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2014年7月4日 第62回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課

○日時

平成26年7月4日(金)
16時00分~18時00分


○場所

中央労働委員会 労働委員会会館第612会議室(6階)


○出席者

【公益代表】阿部(正)委員、菊池委員、松爲委員、山川委員
【労働者代表】伊藤委員、榎本委員、桑原委員、斗内委員、冨高委員
【使用者代表】栗原委員、高橋委員、平岡委員、本郷委員
【障害者代表】阿部(一)委員、竹下委員、堤委員、小出代理
【事務局】岡崎職業安定局長、内田雇用開発部長、北條障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、川村主任障害者雇用専門官、境障害者雇用策課長補佐

○議題

(1)障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について(諮問)
(2)2013年度評価及び2014年度の目標設定について
(3)「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」について(報告)
(4)その他

○議事

○山川分科会長

ただいまから、第 62 回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方には、お忙しいところ、御参集を頂きまして大変ありがとうございます。毎回、お願いしておりますが、御発言の際には、手を挙げてお名前を言っていただきまして、それから御発言をお願いいたします。

本日は御欠席の委員は武石委員、中川委員、塩野委員、宮武委員です。宮武委員の代理として小出代理に御出席いただいております。それから、事務局に移動がありました。事務局から御報告をお願いいたします。

○松永調査官

障害者雇用対策課調査官の松永です。事務局に異動がありましたので、御報告をいたします。まず、障害者雇用対策課長の北條憲一です。次に主任障害者雇用専門官の川村徹宏です。事務局からは以上です。

○山川分科会長

ありがとうございました。それでは早速、議事に入りたいと思います。本日は議事次第にありますように、第 1 が障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案についての諮問です。第 2 2013 年度の評価、それから 2014 年度の目標設定についてです。第 3 番目が「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」についての御報告です。第 4 がその他となっております。

まず、議題 1 「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について ( 諮問 ) 」でありまして、事務局から資料が提出されております。それでは、説明をお願いいたします。

○松永調査官

障害者雇用対策課の松永です。 1 つ目の議題について御説明をいたします。これは除外率に関する省令改正の案件ですが、まず、除外率制度の概要について、お配りしている資料 1-2 で御説明させていただきたいと思います。

御承知のとおり、現在法定雇用率は 2.0 %ということでやっております。一方で機械的に一律の雇用率を適用するということにはなじまない性質の職務もありますので、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除するという制度を設けていたところです。したがいまして、各企業で雇用すべき障害者数を算定するに当たりましては、常用雇用労働者数から除外率相当の労働者数を引いた数に 2.0 %を掛けるということでやっています。この除外率については、平成 14 年の法改正によりまして、除外率設定業種における障害者の雇用の状況等を考慮し、段階的に縮小することにされています。現在は、この資料の裏面にありますが、業種ごとに除外率を定めております。今般はこれに関する改正になります。

次に、今般の改正の内容について、資料 1-3 で御説明をさせていただきます。標題のとおりありますように、「幼保連携型認定こども園」の取扱いです。これは 2 年前に行われた法律改正で、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部改正がありました。この中で、幼稚園と保育所の両方の業務を一体的に行う「幼保連携型認定こども園」が単一の認可を受ける施設として位置付けられるとともに、日本標準産業分類上も、「幼保連携型認定こども園」として、明確に位置付けられることになったところです。

この除外率制度におきましては、この日本標準産業分類の業種区分に基づいて、除外率設定業種を定めていることから、この「幼保連携型認定こども園」の除外率設定業種としての位置付けを整理する必要があるというものが、今回の改正の趣旨です。

次に、具体的な内容です。まず、今申し上げた「幼保連携型認定こども園」について、これを除外率設定業種として明確にする。その際の除外率については、日本標準産業分類上、「幼保連携型認定こども園」というのは、「幼稚園」と同様に、「学校教育」の中に位置付けられるということから、幼稚園と同じ 60 %の除外率を適用するというものです。参考にもありますように、現行の認定こども園におきます実際の除外労働者の割合は 79.2 %でして、幼稚園における割合 80.8 %と同水準ということで、実態とも合っているのではないかと考えているところです。

なお、施行期日については、今後政令で定めるということにしておりますが、今のところ平成 27 4 1 日を予定しております。私のほうからは以上です。

○山川分科長

ただいまの説明にありましたとおり、また資料 1-1 にもありますが、本日付けで厚生労働大臣から、労働政策審議会に対して、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」についてという諮問がなされたところです。本分科会としては、本件について議論を行って、その検討結果を労働政策審議会に報告させていただきたいと思っております。

それでは、この件について御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

○竹下委員

竹下です。結論はこの内容でやむを得ないのかと思っております。それを前提に 1 つだけ質問ないしお願いですが、やはり平成 14 年の改正を踏まえた場合に、今回の措置はあくまでも例外であるということを明確にしておくのが必要ではないかというのが 1 点です。その上で、今後、認定こども園等に対する障害者の雇用率を上げていくための支援又は指導をどういう形で行っていくのかについて、厚労省としての考えがあれば、教えていただきたいと思います。以上です。

○山川分科会長

前半は御意見で、後半に御質問がありました。事務局で御質問について、何かありますでしょうか。

○松永調査官

障害者雇用対策課の松永です。最初に頂きました御意見について、今回除外率制度の見直しですが、これは説明でも申し上げましたとおり、段階的に縮小していくというのが法律の規定です。その規定に従って、私どもとしては対応していくことに変わるものではありません。それから、あと「幼保連携型認定こども園」に対する今後の支援ですが、これは除外設定業種に限らず、障害者の就労促進ということは、引き続きやっていかなければいけないところです。「幼保連携型認定こども園」も含めて、障害者の就労支援は、十分取り組んでやっていく所存です。以上です。

○山川分科会長

竹下委員、何かございますか。

○竹下委員

結構です。

○山川分科会長

よろしいでしょうか。それでは、ほかに御質問、御意見等ありましたら、お願いします。

○榎本委員

榎本です。今ほど説明を頂きまして、今度の新しいこども園について、幼稚園と同じ分類とお聞きをしました。今度、新しくできるこども園で働く職員の身分としては教育公務員とお聞きしております。現場の実態からいうと、保育園、いわゆる保育に近い現場だと思います。また、新しいこの「幼保連携型認定こども園」の基本的な理念の中に、全ての子どもの最善の利益が実現される社会を目指すとあります。ということは、つまり子どもについて、障害者だとか、例えば虐待など、いろいろな状況にある困難な状況にあるものを全て排除せずにやっていくという理念があると考えますと、先ほど御意見が挙がりましたように、段階的に無くしていくとお聞きをしておりますが、なるべく排除、除外をしないような方向がよろしいのではないかという意味で、保育園、つまり児童福祉事業のほうが近いのではないかと思います。一言御意見申し上げたいと思います。

○山川分科会長

ほかに御意見ありますでしょうか。

○伊藤委員

伊藤です。私からも、今、榎本委員からもあったことに重ねて、この除外率制度については、もう既に平成 14 年の法改正で本則上は廃止されているということで、廃止の方向で段階的に引き下げて縮小していくということになっていると承知をしております。「幼保連携型認定こども園」については、当然ながら教育と保育ということですが、保育には入所についての応諾義務も課されている、入所時については障害児も含まれた積極的な受入れというものが期待されています。一方で、働く側について、むしろ除外率を高く設定するということは、考え方としていかがなものかというところがあります。今は経過措置としての除外率制度となっておりますので、障害のある人の就労機会の拡大、就労環境の整備、就労支援の強化を進めていく中で、除外率制度については、本則に基づいて、早期に廃止の方向で引き下げていくべき、ということを重ねて申し上げたいと思います。以上です。

○山川分科会長

御意見をお二方続いていただきましたが、ほかに御質問、御意見等ありますか。竹下委員から、それから榎本委員、伊藤委員からそれぞれ除外率制度全体の廃止に向けた取組みに関して、御意見を頂きました。御指摘もされているところで、先ほど事務局の説明にもありましたけれども、除外率制度については、本則を受けまして、障害者雇用促進法附則第 3 条において、「除外率設定業種における身体障害者又は知的障害者の雇用の状況、障害者が職業に就くことを容易にする技術革新の進展の状況その他の事項を考慮し、当該政令及び厚生労働省令で定める率が段階的に縮小されるように制定され、及び改正されるものとする」と条文の規定で定められております。このように定められている点について、分科会委員の皆様としても、共通認識を持っておられると思います。そういう理解をするということでよろしいでしょうか。

                                 ( 異議なし )

○山川分科会長

それでは、共通認識を持っているということで、御確認いただけたと思います。その下で本分科会としては、厚生労働省案を妥当と認めて、労働政策審議会長に報告を申し上げたいと考えております。いかがでしょうか。

                                 ( 異議なし )

○山川分科会長

ありがとうございました。それでは、御異議はありませんでしたので、事務局から労働政策審議会の報告文 ( ) をお配りいただきたいと思います。お願いします。

                           ( 報告文 ( ) 配布 )

○山川分科会長

皆さんお手元に行き渡りましたでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、読上げをお願いします。

○松永調査官

障害者雇用対策課の松永です。それでは、案文を読み上げます。「平成 26 7 4 日付け厚生労働省発職雇 0704 1 号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。記、厚生労働省案は、妥当と認める。」以上で

す。

○山川分科会長

この案でよろしいでしょうか。

                                 ( 異議なし )

○山川分科会長

それでは、この報告文案のように、報告をさせていただきます。今後、この内容を、労働政策審議会会長宛に報告しまして、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申するという形を取らせていただきます。

それでは、議題 2 に入ります。「 2013 年度評価及び 2014 年度の目標設定について」です。この点も事務局から説明をお願いいたします。

○松永調査官

障害者雇用対策課の松永です。ただいまの議題について、資料を説明します。まず 2013 年度の数値目標に対する評価についてですが、資料は 2-1 2-2 があります。評価のポイントとなるところを資料 2-1 を使って説明します。障害者雇用の関係の指標は 3 つありまして、 1 つ目はハローワークにおける障害者の就職件数です。昨年度の目標は前年度以上、 6 8,321 件以上という指標を立てており、実績としては 7 7,833 件でした。これは前年度から 9,500 件以上の増加となって、目標を上回ったものです。これは障害者雇用に関する企業の理解が進んだこと、障害者の皆さんも就職希望が増えてきたということ、各種雇用支援策などの充実も図ったということ、昨年 4 月から法定雇用率が引き上げとなったことも反映して、大きな増加が図られたと思っております。特に、精神障害者の就職件数の増加が多いわけですが、これは 2006 年度から、各企業において実雇用率に参入できるようになったこと、昨年の法律改正により、法定雇用率の算定基礎に加えるといったことがありまして、企業の皆さんの中でも精神障害者の雇用に対する理解が深まってきたこと、私どものいろいろな支援策も講じてきたといったことも理由として考えられるのではないかと考えているところです。

2 つ目の指標は、障害者の雇用率達成企業割合です。こちらは前年度比 1.5 pt 以上上昇させることを目標にしているところですが、こちらの評価については今年の 6 1 報告の結果が出た時点で改めて評価を行いたいということで、今回は見送りをしているところです。なお書きですが、一昨年の指標に対する評価をしております。一昨年の指標については、目標値を 43 %以上と設定しておりましたが、結果としては 42.7 %ということで 0.3pt 達しませんでしたが、ほぼ同水準の実績は確保できたということです。今後は企業からの求人の充足を的確に行うとともに、引き続き事業者に対する雇用率達成指導を併せて実施していきたいと考えているところです。

3 つ目の指標は、精神障害者の関係の指標で、全国の主要なハローワークに配置しております精神障害者雇用トータルサポーターの相談支援を終了した者のうち、就職に向けた次の段階に移行した者の割合としております。昨年度の目標については 60 %以上という指標で、実績は 69.3 %でした。この理由としては、トータルサポーターに対して、目標とか進捗状況を意識した業務実施を指示するとともに、ノウハウの共有ということで、経験交流会の開催などを実施して、トータルサポーター全体の質の向上を図った活動などが反映したのではないかと考えているところです。

以上申し上げましたとおり、 1 つまだ評価できていないものがありますが、おおむね目標は上回ったと考えておりまして、引き続き中小企業の皆さんへの支援の強化、障害特性等に応じた支援策の充実、職場定着に係る支援等を行って、着実に施策を実施していくことが重要と考えているところです。

次に今年度の指標について、資料 2-3 で説明いたします。太い線で囲ってある所が今年度の指標として考えているものですが、目標の項目としては、昨年度と同じ指標を活用したいと思っております。就職件数については、前年度以上、 7 7,833 件以上ということで、 7 7,000 件というのはこれまでの過去最高の数字なわけですが、それを更に上回るものを目標にしたいと考えております。

次が障害者の雇用率達成企業割合です。こちらは前年度実績と比較して 1.5 pt 以上を目標に掲げたいと思っております。

3 つ目の精神障害者雇用トータルサポーターの相談支援を終了した者のうち、就職に向けた次の段階へ移行した者の割合ですが、これは前年度以上ということで、昨年度の実績 69.3 %以上になることを目標としたいというところです。私からは以上です。

○山川分科会長

ただいまの説明について、御意見、御質問をお願いいたします。

○冨高委員

冨高です。今回 2014 年度の目標について、今、御説明がありましたが、 2013 年度と同じ 3 項目が挙げられているかと思います。以前、本分科会 2 7 日だったと思いますが、 2013 年度の年度目標に係る中間評価ということで御説明をいただきまして、その際に労働側から障害者の職場定着の重要性がこの審議会の中でも重要であるということになり、今後の目標設定に当たっては是非、職場の定着状況、定着率という視点も検討に入れていただきたいという旨、発言させていただきました。今回、この目標設定に当たって、こうした視点を反映していない理由について、事務局のお考えを伺いたいと思います。

○山川分科会長

松永調査官、お願いします。

○松永調査官

障害者雇用対策課の松永でございます。 2 月の分科会のときに、冨高委員から御指摘いただいたところです。御指摘のとおり、雇入支援だけではなくて、雇用された障害者の皆さんの定着支援も非常に重要であることは私どもも認識をしております。この定着状況について、私どもは今どういう形で把握しているかといいますと、 5 年に 1 回やっているもので障害者雇用実態調査というものがありまして、そちらで身体・知的・精神、種別に勤続年数を把握してやっているところです。この調査は昨年度も実施して、集計次第、取りまとめた上で公表したいと考えておりますが、今申し上げたとおり 5 年に 1 回やっている調査ということで、御理解いただければと思っております。いずれにしても定着支援が重要ということは、私どもも認識しておりまして、そういった支援の強化も取り組んでいきたいと考えております。以上です。

○冨高委員

ありがとうございます。私どももよく調査をするので、 5 年に 1 回ということで、かなり質問項目を絞り込んだりだとか、そういった努力はされているかと思うのですが、これからかなり雇用が増えていくことを考えると、定着の部分は定点的に見ていく必要があると思いますので、設問の内容も含め、検討いただければと思います。

今回、 2013 年度のハローワークにおける障害者の就職件数の目標について、先ほども御説明いただきましたが、過去最高を更新して、目標を達成されたとのことで、障害者雇用の理解が進んだり、就職を希望される障害者が増加していたり、法定雇用率が引き上げられたのも重要なポイントということで挙げられています。こちらについては、私どもも職場の実態調査などをしておりまして、こういった増加には労使が本当にいろいろな取組をされており、御苦労されながら、採用であったり、定着支援であったり、キャリア形成支援など、様々な面において労使で話合いをしていただき、努力をされている結果であると私どもも認識しておりまして、これについては前向きに受け止めたいと思っております。それは非常に重要なことだと思うのですが、障害者の就職件数が増えているというのは、今までも増加傾向だったということで、かなり厚生労働省にも御尽力いただいて、政策の効果も出ていると思います。労使の努力での理解浸透、こういった状況に鑑みれば、これからも就職件数の増加は見込まれると思います。この委員会は障害者雇用の促進を図るのが目的ですので、単に前年度以上の就職件数を目指すということだけでいいのか、というのが懸念するところで、また一段違う切り口で検討していくことも必要と思っております。

例えば今の 1 つ目、 2 つ目の目標は件数とか就労者数とか、量的な評価が中心ですが、やはり裾野が着実に広がっているという現状を踏まえますと、就職率とか定着率、こういった質的な評価を検討する段階に来ているのではないかと思いますので、その点も併せて、お考えをお伺いしたいと思います。

○堤委員

精神の堤です。今おっしゃったように、職場の定着支援というのは非常に大切だと思います。そういう意味で、今後そういう内容についてもこの中に入れていただきたいなという希望です。

それと就労状態の調査が今、 5 年に 1 回しか出ておりませんが、この 5 年に 1 回というのは、ちょっと長すぎるのではないかと思います。というのは、私ども精神で、精神障害者の就労状況についてデータを示して、各県にも配るのですが、 5 年に 1 回となると、かなりデータが古いといいますか、陳腐化するのではないかと思いますし、今、雇用率についてもアップという動きも出ておりますので、 3 年に 1 回ぐらいの調査に改めていただけないかなという希望です。

もう 1 点は、精神障害者の雇用が今、本当に伸びておりまして、厚生労働省のいろいろな支援に対して感謝しております。ありがとうございます。もっと伸ばすためには、先ほども御説明がありましたように、精神障害者雇用トータルサポーターの強化といいますか、精神障害者雇用トータルサポーターというのは、精神関係の PSW とか病院のケースワーカーとか、そういう方だと思いますが、もっと人数を増やすといいますか、強化すればもっと精神の雇用は伸びるのではないかと。精神でも、今、統合失調症の方で仕事をしたいという方が、結構増えてきております。そういう意味で、精神障害者雇用トータルサポーターの増員といいますか、そういう意味での強化を図っていただきたいなと、そういうお願いです。以上です。

○山川分科会長

先ほどの御質問もありましたので、松永調査官どうぞ。

○竹下委員

その前に、関連しているのでよろしいですか。竹下です。私のほうからも質問とお願いなのですが、私も冨高委員と全く同じ意見で、賛成です。今年度は分析からいって、にわかにその設定が困難であるとすれば、冨高委員のおっしゃるように、今年度中には就職率や定着率というものは是非、目標に設定できるための分析、検討をしていただきたい。といいますのは、例えば就職者数がどんどん伸びていることは、労働者行政の努力や事業者のこの間の前向きの努力に、高く敬意を表したいと思うのです。その中で、現実に就職者数が増えても、仮に障害者の希望者数がそれに増して増えているとすれば、その中で就職率がどのように上昇しているのか、人数は増えているけれども、率は下がっているのかという分析は非常に重要になってきているかと思うし、現にそれによって就職した障害者が、その後の労働の質も含めて、どういう形で維持されているかということが問われる段階に来ていると思いますので、そういう今後の設定のための検討を頂きたいということが 1 点目です。

もう 1 点は、今回の設定で障害者の雇用率達成企業割合は目標に入っているのですが、法定雇用率が全体として何パーセントになっていて、それがどれだけ上昇したかということについてはこの中にはないわけですが、その目標設定も検討すべきではないかと思うわけです。民間事業者については法定雇用率が 2.0 %にアップしたわけですが、それを踏まえて事業所において、現時点ではどこまで達成しているのかということも、分析の上では非常に重要になってくるかと思っております。

併せて事業者の雇用率が伸びていること自身は非常に素晴らしいと思うわけですが、単に業種や規模での達成率だけではなくて、それは数字で出ているわけですが、非常に伸びている事業者のモデルというのは失礼なのでしょうか。好事例が何らかの形で公表されていくべきではないかと思うわけです。よく障害者の 1 人の就職の好事例というのは、発表されたりパンフなどに載っているわけですが、事業所単位で見たときに、どういう事業所の努力や改善によって、その事業者が雇用率をアップしていったかということも大いに啓発すべきではないかと思っております。以上です。

○山川分科会長

目標設定に関する切り口の問題、それと関連するデータの収集の問題、更に様々な支援の仕方、精神障害者雇用トータルサポーターの増強も含めた支援の問題等、御意見を頂きまして、一部、御質問の部分も含まれていたと思いますので、ほかに特に関連して御意見がなければ、松永調査官からお願いいたします。

○松永調査官

障害者雇用対策課の松永でございます。様々な指摘、ありがとうございます。まず、就職件数に関しまして、冨高委員、竹下委員からの御指摘です。確かにこの就職件数というのは、私どもの取組もありまして、当然それに加えて労使の皆さんの御尽力もあった上での就職件数ということかと思っております。昨年度もそうなのですが、今回、私どもで就職件数を指標にしておりますのは、分科会の中でも中長期的な目標ということで、 2020 年までに障害者の実雇用率を 2.0 %にしようということでやっているということです。この実雇用率は、上昇しているものの、まだまだ雇用機会の裾野を広げていくことが重要であると考えておりまして、まず量的な部分での就職件数を指標にしたいということで、この指標を設定したものです。

ただ、冨高委員が御指摘のように、量的な部分だけではなくて、質的な部分も当然重要で、就職件数では直ちに評価できない面もあるわけですが、件数の分析をする中で、そういった質的な部分についても分析をするといいますか、今回も評価シートで、就職率についてどうだったかということも触れさせていただいておりますが、そういった分析を行うことで御指摘の部分については対応していきたいと考えているところです。

堤委員からいただきました、先ほどお話しました障害者雇用実態調査の 5 年に 1 回というのを、もうちょっと頻度を短くできないかということです。私どもはいろいろな形で実態を把握したいというニーズはありますが、一方で調査するときには、それが国民の皆さんの負担になるということもあります。今申し上げた実態調査も、統計法上の承認を得てやるということで、なるべく国民の皆さんに負担をかけない範囲でやるという中での調査ということで、今 5 年に 1 回ということでやらせていただいているところです。そういったところも御理解いただければと思います。

トータルサポーターの強化ということで、御指摘もいただきました。こちらについては、私どもは昨年の法律改正をしたときにも、精神障害者の就職支援について充実を図るようにということも、分科会の御意見として承っているところです。財政上のいろいろな制約等ありますが、必要な予算の確保に向けて努力していきたいと思っております。

竹下委員からいただきました、いわゆる実雇用率といったものでの評価ということです。こちらについては、直近の数字でいくと 1.76 ということでやっているわけですが、こちらは集計して 6 1 報告を毎年発表しているわけですが、そういった際にも私どもとしていろいろな状況の分析などもさせていただいているところです。そういったところで評価をさせていただきたいと思っております。それから、取組が進んでいる所の好事例についてということでの御指摘もいただきました。これも様々な取組とかノウハウをどんどん広めていくことは重要です。私どもも優良事業所の表彰とか、いろいろな形で企業の皆さんの取組を紹介しておりますし、また独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のリファレンスサービスで、ホームページでいろいろな事例を紹介しております。そういったものを通じて、いろいろな企業の取組の好事例も普及する取組をしていきたいと思っております。以上です。

○阿部 ( ) 委員

中央大学の阿部でございます。私は日頃、労働経済学を勉強しておりますので、その立場から少しお話をさせていただきたいと思います。先ほど定着率、あるいは就職率という指標を導入したらどうかというお話がありましたが、これは目標として置くのは非常に難しい指標です。というのは、例えば景気変動の影響を受けることが、まず就職率のところにはあります。これが政策の影響なのか、それとも景気の影響なのかを分けて考えることは、後々結構難しい問題になっています。特に目標が達成しなかったときに、どのように対応していくのかとか考えていく上では、例えば就職率を指標と置くとしても、どういう置き方をするのかとか、相当検討しておかないといけないような気もいたします。定着率にしても、自発的離職という問題をどのように考えるかとか、いわば政策でうまくインセンティブを与えても、それでもどうしても離職せざるを得ない自発的な離職をどのように考えるかとか、それぞれ癖を持っているのではないかと思います。もちろん、そういう就職率とか定着率というものを指標に置くこと自体は賛成しないというわけではないですが、そういった問題もあるので、慎重に考えていく必要があるだろうと思います。

それ以外にも幾つかの指標が出てきましたが、ここで議論すべきなのは、政策を評価して、政策の PDCA サイクルを回していくために、どういう指標が必要なのかということを議論すべきであると思いますが、もう 1 つ大事なのは啓蒙・啓発のために指標を作って、それを事業主なり、あるいは国民に見せていくことも大事かとは思います。ただ、あまりにも指標が増えていくと、政策評価をする際に、政策として何が有効で何が有効でなかったのか、見えづらくなる可能性があるのではないかという懸念があります。ですので、今すぐこれをどうするというのは、ここの場で議論するのは難しいかもしれませんが、 2020 年までの目標として障害者の実雇用率 2.0 %を達成するために、毎年毎年どういう政策をしていき、それの達成度合をどうやって見ていくかという指標作りが一番必要なのかとは思います。以上です。

○高橋委員

高橋でございます。年度目標なのですが、 2 番目に「障害者の雇用率達成企業割合」が掲げられております。これを掲げること自体は適当だと思うのです。しかり、目標の立て方について、「前年度実績と比較して」と書いてありますが、前年度実績が判明していないにもかかわらず「前年度実績と比較して 1.5 pt 以上上昇」という、この立て方がテクニカル的にやや違和感があるかなという気がしております。とりわけ PDCA サイクルにおいても、 6 1 調査の報告を待っていると、結局 2013 年度の結果が分かるのも相当遅くなってからということで、なかなか次につながらない目標設定の立て方なのではないかという感じも、ちょっと受けるところです。技術的には、前年度実績、前年度実績と 2 年続いていると、少なくとも 2014 年度は 2012 年度実績の 42.7 %に 3 %を足して 45.7 %以上とするとか、そういう立て方も考えられないことではないのかもしれません。今回についてはこれでよろしいかと思いますが、是非、次回以降は少し事務方のほうでも御検討していただいたらよろしいのではないかと。以上、意見です。

○山川分科会長

前年度実績、 6 1 調査との関係での御指摘でしたが、事務局から、松永調査官どうぞ。

○松永調査官

障害者雇用対策課の松永でございます。今の高橋委員から御指摘、ありがとうございます。実はこれはここ数年の場合、雇用率が 1.8 %から 2.0 %に上がった関係で、どのぐらいの達成企業の割合になるかというところがちょっと見えなかったところもありまして、変則的に前年度実績と比較してということでやっているのですが、その前のときは、先ほど一昨年の評価を紹介しましたが、 43 %という形で設定してやっていたということです。御指摘を踏まえて、次年度以降の指標の立て方等については検討させていただきたいと思います。

○本郷委員

商工会議所の本郷でございます。私どもはよく会議をやっているのですが、商工会議所の委員会などで、地方の中小企業の経営者から、「求人を出しても応募がない。大企業や役所などと違い、中小企業には障害者の方もなかなか目を向けてくれない」などの声が上がっています。国や地方の行政におかれましては、障害者の方が中小企業に目を向けていただくための取組に引き続き御尽力いただきたいと、商工会議所としても考えております。以上です。

○山川分科会長

ほかにないようでしたら、 2014 年度目標については、本日、御議論いただきましたが、目標については御了承いただくということでよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○山川分科会長

ありがとうございます。評価についても、御議論いただきましたので、御意見を踏まえて、私と事務局とで御相談いたしますが、おおむね御了承いただいたと理解してよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○山川分科会長

ありがとうございます。そのようにさせていただきたいと思います。

次の議題に入ります。議題 3 です。「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」についてです。事務局から資料が提出されております。松永調査官、説明をお願いします。

○松永調査官

松永です。ただいまの議題についての資料を説明いたします。 2 月の分科会の際にも御報告いたしましたけれども、昨年の 9 月から、標題にありますとおり、「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」を開催しておりました。その報告書が先月まとまりましたので、今日、御報告させていただきます。資料は 3-1 を使います。まず、指針には 2 本ありまして、差別禁止の禁止に関する指針と合理的配慮提供に関する指針です。まず、差別禁止に関する指針ですけれども、基本的な考え方としては、対象となる障害者の範囲は障害雇用促進法に規定する障害者であるということ。対象となる事業主の範囲は全ての事業主であるということ。直接差別を禁止するというものであること。事業主や同じ職場で働く者が障害特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要である。こういったことを盛り込むべきであるというようにされています。

次に、差別の禁止です。こちらについては、募集・採用、賃金、配置、昇進といった、各項目に沿って禁止される差別を整理すべきということになっています。それぞれの各項目についてですが、障害者であることを理由にその対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとする、これが差別に該当するということで整理をするという方向になっています。また、差別に当たらないという事項も書くべきではないかということで、障害者を有利に扱うこと ( 積極的差別是正措置 ) や、合理的配慮を提供し、労働能力などを適正に評価した結果として異なる取扱いを行うことなどは、差別に当たらない、といったことを記載すべきとされています。

次に、合理的配慮の提供に関する指針です。こちらのまず、基本的な考え方ですが、障害と事業主の範囲については、差別の禁止に関する指針と同じです。これらに加え、合理的配慮というのは障害者の個々の事情と事業主側との相互理解の中で提供されるべき性質のものということで、これは分科会の意見書でも盛り込まれているものですけれども、こうした考え方を記載しようということになっています。

次に、 (2) 合理的配慮の手続です。先ほどの相互理解という中で、話し合って合理的配慮を決めることが重要であろうということで、「手続」というものを記載しようとなっています。この手続については、募集・採用時については、障害者から事業主に対して、支障となっている事情などを、まず申し出ていただくことが契機になるということ。あと、一方で採用後については、事業主側から障害者に対して、職場で支障となっている事情の有無を確認していただくことが手続の契機というものになるわけです。その上で、合理的配慮に関する措置について、事業主と障害者の間で話し合っていただく、合理的配慮に関する措置を確定するといった流れの手続を定めようとしています。

(3) 合理的配慮の内容です。この合理的配慮というのは、中小零細企業も含めて全ての事業主に義務付けられるものです。この合理的配慮の内容に関する理解を促進するという観点から、多くの事業主が対応できると考えられる措置を事例として、「別表」の内容を指針に記載する、と盛り込んでいるところです。下にも、別表の記載例として、例えば募集・採用時においては、視覚障害の場合は、募集内容について、音声等で提供すること等々、そこに記載しているものを障害者別ごとに例示をしています。ただ、この合理的配慮というのは非常に多様性・個別性があるということで、この別表に掲げる事例はあくまでも例示であり、あらゆる企業が必ず実施するものではないということ、逆に記載されている事例以外であっても合理的配慮に該当するものがあるということも併せて記載するとしています。

次に、 (4) 過重な負担の判断基準です。この過重な負担の判断基準については、 6 つの要素で判断するということで、事業活動への影響の程度、実現困難度、費用・負担の程度、企業の規模、企業の財務状況、公的支援の有無といった要素を総合的に勘案しながら、事業主が当該措置の提供について、個別に判断するということにさせていただいています。

(5) 相談体制の整備では、障害者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備をするとか、障害者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じて、その旨を周知するということを記載しています。

あと、その他とありますけれども、今まで申し上げたことはそれぞれの指針の中で、こういうことを記載しようと書いているものですが、こうした指針に盛り込むもの以外にも、行政による様々な取組みが重要であるということで、御指摘いただいたことを報告書にはまとめています。代表的なものとして 2 つ掲げています。 1 つは、障害特性などに関するパンフレットの配布やセミナーの実施などを行うことによる啓発活動。合理的配慮が適切に提供されるように、具体的な事例の収集・情報提供を行うこと、ジョブコーチの質的な充実。こうしたものが重要であると御指摘いただき、書かせていただいています。

以上が報告書のポイントですけれども、この報告書を踏まえ、今後、当分科会においても御議論いただきまして、最終的には大臣指針を策定したいと考えているところです。私からは以上です。

○山川分科会長

ありがとうございました。私もこの研究会の座長を務めさせていただきましたけれども、委員の方々と関係団体のヒアリング等に御参加いただいた方から、大変真摯な御意見をいただき、また、真摯な御検討をいただいたところです。御質問等がありましたらお願いいたします。

○堤委員

精神の堤でございます。 1 点、分からないので教えてください。 2 ページ目の裏面の合理的配慮の内容の所のずっと下の 5 番目で、「相談体制の整備など」とありますが、これはジョブコーチとは別に相談体制の整備をされるということだと思うのですが、具体的には、どういうことでしょうか。この相談体制の整備というのは、ジョブコーチと同じように、特に精神の場合は非常に大事ではないかなとそのように思ったものですから、御質問いたします。

○山川分科会長

ここでは、事業主としての相談体制の整備ということで、指針の性格からそうなりますけれども、松永調査官、御説明をお願いします。

○松永調査官

松永です。今、分科会長からも御説明ありましたけれども、この相談体制の整備は、今回の改正法の法律の中で、合理的配慮の提供に当たり、この条文を読み上げますと「事業主は合理的配慮の措置に関し、その雇用する障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」という規定となっております。それについて、具体的にどういうことをするのかを指針に盛り込もうということで、ここにあることを書いているところです。分科会長から御説明いただきましたように、企業の中での体制の問題ということで御理解いただければと思います。

○山川分科会長

よろしいでしょうか。資料の研究会報告書の中では 9 ページに相談体制の整備の例も含めた、少し具体的な内容まで書かれていると思います。 9 ページの下です。ほかに御質問等はありますでしょうか。

○松爲委員

文京学院大学の松爲と申します。 1 つ、事情というか、背景を少しお伺いします。報告書本文 7 ページの、 (4) の手前のマル3「合理的配慮の手続において、障害者の意向を確認することが困難な場合、就労支援機関の職員等に障害者を補佐することを求めても差し支えない」と、ちょっと消極的な話になっていますので、ここの背景がなぜこんな文章になったのか、ちょっと分科会長を含めて教えいただけると幸いです。

○山川分科会長

それでは松永調査官、お願いできますか。

○松永調査官

松永です。今、御指摘いただいた 7 ページの真ん中辺りのマル3は、合理的な配慮の手続においての留意事項ということで、障害者の意向を確認することが困難な場合は、就労支援機関の職員等に障害者を補佐することを求めても差し支えないとなっています。こういう書き方をした基本的な考え方としまして、個別の労使の関係においては、当事者同士でいろいろ話し合って決めていただくことが基本になるという考え方の下で、ただ、どうしても障害者の方ですと、自ら意思表示するのがなかなか難しいとか、コミュニケーションが取りづらいとか、というようなこともあるということで、そのようなコミュニケーションが取りづらいような場合には、そういった就労機関の職員等にいろいろ補佐していただくこともあり得るだろうと、それを記載したものです。

○山川分科会長

私から若干申しますと、特にこれは何か意図的に消極的なニュアンスを込めるつもりでということではなかったように記憶しています。若干この表現ぶりをめぐって議論があったような記憶もありますけれど、詳しくは記憶していませんけれども、ニュアンスとしてはそのようなことかと思います。

○松爲委員

最近、例えば私どもはこういった合理的配慮を踏まえた上で、例えばいろいろな場面でお話させていただくときに、企業はこれを踏まえてきちんと法令遵守という格好でやっていくと思うのです。またやっていかざるを得ないですね。問題はそのときに、むしろ問題になってくるのは、当事者だと思っているのです。当事者がこういった合理的配慮に基づいた議論をするためには、議論ができなければいけない。そのためにはきちんと自分の障害のことをきちんと理解できて、それをきちんと対応の仕方を知って、しかもそれを企業側ときちんとお話できるような、少なくとも最低限その能力は要求されるし、そしてこれから先、育成する側はそういったものを最低限きちんと育成するように求めていくのは当然だと思うのです。

ただ、問題はそれでも就職といった段階で、例えば発達障害の人でも、知的障害の人にしても、精神障害の人にしても、本当にここのところが全部、当事者同士は多分できないという可能性が高いと思っているのです。そのときに関係機関、ナカポツセンターを含めた就労支援機関が、やはりかなりの部分入ってこなければいけない。そのときに、企業側の視点から見て、求めても差し支えないと、ちょっとそうした消極的なニュアンスを持たれますと、障害者、そして支援する側にとっては、ちょっと困惑するかなと、そうした感じが語感として感じるものですから意見をさせてもらいました。ありがとうございました。

○山川分科会長

先ほど竹下委員からお手が挙がりましたが、いかがでしょうか。

○竹下委員

竹下です。まず、松爲委員の指摘の関係は、私はこれはあまり消極的とは思わなかったのは、この表現というのは、多分、事業主が障害者にものを尋ねるときに、障害者によっては、自分の障害を、特に強調されてものを言うことに何か抵抗する人がいるのではないかという思いから、事業主側から申し出ても差し支えないという趣旨でこういう表現になったのかなと理解をしました。その意味でお聞きしたいのは、 2 (2) は、合理的配慮の中の合理的手続の中の 2 段目の、採用後の所ですが、「事業者が確認する」と、こうなっているのですね。その関係で、積極的に事業主から合理的配慮についての行動を開始していただくことは非常に前向きに、私は受けとめたいと思うのが 1 点です。

もう 1 点は、その逆に、その前の採用の段階では、募集者が申し出る、これはある意味では当たり前であろうと率直に思っていて、というのは、募集してきた労働者が障害があるかどうか、あるいは障害があってどのような配慮を求めるかは、事業主に分かりようがないわけですから、申し出るということになっていることは理解できるのです。逆に採用後の所に、申し出るという言葉はないので、申し出ることを排除する趣旨ではないのかなと思いたいのですが、その点について議論があったのであれば教えていただきたいというのが 1 点です。

それから大きなスケジュールの問題ですけれど、この研究会報告のまとめに基づいた、今後の分科会での議論はどれくらいのスパンで、いつ頃分科会としての最終答申にいくスケジュールなのかについて、決まっていれば教えていただきたいと思います。

○山川分科会長

1 つは手続で、障害者からの合理的配慮の申し出の問題、それから、この分科会での議論のタイムスパンの問題ということで、御質問がありました。それでは、松永調査官、お願いします。

○松永調査官

松永です。竹下委員から御質問いただいた 1 つ目の、採用後における障害者からの申し出の関係ですけれども、同じ報告書のもう少し下になお書きがあるのですが、マル2で採用後の合理的配慮があって、その 4 つ目の○で、「なお、障害者は、事業主からの確認を待たず、事業主に対して自ら職場において支障となっている事情を申し出ることは可能である」ということも書かせていただいています。そこは別に申出を排除するものではないということです。

○竹下委員

分かりました。はい、納得です。

○松永調査官

あともう 1 ついただきました指針の作成に向けた今後のスケジュールですが、御存じのとおりこの法律、改正法の施行は平成 28 4 1 日を予定しています。ただ、一方で、この指針の内容を事業主とか障害者の皆さんに十分知っていただくための周知期間というものも十分考慮する必要があると思っていまして、私どもとしては遅くとも年度内にこの指針を完成したいと考えているところです。今後日程調整をさせていただいて、指針策定に向けた分科会の議論を、夏休み以降にスタートするというようなイメージで考えているところです。

○山川分科会長

よろしいでしょうか。

○竹下委員

結構です。ありがとうございます。

○山川分科会長

ほかに御質問等はよろしいですか。ありませんようでしたら、本日の議事はこれで終了いたします。

今後の分科会の予定について、事務局からお願いいたします。

○松永調査官

次回の日程はまだ未定ですけれども、次回、本日の議題にありました指針の関係で御議論いただく予定にしています。日程調整については、速やかに御連絡させていただきたいと思います。

○山川分科会長

ありがとうございました。これで本日の分科会を終わりたいと思います。お忙しい中、御審議に御協力いただきまして大変ありがとうございました。

議事録の署名は、労働者代表を桑原委員にお願いしたいと思います。使用者代表は平岡委員にお願いいたします。障害者代表は堤委員にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。本日はこれで終了いたします。お疲れさまでした。


(了)

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