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2014年9月29日 障害年金の認定(腎疾患による障害)に関する専門家会合(第2回)議事録

○日時

平成26年9月29日(月) 17:55~


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○出席者

構成員

相川構成員、北島構成員、田熊構成員、成田構成員、山縣構成員
渡邊構成員

○議題

1.開 会

2.議 事

 (1)関係団体からのヒアリング

 (2)障害認定基準(腎疾患による障害)の見直しの検討

 (3)その他

3.閉 会

○議事

(相川座長)

 定刻まであと5分少々あると思いますが、皆さんお集まりいただきましたので、少し早目に開催したいと思います。

 第2回の障害年金の認定に関する専門家会合ということで、本日は大変お忙しい中、本会合にご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、まず本日の資料と議事次第について事務局より説明をお願いいたします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 本日の会合資料の確認をさせていただきます。

 座席表、構成員名簿、参考人名簿のほか、お手元の議事次第のもと、資料1といたして「全国腎臓病協議会からの意見要旨」、資料2といたしまして「障害認定基準(腎疾患による障害)の検討事項」、資料3といたしまして「障害認定基準(腎疾患による障害)の事務局見直し案(たたき台)」、資料4といたしまして「相川構成員提出資料」、以上の資料のほか、参考資料としまして「血清アルブミン測定値に関する資料」をお配りしております。お手元にございますでしょうか。不足がありましたらお申し出いただければと思います。

 続きまして、本日の議事でございますが、まず初めに、本日ご出席をいただきました団体の皆様方から、生活実態の状況や認定基準に関する意見などについてヒアリングをさせていただきたいと思います。3名の方から順次お話をいただきまして、その後に構成員の皆様方からご質問をいただく時間を10分程度とりたいと思います。

 そのヒアリングが終わりましたら、見直しの検討を前回に引き続きお願いしたいと思います。また、前回第1回目の会合での議論を踏まえまして、障害認定基準の事務局見直し案(たたき台)を作成いたしました。検討事項とあわせてごらんいただき、本日のヒアリングの内容も踏まえながら、ご議論いただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

(相川座長)

 今、事務局から説明がございましたが、まず最初に当事者団体からのヒアリングを行い、その後、前回から引き続きの検討事項と見直し案のたたき台について議論を進めてまいりたいと思います。

 まず参考人として発言していただきます全国腎臓病協議会の皆様、きょうは3人の方に来ていただいております。本会合に出席いただき、ありがとうございます。限られた時間ではございますが、質疑応答を含めてお話をしていただきたいと思います。

 それでは、まず最初に濤様からお話をいただけますでしょうか。よろしくお願いします。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会濤参考人)

 では、腎疾患による障害年金のヒアリングに向けての私の発言をさせていただきます。よろしくお願いいたします。大阪から参りました濤でございます。ヒアリングという言葉はよく聞くのですけれども、こういった経験は私にとっては生まれて初めての経験でして、ポイントがずれることがあるかもわかりませんけれども、非透析の立場からさせていただきたいと思います。私は、慢性糸球体腎炎でございます。

 さかのぼりますが、昭和46年当時、血圧が高いようだったら健康診断を受けたほうがいいよということで課長から勧めがありまして、公立の病院へ診察に行きました。結果は蛋白尿が出ている、通院する必要があるという結果を主治医から聞かされまして、月に1度、血圧測定と尿検査をしに病院へ通院しました。そういうことですから、尿蛋白がどんなものだとか腎臓の働きなど全く無知の状態でした。

 ちょうど通院して1年たった47年の2月に蛋白量がふえ、その上血尿が出るようになり、主治医から職場を休めと言われて、病気欠勤することになりました。ただ、自宅療養では不安感が先行して、どうなるんだろうかとか、そういうことを考えますから、蛋白尿と血尿とも改善しませんで、むしろ悪化の方向でした。自宅療養は何の効果もありませんでした。それで主治医に入院を求めたのですが、させていただけなかったので、友人に相談したところ、病院を替わったほうがいいのではということで、友人が紹介してくれた診療所で診察を受けました。非常に小さな診療所でございまして、そこにかかったほうがいいのかどうかと迷ったのですけれども、結局そこで診ていただいて、それでPSP検査を行いました。今では余り使っていないかもわかりませんけれども、15分値が5%の非常に悪い結果が出まして、医師の先生も驚いて、ベッドがあくのを10日待って入院し、それ以後は絶対安静の状態でした。

 職場復帰までは、病欠期間を含めまして1年9カ月休ませていただきました。21カ月です。私が一番心配したのは、職場復帰ができずに分限解雇、結局審査委員会も通らずに解雇されることでした。子供も小さいですし、当時、結核以外は私疾病扱いでして、私の職場では勤務年数に応じて休職期間が決められていました。職場復帰の審査委員会の構成なんですけれども、大学医学部の先生方あるいは市民病院の先生方、そういった6人の先生で構成されまして、そして主治医から復帰のための診断書を提出します。私の場合は、3回落ちまして、4回目でようやく復帰の許可が出ました。

 私の職種が事務職であったということが、幸いだったのかもしれません。意見書にも述べてあるように、保母さん、現在の保育士なんですけれども、体力を使う方たちは、審査基準も厳しくて、結局職場復帰の許可が出ないために、やむなく退職されていきました。職種変更をしてくれる職場さえあれば、保母さんでも可能なんですけれども、当時は審査基準もそういうこともなくて、退職せざるを得ないという状態に追い込まれたんです。

 3級の認定基準では、「身体機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」となっていますけれども、医学上必要だとわかっていても、現実はそういった労働条件の整備のあるところはなしと言っても過言ではないのではないかと私は思います。

 私が入院していた当時は、健保本人は10割給付でした。だから、21カ月休むことができたと思います。今は、本人は3割負担ですし、診療報酬との関係でも長期間入院できないのが現状だと思います。そういう点では、私は非常に恵まれていたと思います。

 ただ、私の病歴も初めに申し上げましたが、PSPをやって、結果が悪いということで、慢性腎炎などは悪化していても全く気づかない場合が多くて、それだけに、保母さんの退職例でもそうですけれども、医療面でも退職されますと負担がかかってきますし、自覚症状がないため、治療中断のほうへ突き進む事例をよく聞くんです。

 そういうことで、意見書にも述べていますけれども、担当窓口や医療機関の医師からは、透析をしていないという理由で障害年金の手続を進めないのが実態です。透析前であっても、認定基準に当てはまる患者は、障害年金を進めていただける体制になっていただきたいと思います。そのことが、労働条件の整備ができていない中で、治療中断を少なくし、悪化させないで透析に移行することを遅らせることにもつながり、財政的見地からいっても大きな価値があるように思います。

 そして、国・企業のネットワークによる円滑な労働条件の整備において、勤務していた者も全く失業するのでなく、勤務を継続できる方向で検討すべきであると考えております。

 障害年金の認定基準は、障害年金を受ける検査数値だけでなく、私たちは食事管理とか、運動ほかの制限とか、いろいろなことをやっているわけですけれども、各個人が制限された日常生活スタイルも加味した基準にすべきであると考えます。特にCKDが進行すると、浮腫とか、腎性貧血とか、ミネラル代謝異常が検査であらわれている場合が多くて、心血管疾患にも影響するので、基準内容に入れていただけたらと考えます。

 そして、認定基準を見直しされるなら、全腎協が長年提起しています総合的腎疾患対策の観点で認定基準を考えていただきたいと存じます。

 非常に雑駁な発言になりましたが、長年の療養経験から感じたものを述べさせていただきました。失礼いたしました。

 

(相川座長)

 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、糸賀様、よろしくお願いいたします。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会糸賀参考人)

 こんばんは。糸賀久夫と申します。私は人工透析をしていまして、ちょうどことしで42年になります。私は、サラリーマン生活は40年ほどしまして、今65歳なので、58歳のときに早期退職しております。透析の患者さんは全国にもおわかりのように31万人いると言われていますが、ここに来られる方はほとんどいないので、私は比較的元気だからここに来ているので、大変な思いをしている人たちがいっぱいいるということは皆さんぜひご承知おきください。たまたま私は元気なので、私が適任かどうかわかりませんけれども、きょうはヒアリングに来ました。

 まず、私の病歴について申し上げます。昭和47年6月に発病しました。そのときにはもう既に腎機能は、「あなたの腎臓は6%しか動いていませんよ」ということで、末期の腎不全でした。その年の12月より人工透析を開始。最初は週2回の8時間の透析でした。シャントは、私の場合は外シャントで始めました。シャントがなかなかうまくいきませんで、左腕に6回、それから左足にも1回行っております。その後、昭和49年2月より、右腕に待ちに待った内シャントの手術をしていただきました。そのシャントで現在、週3回、4時間半の透析を行っています。私は夜の透析ですので、夜は11時、12時と大変遅くなりますので、その辺は体力的にはちょっときついなと感じることも多くあります。

 それから、40年前は食事療法、塩分・水分制限が大変厳しい状況でした。はっきり言って、食事制限を守れない人は生き残れなかった時代です。透析の初めのころは、20年ぐらい前までですが、ひどい貧血で、ヘマトクリットが幾ら食べても20%前後という状況が続いておりました。その後、造血ホルモンのエポジンが使えるようになり、貧血から抜け出すことができました。

 透析の合併症は避けて通れない状況にあります。特に私は長期透析者ですので、これからちょっと合併症のことについて話します。

 今から22年前、PTHが高くなり、二次性の副甲状腺機能亢進症と言われ、PTXの手術をしました。14年前には、手根管症候群のため、両手を手術しました。その後、さらに3年ぐらい前に、両手ともまた手がしびれたり痛くなったりしましたので、2度目の手術を行っております。

 合併症の中で一番苦しめられているのが、動脈の激しい石灰化です。17年前から狭心症の症状があらわれ、冠動脈にステントを3カ所入れました。大動脈弁も石灰化でやられまして、9年前、平成17年6月に弁置換の手術を行いました。このときの執刀医は順天堂大学の天野先生です。大変有名な先生にやってもらったんだなと、この前の天皇陛下のバイパスの手術のときにびっくりしました。

11年前、平成15年8月に右の腎臓にがんが見つかり、摘出手術をしました。左の腎臓も、がんになる可能性があるので、毎年エコーとCTの検査を継続しています。

 8年前、平成18年4月には、石灰化のため、左足のつけ根のところですけれども、下腹部の左総腸骨動脈にステントを入れました。

 最近、左足に動脈が流れていないことがわかり、気になっております。これは、40年前に左足にシャントをつくったときに動脈を1本潰していますので、その影響があらわれているのかなと思っています。

 生活の困難さのことについてお話しします。透析は対症療法、これはあくまでも対症療法です。あらわれた症状を軽減するということが対症療法でありますが、透析を始めたら、ご存じのように、もうエンドレスですから、終わりはありません。自己管理の中には食事管理、生活管理が含まれますけれども、こういうことも終わりはありません。透析のストレス、例えば食べることを気にしたり、体重を気にする生活、シャントを気にする生活は、いつもいつもついて回ります。透析後の疲労感、脱力感は本当につらいもので、当事者にしかわからないと思います。動きたくないと思うときもありますが、透析に追いかけられているような感じです。また、その毎日の繰り返しです。

 私の心配事をちょっと話します。冠動脈がいつ詰まってしまうのか、非常に不安です。これは、心筋梗塞や狭心症にいつなるのか、非常にある程度石灰化で大分詰まってきていますので。それから不整脈。透析が長いこともあるのですが、今は上室性期外収縮ですけれども、近い将来心房細動が出ることは確実だと循環器内科の先生に言われております。

 それから、左足の末梢動脈疾患ですけれども、これも、細いところの動脈は処置のしようがないといった話がありますし、動脈が詰まって、先のほうには動脈は流れていないんです。ですので、いつ歩けなくなるのかもまた不安です。

 それから、先ほども言いましたけれども、手根管症候群を2回ほど手術していますので、手をしっかり握ってげんこつにすることができないんです。げんこつができないということはどういうことになるかというと、小銭を数えているときによく落としてしまうんです。ここはしっかり掴めないので、ぽろっと落ちてしまう。それから、お薬を私も40年もやっていて、10錠以上飲むんです。いろいろなことがあって、年々増えてしまいまして、錠剤もよくこぼすんです。こういうことが非常に不自由です。また、最近は、食事のときに箸がうまく使えなくなってきているのがちょっと困っているところです。

 それから、肩関節の痛み、特に透析中のシャント側の右肩がひどく、終わりの1時間ぐらいからはもっともつらい時間帯です。

 それから、歩くことも長くはできません。また階段を上ることがつらいです。

 こういう痛みについて、私は従来から思っていたのですけれども、障害年金での認定で、痛みについての認定は考慮されていないようにお聞きしていますので、これについてはぜひ見直しのときに、痛みというのは非常にわからない、個人差がある、評価の仕方が難しい問題かもしれません。だけれども、ここまで医学が進んでいる中で、このことも何とかクリアしてもらえればと思っております。

 それから、生活の中では、私は和式、いわゆる畳の生活は、関節が余り曲がらないので、座ったら立ち上がれない、人の手を借りないと立ち上がれないという状況です。ですから、大分前から和式のトイレは使用できません。

 私の今日言いたい結論なんですけれども、透析はどんなに進歩してもあくまでも対症療法であることには変わりないんです。透析は、体に負担がかかり、日常生活に厳しい制限が加わります。障害年金は、国民年金法に定める目的に照らせば、障害者の所得保障を支える重要な制度です。国民年金に加入している透析患者にとって、障害年金の認定を3級に引き下げられることは死活問題です。障害年金の認定を3級に引き下げるのは絶対に行わないでください。

 以上が私の今日の話です。ご清聴ありがとうございました。

 

(相川座長)

 ありがとうございました。

 それでは最後になりますが、金子様にお願いしたいと思います。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会金子参考人)

 全国腎臓病協議会の金子と申します。よろしくお願いいたします。私は、腎臓移植を受けた者として発言させていただきたいと思います。

 私は、2011年4月に献腎移植で善意の提供をいただきまして、腎臓移植を受けました。おかげさまで人工透析週3回の治療からは離脱することができまして、今のところ順調に進んでおります。ただ、今は2カ月に一遍の外来なんですけれども、いわゆる日々の管理について主治医の先生から指導をいただきまして、特に血圧を上げないように、塩分の成分をきちんとすること。特に血圧を上げると腎臓にダメージがあるので、十分に注意してください。それから、太り過ぎないように、これも腎臓にはよくありませんということ。それから、人工透析とは逆に、水分をたくさん取ってください。目安としては2リットルぐらいといった指導を受けながら、日々食事管理もしていき、体重・血圧も、人工透析をしていた時と同じように管理していく必要があるとしております。それとあわせて、ほかの疾患が出たときに、例えば歯科の治療、あるいは私は移植後に顔面神経痛になりまして、そういうときには必ずレシピエントコーディネーターあるいは主治医の先生と相談しながら絶えず治療を受けなければならない。そういうところで、一般の方とはやはり免疫抑制剤を使っているというところではかなり違うのかなということで、日々注意をしております。

 去年、実は顔面神経痛になりまして、プレドニンを少し使わなければいけないということで、耳鼻科の先生と、それから移植医の先生とで相談していただいて、プレドニンを調整しながら治療した経過がありますし、そのほかにも幾つかそういうケースで、例えば胃のバリウム検査なども移植者には余り好ましくないということで、そういう検査などについてもレシピエントコーディネーターあるいは主治医の先生に相談しながら、絶えずチェックをしながら生活をしているという状況があります。

 それからもう一つは、免疫抑制剤を飲んでいますので、絶対に飲み忘れがないこと、それから時間を間違わないこと、そこについては厳しく指導をいただいております。過去に2回ほど、ちょっと飲む時間がおくれたり、それから間違って飲んでしまいまして、そのときには、レシピエントコーディネーターの方と主治医の先生と相談しながら薬の対応を検討して、その日はちょっと薬を飲む量を変えたりして対応した経過があります。これについては、免疫抑制剤を飲み忘れたり、あるいは逆にたくさん飲み過ぎてしまうと、腎臓には非常にダメージがあるということですので、日々気をつけております。それから、絶えず予備の薬を持っていること。そういうところではかなり厳しく指導を受けておりますし、また逆に免疫抑制剤を飲んでいることの副作用、例えばサイトメガロウイルスあるいは糖尿病というものについては個人的には非常に心配しておりますし、先生も絶えずそういうところには検査をしていただいております。そういうことで、免疫抑制剤を飲んでいるということで、例えば違った病気が発病した場合、あるいは薬を飲み忘れた場合、いろいろなケースで絶えず気をつけていかなければいけない。そういうところで、免疫抑制剤というのは、移植医療には欠かせないものですけれども、またいろいろなことを考えると、飲んでいることを非常に患者も当事者として心配しております。そういうところで、ぜひ免疫抑制剤を服用しているというところも認定の基準の中で反映されればと、私の意見としてはお願いしたいと思っております。

 それからもう1点は、私が献腎治療を受けたのが2011年なんですけれども、実は人工透析に入ったのは1979年で、31年間人工透析をして、やっと献腎の移植を受ける機会がありました。実はこの間にやはり合併症がありまして、脊柱管狭窄症、それから頸椎の狭窄症、手根管症候群というものが合併症として発生しました。それから、手根管の症候群は両手の手術を受けまして、頸椎については人工骨が入っています。そういう手術をしていただきましたけれども、やはり手足のしびれ、それから長い距離を歩くと、痛くなって歩けなくなる、あるいは膝折れをしたりしてしまう。それから握力がまだ十分戻っていなかったり、上に物を上げるときに肩が上がらない。こういうことについては実は移植を受けた後も同じ症状が残っております。ですから、同じ移植を受けても、合併症が出る前の方、それから私のように合併症が出て移植を受けた人とはちょっと状況が違うのかなと個人的には思っております。

 そういうことで、透析医療からは離脱できましたけれども、手足のしびれ、歩く範囲、あるいは物を持ったり握ったりというところでは、いろいろ苦労しております。糸賀さんからもお話があったように、私も小銭を落としてつまみ上げるのとか、お札を数えるのはどうしても、しびれがあるものですから、なかなかうまくいきません。ですから、自動販売機に小銭を入れたり、こういうことにも日々不自由していたりしております。そういうところでは、単に腎臓の機能あるいは血液検査だけではなくて、一人一人の患者の実態、手が上がるか、動くか、そういうADLという言い方が妥当かどうかわかりませんけれども、そういうものも含めて認定基準の中に反映していただけると、私としては非常にありがたいなと思います。そういうところをぜひご検討いただきたいと思います。

 私の発言は以上です。よろしくお願いいたします。

 

(相川座長)

 どうもありがとうございました。

 それでは、3名の方にそれぞれご意見をいただきました。透析前の保存的な療法、そして透析中、そして移植後と、この皆様からのご意見に対して、構成員の方からご質問などございますでしょうか。順序は不同で結構でございますので、ご意見、ご質問を積極的にお願いしたいと思います。

 成田構成員。

 

(成田構成員)

 新潟大学の成田でございます。最初の濤様にお伺いします。症状を訊くと、40年以上前に慢性腎炎が発病しているように思いましたが、その後の経過をもう少し詳しく教えていただけると大変ありがたいと思います。一つは、尿蛋白とか血尿がどうなっているのかということと、それに対して腎機能がどれぐらい今低下してきているのか、ご自分でどのぐらい把握されていますでしょうか。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会濤参考人)

 血尿関係は、社会復帰しましてから、どうしてもみんなと一緒に仕事をしなければなりませんから、今もやはり血尿も、それから蛋白も依然として出ています。だから、復帰の当時から比べると、やっぱり悪くなっていますね、その量としまして。労働がずっと続くと、そういう結果が出ます。

 

(成田構成員)

 治療はされたのですか。おそらく腎臓に炎症がある状態だと思われますが、それに対してステロイドを使ったりなど。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会濤参考人)

浮腫とか、それから貧血は、やはりヘマトの場合でも、女性の39ぐらいよりはちょっと割っています。貧血が生じているなと思っております。それから、浮腫もちょっとひどい状態です、今は。

 

(成田構成員)

 例えば糸球体濾過量とかクレアチニンクリアランスとか、そういうお話はお聞きですか。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会濤参考人)

 いわゆる血液検査では、何とか1以下を守っている状態です。0.9とか、0.89とか、そういう点では今も数値は変わっていません。前は、復帰のとき、いろいろな職場の関係でストレスとかがあったときは1.2とかありましたけれども、それから尿素窒素も高いときはありましたけれども、今は比較的そういう点では落ちついています。だから、一番先生が心配なのは、浮腫と、それから貧血です。貧血がずっと続いているものですから、その問題が先生としても気にかけていただいているところです。

 

(相川座長)

 ほかにどなたかご質問はございますでしょうか。山縣先生、何かご質問はございますか。

 

(山縣構成員)

 では糸賀様にお伺いしたいんですが、42年間という本当に長期間透析をされておられたということで、本当にご苦労も大変多かったのかなと想像はするのですが、夜間透析でしたね、やっておられたのが。その夜間透析をやっておられる中で、仕事の時間配分ですか、例えば早退あるいは早く行かなければいけないとか、何かそういう条件面での変動というのは結構あったのですか、仕事をされている最中ですけれども。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会糸賀参考人)

 透析の時間は、先ほども言いましたように、当初は8時間ということなので、透析の日は当然仕事には行きませんでした。まだそのころは入院していたと思います。その後6時間という形になって、夜間になったんですけれども、職場は1時間ぐらい早退して、なるべく職場に近いところの病院を選んで透析に通っていました。

 

(山縣構成員)

 透析をやっている間は、ですからフルタイムというんですか、そういう労働は不可能であったという……。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会糸賀参考人)

 そうですね。ちょっとそれは不可能ですよね。よっぽど透析時間が短くなったり、3時間とか3時間半ぐらいになればいいですけれども。あとは、まだそのころ貧血もひどかったので、長い間働くということは、かなりその後の透析にも響きますし、翌日の疲れも非常に残るということもありますので、仕事に対する影響というのはかなりあったと思います。同じようには働けないという悔しさもいっぱい体験してきましたので。

 

(山縣構成員)

 わかりました。

 

(相川座長)

 それでは、その他にいかがでしょうか。渡邊構成員または田熊構成員からご質問はございますでしょうか。

 

(渡邊構成員)

 渡邊でございます。金子様にちょっと伺いたいのですが、献腎移植で死体腎移植を受けられて、今、社会復帰はしておみえなんでしょうか。いわゆる就業はしておみえなんでしょうか。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会金子参考人)

 私の場合は、高校生のときに蛋白尿がわかりまして、大学生のときに人工透析に入りました。それで、実は大学を卒業して就職活動をしているときに全国腎臓病協議会でちょっと職員を募集していましたので、ご縁があって、その後ずっと勤めております。現在まで勤務してちょうど30年を超えましたので、ちょっと長くい過ぎたかなという感はありますけれども、ずっとここに勤務しております。それから、夜間透析をしていましたので、5時まで仕事をして、5時以降夜間透析をしながら、事業所は6時までの就業でしたので、週3回、1時間早退をして、それ以外は普通に、デスクワークでしたので、仕事をやっておりました。

 

(渡邊構成員)

 移植腎が安定しておられて、大変幸いなことだと思いますけれども、そうすると、現時点では、今、通院とか、そういういわゆる生活に対する支障というのは、月に何時間ぐらいがひっかかってくるのでしょうか。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会金子参考人)

 今、外来は2カ月に一遍ですので、特に年休・有休の範囲で大丈夫なんですけれども、ただ、私、家が埼玉でして、勤務先は巣鴨になります。ですから、朝の通勤ラッシュはとても通えないということがありますので、それを避けるために職場の近くにワンルームマンションを借りまして生活をしながら、そこはうまく対応しております。

 

(渡邊構成員)

 ありがとうございました。

 

(相川座長)

 田熊構成員から何か、よろしいでしょうか。

 時間も押しておりますが、全体を通じて総合的なご質問は何かございませんか。または、3人の参考人の方からもう少し補足したいということがあれば、お話をいただきたいと思います。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会濤参考人)

 私はまだ3週間に一遍は通院しています。それだけちょっと補足で発言したいと思います。

 

(相川座長)

 北島構成員、どうぞ。

 

(北島構成員)

 北島です。先ほどのお話で、障害認定の手続をなさっていらっしゃらないようなことをちょっとお聞きしましたけれども……。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会濤参考人)

 私ですか。まだクレアチニンのほうは正常の範囲に入っていますので、ただ、そういう関係から先生も、勧めないというか、浮腫とかはありますが。

 

(北島構成員)

 ちなみに、クレアチニンは幾つなんですか。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会濤参考人)

 クレアチニンは、申し上げましたように、0.90.89の範囲の中で、今はちょっと落ちついている状況です。過去には1.2とか、ちょっと心配したことはあったんですけれども、血液検査は3カ月あるいは6カ月に一遍という形のサイクルで続けています。今、43年を迎えているわけです。

 

(北島構成員)

 もちろん、3級に認定されるときの条件などは先生からお聞きになっていらっしゃいますね。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会濤参考人)

 全然聞いていないんです。クレアチニンの数値、そこがひっかかるので、無理ではないかと自分では思っています。今ここに意見書として出ましたけれども、透析していないからという理由でやっぱりこの先生話をされなかったんじゃないかなと思います。

 

(北島構成員)

 腎臓病というのは、いろいろな症状がありますけれども、濤さんの場合は、私の口から言わせると、大変失礼かもしれませんけれども、まだこの段階でおさまっているというのは非常に幸いなんですよね。ですから、それは今の先生の治療をちゃんとお受けになって、腎機能がこれ以上落ちないようにお気をつけになるべきだと思います。

 

(一般社団法人全国腎臓病協議会濤参考人)

 ありがとうございます。食事療法も続けていますので、お酒も随分控えています。

 

(相川座長)

 ありがとうございました。

 参考人の皆様、きょうはお忙しい中、貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。ここで参考人の皆様には傍聴席のほうに移っていただくことになりますが、次の議事に進んでまいりたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

 

(参考人、席を移動)

 

(相川座長)

 続きまして、「障害認定基準(腎疾患による障害)の検討課題について」の資料の説明をお願いいたしたいと思います。かなり広範囲に及んでおりますので、ある程度区切って説明をいただいて、その都度意見交換をしていきたいと思います。

 なお、きょうの資料は、前回の議論を踏まえたものになっていますけれども、この後の議論では、先ほど3人の方からご意見を伺いました、そのヒアリングのことも参考にして行っていただきたいと思います。

 それでは、事務局のほうから説明をお願いいたします。

 

(関口障害認定企画専門官)

 それでは、お手元の資料2の「障害認定基準(腎疾患による障害)の検討事項」及び資料3の「障害認定基準(腎疾患による障害)の事務局見直し案(たたき台)」を説明させていただきますので、お手元にこの2つの資料をご用意いただければと思います。

 まず資料2につきましては、前回の第1回専門家会合で構成員の先生方にご議論いただいた事項について、各検討課題ごとに、異論が出なかった事項と、今回の会合でさらにご検討をいただきたい事項に分けて記載したものでございます。さらに、各課題の事項ごとに、前回会合での構成員の先生方の主なご意見を下のほうに記載しております。そして、資料3のたたき台について、前回の会合でのご議論を踏まえて事務局で作成したものでございます。

 それでは、資料2の1ページを開いていただき、検討課題1-1をご覧いただければと思います。あわせて、資料3の66ページを開いていただき、(4)の障害等級判定に用いる検査成績の表をご覧いただければと思います。その朱書きのところが、今回削除または修正しているところでございます。

 なお、このたたき台のページについてでございますが、これは障害認定基準全文のページ数をそのまま付しておりますので、ご了承いただければと思います。

 そして、65ページの(1)から(3)において用語の修正などを行っておりますが、これは診断書と記載を合わせる方向で今回修正しておりますので、次回、診断書のたたき台をお示しする予定でございますので、その際にご意見をいただければと思います。

 では、資料2、検討課題1-1障害等級判定に用いる検査成績についての項番(1)についてです。前回の会合で、検査項目について見直すべきものがあるかどうかについて4つの論点を提示いたしたところでございますが、異論が出なかった事項として3点ありました。

 1つ目は、慢性腎不全とネフローゼ症候群について、確認すべき検査項目を分けること。2つ目は、慢性腎不全の検査項目として、内因性クレアチニンクリアランス値について現行のままとすること。3つ目は、血清クレアチニン濃度よりも適切に状態をあらわすことから、eGFR(推算糸球体濾過量)を評価の対象とすることでございます。

 そして、今回の検討事項としましては、3つ提示させていただいております。まず1つ目の○、慢性腎不全の検査項目として、血清クレアチニン濃度を削除してよいかです。これは、前回の専門家会合において、血清クレアチニン濃度は高齢で筋肉量の低下した方の状態を適切に評価できていないとの構成員の先生のご意見があり、またeGFRは血清クレアチニン濃度をもとに年齢及び性別で一定の補正を行うものでありまして、現場の腎臓が専門でない認定医の先生方でもeGFRの数値を利用でき、かつ患者の状態をより適切に評価できること、そして、学会が推奨しており、現場の医療機関に浸透してきているとのことですので、eGFRを血清クレアチニン濃度にかわる基準として追加いたしまして、血清クレアチニン濃度を削除してはどうかと考えたからでございます。

 次に2つ目は、「ウマル1 1日尿蛋白量」は「尿蛋白量(1日尿蛋白量又は尿蛋白/尿クレアチニン比)」に変更し、1日尿蛋白量又は尿蛋白/尿クレアチニン比のいずれかで判断できるようにしてはどうかです。これは、前回の専門家会合において、ネフローゼ症候群の病態の主体は大量の蛋白尿ですが、1日尿蛋白量は蓄尿しなければならず、感染予防の観点から測定されていない場合があり、一方でネフローゼ症候群の診断基準において、随時尿の尿蛋白/尿クレアチニン比が3.5/Cr以上の基準が採用されている旨の先生方のご意見がありましたことから、障害認定基準においても取り入れてはどうかと考えたからでございます。

 最後の3つ目は、血清アルブミンの基準値はBCG法によるものとしてよいかです。これは、現時点においては、検査法としてBCG法以外に改良型BCP法も普及しつつあるところでございますが、どちらの方法で測定するかによって結果に偏りが生じることから、基準値自体はBCG法の測定結果による旨を明らかにしたものです。ただし、診断書には改良型BCP法の結果も記載できるようにすることを考えておりまして、次回の専門家会合においてお示しすることを予定しております。

 ここでお手元の参考資料をご覧いただければと思います。これは日本臨床検査医学会のホームページに掲載されているものでございますが、その1枚目の下から8行目に、「単純にBCP改良法でアルブミンが3.5g/dlはBCG法の3.8g/dlに相当すると考え、3.5g/dl以下の場合、一律にBCP改良法による測定値に0.3g/dlを加えた値をBCG法での測定値と近似するに留める。従って、肝疾患の重症度分類やネフローゼ症候群の診療指針にある3.53.02.8g/dlはBCP改良法による測定値が3.22.72.5g/dlと解釈できる」旨の記載があります。このことを踏まえまして、資料3のたたき台の66ページの(4)マル2の区分イのアルブミンの検査項目欄には、括弧として「BCG法」を記載したところでございます。

 続いて検討事項5ページ目の項番(2)についてですが、異常値(軽度、中等度、高度)について見直すべきものはあるかについてでございます。

 前回の専門家会合におきまして異論が出なかった事項としては、ネフローゼ症候群の異常値は現行のままとすることです。

 ここでの今回の検討事項としましては、内因性クレアチニンクリアランス値は現行のままでよいかです。これは、前回の会合においては、内因性クレアチニンクリアランス自体は残すべきとの先生方のご意見はありましたが、その値については特にご意見がなかったものでしたので、現行のままとしておりますが、この値について再度確認させていただきたいと思います。先生方のご意見をいただければと思います

 次に、資料2の6ページ目をご覧いただければと思います。項番(3)についてですが、前回の会合では、検査項目について見直すべきものがあるかどうかについて幾つか論点を提示いたしました。

 異論が出なかった事項としては、血清クレアチニン濃度よりも適切に状態をあらわすことから、eGFRを評価の対象とすることです。

 そして、今回の検討事項としては、3つ提示いたしました。まず1つ目の○、eGFR(推算糸球体濾過量)の異常値について、高度異常を2未満、中等度異常を2以上8未満、軽度異常を8以上15未満としてよいかです。これは、下のほうにあります第1回専門家会合の主なご意見として、「血液透析導入のガイドラインはeGFRが15以下になって臨床症状があらわれたときは、透析は仕方がなく、8以下になったときは透析が望ましく、2以下のときは必ず透析をしなければならないという基準を一応示している」との先生方のご意見がありましたので、このご意見を踏まえたものでございます。

 次に2つ目は、内因性クレアチニンクリアランス値やeGFRでの評価に加えて、尿量の項目を追加することは適当かでございます。これについても、下のほうにあります第1回専門家会合の主なご意見として、「寝たきりの人だと血清クレアチニンは低くなるので、残存の尿量を確認している。尿量が500mℓ以下であれば、透析しなければいけない状態である」とのご意見がありましたので、尿量の項目を追加すべきか、先生方のご意見をいただければと思いまして、検討事項といたしました。

 ただ、第1回の専門家会合における先生方のご意見を踏まえますと、内因性クレアチニンクリアランス値やeGFRの数値で慢性腎不全の状態を適正に評価できると考えておりまして、また尿量を追加した場合には等級決定の方法も複雑になることから、追加しないことが適当ではないかと考えているところでございます。ただし、次回の専門家会合でお示しする予定の診断書の他覚所見欄または検査成績欄などに尿量を記載していただく項目を設けまして、認定に当たっての参考データとすることを考えているところでございます。

 最後の3つ目は、その他に追加すべき検査項目はあるかです。

 以上です。

 続いて、資料2の7ページを開いていただければと思います。検討課題1-2、障害等級判定の評価基準についてをご覧いただければと思います。あわせて、資料3の事務局見直し案(たたき台)の67ページを開いていただきまして、(6)の各等級に相当すると認められるものの一部例示の表をご覧いただければと思います。

 項番(1)について、前回の専門家会合においては、各等級の障害の状態の規定について、見直す必要はあるかについては、慢性腎不全とネフローゼ症候群の確認すべき検査項目を分けた場合には、どう等級を判断するべきかの論点を提示いたしました。

 異論が出なかった事項としては、血清クレアチニンの値だけでは腎機能の程度を適切に判断できないことということです。

 そして、今回の検討事項としては、4つ提示させていただいております。

 まず、上3つの○、内因性クレアチニンクリアランス値又はeGFRのいずれかに高度異常が1つ以上あることを1級の条件としてよいか。2つ目は、内因性クレアチニンクリアランス値またはeGFRのいずれかに中等度又は高度の以上が1つ以上あることを2級の条件としてよいか。3つ目は、内因性クレアチニンクリアランス値またはeGFRのいずれかに軽度、中等度または高度の異常が1つ以上あることを3級の条件としてよいかでございます。

 これは、現在、障害の状態の認定に当たって、慢性腎不全の場合には、高度異常は障害の程度が1級相当、中等度異常は障害の程度が2級相当、軽度異常は障害の程度が3級相当であるとして、内因性クレアチニンクリアランス値または血清クレアチニン濃度の検査数値のいずれか重いほうを見て、一般状態区分とあわせて認定を行っているところでございまして、そこで基準を明確にするために、たたき台のように、対象となる検査項目を明記したところでございます。血清クレアチニン濃度のかわりにeGFRを採用した点以外は、これまでの認定方法を変更するものではありません。

 なお、資料3の67ページの一般状態区分表については、他の内部疾患と共通のものであり、変更はしておりません。

 次に、検討事項の4つ目についてですが、ネフローゼ症候群は、障害の程度3級としてよいかです。

 これは、次のページ、8ページにあります第1回専門家会合における主なご意見にも、「ネフローゼ症候群は割と変化する病態であり、1年あるいは1年6カ月の間にかなりの割合で治る可能性が高く、障害年金には余り馴染まないのではないか」や、「ネフローゼ症候群は、1級、2級の話ではなくて、例えば糖尿病性腎症で透析に至るほどではないが、相当のむくみで3級の障害年金になる患者さんがいる。」との先生方のご意見がありましたように、ネフローゼ症候群は、障害認定を行う1年6カ月までの間に治る可能性が高い病気であり、そもそも障害年金の対象となることは少ないところです。しかし、難治性のもので対象となる場合でも、これまで事務局において確認した範囲では、その障害の程度は一般状態区分にも照らして3級となっていることから、障害の程度を3級と規定したところであります。

 以上で説明を終わらせていただき、先生方のご意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(相川座長)

 ありがとうございました。

 資料が2つにわたって、いろいろな項目がございますので、ちょっと混乱された方もいると思いますけれども、一つ一つ整理してご意見を伺いたいと思います。

 まず検討課題の1でございますが、障害等級判定に用いる検査成績についてと、これは検討課題1-1、資料2の1ページにまずございます。それについてご意見をいただきたいと思います。また、事務局のたたき台がございまして、これもちょうど66ページの(4)に簡潔にまとめてあるわけでございますが、この2つを参考にして、ご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 まず検討項目として、慢性腎不全の検査項目として、血清クレアチニン濃度を削除していいかどうか。こういうことが出ていて、事務局のたたき台では、66ページにございますように、「血清クレアチニン濃度」というのが消されて、「eGFR」がそれにかわって載っているということがございますが、ぜひご意見を伺いたいと思います。

 山縣構成員、お願いします。

 

(山縣構成員)

 よろしくお願いします。この血清クレアチニンを削除することに関してですが、一つ懸念は、今回のeGFRをもとに示したもの、これが、特に中等度異常がeGFR2以上8未満としているところが気になります。ここは血清クレアチニンで、従来は5~8mg/dlとされていたところであり、そこを6mg/dl~20mg/dlを超えるような値のところに変更されたことになり血清クレアチニンが6mg/dl未満でも透析が必要な人たちに対して、もう少しわかりやすく言いますと、実際にこの数値にならない中等度異常に該当しないのではないかと思われる可能性があり現在のクレアチニン5以上8未満と全くレベルのちがう話になっており心配なところがあります。

 

(相川座長)

 いかがでしょうか。田熊構成員。

 

(田熊構成員)

 現場の感覚としては、クレアチニンというのは、実際に測定するのはクレアチニンなわけです。ですので、eGFRというのはあくまでもクレアチニンから、多くの場合は特殊なものを除く、シスタチンCをはかるというのでなければ、クレアチニンをはかってのあくまで計算式で出すわけですから、やはりクレアチニンというのは、僕は必須だと思います、臨床腎臓病を扱う人間にとっては。

 

(山縣構成員)

 併記することによって、従来の数値の基準は残したほうがいいと思われます。透析が必要な人は、中等度異常ということですけれども、現実に透析が必要で血清クレアチニンが3~5の人などというのは少ないですが、身体所見としては重症の人が多く、今後その指標が抜けてしまうことの問題、さらに客観的に中等度の障害と判断するための数字として、この「5以上8未満」というのは残しておいていただいたほうがいいのかなという気がするんです。

 

(渡邊構成員)

 一言よろしいでしょうか。

 

(相川座長)

 どうぞ。

 

(渡邊構成員)

この軽度異常、中等度異常、高度異常と分けて、それで等級を考えるというところに一つの大きな問題点があると思います。我々が透析学会のガイドラインで示した2未満という人たちは、どちらかというと、まだ透析やらなくてもよいという健康ともいえる人なんですよね。そこまで待てる人たちが長生きできるということを言っている意味なので、この値で1級、2級を分けるとなると、ちょっと問題点があるのかなというのが非常に気になります。あくまでもこれは、慢性腎不全の透析をやるのに最低限は、どれか一つの項目は軽度異常を満たすということにしておいて、1級と2級の差というのは、本来はADLというか、そういう身体的活動度、寝たきりとか、そういうことを踏まえた上でやるべきではないかと思っていますので、そのところが軽度異常、中等度異常、高度異常ということで等級を分けるというのはいかがなものかとちょっと思ったので、一言意見を言わせていただきました。

 

(相川座長)

 この3つの異常という等級を分けるのは問題ではないかというご意見が渡邊構成員から出ましたが、事務局としては、これは前からこのような3つの段階に分けていたわけですね。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 はい、1級から3級までですので、軽度、中等度、高度という形で設けておりました。今回、前回の会合の意見も踏まえるのと、あとは数値自体が透析導入の基準の数値というようなことでガイドラインの中で出ている数字ということで、それ以外の医学的根拠のある数字というのが、こちらのほうで調べたのですけれども見つからなかったので、そこはほかの数値というのはちょっと難しいのかなと思いました。

 あと、血清クレアチニン濃度が8程度の場合に、これは一般状態区分と一緒に見て等級判定をしますので、オになるというのは考えにくくて、2級以下の認定にとどまっているのではないかなと思っております。したがいまして、実際の認定場面において、今の判断とそれほど差がつくことは余りないのではないかと思っているところでございます。

 

(相川座長)

 我々臨床家ですと、この数字がひとり歩きしてしまって、本来の臨床症状をおろそかにして判定されると非常に困ると、皆さん、恐らく共通な考えをお持ちだと思います。だから、このように数字だけで規定されてしまって、果たしてきちんとした臨床的評価ができるのか心配されております。だから、皆さんは、それを懸念して、一般状態区分表というものに重きをどのぐらい置いてくれるかということを懸念しておりますがその点についてはいかがでしょうか。渡邊構成員どうぞ。

 

(渡邊構成員)

 いいですか。例えば、血清クレアチニンが13ぐらいで、そろそろ透析を導入しようかなというのは、大体40代ぐらいの比較的元気な保存期の患者さんなんですよね。それと、今の新しい基準でいくと、もう高度異常1つ以上で目立つから1級になってしまうんです。そういう人たちはみんな社会復帰はもう当然、我々などはもう外来透析導入していますから、勤務そのままで導入していますので、そういう人が1級というのはどうかなという、ちょっと整合性がとれない、ほかの疾患に比べて、というのが少し気になります。

 

(相川座長)

 反対に軽度の方を重い等級にしてしまうのではないかという渡邊構成員のご意見ですが、他にご意見はございますでしょうか。山縣構成員どうぞ。

 

(山縣構成員)

 よろしいですか。あと、一方、従来からの考え方として、血清クレアチニン値が8mg/dlをこえて透析導入されることが、都道府県で認定している身体障害者手帳の1級に認定するための根拠にしている場合があるのです。今回の表をこのまま同じように適用されますと、今度はeGFRが2未満がそれに変わる数値だと誤った考えが広まるのを一番恐れるところなんです。クレアチニンの数字を従来どおり残していただきたいのはその点もあります。

 

(相川座長)

 いかがでしょうか、成田構成員。何かご意見はございますでしょうか。

 

(成田構成員)

 ちょっと論点がずれていると思います。各等級の障害の程度を決める場合は、「かつ」という文言が必ず入っていますので、数字があって、かつ一般状態が悪いというのがありますので、これでいいのではないかと私は思っておりますが。

 以上です。

 

(相川座長)

 成田構成員にお伺いしますが血清クレアチニンは項目に入れたほうがよろしいでしょうか。

 

(成田構成員)

 血清クレアチニンは入れたほうがいいと思います。田熊先生のおっしゃるとおりです。

 

(相川座長)

 日本腎臓学会のCKDのステージングにはたしかクレアチニンは入っていないと記憶していますが、このことについてはいかがなんでしょうか。山縣構成員、何かご意見はございますか。

 

(山縣構成員)

 確かに、CKDのステージという点ではその部分は先生のおっしゃるとおりだと思います。これは、腎機能を正確に把握しようと。ただ、今回の透析を行っている、行っていないという判断というのはいろいろな波及効果があるということから、ぜひ従来のものは残していただきたいと考えています。

 

(相川座長)

 これは、現実的にはeGFRは血清クレアチニン濃度から計算するものですから、1つの値があれば2つ書けるということになりますけれども、やはりクレアチニンを残したほうがいいというご意見が圧倒的に多いと思います。事務局のほうから何かございますか。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 ご意見、ありがとうございます。前回の会合でいろいろな議論がありまして、血清クレアチニンだと、高齢者で筋肉量の落ちているような方については、その状態の評価が適当ではないのではないのか、異常があったとしても、なかなかその数値が上がっていかずに、そういう面で悪い方を捉えられないのではないかなといったご指摘があったかと思います。それで、eGFRというのは、内因性クレアチニンクリアランス値とは異なって、あくまでも推計というところはそのとおりなんですけれども、比較の問題ですけれども、血清クレアチニン濃度よりはそういうご本人の状態を適正に評価できるといったご意見だったかと思います。それで、今回2つの数字を併記してはどうかというご意見もいただいたところなんですけれども、一つ懸念としてあるのは、診断書を書いていただく現場のところで、こっちの数字を使ったら有利とか、例えば高齢者の方だったらeGFRを使ったら有利とか、若い方だったら逆の数字を使ったほうが有利とか、場面場面での使い分けを誘発するようなことになると、基準としての信頼性という点でどうなのかという懸念があろうかと思います。

 それで、こういう数値で、特にeGFRで軽度異常、中等度、高度異常というのを本当に3つに分けられるのかといったご指摘もいただいたのですけれども、67ページの認定基準、(6)の一番初めの文章のところでは、このように書いてあります。「各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである」と。枠がありまして、その下のなお書き、「総合的に認定する」と。これはちょっと後ろの(10)と記載がかぶっていましたので、後ろに持っていっていますけれども、内容的には同じようなものが引き続き入っています。なので、数字はそこまで悪くないんだけれども、実際に状態が悪いような方をどうするのかといったご意見につきましては、そこは最終的にはご本人の状態を見て総合的に判断する道があるのかなと思っています。

 それで、総合判断するときには(5)の一般状態区分というものを見ることになるんですけれども、一般状態区分のオというものが障害年金の1級相当になります。「身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの」と。現在、血清クレアチニンの値が8となっていまして、今回eGFRに切りかえると、そこの判断基準が厳しくなると評価されるのではないか、特に身障手帳のほうへの影響を懸念するようなご発言もあったのですけれども、大前提として、それぞれ制度は別々の制度ででき上がっておりますので、今回のこちらの見直しが手帳制度に直接的に影響を与えるものではないというところはまずご理解いただきたいと思いますけれども、その上で、現在の1級というものをどう捉えるかというところだと思います。

 そうしたら、今、血清クレアチニン濃度が8以上だったら等級1級が出ているかというと、事例を見た限りではそのようなことはありませんで、結局は一般状態区分のオに該当しているかという二重の条件がございますので、渡邊先生のほうからおっしゃっていただいたような、数字は悪いんだけれども、ご本人の体力があって、透析はなかなか導入されていないような方が、逆に高く評価されてしまうといったことは今ないところです。

 一方で、数字に比べて、特に極端に状態が悪いような方がおられれば、そこは一部例示となっていますので、そこは総合判断で、ここに書いてあるよりも重く判定する余地はあるということだと思います。

 長々と申し上げてしまって申しわけなかったんですけれども、今一番懸念しているのは、同じような種類の2つの数字が並んで示されていることで、こっちを使ったら有利になるとか、現場で恣意的な取扱いというか、混乱のようなことが生じないかなという懸念があるので、このようなご提案をさせていただいたところでございます。さらに皆様のご意見をいただければと思います。

 

(相川座長)

 事務局からそのような意見が出ておりますが、同じような数値を2つ並列して併記する都合によってその数値の悪いほう又はいいほうを考えて判定するようになり問題ではないかということだと思います。いかがでしょうか、これについて。渡邊構成員。

 

(渡邊構成員)

 成田構成員のご指摘で、さっきの私の発言は、「かつ」がついていますから、取り消します。ここで問題なのは、逆に言うと、寝たきりの人はクレアチニンが低くなるので、高度異常にひっかからないということで、逆の話だったのに、申しわけない。

 3つあることが、3種類を書くことが矛盾かというと、どれによって本当のその人の病態がわかるかというのは、我々、例えば審査をする側ですと、血清クレアチニンが低いんだけれども、内因性クレアチニンがもうほとんど4とか5とあれば、これは筋肉量が落ちてもうそのようになっているということがわかるわけなので、eGFRではかるというのは透析導入するときでしょうし、透析導入して1年たったところでクレアチニンの値が余りに低い場合には、クレアチニンクリアランス値を併記しないとちょっと理解できない値になってしまうので、3つ併記というのは必要ではないかなと私は思うんですけれども、皆さんのほかの意見を……。

 

(相川座長)

 いかがでしょうか。ちょっと長く時間をかけてしまっていますけれども、これはやっぱり議論のしどころだと思うので、皆さんからのご意見を承りたいと思います。田熊先生。

 

(田熊構成員)

 クレアチニンだけでは当てにならない、これは確かなんですけれども、現場の医者としては、まずクレアチニン値があって、それによって計算されてeGFRが幾つかということで、ある程度頭の中の考え方として。だから、どうしたってこれは必要なんだと思うんですが、現実にこういう場合に、66ページの表のeGFRとクレアチニンをもしこれを両方やった場合に、軽度異常、中等度異常、高度異常はそれぞれ整合性がないといけないと思うわけです。例えば、クレアチニンをもし生かすとすれば、今までの3~5、5~8、8以上で、このクレアチニン8以上だった場合に、eGFRが若い人と年寄りと女性・男性で一番高いところで幾つになるのか、その数字を入れるべきではないかと思うんです。だから、5~8であればどうなるのか。そのeGFRと整合性がないといけないのではないかと思うんですが。

 

(相川座長)

 本来の病態を反映する指標を選んで明示したほうがいいのではないかというご意見だと思いますけれども、成田構成員、何かございますか。

 

(成田構成員)

 難しい問題で、そうすると性と年齢で全く変わってくるので、確かにおっしゃるように、認定を緩めてしまうというおそれ、恣意的に認定されやすい数字を選んで書くということを誘導するというのは、確かに行政的には問題かもしれません実際の現場としては、クレアチニンをまず測定して、それでGFRを推定しているということですので、順番としてはクレアチニンは残すべきなんですね。それで足りないところを、尿量を加味したクレアチニンクリアランス値で判定するということで、順番としてはそうならざるを得ないのではないかと思います。特に、これを判定する時期の問題で、これは今回の議論にはまだ上がっていませんけれども、透析後の値で判定するということになると、なおさら血清クレアチニンを入れないわけにはいかないのではないかと思います

 

(相川座長)

 北島構成員にお伺いしますが、これは判定の際に2つ併記というのはなかなか難しいと考えますか。

 

(北島構成員)

 いいえ、むしろ私も、成田先生と同じように、併記すべきだと思います。大体eGFRは血清クレアチニンから計算したものであるし、そのほうがより資料が多くて、判定するときも正確にできると思います。

 

(相川座長)

 どうも皆さんのご意見は両方併記ということでまとまっているようでございますが、またこの件に関しては、最終的にもう一度議論をして、事務局と詰めたいと考えております。

 それでは、時間がございませんので、次の課題でございますが、「1日尿蛋白量」は「尿蛋白量(1日尿蛋白量又は尿蛋白/尿クレアチニン比)」に変更するという書きぶりになっておりますが、いずれかで判断できるようにしてはどうかということでございますが、これに関してご意見はございますか。恐らくこれはもう皆さん一致した考えで、これはいいと判断されていると思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、最終的なこのページでの検討事項、血清アルブミンの基準値はBCG法によるものとしてよいかということでございますが、これは、肝臓に関しては、前の会合でもお話ししましたが、BCG法になっている。できれば事務局としても統一していきたいという考えを持っていると思いますが、これで不都合があるかどうかですね。既に先ほど事務局から、ほかの方法によってもある程度計算的にBCG法による値が出るということはわかっておりますので、余り問題はないと思うのですけれども、北島構成員、これはよろしいですか。

 

(北島構成員)

 問題ないと思います。もしそれで言うのでしたら、例えばアルブミンの測定のときの採血の条件などを厳しく言わないとまたおかしなことで、BCG法でやるのだったらやると書いてあれば、それでよろしいのではないかと思います。

 

(相川座長)

 それでは次に、続いて資料2の検討事項の5ページと6ページを見ていただけますでしょうか。各検査項目の異常値と、そしてほかに追加すべき検査項目はあるか、このご意見をいただきたいと思います。また、たたき台の資料3のほう、両方を見ていただかないといけないんですけれども、これは66ページの(4)ということになっております。いかがでしょうか。

 まず、内因性クレアチニンクリアランス値は現行のままでよいかということでございますが、この表がそれぞれ軽度、中等度、高度となっております。内因性クレアチニンの値は、非常に正確な値ですので、余りこれを変えるのはどうなんでしょうかね。ご意見ございますか山縣構成員。

 

(山縣構成員)

 厳密に言うと、この単位がml/分となっておりeGFRではml//1.73m2 と体表面積補正されており、内因性クレアチニンクリアランスも、そこまでやるといろいろややこしいことになってくるんですけれども一般にはクレアチニンクリアランスの70%がeGFRといわれ、ほぼ合致する数字になるのではないかということで、余りこれを変える必要はないかなと私は思います。

 

(相川座長)

 みなさんご意見が一致しているようですので、内因性クレアチニンクリアランスの値による、軽度、中等度、高度の分類はそのままに据え置くということでよろしいと思います。

 それでは次ですが、6ページになりますか。検討事項で、まず先ほど渡邊構成員から、この3つの異常を分けるのはどうかというご意見がございましたが、これをeGFRの異常値について、高度異常を2未満、中等度異常を2以上8未満、軽度異常を8以上15未満としていいかどうか。また議論の蒸し返しになってしまうと思いますが、これは血清クレアチニンをつければそれほど問題ないという、これはもう学会の基準でもある程度こういうことを推奨して出しておりますし、問題ないということでよろしいでしょうか。

 それでは、次の内因性クリアランス値やeGFRでの評価に加えて、尿量をどうするか、尿量を評価の項目に加えるかどうか、検討項目に加えるかどうかということでございますが、これについてご意見はございますでしょうか。どうぞ、田熊構成員。

 

(田熊構成員)

 先ほどのeGFRの軽度異常、高度異常に関する数値、2未満とか、2~8とか、これは、例えば今までは血清クレアチニンもしくはクレアチニンクリアランスだと、高度異常の数字だったら透析を導入するといったことですね。ではeGFR2未満にならないと透析を導入しないかというと、そうではないんですよね。だから、この66ページの上のア、イ、イというか、内因性クレアチニンクリアランス値、eGFR、血清クレアチニン濃度の軽度、中等度、高度異常のそれぞれの項目が、先ほど申し上げたように、ある程度整合性がないといけないと思うんです。だから、eGFRに関していうと、これは2未満とか2~8という数字が妥当かどうか。さっき先生が調べようとなされたあれを確認した上で、それに合う数字でないと、合っていればそれでいいんですけれども。

 

(渡邊構成員)

 田熊先生のおっしゃるとおりで、これはあくまでも導入の目安のガイドラインの値ですので、内因性クレアチニンクリアランス、血清クレアチニンに合致するような値のeGFRを入れたほうがいいのかなと思います。きょうは間に合わないので。

 

(相川座長)

 またこれは、では渡邊構成員を中心にちょっと考察をしていただいて、できれば資料をまたご提出いただければありがたいと思います。

 どうぞ、山縣構成員。

 

(山縣構成員)

 1点、これは、最初の診断の時点と1.5年後の再評価で両方同じものを使うというところが、難しいところなんだろうなという気がするんです。透析導入のときの数値としてはこれでいいんですけれども、今の尿量の議論は、実は1.5年後に本当に重症かどうかの判断をするのに、eGFRとかクレアチニンクリアランスで評価していなくて、恐らく血清クレアチニンの数値そのもの、あるいは本当に無尿状態にあるといった判断だったということなので、そこはどのように扱うかという議論になっていたと思います。そういう意味では、尿量というのはいい参考値にはなるだろうと、その1.5年先の時点の話ですね。

 

(相川座長)

 どうぞ、成田構成員。

 

(成田構成員)

 その議論ですけれども、(6)の2級のところに、1と関係なく、この読み方ですけれども、透析が必要な人は全て2級ということなので、そういう点でも尿量が十分ではないという項目はあってしかるべきだと思います。

 

(相川座長)

 ということでございますが、やはり追加したほうがいいということでございますか。どうぞ。

 

(山縣構成員)

尿量については診断書に書く欄があるのであれば今後議論するところに加えるところでも対応は可能かなと思います。

 

(相川座長)

 先ほど事務局から説明がございましたが、診断書にはこの尿量に関して書く欄を設けるということでございました。

 

(関口障害認定企画専門官)

 先ほど説明させていただきました。山縣先生が今おっしゃられたとおりですが、診断書のほうに他覚所見か検査成績の欄に記載する方向で検討させていただいて、次回お示しする予定でございますので、そちらを見て、また改めて先生方のご意見をいただければと思っております。

 

(相川座長)

 この尿量のことで、北島構成員、ここで判定にこの尿量が書いていないと難しくなるとか、問題だとかということはございますでしょうか。

 

(北島構成員)

 現時点では、私はそういうケースに遭遇しておりません。

 

(相川座長)

 わかりました。では、これは診断書に書くか書いてそれを補足するという形に収束させていただきたいと思います。

 どうぞ。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 先ほど田熊構成員から、血清クレアチニンとeGFRの値に整合性がなくてはいけないのではないかというご指摘を頂戴しました。それに関してなんですけれども、もし間違っていたらおっしゃっていただきたいんですけれども、血清クレアチニンの3という数字、それからeGFRの15という数字は、透析導入に関して総合的に判断の対象になってくるような線引きだということで共通しているのかどうか。それから、その次の血清クレアチニンの5、それからeGFRの8という数字については、透析の導入が望ましい状態に入るということで共通するのかどうか。それから、最後の血清クレアチニンの8、それからeGFRの2未満については、透析を必ず導入しなければならない状態ということで共通するのかどうか。そのあたりの考え方として一致するものがあるのであれば、整合性という観点で一つの評価があり得るのかなとは思っています。

 それから、今の血清クレアチニン濃度が各年齢層、それから性別でeGFRの何に当たるのかといった計算をするとしたら、非常に膨大な基準値の体系になってしまうんです。また、それがどういう意味があるかといえば、本来的にはeGFRの値で切るほうが、年齢は違えども同じような状態の方が異常ということになるのでしょうけれども、血清クレアチニン濃度を出発点にしますと、違うような状態の方であっても、血清クレアチニン濃度が同じような方を探し出してくるような基準になるので、そのような基準設定にどういう意味があるのかというところも論点になるのではないかなと考えます。もし前段の部分でちょっとご意見があれば、さらにお伺いしたいと思います。

 

(相川座長)

 申しわけないんですけれども、これはもう一度議論を後でしていただきたいと思うんですけれども、これは確認なんですけれども、山縣先生、eGFRが2未満というのは透析をしなければ予後が確実に悪くなるため、症状がなくとも絶対的に透析をしなければならない条件と考えられています。

ただ、クレアチニンが8というのは、絶対透析をしなくてはいけないという記載はないと僕は理解していますけれども、いかがでしょうか。

 

(山縣構成員)

 先生のおっしゃるとおりです。クレアチニン2未満まで待ちますと、かなり予後が悪くなるので、これは透析をしたほうがいいでしょうという数字であるということです。

 

(相川座長)

 eGFRですか。

 

(山縣構成員)

 ごめんなさい。eGFRが2未満になるということですね。一方、血清クレアチニンが8をこえると透析を必要とする人がふえるのもまた事実だと思います。数字の意味が違うと思います。

 

(相川座長)

 ということで、そういう意味で、この示す意味合いがちょっと違うと私は解釈しているのですけれども、だからそれを同じところに数字として出してしまっていいのかどうか問題だと思います。だから、私自身は、座長ではありますが、私個人の意見としてはeGFRが2未満にならないと透析を導入しないというのは、厳しい基準ではないかと考えます。

 議論をほかのところに進めてよろしいでしょうか。ずっとこれを議論しているわけにいきませんので、これは次回に少し持ち越していただいて、また議論したいと思います。

 それでは次にまいりますが、次は慢性腎不全とネフローゼ症候群に係る検査項目、異常値について、いかがでしょうか。たたき台の案ですと、これは皆さんのご意見で、前と違って分けた感がございますが、これはいかがでしょうか。

 ネフローゼ症候群は、障害の程度を3級としてよいか。これは慢性腎不全と同じところに書いてあったのですが、これは意味合いが違うというこの間の議論がございまして、そういう意味では、検査項目を分けた場合に、どうやって等級判断をするかということになるのですが、この点についてはいかがでしょうか。ネフローゼについては、先ほどいろいろ事務局からもご発言がございましたし、前に議論したとおり、ネフローゼの状態によっては治るものもあるものですから、なかなか評価は難しいということでございますね。この書きぶりでいいかどうか、3級ということで規定してしまっていいかどうかということですが、いかがでしょうか。ご意見をいただきます。

 成田構成員、ご意見ございますか。

 

(成田構成員)

 それでよろしいかと思います。

 

(相川座長)

 皆さんも、ネフローゼは3級としていいかということで、よろしいでしょうか。

 ご賛同を得られたと思います。

 それでは、次の8ページに、今私が話した内容について多少説明が書いてございます。

 各等級の障害の規定について、資料3のたたき台では67ページの(6)の1級・2級・3級という障害の状態。これも先ほど議論をもう既にしておりますが、「高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの」が1級ということで、一般状態区分表とあわせて判断する。しかも、その検査項目についても「1つ以上」という表現になっております。また、等級によって、2級の場合には「高度の異常」という言葉も入って、中等度又は高度の異常があった場合に、一般状態区分表と鑑みて2級にしてもいいという判断で、少し臨床的に先生方に考えていただいてこの障害の程度を判定していただくということだと思いますが、この書きぶりでよろしいでしょうか。

 渡邊構成員。

 

(渡邊構成員)

 もしも内因性クレアチニンとeGFRと血清クレアチニンの3本立てでいくのであれば、透析患者はどこかで高度異常にひっかかるはずですから、かつ寝たきりであるといった状況であれば、よろしいのではないでしょうか。

 

(相川座長)

 判定に関しては、むしろこれのほうが正確にできるということで、赤字でつけ足してありますが、これは事務局からの提案でございますが、こちらのほうがいいという判断だと思います。いかがでしょうか。特に異論がなければ、これはこの書きぶりにさせていただきます。

 それでは、この判定についてはこれで終わりにして、続きまして検討課題の2について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

 

(関口障害認定企画専門官)

 それでは、資料2、検討事項9ページをご覧いただければと思います。ここでは、人工透析療法施行中のものの認定の取扱いについて説明いたします。

 項番(1)の検討事項は、人工透析療法施行中のものについては、2級以上とする現行の取扱いでよいかというものです。

 下のほうに、前回の主なご意見として、先生方のご意見を記載させていただいております。資料3のたたき台の(7)の規定は、ひとまず、現行のままとしております。この点について先生方のご意見をいただければと思います。

 なお、参考として10ページに、他の疾患の例としまして、呼吸器疾患による障害の認定基準の例を一部抜粋しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

 続いて11ページをご覧いただければと思います。項番(2)の人工透析療法施行後の検査数値を記載する現行の取扱いでよいかについてです。

 検討事項について、現行の運用においては、現在は、障害年金は治療を行ってもなお残る障害状態について、日常生活にどのくらい支障があるかを評価して支給していることから、治療後の状態を把握するため、人工透析療法を実施後の検査成績を記入することとなっております。

 しかし、下のほうにあります第1回専門家会合における主な御意見にもありますとおり、前回の会合において、「透析後の検査値で透析患者の重症度は全く測れず、むしろ透析前にどれだけ尿毒症が起こっているかが問題である。」などのご意見を先生方からいただいたところでございまして、そこで改めて、人工透析療法施行後の検査数値を記載する現行の取扱いでよいか、先生方のご意見をいただければと思います。

 以上でございます。

どうぞよろしくお願いいたします。

(相川座長)

 それでは、まず9ページ、人工透析療法施行中のものについては、2級以上とする現行の取扱いでよいかということでございますが、先ほど全国腎臓病協会からの意見陳述もございましたが、それも加味して、ご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。山縣構成員。

 

(山縣構成員)

 先ほどの話にもありましたが、やはり拘束時間のことを考えると、現行どおりというのがよろしいかなと私は思います。

 

(渡邊構成員)

 私も、前回の発言と同じで、相当かと思います。

 

(成田構成員)

 私も2級相当でよろしいと思います。

 

(田熊構成員)

 私も同意見です。

 

(北島構成員)

 私も同じです。

 

(相川座長)

 私も2級で現行のままとするというほうがよろしいと存じますので、まず全員一致してこれは合意を得たということになります。

 次でございますが、これは確かに呼吸障害のことは書いてありますが、透析は透析で、やはりここに書いてある内容がございますので、それを比較するというのはなかなか難しいと皆さん考えておりますこれはもう前回の議論にあったところでございます。

 さて次でございますが、11ページは、前回の第1回専門家会合で、検査値について、検査値として書くのはセッションの前か後かということですが。現行の診断書だと、透析後の値を書けとなっておりますが、この意見で3つご意見が出ておりますが、皆さん、前回、これはセッションの直前の値を書いて出すのが相当だろうというご意見だったと思います。これに関してはいかがでしょうか。成田構成員。

 

(成田構成員)

 全くそのとおりで、やはりこれは、セッション前の一番悪い、透析を必要としているかどうかという点で必要な数字なので、その時点ではかったもの。それから、血液透析以外にも腹膜透析をやっている患者さんなども、どの時点でというと、やはりその辺の値、透析セッションの前の値で書くほうがむしろ病態を正しく反映するのではないかと考えております。

 

(相川座長)

 これは、事務局との意見の齟齬がちょっとございまして、ただし、現場でやっている医師は、セッションの直前の値を実際はもう皆さんお書きになっているということだと思います。そうでないと、これは腎不全とか尿毒症の診断ができない。しかも、透析のいろいろな方法によって、これは人為的に変えることができる。透析後だと、本来の腎不全の病態を示していないというご意見だったと思います。そういうことで、現行の取扱いでなく、これは透析実施の直前の値を書いていただくということに変えていただかないといけないと考えますが、それでよろしいでしょうか。

 事務局のほうからご意見はございますか。これは全く反対のことになってしまいますが。

 

(関口障害認定企画専門官)

 先生方のご意見を踏まえまして、透析実施直前の数値をとるという方向で検討させていただいて、見直しを考えさせていただきたいと思います。

 

(相川座長)

 それでは続きまして、検討課題の4について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

 

(関口障害認定企画専門官)

 それでは、資料2、検討事項の12ページ目をご覧いただければと思います。併せまして、資料3のたたき台につきましては、68ページに新たに追加した(11)の規定となります。

 資料2の12ページの検討課題3、腎移植の取扱いについての項番(1)腎移植を行った場合の等級決定について及び(2)決定した等級はどの程度経過観察を行うべきか、また再認定はどのように判断すべきかについてです。

 検討事項については、経過観察のために移植後1年間は従来の等級を維持することとし、それ以降は本人の状況を踏まえて、障害等級の認定を行うこととしてよいかです。

 下のほうにあります前回の専門家会議における主な先生方のご意見にもありますとおり、肝臓と同様に、1年間は従前の等級とするのが適切ではないかや、今の腎移植の生着率、生存率は、生体腎移植であれば5年で90%を超えていて、非常にいい成績である。献腎移植でさえも80%以上の生存率、生着率は80%近くであり、非常に生着率がいい。昔の生着率とはかなり違う。一般的には、3カ月ぐらいすると医師の免疫抑制療法になって、その後の急性期拒絶反応等々は比較的少ないなどのご意見が先生方からありました。

 このため、認定基準第18節に規定しております、臓器移植の取扱いの少なくとも1年間、運用では2年間としておりますものを、1年間と変更してはどうかと考えます。これは、術後1年間は従前の等級を引き継ぐのですが、術後1年を経過した後、改めて障害等級に該当する障害の状態かどうかを判定するということになります。

 なお、参考として、他の疾患の例として一部抜粋しました肝疾患による障害の認定基準の例も参考にして(11)の規定を設けたところでございます。

 また、お手元の資料4をご覧いただければと思います。これは、相川座長からご提出いただいた腎移植に係る資料でございます。概略を説明させていただきますと、1つ目は、腎移植の生着率・生存率に関する資料です。そして2つ目は、移植後の生活実態等に関する資料です。

 では、その1つ目の腎移植の生着率・生存率に関する資料の1枚目を開いていただきまして、表20、年代別生存率・先着率をご覧いただければと思います。まずその2006年~2012年のデータを見てみますと、まず1年後の生存率については、生体腎及び献腎ともに97%を超えております。また、1年後の生着率についても生体腎及び献腎ともに93%を超えております。なお、5年後の生存率でも生体腎及び献腎ともに90%を超え、生着率では生体腎では90%、献腎でも80%を超えております。

 次に、2つ目の移植後の生活実態等に関する資料について説明いたします。まずその印刷ページの1ページ目をご覧いただければと思います。これは、NPO非営利団体である日本移植者協議会がアンケートにより行ったものでございますが、左上の表にありますとおり、518人の移植者から回答があり、そのうち腎臓移植を受けた方は、右上の表にありますとおり、496人と94.3%を占めております。

 次の2ページ目では、一番上に透析期間の欄がありまして、平均透析期間が5年10カ月となっており、また中段の「術前1年間のからだの状態」の欄において、腎臓については、「良かった」及び「普通」を合わせますと56.9%、「悪かった」及び「非常に悪かった」を合わせますと43.1%となっているものでございます。

 続いて、3ページ目には、移植臓器がだめになった時、再移植の希望について及び希望しない場合の理由の割合などが記載されており、腎臓については再移植希望者は52.1%となっております。

 続いて、4ページ目をご覧いただければと思います。その一番上の「現在の移植に対する気持ち」の欄ですが、腎臓移植については、「受けてよかった」が97.8%となっております。また、その下にあります「移植をして現在、身体は健康と思いますか」の欄では、腎臓移植については、「全く健康」及び「ほぼ健康」を合わせますと70.6%となっており、その下にあります「社会復帰の状況について」の欄では、腎臓移植については、「健常者と殆どかわらない」及び「従前よりはよい」を合わせますと93.4%となっております。また、その下にあります「拒絶反応の回数」の欄では、腎臓移植については、拒絶反応の回数について「なし」が68.9%になっております。

 なお、5ページ目をご覧いただきますと、合併症について、腎臓については、高血圧、視力障害、貧血、糖尿病などが比較的高い割合で発生していることがうかがえます。

 そして、6ページや7ページでは、移植者の職業や収入、移植者の生活が記載されておりますので、ご覧いただければと思います。

 資料4の説明については以上でございます。

 以上で検討事項3の説明を終わりにします。先生方のご意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(相川座長)

 今、事務局からの説明がありましたが、腎移植に関しては、昔と違って、生着率も生存率も非常に高い。それでいて、移植後の生活の質もかなり高くて、就職率も高いというデータが資料に示されております。これを踏まえて、また全腎協の今日の意見陳述のコメントも考慮した上でご発言をいただきたいと思います。山縣構成員、いかがでしょうか。

 

(山縣構成員)

 今回の資料を拝見させていただくと、生存率・生着率が極めてよくなってきているという事実と、恐らく1年ぐらい猶予期間があるということを考えれば、1年間待って再確認というのは妥当なところかなと思いました。

 

(渡邊構成員)

 私も、1年たったところで、肝臓移植とよその移植と同じ条件で妥当かと思います。

 

(成田構成員)

 同感ですが、一つ、最初の患者さんにお聞きしたときに、意見の一つとして、免疫抑制を飲んでいるかどうかというところでかなり生活の質が変わってくるといったお話だったのですが、そういったことを認定の基準にもし入れるとしたら、先生にむしろお聞きしたいんですけれども、全くフリーになる患者さんというのはかなりまれなのではないかと逆に思うんですが。

 

(相川座長)

 腎移植に関しては、原則としてフリーになることはないんです。肝臓移植では、フリーになる人が少数ながらいらっしゃいます、10%以上はいらっしゃいますけれども、腎臓移植に関しては、完全に切ってしまうと、20年たって拒絶反応が起きた症例もございますし、少量でもやはり続けていかなくてはいけない。いわゆる部分的な寛容と言われているんですけれども、腎臓はどちらかというとつきにくい臓器に当たります。だから、免疫抑制剤はある意味では生涯切れないというのが原則でございます。もちろん双子とかそういうのは、一卵性双生児の場合はもちろん違いますが。

 田熊構成員、よろしいでしょうか。

 

(田熊構成員)

 はい、結構です。

 

(北島構成員)

 結構です。

 

(相川座長)

腎移植後1年たったら障害年金は再評価して、状態が良ければ打ち切るということで合意をいただいたと思います。もちろん状態が悪ければ、評価を行い、その時点で打ち切ることはなく、再認定を行うということでよろしいでしょうか。事務局からご意見をお願いします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 ここに書いてありますのは従前の等級を引き継ぐということでございますので、また再認定をした段階で、悪ければ悪い状態で等級を認定することになりますので、改めてその時点で見るということになります。

 

(相川座長)

 ありがとうございました。

 それでは、移植に関してはこのことだけでよろしいんでしょうか。等級決定ですが、今お話ししたように、どの程度経過観察を行うべきか。再認定はどのように判断すべきか。これは、でも今お話ししたところなので、よろしいと思います。

 次に進みたいと思いますが、次は合併症のところですか。その他の検討事項について議論をいただきたいと思います。特記すべき腎疾患特有の合併症はあるか。または、認定基準2(6)なお書きの規定と(10)の規定を1つに合わせてよいかどうかという検討事項がございます。この点について、いかがでしょうか。

 これは、まず事務局から説明をいただいたほうがいいのですね。資料2の検討課題の4について、事務局からまた説明をいただきます。

 

(関口障害認定企画専門官)

 それでは、資料2、検討事項の13ページ目をご覧いただければと思います。資料3のたたき台につきましては、68ページの(10)の規定をご覧いただければと思います。では、検討課題4、その他の検討事項について説明いたします。

 項番(1)でございますが、今、座長からご説明いただきましたように、合併症については、認定要領2(10)の規定により考慮することでよいかについてです。

 そして、今回の検討事項としては、2つ提示いたしました。まず1つ目の○、本節(腎疾患による障害)で特記すべき腎疾患特有の合併症はあるかです。

 これについては、下のほうにあります第1回専門家会合における主な御意見にもありますとおり、「腎疾患患者でADLがかなり低下するとすれば、長期透析による透析関連アミロイドーシスではないか。破壊性脊椎症などがあればADLが非常に低下する」や、「長期透析患者に関しては、アミロイドーシスとか心臓の合併症、心循環系の合併症、脳血管系の合併症、感染症、それぞれ死因につながるような合併症が非常に多くある。また、慢性疾患であるので、ADLが悪くて安静を必要とする合併症も多い」などのご意見が先生方からあったところでございます。

 ただ、長期透析による透析関連アミロイドーシス等の関節障害は肢体の障害として、また心不全などは心疾患による障害としてなど、認定基準の他の節に基づいて認定されておりまして、この節で記載する必要性はあまりないと考えております。

 また、2つ目の○についてですが、認定基準2(6)なお書きの規定については、検査成績以外も加味する総合認定の規定となっており、2(10)とほとんど同様の内容でありますので、この2(10)の規定に1つの規定としてまとめております。

 腎疾患による障害の合併症でこの節で規定するのにふさわしいものがあるかどうか、先生方のご意見をいただければと思います。

 以上で説明を終わりにいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(相川座長)

 この合併症について議論をいただきたいと思います。先ほど参考人の全腎協の方から、透析の合併症を具体的にお話ししていただきました。これも考慮に入れてご発言を願いたいと思います。いかがでしょうか、渡邊構成員。

 

(渡邊構成員)

 この診断書を書くのは、透析を導入してから3カ月のあたりで書くと、発病後1年6カ月ということですね。そうすると、長期の合併症というのはちょっと合わないのかなという気がしたんですけれども、どうなんでしょうか。

 

(相川座長)

 事務局から説明をお願いいたします。

 

(関口障害認定企画専門官)

 今、先生がおっしゃられたのは認定日請求のお話であるかと思いますけれども、その後、初診日から何年かして請求される場合がありまして、その場合、例えば10年後に請求されることがある場合に、その時点でもう透析がかなり5年以上経過している方とかがいらっしゃると思いますので、そういった場合を想定しております。

 

(渡邊構成員)

 ありがとうございました。

 

(相川座長)

 どうぞ、事務局から。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 ちょっと補足しますと、年金の場合は、決定した後も、1年から5年の範囲内でもう一回再認定ということをしますので、当然長期の方も対象になってくるといったことで、ご理解でお願いしたいと思います。

 

(相川座長)

 ほかにご意見はございませんでしょうか。

 腎疾患特有の合併症ということで、ここにはアミロイドーシスと記載されていますが、先ほど参考人の方の闘病生活の心臓の弁膜の石灰化とか、それから動脈硬化による血行障害というお話、またはアミロイドーシスによる手根管症候群の手術を2度受けたという話もございましたが、成田構成員、何かご意見はございますでしょうか。

 

(成田構成員)

 かなり多様な合併症が長期透析で起こってきて、これを全て網羅して記入を要求するのは、むしろ余りそぐわないのではないかということでありまして、総合判断で、(10)にありますように、どの程度ADLに影響しているか、それを(6)の障害の等級を決めるときに考慮するということでよろしいかと思います。

 

(相川座長)

 もう一度繰り返しますが、例えば心臓の合併症は、ほかの項目に入ることがあるんですね、別に腎疾患特有ということではなくて。事務局からお答えいただけますか。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 それぞれ、心疾患についても別の節の項目がございますし、それから手足に障害が出る場合にも、そちらのほうで判定を行って、必要に応じて併合認定を行うということになってございます。

 

(相川座長)

 では、そのところで障害を他のところでも認定できるということになると思いますが。どうぞ、山縣構成員。

 

(山縣構成員)

 今の流れとしては私も全く異論ないんですけれども、(10)の文章の中に、人工透析を長期間やることによる長期透析による合併症というかなり特有な問題もありますので、その言葉をどこかに反映させていただければ……。簡単に言えば、「検査成績によるほか、長期透析の合併症の有無」とか、そのような言葉が一つあってもいいのかなという気がします、文章の中に。診断書の中には当然そういうものは含まれるとは思うんですけれども、そのような言葉が入っていたらいいかなと思いました。

 

(相川座長)

 今、山縣構成員から、長期透析合併症は特に透析の固有なものの合併症が出てくるというご意見でした。短期ではなかなか、固有なものというより違うものがあるかもしれないけれども、長期では特有なもの、特にアミロイドーシスとか、破壊性脊椎炎、脊椎症とか、そういうものが出てくるということで、この言葉を加えたほうがよろしいのではないかというご意見が出ましたが、これについていかがでしょうか。田熊構成員。

 

(田熊構成員)

 今、山縣先生が言われたとおりのほうがいいと思います。先ほど事務局の方が、肢体もしくは心臓、それぞれありますと。でも、患者さんは、例えば2通、3通の診断書をそれぞれ別な医者に書いてもらわなくてはいけないとか、現実的にはそういうことはめったにしない。主として肢体であれば肢体の先生に書いていただきますし、破壊性脊椎症で動けなくなった、かなりADLが低下しているという方がもし1級になるために整形外科の診断書をもらうとなると、また容易ではありませんので、それは山縣先生が助言されたように、長期透析に伴うもので、ADLが非常に低下しているといったニュアンスのものがあったほうがいいのではないかと思います。

 

(相川座長)

 北島構成員にお伺いしたいんですが、実際、これは長期の合併症で、腎疾患のところにADLが悪くなる理由として、心臓の合併症とか、そういうものが記載してあることが多いでしょうか。

 

(北島構成員)

 余りそのように具体的な記載はありません。ですから、私のやっております作業は、規定の項目がちゃんと充足されているかどうかに基づいてやっております。

 それから、今いろいろ議論があるところや、新たにそういう合併症が起こったときには、その個々の疾患のところで申し出てもらえばいいのではないかと、現場では考えております。

 

 

(相川座長)

 というご意見が出ましたが、実際にはどうなんでしょうか。渡邊構成員が実際現場で患者さんを診ておられてこの診断書を書くときに、心臓の合併症とか、そういうのも実際書いていらっしゃいますか。

 

(渡邊構成員)

 余り長期なものを書いていないもので、導入病院なので、新規が多いものですから、合併症が少ないので、余り書いていません。

 

(相川座長)

 成田構成員。

 

(成田構成員)

 何通も疾患ごとに診断書を書いていただくというのは、ドクターも大変ですし、患者さんも大変だと思います。この診断書を拝見しますと、この中に長期透析による合併症の有無とその所見を書く欄がありますので、これを考慮していただいて、透析を受けている患者さんは基本的にそれだけで合併症がなくても2級という前提がありますので、さらにそれを1級に上げるかどうかということがここで問題になるわけです。それは一般状態区分のオに相当するかどうかというところですので、その根拠となる長期合併症があるかどうかというところを書けば、それでいいのではないかと思っております。

 

(相川座長)

 やはり、長期というのは、言葉をどこかへ入れていただいたほうがよろしいというご意見だと思いますが、それでよろしいでしょうか。皆さん、合意が得られたと思います。

 ありがとうございました。それでは、総合的な認定については、たたき台の案でひとまずいきたいと思います。

 検討課題については、一通り皆さんからご意見をいただきました。もう8時になりますので、時間の都合もありますので、本日の議論はこのあたりで終わりにしたいと思います。

 それでは、次回の進行、そして日程について事務局からお願いいたします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 本日は、構成員の皆様並びに団体の皆様方、お忙しい中にもかかわらずご出席いただき、大変ありがとうございました。

 次回は、本日のご議論などを踏まえまして、認定基準の改正案、それから診断書の見直しのたたき台もお示しさせていただき、またご意見をお伺いしたいと思っております。

 なお、次回の日程ですが、11月7日金曜日の午後6時からの開催を予定しております。後日改めて開催場所のご連絡を差し上げたいと存じます。

 以上です。

 

(相川座長)

 それでは、本日の会合はこれで終了させていただきます。

 構成員の皆様、長時間にわたりご協力、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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代表: 03-5253-1111(内線3603)
直通: 03-3595-2796

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