものは上の要件を満たさないと思いますが、どの要件を満たしていないということになるのでしょうか。

○事務局 制度全体の中で、この要件が決まってくるわけでございますけれども、左側の適格分割というのは組織再編成、事業の再編という中で、1つ設けられたような法人税法上の整理としての種類としては適格分割となってございます。なので、前提として複数の法人が参画・登場してくるようなものが、まずこの適格分割の前提になっているということでございます。

○田中座長 よろしいですか。

○西澤委員 複数のということは、新しくできる法人は抜きにして、分割する前の法人が複数あることが条件ということでしょうか。

○事務局 そういうことでございます。

○田中座長 別の話ですけれども、1ページの一番下に「計算書類の公告」と書かれています。今、社会福祉法人改革の議論を福祉部会で進めているときには「財務諸表の公表」という言い方をしています。同じ厚労省の中で局が違うと、片方は「計算書類」で片方は「財務諸表」、片方は「公告」で片方は「公表」と表す根拠には、何か法律上の違いがあるのでしょうか。

○事務局 ここの表現ぶりにつきましては、社会福祉法人の場合とそう違いのある話ではございませんけれども、この場合、もともと国会のほうからお求めのあった内容でございまして、附帯決議に書かれた文言が「計算書類の公告」となってございまして、その表現を使わせていただいておりまして、内容としては同じようなことだと理解しております。

○田中座長 社会福祉法人のほうも産業競争力会議とか規制改革会議が「財務諸表の公表」と言ったから、そう言っているのでしょうか。

 どうぞ、岩井課長、お願いします。

○事務局 手元に法令がないのですが、法令上、「計算書類」というのが通例の言い方でございまして、その中身はいわゆる財務諸表というのが一般的だと考えますので、多分、法令上の整理で「計算書類」となっている。閣議決定は、その辺を余り深く区別せずに書いているということかと思います。

○田中座長 意味が変わらないなら安心です。意味が違うと、むしろ困るかなと思ったのですが、読みかえ可能ならば、別に言葉は1つである必要はないですかね。

 ほかの点はいかがでしょうか。どうぞ。

○柴委員代理 これは意見ではなくてお願いなのですけれども、会計監査の件に関して、そういった方向で進めていただいていることには感謝しておりますが、社福のほうでこちらよりも一歩進んだ形でそういった議論が進められている中で、公認会計士等による外部監査というワーディングが各委員の方々によって、それぞれ想定するものがかなりまちまちのような感じです。

 ある委員の方は、行政が行う指導監査のようなものまでも含まれているというイメージの発言をされていたりしますので、こちらについては、当協会のほうで公認会計士が行う監査についての資料をおつくりしますので、次回、ここで言う公認会計士等による外部監査とはこういうものだということの説明に使っていただければと思います。よろしくお願いします。

○田中座長 ありがとうございます。誤解のないようにしたいですね。

 ほかに全体を通じて何か御意見、御質問ございますか。なければ、「医療法人制度の見直しについて」の本日の議論を踏まえて、検討会の取りまとめに向けた資料を事務局で作成してください。お願いいたします。

 本日はここまでといたします。事務局より、次回の案内をお願いします。

○事務局 本日はどうもありがとうございました。事務局におきまして、関係方面の御意見をいただきながら、取りまとめに向けた準備を進めたいと思ってございます。

 今後の日程につきましては、座長と御相談させていただきまして、改めて御連絡いたします。

 また、本日御議論いただいた点につきまして、時間の関係上、発言できなかった御意見等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。

○田中座長 本日はこれにて終了といたします。御議論ありがとうございました。


(了)

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