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2013年5月20日 第38回社会保障審議会児童部会議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成25年5月20日(月)16時00分~18時00分


○場所

厚生労働省省議室


○出席者

委員

大日向部会長 秋田委員 石津委員
大澤委員 奥山委員 小杉委員
佐藤委員 土堤内委員 林委員
宮島委員 矢藤委員 渡辺委員

事務局

石井雇用均等・児童家庭局長 定塚総務課長 小野家庭福祉課長
杉上育成環境課長 橋本保育課長 桑島母子保健課長
黒田少子化対策企画室長 為石虐待防止対策室長

○議題

(1)認定こども園保育専門委員会の設置について
(2)放課後児童クラブの基準に関する専門委員会の設置について
(3)その他

○配布資料

資料1社会保障審議会児童部会委員名簿
資料2子ども・子育て会議について
資料3認定こども園保育専門委員会の設置について
資料4放課後児童クラブの基準に関する専門委員会の設置について
資料5ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会について
資料6待機児童解消加速化プランについて
資料7保育士養成課程等検討会の取りまとめ結果の報告について
資料8「社会的養護の課題と将来像」に基づく施策の進捗状況について
資料9慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の在り方(中間報告)について
資料10社会保障制度改革国民会議について
資料11-1平成24年度補正予算の概要(雇用均等・児童家庭局)
資料11-2平成25年度予算の概要(雇用均等・児童家庭局)
資料11-3平成25年度税制改正大綱について(雇用均等・児童家庭局)

○議事

○定塚総務課長 
 本日はありがとうございます。会議に先立ちまして、事務局より報告があります。大日向委員が、社会保障審議会委員として再任をされ、児童部会の委員として指名をされていらっしゃいます。これを受けまして、社会保障審議会令第6条第3項の規定によりまして、秋田委員との互選で、大日向委員が部会長に選任をされております。また、併せまして、部会長代理は部会長があらかじめ指名することとなっており、本日、御欠席でいらっしゃいますけれども、松原委員が部会長代理ということで指名されておりますことを合わせて御報告申し上げます。
 また、事務局で去年10月以降、1人異動がありました。本日は遅れてまいりますが、小野家庭福祉課長が出席をしておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、これ以降の進行を大日向部会長、よろしくお願いいたします。

○大日向部会長 
 大日向でございます、皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ただいまより、第38回「社会保障審議会児童部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙なところお集まりいただきましてありがとうございます。初めに事務局より、出欠状況について御報告をお願いいたします。

○定塚総務課長 
 本日は、才村委員、松原委員の2名が所用により御欠席と伺っております。また、秋田委員におかれましては遅れていらっしゃると伺っております。

○大日向部会長 
 ありがとうございます。議事に入ります。初めに「子ども・子育て会議について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○黒田少子化対策企画室長 
 お手元の資料2に沿いまして、先月の4月末に内閣で発足をいたしました、子ども・子育て会議について御説明を申し上げます。この子ども・子育て会議は昨年の8月に成立をいたしました「子ども・子育て関連3法」の施行に向けた各種指針、基準など、制度の詳細を検討するために、子ども・子育て支援法に基づいて設置をされる内閣府のいわゆる八条機関、審議会等に該当する機関ということです。1、2、3ページにかけてこの制度の概要が書いてあります。3法の関係は、節目で児童部会にも御説明申し上げておりますが、改めましてポイントのみ御説明申し上げます。
 1ページの下に○で3つ、それから2ページにかけて、今回の子ども・子育て関連3法の中で認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付として、「施設型給付」を新設すること。従来の保育所運営費という義務的経費・負担金は20人以上の認可をされた保育所にのみ提供され、それ以下の規模の施設については安定した財政フレームはなかったわけですが、この新しい法律に基づいて、小規模保育等に関する「地域型保育給付」という義務的経費・負担金の制度が創設をされることになっています。小規模保育等については、都市部の待機児童対策、あるいは人口がフラットないし減少している地域の保育機能の確保、という意味合いでも自治体の皆様から多くの関心を寄せていただいております。
 2つ目のポイントが、認定こども園制度の改善です。これは認定こども園法ができてしばらく日がたちますけれども、保育所、幼稚園が別々の制度という前提で作られた制度でしたので、現場の評価は高いものの、二重、三重の手続が必要だという点について様々な御指摘がありました。今回の子ども・子育て関連3法では、認定こども園制度の改善として、中でも認可のステータスが一番はっきりしている「幼保連携型認定こども園」について、これまで2つの認可、1つの認定、財政支援も2通りという制度を改め、認可・指導監督は一本化、学校及び児童福祉施設としての法的位置づけを与え、財政支援措置についても子ども・子育て支援法に基づく「施設型給付」に一体化をするという措置を講じたところです。また、それ以外の類型についても、財政措置は施設型給付に一本化される。これらの詳細について、施行までに議論をしていく必要があるということです。
 3点目が地域の実情に応じた子ども・子育て支援ということで、市町村事業として展開をされております事業について、様々な法律に財政支援のフレームが分かれておりますが、これを子ども・子育て支援法に基づくものとして一体化をしていこうというものです。
 少し飛びまして、3ページは○が4つ並んでいます。こうした横割りの新しい仕組みを作るに当たり、誰が責任を持つ実施主体かということを法定をしており、それが市町村ということで、市町村が地域のニーズに基づいて計画を策定し、横割りの仕組みによる給付事業を実施していこうということです。また、国・都道府県は実施主体の市町村を支えていこうということです。
 この仕組みを作っていく上では、質・量の両方とも目指すという前提で議論をしてまいりましたので、消費税の引上げによる安定財源というものを前提とし、更に上乗せをして、消費税から0.7兆円、それ以外の財源を含めて1兆円超程度での財源を確保しながらこの仕組みを実施に移していこうということです。
 また、政府の推進体制として、制度ごとにバラバラな推進体制ということで様々な御指摘がありましたので、内閣府の「子ども・子育て本部」という組織を法定をして、この組織でまず施行、実施をしていこうということです。財政的な仕組みも、こちらに寄せていくということです。
 それから子ども・子育て会議の設置。これらの仕組みを動かしていく、計画のひな形を作り様々な基準を法定をしていく肉付けをしていくために、3ページの一番下の○の方々に御参画をいただいた会議を設置することが法定されており、国の会議はこの年の4月26日に初回を行っています。また、自治体においてもこれらの計画を作っていただく必要がありますので、自治体の機関も法律上、設置努力義務が法定されていて、国の状況も見ながら順次立ち上げていただけるものと承知をしております。
 少し飛びまして、6ページに大まかなスケジュール感を記しています。一つひとつの御紹介は時間の都合上割愛いたしますが、事業計画については自治体の事業計画のひな形として国が基本指針を定めていくことになりますが、これらの検討。様々な認可基準等々の検討。公定価格、これは最終的には単価の設定まで行っていくことになります。このような格好で検討課題が様々ありますが、27年度にスタートするためには、一連の論点についての国としての議論は25年度中に片を付けておく必要があるということです。その上で、26年度に入り、自治体で基準を条例に落としていただく作業や計画の確定の作業に入っていただき、おおむね半年前までに基準・計画等々が出そろっている状態を作る必要があるということです。
 7、8ページに子ども・子育て会議の概要を書いています。7ページは法律上の位置づけ、審議事項として法定をされているものです。また、7ページの一番下に「部会」とありまして、この会議については親会議と、様々な事業の詳細な基準を検討するための部会を設けた二段構成になっています。委員の先生方のお名前については8ページに記したとおりです。
 9ページは親会議と部会の役割分担の関係です。後ほど御参照ください。その上で10ページですが、4月26日に第1回「子ども・子育て会議」を開催し、基本指針などについての議論を開始いたしました。この議論については、夏頃までに集中的にやっていこうという話になっており、大体月1回ぐらいのペースではないかと内閣府からは聞いております。また、その下に設けられる「基準検討部会」についても、第1回の会合を5月8日に開催しています。この部会については、まずは現行の制度ではどうなっているのかというところの現状紹介のようなことからスタートしていますが、こちらもおおむね月1回ぐらいの開催、年度内に大まかなラインは固めていく、このようなスケジュールで進んでいくということです。以上です。

○大日向部会長 
 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明について、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○宮島委員 
 すみません、1つだけ教えていただきたいと思います。不案内なものですからあえてお聞きしたいと思うのですが、国のこの委員会は素晴らしい方がたくさん委員になっていらっしゃると思うのですが、事務局がどこになっているのかということがとても大事な問題だと思います。国の委員会はどこが事務局か調べれば分かることですけれども、それを教えていただきたいのと、都道府県にも同様な仕組みを作るということですから、都道府県ではこれからのことかもしれませんが、どのようなところが事務局を担うことが想定されているのか。あるいはそういう質問などが自治体から寄せられているのかどうか、そこを教えていただければと思います。

○黒田少子化対策企画室長 
 今、先生からお尋ねの点ですが、この子ども・子育て会議は、子ども・子育て支援法に基づいて設置をされますので、この法律の所管である内閣府に設置をされております。
 自治体の機関は順次設置に向けてという話を聞いていますけれども、今の段階で自治体の中の担当部署が、いわゆる児童福祉の担当の部署、それから教育サイドの担当の部署に分かれているのが恐らく現状だろうと思います。新しい仕組みがスタートするときには、この新しい財政のフレームで国からもお金がきますので、それをどこかで特定をして所管をしていただく必要があるだろうと。福祉部局、首長部局に寄せるケースもあれば教育委員会に寄せるケース、両方のケースがあるだろうと思いますけれども。今回の会議体については組織が確定をする前の段階でスタートするとはいえ、将来の自治体の組織の在り方を見据えて、やり方というものをバラバラにならないようにやってくださいというお願いをしているところです。
 それから、こういう会議を運営していくこと自体が、あるいはこういう計画を策定していくこと自体が、やがてやってくる組織を寄せていくというものの予行練習になる部分もありますので、そういったプロセス自体も大事にしていきたいと思っております。

○大日向部会長 
 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。
 それでは次に、「認定こども園保育専門委員会の設置について」に関して、事務局から資料が提出されていますので、御説明をお願いいたします。

○橋本保育課長 
 資料3の「社会保障審議会児童部会認定こども園保育専門委員会の設置について(案)」という資料です。今ほどの「子ども・子育て会議」についての説明にもありました、昨年の8月に成立しました「子ども・子育て関連3法」ですけれども、この中で認定こども園法が改正されたわけです。この新しい法律に基づく「新たな幼保連携型認定こども園」、ここにおける教育保育内容をどうするかという議論です。おめくりいただいた裏には、認定こども園制度の現行の概要が書いてあります。次の3ページに「新たな幼保連携型認定こども園」として、改正法の考え方の中で、これまで幼稚園と保育所のそれぞれで認可を得た上で認定こども園としての認定がなされるという、いわゆる二重、三重行政といわれていたところが、「幼保連携型認定こども園」としての1つの認可による制度というように改めたことが書かれています。
 その上で次の4、5ページは「新たな幼保連携型認定こども園の具体的制度設計について」。これについては、この子ども・子育て会議の中で今後いろいろ御議論を賜りながら議論を進めていくわけですが、真ん中下の「教育・保育内容の基準」については、この「幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)」を定めるようになっているところです。この保育要領をどのような形で定めていくかですが、言うまでもなく、幼稚園におきます幼稚園教育要領、それと保育所におきます保育所保育指針、これらとの整合性を確保することが必要ですし、また、小学校教育との円滑な接続に配慮をすることも重要です。こういったことは認定こども園法の改正法の条文の中にも規定されているところです。
 子ども・子育て支援の新しい制度、質の高い幼児期の学校教育・保育こういったものを総合的に提供をすることを目的としていますので、新しい幼保連携型認定こども園における教育・保育の内容、言ってみればスタンダードとなる保育要領は大変重要なものと考えております。この保育要領の在り方について、今後この本部会において、認定こども園保育専門委員会というものを設置していただき、保育の観点からの御審議を深めていただきたいと考えております。また、並行して、教育という観点から、文部科学省の方の中央教育審議会においても御検討をいただく予定と承知いたしております。
 また、委員の皆様方の御了解を頂ければ、当部会の下に設けていただきます認定こども園保育専門委員会と中央教育審議会における検討の場との、いわゆる合同審議というようなやり方で進めさせていただければと考えております。さらに、新制度全般にわたり、子ども・子育て会議でのいろいろ御議論を賜りますので、こういった社会保障審議会の児童部会の下における委員会と、中教審の検討の場との合同会議という形で進めていくことについて、子ども・子育て会議の方でも御了解を得るような形にしていきたいと考えております。
 資料にもありますように、児童部会の下においていただく保育専門委員会の設置の趣旨はここに書いてあるとおりですが、メンバーについて、2の(1)の、有識者、認定こども園関係者を中心に検討中ということですので、現在そういった関係の方々の人選を進めさせていただいておる最中ですが、こういった形で選任をさせていただければと思っておるところです。
 この保育要領については、平成27年4月から新しい幼保連携型認定こども園のスタートにおいて、できれば早急に議論を開始していただき、今年度中に告示というところにもっていき、来年度においては更に現場の方で実践に役立つように、より具体的、詳細な内容を示す解説書などを作ったり、あるいは研修会等を通じて普及に努めるといった段階に進んでいきたいと考えております。是非ともよろしくお願いしたいと思います。以上です。

○大日向部会長 
 ただいま、認定こども園保育専門委員会設置について御説明をいただきましたが、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○佐藤委員 
 当面はどちらかの保育士ないしは幼稚園教諭の免許でやっていくのでしょうけれども、保育要領、保育園でいえば保育指針を、認定こども園に即した形で新規に作られるわけですけれども、新たな保育教諭という資格との連携というか連絡というか、どういうタイムスケジュールでそれが進んでいくのかを、ちょっと教えていただければと思います。

○橋本保育課長 
 先ほど資料3の保育要領の所を御覧いただきましたけれども、その2つ下の欄に「配置職員」とあり、そこに園長、保育教諭と書いていますが、新しい幼保連携型認定こども園におかれる職員の職名として、保育教諭というのは幼稚園教諭の免許状と保育士資格を併有する、そういう方々についてこういった職名で呼んでいるものです。今、佐藤委員からお話がありましたように、後ほど資料の7として、この保育教諭の方々についての一定の経過措置、また、この経過措置期間中に持っていないもう片方の免許状を、あるいは資格を取っていただくということについての特例措置についての御報告をしていきたいと思いますが、当面は片方の免許資格をお持ちの方も含め、新しく作られる幼保連携型認定こども園の保育要領に従った教育・保育ということを幼保連携型認定こども園の中で進めていただくということです。
 こういった新しい要領ができる中で、またそれぞれの養成課程等の関係については、また整理も必要な場面も出てくるかと思いますけれども、当面そういった形で進めさせていただきたいと思っております。

○大日向部会長 
 よろしいでしょうか。ほかにいかがですか。特段御質問、御意見がないようですので、認定こども園保育専門委員会の設置に関して、御了承を頂いたということでよろしいでしょうか。
                  (了承)

○大日向部会長 
 はい、ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 次に、「放課後児童クラブの基準に関する専門委員会の設置について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○杉上育成環境課長 
 育成環境課長です。放課後児童クラブの関係については、資料4です。子ども・子育て関連3法において、放課後児童クラブも子ども・子育て支援事業の1つとして充実していくこととなっております。後ほど御説明いたしますが、放課後児童クラブは、これまではガイドラインということで技術的助言(局長通知)しかなかったわけですが、質の向上を図る観点から、今般、省令を定めることになっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 資料4の4ページの「放課後児童クラブについて」ですが、現行の制度の概要について書いております。「事業の内容、目的」、共働き家庭など留守家庭のおおむね10歳未満の児童に対して、児童館、学校の余裕教室、公民館などで放課後に適切な遊び、生活の場を与えるということで、平成9年に初めて児童福祉法改正で法定化した事業です。
 この際、様々な形で地域で事業を実施していた経緯等を踏まえて、先ほど申し上げた基準は設けないままに今に至っているところです。クラブ数等については2番目の現状、予算については運営費及び整備費で、整備費も新しく創設する場合、あるいは学校の余裕教室等を改修する場合等について、国の助成として行っているところです。
 5ページは、「放課後児童クラブ数及び登録児童数等の推移」です。これらについては一度も下がることなく、増え続けております。一方でクラブを利用できなかった児童、いわゆる待機児童は、直近の数字で7,521人で、昨年に比べて若干増になっておりますが、平成19年度のピークに比べて、約半分程度の数値となっております。
 6ページです。幾つか御紹介いたしますが、右上の「終了時刻の状況」は、平成19年と比較しても開所時間というか閉所の時間がかなり後ろに倒れてきております。地域のニーズに応じているかどうかについて、まだまだ今後検討する必要があると考えております。
 左下の「設置の場所の状況」ですが、先ほど申し上げた児童館や学校の余裕教室と様々な場所で実施するということで、学校の余裕教室、敷地内に建てて実施する場合で約52%ということで、19年に比べて少し増えているという状況です。
 「登録児童の学年別の状況」は、先ほどおおむね10歳未満(小学校3年生)と申し上げましたが、国としては小学校4年生以上についても、必要な子どもについては引き続き放課後児童クラブで実施していただいて差し支えないということを示しており、現実にも4年生以上の数字が載っているわけです。
 7ページです。今般、子育て関連3法に基づきいろいろな改正がありました。若干申し上げます。上の「対象児童」から「事業の実施の促進」までは、児童福祉法の改正です。計画、費用負担とここでは書いておりますが、先ほど黒田少子化対策企画室長から申し上げたとおり、様々な事業を一括して子ども・子育て支援法に基づき、市町村に交付するという仕組みになっております。対象児童については、おおむね10歳未満ということで実施しているわけですが、現実には国としてはそれ以上でも構わないということで、新制度上は留守家庭の小学生としております。次の「設備及び運営の基準」については、現行特段の定めがないということで、今般、国が省令で基準を定めて、市町村が条例で制定するという法律改正がなされております。
 また、「市町村の関与」「市町村の情報収集」ということですが、市町村の関与を高める、あるいは基準が新たにできることに伴い、これまでは事後の届け出でしたが、事前の届け出制度、市町村については必要な情報の提供という形で児童福祉法で規定しておりましたが、必要な情報の収集をした上で提供するという改正もなされているところです。また「事業の実施の促進」ということで、市町村の公有財産の貸付け等によって、放課後児童クラブの事業を促進するということで、これまでも文科省と共同通知等で余裕教室等の活用については通知していたところですが、今般、法律上の規定を設けたということです。
 「計画等」については、今まで次世代育成支援対策推進法で規定していたものを、引き続き子ども・子育て支援法で規定するとともに、今度は事業量の見込みと提供体制の確保について、総合的かつ計画的に事業を実施する責務として、必要な整備量を把握した上で、事業の実施年度を決めて整備していくということも規定上、書かせていただいております。また今般、財源を得て、質の改善を行っていく。財源確保を前提として質の改善を図っていくという形になっております。8ページは今あるガイドラインについて参考ということで付けております。
 今、申し上げたのが現状及び今回の法改正ということで、1ページに戻りますが、昨年8月の子ども・子育て支援3法の成立において、放課後児童クラブの設置及び運営について、厚生労働省令で定める基準を踏まえて、市町村が条例で基準を定めることとされました。このために、できれば児童部会の中で専門委員会を設けて御議論いただきたいということです。期間的には、ほかの事業等々もありまして、年度内に省令の基準を定めるという日程観を持っているところです。また、子ども・子育て支援法との関連もありますので、子ども・子育て会議へも御報告することを考えているところです。
 最後ですが、今般、こういった議論あるいは議論に基づいた法案策定の過程において、地域の実情を十分踏まえなさい、あるいは今あるクラブを排除するような仕組みにはしないといった前提の下で、質の底上げを図るような基準を作りなさいという、非常に難しい御注文を頂いております。そういった点も踏まえて、この専門委員会においては、有識者あるいは現場関係者、自治体の方にも入っていただき、御議論いただいた上で、その御意見に基づき、省令を定めていきたいと考えているところです。私からは以上です。

○大日向部会長 
 それでは、「放課後児童クラブの基準に関する専門委員会」の設置に関して、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○石津委員 
 委員会の設置自体ではないのですが、放課後児童クラブ、うちでは学童と言っていますが、学童の在り方で、特に運営費の負担の考え方の中で、「2分の1を保護者負担で賄うことを想定」とありますが、こんなに保護者負担を頂けてないというのが実態です。現在、行っている仕組みを前提として新たな仕組みに移行するとなると、いきなり保護者負担を増やすのは難しいということもあって、この辺の実態を、どのぐらいの保護負担で運営がなされているかという調査などもしていただいて、国で一定の目安を出すのは難しいのかもしれませんが、近隣で倍以上も違ったりするような保護者負担の在り方が本当にいいかどうかということも含めて、是非、専門委員会の中で議論をしていただけると有り難いと思っています。うちの場合は、市の負担が、持ち出しとしてはかなり多いという実態があります。
 それと余裕教室を使う場合に、以前は学校の空き教室を改修する場合に10/10の補助がありました。それは厚労省の補助か、文科省の補助かよく分かりませんが、かなり使い勝手が良くて、余裕教室を使って学童を設置するというインセンティブも働くようなことがあったのですが、それがなくなりました。何らかのその辺の補助制度も併せて考えていただけると有り難いかなと思っております。
 それと、子ども・子育て会議、認定子ども園、放課後児童クラブ全てに共通する話ですが、以前から申し上げている文科省と厚労省の子育て事業の一元化ということで、大分期待していたのが、実際にはそのような状況になっていないということで、部会長さんは「いい方向には行くのです」とおっしゃっていますので信じたいと思いますが、一応現時点で一元化の方向性というのがどういう見通しであるのかということです。厚労省と内閣府にいろいろな会議を置いてやっても、制度設計を厚労省と文科省がそれぞれやるということがずっと続くのだとすると、結局同じなのかなとも思いますので、その辺の見通しがどうなっているのか。
 特に学童に関して申し上げますと、文科省が放課後子ども教室というのをやっていて、放課後の子どもの居場所ということで進めています。これと放課後児童クラブをどうするかというのは、新しい条例制定の際にも、特にお金の問題で整理をしなければいけないと思いますが、その辺、本当に整理できるのか。結局それぞれが並列して、私どもの市では両方やっているのですが、全校で文科省の事業をやっていくと、かなりの経費もかかります。その辺の一元化がどうなるか大変関心がありますので、見通しをお聞かせいただければと思います。以上です。

○杉上育成環境課長 
 ありがとうございました。幾つか御質問等も含めてありました。まず1点目の費用実態ですが、我々、直近で持っていますのは平成23年の調査です。これについては必ずしも平均の費用負担という形にはなっておりませんが、2,000円単位で調べたもので、4,000~6,000円が28.3%、6,000~8,000円が24.6%といった調査があります。そういったことも踏まえて専門委員会で御議論いただくのかなと思っております。
 また今般、質の改善にかかる部分については7ページに点線で囲ってあるとおり、税制改革の財源確保を前提に税制の財源でやっていこうということで考えております。これに伴って保護者負担が増えるという仕組みを国が現時点では考えているわけではないということを、是非、御理解いただきたいと思っております。
 それから、余裕教室の10/10の補助があったというのは、存じ上げておりませんが、現行で申し上げますと、冒頭申し上げたとおり、整備費について建物を建てるだけではなく、改修の場合についても経費の補助をさせていただいております。それらの水準について、妥当なのかどうかということは御議論があるかと思いますが、そういった形で様々な資源を活用して放課後児童クラブをやらせていただいているということです。
 また放課後子ども教室との関連ですが、まず、今回の法案策定の様々な時点で、そういった話も実は出たわけです。現時点では趣旨、目的あるいは放課後子ども教室の実施状況等を踏まえると、一元化するような状況にはないのではないかということが結論だったかと思っています。ただ、我々、放課後クラブの基準を策定するに当たっては、当然のことながら、放課後子ども教室との関連、あるいは児童館という形で地域で放課後の居場所づくりをやっているといった観点も含めて、基準の策定を検討していただくのかなと思っているところです。3つ御質問いただいた点は現時点では以上のとおりです。

○大日向部会長 
 ほかにいかがでしょうか。

○石津委員 
 一元化の話は。

○大日向部会長 
 一元化について、放課後子ども教室の関係で、今、お答えにはなったのですが、その他のことに関しては、この度の子ども・子育て支援新制度全体にも関わりますが、黒田室長、いかがですか。

○黒田少子化対策企画室長 
 一元化と言われる中には、様々な論点が含まれますが、そのうち財政支援のフレームをできるだけ寄せていきましょうという話については、放課後子ども教室はこの仕組みに入らないということに整理されたので、それが対象にならないわけですが、いろいろな法律に分かれていた財政支援のフレームを子ども・子育て支援法に寄せて、内閣府に寄せて、市町村に寄せてやっていきましょうということにはなっておりますので、それが恐らく部会長が言われた一歩前進というところではないかと思います。
 ただ、おっしゃるように、そこに含まれなかった関連施策と、ちゃんと平仄が合って展開をされていくのかという話はあります。これは関連の行政分野の連携が、自治体レベルでも国レベルでもきちんと行われるのかという話になりますので、そういうことについては、例えば放課後子どもクラブであれば文科省、その他の施策についても関係府省と相談をしながら、できるだけバラバラにならないようにしていこうということです。
 それから、それを超えて、行政組織の在り方をどうしようという話については、政権交代前のこの法律が成立したときの検討の要請もありましたので、そういった場が以前に設けられておりましたが、今、確たる方針が政府内であるという状況にはないということです。

○大日向部会長 
 よろしいでしょうか。小杉委員、どうぞ。

○小杉委員 
 私も質問したかったのは文部科学省との関係でしたので、結構です。

○宮島委員 
 保護者負担のことでお聞きしたいと思います。先ほど石津委員も御質問されて、そのお答えの中で触れられた部分もありましたが、新しい制度で保護者負担は増えるということは想定していないということでお話があったのですが、実際、放課後児童クラブの利用料のために、利用したいのに利用できないという家庭が、私の領域などではかなりあります。月に5,000円なり6,000円、7,000円、8,000円であれば負担できるだろうと普通は考えるかもしれませんが、ひとり親家庭等で実際に手にする収入では生活がギリギリで、例えば2人の子どもがいれば月に1万円を超える負担になりますので、利用したくてもできない。そのために放課後児童クラブではなくて、放課後子ども教室を使う。放課後子ども教室は早く終わってしまうし、責任を持って保育できるような状態ではないという話を聞きます。
 入りたい、あるいは必要性がある子どもたちが全て受け入れられる。受け入れられた子どもたちが、責任を持って保育される。それが今回の目的だとすれば、保護者負担は、一般的には高くないけれども、とても生活が厳しいので利用ができないというお子さんや、家庭でも利用できるようになるということは、とても重要なことだと思いますので、検討が予定されている「基準等」とある「等」にその辺は含まれるのか含まれないのか。ここに含まれないとしても、是非検討していただきたい、考えていただきたいと思ったものですから、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○大日向部会長 
 それは、専門委員会に託すということでよろしいですね。

○宮島委員 
 そうですね。

○大日向部会長 
 ほかにいかがでしょうか。

○林委員 
 1点だけ質問させていただきます。今、御説明いただいたときに、既存の学童クラブを排除しない形で進行させていきたいとおっしゃいましたが、それを排除しない形で進めていく具体策をお聞かせ願いたいのです。

○杉上育成環境課長 
 これから御議論いただく話なので、結論を申し上げるわけにいかないのですが、例えば現在、放課後児童クラブの指導員の資格は、正直なところありません。資格を設けるとすれば、経過措置でやるとか、様々な仕組みを間に入れて底上げしていく。そういった仕組みが当然必要になってくるかと思います。そういう意味で排徐しないということ。排除しないが、質の向上に資するような基準にしていくということなのかなと思っています。

○大日向部会長 
 よろしいですか。貴重な御意見、御質問を頂きまして、ありがとうございました。それらを含めて専門委員会に託したいと思いますが、専門委員会の設置に関してはいかがでしょうか。

○奥山委員 
 子育てひろば全国連絡協議会の奥山です。国の子ども・子育て会議の委員にも入らせていただいております。今日、いろいろ御説明をいただいたのですが、子ども・子育て会議も毎月1回とはいえ、非常に回数が限られており、夏前に方針をほぼ定める予定と聞いています。今日、御紹介いただいております、放課後児童クラブや認定子ども園の基準は1年掛けてということですが、時間があるようで本当に時間がないとすれば、こういった専門部会でどれだけスピーディに、なおかつこれまでの経緯を踏まえて基準づくりをするかというのは、非常に大事になってくるかと思います。
 ある意味で子ども・子育て会議も取り扱う範囲が広いですから、細かいところはそういう専門部会で詰めていただくことは非常に重要だと考えております。会議はどの程度開催されるのか。また、そういったところにいろいろな調査、ヒアリングなどを踏まえた形で進められるのか、その辺りのことが分かる範囲で結構ですので教えていただければと思います。

○杉上育成環境課長 
 子ども・子育て会議は非常に範囲が広いということもあります。これは児童福祉法の基準ということで児童部会ということが念頭にあったわけで、まずは児童部会で中心的に御議論いただく。その際、技術的な問題もありますので、専門委員会という形で議論をさせていただけたらということで御提案させていただいているわけです。
 専門委員会の進行状況ですが、今のところ、何回程度というわけではありませんが、できるだけ速やかに御議論いただくという形を考えております。一方で最後は自治体の条例の策定等との関係あるいは親部会への報告、子ども・子育て会議への報告等々がありますので、遅くとも年内には何らかの結論ということを念頭に置いています。そういったスピードで負けないように。もっとも専門委員会設置後、専門委員会の委員の先生方の日程もあるわけですが、できるだけ速やかに御議論いただいて、できるだけ速やかな中にも、今日頂いた御意見も踏まえて、幅広く御議論いただくということなのかということです。スピード感等々を含めて、御議論いただけたらと事務局では思っております。

○大日向部会長 
 ただいまの奥山委員の御意見は、私もとても貴重だと思います。放課後児童クラブの基準に関する専門委員会に限らず、今日お諮りいたしております様々な専門委員会は、子ども・子育て会議との議論と非常に密にしていただくということでは、是非、スピード感をもってやっていただきたいとお願いしたいと思います。ということも含めまして、この専門委員会の設置はよろしいですか。

                (異議なし)

○大日向部会長 
 ありがとうございます。それでは、異議なしということで設置をさせていただきます。
 次は、「ひとり親家庭への支援施策の在り方」に関する専門委員会に関わる御説明を事務局からお願いします。

○小野家庭福祉課長 
 冒頭遅刻してまりいまして、大変失礼いたしました。昨年12日26日から家庭福祉課長を拝命しております小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料5に基づきまして、「社会保障審議会児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会の設置について」、お話したいと思います。本件につきましては、もう既に持ち回りで先生方には御了承をいただいている件ではございますが、改めてこの場で御紹介させていただきます。
 2ページの「ひとり親家庭の支援施策の在り方の見直しについて」に沿って御説明したいと思います。児童扶養手当法については、平成22年8月に施行され、父子家庭への給付を追加したという改正がありました。その際に、検討規定が設けられており、施行後3年を目途として、ひとり親家庭に対する支援施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとされております。この検討規定が今回の見直しの端緒です。
 この法改正の際には、ここにありますような附帯決議で様々な御指摘を頂戴したところです。この中には、その下に「政省令の改正・予算措置等による制度改善の実施」と書いてあります。一部はそれでもう既に措置をしたということがあるわけですが、このほかにもまだ宿題というか、積み残しの課題もあるところです。
 また、特に母子家庭、父子家庭の就業支援については、昨年の9月に議員立法ですが、「母子父子家庭就業支援特別措置法」を施行していただき、ここに書いてあるような内容が盛り込まれております。
 右上に「ひとり親世帯の現状」とありますが、3つ目の点で、就業率は高いものの、パート・アルバイト等の比率が高いとか、就労年収が低いという現状などがあります。こうした現状、あとは制度においてまだ課題となっている事項などについて議論を頂く場として、この専門委員会の設置を考えております。検討結果については、平成25年8月以降となっておりますが、必要な措置に結び付けてまいりたいと考えております。
 3ページは検討内容です。2つ目の○ですが、特に就業支援の在り方については、先ほどの特別措置法の趣旨を踏まえて、重要検討事項としてまいりたいと思っております。検討内容で書いてありますが、支援全体に関する事項に加えて、私どもが常々4本柱と言っている各支援策の在り方、就業支援、子育て・生活支援、養育費確保、経済的支援ということで進めてまいりたいと思っております。次のページに委員の名簿があります。当委員会の小杉先生にもお入りいただきまして、こういった先生方で検討を進めてまいりたいと思っております。
 5ページは、「母子家庭・父子家庭の現状」に関する基本的なデータを参考までに載せさせていただきましたので、後ほど御覧いただければと思います。以上です。

○大日向部会長 
 有難うございます。それでは、ただいまの事務局からの御説明について御質問、御意見があればお願いいたします。

○石津委員 
 専門委員会の設置については異論はありませんが、この支援の部分で医療費の助成というか、現物給付化を、特に埼玉県ではほとんどの市町村で行っていると思いますが、3医療の現物給付化を行うと国保の補助金のペナルティーが課せられて減額されるということがあります。これは特にひとり親とか障害児の場合には、支援をして現物給付化することでペナルティーを受けるのは、非常に納得がいかないという部分があります。お金を出してくれとは言いませんが、せめて国保のペナルティーはやめてほしいと思います。その辺の御見解を是非伺って、専門委員会でもそういう話をしていただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。

○小野家庭福祉課長 
 ただいま御意見を頂いた件について、実は私どもは直接の担当ではありません。多分それを御承知の上でおっしゃられたことだと思いますが、そうした問題があったことについては、私どもといたしましては担当の保険局に話をつなぎまして、対応させていただきたいと思います。

○大日向部会長 
 ほかにいかがですか。

○宮島委員 
 専門委員会の設置等については、何の異存もないのですが、資料でお聞きしたいことがあります。とても細かい点ですので、今の時点で分かればということで結構ですが、ひとり親、特に母子家庭の収入についてです。資料の2ページ目に「低い就労年収(母子181万円)」と記載があって、5ページに、収入で291万円とあり、差が110万円あるということですが、この110万円が何なのかをお聞きしたいと思います。児童扶養手当が相当数含まれていると思いますが、それにつけても110万円は大きいと一方では思っています。
 あと、この資料は平成23年度調査の結果に基づいて書かれています。この調査が5年ごとに調査されていたと思いますが、前回の調査よりも収入が改善しているのかなと。むしろ母子家庭の生活はかなり厳しくなっている。この結果はどうなのだろうと。平均は181万円と書かれていますが、実際に中央値はもっと低くて、その前の調査ですと140万円ぐらいだったと思います。高い方もいらっしゃるので、平均にすると180万円になるが、一番数の多いのは前回の調査で140万円ぐらいで、本当に厳しい。だからこそ、先ほど申し上げたような放課後児童対策の利用料の月5,000円が払えない。140万円ぐらいということは、月々の収入が10万円ちょっとということですから、その中で5,000円とか1万円を出していくのは本当に厳しい。細かいことを聞いて恐縮ですが、ひとり親の生活実態を正しく踏まえた上で、様々な検討が必要だと思いますし、私自身もそこを知っておきたいと思い、質問させていただきました。よろしくお願いします。

○小野家庭福祉課長 
 幾つかデータに関する御質問を頂戴いたしました。まず最初の稼働所得以外の所得の部分ですが、今、私の手元にある母子世帯の調査については、いわゆる母子のみのデータで、291万円のほうは、例えばおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らしている方も含んだ数字です。それを除くと母子だけの数字ですと、252.3万円が総所得になっています。その252.3万円と181.1万円の差で一番大きいのが年金以外の社会保障給付金が年51.1万円という数字になっております。それを12で割りますと、ちょうど4万2,000円ちょっとぐらいになり、児童扶養手当の全部支給の場合には4万1,000幾らという数字ですので、ほぼそれに見合った数字ではないかと思っており、それが一番多くなっています。そのほかには公的年金、恩給という数字であったり、仕送り、その他所得という数字があります。そういうデータの状況です。
 今、私の手元にあるのは中央値の収入は、平成22年の母子世帯の年間収入の状況です。181万円が平均ですが、それに該当する中央値が150万円です。一方で5年前のデータしか手元にないのですが、平成17年のデータですと、181万円に相当するものが171万円で、先ほど申し上げた中央値の150万円に相当する数字は140万円というのが現状です。

○大日向部会長 
 ほかにいかがですか。

○矢藤委員 
 専門委員会の設置について異存はありませんが、検討内容の中に、就学支援というのを検討していただきたいと思います。就学支援に関しては経済的支援等に含むのかもしれませんが、教育を受ける権利や教育を受ける機会の均等といった観点から、特段の配慮をお願いしたいと思います。ひとり親家庭の子ども、あるいは社会的養護の対象になる子どももそうですが、極端に高等教育への進学率が低いということで、その後の人生の在り方に大きな影響を与えている部分ですので、そういった配慮を御検討の中でお願いしたいと思います。という要望です。

○小野家庭福祉課長 
 貴重な御意見、御指摘をどうもありがとうございました。現時点では就学支援という言葉は特出ししていないところですが、今、御指摘のように、正に経済的支援の中で支援を申し上げている部分と、あとは子育て生活支援という中で、学習ボランティアの事業などもしております。今、御指摘いただいたようなことも踏まえまして議論を進めてまいりたいと思っております。

○大日向部会長 
 ほかによろしいですか。このひとり親に関する専門委員会は持ち回りで、すでに設置に関しては御了解いただいております。ただいま頂きました御意見、御質問等は専門委員会にお伝えいただくということでよろしくお願いします。
 それでは、次にまいりたいと思います。最近の児童行政の動向について、事務局から御説明をお願いいたします。

○橋本保育課長 
 資料6と資料7を御覧ください。資料6で、待機児童対策の関係について御説明いたします。昨年の4月1日現在の保育所入所待機児童数は2万4,825人です。2年連続で減少したわけですが、今なお深刻な状況が続いています。今年の4月の状況については、本日の午前中に横浜市から、待機児童がゼロになったという発表がありましたように、今、順次各自治体で集計が進みつつありますので、またいずれ国として全体の集計をさせていただきます。対策が効果を上げている自治体も見られる反面、なお厳しい状況が続いている自治体もあります。
 こういう状況を踏まえ2ページで、4月19日に総理から、「待機児童解消加速化プラン」を発表していただきました。上の囲みにあるように、待機児童の解消に向けて、2年後の子ども・子育て支援新制度の施行を待たずに、各地方自治体に対し、できる限りの支援策を講じていこうということで、足下2年間の「緊急集中取組期間」、それから新制度が発足した後の3年間である「取組加速期間」で待機児童の解消を図っていこうということです。
 足下の2年間で、約20万人分の保育を集中的に整備できるよう、国として万全な支援を用意させていただきます。また、地方自治体の方で、更にペースアップをするような場合にも対応させていただくという内容です。その後の3年間の取組加速期間を合わせ、潜在的なニーズも含めた、約40万人分の保育の受皿を確保していくということで、平成29年度末を保育ニーズのピークを迎える時期に想定しているわけですが、それまでに待機児童の解消を目指していくということです。
 これを行うに当たり、自治体に対する支援のパッケージとして5本の柱を立てております。1賃貸方式や国有地も活用した保育所整備、2保育の量拡大を支える保育士確保、3小規模保育事業など新制度の先取り、4認可を目指す認可外保育施設への支援、5事業所内保育施設への支援といった5つの柱を立てております。
 欄外に、「保育緊急確保事業その他の消費税財源を用いた施策として行うほか、所要の財源を検討」とあります。「保育緊急確保事業」というのは、消費税の税率が8%に引き上げられる予定である平成26年4月からという時期がありますが、この平成26年度において、新制度への円滑な移行、更に先立っての緊急の確保を念頭に置き、消費税の引上げ財源の一部を使って取組を行う枠組みです。こういうものを含め、しっかりとした財政支援を国として行いながら、このプランを進めてまいりたいと考えております。
 3ページでは、5本の柱について詳しく書いてあります。上の「コンセプト」にあるように、正にこれは意欲のある地方自治体を強力に支援しようということで、手上げ方式で進めさせていただきます。手上げに当たっては、できる限り保育の量的な拡大をするとともに、待機児童の解消を進めていきたいということです。
 5つの柱の中にあるように、最初の保育所整備については、施設整備費を積み増していくことが基本になってまいりますが、賃貸方式についても、都市部ということを念頭に置くと、積極的な活用が必要であると思います。また、株式会社を含む、多様な主体でのスピード感をもった施設整備が必要になってこようかと思います。国有地等の活用も積極的に進めたい。先進自治体において効果を上げている、民有地のマッチング事業なども導入したいと考えております。
 保育士の確保が非常に重要だということで、平成24年度の補正予算の中で取り組んだ事項を、更に前へ進めてまいりたいと思っていて、処遇の改善、認可外保育施設で働く無資格者の方々の資格取得支援ということを併せて進めていきたいと思っております。
 新制度の中で本格的に実施したいと考えている小規模保育をはじめ様々な事業についても、できる限りこの事業費を補助する形で、先行して進めたいと思っています。
 4つ目の柱である、認可を目指す認可外保育施設への支援については、認可保育所に移行する意欲のある認可外保育施設に対し、ここに書いてあるような様々な支援を行い、質の確保された認可保育所へ、5年間で計画的に移行できるようにしていきたいと思います。
 事業所内保育施設についても、「自社労働者の子を半数以上」とするという助成要件を、緩和させていただきたいと考えております。
 4ページからは、より詳しい支援パッケージの内容についての説明があります。こちらは5月10日に、自治体の方に私どもから提供させていただいたものです。マルで「新」と囲んである所が、従来の対策の中にはなかった新しい事項です。※がついている、今後財源を確保していかなければならない事項もありますが、私どもとしては、こういうものを総合的に進めることにより、自治体に対する万全の支援をし、自治体における取組を加速させていきたいと考えております。
 資料7は「保育士養成課程等検討会の取りまとめ報告」です。最初の説明にありました、昨年の法改正による、幼保連携型認定こども園の制度改正がスタートになっています。囲みの中にあるように、これまでは幼稚園と保育所はそれぞれ認可を得るようになっていたものが一本の認可になりました。この一本の認可になったというのは、「学校教育と保育を一体的に提供する施設である」という性格付けに基づき、職員については「保育教諭」という職名で呼ばれるものが配置されることになっています。
 幼稚園教諭免許状と保育資格の両方の免許・資格を有していることが原則ですが、ただ現状を見るとその下の○にあるように、いずれかの免許・資格のみで勤務している人もいる状況です。そこで、施行後5年間、どちらか片方の免許・資格を有していれば、保育教諭として働くことができるという経過措置を設けると同時に、2ページに、この経過措置の期間中ですが、保育所又は幼稚園における勤務経験を評価することにより、もう一方の免許・資格取得に必要な単位数等を軽減する特例を設け、免許・資格の併有を促進しようということです。
 1、2に書き分けていますが、保育士としての勤務経験を評価し、幼稚園教諭免許状の取得に必要な単位数を軽減する。それからその逆に、幼稚園教員としての勤務経験を評価し、保育士資格の取得に必要な単位数を軽減する。これを、1は文科省で、2は厚労省で、それぞれ有識者の会議を設け、専門的な見地から御検討いただきました。その下に、それぞれの検討会の名称が書かれています。
 3ページに、私どもの方で検討した「保育士資格取得の特例について」があります。この絵の上の方で「通常の保育士資格取得」とあります。「科目履修」と「試験受験」という2つの方法があります。科目履修の方は、68単位の履修によって養成施設を卒業していただくと、保育士の資格が取れます。試験の方は、筆記試験9科目と実技試験になります。
 幼稚園教諭免許状を持っている方に対しては、既に一定の特例措置が講じられており、実務経験の有無にかかわらず講じている特例があります。1の科目履修による筆記試験免除の部分で、現行では所定科目の34単位の履修により、筆記試験を免除するという形がとられています。2の筆記試験受験については、筆記試験科目9科目のうちの2科目と実技試験を免除する特例措置が講じられています。
 今回この検討委員会の中で、幼稚園教諭免許を持っているのみならず、更に実務経験も持っていることを前提とし、この科目履修による方法、あるいは筆記試験の受験という方法に即した形での、より一層の特例措置を検討していただきました。その結果として、そのページの右側に、「履修科目:8単位」「試験免除科目:3科目」と書いてありますが、様々な幼稚園教諭免許を持っての実務経験を考慮し、多くの科目については免除する。その一方で、保育士としての資格を持って働いていただくことを考え、福祉と養護、保健と食と栄養、乳児保育、相談支援については、それぞれ2単位ずつの修得をしていただこうということです。こういう内容を整理していただきました。
 その特例の適用に当たっては、このページの下の○で、幼稚園をはじめ、こういった一定の資質の担保されている施設において、3年かつ4,320時間の勤務経験を求めることを前提にしております。
 4ページで、今後の進め方のスケジュールです。3月28日にこの養成課程等検討会での検討結果をまとめていただき、本日の児童部会での報告をさせていただいております。今後7月頃をめどとして、保育士試験の実施通知の改正・施行をし、各自治体に周知を図っていきたいと思っております。その後、各都道府県におけるそれぞれの規定の改正等の準備をしていただきますとともに、各大学等の指定養成施設に対しても、今回の特例に対応した講座の開設を要請する、あるいは特例の対象となる方々に対し、特例制度の広報・周知を図る。こういう準備を進め、遅くとも平成26年度からは、こういう特例による試験科目免除なり、特例対象者が単位を修得できるように進めていきたいと考えております。5ページは、先ほどの8単位の内容の詳細です。
 6ページと7ページは、文部科学省で検討していただいた、保育士に対する幼稚園教諭免許の特例措置についての内容です。こちらも、3年かつ4,320時間の実務経験を前提とし、8単位ということで整理をしていただいています。簡単ですが以上です。

○大日向部会長 
 有難うございます。ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見をお願いいたします。

○土堤内委員 
 質問ではないのですが、感想を述べさせていただきます。待機児童についてですが、新しい政権になって、成長戦略の1つとして「女性の活躍できる社会を」ということで、待機児童問題が非常にクローズアップされていることは大変喜ばしいことだと思います。ただ、加速度戦略を見ても、どうも数の議論に偏っているような気がしてならないのです。
 先日も、安倍総理が企業内保育所の視察をして、それが官邸のホームページにも紹介されています。そこで保育している親のニーズを随分聞いて回っていましたが、それは素晴らしい「子育て支援」として必要なことだと思う一方で、そこで育つ子どもの成育環境としての、「子育ち支援」に関するヒアリングが欠けているのではないかと思いました。
 例えば企業内保育所であれば、そこまでの通勤、子どもが通うための通園の環境、あるいはそこに園庭がない中で子どもがどのように育つか。数の解消はもちろん第一義的に必要だと思うのですが、やはりこの議論の中に、「保育の質」の部分をどのように担保していくのかということを常に忘れてはいけないのではないかと、最近のいろいろな報道を見ながら非常に強く感じました。

○大日向部会長 
 ご質問・ご意見は幾つかまとめて頂きましょう。

○林委員 
 既に検討されていることかと思うのですが、待機児童の定義です。東京都のある区では、実態とかなり齟齬があるということで、定義を自治体独自でされています。今後、国としてより実態を正確に表現できるような、待機児童の定義の変更を予定されているのかどうか。

○矢藤委員 
 最初の御意見と同じなのですが、質の確保に関して少し具体的に申し上げます。小規模保育などの所で、発達を踏まえないような指導が行われている、新規参入してきた園ではほとんどが新人の保育者で行われているような園がある、ということが具体的にあります。量的拡大が喫緊の優先課題であることは理解できるのですが、例えば小規模保育の内容に、参入障壁になってはいけないのですけれども、一定の内容の質を担保できるような基準であるとか、保育士のキャリアラダーを構築し、どんな保育所でもこの資質を持った、専門性を持った保育士を必ず1人は置くという検討をしていく必要があるのではないかと思います。

○大日向部会長 
 今、お三方から出されたご意見に対し、保育課長からお願いいたします。

○橋本保育課長 
 それぞれ貴重な御指摘を頂きましてありがとうございます。最初の御指摘の点ですが、どうしても待機児童を議論し始めると、人数の議論に終始する面は否めないことは御指摘のとおりです。今回の一連の議論の中においても、立場によっては現行の基準を切り下げて、より緩和された基準に基づいて保育の量拡大を進めるべき、といった議論をいろいろな場で提起されたことも事実です。私ども厚生労働省としては、一貫してそれに対しては反対をさせていただきました。
 そういうことの1つの結論として、先ほど御説明させていただきました加速化プランの4本目の柱に端的に示されておりますが、認可外保育施設の基準に、認可保育所の基準を合わせる形で切り下げるのではなく、認可保育所の基準を満たしていただくように、認可外保育施設のレベルを引き上げていただくという方向で、国としての支援を行っていくという方向を打ち出させていただきました。もっともっといろいろな面において、質を確保するためのきめ細かい配慮・取組が必要だと思いますので、順次そういうものにも配慮をしながら、今後の国としての支援を進めていきたいと思っております。
 待機児童の定義については、どうしても保育の実施そのものについて、やはり自治体によってどういう程度の方々に対して保育の提供をするかという、それぞれの物差しが一定程度の幅がありますので、完全に一律というわけにはなかなかいかないのが実情です。私どもとしては、基本的な入所要件に該当しているけれども、入所できていない方を基本にしながら、その上で自治体独自で補助をされている施設に入所されている方の取扱い、あるいは近隣の施設で入所可能な所を御紹介しているけれども、特定の保育所だけを希望し、入所されていない方の取扱いといったように、幾つかの定義を決め、自治体の方にその定義に沿った集計をして御報告いただくように依頼しております。
 そこのところも、微妙な部分になると、どうしても自治体ごとの取扱いが若干違うところがあります。私どもとしては、ある一定の基準は設けて集計させていただいているつもりです。いろいろ御批判もあるところではありますが、新しい制度に移行した後、保育の必要性の認定をすることになります。その認定の方法についても、今後子ども・子育て会議のほうで様々御議論いただいた上で、なるべく各自治体間の取扱いの違いが生じないようにという配慮もしながら、一方でそれぞれの自治体としての主体性も確保しながらやっていかなければならないわけですので、更にそういうところの論点は深めていきたいと思っております。
 最後に御指摘いただきました点は、新規に開設した施設において、十分な質が担保されていないという御指摘もあります。私自身もいろいろな所でそういう声をお聞きする場面があります。新しい施設の数が急激に増えているということで、ベテランの方が少ないという状況も一部に生じているものと思いますが、そういう所に対しては、自治体と協力しながら、様々な面で子どもたちの環境への配慮をする必要があるだろうと思っています。
 先ほど御指摘のあった小規模保育についても、これから本格的に進めていくに当たっての基準づくりをしなければならない段階です。そういう基準の中で、どういう基準を定めれば、親御さん方の信頼を得られる新しい事業類型として育てていくことができるのか、というところに掛かっていると思っています。御指摘いただいたような点には十分配慮しながら、これから先の議論に臨んでまいりたいと思います。

○宮島委員 
 とても細かいことを聞いて申し訳ありません。その前に感想として、待機児童のことは都市部では深刻で重要ですが、地方の保育をどう守っていくのかということも重要で、その辺りの議論がどうしても置き去りにされやすいということを、資料を見させていただいて改めて感じました。
 質問したいのはそこではなくて、本当に細かいところなのですが、現場にはかなり大きな影響を与えると思うところです。保育所の待機児童解消に向けての、資料6の7ページです。良い保育をやっていくためには、人材が一番重要である。資格をきちんと取る。その資格を取るためにお金を出しましょうと。5年間保育所等で業務をした場合には返済を免除する。これは本当に大きな事業だと思うのです。この「保育所等」の「等」に何が含まれるかがとても重要なことで関心事なのです。
 児童養護施設等の担い手も、質や量が本当に重要なのですが、近年、児童養護施設で人材募集をすると、男性は来るのだけれども、女性の保育士の応募は本当に少ない。良い方を確保するのがとても難しいというお話を聞いています。もし保育所だけに限定して、5年間勤めれば返済を免除ということになれば、深刻な影響として児童養護施設や乳児院等で良い人材が得られないということが生じかねないと思います。これはとても大きなことだと思うのですが、この「等」には、是非、児童養護施設や乳児院、あるいは障害児施設で働くことについても含めていただきたいと考えておりますが、この「等」はどの辺までを検討されているのか、見通しはどうなのかという点をお聞きするとともに要望したいと思います。

○橋本保育課長 
 この「等」の中にどこまで含めるかについて、私どもは既に修学資金貸付事業を実施するに当たり、各自治体にお示しをさせていただきました。その中には、今御指摘いただきましたような、児童養護施設とか乳児院といった施設も対象に含めております。
 もう1つ御指摘いただきました、地方における保育の確保の問題です。御指摘のように、都市部における問題だけではなく、過疎化が進んでいる地域、あるいは間もなくそういう問題に直面する地域が日本全国の中には多数あるわけです。そういう地域の中で、それぞれの地域の子どもたちが育つ場をこれから先も確保していくのかということは、多くの自治体における市町村事業計画を定める上で、大変大きな問題だろうと思っております。
 そういう確保を図っていく上で、今回の3法の改正の中で、認定こども園制度の改正がなされたり、あるいは小規模保育等の新しいメニューが加わったりということは、それぞれの自治体において、どうやってそういう子どもたちの居場所を確保していくかを考えていく上で必要なメニュー、選択肢が増えたと思っておりますので、それぞれの地域の実情に合わせた取組をお願いしたいと思っております。

○佐藤委員 
 1つお伺いしたいのですが、当面、緊急的に待機児童の解消を図るのが焦眉の急であることは理解します。その方法論が多様でなければならないことも理解するわけです。しかし、一番最初に議論があった、認定こども園と、今後緊急的に作られていく保育施設との整合性といいますか、例えば一方は株式会社の参入を認めない、一方は株式会社を含む多様な主体で、スピード感を持って施設整備を図りたいということに関して、当面はそれが必要なことと受け入れられたとしても、先々5年、10年というスパンで考えたときに、両方が出そろう形になってきたときに、どのような整理が考えられるか、どのように展望されているかについて、省としての御意見を伺います。

○橋本保育課長 
 御指摘いただきましたように、幼保連携型認定こども園の仕組みにおいては、昨年、法案提出後の国会における様々な御議論を経て、総合こども園という形でなく、認定こども園制度の改善という形を取り、なおかつ幼保連携型認定こども園については、従来と同じ設置主体、つまり国・自治体の他、社会福祉法人と学校法人に限るという形に整理されました。
 その上でですが、私どもとしては、この認定こども園の設置主体というのは、確かに法人の類型としては幾つの類型に限られているかも分かりませんが、保育所については設置主体の制限はないわけです。そういう意味では、より多様な主体が保育所については設置が可能なわけです。どういう主体が設置するものであれ、保育所保育指針にのっとった、きちんとした保育内容を確保していただくといった、子どもたちとの関わりにおける基本的な内容については、設置主体を問わず、きちんと確保されなければならないと思っております。
 その地域の保育需要の動向に合わせ、どういう形態で保育の需要に応えていくのか、保育所を中心にやっていくのか、認定こども園を中心にやっていくのか、あるいは小規模保育等を更に絡ませていくのかというところは、それぞれの自治体に今後の計画づくりの中で考えていただく必要はありますが、私どもとしては、そういった設置主体の如何を問わず、きちんとした保育内容を確保していただくことをまずベースにし、今後の方針に臨んでいきたいと思います。

○大日向部会長 
 佐藤委員、今の件はよろしいですか。

○佐藤委員 
 考え方はそうでしょうけれども、今の段階では「はい」としか申し上げられません。

○大日向部会長 
 他にはいかがですか。ただいま、皆様からたくさんの御意見を頂きました。子どもの問題を考えている者にとって、発達環境の整備、質が大事だということは本当に共通の思いだと思います。今回の新制度においては、日本に生まれ・暮らす全ての子どもに対し、発達初期の良質な環境を整備するという点を大変重視しております。どういうスケジュール観で、どういうプロセスを経てやっていくかということは、今後いろいろ紆余曲折があるかもしれませんが、今申し上げた点は極力大事にし、子ども・子育て会議でも進められていくと思います。とりわけ子どもの発達環境の質に関しては、秋田委員も御到着くださいましたけれども、会議でいつも強くおっしゃっていただいています。大変重要な点ですので、今後ともこの点は心して進めていくべきと思っております。
 この点はこのぐらいにいたしまして、次に資料8と資料9について事務局から説明をお願いいたします。

○小野家庭福祉課長 
 私からは、資料8「『社会的養護の課題と将来像』に基づく施策の推進状況について」、御説明いたします。御案内のとおり、平成23年7月にこちらでも御議論いただきました、社会的養護の課題と将来像をまとめております。現在は、この課題と将来像を着実に実施していく段階にあると認識しています。平成24年度において、予算面では人員配置基準の引上げを行いましたが、養護の質を高めていくための取組として、ここに書いてある1から5の5つの研究会ワーキンググループのようなものを設置し、議論・検討を進めさせていただきました。
 3ページが、平成24年度に取り組んだ、ワーキンググループの一覧です。1里親等委託の推進、2の家庭的養護の推進のためのマニュアルの作成、計画的推進、3の親子関係の再構築の支援についての調査研究、4施設種別ごとの指針の手引書の作成、5三者評価及び自己評価の義務化の実施です。以下それぞれについて簡単に説明させていただきます。
 4ページで、1里親委託の件です。「全国里親委託等推進委員会」を設け、林先生、宮島先生にもお入りいただき、こういうメンバーの方々に委員会の委員になっていただいております。ここでは、昨年度は2つ行いました。1つ目は、具体的には5ページの下の所で「福岡市」となっているものです。里親委託の委託率がアップしている自治体の取組の事例について調査を行い、報告書をまとめさせていただきました。福岡市の事例で申しますと、真ん中辺りで、NPO法人が中心になり、里親をしてもらう市民フォーラムを開催するということで、社会的養護の社会化が図られた機運があった。一方において、児童相談所の職員の意識の変化もあった。その中で課題として見えてきたこととして、里親家庭への支援体制は欠かせないという課題も見えてきました。様々な、そのような自治体の事例をまとめさせていただきました。
 8ページは、もう1つ行った里親養育の手引書の作成です。「『里親ファミリーホーム養育指針ハンドブック』より」と題されているものが、具体的に作ったハンドブックです。左側は、里親委託自体の指針について、かみ砕いた言葉でまとめたものです。右側に事例が出ています。里親、あるいは里子の経験のある方々の生の声を盛り込むような形で対比させ、ハンドブックを作りました。例えば、里親に御自分の養育についての振り返りの機会を持っていただく、といったような機会に活用していただくためのものを作成する。このようなことをして、里親委託の推進を図っております。
 9ページは、2の「施設の小規模化及び家庭的養護推進ワーキンググループについて」です。これは、児童養護施設・乳児院について、それぞれがどのように小規模化を進めていったらいいのかということで、2つの作業が行われています。1つ目はマニュアルです。マニュアルについては既に取りまとめており、昨年11月30日に私どもの行政からの通知という形で、各自治体に、このように進めてくださいというお願いをさせていただきました。
 2点目として、「事例集」を現在まとめていて、そろそろ最終調整が済み、まとまって発刊できるかと考えております。このような形で、具体的にどのようにして小規模化・家庭的養護の推進をやっていったらいいのかを示す作業をさせていただきました。
 12ページで3は、「親子関係再構築支援のワーキンググループついて」です。親子関係の再構築支援について、施設種別ごとについては、全ての社会的養護の関係施設の先生方に入っていただいてまとめております。施設種別ごとの事例を収集し、こちらについても「事例集」の作成を現在進めている最中です。更には、親子関係再構築のガイドラインについてもまとめたいと思っていて、それについては平成25年度の取組にして進めてきております。
 13ページは4の「施設運営の手引書編集委員会」です。これは、それぞれの施設類型ごと、13ページにあるように5施設の類型ごとに、それぞれの種別ごとに運営の手引書を作っていただいております。これを平成25年度にまとめてまいりたいと思っております。
 14ページは5「社会的養護第三者評価推進研究会について」です。こちらについては、メンバーの先生方に評価調査者の研修の講師をお願いいたしました。2の所の2つ目のポツです。3つ目のポツで、施設向けの推進のテキストを作成していただいていて、それぞれの自治体などに送付させていただきました。5つ目のポツで、評価調査者向けのテキストも作成し、関係施設に配布しており、現在、社会的養護施設の第三者評価を進めていただいている最中です。
 資料の説明は以上ですが、お手元にこのパンフレットを配らせていただきました。「IFCO2013大阪世界大会」というものですが、こちらは公益財団法人全国里親会の主催になっている会議で、2年に1回世界の里親、家庭養護の交流の、民間ベースでの世界大会があります。たまたま今年度は9月13~16日に大阪であります。私どもは後援という形で関わらせていただいておりますが、日本における社会的養護の推進を盛り上げていく良い機会と思っておりますので、この場をお借りし、先生方にも御承知いただきたく時間を割いて御紹介させていただきました。私からの説明は以上です。

○大日向部会長 
 続いて、資料9の説明をお願いいたします。

○桑島母子保健課長 
 資料9は、「慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の在り方」、専門委員会をの中間報告に関する資料がございます。平成24年9月から6回開催し、平成25年1月に中間報告を取りまとめましたので御説明させていただきます。1ページに概要をまとめてありますので、これに基づいて御説明いたします。小児慢性特定疾患治療研究事業は昭和49年に創設しておりますが、その後数次にわたる見直しをしております。特に大きなものとしては平成17年に児童福祉法の中に位置づけ、慢性疾患を抱える子どもの健全育成に努めてきました。今回、この事業が進めるに当たり、この子どもたちへの健全育成をより一層推進するために、以下の3つの観点で更に取組を推進するということで取りまとめて頂きました。
 第2で「支援の在り方の課題と方向性」についてまとめてあります。大きく3つの柱を考えております。1「公平で安定的な医療費助成の仕組みの構築」ということで、論点を4つ掲げております。1は、そもそも医療費助成の意義と在り方についてで、従来からこの事業については、治療研究という位置づけと、福祉的な位置づけと2つあったわけですが、引き続きその目的については継続して扱っていきたい。それから、より一層安定的かつ公平な仕組みにということで、財政的な安定化をねらっていこうということです。
 2は、医療費助成の対象者の考え方です。基本的に4つの項目がありますが、ここにはお示ししてありません。経過が慢性であること、生命を脅かす、生活の質を低下させる、高額の医療費がかかるといった4つの視点で対象疾患が考えられているわけですが、その考え方については引き続き踏襲する。それに併せ、医学な様々な進歩があるわけですが、その状況の変化に応じて、評価・見直しを公開の場で実施して御提言を頂いています。
 3は、申請・認定の在り方について、公平・公正な認定審査体制を更に充実していくこと、申請の手続の負担を軽減することなどの御提言を頂いております。
 4は、給付水準の在り方です。これは、まだまだ議論があるわけですし、まだ何も決まっておりませんけれども、他の医療費助成制度との均衡に留意しつつ、負担能力に応じた適正な利用者負担が必要ではないかという御意見も頂いております。
 2として、そもそもこの事業の名前にもありますけれども、治療研究事業です。この研究の推進と、更に医療の質の向上に関して、1で、現在もこの事業を利用できる医療機関が指定されているわけですが、その指定医療機関の在り方についてです。今は、都道府県医師会等を通じて、多くの小児科の医療施設にお願いしているところですが、その考え方については踏襲していきます。
 2は医療体制の強化です。小児中核病院や地域の小児医療センターなど、これは小児科学会にお考え頂いている施設類型ですが、そうした専門の小児医療機関の位置づけをもっと明確にし、そこが情報発信・研修を実施していく体制づくりはできないか。それから、地域の各医療機関の連携ということも、この体制の中で提言されております。
 3研究の推進ということで、そもそもこの事業で様々なデータが医療機関から国へ上がってくるわけですが、そうした登録データの精度を更に向上していこうということです。その後は難病との関連のデータの連携ということも、この中で御議論いただきました。
 3で、慢性疾患の子どもさんの特性を踏まえた健全育成、さらに家族への支援の充実です。1は普及啓発の推進です。2つ目の矢印の所で、関連情報の入口となるポータルサイトをまとめ、患者さん、御家族の皆様方が1つの窓口から、ネット上でも分かりやすいポータルサイトを構築することにより、情報の伝達をスムーズに行いたいと思っております。
 2として、地域における総合的な支援の推進です。子どもの特性として、療育、学校生活、自立、家族への支援と、様々な局面があるわけですが、そうした場面でのサービスの連携の必要があるということで、ネットワーク体制の構築を目指して協議会の設置など議論していただきました。
 3として手帳の充実も記載されております。この手帳は現在もあるわけですが、なかなかうまく利用されていないという実情も御指摘いただきましたが、健康管理、緊急時の対応に非常に有効であるということはおっしゃっていただきました。ただし、その活用ができるように、もう少し内容の充実を図るべきという御指摘も頂いております。
 4は、小児慢性特定疾患の事業は18歳までの事業で、その後の成人後の切れ目のない支援について、これは従前から大きな問題として取り上げられておりましたが、引き続きそうした在り方について検討すべしということで御議論いただきました。
 一番下に書いてありますが、中間報告でまとめられたこうした方向性に基づき、現在その具体化に向けて検討をしているところです。資料9は以上です。よろしくお願いいたします。

○大日向部会長 
 有難うございます。2つまとめて説明していただきましたが、最初の「『社会的養護の課題と将来像』に基づく施策の推進状況について」、御質問、御意見があれば頂戴いたします。

○宮島委員 
 意見ではありませんが、説明のあったワーキンググループの中の1と2に加えていただきましたので、ちょっとだけお話をさせていただきます。これだけのワーキンググループを同時並行で進めるというのは、事務局としては大変なことだと感じております。どちらかというと光が当てられない、困難な状況にある子どもたちの支援にはどうしても取り組まなければならないことだと思います。本当にお疲れだと思うのですけれども、続けて取組を進めていただきたいと思いますし、省としても是非力強く取り組んでいただきたいとお願いいたします。
 もう1点は、実際に里親委託とか、小規模化の検討をする中で、担い手であるケアを担う人、あるいはソーシャルワークを担う人の力量が大事だということを改めて感じました。どんなプランを作っても、設計図ができても、レンガを積み上げる人がいなければきちんとした建物は出来ない。改めて、ケアを担う人たちの育成、その体制を充実することが必要だと感じましたので、この場で改めてそれを申し上げます。

○大日向部会長 
 宮島委員も座長を務めてくださっていますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

○林委員 
 最初の社会的養護の方で要望をさせていただきます。私自身も厚生労働科研等で多額な研究費を頂き、新たな今後の里親養育支援モデルの開発に関わらせていただいています。実際にいろいろな養育モデルを諸外国、そして日本の文化に馴染むように考えながら、試行錯誤して作ったとしても、それを具体化することが現実の中では難しいのです。いろいろな知見が得られても、それを各自治体の行政の仕組みの中に、試験的にでも、パイロット的にでも、プロジェクト的にでも活用いただくことが極めて難しい状況です。
 それで1つ提案なのですが、システム変革を大きく要するような、養育支援モデルをパイロット的に、例えば5年の年限を付けて、一定の予算を付けていただいて、プロジェクト研究的にやらせていただけるような財源と、あるいはその主体の確保をお願いしたいということです。

○大日向部会長 
 この点に関しては他にはよろしいですか。次に「慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の在り方」についてご質問、御意見があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
 最後に、資料10は「社会保障制度改革国民会議について」の資料です。社会保障制度改革国民会議については、今年の8月21日までの時限設置の審議会です。私も委員の一員として議論に参加しております。少子化対策、次世代の育成支援についても、これを総合的かつ着実に実施する観点から、現在精力的な議論が行われておりますので、資料として配布していただきました。
 資料11-1、資料11-2及び資料11-3については、予算や税制に関する資料です。説明は省略いたしますが、何か特段御質問、御意見がありましたら頂戴いたします。

○石津委員 
 平成25年度予算の妊婦健診に関して、ここにはないのですけれどもヒブ等の予防接種も同様なのですが、年が改まってから急遽その財源措置をしないというアナウンスがあって、地方自治体は大変混乱をしました。恐らく各方面からの要望等で変更になって、最終的には前年度と同様の財源措置をしていただいていると理解しています。実際にその財源がなくなるということで、妊婦健診の回数を減らすという検討を始めた自治体も具体的にあります。うちは、お金が来なくても単費で継続すると決めていたわけですが、いずれにしてもお金は間に合わなくて、補正等で対応しなければならない時期でした。その辺の経緯として、どうしてそういうことになったかをお伺いします。
 今後、予算等はなくなる可能性があるのかどうか。もしそういうことであれば、時間的な余裕を頂かないと、あるいは市町村と事前にそういうお話を頂かないと、急遽だと大変かなということでその辺をお伺いします。

○定塚総務課長 
 御質問の点については、資料11-2の平成25年度予算の概要の5ページの下の方に、4「母子保健医療対策の推進」ということで、「妊婦健康診査の公費助成」と書かれています。今お話がありましたように、妊婦健診、それからこちらに記載はありませんが、各種ワクチンについては、平成25年度以降は地方財源を確保し、地方財政措置を講ずることにより、恒常的な仕組みへ移行するという書きぶりになっております。
 妊婦健康診査については、これまでは毎年の補正予算で基金を積んで、それで対応をしてきました。平成25年度については、総務省の地方財政措置によって講じていただく。このための財源ですが、年少扶養控除の見直しをし、この財源の余った部分を活用していただいて、各地方公共団体の地方財政措置で講じていただきたいということにしております。したがって、国からの補助金という形では今後はいかずに、地財措置で対応していただくことになっております。
 この点については、1年以上前から、年少扶養控除の見直しと妊婦健康診査の基金についての検討を市長会、知事会等とも相談しつつしてきております。最終的に、予算編成過程での決定となり、今回の予算、政権交代もあって1月になったことから、その後、お知らせが行くことになりました。各市町村への告知という意味では、遅れてしまったという点については御容赦いただきたいと思います。

○大日向部会長 
 他にはいかがでしょうか。本日は大変盛りだくさんの資料の説明をいただきました。委員の皆様からも貴重な御意見をたくさん頂きましてありがとうございました。本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。


(了)

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