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2013年3月27日 第24回医薬品・医療機器等対策部会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年3月27日(水)


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(22階)


○議事

○事務局 定刻を少々過ぎましたので、ただいまから、「第24回医薬品・医療機器等対策部会」を開会します。開会に先立ちまして、傍聴の皆様にお知らせ申し上げます。傍聴に当たりましては、既にお配りしている注意事項をお守りいただきますようお願いします。本日の部会は、従来の取扱いと同様、公開で行うこととしています。カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほどをお願いします。本日の御出席の委員の先生方におかれましては、御多用のところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、本部会委員14名中11名の出席をもちまして部会を開催します。なお、伊関委員、寺井委員、望月委員は、欠席との連絡を頂いています。この先議事進行は、外部会長にお願いします。どうぞお願いします。
○外部会長 九州大学の外です。どうぞよろしくお願いします。本日の議事次第に従って議事を進めていきます。資料確認をお願いします。
○事務局 配布資料の確認をします。お手元にお配りした資料の一番上に座席表、続いて議事次第、委員名簿、配布資料一覧となります。その下に、資料1「ヒヤリ・ハット事例等収集結果-医薬品-」及び参考資料1、資料2「ヒヤリ・ハット事例等収集結果-医療機器-」及び参考資料2、資料3「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果」及び参考資料3、資料4「医療安全関連通知集」、資料5「PMDA医療安全情報」、そのほかに参考資料として本部会の設置要綱等が付いています。資料は以上です。過不足等がありましたら、お申し付けください。
○外部会長 資料については、よろしいですか。議事次第に従って議事を進めていきます。今日、議事については、検討事項が1、2、3の3つ、報告事項が1つとなっています。最初の検討事項1「医薬品ヒヤリ・ハット事例等収集結果について」、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料1を御覧ください。表紙から1枚おめくりください。本報告書は、公益財団日本医療機能評価機構による医療事故情報収集等事業の第29回、第30回報告書、及びホームページ上の公開データ中のヒヤリ・ハット事例記述情報、及び医療事故事例の概要について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、「PMDA」という)から、医薬品使用方法及び名称、包装等の物的要因の観点から分析した結果を報告いただいたものです。
 今回のヒヤリ・ハット事例等の報告の内容ですが、医療事故関係については、先ほど申しましたとおり、医療事故情報収集等事業第29回、第30回報告書の中の記述情報及び評価機構ホームページ上の公開データから抽出した平成24年1月1日~6月30日の間に報告された事例。ヒヤリ・ハット事例関係については、報告書中の記述情報から抽出した平成24年1月1日~6月30日の間に報告された事例。その他については、報告書の中の記述情報から別途抽出した医薬品からの事例となります。
 医薬品に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医薬品の使用方法及び名称・包装等の観点から安全管理対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係職能団体代表等の委員から構成されるPMDAでの医薬品医療機器安全使用対策検討会で検討いただいた内容が報告されています。
 1ページおめくりください。今回の調査報告ですが、上の表にあるように、121件について報告されています。この報告については、4分類しています。医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例が1件、既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が11件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が97件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例が12件でした。
 ここから検討結果にまいります。資料1、1/58ページを御覧ください。「医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例」を紹介します。1ページを御覧ください。これは抗がん剤と高血圧薬の販売名類似による取違い事例です。この事例は、他院でノルバスクを処方された患者に、入院する際に持参薬であるノルバスクを継続処方しようとしていたところ、ノルバスクと間違えてノルバデックスをオーダーしてしまい、その後、その病院、次の病院、そして2回目の転院先の病院でも誤って処方された事例です。
 最初に誤処方された病院では、ノルバスクは採用されていません。その時、オーダーの際に「ノルバ」の3文字で検索したところ、ノルバデックスのみが表示されました。医師はノルバスクについては高血圧薬と認識していましたが、ノルバデックスの知識はなく、また、オーダリングシステム上抗がん剤は青字でアラートが出るのですが、その青字が抗がん剤であるとの注意表記の意味を知らなかったとされています。また、夜間の緊急入院でしたので、薬剤師による持参薬の鑑定も行われず、さらにノルバデックスの処方に疑義を感じた看護師がいらっしゃったのですが、患者の既往の関節リウマチに対してホルモン剤としてノルバデックスが処方されていると判断し、最終的に誤投与につながったとされています。
 ノルバスクとノルバデックスの名称の類似性については、参考資料1の6~8ページと9~21ページに記載のとおり、平成15年及び平成20年に医療機関に注意喚起しているところです。なお、具体的な品目を挙げた注意喚起は、8ページと13ページに記載しています。また、両製剤の製造販売業者から、参考資料1の22~30ページのとおり、取り違いに関する注意喚起がなされています。ノルバスク及びノルバデックスの製造販売元からは、26、27、30ページのとおり、ノルバスクとノルバデックスのどちらか一方のみ採用している医療機関向けの注意喚起が新たに開始されたところです。また、ノルバデックスについては、24~25ページ、具体的には25ページの図を見ていただければよろしいかと思います。こちらのとおり、昨年9月にPTP包装シートに「抗女性ホルモン剤」との記載が追加されたところです。
 「製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例」ですが、2ページを御覧ください。1番の事例ですが、これはアルマールを処方すべきところ、アマリールを処方してしまった事例です。今回取り違えられた医薬品であるアルマールについては、前回の本部会で報告申し上げたとおり、参考資料33~34ページにあるとおり、販売名がアルマールからアロチノロール塩酸塩錠「DSP」に変更済みです。また、33ページの上3分の1に記載がありますが、旧販売名の「アルマール」については、来る4月1日以降、つまり来月以降は保険請求できないこととなっています。
 資料1にお戻りください。資料1の3~5ページ及び7ページにある2~5及び9~11について、まとめて紹介します。こちらは、全てPTP包装シートの誤飲事例です。PTPシートの誤飲については、参考資料の38~43ページに平成22年9月15日付けの国民生活センターによる報告書が出ており、それを踏まえて参考資料1の35~43ページにある「PTP包装シート誤飲防止対策について」という通知により、誤飲防止に関する医療機関や薬局への注意喚起がなされるとともに、製造販売業者に将来的な技術の進歩を見据えた包装の改良及び改善のための研究開発の継続を行うことを要請しています。
 資料1の5ページを御覧ください。これの6番です。こちらは内服薬の処方箋の書き方に起因した事例です。内服薬の処方箋の記載方法については、参考資料の44ページ以降から始まる平成22年1月29日付け、「内服薬処方箋記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について」という通知の参考資料として付いている参考資料の51ページです。こちらに記載があるのですが、「散剤及び液剤の『薬名』及び『分量』については、薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量で記載することを基本とする。例外的に、分量を原薬量で記載した場合は、必ず【原薬量】と明示する」とされています。
 資料1の6ページを御覧ください。この7~8については、リトドリン製剤とメチルエルゴメトリン製剤の取り違いに関する事例です。登場する製剤は合計3剤ありますが、そのうちメテナリンについては、参考資料1の84ページにあるとおり平成22年1月に既に販売名が変更されています。又はPTP包装シートにも注意喚起がなされているので、7~8の事例については過去の事例が報告されたのではないかと考えています。
 なお、先ほど申しましたとおり、これらの製剤の取り違いを防止するべく参考資料の74ページから始まる平成22年10月8日付け、「産婦人科領域における医薬品の誤投与に係る安全対策について」という通知の76~77ページを御覧ください。こちらに図案の記載があるのですが、このとおりPTP包装シート等においての注意喚起がなされているところです。
 資料1の8ページ以降ですが、こちらは「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」、資料1の55ページからは、「情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例」です。こちらについては、時間の関係で説明は割愛します。なお、今回報告した全事例については、評価機構において別途検討がなされ、定期的に医療安全情報等を発出するなど、注意喚起が行われています。資料1に関しては以上です。
○外部会長 膨大な資料について説明がありましたので、なかなかついていけないところもあったかもしれません。しかし、事前に送付のあった資料を御覧になっていたと思いますので、医薬品に関する質疑に入りたいと思います。今回は、昨年のこの時期、1月から6月までに報告のあった、そして検討対象となった120例程についての検討です。
 こうやって見ると、既にこれまで同様の事例があり、対策がとられてきたところが多いわけですが、それにもかかわらず相変わらずこのような事例が報告されています。特に、最初のNo.1の事例については、ノルバスクとノルバデックス、ほとんど同様の名前にも思えますが、誤処方の事例があり、報告があったところです。また、アルマール、アマリールも同じことで事例があります。委員から全体を通じて何か御意見、御質問があれば、よろしくお願いします。
○土屋委員 アルマールについては名称変更が行われていますが、ノルバスク、ノルバデックスについては、この調査結果の所に書いてあるように、本来は対策として名称を変えることが必要だということは、引き続き発言をしておきたいと思います。ただ、特に1例目のものは、こんなところで起きてしまうかというのが正直なところでして、各医療機関が全く対策をとっていなかったのではなく、とった対策が周知徹底されていなかったということと考えます。持参薬の調査といっても、こういう事故は、大体、夜間救急とか、通常時間帯ではないために調査が不十分であったとか、そういう条件のところで起きることからすると、深刻な問題だと思います。
 1つ目の事例については、今まで日本病院薬剤師会も、「持参薬の調査」とか「持参薬の鑑別」という言葉を使っていたのですが、これからは原点に戻って、要するに持参薬の中にも誤りが存在している可能性があるのだという前提に立って、病名と患者さんが持ってきたものの関係性の評価、すなわち「持参薬を評価しなさい」という言葉を使い、近々通知を出そうかと思っています。つまり、持参した薬が病名と合っているかどうかということです。この事例では紹介状にも持参する薬の情報が転記されてしまったところですが、紹介状と物は合っているわけですが、恐らく紹介状の病名と合ってなかったということです。この点については、「持参薬の評価」によりチェックが効くようになると思います。これからはこのあたりを含めて、「鑑別」とか「調査」といった言葉、つまり、ただ調べるということから、それを「きちんと評価しましょう」といった言葉を使い、注意喚起しようかと思っています。
 次に6つ目の事例の散剤の原薬量の間違いですが、これについては毎年医療情報学会でシステムベンダーがどのような対応をしているかを報告していただくセッションを持っています。それによると、原薬量の表記については、大手のベンダーではほぼ標準でその機能を入れていることが報告されています。つまり、システムのリプレースをしていけば、最終的にはこの標準パッケージが入ってくると思います。まだ古いままでやっている医療機関もあると思うので、この点についても引き続き注意喚起をしていこうかと思っています。
 PTPシートの問題は悩みの多いところでして、国民生活センターの発表では、10年間で86例とありましたが、その後の医療機能評価機構の調査などでもっと多くの事例があることが分かっています。ただ、本当に自己管理の場合を含め、様々な状況で起きているので、これを防ぐのかはなかなか難しいと考えます。ただし、発生頻度で見ると極めて低いわけで、これは通常の世界だと不可抗力として対応されると考えられると思うのですが、医療の世界は何せゼロを求められてしまうため、発生頻度が極めて低くてもこういう事例が起きているとなると、その対策をどうするのかは一筋縄ではいかないものです。引き続き注意喚起していこうと思っています。
○外部会長 貴重な御意見ありがとうございました。どなたか、これに関連したことで御意見はありますか。この部会が中心になって、いろいろな薬剤の名称変更等もかなり力を持って少しずつ動いていると思います。ただ、ノルバスクとノルバデックスについては、いかんともし難いということで、このような対策とならざるを得ないということなのでしょうか。いかがですか。
○森委員 PTPの誤飲ですが、薬局でも患者に注意して投与しているのですが、病院では周りに医療関係者がいる中で、それでも事故が起きてしまっています。もちろん誤飲が心配な患者には一包化をしているのですが、いつ、こういう事故が起きるか分からないと思います。今回の事例を読んでいても、今まではきちんと飲めていたのに、ある日PTPシートごと飲んでしまったということなので、非常に対策が難しいと開局薬剤師としても思います。
○松月委員 医療機関においても、在宅においても、PTPシートを切るという文化がありますが、PTPシートを切り離さずに、シートごと取り扱う文化にしないことには、誤飲はなくならないと思います。今年度、日本看護協会では、医療安全推進週間に合わせ、PTPシートの誤飲防止のパンフレットを作成し、広く呼び掛けを行いました。そのパンフレットに対し、「PTPシートを1錠や2錠に小さく切り離し、1回分ずつ入れておく容器が出回っている中で、どうしたらいいのか」というご意見をいただきました。「PTPシートを切り離さずに、中身を出して、管理してください」と言うのも、なかなか根付かないため、これは本当に悩ましい問題だと思います。
 1つ目のノルバデックスの事例は、「電子カルテに入力されている情報は正しい」と思いこみ、紹介状に記載された薬と実際に患者が持参した薬が一致していれば、「問題はない」と思い込んでしまっています。情報技術は電子化し、正確に伝わるようになりましたが、最初の情報が間違っていた場合に、チェックする機能がどこにもないことに気づきました。先ほど土屋委員が言われたように、患者の病名や状態と処方の内容が本当に正しいかどうかをチェックする機能をどこかに入れる必要があると考えます。
○原田委員 同じく事例1の件ですが、薬品名としての問題が原因であることが主原因であることはもちろん間違いないのですが、同時に情報システム、電子カルテが使われることによって、被害が非常に大きくなってしまった事例だと感じています。大きくというか、長時間気づかれずに終わってしまった。それは今、松月先生がおっしゃったように、電子カルテに1回載ってしまったものは、間違いないと思ってしまいがちだという人間の特性と、それで1回薬が出てしまうと、薬の本体と情報とは合ってしまうので、チェックのしようがなくなってしまうということが原因です。「発生源入力」という言葉の怖さが、強く表に出てしまった事例かと思います。
 ですので、薬品名ではなく医療情報システムとして、私の専門、心理学から見たときに2点気になることがあります。1点は、1事例目の中程の記載にある、最初に持参薬を入力した医師が、ノルバデックスを入力してしまったときに、「青色が抗がん剤を示していることを知らなかった」という記述です。青色の表示が抗がん剤であることが標準的なものかというと、恐らく違うと思います。システムごと、あるいはそこで使われている医薬品の情報ごとに、こうしたアラートが何色で表示されるのか、ピカピカと点滅するのか等が異なっているのではないでしょうか。つまり、何らかの形で目立つようにしてあれば、アラートであるとだけ括られていて、何色だったらどういう意味を持つということが決められていない可能性が高いと考えられます。とりわけ抗がん剤等については、何らかの形で標準化して、どこの医院でどの情報システムを使っても、抗がん剤は一定にこう表示されるということが分かるようにする必要があるのではないでしょうか。さらに付け加えると、基本的に、色によるアラートの種類分けは間違いやすいので、もう少し異なる工夫する必要があると思います。
 もう1点は、先ほどからお話が出ているように、1度入力された情報が、そのままコピーされて使われていってしまう現象を考える、また途中でチェックをするのが非常に難しくなっている状態を考えたとき、一般的には、こういうときこそ、人工知能の技術によるエキスパートシステム等を組み入れて、「この薬は怪しいのではないですか」というアラートを出すようにできないだろうか、ということです。この事例にあてはめると、「抗がん剤として使われている医薬品が処方されているけれども、この患者の病名の中には適応となる病名がない」というアラートです。病名の情報と医薬品の情報との間の適合性を、荒くでもいいからチェックするシステムはできないだろうか、と考えています。これは、医薬品ごとに適用の病名をリスト化したものがあれば、工学系の方であれば恐らく数箇月かそれ以下でできるものだと思います。もちろん、そのアラートが100%正しいものである必要はなく、アラートが出たら、この処方はこれでよいという判断を医師や医療従事者が入力(タグ付け)できるようにする必要があると思いますが、その服用に関して「おかしくないか、これで正しいか」ということを一度は「きちんと考える」チャンスをつくっていかないと、いけないのではないか。皆が情報システムを使うようになったときに、こういう事例は増えてくると思いましたので、一言申し上げたいと思いました。
○外部会長 貴重な御意見だと思います。このあたりの対策については、是非、厚生労働省からもメッセージを発して、システムとして全国的な動きとしていかなければならないのではないかと思いました。
○土屋委員 情報システムがどう安全性を担保できるかというところで、実は、多くのノルバスクとノルバデックスを採用している医療機関では、ノルバデックスを選ぶと、「本当に抗がん剤でいいですか」というアラートが出るようになっています。この病院では、ノルバスクを採用していないということですが、ノルバデックスのみを採用している病院では、通常、このアラートが出ないシステムが多いです。こういったときに全件データで、とにかく世の中に似た名前の薬があるときには、そういうものが表示されるようにするシステムを作るかというと、警告ばかり出て、かえって見なくなってしまうということもあるので、このあたりをどうするかはよく検討する必要があります。
 ただ、原田先生がおっしゃった、途中でチェックを掛ける仕組みをどこかのプロセスに入れることで、1回、2回のエラーはあるかもしれないけれども、エラーの持続の防止につながると思いますので、このような仕組みを考えなくてはいけないという気がします。
 PTPは、本当にシートが悪いかというと、シートには、糖尿病薬であるとか、薬効が書いてあることで注意喚起ができることもあるものですから、何でもばら錠で調剤してしまうことが必ずしもいいわけではないし、包装が持つ品質を保持するという性能から考えると、これを無くすのはなかなか難しいです。アメリカのようなボトル調剤をやっていたら、こういう事例は起きないのですが、そうかといって、ボトル調剤にしてしまえばよいとも安易に言えませんし、本当に難しいところと思います。
○外部会長 今後のいろいろな課題かと思いました。医薬品について、ほかに何かありますか。
○森委員 事務局に教えていただきたいのですが、「情報不足等のため製造販売業者による対策は困難と考えられた事例」というのがあるのですが、そもそも製造販売業者による対策が困難と考えられた事例と、情報がなかったからできなかったという事例に分けられるのではないかと思います。事例の詳細までは見てないのですが、情報不足で対策困難であったのであれば、情報が入ることにより対策をとることが可能になる事例ということだと思います。このような事例と、そもそも製造販売業者の対策が困難だった事例を、分けたほうがよいのではないでしょうか。情報が入ることにより対策をとることができるのであれば、そこは積極的にとっていただきたいと思います。今までこの区分の事例に余り注目してなかったのですが、今回も内容的な説明がなかったので質問させていただきました。
○外部会長 何かコメントはありますか。
○事務局 ものによっては分けることも可能かと思いますので、検討はしたいと思います。
○森委員 無理やり分けてほしいということではなくて、分けていたほうが、対策がとれるのではないかと思います。情報がなかったので、対策がとれなかったということが明らかになれば、報告者の側でも情報入力時に改善がすすみ、さらにはその情報により対策がとれる事例が増えると思います。
○事務局 また実物を見ながら検討したいと思います。
○外部会長 私から1つ、58ページに「情報不足等のために対策困難」というMRIに関連した事例が並べられています。10、11にはいずれも重篤な心臓マッサージが必要になったという厳しい状態に至った2事例が、並べられています。この2人の患者に共通するのは、鎮静薬による呼吸停止であり、これに対する十分な観察がなされなかったことです。もちろん、これは、薬が本来持っている鎮静する作用を発揮して患者が眠ってしまったのですが、このような事例について情報が不足していたから対策困難という形だけで片付けていいのかどうか、非常に疑問に思います。
 こういう事例はこれからも出てくるでしょうし、何らかのメッセージを出さないといけません。私は麻酔科医として、鎮静薬や麻酔薬が、手術場以外あるいは集中治療室以外でどんどん使われていくことに対し非常に危惧を持っていて、少なくともこういう方に点滴で眠ってしまう、あるいは呼吸が止まる薬を使う際には、十分なモニターをするべきだろうと思います。モニター無しでこういう薬を使ってはいけないのではないかと思っています。これはこの部会の医薬品のところでまとめるかどうかは別ですが、全体としてこのような事例を放っておくのは、つまり対策困難として置いておくのは非常に問題かと思います。
○事務局 多分、部会長のおっしゃった話と森委員がおっしゃった話は通底する話で、基本的なポイントとなる情報不足になる理由としては、そもそも、病院の方々が報告してくださっている情報がマスターセットなわけですが、私どもの所にはそれよりも減った情報しか参らないわけです。ですので、病院の先生方にお願いしたいのは、私どもは匿名化した情報しか持っていませんので、安心して詳細な情報を報告していただきたいことをお願いしたいところです。そうしていただくことによって、解決できる事例が新たに見つかってくるかもしれませんので、是非とも御協力をお願いしたいと思っています。
○外部会長 一つ一つの事例からの情報としては非常に困難と思うのですが、日本全国で起きていることに対して敏感に反応すべきだろうと思っています。MRI中の事故は、特に昨年は小児領域の学会からも報告が出ているように、普通のお子さんが鎮静薬を過剰投与されて重篤な呼吸停止の状態になったということがまとめられているので、国としてもそういうものも含めて対策を十分とる必要があるかと思っています。
 よろしいですか。それでは、次の検討事項に行きたいと思います。次は、「医療機器ヒヤリ・ハット事例等収集結果」です。事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料2、参考資料2です。まず資料2です。本報告書は、医薬品と同様に、医療機器について分析し、報告してくださったものです。報告内容は、医療事故関係については、先ほどと同様に、医療事故情報収集等事業第29回、第30回報告書中の記述情報及び評価機構ホームページ上の公開データから抽出された平成24年1月1日~6月30日の間に報告された事例です。ヒヤリ・ハット事例については、報告書中の記述情報から抽出された平成24年1月1日~6月30日の間に報告された事例です。その他、報告書中の記述情報から別途抽出した医療機器に関する事例となります。医療機器に起因するヒヤリ・ハット等の事例につきまして、医療機器としての観点から安全対策に関する専門的な検討を行うため、医薬品と同じくPMDAが検討した内容を報告したものを報告いたします。
 今回の調査報告です。裏側ですが、このページの上にある138例について調査を行っています。医薬品と同様に4つの類型に分け、それぞれの区分の事例の件数は表に掲げられているとおりです。今回、製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例はございませんでした。既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が17件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が78件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は43件ございました。
 検討結果は横向きページです。資料2の1/78ページです。なお、評価機構のホームページ上で製品名が確定できたものについては、不具合報告の有無等についても確認しています。
 「製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例」として、資料2の1ページの1番、ライトガイドケーブルによる熱傷の事例です。尿道的内視鏡下ヒアルロン酸注入術を施行した後、ドレープを剥がしたところ、皮膚に2度の熱傷があった事例です。参考資料2の2ページです。添付文書の使用上の注意には、「ケーブルのコネクターと先端部が熱くなり、やけどの可能性があること」というのが矢印の部分で提示されています。資料5の1ページになりますが、PMDA医療安全情報においても、絵を用いて注意喚起がなされているところです。
 資料2の2番、インプラント製品の取出しによる術野の汚染事例です。インプラントの開け方が適切でなかったため、汚染が発覚した事例です。この事例を受け、参考資料2の5~8ページにあるような情報が、製造販売元から医療機関に提供されるとともに、製造元にも構造改善を要請しているとのことです。
 資料2の2ページの3番、透析用留置針における外套針の破損事例です。参考資料2の9ページです。透析実施時に穿刺困難であったことから、穿刺針を一旦抜針して、再度刺したところ、プラスチックの外套針が内套針で突き破られてしまい、患者の皮内にプラスチックの外套針が残留した事例です。この事例の原因は、参考資料2の9ページの[1]、[2]、[3]、[4]の順で事象が起き、結果的に外套針が破損したのではないかと考えられています。なお、参考資料の10ページにありますとおり、添付文書には、使用前及び穿刺中に、外套針の中で金属内針を前後に動かさないよう、「警告」の部分に記載されております。
 資料2の3ページの4番、縫合糸の切離断端による心膜の損傷事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われています。先天性肺動静脈瘻患者の胸腔鏡下での右中葉の部分を切除する手術をした際に、エンドループで結紮して、手術を終了し、退院したものの、退院翌日に再入院をしました。そのときに心嚢液と腹水の貯留が確認され、再手術を行ったところ、肺切離部、心膜の癒着が確認されました。もう1つは、エンドループの先端が胸膜を貫き、心嚢内に突出していたということです。本製品の切離断端により、心膜が損傷を受けた可能性があると判断されているところです。参考資料12ページの矢印で指されている部分です。こちらのとおり、添付文書に、平成24年12月に、切離断端による組織損傷の可能性について追記がなされたところです。
 資料2の4~5ページ、9ページ、11ページです。こちらの5~8、13~14、16~17の事例です。皮下埋込み型ポート用カテーテルの断裂事例です。参考資料2の14ページ以降ですが、これらの事例については、平成23年5月25日付けで、「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」という通知が発出されております。また、これらの製品は添付文書においても、カテーテル断裂について注意する旨記載されておりまして、それとともに医療機関に情報提供するようお願いしているものです。
 資料2の6ページの9番、人工心肺装置の動作停止の事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われています。ICUで人工心肺装置を連続して使用していたところ、停止したものです。原因は特定できなかったものの、基盤の一時的な電気的接触不良の可能性が考えられることから、基盤を交換しております。
 資料2の6ページの10番、内視鏡切除吸引装置の吸引用チューブの誤接続事例です。参考資料2の26ページも御覧ください。この事例について、薬事法に基づく不具合報告が行われています。内視鏡用切除吸引装置にチューブをセットしたものの、吸入と排出の向きを逆にセットしてしまったという事例です。それに気付かずに術者が装置を使用し、本来、生理食塩液を吸引するべきところ、空気が逆流してしまったものです。この事例を踏まえまして、26ページの下の図にあるような、排液の流れを示したラベルが貼付されているところです。
 資料2の7ページの11番、蘇生バッグの組立て間違いによる換気不良の事例です。併せて、参考資料2の27ページを御覧ください。呼吸状態が悪化した患者に蘇生バックを使用しました。そのときに、27ページの上段のように、正しい組立方法で組み立てるところを、下段のような誤った組立て方をしてしまいました。組立ての誤ったポイントというのは、正しい組立ての左側に置くべき逆止弁を右側に置いてしまったという事例です。このような方法で組み立て、かつ誤った方法で動作確認をしたあとに使用したところ、十分な換気ができずに低酸素脳症となりまして、最終的に死亡された事例です。
 これを受けまして、製造元では、逆止弁ユニットとエアー吸入アッセンブリーの弁の色を変更するとともに、取扱説明書の改訂や組立方法の動画配信等の対策を行ったとのことです。
 なお、この蘇生バックを適切に組み立て、また点検できるように、今般添付文書や取扱説明書等の自主点検を各製造販売業者に通知したところです。委員の皆様方には、机上配布資料として、資料の一番下にお配りしています。これは昨日発出したものです。
 資料8の12番、電気手術器による熱傷の事例です。高周波手術器と電気手術器を併用した際に高周波分流が発生し、火傷が起きたと考えられている事例です。参考資料の28ページ、30ページの矢印で示したところです。添付文書には、他の電気手術器との併用を禁止する旨記載されているところです。
 資料2の10ページの15番、静脈用カテーテルアダプターの破損事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われています。カテーテルアダプターの体幹部より、薬液の漏出が見られた事例です。これについては、オスルアーを斜めにセプタムに接続したか、あるいは斜めに引き抜いたかにより、発生したものと考えられています。なお、本件については、参考資料2の34ページを御覧ください。こちらに、オスルアーをセプタムに接続する際の注意が図入りで記載されているとともに、注意として、矢印の部分の記載があるところです。
 資料2の12ページからは、「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」です。資料2の54ページからは、「情報不足のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例」です。これらについては、時間の関係で説明は割愛させていただきます。資料2については以上です。
○外部会長 医療機器に関する事例についての報告がありました。今回は、新たに対策が必要又は可能と考えられた事例はなくて、17例が既に対策が取られている、もしくは対策を検討中の事例ということで、それについて詳しく説明していただきました。ヒューマンエラー、情報不足が約110例あります。医療機器はいろいろな現場で用いられますので、多種類の医療機器について報告がありました。これまでに、同様の事例が上がっていたものもありますし、今回、特に注視すべき事例もあるように思います。全体的に医療機器に関するコメントがあればよろしくお願いします。
○目黒委員 全体的な印象を含めて、話をさせていただきます。今回は新たな問題点はなかったということで、対策等を取ることがないということです。あとは、今まで取られてきた対策の中での問題点が出ていたということです。
 それと、今回私が気になったのは、前回も評価のところで言ったのですが、「ヒューマンエラーで注意が必要」の所の記述がおかしいと思います。例えばヒューマンエラーの40番ですが、一番下のほうです。事故の内容の下のほうに、「緊急開胸。胸が開いたところで自己心拍が再開した」とか、その過程でいろいろなことをしているのですが、この事故の左側の事故の程度で、「障害残存の可能性なし」となっているのです。
 そのほかにも、71番を見ていただくと、先ほどMRIの事例でも関連がありますが、MRIにお子さんを入れて、鎮静させていたのですが、90%の台の所から動いてしまって落下した。それで、事例の内容の一番下を読んでいただくと、「脳外に陳旧性外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折と診断された」。左側の「事故の程度」で、「障害残存の可能性なし」ですとか、今回の評価の中でヒューマンエラーを読んでいたときにいろいろと考えさせられまして、これがこのままでいいのか気になりました。
 絵を用いて詳しくいろいろな対策を取ってくれたPMDAの資料5の内容に関しては、我々も医療現場でよく使わせてもらったり、説明するときに非常に有用になっているのでいいと思いますが、ヒューマンエラーの中に、少し検討しなければいけない事例があるのではないかという感じを覚えました。
 事例の中身を見ると、医薬品と違って医療機器の場合には、チューブ、カニューレ等が多いものですから、事故の程度としてはかなり大きな、死亡につながることが多いわけです。以前から言っていて、当院でもそうなのですが、医療機器に関する窓口が様々で、医療機器のいろいろな問題点、例えば保守してほしいというメーカーからの案内が、臨床工学技士にきたり、医療安全室に送られたりしています。案内を送ったままで終わらせられても困るという部分もあり、我々だけで判断できない部分もあります。
 注射針、カニューレ、医療機器は多岐にわたるわけですから、薬剤の部分からも悩ましいとのご発言がありましたが、そういう部分は機器でも悩ましい部分はあります。ヒューマンエラーからも問題を抽出して、行政側から指導したほうがいい部分もあるのではないかと感じているところです。
 先ほど外部会長がご発言になったMRIに関連する一番最後の事例で、プロポフォールが多量に投与されてしまった事例ですが、機械側からも考えていかなければいけないと思います。輸液ポンプを使っていたのを外して、手落としで全部落としてしまったという事例です。高磁場の検査室内に機械を持って行くというのは、今現在は無理ですが、それでも動ける機械というのは、メーカーに開発してほしいというお願いは医療現場からあるように思います。
○外部会長 私もこの分析を見て、医療機器としては、今日挙げたような対策が取られているということで解決しているようですが、実はヒューマンエラーのファクターに起因する事例の中に微妙な問題がたくさん入っています。ヒューマンとマシンは切り離せないわけで、ヒューマンエラーとして片付けられるものでもないし、ヒューマンエラーの中でも、ヒューマンエラーだからといって放っておくわけにもいかない事例もたくさんあるように思いました。目黒委員が言われたとおりだと思います。今のことに関連して、何かありますか。
○安全対策課長 ヒューマンエラーの部分と、物で対策できる部分の切り分けは難しく、PMDAでもヒューマンに踏み込んで、資料5の絵入りの資料など、対策を打ち出してきているのですが、物サイドの私どものほうで大きく進めることは難しいと思っています。今日のお話も、担当の部署にお伝えしたいと思いますが、こういった事例があることを広く現場の先生にフィードバックし、注意してやっていただくほか、ヒューマンの部分については決め手となる対策が難しく、こういう事例が起こることを知っていただくことも重要かと思っています。
 こういった事例について、医政局と私どもで、定期的に医療機関の皆様には情報提供させていただいているところです。
○外部会長 医療機器に関していかがですか。
○原田委員 内容的に非常に難しい問題であることは私もよく承知していますが、ヒューマンファクターというのは医政局マターではない、という認識を、まず持っていただきたいと思います。ヒューマンファクターと言っているものは、モノの属性の中に人が間違いやすいものが埋め込まれているという意味で問題になっていますので、モノの特性だけを見て、それがトラブルの原因ではないということで、ここでの議論から外してしまうのは、全体から見たときに、本来防げるものを防がずに、スルーしてしまっている可能性があると思われます。それではどうすればいいのか。考え方として、基本的に多くの人が同じような間違いをする場合は、モノの側のデザイン、作り方に問題がある。モノとしてそれ自体がよい悪いという視点ではなく、人にそういう間違いをさせているのは何かという視点での分析が必要で、その検証をどういう仕組みでやればいいのかというのを、是非御検討いただきたいというのが1点です。
 もう1点です。これも関連してですが、全体のご報告の中で、「情報不足で検討ができない」というのが3割あるというのは大きな問題だと思いました。とりわけモノ関連の場合に、事故あるいはヒヤリ・ハットを報告される方が、「どこまでを報告しなければいけないのか」、つまり分析する側の方にとって何が必要な情報かということが伝わっていない可能性が高いのではないでしょうか。したがって、出てきた報告を見ても、何も分からないからとそのまま置いておかれて、本来なら防げたかもしれない事故・エラーが、また続けて起こることが十分にあり得ると思います。
 モノ、道具が絡んでくると報告が難しいのだとは思うのですが、どう報告することが望ましいのか、どういう報告が必要なのかをどのように伝えていくか、ということも含めて、対策を考えていく必要があるだろうと思います。医薬品での情報不足が9%というのも多いと思いますが、医療機器では全報告の3割がここに入るのは、本当に問題だと思います。是非対応を考えていただきたいということです。
○外部会長 貴重な御意見だと思います。ここでも、ザックリと分けているわけで、対策が取られているもの、ヒューマンファクター、対策困難、それぞれの中にいろいろな複雑な要素が入っていて、それをこのまま終わったとするのではなく、対策困難の中で、何がそこに問題としてあるのかを浮彫りにして要素としてつかまえていないと、繰り返されていくと思うのです。今の御意見は非常に重要な御指摘だと思っています。
○三田委員 メーカーの立場からお話をさせていただきます。今、いろいろ御意見を頂きました中で、メーカーとしても、物で確実に止められるもの、人の使用方法に頼らない安全設計のものも、確かにあるのは事実です。例えば輸液ポンプであれば、アンチフリーフロー機能付きのものであれば、ヒューマンエラーによるフリーフローは確実に止められるだろう、そういった事故を防げるものがあります。あるいは先ほど資料の中にもありましたが、外套針と内針の突き抜けです。あれは血管に刺したときに血液のフラッシュバックを見るときに、一度内針を引き抜いて再度刺すという操作をしているようなのですが、そういった操作をしなくとも血液のフラッシュバックを見ることが出来るようなものも、世の中にはあるわけです。ただ、それを私どもメーカーが、医療機関側に伝えきれていないというのが、一番の課題なのだろうと思います。
 一方で、ここは行政からもいつも指導を頂いているところではありますが、より見ていただきたいと思っているのは、先ほど目黒委員がまさしくおっしゃいましたが、私どもは、この情報は医療機関の中のどこへ持っていったらいいのだろうと、悩むときがあります。これはMEなのか、医療安全管理室なのか、もう1つ感染制御というのもありますので、どこに情報を持っていけばいいのかというところがあります。第5次医療法改正では、医療安全管理室を作れとか、医療安全管理者を作れ、医療機器安全管理者を作れとか、大分突っ込んだことをしていただいたのですが、そういう目で医療機関を見て、どこが強いのか、どこがバランスがいいのかというのを都度確認しながら、私どもは情報提供する場所を決めてしているような状況があります。そこが、医療現場とメーカーのお互いのフラストレーションが堪まっている原因の一つではないかと考えています。そういったところを、行政からの指導を頂きながら、なおかつ医療機関とのコミュニケーションを図りながら、いろいろ考えていきたいというところです。
○土屋委員 情報がどう伝わるかは難しいということで、昔よく言われたのが、医療機器の場合はDI室のような機能がないということで、これは大きな課題なのかと思います。
 医薬品安全管理責任者に対しては、このところ3年ぐらい、PMDAから「情報をどう伝えていますか」という調査をされているのです。その結果も公表されて、「医薬品医療機器等安全性情報」に載っています。医療機器の安全管理責任者は各医療機関に必ずいるはずですから、そこ宛てに調査をして、結果を出していくことで、医療機器の安全管理責任者に注意喚起していくというやり方は、1つのやり方としてあっていいのではないかと思います。
 それから、この部会は物を直すことによってとあるので、ヒューマンエラーの部分は、あり得る誤用ということもあるので、これは医療機器の安全対策部会には報告されていましたか。医療機器の安全対策部会は、おそらく承認とか、その後のことをやりますが、あちらでヒューマンエラーの部分は、あり得る誤用の事例がせっかく集まっているので、サマリーだけでも紹介をして、先ほどのMRIの話に伴うとか、そういうことで、機器を扱う人たちに対する注意喚起の場面というのは、なるべくチャンネルを増やしておいたほうがよいのではないかという気がします。報告そのものは、もともと医療機能評価機構に報告されている資料で、二次資料的な形でやらざるを得ないので、本来は報告をきちんとしてくださいという話は、機能評価が言わなくてはいけない話だと思います。逆にいうと、報告のヒヤリ・ハットというか、ヒューマンエラーということだと言って、注意喚起をするやり方もありかなと思いますので、その辺を検討いただければと思います。
○外部会長 医療機能評価機構からは、今日は来られていますか。
○事務局 今日はおりません。
○外部会長 そちらからも来られるか、今のような意見は重要な意見ですので、参考にしてほしいと思います。
○高杉委員 報告の内容を見ていると、いろいろなケースがあるのですが、我々は医療のハイレベル、ハイリスクなところでいろいろな機械の提供を受けています。トラブルが起きた事例について、ヒューマンファクターか機械が悪いのかはよく分からない分析で、このように出ているわけです。機械の間違いなら機械を直さなければいけませんが、誤用ならそれはそれで考えなければいけません。一緒で区別されていないから、どれがどれなのか分からない。ただ、それがヒューマンエラーやヒューマンファクターということで片付けられてしまっている。そこには、機器の改善を求めなければいけないものもあれば、最先端でやっている人たちの患者の様態に応じた使い分けで間違えていることもあるかもしれないです。その辺は現場の改善で直すことですし、機器が間違っているのは、機器の改善で直すことです。その報告の分析がもう1つ欠けているのかなと思います。
 この事実は、例えば患者団体が見たら、「これはどうなっているのか」という質問は素朴にくると思いますので、その辺はきちんと分けて、例えばハイリスクな、素早く対応しなければいけないときに誤用が起こるようなシステムは直さなければいけないということを思います。
○松月委員 この全ての事例について、本当に悩ましいと思いました。例えば、15番のQサイトという静脈用カテーテルアダプタの事例で、アダプタは斜めに差すと損傷するとありますが、これは実際の場面で、斜めにしか差し込めないルートの位置にあった場合はどうするのかというところまで、教育をしなければ防げないと思うのです。注意喚起だけではなく、そういった教育的なDVDなどを商品にセットするという方法も対策の1つになるかと思います。
 注意喚起を促すだけではなく、製品と使う人との間の距離をどう埋めるかというのは究極の課題だとは思います。しかし、何らかの工夫をしなければ、こういう事例は減っていかない。この事例を見た際に、アダプタを真っすぐ差すのは当たり前だと思うとかもしれませんが、実際には、斜めに差すことが起こりえるわけです。そのため、もう1歩突っ込んだ仕組みが必要だと思っているところです。
○外部会長 現場の困難な状況についての御説明だと思います。
○目黒委員 ヒューマンエラー・ファクターに起因するという、36番の一番下のほうの、「事故の内容」で、一番下に「医療機器の導入について」ということで6.と7.でまとめているのですが、「新たな医療器具の導入に際しては、使用者に対し周知徹底を図ること。新たなCVカテーテル導入の際は、CV指導医に周知すること。特に今回事例の当該キットについては、固定具装着の注意喚起に関する文書をキットに添付することを推奨する」とあります。
 医療現場で、こういうトラブルに対する対策、インシデントに対する対策をやるのですが、医療現場にはこのように新しいものがどんどん入ってきて、なおかつシミュレーションラボのようなものがだんだんできてきて、いろいろな訓練ができるようになってきています。ここに書いてあるのは、新しいもの等に関しては、当然添付文書を見て使って、安全対策をしながらやっているという前提で、話を持っていくと、実はそうではないこともあります。今回はヒューマンエラーで、機械の取扱いに関する部分が多かったので、行政からの指導で、もう一回見直してほしい、あるいはそういう文書を見て、周知しながら使わなければいけないという指導をされたほうがいいかと思いました。
○事務局 先ほどの高杉先生から御指摘いただいた、ヒューマンと物の分類の話です。先生のおっしゃった話は、精緻に分析するためには、もともとの情報の粒度が大切だと思っています。私どもは、あくまでも匿名化された情報で、誰かを吊し上げるという趣旨ではなく、物の観点から解析することを目標にやっているわけです。
 医療機能評価機構では、医療事故等について総合的な分析を行っていただいていますが、さらなる分析を進めていただくよう、関係部局を通して評価機構にお伝えするようにしますので、よろしくお願いいたします。
 ○外部会長 医療機能評価機構で分析あるいは対策を立てるのであれば、是非こういう場にも出ていただいて、こういう問題に対して私たちは、このようにヒューマンの面から対策を取っているというようなことで、一緒に解決に向けて話ができればと思いました。
 私から蘇生バックの件についてです。死亡例ですので、考えたほうがいいかなと思いました。それについては、厚生労働省から昨日に非常に重要なメッセージが出されたということで、これは私も評価したいと思います。こういうことによって、添付文書の自主点検等について、机上配布の資料としてお手元にあると思います。
 その2行目に、「単回使用の製品と、再度組立ての再使用可能の2種類がある」というメッセージを出して、単回使用であればこういう間違いは起きないのだけれども、再使用するからこういう間違いが起こるのだということが、非常に重要だと思うのです。そして、再使用する際には、組立て方でこういう間違いが起きるのだから、これはないように、これを間違うと患者が蘇生できずに亡くなってしまうということを知らせることが大切です。そういうことで、今回出されたこういうメッセージは、非常に大事かなと思いました。
 ただ、対策としては、添付文書の記載の確認、改訂でしか、なかなか難しいのでできないというのは重々分かっています。
○安全対策課長 医療安全情報の通知の内容というか、絵入りで分かりやすいものを、今、PMDAで作成中です。
○外部会長 それも非常に大事なことかと思います。絵を入れることによって、具体的にこういう確認をすればいいということです。
 メッセージの中で、これは現場で間違ってしまいそうな、非常に微妙な間違いですので、防ぎきれないのではないかとも思います。将来的にですが、単回使用であれば、この間違いは防げたかなということもあって、今後の課題として考えていきたいと思いました。医療機器についてはよろしいでしょうか。
 次にいきます。今日の検討事項の3「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果について」、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局から報告申し上げます。資料3と参考資料3を御用意ください。資料3の1ページ目ですが、本報告書は医療機能評価機構が報告している薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の、平成24年1月1日~6月30日の間に報告された3,907事例のうち、「規格・剤形間違い」「薬剤取り違え」「その他」に関する1,875事例及び「疑義照会」300事例について、PMDAが分析結果を報告したものです。
 下にありますが、医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例はありませんでした。そして、製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例は3件ありました。ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例は1,090件。そして情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は234件でした。
 次のページは疑義照会について、その理由等を分類した結果が報告されています。なお、この表の中にありますとおり、疑義照会の理由・根拠等については、延べ数として計上しているので、先ほど300事例と申しましたが、この表の合計は334となっているのはそういう理由ですので、御了知ください。なお、前回の部会で御指摘がありましたお薬手帳の件ですが、こちらは上から3つ目に事例集の集計をしているので、御理解いただければと思っています。
 続いて検討結果に入ります。横向きのページ、資料3の1ページです。「製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例」ですが、まず1ページの1番です。これは先発品と後発品との、販売名類似による誤入力の事例です。エクセミドとエクセグランですが、こちらは同じ成分の先発と後発です。先発がエクセグランです。これの取り違えですが、これと更にプラスしてエクセラーゼという薬がありまして、この3つ、エクセ、エクセ、エクセということで名称が類似しており、薬剤取り違え事例等が複数報告されています。ですので、関係各社で医療機関への注意喚起を現在迅速に検討していただいているところです。
 続いて資料3の下、1ページの2番から3番です。こちらは抗てんかん薬と睡眠薬の販売名類似による誤入力の事例です。マイスリーが処方されたところ、薬局においてマイスタンと入力した事例です。このマイスリーとマイスタンの取り違え事例については、参考資料3の1~2ページのとおり、平成24年6月に両製剤の製造販売業者から医療機関への注意喚起が実施されたところです。なお、先ほど報告しました2番と3番の事例ですが、平成24年1月から6月に報告された事例でして、注意喚起前の事例である可能性が高いことに御留意ください。
 続いて、「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」に関しては、資料が非常に膨大となりますので、本部会では配布いたしません。また、資料3の2~42ページですが、こちらは「情報不足等のため製造販売業者等による対策が困難と考えられた事例」です。これらについては時間の関係で、説明は割愛させていただきます。
 続いて資料3の43ページですが、こちらから「疑義照会に関する事例」が報告されています。これについて、いくつか御紹介申し上げます。まず資料3の45ページ、事例10番です。こちらは外科でガスターD錠10mgが処方された患者さんに、薬局で服薬指導を行いましたところ、「胃薬は既に飲んでいる」という趣旨の申し出があり、お薬手帳を確認しました。その結果、パリエット錠10mgを服用中であることが判明したため、疑義照会が行われましたところ、ガスターD錠10mgが処方削除となった事例です。
 続いて57ページの事例52番です。こちらはクレストールで腹部違和感の副作用があった旨、薬歴に記載があった患者さんに、再度クレストールが処方されたため、疑義照会いたしましたところ、メルブラール粒状カプセル600mgに変更となった事例です。
 続いて資料3の74ページ、事例120番ですが、こちらはインフルエンザのためリレンザが処方された小児に、試しにリレンザをキットで吸入してもらったところ、うまく吸うことができなかったということでして、疑義照会を行いまして、そしてタミフルのドライシロップ3%に処方変更となった事例です。
 続いて資料3の93ページ、事例186番です。こちらは誕生日の異なる同姓同名の別患者の処方箋を持参した患者の事例です。処方箋と薬歴を突合しましたところ、処方箋と薬歴の内容は整合しており、かつ前回同様の処方で問題ないということで考えられましたが、前回と処方が異なるということを、本人と母親から申し出がありまして、そしていろいろあり、最後に患者の誕生日を確認したところ、処方箋記載の誕生日と薬歴の誕生日が異なることが判明して、疑義照会を行いましたところ、そもそもカルテも間違えて記載していた所が判明した事例です。
 その他の事例については、時間の関係で説明は割愛しますが、今後、同様事例の集積を行い、対応を検討していきたいと考えています。資料3については以上です。
○外部会長 ありがとうございます。薬局ヒヤリ・ハット事例の検討結果でした。既に1,300事例、挙がっているものだけでこれぐらいですので、日本全国で多くのヒヤリ・ハットと言いましょうか、医師の側の処方が、薬局の薬剤師によってチェックを受け、そこで食い止められたという事例がかなり多いのではないかと思います。今日、これを見ても非常に多くの事例が挙がっています。この検討結果について、何か御質問やコメントはありますか。
○森委員 前回、お薬手帳を別に集計できないかということをお願いして、今回対応いただき本当にありがとうございました。大変な作業だったと思います。まず、お礼を申し上げます。その上で疑義照会の集計結果300事例見てみると、薬歴だとか薬の特性、又はお薬手帳を活用することもですが、患者さんの症状とか、申し出とか、患者さんときちんと会話をすることによって、対面でいろいろな情報を集めることで、それが疑義につながったという事例が多く報告されており、これは非常に重要なことだと思います。
 今回の報告の中で特徴的と言えるのは、7ページ目の15番の事例ですが、昨年の4月から一般名処方が進みました。その中で一般名処方から、調剤する医薬品を決めるという所で、過誤が起きた事例なのですが、新たな仕組みなので、今後、こういう所でのエラーにどういうものがあるかを集積していく必要があるかと思います。
 もう1点は先ほど事務局からありましたように、この事例に関しても、何を何に間違ったのかというのが、報告されていません。これは報告する側も、きちんとその意味を踏まえた上で報告するようにしなければいけないのと、事務局のほうからも、どういう一般名処方をどういうものに間違えて調剤したかということまで具体的に報告してほしいということを周知していただければと思います。
○外部会長 ありがとうございます。
○事務局 今、森先生から御指摘がありました一般名処方の件ですが、一般名に関連した薬剤取り違えは、500数十例中、6例でして、数としてはさほどありません。現状、ヒヤリ・ハット事例の報告としては、まだ統計分析に頼る状況ではないということと、まだ数もさほど出ていないようでして、実は混乱はさほどないのではないかと推察しています。
○外部会長 ありがとうございます。ここに挙がっているのは、医療機能評価機構のほうに入力されたデータですよね。全国で一体これがどれぐらいあるのか、膨大な数だと思うのですが、何かそういうのが分かるといいかと思いました。
 というのは、私たちの病院の中でも毎月疑義照会例がかなりの数挙がってきます。ですから、たぶんここの事例というのはほんの一部と思いますし、もし全国的にそういうのが分かると、もっと何か見えてくるものがあるかと思いました。
○事務局 先生がおっしゃった点ですが、薬局ヒヤリ・ハットについては、事業に御参加いただいている薬局は数千軒あります。そのうち、実際に報告してくださっている薬局、例えばこの半年間で報告してくださった薬局は、大体数百軒で、そこから報告されている4,000件余りの事例ということです。
○外部会長 全国に薬局は何箇所あるのですか。
○森委員 5万4,000です。
○外部会長 では、100倍はあると考えてもいいのではないかと思います。
○北澤委員 今、薬局のヒヤリ・ハットを分析した書籍の編集をしていまして、その著者の先生の受け売りなのですが、今日御説明のあった議題1の、医薬品のヒヤリ・ハットは、物とは言いながらも、中身はヒューマンエラー、ヒューマンファクターに関係のあるエラーが多いということではないかと思います。
 著者の先生もその点はおっしゃっていて、今後の分析のやり方として、物のどの辺がどう悪いということもさることながら、やはりヒューマンエラーの部分をもう少し分析することはできないか。あるいは物の部分の、例えば名前が似ているだとか、見かけが似ているとか、そういう部分とヒューマンエラーの部分を組み合わせて分析することによって何か対策が生まれないか、そのようなことを主張しておられ、非常にもっともなことだなと思っています。
 薬局のヒヤリ・ハットの報告を拝見しても、確認を怠っていたとか、確認していなかったとか、要するに確認に関することが非常に多いのです。では、確認をしていないのはなぜなのかという、更に前段階の分析が、この形でなくても、もう少し個別の研究的な形でもかまわないかとは思うのですが、なぜ確認をしないのか、あるいは、したいのだけれどもできない、何かの事情があるのか。それは忙しすぎるからか、あるいは患者さんがせかすからか。その辺りも含め、もう少し背景にあるものの分析を今後行っていただければ、それをなくすためにどうすればいいのかという対策に結びつくのではないかと思います。
 それからもう1点、疑義照会の御報告がいろいろと出ていまして、薬局の薬剤師さんが誤りを見つけてくださっている事例がかなりあると思います。一方で、報告する側の医療者の方にとっては、起こしてしまったミスを報告するというのは、何となく心が痛むといいますか、気後れしてしまう部分もあるかと思います。そういう報告ももちろんやっていただきたいのですが、こういうことによってミスをやめられたとか、うちの病院ではこういうことをやってミスが減ったとか、ポジティブ事例をもっと積極的に情報提供していただくと、やる気が出るのではないかと思います。以上です。
○外部会長 ありがとうございます。
○土屋委員 実は今、北澤委員がおっしゃったようなことは、現行の薬局ヒヤリ・ハットの報告の仕組みだと、確認不足で終わってしまい、それ以外のことは調べようがないのです。実は私も、今、厚生労働科学研究でやっているのですが、「確認不足」を選んだら、その後、更にそれに潜むそもそものエラーが何であるかということを、過去の報告例を全部分析し、そこからあり得る項目を選び出すといったことを含めて現在検討をしています。確認不足というのは、医療関係者は、みな誰でも最後は確認不足ということを言わざるを得ないのですが、その裏に潜むエラーの原因を分析するためには、今の報告制度そのものではデータが拾えないということもあるので、その辺を検討しているところです。
 実はこの一般名のところもそうですが、数量違いといったときには、それが10錠シートだったのか、ウイークリーシートだったのかとか、更に一歩、「数量違い」を選んだら、どうしてその数量違いが起きたのだろうかということの項目を、一応過去のデータを全部解析しまして、そういったものを現在構築しています。今年、来年と続けてやっている厚生労働科学研究ですので、そうすると報告ができるかなと思っていますので、よろしくお願いします。
○外部会長 ありがとうございます。先ほど北澤委員から出ました、いろいろな提案も含めて、今後考慮していただければと思います。
○溝渕委員 歯科ですが、うちも小さい診療所なのですが、一応、医療安全の責任者を置いて、ヒヤリ・ハットの事例を集めさせているわけです。でも診療所レベルでは、全然そういうことが、上に上がっていくシステムも何もないという所もありますので、先ほど薬局が5万4,000ですか。歯科は6万以上の診療所がありますので、もちろん病院の中からもほとんど上がっていない状態ですので、ここは評価機構のほうにもできるだけ上げてもらうように言っているのですが、なかなか上がってこないという状態で、申し訳ないと思っています。以上です。
○外部会長 歯科領域もかなりいろいろな問題をはらんでいると思うので、情報収集をスムーズにやってほしいと思います。
○森委員 先ほど北澤委員から、「こうすれば防げた」というお話があったのですが、実は今回の報告を見ていたら、ワーファリンの疑義照会で事故を止めている事例が多くありました。ワーファリンは国のほうからも今までいろいろな注意喚起をしています。今回の事例の中で、薬局から確認して止めたというのは、これは注意喚起が行き渡っていたこともひとつであったと思います。
 一方、今回は処方が変更になって、これは本当に変更でいいのか疑義照会をしたら違っていたとか、量が違ったという事例があるのですが、常に注意しないといけないのは、前回と同じ処方でも、検査をしたのかしないのかの確認を含めて、薬剤師として常に疑義を持って、前回と同じだからいいということではなく、注意していかなければいけないと思います。
 それからもう1点、今回の報告の特徴的なことのひとつで、以前、何回か前のこの部会でもお話したのですが、配合剤に関して、同一成分の医薬品の重複投与の問題であるとか、用量についての報告がいくつか挙がっていましたが、配合剤は、配合剤ということは分かりますが、その中に何の薬が入っているのか、何ミリ入っているのかというのは、分かりにくいということもあり、今後も使用が進む中で、注意をしていかなければならないのではないかと思っています。
○外部会長 ありがとうございます。この件についてはよろしいでしょうか。それでは、次に行きたいと思います。報告事項の「その他」について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局から御説明を申し上げます。資料4ですが、こちらは前回の本部会以降に発出されました医療安全関連の通知となります。資料4の1ページから最後までですが、こちらは「医薬品等の誤飲防止対策の徹底について」です。資料4の5ページ以降に、厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室が平成24年12月27日に報告しました「平成23年度家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」の中で、特に「小児の誤飲事故に関する報告」において、医薬品、医薬部外品の誤飲による要処置事例、入院事例が多く報告されており、中でも医療用医薬品については、家族や親族に処方された医薬品を誤飲している事例が多いとされました。
 そこで医薬品の誤飲事故、特に小児による医薬品の誤飲を防ぐための留意事項を、医療機関および薬局等に向けて発出しましたので、本部会に参加の委員の皆様方におかれましては、本通知の内容を周知いただきますよう、お願いします。通知の周知いただきたい内容は、2ページ目の1と2です。資料4については以上です。
 続いて資料5ですが、こちらは前回の本部会以降に発出されました「PMDA医療安全情報」になります。資料5の1~3ページですが、こちらはPMDA医療安全情報33番「手術時の熱傷事故について」です。光源装置であるとか、電気メスといったものの取扱い時には、これら装置の先端部を、患者さんの上にあるドレープの上に直接置きますと火傷が起こり得ることから、光源装置や電気メスの適切な管理方法の例を御紹介しています。
 続いて資料5の4ページは、PMDA医療安全情報No.34「グリセリン浣腸の取扱い時の注意について」です。1つ目は、立ったままグリセリン浣腸を行いますと、直腸穿孔のリスクが高くなるかもしれないということ。そして5ページですが、浣腸時にストッパーが直腸内に入ってしまって、残ってしまわないように、目視しながら浣腸を実施してくださいということ。その次は6ページですが、浣腸の際はできるだけ左側臥位より、慎重に行うこと等、グリセリン浣腸実施時の注意点を紹介しています。
 続いて資料5の7~10ページですが、こちらはPMDA医療安全情報No.35「気管切開チューブの取扱い時の注意について」です。気管チューブ留置中は抜けないように、まず常に確認が必要であるということが7ページ。そして気管切開チューブの再挿入時に、皮下にチューブが迷入する可能性があることから、再挿入後は換気できていることを確認する必要があるというのが8ページ。そして、スタイレット付きの気管切開チューブについては、スタイレットの抜き忘れによる窒息事故が起こらないよう、必ず抜く必要があることなど、これが9ページですが、こういった気管切開チューブの取扱い時の注意点を紹介しているものです。
 続いて11~13ページは、PMDA医療安全情報No.36「チューブやラインの抜去事例について」です。まず体位変換時には、気管切開チューブが抜ける可能性があること。これが11ページです。そして12ページ、患者の移動時には、輸液ラインが手すりなどに引っかかることにより、抜ける可能性があること。その他はいろいろありますが、チューブやラインの抜去事例と注意点を紹介しています。資料5については以上です。
 また、去る12月ですが、公益財団法人日本医療機能評価機構から医療事故情報等収集事業第31回報告書が、評価機構のホームページで報告されています。公表の際には都道府県をはじめ、関係団体等へ報告書の公表を連絡するとともに、同様の事例の再発防止及び発生の未然防止のために、報告書の内容を確認の上、共有すべき医療事故情報等の内容に留意するとともに、注意喚起を促すよう、周知を依頼しているところです。
 この報告書中、並びに評価機構ホームページ上で公表されているヒヤリ・ハット事例記述情報等の中から、独立行政法人医薬品・医療機器総合機構が、医薬品・医療機器に起因する観点から、専門的な評価、対策の検討を加えた報告書を作っていただきまして、次回の部会でまた御審議いただきたいと思っています。よろしくお願いします。その他は以上です。
○外部会長 現在、いろいろ対策を打っているところが紹介されました。医療安全関連通知ということで、今年の1月4日に出されています。誤飲防止対策の徹底についてということで、子供さんは何でも口に入れたがるわけですが、その中でも薬というのは非常に重篤な障害を起こす可能性がありますので、これについて通知をしたところです。
 ただ、2つの通知はいずれも、保管に気をつけるようにとか、十分注意喚起するようにというようなことで、結局有効な対策というのは、なかなか難しいのではないかと思います。ただ、このように注意喚起することで、少しでも目が向けばと思います。
 あと、PMDAのほうから詳しく分かりやすい図を使って、医療安全情報が出されました。No.33、34、35、36、いずれも非常に理解しやすく書かれていると思いました。この情報については、各病院、医療施設等で非常によく利用されているのではないかと思います。私たちの病院でも、すぐにこれは張り出されて、みんなが使用するようになっています。何かこれについて御意見等がありましたらお願いします。
○高杉委員 医師会では食品生活その他で健康被害があるかないか調査しているのですが、その中でサプリメントを飲んだらいろいろあるわけですが、それは置いて、ここの健康被害の中にコンタクトが出ていないですね。今、カラーコンタクトを女性がおしゃれ用に使う。その中にかなりの粗悪品が出て、結膜炎を起こすような例が結構あるようなのです。これはどこで作ったかよく分からない不良品が結構あるようで、眼科の先生はかなり掴んでいらっしゃる。コンタクトが日本製ならいいのでしょうが、外国製で、不良品で色が付く。おしゃれでやっていたら結膜炎を起こしたというのがあるそうなので、それは対策をお願いします。
○外部会長 ありがとうございます。
○安全対策課長 カラーコンタクトレンズについては、もともと雑品であったものを、平成21年に医療機器として取り込んでいます。日本で承認になっているレンズも出てきていますが、未承認のレンズでの健康被害もあり、そういった実態についても、今、研究で調査をしていただいています。
 また、昨年の7月ですが、カラーコンタクトレンズを入れる方々は、眼科の先生に例えば目のベースカーブとか、角膜の状態なども見ていただかずに、結構、店頭又はネットで買われることが多いようで、眼科医の指導を受けずに購入もするし、洗浄などのその後のケアもなかなか十分にできていないような実態があるということで、昨年の7月に購入の際にきちんと眼科を受診していることを、販売業者のほうで確認をして販売するように、通知を出したところですが、その実施状況、徹底状況についても調査をかけています。そういった実態も見ながら、また対応を考えていく予定にしています。
 3月の頭頃だったと思いますが、日本コンタクトレンズ学会が、このカラーコンタクトレンズの被害の状況について、昨年の夏から秋にかけて調査した結果を公表され、そういった情報もいただいています。特に若い女性の使用が多いのですが、そういった使用者に注意喚起をどうやったら届けていけるのか、また検討していきたいと思います。
○高杉委員 インターネットで安易に買えてしまう。だから、それは眼科のチェックが入らない。使った後に結果として眼科へ行くことになっているのです。
○森委員 小児の誤飲ですが、薬局でも保管・管理に関して指導していますが、改めて報告を見ますと、小児が自分の薬を誤って飲んでしまうということも問題なのですが、家族の薬を誤飲すると特に大きな事故になりますので、より徹底したいのと、今回の報告で医療用医薬品も47件ほど報告があるのですが、一般用医薬品、医薬部外品がそれぞれ17件、13件の報告があります。一般用医薬品等を販売したときも、より注意をしたいと思っています。
○外部会長 ほかに御意見はありませんか。全体を通じて振り返ってでも結構ですが、よろしいでしょうか。それでは、今日予定された議題は以上で終わります。事務局から何かあればお願いします。
○事務局 次回の部会の開催予定については、委員の先生方の日程を調整いたしまして、御連絡させていただきたく存じます。また、本日の議事録については後日お送りしますので、内容の御確認をお願いします。なお、修正と御確認をいただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載しますので、よろしくお願いします。
○外部会長 それでは全て終了しましたので、御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

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代表・電話: 03-5253-1111

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