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2013年3月14日 第1回移植用臍帯血基準検討会 議事録

○日時

平成25年3月14日(金)18:00~21:00


○場所

厚生労働省専用第13会議室(12階)


○議題

1 移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律について
2 移植用臍帯血基準検討会の方向性について
3 検討すべき項目の整理
4 その他

○議事

○西脇室長補佐 それでは、ただいまより第1回「移植用臍帯血基準検討会」を開催いたします。
 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 初回ですので、まず、委員の先生方を50音順に御紹介させていただきます。
 自治医科大学附属さいたま医療センター血液科教授、神田善伸委員。神田先生には座長をお願いしております。
 日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センター製剤一部長、高梨美乃子委員。
 東京大学医科学研究所先端医療研究センター分子療法分野准教授、高橋聡委員。
 国立感染症研究所血液・安全性研究部部長、濱口功委員。
 東京衛生病院産婦人科部長、原澄子委員。
 東海大学医学部基盤診療学系再生医療科学専任准教授、矢部普正委員。
 以上です。
 ここで、健康局長の矢島より御挨拶を申し上げます。
○矢島健康局長 健康局長の矢島でございます。
 委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ、また、遅い時間にもかかわらず、お集まりをいただきまして大変ありがとうございます。また、先生方には、日ごろより厚生労働行政全般にわたりまして、いろんなところでいろんな意味で御支援、御協力をいただいております。この場をおかりいたしまして厚くお礼申し上げさせていただきます。
 本日は「移植用臍帯血基準検討会」の第1回でございます。まず、この委員をお引き受けいただきましたことにつきまして、厚くお礼申し上げさせていただきます。
 関係者の方々の熱意に押されて、昨年9月6日に議員立法という形で、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律というものが国会の全会一致で成立をいたしまして、9月12日に公布をされました。臍帯血の品質基準につきましては厚生労働省令で定めることとされておりまして、この法律の中でも大変重要な位置づけになっております。
 この検討会では、現在、日本さい帯血バンクネットワークが制定をしております各種基準の内容を基本としながら、さい帯血バンクが必ず遵守をしなければならない最低基準を定めるとともに、臍帯血の品質をより高めていく方向で御検討をいただければと考えております。国際的な動向も踏まえつつ、さらなる品質向上のために活発な御議論をいただければ、大変ありがたいと考えております。
 また、本検討会で作成をしました基準案は、造血幹細胞移植委員会に報告をすることとなっております。本日は3時間という長丁場の会議となりますが、ぜひ積極的な御議論をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
○西脇室長補佐 続きまして事務局の紹介をさせていただきます。
 ただいま御挨拶申し上げましたのが、健康局長の矢島です。
 臓器移植対策室長の間です。
 室長補佐の竹内です。
 同じく、私が室長補佐の西脇です。
 次に、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の配付資料の欄の順に説明させていただきます。
 資料1‐1、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律。
 資料1-2、造血刊細胞移植法の体系。
 資料1-3、造血幹細胞移植委員会スケジュール(案)。
 資料2、移植用臍帯血基準検討会の方向性について。
 資料3、さい帯血バンクアンケート結果について。
 資料4、検討すべき項目の整理について。
 参考資料としまして、参考資料-1に「臍帯血移植実施のための技術指針」、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」、国際基準と「造血幹細胞移植推進法」の対応。
 参考資料-2としまして「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」とその法律施行規則をつけております。
 おそろいでしょうか。不備等ございましたら、事務局までお伝えください。
 では、本検討会の座長は自治医大さいたま医療センターの神田先生にお願いしたいと思います。それでは、以後の議事進行を神田先生にお願いいたします。
○神田座長 座長に御指名いただきました神田と申します。よろしくお願いいたします。
 私は、まだ未熟者でございますけれども、この会の進行のために少しでもお役に立ちたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、今日はかなり議事の内容も多いですので、早速進めていきたいと思います。
 まずは、この新しいいわゆる造血幹細胞法案ですね。移植法の内容についても、私たちははっきりとまずはそこを理解しておく必要があると思いますので、その内容、それから、今後の施行のスケジュール等を含めて御説明いただけますでしょうか。
○間臓器移植対策室長 それでは、私のほうから資料1‐1から1-3まで一括して御説明を申し上げたいと思います。
 まず、資料1‐1でございます。移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律ということでございます。
 これは、先ほど局長の御挨拶の中でも紹介がありましたけれども、造血幹細胞移植を推進していこうという大きな関係者の熱意の中で、国会議員の先生方も動いてくださいまして、あの厳しい国会状況の中で全会一致で成立したものでございます。
 この法律は何を目指しているかといいますと、この資料自体に書いてございませんけれども、この法律が提案されたときの提案理由説明、なぜこの法律を提案するのかというのがございます。その中では、こんなことが言われています。
 本法案はいろいろな決め事がございますけれども、「これにより、移植を希望する患者の方々にとって、病気の種類や病状に合った最適な移植が行われるとともに、生活の質の改善が図られることが期待されます。」その患者さんにとって一番いい移植が行われるようにしていきたい。こういう思いでございます。
 その中で臍帯血移植もその重要な一翼を担っているわけでございます。この法律の中では、各般の推進施策とあわせて、さい帯血バンクに関しまして厚生労働大臣の許可制にする。非常に重要なものでありますので、許可制に係らしめるという仕掛けになっております。
 今のお手元の資料1‐1の、1枚お開きいただいた3ページをごらんいただけますでしょうか。この法律の大きな概要の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8とあるわけですが、その第6のところに臍帯血供給事業〔さい帯血バンク〕というのがございます。この中で、(1)にありますように、このさい帯血バンク事業は厚生労働大臣の許可制にしますということになっています。
 要するに、これは非常に公益性の高いものでございますので、許可制に係らしめるにはそれなりの理由が要るということでございます。移植をするということは体内に臍帯血を入れることでございますので、その意味で、特に(3)にありますように、臍帯血供給事業を行うに当たっては、臍帯血供給業務の方法に関して移植に用いる臍帯血の品質の確保のために必要なものとして、厚生労働省令で定める基準を遵守しなければならないというふうに書かれております。
 本検討会にお願いをしたいことは、まさにこの基準をどういうふうな内容にすべきかということについて御議論をいただきたいと存じます。この基準は非常に重要なものでございまして、つまり、許可の条件であると同時に、この基準に反した場合には改善命令を出し、それにも従わぬ場合にはさい帯血バンクとしての許可を取り消さなければいけないというものですので、何となく守っておけばいいというようなものではございません。これは、最低守らなければいけないものということですので、各バンクが現実的に遵守できるようなものでなければいけませんし、品質も考えればそんなに緩くすることもできない。そういうものだと御理解いただければと思います。
 法律自体はそこの部分を今回お願いしているわけでございますが、資料1-2という1枚紙をごらんいただきたいと思います。本検討会と造血幹細胞移植委員会、国の審議会との関係について少しお話をしておきたいと思います。
 1-2にございますように、この造血幹細胞移植法の体系でございますが、上の絵にありますように、この法律に基づきまして厚生労働大臣が基本方針を定めるということになっています。要するに、この造血幹細胞移植についてどういう方向に持っていこうとするのか、大きな方針を立てなさいと言われています。
 それともう一つは、ただいま御紹介しましたような臍帯血の品質基準も含めて、幾つか厚生労働大臣が基準をつくりなさい、省令を定めなさいと言われているものがございまして、この黄色で色がついているような事項について、全体として国の審議会で議論をするということでございます。現在、12月28日から議論を進めております。
 しかしながら、これらのうち、特に今回の本検討会でお願いします臍帯血の品質基準につきましては、非常に専門的、技術的な部分がございます。必ずしも審議会の先生方は皆様が臍帯血の専門家でもございませんので、まずはその専門家の方々に具体的なところを御議論いただいて、それを審議会のほうで報告をしていただいて審議会として方向を決めていくという形でお願いをしたいと思っています。その意味では、審議会の議論の方向性を導くような大変重要な部分をこの検討会にお願いしているということでございます。
 続きまして、では、一体どんなスケジュール感でやっているのかということでございます。資料1-3をごらんいただきたいと存じます。
 資料1-3の1枚目とその裏側に書いてありますのは国の審議会のほうのスケジュールでございまして、先ほど少し申し上げましたように、昨年の御用納めの日、12月28日に議論がスタートしまして、毎月1回ないし2回、かなり頻回に開催しておりまして、実は明日3月15日に事実上の議論、この法施行に向けた5回目の議論を行います。
 1枚おめくりいただきまして、第42回、6月21日にもう日にちがセットされておりますけれども、このときに臍帯血の品質基準というものを審議会のほうでも議論をしたいと思っております。そのために、まことにお忙しいところ恐縮ではございますけれども、この段階で、この検討会で大きな方向性についてお示しいただいて中間報告的なものをお願いしたいと思っています。国の審議会自体は、全体基本方針をどうするかも含めまして、9月には取りまとめをお願いしているところでございます。
 その関係で、本検討会につきましては、次の3ページのところを見ていただきますと、これは事務局サイドのたたき台でございますけれども、スケジュールといたしまして、本日を第1回といたしまして、6月21日、先ほど申し上げました審議会のほうに御報告をいただきたいと思っています。3月14日、きょうから6月21日までの間につきましては1回確実にお開きいただいて、6月11日も予備日として必要であれば開催をお願いしたいと思っております。
 ここのところでは、この間は主に最低基準、まさしく絶対守らなければいけないことについて中心的な御議論をお願いしたいと思っております。ただ、逆に言うと絶対に守らなければいけないことというのは、これは当面の話でございまして、では、将来に向かってどうするのかという御議論もきっとあろうかと思います。そういう方向性みたいなもの、そういったものについては、一旦中間報告をまとめていただいた後、さらに7月、8月の段階で向かうべき方向といいましょうか、さらに高みを目指すということであれば、望ましい基準というようなものがございましたら、そちらのほうでさらに深めていただければありがたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○神田座長 ありがとうございました。
 ちなみに、省令として出すのはこの中間段階のものを省令として出すのですか。
○間臓器移植対策室長 これは、最終的には法形式は省令と通知のガイドライン、2つセットにして出すことになると思います。ですから、その中には最低基準という、例えば何々すると書かれているものについては、これは最低基準として守らなければいけないものになりますし、例えばこれこれが望ましいと書けば、それは望ましい基準のほうになるという、その辺の法令上の技術的なことは私どもにお任せいただきたいと思いますが、主には中間報告までのものが省令の一番コアな部分になるということでございます。
○神田座長 わかりました。
 あとは、同じ公的バンクである骨髄バンクのほうはこの基準を遵守とかいう文言もなくて、今回こういう会もないわけですけれども、やはり臍帯血のほうが問題点が残っているという認識で始まっているわけでしょうか。
○間臓器移植対策室長 骨髄バンクにつきましても、許可基準のところで、例えばドナーの安全性あるいは骨髄末梢血の安全性、つまり、健康診査をちゃんとやるとかということも含めて、それはガイドラインに記述する予定でございます。
 ただ、臍帯血の場合には、やはり物としての安全性というのはより求められるということもあります。骨髄の場合には、先生方も御案内のように採取したものを基本的にはそれを入れていくということですが、臍帯血の場合には、調製保存の過程、加工の過程がございますので、より厳密なものが必要だという理解でございます。
○神田座長 ありがとうございました。
 それでは、この法律について御質問などいかがでしょうか。
 恐らく皆さんは既に何度か内容はごらんになっているとは思いますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、内容も多いですので次に進めさせていただきたいと思います。
 それでは、次に議事の2番ですね。移植用臍帯血基準検討会の方向性についてということで、この検討会の方向性そのものなわけですけれども、まずどういったところを目指していくか、その方向性について事務局から御説明いただけますでしょうか。
○西脇室長補佐 それでは、資料2に沿って御説明いたします。
 1番の位置づけについては、今、間のほうから話もありましたように、最低基準としての性質を有したもので、この基準に反した場合には許可が取り消しになる可能性があるという、重要なものの内容を議論していただくこととなります。
 基本的な検討の方向性としまして大きく3つ提案したいと思います。
 1番は、現在の基準を基本とする。ただいま日本さい帯血バンクネットワークでつくられている基準書をもとにする。そして、関連する血液事業などの他の事業との関連性も考慮していく。そして、もう一つは国際的な基準も参考として検討をしていくということを提案したいと思います。なお、改善には時間を要する事項も含まれますので、基準(案)は段階的な改善を想定して議論を行っていただきたいと思います。
 そして、移植用の臍帯血基準(案)は臍帯血の採取から提供・移植に至るまでを含むこととなりますが、そこの3番のところに示してありますように、品質表示の統一、それと安全性とトレーサビリティの確保、そのための情報管理というのが重要な事項と考えられます。
 検討のスケジュールについてですが、これも先ほど間が申しましたように、6月に予定しております造血幹細胞移植委員会で中間報告、そして、そこで新たな移植用臍帯血基準(案)を提示していただき、最終的には見直し時の検討項目など将来の方向性も含めて報告していただくこととなります。
 簡単ですが、方向性については以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 今の日本さい帯血バンクネットワークの基準を基本としながら、そこからまず最低ラインのところを決めることと将来目標を決めていくということかと思いますけれども、この方向性についてはいかがでしょうか。特に質問などよろしいですか。
 この方向性は、恐らく皆さんは共通認識でお持ちいただけているものと思います。それでは、早速ですけれども、検討すべき項目の整理ということで、数多くの検討すべき項目があると思います。まず、現状の各バンクの状況をさい帯血バンクにアンケートをとっていただいていますので、その結果を御説明いただけますでしょうか。
○西脇室長補佐 それでは、資料3に沿って説明いたします。
 資料3の下のグラフですけれども、これは公開済みの臍帯血の分布を示したものです。横軸が臍帯血の総細胞数で単位は10の8乗個、右に行くほど多くなります。縦軸は臍帯血ユニットの数です。実際に使われたものの割合は細胞数が多いものほど高くなっていることがわかります。棒グラフは公開の年代別に示してありますが、平成21年度以降のもの、オレンジで示してあるものですけれども、ここは細胞数も多くなっています。これは、一つには公開基準の細胞数の最低ラインを上げてきた影響と、もう一つは産科の先生方の御努力によって技術が向上してきたことによると考えられます。
 次のページの上の表は、産科で採取された臍帯血が各さい帯血バンクで受け入れられてからの推移を示したものです。2011年のものですけれども、13,712個の臍帯血で受入処理が行われて、そのうち保存に至ったものが3,343、公開されたものが2,297となっています。保存までの間に落ちている理由としましては、採取から24時間以上経過している、血が固まってしまっていたり変色がある、採取量が少ない、感染症の培養で陽性などの理由で廃棄となっています。
 下のグラフが2つ並んでいるものですけれども、左のグラフはそれぞれの採取病院別に受入から公開までの推移を全病院のものを示したものです。そして、右のグラフは総細胞数の推移を示したもので、調製開始前と公開時の総細胞数を示してあります。一定の基準は満たされていますが、やはり調製前の細胞数が多いもので公開時の細胞数も多くなっているという傾向が見られます。
 続いて次のページの上の表は、年間の採取数によって2群に分けて検証したものです。
 左側が、仮に公開率と名前をつけましたけれども、受け入れたもののうち公開に至ったものの割合を示したもので、棒グラフの左側は、年間の受入が10例未満の病院、これが40病院になりますけれども、それの中央値が9.0であるのに対して、年間の受入数が10例以上、これは52病院ありますけれども、その病院では公開率は17%と有意に高くなっており、受入の多いところで公開率も高くなっているという傾向が見られます。
 そして、右側は、公開時の総細胞数をやはり受入数が10例未満と10例以上の病院で分けたものですけれども、一定以上の基準を満たしており、絶対数の差としてはそれほど大きくはないですが、年間10例以上の病院では統計学的には有意差を持って細胞数が多いという結果が出ています。
 次に、下の表はさい帯血バンクごとの受入基準の違いを示したものです。産科から届いたもの全てで受入処理を行っているバンクが6バンク、容量が60mL以上もしくは有核細胞数で基準を設けているバンクが2バンクあります。
 次のページに移っていただきますと、次は各バンクごとの調製開始基準、調製を開始する基準ですけれども、多くのバンクで一定の細胞数を基準としており、また、CD34陽性細胞や重量も規定に入れているバンクが見られます。
 下の2つのグラフが並んでいるものですけれども、これは公開に至るまでの割合を見たもので、左のグラフは受入から公開に至るまでの推移、右は受入数分の公開数、先ほどの公開率を示したものです。受入基準が異なっていますので解釈には注意が必要ですが、関東甲信越バンクや兵庫さい帯血バンクなどでは受入から公開に至る確率が高くなっていることがわかります。
 次のページですが、左側のグラフは公開時の総細胞数をバンクごとに示したものです。それほど大きな差は見られていません。右のグラフは公開時のCD34陽性細胞数ですが、測定機器やコントローラーのとり方などの影響もあり、ある程度のばらつきを認めています。
 そして、下の表はさい帯血バンクごとの臍帯血の公開数、移植に使われた数を示したものです。移植に用いられたものというのが、平成23年度のものが右から2つ目になりますけれども、その数はバンクごとで異なっていることがわかります。
 最後のページの上ですけれども、これはさい帯血バンクごとの検査方法の違いを示したものです。HLAに関しては、多くのバンクでDNAのMid-high resolutionで、A、B、C、DRB1を測定しているバンクが最も多くなっています。感染症検査に関しては、一部のバンクでNAT検査が行われており、それ以外のバンクでも少なくとも抗体検査は全てのバンクで行われています。
 下の表はさい帯血バンクごとの凍結方法の違いを示したものですけれども、プログラムフリーザー、要するに、凍結時の温度管理の記録が残るものを用いているバンク、多くのバンクでは用いられていますが、必ず用いているというバンクは半数になっています。また、-80℃に静置するという簡易法を用いているバンクもあります。
 以上がさい帯血バンクのアンケートの結果をまとめたものです。
○神田座長 ありがとうございました。
 このアンケート結果が今回の検討の基礎データとなる貴重な資料になってくるかと思いますけれども、御質問等いかがでしょうか。
 アンケートを実施した時期は昨年末でしたか。
○西脇室長補佐 昨年末に第1弾をやっていまして、今の最後のページのものに関しては、先週問い合わせたもので最も新しいものであります。
○神田座長 現状をまさに示した資料かと思いますけれども、いかがでしょうか。
 現在、採取病院は全国で101で、101でこの受入数13,712の採取を行っているということですね。施設平均年間130ぐらいということでよろしいですか。そうするとかなり差があるわけですね。年間10例未満の採取施設が40ある一方で、残りの施設でこの10,000件以上を賄っているということですね。
○間臓器移植対策室長 はい。おっしゃるとおりです。
 今のお手元の資料、2ページの下のところをごらんいただきますと、101全部の線を引っ張ってしまっておりますので見にくくて恐縮なのですが、一番多いものは受入時に1,100を超えるような病院もあれば本当に10未満のところも相当数あるという、その差が大きいということがこれでおわかりいただけると思います。
○神田座長 採取病院1施設で1,000以上とっているところもあるということですね。
○矢部委員 受け入れは実際採取に同意していただいた妊婦さんにお礼の手紙だけでも出すために必要かと思います。例えば、最初から受入数を厳しくしてしまえば効率的にはなるのですが、妊婦さんはみんな自分の提供した臍帯血が使われるのではないかと期待していますので、そういう意味でお礼の手紙はうちのバンクでも差し上げるようにしています。それで、一旦は全部受け入れて、その中で保存の基準をチェックするというような形にはなっています。
○神田座長 まず、受入は全てしているということですね。
○矢部委員 そうです。
○神田座長 その点は、このバンクB、Cは受入を絞っている、受け入れないというのは、採取病院でとったものをそこで破棄するということになるのですか。
○原委員 そうです。かなり多いです。
○神田座長 多いのですか。
○原委員 うちではそうです。結構破棄しています。
○神田座長 そうですか。60ccに満たないところが多いわけですね。
○原委員 はい。やはり臍帯が細いとか子どもが小さいとかで、少なければ全部破棄しています。
○神田座長 ちなみに、採取というのはやはり経験とか技術とかかなり影響するものですか。
○原委員 それは、うちの病院では採取者に個人差はなく結構一定していると思っていたのですけれども、ほかと比べるとそういうことは十分考えられると思います。
○神田座長 わかりました。
 そうすると、申しわけないですが、いただいたけれども破棄になってしまう、お母様に対して申しわけないというところが1つあるわけですかね。ただ、これはとってみないとわからないところですか。
○矢部委員 実際に採取されている産科の先生に伺うと、どのくらいで剥離が始まってくるかとか、とり始めてみないと実際にわからないとおっしゃいます。
 東海大学でさい帯血バンクを始めた最初のころですと、30cc、40ccというのが最初は多かったのですけれども、本当に熱心な先生のところなどは60、80、最近では100とか、時には150を超えるような臍帯血が搬入されることがあります。
○神田座長 そうすると、やはり経験によって徐々に上がってきているという印象ですかね。ありがとうございました。
 そのほか、また恐らくそういったことは後でも出てくると思うのですけれども、アンケート結果についてはいかがでしょうか。
 お願いします。
○濱口委員 この採取病院の選定及び、例えば継続的にずっとやっていただければそれは非常にありがたいことなのですけれども、それを継続するための何か要件だとか、選定するときにこういう条件をやってもらうとかというのは、インセンティブも含めてなのですけれども、何かあるのでしょうか。
○矢部委員 まず、採取病院を決める段階では、10ないし20の臍帯血を最初に検査させていただいて、もちろん細菌の混入がないこと、それから、十分な細胞数とかが確保できるか、その見通しというものはある程度見ます。10で結論がつかなければもう10とか、そういうような形で手技を重ねると、より清潔に採取できる技術が向上してきますので、それでオーケーが出たところで採取病院として認定するというか、契約をする形になっています。
 あとは、インセンティブに関しては、今までは東海大学さい帯血バンクの場合ですと、とりあえず提供いただいた臍帯血1件に関して2,000円の報奨金と、保存に回った場合に12,000円の報奨金が支払われるようなことになっていまして、確かに受入だけで破棄になってしまうものに対して2,000円の報奨金をつけるのはどうかというのは、実はバンクの中でも議論がありまして、それが本当にモチベーションを高めるのに役立つかどうかわからない。
 例えば、報奨金は採取病院のほうに入りますけれども、実際に採取を御担当の産科の先生のところに届いているかというと、それはほとんどなくて、時には本を買ってもらったとかという話が出ますけれども、その程度のものにとどまっているのではないかと思います。
 そういった意味で、先ほど申し上げたように、本当に技術的に採取のレベルが高い産科の先生をいかにそのモチベーションを維持して、今後その制度が変わっていく中でも、そういう先生たち、あるいはプラスアルファでリクルートしていくことが最も大事なことだと思っています。
○高橋委員 インセンティブも非常に重要だと思いますし、あとは産科の先生たちは、今はボランティアの気持ちで多分とっていらっしゃる。そういう体制がずっと十数年間続いていると思うのですが、それを守ってあげるという体制も必要なのではないかと思うのですね。これは、どのぐらい危険なのかとか、多分、産科の先生というのは赤ちゃんを無事に産ませてあげるというところに非常に力を入れているのだと思うのですが、実際、そこは相反するというところはあるのですか。
○原委員 でも、子どものことをしっかりやって、それからゆっくりとればいいので、そんなに問題はないと思います。
○高橋委員 そうすると、産科の先生としては、そんなには危険性というか臍帯血を十分量とるということ自体に抵抗を感じるというものはないはずだと考えてよろしいですか。
○原委員 そうですね。ちょっと時間がかかるということはあると思います。例えば帝王切開のときは、臍帯血をとり始めると大体5分以上、手術時間が長くなるということなのですけれども、それは我慢するしかないかなと思っています。お産のときには臍帯血をとるということをセットとしてやっているので、そんなに長い時間はとらないと思いますね。
○高橋委員 可能性としても、事故等は起こり得る可能性は少ないと考えてよろしいですね。
○原委員 そんなに問題にならないと思います。
○高梨委員 先ほどの矢部先生の、採取施設とのかかわりがバンクによって違うということを自覚しました。うちは契約が先に来るので、それからでないといろんなものが動かない形になっています。その中で教育訓練のような形で情報を介しながら現場の改善をお願いする形だと思いますので、初めに試験期間というのはないかなと思いました。
 あと、こちらの資料で受入数というのは採取数ではないというのが、そこがちょっとトリックなのかな。採取数があって、それで現場のほうで30、40mLは諦めてしまい、残りを送っていただいて、それをバンクが受入処理をするかどうかということだろうと解釈いたします。
○神田座長 そうですね。これは受入数の前の採取数のデータはとられていないのですか。
○西脇室長補佐 採取数に関しては、捨てているものとかもあるので、きちんとしたデータがとれないので、今回は受入処理を行ったものを受入数ということでカウントさせていただいています。
○神田座長 そうすると、この60cc以上しか受け入れていないというバンクでは、この数字の意味合いが全く違ってきますね。
 おおよそで、実際にどれぐらいの割合が破棄されているのですか。
○原委員 4分の1は破棄していると思います。半分はいっていないのではないかと思うのですけれども。
 図のがくっと減っている部分ですが、60ccぎりぎりだと、多分調製するときに、採取量不足となってしまうのがほとんどだと思います。細菌の培養陽性というのは本当に何カ月かに1人ぐらいしかうちではないので。あと、24時間を経過するというのもなるべくないようにすごく注意を払っています。クロットが大体1割ぐらいなのですけれども、それ以外の採取基準の不適合というのも少ないので、60ccという基準で一応受け入れてはもらっても、やはり採取量不足ということではねられているのがかなり多いと思うのです。
○神田座長 ありがとうございます。
 高梨先生、ちなみに契約されるときに契約するかどうか、相手方を見られると思うのですけれども、そういうときはどうやって判断をされているのですか。難しいところかと思いますけれども。
○高梨委員 まず、お申し出いただいて、あちらの先生に私どもが何を必要とするかの説明をしに行って、それで全体にセミナーの形で説明会を開き、それから、広報資材などを送ります。それで、通常はある程度の分娩数をお伺いしますのと、産科の先生方がどのぐらい人数がおいでなのか、リスクがもしもあったときに対応ができるかということの確認をしてから、説明会をして教育訓練を始めさせていただいています。
○神田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○間臓器移植対策室長 今の点に関して、最低基準の議論とは少し違う議論なのですが、今のお話にもありましたように、各バンクごとに採取施設の関係性が違います。また、採取施設での手技といいましょうか技というか、どこまで頑張るかとかということも大分差があるのだろうと思っております。
 この最低基準とはまた別によりよい臍帯血の採取をしていただくということを応援するために、25年度の予算、まだ通っておりませんので予算案の段階でございますが、そういういい臍帯血がとれていると言われている病院の手技などを、情報を共有するような、お互いに学び合うような取り組みをできたらなと思っております。それを予算化して、日赤を中心にその検討会を立ち上げるということを検討しております。そういう形で全体が底上げされていくような、いいところはさらに伸びていただけるような、そういう応援をしたいと思っております。
○神田座長 ありがとうございます。
 そのほか、このアンケートについてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、いよいよここからが検討すべき項目の整理ということになりますけれども、かなり項目数が多岐にわたっておりますので、項目ごとに分けていきたいと思いますけれども、まず最初に問題に上がってくるのが臍帯血の採取についての部分ですね。こちらを御説明いただけますでしょうか。
○西脇室長補佐 それでは、資料4に沿って御説明させていただきます。
 検討すべき項目の整理ですが、日本さい帯血バンクネットワークが制定している「臍帯血移植の実施のための技術指針」の項目をもとに検討を進めてまいります。資料4には各項目について、国際基準で該当するもののうち参考となりそうな部分を参考として記載しています。国際基準としては、Net Cord-Factの臍帯血の基準、2010年1月の第4版と2012
年9月の第5版のDraftを参考としております。資料の見方ですけれども、基本的には各ページの左半分は今の日本さい帯血バンクネットワークの基準書から項目を記載したもの、必要に応じて技術指針とその下の基準書からの抜粋を追記してあります。右側の黒丸は論点になるであろうと思われる点を記載したもので、参考として国際基準からの抜粋を記載してあるものがあります。
 それでは、2ページの2番、臍帯血の採取についてというところから順に説明させていただきます。左側の2.1というところは、提供者に対する説明と同意は書面によるものでなければならないとされています。2.1.3で、同意を得るのは担当産科医師と記載されています。
 ここでの論点としましては、説明と同意取得者の資格について一定の訓練を受けた人が行うべきか、また、その場合にはどのような訓練をすべきかということが挙げられます。
 続いて3ページ目は、臍帯血の採取方法についてです。採取施設は各バンクの責任で選定するとされています。また、採取者は適切な訓練を受けた採取施設の産科医師または採取施設の認めた者とされています。
 ここでの論点としましては、国際基準では採取者は産科医師とされていますが、医師に限定すべきかということが挙げられます。
 続いて次のページ、おめくりいただきまして4ページ目ですけれども、ここでは採取環境、採取用具、採取の対象について記載がされています。2.2.5の採取の対象で、対象は正期産で正常妊娠分娩のものを対象とし、児の2親等または3親等までの家族歴を聴取、生後6カ月以上経過した時点での健康調査を調べることとされています。
 論点としましては、家族歴はどこまで聴取するかですが、現行では悪性腫瘍の家族歴は2親等、遺伝性疾患の家族歴は3親等となっていますが、国際基準では2親等とされています。もう一つは乳幼児健診についてですけれども、乳幼児健診は生後3~4カ月時点で行っている自治体が多いということを踏まえますと、健康調査はその健診結果を活用することにしてはどうかということが挙げられます。
 5ページ目は臍帯血の採取方法についてです。詳細は標準手順書で定めることとされています。
 ここでの論点はその識別を全てのバンクで統一すべきかということですけれども、国際基準では固有番号または記号で臍帯血を追跡できるように管理しなければならないと記載されています。
 臍帯血の採取については以上です。
○神田座長 御説明、ありがとうございました。
 では、この臍帯血の採取、2.1から幾つか項目がありますけれども、前から順に検討していきたいと思います。
 まず、2.1の提供者に対する説明と同意という部分で、これは採取施設の産科医師等がという、「等」を含めて幅を広げているのが今の基準ですけれども、この点についていかがでしょうか。
○矢部委員 実際に妊婦さんの一人一人に外来の場で産科医が説明するのは不可能だと思いますので、恐らく母親学級とかそういったところで集団を対象にした説明のような形をやっている場合が1つ。それから、説明用のパンフレットを待合室に置いているか、かつて日本さい帯血バンクネットワークで説明用のビデオをつくったことがありましたので、そういうところを活用されているところもあるかと思うのですが、そういった意味では、骨髄バンクのように1対1の説明というところまでは、産科の先生に御負担を願うのは難しいのではないかと思います。
○神田座長 原先生、いかがでしょうか。
○原委員 やはりとてもこんなに説明はできないので、私たちとしては、最初にそれのお誘いのパンフレットを渡して後は同意書をそのまま渡してしまっています。あとはさい帯血バンクのビデオはずっと待合室で流しています。申しわけないですけれども、全く説明はしていないです。やはり一人一人そこまでは説明できないと思うので、このような曖昧な形でやってもらわないとやっていけないのではないかなと思っています。
○神田座長 今の基準で文書及び口頭でとなっていますけれども、口頭での部分は現実に行うのが難しいということですか。
○原委員 一応、臍帯血というのは捨ててしまうものですからぜひ協力してくださいということは一言言っていますけれども、それと一緒に同意書をお渡ししてしまっています。
 もし法律になるというと、余り厳しいことが決まっていると困ってしまうような気がするのですけれども、どうですかね。
○高梨委員 実際には、遺伝性疾患から何から全部説明するというのは本当に難しいと思います。少なくともA4判6ページぐらいをお母様には読んでいただくのですね。それを全部口頭で説明するというのは、診療の中では不可能だと思います。
○神田座長 そうしますと、もしこの「口頭で」という文言が書類に入ってしまうと現場は破たんするということですか。
○原委員 そうですね。「文書および口頭」ということは、両方ということですよね。
○神田座長 文言はそうですね。
○原委員 ちょっと厳しいかもしれないです。
○高橋委員 もちろんドクターは現場では無理だと思うのですけれども、ドクター以外にそういうサポートをしてくれる人というのは、産科の医療現場ではどういう人がいるのですか。
○原委員 うちでは説明の看護師がいるので、そういう人が説明しているときもありますけれども、聞かれればお話ししますが、そんなに細かいところまでは説明はしません。
○高橋委員 今、産科の医療現場は厳しい厳しいという話が出ていますけれども、そういう説明をする担当の看護師さんが普通は十分いるのですか。
○原委員 1人で全部やっているので、なかなか難しいのではないかと思いますね。
○高橋委員 ドクターだけではなくて、そういう医療現場の医療関係者は全体的に少ないのですね。
○原委員 そうですね。まず看護師を減らすというのが病院の方針なので。そうすると、看護師以外の人たちもかなりアシストしてやっているという状況で、それもぎりぎりでやっているので、やはり説明の人を1人、このためにあてやるというわけにはいかないと思うのです。
○高橋委員 安全性という点と効率という点ですよね。どこで折り合いをつけて基準をつくるかということだと思うのですけれども。
○神田座長 集団で説明会をするにしても、たまたまその日に皆さんいるとも限らないですよね。先生のところは、曜日を決めてという感じなのですか。
○矢部委員 多分母親学級は曜日を決めているような気がするのですけれども、現場の確認は最近はしていないです。
○原委員 多分母親学級でも、それを説明する会とそうでない会があるとすると、必ず全部出ているとは限らないですよね。それから、区などほかのところでやっている母親学級に来ている人たちは全くこれに触れない可能性もあると思います。ですから、「文章および口頭」だと結構厳しいと思います。
○神田座長 省令の文章として書くときにうまい対策があるかどうかということも、これはどうですかね。「文章および口頭で」となってしまうと、それはもう絶対行わなくてはならなくなりますよね。
○間臓器移植対策室長 はい。もちろん、今はこの省令の書き方を議論するところではないかもしれませんが、これを「または」にするというのはあるのだと思います。
 他方で、一つ考えておかなくてはいけませんのは、同意というものについては余り簡単に考えてはいけないのだろうと思っております。つまり、わかった上で同意しているのかどうかということは言われますので、その意味で口頭がマストかどうかということよりも、わかっていただいてサインしていただいているのかどうかというところは、世の中的には非常に重要な要素なのかなということだと思うのですね。
 ですから、何らかの形で、例えば特に大事なのは何に使われるかということと同時に撤回できるというところ、撤回権みたいなもの、そこのところはきちんと伝わっておかないと、同意を得たといっても、何となく先生に頼まれたら断れないじゃないですかみたいな話になると、ちょっと具合が悪いなという面がございます。
 ですから、ここの書き方自体はいろんな議論の結果として十分反映させることはできますけれども、それが同意を得ているのだと言える程度にはやらなくてはいけないのだろうと思います。
○神田座長 例えば、最近、医師が治験に参加するための手続なんかで、文書をぽんと渡されて説明もろくにないのですけれども、最後に理解度チェックの小テストがあるのですね。その後にサインをする。そのようなものであれば、ちゃんと理解した同意と認められるわけですよね。
○間臓器移植対策室長 やり方はいろいろ工夫の余地があるかと思います。
○神田座長 工夫の余地はありますね。現実的なラインを探っていく必要はありそうですね。ありがとうございます。非常に重要なポイントかと思います。
 説明、同意のところは今のが一番大きなポイントかと思いますけれども、その他の点はいかがでしょうか。
 お願いします。
○矢部委員 やはりもう一回説明用のデバイスをいろいろ考えるのは必要かと思います。
 先日の日本さい帯血バンクネットワークでも話が出たのですが、かつて使っていたようなものがまた使えるのかどうか、現場の負担をなるべく少なくして妊婦さんの理解を得られるような工夫は必要だということと、それから、同意の中で、例えば先ほどの撤回の問題もそうですけれども、所有権が移る、要するに赤ちゃんやお母さんのものではないから、この子が病気になったときに使いたいという意見が必ず出ると思うので、その所有権の放棄のこととか重要なポイントを確認するようなことは、先生がおっしゃったようなテストというほどではないですけれども、再確認事項として同意書の中に盛り込んでおく必要があるかなと思います。
○神田座長 ありがとうございます。
 では、説明の資料あるいはその理解の確認の方法について、今後の検討課題ということになるかと思います。
 そのほか、説明、同意の点はよろしいでしょうか。
 では、続いて採取方法のところですね。これも非常に重要なポイントかと思いますけれども、挙がっている問題点というかポイントが、国際基準では採取は産科医師に限られていますけれども、日本さい帯血バンクネットワークの基準では、今、産科医師または採取施設の認めた者という基準になっておりますけれども、この点はいかがでしょうか。
○原委員 うちは全部医師がしているのですけれども、この間バンクの集まりで会ったときには、かなり助産師さんがとっているみたいなので、それを産科医師だけにしてしまうと、本当の現場としては難しいのではないかと思います。
○高梨委員 海外はナースがかなりやっているように思うので、産科医だけではないと思います。
○西脇室長補佐 これは、先ほど紹介した基準にそういうふうに書いてあるだけで、法的根拠があるものではなくてアカデミックベースでつくっているものなので、みんなが守っているというのとはまた別の次元の話になります。
○神田座長 あくまでガイドラインということですね。
 現実問題としては、技術的には医師でなくても十分可能ということですね。
 ちなみに、そういう助産師の方とかがとられるときには、トレーニングを何かされているのでしょうか。
○原委員 みんなで集まってこういうふうにとりましょうということはやっているので、わかっていらっしゃるのだと思います。
○矢部委員 採取病院のサイトビジット、教育訓練というので訪問するのですが、そこで確認すると、妊婦さんが一気にふえたところなどでは助産師さんがとっていらっしゃるところがあるみたいです。ただ、そういう教育訓練のところで実際説明に行くと、非常に熱心に質問してくださるし、熱意ある方たちだなと思いましたし、実際そこの病院から搬送されてきた臍帯血を見るとかなり重量も多いものが多かったです。
○神田座長 ありがとうございます。
 実際に針を刺すのが患者さんの体ではありませんし、資格としては問題ないことでしょうから、あとは適切な訓練という部分さえ担保されれば、これは認めてもいいのではないかというのは、皆さん同じ意見ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○神田座長 採取方法のところは、これでよろしいでしょうか。ほかに、疑問点等はございませんか。
○高橋委員 先ほど御説明があった来年度予算で、いい施設の教育的効果を狙っているという具体的な方法というのは、どういうことを考えていらっしゃるのでしょうか。
○間臓器移植対策室長 これはまた日赤にこれから考えていただくのですけれども、一つは、実際先ほど見ていただきましたアンケート結果を見ていただいても、かなり有意差があるということですから、では、そういう最終的には非常にいい臍帯血をとれている病院というのは何か技術的に違うのか違わないのか、どこが頑張っておられるところなのかというのはまず調べて、それを共有するということは有意義なのかなと思います。
 ですから、そういうようなもののいわば成功事例を紹介するというやり方もあるでしょうし、その中で共通事項があるのであれば、例えば何かマニュアル的なものをつくるということも考えられるでしょう。何か一律にしてしまうというのは余りよくないかもしれません。それはそれぞれの採取施設の独自性もあると思うのですが、とにかくいいものを御紹介していくということは非常に有意義なのではないかと思っています。
○高橋委員 まだ検討事項ということですか。
○間臓器移植対策室長 はい。まだこれからです。
○原委員 この間、どんなふうにとったらどうなるのかということを話し合ったときも、やはりいろいろなやり方をしていましたよね。上のほうからとったほうがいいとか、末端からとったほうがいいとか。また、とり方をいろいろ変えてみると違ってくるかもしれないので、余り厳しく決めてしまうとだめかもしれないです。
○神田座長 採取の手順書というのは、予定としてはこの書類にはつけないですよね。
○間臓器移植対策室長 はい。この標準作業手順書自体はそれぞれのバンクあるいは採取施設で作成するものですので、国の基準として定めないほうがよろしい項目であろうと思っています。繰り返しになりますが、そのために最低基準とは別にベストプラクティスといいましょうか、いい事例の紹介という形でスキルアップを図っていただくということを考えております。
○神田座長 ありがとうございます。
 お願いします。
○濱口委員 この後、多分バンク内での品質管理の話が出てくると思うのですが、私がバンクのネットワークに参加してかねがね思っていることは、この採取のところというのは、品質管理上ブラックボックスに近いところがあるのかなということです。
 もちろん、採取の先生たちが非常に努力をされて技術を上げて、できるだけ品質を保つための努力をされているというのは重々わかっているのですけれども、これからこれまでのボランティアベースからある程度きちんとした形でやっていくということになった場合に、そこのところは、厳しくするのは大変だというのはあるのですが、品質管理という面からいうと、採取というのは一番初めのところの非常に重要なところなので、この後ずっと採取の方法の具体的なところに入りますので、そういったところを少し検討していただければなと思います。
○神田座長 それは各施設の作業手順書を例えばしっかりとチェックしていくというような、そういう意味合いでしょうか。
○濱口委員 というか、それぞれの施設、言うならば病院の独自性を尊重しましょうという話が今あったのですけれども、その一方で品質を保つために挙げていかなくてはいけないことというのは十分に盛り込んでいくべきだろうと、これは全体的、総論的な話なのですが、そう思っています。
○神田座長 ありがとうございます。
 実際に今、先生は本当にずっとそれにかかわっていらっしゃるので、本当にどうなのかなとお聞きしたいのですけれども、まず、その後のセルプロセッシングの過程というのは非常に重要だと思うのですね。もちろん、感染症のコンタミネーションとか、そういうレベルの最初の部分は結構クリティカルかもしれないのですが、それ以外の部分で細胞の質を担保するために、私などから見ると量をたくさんとるというのは重要だと思うのですね。例えば、絞り出してとるのと上手にすっととっていくのと、最終的なセルプロダクトとして最初の部分はどのぐらいを影響するのかということに関しては、どういうふうに思われますか。
○濱口委員 それはちょっとわからないですね。ただ、例えば、採取する現場だとか、それから、とった後のそれを保管している状況だとか、そういったものはそこの病院にある程度独自性に任せているというところがあるので、そういったところを今後どういったふうに考えるか。そういったところで担保していくしかないのかなと思っています。
○高橋委員 最初の部分をどこまで厳密にまず規定しなくてはいけないのか、もしくは、確かに今はブラックボックスだと思うのですが、ある程度各施設でとれればいいという感じで許容していくのかというのは、結構大きなところですよね。
○神田座長 各施設の手順書と実際にこれぐらいの結果を出しているというところがしっかりしていれば、それがよろしいのでしょうか。
○濱口委員 そうですね。それと先ほどおっしゃいましたように、品質管理上も少しレベルアップするという努力というのをやっていかないと、なかなか難しいのかなと思っています。
○神田座長 ありがとうございます。
 それでは、4ページですね。2.2.5の採取対象の部分が、これは先ほど挙げていただいた中で、ドナー児の家族歴はどこまで聴取すべきか。この点に関して、まず、先ほど国内のところで悪性腫瘍は2親等、遺伝疾患は3親等、国際基準では2親等までということでしたけれども、いかがでしょうか。
○高梨委員 国際基準もUncleまで入っているので3親等だと思いますが。
○神田座長 国際基準も3親等ですか。
○高梨委員 Uncleまで入っていますよね。
○神田座長 わかりました。そうすると、今、日本さい帯血バンクネットワークの基準と同じですか。
○高梨委員 多分、同じだと思います。ただ、そういうフォームがネットでさらったぐらいでは出てこなかったので、確認ができなかったのですけれども。
○原委員 次に行ってしまってよろしいですか。
 採取用具のところなのですけれども、滅菌済みの医療器具を用いることで、うちは絶対滅菌にしてほしいということでお願いして、川澄の滅菌のものを持ってきているのですけれども、テルモは滅菌ではないのですが、テルモを結構使っているところがバンクでは多いのですよね。というと、滅菌済みではないものが結構あるので、ここのところはどうなのかなとは思ったのですけれども。
 あともう一つは採取対象なのですけれども、正期産となっているのですが、こちらの臍帯血採取基準のほうでは必ずしも正期産ではなくてもいい。うちも36週とか35週とかで元気に生まれてきてくれる子たちもいるので、そういう子に関しては別に早産でもしっかりとれれば問題はないと思うのですね。
 本当に早い早産だったら絶対臍帯血も少ないのではねられてしまうから、そんな場合はとることはまずないと思うのですけれども、正期産としてしまうと37週0日以降になってしまうので、ここを規定しないほうがいいのではないかと思います。あとは、これだと正常分娩になってしまうので、では、吸引はどうなのだ、帝王切開はどうなのだということになってしまうので、バンクのほうでは予定の帝王切開ならいいとかそういうことがありますから、ここの規定もどうなのかと思ったのですけれども。
○高梨委員 日本さい帯血バンクネットワークの基準書では、「原則として」とつけるとか42週までにするとかいろいろな意見があって、今、改定案の作業中ではあります。
 あと、正常という言い方が多分厳密に言えばそれこそ吸引とかも全部入ってくるので、ここのところは書き方を改めなければいけないと思っています。
○間臓器移植対策室長 今、高梨先生がおっしゃってくださったことの関係では、要するに技術指針と基準書のところがまだ整合していない面があるのだと思うのですが、原先生も御指摘がありました、このピンク色の参考資料、赤い最初の耳のところを開いていただくと採取基準書が出てまいります。それを4枚おめくりいただきますと、さい帯血採取基準書、3、さい帯血提供の対象となる妊産婦というのがございまして、ここに今お話が出ました、原則としては正期産と書きながら37週未満の場合には総合的な判断だと、こういうのがありまして、このあたりの実態は最終的には反映をさせていく必要があるだろうと思っています。これがバンクといいましょうか今の実態でございますので、ここに特に問題がなければ、そのような形で基準も定めていくべきではないかと思います。
○神田座長 この記載であれば、問題ないですか。
○原委員 はい。こちらだったら大丈夫です。
 あとは滅菌のほうはどうなのですかね。私はほかのところがわからないので、うちは滅菌が絶対欲しいと言ってやっていますけれども、ここももし分娩室外だったら滅菌でなくてもいいのですよね。刺すところだけですね。
○高梨委員 そうですね。
○原委員 先の針のところだけ滅菌で、あとは滅菌でなくてもいいのだと思うのですけれども、帝王切開に入れるためには全て滅菌されていなければいけないということがあるので、「極力」と書いてあるからいいのかもしれないのですけれども。
○神田座長 テルモの場合には、この直接刺す部分も滅菌されていないのですか。
○原委員 いいえ。直接刺す本当の先の針だけですよね。
○高梨委員 はい。そうです。袋に入っているのですけれども、外袋自体は滅菌ではないので、水を入れて菌培養に持っていくと出ることもあるかもしれないというようなものでした。
○神田座長 この臍帯血に直接触れる用具は滅菌済みという点はいいのですよね。その後ろの「直接触れないものについても極力」という部分が引っかかっているのですか。
○原委員 これだったらいいのですけれども、うちは全部滅菌のものを使わせていただいているのです。でも、これでいいのですね。済みません。では、これでよろしいのだと思います。
○神田座長 そうですか。
 あと、家族歴については特に問題なさそうですか。
○矢部委員 結構これは重要で、東海大学のバンクでもかつて1例、先天性免疫不全の赤ちゃんの臍帯血が保存されて、その後に診断されたので供給されなかった例があります。最近移植した代謝異常の患者さんも、お母さんが臍帯血を提供したのを一旦忘れていて、移植をするときに臍帯血で移植をしなければいけなかったので、この臍帯血は遺伝的に関係なさそうだということを確認してありますがという話をしたときに、お母さんがそういえば私も提供していましたということを思い出して、それを連絡していただいたことがあるので、偶発的に移植されてしまう危険はゼロではありません。そういった意味では、2親等、3親等、これを狭めることに関しては少なくとも反対です。
 それから、次のところなのですけれども、3~4カ月を6カ月という点、実際3~4カ月でそういう先天性疾患をどれだけ拾えるかというのはかなり難しいと思いますし、乳児の発達などを見ると、4カ月でモローとか幾つかのところはチェックできるのですが、やはり5カ月、6カ月で顔に布をかぶせる検査であるとか、そういったところで拾える場合も結構ありますので、そういう発達に問題があるような方というのは、先天性の骨髄不全の頻度あるいはMDSや白血病の頻度が比較的高くなりますので、そういった意味では、乳児健診も今の6カ月以上というのは守ったほうがいいように私は考えています。
○神田座長 そうしますと、まず、遺伝性疾患3親等、これは現状のままという御意見ということですね。
○西脇室長補佐 御参考までに、今回、先ほど第5版のDraftですと「parents, grandparents, siblings, and parents’ siblings」となっているので、これだと2親等に一応なってはいます。
○神田座長 ただ、日本国内でこれまで遺伝性疾患3親等でやってきたものをあえて狭める必要はないというのは、皆さん、よろしいですか。
○高梨委員 今おっしゃったParents’ siblingsだと、赤ちゃんから見ると3親等です。
○神田座長 そうですね。3親等ですね。
 それから、その児の健診の部分ですけれども、これは、長ければ長いほど先天性疾患を見分けられるけれども、長いほど公開までが遅れてしまうというところですよね。半年というのが、かなり見分けられるタイミングですか。
○矢部委員 どこまでというのはなかなか難しいのですが、ただ、市町村が保健所で公費で行っているのは3~4カ月で、6ないし7カ月というのは市町村によって変わってしまうと思うので、かかりつけの小児科医とかで見てもらうことが多いと思うのです。ただ、おっしゃるとおり、余り公開まで遅れるとそれによる利益を受けられる患者さんに影響するということで、長くしても切りがないので、そういった意味では、今まで6カ月以上ということでやってきたところを、リスクをふやす方向で3カ月ないし4カ月というのは少し抵抗があります。
○神田座長 どうぞ。
○高梨委員 乳児健診がかなり違うと伺っていて、1カ月の後はもう10カ月か1歳だというお話まであるので、本当にここはどこで切ったら大体大多数オーケーという線が見えないなと日ごろ思っております。もし御存じでしたら、教えてください。
○矢部委員 大部分のお子さんが受けるのは、3~4カ月の後は1歳半とかそのくらいになってしまう心配があるのですよね。私も地元の市町村のことしか知らないので全部を把握しているわけではないですけれども、私どもの東海大学さい帯血バンクでは、フォローアップのお手紙を差し上げて、それで6カ月を過ぎた時点で健康上問題を指摘されていないかどうか、それをお母さんからお返事をいただいているのです。98%ぐらいはフォローできていますので、連絡方法を把握しておけば、それがきちんとした医療機関で判定されたものかどうかはまた別なのですけれども、赤ちゃんですからその間に何度か病院にかかることも多いと思うのですが、その中でのチェックはできていると思います。
○神田座長 これはこの日本さい帯血バンクネットワークの1つのラインとして書かれていますけれども、各バンクはこれを大体6カ月でやっていらっしゃるのですか。
○高梨委員 私どもは7カ月過ぎたというところで、6カ月を過ぎてから必ずということでお手紙を出しています。ただ、バンクによっては早目に出してしまわないと転居してしまうというところもあるように聞いてはいます。
○神田座長 なるほど。転居の問題もありますね。
 しかし、この点も現状で半年、6カ月でやってきたものをあえて変える必要性はないということでよろしいですかね。あえて短縮する必要はないですか。
 どうぞ
○間臓器移植対策室長 この点、御議論いただきたいところなわけですけれども、結局基準書に書かれていることと実態が同じなのかという問題なのだと思うのですね。ですから、これで基準書とあるのだけれども、これは、別にこれで各バンクを厳しく拘束しているわけでは必ずしもない、罰則があるわけではないということもあるので、いろんな御事情の中で、今、高梨委員からお話があったような、6カ月を超えてでばっちりやっているところもあれば、早くやるようなところもバンクによってはあるように伺います。
 それで、今回、先ほど申し上げたように最低基準ということの性格上、決めると今やっているところができなくなる。かといって、矢部委員がおっしゃいましたように余りなあなあにするわけにもいかぬということで、決めなのかもしれませんけれども、ここは現状がそうだから問題ないということでは多分ないので、幅があるということなのだろうと思います。この前後でやっておられるバンクがあるという中で、どう決めるべきかということだと私どもは認識しております。
○神田座長 つまり、現状で6カ月未満でやっているところがやり方を変えなくてはならなくなるということですね。今、そういうバンクが実際あるわけですよね。
○高梨委員 早目に出しても、6カ月目に手紙が来ればいいのだろうという解釈だと思います。ですから、必ずしも6カ月目に受診をしているかということを聞いているわけではない。そこのところが実態なので、書きぶりとしては、6カ月過ぎたところで、バンクは6カ月過ぎてからお母様方にお伺いをするというのをはっきりし、その後の判定というのは、各バンクにはドナー情報、臍帯血関連情報の判定をする責任者がいるはずなので、その人たちが意識を共有するように、今後、連絡を密にしていけばいいかなとは思います。
○神田座長 では、この点、6カ月とラインをびしっと決めた場合で対応できるか、各バンクに問い合わせいただくことはできますか。
○間臓器移植対策室長 はい。
○神田座長 それでは、採取方法、この識別の部分ですね。識別の仕方を全てのバンクで統一的に定めるべきかという点ですけれども、現状としてこの点はいかがでしょうか。現状は各バンクの方法で識別の仕方が定められていて、全体としてのルールはないということでよろしいですか。
○高梨委員 採取現場は臨床現場なので、お母様方の名前で動いていると思います。通常、海外の輸血用の採血ルームでISBTラベルを張るというのと、分娩室での作業とは違うのかな。ですから、バンクに物が入ってから後、きちんとID番号をつけるのはもちろんなのですが、ここは採取の現場での話なので、採取の現場にISBTラベルをつけなさいというのまでここに書き込むのは難しいように、今、思っております。
○原委員 これは、採取現場の話だったのですか。私はここの識別から全然関係ないと思っていたのですけれども、違うのですね。ただ、やはり名前で全部動いているので、どういうふうなものをつけるかもよくわからないのですけれども、名前でしか動けないと思うのですが。
○濱口委員 初めの原則のところでおっしゃったトレーサビリティというのが、これはどこからトレーサビリティがかかってくるのかなというのは、私は一番初めに思ったのですね。そうなったときに、場合によってはこの段階から追いかけられるようにして、そういうふうにやるということになった場合には、これまでと大きく変えていくということも考えなくてはいけないのかなと思います。
○高橋委員 現時点でも、トレーサビリティという点では、この臍帯血の出所というか、赤ちゃんの名前、お母さんの名前というのはわかるのですよね。
○濱口委員 それはわかると思うのですけれども、やはり製剤を追いかけていくといったときに、名前と、その名前がずっと匿名化されるとかされないとかというのはあるのかもしれませんが、そういった後から追いかけるというのが仮にやるということになった場合には、初めのところから何らかの識別というのはあってもいいのかなと思います。
○神田座長 どうぞ。
○間臓器移植対策室長 議論の御参考になのですけれども、今、WHOのほうでこういう臓器、Organs、Cells、Tissues、それぞれについて統一的なコードをつける。要するに、国際的な移動もあり得るということで、トレーサビリティを確保していこうというような動きが、今、出てきてはいます。ただ、これが実際的に基準ができて動き出すのは、多分あと数年、5年ぐらいはかかるという、まだ先の話ではあります。
 こういうFactのほうで書かれている国際基準でというものも、これは発生点主義で、そこの点でつけるということを意識した規定なのだと思いますけれども、今、おっしゃったように、どこからナンバリング、ラべリングをちゃんとするべきか。お話がありましたように、実際に採取病院のところで名前でやっていたとしても、バンクのところでちゃんとひもつけができているということを考えた場合に、将来の話と今の話とは一旦分けて御議論いただいたほうがいいかもしれないなと思います。
 ただ、先ほど原委員がこれは採取の話なのですかとおっしゃいましたけれども、後ほどバンクとしてISBT128に準拠するのかという、バンクとしてのラべリングの仕方と、国際基準、国際的な動向との整合性みたいなものも議論になってまいりますので、ここで全部決めてしまわなくてもいいのかもしれません。ただ、だんだんと発生点主義的な動きは国際的には出てきているということは、御紹介をしていきたいと思います。
○神田座長 では、トレーサビリティ全体にかかわってきますので、後のところでまたまとめてということでよろしいでしょうか。
○原委員 今、うちでとってかなりいいと思っていても採取量不足で落ちてしまうのです。多分、今のうちで3分の2はいかないですものね。半分ぐらいがやっと登録できるので。そうすると、採取量不足になってしまうのはかなり多いと思うのです。うちで破棄してなおかつなので、ここに書いてある受入から公開までの臍帯血数の推移を見たってすごいものがだめになっているので、最初からつけるのはどうなのでしょうか。
○濱口委員 済みません。私は現場の事情を余り理解しないまま言っていると思うのですけれども、やはりそういったものもデータとしては、将来的には必要になってくるのかなと思います。どのくらい廃棄しているのかということが、初めにラベルをすることによってその数というのがしっかりわかるわけで、そこのところがよくわからないと、どのくらい今うまくいっているのかどうかというのが明確にならないというのがあるので、それはどのくらいのエネルギー量になるかということも含めて、将来的には私はトレーサビリティを確保するという点では努力をしていくべきだろうと思います。
○神田座長 では、また後ほど出てきますけれども、現状における最低ラインという部分と将来の目標というところと2段階で考えていきたいと思います。
 それでは、調製保存のほうに移ってよろしいでしょうか。では、調製保存について、また御説明をお願いいたします。
○西脇室長補佐 調製保存については、6ページ、3の調製保存についてというところからになります。ここのページは品質管理についてですが、品質管理責任者を置いて品質管理に努めるとされています。
 論点としましては、品質管理責任者をバンクの責任者と別に必ず置くこととすべきかということで、国際基準では、6ページの右に示してあるような、ここに挙げてありますような業務を行い、バンクの責任者とは別に置かなければならないとされています。もう一つは、有害事象等の評価の報告について定めておくべきではないかということです。これも国際基準ではバンクの責任者が把握し、関係機関に報告しなければならないとされています。
 続いて7ページ目は、調製保存施設についてです。
 細かい基準については各バンクで定めることになりますが、立ち入り権限について既存の施設に併設している施設に定めることは可能かということが論点として挙げられます。国際基準では、権限のない者は立ち入らないようにしなければならないと記されています。
 続いて8ページ目ですが、調製保存を行う者として、標準作業手順書に規定した適切な教育訓練を受けた者が行うとされ、3.4では一定の清浄度が保たれた処理作業環境について、3.5では原材料及び製造材料について規定しています。
 9ページ目の3.6では装置・設備等について、3.7では識別について書かれています。
 これはバンクに受け入れた後の識別ということですけれども、先ほども少し出ましたけれども、将来的には海外に出庫することを考えると、識別システムは国際的なものに準拠しておくべきではないかということが論点として考えられます。国際基準ではISBT128に対応したコーディングが規定されており、完全に対応していないバンクでも対応できるようにする計画を示すこととされています。
 10ページ、調製保存の方法についてです。採取後24時間以内に開始することとされ、凍結はプログラムフリーザーまたは温度変化の記録が明らかな方法を用いるとされていますが、先ほどの資料3でも御説明しましたように、プログラムフリーザーを用いずに-80℃の冷凍庫に静置する方法も可とされています。
 ここでの論点は、凍結時の温度管理について、現行ではプログラムフリーザーを用いずに-80℃のまま冷凍庫に静置する方法も可とされていますが、温度変化の記録が残るものを使用すべきではないか。これも、国際基準に温度変化が残るものを用いて凍結曲線も記録することなどが定められています。
 続いて11ページ目は、保存環境についてです。
 ここでの論点としましては、個別管理ができるシステムもある中で、一連の検査結果等が判明するまでの間の容器とその後の長期保存用の容器を区別することを義務とする必要があるか、また、保存時は温度記録が残るようにすべきではないか、保存中の異常時の対応についても定めておくべきではないかということが挙げられます。国際基準では、ここに示してありますようなアラームシステムについての記載があり、保存装置が故障した際の代替装置も備えておかなければならないとされています。
 12ページは、臍帯血の廃棄についての共通のルールを定めておく必要があるのではないかという点についてです。これも、国際基準では廃棄の責任者と記録を残すことが規定されています。
 調製保存については以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 この内容も半分ぐらいは先ほどのトレーサビリティにかかわってくるものではないかと思いますけれども、また前から順に行きたいと思います。
 3.1の品質管理責任者をバンクの責任者と別に設置すべきかということであります。各バンクで現状は今、いかがでしょうか。
○高梨委員 日赤は血液事業に従って別の人を立てるようになっております。
○矢部委員 実は正職員の事務関係が1人しかおりませんので、私が責任者でかつ品質管理責任をやって、書類に目を通しています。
○神田座長 ありがとうございます。
 その他のバンクの実情というのは把握されていますでしょうか。
○西脇室長補佐 現時点では完全な把握はしていないので、次回までに調べておきます。
○神田座長 これは国際基準では別にしなくてはならないとなっているわけですけれども、同一であった場合に生じる問題というのはどういったところですか。
○高梨委員 品質管理責任者はかなりの権限がありまして、日々の施設のマネジメントから始まって、それを管理し、指導する立場になります。
 バンクの責任者というのが普通、契約上の責任者というのでもあり、全責任を最終的に負う者という形だとは思うのですけれども、ただ、責任者は、実は海外の規定はいっぱいありまして、メディカルディレクターからいろいろ設定されています。その辺は現在日本さい帯血バンクネットワークではそこまで規定しなかったので表現がうやむやなままに過ごしました。
○神田座長 現実にバンクの責任者が品質管理をしっかりやっていくというのが難しいという点なのですかね。先生はそれを一人で頑張ってなさっているかと。
○矢部委員 十分にできているわけではございません。
○神田座長 矢部先生としてもできれば別のほうが望ましい。
○矢部委員 そうですね。ここでいう責任者が実際どういった責任を負うかというのは、高梨先生がおっしゃったように、それを明確にしないと責任者の位置づけ、どういうことを依頼するのかもわからないので、条文とかにあると助かります。今は、何かあったときに表に立って謝罪するのが責任者の立場になってしまっています。
○神田座長 すぐにということは難しくても、目標としては別の人を立てていくべきかなということでよろしいでしょうか。
 それから、有害事象という言葉がちょっと適切かどうかわかりませんけれども、何らかの問題点が生じた場合の報告の基準ですね。これは多くの手順書で必要になってくるものかと思いますが、現状の書類では全く決まりはないのですね。現在の日本さい帯血バンクネットワークの基準では。
○西脇室長補佐 日本さい帯血バンクネットワークの基準のほうには具体的な記載はないので、恐らく標準手順作業書のほうに、各バンクにおりているのではないかと思います。
○神田座長 各バンクには恐らく細かな設定はされていますね。
○高梨委員 一応、逸脱とか対応記録は残るようになっていますし、とりあえず血液センターの中の一つの課でおりますので、インシデントのような形での管理はさせております。
○矢部委員 やはり同様にインシデントを報告という形で原因の究明と対策、それから、出庫時とかの品質の管理も再検を繰り返すなりしながら検証するようにはしています。
○神田座長 細かなところは今後詰めていくということで、こういったものを置くということはまず間違いない方向性ということでよろしいでしょうか。
 それでは、続きまして「既存の施設に併設している施設について、立ち入り権限について定めることが可能か?」、これの意味がよくわからなかったのですけれども、どういうことでしょうか。
○矢部委員 多分、私どものような学校法人の中にバンクがある場合に、大学などですとかなりいろんな人が周りをうろうろ通りますので、そういったところでのセキュリティの問題だと思うのですが、もちろん例えば細胞を調製するCPCは完全にカードキーが必要ですし、それ以外の個人情報とかも全部電子錠を設置して入れないようにはしています。
○神田座長 これは恐らく各バンクで最低基準として定めることは可能ですね。
○高梨委員 全ての施設を見て回っていないのですが、多分日赤系は担当課の者しか入れないような設定ができているのではないかとは思うのですが、そのほかのバンクさんのことは存じません。
○神田座長 これは御確認いただいて。
○西脇室長補佐 これも確認しておきます。
○神田座長 恐らくそちらの方向で進めていくことかと思います。
○間臓器移植対策室長 先生、よろしいでしょうか。
 この点は大事な点なのですが、結構建物の構造に影響する部分でもあろうかと思うのです。例えば大学院生がどうなのかとか、いろんな関係はするのだけれども直接権限のない人だったらどうなるのかとか、その場合にセキュリティのガードをどの程度やればいいのかとか、厳しくやり始めますと切りのないところで、特に個人情報のあれやなどをデータ管理するサーバーは特定の人しか入れない、一切権限を与えられないようにするとか、厳しくすれば切りはないところでもあるのです。その場合にどこまでやるかという問題と、それが建物の改変、構造を変えなければいけないような規定になった場合には、かなり各バンクには負担になるということでもあります。
 ただ、考え方として、誰でも入ってきてもいいようなところに処理をしているなどということはあってはならないことなのだろうと、そこは程度問題かなと思っています。
○神田座長 少なくともその施設内の出入りをIDカードなどで制限するということは最低ライン必要になってくる。それはもうできているのですか。
○矢部委員 そうしますと、一応学部棟の中につくってありますので、廊下とかは誰でも通れます。部屋レベルになると入れないのですけれども、そういった意味で、部屋及び鍵のかかった書庫とかいうレベルでよければ保てるのですが、そうでないところで通行をストップして、建物の一翼を全部閉鎖するのはちょっと困難かと思っています。
○神田座長 施設への立ち入りの、施設の言葉の定義になってきますかね。その施設が各部屋が廊下を挟んで分かれているということですね。そういった場合にもそれぞれの部屋にセキュリティがかかっていればオーケーでしょうかね。
○濱口委員 私は外部委員として時々バンクを幾つか見て回るのですけれども、一番大事なことはそこの作業に従事する人以外がそこには入れないようにしてあることが重要で、そのためのキーをといった形になるかですが、やはりキー管理をきちんとやってもらって、作業現場、保管する現場に無用な人が絶対に入らないということが保てていればある程度のセキュリティは保てていると判断しております。
○神田座長 その前の廊下までは入れてもいい。
 それで各バンクの対応が可能かどうかというところをお願いいたします。
 続きまして、調製保存を行う者等のところは特別議論点が出ていませんけれども、よろしいですか。教育訓練などの話、処理作業環境、原材料、製造材料等、よろしいでしょうか。
○高梨委員 今「3.2.2 調製保存に関する倫理委員会の承認」というのではっと気がつきました。もちろん15年以上も前に始めたときは倫理委員会で始めたのですけれども、今の時代ですとどうなのかしらんと今、ちょっと思っただけです。
○神田座長 この場合の倫理委員会というのは施設内の倫理委員会ですかね。
○間臓器移植対策室長 それをイメージしてきていると理解しております。
○神田座長 今、さまざまなことに関して倫理指針が定められていますけれども、細胞保存とかについては該当する倫理指針はないですね。
○間臓器移植対策室長 そうですね。保存そのものについてはないと思います。これが臨床研究などになってきますとヒト幹指針とかもちろんございますが。
 現在ある倫理委員会では、例えばこういうところで機能しているというよりは、幾つかのバンクで研究目的で臍帯血を提供する場合に、それがいいのかどうかというようなことをバンクの倫理委員会で御判断されているようなケースがございます。
○神田座長 ここで書かれているのは、ただ日常の調製保存作業を倫理委員会で。これは倫理委員会の対象になるのですかね。今、もう日常の作業としてやっているものに今から倫理委員会が必要かどうかというのはいかがですかね。
○高橋委員 これは新しくバンクが設立されることを念頭に置いてということなのですか。そういう意味ぐらいしかとれないかなという気がしますけれどもね。
○矢部委員 かつて私どももバンクをつくるときは、提供のところで倫理委員会がいろいろ、どういうふうに提供するのか、実際に患者さんが不利益をこうむらないようにというところで、そこの中で安定した品質を保つことが調製保存にもかかわってはくるのですけれども、あくまで倫理委員会マターになるのは提供の段階からでした。かつてはです。
○神田座長 原先生、そういったところは何か倫理委員会とかで。
○原委員 一応院内の倫理委員会の承認を受けるということはあります。それは倫理委員会の承認というのが求められるのです。
○高橋委員 最初の段階で。
○原委員 そうですね。
○高梨委員 以前はその辺のハードルが高くて、それこそこのような基準書ができた時点で倫理委員会を求められたので、日赤の中でもつくってもらいましたし、その後も研究絡みで継続はしているのですが、今、ここで突然この1行が気になったので質問させていただきました。
○神田座長 これはかつての立ち上げの段階の内容が残っているだけで、今、法律としてやろうとしている段階で必要な文言ではないようなものと判断してよろしいですか。
 どうぞ。
○間臓器移植対策室長 基本的には今、もう既に動いているものについて、改めて倫理委員会で承認を得る必要はないのだろうと思うのです。ただ、私の理解では、ここでいう倫理委員会というのは、個人の知見ではなくてみんなでちゃんと討議をして組織として承認をしていくということに一つ意味があるのだろうと思っています。
 今後、細胞治療が進んでいく中で、調製保存の加工の程度がさらに上がっていく可能性もある中で、例えばそういう新しい加工の程度が上がるような調製保存をしていくとするならば、だんだん、今までにない加工をするのであれば倫理委員会の承認というのはあり得るのだろうと思うのです。そういう意味ではかなり高度なものをやって、大きな変更をしていく場合に倫理委員会にかけるというのは必ずしも今後も無意味なものではないのではないかと思うのであります。
○神田座長 3.2.2と3.2.3を逆にして3.2.3の基準書・手順書作成したものを倫理委員会で承認するという意味合いですかね。何か施設の手順書を変更したりする場合にはそれを各施設の倫理委員会で承認を受ける、そんな意味合いなのでしょうか。
○高梨委員 通常の血液事業の手順書・基準書の承認には倫理委員会が含まれていないので、また新たな経緯が必要になってしまうのかなと、今、また思いました。
○神田座長 これはちょっと元の論点に上がっていなかったのですけれども、重要なポイントかと思いますので、これも少し現状等を調べていただけますでしょうか。
○間臓器移植対策室長 承知しました。
○神田座長 それでは、先ほどのトレーサビリティの問題で、海外出庫も考えて識別システムを国際的なものにするかという点、それから、プログラムフリーザーの件もトレーサビリティにかかわってくることかと思いますので、これは現状でできる最低ラインと数年後を目標とした高いレベルと2つで考えていく必要がありますけれども、この点いかがでしょうか。
 現在識別システムは採取段階ではほとんど行われていなくて、保存段階では各バンクの手順書で行っているということですね。
○高梨委員 受け入れて、処理をする段階には全てIDで動かなければいけないとしておりますので、その段階で番号を振って、ISBTを反映する形で最終産物のラベルができるようにはしています。
○矢部委員 まだISBTは導入していないのですけれども、受け入れの段階で、例えば保存検体とかが全部一連で出るようなラベルがバーコードで出て、それを管理して、それで一枚一枚張っていくと取り忘れもないことが確認できますので、システムとしては同じです。
 一応先日システムのメンテナンスをしている業者がちょうど来ていたものですから、この辺の話はしたのですが、手間はかかるけれどももちろんひもづけを将来的にすることは可能なので、何年か後の移行は十分可能ですということはおっしゃっていました。
○原委員 もし採血したところでそういうものをやるというと、具体的にはどんなものをどう張るのかというはどうなのですか。
○高梨委員 多分余計なコンピューターシステムとラベルの印刷機が必要になるかもしれないと思います。
○高橋委員 採取現場でですね。
○高梨委員 はい。ただ、相談をしたことがあって、そのときはバンクが受け入れた時点でラベリングするので問題はないと言われました。
○高橋委員 ただ、将来的にそれこそ国際基準というところ、あと、先ほど濱口先生がおっしゃった、受け入れ数と採取数のわかっているバンクとわかっていないバンクが出てきているというその差も含めて、いろんな統計的な問題もありますし、問題が起こったときに、確かにひもつきでわかるといえば今でもわかるかもしれませんけれども、多分国際基準では受け入れられないと思うのです。
 そうすると、どのぐらいの手間かなと私もちょっと今、考えたのですが、分娩室にその機械が入って、プリンターがあって、出てきてバッグに入れた段階かどうかはわかりませんが、とにかくそのラベルをぱっと張る。そういうものはきっと将来的には絶対必要になってくると思いますので、どこかでそれは。恐らくお金の問題はあるでしょうけれども、手間の問題はそんなにはかからないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○原委員 イメージが湧かないので何とも言えないのですが。
○濱口委員 あと、ラベルを張るということになると、それがどうなったかという顛末を記録として残す必要があるのだろうと思うのです。なので、ラベルを張ったのだけれども途中でドロップアウトしてしまったということを、採取施設の中である程度データを保管していただくことが多分必要になってくるのかな。将来的には例えばそういったものを一元的に状況としてどうだったかということがコンピューターシステムの中でぱっと見られるようになるというのは将来的にはあるかもしれませんが、やはりラベルを張るのと同時にそのものがどうなったのかということを残すという手間が生じてくる可能性があると思います。
○高橋委員 今後これを持っていくときに識別システムは基本だと思うので、少なくとも将来方向としては絶対残しておいたほうがいいのではないか。あとはそれをどうやって実現可能にしていくかを少し議論したほうがいいのではないかと思います。
○原委員 幾つのものに張るのですか。臍帯血と。
○高梨委員 臍帯血と母体血と同意書全部ワンセットになっていくだろうと思います。ただ、現在そこのところは3セットでバンクに受け入れているので、何も名前と番号の二重管理をする必要はそこではないのです。バンクに入ってしまうと分注を十何本に分かれていってしまうものなので、そこではID管理をする必要はあるのですけれども、採取現場は少なくとも名前管理であっても、それが3セットで来ますので、そこはわざわざデジタル表示に持っていく必要もないのかな。
 ただ、本当に本当の将来の話ですけれども、クラウド環境でもって初めに同意書が出たところで登録をしてしまう。採取できたらそこも登録してしまうというところになってくると、初めからのID管理ができるかなとは思います。
○神田座長 同意の段階で登録することは現場で可能なのですか。
○原委員 どうですかね。同意の段階でできなくはないと思うのですが、一応同意書は分娩室、うちは別になっているので、そこに入院していただいたときには全部預かるということになっていますが、まずは先ほど言ったように量不足と曜日ですね。土曜日はとれないので、そうするとドロップアウトしていくのはわかるかもしれないですが、それにも全部張るのか、という感じがします。
○間臓器移植対策室長 この点については、ボランティアマインドでやっていただいている現場の御負担との兼ね合いがどうしてもあると思います。他方、東京臍帯血バンクでは実はこれを産科の病院で張っていただくというのをやっておられるようですので、もしよろしければ次回に実際にどんな感じでやっておられるのか、取材をもう少しさせていただいて御紹介をさせていただきたいと思います。
○神田座長 実際今、骨髄バンクの骨髄の製剤も各施設でラベルが打ち出されるわけではなくて、シールに決まったIDを施設で書き込むようなものですので、同意の段階でIDがとれたらそういった対応なら現実的にできるような感じはするのですけれども、ただ、破棄する臍帯血にまでシールを張る必要があるかどうかというと、破棄された記録をしっかりと残せばそれはトレーサビリティが保たれていると言っていいのでしょうかね。
○濱口委員 思いますね。
○神田座長 そういったところであれば少し現実的になりますでしょうか。
○原委員 そうですね。
○高橋委員 ただ、どの段階で破棄するかというのはなかなか難しいでしょうから、やはり最初の段階かなと思うのですが、恐らく採取現場の産科の先生方の負担というのは今、おっしゃったとおりだと思うので、それは最初の話に戻ってインセンティブという話になると、そこは恐らくここでの議論にならないと思いますから、そういうことも少し付記して上げていただくという方向ではないかと私は個人的には思います。
○原委員 うちではもう日常茶飯事のように臍帯血をとっているので、そういう機械を入れろと言われれば入れるし、それこそ攪拌機も入れたりしていますけれども、やはりちょっとしかとらないところはそこまで入れられないと思うのです。
○神田座長 恐らく全国100の施設に何か新たな機械を導入してというのは現実的ではないような気がしますので、骨髄バンクと同じ方法であれば、採取のIDに応じてシールを送って、そのID番号を現場で書き込んでぺたっと張る。骨髄ですら今。
○原委員 それはちょっと厳しいかもしれないですね。
○神田座長 この辺、現実にそれをやっているところがどんな状況でやっているかということと、恐らくこれは現在の基準ではなくて将来目標として設定していくというところで。ただ、目標にすべきであるという点はよろしいですか。どうですかね。
○原委員 何かちょっと大変そうですけれども、やれと言われればやるかもしれませんが。
○神田座長 現実にどういう落としどころがあるかはこれから探っていきたいと思います。
 もう一つトレーサビリティで、凍結の温度の変化を残すべきではないかという点です。これは、いろんな薬剤の搬送などでも必ず温度の管理は残っていると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。プログラムフリーザーを使われている施設は。
○矢部委員 これは採取から搬送の段階もみんな9度~25度までに保つことが決められていて、その段階でも温度とりというモニターをつけてやっていますので、処理、保存のところも残す一番重要なところのように私は考えています。
○高梨委員 私どもも本当にごく数パーセントであってもマイナス80度のディープフリーザーを使いますけれども、その場合も温度記録は全部残していますので、実務上は可能であろうと思います。
○神田座長 逆にトレーサビリティという点で温度記録が残ればディープフリーザーでもいいとするかどうかですが。
○高梨委員 記録をどう読むかにもかかってくると思いますけれども、むちゃくちゃであれば記録があっても困るので、記録を見て一定範囲内であるというのを現場の責任者が承認する形だろうと思います。
○神田座長 ディープフリーザーでちゃんと温度の打ち出しとかができる、それか、係の人が時間ごとにチェックしているのですか。
○高梨委員 温度計をそのまま入れておき、後で読みだすと何時に何度がというのが全部記録として出てきます。
○神田座長 出るものがあるのですね。なるほど。
○高橋委員 ただ、現状でもほぼ8分の7がプログラムフリーザーをつかっておる。部分的にというのを含めてなのでしょうが。そうすると、細胞製剤という観点からみると、プログラムフリーザーを使っていこうというのは将来方向としていいのではないかと思うのですが、我々とすると使っていただいたほうがという気はしますが、どうでしょうかね。
○矢部委員 5年以上とか経年変化のことが簡易法だと気になるので、できれば最終的には全施設でプログラムフリーザーを導入していただければと思います。
 もう一つ気になるのは、凍結熱のところの過冷却をどうするのか。これは手順書レベルになってしまうかもしれませんけれども、温度記録を残した場合にその辺で少し施設のばらつきが出るかもしれないと思ったのですが。
○高梨委員 ただ、30分おくれで2つ目の臍帯血ができたときに、一つのプログラムフリーザーはまだ稼働中なのです。つまり、二つ三つ各バンクにそろえろということであればそれはいいし、調子が悪いときには2つ目のプログラムフリーザーに移行するとかいうのができるのですけれども、必ずプログラムフリーザーというのは現実的ではないと思います。
○神田座長 扱う数がふえてくるとどうしても重なってきますね。
 末梢血とか、少なくとも短期に関しては簡易法でも問題ないというデータはいろいろ出ていると思いますけれども、長期だとプログラムフリーザーでないと問題が出てくるのですかね。
○高梨委員 古いもので見ていますけれども、特には変わりはないです。
○高橋委員 ブロックスマイヤーの10年20年というあのペーパーはプログラムフリーザーですかね。
 日赤でさえ二つ三つ置くというのは現実的には厳しいという感じなのですか。
○高梨委員 場所があれば置けますが、場所がなかなか厳しいです。
○神田座長 そうしますと、温度管理を必須とするというのは将来目標として間違いないと思いますけれども、プログラムフリーザーを必須とするかどうかという点に関しては、2台目を置けるか、スペース、費用、そういった問題を検討する必要がありますかね。
○高橋委員 将来目標としての設定は現実的には厳しいなという感覚なのでしょうか。
○高梨委員 大抵のことはお金で解決できると思っているのです。
○間臓器移植対策室長 恐らく、プログラムフリーザーという機械自体は厚労省の設備整備費補助の対象にはなり得ると思うのです。ただ、今、高梨先生がおっしゃっていますように場所の問題になりますと、建物の建て増しみたいなところまでは補助できませんので、そこはどうするかという問題はあるのだろうと思います。
○神田座長 ありがとうございます。
 では、これも検討課題ですけれども、温度管理に関しては現段階での必須とすることは恐らく可能ですね。それで将来目標としてプログラムフリーザーを100%にするかどうかというその2段階でしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、次の11ページも保存時の温度記録、異常時対応等ですね。異常時対応は現在は各施設、各バンクの手順書の中にあるのでしょうか。
 では、これも書類として統一していく方向でよろしいかと思います。この点はよろしいですね。
 それでは、3の調製保存の部分については大体よろしいでしょうか。
○間臓器移植対策室長 先生、済みません。
 11ページの個別管理の保存する容器、検査結果が判明するまでの容器と長期保存用容器を区別することについては。
○矢部委員 実際にプログラムフリーザーとかで凍結保存した後に、赤ちゃんが例えば6カ月のフォローのデータが来るまでは公開しないので、その間は仮保存となるのです。ですから、全部検査が済む前、あるいはその間に一部のNATとかを検査する場合もあると思いますので、そういうので仮保存と本保存の液体窒素のタンクを分けるという意味なのです。
○間臓器移植対策室長 この点、要するにヒューマンエラーを減らすために、まぜこぜにして保存するのではなくて、まだ終わっていないものと出庫を待つようなものとを分けるべきではないかということで、今の日本さい帯血バンクネットワークのほうの技術指針におきましても「区別するなど、適切な保存環境を整備すること」ではなくて「するよう努めること」と書いてあります。努力義務になっておりまして、これを義務化する必要があるのかどうか。つまり、これが努めることと書かれているということは、恐らくバンクの現場でなかなか難しい状況がきっとあったのだろうと思います。ただ、できるだけ品質のいいものを出したいのだけれども、とり間違いみたいなものがないようにするためにここを義務化するべきかどうかという点で御議論をいただきたいと思っております。
○神田座長 この点は、現状はいかがでしょうか。
○矢部委員 今、申し上げたように、東海大学では一応仮保存のタンクと本保存のタンクは別にして、その間にいろんな検査をやって公開できるかどうかの確認をするのですが、液体窒素を通じてどれぐらい汚染とかが起こったことがあるのかどうかは存じ上げないのですが、安全から見るとやはり別であったほうがいいようには私は思っています。
○高梨委員 私どもも一応分けていて、気相タンクにとりあえず入れて、無菌検査が終わるまでは必ずそこに入っているというふうにはしています。
 ただ、コンタミを防ぐことという原則からいって、バンクによってはオーバーラッピングバッグを使用していますので、その場合はそれでいいのかなと思っています。
○神田座長 この点もスペースさえあれば設備費用でカバーができるものですかね。
○間臓器移植対策室長 かなりスペースをとるものなので、各バンクに御苦労いただいているのだと思います。
 今、高梨委員がおっしゃいましたように、必ず別でなくてはいけないのか、一つのものでも確実に区別、管理ができるようなものであればいいのかということなのだろうと思いますので、現在の技術指針におきましても「区別するなど」とあります。「適切な保存環境を整備すること」になっていないことが問題なのかな。基本的にきちんと分別管理ができるかどうかということが一番のポイントで、それが必ずしもタンクを分けることとイコールではないのかもしれないなと思います。
○神田座長 「区別するなど」は残しておいて、最後の「努めること」を義務づけるということですね。それは恐らく可能で、最低ラインとしても大丈夫ですね。
 では、これはその方向でよろしいかと思います。
 調製保存はよろしいでしょうか。
○西脇室長補佐 12ページの廃棄のルールは。
○神田座長 済みません、これが残っていましたね。廃棄のルールですね。これは採取施設の廃棄とバンクの廃棄と両方含めてですか。
○西脇室長補佐 ここで言っているのは恐らくバンクの廃棄のこと。
○神田座長 バンクでの投棄の意味合いですね。
 この点いかがでしょうか。現状はルールはあるのですか。
○高梨委員 通常はあるのかなと思うのですけれども、ないところがございますか。
○矢部委員 通常は10年を超えたものは公開からまず取り消すという段階をとっているのですが、それを再利用という形にするかどうか、HLAという重要な情報を持っているので、それに関して今後検討すべきかなと思っています。
○神田座長 現状は各バンクにルールが任されているというところですね。
 これも共通で何らかの指針をつくらなくてはならないというのはまず間違いないところかと思いますので、すり合わせということでよろしいでしょうか。
 では「4 検査について」をお願いいたします。
○西脇室長補佐 「4 検査について」御説明いたします。
 13ページは検査機関、試験検査を行う者、試験検査項目について書かれています。
 14ページは児の健康調査についてです。左側の真ん中の表はHBVとCMVの判定基準について記してあります。ここでの論点としましては、HLA検査はどのレベルまで検査すべきか。感染症検査でNAT検査を必須とすべきか。検査サンプル保存量や保存の仕方について共通の基準を定めておかなくてもよいかということが挙げられます。
 国際基準ではHLAはDNAレベルと書かれているのみで、国内の現状は先ほど資料3でお示ししましたように、多くのバンクではmid-high resolutionレベルで測定されています。感染症検査についても国際基準上特に細かい基準はありませんが、我が国では先ほどのように半数程度にNAT検査を行っております。
 また、検体保存の量については、国際基準のほうでは200μlのセグメントを2つ以上、血清もしくは血漿を総量で最低3.6mlを2つに分けて、最低50μgのゲノムDNAを得ることができる量というような具体的な量などが記載されています。
 15ページは情報の管理についてですが、個人情報保護法に従い、個人情報管理者を置いて管理することとされています。
 国際基準では臍帯血ユニットの情報はレジストリーに登録して一体的に管理するように定められています。
 検査については以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 これはどこまで検査を細かくしっかりとやっていくかというところになりますけれども、この点はいかがでしょうか。
 まず、HLAについてはいかがでしょうか。今、血清レベルというところはなくなっているのですか。
○高梨委員 はい。ないので、多分ここも書き変えなければいけないと思います。クラス1、クラス2DNAで見るというような記載で大丈夫なはずです。
○神田座長 全バンク大丈夫ですね。その点はオーケーですね。
 NATを義務づけるか、この点は。
○矢部委員 これは日赤さんは可能だと思うのですけれども、それ以外のバンクはかなり難しい面があるのではないかということは、地方のさい帯血バンクの先生とかもお話しになっていたことなのですけれども、NATの部分をプール検体のような形で日赤に依頼できるのであれば、それが一番助かるのではないかと思います。
○神田座長 全検査を日赤が請け負えるかどうかですね。どうでしょうか。そういうのはできそうでしょうか。
○高梨委員 まずは、お母さんの末梢血であれば日赤の試薬機器が使えます。臍帯血検体はできないそうです。それから、検査機関でないという原則がある組織なものですから、そこをどう対応するかというのは各方面の御協力が要るので、済みません、すぐには対応できないかもしれません。
○神田座長 ちなみに外注検査とかではできないものなのですか。お金だけで解決するかどうか。
○矢部委員 余り調べたことはなかったのですけれども、先生は御存じですか。
○高梨委員 それぞれ一応、診療レベルで肝炎ウイルスもHBVもできると思いますが、費用はかかります。
○西脇室長補佐 一応こちらで調べた限りでは、NAT検査はプールしてPCRをかけているので、それに関しては日赤で各施設で外注で出すならともかく個別のPCRの検査を出すことになるので、かなり費用がかかるのが現状かなと思います。
○高梨委員 ただし、臍帯血については個別でやることになっています。輸血用のものは全プール検体、20プールの検査です。
○高橋委員 個別のPCRはもちろんかけられるけれども、臍帯血はNATはできない。今、おっしゃったのはそういう意味なのですか。
○高梨委員 3種類のウイルスを一緒にPCRにかけてしまえというのが輸血用血液ドナーさんの検体の処理です。そのシステムは、お母さんの末梢血であれば利用ができることになります。試薬のパテント等の関係なのですが、できると聞いています。
 臍帯血になりますと、これは研究レベルなので、私が実験室でやるのと同じような認証レベルなものですから、日赤で難しいだろうと思います。
○高橋委員 これも結構すごくクリティカルなところだと思うのですけれども、ウイルスのどの種類まで見るか、どういう方法で見るかというのは、基本的にはきちんと基準は定めていくことが本当に必要最低限というこの法律の趣旨にのっとっているなと思うのですが。
 方向性としては、現実的にNATが一番輸血などのときにはいい方向だろうなとは思うのですが、技術的に臍帯血は難しいというのは、ただやったことがないからというレベルなのですか。それとも技術的に何か問題があるのですか。
○高梨委員 やってしまったその結果を誰も保障しないということで、通常の売っているキットはサンプルの指定があるのです。そのサンプルの指定には臍帯血が含まれていませんということです。
○高橋委員 そうすると、ある程度の経験数を積んで確認をする作業は恐らく普通の末梢血と同じ、そういう手順を踏んだのですね。そういう手順を踏むというのは、日赤がやるかどうかは別として、そこら辺がきっと難しいのでしょうね。でも、方向としてはやはりやったほうがいいですね。臍帯血をNATでやるというのは一番効率的でもあるし、信頼性も高いだろうし、それは技術的に可能だ、信頼できるというのがわかれば。
○高梨委員 普通の概念が感染症のスクリーニングはドナーの検査なのです。臍帯血を検査するというのは物の検査なのです。その保障はどのメーカーさんもしていないということになります。検査キットをつくるメーカーさんはその保障はしない。ドナー検査なものですから、ドナーさんが1カ月未満の場合には産みの母親の末梢血で代用すると、結構はっきりとFDAが明言しています。各国も大体それにならっています。
 ネットコードは一応検査すると書いてあるのですけれども、承認された試薬でやりなさいと書いてあるので、つまりは臍帯血を検体として承認した試薬はありません。
○高橋委員 これは細胞製剤の品質管理、特に感染症に問題は、ヒト幹指針も含めて議論が進んでいたのですね。そこでの結論は私もちゃんと覚えていないのですが、何か議論していたという話は聞いたことがあったような気がするのですが、それを確認していただいてそれに準じたほうがいいのではないかと思うのです。
○間臓器移植対策室長 わかりました。そこは調べた上でまた御報告したいと思います。
 今、高梨委員がおっしゃったのは、検査として意味がないかどうかは別として、科学的にどうかというのとは別に保障されないということ。では、その結果が出ましたということで、大丈夫でしたといって品質として責任をとれるようなものなのかどうかというお話でございますので、技術的な話ともう少し仕組み的なといいましょうか、メーカーとの関係とか、その辺はもう少し私のほうで勉強させていただきたいと思います。
○濱口委員 今、さい帯血バンクの技術部会の中では、先ほど高梨委員がおっしゃったように、できるだけ母体血を使って、一つは貴重な臍帯血を検査のためにかなりロスするのはもったいない。それから、国際的に母体血と臍帯血の一定の期間のところでは同等と考えられるということで、母体血で検査が可能なものについてはできるだけ母体血を使う。ただ、母体血と臍帯血の間での乖離がありそうなものについては、ここに出ていますけれども、CMVとかパルボについては今後検討が必要だという形で今、検討しているところです。
○神田座長 母体血であれば各バンクのものを受け入れることは可能なのでしょうか。
○高梨委員 あとは検査機関ではないというところをクリアすれば可能だと思います。数としてはたかが知れている数だとは思うのですが。
○矢部委員 それは今回の条文にある、日赤が支援組織と位置づけられるというところを少し解釈していただけないものでしょうか。
○高梨委員 私のレベルで返事できないかなと思うので。
○間臓器移植対策室長 今の点については、法律上日本赤十字社と書いてあるわけではありませんが、支援機関で日赤を想定されているわけですが、いろんな各バンクと協力をするということが事業として定められています。ただ、これは本来骨髄バンクなりさい帯血バンクがなすべきことのうち、ある種のものについて支援機関として応援するかどうかという、さい帯血バンクがお願いをし、また、それを日赤も受けなければいけないという契約関係に基づくものでございますので、これはまた別の場でそういう人たちの、責任者の打ち合わせの場で、こういった受託検査みたいな話についても議論をしていただきたいと思っています。
○神田座長 ありがとうございます。
 では、現時点でNATを最低ラインに置くかどうか、ちょっと難しい点かなと思いますけれども、御検討を続けていきたいと思います。
 続きまして、NATが終わって、検査サンプルの保存量、保存方法ですね。これも各バンクで決まりがあると思います。共通基準にするかということですね。恐らく各バンクで大きな乖離はないですか。
○高梨委員 大体この基準書の中に定めていますので、皆さんやっていらっしゃるとは信じていますが、ただ、この基準自体が海外の基準とは乖離していますので、私たちは今後どのように持っていくのかというのは議論が必要です。
○矢部委員 やはりセグメントはこれ以上、5つぐらいでしたか、保管していますので、条件は恐らくここも一緒だと思います。ただ、気になるのはセグメントの生細胞率などが時々ばらつくことがあって、余り小さく閉じてしまうとかえって熱の影響で細胞が傷まないかどうかということも気にするので、やはりその辺も一定の基準があったほうが、おおむねどのぐらいの長さとか、あったほうがいいのかもしれないです。
○神田座長 共通基準が必要であることは間違いないですね。
 それでは、15ページに行きまして、管理すべき情報について統一的なものを設けるべきかという点ですね。情報。これもどうでしょう。各バンクで大きな違いはないですか。統一は可能なような気がしますが。
○高梨委員 これは提供の手順だと思うのですけれども、各バンクは提供段階のステップに応じた番号をすぐに日本さい帯血バンクネットワークのシステムに情報を適宜送っています。そういう意味では、ある意味ここのところはレギュレートされているように思います。
○神田座長 この点よろしいですかね。
○高梨委員 これから仕組み、電子システムを共通でどのように運営するかというところはまだ白紙だと思うので、将来のシステムが必要であるということは多分皆さん合意できるとは思いますけれども、今のままの仕組み、システムでいいかというのはまた別問題です。
○矢部委員 確かに私もほかのバンクのシステムのことを存じ上げないのですが、東海大学のさい帯血バンクも最初にできたころというのは自前のプログラムでやっていましたので、どこかのバンクで責任者がやめたらそれだけでかなり苦労なさったということは伺って、それで業者のシステムを入れたのです。初期導入が2,000万ぐらいかかったのと、いろいろ不具合があって、そのメンテに年間300万、200万とか結構な金額がかかるので、統一してその分コストも安くなると助かるなと思いました。
○神田座長 システムにかかわる費用というのも予算の中から出てくるものなのですかね。
○間臓器移植対策室長 基本的には、さい帯血バンクの運営は診療報酬由来の収入と国庫補助金で賄われています。現在の仕組みは国庫補助金対象になるものもあると思いますけれども、今後診療報酬対象収入の経費と、国庫補助金の対象となるような経費と峻別をしていこうと思っておりまして、ただ、いずれにしてもこういった費用は全体の中で賄われなければいけないものなのだろうと思っています。
 ただ、余り個別のバンクでスタンドアローンの仕組みをつくっても、今、矢部委員からお話がありましたように、高コスト体質になるものですから、その辺今のネット時代を踏まえてどうするのかというのは、これから議論が各バンク間でも必要なことかなと思います。
○神田座長 方向性としては統一していくべきものということでよろしいかと思います。
 それでは、4の検査のところはよろしいでしょうか。
 続きまして「5 提供について」のところの御説明をお願いいたします。
○西脇室長補佐 16ページの「5 提供について」ですが、16ページは臍帯血の提供、搬送、解凍及び輸注について定めています。
 ここでの論点としては、出庫と搬送について統一的な基準を定めておくべきではないかということが挙げられます。国際基準には用いるべきドライシッパーの要件や輸送期間中継続的な温度監視ができることなどが定められています。
 17ページ、現在の各バンクの標準作業手順書で定めている提供時の情報管理について、統一的な項目を定めておくべきではないかという点も御意見をいただきたい点です。
 国際基準ではさい帯血バンクから出庫先への経路が追えるように記録し、搬送、出庫の記録は臍帯血ユニットと一緒に管理することとされています。また、監査の際に利用できるように一元的な情報の管理が求められています。
 提供については以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 これは現在ある程度統一されているものですね。いかがでしょうか。
○高梨委員 各バンクが多少バリエーションがあるということで、移植施設の先生方から御指摘を受けていますが、基本的には多分そんなには変わらないはずではあるのです。
○神田座長 高橋先生、実際に数多く受け入れられていて、違いで困ったような状況とかそういうのとかは。
○高橋委員 対応は各バンクで微妙に違うところがありますけれども、それはもうなれてしまえばもちろん対応できますが、これだけ移植施設が、200とかありますし、我々みたいにたくさんやっているというわけではないところもたくさんありますから、やはりこれは基準は統一したほうが安全だと思います。ただ、それは全てに言えることで、どこまでが可能かどうかというところが、日本さい帯血バンクネットワークでもずっと統一化というのが、全てに当てはめられるのですが、議論が続いてきているところなので、難しい部分もあるかもしれません。
○神田座長 具体的に違ってくる部分というのは、搬送容器とかそういった部分ですか。
○高梨委員 日本では搬送容器は多分2種類しか使われていないと思います。あとは書類は多少宛先とかが全部違っていくので、共通するのはそこはちょっと難しいのかしらんとは思うのです。検査の種類も多分同じだとは思うのです。
○高橋委員 むしろ事務的な部分ですかね。事務処理。
○神田座長 お願いします。
○濱口委員 一部出庫前の検査をさい帯血バンクの中でもディスカッションがなされていて、一つ大きな問題としては、出庫のときの基準が若干バンクによって違って、場合によっては基準自体もない、そこは主治医とディスカッションで決めてしまうというようなところがありますので、そういったところも含めて少しここは練っていく必要があるかなと思います。
○高橋委員 具体的に多分わかりやすく言うと、コロニー数は必ずしもこうでなくてはいけないとかという基準は全くないですね。極端な話をすると、それがゼロでも一応出庫できる。そういうところにどういう網かけをつくっていくかというところだと思うのです。
○神田座長 今は基準になったのは、最低ラインを切っているのは細胞数だけでしたか。
○高梨委員 そうです。一応公開するものについてはある程度のCD34とCFUを義務づけていて、ただ、出庫前検査はコロニーを待っていられないのでそれを基準にするわけにはいかない場合があるだろうということで、通常は細胞数CD34とバイアビリティをどこのバンクもやってはいます。ただ、カットオフの設定が大変難しいので、そこを臨床の先生に委ねてしまっているところが多いのかしらと思います。
○高橋委員 バンクバンクでも最低基準をつくっているけれども、それ以下でもこの臍帯血が欲しいと使う側が伝えると、一応審査をして、バンク側の審査をしてはねるということはほとんどないですね。ですから、今はある意味では使う側が責任を持ってそれを使っていくという体制なのですね。それをどこまで管理していくかどうかということだと思うのですが、その観点でのディスカッションは恐らくちょっと質的に違ってくるのだろうな。それはきちんとした正確な情報を使う側に伝えるという話と、それをわかっていて使用する責任を移植側が持つのだという考え方だと思いますので、こうでなくては出してはいけないというのはちょっと難しいかなと思います。
○神田座長 そうですね。骨髄末梢血などでも実際採取すれば細胞数が物すごく少ない場合もあるわけですので、それをこちらの側で決めるべきか、移植医側の判断とするかというところは、いかがですかね。これは移植への責任ということでよろしいのですか。
○矢部委員 一応私は提供する側でもあって、ユーザーでもあるので、両方の立場からいつも見て、例えばセグメントなどの解凍で時々データが不安定になることがありますので、そういったときにどこまでが許容されるばらつきなのかを提供できるデータを持っていると、移植施設の先生も安心されるのではないかと思います。
 一応基準書には原則的に2×107パーキログラムと書いてありますけれども、例えば論文によってはCD34で1×105以上だとむしろGVHDが強くなってしまうということを危惧する論文も中にはありますので、結局選択の責任は最終的に移植施設ということになりますから、その臍帯血がどのぐらいのクオリティを持っているということを提示することが大事であって、そこで患者さんが治療を受ける権利を失わないようにする配慮が必要だと思います。
 一つ考えていますのが、例えば今、体重当たり幾つという形で言われていますけれども、東海大学の内科でも、例えば0.3×105ぐらいのCD34でもちゃんとついている例はありますので、もしかしたらパーボディである一定レベル以上の移植細胞数があれば、同じぐらいの細胞が皆さん大人になっていくので、そこにプリミティブな本当にクオリティの高い細胞があれば生着は期待できるかもしれないので、そういうものがどのぐらいあるかというのを今後明らかにしたいと思いますが、そういった意味では体重当たりで幾つ以下だから提供しないという基準を設けるのは余り適切ではないように思っています。
○高梨委員 私も、うちから提供して、かつ生着なさったというレポートをいただいている患者さん方の細胞数を全部並べてみると、大変小さい数でもつくときはつくので、それは検査の限界だろうと言われてしまえば大変それはそうかもしれないので何とも言えないのですが、CD34もコロニーも非常に体重当たりで小さくてもつくときはつくし、お子さんなので非常に細胞数が大きくてもリジェクトになることもある。その辺はとても基準をつくれないかなと思いました。
 海外のが難しいのは、海外は造血細胞の検査はトランスプラントセンターがやるのです。バンクはせいぜい大丈夫であるということをHLAで確認して、バイアビリティは見ますけれどもバイアビリティの検査方法も誰も管理していなくて、トランスプラントセンターのほうは自分でちゃんとコロニーから全部見て、移植結果とつないでいる。それはトランスプラントセンターの数が集約されて小さいせいかなとは思うのですが、その辺日本と全く違うと思っています。
○間臓器移植対策室長 ただいまの点について、各委員のおっしゃるとおりだと思っておりまして、今回、基準を御議論いただく際に、何かカットオフの基準をつくるのであれば、エビデンスに基づいてやらなければいけない。そういうものが必要だというのであれば、その研究をしていかなければいけないのだと思うのです。まず、基準についてはそう思っています。
 ただ、一方で、これも矢部委員からお話がございましたように、ユーザー側から主治医の先生、あるいは患者さんの側からすると、どういう臍帯血を選ぶのかというときに、何を自分が選んだのかということがわかるのは重要な要素かなと思っておりまして、それで最初の段階で御議論いただいた資料2のところでも、3の具体的な検討事項の1)にありますように「効果的な治療のための品質表示の統一」、ドクターが何を見てどういうものだということをわかって選んでいただいたのかどうか、その意味で何を表示すべきかというところについては、どんな基準でというのはいろいろあるかもしれませんけれども、何を表示すべきか、それは細胞数なのか、HLAのあれなのか、感染症検査の項目なのかとか、そういったようなことについては、できるだけ統一を図っていくことが重要なのかなとは思っております。
○神田座長 出庫時の情報ということですね。それに関しては統一が必要であるということは間違いないかと思います。
 それでは、そのほか提供についていろいろなものが挙がっていますけれども、提供時の情報管理について統一的な項目を定めておくべきか、このあたりも今後どんなシステムをつくっていくかによりますけれども、全体で統一すべきという点は共通認識ということでよろしいでしょうかね。
○濱口委員 前に戻ってよろしいでしょうか。
 14ページの左の段の中段のところにカラムが書いてありまして、HBVの判定基準を書いてあるのですけれども、これの上から4つ目なのですが、HBc抗体陽性で、HBs抗原は陰性、HBs抗体は陽性は合格というカラムが一応できています。ただ、これを合格とするといろいろ問題が起こってくると思いますので、少し検討が必要かなと思っております。
○神田座長 この基準は骨髄バンクのドナーと同じですかね。これは既感染のパターンで、血液中が大丈夫ではないのですか。肝臓細胞の中に恐らくウイルスが残っていると思いますけれども、血液及び血液細胞にはウイルスはまずいない状態ではないですか。
○濱口委員 一応バンクの中ではここについてはHBc抗体陽性のものについては要注意だということで、これが陽性だった場合には使わないということが原則なのですけれども、献血血のデータを参考にHBs抗体、抗陽性の場合にはこれを使うことも可能であるということで今、検討しているところです。
○神田座長 骨髄バンクはs抗体の基準を定めていますね。128倍か何かの。
 この点いかがですか。この場で決めなくてもいいのかもしれないですが。
○濱口委員 ただ、ちょっとこれがこのまま承認ということになるとまずいので、少し検討する必要があると思います。
○神田座長 検討課題として残しておくべきですね。ありがとうございます。
 これも検討課題につけ加えていただけますでしょうか。
 それでは、「6 移植の実施」及び「7 その他」のところの説明をお願いできますでしょうか。
○西脇室長補佐 それでは、18ページ「6 移植の実施」について御説明いたします。
 18ページは、提供する臍帯血として、細胞数は体重当たり2×107個以上、HLAはDNAのローレベルで6分の4以上とされています。また、移植施設の移植経験数として臍帯血移植5例以上、または同種移植過去5年間で10例以上、小児科は7例以上実施していることと定めています。
 19ページでは説明と同意、「7 その他」で緊急安全情報への対応と改定について書かれています。
 論点としましては、臨床医が臍帯血を選ぶ際に、総細胞数とCD34陽性細胞数をきちんとしているから、提供時の基準にCD34陽性細胞数を入れるべきではないか。ただ、その際のフローサイトメーターで測定方法は国際的な流れも踏まえて、シングルプラットフォーム法に統一する方向とすべきかという点についてが挙げられます。
 20ページには他のさい帯血バンクへの在庫の移管について定めておくべきではないかということが挙げられます。国際基準では移管の際には採取、処理記録、関連する検体、保管温度など全ての経過の記録を添付することとされています。また、移管後には臍帯血の生細胞率を確認することが定められています。
 以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 前半、後半でかなり内容が異なりますので、まず移植の実施の部分ですけれども、34を現場では意識はしていますけれども、ラインを書くかどうか。
 この点はいかがでしょうか。
 高橋先生、実際に判断される際に。
○高橋委員 これは一番重要なポイントだと思います。これは統一したほうがもちろんいいと思います。
○神田座長 例えば今、原則としてということで総細胞数のラインが書かれていますけれども、CD34のほうもそのラインがあるとかなり選ぶものが減ってきてしまう可能性もありますが、原則としてという言葉があればよろしいですかね。
○高橋委員 先ほど言ったとおり、基本的な基準は各バンクで今、ありますね。
○高梨委員 済みません、今、パーキロの話をしていらっしゃるのでしょうか。
○高橋委員 はい、体重当たり。
○高梨委員 今はもう検索システムでずらっと出てきていて、やむを得ず小さくてもお使いになっていらっしゃる例がいっぱいあるので、ヨーロッパがカットオフを一応出したりはしていますけれども、日本ではほとんどあれは無視している。それでかつ、かなりの成績を出している現状があるので、余りここを書きたくないかもしれないと思っています。
○高橋委員 本当の意味で、先ほどおっしゃったエビデンスをつくっていかなくてはいけない、それができた段階では書けるかも知れませんけれども、先ほどの議論と全く一緒で、各移植医が責任を持ってそれを使っていく形になっていると思いますので、方向論としてはもちろんそのエビデンスをつくる意味では統一する必要はあるのですが、カットオフをつくるという段階にはまだ至っていないと思います。
○神田座長 実際、細胞数と34に乖離がかなりある場合があって、その場合、この次の問題に出てくるのですけれども、果たしてどれぐらい34が信頼できるのかということは、どうなのでしょうか。
○高梨委員 現状で全部シングルプラットフォームにはなったところなので、全部そろっているので、これからは一応キットが言うとおりにいくと思いますけれども、ただ、キットの問題点もあるなと私が時々思うことはあります。
 あと、ポジティブコントロールがないというのは世界的にもこの検査系の問題として挙げられております。
 もう一つは、一応CVが15%ぐらいのうちに入ればまあまあ満足な検査であることを皆さんに自覚していただいて、つまり、実務上2割ぐらい普通にずれている可能性があります。
○矢部委員 実際、同じキットを使うようになったのですが、一つは溶血剤の作用時間にすごくばらつきがあるみたいで、溶血剤を加えてすぐに測定してしまうところと、マニュアルでは10分ですが、10分でやっている施設と、あとは5分ぐらいとか、それでバンクによってCD34の数が変わっているような傾向も見られるので、そこはもしかしたら統一が必要かもしれないと思っています。
 たしかCD34のポジティブコントロールで市販されているのがあったような気がするのですが、結構高価ですね。
○高梨委員 あれがビーズタイプの死細胞なので、通常のプログラムの検証には役に立たないので、かつ、キットによってはネガティブコントロールもないので、ぽっと一つの数字が出るだけですから、それを誰が保障するのかと言われると大変苦しい検査系だと思っています。
○高橋委員 この辺、日本さい帯血バンクネットワークで今までも技術交流というか研修みたいなことをやっていらっしゃいましたね。
○高梨委員 今までコロニーでやっていたので、そろそろフローサイトメーターもやらないといけないかもしれないのですが、ただ、機器の管理上15%ぐらいのものなのです。フローサイトメーターは古くなると結果が低くなるとかいろいろあるので、なかなかそこの統一は難しいと思います。
○高橋委員 そういういろんな意味での今まで続けられていたようなものの延長線上で、交流をして統一というか各バンク間で安定した技術を供給していただけるということは恐らくできるかなと思うのです。
○神田座長 これも統一していく方向性は間違いない。34の系に関しては非血縁者間の末梢血幹細胞移植のほうでもそういう話が出ているとは思うのですが、そちらでも統一していく話は出ているのですか。
○高橋委員 厚労省の宮村先生の判断で梅田先生が担当になっておられて、高梨先生にもいろいろ協力していただいて、臍帯血も末梢血もという話にはなっています。
○神田座長 そうですか。わかりました。
 では、そういったところで統一の方向性は進んでいるということでよろしいですね。ありがとうございます。
 それでは、移管の問題ですね。これは実際に過去に例が幾つかあったことかと思いますけれども、今後もそういったことがあり得るのでそれをしっかりとルール上定めておくべきではないかということですね。これも規定が必要なことはまず間違いないかとは思います。いろいろ実際の国際基準を書かれていますが、大体方向性としてこういったものは。
○矢部委員 一番気になるのは、母親の同意書の件なのですが、例えば東海大学のさい帯血バンクに対して提供すると書かれた同意書だった場合に、移管のときに同意書をもう一回とり直さなければいけないのかどうか、いわゆるサンプルに非常に有益性が高くて個人情報がついていないものであればそのまま移管が可能なのか、ここは非常に現場の事務量として問題になるところかと思います。
○間臓器移植対策室長 その点は個人情報の一般原則に従っていく必要があると思うのですが、例えばある会社が個人情報を収集していました。それで別の会社と合併した場合にどうなるかというと、全部とり直すことはしないと思うのです。そういう意味で、今回の場合も権利義務を全て承継するというような形でもって、責任も含めて全部引き継ぐバンクが受けるという形はあり得るのだろうと思います。そこは必ずしも全部とり直すことが必要ではないのではないかと思います。
○神田座長 例えば今後の同意書に関しては、そういった文言を一言入れてもいいのかもしれないですね。移管の場合にこうこうであると。
○間臓器移植対策室長 同意書につきましては、今、座長が御指摘の点もそうですし、現在、同意事項として移植または移植及び移植に関する研究に使用することについて同意は得られておりますけれども、例えばiPS細胞ストックをつくることについて、明確な同意があるのかどうかということについては議論があるところであります。読めるということもできるし、しかし明確な同意は得ていないではないかというのがありますので、今後はいろんな研究目的も含めまして、きちんといろいろ読めるような同意書につくり直す必要があると思いますので、それに合わせて今の点についても検討させていただきたいと思います。
○神田座長 わかりました。
 そのほかいかがでしょうか。移管についても基準が必要であることは間違いないと思いますので、これも今後細かいところを定めていくことでやっていきたいと思います。
 それでは、一応細かな検討すべき項目については以上になると思いますけれども、実際今後の作業として中間報告を5月21日の段階ではある程度固めて、6月の会に向けて5月の段階で固めなくてはいけないということになってきますので、今回かなり方向性は見えてきたと思いますが、実際の細かなところは今後メール等でやりとりをしていくことになるかと思います。
 そのほか全体を通して、こういった点をやっておかなくてはならないとかいう点がありましたらお願いいたします。
 お願いします。
○高梨委員 うちが広域化をやっているバンクなのですけれども、採取施設から調製保存までの時間がありまして、私たちが24時間体制でないことによるものではあるのですけれども、時々、夜間の連絡体制と搬送の手配が大変難しくなります。これを24時間プラスアルファでよろしいので少し延ばす、または調製保存終了までの時間にするということで広域化が可能になります。そうでないと本当に24時間を死守するのであれば、広域化は諦めるとはっきり方針をきちんとしたほうがいいかなと思っておりますので、そのあたり、もし機会があれば御議論いただきたいと思います。
○高橋委員 例えば経時的にデータがあるのでしょうかね。そのデータをもとにして、ここまでだったらある一定の割合で、生細胞率でも何でもいいと思うのですけれども大丈夫だという科学的な根拠があれば、それをみんなで確認すればいいのではないかと思うのです。
○高梨委員 何回か学会等の機会にまとめを出していますので、それをもとにして御議論いただければ。少なくとも調製開始の時間はかなり有意的であり、機械的には時間が残らないのです。ただ、調製が終了して、例えばプログラムフリーザーに入れますと、プログラムフリーザーの時間がきちっと残ったりしますので、そちらのほうが記録上は確かなものになるかなと思ってみたり、いろいろ悩みの多い領域なので、ぜひ御議論をお願いしたいと思います。
○神田座長 どうぞ。
○間臓器移植対策室長 今の点については2つの側面がございまして、一つは国際基準でいくと24時間ではなくて48時間なのだろうと思うのです。それは国土が広いようなところも想定しているのかもしれませんが、その意味で日本は厳し目であるということが一つ。その中で、これからも、例えば現在はバンクが基本的にはバンク周辺に採取施設があって、バンク周辺の採取施設に御協力いただいてということになっておりますけれども、いろんなバンクの統合再編がある中で、閉鎖したバンクの近くにある採取施設からいただけなくなることになりますともったいない面があるわけでございまして、そういうのを考えると広域搬送の話が出てまいります。そこをどう考えるかという問題。
 もう一つは、24時間ルールに関していいますと、24時間営業とは言わないまでも、土日営業をどう考えるかというものがございまして、例えば金曜日の夜から日曜日の午前中ぐらいまでに臍帯血が採取された場合に、バンクが閉まっているので受け入れられないで捨てざるを得ない場合も起きるかもしれない。こういった中で、各バンクは逆に言うと営業時間をふやす努力をされ始めている。土曜日とか日曜日とか隔週で土曜日とか、いろんな工夫をされておられると思います。
 ですから、時間をどうすべきかというので今みたいな土日の話と、もう一つ広域の話と両方頭に入れて議論いただければありがたいと思います。
○矢部委員 確かに2~3時間延びるだけで大分変わるのは、採取施設から病院に搬送するに渋滞を避けて、うちは赤帽さんが運んでくれるのですが、非常に早い時間に入庫されるのです。そうすると、その後朝方に生まれた赤ちゃんの分をもう一便動かさなければいけないので、搬送コストとかもかなりかかったりとか、そうしますと処理に当たる人も何度も出入りするのは、CPCのこういうところは非常に大変で、1回入るだけで消耗しますので、1日2回は勘弁してほしいと皆さんおっしゃるのです。そういう意味ではまとめてできるようになったほうがコスト的にも効率的にも、その数時間でかなり変わる可能性はあると思います。
○神田座長 実際には、海外で48時間というルールでやっていて、全く細胞には問題がないわけですね。
○高梨委員 日本で48時間ですと、ちょっと有意差を持ってコロニーかCD34がちょっと落ちるのです。つまり、経時的にゆっくり落ちていくものだと思うのですが、余り長ければ有意差が出るし、短ければ有意差は出ないぐらいでとどまるということだと思います。時間がたつと非常に悪くなるものとそうではないものの個体差が出てきてしまうという経験がありますので、48時間に突然するのも怖いかもしれないと思ったりはします。
○神田座長 わかりました。そのあたりは安全面と現実の問題とを少し科学的なデータをもとにして検討していくことになりますでしょうか。
 そのほか追加のポイントなどはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これまでの挙がってきた論点と方向性はある程度見えてきたと思いますので、事務局の方々にもいろいろ情報をまたそろえていただいて、今後はメールで審議していきながら、5月21日にある程度のものをこの場で検討して、中間として上げるものにしていきたいと思います。
 では、用意された議題は以上です。最後に事務局のほうからお願いできますでしょうか。
○西脇室長補佐 本日は長時間にわたり、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 神田座長からの指示を踏まえまして、各委員の先生方から本日の議論に関係して御意見、コメント等がございましたら、3月中に事務局までお寄せいただければ大変ありがたく思います。その上で早急に案を作成し、事前にお送りしたいと考えております。
 次回の検討会は平成25年5月21日の18時からを予定しております。神田座長からもありましたように、次回は新たな基準案について御議論いただく予定です。先生方におかれましては、大変お忙しいところ恐縮ではございますが、日程の確保に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○神田座長 ありがとうございました。


(了)
<厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室>
代表 : 03(5253)1111
内線 : 2366、2363

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