ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会> 第20回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について(2012年11月14日)




2012年11月14日 第20回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について

医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室

○日時

平成24年11月14日(金)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第15~16会議室(12階)


○議事

○北村座長 それでは、定刻となりましたので、第20回「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」を始めさせていただきたいと思います。
 本日は、大変御多忙なところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
委員の出欠状況、配付資料確認を事務局のほうからお願いいたします。
○浅沼医療機器審査管理室長 それでは、委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」委員16名のうち11名の委員の皆様に御出席をいただいております。
また、本日は、検討品目に関する専門家といたしまして、ワーキンググループから3名の先生に参考人として御出席をいただいておりますので、御紹介いたします。
小倉記念病院循環器内科副部長、曽我芳光先生です。
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科医長、加藤晃史先生です。
群馬大学大学院医学系研究科精神神経医学分野教授、三國雅彦先生です。
続きまして、配付資料の御確認をさせていただきたいと思います。
資料1 これまでの選定品目の現状(平成24年10月31日現在)
資料2 平成23、24年度学会等からの要望内容の概要一覧
資料3 ワーキンググループによる評価
 3-?(?24-1)経血管的ステントグラフトシステム
 3-?(?24-3、4)気管支温熱療法装置
 3-?(?24-5)経頭蓋反復磁気刺激によるうつ病治療装置
参考資料1 検討会委員名簿
参考資料2 検討会開催要領
参考資料3 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討の進め方
参考資料4 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討の進め方(概要)
参考資料5 ニーズ品目の選定の流れ
参考資料6 学会等提出の要望書
参考資料7 早期導入候補品目の評価資料
資料、不足等はございませんでしょうか。
出欠状況及び配付資料の確認は以上となります。
これより議事に入りますので、傍聴されている方におかれましては、頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、座長、よろしくお願いいたします。
○北村座長 ありがとうございました。先生方の資料はおそろいでございますか。
 それでは、議題に入らせていただきたいと思います。まず、利益相反に関する申出状況があるそうでございますので、事務局から報告をお願いいたします。
○事務局 議題に入ります前に、利益相反の確認結果について御報告いたします。
 寄附金、契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、本日の検討品目につきましては、議論に御参加いただけない委員等はいらっしゃいませんでした。したがいまして、本日全ての委員が議論に加わることができますことを御報告させていただきます。
 事務局からは以上です。
○北村座長 ありがとうございました。
それでは、議題に入らせていただきますが、議題1.「これまでの選定の現状について」、事務局のほうから御説明をお願いできますか。
○事務局 右肩に資料1と書かれた資料をごらんください。「これまでの選定品目の現状」についてです。平成24年10月31日現在の資料となります。変更点につきましては、変更箇所に下線を付しております。
それでは、前回からの変更点について簡単に御説明させていただきます。
まず、1ページ目でございます。?4、ビー・ブラウンエースクラップ社の血管内塞栓物質です。こちらは平成24年9月27日に、PMDA、医薬品医療機器総合機構に薬事申請されており、審査中となっております。
なお、平成24年10月25日付で優先審査品目となってございます。
次に、?5、小児の右室流出再建に用いる人工血管でございます。コンテグラの肺動脈用弁付きコンデュイットですが、こちらは平成24年9月28日付で薬事承認されております。
1ページめくっていただきまして、2ページ目をごらんください。?18、こちらは日本ストライカー社の頭蓋内動脈ステントでございます。こちらにつきましても、平成24年9月14日付で薬事申請されておりまして、審査中となっております。こちらにつきましても、平成24年10月25日付で優先審査品目となっております。
続きまして、3ページ目をご覧ください。?21、日本化薬社の血管血栓用ビーズです。こちらも、平成24年6月29日に薬事申請されております。適応といたしましては、多血性腫瘍又は動静脈奇形に使用されるものとして申請がされております。
次に、?25、消化管狭窄に対するステントでございます。Niti-S大腸用ステントと申しまして、平成24年7月31日付で薬事申請されております。
4ページ目をご覧ください。?26、気管・気管支用ハイブリッド・ステントでございます。こちらは平成24年7月9日付で薬事申請されております。
続きまして、?37、電磁トラッキングシステムでございますが、平成24年6月7日付で薬事申請されておりまして、審査中となっております。
5ページ目をご覧ください。?42、高周波心房中隔穿刺カテーテルでございますが、こちらは平成24年10月30日付で薬事承認されております。
次に、6ページ目をごらんください。?52、ジストニアに使用される目的で使われます脳深部刺激装置でございます。Activa RCという品目でございまして、平成24年6月8日付で薬事申請されております。
次に、6ページから7ページ目、?で言うと55番から57番の3品目でございますが、こちらは、前回、平成24年7月3日の検討会で選定された品目となっております。
なお、?56の装着型体外式除細動器におきましては、既に平成24年10月9日付で薬事申請されておりまして、同年10月25日付で優先審査品目となっております。
事務局からは以上です。
○北村座長 ありがとうございました。本年度24年度にもかなりの数の品目が申請、あるいは薬事承認されたということで、我々としては、大変スピーディに進んでいるのであれば喜ばしいことだと考えておりますが、今までの御説明で御質問等、委員の方々からございませんでしょうか。
45番、46番など、いろいろ、2回に分けて議論したけれども、まだ申請してこないのは、準備中と書いてあるのも申請は間近そうな状況まで進んでいるのですかね。この会で議論されたけれども、企業のほうは、準備していると言うけれども、余り乗り気ではないのかなあという気もしますけれども、このあたりは。もう申請日間近になっておるのですかね。45、46ですけれども、44、あるいは43もそうです。
どうぞ、お願いできますか。
○事務局 こちらのほう、企業とか、もしくは学会のほうからも、迅速に進めたいということで、臨床評価をどのようにするのかということで、例えば高度医療ですとかそういったさまざまな選択肢を含めて検討しておりまして、今後、臨床データ等集めていきたいということで考えているということを伺っております。
○北村座長 どうぞ。
○千葉委員 優先審査の決まった後、承認までの期間というのは割と短いようで、1年とか2年以内が多いのですけれども、1つだけ、4年かかったのがありますね。優先審査となってから承認まで。この違いというのは何か、優先審査になったにもかかわらず、時間が承認までは4年かかったというのは、差し支えなければ、例えばどういうことがあったのでしょうか。5番目です。
○事務局 5番のコンテグラですけれども、当初、優先審査で進めるということで進めておりましたけれども、審査上さまざまな論点が出てきまして、例えば原材料にどういったものを使うのか、生物材料を使っているということで、それで、薬事承認に至るまで難しいところはありましたけれども、ようやくこの9月に承認に至ったということでありまして、そういった事情があったため、こちらのほうは遅くなったということがあります。
ただ、一般的に優先審査と考えますと、通常はタイムクロックが決まっておりまして、先生おっしゃられたように、大体1年ちょっとですか、その程度で承認されているというものがほとんどになっております。
○千葉委員 例えば非常に優先審査と承認との間の期間が長いものに関して、こちらで優先審査を推薦させていただいている中で、フィードバックしていただいて、こういうことが実はあったのだがということが、この会で何かの参考になることがあるでしょうか。
○事務局 できるだけ申請前に、PMDAや私ども医療機器審査管理室のほうに相談していただいて、どういったところが問題になっているのか、そういったことをメーカーの方にも、選定されたら伝えまして、相談しつつ進めていくことが一番近道につながってくるのかなと。申請された後いろんな課題が見つかって、どう進めるべきかということで議論になるケースもありますので、早めに相談していただきたいというケースもあります。もしくは、全くどのように進めていいかわからないという方に関しましては、今、PMDAのほうで薬事戦略相談をやっておりますので、そちらのほうを活用して進めていただいたり、そういったアドバイスもこちらのほうでできると思いますので、そういったことができるかと考えております。
○吉田茂昭代理 ちょっと違う。千葉先生のおっしゃっているのは、僕らが気づかなかったことがあったのではないか。いいと思って推薦したけれども、実はいろんな問題点があって、僕らが知っておいたほうがいいことはないですか、そういう質問。そういうことはなかったと。
○事務局 ニーズの趣旨と承認審査とではやはりちょっと違うと思います。そもそも品目によって承認申請から承認までの間のスタートからゴールまでの距離というのはそれぞれではないかと思います。そういった意味で、このニーズの検討会に採択していただきまして優先審査がついたものにつきましては、当初の距離よりは縮んだということで御理解いただければと思います。特段、この場で、このニーズの検討会の中で何か検討が抜けていたとかいうことではないと思います。
○吉田茂昭代理 6年かかるところが4年で終わったと思えばいいのだね。
○吉田純委員 43番ですけれども、メチオニンペット、結構ルーチンに使っているのですね。この場合は、何が一番、前に進まないというあれでしょうか。
○事務局 お答えいたします。現在、メチオニンペットの件につきましては、ここに出ている企業さんと、それから大学の先生方、今、先進Bの枠で進めるような話は来ているのですけれども、実際に住友重機械工業さんというのは機械のメーカーさんでして、薬事申請にはそれほど慣れている会社ではございません。そういったところで、これからどういう形で申請のためのデータを収集していくかといったところも今まだ準備中ということで、全く何も進んでないというわけではないのですけれども、ゆっくりながら一歩一歩前に進んでいるというような状況です。
○吉田純委員 ということは、かなり先になるということでしょうか。
○事務局 具体的にその先進Bの話を進めている先生は、もう近々始めるようなお話をされていらっしゃいますので、そのような体制が整っているような話は伺っておりますので、これから何年も先とかいう話ではなくて、具体的にはデータの収集自体はこれから、もう間もなくスタートするという状況です。
ただ、そこからまたデータを収集して、それをまとめた上で申請となりますので、もうしばらく時間はかかるかと思います。
○北村座長 先ほどの5番の件ですけれども、つい最近、薬事承認をいただいて、それなりにありがたいことですが、保険がつかないと、子どもに使うものですけれども、なかなか実際の病院では利用が難しいと思います。保険収載されるまでの間、薬事承認がおりている商品については医療者側はどのような使い方ができるのか、もう一度ちょっと確認したいのですけれども、医者も、輸入して国内で使うことについてはもう違法ではないですね。そこで、患者負担で使うという先進医療的なものがよさそうだという、いけるというような話もちょっと聞いたのですけれども、その辺ちょっと、保険収載がいつになるか、早く欲しいのですけれども、できない間をどのように薬事承認商品を医療側は利用できるかと。
○関野医療機器政策室長 経済課の関野でございます。
この品目は今説明ありましたように承認されましたので、会社のほうを含めて保険の中で使うことを希望していることもあり、経済課のほうに今相談に来ている最中です。したがって、まず手順から申し上げますと、一番近いところで、保険のほうの収載は3カ月ごとのサイクルで回して、1月、4月、7月、10月というのが標準になっていますので、今からの最短コースで言うと4月という時期が一つのターゲットポイントになろうかと思います。
ただ、その過程におきまして、資料のつくり方、あるいはいろいろな中医協含めて手続等がございますので、そのあたりは今のところ流動的ですが、現時点ではそういったスケジュール感で動いています。
一方、保険のほうで承認された後、収載されるまでの間にどのように使えるかということに関しましては、一応保険のほうの関係の書類が一通り出されますと、一定期間、いわゆる併用療養のような形で使うことも可能というのが一つの保険上のルールになっていますので、いわゆる混合診療と言ってはいけませんが、先進医療に近い形での自己負担を明確にした形での使い道というのは一定期間存在し得るという状態にはなり得ます。
このあたりも含めて、書類を受け取った時点ということでのタイミングでその物事がスタートしますので、今、事前のところで書類の整備をやっている最中ですので、現時点では、承認はされましたが、保険のほうのカバーはなく、いま仮に、今日時点で使うとなれば全てが自由診療という形になります。
○北村座長 全てがですね。それがいつから、その材料費だけを患者負担でもよいという混合的な使用に変わるターニングポイントは保険収載への申請ですか。
○関野医療機器政策室長 はい。
○北村座長 申請書類を保険局が受理したという日付からは、その分だけ患者さん負担したらいいわけ。しかし、申請が行われるまでの現時点、今日使いたいという人には全て病院側の負担で治療せよということ。これ、厄介なのですよ、本当に。場合によって、場所によって、返却せよとか、いろいろ難しい問題も起こり得るのですけれども、その辺、明確に、薬事承認前はわかるのですが、しかし、それだったら、今度、先進Bのところでやるのか。しかし、薬事承認されて保険収載までの間をどうするのか、それから、今おっしゃったように、薬事申請してから薬事承認までの間をどうするのか。保険収載されたら誰でもわかる。この間の利用の仕方、ちょっと明確にしていただけないかなあ。
○関野医療機器政策室長 繰り返しになりますが、もう一度だけシンプルに申し上げますと、書類を受け付けるか否かというところで、適用、一部、材料代か、それ以外のベースのところに対して切り分けされるということでの保険上の扱いがスタートします。それはむしろ、承認されたものが保険に完全に収載される前にできるだけ早目に使える状態にすると。ただ、フルには保険はききませんが、少なからず患者さんへのアクセスをよくするという一環で暫定的に始まっているルールでありますので、書類を受け取った時点で一部保険の中で使えるような状態が発生するということになります。
○北村座長 日本全体が、保険医療機関がやっている医療なので、明確に紙で示していただくということはなかなか難しいわけですか。
○関野医療機器政策室長 一応保険局と経済課も連名だったと思いますが、通知でそのあたりは書いていまして、ただ、これも一方で事務処理期間との関係があるのですが、240日という期間限定にはなっています。ですから、それまでに保険の手続を一通り終えて、保険がきくようになれば、通常の保険で3割負担で使えますけれども、ただ、結果が保険適用ということにならないケースもございますので、そのあたりは若干混乱が出るケースもあろうかと思います。一応通知にはなってございます。
○北村座長 この資料1という資料に、さらに保険収載申請というのが書いてあるとわかりやすいかなあと。これはまた担当課が違うからと言われるかもしれないけれども。この辺が複雑で。もっとも、なるほどというのは余りないのですが、これぐらいにしておこうか。何か御意見ありますか。
○千葉委員 例えば1年でも4年でもよろしいのですけれども、その間にバージョンがアップされていくといった場合に、それはどのような対応の仕方があるのでしょうか。やはり一から始めざるを得ないのでしょうか。
○北村座長 それも別商品として扱われる典型的なのが、ダビンチの機械ですね。ああいうロボットの機械なんかは、日本が承認した途端に新しいのが出てくる。それで、こういう会議で早く承認して、早くという形だけれども、やはり日本は保険収載しない限り、ほとんどなかなか難しい状況になるでしょうね。ですから、保険収載との関係と薬事承認との関係がまた物によっていろいろ違うし、その間どう医者側は取り扱うのかというのがちょっと僕は不明瞭だなとは思うのです。
また御意見あったら伺うことにして先へ進めたいと思いますが、それでは、引き続きまして次の説明を事務局のほうからまたよろしくお願いいたします。
○事務局 「平成23年、24年度学会等からの要望内容の概要一覧」という、右肩に資料2と書いてある資料をご覧ください。こちらも、前回からの変更点につきましては下線を付しております。今回新たに学会より御要望のありました品目を中心に御説明させていただきます。
2枚おめくりいただきまして、3ページ目をごらんください。?平成23年6月1日~9月30日要望分の品目でございます。23-18、日本小児循環器学会より御要望のありました、3ページ目一番上、白抜きとなっている品目でございますが、こちらは「要望品目に関する資料が未整備のためワーキンググループにて再検討」となっております。
もう一枚おめくりいただきまして、最後のページをご覧ください。24年の5月1日~6月30日要望分ということで、今回御議論いただく品目が記載されております。24-1を初め5学会より4品目について御要望が挙がっております。
 24-2につきましては、「要望品目に関する資料が未整備のためワーキンググループにて再検討」となっております。それ以外の品目につきましては本日御議論いただくことになっております。
?22-39、22-40、日本小児循環器学会より御要望のございましたバルーン拡張型ステント、こちらの2品目につきましても、「要望品目に関する資料が未整備のためワーキンググループにて再検討」となっております。
事務局からは以上です。
○北村座長 ありがとうございました。ただいまの御説明で御意見等ございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題3に進ませていただきたいと思いますが、ただいま事務局より資料2に沿って御説明がございましたように、本件は3つの評価レポートについて先生方に検討していただきたいと思います。
 お手元の資料ではまず資料3-?ですけれども、それを御参考になりまして、経血管的ステントグラフトシステムについてを、本日お見えいただいております曽我参考人のほうから御報告をお願いしたいと思いますので、曽我先生、よろしくお願いします。
○曽我参考人 よろしくお願いします。
私のほうから本日紹介させていただくのは、腹部大動脈瘤、もしくは腸骨動脈瘤に対するステントグラフトシステム、Aorfix Endovascular Stent Graftであります。資料3-?に従いまして、時間も限られていますので簡便に御説明させていただこうと思いますけれども、現在、承認状況といたしましては、米国でPMAに申請中、欧州ではCEマークを取得されて、既に実臨床として使われております。
対象機器の概要です。概要に関しましては、参考資料7、?24-1というものの中でネック角というのが出てきますので、ちょっとイメージしづらいので、絵を少し参照していただきながら御説明しようと思います。
参考資料7の?24-1のまず6ページを見ていただくと、既に承認されているステントグラフトシステムと、あと一番左側に今回申請させていただいておりますステントグラフトの写真が載っております。既に幾つかの種類のステントグラフトが腹部動脈瘤に対して承認されているわけですけれども、今回、早期導入に関して検討していただきたいという理由に関しましては、この一番左のネック角が、既存のデバイスは60°までであったのに対して90°まで、60°から90°までカバーできるようになったということ、その辺を早期導入を目指して検討していただきたいということでございます。
引き続き、資料3-?に戻りまして、対象疾患に関する項目に参ります。実際に腹部大動脈瘤のネック角が60°から90°ぐらいの患者様が実臨床においてどれぐらいいるのかというのの概算を書いております。ネック角に関しましては、先ほど見ていただきました参考資料7の24-1の4ページの上のほうの図にプロキシマルネック角という図表があります。腎動脈瘤の直下をランディングゾーンといたしまして、腹部大動脈の主なところまでをネックと言いますけれども、そこの角度がネック角ということになります。ここの角度が大きければ大きいほど、既存のステントグラフトを置いた場合にリークが発生しやすいということになっております。
実際の患者数の概算ですけれども、再び資料3-?の【対象疾患について】というところに戻っていただきまして、平成21年の6月に関して、腹部大動脈瘤に対して手術もしくはステントグラフトを施行された患者さんが619例と379例と報告されております。ですので、1カ月の間に約1,000人の患者さんが腹部大動脈瘤に対して手術を受けている。1カ月1,000人ですので、年間を通すと1万2,000例という概算になります。
ステントグラフトを施行された患者さんを400例と算出した場合に、400例の12カ月ということで、4,500から4,800例のステントグラフトを留置されている患者さんがいるということになります。その4,500例のうちネック角が60°以上であったという割合ですけれども、こちらのほうは日本ステントグラフト実施基準管理委員会のほうで約10%と報告されていますので、実臨床におきましては、年間4,500例分の10%ということは、450例ぐらいがこの対象機器の対象になるのではないかと判断しています。
また、手術もできない、ネック角が強くて適応でもないと言われて、降圧治療にて経過観察されている患者さんも実際にはおられますので、そういった患者さんを入れると500名以上の患者さんが適応になるのではないかと思っております。
臨床上の安全性と有効性に関しては、アメリカとヨーロッパのほうの文献を載せております。ネック角がなぜ大事かということに関しまして、リークの話をさせていただきましたけれども、再び参考資料7、24-1の7ページ目、図1というところのキンク試験というのがあります。ネック角が強くなるとリークが多くなるというのは、ステントグラフトって固い筒みたいなものですので、角度が急になると、折り曲げた場所がぺきっとキンクしてしまって、そこからリークが発生しやすい。今回のステントグラフトシステムに関しては、そういったところにも一応追従できるようになっているということになります。
図2を見ていただくと、青い絵ですけれども、リークに関して、既存のステントグラフトと今回御説明させていただているステントグラフトに関してのリークの試験の結果を書いていますけれども、強いネック角度に対してもある程度追従できるというような検査結果が出ております。
再び資料3-?に戻っていただきまして、アメリカのほうからはPYTHAGORAS試験、ヨーロッパのほうからはARBITER試験、安全性と有効性の評価の試験が行われておりまして、既存の開腹治療と比べまして、30日のモータリティ、あるいは安全性、あるいは再手術、リークに関して同等であったと報告されております。
以上のことから、本品の有効性、安全性に関して、特にネック角が60°以上という症例に関しては、既存の治療法、開腹手術と比較して、同程度と考えられますので、それに加えて、ステントグラフトというのは入院が短くて輸血や麻酔も低減するので、有効性は高いのではないかと考えております。
最後になりますけれども、【検討結果】です。本品は大動脈ネック角が60°以上の症例に使用される場合において、既存の治療法の開腹手術と比較して有効性・安全性は同程度で、さらに低侵襲であるということであります。
腹部又は腸骨動脈瘤の破裂は致死的で、破裂後は迅速な対応下でも救命が困難であることを考えると、疾患の重篤性はAと判断いたしました。また、既存の治療法と比較して、従来の大動脈のネック角の問題が十分対応できなかった症例に今後は対応できるということ、また、欧州では既に1,000例以上の症例に使用されているということを考えると、臨床上の有用性はBと判断いたしました。
以上です。ありがとうございました。
○北村座長 曽我先生、ありがとうございました。御説明いただきましたこの新しいステントグラフト、大動脈瘤用ですが、事務局から補足することはございますか。
特にありませんか。
それでは、皆さんから御意見を賜りたいと思いますが、まず、これは適応症として、ネックアングルが、曲がりが60°以上のものに限るというのをつけるのか、もちろん60°ないものでも使えますね。そうしたら、それにも使って、今もう既存の承認されたのが4種類ですか、5種類近くありますね。それぞれいろいろ名前ついているステントグラフトが。それと併用して使ってもらうのか、角度によって使い分けするのか。既承認の商品の使いも、先生方の好みによるところが結構あると思うのですけれども、そのあたり、先生どうお考えになっておられるのか。つまり、用途を使い分けした形で承認するのか、何でもやはり全部承認だということにするのか。それは企業は喜ぶかもしれませんが、60°以上に限るとするのか。
○曽我参考人 企業のことは僕自身はわからないですけれども、ニーズの高いということで早期導入を検討していただくという趣旨におきましては、通常の適応のない部分において、実臨床で既存のデバイスを工夫して使っている現状では、この部分においては少なくとも早く認めていただけないでしょうかということにはなると思います。
○北村座長 適応を限ってでも早くしてほしいということと理解してよろしいですね。わかりました。それでは、先生方の御意見を伺いたいのですが。
こういうものの早期導入に対して、今までの既存のものの導入についてはどれくらい日本でのフィージビリティテストをPMDAが要求してきたのか、ちょっとよく知らない点もあるのですけれども、これを何らかの条件つきで本会議で承認した場合の流れとか、あるいは、いわゆる臨床試験を幾つかやる、これはPMDAマターになるかもしれませんけれども、適応を60°以上のものに限るというようなことを決めたほうがよいのか、いや、新しいステントとして、ほかの5種類と一緒の第6種目として承認するのか、何か事務局のほうから御意見ありますか。委員の先生方の意向次第ということですか。
○事務局 事務局のほうから。企業の要望になってきますと、やはり0から90°までということを聞いております。
○北村座長 全部入れてくれやと。それはそうですね。この会でもそれでよろしいとするかどうか。
吉田先生。
○吉田茂昭代理 私は、そういう条件をつけるべきでないと思います。というのは、59°、58°とかいろんな話が出てくるのですよ。そうすると、48°でどうするとかいう話になって、適応がどうのこうのというのが非常に、結局は曖昧になることと、これが60°以上で対応できるということになると、ほかの製品が自然と淘汰されて使われなくなってしまうということもあるので、そういうことで言うと、あえてこれに条件をつけるという意味は余りないのではないかなと思います。
○北村座長 御意見だと思いますね。
どうぞ、中谷先生。
○中谷委員 同じことですが、やはり60°だけで切るというのが、まさに言われたとおりで、実際上、曽我先生にも聞きたいですけれども、60°から90°は適応としたときに、例えば59°か58°ぐらいのやつをどうするのか、2つ用意しなければいかんとか、かえって非常にややこしくなるように思うのですけれども、どうでしょうか。
○曽我参考人 それはもうおっしゃるとおりだと思います。
○中谷委員 実臨床で60°付近ということで、実際、今でも62~63°までやって、実際上は使われていると思うのですね。問題は、78°になったり。ただ、これは承認するということを促進するのであれば、90°以下であればOKという形にしないと、実情にも合わないと思います。
○北村座長 ありがとうございます。どうぞ。
○澤委員 これは90°までを可とするために素材的にはかなり従来のものと違っているのでしょうか。要するにこの耐久性(durability)ですね。耐久性が落ちるようなことがあって、そちらは犠牲にしてでも90°曲げられるようにしたとか、そのようなことがあれば、やはりその情報提供をする一方で、私は制限しなくてもいいのではないかと思います。こうした情報提供はしていただくほうがいいのではないかと思いますが。
○曽我参考人 先ほどのお話にも少し資料出させていただきましたけれども、?24-1にありますページ6ですね。各ステントグラフトの構造が書いていますけれども、ランディングゾーンに当たるネックの部分の構造が違うということになります。ここに輪っかがネックの部分についていまして、素材自体は特に違うということではなくて、デザインが違って、ネックに対応していると御理解いただければと思います。輪っかの部分が幾つかありまして、それを曲げると、小弯側というのでしょうか、ネックの角度の強い部分ではその輪っかが縮まってつながって近くなってくるような形で、反対側は伸びるというような感じで追従するという御理解でいいと思います。
○四宮委員 脊柱が短縮してくる側湾が、どんどん高齢になると進行するし、ますますこれから多くなると思うのですけれども、90°ぐらいで入らなかった症例とか、設置してもすぐにずれるとか、そういう報告はいかがなのでしょうか。
○曽我参考人 ここにもPYTHAGORAS試験とARBITERというヨーロッパの試験、2例出していますけれども、たしか?24-1の資料の中に具体的な手術の成功率が書いてあります。資料の中では、技術的成功、これは60°以上の、18ページ、?24-1、これはオールヨーロッパで行われた30例の前向き・多施設試験ですけれども、一番上、技術的成功は93.3%、2例の不成功例がありまして、不成功というのは、予定していたのではなくて、予定していたところよりもステントのネックが少し下にずるっと落ちてリークが発生したので、もう一個上に追加したということで、技術的な成功率が93.3と。ですので、そういった不成功例はあります。
○北村座長 ほかに御意見ございますか。
どうぞ。
○吉田純委員 ちょっと素人でわからないのですけれども、これはアングルは違うのですけれども、それ以外のところも変わっていますね。前の。今の既承認の1から5があるのですけれども、アングルだけではなくて、ほかの部分もちょっと構造が違うというような感じがするのですけれども、それはだんだんとよくなってきたということでしょうか。
○曽我参考人 そうです。基本的には置きやすくなっているということと、両足からアクセスするときに、片足のリブをとりやすい構造には変化してきています。とりやすいというのは、要するに手技時間が少し簡便で短くなってくる傾向はあります。
○北村座長 ほかにございますか。
そうしたら、現時点では反対という意見はないようでございますが、それでは、当委員会といたしましては、この新しいステントグラフト、腹部大動脈から腸骨動脈、腸骨領域にかけての新しい商品ですが、これを既存の5種類、第6種目になるのでしょうかね、はっきりとした数は言わないほうがいいと思いますが、既に承認されたものと同じ使い方という形で、それより前に、既商品の、6ページに挙がっている5つのものは全部用途は制限なしで、自由に選択できるように今なっているのですね。
○曽我参考人 はい。
○北村座長 これに使ってはならないとかいうような適応はないですね。
○曽我参考人 はい。腹部大動脈瘤に。
○北村座長 1番と5番とでは全然適応が変わるのだということは一切ないですね。そのときの口径とか長さとか、そのケースに応じて、あるいは医療者の、慣れているものとか、好みとかもあわせて総合判定の上で選択されているだけで、条件ついているようなものはないですね。どうですか、事務局わかりますか。
○事務局 学会からの要望で1点ございまして、腸骨動脈瘤単独症例に対する適応というのが載ってございまして、今まで、既存の製品の中には腸骨動脈瘤単独症例に対するステントグラフトはないということになっております。
○北村座長 腹部動脈瘤用だけれども、今回の商品もそうですから、ほかにもそういう特別な、例えば角度が何ぼ以下とかいうような条件のついたものがない以上、今日検討していただいている商品にも60°以下は使ってはならないような条件なしで、ほかと一緒に早期に導入してくださいと。医療者が求めているのは、角度の強いものに使うものが既存のものではリークが多いという観点から要望されているわけですね。その点を踏まえて、早期導入して、角度の強いものに対応できるようにするということで御承認いただけますか。
(「異議なし」と声あり)
○北村座長 ありがとうございます。そうしたら、条件なしで、ほかと同じように、目的としては、ありましたけれども、ステントグラフトの一つとして早期導入してくれという形で、あとは、どのような我が国におけるテスト、臨床試験を行うかはPMDA等の判断で、恐らく既存の商品と同等の扱いになるのではないかと思いますけれども、それで御承認いただくということでよろしいですね。ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、3-?の資料に基づきまして、気管支温熱療法装置という機器についての御説明を加藤先生のほうからお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○加藤参考人 よろしくお願いします。神奈川県立循環器呼吸器病センターで呼吸器内科の診療をしております加藤です。
今回、気管支温熱療法という、喘息の治療としてはかなり画期的な新しい考え方の治療についての評価をさせていただきました。資料3-?、評価(案)に沿って御説明いたします。
候補品の名称は気管支温熱療法システム。対象疾患ですが、吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬でコントロール不良な18歳以上の重症持続性喘息患者ということになっております。
当然ですけれども、全ての喘息患者ではなく、薬剤療法がかなり進歩した領域ではあるのですが、現在の薬物療法をもってしてもなおコントロールが不良であるという成人患者に限られています。
使用目的としましては、気道壁を熱エネルギーによって計画的に加温し、気道平滑筋組織を減少・減量させ、部分的に消退させることにより喘息の症状を改善させるとあります。
重症の長期間喘息になっている患者さんの場合にはリモデリングという変化が起こっておりますので、単に炎症をステロイド剤等でとるということだけでは、もう症状が回復しないために、このようなリモデリングした平滑筋のボリュームリダクションを図るといったような考え方になります。
具体的な装置については、検討会資料で?24-3、24-4という資料をごらんください。まず、1ページ目、「製品の概要等」とございますが、システムの全体図、それから実際のカテーテルの先端部の提灯型に開いた電極の部位ですね。あと、添付資料1の9ページから11ページにかけて図が幾つかありますが、この電極のついたシステムをハンドルがついた形で操作して気管支内で操作するという図がございます。添付資料1の9ページから11ページをご覧いただきたいと思います。これに沿って再度説明させていただきます。
この機械の概要としましては、まず、気管支壁を加温するということになりますので、このシステムを用いて通常の軟性気管支鏡で気管支鏡手技を行いまして、葉気管支まで挿入して、そこでこの電極を膨らませて、操作により実際に通電を行う。そうしますと、熱エネルギーが発生して、気管支壁内の平滑筋のボリュームが減っていくという考え方であります。
実際には3週間以上の間隔をあけて、3回、気管支鏡を行って、この治療を3つの部位に対して行います。3つの部位は、右の下葉、左の下葉、それから両側の上葉と3回に分けて行いますので、治療は9週間で全治療が終了するという形になります。
現在、海外での承認状況としましては、2010年に米国、それから、欧州でも同じく2010年、適応疾患は若干違っておりまして、米国は、本邦での学会からの要望どおりの重症の成人喘息に限られています。
再び評価(案)に戻りまして、評価(案)の2ページから対象疾患について御説明します。現在、喘息全体としては80万人を超える罹患患者のあるcommon diseaseでありますけれども、複数の薬剤をもってしてもコントロールができない重症患者と定義される患者さんが大体全体の5~10%。年間2万5,000人から3万人程度おられると考えられていますが、一方、そういった患者さんはなかなか治療をしても重症でして、実際に現在も年間2,000人以上の方が喘息死に至っている状況でありますし、多くの方は、学業ですとか勤務といった形の社会生活が喘息発作によってかなり脅かされているという現状であります。ですので、こういった方に新しいデバイスがないだろうかということで、この機器が開発されたのだろうと思います。
医療上の有用性についてですが、(案)の3ページ、4行目から御説明いたします。今回は、熱エネルギーにより平滑筋を減少させる形で行われたこの治療ですが、臨床試験としましては比較試験が行われています。重症の患者228人を対象として、プライマリーエンドポイントとしては、喘息関連QOL、それから、客観的な喘息の悪化を指標として無作為化シャム対照比較試験が米国で行われていまして、喘息関連QOLの改善がすぐれている。さらに、客観的指標として、喘息発作に基づく救急受診ですとか、通勤・通学を阻害される日数などの評価項目でも良好だということであります。
一方、有害事象としては、手技実施後数週間は喘息に関連する症状の悪化、感染、無気肺などが温熱療法群に多く見られていますが、これは長期的には改善しているということであります。
国際的なガイドラインでありますGINA2011に本治療法が選択肢として示されていますが、ガイドライン上には長期の安全性のエビデンスがまだ十分ではないとあります。試験そのものがまだ数年前に行われたもので、2011年に治療後2年間のフォローの論文が発表されていますが、そこでも効果は持続していて、副作用も許容範囲であると報告されています。
なお、気管支温熱療法は、一般的な、私たちが日々行っている気管支鏡手技の範疇に入るものでありますので、治療としては、国内の呼吸器の専門診療施設では十分実施可能なものと思います。
その下は最終的な検討結果ですが、今回、学会からの要望として求められている対象として18歳以上の喘息患者というのは、過去のエビデンスから適当と考えられます。
疾患の重篤性としましては、難治性重症喘息は死亡する可能性のある重篤な疾患ではあるのですが、全ての方が致死的だということではありませんので、重篤性はBと判断しています。
医療上の有用性に関しては、有効性、安全性が海外での臨床試験で行われ、一般診療で既に用いられていることから、有用性はBと評価しています。
まとめになりますが、本邦で日常的に呼吸器内視鏡を実施している多くの施設で重症気管支喘息の発作制御と病状安定化が期待される本品の有用性は高く、早期導入が適当と考えます。
以上です。
○北村座長 加藤先生、ありがとうございました。
それでは御討論をお願いしたいと思いますが、ちょっと事務局のほうにお伺いしたいのは、この資料3-?にある適応疾病の重篤性と医療上の有用性、一番最後に書いてあるのは、ABCでなっていますね。ところが、先ほど御説明いただいた大きな長い紙の4ページ目、疾病の重篤性、医療上の有用性はアイウになっている。これはどういうことか。前のワーキンググループで評価のときはABCだったと思うのですね。BBはどうのと、Cがあったらもうそれは後回しだとかやっていましたね、佐藤先生。ところが、今度の、アだのイだのウだのになっているのだけれども、これは何で。
○佐藤委員 学会の要望では、アイウで来ているのですね。ワーキンググループから出すときにはABCにさせていただいて、これは前からもそうだったと思います。
○北村座長 そうしたら、これはAがアに相当するという注釈がないとわからんなあ。もうそろそろ統一してはどうですか。今、佐藤先生からありましたように、学会のほうとワーキンググループのほうとのあれでしたけれども、今は学会の方の参考人も説明が多くなってきていますので、こっちには同じテーマの、24-4という4ページ目の大きな表、A3判の、ここにはイ、イと書いてある。これがB、Bに相当するというのはわかりますよ。わかるけれども、これは統一するか、これで残さないといかんという理由があるのかどうか、ちょっと検討していただいて。私としては、もう統一していただきたいなとは思うのです。
○浅沼医療機器審査管理室長 室長です。今の座長の御意見を尊重いたしまして、少し私どものほうで預からせてください。確かに、今、ワーキンググループの佐藤座長からもお話ありましたとおり、学会からの要望とワーキンググループの評価ということで、一見してわかるようにはなっていますが、逆にそれがわかりにくいという話であれば、その御指摘もわかりますので、また少しお時間をいただき、次回以降にお示ししたいと思います。すみません。よろしくお願いします。
○北村座長 定義がなくなってくると、やはり疾病の重篤性、Cが一番重いのかとふっと思う人もおると思うしね。よろしくお願いいたします。
それでは、本来のこの装置についての御議論をいただきたいと思いますが、御意見ございますか。
どうぞ。
○葉梨委員 僕は内科でないのでちょっと素人の質問になるかもしれませんが、中葉を避けるのは、まずどうしてですか。
○加藤参考人 中葉は、狭いために、おそらく閉塞してしまう危険があるということだと思います。中葉というのは一番気管支の内径として狭いものですから、構造上、中葉に当てると通電が多くなり過ぎて、おそらく加温し過ぎるということだと思います。それともう一個は、中葉というのは実際の気管支のうち非常にわずかですので、喘息患者の気管支狭窄のリスクに寄与する影響としては少ないという判断だろうと思います。途中から中葉を避けて臨床試験が進められています。
○葉梨委員 ふだん、お風呂に入ったりするときに、すーっと気管が通るようになるのをよく風邪なんかのひどいときに経験するのですが。僕は加湿のためかなと思ったのですが、ああいうのも、熱、これは同じような原理なのでしょうか。平滑筋が。
○加藤参考人 おそらく、これはかなり筋肉そのもののボリュームを下げるということです。通常の加湿による、加湿というのはちょっとこの研究とはかなり離れてしまうと思うのですが、気道のクリアランスを改善させるために加湿が重要ですので、例えばネブライザー治療というのも喘息治療で用いられることがあるのですが、それは加湿のみの影響が大きいのではないかと思います。お風呂は加温というよりも加湿の影響ではないかと思います。
○葉梨委員 すみません。もう一つだけお聞きしますが、こういう機械が通常非常に高い印象を受けるのですが、これは大体どのぐらいですか。普通の人が使うにはどのぐらい負担になるのか。本体とこのカテーテルですね。費用負担です。
○事務局 カテーテルのほうですが、ディスポで、米国では2,500ドルと聞いております。
○葉梨委員 日本円で言うとどのぐらいですか。
○事務局 20万から25万ぐらい。
○葉梨委員 20万から25万ですか。これは3回とも同じものを使えないのですね。一回一回別ですね。
○事務局 別々だと思います。
○葉梨委員 75万ぐらいが最高かかるかもしれないということですね。本人はね。それから、機械はどのぐらいですか。
○事務局 ちょっと確認が必要でありますので、確認させていただきたいと思います。
○北村座長 それでよろしゅうございますか。
 ほかに御意見ありますか。
○吉田茂昭代理 ちょっと参考人の先生にお聞きしたいのですけれども、どうしてもメカニズムがよくわからないのですけれども、気管支喘息で、重症の患者さんで、傷んでいる気管支というと相当末梢までいかれているのではないかなという気がするのですね。気管支鏡で見て入れられる範囲で言うと、かなり太い気管支に限られてしまいますね。だから、そういうことを温熱することで、肺全体というか、気管支全体の機能がよくなるというのはどうも理解できないのと、それから、データを見てみると、ベースラインと12カ月後の値を見ても、BT群もシャム群もそんなに変わらないような数値に見えてくるし、どこが有意だったのだろうと思って一生懸命探しているのですけれども、有意差がないのですけれども、どこを見ればいいのでしょうかね。その2つ。
だから、メカニズムが何%ぐらいのところをいじっているのかということと、それから、要するにこういうシステミックな病気ですね。両肺野がやられていて、どこか局所的に問題があるのだったら、その局所療法みたいなのはいいでしょうけれども、両肺野に温熱、結局は全部やるわけですから、それで効いてくるメカニズムがどういうことなのかということと、それから、どこを見たら一番差がわかるか、この参考資料6の中の資料でちょっと教えていただきたいなと。
○加藤参考人 まず、1点目の中枢気道の狭窄をとるだけで喘息の患者がよくなるのかというのは、一つの考え方としましては、通常の喘息は慢性炎症そのものですので、薬物療法によって治療する。それは、中枢気道だけではなくて、呼吸器の全ての平滑筋を有するレベルになると思いますが、リモデリングをした患者の場合には、当然、リモデリングというのは末梢の気管支では余り影響が出てこないので、より中枢に近いところの平滑筋を対象にしてこの治療法が開発されたのだろうと考えます。
○吉田茂昭代理 あと、データをちょっと教えてください。
○加藤参考人 データとしましては、比較的わかっていただきやすいのが、添付資料3にNew England Journal Of Medicneに出た試験のグラフがございます。
○吉田茂昭代理 62ページのこれですか。
○加藤参考人 こちらの23、24ですと、添付資料3ですので、New England Journal Of Mediceneの資料ですと、1,327ページから始まるものと、客観資料としましては、1,333ページ、Figure2などで、客観的な急性悪化が治療後にどの程度おさまっているか。例えばそれのBをご覧いただきます。治療しますと、治療後も重症の喘息発作が起こっていないといったような客観指標として提示されています。
○北村座長 これは結局、熱で、収縮の原動力になる平滑筋を殺して焼いているわけですね。理論的には。
○加藤参考人 リモデリングしていますのは、厳密には肥厚した筋を減らすことによって、物理的に広げることで、わずかな炎症を起こしても重症喘息を起こさせないという考え方だと思います。ですから、閾値を上げる、もともとの狭窄を物理的なのを解消するという考え方で、時々起こる急性悪化のわずかな炎症によっても重症発作にさせないという意味だろうと思います。
 あと、先ほど、この図が分かりにくいということで、もう一点、今の添付資料の8に長期予後に関する図がございまして、ANNALS OF Allergy, Asthma & Immunologyという資料の、論文のページ数ですと68ページに、この手技を行った後のイベント、喘息発作などによるイベントのKaplan-Meierグラフがございます。このグラフですと、一番下がシャム、1年ぐらいでやはり、最初治療した後でイベントが1年にわたって少しずつ差が開いているのがごらんいただけると思うのですけれども、実際に介入しているのは最初のタイミングだけですので、比較的長期にわたって発作の抑制ができているということだろうと思います。
○北村座長 実際、日本でこれを使っておられる先生というのもおられるのでしょうか。個人輸入等で。
○加藤参考人 私が把握している限りはまだだろうと思います。
○北村座長 わかりました。そうしたら、適応としては、やはり吸入ステロイド、あるいはβ2刺激剤でコントロールできない18歳以上という限定でよろしいですね、これは。
○加藤参考人 はい。
○北村座長 いかがでしょうか。
 どうぞ。
○四宮委員 論文によると、5年まで安全性があると書いてありますけれども、これは1回だけの治療なのですね。
○加藤参考人 治療介入は1回だけです。
○四宮委員 何回もやっては絶対いけないわけですね。
○加藤参考人 それの安全性については全くわかっていないと。
○四宮委員 わかりました。1回ということですね。
○北村座長 どうぞ。
○釘宮委員 私、麻酔科医なもので、喘息というのは非常に怖い病気だと思っているのですけれども、この治療中に重篤発作が惹起されたとか、そういう報告はないのですか。物理的な刺激でかなりのものだと思うのです。
○加藤参考人 治療周辺器の有害事象は、これは、比較試験そのものはシャムとコントロールをしていますので、テクニカルには、物理的な、さわる刺激は両方しているのですが、それでも実際に温熱療法した群のほうが、出血ですとか喘息のイベントは若干多い可能性があります。ただし、重篤で、致死的なものというのはほとんどないものですから、その後、数週間の経過でその差はほとんどクリアーされるという形でまとめられています。
○釘宮委員 ほとんどないということはゼロではない。
○加藤参考人 死亡はゼロだったように思います。
○釘宮委員 喘息の発作が患者さんに起きてしまって、治療できないということはないわけですね。
○加藤参考人 ええ。これはシャム群も含めて手技中に発作の誘発は起こっております。
○北村座長 どうぞ。
○葉梨委員 たびたび済みません。どのぐらいの熱をかけるのですか。
○北村座長 バスケットカテーテルみたいなもので、円周的に65℃を10秒間。
○葉梨委員 喘息の人というのは、点滴なんかもなかなか入りにくいとか、組織は脆いような印象を受けるのですが、そういう気管なんかが、そのやった後にどういう変化を起こしているかということは、大丈夫なのでしょうか。
○加藤参考人 動物実験のデータは幾つか示されていますが、人の組織でどういった検討があるかというのは、いただいた資料の中にはありませんので、ちょっと私もわかりかねるのですが、少なくとも先ほどの2年間のフォローなどを見る限りは、私どもが心配するような重篤な問題は起こらないようです。
○北村座長 ほかに御意見ございませんか。
よろしいでしょうか。
それでは、この適応症に限るという形で、この気管支温熱療法システムの早期の導入を御承認いただけますか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○北村座長 よろしいということでございますので、実際、我が国でどれくらい経験のあるものかわかりませんのですが、米国もPMA承認になっていますし、欧州でCEマーク取得という、これは両方そろって、しかもPMA承認というのは医療機械では最近割方少ないほうで、いいデータがそろっているという形に属するだろうと思いますので、早期導入のほうでお諮りいただきたいということでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、3-?の資料をごらんいただきまして、経頭蓋反復磁気刺激によるうつ病治療装置について、三國先生のほうから報告をお願いいたします。
○三國参考人 本日は、こういう貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
私はうつ病の治療にずっとかかわっている者なのですけれども、うつ病という疾患は、抗うつ薬を使って薬物的に治療するというのが原則でありますけれども、同時に、支持的な精神療法とか認知行動療法をやりながら、通常、治療しております。
ただ、もう一つの治療の選択肢として物理的刺激で治療するということがありまして、抗うつ薬がなかなか効かないといった症例に関して、麻酔科の助けを借りて、修正型の電気けいれん療法という治療をするという、物理的な刺激で治療しているということがありますし、それから、冬期うつ病といって、冬の期間に繰り返し毎年うつを起こす人たちに対して光療法という物理刺激を加えることによって治療するというように、薬物療法と精神療法と、それから物理刺激療法、こういったものが精神科のうつ病治療の中には用いられているということでございます。
きょう御審査いただきたいのは、経頭蓋反復磁気刺激によるうつ病治療ということでございます。装置に関しては、24-5、「ニーズ検討会企業資料」の4ページを見ていただきますと、機器の概要が載っております。
後ほどそれについて御説明しますけれども、そこから少しめくっていただきますと、8ページに「当該機器の特性、位置づけ、ガイドライン『日本におけるガイドライン』」と記載されておりまして、2007年に、こういう磁気刺激による委員会からガイドラインが示されているのですが、この委員会は、そのページのちょうど真ん中辺、1998年に「経頭蓋高頻度磁気刺激の安全性と臨床応用に関する提言」ということで、日本の臨床生理学会が中心となって、神経内科と精神科で、こういう高頻度の磁気刺激について安全性の検討会を始めて、この中では、神経内科でありますと、パーキンソン病、それから、脊髄小脳変性症、これの磁気刺激ということがずうっと検討されてきましたし、精神科のほうではうつ病を治療対象として研究してきたところでございます。
それで、今回検討いただく前に、もう一つ、ニューロスターという機器が、全く同種の機器でありますが、これがFDAを通ったということもあって、NHKでもこういう新しい治療法について放送し日本で積極的に導入したいというような世論も非常に高くなってきたということもあって、私たちとしては、随分時間かけながら慎重に検討していたものでありますけれども、FDAを通ったりもしているということなので、積極的に学会としてこういう申請をしようという流れになったということでございます。
また機械のほうに戻っていただきますと、24-5の資料の「機器の概要」で、この椅子のところにコイルCool-B65と書いてあるのがご覧いただけると思いますが、ここのところに八の字のコイルがおさまっていて、このコイルに瞬間的に電気を流しますと磁場ができて、そうすると、ファラデーの電磁誘導の法則に従って脳の中に電気が発生する。ですから、NHKは磁気刺激とそればかり言っていたのですけれども、脳の中ではこの磁気誘導によって電気刺激がされるということでありまして、日本で電気刺激に関しては修正型の電気けいれん療法を昔からやっているわけですから、何も新しい治療でなくても、日々そういう治療は必要に応じて行っているのですが、ただ、修正型電気けいれん療法ですと麻酔科医がいないとできないということで、精神科の医療施設の中で非常に限られてしまうことと、もう一つは健忘を残しやすい副作用が知らされているのですね。
ということがあって、意識清明下で自分で磁気刺激しながら、自分の脳を電気刺激する。磁気を通して電気刺激するということで治療ができるのであれば、健忘を残すこともないので非常に有効性が高いということもありまして、これはぜひ早期に承認いただけるようなプロセスに乗せて御検討いただこうと考えた次第でございます。
それで、うつ病に関しては、診断基準が非常に曖昧だとか、いろいろ御指摘があろうかと思います。実際、私たちが学生のころ、うつ病という病気を習ったときには非常に狭い範囲の病気のことを言っていたのですが、ICD等の診断基準が拡大してしまったと言われます。本当は拡大してなくて、従来、内因性と言っていたものと相当するようなメランコリー型をちゃんと特定すれば非常に狭い範囲になるのですけれども、でも、そういった特定をしないでうつ病診断をするため拡大しているので、その中で治らない治らないと言っているのは非常に問題なわけです。ですから、的確な診断に基づいた、しかし、抗うつ薬を十分量使ってもよくならない患者さんがいらっしゃることも確かで、電気刺激療法も従来から行われているわけですから、それに同等のようなこういう物理的な刺激の治療法が新たな選択肢として入るのは非常に望ましいのではないかと考えているところでございます。
海外の承認状況に関しては、今回御提案させていただいているマグプロというこの機械に関しましては欧州のCEマークを取得して、成人の大うつ病性障害で、現在、うつ病エピソードにある患者さんで、2種類の抗うつ剤の、「最小」と書いていますが、ここは「最大」の間違いですが、最大有効量及び期間以上の投与によっても満足いく改善が得られなかった患者を対象にするという限定を設けて承認されているということでございます。
医療上の有用性に関してでありますけれども、ただいま申しましたように、抗うつ薬の治療抵抗性うつ病は、自殺のリスクも高く、あるいは貧困妄想などの精神病症状を有する率も高いということがありまして、従来から有効性の高い治療薬として、mECT(修正型電気刺激療法)を用いておりますが、麻酔薬や筋弛緩薬の処置下で実施するために、麻酔科医の確保が必要であって、実施できる施設が限定される。副作用として健忘を残すことが多いというわけであります。
一方、抗うつ薬治療抵抗性うつ病に対して、経頭蓋反復磁気刺激、rTMSと訳しますが、これはFDGのPETだとかスペクトで脳の代謝や血流を見ますと、前頭葉の左背外側部が低下しているということが非常にうつ病では多い、高率なのですね。そこはワーキングメモリのまさしく中枢で、実行機能がある場所ですから、何かやらなくてはと思いながらも体が動かない、頭が回らないといううつ病の精神症状の一つの病態部分だろうと考えられているところなのですが、10年ちょっと前から、そこの左側の背外側部にこのrTMSを行うとうつ病が改善し、なおかつ脳血流がふえるというのが出てきて、それで世界的に非常に注目されましたし、うつ病の病態の一部分の局在が、そういう意味では明らかになったという意味でも非常に関心が多く持たれた治療なわけです。ですから、左側の前頭葉の背外側に10ヘルツ以上で高頻度刺激して治療するというのが一般に今行われていて、二重盲検試験でその有効性を明らかにしております。そこにはSchutterの報告が載せてありまして、メタ解析まで出るぐらいたくさんの検討が行われております。
今回申請がありましたマグプロというこの機械を使った成績に関しては、24-5の10ページから11ページにかけて、Fitzgeraldたちの論文が添付されております。これは左側を高頻度刺激し、右側を低頻度刺激するという方法で、二重盲検を行った試験の成績が提示されておりまして、11ページにその成績で、プラセボの赤いラインに対して、実刺激のほうが青いラインで、その有効性が示されております。この方法も非常に将来的には重要なことで、右側を低頻度刺激して、交連線維を介して左側を賦活しながら、なおかつ左側を高頻度刺激するということで、高頻度刺激の量を減少させて、同じような有効性を導き出せるのではないかということで検討されている種類のものでございます。
いずれにしても、こういう、左側だけ、あるいは、左右を高頻度と低頻度で刺激するという方法を使った治験がずうっと進められてきて今日に至っているということでございます。
うつ病という疾患の中に抗うつ薬がいろいろな種類で出てきましたけれども、有効性が最初から出てくるのは70%、どうしても症状が残ってしまう人たちが30%ぐらいはいるということがあって、その中で精神療法をいろいろ組み合わせてやってみたり、こういう物理的な刺激療法をやったりというのが実際の診療で行われている中で、このrTMSが日本でも使えるようになるということが大事なのではないかと考えているわけです。
検討結果について読み上げますと、対象を成人の抗うつ薬治療抵抗性単極型障害かつ中等症以上のうつ病エピソードないし大うつ病性障害として、使用目的を、「成人の抗うつ薬治療抵抗性単極型障害かつ、中等症以上のうつ病ないし大うつ病性障害」の患者さんの前頭葉背外側部にrTMSを適用することによって、うつ病を改善することを目的に使用することとした場合に、rTMSの適用となる対象患者さんの自殺のリスクが高く、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であることを勘案すると、疾病の重篤性はBと判断されるということであります。
それから、医療上の有用性については、mECTを用いた既存の治療法で問題となる全身麻酔・筋弛緩の必要性や処置後の副作用である健忘の発生を勘案すると、肉体的・精神的な患者負担の観点で既存の治療法より有用性が高いため、Bと判断した。なお、本品の導入に当たっては、重症度や異種性に関して的確に診断を行うことが必要であることから、抗うつ薬治療抵抗性の大うつ病性障害であるうつ病を的確に診断する医師の専門性が求められることに留意すべきである、ということでございます。
参考資料6の24-3、これは学会のほうで準備したものではありますけれども、88ページを見ていただきますと、導入に際して医師の技術の要件であるとかトレーニングの必要性とかこういったものが、mECTに関しても、日本精神神経学会、あるいは総合病院精神医学会でそういう講習会をやったり何か参考になる研修をしながら実際に行っているところでございますので、こういった機器を導入するに当たっても、医師の技術要件、あるいはトレーニングの必要性ということでございますが、これは学会のほうから出ている資料でございます。
○北村座長 ありがとうございました。ということで、この機械は新しい領域の治療法として、社会的にも、米国でもそうでしたけれども、大変注目を受けている機械なのですが、まず、事務局から追加するべきことございますか。
ちょっとお聞きしたいのは、マグプロというこの機械は末梢神経と中枢神経の誘発反応検査機器として、認証制度でレベル何ぼで承認されているのかな。
○事務局 クラス?になります。
○北村座長 今度これを治療機器として承認するのには、薬事では変わるのかな。
○事務局 おそらく?でいけるだろうと思いますが、これから検討の余地があります。
○北村座長 そうだね。そうすると、正直言うと、適応外使用についての審査ということになるわけですね。ただ、皆が心配しているのは、御意見あると思いますけれども、非常に大量の患者の可能性が高い上に、既にニューロスターという機器で、NHKの番組、あれ、やれと言ったのは実は僕なのですけれども、そうしたら、実際、日本で医師主導的に導入されてやっておられるところがあるのですけれども、我が国では、こういったうつ病に対する磁気刺激というのはどの程度行われているかおわかりになりますか。
○三國参考人 現状ですか。
○北村座長 現状。例えば薬事承認されてない機械、厚労省はつかめないのですよ。これは僕は問題だと思っているのです。
○三國参考人 それは非常に大事だと思っておりまして、学会からの要望書に研修の必要性をあげている点を御指摘したのもその点であります。国立精神・神経医療センターの理事長の樋口先生から電話がありまして、実は非常に乱用されているのではないかという危惧があるのだということで、こういうワーキンググループのほうでもどうなっているかというような問い合わせがあったくらいであります。
なのですが、少し勢いがおさまったのかもしれないのですけれども、自由診療で使われていると伺っております。しかも対象が、自分が希望すればどんどんやってしまうなんていうようなことになりますと、これは本当に副作用や何かについても大丈夫なのかと。これは電気刺激でありまして、ピップバンの磁気をやっているわけではないわけですから。考えられるのは、前頭葉のけいれん閾値が下がってしまう。キンドリング現象が起こって、けいれんが起こりやすくなるということさえ、全くないわけではない。つまり、もっと高頻度の磁気刺激をして、磁気刺激性けいれん療法というのは欧州ではやっているのですね。ですから、そういったことは起こり得るのです。そういったことを考えますと、相当これは慎重に、やれるところを限定しながらやっていくということが必要ではないかと考えております。
そのために、先進医療か何かに入れてもらって、一方、薬事のほうはこちらのほうで検討するというようなことで限定したところで、とにかく安全にやってくれるところをしっかり絞って、先進医療の範囲で個人負担でかかれるところが現に日本に存在するというふうになっていけば乱用は防げるのではないかという話をしております。
○北村座長 実際、患者さんがたくさんおられるという、NHKの番組でも報告がありましたけれども、自由診療として、確かに副作用は少ないのでしょうから行われているのが実際医療として、あるいは科学的な治療法として、やはり先生方の専門の人たちがちゃんとしたガイドラインをおつくりになって、最終的には我が国で保険医療すべきものかどうかという判断までをぴちっとやっていただくことが必要な時期になっているのではないかとは私も思いまして、今回の御提案、それをやるためにもということですけれども、ニューロスターというほうはもうほうっておいていいのですか。
○三國参考人 いや、ですから、先進にこういった機器を。
○北村座長 先進医療には申請ありませんよ、今のところ。
○三國参考人 それを今検討しているところなのです。それをしないと、ニューロスターのほうの乱用は防げないのではないかと。乱用と言っては、実態、僕も全部把握していませんけれども。もう一つの問題は、プラセボ効果がかなりあるのです。パーキンソンでさえあるのです。パーキンソンで、厚生科研でrTMSをやったのですけれども、これでも主観的な改善度のところは相当プラセボがあります。それを考えると、本当に乱用されてしまう可能性があるので、早くにちゃんとしたところが、これやっていますという、しかも負担をそんなになしにできるところをちゃんとつくりながら、薬事のほうの承認にきちんと持っていくという方向にしたいと思っております。
○北村座長 88ページでちょっと御説明いただいたですが、学会ガイドラインは必要であるということでありますが、精神学会か、うつ病学会か、そこら、連合したガイドラインの作成、こういう磁気刺激療法のはどの程度進んでいるのでしょうか。
○三國参考人 日本精神神経学会に関しては、mECTの委員会がございまして、そこで、このrTMSについてのガイドラインもつくろうということで検討は今始めているところでございます。
○北村座長 まだできてはいない。
○三國参考人 まだできていません。それから、うつ病学会のほうも、同じように、共同してやろうということになっている段階です。
○北村座長 わかりました。御意見、どうぞ。
○吉田純委員 磁気刺激、いろんなところで使われて、いろんな病態での使用が検討されています。うつ病に対して、責任病変の部位はどのように考えておられますか。また作用機序はどのように考えておられますか。一方、DBS(電気刺激療法)でのうつ病治療は海外で行われていますが、それを日本でやるかどうかは問題になっています。それを踏まえて現時点では限られた施設で、限られた専門医から始めないといけないと思います。承認した場合にはどんな基準でやられるのでしょうか。
○三國参考人 病態に関する話をちょっとお話ししますと、前頭葉の左背外側が、実行機能というところが落ちるというのは割と共通しています。もう一つは、辺縁系の中の特に扁桃体が非常に過剰に興奮して不安が強まる。あるいはいろんな出来事に対して過剰に反応してしまう。それを抑えているのが前部帯状回なのですが、その機能が弱っていることも知られています。ですから、大脳皮質と辺縁系と、そして視床下部・下垂体・副腎皮質系、このようにうつ病という病気の病態というのは階層状につくられていて、前部帯状回のところの機能が落ちているところをDBSで刺激して扁桃体を抑制するというやり方での治療のことが病態の機序としてはあり得ることになります。それとrTMSはちょっと違って、rTMSは背外側を刺激して実行機能をよくするという、そういう差があるということでございます。
そういう脳機能や治療上の有用性と有害なところをきちんと理解して、mECTの経験もちゃんとある、そういう人たちにこのrTMSもちゃんとやってもらおうというところで、まずそこの点から広げていくということを考えているところでございます。
○北村座長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。
○葉梨委員 僕はまだこの委員会に入ったばかりでよくわからないのですが、こういうのは、例えば臨床報告なんかが余りないとか書いてありますけれども、治験をこれからやるようになるのですか。先ほどの肺のもそうですが。
○北村座長 いいえ。治験というよりは、これは基本路線、事務局のほうから説明いただいたほうがいいと思いますが、米国、あるいはヨーロッパで、FDAが承認しているか、あるいはCEマークをとれているか、そして既に欧米で使われている医療機器が我が国では使えないという患者さんのいろいろな御不満を少しでも厚生労働省として解決したいということで、早期の導入委員会、この委員会で、早くこの機械を導入してくれということを要請するわけです。
そうしますと、PMDAのほうがその要請を受けて、早期導入に必要な臨床試験は何例要るのか、我が国の患者さんにうまいこと合うのかどうか、その辺の判断を、そのまま直輸入する、OKである場合もありますけれども、ほとんどは、どのようなデータを出してほしいとかPMDAで要望いたしまして、そして安全性・有効性の確認を経て薬事承認するという形になっております。ここの会では、我が国の患者さんに、欧米で使われている、そして欧米が承認した機器を早く使えるようにして差し上げたいという意図から発足しているということです。
○葉梨委員 1,000台も使われているとか、そう書いてあるわけですけれども、そうすると、外国でやられた分析結果だけでOKするかどうかということにして、もう患者さんにすぐ使うわけですね。
○北村座長 いいえ。やはりFDA承認か、あるいはCEマークをとれているか、少なくともどちらかがないと対象にいたしません。米国の治験中、ヨーロッパも治験中というものは対象にしません。
○吉田茂昭代理 それで伺いたいのですけれども、これはイチヘンというか、適応拡大ではないですか。今では未承認のやつを対象にしていたのですけれども、今後は適応拡大もここの場で取り上げるのですか。
○事務局 既にこの検討会の対象範囲としましては、新しいものももちろん含んでいますけれども、適応拡大も含むということで、この検討会を今実施しているというところになります。具体的に参考資料2のほうに、そもそもこの検討会の開催要領がございまして、この検討会においては、国内未承認又は適応外の医療機器等ということです。
○吉田茂昭代理 薬と一緒になったのだ。薬も適応外やるので、並びで適応外をやると。
○事務局 はい。
○北村座長 よろしゅうございますか。ほかに御意見。
○千葉委員 この文章の中に、「世界的にも客観的補助診断法が確立されていない」ということを述べておられますね。2ページの真ん中よりちょっと上でしょうか。ですから、これはある意味では主観的というか、その経験で診断されているということになりますね。ですから、ある治療を行うべきかどうかの判断、それから、この治療を行ったときの効果の時間的経過の判断とか、これはやはり、学会としてはガイドラインの中に資格者を決めて、あるいは施設を決めてやるという方向で今動いているのでしょうか。
○三國参考人 御説明します。残念ながら、精神科の診断は、世界的に見ても問診によって診断しています。精神病理学的に診断しているということでございます。補助的な、客観的な診断法をつくるということが我々にとっては課せられた大きな課題で、先ほど来話題になっていましたFDAのPETを使ったり、スペクトを使ったり、MEGを使ったり、あるいは近赤外線スペクトルスコピーを使ったり、あるいは3次元のMRIを使ったりということで、いろいろみんなでやりながら、何らかの形でちゃんと補助的診断法を認めてもらいたいと研究しております。エビデンスはかなりあるのですけれども、研究段階だということで今まで認められていません。
群馬大学が提案した近赤外線スペクトルスコピーによるうつ症状の診断補助が先進に入っているのが世界で唯一です。日本でこれができたために、十数カ所で日本でやっていますけれども、ネイチャーが取材に来て、日本では随分おもしろいことを始めたということで世界的な関心を集めて、昨年1月号のネイチャーに載っています。
というぐらいで、だから世界的にないのです。世界的にないのですけれども、でも、薬物療法でも非常に有効性のある薬物療法をちゃんと行っていますし、物理的刺激療法も行ってはいます。ですから、全然客観性がないわけではなくて、行動の指標であるとか、あるいは精神症状についての評価法であるとか、そういったものを使いながらやっていると同時に、我々は、研究的にですけれども、スペクトをとったり何かしながらやっていて、こういった物理的刺激によってもやはりちゃんと改善するとか、ここのところはまだしばらく残るとか、そういったところまでの検討はできるまで来てはいるということで、全く主観的なことで行っているわけではないということでございます。
○北村座長 しかしながら、PETとかMRIとかの診断に基づいてこれをやろうというところまではいっていないわけでしょうね。
○三國参考人 はい。それはまだできないですね。何とかそちらも適応拡大していただけると本当にありがたいのですけれども、先ほどのFDG-PETのアルツハイマーと非アルツハイマー型の鑑別のことがということを座長がおっしゃられましたけれども、あれがうつ病も入れてくれないかなと思っているわけです。
○北村座長 脳のDBSのほうの、電極を入れてやるパーキンソンとか、そういった治療に用いられているほうではかなりニューロホルモンの動きとかが調べられていますね。それから、つい最近も、DBSをやるとやはり少し性格が変わるという報告も出てきていますね。こういった治療法でうつ病が性格とどう関係しているのか私もわかりませんが、そういうのも見ていく必要があるので、どうしても学会として、専門家学会として、ぴしっとコントロールした科学的な治療法として運営していただけることが大事ではないかという意味でこういうものを承認したいという、むしろ承認することによって、ある意味、規制もかけられるという御意図を感じました。厚生労働省のほうからも先生の御意向を伺っておりまして。どうでしょうか。御承認賜れますか。
○葉梨委員 ちょっとお聞きしたいのですが、実は僕は、日本医師会で医師賠償責任で裁判の例をよく扱うのですが、いいからいいからとやって、万一事故が起こった場合に、そうでないとか、いや、正しい方法でやったのだということを証明しなければいけないですね。そういうときに、やはり、人の文献だけあるよでは大体通らないのですね。自分がこういうことでやったというようなこと説明しなければ通らないのですが、多分、こういうのは普通の保険なんかも扱わないだろうと思うのですけれども、そういう、いいからやるんだ、いいからやるんだということだけで済まない場合が起こると、僕はそのようにちょっと懸念しているのですが。
○三國参考人 僕自身、マグプロの低頻度刺激で、右側を刺激して左側の脳血流がふえるかどうかというのを研究的には数年前にやっていました。そういったことのレポートもしております。臨床試験委員会を通して承認してもらって、そういう研究をやっているわけですね。だから、こういった治療研究的に進める場合に、そういういろんな検査ができるところはできるだけ入れてもらって、客観的なデータもとりながら治療ガイドラインをつくっていって、そして、それがPMDAに承認されるような形になればいいなと考えているところでございます。
○葉梨委員 難しいだろうと思うのですが、できるだけやはり健康被害が起こらないようにということで、ガイドラインとか、しっかりやらないと危険が非常に大きいのではないかなと。今まで高度医療の委員会にいたのですけれども、そういう治験なしでやっていくというような、そんな感じを受けるものですから。
○三國参考人 治験なしにということでもないのですが。
○吉田茂昭代理 というか、基本的には、患者さんの説明と同意が一番大事で、そのときに考えられる危険を十分説明してやって、患者さんが納得しているかどうかということで決まってくると思うので、そこはいいのですけれども、先生に伺いたいのは、先ほどのお話だと、薬事承認はいわゆる先進医療とるためにやりたいというふうに聞こえるのですけれども、スケジュール的にはそういうことなのでしょうか。
○三國参考人 そうではなくて、先進のほうは、既に杏林大なんかもこの機械を使ってホームページに案内出したりして、臨床研究としてケースは個別には持っているわけです。ですから、そういったデータを集めて先進のほうに申請して、一方、こちらで薬事承認のほうをきちんとやっていくと。
○吉田茂昭代理 この薬事承認をとるのは、やはり保険収載まで目指してとるということですか。
○三國参考人 そうです。
○吉田茂昭代理 ということは普及させるためにやると。
○三國参考人 そうです。
○北村座長 わかりました。時間も大分迫ってきましたけれども、それでは、条件と言っては何ですけれども、まず、学会のほうで、この機器の適応について、あるいはこの治療を行う権限を持った、あるいは知識と経験を持った医師をどう選別するかを含めたガイドラインの作成を含めて承認してもらうという形で採択するという案でいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○北村座長 確かに懸念されること、あるいは、自由診療としてどの程度浸透している治療かもわからないという状況になってきているので、やはりここは三國先生等含めた方々にまとめていただきたいということは我々も希望したいと思います。
 それから、認証、今までは新検査機器としてですけれども、今度は治療機器に変わりますので、果たして認証レベル?でよいのかということをちょっと疑問に思いますので、この点も含めて御検討していただきたいと。
 それから、これは厚生省全体についてかもしれませんが、日本医師会等と力を合わせて、自由診療で行われているこういう、場合によっては性格を変え得るような機器というもの、原理がよくわからないうちに出てきているのが本日幾つもありましたね。そういったものの治療が自由診療で行われているのを何とかつかめないのかと。日本医師会と協力してちゃんとすればできるだろうと思うのですが、何らかの形でそういう、行われていてつかめない自由診療というものを把握できるようなこともまた、皆さんは担当が違うと思いますけれども、我々医療人としては希望したいですね。
 あと5分ございますが、事務局の通達があって、時間が残っておればまた皆さんの御意見を伺いたいと思いますが、何か事務局のほうは。
○浅沼医療機器審査管理室長 次回の日程でございますが、改めまして日程調整の上、御案内をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 また、本日の議事録につきましても、作成次第、委員の皆様方には御確認をお願いいたします。
 連絡事項は以上でございます。
○北村座長 ありがとうございました。言い忘れたこと、あるいは何かございましたらどうぞ。
もうよろしゅうございますか。
 それでは、本日、お時間を割いていただきました参考人の先生方に御礼申し上げます。それから、委員の先生方に御礼申し上げて、第20回、これは記念すべき20回ですが、前にも言いましたが、何も祝宴はございませんが、これで終了させていただきます。これで何年になるのかな。5年くらいになるか。
○浅沼医療機器審査管理室長 平成19年ですから、5年はたっていますね。
○北村座長 きょうが20回でございますので、ありがとうございました。終了いたします。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会> 第20回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について(2012年11月14日)

ページの先頭へ戻る