ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会> 第1回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(2014年9月18日)




2014年9月18日 第1回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会

医政局

○日時

平成26年9月18日(木)16:00~18:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○議事

○北波地域医療計画課長 それでは、ただいまから第1回「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、まことにありがとうございます。

 議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と、事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、座席表及び構成員名簿の配付をもって御紹介にかえさせていただきます。また、本日は、齋藤訓子構成員、清水信行構成員、松田晋哉構成員から欠席との御連絡をいただいております。

 それでは、まず事務局を代表いたしまして、医政局長の二川より御挨拶申し上げます。

○二川医政局長 医政局長の二川でございます。

 構成員の皆様には御多忙の中、この「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 皆様御承知のとおり、さきの国会で「医療介護総合確保推進法」が成立し、地域にふさわしい医療提供体制を構築するといった観点から、病床機能報告制度を導入すると。それと、この病床機能報告制度による情報をもとにして、都道府県が来年度から地域医療構想を策定する、こういったことになったわけでございます。

 病床機能報告制度につきましては、この7月に「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」といったところで、その制度設計を取りまとめていただいたところでございます。この10月から施行ということになっているわけでございます。

 そして、いよいよ来年4月のこの地域医療構想の施行に向けまして、各都道府県が地域医療構想を策定するためのガイドライン、この議論を始めさせていただくといったことでこの検討会の設置をしたということでございます。

 本検討会は、病床機能報告制度の検討会を引き継ぐ形で開催をしておりまして、構成員の方々も以前のメンバーの方を中心としつつ、新たに幅広い医療関係団体の方々、市町村の方々、有識者の方々にお入りいただいた、こういった構成になっているわけでございます。

 法律の施行が来年4月ということで、迫っているといったところでございますので、短期間になりますけれども、大変重要な事項を御議論いただく検討会でございますので、構成員の皆様にはぜひ忌憚のない御意見をいただき、ガイドラインがよいものになりますように、ぜひとも御協力をお願い申し上げたいと思います。

 簡単でございますけれども、冒頭御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○北波地域医療計画課長 それでは、初めにお手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元に議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1~7まで、また参考資料1~9までをお配りしております。不足等ございましたら、お知らせいただければと思います。

 それでは、続きまして、本検討会の座長についてお諮りしたいと思います。

 資料1が開催要綱でございますが、開催要綱におきましては「座長は構成員の互選により選出する」とされております。どなたか御推薦いただけますでしょうか。

 西澤構成員、よろしくお願いします。

○西澤構成員 遠藤構成員を推薦したいと思います。

○北波地域医療計画課長 ただいま西澤構成員より、遠藤構成員を御推薦するという御意見がございました。皆様方いかがでしょうか。

(拍 手)

○北波地域医療計画課長 それでは、皆様方に御賛同いただきましたので、遠藤構成員に座長をお願いしたいと思います。

 遠藤構成員におかれましては、座長席にお移りいただきまして、以後の議事運営をよろしくお願いをいたします。

(遠藤構成員、座長席へ移動)

○遠藤座長 遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず、議事に入ります前に、開催要綱では、座長は座長代理を指名することができるとされておりますので、ここで座長代理を指名させていただければと思います。

 座長の代理を尾形構成員にお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。

○尾形構成員 よろしくお願いします。

○遠藤座長 よろしくお願いいたします。

 次に、代理出席についてお諮りしたいと思います。団体を代表して御参加いただいている構成員の方が欠席の際には、かわりに出席される方について事前に事務局を通じて座長の了解を得ること、及び当日の会合において承認を得ることにより、参考人として参加し、発言をいただくことを認めることとしたいと考えておりますけれども、そのような段取りでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、早速代理出席についてお諮りをしたいと思います。

 齋藤訓子構成員の代理としまして、公益社団法人日本看護協会副会長の菊池令子参考人の御出席をお認めいただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、議事に移らせていただきます。本日はまず、事務局資料に基づきまして、議論を行いたいと考えております。その後、本日は長野県佐久総合病院の北澤先生を参考人としてお呼びしております。本検討会の今後の議論に資するため、北澤先生からは、佐久総合病院における機能分化・連携について、御紹介をいただくこととしておりますので、その内容について御議論をしていただきたいと思います。

 それではまず、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

 事務局、どうぞ。

○佐々木医師確保等地域医療対策室長 医政局地域医療計画課の佐々木と申します。恐縮ですが、座ったままで資料説明をさせていただきます。

 お手元に御用意いただきます資料は、資料2~6までと、参考資料8及び議事次第をお手元に御用意いただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 まず、議事次第で申し上げますと、議事の○の1つ目、「検討会で議論すべき論点及び検討会の今後の進め方について」は、資料3、4を用いて、この後御説明いたします。

 その下の「今後の地域の医療提供体制の方向性について」は、資料5を用いて御説明いたします。

 その次「構想区域の設定の考え方について」は、資料6と参考資料8を用いて、この後御説明いたします。

 それでは、説明をさせていただきます。

 まず、資料2ですけれども、これはまず、この検討会で御議論いただく背景となりました、先ほど局長の二川からも御紹介いたしました医療提供体制の改革、今回の6月18日に成立いたしました「医療介護総合確保推進法」ではどう定められているのか、その御説明をしたいと思います。

 資料2の1ページの下のスライド番号1となっているところですけれども、6月18日に成立いたしました「医療介護総合確保推進法」では、この資料の「2.地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(医療法関係)」とありますとおり、2に医療法関係、その下の3の介護保険法関係の総合確保方針実現のために、上にいきますけれども、「1.新たな基金の創設と医療・介護の連携強化」、新しい法律名で言いますと、「医療介護総合確保促進法」によりまして、同じく1の○1になりますが、「地域医療介護総合確保基金」という新しい基金を創設いたしまして、さらに医療介護総合確保方針を厚生労働大臣が定めるという骨格になっております。

 1枚めくっていただきまして、スライド2をごらんください。○1及びその下の○3にございますとおり、先週12日に総合確保方針がまとめられました。そして、スライド番号2の○2、その隣のページにいきますが、スライド番号4、5が基金の概要となっております。基金の説明の詳細は省略いたしますが、この基金につきましては、総合確保方針と同じ先週12日に関連する通知等を都道府県に示し、今月中に都道府県の計画案を提出していただく予定になっております。

 めくっていただきまして、スライド番号6から一番最後の11までが、本検討会で御議論いただく地域医療構想を中心とした病床機能報告、地域医療構想、「協議の場」、基金、知事権限の5つの今回の法改正事項の相対的な関係ですとか、スケジュールを示しております。

 来月10月から病床機能報告制度が始まりますが、スライド7をごらんください。これによって、一般病床、療養病床を有する医療機関は、このスライド7にある事項を都道府県に報告していただきます。

 その上で、スライド番号8にありますとおり、来年4月から都道府県は地域医療構想を策定し、そしてスライド9の下のほうですけれども、ここのとおり地域医療構想の実現に向けて、個別の医療機関の自主的な取り組みや「協議の場」、新たな財政支援制度、先ほどの地域医療介護総合確保基金ですが、これらをそれぞれの地域の実情の応じて組み合わせていただくことを想定しております。

 後ろのページ、スライド10ですが、今、申し上げたとおり、地域医療構想の実現には、「協議の場」が重要な役割を果たしております。地域医療構想を実現する仕組みとして、「協議の場」などの詳細な説明をこのスライドの中でしております。

 その下のスライド11ですが、今、申し上げたことがどれぐらいのスケジュール感なのか、そのスケジュール感を示しております。今年度中にこの検討会で地域医療構想のガイドラインをまとめていただき、そして来年度、平成27年度から地域医療構想を各都道府県で策定していただくことを考えております。

 なお、地域医療構想ですけれども、これは医療計画の一部という位置づけです。この医療計画は、昨年度から第6次の計画が各都道府県で始まっており、今回の医療計画からはPDCAサイクルを回すということを求めております。厚労省としても、昨年度に研究会を設置し、尾形構成員に座長をお願いいたしましたが、その研究会を設置するとともに、さらに今年だけでも都道府県職員を対象とする研修を3月、7月、9月に行ったところでございます。

 今回の法改正によりまして、今、申し上げた医療計画の計画期間は現在5年間ですが、平成30年度からの第7次計画以降は6年間とし、そして3年の中間見直しにより、介護保険関係の計画と整合性を持つことを想定しております。

 以上のこの背景をもとにいたしまして、資料3をごらんください。後ほど御議論をいただくテーマの1つ目の関係になります。

 資料3ですが、本検討会で御議論いただきたいことは、大きく分けて3点ございます。

 1つ目は、「地域医療構想策定ガイドラインに盛り込むべき事項について」。

2つ目は「策定した地域医療構想の達成の推進のための『協議の場』の設置・運営に係る方針について」。

3つ目は「病床機能報告制度において報告される情報の公表のあり方等について」でございます。

4でその他のバスケットクローズも置いております。

 この中で特にメインになりますのが、「1.地域医療構想策定ガイドラインに盛り込む事項について」でございますが、この御議論をいただく際に「(1)あるべき将来の医療提供体制の姿について」から「(5)都道府県において地域医療構想を策定するプロセスについて」と、御議論をいただく際にわかりやすくと申しますか、議論を進めやすくなりますように5つの柱をまず仮に置いております。このガイドラインに盛り込むべき事項につきましては、この1ページの内容を今後ガイドラインという形で膨らませていただきたいと考えております。

 この1のガイドラインを、ではどのように膨らませていくかでございますけれども、これは2025年、つまり10年余り先の、全ての構想区域における地域医療提供体制を住民の方が想像できるよう、かつ47の都道府県や構想区域で、県庁職員だけでなく関係者が集まって地域医療構想を策定できるというレベルにこのガイドラインを仕上げていただきたいと考えております。つまり、構成員20名いらっしゃいますけれども、構成員の皆様や、私ども厚生労働省の視点だけではなく、日本各地でこのガイドラインが用いられることを想像しながら、繰り返しになりますけれども、2025年の全ての構想区域における地域医療提供体制を住民が想像することができるよう、47の都道府県や構想区域で県庁職員だけでなくさまざまな関係者が集まって、地域医療構想を策定できるレベルにしていただきたいと考えております。

 幸いと申し上げますか、構成員の皆様が普段生活されておられる場所が、北海道から本州、四国、九州各地そろっておりますし、あと23区の方もいらっしゃいますし、また、各都道府県も海のある県、海のない県、さまざまでございますので、日本各地の現場を意識した御議論をしていただけるものと期待しております。

 さて、資料4でございます。この資料4は、資料3とあわせて、議題の1つ目で御議論いただきたい内容でございます。先ほど資料3の各事項について、資料4にありますとおり順次御議論を開始していただき、かつそれぞれの事項、(1)~(5)はそれぞれ相互に関連いたしますので、9~10月に議論いただくこと、1012月に議論いただくこと、そして11月以降御議論いただくことと重ね合わせながらガイドラインづくり等を進めていただきたいと考えております。

 なお、取りまとめを1月目途としておりますのは、先ほども申し上げましたけれども、この地域医療構想は、日本各地でさまざまな関係者が集まって策定されますので、このガイドラインの策定に当たっては、私ども厚生労働省が県庁職員に周知すればよいというものではなくて、構成員の皆様などが幅広く周知していただくことを想定しています。このため、2カ月ほど、2月、3月とその周知期間を確保したいということで、1月までにガイドラインをまとめたいと考えております。

 この9~10月、1012月、11月以降、先ほどの資料3の(1)~(5)に対応しておりますけれども、この中でも、2025年の医療需要及び各医療機能の必要量の推計方法につきましては、資料3の(2)、(3)に相当しますが、これは時間をとって御議論いただき、今回、そして次回の9月、10月につきましては、1の(1)に相当する部分を御議論いただきたいという当面のスケジュールを考えております。

 さて、次の資料5でございます。議題では「今後の地域の医療提供体制の方向性について()」ということに対応する資料でございます。まず、この資料5は先ほどの資料3の1の(1)のいわばガイドラインの総論編に当たります。この資料5の四角囲みに○1~○6まで柱を立ててございますけれども、構成員の皆様は、この○1~○6の文言に至る背景や経緯を含めて想像を膨らませることができるかと思いますけれども、その想像されている姿を日本各地で同じように、かつ地域の実情に応じた形で描いていただけるよう、ガイドラインにこういう形で盛り込むべきではないかというフレーズですとか、キーワードをどんどん御提案いただきたいと思っております。

 なお、この後、本日、御提案、御指摘いただいた内容は、最終的にはガイドラインづくりの検討会でございますので、ガイドラインの中でどのように反映されるかが、当然ですがポイントになります。ですので、今日御議論をどんどんいただきまして、後日、次回以降改めてガイドラインの案をお示しする段階で、ちゃんとこれらが文章としてこなれたものになっているのか、読み手に伝わるのか、議論する際に、想定しているような御議論をいただけるようになるのか、そういう視点で御確認、御議論を次回以降いただきたいと考えております。

 最後、資料6をごらんください。あわせて参考資料8も御用意いただければと思います。

 本日、御議論いただきたい点の3点目、構想区域の設定の考え方についてでございます。この構想区域につきましては、資料5ではどんどん御提案くださいと申し上げましたけれども、決めていただきたい内容も資料6には含まれてございます。このため、このページの中ほど以降にあります<構想区域の設定の考え方>という部分ですが、これを全文まずは読み上げたいと思います。

<構想区域の設定の考え方>

○ 構想区域については、医療法上、「地域における病床の機能の分化及び連携を推進するための基準として厚生労働省令で定める基準に従い定める区域」とされており、病床の機能分化・連携を推進する区域として、どのような区域が適当か。

○ これまで、都道府県においては、機能分化・連携を含め、地域の医療提供体制の確保を図る区域として、医療計画の中で二次医療圏を定めている。

  また、医療介護総合確保促進法では、都道府県は医療介護総合確保区域を定めて、基金を活用した地域の医療介護の総合的な確保を図ることとしている。この総合確保区域については、本年9月12日に公布された「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(平成26年厚生労働省告示第354号)において、「二次医療圏及び老人福祉圏域を念頭に置いて設定するものとする」とされている。

  これらを踏まえ、構想区域は、二次医療圏を原則としつつも、現行の二次医療圏は、

 ・ 人口規模や面積に大きな差がある圏域があること、

 ・ 大幅な患者の流出入が発生している圏域があること、

 ・ 圏域によっては、基幹病院へのアクセスに大きな差が生じていることに留意する必要があるのではないか。

○ また、地域医療構想は「将来の医療提供体制に関する構想」であることから、構想

区域については、現在時点の医療提供体制の確保を図る圏域である二次医療圏域と異なり、将来(2025年)における

1  人口規模

2  患者の受療動向(流出率・流入率)

3  疾病構造の変化

4  基幹病院までのアクセス時間等の変化

等の要素を勘案して、地域の実態を踏まえ、定める必要があるのではないか。

  以上のような点を踏まえて、都道府県においては、病床の機能の分化及び連携を推進するための区域を定めることが必要ではないか。

としております。

 参考資料8の7ページをごらんください。

「二次医療圏間の人口・面積について」でございますが、先ほどの資料6の2ページの中にも、現在の二次医療圏が人口規模や面積に大きな差がある圏域があることという説明をいたしました。その参考資料が7ページになっております。このように、現行の二次医療圏では、面積・人口ともに地域によっての開きがございます。もちろんこれは、だからと言って、開きがあるから直ちによい、悪いというわけではございませんで、地域にはそれだけバリエーションがあるということの資料としてつけております。

 続いて、同じく参考資料8の11ページのアンダーラインの部分をごらんください。

この医療計画では、基準病床という考え方があって、それは一般病床、療養病床については二次医療圏ごとにという概念がございますけれども、医療の現場におきましては、当然病気の種類や、またはその病気のステージに応じて、医療機関へのアクセスをどう確保するのかが異なってまいります。このため現行の医療計画でも5疾病・5事業及び在宅に関して、このアンダーラインにありますとおり、エリアの定め方について弾力的に設定をすることを可能とする規定を設けております。

 また、資料6に戻っていただいて恐縮ですが、以上を踏まえ、本日は特に、2ページの「何々ではないか」と書いてあります。これらの部分を御議論いただきたいと思っております。

 資料6の3ページに、二次医療圏ですとか、今回御議論をいただく地域医療構想区域、先ほど御説明した医療介護総合確保区域や老人福祉圏域、これらの法律上の根拠などを一覧にしております。この中で、唯一空白になっておりますのが、地域医療構想区域の設定の考え方でございますので、ここの部分をどう決めるか、その御議論をいただくということになります。

 多少整理いたしますと、2ページの1行目にありますとおり、構想区域は二次医療圏を原則としつつ、その上でどのような要素や条件があれば、例えばこの○1~○4といった、どういう要素や条件があれば一番下の○にありますとおり、二次医療圏によらず構想区域を定めることができるという勘案すべき事項は何なのか、こういう点を御議論いただければと思っております。

 資料の説明は以上でございますが、改めまして、議事次第の「検討会で議論すべき論点及び検討会の今後の進め方について」が資料3と4、「今後の地域の医療提供体制の方向性について」が資料5、「構想区域の設定の考え方について」が資料6で、本日は資料3の1の(1)の部分を中心に御議論いただきたいと考えております。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 資料の説明と同時に、本日議論をしていただきたい内容について、事務局から御報告がありました。

 それでは、順番に議論をしていきたいと考えます。

 まず、資料3及び4におきまして、本検討会で議論する事項及びスケジュールを議論したいと思います。その後で、資料5及び6において、資料3の1の(1)について本日議論していただきたいということでしたので、この「あるべき将来の医療提供体制の姿について」ということについて御議論いただく。2段階でやりたいと考えております。

 それでは、まず資料3及び4につきまして、御質問、御意見等あればと思います。繰り返しますが、資料3は個別の内容を踏み込むということではなくて、こういうことを議論していただきたい事項として事務局が出しておりますが、これでよいのかどうか、こういう視点で御議論いただくということでございます。

 それでは、御質問、御意見あれば承りたいと思います。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 質問というか確認ですが、地域医療構想区域、これは都道府県が定めるのですね。間違いないですね。

○遠藤座長 事務局、どうぞ。

○佐々木医師確保等地域医療対策室長 そうです。都道府県が定めることになっております。

○中川構成員 その定め方は、都道府県独自でいいということですね。

○北波地域医療計画課長 法的な制度から申し上げますと、構想区域の議論をしていただきまして、それはガイドラインに盛り込むのですが、同時に、私どもが規定します省令というところにも基準という形で盛り込むことになります。資料6をごらんいただければ、医療法の第30条の第4というのが規定として出ておりまして、ここの条文のところで「地域における病床の機能分化及び連携を推進するための基準として厚生労働省令の定める基準に従い定める区域」という形になっておりますので、こういう形で一定のルールのもとで決めていただくという構成になります。そこをどういうふうな形でルールづくりをするかということを、まさに御議論いただきたいと考えております。

○遠藤座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 この流れを見ていくと、都道府県で地域医療構想を定める議論をするときに、地域医療構想区域が定まっていないと、なかなか議論になりませんよね。それはいいですか。そこで、改正医療法、従来の医療法を含めてですが、地域医療構想は医療計画の一部なので、例えば都道府県医療審議会が主導的な役割を果たすわけですよね。そして、地域医療構想策定後から、策定の時点から協議の場が設定されて、単位としては、地域医療構想区域単位、医師会的に言うと、郡市区医師会の単位で協議の場を設定して、そこから議論が始まるということになりますよね。理解としてはそれでいいですか。

 そういう流れの中で、地域医療構想ができて、突然、地域医療構想区域ごとに協議の場を設定して、考えてください、議論してくださいというのはなかなか難しいと思うのです。それで私は、全国において、協議の場の前倒しの設置、これを提案したいと思います。その前倒しに設置した協議の場と、地域医療構想を議論する都道府県医療審議会の関係は、それぞれ県によって違うのだろうと思いますが、そういう提案はいかがでしょうか。

○遠藤座長 事務局、いかがですか。

○北波地域医療計画課長 お答えをいたします。

 基本的には、協議の場というものについて、法的な規定ぶりにつきましては、地域医療構想というものを策定していただいた後に、その実現をどのように図るかという意味での位置づけで規定はされております。ただ、今、中川構成員がおっしゃられましたような趣旨、これはまさに重要なところだと思っております。これは本検討会で議論していただきたい事項、資料3の(5)というのがございまして、「都道府県において地域医療構想を作成するプロセスについて」、ここのところで具体的にどのようにやれば、今、御指摘をいただきましたように、構想区域を決めてからでないとなかなか話が進まない。さらに構想区域を決めるプロセスをどうするのかとか、そういうことの御議論をいただき、また、それをガイドラインに盛り込むということになろうかと思います。まさにここの部分で御議論をいただきたいと考えております。

○中川構成員 わかりました。

○遠藤座長 ありがとうございます。それはまた、5の議論をするときに御発言いただきたいということです。

 ほかにございますか。

 はい、相澤構成員どうぞ。

○相澤構成員 (2)、(3)で、データをもとに推計をするということになっているのですが、そのデータは、そもそも国民全体の医療だとか介護を全て網羅するようなデータがナショナルデータベースにそろっているのでしょうか。

私の聞き及ぶ話によると、ある健康保険組合とか、あるいはどこかの組合のデータというのが全部そろわないのだという話を聞いたことがございますし、それから、そもそも在宅医療、どこがどんな在宅医療をやっているのか見るというのは、私、いろいろやってみたのですが、どこにもデータがないということに思えるのですが、その辺に関しましては、厚労省はどのように考え、そしてもう全てそろっていると考えておられるのか教えていただきたいと思います。

○遠藤座長 これも詳細については、(3)の議論のときでいいと思いますけれども、ただ、議論する上での基本データの所在の話でありますので、もし今、お答えできるのであれば、お答えいただければと思います。

 事務局、どうぞ。

○北波地域医療計画課長 今、座長からお話がありましたように、まさに(2)(3)の議論の中で御議論いただくべきことではありますけれども、私どものスケジュール感から申し上げますと、この地域医療構想の関係については、来年の4月から施行になるということでございます。そういうことでありますので、このガイドラインの検討会において、現行ありますデータをいかに活用して、どういう推計方法ができるか、そういうことをまさに御議論いただきたいと思っております。データの完全性とか、そういうところについての御意見は当然あろうかと思いますが、現行あるデータで何が活用できるのか、こういうところが、恐らく次回以降、議論いただくことになろうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤座長 そういうことですから、(3)の議論をするときに、この推計に用いるデータの特性について、まずは丁寧に御説明いただくという形で、そういう対応でよろしゅうございますか。

○相澤構成員 はい、わかりました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。スケジュールのほうでも結構でございますが。

 それでは、武久構成員どうぞ。

○武久構成員 2つ教えていただきたいのですけれども、一応、資料3には「2025年の」と書いてありますけれども、2025年というとあと10年ですよね。10年後を目標として、それ以後は考えないで、とりあえず2025年にあわせていくのか。それ以降も考慮しながらいくのか。

と申しますのは、今の二次医療圏が決定されたのが28年ぐらい前だと思うのですけれども、その間に物すごい勢いで過疎地が広がっておりまして、この傾向は今後ますます広がると想定されておりますので、せっかくこういうガイドラインがあるのですから、2025年及びそれ以降、どのぐらいまでかはわかりませんが、考慮していただけたらと思います。

 もう一つは、ここのガイドラインを厚生労働省等で、ある程度このように包括区域を決めようとしたときに、各都道府県が独自に、ガイドラインを無視していろいろなことを決めていく場合に、それは協力を要請するということで終わるのか、それとも、各都道府県の独自に任せるのか、その2点について、お伺いしたいと思います。

○遠藤座長 事務局、いかがですか。

 地域医療計画課長、お願いします。

○北波地域医療計画課長 済みません、2点御指摘がありました。

 1点につきまして、2025年以降のところも視野にという御指摘だと思います。また、資料に戻りますけれども、資料6の条文が「医療法第30条の4()」と書かれてございます。将来の病床数の必要数とか、「将来の」という表現がございまして、ここの解釈につきましては、基本的には、団塊の世代が後期高齢者になり切る2025年というのをターゲットにするということで大体の合意はとれていると思います。したがいまして、まずは2025年にはどうなるのか、そこに至る道筋はどうなのかということを御議論いただきたいと考えております。当然、それ以降にどうするかというと、その展望まではなかなかガイドラインにどこまで盛り込めるか、そこは色の濃淡はあろうかと思いますので、まずは検討のところにつきましては、2025年というのを目標にして御議論いただきたいというのが事務局の思いでございます。

 また、ガイドラインに従わない構想というものをどう扱うかということでございます。ガイドラインは、従うべきというよりも、むしろ従っていただきたいものでございますし、まさに都道府県がガイドラインをもとに、地域医療構想を立てやすくするという意味合いがございます。したがいまして、全く違うものをつくったときにどのようなペナルティーがあるか、それは法律上も特に書いておりません。

いずれにしましても、やはり都道府県がきちんとしたプロセスを持って、妥当なところで決めていただくというのが前提になっているということでございますので、ガイドラインをつくっていただきますれば、私どももそれをもって、都道府県には周知の徹底、また趣旨をお伝えするという努力をして、そしていいものをつくり上げていきたいと考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 今の議論は非常に問題がありますよ。ガイドラインは従っていただきたいものだというのは違うでしょう。これまでの医政局のこの種の検討会の議論は、何度も私は確認しながら進めてきたのですよ。ガイドラインは参考です。そして地域医療構想は、47都道府県あれば47通りある。県の中でも、構想区域ごとにいろいろ特色があるのだと。地域の実情を反映しながら地域医療構想をつくっていって、協議の場で議論しながら、2025年の医療提供体制を構築するのだと何度も確認しながら進めてきたはずです。

武久委員の発言の中の「ガイドラインを無視して」という言葉がありましたけれども、あれは不適切だと私は思いますね。なぜこういうふうに「参考だ」と強調しているかというと、都道府県庁は、ガイドラインと違うからだめだと、極めて高い確率で言いがちなのです。そういうことを抑止するために、ガイドラインはあくまでも参考だということを確認しながら議論をしてきたつもりです。課長、申しわけないけれども、補足と言いますか、言い直していただけませんか。

○遠藤座長 では、総務課長お願いします。

○土生総務課長 これからガイドラインの中身を御議論いただくということでございますし、ガイドライン自体も、医療部会等々でも、地方の自主性を生かせるようにするということは確認されているわけでございます。法的な説明につきましては、今、申し上げたとおり、特段齟齬がある場合に是正を要求するというような形にはなっていないということでございますので、私ども、いかなるガイドラインにしても、当然一定の地域性というのは認めるということになろうかと思いますし、合理的な判断のもとに何か違うことを決められるということは、それはあり得ることだろうと思っておりますので、基本的にはそれを踏まえてつくっていただくということですので、法的な意味で参考であるとか、全く無視をするということを、どの程度自由度をまず持たせるのかということで、中身のところも含めて今後さらに議論を深めていただければ、事務局としてはありがたいと思います。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかに。

 西澤構成員、どうぞ。

○西澤構成員 今の議論を聞いていて、それぞれ立場で違うと思いますが、要するに、今まではやはり国が全国いろいろな都道府県の違いとか、あるいは市町村の特徴があるのに、意外とそれを無視して一律的な仕組みをつくって、それで地域では困っていたという実情があると思うのですね。ですから、今回はそういうことを頭に置いて、やはり都道府県が主体になってきちっとしたものにしていくためには、国は各都道府県、あるいは市町村が納得したものを出さなければならないと思います。

そうすると、先ほど、佐々木室長のほうから、北は北海道から南はと言いましたが、この検討会はいろいろな地域の方々がいる場でもあります。当然、都道府県の代表、市町村の代表もいます。そういうことで、いろいろな各地域の実情をわかった中での意見が出ると思います。ただ、ここに集まっている委員だけではもしかしたら不足かもしれませんので、この検討会を走らせると同時に、ぜひ各都道府県、市町村の実情とか生の声もより聞きながら、反映したガイドラインは、各都道府県、市町村が本当にそれを尊重してやれるようなものをつくる努力は必要だ、そのように考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 では、お手をお挙げになられておりました和田構成員、お願いします。

○和田構成員 医療提供体制の仕方ですが、私ども、歯科というのは、大体横に置かれての論議になると思いますので、最初に、ぜひ歯科医療のことも医療提供体制の中で頭の中に入れていただきたいなと思っております。

 今、がん患者さんの口腔管理に象徴されるように、いわゆる病院内における医科と歯科、あるいは医科医療機関、歯科医療機関が連携を行いながら歯科医療を提供するということを求められておりまして、やはり医科歯科に伴う入院患者の口腔の問題が放置されることのないように求めたいと思います。また高度急性期、あるいは回復期、慢性期、病床機能が分化しても、必要とされる歯科医療が提供されるように、いろいろな連携の仕組みが確保されるように検討をお願いしたいと思います。

 それから、病院歯科の部分は、高次歯科医療機能と言いますか、顔面外傷だとか、口腔がん関連に伴う額顔面の補綴、骨折、顎骨の矯正と、口唇裂もそうですが、そういう機能を担っておりますし、回復期、あるいは慢性期では誤嚥性肺炎、低栄養というような部分の視点も必要だと考えております。

 私どもは、医科入院患者に対しても、早期から歯科医療がかかわることも重要だと思っておりますので、いわゆる発症予防・重症化予防の面からも歯科の観点を入れていただきたい。

 要望でございますが、できれば病院歯科に関するデータについても、厚労省が把握されている部分についてもお示しをいただきたいと考えております。

よろしくお願いします。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ただいまの御意見と御要望ですが、特段、資料3を修文するということではなくて、基本的には個別の議論をする過程において、そのあたりは反映すればよろしいという理解でよろしゅうございますか。

○和田構成員 はい。

○遠藤座長 では、御意見として承りました。事務局として対応できるものについては、お願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ほかにございますか。

 それでは、安部委員どうぞ。

○安部構成員 先ほど、佐々木室長のほうから資料3につきまして、介護と医療提供側、それから国民、行政が、この将来あるべき姿をイメージできるようにするのだという御説明があり、とても重要なことだなと思います。

 この資料2の一番最後の11ページにありますポンチ絵の赤い丸。最終的にはここに落とし込むようなイメージでつくっていくのだと思うのですが、この中で、医療と介護が連携をすることが非常に重要なポイントとして示されておりますけれども、理念上は連携は非常に重要だと理解できるものの、その実現というのはなかなか容易ではないとも感じておるところであります。

 そこで、一つ質問なのですが、厚生労働省では、医療介護連携政策課をおつくりになって、本気になって医療と介護の連携をするということに取り組んでいただいていると思うのですが、これが医療計画なり、構想として都道府県に落ちた場合、連携を実現するような行政機能は今どういう状況になっているのか。それがすでに整っているのか、それぞればらばらなのか、それとも今後、きちんとそういったものを構築していくのかという点が、非常に気になるなというところであります。

 もう一点は、このガイドラインに盛り込む事項については、どちらかというと、提供する体制側の状況を事細かに整理して盛り込むということになろうかと思うのですが、今般、医療法でありますとか、医薬品医療機器等法においても、医療を受ける国民の役割が明記されているわけでありますので、そういった観点もこのガイドラインの中の考え方に入れてはどうかと思っています。

 以上です。

○遠藤座長 事務局、お願いします。

○北波地域医療計画課長 第1点の御質問の点でございます。都道府県の体制の話でございますが、先週の12日に、私ども厚生労働省で総合確保方針というのを告示で出させていただきました。その中では、医療と介護、相互の計画の整合性を保つであるとか、そういうものが盛り込まれています。今回の参考資料9にも出しておりますので、御参考にしていただければと思います。その中で、県の体制のあり方等についても示しておりますので、これに従いまして、県のほうで考えていただくことになろうかと思います。

 具体的には、参考資料9の6ページに、そのような形で体制の話、行政の役割の中で言及もされておりますので、今というよりはこれからという話だと思います。

 また、2点目につきましては、まさにこの検討会の中で御議論いただければと考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 まだ御質問したい、御意見をおっしゃりたい方がいらっしゃるかと思いますけれども、今日はヒアリングも用意しておりますので、また個別の議論をしていく過程で御発言いただければと思いますので、少し先に進ませていただければと思います。

 それでは、次でございますが、資料5の「今後の地域の医療提供体制の方向性について(案)」というところです。これは資料3の1(1)の最初の・の詳しい内容が資料5になっておりますけれども、もう既にこれについて言及された構成員もいらっしゃいますけれども、何かあればお聞きしたいと思います。

 石田構成員、どうぞ。

○石田構成員 市町村の自治体であり、介護保険の保険者の立場から発言をさせていただきます。

 今般、医療介護総合確保促進法では、介護保険制度も改正され、介護保険の地域支援事業に在宅医療、介護連携推進事業が組み入れられるということになっております。また、2025年に向けて、地域ごとに地域包括ケアシステムというものを構築するということになっており、今後さらに高齢者が増える見込みの中で、在宅での生活を支えるためには、医療依存度の高い高齢者が在宅で生活することを前提としていく必要があると考えています。これには地域高齢者への医療を支える診療所などが重要な役割を果たすこととなり、さらに、これらの診療所を後方から支援する病院の役割が期待されると思っているところであります。このために、こうした後方支援の機能を持った病院を、地域に速やかにふやしていくことが必要であると市町村の立場からは感じているということころであります。

 市町村では、介護保険事業計画を現在も作成しておりますが、具体的な介護給付と対象サービスの量の見込みや、見込み量の確保の方策も策定しておるわけでありますが、今後は、在宅医療、介護連携推進についても、この介護保険事業計画の中で計画するものと理解しているところであります。こうしたことから、在宅医療、介護連携を支える地域の病院機能については、一定程度市町村の意見が反映できる仕組みが必要であると思っているところであります。

 介護保険では、在宅医療、介護連携、地域ケア会議、認知症施策、生活支援、介護予防などの推進が実施されるということになっておりますが、ベースには、市町村と連携した高齢者の医療ニーズに即した地域への医療提供体制の構築がこれまで以上に必要であると思っているわけであります。

 検討会では、こうした点を踏まえて議論になるということを期待しているというものでございます。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、先ほどお手を挙げた順番で、土居構成員、菊池参考人の順番でお願いしたいと思います。

○土居構成員 ありがとうございます。

 私は、医政局のこの種の検討会には初めて構成員にさせていただきます。簡単にこれまでのバックグラウンドを申し上げると、私は財政を専門にしておりまして、財政の立場から社会保障、地方財政などを分析・研究して参りまして、今回、このような形で地域医療構想が策定される方向になったのは非常にいいことだと思っております。特に頭ごなしに医療費を抑えつけるという議論がどうしても医療費抑制の方から来るわけですが、何の根拠もなく上限をつけるわけにはまいらないというのは、私もかねがね思っていたところです。より地域の実情に合った形で地域医療構想が策定されるということを願っているわけで、その立場から意見を述べさせていただきたいと思います。

 今、資料5と6ということですけれども、基本的にはこの原案の方向性でよいのではないかと思っております。

 意見については、特に資料5に関連したところで申し上げたいと思います。

この資料5の中にもありますように、2025年の医療需要と各機能の必要量だけではなく、提供体制の方向性も定める必要があるということは、非常にそのとおりだと思っております。やはりそこはしっかり国民にも示していくことを通じて、我が国の医療がどういう方向に向かっているかを、各地各地で議論を深めながら示していくことが求められると思います。

 特に財政を専門にしているので、そこを心配するわけですが、やはり財源がなければ、医療提供体制も支えられないので、やはり与えられた財源を有効に活用するためにも、この資料5にもありますように、病床の機能分化・連携の推進、それから患者の状態に応じた質が高く、効率的な医療提供体制の構築というのはなくてはならないことで、これを実現できるようにしていくべきだと思います。

 それから、先ほど来議論がありますように、やはり各地各地でそれぞれの実情がありますので、地域差がどういう原因で生じているか、その要因の精査・分析を行って、それを的確に地域医療構想にも反映していただくことが求められると思います。これは、資料5のところだけではなくて、先ほどちょっと意見が申し上げられませんでしたけれども、資料3の医療の必要量の推計方法のところなどにもきちんと、今、申し上げたことを織り込んでいただいて、それを地域医療ビジョンの中に各県で反映していただくことが必要ではないかと私は思います。

 以上が意見でございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。御意見として承りました。

 お待たせしました。菊池参考人、どうぞ。

○菊池参考人 資料5の視点の○1~○4について意見を申し上げます。

 視点○1につきましては、今後高齢者が増えることで、完治せずにリハビリや生活の質の維持が必要な患者が増えてきますので、急性期から回復期、慢性期、在宅医療まで、患者の状態やニーズに合わせて効率的に医療を提供するために、病床の機能分化・連携が必要です。あわせて、各機能の病床において、質の高い医療を提供する必要もあります。一方で、マンパワーも有限ですから、各機能に合わせた医療従事者の適正配置を進めないと、医療従事者の過重負担や離職を招きかねません。

看護職員については、医療依存度の高い高齢患者が増加する急性期医療で手厚い配置が必要なことは言うまでもありませんけれども、回復期、慢性期、在宅においては、他職種と連携してトータルとして、質の高い医療を提供するようマネジメントできる質の高い看護職の配置が重要になります。どの機能においても、ニーズに合わせた医療の質を担保できるような、メリハリのあるマンパワーの配置を進めるべきと考えます。

 それから、視点○2につきまして、在宅医療の充実を進める上で、医療と介護の双方にかかわる訪問看護が重要な機能と考えております。地域医療構想において、訪問看護の拡充に計画的に取り組む視点が必要と考えます。これまで訪問看護は、医療と介護の2つの保険制度にまたがっていることもあり、国、都道府県、市町村において、所掌する部署が医療と介護に分断されてしまったり、谷間に落ちてしまいがちなところがありました。今後、医療が医療機関のみならず、在宅においても提供されることが多くなることを考えれば、医療と介護の双方にかかわる訪問看護は、医療と介護が一体的に提供される体制の構築に当たって必要不可欠と考えます。そこで、「今後の地域の医療提供体制の方向性」のところで、訪問看護の拡充に計画的に取り組む視点を明記する必要があると考えます。

 その上で、今後の検討になると思いますが、ガイドラインに盛り込む事項の、資料3の○1(4)の「あるべき将来の医療提供体制を実現するための施策」のところで、訪問看護を拡充するための具体策を明示すべきと思います。拡充には、ステーションの大規模化などとともに人材の確保が重要です。訪問看護師の養成、確保についての具体策を、この資料3の○1(4)のところで具体的に議論し、明示していただきたいと思います。

 それから、視点○3につきましては、今後、医療依存度、また介護必要度の高い状態で、地域に退院してくるケースが増加すると予想されます。そこで、総合確保方針を受け、この医療提供体制と介護サービスの充実は一体的に行うこと、また、そのサービスが切れ目なく適時適切な連携のもとに提供される必要があることという趣旨を、改めてこの方向性のところでも明示したほうがいいと思います。そして、この地域の中で、医療と介護サービスが一体的に提供される体制というのは、高齢者のみでなく、地域の中で病気や障害を抱える全ての人にとって重要との視点も入れたほうがいいと思います。

 視点の○4についてですが、持続可能な医療提供体制には、医療従事者の確保が重要ですけれども、限られたマンパワーと財源で質の高いサービスを効果的に提供する体制が求められています。したがって、人材確保に当たっては、質の高い医療従事者の養成、確保の視点が重要であると考えます。

 また、少子化が進む今後の社会においては、有資格者の就業率を向上していくということが、安定的かつ質の高いサービスにつながります。そのため、人材確保に当たっては、有資格者が働き続けることのできる勤務環境整備の対策を実施することが必要であると考えます。

 最後に、この6つの視点に入っておりませんけれども、追加すべきこととして、重症化予防の視点を追加するべきではないかと考えます。

例えば、糖尿病などの生活習慣病の方が、人工透析が必要になるような状況まで重症化しないで、できるだけ生活の質を維持していくようにするためには、重症化を予防する医療の提供という視点を持って、医療提供体制のあり方を考えることが重要と考えます。そもそも、健康問題にとって予防の視点は重要なことであり、健康づくりや生活習慣病予防、介護予防などは別の計画で企画されていると思いますので、それらの計画との整合性も必要かと思います。

 もう一つは、町づくりの視点です。

視点○3にも書いてありますけれども、医療や介護が必要になっても、地域で暮らし続けられる体制整備のためには、住環境など、医療介護以外の見直しも必要になると思います。また、認知症の方が地域の中で尊厳を保ち暮らし続けられるためには、周りの住民の方の認知症に対する理解あるまなざしも必要かと思います。そういう町づくりも重要になるかと思います。地域における医療介護総合確保方針にも示されておりますように、町づくりの一環として位置づけていく視点も盛り込んではどうかと思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、邉見構成員お願いします。

○邉見構成員 ちょっと大きな話というか、総論的な話で申しわけないのですけれども、私、この夏に自治体病院のブロック会議、北海道から九州・沖縄まで7つの地方会議に行ってまいりました。そうしたら、地域医療ビジョンのもとになる地域ビジョンがなくして何で地域医療ビジョンがあるのかと。実際に、地域をどうするのかというビジョンはあるのですか。地方創成とか、大臣ができたりいろいろしていますけれども、地域医療のビジョンをいろいろつくっても、地域をどうするかというビジョンなくして、そんな下のことだけやってもいかぬのではないですかという、消滅自治体候補のところにある自治体病院の先生方の悲鳴に似た意見です。それが1点。

 2つ目は、マンパワーです。今も菊池さんからお話がありましたけれども、田舎のほうでは、ビジョンをいっぱい書いても、医師もナースも余り集まらないと。だから、強制配置も何にもなくて、好きなところへ好きなように、今、言っているような体制では、幾らビジョンをつくっても仕方ないのではないですかと。これも非常に現実的なお話です。期待もしているのですけれども、冷めた意見がかなりあるのですね。自治体病院はどちらかというと僻地、離島、山村に多いですから、人口密集地のようなところに余りないですから、どうしてもそういう根本的な考えですね。冷めた意見があるのですけれども、一つちょっと偉い方に聞きたいのですけれども、地域ビジョンというのは、内閣全体としてはどういうふうにお考えですか。

○遠藤座長 はい、どうぞ。

○北波地域医療計画課長 私が答えるのが適当かどうかというのはございますが、まさに地方創成という形で、今回の9月からも新たな政府での組織もできたとも聞いております。

地域ビジョンはあるのかということでございますけれども、あるところもないところもあろうかと思いますが、いずれにしても、先ほど、菊地参考人からも御意見がありましたように、町づくりの視点、この地域をどうしていくかという視点というのは、ガイドラインの議論の中では、当然不可欠なものだと考えておりますので、ぜひそういうところの御示唆はいただきながらつくっていただければと考えております。

 お答えになっておりませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤座長 関連しますか。

○土居構成員 はい、関連します。

○遠藤座長 土居構成員、どうぞ。

○土居構成員 誤解のないように申し上げたいと思うのですけれども、地域医療ビジョンをつくるときに、将来の各市町村ごとの人口推計というのは、御承知のように、国立社会保障・人口問題研究所が出しているわけですね。いわゆる増田試算というか、消滅自治体というのは、若干それよりも過激なというか、もっと人口が動くという仮定が入ってのことなのです。本当にそこまで、過激に地域を越えて人は動くのかどうかというところがあるので、社人研の人口推計を信じて、地域医療ビジョンをつくるということで特に問題はないのではないかと私自身は思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、先ほどお手を挙げた順番で、本多構成員、山口構成員の順番でお願いします。

○本多構成員 先ほど、土居構成員からもご意見がありましたとおり、私も基本的には事務局案の方向性に沿って進めていただければと思っております。

 今回の医療提供体制の改革につきましては、約10年後の2025年を見据えたということでありますけれども、そういった意味では、時間的にもラストチャンスだと思います。このラストチャンスを活かすためにも、地域医療ビジョンは限られた医療資源の無駄遣いがないよう、また、地域によって医療提供量の過不足がないよう、将来の人口動態や病床機能ごとの医療需要などを推計によって見極め、現状の医療提供体制にも余りこだわらずに、その結果を反映した実効性のあるものにすべきだと思っております。

 また、地域医療ビジョンの策定にあたりましては、現状に捉われずに、地域住民のためにこそが第一義だと思っております。そのためには行政、医療提供者、保険者、住民など、関係者が一体となって作成に関与することが必要ではないかと思っています。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 では、山口委員お願いします。

○山口構成員 住民の立場ということで発言させていただきたいと思います。

 今回のこの地域医療ビジョンには、住民の立場の人も参加しながら、一緒に策定していくと決められているわけですけれども、ここの○6のところに、「医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受ける」というのが今回、医療法の中で国民の責務として示されたことではないかと思います。そういう責務を果たすためには、やはり住民へのきちんとした情報提供が欠かせないと思っています。あわせて考えますと、このガイドラインの中に、例えば病床機能の分化であったり、連携、地域包括ケアという用語がいっぱい散りばめられていますけれども、このような用語が一般的な住民の認知に至っているかというと、やはりまだ共通のキーワードになっていないと思います。ですので、ガイドラインの中には、携わっている人には使い慣れた用語であっても、改めて解説することをしっかりガイドラインの中に盛り込んでいただきたいなと思っております。

 それから、病床機能の分化についても、今年度始まる病床機能の報告制度で住民に報告されるわけですけれども、それぞれどんな状態のときにどんな機能を持った医療機関を選ぶのかということも、一般的にはやはりまだまだ見えていない状況がありますので、それが具体的に理解できるような解説をしていただきたい。それが、住民も一緒に考える上では前提条件になるのではないかなと思います。その上で、地域ごとに、今、地域差がかなりあるというお話が出てきていますけれども、現状がどうであって、それが2025年問題も視野に入れながら、その少し前の5年後、それから10年後にどういったことが予想されるのかというような、例えば医療機関の需要の変化であるとか、人口推移であったり、年齢構成がどう変わるのかなど、自分たちの住んでいる地域で見えるようにガイドラインをつくるに当たっては示していただきたいと思います。

 それから、在宅医療ということが地域包括ケアのときには必ず言われることですけれども、これは言われているほどには実現していないのが現状ではないかと思っています。それぞれの地域において、なぜ実現しないのか、地域によって原因もそれぞれ違っていると思いますので、先ほどと同じように5年後、10年後の予想や、在宅医療がニーズに合わせて実現していくために、具体的にどのような医療機関であったり、職種が必要なのかということを、住民側が一緒に考えることができるような共通のことをぜひ盛り込んでいただきたいと思っております。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 では、相澤構成員どうぞ。

○相澤構成員 ここの○2のところなのですが、地域包括ケアシステムを支える病床の整備と在宅医療の充実、この充実のところに入っているかもしれませんが、在宅医療で最も重要なことは、在宅医療を支える病院と在宅医療との連携と協働というのは、とても重要なことだと思うのですね。それをぜひここの中に書き込んでいただきたいことが1つ。

 それから、先ほど、菊池委員からも意見があったのですが、どうも何か高齢者、高齢者に偏っていて、小児とか難病とか、そういう方についての視点が少しなくなってしまっているので、そういう方々というのは、やはり在宅医療というのは非常に重要なのですね。そこを何とかもう少し書き込んでいただけるとありがたいなということを要望したいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 先ほどお手をお挙げになった方、安部構成員、それから加納構成員、初めての方ですので、櫻木構成員。手短にお願いいたします。

○安部構成員 それでは手短に。

 事務局御提案の○1~○6、私はこれについてはこれで異存はございません。また、菊池委員、相澤委員がおっしゃったところも非常に重要な点かと思いますので、この中に含まれていなければ、追加すべきかと思います

 薬剤師でございますので、薬剤師のことは時に忘れられてしまうところがありますので、あえて一言だけ申し上げたいと思います。

 ○2に関してでございますけれども、在宅医療に関しては、その対象者の多くの方が医薬品を使用しているということを踏まえて、地域の薬局、薬剤師が積極かつ安心、安定した医薬品の供給、それから管理に関与できるような体制整備について、ガイドライン上、盛り込んでいただきたいということであります。

 それから、○4に関しましては、新たな病床区分の特性を踏まえて、病院で勤務する薬剤師の配置等に関しても整備を進めていただきたいなと考えております。

 ○6に関しましては、既存の薬局機能の公表制度でありますとか、健康情報拠点事業で策定される公表制度、それから在宅応需薬局、麻薬でありますとか無菌製剤、そういったものの情報がございますので、そういったものを十分に活用していただきたいなと考えております。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 関連ですか。

○中川構成員 はい。

○遠藤座長 それでは手短に、中川構成員お願いします。

○中川構成員 今、安部構成員、最後に健康情報拠点事業というお話がありましたけれども、あの内容を見ると、いささか異論があります。今、発言されましたけれども、まっすぐそれを反映させるということには異議があります。というのは、薬剤師の業務拡大ということも絡んだ拠点事業なので、今モデル事業ですけれども、来年度からは本事業となっていますが、これはまだまだ議論が足りないと思うので、ぜひその辺のところを考えてください。

○遠藤座長 御意見として承りました。

○安部構成員 十分に配慮してやらせていただきます。

○遠藤座長 それでは、加納構成員どうぞ。

○加納構成員 先ほど、地域差の問題で邉見構成員のほうからお話がありましたように、過疎における問題というのは、医療提供体制の問題というのは大きな問題だと考えておりますが、逆に東京、神奈川、大阪等の7都道府県で、今後増える高齢者の6割をしっかりと見ていかなければいけない。これに関しましては、この都道府県内では、救急医療も含め、慢性期、回復期、全て民間医療機関がしっかりと担っているという現状をしっかり認識していただいて、ぜひとも今後のいろいろな形でのガイドラインを決めるに当たって、検討していただきたいということをお願いしたいと思っております。

というのは、やはり民間医療機関というのは、経営が成り立たないとだめであると。ただ、現状ではこの大都市圏内では非常によく頑張っているということも事実ですので、このことを認識していただいて、今後のガイドラインを策定していただきたいかなと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 では、櫻木構成員、お待たせしました。

○櫻木構成員 日精協の櫻木です。精神科医療の立場から少々お話をさせていただきます。

 精神疾患は、もう御存じのように5疾患・5事業ということで、医療計画を策定すべき疾患と取り上げられて、実際に医療計画が立てられています。精神疾患自身は、例えば認知症の問題であるとか、あるいは自殺対策を含む鬱病の問題だとか、非常に多岐にわたっています。現場では、特にいわゆる救急医療との連携であるとか、あるいは認知症、あるいは鬱病といったものに関しては、かかりつけ医の先生たちとの連携ということも非常に多岐にわたっておりますので、そういった精神科を含んだ視点で今後の医療提供体制について御議論いただければと考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 まだほかにも御意見あるかと思いますけれども、時間が大分超過しておりますので、このぐらいにさせていただきたいと思います。

 当初の予定では、資料6の構想区域の設定の考え方についても御議論いただこうかと思いましたけれども、これは議論しますとかなり時間のかかる内容でもございますので、本日はヒアリングを予定しておりますので、これについては触れずに、次回改めて御議論いただくことにさせていただいたほうがよろしいと判断しますので、そのようにさせていただきたいと思います。

 事務局におかれましては、この資料5について、いろいろな御意見が出ましたので、非常に示唆的な重要な御意見もありましたから、これらを踏まえて、ガイドライン案を作成していただくように御努力をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、次に北澤参考人の資料の御説明について、移りたいと思います。

 それでは、北澤参考人お待たせいたしました。資料の御説明をよろしくお願いいたします。

○北澤参考人 長野県佐久総合病院の北澤と申します。本日はこのように貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。当院の取り組みを発表させていただきます。では、座らせていただいて、済みません。

 お手元の資料をごらんいただければと思いますが、まず1ページ目の下ですけれども、当院がある長野県の東信地域という形になるのですが、右の楕円に含まれているところが東信地区になります。当院がかかわる二次医療圏は佐久地域でして、面積は1,572平方キロメートルで、人口は21万人。基準病床が2,288で、既存病床が2,208と少なくなっている珍しい地域です。

 東信地区全体になると、三次医療圏は面積が2,477平方キロメートルで、人口が42万人ということで、想像をしていただくためには、神奈川県の面積が東信地区とほぼ同じ面積で、神奈川県の人口はそこに850万人ということで、同じ面積の中で20分の1の人口の人を見させていただいているという形になります。

 1枚めくっていただきまして、「佐久総合病院の概況」ということになるのですけれども、実は、今年の3月1日に佐久総合病院は救急医療高度専門医療、周産期医療、がん診療、がん治療に特化した佐久医療センターと、もう一つが生活習慣病等の慢性疾患や在宅を初めとする地域密着型の佐久総合病院本院という形で2つに分かれておりますので、最初、その機能分化前の一つになっていたときの佐久総合病院の概況についてお話しさせてください。そちらにあるとおり、機能分化前ですが、数々の指定を受けさせていただいて、診療をしておりました。

 次のページになりますが、機能分化前の病床数と職員数なのですけれども、病床数は一般病床が665床、あと回復期、精神病棟を含めて全部で821床で診療しておりました。職員なのですけれども、医師が195人、薬剤師35人、看護系が802で、合計1,713人という形になっておりました。

 医師は、長野県の僻地、片田舎で195というと、少し多いように思われるかもしれませんが、佐久総合病院分割前は、それこそ健診等の予防活動から在宅までという形で多岐にわたっておりましたし、各地域の病院の医師不足等のところに医師派遣等も行っておりましたので、この195という形がこの病床数821を全部でやるというわけではなくて、これでも現状は足りない、かなり医師には疲弊が来されていたという状況がありました。

 「佐久総合病院の設立と発展」ということなのですが、昭和19年にほとんど医療機能のなかった長野県の農村に、地域の住民、その当時は基本的には農家の方々が多かったのですが、その方々の強い要望のもと、長野県の佐久総合病院が産業組合立病院として設立されました。その後、翌年、昭和20年に、後でも御紹介させていただきますが、若月俊一という医師がこの地に赴任をしてまいりまして、現状を把握するために地域に出ていくような活動をして、「農民とともに」という理念をスローガンにして、地域住民のニーズに応えていくという形で病院を発展させていったという歴史があります。

 上の写真は、昭和22年に第1回が行われた病院祭なのですが、今年も続いておりまして、今年度は第68回という形で病院祭を開催しております。

 その下の写真は、昭和30年代ぐらいだったと思うのですが、手術室を御家族がリアルタイムに見られるような、手術室に観覧室を設けて、いろいろな医療を公開するという形でやっていたというところの一番目になります。

 次のページをお願いいたします。その分割前の急性期機能の強化ということなのですが、昭和58年にがん診療センターを開設いたしました。現在はがん診療連携拠点病院という形で指定されております

 次に、平成17年、信州ドクターヘリの運行を開始しました。長野県では初めてで、国では10番目だったと記憶しております。大体年間300350件の運用があり、その後、長野県の信州大学に第2の信州ドクターヘリが入りましたので、今は2機で運用をしているのですが、当初1機で運用していたときには、長野県のみならず、近隣の山梨や群馬のほうにも要請があれば行っていたという形で活動させていただいていました。

 災害医療に関しましては、DMATチームを2チーム組織しておりまして、先般の東日本大震災のときも、発災当日は5時前に第1チームが石巻に向かって出発したということがありますし、ちょうどこのとき、同じ長野県内でも地震がありまして、ドクターヘリが最初は飛べなかったのですが、その翌々日に要請がありまして、石巻にドクターヘリが向かい、そちらで活動したというようになっております。

 その下が、がん診療のことなのですけれども、長野県内のがん診療連携拠点病院なのですが、そちらにあるとおり8病院あるのですが、特徴的なのは、佐久総合病院というのは本当に民間の一病院なのですけれども、左側にある信州大学医学部付属病院さんの778件より少し多い794件を診させていただいているということと、実は第1位は、一番上にあります長野市民病院というところが917件なのですが、こちらは前立腺がんに対しての密封小線源療法等があり、かなり前立腺が多くなっている特徴があるのですが、当院の場合は、消化器、消化管全般におきまして、上部、下部そちらのほうがメインで、あとはそれ以外の拠点病院とそんなに構成は変わっておりません。そのような特徴がございます。

 次のページにいきまして、佐久総合病院本院における緊急搬送患者になるのですけれども、実は佐久医療圏に関しましては、当然のように救急搬送もウォークインで見える救急外来の救急患者さんもそのような形で診させていただいているのですが、少し前にあった医療崩壊等、医師不足ということで、隣接する二次医療圏の医療体制が医師不足等によって少し弱体化等をすることがありまして、この隣の二次医療圏からも救急車の搬送に関しましては、15.4%という形で受け入れるような状況が続いていたということがございました。

 その下の「病床利用率の推移」に関しましては、2014年3月で2つの病院に分かれていますので、その前のところを見ていただくと、一般病棟におきましては、大体平均すると、8590%の利用率で推移しておりまして、回復期のほうは9095%で推移しておりました。

 医療センターとの機能分化後なのですけれども、それでも本院のほうが、先ほどお話したように、生活習慣病等の慢性期、もしくは在宅の支援という形なのですが、平均して85%ぐらいの稼働率を続けております。回復期は90%を超えている状況でございます。

 次のページをお願いします。実は、佐久総合病院は、今年度3月の機能分化前に、平成15年というときに、同じ医療圏の中の小海町というのがあるのですが、そこに赤十字病院がございまして、その小海赤十字病院がその当時、やはり医師確保が困難になってきて、経営も困難になったということで病院を閉じるということになったときに、先ほどからお話が出ていましたとおり、その当時の小海日赤は今回の分類でいうと高度急性期というところも担っていたのですけれども、佐久病院があるのでそこまではできないのですけれども、いわゆる急性期と回復期というところは、その地元で引き続き医療を提供するところが必要なのではないかということで、厚生連病院が日赤から移管を受けまして、その地で在宅支援と回復期機能に力を注いだ形で医療を継続してまいったということがございました。

 そして、日赤から厚生連に移るときに、当然、町づくり云々ということも含めて、その人たちが地元で住み続けて、仕事もあるということで、当然日赤の職員の方に関しましても、全員再雇用という形で厚生連のほうで働いていただくというような形をとらせていただいた経緯がございます。

 次のページをお願いします。

 それでどのような変化が起きたかということなのですが、平成15年に移管されて、平成1618年のデータをお示ししたのですけれども、外来患者数、あと入院患者数というのは、右肩上がりで上昇をしてまいりました。

 それはなぜかというと、その下にあります「機能転換前後の小海分院の概況」ということですが、小海日赤さんのときには、内科、小児科、外科、整形外科、産婦人科という形で、先ほどお話ししたとおり、いわゆる今の分類で言うと高度急性期というのは、手術も視野に入れた形でなさっていたのですけれども、平成25年の小海分院のデータをごらんいただきますとわかるとおり、内科、小児科、外科、整形外科と、あとリハ科という形で、内科、小児科、外科、整形外科は変わらないのですが、特に手術等はしなくて、外来中心でということと、あとはその地域の高齢者の方たちを中心にしたリハビリをしっかりと入れていったということがあります。

そして、この移管のときに、やはり地域住民の皆さん方の御意見というのがさまざまございまして、1枚戻りますけれども、新聞の切り抜きがあるかと思いますが、その小海町の皆さん方、町民の方たちとも何回も医療懇談会のようなものを開きまして、そういう形であれば、この地域で分院のほうを継続してやっていただきたいというような希望もあって、こういう形に転換してきたということがございます。

 次をめくっていただきまして、「機能転換前後の小海分院の概況」なのですけれども、先ほどのように、外来患者数、入院患者数もふえていったことによって、収益等も少しふえてきたということがございました。赤字から黒字に転換したということがございました。あとは救急者受け入れ件数が239件から425件ということなのですけれども、高度救急から普通の急性になったのに何でふえているのかというと、やはり在宅等を支援に入れていますので、在宅の患者さんの急変等を含めて、そういう方の救急を、しっかり在宅医療を継続するために、それを受け入れる後方病院、病棟として機能してきたことによって、このように変化が出てきたと考えております。

 次に「佐久医療センターへの機能分化」というところになるのですが、これは今年の3月に分化したとお話ししましたけれども、実はここに至るまでに10数年、地域の皆さん方といろいろな議論を重ねてきたという経過があります。実際に機能分化する直前では、地元医師会の方々、近隣急性期病院の皆様方と医師会が中に入っていただいて、計12回ほどのいろいろな検討会等を開いて進めてまいったという経緯もございますし、地域住民への説明会も、規模は数人程度から数百人程度という形で、合計約100回近く皆さんのところで御説明をさせていただいたり、実は医師は余りかかわれなかったのですけれども、最終的には佐久病院職員全員で佐久市内の全戸戸別訪問させていただいて、こういう形で機能分化をしたいのだということを説明に上がりまして、それを御理解いただいたという経緯がございます。

 そして、今年の3月に何とか分化できて開院しているのですが、次のスライドなのですが、「佐久医療センターへの機能分化」ということで、そちらにあるような形で周辺病院ともいろいろ話し合って、いろいろな手術等の機能分化等を図って、特に心臓血管外科等は、同じ東信地域に2病院でやっていたというのもありまして、それを1病院にしまして、集約してまとめて、それで佐久医療センターの心臓血管の手術がふえてきているということもございます。

 その下が「佐久医療センターの概況」なのですけれども、病床数は450床としております。職員数は、そちらに書いてあるとおり2つに分けましたので、当然減ってやっております。

 次なのですけれども、機能分化前後で救急搬送はどうなったのかということですが、赤い線と青い線を注目していただければと思いますが、赤い線が昨年度1つの病院でやっていたときの救急搬送患者で、青い線が医療センターと本院で受けるようになった合計になっております。全体的に救急搬送患者さんがふえていって、スライドにはございませんが、この佐久医療センターのほうで受けている救急車の患者さんに関しましては、かなり高い確率で入院治療になっているという形で、高度急性期を担うような形で分化できてきているのかと考えております。

 その下が「機能分化前後の平均在院日数」ですが、こちらも赤い線と青い線を見ていただければと思いますが、赤い線が分割前の本院のときの平均在院日数が大体14日強というところで、青い線が本院と医療センターをあわせた平均在院日数で、大体12日ぐらいという形になっています。その下の緑の破線が、医療センターに特化したところになるのですが、こちらを見ますと、高度急性期に特化して、本当の高度急性期のところを担うという形で、あとは地域の急性期病院等にもお願いするという形でやると、10日ぐらいの平均在院日数になっているという変化が出ております。

 次のスライドは「術前入院日数の推移」なのですが、在院日数を減らしていくということが前からの課題ではございましたので、今回分割前から術前の入院日数を減らすという形で、術前検査センターと薬剤管理センター等を設けることによって在院日数を減らすことができていますし、薬剤管理センター等を設けることによって、今でも大学病院等でもちらほらあると聞いています抗血小板剤等、それが手術前、しばらくまだ飲まれているということがなくなって、スムーズな手術につながっていると聞いております。

 「地域との連携強化」になります。

佐久病院は、先ほどお話しした若月俊一という者が「病院だけにいてはだめだ。地域に出て行け」ということがありましたので、当初から地域とのかかわりは強い病院だったのですけれども、まずは診療所からの入院紹介は断ることなく必ず受けるという体制を創立以来引いてきておりました。

あと、在宅医療のサポートは、原則として基本的に佐久病院で働いていらした方が開業して在宅をなさっていることが多かったので、そういう先生方の夜間とか、休日いらっしゃらない間のバックアップを引かせていただいたり、先ほど、菊池参考人からありましたけれども、やはり在宅というのは訪問看護なくしては全く機能しないと私も考えておりまして、病院としても24時間365日体制の訪問看護を引いて、開業医の先生方のサポートもさせていただいていると。こちらの夜間休日のバックアップに関しましては、今は医師会でバックアップ体制を医師会として再検討していこうという形で、私も委員にならせていただいて検討しているところでございます。

 あとは、どうしてもこれから介護施設との連携というのもかなり重要になってくるかと思いますが、やはり介護施設の中にいろいろとかかわっていくことによって、御家族等としっかりとお話をさせていただいたり、御本人に少しお話をすることによって、余り必要のない救急搬送等は低減させて、その介護施設でもある程度そういう医療対応ができるようなこともさせていただいています。

入院後、高齢者の方は介護保険を使っていらっしゃる方はかなりADLが落ちるということがよくございますので、入院時にはケアマネージャーの方がその方の介護保険証等を持っておいでで、介護度とか普段のADLを伝えることによって、入院治療中、ADLが落ちないような取り組みをしております。今後、こちらは多分地域包括ケア病棟というところが担っていく形になるかと思うのですけれども、今までの概念の機能訓練としてのリハビリでは、どうしても地域包括ケア病棟のリハの加算等を考えると十分なことはできないと思いますので、今後生活を支える、生活を見る、生活そのものとしてのリハビリという観点で、地域包括ケア病棟でのリハビリ等を御検討いただければ、よりよい病院医療と在宅医療の連携になるのではないかと考えております。

 その下は地域医療、連携拠点事業で、医療と介護という形でその後もさまざまな会合等を開いているという一例でございます。御参照ください。

 次のスライドですが、今、お話ししてきたとおり、佐久地域におきましては、この右下の里山型という形で、佐久医療センター、地域支援病院、佐久総合病院、小海分院、小海診療所、国保診療所というようなものがございまして、そういうものが一連の中で密接な連携ができていて、今、お話ししたような体制がとれているのだと考えております。特殊高度急性期は佐久医療センターで、在宅の患者さんとか一般の急性期は佐久総合病院、小海分院というようなところが地域包括ケア病棟等でしっかりと受け入れていく形に今後もなるかと考えております。

 そして、その下の「地域における医師確保支援」なのですけれども、実は佐久総合病院は、下のほうになっている地域の国保診療所にも医師を派遣しておりまして、これはもう以前からしておりまして、若手医師が第一線の診療所から高度な医療センターの専門医療まで経験できるということになっております。実際に、今、佐久医療センターで高度専門医療を担っている医師等もそういう国保診療所だったり、第一線の診療所の医療を経験しておりますので、どこでどのような医療を提供していくのがその患者さんにとって一番大切かということを考えた上での医療提供ができているのではないかと考えております。

実際、この南部に関しましては、私どものところで在宅医療の連携拠点事業をさせていただいているのですが、昨年は1年間で、亡くなった方のうち、在宅、自宅が31%、特別養護老人ホームが13%という形でやってきて、厚生労働省のおっしゃっている在宅死亡率という形では44%というところを達成している状況でございます。

 最後のスライドですが、先ほども出しました若月俊一が、佐久総合病院をこのような形で培ってきたのですが、若月の言葉に「医療は民衆のものであり、民衆がつくるものである」と。決して医療の専門家だけのものではなくて、民衆がつくっていくものである、そういう視点にのっとって、今回の地域医療ビジョン等で医療機関のあり方、先ほど、構成員の方からもありましたけれども、地域住民の目線に立って、適切な医療機関に受診できて、スムーズにもとの生活に戻れる、そういうような体制を今後も佐久地域で細々と佐久総合病院としても担っていけたらと考えております。

 御清聴ありがとうございました。

(拍 手)

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

 病院の機能分化の事例という形で御報告をいただきましたけれども、これに関しまして、御質問等ございましたら。

 西澤構成員、どうぞ。

○西澤構成員 非常にすばらしい、参考となる発表ありがとうございました。

 一つ教えていただきたいのですが、私が見逃しているのかもしれませんが、佐久総合病院の機能分化前の病床数、それから職員数がありまして、分化後の佐久医療センターの概要というのが18ページにあるのですが、残った本院のほうの病床数とか、職員数を書いたものが見当たらないような気がするのですが。

○北澤参考人 今回ここに出ていないです。済みません。

○西澤構成員 概要だけでも教えていただけるでしょうか。

○北澤参考人 病床数に関しましては、精神科病床あわせて351床になっております。医師数は、今、再構築ということも含めまして、トータルでは215名となっておりまして、そのうち143人がセンターで、小海分院とか診療所が出ていますので、おおよそ大体60人ぐらいが本院のほうで働いている形になっているかと思います。

○西澤構成員 ありがとうございました。

○遠藤座長 邉見構成員。

○邉見構成員 私も同じような質問をしたかったのですけれども、どうもありがとうございました。

機能分化ということで、なかなか思い切ってできにくいことをやられて、大変だっただろうと思います。今後、専門院と総合診療専門院という19番目の専門院として、総合診療医というのが今度できましたけれども、この佐久総合病院、医療センターでないほうは、もう専門医はいないで、主に総合診療的な医師が担うということですか。

○北澤参考人 ありがとうございます。

 佐久総合病院本院は、中心は邉見先生がおっしゃるとおり、総合診療科の医師等が担うのですけれども、科によっては地域住民の医療バランスがございまして、眼科、あと皮膚科、形成外科等、科によって専門医が本院のほうにも残って手術等もしてくださっているという状況です。

○邉見構成員 わかりました。ありがとうございます。

○遠藤座長 加納構成員、お願いします。

○加納構成員 ちょっとお聞きしたいのですけれども、佐久総合病院の救急エリアですね。これは21万人という二次医療圏でオンリーワンというのは、ちょっと救急件数が非常に少ないような感じがするのですね。自院でも月に400台は超す、年間5,000台ぐらいはやっているわけなのですけれども、6倍ぐらいのドクターがいらっしゃって、この数というのは、ちょっと何か、これは三次医療に特化しているからこんなに少ないのでしょうか。それとも、ほかに救急をなされている病院がこのエリアであって、こういう数になっているのでしょうか。

○北澤参考人 ありがとうございます。

10ページの上のほうのスライドなのですけれども、近隣に、佐久医療圏の中には小諸厚生、浅間総合等、そういうところも救急等を担ってくださっています。

○遠藤座長 よろしいですか。

○加納構成員 はい。

○遠藤座長 それでは、尾形構成員お願いします。

○尾形構成員 機能分化ということで、大変参考になる御発表どうもありがとうございました。

 1点だけ質問なのですが、機能分化の前後での在院日数だとか、救急の患者数のデータが出ていますが、差し支えのない範囲で結構なのですけれども、経営状況としては、前後ではどんな変化があるのでしょうか。

○北澤参考人 ありがとうございます。

 まだ分割直後というか、3カ月、4カ月というところで、普通に考えると一つのところで限られた医療機器を使うほうがいいのは決まっているかとは思うのですけれども、それを2つに分けたというようなこと等もありまして、収益的には、今は少し厳しい状況にはなっております。

○遠藤座長 では、武久委員、それから土居委員の順でお願いします。

○武久構成員 14ページのスライドの中で、左上のほうに市中医療機関というのがあるのですけれども、これは先ほど北澤さんがおっしゃった他の救急を受ける病院も入っておれば、中小の民間病院も入っているのではないかと推察されます。この地域の中で、いい意味で佐久医療センターと佐久総合病院と、小海分院というふうに一つの厚生連の中である程度コントロールできているのはわかるのですけれども、他の医療機関との連携とか、他の医療機関は一体どうしているのかとか、佐久医療センターのほうが非常に高度になったために、他の医療機関の経営がちょっと調子悪くなったとか、例えば小海日赤のように、ちょっと調子が悪くなって分院になって合併したと。そういうこともあると思うので、この地域の中での他の、特に中小民間病院等はどのようになっているかというのをちょっと教えていただきたいと思います。

○北澤参考人 ありがとうございます。

 先ほどお話しいたしましたとおり、分割前に医師会が取り持っていただいて、いろいろな話し合い等を繰り返してきたということもありまして、それぞれ地域にある救急病院とか、あと民間病院の皆さん方もそれぞれ特徴的な科とか、そういうことをしっかりやっていらっしゃるので、その後は、どちらかというと逆に医療連携が分化前よりもスムーズにいっていると言いますか、紹介、逆紹介を含めて、そういうような形になっているという印象でございます。

○遠藤座長 土居構成員、お願いします。

○土居構成員 御説明ありがとうございました。大変勉強になりました。

 先ほど、地域包括ケア病床について言及されましたので、それだけお伺いしたいと思います。まだ始まったばかりなのですけれども、今後、地域包括ケア病棟として、例えばこの佐久の医療圏において、定着させるにはどういうことが必要だとか、まだ始まったばかりだからかもしれませんが、こういうことをしてもらったらうまくいくのではないかとか、何かそういう視点で今、お考えになっておられることがあれば、お聞かせいただければと思います。

○北澤参考人 ありがとうございます。

 先ほどもお話しさせていただいたとおり、地域包括ケア病床、病棟が我々のところは前から在宅医療等もかなり力を入れてやってきていましたので、そういう在宅の患者さんが今、混在している高度急性期にかなり入院していらっしゃるという状況があって、今回このような地域ビジョンで急性期という形になって、その急性期と回復期の中を取り持つような形が地域包括ケア病棟なのだと私は認識しているのですが、その在宅の患者さんが、短期入院で済んで、またスムーズに在宅に戻ったときに、やはり短期で回っても、ベッド上でただ単に寝ていらっしゃるだけではADL等かなり落ちてしまうということがございますので、先ほど少し述べさせていただいたリハビリというのがどうしても、機能訓練としてのリハビリという認識はあるかと思うのですけれども、もうリハビリは生活そのものだということを在宅等をしていると感じる点が多々ありますので、そういう点で地域包括ケア病棟の中でのリハビリというのが、今、出されている基準よりももう少し柔軟に使えるような形になれば、在宅のバックアップ用途としての地域包括ケア病棟というのはかなり機能して、我々としてもうまく利用できるのではないかなと考えております。

○遠藤座長 それでは、邉見構成員お願いいたします。

○邉見構成員 ここはもう、先ほど私がちょっといちゃもんをつけた地域ビジョンの見本みたいなところで、昔から病院が地域づくりの主役になっているところだと思っております。で、今度の病院の引っ越し、私の同級生がやったのですけれども、たまたまそこへ流れていて、そこにおるのですけれども、彼がやったのですけれども、いろいろ苦労して、しょっちゅう電話がかかったり、いろいろ相談も受けたのですけれども、やはりこの若月先生が偉くて、私の前任者の諸橋先生が褒めたことがある医者はこの人だけです。今までほかの人は全部くさしていましたけれども、この人だけにはいつも敬意を表していました。何が偉いかというと、やはり農村医療という地域に密着した患者さんのためにやったということ、この病院祭などというのは、職員にも患者にも、「病院で祭りをやることなんか、うちのばあさん死にかけとるのに何でや」という人がいっぱいおるわけですね。それを一生懸命やった。それから、ボランティアを取り入れた。もうものすごい経済効果も多いのですね。だから、小海日赤なんかを買収というか、経営するときも、誰一人もやめさせなかった。何というか、いつもコストカッターみたいなことばかり言う院長もおるかもわかりませんけれども、この方は全く違かったと。そういう意味でももう医療界の鏡みたいな人です。一番後ろのスライドになっていますけれども、そういう意味で、これは非常に参考になるプレゼンテーションだと思います。

 北澤先生、ありがとうございました。

○遠藤座長 それでは、山口構成員お願いします。

○山口構成員 今、邉見構成員のお話にもあったように、佐久総合病院がリーダーシップをとって、この地域の連携ということを進められたようにお聞きいたしました。住民の方にもかなり説明会を丁寧にしておられたということですけれども、分院になった小海赤十字病院の地域住民の方への説明によって、住民側がどのように意識や理解を変化させたのか、それから病院がリーダーシップをとっていらっしゃるということで、行政とのかかわりが余り見えなかったのですけれども、そのあたり行政のかかわりがあったとしたら教えていただきたいと思います。

○北澤参考人 ありがとうございます。

 1点、小海日赤は買収したのではなくて、後医療を担うという形で移管を受けたということです、申しわけございません、よろしくお願いします。

 あと、説明会によってどのように変わったかというと、ちょうど我々が地域の皆さん方に説明をさせていただいているときが、新聞報道、テレビ報道等で医療崩壊ということがかなり毎日のように報道されていた時期で、佐久病院が予防からそういう在宅までやることによって、一つのところで全部やることによって疲弊していって、そこを機能分化すると、それぞれ専門に特化したところに集中して治療を行えるということで、皆さん方にとっても急性期の病院で早く退院しろというだけではなくて、しっかりと高度急性期で治療を受けて、その後地元に近いところで急性期、回復期という形でつながっていくのだということも説明をさせていただく中で、一番は医者たちを何とかうまく地域で頑張っていただきたいという思いだったりとか、あとは皆さん方がうまく医療機関を利用して、その地域で元気で生きていきたいというようなところを御理解いただいたのかなと考えております。

○山口構成員 行政とのかかわりは。

○北澤参考人 行政とのかかわりに関しましては、実は医療センターと分化することになりましたときにも、やはり行政の方たちにかなり御協力いただいたところがありまして、特に、市長が佐久地域、佐久市を世界最高健康都市構想というような構想を立ち上げまして、まさに行政と医療機関が一体となって、決して佐久病院だけではなくて、佐久医師会を含めたいろいろな医療機関と合同でそれぞれが役割分担をすることによって、この地域の医療を守っていくのだということを示してくださったので、行政とも良好な関係で進めさせていただきました。

○山口構成員 ありがとうございました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 ちょっと外れる質問ですが、長野県内の二次医療圏で、アンダーベッドになっている医療圏は幾つのうち幾つありますか。先生の病院は非常にすばらしい経営だと思いますけれども、恵まれているなと思います。その辺を先生が感じられていると思いますが、どうなのでしょうか。相澤先生がいらっしゃるからおわかりかなと思います。

○相澤構成員 恐らく佐久地域以外でもオーバーベッドはないと思います。もうとんとんといいますか、ほぼ基準ベッド数に近い数です。

○中川構成員 大幅にオーバーベッドというところはないわけですね。

○相澤構成員 長野県はほとんどありませんね。

○中川構成員 わかりました。

○遠藤座長 事務局が何か調べているようですけれども、もしあれば。

 では事務局、どうぞ。

○北波地域医療計画課長 若干時点が違いますので、ちょっとオーバーベッド、アンダーベッドというところが不分明ではあります。ほかに25年で言いますと、諏訪地域と松本地域というのが若干△が立っていますので、基準病床数よりも既存のほうが少ないという状況にあります。御参考までにということです。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 櫻木構成員、お願いいたします。

○櫻木構成員 どうもありがとうございました。

 機能分化前に精神病床を112床持っておられて、分化後は総合病院のほうに移られたのですか。それで病床数は変わらずでしょうか。

 それから機能分化前と機能分化後では、精神病床のいわゆる機能というのは、何か変更があったのでしょうか。

○北澤参考人 ありがとうございます。

 病床数は、たしか若干減らしております。ただ、医師数との関係もございまして、当院の場合は急性の精神科疾患の方もかなり受け入れていたのですけれども、少し今、医師数が少ない関係もありまして、そこら辺の機能が少し落ちているというのが現状でございます。

○櫻木構成員 いわゆる総合病院がだんだん精神病床を持たなくなってきていますよね。ただ、どうしても身体合併症を持った精神疾患の方というのは、そういったところで診ていただかないとなかなかうまくいかないと思うのですけれども、やはりそういう身体合併症というのはかなり診られているということでしょうか。

○北澤参考人 当院の精神科医師が、基本的に当院の初期研修医上がりというような方たちもいまして、初期研修のときにかなりいろいろな各科ローテーションをしているということもあって、少し診られるというのと、あとはコンサルするときの敷居が低くなっていますので、そういうところでも診られているということと、やはりどうしても総合病院で精神科というのは当院ぐらいになっていますので、そういう方たちも診させていただいているという現状でございます。

○櫻木構成員 ありがとうございました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 大体予定されていた時間にそろそろ近づいておりますので、ヒアリングにつきましてはこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 北澤参考人におかれましては、大変示唆的な事例を本当にありがとうございました。感謝申し上げます。

(拍 手)

○遠藤座長 それでは、委員の皆さん、最後に全体を通して何かおっしゃりたいことがございますか。

 よろしゅうございますか。

 司会の不手際で、本日やろうと思っていた構想区域の設定についての考え方、次回回しになってしまいましたので、次回はこれについて御準備をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 事務局におかれましては、何かございますか。

○北波地域医療計画課長 事務局でございます。

 第2回は、1017日の開催を予定しております。詳細につきましては、決まり次第御連絡をいたします。よろしくお願いをいたします。

○遠藤座長 よろしゅうございますか。

 それでは、本日はこれまでにしたいと思います。

 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室
直通電話:03-3595-2194

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