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2013年3月29日 第38回がん対策推進協議会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成25年3月29日(金)
15:00~17:00


○場所

全国都市会館 3階 第1会議室
(東京都千代田区平河町2-4-2)


○議題

1 開  会
2 議  題
 (1)がん対策関連の検討会の進捗状況・今後の予定について(報告)
 (2)患者QOL評価指標について
 (3)相談支援(ピアサポートを含む)について
 (4)今後のがん対策への期待
3 その他

○議事

出席委員:門田会長、天野会長代理、石井委員、上田委員、江口委員、川越委員、田村委員、中川委員、中沢委員、西山委員、花井委員、堀田委員、本田委員、前川委員、眞島委員、松月委員、松本委員、通永委員
参考人:宮田参考人

○岡田がん対策推進官 それでは、皆様方お集まりいただきましたので、ただいまより第38回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。事務局の健康局がん対策・健康増進課がん対策推進官の岡田でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、本日は北岡委員、野田委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 また、本日は、患者QOL評価指標について御議論いただく予定としており、前回に引き続き厚生労働科学研究でがん対策の評価指標策定に関する研究を担当いただいております、東京大学大学院医学系研究科医療品質評価学講座准教授の宮田裕章様をお招きしております。
 また、事務局としまして、文部科学省、経済産業省も出席しております。
 それでは、以後の進行は門田会長にお願いいたします。
○門田会長 皆さん、こんにちは。桜がきれいに咲いておりますけれども、きょうはこの期の最後の協議会ということになりました。最後でございますので、先ほども説明がありましたけれども、1つだけ最初にお願いしておきたいと思いますのは、話題になっておりましたQOLの指標をどうするかということですが、この件については何とかこの協議会で決定して進めるという方向性で皆さんの御意見をちょうだいすることにさせていただきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○岡田がん対策推進官 では、以上をもちまして撮影は終了していただくよう、お願いいたします。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料1 がん対策推進協議会委員名簿。
 資料2 がん対策関連の検討会の進捗状況・今後の予定について
 資料3 都道府県がん対策推進計画に関するアンケート調査結果概要
 資料4 「がん対策に関する世論調査」について
 資料5-1~5-3は、宮田参考人からの提出資料でございます。
 資料5-1 患者QOL評価指標検討の考え方及び今後の調査等について。
 資料5-2 患者QOL評価の指標候補の検討~患者体験パイロット調査の項目案~。
 資料5-3 協議会委員の意見と今後の展望。
 資料6 相談支援・情報提供に関するこれまでの意見(案)
 参考資料1 がん対策推進基本計画
 参考資料2 小児がん拠点病院選定結果のまとめ
 参考資料3 「小児がん医療・支援に係る計画書について」
 参考資料4 「緩和ケアセンター」の具体的推進方策について
 参考資料5 「がん検診のあり方に関する検討会中間報告書~子宮頸がん検診の検査項目等について~」
 参考資料6 今後のがん診療提供体制のあり方について
 参考資料7 「がん対策に関する世論調査」調査結果の概要
 また、委員の皆様からの提出資料といたしまして、
 天野委員提出資料 今後のがん対策の推進に関する意見書
 花井委員提出資料 がん対策への今後の期待~患者団体の立場から~
 前川委員提出資料 今後のがん対策への期待
 また、委員の皆様の机上には『がんの患者さんとともに』という冊子もお配りしております。
 眞島委員提出資料 今後のがん対策に期待すること~難治性がん・希少がん患者のために~
 松本委員提出資料 今後のがん対策への期待
 資料に不足・落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
○門田会長 いかがでしょうか。皆さんよろしゅうございますか。
 問題ないようでしたら、早速本日の議題に入りたいと思います。議題1番目が、がん対策関連の検討会の進捗状況・今後の予定等についてということでございます。では、事務局からお願いいたします。
○事務局 それでは、資料2「がん対策関連の検討会の進捗状況・今後の予定について」を説明させていただきます。
 まず「1.小児がんについて」ですが、小児がんの拠点病院の整備については、がん対策推進基本計画に盛り込まれておりますけれども、それを踏まえて拠点病院の応募をいたしまして、申請のあった37医療機関について、「小児がん拠点病院の指定に関する検討会」において検討し、今年2月に選定結果のまとめを策定いたしまして、下にお示ししている15医療機関を選定いたしました。
 そして、この選定結果を踏まえて、厚生労働省のほうでは2月8日付で15医療機関を小児がん拠点病院として指定したところでございます。
 ただ、幾つか「小児がん拠点病院の指定に関する検討会」から提言がございまして、小児がん拠点病院の一覧を見ていただきますとわかりますように、関東・甲信越で4カ所、東海・北陸で2カ所、近畿から5カ所ということで、複数の拠点病院が選ばれているところがございまして、こういった地域ではきちんと拠点病院間の連携といいますか、役割分担を進めていただく必要がございますので、小児がん拠点病院に対して各拠点病院の計画書、各ブロックの計画書、この各ブロックの計画書は特に地域連携であるとか、人材育成というところが中心になるのですが、そういうことを盛り込んだ計画書を今年8月までに厚労省に提出するようお願いしたところです。
 また、平成25年度ですが、この拠点病院に加えまして人材育成や診療情報の集約、診療支援、普及啓発や政策立案・提言等を行う中核的な機関の整備を進める予定としております。
 次に「2.緩和ケアについて」ですけれども、「緩和ケア推進検討会」を昨年4月から開始しております。まず、緩和ケアセンターの整備や身体的苦痛や精神心理的苦痛等の緩和において、基本的緩和ケアに求められる方策を盛り込んだ中間とりまとめを昨年9月に公表しております。
 また、緩和ケアセンター、これは平成25年度の事業としても入れておりますけれども、より具体的な活動の内容や人員の確保について記載した「緩和ケアセンターの具体的推進法則について」ということで、これを今年3月に公表したものです。
 緩和ケアセンターについてですが、その位置づけというのは緩和ケアチーム、緩和ケア外来、緩和ケア病棟を統括する組織として位置づけると。そして、センターには院内での緩和ケアの提供体制を管理・調整するジェネラルマネジャー、これは看護師さんに担っていただくことを想定しておりますが、配置して外来での苦痛のスクリーニングやがん看護外来の運営、緊急緩和ケア病床の確保等をその機能としております。
 今後の予定ですけれども、拠点病院の指定要件が今、見直しの検討会をしておりますので、緩和ケアの部分について指定要件に係る事項をとりまとめるとともに、緩和ケアの教育体制や緩和ケアの普及啓発等についても議論を進める予定でございます。
 「3.がん検診について」ですが、こちらも昨年5月から開始しておりまして、まず、子宮頸がん、特にHPV検査について議論しまして、今年2月にとりまとめました。報告書では子宮頸がん検診でHPV検査を用いた方法を実施することで、死亡率の減少効果や検診間隔の延長等が期待されるのですが、日本ではまだこのメリットを判断する十分な根拠がなく、不利益が増大することにも配慮する必要がございますので、細胞診単独法と比較した際の効果や不利益の程度、不利益があるのであれば最小化するための実施方法、自治体で円滑な実施体制等を検討する必要があるとされております。
 今後、検討会では、ほかのがん種や受診率向上施策について議論を進める予定としております。
 下の※に書いてございますが、HPV検査については平成25年度の予算で、HPV検査を一部の市町村で実施していただいて検証していくことを事業として盛り込んでいるところです。
 「4.がん診療提供体制について」ですが、この検討会は昨年12月から開催しております。まず、がん診療連携拠点病院の見直しから入っているのですけれども、第3回の検討会で今後のがん診療提供体制のあり方についてということで、まだ最終的なとりまとめは終わっていないのですが、その案を提示したところです。
 その案の中身ですけれども、拠点病院については今、全国で397指定されているわけですが、一方で拠点病院のない2次医療圏も113ございまして、そういったところのがん医療の均てん化をどのように進めていくかを中心に議論した結果、拠点病院のない2次医療圏を中心に、地域がん診療病院と拠点病院とのグループ指定を認めるということで、地域拠点病院とは別に地域がん診療病院という枠組みを設けてはどうかということを入れております。
 それから、特定領域で高度な診療機能を持つ病院もあることが指摘されておりまして、そういった病院を拠点病院の制度の中にどのように位置づけるかについても議論し、そういう特定領域で高度な診療機能を持つ医療機関と拠点病院とのグループ指定も認めることとしております。
 それから、拠点病院の量だけではなく質を高めることが重要ということで、今後はきちんとPDCAサイクルを確保していくこと。それから、拠点病院の臨床研究機能、今まで医療の均てん化ということで進めてきたのですけれども、さらに一歩進んで臨床研究の機能についても強化していくべきということを盛り込んでおります。
 拠点病院、地域がん診療病院の要件については、今後、検討会のもとにワーキンググループを設置いたしまして、要件を検討することとしております。
 最後「5.がん研究について」ですが、こちらは少し遅れているのですけれども、関係省庁と連携しまして、第3次対がんに続くがん研究戦略を策定するための場を設置し、今年4月から具体的な検討を開始する予定としております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 ただいま検討会の進捗状況について御説明いただきましたけれども、どなたか御質問・コメントはございますか。松本委員どうぞ。
○松本委員 「がん検診のあり方検討会」について一言申し上げさせてください。このあり方検討会には患者・家族の代表の委員が含まれておりませんので、あえてこの場で一言だけ申し上げさせていただきたいと思っております。
 基本計画の中に受診者の不安の軽減に努めるという文言が入っておりますので、この点について特段の御配慮をお願いしたいということでございます。特に今、検討が一段落しました子宮頸がんの検診につきましては、対象がほかのがんと比べても若い世代、20歳以上になっておりますけれども、特にHPV検診の対象となるのは30歳以上と伺っております。この世代が、もしも過剰診断を受けた場合に受ける精神的な不安は容易に想像がつくところでございます。私どももいろいろなところで見聞きする限り、子宮頸がんについてまだまだ正しい情報が十分に伝わっているとは言えない状況の中で、そういった新しい検診が始まるということに多少の不安を感じているところでもありますので、一層の情報提供と陽性等がわかった場合のフォローアップを十分にしていただく、その体制を整えた上での新しい検診をスタートしていただきますようにお願い申し上げます。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。事務局どうぞ。
○岡田がん対策推進官 御指摘の点は、検討会の中でもそのような御議論をいただいておりますし、また、先ほど紹介させていただきました来年度実施したいと考えております事業の中でも、そのようなことがないような体制をしっかりつくってやっていきたいと思っております。
○門田会長 そのほかいかがでしょうか。天野委員どうぞ。
○天野会長代理 「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」で拠点病院について御検討いただいていると思いますが、こちらは国指定の拠点病院制度について御議論いただいていると理解しておりまして、そのほかに都道府県独自の拠点病院がそれぞれの各地域の実情に応じて都道府県の指定のもとに整備されていると理解しておりますが、一般の患者さんからしますと、国指定なのか、都道府県指定なのかがわかりづらいという御意見をいただくところでございますので、細かいところでございますが、名称等において国指定であることがわかるような方策を検討していただきますよう、お願い申し上げます。
 以上でございます。
○岡田がん対策推進官 今お話しいただきました点も非常に重要な点だと思っておりまして、この検討会の中でもそのような御意見もいただいております。よりわかりやすく、患者さんがどこに行けばいいのか、どう違いがあるのかというあたりも考えながら進めさせていただきたいと思います。
○門田会長 眞島委員どうぞ。
○眞島委員 宮田参考人ありがとうございました。大変すばらしいQOLの指標だと思います。実はこれを読みながら感じたのですけれども、自分が入院した体験を考えてみますと、病院の玄関を入って入院して、治療を受け退院するまで、病院というところにはさまざまな職種の方が働いていらっしゃるんですね。最近ですとチーム医療というコンセプトもあって、当然医師・看護師の方たちがメインの方たちであることは間違いないと思いますけれども、例えば、病院の中にある図書館で働いているスタッフの方であっても患者のQOL向上に貢献することもあります。最近ですと、もちろん食事も非常に重要ですから栄養管理士の方であるとか、最近は薬剤師の方もベッドサイドまで来てくださって、何か質問がありますかというようなことも言ってくださるとか、臨床心理士の方も必要であればお話ししますよといったようなチームアプローチということを前提でこれを読んでいたのですけれども、最後のページに行きますと病院のスタッフと書いてあるんですね。もしかしたら、チーム医療の方々もそれに該当するのかなと見ていましたら、あなたの痛みを抑えるためにと書いてあるので、ちょっと違うのかなということもありましたので、そういった多職種の人たちがケアに何らかの形で携わっていることが、この中に入れられたらいいのかなと思ったのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○事務局 がん診療提供体制の検討会では、今までは先ほど申し上げましたとおり、がん診療連携拠点病院というのは医療の均てん化を重視してやってきたのですが、そこでも一つ踏み込んで臨床研究機能についても強化すべきという御意見がございまして、実際には例えば、今JCOGのデータなどを用いますと、おおむね397すべてがやっているわけではなくて、100とか150くらいの病院が熱心にやられていると。ただ、大きな問題点としては、例えばCRCであるとかデータマネジャーであるとか、今、医師が過剰な負担を強いられながら作業を行っているという御指摘もございましたので、まずはCRCやデータマネジャーという人材をきちんと確保して配置していくべきではないかということで、そういうところから入っていきたいと考えています。
○門田会長 ありがとうございました。
 そのほかございますか。江口委員どうぞ。
○江口委員 同じくがん診療提供体制のところですが、地域のグループ指定ということが話題になっているのは非常に画期的なことだと思うのですけれども、どうも拝見しますと、専門的な治療についての協力体制ということが前面に出ていると思いますが、御承知のように、通院中の患者さんの支持療法とか緩和的な治療といったことを担当するような地域の病院も必ずあるはずなので、そういうところをグループ指定の考え方の中に取り込んでいただくということを、ぜひ御検討いただければと思います。
○事務局 まさに江口委員のおっしゃったとおりで、今回、地域がん診療病院を設ける理由というのは、専門的な病院を拠点病院にお願いするということだけではなくて、拠点病院で初期治療が終わった方等を地域でその後フォローアップしていくといった後方支援のような役割も非常に大きく期待されております。その中で、緩和ケアであるとか、あるいは外来での化学療法、あるいは在宅へつないでいくといった役割があると思いますので、そこはきちんと地域がん診療病院の要件を今後決めていくわけですが、そこできちんと考えていきたいと思います。
○門田会長 そのほかいかがですか。
 一番最初の小児拠点のところでブロックの計画書と書かれていますが、それぞれブロックのどこが中心になるかというのは決まっているのですか。
○事務局 そこはブロックでお決めいただくということで、厚労省から何かを指定しているというわけではないのですけれども、ブロックの中で一番とりまとめるにふさわしい場所がとりまとめるというふうに理解しています。
○門田会長 ということは、そのブロックの範囲内で期日までにちゃんと出てくるようにということですか。
○事務局 計画書の策定をお願いする際に、通知の中でブロックごとに協議会をつくってくださいということをお願いしておりまして、協議会というのは計画を策定するだけのためのものではありませんけれども、特にこういった複数の拠点病院が指定されているようなところでは情報の共有が必要になりますので、ブロック内の全拠点病院に参加していただく協議会を設置するようお願いしています。
○門田会長 その点、我々がここでディスカッションを繰り返しやってきたことは、点から面に切り替える時期ではないかというディスカッションがあったと思うんです。地域完結型とか、施設というよりも地域でというようなことがあって、最後のことについても拠点病院というよりも診療提供体制についてと、あえて面の感じを出すようにしてきている。そうしますと、今の小児のことについても、今、おっしゃっていただいたように、全体で云々という協議会を設けるなりということは非常にいいことですし、しなければならないし、我々の大きな方向はそちらを向いているはずなんですね。だから、そこをもう少し強く推し進めてもらうということが、少なくとも協議会のみんなの意見だったと私は思うんです。ですから、緩和ケアセンターについても、どこかの拠点を中心とする話になってみたり、あるいは小児についてもそうですし、また、グループ指定についても江口委員がおっしゃられたようなことだとすれば、もっともっと幅広い地域の医療提供をどうするかというところに、もう少し方向性を修正してもらうことをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○岡田がん対策推進官 今お話しいただいたことは我々も大変重要だと思っております。小児がんについても、まずは病院という視点から指定させていただきますけれども、計画をブロック内、地域内での連携、1つの医療機関で長きにわたる治療、また、その後のフォローが完結するということは、なかなか難しい状況になりますので、その医療機関とどう具体的に連携するか。そこには患者さんに動いていただくだけではなくて、医療従事者の育成といった視点もあわせて必要になってきますので、そこを協議会的な場の中で紙にしっかり書いた計画をつくってもらうというところを有識者検討会の中で御議論いただいて、我々もそれを病院の方々にお願いしていって、そこはしっかりやっていきたいと思っております。
 また、緩和ケア、一般的な拠点病院についても、今回グループ的な指定というのは、まさに今、会長がおっしゃったような、患者さんのペイシェントジャーニーと申しますか、患者さんの体験される医療の流れに即して、しっかり医療が提供されるようなことを実施したいということでやらせていただいております。
○門田会長 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 そのほかございますか。本田委員どうぞ。
○本田委員 今の御回答で私もずっと気になっていたのですけれども、緩和ケアセンターについてもいろいろな方に聞いてみると皆さん理解が違ったりしていて、これまでの緩和ケアチームの居場所的なもの、ここにいるよという居場所的なものだとおっしゃる方もいれば、院内の患者さんのジャーニーのことを全部見てくださると言う方もいれば、もう少し広がりのある地域まで目配りをするものなんだという説明をされる方もいらっしゃるんですね。一体どういうところを目指しているのかよくわからなかったもので、できれば段階的に地域を見られるようなものになればいいなと私も思いますけれども、その辺の議論を少しだけ教えてください。
○岡田がん対策推進官 まさにそのあたりがこの話の論点でありまして、緩和ケアセンターの趣旨が、これまでの要件の中で位置づけられていたものを抜本的にというか、緩和ケアを特別な体制をとるというところから始めて、そこを実施していこうということで考えられています。そういう意味で地域全体の評価・分析ももちろん視野に入っていますし、院内の関係部局との調整ももちろんですし、専門的なチームの役割も入って、いわゆるスペシャルなものをまずは都道府県拠点病院を想定しておりますけれども、そういったところから位置づけていきたいということで御意見をいただいております。
○門田会長 上田委員どうぞ。
○上田委員 
小児がんの拠点病院ですけれども、8月までに各ブロック毎の具体的な計画書を提出する中に盛り込められるかどうかわからないですけれども、認可施設を見ても、それぞれに特徴のあることをやっている施設があります。例えば、北海道は北海道で非常に特徴のあることをやっていますし、いろいろ浮かんでくるものがありますけれども、そういうもののブロック間の連携に対しては、次のステップかどうかは知りませんが、もう少しクリアーにしないと小児がんの非常に希少なものが日本でうまく治療されない可能性もありますから、拠点病院間の連携も考慮していただきたいと思います。
○事務局 小児がん拠点病院に関しては、この2月に指定をしたのですけれども、その検討会で検証していくことが非常に重要だと。それは、個別の拠点病院の取り組みに関することだけではなくて、全国的に見てどうかということも検証しなければならないのですが、そういった意味で指定後からおおむね1年後に一度計画書の状況であるとか、あるいは全体的に見て、例えば、少し小児がん医療の弱い地域がないかどうかとか、そういうことについても検討する予定としております。
○門田会長 よろしいですか。堀田委員どうぞ。
○堀田委員 ただいまの小児がん拠点病院について追加的な発言をさせていただきたいのですが、こうやって選定された施設を見ますと、どうしても都市部に複数施設がああります。それぞれ実績もあってそういう評価になったと思いますが、そもそもの流れとしては小児がんは希少であるので、ある程度集中しなければいけないというところからスタートしたのではないか、いわゆる均てん化とは逆方向を向いていると理解したのですが、拠点1つだけではだめで、それを面としてあるいはブロックとしてどう対応できるか、こういう視点が重要だと思います。ところが、小児は同じ希少がんでも施設ごとの得意分野がかなり際立っている部分があるものですから、今後はそういうところも含めて先ほどのグループ指定のように、いい連携をとって、どこでどのような医療が提供できているかも含めて情報提供していただければよろしいかと思います。
○門田会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 今いろいろな意見が出ておりますので、それぞれの検討会に事務局から伝わるようにお願いしたいと思います。
 それでは、次にまいります。都道府県がん対策推進計画に関するアンケート調査の結果概要と、がん対策に関する世論調査も事務局からお願いいたします。
○事務局 それでは、資料3、続けて資料4について説明させていただきます。
 資料3が、都道府県がん対策推進計画に関するアンケート調査、これは昨年夏に引き続き2回目ということになりますが、都道府県のがん対策を担当している部局のほうに厚生労働省からアンケートをとりまして、その結果をまとめたものです。
 全部を説明するとあれですが、例えば、計画の見直しの時期についてですけれども、この4月までにすべての都道府県でまとめるという御回答をいただいております。また、パブコメの時期についても、すべての都道府県でパブコメを実施し、それもこの4月までに全都道府県でやるとなっています。
 なかなか中身まで踏み込めていないのですけれども、大まかに記載しているかどうかということだけで答えていただいております。重点課題について掲げているかというところが「はい」が35で、「いいえ」が12と。全体目標については、すべて記載があると答えています。
 年齢調整死亡率の削減についてですが、国とは異なる目標値を設定しているところも8カ所ほどあると。
 あと、現状分析ですが、さまざまな自治体で人口動態統計であるとか、国民生活基礎調査といったデータを活用していただいているようです。
 一番下ですが、計画の評価ですけれども、済みません、これは間違いがございまして、「はい」が46、「いいえ」が1で、1というとちょっと目立ってしまうのですが、問い合わせたところ、これは沖縄なのですけれども、沖縄は3月の時点ではもう入れているということですので、現時点では47ということになります。
 2ページですが、これは基本計画に沿ってそれぞれの項目を記載しているかどうかということだけに絞って御回答いただいております。「いいえ」が多いところでは、その他希少がんであるとか病理診断、リハビリテーション、今回新たに盛り込んだところですけれども、そこについては「いいえ」となっている箇所が少し多くなっております。
 また、3ページですが、がんの予防、主に喫煙率と受動喫煙についての目標値の設定を伺っております。一番上の成人喫煙率の目標値については、多くのところで目標値は入れていただいているのですが、国とは異なる目標値を設定しているところが31か所あるのですけれども、これは決してネガティブなものではございませんで、よくあるのは男性と女性を分けて目標値を設定したり、あるいは県内の調査、県民の栄養調査等を用いて目標値を設定しているというところが多くございます。
 受動喫煙については少しばらつきがございまして、国のほうでは入れているのですけれども、目標値を定めていないというところも2けた箇所ございます。ただ、一番下にございますように、たばこ対策についての記載は47都道府県で入れております。
 4ページですが、がんの予防、早期発見、研究、小児がん、教育、就労ということで、がんの研究については、国が主導して進めていることもございまして、「いいえ」が17カ所となっていることと、がん教育を今回新たに盛り込んだわけですが、試行的な取り組みや副読本の作成といったことを34カ所で新しく取り組むということで御回答いただいておりますが、まだ13カ所は2月時点ではその予定がないと御回答いただいております。ただ、これは2月時点ですので、また最終的なものとは違ってくるかもしれませんけれども、この結果については都道府県にもお知らせして、できるだけ基本計画に入っていることは盛り込んでいただくよう、お願いしたいと考えています。
 続きまして資料4ですけれども、資料4と並べて参考資料7をごらんいただきたいと思います。資料4「がん対策に関する世論調査」について、こちらは内閣府で今年1月に実施していただいた、20歳以上の方3,000人を対象とした調査結果です。これは平成19年、平成21年とやっておりまして、今回3回目ということになります。
 2番目、今回の調査の主な結果ですけれども、今回、調査項目にがんに対する知識の認識を盛り込んでおりまして、例えば、日本では死亡者の約3人に1人ががんで死亡している、これが44%。それから、日本では2人に1人ががんにかかるということを知っているのは25%ということで、この協議会では常識的な話なのですけれども、必ずしも国民の方は御存じではないということがわかりました。
 それから、がん検診を受けない理由、受診率がなぜ低いのかということですけれども、受ける時間がないというのが47%で最も多く、がんであるとわかるのが怖い36%、費用がかかり経済的にも負担になるが35%、健康状態に自信があり、必要性を感じないというのが35%でした。
 セカンドオピニオンについては平成21年時にも調査を行いまして、そのときは57%が知っていたのですが、今回は73%に上昇しております。
 今回、社会的な問題や就労の問題も基本計画に盛り込んでおりましたので、この調査項目にもそれに関することを入れているのですが、がんと診断された場合に、身近な人にがんのことを自由に話せるかについては、年齢が若いほど「話せると思わない」「どちらかというと話せると思わない」と回答した方が多い傾向がございました。これは参考資料7で言うと11ページになります。
 それから、就労についてですが、がんの治療や検査のために2週間に1回程度病院に通う必要がある場合、働き続けられますかという質問について、年齢が若いほど「そう思う」、つまり働き続けられる環境であると回答した方が少ない傾向がございました。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 この2つの御報告について、どなたかコメントあるいは質問はございませんか。
 天野委員、お願いします。
○天野会長代理 私からは3点ございます。まず1点目でございますが、資料3の各都道府県の推進計画に関するアンケート、前回お願いさせていただいて、早速実施していただきまして、ありがとうございます。こちらは大変貴重な調査かと思いますので、今後、各都道府県の計画が確定した段階で、ぜひ結果を公表していただければと思っております。
 その際、可能であれば「いいえ」という部分、必ずしもネガティブではないと理解してはいるのですが、どの都道府県が「いいえ」なのかについても、あわせて公表していただければと思っております。
 2点目は、がん対策に関する世論調査についてですが、参考資料7で詳細に御説明いただいたのですが、2ページの「がんをこわいと思う理由の認識」というところで上位からいろいろあるのですが、3番目で「がんの治療費が高額になる場合があるから」というのが46%で大変不安に思われていると。一番最後の16ページの「がん対策に関する政府への要望について」を見ますと、選択肢の中で「がんによって就労が困難になった際の相談・支援体制の整備」について、多くの方が必要だと答えていらっしゃるということ、これは非常に特筆すべきところかと思っておりますので、引き続き長期にわたって負担を強いられる、患者さんの負担軽減も含めて、社保審のほうでも議論いただいていると思いますが、引き続きぜひ御検討いただきたいと思っております。
 最後、3点目になりますが、ただいまの世論調査につきまして、平成25年に今回実施されたわけですが、前回の実績で平成19年と平成21年ということで、いろいろな諸事情があるかと思いますが、4年間間が開いてしまっております。これは国民のがん対策に対する期待を表す貴重なデータかと思いますので、ぜひ2年間隔程度で引き続き継続して行っていただければと願っております。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 事務局から何かございますか。
○岡田がん対策推進官 まず1点目、県の計画の見直しの状況に関して公表をというお話です。もちろん我々として、都道府県独自としての公表もされるかと思っておりますけれども、我々としても国の計画、都道府県の計画とともに両輪としてやっていく必要があるので、必要な情報については公表等も検討したいと思います。
 また、世論調査のお話ですけれども、治療費の部分です。最後のページの政府に求めるというところでは含まれていなかったのですが、その前の御指摘いただいたところからも、やはり国民の不安の大きな要素になっているということですので、我々としてもその辺十分留意して、施策を講じる際には進めていきたいと思っております。
 また、この世論調査の進め方というか実施年度につきまして、基本的には実施主体が内閣府ということですので、内閣府さんと連携をとりながら、我々もこれは定期的に調べていきたいと思っておりますので、そういった方向で実施したいと思っております。
○門田会長 よろしいでしょうか。
 中川委員どうぞ。
○中川委員 天野委員のおっしゃったことに関連するのですが、今回平成25年1月にやっていますね。その前が9月です。参考資料7の5ページ目のがん検診を受けない理由についても、実は過去の9月にやったものと1月にやったものではかなり違うんですね。これは当然のことで、検診をやる前とやった後でかなり変わってきて、この1月と9月という時期は統一されたほうがいいと思います。ごらんになればわかりますが、過去とかなり変わってきます。これは先般のQOLアクションのアドバイザリーボード会議でもかなり話題になった点です。
 それから、がん検診に関連して、例えば参考資料7の16ページの政府に対する要望の中で一番多いのが実はがん検診になっています。また、このがん検診を受けない理由で一番多いのが、実は受ける時間がない。ですから、やりたいんだけれども時間がないという現状があると。実は、今朝のNHKニュースの中で検診者の医師立ち会いの問題が出ていました。これは、なかなか法律とも関連して難しい問題だと思っておりますが、やはりこういう国民のニーズがある中で、この問題をどうするかについて、厚労省あるいは場合によれば来期の協議会の中でも少し議論していく必要があるのではないかと思いました。
○岡田がん対策推進官 調査の実施時期については、私どもだけで決められるわけではないので、内閣府さんとも連携して、その辺が比較できるような形でやれるようにしていきたいと思います。
 また、がん検診、これはこの調査からも国民の皆さんからも非常に高い期待というか、ニーズが伺われたという結果だと思っておりまして、しっかり受けていただける体制をつくっていきたいと思っております。
○門田会長 そのほかよろしいでしょうか。花井委員どうぞ。
○花井委員 この世論調査の2ページの「がんをこわいと思う理由の認識」ということで感じたことがあるのですけれども、怖いと思う理由の認識として上の3つまではわかるのですが、4つ目の「がんに対する治療や療養には、家族や親しい友人などの協力が必要な場合があるから」という、この項目ががんを怖いと思う理由の認識とちょっとつながりにくいなという印象を持ちます。例えば、これはがんになったら困ることであって、怖いと思う理由では余りないのではないかと思うんです。がん患者さんとの活動を通して思うことは、がんを怖いとか、そういうおそれの中の1つには、がんになったことで社会的な人間関係が変わるとか、社会的生命を失うような誤解や偏見がまだはびこっているので、そのことに対しておそれを抱くという話をよく聞くのですが、この項目を採用した意味を教えていただきたいと思います。
○岡田がん対策推進官 内閣府と厚生労働省とで協議しながら決めさせていただいたところがありますけれども、御指摘のとおり、怖いと思う理由を対象となられる方々の気持ちをストレートに把握する文言づくりには、なかなか苦労したところがありまして、今回はこういう形でやらせていただきましたけれども、今おっしゃられたような御意見も含めて次回、機会がある際には反映させていきたいと思います。
○花井委員 よろしくお願いします。
○門田会長 松月委員どうぞ。
○松月委員 参考資料7の8ページの対象者の年齢を見ますと、20代の方が非常に少ないなと感じるのですが、これは何か理由があるのですか。合同でなさったことなので、わからなければいいのですが、やはりこの年代の方からもう少し御意見がいただけると、検診ということになりますと、このころからそういう意識を持っていただかないと、ある年齢になってからというのはなかなか難しいのではないかなと思っているのですが。
○門田会長 それは何かわかりますか。
○中川委員 これは対面なんですよね。ですから、20代の方が受けにくいというのは。
○事務局 回収率が若い方だと4割程度で、年齢が上がりますと7割程度までいっているので、そういう意味で結果的に偏りが出てきているということはあると思います。
○門田会長 これから引き続きやっていただきたいということですので、そのあたりもきょう出ました意見を次のときには何か検討していただくことにしていただきたいと思います。
 では、田村委員、簡潔にお願いいたします。
○田村委員 これは成人病のアンケート調査の中の一部としてされたのか、それともがんに特化してされたのか。といいますのも、特に治療費が高額になるというのは、がんでももちろん高額になるのですが、ほかの分野でも結構高額になって患者さんが困っていることが多いので、もしそういう他の分野での調査があれば、少し比較してしたいなと思っております。
○岡田がん対策推進官 今回はがんのみで、がん対策に関する世論調査ということでやっております。
○田村委員 ほかの分野のものはないですか。
○岡田がん対策推進官 ほかのものは把握できていないのですけれども、この時期にやったと理解はしていません。
○門田会長 そのほかにもあろうかと思いますが、少し時間を超過しておりますので、次にまいりたいと思います。
 2番目の患者QOL評価指標について。冒頭に申し上げましたけれども、本日は、ぜひこれを決定していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、宮田参考人、お願いいたします。
○宮田参考人 よろしくお願いいたします。
 それでは、まず資料5-1からお話しさせていただきます。これは患者QOL評価指標検討の考え方及び今後の調査のスケジュールの全体像について示したものです。
 研究班としては、指標選定、全体目標、分野別施策目標を踏まえて評価枠組みを現在検討させていただいております。この指標選定の前提となる評価の目的・あり方の枠組みを現在、いろいろな方々にお話を伺いながら検討しておりまして、それがまとまった段階で中間評価に向けた指標方針の検討と評価指標の絞り込みについて、この協議会などで検討するための資料としても提示させていただければと思っております。
 前回お話ししたことでもあるのですが、特にQOLの向上、そして安心して暮らせる社会の構築に寄与する評価を行う上で、これら全体目標について既存で活用できる資料が非常に少ないという現状です。また先行する研究自体も少ないため、研究班としては現状の把握に重点的に取り組むことを提案し、協議会の皆様の御意見を伺いながら調査を企画させて頂きました。
 このQOL、そして安心して暮らせる社会の構築に関連する指標というのは非常に多岐にわたるのですが、最初の段階では、病院における患者さんの体験に注目して検討を行う予定です。実際は、がんと診断されてから入院するまで、あるいは退院してからの地域における生活など病院における体験以外にもさまざまなプロセスがあるのですが、今回は病院体験に絞り込み来院、治療検討、入院、退院の流れの中で検討したいと考えています。関係するカテゴリーとしては、これまでも協議会の中でも挙げられてきたことですが、治療・サポート、アクセスの担保、切れ目のないサービスの提供、家族や友人との連携、精神面のサポート、身体的な苦痛の除去、教育・コミュニケーションの問題や患者さんの価値観を尊重していく、という要素に配慮しながら指標候補となる概念を構成しています。また患者さんそれぞれの背景も異なりますので、がんの種類、病状といったことに配慮しながら検討を行うことができるような形で調査票の企画をさせていただきました。
 5ページが、今後の大枠の流れになります。現在プレテストまで終わっております。本日は前回の協議会の議論、プレテストを経てQOL指標の候補となる概念を提示させていただきます。その後に、約10施設あたりを想定していますが、平成25年度の前半にパイロット調査を行って、患者さんの体験を体系的に明らかにする中で、分析結果をがん対策推進協議会に上げさせて頂きます。その検討を経て最終的な指標、中間評価に寄与する拠点病院全体をターゲットにする調査につなげていく、そういう流れになります。
 後ほど資料5-2でお話しさせていただく今回の項目案は、平成25年度前半に予定しているパイロット調査に用いる項目です。パイロット調査では、指標の絞り込みのための検討のほか、今後多くの拠点病院で実施する場合の実現可能性の検討、協力体制を構築方法、実施コスト、実施期間、回答者側の負担、という点を体系的に考慮しながら評価方法を確立するための検討を行う予定です。
 今回先ほどお話しさせていただいたように、まず、最初のステップとして患者さんの体験の限られた側面に焦点を当てるのですが、今後はQOL指標関連をより広範に把握していく上で、少なくとも4点を検討しております。
 まず、第1に重要なのは、対象施設です。拠点病院がアプローチしやすい、協力関係を築きやすいということで、最初のターゲットになる可能性が高いのですが、こういった病院だけではなく、がん医療にかかわる医療機関を広く対象にしていくようなこと、あるいは対象者自身も患者さんの体験を聞くだけではなく、実際にケアを提供している医療提供者や看護師、介護者という方々に調査を行うことによって、その方々の改善をサポートするような枠組みも考えております。
 もう一つは対象領域です。最初は病院における患者さんの体験に焦点を絞りますが、診断から地域生活を広く含むような形で把握できるようなアプローチも重要であると思っています。
 4点目が他調査との連携です。各種データベースと連携することによって、がんステージ、治療後の合併症という要素を客観的な側面から把握することによって、より体系的にQOLの把握・改善に寄与できるのではないかと考えております。また現在、緩和医療や相談支援など、それぞれの分野でも検討が進んでおりますので、QOLと強いかかわりがある領域とはよりいっそうの連携をはかり調査を充実させることが重要であると思います。
 6ページをごらんください。資料5-2で提示させていただく項目案を検討するに当たり、協議会の皆様に御意見を賜り、まことにありがとうございました。今回それらの意見とともに、実際に現在がんと向き合っておられる患者さんたちの御意見も、加えて検討させていただきました。プレ調査という形で2013年2月、前回と今回の間に実施させていただきまして、グループディスカッションでは1回当たり3時間前後お時間をいただいて、合計16名の方に御意見をいただきました。個別インタビューでは1名当たり平均90分、合計17名の方に御協力をいただきました。この場をかりて御協力をいただいた皆様に厚く御礼を申し上げたいと思います。
 今回、個別インタビュー及びグループディスカッションについて内容分析を行い、患者さん自身が重要であると考えるイベントの局面において、どういう事項・要素が関心事となったのかについてカテゴリーを抽出し、また、患者体験調査の試作版がありましたので、実際に記入をお願いして調査票の答えやすさ、項目の重要性、あるいは調査の負荷について具体的なフィードバックをいただきました。
 このような協議会委員の皆様の御意見と患者さんたちのプレ調査に基づいて指標候補となる項目の妥当性を確認するとともに、今後より広範に患者さんの体験を把握していく上での論点整理を行わせていただきました。
 次に、資料5-2をごらんください。その検討に基づいて今回提示させていただくものが、この項目案となります。これは患者体験のパイロット調査において具体的な質問を行う事項になります。少し長くなりますが、これら項目について個別に紹介させていただきます。
 まずは、受診までの経緯についてです。今回ここで示させていただいたのは指標になり得るものが中心なので、この経緯の前には実際、自分で見つけて来たのか、紹介を受けて来たのか、セカンドオピニオンなのか、そういう項目を聞いております。その上で、受診までにどれくらい時間を要したのか、そして、時間を要した場合どういった理由だったのかといったことや、がんに関する情報を探すときに活用した情報源はどのようなものかといったことを質問するものです。
 その次に、診断に至る検査について、事前説明や検査中に説明があったか、あるいはパンフレットの提供があったか、説明が理解できたか、についての項目があります。
 3、4は患者体験調査の中でも重点を置いた事項となります。最初にがんと診断された際の説明の体制はどうか。これは具体的には、家族・友人の同席を提案されたか、実際にどのような形で説明を受けたのか。特に患者さんに対するプレテストでも、同席に関する御意見というのは多岐にわたっていたので、実態を把握するとともに、今後の体制について検討できればと考えております。その上で、診断の説明が納得できるものであったか、説明された内容は、納得だけではなくて理解できたか、疑問や意見を十分に伝えられたか、医師は患者さんの気持ちに配慮していると感じたか、状況を説明した文書は提供されたか、という項目があります また、治療方針決定については、自分の意見が考慮されたと感じたか、異なる種類の治療法の選択肢を提示されたか、先ほど話題にあったセカンドオピニオンについての説明を受けたか、わかるような方法で起こり得る副作用の説明があったか、治療方針の決定に望む形でかかわることができたと感じたか、というような項目で構成されます。
 5番目は、情報のサポートです。患者会、患者サポートについての情報、あるいは経済的支援、社会保障制度について実際に情報を手に入られたか、という質問があります。この調査は入院患者さんにも回答して頂く可能性があるので、実際に回答された方々がサポート資源に気づくことができるよう、回答自体が一つのフィードバックになるように、このセクションを構成したいと考えています。
 6番目、入院中のケアに関してですが、入院中のケアについても医師と看護師を分けて、話したいと思ったときに会うことができたか。その質問をしたとき納得できる回答がどれくらい得られたか。また、医師を信頼できていたか。看護師についても同様に、回答が納得できたか、信頼できていたか、という質問を設計しています。
 7番目が入院中の治療、ここも少し多めに項目を設計しているところですが、医師や看護師が何かを隠していると感じたか、説明に食い違いがないか、十分にプライバシーは守られていたか、不安や心配ごとについて話すことができたかというような項目があります。特に痛みに関しては、我慢をされる方、あるいは言い出しにくかった方も多いということで、実際に痛みを伝えることができたか、という前段階のコミュニケーションも含めて質問を構成しております。この次に痛みを押さえることに対してできることをすべてしたと思うかという質問を行っています。その他は手術に関して事前の説明、それに納得できたか、尊厳のある入院生活を過ごすことができたかということを聞いています。
 退院前のコミュニケーションについては、退院前あるいは退院後外来ということに関しては、もっと項目を設定することも一案なのですが、今回はあくまでも病院にいらっしゃる方も含めた病院の体験に絞らせていただいたので、現時点では少なめの項目になっています。療養場所、退院後の生活、相談先、介護するために必要な情報の提供というような項目で構成されています。
 9番に関しては外来治療で、このセクションは入院中の患者さんには関係ない事項なので、入院患者さん用の質問では省かれます。項目としては、外来治療で痛みを抑えるためにできることをすべてしたと思うか、治療に伴う副作用を抑えるために、できることをすべてしたと思うか、という項目があります。
 最後に、全般的な事項についての質問です。連携についての項目やがんや病気だけを扱われているのではなく、価値観が尊重されたかどうかという項目があります。また全体として納得できたかということだけではなくて、48番では検査、治療決定、入院中のケア、事前の調査でも要望が上がることが多かった、御自身だけではなくて付き添いとなる家族・友人に対して十分な配慮があったか、そういった個別の項目についての満足を把握できればと考えています。49番目は、受療行動調査と連携した項目になります。別の研究班ではSF-36という包括的な健康関連QOL尺度と、この3項目の関連を検討しているので、この3項目である程度、健康関連症状がある程度把握できると考えられています。
 最初にお話しさせていただいたのですが、この資料では指標候補となり得る概念を中心に説明させていただいたので、患者さんに対する個別の背景の質問は別途構成されています。資料5-3については、これまで協議会委員の皆様にいただいた御意見について、今後の展望という形で回答させていただいております。会長これはここで御説明しますか?
○門田会長 特にポイントがあればおっしゃっていただければ。
○宮田参考人 わかりました。まず、基本的な考え方についてですが、今回、患者さんの主観を問うものなので、当然客観性についての科学的限界があります。ただ、それでも患者さんが今何を感じられているかといったことを、治療を提供している病院側が体系的に知ることによって改善の足がかりとなるのではないか、と考えています。当然今後、客観的な情報として治療提供者側の観点も把握することによって、この限界は埋められていくと思います。
 指標把握対象者に関しても当然いろいろ限界はあるのですが、これは先ほどもお話しさせていただいたように、まずは拠点病院を中心に入院中または通院中の患者さんの病院体験を把握するところからスタートして、最終的には、より広範なQOL関連の指標を把握、そして継続的に検討できるようにしたいと考えております。
 2ページ目をごらんいただければと思いますが、当然、今回提示させていただいた項目はかなり多くなっております。患者さんの負担を考える場合には、もう少し絞り込むことも非常に重要な観点なので、パイロット調査のデータ収集・分析結果を基に次回協議会ではこの観点も含めて絞り込みを検討していただければと考えております。
 また、当然迅速にできることからといった御指摘なので、まだ不完全な部分もあるのですが、中間評価までのスケジュールを考えるとパイロットを経て大規模調査を行うというステップを考慮することが必須になりますので、まずこの項目で提案させていただいたということになります。
 次に、医療者の改善の視点なのですが、患者さん側がどう考えているのかを知るということが改善のスタートになります。この先には医療提供者側が具体的にどうすれば改善ができるのかという観点にも踏み込んだ上で、検討を進めたいと思っております。例えば、外科領域が実施している臨床のデータベースでは、患者さんの痛みに対する把握やケアをどうやっていたかという項目を盛り込むという議論も始まっていますので、そういう専門領域の専門医と結びついたようなデータベースとの連携をすることによって、またより一層の充実を図れるのではないかと考えております。
 最後にその他の観点に関しては、どの項目が重要であり、この項目が重要でない等、さまざまな意見があるかと思います。今回行った患者さんに協力して実施したプレテストの結果、重要という項目が全般的に多く、また重要でないという項目がばらけているため、この段階で削除することは難しい印象でした。今後パイロット調査を実施した中で、回答の分布や地域差を検討した上で、次の協議会の検討で絞り込り込むことが一案かと思います。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。この件につきましては、特に重要なことで、早いうちにやらなければ時間的なゆとりがないということもございまして、何度かディスカッションさせていただき、そして、前回この項目案をお示しさせていただいて、皆さんの御意見をいただきました。そこでプレテストをやりながら、まだ多いと思いますが、50項目を選択した。その概念的なお話をしていただきました。そこでこういうところまで絞り込んで、今説明がありましたように、果たしてこれが全部できるか、あるいはすべきかということは、ディスカッションだけしても仕方がなく、やはりパイロットスタディーをやって、その中で絞り込みをやっていくということをせざるを得ないのではないかということで、今、全体の構想を述べてもらいました。私といたしましても、本日最後でございますので、この協議会を引き継いだときに、基本計画見直し案をつくるという前の協議会の皆さんがつくってくれた専門委員会の報告を読みながら、次のをやっていくということで繰り返して勉強し直したということがございましたので、今のタイミングで思いますことは、これはある程度不完全とはいえ、この協議会で決めていただいて事務的に調査してもらって、次の協議会にバトンタッチして、その内容を見ながら検討してもらうということで、パイロットスタディーについてはこの協議会で決定できないかと思っております。そういうことを含めて御意見があればちょうだいしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 天野委員どうぞ。
○天野会長代理 貴重な御発表をいただきまして、ありがとうございました。ただいま宮田参考人または門田会長からもありましたとおり、まずは実施していただくと。中間評価に間に合わせていただいて、中間評価で実際にこの指標を使った評価が出てくることが最も重要と考えますので、もちろん議論はあるかと思いますが、まずはこの段階で進めていただければと思っております。
 確認でございますけれども、これがもし仮にきょう確定した場合は、中間評価には中間指標として活用できるのかという見通しについて、もし事務局のほうであったら教えていただきたいというのが1点でございます。
 もう一点でございますが、資料5-3にありましたが、いわゆる除痛率に関してでございます。これは宮田参考人の班ではないと思うのですが、QOLに関して除痛率の把握手法に関しては、厚生労働科学研究において研究がなされている段階であって、今後も検討が必要といった趣旨が書かれているかと思います。除痛率に関してでございますが、基本計画の中でも最も重要な分野の一つである緩和ケアにおける評価という点では欠かせない指標と理解しているのですけれども、私は2期4年委員を務めてまいりまして、毎年研究中という回答をいただいていると理解しております。こちらは的場班のほうで研究いただいていると理解しているのですけれども、いつごろになったらこういうものが出てくるのかについては、ぜひ事務局からも見通しなどを確認していただきまして、今回の評価指標に入れることは難しいという回答かと思いますが、そろそろ結果を出していただかないとよろしくないのではないかと考えております。
 以上でございます。
○岡田がん対策推進官 まず、患者さんのQOLが中間評価に間に合うのかという御質問ですけれども、宮田先生からの資料で恐縮ですが、資料5-1の5ページのスケジュール的なところ、これは宮田参考人には我々事務局の専門的なサポートということで参画いただいておるわけですけれども、何とか中間評価においてこの指標を用いてQOLを把握したいということで、このスケジュールを設定しておりますので、何とかここに示したとおりにやっていって、中間評価に資するものにしたいと考えています。
 もう一点、除痛率です。この点はなかなか専門的で、ハードルが高いと我々も研究している先生からお聞きしています。その一方、我々研究をお願いしている立場からも、おっしゃるとおり、まずどういう結論になるのかというところは、なるべく早いタイミングで明らかにしていただくように事務局からもお願いしていきたいと思っております。
○門田会長 そのほかいかがでしょうか。堀田委員どうぞ。
○堀田委員 
大変な御苦労をしていただき、ここまでまとまってきて、いよいよ実施段階に来たと思います。50項目というのは少し多いような気もしますが、これは今後の課題ということで、パイロットスタディーの結果を見て絞り込んでいただけるものと思っております。
 問題は、こういう指標がどういう対策をやったら次にPDCAサイクルに結びつくかという視点で考えておく必要がある。これは今後の課題ということになろうかと思います。
 今回こういった調査をしていただく場合に、調査項目を全部網羅しようと思うと、対象者が一通り全部の過程を経験しないと答えられないという話になりますが、その辺をどうするかいう問題があると思います。と申しますのは、最後まで行き着いた人というのは、治療がうまくいって元気な成功例ということになってしまうからです。途中でかなり厳しい状況になった人たちは乗ってこないという可能性がありますので、その辺のQOLのとり方についてどう配慮したらいいかも、一応念頭に置いておく必要があると思います。
○門田会長 宮田参考人どうぞ。
○宮田参考人 御指摘ありがとうございます。私どもとしても、その点は非常に重要であると考えております。少なくとも今回パイロット調査の段階では、外来を受けている患者さんだけではなく、入院中の方にもアプローチしたいと考えております。その場合は、先ほども途中で少しお話しさせていただきましたが、外来・通院中のケアや退院前コミュニケーションの項目を削除させていただいて、その方が現状で答えられるような形で質問紙を構成して、入院中の患者さん用の調査票を構成したいと思います。
 当然、病院側も、特に現在闘病中の重篤な症状の方への対応には、センシティブになる部分でもあるので簡単ではないと思います。パイロットの段階では重篤な症状の方にも配慮を欠くことなく、継続的に調査を実施できるような体制づくりができればと思っています。
○門田会長 確かに、堀田委員がおっしゃられたことは重要なポイントの一つだと思いますけれども、今すべてを満足させるというのはなかなか難しいと思いますので、宮田参考人から話がありましたように、入院中からそれを推測すると同時に、これから先どういうことができるかも今後の資料となるような形でやっていくということで、ひとまずやってみるという感じになっていますので、よろしいでしょうか。
 そのほかございますか。川越委員どうぞ。
○川越委員 宮田先生、どうも貴重なまとめをありがとうございました。先生がおっしゃられたように、がん患者さんは確かにがんと向き合って厳しい生活を行わなければいけないということがあって、そのQOLを改善することは非常に大事だと。そういうことでつくられた計画だろうと理解しております。ただ、私が申し上げたいことは、国民の半分の方はがんと向き合います。だけれども、3分の1の方は死と向き合わなければいけないんです。その視点が重要だと思いますので、そういう点から、この研究は厚労科研と伺っておりますけれども、ここでQOL指標が終わるということではなくて、死と向き合うがん患者さん・家族の方のQOL、本来はそこからスタートした大きなテーマです。全く現代医療が無力になったときに患者さんは希望が持てない。私も、これを見せていただいて本当に感謝しているのですけれども、これでQOL評価が終わるということではなくて、つないでいただきたいと思います。
 厚労省の方には、その辺の計画がどうなっているかということがあれば教えていただきたいと思います。
○宮田参考人 御指摘ありがとうございます。比較的早い段階で死と向き合う方もいれば、長期に渡る生存期間の中でがんと向き合う方もおりと、人それぞれ死との向き合い方は異なると思います。先にお話させて頂いた通り、今回は患者個々人のpatient journeyを考慮した上で、調査の第一段階として患者さんの病院体験を中心に質問を構成させて頂いております。当然おっしゃるとおり死と向き合うという要素も重要かと思います。近年では国際共同研究でクオリティー・オブ・デスという関連の調査があり、日本は余り高くない順位に位置しており、このような関連の要素も今回の調査にあたっては検討しております。病院の中で向き合われる方もいらっしゃると思いますが、長い旅路の中で自宅や他の施設で死と向き合う方もおります。今後退院後も含めて、どういう経験をされ、そして、死のクオリティーがよかったかどうか、これもアプローチできればと考えております。とはいえ、これら関連の要素を踏まえた上での今回は病院体験に焦点を絞っているという点を御理解いただければと思います。
○門田会長 中川委員どうぞ。
○中川委員 川越委員のおっしゃったことは一部よくわかります。今回の指標は、患者QOLの評価なのか、がん対策の指標なのか、若干かぶっているところがあって、例えば、参考資料5-2の2番の4つ目、パンフレットなどの提供があったか、これも広い意味ではQOLと言えるのかもしれないですが、この指標をとることの目的にも関連して、私は何回かこの協議会を欠席したことがあるので、そこで議論されたことなのかもしれないですが、この指標が目指すものがQOLなのか、がん対策そのものなのか、その辺のとりわけというか、あるいは名前でもいいのですけれども、QOLだけだとちょっとどうかなという気がします。
○岡田がん対策推進官 多分今おっしゃられたところが、パンフレットの提供という質問項目、指標候補が、その後の納得やわかりやすさにどうつながるのかという部分のブリッジというか、がん対策的なところでも、がん対策の意味合いでの指標でもあり、それがまたQOLにどういう形でつながるのかという両方の意味合いを持つのではないかと思ってはいるのですけれども。
○宮田参考人 今回はいわゆるQOLのアウトカム指標だけが検討の対象ではございません。例えば、患者さんが満足したか、あるいはこの治療の結果、健康関連QOLの症状がどうかという指標だけ把握した場合には、その改善の手がかり得ることがなかなか難しくなります。また治療決定において満足したという質問に対して、結果が不満足であったときに、心情的な配慮が足りなかったのか、決定に十分に関与することができなかったのか、そもそも話がわからなかったというような要素が背景にある可能性があります。また治療決定をしたときに、特に告知の場面において、文書がなかったことで情報を正しく補完することができずに、その後苦労したというようなお話も聞きます。このように満足か不満足かだけでなく、患者さんの病院体験にかかわる要素を、プロセス指標も含めて広範に検討する中で、QOL関連指標の現状と改善に向けた手がかりを体系的に明らかにするのことが今回の調査の目的になっています。
○門田会長 よろしいですか。眞島委員どうぞ。
○眞島委員 宮田参考人ありがとうございました。大変すばらしいQOLの指標だと思います。実はこれを読みながら感じたのですけれども、自分が入院した体験を考えてみますと、病院の玄関を入って入院して、治療を受けて退院するまで、病院というのはさまざまな職種の方がいらっしゃるんですね。最近ですとチーム医療という言葉もあって、当然医師・看護師の方たちがメーンの方たちであることは間違いないと思いますけれども、例えば、病院の中にある図書館で働いているスタッフの方であるとか、最近ですと、もちろん食事が非常に重要ですから栄養管理士の方であるとか、最近は薬剤師の方もベッドサイドまで来てくださって、何か質問がありますかというようなことも言ってくださるとか、腫瘍心理士の方も必要であればお話ししますよといったようなチームアプローチということを前提でこれを読んでいたのですけれども、最後のページに行きますと病院のスタッフと書いてあるんですね。もしかしたら、それが該当するのかなと見ていましたら、あなたの痛みを抑えるためにというので、ちょっと違うのかなということもありましたので、そういった他職種の人たちがケアに何らかの形で携わっていることが、この中に入れられたらいいのかなと思ったのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○宮田参考人 御指摘の事項は重要になると思います。6番の入院中のケアですが、これは治療に関連した事項であり、御指摘いただいたように、医師・看護師に対する要素を中心に設問を構成しています。7番の最初の2項目では医師・看護師と限定されているのですが、それ以降の項目に関しては医療スタッフという形で、治療・サポートにあたるチームを幅広く捉える形で質問を構成しています。ここでいう医療スタッフが、それぞれの病院でどのように構成されており、何が違うのかといった点も難しい問題になってくると思います。第1段階では、患者さん側に具体的にどのようなスタッフにお世話になったかを質問するのではなく、拠点病院ごとの人員体制も含めて調査して検討を進めることができればと考えています。
○門田会長 田村委員どうぞ。
○田村委員 大変なお仕事お疲れ様でした。指標候補の中で、我々はがん治療を受ける患者さんの痛みに関する調査をしておりまして、海外のデータも参考にして、九十何項目について検討したのですけれども、その中でやはり家族に対するいろいろな負担といったものが一番気にかかると。以前は、悪心、嘔吐、脱毛というのがトップに上がっていたのですが、今はそういうものは10番以下に落ちて、家族に関する問題が非常に強く出てきているのですけれども、指標候補の中で39番目に家族という言葉が出てくるのですが、そのほかの項目の中で家族に関する患者さんの思いとか、あるいは病院がそれに対してどのようにケアしているのかといったようなところをピックアップするような項目は、どこにあるのかということがちょっと気になりました。
○宮田参考人 まさにおっしゃるとおりです、我々が最初に調査票を構成したときに参考にした欧米の調査では、オートノミーに重きを置くものが多く、家族に対する配慮という概念があまりみられませんでした。一方で今回のプレテストで患者さんたちと対話する中では、ご指摘の通り自分だけではなく、家族の負担や家族に対する配慮に関する御意見が少なからずありました。先ほども少し説明したのですが、ちょっとわかりにくかったと思いますけれども、48番目の項目、あるいは47番目、このサブカテゴリーの中で家族に対する配慮といった項目を設計しております。今後は調査の分析を通じて、家族に対する配慮が全体的な満足に寄与するのか、あるいは分布にどういう偏りがあるのかを検討できればと思っています。この項目について重要性を確認された場合には、その項目を拡大し、日本独自の要素に配慮できればと考えています。
○田村委員 欧米とは異なる視点があるようですので、よろしくお願いします。
○門田会長 では、前川委員どうぞ。
○前川委員 もう既に決まっていることかもしれないのですけれども、勉強不足なのでお尋ねいたします。この質問項目はとてもきめ細やかに書かれていて、患者の立場としては自分が聞いてほしいことを書いてあると思うのですけれども、回答する入院患者さんはどのように選ばれるか決まっていますか。もし、私が入院中にこういう質問項目が来て、48番のサポートに満足できていますかという質問に「いいえ」と答えたのが、もし病院にわかったらどうしようとか心配して、正直に答えられないと思うんです。そのあたりの工夫や考え方を教えてください。。
○宮田参考人 非常に重要な事項で、これがまさにパイロット調査での検討事項となります。大枠の仮説は幾つかあるのですが、実際調査する病院との信頼関係もあるので、何パターンか用意しながら検討していきたいと思っています。
 少なくとも重要なのは、この調査に回答することによって、病院の治療に不利になることは一切ないという約束は重要です。例として、患者さんには調査に協力しない権利もあり、不参加により治療が不利になることもありませんという事項など、倫理面に配慮することは絶対必須の事項であると考えています。
 一方で、どういった方々にアプローチするかということは検討事項です。一番シンプルで、かつ、調査としての精度が高いのは全員アプローチなのですが、現実的にはなかなか難しいと言われています。病院側の患者さんのケアの過程で、調査への協力依頼をどう位置づけるかといったアプローチのタイミングも重要である一方、把握する情報の質をできる限り落とさずに網羅的に把握するということも重要です。患者さん個人の入院中の体験をこの調査によって損ねることがないようするためには、どのようなコミュニケーションが適切かを継続的に検討していきたいと思います。
○門田会長 本田委員どうぞ。
○本田委員 基本的には前川委員と同じことを伺おうと思ったのですけれども、これは対面で聞かれるのですか、それとも○づけとか、誘導的にもつくれるという説もありますので、その辺はどうなっているのか。
 あと、もう一つだけ気になっているのが、最後の50番目に金額への負担感はどうかというのも、聞き方によっては安いほうがいいに決まっているので、みんな高いと言うに決まっていると思うのですが、どういうふうに聞いていくのかがちょっと気になったのですけれども。
○宮田参考人 基本的には質問紙を想定しています。そういう意味では、自分で質問紙に答えられない患者さんは対象集団から落ちてしまうので、それによるバイアスがどれくらいの影響かといったところも配慮していきたいとは思います。
 負担感に関しては、できる限り既存で行われている調査と統一して把握することも考慮したいと思います、この調査でこうなったというのも非常に重要なのですが、これまでのものと比較しながら今回どういった位置づけになったのか、それはがん種によって違うのかなど、これまでの情報と比較できるような形で情報を収集できればと思っています。
○門田会長 中川委員どうぞ。
○中川委員 これは研究班の中で出てきたものだと理解していますので、そこはやむを得ないのかもしれませんが、一方、この協議会でこれを取り上げている以上、昨年決定した基本計画が目指すところ、緩和ケアに関して基本計画で最も言っているのは、診断されたときからの緩和ケアですね。その項目の中には、心のケアを含めた全人的なケアというのがあるわけです。そのことが大変残念ながらここでは抜けているのですが、例えば、診断されたときからの緩和ケアの部分というのは、どこに相当するのでしょうか。そのことは研究班の中で出てきたものを、この協議会でそのものとして認めるということに異議があるわけではないんです。ただ、協議会としてそこは考えておかないと、やはり基本計画に対する評価ということであれば、もともとの基本計画をベースにしていただかないといけないのではないかと思いました。
○岡田がん対策推進官 我々事務局は、調査や指標、行政評価も含めその専門家ではないので、そのサポートということで研究班に加わっていただいておりまして、そのような位置づけとご理解いただければと思います。そして事務局としましては、これまで委員の皆様方に御意見の提出等をお願いさせていただいております。診断時からの緩和ケア、これはまさに先生がおっしゃるとおり、今回基本計画の見直しの一番大きいところで、そこについては資料5-2の2の診断に至る検査等についてから着目というか、まずどういう思いであったのか、例えば、3の6番のその際の説明の体制であるとか、そういったところの患者さんの思いを把握したいということで、その趣旨を体現していると考えております。
○宮田参考人 これは、天野委員の御質問にも関連するところですが、緩和、除痛率の把握は別の研究班の中で継続的な検討が行われていると伺っております。本調査はそのような関連の調査と連動できるように、関連の検討の中に位置づけて構成されています。また、本調査単独でも7からになるのですが、29番の痛みや不快な症状が起きたときに対処することができるかということ、30番、31番の入院中の痛みに対する対処、9の外来・通院中のケアについてという項目で具体的に痛みについて質問しています。49番は受療行動調査と連携しながら測定している項目でQOL尺度との連動の中で痛みに言及しています。従って関連の研究班で除痛率がその研究班で把握されれば、それはそれでいいのですが、本庁さ単独でも主観的という限界はありますが、痛みに対する対応や現在の状態についてある程度把握できるような形式を整えています。一方で診断されたときからの痛みへの配慮という点をより重用視するのであれば、例えば、入院中という説明を明確に診断時のセクションに移動させ、診断時にからの説明があったかどうかを確認するという対応は可能かなと思います。
○門田会長 最後の協議会で非常に具体的なところに入っているのですが、一応先ほどもお話しいたしましたように、あくまでもパイロットスタディーの案として足りないものがあればそれを挙げていただいて、実際アンケート調査票をつくるときに入るものは入れたいと思いますが、それ以外のものは今回のパイロットスタディーの結果を次期協議会にお任せして、本当の中間報告用のものはそこで本格的なものをつくるという位置づけでやっておりますので、ここでパーフェクトではなくて、これが欠けているというものがあれば、それは次期に申し継ぐということにさせていただけたらと思います。余り小さなことをやり出すと、きょう終わらなくなるのではないかと心配するのですが、あればおっしゃっていただいて、それは実際本当の調査のときに使うという位置づけにさせていただきたいと思います。
 花井委員、先ほどから手が挙がっていますので。
○花井委員 タイミングが悪くて申し訳ありません。1つ思いましたのは、この候補を絞り込むということも非常に大切ですけれども、ある意味、絞り込んでの調査の後にまた細分化していくことも必要だと思っています。例えば、4ページの9、外来・通院中のケアに関しというところがあるのですけれども、どうも身体的なQOLが痛みや副作用ということに少し限定されているなという印象があります。これも患者さんたちと活動していて思うことですが、薬物療法の進歩で、がん治療は新しいステージに入っていますけれども、その薬物療法を受ける人たちに口腔ケアの重要性であるとか、口腔ケアの実践的な指導というものを手厚くやっている病院と、そうでない病院とがあって、後の患者さんのQOLに非常に影響しているなというケースをよく見かけるし、声も聞くわけです。そういう意味では、もう少し身体的なQOLのところに例えば、口腔ケアであるとか、痛みや副作用以外のものも何か追加していただけるとありがたいなと思っています。とにかく患者さんは少しでも自分の状態がよりよくなりたいというQOL向上への切実な思いを抱いているものですから、そういうところを御配慮いただきたいということと、量的な指標から質的な指標にがん対策の重点的なポイントが移ってきたということだけで、我々患者団体としては非常に感動しているということがありますので、早く進めていただければと思っています。
○宮田参考人 御指摘のとおりで、絞り込みだけではなくて、やはり項目あるいは実際にデータを見てくると、ここは膨らませなければいけないだろうということも出てくると思いますので、これも含めて検討ができるように調査設計したいと思います。
○門田会長 大分予定よりもオーバーしているのですが、先ほどから何度も申しておりますように、とにかく中間報告までに、タイムスケジュールから言うとなかなか難しい段階に入っていると言わざるを得ないと思います。さらにこれ以上の詳細なことについては、ある程度調査をしながらパイロットスタディーをやって、その結果にさらに追加、あるいはこれは聞いても仕方がないとか、あるいは大きなばらつきだけであるとか、いろいろものを見てもらいながら次期の協議会で検討していただくという位置づけをさっきから何度も申し上げておりますので、ひとまずパイロットスタディーに入るものを今協議会で御承認いただいて、とにかく1回やってみて、そして次の本試験ができるようなものをつくっていく、そのもとをつくっていくということにしたいと、それしか時間的になかなか難しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。もし、さらに何か抜けているようなものがあれば、申し訳ないのですが、事務局までおっしゃっていただければと思います。よりいいものをつくっていくことについては、だれも反対するものではないと思いますので、そういうことにさせていただいて、とにかく基本的にはこれプラスアルファぐらいでパイロットスタディーに入るということをここで御決定いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
 松月委員どうぞ。
○松月委員 私も最初、この資料5-2を見せていただいたときには、もう少しこんなものも入るのではないかと思いながら眺めていたのですが、先ほどからの御説明を伺っておりますと、この中に非常に集約されて、言葉は非常に平易なものになっているのですが、その中にさまざまな要素を入れていらっしゃることがよく理解できました。ので、私はこれを含め、拡大することもあり、また削除するものもありということの項目の絞り込みや追加を行う前提でパイロットスタディーとしてにおいて再度眺めましたら、やはり網羅されているなと、患者さんのQOLを考え、なおかつ、それが何らかのがん対策基本計画の中にその結果を生かすことを考えると、非常によく設計されているなと私は改めて感じましたので、私はこれでパイロットスタディーをすることについてはよろしいかと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 川越委員どうぞ。
○川越委員 私も門田会長の方向で賛成です。ただ、先ほど申しましたように、これに終わらないということ、確かに私が申し上げたことはQOL評価の中でも一番難しい領域ではないかと思うのですけれども、これはぜひやっておかなければいけない事業だと思いますので、これは皆さんの異論がなければ、これで終わるということではなく、協議会として続けていただきたいということを記録に残していただきたいと思います。
○門田会長 ありがとうございます。
 上田委員どうぞ。
○上田委員 パイロットスタディーをやられるのはよろしいかと思いますけれども、きょうの御説明の中で回答の仕方がどうであるとうまくQOLが反映されるのか、そこも含めたパイロットで、例えば各設問に関して選択肢で答えやすいものとか、記述でないといけないものとか、将来はそれをスコア化すると思うんですね。それはどういうふうになれば本当に比較的客観的なスコアになるのか。QOLを客観的にするというのはケース・バイ・ケース、物すごく難しいと思うものですから、そういうことをパイロットスタディーの中でも吟味しながら試行錯誤のパイロットスタディーをしていただきたいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。当然その方向に行かざるを得ないもので、とにかく始まらなければスタートしませんので、とにかく始めたいということと、たまたま今回が最終回ということでございますので、少し無理なことをお願いしているかもしれませんが、ぜひそういう方向でいって、次期協議会にバトンタッチしていきたいと思います。皆さんサポートしていただけたと思いますので、よろしいでしょうか。
(拍手起こる)
○門田会長 ありがとうございました。そういう形で事務局とこの班で、さらに注文が幾つか出ておりますが、それを早急に解決していただいて前へ進むということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、3つ目の議題にいきたいと思います。相談支援(ピアサポートを含む)についてということで、事務局から御報告をお願いします。
○事務局 資料6「相談支援・情報提供に関するこれまでの意見(案)」となっておりますが、これまで相談支援、ピアサポートについてはヒアリングをしたり、いろいろな御意見をいただきまして、それをまとめたものです。下線部分が前回の協議会から追加でいただいた御意見になります。ちょっと時間がないので省略させていただきますが、ここまでかなりの時間をとっているので大丈夫かと思いますけれども、特段これにまた追加するものがなければ、いただいた御意見を拠点病院の要件に関するものは、がん診療提供体制の検討会にお伝えし、また、ピアサポートについては当課の事業でございますので、事業に反映すべきところは反映するということで、この御意見を今後の施策に反映していきたいと思っております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 下線部分が追加になったということですが、何かありますか。天野委員どうぞ。
○天野会長代理 既にたくさんの御意見が出ているところでおそれ入れます、2点だけ追加させてください。
 まず、1点目でございますが、これはピアサポートに含まれるかと思いますが、拠点病院の機能として、いわゆるがんサロンの支援及び連携についてもぜひ御考慮いただければと思っております。例えば、島根からがんサロンが各地に広がっていったと言われていますが、ほかの県でも熊本では県内に20カ所以上のサロンができている状況もございます。サロンというのは最終的な患者さんや御家族にとってのセーフティネットの役割を果たしていると感じております。例えば、御遺族の方がいらっしゃるとします。御遺族の方が喪失感から全く真っ白になってしまって、何もやる気が起きないということが実際にあったりするわけですが、そういったことを例えば家族に相談したいとしても話すこともできない。例えば、地域によっては非常にがんに対する偏見が根強くて、家からがんが出たとか、あの家はがんの家系だといったことを言われるような地域が実際にあります。そういった方が自分の気持ちを、ちょっとした日常生活の中に復帰することもできずに引きこもりのような状態になってしまって、社会性を失っていかれるという話を聞いているのですが、そういった方がサロンに来られて、例えば、それは医療に関する話では全くないわけですが、御自身の思いや生活のことを話すだけでも、社会に復帰していけるような一助になるといった事例があると聞いておりますので、がんサロンについては最後のセーフティネットという役割もあるということも含めて、ぜひ拠点病院での連携を進めていただければと思っております。
 2点目でございますが、これは成人ということに関してかもしれませんが、小児がんの患者さんや御家族、経験者の方に対するピアサポート及びそのプログラム等についても、ぜひ御検討いただきたいと思っております。小児がんの方は学校の中でもなかなかうち解けるのが難しいということがありますし、御家族の場合、若年ということもあって非常に負担が大きいということがありますので、その中でちょっとした仲間がいれば患者さん自身が自分の治療の思いを共有することもできますし、特に、経験者の方は社会への復帰がなかなか難しいということがありますので、その支援もぜひ御検討いただければと思っております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。堀田委員どうぞ。
○堀田委員 
この資料の4ページの臨床研究の情報提供につきまして、花井委員から国立がん研究センターのがん情報サービスの一覧はあるけれども、どの臨床試験が自分に合っているのかわかりにくい、主治医に相談してくださいというだけでは、それ以上なかなか進まないという御意見をいただきました。実は、そのようなご意見をを受けて3月25日に「がんの臨床試験を探す」というサイトをつくりまして、臓器がん別、都道府県別、試験の状況別で検索できるようにすべて整いました。これはまだまだこれから直していく必要がありますが、試験のアウトラインと連絡先等が全部出ておりますので、お試しください。
 以上です。
○花井委員 ありがとうございます。
○上田委員 今の堀田先生のコメントへの追加質問ですが。堀田先生、それは国がんが行っているものを出しているということですか、全国で行われている臨床試験も含めてですか。

○堀田委員 臨床試験登録システムに登録・公開されている全国のものを網羅的にやっています。
○上田委員 ありがとうございました。ぜひ、そうしていただければよろしいかと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。ないようでしたら、今出していただきました意見、特に天野委員から出していただきましたことを、ぜひ追加していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 本日の議題は終わりましたが、4番目として、今後のがん対策への期待という項目がございますが、がん対策基本法に基づいて私自身も非常に特異な法律といいますか、この協議会も、がんを煩っている方に委員として参加していただいて成り立っているという非常に特異なものだと思っております。きょうで今期最後の協議会になってしまいました。それにつきましては、一番中心であるがん患者さんあるいは家族の会の代表の方が5人いらっしゃいますので、せっかくの機会ですので、ここでがん対策に対しての御意見なり、きょうまでの委員としての御意見なりを聞かせていただいて、本日終わりにしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、天野委員からお願いします。
○天野会長代理 本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。協議会の開催に当たりまして、5分程度で今後のがん対策に関する希望並びに意見を述べる機会を門田会長及び事務局よりいただきましたので、今後のがん対策の推進に関する意見を私自身の提出資料に沿って、簡単ではございますが、5点述べさせていただきたいと思います。
 まず、1点目でございますが、がん対策推進基本計画の中間評価へ向けた評価指標の確立でございます。これにつきましては、本日の協議会にて既にかなり御議論いただいているところでございますが、本日決まった評価指標をもとに、ぜひ中間評価を実施していただく際に、この評価指標をもとに必ず実施していただければということと、次期基本計画の改定に向けて及び長期にわたる有効ながん対策を検討することが、それぞれの協議会で議題が種々上がってきますので難しいかと思いますが、そういった大局的な議論もぜひ進めていただければとお願い申し上げます。
 2点目でございますが、がん対策推進基本計画の推進における積み残し課題の解消でございます。既にがん対策予算等で実施されているものや、検討会等で議論が進められているものももちろんあるわけでございますが、例えば、基本計画の記述の中で適応外薬を医療現場でより使いやすくするための検討につきましては、既に例えば、フェーズ?であるとか、いわゆるファースト・イン・ヒューマンにかかわるような臨床試験拠点病院の指定などが進められているところと理解しておりますが、これに加えて早期の適応拡大に向けた臨床試験拠点病院の指定や、また、平成25年度予算に入っていると思いますけれども、特に先進医療Cを含む先進医療評価の迅速化・効率化などの施策を推進していただければと思っております。
 また、同じく基本計画の中で、個々の希少がんに見合った診療体制のあり方の検討がありますが、これにつきましては、既に拠点化・集約化ということで小児がん対策が進められているわけでございますが、これをモデルとして、ぜひ早期に検討を開始していただければと思っております。
 また、がん登録と予後調査の検討に関しましては、超党派の国会議連のほうで既に検討を進めていただいていると理解しておりますが、これにつきましては申し上げるまでもなく、がん対策基本法成立以来の検案でございますので、ぜひ今国会での成立をお願いできればと思っております。
 3点目でございますが、各地域の実情に合ったがん診療提供体制の検討と診療内容等の公開でございます。拠点病院及び小児がん拠点病院につきましては、検討会で現在あり方を検討していただいているところでございますが、個別の指定要件ももちろん重要でございますけれども、これに加えて診療体制の質をぜひ担保していただきたいということでございまして、いたずらに拠点病院をふやすという方向にいかないようにお願いできればと思っております。
 また、小児がんのほうで先ほどありましたように、地域ごと、ブロックごとに計画を検討するといった方法を進めていただいておりますが、これにつきましても既存の拠点病院についても同様の方策をぜひ検討していただければということとともに、院内がん登録のデータを活用して、拠点病院の診療内容及び治療成績をぜひ公開していただきまして、がん患者さんや家族が迷うことなく適切に医療機関にアクセスできるような体制を構築していただければと願っております。
 4点目でございますが、すべてのがん患者の身体的、精神的、社会的な痛みの軽減に向けた施策の推進でございます。日本のがん医療につきましては、医療従事者の皆様のある意味献身的な御尽力などもあって、低いコストで高いがん医療が提供されていると言われておりますが、にもかかわらず、一方で、がん患者の満足度が先ほど来出ていますが、必ずしも高くない場合があるとされていると理解しております。その理由の一つとしまして、患者さんの身体的、精神的、社会的な痛みに対するケアがいまだ不十分という声が患者・家族から大きいということがあるのではないかと感じております。拠点病院の相談支援センター、また、新しく予算措置される緩和ケアセンターによる相談支援体制は、必ずしも現在すべての業務を診療報酬等で賄えるわけではございませんので、拠点病院の機能強化事業費も含めて、相談支援体制に対し引き続き国から補助金等で財政的な支援を行っていただく必要があると思っております。
 また、がんの患者団体やピアサポート、また、がんサロン等を含むがん患者・家族による支援体制の拡充に資するための施策であるとか、また患者の長期的な経済負担の軽減、これは多くの患者さんが願っていることでございますが、これに資するための政策を引き続き検討していただければと願っております。
 最後5点目でございますが、がん対策推進協議会と他の検討会など省内及び省庁間連携の推進でございます。協議会におきましては、ほかの検討会とも連携していただいておりまして、基本計画のみならず、がん対策予算や施策の検討を進めていただいておりますが、これを引き続き実施していただければということでございます。また、厚生労働省の中で以前からありましたがん対策推進室から、がん対策・健康増進課へと体制を強化していただいているところでございますが、例えば、都道府県の中には、その都道府県だけで10名を超える職員ががん対策にかかわっているような都道府県庁もある中で、現在厚生労働省の健康局がん対策・健康増進課は、私の理解している限りでは、それよりも少ない職員の方で日々大量の業務にかかわっていらっしゃると理解しておりますので、定員法等もちろんあるかと思いますが、その増員もぜひ検討いただければと願っております。
 また、がん対策の推進に当たりまして、先日開催されました文部科学省で上田先生が座長を務めていらっしゃる「がん研究の今後のあり方に関する検討会」で、省庁間を超えたがん研究の指令塔が必要との提言がまとめられる方向と聞いておりますが、これはがん研究にかかわらずでございますけれども、例えば、がん検診率の向上に関しても厚生労働省だけでもちろんなし得ることではございませんで、基本計画の議論の過程では、がん検診予算が国庫負担金から一般財源化されたことによる影響が大きいとの指摘も出ていたと理解しておりますので、これにつきましては総務省を含めまして地方自治体等の連携が必要になってくると理解しておりますので、ぜひ省庁間の連携を引き続き進めていただきたいと願っております。
 最後になりますが、改めて申し上げるまでもないことでございますが、がん対策基本法が2006年に成立しまして、これは志半ばにして旅立たれた多くの患者さんの切なる声をもとに成立した法律でございます。引き続きでございますが、今この瞬間も体や心や社会的な痛みを持ちながら向き合われているたくさんの患者さんの声を反映した議論の場でありますように、委員の皆様並びに厚生労働省のがん対策・健康増進課の皆様に伏してお願い申し上げたいところでございます。
 私からは以上でございます。
○門田座長 どうもありがとうございました。
 では、引き続きまして花井委員、お願いいたします。
○花井委員 私たち患者委員のみに貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございます。いつも話が長いので、きょうはストップウオッチを持ってまいりました。
 この2年間、患者委員としての役割の重さを真摯に受け止め、熱意を持って任に当たったという自負はございますけれども、自身の発言を通して患者・家族の思いをどれだけ国へつなげることができているかという自問自答を繰り返した2年間でもありました。また、長々と書き連ねましたが、今までお出ししました意見書と重複する部分もございますので、2ページの4と、3ページの5についてのみ発言をさせていただきたいと思います。
 がんと診断されたときからの緩和ケアの推進ということに、今後のがん対策は非常に力を入れていただけるのだなという認識ですが、がんと診断されたときから全人的な緩和ケアを受けられるよう緩和ケアの提供体制を充実させていくというふうに理解しております。私たちピアサポート活動をする者、相談支援センターと連携を進めながら活動を行っている者としましては、相談支援もピアサポートも患者さんの心の緩和ケアにつながる、緩和ケアの領域の問題だと思っております。今後はそうした視点からの議論も進めていただければと思っています。
 また、緩和ケアにおきましては、精神・心理的苦痛に対する専門的なケアの推進も求められるとなっておりますけれども、心のケアを専門的に行う医療従事者の育成は基本計画にもうたわれておりますが、その必要性が極めて高いということを患者団体の立場から強調したいと思います。心のケアというのも非常に救急のような場合もございまして、いいドクターがいる、いい診療科があるんだけれども、1カ月待ち、2カ月待ちというのでは患者さんにとってないも等しいという状況でございますので、質と同時に心のケアの量的な整備もぜひお願いしたいと思います。
 また、緩和ケアにおける取り組むべき施策の中に、患者とその家族等の診療に対して十分に配慮した診断結果や病状の適切な伝え方についても検討を行うとありますが、これは患者・家族にとっても非常に大きな問題でございまして、診断結果や予後についてだけではなく、診療のあらゆる場面において医師を初めとした医療従事者とのよりよいコミュニケーション、心通う会話に勝る心の緩和ケアはないと思っております。がん対策の指標が量的なものからQOLという質的なものに軸足を置いて検討されるようになった今、医療従事者の言葉や対応そのものも緩和ケアであるという視点に立って、指標が検討されることを心から期待しております。
 そして、がんサバイバーシップの普及とありますが、私はこの委員を拝命してしばらくの間は、がんサバイバーシップというのは協議会で議論すべきことかどうかという懐疑的な思いを抱いておりましたが、今、2年終わりまして思うことは、がんに対する社会的な教育や啓発の必要性、つまりがんサバイバーシップの普及が非常に大切な問題ではないかと思っています。相談支援もそうですが、がんと診断され、がんになって就労にいろいろな影響が出たということを含めましても、社会に対するがんへの誤解や偏見が根底にあることからの影響が大きく考えられるのではないかと思っています。
 がんサバイバーシップは、御存じのようにアメリカで生まれた概念で、発病し、がんと診断されたときから、その生を全うするまでの過程を、いかにその人らしく生き抜いたかとされているわけですけれども、このサバイバーシップを日本社会に普及しようと思いますと、それはアメリカに倣うのではなく、支え合いであるとか、日本人の持つ精神文化・風土というものをそこに加えて、新たに日本のサバイバーシップという議論も必要ではないかと思っています。このサバイバーシップの普及は全体目標にもあります、がんになっても安心な社会の構築を実現に導くとともに、この概念は今後、がん患者のQOL指標の基本軸にもなり得るものではないかと思っています。今後の協議会において、がんサバイバーシップの普及をぜひ進めてほしいと願うものでございます。
 「結びに—『がん患者とまとめたQOL指標』」という添付資料がついておりますけれども、これは今、宮田先生を初めとして協議会の議論のもとに進められているQOL指標について、私自身はがんの治療体験がないものですから、私どもの患者さんやピアサポーター数名の協力を得ましてまとめたものでございます。
 そこで思いますことは、この意見のいずれもが進行がんと向き合う患者さんの意見でございますので、非常にリアルなといいますか、治療体験を通して生まれた生の意見が集約されています。この意見のとりまとめは、今も治療のただ中にある膵臓がんサバイバーの落合誠一さんという名古屋の1人の患者さんに負うところが非常に大きいものがございます。私たちは、このがんの治療体験者が患者支援という活動におきまして、非常にすばらしい意見やアイデアを体験から生み出した言葉で語ってくれるときに、患者力が高いと言ってお互いにたたえ合うのでございますけれども、このような全国の患者力の高い皆さんの意見をすくい上げ、これからの指標づくりに最も期待することの一つでございますが、心通うがん対策についての議論を今後進めていただきたいと思っています。
 ありがとうございました。
○門田座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして前川委員にお願いしたいと思います。
○前川委員 
がん対策推進協議会委員として、最後の協議会で患者委員としての発言枠をいただきましたことを心から感謝申し上げます。私はNPOの活動で日々患者さんと接しておりますけれども、協議会の場で代弁できたかなと反省と自戒を込めてこの4年間を振り返って、今後のがん対策への期待という気持ちを込めて感想を述べさせていただきます。
 まず、2年前に協議会の下に緩和ケア専門委員会が設けられました。そこで深い論議ができて、治療の初期段階からの緩和ケアが、がんと診断されてからの緩和ケアへと変わりました。それが非常に印象深いことでございます。そして、健康局長の下に緩和ケア推進検討会が設置されて、建設的な論議をしております。患者目線から私は発言をさせていただいております。
 今後のこととして、がんと診断されたときからの緩和ケアが行われているか。2番目に、緩和ケアチームが名前だけではなくて実際に稼働しているか。3番目に、相談支援センターの実態はどうかなどを視察もしくは査察する部門をぜひ設置していただきたいと考えております。計画だけではなくて、実際に現場でどのようにやっているかということが非常に重要だと考えております。
 2番目に、がん対策基本計画を実効性のあるものにできればと思っております。ちょっと厳しいのですけれども、協議会は時としては委員の意見の言いっ放しの場とか、参考人の見解の発表のみの場で終わってしまうこともあるかと思います。せっかくの機会ですので、もっと論議を深める場となりますように願っております。私の場合は、協議会の発言以外に実際に自分の目で現場を確認して、報告書を提出するという方法を何度かとりました。机上配付資料に書いてありますので、そちらをごらんください。こうした経験から、今後、患者委員だけではなくて協議会委員の皆様が課題と思われる現場の視察や生の声を聞かれることも、日本のがん対策のために重要ではないかと考えております。
 3番目に、ホスピス、終末期という論議が、今まで協議会の議題に余り上がっていないような気がいたします。ぜひ、協議会の場で真正面からホスピス論議、看取るときの緩和ケアについて活発な意見交換をお願いしたいと思っております。
 次に、がん診療拠点病院内のがん患者サロンについてですが、お手元に『がんの患者さんとともに』という冊子を配付しております。これは開設してまだ3年しかたっていないのですけれども、山口県立医療センターでがん患者サロンを開いております。最初は週1回でしたけれども、がん患者さんから週2回にしてほしいという希望があり、週2回開催しております。ボランティアのみでの開催ですが、医療的な質問があった場合は、すぐに相談支援センターに連携をとってお回ししております。
 この冊子は、私たちがつくってほしいと言ったのではなくて、病院からの申し入れでつくられたんです。3年くらいで冊子をつくるということが、私はすごく恥ずかしかったんです。でも、それだけ病院とボランティアの密接な連携、信頼関係のもとでできたと思っております。ちょっとローカルな話になりますけれども、県内にがん患者サロンが余りなかったので、この病院での院内がん患者サロンをして、がん患者サロンの種蒔きができればなと思いつくりました。そして今、ほとんどの拠点病院で、がん患者サロンができつつあります。でも、それはまだ月に1回とか2回なので、もう少しふえればいいなと思っております。
 余談になりますけれども、がん相談支援センターについてですが、ある拠点病院に4回電話したら、4回とも相談支援センターにつながらなかったというのを最近聞きました。ですから、こういう現場の声は行政や上のほうには上がらないので、今後のがん患者委員の方にぜひ、こういう声を述べていただきたいと思っております。
 最後に、患者委員を終えるに当たってですけれども、患者委員は有識者委員と立ち位置が違うことを深く認識し、緊張しないで自信を持って発言すべきだったなと、今も緊張しながら話しているのですが、今はすごく思っています。また、患者委員に限ったことではありませんが、自分の発言が議事録に載ればよいというのではなくて、自分が発言したことを本当にがん対策に生かすために責任を持って発言すべきだったと思っております。本当に反省、反省の4年間でした。
 次に、次期協議会の患者委員の皆様には、ぜひ御自分の回りで起こっている現場の生の声を取り上げていただきたいとお願い申し上げます。もちろん、そのための患者委員でもありますので、次期患者委員の皆様の率直な御発言と行動力を心から期待しております。
 最後に、がん対策推進協議会は国のがん対策を進める中心軸です。その責任と役割はますます高まってくると思います。門田会長を初め、次期協議会委員、事務局の皆様のますますの御活躍・御検討を心からお祈り申し上げます。この4年間で多くの学びをさせていただきましたことを、心から感謝申し上げて終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○門田座長 どうもありがとうございました。
 それでは、次は眞島委員にお願いいたします。
○眞島委員 
まず、このような機会を与えてくださいまして、どうもありがとうございました。私のトピックは「難治性がん・希少がんの患者のために」と書いてありますけれども、実はこの話の根幹を成すのが「がん研究」です。
 最初のページですけれども、米国でのデータで大変申し訳ないのですが、左側、赤のコラムが白人です。一番上から見ていただきますと、5年生存率でほぼ100%が前立腺がん、
90%乳がんと。最近、がんの中には非常に治療成績が向上しているものもあります。ところが、その反面、過去30年間5年生存率が1けた台で低迷しているがんもありまして、その筆頭が膵がんです。日本の場合ですと、膵がんに胆道がんを合わせますと、実は女性のがんの死因ナンバーワンになります。非常に消化器系のがんは難物なんだなという印象があります。
 2ページにまいります。治りやすいがんがある反面、治りにくいがんがある。先ほど内閣府のほうでアンケートをとられたら、がんは怖いというイメージと答えた方が多かったというお話があったかと思いますけれども、一般の皆さんの反応を見ていますと、まだまだがんは怖いものだというところがあったので、少し安心しました。実は最近、がんは治るものだと思っている方が結構たくさんいらして、そういう方たちが難治がんと宣告されますと非常に大きなショックを受けることがわかってまいりました。
 続きまして、ドラッグラグの話をさせていただきたいと思います。これも復習になりますけれども、分子標的薬なども典型的なものですが、欧米で新しいお薬が開発され、それが日本に入ってきて承認を受けて患者さんが使えるようになる。がんの中には、お薬のないものもまだまだ多くありまして、そういう方たちは世界中を見てもなかなかいいお薬がないというのであきめらめもつくかもしれないですけれども、中には欧米で最近開発された治療薬が非常に効果があることがわかった場合もあります。そういったものは患者さんにしてみれば、早くそのお薬を使いたいと思うのは当然のことなのですけれども、まだまだ日本ではドラッグラグという問題がありまして、患者さんは待たなければいけないという問題があります。
 また、ドラッグラグがあるために、市場では歪みも出てきました。3ページに部位別がんと保険適用薬の数とありますけれども、上から順番に乳がんですと21剤、これはもっとふえているかもしれないですが、胃がん、大腸がんと大体10剤ぐらい使えるお薬があります。けれども、本当に使えるという意味では膵臓がんはまだ3剤しかないということで、膵がんという難治性がんの患者さんにとっては非常に深刻な問題です。
 4ページですが、では、使えるお薬はないのかといいますと、米国NCCNの膵臓がんの診療ガイドラインですけれども、そこを見ていただくと、やはり10種類以上のお薬があって、日米の差は7剤。要するに、それらが入ってきていない、それが膵臓がんのドラッグラグであるというのが、その下に示されています。ですから、なるべく早くこういった有効とされるお薬を日本に入れてほしいと願うのが、がん患者さんではないかと思います。
 5ページです。膵臓がんでドラッグラグの問題を見てみますと、まずゲムシタビンというお薬なのですが、このお薬が承認されるところに1つのストーリーがありまして、再発した膵臓がんの患者さんが、欧米で使われているゲムシタビンがなぜ日本で使えないのかということでアクションを起こしまして、署名活動をやって、多数の署名を時の厚生労働大臣、坂口大臣に出して早期承認に結びついたという話があるわけです。その段階で、ドラッグラグが5.1年だったんですね。エルロチニブという次に出てきた有効なお薬が承認されたが2011年7月。この段階でドラッグラグは5.7年でした。ということで、この協議会でも患者数の少ないマイナーながんのお薬には、かなり深刻なドラッグラグが存在するのではないかというディスカッションを行ったかと思います。
 下のグラフを見ていただきたいのですけれども、世界初の上市から各国での上市までの期間と書いてあります。あえて古いデータを出させていただきました。これは2006年のデータです。その段階で日本は最下位になっていますが、ドラッグラグは4.7年でした。実は去年こちらの協議会で、ドラッグラグは2.4年あるいは2年に短縮されましたというお話がありました。まさにそのとおりでして、未承認薬問題に関して言えば、著しく向上された分野かなと思います。
 6ページは未承認薬問題です。例でゲムシタビンを出していますけれども、肺がんで承認になったときは、確かに非常に短期間に承認されました。ところが、同じお薬が市場拡大、適応拡大していきまして、マイナーながんに次から次へと承認をとっていったわけです。次が膵がん、胆道がん、尿路上皮がん、再発乳がん、卵巣がんと広がっていく間に、どれくらいラグがあるのかというと、膵臓がんだけとっても5年というお話をしましたけれども、正直言いましてこちらの適応外薬のラグは計測されていないという問題があります。計測されれば多分、未承認薬問題のように急速に解消されるのではないかと思うのですけれども、今の段階ですと未承認薬問題のラグだけが計測されていまして、適応外薬問題に関しては計測されていないという問題があります。我々のようなマイナーながんの患者にとっては、ぜひ適応外薬問題にも光を当ててもらいたいと思います。
 下に、門田会長もよく使われますけれども、氷山の一角というグラフを載せています。まさに我々マイナーながん患者にとっては、こういった適応外薬の深刻な問題がまだ継続しているということです。
 それから、もう一つ適応外医薬品でよくあるのですけれども、新薬と古い抗がん剤の組み合わせです。これに関しては治験がなかなか行われないという問題もあります。
 さらに、最近膵がんで起こったのですけれども、パテントの切れた古い抗がん剤同志の組み合わせで画期的な治療成績を上げるものも出てきました。例として1つ挙げさせていただいておりますけれども、これは去年のNCCNの膵臓がん診療ガイドラインに出てきたのですが、例えば、乳がんとか卵巣がんにBRCA変異のある患者さんに対して、ある特定のお薬が効くというお話があるかと思いますけれども、実は同じような変異のある膵臓がん患者さん、あるいは膵臓がんの家族歴のある患者さんは、実はここに出ていますシスプラチンのようなプラチナ系の製剤が非常に有効であるという論文が出ました。さらに、それに追い打ちをかけるように、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのほうから新たな論文が出まして、それがこの治療を受けたBRCA遺伝子異常陽性の進行膵がんの患者さんは、84%の方が画像診断でPR(部分奏効)であるといったようなことが出たおかげで、カテゴリー2Bであったところが最近2Aになりまして、強く推奨されている治療なのですけれども、さて、日本でパテントの切れたお薬同志の組み合わせが早期承認につながるのかというところが我々の懸念するところです。何らかの形で保険償還されればいいなと思っている次第です。
 それから、先ほど国立がんセンターで、臨床試験へのアクセスを改善するという意味でウェブサイトが改善されたというお話がありましたけれども、実はオバマ大統領はアメリカでの臨床試験に参加できている方たちがわずか5%以下であることを非常に問題視しまして、2014年に「Improving Access to Clinical Trials Act」というものに署名しまして、アメリカでもって臨床試験を強く推奨するようなかじ取りをしています。
 この下に参考で出させていただいたのですけれども、これはNCCN膵臓がん診療ガイドラインです。進行膵がん患者さんの第1治療選択肢として一番トップに来るのが何かといいますと、臨床試験を推奨するということなんです。要するに、臨床試験に参加することがいかに重要かということを表しています。
 8ページにまいります。希少がんはそれほど希少ではないとあります。がん登録に関しては法制化ということで非常に心強い限りだなと思いますが、ここにデータとして参考までに出させていただいたものは、ヨーロッパでの希少がんです。定義はといいますと、罹患率が10万人に6人以下ということで、希少がんの種類は186種類もあるんです。この希少がんの患者さんの罹患者を束ねますと、なんと欧州のがん患者さん全体の22%に相当するんです。ですから、希少がんという単一のがんカテゴリーでやれば相当大きながん種になるということなのですけれども、実はこの希少がんが、日本ではがん登録がないためにカウントされていないんです。ですので、何とか今後、がん登録が実行され、希少がん対策ができて、小児がん対策が一つの参考例になると思いますけれども、ぜひ日本全国にいらっしゃいます本当に光の当たっていない希少がん患者さんの対策が講じられることを期待したいと思います。
 9ページにまいります。最後に、がん対策にはこのようなPDCAという言葉が出てきていますので、やはりそこには一つドラッグラグ、適応外薬のラグに関しての計測値を入れていただきたいということと、がん登録の法制化、それから、希少がんの疫学的調査の結果をもとにして対策を講じていただければと思います。
 この2年間本当にどうもありがとうございました。○門田座長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、松本委員、お願いいたします。
○松本委員 このような機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。私からは4点申し上げたいと思います。
 まず最初は、緩和ケアの推進です。重点項目にも挙がっております。緩和ケアについても基本法ができた後にいろいろな医療も整いましたし、情報提供体制もそれまでと比べれば随分整いました。ただ、問題は、そこにすべての患者さんが確実にたどり着けていないということだと思っております。私は地方に住んでおりますけれども、本当になかなかたどり着けないいろいろな事情を抱えた患者さん方を見ております。せっかく整った医療や情報提供体制があるのであれば、そこに患者さんがたどり着けてこその対策だろうと思っておりますので、それが今問われていると思っております。今、この緩和ケアの領域につきましては、推進検討会が開かれておりまして、私もその一員としてかかわらせていただいておりますので、いかに確実な道筋をつけていくかを中心に、これから取り組みをさせていただきたいと思っております。
 2番目が、がんの教育です。今がんの教育については、さまざまな動きが起こっていると承知しております。これはとても大事なことですし、また、中でも予防や早期発見につなげるための教育は必要だと思っております。ただ、ここで1点だけ危惧していることがあります。それは余りにもがんにならないための教育に比重がかかり過ぎてしますと、今度は逆に、がん患者への差別・偏見につながるのではないかということです。がんにかからないということが目標になってしまうと、かかったら悪いことである、だめなことであるということにならないかと思っております。そういうことを考えますと、もしも厳しい病気に向き合うことになったときに、自分らしく生き抜くための力を身につけることこそが重要ではないかと思っております。私自身の闘病を振り返りましても、ここの力が弱かったために本当に随分辛い時期を過ごしました。そのことを思ってがん教育、今後大変だと思いますので、重点的に取り組みんでいただきたいと思っております。
 3番目に、目標の達成状況の把握、指標の策定について申し上げます。このことにつきましては、きょうも十分に議論が行われましたし、また、宮田先生初め多くの皆様の御尽力によりまして、本当に私たちの気持ちに沿った指標ができつつあるということで感謝しております。ただ、先日、別の研究班の発表会に同席させていただきましたけれども、いかに私たちの苦痛をお伝えすることが難しいか、また、それを数値化・評価していくことが難しいかを本当に痛感した出来事がございました。このことについては、私たち当事者がどんなにしんどくても言い続けていかなければ、科学で評価していく、数値化していくというのはなかなか難しいのだろうと思っています。ですから、このことにつきましても、ぜひ今後とも患者・家族の視点を取り入れた検討がなされることをお願い申し上げたいと思っております。
 最後ですけれども、「助かったいのちを助けるために」ということを書かせていただきました。これは私の言葉ではありませんで、大阪のある患者団体の代表の方が私にお手紙をくださいまして、そこに書いてあった言葉です。これまでのがん対策は、救える命を救うということに重点を置いてきて、それについては一定の成果が表れてきているのではないか。ただ、せっかく助かった私たちの命は助けられているのか、そこへの対策は十分なされているのかということが書かれてありました。私たちのように助かった者、その後経済的な負担であるとか、就労、また、非常に厳しい後遺症、また差別や偏見はいまだにあります。こういったものに苦しめられております。こういうものがすべてカバーされて初めて安心して暮らせる社会になるのではないかと思っておりますので、そういった点での今後の議論も期待させていただきたいと思っております。
 このがん対策推進協議会の場に、当事者の視点を取り入れるという道を開いてくださいました山本孝史先生初め、また私たちよりも前に歩いてくださった、本当に命を削るようにしてこの場で発言を続けてくださった先輩患者委員の皆様、そして、その委員の発言に耳を傾けてくださった医療関係者の皆様、また厚生労働省の皆様に感謝を申し上げ、受け取ったバトンを次の患者委員に渡したいと思っております。本当にありがとうございました。
○門田座長 どうもありがとうございました。
 患者委員の5名の皆さんのお話を伺いました。本当にそれぞれのお立場で、それぞれのお考え、立派なお話を聞かせていただきました。次の委員の方への申し送りもございましたけれども、これをぜひ続けていけるよう申し継ぎをしていきたいと思います。
 委員の皆さんからも一言でもと思っておったのですが、相当時間を過ぎてしまいましたので割愛させていただきたいと思います。先ほども申しましたけれども、このがん対策推進基本計画というのは、当事者である患者さんたちに加わっていただいて政策を考えるという本当に新しいものであって、これをぜひ成功させて、そのほかにも展開できるような国政を望みたいと思いますし、今も本当にすばらしいお話をしていただきました。ここだけではなくて、こういうことはさらに広がっていったほうがいいのではないかとも思いました。
 この協議会もそろそろお開きにしたいと思いますが、本日、矢島健康局長に国会の忙しい中、駆けつけていただきました。最後に皆さんに御挨拶をお願いいたします。
○矢島健康局長 健康局長の矢島でございます。最後に一言お礼を申し上げさせていただきたいと思います。
 がん対策推進協議会は、我が国のがん対策をより強力に、かつ、総合的に推進するために制定されました、がん対策基本法に基づき設置され、がん患者及びその家族、医療従事者、地方自治体、マスコミ、研究者等がん対策の推進に当たって必要不可欠な有識者の皆様にお集まりいただき、活発な御議論をいただいております。この協議会委員の任期は2年と定められておりますので、第3期の委員によるがん対策推進協議会は本日で最後となりました。第3期の委員の皆様方、大変ありがとうございました。皆様方には、平成19年6月に策定されました、がん対策推進基本計画に基づきますがん対策について、新たな課題に対応するため、平成28年度までの5カ年を対象とした新しいがん対策推進基本計画の策定に御尽力いただき、昨年6月に閣議決定されました。現在、新しいがん対策推進基本計画に基づき、国、地方公共団体、関係団体が一体となってがん対策に取り組んでおりますが、中間評価に向けて拠点病院や相談支援、情報提供のあり方、緩和ケアなどの審議を踏まえ、委員が代わりましても継続性のある議論が行われるよう、事務局としても努力してまいりたいと考えております。
 委員の皆様方には研究医療、または患者会の活動等を通しまして、それぞれのお立場から引き続きがん対策の推進に御尽力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。今後とも皆様方のより一層の連携、貴重な御意見を伺いながら、がん対策の充実に励んでいきたいと考えておりますので、これからも引き続き、御支援・御協力をお願い申し上げて、私のお礼の言葉とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○門田座長 それでは、私も一言最後に御挨拶申し上げたいと思います。
 考えてみますと2年前の5月の終わりごろに、このメンバーが最初にそろいました。そのときから年内に第2期のがん対策推進基本計画を策定しなければならないという大きなテーマをいただいて、この期間に新しいメンバー、半分ぐらいの人が入れかわってどうなるのかなと思ったのが正直なところでございました。その感想は昨年3月1日に小宮山厚生労働大臣に基本計画案を手渡したときにお話しさせていただきましたけれども、本当に正直なところ、そういう感じでございました。しかし、ふたをあけてみますと、今までになかったがん医療、がん患者さんあるいはがん患者さん家族中心の第1期のところから、第2期については、がんに負けない社会をつくるという大きな転換をするという、すばらしいものを皆さんのおかげでつくっていただきました。
 また、先ほど花井委員からもお話がございましたけれども、第1期がどちらかというと数値目標という量的な目標があった。そして、第2期は数値も量的なものはわかるけれども質はどうなのかと、これもほとんど患者委員の皆さんからおっしゃっていただきました。これを最初の5年間ではどうにもならなかったものを何とかしなければということで、最後の最後、きょうパイロットスタディーとはいえ、すばらしい案をつくっていただきました。まだ不十分なところも多々あるかもしれませんけれども、その第一歩をこの協議会の皆さんの決定事項としてパイロットスタディーに入ることができます。要するに、量から質への転換も図れたと思っております。そういった意味で、皆さん方の御協力を本当に感謝したいと思います。本当にありがとうございました。
 最後になりますけれども、事務局にはいろいろな注文をつけました。月に2回、1回の会議時間を3時間に延ばすと言いながら3時間半ほどやりましたし、1回は4時間の予定で4時間半ぐらいやったこともございました。そういうことで本当に御迷惑をかけたことが多々あったかと思いますけれども、皆さんのおかげでここまで来れたと非常に喜んでおります。これは多分、委員の皆さんも皆同じ気持ちではないかと思っております。
 これからも次期の協議会には、私たちが考えてやってきたことをぜひ続けていただいて、すばらしいがん対策ができますことをお願いして、私の御挨拶にさせていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。(拍手)
 それでは、事務局から連絡事項はございますか。
○岡田がん対策推進官 特段ございません。
○門田座長 本当にどうもありがとうございました。これで、この期の協議会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局がん対策・健康増進課

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