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2012年12月7日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会議事録

医薬食品局

○日時

平成24年12月7日(金)
14:00〜


○場所

厚生労働省 専用第22会議室


○出席者

出席委員(16名)  五十音順

○荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 今 井 聡 美、◎笠 貫   宏、

 川 上 正 舒、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、

 鈴 木 邦 彦、 高 橋 好 文、 武 谷 雄 二、 千 葉 敏 雄、

 寺 崎 浩 子、 中 谷 武 嗣、 菱 田 和 己、 松 岡 厚 子

(注) ◎部会長 ○部会長代理

 他参考人2名

 欠席委員(7名) 五十音順

 石 井 明 子、 木 村   剛、 倉 根 一 郎、 田 島 優 子、

 西 田 幸 二、 村 上 輝 夫、 桃 井 保 子

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 赤 川 治 郎 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 浅 沼 一 成 (医療機器審査管理室長)

 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)

 山 本   弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 中 野   恵 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医療機器審査管理室長 定刻となりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開会いたします。
委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、現在14名の御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日の議題につきましては、医療機器の承認審査に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開といたします。
 これより議事に入りますので、傍聴の方によるカメラ撮りはここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、以後の進行につきましては、笠貫部会長にお願いいたします。
○笠貫部会長 最初に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○医療機器審査管理室長 配布資料の確認をさせていただきます。資料1「医療機器『カワスミNajuta胸部ステントグラフトシステム』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」、資料2「医療機器『気管支充填材 EWS』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について(諮問書)」、資料3「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について(諮問書)」、資料4-1「医療機器『JMS透析用コンソール GC-110N』の再審査報告について」、資料4-2「医療機器『コンタック リニューアル 4』の再審査報告について」、資料4-3「医療機器『コンタック リニューアル 4 HE』の再審査報告について」、資料4-4「医療機器『イージートラック 2 リード』の再審査報告について」、資料4-5「医療機器『アキュィティ スティーラブル』の再審査報告について」、資料5-1「優先審査品目『ウィングスパン ステント』について」、資料5-2「優先審査品目『ヒストアクリル』について」、資料5-3「優先審査品目『ライフベスト』について」、資料6「競合品目・競合企業リスト」、参考資料1「薬事分科会審議参加規程」、参考資料2「クラス分類ルール」です。不足等がございましたら、事務局にお申出いただければと思います。
○笠貫部会長 資料はお揃いでしょうか。
それでは、議題に入ります。まず、本日の審議事項に関与された委員と利益相反に関する申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況を伺いましたところ、薬事分科会審議会参加規定第12条「審議不参加の基準」又は第13条「議決不参加の基準」に基づき、御退室いただく委員及び議決に御参加いただけない委員はおりません。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの御報告について、特段の御意見はございますでしょうか。よろしければ議題に入ります。
 議題1「医療機器『カワスミNajuta胸部ステントグラフトシステム』の製造販売承認の可否等について」の審議を行います。本日の審議に当たり、参考人として、名古屋第一赤十字病院血管外科部長でいらっしゃる錦見尚道先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。審議品目の概要について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題1について資料1に基づいて御説明いたします。審査報告書のタブをお引きください。1ページです。一般的名称は「大動脈用ステントグラフト」、販売名は「カワスミNajuta胸部ステントグラフトシステム」、申請者は川澄化学工業株式会社です。
 審査報告書5ページを御覧ください。図1にステントグラフトシステムの外観図が、図2にステントグラフトの外観図が示されています。本品のステントグラフトには、留置する大動脈の部位や形状に合わせるために、ステント骨格の形状、グラフトの形状及びフェネストレーションの有無等により、952種類のバリエーションがございます。
審査報告書6ページ、図3にフェネストレーションの有無によるシーリングゾーンの違いが示されています。フェネストレーションを大動脈弓部の分枝血管に合わせて留置することで、ステントグラフトを上行大動脈から下行大動脈にかけて留置した場合においても、分枝血管の血流を阻害することなく、かつより長いシーリングゾーンを取ることができ、従来の胸部大動脈ステントグラフトでは留置が困難であった小弯側の瘤等に対する治療が可能となることが期待できます。
 本品の使用目的について、審査報告書3ページ中程を御覧ください。本品は、以下の解剖学的要件をいずれも満たす胸部大動脈瘤の治療に使用するとし、その下に具体的な要件が示されています。また、同ページの下に、3項目の承認条件を記載しています。詳細につきましては、機構より御説明いたします。
○機構 医薬品医療機器総合機構から御説明させていただきます。議題1、資料1「医療機器『カワスミNajuta胸部ステントグラフトシステム』の製造販売の可否等について」です。まず、審査報告書に2点修正がございます。1点目は3ページ及び43ページの【使用目的、効能又は効果】欄の2の3つ目「動脈瘤の中枢側及び末梢固定部」の「末梢」を「末梢側」へ修正をお願いいたします。2点目の修正は、審査報告書17ページ8行目の「既存治療群133例」を「未承認のステントグラフト群133例」へ修正をお願いいたします。
 資料1の諮問書を1枚めくっていただき、専門委員の一覧を御覧ください。本審査では、御覧の5名の専門委員の御意見をいただきました。
 製品の説明に入ります。審査報告書4ページです。胸部大動脈瘤は放置すれば瘤破裂する可能性があり、最終的に死亡に至る危険性のある重篤な疾患になります。胸部大動脈瘤に対する治療の第一選択は、人工血管を用いて置換する外科手術でしたが、外科手術は病変部位や病態によって体外循環を必要とすること、出血量が多いこと等、過大な侵襲を与えます。近年、外科手術に比べて低侵襲であり、外科手術のリスクが高い患者の治療も可能とすることが期待されるステントグラフト内挿術が行われるようになってきております。本品はステンレスからなるステント骨格に、ポリテトラフルオロエチレン製のグラフトを縫い付けたステントグラフトをデリバリーシステムに装填したステントグラフトシステムになります。審査報告書5ページの図1が全体の外観図になります。デリバリーシステムでステントグラフトを大腿動脈より挿入し、病変部位まで送達したのちに、デリバリーシース内よりステントグラフトを放出し、ステントグラフトを自己拡張させ、血管壁に密着させることで、動脈瘤内への血流の浸入や圧の負荷を防ぎ、瘤の破裂の予防をいたします。本品は留置する大動脈の部位や形状に合わせるために、ステントの長さ、湾曲度、ねじれの角度の違いにより、64種類のステント骨格を基本形状として、拡張径に合わせてストレート型、又はテーパー型のグラフトを縫合固定しています。また、図2に示しますよう、グラフトにはフェネストレーションという窓の有るタイプと、無いタイプの2種類があり、全ての組合せで952通りのバリエーションになります。
 これまで、既承認の筒状の胸部ステントグラフトでは、審査報告書6ページ図3に示しますよう、大動脈弓部の分枝血管である腕頭動脈、左鎖骨下動脈近位の胸部大動脈瘤に使用した場合、これら分枝血管を閉塞するという問題点がございました。これに対し本品は、大動脈弓部の分枝血管への血流を確保できるように、フェネストレーションを設けた初めてのタイプのステントグラフトであり、従来のフェネストレーションのないステントグラフトでは十分にシーリングゾーンが取れずに留置が困難であった動脈瘤に対しても、本品ではより長いシーリングゾーンを取ることができるというメリットがございます。なお、本品は外国における承認及び使用実績はございません。
 試験の結果に移ります。提出された非臨床試験については、審査報告書7ページ〜15ページに記載しております。仕様の設定、安定性及び耐久性、並びに性能に関する資料が提出され、特段問題は認められていません。
 続きまして、本申請に添付された臨床試験成績について御説明いたします。審査報告書16ページをお願いいたします。弓部及び下行の真性大動脈瘤あるいは仮性大動脈瘤患者を対象に、本品の安全性及び有効性を評価することを目的として、本邦11施設でヒストリカルコントロール群と比較する多施設共同の臨床試験が実施されました。なお、ヒストリカルコントロール群については、日本血管外科学会主体の研究事業として、日本成人心臓血管外科手術データベースに登録されたデータの中で、本臨床試験の実施医療機関において、20□年□月□日〜20□年□月□日までに、弓部及び下行の真性大動脈瘤あるいは仮性大動脈瘤患者に対して外科手術を行った全ての症例から、選択基準、除外基準に基づいて抽出されました。本品を用いた治験群は117例、ヒストリカルコントロール群である外科手術群は92例でした。ヒストリカルコントロール群は、治験実施施設、大動脈瘤の位置、及びステントグラフトと外科手術の適用に関する傾向スコアを用いて、治験群と1対1のマッチングになるよう対象者を抽出し、対象患者の背景を揃えて群間比較が行われました。
 試験結果です。有効性については、本治験の主要評価項目は、「瘤治療関連術後12か月生存割合」とされ、審査報告書21ページの表4に示しますように、マッチングしたデータでは、治験群で瘤治療関連死亡例を認めなかったため、95%信頼区間の算出ができませんでしたが、治験群は外科手術群とほぼ同等の成績が得られております。また、マッチングしていないデータでは、治験群で97.3%、外科手術群で96.2%であり、治験群の外科手術群に対する非劣性が検証されております。
 続きまして、安全性について御説明いたします。有害事象については、審査報告書23ページ表8に示しますように、術後12か月までの集計で、99.1%に認められました。審査報告書24ページ表9に示しますように、重篤な有害事象は37.6%、重篤な不具合は14.5%でした。主な重篤な不具合としては、脳梗塞が5.1%、大動脈瘤及びステントグラフトエンドリークがそれぞれ1.7%、脳出血が0.9%認められております。死亡例については、全5例認められており、本品留置後完全対麻痺となり、その後、呼吸不全や急性腎不全を発症した1例を除く4例では、因果関係が否定されております。
 続きまして、本審査における論点について御説明いたします。審査報告書41ページの「総合評価」を御覧ください。一つ目の論点はフェネストレーション有りを使用した場合における脳血管障害についてです。臨床試験の結果で、治験群の12か月以内の脳血管障害は全体で9.4%でしたが、フェネストレーション有りでは12.7%、フェネストレーション無しで2.6%と、フェネストレーション有りを使用することにより、脳血管障害のリスクが高まることが懸念されました。なお、フェネストレーション有りで脳血管障害が見られた患者10例のうち、脳梗塞が6例、脳出血が4例であり、脳出血については本品との因果関係が否定されているか、不明であっても可能性は低いとされています。フェネストレーション有りが治療対象とするような病変部位に対する現在の標準的な治療法は、外科手術又は頭頸部血流を確保するための血行再建術とステントグラフト内挿術を組み合わせた治療法であるハイブリッドTEVAR(以下「ハイブリッドTEVAR」)が施行されております。文献報告されているハイブリッドTEVARの脳梗塞発生割合は7.0%、ヒストリカルコントロールの外科手術群は6.5%であることを踏まえますと、フェネストレーション有りの脳梗塞発生割合7.6%は著しく高いとはいえないと判断いたしました。また、本臨床試験において、弓部血管の予定しない閉塞は起こしておらず、発生した脳梗塞は日常生活活動の評価指標であるADLが術前より悪かった症例を除き、臨床的に大きな問題となる後遺症を伴った症例は6例中1例のみでした。現時点でフェネストレーション有りを使用した症例における脳梗塞のリスクは、既存治療を大きく上回ることはないと考えられますが、臨床試験における症例数は限られていることから、臨床現場に十分な注意喚起を行うとともに、製造販売後に引き続き情報収集する必要があると判断いたしております。
 2点目の論点ですが、術後1年以降の瘤拡大についてです。フェネストレーションの有無に関わらず、術後1年以降に瘤径が退院時から5mm以上拡大した症例が、留置後1年で6%、2年で5.5%、3年で5.3%認められました。特に、術後1年以降に瘤径が拡大した症例が15例認められ、15例中7例が中枢側のシーリングゾーンが21mm以下であったことから、シーリングゾーン長が21mm以下の症例については、本品の適応及び留置後の経過観察を慎重に行うよう、注意喚起を行う必要があると考えております。また、CTによる瘤径の解析は一方向のみの解析では適切に評価できない場合があり、少なくとも瘤径の縮小傾向が認められていない患者においては、多軸方向の解析を行う必要があると考えております。したがって、瘤径拡大傾向の把握には、多軸方向で解析を検討すること、拡大している症例では、血管外科医等の専門医が経過を観察すること、定期的に画像診断を行うことの3点について、注意喚起が必要であると判断いたしました。
 なお、本品においてより多くの症例について長期的に評価した成績が重要となることから、承認条件の3を付すことが妥当と判断いたしました。
 最後に3点目の論点です。実施医、施設基準、トレーニングプログラム等についてです。実施医、施設基準については、日本ステントグラフト実施基準管理委員会で、既に設定されている既承認のステントグラフトの基準に、新たに「分枝血管対応型のステントグラフト」の実施医基準及び指導医基準を加えることは適切であると判断いたしております。また、トレーニングプログラムについては、治験時と市販後で、使用する医師の経験の違い及び既承認の胸部ステントグラフトと異なる本品特有の操作技術・留置戦略があることを考慮し、臨床試験時よりも市販後でより厳しい術者トレーニング基準を設定すること、及び、本品の一般的な留置方法である上腕動脈等から大腿動脈にガイドワイヤーを通しデリバリーシステムのアクセス部位を作るプルスルー法についてのトレーニングを含めることについて、概ね妥当と判断いたしました。なお、本品の性質を十分に生かし、より安全に使用するためには、本品を使用する前に十分な教育訓練を受けた医師によって使用される必要があること、及び本品の留置に伴い動脈瘤が損傷した場合に速やかに外科的対応を行う必要があることから、承認条件1及び承認条件2を付すことが妥当と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は3年と判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 事前にいただいた御意見について御紹介させていただきます。木村委員からは、フェネストレーション有りについて、脳血管疾患のリスクが高くなることに関しての注意喚起が必要であること、及び市販後の長期追跡が必要であることのコメントをいただいております。フェネストレーション有りを使用することで脳血管疾患の発生リスクが高くなる可能性があることに関しては、申請書のタブの別紙7-5の添付文書を御覧ください。【使用上の注意】の、1.重要な基本的注意の4点目に、フェネストレーション有りを使用することで脳梗塞のリスクが高まることに関しては、注意喚起をしております。また、7-6に臨床試験の試験結果をお示しさせていただき、フェネストレーション有りと無しで、それぞれの脳梗塞の発生率をお示しさせていただいております。
 2点目の市販後の長期の追跡については、市販後調査において、留置後5年までフォローアップを行い、1年ごとの成績が提出される予定になっております。この点については木村委員に確認させていただき、御了承をいただいております。
 村上委員からは、5.添付資料概要の8ページ、表1-4「フェネストレーションと分枝血管の相関」の右端の図のように、血管にグラフトの細い帯状部が掛かる場合に、血流の流れの解析や血栓形成の評価に関する御質問をいただいております。血流の流れの解析や血栓形成の評価は行っていないものの、御指摘のフェネストレーション有りの中で、グラフトが分枝血管に掛かった症例は、フェネストレーション有りを用いた79例中26例確認されておりまして、フェネストレーション有りを用いて分枝血管に掛かっていなかった53例と、脳梗塞の発生率を比較したところ、同等の結果が得られています。しかしながら、添付資料概要8ページ、表1-4の右端の図は推奨の留置方法でないため、その点が明確になるよう記載を訂正したいと考えております。この対応については村上委員に確認させていただき、御了承をいただいております。
 以上になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 ありがとうございました。参考人の錦見先生から何かございますか。
○錦見参考人 胸部大動脈瘤は、人口の高齢化で徐々に増えてきてはいるのですが、高齢の方は特に全身状態もよくないということで、ステントグラフトが導入されたのは画期的なことでした。1995年が世界で最初だったと思いますが、私たちも1996年から真似をして、手作りでずっとやっていました。先ほどの図にあったように、小弯側というのですが、カーブの小さな内側の方に動脈瘤のある患者の方が、人間の解剖学上圧倒的に多いのです。そうすると、小弯側というものは、筒だと接触する部分が非常に少ないものですから、そこで血管壁にフィットする部分がなくて、エンドリークといいますがそこから漏れてしまうことがあるので、小弯側をぴったりとこれだけ覆えるというものは、かなり重要だと思います。小弯側を覆うために奥まで入れて、その一方、分枝側の脳に行く血流などを維持するためにグラフトを2本並べて、脳の方に行く血流を入れるグラフトと2本パラレルに並べるというような方法も、皆さん工夫してやっているわけなのですが、そういう方法の耐久性などに関しては、残念ながら、医師裁量権の中で私たちが責任を持ってやっているという形なものですから、担保されていないわけで、そういう点では、こういうメーカーメイドの企業製のステントグラフトが出るということは、非常に期待しています。
○笠貫部会長 ありがとうございます。本件は、日本で開発され、しかも日本で初めて承認をという、大事な機器になると思うのですが、活発な御意見をいただけたらと思います。先生方から御意見、御質問はございますでしょうか。
 私からお聞きしますが、これはステントグラフト治療法として、新しい開窓が付いて、しかもオーダーメイドのものが作られたということですね。そうしますと、条件のところで、従来のステントグラフトと比べたら非常に難易度の高いものになるわけですね。ここの実施基準と、実施医師をどうするかについてお聞きしたいのです。従来の胸部大動脈、主として下行大動脈でしたが、こういう弓部大動脈でも、ある程度の限界はありそうですが、適応を広げられるということは、かなり技術の難易度が高くなると思うのですが、そのように考えてよろしいでしょうか。
○錦見参考人 そのとおりだと思います。分枝の位置に合わせて穴を入れたものが、血管などは先ほど本物が回っていましたが、中を回転しながら入っていくわけです。そうすると、位置がぴったりと分枝に合っているかどうかを確認する操作などが必要になってくるわけで、若干難易度が上がります。若干と言ったのは、先ほどお話をしたように、今あるもので何とかやっている報告もあります。私は2009年にインド血管外科学会へ行って、それは腹部大動脈瘤だったのですが、それの成績をみんなが話したら、50%だとか言っているものですから驚いて、私を呼んだ人に聞いてみたら、インドではこういうステントグラフト実施基準管理委員会みたいなものがなく、トレーニング無しで誰でも入れられるようになったということで、なるほどそういうことかと思いました。日本だと実施基準管理委員会があったので、私たちも資格を取らなければいけないとか、そういうことが非常に厄介ではありました。しかし、そういうトレーニングがあって、かつ、また技術的な担保があった上で、初めて腹部大動脈瘤の開腹手術とか、そういったもの以上の成績が出るようになっているというのが分かったものですから、管理委員会の方でトレーニングの質と、やっているということを担保してくれていると、それから、追跡調査でレギュラーにメールが来て、あなたはこの人の検査をまだやっていませんよというようなことがあるものですから、そういう今後の再審査も踏まえた上においても、全体のレベルアップを担保する機関が幸いにも日本にはあるので、先生の懸念されている点は、100%とは言わないですが、かなりの部分が保障されるのではないかと考えます。
○笠貫部会長 先ほど事務局からのお話の中で、42ページには、「分枝血管対応型のステントグラフト」の実施医師等の基準と書いてあり、添付文書には、「胸部大動脈瘤ステントグラフト実施基準」に合致した施設ということが書いてあって、承認条件のところでは、「胸部大動脈瘤に対する血管内治療に関連する十分な知識・経験」と書いてあるのですが、やはり分枝血管対応という、弓部大動脈にも使うことからいったら、承認条件にも、そこをきちんと分けるのと、添付文書の項には、習熟度としては、胸部大動脈は広く、弓部大動脈でも、分枝血管対応のところは、技術とガイドラインも入ると思うのですが、特殊なものだということは、きちんとした方がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○事務局 まず事務局の方からお答えします。実施医基準と指導医基準のところですが、日本ステントグラフト実施基準管理委員会におきまして、既承認の胸部ステントグラフトに関しましては、胸部大動脈瘤ステントグラフト実施基準というものがあります。そこの実施医基準と指導医基準というものが、既承認のものにはあるのですが、その中に今回追加で「分枝血管対応型のステントグラフトを実施するに当たっては」という項目を新たに追加しまして、そこで、このカワスミNajutaを使用する場合は、そこに対応した実施医若しくは指導医で対応していくということが区分けされております。
○笠貫部会長 従来の弓部大動脈の経験はあるけれども、実際、この実施医基準としては、分枝血管対応型ステントグラフトの、学会で認定するのかどうか分からないですが、認定を受けた人という捉え方でよろしいですか。同じ胸部大動脈瘤でもかなり習熟度が違うことを求められているので、そこを明記しないと、そうではない人たちがチャレンジしてしまうのは怖いと思ったものですから。
○機構 補足させていただきます。もう少し具体的に内容をお話させていただきたいと思います。まず、実施医基準に関しては、分枝血管対応型ステントグラフトを実施するに当たっては、他機種の指導医証明書を取得していることが加わっていますし、使用経験に関しても、使用するステントグラフトについて指導医の下に術者として2例、分枝血管対応型については3例の内挿術に成功していることということで、より具体的に記載されております。また、指導医基準に関しても、分枝血管対応型を規格に有するステントグラフトについては、5例以上の経験を有しているものが指導医基準に当たるということで、より厳しい内容にはなっている次第です。
○笠貫部会長 そこは先ほどの説明でも理解したのですが、それは実際に表に出るのは承認条件と添付文書なので、そこにも文章で入れておいていただきたいということです。何例ということではなくて、分枝血管対応型のものの施設基準と実施医と、それが必要だということを承認条件にきちんと書いていただくのと、添付文書にも、習熟度が違う、非常に難易度の高いものだということが分かるような文書にしていただきたいのです。後は、そこをどう変えるかはお任せいたします。
○事務局 今、笠貫部会長から御指摘いただきました点を、承認条件に追加することを検討させていただきたいと思います。
○笠貫部会長 添付文書の方もよろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。
○千葉委員 2点ほどお伺いします。一つは、バリエーションが952あって、術前の画像診断などからうまくマッチングする可能性の一番高いものを選んで、これを入れられるのですね。そうしますと、画像診断の先生と、実際にステントを入れていく血管外科医の技術がマッチしていない施設だと、これは必ずしもスムーズにいかないのではないかという危惧はございますね。それは画像診断と、いかに密接に連携してやれるかということが、患者からみて安心できる条件かと思いますので、そこのところを1点お伺いしたいです。
 もう1点は、これは仮にそうやって頑張って合わせても、入れてみたら合わなかったといったときに、交換できるものなのでしょうか。先生の技術的な面からもですね。
○錦見参考人 1点目についてお答えします。一般的に自分が入れるものですから、術者が自分で選びます。画像診断医にお任せしてやっていくわけではなく、術者が選ぶのがほとんどです。ですから、逆に先ほどのステントグラフト実施基準管理委員会の関連で、指導医などを取っている人の所属科というのは、血管外科、心臓血管外科が多くて、放射線科というのは、残念なことにわずかしかありません。ですから、人に任せられないというか、術者自身がうまくいかないと、自分の首を締めるというか、人のことを信じないわけではありませんが、最終的に自分の責任なので、自分で確認をします。
 2点目についてです。もしそれでもうまくいかなかった場合というのは、そのときは、脳に行っている血管だと、出てしまいますので、入れ換えるというのは難しいと思います。ですから、脳血流を確保する方法で、先ほど少し言った、別のステントを頸動脈に放り込むとか、そういうトラブルシューティングは、いろいろな方法が考えられます。少しずれた場合であったら、カバーをしていないステントを頸動脈側に入れて、ボディーを広げることで、その頭を押しやるということですね。そこら辺は、ある意味デリバーというのは一発勝負なものですから、先ほどお話をしたように、何か起きたときの対応のために、危ないと思ったときにはガイドワイヤーで、必ずトラブルシュートできるように道を確保していくというような工夫はしています。
○千葉委員 そのトラブルシューティングを含めて、指導医の基準が決められていると理解してよろしいのでしょうか。
○錦見参考人 指導医が来て、指導医の下でやるというのは何かというと、トラブルシュートを習うということで、トラブルばかり起こしていると、一つ起こせば十分なわけで、それを伝えるというのが講習の一番の肝だと思います。
○笠貫部会長 技術が従来の胸部大動脈のステントのワンランク上というのは、グラフトをオーダーメイドで作るということと、作って合わなかった場合の対応も含めて、技術はそこまでを含めたものが求められるということが、この添付文書で十分に伝わりますでしょうか。私は、入れるのが非常に難しいのかと思ったのですが、トラブルシューティングも含めて、どう対応するかというのは、この機械の特徴でもあるし、高い難易度でもあるのかと思うのですが、どういう書き方をすれば、このことは通じるのでしょうか。
○錦見参考人 例えばお腹の方で話をいたしますが、お腹だと腎動脈に被せてしまうというトラブルもあるわけです。そのときにどうするかというのは、慣れるほどたくさん作ってもらっては困るのですが、そういうものに慣れているほど、同じ技術が頸にも適応されるということで、トラブルシューティングの方法を知っている、あるいはそれができるということがあれば、カテーテル操作に習熟している者という言い方でもいいかもしれません。そうすると、普通の胸部ステントのときでも、胸部ステントですと鎖骨下動脈をわざと狙って被せてしまうこともありますが、少し被せすぎて戻すだとか、いろいろなこともあります。本当に何も血管内治療をやったことのない人が、これがあったからこれを入れてみようとなって、それを入れたら、それは大変危ないことになる、開発してきた人たちも、いろいろな試行錯誤を繰り返しやってきた経験が全然伝わらずにいってしまうというのは、それが一番もったいないことなので、そこの部分さえ担保されている、つまりステントグラフトの実施管理委員会の指定するところの講習を受けて、トレーニングを受けているということなら、あえてその資格だけでいいように私は思います。
○機構 PMDAから補足させていただきます。ステントグラフトの領域の背景を説明させていただきます。ステントグラフトの領域は、グラフトの委員会が、関連学会の共同委員会が立っていまして、そちらで実施基準、実施指導医の基準等を全て指定されています。そこの指定がない限りには、ステントグラフトが実質上使えないと縛られていまして、データ自体もそこで集めていくというようなシステムができているという背景がございます。添付文書で縛っていく方法と両方あると思うのですが、錦見先生からの説明と少し重なるのですが、ある程度専門医のしっかりとした学会で共同した基準で運営し、スキル、技術、アウトカムも一定に保つといったことが、日本のステントグラフトの領域については、個人的には理想的な形態が整っているのかと思います。
○笠貫部会長 それは理解しています。従来、ステントグラフト実施基準でしているものの、ワンランク上の習熟度を求めるならば、それなりの表現が必要だということを言っているのです。分かりましたか。先ほどそれを検討していただけるということだったので、それで結構です。ほかにございますか。
○齋藤委員 これは回旋させながら挿入させて、動脈分枝部に開窓部を当てるというものだと思うのですが、レントゲンでその位置などは確認できるのでしょうか。恐らくレントゲンで確認しながら広げていくのではないかと思うのですが。
○錦見参考人 あらかじめ開いている窓の位置を分枝の部分に合わせて、デリバーするという形になります。
○齋藤委員 ねじれて入ったときに、開窓部が別の所に当たるとか、そのような可能性はあり得ないのですか。
○錦見参考人 それも合わせて調整していく格好になります。全て作業は透視下です。
○齋藤委員 レントゲンで、何か開窓部の位置を示すマーカーがあるとか。
○錦見参考人 レントゲンに写るマーカーがありまして、一つ目の穴、二つ目の穴というのが分かるようにマーカーが打ってあります。
○齋藤委員 あと、材質についてですが、生体の中に入れたときに、長期的に見て劣化していくということはないのですか。半永久的なものなのでしょうか。
○機構 耐久性等に関しましては、加速条件下ではありますが、10年相当の拍動負荷を掛けまして、特段の破断等の影響は見られておりません。
○齋藤委員 膜構造だと思うのですが、10年というスパンで見たときに劣化はしないのですか。
○機構 現状、膜を付けた本品での拍動負荷をしているのですが、そこに穴が開いたり、といった事象は今のところは認められていません。
○錦見参考人 カワスミのこのグラフトということではなく、ステントグラフト一般論で、1990年からやられているものの話からすると、グラフトのストラッドの針金部分のフラクチャーが折れてしまうこと、ないしは慢性的に布のところ、人工血管は合成布ですから、そこに当たって穴が開いて、ピンホールができてしまうということ、それはいくらでも報告はあります。逆に、それをどうやってリカバーするかということも、また出ています。ですから、それこそ過去10年以上、ステントグラフトは世界中でやられているので、そういうものはある程度みなさんが御存じのことで、その前提の上で、こういう新しい手技に入れてもらえたらということだと思います。
○機構 補足説明いたします。一つ目の御質問のところで、窓のところにマーカーがあるという話をさせていただいたのですが、資料の309ページの図4.3.3.3-5を御覧いただきますと、造影マーカーの写真がありますので、ここに示してある形で、赤丸で書いてありますように、フェネストレーション部分にマーカーが付いています。それを見ながら、留置位置を確認しながら留置するという形になります。
○齋藤委員 難しいと思うのは、ねじれますね。マーカーが線状にあるのか、あるいはこういうように配列しているのかというのは、起こり得ないのですか。起こり得なければいいと思うのですが。実際に、脳硬塞とか、脳血管障害みたいなのが、割と高率に発生するということで、その辺がこれの難しさを表しているのかと、可逆的な変化が多いという話なのですが、その辺が少し気になりました。
○機構 私どもも、もう1回確認はさせていただきますが、脳梗塞の発現については、先ほどお話をしましたように、難易度の高い部分の留置ですので、ある程度高くなるということはあると思いますが、このフェネストレーションが原因とは限らないと思います。ただ、この見方で、先ほど先生がおっしゃられたところに関しては確認して、後ほど先生にどういうことなのかは御説明させていただきたいと思いますので、そこは宿題とさせていただきたいと思います。
○笠貫部会長 錦見先生から、今の点についてございますか。
○錦見参考人 脳梗塞に関しては、ステントグラフトそのものによるものもあると思います。しかしながら、ステントグラフトを入れるための操作というのは、ガイドワイヤーを、この場合だと右の上腕から腕頭を通って、弓部、下行とくるわけで、腕頭から弓部、しかもこれはプルスルーで、上行大動脈に落として、そこをカテーテルが走っている。それによって、粥腫の破片を落とすという状態のものも、十分に考えられます。実は、先週、お腹の動脈瘤で脳梗塞をという、微小なものですがこのようなことが起きたのかと驚くようなものがありましたので、ステントグラフトそのものというもの、プラス、それを挿入する経過中の手技、ガイドワイヤー挿入、カテーテル挿入によって起きるものも含まれているということもありますので、窓が開いている開いていないということは、確かにリスクを増やすはずではあるのですが、あまり増えていないなというのが、こういう業界をやってきた者の感想です。
○笠貫部会長 先生から御質問のあった、ねじれに関してどうかということは、事務局で確認の上、これについてどう触れればいいかを御検討いただくことにします。ほかにいかがでしょうか。
○塩川委員 私は脳外科をやっておりますので、今の脳梗塞は急性期、30日以内がほとんどで、手技に伴うものであろうという想像もできますし、複雑な操作が要るのでというのも、致し方ないと思うのですが、脳出血の合併症の発生というのが、例えば添付文書の7-6の表を見ても、術後1か月〜12か月ぐらい、かなり長期にわたってあって、特に、窓が開いているものとないもので、非常に大きいというので、これは機器の審査なので、あえて添付文書にもないのかもしれないのですが、留置した後の抗血小板療法、抗凝固療法というのは、大体決まったものがあるのでしょうか、あるいはこのように窓が付いて複雑なものだと、かなりそれを強化しなければいけないものなのでしょうか。術後の抗血栓治療の点で。
○錦見参考人 このNajutaに関しては、私はNajuta自身を使っていないということで、抗血小板療法をどうやってやったらいいかに対して、こうですという回答ができないです。しかし、お腹の動脈瘤で腎動脈のところに、しっかり固定するために、ストラッドをカバーしてしまう方法があるのです。それに対して、最初は抗血小板剤を飲ませておいた方が、腎機能の悪化が防げるのではないかということを言っていたのですが、結局、ハイフローのところだと血栓がほとんどできないようで、飲ませる群、飲ませない群で、全然腎機能の悪化の程度が変わらないということでした。
○塩川委員 頭頸部領域ですと、例えば頸動脈のステントだと、3か月間は抗血小板剤2剤でいくとか、添付文書にあったかどうか定かに記憶はないのですが、ガイドラインなどに決めてあります。ですから、入れた後の、重篤な合併症の脳出血があると御指摘されているので、それについての配慮というか、記載が添付文書など、みんな抜けているような気がしましたので、それで質問しました。
○機構 補足の説明をさせていただきます。Najutaの臨床試験においては抗血小板薬等の内服の規定は特になく、一般的なステントグラフト、錦見先生から説明があったのですが、血流が非常に速いところがありまして、抗血小板薬を入れるということは一般的にないという背景があります。基礎疾患によって入れられているという背景はあるのですが、本品を入れることによって、抗血小板薬を追加するといったことは特にございません。今回、脳出血、脳血管障害という形で、脳出血・脳梗塞という一括りで、頭への何かの影響、有窓性のフェネストレーションがあるタイプの影響を考慮した際に、専門委員の先生に当初、こちらとしては脳出血自体が、出血性脳梗塞を、たまたま脳梗塞を放っていて、脳出血に気づくのが遅くなってということはないかということを気にして質問させていただいたのですが、専門委員のステントグラフトの御意見としては、脳出血からはまず考えにくいだろうということでした。こちらも、脳出血の個々の症例のデータを少し出していただいたのですが、脳梗塞、血栓が飛んでという形での被殻出血等のタイプでして、直接的なところは関連が乏しいかという判断はさせていただいた経過がございます。
○塩川委員 我々の世界では、脳梗塞と脳出血は厳密に俊別すべきで、出血性梗塞はありますが、添付文書の表などを見ましても、3.4%の人に脳出血が起こるというのは、何らかの背景があるような印象があって、いずれにしても、重篤な合併症の中で脳出血と指摘されているのであれば、そういうところに審査の時点で何らかの配慮があって然るべきという気がいたします。
○笠貫部会長 このガイドラインについては、先ほど分枝血管対応のステントグラフトについて、特殊なガイドラインが必要かどうかは、是非、管理委員会、学会の方で、先ほど「技術はワンランク上です」という話が出たので、今の適応とか、先ほどの抗凝固療法をどうするかを含めて、ガイドラインとして、従来のステントグラフトと違いがあるのかどうかを確認していただくことが大事かと思いましたので、お願いします。
○正田委員 非劣性は結果的に示されていると思うのですが、ヒストリカルコントロールの外科手術と、今回の治験の群をマッチングさせると、マッチングしている数がすごく少ないですね。ということは、もともとの群がかなり違っている群を対象にしているという可能性はないのでしょうか。何を言いたいかというと、外科手術をやるという対象と、これを使うという対象というのは、専門家であれば非常にきれいに判別できて、使い分けができるものなのかどうか気になりました。なぜかというと、治験群の半分以下ぐらいしかヒストリカルコントロールとマッチしていない、あるいは施設だけの問題なのかどうか分かりませんが、その点だけ確認しておきたくて、適応の問題ということになると思います。
○機構 御指摘いただいた点については、審査の中でも問題になりまして、本来であれば本当に外科手術がいいのか、本品による治療がいいのかということを考えた場合に、やはりRCTでしっかりとバイアスのない状態で評価をしなければいけないです。ただ、日本の現状を踏まえますと、既に通っているステントグラフトはいずれも、特に世界的に胸部領域のRCT試験というのが非常に難しい領域で、それが選択肢としてない場合で、今回申請資料として出してきたデータが、得られる範囲でベストのデータかと思います。そういった中で、マッチングの症例数が非常に落ちていることも問題に上がりまして、それを多面的にマッチングしない場合、そのままのデータ、いろいろなデータセットを見比べた場合に、一貫して本品が外科より劣るという傾向は出ていないということを確認させていただいたということです。
○正田委員 RCTができないのはよく分かるのですが、そうではなくて、違うグループを相手に見ているのだったら、適応がきちんと決められるのかどうかということです。専門家であれば大丈夫だというのであれば、それでいいのだろうと思うのですが、そのことだけを確認したかったのです。
○機構 実際の適応については、錦見先生からの御説明が詳しいかとは思うのですが、実際の臨床の現場の先生で、各施設によって外科の方が得意なところもあれば、ステントグラフトが得意なところもあります。そういった背景もありつつ、個々の先生のその場のチームでの御判断をされているというのが実情かと思います。ステントグラフトは2008年より、胸部に承認されました。その後、ステントグラフトをされている例が、全体の症例数でいくと割合が上がってきているという背景がございます。錦見先生から補足をいただけますか。
○錦見参考人 お腹の動脈瘤のヒストリカルの話をすれば、ステントグラフトが入ってから、動脈瘤の処置件数はどこの施設も、ステントグラフトをやっているところが倍とは言いませんが、倍近くに伸びています。つまり、今まで手術をしないぐらい全身状態があまり良くなかった患者も、ステントグラフトならばできるという形で、治療の対象になって、例えば全身麻酔が掛けられないから放置された肺気腫合併の動脈瘤なども、局所麻酔でできるということで、手術されるようになってきた。当然、そこら辺は治療上のバイアスは、今後もずっとかかってくると思います。それは瘤の形態とか、そういったことだけではなく、全身状態も含めてということになりますので、皆さんが診療しているときの判断と同じ状態だと思います。
○笠貫部会長 弓部大動脈はステントグラフトが使えず、人工血管手術でやっていましたが、ここまでステントグラフトができるようになりましたという、新しい機器だと理解しているのですが、そういうことでよろしいのですね。しかも、人工血管でできない手術を、今度はこの新しい手技でそれをカバーできますということでは、新規性が極めて高いと思います。こういう形のヒストリカルで、これだけの症例で、そこをどう評価するかが一つだと思うのですが、やむを得ないという臨床的な実情があったとしたら、この試験が終わってから実際に使われた症例というか、日本ではこういう患者も多く、しかもステントグラフトにチャレンジされているところもあると思うのですが、そういう臨床研究というのはないのでしょうか。この試験の終わった後の臨床研究がないかどうかなのですが。
○錦見参考人 今、全てのステントグラフトを実施管理委員会が、データベースを全例登録で、本当は98%ぐらいだと思いますが、数万件に及ぶものがあって、それをannualに成績だけは報告しています。しかしながら、それは今後もしそれが認可された場合には同じパターンで、追跡調査の対象となって、臨床成績の発表は年次報告として出てくることになると想像します。
○笠貫部会長 そうしますと、この同じカワスミのステントグラフトは、この試験以外には臨床研究はされていないと考えてよろしいのでしょうか。
○錦見参考人 これ以外にはないと思います。
○笠貫部会長 それを聞きましたのは、日本で初めて開発して、日本で初めて承認するときに、できるだけ多くの情報を基にして、ここでそれをどうするかの判断をしたかったものですから、もしこのヒストリカルなコントロールを設けた100何例ということで、これだけで承認することになるのか、あるいはそれ以外に使われた臨床研究があれば、それも参考にできれば、どう認めるかは別にして、そういうデータがあるということは、我々の判断の上に非常に大事なことかと思ったので、お聞きしたのですが、それはこれからということになりますか。
○錦見参考人 これからになると思います。皆さん、こういうフェネストレーションタイプのものをお手製で、各大学の責任というか、自分たちで作っているものはあります。ありますというのは、それだけの症例数はないので、まとまった成績ではなく、数例報告という格好で出てくるわけなのですが、うまくいったという話しか当然出てきません。少ないとはいうものの、これだけまとまったNがあるものを調査されたというのは、これが最初ではないかと思います。
○笠貫部会長 そうしましたら、その後の3番目の条件として、市販後の全症例登録なのですが、できることならこういう全く新しい機器を、日本で初承認という場合には、市販後の臨床試験をどうするかということは、非常に大事なことになるかと思います。私は、市販後調査と市販後臨床試験とは意味が違うのではないかということを言っているのですが、是非、こういった場合には、臨床試験として、学会が中心になって、その下で企業が臨床試験を組んでいただけたらと思うのですが、そういう動きはないのでしょうか。
○機構 こちらでいただいている情報では、そういった動きは伺っておりません。
○笠貫部会長 是非、私はそれを希望していまして、そうなればいいと思っています。それのプロトコルをきちんと登録して、そこで出た臨床試験の結果を世界に発信すれば、なおこの機器が本当にいいということが、より世界に発信できるのではないかと思いました。それ以外にはいかがでしょうか。
○中谷委員 違う視点なのですが、952種類のものが考えられ、いろいろな種類があって、初めてフィッティングするとなると思うのですが、実際にそれを使うとなったときに、それだけの品揃えとか、その辺のところまで考えられているのかどうかが気になりました。非常に多く使われているものについては、それなりに作って準備はすると思うのですが、2mm違うとかいうことになってくると、実際この添付文書を見ていても、最も合ったものとはいうのだけれども、それがどのような形で提供されるのかというのがよく分からないので。この審査のときにも使われていないのも、そういう意味では仕方ないと思うのですが、いざ使うとなったときに、それが本当に使える状態になっているのかというのがよく分からなかったのですが、この売りはそういうところだと思うのです。これはあくまでも慢性期というか、構えてやるものでしょうから、オーダーメイド的に作ってというのもあるのだと思うのですが、この利点はそこも含めての話だと思うのですが、そこが明確でないと思いました。
○機構 御指摘いただいた点ですが、本品の実際の手順としては、本品を留置したい患者の3DCTのデータを申請者に送って、そこのコアラボのセンターでデータを解析、そこで計測した結果から、手順書があるのですが、その手順書に沿って組合せを提示、その提示されたものが実際に治療をされる先生にフィードバックがかかり、その先生が、これはまだこういうところがこうと言うと、そこである程度のコミュニケーションがありまして、最終の仕様が決まります。その患者用のセットが組まれたものが、実施施設へ送られるという流れになっております。
○笠貫部会長 非常に複雑なシステムですので、そのシステムが提供できるようにという御指摘だったと思います。少し時間がオーバーいたしましたが、日本で開発された、日本で初めて世界に先駆けて承認をするかということで、慎重な皆さんからの御意見、あるいは御議論をいただいたと思います。
 よろしければ議決に入ります。「医療機器『カワスミNajuta胸部ステントグラフトシステム』」については、本部会として、審査報告書にある条件を付した上で、多少御検討いただくことにいたしまして、今の御議論を踏まえた上で、承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とし、また、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会に報告することにいたします。
 議題1が終わりましたので、参考人の錦見先生におかれましては、御退室いただいても結構ですし、最後までお聞きいただいても結構です。よろしくお願いいたします。
── 錦見参考人退室 ──
 次の議題に進みます。議題2「医療機器『気管支充填材 EWS』の製造販売承認の可否等について」の審議を行います。本議題の審議に当たりましては、参考人としまして、東京医科大学茨城医療センター呼吸器外科教授の古川欣也先生にお出でいただいています。よろしくお願いいたします。審議品目の概要について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料2を御覧ください。1枚目が諮問書になります。次ページに、「高度管理医療機器 管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」という紙が挟み込まれております。こちらの品目に関しては、気管支用充填材として一般的名称を新設して、クラス分類はIII、特定保守管理医療機器としては指定しない形で考えている品目です。
 具体的な品目の概要については、審査報告書1ページになります。一般的名称に関しては、ただ今御説明いたしましたように「気管支用充填材」、販売名は「気管支充填材 EWS」と呼ばれるものです。こちらの申請者は、原田産業株式会社になります。本品目は希少疾病用医療機器として指定されておりまして、優先審査品目として審査された品目になります。
 本品目の概要は、審査報告書4ページを御覧ください。シリコーン性樹脂の気管支充填材で、図1のような外観図になっております。図2に示すように、鉗子によりまして気管支の瘻孔に必要期間留置させるといったものになります。
 使用目的、効能又は効果については3ページに記載しております。本品については、外科手術による治療が困難で、かつ気管支充填術が適応となる続発性難治性気胸、肺切除後に遷延するエアリーク及びその他の瘻孔を有する患者の気管支に充填し、瘻孔を閉鎖するために用いるものです。承認条件は3ページに記載のとおり、必要な措置を講じるということです。それでは、機構より御説明いたします。
○機構 議題2、資料2「医療機器『気管支充填材 EWS』の製造販売承認の可否等について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 まず、審査報告書に2点修正がありますので、お知らせいたします。1点目は、審査報告書3ページの承認条件3行目「本品が用いられるように、必要な措置を」と記載しておりますが、こちらの「に」を削除していただきまして、「本品が用いられるよう、必要な措置を」と修正をお願いいたします。こちらに関しては、審査報告書27ページの承認条件においても同様の修正をお願いいたします。2点目は、審査報告書20ページ31行目にて「低呼吸状態」と記載されておりますが、こちらに関しては「低換気」への修正をお願いいたします。こちらは正誤表にも記載させていただいておりますように、他4か所に同様の記載がありますので修正をお願いいたします。
 本品の審査に当たりまして、専門委員一覧に記載しております3名の専門委員の御意見をいただいております。
 本申請品目の概要について説明させていただきます。審査報告書4ページを御覧ください。「気管支充填材 EWS」(以下「本品」)は、シリコーン樹脂製の気管支充填材であり、図1に示すように釣鐘型の上下に平板型の突起部を有しております。こちらを図2に示しますように、気管支鏡下でフレキシブル鉗子により突起部を把持し、気管支の瘻孔に必要な期間留置し、その後、抜去いたします。本品には塞栓する気管支の径に応じてS、M、Lの3サイズがあります。
 審査報告書5〜6ページに記載している本品の開発の経緯について御説明させていただきます。自然気胸を繰り返す患者に対しては外科手術により治療が行われますが、高度の肺気腫等に合併した気胸では肺自体のもろさや患者の全身状態が不良であることなどから、外科治療が困難となっております。また、術後に遷延するエアリーク、有瘻性膿胸や、他臓器との気管支瘻においては、外科処置を行っても瘻孔の閉鎖が得られない場合や外科的治療が困難な場合があり、予後不良となることも多くなっております。このような症例に対しては、内視鏡を用いて種々の充填材で気管支を閉塞し、末梢肺からのエアリークを止めることにより病態を改善しようとする気管支充填術が開発されてきました。当初は、固形物が肺に対して異物として作用し、肉芽形成や感染等の原因になると考えられておりましたので、ゼラチンスポンジや酸化セルロースなどの生体吸収性材料が用いられておりました。しかし、ゼラチンスポンジは水分を吸収すると弾力が失われ抜けやすくなるなどの閉塞持続性の問題や、鉗子に付着するなどの操作性に難点があり、酸化セルロースについては咳により喀出しやすいなど、閉塞の持続性に問題がありました。また、気管支充填術以外にも胸腔鏡下でシアノアクリレート、ゼラチン糊、フィブリン糊といった接着剤の噴霧による胸膜癒着術が行われておりますが、陽圧人工呼吸を行っているような症例では十分な接着を行うことが難しく、確実性、持続性において十分とは言えません。
 1989年に渡辺らは、人工換気中の真菌血症の患者で見られた腎盂気管支瘻に対し、歯科用印象材の固形シリコーンを用いて気管支充填術を実施し、治療に成功しました。その後、固形シリコーンを用いた気管支充填術の追試を行い、従来の気管支充填術に比して有用であることを確認した後に、固形シリコーンを用いた非吸収性の気管支充填材として本品が開発されました。本品は、フランスのNOVATECH社により製品化されておりますが、本邦では医師の個人輸入により臨床使用されており、2012年9月までに□□セットが輸入されています。日本呼吸器内視鏡学会の調査では、2010年に年間で227件の本品を用いた充填術の実施が報告されています。また、本品は平成21年、希少疾病用医療機器に指定されております。
 審査報告書6ページに記載した外国における使用状況についてです。本品はEUにて2002年12月にCEマークを取得し、本年6月末までに□□セットが販売されており、特に本品による不具合等の発生は報告されておりません。
 審査の概要について説明させていただきます。非臨床試験については審査報告書6〜9ページに記載しておりますが、仕様の設定、安定性及び耐久性並びに性能に関する資料が提出されました。非臨床試験における主要な論点は、他臓器との気管支瘻に用いた際に予想される胃液、腸液、膵液等の体液に接触した際の安全性についてであり、総合機構は、原材料の長期使用機器での実績及び本品との接触が想定される胃液、膵液、十二指腸液等の体液の液性から考察し、本品が溶解することはなく安全であるとする申請者の説明は受入れ可能であると判断いたしました。また、本品の原材料、サイズ、使用量、本品の適応となる疾患の重篤性等を考慮した場合、本品に安全性上の問題はないものと判断いたしました。
 本品の臨床試験成績については、審査報告書9ページから記載しております。低肺機能等の理由により、麻酔・手術のリスクが高く、外科的手術の実施が困難な状態、又は治療効果が低いと思われる状態にある続発性難治性気胸、肺切除後に遷延するエアリーク、有瘻性膿胸又は他臓器との気管支瘻を有する患者を対象に、本品を用いた臨床試験が国内6施設で行われました。本臨床試験の主要評価項目は、気管支充填術後90日までの、胸腔ドレーン抜去の有無及び追加療法の可否であり、ドレーン留置例においては胸腔ドレーンの抜去有り、胸腔ドレーン非留置例では追加療法が可能であった症例を有効例と判断いたしました。その他、副次的評価項目として、エアリークの消失・減少効果、呼吸困難スケールの変化、退院の可否、最終気管支充填術施行90日後の臨床転帰及び瘻孔遮断による随伴症状の変化が評価されました。安全性評価としては、有害事象の発生状況が収集されました。
 本臨床試験には、続発性難治性気胸21例、肺切除後に遷延するエアリーク3例及び他臓器との気管支瘻1例の、合わせて25例が登録され、有瘻性膿胸を有する患者は登録されませんでした。登録された患者の全例が基礎疾患として、肺気腫、肺がん、間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患等の肺疾患を有していました。25例全例に対して平均1.7回、最大4回の気管支充填術が実施され、充填術1回あたり平均2.7個、1症例あたり平均4.6個の本品が留置されました。主要評価項目である、気管支充填術後90日までの、胸腔ドレーン抜去の有無及び追加療法の可否については、有効22例、無効2例、判定不能1例であり、有効率は88.0%、95%信頼区間の下限が68.8%であり、国内臨床研究での成績から想定した有効率65%を上回り、本品の有効性が示されました。また、対象疾患ごとの有効率は、続発性難治性気胸で90.5%、肺切除後の遷延するエアリークで100%であり、他臓器との気管支瘻は0%でした。副次的評価項目については、続発性難治性気胸症例においては、いずれの評価項目においても概ね良好な成績が得られ、肺切除後の遷延するエアリークの症例については3例の評価ではありますが、各評価項目において良好な例が認められました。なお、副次的評価項目として設定された瘻孔遮断による随伴症状の変化に関しては、対象症例が1例であり、症状に改善は認められませんでした。
 安全性に関して、25例中の25例に計168件の有害事象が確認され、重篤な有害事象は7例8件であり、死亡例が4例認められましたが、本品との因果関係は否定されました。死亡以外の重篤な有害事象が3例3件認められ、そのうちの肺炎球菌性肺炎1件以外は本品との因果関係が否定されました。また、本品自体の不具合は認められませんでした。この臨床試験成績を踏まえ、本品の審査における主要な論点について御説明申し上げます。審査報告書26ページ「総合評価」を御覧ください。一つ目の論点は、他臓器との気管支瘻及び有瘻性膿胸に対する適応についてです。他臓器との気管支瘻及び有瘻性膿胸を有する症例は、治験において症例数がほとんど登録されておらず、当該症例における本品の有効性及び安全性は確認できているとは言えません。しかしながら、本品が希少疾病用医療機器に指定されており、他臓器との気管支瘻及び有瘻性膿胸は、本品の対象疾患の中でも更に症例数が限られる疾患であり、臨床試験においては十分に検証することは困難であること、他臓器との気管支瘻及び有瘻性膿胸に対する本品の主たる作用は瘻孔の閉鎖であり、続発性難治性気胸及び肺切除後に遷延するエアリーク症例における治療成績から瘻孔の閉鎖性能は示されているため、本品は他臓器との気管支瘻及び有瘻性膿胸に対しても有効性が期待できるとする申請者の説明は理解できること、現時点において外科的治療による瘻孔の閉鎖以外に、他臓器との気管支瘻及び有瘻性膿胸に有効な治療法がない状況において、臨床研究において本品の有効性が示されていることを踏まえると、当該疾患を適応に含めることは妥当であると判断いたしました。なお、当該症例が国内臨床試験で有効性及び安全性が確認されていない旨を添付文書で注意喚起するとともに、製造販売後調査において、当該症例の有効性及び安全性に関する情報収集を行う必要があると判断いたしました。
 二つ目の論点は、術者要件及び術者講習についてです。本品を用いた気管支充填術には低換気となるリスクが想定されます。このリスクは、本品の抜去や酸素投与などによりコントロール可能であり、エアリークが継続する場合のリスクと比較した場合、臨床的に許容可能であると考えますが、充填術の実施に際しては、本品を充填することにより充填した気管支の支配領域が無気肺となり、過剰な充填は更なる換気状態の低下を招くことから、患者の病態に応じて術前に綿密な治療計画を立てることが重要になると考えます。また、低換気リスクの軽減のための段階的な充填術の実施、病態を注意深く観察しながらの酸素投与、状態に応じて複数回に分けての気管支充填術の実施、低換気によるリスクが高い場合には抜去の実施などを、術者講習等により周知することが必要であると考えました。よって、対象疾患の病態を十分に理解しており、関連学会が実施する本品を用いた充填術に関するトレーニングの受講等により本品を用いた手技の特性を十分に理解し、適切な治療計画を立てることが可能な医師の下で、本品を用いた気管支充填術が行われる必要があると考え、承認条件として付すことが妥当と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は、希少疾病用医療機器であることから7年と判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えます。なお、薬事分科会では報告を予定しております。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは、参考人の古川先生から何かございましたらお願いします。
○古川参考人 この続発性の気胸は、臨床の現場では非常に治療に難渋する疾患です。症例数は多くはなく、オーファン指定になっております。まずドレナージをするわけですが、チューブが胸の中に入っていると患者は活動も制限されますし、ADLは下がっていきます。長期に続いてリークが止まらないと、ドレーンを長期に入れておくことになります。そうなってくると、次は膿胸という状況になってきますので、患者が膿胸になった場合は手術ですが、そのような状況の患者はほとんど手術の適応がない患者が多いということになります。そういうことを考えると、手術するとしても開窓術という胸に穴をあける手術を行うことになってきますので、かなり悪い状況、処置の対応が困難です。外科で手術してあげたくても、空気が漏れている肺自体は非常に脆弱な組織ですから、縫合してもそこからすぐ空気が漏れてくる状況で、手術も内科的な治療も非常に困難です。ドレーンを早期に抜去するためには、続発性の気瘻を早期に止めてあげるということが非常に重要になりますので、このEWSは画期的なものだと考えております。今まで、我々は内視鏡的に、先ほど機構からも御説明がありましたが、ゼラチンスポンジやオキシセルコットン、最近ではフィブリン糊やアロンアルファを詰めたりしておりますが、すぐに喀出してリークがすぐ再開する状況でした。そこで、この渡辺先生が開発されたEWSというのは亜区域支レベルでしっかり固定できますので、全国の呼吸器内科医、外科医が使っております。しかし、日本では手に入りませんので、フランスに個人的にオーダーして個人輸入の形をとっておりまして、現在までに□□セット以上のものが輸入されています。2010年の呼吸器内視鏡学会のアンケート調査では、□□セットほど輸入されていて、自分たちで使っている状況ですので、EWSの採用を熱望している先生が全国には多くいまして、患者の福音になる充填材であると考えております。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見はありますか。
 私から最初に質問させていただきます。ここでの審査は25例しか出ていないので、EUでは不具合があったかどうかはよく分からない。そうすると、先ほどの学会でアンケート調査した227症例について、学会としてまとめて何かの評価は出されたのでしょうか。
○古川参考人 実際、2010年のアンケート調査では施行した数だけを調査しております。どんな手技が日本全国で行われているかという手技だけのアンケートですので、その内容は今のところ詳しくは分かりません。
○笠貫部会長 その過程の中で、学会発表とか各施設の論文発表とかがあるかと思いますが、それはいかがでしょうか。
○古川参考人 学会ではEWSのセッションは過去10年以来、非常に盛り上がっておりまして、かなり多くの発表があります。渡辺先生は2005か2006年ですが、全国76施設ぐらいの130例ぐらいのデータを集めて、学会で発表等をなさっております。今回は6施設でしたでしょうか。私は参加しているわけではありませんので、なぜ数が少なかったかは分かりませんが、前回の臨床研究成績の131例のデータで、成功率が65%前後だったと。機構の説明を見ると、その65%というデータを基に閾値を30%と計算すると、大体それぐらいの数でよかったと書いてありますが、25例では有効性が検討できない、評価できないというのは我々審査委員の方もそういうお話はさせていただきました。全体的に統計学的な処理は難しいですが、有効性は示されているだろうという判断です。
○笠貫部会長 これは事務局から企業の方に、世界で、あるいは特に日本で発表されている論文、あるいは学会発表したものについてきちんと検索をして、それを提出させて評価はされたのでしょうか。
○機構 海外での症例については若干医療環境差等がありまして、使用数が海外では限られているというところで、海外報告に関しては収集ができておりません。また国内においては、専門の学会である日本呼吸器内視鏡学会の学会、学術集会での報告例及びその他専門誌における論文報告については全て収集し、提出をいただいております。しかしながら1例報告が多くあることや、今回の臨床試験で評価されているようなドレーン抜去の有無やその後の転帰等について、詳細な報告がなされていない文献が多くありまして、結果としては、その文献からのまとめができていないところになっております。
○笠貫部会長 それほど学会の論文はあてにならないのですか。文献がどういうのがあってどう評価されるかというのは、学会論文はピュアレビュアのチェックは受けることになっているので、その辺は一言で片づけないでいただきたいと思います。武谷先生どうぞ。
○武谷委員 今回の患者は非常にまれな対象で、しかもリスクの大変高い方を対象にしたということはよく分かりますが、安全性が8割を超えている一方で、13ページで重篤な有害事象が7例で、これが3割弱で、しかも感染に関連するものが、1例を除いてほとんど全部です。気胸を除いて7例中6例が重篤な感染ということで、しかも2か月以内にほとんど起こっている。一方、素人的に、気管支の中にこういう異物が入るということは、そこの局所的な分泌物の排出や何かがブロックされるので、フォーカルな感染のフォーカスになることは十分考えられると思いますが、重篤な感染症の6例中1例だけが関連ありで、ほかは全部関連無しと断言していますが、これは感染のリスクはほとんどないと理解してよろしいのか、そこの感染に対する因果関係の評価をどのように考えたらいいかをお教えいただきたいです。
○古川参考人 武谷委員のおっしゃるとおり、このEWSが出た当時は、そういう閉塞することによって肺炎が助長されて、ひどくなるのではないかという質問が多く出ておりました。私も、それを質問したことを覚えております。それとは別として、この7例のうちの6例が感染で亡くなっているというのは、もともとそこに長期の肺瘻があったから、そこに感染を持っていた方たちが多いのではないかと思います。そういう方々は汚い痰がたくさん出てきますので、それを吸引してほかの肺葉に吸い込んで肺瘻が広がらないような目的で閉塞している患者が多いのではないかと推測させていただきます。細かいところを見たのですが、データが非常に細かくて見えないデータがありましたが、そういう推測をしたのですが、機構の方はどうでしょうか。
○武谷委員 そういうことを含めて、感染のリスクが高い人に使うということは理解できたのですが、これも複合的な要因の一つとして、自然経過でも感染を起こすのでしょうけれども、この手技が感染を少し助長するとか、そういうことはあり得るのでしょうか。
○古川参考人 合併症のデータを見ると、EWSを入れたことによって肺炎を起こしたという症例は140数例中2例というデータでしたので、入れたことによる肺炎の助長、増悪という症例は少なかったのではないかと推測します。ですから、この肺炎等で亡くなった方々は、もともと肺炎を合併なさっていた方だと思います。
○武谷委員 この使用に当たって、感染のリスクというのをどのように各医師に伝えていったらいいのかという辺が気になったのです。
○古川参考人 放っておく方が、感染がひどくなるので、それをローカライズすることによって抗生剤等で限局化し、ドレーンで汚いのを外に出してあげることによって感染を抑えていく目的で、ほとんど使われております。ドレーンが入っている方がほとんどですので。
○武谷委員 そういう説明をして、感染の拡散を防ぐので、むしろ感染を防ぐ効果もあるという論評があるわけですね。
○古川参考人 そうです。
○武谷委員 そのあたりをきちんと御説明をするような形にした方がいいのではないかと思います。
○機構 機構から補足で回答させていただきますと、そちらについては術者講習等で関連学会から情報提供させていただくとともに、添付資料概要の2ページ前に添付文書を付けておりますが、別紙10-2「使用上の注意」の中の「有害事象」(1)において、臨床試験において本品と因果関係を否定できない肺炎が認められている旨は、情報提供をさせていただいております。
○千葉委員 今の武谷先生のお考えは私もどうかと思っていて、古川先生のおっしゃるとおり感染を防ぐという側面があるのかと思いますが、感染を助長するという側面もこれにはあり得るのではないかと素人目には映ってしまいます。EUでは、他臓器との消化液が入るような有瘻性膿胸に関しては適応にはなっていないように見えます。エアリークだけであれば先生のおっしゃることもあるのかと思いますが、細菌が入った消化液が気管の中に入ってくる、それが外に拡散しないように塞いでしまうと、消化液が入っていますから、そこの部分の感染が強くなったりするとか、そういうことはないのかと感じました。ということは、エアリークに関してはヨーロッパは通している。26ページに、エアリークでよかったから、下から10行目ぐらいに「他臓器との気管支瘻及び有瘻性膿胸に対しても有効性が期待できるとする申請者の説明は理解できる」と書いてありますが、ここはどうかと感じました。つまり、有瘻性のものと、エアリークだけのものは、まず一つ、分ける考え方があっていいのではないか。エアリークだけに関しても、感染を防ぐという側面と感染を助長するケースがあり得るのかという言及を、説明とか注意書きの中に入れておくべきではないかと思いました。基本的には使う方向で先生方のお考えに反対ではないですが、その辺の注意は誰しもが疑問を感じるかもしれません。
○古川参考人 消化液が気管支に入るというのは本当に珍しくて、年に1例適応があるかどうかのような症例で、症例報告で有効だったというのがあっただけです。無効であれば発表していませんから。ただし、先生の御心配のように直接消化液が肺に入りますと、pHの関係等で肺炎が助長されますから、それを塞ぐ、肺に入らないようにするというのがこれの目的です。他臓器との瘻孔というのは直接のものですので、それを消化管から肺に入るのを防ぐということで、肺炎を抑えるという目的になると思います。
○千葉委員 近位部を塞ぐのではなくて、瘻孔そのものを塞いでしまうということですね。
○古川参考人 瘻孔そのもので塞げれば、ピンホールの穴が分かればそこに入れられますし、それがもっと末梢であれば先生のおっしゃるとおり中枢で塞ぐことになります。しかし、区域レベルで先生の御心配のことが起きるかもしれませんが、それを塞がなければ更に入って、ほかの肺葉に広がっていくわけですので、そちらの方が病状が悪化するというふうに考えられるのではないかと思います。
○千葉委員 先生のおっしゃるとおりかと思います。ですから、塞いで、ほかの肺に消化液が行かないようにすることが一つ当然あります。もう一つは、そこで感染が起きた場合にそれをどうドレナージするかということが一緒にないと、その部分に感染が広がる、あるいは肺の一部が感染でやられてしまう、それが広がりかねないと思ったものですから、質問させていただきました。
○笠貫部会長 2人の先生方からの御指摘は非常に大事な問題で、25症例で、しかもこれは理論的に理解できたという根拠だけなので、これについてどうするか、ほかの先生方からも御意見をお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
○荒井部会長代理 実は私はこれを結構経験していて、詰めたことが何度もあります。これが感染を防げるとかといった点については、現時点でエビデンスといえるきちんとしたデータはありません。ただ、大切なことは、この病態というのが、放っておけばいずれは多剤耐性菌ができてきて重篤化し本当に亡くなってしまう、すなわち単にQOLが低下するといったレベルではなく、本当に重篤な状態に移行する病態であるという点で、このような背景をベースに話をしなくてはいけないという点です。そのような病態に対し、自由に交通する状態のままで沈静化を待つか、それとも、末梢側にせよやや中枢側にせよ、交通を遮断して沈静化を図るかということであって、その答えは今のところ、ケース・バイ・ケースと言わざるを得ないと思います。ただ、これまでは、仮に交通を遮断して沈静化を図ろうとしても、きちんと交通を遮断する方法がなかった訳で、そういう点では、一つの確実性の高い選択肢が登場したと理解すればよいと思います。もちろん感染については、臨床医が十分に注意を払い、もし生じた場合には、ドレナージを含み対応しなくてはなりませんが、そのような注意喚起を前提として、交通を遮断する方法があるということを示すことの臨床的な意義は決して小さくありません。残念ながら、そこから先のことをここでディスカッションしてもエビデンスがある訳ではなく、不毛なものになってしまいます。要するに、感染のことをきちんと注意喚起しておけば、新たな塞ぐ手段を臨床現場に提供することに大きな意義があることを申し上げておきたいと思います。
○千葉委員 私が申し上げたのは全く荒井先生のおっしゃるとおりで、まずそれは使うことはいいだろうと、ただ、そのときに同時にそういったことの議論ないし注意書きが、もう少し強調されておいた方がいいのではないかということです。起きる、起きないは議論しても不毛ですから、基本的にはこれを使ってみることのできる患者はたくさんいると思います。そういうふうに注意書き、あるいはそういった部分でという意味で申し上げました。
○笠貫部会長 いずれにしても、私が最初に言いました25症例でどうかということです。我々はそこで判断することなので、そういう意味ではもっと学会から今のようなところを。
○鈴木委員 今の話を聞いていると、この本品の有効性・安全性について、海外はもとより国内でもしっかり検証していないということのようですが、こういった薬食審に上がってくる事例というのは、有効性・安全性についてのシステマティックレビューが本件のように通常行われていないのでしょうか。それについて、お聞かせいただけますか。
○機構 システマティックレビューというのが、もしいろいろな文献を参考にということでしたら、一応臨床研究という形では今、古川参考人がおっしゃられたように臨床研究130例の報告がありまして、ただ、それはあくまでも臨床研究でしたので、治験という枠組みの中で有効性は確認させていただいたと思っております。ただ、安全性に関しては、25例ではありませんので、しっかり検証できたということまではなかなか言い切れないところもありますが、非臨床試験の結果等々を見て、その本品の疾病の重要性にかんがみて、ベネフィットが上回るだろうという判断をさせていただいております。
○鈴木委員 そうすると、決定の仕方がそのようなレベルの根拠に基づく場合、科学的なものというよりは、最後はこれでいいかという感じで出してきているような、どんぶり勘定とは言いませんが、そういうようなお答えにも今聞こえました。海外では結構使われているわけでしょう。そういったもののシステマティックレビューもされていないわけですね。
○古川参考人 日本で開発されて日本から出たもので、フランスとかでは少し使っていますが、まだそれほど海外では普及しているものではありません。日本で開発されて日本でかなり検討してやられているものなので、海外の論文はかなり少ないと思います。
○鈴木委員 そうであれば、それなりに既存のデータを集積するとかして、そういうものがベースにならないと、こういう議論は今後なかなか進まないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。例えば私は中医協の委員もしていて、費用対効果の部会があり、そこでまず有効性・安全性についてのシステマティックレビューをするべきだと言っているのですが、中医協の事務局は「それは薬食審でやっています」というのです。ところが、今の話を聞いていると必ずしもやっていないということですね。そうすると、将来、こういうものが有効性、安全性が曖昧なままに、さらに費用対効果のような話が出てきた場合、曖昧な上に議論をしても曖昧なものしか出てこないということで、先々問題になるのではないかと思います。現時点で、どの程度きちんとやっていらっしゃるのかをお聞かせいただきたいと思います。
○機構 補足説明させていただきます。本品目に関しては希少疾病ということもありまして、臨床試験においても症例がなかなか集まらないということがあります。また、今、御議論いただきました有瘻性膿胸に関しては、その中でも特に症例が集まらない、年間でも数例というぐらいのもので、これを何年間やっても安全性、有効性がきちんと評価できるものまでは恐らく出てこないということもあります。また、これまでの国内の臨床報告等がありまして、そこでも有効性とかの報告がありますし、今回は25例と限られておりますが、本品の性質からいくと、きちんと止められるという性能自体は評価できていると考えておりますので、今回このように上程させていただいた次第です。
○鈴木委員 今回はそういうことはしてないけれど、希少疾病とかではない場合には、きちんとやっているという理解でよろしいですか。
○機構 例えば先ほど御議論いただきましたカワスミNajutaに関しては、症例数も117例とか、もう少し大規模なものはやっていただいておりますので、100例が大きいかどうかということがありますが、一応そこの有効性とかも確認している次第ですので、今回25例というところは、どうしても希少疾病というところで集まりにくいこともありまして、なかなか難しいと考えている次第です。
○鈴木委員 その有効性、安全性を確認したというのは、国内外の全ての文献に当たってやっていらっしゃるのですか。
○機構 そこに関しては、こちらからも申請者に確認させていただいて、その論文等を出していただいて見ている次第です。
○鈴木委員 申請者から出してもらうわけですか。
○機構 こういう申請に関しては、申請者の方に資料とかを集めていただきまして、どういう資料があるかを。
○鈴木委員 でも、それでは全ての文献に当たったかどうかは分からないのではないのですか。
○機構 そこに関しては、こちらも一応確認はしておりますが、更にこちらの審査において各担当者が論文等を検索して確認はしているところです。
○鈴木委員 申請者から上がってきたものしか見ていないということですね。担当者が見ているとは言うけれども、システマティックレビューとはそんなに簡単なものではないですよ。個人でやれるようなものではない。現時点では、組織的にはやっておられないということと理解してよろしいですね。
○機構 そういうわけではありませんが、チームで確認しながらやっている次第です。
○鈴木委員 皆さんが兼任でやっていらっしゃるということですか。
○機構 チームとして審査を行っておりますので、そこのところを見落しがないようにやっている次第です。
○鈴木委員 いわゆる、そういう専門家はいらっしゃらないということですね。
○機構 専門家というか、チームの中にも臨床担当はございますし、さらに本日古川参考人に来ていただいていますように、参考人の意見も聞きながら審査している次第です。
○笠貫部会長 私の方でまとめさせていただきますが、基本的には、この審査は申請者から出てきた資料でやるということは反則だと思います。しかし、そこに申請者に、いろいろこういう資料を提供するようにということはできます。その中にPMDAあるいは専門協議の先生方が参加してやっていますということで、システマティックレビューを行い、完全なものというのは難しさがあっても、それにより近いものをされたというので、今日の結果が出たのですが、私も、25症例にこだわったのは、学会がしっかりしなさすぎるということがあります。なぜ、個人輸入で□□セット輸入していて、アンケート調査で227例していて、その結果が良かったか悪かったかぐらいは、学会が出してもいいのではないかと思いますし、それはPMDAなり申請者が要求したら出るような仕組みが必要です。それが機が熟したという形で、この疾患そのものが、代替治療がなくて、患者が困って待っているという実情は分かるのですが、それをより科学的根拠に近いものをどういうふうに我々が納得いく形のものが作れるかということです。これからはこういう問題は出てくるかと思いますが、本日の議論を是非踏まえて、今後はより多くの情報を集めて、より科学的根拠に近いものを出していただいてここで議論されるようにしたらいいかと思いました。そういうことでよろしいですか。ここは基本的な問題に入ると非常に深いところがあると思いますが、そういう形でより良い審査ができたらと思います。
 もう一つは、先ほど渡辺先生が開発というお話ですが、日本人が開発した機械がフランスで実用化されたと考えてよろしいですか。
○古川参考人 フランスで製品化されたということです。渡辺先生が最初の症例で、他臓器の腎盂との気管支瘻にシリコーンを使われました。それは歯科用のシリコーンを二種類混ぜ合わせて自分で練って作るのですが、それを形状を合わせて作り充填しました。それが瘻孔を遮断することができ、うまくいったというところから始まっております。日本にはシリコーンの充填材を作る会社がなかったので、今、気道狭窄などに使われているDumonステントを製作しているフランスのNOVATECH社に依頼して作っていただいて、ヨーロッパで先に承認されております。
○笠貫部会長 これはイノベーションとの関連で聞いておきたいと思いました。ほかに御意見がございませんでしたら、議決に入ります。
 「医療機器『気管支充填材 EWS』」については、本部会として、審査報告書にある条件を付した上で承認を与えて差し支えないものとして、再審査期間は7年間、また生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。
 もう一つ大事なことを言い忘れたのですが、こういう状態のときに、先ほど市販後調査については触れていませんが、委員からも御指摘があったように、25例でこういうことですよ、しかも、適応によってはリスクもありますよというお話が出たので、しかも希少疾患ということなので、学会はしていなかったみたいですが、是非、学会と一緒に全症例市販後調査をきちんとしていただくことを加えていただくと、先ほどのいろいろな議論に一応対応できるかと思いますので、それを加えていただくということでよろしいでしょうか。
よろしいということで、私も納得いたしました。この審議結果については、先ほどの承認条件を変えていただきまして、次回の薬事分科会に報告することにいたします。
 議題2が終わりましたので、参考人の古川先生にも御退室いただいて結構です。どうもありがとうございました。
── 古川参考人退室 ──
 次の議題に移ります。議題3「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 資料3について御説明いたします。「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」ということで、「バルーン小腸内視鏡システム」という一般的名称を創設しようというものです。医療機器に関しては、一般的名称と呼ばれる区分がないものについては、高度管理医療機器なのか管理医療機器なのか一般医療機器なのかということを、薬事法の規定に基づいて審議会の意見を伺った上で定めることになっておりますので、お尋ねするものです。
 今回、新設する一般的名称の概要については、1ページ裏の上部に記載しておりますとおり、内視鏡、バルーン付オーバチューブ、内視鏡に装着するバルーン及びバルーンコントローラ等から構成されるようなもので、腸管に固定した内視鏡とオーバチューブを引っ張ることによって、腸管をオーバチューブ上に畳み込んで小腸の深部に挿入することができるものです。類似の一般的名称とその定義については、次ページの下に四つの品目が書いてありますが、今回、機構で審査中の品目に関しては、最後のページにあるとおり、こうしたこれらの品目を更に組み合わせ、小腸深部に到達するための小腸畳み込み手技を行うことが可能となるという点で、既存品とは異なるということで新設を行おうというものです。以上、説明を終わります。
○笠貫部会長 ありがとうございました。本件について、委員の先生方から御質問、御意見はありますか。
御意見がないようでしたら、議決に入ります。「バルーン小腸内視鏡システム」については、本部会として、管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御意見がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会で御報告することにいたします。
 議題4に移ります。医療機器の再審査結果について、事務局から御報告をお願いいたします。
○事務局 議題4、資料4-1〜4-5「医療機器の再審査結果について」御報告いたします。一部、記載に不備がありましたので正誤表を添付しております。再審査は薬事法第14条の4の規定に基づき、原則新しい医療機器などについて再審査期間を定め、承認後の使用成績などの調査を行わせ、その資料に基づき有効性、安全性などの再確認を行うことを目的とした制度になっております。今回お配りしている5品目、資料4-1〜4-5については、事前に委員の先生方にお送りさせていただいておりますので、品目の詳細な説明は割愛させていただきますが、これらの5品目の安全性については添付文書の改訂や注意喚起などを実施しており、有効性及び安全性については特段の問題がないと判断されております。以上のことより、薬事法第14条第2項各号のいずれにも該当しないこと、すなわち再審査結果の区分を、効能・効果などの承認事項についての変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 ありがとうございました。本件について、委員の先生方から御質問、御意見はありますか。
ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。心臓再同期治療など非常に高度の医療機器が含まれておりますが、特に添付文書の変更は無いということでしたので、御意見がなければ議題5に移ります。
 議題5「優先審査品目について」、事務局から御報告をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題5「優先審査品目について」です。3品目御報告させていただきます。資料5-1、販売名は「ウィングスパン ステント」です。こちらは、頭蓋内の血管の開存性を維持するためのステントです。資料5-2、胃静脈瘤の治療に使用される血管内塞栓物質です。資料5-3、販売名は「ライフベスト」、装着型の体外式除細動器です。こちらは、除細動器の植込みが困難な患者に対して使用されるものです。いずれの品目も、「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において御検討いただきまして、我が国において早期に導入すべき医療機器だという御判断をいただいた品目で、疾病の重篤性が高く、医療上の有用性が高いものとして優先審査品目として審査を進めている状況です。以上、簡単ではございますが御報告です。
○笠貫部会長 ありがとうございます。本件について、御意見、御質問はありますか。よろしいですか。よろしければ、本日予定した議題はこれで終了となります。
 いずれにしても、本日は日本で開発されたという2件の医療機器ですが、一つは、日本で開発され、日本で初めての承認を認めるという意味で、活発な御議論をいただいたと思います。これから日本で開発されて、日本で初めて承認するときの在り方について、多くのことをここで議論されたと思います。また、日本で初めて成功したにもかかわらず、海外で実用化されたという2例目についても、日本で十分な有効性、安全性をどう承認するかについても議論されたと思います。
 事務局から、ほかに何かありますか。
○医療機器審査管理室長 私から二つ報告事項があります。1点目は、体外診断用医薬品に関して御報告をさせていただきたいと思います。体外診断用医薬品には一般用検査薬として、一般の方が薬局などで購入可能なものがありまして、現在、尿糖、尿蛋白、妊娠検査薬の3種類の検査薬が流通しています。現在、体外診断用医薬品の業界からは、この一般用検査薬の範囲を拡大してほしいという要望を受けています。健康づくりは運動、食事、禁煙など、生活習慣の改善が重要ですが、一般用検査薬はセルフメディケーションの観点から、一般の方が自ら健康状態などを把握でき、疾病などの早期発見につながるなどのメリットがある一方で、診断結果から自ら把握できることの意義は何なのか、専門性のない方でも正しく理解して使用ができるのかといった点も整理が必要ですので、今後一般用検査薬をどのように考えていくかについて検討を開始したいと考えているところです。また、当部会でも審議、報告をさせていただきたいと思っております。
 2点目は、次回の部会の開催ですが、来年2月22日(金)を予定しております。私からの報告事項は以上です。
○笠貫部会長 何か議論がありましたらどうぞ。
○鈴木委員 今、一般用の体外診断薬の拡大について業界から要望があったということですが、本日の議論を聞いておりましても当部会の通常の審議というのは、非常に高度な医療機器等が中心ですので、当然、委員の先生方も専門的な医療に携わっている先生方がほとんどという感じの委員構成になっていると思います。つきましては、先ほどお話が出た一般用の体外診断薬のこれまでの経緯、及び日本医師会の考え方について少し説明をさせていただきたいと思います。
 去る10月17日に、同じ薬食審の一般用医薬品部会で、薬系の委員が3分の2を占めている非常に特異的な部会ですが、ここにおいて、高脂血症治療薬エパデールのスイッチOTC化を、それに賛成する医師を参考人として呼び、また反対してきた私以外の医師の方々を説得した上で、私の反対を押し切って前代未聞の強行裁決により了承とされた事実があります。最終的には12月下旬の薬事分科会で決定されますが、生活習慣病の治療薬のスイッチOTC化については様々な問題点があり、日本医師会としては反対しております。現在、セルフメディケーションの名の下に、公的医療費の抑制と製薬企業の売上げ増加、及び薬局、ドラッグストア業界の販売促進、さらに薬剤師の業務拡大を絡めた動きが活発化してきており、アクセスの極めて良い、世界に誇るべき国民皆保険があるにもかかわらず、国民の健康と安全の確保が置き去りにされようとしています。今回の動きは、生活習慣病薬のスイッチOTC化を推進しようとしている人々と同じ方々が動いており、両者の推進は一体のものとなっております。一般用検査薬と関係の深い一般用医薬品の在り方については、12月下旬に当部会の親会議でもある薬事分科会において、当会の中川副会長が問題提起を行う予定です。また、日本医師会としても記者会見等で様々な意見を表明しております。そのため、この部会で先走って意見交換をするよりも、薬事分科会での議論を見守ってからの方が良いのではないかと思われます。現在、OTC薬の在り方などが見直される動きもあり、時間を置くべきと考えます。ドラッグラグの解消のような、患者、国民からの強い要望がない限り、一般の検査薬は慎重に協議をすべきであります。早期導入を強く求められている抗がん剤などの一部の医療用医薬品とは事情が全く異なり、一般用検査薬について拙速に事を運ぶべきではありません。医療用医薬品であれば、ドラッグラグ等の様々な課題があり、患者や国民から早急にその解消を求められているものもあります。しかし、一般用検査薬が必要だといった要望は、国民からは聞こえてきておりません。妊娠検査薬以外は、ほとんど売れていないとも聞いております。そのような要望は、一般薬を取り扱う関係業者や関連団体だけから聞こえてくるのではないでしょうか。何よりも、検査結果の独り歩きが問題であります。医学的知識を持たない一般の方々が説明書を読まずに使用し、検査結果の数字だけが独り歩きして解釈される懸念があります。この部会に出席しておられるような極めて専門性の高い医療関係者の先生方には信じられないでしょうが、通常、一般の方々は携帯電話や家電の説明書を読まないのと同様に、添付文書を読まずに検査薬を使うことを前提に考えないといけません。そのような方を想定すると、一般用検査薬の安易な承認は望ましくなく、この部会での拙速な決定が、最終的に国民に被害をもたらすことになり得ることがお分かりいただけると思います。今後、意見聴取を行う場合、学会の意見を聞くことは重要でありますが、必ず他の関係者の意見も聴取するような仕組みづくりが必須であります。一般消費者の方が、どのように検査薬を使うべきかというようなことまで、学会の先生方あるいは当部会の専門性の極めて高い先生方だけに判断を求めることは難しいことも考えられます。より現場に近い医会の先生方をはじめ、様々な立場の方からの意見を聞き、時間をかけた議論と国民的な合意形成が必要になってきます。関係業界は、一般用検査薬を一般用医薬品の販売ツールとすることを目論んでいるのではないでしょうか。両者があたかも抱き合わせのようにして販売されることを懸念しております。
 診断と治療は医師の業務です。一般用検査薬と一般用医薬品を用いて、薬剤師や登録販売者に診断まがいや治療まがいのようなことを実施させてはなりません。一般用検査薬候補というと、生活習慣病分野の疾病に関わるものがほとんどではないでしょうか。日本医師会は、生活習慣病分野におけるスイッチOTC化については様々な問題を指摘して反対しておりますが、一般用検査薬の承認は生活習慣病分野への進出の足掛かりとして狙われている可能性があり、拙速な承認には反対であります。現在、生活習慣病分野でのOTC薬の在り方などが見直される動きがあり、それらの議論を待ってから議題として取り上げるかどうかを考えるべきであると考えております。以上です。
○笠貫部会長 先生のお立場、日本医師会としてのお考えとして、読み上げていただいたのかもしれませんが、ここでは、専門性の高い立場だけではなく、そうではない立場の方々、弁護士あるいは一般の委員の方も入っていらっしゃるので、専門性の高い人だけだということは撤回していただきたいと思います。ここは、先ほどの科学的根拠という専門性の高い人たちと、社会的な妥当性を議論できる専門家ではない方々を含めて、ここで最終的に部会として検討し、結論を出させていただいているので、そこだけは間違いなく理解していただきたいと思います。
 ここについて、私もこのOTC医薬品を含めて、セルフメディケーションというのとは違うかもしれませんが、健康の自己管理については、医療機器というのはクラスI〜クラスIVまでありますし、診断薬というのも幅広いものがあるということで、本当に科学的根拠と社会的な妥当性というところで、今、先生の御指摘にもあった社会的なコンセンサスをどこに得るのかは、非常に大事なことだと考えています。もし、ここで特に御異論、御意見があればお聞きしたいと思いますが、それでなければ社会的合意というのは時間をかけて慎重にという先生のお話は私も大事なことだと思います。
○寺崎委員 それに関係して、高度管理医療機器であるコンタクトレンズが、診療所の中ではありますが、自動販売機で売っている事例がありまして、皆さまに御周知をと思いました。
○笠貫部会長 ほかにはありますか。確かに大事なテーマがここに出されていますが、本日は結論をということではなくてよろしいですね。
○鈴木委員 はい。
○笠貫部会長 私は、こういった問題というのは、一方ではニーズが出てきたら、それに対してどう対応するのがいいかということは、ここでもまた十分議論ができたらと思っています。これについては、引き続き事務局の方でお願いいたします。
○医療機器審査管理室長 今、鈴木委員からも話がありましたが、ルールづくりというものをじっくりやらせていただこうかと思っております。具体的にどのように取り組むかについては、年明けに御報告なり御相談なりさせていただきたいと思います。
○笠貫部会長 一方ではコンタクトレンズの話も出ましたが。
○医療機器審査管理室長 その話はまた個別で対応したいと思います。私も今驚いております。由々しきことです。どちらの自販機ですか。見に行きたいと思っています。
○寺崎委員 日本コンタクトレンズ学会のときに自動販売機が展示されていたということです。コンタクトレンズ診療所に、これを設置しているところがあるそうです。
○医療機器審査管理室長 コンタクトレンズの販売については、今年の夏にも私どもから、コンタクトレンズ協会、学会などが作りました実施基準について周知を図るように都道府県にも依頼していまして、そういった販売の適正について今一生懸命指導しているところなので、もしそういう事例がありましたら即刻我々の方に言っていただければ、確認して対応したいと思います。
○寺崎委員 確認いたします。デイリーユーズのコンタクトレンズだと思います。
○医療機器審査管理室長 そうですね。1Dayのコンタクトだと思います。
○寺崎委員 日本眼科学会としても対応していると思いますが、また、お知らせさせていただきます。
○医療機器審査管理室長 また、その話は教えていただければと思います。ありがとうございました。
○笠貫部会長 ここの一番の大事な目標は、患者さんへ有効かつ安全な医療機器あるいは診断薬を提供するために、どうしたらいいかということを皆さんと考えて議論させていただいているのだと思います。そういう意味で、これは企業の方から提案された事例、問題がある、それについて、慎重に検討するということは是非お願いしたいと思いますし、これから事務局で更に努力をしていただきたいと思います。
 特になければ、今日は二つ大事なケースでしたが、時間がこれだけオーバーになりましたことは私の司会の拙さによるものだと思います。長時間にわたりまして、本当にありがとうございました。最後に、事務局の方からお願いいたします。
○医療機器審査管理室長 報告のとおりで、来年の2月22日(金)にどうぞよろしくお願いいたします。


(了)

備考
 この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 安川(内線 4226)

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