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2014年9月19日 児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会(第1回)

雇用均等・児童家庭局総務課虐待防止対策室

○日時

平成26年9月19日(金)10:00~11:45


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

委員

松原委員長 秋山委員 泉谷委員 磯谷委員
岡井委員 加藤委員 笹井委員 佐藤委員
菅野委員 辰田委員 浜田委員 藤平委員

オブザーバー

内閣府 総務省
法務省 文部科学省
警察庁

厚生労働省

塩崎厚生労働大臣 安藤雇用均等・児童家庭局長
古川総務課長 川鍋虐待防止対策室長
大津課長補佐

○議題

(1)委員長の選任
(2)今後の進め方について
(3)当面の課題・施策の方向について
(4)児童虐待防止対策に関する副大臣等会議の開催について
(5)児童虐待防止対策について
(6)子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第10次報告)の概要について

○議事

○大津総務課長補佐 
 定刻となりましたので、ただいまから第1回「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」を開催いたします。

 委員の皆様方には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 委員会開催に際し、雇用均等・児童家庭局長の安藤より御挨拶申し上げます。

○安藤雇用均等・児童家庭局長 
 皆様、おはようございます。厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の安藤でございます。

 本日、御出席の皆様方には、御多用にもかかわらず専門委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 私からは、この専門委員会が設置された経緯を若干御説明申し上げます。

 児童虐待相談の対応件数の増加、あるいは多数の重篤な児童虐待事例が見られる中で、政府全体として、関係省庁が連携して効果的な児童虐待防止対策を講じることが重要となっております。このため、先般8月29日に世耕内閣官房副長官を座長とする「児童虐待防止対策に関する副大臣等会議」が開催されました。

 この会議の第1回の会合におきまして、今後政府が取り組む方針として、厚生労働省を中心に実効的な児童虐待防止対策の構築に向けた検討に着手するとともに、児童虐待防止対策について関係省庁が連携して対策を強化すること。また、年内をめどに一定の取りまとめを行うことなどが示されたところでございます。

 こうした状況を踏まえ、9月1日に開かれました社会保障審議会児童部会におきまして、厚生労働省として児童虐待防止対策を御議論いただく場としてのこの専門委員会を設置することについて御了承をいただきました。

 効果的な児童虐待防止対策の構築に向けまして、委員の皆様方におかれましては、それぞれのお立場から闊達な御議論をお願いできればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上、簡単ではございますが、私からの冒頭御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐 
 カメラの撮影は、一旦ここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

○大津総務課長補佐
 初めに、委員会の運営に当たり、委員の皆様へお願いがございます。

 視覚・聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障の観点から、御発言等をされる場合には、発言者は挙手をする。挙手をした発言者に対して、委員長から指名する。指名を受けた発言者は、氏名を名乗ってから発言することとしたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。

 最初に、資料の確認させていただきます。

 配付資料は、座席表、議事次第、資料1~6までとなっております。

 資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 なお、本専門委員会は公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。

 本日は1回目の専門委員会になりますので、委員の皆様の紹介をさせていただきます。

 資料1、専門委員会の設置要綱に名簿を掲載させていただいております。名簿の順に紹介させていただきます。

 医療法人社団千実会あきやま子どもクリニック理事長の秋山千枝子委員。

○秋山委員
 よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐
 目白大学人間学部助教の泉谷朋子委員。

○泉谷委員
 泉谷でございます。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐
 くれたけ法律事務所弁護士の磯谷文明委員。

○磯谷委員
 磯谷でございます。よろしくお願いいたします

○大津総務課長補佐 
 社会福祉法人恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院病院長の岡井崇委員。

○岡井委員
 岡井でございます。よろしくお願いします。

○大津総務課長補佐 
 流通科学大学サービス産業学部教授の加藤曜子委員。

○加藤委員 
 加藤です。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐 
 沼津市市民福祉部福祉事務所子育て支援課長の笹井康治委員。

○笹井委員 
 笹井です。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐 
 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター母子保健情報センター長の佐藤拓代委員。

○佐藤委員 
 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐 
 滋賀県彦根子ども家庭相談センター所長の菅野道英委員。

○菅野委員 
 菅野です。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐 
 東京都八王子児童相談所所長の辰田雄一委員。

○辰田委員 
 辰田です。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐 
 浜田・木村法律事務所弁護士の浜田真樹委員。

○浜田委員 
 浜田でございます。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐
 浦安市こども家庭支援センター所長の藤平達三委員。

○藤平委員 
 藤平です。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐 
 明治学院大学社会学部教授の松原康雄委員。

○松原委員 
 松原でございます。よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐
 また、本専門委員会の議事に関係する関係省庁から、オブザーバーとして御出席いただいております方々を御紹介させていただきます。

 内閣府宇田川青少年企画担当主査付。

○内閣府(オブザーバー)
 内閣府青少年企画担当宇田川と申します。よろしくお願いします。

○大津総務課長補佐
 総務省、篠原課長です。

○総務省(オブザーバー)
 総務省の篠原です。

○大津総務課長補佐
 法務省、福原参事官です。

○法務省(オブザーバー)
 法務省の福原です。どうぞよろしくお願いします。

○大津総務課長補佐
 文部科学省、枝室長です。

○文科省(オブザーバー)
 家庭教育支援室長の枝でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐
 警察庁、村瀬室長です。

○警察庁(オブザーバー)
 警察庁です。よろしくお願いします。

○大津総務課長補佐
 次に、事務局の職員を紹介いたします。

 雇用均等・児童家庭局長の安藤です。

○安藤雇用均等・児童家庭局長
 よろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐
 後ほど参ります大臣官房審議官の木下も事務局に含まれております。

 続きまして、総務課長の古川です。

○古川総務課長
 古川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○大津総務課長補佐
 虐待防止対策室長の川鍋です。

○川鍋虐待防止対策室長
 川鍋です。よろしくお願いします。

○大津総務課長補佐
 私、総務課課長補佐の大津です。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 最初に、委員長の選任を行わせていただきます。

 事務局からは松原委員に委員長をお願いしたいと考えておりますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大津総務課長補佐
 それでは、本専門委員会の委員長は、松原委員にお願いしたいと思います。

 松原委員長は、委員長席に御移動をお願いいたします。

(松原委員長、座長席に移動)

○大津総務課長補佐
 以降の議事進行につきましては、松原委員長にお願いいたします。

○松原委員長
 このたび「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」の委員長を仰せつかりました、明治学院大学の松原でございます。

 委員の皆様方の御協力をいただき、非常に日程が詰まっておりますけれども、中身のある議論をしながら、具体的な提言等もできたらと考えております。ぜひこの専門委員会の運営について、皆様の御協力を得て円滑に進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 時間も限られておりますので、早速議事に入りたいと思うのですが、ここに名札が用意されております。後ほど塩崎大臣がお見えになるということですので、なかなか議論がそうぴったり終わらないかもしれませんけれども、私の心づもりとしては、皆様の御意見の交換等が終わるぐらいの段階、1140分ぐらいに大臣がお見えになって、最後、御発言をいただけるというような本日のスケジュールを考えておりますので、その線で御協力をお願いできたらと思います。

 それでは、議事を見ていただきまして、議事の1番目は終わっておりますので、2番目「今後の進め方について」、早速中身に入ってまいりたいと思います。

 まず、このことにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○古川総務課長
 1点、今後の進め方ということで御相談させていただきたいと思います。

 先ほど局長から申し上げましたとおり、8月29日に「児童虐待防止対策に関する副大臣等会議」が設置をされ、第1回が行われたところでございます。

 本専門委員会の議論につきましても、副大臣等会議の議論を視野に入れながら進めていただくのがよいのではないかということで、資料2をご覧いただきたいと思いますけれども、これは「児童虐待防止対策に関する副大臣等会議」におきまして、厚生労働省から提示をした項目でございます。

 当面の課題として、

 ○妊娠期からの切れ目のない支援の実施

 ○初期対応の迅速化や的確な対応のための関係機関の連携強化

 ○要保護児童対策地域協議会の機能強化

 ○児童相談所が、虐待通告や子育ての悩み相談に対して確実に対応できる体制強化

 ○緊急時における安全確認、安全確保の迅速な実施

というものを提示をさせていただいたところでございます。

 先ほど委員長からもお話がございましたとおり、年末を目途に副大臣等会議も取りまとめるということでございますので、まずはこの5点について集中的に議論をしていただき、取りまとめをいただければと考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

○松原委員長
 この専門委員会をめぐる議論は非常に多岐にわたると思いますが、現実的な時間の制約もございますので、事務局資料の2で提示をしていただきました5点に集約をしながらこの委員会での議論を進めていまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 御意見がなければ、この線で進めてまいりたいと思います。もちろん、関連するようなことがこのことであれば、またその都度御意見を伺ってまいりたいと思っております。

 それでは、事務局の提案を受けさせていただいて、この線に沿って議論を進めてまいりたいと思います。

 それでは、この5項目について議論を進めていくための議事が3~6で用意されておりますので、一括して事務局から御説明をお願いいたします。

○川鍋虐待防止対策室長
 それでは、資料の御説明をさせていただきます。

 資料3でございますけれども、今、お話がありましたが、8月29日に第1回の副大臣等会議が開催されております。世耕官房副長官を議長としまして、構成員としまして関係省庁が入った会議でございます。

 3番のところですけれども、8月29日の会議で「対応方針」ということで、3点確認がされております。

 (1)虐待防止対策について実効的な対策の構築に向けて、厚生労働省を中心に関係省庁が連携して対応策を強化することと、(2)居住実態が把握できない児童につきまして、政府一体となって全力で把握に努める。それから、(3)年内を目途に一定の取りまとめを行うことが確認されております。

 資料4でございますけれども、A4の横紙でございます。

 児童虐待防止対策につきまして、現状、課題を含めて御説明をさせていただきます。

 表紙をめくっていただいて、2ページ、児童相談所で児童虐待対応ケースとして対応した相談件数については、25年度、速報値ですけれども7万件を超え、増加傾向となっております。

 3ページ目、今の虐待相談対応件数の経路別を見たものですけれども、一番多い相談経路としては警察等、それから、近隣知人、家族というような順番になっております。

 これまで近隣知人の経路が一番多かったのが、昨年度は、警察が一番多くなりました。

 それから、内容別の件数、虐待の種別ですけれども、やはり身体的虐待が35%、次いで心理的虐待が約33%ということで、これまでと同じ傾向です。

 4ページ、主たる虐待者ですが、推移を見ましても、これも傾向は同じでございます。やはり実母が約6割、次いで実父が約3割という状況になっております。

 虐待を受けた子どもの年齢を見ますと、小学生が一番多くて約35%。それから、3歳~学齢前の子どもで約25%、0歳~3歳未満までが約20%。いわゆる小学校入学前、就学前の子どもの合計を見ますと約44%と、高い割合となっております。

 5ページ、2番目としまして、死亡事例についての検証結果をまとめたものですけれども、児童虐待による死亡事例の検証につきましては、平成16年から検証委員会を設置して、検証を行っています。

 今回10回目、第10次報告という形で検証結果が取りまとまりましたので、これについては後ほど御説明しますが、全体のこれまでの取りまとめの結果、ここに書いてあります点線の部分ですけれども、心中を除く死亡事例のうち、やはり0歳時の割合が高く、44%。その中でも、0日児の割合は約17%。さらに3歳児以下の割合をトータルで見ますと、約75%という高い割合になっております。

 加害者につきましては、先ほど申し上げましたが、やはり実母が半数以上。それから、加害者となった養育者が地域から孤立していた場合については、約4割近くあります。

 こういった点を踏まえますと、矢印の下でございますけれども、重篤な事例を防ぐためには、虐待のリスクについて、妊娠期、早い段階から着目して支援を行うことが必要である。

 2つ目としまして、子育てに関する知識や育児そのものへの不安というものを解消するための取り組みを行うことが必要だろうと思います。

 3つ目として、関係機関、関係者の効果的な連携による支援を行うことがやはり重要であると考えられます。

 6ページ目ですけれども、ここからは先ほど資料2「当面の課題・施策の方向について」の5項目がございましたが、この5項目に沿いまして、現状・課題はどういったことになっているのかをまとめたものでございます。

 1つ目「妊娠期からの切れ目のない支援の実施」でございますが、現状としましては、先ほども申し上げましたけれども、0歳児の占める割合が44%。その中でも、0日児の割合は17%あります。乳児期の子どもが多くを占めているという現状。

 その背景には、お母さんが妊娠期から1人で悩みを抱えていたり、あるいは産前産後の心や体の不調や、家庭環境の問題がある。

 それから、医療機関の通告が通告全体に占める割合は、児相で4%、市町村で2%という現状です。

 課題としては、妊娠から出産、子育て期までの切れ目のない支援を行うために、どのような仕組みが考えられるかということです。

 それから、医療機関との連携強化をどのように図っていくのかが課題であろうかと考えております。

 次の7ページ、2番目の「初期対応の迅速化や関係機関の連携強化」でございます。

 現状を申し上げますと、厚労省で作成した「子ども虐待対応の手引き」がございますけれども、これは300ページを超えるかなり厚い手引でございます。必要な基準については網羅的に定めておりますけれども、例えばそれぞれの機関、例えば保健センターの保健師さんとかそういった職種の役割に着目した、もっとわかりやすいマニュアルが今のところ私どもとしてはないという状況でございます。

 課題としましては、やはりそういった機関(職種)ごとにそれぞれ必携となるような、見やすい、わかりやすいマニュアルをつくることなどで、関係機関が的確に、迅速に対応できることが考えられないかということです。

 それから、市町村と児童相談所のさらなる役割分担を明確化して、きちっとした連携が円滑に行われるために、具体的な方策としてどのようなものが考えられるのだろうかということが課題だろうかと思っております。

 8ページ、次の3つ目の項目であります「要保護児童対策地域協議会の機能強化」でございます。

 要保護児童対策地域協議会につきましては、最初の児童虐待防止法、児童福祉法の改正の平成16年のときに法定化をしています。さらに平成19年の改正のときに、その設置について努力義務化をしております。現在、設置率は98.4%になっています。

 未設置の市町村は14市町村になっておりますけれども、このうち、今年中に設置予定というのが4町村、設置に向けて調整中というのが3市町ありまして、残る7町村が一応今のところは予定がない状況であります。

 それからもう一つ、自立に向けて適切な支援を行うためには、要保護児童対策地域協議会の調整機関、コーディネート機関がありますけれども、そこに一定の専門資格を有する者が配置されることになっています。この一定の専門資格の資格でございますけれども、これは児童福祉司、保健師、助産師、保育士、教員、児童指導員といった資格でございますが、現在56.9%となっております。

 もう一つは、子ども虐待の死亡事例の検証結果について、この協議会での活用促進が図られていないのではないかという指摘がございます。

 課題としましては、やはり協議会の調整機関、コーディネートの機能をきちっと発揮していくために、その専門性をどのようにして高めていくか。

 それから、この協議会での個々の事案、個別のケースに対して、迅速かつ的確に対応していくための仕組みをどのようにつくっていくのかが課題であると考えています。

 9ページ、4つ目の事項でございます「児童相談所が虐待通告や子育ての悩み相談に確実に対応できる体制強化」であります。

 現状を申し上げますと、現在、児童相談所が夜間休日で電話相談等を対応する受付体制について、常時「相談業務を通常業務としている職員等が対応している児童相談所」は、99カ所、48%でございます。

 課題としましては、児童相談所が迅速に対応できるような体制整備をどのように図っていくか。

 下の図がございますけれども、先ほど申し上げました相談対応件数7万件を超えているこの増加の傾向について比べると、例えば、相談対応件数は6.3倍になっていますが、児童福祉司の数は2.3倍という増え方でしかないという状況です。

10ページ、5つ目の事項の「緊急時における迅速な対応」でございます。

 現状を申し上げますと、下に図がございますけれども、出頭要求、再出頭要求、裁判官への許可状請求をして、臨検または捜索という流れがございますが、この事項につきましては、平成19年の改正でこの流れができております。

 施行が平成20年ですけれども、平成20年からの6年間での出頭要求は187事例、臨検・捜索までに至った事例は、この6年間で7事例あります。

 この臨検・捜索事例7件の出頭要求から臨検・捜索までの日数については1~70日と、さまざまであることになっています。これが現状でございます。

 課題としましては、臨検・捜索のより迅速な実施について、どのような方策が考えられるかということではないかと思っております。

 続きまして、資料5で、先ほど申し上げました死亡事例の検証結果につきまして、第10次報告が取りまとまりましたので、本日公表ということで、報告をいたしたいと思います。

 今回、死亡事例の検証をした期間は、平成24年4月~平成25年3月までの1年間に発生し、あるいは表面化した死亡事例78事例、90人について対象としています。

 このうち心中以外の虐待死については、49例、51人。心中による虐待死については、未遂も含めて29例、39人という内訳になっております。

 ちょっと細かい資料で恐縮ですけれども、次の2ページをご覧いただきたいと思います。

 ポイントを申し上げますが、例えば「心中以外の虐待死」。今回の傾向を見ましても、これまでの傾向と同様で、1番のところの最初の○ですけれども、やはり0歳が22人、43%、0歳~2歳を合わせると32人、62.7%ということで、ほとんど大部分を占めています。

 やはり虐待の種類は身体的虐待が62.7%と多くて、次に、ネグレクトが27.5%となっております。

 主たる加害者につきましては、実母が74.5%で最も多くなっています。

 実母の抱える問題として、「妊婦健康診査未受診」や「母子健康手帳の未発行」あるいは「望まない妊娠」が多かったという結果が出ております。

 次の3ページ、今回、第10次報告では2つの事項を特集テーマとして取り上げております。

 先ほど申し上げた0日・0カ月児の死亡事例については、第1次から第10次までの報告の蓄積の中で、どういう状況かを見ていくと、2番のところに書いてありますけれども、0歳児の場合は4割以上です。その中での0日・0カ月児の割合は4割、その中での日齢0日の割合は8割以上となっております。

 それから、加害者の状況ですけれども、加害者の約9割は実母。年齢を見ますと、19歳以下が約3割、35歳~39歳が約2割です。

 もう一つ、親族と同居していた場合については、これは第10次報告だけですけれども、8割という状況でありました。

 妊娠・出産に係る問題としては、第10次報告の数字ですが、母子健康手帳の未発行と妊婦健診の未受診などが9割となっています。それから、望まない妊娠が約7割、若年出産の経験ありが約4割という状況です。

 支援策としましては、下の矢印の一番下でございますけれども、「妊娠から出産に至るまで、切れ目のない相談・支援が行える体制の整備と相談窓口に関する周知」や、妊婦が産科医療機関を受診した機会を捉えて、そこから支援が途切れないように、しっかりとサービスに結びつくような医療機関と行政の連携を強化していくことが必要であろうと考えております。

 もう一つの特集テーマですが「精神疾患のある養育者における事例」です。これにつきましては、対象については第5次から第10次報告までの事例で、73例、79人です。

 0日・0カ月児死亡事例と異なる点として、死亡時の子どもの年齢が、0歳児が約2割ということで一定数ありますが、年齢は17歳までの各年齢に分散をしているといます。

 実母の診断名と年齢につきましては、心中以外の事例では統合失調症が15例、心中事例については鬱病が20例で一番多くなっています。実母の年齢は、30歳以上が約8割となっております。

 こういう中で、では、どのような支援策が必要かということになると、やはりその地域において保健・医療・福祉のそれぞれの部門を、きちっとネットワークをつくって活用するという養育者の主治医と市町村職員や児童相談所等との連携による支援が必要であるということです。

 それから、希死念慮(自殺企図)のある養育者の場合については、家庭における養育の限界を、きちんと丁寧に見極めた上での迅速な対応が必要であるということです。

 次ですけれども、4ページ、今回このような検証を行ったわけですが、その中で検証委員会から「課題と提言」という形で、ここにあります項目をいただいております。

 幾つか御紹介したいと思いますが「地方公共団体への提言」でございますけれども、1つ目「虐待の発生及び深刻化予防」としては、妊娠期からの保健、医療、福祉分野の対応と連携の強化がやはり大切である。

 2番目の「虐待の早期発見・早期の適切な対応と支援の充実」として、乳幼児健診、就学時の健康診断未受診の家庭の把握と対応や、居住実態が把握できない児童や家庭に対しては、要保護児童対策地域協議会を活用したフォロー体制をきちっと整備していくことが必要ということです。

 3番目の「職員の専門性の確保と資質の向上」については、丁寧かつ迅速な相談体制を強化していくことに向けた、児童相談所と市町村職員の人員体制の充実が大切だということ。

 それから、4番目「虐待対応における関係機関の効果的な連携」につきましては、要保護児童対策地域協議会で、個別ケース検討会議を積極的に活用していくこと。また、児童相談所と市町村における専門性を生かした役割分担をきちっとして、連携・協働の徹底をしていくことが必要ということです。

 その下に「国への提言」がございますが、自治体への提言と国への提言は、基本的に私どもは、両方を受けとめて対応策を検討していくこととしております。

 それともう一つ、参考ということで用意させていただいたのが、今回は10回目ということでもございましたので、今回の第10次報告と、これまで1次~10次まで行ってきたデータの蓄積もありますので、それとの比較を見て、特徴的なことがあるのか、どういう傾向があるのかを見たものです。

 1番右の太線のところに書いてありますが、基本的に今までの傾向と同様の傾向にある。先ほど申し上げましたが、例えば子ども年齢とか虐待類型、主たる加害者といったものについても、同様の傾向にあるということでございます。

 その下の心中のケースでもございますけれども、これもまた同様の傾向にあることがわかりましたので、これは参考としてお配りしております。

 第10次報告の冊子も、資料として用意致しましたが、概要版で御説明をさせていただきました。

 以上でございます。

○松原委員長
 ありがとうございました。

 本日は第1回ですので、後ほど委員全員の方にこの5つの論点、あるいはそれに関わることについての御意見をいただきたいと考えております。

 この時間は、まず、今、説明をいただいた資料に関する御質問がもしあれば受けたいと思いますが、いかがでしょうか。

 よろしいですか。

 どうぞ。

○岡井委員
 愛育病院の岡井と申しますが、資料4の一番最後のところに「(5)緊急時における迅速な対応」という項がございます。そこに出ている事例は、例えば臨検・捜索事例7例とか、非常に数が少ないのですけれども、実際に残念な結果として亡くなられた事例などが、こういうところに全然上がってこないで、全く気がつかないところで発生していることが多いと思っていいのですね。

○川鍋虐待防止対策室長
 臨検・捜索の事例以外にも重篤な死亡事例のケースがたくさんあるということです。

○岡井委員
 そちらのほうがむしろ多いということですね。こういうところに入ってこないというか。

○川鍋虐待防止対策室長
 臨検・捜索もリスクの高いケースなのでここまでやっているわけですけれども、先ほど申し上げた事例、人数からいくと、ほかにも、臨検・捜索に至らずに亡くなっているケースもあるということです。

○岡井委員
 だから、現実には、どこも何も気がつかないまま、報告が何も来ないうちに、最後の結果だけわかってしまう、それで後からいろいろ調査するみたいなことが多いですね。

○川鍋虐待防止対策室長
 すみません。数字の整理はそこまで詳しくできていないのですが、そういうケースがほかにもあるということです。

○岡井委員
 ありがとうございます。

○松原委員長
 他にはいかがですか。

 御発言は名簿順に行きたいと思っておりますので、心の準備をしていただくために、もし御質問があればということです。

 それでは、先ほど申しましたように、あと1時間ほどで大臣お見えの予定ですので、大体お一方3~4分ぐらいで、本日御提示いただいた論点ないしは資料に課題も示されておりますので、そのことにかかわって、あるいは各研究領域、現場からの御意見をいただきたいと思います。

 では、秋山委員からお願いいたします。

○秋山委員
 あきやま子どもクリニックの秋山でございます。

 3点ほど問題提起をさせていただきたいと思います。

 まず1点は、小児科医の立場からとして、妊娠期のリスクが発覚したときに、確実に保健師や小児科医につなぐシステムが必要かと思います。今、強い連携ということでなされていますが、温度差があります。やはりシステムとしてきちんと構築していただきたいと思います。その際に、精神疾患を持つ方が妊娠した場合のシステムも、あわせてお願いしたいと思います。

 2点目は、学校には義務教育がございますし、虐待に対して通告するという国民の義務がございます。そのような観点から、子育てにおける義務もあってもよろしいのではないかと思います。母体と子どもの命を守る観点の義務ということです。内容に関しては御議論をしていただくことが必要かと思いますが、例えば乳児健診の未受診者に対しても、義務というものがあれば、保健師さんや子ども家庭支援センターの職員の後ろ盾になるのではないかと思います。

 3点目です。これは要保護児童対策地域協議会についてですが、私は医師会に入っておりますが、要保護児童対策地域協議会の内容、情報が、実は会員まで届いておりません。会員に届くような組織の検討が必要ではないかと思います。コンパクトにするなどのいろいろな方法があるかと思います。

 以上です。よろしくお願いします。

○松原委員長
 ありがとうございました。

 論点で言いますと、最初の論点、3番目の論点につきまして御意見をいただきました。

 それでは、泉谷委員、お願いいたします。

○泉谷委員
 目白大学の泉谷でございます。

 私のほうは、本日は2点、お話しをさせていただければと思います。

 1点目は「当面の課題・施策の方向について」の中にあります4番目「児童相談所が、虐待通告や子育ての悩みに対して」というところになりますが、資料にもありますけれども、警察からの児童通告が非常に増えておりまして、その中でもDVに絡んだ心理的虐待の通報が本当にここ最近非常に増えていて、児童相談所の方たちも非常に対応に追われているということをお聞きしております。

 児童相談所の方がどういう点でこの対応が難しいかと考えられるところには、1つは、保護者のほうはDVでの相談のニーズはあるかもしれませんが、DVを受けている中で子どもが虐待を受けているというところまで目が行っていない中で、子どもの虐待に関してのニーズが親のほうになかなか高まらない中で、どうやって相談に結びつけていくかというところと、夫婦間の問題について児童相談所がどこまで入っていっていいのかというところで、非常に御苦労されているのではないかと思います。

DVについては、各都道府県、市町村のほうでDV対策の窓口で相談を受けるという形がDV法でなされているかと思いますけれども、そこで非常にDV対策窓口などとのやりとりも、児童相談所の方が御苦労されているというお話も聞いております。

 警察の方たちが本当にDVに対しての取り組みに一生懸命御尽力いただいていて、これだけDVを介して子どもの虐待というところにも視点を持っていただいて、通報いただいていることは非常にありがたいことかと思いますけれども、せっかくいただいたところにきちっと対応していかないことには、そこで生活している子どもたちの本当の困り感に寄り添うこともできないかと思いますが、どのような手立てをとっていくのかを、多分、今、いろいろな児童相談所の方が御苦労されているところかと思います。

 警察のOBの方が児童相談所に入っていただくことになって、非常に警察との連携がうまくいくようになったという報告がいろいろなところから出てきているかと思いますが、DV相談を主に担当しているところで言うと、婦人相談員とか女性相談員と言われる役割をとっている人が、婦人相談所、女性相談所と言われるところ、女性センターといったところで働いているかと思います。

 連携ということを言われますけれども、児童相談所の職員の方がその人たちとやりとりをするもう一歩手前に、例えば児童相談所にそういった相談員、DVに関する相談を専門的に受けている婦人相談員などを配置して、DVに関しての相談、DV絡みの心理的な通告の相談をまず児童相談所の職員さんたちと一緒に受けていって、そういった婦人相談員なりが各市町村のDV窓口といろいろ折衝するということをしていくと、同じ立場で相談を受けている人からの相談ということと、やはり児童相談所からの相談ということでは、市町村の窓口の受け方も違ってくるかと思うところが個人的にあります。

 ですので、DVのケースというのは、実は児童虐待のケースの中でもかなり隠れた問題としてあるかと個人的に思っておりますので、そういった婦人相談員の活用なども今後検討してもいただいてもいいのかなと思っております。婦人相談員のあり方については、多分内閣府さんのほうで、今、いろいろ議論があるかと思いますけれども、児童虐待の観点と、児童虐待とDVの連携というところでは、改めて婦人相談員の活用も考えていただいてもいいかと思います。

 もう一点は、やはり「関係機関の連携強化」というところですけれども、子どもの貧困対策のほうでも、今後小学校、中学校等にスクールソーシャルワーカーを配置していくことが、文科省さんのほうもありますし、厚労省さんのほうもいろいろお話が出ているかと思いますが、先ほど相談件数の実際に被害を受けている子どもの中で、小学校年齢が一番多いという数字が出ておりました。学校に虐待とか貧困とかといったものをキャッチする目を持っているソーシャルワーカーが入ると、多分この辺からの相談がまたどんと増えてくるのではないかと思っております。

 子どもたちが生活している身近な場に、そういったことをキャッチしてくれる専門職が入っていくのは非常に有意義だと思うのですが、そういった人たちが入ったことでまた爆発的に相談件数が増えるというところでは、今、児童相談所さんは既に非常に件数を抱えて大変な中でどう対応ができるのかということがありますので、例えば要対協ですとか市町村窓口と、そういったスクールソーシャルワーカーがキャッチした学校での学齢児の児童虐待のケースを、その後、どのように相談のルートに上げていくかという整備は1つ必要ではないかと思っています。

 スクールソーシャルワーカーは、貧困の問題だけではなく、その中には養育支援の問題とか虐待予防の観点の相談もいっぱい受ける形になると思いますので、スクールソーシャルワーカーの養成のところでも、児童虐待についての理解を深めていくような研修等について、関係機関の皆さんの役割の確認も含めて、していくことが必要ではないかと思います。

 以上です。

○松原委員長
 ありがとうございました。

 主として、4番目の課題について御発言をいただきました。

 それでは、磯谷委員、お願いします。

○磯谷委員
 磯谷です。

 今回の副大臣会議で示された5つの課題はいずれも非常に重要なことで、これらがここでこれから議論されるというのは大変期待をしておりますし、また、必要なことだと思っております。

 改めて児童福祉法の2条を見ますと「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と書いてあります。つまり、保護者に任せ切りではなくて、やはり国や地方公共団体もきちんと子育ての役割を負っていかなければいけないのだ、その責任を負っていることは児童福祉法にもきちんと書かれている。やはり、ここに立ち返らなければいけないのだろうと思うのです。

 そうだとすると、国や地方公共団体が子どもに関する情報をきちんと把握していないと、こういった責任を負うといってもそれは無理なわけです。したがって、国や地方公共団体が子どもに関する情報をきちんと把握をできるような手だてを講じていくことがとても重要なのだろうと思っているわけです。

 これに対して難しいのは、常に個人情報という問題がつきまといまして、個人情報保護という考え方が既に浸透しておりますけれども、しかし、個人情報というのは個人情報を守れば全て良いわけではなくて、やはり子どもの生命や身体、子どもの健やかな発達という点からすれば、個人情報は一歩下がってしかるべきだと思うのです。

 そういった点から具体的に少し申し上げますと、今もいわゆる居所不明という、実際にその子どもがどこに行ったかわからない。あるいは出生をしているのだけれども、それが登録をされていないといった問題が出てきていて、こういったことは国や地方公共団体が、きちんと子どもにかかわるときに大きな支障になっていると思っています。

 例えば、要保護児童、要支援児童、特定妊婦に関する情報は、既に要対協の中で共有をするという枠組みができているわけですけれども、これは要対協の枠を一歩外に出てしまうと、途端に共有ができなくなることになっています。

 そろそろこういった情報というのは、むしろ全国レベルできちんと共有をする必要があるのではないか。もちろん漏洩の問題であるとかいろいろと課題はありますけれども、基本的にはやはり子どもの命や子どもの健康というものには代えられないのだという理解で進めていく必要があるのではないか。

 例えば、児童相談所はいわゆるCA情報といって、虐待を受けた子どもが例えばどこかに転居したりいなくなったりという場合に、ほかの児童相談所に共有をするシステムがありますけれども、聞くところによりますといまだにファックスでやりとりしていて、本当にそれが的確に共有されているのかというところが疑問に感じられます。こういった必要な情報が、やはり全国レベルで共有できる必要があると思っています。

 それから、出生時からきちんとその子どもの情報を把握する、子どもが生まれたことを把握するという意味では、出生届が確実に提出されないと困るわけですけれども、現実にはいわゆる300日問題もあり、また、親の無理解やあるいは能力の問題もあって、出生届が出されないままかなり成長してしまうケースが、現実に相当数あります。

 今の仕組みからすると、基本的には親任せになっているわけですけれども、そこのところをもっと確実に、子どもが生まれた以上きちんと登録をする。これは子どもの権利条約にも書かれていることですので、そこを担保する手だても非常に重要だと考えています。

 それから、情報という点から1つ関連して申し上げると、先ほども御報告がありましたが、今、検証というものがなされております。この検証は、とても虐待をめぐる制度を考えていく上で重要な役割を果たしているわけですけれども、実際に検証にかかわってみますと、必要な情報が十分に届いてこない。それはどうしてかというと、やはり先ほどの個人情報の問題があるわけなのです。

 今回、資料として配付されました検証報告書の中にも提言として盛り込まれていますけれども、検証のためにもきちんとした情報が確実にしかるべきところに届く。もちろんそれは必ずしも公表していいものとは限りませんけれども、しかし、検証する機関にはきちんと届くという方法は、これもまた講じておく必要があるし、また、その検証についても、例えば検証を専門にする部署なども、例えば国レベルで設けて、そういったところでより実のある検証をやっていく必要があると考えています。

 2点目ですけれども、私は子どもの虹情報研修センターで企画委員を長くさせてもらっていまして、児童相談所職員、その他の市町村の職員などを含めてですが、人材育成にかかわることがあります。また、実際私自身もいろいろ研修をしたりします。

 ただ、ここで見ていると、やはり児童相談所も本当に人がころころ入れかわってしまって、せっかく経験が蓄積してもすぐに異動してしまうということがあります。

 市町村だと、そういう傾向は恐らくもっと顕著ではないかなと感じています。児童相談所や、あるいは市町村の子どもの虐待問題にかかわる人たちの人材育成をどうするのかを、もっときちんと見据えた上で考えていかなければいけないのだろうと思うのです。

 例えば1つは、児童相談所の児童福祉司さんの国家資格化という問題も、そろそろきちんと考える必要があるのではないかと思っています。例えば、人事的に見ても小さい自治体で児童相談所に福祉司さんを雇う。しかし、その後にどうしても人事のやりくりで、そこにずっといていただくわけにいかないということがあります。

 しかし、国家資格化すれば、ほかの自治体に移ってさらに児童福祉司として仕事を続けていくことも可能になるわけです。保健師さんは国家資格になっていると思いますけれども、そういったことも考えていく必要があるのではないかと思っています。

 3点目は、今回、ここに載る5点には直接は挙がっていませんけれども、とても重要な問題として、子どもたちを保護した後の問題があると思っています。児童相談所の現場を見ていても、児童相談所がなかなか子どもの保護を躊躇して踏み切らないという背景の1つに、例えばその先の一時保護所がいっぱいであってなかなか入れない。現実に誰かを出して誰かを入れるなどということも議論をされているわけなのです。

 その一時保護所が足りないのはなぜかというと、今度はさらにその先、児童養護施設やあるいは里親といったところが十分でないというところで、結局そこで滞ってしまう。それが、さかのぼって児童相談所が迅速にケアするところの支障になっている面も否定できないと思っています。

 この施設の現場などを見てみると、最近小規模が提唱されており、これは正しいことだと思っています。小規模のユニットの中で、お子さんを家庭的な雰囲気に近いところで育てる。目も行き届くという意味でとても重要なのですけれども、一方で、現実にそれを支えるだけの人がいるのかというところも疑問に感じるところです。

 私も立場上いろいろと、何か事故が起こったときの検証会議などに出させていただきますけれども、そういったところでも本当に養護の場面における人材育成、人の確保が現実には大きな問題になっている。これも考えるべき問題だし、また、最後の行き着くところという意味では、パーマネンシープランの1つとして、特別養子縁組が十分に機能していないのではないか。

 これは前から、特に家族法の研究者の中でも言われていますけれども、恐らく現場の児童福祉司さんが虐待問題を扱って、最後のパーマネンシーとして養子縁組を考えることは、多分ほとんどないと思います。現実に養子縁組が適当なケースがどのぐらいあるかということはさて措いても、諸外国を見れば、やはり養子縁組も1つのあり方として当然視野に入るはずです。特別養子縁組をどう考えるのか。その答えによっては、特別養子縁組がより現実に機能する仕組みをつくっていかなければいけないのではないかと考えております。 

○松原委員長
 ありがとうございます。

 岡井委員、お願いいたします。

○岡井委員
 岡井ですが、私は日本産婦人科医会から来ておりますので、本日の提示された5つの課題の中では、一番上になります「妊娠期からの切れ目のない支援の実施」というところが主にかかわってくる課題だと思います。

 妊婦さんは、妊娠中あるいは産褥にメンタル面でのケアをきちっと受けなくてはいけない。そういうことがうまくいかないと、場合によっては大変不幸な結果を生む場合もある。先ほど「第10次報告の特集における事例概要」という資料の中で、これは0日・0カ月児死亡事例の中ですが、加害者の約9割が実母であるということから、このお母さんのケアが非常に大事だということは確かなのです。

 医会のほうは、医療機関にかかってくれれば、妊娠中からそういうメンタル面での悩み等を抱えている人に対して相談をしていこうとかいう体制をとりつつあります。これは後で見てもらえばいいのですけれども、医会が発行している「妊娠等について悩まれている方のための相談援助事業連携マニュアル」というものがあって、会員は皆さん協力して、そういう人がいればしかるべきところと連絡をとりながら対応していこうと。

 それから、例えば病院や医院の中でも、実際に患者さんを診療するに当たって、そういう事態に陥るリスクのありそうな人を抽出するということで、妊娠についても望まぬ妊娠だとか、高齢妊娠、シングルマザーとか、ほかにも生活の問題、財政的な問題とかいろいろアンケート調査をして、そういうリスクの高い人を抽出しようという試みをやっておりまして、今、全国的に少しずつこういうやり方も浸透している状況だと思います。

 しかし、問題は、もう一度「第10次報告の特集における事例概要」を見ていただくとわかるのですが、4番目にありますように「母子健康手帳の未発行、妊婦健康診査の未受診などが9割」ですから、医療機関にかかってくれる人は1割で、かかってくれない人が問題なのです。そうすると、今、私たちがとっている対応では全然間に合っていないことになりますので、そこを何とかすることが大事なのではないかと思っています。

 そこで、ちょっとさっきの資料でまた目をつけたのは「親族と同居していた割合は8割」とあることです。親族がいらっしゃるので、この親族をいかに活用すると言ったらなんですが、その人に協力してもらって何らかの情報提供を願うとか、こういうことを気をつけてくださいと啓発をするとか、そういうことを考えていく必要があるのではないかと、そんなふうに思っています。

 それ以外にも、未婚でお子さんを妊娠されたという人を、友達だとか周りの人に、いろいろなところで早目に相談しましょうという啓発をやっていくとか、周りの人の協力というか、そういうことが大事ではないかと思っています。

 以上です。

○松原委員長
 ありがとうございます。

 1番目の課題にかかわって、特に社会資源にアプローチしない方へ、どういうふうに周りがサポートしていくかということで御発言いただきました。

 加藤委員、お願いいたします。

○加藤委員
 加藤でございます。

 私のほうは、市町村の方々とともに要対協の調査等をやってまいりました。その関係で、2番目と3番目について少し意見を述べさせていただきます。

 まず、3番目の要対協の機能強化ということですが、先ほども出ておりましたように、市町村の専門職資格については、なかなかそれがきっちりとなっていない。町で1人の人が担当する。相談も担当するし、調整機関も担当するということで、実際には会議をするとか、あるいは出かけていったら留守になってしまうということで、機能していかないことになります。しかも転勤があるということであれば、「切れ目のない支援」が実際には市町村の中で行われにくいことにもなっています。ですから、要対協の調整機関の問題と、市町村の児童相談の体制というのもセットで考えていくことが大事ではないかと思われます。

 そして、専門資格ということでは、やはり市の相談窓口では専門職の設置義務化をしていただいて、絶対に置いてほしい、置くのだという、そのぐらいのことを考えていかないといけない段階に来ているのではないかと思います。

 それから、第2点についての、マニュアルということが書いてありますけれども、研修を今、していくときに、こういったマニュアルも1つのツールになるわけですが、個々の関係機関が別々にするのではなくて合同で使える、ワーキング・トゥギャザーというのか、関係機関が連携をしていくことであれば、わかりやすいものをダブらせながらしていかないといけないと思います。

 そして、先ほど要対協を参加機関の会員自身がよく知っていないので、会員に知ってもらうような工夫が必要だとおっしゃったのは、本当に確かにそのとおりで、それをどういうふうにしていくのかということにつきましても、マニュアル作成であるとか、研修についてもあり方も今後考えていく必要があるのではないかと思います。

 今、第2点を申し上げているのですが、要対協では情報共有しながら課題を明確にし、役割分担をすることを一緒に考えていくという作業をするわけですから、関係機関が多職種多機関での合同研修を今後もっと増やすことで連携が高まると思います。もちろん専門職化の中では、職種の専門性職養成は必要ですが、こういう地域の中の要対協で一緒にやっていくところの研修体制もさらに必要ではないかと思われます。

 その際、先ほどの死亡事例の報告にありましたように、大人の側の精神保健の機関にやはり理解をしていただきながら。個別には理解をしていただいておりますが、さらにこういった合同の研修等の機会、あるいは要対協の一員として連携する機会をさらに増やしていく必要があるのではないかと思います。

 また、この研修の方法ですが、死亡事例の検証報告書をうまく生かす。これをもっとシンプルにしながら、責めるということではなくて、何ができたのかといったことの振り返りをやると、私は実際にやっているのですけれども、研修では、参加される方は、非常に皆さん熱心取り組まれています。研修は、要対協の会員になっている人たちです。ですから、みんなが何とか考えれば、予防し、支援できるということを事例を通して考える研修もできていけばよいかと思っています。

 以上です。

○松原委員長
 ありがとうございます。

 人材確保のことについては磯谷委員もおっしゃっていましたし、情報共有は秋山委員もおっしゃっていました。いろいろ共通するところが出始めてきていると思います。

 笹井委員、お願いいたします。

○笹井委員
 沼津市の笹井です。

 私のほうからは3点、報告をさせていただきます。

 まず「妊娠期からの切れ目のない支援の実施」ということで、今までも委員の方からありましたように、実は結構妊娠期からの切れ目のない支援というのは、母子保健のほうを頑張っていただいて、いろいろな形でできてきていると思うのですけれども、その中で、妊娠が把握できない方に非常に問題があります。

 この方が大体シングルで、なおかつこの方が市町村を結構移動されるとかという形のことが取り組んでくる中でわかってきました。なかなかこのことを申告していただかなければ支援が届かないので、ここが大きな問題かと思っております。

 それから要対協の機能強化の部分なのですけれども、いろいろな形で要対協は全国にできてきているわけですが、防止から予防までという形でいろいろなことが要対協に盛り込まれてきます。

 例えば学校の出席状況の調査だとか、今回の安否確認についても全て要対協に来るわけですけれども、機能強化されるのは誠にありがたいことなのですが、要は体制が整っていないと、加藤先生が今、おっしゃったように、要対協といかにも何か形がありそうに見えるわけですけれども、実際は市町村等の児童福祉担当がやっているところがほとんどですので、ほかのことを一緒にやりながらやっている形のところがあります。

 今回、この子育て支援システムの中で、子育て支援事業として要対協が入っているわけですけれども、ぜひその機能強化と合わせて体制強化ということについて考えていただきたいのが1つ。

 それから、要対協にはやはり児相が今、入っているわけですけれども、児童相談所が要対協にどういう形でコミットしていくのかは非常に大切なことになってくると思いますので、その辺についてできていければいいなと思っています。

 3点目の「児童相談所が、虐待通告や子育ての悩み相談に対して確実に対応できる体制強化」とあるのですけれども、ここの部分は、児童相談所を市町村に変えても何ら変わらないという形で今、求められていることです。

 これは平成16年の児童福祉法改正のときに、ここの部分が、子育ての悩みの相談が、市町村のほうがより住民に近いからという形でなってきたはずなのですけれども、その整理ができていないところ。市町村は通告も受けなければいけないし、子育ての相談もしなければいけない。

 それで、今回児相の緊急ダイヤルが3桁化されるという形のようなことも伺っているわけですけれども、この通告をどこが受けていくのか。それから、どこが支援をしていくのか。児童相談所と市町村のあり方も含めて、この辺についてはぜひ御議論いただければと思います。

 以上です。

○松原委員長
 ありがとうございました。

 3点にわたって御発言いただきました。

 それでは、佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤委員
 大阪府立母子保健総合医療センターの佐藤です。

 私は「妊娠期からの切れ目のない支援の実施」の中で2つと、ここの5点の論点ではないのですけれども、疫学的なデータのことについてのお話をしたいと思います。

 「妊娠期からの切れ目のない支援の実施」については、都道府県レベルで、初めての思いがけない妊娠の相談窓口「にんしんSOS」というのを、大阪府からの委託を受けて当センターで実施して、10月3日で3年になります。ほぼ実数で3,000件に届くぐらいの御相談が来ています。

 その中で、誰にも相談できないという相談が舞い込んできています。この人たちは、先ほどの死亡事例の背景にあるように、母子健康手帳もとりに行かなければ、もちろん妊娠届け出もしていないような人たちで、やはりこの人たち、大阪府の産婦人科医会がしました妊婦健診未受診者の背景から見ましても、お金がないこと、あるいはどうしたらいいかわからなかった、誰にも相談できなかったということが多くて、そういう背景と同じような人が、虐待死亡事例の背景にもありますし、うちに相談されている方たちの背景の中にもあります。

 若い方は妊娠不安という1つ大きいカテゴリーで相談されてきているので、そこのところも何とかしなければならないと思うわけなのですが、お金がないという、妊婦健診の補助は14回のところ、恐らく十数万が全国平均で出ていますけれども、やはりお産にもお金がかかる、妊婦健診も持ち出しのお金があることがこの人たちの医療にもつながらないところになっているようです。

 ですので、「切れ目のない支援」ということでは、国の社会保障制度改革国民会議の中でも検討されていました、フィンランドのネウボラです。フィンランドでは妊婦健診は無料ですし、出産も全部無料です。まさしく切れ目のない支援をということで、妊娠中からその地域の保健師さんがずっと6歳まで子育て支援も、妊娠中からの家族の支援も行う体制がありますので、そういう本当に実効性のある切れ目のない支援を、やはりある程度お金をかけてやっていく必要があるのではないかというのが1点です。

 それから、この相談窓口の中で、各地にもつながっていっているのですけれども、1つ、やはりつなぐという視点がないような相談窓口が多いように思います。相談を聞いたらいいだけではなくて、やはり地域につなげないと、ようやく声を出してきた人たちがどこにも相談に行けないでいることが、私たちの相談に来るところを見ますとあるので、やはり地域の保健師さんにつなぐことが必要なので、ぜひ思いがけない妊娠の相談窓口でも、それが全国レベルでの資質の強化といいますか、実効性のある支援にぜひつながるようなことを、方向性を示すべきだと思います。

 それから、全然違う3点目は、疫学データです。

 我が国では、虐待の子どもたちが福祉行政報告例におきましても数しか届けられていない。ところが、虐待された子どもたちの虐待者が誰かとか、背景がどうとかというのを、それぞれの子どものデータを出していかないと把握できないわけです。

 アメリカでは進んでいて、そういう個々のデータを蓄積することからいろいろな取り組みが出てきていますし、また、施設に入った、あるいは里親の子どもたちの予後もそれで追いかけることができるわけです。ですので、虐待された子どもたちのデータ化、それによる支援の評価を行っていくべきだと思います。

 あとは、インシデンス調査も絶対行っていかなければならないと思います。国としてお金をかけるからには、今、実態が現実どうであるのか。それがこういう施策によってどの程度効果があったかということを評価するには、実態の把握が必要です。

 先日まで子ども虐待防止の国際会議が行われていたわけですけれども、そこで韓国がインシデンス調査に乗り出しました。我が国は30年アメリカから遅れていると言われていて、アメリカも数年置きにインシデンス調査をやっているわけですし、そろそろ我が国もインシデンス調査をやらなければならない時代に入っていると思います。

 終わります。

○松原委員長
 ありがとうございました。

 3点にわたって御発言いただきました。

 それでは、菅野委員、お願いします。

○菅野委員
 滋賀県の彦根子ども家庭相談センターの菅野といいます。

 私のほうから、まず1つ、ここで窮状を訴えていてもしようがないので、児童相談所で部下たちが働いている中で、虐待対応では、何か起きたら困るというところですごくぴりぴりしてやっているのです。

 そのときに言っているのが、私たちがやっている仕事とは、子どもが健やかに育っていく権利、大人になっていくためにいろいろ身につけなければいけないものがある。それをいかに保障してあげるのかという支援なのだと言い換えをしています。

 自分たちが一体何をしているのかわからなくなってしまうぐらい忙しいのです。ですから、そういう子どもの育つ権利を守るというか、保障していくというか、この委員会もタイトルにも「虐待防止対策」となっているのですけれども、こういう狭い領域だけではなくて、もっと広いものが要るのかなと常々思っています。

 それで、私のほうからは、ここに挙がっています2番と4番と5番です。

 迅速であるとか、初期対応というところで、今、笹井さんのほうから市町村も一緒ですというふうな話があったのですけれども、児童相談所の支援には、困っている人を支援していくというところと、問題があるところに権限を用いて介入していくという質の違うものが混在していることが現状としてあるかと思います。

 その両方についての専門性をきちっと確保していかないといけない。そういう職員を養成しないといけない。かつ虐待問題だけではなくて、あらゆる相談を受けましょうとなっていますから、障害、非行、健全育成など、幅広く対応が求められるのです。こういうものが、一極集中で今、児童相談所であったりとか市町村であるというところに委ねられているあたり、この体制自体が、やはり大きな課題をはらんでいるのではないかと思っています。

 一番私がはらはらしているのは、例えば初動で介入をしていきます。その時点での対応の仕方です。これは、例えば滋賀県だと2つの児童相談所なので、そこでの情報交換でできますが、例えば他府県と同じやり方をしているかどうかは、検証もできていないです。手続として法的対応をしていく場合、権限を行使していく場合には、やはり全国統一規格ではないかと。一定のレベルの確保であるとか、どこかでこういう介入的にかかわっていく部分に関しては整備が必要なのではないかなと考えています。

 今、児童相談所とか市町村が担っているところを、幾つかの専門機関に分化していくぐらいの、これは長いスパンで多分考えてもらわないといけないとは思うのですが、そういうことが現場を見ているとやはり必要なのかと思います。

 それから、非常にデリケートな綱渡りのような状況の中で、先ほど数字がありましたが、職員の体制などはもちろんなかなか難しい課題なのではないかと思いますが、1点その点があります。

 それと、かかわり方に関しても、例えば1番の「妊娠期から」というところなどは、例えば予防的関与だと思うのです。そういう枠組みであるとか、市町村が担っていただいているのが、継続的な支援という枠組みだと思うのです。それから、児童相談所がやるのはどちらかというと集中的支援です。

 例えば心理教育でこういう課題がある者にプログラムを提供するとか、子どもたちが身につけてしまった、生きづらい歪んだものの捉え方や対応方法などの修正のプログラムを提供するとか、そういう集中的支援と、先ほどありましたパーマネンシーです。介入後の支援ということとか、幾つかに分割していくことが、この先に必要になるのではないか。近々のところでいろいろな提言はあると思うのですが、もう少し長い未来を見て、子どもたちが健やかに育っていく、そういう権利を保障する社会構造みたいなものがあればと考えています。

 詳細なところの細かい話は私のほうではできませんでしたけれども、普段仕事をしている思いというところで発言させていただきました。

○松原委員長
 ありがとうございました。

 それでは、辰田委員、お願いします。

○辰田委員
 八王子児童相談所の辰田です。

 私のほうからは何点か。

 まず、1番の「妊娠期からの切れ目のない支援」についてというところでは、母子手帳の発行があると思います。市町村それぞれのいろいろなところで発行ができ、市町村としてどのように一元管理して、その辺のフォローをその後やっていけるかどうかというのは、そういったシステムづくりが必要なのかと思っています。

 あと、母子手帳を申請しない妊婦ですね。どのように望まない妊娠等をキャッチしていくかということで、例えば企業との連携ということになるのかもしれませんけれども、妊娠検査薬の説明取扱書の中に、望まない妊娠の相談窓口といったものをアナウンスするだとか、薬局の検査薬のコーナーのところに、各市町村の相談窓口も案内する。そういった企業との連携も必要なのかと思っております。

 それと(3)の要対協の機能強化というところです。

 まず、構成メンバーですけれども、医師会、歯科医師会というのは入っていると思うのですが、死亡事例の検証でも当然出てくるように、親が精神疾患を抱えているだとか、あと性的虐待になると精神科、産婦人科だとか、それぞれの医師会も要対協の構成メンバーに入っていただき、児童虐待の対応についても御理解、御協力をいただく。そういったネットワークも作っていくことによって、早期発見、早期対応できるかと思っております。

 (4)の「児童相談所が」と書いてあるところなのですが、そこについては笹井委員、菅野先生にも伺いましたとおり、当然子育ての悩み相談についてというところは、在宅のサービスメニューというのは区市町村が持っていますので、そこをいかに充実させていくか。そして、それを一緒にどのようにやっていくかという体制づくりが必要なのかと思っております。

 (4)のところで児童相談所の対応件数が約6.3倍。でも、児童福祉司は2.3倍で、児童相談所は先ほどおっしゃっていただいたとおり、今、本当に初期対応に追われているという現状です。その後の在宅、または施設入所した後のケースワークを丁寧にやっていきたいのですが、そこがなかなかうまく回っていかない。そうすると、その中でまた虐待が再発してしまう、人員は本当に喉から手が出るほど欲しい。また、人員だけではなくて、区市町村との業務のすみ分け。そういったところもきちっと考えていかなければならないのかと思っております。

 最後、緊急時における安全確認。そこに住んでいるらしいことがわかれば、臨検・捜索だとか、児童相談所も適切な対応に努めているところですが、そこに住んでいないといったときにどうするか、磯谷先生からも御指摘を受けたCA情報のあり方についても児相は考えていかなければならないのですが、それを区市町村、また、学校、警察と情報共有できるシステムづくりも考えていかないと、転居を転々と繰り返してわからないままはざまに落ちてしまう。そういうことにならないような対応が必要かと考えております。

 以上です。

○松原委員長
 ありがとうございました。

 それでは、浜田委員、お願いします。

○浜田委員
 大阪の弁護士の浜田です。

 私は、大阪で児童相談所の法的対応、例えば児童福祉法第28条の申し立てでありますとか、親権制限の申し立てでありますとかというところに中心的に関与させていただいております。その観点から、法律家ということもありまして、「緊急時における安全確認」という5点目のところについて申し上げたいと思います。

 本日、たびたび御紹介のある臨検・捜索のところなのですけれども、皆さん御承知のとおり、明らかに少ない。少ないというか、もっと言うと、ほとんどないと言っても過言ではないぐらいのところの利用件数しかない。

 これが臨検・捜索なら臨検・捜索の制度のつくり方の問題であるのか、それとも、例えば対応する児童相談所なら児童相談所の職員さんの、例えば認識とか専門性なのか、はたまた人員の数の関係でもう対応できないということなのか、果たして問題がどのあたりにあるのかということは、やはり見極めていかなければならないのだろうと思います。

 他方で、早期発見とか虐待事案の重篤化の防止という意味の観点からすると、臨検・捜索でありますとか、その前提としての立入調査などが、まずは件数の増加を含めて広く活用されることが望まれる。これは言うまでもないことかと思います。

 ただし、他方で、家庭に介入をされる側のプライバシーを中心とする権利とのバランスをどうとるかというところもある。特に立入調査なり臨検・捜索というのは、家庭に物理的な意味で踏み込むことを含みますので、そこでのプライバシー等の関連は、どうしても常に配慮が必要であろうと思います。御承知のとおり、臨検・捜索については裁判所の司法審査が入るのですけれども、立入調査にはこれはない、司法審査が入ってこないので、この問題は特に重要であろうと思います。

 先ほど、磯谷委員から、子どもを守る観点では、個人情報保護の観点は一歩下がってしかるべきという御発言がありました。全くそのとおりと思います。そのとおりでありながら、ただ、やはり対立利益と申しますか利益の衡量と申しますか、対立する権利とのバランスというのは常に忘れてはならない。その中で、いかに活用を図ることができるのかということを考えなくてはならないのだと思っています。

 最初に事務局から御紹介いただいた資料の中で、ちょっと特徴的だと思いましたのが、臨検・捜索の7事例で、出頭要求がなされてから臨検・捜索までの日数が、1日でやったものもあれば70日かかったものもあるという御紹介をいただきました。どちらもちょっと極端だという印象を、率直に言うと持つわけであります。

 実際には、児童相談所に情報が入ってこないと、立入調査も臨検・捜索もないわけでして、特にそれが、例えば重篤な事案が急遽発見されて急に行くことになったとなると、これは当たり前ですけれども、大急ぎで対応しなければならない。そうなるのが例えば1日という事例だったのかなと思います。もちろんケース・バイ・ケースとは思います。

 となると、実はこの最終的な緊急時における迅速な実施という問題は、そのずっとずっと前の段階の早期発見でありますとか、課題の番号で言いますと一番上のところの「妊娠期からの切れ目のない支援」とかいうところまで実はつながっている。すなわち、いかに早く情報をつかめるのか、いかに早く手を差し伸べられるのかというところと実はつながっておるのだということであろうかと思います。

 あと技術的な面では、先ほど、法的な対応をするに当たって、例えば全国統一の規格みたいなものがあればいいという御発言がありましたけれども、それは1つ有力なやり方かと思っています。我々弁護士としても、全てをルーチン化してしまうことはできないにしても、何らかのフォーマットを作って、皆さんがより簡単に、でも適切な、例えば臨検・捜索の申し立てをできるような方策を考えていければいいと思っています。

 以上です。

○松原委員長
 ありがとうございます。

 藤平委員、お願いします。

○藤平委員
 浦安市の藤平と申します。よろしくお願いいたします。

 私は、市町村の立場ということで説明させていただきます。

 やはり児童虐待に関しては、予防であるとか啓発というところが市町村での役割として大きく担っているところですので、まずはそういった啓発を進めているところです。各委員の中でも専門性という話がありますが、その対応については関係機関と調整をさせていただいております。

 今、浦安市では「妊娠期からの切れ目のない支援の実施」ということで、妊娠期から小学校の入学までのところの見守りが非常に大事だと考えております。

 母子手帳を配付して、お子さんが生まれて4カ月までには家庭訪問、全戸に回るということで保健師が担っているところがありますが、やはり健診の時期はある程度決まっており、6カ月、1歳6カ月、3歳健診という対応がされていますので、他の委員からもありましたけれども、切れ目のない支援をどういう形で行政が見守りをしていくのかが大事だと思っております。ついては、ケアマネジャーであるとか保健師が、どうその家庭に関わっていくかというところが重要になってくると思います。

 相談対応では受け身の姿勢がありますけれども、やはりこちらから出向くというスタンスが必要になってくるかと思いますので、私どもの相談員は、通告や問題家庭からの連絡があれば安全確認等の訪問ということをやっております。相談機能の中では受け身ではなく、総合的には家庭を見るという視点が大事かとも思っております。

 職員体制では、家庭相談員を市が委嘱という形で専門的にやっていただいていますが、実際は相談員確保が非常に厳しくなっております。

 ですから、専門の職員の配置であるとか、家庭相談員の任用の仕方も考えていかないといけないと思っております。虐待通報は、夜間の連絡であったり休日であったりという、本当に生々しいところで言うとそういうことがありますので、その対応については児童相談所と連携させていただいていますが、市町村の役割の中で、迅速対応の役割というものを再度認識していかなければいけないと思っております。

 また、児童相談所との関係では、要保護児童対策地域協議会にも参加していただいております。その他、専門的な対応について、私どもの家庭相談員が児童相談所での支援方法や相談対応について研修をさせていただいています。

 市町村の現場でも、先ほどから専門職員の配置が厳しいというのは事実で、長く経験する職員もいますが、やはり新たに採用される人の専門職員を確保していかないと、年々増加している児童虐待に対する職員の業務負担の解消が出来ないので、専門的な職員配置は、大きい枠組みで体制の強化というものを考えていかなければいけないと思います。

 以上です。

○松原委員長
 ありがとうございました。

 私は委員長として全体の話をまとめる役割と、本日は1回目ですので、一委員として発言をすることも必要だと思います。時間の関係がありますので、まず、委員としての発言をさせていただきたいと思います。

 先ほど辰田委員がおっしゃったように、在宅の支援は非常に必要だと考えていて、これが「切れ目のない支援」の要になると思うのですけれども、実は非常にメニューが少ないということがあって、これは各自治体でいろいろ工夫をされているのですが、そういう先駆的な事例をそれぞれ共有しながら全国的に展開をしていく。大阪の事例などは非常にいい事例だと思います。

 そのときに、佐藤委員から委託を受けてというお話が出ていて、ここも大切で、やはり行政だけでやり切れない部分があるのだろうと思うのです。ですから、民間機関の育成ということをしていく。そのことでやはり切れ目のない活動ができますし、さまざまな意味で児童相談所、区市町村が忙しい部分を一緒になってやっていくことで補えるのではないかと思っております。

 ただ、いろいろ資源が増えていっても、これも委員の中から御発言がありましたが、そこを利用しないという方々がいらっしゃるのはよくわかっています。大きな課題だろうと思います。

 死亡事例も、私も第1次~第4次にかかわらせていただいて、そういう社会資源を利用しない方が非常に特徴的な共有点になっておりますから、先ほどシステムそのものを変えて利用しやすいようにするという御発言もありましたし、それから、個別の事例で利用しない人にどうアプローチするかという御発言もありました。

 この利用しない人たちについては、秋山委員は、義務として社会資源を利用するという位置づけにすればアプローチしやすいのではないかという御発言もありましたけれども、ここは1つの論点になっていくのかと思っております。

 それから、民間機関のそういう活動というものを連携の視野の中に入れていくとしたら、民間機関はやはり育成をしていく。特に、都市部ではいろいろなNPOがあるのですけれども、地方に行くとそういうものがない、うちの県にはそういうものは1個もありませんという話になりますので、ブランチを持てるような大きなNPO組織も含めて、どう育成していくかということも課題になると思います。

 その民間機関も含めて、これは各委員共通で出されていた人材の確保と育成が児童相談所レベル、市町村レベルで大きな課題になってくると思いますし、その中では、児童福祉司の資格をどうするかということの御発言がありましたし、委員の中には、スクールソーシャルワーカーとか婦人相談員の活用。それから、本日は弁護士のお2人が見えていて、各児相にいろいろ協力をされ始めてきて、児童相談所によっては、非常勤ですけれども実際にその仕事を一緒に常時していただくということで、非常に効果があるという結果は全児相の調査でも出ておりますので、多職種連携ということも児童相談所の体制強化ということでは視野に入れるべきなのかと考えております。

 それから、先ほど私は死亡事例検証に関わってきたということを申し上げましたが、やはり加藤委員がおっしゃったように、どうしたらいいのだろうと考えていくことで、現場がいろいろ考察をしていくことはあると思います。大切な観点だと思います。

 一方で、非常につらい検証作業ではあると思うのです。ですから、この死亡事例検証を継続していく一方で、いわゆるグッドプラクティス。こういう形で都道府県、市町村が連携協力をして、関係機関の連携もとりながら虐待事例に支援・介入を行って、一定程度虐待が緩和をされたとか、お子さんが18歳になりましたとかという形のものを、もちろんその時点でグッドプラクティスではあっても揺り戻しがあるかもしれませんけれども、少なくとも子どもの成長や発達等を保障し、命を救うことができたようなグッドプラクティスの検証をどこかでできないか。そのことが、この5点にかかわって、少し派生的な課題として挙げておきたいと思います。

 それで、まだ大臣はお見えでないので、少し全体のまとめをしたいと思います。

 論点として、1つ、情報の共有をどうするかという課題が出ましたので、非常に1番目~5番目にかかわって共通する課題だと思っております。

 それから、要対協あるいは児童相談所と市町村との関係ということで、どういうふうに実質的な連携を保っていくかということで、単にマニュアルができていてもなかなかうまくいかないという御指摘もありました。

 それがためには、一方で専門職の任用が必要であるという御発言がありつつ、一方でなかなか、基礎自治体単位でそういう人事がきちっと回せるのだろうかという御発言もありましたから、人材確保、養成のことも共通の課題として挙がってきたのかと思っております。

 それから、相談をしない人たちがいるということは複数の委員の方が御発言になりましたし、私もそのことは指摘させていただきました。ここの部分は、どういうふうにハード・ソフトの面でこちら側からもアプローチをしていき、利用していただくかということも共通していただいた御意見だと思います。

 本日は、児童相談所の方は非常に遠慮をされていて、窮状を訴えてもとおっしゃいましたけれども、やはり非常に児相としてはいろいろ人員の確保等で大変なところがあると思います。ここも議論になるのかと思います。

 それでは、ほぼ時間になりつつあると思いますので、次回の日程等につきましてお願いいたします。

○大津総務課長補佐
 次回の専門委員会の日程につきましては、現在、各委員の日程をお伺いしておりますので、決まり次第御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

○松原委員長
 それでは、多分カメラ等が入ってきたことから勘案するに、ぼちぼち大臣お見えということでよろしいのでしょうか。

 その間、各委員の発言に触発されて、前半のほうの方で、後半の発言を受けてどうしても何かこれだけは言っておきたいということがあればお受けしますが、いかがですか。

 どうぞ。

○菅野委員
 菅野です。

 先ほど人材の話があった中で、児童福祉司の人数がという話があったのですが、私は平成16年改正、17年のときのあり方検討の委員でもあって、その時点で児童福祉司と児童心理司のバランス、チーム制ということのお話をしていたのですが、そのバランスがよりひどい状況になっているのも今の児童相談所の窮状の1つとして、ちょっとさっき言い忘れたので、つけ加えさせていただきます。

○松原委員長
 では、想定では40分ぐらいにお見えなので、ほかに御発言がなければ。

 磯谷委員、どうぞ。

○磯谷委員
 先ほど情報の共有といいますか、特に所在不明の子どもの話をしましたけれども、御承知の方もいらっしゃると思いますが、ハーグ条約という条約がこの4月から施行されまして、ここでは外国から子どもを連れ帰ってきた家庭がどこにいるかわからない場合に、中央当局の役を担っている外務省が、さまざまな情報を得て発見をする、所在確認をするという作業があるのですね。こういったことを現実に今、もう既に施行されてやっているわけですけれども、こういったところもまた参考にしながら、所在不明児の対応は考えられるのではないかなと思っております。

○松原委員長
 ありがとうございます。

 では、大臣の到着をお待ちするということでよろしいですかね。

 どうぞ。

○古川総務課長
 せっかくの貴重なお時間でございますので、資料6につきまして、補足をさせていただきたいと思います。

 来年度の概算要求の中で、幾つか要求しているものがございます。

 現場の皆様、児相の皆様の御苦労に対して十分ではないと思いますけれども、少しでも同じ方向性、視点を持って対応できればということで、幾つか予算要求において新しいもの、拡充になるものを入れているところでございます。

 全てを御説明する時間ございませんけれども、例えば2ページご覧いただきますと、要対協の連携強化という観点でございますが、なかなか人員を大幅に拡充するのは容易ではないところでございますけれども、例えば調整機関において、対応すべきケースとして挙がっている方についての情報が常に更新、検索できるような仕組みをつくることも考えたらいいのではないかということで、そのためのモデル事業ということを考えさせていただいているのが➃の新規のところでございます。

 ➄でございますけれども、児相の相談体制の強化という観点から、各児童相談所の休日夜間対応の非常勤職員の体制を強化するということで、基準額、枠を広げるということをいたしますとともに、全国共通ダイヤルを3桁化することによって、本当に悩んだときに適切に御相談いただけるような体制との、合わせ技で児相の相談の仕組みを拡充したいということも考えております。

 ➅ですけれども「一時保護所の体制強化」。先ほども御指摘ございましたけれども、一時保護所がいっぱいであるという話に照らした上で、学習指導協力員の体制強化ということなども考えているところでございます。

 4ページでは、(3)で「被虐待児童などへの支援の充実」という関係から、アフターケアの充実でありますとか、(4)で切れ目のない支援ということで「妊娠・出産包括支援事業の活用」としております。概算要求の中でも、こうした点についてはさらに力を入れる工夫をやっていきたいと思っております。

 5ページ、先ほど子ども・子育て支援新制度の中での話もちょっと出てまいりましたが、虐待という狭い範囲ではなくて、子育てという観点からも虐待防止に資するメニューは新制度の中にも多々入っているわけでございまして、同じ問題意識を共有しながらこうした事業についても確実に進めていきたいと書いているのが、5ページの上のところでございます。

 それから、下のほうに、地方交付税措置についても書いてございます。本日は、関係省庁の方に御参画いただいております。

 私も実は10年前に児童虐待防止対策室におりまして、10年ぶりに戻ってまいりましたけれども、総務省さんには地方交付税で人員を配慮いただいておりますし、警察庁さんも積極的に御協力いただくなど、ほかの省庁さんも含めて本当に御協力いただけているというのを感謝申し上げたいというのが実感でございますが、さらに来年度につきましても、地方交付税の措置についても要求をしていきたいと思っております。

 せっかくオブザーバーとしていろいろ御参画をいただいておりますので、厚労省の範囲にとどまらず、先ほどお話もありました副大臣会合の中でも政府一体となって対応していくということでございますので、より幅広な御意見を次回以降もいただければ、と思っております。

○松原委員長
 補足をありがとうございました。

 実際にこれだけいろいろの要求を見ていますと、厚生労働省でもいろいろ努力をしていただいているのがよくわかります。

 これとともに地方自治体のほうでまた予算を決め、配分していなかければいけないので、なかなか大変なところだろうと思うのですが、こういったものも見ながら、今後議論を進めてまいりたいと思います。

 では、大臣がお見えですので、御挨拶いただきたいと思います。

○塩崎厚生労働大臣
 終わりがけになりましたが、本日は第1回目の「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」ということで、皆様方に検討をお願いするということなので、ぜひ私から直接お願いをさせてほしいということで、このような形で、ちょっと遅くなりましたが参加をさせていただいて、御挨拶を申し上げることになりました。御配慮いただきましてありがとうございます。

 今回から虐待防止対策について御検討いただくわけでありますが、たまたま私の地元の児童養護施設をやっていらっしゃる方が、全国の施設協議会の会長をやっておられたことがありました。まだ私が当選3回とかそのくらいのときだったかと思いますが、当時、この間まで復興大臣をやっていましたが根本さんと、それから今の総理と、石原前環境大臣の4人でNAISグループというのをやっていまして、根本、安倍、石原、塩崎の頭文字をとりましてNAISと言っているのですが、ここでいろいろな勉強を、特に厚生行政が多かったのですが、勉強会をやっている中で、その私の地元の全国の児童養護施設の会長をやっていらっしゃった方が、ぜひ児童養護施設の抱えている問題について勉強してほしいということで、4人で勉強を始めました。

 そのときからずっと勉強会を続けておりまして、ただ、あとの3人はそれぞれ政府に入られたり何かで私1人が残ってしまいまして、後に丹羽雄哉先生と一緒に勉強会をずっと細々やってまいりましたが、だんだんわかってきたことは、児童養護施設におられる子どもさんたちの当時は5割ぐらいでしたけれども、今はもう6割ぐらいの子どもたちが虐待で来ざるを得なくなっていることを知って、愕然といたしました。

 いろいろな全国の施設に私もずっと事あるごとに行ってまいりましたけれども、聞く問題はみんな同じであって、やはり虐待。そして、それによって愛着形成ができなかった子どもたちがいかに難しいか。

 ですから、そんな中で小規模化の話も出てきて、里親や養子の問題も出てきているわけであって、そういうことを勉強しながらわかったことは、子どもたちに出ている虐待というものは、虐待の問題だけで、それに対する対症療法だけやってみても全く意味はないことであって、言ってみれば氷山の一角の頭が出ていて我々が気がついているだけで、実はその下の、大きな氷山の水の下にあるものは、やはり社会が抱えているいろいろなゆがみが出てきていて、こういうことになっているのではないかと思います。

 だからこそ、児童養護施設などで働いておられる方々は、子どもたちの相手をするだけではなくて、親もしっかり相手をしないといけないという問題もあって、大変なプレッシャーの中で仕事をしていただいていると思います。

 最近、少し配置基準が改善をされましたけれども、まだまだ現場での苦労は続いているわけでありますが、何よりも大事なのは、子どもたちが虐待によって養護施設に来ざるを得なくなっているというこのおおもとを解決しなければいけないということです。そのおおもとについての皆様方の御議論に私は大いに期待をしてまいりたいと思っていますし、この専門委員会を開催するということで、ぜひ私からも直接皆さん方にお願いをして、現場の声もしっかりと聞いていただきながら、社会の抱えている大きな問題に取り組む、その政策提言をお願い申し上げたいと思っているところでございます。

 今、自民党の中の要保護児童のための議連というのはかなり人数がふえて、今はもう100人を超えております。熱心な若い人たちが大分入ってきてくれて、かつてとは大分違う様相を呈して、みんなの関心もそれだけ高くなって、全国どこへ行ってもやはり存在する問題だということを皆さんもわかってきてくださって、今、一緒にいろいろなことをやろうとしているところでございます。

 政府が一体となって取り組むために、副大臣会議というものがもう既にスタートしておりますけれども、第1回の副大臣会議では、厚生労働省を中心に実効的な児童虐待防止対策の構築に向けて検討するとされたところであって、それを受けて、皆様方に御検討をお願いしたいということでございます。

 児童虐待防止対策は、きわめて大事な問題であり、厚労省としても大きな柱として政策を構築していきたいと思っておりますので、ぜひとも先生方の御指導をよろしくお願いを申し上げ、活発な御議論に期待を申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○松原委員長
 大臣、どうもありがとうございました。

 御期待に添えるように議論を進めてまいりたいと思います。

 それでは、今日の会合はこれで閉めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○塩崎厚生労働大臣
 どうぞよろしくお願いいたします


(了)

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