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2014年9月2日 第2回 聴覚障害の認定方法に関する検討会議事録

社会・援護局 障害保健福祉部

○日時

平成26年9月2日(火)18:00~20:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)


○議題

(1)関係団体ヒアリング
(2)研究班からの報告等
(3)その他

○議事

○江藤座長 

座長の江藤でございますが、定刻になりましたので、ただいまから「聴覚障害の認定方法に関する検討会 ( 2 ) 」を開催したいと思います。皆様方にはお忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず議事に入る前に事務局から構成員の出席状況、資料の確認等をお願いいたします。

○田中課長補佐 

まず始めに、事務局に人事異動がございましたので、ここで紹介させていただきます。障害保健福祉部長の蒲原が異動しまして、後任の藤井です。

○藤井保健福祉部長 

藤井でございます。よろしくお願いします。

○田中課長補佐 

企画課長の井上が異動しまして、後任の川又です。

○川又企画課長 

川又でございます。よろしくお願いします。

○田中課長補佐 

私、森岡の後任で課長補佐の田中です。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、本日の出席状況ですが、構成員の方全員に御出席いただいております。ありがとうございます。

 続きまして、資料の確認をいたします。

資料 1 「一般財団法人全日本ろうあ連盟提出資料」

資料 2 「社会福祉法人全国盲ろう者協会提出資料」、それから全国盲ろう者協会のパンフレットもございます。

資料 3 「一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会提出資料」

資料 4 「身体障害者の認定基準の今後のあり方に関する研究班提出資料」

資料 5 「第 1 回検討会における主な意見」

資料 6 「聴覚障害に係る指定医の状況」

資料 7 「聴覚障害認定に係る主な検査機器設置状況」

資料 8 「身体障害者手帳の返還件数調べ ( 集計結果 )

参考資料 1 「聴覚障害の認定方法に関する検討会開催要綱」

参考資料 2 「聴覚障害の認定方法に関する検討会構成員名簿」

参考資料 3 「身体障害認定基準等について」です。

 また、構成員の方のみの配布資料として、前回も配布いたしました「 S 氏の身体障害者診断書・意見書」がございます。本資料は、御本人の会見時に配布されたものですが、個人情報ですので、構成員の方のみの机上配布といたします。以上、お手もとにございますか。資料の不足等ございます場合は事務局まで御連絡ください。また、本検討会は公開のため、資料、議事録は厚生労働省のホームページに掲載されますので、あらかじめ御了承ください。なお、頭撮りはここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をお願い申し上げます。

○江藤座長

 それでは議事に入らせていただきます。本日の議事についてですが、前回申し上げたとおり、聴覚障害の認定方法に関して、関係団体へのヒアリング及び研究班からの経過報告を行うこととなっております。開催要綱 3 (2) に基づき、「全日本ろうあ連盟」「全国盲ろう者協会」及び「全日本難聴者・中途失聴者団体連合会」より参考人をお招きし、ヒアリングを行うこととしたいと思います。また、「身体障害者の認定基準の今後のあり方に関する研究班」から、国立障害者リハビリテーションセンターの石川先生に、研究班の経過報告を行っていただきます。まず、関係団体へのヒアリングを行いたいと思います。それぞれ 10 分程度でお話しいただいた後、構成員の方々から御質問等をいただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。

 最初に、「一般財団法人全日本ろうあ連盟 小中様」、お願いいたします。

○小中参考人

 一般財団法人全日本ろうあ連盟副理事長をしております小中です。今回は意見を述べさせていただく機会をいただき、大変ありがとうございます。資料に合わせて説明したいと思います。現在の認定に関しましては、聴覚障害は、障害の程度、聴覚障害になった年齢、あるいは他の重複の障害を伴うなど、障害の幅というのが極めて大きくございます。また、同じ平均聴力レベルであったとしても高い音が聞こえない、あるいは教育環境、あるいは家庭環境、また補聴器装着での生活をどれだけしているか、また手話を使用しているかどうか等、様々な環境要因による生活の影響も、非常に個人差が大きいものがあります。いちがいに聴力が軽度だから障害が軽いとはいえない現状があります。世界保健機構 WHO の障害基準、国際基準では 41dB から聴覚障害の認定と比べますと、我が国の場合は非常に狭い範囲になっております。今回の認定に関しましては、これまでよりも更に厳しい制約を設けることは基本的にはやめていただきたいというふうに考えております。今回の審議内容には入っていないかもしれませんが、お考えいただきたいのは、生活のしづらさ、また意思疎通の困難は平均聴力のみでは計り知れない、判断ができない部分があり、ぜひ社会モデルにたった見直しをして頂きたいと思っています。これが今後の検討課題だと考えております。

 先日も、難聴の方から相談を受けたケースを話したいと思います。その方は主婦の方でいらっしゃいますが、平均聴力が残念ながら手帳交付の基準には至らない軽度の聴覚障害の方です。彼女は、主婦という立場で、料理、洗濯、掃除といった家事仕事があります。家事仕事に関する音が聞こえない。湯わかしの音が聞こえない。洗濯機が終了したことを知らせる音が聞こえないなど、そういう中で、非常に生活のしづらさというものがあると訴えておりました。また、もう一つ手帳交付の基準に至らない難聴者の方で忘れがたいことは、補聴器を付けていないのですね。なぜ付けていないのかと聞きましたら、補聴器を買うお金がないと。補助制度がないため補聴器を買うことが全額自己負担にあり、経済的な苦しさのため買えないというお話が非常に忘れ難いものとして残っております。ですから、聴覚障害の認定を厳しくすることによって、このような状況がさらに増えていかないよう、社会の中での生活のしづらさということを十分勘案しながら検討していただきたいと思っております。

 それから手帳交付と、もう 1 つ障害基礎年金受給、両方とも診断書が必要になっており、現在別々の対応で、さまざまなばらつきがみられます。今回の検討内容には入らないかと思いますが、手帳交付と障害基礎年金の受給に係わる診断の手続きで、聴覚障害者の負担が重くなっている面がありますから、負担の軽い、合理的な方法へと改善して頂きたいと思います。

 障害基礎年金の場合、永久認定と有期認定がありますが、障害の程度が固定している状態なのに、有期認定と見なされ、診断書提出あるいは手帳のコピーの提出が必要とされる再認定のケースが報告されています。そういう再認定のことをどう考えるのか。 47 都道府県協会にアンケート調査をした結果として、 12 県から診断書を求められたケースがあることが分かりました。対応がまちまちであること、分かりやすい説明の面でも不足していたのではないかとも思います。再認定とする場合は丁寧な説明が求められると思います。また、再認定による提出書類に診断書が含まれる場合とそうでない場合とが混在しており、判断基準や手続きを統一してほしいと思います。また2級のうち先天性又は幼少時からの聴覚障害は、障害が変動することはほぼ皆無なので、一定期間の有期認定の後、永久認定とされるべきではないかと考えます。このような検討もしていただければありがたいと思います。

3 番目は、認定等に関する検討を実施する場合にはヒアリングという形ではなく、当事者が構成員として意見が述べられるような形が望ましいと考えておりますので、検討委員会のメンバーに当事者参画ということを是非お願いしたいと思います。

 最後に、私個人の経験を、少し述べさせていただきたいと思います。私は、かつて、ろう学校の教員をしておりました。聞こえない立場、難聴という立場で子どもたちの聴力検査、補聴器の装用点検等の仕事もずっと担当しておりました。子どもたちにとって聴力検査をするのは非常に負担が重く、大変なことです。負担にならないよう、いろいろと話をして検査をしてきたという経験もございます。聴力検査に加えて、いろいろと話ができること、生活において意思疎通や聞こえにくいことで困ったことも聞き取り、勘案して医師が診断するというような方法になるように是非お願いしたいと思います。以上です。

○江藤座長

 小中様、どうもありがとうございます。続きまして、「社会福祉法人 全国盲ろう者協会 庵様」、よろしくお願いいたします。

○庵参考人

 ただいま御紹介いただきました全国盲ろう者協会の庵と申します。少し見えて、少し聞こえる盲ろう者です。盲ろう者ということで、今日皆様にはパンフレットをお配りしていますが、参考にしていただければと思います。盲ろう者とは、目と耳の両方に障害をあわせ持つ者をいいます。

 平成 24 年度に厚生労働省からの補助で、私どもが実態調査を行いまして、身体障害者手帳に視覚と聴覚の障害が明記されている盲ろう者が、全国で約 1 4,000 人いることが明らかになっています。

 一口に盲ろう者といいましても、見え方とか聞こえ方の程度によって大きく 4 つのタイプに分けられます。 1 つは全盲ろう、全く見えなくて全く聞こえない人です。あの有名なヘレン・ケラーさんのような人ですね。 2 つ目は全盲難聴、全く見えなくて少し聞こえる人。 3 つ目は弱視ろう、少し見えて全く聞こえない人。 4 つ目は弱視難聴、少し見えて少し聞こえる人。この 4 つのタイプがあります。また、障害の発症時期とかによってもいろいろありまして、例えば、生まれつき盲ろうだったり、年を重ねていくにしたがって徐々に目と耳が不自由になっていく人もいたり、何らかの病気とかで突然視力と聴力を失ってしまう者もいます。障害の程度や発症時期によってコミュニケーション方法やニーズが違ってきますけども、共通することは情報・コミュニケーション・移動の 3 つの困難が全て合わさっているということです。

 私自身はこの 4 つのタイプの中では弱視難聴でして、年を重ねるにつれて視覚と聴覚の両方の障害が進行してきました。網膜の病気では、初めは夜盲だったんですけど、年を重ねるにつれて視野がだんだん狭くなってきて、今では 5 円玉の穴をのぞいているような感じです。皆様のお顔の表情とか、会場の中の様子が分かりません。ちょっとした段差や薄暗い所は見えませんので、一人で歩くときは白杖を使っています。耳のほうは重度の感音性難聴で、補聴器をつけてますけど、辛うじて音が聞き取れます。周りの音が少しでも騒がしいと、人の話が聞き取れませんので、日常会話では FM 補聴システムを使って会話をしたり、通訳・介助員に音声通訳をしてもらって会話をしています。しかし、込み入った今回のこのような会議の場であるとか、そういったときになると聞き取りがなかなか難しくなりますので、今ここではパソコン通訳を受けています。

 ここにあるスクリーンですが、その画面の文字が読めません。また、この会場の皆様の様子が見えません。ですので、私が読みやすいように、すぐ目の前にあるこのノートパソコンの画面の色が黒になっていて、文字が白で、大きく文字が映し出されています。皆様の話だけではなく、どこに誰が座っているのかといった会場内の様子など、視覚的な情報を適宜入れてもらっています。また、私はこの会場まで自力で来ることができませんので、移動介助もしてもらっています。このように、盲ろう者は一人ひとりのコミュニケーション方法やニーズが異なっています。それぞれに合わせた通訳や情報提供、そして移動介助のサポートをする人のことを通訳・介助員と呼んでいます。前置きが長くなりました。

 本題に入りたいと思います。私どもから今日は 3 つのことを述べさせていただきたいと思います。 1 つ目、生活実態に見合った検査方法を考えていただきたいということです。聴覚障害の認定においては、一般的には防音室内での純音による聴力検査及び語音明瞭度の検査が用いられています。しかし、私たちの日常生活の場面では戸外や教室、会議室、食堂、電車内などのように様々な騒音、環境音があります。また、多くの人の声が交錯する中で、どれだけ語音が識別できるかが重要であります。防音室内での検査上の聴力が良くても、こうした現実の生活場面において、周りの音環境によっては聞こえに大きな制約を受ける人がいます。また、そのときの体調とか精神的な緊張の度合いなどによっても聞き取りにくくなります。聞こえ方には本当に波があります。このようなことから、現行の機械的な検査だけでなく、本人への詳しい問診を導入するなどにより、生活実態に見合った検査方法の工夫が必要ではないかと思います。また、聞き取りにくい状態での聴力で聴覚障害の程度を判定すべきだと思います。

2 つ目、環境音の聞き取り能力が非常に大事だということです。私たち視覚障害と聴覚障害を重複する盲ろう者にとっては、語音以外の様々な環境音の聞き取りの問題が極めて重要な意味を持っています。例えば、白杖を使って一人で歩いているとき、車や自転車あるいは人がどの方向から来るのか、音源の定位、危険回避などの面から環境音がどの程度聞き取れるのかということは、視覚障害のない人の場合とは全く次元の異なる問題であります。視覚障害のある聴覚障害者が、聴覚障害の検査を受けるにあたっては、このような環境音の聞き取り能力についても十分な御配慮をお願いしたいと思います。

3 つ目、定期検査の義務づけはしないでいただきたいということです。高度の難聴や全ろう状態の盲ろう者が定期的に検査を義務づけられることになれば、心身両面・物理的・心理的双方の面から、過重な負担となることが考えられます。特に、移動やコミュニケーションに大きな困難があることから、検査のための通院とか、検査自体での負担が大きくなります。今、私が受けているような盲ろう者向け通訳・介助員の派遣事業は、障害者総合支援法に基づき各都道府県で実施されていますが、多くの地域では視覚障害と聴覚障害の両方の障害が身体障害者手帳に明記されている者が利用できることとしております。万一、聴覚障害の認定が取り消された場合、例えば 69dB とかそういった場合には盲ろう者向け通訳・介助員派遣の対象から外されて、生活の基盤が失われることを考えると、盲ろう者の不安は非常に大きくなることが予想されます。このようなことから、定期検査の義務づけはしないでいただきたいと思います。

 最後になりますが、日本の聴覚障害の認定方法が私たち盲ろう者の実態に見合ったものになりますよう、御検討をいただければと思います。御清聴ありがとうございました。

○江藤座長

 庵様、どうもありがとうございます。最後に、「一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 新谷様」、お願いいたします。

○新谷参考人

 御紹介いただきました全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の新谷です。ヒアリングの機会を与えていただき、ありがとうございます。私どもの基本的な考え方としまして、障害認定の方法のあり方に関する議論は障害の範囲の問題と非常に密接に結びつくというふうに考えております。それで我が国が 1 20 日に批准しました「障害者権利条約」は、障害を、機能障害を持つ人と、社会的障壁との間の相互作用に求めるというような考え方をとっておりますので、今回の障害の認定方法に関する検討会の方向は、障害の認定される人の範囲を狭める方向ではなくて、極力聞こえの障害を持っている人を障害の範囲に入れるという方向での検討を是非お願いしたいと思います。この問題は、私たち全難聴が創設以来、デシベルダウン運動として展開してきたもので、この辺の経緯を踏まえて、今日、聴覚障害の範囲の問題、それから等級の設定、それから認定方法そのものの問題、 3 つに分けてお話ししたいと思います。

 まず 1 番、聴覚障害者の範囲です。これは身体障害者福祉法の規定にしたがって、どれぐらいの人が手帳を持っているかという調査報告が従来は出ていたのです。 5 年ごとの身体障害者・身体障害児実態調査というのが出ておりましたですが、数年前の「聞こえのつらさ調査」というかたちになり、検査の継続性が失われているのではないかという懸念を持っているのです。私たちが持っている最新の数字というのは、聴覚・言語障害者の数というのは 35 万人ぐらい。先日の検討会で 45 万人という報告数字をいただいたので、一体その数字はどこにあるのかなと思って、団体でもちょっと追いかけきれなかった報告数字が出ております。こういう数字はやはり、社会に情報として共有されるひつようがあると思いますので、現在の調査方法についての検討も併せていただきたいと思います。

 それで WHO の報告数字は資料に書いてございますけども、 WHO がどういうふうに 41dB よりも聴力が重い人の障害者の数を調べているのか。その調査方法について私どもはかなり疑問を持っているのですけれども、少なくとも 4. 何パーセントとかという具体的な数字を挙げて報告しておりますので、何らかのやはり根拠づけた調査をやっていると思います。それは横に置きまして。日本の 0.3 %の障害者手帳を持っている人の数と、 WHO が言っている 4.3 %の数と落差が余りにもひどすぎると。この原因については、聴覚の障害認定のレベル 40dB で切っている、 70dB 以上の聴覚障害を日本の場合では認定するという、その辺のところにあることは大体の関係者の認識になっているんではないかなと思います。純音聴力でそういう検査がありますけども、一方、それとは別に、日本補聴器工業会とテクノエイドが実施した Japan Trak 2012 の検査、これは他覚的な検査ではなくて、自分が難聴と思うかということを聞いて、その数が入っております。やはり欧米諸国と並んで、同じように 10 %超えるような調査結果が出ている。これは、ユーロトラックの調査と横並びの調査をやっているので、かなり調査方法としては信頼性が高いのではないかと思います。そういう意味で、自覚的な調査方法って難しい面があるかと思いますが、そういう数字を参考に現在の手帳制度の認定のレベルの検討もいただければいいかと思います。聴覚障害に関する福祉サービスはほとんどがニーズアセスメントはなくて、手帳の認定でサービス範囲が決まってしまうということがありますので、手帳の障害認定範囲というのは非常に大きなウエイトを持っている。それをすぐにニーズアセスメントにサービス体系を変えるというのは非常に困難があると思いますので、とりあえずのところは障害者手帳の認定レベルを WHO 並みにしていただくということで、聞こえの障害を持っている方のかなりの数が福祉サービスの対象になるのではないかなというふうに考えております。

2 番は障害程度の問題です。今、 6 級、 4 級、 3 級、 2 級、これは純音のレベルで切っておりますけれども、それに対応した具体的などのような補聴手段が考えられるのかという基準はどこにもありません。私ども団体で調べたのですが、その等級の切り方というのがどうも労働力喪失率でバっと切ってしまっているのではないかと。ニーズで見ているのではなくて、昔なりの労働損失率で等級を切っていると。 WHO 41dB だったらこう、 80dB だったらこういうニーズがありますよという例示を挙げているわけなのです。日本の等級制度、認定制度を作るのであれば、そういうどういうニーズに対応するのかぐらいのところはやはり決めていただく必要があるのではないかなと思います。

3 番目の障害認定の問題ですが、現在、純音の聴力検査と語音明瞭度、これでも私ども実際にその検査に行くのはかなり負担が多い。指定医の数というのはそんなに多くないですし、いろいろな所で簡単な検査で異常が出て、すぐ病院に行って検査してもらいなさいと言っても、なかなか簡単に行けるものではないので、どういう方法がいいのか。ちょっと分かりませんが、もう少し負担のない方法を考えていただきたいということがあります。それから障害の早期発見・早期対応の意味で言うと、教育場面では就学前検診と、 2 年、 4 年、 6 年、中学 2 年、高校 2 年と聴力検査がありますが、先ほど小中さんの説明のあったように、防音室で見るのではなくて、恐らくヘッドホンで見て、異常を引っ掛けるだけだと思うのです。そういう方法で、大事な聴力障害の早期発見が果たしてできるのかどうか、学問的・医学的に検討いただきたいと思います。同様の問題は職場でもあって。職場は一応 40 歳以上、ガイドラインとして聴力検査を受けますけども、あれもほとんどの職場は防音室なんてないですから普通の環境の中でヘッドホンで 1,000Hz 4,000Hz 2 つを聞いて異常を引っ掛けるという方法になっています。これが全体を考えて仕方ない方法だということであれば、その先の精密検査との間のやはり手続をきちっと整備いただきたいという気持を持っております。この場は障害認定方法に対する検討会なので、その辺の議論はちょっと難しい面があろうかと思いますけども、課題はやはり全体の制度の間の整合のとれた認定方法を考えていただくという観点が必要ではないかなと思います。以上です。

○江藤座長

 新谷様、どうもありがとうございます。それでは 3 団体からお話を伺いましたところで、構成員の先生方から御質問や御意見がございましたら、どうぞお願いいたします。

○小川構成員

 慶應大学の小川と申します。いろいろお話を頂きましてありがとうございます。もう、本当にもっともなことではないかと思います。今回は認定方法に関する検討会ということですので、そこに絞って少し御質問をしたいと思います。様々な今、御意見があって、認定の仕方というか、生活の上でどれだけお困りになっているかという、それをどうやって吸い上げて認定をするかというお話もありましたが、正確に認定をするということと、そうすると、例えば、認定のために何回か通院をしないといけないという、認定のいろいろな物理的な煩わしさも出てくるわけですが、実際、今の認定の仕方の中で、先ほど再認定がいろいろな意味で大変だというお話もありましたが、この辺は、今のやり方がもう少し厳密になってくると、実際やはり皆さん大分お困りになりますか、その辺少し御意見を頂きたいと思います。例えば、認定のためにまた新しい検査を加えるとか、そういうことで検査の日時がもう少しかかるとか、いろいろな。そういうことになった場合に、実際問題としては大分負担が増えるとお考えでしょうか。

○新谷参考人

 私も何度か聴力検査を受けるのですが、病院によっては、待ち時間、 2 時間 3 時間はざらみたいな病院があります。ああいう所に簡単に行って、何度も行って検査を受けなさいというのは実質的にものすごい負担になる。それぐらいでしたら、もう行くのやめるかとは言えないのですが、ずるずる延ばしになってしまうということがあるので、少し私見が入りますが、障害認定はかなり広い範囲で認定を頂いて、実際のニーズに対するサービスの提供の部分では個別にいろいろお話し合ってとか、いろいろな方法で決めていくという方向で。手帳制度で入口で切ってしまって、あなたも対象外よと言われますと、今の日本の制度ではもうその先に進まないのです。ですから、広い範囲でいっぺん取り込んでいただいて、その後の個別の問題はいろいろ個別に決めていっていただくという方向があっていいのではないかと思います。

○江藤座長

 ありがとうございます。小川先生からは、より適切にと言いますか、そういう判定をするために今、検査を増やす、あるいは他覚的な検査を増やしたり、あるいは複数回検査をすることについて各団体の方々の御負担がどうかということで、今、新谷様からは非常に負担の多いことだという御発言だったかと思いますが、ほかの団体の皆様方はいかがでしょうか。

○小中参考人

 全日本ろうあ連盟の小中です。基本的に、聴力検査は厳しいものだと思います。私は、検査を受ける立場、する立場両方の経験をもっていますが、聞こえるかどうかということで合図をすること自体、非常に疲労感があります。また聞こえないということに対して非常に嫌な気持ちになるということもあります。何て言いましょうか、自分のマイナス部分、どのぐらいマイナスなのかということを調べられるような、そんな気持ちにもなってしまいがちになるのです。そうではなくて、医者から、例えば、生活面でどのように困った部分があるのかとか、どういうふうに聞こえて、どういう音や声が聞こえにくいのか、聞こえないことで困るということはどういうことかなど、きちんと会話が出来ること、その会話の中で少しでも心理的な負担を軽くして検査を行うという環境があれば、より良いのではないかと思います。以上です。

○江藤座長

 ありがとうございます。庵様、いかがですか。

○庵参考人

 すみません、庵です。先ほど新谷さんがおっしゃったこと、小中さんがおっしゃったことと大体近いのです。私は先ほど申したように、盲ろう者の場合、まず検査を受けるところまで行くのに非常に大変、移動に困難であることと、あと、お医者さんとか検査する人とのコミュニケーションが非常に難しい面があります。通訳・介助員を伴って実際は病院で聴力検査を受けたりするのですが、非常に時間が掛かるし、精神的にも負担が重いことがありますので、そうですね、聴力検査自体をもう少し簡略にというか、あまり複雑にしないで、それプラス、先ほど申したように問診、生活においてどれだけ不便を感じているかをきちんと問診という形で簡単にやりとりできるような工夫をしていただけたらと思います。以上です。

○江藤座長

 どうもありがとうございます。非常に負担が多くなるという御回答、御意見かと思いますが、構成員の先生方、ほかに何か御意見、御発言ありましたらお願いします。

○原構成員

 筑波大学の原です。お二方が、新谷さんがおっしゃったことと他の方が多少相反する面があると思うのです。というのは、非常に精神的な面も含めてフォローをする、お話をする時間がやはり私も必要だろうと思うのです。そうすると、多くの方の待ち時間が長くなってしまうわけです。それが 1 点と、もう 1 つは、後でまたお話が出ると思うのですが、今、こういう等級判定をしている医者が必ずしも耳鼻科医ではないということで、ある意味専門外の方がやっているケースもあるのですが、今回の方々は皆さん耳鼻科医に診断されたのでしょうか。それと、それが違う方たちが、例えば神経内科の先生とかが耳元でお話を聞いて、それでどの程度かという判定方法でも構わないというお考えでしょうか。いかがでしょうか。

○新谷参考人

 耳元で話しての判定方法だと非常に個人的なばらつきが出るので、私は現在の純音聴力とか語音明瞭度検査というのは判定方法として不合理なものとは思わないのです。それで、純音で、恐らく聴力が悪ければ大体の場合聞き取りも悪いですよね。逆はあるかも、純音がよくても聞き取りが悪い人はあり得ても、純音が悪い人はやはり語音明瞭度も悪いと思うのです。そういう意味で、今の方法で私どもは別段それほど不具合は感じないのですが、とにかく、今の認定基準が厳しすぎる、そこが根本的に問題があるということで、その 1 点がまず解決しないと次の所に行かないのではないかという考えをもっています。

○江藤座長

 今、原先生からの御質問に、皆様方の判定に関わられた先生は耳鼻科の先生でしたかということも 1 つあったのですが、多分、皆さん耳鼻科の先生方でしょうか。

○原構成員

 そのことに対して、逆により簡便にやっていただく、要するに時間を取らないお医者さんであれば耳鼻科医でなくてもよろしいというお考えなのか、その辺はいかがでしょうか。一般論で結構なのですが。

○江藤座長

 皆様方は耳鼻科の先生だったかということですが、より簡便にするという方向で、耳鼻科以外の先生が判定に関わることについてはどのようにお考えかという御質問かと思いますが。

○新谷参考人

 それは余りにも機械的で、私どもは耳鼻咽喉科に行って聴力測定だけしていただくわけではなくて、やはり耳鼻科の先生に聴力検査の結果についてはこうこうだということをお話を伺うことで安心できる面があるので、機械的に手帳みたいな大事なものを別の専門科医が判定しましたでは、なかなか納得はいかないと思います。  

○小中参考人

 より簡単に検査をするという場合、 4 級、 3 級、 2 級…という等級をなくした形で、聴覚障害の認定を行い、その後は、個々の必要なニーズに応じたサービスを提供していくというシステムに変える、これはなかなか難しいだろうと思いますが、そういう形もあるかなと思います。今の検査に関しては、私がろう学校に在職中、子どもたちの聴力を調べるときには、ただ調べるというだけではなくて、聴力を調べることにどのような意味があるのか、例えば、自分の聴力をきちんと知ること、生活の中で少しでも聞く気持ちをつくるとか、補聴器や聞こえを補完する機器を活用していくことも学習の中に取り入れるなども考えて検査に係わっていました。聴力検査というものは、普段は検査する人と受ける人は、お互いに見えないようにする設定が普通だと思うのですが、そうではなくて、お互いに顔が見える、操作の様子も見えるという状態にすることで安心感が生まれる、検査の説明も十分に理解できるようにすると、精神的に安定して検査が受けられる。時間は掛かると思いますが、精神的な面での安定感を得ること、説明に納得もできる。また生活改善にもつながるという面も大事だと思っています。以上です。

○奥野構成員

 三井記念病院の奥野と申します。耳鼻科医ですので、難聴の患者さんと私どもは長い間お付き合いをして、どのくらいお困りだというのを伺って初めて認定の申請などを出すのですが、いろいろなケースがあって、ただ認定だけのために耳鼻科を受診するという方もあるかもしれません。皆様方は認定を受けられるまでにどのような耳鼻科医との関わりみたいなのをもっていますでしょうか。あるいは、認定を受けられた後もずっと関わりがあるのではないかと思うのですが、その辺のところを伺えたらと思います。

○新谷参考人

 新谷です。私は 40 歳ぐらいからずっと検査を受けてきたわけなのですが、最初はやはり聞こえのいろいろな検査を受けて病気が何だとかいろいろ診断を受けて、だんだんと何年か受けていますと聴力が落ちてきて、あなたの場合にはそろそろ手帳をもらわないと難しいよというアドバイスがあって、それでその所で別の検査士の方から受けて、それで手帳の申請書に書いていただいて、その後もやはり 1 年に 1 回、 2 年に 1 回ぐらい行って聴力のこの低下の具合を調べて一度等級も変えました。その後、補聴器効果がないのでどうするのだという話になって、あなたの場合はもう最終的にも人工内耳を決断しないとどうしようもないのではないのというようなステップを踏んでいますので、ある日突然どこかに行ってあなた聴覚障害よと言われるそういう歴史を経ていませんので、常識的には、最初に耳鼻咽喉科に行っていろいろ治療を受けて、その後ステップを踏みながら聴覚障害者となったという歴史をもっています。

○小中参考人

 全日本ろうあ連盟の小中です。私の場合には、小学校に入ったときに聴覚障害となり、小さかったので記憶が定かでないので、親に連れて行かれて病院に行って補聴器というものを手にしました。ただ、親は手帳を申請しませんでした。手帳申請ができることを知っていたのか、あるいは知らなかったのか分かりませんが。ですから私自身知らないまま大人になって、仕事に入ったときに初めて手帳の申請ができるということを知って慌てて窓口に行きました。今、私は聴覚障害者情報提供施設という所で仕事をしていますが、難聴の方々も多く相談に来られます。聞こえなくて困っているといういろいろな訴えがありまして、昔、ろう学校で検査をした経験がありますので、簡単に聴力を調べる機械も準備してあり簡便な検査をする。また、話を聞いて、私自身の経験も通して、少しでも聴覚障害を受け入れるようになってもらう、そして、耳鼻科に行って調べてもらうようにつなげています。すぐに耳鼻科に行くということも難しい人がおり、耳鼻科に繋げる聴覚障害者情報提供施設の役割は非常に重要だと思っております。以上です。

○庵参考人

 庵です。私の場合は 3 歳のときに難聴ではないかと親よりも先に保育士さんが見つけてくれて、それからあちこち病院を回って何とかならないかということで。まだそのときは手帳をもらうほどではなくて、小学校に入ってからやはり授業を受けるに当たってきちんと補聴器を着けたほうがいいだろうということで改めてきちんとした耳鼻科というか、大学病院で検査をして手帳を取るようになったのです。小学校、中学校、高校時代はとにかく耳の病気というか、中耳炎になることが多くて耳鼻科にはしょっちゅう通っていて聴力検査もいつもやっていたのですが、大人になってからずっとほったらかしの状態で、しかも職も転々としていたのでなかなか耳鼻科のほうに足が向くことがなくて、 30 歳を過ぎてから最近すごく聞こえが悪くなったということで行ったらもう 100 近くまでなっていたのです。それで再申請をして等級が上がりました。それ以来耳鼻科の先生とはなかなかきちんとお付き合いをしていないのですが、やはり子供のときみたいにきちんと身近な所に耳鼻科の先生がいて常に聴覚管理をしていただける方がいると、今よりももっといい状態だったのかと今思うとそう思います。以上です。

○江藤座長

 庵様、どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。本日は、聴覚障害の認定方法に関して 3 つの団体の方から御意見、お話を頂きました。構成員の先生方から何かほかに御質問がないようでしたら先に進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○江藤座長

 はい。次に、前回の検討会において構成員の先生方から御指摘を頂いていました件などについて事務局から御説明をいたします。その後に、身体障害者の認定基準の今後のあり方に関する研究班から、国立障害者リハビリテーションセンターの石川先生に研究班の研究経過報告についてお話を頂きたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いします。

○田中課長補佐

 資料の説明をいたします。資料 5 を御覧ください。これは、平成 26 3 26 日の第 1 回検討会における主な意見です。 1 つ目の○として、 S 氏の平成 14 年の 2 級の手帳交付前に通院していた大学病院の診療データについて、本人の了解を得ることが必要だとは思うが、入手して示してほしいという御意見がありましたが、こちらについては横浜市を通じて入手は困難との連絡を受けています。

2 3 4 つ目の○についてですが、この 2 3 4 つ目を受けて 5 つ目の○で、今回の検討は認定方法の運用の改善に向けた方策について検討することとしてはどうか、というところですが、もちろん、聴覚障害者の方に今以上の負担増があってはいけないと思っていますが、今回の件を特異なケースとして考えるのではなく、今回の件をきっかけに正確な聴覚障害の認定を行うためにはどうあるべきかを検討する会にしていただきたいということです。

6 つ目の○です。他の障害における再認定を行う場合の例を教えてほしい、ということですが、これは参考資料 3 17 ページを御覧ください。こちらは、「障害の状態が更生医療の適用等により変化すると予想される」疾患の一部というのが示されています。聴覚又は平衡機能の障害関係については、ここにあります伝音性難聴ですとか、混合性難聴、それから脊髄小脳変性症が挙げられています。

7 つ目の○です。診断時に行われている検査の実態や指定医の分布状況 ( 病院なのか、診療所なのか ) 等も踏まえて検討すべきという御意見を頂きました。これについて資料 6 の御説明をいたします。こちらは、厚労省が全国の自治体に調査を行った聴覚障害に係る指定医の状況をまとめたものです。都道府県において病院にいらっしゃる指定医は 55.2 %、診療所は 44.6 %、指定都市は病院が 59.5 %、診療所が 40.5 %、中核市は病院が 59.5 %、診療所が 40.2 %、合計は病院の指定医が 7,506 人、診療所にいる指定医が 5,637 人、その他が 21 人で、聴覚障害に係る指定医の状況は 1 3,164 人となっています。また、全体の構成比としては、病院が 57 %、診療所が 42.8 %、その他が 0.2 %となっています。

 資料 7 について御説明します。こちらは一部自治体、 14 自治体に行った調査でして、回答のあった医療機関の結果を集計した「聴覚障害認定に係る主な検査機器設置状況」です。回答のあった医療機関としては 911 医療機関で、そのうち病院が 260 機関、診療所が 651 機関となっています。それぞれの検査機器においては、オージオメータについては病院、診療所とも設置状況は 100 %となっています。 ABR については、病院 260 を分母として 178 の医療機関が持っているということで 68.4 %、診療所については 651 の医療機関において 32 ということで 4.9 %となっています。それぞれ OAE については病院では 29.2 %、診療所では 17.2 %、 ASSR については病院では 11.9 %、診療所では 0.5 %、 COR は病院では 14.6 %、診療所では 2.0 %、 BOA は病院では 12.7 %、診療所では 1.5 %、語音明瞭度検査機器は病院では 65.4 %、診療所は 55.6 %という結果になっています。

 資料 8 です。こちらは御参考までに、平成 20 24 年度までの身体障害者手帳、聴覚にかかわらず身体障害者手帳全体の返還件数を調べた集計結果となっています。こちらは御参考にしてください。事務局から資料の説明は以上です。

○江藤座長

 次に石川先生からお願いいたします。

○石川参考人

 国立障害者リハビリテーションセンター耳鼻咽喉科の石川です。私は「身体障害者の認定基準の今後のあり方に関する研究」の研究班として、主に事務局から御説明のあった調査結果、委員の先生方に机上配布となっている、問題となった患者様の意見書、この件について確認を行って、考察をしたことについて、御報告させていただきます。

 まず、私のお配りしている資料 4 、先ほど御説明のあった資料 6 2 つを御覧ください。資料 4 については 1) 「聴覚障害に係る指定医の状況」という所です。先ほど事務局から御説明があったとおり、合計数で見ていくと、病院勤務者が 7,506 57 %、診療所勤務者が 5,637 42.8 %という比率になっております。内訳は先ほど事務局から御説明のあったとおりですが、都道府県というのは指定都市と中核市を除いた都道府県の一般市町村ですので、ある意味ではどちらかというと田舎ということになるかと思います。これですと、病院勤務者が 55 %、診療所 44 %と、やや診療所勤務者の比率が高いです。一方、指定都市、中核市の都市部は、 6 割、 4 割という比率になると見て取れることが、まず挙げられます。

1) の真ん中の辺りから書いてある所ですが、日本耳鼻咽喉科学会が認定している耳鼻咽喉科の専門医数ですが、ホームページの情報で、平成 25 11 月現在で 8,772 名となっております。この数を踏まえていただいて、資料 6 の一番右下の計を見ていただくと、 1 3,164 名ですので、約 4,400 名多いという計算になります。この 4,400 という差はどこからくるのかということを考えたのですが、この調査に関してはあくまでも各自治体から報告を受けているために重複して各自治体で指定を受けている者がいるということがあります。ですので、延べ人数ですので、いわゆる一人一人ではありませんので、被っている医者がいることが推測されます。

2 点目、耳鼻咽喉科医の中にも学会専門医を取得していない耳鼻科医がおりますので、学会専門医を取得していない耳鼻科医が含まれていることが考えられます。

3 番目は他科の医師です。もともと様々な事情で耳鼻科医の診断を受けられないような土地柄であるとか、そのような問題。いろいろを含めまして、神経内科であるとか、脳神経外科のような他科のドクターが含まれていることが推測されます。以上の 3 点が、考えられる項目として挙げることができました。

 続いて 2) に関しては、資料 7 です。事務局からの説明のとおり、 14 自治体で行われた調査です。そして、オージオメータは全施設で持っていることが挙げられているわけですが、他の検査機器は横並びに並んでいるのですが、幾つか検査の性質が違うものに分けられると思います。いわゆる他覚的聴力検査といって、普通の聴力検査というのは御本人が聴こえたか聴こえないかという、ボタンを押すなり、手を挙げるなりという形で検査を行うわけですが、そういうことをせずに、ある程度本人の聴力検査の閾値を調べることができる検査機器という考え方でいくと、聴性脳幹反応 (ABR) と、聴性定常反応 (ASSR) という検査が挙げられると思います。

 この検査 2 つに絞って見ていくと、 ABR に関しては病院の保有率が約 7 割と、そこそこ持っているわけですが、診療所に関しては 5 %ほどしか保有率がないということが、まず挙げられます。実際、先ほど資料 6 で見ていただいたとおり、病院や診療所では、それぞれ医者が 5 5 分から 6 割が病院、 4 5 分から 4 割が診療所でしたので、その 4 割の方が勤務されている診療所には 5 %しかないということが 1 つ挙げられます。

 もう 1 つの ASSR という検査を見ていただくと、こちらは複数の周波数帯に対して聴力閾値を推測できるという意味で、聴覚の判定という意味では有意義な情報が得られる検査ですが、こちらの検査機器に関しては、病院は 12 %、診療所では 0.5 %と、まだまだ病院も含めて普及率は低いという結果と見て取りました。

 そのほかの、例えばここに出てくる COR BOA という検査は、幼児聴力を調べるための検査ですので、少し性格が異なると考えます。また、語音明瞭度検査機器は、 4 級の認定の中で語音弁別能を調べるという検査で、非常に重要になる検査ですが、こちらも病院 6 5 分、診療所 5 5 分という普及率であったということを付加します。

 最後に 3) です。症例の身体障害者意見書の所見です。これは、皆様にはお配りしておらず、構成員の先生方の机上のみに配布のものです。この中で 1 つ気になった点というのは、平成 26 2 月に行われている診断書の一番右下ですが、最高語音明瞭度が右 71 %、左 29 %という記載があります。通常、語音弁別能の検査というのは、 57-S 語表という 50 音で調べる検査、若しくは 67-S 語表という 20 音で調べる検査で行いますので、検査結果は 57-S の場合には偶数に、 67-S の場合には 5 の倍数になるのが一般的です。ですので、 71 %、 29 %という結果が、どのような検査法で行われたのかが推測できないということを、 1 つ挙げさせていただきました。

 その後の考察に関しては、結果とともに述べてしまいましたので、最後の「まとめ」に進みます。今回の結果を踏まえて、まず、 1 3,000 人という聴覚障害指定医の中で、耳鼻科医の専門医は 8,800 人という現状にあるので、幾つかの考えられる候補を挙げましたが、このような点から考えたときに聴覚障害に関わる指定医要件というのが現状のままでよいのか、あるいは何か付記すべきなのかということに関しては、議論の余地があるのかなということを挙げました。

2 点目として、いわゆる詐聴が疑われる場合、若しくは機能性難聴など、非常に診断の難しい場合に関して、 1 回の診察、診断だけ、初診の方も含めてですが、そういった方に 1 回の検査だけで果たして手帳のための意見書を書いていいのか、それともそういう方は複数回の検査は必要なのか、若しくは複数回の検査を行った上でも再認定の有無を付けるべきなのか、そういったことに関して議論が必要なのかと考えた点を挙げました。

 また、詐聴を疑われる場合、機能性難聴の診断が難しい場合に、他覚的聴力検査、 ABR ASSR がその代表になりますが、こういった機器の使用についてはどうするのか。ただし、これに関しては先ほど申し上げた分布状況を考案しながら考えなければいけないのかなと考えています。以上、私からの報告です。

○江藤座長

 石川先生、どうもありがとうございます。

 今の石川先生の御報告の中に、 S 氏の診断書のことがありましたが、これは構成員の方々のみの机上配布となっていますので、診断書について、事務局から御説明いただけますでしょうか。

○田中課長補佐

S 氏の診断書の語音明瞭度検査についての指摘について、横浜市からの回答を頂いております。使用した機器は、 3 段階の結果である、「正解」「誤り」「反応なし」が表示されるもので、それを自動的に計算するものです。数値は小数点までの数値が出ますが、四捨五入させるということで、 2 の倍数や 5 の倍数にならないこともあるということです。

 例えば補足として、計算式は正解数÷ ( 検査語数 - 反応なし ) × 100 となりますが、実際に 50 語のうち正解が 25 語、反応なしが 1 語の場合には、 25 ÷ (50-1) × 100 ということで、 51 %という数値が出るとの回答を頂いております。

○江藤座長

 ただいまの事務局からの資料説明と、石川先生からの御報告について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。なお、全体についての質疑は、また改めて行いますので、ただいまの事務局の資料説明と研究班の経過報告に係る御説明に限って、御意見、御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○市川構成員

 ただいまの話の資料 7 の各検査機器の医療機関が持っている割合の表が出ています。なるほどと思いましたが、これは日本耳鼻咽喉科学会のデータとそんなに変わらないような気もしています。

 問題は、 ABR の機械を持っている所は、 ABR の機械を大いに活用している、あるいは ASSR を持っている所は ASSR を大いに利用しているかというと、必ずしもそうではないという実態がかつてありました。多分現在も同じような状態だと思います。 ABR の機械は置いてあるのですが、その医療機関の人的な問題とかその他の問題で、ほとんどケースに入ったまま、年間何回使うかというようなところも、具体的に大いにあるやに聞いています。

 ですから、持っているか持っていないかは大切なのですが、それの活用状況とは差があることも、我々は念頭に置いておかなければいけないと思います。

○江藤座長

 そのほかにいかがでしょうか。

○小川構成員

 非常に基本的なことですが、今の 15 条指定医の認定の仕方、手続上のことですが、それを御説明いただけますでしょうか。私も病院で認定していただいたのですが、「 15 条指定医になります」といって手を挙げて、そのまま認定されたような気がするのですが、実際にはどういう申請書が出されて、それをどこが評価をして認定しているかという辺りを、御説明いただきたいと思います。

○田中課長補佐

15 条指定医の指定基準ですが、都道府県知事が指定することになっていて、都道府県知事が 15 条指定医を指定する際には身障法第 15 条第 2 項により、地方社会福祉審議会の意見を聴取した上、指定することとなっています。また、通知により、診断に係る相当の学識経験を有する医師について行うこととし、以下の事項について審査を行うとなっています。

 以下の事項は 6 つあります。 1 つ目が診療科名、 2 つ目が医籍登録日、 3 つ目が担当しようとする障害分野、 4 つ目が当該医師の職歴、 5 つ目が当該医師の主たる研究歴と業績、 6 つ目がその他必要と認める事項です。

○小川構成員

 今回の問題の 1 つは、いかにいろいろな検査を増やしても、先ほど石川先生からお話がありましたが、詐聴が疑われる場合あるいは機能性難聴の可能性がある場合、そこを見抜けるか見抜けないかというのは、おそらくバックグラウンドにある診療歴、検査に対しての理解度が関わってくるので、いろいろな検査を複雑にして、厳密な認定をしようという規定を使ったとしても、それを使う方がどれだけそれを使えるか、そちらに大きな問題があるのではないかという気がしています。

 先ほどの語音弁別能の回答も私には全く理解できなかったのですが、そういうこととか、 2 級の診断を書いたときのオージオグラムあるいは平均聴力の出し方も、身体障害者の認定基準だと、いわゆるスケールアウトの場合には 105dB がマックスなのですが、この場合は 115dB ということで出してあります。こういうことについても、認定の基準が十分に理解されていないというところで認定が行われているところが一番の問題ではないかということで、 15 条指定医の認定の仕方をお聞きしたということです。

○江藤座長

 事務局から何かございますか。

○田中課長補佐

 手元にある診断書を見ると、実は S 氏の 1 回目も 2 回目も、耳鼻咽喉科医が認定しているのですが、例えば学会とか、専門医の中で指定医の要件をどうするかとか、そういったことについて何か御意見等があればお願いいたします。

○小川構成員

 それは学会の責任でもあるので、この辺は聴覚医学会の理事長の原先生にお答えいただいたほうがいいかもしれませんが、診療歴、研究歴という項目がありましたが、それがどこまで認定のときに審査されているかというところもあるので、その辺の「何とか歴」というところで、最低限こういうことがないといけないとか、そういうものを加える必要があるのかなと思っております。原先生から追加はございますか。

○原構成員

 現状ですぐに何かしろというのは難しいのですが、先ほど新谷さんからもお話がありましたように、聴力検査という技術的なこともありますが、その病気に対する理解とか、そういうところが通院を可能にしているところだろうと思いますので、やはりそういった面を十分に理解し得る耳鼻科医がやっていかなければいけないのだろうと思います。

 それと、たまたまこの 2 つとも耳鼻科医だということなので、余り大きなことは言えないのですが、 1 つお聞きしたいのは、先ほどの御説明で専門医よりも多くなっています。そこのところが、本当に自治体の重複している人たちがどのぐらいいるのか、あるいは耳鼻咽喉科専門医以外の方がどの程度入っているのかというのは、改めての調査というのは難しいでしょうか。つまり、現状をまず把握しておかないと、それを改善していくとしてもなかなか一朝一夕にはいかないかと思うのです。

○田中課長補佐

 指定医の重複に関しては、なかなか調査するのは困難かと思うのですが、指定医の診療科目については把握しております。診療科目として耳鼻咽喉科としている指定医は 8,573 名で、全体の 1 3,164 名のうちの 65.1 %に当たります。それ以外の 4,591 (34.9 ) が、脳神経外科、神経内科、その他リハビリ科、内科となっております。

○小川構成員

 もう 1 つお聞きしたいのですが、 15 条指定医の基準を厳しくすれば、それだけ認定に関わる医者が少なくなるわけです。窓口が狭くなるという問題があるのですが、実際に 45 万人の聴覚障害あるいは言語障害者が認定されていますが、年間に認定の申請書が出ている、再認定も含めて、全国で申請書が出ている数はどのぐらいでしょうか。

○田中課長補佐

 年間の障害者手帳交付者数は、平成 24 年のものが最新なのですが、聴覚と平衡機能障害の総数になりますが、 2 3,336 人になります。

○小川構成員

 再認定も含めてですか。

○田中課長補佐

 再認定については把握しておりませんので、新規に限るものです。

○小川構成員

 数の問題というのは、現実的に考えると皆さんが認定を受ける場合の通院とか、いろいろな負担を考えると、その辺の数と 15 条指定医の人数を一緒に考えていく必要があるのではないかと思っております。

○原構成員

 新規だけでもいいのですが、それを出した医師数、今回の調べた範囲で分かりますか。つまり、新規の認定申請書を実際に出した方がどの程度いるか。私は茨城県なのですが、そこですと 15 条指定医を持っている脳神経内科の方などいらっしゃいますが、実際には全然出していないのです。実際に関わっているのは耳鼻科医が多いのです。聴覚に対して耳鼻科医でなければ深くないとは言いませんが、その道の専門でない方が実際に現状でもどんどん出しているのか、その辺の把握はできませんでしょうか。

○田中課長補佐

 少なくとも現時点で自治体に行った調査では、把握はしておりませんが、そういう調査ができるかどうかも含めて、持ち帰って検討したいと思います。

○江藤座長

 そのほかに御意見はございますか。

○奥野構成員

 原先生が遠慮されておっしゃらないので、私が代わりに申し上げます。聴力検査というのは数値で出てきますが、非常に技術的に高度な検査なのです。それなので、聴覚医学会で検査技術の講習会を設けているぐらいの高度な技術なので、その辺のことを加味して、どのように審査に結び付ければいいのか分かりませんが、講習会を受けていただくとか、そういうものも 1 つの点なのかもしれません。

○原構成員

 具体的に言いますと、今回と直接に結び付くかは分かりませんが、市川先生が理事長時代に言われたことですが、新生児スクリーニングの話が先ほど出てきましたが、その後の精密医療機関を日本耳鼻咽喉科学会である程度指定しているのです。うちの県ですと 4 施設ぐらいです。

 それの基準としては、聴覚医学会に属していること、そういった機器に詳しいこと、もう 1 点は療育まで結び付けられることというのがあります。

 そういう意味では、かなり厳しい条件でないと、奥野先生がおっしゃったように聴覚検査の理解と、お子さんの場合ですと療育ということになりますが、先ほど新谷さんがおっしゃったような、難聴に関する理解がなかなかできないのではないかということは個人的には思います。

○江藤座長

 ただいまのところ事務局の資料説明と、石川先生からの経過報告を中心に御質問、御意見をいただいているのですが、本日の検討会全体を踏まえての御意見、御質問も含めて、御討議いただきたいと思います。いかがでしょうか。

○市川構成員

 最初の 3 団体の代表の方にいろいろお話いただいた内容を聞いていて、非常に感銘を受けた面が多くありました。長年聴覚というものにコミットしてきた者としては、一方で聴覚医学会の先生がお話になったように大変難しいものであるという認識があります。その難しさを検査法その他に反映しようとすると、皆さんがおっしゃった煩雑さ、然るべき施設で検査をするために何時間も待たなければいけない、何回も通うことがとても難しいという現実と、相反することになるのだなあと。具体的にどうしたらいいかと言われたら、ここで答える技は持っていません。

 ただ、 1 つ非常に参考になりましたことは、同じようなことをおっしゃっていますが、問診を十分にやる、とにかくよく聴いてほしい。例えば環境騒音に対してどれほど困っているのだ、あるいはこれまでの自分の病歴についても十分に理解してほしいというような、問診を大切にしてほしいけど、問診を大切にしたら、検査法は簡単にしてもらったほうがいい。そういうお話があったような気がしまして、なるほどなと思いました。

 これも理屈ではよく分かるのですが、現実問題として、それをどのように実行したらいいかは大変難しく、別の問題だと思います。

 今回の問題、横浜市で起こった事件です。前回もそういう話が出ましたが、性善説に立っている検査法が、ある程度例外的に問題が起こったから、その認定の仕方を締め付ける、難しくするということに対しては、私も非常に慎重でなければならない、あるべきではないという考えを持っています。どうしたらいいかというところはとても難しいということです。

○江藤座長

 全体を通していかがでしょうか。今日は 3 つの団体の皆様から御発言、御意見をいただいて、それを中心にということですが、全体を通して御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小川構成員

 全体を通してということですので、これは聴覚障害の認定方法に関する検討会ということで始まっていますが、先ほどもお話がありましたが、認定方法には認定の基準も非常に重要な要素になってくることは明らかですので、例えばほかの内臓疾患だとか、こういう障害の等級、日常生活活動が極度に制限される、あるいは著しく制限されるものというような、どちらかというと、どうしても視覚とか聴覚の場合には数字で規定されてしまいます。何デシベルということで、数字で規定されてしまうことが結構ありますので、先ほどお話がありましたが、 70dB 6 級に認定されるわけですが、 69dB 70dB はどう違うのだというようなことにもなるわけです。どこかで線を引かなければいけないことは確かですが、そういった先ほどの問診もそうなのです。問診をすることによって、いかに数字に出てこないような QOL の低下も分かってくるだろうということですので、例えば平衡障害の場合にも、平衡機能の「極めて著しい障害」と「平衡機能の著しい障害」の 2 つの言葉で認定されるわけです。

 そういうことから考えると、聴覚障害というのは特別に数字で規定されているというところもありますので、そういったところも含めて認定の方法あるいは認定の範囲というものを検討していく必要があるかなと思っております。

○原構成員

 私も市川先生がおっしゃったように、基本的には皆さん一番御心配なのは、これ以上検査が厳しくなる、あるいは ABR を使わなければ認定できなくなるようなことにならないようにということだと思います。

 我々も、身体障害者認定というのは基本的には性善説ですから、それは是非とも委員会としても、厚生労働省の人に怒られるかもしれませんが、守っていきたいと考えています。

 もう 1 点は、一緒に全ての団体から出てきた、 WHO も含めたところの障害認定の幅というのは、少し観点が違うかなと。だから、その件に関しては、本検討委員会でやれることとは少し違うということは思いますが、少なくとも検査方法に関しては御心配のような方向にはいかないようにしたいと思います。その点はお誓いして、今後検討していきたいと考えました。

○江藤座長

 ほかにいかがでしょうか。この検討会は聴覚障害の認定方法に関するもので、障害をどう捉えるかというのは非常に大きな問題で、 3 つの団体の皆様方がおっしゃられた方向性が 1 つございます。

 それから、いろいろなところで障害認定が行われているのですが、歴史的に遡りますと、身体障害者福祉法というのが昭和 25 年にできますが、その後、労災に関するものとか、年金関係のものなどができてきた段階で、これは統一しなければいけないのではないかという議論がございました。その過程で、なかなか統一するのは難しいということもあるのですが、それぞれの認定の目的、何を対象として認定するかということで、必ずしも全部一致しなくてもいいのではないかという議論がございまして、今日に至っているわけです。

 それから、障害者とは何かということで捉えていくと、昨今の WHO の報告でも、人口の 15 %ぐらいが障害者ということです。その中で、障害の程度については、質問書をもって調査する場合においても、程度の区分をしないと 15 %いるにしても、いろいろなサービスが必要な対象について程度を区分すると、もっと少なくなるといった報告もございます。

 逆に、生活に特化して、いろいろな面で生活のしづらさ、社会生活の参加に対する制約という面から見ると、国によっては 20 %、 30 %といった数字を出すようなデータがあります。

 ですから、この検討会では我が国で行われている身障福祉法の障害者手帳という視点で、認定方法をどのように考えるかという検討会かと考えています。

○田中課長補佐

 事務局から確認です。もちろん性善説というのはそうだとは思うのですが、実際にこの検討会が立ち上がった経緯を振り返っていただきたいと思います。

 このような検討会が立ち上がった経緯について、今後そういった例が起きないように、どのようにしていくかというのを考えるのが、この検討会ですので、先ほど御意見のあった、どのように指定医のレベルを上げるのか、そういうことが聴覚障害者の方の精神的な負担を減らしたり、正しい認定を行うということにもつながりますし、詐聴が疑われる場合にどのように他覚的検査を導入していくか。

 もちろん、明らかに障害者の方にそのような負担を強いることはこちらも考えておりませんので、疑わしい場合にどのように検査を行っていくのかといったことを、具体的に考えていただけたらというところです。

○江藤座長

 基本的には障害をもった方々に不利益が生じないようにということで、現行で問題が生じているので、これをどのように変えて、よりよいものにしていくかという点で、その際に障害をもった方々の負担が増して、逆に手帳が取りにくくなるとか、そういうような方向を目指しているものではないということです。

○原構成員

 先ほど来申し上げているように、この検討会とは少し離れるので控えていたのですが、 1 つは聴覚障害の程度が、軽度、中等度、重度とかありますが、これ自体も今までに統一したものはないのです。世界的に見ても、必ずしも統一したものはありませんし、日本にももちろんなかったのですが、これに関しては近々に聴覚医学会から統一見解として出しますので、それを参考にしながら我々も勉強していきたいと考えています。

 もう 1 点は、中等度難聴の方たち、例えば WHO のいう 40dB から我々のいう 70dB までの間ですが、これの特に小児に対する補聴器の援助がない県とある県があるのです。ですから、障害者手帳とは別のこととして、そういった中等度難聴者への助成というのは、我々の学会側も考えていかなければいけませんし、これは地方行政ですので、そういう団体の方たちからの地方への要望書というのを、是非とも今回いらっしゃった方々から御指示いただければ、より進むのではないかと思います。この会とは懸け離れていますが、その辺もお考えいただければと思います。

○江藤座長 

そのほかに御意見、御発言がございましたら、よろしくお願いいたします。

○奥野構成員

 皆さんの御負担を増やすことなく、この精度を上げるという話です。実際に指定医に関して、何か新たなことをすることはできるのでしょうか。今、指定医とされている方々、指定医を受けておられる方々について、何かすることはできるわけでしょうか。それとも新規の方に限って、何かすることはできるというスタンスでしょうか。

○田中課長補佐

 具体的な方法については今後の検討になりますが、もちろん現在の方で例えば耳鼻咽喉科で聴覚の専門ではない方とか、耳鼻咽喉科以外の方はどうするかとか、そういった議論はあるかと思います。

○江藤座長

 そのほかにいかがでしょうか。

○中村構成員

 私は専門家ではないので、ずっと話を聞いていたのですが、少し階層の違う話が飛び交っているような気がします。何に向かって、現時点では何を解こうとしているかの的が絞れていないというか。課題がいろいろあるということはよく分かりましたし、それには患者さん側の要素と、ドクター側の要素、機器の問題がある、あるいは受診行動で、ずっとかかっている方が来られたのか、いきなり検査が必要で来られたのかとか、いろいろ状況があるので、その中で今回のようなことが起こらないためのリスクがあるものに限れば、今、 2 万何千件というのが年間にあるにしても、もし専門の先生方でそれが絞りきれるのであれば、もっと数は少ないのではないかと思うのです。

 今、お聞きしていると、そのような気がします。そのファクタをずっと分けていけば、どういう場合に詳しくやらなければいけないのか、そういうことをしっかりとやれば、障害をお持ちの方にそんなに御負担を増やさないようにしていくためには、もう少し層別化というか、課題が難聴の方というだけにしてしまうがすごく大きくて、どうするのかということも起きているような気がするのです。

 ですから、非常に多岐にわたる聴覚障害の認定に係る課題を出していただいたと思うので、ある意味ではよく分かったのですが、この委員会としてどうするのか、何を目的に、いつまでにやるのかとか、そういうことが見えない気がいたします。

 ですから、もう少しその辺の整理をしていただいて、検討をしていってはどうかと、耳鼻咽喉科医でない、実態が少し分からない人間から見ると、そのように聞こえるのですが、いかがでしょうか。

○小川構成員

 もっともなことだと思います。それで、今日の議論の中で現実的なところとしては、指定医のレベルをいかにして上げるかというところが、 1 つの方向性ではないかと思います。指定医のレベルが上がれば、その段階で詐聴が疑われる、あるいは機能性難聴が疑われるというケースに、次のステップの検査が必要だという判断はできるわけですから、そこを何かの文言で盛り込むということは、現実的には、こういうケースはこの検査が必要だというようなことを認定の基準に盛り込むというのは、なかなか難しいという気がするのです。

○中村構成員

 そのようなことは言っておりません。

○小川構成員

 ですので、レベルが上がれば次の診断のステップというのは正確に進むだろうということだと思います。ですので、今日のディスカッションの中での 1 つの方向性としては、指定医をどうするのかということで議論を進めていくというのが、 1 つの方向かと私は思っております。

○江藤座長

 そろそろ予定された時間が近付いてきましたが、ほかに御発言はございませんでしょうか。

○原構成員

 小川先生の補足です。機器のことも話がありましたが、例えば機器がなくても聴覚の専門家であれば、詐聴を見破る方法はあるのです。ですから、どれだけそういうことができる 15 条指定医を増やせるか、あるいはそれを一般化するかというところが、議論の行き着く先かと思います。

○中村構成員

 そこは先ほどから話が出ている、厚生労働省がいっていることとはずれているところがあると思うのです。詐聴の方がおられるのだという前提で、もちろん性善説なのですが、そういう方がおられるという認識でいるのか、そのことと極めて希なことが起こったというのは合わない、ロジカルでない気がするのです。論理的に、そういう方がおられるので見破らなくてはいけないというニーズが本当にあるという認識でおられるのか、性善説でそういうことはないのだと思っておられるのかが、もう少しディスカッションすれば決まるのだと思うのですが、表現だけをお聞きすると矛盾している気がします。実態の分からない者にはそう聞こえます。

○小川構成員

 身体障害認定ということで、性善説というところは分かるのですが、一般的な臨床の中でその難聴が機能性なのか、詐聴なのかは、身体障害だけではなくて、例えば交通外傷の後遺症の診断だとか、そういうところで必ずそういうものはあるということは我々は認識して、診断を進めているわけです。

 あとは、そういうことを認識して、どういうケースで疑って次の検査に進むか、そういう能力さえあれば、性善説であったとしても、それで問題が生じるということはないのではないかと思います。

 ですから、我々は日常臨床の中で難聴の方がいらっしゃった場合に、そういう可能性、詐聴だけではなく心因性の難聴、金銭的な問題などではなく、背後にある精神的なストレスだとか、お子さんの場合には学校のいじめの問題などが背後にあるということを、常に考えて診断を進めているわけです。

 そこのところはもちろん詐聴もあるし、機能性難聴、心因性の難聴もあるということが前提で、実際の診療は行われている。そのようにお考えいただければと思います。

○中村構成員

 そうなりますと、先生がおっしゃるように診断のレベルを上げるということが、今の先生のお言葉ですと必須のように聞こえるわけです。そこがない限り、そういうものは見破られないのだというのであれば、今の言葉を聞くと、そのレベルを上げるという方策以外は「上げなくていい」という回答は見当たらないような気がいたしますが、ディスカッションをもう少し深めないといけないとは思いますが。

○原構成員

 もう少し深めたほうがいいと思います。それだと短兵急だと思います。

○中村構成員

 合理的な、こうだからと言われると、それには合理的な答えが必ずあるわけです。ですから、そのことが正しいかどうかということをやるためには、もう少し議論があって、それがないと、ある言葉が出てそれに対する答えとなるとそうなってしまうので、それだけでは危険ですが、いずれにしろ素人の私なりに、あるいは一般の方が合理的に理解ができるような説明でないと、今回のようなことを防げるようになったのだとはならないので、合理性は非常に重要だと思います。

○江藤座長

 この検討会は今後も続くわけですが、今日の団体の方々の御発言、本日のディスカッションを踏まえて、また検討を重ねていきたいと考えております。時間がきましたので、本日はここまでといたします。次回の日程について、事務局からお願いいたします。

○田中課長補佐

 本日は大変御多忙の中を活発に御議論いただき、誠にありがとうございました。次回の日程については、別途事務局から御連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○江藤座長

 本日の聴覚障害の認定方法に関する検討会 ( 2 ) を終了いたします。皆様、お忙しいところをありがとうございました。


(了)
<照会先>

障害保健福祉部企画課人材養成・障害認定係
(代表電話) 03(5253)1111(内線3029)

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