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2013年5月29日 第4回疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成25年5月29日(水)10:00〜12:30


○場所

三田共用会議所 講堂


○出席者

【委員】

福井座長 楠岡座長代理 中村座長代理 跡見委員 磯部委員
位田委員 今村委員 門脇委員 川村委員 久保委員
児玉委員 後藤委員 真田委員 新保委員 祖父江委員
田代委員 知野委員 津金委員 土屋委員 直江委員
中島委員 藤原委員 丸山委員 宮田委員 山縣委員
坂本参考人

【事務局】

吉田局長 (文部科学省研究振興局)
菱山審議官 (文部科学省研究振興局)
生川振興企画課長 (文部科学省研究振興局)
板倉ライフサイエンス課長 (文部科学省研究振興局)
伊藤安全対策官 (文部科学省研究振興局生命倫理・安全対策室)
宮脇室長補佐 (文部科学省研究振興局生命倫理・安全対策室)
三浦技術総括審議官 (厚生労働省)
福島課長 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)
尾崎研究企画官 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)
吉田課長補佐 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)
佐原課長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)
高江課長補佐 (厚生労働省医政局研究開発振興課)

○議題

1 前回会議までの議論を踏まえた追加情報
2 疫学研究倫理指針及び臨床研究倫理指針の見直しに当たり検討すべき事項について
3 その他

○配布資料

議事次第 議事次第
座席表 座席表
委員名簿 疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議委員名簿
資料1 第3回合同会議(平成25年4月25日)における疫学研究倫理指針及び臨床研究倫理指針の見直しに当たり検討すべき事項の議論
資料2 世界医師会(WMA)によるヘルシンキ宣言の見直しについて(今村委員 提出資料)
資料3 疫学研究倫理指針及び臨床研究倫理指針の見直しに当たり検討すべき事項
資料4−1 インフォームド・コンセントについて
資料4−2 救急現場における臨床研究に関する倫理指針の課題について(一般社団法人日本救急医学会理事 帝京大学医学部 坂本哲也参考人提出資料)
資料5−1 未成年者や被後見人に係る代諾者及び再同意の手続きについて
資料5−2 子どもに対する法的評価(後藤委員提出資料)
資料5−3 子どもが参加する医学研究におけるインフォームド・アセントおよび実施方法(山縣委員提出資料)
資料6 関連規定等
参考資料1 第3回疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議議事録
参考資料2 第2回合同会議までの議論
参考資料3 資料4−2に関する添付資料(参考資料3−1〜3−10)

○議事

○高江課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第4回「疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議」を始めさせていただきます。本日は、皆様お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。今回、合同会議に初めて出席いたします事務局の関係者を御紹介させていただきます。文部科学省研究振興局の吉田局長です。研究開発振興課の本間補佐です。本日は、玉腰委員、永水委員、花井委員、渡邉委員から御欠席の御連絡を頂いております。また、知野委員も、急遽御欠席とのことです。門脇委員におかれましては、都合のため途中で御退席されます。
 本日は、検討項目の4番の「インフォームド・コンセントについて」において、「救急現場での臨床研究におけるインフォームド・コンセントの課題について」の資料説明のため、一般社団法人日本救急医学会理事・帝京大学医学部教授の坂本哲也先生に、後ほど参考人として御出席いただく予定です。
 次に配布資料を確認させていただきます。一枚紙に、議事次第と配布資料を記載しておりますので、配布資料一覧を御覧いただきながら御確認ください。議事次第、座席表、委員名簿。資料1は、第3回合同会議の議論についてです。資料2は、世界医師会によるヘルシンキ宣言の見直しについてです。資料3は、疫学研究倫理指針と臨床研究倫理指針の見直しに当たり検討すべき事項です。その後はパワーポイントの資料として、資料4-1、資料4-2があります。パワーポイントの資料として資料5-1。資料5-2と資料5-3を用意いたしました。委員の皆様方には、関連規程ということで、資料6でまとめてあります参考資料1から参考資料3を配布しております。前回までの会議資料については、今回の議論に関係する資料はあらかじめ委員の先生方の席に配布させていただいております。その他の資料については事務局の方に置いてありますので、御覧になりたい場合はお申し付けください。
 なお、審議の円滑な実施のため、報道関係者の方々におかれましては、撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行は福井座長にお願いいたします。
○福井座長 本日は12時半まで時間を取ってあります。時間どおりに終わりたいと思いますので、どうぞ御協力をお願いいたします。
 議事に入ります。議題1の、前回会議までの議論を踏まえた追加情報について、事務局から説明をお願いいたします。
○高江課長補佐 資料1は、4月25日に開催された第3回合同会議において、各委員から御発言のありました御意見を、事務局の方で合同で整理をさせていただいたものです。第3回合同会議においては、見直しに当たり検討すべき事項(資料3)の総論、疫学研究倫理指針と臨床研究倫理指針の統合について、統合した場合の指針の適用範囲について、また、個人情報の取扱いについての4項目について御議論いただきました。資料1のまとめとしては、提示資料の内容を枠囲みのあとに、議論ということで委員から御発言のあったものについて、事務局の方でまとめさせていただき、更にその内容について簡単なまとめという形で、各項目ごとにまとめたものです。第2回合同会議までの議論を整理したものについては、参考資料1として今回配布しておりますので、そちらも御参考いただければと思います。
○福井座長 資料1を御覧になってお分かりのように、検討した項目それぞれについて、必ずしも結論が出ているわけではありません。取りあえず全ての項目についての検討を終えたところで、また振り返って結論を出す必要がある項目があるかと思いますけれども、そのような手順で行いたいと思います。ただいまの説明について御質問はありますでしょうか。本日は、今村委員より、本年2月28日から30日まで、ヘルシンキ宣言改訂専門家会議が東京で開催されましたので、そのことについて御説明いただきます。
○今村委員 日本医師会常任理事の今村です。配布いたしました資料2を適宜御覧になっておいてください。世界医師会(以下WMAと略す)は、1947年に設立された、各国の医師会の連合体として、政府から独立して活動を続けております。現在では、日本医師会を含む世界102の各国医師会が加盟する組織です。毎年中間理事会及び総会を開催しております。
 主な事業は、医の倫理や社会学に関する様々な宣言や声明・決議を採択し、世界の医療会の指針として公表しております。採択された宣言や、声明は、医療技術や医学の進歩、社会情勢、価値意識の進展や、その変化を反映しながら、時代に合わせて修正・更新をしております。ヘルシンキ宣言も、WMAの宣言を代表する1つで、1964年にフィンランドのヘルシンキ総会で採択され、そのタイトルにもありますように、人間を対象とする医学研究の倫理的原則として、長く医療・医薬業界に大きな影響力を持つガイドラインとなっております。1947年、非人道的な人体実験に対する反省を踏まえ、ニュルンベルグ綱領が提示されております。WMAでは、これとは別に1964年に独自の判断から、ヘルシンキ宣言を採択し、人間が対象となる医学研究における医師の倫理がどうあるべきかのガイドラインを作成しております。
 当初の主な内容は、明確な研究計画を作成すること、高い倫理性に基づく研究を行うこと、インフォームド・コンセントを取ることなどを柱とする宣言となっております。この内容は、その後も引き継がれて現在に至っておりますけれども、その後の社会情勢の変化に応じ、様々な修正を重ねてきております。取り分け1996年以降に、プラセボの使用をめぐって議論が起こり、関係者が長年議論を続けてきておりますけれども、これについてはまだ根本的な合意を見ないまま現在に至っております。しかしながらWMAとしては、これまでの修正の過程の中で、研究計画を審査する委員会の権限の強化、治験の対象となる人たちに対するインフォームド・コンセント取得について、より一層の確実性の向上、あるいは治験終了後の被験者への適切な対応の仕方に見られるように、研究対象者への人権の保護を強化させてきたことは大きな流れです。
 現行のヘルシンキ宣言は、2008年10月、WMAソウル総会で採択されたものです。ソウル総会では、臨床研究におけるプラセボの使用に関する議論について、科学的に必要とされる場合に、細心の注意を払った上でのプラセボの使用を認めるという改訂案が、大多数の賛成により採択されております。しかしながら、理事会において、この問題は重要かつ、しかも困難な問題であるという認識から、慎重に継続していく必要性があるとして、作業部会の設置を表明し、そしてこの作業部会の改訂作業においては、これに関連するあらゆる問題を今後も取り上げていくことにしております。
 日本医師会を含む作業部会では、現行の宣言の文言を再検証するとともに、2010年と2011年にブラジルで開催されている、2回の専門家会議において、プラセボの問題に関する包括的な議論が行われております。そして、プラセボの使用に関する規制は、2008年版宣言が倫理的に最も容認できるものとなっておりますけれども、文言は更に改善されるべきであるとして、より体系的なアプローチによって、更に倫理的な問題が包括的に検討されるべきであるという結論に達しております。
 2011年10月、WMAモンテビデオ総会では、宣言の改訂に向けた議論が開始されております。その結果、新たな作業部会が設置され、WMA医の倫理委員会に提出することを目的に、同宣言の改訂草案を起草する委任を受けております。2012年5月、作業部会は各国医師会とその他利害関係者に対し、2008年版宣言に対するコメントの提出を求めました。お手元の改訂草案は、プラセボ使用に関するこれまでの議論、宣言に関する3つの専門家会議並びに数回にわたる作業部会会議の成果です。本年4月、WMA理事会は、本改訂草案のパブリックコメントを公開しております。今後は、パブリックコメントを参考にし、作業部会が修正案を起草し、今年の夏にワシントンで利害関係者を対象とした会議を開催し、ここで取りまとめて10月のブラジルの総会において、2013年版改訂として、一応の到達点にすることになっております。
 これまでの一連の作業部会や専門家会議を通し、現行のヘルシンキ宣言に対し、次に述べるような課題と解決法が提示されております。まず、宣言の中で社会的弱者グループ、特に小児のための具体的な規制を設けるよう、幾つかの提案がなされております。ただし、社会的弱者を具体的に特定することはなされておりません。宣言が主として医師を対象としていることについて問題が提起されておりますけれども、作業部会の見解としては、宣言はWMAとしての責務を反映したものであり、WMAに所属していないグループに原則押し付けることは適切でないと判断したとされております。
 また、宣言が「生命倫理(バイオエシックス)」ではなく、「医の倫理(メディカルエシックス)」としていることについては、ヘルシンキ宣言におけるガイダンスは、医療の実践と義務に関わるものであるかという理由付けをしております。
 プラセボ使用については、現在も進行中の大きな命題となっております。文言の改善や、より体系的なアプローチを導入するなどし、この問題に取り組みつつあります。プラセボの使用については、より適切な要件が検討されているところです。
 臨床研究終了後の取決めに関しては、利益の公正と合理的な利用可能性について、それぞれの利益と不利益が幅広く議論され、より適切な文言に修正されてきております。研究倫理委員会の資格、責任も重要な検討課題であるとしており、文言の修正とともに、作業部会によって審議され、透明性の確保が勧告されております。バイオバンクの問題も、新しい課題として認識されつつあり、ヒト由来の試料・データなどの匿名化などの重要性に鑑み、これについても修正がなされています。
 今回のパブリックコメントのために公開された宣言修正案の内容を要約すると次のとおりです。1番目は、小見出しを追加し、文書を再構成、再構築することにより、読みやすくしております。2番目は、治験を行うに当たっては、社会的弱者グループに対する、より手厚い保護を行うこと。3番目は、治験後の補償の問題を含む研究参加者に対するより多くの保護を行うこと。4番目は、臨床研究終了後の諸問題に対する、より正確で具体的な要件を考慮すること。5番目は、プラセボの使用に当たっては、より体系的なアプローチが必要であるけれども、その使用に当たっては倫理的な側面を損なわないようにすること。
 このようなことで、今年の秋にヘルシンキ宣言の2013年改訂版が採択される段取りとなっておりますけれども、宣言の中には引き続き議論すべき内容が多いと考えております。倫理委員会の強化、研究対象となる人たちへのインフォームド・コンセントの取得や補償、研究後の扱いを含め、医師が臨床研究の中でいかに高いレベルの倫理性を保持し、それを実現していくかが今後の課題とされております。また、バイオバンクなどのような、ビジネスを巻き込む新たな問題も提示されていて、今後のWMAでの議論を注目していく必要があると考えております。 ○福井座長 4ページから13ページまでがパブリックコメントの原案になっているようです。ただいまの今村先生の御発表について、御意見、御質問はありませんでしょうか。位田先生から何かございますか。
○位田委員 私は、最後の東京でのワークショップに参加しただけですので、全体を必ずしも見ておりません。東京では、バイオバンクについて私は少し話させていただきました。その他にも幾つかの点で、特にアジアからの視点ということで、東京で開かれた意義があったと理解しております。
○福井座長 プラセボの問題が随分挙がっていますけれども、これはアフリカなどでプラセボを使った研究が随分行われている、というようなこととも関わっているのでしょうか。
○今村委員 プラセボは非常に大きな問題となっています。果たしてプラセボ自体を使うことが妥当なのかどうか。そのプラセボを使うに当たっては、その他の研究方法がないかということも含め、これが少なくともその対象となる人の不利益にはならない。そして、その研究結果として、それが対象となった人の将来の恩恵になるということを含めて検討がされています。
 それから、このような問題というのは、各国の文化が大きく左右していて、位田先生がおっしゃったように、アジアにおける、あるいは欧米における、あるいはアフリカにおけるその文化の違いというのが大きく左右されますので、なかなか統一的な考え方の下にやっていくのは困難ということもあり、現実的には非常に妥協を重ねながら、研究が進められている状況かと思います。
○福井座長 それでよろしいでしょうか。藤原先生どうぞ。
○藤原委員 プラセボとは違って、1つ今村先生にお聞きしたいのは、今回はアーティクル15でしょうか、被験者への補償の義務化がヘルシンキ宣言の中に明文化されているのですが、これに関して余りそういうのに熱心ではないアメリカの医師会とか、アメリカの人たちとか、各国はどのように反応されているのかは分かりますか。
○今村委員 私は直接の担当ではありませんので、詳細に答えることはできませんが、この補償問題についても、その被験者がどのように考えるか、あるいは研究者がどのように考えるかということによって大きく異なってくると思います。日本においては、それが比較的予後といいますか、被験者のことを考えてそういうことがなされていると考えておりますけれども、今申し上げたように、アメリカにおいては被験者となる方が、自分の利益になると判断すれば、それほどの詳細なインフォームド・コンセントなしに引き受けることもあるでしょう。それから、アフリカの諸国では、そのような説明もなしになされていることも多いと聞いております。
○福井座長 よろしいようでしたら次に進みます。今村先生ありがとうございました。議題2の「疫学研究倫理指針及び臨床研究倫理指針の見直しに当たり検討すべき事項」についてです。資料3を御覧ください。本日は4番目と5番目、インフォームド・コンセントについてと、未成年者や被後見人に係る代諾及び再同意の手続についての議論を進めます。まず、検討項目の4番、インフォームド・コンセントについては資料4が用意されております。最初に事務局から説明をお願いいたします。
○伊藤安全対策官 資料4-1では、インフォームド・コンセントの論点について、大きく3つに分けて御議論いただきたいと考えております。最初の論点は、インフォームド・コンセントを受ける場合に、その説明が必要な項目とか程度、範囲について御議論いただきます。2つ目は、インフォームド・コンセントを簡略化・免除できる場合の要件についてです。3つ目は、その簡略化・免除できる場合の1つとして考えられる救急医療時の対応について、2つ目の論点とは独立して個別に論点設定させていただきました。
 資料4-1から御説明させていただきます。最初の論点は、統合後の指針において、新たに試料・情報を取得する際に、どのような内容についてインフォームド・コンセントを受けるべきかということです。その試料・情報を対象に取得するときというのは、研究に参加する、提供者から見た場合には、研究に参加するときにインフォームド・コンセントを受けるときと、大体同じタイミングと考えられるときです。
 現行の指針ではどのようになっているかは資料6を御覧ください。資料4-1の参考?では、疫学臨床ゲノム指針におけるインフォームド・コンセントの説明項目に関する規定を整理しております。1ページで、疫学研究指針について整理しております。ここで、研究者が遵守すべき基本原則として、第1の3の(3)の?で、「研究者等は、疫学研究を実施する場合には、事前に、研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則とする」ということで、インフォームド・コンセントを受けることはまず原則である。そして、その細則において、研究対象者に対する説明の内容は、一般的に以下の事項を含むものとするということで、いろいろな内容について列記してあります。例えば、研究者の氏名、研究の目的、方法、期間、撤回、第三者提供の在り方とかいろいろ書かれております。
 2ページは、臨床研究指針におけるインフォームド・コンセントの考え方です。こちらの構成としては、疫学研究と同じなのですが、内容としては特に補償をはじめとして、疫学とは違った観点の事項について、一般的な事項として記述するという形で提示されています。
 資料4-1の2枚目で、「現状と課題」です。インフォームド・コンセントの説明項目については、できるだけ具体的に統合後の指針に記載すべきという意見があります。2つ目の課題として、試料・情報を将来の研究にも活用することについては、医療や公衆衛生の発展に資するものであるので、提供者に対する倫理的配慮を前提とした上で、二次利用などをしやすくするために、試料・情報の取得段階において、いわゆる包括同意を認めるべきではないかという意見があります。
 ここで「二次利用等」とは何かということについて少し補足させていただきます。既存の試料・情報を自ら目的外で利用する場合、あるいは第三者提供する場合が含まれます。その他にも研究計画の一部として整理してあります。将来の研究であるため、内容を具体化することが困難な試料・情報の利用というものも含むものとして整理しております。つまり、将来の研究として、内容を概括的に説明せざるを得ないものについて、研究計画の目的内と捉えることによって、その後の同意に係る手続の処理の円滑化を図ることを適当としてよいかどうか、という問題設定として捉えられるものです。
 3つ目の段落で、包括同意については、白紙委任と捉える人もおりますが、一方で、将来の研究として予想される利用内容を概括的に説明し、提供者が同意の是非を判断するに足るイメージを持つことができれば、研究計画について倫理審査委員会でしっかりと審査することも併せて説明し、二次利用等に係るインフォームド・コンセントを簡略化・免除できるのではないかといった意見もあります。
 3枚目で「検討のポイント」として2つ整理しております。1つ目は、現行指針において、先ほど説明したとおり細則で提供者に対する説明項目を記載しているところですが、統合に当たって見直す項目があるかが1点目です。2点目は、現行指針においては、説明項目として記載すべき項目を、一般的事項として示しております。二次利用等に関して、提供者が同意の是非を判断するに足るイメージを持てるようにするために、研究計画書や説明、あるいは同意文書において、最低限記載すべき項目を統合後の指針で示すことが可能であるかというポイントが考えられます。
 最後は「見直しの方向性」です。統合後の指針におけるインフォームド・コンセントの説明項目については、現行指針の項目をベースとして整理してはどうかが1点目です。2点目は、包括同意についての方向性としては、いわゆる包括同意を認めるかどうかを議論することではないと。これは、包括同意とは何かという議論にもつながることもありますので、そういうことを議論するのではなくて、統合後の指針において二次利用等を行う場合に、その同意を行う際に、提供者に最低限明示することが必要な説明項目を示したり、あるいは研究の特徴に応じて説明項目の内容や範囲を変えて示すことが可能であるかどうか、ということについて検討してはどうか。こういうことを方向性として示させていただきました。
 5枚目で「関連意見」として、これまで出てきた意見を整理させていただいております。関連資料として後ろの方に付けてありますが、第2回合同会議で丸山委員から提出していただいた資料を机上に配布しておりますので、これらも参考にして御議論をお願いできたらと思います。
○福井座長 ただいまの説明から、検討のポイントが2点ありました。現行指針において細則で、提供者に対する説明項目が記載されているところであるが、統合に当たり見直す項目があるか、ということからまず始めたいと思います。この点について御意見はありますか。また、説明に対する御質問でも結構です。
○田代委員 1つは、説明項目を現行指針の細則をベースとすることに関しては、それでいいのではないかと思います。ただ、二次利用の話にも関わると思うのですが、先日改訂されたゲノム指針の方で「将来の研究利用についても説明するように」という細則が追加されているので、その部分に関しては追加していただきたいのが1点です。
 2点目は、細目の順番は指針によってバラバラなのですけれども、現状では被験者が見て分かりやすいような順番に並んでいないように思います。私の感じではGCPの並びが一番シンプルで、目的や意義から始まって、読んだときに一番分かりやすい順番になっています。その順番についても、読む側から見て分かりやすい順番で細則を整理していただきたいと思いました。
○福井座長 いかがでしょうか、田代委員の御意見に対してでも結構ですが何かありますか。私も、この方向でいいのではないかと個人的には思っております。
○位田委員 疫学研究指針と臨床研究指針のインフォームド・コンセントを受けることに関する書き方が少し違います。疫学研究は「インフォームド・コンセントを受けることを原則とする」、他方で臨床研究は「受けなければならない」と。原則とするということは、例外を想定しているわけです。疫学ですから臨床と違う場面で、必ずしも個別のインフォームド・コンセントが必要でないケースも当然あると思いますので、ここの書きぶりは2つを分けざるを得ないのではないかという気が1つしています。
 もう一つは、「二次利用に関し、提供者が同意の是非を判断するに足るイメージを持てるようにするため」というのも分からないわけではないのですが、大原則は、提供者から頂く試料・情報については、他目的利用の禁止が大原則だろうと思います。その上で、どこまで二次利用ができるのか、他目的利用ができるのかということを議論しないといけないのです。この書き方だと、一旦同意を取るときに、将来の利用まで含めて同意を取っていいのだという方向が先に出てきてしまっているようなのです。基本は、同意を頂いた範囲内での利用である、その範囲内においてのみ利用できるのだということをまず前提にして、その上でその同意を頂く時点で、もし他の研究に使う可能性があるのであれば、それについての説明をする。そういう段階を追って書いていく必要があるのではないかと思います。
○福井座長 先生が「タモクテキ」とおっしゃったのは、「他目的」ですね。
○位田委員 「多」ではなくて「他」です。
○福井座長 インフォームド・コンセントを取ったときの目的以外の目的にということですけれども、いかがでしょうか。
○中村座長代理 ただいまの位田委員の御意見ですが、インフォームド・コンセントは確かに現行の指針では、疫学は「原則」、臨床研究は「受けなければならない」となっています。そこは統合しても、疫学研究と臨床研究ということを残すとすれば、これは統合した意味がなくなる可能性があります。現実問題としては、これは一番最初から議論していますが、グレーの研究が一杯ある。どちらにも取れる研究が一杯ある。現実的な話として、うちの大学で、これはどっちなのという相談があったときには、グレーの部分は原則とすると、ならないというのがあるので、疫学の方が少しは楽かというようなことで指導はしています。ただ、その分私の委員会に回ってきて負担は増えています。
 そういう意味で、そこのところは、臨床研究、疫学研究と分けずに、こういう場合には原則だと思うのですけれども、こういう場合はインフォームド・コンセントなしでも研究が、もちろん倫理審査委員会の承認という手続はありますけれども、インフォームド・コンセントなしでもできるものがあるということで示すのが合理的な解決方法だし、2つの指針を1つにまとめるとすれば、そういう配慮があっていいのかと思っております。
○位田委員 若干補足ですが、恐らく現場の先生は、原則とすると書いてある方が、少し例外を使いやすいのだろうという印象はあります。ただ、余り例外が大きくなってしまうとそこが問題ですので、仮に臨床研究指針のように「ねばならない」と書いてあったとしても、例外は一切認めないという意味ではありません。もし統一するのであれば、「受けなければいけない」という規定の下で、ただしこれこれの例外はという但書きでそれ以外のことも書き込むというのがいいのではないかと思っています。
○山縣委員 そこの文言はどっちがいいのかは私も結論が出ないです。ただ、両方とも指針の中には、「間接研究でヒトの試料を使わないものに関しては」と全く同じ文章が書かれています。それなので、そこの部分はどちらがいいのかということは、位田先生が言われたような話もありますし、中村先生の話もあります。最終的な結論として、ただ、基本的には中身は一緒という理解でおります。
○福井座長 丸山委員どうぞ。
○丸山委員 同じことを指摘しようとしました。
○今村委員 WMAでも、医の倫理、医師の倫理綱領のところで、よくそういう部分の問題が取り扱われます。医師の立場と、研究者の立場というのは、必ずしも方向性が一致しない場合があります。この場合には、WMAの議論では、医師の立場を必ず優先せよと。研究者の立場はちょっと後に引いて、患者さんの立場を最大限尊重するようにしろという議論があることを一応申し上げておきます。
○福井座長 「原則」という言葉については。藤原委員どうぞ。
○藤原委員 現行の指針も疫学研究も臨床研究もそうですし、この前変えていただいたヒトゲノム指針も、前文に「これらの指針においては、基本的な原則を示すにとどめ」うんぬんと書いてあります。前文に「原則」と書いてあるので、それをしっかり書き込んであれば、他の所が倫理審査委員会などで問題になったときには、前文にちゃんと書き込んでありますから、原則から外れる所はしっかり議論していきましょうというふうにすればいいと思うのです。余り細かいサブパートに、いちいち「原則」と入れない方がいいのではないかと思います。
○田代委員 位田先生の2つ目の発言について質問させていただきます。確かにヘルシンキ宣言でも、基本的には毎回個別の同意を取るというのが基本の考え方だと思うのです。今回、いわゆる二次利用に関してもかなり広い範囲で捉えられており、例えば一度研究で取ったものを別に使うというだけではなくて、恐らく先生がヘルシンキ宣言の改訂会議で発表されたバイオバンクみたいなものも含め、あらかじめそういう試料を集めておくものも含まれると思うのです。
 後者の場合にも、先生の考え方としては基本的に毎回研究計画ごとに再同意を得るのが望ましいのではないかという考え方なのか、あるいは日本の幾つかの研究の中では、実際には最初に概括的な同意を得ておいて、後で情報公開をしながら拒否権を担保するという形で、つまりはオプトアウト方式で進められているところもあると思うのです。これについて、毎回提供者に連絡をして、再同意を得るという形が望ましいという趣旨なのかを確認させてください。
○位田委員 2つ問題があると思うのです。1つは、バイオバンクについては、「バイオバンクに入れる」という同意をするべきだと考えています。バイオバンクに入れるという意味は、いわゆる試料の提供者から試料を頂いて、恐らく情報も一緒に頂いて、それをバイオバンクに入れる。入れると、様々な研究に使われるので、今この研究とか、来年はこの研究ということはできない。しかし、あなたの試料と情報はバイオバンクに入れるのですよ。入れれば、様々な研究に使われるのですよ、という同意を取るのがよいのではないか。私は、「バンク同意」という言い方をするときもあるのですが、それはブロード・コンセントという言い方でされる場合もあります。田代委員の御質問に答えるならば、バイオバンクに入れる場合には、一つ一つの研究計画について、更に再同意を取る必要は本来ないと理解しています。
 これに対して、その他の二次利用については、情報を流せば何とか再同意を取らなくてもいいという方法があるのではないかという趣旨だろうと思うのです。今いろいろな所で行われている、余り包括的同意という言葉をここでは使わないようにしますけれども、包括的同意とか医学研究にも使いたいと言って、一緒に同意を取っているというやり方は、最も有名なのはがんセンターの方法です。あのように、がん研究という枠をはめて、しかし様々な研究で、しかもその説明、情報の提供は非常に詳しくやられているケースがあります。
 私どもの病院では頂いたサンプルは当然に他の目的にも使います、という所もあります。したがって非常に様々です。田代委員がおっしゃった二次利用について、情報提供をすれば、再同意については少し緩和できるのではないかというのは、それではどういう形で情報を提供し、一次利用の説明をするときに、同時に、どういう形で説明をするかということに関わってくると思いますので、一概にはご返事できないと思います。
○福井座長 先生がおっしゃったバンクに入れるということと、バンクとは無関係に予見可能なことは将来のことであっても十分説明した上で、でも予見不可能なことが将来起こって、違う目的で個人が同定できない形の試料を使わせてもらうという場合も当然起こってくるわけです。これは、バイオバンク以外の所でもです。そういうことも考えると、バイオバンクだからというよりも、どういう手順でという方が普遍性がある考え方ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○位田委員 いろいろな形で議論をしないといけないと思っています。田代委員の御質問に対する私の答えでは、恐らく福井座長の質問には多分答えていません。私が想定しているバイオバンクというのは、連結可能匿名化で、サンプルと情報を入れる。それについて、いろいろな研究に使う場合を想定しています。
 座長の質問の中で、連結不可能にした場合にどうなのかということが入っていたと思います。連結不可能匿名化をした試料については、恐らく再同意を取るといっても、連結不可能になっているわけですから当然取れない状況があります。アメリカでは、連結不可能匿名化にすると、いわゆる何にでも使っていいという取扱いがなされています。
 日本では、まだそこまで議論を進めていないので、連結不可能匿名化にしたときにどうするかということの方をまず先に議論をして、連結不可能匿名化であれば、例えば提供者から、あなたの試料を頂けば、一時的にはこの研究に使うけれども、しかしその後は連結不可能匿名化にして、連結不可能匿名化にするとあなたにはたどれないので、したがって様々な研究に使われる可能性がありますと。例えば、あなたのがん細胞であればがんの様々な研究に使われるでしょうという話もできるでしょう。血液であれば、研究の幅を特定しないで、今後新しい研究なり、新しい目的の研究が出てくるだろうということも説明をして、その上で連結不可能匿名化にするから他目的利用というか、今後の様々な利用に提供していただけますかという同意の取り方はあり得るのではないかと思っています。思っていますが、そこのところはまだ突き詰めて結論を出しているわけではありませんので、そこはきちんと議論する必要はあると思います。
○宮田委員 議論の枠組みをもうちょっと明確にしていただかないと、皆さんが暗黙の上で前提にしている前提が随分違います。位田先生がおっしゃったことは非常に重要なものなので、これを整理するときに、2番目に「研究の特徴に応じて」と書いてあるのですが、その辺のことをもう少し整理して、精密に議論しないと、枠組みそのものがおかしくなってしまう。
 例えば、今年の3月ぐらいに、ヒーラ細胞の全ゲノム解析のペーパーがエンブルムグループから発表されました。それに対して、ヒーラさんはもうお亡くなりになっているので、御遺族から情報の公開に差止めが出されて、結局データベースの中からその遺伝情報が削除されるという状況が出ています。これは、正にヒーラ細胞という名前を付けてしまったので、連結可能になってしまったために起こったことなのです。ですから、そういうことも含めて議論しなければいけません。
 一方、これは失敗しましたけれども、アイスランドでジェネティックなデータベースを作って、それを匿名化して、保険会社とかロッシュなどの製薬会社に活用するという場合がありました。そこに行って調べたことがあります。彼らのデータベースは、連結不可能匿名化にはなっていますけれども、例えば新宿区に住んでいて、ジャーナリストで、はげていてという辺りになってくると、だんだん自分に近付いてきます。12名以下の検索結果は表示しないようなプロテクションが掛かっています。そういう意味では、ここでお話されることはすごく重要なので、いろいろなケースを想定していただいて、この場合はこうしよう、この場合はこうしよう、この場合はこうしよう、ただし原則としてはこうなるのではないかという議論をした方がいいと思います。
 今までに決まったことは、原則統合しようというところまでが決まったと思っていますので、その辺をもうちょっとステップ・バイ・ステップにかみ砕いて議論しないと、皆さん中途半端な納得のまま、この指針ができてしまって、曖昧さが必ず残るような懸念を抱いています。
○福井座長 一つ一つの項目に全て、いろいろな場面を羅列して検討する時間がありませんので申し訳ないのですけれども、今ぐらいの時間の割き方で、取りあえず進めさせていただいて、また戻ってきたいと思います。そのときに必要に応じて、どの程度まで個別事例のディスカッションをするかというのは相談させていただきたいと思います。この部分で、2つ目の二次利用と、包括同意について御意見はありますか。
○山縣委員 ここの所は、宮田委員が言われたように大切な部分だと思います。この4月から施行されているゲノムの指針では、連結可能匿名化であっても、それが対応表のない施設では連結不可能匿名化として扱われるような指針が出ています。具体的に文言としては、この見直しに当たる検討事項としては出ていませんが、玉腰委員からもあったような、今後こういうデータをデータベース・データアーカイブにする際に、それをどのように考えていくのか。今後の研究に関してはそういうものも含めたインフォームド・コンセントを取ればという話はあると思うのです。過去の貴重なデータを、もう少し活用する、二次利用するという場合にどう考えるかということがあるので、この連結不可能にした場合に、その試料はどのように取り扱われるのかということに関しては、原則をきちんと改めて確認しておく必要があると思います。
○児玉委員 確認なのですけれども、「目的外自己利用」という言葉があるのですか。
○伊藤安全対策官 特にそれがあるというわけではなくて、目的外利用のときに自ら利用するのと、第三者提供があるというのを、できるだけ語数を短くするというだけで使いました。これについては全然こだわってはいません。
○児玉委員 分かりました。若干分かりにくいから、「目的外利用」と言ったら、普通はそれで大丈夫かと思ったのですが、また言葉について定義が必要になってくるかと思いました。
○田代委員 包括同意という言い方が余りよくないのであれば、その他の言葉でもいいと思います。山縣委員のお話にもあったのですが、私自身は当然最初の段階では、その時点で具体的に分かるものはきちんと説明するというのはそうだと思うのです。ここの話は、どちらかというと、試料の利用とか保存に関する項目をどう考えるかということに関わっています。現時点では、最初にすごく丁寧にいろいろなことを説明して、例えばそういうバンク的なものに入れた場合であっても、山縣委員が言われたように、今までは特にそういう同意を取っていない、いわゆる ”stored sample” を使う場合であっても、両者の場合分けが全くないままに、1つのルールになっています。そういう意味では、私は個人的にはここの部分に関しては、どのぐらいの条件でそういう将来の研究利用を認めるのか認めないのかという議論はあって良いと思うのです。そういう将来の研究利用についての同意を得ているサンプルについてどのような扱いをするのかということと、全くそういうものがなくて、急にこれから研究利用しようとする場合とはちょっと状況が違います。その場合分けをきちんとしていただきたいというか、したいと思っています。これは意見です。
○福井座長 その方向で恐らく議論が進むのではないかと思います。
○宮田委員 包括同意をすれば、ゲノム指針のときにもいろいろ考えさせられましたけれども、基本的に研究を進めるためにはそっちの方向が好ましいとは思うのです。ただ、自分のことに振り返ってみれば、いくらでもゲノムは差し上げますけれども、ただし、自分の親族にも関わる情報になります。例えば精神疾患の研究だけはやめてくれみたいな需要は当然あるだろうと思うのです。
 そうすると、今回の議論の枠組みで、連結可能・連結不可能性がありました。それから介入・非介入の問題、観察研究及び介入研究の差がありました。もう1つあるのはオプトインとオプトアウトではないかと思っています。そのような枠組みで議論を整理していただきたいと思います。そういう意味では、知りたくない自由とか、知りたくない権利ということは絶対にありますので、医学研究にとっては必要かもしれませんけれども、それを知った上でもいいではないかという患者さんの同意が前提であると思っています。
 ジャーナリストですから、1つ嫌なことを言わせていただきます。今までの皆さんの議論は、今村さんがおっしゃった研究者の立場の議論が多いので、何か我々にとっては、なぜ皆さんが、そんなに血とか細胞を欲しいのかというのを理解しない国民を前に、このガイドラインが作られています。したがって、このガイドラインを遵守したつもりでも、訴訟が起こって、遵守した研究者が負ける可能性だって十分あると思うのです。その辺を含め、このガイドラインの在り方、文言だけではなくて、このガイドラインをどうやって国民に理解していただくかという努力義務もないと、ここで議論されているものが何となく空しくなってしまう気もしています。ですから、実効性をそのガイドラインが持つために、並べ方の問題とか、表現の問題も含め、国民がよく理解した上で、こういうものが機能することも1項目どこかに入れるか、序文に入れていただきたいと思います。
○後藤委員 私も、今のと同じようなことをずっと感じていました。このガイドラインが何のために必要なのかというと、研究者を守るためもあるかもしれませんが、やはり研究に参加する人々を守るということです。私は、しばらく伺っていなかったので、そういう方向性で議論されているかと思うのですが、特にインフォームド・コンセントに関しては、何のためにインフォームド・コンセントを取らなければいけないのかということについて、被験者というのかその対象となるインフォームド・コンセントを行う人に向けて、何かメッセージが発せられるような文言を入れて、そういう視点から、先ほどの「原則にする」とか、「しなければならない」という文言についても考えたときに、やはり「しなければならない」という文言にしておいた方が、インフォームド・コンセントをする立場からは望ましいという気がいたします。
○藤原委員 宮田委員がおっしゃっている被験者とか参加される国民へのメッセージという観点からすると、現行の臨床研究倫理指針も、疫学研究倫理指針も、ヒトゲノム指針も、確か前の臨床研究倫理指針の改訂のときに入ったと記憶しているのですけれども、「被験者の人間の尊厳及び人権を守るとともに」という言葉がしっかり前文に入っています。それを更に踏み込んで何か必要だと考えているのかをお聞きします。
○宮田委員 その文言は非常に素晴らしいのですけれども、思考停止を招く可能性もあります。一番重要なのは、もっと国民と一緒に、こういう臨床研究を盛り立てていこうということを、この倫理指針というものは含んでいるというメッセージが欲しいと。つまり、これはどっちかというと、お医者さんとか研究者のためだけの指針であるということがうたわれている。どっちかというと、今の表現は上から目線の表現なので、できれば国民が参画できるような形の臨床研究とした方が、そろそろ皆さん研究がしやすくなるのではないかと思っています。
○田代委員 誤解を招くとあれだったのですが、宮田委員から、この二次利用のやりやすさの話も、研究者目線の話ではないかと言われましたが、確かにそういうところはあると思うのです。また私の個人的な感覚でも、当然介入研究であったり、試料を提供するときには、最初の時点において丁寧な説明を是非受けて同意したいという気持はあります。
 しかし、一度渡したサンプルについて、これは価値観によって分かれると思うのですが、毎回毎回その使い道について承諾を求められたいと思う人と、そうではない人がいると思うのです。今の考え方としては、基本的に毎回承諾を求める形になっていて、私の価値観では、一度いろいろなことに使ってくださいということで渡したものについては、私自身はそれで使っていただいても、少なくともどのように使われているかが分かれば、それで納得できると思っています。
 そういう意味では、研究者目線からそういうことを言っているわけではなくて、当然最初に試料を渡す時点であったり、介入研究や臨床試験に入る場合については、懇切丁寧な説明・同意があって、それでずうっとやっていくというのは分かります。しかしすでに提供した試料が他の目的に使われることについて、毎回毎回連絡をしてもらいたいかと言われると、提供した立場としても別にそうは思わないという人が半分ぐらいはいるので、それは認めてもいいのではないか、という趣旨での発言でした。
○宮田委員 私は、オーダーメイド医療実現化計画推進委員もやっていたので、おっしゃることは当然承知のことです。毎回の同意が事実上不可能であるということは分かった上で申し上げております。議論をごちゃごちゃにしないでいただきたいのですけれども、手続の問題ではなくて、オプトイン、オプトアウトなのかという、本質的な問題です。その場合に、許諾を得ることに関して、私の情報に関してはこれはやってはいけない、やってほしくないということを含めるかどうかというのはすごく重要なことだと思います。そこは重要ですよね、そこは分かりますよね。
○田代委員 もちろんそうです。
○宮田委員 そこは分かりますよね。基本的にそのような議論をしたいということが1つです。手続の問題ではありません。一回一回のインフォームド・コンセントを義務付けした結果、皆さんの臨床研究や疫学研究がフリーズしてしまったことはよく分かっているので、ここの部分はしっかり今回の改訂では前に進めたいと私も思っています。それは是非御理解いただきたいのです。
 この指針の中に、国民の啓発とかそういうものが、実は臨床研究、疫学研究をする人の義務であるというような項目が少し少ないのではないか。国民もこういうことに対して関心を持ってもらいたい、というメッセージがある程度どこかに新項目として入れたら、少し指針の性格が変わるかなという、この2点を言及したのであります。その手続の所は私はすごくよく分かったので、こんな馬鹿なことを毎回インフォームド・コンセントを取るようなことで、見かけ上できるような形をしていないという問題は、学問的に不誠実だと思っていますので、それに関してはおっしゃるとおりだと思います。
○跡見委員 宮田さんから、最初にも、インフォームド・コンセントを形式的に出しているのではないかという指摘を受けました。インフォームド・コンセントの今度のガイドラインそのものが出てきた経過を見ると、昔は医師の、医療側の、研究者側の裁量権でどんどんやっていたものを、そうではないのだというしっかりした歯止めを掛けるというのが、宮田さんに対する答えとして、これは医師、研究者側が遵守すべきこと。どちらかというと被験者、患者さん側の立場に立っていないということは、出てきたいきさつからやむを得ないと思うのです。こんな難しいことは、我々が読んでもよく分からない言葉がずうっと羅列してあるのを、患者さん側に、この立場に立って、これを読ませるというのは無理だろうと思うのです。
 多くのガイドラインがみんなそうですけれども、普通の研究者側、医師側のガイドラインと、被験者側のガイドラインというのはきちんと2つあるべきなのです。それを、今回のガイドラインの改訂にそこまで持ち込むというのは無理だろうと思います。だから、きちんとした被験者側のガイドラインこそが厚労省、文科省の責任で作らないと解決しないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○宮田委員 先生のおっしゃるとおりで、別の所でも同じような議論を先生とさせていただいたことがあります。今回の改訂でそこまでやるのは時間的にも、ここに並んでいる委員のキャパシティからも無理だと思いますので、次回に期待をしたいのです。今回の中でも、それのストーリーをプレリュードみたいな文言をどこかに入れておくべきだろうと。そうでないと忘れてしまうのです、その次の改訂のときに。そうでないと、いろいろな法律の状況が変わってきて、ただその法律にアダプテーションするためだけの改訂になってしまうので、やはり次の思想上の改訂を、私たちは次の次ぐらいの改訂で廃退するような種をここに埋めておきたいと思っています。余り贅沢なことは言わないので、1行でいいからそういうものを盛り込んでいただきたいと思います。
○福井座長 この項目で本日は終わりそうになってしまいましたが、川村先生いかがですか。
○川村委員 前回のこの会議で全体の構成を提示したときに、冒頭の共通項について説明して、まずは法律がないので、背景とか目的といったものをしっかりうたった方がよい、ということを申し上げました。その中で、人の医療の根拠というエビデンスは人からしか生まれないということ。それは生身の人を対象にして得られた成果なので、十分人権の尊重、個人の尊厳ということが要るということを前文にうたってはどうかと提示させていただきました。前文の充実ということは、理解を得るためにも必須なことと考えております。
○福井座長 それは、そのように配慮したいと思います。
○楠岡座長代理 宮田委員からの指摘もあるのですが、インフォームド・コンセントに関してはここ以外にあとはありませんのでちょっと。項目等に関しては、現在の倫理指針や今の御議論の中でいいと思うのです。要はその項目をどう書き表すか。要するに、被験者にどう理解していただくかというところが一番重要な点で、正にそれはインフォームド・コンセントの一番もとの所で、当然それは共通認識としてあるはずです。しかし、丁寧な説明というのが、しばしばくどい説明になって、患者さんにとってはよく分からないままになるとか、難しい言葉にやたらと注が付いているばかりの形になってしまって、とても読む気にならないという問題があります。これは、どちらかというと運用であり、またIRB審査での問題とは思うのですけれども、単に項目をそろえるということではなくて、それが実際に読む方に伝わる、正に先ほど来宮田さんがおっしゃっているような所に関しては、指針として書き込むのは非常に難しいのですけれども、当然そういうことは念頭に置くべき、ということは共通認識としてどこかにあった方がいいのではないかと思います。
 それがないと、それこそ仏作って魂入れずみたいな形になってしまって、ただ書いてあるのを読んだの読まなかったの、サインしたろうしなかっただろうという議論になってしまって、殺伐となってしまうかもしれません。その点だけICに関しては付け加えていきたいと思います。
○福井座長 次の論点とも関わりますので移らせていただきます。論点4-2について説明をお願いいたします。
○伊藤安全対策官 それでは、資料4-1の7ページを御覧ください。2つ目の論点は、「統合後の指針におけるインフォームド・コンセントの取扱いについて、簡略化・免除の要件も含め、どのような観点に基づいて類型化・整理していくのが適切か」ということです。
 まず、現状について御説明します。資料6の資料4-1参考?を御覧ください。まず1枚目ですが、試料・情報、両指針において、試料と情報の両方を合わせたものを、疫学の指針では、「資格」の「資」を使って「資料」と。臨床研究指針においては「試みる」の「試」を使って「試料等」として定義しています。この試料・情報について、一定のものについては既存試料・情報という形で概念整理をしております。また、情報については、個人情報と、匿名化したものについて個人情報に該当しない情報という形の整理もできます。個人情報については、個人情報の保護に関する規定が、その指針の中にいろいろと規定されています。
 続いて2枚目の資料を御覧ください。現行指針におけるインフォームド・コンセントの取扱いについて、利用行為ごとに2枚目から4枚目にかけて整理しております。
 1つ目は、試料・情報を取得する場合です。こちらは疫学研究指針、臨床研究指針ごとに、その類型化の要素、これは研究内容に応じた場合分けですが、その場合分けに応じて、インフォームド・コンセントの取扱いのレベル・方法がどうなっているかを表にして整理したものです。例えば、疫学研究においていろいろと場合分けを行って、介入研究して人体採取試料を用いる、そして侵襲性があるような場合には、文書説明を行って文書で同意を得ることを原則とすると。そのほかの場合分けに応じては、説明・同意を得ないで、例えば口頭同意で記録作成、あるいは情報公開をきちんとしていればよいと。それにオプトアウト式で提供者が拒否を可能とする。こういった要件をいろいろと定めていればいいという形で、場合分けがされております。
 3枚目の資料です。こちらについては、既存試料を自ら目的外利用する場合について整理しております。こちらは、人体から採取した試料についての規定ですが、これは臨床研究指針の方については情報についても含まれていますので訂正させていただきます。原則は、同意を得て記録作成をすることなのですが、匿名化をする場合や、あるいは匿名化がなくても一定の場合においては倫理審査委員会の承認を得て、長の許可を得るとか、あるいは、その情報公開をしておくとか、こういったことを前提にして、同意についての簡略化免除が図られております。
 4枚目の資料は、第三者提供する場合です。こちらも原則は同意記録作成ですが、一定の要件のときに簡略化免除を認めております。
 5枚目の資料です。現行の指針においてインフォームド・コンセントの取扱いについて、どのような研究内容に応じて場合分けがされているかについて整理しております。疫学/臨床研究、あるいは介入/観察、人体採取試料の使用や侵襲性というようなことがいろいろと整理されています。
 資料4-1にお戻りください。8ページ「現状と課題」として、試料・情報の取得については、現行指針において、ただいま御説明しましたように、介入/観察や侵襲性の有無などといった要素で類型化・整理されております。また、2つ目ですが、既存試料・情報の目的以外で自ら利用する場合、あるいは第三者提供については、匿名性の有無や人体採取試料を用いるかといった要素で類型化・整理されております。また、類型化の要素である介入、観察の定義は、指針間で異っていまして、また、侵襲性については、両指針とも明確な定義はありません。
 9ページです。「検討のポイント」としては、現行の指針における類型化の要素、あるいはインフォームド・コンセントの取扱いについて見直す必要があるか。あるいは、以下の行為についてどのような観点からの場合分けが必要か。先ほど申し上げたとおり、3つの行為に場合分けして、試料・情報を新たに取得する場合、これは研究参加のときのことを念頭に置いていますが、あるいは、目的外として自らが利用する場合、第三者に提供する場合と。あるいは子どもや高齢者、被災者等特別な配慮を要する者を研究対象とする場合にインフォームド・コンセントの要件を厳格にすべきか、といったようなポイントが挙げられます。
 「見直しの方向性」については2つに整理しております。1つ目は、統合後の指針においてインフォームド・コンセントの取扱いに関する類型化の要素は、統一した考え方で整理してはどうか。例えば、試料・情報を取得する場合については、研究によって上乗せされるリスクや、負担の程度に応じて3段階程度に類型化した上で。これは、前回の会議でも田代委員からも、そういった形で例が示されていますが、3段階程度に類型化した上でインフォームド・コンセントの内容や、文書による同意の必要性などを具体的に整理することとしてはどうかというのが1つ目です。
 2つ目としては、試料・情報を取得する場合、先ほど例に上げましたが、これとは別に、自らがほかの研究目的に利用する場合や第三者に提供する場合におけるインフォームド・コンセントの要件を整理してはどうかということです。以上です。
○福井座長 ありがとうございます。ただいまの御説明について何か御意見、御質問はありますか。
○祖父江委員 ICの取扱いについての簡略化免除を行う際に、どうしてそういうことを行うかという理由に関して、両指針とも余りきちんと書いていないと思うのです。疫学指針の方は、そういうことをすることが難しい、そういうことができない場合という書き方をしてあって、臨床研究の方は、多様な形態の研究があるからという書き方をしてあります。
 研究者目線の発言になってしまいますが、こういう簡略化・免除をする最大の理由は、個人同意取得をすることで、選択バイヤス等の関与が大きくなって、研究の質が下がるから、それを防ぐために簡略化・免除を行うという、この理由を書いてほしいのです。
 そうでないと、やはり研究者がさぼっているみたいなイメージが、簡略化・免除に、何となく付け加えられていて、倫理審査の委員の先生方が、「同意が取れるのだったら、もう取った方がいいんじゃない」という方に、どうしても偏るのです。そうではなくて、もっと積極的に研究の質を上げるためにこういう行為をしているのだという理由を、この指針の中に書いてほしいと思います。
○新保委員 類型化を考えるときに、現状で、リスクの問題が余り書かれていないような気がしています。臨床研究の倫理指針では、基本的にある程度のリスクがあるだろうという前提で記載されていると思うのですが、疫学研究では非常に幅広くなります。これを統合しようとするときに、リスクに関して、ある程度考慮する。観察という行為に関しては、試料の採取等で侵襲性等というリスク関連の記載があるのですが、介入の過程でのリスクに関しても、ある程度考慮しておく必要があるのではないかという気がしています。
 それから、既存試料の第三者提供ですが、現状の指針の中で、研究者の定義の中で、「既存試料等の提供を行う者であって、当該提供以外に疫学研究に関与しない者」は研究者の定義から省かれるような記載もありますので、そことの整合性は、少し考えた方がいいのかなという気がしています。
○福井座長 研究者の記載はどこですか。
○新保委員 「既存試料等の提供を行う者であって、当該提供以外に疫学研究に関与しない者を除く」という記載があるかと思うのです。
○福井座長 ありがとうございます。ほかには御意見ございませんでしょうか。
○位田委員 今、祖父江委員のおっしゃった、研究の質を上げるためにインフォームド・コンセントを簡略化するというのが、一般の人が聞いていて分かるのだろうかという気がするのですけれども、その辺りはどういうふうに説明をされるか。その論理の筋道です。
○祖父江委員 論理ですか。ですから、同意のレベルを上げることで同意率が下がる。研究の目的が、対象者、母集団全体の割合を推定するような研究であった場合、同意率が下がると、その母集団での割合を推定する精度が下がる。そういう、精度を下げるのを防ぐために、同意率を上げる。上げるために個人同意の文書による同意の取得ではなく、やりやすい形での同意というか、あるいは同意を免除した形での既存の試料を使うなどといった形での研究をする。そういうことでの質を上げるということが、同意のレベルとバランスをとって行われた方がいいのではないかという意味です。
○位田委員 要するに、同意の数が減ると、サンプルの数が減ってしまう。若しくは情報の数が減ってしまうという趣旨ですよね。
○祖父江委員 というか、バイヤスが入るという意味です。単に数が減るだけだったら、別に構わないです。
○位田委員 ですから、私がよく分からないところは、先生がおっしゃったことは、研究者の側ではそれなりに論理が通っているかもしれないのですが、十分に説明をして理解してもらうというのが、基本的にきちんとインフォームド・コンセントを取りましょうという話だと思うのです。それを簡略化することによって、では、なぜ同意の率が上がるのだろうかというのが少し疑問があるのです。つまり、手続を簡略化したから同意の率が上がるという理屈が、私はよく分からないのです。しかもまた、バイヤスがかかるという話も。免除してしまうというのはよく分かります。免除するということは、要するに最初から同意をこれ以上取らない可能性もありますよということで話が始まるというのは分かるのですが、最初にきちんと、例えば100%説明をして同意をいただく、という原則があって、それに対して、簡略化すれば、同意の率が上がる、下がる、という話は、その簡略化と論理的に直接結びつかないと思うのですが。
○津金委員 研究の質が上がるというのは、自分たちの研究を良くしたいという意味ではないのです。その研究をすることによって、国民に役立つ、要するに成果が国民に返る、公衆衛生の向上に役に立つ、それを目指している。飽くまでも、目指しているのは、自分たちが研究して、いい論文を書いて、いいジャーナルに投稿したいわけではなくて、そのやった研究が国民に役に立つか役に立たないか。研究の質が下がるということは役に立たなくなってしまう。そんな研究は、やっても仕様がない。そういう研究をやる方が、かえって倫理的に問題である。そういう意味で、祖父江先生は言ったのだと思います。そうですよね。
○祖父江委員 確かに位田先生がおっしゃるように、同意のプロセスを簡略化することで同意率が上がるかという、そういうことでもなくて、やはり、同意を免除することで、完全にプロセスを省くことで、同意取得によるバイヤスを防ぐと。そこが一番ポイントだと思います。
○津金委員 バイアスを減らすというのは、何のためにバイアスを減らすか。
○丸山委員 今、祖父江委員がおっしゃったことと同じことなのですが、研究者は研究対象を、なるべくそのままの形で把握したいとされている一方、同意要件を課すとか、あるいは簡略化であっても、一定のプロセスを経ることを求めることによって、対象そのものの形ではなくて、その割合が異なってくるということを危惧されているのではないでしょうか。本来の対象の質的分布というか、それが同意を求めることによって分布が異なってくることを危惧されているのではないか。
○跡見委員 今の議論は、恐らく同意を取ることはどんなことにも行うので、成り立たない議論ではないかと思います。祖父江先生がおっしゃったような議論は、バイヤスがかかるということに関しては、もう、同意を取るというのは1つの集団を対象として行うのが今回の研究ですから、その議論は、全て同意を取ることでバイヤスがかかるということは、もう成り立たない。全ての研究が成り立たなくなってしまうということですから。そこのことは余り議論しなくていいだろうと思いますけれども。
 重要なのは、先ほどおっしゃったように、研究そのものが、研究者のペーパーを書くためにやっているのではなくて、国民のためになる研究をするために、たくさんの集団を対象としたいということだろうと思うのです。そういう視点で検討すればいいのではないでしょうか。
○田代委員 祖父江先生がおっしゃった簡略化の理由として、確かに場合によっては全数調査のようなことをしなくてはいけないことがあるというのは分かります。ただ、基本的に今の指針の考え方で一番大きいのはオプトインかオプトアウトかだと思うのですが、要はオプトアウトにしているものは、上乗せされるリスクや負担がほとんどないものだと思うのです。ですから、それを理由に、結局ほとんどの方が実際に頼んでみても同意するだろうという前提が成り立つものについては、簡略化を認めてオプトアウトにしているのだと理解しています。
 逆に言うと、そうではなくて、何らかの負担やリスクが伴うのであれば、それはやはり自分で選びたいということが出てくるので、それはオプトインでいこうというのが基本的な考え方だと思います。もっとも、疫学の研究などで、ある種の全数調査的なことをしないと意味がなくなるような場合に、例外があり得ると思うのですが、基本的な簡略化の要件は、先ほど言ったような、ほとんどの方が、頼めば同意してくれるだろうというような、リスクや負担がほとんどないものなのか、それともそうではないのかという理由なのだと理解しています。
○宮田委員 1つ付け加えると、リスクだけではなくて、先ほど位田先生がおっしゃったことにも通じるのですが、所有という問題があります。自分たちの情報を自分たちが所有する。これが、個人情報保護法の法の精神ですから。そういったものが、今、成立している日本社会で、リスクだけでは処断できません。
○山縣委員 今の宮田委員の論点もとても大切で、前もここで少しお話しましたが、例えばこういう医療情報のようなものが、そういった個の個益としてのものと、公益としてのものの考え方が、やはり議論する必要がある。まあ、ここでするのか、どこでするのかだと思うのですが。それによって、今、宮田委員の言われたような、誰のものなのかというところにもかかわってくるのだろうと思います。
○宮田委員 誤解されるといけないので。私も、実は医療情報などはパブリック・コモンズだと思っているのです。ですが、それをきちんと、こういうガイドラインや法律に表現するためには、まだ国民の理解が不足なので、そういったことを次の次ぐらいに作るための種を、まあ、少し違うのかもしれませんが、ここで皆さんと議論しておいた方がいいのではないかと、実は思っているわけです。
○福井座長 まさに本質的な点だと思います。患者個人に何の実害もないと思われるから、その人の情報をパブリックのために使っていいのかどうかという話にもなります。以前は、結構そういう考え方で研究をやってきた場合があったかもしれませんが、現在はそこに強いブレーキが掛かっていて、どこに線を引いたらいいのか分からなくなってきていると思います。
 私からも、祖父江先生と津金先生がおっしゃったことに少しだけ意見を述べさせていただきます。せっかく国民のために役立つという信念の下で行っている研究であっても、あるレベルを超えてバイアスが入った情報になってしまうと、もうそれは役に立たない、又は違った結論さえ導いてしまいます。研究する立場の者は、できるだけ科学性が高くて世界のトップジャーナルにアクセプトをされるような、質の高いデータを収集したいという意識を持っているのも事実です。そして、それが国民のため、世界の人のためになるということだと思います。
○川村委員 このあとの坂本先生からのこともあるのですが、免除、若しくは簡略化については、1つは困難である、取得をすること自体が困難であるので緩めるというのと、もう1つは、それによって、今、福井先生も言われたような、研究としての妥当性が損なわれるという、2つの側面があるかと思います。それと、先ほど御提示があった、ほとんど手続上同意が得られるであろうから、簡略化しても差し支えないということと、また次元が違ってくると思うのです。
 今の考え方でいけば、基本的には、ほとんどの人から同意が得られるであろうからオプトアウトで差し支えないというのがベースにあった上で、そうなると、現実問題として取得ができない、若しくは、取得することによって著しく妥当性が損なわれる恐れがあるものについては、個別に、あるいはそれを総称する形で指定しないといけないかもしれない。例えば、国勢調査や人口動態統計などが法律で義務付けられている。あるいは、がん登録などについては都道府県の条例で制度化されるというようなことで、必ずしも本人の同意を得なくてもよいという状況になる。それには正当な目的があって義務化されているというところもありますので、本当にウェイバーが必要であれば、そこはそれが明確に、何らかの形で担保されるというか規定される形にすることが、今の考え方では必要なのかもしれないと思います。
○児玉委員 先ほどの話で、国民のため国民のためという話があったのですが、たしかに大体の科学者の方は国民のために研究していると思うのです。ただ、恐らくそうでない研究者が一部いるからこそ、こういう倫理指針が重要になってくるのではないかと思うのです。ですので、国民のためでもあるのですが、被検者保護についてもしっかり考えてバランスのとれた指針にする必要があると思います。
 今、川村委員がおっしゃったような、科学的な妥当性や、現実的に見て同意を取るのはほぼ不可能というか、それではできない種類の研究については、倫理委員会での十分な検討を要件にすべきです。つまり、倫理委員会で正当化というか、理由をきちんと説明するということを、簡略化や免除の要件とすべきかと思います。
○丸山委員 4-2の2番目の中に含まれている問題なのですが、今の問題とは違うことでもよろしいですか。
○福井座長 はい、どうぞ。
○丸山委員 介入の定義なのですが、それについて疫学指針と臨床指針が違うのです。この違いが、結構これまでの資料でも、資料を作られた方がどちらの線で理解されているかで異なる内容になっていますので、少し整理いただけたらと思うのですが、本日、介入の定義について並べた資料はないのですね。なければ、この分厚い資料で出させていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
○福井座長 どうぞ。
○丸山委員 疫学指針の20ページの下から10行目ぐらいに介入研究の定義があります。臨床研究の方は。
○福井座長 すみません、先生、もう一度お願いします。フォローできませんでした。
○丸山委員 疫学指針の20ページの下から10行目ぐらいの所に、介入研究の定義の規定があります。それと比べていただきたいのですが、臨床指針の3ページの真ん中辺りの(2)に。
○伊藤安全対策官 すみません、その部分については、紙ファイルの中の「疫学指針から見た臨床指針」ということで、両方を対象にセットした参考資料がございます。「疫学指針から見た臨床指針」という資料の22ページを御覧いただくと、両方の指針の比較表として、介入研究が両方とも記載されています。
○丸山委員 同じなのでどちらで御覧いただいても構わないのですが、臨床指針の方の最初の方に、通常の診療を超えた医療行為であって、研究目的で実施するものが含まれていれば、介入になると定められています。これだと、少し神経質に考えると、研究目的で採血をするということであれば、介入研究になってしまうのですが、研究目的で採血するのは通常、観察というふうにイメージしていると思います。疫学研究ではそういう扱いにしております。研究目的で採血するのは観察と扱っている、臨床指針でもそのような把握をしているというのは、インフォームド・コンセントのところで観察研究の場合、人体から採取された試料を用いるというカテゴリーがありますので、そういうものがイメージされていると思います。この臨床指針の介入の定義の?は疫学研究の定義とも共通しているもので、普通の介入の概念だろうと思うのですが、?はちょっと問題があるのではないかと思います。この辺りは医学の基礎的な学識がないもので、医学の分野の先生はいかがなものでしょうか。
○川村委員 この書き方は、倫理指針のために書かれたもので、あまりよく現状を把握できていない、少なくともエレガントには書かれていないように思うのです。ヒトを対象とした研究の中で、記述研究を除くと、エクスポージャーファクター、(ばく露要因)と転帰(アウトカム)との関係を調べるということが、ヒトを対象とした研究の主要なやり方になります。その中で、エクスポージャーを研究者がコントロールするかしないかということになります。エクスポージャーを研究者がコントロールすることを「介入」と言って、コントロールしないで自然の成り行きに、あるいは主治医や患者さんの好みに任せておくのを「非介入」と言っているのであって、ここは、その具体例を書いているうちに、治療行為の方、介入のことを考えているうちに、観察で行う侵襲のある行為まで読めてしまうような記述になったと思います。やはり共通の理解として、ばく露させる要因、治療や生活習慣を含めて、ばく露要因を研究者がコントロールするかどうかが介入の有無であると整理するとよろしいかと思います。
○福井座長 採血かどうかというのは、侵襲性を認めるかどうかという話ですね。
○川村委員 そうです。採血は通常はアウトカムの観察で使うことであって、あるいはベースラインの測定のこともありますが、それは介入か介入でないかとは全く関係がない話で、侵襲があるかどうかという話になるかと思います。
○丸山委員 今、川村先生がおっしゃったところは、やはり疫学指針の定義に適合する御説明だと思うので、私もそちらでまとめていただければと思っているのですが、臨床指針のこの規定は、現場で結構誤解されて、医療のためのとか検査のための医療行為が含まれているときに、介入だととらえて、介入研究の厳しい要件を適用されている場合がありますので、少し注意して、これからあとをお願いできればと思います。
○福井座長 ありがとうございました。重要なポイントだと思います。
○門脇委員 先ほどの、社会や公共の利益と個人の尊厳の問題の関係について、議論が少し気になったので、私の立場からもう一度整理をするというか、私の意見を述べたいと思います。研究によって、科学的な真実を明らかにすることが、公共や社会の利益になるという点と、もう1つは、個人の尊厳、権利を守り、リスクを最小限にするということは、何かバランスをとるべき問題として考えるべきではないと思うのです。これまでの臨床研究の指針の前文にも、そのような、バランスをとるという考え方はなくて、これは両立させなくてはいけないと。もし両立しない場合には、研究による利益よりも個人の尊厳や権利を優先させるということが明確に書いてあるのです。
 ですから、我々のやるべきことは、個人の尊厳や権利を守り、リスクを最小限にするということを保障するために、同意や納得ということをするわけですが、先ほどから議論されているように、大部分の人が、同意や納得をするだろうと、したがって、人権や尊厳が守られるだろうという項目について、その同意や納得のプロセスを省略することはあり得るわけですが、そのような状況においても、先ほど宮田委員からありましたように、「私はそれには同意や納得はしない」という人は必ず、少数意見であってもいるわけですから、その人の人権は当然尊重されなくてはいけないわけでそれを尊重するために、こういう研究に使いますよということが公示されて、いつでも、私はそれに参加したくないという少数意見の方の権利や尊厳が担保されるということが前提の下で、そういうプロセスをとれば、決して、個人の尊厳と研究による公共の利益とのバランスをとるということではなくて、両立させることが出来ることになります。
○福井座長 おっしゃるとおりだと思いますが、いかがでしょうか。
○位田委員 今の御指摘は非常に重要だと思うのです。その観点からしても、4-2は「簡略化・免除の要件を含め」とあるのですが、場合によっては「詳細化」や「明確化」といった部分も考えに入れるべきではないかと思います。何か、簡単にしよう簡単にしようという方向ばかりの話になっているので、それでは、正に国民の目線から随分離れてしまう気がします。
○宮田委員 最後に、ちょっとくどいのですが。そのとおりだと思います。門脇先生の見事な御指摘だと思いますけれども、ただ、これは実際の現場のことを考えると、インフォームド・コンセントだけがひたすら厚くなるという現状を、このガイドラインが招くことを恐れます。それは国民にとっても全然よくなくて、無駄な時間を労費させます。それから、医療研究者の意欲を減退させます。ですから、そういう意味では、これは法律ではなくてガイドラインであるということを分かった上で、現場での裁量権の必要最低限を明示することを考えないと、我々は猿のワナにはまってしまいます。ですから、先ほど、バランスはいけないと言いましたけれども、やはりある程度バランスも考えなければいけないかなと思っています。
○門脇委員 バランスという考え方は、やはり概念的に間違っていると思います。これは「両立」という考え方で臨むべきと考えます。それがどうしても両立できないときには、やはり、個人の尊厳の方が大事だということで、両立させるための知恵を我々は考え抜くわけですが、いかなる状況でも個人の尊厳や権利を犠牲にすることは決して許されないと思います。私は、そのために実務を膨大にせよと主張しているわけでは全くなくて、簡略化できる性質のものは簡略化すべきであると。それは、個人の同意や納得のプロセスを経なくても、大部分の人なら同意し、納得し、結果的に尊厳や権利が侵されない性質のものについては簡略化すべきだと思います。
 ただ、大部分の人が納得するといっても、常に少数意見のことは考えておかなくてはいけなくて、その人たちが、その研究への自分のサンプルの、あるいは情報の利用を拒否できるような形で、この仕組みを整えておくことによって、結果的には全ての人に、研究の利益と個人の尊厳を守ることが両立されるような仕組みみにする必要があると思います。
○宮田委員 理解しました。バランスという言葉は使わないようにします。それで、そのとおりですけれども、結局、今まで議論していたのは、最初に位田先生がズバッとおっしゃっていたように、原則としてオプトインであると。それで、例外を記述するという、この考え方でこの指針はまとめられるべきだという所に収束したような気がしますが、いかがでしょうか。
○福井座長 その手続というか、それを今後どうするかということにはなっていくと思いますが。
○真田委員 先ほどからずっと議論があって、今、門脇先生が、やはり個人の尊厳を第一に考えるというお話をされて、宮田先生もずっとおっしゃっていたのですが。一体、今のこの倫理指針に、なぜ患者側からの意思が尊重されないように思われるのだろうと考えたときに、今、病院で起こっていることは、実際に患者さんがインフォームド・コンセントを受けました。すごく具体的に受けました。そのときは分かりました。ですけれども、帰ってもう一回読みました。読んだら、また分からなくなりました。でも聞けません。病院に行って先生に聞きたいけれども、やはりもう一回聞けません。では、すぐ撤回になるのかとか。今言ったような、ここに書いてあるのは、いつでも撤回できるとは書いてあるのですが、やはり患者さんにもう一回、どういう形で、一回受けたけれどももう一回相談できるようなことや、あるいは、よく悩まれるのは、お断りになったあとに、本当に、断って自分が不利益を被っていないのかということを、すごく悩まれる。この2点に関して、やはり何らかの文言があってもいいのではないか。
 つまり私が申し上げたい個人の尊厳というところになってくると、やはりインフォームド・コンセントと撤回のあとに、何か患者の立場でもう1つ要るのではないか。それと、お断りになった場合の保障が何らか入れられないのかということですが、いかがでしょうか。
○福井座長 文言上は、一応、それへの対応は書かれていると思いますが、実際のやり方ということになるのかもしれません。現場での対応が、必ずしも患者さんの側に立った対応がされていないということになるのでしょうか。
○真田委員 ここの文言は入っていますでしょうが。それが。
○福井座長 インフォームド・コンセントには大体、必ずその2項目は入っています。いつでも撤回できるということと、断ったからといって不利な扱いを受けないということは、必ず入っていなくてはならない。
○真田委員 その文言は入っているのですけれども。確かに入っていますが、そのあとの保障などに関しても、今後検討しなければいけないのではないかと思ったわけです。
○山縣委員 今の倫理指針は原則を欠くということで、気持ち的には皆さん多分共通のものだと思うのですが、実際には、やはりこういった研究のベストプラクティスがどういうものなのかという実施面になってくると思うのです。少し具体的に言うと、同意を得たからあとは全部いいという形でやっていくのか、それとも、きちんと個別に、今、こういうふうな研究をやっていますということを報告していく必要があるのかなどといったことを、今は一応、公表しましょうとか、何しましょうということは書かれているのですが、では実際にそれがどこまで実施され、それが国民にまで届いているかということに関しては、必ずしもこれまで精査されてこなかった部分だと思います。そういうことも含めて、この倫理指針というよりも、それを今度は研究そのものをこれに基づいて運用していくときの方法論として、それぞれ知恵を出しながら考えていくという話なのかなと思いました。
○位田委員 ごく簡単に申します。試料の提供者に分かりやすく、というのを強調するのは非常に重要で、これこれのことを説明しなさいという書き方が、今、指針の中に入っているのですが、それを、相手は一般の人ですから、「平易に」とか「分かりやすく」などという点を書き込んで、分かりやすく説明すれば、全部を詳しく、それこそ何十ページにもなるような説明書は恐らく要らないでしょうし、患者さんも別にそれを望んではいないのだろうと思うのです。ただ、自分がどうされるのか、研究でどういう形で入っていくのかということが分かるように、それを説明するためにこれだけのことは言いなさいと書いてあるわけなので、どこかで「平易な言葉遣い」などの適当な言葉を入れれば、宮田委員のおっしゃったことも少しは緩和できるかなと思います
○楠岡座長代理 今、真田委員から指摘された点に関しては、例えば治験においては、被検者の保護に関してCRCがかかわるとか、あるいは、その薬がどういうふうになっているかというのは製薬会社からフィードバックするなどという体制があるのに対して、臨床試験においては、今、やっとそれが少し進みだしているようなところです。疫学研究になってくると、対象が多いので、なかなかそこまで手が回っていない。ここはシステムの問題であって、倫理指針にいくら書き込もうと思っても、書き込めないところではないと思います。今後、臨床試験に関する研究費の問題などいろいろにかかわってくるところだと思います。
○真田委員 ありがとうございました。では、そちらの方向でよろしいと思います。ただ、現行のインフォームド・コンセントの内容は余りにも詳し過ぎると。そして、患者さん自身が、本当に何を御自分が納得すればいいか分からない。もっともっと簡単というか、端的で、かつ、意味のあるものにしていただきたいなと。15ページあるものを家へ帰って読んで悩むというのは当然ではないかと思います。
○福井座長 ありがとうございます。申し訳ないのですが、次の項目に進みたいと思います。
 次の項目、論点4-3に入る前に、本日、参考人として御出席いただきました、一般社団法人日本救急医学会理事、帝京大学医学部教授の坂本哲也先生に、救急現場での臨床研究におけるインフォームド・コンセントの課題について御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○坂本参考人 本日、参考人として参りました日本救急学会理事、帝京大学医学部教授の坂本と申します。よろしくお願いします。
 大分時間が押しているようですので、資料4-2および参考資料3の一部を用いて、できるだけ簡単に御説明したいと思います。まず、資料4-2「救急関連学会からの要望」ですが、これは参考資料3-1にもありますように、日本救急医学会、日本小児救急医学会、日本循環器学会蘇生科学小委員会の3学会連盟で厚生労働大臣に提出した要望書です。その趣旨から御説明した後、背景を少しお話したいと思います。
 資料4-2の3ページをご参照下さい。我々救急医学に関連するものは臨床研究及び疫学研究、特に介入研究に関しての患者同意の手続について、大きな課題に直面しています。救急の現場で我々が扱う患者さんは頭部外傷、脳卒中等で意識がない患者さんが非常に多くなります。その場合は、当然ながら本人がインフォームド・コンセントの説明を受ける対象者になりえないわけです。本人の代わりに代諾者がいるかというと、そもそも代諾者を見つけることも極めて困難であることが多く、たまたま付き添って来た方が代諾者として適切なのかどうかの判断をすることも非常に難しく、あとで反対する親戚が出てきたりすることもしばしばあるわけです。
 そして、もう1つの問題は、非常に差し迫った状況下で説明をするときに、本来、通常の状況下でのインフォームド・コンセントは1日よくゆっくり考えてきてくださいとお話するのが適切なのですが、例えば5分以内に結論を出してくださいと言わざるを得ないような状況下で得たお返事、これが果たしてインフォームド・コンセントの説明と同意に当たるのかどうかという、そもそも論の問題があります。
 最後のポイントですが、研究の対象となる緊急治療が研究目的でない場合は、インフォームド・コンセントを省略して行う方が患者の利益になることもある点です。例えば典型的な例として、心臓が止まったときの電気ショックという治療があります。これは目の前で心臓が止まったら、これは電気ショックを与えると回復することもありますけれども、火傷をするだけでよくならないこともありますと、いちいち説明は一切しないのが通常です。緊急事態として有無を言わさずドンッと電気ショックをかけて、後で説明をします。ところが、これが研究として、Aという方式の電気ショックとBという電気ショックのどちらがより効果があるかをもし比較しようと思ったら、これはやはりインフォームド・コンセントが必要となるかもしれません。そうすると、通常の治療であれば即座にやれる電気ショックがインフォームド・コンセント後でないとやれない、それでは研究すること自体が既に患者に不利益を被らせてしまう可能性がある、こういう問題に直面をしています。
 要望内容は4ページにあります。今日の議論でも出ていましたが、臨床研究というのは国民の生命と健康を守り、増進を目指すために行われていると我々は認識していますし、救急医療の分野でも目的は一緒です。従って、時間的な制約が極めて厳しい救急の現場でも、社会に受け入れられる形で臨床研究が実施できるような体制を是非考えていただきたいのです。我々医療側あるいは研究者側がよしとしているだけでは、最終的に、倫理指針に従って研究を行っても国民の理解が得られず裁判で負けるような倫理指針では何ともなりませんので、倫理指針を策定するプロセスの中できちんと国民的な合意を取って、国民のためになるような研究に関してはきちんと行えるような体制をつくっていただきたいと思います。
 取りあえず半歩前進をしていただきたいことは、臨床研究の指針の中で、特に介入研究については、その場に代諾者がいることを前提としてしか想定されていません。それに対して、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令、いわゆるGCP省令に関して言えば、これは、緊急状況下で代諾者が得られない場合にどうしたらいいかということが具体的に書いてあります。適切なインフォームド・コンセントが実際に緊急状況下で適切にできるかどうかは別として、やはりそのような状況下を想定した文言をきちんと盛り込んでいただきたい、というのが我々救急医療関係者の願いです。
 5ページの参考資料3-2は、皆様御存じだと思いますが、「臨床研究に関する倫理指針」の中で、この代諾者に許可を得る場合のことに関しての手続論に関してあるわけですけれども、そもそも代諾者がいない場合や見つからない場合に関しては全く言及がされていないということで、臨床研究をしようと思うと、今この段階で壁に当たってしまうということがあります。6ページにそのようなことが書いてあります。
 更に7ページに、先ほどのGCP省令に関して言えば、これは第4節第55条の中で、被験者となるべき者及び代諾者となるべき者の同意を得ずに行うことができる。そのための条件として、8ページに5項目の条件を書いています。更にその2として9ページに、しかしそのような形で同意を得られずに行ったとしても、代諾者が現れれば可及的速やかに説明を行い、文書による同意を得るというようなことが書いてあります。最低限、このような内容は医薬品の治験だけでなく、我々の臨床研究でも必要ではないかと考えています。
 それでは実際に今まで現場でどのような問題があったかに関しては、11ページで、今までの救急医療に関する研究における幾つかの例をあげています。参考資料は後日また読んでいただきたいと思いますけれども、これまでにインフォームド・コンセントの免除ということをうたって行った研究としては、当時の山口大学の前川教授の下で行われた重症脳障害に対しての低体温療法に関する研究がありました。対象が重症脳障害ですので当然意識のない患者さんに行うということで、代諾者がいない場合には、低体温療法を始めて、あとから承諾を得るということで行いましたが、この点が非常に難しいということもあって、症例数を十分集めることがなかなか難しかったということがありました。この研究はきちんとインフォームド・コンセントの必要性とその免除をうたったということでは1つエポックであったと思います。
 一方、14ページ以降の参考資料3-5は、私が研究代表者となって、心肺停止で病院に来られる方に関して、人工心肺を用いた蘇生が有効であるか否かということを検討するための研究デザインを練って実施したものです。この治療を行っても80%以上の患者さんが亡くなるというような非常に重篤な結果をもたらす対象に対して、インフォームド・コンセントを十分得た上で、15分以内に人工心肺を開始することは事実上不可能であるということで、結局、人工心肺を用いた治療ができる施設とできない施設という施設間の比較を行う、疫学研究の範疇である観察研究という形で行わざるを得なかったということがありました。
 ただ、17ページのように、世界ではこのような病院外の心停止とか、あるいは意識がないような患者さんに関しても倫理委員会において、先ほどのGCPに準じたような形でインフォームド・コンセントの免除に関しての規定を明確にうたってそれを研究のデザインの中に織り込んだ上で行われている前向きの介入研究が多くあります。我が国は今のところこのような諸外国の結果をそのまま流用して我が国に当てはめたガイドラインに従って治療を行っているにすぎないわけです。ただ、これらの対象群となる患者の背景は外国と日本では異なりますし、あるいは日本の救急医療体制の中で、果たして外国でやったことと同じことが有効かどうかということも異なってきますので、これらのことに関してやはり我々としては是非日本でも行えるような環境整備をしていただきたいと思いまして、関連学会から要望を出させていただきました。時間も限られていますので、以上簡単に御説明させていただきました。
○福井座長 ありがとうございます。引き続き、論点4-3について事務局から説明をお願いします。
○高江課長補佐 簡単に御説明いたします。資料4-1の12ページからが論点4-3です。ただいま坂本先生からお話があった、救急医療の現場などのインフォームド・コンセントの在り方をどうすべきかということです。13ページの「現状と課題」ですが、今御説明があったとおりです。救急医療でなかなかインフォームド・コンセントが受けられない場合があるので指針の構成を変えてほしいという御要望があります。現行の指針では特段の規定はありませんが治験ではあるという状況です。
 次の14ページ、資料4-1の最後ですが、「検討のポイント」として、生命の危機に差し迫った状況下における、「臨床研究」と書いてありますが、「介入研究」の間違いです、大変申し訳ございません。介入研究への参加についての説明と同意についてどのように考えるか。また、そのときの条件はどうかということです。「見直しの方向性」としては、GCP省令第55条に各種要件がありますので、このようなものを参考に、緊急状況下における、こちらも「介入研究」ですが、介入研究への参加に関する規定を設けてはどうか、ということにさせていただいています。事務局から以上です。
○福井座長 それでは、坂本先生からの御説明、並びにただいまの事務局からの御説明について御意見等ありますでしょうか。坂本先生にはもしお時間がありましたら残っていただければ有り難いです。
○楠岡座長代理 基本的には緊急状況下における介入研究に関しては今の提案どおりでいいと思うのですが、ただ、これを介入研究に限らずに、観察研究にも広げておいていただかないといけないと思います。単なる予後調査であれば問題はないですが、入院時に何らかのサンプリングを行う、通常行うような採血等を行って特定の物質等で予後を判断するような研究を行うとなると、これは介入研究ではなくて、観察研究ですが、侵襲を伴う研究ということになる。観察研究はオプトアウトで可能と言っても、実際に意識のない人が来るのを分かっていてオプトアウトというのは無意味な話になりますから、そこにまで広げられるように調整をお願いしたいと思います。
○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。
○丸山委員 趣旨としては坂本先生あるいは事務局の原案で異論は全くないのですけれども、参照されるものとしてGCP省令55条が引かれていて、併せて理解するはずの7条の方が少しトーンダウンされているようなところがあると思います。7条を全く言及されていないかというとそういうわけではなくて、坂本先生の7ページの所に条数はあるのですが、この指針のまとめをする際には、生命が危険な状態にある者を対象として、救命のための医薬品・医療機器、あるいは医療手技などを対象にするというようなところ、7条3項の規定も踏まえて文章化されるように、ということを確認というか、お願いしておきたいと思います。
○福井座長 すみません、ちょっと事務局から高江先生どうぞ。
○高江課長補佐 今の丸山先生の御意見、ありがとうございます。GCP省令について資料6の関連規定等でまとめさせていただいていますが、その中の資料4-1参考に関係する条文がありまして、こちらの方には第7条、あと関係している医師主導治験の場合の第15条の4。その裏に第50条と第55条という形で関連の規定は全て付けています。丸山先生がおっしゃられましたとおり、55条だけでこれは完結する問題ではありませんで、この55条の所を踏まえた治験実施計画書をしっかりと倫理審査委員会で見ていただいて、そこで御判断をいただくというプロセスが必ず必要ですので、そちらの方も含めて事務局で今後検討をさせていただければと考えています。
○宮田委員 坂本先生のお話は非常によく分かりました。そのとおりですし、今、厚生労働省の方からの御説明もよく分かりましたけれども、手続の話ではなくて、精神の話というのがすごく重要なので、7条はやはり重要です。それはなぜかというと、臨床研究に対して臨床治験を読み替えて導入しようとしているのは、あくまでも患者さんを治すための医薬品とか医療機器、あるいは医療法の開発のためというのが治験です。その前提をやはり入れておかないと、この臨床研究においてはその治験の項目を転用するときには非常に重要な齟齬を来す可能性があると思いますので、それは是非丸山先生の御意見を参考にして文言を工夫していただきたいと思います。
○田代委員 坂本先生に質問です。私も御提案を頂いたような形で、基本的にはIC免除という形で事後的に経緯を説明し、継続の同意を得るという形でやられるということで良いと思います。もちろん倫理審査委員会の審査の上でということですけれども。ただ頂いた資料の中でまだ十分に読めていないのですが、外国などでは事前に対象地域に対して情報提供を行うというような活動をされているようなことが書かれています。その点に関して、日本の文脈に置き替えたときに、臨床研究を行う前に、対象となりそうな地域の人たちに対する情報提供が現実的にどのくらい可能かということと、どのくらい行われているかを少し教えていただければと思います。
○坂本参考人 外国で地域住民に帯する情報提供が行われているということなので、幾つかの研究に関して実施者に質問したことがあります。情報提供の方法は国あるいはその研究の内容によって様々であり、IRBの委員会が主体となった大学において、その地域で公開市民講座や討論会みたいなことをやってそれでよしとしたもの、あるいはマスコミ関係者を集めて説明会をしたもの、あるいはホームページ等に載せてそれでいわゆるパブリックコメントを求めたということによってよしとしたもの等があるようです。研究を始める段階では対象者が決まっていないわけですから、その不特定多数の市民の皆さんにこれをやれば確実に御理解を頂けるというような具体的な方法があるわけではなく、なおかつ、研究を始める段階ではそういう形で合意を得たと思ったのですが、その中で、研究が始まってから人権上問題があるのではないかというような声が挙がったときに、事前に情報提供を行ったことが防波堤とならずに、結局、研究を終了せざるを得なかったものもあるというようになっています。これに関しては手続論の問題もありますけれども、もう1つは国民的な合意というか、必要な研究を日本でも進めることが、結局は国民の利益になるのだということがきちんと伝わらないといけないのではないかと思います。
○川村委員 今は救急を例にしたお話ですけれども、救急現場に限らず、例えば非常に重篤な感染症が外国から持ち込まれたとか、とても重大な連鎖し兼ねない災害が起きたというような場合に、緊急調査をしなければならないことがあろうかと思います。一部には感染症法という法律で裏付けがあるものもありますし、職場の問題としては労働安全衛生法などの裏付けがある場合もありますけれども、今まで既知でないものについても同時に調べる可能性があって、研究という側面もあろうかと思います。そういうことを考えますと、緊急性とか、悉皆性が必要なものということで、例示として救急とか感染症が挙がると思いますが、そういう総称的な言葉でほかの場合も含めてインフォームド・コンセントの減免について規定を置くことが望ましいと思います。
○山縣委員 あと、私もこのとおりだと思うのですが、ただ一点、これは介入研究全体に言えることですが、本当にそれが介入研究、RCTをやるべきなのかどうかに関しての専門的な評価というものをしていく必要があるだろうと思います。これは先ほど今村委員からも出ましたように、プラセボを使う使わないという話の延長線上にある話だと思います。なのでこういったようなときにどのようなプロセスを経て、それがRCTが認められる研究なのかということの評価をどうするかに関して、ベストプラクティスでもいいのですが、きちんと考えておく必要があると思います。
○福井座長 中村先生よろしいですか。
○中村座長代理 現行の臨床研究の指針と疫学研究の指針の大きな違いは、疫学研究の指針にはICOについて例外があり得るということがきちんと書かれています。原則はこうだと書かれていますけれども、ただし疫学研究の方法及び内容、研究対象者の事情その他の理由により、これによることができない場合には倫理審査委員会の承認を得て、手続を簡略化すること、若しくは免除すること、又は他の適切なIC等の方法を選択することができる、という規定があります。両指針を統合したときに、疫学の立場からいうとこの規定は外してもらうと非常に困ります。そうすると、この規定があれば、先ほど坂本先生から御説明があったような事情のほとんどはカバーできるのではないかと私自身は考えています。ただ、見直しの方向性(案)で示されたようなことをきちんと書いておくというのは、実は前から議論になっていますけれど、倫理審査委員会の質がかなり施設によって違います。どうも現状としてはきちんとした倫理審査委員会はきちんと読んで、例外規定もどんどん使っていくけれども、そうでないところは原則に拘って原則でないと駄目だみたいなことになる。そうすると今の疫学の規定だけだと、やはり原則に拘ると駄目という話になって、問題が解決しないのではないでしょうか。そうすると見直しの方向性(案)に書かれているようなことをどこかにきちんと書いておいて、これでいけますよということを指針として示すというのはあっていいかと思っています。
○坂本参考人 おっしゃるとおりですけれども、ただ、指針を読み込めばそのようによく分かると、専門家が分かるという問題ではなくて、明確に国民の方から見たときに、こういう研究はやはりインフォームド・コンセントなしで行うことが国民のためになるのだというように、少なくとも国と専門家たちはみんな考えているのだということを明示した方がよいと考えます。そういう理解がないとなかなか研究はやれないのではないかなと思って、日本救急医学会としては分かりやすく明確化していただきたいという要望を出しています。
○宮田委員 今の中村先生の議論はすごく面白いです。確かに文言どおりはそうですけれど、ただ、今回皆さん議論して得ようという侵襲性という新しい考えの枠組みはそこから外れていますよね。ですからそういう意味では今回救急医療の現場でそういったことを前提としたその項目の明示化というのは、今後多分この指針(案)が改訂されているところで、侵襲性というのをどのように考えるかという1つの大きな要素になるかと思っています。
 そのときに、先ほど私、あるいは丸山先生が申し上げたとおり、その研究の目的が問われるのです。つまり人を救うための治療薬とか新しい手技の開発であるということを前提としている臨床治験の考え方を転用するときには、それがあるということをやはり考えなければいけないと思います。
○中村座長代理 疫学研究における介入にも侵襲性を伴うものも当然あります。そういう意味では侵襲性の問題というのはまたちょっと方向性が違うような気がします。そこも含めて議論しなければいけないというのは御指摘のとおりだと思います。
○福井座長 ありがとうございます。この項目のおおまかな方向についてはコンセンサスが得られていると思いますので、細かい文言については事務局とも相談をして詰めていきたいと思います。
 大変遅れてしまい、1時間ほど予定より遅れてしまいました。あと15分しかありませんが、次の項目1つだけでも進みたいと思います。資料3の検討項目の5番目「未成年者や被後見人に係る代諾者及び再同意の手続について」、資料5が用意されています。この検討項目について、まずアセントに関して、後藤委員と山縣委員から御説明をお願いしたあと、事務局から御説明をお願いしたいと思います。申し訳ないのですが、5分程度で、まず後藤委員からお願いします。
○後藤委員 資料5-2に基づいて簡単に説明したいと思います。今までの議論を踏まえて、子どもをどのような存在として見るのかということをまず最初に確認しておく必要があると思います。先ほどから出ていますけれども、この指針というのは人間、尊厳そして権利というものを具体化していく、それでそれをUS的に扱うということが前提です。そうしますと子どもという存在は先ほどからいろいろ出ていますけれども、インフォームド・コンセントの取得が困難だという存在であると。困難であった場合に、取れないので代諾をする、若しくは法的に見て取れないからアセントをする。そういう基本的な考え方についてまず最初に確認をさせていただきたいと思います。それに関係するのが2の子どもの権利条約の所です。
 子どもの権利条約における子ども観というのは、子どもの権利の主体として見るところにありまして、子どもに対する侵襲、その対象となるのは代諾者ではなくて、あくまでも子どもです。子どもが侵襲的な対応をされたり、子どもに何か有害事象が発生する場合には、子どもに結果が発生するわけで、代諾した、例えば親等に発生するわけではないということを前提として、12条の1項があります。条約というのは御存じのように、憲法と同じような意味合いを法的にはもっていますので、子どもの問題を考えるときにはこれを根拠にすることが望ましいと思います。そして子どもの権利を主体として考えて、そのときに意見表明権という考え方が存在するわけです。どういうことかというと、「自己の意見を形成する能力のある子どもが自分に影響を及ぼす全ての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」ということです。ただ、「この場合において、子どもの意見はその子どもの年齢及び成熟度に従って相応に考慮される」ということがとても重要です。
 この条文の趣旨は、まず子どもに対して十分な情報を提供することが必要になってきます。情報提供というのは、今回アセントの話ですが、先ほどのインフォームド・コンセントについても同じようなことが言えまして、子どもに分かりやすい説明というものが果たしてどれだけ行われているのかということについては、私ども実際に倫理委員会で審議させていただいて、疑問に思うことも多々あります。とても分かりやすいインフォームド・コンセントがある場合もありますけれども、ただ単に振り仮名を振っただけ、有害事象に振り仮名を振っただけというようなものもあります。あと、字が大きいだけとか、そういうものも全くないとは言い難い中で、先ほどとの議論の関係で、まずアセントを取るための情報提供においても、子ども目線の文言で、先ほど位田先生がおっしゃった分かりやすくとか、その年齢に応じて、もちろん入ってはいるのですが、それをきちんと確保しなければいけないということです。
 あと、意見の表明です。意見が表明されると先導で、基本的には署名をするという最終的な状況になると思いますけれども、意見の表明について、子どもの言語能力等も配慮した形で意見の表明がされたと考えざるを得ないと思います。例えば子どもが「はい」と言うのか「いいえ」と言うのか、その子どもの「はい」と「いいえ」と大人の「はい」と「いいえ」を同等なものとして捉えてはいけない、それはアセントを取る場合でも同じたと思います。一番重要なことは責任を持たせない。つまり子どもが選択をしたことによって不利益が起こるような状況を避けなければいけない。それが12条の趣旨だと思います。子どもというのは成長過程の中で、今後臨床研究等に参加した場合に、その子どもが臨床研究等に参加したことが将来何らかの不利益にならないような形の配慮が必要です。先ほどの例えば撤回するとかそういうことも含めてですけれども、何らかのフォローアップみたいなことももしかしたら必要なのかと思います。
 この資料で付けさせていただいたのは、子どもというのを年齢で切ることがとても困難だということを皆さんに認識していただきたいということで、2つの、宗教上の輸血拒否に関するガイドラインで、医学会の合同委員会のガイドラインは年齢で切っていますが、東京都の倫理委員会では一応年齢で切る場合もあるのですが、15歳という一つの目安として考えることはできますけれども、その年齢で切ることがとても難しいということが、私がこの資料をお付けしたのと、最初の所に年表のような形でお付けした趣旨で、それだけ子どもを主体的に、そして子どもの尊厳をもって考えることがとても難しいということを前提として、アセントということを考えていっていただければと思います。
 最初の表で「0歳」の所では臓器提供について、これは提供しない意思についてです。臓器提供については、「臓器提供の意思についての表明は15歳」です。それが抜けていますのでそれを書き加えていただければと思います。以上です。
○福井座長 ありがとうございます。引き続き山縣委員より、「医学研究に参加する子どものインフォームド・アセントについて」の御説明をお願いします。
○山縣委員 資料5-3に基づいて御説明いたします。まず、子どもを対象とする疫学研究については、これまでリスク回避という点から対象としないことが望ましいという考え方があったのですが、最近は研究成果として、得られるべき恩恵を得るためにもむしろ子どもを除くべきではないという考え方に転換してきています。未成年者の医療、医学研究の参加に関しては、子どもを保護する観点から親のインフォームド・コンセントを基本としながらも、子どもの権利の観点から子ども自身の賛意(assent)の有無を尊重することが必要とされているという背景があります。
 アセントについては、ヘルシンキ宣言で記載が出てきたわけですけれども、その後CIOMSの生物医学研究の指針の中にもアセントの記載がなされてきているということで、必ずしもこれは、古くからこういった賛意としてのアセントが出てきているわけではないということです。
 2番目に、子どもが参加する研究の倫理とインフォームド・コンセントですが、CIOMSの疫学指針(2008年版)では子どもが参加する研究についての基本的な考え方としてガイドラインの14、その子どもを含む研究という所で述べられているのですが、これに関しては要約しますと、子どもが参加することの正当性の確保と子どもの保護、親の許可(permissionという言葉を使われますが)、子どものアセント、子どもの参加拒否の同意の尊重、といったようなことがうたわれています。アメリカでは国家被験者保護委員会の子どもを対象とする研究の勧告、アメリカ連邦行政規則において、子どもが参加する研究に対する具体的な要件や手続が示されています。例えば、子どもが参加する研究の妥当性の要件や侵襲の度合いによって片親のみのOKの場合か、両親の同意が必要か、というようなことです。
 我が国に目を移すと、疫学指針、臨床指針、ゲノム指針でそれぞれのインフォームド・コンセントについては16歳以上を基準にしています。疫学指針では客観的に判断できる場合という条件が付いていますが、臨床指針とゲノム指針では親と子の両方のインフォームド・コンセントが必要となる年齢が16歳と記載されています。更に16歳未満の未成年については「分かりやすい言葉で説明して、理解が得られるように努める」との記載があります。アセントの文言は、この4月から施行されていますヒトゲノム指針に記載が初めて登場しました。
 現場の課題は、上記の原則はおおむね関係者のコンセンサスを得ているものなのですが、以下の5点について、課題として挙げられます。
 まず?子どもが参加する研究の妥当性の評価。子どもが参加する妥当性というのはどのように評価するのか。特に病気の患者さんの場合であればその本人の利益がかなり明確なわけですが、健康な子どもが参加する場合、これは、最近は子どもの成長、発育、発達といったようなことが非常に重要な研究課題となっていますので、研究の子どもを対象とする研究は非常に重要になっている場合をどう考えるか。
 ?リスクの評価。多くのガイドラインは疾患を持つ子どもの対象で、そういった採血というのは最小限のリスクというように包裏されますが、健康な子どもの場合にもそれが当てはまるのかといったようなことです。
 ?インフォームド・アセントの対象の選定。先ほども年齢では区切れないというお話がありましたが、どのような子どもに対してインフォームド・アセントを得るのか。インフォームド・アセントが可能な子ども、いわゆるCompetent childrenとは、具体的にどのような子どもを指すのか。年齢なのかcompetenceを測定するのか、その方法はあるのか。更に、出生コホート研究などの場合、インフォームド・アセントのタイミングをどのように考えるか。古くはこうしたcompetentテストのようなものも一部開発されてはいますが、そういうものを日本でどのように考えるか。
 ?子どものアセントの尊重。親の同意、インフォームド・コンセントといったようなパーミッションと書いてあるものもあるのですが、それと子どものアセントが異なる場合はどのように判断するのか。
 ?子どもを対象とした研究のベスト・プラクティス。子どもが参加する研究のベストプラクティスとはどのようなものなのか。例えば現場ではインフォームド・アセントをまとっているわけですが、それに加えて、例えば採血の際のPreparation、事前に十分に環境を整えることなど、実際に採血や治療を施すときにdistraction、注意を反らせるようなことをサポートする人たちが行って、実際に治療を行うわけですが、そうした事前・実施中の拒否の際の対応、事後のフォローアップということについて、こういう研究でどこまで検討し、どの程度まで研究計画に記載すべきかということを検討する必要があるだろうと考えています。
 今日は欠席ですが、永水委員が「未成年者の治療決定権と親の権利」というところで、かなりこういう点も含めて議論をされていますので、今日、ほかの法律家の先生方の法的な根拠、現場での対応を含めてこの点について検討することが必要だと考えています。以上です。
○福井座長 ありがとうございます。続きまして、事務局から資料5-1の論点の5-1について説明をお願いします。
○吉田課長補佐 時間が限られていますので、本日は資料5-1の項目の紹介だけにとどめまして、残りの説明と議論については次回以降、若しくは第6回にまた戻るときにしていただければと考えていますので、御理解いただければと思います。
 資料5-1「未成年者や被後見人に係わる代諾及び再同意の手続について」は大きく3つの論点を提示させていただいています。5-1が「出生コホートのように新生児の時期から実施している研究においては、何歳の時点で本人の納得できる形で子どもからのアセントを得るべきなのか」。
 7ページ、5-2「研究対象者の研究参加に対する意思表示が有効な年齢として、現行の指針では16歳以上を基準としているが、見直しの必要がないか」。
 11ページ、5-3「健康な子どもに対する、侵襲を伴う研究への参加の同意取得(アセントを含む)について規定を設けてはどうか」です。資料の検討のポイント等、また見直しの方向性を提示していますので、次回、御議論いただくまでにもしコメント等がありましたら事務局にお教えいただければと思います。以上です。
○福井座長 申し訳ありません。議事の進行が大変遅れてしまって、途中になりますけれども、本日はこれで終わりたいと思います。事務局から連絡事項ありますでしょうか。
○高江課長補佐 本日、事務局の方の議題の設定等、不手際がありましてこのようなことになりまして大変申し訳ございませんでした。
 次回は、6月26日の10時〜12時30分の2時間半となりますので、またよろしくお願い申し上げます。また、本日の議事録につきまして、作成次第委員の先生方に御確認を頂いた上で公開とさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 紙ファイル、参考資料は、いつもではありますが、机上に置いていっていただければと思います。事務局からは以上です。
○福井座長 長時間の御議論、大変ありがとうございました。それではこれで終了いたします。


(了)
<問い合わせ先>

医政局研究開発振興課担当:本間、吉岡

電話: 03−5253−1111(内線4165、4163)

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