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2014年10月3日 第2回 女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会

医政局医事課

○日時

平成26年10月3日(金) 16:00~18:00


○場所

経済産業省別館312各省庁共用会議室


○議題

○女性医師の働き続けやすい環境整備に向けた課題及び環境整備のあり方について
○その他

○議事

○事務局(森) それでは、第2回「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」を開催いたします。

 本日は、先生方には御多忙のところ御出席を賜り、まことにありがとうございます。

 委員の御出席の確認になりますが、別役構成員から所用により今回は御欠席との御連絡をいただいております。

 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。

 山本先生、よろしくお願いいたします。

○山本座長 山本でございます。

 お忙しい方々、そしてまた、この暑い中を多くの構成員にお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 この第2回の「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」ですが、1回目に続きシンポジウムをさせていただきました。今日、御報告があると思いますが、大変多くの方にお集まりいただきまして、非常にホットな話し合いができたかと思いますけれども、そろそろ何かまとめようという感じもございますので、先生方にまたお考えいただくとして、もう一回、会をさせていただくことになるかと思います。

 では、議事を進めてまいりたいと思います。村木事務次官さんのお話、よろしゅうございますか。

○村木厚生労働事務次官 もう結構でございます。シンポジウム、大変私も勉強になりまして、医療の分野だけではなくて、ほかでも相当応用が可能だなと思って大変勉強させていただきました。前回のシンポジウムの成果も踏まえて、今日も闊達に御議論いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○山本座長 突然振りまして、どうも失礼いたしました。

 では、議事を進めてまいりたいと思います。

 初めに、事務局より資料の確認をお願いしたいと思います。

○事務局(森) それでは、資料の確認をいたします。

 ここで、カメラ等ありましたら退室をお願いいたします。

(カメラ退室)

○事務局(森) それでは、お手元の資料をごらんください。

 議事次第

 資料1 第1回女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会 主な意見

 資料2 女性医師のさらなる活躍を応援するシンポジウムについて

 資料3 女性医師の働き続けやすい環境整備にかかる基本的な考え方及び課題について

 参考資料1 女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会開催要綱

 参考資料2 「日本再興戦略」改訂2014 -未来への挑戦-(抄)(H26.6.24閣議決定)

 参考資料3 女性医師のさらなる活躍を応援するシンポジウム基調講演資料

 参考資料4 西澤構成員提出資料

となっております。

 不足する資料や乱丁等ございましたら、事務局にお申しつけください。

○山本座長 それでは、皆様、資料の御確認はよろしゅうございましょうか。

 では、議題1「女性医師の働き続けやすい環境整備に向けた課題及び環境整備の在り方について」に関して、資料1及び資料2をまとめて御説明いただきまして、御質問、御意見をお受けしたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局(森) それでは、お手元の資料1ごらんください。

 これは8月8日に開催いたしました第1回懇談会の主な意見をまとめたものになります。御承知のとおりかと思いますが、主な意見について御紹介をしたいと思います。

 全体の中では、近い将来、一気に女性医師の割合が増えることを想定しながら、対応を検討することが必要であること。職場の中で、その都度ニーズを把握していくなどが必要であること。また、最終的には医療の質の向上や、安全な医療の提供を目指すことが重要であるなどの御指摘をいただきました。また、若い医師、特に医局に所属しないような方々にどのように支援のアプローチをしていくかが課題といった御意見もありました。

 勤務体制に関しまして、医師の数の多い職場でとれる対応がある一方、少人数の職場ではそのような体制の確保が難しい場合、地域の医療機関と連携していくことも必要ではないかという御意見もありました。

 診療体制につきまして、会議を勤務時間内にすることについて、本人の仕事のモチベーションを保つ上でも重要ではないかという御意見をいただきました。

 保育環境につきましては、病児保育について、複数の医療機関の医師がグループとなって契約することや、駐車場の優先的な利用など、具体的な取り組みについて御紹介をいただきました。

 めくっていただきまして、職場の理解につきましては、多数御意見いただきましたけれども、ハード面の整備と同時に、周囲の理解やサポートといったソフト面の取り組みが非常に重要であるという御意見をいただきました。

 本人の取組については、本人が早目に周囲と調整できるような工夫が必要であるとの御意見をいただきました。

 職場以外の取組については、学会としての取組を御紹介いただいたり、学生の時から実際に働いている女性医師の方を知るなどして、卒業後のイメージを持つことが重要といった御意見をいただきました。

 続きまして、資料2、シンポジウムについて御報告いたしたいと思います。

 こちらは8月24日、国立国際医療研究センターで開催したものになります。

 参加者は112名。性別は、男性が16.1%、女性が76.8%となっております。年齢構成としましては、20代が10.7%、30代は16.1%、40代が17.0%、5011.6%、605.4%といった状況となっております。

 職業としましては、医学部生が9人(8%)でありまして、医師が60人(53.6%)。その他、医療関係の団体や企業、公務員やマスコミといった方々の御参加をいただきました。

 めくっていただきまして、このシンポジウムでは、前半に懇談会の構成員の先生方5名より御発表いただき、発表資料につきましては、参考資料3に添付しておりますので、御参照ください。

 続いて、後半の意見交換、こちらについて別紙1でまとめております。別紙1は後ほど説明いたします。

 また、参加者にアンケートを配布しまして、78名より回答をいただいております。「ライフイベントを抱えながら仕事を続けたい場合、あなたの職場(将来の職場を含む)で課題と考えられることや望むこと」などについて、自由記載で回答をいただきました。こちらは別紙2にまとめております。

 続きまして、別紙1になりますが、主な意見を御紹介いたします。

 全体としまして、参加者からは、地域によって保育環境であるとか、通勤時間とか、そういったものが大きく異なるので、個別にロールモデルや相談先を探すしかないのかといった御質問がありました。

 また、実際に病院見学に来る学生や研修医さんと話をすると、今でも男子は仕事、女性は子育てといったステレオタイプの価値観を持っているということがあり、昔と変わっていない状況に驚いているといった御意見もありました。

 それに対して、構成員からは、環境が地域によって様々であるということから、その地域での中核病院が中心にネットワークをつくるなどして、地域性に応じた取組を展開していってはどうか。また、個人によっても、働き方、価値観が様々であるので、多様なロールモデルを提示していくことが重要だという御意見をいただきました。

 勤務体制につきまして、参加者からは、短時間正規雇用制度を早期から導入して好評を得ているが、一方で、フルタイムで働くことができる医師にまで当直時間外勤務ができず、逆に勤務時間を制限してしまうという御意見もありました。

 職場の理解に関しましては、育児をしながら働くことについて、なかなか周囲の理解を得られていない、そのような状況をお話する参加者さんもいらっしゃいました。また、育児等をしながら働き続けることを前提とした評価制度も必要ではないかという御意見もいただきました。

 めくっていいただきまして、構成員からは、男性医師にも、家事や育児への関与を進めていく、そのような支援をしていくことも必要ではないかという御意見もいただきました。

 また、本人の取組についてですけれども、参加者から、職場の配慮に対して申し訳ないという気持ちが強く、感謝の気持ちを持つだけでいいのかという御質問をいただきました。また一方で、職場の配慮を受け取るだけではなくて、ベビーシッターなど外部のサービスを活用して、家事や育児の支援を受けることで、医師としてのキャリアを積むべきではないか。また、様々な取り組みの一例として、シンポジウムをDVDに作成して配布したり、情報交換できるコミュニティーを立ち上げているので、それを活用してもらいたいといった御紹介もいただきました。

 構成員からは、育児をしながら働く医師と周囲のお互いの思いやりが重要であるという御意見ですとか、支援を受けた後は、次の世代に支援を提供する側に回ってほしいという御意見をいただきました。

 また、日本医師会においては、全国でコーディネーターを配置しているので活用してもらいたいといった御紹介もいただいております。

 職場以外の取組についてですが、学生の段階から、キャリア教育の中で、保育園とか病児保育とか、そのような仕組みについても教えて、仕事と育児が両立できるという意識を持ってもらうことが重要ではないか。

 また、構成員からは、学会や専門医の仕組みの中でも男女共同参画の教育を組み入れていくこともあるのではないかという御意見をいただきました。

 続きまして、別紙2のシンポジウムのアンケート結果の概要になります。多様な御意見をいただいており、主立った意見について御紹介したいと思います。

 職場全体に係る課題としまして、40代の医師の方からは、長期休業等の給与補填や、時短勤務の方と非常勤に待遇の差があり、金銭的な補填が必要ではないかという御意見もありました。

 保育設備につきましては、24時間保育や、毎日ではなくて週数日の保育の運用、また、大学院生は保育所の入園が難しいといった御意見もありました。

 職場の理解に係る課題につきましては、上司自らが「帰りなさい」といった声がけをしてもらうことで、帰宅しやすくなるなど、そのような細かい配慮も必要であるという御意見もいただきました。

 めくっていただきまして、本人自身の課題としましては、医師としての責任感、就業を続ける意欲、強い意思が必要などの御意見をいただきました。また、御自身の取組として、早目に周りに自分の希望や状況を申告していく、そのような姿勢も必要であるという御意見をいただきました。

 その他になりますけれども、20代の医学部生の方から多く寄せられた御意見としましては、専門医の資格の取得や更新、そのようなものと出産・育児の両立ができるのか、仕事を中断しても、専門性を保っていけるのか、そのような不安について御意見を多く寄せられておりました。また、研修病院など、進路を決めていく上で、身近なところにロールモデルが欲しいといった医学生からの御意見もいただいております。

 また、40代から、介護を抱える医師の課題にも取り組んでほしいといった御意見もいただいております。

 シンポジウム全体の感想につきましては、自身のキャリアや将来のことを考えるよい機会となったという御意見もいただきましたが、男性医師や独身女性医師の事例や問題意識、うまくいかなかった事例などについても聞きたいという御要望をいただいております。

 また、医師以外からの御意見ですけれども、医師は不規則なスケジュールや夜勤などが多いということで、一般の職業とは異なる医師の特殊性がよく理解できたという御意見もいただいております。医師のお仕事については大事なので、地域の社会支援や外部サービスをもっと利用して頑張ってほしいといった御意見もいただいております。

 資料1と資料2の説明については、以上になります。

○山本座長 ありがとうございました。

 これまでの御説明につきまして、皆様も御参加下さって、大体把握されていると思いますが、何か御質問、あるいは追加がございましたら、ご発言いただきたいと思います。

 はい、どうぞ。

○木戸委員 資料2の1ページでございますけれども、参加者の性別に男性が18名(16.1%)とございます。ただ、当日参加しまして拝見すると、男性医師が非常に少なかったように思いますが、男性医師で構成員以外で参加した方は何名ぐらいおられたのでしょうか。

○事務局(森) 帰って手元のデータを確認いたしますので、確認できましたらお知らせいたします。

○木戸委員 本来、こういった問題は、女性医師だけの問題ではなくて、やはり医療現場をともに支えている男性医師を交えた議論ではないと、なかなか実効ある対策には結びつかないと思います。ちょっと今回のシンポジウムがショートノーティスだったことも、あるいは夏休み中だったこともあって、お集まりにちょっと構成が難しかったとは思いますが、今後こういった機会がございましたら、ぜひ男性医師にも参加していただけたらいいなと私は考えます。

○山本座長 よろしゅうございますか。

 ほかにどなたかいらっしゃいますか。

 私、男性医師も参加する三重大学の会議に招かれましたときには、参加された男性医師は非常に女性医師支援に積極的であると感じましたし、本日ご参加の男性医師も御理解のある方ばかりですが、御理解のない方はなかなか御出席いただけないのが現状だと思います。でも、それは逆に言いますと、ここにおいでの管理職の先生方は、女性医師を支援して人材を確保する必要性がある、あるいは配偶者や子女が医師で状況がわかるなどの背景があって御理解いただいているのですが、今、女性医師と共に最も働き、カバーしてくださっている男性医師の方々は、非常に圧迫された気持ちでいるということも確かで、やはりその方々の意見も伺う必要があると思います。この件はこれでよろしいですか。

 では、次にまいりたいと思います。中小病院の取り組みにつきまして、西澤構成員に資料を御提出いただいておりますので、御紹介下さい。

 西澤先生、よろしくお願いいたします。

○西澤委員 参考資料4でございます。私たちの協会の会員病院での取り組みを2病院ほど紹介させていただきます。

 きょう、ここで委員でいらっしゃる先生方は、ほとんどが大病院あるいは公的なところが多いのですが、私たちの団体は民間で中小病院が多いので、今回も200床未満の小病院、そこで苦労しながら、完全ではないかもしれませんが、取り組みをやっているということを紹介させていただこうと思っております。

 まず、最初の病院、これは佐賀県鹿島市の織田病院です。111床の中小病院でございます。そして、ここは開放型ということで、地域にある程度病床を開放しているタイプの病院でございます。DPC対象病院、それから在宅療養支援病院です。診療科は、内科、外科等、幾つかの科でやっております。看護は7:1。職員数は280名。常勤医師は27名、うち女性医師が5名ということです。平均在院日数が11.8、稼働率は94.9%でございます。

 学会認定は、右に書いてあるとおり、かなりの多くの学会の認定を受けているということで、中小病院でありながら、積極的に急性期医療をやっている病院でございます。

 ここに書いてございませんが、実は、日本医療機能評価機構の認定病院ですが、この病院のランクが1位とかと紹介されたこともあったと思っています。そういうことで、かなりしっかりしております。

 下のスライドでございますが、これが一応今回の課題ですが、まず真ん中に、これは女性医師だけではありませんが、病院の姿勢として、病院がしっかり明確なビジョンを持っているということ、そして、働きやすい職場風土をつくるということを基本理念としていると。そして、右側のほう、これは全職員対象でございますが、学べる環境ということで、質を上げるしっかりとした研修をやっている。それから、メンタルヘルスケアをやっているということでございます。

 その中で、この左側ですが、特にこれは女性職員ということでございますが、子育て支援対策、それからワークライフバランスもしっかり取り入れているということでございます。ここで特徴的なのは、女性医師だけではなくて、女性職員への対応の中で、女性医師も区別なくやっているというのが特徴だと考えています。

 ここでやっている大きな特徴は、やはり託児所を自分のところでやっているということと、それから産休、育休制度をしっかりやっているということと、あとはワークライフバランスでは短時間正職員とか、当直免除、配置転換、その状況に合わせてとやっております。

 次のページでございます。このように、過去5年間の女性医師でどのような勤務状態だったかというのを見てみますと、フルタイムで当直ありが6名。フルタイムであるが当直免除は5名、それから短時間正職員で当直免除が3名、このように、いろいろな形態があるということです。託児所は、その中で3名が利用していたということでございます。

 次の病院の紹介ですが、これは医療法人東山会 調布東山病院でございます。1病院と2つの診療所でございます。透析を全てでやっていることも大きな特徴です。診療科は書いてあるとおりでございます。看護体制は、病院は7:1、全職員は、病院が262名、診療所はそれぞれ書いてある数になります。常勤職員が、医師が20名、うち女性医師8名とかなり多うございます。クリニックにおいても、女性医師が3名中2名いるということでございます。そして、外来の数が316人とかなり多いということでございます。これは、二次医療圏がこういう状況の中で、急性期と透析をやっている病院ということでございます。

 それから、下のほうになりますが、女性医師の支援、仕事と家庭の両立支援の取り組みでございますが、まず、1として勤務体系の配慮でございます。

 申しおくれましたが、この病院の理事長、院長は女性でございます。そういうことで、かなり配慮しているという面もございます。

 まず、出産後は、病棟フリーとして、主に外来・救急当番・検査・ドック検診を担当ということで、職場の中で臨機応変にやっているということでございます。そして、この病棟業務は、育児との両立を難しくするため、他の医師に理解を求め、受け入れられているとういことで、かなり理事長先生がほかの医師の理解を得るような努力をしております。

 勤務時間でございますが、朝の出勤に際しては、8時30分の朝礼への出席義務というのが、これはお子さんがいる場合でございますが、出席義務を免除ということで、それから基本的に17時には業務を終了ということもやっているそうです。

 また、できれば一般企業における時短(16時退社)が、今後の課題というのですが、これはなかなか難しいということを言っておりました。

 それから、法人内保育ということで、1984年から法人内に保育所を開設してございます。その保育所は、一応朝7時半~2230分ですが、週に1回は24時間保育を実施しているということで、これは医師、看護師、区別なく子供を預けて出勤という形をとっているということです。このあたりは、医師は高額所得者なので、近くの保育園、幼稚園などはまず間違いなく預けることができないということで、このような対応をしっかりやっているということでございます。それから、子供が小学校低学年に上がった時期の対応をどうするかというのが、今後の課題だということを申しておりました。

 次のページです。ここは他職員との関係性の配慮でございますが、女性医師に対する勤務環境を配慮する場合には、必ずほかの男性医師、あるいはほかの職員との関係性を考えないとだめだということで、かなりこの対応をしっかりやってございます。1~3の対応を一方的にすると不公平感につながりかねないということで、適正な業務配分が重要だと考えて、きちっとやっているということです。具体的には、例えば17時に帰るとか、病棟を診ないということが不公平感につながって、他の職員に余裕がなくなってくると、最後まで診られないなら受けるなとか、丸投げされたという批判が出がちだと。そういうことでは、より質の高い医師をふやして、他の医師の適正業務配分が重要ではないかということで、しっかりそのあたりは対応しているということでございます。

 また、その下です。調整手当を外すなど、適正な給与体系にするなど、近日中に対応を予定しているということです。これも不公平感を減らすということで、年俸に含まれている調整手当を少し外すなどの対応で、適正な給与体系を今、考えている。そして、それをできる限りオープンにしたいということです。これは一見、差別のような気がしますが、実はこれは当事者たち、女性医師のほうからもそうしたほうがいいという声が上がって、今、考えているということでございます。このように、トップと、それから働いている人たちのコミュニケーションが非常にうまくとれているのではないかなと思っております。

 また、育児中の女性医師の努力を言葉にして伝えるということ、女性医師が日中一生懸命働いている姿を見せることが大事だと言っておりました。そして、そのことを理事長から他の医師に、ことあるごとに伝え、意識づけを行っているということで、例えば、理事長が「女性医師は早く帰るけれども、勤務しているときは非常によく働いているね」とか、あるいはそういうことをほかの医師に伝えるとか、「彼女たちが頑張ってくれているから、我々はじっくり病棟業務、手術、検査に集中できるのだね」とか、そういうことを理事長がきちっと言いながら、雰囲気づくりをやっているということも聞いておりました。

 そして、現場復帰のサポートでございますが、これは育児が終わった女性医師の現場復帰を積極的にサポート、いろいろな形でやっていると。そして、その女性の姿が若い子育て中の女性医師の目標となると言っておりました。継続的に仕事をすることの大切さを伝えて、本人・周囲の理解が生まれるのではないかということでございます。

 このように、民間の中小病院でも、このような努力をしながら、やっているということを紹介させていただきました。参考にしていただければと思います。

○山本座長 西澤先生、ご発表ありがとうございました。多くの女性医師が、民間の中小病院で働いていますが、そこは割と小回りが効いて、トップの決断で働きやすい環境が作りやすいと思います。院内保育を比較的早期から導入した病院では、医師確保のため、院内保育を行えば女性医師に来てもらえるということで始められたところは結構あり、良い取り組みだと思います。

 この調布東山病院に関しましては、やはり透析が中心であるということが大きな要因だと思います。透析患者さんは比較的安定しているし、時間も一定していますので、非常に調整しやすいと思います。いろいろな取り組みを御紹介いただき、ありがとうございました。

 この取り組みにつきまして何か御質問のある方いらっしゃいますか。

 大きな病院になりますと、なかなか難しいかもしれませんが、この規模の病院からじわじわと始めていただくと良いと思います。大学から出向する、あるいは赴任するときに、こういう配慮があると女性医師が非常に働きやすいですね。

 甲能先生、きっと御意見がおありになると思いますので、どうぞ。

○甲能委員 この東山病院というのは、杏林のすぐそばにあって、非常に親しくさせていただいていて、なおかつうちの職員も時々手伝いに行ったりしているのですね。そうすると、ここが非常にうまくいっているのは、やはり今、西澤先生がおっしゃったように、理事長先生が女性で、しかも大変しっかりしていて、リーダーシップもあると。したがって、ここに就職する男性医師というのは、ちょっとモチベーションが違うのではないかなと思うのですね。それと、私が杏林大学で病院長になったときに、近隣の病院に御挨拶に伺ったときに、この東山病院で女性医師に対する対応というのを考えてほしいということを言われました。したがって、ここの先生は、非常にそういうことを何とかしようという、今のこの日本の医療の中に、女性のまさに働きやすい環境というのを構築していくということを非常に強く感じている先生だなということを実感しております。

○山本座長 ありがとうございました。多分理事長先生が若いころに御自分が多くの方のサポートで続けられたことが、このような形になっているのではないかと思いますね。私も嘗て多くの方にサポートしていただき、今、やっとそのお返しを若い方々にしている巡り会わせになっているところで、私自身もこういう取り組みを細やかながら行っているところです。

しかし、専門医資格をとりたいというときに申請の要件を満たす病院で一定期間働く必要がありますが、小規模の病院では要件を満たさないことが多く、そのあたりが問題点と思っております。

その他、御質問よろしいですか。

では、次に進みたいと思います。

 事務局のほうで資料3の御説明をお願いします。

○事務局(森) 済みません、資料3の説明の前に、先ほどシンポジウムで御質問いただきました男性の構成の中で、正確な数字は、後ほど確認しますけれども、18人のうち男性医師は5~6人、恐らく1桁程度であったということでございます。正確な数字はまた改めてお知らせしたいと思います。

 続きまして、資料3の説明になります。「女性医師が働き続けやすい環境整備にかかる基本的な考え方及び課題について(案)」としまして、これはこれまでの御議論等を踏まえまして、事務局で議論のたたき台として作成したものになります。後ほど、ぜひ御意見等いただきたいと考えております。

 まず、「1.女性医師を取り巻く状況の認識について」でございます。まず、医師の役割については、男女に違いはないものの、女性は出産や育児といったライフイベントを抱える場合が多く、特に医師としての研鑽を積み、専門性を高める年代にこれらのライフイベントが重なり、キャリアを中断せざるを得ない場合が多いと考えられます。

 若い世代における女性医師の増加の状況を踏まえますと、今後、従来から女性医師の割合が多かった診療科や職場のみならず、これまでは女性医師が少なかった診療科や職場においても、その割合が増えていくことが予想されております。

 また今後は、若い世代のみならず、指導医や管理者に相当する年代の女性医師の割合が増えていくことが予想されております。

 国民の高齢化が進展し、医療の需要がますます増大していくことを念頭にした医療提供体制の構築が求められておりますけれども、そのような中で、女性医師を取り巻くこれらの状況を前提としたさらなる環境整備が求められているのではないかということが、状況の認識として考えられております。

 「2.検討に当たっての視点」です。

 このような増加する女性医師の状況を踏まえますと、ライフイベントを抱える女性医師のニーズに応じるとともに、医療の質を確保し、患者に必要な医療を安全に、持続的に提供していくためにも、女性医師が働き続けやすい環境を整備していくことは重要ではないか。

 その中で、個々の医師のニーズに応じた多様な働き方を支援していくという視点がある一方で、個々の医師が自らの希望するキャリア形成を図りながら、医師としての社会的役割を果たしていくという視点も踏まえて環境の整備を進めていくことが重要ではないか。

 これらを踏まえ、女性医師が働き続けやすい環境の整備に当たっては、医療機関における医師全体の負担は既に大きく、ライフイベントを抱える女性医師の業務を、単に周囲の医師が代替することは難しい状況にあることも踏まえ、様々な取り組みを複合的に進め、男女を問わず、医師全体の勤務環境の整備と調和するものであることが望ましいのではないか。

 さらに、このような取組を進めていくためには、医療を受ける患者の理解や協力も必要になってくると考えられるのではないか。

 また、若い世代の仕事や家庭に対する意識が変化し、同僚である男性医師も育児等にさらに関わりたいと望む者がいることや、今後、介護すべき家族を抱える医師も増えていくことなども見込まれており、女性医師が働き続けやすい環境の整備は、これらのニーズにも共通して応えていくものとして考えられるのではないか。

 このようなものを視点として挙げさせていただいております。

 3つ目に、では具体的医療機関等における環境整備の進め方をどのようにしたらいいかということで、挙げております。

 この医療機関等については、多くは医療機関を想定しておりますけれども、研究であったり、公衆衛生、または国際保健、そのようないろいろな現場、職場を想定しております。

 このような医療機関等の職場において、まず環境整備を進めていくためには、医療機関等の管理者自らが女性医師を取り巻く状況を認識した上で、医療機関等に所属する医師のニーズや活用できる制度、社会資源をまず十分に把握することが重要ではないかと考えます。

 これらは、医療機関等の規模や医療機能、急性期から回復期と様々な医療機能を有しているかと思いますが、診療科、また地域によって環境が様々であり、そのような医療機関の実情に応じて、まずは実施可能な取り組みから始め、職場の理解、促進を含めた複合的な取組を目指していくことが重要ではないか。

 また、医療機関においては、今回の改正医療法において創設された医療勤務環境改善マネジメントシステムを活用して、環境整備を進めることが望まれると考えられます。

 このような取り組みを進めていく上で、環境整備に向けた課題や取組の方向性としては、どのようなものを考えられるか、そのような視点で具体的な課題について取り上げていきたいと思います。

 まず1つ目に「勤務体制について」です。

 課題としましては、医師が育児等をしながら働き続けるに当たっては、やむを得ず離職したり、責任や負担の少ない業務につかざるを得ない場合があります。

 そのような勤務形態が長期化すると、医師としての経験が積めなくなったり、自らが希望するキャリア形成を図ったりすることが難しくなる場合があります。

 一方で、医療機関等においては、マンパワーの確保が難しくなり、必要な医療の提供が難しくなる場合もあります。

 取り組みの方向性としまして、一時的に離職しても復職しやすく、またフルタイムによる勤務が難しい時期には、働き続けやすい柔軟な勤務形態をとれるように工夫することが望まれると考えます。

 医療機関やその中の診療科の医師が少ない職場においては、地域の医療機関との連携や集約化を進めることにより、診療体制の効率化を図ることも必要と考えられます。

 育児の状況によって、一定期間は当直、時間外勤務の免除が望ましい場合もありますが、家庭への支援が整ってきたら、例えば休日の日直や休日前日の当直を担当してもらったり、当直した医師へ労働に見合った対価を支払ったりするなど、職場全体の公平感を得られるように工夫するといったことも重要であると考えます。

 取組例としまして、幾つか挙げております。

 また、事例につきましては、今回の懇談会や関係するところで御紹介いただいたものをまとめております。

 事例1につきましては、交代勤務制の事例、また事例2については、キャリア支援枠といった調整可能な枠を設けて募集をするなどの事例を紹介しております。

 2つ目の「診療体制について」です。

 課題としまして、医師の業務は不規則になりやすく、また、様々な業務により、特に病院勤務医においては厳しい勤務環境に置かれていることは既に指摘されております。

 また、主治医制をとる場合は、育児等を抱えた医師が主治医として多数の患者を担当して対応するといったことは難しく、結果として負担の少ない業務にしか従事できずに、経験を積むことができなくなったり、周囲の負担が増えたりする傾向にあります。

 めくっていいただきまして、取組の方向性ですけれども、多職種が相互に連携して、業務分担を図るチーム医療の推進や、事務補助職を活用することは、医師全体の負担を軽減するとともに、職場全体の勤務環境の改善にもつながっていきます。

 また、育児等を抱える医師を含めた複数の医師がチームとなって診療を行うことによって、主治医制では患者を担当することが難しい医師でも診療に参加していくことができるといったことが考えらえます。

 取組例、事例3につきましては、資料にあるとおりです。

 「保育環境について」の課題です。保育環境に関しましては、特に医師の勤務時間が不規則になることも多く、一般的な保育所の運営では医師のニーズを賄えない場合があるといった御指摘もあります。

 規模の小さい医療機関においては、運営コストの面から院内保育所の設置が難しいといった状況もあるかと思います。

 取組の方向性としまして、院内保育所に当たっては、職種等によらず利用できるとした上で、早期からの保育や保育時間の延長、24時間保育、食事の提供等など柔軟な対応が望まれると考えられます。

 病児保育の確保は、育児をしながら医師として安定的に働き続けるためには重要であると考えます。

 規模の小さい医療機関など、院内保育所の設置や病児保育の対応ができない場合は、院外での保育所の共同設置や共同利用、また民間のシッターサービスが利用しやすいような工夫などが望まれると考えられます。

 4つ目の「復職支援について」です。課題としまして、育児等で一時的に離職した場合は、その間、診療技術や医学知識が進歩することなどにより、復職する際に不安を抱える医師が多いといった声は多く聞かれます。

 また、育児等により職場から離れ、医学や医療の情報に触れない期間が長くなることによって、医師の業務に対するモチベーションやキャリア意識を維持し、向上することが難しくなるといった御意見もいただいております。

 取組の方向性としまして、一定期間職場を離れた女性医師が復職する際、診療技術や知識を補い、現場の感覚を取り戻すための支援が望まれるということが考えられます。

 具体的には、e-learning等により自宅でも履修することができれば、復職に向けてのモチベーションを高めることも期待されると考えられます。

 めくっていただきまして、5つ目の「相談窓口等について」です。

 課題としまして、働き続けるための支援策といったものは多岐にわたっており、医療機関によって利用できる制度や社会資源は異なっております。

 医師の働き方や仕事と家庭の状況は個人によって多様であることから、先輩の経験や様々なロールモデルを知りたいといったニーズがあります。

 取組の方向性としまして、医療機関等において利用可能な勤務形態や支援制度の紹介など、ワンストップで相談できる窓口の設置や専任スタッフの配置が望ましいのではないかと考えられます。

 また、先輩の育児等の経験を共有したり、質問したりすることのできる機会を提供することにより、育児等をしながら働くことの具体的なイメージをつかむことで不安感を解消したりすることができると考えられます。

 女性医師が少ない職場においては、医療機関の中だけではなくて、外のネットワークや支援につなげ、活用していくことも重要であると考えらえます。

 続きまして6つ目の「職場の理解について」です。

 課題につきましては、育児をしながら勤務を続けたり復職したりする上で必要なものとして、職場の理解や雰囲気を求めるニーズは大変大きいと理解しております。

 取組の方向性としましては、職場の上司、同僚の理解が重要であります。

 そのような職場全体の理解を促進するためには、医療機関等の管理者や指導的立場の方自らが、育児等をしながら働き続ける医師のニーズを理解し、職場の雰囲気づくりを進めることが望まれます。

 これの取組例としましては、管理者研修の活用や、個々の医療機関で利用可能な制度や社会資源を紹介するパンフレットの作成や配布といったものが考えられます。

 以上は、医療機関等における環境整備の進め方になりますけれども、それ以外での環境整備の進め方について、これまでの御議論を踏まえて幾つか挙げてみました。

 1つ目の○になりますけれども、大学や学会等においては、医学生や若い医師に対して、医師としての知識等の習得のみならず、育児等のライフイベントも考慮したキャリア教育の提供や普及啓発が望まれると考えられます。

 その際は、様々な働き方やそれを支援する方策があることを知り、医師としての社会的役割を認識した上で、自ららが希望するキャリア形成を図ることができる姿勢を育てることが重要ではないかと考えられます。

 また、臨床研修や専門医の仕組みにおいては、研修の中断や再開、更新の取扱など、育児等のライフイベントに配慮することが望まれております。

 さらに、大学や学会におきましては、それぞれが有するノウハウやネットワークというものがありますので、そのようなものを活用して、復職支援や先輩の経験の共有、女性医師のバンクの運営など、ニーズに応じた取組をさらに展開してくことが望まれると考えられます。また、このような取組が効果的に進むように、指導的立場に女性医師も区別なく積極的に登用することが望まれるのではないかと考えられます。

 一方で、都道府県におきましては、今回の法改正に位置づけられました医療勤務環境改善支援センターや地域医療支援センターにおいてこういった医師の課題を踏まえつつ、医療機関の勤務環境改善や医師のキャリア形成に対する支援を行っていくことが望まれると考えられます。

 めくっていただきますと、5つ目に「支援を受ける医師における取組の方向性」として幾つか挙げております。

 内容としましては、基本的なことになりますけれども、家族による支援のほか、支援を受ける医師本人がさまざまな支援制度や民間サービスなどあらかじめ情報収集していくということが望まれます。

 また、常日頃から周囲の方とコミュニケーションを図り、患者の診療情報や自身の予定を小まめに共有していくなど、周囲が支援しやすい工夫というのも重要であると考えます。

 自らの経験を生かして、将来では後輩に対する支援に回っていただくことも望まれると考えられます。

 資料3の説明は以上になります。

○山本座長 ありがとうございました。大変多くのことを検討する必要がありますが、構成員の方々には既にお考え頂いていると思います。第1回目のときに、私の不手際で皆様方に御討論していただく時間がなくなってしまいました。これから1時間程、お話しいただく時間をとっていただきましたので、ただいまの御発表に対する御質問や御意見、特に環境整備に向けた課題や環境整備のあり方について何かございましたらご発言をお願いします。全員にお話しいただきたいと思いますが、まず私からと思われる方、どうぞお願いいたします。

 はい、笠井先生どうぞ。

○笠井委員 では一言意見を述べさせていただきます。環境整備ということなので、そこに少しフォーカスを当てて話をさせていただきますが、資料3の4番に書かれた項目というのは、実はもうほとんどやっていますねということが、私ども医師会としての主張としておわかりいただきたいと思います。

 それで問題なのは、こういうことをやっているのが皆さん方の手元に届いていないということが一番の問題だと思っております。これは、まだまだ努力してまいりますけれども、大学、医学生、先生に日本医師会が各地で開催する懇談会などにいらしていただいて、石川先生もいらしていただいて、おわかりいただいていると思いますけれども、国に対して提言もいたしましたし、また、それを取り入れていただいて、政策として実行されつつあるというのもございますし、そういうことを一つ一つ云々ということは、今きょうここでは申しませんけれども、最初の会で資料としてお届けいたしましたので、あの中に書いてありますので、またお目通しいただければありがたいと思います。そういう実態もあるということを御理解いただきたいと思います。これ以上、私たちはまた何をしようかというのが本音でございます。

 それからもう一つ違うところは、ほかの項目になったときにまた意見を言わせていただきます。

○山本座長 ありがとうございました。先生がおっしゃるように、日本医師会が厚労省からの基金でもって各大学と各都道府県医師会と共催して、大学で講演会やシンポジウムを実施されましたが、参加数を伺いますと、なかなか若い学生さんが出てきてくれないと嘆いておられます。これが一番問題でして、学生や若い研修医は、まだ余りシリアスに受けとめていないと思いますが、その辺に関しましてはいかがでしょうか。

 はい、甲能先生どうぞ。

○甲能委員 今、笠井先生がおっしゃった、医師会でほとんど全てのことは手をつけて実行されているのだけれども、情報としてそれが周知されていないということですが、私もまさにそうだと思うのですね。これは最新日医ニュースで医師会の先生のところの資料ですが、女性勤務医の勤務環境についてアンケート調査の結果報告という埼玉県の医師会の女性医師に対して行われていて、490名からの回答があって、その中に、女性勤務医が復職するのに必要と考える要件の中の一つに、復職のための情報提供というのがあるのですね。したがって、情報として発信はしているのだけれども、つかむほうがつかみ切れていないという現状があるのではないかなという気がするのですね。これは、2011年に全国医学部長病院長会議が、女性医師の就業環境に関する実態調査というのが80病院中宛てに行ったのですけれども、そのときに、神戸大学で登録Webサイトブラッシュアップパークというのが非常に有効に活用されていると。これはどういうものかというと、ユーザーは妊娠中の全職員が登録します。そのほかの女性も登録して構わないのだけれども、このウエブの中で、ベビーシッターの申し込みとか、それからいろいろな必要な知識に関するe-learningみたいなもの、全てのものがここである程度対応できるシステムらしいのですね。このアンケートの回答によると、これが比較的うまく機能しているということがあるから、こういうウエブを至るところで立ち上げてもいいと思うのですね。それで、アクセスしやすいような、互いにここにアクセスすると、またこちらに飛べるというシステムにして、バーナーをふやしていけば、非常に多い情報量が得られるのではないかなと。そういう情報をいかに必要としている人たちに届けるかということをちょっと検討するのが重要ではないかなという気が今しました。

○山本座長 甲能先生ありがとうございました。女性医師が中断する大きなきっかけの一つとして、配偶者の赴任に同行というのがありますので、そうしたネットワークが全国的にあれば非常にうまく継続できると思います。

 ほかに、何か御意見はありませんか。

 はい、恵谷先生どうぞ。

○惠谷委員 皆さん発表なさっておられますように、病院の規模が比較的小さかったりとか、民間であるとか、そういうところでは、もうやられることはやっておられますし、いろいろソフトの面は随分充実してきていると思うのですけれども、せっかく厚生労働省のこういう取り組みをしてくださっているので、ちょっとシステム的にできないことがないかということで、3つちょっと御相談したいことがあります。

 1つは、この間のシンポジウムでも、御発言がありましたけれども、どんどん女性がふえていくと、その女性をかばってもらう周りがすごくしんどいわけですね。例えば、5人しかいないところで3人産休をとるとかあり得ないわけですし、みんなが当直しないなんてことになったら、誰が時間外の業務を担うのか、夜勤の当直を担うのかということで、それは幾ら感謝の心があっても、あるいは調整をしようとしても、実際無理ということが起きてくるわけです。そのときに、大きい公立病院ではこういうことが起きるのですけれども、常勤の枠とかが決まっているのですね。例えば、常勤が3人という診療科で2人そういう方が常勤になったら、残り1人の常勤で全部当直をするのかということが起きてしまうのですけれども、プラスアルファで雇うようなことをシステムとして認めるようなことを後押ししていただけないかと。時短というか、そういう時限でも構わないので、特殊な状況で短時間勤務するような常勤の方プラスアルファの人員として数えていただいて、ちょっと一時的にふえるような形、我々の地方行政法人も、もう本当に常勤をふやすことは難しく、限られたパイを奪い合うような形になってしまうので、都市部でもし枠があれば、勤務できる人がいるようなところは、そういう形で一時的に常勤枠をふやすようにすることで、みんながハッピーにできる、要は限られたスタッフがプラスアルファの形で労働力になれるので、減らないのですね。減ってしまうとやはりみんな心がすさみますので、プラスアルファとしてカウントしてもらえることを、一時的にそういう人がふえたときに補助金の形になるのかちょっと私もわからないですけれども、認めていただくような後押しができないかということが1点。

 あと、では地方はどうするかということですね。そういう形で枠をふやしても、人がいなければ来てもらえないわけなのですけれども、非常に人が少ないところは、今の日本ですぐに取り込めることはないかもしれませんが、以前、我々小児科学会のほうで、小児科医のQOLを改善するプロジェクトを委員会で検討したことがあるのですが、アメリカにはナースプラクティショナーという制度があるのを御存じだと思うのですけれども、専門看護師ですね。医師よりはもう少し簡単な業務ですけれども、看護師よりもより踏み込んだ業務にタッチできるというポジションがあるのですけれども、そういうものをすぐに日本で投入できるかどうかわからないのですけれども、現実として非常に人手が少ないところで、限られた医師が看護師、スタッフに力を貸してもらって、この提言の中にも事務補助員のことは書いてあったのですけれども、やはり事務補助の方に頼めることはたくさんありますが、やはり限界があるので、看護師のもう一歩、今、専門看護師がふえていますけれども、そういう方たちの職務権限をふやしていただいて、うまく一緒に仕事を分かち合うことができないかということが1点。

 最後に、保育園の問題なのですけれども、院内保育園のことはいっぱい書いてあるのですけれども、都市部の場合は、通勤に結構時間がかかって、院内保育園まで子供を連れていくのが大変という方もたくさんいらっしゃるのですね。その場合、地元の保育園に預けようと思うわけなのですけれども、女性医師だからといって全く優先扱いはないのですね。むしろ一人親さんとかのほうが優先になってしまって非常に入りにくい。しかも、一旦離職してしまうと、現在働いていないという扱いになるので、女性医師であっても全くそこで優先がないのですね。だから、働きたい気持ちはあるけれども、実際に保育園が見つからないから復職のめどが全く立たないという女性医師を私は何人か知っています。公平性の問題とかもあると思うのですが、ぜひ一般の保育園に普通に預けることが何とか離職した女性医師にもう少しアクセスしやすいような、さらにもっと言うと複数の別々の保育園に預けさせられるケースとかもありまして、本当にそれは医師だけではないと思いますけれども、働く女性みんなにとって大変なことなのですが、預かってもらえるだけでもありがたく思えというような状況がありまして、たとえ複数でも入れるだけいいということがあるのですけれども、その辺をちょっと厚生労働省として何か施策を考えていただけたらありがたいかなと。

 ちょっとたくさん申し上げ申しわけございませんでした。よろしくお願いいたします。

○山本座長 ありがとうございました。

 保育園の問題は非常に地域差がありまして、いつでも入園可能という、地域もあれば点数制になっていて、ある点数以上ないと入園はできず、特に非常勤ではほとんど預かってもらえず、常勤でも難しいという地域もあります。

 常勤の制限があるので非常勤を雇うというのもそう簡単ではなく、ナースプラクティショナーに関しましては、今、院内感染や褥瘡の専門領域では非常に有用に働いていただいていますが、実際の診療の場面において患者さんを総合的に診るというのは責任の所在と言う点で看護師、医師双方に問題があると言う意見があります。

 ほかに何かご意見はありませんか。

 では、片岡委員どうぞ。

○片岡委員 先ほどの恵谷先生の御意見に、非常に賛成です。補足ですが、前回に岡山大学の取り組みを御紹介させていただいたのですが、そこで支援枠というふうに挙げているものは、まさに常勤枠にプラスアルファの増員ということになっています。

 定員の中に復職するというのは、結局本人も非常に周りに対する遠慮をどうしても感じるし、周りは負担感がだんだんふえてくるということで、やはり増員でないと意味がないと考えましたし、増員という形は非常にうまくいっています。ただ、特に自治体病院の先生方などから、「いい取り組みだと思うけれども、自治体病院では簡単に定員枠がふえないので難しいです」という御意見はよく耳にしました。

 もちろんアプライしてくれる人がいてこそ、という前提はありますが、増員というのは非常に良い方法だと思います。復職したくてもできないというニーズに対しては、何らかの解決方法が工夫できるところなのではないかなと思います。

○山本座長 ほかにいらっしゃいませんでしょうか。

 どうぞ、安田先生。

○安田委員 私も恵谷先生の御意見に、本当に言っていただいてありがとうと、申し上げたいところです。先生がおっしゃられるように、保育に関して、厚生労働省が全部やっているわけではなくて、かなり自治体の権限に依存していると思うのですが、そういう中で半分質問です。私も3人子供を保育園に預けるときに「保育に欠ける子」という、それ自体もちょっと傷つくような表現なのですけれども「保育にかける子」という認定を受けないと公立保育園に入れないのです。その書類を出すときにすごく気になるのは、夫の就業状況を書かされるのはわかるのですが、祖母と祖父の就業状況、4人いるなら4人分も書かないと、それらの者たちが忙しいんだということがわからないと名古屋市は少なくとも認定されないのですね。今の時代、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らしている方のほうがまれだと思いますし、うちは確かに名古屋市内にはいますけれども、全く生計も生活も違うところでやっていて、だけれども、その人たちを担ぎ出すことが、保育の基準は、一番は祖父母に見てもらえというのが国の方針なのかなということをちょっと感じております。そこのところは、もし国全体のことでしたら何とかしていただき、名古屋市のことでしたら名古屋市に働きかけていただきたいと思います。それが1点です。

 あとは、ここの中で4ページの保育関係についてということを上げていただいて、これは非常にありがたいとは思うのですが、育児ということは、保育と言われると今、多分小学校に入るまでということがターゲットにされているのかなと思いました。しかし実際には終わりがないというのが実感です。小学校に入ったから楽になったんだよねと言われると、確かにおむつはかえなくてよくなったかもしれないけれども、じゃあ私がいないと大丈夫なのかなというところに関しては、終わりがないというのが実感です。そういうものが継続する、実はこの保育環境が小1になるころというのが、大体皆さんが一生懸命頑張って専門医をとるところまでは何とかというところでやっている時期とかなり一致しているのではないかと思っています。でも専門医をとれば一応、一人前の医師だからというところで燃え尽きてしまうような仲間がかなり多いというふうにも感じておりますので、そこを何とかしていただけないのかなというのが2点目です。

 先日、医療安全の学会がありまして、私より少し若い女医さんに声をかけていただいてお昼御飯を一緒に食べる機会がありました。その方が岡山大学の方で、2人お子さんがいるという話をされていて、聞いていたら、実はMUSCATの支援を利用されたということでした。お話をしているとすごく志が高くて、私は今、安全の仕事をし始めたから、安全の学会にこう貢献してというような話をされていて、やはりその足元がぐらついていては上も向けないしということをすごく感じましたので、片岡先生たちの取り組みは本当にすばらしいなと思いましたし、日本全国でこういうことをやっていかないといけないのではないかなと思いました。済みません、長くなりました。

○山本座長 片岡先生、ありがとうございました。

 子育てというのは中学生になったら卒業と言うものではなく、反って非常に難しいこともあります。数年前に東京の女性医師が子供のお受験の為に離職したり、休職したりすると怒っていましたが、名古屋地区では公立がまだ健在で考えられないことですが、子供の将来を考えると、保育園や小学校にお任せでは心配と言う気持ちも理解できます。日本の大学が全入で、履修できなければ卒業させないという格好にすれば受験の心配はいらず、お受験離職も必要ないと思います。女医さんが勤務体制を考える時期は、やはり子供が小学校に上がる頃で、非常勤になりたいという方が結構多いということも確かで、それに関して、周囲が意見を申し上げるというわけにはまいりませんで、やはり当事者の考えがあると思います。でも、そんなに突き詰めないで、仕事を続けながらお子さんの教育もできるような体制を考える必要があると思います。

 それから、保育園や院内保育はとても充実してきていますが、その一方で、両親に見てもらえる機会が本当に少なくなってきているので、子供の保育に関しては、受け皿は同程度という感じではないでしょうか?

私もおばあちゃんですが、仕事をしておりますので、とても孫は預かれません。今後こういう方がふえていきますので、祖父、祖母がどうしているかという入園時の質問は、もし預かってもらえる状況であれば預かってもらう方が、よいという気持ちが厚生労働省、あるいは日本全体の考え方としてもあるかもしれないと思いますが。ちょっと座長が長くなってしまってごめんなさい。

 どうぞ、津下先生。

○津下委員 女性のキャリアの話なのですけれども、今、一つの病院、一つの診療科の中だけで考えると、医師の業務というのは決まっていて、それができる、できないという話になるので、「時間の制約」がでてくると思うのですが、例えば地域全体とか、広い視点で考えると、可能性が広がるのではないか。3ページの「負担の少ない業務にしか従事できずに経験を積むことができない」という記載になっていますけれども、地域全体で考えたときに、社会的ニーズが高くて、それなりのキャリアを積むことができる仕事で、本人がもともと大学卒業したときにすぐに目指した道ではないけれども、そういう別のキャリアもあるんだということを地域全体で伝えていくことが必要ではないでしょうか。例えばいつも聞く話ですが、公衆衛生を志す医師が少ないと。でも、臨床をやっていた先生が公衆衛生の立場になれば、また違う観点で臨床を支えたりとか、地域医療にかかわることができますし、自分が診ていた疾患の予防へとつなげたりする、などの道があります。または最近推進している地域包括ケアの観点でも、地域のことを知っていないとこれからの病院の医療というものが成り立たない、つまりひとつの病院だけで完結できる話ではないので、地域を知る機会としてそういう機会が役にたつのではないか。一時そういう立場に置いてみるのもその後のキャリアのプラスになることもあると思います。時間的にフルに仕事をすることが難しく、当直ができない状況であっても、それらの仕事をもキャリアとしてカウントされる方策、仕組みになればまた多様な働き方ができるのではないかなと思います。

 このことは1つの病院だけでは難しいので、都道府県とか地域でどうするという話になると思います。そういう地域の医療ニーズというのをもう少し洗い出して、そこのマッチングをうまくすることで、今、活躍できていない人がもう少し活躍できるのではないかなというのを思います。それが1点目です。

 それから2点目なのですが、専門医をとるのに本当に大変だということで、もちろん実績もありますし研修も出なければいけない。それがまた土日になっているということで、土日開催が、またこれがなかなか保育の手がなくて出られないという声もよく聞きます。

 実際、講師側も平日働いて土日ということで、この専門医の研修のあり方を工夫できないか。特に認定資格でそれがないと保険診療に影響するような、そういうものについては、できるだけ出席しやすい体制を整えるようなことが可能になれば、よいのかなと思います。

 3点目は、育休とか産休の制度のことです。医師はどちらかというと足りない状況で今は問題化していないかもしれませんが、保健師で見ますと、常勤の希望は非常に高いのですが、産休代替となると途端に手が上がらない状況があります。また代替要員ばかりの仕事をしていても、専門性が育たないことにもなります。

 そういうことを考えると、育休をとられている方のかわりは代替要員になってしまって、「私は代替要員でもいいよ」と思う方がふえていいのかなと。本当は少し教育すればもとに戻れるんだけれども、私はこの程度でいいというふうになってしまっているのかなというもったいなさも感じたりすることがあります。

先ほどプラスアルファというお話がありましたけれども、定数の中で育休とか産休をとっていれば、立場としては入られる方が代替になってしまうということがモチベーションとしては下げているというような気がします。そして保健師の場合はそれが採用のネックになっている。医師の場合はずっとその病院に勤めたいと思って手を挙げて来ているわけではないかもしれないので、そこまで、問題とはなってないかもしれませんが、その代替の確保をどうするかということも気になっているところです。3点、申し上げました。

○山本座長 ありがとうございました。

 医師の場合の、例えば先ほどの産休のときにどなたかその間だけお願いするという形はそう簡単ではないと思います。今、国や地方自治体の病院では、病気のときは別ですが、海外留学したいときは辞めるのが基本ですね。病気あるいは産休の場合には復帰しても、当然育児があり、大変なので、代わりに来ていただいた方と2人がペアになり時短で勤務するという形態をとるということは実際に行われているのでしょうか。

 片岡委員、どうぞ。

○片岡委員 岡山大学の場合は、誰かが産休・育休に入ったときに他の方がかわりに入るという形はとってはいないのですが、もともと先ほどの支援枠という形で増員になった方が、丁度、出産適齢期なので、その方がその枠を使いながら産休・育休で外れてまだ戻ってくるということで、結局定数自体は実は変わっていないという、そういう動きはあります。

○山本座長 どうぞ、恵谷委員。

○恵谷委員 産休・育休を埋めるような都合のいい方は余りいないのですね。働ける人は働いていますので、それは常勤であれバイトであれ、私が大阪地区でやっているその子育て支援会に来られている方もそうなのですが、時々臨時のバイトとかの募集をかけても誰も手が挙がらないのです。みんな自分ができるだけの仕事はしているので、そこが学校の先生なんかと違うところで、ちゃんと免許も持っているし働く余裕もあるけれども、働いていないという人はほとんどいないというのが認識です。

 あと、先生おっしゃってくださいましたけれども、留学も確かに一旦休職することになるのですね。だけど、全くその本人のモチベーションとか意識が違うんです。留学の場合は自分のキャリアアップのために行くので、例えば同じ2年休んで帰ってきても、実際、久しぶりのブランクのはずなのですけれども、臨床に出ることにそれほど皆さん不安を感じずに行かれるように思いますが、同じ2年でも子育てで休むと、すごくやはり自分の評価が下がっているので、出ることにすごく不安を感じられるのですね。だから、私いつも言うのですけれども、留学の先生だって休んで出るんだから、2年休んだって大丈夫よと言うのですが、そこは本当に天と地ほど意識が違うので、私たち小児科医にとっては留学と同じぐらい子育てもプラスになるので自信を持ちなさいと言うのですが、本当に意識づけの違いだなと、いつも思います。

○山本座長 地方の公共団体の病院では、留学は一旦退職になるのですね。ですから、その点ではまた非常に留学しにくい状況で、最近の若い人たちが海外に行かないという要因の一つかもしれないと思っています。

 他にご意見のある方はいらっしゃいますか。

 では、笠井先生、どうぞ。

○笠井委員 今の、2点申し上げます。

 専門医の更新とか、専門医の取得は大変だということは、我々もよく承知いたしております。来月、横浜で勤務医大会を開かせていただきます。そのときに「神奈川宣言」というものを出させていただこうと、そのことについて、専門医の更新、継続あるいは申請に当たって産休・育休のところに特段の配慮を求むという宣言を一言、言わせていただく予定ですので、そういう真摯なこともやっているということを御理解いただきたいと思います。

 それからもう一つは、代替の先生とかについても、それが病院の先進的な取り組みをやったのですが、これに対する費用がかかるということはやはり考えておいていただかないと、皆さん方理念で進みますけれども、その裏のサポートというのはやはりオーベンの先生が真摯の思いでいてくれて、いい環境ができているわけですから、そのあたりについて、例えばもし企業でしたら税制優遇とか、あるいはそこの名前を公表することで世間の評価を上げると、いろいろな方法がありますけれども、私たちにはそういう方法がございませんから、何かそういう費用の手当というものも、ある意味では考えていかないと十分解決しない、あるいは男性方も休める環境にもしてほしいと思っていますし、それから先生方がゆっくり休む、代休もいただける、あるいはそういう人材もあるというには、やはり根本的にはその費用の手当というものを抜いては考えられない、その視点もやはり基本論として考えていただきたい。私は各論を余り申し上げる立場ではございませんから、大所高所から申し上げますけれども。

 それと、もう一つは、今おっしゃることは、病院の勤務の非常にアクティブな先生方ですけれども、地域医療というのは病院だけではやはり成り立っていきませんから、これからの地域医療制度が今、大きく国のほうで変わっていっておりますから、需要としてのそういうニーズもあるんだという、医療制度が変わってきたときの対応というのも少しお考えになっていただきたいなと思っております。

 以上です。

○山本座長 笠井先生、ありがとうございました。

 確かに専門医資格を取りにくいとご意見もありましたが、研修を土日に実施するなら研修する場所に保育所を設置し、育児中の医師の便宜を図ることが必要でしょう。その専門医制度に関しては、各学会は専門医認定料で財政的に問題ということはないので、保育所設置は可能と思いますので、私の所属する学会に話してみたいと思います。本人がその気になった時、利用できる体制を整えておくことはとても大切だと思います。

○高橋委員 2点あるのですが、1つは先ほど委員長も言われたように、保育所は大分、聞いておりましても私の時代とは全然違うんだなとは思いますが、私自身も保育所のときはシッターさんとでかなりできたのですけれども、小学校に上がってからが本当に大変でしたし、今も大変なのではないかなと。学童の部分ですね。そこの部分を充実させないといけないと思います。

 それともう一つ、今の費用というお話で、いつもちょっとかなり大上段に構えてしまうのですが、ある病院の院長先生がそういう女性の問題を考える会で、後でお話ししたきに、いや、保育園、保育所もつくりたいんだけれども、お金がないんですよねということ。幾ら頑張ってやっても、うまくいったと思ったら点数下げられるんですよという話がありまして、本当にこれからは産休の人、育休の人が常にいるという状況で、臨時とかではなくて常に誰かいるという時代になっていくと思いますので、定員がふえることが重要なことであると思います。

 前回も言いましたが、女性の問題を考えると、常に男性の働き方のところに帰着しますので、定員が絶対ふえるべきであって、そのためには病院の利益が上がらないといけないということで、医療費を削減するということばかりを考えるというのがどうしてもネックになってくるのではないかなと思っておりまして、私たちイノベーションで、医療費のほとんどではないですけれども、大きな部分が海外に行っているという、この構造を変えて産業として成り立つような、医療の仕組みを大分変えないといけないのではないかなというふうな気がしております。

○山本座長 おっしゃるとおりですが、問題が広がり過ぎてしました。保育所に戻しますと、やはり多くの職種の方が利用できるようになりますと、看護婦さんの定着率が良くなり、一桁台になりましたので、看護師さん不足が解消したと言う良い結果がでています。ところが出産する看護師さんも多くなり、最近は数カ月の間に6人出産しますので、また夜勤のやりくりに頭が痛いと看護部長が嘆いています。事務方は子宝率を換算した補助金があるといいと言っていますが、そのように子供を産もういう気分になるのは楽しく仕事していると考えますと素晴らしいことです。

 この話を頭の端に置いていただきまして、将来、子宝率加算をぜひご検討ください。

 どうぞ、甲能先生。

○甲能委員 今、専門医のことがちょっと話題に上りましたけれども、女性の場合は専門医をせっかく取得してもちょうどそれが小学校の1、2年の子供のころに当たって、そこで燃え尽きて離職しちゃう専門医をとったならば、それがキャリアとしてずっと継続して、その職を続けてもらうということは国民にとっては非常にプラスなことなわけですね。

 これから特に外科系がそうだと思うのですが、外科系の専門医はとるだけではなくて、それを更新するときには、必ず実際現場でどのぐらいの手術をしているかとか、患者さんを診ているかという、その実績が問われるわけですね。そうすると、なかなかその専門医の更新というのが難しいというようなことが起きてくると思うのですね。

 今までの専門医制度更新というのは、学会に出ていればいいとか講習会に出ていればいいとかというようなことで更新されたけれども、これからはやはり外科系の専門医の更新というのはそういう問題が出てくると思うし、そもそも専門医というのは国民がこの専門医にかかっていれば安心して医療を受けられるということが目的の制度だから、したがいまして、やはりそれ相応のスキルが継続されていないと困るわけですね。

 その辺のところを、専門医の専門性というのですか、専門医の更新の継続、維持というようなこと、これをちょっと考えなければいけないかなということと、それとは別に、先ほど津下先生ですか、おっしゃったこと、何も一つの職種に限定することはないじゃないかと、医師として例えば保健所とかいろいろな職種があるわけだから、そういうようなところを次の職種として選ぶというようなことも一つの方法として重要なことと、これは非常にいいことだと思うのですね。実際、そういうところで人手が不足しているわけだから、本人のニーズに合うならば、そういうようなことも選択肢の一つとして考えるというようなことを提言するというのですか、やはりそういう情報が何といっても不足しているのが現状ではないかなという気がします。

○津下委員 済みません、ちょっとつけ加えて。

○山本座長 どうぞ、津下委員。

○津下委員 そのときに、やはりできないからこちらへ変わったというイメージではなくて、今までやったことにプラスでキャリアアップできて、地域で必要とされる働き方ができるというポジティブなイメージで、そのことが語られるとすごく意欲にもつながると思います。どうキャリアをうまく導いていくのかとか、やりがい感を見せていくのかというのは、すごく重要かなと思っています。

○山本座長 岩本先生、どうぞ。

○岩本委員 今のお話に関連して、私は国際保健という視点からコメントさせていただきたいと思います。この資料3、そしてこの議論の場で、どうしても国内でどうするかというお話が多いようで、では自分は一体どういうふうに、ここにいる意味を見出そうかとずっと実は悩んでいました。今、地域のお話が出て、病院以外にも活躍の場はいっぱいある、本当に世界という活躍の場でもニーズはたくさんあると思っています。そういう意味では、資料3の「2.検討に当たっての視点」にも、外向き、広い視点というものをもっと積極的に入れた方がいいと考えます。「グローバル化」という言葉を安易に使いたくはありませんが、医療全体の国際化・グローバル化は国の政策にもなってきているので、今、非常に求められている視点だと思います。

 国際保健分野、国際協力の世界に、女性医師の活躍の場は非常に求められています。特に日本人の女医さんというのは、活躍の場を得ることができる。国際医療研究センターの就職試験に来られる女子医学生も、すでに結構そういうマインドを持っています。すごく元気な若い女医さんが、臨床をしている途中でいろいろな壁にぶち当たって、では世界に飛び出して行こうという、そういう時代になっているとも感じます。そういった中で私たちには2つのことが求められていると思います。一つは世界に飛び出していく若い世代を積極的に応援するという日本の環境がもっとつくられていいと思います。これは、留学したいとか、あるいは地域の現場に行ったりというのと全く同じ、ただ舞台が世界であるということだけで、そういうことを、日本が今、大変なんだから国内にいなさいと言うのではなくて、広い世界の場で活躍できる女医さんというのを応援する場をもっとつくるべきだと思います。それから2つ目が、海外から戻ってこられる女性医師をどのように支援するか、という視点も大切です。例えば先週、「国境なき医師団」の日本人のお医者さんの活動がニュースに取り上げられていました。その方は、すごく元気な女性の外科の先生なわけですね。そういう方がずっと途上国で活躍できるとは限らないので、やはりまた職業の場を日本に求めるという可能性も多いので、そういう元気な女医さんたちが帰国したときにどのように受け皿をつくるが、先ほど恵谷先生のお話を聞いていて、それこそお産で休まれている女医さんの代りになど、そういうもうちょっと広い視野で、国際保健を国内の課題から切り離すのではなくて、これだけグローバル化している社会の中でもうちょっとつなげて考えるという視点をこの中に入れていただいたらいいかなと思いました。

○山本座長 津下先生、ありがとうございました。

 では安田先生、どうぞ。

○安田委員 私は、先ほど言っていただいた外科専門医の更新に非常に苦労しているのですが、私が苦労しているのは多分2点ありまして、一つは育児のことがあると思うのです。もう一つは、今、外科医である一方で病院の安全管理の仕事を任されていまして、そういうことをしている医師もふえています。医師であるのだけれどもセカンドキャリアというか、さらにサブスペシャリティーのような形で、内科医だけれども感染症をやったりとか、そういう方たちがふえています。医療安全の中でも、いつも問題になるのですが、むしろ組織に請われて代表としてこういうことをやってくれということで従事しているのだけれども、外科学会とかそういう専門医の更新に関して言うと、キャリアが途切れるとその5年間で何症例以上ないと次が認定されないというような継続性が求められてしまって、例外規定としては確かに育休とかそういうことが入ってきてはいるのですけれども、では安全管理をやっていますとかというようなことが、外科医のキャリアの延長として認められるのかというと、まだそこに至っていないところがあります。そういうような幾つかはそのキャリアの延長を容認するようなものを専門医制度の中に積極的に入れていただくと、育児だけではないと思うのですね、キャリアの中断は。介護とかもそうですし、そういうようなもので医師のキャリアとキャリアの中での移動というようなことも外科医の延長の中にも入っていると思いますし、広く制度の中に入れていただけたらなというのが、専門医制度に望むことです。

 済みません、私が何となく問題を小さくしていってしまったような気がして、ちょっと私としてもとに戻したい部分があります。私はこの会議は事務次官様が主催していただいて、こうやって集めてくださった意義は、やはり社会のムーブメントとして何とかしていくということなのではないかなと思います。今、常勤で6時に帰る、7時に帰ることが申し訳ないから働けないというような女性医師の現状がある。当直ができないから常勤をやめるというような、ちょっと普通の社会で考えたら異常な事態、どこまで把握はされているか知らないですが、有給を消化するなんていうのは夢のまた夢というのが医師の現状ですよね。だから、そういう男社会に合わせた働き方に私たちが合わせていくのではなくて、もうちょっと全体に社会、少なくとも医師社会全体の働き方を、労働基準法にも合っているし、そういうようなものにきちんと是正していくというメッセージを私としては発していただけたらと思います。私も毎日学童が7時に終わるので7時に、お先に失礼しますと言って帰っているのですが、もうちょっと働きやすくなったらなというのが、私がこの会に望むことです。

 以上です。

○山本座長 なかなか重要なお話ですね。ところで先ほどの外科のスキルの問題ですが、やはり日本の医療としては絶対に外科医はスキルを持ってもらわないと困りますので、取得や更新のときは厳格にしていただく必要があると思いますが、例えば現場から離れている場合にモラトリアムがあって2倍の年限までは許されているのでしょうか。

○甲能委員 今そういう年数の制限というのは、どの学会も多分ないと思いますね。

○山本座長 そうですか。

○甲能委員 それから、今は実際にそれほど厳格に、外科学会は何症例以上と、次の更新までに何症例以上というのは決まっているのですか。

○安田委員 サブスペシャリティー制度がきちんと確立されているので、私は呼吸器外科専門医を持っているのですけれども、それがとれると、最近外科専門医も同時に更新できるというようなシステムになっています。それですと、5年間で100例以上ということだったと思います。特例は幾つかあって、済みません、今すぐは出てこないのですけれども、出産・育児とかというものだと、申請すると1年猶予とか2年猶予というような特例はあります。ちょっとそれを考えたのは、私この仕事をする前に役所の仕事をしながら外科医をやっているという時代がありまして、普通の方よりは手術の件数も減りますし、その中で出産・育児が重なったのですね。そのとき症例が足りなくなるかもしれないから、その延長を申し込もうかなと思って考えたのですけれども、その私に対しても割とハードルが高かったんですね、その休止できる基準というのが。だから、どういう方が利用できるのかなというのをすごく思ったことがありました。外科系の中でも呼吸器外科はかなり更新が厳しいというふうには聞いているので、全部の外科系学会ではないと思いますけれども、そういう状況です。

○甲能委員 今、言ったその期限が、5年で何症例というような期限がもしあるとしたらば、そういうイベントがあるような人に対しては、期限の延長をどのぐらいまで認めるかというようなことを要望したらいいのではないかと思いますけれどもね。それはそこで切れてしまうわけではなくて、ある一定の期間休んで、また症例を重ねるわけですからね。

○山本座長 ぜひ、そういう方向で検討していただき、継続できればと思います。

 西澤先生、どうぞ。

○西澤委員 今いろいろな意見を聞いていて、全ての意見が大事な問題で解決しなければならないと思っていますが、片方でやはり自分たちだけがよければいい的なことを言うと社会には受け入れられないと思っています。ここで、今出された問題点で私なりに考えたのは、保育所でのおじいさんおばあさんの件ですが、これは変だと思いますが、行政の考えは恐らくおじいさんおばあさんがいれば見てもらえるという事よりも、例えば定員が30名のところに50名来たら何かの基準をつくらないとならない。どのような基準をつくっても20名は入れない。とすると、一生懸命考えておじいさんおばあさんがどうこうではなくて、どうやって選別するかの基準を作っているのではないかなと思います。そういう事情も考えなければならないのではないかなとは思います。

 学会の土日開催は、経営者からみると、勤務上平日に学会で休まれたら困るので、できるだけ土日にやっていただきたいという希望も片方ではある。だから、平日にした場合には、逆にそういう声も起きる。であれば土日の時は、先ほどおっしゃったように例えば保育所とかいろいろな対応をすることは賛成です。何か要望を出す場合に、そうではない人たちはどうなるのかということを考えながら対応しないとだめだと思います。

 一番問題なのは、医者の絶対数が足りない事ですよね、日本は。やはり医者をもっと多くしないと。結局女医さんの労働条件を考えたときに誰かに負担がかかるのであれば、それはだめだということになると、結局みんなでシェアしなければいけないから、どうやってお互いにいい関係をつくろうかということだと思います。

 そういうことでは、私が紹介した最初の病院などは、短時間正職員制とか、勤務体制で、それによっていろいろな全ての医師がうまくいくような形を考えているのですね。今回、先ほど言った事を全部織り込む場合、そういうことを考えていただければ非常にありがたいと思っています。

 それから、公立病院の悪口は余り言いたくないのですが、やはり定員が決まっているというのは絶対おかしいですよね。これは管理者、公立病院の院長、管理者の権限ではないのですね。もっと別のところで決まってしまうのですね。議会だとか。ですから管理者も間に入って悩んでいるということを、理解していただきたいと思います。

 やはりそういうところも変えてもらわなければならないと思います。そうでないと、間に入って苦しんで、下からも、うちの上司は理解ないと言われて、本当にかわいそう存在だと思います。このような点の改善も必要だと思います。

 民間病院のいいところは、開設者、管理者がほとんど同じですから、同時に全ての対応ができる点ですね。ですから、公立、公的病院もこのような形になれば今、言ったような改善ができるのではないかと思います。

 いずれにしても、医者が全体で足りないという中で、やはり女性医師というのは出産とかいろいろあります。踏まえて、全ての方がよくなるにはどうしたらいいかという視点で考えながら、私もアイデアを出していきたいと思います。

 以上です。

○山本座長 先ほど、お手が挙がっていました方、よろしいですか。

 どうぞ、木戸委員。

○木戸委員 今回の資料3は非常によくまとまっていると思って拝見しているのですが、まずこの勤務体制につきましては、今、安田先生がおっしゃったように、やはりこの男社会という長時間連続勤務が常態化しているところをどうやって何とかしていくかというところで、診療報酬でも例えば当直明けの予定手術を入れないとか、勤務医の負担を軽減するような策を講じているところには診療報酬を加算するとか、やはり何か経済的なことでインセンティブをつけないと、やはりこれはずっと改善しないことなので、もうちょっとそういったところを厚生労働省さんも考えていただいて、地方でお医者さんがいないところは非常に厳しいとは思いますけれども、勤務が厳しいところはむしろ減算するぐらいの感じで診療報酬をうまく配分していただければと考えました。

 あと、保育環境ですけれども、せっかく保育園がたくさんあるのに、夜はみんな、夜間も休日もみんな閉まっているのですよね。本当にもったいないと思います。みんな夜、呼ばれて泣く子を起こして手術室の更衣室に置いて、看護師さんに見てもらいながら手術をしている、本当にかわいそうな人がいっぱいいます。夜間にお子さんたちの安全をきちんと確保して、保育というのは大人の都合で預ければいいものではなくて、やはり子供の視点、子供がちゃんと安全で温かい保育を受けられる、そこが一番大事だと思います。

 ですから、どんな保育でもいいとかいうわけではありませんので、荷物ではないので、やはり親も安心して預けられるような子供の視点に立った保育がとても重要ではないかと思います。そういう意味で、平日昼間しかあいていないという硬直的な保育状態ですね、それを何とかできないのかなというふうに日ごろから考えております。

 あと、4番の復職支援、実はここが一番今回大事だと思います。戻ってみたい方というのは非常に多いと思うのですね。潜在女性医師というのはたくさんいらっしゃると思うのですが、どこに相談したらいいかわからない、相談の窓口をまずわかりやすく、あと、そういった方に情報がいくシステム、それは今まで御意見があったと思うのですけれども、あとは実際ちゃんと一線に出られるような再研修がどこで受けられるかという、再研修の受け入れ施設を一覧として、そこに、ていよく使われるのではなくて、ちゃんと一線に出られるような研修ができるプログラムを整備して、それをその個人にあわせてオーダーメードでちゃんとひとり立ちできるようにメンターとペアで、例えば研修させて、いろいろなそういったところを、ぜひ一覧をつくれるように情報提供していただければ、アプライする方ももっとふえるのではないかと考えております。

 やはり誰でもいいというのではなくて、技術力、きちんとした医療を提供できる、質の向上を高めたドクターに前線で働いてもらわなければいけませんので、ちょっと技術があやしい人に出られても非常に患者様もお困りだと思いますので、きちんと勉強して現場に復帰していただきたいと思います。

 あと、eラーニングは、言葉はきれいなのですが実は結構難しくて、小さい子がいると、家でパソコンをあけて一定時間ずっと研修でこれを聞いていくという、実は難しいですね。子供が大きくなっていて自分で過ごせるようになればいいのですが、途中で泣いたりとかいろいろ何かをやったりということで、落ち着いてeラーニングするというのは結構難しいのですね。ですから、むしろちょっと子供を少し、子連れで参加して託児所で見てもらいながら、しっかりそこに、研修に集中できるようにして研修するとか、実地研修できるような、そういうシステムのほうがむしろ、eラーニングにお金をかけるよりいいのではないかなと私は考えておりますけれども、何よりもやはりお金もかかることですので、今後、検討が必要なことではないかと思います。

 以上です。

○山本座長 多分、先生の御意見に関しては笠井先生が、どこで人が求められているかは日本医師会の女性医師支援センターに聞いてくださいと言われると思います。働きたいと言っているが、一歩踏み出すことができない人が沢山いるというのが現実で、身近にその情報を教える組織が必要ということではないかと思います。

 情報提供すなわち紹介と言いましても業者さんではなく、都道府県委託で医師会、あるいは大学などで熱心に取り組んでいますので、本当に働く気持ちに早くなってもらうということが一番大事かもしれないと思います。

 どうぞ、津下委員。

○津下委員 今の先生のお話で、自分で少しでも働きたいという準備期の方は自分でやるのですけれども、関心期とか、もうちょっと疲れ果ててしまって無関心期というか、いろいろな方がみえます。でもそういう人も働きかけとか声をかければ動き出すものがある可能性があると思うのですね。だから、離職した人のリストというのをどこかで把握をしていて、定期的に声がけをするとか、イベントや何か情報発信するとか、こういう勉強会に出てこないとかいう、押しかけていくというようなアプローチというのが可能かどうかということですね。

 医局に属していればそういう医局に、この子名簿、所属がないわねと言って先輩がちょっと声をかけたりというのはあるかもしれないのですけれども、それが今フリーになっている人がどうなっているのかというような情報把握とプッシュのほうを何か。

○山本座長 愛知県で、その試みがなされました。それは三師登録のときから追跡して状況を把握することを行う計画でしたが、この情報を使う許可がでない場合が少なからずあり、結局網羅的にならなかったという経緯があります。

 県で把握していても、それを利用するということは個人情報保護の観点から難しいということで、消息不明になった女性医師が確実に何人かいるのです。登録しておけば自分がそのネットの中にいて、情報が届くという感覚が若い方にはないかもしれません。

 次に復職に関しては、復職支援をされている、例えば東京医科歯科のプログラムを見ましてもなかなか厳しいですから、やはりできるだけ離職させないのが一番で、経済的でもあると思います。復職に関してちょっとしたアドバイスですが、神経内科が診断技術検査と医者の診断技術に対して初めてその診療報酬がつきました。500点ですが、系統的な神経学的診察を専門医がするという条件です。

 神経学的検査を含め、身体的ベッドサイド検査は、それをして点数をいただくのではなくて、それによって患者さんが訴えていない所見も見つかるということも含め、いわゆるヒポクラテスの言うart(診断技術)をしっかり学生時代に教え、研修医時期に確実に習得すれば、はっきり言いますと私はアメリカでも診療していましたので、言葉がはっきりしないときでも、黙っていてもらって全部診察すればわかるわけですから、そこが一番の大事なところで、それがきちんとされていると、例えば統合診療科とか、あるいは一般内科とかそんなのは要らなくて、全ての人が、だから学生教育でそれを徹底的に教え込むということをやっている大学は一つだけありまして秋田大学です。6年間、完全に患者さんをしっかり診断するということをたたき込まれたとおっしゃられていましたので。それはとても大事だと思うのですね。

 それをたたき込むのは、やはり大学の教育だと思うのですが、大学は今お忙しくなっているので、研修医も同じです。それをもう一度たたき込んで、きちんと診断できる医者をつくるということはとても大事だと思うのですけれども、それが今ちょっとなされていないなという感じがして、その技術さえ持っていれば何年休もうと、スキーの技術と一緒ですから、ちゃんと判断できると思うので、復職は例えば外来診療から復職にずっと入っていくということは可能だと思いますので、ちょっと安く考えて、ちょっと余りお金をかけないで復職プログラムをスムーズにできる方法ではないかなと私はちょっと思っているのですが。

 とりあえず、そういう方法もあると。つまり、言葉はしゃべれなくても診察ができるというのは、そういう技術があるからだということだと思うので、中国でも診察をしましたし、ちょっと怖かったので行かなかったのですがロシアからも招聘されたのですが、ちょっと怖くて行けなかったので、体制がややこしいときでしたので。ですけれども、行っても診断はできるだろうと自分では思ったりしているのですね。

 ですから、そういうことを女子学生にもぜひ、男子学生はもちろんなのですが教えたいという形はあると思います。

 片岡先生、どうぞ。

○片岡委員 まず、私は先ほど安田先生等から御意見が出た長時間労働の是正というのは、ぜひとも強調すべきところなのだろうなと思っております。例えばシフト制や複数主治医制を取り入れる、こういった取り組みはやはり人員が多くないとできないことなので簡単ではないとは思うのですが、そういうふうに取り組んでいるところを成功事例として紹介し、知ってもらう、というようなことからでも始める必要があるのではないかなと思います。全体の労働環境が是正されれば、育児中に短時間勤務などで現場に戻った方が今度常勤になるときの壁が恐らく少なくなるのではないかと思います。

 それから、病棟勤務を行うに当たってクリアしなければならない壁も、シフト制になれば解決しやすいと思います。ホスピタリストなど病棟勤務を専門とし、シフト制で勤務するような新しい働き方も、将来的に全員が働きやすいというところにつながる一つの解決策になるのかもしれないと思いました。

 それから、今、山本先生がおっしゃった、学生のころにいかにスキルを最大限まで伸ばしプロフェッショナリズムを身につけるかというのはすごく大事だと思っています。スキルが不十分なときに現場を離れると戻るのが大変というのはよく指摘されますが、それならば、6年間ある学生のときに目いっぱいスキルを上げておけば、仮に現場を離れてもよりスムーズに戻れると思います。離れないのが一番なのですけれども、そこは鍵かなと思いました。

○山本座長 無駄な検査をしなくて済むので、医療費も削減できるというふうに思います。

 恵谷委員、どうぞ。

○恵谷委員 本当に学生の教育も、それから女性医師の再研修も共通する要素があるのですが、今の日本の医療では教育が評価されないのですね。いかにたくさん患者さんを診て稼ぐか、それと大学にいれば、いかにたくさん論文を書くかということが評価基準になっているので、一生懸命教育に力を入れても余り学内あるいは病院で評価されないということが非常に問題だと思っていまして、その辺を何かインセンティブといいますか、教育についても評価される、女性医師の再研修につきましてぜひお伝えしたいのが、今、本当にボランティアでしかやれないのですね。だけど非常に忙しい病院であれば、本当はそういうところこそアクティビーが高いので、再研修をやってあげたいのですが、本当にみんな余裕がない中、ボランティアでやるというのはすごく難しい。かといって、一部の東京女子医大とか頑張っておられるところに地方から行けないですよね。子供もいるのに、そういうところにまで連れて研修に行けないので、本当であれば各地域の中核病院ぐらいのところで、臨床研修を引き受けているような病院が女性医師の再研修も、似たようなツールでできるはずなので、本当はやればいいと思うのですが、それをやっても全くボランティアで仕事がふえるだけなので、みんな黙っているのですね。

 ですので、ぜひ女性医師の再研修もやれば、それがインセンティブになるように、どういう形かはわからないですけれども、制度化していただければもうちょっと普及してくるのではないかと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 では、そろそろ終了予定の時間ですが、1回しかご発言されていない高橋先生、何か追加ございましたら、どうぞ。

○高橋委員 いや、もう本当に出尽くしているようにも思います。

 やはりお金というところに帰着する、点数の配分で本当にかなり違うのではないかなと思いますので、それはぜひお願いしたいと思います。

○山本座長 財源は限りがありますので、関係者が必要なところに必要な手当ができるよう充分検討の上、実行くださるようお願い申し上げます。

 もう一つ、先ほど教育だとかそういう指導だとかに余りいいメリットがないとおっしゃったのですけれども、ロートルを活用するというのも一つの手だと思うのですね。私の恩師に94歳になっておりますソベイイチロウ教授は、私の病院に来られて、私がいないと若い人をちょっと引っ張ってきて一生懸命教えてらっしゃるんですね。そうすると勉強になったと若い人は言っておりますので、元気であればロートルの活用の、定年すぐはまだだめなんですね、皆さんお忙しいから。でも75を過ぎると、多分趣味の世界で孫のような学生を相手にやるのも一つの手かなと、その時代にはMRICTも何もなかったのですから、ハンマーと聴診器と筆とか、針でもってみんな診断していたわけですから、それを教えるというのが結構。コナン・ドイルは眼科医ですから、あの人はその推理のときにやはりいろいろなデータを集めて最後に推理して判断するといわれましたけれども、私たちまさしくそうだと思うので、ぜひ。私、安く上げることしか考えていないのですけれども、そういうのも一つの手かなと。高いものは最先端の高橋先生のところでどんどんお金を使っていただいて、こちらのほうは安く上げるということを考えてバランスをとりたいと思ったりします。

 よろしゅうございますか。そろそろ予定の時間になりました。

 お亡くなりになった土井元衆議院議長が「山は動いた」とおっしゃったけれども、山はまだ動き始めていると思うのですが、私どもの近くの御岳のように爆発してしまっては困りますので、やはりうまく上手に動いていって、いい方向できれいな形に持っていけたらと思っております。

 では、これで一応、私の座長は閉じさせていただきまして、この後、事務局のほうにお願いしたいと思います。

○事務局(森) 本日は御議論ありがとうございます。

 本日の御議論を踏まえまして、懇談会としても取りまとめをしていきたいと思いますが、この場で御発言できなかったものもありましたら、事務局にメールでもお知らせいただければと思います。

 なお、次回の懇談会の日程につきましては、追って事務局から御連絡させていただきます。

○山本座長 では、ありがとうございました。

 これをもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。

 先生方のますますの御健康と御活躍をお祈りしまして、また次回お目にかかりたいと思います。

 どうもありがとうございました。


(了)

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