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2014年9月10日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第18回議事録

○日時

平成26年9月10日(水)9:00~10:32


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

田辺国昭部会長 印南一路部会長代理 西村万里子委員 森田朗委員
矢内邦夫委員 白川修二委員 花井十伍委員
石山惠司委員 田中伸一委員
鈴木邦彦委員 松本純一委員 万代恭嗣委員 長瀬輝誼委員
堀憲郎委員 安部好弘委員
田村誠専門委員  加茂谷佳明専門委員
池田俊也参考人 福田敬参考人 田倉智之参考人

○議題

○諸外国の費用対効果評価の現況について
○具体例の検討について(現在の状況)

○議事

○田辺部会長

 おはようございます。おそろいのようですので、ただいまより第18回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。

 まず費用対効果評価専門部会に所属する委員については、中医協総会において、森田会長より指名されておりますが、委員の変更がありましたので、御報告いたします。

 7月30日に開催された中医協総会において、7月30日付で退任された三浦委員の後任として、安部委員が指名されております。

 また、8月27日に開催された中医協総会において、8月27日付で退任された安達委員の後任として、松本委員が指名されております。

 続いて、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、榊原委員、土屋専門委員、昌子専門委員が御欠席です。

 それでは、議事に入ってまいりたいと思います。

 それでは「○ 諸外国の費用対効果評価の現況について」を議題といたします。

 本日は、福田参考人に、イギリス、フランス、ドイツの費用対効果評価の現況を紹介していただきます。

 それでは、福田参考人より資料の御説明をお願いいたします。

○福田参考人

 おはようございます。福田でございます。

 私からは諸外国の費用対効果評価の現況についてということで、参考人提出資料をもとにお話をさせていただきます。

 以前、この部会でも御報告させていただきましたが、イギリス、フランス、ドイツについての最近の動向について、御紹介をさせていただきます。

 まずイギリスについてでございます。スライドの3枚目にまいります。イギリスの場合、費用対効果に関しましては、National Institute for Health and Care Excellence、通称NICEと呼ばれている組織が担当をしております。

 ここでのやり方ですけれども、ちょっと振り返ってみますと、どの医療技術を評価対象とするかということは、保健大臣によって決定されるということでございます。

 そのときに、どういうものをピックアップするかというところで見る視点は、疾病の状況であるとか、経済的影響、政策的な重要性、技術の提供においてばらつきがあるか、ガイドラインを作成することの緊急性等を考慮して、評価対象とする技術が選定されるということでございます。

 最終的に評価をした結果としては、使用を推奨するか、しないか、あるいは使用パターンや条件を選定して推奨するか、3つのパターンのどれかが推奨されるということでございます。

 実際にイギリスでは、予算制で制度が動いておりますので、ここで推奨されていないものについては、使用が困難になるという状況でございます。

 推奨を行う際には、臨床的な有効性・安全性に加えて、経済性を加味するということです。

NICEですが、近年、ちょっと組織が変わりました。もともと99年に同じNICEという略称なんですが、National Institute for Clinical Excellenceという名前で設立をいたしました。

2005年にほかの組織と合併をいたしまして、名称が変わりました。

2013年の春に、National Institute for Health and Care Excellence、略称はNICEのままなんですが、このように変わりました。

 これはどういうことかといいますと、以前は保健省令に基づいて設置されていた。つまりNHSNational Health Serviceの下にあったということなんですが、2012年にHealth and Social Care Actで法的な位置づけができたということで、National Health Serviceの下ではなくて、独立した公的研究機関、Non Departmental Public Bodyという形になったということです。しかも、対象をソーシャルケア等に広げて対応するということで、名称の変更があったということでございます。

 5枚目のスライドにまいります。NICEの役割ですが、もちろん技術評価だけでなくて、さまざまなことをやっております。

 1つは、臨床診療センターといって、臨床ガイドラインを作成する。

 もう一つが、公衆衛生センター。公衆衛生に関するガイダンスを作成する。

 それから、費用対効果と関連しますが、技術評価センターというところで、技術評価、医薬品や医療機器等の評価を行っているということでございます。

 6枚目のスライドで、予算的な規模なんですけれども、これは年報が出ておりますので、それを参照したところ、収入としては、日本円にして124億円程度で、ほとんどは保健省から支払われているということでございます。

 支出としては、主に上に挙げた3つの部門、臨床診療センター、公衆衛生センター、技術評価センターで、それぞれこのような金額を使っています。技術評価センターのものは16億円程度ということで、全体の予算から見ると1割強ということで、この一部が経済評価、費用対効果の評価に用いられているということでございます。

 7枚目にまいります。評価の具体的な方法なんですけれども、これも、以前、御報告をさせていただきましたが、大きくSingle Technology AppraisalSTAと、Multi Technology AppraisalMTAという方法に分かれております。

STAは、企業が提出した分析をもとにアカデミックグループがレビューをするということで、新しく導入される医薬品等について用いられるということでございます。実際の評価も、市販前から実施されて、評価の期間を短縮するということが試みられています。

 現在では、STAが割合としては多くなっています。

 それに対して、MTAは、複数の技術について、企業からのデータではなくて、アカデミックグループが中心になって、評価をするということであります。ただ、近年、これについても、分析のデータ等を企業が提出することもあると伺っています。

 実際のSTAのレビュー、あるいはMTAを行うアカデミックグループでありますけれども、これはNICEのホームページ上で公表されておりまして、調べたところ、現在はここに書いてあるような9カ所の大学等の組織が、企業から提出されたもののレビュー、あるいはマルチ・テクノロジー・アセスメントを担当しているということでございます。拝見をすると、こういう領域の専門的な組織・大学等であると理解をしております。

 9ページです。NICEにおいては、従来、費用対効果を含む評価を行って、推奨をするか、しないかという判断をしてきたということは、先ほど申し上げましたけれども、近年、これによる患者のアクセスを制限するようなことは、なるべく避ける努力をしようということで、幾つかの方法がとられてきています。

 具体的には、3番目のポツにありますが、2009年の制度改正から、患者アクセススキーム、Patient Access SchemePASと略させていただきますが、費用対効果の観点から、ガイダンスで使用が推奨されないおそれがある際に、患者のアクセスを確保するための措置ということが盛り込まれております。

 位置に幾つかの例を挙げさせていただきました。これはイギリスで適用されているものでございますけれども、費用対効果の観点から、単純な値引きとして、リスト価格はそのままですが、実際には割り引いた価格でメーカーが供給するようなスタイルとか、あるいはその他の方式として、払い戻しをしたり、無償提供をしたりということを企業との間で合意をして、合意のもとで提供するという仕組みです。いずれにしても、患者さんからのアクセスができるようにという目的で、つくられているということでございます。

 次にまいります。このような個別の技術評価については、テクノロジー・アプレイザルという形でされるんですが、こういうものをもとに、臨床ガイドラインが作成されております。それが11ページの例で、有効性・安全性に費用対効果の情報も加味して、ガイドラインを作成しているということでございます。これは一例として御紹介をさせていただいている、高血圧の治療に関する例でございます。

 イギリスについては、最後になりますが、12枚目でございます。昨年の部会でも御報告させていただいたんですが、イギリスは、Value Based Pricingという、価値に基づく価格設定を2014年から導入しようということで、議論を重ねている状況でありました。

 最近の状況を確認したところ、昨年、伺ったときには、2014年からPPRSと言われます、自由薬価プラス利益率規制と呼ばれるものを、置きかえるということだったんですが、そうではなくて、現行のPPRSの仕組みを続けるということに、最終的にはなったようでございます。PPRSとか、先ほど御紹介した、Patient Access Schemeという仕組みは続けてやっていくということであります。これは価格設定をすることに関して、どこまでの値段を認めようかということをかなり複雑に考えていたようで、簡単にはできなそうだということが、要因だと伺っております。

 以上がイギリスでございます。

 次にフランスの動向について、13枚目からお話をさせていただきます。

14枚目になりますが、フランスで費用対効果の評価を担当しているのは、HASという組織でございます。ここでは、従来から公的保険での医薬品の給付価格について、ASMRという追加的な有用性の評価をして、これをもとに5段階の推奨を分けて、それに基づいて、償還価格を決める仕組みがあるということでございます。

ASMRは、下の表にありますように、IVに分かれておりますが、Iが追加的な有用性です。類似の治療法と比べて、追加的な有用性が著しく大きいものがI、改善がない場合にはVというレベルで、ランクづけされるものであります。

 償還価格ですが、IIIIIIについては、欧州4カ国の平均価格をもとに、企業と相談をして決めるという形がとられております。

 次にまいります。HASの組織なんですが、HASも費用対効果あるいは個別の医薬品等の評価だけを行っているわけではありませんので、幾つかの活動を行っています。

 1つは、一番上の評価及び推奨ということで、これが医療技術の有用性、あるいは費用対効果の評価、診療ガイドラインの作成であります。

 これとは別に大きな役割として、医療機関の認証であるとか、そのための基準、あるいは医療情報の活用についての取り組みも行っている組織であります。

 さらに医療、あるいはヘルスケアの質と安全性の向上ということで、医療機関におけるクリニカルパスの作成の支援とか、患者の安全性の向上についての取り組み等をしているということであります。

 下に予算規模を書かせていただきましたが、年間では84億円程度ということなんですが、右の支出にございますとおり、医療技術評価に使われているところは、そのうちの4分の1、さらに費用対効果については、この一部のようでございます。これもHASの年報をもとに、この資料を作成しております。

17枚目にまいります。これについての費用対効果評価に関する新たな動きなんですけれども、フランスでは、ASMRという仕組みを5年をめどに再評価をして、ASMRの位置づけを決めるということをやっております。

 イギリスと同じ名称をされているようなんですが、意味は違うんですけれども、HASでは初回導入時に行われる評価をSTASingle Technology Appraisal、上市5年後までに行われる評価をMultiple Technology AppraisalMTAと呼んでいますので、ちょっと違いがございます。

2008年から、MTAで費用対効果評価については、データ提出が任意で可能という形になっておりましたが、新しい動きでございまして、昨年の10月から、初回の評価に関して、以下の条件を満たす場合に、企業による費用対効果のデータ提出が義務化されたということでございます。

 具体的には、前の表になりますけれども、ASMRという追加的な有用性の評価のIIIIに相当する評価を企業が希望する場合、さらに医療予算へのインパクトが大きいものということで、目安として、年間売り上げが2,000万ユーロ以上と書かれておりますが、こういうものについては、企業による費用対効果のデータ提出が義務化されたということであります。

 この結果は、HASの中にあります、経済委員会での価格交渉に活用されるということであります。

18枚目で、費用対効果評価の実施なんですけれども、企業が提出したデータをHASの経済評価・公衆衛生委員会に提出をして、この委員会では、90日以内に企業が提出した分析の再分析等を行うことになっています。

 経済評価・公衆衛生委員会ですけれども、委員は30人程度で、医療専門職や消費者代表などが含まれています。

 また、再分析等に関しては、イギリスの仕組みと近いようでありますが、大学などの外部専門家への委託も可能であるとされています。

19ページは、これまで我々で把握ができたところですけれども、費用対効果のデータ提出が求められた医薬品でございます。御参考までにということです。ただ、現時点では、これらの評価結果がどうだったかということは、公開されておりませんので、それについての御報告はできない段階でございます。このように、提出が求められているというところまでは、把握できているということでございます。

 最後にドイツの状況について、20枚目からお話をさせていただきます。

21枚目のスライドになりますけれども、ドイツは、医療技術評価を行う組織として、IQWiGと呼ばれる組織が2004年に設立されております。

 これは、医薬品、その他の医療技術、診断、臨床ガイドラインや疾病管理プログラム等の評価を行っている組織であります。

2013年の予算は、1,800万ユーロ、25億円程度で、収入は患者負担の一部によって賄われているところであります。

IQWiGも費用対効果の評価に取り組もうという議論をしていたんですが、その後、医薬品市場再編法、AMNOGと言われるものが導入されて、少し様相が変わってきているという状況であります。

22枚目にまいります。医薬品市場再編法なんですけれども、まずドイツの医薬品の価格設定は、御案内のとおりでありますが、新規の医薬品については自由価格でありますが、参照価格グループが設定されているものについては、参照価格制度を導入しております。

 参照価格グループに該当しない新薬については、市販後、約1年以内にIQWiGという組織が追加的有用性を評価して、その結果に基づいて、価格交渉、価格設定をするという仕組みに変わってきているということであります。

 具体的には、追加的有用性ありと判断された場合には、企業と疾病金庫中央連合会との価格交渉を実施して、それに応じて、価格設定が変わるということであります。ただ、値引き後の価格は、非公開になっているようでありまして、売り上げに応じて返金をされる形になっています。

 これは交渉ですので、企業と疾病金庫中央連合会との間で、交渉がうまくいかなかった場合には、費用対効果の評価を実施することになっているという仕組みと理解しておりますが、現時点では、調べた限り、これに至っている例は1つもないという状況でございます。

 その流れを図示したものが、23ページのものでございます。先ほども申し上げましたとおり、左のほうからまいりますと、まずは科学的な追加的有用性の評価をIQWiGで行います。その結果に基づいて、価格交渉が必要な場合には、疾病金庫中央連合会と企業との間で価格交渉が行われて、それが合意に至れば、その価格になりますし、合意に至らない場合には、仲裁する機関があって、そこでの話し合いが行われて、それで合意に至らない場合には、IQWiGで費用対効果の評価を実施するという流れになってございます。なので、最終的に費用対効果が実施される可能性はありますが、現時点では、そこに至った例はないということでございます。

 1年以内に行われている追加的有用性の評価ですが、24枚目のスライドになります。これについては、比較対象薬とは限らないんですけれども、既存の医療技術と比較した際の追加的な有用性を示すデータを企業が提出をして、IQWiGがデータの検討を行うということです。ここでは費用対効果の評価は含んでいないということです。

 結果としては、追加的有用性なしと判断されたものが17件、追加的有用性についても、程度に応じて分けられることになっています。

 追加的有用性ということですので、これをどう判断するかについては、最後のスライドになりますが、25枚目にこのような評価基準の目安が示されております。結果の指標として、全死亡でありますとか、重篤な症状や有害事象、あるいは健康関連QOL、幾つかの指標について、こういう見方をして、それぞれ影響が大きいか、中程度か、少ないか、マイナーかというところを判断していく仕組みになっています。

 繰り返しますが、あくまでも、これは費用対効果の評価ではなく、追加的な有用性の評価として実施されているものでございます。

 以上が我々が把握いたしました、最新の動向でございます。

○田辺部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの参考人からの御説明について、御質問等はございませんでしょうか。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 以前はイギリスの昔のやり方だけを説明して、それを入れたいという方向で始まったわけですが、2年以上経ってみますと、フランスやドイツでも取り組みが進みまして、具体的な結果・成果が出てきていることが、よくわかりました。その上で、幾つか質問と意見をお話させていただきたいと思います。

 まず8ページのイギリスのところですが、アカデミックグループとありますが、この中の一番上にBritish Medical Journalエビデンスセンターがありますが、これはイギリス医師会に所属する組織であるのかどうかを、確認させていただきたいという質問がございます。

 次に、12ページです。新しいValue Based Pricingが導入されることになっていたわけですが、今のお話ですと、それがどういう形になったのか。以前のPPRSが継続されているということですが、Value Based PricingVBPは併存しているのか、それとも導入されていないのかということを、確認させていただきたいと思います。

 それから、フランスについてでございます。HASNICEに相当する組織ということですが、予算の内訳を見ますと、イギリスは税金で賄われているし、ドイツは保険料で賄われているようなのですが、フランスのHASを見ますと、医療機器メーカーの拠出金が19%、医薬品メーカーの拠出金が36%ということで、55%がメーカーの拠出金になっています。そもそも拠出金という言葉からすると、HASという組織は民間の組織なのか、どういう組織なのか。ほかのところは公的な組織だと思うのですが、民間の組織なのかどうか、教えていただきたいと思います。

 これは翻訳なので、それが正しいかにも依りますが、保険者の場合は寄附金となっていますから、民間であれば、保険者が寄附金、メーカーは拠出金、公的な組織であれば、保険者は拠出金、民間が寄附金ということになるのではないでしょうか。メーカーが55%、過半数を拠出しているということで、どういう組織形態なのか、どういう性格の機関なのかを教えていただきたいと思います。

 もう一つは、19ページです。2014年8月現在、費用対効果のデータ提出が求められた医薬品の一覧表がございますが、このうち、現在、日本で発売されているものがどのぐらいあるのかということを、教えていただきたいと思います。

 全般的でございますが、今回は、参考人の方々が、イギリス、フランス、ドイツに実際に行かれて、調べられたということですが、どの国の組織がよろしいとか、そういう御感想などがありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

 それと、これを見ますと、我が国においても、組織づくりは必要だと思うのですが、その際に、1つは、フランスのように、企業の拠出金のようなもので運営することになれば、保険料や税金の支出は少なくて済むことになるわけですし、それに関して、事務局として、どのように考えているのかも教えていただきたいと思います。

 例えばガイドラインの項を見ますと、イギリスでも、フランスでも、ドイツでも、全て費用対効果を行っている機関がガイドラインを作成しています。今後、ガイドラインを作成する場合にも、有効性・安全性だけでなく、費用対効果を加味するということになれば、そういう体制が必要になってくるのではないかと思います。その意味からも、今のような形ではなくて、きちんとした組織が必要になってくるのではないかと思います。

15ページのHASの組織と構造を見ますと、医療機関の認証までしています。それ以外にヘルスケアの質と安全性の向上についての取り組み、ガイドラインの作成、さらに費用対効果ということですが、これを日本に当てはめますと、現状では、日本医療機能評価機構にそっくりのような気がするのですけれども、そういうところに費用対効果評価の機関を設置するのも1つの方法だと、個人的には思います。その辺の組織づくりについて、同時並行で進めるというお話でしたので、現時点でどのようにお考えなのか、お話いただきたいと思います。

 以上です。

○田辺部会長

 まず福田参考人からお願いします。

○福田参考人

 御質問ありがとうございます。

 説明が不足しているところもありまして、失礼いたしました。

 イギリスに関して、8ページにあります、アカデミックグループでございますが、BMJエビデンスセンターについては『British Medical Journal』という雑誌に関連するものでありますが、医師会との関連がどのようになっているかについては、正確に把握をしておりませんので、申しわけありません。もし必要でしたら、追加的に調べさせていただければと思います。

12枚目のValue Based Pricingに関しましては、現時点では導入をされていないと理解をしています。導入に関しての昨年の議論においては、PPRSを廃止して、これにかわってValue Based Pricingを導入すると伺っていたんですが、最終的にはVBPは導入しないで、PPRS及びPASの仕組みを続ける。並行ではなくて、従来の仕組みを使う形になったということでございます。

 その理由といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、そもそも価格設定に反映する場合の仕組みを大学等でも議論して、研究をされてきたということなんですが、私が伺ったときに受けた説明では、余りに仕組みが複雑過ぎるとか、あるいは全ての医薬品を評価するのは困難ということがありまして、現行のものを続ける。ほかの仕組みについては議論するけれども、Value Based Pricingについては、導入をしないという方向で、今の時点では意思決定がされていると理解しています。

 フランスのHASについてですが、予算等の説明が十分できておりませんで、失礼いたしました。

 まずHASという組織でありますけれども、公的な組織でございます。フランスの社会保障法典の第6部に規定をされている組織でございまして、独立した公的な機関です。主としての役割は、医療の質と効率性を確保するということでございます。そういう意味では、公的な組織であります。

 予算についてですが、まず最初におわびしなければいけないのは、メーカーが拠出金で、保険者が寄附金というのは、不適切な表現だと思いますので、保険者からも拠出金という形で捉えていただければと思います。失礼いたしました。

 それから、メーカーからのものですが、これは任意で出すものではなくて、製薬企業、あるいは医療機器メーカー等の広告宣伝費に対する税金でありますとか、保険収載の手数料が決まっているということでありまして、必ずしも評価をするために、任意で出してくださいというものではなく、広告宣伝に対する一定の割合の税金であるとか、保険収載の手数料で規定されているものが、財源になっているということでございます。

 組織的には公的な役割になっておりますので、構成されている理事会に関しましては、8名のメンバーで構成をされているんですが、これはかなり公的な性格を有するものということで、そのうちの2名は共和国大統領の指名、2名は下院議長の指名、2名は上院議長の指名、残りの2名は経済社会環境評議会議長が指名するということで、かなり公的な役割を担う皆様が理事会を構成して、そのもとで活動している公的な組織でございます。

19ページのデータ提出が求められた医薬品に関しては、このリストをつくったのは、ごく最近なので、日本の承認状況については、まだ把握しておりません。

○中井薬剤管理官

 わかります。

○福田参考人

 済みません。私のほうでは調べていないんですが、事務局からお答えいただけるということでございます。

 あと、伺った感想ということなんですけれども、昨年度も含めて、これらの組織を分担で訪問させていただいて、お話を聞いてきております。どちらも費用対効果を反映するという取り組みについては考えておられて、特にイギリスの場合には、先ほどのBritishの議論もありますが、改善すべき点はどこにあるんだろうということを、熱心に議論されています。

 印象的には、フランスが非常に興味深いところだと思っています。特に保険制度的にも日本に近いところがありますし、取り組みを始めて、まさにASMRIIIIIIのところについて、こういうものを求めて、それを使っていこうということでありますので、今後さらに注目する必要があるところでございます。

 私からは以上でございます。

○田辺部会長

 事務局からお願いいたします。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

19枚目の日本での発売状況ということで、日本で承認されているのは、この中で10品目ほどございます。

 以上です。

○田辺部会長

 どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 今後の進め方といいますか、組織等のお話がございましたけれども、今、部会でこれからどのような形で進めていくか、後ほど御相談させていただきますが、具体例の検討をしていく中で、どういった取り組みが必要かということも、御議論していただく予定でございます。現時点でどういうやり方がいいかという考え方を持っているわけではございませんが、各国でいろんなやり方がありますし、我が国におきましても、診療ガイドラインは学会で対応しているところでありますし、あと、医療機能評価に対応している組織もございますので、我が国に合ったやり方を、この部会や中医協の御議論の中で決定していくものだと思っているところでございます。

 

○田辺部会長

 よろしゅうございますか。

○鈴木委員

 わかりました。

○田辺部会長

 ほかにございますか。石山委員、どうぞ。

○石山委員

 2~3点、質問させていただきます。

 今、鈴木先生から質問のあった項目に近いんですが、7ページ、8ページのアカデミックグループは、MTASTAの両方と絡んでいますね。このような形ができた経緯なりは存じ上げませんけれども、この場合とは異なり、大学や企業と契約を結ぶのではなく、例えば中医協のように、団体やグループを代表した個人がメンバーになるとか、個人の研究者から分析者なりを選んでいくケースというのは、なかったんですか。これが1つです。

 あと、フランスのHASCEPSは並列になっています。これは、日本で見ると、例えば中医協と薬価専門部会みたいな関係にあたるのでしょうか。両者のわけ方について、具体的にイメージができる形で教えていただきたいと思います。今後、日本で費用対効果評価を行うとなると、どういう位置づけでやっていくのか、これは今後の組織の議論にもかかわってくると思いますので、その辺のイメージなりを教えていただきたい、この2点です。

 以上です。

○田辺部会長

 福田参考人、お願いいたします。

○福田参考人

 ありがとうございます。

 まずイギリスの仕組みなんですけれども、いろんな団体ですとか、場合によっては患者さんの団体ですとか、産業の団体、あるいはアカデミアも含めてですが、そういう方を代表して、個別の技術、医薬品等の評価について議論する場は、評価委員会というものが別にございます。これはアプレイザル・コミッティーと英語で言っているもので、そこについては、さまざまな代表の方が集まって、委員会を構成するという形でやっています。

 これに対しまして、アカデミックグループが担っておりますのは、従来からアプレイザルと御説明させていただいているところではなく、その前のアセスメント、分析のところになります。ここは純粋に科学的なアプローチをするということで、アカデミックグループは、関連の団体の方などは参加することがない形で、利益相反などについても、確認をされているということでございます。出た結果をアプレイザル・コミッティーで議論するという形で、最終的な意思決定がされるという流れになってございます。

 それから、HASなんですけれども、そういう意味では、HASも独立した科学的な評価を行う組織になりますので、その役割は、場合によっては、外部の研究機関等と一緒にやるんですが、それについての評価をした結果を出すところで、価格の設定等については、別の組織でやる形になっている位置づけです。ですから、価格設定等についてやるのが、日本でいえば、中医協のような場に相当するところで、HASについては、そこで議論するようなものについて、科学的な評価を行う独立した組織という位置づけだと理解をしております。

○石山委員

 そうすると、後段の質問に対して、中医協と何か別の組織というイメージで考えていいわけですか。

○福田参考人

 独立性をどのように考えるかということがありますが、イメージ的には、そのようなものだと思います。

○石山委員

 あと、前段のほうは、先ほど評価委員会とおっしゃいましたけれども、評価委員会の位置づけというのは、どうなんですか。関係です。全く独立ですか。

○福田参考人

 評価委員会はNICEの中に設定されているもので、NICEで最終的にこれを推奨するか、しないかという判断をするんですが、それは必ず評価委員会で議論された結果が出されることになります。

 評価委員会で議論するに際しては、アカデミックグループで科学的な評価をやったもの、あるいは企業等でアカデミックレビューをしたものが、アプレイザル・コミッティーに提出をされて、アプレイザル・コミッティーで議論された結果が、最終的にNICEのガイダンスとして出されるということで、評価委員会、アプレイザル・コミッティーは、NICEの中にある委員会組織でございます。

○石山委員

 わかりました。ありがとうございました。

○田辺部会長

 ほかに御質問等はございませんか。白川委員、どうぞ。

○白川委員

 御説明、大変ありがとうございました。

 私自身の考え方が、この御報告と合っているのかどうかという確認のために、2点質問させていただきたいと思います。

 まず3ヵ国とも色々な機能を持った、HASとか、NICEという組織がありますが、その中で費用対効果だけを取り出してみると、例えば薬についていえば、NICEは費用対効果を考えて行っている。ただ、ドイツとフランスについては、フランスはASMRIIII、ドイツは追加的有用性があるものだけなので、日本でいえば、有用性加算とか、画期性加算がつくようなレベルのものを対象に、限定していると考えていいのではないかと思います。フランスについては、約1年間で20品目ぐらいということですが、ドイツは費用対効果の評価までに至ったものはないということであります。もし対象となる品目がでてきたとしても、かなり限定的なものになるだろう、という考えでよろしいでしょうか。

 もう一つは、例えばフランスでいいますと、1年間で約20品目ということで、データは企業側から提出されると書かれておりますけれども、当然企業側のデータだけでは不十分であるから、HASそのもの、あるいは委託している研究機関に関連するデータを集めてもらって、分析をすることになると思います。例えば1つの薬の分析のためには、どれぐらいの労力が必要なのかということが、わかりましたら、教えていただければと思います。と申しますのは、日本でこれをやる場合の組織形態みたいなもの、もちろん対象をどうするかによって、随分変わりますけれども、例えばフランス、ドイツ風にすると、どれぐらいの人員規模、予算規模が必要なのかというイメージが湧くのではないかと思って、質問させていただきます。

○田辺部会長

 福田参考人、お願いいたします。

○福田参考人

 ありがとうございます。

 まず最初の御質問に関してなんですが、ドイツに関しましては、御指摘のとおり、現在、費用対効果の評価に至ったものはないということですので、組織としても、それを担当する部署は小さいということです。将来的にも余り数は多くならないのではないかと思います。現時点での仕組みでいって、過去のものを見ている限りは、そのような印象があります。

 フランスに関しましては、ASMRIIIIですけれども、これはIIIIの判断がされた後に提出するのではなくて、IIIIを希望するメーカーが提出をするということですので、最終的にはそこで判断されたもの以上に、恐らく提出されるのではないかと考えております。

 そこでかかる口数なんですけれども、現時点で、これが対象になるということは把握をしているんですが、結果がどうなったかというところは、公開されておりませんので、どの程度の時間がかかっているかということは、正確にはわかりません。あるいはそのプロセスは、外からは正確に見えない状況であります。ただ、このうちの数品目については、既にASMRの評価結果が出ております。その中にはIIIIのものもありますので、それについては、そういう評価データも踏まえて、そういう決定がされたんだろうと類推することは可能なんですが、実際に経済評価がどのぐらいの手続をとっているかというのは、現時点ではわかっておりませんので、引き続き情報収集等をしたいと思います。

 最後にイギリスに関しては、対象が広目ではありますけれども、これも全ての品目ではなくて、保健大臣が指定するものについて、評価をするということです。その中では、財政的な影響とか、疾病の増強などを加味してということですので、やはり全ての医薬品、医療技術を評価するということではなくて、イギリスでも限定して行われていると理解しております。

 以上でございます。

○田辺部会長

 白川委員、どうぞ。

○白川委員

 ありがとうございました。

 ドイツでございますが、23枚目のスライドに追加的有用性評価の流れがありまして、費用対効果評価は、フローの最後のところにありますが、これを見ていますと、ドイツは費用対効果の評価を入れる形だけはつくっているけれども、本当はやる気がないのではないかという気すらします。というのは、疾病金庫と製薬会社が交渉をして、それでもだめな場合は、仲裁機関まであって、ここで合意に至らないものだけを対象とするということです。普通は仲裁機関があれば、そこで決着がつくと思います。本音は形をつくったけれども、やる気はないという気もしますが、その辺の感じはいかがでございますか。

○田辺部会長

 福田参考人、いかがでしょうか。

○福田参考人

 私が理解している範囲ですが、現実的には、今の御指摘のとおりに動いていて、調停までの間で合意が得られているために、至っていないということです。ただ、やる気がないかどうかについては、何とも言いかねています。

 しかも、我々がIQWiG等にお話を伺う限りにおいては、準備はしている。一応こういう仕組みになっておりますので、やる可能性があるということで、評価方法等についての準備はしているということでありますが、やる気があるのかどうかまでは、はかりかねております。

○田辺部会長

 ほかに御質問ございますでしょうか。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 今の白川先生の御質問に関しては、私も以前にお話したことがありますけれども、この5月にドイツに行って、直接保健省の元高官の方に伺いました。要するにQALYの使用が憲法裁判所によって禁止されたので、使えない、使わない。IQWiGが使用を拒否しているということでした。QALYを使わないということなので、25ページを見ても、実証値のデータだけを使ってやるという形になっています。

○田辺部会長

 ありがとうございました。

 万代委員、どうぞ。

○万代委員

 少し意見を混ぜて、幾つか質問させていただきたいと思いますが、アップデートされた情報をいただきまして、本当にありがとうございました。

 まず3ページでございます。先ほどのお話では、NICEの中に評価委員会、アプレイザルを実施するところがあるということでございましたが、9ページとか、10ページにある患者アクセススキームなどは、アプレイザルの中に入っていると考えていいのかということが、1つでございます。

 あと、2~3個お願いいたします。

 次が5ページです。NICEの組織と構造ということで、いろいろなことを担当しているというお話がございまして、技術評価センターの中で、役割が幾つか書かれてございます。その中で、診断の評価、手技の評価と書かれておりまして、具体的に何をするところかというのは、想像はできますけれども、教えていただきたいと考えております。

 次が7ページでございます。ここではSingle Technology AppraisalMulti Technology Appraisalとあります。揚げ足を取るつもりはございませんが、アプレイザルと先ほど来話題になっている評価委員会のアプレイザルとは、中身が違うと考えていいのか。あるいはこちらのアプレイザルは、むしろアセスメントという意味で使われているのかということを、教えていただきたいということでございます。

 あと、Multi Technology Appraisal、複数の技術というのは、具体的にはどういった意味なのか。例えばダヴィンチ(da Vinci)という内視鏡手術の機械がございますけれども、それでいろんな手術が行われます。例えば泌尿器科の手術、婦人科の手術、消化器外科の手術です。それを複数の技術というイメージで考えるのか、それとも別の複数という定義があるかということがわかりにくくて、そこを教えていただきたいということでございます。

 最後に10ページでございますけれども、ここでは患者アクセススキームの例ということで、費用対効果の中で、効果がそれほど十分でないものについては、費用を減額するという形で、費用対効果の観点から、技術的にそれほど有用性がなければ、費用を減じるという考えは十分にわかりますけれども、例えば患者さん側から見ると、Aという技術が最高の技術で、価格も高いです。Bという技術は、費用対効果の観点から少し効果が落ちるので、費用は少なくしますとなりますと、極端な言い方になりますが、最高の治療と安かろう悪かろうという治療を患者さんに提示して、そのどちらを選びますかという形の医療が英国では行われているのではないかと思います。もしそうであるとしたら、英国の患者さんや国民は、いろいろな選択肢がある中で、それをどのように受け入れているのか。あるいはそれを受け入れるようになった素地とか、医療提供体制への理解については、どんなふうに彼らは考えているのかということを、もし御存じでしたら、教えていただきたいと思います。

 と申しますのも、今後の日本の医療提供体制を考えるときに、いろんなところで、いろんな提案がございますので、一定程度そういった理解を国民にもあるいは患者さんにもしていただく必要が強くなってくるのではないかと思っているものですから、その点について、もし情報があったら教えていただきたいと思います。

 以上でございます。

○田辺部会長

 参考人、お願いいたします。

○福田参考人

 お答えさせていただきます。

 まず最初に御質問いただいた、PASPatient Access Schemeに関してですけれども、これはアプレイザルの中に入ってございます。なので、完全にアセスメントとして科学的な分析をやって、それをアプレイザル・コミッティーで議論するんですが、アプレイザル・コミッティーで行われた指摘に関しては、例えばPASの設定で計算をし直したときにどうなるかということを、もう一回、アセスメントをするグループに戻して、再計算をやって、またアプレイザル・コミッティーに出てくるとか、やりとりを何回か繰り返すことが、しばしば行われておりますので、PASの部分も、アプレイザルの段階に含まれて議論された結果が、最終的な推奨になるということでございます。

 それから、診断とか手技なんですけれども、正直なところ、余り多くは行われていないという理解なんですけれども、例えば一部手術の方法、内視鏡を使った手術であるとか、あるいは診断等は、機器のカテゴリーでいいのかもしれませんが、診断機器を用いたような診断についての評価は、一部されているようでございます。

 それと、STAMTAという言い方は、確かに誤解があるかもしれませんが、アプレイザルのところまでを含めて、最終的なガイダンスが出る。アセスメントのところだけではなくて、アプレイザルを含めてガイダンスが出るという、一連のものを含めてSTAとか、MTAという言い方をしておりますので、アプレイザルという言い方の中に、アセスメント部分も盛り込まれているという位置づけになります。ただ、アセスメントだけではなく、アプレイザルまでをこの範囲でやっていくという形になっております。

 それから、複数のもの、MTAで行われているものなんですが、今、私が理解している限りだと、例えば先ほどのダヴィンチ(da Vinci)のような例ではなくて、1つのある疾患に対しての治療技術が複数ある場合、例えばある疾患を治療するための医薬品が複数ある場合、それを同時に評価していくものが多いと思っています。全く適用が違うものを混ぜてというのは、私の知っている限りでは、ないと思います。

 最後にPASのようなものを適用して、どう考えていらっしゃるかということなんですけれども、もともとこういうものが入ってきた背景としては、従来、NICEが取り組んできた方法で、推奨しないということにすると、患者さんがむしろ使えなくなってしまう、新しい技術にアクセスできなくなってしまうということで、こういうものが入っているということですから、これによって、価格なり、患者さんが使える形、少なくとも推奨されるという形がとれることによって、患者の視点からは、改善がされていると捉えられているのではないかと思います。

○万代委員

 最後のことは、答えにくい御質問を申し上げましたが、患者さんの選択肢がふえるということで、導入されていると理解させていただければいいと思います。

 ありがとうございました。

○田辺部会長

 ほかに御質問はございますでしょうか。どうぞ。

○堀委員

 今の患者アクセススキームで確認なんですが、9ページの3つ目のポツで、ガイダンスで使用が推奨されないおそれがある際に、患者のアクセスを確保するための措置ということで、今、取り上げられている患者申出療養とかなり近いイメージを感じますが、例えば評価療養で担保されないようなものについて、アクセスを担保するということであると、10ページ辺りの対応というのは、患者申し出療養の議論の中で参考になるのかという気がいたしますが、事務局はそんなお考えをお持ちなんでしょうか。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 患者申出療養に関しましては、保険外併用療養の議論で、今後、中医協でも御議論いただく予定ではございますが、御指摘のイギリスの仕組みについては、別の観点のものと思っております。

○田辺部会長

 よろしゅうございますか。

 福田参考人、どうぞ。

○福田参考人

 それについては、事務局のとおりだと思うんですが、1点、イギリスの制度で御説明させていただきたいのは、あくまでもPASでこのような形をとるのは、患者に負担を求めるものではないという点です。こういう形で対応するのは、メーカーに対応していただく形がとられております。メーカーもそれは同意をしてやっているという仕組みでございます。

○田辺部会長

 よろしゅうございますか。ほかに御質問はございますでしょうか。

 それでは、ほかに御質問等もないようでございますので、この議題に関しましては、この辺りにさせていただきたいと思います。

 続きまして「○ 具体例の検討について(現在の状況)」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 中医協費-1をお願いいたします。「具体例の検討について(現在の状況)」の御報告でございます。

 5月28日の費用対効果評価専門部会、その後の中医協総会におきまして、企業の協力を得ての具体的な事例の検討について対象の選定、今後のスケジュール等まで、合意いただいたところでございます。

 2.にありますとおり、分析体制といたしましては、参考人の福田先生、池田先生、田倉先生、お三方に研究班を組織いただいているところでございます。この研究班に必要な臨床等の専門家の御協力いただくということとしているところでございます。

 利益相反に関しましても、議論がございましたが、これは現状の先進医療会議等、保険医療材料専門組織、薬価算定組織と同様の取り扱いとさせていただいており、それを踏まえて、担当を決めている状況でございます。

 2ページをお願いいたします。「3.具体例を用いた分析の実施に係る現在の状況と今後のスケジュール」でございます。

 5月28日に了承いただいた後、6月に企業に対する説明会を実施しております。そして、7月から8月にかけまして、企業と先ほどの利益相反を考慮して決定した担当参考人が接触し、相談を開始しておるところでございます。

 そのプロセスで、企業から要望が2つほど出ておりますので、本日はそこに関しての御相談がございます。

 2ページ目の下半分ぐらいですが「○ 今後の対応について」でございます。

 1点目の要望は、研究班による再分析の場へ参加したいということでございます。これに関しまして、再分析というのは、企業が提出した分析の妥当性・限界を検証するために行われるものでございますので、第三者的な視点から行うということからしますと、このプロセスに参加をすることは、なかなか難しいと考えております。ただし、研究班の再分析の結果に関しまして、例えば部会での議論をする前に、提示することはあり得るのではないかということでございます。

 2つ目は、参考人等の機密保持及び結下の取り扱いについてでございますけれども、参考人等に対して、企業から機密が含まれるような情報を提供していただき、再分析ということになるわけでございますが、それに関しまして、個別に機密保持の契約を結んでいただくということで、対応していただくこととしてはどうかということです。

 それから、中医協での検討に際しては、例えばですけれども、部会の審議の部分は非公開とさせていただいて、公表資料においては、企業名、製品名等を黒塗りするという対応をしてはどうかと考えております。具体的な方法につきましては、今後、改めて御相談したいと思いますが、基本的な方向性は、本日、御了解いただければというものでございます。

 最後3ページでございますが、スケジュールでございます。これに関しましては、5月28日に提案したスケジュールどおりでやってはどうかと思っておりまして、でき上がり次第、順次、部会に再分析の検討結果を出させていただくことを、考えているところでございます。

 以上、御報告と御審議いただきたい事項でございます。

○田辺部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 それでは、2点ほどお話させていただきたいと思います。

 1つは、利益相反についてでございます。これは他の会議における取り扱いも踏まえてということですが、他の会議がどの程度なのかわからない部分もあるのですけれども、費用対効果に関しましては、それ以上に厳密にチェックする必要があるのではないかと思います。

 例えば資金供与については、他の会議等の取り扱いというのは、現時点での資金供与がある、なしだけを確認しているのかどうか。過去にさかのぼって、例えば過去5年間とか、そういった範囲での資金供与の有無とか、あるいは株式保有、そういったものまでチェックしているのかどうか。その辺について、教えていただきたいということが、1つでございます。

 もう一つは、2ページの今後の対応の○1です。企業の要望で、研究班による再分析の場に参加したいとのことですが、これはとんでもないことだと思います。

 また、3つ目のポツのところに「上記の内容が担保される範囲において、研究班の再分析結果について、あらかじめ企業に開示してよいものとする」とあります。どうしてこういうものが書かれているのかわからないのですが、そのようなことを前提にしたら、結果について、あらかじめ開示されることによって、企業にどういうメリットがあるのでしょうか。どういう影響があると、事務局は考えているのかについて、お聞かせいただきたいと思います。

 以上2点、質問でございます。

○田辺部会長

 企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 1点目の利益相反の関係でございますけれども、これはほぼ共通ですので、保険医療材料専門組織の例でご説明しますと、過去3年間の寄附金等の受領額を考慮して、取り扱いを決めているということでございます。

 あと、保有している株式価値も金額の計算をしております。これは当該年度でございますけれども、計算に含めるというルールもあるところでございまして、今回も同様の運用としているところでございます。

 あと、再分析の結果を開示するということに関しましては、再分析に参加はできないわけでございますけれども、今回、中医協のどの程度前に開示するのか、や開示したことによって、企業から意見が出てきた場合はどうするかなどについては、今後、取り扱いを議論していただく必要があると思っているところでございます。

○田辺部会長

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 最初のほうは、わかりました。3年ということですが、ここに関しては、5年ぐらいあってもいいのではないかと思います。

 それと、開示の話ですけれども、どういう目的で、企業が言っているのかよくわかりません。結果が出れば、それが全てですから、それについてとやかく言える話ではありません。前もって知っても、どうすることもできないと思うのですが、それを何かしようと思うから、前もって見せろと言っているのではないかと疑われますので、私は前もって企業に開示すべきではないと思います。ただし、どうしてこういう違いが出るのかという説明は、公開の場できちっとすることが必要だと思います。

 以上です。

○田辺部会長

 安部委員、どうぞ。

○安部委員

 ありがとうございます。

 2ページ目の今後の対応のところの○2に、結果の取り扱いについて、中医協の中で非公開とした上とあります。さまざまな企業名、製品名が明示的になるような呼称等を黒塗りとすると表現がございます。そういう部分があってしかるべきところもあろうかと思いますけれども、私もさまざまな資料を見て、黒塗りのある資料があると、読んでも全く意味がわからない。何について評価しているのか、わからない部分まで黒塗りにしてしまうと、そもそも中医協に提出する意味がなくなることもあろうかと思いますので、そこの部分について、一定の部分は仕方ないと思いますが、できる限り、どういうことについて、どういう評価があったということがきちんとわかるような範囲で、必要な部分だけを黒塗りしていただく。出てきたものが真っ黒ということがないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 ○2でございますが「例えば、非公開とした上で」とさせていただいておりますのは、非公開で実施する場合には、その会議の中での資料自体は黒塗りにしないで、中医協の部会の委員には御議論いただきたいと考えております。

 なお、中医協資料は全てホームページに掲載しますので、その際に、黒塗りのものが掲載されるということでございます。

○安部委員

 了解しました。ありがとうございます。

○田辺部会長

 ほかにございますか。花井委員、どうぞ。

○花井十伍委員

 鈴木委員からも出たんですけれども、利益相反の件です。前回も確認したんですけれども、これは研究班でやっている範囲においてという理解でよいのかどうか。これは500万円以内というルールですか。それだけ1回答えていただけますか。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 2点ありましたが、あくまでも今回の利益相反の取り扱いは、現状の他の算定組織等と同じということです。これは今回の具体例の検討に当たってのルールということで、将来的に費用対効果評価を行う際、どうするかということは、また御議論いただくということだと理解しております。

 また、現状の運用でございますが、500万を超える場合は、議決に参加しないということになっております。参考人でもしそういう方がいれば、今回は検討に加わらないという取り扱いをしているところでございます。

○花井十伍委員

 重ねてになりますけれども、450万をもらっても、検討には参加できるということですね。最終決定には関与できないけれども、意見を言ったりはできるということですね。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 ルール上はそうでございますが、実際は、今回、参考人がそのような額に該当しないようにはしております。最終的には、今後、利益相反をどう取り扱うかということの御審議の場でご説明することだと思いますけれども、そもそも利益相反の本来の目的というのは、議論に参加した方が、この製品等とどういう関係性があるのかということを公開した上で、その方の意見をどう見るかという視点もあると思っております。そもそも何百万もらっていたらいい、何百万もらっていたら悪いというものではなく、そうした情報を前提として、出てきた結果についてどう考えるか御議論いただくということと理解しておりますので、今後、費用対効果評価での取り扱いの検討に際しては、そういう視点も踏まえて、御議論いただければと思っております。

○花井十伍委員

 理解しました。COIの観点はマネジメントだから、おっしゃるとおりですが、400万円もらった人の意見はほとんど役に立たないと、普通は考えるだろうと思います。

 それから、2ページのいわゆる分析結果に対して、企業の方が意見を言いたい、もしくはあらかじめ見たいという件ですが、見せて、不満があったら、そこでこれはということを言いたくなると思います。ですから、鈴木委員が言うとおり、開示しないほうがすっきりすると思います。開示しても、そこで意見を取り入れてもらえないのであれば、企業としても、開示されないほうが、すっきりするような気がします。これは意見です。

 以上です。

○田辺部会長

 専門委員、どうぞ。

○加茂谷専門委員

 鈴木先生、花井先生から、企業への事前開示にかなり否定的な御意見を頂戴しているところでございますけれども、企業サイドも、第三者的な視点を行うという点について、否定をするものではございませんし、それを覆すような気持ちも毛頭ございませんが、企業側が提出しました内容と再分析の結果が異なるような状況であれば、それを覆すということではなくて、その理由等について、あるいは内容の評価について、企業サイドからコメントをさせていただきたい、意見を言わせていただきたい。その結果をどう反映するかどうかではなくて、企業の主張を事前にお示しさせていただく場をつくっていただきたい、そういう趣旨でございます。内容を覆すということを考えているわけではございませんので、その辺は御理解いただきたいと思います。

○田辺部会長

 お願いします。

○田村専門委員

 基本的に同様な考え方ですが、医療材料ですと、保険医療材料専門組織で償還価格によって協議がなされ、その結果について内示があり、それに対して、私どもは不服申し立てができます。それは結果が気に入らないということではなくて、評価に当たった経緯、プロセスについて、企業側が申し立てをしたいことがあれば、新たなデータを追加するとか、あるいは製品の内容についてやや誤解があるとか、そういう中身についての議論をいたしますので、今回も再評価の結果で、企業側が出している評価枠組みと異なる枠組みが使われた場合など、そうであれば、こういうデータもありますという提示をすることは、考えられるのではないかと思います。そういう意味で、出てきたものについて、何かしら意見を申し立てる場をつくっていただければ、ありがたいと存じます。

○田辺部会長

 花井委員、どうぞ。

○花井十伍委員

 実務的にはこうですね。客観的に分析しました。結果がこうなりました。これは結構乖離しました。その段階で、企業としては、こういうデータもある。そのデータもそろえて、今度、検討の場に出す。実務的にこう対応することをおっしゃっているんですね。

○田村専門委員

 はい。

○花井十伍委員

 了解しました。その是非は置いておいて、そういう理解ですね。

○田辺部会長

 今のことに関連しますか。

○鈴木委員

 理解はまだできませんが、せっかくドイツ、フランス、イギリスに行かれたのですから、そこで結果が異なった場合の対応が、実際に行われているわけですけれども、実際どうなっているのか、行かれた方から教えていただけますでしょうか。

○田辺部会長

 福田参考人、お願いします。

○福田参考人

 評価のプロセスに関しましては、フランスはまだ公開されていなくて、わかりませんので、イギリスの状況だけになりますけれども、イギリスでは、評価の段階で、企業等から意見を収集する場は用意されています。もともと企業からデータも提出されますし、アカデミックグループなり、アプレイザル・コミッティーで議論をするときに、企業からも意見を収集することは、あるような仕組みにはなっています。

○田辺部会長

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 それは結果が出る前の話ですね。結果が出てから、前もって開示してほしいというのとは、意味が違うと思います。結果が出たら、それが全てではないのですか。

○福田参考人

 そういう意味では、アカデミックグループ等で分析するものの独立性は担保されていますので、途中の段階でというのはないと思います。

○鈴木委員

 前もって隠し立てしないで、全部データを提出すれば、そんなことは起きないと思います。後から出てきたということは、前もって出していないデータがある、企業に不利になるデータがある、そういうことではないですか。

○田辺部会長

 白川委員、お願いいたします。

○白川委員

 専門委員の御発言の前に申し上げようと思ったのですが、これはあくまで具体例、ケーススタディーをやろうという話でございまして、研究班の分析が正しいかどうか、あるいは企業側の言い分がどうなのかということも、ケーススタディーですから、当然あってしかるべきだと思っております。したがいまして、研究班の再分析に立ち会うというのは、私もあってはならないと思います。しかし、独立性を担保して、再分析の結果を事前に企業にこうなりましたと言って、企業側から反論があるのであれば、それなりのデータの準備をして、中医協の場で発表していただく。そういうことを繰り返しながら、最終的には、こういう組織をつくって、こういう機能を実行する場合にどうするか。企業への事前開示はどうするかといったことも、また俎上に上げて議論する。それが私には常識的なステップに見えます。そういう意味では、花井十伍委員とは意見が違ったのかもしれませんが、個人的にはそういう意見です。

 それから、あわせて、別件で質問をさせていただきます。前回5月28日には、薬については5品目、医療機器については3品目、合計8品目という御提案があったと思います。もちろん懸念事項はありますが、今回は8品目全て大丈夫なのかということです。

 それから、提出していただくデータは、当然分析評価に耐え得るデータであるわけですけれども、研究班なり事務局が期待しているデータは、全て提出可能だと企業側は答えていらっしゃるのかどうか、教えていただけますでしょうか。

○田辺部会長

 企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 きょう、御相談している企業の懸念事項がございますけれども、そちらが解消されますれば、先般から、御提示させていただいております、医薬品に関しては5品目5企業、医療機器に関しては3品目3企業に御協力をいただけると理解しております。また、今、参考人のほうで、具体的に企業とやりとりしていただいておりますので、それなりのデータを提出していただけるのではないかと、理解しているところでございます。

○田辺部会長

 白川委員、どうぞ。

○白川委員

 データに関してですが、既存のデータで済むものと、新たに研究班側の要望に従って、つくらなければいけないデータがあるかと思います。これは専門委員の方にお聞きしたほうがいいかもしれませんが、全体の感触として、どういう感じかお聞かせいただければと思います。

○田辺部会長

 どうぞ。

○加茂谷専門委員

 まず各委員の皆様方に誤解をしていただきたくない点といたしまして、今般、要請を受けた企業は、要請に対しまして、非協力、あるいは後ろ向きという姿勢ではないということであり、これにつきましては、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

 私ども医薬品に関しては、5品目要請を受けているところでございますが、各社とも何とかこの要請に対して協力をしたい、前向きに対応したいという認識でおります。

 ただ、今、お話がございましたとおり、企業において、データを収集・分析するに当たって、かなりの労力、あるいは追加的なデータの収集等もございます。そういうことから、例えば秘密保持契約がなされているのかとか、あるいは情報の開示の方法についてどうなのかとか、社内からデータを引き出す、あるいは新たなデータ収集をするに当たって、社内調整のために、先ほど御議論いただいています懸念事項が解決されれば、今、企画官からもお話がございましたとおり、一定の方向性が仮に示されれば、今般、中医協で示されているようなスケジュールを目指して、各社とも頑張っていきたい、前向きに協力をしていきたいという方針で、確認されていることと思います。○田辺部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 初めて参加させていただいて、理解が低いのかもしれませんが、先ほどから言われている結果をあらかじめ開示ということに関しまして、結果なのか、参考意見として聞くことなのか、その辺をはっきりしないと、結果が出ているのに、あらかじめ企業に開示して、その結果を見て、反論よりも何よりも、これが公表されたら、企業としてのイメージがどうなるか。株価の関係で売ったり、買ったりということもありますので、結果をあらかじめ言うこと、言わないことの不利益はどこにあるのか。言って不利益なのか、言わないで不利益なのかということを教えていただきたいです。

 しかも、研究班が結果を出すために、企業から人を呼んで、意見を聴取するということは、必要なことです。白川委員も言われたように、必要なことだと思いますけれども、結果が出ているのに、結果を出した、それをあらかじめ言う必要があるのかどうか。それを教えていただきたいと思います。

○田辺部会長

 どうぞ。

○加茂谷専門委員

 今の松本先生の御指摘ですが、結果のステージがどこにあるのかというのは、もう少し詰めなければならないと思います。最終的な結果が出ていることに対して、企業サイドが言って、そこは覆らない部分もあろうかと思いますが、その前段階において、こういう部分に関して意見があるか、あるいはコメントがあるか聞いていただける場面を頂戴したいという、企業サイドの理解でございます。

○田辺部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 私の理解では、結果にステージはないと思います。結果は結果です。

○田辺部会長

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 そこが大事なところで、途中でデータが足りなければ、こういうデータをくださいとか、そういう話はあるでしょうけれども、出た結果について、協議をしましょうというのは、途中も最後もないと思います。それをやってしまったら、独立性も公平性も中立性も何もなくなると思います。当然企業は自分に有利なデータを出してくるでしょう。だから、この組織をつくって、きちんと客観的な立場から再分析結果を出すということは、各国ともやっているわけで、それが研究班だからいいのではないかというのは、白川先生とは思えないようなお言葉だと思います。ここからきちんとやっていかないと、しっかりとしたものはできないと思いますので、そこは切り分けていただきたいと思います。

 先ほど加茂谷さんは、結果について、我々と違った場合、前もって協議をさせてほしいというお話をされていましたが、それは違うのではないかと思います。参考人の方が再分析する際に、足りないデータは、企業に提出を求めることはできますが、出た結果について、前もって協議するのは、おかしいと思います。それはすべきではない。結果は再分析の結果が全てなのです。そうでないと、おかしい。何のために再分析をするのですか。

 但し、再分析結果の理由については、しっかり説明しなければいけません。だから、参考人の責任は重いのです。非常に重い責任を担って、三人の参考人の方々は今後おやりになるわけです。そこはきちんと心してやっていただけるものと思いますが、企業の言うことを、はい、はいと聞くようでは、先が思いやられて、心配です。それではこれまで何のために議論してきたのかということになりますので、そこはしっかりと区別していただきたいと思います。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 本日、いろいろと御指摘をいただいておりますけれども、○1○2で共通しておりますのは、企業から提出されたデータを研究班で検討していただいて、それをどういう形で、中医協の部会で議論していただくかということだと思います。

 今後、具体的な作業としては、スケジュールを見ていただきましたとおり、秋以降、具体的な御議論・検討ということになります。それまでに事務局で再度整理をさせていただいて、進め方について、御議論いただきたいと思っております。

○田辺部会長

 ほかに御意見はございますでしょうか。どうぞ。

○石山委員

 今、鈴木先生がおっしゃったとおり、結果は結果なんです。ただ、大事なのは、過去のデータというか、過去の分析をやろうとしているわけです。その過程で、具体的に議論を進めて、福田先生を初め、問題点なりがいろいろ出てくると思います。今はあくまで仮定で話しているわけです。その過程で、気がつく点などをきちっとトレースして、いけばいいと思います。結果は結果だと思いますが、その結果の情報を提供して、企業の方なり、関係者から意見を聴取する機会に役立てていけば、いろいろと片づいていくのではないかと思いますので、その辺は経験を踏まえながら、やっていただきたい。

 あと、田村先生のように、ほかにこういうデータがあるという後づけは、絶対におかしいと思います。会社に有利なものでもいいですから、最初から出すべきものは出す必要があると思います。議論を進めていく過程の結果自体は大事にしてほしいと思います。

 以上です。

○田辺部会長

 どうもありがとうございました。

 ほかに御意見はございますでしょうか。どうぞ。

○矢内委員

 私もほぼ白川委員と同じ意見です。これからやろうとしていることは、研究班が研究をするという前提において、条件設定をしてやっていこうということです。そのときには、今、議論されている問題点のほかにも、研究班がやっていく過程の中で、実際に実行しようとするときに整理しなければいけない問題がいっぱい出てくると思われます。そういった研究班の過程の中から出てくる問題点をしっかりと整理して、この制度を組みたてるときに、最終的な姿にするということではないか。現時点において、過程の中で試してみることも必要になります。そういう中の1つとして、捉えていいのではないかと思っています。したがって、今回の原案というか、ここで提示されている考え方でとりあえず進めてみて、問題がクリアになれば、最終的にはそれを修正して、多くの方が納得のいく姿にもっていくということが必要になってくるのではないかと思います。

○田辺部会長

 ほかに御意見はございますでしょうか。どうぞ。

○田村専門委員

 データを追加提出することについて、いろいろご指摘をいただきましたので、追加の御説明をさせていただきたいと思います。

 通常の保険償還の申請でもそうだと思いますし、費用対効果でもそうだと思いますが、何かしら枠を決めて、こういう理由で、こういう分析結果が出たと申し上げるのだと思います。例えば費用対効果ですと、比較対照する技術は何かとか、評価期間は3年にするとか、5年にするとか、そういうことで、企業側はデータを分析して、申請するということだと思います。

 もし枠組みが変わって、比較対照が変わったとすれば、多分それは事前にこちらにもお問い合わせがくるんだと思いますが、例えば比較対照が変わるとか、評価期間が変わるとか、枠組みが変わった場合には、全てのデータについて、最初から出しているわけではありませんので、そういう場合には、新たな追加データが必要になるのではないかということです。

 今、申し上げた2つの例は、かなり大きな枠組み変更ですが、そのようなことは、いろんな場面で発生すると考えております。

○田辺部会長

 どうぞ。

○印南部会長代理

 1つ質問させてほしいんですけれども、ケーススタディーということで、事前に企業に開示する場合、開示した事実とか、開示に対する企業側の反応とか、そういったものは、この場にちゃんと報告されるんでしょうか。予見できない問題点があるということで、事前に開示することはあり得るかもしれませんけれども、それが何だったのかということが、我々がわからなければ、全く意味がないので、されるんでしょうかというのが質問です。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 今の御質問ですが、取り扱いに関しても、今後、検討していくということでございます。そもそも開示というのは、どういう形でするのか。開示という表現がよくなかったのかもしれませんけれども、それをどういう形でするのか。開示されて、結果に関して、企業から意見がある場合、どうするのかということも含めて、繰り返しになりますが、一旦、事務局で整理をさせていただいて、また御議論していただきたいと思っております。

○田辺部会長

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 もめているのは、3つ目のポツのところです。ですから、もしきょうお決めになりたいということでしたら、これは削除して、問題があったら、それを議論したらいいのではないですか。

 この一文を入れると、拡大解釈される可能性がありますし、透明性・公平性・独立性が担保できなくなるおそれがありますから、試行といえども、最初が大事なので、こういったことをきちんとやっていかないと、我が国においてしっかりとした組織ができないと思います。NICEHASIQWiGと並ぶようなものをつくりたいということで、おやりになる覚悟がないと、こういうことはやらないほうがいいと思います。結局、いろいろなところから圧力がかかって、今日のようなことで、潰されてしまいます。お三人の方は、それだけの覚悟を持っておやりになるということなのですから、それを応援するようにしないといけないと思います。前もって企業が接触してきたら、どんなことを言うのか。我々としては、非常に懸念するところなので、もしここの文章をきょう決めるということであれば、3ポツ目を削除することが必要ではないかと思います。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 今回、○1の取り扱いに関しましては、相当意見が分かれておるところでございまして、表現ぶりも含めて、一旦整理をさせていただきたいと思っております。そういうことで、大まかな方向性としての御議論、特に○2については、今後、詳細を詰めるということで、合意いただいて、○1の取り扱いに関しては、再度○2の具体的な内容の御議論も含めて、きちんとさせていただきたいと思っているところでございます。次回以降、また御議論いただければと思います。

○田辺部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 今の話し合いの中で、最終結果については、あらかじめ言わないというのは、皆さん合意されたと理解しました。ステージという話も出てきましたけれども、結果については、あらかじめ企業には言わない。皆さん、そういう御意見だったと理解しました。

○田辺部会長

 白川委員、どうぞ。

○白川委員

 事務局から、この文面について、次回以降、もう一度、議論させていただきたい、言ってみれば、閉めたいという御要望ですので、私も賛成です。

 それから、今、松本先生がおっしゃいましたけれども、企業に事前開示しないという意見が大勢だということについては、私はそうは言っておりませんので、念のため申し添えます。

 いずれにしても、今日は、事務局が提案するように、これで閉めるほうがよろしいのではないかと思います。

○鈴木委員

 同意します。

○田辺部会長

 非常に大切なことですので、貴重な意見をいただきました。次回以降、事務局でまとめた案、皆様方の意見をできるだけ組み込む形で、次の案を提示させて、また御議論いただきたいと思います。本日のところは、この形で引き取らせていただければと思います。

 どうぞ。

○堀委員

 1点、確認をお願いしたいんですが、基本的なところなんですが、費用対効果につきましては、この部会で相当長く慎重に対応してきたところですけれども、先般の閣議決定では、かなり踏み込んで、具体的な対応についての書き込みがなされておりますので、それを踏まえて、今後この部会での議論のあり方について、変化があるのか、ないのか、見解をお聞きしたいと思います。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 部会では、決めていただいたとおり、具体例の検討を着々と進めていきまして、それと並行して、いろんな組織のあり方についても進めていく。これは変わっておりません。平成28年4月目途に試行的にというところも、中医協で合意した内容と同じでございますので、そういう意味では、予定どおり進めていくという理解でございます。

○田辺部会長

 どうぞ。

○堀委員

 ありがとうございました。

 費用対効果の活用が非常に注目されているのは理解しているんですが、現時点でも、まだまだたくさん宿題や課題があるので、ぜひ慎重に議論を進めていただきたいと思います。これは要望しておきたいと思います。

○田辺部会長

 ほかに質問はございますでしょうか。

 それでは、先ほど申し上げましたように、皆様方からいただいた意見を踏まえまして、事務局に原案を考えていただいて、また議論したいと思います。

 この議題につきましては、この辺りにさせていただければと存じます。

 本日の議題は以上でございます。

 次回の日程等について、事務局からお願いいたします。

○佐々木医療課企画官

 次回は未定でございます。また御連絡を申し上げます。

○田辺部会長

 それでは、本日の「費用対効果評価専門部会」は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

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