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2013年5月15日 第5回がん検診のあり方に関する検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成25年5月15日


○場所

航空会館 7階 702・703会議室
(東京都港区新橋1−18−1)


○議題

1 開  会

2 議  題 
 ・子宮頸がん健診について

○議事

出席構成員:大内座長、菅野構成員、斎藤構成員、祖父江構成員、福田構成員、松田構成員、道永構成員、渋谷参考人、福吉参考人、山本参考人 ○岡田がん対策推進官 それでは、定刻より少し前でございますけれども、皆様お集まりいただきましたので、ただいまより第5回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。 本日は、3名の方に参考人としてお集まりいただいておりますので、御紹介させていただきます。 まず、宮城県対がん協会から渋谷大助様です。 続きまして、株式会社キャンサースキャンの福吉潤様です。 続きまして、国立がん研究センターがん対策情報センターの山本精一郎様です。 よろしくお願いいたします。 また、本日、構成員の皆様方の出席状況でございますけれども、皆様から御出席いただいております。 続きまして、資料の確認をさせていただきます。 まず、お手元にお配りしております資料1「八王子市のがん検診受診率向上の取組について」でございます。 資料2「有効ながん検診受診率向上策とは」でございます。 資料3「がん検診受診率向上の事例」。 資料4「ソーシャルマーケティングを活用したがん予防行動およびがん検診受診行動の普及に関する研究」でございます。 そのほか参考資料1、参考資料2、参考資料3をお配りしております。 また、構成員の皆様方の机上には、前回検討会資料のうち受診率向上及び精度管理に関連する部分の資料を抜粋して置かせていただいております。必要に応じ御参照いただければと思います。 万一、資料に不足・落丁等ございましたら、事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。 それでは、以上をもちましてカメラはおおさめいただきますよう、よろしくお願いいたします。 では、後の進行を大内先生、よろしくお願いいたします。 ○大内座長 では、第5回「がん検診のあり方に関する検討会」の議題に入りたいと思います。 前回第4回は、子宮頸がん検診のHPV検査についてのとりまとめと、受診率向上施策・精度管理について議論を行いました。子宮頸がん検診のHPV検査についてのとりまとめ報告書と、年度末に改正になりましたがん検診指針を参考資料として添付しております。参考資料1、参考資料2、参考資料3がございますので、お目通しください。それから、ファイルにありますのは、第4回の参考人等からの資料がそのまま抜粋の形で入っておりますので、同じくお目通し願います。 一方で、さきの検討会の後半では、受診率向上施策と精度管理に関連して台東区保健所長の矢内参考人、日本対がん協会の小西参考人からお話をいただきました。その後、事務局から提示のあった論点を参考にしつつ議論していただいたところです。 そこで今回は、別の観点から受診率向上施策について4名の方からお話をいただき、十分に議論していただきたいと思っています。お一人15分程度でお願いしておりますが、まず初めに、菅野構成員からお話をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○菅野構成員 八王子市の菅野でございます。資料1に沿ってお話をさせていただきたいと思います。 まず、下に八王子市が行ったことということで平成22年とあるのですが、平成22年から平成24年まで3カ年で結構集中的に取り組みましたので、それについて御紹介させていただきます。 まず、平成22年に実は受診率向上等をやる前段といたしまして、市民8,000人に対しましてがん予防・がん検診に関する調査をかけております。この回収率が記名式にもかかわらず、なんと6割近くということで、かなり市民の関心は高かったものと思います。その中で特に注目したいのが、41〜74歳というがん検診が始まった年代で、医学的根拠に基づいた効果のあるがん検診をしてほしいというのが要望の第1位であったということです。これは「科学的」と我々は言うのですが、市民に表現がなじみづらいかということで「医学的」とあえてしましたが、これが要望の第1位であったということが、ここでは大きかったということです。 ちなみに、この取り組みは東京都の包括補助という制度を受けておりまして、都との共同事業ということで都の職員やコンサルの支援もかなりありまして、人・もの・金、全部の面でチャレンジングな取り組みができたというのは、そういった背景がございます。 次に、受診率50%に対する八王子の現状です。このときは職域の方も含めたアンケートで、職域も含めて大体3割ぐらいの受診率。その中で白い線が市の検診受診率が占める割合です。婦人科系のがん検診を中心にかなり市の役割は高いということですが、職域の受診者が首都圏ということもあってかなり大きいかと思います。とはいえ、30%程度の受診率にとどまっているということです。 4枚目がアンケートの結果で、今後どういった対象に個別受診勧奨・再勧奨しようかということですが、年代別に多少の特徴がございました。40〜50代の方に関しましては、職域の受診機会がない方が思ったよりいるということで、この人たちに個別にがん種別の受診勧奨を行うことが大切ではないかということです。 逆に60代になりますと、かなり国保の加入者が多くなってくるということで、これについては特定健康診査と同時にがん検診をやったらいいのではないかということで、そういった分析をここではしております。 5枚目が、個別受診勧奨・再勧奨の40〜50代の方を特に見ております。主ながん検診が始まる40歳からアプローチすることによりまして、50代、60代と継続して受診していただけると一番効果の期間も長く、高いということになりますので、そちらで分析しているのですが、ここで見ていただくと、現状において検診を受けたことはあるけれども継続受診していない方というのが、がん検診を受けたという経験者の中でも意外と多いということで、これはクーポンで新規の受診者を掘り出すだけでなくて、継続受診という取り組みが大切だということで、ここで認識しております。 ここでは時間の関係もあって紹介できないアンケート項目がいろいろあったのですが、そういったものから導き出したのが、40歳というほとんどのがん検診が始まる年代ではきっかけを与えるようなことが大切で、40〜50代では個別の受診勧奨をして、制度を知らない方に周知すると同時に、受けたことがある方に継続して受けていただく取り組みが必要かと思います。そして、60代になりますと、特定健診とあわせて受けていただくといったステップを踏むと効果的ではないかと考えております。 次に、実際のがん検診で私どもの市でやったクーポンの紹介ということで、子宮頸がんの受診動向を見ていただきたいと思います。ここではあえて一昨年のデータを使っております。この年は大腸がん検診のクーポンが始まったということで、最初のころは導入が遅れて8月ぐらいから始まった自治体が多いと思いますが、そういったことで結果的にクーポンを送らない時期と送った時期、そして再受診勧奨した時期と、割と色がはっきり出たので、あえてこの年を使っております。 一目瞭然なのですけれども、同じ対象者の2010年と2011年を見ていただきますと、クーポンを送ってまず一段上がって、再受診勧奨を送るともう一段上がるという形で、これは子宮頸がん、乳がんもほぼ同じ傾向ということで、受診者が平年に比べて4.5〜4.6倍となっております。 大腸がんも同様の傾向ですが、ここでは男女の数を参考に入れていますが、やはり男性の場合職域の機会等もありまして受診者が少ないということです。 表にはありませんが、参考までに実は、肝炎ウイルス検診の受診勧奨も同時にやっておりますが、こちらも受診者は5倍にふえていますので、おおむねこういった受診勧奨・再勧奨までやると4.5〜5倍くらい結構効果があったということを申し上げます。 続きまして、市が個別にやりました受診勧奨例ということで、ここではポジティブとあります乳がん検診の勧奨例がありますが、がん検診を受けたらお得なことがありますよといった前向きなメッセージのバージョンを参考に載せております。 こちらを送ったのが、以前クーポンを使って実際に受けた方の2年後にこういったはがきを送りました。つまり、2年前は受けていただいた方なので、100%受けた方に2年後に送ったということです。 11枚目は、子宮頸がん検診、乳がん検診の受診勧奨をしたらどうなったかということですが、比較に使いましたのがクーポン初年度の2009年度の方、赤い線になっておりますが、予約率がそれぞれ17%と24%ということで、2年前には100%受けた方が、放っておくと2年後には2割程度しか受けていただけないと。その方に受診勧奨ということではがきを出すと予約率で33〜48%ということで、3分の1から半分近くの方が受診していただいているということで、かなり高くなっています。 これは予約動向とありますが、これは実はあえてこうしておりまして、受診動向ももちろん出るのですが、八王子の場合は実はコールセンターといって医療機関に直接予約していただくと、八王子市に電話で、この方は受診する資格がありますかという確認が入るので、割とリアルタイムに状況を把握できるようなっていまして、結果的に例えば、年度途中でどうも受診率の伸びが悪いという場合に、このようにはがきを出すといったマーケティング的手法といいますか、そういったことを兼ねて受診勧奨ができるというベースにはなっております。 見ていただいたとおり、放っておけば2年後には2割以下の定着率がちゃんと倍になるということで、こういった効果は結構大きいのかなと思っております。また、50%近い予約率のあった乳がん検診というのは特筆すべきというか、はがきを出せば半分の人はちゃんと受けていただけるということはすごいなというところです。 13枚目に、八王子市の受診勧奨、今後の方向性ということで書いてございます。これ以外にもいろいろな受診率向上の取り組みをしているところですけれども、ここでは今後どうやっていこうかということを紹介させていただきます。 これまでの取り組みの結果、効果が明らか、あるいは効果があるとかなり思われるものに絞っていろいろ組み合わせています。1つは「40歳のキッカケがん検診」ということで、実は今年度から国のいろいろ・・・、子宮、乳、大腸のクーポンに加えて、40歳の方は胃・肺の無料クーポンを市独自に配っておりまして、5がんすべてについて40歳限定で無料クーポンを配るということで、受診のきっかけをということで、先ほどの40歳きっかけが大切ということを申し上げましたが、その第一歩です。 クーポン受診勧奨・再勧奨に関しては効果が明らかですので、制度が続く限りはきっちり実施していきたいということです。ただ、その中でも工夫がございまして、実は八王子市は5月末から1月末まで毎年やっていますが、どうしても最後のところがとても混んでしまうということがあって、クーポンの方に限って1カ月延長するというような工夫をすることで、例えば、マンモグラフィのキャパシティーの関係で1月にどうしても予約がとれなくて受けられないということをなくすということで、そういった工夫もしながら続けてまいります。 また、2年前クーポン受診者の方についても今後もやるのですが、これからはクーポンに限らず前年あるいは2年前ということで、がん種別に受診の時期が来ていることをお知らせするような受診勧奨がどうやら効果的に思えますので、こういったことに取り組んでいきたいと思っています。 それから、指針内検診への誘導とありますのが、実は八王子市では現在も乳がんの場合視触診のみという検診を続けておりまして、これはマンモグラフィが少ない状況下において、受診の機会を確保するという意味で続けてきたのですが、そろそろしっかりマンモグラフィを受けていただきたいということで、指針内のマンモグラフィを受ける検診を受けたらどうですかというはがきの受診勧奨もしたら、そこそこ効果がありましたので、これを続けるとともに、今年度から視触診だけ2年連続して受けることはできないとしまして、医療機関の方にもマンモグラフィの効果をそのときにお話しいただく機会ということでお願いしております。やはり限られた財源ですので、科学的根拠がある検診に集中してやりたいという財源上からの自治体としての工夫でもあります。 それから、特定健診については、大腸がんと特定健診をセットで受けてみませんかという受診勧奨をしたのですが、なかなか思わしくなかったということがありまして、これは受けるときにはある程度自動的に受けてもらうというか、そういったセット化で受けてもらう仕組みをつくれないかということで、これは医師会と相談しています。 キャンペーン的なものはあくまでこれに合わせてやるのですが、効果がありそうな時期、例えば、検診の開始時や受診勧奨時とか仕掛ける時期は考えてキャンペーンを一緒にやりたいと思っています。実は、来週からがん検診が始まるのですが、まさに今週末も東京都さんの補助金を使ったりして、例えば、吉本の芸人を呼んでがん検診に行こうというキャンペーンをやるのですけれども、昨年もやったのですが、こういったものを組み合わせると、やった地域を中心に医療機関から、市は何か仕掛けたのかということで大変予約が入ると。うちもコールセンターでこんなにすごく入っているという効果が見えるということで、医療機関のモチベーションアップにも一役買っているかなということで、医療機関の皆様には市は受診率向上にしっかり取り組むので、ちゃんとした精度あるがん検診をやってほしいというお願いをしているところです。 次が、受診率向上のイメージということですが、平成22年のアンケートをもとに現在の受診率を加味して見たものです。大体平均的に考えると、1年目というところが八王子市の実際の受診率ですけれども、毎年受診勧奨で新規の受診者を大体5%獲得するとともに、できたらさっきの乳がんのケースのように、新規の受診者の2分の1を継続受診の取り組みで定着していただいて、毎年受診率がふえていくというイメージでございます。職域にも多少の期待はしているところですが、こういった形で取り組んでいけば5年で何とか40〜50%ということで、実際に相当ハードルは高いのですが、不可能ではないイメージだと思っております。 ただ、一応ここで自治体にとって無視できないというか、多少財源論的なものをお話ししますと、がん検診の費用の2分の1が地方交付税でということになっておりますが、実態としては地方交付税額は決まっておりますので、受診率がふえればふえるほど自治体にとっては真水のお金が出ていくということで、自治体が本気にならない受診率向上はインパクトに欠けますので、そこは課題としてあるかなと思います。八王子の場合でも5年前に3億円台だった予算が、実は今年度は7億円組んでおりますが、この5年で1億円ずつふえているようなイメージになっています。今後5年で少なくとも10億円程度までは伸びると思っておりますので、そういった中で八王子市としては指針外の検診から指針内の検診に誘導して、財源的に効果を集中させるとか、実は70歳以上の方は無料ということで今までやっていたところに自己負担を導入して、一定の努力は自治体としてもしておりますが、できましたら国の支援として、今後受診勧奨をしていく方へのクーポン同様の財政的支援あるいは指針内でやっている検診について受診率に応じた財政支援というか、地方交付税の仕組みとしてもそういったものがあればと思います。あるいは特定検診と制度を一本化して、あめとむちといいますか、そういったものを利用するといった自治体支援策や制度設計もますます重要かと思います。 また、職域については多少受診者増を期待していると言ったのですが、やはり市の取り組みではかなり厳しいところがありますので、そういった取り組みも必要なのではないかと思います。 最後に、八王子市のがん予防推進計画を多少御紹介したいと思います。実はこの3カ年の取り組みを経て、今年度から平成29年度まで八王子市独自にがん予防推進計画をつくっています。これは平成22年度の調査、平成23年度は斎藤構成員初めがん検診の専門の方にかかわっていただいて、主にがん検診のあり方を考えてきたのですが、平成24年度には市民の方にも入っていただきまして、こういった計画をまとめていまして、がんにならない、がんによる早過ぎる死を防ぐといった基本理念でやります。現役世代で亡くなってしまうということがありますと、御本人のみならず家族や社会に対してもかなり影響が大きいということで、ここのところを特に重点的にという計画を立てました。 検討過程の特徴としましては、市民の要望であった医学的根拠、それから、本市は実は精度管理が比較的良好ですので、こういったことを背景に、しっかり検討しまして、あくまで科学的根拠という切り口で判断しようということでやっております。 その結果、有効な検診を、より確かな質で、より多くの人に受けていただくというのが本市のがん検診のテーマです。有効な検診は指針で示されておりますが、より確かな質でというところが医療機関の力量と市の精度管理のマネジメントですが、ここまでしっかりやって、その上で受診率をふやすことで初めて効果が出るというところでは、この前段の2つは絶対に押さえなければならないテーマということで、こういった計画を立てております。 これについて最後になりますけれども、5つの目標ということで挙げていますが、2〜4番までが主に精度管理の目標ということで、精検受診率都内でナンバー1とか目標値のクリアーといったことがありますが、実際に平成23年度の結果を見ているところですが、受診率以外についてはほぼ目標値をクリアーしている状況にあります。大腸がん検診だけ受診者が多いということもあり目標値まではいっていないのですが、かなり高い質を示していますので、こういったことをベースに今後も受診率向上を続けてまいりたいと思っております。 以上です。 ○大内座長 ありがとうございました。 それでは、続きまして、渋谷参考人から説明願います。 ○渋谷参考人 本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。では早速、資料2をごらんになってください。 1ページの下の段ですけれども、アメリカのCDCのコミュニティーガイドでは、受診率向上対策については科学的根拠があり有効であるという一覧が載っております。その中では、手紙や電話等による勧奨・再勧奨が3つのがんに有効であると。あと、スモールメディアとの組み合わせも有効であるとされております。 なお、この研究をやったのが2009年だったのですけれども、一番新しい2013年の改訂版では、乳がんのグループ教育も推奨になっておりまして、1対1の教育や電話・面談も、大腸がんでかつては証拠不十分とされておりましたが、現在では○になっております。 2ページ目ですが、1)、3)、7)というのは受診者向けの手紙の1)、3)、7)に呼応するものですけれども、おのおのの系統的レビューの結果を示しているところでございます。おのおの介入の結果によって数パーセントから十数パーセントの受診率向上が見られたというものです。 これをまとめますと、3ページの小括1ですけれども、CDCのコミュニティーガイドでは多くの文献レビューに基づいて、がん検診受診率を向上させるための有効な対策を紹介しております。電話や手紙による検診対象者への勧奨・未受診者への再勧奨とスモールメディアによる勧奨、1対1の教育は、乳がん、子宮がん、大腸がんいずれにおいても有効と判定され、実施を推奨されているところでございます。 一方、費用や費用以外の負担軽減とグループ教育についても、検診によっては実施を推奨されています。 残念ながら、報償(少額の現金やクーポン)あるいはマスメディアのみの効果については、証拠不十分とされています。このクーポンが不十分というのは、恐らくそういう研究が世界的にも余りなされていないということなのだろうと思います。 ただ、いずれの対策も単独では50%の受診率を達成できるほどの効果は余りないということで、受診率を大きく増加させるためには、これらを組み合わせて行うことが重要であると考えています。 次に、最近の受診率調査及び受診率向上に向けての考え方ということで、平成20年3月に「今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について」ということで委員会報告書が出されました。その中で、受診率向上に対しまして5つの項目について述べております。 1つは、対象者個人に対する受診勧奨が重要であると。特に、初回受診者の掘り起こしのために、検診台帳を整備した上で個別の受診勧奨を行うことが必須であると。 2番目として、利便性の向上に向けた取り組み。先ほどもありましたように、未受診理由として、特に若年層では時間がないと回答する者が多い。したがって、特に若年層の受診率向上には利便性の向上が必要であると書いています。 3番目、PR活動ですけれども、世論調査の未受診理由として「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」が17%を占めるなど、検診の理解が十分ではなく、更なる広報・教育活動が必要であるとされています。 さらに4番目、重点的に勧奨すべきターゲット層の検討ということで、年齢階級別罹患率、がん死亡率、各がん特有のリスク、検診の利益・不利益のバランス等を考慮し、重点的に受診勧奨すべき対象者を設定するとされております。 最後に5番目ですが、実施主体者に対するインセンティブの導入。特に市町村等ですけれども、がん検診実施状況の公表、実施率向上に向けた取り組みに対する財政的支援等が必要だということで結んでおります。 この報告書には書かれておりませんけれども、我々の研究班ではこのことに対してソーシャルマーケティングの活用が重要ではないかと考えております。その研究として立川市での研究がございまして、5ページの下ですが、立川市の乳がん検診の未受診者に対して行動科学理論とソーシャルマーケティングを応用した研究を行いました。 一般に、がん検診未受診者とひとくくりにされてしまうわけですけれども、必ずしもがん検診未受診者はみんな同じではないと。全く関心がない者から、背中を押すと受けようとする検診意図者までさまざまであると。それを3つのタイプに分けて、それぞれに異なったメッセージを送るのが重要ではないかという検討でございます。 6ページは実際の流れです。この場合は51〜59歳の女性を対象としました。周知の方法はこれまでは『広報たちかわ』による周知だったわけですけれども、今回はまず受診勧奨に当たって調査票の記載をお願いしまして、その調査票からタイプA、B、Cと未受診者のセグメント分けをいたします。それに対して再受診勧奨を行ったということです。 6ページの下は、各検診のセグメント別の意識調査ですけれども、タイプA、B、Cと分かれておりますが、マーケティングの手法によっておのおののセグメントタイプの方に共感するようなメッセージをつくって介入を行ったということです。 7ページは全体の流れです。対象者が8,100名いるわけですが、そのうちアンケートに回答された方が3,000名ということで、質問票によってA、B、Cのセグメントに自動的に分けられるということでして、それに対してマーケティングの手法で各セグメントが共感するテーラーメードのメッセージを開発して、個別に受診再勧奨を行ったということです。 下段が結果ですけれども、大体4割に回答していただいたわけですが、その中で介入する群と対照群として従来のメッセージを送った者ということで、再勧奨の効果を見たわけですが、介入群では19.9%、従来のメッセージ群では5.8%と、有意差を持って介入群のほうが高かったということです。 そのセグメントの中身を見ますと、セグメントAというのは受けてみようかなという、あと背中を押すと受けるだけという方は、従来のメッセージに比べてテーラーメードのメッセージを送ると受診率が3.5倍ふえたと。受けたいのだけれども、受けるとがんが怖いと思われるセグメントに関しましても、それに応じた受診勧奨を行うと、これまた3.5倍ということです。全く乳がんは怖くないと、検診を受ける気はないという方でも2.9倍にふえたということですけれども、これに関しましては、あくまでもアンケートに答えてくれた方に対する効果ということでして、あとの答えてくれない6割がどうかということは不明ですので、そういう意味では少しバイアスがかかっています。 8ページの上段は、宮城県の胃がん検診未受診者に対する個別勧奨の効果を見たものです。大崎市、名取市と書いてありますけれども、今までは案内を市政だよりと一緒に全戸、要するに、個別ではなく各家庭に配っていたわけですけれども、そのときの未受診者対策の受診数は、大体大崎市で2.5%、名取市で4.3%ということでございます。仙台市の場合は案内を個別に届けております。その場合は12.8%と有意差を持って高いと。栗原、石巻市河南、東松島矢本は、個別に届けるほかに恐らく受診票もなくしているだろうということで、御丁寧に受診票まで個別にお届けしますと、さらに15%強ということで有意差を持って受診率が高い市町村があるということです。 そこで大崎市は受診勧奨の方法を変えまして、平成19年度は今までどおり全戸に配布していたのですけれども、平成20年度は個別に受診再勧奨を行って、さらに受診票を個別に届けてみたと。そうしたら受診率が8〜9倍上がったということです。 次に9ページです。大腸がん検診でも同様のことをやりました。検討1、検討2、検討3とありますが、検討3は個別受診勧奨・再勧奨の検討でございます。 その結果が下段に載っておりますけれども、詳しい説明は避けますが、結果としては個別に受診勧奨、特に再勧奨することによって7〜10%全体の受診率を上げることができたということでございます。 そこで10ページですけれども、検討1というのは、利便性の向上と実行意図への直接的な働きかけという検討項目です。 下段は、我々の検討では、がん検診の受診行動モデルとしまして、意思決定の過程と行動化の過程と2つに分けております。意思決定の過程、要するに計画意図、検診を受けようと考える要因として、一番左の4つ、背景要因、がんの主観的評価、検診の主観的評価、主観的規範が意思決定には重要な要素であるということがわかっております。実際に受けようと思っても実行意図、いつ、どこどこの病院で予約をするというところまでいく人は大抵受けるのですけれども、受けようかなと思っているだけではなかなか受けない。では、計画意図から実行意図に移行するために何が重要かというと、どちらかというと阻害要因を省くということが有効だということがわかっておりまして、例えば、受診へのきっかけ、受診の障害・バリア、手軽さ、どうやって受けたらいいかもわからないということを助けてあげることが重要と思われます。 11ページを見ていただきますと、宮城県の某市における大腸がん検診の受診率ですけれども、今までは大腸がん検診を申し込んで受けますという方に便潜血キットをお送りしていたわけです。ところが、平成9年度は受けないと申し込まなかった人にも全員受診キットを配ったと。そうしたら、ぐんと受診率が上昇した。次の年はやめたら、またもとに戻ってしまったということです。 どういう方がふえたかというと、右側の受診歴別受診状況をごらんになるとわかるように、3年以内の受診歴なしということで初回受診者がふえたということです。受けますと申し込んだ方は実行意図があるわけですが、実行意図がない方でも直接実行意図に働きかける介入を行うと効果があるということです。 我々は実行意図がない人の中で、先ほどの立川の例でもありますように、セグメントはいろいろな方があって、恐らく受けた方はセグメントA、B、要するに受けようかなと、だけれども面倒くさいなとか、別に今受けなくてもいいなという方々にこういう介入をすると非常に有効なのだろうなと思っておりますけれども、実はこれは全くセグメントが分かれていませんので、どういう方が受けたのか、恐らくセグメントA、Bの方が受けたのだろうと思っています。 利便性向上に向けた取り組みですけれども、土・日検診ですが、やはり土曜・日曜では国保以外の方、特に日曜日が著明ですけれども、高齢者や国保の方はそれほどふえないのですが、非国保、いわゆる協会健保とか職域の方がふえるということがわかっております。大企業などは職場でほとんど検診を受けられるわけですけれども、恐らく中小企業等で職場でがん検診を受ける機会のない方が、土・日検診をやることによってふえるということかと思っております。 次に、受診率の調査方法ですけれども、御存じのように我が国は正確な受診率の統計がないわけですが、主に受診率の調査方法には国民生活基礎調査に代表される標本調査、あるいは実測値ですけれども地域保健・老人保健事業報告とありますが、今は生活習慣病検診事業報告になっておりますが、3つの方法があるわけですけれども、13ページの下段を見ていただきますと、我々はサンプリングの標本調査による受診率のモニタリングを試みました。仙台市と福井県で行ったわけですが、福井県は唯一、住民検診・職域検診の実測値をはかることができるということで、この表は福井県でのデータです。紫色の標本調査の受診率がアンケート調査ですが、ちなみに緑色で書かれている受診率は、アンケートに答えてくれなかった人を全員受けなかったと仮定した場合の受診率です。一番下段の赤が国民生活基礎調査の成績で、青が実測値です。ごらんになってわかるように、どうしてもアンケート調査では実測値よりも高めに出てしまう。要するに、アンケートに答えてくれなかった方というのは、やはり受けていない方が多いということがわかります。唯一異なるのは肺がん検診でして、肺がん検診だけが実測値のほうが高いと。恐らく胸の写真を撮ってもそれが肺がん検診と認識していないということなのだろうと思います。 14ページの上段が、仙台市の子宮がん検診の若年者における経緯ですが、我々の研究でわかったことは特に20代の女性ですが、紫色の44%というのは妊婦検診なんです。妊婦検診のときに子宮がん検診を受けると。今までのいわゆる受診率調査では、ここがごそっと抜けているわけです。当然ながら30代なりますと18%、40代3%、50代以上は妊婦検診がゼロ、当たり前と言えば当たり前ですが、こういう経緯です。 下段は、大腸がん検診の各年代における検診区分ですけれども、茶色は職域検診あるいは任意型検診、ドックです。青が住民検診、健康増進事業報告のデータですけれども、ごらんになってわかるように、70代以上ではほとんどが住民検診を受けている。ところが、40代、50代、女性もそうですけれども、特に男性はほとんど住民検診で大腸がん検診を受けない、ほとんどが職域検診であるということで、住民検診のデータでは正確な受診率を把握することはできないということです。 15ページは受診率調査の問題点ですけれども、受診率向上策に関しましては、ごらんになってわかるように、特に大腸がん、子宮がんもありますけれども、若年者、壮年者、高齢者では検診を受ける契機が異なるということで、受診率対策も異なったアプローチが必要で、住民検診対策では不十分であると。職域検診や任意型検診を含めた対策が必要と思われます。 さらに、今回は省いておりますけれども、実測値等の年代別の受診率のアンケート調査の乖離を見てみますと、70代以降の記憶に頼るような調査は全く当てにならないということで、やはり調査対象者の回答意思や記憶に頼る方法には限界があると思われます。 16ページはクーポンです。女性特有のクーポンの実施上の問題点についてまとめてありますので、後でごらんになってください。 17ページは、宮城県のT市で、実はもともとがん検診がすべて無料でした。無料だったところに無料クーポンを配るとどうなるかという結果でございます。 18ページが結論でございます。乳がん検診で、この地域では以前から乳がん検診の受診率が76%と高くて、検診料金の無料化は検診受診率の向上に有用かもしれないと。無料クーポンの実施によって、さらに数パーセントの上昇が認められた。これは無料の効果ではなくて、個別受診勧奨その他の影響が考えられます。 隔年検診が厳格に守られている地域でしたけれども、クーポン対象者は逐年検診になってしまったという問題点がございました。 ここは子宮がんも無料だったのですが、この地域では以前から20代も当然無料だったのですけれども、子宮がん検診の受診率は驚くほど低かったと。この年代では検診料金を無料化しても受診率50%達成は困難であると。ところが、無料クーポンの実施により、20代、30代、特に20代の受診率は著明に上昇しました。これは無料の効果ではなくて、個別受診勧奨その他の影響、その他といいますと、受けなくてはいけないと思っていても実際にどう受けたらいいかわからない。先ほどの大腸がん検診の便潜血キットを全員に配ったらポンと受診率が上がったのと同じように、やはりこれも計画意図から実行意図へのきっかけをこの無料クーポンがつくったのではないかなと考察しております。 ただし、乳がん検診とは異なりまして、40代以上では無料クーポンの影響は余り見られなかったと。ほかの地域ではわかりませんけれども、がん検診が無料の地域では限定的であったということです。 19ページですが、受診率向上につながるがん検診のあり方や普及啓発の方法ということでまとめております。 下段に、本邦でのコール・リコールシステムの阻害要因を考察してみました。まず1つは、全住民を対象とした検診台帳の作成が非常に困難であると。住民基本台帳の利用が困難な自治体も存在するようです。さらに、受診勧奨の対象者の特定が困難。例えば、闘病中の者、要介護、超高齢者等を除外することがなかなか難しい。例えば、乳がんの治療中の方に乳がん検診を受診すると言うのはトラブルのもとでございまして、さらに何であなたは受けないのと再勧奨でもしようものなら大変なことになるということで、そのように再勧奨すべき対象者をなかなか定義できないという問題があります。今後は重点的に受診勧奨をするべき対象者を絞っていく必要があろうかと思います。 再勧奨するためには検診未受診者の把握が必要なわけですけれども、その仕組みがございません。つまり、正確に未受診者を把握するということは、正確に受診者を把握することでありまして、それによって正確な受診率も把握できるコール・リコールも完成すると思われます。 さらに財政的な裏付けがないということ、またコール・リコールセンターの実施主体はどこがやるのか、そこが不明確であるということが問題だろうと思っております 以上、報告いたしました。 ○大内座長 ありがとうございました。 それでは、続きまして、福吉参考人にお願いいたします。 ○福吉参考人 株式会社キャンサースキャンの福吉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料3を使いまして、受診率向上の事例をお話しさせていただければと思います。 我々キャンサースキャンは、受診率向上に関するシンクタンクでございまして、都道府県や市町村の受診率向上に関するサポートをさせていただいております。そこから事例を幾つか引っ張ってまいりました。 1ページの下を見ていただければと思います。これは渋谷先生から御紹介いただいたCDCの資料ですが、コール・リコールは有効であるということでございます。 では、その有効だと米国において証明されているものは日本ではどうなのかということで、次のページで我々でやっています幾つかの事例の中で1つ典型的な一例として示します。この自治体のケースでは、受診勧奨を行わなかった場合の受診率が14%だったが、個別受診勧奨をやると上がり、再勧奨までやると25%近くまで上がりました。受診勧奨・再勧奨を行った場合の受診率の上がり幅は実施したそれぞれの自治体によって若干変わりますけれども、やはり10〜20%ぐらい受診率が上がるということは、これまでの我々の経験から言ってもそんなに珍しいことではありません。 次ページをご覧ください。では、この受診率向上に有効である個別勧奨をやっている自治体が全国でどのくらいあるのかというと半分以下ですね。再勧奨までやっている自治体の割合はというと、いわんやもっと低いというのが現状でございます。 では、何でできないのか、何がネックになるのかということが次ページです。もちろんいろいろな理由がありますが、ざっくり言うと、やはりお金がないということと、ノウハウの問題、あとは受診者が増えて場合の検診キャパシティーの不足という部分は、自治体にとってはかなり大きい問題です。 それでは次ページ以降、それぞれについて工夫を行った事例を一つ一つ紹介できればと思います。 まず、お金がないというところですが、この自治体Aでは、無料クーポンと検診手帳を送ることで受診率がかなり上がりました。ただ、興味深いのは、この自治体での子宮頸がん検診はもともと検診費用が無料であったにもかかわらず、無料クーポンを送ったら受診率が上がりました。ということは、無料化が効いていたのではなく、クーポンみたいな期限つきのチケットが来て「今使わないと損だぞ」みたいなことが実は受診率向上に効いたのではなかろうかという仮説がありまして検証いたしました。 効果検証の方法を示したのが次ページですが、その自治体Aで、無料クーポンの対象でない方々は自己負担額の500円で受けるわけですが、「500円で受けられますよ」という内容の500円受診券を個別に送付いたしました。今日はデザインをお見せできないのですが、見た目は無料クーポンにかなり似ていまして、「これで500円で受けられますよ」というかなりお得感を前面に打ち出したデザインにいたしました。 その結果が次ページですが、勧奨がないときの単年度受診率12%に対して、無料クーポンの送付で受診率が22%とかなりあがったのですが、「500円受診券」でも20%の受診率とかなり近いところまで上がりました。ったと言うことこの現象ををどう説明できるかと考えるうえで参考になるのが次ページですが、受診行動に影響を与える要因でHealth Belief Modelという行動科学のモデルがあります。まず、「?意識の向上」が起こり受けなければいけないんだという意識に変わる。ただそれだけでは受けないんですね。次に、受けるにあたっての「?障害の除去」。たとえば、「近くに検診施設がない」とか、「予約しようとしたけれどいっぱいだった」とか「週末じゃないと検診に行く時間がないがやっていない」とか「女医さんに検診してほしいが、女医さんがいない」とか。そういうことを解決していくことも前提なんですね。しかし、それだけではまだだめで、「?きっかけの提供」があるということが受診行動を引き起こす最後のポイントと言われています。次ページに、無料クーポンと500円受診券、それぞれが?から?に関してどうだったかを分類してまとめました。クーポンは手帳がついてきますので?意識の向上があって、?障害の除去が無料化によって行われる。無料クーポンと500円受診券が同様に受診率を上げた共通の効果と言う意味では?きっかけの提供が同じだったんですね。要するに、すでにある程度意識もあり(?)、受けるうえであまり大きな障害を抱えておらず(?)、きっかけの提供をしてあげるだけで受診に至るという住民層が、かなりの割合で存在するということが言えるのではないかと考えています。 ただ、これは乳がんに特有な事例という部分もあります。というのは、やはりピンクリボン等の全国キャンペーンで?意識の向上が既にかなりなされているというがん検診に対して、あとは?きっかけの提供をしてあげるだけで上がったという側面があった。それに対して、例えば、大腸がん検診などまだ啓発の部分、?意識の向上の部分がなされていないがん検診に対して、?きっかけの提供だけを行ったとしてもで大きく受診行動を引き起こすのは難しいのではなかろうかと思います。とはいえ、この事例から、受診行動を引き起こすためには「きっかけの提供」というのが非常に大事だということが言えるかと思います。 さて、次の事例として自治体における受診率向上のノウハウの不足を取り上げます。、「個別勧奨をやれば受診率が上がる」といっても、実はやっているところはすでにやっていて、そのような自治体は全体の40%もある。ただ、やっていても余り受診率が上がっていないんですね。ということは、やればいいということではなくて、うまくやらないとなかなか上がらないということが言えるかと思います。この事例の神奈川県さんでは、市区町村に対して受診率向上のサポートを行うにあたり、県にもなかなかそのあたりのノウハウが十分でなかったということで、がんやがん検診に関する一般向けのコミュニケーション(広報)のノウハウを持っている企業、例えばがん保険の会社や弊社のような民間シンクタンク等と連携しまして民間企業のノウハウを活用しました。官民連携と言うとちょっと大げさですけれども、そういったモデル事業を立ち上げた事例を御紹介できればと思います。 次ページに実施体制がありますが、まず、茅ヶ崎市さんがモデル事業の対象地域になりまして、我々のノウハウを活用してもらって住民の意識調査を行い、まずどういったメッセージを伝えていくと市民の受診行動を引き起こすことができるだろうかというソーシャル・マーケティング調査をして事業を開始いたしました。 事業の流れ図が次ページになります。市民に無料クーポンを5月に送りまして、再勧奨のリーフレットを未受診者に9月に送りました。 その結果が次ページです。約6,000名に対して再勧奨を行ったところ、前年度のクーポン受診者の受診率が5.8%であったのに対し、再勧奨まで行うことによって約2倍まで受診率が上がりました。 次ページにその際作成した再勧奨のリーフレットを載せましたが、これは意識調査をした結果として、こういった情報を伝えていかなければいけないということで、ソーシャル・マーケティングの手法を活用してつくったものです。メッセージに気をつけないといけない、何でも送ればいいというものでもないということがわかりました。こういったことに民間のノウハウを使うということは一つの手法なのだなと考えております。 次ページに課題の3つ目である、検診キャパシティーの不足ということを取り上げます。全国的にまだ集団検診(検診車が公民館等に来てくれてみんなで一緒に受けるスタイルの検診)がメインで行われている自治体が結構多くあります。ただ、集団検診は個別検診(病院やクリニックに受診者が自分で出向いて受けらるというスタイルの検診)に比べると、受診日時・場所等が限られているだけに利便性が良くありません。 この事例の自治体Bでは、平成22年度から個別検診を開始いたしました。そうしますと、それまでは集団検診が1カ所でしか受けられないという非常に受診機会が限られたものだったのが、個別検診になり市内の各医療機関合計112カ所で受けられることになりました。受診可能な人数はそれまでは2,500名という定員制だったものが個別検診導入後は無制限になりました。受けられる期間もたった2週間だったものが通年になると。大幅に利便性は改善いたしました。これによってどれぐらい受診率が変わったのかというのが次ページにありますが、期待に反して個別検診開始後、ほとんど受診率は上がりませんでした。3.7%が4.6%と。ただ、こういったこともあろうかと思いまして、市民のうち試験的に一部の年齢層に対してのみ、「検診が市内112カ所で受けられるようになりました!!」というニュースをリーフレットにして勧奨として送りましたところ、40%近くまで受診率を伸ばしました。ですので、これは本当に当たり前のことではあるのですが、受診機会の増大はそれが市民に周知されて初めてその効果をもたらすので、個別検診を導入して利便性が上がったというようなことも勧奨のメッセージとしては有効なのだなということが分かります。 最後のページでございますが、まとめといたしまして、一つ目の財政面の負担ですが、お金をかけて大々的な啓発キャンペーンだけではお金がかかるばかりで受診になかなか結びつきませんが、ある程度意識の啓発が一段落したのちには、きっかけの提供を重点的に行うことによって、かなり効果的に、予算的にも効率的に受診率向上が図られるのではないかと思います。 次に、受診率向上に関する自治体サイドのノウハウの不足に関しては、民間のノウハウや資金をCSR目的で行政に提供したいという企業さんもいますので、そういったところとうまく連携していくということも非常に重要なことなのではないかと考えます。 最後に、キャパシティーの不足ですけれども、個別受診の導入というのはいろいろな自治体で最近進んでいます。利便性の向上というのはもちろん重要なことながら、ただ、それを市民に周知しないと受診行動には結びつかない。こういうことを受診勧奨・再勧奨できちんと知らせていくことでも大きく受診率を向上させるということはできるのではなかろうかと。こういった事例を御紹介させていただきました。 ありがとうございました。○大内座長 ありがとうございました。 お三方には、がん検診受診率向上に関する事例等も含めまして、さまざまな観点から御意見をいただきました。基本的に個別受診勧奨・再勧奨、コール・リコール制あるいは仕組み、層別化といったことも視野に入れて、それから、がん検診の種別でも介入の仕方が若干異なるであろうということが一般的な意見かと思います。 後ほど御議論いただきますが、その前に、別の視点から国立がん研究センターの山本参考人がお見えです。山本参考人からは予防等も含めた幅広い観点から普及啓発の検討をされておりますので、資料4、「ソーシャルマーケティングを活用したがん予防行動およびがん検診受診行動の普及に関する研究」ということで御説明願います。 ○山本参考人 国立がん研究センターの山本です。資料4を用いて説明させていただきます。 我々は「ソーシャルマーケティングを活用したがん予防行動およびがん検診受診率行動の普及に関する研究」ということで、国立がん研究センターの運営費交付金で実施しております、がん研究開発費の中で研究を行っておりますので、その内容を紹介させていただきたいと思います。 スライドを2アップで資料を用意しておりますけれども、下にスライド番号がありますので、それに沿って参照いただきたいと思います。 まず、5ページを見ていただきたいと思います。ここに書いてあることは皆さんよく御存じのことなのですけれども、がん予防対策・検診受診率向上に関しては、国による系統的ながん予防対策・検診受診率向上対策は十分には行われていないということで、実施主体にある程度一任されているということが現状だと思います。自治体などの現場においては、十分な資金的、専門的、人員的サポートが得られないまま、担当者の意欲や能力、環境に依存した場当たり的な対応が行われているのが多くの市町村であると思います。がん検診は20〜30%にとどまっていると。 したがって、現在の人員あるいは資金で効果的に普及啓発を行うためには、全部任せてしまうということではなくて、国が主導となって自治体担当者の現状に即したサポートが必要であると。かつ、その方法についても、これまでの対策では不十分であると思いますので、新しい何らかの方法、革新的な方法が必要であろうという現状が数年前からありました。 そこで、厚労科研費で、先ほどお話のありました渋谷先生の受診率向上についての研究班、それから、私がいただいていました厚労科研の研究班では、予防に向けて同じようなことをしていた研究班があったのですけれども、残念ながら、渋谷班も私の班も終わってしまいました。終わったのですけれども、がん検診も予防もそんなには進んでいないというか、研究が終わったからといって十分ではなかったということ、あるいは我々の班の意義がなかなか認められなかったのかもしれないのですが、私も渋谷先生も引き続きこれは重要だということで、今度は国立がん研究センターの研究費で引き続き実施するということで、渋谷班ともともとの私の班を両方引き継いだ形で予防と検診ともに、新しい方法で何とか上げていけないかと。これは従来のいわゆる研究と違って事業的な側面があるために、研究費ベースでやっていくのはなかなか難しいということなのですけれども、国立がん研究センターのがん研究開発費というのは、必ずしもベーシックリサーチやクリニカルリサーチのようなものだけではなくて、インフラ的なものも国立がん研究センターとして支援していくべきであるということで、インフラ中心に研究にもお金を出そうということでしたので、そういう研究費で引き続き実施できるようになりました。 8ページの研究の目的を見ていただきますと、今のような経緯を受けまして、普及方法を開発して実際の普及啓発を行うと。これは事業的な面もあるのですけれども、事業研究というカテゴリーを超えて必要なことをやっていくということでやっています。各地域におけるがん対策の後方支援を目的に、中央(国立がん研究センター)あるいは国との現場の相乗効果によって普及を目指そうということです。 9ページは、研究班全体としてがん予防、それから、がん検診、子どもの教育について進めていきたいと。普及方法を開発して、それを全国展開するということで進めていきたいと思っています。 11ページですが、新しい方法というところが今までの御説明にありましたソーシャルマーケティングの方法ということです。 それから、もう一つの特徴が12ページで、全国展開を目指すと。これまで研究というのは方法を確立するなり、やってきたことを検証するということで、その後どう広げるかに関しては研究班ではやり切れないということもあったのですけれども、やはりそれではなかなか進まないということで、全国規模での普及を目指すということです。第1段階では新しい方法を開発するのですけれども、第2段階では全国規模の普及をする。そのためには例えば、新しい規範を形成するなり、メディアを使うなりということが必要であろうと考えて進めています。 14ページでは、左側にこれまでの普及啓発ということで、学術分野ではエビデンスを研究者がつくって学会誌に投稿し、普及は行政・自治体が行うということだったわけですが、必ずしもここの連携がうまくとれていなかったところを、研究者と自治体がうまく連携をとって、ただ、研究者は自治体の人と必ずしもうまく働けるわけではありませんので、そこにマーケティングの専門家やコミュニケーションの専門家に入っていただきまして、自治体と連携をとってアカデミアのフルーツをきっちり現場に還元していくようにつなげていくということです。 この連携が、公衆衛生というか、この分野に特に必要なのは、臨床研究の分野であれば、エビデンスを出す医学研究者がそのまま医療に携わっているので、自分たちが出したエビデンスをそのまま使えるというところがありますが、公衆衛生の分野は研究成果を出すアカデミアと、実際に実施しているところが違うので、エビデンスが出てもそれをすぐに現場に活用していくことができないというのも一つの問題かと思いましたので、そこはぜひ、うまく間を取り持つような、研究のこともわかり、現場のこともわかるような立場が必要であろうということで研究を行っています。 15ページを見ていただきますと、今のようなことを反映いたしまして、メンバーとしては私は方法論の専門家なのですけれども、医療社会学、ヘルスコミュニケーションの専門家であったり、疫学の専門家であったり、行動医学や心理学の専門家であったり、がん検診の専門家を加えた上で、民間の方々に、隣にいらっしゃる福吉さんとか、あとは広告代理店の方やPRの方々にも入っていただいて、実際に受診率等が上がるような活動をしていきたいということで進めています。 次に18ページです。何年も活動してきたのですけれども、実際に研究発表しても外部評価の委員から、なかなか実績が見えないのではないかということを言われることが多かったので、まず、コンテンツを作成した上で全国展開を目指すという形にしたこと、もう一つは、国に働きかけが少ないのではないかと言われておりましたので、分担研究者の斎藤先生はこちらの検討会の構成員にもなっておりますし、がん対策・健康増進課の方々にも我々の研究内容を紹介して広げていきたいと思っておりました。ですので、今日はいい機会を与えていただけたと思っています。それから、行政の担当者と直接のパイプを持って広げていくという形で進めています。 19ページですけれども、国民等々にも広めていけるようにメディアとの連携をしたり、ウェブサイトを立ち上げたり、講義を行ったりしていくということで、当然効果測定も必要になっていくということです。 ここまでが枕になっていますけれども、次に23ページ、24ページを見ていただきたいのですが、これまでのまさにアカデミアの研究でわかったことは、我が国のがんの原因の中には、米国などに比べて感染の割合がずっと大きいということが改めて明らかになり、そこに関してより注力していくべきだ、特にC型肝炎、肝がんも非常に大事なこともわかりましたので、先ほど菅野構成員の話にもありましたけれども、肝炎等に関しても受診率向上対策をしていくということで、同じようなノウハウを使えないかということでも始めています。 実際の受診率向上ですけれども、ちょっと飛ばせていただきますが、45ページを見ていただければと思います。昨年度の課題として、いかに自治体担当者に広めていくか、いかに全国展開するかということですけれども、全国1,742の市区町村に研究班あるいは国が働きかけるというのは限界があることなので、可能かどうか合わせて考えると、47都道府県に対してアプローチするのが現実的ではないかと考えました。これまでの御発表でありましたように、どのようにすれば受診率が上がるかというのはある程度明らかで、次はいかにそれを現場でやってもらうかということですので、実際に現場の方に説明したことは、まさに福吉さんや渋谷先生、菅野さんがお話しされたことを伝えたことになります。 例えば、八王子のように自分たちでできるようなところばかりでもありませんし、宮城のように渋谷先生のような方がいらっしゃるようなところでもないという市町村等がたくさんある中で、ソーシャルマーケティングをやれと言っても、コンサルテーションの会社に払うお金があるわけでもないし、ということで、ノウハウを全部研究班で提供して、このままやれば大丈夫ですよみたいな形にしていくことができないかということでモデル事業を行うことを考えました。 それが46ページですけれども、都道府県にとって検診は市町村の事業でしょうというところで、なかなか関与が薄いようなところがあるのですけれども、都道府県にマネジメントしてもらわないと実際に広げられないということであろうと思いましたので、モデルとなる都道府県に立候補いただき、その中でかつモデルの市町村をつくっていただきまして、まず、モデルの都道府県とモデルの市町村で組んで成功事例をつくっていただいて、次の年にはそれを県内のほかの市町村に広げていただくという形で進めています。そういう事例を横目で見ることによって、全国の他の都道府県に広がっていくというモデルができないかということで考えています。すなわち、自立的・継続的にできるようなシステムはないかということです。 そのために例えば、リーフレットの開発をしました。これはどこかの市町村でいいリーフレットを開発しても、それをほかの市町村がそのまま使うということはなかなか難しいので、研究班でつくって、あとは御自由に使ってくださいというものをつくるということです。 それから、コール・リコールについてもマニュアルをつくります。実際にワークショップをやってコール・リコールの説明のときに、例えば、送り分けするといいんですよという説明をしても、うちの市町村で送り分けは無理ですということで、せっかくコール・リコールがいいことがわかっても送り分けは無理ですというところで止まってしまうことがあるので、だったら送り分けしないでもいい方法を提供していくとか、実際にいいことがわかった方法をいかに市町村にアプライできるのかを考えてマニュアルを用意しています。 実際、そのマニュアルづくりには、キャンサースキャンの方々や渋谷先生等々にこれまでノウハウをいただいてつくっています。大体ワークショップをして問題点をディスカッションすると、予算がないということになって、市町村の財政をどのように説得するのかと言われるので、では、財政を説得するための資料をつくりましょうということで、福田先生にもお手伝いいただいて医療経済評価のものをつくってお見せしたのですけれども、よくわからないといわれました。経済評価を見せても結局説得できないと思いますということだったので、その中で我々が到達した結論は、シンプルにがん検診の意義を伝える、がん検診をすると何人救えるのかということを伝えるのがいいだろうということです。お金ではなくて、何人救えるかというところで、それをシンプルに伝えることが大事ではないかということもわかってきました。例えば、新たな県で50%にすると1年間に何百人救えるんですよみたいな数字を具体的に出していくとか、市町村のやることリストをつくるということもしています。 49ページ目ですけれども、実際にワークショップを2回ぐらいやりまして、あとは、都道府県に出向いて行ったりして、それをもとにウェブサイト等を今作成しているところです。実際にモデルの都道府県4つぐらいに手を挙げていただいて、モデルの市町村をつくります。そして、成果を公表して来年度は水平展開したいということで手を挙げてくださったところがあるので、そことともに今年度成功事例をつくって広げていこうということで進めています。 ホームページは現在できているところもあれば、途中のところもあるのですけれども、モデル都道府県だけではなくて全国の都道府県でも御利用いただけるように、ワークショップやモデル都道府県で使っている資料をアップし、使いやすくして、八王子の例も含めて事例の紹介をさせていただくということと、先ほど言いましたリーフレットなども置かせていただいて自由に使えるというようなことをしていきたいと考えています。 最後に、53〜54ページ目を見ていただきたいのですけれども、がん検診は、既に資材の開発をどうすればいいかということはもう済んでいる段階ですので、これをいかに全国展開していくかということで我々は進めていますが、これを国の事業として一緒にさせていただいて、我々のリーフレットやウェブサイトを使っていただけるようなことがあれば非常にありがたいと思っております。 参考文献は最後に載せました。 以上です。ありがとうございました。 ○大内座長 ありがとうございました。普及啓発も踏まえた今までとの違いを明確にして、新たな取り組みが必要であろうということですね。 それでは、残り時間を討議に当てたいと思います。3人の方々から最初にがん検診受診率向上に関するさまざまなポイントを指摘していただきました。この3人の方への質問も含めて、受診率を向上させるためにはどういったことが重要かについて、まず議論を深めたいと思います。構成員の方々から御質問はありますか。 松田構成員どうぞ。 ○松田構成員 菅野構成員に八王子の取り組みについてお聞きしたいのですが、今日4人の先生方の発表をお聞きしていますと、網羅的な受診者台帳をつくるのはなかなか難しいというお話でしたが、それが必要だと。そして、コール・リコールが非常に効果的だという事例をお話しいただいたのですけれども、八王子はがん検診の対象者は、きょうは職域という話も盛んに出ましたが、職域も含めてすべての人たちが八王子市の行うがん検診の対象者と考えて受診案内をされているのでしょうか。まずは、その1点をお願いします。 ○菅野構成員 そうではないです。東京都の場合、対象人口率調査をやっているのもありますし、それから、なるべくうちの市の受診の対象者ということで、割と国保の加入者とかそういうものも意識しながらやっています。 ○松田構成員 わかりました。多くの市や町はそういった形でやっているところがあって、すべての人たちを対象にしているところもあろうかと思いますが、そうすると、先ほど職域のがん検診も受診率を少し上げるようなプログラムというか、予定を立てていましたよね。そうすると、職域の人たちに対する、あるいは本人ではなくて、企業に対するアプローチというものも実は必要で、職域でもがん検診を積極的にやってくださいというアプローチが同時並行的に必要ではないかと思います。 企業の業績が悪くなってくると、福利厚生の一環として行っていたがん検診を当然削減するという方向にいくはずなので、市や町が一生懸命にがん検診をやればやるほど職域が手を引いて、職域でのがん検診が受けられなくなるということも起こると思いますし、実際に今起こっているところがあるはずなんですね。とすると、最終的に職域におけるがん検診もすべて市や町が引き受けるぐらいの覚悟がないと本当はいけないのかなと思うのですが、そのあたり八王子はどのくらいの覚悟でやっていらっしゃるのでしょうか。 ○菅野構成員 正直、一つは特定健診と一緒にすればある程度そこはセグメント分けできので、それで責任の分担をやるというのも方法だと思います。ただ、職域も含めてとなると、やはり検診制度も含めて見直さないと難しいかなというのが正直な実感で、提携とか細かい手はありますけれども、全体的なことは難しいと思っています。 ○松田構成員 それはコール・リコールもそうなのですけれども、職域の人たちにどうアプローチするのかを含めて議論や対策を講じていかないと、これまでの会議でもお話ししたのですが、今までは職域で受けられていた人たちが受けられなくなるという状況が容易に起こるのではないかと思っていますので、ですから、網羅的な受診者台帳をつくるということが必ず必要になってくるというか、必要な時期が来たのかなと思っています。 ○大内座長 職域も含めた受診率向上は当然のことなのですけれども、八王子からのデータで14ページの5年間の受診率向上イメージの中に、職域等受診者についても毎年1%ずつふやすような計画になっております。一方で、渋谷参考人からの資料にありますように、年齢層で職域とそうでない人たち、いわゆる市町村事業とで大きく変わってきているということもありますので、臓器ごとでも違うのですが、例えば、渋谷参考人の14ページのデータが大腸がんの各年代における検診区分ですけれども、職域を含めて何か追加はございますか。 ○渋谷参考人 14ページのデータは、上段下段すべて仙台市が行った研究のデータですけれども、一応想像していたのですが、かなりはっきりとわかっているということで、職域も大企業等はかなりコール・リコールに近い検診を実はやられているわけですね。特に宮城県は精検受診率九十何パーセントみたいな、とにかくすばらしい。ところが、そうではないところがどうなっているのかがさっぱりわからない。ですから、特に働く世代、40〜50代の受診率を上げようと考えた場合は、福井県で松田先生のところで実測値をやってみても、やはり50%いっていないわけですよね。そこを上げるためには職域への働きかけというのは今後も非常に重要になるのではないかと私も思っております。 ○大内座長 関連して、例えば今職域の話が出ましたが、大企業はまだ持ちこたえているのだと思いますが、中小企業はもっと大変なことになっているかと思います。それは渋谷参考人の資料で、12ページの上の土・日の検診の中でも説明されたように、推測ですけれども土・日にふえている、特に日曜日にふえているのは、中小企業の職域の方ではないか。 ○渋谷参考人 そうではないかと思います。要するに、大企業は恐らく平日に行けるのではないかと思うんです。そうでない方々がいると。平日休んだら仕事がなくなるという方が恐らくいるのではないかと。だから、土・日にやるとそういう方々がふえてくるのではないかと思っております。これは想像ですけれども。 ○大内座長 これは、がん検診受診の機会を幅広く提供するという観点にもつながりますが、よろしいでしょうか。 それでは、ほかに御意見ございますか。祖父江構成員、何かございますか。 ○祖父江構成員 そんなにないのですけれども、職域とともに逆の意味で、高齢者のがん検診どうするかというところがあります。今回の基本計画からは受診率の算定を40〜69歳に限定するということになっています。ということは、70歳以上の人たちに対してはどういうアプローチをするのかということもきちんと討議しないといけないと思います。例えば、八王子でこういうアンケートをとった場合に、70歳以上の人たちについて受診勧奨しないとなると、どういう反応があると思われますか。 ○菅野構成員 アンケートは74歳までやったのですが、受診勧奨は70歳以上でも実際のレベルとしては特定健診や後期高齢者の検診があって、一緒にがん検診の案内もしているので、結果的には間接的にちょっとなされているところもあるのですが、ただ、今年度八王子の場合は70歳以上が無料だったものを有料にしまして、それについては一人一人に手紙を送るのですけれども、そういう中においては実は検診費用を今回元値が幾らかを入れてお知らせしたら、自己負担するようになったのだけれども、今までこんなに自治体に負担してもらっていたのかということで、むしろこれからこれぐらいはしようがないねという反応があったので、そういう中で自分の健康を考えて、それぞれの元気なお年寄りもおりますので受けていただけるような仕組みが一つ目指すところなのかなというイメージは持っています。一人一人が自分の健康状態を考えて受けてもらうということです。 ○祖父江構成員 負担という点もあるのですけれども、高齢者のがん検診を考える際にもう一つ考えておかないといけないのが、検診がもたらす不利益だと思うんです。このことをいかに正しく伝えるかというのは物すごく難しい話で、下手をするとほかの年齢層に対してもネガティブに働く可能性があって、受診率を向上させているのか抑制しているのかよくわからなくなる危険性を常にはらんでいると思うのですけれども、高齢者の方々に一方で科学的根拠のあるがん検診を進めるという中に、死亡率減少だけではなくて、利益・不利益バランスを考えて、利益が不利益を上回るものを推奨しますということを今後ははっきり言っていかないといけないと思います。その際に、不利益に関する説明をきちんとしないといけないと思いますが、きょうの検討の中で余りそのことが触れられていなかったのですけれども、私も余りいい回答はなくて、これを説明するのはいいけれども、かなり危険性もはらんでいることなので、どうするのかというのもちゃんと考えなければいけないと思います。 ○大内座長 がん検診の利益・不利益については、最近大変大きな話題になっておりますが、これは検診対象年齢についても密接に関係することでして、確認ですけれども、受診率向上に関して、国のがん対策基本計画の第2期は対象年齢が69歳以下でしたか。 ○事務局 基本計画の中では、あくまで目標値の算定では69歳までということで、必ずしも対象がという話ではございません。 ○大内座長 50%を目指すということの年齢対象が69歳以下ということでよろしいですね。 ○事務局 そういうことでございます。 ○大内座長 祖父江構成員の意見は、高齢者に対するがん検診を進めた場合の不利益について、その場合には注意を払うべきであるというもっともな意見です。 少し観点がそれますが、きょう3人の方の受診率向上の取り組みについての意見をまず集約したいと思いますが、ほかに御意見はございますか。福田構成員どうぞ。 ○福田構成員 きょうは菅野構成員及び参考人の方に非常にためになるお話を伺いまして、ありがとうございました。 渋谷参考人に教えていただきたい点が2点ありまして、1つは、個別勧奨するときの手段に関してですが、CDCのコミュニティーガイドを御紹介いただいて、手紙や電話による勧奨・再勧奨を推奨されているとのことでした。福吉参考人のほうは手紙だけだったりするのですが、電話による勧奨がどうも気になるところです。というのは、仙台の例を御紹介いただきましたけれども、ものを送るだけではなくて個別に訪問すると、そのときに少しお話することができるのだと思いますので、個別にやりとりをすることによって非常に受診率が上がるということがあると思います。ただ、想像すると、個別に訪問するというのは非常に時間がかかる。時間がかかるというのは、我々の言い方だとコストがかかるということになりますので、その間の手段として電話というのはあり得るのかなというのが印象です。 一応、私の知っている範囲ですけれども、アメリカで行われた研究で、マンモグラフィの受診勧奨に関して費用対効果を見ているというのがあって、それは手紙と電話と訪問と、あとはその組み合わせとランダムに分けて受診率を見たものですが、確かに手紙だけではだめで、追加の訪問なり電話をしたほうがよくなるというものでした。ただし、訪問すると確かに受診率は上がるのだけれどもとてもお金がかかるので、最終的な結論として推奨されたのは手紙と電話でした。ですから、こういうものをやっていくにも福吉参考人のお話にも財源が限られているというのがありましたので、まさに受診率を上げる効率的なやり方を考えなければいけないと思いますので、電話による勧奨は日本ではどうなのかということを教えていただきたいと思います。余り日本にはなじまないのか、このことについては海外の例は余り参考にならないのか、日本でもこういうものを試みるべきものなのか、この点を教えていただければと思います。 ○渋谷参考人 私でよければ答えさせていただきます。 今、電話による受診勧奨は一次スクリーニングでは基本的に余り行っておりません。再勧奨に関しましても手紙だけです。ただ、要精密検査になった方で受けていないという方々に対しての勧奨は電話で行っております。 問題は、電話と簡単に言いますけれども、なかなか電話に出ない。お仕事中ということがありまして、訪問してもお仕事中と。では、夜中に行くのですかということになって、なかなか現実的ではないのだろうと思います。そういう意味では、少なくとも一次スクリーニングでは今のところはお手紙がメーンになるのではないかと思います。予算が許せばやはり電話もよろしいのではないかと思います。 ○福田構成員 菅野構成員にも伺いたいのですが、そういう手段というのは、余りお考えにならないですか。 ○菅野構成員 今おっしゃられたように、実は二次ではやっておりますが、がん検診を受けていないほうはできないですね。 ○山本参考人 今の点ですけれども、今年度我々と一緒にやっているモデルの都道府県では、場所によると思いますけれども、健康づくり推進員さんとか、食生活改善推進員さんという人たちがその地域にはいらっしゃって、その人たちはほかの事業もあわせて個別訪問したりするということがあって、そうすると実は郵送よりも安かったりということもあり得るので、今年度の我々のモデル事業の中で費用対効果も含めて調べてみようと思っています。本当に先生がおっしゃったように、直接行くと説明もできたりということもあるので、ただ配るだけという以上の付加価値が得られればいいなと思って、どこでも使えるという方法ではないと思いますけれども、そういうモデルもあって調べていきたいと思っています。 ○大内座長 では、もう一つの質問をお願いします。 ○福田構成員 立川市のセグメントをしてやるというのは非常に有効なアプローチかなと思うのですが、私がちょっと理解しにくかったところが、これをやるためには事前にアンケートをして、どのステージの方かという回答が得られないとだめなのですか、あるいはそのタイプに当たる人はこんな人というのが属性等から予測できるものですか。 ○渋谷参考人 基本的にはアンケートして、それを回収していただいたのが4割だったわけです。4割も回収していただいただけでも立派だと思っておりますけれども、現実問題としては、これをすべてセグメンテーションするにはどうしたらいいかという問題が出てきます。すべての市町村でアンケートをするのかという問題になってきますので、そうなってくると電子ファイル等々で、要するに、すべての網羅的な受診台帳があって、過去3年間受けていない人とか、過去に受けたことがある人、恐らくこういう方々はセグメントでAとかBではないとか、一度も受けたことがない人、この中にはいろいろなセグメントがある。ですから、そういう情報をもとにアプローチするというのもいいのではないかと考えたのですけれども、いかんせん研究班が終わってしまいましたので、そこまでいかなかったということでございます。 ○福田構成員 まさに、いわゆる一般のマーケティングの手法はそうだと思うのです。個別の方の好みを聞いて宣伝するわけではなくて、こういう属性とかこういうタイプの人にこういうものをやっていこうということだと思います。 ○渋谷参考人 実際調べてみますと、私は絶対にがん検診を受けないという人は意外に少ないんですね。ですから、受ける理由がないから受けないということがあって、ちょっと背中を押してやると、きっかけを与えてやると受けるという方が幸い多数だというので、そこを目指して介入するというのも一つの方法かもしれません。 ○大内座長 ほかに御質問ありますか。 きょうは受診率向上に関しての議論を少し集約化したいのですけれども、大まかな方向としては、お三方のお話にあったように、受診勧奨・再勧奨、その前に台帳の整備が必要ですけれども、この点については皆さん同じだと思います。それをいかに住民にきめ細やかに提供するかということですが、山本参考人から示された資料の中で、特に14ページ以降に書かれていますけれども、これまでの普及啓発と、これからの国立がん研究センターでの取り組みということで研究と実践の融合という図がありますが、実は本日は研究者とすれば山本先生や一部渋谷先生も入りますけれども、マーケティング専門家としては福吉参考人がいらっしゃいますし、それから、行政とすれば菅野構成員もおられるわけです。そういった観点からしますと、非常にきょうは議論しやすいかなということで、今後、山本参考人から示されたような形でどのように持っていくか。恐らく最後の53ページのまとめにあるように、第1段階である資材開発はほぼ終わっている、これからいかに第2段階として全国展開していくかにかかっているということですよね。したがって、本検討会は全国展開に向けて一定のとりまとめができればと思いますが、いかがでしょうか。 斎藤構成員どうぞ。 ○斎藤構成員 ちょっと前まで我々は受診率を上げるための具体的な方策を知らなかったのですが、きょうの四人の方のプレゼンテーションからも、既存の海外でのエビデンスをもとに、日本でも受診率向上には個別受診勧奨が小さなスケールでは可能であることがわかったと思います。山本参考人がまとめられたように、方法はあるのだけれども、実際にそれをどうやるかが問題だという話で、多分四方のお話もそこに一致しているのかなと思って聞きました。そうすると、この検討会で明らかにすべきは、実際に行うする上でのハードルを一つずつ明らかにして、それに対する対応を話し合うことではないかと思います。およそハードルとしては先ほどどなたかがまとめられましたけれども、仕組みの面、職域が触れられましたけれども、あと大きな話は財政面で主に財政と仕組みについてどうするのかということが論点になるのではないかと考えます。 そこで、四方にお聞きしたいのですが、実現する上で何が一番大きなハードルなのか一つずつ教えていただけませんか。 ○大内座長 具体的にこれを実現していくためには何点かのポイントがあると思いますが、最初に財政的なことですね。 ○斎藤構成員 つまり、コール・リコールシステムが有効だというのは、海外のエビデンスのみならず日本でもそうだということがわかったと。その中身というのは、台帳をつくって個別に勧奨することと、未受診者に再勧奨することであると。それに当たっていろいろなバリアーがあると思いますが、その中でどれが一番問題なのかをお聞きしたいと思います。 ○大内座長 菅野構成員いかがでしょうか。 ○菅野構成員 先ほどちょっと申し上げましたが、自治体の現場からすると、いろいろなメニューのがん検診をやってしまっているというところもありますので、そこを効果があるがん検診に財源を集中的にやるとか、ある程度自己負担を考えるとか、自治体の立場での努力が一つ。 それから、今の仕組みとしては交付税で2分の1ですが、実は八王子のケースで申し上げると、今、八王子の場合は実際に交付税で算定上7億円近く入っています。ただ、実際その半分以上が臨財債というか、借金してもいいよという権利で、実際に入ってくるお金としては3億円ぐらいと。先ほど申し上げましたが、八王子は今7億円ぐらいのがん検診の費用とすると、たまたまうちの市が2分の1ぐらいになるのですけれども、問題としては、まず都内の場合は不交付団体というのもありますから、ここは全くやる気が起きない。それから、測定単位というのが実は交付税は人口ベースなので受診率ではないんですね。なので、人口が多ければもらえるというだけの話で、ここに受診率によって交付税の場合は測定が変わるという仕組みです。清掃のほうではリサイクル率とかが多少交付税の算定にあるやに聞いていますが、そういった仕組みが必要なのかなと。あるいはさっき言ったメタボ検診とかと一緒にして、あめとむちを一緒に使うとか、そういったものがあると。財政の担当者と話しますと、交付税の全体額がふえなくてむしろ減る傾向の中で、幾らがん検診の割合を多く振り分けていますよと言っても、それだけではそこにはなかなか資材は投資できないねという話になっています。 ○大内座長 極めてまともなお答えで、がん検診費用の無料化というのは、今の日本の中で真正面からの要求というのはなかなかできないと思います。それは恐らく限られた財源の中でどのようにスマートに扱っていくかということだと思いますが、福吉参考人から無料クーポンと500円受診券とでは差がなかったという、恐らく基本的には受診行動をこれで呼び込んだということと、検診手帳もあると思います。そういったことで、今財源の話になりましたけれども、私は一応座長という立場からすると、今の国の制度、がん検診費用、地方交付税あるいは無料クーポン等を含めても、私の記憶では総務省から1,300億円ぐらいでしたか、その中でいかに効率的にやっていくかということになると思いますが、いろいろ調べた結果いかがでしょうか。 ○福吉参考人 我々は、がん検診の受診率向上のシンクタンクという立場でいろいろな市町村にお話に行くのですが、例えば、受診率がこうやったら3倍上がりましたという事例などをお示しすると、中には「3倍もあがる事例を出さても困る」と言う自治体もあります。「10%アップぐらいの事例が欲しい」と。3倍上がるというのが示されてしまうと、受診者が大幅に増える分の検診費用の予算を工面できないので、もうちょっと受診率向上効果の低めのものをくださいと言われるという笑い話みたいなことも、実際には真剣で切実な行政の問題としてあるんです。 そういった中で申し上げていくこととしましては、いきなり大がかりに受診勧奨・再勧奨にとりかかるよりも、一部のがん検診(例えば検診費用が比較的安価な大腸がん検診)を一部の年齢層の方々(たとえば、節目の方々)から試験的に勧奨を行い、実績を出しつつ段階的に予算措置をしていくということをお勧めすることも多いです。 あとは、財源が厳しい中、市民の自己負担の金額アップに取り組む自治体もあります。たとえば、自己負担が今まで1,000円だったところを2,000円いただこうという自治体が先日ありましたが、しかし自己負担額をあげることで受診率が大幅に下がってしまっても困る。では、1,000円の自己負担のときと2,000円の自己負担のときで受診意向がどれくらい変わるのか調査してくれという要望でした。実際に調査すると、「1,000円の自己負担で受けたいですか?」という質問紙で受診意向を聞いた人と「2,000円の自己負担で受けたいですか?」という質問紙で受診意向を聞いた別の人の比較をすると受診意向はやはりがくんと落ちます。落ちるのですが、「実際には1万円する検診が、市からの補助金が出ているので2,000円で受けられます。その検診を受けたいですか」という質問紙で別の人に聞いた受診意向を比べると、そのグループの受診意向は1,000円の自己負担で聞いた人の受診意向と余り変わらないんです。なので、どれくらい価値のあるものなのか、どれくらい意義の高いものをいくらで受け取れるのかという実際の価値・価格をマーケティングの世界ではバリューと言うのですけれども、バリューをきちんと示していくと、もう少し市民に自己負担してもらうことにしても必ずしも受診率は大きく下がらない、むしろ上がるというようなこともあるのではないかとも考えています。 ○大内座長 貴重な御意見ありがとうございます。 恐らく今言われたように、各種がん検診ごとに実際に要する費用は違うんですね。そのことも国民の方々にわかっていただいた上で、自己負担はこの程度ですと。例えば今、乳がん検診でマンモグラフィ検診をした場合には8,000円とか1万円になりますので、その約1〜2割の自己負担ですという書き方も必要なのではないかと思います。 いずれにしても、その実態を住民の方々が知られた上で、がん検診にはお金もかかる、精度管理を徹底すればもっとかかるわけですので、そういったことを前提とした上で議論を深めていかなければ、財源的なところにはどうしても障害があって踏み込めないのではないかというのが私の考えですが、いかがでしょうか。 この受診率向上に関しては、先ほど来のコール・リコール制あるいはソーシャルマーケティング等の知見も取り入れた検討をすべきであると。一方では、いわゆる検診料金、財政金負担についてどのように配慮するかということも必要ですので、この点についてもさらに意見をいただいた上で、これを中間報告に落とし込むにはかなり難しいですが、今とられている方針、もともとの健康増進法があって、あるいは市町村事業によるがん検診があって、それから職域の検診があって、そういったことを踏まえた上で全体的に国民にどのようながん検診を提供するか、受診率向上のための財源をどうするかというバランスの中で工夫が必要なわけですけれども、そこをさらに各構成員からも意見をいただくということでいかがでしょうか。恐らくまだ議論は尽きないのですが、あとでもう少し意見をいただきますけれども、今ここで確認したいのは、まだ意見が不十分なところは各構成員から、きょうの参考人からのデータをもとにさらに意見をいただいて、それを事務局でとりまとめていただく。それをもって論点整理に入っていきたいと思いますが、祖父江構成員いかがですか。 ○祖父江構成員 それでOKだと思います。 ○大内座長 松田構成員いかがですか。 ○松田構成員 そのような形でいいと思います。 先ほど福田構成員から御質問があって、コール・リコール、最初に電話をするのかどうかということですが、一般的には確実に本人に届くのは手紙かなと私は思っています。最近は我が家もそうですけれども、知らない電話にはほとんど出ないので、私どもも実はコールをやっているのですが、なかなかつながらないとか、最近は電話番号が知らされないとか、昔の古い電話帳で調べないとわからないということになって、なかなか現実的ではないのかなと思っています。ですから、要精検の生検未受診とか、あとは手紙で受けなかった人たちのリコールに使うのはいいのかなと思っているのですが、最初は郵便かなとお聞きしていました。 ○大内座長 一次検診に限ってですね。いわゆる精密検査のときにはどうしても各検診機関あるいは自治体でも対応が違うかと思いますが、電話勧奨が極めて有用であることは確かです。 一方で、米国CDCのデータにもあるように、米国などは初めからマンモグラフィ検診については一次検診から電話勧奨もしているという事実もあります。それは日本には今すぐにはなじまないというのが現状です。そういう整理でよろしいですか。 ○福田構成員 はい。 ○大内座長 ほかに御意見ございますか。 ○祖父江構成員 忘れていたというか、もう一点考えなければいけないのは、一体どういう仕組みではかったものを受診率として目標が達成されたかどうかを判断する材料とするのかも討議しておかなければいけないですね。今のところ国民生活基礎調査でいきますと言っていますけれども、きょうの報告だと真の値よりはちょっとぶれているということも臓器別に言われていますし、今後、受診率向上を目指して具体的にアプローチできるのは市町村事業としてのがん検診に限られるところですよね。そこに対して全体の受診率を上げるということでいくのであれば、やはり職域別のアプローチも考えないと、それを上げることを目標にして何も手を出さないというのは、やや片手落ちのような気もします。なので、受診率向上に関して何を目標達成されたかの指標として使うのかもあわせて議論したほうがいいような気がしました。 ○大内座長 受診率の算定の仕方については、以前のがん検診に関する検討会でも議論になっているところで、平成20年でしたか、平成19年でしたか、4通りか5通りの保険等の違いで細かな計算式もあったのですけれども、最終的には国民生活基礎調査でカウントしましょうということが今の形かと思います。 一方で、基礎調査の質問事項の中身が不正確であったりして、この間、乳がんと子宮がん検診については2年に1回となりましたので、その計算式についても少し混乱が見られたこともあります。実際に基礎調査の中でそのことが国民にわかっているのかどうかということですね。それで応えているかどうか。先ほど渋谷参考人は乖離があるというデータを出されました。もし受診率のカウントをここでこのような形で行うには、そうであってもいいのですけれども、具体的な正確な情報をいかに導き出すかという、いわゆる調査項目の再検討も必要かと思いますが、いかがですか。 ○渋谷参考人 それは必要だと思います。ただ、どうしてもサンプリングといいますか、アンケートによるものだと高齢者、特に70歳以上を対象にしないというのだったら、それはそれでいいのですけれども、非常に信頼性は落ちると思います。 ○大内座長 祖父江構成員いかがですか。受診率の算定についての議論まで深めるとなると、いろいろ市町村事業と職域と全く変わってきますのでかなり難しいですよね。そうであれば、国民生活基礎調査のあり方について、もう少し改正するほうがより具体的ではないかと思いますが、いかがですか。 ○松田構成員 ちょっとよろしいですか。先ほど渋谷参考人からも検診機関のすべてのデータを把握しているということで福井県を紹介していただいたのですが、全国の国民生活基礎調査による受診率と福井県の同じく国民生活基礎調査の受診率を見てみますと、実はかなり似通った数字が出ています。多少福井県のほうが全般的に少し高いのですが、ただ、検診機関のすべての数を拾ったものと、今の福井県内の国民生活基礎調査の受診率は相当食い違っているんです。何が違っているかというと、大腸がんは余り違っていませんが、胃がん検診は実は国民生活基礎調査アンケートのほうがかなり高く出ています。逆に、肺がん検診は恐らく胸部のX線検査を肺がん検診と思っていないからだと思いますが、非常にアンケート調査が低く出ている。ですから、検診の種類によって違っているのですが、恐らく全国的に同じ回答の仕方をしているとすると、変な言い方ですが、比較はできるのかもしれませんが実態とはかけ離れている面もある。それをわかって比較するのはいいのかもしれませんし、あるいはもっと答えやすいような質問にするといいのかもしれませんが、それでもやはり記憶に基づいたものではおのずと限界があって、その限界を知って使うということならいいのかなと。それ以上のものは恐らく全数調査は無理なのでしようがない面もあろうかと思っていますが、ただ、随分数字のかけ離れた面があるということはぜひ強調しておきたいと思います。 ○大内座長 斎藤構成員どうぞ。 ○斎藤構成員 少しさっきのとかぶりますけれども、きょうのお話を聞いて、それから、質問に対するお答えを聞いて、やはりコール・リコールシステムを全自治体で整備できるような方策を講じることが、まずプライオリティーが高いのではないかと思います。我々の調査で今、自治体でコール・リコールシステムを整備しているのはたった7%です。これは平成24年度の数字で、平成23年度が4%です。この増加に意味があるかどうかは別として、とにかく1割に満たないということで、これを整備するのが喫緊の課題であると思います。 認知向上に主に施策が割かれてきたわけですが、その重みががんごとに違うというのが福吉参考人からのプレゼンテーションで、明らかになったと思います。ですから、認知向上に割いてきた財政的な手当をコール・リコールのほうに仕向けることを考えたほうがいいのではないかと思います。 現場の取り組みとしては、八王子市で指針外の検診をやめることで財政的にも効率的に検診を推進していくというのは、これは昨年の基本計画に書かれたこととも一致しますので、こういった取り組みを広げることも必要なのではないかと思います。 このことは受診率だけではなく科学的根拠に基づいて行う、精度管理を行う、それを踏まえて受診率向上策をやるべきという基本計画に沿った取り組みでもあり、感銘を受けました。このことの重要性は、自治体間で余り周知されておらず、受診率向上のみが目標にされており、このあたりの情報提供も配慮する必要があるのではないかと思います。 ○大内座長 ありがとうございました。 皆様から御意見をいただきましたが、時間も定刻に近づいてまいりましたので、ここで質疑を閉じたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、各構成員におかれましては、追加の御意見については事務局に改めて御通知願います。多分、事務局から構成員にメール等で依頼があろうかと思いますので、よろしくお願いします。 その意見も踏まえまして、きょう御議論いただいた中身については整理した上で、次回の検討会で確認をとってとりまとめに入ろうと思っておりますが、よろしいでしょうか。 では、その他事務局から連絡事項等をお願いします。 ○岡田がん対策推進官 次回の検討会の開催につきましては、改めまして皆様方の日程調整の上、御案内をさせていただきます。 また、机上に配付させていただいておりますファイル資料につきましては、本日の資料を加えて次回も使用させていただきたいと考えておりますので、そのままにしていただければと思います。 以上でございます。 ○大内座長 それでは、本日はこれにて終了いたしますが、3名参考人の方々、それから、構成員の方々、御苦労様でした。審議の御協力に感謝申し上げます。 これにて終了いたします。


(了)
<照会先>

健康局がん対策・健康増進課

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