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2013年5月29日 第4回 救急医療体制等のあり方に関する検討会(議事録)

○日時

平成25年5月29日(水)9:30〜12:30


○場所

厚生労働省専用第18,19,20会議室(17階)
東京都千代田霞が関1−2−2


○議事

○田中救急・周産期医療等対策室長 
 定刻になりましたので、第4回「救急医療体制等のあり方に関する検討会」を開催いたします。本日、先生方には御多忙のところ御出席を賜りまして誠にありがとうございます。全員出席の予定ではございましたが、阿真構成員から欠席、石井構成員から遅刻との御連絡を受けているところでございます。なお、本日の議題に関連いたしまして、参考人として、引き続きまして帝京大学医学部救急医学講座の坂本哲也教授、及び北九州市立八幡病院の伊藤重彦副院長にお越しいただいているところでございます。
 それでは、以降の議事運営につきましては座長にお願いしたいと思います。有賀先生、よろしくお願いいたします。

○有賀座長 
 皆さん、おはようございます。早速議事を始めます。まずは資料の確認からお願いします。

○辻救急医療専門官 
 冒頭のカメラ撮りにつきましては、これまでとさせていただきます。よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは資料の確認です。本検討会の議事次第、構成員の名簿、本日の参考人の名簿、座席表、開催要綱が付いております。資料本体としては、資料1「前回までの宿題事項について」、資料2「救命救急センター充実段階評価について」ということで、本日参考人として御臨席いただいています坂本参考人から御提出いただいた資料です。資料3「ドクターヘリの現状について」というパワーポイントの資料、資料4「論点一覧」、資料5「論点整理」です。
 続きまして、参考資料の確認です。参考資料1「平成24年救命救急センターの現況」ということで、第2回の検討会、参考資料3と同様の資料、参考資料2「精神科救急の現状」という第3回の検討会、資料9と同様の資料、参考資料3「精神科救急における関係機関との連携について」という第3回検討会、資料10と同様の資料、参考資料4「救急医療体制の整備における精神科救急との連携について」という第3回検討会、資料11と同様の資料、参考資料5「福岡県における精神科患者の搬送・受入れの問題点及び医療機関の負担要因の調査結果」という第3回検討会、参考資料1と同様の資料、参考資料6「精神科救急医療体制の整備に関する指針について」という第3回検討会、参考資料2と同様の資料、参考資料7「現行方式と比較した♯8000集約化の効果と組織のあり方(案)」という資料、参考資料8「患者搬送に関する現状について」です。
 資料につきましては以上です。今回はこれまでに引き続いて行われる議論があり、資料が重複しております。お手元の資料に不足等がありましたら事務局にお申し付けください、よろしいでしょうか。それでは、よろしくお願いいたします。

○有賀座長 
 では、早速始めたいと思います。議題が1、2、3と並んでいますが、まず資料1について事務局から説明をお願いしたいと思います。

○辻救急医療専門官 
 資料1につきまして御説明いたします。資料1 はこれまでに質問いただいた内容であります。それぞれの課題に関し、右端にあるように今回若しくは次回以降に御対応いたします。なお、訂正がございます。整理番号2、7の内容に関し、発言者が石井構成員となっておりますけれども、加納構成員です。修正いたします。説明は以上です。

○有賀座長 
 それでは、具体的に今日の議題に移ります。1から5と並んでおります。前回、尻切れトンボになったのは精神科のお話があって、かなりウサギ跳びのような形になってしまいました。そこから出発ということもあったのでしょうが、坂本先生が次の所へ飛んで行かなければならないということなので、まずは坂本先生にお話を賜って、そのお話に関連したことからと思います。坂本先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○坂本参考人 
 帝京大学の坂本でございます。時間が限られていますので簡単に始めさせていただきます。
 資料2を御覧いただきたいと思います。私からのお話は「救命救急センター充実段階評価について」ということです。本件につきましては、私自身がこの救命救急センターの評価に関する厚生労働科学研究に長く携わっていたことと、日本救急医学会の「診療の質評価指標に関する委員会」の委員長及び担当理事として、救急医学会として、この件に関して担当してきたので、それをベースにお話をさせていただきます。
 まず、これはもう皆さん十分御存じのことなのでさらっと行きます。救命救急センターはここ数年、急激に数が増えて261施設となっています。当初、人口100万人に1つと言っていたものが、現在は49万人に1施設と整備が進んでおります。
 4ページをお開きください。このような救命救急センターは261まで増えて、この261でどのぐらいの患者を診ているのかということですが、2つの数値をお出ししています。まず、総務省消防庁の救急救助の現況から見た重症及び死亡の総搬送件数が年間で56万4,000人になっております。これらのうちの一部というか、何割かが救命救急センターで対応する疾患というように救急搬送側からは考えられます。一方、厚生労働省の平成24年の救命救急センターの現況から見た時に、救命救急センター側から上がってきた重篤患者の総数が23万5,000人、1施設当たり平均900人となっております。したがって、総務省消防庁が重症として運んでいる患者の約半数が救命救急センターで治療を受けているということが、今の実態だと考えられます。
 5ページは日本救急医学会で複数の委員会、将来計画委員会が中心となって検討した時のいわゆる日本の救急患者の動きです。真ん中の段、右端からいって感冒・打撲など、いわゆる時間外独歩患者、これを救急患者とイコールとするかどうかということは議論があると思いますけれども、この年間推計が約2,000万人、約90%の1,800万人が自宅に帰ります。残りの200万人が二次救急として入院をしていきます。
 一方、救急搬送、三次以外のものが約500万人、そのうち約半数の250万人は軽症患者としてそのまま入院せずに独歩退院をいたします。残りの250万人が二次病院で入院をする。ですから、二次というのは独歩で来る方と救急車で来る方が大体200万人強ずつ、合わせて400万から500万という数値になります。
 一方、救命救急センター、三次救急に来る方は先ほどの25万人、それから二次から三次に上がってくる患者、更に初期から三次に上がる患者も聖マリアンナ医大の調べでは0.3%、全国で6万人ぐらいいると言われています。これが全体の数です。
 6ページを御覧ください。救命救急センターの充実度評価に関しては平成11年、これはもともと島崎研究班が作った草案を基に厚生労働省が行ってまいりました。この結果を公表して運営費補助金の配分、あるいは診療報酬の加算に反映させるということで、特に体制の充実ということに関しては一定の効果があったと評価がされています。平成18年には全ての項目が評価となっています。
 一方、救命救急センターが時代の変遷とともにどうあるべきか。従来、救命救急センターは受け身の立場で、病院に来た患者、重篤患者を治療することが唯一の機能であったわけです。それがメディカルコントロール体制、あるいはER型救急ということも踏まえると、より地域、あるいは病院全体に対する救急医療の質の担保ということが救命救急センターの役割ではないかということが議論されて、平成18年度の厚労科研の中で、他の救急医療機関との連携による地域全体の救急医療の質について管理すること。もちろん、メディカルコントロール体制の要として機能すること。市民への啓発により事故の予防、あるいは早期通報などの改善に努めること。そして、病院全体での救急患者に対する初期診療に対して三次救急のフィールド・トリアージでなくても、その質を高めること。これらが8ページに書いてある従来からの救命救急センターの機能に加えて、あるべき姿として論じられました。
 これらを基に、「救急医療の今後のあり方に関する検討会」が厚労科研の報告書提出を受けて、議論が進み、充実段階の評価の中で従来の救命救急センターのあり方に加え、この新しいやり方について更に勘案した項目を加えてはどうかということで、平成21年実績から新しい充実段階評価が開始されております。10ページに見られるように、これらは、先ほどのあり方の中で求められた機能が今回の報告に盛り込まれたということになります。
 なぜ、充実段階評価を行うことが必要かということが11ページにあります。これは地域の救急医療の整備に取り組む関係者に、全国の他のセンターの現況を伝えることによって自分自身をベンチマークしていただく。あるいは、自分自身の欠点を知っていただくことが重要だということです。個々の救命救急センターの運営者だけでなく、救命救急センターを有する病院の病院管理者に対しても取組に対しての助け、あるいは地域の自治体、また、その自治体を構成する住民が自分の地域における救命センターがどうあるべきかを考え、そこに対しての取組を行うためにこれを使うことを大義としております。
 しかし、必ずしもこれに問題がないわけではございません。12ページ、既に問題として今まで提起されていることは、例えば「重篤患者」という言葉1つを取ってもその定義や基準、一応厚生労働省が定めてはいますけれども、これが周知されているかどうか。また、自己評価で第三者のサーベイ、あるいはピア・レビューなどを経ていないものが果たして客観性を保てているか。地域ごとに救命救急センター自体、その担う役割が異なるのに、それに十分対応できているかどうか。そして、先ほどもちょっと言いましたけれども、改善の取組というのは、結局、センターのスタッフで解決できる問題というよりは病院管理者、あるいは地域の自治体が管理をしなければいけない。そのためには、今までは主として評価によって何かを削減するという鞭の部分も多かったわけですけれども、充実度が悪い所に対して、削減をすることによって果たして改善が可能なのかどうか。そういう所にこそ、人的及び財政的支援を行うべきではないかということが今まで議論されております。
 今回、この充実度評価が、果たして客観性のある評価になっているかどうか。今まで日本で非常に進んでいるものとしては、日本医療機能評価機構による病院機能評価というものがありますので、それとの比較をしてみました。1つはデータの信頼性に不安があったからです。14ページにあるように、例えば病院全体の救急搬送と重篤患者数を比べると、重篤患者数が救急搬送数を超えている。つまり、100%の救急者はすべて重篤で、なおかつ救急車以外でも重篤を受けている救命救急センターがあるなど、非常におかしな解釈になる所もある。逆に、極めて重篤患者が少ない所もあるということで、これらのばらつきについてどうかということもありました。
 15ページを御覧ください。医療機能評価機構における病院評価は、現在ウェブサイトで公開されているものが2,403病院あります。そのうち、救命救急センターを有する病院が208病院、救命救急センター全体の約8割が既に病院機能評価を受けております。
 16ページで見ていただくと、病院機能評価のバージョンの歴史的変遷があります。バージョン4が7救命救急センター、バージョン5が105救命救急センター、バージョン6が96救命救急センター、合計208、全体の79.7%が既にこれを受けております。
 17ページ以降を簡単に紹介します。まず、充実度評価の総合計点数と病院機能評価の救急機能に関する平均点に関しては、必ずしも相関はしていないことが分かりました。しかし、もうちょっと部分ごとに見てみますと、18ページにあるように病院機能評価の中でも特に構造部分、それと充実度評価の体制部分、この両者を見ますと比較的良い相関を持っていることが分かります。
 19ページでは運営に関わる部分、プロセスに関わる部分と充実度評価の総得点、これに関しても一定の相関がありました。しかし、20ページにあるように是正項目、いわゆる減点項目として記されている部分に関しては有意な相関がありませんでした。質改善に対する取組はいかがかということと、充実度評価についても相関を認めました。
 総じて見ると、23ページにありますように、日本医療機能評価機構の救急サーベイによる病院機能評価の中での救急に関する構造的な部分では、比較的、この救命救急センターの充実度評価と一致しているので、現在の充実度評価もいわゆる体制・構造評価するという点では一定の評価ができるのではないかと思います。ただ、プロセスに関しては、まだ不十分である。そして、アウトカムに関しては、まだまだ不十分であるということが考えられました。
 24ページをお開きください、この充実度評価をどうしていったらいいかという方向性です。1つは、やはり数値の客観性が必要である。先ほどのように、救急車で来る患者の100%以上が重篤患者などということがないよう、もう少し個別の客観的な数を求める。そして、具体的な総数ではなく、ものによってはリストを求めることも必要ではないかと考えております。
 また、応需率などに関しては、既に院内外に公表していることを評価項目にしていますので、実際に公表している数自体を求めるというようなことも必要かと思います。重要なこととして、今回、医療機能評価機構がなぜ1つのリファレンスにしたかというと、専門のサーベイヤーが現場に行って、自己申告だけでなく、実際の現場の台帳等の数値を見た上での判断ということになります。このような形で、専門家によるピア・レビューが質の確保には欠かせないだろうと。特に地域の中で、お互いに隣同士の地域のことを良く知ることも重要ですので、近隣の救命救急センター長を集めた会議等で、互いの施設の評価等を持ち寄って、その妥当性に関してお互いに検討し合う、確認し合う。そして、そのための改善点について地域特性を勘案しながら議論し合うというようなことが、今後、非常に必要になってくるのではないかと思います。
 また、充実度評価の指標ということに関しては、今まで構造、体制に関しては、ある程度十分来たわけです。それをよりプロセス、あるいは結果を反映する。それから、地理的条件によって求められるものがそれぞれ変わってきますので、それを勘案した、個別のニーズに応じた指標というものは一朝一夕でできるものではありません。専門家の中で議論して、今後、更に考えていかなければいけないと思います。これは診療報酬の基準や厚生労働省からの施設認定というような、いわゆる救命救急センターを規制する立場というよりは、救急医療を専門に行う我々が自分たちのプロフェッショナリズムに基づいて、自分たちの質を上げるという努力の中で考えていくべきではないかと考えています。以上です。

○有賀座長 
 ありがとうございました。救命救急センターの三次救急そのものについては、また別の機会で議論することになるやに聞いてはいます。いずれにしても、今、坂本先生が「評価」という軸でいろいろお話くださいました。坂本先生、まだおられますよね。聞きたいことなど、いろいろあるかと思います。いかがでしょうか。

○加納構成員 
 今、日本医療機能評価機構でサーベイヤーを入れて、救命センターの評価という形で御発言がありました。これは我々、日本医療機能評価機構の出来具合いからずっと見て、あれは救命センターをチェックするには全くできていないような感じがしています。その一部門として構造とか、そういったことで相関するところはあっても、ちょっとこれは無理があるのかなと。ですから、そういう専門的な意味で見る、別の次元での第三者が必要ではないかと思います。ちょっと、機能評価は難し過ぎると思います。余りにも合っていないような、違和感があるのですが。

○坂本参考人 
 私の理解では、日本医療機能評価機構は水準ごとに評価をされていますので、救命救急センターを有する病院に関しては、救命救急センターを持つ病院としての機能を評価しているという認識でおります。もちろん、医療機能評価機構における2400全ての病院に対する評価が、救命救急センターに対して妥当だとは思いませんが、一応私の理解は救命救急センターを有する病院を、医療機能評価機構に行って、そこの救急機能を評価した場合、当然そこの救命救急センターの機能も含めて評価をされてきているというように、受ける側からはそういう認識で受けておりましたので、一応使わせていただきました。

○石井構成員 
 どういう評価、事項評価ではなく別の形を取りたいという話は、以前議論をした経緯があります。結局、地域のMCで1回、データをお互いに見せ合ってやってもらう、そして、県のMCで全体を認定して、それから厚生労働省に出すというプロセスがよいのではないかということで、厚生労働省も合意したと思っています。ただ、その徹底がまだ足りないというか、逆に言うとMC、特に都道府県単位のMCというのが、会議費程度の予算付けであるのをもう少し強化していただいて、まさにプロフェッショナル・オートノミーに基づき、まず地域でお互いがお互いを評価し合って、どうあるべきかをフランクに論じていただく、そして、県の単位で、それを全体でブラッシュアップするという作業があれば、この24ページにある指摘事項はある程度というか、ほぼクリアできるのではないかと思って見ました。どうでしょうか。

○坂本参考人 
 石井構成員のおっしゃるとおりだと思います。あえてMCと書かなかったのは、今までここに関しては、厚生労働省側で見た時には地域医療救急対策協議会等の、いわゆる医療計画の中での救急医療を考える部分での議論、それからMCという立場で、これも明らかに病院前救護だけでなく、というより主に病院側の中での診療内容等に踏み込む話ですので、そこまで踏み込んで「MC協議会」という名前でやるかどうか。ここに関してはちょっと整理が必要かと思います。実態としてはMCの方に多く入っていただいて、地域できちんと考えていただく問題として、あえて「MC協議会」という名前は使わずに24ページは書かせていただきました。気持ちとしてはMCの先生方に入っていただきたい部分です。

○横田構成員 
 今、石井先生がおっしゃった「第三者の評価も受けて」ということですが、三次の医療機関の特性、責任から言うと、やはり診療の質がしっかり検証できるような仕組みを、まず持っていないといけないと思います。だから、データもないのにそこの救命センターは部外者を入れて評価するというのは極めて不可能ですよね。
 今、坂本先生の御発表の中で外形評価は比較的、例えば病院機能評価の評価点と見てもマッチしてできていますよと。ところがプロセス評価、アウトカム評価ということになると今、必ずしもそういう指標は持ち合わせていないということが現実ですよね。私が個人的に救命救急センターのデータを集める時、例えば入院患者の傷病がどういう割合か、あるいはもう一歩進めて、患者登録によってアウトカムを評価している中身があるのかといったことをちょっと調べてみても、救命救急センターによって極めて格差があります。
 私の希望からすれば、二次の救急医療機関とは違って、より高度で、かつ重症患者を扱うわけですから、1つは、傷病登録というか疾病登録のような形で、ある程度アウトカムが評価できるような仕組みをまず持っていることが必要でしょう。もちろん、その前提になるには少なくとも、救急救命加算を取っている対象患者の枠だけでも、どういう疾病構造を入院させているのかということは持ち合わせていないと駄目だと。私はその2点が必要だと思います。そうでないと、石井先生がおっしゃったような外部委員を入れて評価することは不可能だと思います。

○坂本参考人 
 まずアウトカムに関してですが、今のところ、残念ながらほとんどペイシェント・ボリュームの話でしか言えない部分になります。ペイシェント・ボリュームに関しては、今回の中には出していませんけれども、実は調査の中には、例えば重症外傷、AISがいくつ以上であるとか、あるいはショックであるとかという形で、疾病若しくは病態ごとにある程度明確な定義を決めて、それぞれの年間入院患者人数を問うております。これによって、その辺をもうちょっと詳細に分析すれば、どのような重症患者を診ているかということに関してのデータが出てくると思います。ただ定義が、明確に書いてはあるのですが、周知徹底されているかどうかに関しては問題があると思います。
 レジストリーに関しては、充実度評価の中で「レジストリーに参加していること」というのが1つのポイントにはなっています。その中で、1つの例として挙げられているのは日本外傷データバンクです。外傷に限られますけれども、これに関して言えば、それぞれの施設での患者の数、それからプリベンタブル・トラウマ・デスレートなども一応出すことができますので、そういうものが今後指標として重視していかなければいけないだろうと考えています。
 同じようなことを脳卒中、心疾患でもやらなければいけないとは思います。ただ、重症度の標準化ということがアウトカム評価の中では難しい。特に救命救急センターに来るのは手が付けられないような脳卒中、あるいは心停止をした心疾患などが非常に多いので、単純に生存率等だけで、押しなべて見るとなかなか、より重症を診ている所はよりアウトカムが悪いことになりかねない。その点、対象症例をいかに絞り込んで標準化していくかということは、もう一方で重要かと思います。
 いずれにしても、やはり患者の転帰を用いて最終的にはアウトカム評価をしていくということは、医学的な評価としては、やはり最終的には必要なことだと思っています。

○横田構成員 
 アウトカムのデータまで出しなさいということも、もちろんそうなのですが、少なくともその前提となる、患者の診療情報のデータベース化がきちんとなされていること、あるいは恒常的に救命救急加算の対象になるような患者のデータベース化がどの救命救急センターも、一定の雛形でちゃんとなされているのかが重要です。アウトカムまで出るような標準化というのは今後まだ検討が必要かもしれませんけれども、少なくとも、そのようなデータベース化がいろいろな調査をかけてもなかなか出てこない。例えば救命救急センターがあるけれども二次も初期もやっていますという所もあれば、ほぼ独立型に近いような、三次だけやっていますという所もあって、なかなか実態が見えてこないというのがあります。こういうところが、やはり評価がしづらいところなのではないかと思います。

○坂本参考人 
 おっしゃるとおりです。これは推定ですけれども、1つは今現在、例えば肝不全とか、重篤患者数を個別に求めています。それを実際、サイトビジットをして、何の台帳を基に、どういう根拠でこの数値を出したのですかということを実際にお聞きすれば、今、先生が言ったところはかなり、どのぐらいきちんとした患者のデータ登録に基づいて信頼度の高い数値が出ているのかということが分かるのではないかと思います。実際にやってみようとすると、あれを真剣にやるのであれば、救命救急センターは年間1,000、2,000、あるいは3,000という数の、きちんとした患者の登録をしておかないと簡単に出せるものではありません。1つはそういったことを介して見てもいいのかなと思います。

○石井構成員 
 今の話は理想論としては分かりますが、今、ちょうどデータベースはどうあるべきか、メガデータをどう作っていくか、医療側の認証をどうするかというのは、日本医師会が認証局をつくっており、厚生労働省もデータベースの作り方について一緒に相談しましょうという、今そういう状況ですので、それがあればこういうことができるといった話をこの段階でするのは、ちょっと先に行き過ぎているような感じがします。もうちょっと待ちながらやっていった方がいいと思います。

○加納構成員 
 横田先生がおっしゃったのは、救命の加算を取っている、1日に10万円近くお金を取っている人たちの実態をある程度明らかにしろという御発言だと思います。これは非常に大事なところで、高齢者救急がこれから増えてくる中で、高齢者ばかり診ているのかと。その中で、必要な高齢者は三次救急で診なければいけないし、必要でない、もしかしたら二次救急で診られる高齢者もいっぱい入ってきているのではないかという検証を急がなければいけないのではないかと思います。その点、早急にやらなければいけないことではないかと思います。

○久保構成員 
 今のレジストリーの話は非常に大事で、おっしゃったように先に延ばしてやるのではなくて、救急救命センターの中で今の疾患などのレジストリーをちゃんとやっていかないと、どんどん先に行ってしまうと、もう手が付けられなくなるのではないかと思います。
 もう1つ、アウトカムというのは、私は死亡率が高くてもいいのだろうと思います。その地域の中で重症患者がそこに集まって亡くなったのであれば、私はその救急救命センターの価値はあると思います。救急救命センターに来ずに死んだ人の数の割合が上がれば、そこの死亡率が上がっても十分な医療を受けたということなのです。だから、単にセンターの生存率でアウトカムを言うのはちょっとおかしいのではないか。周産期では特に集約化すればするほどしたかという数で、死亡率は上昇しますが、地域の成績は上がります。周産期センターの死亡率が低い所は地域の成績は悪化する逆相関してしまうので、地域の成績が大事だろうと思います。
 レジストリーの話なのですが、今の外傷と心疾患、その他を考えられているという話でした。これは外部がやっているからそれに乗っているのか、それとも救急救命センターサイドとして、救急患者に関しては少なくとも共通のフォーマット化してやっていこうとして、それが供給されるのか。どちらなのですか。

○坂本参考人 
 現在、きっちりとやられているのは日本外傷データバンク、外傷だけだと思います。これについては今日、座長をしていただいている有賀先生が、かつて厚生労働科学研究で特別研究として基盤を作るデータベースを作って、それを日本救急学会、日本外傷学会が引き継いで、年間、それぞれ数百万円ずつのお金を出しながら維持をしている。現在はそれをNPO法人に委託しながらやっております。このような枠組みで、我々救急医学会が自分たちの身銭を切って始めたものだと考えてはおります。これでお答えになっていますか。

○久保構成員 
 例えば保険診療はそのお金の中にはデータベース化する予算も当然含まれてくるべきだろうと考えているわけです。お金を払うのは医療に使うのだけではなくて、データ収集してそれを公表することもその中に含まれるような概念が入ってこないと、データベースなど絶対できないと思います。今、NPOに委託するかどうかは別として、どこかが身銭を切っているのではなくて、当然その予算というのは救急救命センターを向上させるために、その中のいくつかが入る。例えば専門医でもそうですが、海外の場合、医療費の何十%かが専門医機構に流れていくのは医療の精度を保つためだと思うのです。救急救命センターの質を保つためには、そういうデータベース化の費用が医療費の中に入ってくるような概念が我が国でも要るのではないかと思います。

○坂本参考人 
 1つは厚生労働省も、恐らく、この救命救急充実評価の中では、日本外傷データバンクは実際に名前を挙げています。ただ、「等」と付けていますので、そういう面ではあくまでも第三者がやっているものということでしょう。それに対して、必要なレジストリーに対して、それをする専門の職員を雇ったりするお金が必要なので、そのためのお金はどうするのかということに関しては、私が言う話ではないのかもしれませんが、厚生労働省は、きっと裾の部分こそ、まさに救命救急センターの運営補助金で行うべきものであって、当然救命救急センターのお金の中に、そういうことを登録すべきということも含まれていると、恐らくおっしゃっているのではないかと思っています。

○行岡構成員 
 久保構成員から指摘があった点、あれは、坂本先生ではかわいそうかなという気がしたのですが、先ほど坂本先生からお話があったように、座長の有賀先生が取っていただいたのは税金で、初めてで、あとは酸素がなくなったので、自分たちで酸素を投入してつないでいる。だから、御指摘いただいたような制度が必要だという御指摘であろうと思います。決して、坂本先生がやっているということではありません。みんなが身銭を切ってやっているということです。

○石井構成員 
 追加の提案をします。それぞれのセクション、例えば病院や地域単位でいろいろやっている動きは分かっています。例えば、救急搬送事例のデータベースなどがあるはずです。ただ、問題は保険診療と関連づけるとか、パーソナリティーを全部クラウド・コンピューティングの方に吸い取って関連づけて、合体させてやっていこうといった時に別の事象が起きるわけです。そのハレーションの問題を解決しないで、先にデータベースあるべしを論じ始めると問題が起きるのです。
 そこで、今回のマイナンバー法の時も医療データベースは外してもらったのです。なぜかというと、長く言っても仕方ないのですが、例えば駐車違反を犯したと。それを払いに行ったら、そこにはがんの既往歴だとか、個人情報全部の情報が閲覧されている状況でお金を払わなければいけないという状況になるわけです。だから、その情報の関連性は切断してもらった方がいい。しかし、健康データというのは非常に重大であるから、また個別に、社会的にも影響の強いものだから、それはそれでセキュリティーを高めながら、運用についてはちゃんと考えましょうという議論を別のところでしているわけです。それが今、進行中です、全然やっていないわけではありません。
 それから、先ほども言ったようにドクターの認証というのは、災害時とか救急時もそうですけれども、いろいろな先生方がいろいろな所に行ってやっていますよね。それは良いことなのです。ただし、今はそれが合算されないけれども、いろいろなポジションでいろいろなパーツでやっていることも全部見るようにしましょうと、その代わり、それが悪用されては困るわけです、乱用されても困る、そのシステム化をやりましょうと言っています。「データベースはいかん」などと言っているわけではなくて、むしろやりたいからと。ただ、余りこれがあればという話だけ先行してしまうと、議論がちょっと空疎になるかなという気がします。是非、そこをお願いしたいと思います。

○有賀座長 
 こればかりやっているわけにもいかないので、途中のまとめみたいなことをしましょう。自己評価をそれぞれの人がやる。例えば、ここにいる人たちがみんなで何らかの自己評価をやって、それをお互いに見られるようにしてしまう。そうすると、「石井先生はこのように言っているけれども、ひょっとするとAではなくてBではないか」とか、あるいは「Bだと言っているけどきっとCだ」というような話が共有できてくると、内的な基準というか、紙に書けば外的基準になるかも知れませんが、それを共有するようになって、自己評価もお互いに持ち合えば、かなり第三者的な評価に近付くということは昔から言われています。
 それから、先ほどプリベンタブル・トラウマ・デスレートの話が出ました。アウトカムとリスク・アジャストメントをしながら、もし治療効果に関する評価をしようということが起こると、これは業界の中で「この治療法よりあちらの治療法だよね」というような、そういう意味での議論をしていくには極めて重要なことになります。あそこの病院のがんの患者の重症度からすると死亡率が高すぎるとか、そうなりますよ。みんなでデータを持ち合いますから。並みの死に方でどのぐらいかというのが出てきて、それを掛け算して「あそこの病院の重症度からするとたくさん死に過ぎている」という話になります。場合によっては完全に目的外に使われることがあり得るわけなので、データそのものを何のために使うのかというところをはっきりさせておかないといけない。つまり、集約するという話は少し丁寧にやらなければいけない。
 石井先生が言われるような形でのデータの分散という話と、データが、もし上手にできたとしても、それをどう使うかをきちんとしておかないと危ないという話ではないかと思います。先生、そんなところですよね。今のところはやはりデータを持ち合いながらというか、状況を持ち合いながらやっていく。先生が使ったのは病院全体の評価ですよね。

○坂本参考人 
 そうです。

○有賀座長 
 東京都の救急に関する議論についても、救急医療を評価する時、病院医療そのものを評価する中でという議論がありますから、それはそれでいい。ただ、別途の付加機能と言いましたか、あちらは救命救急センターを評価するために作りたいという話と、それから救急医療は救命救急センターだけでなく、専ら二次救急が地域の救急医療について9割以上面倒を見ているので、二次救急病院に使えるような形にするのが筋だという話と2つあって、あのような形になっています。あれもそのうち、また上手に、使われ方についても研究をしていただくとありがたいという気がしました。

○坂本参考人 
 救急モジュールについては次の課題だと思います。あと、先ほどのピア・レビューをするに当たって、標準的なピア・レビューのお作法ではないですが、こういう所をお互いに見るといいよという、ピア・レビューのモデルを是非今年の厚生労働科学研究の中では確立して、それを各県、MCに広めていきたいと思っています。

○有賀座長 
 今のデータと言っても、自分の所のデータを見るだけでもえらいのに、他人の所のデータなど大変ですよ。

○坂本参考人 
 ですから、先ほどのように、例えば重篤患者数をどこから引っ張ってきたかを見ると、お互いに良く中身が分かるとか、そのようなことを明確にしていきたいと思います。

○有賀座長 
 分かりました。どうもありがとうございます。坂本先生は東京の人なので時々お呼びするかもしれません、よろしくお願いします。
 続いてドクターヘリの話に移ります、御説明をお願いします。

○辻救急医療専門官 
 資料3に基づき、ドクターヘリの現状について報告します。1枚おめくりいただきまして、「ドクターヘリ導入促進事業について」です。ドクターヘリは、急病や事故、災害の発生時に、直ちに医師等が搭乗し、救急現場へ出動し、救急医療を提供することで救命率の向上や後遺症の軽減に大きな効果を上げています。現在の導入状況ですが、今年5月に広島県に新たに配備したので、35都道府県、41機にて事業は実施されています。平成25年度予算については、予算額44.8億円となっています。
 「要請への応需について」です。ドクターヘリが普及し、要請件数が増加するのに伴って、応需不可件数が増加しています。その理由として、一番多いのが天候不良ですが、事案重複、つまりドクターヘリが既に出動しているために対応できない件数が増えています。そのため、事案重複による応需不可に対して解決策が必要となっています。
 1枚おめくりいただきまして、「都道府県間の効率的運用」についてです。現在、都道府県間で協定を締結し、相互応援、登録県の応援ですが、お互いのドクターヘリが行き来する形です。また、共同運用、他県のドクターヘリの活用が行われています。
 次のページは、「都道府県を超えたドクターヘリ運用の効果」ということで、平成24年度、厚生労働科学研究、「ドクターヘリ・ドクターカーによる超急性期からの医療提供体制のニーズの把握に係る研究」を紹介すると、救急各地から30分以内に医師接触可能な患者を算出したところ、ドクターヘリが他都道府県でも活動可能とした場合、新たに166例の重症外傷患者、1,062例の脳卒中患者が、30分以内に医師の接触が可能となると報告されています。
 「まとめと論点」とです。要請件数の増加により、事案重複による応需不可が増加しています。都道府県が行う事業のため、地理的に隣県のドクターヘリによるアクセスが速い地域であっても、隣県のドクターヘリによる救急活動を行うことが困難な状態です。都道府県を越えたドクターヘリの効率的運用については、増えてきたものの、まだ全国的に行われるに至っていません。そこで、効率的運用を促進するためには、相互応援や共同運用といった取組を行うべきでないかという点について、御議論をいただきたいと思います。

○有賀座長 
 資料の4を見ていただきますと、今日御議論いただく内容があります。そこの4にドクターヘリがあって、資料5-2ですから、資料5-1が1ページだとすると、資料5-2は4ページです。そこにドクターヘリのこともあるので、この資料4、資料5に沿って、議論をするときにドクターヘリの問題も入って来ます。ですから、時間の関係で先に進めたいと思います。
 参考資料の幾つかは忘れましたが、前回、緊急性の高い身体合併症があって、精神疾患を持つ患者の受入体制の構築ということで、伊藤先生からいろいろお話を賜って、尻切れトンボになっていたと思います。尻切れトンボはまずいので、少し先生のお話を思い出しながら、精神科救急と一般救急とがどういうふうに連携していくかなどについての話や、お互いの患者のやり取りなどのことについての議論について、つまり、前回しそこなっている部分について追加で先生方から御意見を頂くのがいいのではないかと思うので、議題3に進みます。あのとき、伊藤先生の資料はどれでしたか。参考資料3ですね。千葉先生からも頂いたのですね。伊藤先生と千葉先生から頂いて。

○辻救急医療専門官 
 前回、事務局からお出しした資料については、今回の参考資料2です。

○有賀座長
 これは皆さんから出していただいたものですね。

○辻救急医療専門官
 そうです。伊藤参考人から出していただいた資料については、参考資料3です。

○有賀座長
 千葉先生からもお話を賜ったのですよね。

○辻救急医療専門官
 はい。

○有賀座長
 今日は伊藤先生がおられるので。

○辻救急医療専門官
 千葉構成員から提出いただいた資料については、参考資料4になっています。

○有賀座長
 先生、口火を切ってください。

○伊藤参考人
 伊藤です。よろしくお願いします。精神科救急について、いつも救急病院と精神科医療機関の間でいろいろ話は出るのですが、全くまとまりがなく、どう解決していいか分からす、全然進んでいません。今日は千葉構成員がお作りになったスライドに対して、救急病院側から、認識が違うところを指摘させて頂くことで、少し整理できるように、私なりにまとめてきました。
 問題は、ハードとソフトという両極端の救急の中で、ハードとソフトの境界領域にあるような緊急度の患者、そういうところから精神科医療機関と救急医療機関が連携できるところを探していくことが、今回提案したい中身になっています。
 千葉構成員の資料4の3ページを御覧ください。ここで連携の問題点があげられています。この問題点の中で、丸ポツの3番目の自殺企図による一般救急対応後の精神科誘導。自殺企図者が、救急病院に来られても、処置が終わりバイタル正常なら帰します。その後で自殺され、問題になることがあります。そういうことを考えると、自殺企図というのは、実は身体合併症の見えているものもありますが、身体合併症として扱うには軽い、でも救急医にとってその後のフォローがないことがとても怖い状況です。これはお互いに少し調整した方がいいという象徴的な患者だと思うので、そこを何とかしなければいけない。
 アルコール酩酊者は、警察がキーワードになっていますが、救急病院の意見も同じ方向ですので、いつでも議論ができそうな内容ですので、これは後に回します。
 スライド4で、救急隊及び一般救急スタッフが、精神科救急のシステムを理解していないと書かれていますが、救急病院からみると理解できないシステムなので、申し訳ありませんが、こちらも意見は後に回します。
 MC協議会に精神科が参画させてもらっていないということですが、実は福岡県で実施基準を決めるときに、参加していただきたいとお願いしたのですが、協議会になかなか来ていただけませんでした。健康増進課や精神科代表のいないなかでの会議はもうしないと救急病院側が申し出て、やっと精神科医療関係者に入っていただいたという経緯ですので、福岡県の状況は、この内容とはちょっと違っているところです。情報センターに差があるというご意見には、私もきっとそうだと思います。福岡県の情報センターが機能をしていないのなら、機能している県を参考にすれば、少しは良くなっていくのかもしれないという認識を持っています。精神科救急輪番施設への費用が少額でスタッフの確保等が難しい。協力していただくためにも、これは救急病院側としても是非、国にお願いしたい部分です。この点については一生懸命お願いしていきたいと思います。
 千葉構成員のスライドで、救急病院側から見て大きく違和感を持つのが7と8のスライドです。7の図では、救急隊から身体科救急病院が受入れして退院するまで、1本の実線がずっとつながっているのですが、救急隊から精神科医療機関に真っすぐ入っている実線が1本もないのです。常に最初に救急病院に患者が来て、必要であれば精神科医療機関が連携したり、点線の矢印のようにフォローするかたちなのです。この点線のフォローすら、今はほとんど不可能な状況です。せめて精神科医療機関に入る赤い実線がどこかにあればいいのですが。身体科救急病院と精神科病院との間の青の両方向矢印も非常に曖昧です。救急隊から精神科医療機関の方に赤い実線の矢印が1本も入っていないこのフロー図は、もともとがおかしい図です。本来、福岡県の実施基準では、救急隊から精神科医療機関に入っていく、身体科とは別の赤い線があるはずなのに、これがこの図にはないのです。
 スライド8では、精神科医療機関からの身体科への紹介する場合です。精神科が困っている患者が身体科の救急病院へ実線で行けるようになっています。これはもちろん構いません。救急病院としては、身体合併症の精査や治療は当たり前のことだから、いつでも受入れます。
 ただし、身体合併症の精査が終わった患者を、もう1度精神科に戻したいというときの線が実線にはなっているのですが、これは現実的にほとんどうまくいっていません。一見素晴らしいフロー図に見えるのですが、身体科診察後の患者を精神科医療機関に戻すことはほとんどできていないので、実線ではなく点線止まりと考えています。そういう考え方の違いがあるのです。
 福岡県の実施基準では、精神科の医療機関が昼間はできるだけ頑張ってかかりつけ患者を診ましょう、夜は情報システムで調整しましょうということになっているのですが、福岡県の場合は、時間外・夜間においては、診療所も病院もほとんど外来を診ることはできない状況です。
 救急要請があって救急病院に搬送さる患者の8割は、外来で帰っています。身体合併症などで入院する2割は、当然救急病院が診てもいいわけです。その後数日して退院して精神科医療機関の外来とかでしっかり診ていただければ、それは解決できます。でも、救急病院が診ている、外来のみで済む残り8割の患者について、精神科医療機関と関係がないと言われてしまうと、これはもう、解決しようがないのです。救急隊や私たち救急病院がお願いしたいことは、外来で済む患者の1割でも2割でもいいので、精神科で診てほしいのです。
 最初に精神科が診て救急病院に送ってもいいし、救急病院が診て、精神科がその後診てみいい。例えば、自殺企図の人であったり、あるいは明らかに行動から私たちの病院に入院させるにはとても大変だと思う患者を、保健師とか、措置入院ができる精神科病院で判断していただいて、本当に入院させないでいいのなら、そのことを精神科病院できちんと説明していただいて、帰していただく方が私たちも安心するのです。
 しかもその診ていただく場所は、マンパワーの少ない今の精神科情報システムに加入されている輪番病院にお願いしても、安いお金で医師と職員の方を、外来まで対応する人を確保するのは無理でしょう。応急指定病院は、精神科の先生とか、看護師スタッフ数がしっかりしています。スーパー病棟を持たれているような施設に対して、予算をもう少し手厚くしていただいて、そこで身体科での対応が厳しそうな、私たちが迷うような患者を外来で診ていただける窓口を作ってもらうと、私たちの負担感が減り、一歩改善策が進むかと思っています。実は今、北九州では、精神科救急情報システムを通さないで直接精神科の当直の先生に相談できる体制の話合いを、少し始めています。これが私の現状に対する意見ですが、私の意見は終わっていいですか。

○千葉構成員
 はい、余り長々では、皆さんの御意見を聞けないので。先生のおっしゃっているのは、私の説明不足なところがあるのか、あるいは現地の部分のところでうまく稼働していない。恐らくそれは全国の様々な所で問題になっている部分の象徴なのだろうと思います。
 ただ、まずハードとソフトの考え方が、最初の、先生のお話を聞いていたときに思ったのですが、精神科におけるハード、三次救急というのは、自傷他害の恐れがあるという措置入院及び応急入院のことをそう呼んでいるわけです。それ以下は二次救急ということになります。ソフトというのは、一次救急、つまり一医院で診ている診療中の患者が来ると。ただ、問題なのは、最近、私たちは「9時〜5時診療所」と呼んでいますが、ビル診に近く、午後5時を過ぎると、もう閉めて、私は知らないと。場合によっては、今日の救急当番はどこだからねと言って、当番表を患者に渡して、そっちへ行けという先生までいるという噂まで聞くぐらいで、その辺の対応が十分にできていないということは、精神科の救急の検討会でも出ていて、診療所同士でグループ診療をしていただいて対応をしていく方法も、できるだけお願いをしているところですし、精神科の診療所協会等でもその動きは出てきています。
 本来であれば、自院の救急は時間外でもきちんと診なくてはいけないのですが、それがなかなか精神科の医師不足によって、実は、精神科病院でありながら当直をしているのは精神科の先生ではないということがあって、診療を受け付けられないという場合があります。多くの所では、その場合には輪番制の病院等で引受けをすることになっているわけですので、その辺のところが精神科の中でも十分な対応ができていないということになろうかと思います。
 救急現場の中で8割が外来で帰っていく、その人たちをどうフォローするかということになりますが、先ほどの7ページの図等の所で線がどう付いているかと。「連携」と、これは連携の方が少し強い意味でと付けているのではないかと思うのですが、これは大阪の方で考えていることではありますが、右の「基本的な考え方」の?に「精神科領域へのフォロー(治療後)」というのがあります。「コンサルタント」と書いてあるのですが、精神科医の受診が必要だろうという場合には、直接で結構ですので、精神科の病院あるいは医療機関にコンサルを求めていただく。その上で必要であれば、受診を勧めていただくということになります。
 ただ、強制的に受診をさせることができないというところが大変ややこしい問題でして、痛いとか、苦しいとかいうことがあれば、身体科的には、まず病院に受診することを拒む方々はおられないのですが、特に自殺企図等を含めて、なかなか精神科の受診を勧められても、精神科の受診に結び付かないということが多々あるやに思います。それに対して我々が、つまり強制的に手を伸ばすわけにはいかないと。待ちの姿勢になってしまうので、この辺のところで、どのように連携をするのか。あるいは、自殺企図を頻繁に繰り返す方々に対する対応を、ある意味どうするのかということもあると思います。
 ただ、精神科のシステムを御理解いただいていないというのは、精神保健福祉法によれば、通報を行うことができるのです。要するに、この人は自傷他害、つまり自殺の恐れがあるということであれば、保健所通報していただいて、措置入院という手段で強制的に入院措置の方にかけていくことは、ルートとしてはないわけではないのです。ですから、その辺のところをどのようにすり合わせていくかということを、ある意味、身体救急の場面と精神救急の場面とできちんと地域の中で話合いをしていって、双方で双方のやり方というかルールをよく理解した上で、その辺りをうまくすり合わせていくことが大切で、本当はその間に入るのが情報センターの役割なのですが、残念ながらその情報センターがまだ十分に機能しているとは言えないと。
 常時対応型、つまり「スーパー救急」と呼んでいますが、その辺のところの精神科病院の数もまだまだ少ない。理由は、基準の厳格さが尾を引いているわけです。特に地方に行くと、地方では200床以下の病院が多いわけですが、そこでも精神保健指定医を5名置かなければならないということになります。もともと4名か3名しかいない病院に、5名置けということになると、まず不可能になってしまう。つまり、地方では救急は診るなということかと私らはブツブツと申し上げているのですが、そういったことから整備がなかなか進んでいないといった点も実は背景にあります。大体そのようなところになります。

○有賀座長
 救急医療そのものはたくさんの問題がありますが、精神科を含めた部分はもっともっとあります。ただ、先生方がそれぞれの地域でいろいろな工夫をしておられるかもしれませんし。

○加納構成員
 先ほども議論の中に出てきたのですが、恐らくは割といろいろなことを相談して、救急医療の先生方、精神科の先生方とも身体科として話をしながらやっているのですが、実質的にはまだ動いていない。先ほどから千葉先生のお話の中でも、病院と診療所という精神科内でもいろいろな問題として起こっていると。これはまだ現実的に、大都市であっても、余計に大都市の問題がどんどん出てきているのが現状ですので、ここは精神科の先生方には、かなり積極的に頑張って御努力いただくしかないのかというところだと思います。
 現実的には、自殺企図の患者も、前回も申したアルコール中毒の患者も、二次救急へ来ていると。二次救急では、前にも申したように、残念ながらそれなりの費用ももらっていないし、時間を浪費して、非常に苦労しているのが現場の状況かという感じがするので、ここは何とかいいシステムを作っていただきたいと思うのです。

○行岡構成員
 確認ですが、今、法律上は「私は精神科に受診したくない」と言えば、これはできないのですね。我々の所も自殺企図で来られて、「受診したくない」と言えば、精神科の先生は形としては手も足も出せないということですよね。これは、先ほどの図を見ていて、ここにもし救急隊が、ギュッと精神科へ矢印を引いてしまうと、法律を違反している可能性もあることになるかと思います。
 ただ、そこのところは、受診したことはないけれどもコンサルティングはしていただいてもいいはずですよね。だから、一緒に診療録を作って受診歴を残すのではなくて、我々と一緒に診てやっている。そうなると精神科の方は1銭も入らないと。それは些末な議論なのかもしれないですが、診療録の記録はどうなるのだと、診たか診ないか。
 ただ、最近、横文字の論文が公衆衛生の人から出て、日本の自殺患者はほとんど精神科医が診てないと。このようなプアーな国はないという趣旨の論文が出ていたのですが、その法律のバリアのことが全く触れられていない。それと、現実をお互いに理解していないところがあると思うので、例えばコンサルティングはした、受診はしていないけれども、きっちりコミットした場合に、何らかの公的なサポートができることをしないといけないのかと。ちなみに、私の理解では、医政局の中では精神科のことはほとんどコミットしていないと思います。これだけ医療全般にコミットしているけれども、精神科の所は別というのも。だから、現場でもっと現実的なものを動かさないといけないのかとは思っています。

○伊藤参考人
 今の御意見ですが、確かに救急隊が「掛かり付けに行きましょう」と言って、「いやあ、私、精神科の病院に行きたくないから、救急病院に連れていってくれ」という方はおられます。それは現実におられるのですが、今、私が線を直接引いてくださいと言うのは、1つは掛かり付け医がいる場合には、まずかかりつけの精神科医療機関へ運びましょうというのが、改正消防法の福岡県の精神疾患実施基準で決まっているのです。
 もう1つは、平日時間帯は精神科患者の救急搬送を40数パーセントの精神科医療機関で診ていただいているのに、時間外・夜間になるとガタッと受入れが落ちるということは、患者のある程度の方は「精神科医療機関へ運ばれてもいいですよ、行きましょう」と言っているのに、相手側が断っている。昼間も断っているが、夜はもっとマンパワーがなくなるので、診れないからとの理由で救急病院に搬送されている現実があると思います。患者が精神科へ行きたくないということがメインであれば、恐らく平日時間帯と時間外でパーセンテージは余り変わらないと思います。実際に救急隊側から状況を聞いてみると、患者は「かかりつけへ搬送されてもいいですよ」と言っているのだけれども、精神科の病院側あるいは診療所側から、「いや、ちょっと今は余裕ない。今は診れないから救急病院へ行ってくれ」という現実が多くあることは、理解していただきたい。だから、法律的にどうこうではなくて、あの線が本来は「精神科へ行っていい」という患者がたくさんいるのに、救急隊から精神科医療機関への直接の線をあえて引いていないのはなぜかという疑問を救急病院はきっと持ってしまうだろうというのが、私の調査結果からの意見です。

○千葉構成員
 はい、よく分かります。先生の調査は、実は救急をやっている病院のデータと、やっていない診療所のデータがごちゃごちゃになっておられて、それでかなりパーセンテージが落ちてしまうのですが、救急輪番をきちんとしている所の中で、ではどの分を受け入れていないのかという話は、また別なのだろうと思うのです。元から受け入れをしていない、あるいはできないという所が入ってしまっているものですから、パーセンテージとしては対象が見にくいというか分かりにくくなっていますが、本来は、救急をその日に救急当番としてきちんと受けている所に行くのであれば、断ることはほとんどないだろうと思っています。
 もう1点ですが、掛かり付けですが、それこそ診療所が掛かり付けの場合は、実は我々も病院側としては困っています。その辺のところは同じ感覚があるのですが、我々の方に身体的な症状を訴えている掛かり付けの患者が救急隊を呼んだ場合には、救急隊の方々に、まず身体科の方で診てくださいと。その後、何ともなければ、うちの問題であれば、うちの方に来ていただきたい。先ほどの点線になっている部分を、本来的には実線としてきちんと、戻しありということでやらせていただくというとことを、現在、一生懸命普及しているところです。ですから、我々の側のそういう体制整備も十分にしていかなければならないということは、十分了解しています。

○伊藤参考人
 実は今言われた所のデータは、私どもは持っているのです。輪番制に参加されている病院の施設とそれ以外の施設とで、確かに輪番制をされている施設の方が意識は高く、より多くの患者を受入れていただいています。しかしながら結局のところ、時間外の情報センターの調整による受入れのパーセンテーは4〜5%です。積極的に関わっている施設と関わっていない施設を比較して差が出たとしても、救急病院側から見ると、精神情報センターの調整が4〜5%という結果は、「輪番制参加施設は頑張っていただいているのですが」というふうにはとても言えないということで、変に誤解を与えるといけないと思い、今回は、データを外しました。申し訳ございません。

○千葉構成員
 確かに、情報センターをもう少しきちんとしなくてはならないというのは、厚労省側も非常に頭が痛いところかもしれないと思っています。県によって本当にばらばらですし、まだ情報センターのない県もあるということになります。また、大きな県で1つ情報センターを置いても、実は起こっているのは二次医療圏程度の範囲の中で連携を行っているわけですから、その現場のどこが空いている、どこが受けるというデータがなかなか行かない。結局のところは情報センターを外して、そのときの当番病院にダイレクトに連絡が来て、それらを処理しているということが非常に多いのだろうと思います。

○伊藤参考人
 スタートラインとしては、地域単位で消防と救急病院、精神科医療機関で話し合う場を行政で作っていただく以外にないかなと思っています。ス

○千葉構成員
 先ほど来、おっしゃっていただいたように、どうも担当の部署が違うものですから、精神の方でごちゃごちゃ言っていても、なかなか通らなかったりするところがあり、そういう意味では救急事業としては一緒にお話をさせていただいた方が、逆に言うと、精神の方の救急の整備等も進むのだろうと思うし、もう少し円滑にいくはずだということだと思います。

○有賀座長
 分かります。行岡先生、東京も二次医療圏ごとの例の地域救急会議に精神科の先生が入っている地域は、少しずつ氷解している様子もありますよね。多摩地区ではもともと精神病院が多い。

○行岡構成員
 と聞いていますね。東京の救急業務懇話会、産科救急の先生が最初に入っていただいたときにやったことは、まず消防庁の司令センターに聞きにいってくださいと。多分どこの地区でもいいのですが、聞きに行かれて、119番が入ってから病院を探して、リアルタイムでどんどん流れているのを一度聞くと。そこへ精神だというので、あっちこっちに電話して、「はっきりせい、俺は精神科だけど、血が出ていたら診ないよ」という類の返事を聞かれると、全体像が見えると思うので、救急が分かっていると思っていても、全体を見ることを、是非、地域の司令センターでいいですから見られると、病院がどれだけ苦労をしているかは見えてくるのではないかと思います。

○有賀座長
 今のは意見ですね。

○加納構成員
 追加になりますが、先ほどから議論になっている、精神科患者は、当番医療機関に相談しても、なかなか受けていただけないことも、大阪でさえ、それがあるということですので、これは繰返しになりますが、一度精神科医療機関で是非とも精神科救急をもっとシステミックに考えてもらえる努力をしていただかないと、これからは先生が提案された認知症を含めたいろいろな人が増えてくる。高齢者のことも関係してくることになれば、今の体制では絶対に駄目なのではないかということを現場から思います。その間で、二次救急医療機関の負担が非常に増えていることを、是非とも御理解いただきたいかと思います。

○千葉構成員
 出させていただいたことの半分は我々の精神科救急側からの問題、半分は正しく身体科救急側からの精神科救急への対応のあり方というところです。その両方を詰めたいという意図があるわけで、これがMC協議会等の全国の場面で個々にきちんと行われる体制ができていくことが、何よりも大切なことではないかと思います。
 今日、最後に追加参考資料で出したものの中ですが、最初の方の16のスライドを見ていただきたいと思います。これは精神科救急学会で、特に救急隊の隊員の方に向けて出しているものですが、精神科関連の症状チェックリストという形で出しているものになります。「着目点チェック表とフローチャート」という所ですが、我々も救急隊から御連絡をいただき、「どういう状態ですか」と言ったときに、救急隊と精神科医との間に共通言語がなかなかなかったりするのです。というのは、我々がある意味特殊なスラングを使っているかもしれませんが、そういったときに症状が分かりにくいということで、今、精神科救急学会ではこのようなものを提唱をしました。我々が一発で分かりやすい症状の伝達をお願いしたいということで、こういうものを作っているという紹介です。
 また、その先に進んでいただき、25、26ページですが、精神科救急学会で自殺未遂者への対応とか、そういった対応の手順マニュアル、特に一般救急医のための精神症状評価と初期診療の研修コースということで、PEECという研修システムのガイドブックを救急医学会で推奨して出しています。これは昭和大学と書いてあるから、多分、有賀先生にお手伝いをいただいたのではないかと思うのですが、是非こういったものも見ていただきながら、我々の対応のある意味難しさも御理解をいただければと思います。

○有賀座長
 精神科医療もそれなりの歴史があるので。でも、これからの日本国のためには、社会の仕組みのどのパーツも少しずつ進化していかなくてはいけないので、行政の方たちもどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 議題4に「これまでの議論を踏まえた意見、論点」という所があります。資料4と資料5がそのための材料になると思います。事務局に説明をお願いいたします。

○辻救急医療専門官
 資料4を御覧ください。これまで御議論いただいた論点の一覧表です。今回、御議論いただくのは「救急患者の適切な医療機関での受入体制の機能強化について」という項目であり、7つの議題からになります。「救命救急センター及び二次救急医療機関の充実強化」以降については、次回以降に御議論いただく予定です。今回は、1、2、3、4、5、6、7の7項目について御議論いただく予定です。

○有賀座長
 先の先の先だとは思いますが、いずれこの検討会の報告書をまとめていくことになるのですよね。そういう形でこの論点のような、ある意味目次立てみたいなものを設けているという理解でいいのですか。

○辻救急医療専門官
 そのとおりです。

○有賀座長
 分かりました。ということで、次回以降に続く内容がそこに書いてある。そういう目次立てをある程度想定しながら、このような資料を作っていただいたようです。最初に、1と2ということになりますか。少しだけ説明していただけますか。

○辻救急医療専門官
 資料5-1の説明をします。ここでは医療情報キット、並びにICTを用いた搬送先医療機関の選定や救急医療管制・意志決定システム、支援システムについてということで御議論いただく予定です。
 医療情報キットに関してですが、第1回検討会で議論として挙げました。そこでまとめとして、地域において様々な救急医療情報の活用が行われており、救急医療情報キット等は比較的安価に取り組むことができる可能なツールである。このツールを活用して救急搬送時間を短縮、つまり搬送先医療機関の決定の円滑化などが期待されるとまとめました。
 課題として、普及率の向上と情報の適時更新が必要。自治体等の個別の取組だけでなく、救急医療情報に関わるもの、地域住民、行政機関、消防機関、医療機関、介護福祉施設等の連携が重要となる等を挙げました。
 構成員の方々から、高齢者だけでなく、小児、周産期の対象者に関しても、地域連携を図るために活用できるのではないか、本キットは、救急搬送時に医療機関に対して患者情報を伝えるだけではなく、在宅療養をする者をはじめとした地域の高齢者等を、地域で受け入れるための枠組みづくりに寄与すると考えられる等の御意見をいただきました。
 構成員の方々の御意見を受け、救急医療情報キットは比較的安価に取り組むことが可能なツールであり、普及させていってはどうか、救急医療情報キットを活用できる地域の体制を構築するべきではないかという具体的な論点を今回提示しましたので、御議論いただきたいと思います。
 1枚おめくりいただきまして、「ICTを用いた搬送先医療機関の選定や救急医療管制・意志決定支援システムについて」です。ここでも第1回検討会で事務局よりICTを用いた搬送先医療機関の選定を、また青木参考人よりe-MATCHの説明をいただきました。
 まとめとして、各都道府県において「救急医療情報センター事業」のシステム改変を行い、救急搬送の受入体制の円滑化が進められている。ICT技術の進歩により、従前に比較して低コストで新たなシステム導入が可能となってきている。これらのシステムの導入により、現場滞在時間の短縮、搬送先医療機関への照会件数の減少等、一定の効果が認められている。救急医療の質の向上には、救急医療の現状を把握するための数値や画像(情報)とかが必要である。そのためには、現場のマッチング改善だけではなく、広域の救急医療のデータを水平・垂直に統合し続ける必要がある。統合されたデータは、分析・整理し、PDSAに必要な情報(例:指標)として、タイムリー、かつ、定期的にフィードバックされる必要がある。継続的な質とアウトカム向上に対するICTの役割とは、データの統合・情報の創出に基づく意志決定の支援である、とまとめました。
 そこで課題として、関係者間で情報共有のツールとして、情報の適時更新が必要である。救急搬送に係る実施基準の事後検証ツールとしての活用が期待される、と挙げました。
 そこで構成員の方々からは、急性期に治療を必要とする患者の疫学的データを収集することが可能となる。これらのデータを突合・集積し、可能ならリアルタイムに分析するような仕組みが必要。救急医療は地域連携であり、医療機関のみならず、消防機関や行政機関といった地域の様々な機関とのデータの共有が必要である。厚生労働省が中心となって全国統一的な規格を決めてほしい。まず顔の見える関係や問題を解決する場を作り、その上でしっかりとしたICTのデータやインフォメーションを活用することが必要である。
 消防機関・医療機関間、医療機関間、医療機関と福祉の機関間の情報をつなぎ、調整を行う人材を確保することが必要である。単にICTを導入するだけではなく、きちんと分析して、PDSAやPDCAのサイクルを回すことが必要である。ICTは目的ではなく手段である。地域の問題は一体何で、どう解決していくかに活用しなければならない、との御意見をいただきました。
 そこで、今回、ICTを活用した救急搬送システムを導入、また、救急搬送システムをより発展させるべきではないかと。救急搬送に係る実施基準の事後検証ツールとして、より一層活用することが必要なのではないかという具体的な論点を挙げましたので、御議論いただきたいと思います。

○有賀座長
 どうもありがとうございます。今まで議論してきたことをより深めるというか、有機的に結び付けるようなことでの議論を事務局としては欲しているという話だと思います。

○行岡構成員
 このICTに関しては奈良と佐賀が先行しています。2つの県を実際に見学させていただきました。驚いたことは、2つの施設はインディペンデントに開発してきたのに、出来たもののスペックはちょっと違うのですがエッセンスが全く一緒である。何がエッセンスかというと、どこで何が起こったかがリアルタイムで分かること。それが救急の第一線の現場にいる者がお互いに見えるかです。自分たちのことを思い返してみると、当直しているとまるでタコ壷に入って、上のほうに鉄砲を撃っているような、周りがどうなっているのか、さっぱり分からないのです。それが、周りの病院ではもっと忙しいとか、周りは暇そうだというのが分かることで、初めて地域医療としてのアライアンスができる。それすらできる道具が今までなかったということは、このA病院に勤めていて、B病院、C病院も手一杯だなと。自分がフロントラインに出ているのがリアルタイムで見える化になってくる。B病院が断っている。これは仕方ないよねというのが分かるようになったと思います。ただ、滞在時間の短縮や搬送先の決定というのは即効的にすぐ利くのですが、これからは溜めたデータをどのように使うか。病院として使う、地域として使う、県レベルで使う、国レベルでどのように使うかのノウハウが、今一番、多分この後のMCの議論につながると思うのですが、そこのノウハウはまだこれからかなと思っています。ICTが目的ではなくてツールであるということの一番は、蓄積したデータをどういかすか、その一点が問われているのかと思っています。是非これは進めていただきたいと思っています。

○横田構成員
 行岡先生の御発言にちょっと付加しますと、今言った機能がリアルタイムに可視化して見えるためには、医療機関側の迅速な入力が不可欠です。ですから、報告書の中では、ICTを活用してやりますよ、これは非常に効率がいいですよということなのですが、失敗した事例もたくさんあります。その多くは病院側から刻一刻変化する迅速な情報がフィードバックされていないということです。ドイツなどでは通信指令に含めて返すのに、1時間ごとに入れさせるのが各病院に義務化されています。ですから、極めてしっかりした形で入れているということなのです。ですからこの辺はちょっと書くべきなのかと思いました。
 私の意見は、1つ前に戻りまして、医療情報キットなど、非常にアナログ的で格安な、こういうモジュールをいくつか、救急医療、特に病院前救護のことも含めて、付加的に使っていくのはいいことだろうと思います。第1回の検討会で紹介があったあと、実は私の地元の消防機関、並びに市の高齢者対策課、社会福祉協議会、いろいろな所へ声を掛けて調べてみました。そうしますと、私は堺市ですが、実は堺市の連合自治会という所で自発的にカプセルを配布していました。私の家の冷蔵庫を開けると実はありました。聞きますと、その連合自治会は自治会費で全戸配布をしていたのです。私たちは健康なので、何のことはない、1回見て冷蔵庫にポンと入れておいて、中に何も入れていない。実は何を言いたいかというと、西区という別の所では、お金がないので、高齢者対策課が社会福祉協議会と連携をして、民生委員の方にシートを、水道屋さんが冷蔵庫にペチャッと貼るようなマグネットと一緒に全戸を目的に配布しています。実は消防職員に、こういうことをやっているが君たちは救急で呼ばれたときに冷蔵庫を開けたり、あるいはその家にこういうものがあるということを知っているかと聞いたら、誰1人知りませんでした。
 こういったことをやるときには、やはり関連するいろいろな関連団体、特に活用すべき、例えば医療機関と消防は最低でも強く関与して、それをどう活用するかという話合いの中に入っておかないと、このモジュールは活きてこないなと思いました。笑い話ではありませんが、大阪の寝屋川市のホームページを見ますと、「65歳以上の家庭に全戸配布することになりました。欲しい方は申請してください」と。こういうのを活用していただきたいおうちは、本当は独居老人であるとか認知症にかかった単独でお住まいになっている方のはずなのですが、「必要な方は申し出てください」というような配り方で、果たして本当にうまいこといくのかと、非常に疑問を感じました。こういった事業は絵に描いた餅に終わらないために、何が問題で、いかされないようなことになっているのは、こんなことがあるので、ということも含めて書いておかないと駄目なのかなと思います。

○有賀座長
 今の最後の話は大田区役所で話をしたときに、電子媒体を使ってバアーッと配布したときに、若い人が住んでいるような世帯は多分見てくれるだろうけど、そうでない世帯は見てくれないだろうと。だから、最終的にはやはり紙を置いてくるか、今言ったようにフェイス・トゥ・フェイスでどうこうするかと。

○横田構成員
 医師会でこの話をしますと、医師会の先生方は大変興味を持ちまして、自分たちが日ごろ診ている患者で、独居老人やちょっと認知の入った御夫婦とかがいて、医師会のほうからそういう紙に書いてあげて、お薬手帳のコピーと一緒に筒の中に入れて、付添いなり、あるいはお子さんが来たときに、「この方は独居老人だから冷蔵庫の中に入れておきなさいね」とか、「救急隊が来たときのためにドアの後ろにも同じように貼っておいてやるのですよ」というようなことをやらないといけない。民生委員の人たちは確かに配ってはくれるのですが、実際に使う消防や医療機関のデータが書き込まれていないことがあります。八王子市の事例が書かれていますが、ノウハウをしっかりと詰めてやらないと駄目なのだと思います。

○石井構成員
 最後の辺りのお話は確かにその通りだと思います。地域における医療という接点で広く接点を作っていかないと、いろいろ良いことはやっているけれども、それが浸透しているのか、生きた形で反応しているかどうかということで、必要なときにはいつでも何か決まったらコラボできるようにしたいとは思います。
 もう1つあるのですが、こういうキットとか情報といった場合に、例えば医師会員に何かを伝える場合も、メールとか言っても、とにかくファックスでくれとか、やはり世代によって、どうしても生のものがなければ伝わらないということがあるのです。どんどん物事が進化するから、前のものはなしにしていいかというと、逆で、そういうものと込みでやっていかないと、絶対に浸透しないのです。
 それからもう1つは、介護のスタッフです。「在宅」と最後の辺りに項目が入っています。括弧の中でも「介護福祉施設等」となっていますが、これに在宅が本当にどんどん増えています。医療から退院して、介護のときに時々ウォッチするので何とかなっているという方々を、どうやって組み込むか。それは実は老人だけの問題ではなくて、例えば周産期医療にしても、住所がどんどん変わっていく、勤め方、住み方が変わっていく人たち、小児もそうですが、そういう人たちまでをどうやって網の中に入れるかということを考えると、同じことが見えてくるわけです。これはもう繰り返し繰り返し、接点を多様にして掬い上げていくような作業が一緒に付いてこないと、「ああ、できましたね」と言って、そこからまた劣化し始めたのではどうしようもないという感じがしているのです。その辺のところまで議論が進めばいいなと思います。

○有賀座長
 そういう意味では、地域の医師会というのは例えば学校にも行っていますし、もちろん患者も診ています。だから、相当程度に地域社会の大事な役目を担ってくれていますから、その辺は十二分に巻き込まないとどうにもなりませんね。

○横田構成員
 追加です。なぜ私がこういう発言をするかと言いますと、いろいろな関係団体が横並びで協働することは非常に重要なことですが、キーになっているのは、最終的に救急医療の現場で使う人たちがしっかり関与しないと駄目ということなのです。3つ目に挙げられているメディカルコントロール体制の充実強化というテーマがありますが、1番も2番も実は病院前の問題から端を発して、救急医療の問題と絡んでいますので、やはりメディカルコントロール体制のしっかりしている所では、こういった1番、2番のモジュールをうまく使うことを、恐らく会長をはじめメディカルコントロールに関与している医師が責任を持ってやっているのだと思います。そういう意味では、ここの1、2、3の並び方がちょっと違っていて、私は3が先にあって、その中に1や2というモジュールを考えていくほうが分かりやすいのかなという気がします。

○有賀座長
 目次立てですね。

○許構成員
 横田先生がおっしゃったことを、繰り返させていただくことになるかと思います。やはり現場で働いている人たちがストレスなく活用できるものでないと、全く意味がなくなってしまうのではないかと思っています。2番のICTについては、この会議に出させていただいて、私も奈良県のe-MATCHのシステムがすばらしいと思っているのです。私はe-MATCHのことをこの会議で知って以降、救急車がよく搬送される奈良県のある病院で月に1回、救急医として行く機会があり楽しみにしていたのですが、e-MATCHの端末がすごく端に追いやられていたのです。
 「あれっ」と思って聞いたところ、救急隊も余り使っておられない。要するに適時更新がされていない、タイムリーに更新されていないので、結局それを使うよりもダイレクトに電話するとおっしゃっていました。確かに素晴らしいものではあるのですが、やはりクリティカルなポイントは、先ほど横田先生もおっしゃったように、適時更新がないと全てひっくり返って滑ってしまいます。現場の人たちが普段働く中で、余りストレスなく適時更新できるような仕組みなりを何か考えないと、素晴らしいものも全く意味がなくなってしまっています。私はまだ1つの病院しか見ていないのですけれども、それでちょっと危惧を抱いた次第です。ですからその辺については、更に検討が必要かと感じました。

○有賀座長
 東京の単にピピピと入れるだけのものですら、何年もかかりましたものね。

○久保構成員
 周産期のシステムは東京都から朝晩電話がかかってくるのですが、それでもやはり更新できていない。空いている所に電話をしたら、実はいっぱいだということが幾らでもあります。東京都のシステムも、更新がうまくいっていないというのが現実です。ですから更新というのは本当に難しいと思います。

○行岡構成員
 更新はかなりリアルタイムでできる部分と、後で入れる部分があるのです。この2つのICTの最大のポイントは、今までは当直医が自分の病院が何人受けたかと。周りの病院がどうなっているかを見る画面ということです。隣のA病院、B病院は今何人受けているかというと、救急隊が入れたデータが入って、病院が入れるデータが抜けているというのが見られます。この周りが見られるというのが、一番の特徴なのです。そこで地域医療というところに頭をもう1つ切り替えると、我々は地域の救急医療の一員だということがICTで見られる。
 実は1番もどうしてできないかというと、地域の中で私たちが何をしているのかという組立ての中での位置決め、ポジショニングが見えると、すごくパッと目が開けるようになるのです。ICTを使うんだ、何が入っていないというのではなくて、一番のコンセプトは地域というものの救急医療が見えるようになることです。そこから考えようという発想転換があると。画面のちょっとした操作は要るのですけれども、先生が今度行かれたときに是非、その目で見ていただくのがいいかと思います。

○加納構成員
 行岡先生がおっしゃるのは分かります。大阪もちゃんとそういうシステムになっていて、最初は興味本位で隣は何をしているのか、どういう形かとのぞくのですが、そうこうしている間にも端末操作も含めて入力が遅れてくるというのは、二次救急病院が三次救急ほど、まだデジタル化されていない、アナログの現場であるというのが実態であるせいではないかと私は思うのです。そういった意味ではICTのメディカルコントロールもそうですが、二次救急を見るときに、余りデジタル的な形で全てを捉えていくと、現場とのずれが出てくる可能性があるのではないかと非常に危惧しています。
 今、大阪ではきっちりと距離単位でGPSで分かりますから、順番にザッと発症の所から近くの病院の距離に合わせて順番が出てくるようになっているのですけれども、余りにも距離に合わせると、本当に適切な所へ搬送できるのかどうかというのは問題で、やはり、今日の当直医が誰かというレベルで、二次救急であれば、当直医次第で受け方も違うことは救急隊の方は御存じなので、そういったアナログ的なものもまだまだ使いながら、現場はやっているというのが実態だと思います。先生がおっしゃるように、全て皆さんがその発想の下で地域医療という形で捉えるまでは、まだちょっと時間がかかるのかなと。そういう面でMCのほうからの教育的な形の指導もいいですし、いろいろな形でそういうことを考えていただきながら、二次救急の現場をうまく使っていただきたいと思うのです。

○行岡構成員
 そうですね。もちろん先生がおっしゃるように、二次救急でみんながある日、突然パッと変わることはあり得ないのです。ただ私たちが教えられてきたのは、目の前の患者の名をしっかり聞きなさい、目の前の患者の病状を聞きなさいということです。それがほかの周りの病院を含めて、地域全体で自分がどういう位置付けにあるのかということです。そういう地域医療というものが初めて実感できるようなシステムができてきたということです。これを切り替えるのに5年か10年ぐらいかかるのかもしれないのですけれども、そうしたときに地域のやり方というものが、それぞれの所でどういうように組み立てていくのかということになって、今度MCがものすごく大事な意味を持つ。一律にこうせよ、ああせよではいけないと思うのです。ICTが要らないと思う地域もあります。これはICTでやるよりも電話だけで、将来も要らないなという地域を、私も幾つか見に行って、そういう所もあるのです。それをどうするかは私はICTを信仰するわけではないので。言っていることは、コンセプトを変えないといけないということです。

○田邊構成員
 確かにICTを活用した救急の情報システムは、どんどんどんどん進めていけばいいと思うのです。ただ提示いただいた2ページ、3ページの「ICTを用いた」うんぬんのペーパーは、10年前に見てもこういう文章は書けるし、書いているし、20年前に見てもこのままの文章で書いていても全然違和感がないものです。確かにテクノロジー自体は進歩しているけれども、救急医療情報システムでの問題点、あるいは活用したらこんなことができるといったことについては、ずっと同じような議論がされていると思います。ただ、そういった中で3のメディカルコントロール体制の充実強化、あるいはそういったことを担当する人といったものについては、今までにない新しいステップなので、そういったことが進めば、もしかしたら救急医療情報システムが次の段階に行くのかもしれないと思います。

○横田構成員
 行岡先生の話もそうですけれども、加納先生がおっしゃったことに付加します。二次病院は迅速に情報を入れにくいというのは、実は二次病院を中心とした巨大な病院内の情報ですら、リアルタイムに救急外来が把握していないという実態があるのです。私が言いたいのは、もちろん地域全体が横並びでオンタイムに見えるというツールは、ある意味、病院の中も連動した形で情報がリアルタイムで見られるような仕組みを作るということです。言い換えると病院の中の職員が、看護師が、医師が、例えばタブレット端末などからも、自分たちの病院のデータがどういう状態になっているかを入れていけるようにすれば、院内・院外関係なく、できるだけ整合性が付いてくる。そういう努力をこの中でしてほしいという気がします。

○有賀座長
 病院の中でずっとしてきたことを遡っていくと、横田先生の言われていることは、全くそのとおりですよね。昔は紙だけでしたからね。では、次の2をお願いします。

○辻救急医療専門官
 資料5-2の説明をいたします。論点整理の4ページ、「メディカルコントロール体制の充実強化について」ということです。第1回の検討会でも活発な御議論をいただいております。前回のまとめとしては、救急救命士の実施する処置件数は年々増加しており、各MCでの事後検証作業等の業務が増加している。搬送困難事例については、MC協議会(専門部会等)で「搬送先医療機関選定の検証」や「救急需要増大に対する検討」など、一部でしか実施されていない。オンラインMC体制についても、24時間体制、指示を受けるまでの時間等、更なる改善が望まれる地域が認められるということでした。そこで、課題として、増大する事後検証、搬送困難事例への対応等、MCに求められた役割を果たすためには、どのようにすればいいかということで御議論いただきました。
 主な御意見として、プロトコールを作成するなどの機能を有するMC協議会の全国配備は達成されたと考える。しかし、地域によっては医療資源や対応できる容量も異なるため、今度は地域が抱える問題をフィードバックしながら、地域で知恵を絞る必要がある。今後は小児、精神、周産期といった分野の医師もMC協議会に加わり、議論していく環境が必要ではないか。MC協議会の業務量が膨大となっており、また、扱う範囲も多岐にわたってきたことから考えると、メディカルコントロールに専任・専従するような医師の配置があってもいいのではないか。高齢者にとって適切な受入医療機関を選定するシステムを構築するのはMCではないか。応需困難事案などに対しては、リアルタイムに受入医療機関の選定をサポートできる体制を考えていく必要がある。まだまだMCの認知度が低く、医師全体、医療関係者全体にMC体制を理解してもらうような試みが必要ではないか、といったものを頂きました。
 そこで、増大する事後検証、搬送困難事例への対応等、MCに求められている役割を果たすため、更に改善を図るべきではないか。MC協議会に求められる役割を充実させるために、MC協議会に従事する医師に対し、適切な教育体制を構築するべきではないか。MC協議会に従事する医師が集中して仕事を行うことのできる環境を整備するべきではないか。今回は以上のことについて御議論いただきたいと思っております。
 続きまして、ドクターヘリについてです。先ほど現状について説明いたしましたが、再度、御説明いたします。要請件数の増加により、事案重複による応需不可が増加している。都道府県が行う事業のため、地理的に隣県のドクターヘリによるアクセスが速い地域であっても、隣県のドクターヘリによる救急活動を行うことが困難である。課題として、都道府県を超えたドクターヘリの効率的運用については、全国的に行われるに至っていない。具体的な論点として、効率的運用を促進するためには、相互応援や共同運用といった取組を行うべきではないか。このような点について御議論いただきたいと思います。

○有賀座長
 ただいまの説明について、御意見、御質問があればお願いいたします。

○石井構成員
 今のお話の中にあった、ドクターヘリの相互応援や共同運用というのは、当然そうするべきだろうと思います。普及度が上がってきて、媒体がこれだけいろいろなところで動くようになれば、それに対する総合的な検討というのを自発的にやっていかなければいけないし、今回は都道府県という枠を超えなければいけませんから、是非、超えた形でやってもらう必要があると思うのです。といいますのは、都道府県の線というのは、もともとあるコミュニティーの形を、必ずしもそのまま反映しているわけではないのです。現在は行政上その線で運用されているけれども、都道府県の枠を超えた対応をするべきだろうと思います。
 もう1点はMCのことですが、そのような意味からも、是非、MCを強化していきたい、協力したいと思います。ただ、具体的な論点の○の2つ目にある「医師に対し適切な教育体制」という文言については、逆にひどく上からの目線の方がいて、地域はなっとらんという言い方に見えます。しかし、決してそんなことはなくて、むしろ我々が今しなければいけないのは、地域が抱えるいろいろな問題をフランクに聞き取る作業があって、それから新しい制度論を検討していくべきで、上からの目線でやろうというのは無理だと思うのです。
 例えば、この間の山形の実例を見せていただいても分かるように、同じゾーンのこちらとこちらでは別々のソリューションをして、それをインテグレーションしたら、全体に何とかなっていますといった形があるわけです。我々はあのようなことをもっと学習する必要があると思います。ワンパッケージで、そのパッケージを持っていけば全部成り立ちますなどという言い方をする時代は終わっていて、謙虚にそれぞれの事例に学び、その中で応用の利くものはお互いが考えていくというシステムにしなければいけない、そして、教育ということであれば、それは生涯教育とか各学会の中でもやりますし、日本医師会でもそうした研修のプログラムは常に組んでいるわけですから、それで十二分ではないかなと思います。足りない部分は、また学会でやればいいと思います。

○伊藤参考人
 私は北九州地域という、約120〜130万人の医療圏の中で、メディカルコントロールの責任者をさせていただいている立場として意見を述べます。実は昨日、県のMCの担当者のかたに、予算はどうなっているのかと尋ねました。県単位で2回、北九州地域で2回のMCの会議があります。今、福岡県は4ブロックの地域MC協議会があり、ブロックごとに会計しなくてはいけないという特殊性があって、問題がたくさんあります。今や、全国でいろいろな研究や事業をやるときに、メディカルコントロール協議会がオーケーを出したら何でもできるみたいな、「MCの了解の下に」とか、「MCが主体となって」のような言葉がたくさん出てきます。しかし、実際にはお金もないし、自分たちは指示出しをしているのだけれども、信頼関係だけで救急隊の活動に指示を出している、何かあったときはどうなるのか、立場もどうなっているかよく分からない中で、一生懸命やっているのです。
 また、検証しても疑義が出たときに、もう一度何人かで集まって検討し、それを文章にしてフィードバックしようと考えたとしても、私は市の職員なのでいいのですけれども、そうではない人たちに、せめて交通費ぐらい出るような予算はないのかと昨日聞きましたら、「いやー」と言われてしまったのです。それでは、これから年に何人分ぐらいの予算化を考えるのかと言ったら、「いやー」ということだったのです。やはり、地域ごとといっても、地域の医師や救急隊の組織というのは、今、一生懸命やろうとしているのです。なぜかというと、一生懸命やらないと、今、MCという役割の名前が余りにも大きくなっているので、きちんとやっておかないと不安だからです。
 しかし、協議事項を話し合うにも予算がない。お金もない、資格も保障されていないのに、MCには印籠のような責任が与えられています、何とか予算をくださいと言っても、これはなかなか難しいのです。各地域が解決し、それを県に上げるというのが今のやり方なのですが、各地域において様々な会やワーキングを作って、協議結果を県に上げるような組織にするためには、絶対に予算が必要です。各県で予算が違うのかどうかよく分からないですけれども、本当に少ない予算でメディカルコントロールは維持されているようなのです。お金を付けるということは、大切にしているということですから、MCは余り大切にされていないのかなとも思えてきます。是非、予算化していただきたい。お金があるということは、重要な役割なのだから、もっと頑張らなくてはならないとみんなが思います。予算については、国からでも言ってもらえるといいかなと思いますが、どうでしょうか。

○鈴川構成員
 既に多くの委員からMCの重要性が出ていますが、論点の1から7、全てMCと関連しているので、私は7まで含めてだと思うのですけれども、これだけの膨大なものを解決、まとめていくためには、やはり専門職が必要だろうと思います。地域のことだけを考えても、今、予算の話がありましたけれども、それについては消防庁が全国調査をしていて、どこに、どのぐらいの予算が付いているかというのは分かっています。また、MCを消防主体でやっている所は、それも込みでお金が出ていて、それで何とか事業を回しています。私どもの所は、各消防本部から個々にお金を出していただいて、年間30万円ですが、自分たちで使える予算を作ってやっています。しかし、それがやれているのは栃木県に5つあるMCの中の1つだけです。
 例えば搬送困難4回30分で重症なものを少しでも減らしていこうという活動、消防と二次の病院と行政を全部合わせて何とかしようと試みるには、MCとしての活動が必要で、やはり、それには予算も必要なのです。このような地域の地道な活動でもやっていくと、みんなに少しずつ浸透してきて、何とか速く運ぶ、それをみんなで検証できるわけです。MCを強化していく、昔のように何でもMCでやる、最初にMCを始めたときは、MCとは何だろうという感じでしたけれども、今や、これだけMCが関与したほうがいいと言われる。私がうれしかったのは、精神科の話をしていても、MCが関与してくださいという話が出てくることです。そこでMCが関わるのであれば、非常に大きな力を持った組織なり、全体を見通すメディカルディレクター的な人が、恐らく必要になるだろうと思います。そうした方向はみんなで出していけるといいと思いながら、全体の議論を聞いておりました。

○有賀座長
 鈴川先生からあった、全体の仕組みについての議論をより深めていくためにも、先ほどの酸素ではありませんが、お金の問題は避けて通ることはできません。現在、東京消防庁に集まったりしたときには何百円か出たような気がするのですけれども、お金についてはMCに関してはどうなっているのでしょうか。海老原室長か、田中室長からお願いいたします。

○消防庁救急企画室海老原室長
 消防庁で調査しておりますので、私からお答えいたします。県のMCについては県の付属機関という位置付けになっておりますので、県で予算化されていると承知しております。東京都でしたら、東京消防庁が大きな予算をお持ちですから、その中で特出しして別出ししているのか、中で回しているのかは分かりませんが、必要な経費を出しております。また、衛生部局、保健福祉部局で予算化している所もありまして、そこは保健衛生系のお金から出るということです。地域MCの場合は、市町村の付属機関、あるいは一組の付属機関という位置付けが多いと思いますので、これらは消防サイドでみている所が多いのではないかと思います。

○有賀座長
 一組というのは、一部事務組合のことですか。

○消防庁救急企画室海老原室長
 そうです。これは去年調査しているのですが、特出しというか、別枠を持っている所は余り多くありませんで、消防の活動経費の中の従来からのオンラインMCの経費とか、必要な経費を消防機関で確保しておりますので、その中でその都度といった運用をしている所が多いのです。そうしますと、会計サイドにいちいち話をしなければいけないものですから、なかなか機動的な運用ができないということがあって、その辺は私どもも課題として認識しているところです。

○横田構成員
 今、正におっしゃったように、私どもから見ると二重構造で、都道府県についてはほとんどが消防主管部局、あるいは衛生主管部局も関与していますけれども、一定の大枠の会議をやる程度のお金は取っています。実体があるのは地域のメディカルコントロールですけれども、地域については基本的には消防の主業務でしょうということで、いわゆる自治体、一部組合も入れての予算化となって、消防費という枠の中で泳いでいる実態があります。しかし、メディカルコントロールは、先ほどのような業務の広い守備範囲を考えると、要するに地域保健の問題であるわけです。それにもかかわらず、そこからの予算の供給がないという実態は言っておかないといけないと思います。
 5ページに書いてある論点の1つ目の○に、メディカルコントロールの守備範囲が非常に増えてきた、やるべき仕事が増えてきたから、改善を図るべきではないかとありますけれども、この中には目的が抜けています。やはり、人的かつ経済的な充実を図らないと、改善の余地はないわけです。「更に改善を図るべきである」と書いてありますが、個人的な希望を言わせていただければ、この2点は是非、明確に書いておいてほしい。
 今ちょっと話が出ましたが、メディカルコントロール協議会の責任と義務ということで言えば、その位置付けが都道府県によって微妙に違います。これは平成21年の改正消防法のときに議論されて、そこに記載されている協議会はできるだけメディカルコントロール協議会を位置付ける形でやってほしいと希望しました。しかし、法律の中には、単に協議会という言葉でしか書かれなかったものですから、例えば大阪ですと、救急医療対策審議会という従前からある知事付属機関を、改正消防法でいう協議会に当て、従来から活動している大阪府のメディカルコントロール協議会は単に協力をしている位置づけになりました。構成員は同じだからいいじゃないか的なことでやってしまったわけです。それを地域の二次医療圏に落としたときに、これがまた二重構造になってしまうのです。消防法の具体的な活動をいわゆる保健医療協議会を使う形でいくのか、あるいは従来の地域メディカルコントロール協議会でいくのかということが、実は地域の現場では混乱したまま残っております。
 結論から言いますと、この辺の協議会のあるべき姿を少し整理して、せっかく法律も出来たのですから、しっかり整理した通知文なり何なりでやる。そうしないと、混乱を残したままで前へ進んでいっているのかなという気がしますので、この際、総務省消防庁、厚生労働省がもう一度膝を交えて、明確な位置付けにしていただきたいと思います。

○伊藤参考人
 恐らくいろいろな会があるのでしょうけれども、少なくとも医師会、消防機関、行政、救急病院が入って、しかもフットワーク良く、ある程度指揮権を持って結論をきちんと出している組織の一つが、このメディカルコントロール協議会です。特に地域協議会があって、それをまとめている県の協議会があって、さらにその上にどんな親会があってもいいのですが、結局、地域や県のMC協議会は動けるようにしないといけません。今のお話にあった救急医療審議会とかでは、絶対に動けませんし、結論もなかなか出ません。結局はメディカルコントロール協議会の結論にいろいろなことで頼ることになるわけで、しっかり手当てしていただかないといけないと思います。
 これもMCの会議ではいつも言うのですけれども、いままでも、これから、MC体制は非常に頼られているのです。頼られるということは、私どもも頑張りたいと思いますし、頑張るような人たちは、地域で温度差はあるかもしれませんが、本当に頑張っています。そのためにも、きちんとした組織として位置付け、県も認めて予算化する、あるいは国も認めてくれるというようなところに持っていかないと、恐らく仕事が増えて、だんだん追い付けなくなってくると思います。早く明確な位置付けをしてほしいと思います。

○久保構成員
 今話を聞いていて、経済的基盤という話をするときには、もっとはっきりと何に使うお金か、例えば会議費とか、検証するためのお金であるとか、メディカルコントロールを行うときの、マンパワーのデューティーにしているときの人件費などをはっきりさせないと、その協議会に幾らのお金が行ってどうこうしても、非常に不安定です。むしろ、そのためにこのようなお金がいることを明確化して、財源は市町村に求めるのか、県に求めるのか、保健医療課と議論をしないといけない。単に交通費だとかそういうことだけではないし、現実的にやっている所だって、デューティーのお金はマンパワーとして支払うべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○伊藤参考人 
まずは会議費用です。正式な予算は年2回の県の会議と、地域の2回分しかないのですけれども、各事後検証会議というのは、実は各ブロックで消防機関が何とか予算を捻出して検証医師に払っているということなのです。しかし、それだけでは解決できないぐらいに、今はMC関連の会議が増えています。私は県に20人分の委員の費用を出してほしい、交通費だけでもいいから出してほしいと言ったら、「うーん」と昨日言われましたので、それも出ないようなことではいけないなと思ったのです。

○久保構成員
 会議費用もそうですけれども、ここで検討するだけではなくて、その全てに関して、経済的なことはきちんと規定して、支払うということをしないと、会だけやっても、後が回ってこないし、現実として現場も回らないのではありませんか。

○伊藤参考人
 それを言ってもらえるのであれば、必要なこと、大切なことを整理して、予算請求できるようにします。まずは、「うーん」ではなく、それは何とかやりましょう、どんな費用が必要ですかと言っていただけるところまできてほしいというのが希望です。

○石井構成員
 今の話の流れで、見えたことがあります。あとでフォローしていただければ有り難いのですが、全国MC協議会連絡会はもともと総務省消防庁でやるけれども、厚生労働省と日本医師会が共催という形でスタートしているのです。そこから始まって、ここまで大きくなって、飽くまで我々は関与して、逃げませんという立場でやっているのですけれども、役所が2つ入っているので、これだけ広がったのだから、総務省消防庁の言うように消防の予算だけでやっていいものかどうか、ヘルスマネージ部分は厚生労働省の予算と両方で、事務と現場がきちんと使えるような形を取るとか、そうした見直しがあってもいいのかなという気がしました。
 もう1つ、MCを開きたくないという都道府県の気持ちというのが分かりました。前回消防法改正に関わったのですけれども、MC協議会が、これは改善したほうがいいと言ったら、都道府県知事に対するダイレクトなリコメンデーションですが、それはその地域で1つしかないものなので、やらざるを得ないものになるはずです。法律の改正のときには、そのような願いを込めて書き込んであるのです。逆に、それを言われてしまうと、いろいろな都道府県知事がいらっしゃいますから、面倒くさいことを言われたくないと思えば、別の同じようなものでやっておいて、そこで何か決まっても、実はこれはMCではないのでという言い逃れが、もしかしたらできるような構成になっているのかなと、これは飽くまで心証ですけれども、そういう感じがします。やはり、これはしっかりMCでやって、答えを出して、どうするべきかまでMCで考えるのだということを、国のレベルで確認することは非常に大事な話かもしれません。

○鈴川構成員
 今のことを栃木県の現状に当てはめると、栃木県はMC協議会と搬送協議会の2つになっていて、搬送協議会というのが知事に具申できる会、昔からあるMC協議会というのは、別に残っているという形で作ったのです。そうすると具申といっても、搬送のことだけは具申できるが、今ここで議論しているようなことは具申できない。そのようなところを直していかないと、駄目だと思うのです。

○石井構成員
 それは消防法改正の趣旨に反すると思います。

○行岡構成員
 法律をきちっと変えてしまえば、それに合うようにきちっと。今のはそこだけがMCだという言い方をしているわけですね。

○有賀座長
 東京は以前からあったMCを都知事のMCにしたわけですが、今の議論でいくと、東京消防庁にとって大変いい話というのはアジェンダの上にいきますけれども、地域の保健的な話でMCが関わらなければいけないものについては、もしかしたら下にきてしまうのかもしれないという気がします。しばしば言われるのは、MCは救急隊員にとってという話がいつも出ることで、例えばMCと同じようなことを千代田区医師会がやって、デパートに救急救命士がいてもいいのではないかという話をしたとしたら、それはもう私たちのMCとは無関係であると、このような話です。地域、地域によって行政の上手な転がしの中に乗っている可能性はあるので、海老原室長、田中室長には地域、地域の隘路をもう少し明確にして、それが明確になれば、多分お金の流れも一定の水準で整理されて、より分かりやすくなるのではないかという気はします。ドクターヘリについては、何かありますか。
 ドクターヘリは、そういう意味では厚生労働省の管轄するヘリコプターをドクターヘリと言うわけですけれども、防災ヘリもヘリですよね。東京消防庁は、そちらのほうしか飛んでいないと。そのような観点でいくと、大型のヘリもありますので、普通の赤トンボみたいなヘリに比べると、大きな仕事ができそうだという話もある。自衛隊も含めて、ヘリ搬送に関して、もっと水平的に伸ばす話があってもいいのではないかという気がします。

○石井構成員
 有賀先生の問いに答えるとすれば、それも地域のMCでやっていいということになっているのです。消防法の改正前のドクターヘリの普及法のときに、それが書かれているのです。消防防災ヘリも、場合によっては自衛隊も何も含めて、地域のリソースをどういかすか、地域連携も含めてMCでやっていいということになっているはずですから、あとはそれを役所的にフォローアップする通知なり、解釈なり何なりをしていただければ、それはそういう形になると思います。

○有賀座長
 分かりました。

○横田構成員
 ドクターヘリの所で、項目として挙げている目的がちょっと不明確なのですけれども。今、先生が言われた防災ヘリとか消防ヘリをも含めてヘリ搬送を目的にするのであれば、救急患者の広域搬送をどのように捉えるかという議題になります。そうではなくて、ドクターヘリであって、防災ヘリではない、言い換えると、病院から外へ出ていって、傷病者にいかに早く治療行為ができるようにするかという議題であれば、実はドクターカーなども含めることになり、いわゆる討論の主旨が変わってしまうわけです。ここに挙がっている項目がどちらなのか分からないのですが、要するに、過疎県を対象に広域の救急患者を運ぶ、それを網羅的にやりませんかというのであれば、同時に消防ヘリの問題もここに入れるという発想になるはずです。しかし、病院から飛び出して行って、医師や看護師をできるだけ速く現場に行かせるということで論点を挙げるのであれば、ここにドクターヘリ、ドクターカー、場合によってはレスポンスカーも含めてどのように活動するかといった書きぶりになろうかと思います。ここはちょっと論点がぼやけているので、座長にお伺いしていいのかどうか。

○有賀座長
 そのような観点で、都道府県の県域を超えてお互いにということでいけば、持ち得る資源は、是非お互いに活用しましょうという石井先生的な感じではないかと思うのですけれども、恐らくそうでしょうね。

○辻救急医療専門官
 そうです。正におっしゃるとおりでして、ドクターヘリは厚生労働省の事業として行っており、今回は紹介も含めて提示させていただいた次第です。確かに、ドクターカーもドクターヘリ同様、ドクターをデリバリという形で、そこで診療をしてということでもありますので、現在、厚労科研として検討はしているところではありますから、今後もっと深めて検討する余地はあるかなという認識です。

○久保構成員
 ドクターカーの場合は病院にありますから、県境を越えて行ってもほぼ問題はないと思うのですが、今の話を聞くと、ドクターヘリは都道府県が委託をしてやっているから、その連携ができないと、実はそこが大変な問題点だと思うのです。ドクターカーであれば、例えば栃木県の自治医大のドクターカーが福島に行っても別に問題はないわけです。しかし、ドクターヘリはそれができないというのは、昔、救急で長屋班での妊産婦死亡解析で、山形県と岩手県の間で、近くの病院に救急車が行ってくれなかったために死亡例があって、両方の県の知事同士の話合いで県境を受け入れるような契約をして、ようやく県境を越えるようになったのです。先ほど石井先生から、県境を越えるのは当たり前だという話がありましたが、多分それは当たり前ではなくて、設置されたドクターヘリの場所からの距離で、区域を作ったところの都道府県同士の契約を進めるということをどこかが言わないと、絶対進んでいかないことだと思うのです。

○千葉構成員
 青森は2機入れていただいたところですが、医療審議会等で県の話を聞いていますと、問題なのは県境を越える、越えないというのは、メンテナンスの費用はどちらが持っているかという議論が出てきてしまうことなのです。これは青森で払っているのだから、なぜ岩手に行かなければいけないのか、岩手で払ってくれるのか、そういう話になります。しかし、それは大変大きな話なのだろうと。やはり、県民のための県民税から払っているものですから、県民に恩恵をと考えるのが一義的であると県としては捉えているわけです。ですから、簡単に、昔決めた境だからというわけにはなかなかいかなくて、そこの間の調整をして、そのような契約をどのようにするかみたいなものを、国がある程度調整役をしないと、県境を越えるというのはなかなか難しいように思います。

○久保構成員
 例えば震災のときに、母子手帳やお金に関して、逃げた人はどうするかという話のときには、ほかの県で受診できる。あとで県から県へ支払をするということを通達によってやりましたし、特に救急という人命が関わってくる問題ですから、多分そういうルートが可能だろうと思うのです。やはり、そういったところを議論するような場所を作らないと駄目だと思います。

○石井構成員
 言葉が足りなかったと思うので申し上げますが、当たり前と言ったのは、私は福島県のいわき市におりまして、関東の県境、道州でも境になる北茨城市というのがあって、救急車の相互協定は20年ぐらい前から既に結んでおります。しかも、高速道路の上り車線の事故は真っすぐ南に、下り車線は真っすぐいわきに、これも協定が結ばれていまして、MCができる前の救急の事例の検討会は広域でやっておりました。今、原発で避難している地域の救急隊まで含めて大きく丸を描いて、みんなで集まって議論するということを毎月やっていたのです。行政が一旦認めてしまえば、相互協定にもなるし、次のバージョンになったときに、話がスムーズなのです。
 今まではメンテナンスは誰だとか、人は誰とか、天下り先はどこだとかという小さな仕切りでやっていたのを、今、壊す必要があるのです。そのような意味で言っているわけで、方法がないとか、事例がないということは全くないのです。確か、長崎のヘリコプターは佐賀をカバーし、それを行政間で調整していたはずですけれども、今度は佐賀でも入れたいということで、飛行円はかなりダブっていますが、今はそのような動きになっていると聞いております。つまり、そのような中でやるということで、最初からそうなっていると言っているわけではないのですけれども、やったほうがいいと思います。

○有賀座長
 要は、やる気があればできるということですね。

○嶋津構成員
 そのような意味では、実際に大阪のヘリは和歌山、奈良、滋賀、京都南部と提携しておりまして、正式に県と県でやっております。和歌山はヘリを持っていますから、フィフティ・フィフティですが、ほかはヘリを持っていませんから、搬送で1件当たり幾らという形で県から国といったこともやっております。むしろ問題は、例えば京都南部で発生した事案は、京都府下の救命センターに置いて帰ることを原則とするというアレンジメントが、若干ややこしいということはありました。また、近畿に関しては、4月から関西広域連合が動くので、大阪府のドクターヘリも、ヘリを管轄するのは徳島ですから、基本的には徳島なのですけれども、残念ながら具体的な話は進んでいませんので、従来のままでいっているということがあります。しかし、少なくとも県を超えた連携というのは現実でも十分可能だと思います。

○有賀座長
 そのような意味でも、恐らくMC、いつまでも横文字でいいかどうか知りませんけれども、MCの力という話は、今後大いに期待できそうだということになるのでしょうね。

○石井構成員
 一言だけ、よろしいですか。ドクターヘリでよく話題になることの1つで、今日ここに入っていないことは、ドクターヘリを呼ぶ引き金になっているのは救急隊長であるということです。ところが、車の搬送か、ヘリコプターかの判断を救急隊長にこのまま全部させていていいのかという議論があるわけです。だからこそメディカルコントロールがあって、相談しながらだろうと、しかし、そのときMCは間接関与なのです。広域になったときに、最後のほうはともかくとして、この辺も、最初の引き金は救急隊長であるという形のままやるべきか、もう少し検討するかというのは、議論されるべきだと思います。

○有賀座長
 東京ではやっていますよね。奥多摩からヘリを出すときにはどうだという議論がありましたよね。

○行岡構成員
 最終決定者は医師、あれは消防だから指導医に入っているのではないですか。

○有賀座長
 標準的なやり方みたいなものは、議論しましたよね。私は処置基準委員会の委員長なので覚えているのですが。

○行岡構成員
 私は教育なので、教育をまず。ただ、救急隊指導医には必ず入っています。

○高城構成員
 今、共同運用ということで資料の取りまとめをしているわけですけれども、効率的運用の観点から、こうした共同運用を進めたほうがいいのではないかと。効率的運用という観点からは、確かに、こうしたことがどんどん進んでいけばいいのではないかと思います。奈良では独自のヘリコプターはないのですが、大阪、和歌山に協力していただいて、共同運航をしております。重複要請で対応ができなくなるということから、重複事案への対応の解消ということになると思うのですけれども、運用の仕方もあるのでしょうが、事案によっては応需できない例もあるわけです。共同利用をしたら、重複事案が解消されるというメッセージの出し方というよりは、実際に共同運用しても、漏れる事例もあるということに留意していただきたい。
 また、資料3の5ページを読むと、重症外傷や脳卒中の患者を念頭に置きながらまとめた1つの研究成果だと思います。先ほどドクターヘリなのか、その他の広域搬送の話なのかということがありましたが、これはドクターが立ち合わなければいけないような、重症の症状についてまとめたものと理解しました。今ヘリコプターを持っている所の50?圏内に丸を付けたところがありますけれども、埋まっていない所も結構あります。このような所は、共同運用でもなかなかカバーし切れない部分があるかなという県がありますので、それだけ留意点として申し述べておきます。

○有賀座長
 東京の場合、ドクターヘリはないけれども、ドクターを連れて行く仕組みは持っているのです。1回着陸すれば乗せられますし、そのように様々なことがありますので、これも次回、次々回と時々出るのだと思います。

○加納構成員
 MCについて再確認ですが、大阪では研修会、もともと救急救命士の要研修及びスタートという1つ大きな問題があったために、三次救急の先生方がMCに参加されているというイメージが強い。大阪も二次救急に入っているのですけれども、全国的には二次救急の関与というのは、どうなのでしょうか。やはり、きちんと入っているのでしょうか。

○横田構成員
 地域の実態を言いますと、統轄的な医師は、ご存じのように、大阪の場合は確かに救命救急センター長が占めているところが多いです。例えば堺ですと、実際に検証をしたり、研修を手伝っていただいているのは、トータルで約50人ぐらいいるのですが、全部二次救急の、しかも現場で救急部門を担当されている部課長クラスの方々に入っていただいております。そのほうが効率がいいということでやっておりますので、御理解ください。

○行岡構成員
 東京も現場研修に関しては二次救急のほうを長く、救命センター2日、あとは3日を二次救急でしたでしょうか。上のほうのMCも、井口先生がなさっていると。

○有賀座長
 東京都医師会は比較的乗り込み型でやってくれていますので。

○伊藤参考人
 北九州地域も救急告知病院で入っていただいているのは、救命センターと高次だけではなくて、一般の二次もたくさん入っております。言い忘れたのですが、その二次に入りたいという施設も入れてあげたいのだけれども、検証医療機関として消防が契約してもいいと言っているのに、MC協議会を運営する県が、施設が3つ増えると予算がないと言われます。地域MC協議会に入りたいという施設を入れてあげられるように予算を、ということを先ほど言い忘れました。

○有賀座長
 いずれにしても、町の景色が医療や介護をより必要とするという状況になっているわけですから、お金の使い方も少しずつアレンジしないと社会が回らなくなるわけで、そのような意味では田中室長さんと海老原室長さんに超頑張っていただいて、お金の流れについての整備を頂く、こんな感じですね。それでは、資料5-3について説明をお願いいたします。

○辻救急医療専門官
 資料5-3、論点整理の7ページからです。こちらでは「院内トリアージについて」、御説明いたします。第1回の検討会で院内トリアージについて、事務局並びに院内・院外のデータの連結の不可欠性ということで、森村参考人に御説明いただきました。まとめとしては現在、院内トリアージが果たす役割は各医療機関、特に夜間の救急外来において患者の集中を回避することであるとされております。課題としてはトリアージの質の担保とともに、効果の検証(トリアージ結果と患者予後の比較)が必要である。PDCAサイクルに基づく適時の見直しで質の向上が期待される、という御議論をいただきました。
 構成員の先生方からの主な御意見としては、パラメーターを集めるに当たっては、海外のものをそのまま入れるのではなく、日本ではどうなのかということを集めないと正しいアウトカム評価にはならない。トリアージの精度をプロトコールごとに評価し、その評価を病院や救急隊にフィードバックすることで、医療機関の問題点を示し努力目標的な情報を提供することができる。院内と院外のデータを連結、集約させることで救急医療の質の評価が可能となり、地域全体で包括的に住民を守る体制が確立できるという御意見をいただきました。そこで今回はトリアージの質の担保とともに、効果の検証等が必要ではないかという具体的な論点を挙げさせていただきましたので、御議論いただきたいと思います。
 次のページが♯8000についてです。こちらは第3回の検討会で御議論いただきました。まとめ・課題としては、♯8000の応需不応時間帯、応需不応率の改善が必要である。相談員の質の担保が必要である。小児の急病・トラブルに関する知識の啓発が必要である、というまとめ・課題を挙げさせていただき、活発な御議論をいただきました。
 主な御意見としては、♯8000の事後検証は以前よりある課題である。♯8000の意味合いとして、緊急度判定だけではなく育児相談も含まれるのではないか。♯8000は広い意味で子育て相談がメインであると言える。♯8000の目的は、主として緊急度判定に置かれている。しかし家族からすれば時に区別が難しい場合もあるので、育児支援に対する応答も行っている。様々な電話相談が存在して、利用者側からすれば分かりにくい形態になっていないか。まとめて1つの窓口にすることができないか。♯8000は全国情報センターを設立し、統一運営すべきではないか。相談員のトレーニングが必要ではないか。また、それを利用して親の不安を解消するようなプログラムができるのではないか、という御意見をいただきました。
 それを受けて参考資料7、「現行方式と比較した♯8000集約化の効果と組織のあり方(案)」について説明いたします。現在、♯8000の事業は各都道府県で行われているところですが、先ほどのような問題点があります。そこで、次のページの「現行方式と比較した集約化の効果(要素別)」です。ここでは2パターンを提示したいと思います。1つは地域集約化(ブロック化)です。つまり全国を数か所のブロックに分けた場合と、全国情報センターとして1か所で運営した場合です。ともに応需時間帯の拡充や相談回線数の拡充、相談員の確保などは改善が見られると予想されます。一方、集約化に伴い、地域の医療機関との連携は弱くなることが予想されます。
 次のページで、平成24年度厚生労働科研松裏班の報告にある「集約化した場合の組織のあり方(案)」を御説明いたします。これには地域拠点型と分散型があります。地域拠点型は各拠点に相談員を集め、事業を行う方式です。分散型は拠点は置くものの、相談員は1か所に集めず各地域に配置して、電話やICTを利用しながら事業を進めていく形態で、現在は長野県で行われております。
 今回の具体的な論点です。応需不応時間帯の改善策として、相談事業体制の集約化が必要ではないか。その際、都道府県は地域の情報を集約し、電話相談体制と医療機関の連携を強化するべきではないか。相談員の質の担保として、事例収集や事後検証方法についての体制整備が必要ではないか。また、現行では年1回実施している相談員教育研修を強化すべきではないか。都道府県は医療機関等と連携して、今まで以上に住民に対して子供の急病に対する知識を習得する機会を提供することで、患者家族の不安を軽減し、適切な受診行動を判断できるように支援するべきではないか。育児相談への対応も一定程度必要ではないかという、具体的な論点を挙げさせていただいておりますので、御議論いただきたいと思います。
 続いて、高次医療機関からの転院搬送についてです。第3回の検討会では、広域から総合周産期母子医療センターへ症例が集中した結果、受入困難を来す原因の1つとなっている。これを改善するために、症状が安定した母体、新生児を搬送元に戻す体制が必要だが、現在ではそれに救急車を利用できないという問題が指摘されました。それに対して、集約型やネットワーク型の体制を構築していく上では、下りの問題をどう考えるかという問題が今後大きくなっていくのではないか。治療中の患者に医師や看護師が付いて搬送する場合については、医療が継続しているわけだから、その社会的な支援について考えることは必要ではないか。病院の機能分化が進み、患者さんに切れ目のない医療を提供することを要求するのであれば、搬送手段についても医療費の枠の中で見ていく枠組みが必要ではないか、という御意見をいただきました。
 そこで参考資料8では、「患者搬送に関する現状について」ということでまとめております。まず、1枚めくってください。これまでもいろいろな呼び方が出てきましたけれども、議論を始める前に、搬送の分類と定義付けをしたいと思います。左下にある「迎え搬送」とは、高次医療機関の医師・看護師がドクターカー等の搬送手段を用いて搬送元医療機関や救急現場に出向き、必要な処置・観察等を開始し、その後、患者を診察する医師・看護師が所属する高次医療機関に搬送するものを言います。左上の「三角搬送」とは、別の高次医療機関に搬送するものです。右上の「送り搬送」とは、搬送元医療機関の医師・看護師が、患者の状態が安定するも、引き続き医学管理が必要な場合に、ドクターカー等の搬送手段を用いて地域の医療機関に搬送するものを言います。
 次のページでは、送り搬送の現状を御説明します。今回、特に集約化が図られている施設として、小児救命救急センターと総合周産期母子医療センターの現状について調べております。小児救命救急センターの4施設に対して行った調査によると、各施設のPICUにおける送り搬送件数は年間8〜45名で、収容する救急患者のうち7.7〜10.7%でした。総合周産期母子医療センター92施設に対して行った調査によると、母体及び新生児における送り搬送件数は、年間それぞれ184件(1施設当たり4.6件)、876件(1施設当たり16.8件)でした。
 次のページでは送り搬送にかかわらず、患者の搬送に対する支援について説明します。現在、搬送の手段としては民間搬送車の利用、医療機関の搬送車、消防機関の救急車による3形態に分けられます。ただし消防機関の救急車には本来業務ではなく、サービスとして行っていただいているという現状があります。また、支援として補助があります。救命救急センター運営事業として、ドクターカーの運転手の確保を目的とした給与費を補助、救命救急センター設備整備事業、周産期医療施設設備整備事業としてドクターカー及びドクターカーに搭載する医療機器等の備品購入費の補助があります。
 診療報酬については前回も御説明したとおり、搬送に対する評価はございませんが、緊急入院患者の転院に対する地域連携を評価するものとして、救急搬送患者地域連携紹介・受入加算があります。また、ドクターカー等で医療機関へ搬送した際、医師が同乗して診療を行った場合の評価として、救急搬送診療料がございます。ただし、入院患者を他の保険医療機関に搬送した場合、入院基本料を算定した日には救急搬送料は算定できないことになっており、転院については評価しておりません。移送費もございますが、こちらは療養の給付を受けるために移送され、保険者が緊急、その他やむを得ない等と認めた場合に支給されます。保険者が保険財政の適正な運営の観点などから、最も経済的な通常の経路及び方法によって額を算定します。例えば、離島で重篤な状態と判断され、その医療機関では対応困難な場合に、必要な医療体制が受けられる医療機関への移送に支給されます。
 論点整理に戻ります。今回の論点としては途切れのない医療を提供するためには、搬送体制を確保することが必要ではないかということで、御議論いただきたいと思います。事務局からは以上です。

○有賀座長
 いろいろな問題があって整理が難しいのですけれども、どの場面からでもどうぞ。

○市川構成員
 院内トリアージのまとめですけれども、患者の集中を回避するだけではなくて、患者家族がかなり安心するというプロダクトも得られます。そういう意味ではトリアージのスキルを家庭まで持ち込む家庭トリアージをやっていくことを、開業の先生方、医師会の先生方にやっていただければ、♯8000の小児の急病・トラブルに関する知識の啓発にも、かなり直結すると思われます。そういうものに診療点数を付けることができれば一番いいのかもしれませんけれども、まずはトリアージの方法論ややり方を医師会で普及して家庭に持ち込んでいただくと、ある意味で不要不急の患者は減るのではないか、軽症の受診も減るのではないかという思いでおりますので、そういう方向性に持っていっていただければと思います。

○有賀座長
 横田先生、ここでは♯8000ですけれども、#7119とその方法論を家庭でもアクセスできるようにという話と、今の話は連動しますよね。何かありますか。

○横田構成員
 私はちょっと情報提供を。実は、私は平成24年度の診療報酬の結果を調査する事業に携わっていて、院内トリアージについての調査がその中でされました。その結果を言いますと、医療機関側に調査をかけた結果、例えば「院内トリアージを実施することの効果等」という中で、重症患者への早期治療が可能になったというのが6割を超えています。ですから、非常に利点があるということは出ています。しかしながら、それに対して、緊急度の高い患者の入院が増えた、救急部門の医師の負担が軽減された、救急部門の看護師の負担が軽減された、救急搬送受入れを断る件数が減少した、軽症患者の受診が減ったということについては、全部ネガティブなデータです。逆に業務が増えたということで、働いている側の利点にはなかなかならなかった。これは大体想像がつきます。
 同時にその調査日に、深夜に入って受診された方に調査をかけて、それを回収した700以上の集計があります。トリアージの説明をされて待たされたり、先に診させられたりすることに対しては、結構ご理解を示しています。そういう意味においては、市川先生がおっしゃったようにしっかりと説明をしていけば、院内で待たされたり重症な人を先にどうぞということについては、国民はそんなに抵抗を感じていないのではないかということが、今回の結果で出ていると思います。
 もう1つ面白いのは、その方たちの受療行動のプロセスを調査しているのです。最初に家族以外に相談されましたかとか、救急病院を探されましたかとか、そのままダイレクトに119番に掛けましたかといった調査も、同時にされているのです。これで面白い結果が出ているのは、高齢の方は「相談はする」と言いつつも、傾向が高いのは119番に掛けて相談しています。ですから高齢者ほど119番、最終的に救急車を利用する率が高くなっているという結果になっています。一方、小児はどうか、若年者はどうかというと、病院を探すのに、御家族がネットとか、いろいろな情報をまず探した上で相談等を求めているので、必ずしも119番に掛けていない。結果として余り119番を使わずに、自力で掛かっている頻度が非常に高いのです。これは日常の診療の感じと一致するわけです。
 この結果をよく考えると、小児については病院を探すのと並行して、どなたかに相談する前に♯8000という役割をここにうまく絡めれば、119番にダイレクトに行かなくても結構はけているのではないかということが、データ的に出ています。ところが、高齢者の場合は必ずしもそういう傾向がなくて、119番にダイレクトに行っているので、救急車搬送が増える。今、♯7119という事業が始まりつつありますけれども、恐らく♯8000と♯7119は、将来、対象とする年齢層が変わってくるのだろうということを予測させるデータだと理解しました。これは情報提供です。

○有賀座長
 今の話は、119が掛かってきたときに♯7119につなげるということがあればということですね。

○横田構成員
 そういうことがあれば、もうちょっと何とかなるのかもしれません。

○有賀座長
 ほかにいかがですか。

○石井構成員
 ♯8000の立ち上げにも運営にも関わっているというか、情報をいただいているのです。その中で言いますと、1つには♯8000をやっている、実際に運用している小児科医の願いとして、全国センターというのは一貫して変わらないわけです。道州制のレベルとか、いろいろな話もあると思いますが、そうではなくて、やはり全国センターがほしいということです。その理由は、具体的な論点の一番下にあると思います。一番多い相談内容は、子育て、育児相談なのです。昔は社会やコミュニティーや家族間で、こういうときはこうしたほうがいいよということがあったわけですけれども、今やそういう時代ではない、昔いた賢いおばあさんというのが、もういなくなって、出産も子育ても1回か2回しかしたことのない方が、次の世代に「どうだろう」とはなかなか言いづらくなってしまっているのです。
 そうなると、常にあるレベルの信用できる情報がコミュニティーにないと、地域で子供を産み育てることはできなくなっているのです。したがって、それがすぐに救急にトランスファーされてくれば、現場は混乱するわけですから、そういうことを含めれば、相談の♯8000というものが必要だし、中身はそういうものが非常に大事だということです。ですから、子育て相談だからはねるという作業はできないわけです。電話がジャミングしたり、1本の回線ではとてもすまなくなったりしているので、システム論をバックアップしなければいけないのです。そうなりますと結局、一般情報はどこから出ていても構わないわけです。しかし個別の医療機関とか受療のガイドは、やはり地元に必要なのです。この2つが必要だと思います。
 もう1つ見えている状況は、そうは言いながら、各都道府県単位ではとてもできないということです。では、それは外部委託でいいということで、その結果民間に委託することになったわけです。委託された民間というのは、結局、実態としては東京で受けているのです。ですから半分に近い数字は、実際は外部委託された全国センターでやっているような状況になっています。したがって、それがもうちょっとオーソライズされないと、フロントラインにいる小児科のドクターたちが、全部コミットしているかどうかは定かでないわけです。それをそういう部分はそういう部分で、もう1回ちゃんと立ち上げる、しかしながら子育てを含めた情報の広いものは全国センターにして、その後の事後検証といった様々なリソースは、そちらに置いてくださいという形で立ち上げれば有り難いと。
 問題なのは、先ほども言ったように地方行政はそういうものを嫌うのです。東京に置くか大阪に置くかは分かりませんけれども、いったん付けられた予算を自ら執行しないで、一部でも削減されて国に戻っていき、その財源が全国センターの立ち上げに持っていかれるということを嫌がる、恐れているという側面が、聞いているとどうもあります。ですから、この中からやったらいいだろうという議論にいくと、それがなかなか難しい。予算全体からすれば、今度はどこかを削らなければ新しいものが立ち上がらないという厚労省のジレンマを、どうやって解決するかという賢さが求められているのではないかと思います。

○有賀座長
 石井先生、より国民のニーズに合わせた形で、質を良くしていこうということがあれば、そこにはプラスアルファーで、人的・物的な資源を投入しなければいけませんよね。そうなると、♯8000でもらっているお金でやれるかというと、なかなかやり切れない。そういうことになると、中央政府でやってくれという話だって、論理的にはありますよね。

○石井構成員
 少子化担当大臣などを設けて様々な施策をするのであれば、ここにそういう事業を投入するのは当然のことだと思います。問題はそういうダイナミックな、ドラスティックなプロポーザルになれるかどうかだと思うのです。

○有賀座長
 昨日、小児救急学会の話をお聞きしたばかりですけれども、そこら辺を小児科の先生方はどういうように議論されているのですか。

○市川構成員
 石井先生がおっしゃったとおり、♯8000に関わっている小児科医は、先ほどの理由で、やはり全国センターがほしいのです。ただネックになるのが、先ほど横田先生がおっしゃったように、地域の医療機関の照会や病院探しという部分が中央センターでは難しいということです。そことの兼合いでどうすべきかというところです。いわゆる中毒センターのように、全国2か所ぐらいでというのも必要かなという感じはありますけれども。

○有賀座長
 これは海老原室長さんにまたお聞きしたい。♯7119に関して言うと、専ら消防がいろいろ力を入れているように見えたのです。基本的にああいう方法論だと各都道府県、全国津々浦々にあったほうがよさそうだと思いますが、かといって全ての県が1個ずつ持つという話にはならないかもしれませんよね。そこら辺がどういうイメージなのか。もし♯8000が中央政府化されたときに、地方が「病院探しはそちらでよろしくね」と言うことだって、論理的にはありますよね。現在、東京ではそういう状況がありますから。そこら辺の♯7119の先々の様子も教えていただけますか。

○消防庁救急企画室海老原室長
 私どもも♯7119の全国展開ということで、平成19年から取り組んできております。東京は東京消防庁が指令室の横にセンターを設けてやっております。大阪については、大阪市消防局の中にセンターを作って、お医者様にも常駐していただいてやっています。この10月からは札幌市消防局が、道央圏において広域的に取り組むということで、周辺の市町村から委託を受けてやることになっております。今のところはニーズが高いであろう都市部を中心に、政令市の消防本部が汗をかいて、周辺の市町村から幾ばくかの浄財をいただきながらやってきています。
 全国的に一遍にというのは、私どもも今は答えが見つからないのですが、各地域の核になるような大きな消防本部に、「どうでしょうか」という声を掛けております。やはりお医者様の確保をお願いできるかというところと、ナースも常駐しておりますので、看護師の確保も非常に厳しいと聞いております。私どもも全国的な普及に向けて、どうしていくかというのは大変問題意識を持っておりますので、厚労省の取組も今後、十分に参考にしていきたいと考えております。

○有賀座長
 その地域で「あそこに行きなさい」という形でのオリエンテーションは、♯7119の仕事として、今後ともそのような問題意識を持ってやっていくわけですよね。

○消防庁救急企画室海老原室長
 はい。東京消防庁も、確か38万件ほど受けているかと思います。緊急度判定は確か7万件ぐらいで、病院照会が非常に多い。病院が分からないから救急車という方が結構多そうなので、そういう意味では適正利用に寄与していると思っているのですが、医療機関を紹介するという話になりますと、紹介しました、患者さんが病院に電話をしました、「うちはやってません」と言われると、これはまた非常に大きな問題になります。病院を紹介するときに、大きな単位だと情報の集約が難しい。東京の場合、多分東京都医師会が主体になっておられるので、うまくいっていると思うのです。全国でそういう体制を組むのが課題なのかなと。そこと運営のサイズというのが密接に関係するというように認識しております。

○有賀座長
 難しいけれども、やらなければいけないだろうということにはなりましょうね。

○消防庁救急企画室海老原室長
 課題を乗り越えてやれるならば、やったほうがいいと思います。

○有賀座長
 ♯8000がもし全国1か所とか2か所というように集中すると、さすがに杉並区のどこどこ病院に、又は杉並区の何々医院に行ってみなさいなどという話にはなりませんものね。それで今お聞きした次第です。

○石井構成員
 少しだけ補足します。飽くまでも地域の部分は残し、プラス全国センターというお話ですよ。地域の部分で言うと、もう議論されているように、ある部分は♯7119と♯8000はかぶるのです。人材もかぶってしまうのです。小児の相談が来たからどうしようかというと、結局同じ所に行くのです。ですから施策とか予算とかは色が違ったり、しま模様になったりしているのかもしれないけれども、現場に行けば行くほど一緒になって、合体した形でうまく運用していく。振分けは電話の交換やいろいろなシステムで、その電話が切れないように回し合えたりする。そういうものがうまく間に入っていけば振り分けられて、最後はそこで答えが出るという形を模索するべきだと思うのです。

○横田構成員
 石井先生の考え方にある程度同意します。相談事については、担当する人員の確保というのが、地域によっては大変だろうから、ある程度の集約化が必要でしょう。ただし、いわゆる医療機関の案内というのは地域しか分からない。言い換えると、先ほどの話ではありませんけれども、ICTが、救急車に乗った患者と病院間での埋まっている状況が分かるのであれば、それをリンクさせてやる。あるいは今の話をもう少し幅を広げて、これは救急病院、救急車だけではありません、今の時間、休日・夜間診療所も含めてどういう所に情報があるか、うまくリンクさせた情報を消防なり、相談事を受ける♯8000、♯7119が抱えておく、リンクして持っておくことが大事だろうと思います。

○久保構成員
 今は♯8000の話ですが、高次医療機関の話で、幾つかお聞きしたいのです。「送り搬送」という言葉がいいかどうかはよく分からないのですが、周産期医療には一次、二次、三次があります。治療をして落ち着いた、「バックトランスポート」という言葉をよく使っているのですが、多分それに当てはまるものが地域に行くのかなと思うのですが、3ページの周産期母子センターにおける病院間搬送は、何を使ったかという統計もあるのですか。すなわち救急車を使ったのか、ドクターカーを使ったのか、民間のものを使ったのかという分類もあるのですか。

○中林小児・周産期医療専門官
 これについて、そこまでの詳細なデータはありません。飽くまでも各周産期母子医療センターに都道府県を介して調査をさせていただいて、純粋な件数だけを確認しております。

○久保構成員
 もし、そういうものがあれば、多分これから議論になってくると思うので、是非よろしくお願いしたいと思います。それから最後のページにあるドクターカーの運転手の確保は、救急救命センターにあるけれども、周産期医療整備のほうにはないということですか。最初の○を見ると、患者搬送の支援として、運転手の確保は救急救命センター運営事業に入っているけれども、周産期医療の整備事業には入っていないということですか。

○辻救急医療専門官
 そういうことです。

○久保構成員
 それは将来的にも入らないということですか。

○辻救急医療専門官
 今後検討していきたいとは思っております。こちらも必要性に応じて考えていきたいと思っております。

○久保構成員
 結局、話を聞くと、どうしてもそれが置けないのでタクシーの運転手を委託契約して、スポットでお金を払うというようなことをやっていますから、できればそういう人があれば行けるということも。最後にもう1つは、やはり転院について評価をしていないので、治療が必要な人に関しての診療報酬的なものが検討できないかということを、是非御議論賜りたいと思います。

○有賀座長
 歴史的には確かに救命救急センターの整備ということで、救急の資源の議論をずっとやってきましたけれども、小児や周産期に関して、より集約するという話が今どんどん出てきているわけです。そして子供の救急救命センターを作らないと、3歳か4歳の小さい子が悲しい目に遭っているという話がありますから、そういう意味ではそちらのほうに、今後のいろいろな意味での人的、物的な資源を投入していかなくてはいけない。そのような話の一環として、ドクターカーの運転手の人件費にしても、支払いなどを含めた搬送中の医療の仕組みなどについて、刻々と私たちの社会の中に出てきているという話ですよね。5、6、7とトリアージ、♯8000、高次医療機関、転院ということで、テーマが多いので何とも言い様がないのですけれども、どうしますか。嶋津先生、何かありますか。

○嶋津構成員
 先ほどの♯8000も含めてですが、従来、救急医療が医療だけをしていたのに対して、いわゆる社会のセーフティーネットとしての役割が、結局医療の所に来てしまっているということですので、そういった枠組み自体を変えていただくという発想でないと、小手先のものを変えるというのでは、若干限界があるのではないかと思いました。

○有賀座長
 メディカルコントロールという社会の仕組みそのものが、今言ったようなことであれば、当然お金の話が付いて回るわけですよね。それはまた海老原室長さんと田中室長さんに、まず話していただくということで、グルグル回っていますので、是非よろしくお願いしたいと思います。3時間の長丁場で、恐らく脳みそのATPはもう欠けて、どうにかなってしまいそうですが、全体を通じて何かありますか。

○横田構成員
 途中でも発言しましたけれども、やはり救急は医療機関の中もさることながら、発症から病院前の仕組みに依存するところがあります。今回の課題もほとんどがそこです。そういう意味で、どれもこれもメディカルコントロールの充実強化が必要だという意見が所々で出てきたように思います。やはり並べ方を整理して報告したほうが、初めての読み手には分かりやすいのではないかと思いますので、事務局にはそういう宿題も一度やっていただきたいと思います。

○有賀座長
 それはもう理解されていますよね。ですから少しずつより良い方向へ向かってジワジワということで、引き続き御協力を賜りたいと思います。では、ちょうど12時半ですので、後はそちらからよろしくお願いします。

○田中救急・周産期医療等対策室長
 今日は3時間という長時間にわたりまして、御議論ありがとうございます。今回は7つの議題が中心にお話いただきましたが、資料4にありますように後段の2〜6と、まだ議論すべき点もたくさんございます。今後報告書を取りまとめていく段階になりますけれども、次回は2〜6についてしっかり御議論いただきます。今日はメディカルコントロール体制の充実強化が中心でございましたが、報告書のまとめ方も含めて、また議論の整理をお願いしたいと思っております。次回の第5回は日程調整の結果、6月26日(水)の9時から12時ということで予定しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○有賀座長
 今日は先生方、どうもありがとうございました。これで終わりたいと思います。


(了)
<照会先>

医政局 指導課 救急・周産期医療等対策室

直通電話: 03−3595−2194

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