ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(生活環境水道部会)> 第14回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録(2013年3月19日)




2013年3月19日 第14回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録

健康局水道課

○日時

平成25年3月19日(火)15:00~17:00


○場所

厚生労働省18階専用第22会議室


○出席者

相澤委員、秋葉委員、遠藤委員、大垣委員、大澤委員、大住委員、小笠原委員、尾崎委員、瀬川委員、永井委員、中野委員、西尾委員、西村委員、藤井委員、古米委員、山根委員

○議題

(1)農薬類の分類見直しについて
(2)水質基準等の見直しについて
(3)新水道ビジョンの策定状況について
(4)水道行政の最近の動向について
(5)その他

○議事

○石飛水道課長
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第14回厚生科学審議会生活環境水道部会を開催いたします。本日は、御多忙のところ、御参集いただきまして厚く御礼を申し上げます。
 議事に先立ちまして、高島大臣官房審議官より御挨拶を申し上げます。

○高島大臣官房審議官
 審議官の高島でございます。本当に今日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
今日は第14回ということで、議事としては4つ予定しております。1つは「農薬類の分類見直し」ということで、前々回本部会で審議いただきました見直しにつきましてパブリックコメントを得たということで、この結果を踏まえて御議論いただきたいと思います。2番目としては「水質基準等の見直し」ということで、これは水道課長の下で水質基準等の改正の検討会を開いております。その結果が取りまとまりましたので、この方針につきまして併せて御審議をいただきたいということでございます。あと、新水道ビジョンの策定状況、最近の水道行政の状況についてもいろいろと御説明しながら、皆様の御意見を伺いたいと思います。短い時間ではございますけれども、皆様の御活発な御議論を期待しております。よろしくお願いいたします。

○石飛水道課長
本日は委員、臨時委員20名中16名の委員に御出席をいただいております。厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、定足数を満たしておりますので、本部会は成立しておりますことを御報告させていただきます。
次に、前回の部会以降、新たに本部会に御所属いただくことになりました、新任の委員の方々を私の方から御紹介させていただきます。お手数ですが、お手元に参考資料1の少し下の方に委員名簿がございますので、御参照いただければと思います。
本部会は委員と臨時委員で構成されておりますが、まず、委員の新任の方でございますが、中部大学生命健康科学部客員教授の那須委員は本日は欠席でございます。
 それから、新任の臨時委員を御紹介いたします。
 筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授、西尾委員でございます。
 帝京平成大学薬学部薬学科教授の西村委員でございます。
 主婦連合会会長の山根委員でございます。
 次に、前回の開催以降、委員の任期が満了しておりまして、本日の部会は委員の再任後、初めての開催となります。このため、改めて部会長を選任する必要がございます。厚生科学審議会令第6条の規定によりまして、部会長は委員、この部会では、大垣委員、那須委員、藤井委員の3名の委員の中から委員の互選により選任をすることになっております。委員の皆様にお諮りしたいと思いますが、部会長への御推薦があればお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
 藤井委員、お願いします。

○藤井委員
 この部会の審議事項に大変造詣が深くて、前回も部会長をやられていた大垣委員にぜひ今回も部会長になっていただきたいと思います。御推薦申し上げます。

○石飛水道課長
 ありがとうございました。ただいま大垣委員を御推薦いただきましたが、委員の皆様、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○石飛水道課長
 ありがとうございました。大垣委員が部会長に選任されましたので、部会長席に御移動をお願いいたします。
 それでは、これ以降は大垣部会長に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大垣部会長
 大垣でございます。言うまでもなく、この生活環境水道部会は非常に重要なテーマでございますし、大震災を受けてまた新しい状況の中で審議をしなければならないところであります。この部会の中には非常に幅広い専門分野の方々がいらっしゃいますので、ぜひ有意義な審議をしていきたいと思います。どうぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、部会長代理を決めることになっております。お手元の資料にございますように、今、申し上げましたように、専門的ないろいろな方もいらっしゃいますが、前回の折には部会長代理に明治大学の坂上先生に御就任いただいておりましたけれども、御後任として委員に就任されました、東京工業大学の藤井委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。

○豊住水道水質管理室室長補佐
 それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をご覧ください。クリップどめでお配りしております。
 1枚目に、本部会の議事次第がございます。こちらをめくっていただきますと、裏面に配付資料の一覧がございます。1枚もので座席表をお配りしております。
 資料1    農薬類の分類見直し案について
 資料1別紙1 水質管理目標設定項目の一部改正案及び農薬類の分類見直し案に関する意見の募集の結果とその対応について(案)
 資料1別紙2 見直し後の農薬類の分類(案)
 資料2    水質基準等の見直しについて
 資料3    水道水質基準に係る今後の検討事項について(案)
 資料4    新水道ビジョンの策定状況について
 資料4別紙 「新水道ビジョン(案)」に対する意見募集について
 資料5    水道行政の最近の動向
 資料6    水道水源における消毒副生成物前駆物質汚染対策方策について(平成25年3月とりまとめ概要)
 参考資料につきましては、委員の皆様だけの配付になってございます。
 参考資料1 厚生科学審議会生活環境水道部会委員名簿
 参考資料2 生活環境水道部会について(開催経緯)
 参考資料3 厚生科学審議会及び生活環境水道部会に係る関係法令等
 参考資料4 水質管理目標設定項目の一部改正案及び農薬類の分類見直し案に関する意見の募集について
以上が配付資料でございますが、不足等ございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。

○大垣部会長
 資料は、よろしいでしょうか。
それでは、早速、議事に入ります。まずは1つ目の議題として「農薬類の分類見直しについて」であります。事務局から説明をお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 それでは、農薬類の分類見直しについて御説明をさせていただきます。資料はお手元の資料1、資料1別紙1~2、参考資料4、以上の資料についてまとめて御説明をいたします。
 農薬類の分類見直しにつきましては、冒頭、審議官からも御説明申し上げましたように、前々回、昨年の3月の本部会におきまして現行の水質管理目標として定められております、農薬の分類見直しにつきまして考え方を御提示し、御議論いただき、御了承いただいたものでございます。その後の検討状況を御説明申し上げます。
 資料1ですが、改めて御説明いたします。農薬につきましては、平成15年の本審議会の答申に基づきまして個別に水質基準を設定するものもございますが、多くの農薬につきましては、ここに数式がございます総農薬方式で水質管理目標設定項目に位置づけておりまして、水質基準項目に準じて監視を行っているところでございます。この水質管理目標設定項目とされております農薬でございますけれども、中ほどにございます対象農薬リスト、数ある農薬の中で特に検出のおそれがあるものについて提示をして、これを参考に各水道事業者が検査をしてくださいということでお示しをしておりますリストがございます。このリストには農薬が102ございますが、それ以外にこの102に準ずるものといたしまして、第2候補群、第3候補群という形で農薬類を抽出しておりました。
 ただ、これは平成15年のことでございまして、その後、10年近い年月が経ってまいりますと、農薬の中にはこのリストにないものであっても出荷量が増えているもの、あるいはリストに掲載されているもので測った結果、検出されていないものも存在しております。これについてリストの見直しを検討すべきであるということで、平成22年度から始まりました厚生労働科学研究「水道における水質リスク評価および管理に関する総合研究」の中で検討を行ってまいったものでございます。
 この検討に当たりましては、1ページから2ページにかけてでございますが、現在の102以外にリストアップされております計206の物質がございますけれども、それ以外にその後、出荷量が増えているものや研究対象になっているものを37追加いたしまして、243を母集団として、これらについてリストへの掲載の有無等について検討したものでございます。
 2ページ(2)、ただ、この見直しに当たりまして、従来は検査法があるかどうかということを判定基準にしておりましたが、今回の見直しに当たりましては出荷量や使われ方を考え、水道原水から検出される可能性が大きいか、小さいかということのみをもって分類をしようということでございます。
 表に5つございますが、従来から単独の物質であっても高濃度で検出されるものについては、水質基準にするという枠組みは維持してございます。ただ、現行ゼロでございます。それ以外に対象農薬リスト掲載農薬類というものもございますが、その他の分類といたしまして、要検討農薬類ということで対象農薬リストに準じて取り扱うもの。その次に、その他農薬類ということで、測定しても検出されるおそれが小さいものでプライオリティが低いもの。除外農薬類と申しますのは、これまで102の農薬の中で掲載されていて、実際に測ってみたところ、検出されていないもの、あるいは検出される蓋然性がないものについて除外という形で除くようにいたしました。
 3ページ、こうやって除外をするわけでございますが、除外したものであっても目標値につきましては、これまでも本部会で御審議いただいておりますように、最新の食品健康影響評価の結果も使いながら判定の目安とするために、目標値は見直していこうということでございます。
また、検査法でございますけれども、243の中には標準検査法が用意できていないものも多数ございます。これらについて急ぎ検討を進めるわけでございますけれども、その際に水道事業者が、標準検査法がないものであっても妥当性評価を自ら行ったものを検査として用いて、その結果を使って優先順位を決めて標準検査法を決めていこう、つまり、もうリストに先に載せて、その後で検査法を準備していこうと書いたものでございます。
検討の経緯でございますけれども、繰り返し申し上げておりますように、昨年に方針を御提示いたしましたが、その後、私どもの別途の検討会「水質基準逐次改正検討会」におきまして考え方に基づいて検討を行い、その修正した結果についてパブリックコメントを行ってございます。
パブリックコメントの結果について御説明させていただきます。資料1別紙1をご覧ください。パブリックコメントの資料は、参考資料4に丸々おつけしてございますが、別紙1をご覧いただきますと、パブリックコメントは、今回は目標値の見直しと農薬類の分類見直しと2つ合わせて昨年12月25日から1か月行ってございます。御意見を求めましたところ、目標値の見直しにつきまして意見はございませんでしたけれども、農薬類については13通、延べ件数といたしまして33件の御意見をいただいたところでございます。
 意見の概要と考え方について次ページから掲載してございますので、簡単に御説明させていただきます。横の表をご覧ください。左側に通し番号をつけてございます。
1番、単独の農薬について水質基準になることがあるわけでございますが、ここに書いておりますのは、50%評価地点が1地点以上存在すれば、水質基準農薬にするということでございますが、それは入れ換わり立ち替わりでもいいのかということでございます。考え方といたしましては、どこかの地点で超えれば水質基準農薬ということでございます。
 2~3番、総農薬方式についての御意見でございます。EUでは、単一農薬濃度で評価をしているということもございますので、そういう考え方にするべきではないか、あるいは統合目標値を検討すべきではないかということでございますが、現在の総農薬方式と申しますのは、そうした単一のものというよりは毒性も考慮した評価方式といたしまして、より科学的で適切なものでありますということを御説明いたしております。
 4番、農薬は環境中で分解して別の物質になるものもございます。分析対象といたしまして、ここには2つ、タゾメットとメタムが掲載されておりますが、どのように検査をするべきかということでございます。これにつきましては、御意見も踏まえ、引き続き検討する予定でございます。
 5~7番、今回の対象物質としているものの中に国内の農薬登録が失効しているものでも検出されているものがあるということでございまして、なぜなのかという御疑問、あるいは農薬の登録の実績がないものについて、なぜ掲載されているのかということでございます。これにつきまして、農薬の登録が失効いたしましても物質の性状によるのかもしれませんが、検出されるものもございましたので、これについては引き続き検査をするということでございます。
 ページをまたいで恐縮ですが、8番、9番、農薬そのものだけではなくて、分解生成物について、あるいは農薬の補助成分や不純物についても検討すべきであるという御意見がございました。これらにつきましては、引き続き検討ということでございます。もちろん、これらについて必要なものについては、検査の対象とする、あるいは農薬ということだけではなく一般の化学物質として知見の収集に努めてまいる予定でございます。
 10番、名前についての御意見がございまして、こちらの整理の問題でございますけれども、不統一なところがございました。御指摘がございましたので、御意見があった農薬だけではなく、全体の農薬の名称についていろいろな名前が使われておりますので、名称の統一ルールを決めて統一をいたしたところでございます。
11~18番にかけて左側に「目標値」と書いてございますが、今回目標値について、随分と御意見がございました。これまで第2、第3候補群に載せているもの、つまり、対象農薬リストに掲載されていない農薬類について、パブリックコメントをとりましたのが初めてだったということもございまして、お手持ちのデータなりと食い違っているのではないかという御指摘がございました。これらについて、改めてこちらでも根拠データを確認いたしまして、私どもが平成15年に設定したよりも後に評価がなされているものがございましたので、これらについては訂正をいたしまして目標値の見直しをしたところでございます。
 3ページ、19番、今回も5分類の表をお示しいたしましたが、どこまで測定をしなければいけないのかという御質問でございます。右側に少し丁寧に御説明をしてございますけれども、検出のおそれでもって見直しを行ったわけでございますが、そのときに全国を10個の地域に分けまして、どこかの地域で検出のおそれがあるものというものをピックアップしております。裏を返しますと、地域によっては検出のおそれが小さいものもリストに掲載されているということになりますので、あくまでもこの物質を全部測定するということではなく、参考といたしまして、実際には水道水源で使われている農薬の種類なりを確認していただいて、それらの使用状況を勘案して選定するようにしていただきたいということでございました。
 20番、これはミスでございますので、訂正をしております。
 21番については、時期の問題でございまして、また、検査法を今回お示ししていないということもあって、水道事業体の方から御質問がきたものでございます。先ほど御案内申し上げましたように、検査法につきましては決まっていないものもございますが、それらについては各検査期間で検査を行っていただきたいということでございます。もちろん、準備ができたものから実施をしていただければ結構であると考えております。
 また、「妥当性評価ガイドライン」という言葉が22番で出てまいりますが、後ほど業務の説明でもさせていただきますけれども、昨年9月に私どもで検査に当たっての妥当性評価をする際の参考となるガイドラインを決めてございまして、それについての御質問が幾つかございましたので、これを参考にしてやっていただきたいというお答えをしております。
 25~27番あたりで、妥当性評価についての御質問がございました。
 4ページ、28~29番、今回チウラム、ポリカーボメート、マンゼブ、マンネブ、ジネブ及びプロピネブという7つの農薬をジチオカルバメート系農薬ということで合計するようにしてございますので、それについての御質問がございました。二硫化炭素に換算するということと、チウラムについてはチウラムを測ったときには除いてくださいということを御説明したところでございます。
 30番、施行の時期について、もっと遅らせてほしいということでございますが、今回は検査法を定めながら施行していくということでございますので、予定どおり、今年の4月1日から施行する予定でございます。
 31番、もっと水道水源での使用を禁止すべきという御意見もございました。先ほどもお話申し上げたように、検査の対象につきましては使用の状況を勘案するということでございますので、そうした情報提供を水道事業者にもお願いしたいところでございます。
 資料1に戻っていただきまして、こういった御意見もございまして検討を行った結果でございますけれども、3ページの下にございますように、全体として243あったわけでございます。243のうち102が第1候補群ということで対象農薬リストに掲載されておりましたが、102のうち引き続き掲載するものが87、除外されるものが14、このように表を見ていただければと思います。第2候補群の中、あるいは第3候補群の中から、対象農薬リストに追加掲載するものもございまして、結果的には102ございました対象農薬リストの掲載農薬類の数が120に増えるという形になりました。農薬につきましては、別紙2に一覧表で載せております。
御説明は、以上でございます。

○大垣部会長
 御苦労様でした。意見募集の説明も入っておりましたけれども、ただいまの説明につきまして御質問、あるいは御意見がございましたら、よろしくお願いしたいと思います。どなたでも結構ですが、いかがでしょうか。特に問題はないでしょうか。資料1に関して、この部会として了解をとるという形になっておりますが、いかがでしょうか。
 古米委員、どうぞ。

○古米委員
 別紙2に新しく出た対象農薬リスト掲載農薬類(120)で、第1候補群と第2候補群と第3候補群と追加農薬類ということで、それぞれ書いてあります。名称が変わっているものだとか統合名というものも記載されていますけれども、この統合名というのは、第1候補群と第2候補群で、これは追加されたものとして扱われるのでしょうか。合計としては120になっているのですが、分類としては、引き続き第1候補群から対象になったものと第2候補、第3候補と書いてありますが、若干、この統合というのがちょっとわかりにくいです。

○尾川水道水質管理官
 今の御質問、別紙2の3ページの中ほど、番号で申しますと対-050のジチオカルバメート系農薬の右から2つ目のところに「(統合名)」と書いておるところかと思います。ほかの農薬につきましても、右から2つ目の欄というのは現行の分類を書いたものでございますが、ジチオカルバメート系農薬は更に右の方にも書いてございますように、チウラム、ポリカーバメートがそれまで第1候補群、102の中に入ってございまして、その他の5物質については102の外側でございました。これについて新しくジチオカルバメート系農薬というものを1つ追加したということで、1増2減ということでございます。

○大垣部会長
 よろしいですか。

○古米委員
 わかりました。

○大垣部会長
 他にはいかがでしょうか。特にないようでしたら、資料1で御承認、御了承いただいたということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大垣部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、議事の2番目に移ります。2つ目の議事は「水質基準等の見直しについて」であります。事務局から説明をお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 それでは、資料2をご覧いただきたいと思います。水質基準等の見直しということでございまして、1枚目にも書いてございますように、水質基準につきましては、“Rolling Revision”(逐次改正方式)ということで新しい知見に基づいて定期的に見直しを行っているところでございます。新しい知見と申しましたときに、1つは安全性評価、食品健康影響評価に係る知見、もう一つは、検出状況に係る知見でございます。この2つをすり合わせたときに現在の水質基準、水質管理目標設定項目、要検討項目、この3つの分類に分けておるわけでございますが、この分類区分を見直す必要がありやなしやということを御確認いただき、必要なものについては見直しをするということでございます。
 2ページ、まず最初の知見でございます、食品健康影響評価の結果について御説明をいたします。内閣府の食品安全委員会では逐次、物質を選定いたしまして、安全性評価に係る検討を行っております。これまで本部会で未検討のものの中で、この1年間で新しく食品安全委員会からの評価書の通知書がなされたものが、ここにある水質基準項目で8、管理目標設定項目で3、要検討項目で1でございます。これらについて3ページ以降に、物質ごとに評価の概要とそれに対する考え方を整理してございます。
 3ページ、水銀につきましては、15年の答申の際に評価値を0.0005mg/Lとしてございました。この考え方は無機水銀ということではなく、水銀の中に入っておりますメチル水銀の安全性についての考え方から、メチル水銀が無機に変わる可能性も考慮して、測定するのは無機の水銀でございますので、0.0005mg/Lという値を設けてございます。これは平成4年の値をそのまま維持ということを平成15年に決めていただいているというものでございます。
 今回、食品安全委員会の評価結果が出てまいりました。まず1つは、発がん性につきまして甲状腺癌からの評価結果、非発がん毒性の結果につきましては、ラットの腎重量の増加の結果が出まして、この2つから導き出されるTDIとして、非発がん性のTDIを用いて0.7μg/kg体重/日という結果が出たわけでございます。
 これを表の下に書いてございますように、水銀からの寄与率を10%として評価をいたしますと、現行の評価値よりも大きな値になりますけれども、これまでの考え方、つまり、メチル水銀が無機水銀に変わるということ、それから、基準の継続性ということから考えまして、従前どおりの値、0.0005mg/Lを維持することとしたいということでございます。
 4ページ、セレンにつきましては、平成15年の答申の際に用いたましたTDI4.0μg/kg体重/日と同じ評価結果が出てございますので、これにつきましては、セレンの評価値0.01mg/Lをそのまま変更なく維持することといたしたいと思います。
 5ページ、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の合計の評価、もう一つは、亜硝酸態窒素単独の評価について食品安全委員会からの評価が出てございます。水道の水質基準では、MetHb症のリスクを考えまして、硝酸態窒素と亜硝酸態窒素の合計値で10mg/Lを水質基準にしております。また、亜硝酸態窒素につきましては亜急性の毒性を考え、別途、水質管理目標設定項目にしてございます。その値は0.05mg/Lということで暫定扱いにしておりました。と申しますのも、安全性評価の結果が暫定的なものであるということで暫定だったわけでございます。今般、食品安全委員会で出た評価結果といたしまして、硝酸態窒素につきましては従来どおりの値で評価がなされましたが、亜硝酸態窒素につきまして、評価結果として確定であるということと、これまでよりもやや厳しい値が導出されるTDIが算出されたものでございます。
 6ページ、すなわち、水質基準項目として決めております硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素につきましては、現在の10mg/Lの根拠と同じ毒性のエンドポイントの同じデータを使ってございますので、そのまま水質基準項目の10mg/Lについては、維持することといたしたいと考えております。
 亜硝酸態窒素につきましては、平成15年の見直しの際には不確実性があるので、暫定値ということだったのでございますけれども、食品安全委員会から確定的な評価結果がなされたということでございます。また、特に大きな不確実係数を用いたものではございませんので、暫定から確定にするということ、そして、導出されたTDIを使って導かれる0.04mg/L、従来は0.05 mg/Lでございましたが、0.04mg/Lに評価値を強化するということといたしたいと考えております。
 7ページ、フッ素につきましては斑状歯の問題がございまして、従来から我が国では0.8mg/Lという基準値を決めてございました。今般、食品安全委員会の評価結果から導かれる値と申しますのは、1.0ppmでございますけれども、我が国の基準の継続性、そして、斑状歯の発生予防の観点から従来どおりの0.8mg/Lという値を維持したいと考えております。
 8ページ、ホウ素につきましても、これまでの1.0mg/Lという評価値を導いているものと同じ設定根拠でもって今般の食品安全委員会の評価がなされたということでございまして、同じ評価値が導出されるということから、現行値どおりの1.0mg/Lを維持ということを考えております。
 9ページ、マンガンにつきましては、健康影響の問題以外に黒水障害の発生防止という観点でこれまで0.05mg/Lという水質基準値を設定してございまして、また、マンガン除去の可能性ということから0.01mg/Lを管理目標値としてございました。今回の食品安全委員会の評価結果は、健康影響の観点から申しますと、計算上0.9mg/Lという非常に高い値になるわけでございますけれども、性状項目でございますので、黒水障害の防止の0.05mg/Lあるいは除マンガン設備の管理のレベルとしての0.01mg/Lをこのまま維持することとしたいと考えております。
 10ページ、アンチモンにつきましては、従来0.015mg/Lという評価値を設定してございました。今回、食品安全委員会の評価結果につきましては、従来と同じアンチモンとしての6.0μg/kg体重/日というTDIが導かれたものでございます。ただ、従来は有効数字を2桁で目標値を設定してございましたけれども、WHOの現在のルールでは1桁としておりますので、評価が変わっているわけではございませんが、0.015 mg/Lを0.02 mg/Lにこの機会に変更いたしたいと考えております。
 11ページ、ニッケルにつきましては、これまで水質管理目標設定項目で0.01mg/Lという濃度でございました。そして「(暫定)」というものがついてございました。この暫定と申しますのは、平成15年に決めた際にも不確定な要素があるということで毒性評価が暫定的なものとされた経緯がございます。今回、食品安全委員会の評価結果では、ニッケルに対する感受性が特に強い女性の方が空腹状態でニッケルを含む水を飲んだときの湿疹が出るかどうかという結果から評価がなされております。不確実係数3を使って、TDIが導かれているというものでございます。これは検討会でも少し議論があった部分でございますが、まず1つは、暫定か確定かということにつきましては、今般、ヒトのデータであるということでございますので、暫定扱いではなく確定扱いといたしたいと思います。
 次に値でございますけれども、今回申し上げましたように、特にニッケル感受性の高い方のアレルギー作用をエンドポイントとして使っているということは、通常のリスク評価では余り用いられない方法であるということでございます。また、食品安全委員会の評価書を見ますと、TDIが4μg/kg体重/日ということなのですけれども、食品からの摂取量は4μg/kg体重/日よりもかなり大きな値になってございまして、飲料水と固形物を同等に考えて寄与率を決めていく従来のやり方を用いることが困難であろうということがございました。そこで各国の基準値を見ましたところ、最も低いのは0.02mg/Lという値でございました。0.02mg/Lというのを割り戻しますと、寄与率は20%相当に当たるわけでございますけれども、この値を用いましてニッケルの評価値を0.02mg/Lで確定値としたいということでございます。
 ただ、検討会からも御意見がございまして、これまで水質管理目標設定項目ということでございまして、あまり水質基準項目に比べてデータが十分でない部分もございますので、原水、浄水での存在状況を確認せよということ、そして、資機材からの流出も考えられますので、水道で超える場合にどうやって制御するか、あるいは水質試験方法についての調査検討を引き続き行いまして、もし必要な場合には評価値を見直すこととしたいということでございますが、0.02mg/Lを確定値とするということが私どもの案でございます。
 12ページ、バリウムは従来から要検討項目でございますけれども、0.7mg/Lという評価値でございました。今回の食品安全委員会の評価結果もこれまでの評価と同一でございますので、現行評価値0.7mg/Lを維持する予定でございます。
 13ページから先は農薬類でございます。農薬類は非常に数が多くて、現在の分類で第1~3候補群、そして、追加候補群について17ページまでずっと書いてございます。いずれも食品安全委員会で導き出されましたADIに10%、2L、50kgというものを機械的に掛け算いたしまして、四捨五入、有効数字1桁で評価値を導き、従来からの評価値と変わる部分については強化または緩和、変わらないものについては維持ということでまとめさせていただいております。
 17ページ、先ほど古米委員からも御質問がございましたジチオカルバメート系農薬が一番下に統合ということで書いてございます。これにつきましては、ジチオカルバメート系農薬の対象が7物質ですが、その中の6物質については従来から目標値が設定されてございました。これを合計するに当たりまして、食品の残留農薬基準でも二硫化炭素に換算するという方法をとってございますが、従来の目標値をモル比、あるいは分子量で換算をして、目標値が定められております6物質の最小値をとりましたところ、二硫化炭素として0.005mg/Lという数字になりましたので、これをジチオカルバメート系農薬の目標値とすることとしたいと考えております。
 ここまでが目標値についての新たな知見でございまして、これを用いて検出状況はどうかということを18ページから先にまとめてございます。
 18ページの表1をご覧いただきますと、これも従来からの部会で御了承いただいた見直しの考え方でございます。上段が水質基準項目、下段が水質管理目標設定項目ですが、これらのデータについて水質基準項目であれば、一番右にございますように分類要件1がNOの場合には水質管理目標設定項目へと見直しをするということでございます。また、水質管理目標設定項目は一番左、分類要件1がYESで、分類要件2もYESの場合に水質管理目標設定項目から水質基準項目へ見直しをするということでございます。要件とは何かというのが表の下に書いておりますが、評価値の10%、50%、100%の超過地点の超過状況を確認いたしまして、出ないものについては、水質管理目標設定項目にしていく、あるいは出ているものについては、水質基準項目にしていくということでございます。
 これまで水道統計で報告をされております浄水、給水栓水でのデータを確認いたしまして、10%、50%、100%の結果を確認したものを19~20ページに表としてまとめてございます。
 19ページの表をご覧いただきますと、左下に亜硝酸態窒素というものが升目の中に入ってございます。亜硝酸態窒素がこれまで水質管理目標設定項目でございましたが、先ほど御説明申し上げましたように、目標値が確定になるわけですけれども、確定になる評価値を用いて検出状況を評価いたしましたところ、水質基準項目に該当するような検出レベルだったということでございます。亜硝酸態窒素につきましては、21ページから少し詳しく資料に書いてございますので、御説明いたします。
 21ページ、亜硝酸態窒素の検出状況でございますが、千数百の地点でもって毎年度、測定をしてございますけれども、過去10%値については常時超えている超過地点がある状況でございます。50%を超えているものも3年連続ではなく21年度が空いていますけれども、ほぼ毎年のように50%を超えているものがあります。目標値、すなわち100%を超えているものが19年度に2地点、20年度に1地点で都合3件あったということでございます。過去5年間の中で超過をしているものがあるということが水質基準項目への見直し要件に合致したというものでございます。
 超えたところ、そして、50%以上のところについて22ページに一覧表でまとめてございます。右側のほうに「高濃度検出の原因」と書いてございますが、一番上のデータについては、もしかしたら誤検出かもしれないと水道事業者が申してございますけれども、2~3番目の深井戸水については、かなり高い硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の検出が原水で見られております。原水でございますので、基準値が直ちに適用されているわけではございませんが、御参考までに水質基準値としては10mg/Lでございますが、原水で17.6mg/Lだとかかなり濃い窒素汚染が見られるところで、年間1回だけでございますけれども、0.070mg/Lですとか0.050mg/Lという高い濃度が検出されたということでございました。
 23ページ、他にも原水で高いものがあるのではないかということで、同じく水道統計で確認をいたしました。真ん中に波線を書いてございますけれども、新しい評価値案でございます0.04mg/L、これは原水の方の濃度でございます。照らしてみたところ、0.04mg/Lの2~5倍のところに棒グラフを立ててございますが、かなり濃いものがございます。亜硝酸態窒素はかなり不安定なので、遊離残留塩素がきちんと入っていれば分解されて、濃度的には低いので、問題にならなくなりますが、塩素の消毒がうまくいかないケースもございます。こうした原水の濃度が高く、かつ、消毒がもし不徹底な場合には超える可能性が他の事業体でもあるのではないかと考えているところでございます。
 24ページ、以上をまとめますと、まず、評価値につきましては、先ほど物質ごとにつぶさに御説明させていただいた新しい評価値案をお決めいただいて、これは局長通知になりますので、来年度、パブリックコメント手続きを経まして、目標値として設定して、来年の4月に適用するということでございます。農薬類についても、対象農薬リストに掲載する農薬については同様の取り扱いでございます。
 また、3-2でございますが、分類について亜硝酸態窒素は本日の御審議で水質基準項目へ見直すべきという御意見になった場合にはその後の手続き、すなわち食品安全委員会に対する意見聴取あるいは検査法の開発、その他の関係基準の見直しという手続きを行いまして、水質基準に関する省令に位置づけるべく省令改正に進んでまいりたいと考えてございます。
 御説明は、以上であります。

○大垣部会長
 御苦労様でした。農薬以外で12物質の新評価値、農薬類の新評価値、それから、亜硝酸態窒素の分類の見直しの内容でありましたけれども、ただいまの説明に関しまして御質問、御意見がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 小笠原委員、どうぞ。

○小笠原委員
 22ページの2~3番、深井戸から10、あるいは17mg/Lという非常に高い濃度が出ているわけですが、深さとか井戸の構造というのはわかりますか。

○尾川水道水質管理官
 今、手元にございませんので、また後ほど御報告させていただきます。

○小笠原委員
 実は私どもも飲用井戸ではないのですが、このぐらいのレベルの井戸が相当ある地域がありまして、そこを調べると、やはり肥料関係、それを大量にまいていて、それが亜硝酸態窒素になっていたのだろうと、そのような経験があるものですから、お聞きしました。

○大垣部会長
 他には、いかがでしょうか。よろしいですか。
 瀬川委員、どうぞ。

○瀬川委員
 素人っぽい質問ですが、2ページに内閣府食品安全委員会の食品健康影響評価とありますけれども、これは日本の基準ですね。今、話題になっていますTPPにこの辺が入るのか、入らないのか、その辺をかなり心配されている方もいらっしゃいます。日本の基準ではなくて世界のレベルに合わせろという形になったときに、これの影響は水道水についてはどうなのですか。

○尾川水道水質管理官
 すみません、TPPでの扱いを承知していないのですが、例えば私どもで水質基準を決めて給水装置の基準を変えることになりますと、この場合、輸入する蛇口が使えなくなる問題があります。そういうときにWTO通報をいたしまして、基準が問題ないかということを確認するようにしております。国内のヒトに対する健康影響、何μgまでだったら大丈夫かということについては科学的な根拠でもって設定をしていく。それを基準に適用していく、それによって商品が売れなくなるということについては、これまでもWTOのルールによって確認しておりますので、それが適用されるのではないかと思っています。関税の話等は私の方で知識不足なので、わかっていない部分があるかもしれません。

○瀬川委員
 例えば3ページも全部そうですが、食品安全委員会の評価の内容に則って、ということで見ていますね。この食品安全委員会の評価がもしかすると変わってしまうのではないかというのが非常に怖いので、それはないですか。

○尾川水道水質管理官
 多分、ないとは考えております。

○大垣部会長
 よろしいですか。

○瀬川委員
 結構です。

○大垣部会長
 ほかには、いかがでしょうか。どのような観点からでも結構です。特にありませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、資料2につきまして皆様の了承をいただいたということにして、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大垣部会長 
 ありがとうございました。
 続いて、資料3について事務局から説明をお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 それでは、資料3でございます。説明が後先になってしまいますが、後ほど資料6で昨年5月に利根川水系で発生いたしましたホルムアルデヒドの超過事案についての御説明をする予定でございます。昨年5月に首都圏で大規模な水質障害が起きて、千葉県で断水という事態になったということを受けまして、私どもでもそうした事故時の対応について特にこれまでのやり方でよろしいのかどうか考えるべきではないかという問題意識がございました。ホルムアルデヒドの対応の検討会でも御指摘を受けたということもございまして、今回資料3では、我々の対応の中で特に水質基準に関係するものについて新しい取り組みを行うべきではないかということをペーパーとしてまとめたものでございます。御説明をさせていただきます。
 資料3の1でございますが、申し上げましたように、昨年5月に発生いたしました大規模なホルムアルデヒドの事故は原因が上流から流れた物質が障害を起こしていたわけですけれども、流れてきた物質自体を浄水場では処理することができなかった、活性炭で処理することができずに、また、塩素消毒に用います塩素によりまして元の物質がホルムアルデヒドに変わってしまったということでございます。ホルムアルデヒドは水質基準項目でございますので、いろいろな規制がかかるわけでございますが、原因となったヘキサメチレンテトラミンが水質基準でもございませんし、排水規制にもかかっていない、規制の対象になっていないものが大量に流出してきたということでございます。
 逐次改正方式でずっと見直していくわけでございますけれども、こうした単発の事故の原因物質について、なかなか私どもで対応が難しいということもございまして、ホルムアルデヒドの対応の検討会、「水道水源における消毒副生成物前駆物質汚染対応方策検討会」で検討を行っていただいたときには、他にも同じような、つまり、規制対象外だが、下流でホルムアルデヒドになるようものが他にもあるのではないかという洗い出しを行いました。PRTR法という化学物質の管理に関する法律がございますが、そこで指定されている化学物質について構造を見ていただいて、これはもしかしたら塩素と当たるとホルムアルデヒドができるかもしれないというものをピックアップしております。また、他にも文献情報でそうしたものがあるのではないか、あるいはホルムアルデヒド以外の副生成物ができるのではないか、また、過去に水道が見舞われている事故の中で原因物質が特定できていて、こんな物質が事故を起こしているが、規制対象になっていないものがあるということをピックアップしたということであります。
 また、そうやって拾い出した物質について塩素処理の実験も行いまして、理論上できるということではなくて、実験室ではございますけれども、実際に塩素を与えるとホルムアルデヒドになるということも確認できたということで、リストを作成したということでございます。このリストは全国に知らせることになりますので、ホルムアルデヒドということに注目をすれば、かなりの物質をカバーできたのではないかと考えております。ただ、ホルムアルデヒド以外にも同じような物質もございますし、直接健康には影響がないかもしれませんけれども、塩素消毒によって臭いが増す、臭気の原因となる物質はむしろ国民の生活上は影響が大きいかもしれないということもございます。また、水道の浄水処理を困難にするような物質、塩素消費量が多い物質、あるいはろ過閉塞を起こす物質もございます。こうした物質についてもターゲットを広げていって、今回はホルムアルデヒドに注目したリストをどんどん増やしていくべきではないかということでございまして、こうした作業に取りかかりたいと思っております。
 ただ、化学物質の数がかなり多いので、どういう物質を優先的に抽出するかという考え方から整理をしないといけないのですが、ある程度考え方を整理した後は文献等を使いまして、物質の情報を集め、そして、必要なものについては今回と同様に処理実験もして、実際に出ていくということを確認することによりまして、こうした物質は水道にとって迷惑なものであるということを世の中に発信していきたいということでございます。
 2でございますが、そのリストをどのように位置づけるべきかということでございます。これまで水質基準項目、水質管理目標設定項目、要検討項目という3つのピラミッドを考えていたわけでございますけれども、これらの物質はあくまでも水道法に基づいた定期検査の中で必要なものであるということで考えております。過去5年間とか3年間の10%、50%の検出状況を見ながら見直しを行っていますので、過去1回も事故を起こしていない物質が出るということになると、全くそれはカバーすることができませんし、また、昨日まで事故を起こしていないものが今日、起こさないという保障があるわけでもないということでございます。
 通常はあまり出ないのかもしれないけれども、事故時に問題があるものについては環境分野で水質汚濁防止法を改正していただいておりまして、指定物質ということで指定する制度を設けていただいております。こうした事故時の対応が必要なものが私どものカテゴリーにはないということもございますので、名前はこれから固めていきますが、「水道危害項目(仮称)」と、これまでの3つではない4番目のカテゴリーといたしまして、新しい項目を設けて検討すべきである。抽出されたリストについては、こうした水道危害項目ということで、取り込んでいくべきではないかということでございます。
 水道危害項目の考え方を下の方に書いてございますが、従来、一定以上の検出が見られていれば、水質管理目標項目なりに入っていくわけでございますけれども、検出がないということでもって水質管理目標が設定できていないものであって、原水に混入することによって健康影響だけではなく、その他の障害が発生するもの。そして、事故が発生しますと、水道事業者は原因究明ですとかリスク把握をして、あるいはそれが処理できるような浄水処理方法も考えていかなければいけない。また、関係部局には働きかけが必要である。このような物質であると考えまして、どのようなものをというのは具体的に今後、検討してまいりたいということであります。
 2ページ、そうした水道危害項目で整理された物質につきましては、目標値を決めていくということが必要ではないか、あるいは検査法を開発すべきではないかというのが3に書いてあるものでございます。
昨年5月の原因物質でありますヘキサメチレンテトラミンにつきましては、ホルムアルデヒドを測る、あるいはホルムアルデヒド生成能を測ることでカバーすることができますが、原因物質自体が毒性を持って、それが問題になるということもございますので、目標値を決めなければいけないケースも出てくるかと思っております。ただ、そうは言いましても食品に通常含まれないものについては、食品安全委員会での評価がなされていないことも考えられます。目標値がないことをもって対応しないというわけにはいませんので、暫定的な目標値も考えていくべきないかということでございます。
また、検査方法につきましても同じことを繰り返して申しわけございませんが、ホルムアルデヒドで測ればいいのであれば検査法はあるわけでございますけれども、ヘキサメチレンテトラミンの分析法を新たに決めなければいけないということでございます。同様に抽出された物質について検査法を決めていく必要があるであろうということであります。
 昨年5月の事故のときには、事故が起きてから、私どもの国立医薬品食品衛生研究所の研究者の方が2晩ほど徹夜して、分析条件を整理していただいて、原因物質を特定できたということがございます。あらかじめ物質が抽出できているのであれば、分析条件を用意すれば一定以上の機器を持っている研究機関では検査できるということでございますので、幾多の化学物質の中から物質を抽出された場合には、それについて検査する方法を考えていくべきであろうということであります。
 そのときに、水道は対応が必要でありますので、他の項目でも代替できるとか、あるいは精度がそんなにないが、安全側でチェックができるものであれば、そういった方法も柔軟に対応すべきでありましょうし、その場合にはどこまで厳密な精度が保たれなければいけないかという評価についても別途必要であろうと考えておるところであります。
 また、3の一番最後のところでございますけれども、水道での対応ということを考えますと、こういった物質が出た場合に、どのような浄水方法であれば処理ができるのか。昨年5月のときにはオゾンと生物活性炭の処理は有効であったが、粉末活性炭は効かなかったということであります。ヘキサメチレンテトラミンという物質については、そういうことでありますけれども、流れてきた物質によっはオゾンは効果がなく、他の問題を起こすかもしれないということもあります。こんな物質については、どんな方法で対応できるかという情報の整理はもちろん必要でございますし、水道事業体の立場に立った場合に上流に問題となる物質を使っている事業場があって、もし流れてきたらもうお手上げであるというときには、それは施設整備が必要だということになります。つまり、現在の能力を評価する、確認をする、それで大丈夫なように施設を整備できるように改善していく、こういう仕組みの検討も必要であるということであります。
 4番でございますけれども、これは基準の考え方でございます。摂取制限という言葉を書いてございますが、実は私どもの事故時の対応、水質異常時の対応は平成15年に通知を出してございます。もし水質基準を超えるような水が来た場合には、水道事業体はどうするべきかということなのですが、病原生物なり急性毒性が気になる場合には超える、あるいは超えそうなときには給水を止めないといけない。これを飲んだら病気になるということであれば、それはもう水質異常であって、直ちに緊急停止だということを申し上げております。ホルムアルデヒドのように、多くの化学物質は長期的な影響をもって根拠としてございます。だからといって、超えていいというものではありませんが、すぐに健康に影響があるもの、長期的に飲み続けた場合におそれがあるもの、あるいは健康に問題がないけれども、使っていく上で利便上の支障があるもの、これが水質基準の50項目の中には混ざっているというのが実態であります。これらについて通知の中では、長期的な影響を考慮して基準が設定されているものにつきましては、超過しただけでは水質異常とは言わず、ただ、超過した状態が継続すると見込まれる場合に異常時と見て、停止をするなりしてくださいと書いてあるものでございます。
 昨年5月の事故を見ますと、継続している期間は数日間でございましたので、もしかすると長期的とは言えなかったのかもしれませんが、ただ、あのとき、あの事故に遭っている方々はこれがどれだけ続くかとかいうことは全くわからなかったわけでございますので、給水停止に至ったということであります。一方、あの日は週末だったわけでございますが、まさか地震が起きているわけでもない、台風が来ているわけでもないのに水が止まると思っていた方はいなかったわけでございます。非常に多くの方が給水車に並んだりするということで、国民生活に非常に大きな影響が出たということでございます。
 一方で思い出していただきますと、一昨年の地震の直後、東電の原発から大量に放射性物質が放出されて放射性ヨウ素が高濃度になったときには、摂取制限の通知を出したということでございます。
 では、どういう場合に摂取制限をすべきかということを考えていきましょうというのが今回のペーパーでございますが、住民の方々からしてみると、納得しづらい部分もあると思います。ここは丁寧に御理解をいただけるようにしないといけませんが、考え方といたしまして、飲み水だけではなく、生活あるいは経済社会の上で非常に大事なものでございますので、どうしたら水道水を途絶えないようにするのか。もちろん、濃度は超えないということは大事でありますけれども、摂取制限で万が一、誤飲しても大丈夫、飲まないほうがいが、飲んでも問題がなくて、なるべく飲まないようにしながら給水は続けていきましょうという摂取制限をしながら給水継続をしていくということが水道事業体の選択肢に加えられるように、国全体として考え方を整理するべきであろうということございます。
 3ページにまとめとして書いてございますけれども、他の国でも同じような問題があり、対応しているということも漏れ聞いてございますので、そうした考え方も参考にしながら考え方を整理したいと思っています。
また、最後に書いてございますが、災害のときに緊急応援に行って、浄水場の水を給水車に入れて持って行く場合には、水道協会の方でも非常時における水質試験方法を作ってございますけれども、それ以外にその場にあるような井戸水を応急給水として、緊急時の水源として使いたいとか、あるいは簡易な機器を使って簡単なろ過なりで生活用水を賄いたいというときに、私どもに聞かれると、50項目全部測ってくださいということになりかねません。では、どういうものを省略してよろしいのか、あるいは基準として見なくもいいものは何かということについても、短期、長期の健康等と同じような考え方だと思いますので、摂取制限の考え方を整理する際に併せて考え方をまとめていきたいと考えてございます。
以上、課題として今後の検討事項としたいと思っております。6ページは、関係の通知の写しでございますので、説明は省略させていただきます。

○大垣部会長
 御苦労様でした。水道水質基準に係る今後の検討事項についてであります。今後の検討事項でありますけれども、資料3に関しまして御意見、お考え等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 今、ありましたようにホルムアルデヒドの事故の件、大震災のときの放射性物質の件、共通の話題として、今後の検討事項として出ておりますけれども、いかがですか。
 尾崎委員、どうぞ。

○尾崎委員
 充実した検討を期待しています。よろしくお願いします。

○古米委員
 ホルムアルデヒドの件で、実際上は水道事業者側が塩素処理をすることによって出てくるかどうかということを対象物質以外についても検査した、可能性のあるものが抽出できたということで対応はできるのですけれども、一方で新しく合成された化学物質に対しては化審法のもとで、毒性をチェックしながら化学物質が示されていく。そういった項目の中に塩素を添加したときに健康被害を及ぼすような、水質基準項目でもいいでしょうし、食品関係の毒性物質として挙がっているものができるか、できないかといったプロセスは化審法の中で取り扱うなり、項目としては入っていないのでしょうか。

○尾川水道水質管理官
 化審法では、今のところは入っておりません。

○古米委員
 言い換えると、水道側から通常の毒性ではなくて、こういった浄水プロセスを受けることによって副生成物として出てくる物質についても、可能性があるものについてはしっかり評価していただけるとよいかと思います。そうしないと、新しいものが出るたびに水道事業者側は心配しながら、懸念を持ちながら、ひょっとしたらこれができるのではないかと対応するのではなくて、製造者側に残存性だとか毒性の幾つかの項目がありますが、追加いただくということをお願いすることは難しいのでしょうか。

○尾川水道水質管理官
 相手もある話でございますので、ただ、私どもとしては塩素消毒が水道の安全性確保に不可欠なものでございます。我が国で使われる物質がそうしたことも考慮して、関係への影響を考えていただきたいということは、申し上げていきたいと思います。

○瀬川委員
 今の件ですが、新しい化学物質ができたときに、下手すればイタチごっこみたいになってしまいます。ですから、逆に厚労省のほうから水道は塩素消毒しますので、そのときに有害な物質が化学変化するかどうかというのは調べてくださいという意味ではないが、そういうものを周知させる方法でどうですか。それを相手にやらせるというのも非常に難しいので。そうでないと新しい物質はどんどん出てきますから、そのたびにこういう問題が起きる可能性がある。製造業者ですから、製造業そのものにはわからないので、作った科学者とかその辺に周知する形にしておかないと、非常に難しい問題ではないかなと思います。

○大垣部会長
 今、御指摘のとおり、非常に難しい問題です。他に御意見は、いかがでしょうか。
 山根委員、どうぞ。

○山根委員
 先ほど今後の検討事項という、非常時や災害時の水の確保とか安定供給は本当に重大なことだと思っています。すぐに検討や整理を始めていただけるということは大変期待しているのですけれども、ただ、いろいろな項目や検討事項があって、取りまとめには時間がかかるかなという気もします。一方で、明日にもまた大災害が起こるかもしれないのですが、今後のスケジュールみたいなことがもし予定があれば教えていただきたいと思います。

○尾川水道水質管理官
 これにつきましては、先月2月28日に水質基準逐次改正検討会で御議論いただいたものを紙にまとめたものでございます。私どもで考えておりますのは、その検討会の先生方にもお願いして、これらの事項についてまとめる予定でございます。今、山根委員におっしゃっていただいたように、こういうものはあまりゆっくりやるわけにもいきませんので、なるべく早くということで考えさせていただきたいと思います。

○大垣部会長
 よろしいでしょうか。他には、いかがでしょうか。
 古米委員、どうぞ。

○古米委員
 災害時の件は非常に期待をしたい内容です。摂取制限を想定する場合、飲料水としての摂取と炊事を通じて入ってくる摂取があって、お風呂、洗濯に関しては摂取という言葉には当たりません。摂取を考える場合、飲料水と炊事というところは大きな違いがあるので、そこら辺をどう考えるのかが1つあろうかというのが気になる点です。
 もう一つは、こういった状況で応急給水をしている場合には、検査で安全を確保して応急給水をしていますということを水道利用者の理解を得ると言われても、そのタイミングに100%周知することはまずできません。事前にこういった状態においては、こういった給水をする可能性があるということを災害以前に広報することで理解を得るとすればよいのか、事前広報を行った上で最大限の周知は当然しますが、理解を得るというところの考え方が課題であると思います。すぐに健康に影響しない項目が整理され、対応も決まったとしても、実際上、利用者に対してどうメッセージというのでしょうか、緊急時だから、こういったことが皆さんの健康被害もなく供給できるのだという方法論は、事業体でお考えになるほうがいいのかもわかりませんけれども、皆さんに何か良い検討をいただくべき項目かなと思いましたので、申し上げます。

○大垣部会長
 尾崎委員、どうぞ。

○尾崎委員
 それも含めて検討ですね。もちろん、事業体もそれに対する意見を申し入れますが、それも含めて検討をお願いしたいと思います。

○大垣部会長
 多分、水道事業体の御意見が非常に重要で現場の判断が必要ですので、その御意見をぜひいただきたいと思います。今、摂取制限という、口に入れることだけが中心ですが、水洗便所だけに使用可能というやり方も場合によってはあり得るわけです。緊急時の話ですので、柔軟に対応する検討をいただければと思います。多分、そういう御意見かと思います。
 他には、いかがでしょうか。特に水道事業体に関係の深い方、よろしいでしょうか。
 それでは、基本的には資料3の考え方に基づいて引き続き検討していただくということと理解いたしましたので、そのようにお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議事(3)に移ります。「新水道ビジョンの策定状況について」、事務局から説明をお願いいたします。

○日置水道課長補佐
 新水道ビジョンの策定状況ということで、資料4とその別紙を用いて説明させていただきたいと思います。新水道ビジョンの策定状況ということでございますが、本件に関しましては、前回平成24年12月4日の第13回のこの水道部会において骨子案を提示させていただきました。その後、検討を重ねまして、現在、案ということでパブリックコメント中という段階でございます。それまでの経緯について説明するとともに、その中身についても説明させていただきたいと考えます。
 まず、資料4の1ページ、「新水道ビジョンの策定検討会」の検討体制を表したスライドでございます。この新水道ビジョンですけれども、現行の水道ビジョンの策定から8年以上が経過した、また、人口の減少や東日本大震災、こういった水道を取り巻く環境が変化したことを受けて検討を開始したということでございます。
 下のところに構成員の先生方の名前を列記させていただいております。座長といたしましては、東京大学の滝沢先生にお願いいたしまして、11名の先生方、この中には尾崎委員、永井委員にも御参画いただきながら検討を進めている状況でございます。
 2ページ、スケジュールということでこれまでの経緯を簡単に取りまとめたものでございます。第1~12回までこれまで検討会を行いました。第1回は、平成24年2月10日でございます。第12回は、平成25年1月22日に開催いたしまして、そこで案を提示したということでございます。現在、パブリックコメントの募集ということで3月15日まで行いまして、今、いただいた案をパブリックコメントについて取りまとめている最中ということでございます。
 また、3月1日ですけれども、シンポジウムを開催いたしました。こちらは、新水道ビジョン策定の検討過程を一般の方々や水道関係者に広く伝えたいということで、都内で催したものですけれども、約370名の方に御参加いただき、いろいろと意見交換も行わせていただいたということでございます。
 先に今後のことを申し上げますと、第13回の検討会を3月25日に行いまして、そこで最終調整を行って公表ということで考えております。
 3ページのスライドの前に別紙を用いて、現行のパブリックコメント案を説明させていただきたいと思います。1枚めくっていただきますと、「新水道ビジョン(案)[概要]」ということで平成25年、月を空白にして厚生労働省健康局というスライドがあると思います。これから始まるスライドは新水道ビジョン(案)の概要なのですが、本体はそこから6枚ほどめくっていただきましたところ、「新水道ビジョン(案)」と書いて、平成25年、厚生労働省健康局と書いたページがあるかと思います。
 その次に目次が始まりまして、1~48ページまで続きます。これが今の新水道ビジョン(案)でございます。文字ばかりになっておりますので、こちらにつきまして基本的なところはお戻りいただきまして、パワーポイントのスライドの方で説明をさせていただき、必要に応じて文章のところに立ち返りたいと考えております。
 では、説明を始めさせていただきます。
 2ページ、「1.はじめに」、検討の経緯、きっかけをまとめたスライドでございます。まず、平成16年に水道ビジョンを公表いたしました。また、20年に改訂を行ったということでございます。先ほど申し上げたような水道を取り巻く環境の変化、具体的に申しますと、人口減少社会の到来ですとか、平成23年3月の東日本大震災、こういったものを受けまして、右下ですが、水道関係者の人心一新という心を切り替えて、今後の水道について抜本的な対策を含めて見直していこうということで、平成25年に新水道ビジョンを公表したということを書いているものでございます。
 3ページ、「2.新水道ビジョンの基本理念」をまとめている、その内容を表したスライドでございます。現行の水道ビジョンですけれども、基本理念としては「世界のトップランナーとしてチャレンジし続ける水道」ということで、これまで鋭意頑張ってきたところです。先ほど申し上げたような水道の事業環境の変化を受けて、右側になりますが、関係者が共有すべき理念を考えようということで、水道を取り巻く時代の転換点で、これまで先達が築き上げてきた需要者との信頼、これに基礎を置いて関係者が一丸となって頑張っていきたいということを踏まえまして、「地域とともに、信頼を未来につなぐ日本の水道」を基本理念として、これから頑張っていこうということでまとめたものでございます。
 4ページ、この基本理念のもと、取り組んでいくのですけれども、それに併せて水道の現状評価と課題をまとめていこうということで整理をしたものでございます。こちらに関しましては、まず1つ目として、水道サービスの持続性が確保されているかという点につきまして、現在評価と課題でまとめているところでございます。
 現状評価に関しましては、現在、水道普及率が97.5%と書いていますが、最新は97.6%になっております。また、市町村経営原則のもと、行われているという話。課題としては、水道の耐震化ですとか施設更新の遅れ、あとは職員が不足している、また、広域化等の対策などが必要になってきているということが挙げられるということでございます。
 5ページ、安全な水が供給されているかという観点からの現状評価と課題をまとめたものでございます。現状については、水道水質基準が遵守された水道水が供給されている、また、水質管理も実施されている状況でございます。課題といたしましては、大規模な取水障害や断水を引き起こすような水源汚染リスクもあるだろう。また、未普及地域もある。あとは、水安全計画の策定が遅れている話ですとか小規模貯水槽水道、こういったものの衛生確保、給水装置の事業者の資質の確保、こういったものが問題としてあるだろうということで整理をしています。
 6ページ、水道の現状評価と課題の地震災害等に関する危機管理。現状としては、東日本大震災で応援活動が展開された話、また、原子力災害にも対応したということでございます。課題としては、広域的な災害時における資機材の調達を可能とするような体勢の整備ですとか、緊急時における生活用水の確保のための衛生水準確保の在り方ですとか、現場単位での指揮命令系統等を明確化する、こういった問題があろうということで整理を打ち出しております。
 7ページ、地震災害以外に対する危機管理でございますが、現状としては、自然災害等のその他のマニュアルということで危機管理マニュアルですとか災害訓練を行いながら対応されているということでございます。課題としては、広域的な水道施設の被災を想定した相互的なネットワークですとか、住民とのコミュニケーションの推進による被災時の対応力の強化、こういったものだろうということでまとめたところでございます。
 8ページ、将来の事業環境に関しましては、外部環境の変化と内部環境の変化と2つに分けて、将来、どうなっていくのかということをまとめたところでございます。外部環境としては人口の減少ですとか施設効率の低下、水源の汚染、利水の安定性低下、こういったものが将来起こるだろう。内部環境の変化としては、内部というのは水道事業の内部ということですけれども、施設の老朽化ですとか資金確保の問題、職員数の減少、こういうものがあるだろうということでまとめているところでございます。
 9ページ、以上のような現状分析と将来の展望を踏まえて、「5.取組の目指す方向性」に移ってまいります。以前、お示しした骨子案では、目指すべき方向性と実現方策というセットにした項目にしたのですが、ここでは取り組みを目指す方向性ということで1つ大きな項目として挙げることにいたしました。
まず(1)水道の理想像、これを皆さんで共有しようということでまとめたものでございます。点線の枠囲いに書いていますけれども、時代や環境の変化に対し、水質基準に適合した水が必要な量、いつでも、どこでも、誰でも、合理的な対価を持って持続的に受け取ることが可能な水道、こう表すことができるのではないかということでございます。そこに書いています「安全」と「強靭」と「持続」、この3つの観点から表現できるのではないかということで、そこに示したものでございます。
安全な水道につきましては、全ての国民がいつでもどこでもおいしく飲める水道。強靭な水道につきましては、自然災害による被害を最小限にとどめ、被災した場合であっても迅速に復旧できるしなやかな水道。水道サービスの持続につきましては、給水人口や給水量が減少した状況においても、健全かつ安定的な事業運営が可能な水道。こういうことが理想の水道像として言えるのではないかということで、項目をこうして整理したということでございます。
10ページ、どのように我々はそこに至るべきかということで、取り組みの目指すべき方向性を整理いたしました。まず、安全という切り口から取り組みの方向性としては、良好な水源の保全と確保ですとか、浄水処理における水質管理の徹底、流域連携による広域的な監視と水源保全、小規模水道及び飲用井戸等の設置者への指導体制の確立。こういったことを行いながら、安全に関する理想の水道像を具現化していこうということを考えるところでございます。
そういう中で当面の目標点というところで、まずはこれをやっていこうという目標点もここで設定させていただいたところでございます。安全という切り口に関しましては、全ての水道において、いつでもどこでも安全な水の確保がなされている状態を達成したい。また、これによって実質的な面での国民皆水道が実現するということでございます。それによって、こういった取り組みを進めて理想の水道像につながっていくという考え方をまとめているところでございます。
11ページ、取り組みの目指すべき方向性の中の強靭の確保という観点につきましては、大規模地震や自然災害の場面においても、必要最小限の供給を可能とするための施設の強化ですとか関係者との連携による応急給水、応急復旧活動の展開、被災時における生活用水の供給の確保、不安定な電力供給にも対応可能な水道の構築、こういったところで強靭な水道を確保していこうということでございます。
その中で当面の目標点、まずはこれを達成しようという目標点といたしまして、全ての水道事業者において給水区域内で最も重要な給水拠点を設定して、そこを連絡する管路、配水地、浄水場、こういったものの耐震化を完了するということを設定したいということでございます。こういった取り組みを通じて、強靭に関して水道の理想像を具現化していくということでございます。
12ページ、持続の確保につきまして、この中には取り組みの方向性として大きく3つございます。まず1つは、水の供給基盤の確保ということ、これは水道の資金と人材の確保ですとか、老朽化施設への対応という話、あと、環境対策、国際展開、これも水道の持続の確保には必要不可欠な対応ということで、取り組みの方向性の中にまとめさせていただいているところでございます。
更に当面の目標点ということで、持続の確保に関しては全ての事業者において、まず、資産管理を実施して、将来の更新計画、財政収支、こういった見込みを明らかにしようという話、また、需要者に対する情報提供体制、需要者の意見を事業経営に取り入れる体制を整備しよう、まず、ここからスタートしようということで当面の目標点を設定したところでございます。これによって持続の確保に関する水道の理想像を具現化するということで考えているところでございます。
13ページ、ここは骨子にはなかった観点ではありますけれども、方策の推進要素ということをあえてここで切りだして、まとめたということでございます。まず、「挑戦」と「連携」、こういう2つのキーワードを方策の主要な推進要素と位置づけて、水道の理想像の具現化に取り組もうということでございます。下に書いてございます、今後、想定される困難な課題に対して挑戦の意識を持って、また、関係者が連携をすることによって相乗効果ですとか効率化、新たな発想が生まれるということで、この2つの姿勢をもとに今後の困難な課題を克服していこうということで、あえて1つの章をおこして「挑戦」と「連携」ということを明示したということでございます。
14ページ、重点的な実現方策ということで、具体的にどういったことをやっていくのかということを整理したものでございます。水道関係者によって「挑戦」と「連携」をもって取り組むべき方策ということで、3つの種別、15項目でありますが、1つ目は関係者の内部方策、関係者の中での取り組み、主として中の取り組みによって行う話。2つ目は、関係者間が連携して行う方策。3つ目は、新たな発想で取り組むでき方策、これまでなかなか取り組めなかったこと、こういったことを新たな発想として取り組んでいこうということでまとめたものでございます。
こちらの具体的な書き方については、水道ビジョン(案)の21ページに「第7章 重点的な実現方策」があります。ここからがその記述内容でございまして、まず、菅池社の内部方策といたしまして、水道施設のレベルアップということ。ポイントについては、黒い枠囲いの中に箇条書きにして、どういったことがこの新水道ビジョンで求めていることかということをわかりやすく表現したということでございます。
例えば水道施設のレベルアップ、その中の施設更新時の再構築ということについては、ダウンサイジングによる施設の再構築ですとか現有施設の有効活用、あとは施設の再構築を契機とした取排水系統の再編ですとか、そういったことをポイントとして挙げているということでございます。
時間の関係もありますので、ページをどんどん送りながら説明させていただきますが、22ページにいきますと、施設の適正な維持管理、情報の電子化というものがございます。「7.1.2 資産管理の活用」というところについては、アセットマネジメントの導入、こういったものを挙げさせていただいております。
また、「7.1.3 人材育成・組織力強化」については23ページになりますけれども、職員教育の充実化ですとか水道事業管理者、水道技術管理者の適切配置。
「7.1.4 危機管理対策」に関しましては水源事故対策ですとか、24ページにいきますが、施設耐震化対策、BCP、資機材等の確保、応急給水の準備対応、水道事業における危機管理マニュアル等の整備、停電を想定したエネルギー確保、こういったことを箇条書きとやや詳しく記述した内容で補っているということでございます。
26ページ、「7.1.5 環境対策(1)」ということで、関係者の内部の取り組みによって達成できる環境対策をまとめています。省エネ、再エネの導入ですとか浄水発生土と建設発生土の有効利用、こういったものがあるのではないかということでまとめさせていただいたところでございます。
27ページ、「7.2 関係者間の連携方策」にまいりますが、こちらについても、まず、「7.2.1住民との連携(コミュニケーション)の促進」ということで、住民への積極的な情報提供の拡大ですとか水道水に対する信頼性向上の取り組み、28ページにまいりまして、環境学習、社会学習の場の提供、飲料水ニーズの多様化に対する活動、地震災害時の住民との連携、広報の組織体制。
29ページ、「7.2.2 発展的広域化」ということで3段階に分かれますけれども、((1))近隣水道事業者との広域化の検討を開始するということ、((2))次の展開としての広域化の取り組み推進、((3))発展的な広域化による連携推進。広域化の解釈をやや拡大して、とにかくさまざまな知見を得ながら対応を図っていこうということを書いています。
 31ページ、「7.2.3 官民連携の推進」、例えばTPPの活用ですとか、32ページには官民の人事交流の活用。
 「7.2.4 技術開発、調査・研究の拡充」として、技術力確保・向上、33ページには、技術開発の推進、調査・研究の推進及びその成果の活用といったことを書いています。
 「7.2.5 国際展開」ということもつくって書いております。まずは、海外への展開と水ビジネスの連動推進、職員の研修による人材育成、日本の技術・ノウハウの国際的活用といったことが国際展開として重要だということをまとめています。
 「7.2.6 環境対策(2)」ということで、連携しながら行う環境対策として、水源等の環境保全対策などがあるということでまとめているところでございます。
 「7.3 新たな発想で取り組むべき方策」ということで、冒頭に申し上げましたが、これまでやろうと思ってもできなかった、またはなかなか取り組めなかったこと、これを新たな発想として取り組んでいこうということでございます。
「7.3.1 料金制度の最適化」、逓増料金の検証ですとか料金格差の是正。
「7.3.2 小規模水道(簡易水道事業・飲料水供給施設)の対策」ということで、簡易水道事業ですとか飲料水供給施設への対応ということをまとめております。
38ページ、「7.3.3 小規模自家用水道対策」、簡専水、貯水槽水道等の管理強化ですとか飲用井戸等の管理強化、また、39ページなどはそれに併せた給水形態の見直し。
「7.3.4 多様な手法による水供給」ということで、水道の布設にこだわらない多様な手法の水供給もあり得るのではないかということで、今後、検討していくべき内容だなということでまとめているところでございます。
 41ページ、このような重点的な実現方策を行っていくに当たって、関係者の役割分担を第8章でこのビジョンでは示しているところでございます。この関係者の役割分担でございますけれども、1つ目、行政機関といたしまして、国と都道府県と市町村と挙げております。41~43ページに書いていますけれども、国としては、新水道ビジョンのフォローアップですとか制度的対応、財政的支援、技術的支援、こういったものがあるということでございます。42ページの都道府県に関しましては、都道府県水道ビジョンの策定ですとか事業体への助言、事業体からの調整、こういう機能が求められるということでございます。市町村に関しては、自家用水道の衛生対策の推進ですとか住民に近いという市町村ならでは取り組みの推進、こういったものがあるだろうということでございます。
 「8.2 水道事業者・水道用水供給事業者」につきましては、水道事業ビジョンの策定と取り組みの推進というものがある、あと、住民とのコミュニケーションを密にとるという話ですとか、水道用水供給事業者においては、受水団体への技術面、経営面の支援、こういった役割もあるということをまとめているところでございます。
 「8.3 自家用水道の設置者」については、44ページになりますが、清掃、点検等、こういったものに対する実施ですとか、地方公共団体の衛生対策への協力、こういったものがあるということでございます。
 45ページ、「8.4 水道法に基づく登録検査機関」、こういった機関については地域の水道に対するきめ細かな水質管理への適切な支援という役割があるということを書かせていただいております。
 「8.5 水道関連団体」、こちらは水道事業を支えるセーフティネットとしての支援体制の構築、こういったものに寄与する役割があると考えております。
 「8.6 民間事業者」に関しましては、水道システムの合理化ですとか運営基盤の強化に寄与、また、水分野の国際貢献における官民連携、こういったところにも大きな役割があると考えているところでございます。
 46ページ、「8.7 大学・研究連携」では、人材育成ですとか研究開発、水道技術の普及向上といった役割があるということでございます。
 「8.8 住民」でございますけれども、住民については、地域の水道を支えるオーナーとして、こういった意識を持っていく役割があるのではないかということで、このビジョンでは書いています。また、水道事業者とのコミュニケーションを確保しつつ、災害時には水道事業者と協力しながら対応を図るという役割があるのだろうということで、このビジョンではまとめているところでございます。
 48ページ、「第9章 フォローアップ」、こちらに関しましては、このビジョンについて期間を定めて定期的にフォローアップしていく必要性を書いているところでございます。その中には有識者の意見を踏まえながら、先ほど申し上げた当面の目標ですとか、そういうものについても見直していく必要があるのではないかということを書いているところでございます。
 それぞれの取り組み主体においても目標を設定して、それがどうなれば達成された状態になるのかということを意識して把握していく。その達成状況を確認しながら、安全、強靭、持続で表現される理想の水道を実現化していこうということを、このフォローアップのところで書いているところでございます。
 駆け足になりましたが、以上が新水道ビジョン(案)でございます。これについてのパブリックコメントを3月15日まで行ったということでございます。
 1枚紙のほうに戻らせていただきまして、3ページのパブリックコメントの結果概要のスライドをご覧ください。いただいた御意見は、計66通ございました。その中にいろいろな複数の御意見が含まれていますので、事務局で整理した結果、延べ件数365件ということで整理をしております。提出された方々の属性に関しましては、地方公共団体、水道関連団体、民間企業といった形で多い順に並んでいます。
 365件の内訳、どの部分に多いかということですが、全般に関する御意見とか重点的な実現方策、関係者の役割分担、取組みの目指すべき方向性、こういったところに御意見が集中しているということでございます。
 意見の種別件数ということで365件の内訳ですけれども、内容への意見・主張が180件ということがございました。ただ、これはどういうものかと言いますと、例えば水道事業に関する意見としては、水道事業を経営原則とすることを改めて強調すべきということとか、職員の減少と料金収入の減少を見通した運営基盤の弱体化に関する危惧ですとか、過疎地等の簡易水道事業を平野部の上水道が統合する際の財政的な問題が危惧されている、こういった意見がございました。
また、広域化の推進の方策、こういったところに関しますと、国の広域化政策の推進について具体的な目標を設定すべきではないかとか、発展的広域化の具体的な体系等をもっとわかりやすくしてほしいという御意見がございました。
国際化の推進に関しても、もう少し積極的な書きぶりがあったほうがいいのではないか。人材育成のために取り組むべき内容、これについては新たな研修テーマに関する提案ですとか、料金制度に関しては、現行の逓増制を見直す場合、世代間の公平性を確保できるかですとか、そういう御意見がございました。
また、小規模水道、自家用水道に関する具体的な方策については、給水装置工事業者への指導に関するトラブルが多い、こういったものを何とかできないかという意見もございました。また、都道府県の広域調整役としての役割に関する意見としては、広域的水道整備計画、既存の広域化に係る制度の考え方、これをどう整合をとるのかという話ですかとか、水道事業者の経営している都道府県と行政機関としての都道府県、こういった役割を分担できるかどうかという懸念ですとか、そういうものがございました。そういう役割分担について、国の積極的な指導が必要という意見もいただいているところでございます。
修正意見は言葉の書き方について、例えば「期待されます」という言葉について若干、もっと主体的な書いたらどうかという修正の意見がありました。
追記意見については、具体的に例えば国際展開などに対して国がバックアップすること、そのように書いてほしいという意見がありました。具体的な記述に対する追記の意見です。
質問については、語句の使い分け、例えばビジョンの案の中で「民間」ですとか「民間事業者」、「民間企業」、「水道事業者」、「事業者」、「関係者」、こういったものをどのように使い分けて書いているのかという質問をいただきました。
全体が360件ということで、今、この内容を精査しつつ、必要な事項については新水道ビジョンの中に修正意見として盛り込み、更に今後、3月25日に行われる最後の検討会で御確認いただくという作業を進めているという状況でございます。
新水道ビジョンに関しては、以上でございます。

○大垣部会長
 御苦労様でした。それでは、ただいまの新水道ビジョンに関する御説明に関しまして、御質問あるいは御意見がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。今の説明にありましたように、今日の御意見は3月25日の策定検討会に反映できるという理解でよろしいですか。

○日置水道課長補佐
 はい、今日、いただいた意見も反映させていただきます。

○大垣部会長
 余りないようでしたら、私がざっと説明を受けた感じでは、先ほどの内容への意見・主張のパブリックコメントの中にあったようですけれども、グローバル化という視点が全体に余り強くないなという感じが正直ちょっと感じます。例えば第8章の関係者の役割分担というところで、大学・研究機関等は既にかなりグローバル化しているのですが、それに関する記述がないです。これからますます水ビジネス等も含めて我が国もその中にさらされますし、外にも出るという意味でグローバル化が非常に強く出てくるということに対する表現が余りないかなという感じは正直いたしました。
 もう一つよろしいでしょうか。例えば水道水源等に関して省庁を超えたいろいろな対策とか対応が必要かなと思うのですが、それは国というレベルなのか、都道府県のところなのか、もう少し例えば下水道との連携とか、そういうものがいろいろあるのではないか、林業との山林の保全の問題とかいろいろありますね。やや水道の中だけの整理になっているのではないかなという感じがちょっといたしました。
 私の立場であまりべらべらしゃべるのも気がひけますが、他にはいかがですか。
 古米委員、どうぞ。

○古米委員
 2つほど意見を申し上げたいと思います。まず1点目は、私自身が気候変動に適応した持続的な水利用システムを研究するプロジェクトを実施しているというところもありますが、確かに課題の中で将来、少雨あるいは豪雨による濁度上昇に対して水道事業者が対応しなければいけないということは課題認識をされ、安定性を確保するというところにもしっかり記載されています。長期的に水資源がどうなっているのかということを、流域全体の話かもわかりませんが、そういったことに水道事業者も深く関与して協力関係を持つのだということを14ページに書いてあります。けれども、もう少し気候変動なり、あるいはそういった言葉を配しながら危機感を持って、対応するのだということを書くのが妥当かなと思います。今回のビジョンは50年、100年というものをうたっているわけで、今回の内容で言うと、100年まで本当に考えているのかなというイメージを持たれかねないので、長い目で見たときにどういうところなのかというキーワードは関連するところに配置されるといいのかなというのが1点目です。
 2点目は、関係者の役割分担であるとか、あるいは関係者間の連携方策というところに関わる点です。大垣部会長からも御指摘がありましたが、要は水道供給をしている立場を超えて、水供給している他の事業者を水道ビジョンの中でどう扱うのか。そうすると、工業用水を供給している事業者、あるいは下水道部門において再生水を供給しているところ、建物の中で雑用水を提供しているところも当然、関係者の役割分担があったり、情報交換をするなりという表現が出てきたほうがいいですし、将来の少雨を考えたときに都市部において、再生水をどこまで利用するかという研究を自分自身がやっているところもあって申し上げています。
 水道の中でどこまでカバーするけれども、どういうときにはどう補完し合うのだ、あるいは緊急時においては相互補完しましょうというところにも若干、関わってくると思います。水道供給ということだけではなくて、もう少し幅広く水供給という観点からの関連する部門、連携すべき部局といいますか、あるいは組織という言葉が、多く入る必要はないですが、入っていくことが50年、100年という観点から言うと重要性を増してくるのかなと思います。
 以上2点です。

○大垣部会長
 ありがとうございます。
 西尾委員、どうぞ。

○西尾委員
 本日から初めて参加するので基本的なことを伺いたいのですが、水道サービスという言葉を使っていますが、ここでいう水道サービスとは具体的にどのようなものを指しているのでしょうか。おそらく、「水道水の供給」ではなく、「水道サービス」という言葉を使っているのにはそれなりの意図があるかと思うのですが、その中身については明示されていません。私は専門がマーケティングなので、その点が気になります。特に、今後のビジョンを考える際には、地球環境や社会環境の変化の中で、あるいは、グローバル化の進展に伴って、今後、「水道サービス」の内容がどのように変わっていくのか、あるいは変えるべきなのかについて整理することが必要だと思います。
 以上です。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 大住委員、どうぞ。

○大住委員
 基本的なことなのだろうと思うのですが、前回の部会でも議論済みだということであれば、そうおっしゃっていただければと思います。例えば7枚目のスライドでもいいのですが、当面の目標点ということで目標を表すイメージが文章として書かれています。多分、フォローアップとの関係もあろうかと思いますが、この当面というのはどのぐらいの時点を描かれているのでしょうか。少なくとも期限がないと目標とは言えないと思いますので、お答えいただければと思います。
 それと理想像が書かれていているわけですけれども、この理想像というのは、どの時点で達成する理想像なのでしょうか。これもある程度、イメージがありましたらお話いただければと思います。
 2点目ですけれども、私はスライドの方を拝見していて、7ページ、「水道の現状評価と課題(4)」の(3)のところです。危機管理ということになりますと、恐らくこれは他の関係機関との連携が非常に大事ということになろうかと思います。地方公共団体、地方自治体ということになりますと、恐らく地域防災計画を策定していると思いますので、地域防災計画の中できちんとした連携が図られないと、意味がないだろうと思います。その点は確認ですが、お答えいただきたいと思います。

○大垣部会長
 よろしいですか。簡潔にお願いいたします。

○日置水道課長補佐
 お答え申し上げます。当面の目標点、こちらについては行政のフォローを考えまして、5~10年で達成をしたいということで書いております。
 理想像はいつなのかということですけれども、その先、向こう30年、50年、そういうところで達成されるべき姿を今の知見の中で表現したということでございます。
 地域防災計画との整合につきましては、このビジョンを受けた取り組みが今後、都道府県水道事業者で行われますので、そこできっちり整合がされるような形でフォローしていくということを今、イメージしているところでございます。

○大垣部会長
 よろしいですか。他にはいかがでしょうか。
 秋葉委員、どうぞ。

○秋葉委員
 今回の水道ビジョンの基本理念「地域とともに、信頼を未来につなぐ日本の水道」は大変すばらしいと思っています。昨年の春、厚生労働省の地域保健対策検討会の報告書が公表されました。その中でソーシャル・キャピタル、社会的資本とといっておりますが、人と人との信頼関係や支え合いを意味しており、保健医療の分野では地域ソーシャル・キャピタルの活用を推進しております。
 先ほどから議論に上がっています災害時には、お年寄りの方々は、給水拠点や給水車から水を運ぶというのは大変な労力で、給水拠点まで行くことができないお年寄りも多いと思います。このような状況下においては、地域内での関係者や住民との連携が重要であることはいうまでもありません。考え方としたら同じですので、今回の水道ビジョンの中にもソーシャル・キャピタルという文言を入れてはいかがでしょうか。地域の保健医療関係者にとっても分かりやすい文言ですので。

○大垣部会長
 ありがとうございます。何か今の件でありますか。

○日置水道課長補佐
 都道府県の衛生部局との連携という中で対応させていただけたらと考えるところでございます。

○大垣部会長
 他になければ、よろしいですか。
 どうもありがとうございました。それでは、本日の議論や当然、パブリックコメントの意見等を踏まえて取りまとめに向けて、引き続きお願いいたします。
 大変申しわけないのですが、予定の時間になりましたけれども、あと議題が2つありまして、簡潔に進めていただければと思います。議事の4番目で「水道行政の最近の動向について」であります。説明をお願いいたします。

○日置水道課長補佐
 申し上げます。資料5、水道行政の最近の動向ということでございます。
 3ページ、平成25年度の水道関係予算(案)でございます。こちらにつきましては、いわゆる15カ月予算の考え方で平成24年度補正と平成25年度当初予算を一体的に編成しているということでございます。水道施設整備費が表の1行目にございますが、平成24年度の722億円から11億円増の733億円ということで計上しているところでございます。また、下の表から2行目の太字になりますけれども、東日本大震災の災害復旧費85億円を除いた場合では、対前年度126億円増の648億円の計上になっております。
 4ページ、水道施設の災害復旧に対する支援ということです。災害復旧費に関しましては、各自治体の復興計画で平成25年度に復旧が予定されている施設の復旧に必要な経費ということで、復興庁に85億円を一括計上しているというものでございます。平成24年度は200億円という額が計上されておりましたが、その大半が執行されずに25年度に繰り越すということでございますので、25年度の85億円と合わせて被災地の復旧のために迅速に執行していきたいと考えているところでございます。
 6ページ、水道施設の復旧・復興でございます。表-1に関しては東日本大震災の災害復旧事業費の結果をまとめたものでございます。平成23年度から24年度にかけての1年間、202の水道事業者が水資源機構も含めて復旧費を申請いたしまして、300件、災害査定を実施したということでございます。その結果、水道施設の被害総額は1,316億円で確定したということでございます。
 下に表-2がございますが、それを県別、施設別に分類したものでございまして、特例査定を受けた岩手、宮城、福島、この3県の額がかなりを占めるというものでございます。平成25年度以降ですけれども、福島県内の避難指示解除区域、避難指示解除準備区域ですとか警戒区域内を中心に災害査定を順次実施していきたいと考えております。また、今年度、特例査定を実施した事業者に関しましては、厚生労働省で協議の上、保留解除の手続きが必要となりますが、この解除の手続きを都道府県ですとか水道事業者と連携しながら速やかに行い、迅速かつ計画的な復旧・復興を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 8ページ、浄水発生土の放射性物質汚染に関するスライドでございます。浄水発生土の放射性物質濃度の状況でございますが、平成25年2月9日時点での調査につきましては、放射性物質の影響があった14都県で検査対象となった浄水発生土、一部NDのものも含んでおりますけれども、60万t以上となっております。うち環境省において処理される8,000Bq/kgを超えるものにつきましては、6,000tほどあるという状況でございます。
 9ページ、浄水発生土の処分状況でございます。浄水発生土の処分につきましては、現在、最終処分のほか、低線量のものはセメント原料ですとか建設改良土、こういったものへの再利用が行われているところでございます。浄水場に保管されている発生土、これは左から2番目の欄になりますけれども、20万tほどとなっています。また、園芸用土とグラウンド土に再利用する浄水発生土の安全性評価に関する通知を先週の3月13日に発出いたしまして、今まで自粛をお願いしていたこれらの用途への再利用も再開されると考えているところでございます。
 10ページ、浄水発生土の放射性物質汚染への対応でございます。浄水発生土の発生量、処分量の推移を表していますが、低線量のものが割合は増えてきていますけれども、発生量としては依然、月当たり3万t弱となっております。減る傾向にはないということでございます。また、最終処分と再利用は個々の水道事業者の努力によって徐々に進んでおりまして、現在、月当たりで発生量とほぼ同量が処理されております。保管量は、平成24年11月ごろから20万tで横ばいとなっているということでございます。
 棒グラフが右と左があるのですけれども、右側の棒グラフのところは、キャプションの最終処分という下に保管というのがありまして、それが一番色の濃い棒グラフの色になっています。これがここ最近、20万tより下のレベルで横ばいになっているということを今、申し上げたところでありまして、そういう形で横ばいになっているということをお見知りおきいただければと思います。
 11ページ、原子力損害賠償に移ります。水道事業における原子力賠償、平成23年8月の中間指針の後、平成24年5月の東電から基準提示が開始されまして、以降8月に対象期間の拡大と2月に減収分と人件費に関する東電の考え方が示されたということでございます。ただ、水質検査、浄水発生土処理使用の部分で賠償が済んでいるところですけれども、個々の事案につきましては、減収分等で合意できないケースもあるようでございまして、今後は事業体による紛争解決センターで申し立てが予想されることから、こちらにつきましては、日本水道協会さんとともに支援保護についての検討を行っていきたいと考えておるところでございます。
 14ページ、水道施設の耐震化の推進ということで、基幹管路の耐震適合率でございます。この水道管路の耐震適合率は、平成23年度末時点では32.6%となっておりまして、前年度から1.6%伸びているという状況になっております。また、事業体間、地域間での格差が大きいと下の棒グラフに表されていますが、全体としては底上げが求められるという状況にございます。
 15ページ、水道事業における耐震化の状況でございます。こちらは施設別になっていますが、浄水施設の耐震化については、施設の全面更新時に耐震化が行われる場合が多いため、基幹管路と比べても耐震化が進んでいない状況と見受けられるということでございます。配水池の耐震化は、単独での改修が行いやすいということで、浄水施設に比べて進んでいると考察されます。ただ、災害拠点病院ですとか広域避難所の供給ルートは最も優先して耐震化を図るべきものと考えておりまして、厚生労働省としても引き続き早期の耐震化管理を推進していきたいと考えているところでございます。
 16ページ、アセットマネジメントの推進ということで、具体的なスライドは次のページに移ります。
 17ページ、アセットマネジメントの実施状況でございます。平成22年度、水道課が実施しました運営状況調査の結果によりますと、調査対象となる1,505事業者のうち約26%、387事業者がアセットマネジメントを実施中、または実施済みという状況でございます。ただ、事業規模が小さくなるほど割合が減少するという傾向にあります。例えば5万人未満の事業者だと8%という結果が出ております。こういったところに関しましては、詳細な検討を要するアセットマネジメントの実施が困難だということでありましたため、アセットマネジメントの簡易支援ツール作成いたしまして、こういったものを普及しててこ入れを行いたいと考えているところでございます。
 18ページ、アセットマネジメントの取組促進でございます。平成24年度に3つの事業体の協力を得まして、試行的に簡易支援ツールを実際に利用して、課題などを抽出したという作業を行っています。都道府県とも連携して、きめ細かな助言、フォローなども行っていただきまして、この成果を生かして平成25年度はできるだけ早期に簡易支援ツールをできるだけ多くの水道事業者に提供しまして、有効に活用していただくような普及活動を行っていきたいと考えているところでございます。
 19ページ、最後の項目になりますが、水道水質管理ということでございます。
 20ページ、「水道水質検査方法の妥当性ガイドライン」策定という内容を表したスライドでございます。水質検査の信頼性確保に関する取り組みの一環といたしまして、水道水質検査において遵守すべき基礎的作業を明確化する、こういった検査方法の告示を開始いたしまして、平成24年4月1日から施行されているというところでございます。また、24年9月6日には水道水質検査方法の妥当性評価ガイドラインを発出いたしまして、各検査機関が定める検査の標準作業書の妥当性を確認する方法を提示しているところでございます。このガイドラインにつきましては、平成25年10月1日から適用するという仕組みになっております。
 更に先に議題にありました、来年4月1日施行にむけての農薬類の分類見直しについても、標準検査法が整備できない農薬が幾つかあるということでしたので、ここら辺につきましては標準検査法が定められるまでの間、食品分野等で使用されている方法を参考に各検査機関において、このガイドラインに基づく妥当性評価を行うということで、検査を可能とするということをこのスライドにまとめているところでございます。
 21ページ、業務管理要領の策定及び日常業務確認調査の実施についてでございます。登録水質検査機関については、水質検査の信頼性の確保のために、体制整備や水道法の規定に着実に従った施設検査の適切な実施が求められているところでございます。これを着実なものとするために日常の業務管理をしっかりと行うということが求められるということでございます。
そこで、平成24年9月21日ですけれども、登録水質検査機関における水質検査の業務管理について細則を定めるために登録水質検査機関における水質検査の業務管理要領を策定いたしました。これを通知したところでございまして、厚生労働省では従前から実施している外部精度管理調査に加えて、平成24年度からは登録水質検査機関における水質検査のさらなる信頼性を確保すべく、日常の管理業務を開始したところでございます。今年度は17機関を調査いたしまして、近日中にその結果は公表したいと考えております。
 22ページ、水安全計画の策定・進捗状況でございます。水道水の安全性を一層高めるためには、工場排水の流入ですとか浄水処理のトラブル、施設の老朽化等、水道を取り巻くさまざまなリスクが存在するという中で、水源から給水栓に至る統合的な水質管理を実現することが求められるわけであります。厚生労働省はWHOが提唱する水安全計画に基づく水質管理手法の国内での導入に資するために、平成20年に水安全計画策定ガイドラインを取りまとめております。これを平成23年頃までを目途に水道システムの危害評価の実施と計画の策定、またはこれに準じた危害管理の徹底を行うということを求めてきたところでございます。
 このたび平成24年8月末時点での上水道事業及び水道用水供給事業の水安全計画策定状況を調査したところ、策定済みの事業者が9%、策定中の事業者が7%でございました。また、全事業者については、策定済みの事業者が5%、策定中の事業者が4%ということで調査の結果が出ているということでございます。この水安全計画の策定については、全ての事業者が対象となっておりまして、未策定の事業者に対しては策定に向けた検討を進めていただきたいと考えております。
 また、さらなる技術支援についても検討を行うことによって、策定済みの水道事業者についても必要に応じて見直していただくよう求めていきたいと考えているところでございます。
 水道行政の最近の動向は以上でございます。駆け足になって申し訳ございませんでした。

○大垣部会長
 御苦労様でした。何か御質問、御意見はございますか。
 大住委員、どうぞ。

○大住委員
 6番のアセットマネジメントの推進の資料ですけれども、18ページでアセットマネジメントの簡易支援ツールを3事業体で実施したということですが、この3事業体は上の計画給水人口で言うと、どの規模に当たるのでしょうか。

○日置水道課長補佐
こちらは、5~10万人ぐらいの間になるかと記憶しております。失礼しました、5万人以下の事業者でございます。

○大住委員
 ということは、5万人未満のところで実施されている事業体の割合が少ないので、ここを何とか支援しようという、こういう趣旨ですね。

○日置水道課長補佐
 そういうことです。

○大垣部会長
 ありがとうございます。他にございますか。
 ないようでしたら、次の議題にいきます。次の議事は「その他」でございますが、事務局から説明をお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 資料6をかいつまんで御説明させていただきます。先ほど来から何度か申し上げている、昨年5月のホルムアルデヒド事案についての対応状況でございます。これは検討会の取りまとめが間に合っておりませんので、本日は概要を御説明させていただきます。
 3ページに図がございますが、今回の事案といいますのは、地図の左上にございます高崎市内にある産廃処理業者からヘキサメチレンテトラミンを含む廃液、ヘキサメチレンテトラミンの量にして10t以上の物質が一気に流れ下って1都4県の浄水場に影響があり、千葉県内で断水が起きたというものでございます。
 5~6ページにグラフと絵が描いてございますけれども、5ページのグラフで申しますと、縦の棒グラフが上流から流れ下った廃液、ぽちぽちが濃度、上にございます棒が取水停止の期間ということであります。週末にかかったわけでございますが、5月18~19日にかけまして横線が0.08mg/Lというホルムアルデヒドの基準値でございますけれども、横線を超えて×、○、△が出ていることがおわかりかと思います。これが原水から出てきた。原水は塩素を添加して出てきた生成能のデータでございますけれども、これが普通の浄水場では処理できない、つまり、これをこのまま給水したのでは蛇口から0.08mg/Lを超えたホルムアルデヒドが出てしまうということでやむなく停止に至ったというものでございます。
 6ページ、今回の事案は化学メーカーから出された廃液に高濃度のヘキサメチレンテトラミンが入っていたのですが、これを産廃業者がそうとは知らずに十分な処理施設がないのに受け入れて流してしまった。どうも埼玉県のセンターの実験では、ほとんど分解されずに川に出たと考えられております。これは川の中でも更に分解されないまま浄水場に到達して、塩素と効率よく反応してホルムアルデヒドになってしまったということでございました。
 8ページ、今回の事案を受けまして、環境部局ではヘキサメチレンテトラミンを対象に極めて速やかに対応していただいていて、水質汚濁防止法の指定物質に追加していただくなどヘキサメチレンテトラミンということであれば、国レベル、あるいは地方でも要綱なりで対応ができているということでございますが、同様の事案がないかということについて、水道で検討を行ったというものでございます。
 9ページ、検討会を設置いたしまして、昨年7月から今年の1月まで3回に分けて検討を行いまして、取りまとめを行いました。
 10ページ、取りまとめの目次構成でございます。1つは、浄水施設での対応が困難な物質の抽出を行ったということと課題について、3章では体制整備、4章ではリスク把握、5章では監視、6章では対応技術ということで、それぞれの現状と課題を整理した上で、7章であり方を取りまとめたというのが取りまとめの構成であります。
 11~13ページがリストアップした抽出物質でございます。11ページは、ホルムアルデヒドを生成しやすいもの、12ページは、ホルムアルデヒド以外の副生成物を生成しやすいもの、13ページは、副生成物ということではなくそのものが水質事故の原因となったものということで、それぞれリストアップをいたしました。
 11ページ、ホルムアルデヒドにつきましては、元の物質に対して生成実験で何割のホルムアルデヒドになるかという実験を国立保健医療科学院でしていただいて、20%以上、元の物質の2割以上のホルムアルデヒドになってしまったものがここに掲げられている物質でございます。したがいまして、ホルムアルデヒドについてはPRTR法第一種指定化学物質とそうではない物質に分けてございますけれども、世の中のメジャーなものは大体カバーできたのではないかと考えております。それら以外のものについては、これからということであります。
 14ページ、分析法でございます。途中でも申し上げました簡易な分析法、GC-MSを使った実験室でやるということではなくて、現場で比色法で見るとか、速やかに結果が出るような方法を今回も利根川の事業体ではとっておられました。ただ、測れるもの、測れないもの、高濃度では測れるが、低濃度では測れないというもののもございますので、どういう分析法が有効だったかということを表に整理したものが14でございます。
 15ページ、前駆物質そのものの分析法を検討しておりまして、ヘキサメチレンテトラミン以外でもリスアップさせたものについては、どのような分析条件であれば精度よく分析できるかということについて知見が得られておりますので、これらについても、この取りまとめ全体を通知する際に関係の事業体なりにお知らせをしたいと思っております。
 取りまとめの7章で申し上げた最後の部分でございますが、16~18ページで1/3~3/3と3つに分けて書いてございます。
 16ページ、まずはもとから断ってくださいということで排出側の管理促進をお願いしたい。水道事業体側から情報発信をしながら、もし上流で使っていて、大量に流れてしまったときに、ちゃんとお知らせをください。たくさんの物質を使っているのだけれども、この物質についてはお願いします。ということで管理の促進、あるいは廃棄物の処理に出すときには、これはホルムアルデヒドになるものだから、きちんとした処理施設でやってくださいということをお伝えいただくなり、物の管理をしっかり促進していただくように、最も影響のある水道事業体側から情報発信をしていただきたい、ということです。
 17ページ、いくら上流で気をつけたとしても過失ということもございますし、事故が起きるかもしれないわけであります。起きたらどうしようということではなくて、起きることを前提としてそれに応じた備えが必要であろうということで、課題で整理いたしました体制ですとかリスク把握、監視体制、あるいは浄水処理施設の整備や今回有効でございました予備水源なりの活用といった影響緩和策についても今後、能力を向上させていただきたいというのが2番目でございます。
 18ページ、先ほど資料3で御説明申し上げたとおり、摂取制限による給水継続の考え方ですとか事業体はもちろん、それぞれの流域に応じて対応方策をとっていくわけでございますが、国全体として考え方を整理しなければいけないというものについて宿題として検討会から示されたものでございます。これらを受けまして、本日も御説明申し上げましたが、対応を進めてまいりたい。また、関係者に対してもしっかり周知してまいりたいと考えております。以上であります。

○大垣部会長
 御苦労様でした。議事の(2)で既に議論した内容の詳細であります。何か御質問はございますか。
 ないようですので、それでは、全体を通して何かございますか。
 山根委員、どうぞ。

○山根委員
 今の水質事故のことなのですけれども、1点だけ。すごく初歩的なことを知らずに流したということだったということが原因と伺いましたが、いろいろと手立てを打って適切な管理を求めるということで、1番そこが大事だと思います。そのことでマニュアルの整備の形が変わるとか、立入検査の方法が厳しくなるとか、何かそういうものは具体的にそれぞれの地域で進められているということの解釈でよろしいでしょうか。

○尾川水道水質管理官
 原因物質の対策につきましては、主として環境省や環境部局でやっていただいています。今回、特に水関係の部局と廃棄物関係の部局と2つ動いていただいておりまして、先ほどの指定物質に追加したというのは、水関係の部局でございます。一方で、廃棄物について廃棄物を委託する際に相手方にその物質の性状ですとか名前を伝えるというガイドラインがあるわけでございますが、そのガイドラインの見直しの検討会が設置されております。廃棄物の処理についても、こういう水域の汚染の原因となる物質の管理の徹底について環境省で検討を行っております。

○大垣部会長
 よろしいでしょうか。他になければ、事務局にマイクをお返しします。
 審議官から御挨拶があるようですので、お願いします。

○高島大臣官房審議官
 今日は時間を超えてしまいまして、議題が多く、説明が長くなって申しわけなかったと思います。今日、いただいた意見でいろいろな基準の見直しにつきましては、厚生労働省として、しっかりと対応していきたいと思います。ビジョン等についても御意見をいただきました。最終段階でございますので、できる限り御意見を取り入れられるところは入れながら、最終的に成案を得ていきたいと思います。
 今日はやや暑い中、大変ありがとうございました。これからも、またよろしくお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 本日の議事録につきましては、後日、御送付申し上げますので、御確認の上、御返送いただきますようによろしくお願いします。確認をいただいた議事録につきましては、公開とさせていただきます。
 以上です。

○大垣部会長
 それでは、本日の部会をこれで終わります。時間をオーバーいたしまして、失礼いたしました。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局水道課
TEL: 03-5253-1111 (内線4013)

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