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2014年9月30日 第4回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成26年9月30日(火)10:00~12:00


○場所

航空会館 大ホール (7階)
(東京都港区新橋1-18-1)


○出席者

田中滋 (部会長)
石橋真二 (委員)
猪熊律子 (委員)
鎌倉克英 (委員)
(代理:松山茂樹参考人)
川井太加子 (委員)
黒岩祐治 (委員)
(代理:西條由人参考人)
小林光俊 (委員)
関川芳孝 (委員)
高橋英治 (委員)
高橋福太郎 (委員)
武居敏 (委員)
橘文也 (委員)
(代理:末吉孝徳参考人)
対馬徳昭 (委員)
花井圭子 (委員)
福間勉 (委員)
藤井賢一郎 (委員)
藤野興一 (委員)
(代理:武藤素明参考人)
堀田聰子 (委員)
松原由美 (委員)
三好昇 (委員)
柳川純一 (委員)

○議題

業務運営・財務運営の在り方について

○議事

○田中部会長 定刻より少々前ですが、委員お揃いですので、ただいまより、第4回「福祉部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりいただき、どうもありがとうございました。
 委員の出欠状況について、事務局から説明してください。

○岩井福祉基盤課長 それでは、本日の委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、鎌倉委員、黒岩委員、橘委員、藤野委員、松山委員、宮本委員から御欠席の御連絡をいただいております。
 また、鎌倉委員の代理として、日本社会福祉士会副会長の松山茂樹参考人、黒岩委員の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部の西條由人参考人、橘委員の代理として、日本知的障害者福祉協会事務局長の末吉孝徳参考人、藤野委員の代理として、全国児童養護施設協議会副会長の武藤素明参考人にお越しいただいております。
 なお、藤井委員、堀田委員におかれては、遅れて参加されるとの連絡をいただいております。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 議事に入ります前に、ただいま紹介がありました欠席の委員の代理として出席されている参考人について、皆様の御了承を頂戴したいと存じます。本日御欠席の鎌倉委員、黒岩委員、橘委員、藤野委員の代理として、松山茂樹参考人、西條由人参考人、末吉孝徳参考人、武藤素明参考人の御出席について、異議はございますか。
(「異議なし」と声あり)

○田中部会長 ありがとうございます。では、参考人の方々も御発言ください。
 続いて、議事に入る前に、資料の確認を行います。事務局から説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。
 本日は配布資料といたしまして、資料「社会福祉法人の財務運営に関する規律」、参考資料「第3回福祉部会における主な意見(概要)」を配布させていただいております。御確認をよろしくお願いいたします。

○田中部会長 よろしいですね。
 では、早速、議事に入ります。
 資料の中身について、事務局から説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、資料「社会福祉法人の財務運営に関する規律」について、御説明いたします。
 当部会におきましては、第2回におきまして経営組織の在り方について、第3回におきまして運営の透明性の確保の在り方について御議論いただきました。
 本日は、社会福祉法人の業務運営・財務運営の在り方について御議論いただくこととなります。特に、本日は、その中で社会福祉法人の財務運営に関する規律について、御審議いただきます。
 資料の2ページを御覧ください。「検討に当たっての基本的な視点」です。
 社会福祉法人につきましては、公益性の高い社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人であります。その公益性・非営利性に鑑みまして、財務運営に関する規律の面から、適正な運営を担保する必要があると考えられます。
 特に、平成18年の公益法人制度改革におきましては、公益認定基準といたしまして、法人の目的及び事業の性質、内容に関する事項、財務に関する事項、財産に関する事項が設けられており、公益法人としての適格性を確認する仕組みが構築されております。
 この公益認定基準につきましては、資料の7ページにございます。
 上から1、2、3、4とそれぞれ種類分けされておりますが、その中に、1の○5におきまして「公益目的事業に係る収入が実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれること」と、あるいは3の○1で「公益目的事業比率が100分の50以上になると見込まれること」、○2の「遊休財産額が一定額を超えないと見込まれること」等の基準が設けられております。
 このような公益法人制度改革におきます取組を参考にいたしまして、社会福祉法人につきましては、税制優遇や公金の支出があることも踏まえ、公益財団法人と同等又はそれ以上の公益性を確保することを基本に、社会福祉法人に適した財務運営に関する規律を構築する必要があるということを、視点として掲げさせていただいております。
 次の3ページ、社会福祉法人の財務運営に関する規律について整理しております。
 社会福祉法人の財務運営に関する現状でございますが、財務運営に関する規律としては、以下のものが挙げられます。
 第1に、社会福祉法人が行う社会福祉事業については、その運営費となる措置費や介護報酬等の使途につきまして、社会福祉法人の公益性・非営利性に鑑み、運用上、一定の制限が行われております。
 内容としましては、まず、措置費でございますが、一定の要件を満たした場合に剰余の保有が認められます。保有が認められる剰余は、収入の30%以下とされています。そして、その使途につきましては、法人本部経費、同一法人内の社会福祉事業及び一体的に運営される公益事業に限定されております。
 また、介護報酬等、報酬体系のものにつきましては、特別養護老人ホーム、指定障害者支援施設等に帰属する収入を、収益事業、法人外への資金流出に充てることを禁止しております。
 いずれも、通知による運用上の措置といたしまして、使途等についての制限が行われております。
 次に、介護報酬等につきましては、運用上、高額な役員報酬など実質的な剰余金の配当と認められる経費への支出を禁止しております。
 その次に、社会福祉法人についてですが、社会福祉法人が行う公益事業又は収益事業、これらは社会福祉事業外にできる事業として法律上位置付けられており、その範囲は、経営する社会福祉事業に支障がない限り行うことができるとされております。
 このように、社会福祉法人に関する財務運営に関する規律は、法律又は通知等によりまして、一定の制限が行われている状況にございます。
 一方で、特別養護老人ホームを中心に、社会福祉法人が過大な内部留保を保有しているとの指摘があります。
 この内容につきましては、資料13ページから15ページに参考として掲げております。
 政府の介護給付費分科会におきます資料、例えば14ページですが、発生源内部留保あるいは実在内部留保、後ほど御説明いたしますが、そうした議論が行われています。
 また、会計検査院の意見として、特養の将来の施設改修等に備えた目的積立金の積み立てを計画的に行う、特養が保有している特別積立預金を有効に活用するための具体的な使途等を改めて検討させるように指導することと、内部留保という言葉は使っておりませんが、有効活用を求める意見がございます。
 また、次の15ページの2番目の規制改革実施計画におきましては、内部留保の位置付けを明確化し、福祉サービスへの再投資や社会貢献での活用を促すことが閣議決定されております。
 4ページにお戻りください。課題でございます。このような現状を踏まえまして、課題として以下の3点を設定させていただいております。
 社会福祉法人の公益性・非営利性を担保するためには、適正かつ公正な支出管理を徹底する必要があるが、例えば役員報酬の基準や親族等特定の関係者への利益供与を制限する仕組みがないということが第1点です。
 第2点でございますが、社会福祉法人について、事業の実施に伴って、余裕財産が蓄積されているとの指摘があるが、余裕財産を表す仕組みがないため、その規模を明らかにできないというものです。先ほど申し上げました、いわゆる内部留保につきましては、確定した定義がございません。また、そもそも内部留保自体は余裕財産を表すものではなく、例えば必要な資産に投資されているとか、あるいは将来の必要な事業に対する資金の積立ても含まれています。
 これらにつきましては、資料の16ページ以下に参考に資料を付けております。介護給付費分科会における資料、議論を紹介しております。
 詳細は省かせていただきますが、16ページにありますように、介護給付費分科会におきましては、発生源内部留保、実在内部留保について資料で整理されまして、議論が行われております。
 17ページ以下に、発生源内部留保、実在内部留保についての紹介があります。
 基本的に、発生源内部留保につきましては、内部留保の源泉で捉えたものでございます。それについては、先ほど申し上げましたとおり、例えば必要な資産に投資されているとか、あるいは将来の必要な資金の積立てなども含まれていますので、先ほど申し上げました余裕的な財産を表すものとしては問題があるとの指摘がございます。
 これに対して提案されましたのが実在内部留保でございまして、内部資金の蓄積額のうち、現在、事業体内に未使用資産の状態で留保されている額として整理された概念でございます。
 現時点におきまして、貸借対照表という財務諸表で整理する範囲では、実在内部留保が最も余裕財産とか財務の状況を的確に表しているものであると指摘されております。
 これに対しまして、4ページにお戻りください。
 第2点で申し上げましたとおり、いわゆる余裕財産を明らかにするというものがございません。これにつきましては「参考」にございますように、規制改革実施計画におきましても、内部留保の位置付けの明確化が閣議決定されております。
 次に、第3点目ですが、余裕財産の適正水準や活用の在り方を判断するための基準等がないということを課題として設定させていただいております。余裕財産をまず明確化した上で、それについてどの程度が適正な水準なのか、あるいはそれをどのように活用すべきなのかということについての基準が現在ございません。
 これにつきましても、「参考」にあります規制改革実施計画におきまして、内部留保の位置付けを明確化した上で、福祉サービスへの再投資や社会貢献での活用を促すということが閣議決定されております。
 次の5ページを御覧ください。このような課題設定を踏まえまして、当部会におきます審議において材料としていただきますために、考え方を整理しております。
 3つの点で整理しております。社会福祉法人の公益性を担保する財務規律を確立するためには、「○1適正かつ公正な支出管理」「○2余裕財産の明確化」「○3福祉サービス・『地域公益活動』への再投下」の仕組みを構築することが必要ではないかということを、考え方として提示させていただいております。
 まず「○1適正かつ公正な支出管理」でございます。これにつきましては、資料6ページの図を御覧いただきながら、説明させていただきたいと思います。
 6ページは、社会福祉法人の財務規律について、このようにすべきではないかという案のイメージでございます。今、申し上げましたように、公益性を担保する財務規律としましては、3つの柱をセットにして考える必要があるのではないかと考えております。
 まず第1に「適正かつ公正な支出管理」によりまして、公正かつ適正な支出構造につきまして、適切な事業運営を行うことが必要と考えております。それが左の赤い箱に「適正かつ公正な支出管理」として記されている、例えば役員報酬基準の設定、関係者への特別の利益供与の禁止、外部監査の活用等でございます。
 これを本文で書きましたのは、5ページですが「役員報酬の支給基準の設定や調達等における親族等特定の関係者への特別の利益の供与の制限について措置すべきではないか」というのが第1点でございます。
 これにつきましては、資料12ページを御覧ください。
 公益法人におきましては、役員報酬基準について、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の第20条におきまして「報酬等の支給の基準に従って、その理事、監事及び評議員に対する報酬等を支給しなければならない」とされております。
 また、同法第5条の公益認定基準のところで、下線部でございますが「民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること」と規定されております。
 これらに従いまして、行政庁への報告制度等が整備されておりまして、役員報酬基準について、一定の基準を示し、適正な水準を確保する仕組みが講じられております。
 また、関係者への特別の利益供与の禁止につきましては、12ページの公益法人の例で見ますと、第5条におきまして、公益認定の基準として「当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること」であること、第4号におきまして「寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること」ということが公益認定の基準となっておりまして、指導の対象でございますし、違反した場合には公益認定の取り消しの対象にもなるという仕組みが講じられております。
 6ページにお戻りいただければと思いますが、このような役員報酬基準の設定とか、関係者の特別の利益供与の禁止、あるいはガバナンスの回で御議論いただきました外部監査の活動でございます。
 5ページの本文におきましては、「一定規模以上の法人については、外部監査を活用して適切な支出管理をチェックする体制を整備すべきではないか」と書かせていただいております。
 このほかにも、適正かつ公正な支出管理というものはあろうかと思います。いずれにしましても、社会福祉法人の公益性を担保する財務規律の出発点は、適正かつ公正な支出管理でございますので、この点につきましては、またこの福祉部会におきまして、回を改めまして、さらに御議論いただければと思っております。
 いずれにおきましても、適正かつ公正な支出管理が確保された上で、社会福祉事業あるいは公益事業を社会福祉法人に実施していただきます。その過程におきまして、利益が生じてまいります。この利益が蓄積いたしますと、いわゆる内部留保になって、利益剰余金になってまいります。これまでの議論におきましては、先ほど申し上げましたように、内部留保につきまして、例えば発生源内部留保が典型的でございますが、このようなものについて、内部留保が課題ではないかという議論が行われておりました。
 しかし、いわゆる内部留保と言われるものについては、定義も確立しておりませんし、その中には必要な財産等も含まれているということで、これをこのまま直接使うという議論は適当ではないのではないかという問題意識がございます。それが閣議決定におきまして、内部留保の明確化という決定につながっていくと考えられます。したがいまして、第2段階におきましては「余裕財産の明確化」が必要になります。
 本文5ページでございますが、「事業継続に必要な財産と余裕財産を明確に区分し、それぞれの内容を明らかにする仕組みを構築すべきではないか」としております。
 その具体的な内容が、6ページの図にあります。イメージでございます。
 いわゆる内部留保につきまして、これらの中身を分解いたしまして、事業の継続に必要な財産、例えば固定資産でございますけれども、このようなものについては、必要なものとして、余裕財産には含まれない。控除対象財産と考えてよいのではないかということがあります。
 また、事業を行う上での必要最低限の手元流動性運転資金も必要でございます。このような運転資金も余裕財産には含まれないだろうと考えられます。
 これらのものを定義を明確にしてきっちりルール化した上で、控除した残りの財産につきましては、再投下できる財産ではないかと考えられます。いわばこの部分が余裕財産と言ってもよろしいかとは思いますが、このようなものについては、社会福祉法人において、きっちりと社会福祉事業あるいは公益事業に再投下していただきまして、地域住民あるいは国民に還元していただくことが必要ではないかと考えられます。
 もっとも、社会福祉法人の事業運営は様々でございます。基本的に、このような余裕財産が発生しない法人も多々あるかと思います。そのような場合には、計画的再投下対象財産というものは生じないという形になります。したがいまして、この図は、計画的再投下対象財産が生じるような法人について表したものでございます。
 このように、余裕財産を明確化するという目的で、再投下対象財産を明確化するということが必要ではないかということを提案させていただいております。
 その次に、第3段階がございますが、このように、いわゆる再投下の対象になるような財産がある場合、これをどのように使うかということが問題として出てまいります。これらにつきましては、先ほどの閣議決定におきましても、福祉サービスや社会貢献活動に活用すべきというような決定がされております。これらを制度設計する中で、まず、計画的にこれを再投下していただくことが必要ではないかと考えられます。
 このように計画的に取り組む中で、例えば使い道でございますが、閣議決定にもありますように、福祉サービスへの再投下、あるいは、在り方検討会ではこれを地域における公益的な活動と名前を付けておりますが、そのような地域公益活動に再投下していただく。それを計画的に再投下していただくことにより、余裕財産がある場合も、それを全て国民や地域住民に還元していただける。さらに、社会福祉事業が発展し、地域のニーズを充足していく流れ、循環ができるようになるのではないかと考えられます。
 具体的な再投下の内容ですが、社会福祉法人が果たすべき役割と考えますと、1つは、地域のニーズに対応した新たなサービスの展開に、再投下財産を使っていただくことが考えられます。また、人材への投資をしていただくことが考えられます。
 このような地域のニーズに対応した新しいサービスの展開や人材への投資というものは、いわゆる福祉サービスの充実、社会福祉法人がこれまで担ってきた社会福祉事業をさらに深掘りした形で展開していくことになるものと考えております。また、その社会福祉事業あるいは公益事業の中で、従来の事業の域をさらに深掘りして、地域の公益的な活動を展開していただくことも必要であろうと考えられます。
 ただし、地域公益活動はあくまで社会福祉法人の社会福祉事業あるいは公益事業、いわゆる社会福祉に関する事業、社会福祉を目的とした事業の中で行うものと考えられますが、そのような内容で再投下をしていただくという流れを作るべきではないかと考えられます。
 なお、この地域公益活動を含めました「福祉サービス・『地域公益活動』への再投下」の在り方につきましては、次回の部会において御審議いただきたいと考えております。今回は、財務規律の在り方について御審議いただければと考えております。
 また、この「地域公益活動」につきましては、社会福祉事業、公益事業との関係を整理する必要がございます。これにつきましても、次回以降、御議論いただきたいと考えておりまして、これについてのイメージ図につきましては、この社会福祉事業、公益事業の中に「地域公益活動」と破線で記させていただいておりますが、この関係あるいは定義等については、次回に御議論いただければと考えております。
 このように、3つの柱で社会福祉法人の財務規律というものを確立すべきではないかということを、1つの案として提案しております。
 次に、10ページを御覧ください。ただいま考え方で整理いたしました、社会福祉法人の財務規律については、基本的にはまず、公益法人制度の仕組みを基に検討しております。それによりまして、公益法人制度と同等又はそれ以上の公益性を担保したいと考えております。
 ただし、いわゆる公益財団法人と社会福祉法人では、事業の目的、事業の性質、事業の構造が著しく異なっている点がございます。公益法人制度の仕組みをそのまま適用しますと、非効率な経営あるいは社会福祉法人の良さを発揮できない可能性もございます。
したがいまして、その特性を踏まえまして、社会福祉法人に適した仕組みを構築すべきではないかという点を、論点として掲げております。
 これにつきまして、大きな点としては2つございます。それは先ほど、余裕財産につきまして明確化の仕組みを御説明いたしました。この余裕財産について、公益法人制度とは違う仕組みが必要ではないかと考えております。
 公益法人につきましては、社会福祉法人で今回、提案いたしました余裕財産に相当するものとして、遊休財産保有制限というものがございます。これは、少しページを戻りまして8ページの下段にございます「公益認定法人の公益認定基準【遊休財産の保有の制限】」というものがございます。これにつきましては、遊休財産額というものをまず出す。これは、貸借対照表の純資産を基に例えば拠出者の意思に従って使用・保有されている資産、使途の制限が掛かって寄附財産のようなもの、公益目的事業等に使用されている固定資産、例えば事業に使われている建物とか、そういう固定資産です。それから、将来の特定の事業の費用の支出、特定の財産の取得のために積み立てていた資産、将来の事業のための運営費あるいは財産取得のための積立金等です。こういったものを控除いたしまして、当然、負債関係は調整した上で、遊休財産というものを出します。遊休財産が残った場合に、それは遊休財産額が1年分の公益目的事業費相当額を超えてはならないというのが遊休財産の保有の制限でございます。
 これに対しまして、10ページにお戻りいただきたいのですが、社会福祉法人につきましては、公金の支出があること、介護保険や措置制度等の公的制度により確実に収入を得られるという事業の特性がございます。
 したがいまして、ここは、公益法人よりもより深掘りして、さらに資金の再投下等につきましては、きっちりと再投下できる仕組みにする。すなわち、遊休財産保有制限におきましては、先に積立金を控除した上で、さらに遊休財産が残った場合は、事業費の1年分、例えば社会福祉施設が月に2,000万~3,000万円費用が掛かっているとすれば、2億~3億円を保有できる仕組みになっております。これは、社会福祉法人という公金が入り、かつ、事業を行っていて、介護保険等で行っている事業体としては、このような仕組みはなじまない。このような資金を保有する必要はございませんので、あればそれは全て、先ほど御説明いたしました再投下を計画的に行っていただきまして、地域住民や国民に還元していただくという仕組みにすべきではないかということです。
 すなわち「余裕財産の保有」につきましては、公益法人よりもさらに、ある意味厳しく再投下するという仕組みをきっちりと作ることが必要ではないかということを、ここに提案させていただいております。
 一方「収支相償性」という点でございます。この収支相償性については、9ページの図でございます。
 これは公益法人の仕組みでございます。一言で申し上げますと、公益法人が行う公益目的事業におきまして、費用が出ます。その収入が費用を上回らないようにしなさいという仕組みでございます。
 ガイドラインや文献等を見ますと、基本的には、例えば価格等があれば、その価格を下げて費用に合わせることが求められております。
 もう少し詳しく申し上げますと、第1段階、第2段階とありまして、第1段階は、各公益目的事業ごとに収支相償を図る。
 第2段階は公益目的事業全体で、一般的に公益法人は収益事業を行っておりまして、それを公益目的事業に繰り入れておりますが、特に詳細の説明は省きます。下の方の、収益事業等からの利益繰入を50%行うという仕組みの場合、収入が費用を上回る場合がございます。このような場合につきましては、右の箱でございますが、一定の収支相償基準を満たすように、公益目的保有財産の資産取得や改良に充てるための資金の繰入、あるいは公益目的事業財産の取得に充てるという処理をするか、もしくはそれができない場合は、翌年度の事業を拡大する等によって同程度の損失を計上することによりまして、収支相償を図るという仕組みがございます。
 さらに、著しく収入が超過し、解消が図られないなどの場合は、報告を求め、必要に応じてさらなる対応を検討するとなっております。
 これ自体が公益認定基準でございますので、場合によっては公益認定基準に合致しないという判断になると考えられます。
 10ページにお戻りいただければと思うのですが、このような収支相償性についてですが、公益法人においてこの仕組みが設けられているのは、公益目的事業が公益性を担保する制度として適切かどうかを確認する基準でございます。先ほどの7ページにありますように、財務の基準には位置付けられておりませんで、公益法人の目的及び事業の性質、内容に関する基準として書いております。すなわち、公益目的事業自体が儲けを生じさせるような事業でないかどうかを判断する基準でございます。
 例えば展覧会を行うとか、様々な研修会を行うとか、調査を行うという事業など、様々な公益法人がありますので、事業として儲けを生じさせるようなものではないかということを判断する基準として設けられています。それでもしも儲け、利益が出るような場合は、価格を調整するとか、費用を調整することがこの基準となっております。
 これに対しまして、社会福祉法人でございますが、そもそも社会福祉事業自体は公益性の高い事業であるということがまず言えます。その上で、介護報酬とか措置費等の公定価格によりまして、運営費を賄っております。この運営費というもの自体は、設定自体がそもそも事業に要する費用を賄うのに必要な額として設定されております。このようなことを踏まえますと、収支相償の基準そのものを直接適用することはなじまないのでないか。
 むしろ、例えば価格調整自体は社会福祉法人の場合はできない。社会福祉法人の場合は公定価格でございますし、地域のニーズに応じまして利用者を受け入れております。例えば、今年はもう利益が上がり過ぎるので、これ以上利用者を引き受けできませんということもできません。また、費用につきまして、費用を翌年度調整するということも、これ自体は収支相償を合わせるために、不要不急のものを買うとか、そういうことをすること自体も効率的な運営からは問題があろうかと思います。
 したがいまして、社会福祉法人につきましては、このような短期の収支相償性の基準そのものを適用するのではなく、余裕財産の計画的な再投下、先ほど申し上げました余裕財産の保有を、徹底して計画的に再投下する仕組みによりまして、実質的には、中期的には収支相償になりますので、そのような仕組みで公益性を担保すべきではないかということを、論点として掲げさせていただいております。これが第1の論点でございます。
 第2の論点といたしまして、余裕財産の計画的再投下を担保する仕組みでございます。先ほどの6ページの図でございますが、「○1適正かつ公正な支出管理」から「○2余裕財産の明確化」を図りまして、余裕財産がある、いわゆる再投下対象財産がある場合は、それは計画的に再投下していただく形になりますが、この再投下のところがきっちりできるような仕組みが必要であろうと考えられます。これを担保する仕組みについても、今後、議論していく必要があろうかということで、論点に掲げさせていただいております。
 以上、社会福祉法人の財務運営に関する規律につきまして、御説明いたしました。
 基本的には6ページの図にございますとおり「○1適正かつ公正な支出管理」から「○2余裕財産の明確化」「○3福祉サービス・「地域公益活動」への再投下」をセットで考えて、これをきっちりと地域住民、国民に、社会福祉事業、公益事業で還元することによりまして、公益性を担保する仕組みを講ずるべきではないかというのが、今回の資料のポイントでございます。
 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。
 社会福祉法人の財務運営に関する規律について議論いたしましょう。財務や会計に関する事柄は専門性が高いので、御質問でも結構ですし、今、説明があった事柄に対する御意見でも結構です。皆様、どうぞお願いいたします。
 三好委員、お願いいたします。

○三好委員 江別市長の三好でございます。
 9月4日と11日に欠席をしましたので、話が前後して恐縮でございますけれども、組織の在り方、透明性について一言ちょっと話をさせていただきたいと思います。
 法人を指導する立場ということになろうかと思いますけれども、理事の役割ですとか、法制度そのものが、他の公益法人ですとかそういう仕組みからいきますと、まだまだ制度を整備すべきであると考えております。
 特に、根幹となります評議員ですとか監査制度などにつきましては明確化されておりませんので、ぜひそういうことを明確化していただきたいと思っております。したがって法整備には積極的に対応をぜひお願い申し上げたいと思います。
 市といたしましては、今、そういう仕組みがない中で悩みながら指導監査を続けているという状況でございまして、そうなりますと、どうしても限定的で形式的なものになってしまうという状況が続いております。
 社会福祉法人は、地域では、市に代わって公益性が高い様々な事業展開をしていただいている事業でもございますので、地域の福祉のリーダーとなるような法制度、規律ができるような仕組みにぜひお願い申し上げたいと思います。
 ただし、全てが特別養護老人ホームですとか、福祉事業で非常に大きな社会福祉法人だけではございません。地域で本当に小さな保育所をやっている社会福祉法人ですとかそういうものもあります。したがいまして、そういうことを考えますと、一律でということは、前回も何か議論が出ているようでございますが、ぜひその点は考えていただきたいと思っております。
 それから、2点目は透明性でございます。透明性は大賛成でございます。ぜひ透明性を担保できるような仕組みにしていただきたいと思っています。
 今の話にもつながりますけれども、当然、社会福祉法人は公益性や公共性があります。様々な事業を展開していますけれども、そこが地域から見たら分からないい、見えないというのが一番の大きな悩みでございますので、まず透明性だけはぜひ確保していただきたい。特に、地域におきまして、社会福祉事業というのは大事業です。雇用あり、地域の産業を担うといっていいぐらいの事業になっております。したがいまして、地域ではどんな福祉サービスがされているのか、どういう質であるのか、さらには雇用がどうなのかとかそういうものについて、ぜひ透明性を担保できるような仕組みにしていただきたいと思っています。
 もう一つは、どのレベルでということになりますけれども、私も北海道でいろいろな事業を見てみますと、市町村で1カ所2カ所というところがかなりの数ございます。そういうところで、市町村ベースで開示をしても全く意味がございませんで、比較対照できるということになりますと、ある程度の広さの場所での開示が必要だと私は思っています。北海道は非常に大きい地域がありますので、全土というのはどうかという気持ちはしないわけではありませんが、全国ベースから見たらやはり県ベースか、又は県が大きければ地域を2分割する、3分割するといったような形で、かなりのところの公益性を考えた透明性、開示が必要ではないかなと私は思っています。
 そういう仕組みでぜひ検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。

○田中部会長 前回、前々回の議論へのコメントでございました。ありがとうございます。
 関川委員、お願いします。

○関川委員 ただいまの三好委員の御意見を踏まえて、事務局に質問させていただきたいことがございます。
 検討に当たっての基本的な視点で、公共性、公益性ということが今回の制度改革のキーワードになっておりますが、三好委員は今の御意見の中で、あわせて公共性についても考えるべきだと御指摘いただきました。私もそのように思っております。今回の制度改革の中で、あえて公共性を高めるという表現が使われていないのは、当たり前のことなので使っていないのか、あえて今回は公共性を高めるという視点を除外して、公益性のみを議論するというスタンスなのか、御説明いただきたいと思っております。
 ここに、1951年に、当時の厚生省社会局長、木村忠次郎氏が書かれた「社会福祉事業法の解説」がございます。ここでも、社会福祉法人制度を作った趣旨として、公益法人と区別するために、純粋性を確保する。つまり、社会福祉事業と公益事業に特化した事業展開をする特別な公益法人として位置付けた上で、公共性については、国及び地方公共団体が行う事業と一体となって活動できるようにする。こうした公共性を高めるために社会福祉法人が創設されたという趣旨も踏まえながら、今回の制度改革にも、基本的な視点においても、ぜひとも公共性を高めるという視点も組み入れて、今回の御提案内容を理論化していただきたいと思っております。
 以上でございます。

○田中部会長 質問の部分にお答えになりますか。

○岩井福祉基盤課長 これはむしろ先生方の御意見もあろうかと思いますが、事務局といたしまして、公益性・非営利性を中心にしておりますのは、昨今の議論の整理として一番これが適しているからと考えております。
 公共性につきましては、先生がおっしゃいましたように、制度発足当時の議論もございますが、釈迦に説法でございますが、公共性については、昨今、公共哲学というものが非常に盛んでございまして、概念が変わってきております。数十年前と今の公共性の概念は違って、民の公共ということも叫ばれております。民の公共というものと、かつてのガバメントというものの公共はかなり違うだろうと、そういう意味では、公共という概念が非常に多岐化し、包括的な概念でございますので、それをそのまま使うということは論理が収れんしないと考えて、このように整理しております。
 そういう中で、やはり公益性とか非営利性ということが、民間法人である社会福祉法人におきまして、性格を表すのに最も適しているものではないかという形で提案させていただいている次第でございます。決して公共性を否定しているわけではございませんが、そういうところに留意する必要があろうかと考えております。

○田中部会長 根本的な課題について、ありがとうございました。
 どうぞ皆さん、財務について。
 武居委員、お願いします。

○武居委員 ただいまの事務局の御説明の中で、大体出ていることについて了解できるのですが、収支相償という言葉が、やはり我々の中では一般的な言葉で考えると、かつての措置時代を想起するような内容に思われる部分があります。民間の自立性を損なうものというような雰囲気を感じてしまうこともあります。
 公益法人の認定の中でも、単純に収支相償に適さない事業については、ある種の投資といいますか、固定資産を持つような事業もあって、次年度以降のリフォームの資金の問題であるとか、将来の建替えの資金は考慮した形で収支相償を考えていいのではないかと解釈されているように聞いております。
 私どもの事業についても、単純に収支相償という形になってしまいますと、中長期的な事業の継続性という点についても、非常にそれを妨げることになりはしないかという危惧が発生しますので、そういう意味で、民間の自立を損なうものではないということと、現在行われている事業、さらには、先ほど提案されました新しいサービスに対しても対応できるような中期的な事業の継続性、サービスの供給体制が確立されるような財務の体制であってほしいと思います。

○田中部会長 そのとおりですね。売上が上がらないタイプの、寄附金や補助金あるいは基本財産からの運用利益で研究費を分けるような財団ですと、収支相償も分かりますが、売上が上がる医療や介護だと難しいので、その点について御指摘いただきました。ありがとうございます。
 御質問でも結構です。どうぞ。
 高橋(英)委員、お願いします。

○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。
 保育所で法人規模としては非常に小さいところが多いわけですけれども、まず、現状認識と、1個だけ質問なのですが、現状、保育所の場合は保育所運営費というものが出資されておりますけれども、現在の運営費の積算は、3歳未満児と3歳児と4歳以上児という区分で分かれておりますが、平均すると約77%ぐらいの人件費の積算で運営費というものが構成されております。
 実態的には、これは平成24年度の決算分ですけれども、福祉医療機構さんから借入れを行っている保育所のまとめられた報告書がありますが、この報告書でも、実態のところでも人件費は71.5%になっていますという報告があったり、そういった意味からすると、人件費でそれだけ掛かっている状況の中で、保育所はほとんどそれで、さらにあと管理費といいましょうか事務費及び事業費を支出していきますので、それから残った分は、基本的にほとんど余り残らないという実態があるわけでございます。
 そういった状況の中で、今回、余裕財産という、積立金も含めてだとは思いますけれども、4ページのところに、課題として3番目の○ですが「余裕財産の適正水準や活用のあり方を判断するための基準等がない」ということですけれども、余裕財産の適正水準ということがあります。課題として3番目にそういった認識を記載しておられますが、次の5ページの考え方の中に、余裕財産の適正水準についての考え方というのが、どこをどう読んでいったら見えてくるのかちょっと分からないので教えていただきたいのです。

○田中部会長 お願いします。

○岩井福祉基盤課長 お答えいたします。
 確かに分かりにくい資料の作り方をしたかと思いますが、昨今、いわゆる内部留保問題が言われておりまして、内部留保が課題であるという指摘がございます。この趣旨は余裕財産のことを言っているのだろうと考えられます。そういう意味では、単に内部留保という概念が確立せず、そもそも余裕財産を表さないもので議論することがおかしいという問題提起をさせていただいております。
 そのような論点から言いますと、それならば、本来は適正水準というものがその次に出てきます。余裕財産が明確になれば、それが適正水準として出てくるだろうということで、課題ではそのように設定させていただいております。
 しかしながら、今回の提案につきましては、そのような余裕財産を明確化した中で、控除対象財産、運転資金というものを控除した上で、再投下計画対象財産というものが出てくる。これが、あえて言えば余裕財産かと言えるかと思いますが、これも全て再投下しますので、最終的には余裕財産ではなくなるということで、社会福祉法人については余裕財産が基本的にはないというか、全て再投下して国民、地域住民に還元できるような仕組みを作るというのが趣旨でございます。したがいまして、お答えするとすれば、制度としては、余裕財産の適正水準の基準ではなくて、それをきちっと内容的に再投下するという基準を作っていくという形で考えてはいかがかということでございます。

○田中部会長 よろしいですか。
 武藤参考人。

○武藤参考人 質問になりますけれども、今のお答えの中で、余裕財産の明確化ということなのですが、図でいきますと6ページの右側ですが、控除対象財産と計画的再投下対象財産とに分けているのですけれども、それから、その真ん中に運転資金というのが入っていますが、このことに関しては、項目的にも、内容的にも明確にするという方向性なのでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 繰り返しになりますが、余裕財産と言われるものがあるかどうか明確化する作業の中で、このような区分が出てくる。これについては、控除対象財産とか運転資金というものは、明確なルール、定義をきっちりといたしまして、きっちりとした財務規律が担保できるような仕組みにしていきたいと考えておりますので、そういう意味では、そこは明確なものになるだろうと考えています。

○田中部会長 武藤参考人、どうぞ。

○武藤参考人 それで、控除対象財産というものは、先ほどちらっと説明されていたみたいですけれども、現在のところはどういうことを考えていらっしゃるのでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 これはまた次回以降、部会で御議論いただきたいと考えております。ただ、ここにありますように、先ほど申し上げましたように、基本的にきっちりとルール化できて、言い方がおかしいかもしれませんが、裁量性がないといいますか、きっちりと控除対象の財産としてルール化で出されるものだと考えていますので、それ以外の例えば事業展開とか、そういうものについてはむしろ計画的に再投下していただく。その中で、いろいろな行政や地域とのキャッチボールなどもあろうと思いますが、そういう中で考えていくものだろうと考えております。

○田中部会長 三好委員、どうぞ。

○三好委員 今回の余裕財産の明確化は大賛成でございます。市にとりまして、福祉事業者がどういう計画を立てるか。法律の中でも介護保険、さらには福祉事業計画を立てます。立てた上で、社会福祉法人と一緒になりまして、市町村が立てる長期計画と福祉事業者が一緒になって事業を展開していくということが必要でございます。
 ところが、現実、今の問題といいますと、福祉計画は立てます。立てた後に、どこの事業者が、誰が出てくるか全くわからない。それは3年、4年掛けて施設を作ったり、整備するのは、当然1年や2年でできるものではございませんので、こういう形で明確化して、事業計画を立てていただけるということは、市町村も一緒になって事業計画に参画できる、民間も一緒に参画できるということでありますので、これは大賛成でございます。
 市町村にとりましたら、よく病院の建替えをするのに、基金制度を作りまして、そこに積立てをして、何年間積み立てて、大体3割ぐらいの資金ができれば、これは病院を建てる計画に進みましょうといったような計画を立てます。そういう意味でいきますと、余裕財産の中でも事業計画を立てるものについてはきちっと事業計画の中の基金のような形のものを明確化して、ぜひやっていただければ、市町村の事業計画と合致するのではなかろうかと思っております。
 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございます。
 石橋委員、お願いします。

○石橋委員 余裕財産を明確化し、再投資するということについては賛成でございます。
 ただ、その場合、やはり社会法人のサービスを担う人材のための資金として、人件費などが適切に使われた上で再投資するということでなければいけないという、そこの点は気をつけるべきだと思います。

○田中部会長 西條参考人、お願いします。

○西條参考人 地域にとっては特養ホームとか保育所というのは貴重な社会福祉資本でございまして、人材も含めて単に流出するということは避けなければならないと、私どもは考えております。
 その意味で、6ページの仕組み、イメージにありますこの姿を具現化するために、社会福祉法人の特性も生かしつつ、加味しつつ、公益法人改革と同程度の法的整備を進めることには賛同いたします。
 ただ、気になるのは、この議論が遊休財産ありきで、これを新たなサービスとか地域貢献に使うという方向で議論が進んでいるということが、少し気になっております。
 社会福祉法人本来の使命というのは、社会福祉事業を継続させることだと考えておりまして、その意味で、遊休財産というのは原則として建替えの資金とか、社会福祉資本の維持とか、社会福祉事業の継続に最大限活用させるべきだと、最大の社会貢献というのは社会福祉法人にとっては、本来の社会福祉事業を充実させることだと考えております。地域貢献とか新たなサービスより、例えばむしろ弱小法人の合併資金に使うとか、そういった活用の仕方もあるのではないかなと、基本的には社会福祉事業に使うということを原則とすべきだと考えております。

○田中部会長 課長、お願いします。

○岩井福祉基盤課長 説明が不十分であったので補足しますが、当然、遊休財産、余裕財産があることを前提としているわけではありません。一方、これは事業ですので、当然、単なる収支相償になりません。一時期、利益余剰金等があることもありますので、そういうものがきっちりと、先ほど西條参考人も言われましたように、社会福祉事業等に投下されることを担保する仕組みでございます。その結果、余裕財産が出てこない法人も、あろうと思います。そういうことを担保する仕組みであることを御理解いただければと思います。

○田中部会長 福間委員、どうぞ。

○福間委員 今のことに関連いたしますけれども、3ページに書かれておりますが、これまでの議論で、現状の中の「一定の制限」、例えば措置費においても、同一法人内の社外福祉事業及び一体的に運営される公益事業に限定するとか、介護報酬においても、収益事業、法人外の資金流出に充てることを禁止すると。
 例えば地域のニーズに応える場合に、全く無料で何でもやればいいというものでもないと思うのです。住民の自発性なり、そういうものも大事にしながらだと、例えば食事サービスも一定の有料負担があった上でニーズに応える。もちろん所得に応じた減額は前提ですが、それ自体は事業的に見れば公益事業であったり、収益事業であったりと見ざるを得ない。そうすると、これに引っかかってしまう。法人外の資金流出も、これまでも議論があったと思いますけれども、共同でやれば当然そういう問題が出てくる。
 したがって、先ほど来の議論の中で、この規制との関係も全然触れられていないので、資金の整理の仕方とか考え方以前に、そういうことについてのきちっとしたものを持たないと、又は、法律上に書いてあることもありますので、そこも言及するというのが課題としてはあると思います、
 それから、もう一点、社会福祉法人の本来の使命は社会福祉事業というのは、社会福祉事業を行うための法人としてはそうでありますけれども、木村忠二郎さんの本を読むと、そこには憲法89条に基づく公金の支出についての公の支配、ここでは慈善、博愛の事業者に対する公の支配なのですが、社会福祉法人というのはもともとは民間として、慈善、博愛の歴史の中であったものが、社会福祉事業そのものをやるための法制度の中で受けているのであって、そうしますと、本来使命の中のもう一つのそうした社会事業を超えたニーズに応えることが今、求められているのだということではないか。では、資金の流出というか使用についても、経営努力ときちっとした水準を確保した上での努力というのは、本来使命の1つだと私は思っております。そういう観点からの議論を前向きに進めていただきたいと思います。
 以上です。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今の福間委員の御意見に全面的に賛成でございます。社会福祉法が現在の法律に変えられるときに、公共性という言葉、あるいは純粋性という言葉が誤解されてきたというコメントがございます。公共性というものが政府の代わりをやるのである。純粋性というのは第1種社会福祉事業以外やらない、これは新法においては誤解であると、積極的に地域ニーズに柔軟に応えていくのが社会福祉法人であるということが、2000年から変わってきているものだと認識しております。
 その後、さらにどんどん世の中が変わってきている、複雑になってきている。1970年代に日本は家族というものが含み資産で福祉が成り立っているのだという論がございましたが、今や家族がそうした含み資産でもなければ、在宅で様々な話を聞いておりますと、むしろ家族がいることによって様々な問題が起きていると。マイナスの資産になっているようなこともございます。
 そういった状況を受けて、では、第1種社会福祉事業で、あるいは第2種社会福祉事業で守っていくのかという話になりますと、やはり法制度というものが追いつかなくなっている現状がある。そうしたものに柔軟に応えていくことを、その規制緩和を社会福祉法人に与えるということがセットでない限り、今回の制度改革は全く社会福祉法人をいじめるだけになってしまうと思いますので、そういう大前提はまず、これはぜひ議論していただいて、多分、社会福祉法人が地域のニーズに柔軟に応えるまでは全員ここは一致していると思うのですが、そのために社会福祉事業をおろそかにすることは当然あってはならないことでございますが、社会福祉事業しかやらないみたいな話になることは大変危惧しております。
 というのは、現に、そういう行政指導をしてこられた地方公共団体があるということをよく聞きますので、その点は必ずクリアしなくてはいけない。これが1点でございます。
 それから、2番目は、今回の資料でございますが、事務局がおまとめいただいたのは、本当に役所の文章にしては随分思い切っていただいて、あるべき方法論を描いていただいたかな。基本的に大賛成なのでございますけれども、先ほど武居委員がおっしゃっていたように、収支相償の原則はやはり社会福祉法人にはなじまないだろうと、私はそのとおりに思います。
 それから、社団、財団においても、基本的にはなじむと思っておるのですが、現に社団、財団においては、税に関して言いますと、公益と一般、一般はほかの営利法人と変わらないものと公益性を認めているものと、税に関して分かりやすく言うと、松、竹、梅にしている。
 今、地域のニーズとかさまざまなことに応えているのはどこかといいますと、縛っていない竹や梅である。松がよりよく動くようになったかというとそうではないという現状があると思います。これは、私は収支相償の部分も影響しているのではないかと思うぐらい、収支相償というのは社会福祉法人ではぜひ取っていただきたくないと思います。
 そういう意味では、6ページの図がございますが、この図でも、収支相償という言い方を入れていないということは、事務局でもそれはやはり不適切ではないかと、この収支相償はフローのことを言っておりますから、赤の「○1適正かつ公正な支出管理」を言っているのだと思います。ここに3つ書かれておりますが、外部監査の活用以外は既にやっているよという話になるのだと思いますが、ここでの議論で注意しなければいけないのは、既にやっている、通知レベルでやったり、地方公共団体レベルでやっているのだが、必ずしも適切に行われていない、あるいはやっていないケースもある、変なところがあるということを、法律できちんと書いてやっていただきましょうという話でございますから、大きな違いがあるということでございますし、この2つはまずしっかり入れていただく。
 外部監査の活用。これも私は賛成なのですが、あらゆる小規模な法人を含め外部監査を活用するというのは現実的ではないのだろうと思います。どうするかという話になるのですけれども、まず、この○1はそういう意味では、公益財団、社団のような縛り方はしない。そうしますと、先ほど法人ができたいきさつの話がございました。やはり一般法の民法における財団、社団に対して、特別法である社会福祉法が社会福祉法人を決定してきた。憲法89条説は、今、学会ではむしろシャウプ税制説のほうが有力だと思いますが、いずれにせよ、特に優遇する意味があるということを、社会福祉法人が言ってきたことの背景を勘案いたしますと、○1は緩めましょうということだと思います。そうしますと、○2をきっちりしっかりやっていただくことが重要になるのだと思うのです。
 先ほど来議論のある○2の中身が、控除対象財産と計画的再投下対象財産と書いてございます。
 この控除対象財産というのは比較的技術的にどのような考え方で整理するのかという話になるのではないかと思います。これをどういう観点で作られるかという点は、技術的には難しいのですか、田中委員会で既に特別養護老人ホーム等のことでやっておられますので、そういったものの積み上げを活用するということになるのではないかと思います。
 ルール作りの面は、そういう意味では目先がある気がするのですが、ルールを運用する、私自身幾つかの法人に頼まれたりしまして、控除対象財産に当たるものを一緒に計算しましょうとやったのですが、結構大変でございます。しかも、この法人がずっと継続的にやってくれるかどうかは怪しいなというところでございまして、まず考え方がある、そしてその数字をきちんと継続的に出してもらうという部分にどういう仕組みを作るか。これがために人が掛かる、お金が掛かるということでは本末転倒でございますから、やはりこれが定常的な形で、我が法人では控除対象財産は今の時点でこの財産がございますということが出る形でやらなくてはいけない。大きな法人であれば、外部監査の活用があると思うのですが、そうでない法人があるというものをどうするかということをやはり議論していく必要があるのだろうと思います。
 せっかくですから一案申し上げますと、今、福祉サービスの第三者評価というものをやっております。この第三者評価の中で、ある一定割合が財務系のコンサル会社がやっておられます。会計系でございますね。会計が得意だけれども余りサービスの中身がお得意ではないので、福祉サービス評価においては余り評判がよくなかったりするのですが、むしろそういったところの、もちろんこれは全国経営協がやっていただいてもいいですし、福祉医療機構がやっていただいてもいいのですが、全国津々浦々そういった財務の第三者評価みたいなものを、仕組みを作りまして、外部監査といいますと、領収書の1つからめくるという話になりますが、財務諸表をチェックしていく。これは私がやった経験からいいますと、私自身は会計の専門家ではございませんが、私レベルの勉強をすればチェックできる。領収書をめくらなくてもいいというレベルのことがございますので、この点の制度作りというのが実は重要ではないかというのが、控除対象財産のところでございます。
 最後、計画的再投下対象財産でございますが、これは前々回申し上げたのではないかと思うのですが、要は、社会福祉法人が今後こういうことをやっていきますという事業計画があって、それに財務計画がくっついていっているのだと、これがあれば計画的再投下として許しましょうと、これは第1種社会福祉事業の場合があるかもしれませんし、例えば行きどころのない方に低額の住宅を作るために何がしかのお金を扱うといったような、社会福祉事業にはなると思いますけれども、そういうものがあるかもしれませんが、いずれ事業計画と財務計画を作っていただく。これが現に作っておられるところが多くない。なおかつ、理事会決定になっているところになると、かなり少ないということが今の社会福祉法人のガバナンスの問題と言ってもいいのだろうと思います。
 したがいまして、今の仕組みから、社会福祉法人が事業計画を作り、財務計画を作るというふうにどう脱皮していただくか、これは全国経営協さん等に、あるいは老施協さん、事業者団体等の自主努力という部分はかなりあるのだと思いますが、ただ、今の理事会というのが、前々回も申し上げましたけれども、補助金をもらって来年度事業をすることにしましたので、決定してくださいと、ほぼ事後認可に近いような理事会運営が通常行われているという現実を変えることを考えますと、単に事業者団体の方に、今後このように変わるということをやってくださいと、今までもやってこられていると思います。全国経営協のセミナー等でも中期計画の作り方とか、そういったことはたくさんやってこられています。
 それが浸透されていない現実の中で、この計画的再投下対象財産というものをどのように考えて、どのように作っていくか。これがないと、この分は○1○2を合わせて適切にやっていないですよと言われることになれば、さあやろうかということで動いていただけるとは思うのですが、やはりガバナンスの問題にも絡んでくるという御理解をいただきたいなと思います。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 関川委員、お願いします。

○関川委員 藤井委員の御指摘に関連して発言させてください。資料では「適正かつ公正な支出管理」についての2つ目の○で「一定規模以上の法人についは、外部監査を活用し」ということが述べられております。
 前々回の議論でも事務局から提案されましたが、これについての十分な議論が委員からされていなかったように思いますが、一定規模とは何をもって一定規模というのか。1つの考え方として、公益財団において求められている外部監査の範囲ということが1つあろうかと思います。
 先ほど申しましたように、公共性と考えた場合には、例えば学校法人における外部監査の義務付けの範囲というものが1つ参考になるのではないだろうかと思っております。
 幼稚園を経営する学校法人に関しましては、1000万円以上の助成を受けている場合には、私学助成振興法の適用があって、外部監査が義務付けられています。さらには、子ども・子育て支援新制度の下におきましても、施設型給付の対象となる限りについては、幼稚園にも外部監査が義務付けられると考えられています。それを前提にして、外部監査を受ける場合の費用の手当として、加算の制度が議論されていたかのように記憶しています。
 それとの比較において、保育所については外部監査の義務付けは現実的ではないとすると、国民から見ても理解が得られないのではないかと考えているところでございます。
 ですから、一定規模の法人については、ぜひとも、どの範囲で外部監査を義務付けていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○田中部会長 御質問です。いかがでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 ただいまの関川先生の御質問等でございますが、外部監査も含めまして、適正かつ公正な支出管理と、さらに積み残し課題もございますので、今後この部会でまた御議論いただくことを考えております。

○田中部会長 今、いただいたような御意見、あるいは他の先生方の御意見を踏まえて決めていくことになります。
 先ほどの福間委員と藤井委員からあった規制緩和については、今後、緩和するかどうかは別として、規制緩和については取り上げるわけですね。

○岩井福祉基盤課長 規制緩和は非常に広い概念でございますが、この事業を考える上で財務規律の関係で議論をする必要がある部分が出てくると思っております。一方、介護とか、保育とか、それぞれの事業ごとの特殊性のところもございますので、その辺はよく論点を整理して、必要なところについては議論をすることになるのではないかと考えております。

○田中部会長 ありがとうございます。
 小林委員、お願いします。

○小林委員 小林と申します。
 5ページにある、今まで議論いただいていることの考え方ですけれども、これは要するに、社会福祉事業を行うにおいての基本的な考え方ということで、適正かつ公正な支出管理、余裕財産の明確化、あるいは福祉サービス・「地域公益活動」への再投下という考え方は、私は賛成します。
 ただし、このことによって、透明性を確保する観点から、いろいろな基準を作り、そしてそれを示し、さらに公表システムを作っていくということだろうと思いますが、しかし、一方で、私は社会的トレンドも考慮する必要があるのではないかと思います。
 その観点から4点申しますと、1つは、この間の20年間は日本はまさに円高、デフレの環境の中で、一般企業やあるいは事業が海外転出するなどあって、国内の事業が空洞化する中で、低い賃金でも人が集められやすいという環境にあった。あるいは、政府でも雇用のいろいろな政策的支援策も執られてきたということがありました。こういった議論は後でまたするということなのだろうと思いますけれども、しかし、過去ではいわばサービス人材を集めやすい環境に割にあったということが第1点です。
 2点目は、今後の我が国の環境は大幅に変化をしているということ、御存じのように、円安、インフレ環境の中、これが続くであろうということが考えられる。これまでの20年間と大きく変化をしていくということを考慮すべきではないかと、このように思っています。
 それから、3点目は、特養運営の適切なサービス提供とか、あるいは質の向上を図るための有為な人材を確保していくにはどうするかということは、これからの議論ということでありますが、そのためには内部留保などできる社会環境では今はなくなってきていると、このように思うわけです。処遇改善にきちんと資金を使うということでないと人が集まらない環境になっていく、このように思うわけです。
 もう一方、第4点目として、人の教育、研修に資金を使用することと、そういったサービスの質を高めるためのサービスの評価制度をきちんと構築していくことも重要だろうと思います。そういったことに資金を使うということをきちんとこの制度の中で義務付けるということが基本ではないか。要するに、社会福祉事業というのは、基本的には対人サービスということですから、いかに質のいいサービスを担保し、それを提供するかが基本的な考え方でありますから、そういったことをきちんと制度の中で義務付けるということをぜひ御考慮いただきたいということです。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。
 柳川委員、お願いします。

○柳川委員 6ページにある再投下計画は次回以降の議論ということでございますが、この地域公益活動について、三好委員からもございましたが、経済界でお役に立つところもたくさんあると思いますので、ぜひ地域の経済界の意見も取り上げていただきたいというのが1点目でございます。
 2点目は、イコールフッティングの議論にもなるかと思うのですが、計画を立てられて、社会福祉法人さんが事業をする際、本当にその経営主体は適切なのかどうかといった判定といいますか、言うなれば、入札も含めた業務委託といったところ、そこら辺の競争条件というのは意識していただきたいと考えております。
 例えばホームページの開示が少ないなどという御報告もございましたが、民間から見ればかなり驚く内容。やはり本当に今までの事業計画の手法が正しいのかどうか、技術革新などにちゃんと追いついているのかどうか、そのような観点をチェックし、評価する仕組みはぜひ作っていただきたいと考えております。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。
 武居委員、お願いします。

○武居委員 先ほどの規制緩和に関係するところでございますが、この間、法人のガバナンスの充実といった議論がなされてまいりました。そして、法人に関しては、例えばそのためには役員の役割の強化、強化される役割を果たすためには役員報酬が必要だというようなことも、今までの議論の中に出てきたと思います。
 特に、法人本部の役割というのも非常に重要で、その職員の配置等も非常に重要なことではないか。こうした部分は法人運営上の必要経費だろうと思われます。
 しかしながら、3ページのところで、先ほど福間委員の御指摘にもありましたように、措置費についても介護報酬等についても、どちらかというと、今までの考え方は、施設ないしは各事業会計単位に剰余が認められたときに法人本部の経費を回してもいいという考え方です。法人の経営ないしは本部の運営上の必要経費は、仮に会計単位の中の単年度会計が赤字であろうが黒字であろうが必要経費というのは本来必要なもののはずなのですが、残念ながら、現行制度の中ではそういうものは認められていないということがございます。
 したがって、法人本部ないしは法人が重要な役割を持ち、法人の経営や運営を重要視するためには、法人の経費を明確にする必要があるのだろうと思っております。

○田中部会長 そうですね。個別事業ではなく法人本部には費用が掛かりますから、その分も考えるべきであると御指摘をいただきました。
 武藤参考人、お願いします。

○武藤参考人 5ページの考え方について、○1から○3まであります。これについては、社会福祉法人というのは公益性が非常に高い組織、事業ということになりますので、○1から○3は、原則的にはこういう方向で行くべきなのではないかということで、基本的にはこれでいいのではないかと思っております。
 ただ、皆さんの御意見も聞きながら、役員報酬のところなども、これからの社会福祉法人の役割、責任、役員の責任等々からすると、前回も出ていたのですけれども、適切な報酬、そういうものはしっかり払うべきなのではないか。それをしっかり公表するというのですか、そういう透明性の確保という部分も併せて必要なのではないかなと思っております。
 それから、外部監査についても、これも透明性だとかガバナンスという点から考えると、小規模なところへの配慮ということがあるにしても、原則的には外部監査という部分を導入するという方向性で検討してみたらいいのではないかなと思っております。
 いずれにしろ、○1から○3の部分についての具体化をぜひ進めていくべきなのではないかなと思っております。
 それから、次に、地域の公益活動のことですけれども、それに今後計画的な再投下をしていく計画なのですが、とりわけ社会的養護の分野でいいますと、今、児童虐待だとか、子育てが非常にしにくいという実態もあって、子供の貧困の問題だとかも非常に深刻な問題になっていまして、先ほどから出ているように、本来業務で措置で来た子供たちの養護をするということだけではなくて、地域の虐待の予防だとか、子供・子育てのいろいろな事業だとか、そういうものを地域の人たちと一体となってやらなければいけない時代だということを、非常に現場にいて認識しているところであります。
 ですので、本来の事業というものをもちろんやらなければいけないのだけれども、その枠の外にあるいろいろな関連する事業はいっぱいあると思うのです。そういうところをもう少し地域といろいろ手つなぎをしながらやるというところに、私たちも今、全社協でそのようなプランなども考えておりますので、ぜひいろいろな新たなプランの中にも、この計画的再投下というところにいくと、非常に有効な制度になっていくのではないかと思っています。ぜひ今後とも、多分、次回検討ということになると思うのですけれども、地域の公益活動という部分についても、今後、重点的に検討していかなければいけない課題だと思っています。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。
 次回以降検討する予定でございます。
 では、対馬委員、花井委員の順番でお願いします。

○対馬委員 6ページの「○1適正かつ公正な支出管理」の2番目にあります「関係者への特別の利益供与の禁止」、これについては賛成でありますが、禁止だけではだめだと考えます。権限規定については、細分化して定め、理事長個人が勝手に取引業者を決められるようにするべきではないと考えます。
 例えば高額なものの購入については、随意契約を認めず必ず入札をして業者を決定すべきだと考えますし、経理規程の中には、随意契約を一部条件つきで認めておりますが、緊急的な修繕だとか、あるいはその業者しかその商品を扱っていないものに限定して、基本的には随意契約をやめる方向でいった方がいいと考えます。したがって、私は○1の3つの中で、権限規定についてはこの部会でもう少し詰めた議論をするべきではないかと考えます。
 全体的な話としては、社会福祉事業で得た収益を地域のために使うことが、私はあるべき姿だと思いますので、この案については全面的に賛成でございます。

○田中部会長 ありがとうございます。
 花井委員、お願いします。

○花井委員 ありがとうございます。
 私はこの間、社会福祉法人が果たしてきた役割、これから求められる役割が大変重要だという意見を述べてまいりました。とりわけ、2025年に向けて、ますますその役割は重要になっていると思います。だからこそ、ガバナンスや、透明性、情報公開ということを今、きちんと行うべきだということを前提に、意見を述べたいと思います。
 まず、資料の5ページに、外部監査について「一定規模以上の法人については」との記載があります。しかし、基本的に原則は全ての法人に外部監査を導入すべきと考えています。ただし、先ほど来出ております小さな事業体や、児童養護施設などについてはなかなか困難であろう部分も理解できますので、この発想は逆転すべきであり、全て基本的には行うべきです。導入しないところについては、その理由はなぜかということを明確にすることがよいのではないかと思います。
 その上で、外部監査について、都道府県の監査というのが既にあるのかどうか、1つ質問させていただきます。もしないとすれば、やはり社会福祉法人ということからすれば、都道府県が監査を行う、あるいはさらに厚労省が行うという、公的な機関、自治体の監査ということも必要ではないかと思います。
 それから、資料の6ページ、「再投下計画」の中に「人材への投資」と記載されております。これもずっと指摘されておりますように、良質なサービス、サービスの質を高めるためには何といっても人材の確保が重要であり、その人材に対する教育費用等々が大変重要だろうと思います。
 人材への投資の中には、当然、処遇改善の費用、あるいは処遇改善と言っても様々ありますけれども、退職金の積立金ですとか、そういうことを含めて、将来にわたる費用が発生します。人材への投資を全部右側の計画的再投下対象財産に入れるというよりは、むしろ控除対象財産に組み込んでもいいのではないかと思います。
 人材への投資は様々な内容があろうかと思いますので、その辺につきましても、ぜひ今後、御検討いただければと思います。
 以上です。

○田中部会長 御質問にお答えいただけますか。

○岩井福祉基盤課長 まず、行政による監査の御質問がございまして、これにつきましては、所轄庁による監査、検査等が行われております。これについては、今の外部監査のことも含めまして、また行政の関与の在り方を御議論いただきたいと思っておりますので、新たな時代における社会福祉法人に対する行政の監査等については、抜本的に御議論いただきたいと考えております。
 それと、1つ、再投下計画の議論については、これはまた次回以降に御議論いただきたいと思っていますが、簡単にこの案の考え方を申し上げると、先ほど申し上げましたように、控除財産というものを、公益法人の場合のように単にその法人が積み上げるというのではなくて、ある程度ルール化して、機械的に出るものは控除対象財産とするが、それ以外は計画の中で、法人の判断や様々な状況を踏まえて再投下していく、つまり単に積み上げるだけではなくて、再投下をしていただく仕組みの流れに乗せるというのがこの案でございます。
 そういう観点から、先ほど委員の御発言があったものがどちらに入るかということが議論になるのだろうと思います。基本的には、控除対象財産は機械的にかなり限定的に出るものだと考えております。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 2点ほど。
 先ほど武居委員がおっしゃった、法人本部をどう作っていくかというのは、ノンプロフィットはノンプロフィットで効率的な運営ができるようにして、社会の資源配分というものを適正に行う。イコールフッティングの中で適正な競争を起こしていくという意味でも、必ず法人本部の設置ということになると思うのですが、これが前々回の業務執行理事みたいなものをどうするかという議論とも絡んでくるのだろうと思いますし、それから、今、花井委員におっしゃっていただいた、例外的にいろいろできない法人があると。1施設1法人の本当に零細であってという法人がある現状を、どうしていくかという観点はあるにしても、現実的に、例えばここに法人本部を作りたいといっても意味がございませんし、あるいは業務執行理事を作るというのも意味がないということを考えますと、先ほど来出ている外部監査をどの規模でやるかみたいなことと併せて、社会福祉法人の中でも法人という形でしっかり運営できるというもの、株式会社であれば、例えば委員会設置と株式会社みたいなものの分類ですけれども、何かそういう仕組みの考え方もあっていいのではないか。全てが全て、経営者に給与を認めていいとか、法人本部があってもいいということでもないように思いますので、業務執行理事を置いていい、業務執行理事であれば適正な給料を公表とともに認めるとか、法人本部を設置してよいとか、そのための資金を使うことはいいとか、そういったことで、仕組みを違うものとして作ってはどうかという意見が1点でございます。
 もう一点は、また戻るのですが、6ページについて、大変分かりやすくて、このとおりだなと思う図なのですが、1点、少しだけ気になるのが、右の○2の下に「いわゆる内部留保(利益剰余金)」と書いておられまして、これは田中委員会で、松原さんのところで整理していただいたように、18ページに付いていますが、発生源内部留保と名前を付けられたものに関してからのスタートだと思うのですが、今、社会福祉法人で恐らく重要なことは、1つは地域のニーズに柔軟に応えていくと言っていたときに、今までやっていたことが生存と安全をベースとした社会福祉だったのを、本人の自立支援であるとか尊厳に向かって変えていくと。つまり、山の上で施設をやっていたのを、地域包括ケアに変えていこうというふうに変わっていかなければいけない。
 これは原資は何かというと、一番は減価償却でたまっている資金を使えばいいという話になるのでございまして、何を言っているかというと、利益は全然出していなくても、つまり、利益剰余金はゼロでも、発生源内部留保はゼロでも、実在内部留保はある。これは結構金額がたまっていますと、1億円ぐらいの金はたまると思います。これは問題だねという話になるわけです。
 したがって、ここは単に技術的な話なのでこだわる必要はないのですが、いわゆる内部留保なら気にならないのですが、「利益剰余金」と書いていますと、先ほど来、皆さんからありますように、利益をたくさん出してほかに使うみたいな発想になってしまうのですが、継続的にやるための発展、あるいは様々なことをやるための適正な利益というのがあるにせよ、原資の1つは内部留保、過去にやってきたことをどう未来に変えていくかというのは、減価償却でございますので、ここは実在内部留保だと思って、いわゆる内部留保になっていた方がいいのではないかと思います。
 それから、先ほど花井委員からありました、人材にどうお金を使うか。これは他の委員も、人材にもちゃんとお金を使うべきではないかと、そのとおりだとは思うのですが、ただ、ちょっと注意したいと思っておりますのは、今、積立金の中で、人材のための積立金というのをしておられる法人が結構ございます。これは何かというと、将来給料が上がっていくので、将来に備えてお金を貯めるというやつなのですが、これはイコールフッティングの考え方から申し上げますと、株式会社で将来人件費が上がっていくかもしれないので、その分価格に転嫁しますと言っているようなものでして、ちょっと考えにくい。
 そしてそこに税金が掛かっていないわけですから、税金が掛かった後のお金に対して将来の人件費を払いますというのはその会社の勝手でしょうということになると思うのですけれども、税金の掛かっていない分からうちの社員の給料を将来的にも年功序列を守って給料を上げていくという話になると、人材の獲得に関してのイコールフッティングはどうなるのだということになりかねませんので、人材に対してきちんと投資していただく、適正な給料を保証していただくというのは守っていただくということと、余裕財産の中で将来の人材の給料を出していくという話はおのずと違いますので、このあたりは今後議論していくときに留意したいと思っております。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 事務局が出してきた資料に対して、おおむね賛成とか、ここはおかしいとか、他にございませんか。
 西條参考人、お願いします。

○西條参考人 もう一点、すみません。我々は法人に対して指導監査、長い措置時代を歩んできて、社会福祉法人が今、どうなっているかといいますと、結構人件費が高くなっている法人も多いということと、相変わらず公金支出のルールが浸透しておらず、入札しなくてはいけないものを随意契約でずっと続けているとか、その辺、会計規程の指導に非常に苦慮している部分がございます。これも立派な外部流出ということになりますので、その辺は強く指導していかなければいけないのですけれども、特に公平公正な公金支出のルールを担保する仕組みといいますか、法的な整備もぜひお願いしたいと、会計規程を整備しても、指導してもなかなか従わないことに対して、どう法的な担保を加えていくかということ。
 それから、役員報酬とか、職員給与についても、標準モデルなどを示すべきではないか。今、歯止めがきかないのですね。どこ以上が高いのだということをはっきり申し上げることができないので、その辺のモデルをぜひお願いしたい。
 もう一点、先ほどの再投下対象財産の使い方の1つとして、今、申し上げたような、人材育成という観点からしますと、本部職員、特に会計に明るい職員を置くということも、これからの法人運営については必要かなと考えております。
 以上でございます。

○田中部会長 松原委員、お願いします。

○松原委員 まず、事務局に作っていただいた資料につきましては、大変分かりやすくまとめていただいたと思っており、賛成でございます。特に、財務規律について、まずは支出が適正、公正なのかということをちゃんと押さえようというところが大変すばらしいと思います。やりようによっては幾らでも途中で費用の形で実質的に利益流出する方法があるわけで、そこをしっかり押さえた上で、余裕財産の明確化、その際にもちゃんと必要な財産はしっかり把握して、それ以外の余裕財産を明確化するということで、非常にすばらしいと賛成しております。
 あと、先ほど藤井委員がおっしゃっていた、余裕財産の明確化のときも、いわゆる内部留保のところが利益剰余金だけなのはどうかと、減価償却費も入れたほうがいいのではないかということについては、これも賛成で、賛成というか、もともとはうちの報告書で書いた発生源内部留保、最初は入っていたのです。ですが、厚労省がその前に、いわゆる内部留保として発表したときの計算方法には減価償却費が入っていなかったので、それに合わせた方がいいだろうということで抜かしただけで、本来は発生源内部留保は利益剰余金プラス減価償却費という考え方でやっているということを補足させていただきます。
 次回から、地域公益活動とか中身についてお話をするということなので、詳細な話はここでするつもりはないのですけれども、そもそも最初に本業以外の地域貢献活動と言い出したのは、松山委員なので、本当は松山委員にお聞きしたかったのですが、今日はいらっしゃらないということですので、それについて、松山委員と同じ考えでいらっしゃると思われます藤井委員、例えばどんなイメージをお持ちなのか、イメージで結構ですので、教えていただければと思います。

○田中部会長 委員から委員への質問でした。

○藤井委員 発言の機会を与えていただいて、ありがとうございます。
 地域公益事業。

○松原委員 そうですね。本業以外の地域公益活動は例えばどんなイメージか。

○藤井委員 1番は、先ほど武藤参考人がおっしゃったような、本業の周辺のものがかなりたくさんございます。保育でも例えば障害が重くて非常に家庭に問題があるといったような支援が、今の保育の中ではとてもやれないわけですけれども、そういったことが、今、保育とか老人とか障害とやっているわけにはいかなくなっているという問題をやるためには、そういった部分もやっていただきたい。そうすると、そこは、言い方は悪いですけれども、ついででやれるものとそうでないものが当然ございまして、やはり担当のソーシャルワーカーを1人ぐらい置いてやろうかといったことは、大規模な法人であればやることができるのではないかという、1つがこの地域公益事業というのは、今、やっているものの周辺でございます。
 それから、社会福祉法人等の軽減という、お金を持っておられない方々に対して、少ない方に関して、自己負担分を軽減するというような措置も、地域公益事業の中に含めてもいいと思います。
 例えば私、お祭りが地域貢献とは言えないといろいろなところで申し上げておりましたら、地域を継続していく上でお祭りというものは非常に意味があることで、それを継続する上で社会福祉法人が支援をする。それはときにはおみこしみたいなものを寄附させてもらうことをやりたいこともあると、これはどうやるのが適切分からないのですが、地域を継続する、地域を再興するために関して、やはり田舎に行けば行くほど社会福祉法人が公的な器として求められておりますので、そういった、今、やっている事業を超えて、地域のため、地域興しになるようなもの、ただ、これは例えば買い物支援みたいなことを社会福祉法人が地域の商店街と協力してやりましょうという、そんなにお金がかからないものから、ただ、そのためにはちょっと車が必要でみたいなものに多少一部お金を出しましょうかみたいなものまで、投下と言われるものまで様々あると思うのです。
 ですから、まず、私はこれはどういったものがあるのかという、まさに松原委員に御質問していただいたように、少し風呂敷を広げた上で、整理した上で、今、現に社会福祉法人は結構いろいろなことをやっておられますから、ついででやれることは今さら議論する必要はないと思うのです。ただ、今の仕組みの中では極めてやりづらい、あるいはやって怒られたとか、やるなと言われたものというのは結構ございますので、その風呂敷を広げて整理をするというプロセスは必要かなと思っております。
 こんなところでよろしいですか。

○松原委員 そのレベルのイメージということなのですね。今、内部留保を使うというお話だと思うので、ある程度コストが掛かるものでないと、多分問題なのかなと思って、それはコストの掛かるものだということですか。

○藤井委員 例えば、先ほど申し上げたような、お金のない、行き場のない高齢者のための低額なサポートのついた、サ高住とはちょっとやり方も色々なことを変えて、地域の実情に合ったような住宅を作っておられるようなケースがありますが、これは結構それなりの金額は掛かると思います。こういうのを今、やれなくはないのですけれども、これが社会福祉法人の本来のミッションだからやらせてくれと言ってもなかなか行政がうんと言ってくれないような現実があったりしますので、むしろこれはミッションであると認めていただく。
 あるいは、今、制度にはないのだけれども、地域包括ケアの中でこういったタイプのサービスが、例えば24時間でやるような、対馬委員のやっておられた株式会社でやられましたけれども、社会福祉法人でやりたいと、そのためには今の類型にはまらないところが結構あって、こういう拠点を整備しなくてはいけないといったところで、投資される金額があるかもしれませんし、もともとサ高住のモデルになったようなものは、私の認識では長岡福祉協会さんがやっておられた、高齢者を家族から離してサービス付きの住宅を作ろうというアパートを始められたのが最初だったと思いますが、あれもお金を出すのを相当苦労されたということだと思いますので、住宅系のものを中心に、1つあるだろうということ。
 それから、今、ないけれども、今後必要になっていくといったサービスを作っていくといったもの、これは民間企業がやれないものでございますから、民間企業の先導役をある程度やっていくという意味でも、お金が掛かるものとしては、その2種類はとりあえず考えられるのかなと思っております。

○田中部会長 これについては、次回も議論いたします。ありがとうございました。
 どうぞ、松山参考人、お願いします。

○松山参考人 社会福祉士会の、今日は参考人として出席させていただきました。
 財務と事業は表裏一体をなします。その中で、財務という部分の、特に2番の余裕財産の明確化、この中の控除対象財産についてはもう少し丁寧な議論が必要かと思います。このことによって、例えば特別養護老人ホームの人件費率、非常にピンからキリまであります。確かに法人規模であったり、地域性であったり、遠隔であったり、多々あろうかと思いますけれども、非常に規模が多々ある中で、モラルハザードといいますか、この部分がむしろ圧縮すると、本来の社会福祉事業はかなり抑制されてくるのだろうなと、また、地域公益活動の中身も、その事業の中身も影響してくるのだろうなと思います。
 先ほど来ある、人材への投資とか、人件費とか、ここの部分を本当にもう少し慎重に議論したほうがよろしいのかなと思います。
 併せて、先ほど藤井委員からありましたように、やはり公益的な、ジェネリックな、対象者を問わず、こういった部分も意図して、これは地域公益活動の中身の議論になると思いますけれども、ぜひ御検討いただきたいと考えております。

○田中部会長 福間委員、お願いします。

○福間委員 次回というより、どこかの機会のときにぜひ御提供いただきたいと思っておりますのが、介護保険法が平成21年改正のときに、介護保険事業所の法令遵守義務ということで、業務管理体制の整備が全部義務付けられた。今、焦点になっている介護保険関係の社会福祉法人は、実はそういう意味でのコンプライアンスの義務化で、事業の規模によってステップもかなり違っておりますけれども、全てのところがそういう体制をされているわけですね。
 この法令遵守というのは、単純に介護保険法だけではなくて、まさに事業を行うに関係する法令、通達、全部関わってまいりますので、それこそ労働管理から会計から消防とか、みんな入ると思うのです。そうしたものを遵守するためのチェックする職員を置いて、その規程を作って、職員に徹底する。そういうことが管理体制としての基本だということで、介護保険事業関係では全て、その体制が21年の秋から作られております。
 もちろん、実態としていろいろの状態はあると思います。大規模なところはかなりの内部監査まで求めるハードルになっておりますが、介護保険事業経営の社会福祉法人でもそのレベルを求められるところは本当に100もあるかないかです。ぜひこの機会に、社会福祉法人全てに共通するものとして、どう生かせるのかも含めて、そんなにハードなことが新たに求められるということではないと思うので、参考にしていただきたい。私はそういうものがきちっと、介護保険法に基づいてやられていますので、社会福祉法の中でもそういうような位置付けをすれば、社会的なコンプライアンスとガバナンスの面でも意味があるのではないかと思いますので、どこかの機会で、その状態を報告いただければと思います。

○田中部会長 課長、何かお答えになりますか。

○岩井福祉基盤課長 適正な支出管理は今後また深掘りして御議論いただきたいと申し上げましたし、また、経営組織の在り方、ガバナンスについても、さらにもう一度整理する必要がございますので、今、福間委員から御提案があった点についても、改めて御議論いただければと思っております。

○田中部会長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 すみません、間2回お休みをしていた上に、この分野に特別明るくないので、既にそういう御議論が行われているかもしれないのですが、次回に向けての期待ということで、先ほど松原委員と藤井委員の間でやりとりがあった、地域公益活動に関連してです。
 既にそのようになっているのだったらそれでいいのですが、1つ、私、オランダに行って、オランダの住宅協会であったりとか、日本でいうところの地域支援事業に当たるような社会生活支援法という基礎自治体がやっていくものの場合なのですけれども、実行領域というものを定めていって、定められた実行領域に沿った形で、住宅協会であれば住宅協会が、まさに様々なステークホルダーを集めてきて、実行領域ごとの計画を立てて、その計画に従ってやっているかどうかということを見るという形でやって、例えば住宅協会であると、上の方は余り関係ないのですけれども、低所得者層などのターゲットグループへの適切な住宅供給とかから始まって、最近加わっているのが、近隣コミュニティーにおけるQOLの向上ということだったり、あるいはケアを必要とする人々への住宅の供給におけるケアとの連携みたいなことであったりとか、こういう実行領域というものを住宅協会の連合会みたいなものが、次第に世の中の変化とともに見直していって、でも、それぞれ例えば住宅協会であれば、実効領域6つあるのですが、その中で、各住宅協会がどういった活動を具体的にやるかとか、どういった目標を定めていくかということについては、それぞれの住宅協会が定められた透明なさまざまな人たちの民主的なプロセスの中で決めていくというようなことをやっている。
 公益活動というところに関連して、具体的なこういう事業、こういう事業、こういう事業だったらということではなくて、1つの先ほどのような地域におけるQOLみたいなこととか、ある程度領域を定めていって、その中で各法人が民主的に、その法人で理解するところのその領域に関する計画を立てて実行していますというような形にしていくことはできないのだろうかと、ちょっとうまくまとまっていないのかもしれないのですが、思うところです。
 余り微細に具体的な事業を上げるということではなくて、大きく領域を定めていって、具体的なその領域の中での目標設定とか、どういう事業をそれぞれやるのかといったことについては、各法人が今までお話をなさっているような透明なガバナンスの下で決めていくという方向性にしていくことが、もしなっていないのであれば、望ましいのではないかと思います。
 以上です。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今の意見、私も大変なるほどなと思って納得したというか、オランダの話をもう少し詳しく教えていただきたいと思ったのですが、第1回目か第2回目にちらっと申し上げた、地域の意見を聞く仕組みというもので、今の社会福祉法人は、評議員会がこれに当たるということになっているのだと思いますが、評議員会というものを仮に議決機関と位置付けた場合に、そのときに議論したのですけれども、住民の代表の人たちの意見に様々議論をしてもらうというのと、議決機関というと、おのずと機能が違う。
 それから、全国津々浦々ある社会福祉法人が、議決に値するような人を現在のように5人も10人も集めるのは非常に苦労するところなので、私はまず評議員会というのは、決算あるいは企業の利益処分に当たるようなことをチェックするというレベルで、回数も限定し、人数も限定した形でチェックする仕組みという理解でいるのです。
 そうしたときに、地域の意見を聞くという、今、堀田委員がおっしゃった部分をどう担保するかという意味では、オランダの話とちょっと違ってくるのかも入れないのですが、ともかく地域の人、行政の方がどう入るかというのは考え方があると思うのですが、私の考え方では行政の方も入ってきていただいて、今、高齢の世界でいいますと小規模多機能とか、グループホームでいいますと3カ月に1回いろんな意見を聞いてくださいというのがありますけれども、あれに類した形で、きちんと自分たちの法人はこういうことをやっております、こういうことをやりたいと考えていますということと併せて、皆さん方からのニーズを拾い集める。
 これは決定する機関ではないのだけれども、説明して理解してもらう。敵対するということになっては困るのですけれども、そこで決まったことを全て法人がやることになりますと、民間法人の意思決定としてどうなのかと思いますが、私の知る限り、こういうやり方をしますとやはりお互いに勉強し合えますので、地域に対して我々のできることをフィードバック、地域の側が、あそこはこういうことをやってくれるのだということで、徐々にお互いがそこで決まったことはきちんとやれるものを作っていくことができていくのではないかという期待を込めて、決定機関ではない地域の懇話会みたいなものをしっかり位置付けて作っていく。それときちんと話を聞いて、意見を聞く。どういう意見が出たか、それに対して法人はどうしたかということは開示する必要があるのですよといったぐらいのことを考えているのです。
 そういった意味では堀田委員がおっしゃったのとちょっと違うとは思うのですが、いずれにせよ、地域の意見をきちんと聞く、これは本業もそうだと思うのですが、本業から少し離れていくものについては特に、やはり法人が独りよがりというと申し訳ない言い方になるのですが、地域のニーズといいますと、特に施設中心でやっておられるとすると、なかなか本当に御理解できているかどうか分からないところもあると思いますし、地域のサービスをやっておられても、ニーズがある方のことは分かっていても、そうではない周辺の方々の意見やニーズに関して、社会福祉法人の経営者の方々はなかなか敏感ではないと私は思っております。
 そのためにもそういう仕組みをきちんと作ることによって、やりがいといいますか、やっていかなければいけないという気持ちも持っていただけますし、経営者の皆さん方は特に経営者はお金儲けがしたいわけでもなくて、やはり多くの方々が何かの役に立ちたい、よくやったとほめられたいという承認欲求と言ったら怒られるのですけれども、そういうものがあるので、そういった仕組みとしてもこういう何か仕掛けがあった方がいいのではないかと思います。
 以上です。

○田中部会長 関川委員、どうぞ。

○関川委員 お話の内容が、再投下計画の中で展開されている地域公益活動をどこまで想定するかという話になっておりまして、それは次回取り上げるということなのですが、最後に1つだけ、事務局に次回につながる話としてお聞かせいただきたいのですが、私自身も従来の社会福祉事業、公益事業以外の地域の福祉ニーズに対して、社会福祉を目的とする事業を起業していくことが、今社会福祉法人に求められている大切な役割ではないかと考えておりますが、他方で少し心配なのは、税法上優遇税制の適用が想定されている事業範囲を超えて余裕財産が再投下されることに対して、税法上どのような評価となるのか、という点でございます。これについて、事務局において御整理されているのであれば、お聞かせいただきたいなと思います。

○岩井福祉基盤課長 ただいまの関川先生の御質問ですが、税法以前の問題といたしまして、社会福祉法人というものが、社会福祉法に基づいて行う枠組みというのが定められておりまして、基本的には社会福祉事業と公益事業と収益事業である。収益事業の収益は社会福祉事業と公益事業の一部に充てるものとされております。
 この枠組みから申し上げられることは、基本的には収益というのは社会福祉事業と公益事業に充てられるものであるということになろうと思います。社会福祉法人が何か事業をするというときに、それが事業として認められる活動としては、やはり社会福祉事業と公益事業、収益事業がございますが、この範囲であろうと。それ以外になさるということは、基本的にはこれは事業として行うということはないのではないかと考えております。
 したがいまして、今回の図でも社会福祉事業と公益事業の範囲に書かせていただいております。逆に言うと、社会福祉を目的とするような事業を活動されることがあれば、それがその定義の範囲に入るのならば、それは公益事業に入るということ。社会福祉事業、公益事業の他にそれがあるという考え方ではないのではないかと考えております。

○田中部会長 時間になってまいりましたが、最後に一言という方はおられますか。
 松原委員、お願いします。

○松原委員 今回のテーマとは全くはずれてしまうのですけれども、この部会でこんな意見があったということだけで結構なのですが、先ほど堀田委員がおっしゃったような、オランダの非営利組織の例、オランダに限らず、ヨーロッパの非営利組織は会計上の利益は出してはいけない組織になっております。ただ、それでもちゃんと再生産もできますし、拡大事業もできている。それは、会計の中でそういったものを特定積立金とかで費用化することが認められているわけですね。当然、その際に費用化をする際には、ちゃんと説明できるものでなければいけないですし、それに対して会計士がちゃんとオーケーしているものでなければいけないという条件付きでございますけれども、そういったまさに非営利の事業をよく表す会計ルールというのも、今回の福祉部会のテーマと直接的には外れてはいるのですが、中長期的な視点として、そういう視点も今後は検討に値するのではないかと思っております。

○田中部会長 大事な指摘ありがとうございました。
 よろしゅうございますか。では、本日の議論についてはそろそろ終了とさせていただきます。
 次回の開催について、事務局より説明をお願いいたします。

○西辻総務課長 次回でございますが、来週の10月7日の火曜日、10時から、場所は東海大学校友会館「阿蘇の間」で開催を予定しております。詳細は追って連絡をさせていただきます。
 なお、次回の部会におきましては、今日も幾つか議論に出ましたけれども、実際に社会福祉法人でやられている地域公益活動の取組について、委員の皆様から発表をお願いしたいと考えております。福祉関係の団体の委員の方、部会長と相談させていただいて、一部の学識委員の方にも別途お願いしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○田中部会長 開催頻度が高いですが、皆さん、よろしくお願いいたします。
 本日は、財務運営の規律に関して活発な御議論ありがとうございました。これにて終了いたします。御多忙の中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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