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2014年8月7日 第3回政策評価に関する有識者会議労働・子育てWG

○日時

平成26年8月7日(木)16:25~18:40


○場所

共用第9会議室(19階)


○出席者

阿部座長、渥美委員、野川委員、安永委員

○議事

(以下、議事録)

○阿部座長

 ただいまから第3回政策評価に関する有識者会議労働・子育てワーキンググループを開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、またお暑い中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は高橋委員が御欠席、また渥美委員が遅れて到着されるとの連絡を頂いております。

 本日は議事次第にあるように、6テーマの実績評価書()について、委員の皆様に御議論いただきます。配布資料及び平成26年度に実施する政策評価についての進め方について、事務局より説明をしてください。

 

○政策評価官室室長補佐

 本年71日付けで、政策評価官室室長補佐を拝命しました今宮でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、本年4月以降、事務局に異動がありましたので、紹介いたします。情報政策・政策評価審議官の安藤と、政策評価官の藤澤です。

 まず、本日の配布資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、参集者名簿、資料1-1、資料1-2がその添付資料、資料2-1、資料2-2がその添付資料、資料3-1、資料3-2がその添付資料、資料4-1、資料4-2がその添付資料、資料5-1、資料5-2がその添付資料、資料6-1、資料6-2がその添付資料となっております。

 また、参考資料1は「政策評価実施予定時期」に関してお示しした表です。参考資料2は「平成26年度実績評価書に新設された項目」、参考資料3「政策評価に関する有識者会議開催要項」、参考資料4「厚生労働省における政策評価に関する基本計画」、参考資料5は資料1から資料6までの平成25年度施策の事前分析表となっています。資料等に不足等がございましたら、事務局へお知らせください。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議事の進め方について御説明いたします。議事次第を御覧ください。今回は、2「議事」にあるとおり、(1)から(6)の順番で、それぞれのテーマごとに担当課の入替えを行い、御議論いただきます。1テーマごとの時間については、約20分としまして、初めに担当課から約5分で説明を行っていただき、その後15分程度御議論いただくという流れを繰り返していくこととなります。

 御議論いただいたテーマに関しては、参考資料1「政策評価実施予定時期」に関する表を御覧ください。こちらは厚生労働省の72の施策目標、いわゆるテーマについて、どのワーキンググループで議論していただくかをお示ししたものです。参考資料4「厚生労働省における政策評価に関する基本計画」に基づき、平成24年度から、平成28年度までの5か年の基本計画期間中に、少なくとも1度はそれぞれの施策目標、テーマの実績評価書を各ワーキンググループにお諮りすることとしており、5年間で全てのテーマについて御意見を頂く予定としております。

 赤枠に「実績」と赤字で記載しているものが、今年度3つのワーキンググループで意見聴取を行っているテーマで、本ワーキンググループの対象となるのは、そのうちの黒い太枠で囲っている表で3つ、裏で3つ、合計6つのテーマです。

 なお、参考資料2「平成26年度実績評価書に新設された項目」についてですが、昨年12月に総務省が作成したガイドラインの内容を踏まえ、政策の重点化及び評価基準の標準化を図る観点から、今年度より新たに実績評価書に盛り込まれた評価項目となりまして、本年度からは、こうした新たな指標を含めたもので判定を実施した上で、これまでと同様に、有効性、効率性、必要性の観点から、施策の分析を行い、その評価結果を今後の施策や次期目標等に反映させていくという流れになっていきますので、よろしくお願いいたします。

 

○阿部座長

1つ目のテーマ、施策番号3-2-1「労働者の安全と健康が確保され、労働者が安心して働くことができる職場づくりを推進すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。最初にお名前と所属をお願いします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 労働基準局安全衛生部計画課の美濃と申します。よろしくお願い申し上げます。

 施策の目標名は、「労働者の安全と健康が確保され、労働者が安心して働くことができる職場づくりを推進すること」です。その概要は、労働災害防止対策等を推進するものとなっています。

 背景・枠組みは、労働安全衛生法に基づき、労働災害の防止のための危険防止の基準の確立、責任体制の明確化並びに自主的活動等の措置を講ずることにより、その防止に関する総合的、計画的な対策を推進することで、職場における労働者の安全と健康を確保することを図っていこうというものです。

 また、同法に基づく、第12次労働災害防止計画により、労働災害の一層の減少を図るため、労働災害、業務上疾病の発生状況の変化に合わせた対策の重点化を行うとともに、行政、労働災害防止団体、業界団体等の連携、協働による災害防止の取組を図っています。予算額については、平成25年度は約155億です。

 続いて測定指標です。労働災害による死亡者数として、基準年(平成24)が、1,093名ということで、目標値としては平成29年に929名で、15%の減少を目指しています。実績は、平成25年に1,030名で、5.8%の減少となっています。

 指標2です。基準値が119,576名という平成24年の数字です。目標は、平成29年の101,639名で、こちらも15%の減少を目指しています。平成25年においては、118,157名ということです。

 次のページは、「目標達成度合いの測定結果」です。2で、全ての測定指標の達成状況が○又は△、かつ主要な指標が目標を大幅に上回っていないということになります。その結果、総合判定の結果としてはAです。判定の理由は、死亡者数は目標である前年比3%減を達成できました。死傷者数については、3%減には届かなかったわけですが、平成25年度より開始した第12次労働災害防止計画に基づき、事業者、労働者が連携して、災害防止に向けた取組を強化した結果、平成25年度は4年ぶりに減少に転じたということです。こうしたことから、おおむね目標を達成していると考えた次第です。

 続いて、有効性の評価です。平成25年に入り、景気が緩やかに回復しつつある中、産業活動の活発化による労働災害の増加が懸念されたわけですが、死亡者数の削減は目標を達成しています。一方、死傷者数については、当初の目標値にこそ到達しなかったわけですが、5年ぶりに減少に転じさせたということです。この減少の要因は、昨年4月からスタートした第12次の計画に基づき、連携して災害防止に向けた取組を強化したということで受け止めています。

 なお、東日本大震災からの復興に関連する建設事情ですとか、年後半の自動車による貨物輸送量の増加等により、建設業並びに陸上貨物運送事業では、労働災害は増加しています。加えまして、第3次産業では労働者数の増に加え、事業者、労働者ともに、必ずしも安全に対する意識が十分ではないという業種の特性から、中期的に災害が増加していることが、死傷者数の目標を達成できない要因と考えている次第です。

 効率性の評価は予算について、執行実績等を踏まえた必要な見直しを行うとともに、東日本大震災に係る対応、あるいは印刷工場で発生した胆管がん事案を発端にした、職場における化学物質管理対策などに、重点的に予算措置をするなど、メリハリのあるものとしているところです。第12次の計画の初年度である平成25年度においては、平成24年度予算額に比して、約7億円減額を行っている一方、死亡者数は目標を達成し、死傷者数は4年ぶりに減少に転じさせることができたということで、効率的な取組が行われた結果であると考えている次第です。

 次に、現状分析です。測定指標2については、前年比の減少に転ずることができましたが、景気の回復、産業活動の活性化、活発化等を背景として、建設業あるいは貨物輸送量の増加により、建設、陸上貨物運送業では、労働災害が増加しており、一部の業種で発生件数が増加しています。労働者の健康・安全の確保の観点から、引き続き効果的、効率的に労働災害防止に取り組んでいきたいと考えています。

 最後に次期目標等への反映の方向性ですが、第12次の計画で重点業種としている第3次産業、陸上貨物事業、建設業等への対策を通じ、今年度以降、適切に施策を実施していきたいと考えています。

 

○阿部座長

 ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○安永委員

 連合の安永です。指標1(死亡者数)、指標2(休業4日以上の死傷者数)とも、前年と比べて減少していることは、評価できると思います。日頃の御努力に敬意を表したいと思います。

 ただ、ほかの指標との関係で、如何ともし難いとは思うのですが、特に死亡者については、究極の目標はゼロだと思っております。達成度の所に「○」というのは、尊い命が年間で1,030名も失われているということを思うと、違和感というか、ほかの指標と同じような形での達成とは受け止めづらいと思っています。

 それから、御説明の中にもありましたように、例えば社会福祉施設、飲食店など業種によってかなり増加しているとお聞きしていますが、どちらかというと人材が不足しているところで労働災害が増加しているのではないかと思っていまして、その業界の魅力度アップも含めて、指導が必要ではないかと思っています。

 併せて、建設業について、今後更に心配なことがあります。外国人材の活用に関わる緊急措置として、一時的な建設需要増大への対応の時限措置が採られるということですが、それらに対する安全面での対策がより強化されなければ、事故につながってしまうという危機意識を持っております。今後、第12次労働災害防止計画の実効性を高めるために、労政審などで取組状況、達成度を点検・評価しながら、必要に応じて取組の在り方を見直していく必要があるのではないかと思っています。

 いずれにしても、連合としても第12次労働災害防止計画の推進に向けて、私どもの役割を果たしていきたいと思っております。重点業種への取組を徹底し、労働者の命と健康を守るという役割を担っていきたいと思っております。併せて、重要な役割を担う労働基準監督官の確保も重要な課題だと思っておりますので、よろしくお願いします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 御指摘のとおり、貴重な命が失われていることは極めて厳粛に受け止めて、1人でも死亡者の方が少なくなるように努力していきたいと思っております。

 社会福祉施設、飲食店といった業種については、正に人手不足という中で、職業の健康・安全というのは、魅力アップにもつながっていくことだと思っていますので、そうした観点からも取り組んでいければと思っております。

 具体的には、今までだと安全推進者というか、職場で担当される方をガイドラインに基づいてきちんと選任していただくように働き掛けていきたいと思っております。

 それから建設、特に外国人労働者の関係ですが、言葉も不慣れな中仕事に入っていかれるということで、少しでもそうした事故が少なくなるように、新規の雇い入れ時の教育などについても、徹底していきたいと考えております。

 また、御指摘もありましたように、建設業、第3次産業に加えて陸上貨物運送業、製造業といった重点業種について、今後どう業界団体、災防団体と連携し、しっかり取り組んでいきたいと思っています。

 最後にお話のあった監督官の確保については、正に御指摘のとおりで、厳しい行財政改革の折ではありますが、1人でも多くの監督官が確保できるよう、行政としても鋭意努力していきたいと考えている次第です。

 

○野川委員

 労働災害の防止の対象には、当然業務上の疾病が加えられているわけです。労災補償制度制定以来、当初は建設、運輸関係の肉体労働、重労働をする方たちの傷害の防止が、非常に大きな課題であったと思います。その時代と大きく変わってきているということが、どれぐらい実績評価書の中に反映されているのかという懸念があります。

 というのは、資料1-2の表にもありますし、先ほど話題にもなりましたが、第3次産業の増加率が極めて著しいです。特に、社会福祉施設は168.8%です。社会福祉施設における労災というのは、フィジカルな障害に加えて、疾病も非常に多いであろうと思います。建設現場で上から落ちたとか、巻き込まれたというのではなく、腰痛であるとか、重労働によるメンタルヘルスの問題です。

 そうしますと、死亡者数を下げるのは、もちろん大事なことですが、特に業務上の疾病が増加することが推定されるような職種での労災が実際に増えているし、これからこの方たちは人数も増えるであろうし、先ほどありました外国人も増えることや、外国人のコミュニケーション能力あるいは文化的な背景等も考えると、そのストレスによる様々な支障も起こってくるでしょう。そういったところに対象を絞って、それを評価のターゲットとして構成することを考えていただきたいと思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 御指摘のとおり、業務上の疾病ということで、特に第3次産業、社会福祉施設などにおいて、もちろん転倒などの災害もありますが、腰痛といった疾病も多くなっています。さらに、御指摘にもありましたように、人数も6%を超える勢いで増えてきている状況もありますので、そうした中で第3次産業、社会福祉施設をはじめとする、そういった業界において、いかにして災害を防いでいくかというのは、非常に重要な問題であると受け止めています。

 具体的には、腰痛に関しては指針を作成し、腰痛の予防に努めているところです。メンタルヘルスについては、第12次労働災害防止計画において、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合について、目標としては平成29年において80%以上にしていこうと取り組んでいるところです。そうした状況についても、是非とも御理解いただければと思っております。

 

○阿部座長

 私からも1つ。裏面の「評価結果と今後の方向性」の「有効性の評価」のところです。環境のことを書かなければいけないというのはよく分かるのですが、実際にどの施策が有効で、何が有効ではなかったのかを、もう少し書いたらどうかなと思っています。

 実際に書いてあるのは、「国、事業者、労働者が連携して、災害防止に向けた取組を強化したことが影響していると考えられる」とありまして、そうなのでしょうが、意外とボヤッとしている感じがします。どこまで書けるか分かりませんが、何が有効であったのかをもう少し書いてもいいと思います。

 次のところで違和感があるのは、下のほうの「事業所、労働者ともに安全に対する意識が不十分であるという業種の特性から増えているのだ」という書きぶりのように思えるのですが、それなら何をやるのかということを、例えば「次期目標への反映の方向性」の辺りを結び付けて書くことはできないのか。そうすると、PDCAサイクルが回っていくのかなという気がしました。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 御指摘の点については、まずは行政のみならず、事業者、労働者、業界団体、災害防止団体をはじめ、現状を認識して、そうした危機感をもって取り組んでいくことが、極めて大事だと考えております。

 何が有効だったのかについては、業種ごとに、墜落・転落災害が多いとか、そういった特徴的なものがあるので、そういったところにターゲッティングを絞って取り組んでいきたいと考えております。さらには、第3次産業的なところについては、まずは意識改革というか、具体的に亡くなるという災害は、それほど数としては起きていないという現状の中で、ややもするとそういう意識において、必ずしも十分ではないというところもあるのかもしれませんが、まずは安全を推進する担当者を職場できちんと決めてもらうようにということで、ガイドラインのベースですが、そういったことで働き掛をしていって、そうした担当者を中心に職場の中で一歩でも意識を変えていき、具体的な活動につなげていただければと考えています。

 

○阿部座長

 ほかに御意見はありますか。もしなければ、今の議論を踏まえまして、実績評価書の修正等をお願いします。ありがとうございました。次のテーマに移りますので、メインテーブルの入替えをお願いいたします。

 

(メインテーブル交替)

 

○阿部座長

 続きまして、施策番号3-4-2「豊かで安定した勤労者生活の実現を図ること」についてです。担当課から5分程度で説明をお願いします。最初にお名前と所属をお願いします。

 

○労働基準局労働者生活課課長補佐

 勤労者生活課の山口と申します。よろしくお願いいたします。

 まず、指標1の中小企業退職金共済制度での新規加入被共済者数です。まず、この中小企業退職金共済制度という制度そもそものところですが、資料2-2の添付資料の12ページに制度の説明を入れています。こちらは中退協と言われているものですが、独力では退職金制度を確立することが難しい中小企業事業主の相互共済の仕組みとして、国の援助により退職金制度を確立し、中小企業の従業員の福祉の増進及び中小企業の振興を図ることを目的とし、中小企業退職金共済法に基づき、国が設けた退職金制度です。実績評価書()1ページを御覧ください。指標1の具体的な内容、平成25年度の目標が書いてあります。

 添付資料の5ページを御覧いただきますと、民間企業における退職金制度の実施状況のグラフがあります。企業規模別に退職金制度の実施状況を見てみますと、平成9年と比較して、平成25年は、特に3099人規模の小さな中小企業において、退職金の実施状況が低くなっていることがお分かりいただけると思います。この3099人という小さな中小企業は、実際に退職金制度を導入しているものの内訳が下の図にあるのですが、中小企業退職金共済制度というのは、平成25年の数字では5割以上採用されており、中退協制度が中小企業における退職金制度の確立に重要な役割を果たしている状況になっています。

1枚目の実績評価書()に戻ります。指標1です。平成25年度の目標は新規加入者数を324,000人と設定していますが、これに対して実績は315,653人、目標値の97.4%で、おおむね目標を達成したものと評価をしています。

 次のページの「施策の分析」の所に書いていますが、一番上の「有効性の評価」の部分です。適格退職年金制度が廃止され、中退協への移行が行われていたのですが、この移行期間が平成23年度末で終了したことにより、追加的な新規加入者数が減少した状況であるにもかかわらず、新規加入者を増やすために業界団体への周知協力依頼、個別の企業訪問、関係機関と連携した周知活動等の加入促進の取組を行った成果であると考えております。

 今後は目標達成のために、雇用者数に比べて加入が進んでいない分野、具体的には医療、福祉、サービスの分野において、加入促進活動を強化していくといったように、更に積極的な加入促進に取り組んでいきたいと考えております。

 指標の2つ目は、「勤労者財産形成促進制度の利用件数」です。財形制度の概要については、添付資料の3ページです。この財形制度は、勤労者財産形成促進法に基づき、勤労者が退職後の生活の安定、住宅の取得、その他の財産形成を目的とする計画的な貯蓄を行う場合に、事業主及び国がそれを援助する制度で、勤労者の生活の安定を図ることを目的にしております。

 指標2の平成25年度の目標です。実績評価書の1ページにあるとおり、財形制度の利用件数を平成24年度実積の908740件以上となるように設定しておりました。これに対して実績は、8819,481件、目標値の97.1%で、僅かに目標を達成できませんでした。

 財形制度ですが、この分析については、2ページの「施策の分析」の欄の「有効性の評価」の所です。財形制度は民間金融機関を通じて利用される性質上、その利用実績は変動幅が大きいということと、金融商品の多様化、金利情勢に左右されること等が、利用件数が年々減少している原因と考えています。

 しかしながら、「現状分析」にも書いてありますが、財形制度は約半数の企業が導入していて、勤労者の生活の安定に欠かすことのできない制度であることには代わりがないため、引き続き目標管理を行うこととしていきたいと考えております。また、今後は大企業に比べて中小企業における普及率が低い現状等も踏まえ、更なる施策の利用促進を図るための周知活動等を実施していきたいと考えております。

 なお、財形制度の利用実績は、先ほど申し上げましたとおり、金融商品の多様化、金利情勢に左右されること等を踏まえ、目標設定について検討を行っております。今後は近年の状況を踏まえた目標値へ設定方法を変更したいと考えております。

3つ目の指標が、「全労働金庫に対する検査の実施率」です。目標については、実績評価書案の1ページに記載のとおりですが、そもそも労働金庫というのは、労働組合等が行う福利共済活動のために金融を行うことを目的とし、労働金庫法に基づき設立された金融機関です。労働金庫とその中央機関である労働金庫連合会を合わせて、全国に14か所設置されています。預金者等の保護、労働金庫の健全かつ公正な経営の確保を図るために、厚生労働省は金融庁とともに労働金庫法に基づいて検査を実施しております。

 指標3の平成25年度の目標は、全労働金庫14か所に対する検査実施率50%以上と設定しておりました。実績は6か所、43%ですが、おおむね2年間で全ての労働金庫に対する検査を計画、実施することとしておりますので、目標はおおむね達成していると評価しております。

 一方、施策の分析の現状分析、一番下の所にも記載していますが、検査の計画に当たっては、単に検査実施率を達成することのみではなく、金融庁の検査部局と共同で、各労働金庫の実情に応じた的確な検査を実施できるように計画することがより重要であると考えております。

 このように、検査については実施率を指標とした評価はなじまないと考えておりますので、今後の目標設定については、見直しを行いたいと考えております。

 最後に総合判定です。当該施策目標においては、特に予算規模の大きい中退協制度に係る指標1を、主要な指標と設定しております。主要な指標としている指標1は、目標をおおむね達成、△判定としていますが、残りの指標について、指標2は未達成、×判定、指標3はおおむね達成の△判定であったことから、総合判定は「B」とさせていただきました。目標達成に向けて、先に述べたような、更なる取組を実施していきたいと考えております。

 

○阿部座長

 ただいまの説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いします。

 よく分からないのは、指標1は△、指標2が×です。達成率は僅か0.3%、ここがなぜ△になったり、×になったりするのかというところが分からないのですが。

 

○労働基準局労働者生活課課長補佐

 指標2については、経年的に見ましても、目標をいつも下回っているという状態が長く続いておりました。これに対して指標1は、適年からの移管ということもありましたが、目標を上回っている年度が引き続いていて、平成24年度に下回り、平成25年度も下回ったというこうした違いを踏まえての判定となっております。

 

○阿部座長

 今の説明でよく分かりました。そうだとしますと、そもそもやっている施策そのものに問題がずっとあったということにはなりませんか。

 

○労働基準局労働者生活課課長補佐

 財形のところということですか。

 

○阿部座長

 はい。

 

○労働基準局労働者生活課課長補佐

 そこは先ほど申し上げましたように、金利情勢ですとか、他の金融商品がいろいろ出てきていることと、リーマン・ショックといった経済情勢の変化がありましたが、目標設定の仕方自体も、そういった波を踏まえていなかった、単に前年と同じぐらいの利用件数を求めるという機械的な置き方になっていましたので、その部分を見直す必要があるのかなと考えています。

 

○阿部座長

 目標値の問題として捉えるという結論にするということですよね。

 

○労働基準局労働者生活課課長補佐

 そうです。シェアとしては、企業の約半数が利用されている制度ということもありますし、勤労者の財産形成を支援していかなければいけないという政策目標自体が、目標達成度合いによって否定されるとは考えておりませんので。

 

○阿部座長

 分かりました。ほかに何かございますか。

 

○野川委員

 簡単なことですが、施策目標のカバレッジとしては、指摘された指標123にそれぞれ共通するものがあると思いますが、話にも少し出ましたが、中小企業退職金共済法による退職金の支給の促進と財形と労働金庫というのは、実はやっていることの役割がかなり違いますよね。それなので、カバレッジを一緒にして、その下のブレイクダウンした指標を立てていくということは難しいのではないかと思うのです。労働金庫というのは要するに金融機関ですよね。それと退職金を払うことと、あるいは財形を支援することの違いに即した目標の立て方が必要で、どういう目標を立てて、しかもカバレッジとして共通性があることを確保するのか、工夫が必要ではないかと思います。その点が、今も出ているような問題につながっているのではないかと思うので、もう一工夫していただきたいと思いました。特に労働金庫などについては、実施率を指標として評価をすることの妥当性もおっしゃいましたが、そういうところに出ているのではないかと思うのです。全体としては共通のものだという頭があってやるので、金融機関としてやっていることのずれが少し出てくることがあり得ると思います。

 

○阿部座長

 ほかには特にありませんか。なかなか難しいと思うのですが、いろいろ意見があったと思います。私も、どこをどのように修正するというのはすぐには思い付かないのですが、もし今の議論が参考になって、修正等があるということであれば、修正していただきたいと思います。これで終わります。ありがとうございました。

 

○労働基準局労働者生活課課長補佐

 どうもありがとうございました。

 

○阿部座長

 次のテーマに移ります。メインテーブルの入替えをお願いいたします。

 

(メインテーブル交替)

 

○阿部座長

 施策番号4-1-1「公共職業安定機関等における需給調整機能の強化及び労働者派遣事業等の適正な運営を確保すること」についてです。担当課から5分程度で説明をお願いします。最初にお名前と所属をお願いします。

 

○職業安定局首席職業指導官室首席職業指導官

  首席職業指導官の野村です。資料3-1の後段の「測定指標」の所からです。指標1は公共職業安定所の求職者の常用の就職率で、実績値は平成25年度は30.6%、年度目標は30%以上でしたので、達成ということです。指標2の雇用保険受給者の早期再就職割合は、所定給付日数を3分の2以上を残して早期に就職された方の割合で、平成25年度は31.2%で、目標は28%以上ですので、こちらも達成です。指標3の公共職業安定所の求人の充足率については、平成25年度は22.2%ですが、平成25年度の新規求人数が前年度比で7.2%増で、かなり増えています。分母が非常に大きくなっていることがありまして、目標に到達しませんでした。指標1、指標2については、前年度実績を上回り、目標も上回っているので、需給調整機能としては機能しているということで、ここでは△としています。

 指標4のしごと情報ネットの利用者が、しごと情報ネットを通じて求人情報に応募するなどの具体的な行動を起こした割合が46.6%で、目標の35%を大きく上回っています。指標5は、労働者派遣事業について、事業主を対象とした説明会で周知・啓発を図った事業所数です。平成25年度は22,276所ということで、目標の2万所を上回っています。

 次のページの「目標達成度合いの測定結果」です。おおむね目標達成ということですが、主要指標が大幅に目標を上回っているわけではないので、区分は2となって、判定結果はA、達成とさせていただいています。

 「有効性の評価」は、指標1、指標2については、求人・求職者のニーズにきめ細かな職業相談とか、職業紹介を実施してきて、ハローワークの需給調整機能は有効に機能していると考えております。指標4のしごと情報ネットについては、いろいろな手段で周知広報を行っており、またアンケートで見て、しごと情報ネットを通じて、いろいろな求人情報に応募する具体的な行動を取ったという方が46.6%おられるということで、求人情報等へのアクセスの円滑化に役立っていると考えております。指標5の労働者派遣事業の制度説明については、2万箇所を超える事業所に行っており、参加者のアンケート調査でも、「理解できた、どちらかといえば理解できた」という方が、93.8%ですので、周知啓発に十分に役立っていると評価できると考えております。

 効率性の評価は、ハローワークについては、キャリア・コンサルティング研修等を充実させるなどにより、職員の専門性の向上を図り、効率的な業務運営に努めているということです。指標4、指標5に関しては、予算額を減少させながら、着実に目標値を達成しているところです。

 現状の分析は、就職率、早期再就職割合については目標を達成していて、引き続き効率的、効果的な業務運営に努めるということですが、指標3の求人の充足率については目標を下回っていることもありますし、近年の人材不足分野への対応がありますので、求人充足サービスという点で、更に強化を図っていくことが大きな課題と考えております。

 しごと情報ネットについては、求職活動のツールとして一定の効果を上げているものですし、指標5の労働者派遣事業の説明については、来年度の10月から労働契約申込みみなし制度が施行されることもあり、更にそうした周知に力を入れていく必要があるということです。

 最後に、施策及び測定指標の見直しについてです。求人充足サービス、人手不足分野のマッチング機能の強化に力を入れるとともに、民間人材ビジネスの活用を進めて、全体で効率性を高めることが必要だと考えております。民需関係では、先ほどの労働契約申込みみなし制度の施行等がありますので、そうした周知をするとともに、しごと情報ネットについても、参加機関、利用者のニーズを踏まえた運営に一層取り組んでいきたいと考えております。

 

○阿部座長

 ただいまの説明について、御意見、御質問があればお願いします。

 

○渥美委員

 ダイバシティとかワーク・ライフ・バランスを研究している渥美と申します。景気要因に関しては皆さんプロですし、指標を達成していていいと思うのです。

 もう1つは、私が企業でお手伝いしていて、すごく聞くのは、介護と仕事の両立ができなくて、介護離職者は10万人出ています。これは、どう考えてもこれから増えてきますから、そういう景気要因ではなく社会構造の変化によって、Iターン、Uターン、Jターンで戻ってくるような、中高年の失業者をどうマッチングしていくのかというのは、直近の大きな課題にはなっていないと思うのですが、これから必ず課題になってきます。そのときに、厚生労働省も介護をしやすい企業の認定マークを大臣の肝入りで作られて、これから周知をしたらいいと思っているのですが、実際に職業安定局で、まだ始まったばかりですからそんなに企業はたくさんないはずなのですが、介護で離職したような人材を確保するチャンスと捉えて、地元出身の人が大企業で培ったスキルを中小企業に持ち込んでくる、そのような攻めの戦略で需給調整は考えるべきだと思っているのです。そのように介護のマークを使って、企業に啓蒙活動をしたらいいのではないかと持論として思っているのですが、そこら辺はいかがお考えでしょうか。

 

○職業安定局首席職業指導官室首席職業指導官

 所掌が違っているのですが、確かに人手不足分野、例えば潜在求職者を掘り起こしていかないと、人手不足分野では有効求人倍率が2倍とか3倍になっていて、ハローワークに登録している求職者だけでは間に合わないので、そういう意味で、こういう環境整備が整えば仕事ができるという環境を整えていく、潜在求職者の掘り起こしも非常に重要なことだと思いますので、安定局全体でいろいろと考えていきたいと思っています。

 

○渥美委員

 是非お願いします。情報は厚生労働省にあるので、横の連携をうまくすると、もっといいことが起きると思います。

 

○阿部座長

 ほかにはいかがですか。

 

○野川委員

 目標2の「労働者派遣事業、職業紹介事業の適正な運営を確保すること」、これを数値化して測定指標を立てるのは、確かに大変困難なことだと思いますので、指標5の説明会等において労働者派遣法の周知啓発を図った事業所というのは、差し当たりの1つの対応だとは思います。

 ただ、労働者派遣法については、先ほども話がありましたように、まず改正に改正が重ねられて、大変複雑化していること。つまり、質的な困難度が高まり、非常に難しくなってきていることと、量的には、もちろん労働者派遣、派遣労働者に対するニーズが減っているわけではなく、むしろ増えています。だから、量的にも大変増えているという状況の中で、トラブルが大変増えているわけです。労働委員会でも裁判所でも、労働者派遣を巡る法的な紛争が極めて増大している事態を考えると、目標値がずっと2万、2万と同じなのはいかがなものか。

 平成24年度は62,000か所あったというのは、重要な改正が行われれば当然なので、目標値自体がこのぐらいでもいいのではないかと思うのです。ピンポイントで法改正があったから、目標値を上げるというだという対応ももちろんあり得るのですが、重要度が増してきて、規模も大きくなって、紛争も大きくなっているという中では、もし数値として事業所数を上げるのであれば、こちらもそれに応じた目標の数値自体を毎年考えていかれたほうがよろしいのではないか。それによって、達成度も妥当な結果として出てくるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○職業安定局労働対策部需給調整事業課課長補佐

 貴重な御意見をありがとうございます。おっしゃるとおり、その状況を見て目標を立てるというのは必要かと思います。今回、前の年の2万件と同一の目標を立てましたのは、予算との見合いを含めての部分もありました。ただ、平成24年の法改正の絡みの説明ということで、受けていただける事業所が多かったというのもありますし、来年度には労働契約申込みみなし制度施行等もありますので、その部分を踏まえて、状況を見て目標を立てることは必要だと思いますので、今後はそういう形で検討していきたいと思います。

 

○野川委員

 お願いします。サラリーマンの成果主義の目標管理シートで、最初の目標を低く立てると、達成度がすごく高くなるというのに近いようなことにならないように、適切な目標の立て方を考えていただきたいと思います。

 

○安永委員

 私も野川委員に賛成です。以前にも申し上げたことがあると思うのですが、民間では年度途中でも、中間決算などで成績がよければ目標が上方修正されるということは、普通にあることですので、そういった観点で、中期目標は中期目標としてあったとしても、中で取り組まれるときの皆さんのモチベーションを上げるためにも、目標の上方修正は必要だと思っております。

 

○職業安定局労働対策部需給調整事業課課長補佐

 分かりました。ありがとうございます。

 

○阿部座長

 ほかにはいかがですか。今日はスムーズにいっていて、大きな問題箇所はないと皆さん御認識されているのではないかと思います。私も読ませていただいて、表現でこうしたらいいというのはあるのですが、大した話ではないので、私からも意見はありません。これでよければ終わりにしたいと思います。ただいま議論があったと思いますが、参考になることがあって、この評価書を修正することがあれば、修正していただければと思います。ありがとうございました。

 次のテーマに移ります。メインテーブルの入替えをお願いします。

 

(メインテーブル交替)

 

○阿部座長

 施策番号5-2-2「福祉から自立へ向けた職業キャリア形成の支援をすること」についてです。担当課から5分程度で説明をお願いします。最初にお名前と所属をお願いします。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 職業能力開発局能力開発課長の藤枝です。資料の1「福祉から自立へ向けた職業キャリア形成の支援等をすること」で、具体的には障害者に対する職業訓練の実施です。就職を希望する障害者の方に対して、職業能力開発促進法に基づき、施設を通して障害者向けの職業訓練校を設置し、運営をします。あるいは民間の教育訓練機関、企業に対し、訓練を委託をして、職業訓練を実施するという事業を行っています。

 資料4-11ページ、「施策に関する内閣の重要政策」です。本施策については、平成25927日に閣議決定された障害者基本計画の中においても、実施が規定され、重要施策として政府として取り組むことになっています。

 測定指標です。まず、指標1として、障害者向けの職業訓練校の障害者職業能力開発校、全国で19か所あります。そこにおける就職率です。指標2として、障害者委託訓練修了者における就職率です。これは民間の教育訓練機関、企業あるいはNPOなどに訓練を委託し、そこで訓練をしていただいているものですが、その就職率です。どちらも、訓練修了後3か月後の就職率を測定指標としています。また、就職率については、目標値は障害者基本計画の中で、平成29年度において、計画は指標165%、指標255%となっていまして、それを実績評価においても同じ目標値としています。

 具体的な状況です。資料4-1の指標の所です。指標1の障害者職業能力開発校における就職率は、平成29年度65.0%に対し、平成24年度は68.7%です。平成25年度はまだ集計中となっていますが、基本的に1年単位、4月から始めて3月に終わるという訓練期間のため、現在は集計中ですが、これまでの状況からして目標は達成できるものと考えておりまして、達成状況は○としています。

 指標2の委託訓練ですが、これも平成25年度は集計中ですが、平成22年度、平成23年度、平成24年度と、それぞれ数字が上がっています。3月末で修了して、3か月後の修了時点は集計中ですが、直近の12月末までの修了者の状況を見ても、前年同期比で見ると、前年度を上回っている状況で、これも平成25年度の目標値である47%は達成する見込みです。ただ、平成29年度目標の55%は達成しない可能性が高い状況ですので、達成状況は△としています。次のページです。以上のような状況を踏まえて、目標達成状況の判定はA評価としています。

 施策の有効性等については、これまでも就職実績は着実に向上しているところで、特に施設内訓練、能力開発校における訓練においては、平成24年度は平成22年度から比べて8.7ポイント上昇している状況にもあり、その有効性が効果を発揮していると分析しております。

 また、効率性の観点からも、予算額自体はさほど増えておらず、むしろ減少傾向の中で、こういった就職率を達成しているということで、そういった評価をしています。

 今後の課題は、障害者の方もハローワークに求職登録をされるのですが、その数が非常に増えています。障害者の雇用について、企業に2%の雇用率を法律上課しておりますが、それが平成25年度から2%に引き上がった状況もある中で、企業側の採用意欲も高まっており、今後ますます障害者の雇用が増えていくのではないか。そういった中で、障害者の方に訓練をして、技術を付けて、より就職可能性を高めていくという観点で、引き続きこの施策を実施していきたいと思っているところです。

1つ課題としては、障害者の求職者の伸びが、精神障害者の伸びが非常に大きくなっています。精神障害者に対する職業訓練の在り方は、障害者の訓練校でも、まだまだノウハウが十分でないところもありますし、まして委託訓練となると、実際に企業に受け入れていただかなければいけない状況にもなりますので、その辺りの精神障害者向けの訓練のカリキュラムをどう開発していくかというのが、現状の課題だと認識しています。

 今後の対策として、今年度から精神障害者向けのカリキュラムを高・障・求機構で開発をしておりますし、精神障害者向けのコースを企業に訓練委託する際には、企業サイドを支援する方法として、就労支援機関、社会福祉法人やNPOで、精神障害者の方を支援する団体がありますので、そういった団体にカリキュラムの設定や訓練の実施について、企業をサポートしていただくという事業を今年度から始めておりまして、こういったことを引き続き推進することによって、障害者の就職がより高まるように、職業訓練の実効性が上がるように、引き続き推進していきたいというものです。

 

○阿部座長

 ただいまの説明について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。

 

○安永委員

 指標1と指標2を比べると、もちろん目標が違いますので、条件的にも様々に違うと思うのですが、委託訓練の就職率がどうしても低いということになってしまっています。対策として、裏面の次期目標等への反映の方向性を見ると、「求職申込件数の増加に対応して、定員を拡充する方向で」という記述もあります。

 先ほど口頭で言われた、精神障害者に対してはノウハウなども含めて支援していくという話もありましたが、全体的にも、雇用支援機構が有するノウハウなどを民間の委託先に提供するなどの方策を講じる必要があるのではないかと思っております。

 併せて、障害者の権利に関する条約は我が国でも発効しましたし、障害者雇用促進法も改正されたことなども受けますと、一般の職業訓練校でも、合理的な配慮を行った上で障害者の受入れを積極的に促進することも必要ではないかと思っております。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 委員が御指摘のとおりでして、高・障・求機構でモデルカリキュラムの作成、先進的な訓練カリキュラムを作ったりしていますので、これまでもそういったノウハウを、都道府県で運営している障害者訓練校に対して提供等をさせていただいております。引き続きそういった取組とともに、精神障害者向けのカリキュラムも更に開発をした上で提供して、ノウハウを高めていきたいと思います。

 今、お話にあった一般校はごもっともなところでして、我々も、これまでも一般校での受入促進というのも、1つの課題として取り組んできました。特に、精神障害者に対する受入れも、今後拡大していきたいと思っています。

 一般校の場合は、当然施設的な整備の問題もありますが、障害者の方に対する接し方、訓練の指示の仕方、ノウハウ的なものがまだまだ不足している部分も多うございますので、障害者校用のカリキュラムはもちろんですが、そういったものを一般校にも活用できるように、そういった周知もしっかりしていきたいと思います。

 

○阿部座長

 今のに関連してです。指標2が、就職率は指標1に比べて低い。精神障害だけではなくて、その他の障害についても、ノウハウを委託訓練のほうに下ろしていったらどうかという御趣旨ではなかったかと思うのです。

 

○安永委員

 はい、そのとおりです。

 

○阿部座長

 その点に関連して、有効性の評価の所で、「指標1及び2のとおり」と書いてあって、後ろの所は障害者能力開発校における就職率しか書いていないのです。委託訓練については余り記述がなくて、その辺りを今の御意見とともに、少し書いておいたほうがいいのかなという気がします。特に、○と△は違いますのでそこは何が駄目で、どこをどうすればもう少しよくなるのかというところが必要なのではないかと思います。

○野川委員

 私も関連して意見です。資料4-2には、ハンディキャップの種類に応じて、フィジカルなもの、知的障害者、精神障害者と、細かい統計資料を出していただいていますが、能力開発校は政策の内容を具体的な実施の段階でも、ダイレクトに国が対応できるので、例えば精神障害なら精神障害固有の対応をきちんとしているということでよろしいのかもしれませんが、委託している部分についてはなかなかそうはいかないので、それが反映できるような指標あるいは具体的内容がなければいけないように思います。

 例えば同じ委託をしていても、知的障害者が、委託先で訓練を受けて就職する場合と、精神障害者が委託先で就職する場合とを分けた形で、目標を作ることはできないだろうかと思うのです。フィジカルのほうは大分ノウハウの蓄積もあると思うのです。しかし、だんだんと精神障害も増えてきている。そういう部分については、委託先での委託訓練の修了者については、かなり困難度が高いのではないかと思いますので、それを含めた形で実績値も採っていけば、これからの政策も有効性を増すのではないかと思いますので、これも政策評価の前提となる指標あるいは目標値の作り方ですが、もし検討いただけたら幸いです。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 当然いわゆる3障害、身体、知的、精神の障害種別で統計をとることはできますので、それを踏まえて、もう一度検討はしたいと思います。

 身体障害者に対する対応というのは、どちらかというとバリアフリー化とか、体制を整備すれば、健常者の方と変わらない職業訓練を実施することによって技術を身に付けることができるということですので、分析してみないと分かりませんが、知的の方に対する訓練効果はどの程度上がっているのかということと、最近の精神障害者が増えて、どの程度訓練に困難性が伴っているのかを分析した上で、検討したいと思います。

 

○阿部座長

 私からもう1点です。委託訓練のほうが人数が多いのではないかと思うのです。というのは、指標3、指標4を見ると、就職者数は断然指標4のほうが多いです。指標2は指標1に比べて低い割合になっていますので、訓練を受けている人数は委託訓練のほうが多いと。そこがうまくいってないというわけではないのですが、いい結果にはなっていないと。

 その辺りで、例えば効率性の辺りをどうのように評価すべきなのかとか、投入している額がどうなっているのかとか、その辺りも含めて分析をされるのはどうかなと思います。

 例えば委託訓練のほうが効率性が悪いのかとか、効率性が悪いのであれば、開発校のほうの訓練を充実させたほうが、全体の効果としては高くなるとか、もしかしたらそういうことも起こり得るのかなと思いました。ここからだけでは分かりませんが。そういう分析もあってもいいかなと思いました。

 どこにどういう予算を割り付けていけば、もっと効率的になるかということになるのかなと思いますので、その辺りも御検討いただければと思います。

 

○渥美委員

3つ御質問があります。1つ目は、法定雇用率が引き上げられ、精神障害者の雇用の義務化もあり、そもそも企業側のニーズが高まったという御説明がありました。私はニーズが高まったら目標値は上がるのではないかと思うのです。それについて、いかがお考えかということが1つです。

2つ目は、そもそも需給でいうと、供給サイドの指標でとっておられますが、遍く全ての企業が法定雇用率を達成するとか、定着率とか。私が企業で女性活躍などでコンサルするときは、単に就職率ではなくて、間違いなく離職率などを必ずウォッチするし、そこがうまくいっていないとすれば何なのかということで、需要側のほう、こういうマニュアルがあるなら、受入側がもう少し変わるというアプローチで、そもそも受入企業の職場を変えていくことも必要ではないかと思います。

 特に、私の父が一時期統合失調で、すごくひどくて、家族はすごく振り回されました。あと私自身が発達障害です。だから、本人への支援ということで、基本的に目標は設定されていますが、周りがどう接するかによって、かなり変わると思っています。目標値うんぬんの話は少し違いまして、たまたま御紹介がなかっただけだと思うのですが、やはりノウハウです。特に発達障害です。受入側にもう少しスキルがあれば、本当は障害者がもっと働きやすいという事例がたくさんあって、そういう活動をされている民間の人たちもおられるのは御存じかと思いますが、需要側を変えていくような指標もあったら、本当はいいのではないかと思いまして、その点について御意見を伺いたいと思います。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 目標値の設定の仕方は確かに御議論があるかもしれませんが、企業のニーズは法定雇用率を達成するというコンプライアンスの観点からニーズはあるのですが、その一方で、精神障害者が増えてきていて、これまで企業が受け入れた経験のない障害者を受け入れていくという中で、職業安定局でも雇用率の達成指導、定着促進の対策を取っておりますが、その中でどの程度、今後企業サイドで雇用が進んでいくのかを考えたら、もちろん目標は高いほうがいいとは思いますが、そういった状況を見ながら判断していこうかなと思っています。

 

○渥美委員

 今おっしゃったのは、要は定着する企業というのはノウハウがあります。スワンとか有名な企業というのは職場が変わっています。そういったところを情報として、需要側を支援する人たちにも還流するような仕組みを作ったら、もっといいと思うのです。要は、支援している人だけがノウハウを蓄えているのではなくて、企業もたくさんノウハウを持っていますから、そこから、もっとうまく定着しているところから還流するような仕組みを作ったらいいと思います。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 委託訓練を請けていただいている企業も、今までは特例子会社とか、障害者ノウハウの高いところにお願いしてきました。その中で、これから更にパイを広げていくためには、そこで培ったノウハウをほかの雇入れ経験の少ない企業にも普及して、訓練していただくことが必要かなと思います。

 

○渥美委員

 是非お願いします。

 

○阿部座長

 ほかに何か追加しておくことはないですか。それでは、このぐらいにしまして、ただいまの議論を踏まえて、所管課におかれては実績評価書の修正等をお願いできればと思います。ありがとうございました。

 

○職業能力開発局開発課長

 ありがとうございました。

 

○阿部座長

 次のテーマに移ります。メインテーブルの入替えをお願いします。

 

(メインテーブル交替)

 

○阿部座長 

 続いては、施策番号6-2-2、「児童の健全な育成及び資質の向上に必要なサービスを提供すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。最初に所属とお名前をおっしゃってから説明をお願いします。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 雇用均等・児童家庭局育成環境課の為石と申します。よろしくお願いいたします。資料5-1になります。「児童の健全な育成及び資質の向上に必要なサービスを提供すること」ですが、施策の概要として放課後児童クラブのことを挙げています。概要は「放課後児童クラブの登録児童数を拡大すること」です。事業の概要は資料5-21枚目に付いています。基本的には、保護者が労働等により昼間家庭にいない、小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童に、適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図ることを目的にしています。

 これにつきまして、平成19年から文科省の放課後子供教室と一体的になって進めていくということもあり、放課後子どもプランの推進ということで通知を出し、推進をしているところです。また、子ども・子育てビジョンに基づき、平成22年から26年の5年間で、地方自治体のニーズ調査に基づく事業量を1つの設定として進めてきています。放課後クラブを利用したい人が利用できるようにということで進めてきていますが、平成29年度までに4割にすることが見込まれていることから、平成26年度までに32%の提供を進めていくということです。下に測定指標がありますが、平成25年度が24%、平成26年度でも32%と、まだ乖離がある状況ではあります。この事業自体は非常に必要性の高い事業だと認識しています。

 そういった乖離があることを前提として、2ページの総合判定については、Bという評価をさせていただいているところです。

 戻っていただき、施策に関係する内閣の重要政策ですが、平成261月には、この「小1の壁」という実態が伴っていないところで、待機児童が出ているという問題があります。これについて資料5-22ページ目を見ていただくと、放課後児童クラブ数及び登録児童数の推移があります。平成25年度で889,205人が利用しています。クラブ数は21,482か所です。ただ、待機児童が8,689人出ている状況になっています。

 こういった状況を踏まえ、日本再興戦略の改定が6月にありました。その中で放課後児童クラブについて2019年度末までに約30万人分の受け皿を整備していくことを目標にして、平成27年度からその施策を推進することにしています。

 また、子ども・子育て支援新制度が平成27年度施行で進められています。この中の地域子育て支援事業の中に児童クラブが含まれています。そういった形で、この子ども・子育て支援制度自体は、新たな地方のニーズを自治体が把握した上で計画的な整備を進めることになっています。現在、市町村においてニーズ調査をして、その結果を事業計画としてまとめている状況で、これが出てきたときに新しい目標設定をしながら進めることになってきます。この新制度における整備計画は、平成27年から31年の5年間の計画で進めていくことになっています。

 そういった状況があり、測定指標2にありますとおり、放課後児童クラブについては新たに基準を作っています。平成25年度に専門委員会を立ち上げ、基準に関する検討を行い、12月にはそのまとめをしました。そのまとめに基づいて平成26430日に省令で一定の基準を作っています。いわゆる最低基準と言われるものですが、全国事業を展開している中、一定水準の事業として今後、展開していくことにしています。先ほど申しました子ども・子育て支援制度については、基本的な指針を取りまとめて平成267月に策定しています。そんな中で先ほど申しましたように、計画的な整備を進めていくことになります。

 次のページで、先ほど申しましたように評価としてはB評価ですが、クラブ数としては着実に伸びています。また「小1の壁」を打破するというのは受け皿だけの問題ではなく、開所時間という問題があります。開所時間についても資料5-23ページを見ていただくと、児童クラブの現状のところで終了時間の状況があります。平成19年度に18時を超えて開所している所は37%でしたが、平成25年度においてはこれが6割を超える状況になってきています。これも延長を進める助成基金などを加え、6割を超えるところまで達している状況です。ただ、これから保育所からの連続性を考えると、保育所で約8割ぐらいやっているということがあります。就労家庭のお子さんの受け皿として就学後、安心して預けられる場所ということですので、保育との乖離をできるだけ埋めるような形で、開所時間の延長については平成26年度の事業から、内閣府において計上している保育緊急確保対策について進めているところです。平成27年度以降もこういったものを使いながら、開所時間の延長について進めていく予定です。

 資料5-24ページは、放課後児童クラブの基準についてです。この基準については支援の目的をこの中に書いたこと。その下にある職員(従うべき基準)の配置について定め、質を求める意味から資格認定の仕組みを作っていくことにしています。それ以外のものは基本的に地方の状況に応じて参酌すべき基準という形で示していて、現在、市町村が条例で定めていく形での展開になっています。

5ページ、6ページは子ども・子育て支援新制度における体制の資料です。先ほど言いましたように平成27年から31年までの5年間の計画を立てていただきます。5ページの一番下ですが、地域子ども・子育て支援事業として放課後児童クラブが位置付けられています。

 最後になりますが、資料5-27ページで放課後子ども総合プランについてです。これは平成266月に再興戦略が閣議決定されています。その中に女性の活躍推進という意味で、保育から続く放課後児童対策の「小1の壁」を打破すること。学校施設を徹底活用しながら、新しいプランを年央に策定するということで、今、作業を進めているところです。

 この総合プランについては、右にありますとおり、放課後児童クラブについて平成31年までに約30万人を新たに整備するということです。これは市町村が先ほど言ったニーズ調査をした結果を国のほうとしていただいて推計し、必要な人員として30万人分不足しているという実態の中、これを1つの目標値に定めています。先ほど申し上げた平成19年からプランの推進をしていますから、放課後子供教室を一体的に進めていくことで、約1万か所以上の学校の施設内で、両事業が実施できる体制を進めていく目標設定にしているところです。具体的には市町村が計画を立て、各年次にどのくらいずつ整備されるかというのが今後出てきますので、それを1つの目標設定にしながら、それを支援する形での展開を図っていくことになります。説明は以上です。

 

○阿部座長 

 ありがとうございました。ただいまの説明について御意見、御質問があればお願いします。

 

○安永委員 

 子ども・子育て新制度については私たちも非常に期待しているところであり、子ども・子育てを社会全体で支えることをしていかなければならないと思っています。その中で、全国でいろいろ組合員の皆さんとお話をする機会がありますが、「小1の壁」というのをすごく訴えられます。M字カーブをどう解消していくかという観点からも、これは重要な問題だと考えています。放課後児童クラブの増設はもちろんですし、質も改善していかなければならないという話も共感するところですが、学童保育指導員の労働条件の改善などもしていかなければ、優秀な人が働き続けることにならないのではないかと思っています。

 そのために、新制度は当初、1.1兆円程度の財源が必要と聞いていましたが、報道によると消費税財源からは0.7兆円程度しか確保できていないとされています。質については先送りということにならないように、特に先ほど申し上げた常勤職員の処遇改善といったところは、優秀な人材を確保する面からも非常に重要なことだと思っていますし、高い志だけではなかなか続けることになっていかないだろうと思っていますので、是非、財源の確保に向けて頑張っていただきたいと思います。以上です。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

0.7兆円の話は、その中の範囲でできることを、今、お示ししているところですけれども、その中に職員の処遇改善的な経費も含まれています。放課後児童クラブにつきましては特に開所時間の延長と処遇改善をセットにしていて、その中で常勤又は非常勤の処遇改善経費を補助できるような形で、上乗せになりますけれども、今、財源の確保を進めています。当初は1兆円と言っていましたけれども、その財源を確保した暁には常勤で職員を担保していく加算措置を、消費税財源を使いながらやっていきたいと思っています。おっしゃっていただいた、職員の処遇改善イコール質の向上のところは十分に踏まえながら、今後も進めさせていただきたいと思います。不足する財源についてはまだ目途が立っているわけではありませんけれども、できるだけ財源確保は進めていきたいと考えているところです。

 

○阿部座長 

 ほかに、いかがですか。

 

○渥美委員 

 とても分かりやすい御説明、ありがとうございました。学童に関しては本当に最近、すごく力が入っているというのは実感しているので、方向性としては正しい方向性だと思います。幾つか申し上げたいのですが、1つ目は、そもそも財源が限られている中で量の拡充は先にやらなければいけない。質も設置基準や環境整備になっていると思います。学童はそもそも民間、草の根でスタートしていることから、あまり厚生労働省に情報が入っているとは思っていなくて、むしろ業界がいっぱい情報を持っていて今までもずっと付き合ってきたと思います。要は、そもそも指導員の生活水準に足る報酬というのは私もそう思いますし、それでも志高く頑張っている指導員は全国にいっぱいるし、有名なカリスマ指導員もいます。そういう人たちのノウハウをもっと広げていったらすごくいいと思っています。

 運営主体が民間で、保護者がやっている所が地域によってはあると思いますが、結構、悲鳴をあげて、でも子どもたちのためにと頑張っています。そこはうまく継承されていません。「喉元過ぎれば」で、本当はいっぱいノウハがあるけれども、それが引き継がれなくて、またゼロから苦労しているみたいなことをいっぱい聞いていますから、本当はそういうのをシステマチックに、ノウハウの集約とベストプラクティスを広めるようなアプローチは、お金を使わなくてももっとできるのではないかと思います。是非、お願いしたいと思います。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 その点につきましても、基準を作ってそこで終わりにするつもりはありません。児童クラブ自体の運営について、どんなふうな取組を、どう進めるかは重要な観点だと思います。今、ガイドラインを作っていて、これは通知でやっているのですが、もう少し充実した内容を含めてその見直しをして、現場で役立つものを用意していきたいと思っています。今年度中に作っていきたいと考えています。

 

○渥美委員 

 ありがとうございます。あと「小1の壁」はおっしゃるとおりですが、ただ、実際に女性はあまりここで辞めていません。続けています。あと、もう1つ「小4の壁」があるので、「小1の壁」が一段落ついたら、次の「小4の壁」はまだまだ壁が結構高いので、要するに学童保育の場所がなくなってしまって預け場所がなく、習い事で塾に預けるという親がいっぱいいますから、そこはもう少し年齢を上げていくという方向性だと思いますが、次のステップとしてはそこも視野に入れていただきたいと思います。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 その点につきましては既に児童福祉法を改正していまして、ここで御説明したのはおおむね10歳ということですけれども、この部分が小学校在学児童という形になっています。一応、受入れを学年で制限して切ってしまうことがないように、法律上の措置は取らせていただいています。そういう意味で児童数が拡大する可能性もありますけれども、ただ、子どもたちというのは自立していきますので、自主的な生活ができるというのが児童クラブの本来の目的ですし、そういう子を育てていくということですから、必ずしも全ての子どもを児童クラブで見るということではなく、子どもたちが自立して、その中で自分の生活が組み立てられるには、それなりの場所も必要になります。そういう意味で放課後子供教室という取組は、そういう受け皿にもなってくると考えているところです。

 

○渥美委員 

 おっしゃるとおりです。あと高学年の子たちが低学年の子の面倒を見るような形で、できるだけ指導員の手間がかからないようにいろいろ工夫なさっていますから、そういうものもうまくやるといいかなと思います。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 取り入れさせていただきたいと思います。

 

○野川委員 

 この施策の概要は、放課後児童クラブの登録児童数を拡大することが柱ですけれども、その背景を見ると、「保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童」ですから、要するに共働き等で面倒を見られないような家庭ですね。そのために児童を預かってそこで育成するということなので、登録児童数が拡大し、その中のどれくらいが実際に利用しているのかという利用率は、この施策の有効性を判断する上で非常に重要な指標になるのではないかと思います。確かに登録児童数は非常に増えていて889,205人です。ただ、そのうちのどれくらいが実際に利用しているか、その必要度です。両親が共働きでいなくて面倒を見られない家庭の子どもがどれくらいで、そのうち実際にどのくらい利用しているのか。これはいろいろな調査の仕方で分かると思います。利用率が非常に高くて機能しているという評価が与えられるのであれば、施策目標の一番上の「児童の健全な育成及び資質の向上に必要なサービス」を、家庭の事情に関わらず提供できていることになるのですが、ここはあくまでも児童クラブが幾つ増設され、登録児童数がどれくらいかで、実際に児童がどれくらい利用しているかというところは出てこないのが、この政策の評価の在り方としてどうなのかなと思いますが、いかがでしょうか。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 おおむね89万人というのは、正に留守家庭の子どもさんで利用していらっしゃる児童数が伸びているのが、この数字です。パーセンテージのところで出している32%というのは、それこそ主要な年代でどのくらいの割合で利用されているかという割合を示したものです。従来は利用割合という設定の仕方をして、ここでも整理をしているということです。これから進めようとしているのは、いわゆる潜在的なニーズを含めて、どのくらいの需要があるのかという見込みを立て、市町村もそれに基づいて整備を進めるということですので、実際に利用する児童が今後、その目標値にきちっと全体的に追い付いていけるか、それだけの整備が進むかどうかに、今度はなってくるのではないかと思っています。現実に今度の調査は将来的なニーズも含んでの調査になっています。

 

○野川委員 

 指標1の提供割合というのは、具体的には何の何に対する割合なのですか。何に対して何が24%とか32%なのですか。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 これは、留守家庭の児童全体に対し、実際に利用している子どものパーセンテージです。

 

○野川委員 

 利用している子ども。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 利用しているというか、登録。

 

○阿部座長 

 こちらの資料でいくと、全国の小学校13年生約325万人の24%程度という記載があります。

 

○野川委員

 登録児童数でしょう。

 

○阿部座長 

 いえいえ、この24%。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 ※印で書いてある部分です。放課後児童クラブ提供割合というのは、小学校1年から3年までの放課後児童クラブの登録児童数を全国の小学校で割った数字です。

 

○野川委員

 登録している児童が、どれぐらいちゃんと利用して機能しているのかというのが、また別途、あってもいいのではないかと思います。こういうふうに登録してさえいれば必ず利用して機能しているだろうと直ちには評価できない。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 直ちにはというのは、確かにそのとおりだと思います。最近は特に塾と併用している子どもさんたちも結構いらっしゃるみたいで、毎日の利用を前提にしていくとなかなかニーズに合わない。

 

○野川委員

 だから、数値の立て方はいろいろあるでしょう。ただ、利用率について何も触れていないというのは少し考える余地があるのではないか。

 

○渥美委員 

 ここは、市町村別のニーズ調査の積み上げがあって、それが充足されていけば待機児童が減っていくという仕組みになっているはずです。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 そうです。そういうことです。

 

○渥美委員 

 だから、その2つの指標が今後出てくれば、今、先生がおっしゃっていることはクリアできます。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 そうです。先生がおっしゃったのは質の問題も含めての反応だと思います。

 

○阿部座長 

 ただ、難しいと思うのは、保育所でもそうですけれども、ニーズがあると思って拡大すると、それ以上のニーズが出てくるというイタチごっこがずっと続いていますから、今回、学童でやっても、多分、同じようなことが浮かび上がる可能性はあるので、必ずしもニーズがこれぐらいだと市町村が予測したものが本当かというと、もっとそれ以上に膨れ上がる可能性はあるのではないか。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 全くゼロではないと思います。女性の就労自体が更に進むということも想定されるわけです。

 

○阿部座長 

 ある研究者は、13年生が325万人いるというのだったら、325万人用意しておいたほうが無難だとしていて、そういう考え方もある。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長

 そういう御意見もあろうかと思います。ただ、子どもが自立するという観点をどう考えるかということですけれども、児童クラブというのは基本的に子どもの生活の基本的習慣から見ながら指導することになりますから、かなり干渉力が強くなります。それ自体を嫌って自立する年齢層というのが出てきますので、そこまで全て児童クラブ事業の中で吸収するかどうかは別の問題があるのではないかと思っています。

 

○阿部座長 

 今の指標に関連して言えば、むしろ利用率ではなくて待機児童数です。こっちのほうが全く触れられていないのが問題ではないかと思います。今回、報道でも話題になりましたし、この待機児童数というのは保育所でも同じですけれども、サービスが提供できていないという意味で、政策の指標としては重要な指標になるのではないかと思います。なぜ待機児童数が生まれるかの分析等も踏まえながら、実績評価書をお書きになったらどうかと思います。

 もう1つあって、私のほうで言うと効率性の評価のところで、こういうふうに書くのはよく分かりますが、もう少し何か書けないかなと思っています。非常に難しいのは、保育所もそうですが、国が直接手を出してやっているわけではなく、実際には市町村がエージェントとして放課後児童クラブを作ったり保育所を作るわけです。そこにどういうインセンティブを与えていくかというのが、多分、国の役目だと思うのです。あるいは、どういうサービスを提供していくかという基準を作るとかですね。そのあたりは少し切り分けていかないと、国の施策の問題なのか市町村の施策の問題なのか、どこに問題があるのかよく分からないことになるのではないかという危惧があります。

 効率性の話で言えば、効率性が良い市町村と悪い市町村があるのではないかと思います。そのあたりをどういうふうに考えるのかというのもあるかなと思います。多分、おおよそ地方都市よりも大都市圏のほうが厳しいと思います。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境祉課長 

 待機児童の関係で言うと、そういう状況になっています。今度、子ども・子育て支援新制度がニーズに対してきちっと計画的な整備を進めるというのは、市町村の責務という形になっています。自らのこととして考えていただき、それに対して国も地方負担分を含めて消費税税財源で支援をしていく形をとっていますので、従来の財政が困難だからということではなく、必要なものをきちっと整備する体制の中で進むように、制度自体が整理されて今後は進められるということですから、我々もそういう意味で指針を作ったりしながら、適切なニーズ量の把握とか、計画策定を後押しできるような形で進めていきたいと思っています。

 

○阿部座長 

 何かほかにございますか。

 

○渥美委員 

 些末なことで質の部分に関わるのですが、放課後子供教室にしても学童にしても、小児性愛者が混ざって良からぬことをやっているというのは耳に入っているかと思います。問題になっているのは、他県でトラブルがあって転居し、また同じことが起こるというところは排除する仕組みを作らないと、すごく親は不安に思っているし、そこは信用にも関わるところなので、何か工夫されているのかもしれませんけれども、是非、御検討いただければと思います。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 ありがとうございます。資格認定するときに研修を受けることになっています。全部のカリキュラムではないですが、受けていただくようになります。今、その検討をしている過程で同じような問題が提示されていて、資格認定をするのは都道府県なので、都道府県が資格認定するときに、そういう事象が分かれば取消しができる仕組みも含めて、今、検討しているところです。

 

○渥美委員 

 あと、学童のカリスマ指導員みたいに言われている人に聞くと、目を見れば絶対分かると言っていました。だから実技を入れて子どもと遊ばせ、そのときの目の色などで、あれはもしかすると可能性があるみたいなことが言える人はいかるかもしれません。ただ、そこはかなり主観でペケを付けることになるから、そういう可能性があるということで多分、採用とかになると思いますけれども。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 本来なら職場でも基本的にチェックしていただくことになると思いますし、その問題は専門委員会の場面でも結構出ていましたので、ガイドライン等も含めて相互牽制ということについては触れていくべきだろうと考えています。

 

○阿部座長 

 それでは、これでこの件は終わりにしたいと思います。所管課におかれましては、ただいまの議論を踏まえ実績評価書の修正等をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 

○雇用均等・児童家庭局育成環境課長 

 ありがとうございました。

 

○阿部座長 

 では、次のテーマに移りたいと思います。メインテーブルの入れ替えをお願いします。

(メインテーブル交代)

 

○阿部座長 

 続いては、施策番号6-4-1、「児童虐待防止配偶者による暴力被害者等への支援体制の充実を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。説明の前に所属と名前とおっしゃってからお願いします。

 

○雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長 

 雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長の大隈と申します。よろしくお願いいたします。実績評価書ですが、6-4-1「児童虐待防止や配偶者による暴力被害者等への支援体制の充実を図ること」です。

 施策の概要として(1)(3)3つの柱で目標を立てています。(1)児童虐待の発生予防から早期発見・早期対応の体制を充実すること。(2)虐待を受けた子どもの保護・支援のための体制を整備すること。(3)配偶者による暴力被害者等の相談、保護及び支援のための体制を整備することです。

 施策の背景・枠組みですが、児童虐待については児童福祉法と児童虐待防止法という2つの法律があり、ここに書いてありますように、それぞれ法律制定、法律の随時改正で内容の充実が図られてきています。特に目標との関係で言うと、平成16年の改正により、要保護児童対策地域協議会の法定化ということで、この協議会は努力義務として自治体に設置することになっています。ただ、「しかしながら」と書いてありますけれども、児童虐待に関する相談件数は現在も増加を続けているということで、引き続き重要な課題になっています。配偶者の暴力[DV(ドメスティック・バイオレンス)]については、都道府県が設置する婦人相談所で相談を受け付けることになっていますが、こちらも相談件数は年々増加して社会問題になっている背景があります。

 予算額は、ここに記載のあるとおりですが、関係する内閣の政策として「子ども・子育てビジョン」という閣議決定があり、平成22年に閣議決定していますが、これが指標14の目標設定の根拠となっています。5年間を目途ということなので平成26年度までの5年間で、ここにありますとおり、要保護児童対策地域協議会に専門職員を配置している市町村の割合を80%、あと3つは社会的養護関係の施設の箇所数、里親委託率が目標ですが、これが閣議決定の中に書き込まれているということです。

 測定指標ですが、指標1が地域ネットワークの調整機関に専門職員を配置している市町村の割合です。これは資料6-22ページに地域での児童虐待防止のシステムとありますが、各地域でこの協議会を作ることになっていて、この調整機関の中に児童福祉司、保健師、看護師等の専門職員を置き、機能強化を図る趣旨で平成26年度の80%になっています。平成24年度までは着実に上がってきています。平成25年度はまだ調査中ですが、ここは達成のところは△という形にさせていただいています。

 指標24ですが、これは資料6-25ページを御覧ください。保護者の養育を受けることができない児童について様々な施設があり、親がいない場合と親が虐待している場合ということで、5ページの左側が児童養護施設で養育する形、一番右側が里親で家庭で養育する形です。今の施策の方向としては矢印にあるとおり、より家庭的な養育環境ということで、なるべく施設から家庭に近い環境の中で養育していく施策の方向になっています。この資料の青い部分に9割ぐらいの子どもがいて、里親などは1割ぐらいです。施設に少し偏重した形ですが、将来的な目標としては、青い所と黄色い所と赤い所をそれぞれ3分の1ずつで子どもが養育されるようにという方向性になっています。

 それを受けて実績評価書の指標24ですが、指標2と指標3はこの図で言う黄色い所になります。指標2は小規模グループケアの実施、指標3は地域小規模児童養護の実施です。少し規模の小さい施設でやるもので、この箇所数を平成26年度にそれぞれ800か所、300か所としています。これについて平成25年度は943か所、269か所ということで、小規模グループケアについては平成26年度の目標値の水準を平成25年度で達成していますから、これは○としています。指標3についても平成26年度で300か所というのを、平成25年度の段階で269か所まできていて、これも年々伸びていますので△としています。指標4の里親委託率についても平成26年度は16%としています。こちらは少し都道府県の集計があってまだ調査中ですが、伸びてくる傾向にありますので△にしています。

 指標5ですが、配偶者による暴力被害者からの来所相談件数を目標として設定していて、毎年度、前年度以上の相談件数という目標値にしています。これは平成24年度が3万件ちょうどで、こちらも都道府県の集計の関係がありますので調査中ですが、大体、右肩上がり傾向にあり、△とさせていただいています。

 次のページですが、以上のような目標達成度合いですので、測定結果としては2、総合判定としてはAとさせていただいています。指標2の目標値は既に達成、残りの4つ、指標1345についても平成26年度の目標達成に向けて毎年度、実績は向上しているということで、Aとしています。

 有効性について、児童虐待の関係の(1)ですが、地域のネットワークの機能強化が必要という観点で、専門家の割合ということでやっていて、施策としては有効ではないかと思います。(2)(4)は、ここに書いてありますように平成237月に社会保障審議会の中の専門委員会で関係者が集まり、「社会的養護の課題と将来像」という形で先の提言を頂いています。その中に里親等の推進、施設の小規模化、地域分散化の推進が有効であるとして、それを受けた施策としてやっていることを記載しています。配偶者によるDV被害者等への支援体制について、直接実施しているのは自治体になりますが、潜在的な被害者で相談できていない人もいるでしょうから、来所相談に係る体制を充実することで国としても支援していて、その辺は有効な施策であると考えています。

 効率性については、全体的に虐待の相談件数や各種相談件数が増加している中で、予算の範囲ですけれども、できるだけ効率的にさせていただいています。

 現状分析ですが、虐待関係のネットワークは現在、98.4%の市町村で設置されていて、着実に体制は整備されていますけれども、内容として機能面を強化していくために専門職員の配置は引き続き必要です。指標24についても専門委員会の提言にあるとおり、家庭的な環境で養育していくことが子どものために是非とも必要であるとして進めています。今後、平成26年度までの目標として立てていますが、平成27年度から平成41年度までの計画として考えて進めているところです。DVの相談についても相談件数が増加していますので、自治体にこの業務の重要性をガイドラインを示すことで働きかけています。これによって自治体も相談に当たる相談員の人数を増やして進めています。

 施策及び測定指標の見直しについては、平成26年度までの目標としているものが多いので、その実施結果を踏まえて次期の目標を検討していく必要があると考えています。以上です。

 

○阿部座長 

 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関連して御意見、御質問があればお願いします。

 

○安永委員 

 児童虐待については、最近も悲しい出来事が次々に起こっているようなこともあり、非常に大きな課題だと思っています。添付資料の2ページに、市町村の虐待相談対応件数の平成17年と平成24年の比較がありますが、大きく増えています。事前に調べてきたのですが、10年前と比べると3倍ぐらいになっていると思います。そういうふうに増えている状況に対して、児童相談所の今の体制が十分なのかというところが少し心配なところです。増えている所もあれば減っている所もあるということで、対応件数などに応じた体制になっているならいいのでしょうが心配なところです。しかも対応がかなり複雑化していますし、親権停止といったようなことなども珍しくなくなっている中で、体制の強化が必要ではないかと思っています。具体的には児童福祉司、児童心理士の増員が必要ではないかと思います。命に関わる問題ですので、そういう対応が必要だと思います。ただ、財政的には地方財政措置ということになろうかと思いますので、総務省としっかり協議をしていただきたいと思います。併せて、児童を一時保護する所の環境についても、地域ごとに差があるのではないかと思っていますので、その辺についても検証していく必要があるのではないかと思います。

 

○阿部座長 

 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。

 

○野川委員 

 施策の分析の効率性の評価は非常に一般的、抽象的な表現になっていますが、これ自体、私はある意味では仕方がないと思います。厚労省の宿命のひとつでもあると思いますね。経産省や国交省ですと、この辺はかなり数字を出して具体的に書けるのでしょうが、特にドメスティック・バイオレンスについてどう効率化を図るかは難しいと思うので、むしろ本件のような施策については、そもそも効率性とはこういうことなのだという効率性の捉え方の特性を、もう少しはっきりさせる必要があります。だから難しいというのであれば難しいでいいと思うのですが、ただ、こう書かれているだけだと、どの施策についても有効性のほかに効率性は問われるのだということであれば、本件における効率性はこういうことなのだというところが表現されていたほうが、よろしいのではないかと思います。そうすると、そもそもこういう形での効率性は難しいのだと、本件における施策においてどのような形であれ、効率性という点からの評価は難しいのだということがある程度分かってくるので、単にこういう抽象的な表現だけで済ませない対応を考えていただければと思います。

 

○渥美委員 

 今の効率性の話と関わるのですが、地域ネットワークを機能させると、国がやるべきことは本当にヘビーなところに特化してお金も使えると思っています。かなり地域で濃淡があって、キーパーソンがいる所はうまく機能していますが、いろいろな人たちが関わることによって、結局、無責任になっている所も実際にまだあるので、うまくいっている所のノウハウを広めることが重要だと思います。

 私も子どもの活動を20年やってきて、何人か虐待を受けている可能性のある子どもがいたのです。児相につないだのですが、結局、保護されるのにすごい時間がかかりました。肩書のない一市民がキーパーソンになるのはすごく難しいのです。そもそも親権の壁がその時点ではすごく厚かった。ここに書いている方は主立った方だと思いますが、子どもに関わって活動している方はほかにもいますから、そういう人たちをネットワークに巻き込んでうまくやっている所は、そもそも巻き込む力ですね。立場で仕方なくというのでなく、1人でも2人でも気が付いたら、すぐにその子を救うために動くエネルギーを持っている人たちがいるとネットワークがうまく回るので、そういうベストプラクティスを広めるようなことは是非やっていただきたいと思います。

 特に居所不明児童ゼロ作戦は、是非やったらいいと思っています。数千人という数は重いと思いますし、そういう目的で動いている地域もあるので、ゼロにしようとする地域の力をうまく使うのが効率に関わると私は思います。

 

○阿部座長 

 私のほうから、施策の分析のところですが、施策そのものが児童虐待防止、配偶者による暴力被害者等への支援体制の充実ということなので、支援体制の充実が目標になっているというふうにも読めるのです。むしろそうでないというのもあるかもしれませんが、何を言いたいかというと、有効性の評価のところで実は戦略と戦術の評価のどっちをやっているのか分かりにくくなっていて、例えば有効性の評価の(1)(2)は、多分、戦略そのものの有効性について書いてある。つまり、どういうことをやれば虐待を受けた子どもの保護・支援の体制整備に有効か書いてありますが、(3)は支援体制整備に有効かどうか書いてある。そのあたりは戦略が有効なのか、戦略は有効だけど、戦術をどうやってもっと効果的にしていくかということなのか、そこがぼやけている感じがするのです。

 どっちも大事なのですが、ただ、施策をやっていく上では戦略が有効でなければ駄目なのです。施策は有効だけれども、その施策をどうやってもっと拡充し充実していくか。そのためにどういうことをやっていくべきなのかというところも、また評価しないといけないわけです。だから、どこに問題の所在があるのかというのを、有効性のところで少し明確に書いてもいいという気がしています。効率性のところも同じようなことになるのではないかと思います。そのあたりはすごく難しいところではあるのですが、少しそのあたりを明確に切り分けて、お書きになったらどうかという気がします。もしそちらから何か御発言があれば。

 

○雇用均等・児童家庭局虐待防止対策室長補佐 

 総務課虐待防止対策室長補佐の小松と言います。1点だけ、先ほど渥美先生が言われた点ですが、要保護児童対策地域協議会の取組については先生がおっしゃるとおりで、国のほうで法律で定めていますけれども、地域はかなり特色がある取組をしています。一方で温度差もかなりあって、地域によっては活動していない所もあります。直近で申し上げれば、平成241114日に厚生労働省のほうで、いわゆる実践事例集という形でかなり先進的な取組について、例えば学校サイドとこういう連携をやってうまくいっているとか、そういった取組をまとめて公表したことがあります。今後もこういった先進的な取組を広めるというのは、正に座長がおっしゃった先ほどの戦略と戦術の話で、施策目標を作るときに国はあくまで実施主体ではありませんので、市町村なり自治体、都道府県の体制整備が目標になる面があると思います。あとは、体制を整備するというのを国の目標とした上で、実際に自治体の方々がどう活動できるのか。どういう取組がスムーズにいくのかというあたりは、逆に取組事例などをどんどん広げる形で進めさせていただきたいと思っています。

 

○阿部座長

 ありがとうございます。ほかになければ、この件はこれで終わりにしたいと思います。所管課におかれては、ただいまの議論を踏まえて実績評価書の修正等をお願いできればと思います。ありがとうございました。

 本年度、当ワーキンググループで議論を行う実績評価書につきましては以上で終了です。本日は誠に熱心かつ有意義な御審議を頂きましてありがとうございました。それでは、事務局より本日の議論の取扱いについて、一言、お願いします。

 

○政策評価官室室長補佐 

 本日は、長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。本日賜りました御意見等につきましては、今後、担当課におきまして実績評価書にしっかりと反映させていただくとともに、実績評価書の中には「学識経験を有する者の知見の活用」という欄がありますので、そちらの欄に記入した上で、政策評価官室において取りまとめを行い、総務省への通知及び公表の手続きを進めさせていただきます。また、併せて、皆様方にも最終版を送付させていただければと思っておりますので、今後とも引き続き御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○阿部座長 

 それでは、本日の会議は終了とさせていただきます。ありがとうございました。




(了)

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