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2013年4月15日 第39回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

健康局臓器移植対策室

○日時

平成25年4月15日(月) 18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第21会議室(17階)


○議題

1 治療提供体制の整備について
2 ドナーの保護について
3 情報の一体的提供について
4 安定的な事業運営の確保について
5 その他

○議事

○吉田室長補佐 定刻を少し過ぎておりますが、ただいまから「第39回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会」を開催いたします。
 本日は、御多用のところ、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 本日は、今村委員、辰井委員、武藤委員、吉村委員から御欠席との連絡をいただいております。
 なお、西川委員は、25年3月末で委員を辞退されております。
 ここで、健康局審議官の高島から御挨拶申し上げます。
○高島審議官 健康局審議官の高島でございます。
 委員の皆様方、お忙しいところ、また、今日は若干遅いスタートになりましたけれども、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
この委員会では、基本方針の具体的な事項につきまして審議を続けております。前回は提供の促進と臍帯血の品質の確保ということで、いろいろ御意見いただきました。
今日はその続きということで、やはり基本方針に盛り込むべき事項として、前回、時間の関係で御議論いただけませんでした治療供給体制の整備という点と、ドナーへの対応、情報の一体的提供、こういった点につきまして御議論いただきたいと思います。短い時間でございますけれども、活発な御意見をよろしくお願いいたしたいと思います。
○吉田室長補佐 続きまして、事務局に異動がございましたので、紹介をさせていただきます。
 室長補佐の菊田でございます。
○菊田室長補佐 菊田でございます。よろしくお願いします。
○吉田室長補佐 続きまして、室長補佐の廣瀬でございます。
○廣瀬室長補佐 よろしくお願いいたします。
○吉田室長補佐 私、吉田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、資料の確認に移らせていただきます。お手元の議事次第に従いまして資料を読み上げます。
 資料1といたしまして「第34~38回造血幹細胞移植委員会までの主な御意見(概要)」。
 資料2といたしまして「非血縁者間造血幹細胞移植に係る医療体制について」。
資料3は枝番で1番と2番と分かれておりますけれども、資料3-1として「ドナーへの対応について」、資料3-2として「非血縁者間造血幹細胞採取手順について」。
 資料4といたしまして「情報の一定的提供について」。
 資料5「安定的な事業運営の確保について」。
 ということで、お手元に資料ございますでしょうか。不足がありましたら、事務局までお申しつけください。
 また、机の上に法律等の参考資料と、これまでの委員会の資料をまとめたファイルを置いておりますので、議論の際に参考にしていただければと思います。
 それでは、議事進行を小澤委員長にお願いしたいと思います。
○小澤委員長 それでは、法施行に向けた議論の第6回目となります。よろしくお願いいたします。
 前回に引き続きまして、基本方針について、本格的な議論を行いたいと思います。本日は、治療提供体制の整備、ドナーへの対応、情報の一定的提供、安定的な事業運営について、御議論いただきたいと思います。
それでは、議事次第に従って議事に入りたいと思います。
最初の議事は、前回、議論が十分にできなかった1番の「治療提供体制の整備について」であります。まず、資料と、これまでの議論を踏まえた論点を改めて事務局に説明してもらいます。よろしくお願いいたします。
○西脇室長補佐 それでは、資料2に従って御説明いたします。
資料2の1ページの下は「非血縁者間骨髄採取施設認定基準」を示したものです。これは、現在の骨髄移植推進財団の基準です。過去2年以内に骨髄採取術を5例以上実施していること、または過去1年以内に骨髄採取術を3例以上実施していること、かつ過去に骨髄採取術を10例以上経験している医師が採取責任医師となることとされています。また、麻酔科が設置され、常勤の日本麻酔科学会専門医、または麻酔標榜医がいることも要件となっています。
次の2ページ目の上は「非血縁者間末梢血幹細胞採取施設認定基準」です。ここでは、迅速にCD34陽性細胞数が測定される体制が確立されていることとされており、当日夕刻までに測定結果が判明することが求められています。また、採取件数としては、過去2年間以内に末梢血幹細胞採取術を5例以上、うち3例以上健常人から実施していること、もしくは過去1年以内に末梢血幹細胞採取術を3例以上、うち2例以上健常人から実施していることとされています。
下の段は「非血縁者間骨髄移植施設認定基準」です。ここでは、過去3年間に10例、小児科は7例以上、もしくは過去1年間に4例、小児科は3例以上の移植の経験を有し、かつ過去に10例以上の移植の経験を有する医師が1名以上いること。また、非血縁者間骨髄採取施設認定基準を満たしていることとされています。
次の3ページ目の上は「非血縁者間末梢血幹細胞移植施設認定基準」です。非血縁者間骨髄移植認定基準を見たし、非血縁者間末梢血幹細胞採取施設基準を満たすこととされています。
下の段は、日本さい帯血バンクネットワークが定めている臍帯血の「移植医療機関登録」に関する登録基準を示したもので、同種造血幹細胞移植を過去5年間で、内科は10例以上、小児科は7例以上実施していることなどが定められています。
4ページ目の上の段の左のグラフは、横軸が骨髄移植の件数、縦軸が骨髄採取の件数で、両者には相関があり、移植件数が多いほど採取件数も多いという傾向があります。
また、右のグラフは、横軸が移植チームの医師数、縦軸が採取件数で、移植チーム医師数が多いほど採取件数が多い傾向があり、採取を行うにはある程度の医師数が必要であることが伺えます。
下の段は医療機関ごとの骨髄採取及び移植件数を示したもので、左が採取件数、右が移植件数になります。採取は小児の医療センターでは0件のところがあり、最も多い施設では29件、中央値は6件となっています。移植件数は、最も多い施設では53件で、中央値は5件となっています。いずれも上位20%、35施設で約半数を行っているのが現状で、医療機関間のばらつきが見られます。
5ページ目の上は、提供促進のために採取病院に求められる要件を示したもので、骨髄採取では、早期の採取のための手術室の確保、また、入院病床の確保が挙げられます。
一方、末梢血幹細胞採取では、CD34陽性細胞の迅速な測定が可能な環境の整備、迅速な採取に対応できる体制が求められます。
下の段は造血幹細胞移植コーディネーター(HCTC)について書いたもので、HCTCは「造血幹細胞移植が行われる過程の中で、ドナーの善意を生かしつつ、移植医療が円滑に行われるように移植医療関係者や関連機関との調整を行うとともに、患者やドナー及びそれぞれの家族の支援を行い、倫理性の担保、リスクマネージメントにも貢献する医師以外の専門職」として造血細胞移植学会が認定しているもので、このほど初の認定が行われ、チーム医療として医師の負担軽減の環境整備が進められています。
6ページ目の上は、「造血幹細胞移植医療体制整備事業」として、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植のいずれもバランスよく行い、採取の積極的実施、緊急の移植の受け入れや研修実施を行うような病院を造血幹細胞移植拠点病院として、治療成績の向上や研究の促進が図られることを期待しています。
下の段には、拠点病院に求められる条件の案を示してあります。診療実績等として、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植のいずれも一定数以上定期的に行っていること、一定の専門性、経験のある医師が一定数以上配置されていること、移植のみならず感染症管理などのために、個室も含め病棟全体としての感染症対策、移植チームとしての対応などがとれていること、学会のフォローアップ事業に積極的に協力していること、診療実績、治療成績について、学会、ホームページ等で公開し、第三者の視点を入れるといった方針を医療機関として有していること、移植後の長期的なフォローの体制がとれていること、他の専門医療機関からの患者の受け入れや、特定の治療法が必要な患者の他の専門医療機関への紹介など、関係医療機関と連携がとれていること。
人材養成の取り組み等として、移植にかかわる医療従事者が定期的にカンファレンスを実施するなど、チーム医療を実施していること、他の医療機関から経験の少ない人を積極的に受け入れていること、他の医療機関に必要に応じて医師を派遣するなどの体制がとれていること。
また、早期採取の取り組み等として、骨髄採取について、一定数以上行っていること、造血細胞移植学会認定のHCTCを配置していること、特に早期の骨髄移植が必要なケースについては、採取のために定期的に手術室の枠を確保しているなど、採取行程が現状の中央値(77日)より大幅に短縮して採取が行える体制を整えていることなどを要件として考えています。
 以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、「非血縁者間造血幹細胞移植に係る医療体制について」ということで、最後にまとめられました拠点病院に求められる条件について、議論をお願いしたいと思います。最後に整理されているわけですけれども、こういった項目が妥当であるかどうか、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 張替委員。
○張替委員 拠点病院というコンセプトは妥当だと思うのですけれども、細かなことで、早期採取の取り組み等の最後のところ、定期的に手術枠を確保しているというのはいいと思うのですけれども、採取行程が大幅に短縮して採取が行える体制を整えるというのはなかなか厳しいところがありますので、案の段階ですけれども、そこを残すかどうかというのはちょっと考えていただければと思います。というのは、我々も定期的に確保はしていますけれども、その枠が十分とれないところがありまして、これをさらに短くするとなると、かなり外科の先生とのネゴシエーションをして、枠をさらにふやさなければならない状態なので、それはなかなか厳しいところがあります。確保はしていますけれども、それをさらに縮めるような体制を整えるというのは、かなり厳しいところがありますので、そこはちょっと御考慮いただければと思います。
○小澤委員長 山口委員。
○山口委員 質問というか、理解ができていないところがあるのですけれども、3ページの上のところで、非血縁者間の末梢血幹細胞移植で非血縁者間の骨髄移植認定基準を満たさないといけないという、その根拠はどういうところなのでしょうか。1ページ目のことを言っているのだとしたら、骨髄移植のときの麻酔医とかが必要な理由というか、それをプラスアルファして求める理由というのがちょっと。
○西脇室長補佐 1番は移植施設の認定なので、非血縁者間の移植が行える体制が整っているということで、2番は末梢血幹細胞の採取施設基準を満たしているということで、非血縁者間の末梢血幹細胞移植を行う施設では、非血縁者間の骨髄移植が行える体制があって、さらに非血縁者間の末梢血幹細胞の採取が行えるような体制があるところという意味です。
○山口委員 私が勘違いしたところは、別に求めているわけではないということですね。
 あと、5ページの上のほうなのですけれども、CD34陽性細胞の迅速な測定というのは、本来、当然そうあるべきだと思うのですけれども、外注が無理な理由というのはあるのでしょうか。例えば、幾つかの検査センターなどでも、CD34はその日のうちにはかれるところもあると思うのです。多分、1日から5日目の間、毎日のように測定するのかなという気はするのです。
○小澤委員長 宮村委員。
○宮村委員 非血縁者間末梢血幹細胞移植のことを中心にやっている宮村です。答えさせていただきます。この点については、ドナーに、次の日に採取するかどうかということを夕方までに決めなければいけないということがあります。そうすると、検査会社で頑張ってもらって、何とか、その日の夜遅くとか、そういうことはあるのですが、現時点では、施設内、あるいはすぐそばの施設でやって、夕方までにもらえることを条件にして、ドナーに対しても適切な対応ができるようにしております。
○小澤委員長 そのほかには。坂巻委員。
○坂巻委員長代理 拠点病院の要件というか、責務の中に、骨髄採取をもっと多く、早く受け入れるということがあると思うのですが、実際の採取の数をふやすためには、拠点病院だけで頑張るだけではちょっと足りない気がします。もっと全体に底上げできるような方策はないのかなと、私もずっと考えてきました。認定の際の最低の基準を少し上げるということを設定し直すのも効果があるのかなと個人的には思っております。
○小澤委員長 この認定基準の見直しも含めてということですか。
○坂巻委員長代理 そういうことです。

○小澤委員長 何か具体的に、ここをこういうふうに変えたらいいとか、ありますでしょうか。
○坂巻委員長代理 具体的には、非血縁の骨髄移植施設の認定基準にある骨髄採取の数をもうちょっとふやすということ。要するに、少しハードルを上げるということも1つの方法としてあるのかなと思っております。どのようにすればいいのかというのは、もう少し検討の必要があると思います。
○小澤委員長 学会では何か検討されていますか、岡本委員。
○岡本委員 学会では、移植拠点病院について、将来構想検討会議を設けて数回議論を重ねました。基本的にここに掲げている要件に関しては、この方向でいいと考えています。具体的に私たちが考えている移植拠点病院というのは、がん拠点病院とは異なっていて、移植医療の底上げをする教育的な病院という意味合いで考えております。ですので、必ずしもそれが全施設にある必要はなく、逆に拠点、拠点でその地域をまとめていただいて、採取ができる医師、それから、移植をちゃんと見られる医師を育てていくということでよいと考えています。そういう視点から見ていただきますと、かなりバランスよく移植が行われているという文言から伺っていただけると思うのですが、必ずしも移植だけを積極的にやる病院、採取を積極的にやる病院というわけではないと理解をしております。
また、採取について、移植拠点病院ということを踏まえて、その件数をふやさないかということに関しては、先ほど坂巻委員から御指摘ありましたように、採取拠点病院という考え方も含まれていると思うのですけれども、採取拠点とすると、採取の拠点なので、そこで採取を全部やってくれという、お任せという形の考え方も出てくることが一番懸念されると思いますので、そういった形ではなくて、認定の基準を少し検討することも踏まえて、その他の施設でどうしても受け入れることができない、緊急といいますか、緊急といっても、ある程度予定はあるわけですけれども、そういったものを扱っていくような形の病院ということ。それから、すぐ認定をしていかなくてはいけないということになっていきますと、実際に今、from now onではなくて、alreadyで、現在、その方向性で動ける病院をまず認定をしていって、実績を出して、それから、それを広めていくという形が現実的ではないかという議論になっております。
それから、採取をふやすことに関しては、拠点病院だけではなくて、4ページの上の表を見ていただきますと、採取と移植のバランスが必ずしもとれていないところも結構あるわけですね。1施設1例か2例ふやすだけでも、相当数の採取ができる。移植病院としては、それをしっかり認識して協力していくということが大切と考えております。
○小澤委員長 その採取というのは、拠点病院にかかわらず、移植施設全体に頑張ってもらうということですね。
○岡本委員 移植拠点病院は、77日というのが1つのメルクマールではありますけれども、緊急の場合に、保存血をもって、ベッドを確保して移植ができるといった体制も整っているところです。ですから、全てを引き受けるわけではなくて、皆さんに頑張っていただいて、それでもあぶれてしまったもの、あるいは小さい施設で血縁の採取をやるときに、どうしても手術室が空かないといったものに対応する病院というふうに理解をしております。
○小澤委員長 ほかには御意見いかがでしょうか。浅野委員。
○浅野委員 3点ぐらいあります。質問ですけれども、拠点病院をこれから指定するのですね。何カ所ぐらいを想定していらっしゃるのですか。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 拠点病院につきましては、全国8ブロックに最終的には9カ所指定することをイメージしておりまして、これは実は国庫補助を予定しております。25年度予算案につきましては、まず3カ所の病院を段階的に整備することを考えております。
○浅野委員 拠点病院になりたいという病院があるのですか。こちらでそれを審査して、8ブロックだから、1つのブロックに2つはだめよとかと言って選ぶとか。私が病院の経営者なり、やったとした場合に、拠点病院になりたがるものなのでしょうか。メリットというか、補助金が出るとか何とかとあるのですけれども、名声が上がるとか、研究体制ができるとか、いろいろあるのかもしれませんけれども、全体として、嫌々ながら、おまえ、拠点病院になれというのではなくて、大体、手を挙げてくるのですね。だけれども、それは予定調和的に8ブロックにうまくなるかどうかわからないではないですか。関東は4カ所も拠点病院になりたいというのがあるかもしれない。それはどうやって調整するのですか。
○間臓器移植対策室長 この選び方についてはよく考えた上で御相談したいと思いますが、基本的には、やはり公募するのだろうと、手を挙げていただくのだろうと思っています。現在はこういう定性的な条件をお示ししておりますけれども、本日の議論を踏まえまして、次にお示しするときには、もっと具体的な、数値的な条件も入れて、逆に言うと、それに該当し得る病院は全国何十病院ぐらいあるというのもお示しできますので、挙げてきたところ、そのブロックの中でコンペをして決めていくという形になるのだろうと思います。
○浅野委員 今のコンペをしてというのは、手を挙げるところが複数あるという状況。ある意味では好ましいのかもしれません。だけれども、全然手が挙がらないブロックもあるかもしれませんね。そうすると、あなたのところ、拠点病院になりなさいなどという働きかけというか、そういうこともあり得るのですか。
○間臓器移植対策室長 初年度は3カ所ですので、今年度に関してはそういう心配は恐らくないだろうと思いますが、今後、全国的にバランスよく整備するという中では、各ブロックの中でいろいろ調整をする必要は出てくるのかもしれません。それはよく状況を見ながら判断をしていきたいと思っています。
○浅野委員 患者の立場から言うと、拠点病院に求められる条件を幾つか見ていくと、例えば、経験のある医師が一定数以上配置されるとか、感染症対策、移植チームとしての対応がとれていることとか、移植後の長期的なフォローの体制がとれていること、患者としては、ぜひここで移植してもらいたいと思いますね。拠点病院に殺到するというか、ここに集中、私がこれから移植を受けるとすると、拠点病院でやってもらいたいですね。そうなるのですか。
○小澤委員長 その辺は、岡本委員、どうですか、学会として。
○岡本委員 ここに集中するかどうかはまた別問題ではないですかね。教育という観点を考えると、必ずしも最先端の移植のみ(ハプロの移植だけ等)をやっている病院とは違います。つまり、この拠点病院は、何でも移植をするというわけではなくて、専門的な移植に関してはもっと専門的な移植病院に回しましょうといった形の病院を理解しています。必ずしもそこだけということではないと理解しています。
○浅野委員 だけれども、余り詳しくない患者からすれば、やはり拠点病院という旗を立てているところは、ここに書いてありますように、条件がそろっていないとなれないわけですから、今、言ったように、移植後の長期的なフォロー体制がとれている、こういう病院がいいなと思いますね。確かにほかの専門性があるところはあるかもしれませんけれども、そういうことは患者は事前にはわからないですから。そうすると、拠点病院がそろった後のことにもなりますけれども、どうしたらいいのですかね。今だって有名病院に殺到するということはあるから、そうかもしれませんけれども、移植ということに関しても、患者のショッピングという中で、こういう旗を立てているところでお買い物をしたいというか、やりたいということがあるのも見越した対応も、拠点病院を指定するに当たって、あらかじめ考えておかなくてはいけないのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
○小澤委員長 受け入れ体制も、枠というものもありますし、どうですか、移植医、宮村先生、何か、その辺、問題になるとお考えですか。
○宮村委員 現在でも患者からは、この病院は100例やっている病院、50例やっている病院、10例以下だと、調べればわかるような状況です。そういう中でも、セカンドオピニオンの中で話していくと、この病院で大丈夫ですよと言ってあげる納得される患者さんがほとんどですし、あるいは近くの病院でやっていくメリット、あるいは今までずっと白血病の治療をしてくれていた病院でやっていくメリット、そういうことを大事にする患者も半分以上います。同時に、一部の患者は、やはり多いところを希望されます。ですから、患者の中にもいろいろなタイプがありますので、全員の患者が拠点病院に集まることは私はないと思います。
○浅野委員 ただ、ちょっと心配ということもないのですけれども、この病院で何例やっているかというのをばっと網羅的に調べる能力は患者にはないのですけれども、拠点病院であるかどうかというのはすぐわかるわけですよ。拠点病院一覧などというのは簡単に出てきますね。そうすると、例えば、ブロックの中で移植を受けるとすれば、非拠点病院へは私は多分、行かないですね。そういうような、ある意味、アナウンス効果というのですか、今、おっしゃったように、何例やっているというのはなかなかわからないのですけれども、拠点病院というのは非常にわかりやすいし、いい病院とイコールに見えますね。それは誤解ではなくて、実際そうなのですね。ちょっと心配というか、あれかもしれません。
○小澤委員長 ケース・バイ・ケースで、主治医との信頼関係もありますし、主治医がよく説明すれば理解してくださるものとは思いますけれども、何かありますか。
○岡本委員 9施設ということになってくると、当然、9施設しかこの基準を満たさないかと、そういう問題ではないと思うのですね。やはり教育という目的をしっかりアピールしていくことも重要かと思いますし、最初は少し混乱があるかもしれませんが、底上げなされることによって、逆にさまざまな移植施設によってもしっかりとした移植ができてくるのだというところをみんなで共有をして前に進んでいくことがすごく大切かと思うのです。一時的には少し混乱があるかもしれませんけれども、宮村委員がおっしゃったように、必ずしも全員がそこに殺到するということはないと思います。現実にセンター化はできないわけです。日本の場合には。これまで何回も考えて、できなかったわけですから、そういう方向とは視点を変えて、概念を共有して、理想的な方向に持っていくということが重要かと思います。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 浅野委員が先ほどおっしゃっていた、患者が病院を選ぶときの情報という点につきましては、今日の議事の(3)のところで御提案をし、また御議論いただければと思っております。
○小澤委員長 では、野村委員。
○野村委員 委員の医師の先生たちに教えていただければと思うのですけれども、岡本先生が強調していらっしゃる教育の効果についてなのですけれども、東京の先生、地方の先生、両方にお伺いしたいのですが、3つある○の後半2つ、受け入れと派遣というのは、現状の状態でも既に、その地域、地域ごとに、関連病院とか、全く関係なく、ニュートラルにきちっと受け入れたり、派遣したり、まさに教育効果が出るような形で、横のつながりというのは持っていける状況にあるとお考えでしょうか。現状がどうなっているのかということをお伺いしたい。
○岡本委員 現状でも十分に人材の交換は行われています。
○野村委員 そういうことについては、病院間の弊害とか、ないわけなのですね。
○岡本委員 私はないと思います。移植を行っている病院は、非血縁者間の骨髄移植が始まったときに、お互いにギブ・アンド・テイクで、骨髄をとって、骨髄を運んでいくというところから、同じ医療の中でもかなり連携がとれたグループですので、そういった点では余り問題なく行っていると思います。
○野村委員 地域差についても大丈夫だろうということでしょうかね。
○岡本委員 全体はわかりませんけれども、地方から来られる方もありますし、そこは問題ないと思います。
○小澤委員長 人材養成のところで、医師の派遣まで入れておいて大丈夫でしょうかね。実際問題として、なかなか医師を他病院に派遣する体制をとるというのは難しいところがあります。
○張替委員 現実的には、我々も移植をやっているところから関連病院に人を出すという形で、逆のパターンもあるので、そういった交流で。大学だからかもしれませんけれども、我々の移植をやっているところで若い先生がそれを勉強して、そして関連病院に行ってというのは現実的にあるパターンなので。
○野村委員 拠点病院化すると、関連にかかわらず、その地域の教育施設として。
○張替委員 だから、さっきの、拠点病院がどこまでをカバーするのかということになりますね。
○小澤委員長 ほかはよろしいですか。山口委員。
○山口委員 先ほどCD34陽性細胞のことに関連して御質問したもう一つの意図は、宮村先生から御説明いただいたところはよくわかったのですけれども、将来的に、これをずっとやっていくと、フローサイトメーターが絶対必須になりますね。これはかなりカラー数の多い測定になると思うので、オペレーターのかなり専門性が必要となる。最初のほうのお話で聞いたときに、フローサイトメーターの補助をされる予定になっていると、それはそれで非常に結構だと思うのですけれども、この条件を当てはめると、かなり多くの病院でフローサイトメーターが必須になってくる。そのときに、もう一つは、オペレーターの養成も必要になってくるので、そういう意味で、必要に応じて外注もあってもいいのではないかという意図で質問させていただいたのです。
○小澤委員長 そうしますと、一応、拠点病院に求められる条件については、そこに書いてありますように、移植をコンスタントにバランスよく行っている病院から選定されるべきである。それから、スタッフの教育、養成の機能が重要であって、採取や移植がそうした教育、養成プログラムに含まれていること。また、例えば、造血細胞移植学会認定のHCTCなど、他職種がかかわるチーム医療の実践が行える体制になっていること。また、早期の骨髄採取にも対応できるように、手術室の定期的な枠の確保ができていること。そういった点が大きなポイントかなと考えられます。また、そういったことで、拠点病院が早期採取というものにより重点を置くような形がとれれば、拠点病院以外の病院でも、もう一例ずつ採取をふやすといったような全体的な底上げですね、全体で採取体制をサポートしていく体制が望ましい。そういうような形になっていくかなと思います。
○張替委員 この拠点病院というイメージは、最初にお話があったように、少ないところは余り移植をしないような方向で、数をやっている病院を移植施設として育てていくということだったと思うのです。要するに、これはあくまで拠点であって、人を教育して、それを派遣して、二次的に移植をする施設がその周りにサテライトにあるような、そういうイメージなのですね。移植している施設が全部拠点を目指すわけではなくて、拠点で教育をして、それを派遣して、周りで移植する施設も幾つかあるという、そういう概念でいいのでしょうか。あくまで最終的には全部の移植施設が拠点を目指すわけではないのですね。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 おっしゃるとおり、がんのように、全ての施設が拠点になることを目指しているものではない。あちらよりはもう少しモデル的な病院という要素が、こちらの拠点病院の場合には強いのだろうと思います。おっしゃるように、この拠点病院でイメージしていますのは、そこで全部患者を抱え込んでしまうということではなくて、場合によっては、この移植法がいい、それについてはこの病院がより専門的にやっておられるから、そこに御紹介をしようとか、そういう形で患者を外に御紹介するケースだって当然想定していますし、今、御指摘のように、ドクターについても行き来をするということがあるので、全体としてよくなっていくために、拠点病院になってもらいたいという病院に拠点病院になっていただけるといいのだろうと。手挙げではあるのですけれども、要するに、自分がやりたい、やりたいというところよりは、周りとの関係性を保った病院がなっていただくのがいいのではないかと思っています。
 もう一つ、張替委員の冒頭の御意見の関係で申し上げますと、先ほど坂巻委員、あるいは岡本委員からもお話ありましたように、拠点病院が採取病院になってしまうということではないのではないかということで、何でもかんでも拠点病院で受ければいいではないかとなると、移植医療が壊れてしまいますので、量的なもの、採取の件数などについては全体で底上げをしていただく。全体で頑張る中で、質的に急ぐというものがあったときに、そういうものを受け得るようなスロットを持っているところであると、そこのすき間に入れていっていただくと早くなるケースもあるということは、コーディネート期間の短縮というテーマからも大事なところなのかなと思います。ただ、それだけが大事なのではないというのはおっしゃるとおりだと思います。
○小澤委員長 今では、血液疾患の診療をやっていく上では、移植もやらないと治療が成り立ちませんので、移植は基本的に多くの病院がやっていく。その中で移植医を育てるような教育的な拠点病院がブロックに幾つか必要であろうということと、それから、岡本委員が言われていましたけれども、難しい移植を行うところ、移植プロジェクト病院みたいなことも、学会のほうでも恐らくお考えでしょうから、移植医療に関して、いろいろな役割分担でしょうかね、そういう方向性で、こういう形の拠点病院が必要であろうと。それに対して、国のほうでいろいろな形で整備、補助金等、そういう整備をしてくださるということだと理解しておりますけれども、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○梅田委員 1点だけ。5ページのコーディネーターのところで、コーディネーターの役目を見ますと、かなり多岐にわたっていて、患者とかドナー、それぞれの家族の支援も行うということで、私のドナー体験、または患者をいろいろ知っているところからすると、非常に心強いなと思うのですね。先ほど来、拠点病院、またはほかの病院ということなのですが、このコーディネーターの数とか、そういう縛りみたいなものもやはり出るのですか。コーディネーター何人、今のところ、そういうのは出ていないのですが。
○小澤委員長 これは、移植の件数、具体的な数字ですね、こういうものも含めて、いろいろな数値をこれから出していくことになるかなと思います。学会のほうでもいろいろ議論をしながら。
○梅田委員 ぜひとも、こういう方の数をふやしていただきたいと思います。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。どうぞ、鎌田委員。
○鎌田委員 一言だけ。先ほどの浅野委員のお話ですが、実際に拠点病院へ殺到するかどうかという話はひとまず置いておくとしても、患者としては、この拠点病院で掲げられているような条件が整っていることがとても望ましいのは間違いない。経験があるとか、長期的なフォローの体制がとれているとか、コーディネーターがそろっているというのは、やはり患者にとっては望ましいのです。一方で、全ての移植を行っている施設において、どこもこういうことができているかというと、現在は必ずしもそうではないところもあると思うので、先ほどのお話にも出ていましたけれども、やはり、教育がとても大事になると思います。そして、実際にしっかり、この拠点病院からの教育が行われるということと、それが行われていて、当該拠点病院と関連ないし連携がとれていますよということを、患者のほうにもきちんと情報提供することによって、「拠点病院には行けないけれども、ここの病院でもしっかり経験のあるところと連携をとれているのだ」とわかれば、別の病院に行っている患者も安心できると思うので、そういったことにぜひ力を入れていただきたいと思います。
○小澤委員長 今、鎌田委員が言われたような連携ですね、そういったことが非常に大切でしょうから、その辺、学会もうまくコントロールしながらということで、よろしくお願いいたします。
よろしいでしょうか。それでは、事務局で、今日の御意見を踏まえまして、拠点病院の要件について、さらに検討を重ねていただきたいと思います。その上で本委員会に報告をよろしくお願いいたします。
それでは、議題の2番が「ドナーへの対応について」になります。まず、資料について、事務局より説明をしてもらいます。その後、これまでの議論を踏まえて、事務局に論点をまとめてもらっておりますので、あわせて説明をお願いいたします。
○西脇室長補佐 それでは、資料3-1について説明いたします。
 1ページ目の下の「非血縁ドナーに対する対応」ですが、ドナー確認検査、同意の撤回について、骨髄採取後の健康診断、骨髄または末梢血幹細胞移植提供することにより起こり得る極めてまれな可能性とその補償について、そして患者負担となっているコーディネートの各手続にかかる料金についてが挙げられています。それぞれについて御説明申し上げます。
 2ページ目の上は「ドナー確認検査について」ですが、一般的な血液検査、感染症検査、レントゲン、心電図などに加えて、全身麻酔となることを考慮して呼吸機能検査が行われており、必要十分な対応がとられています。
 下の段は「同意の撤回について」ですが、基本的な考え方としては、提供はドナーの自由意思によるとされています。同意の撤回は最終同意までとされています。最終同意は最終的な提供意思を確認するもので、ドナー御本人、御家族、第三者の立会人の同席のもと、採取について説明が行われます。最終同意書に署名・捺印後は同意の撤回はできませんが、ドナーの健康上やむを得ない事情が生じた場合などには、ドナー自身の健康を守るために、採取を延長または中止することがあります。
 3ページ目の上は「骨髄採取後の健康診断について」ですが、血液検査等に加えて、生活復帰度などについても確認をしており、ドナーのフォローアップが行われています。
 下の段は、万が一、ドナーに事故が起きた場合には、財団が加入している民間の障害保険から最高1億円を限度に補償金を支払う制度が確立しています。平成25年3月末時点で骨髄移植件数は、骨髄等移植、末梢血幹細胞移植も一部含まれていますが、1万5,389件行われ、保険は136件適用されています。死亡例は0件で、後遺障害が21件、入通院が131例となっており、ドナー補償は広く行われています。
 4ページ目の上は「コーディネートに係る費用について」ですが、これは患者負担となっています。ドナー候補4人の確認検査を行い、移植に至ったモデルケースでは、右側のグラフに示してありますように、最高66万6,700円だったものが、直近では18万9,000円まで下がっています。また、所得に応じて患者負担金の免除基準があり、国庫補助がされており、所得が少ないことによって移植を受ける機会が失われることがないような仕組みとなっています。
 4ページ目の下は「ドナーの健康理由以外でのコーディネート終了件数」を示したものです。ドナーの健康が最優先ですが、健康以外の部分でドナーに協力を求める方法を考えてはどうかという御意見がこれまでの議論の中で見られていました。健康以外のコーディネート終了について見てみますと、最も多いのが「都合つかず」となっています。そして、次に多いのは「連絡とれず」で、これについては、eメールアドレスの活用など、そして、次に多い「家族同意なし」については、家族向けのパンフレットの作成などという御意見をこれまでにいただいております。「都合つかず」の中には、例えば、仕事や家庭の事情などが挙げられますが、採取病院が遠方であり、採取のために対応できないということもあるようです。
 以上より、ドナーへの対応の論点としましては、健康なドナーから骨髄液や末梢血幹細胞の提供を受ける以上、これまで同様、ドナーの健康を守ることを重視すべきではないか。円滑な移植の実施のために、例えば、ドナーにあらかじめ比較的遠方の採取病院まで移動して検査や採取を受けることがあり得ることを説明するなど、ドナーに一層の協力をお願いすることについてどう考えるかということが挙げられます。
 資料3-1については以上です。
 続いて、資料3-2について御説明申し上げます。
 下の段ですが、「非血縁者間造血幹細胞の品質確保について」ですが、臍帯血に関しては、別途、移植用臍帯血基準検討会を設けて、3月14日より議論を進めており、6月21日に中間報告の予定としております。
 一方、骨髄・末梢血幹細胞に関しては、骨髄採取、末梢血幹細胞採取の手順を規定することで品質の確保を図る予定です。
 2ページ目の上の欄は、骨髄の採取について、現在の骨髄移植推進財団のマニュアルから抜粋したものですが、骨髄採取計画量は、患者体重から計算した標準採取量、もしくはドナー体重とヘモグロビンから計算したドナー上限量の少ないほうと規定されています。また、最大採取量は、ドナー上限量、もしくは自己血貯血総量を考慮した採取上限量の少ないほうとされており、ドナーに必要以上に負担がかからないような配慮がされています。治療成績に影響すると考えられる細胞数を考慮し、原則として途中でカウントを行い、採取細胞数を予測しながら採取することとされています。
 下の段は「末梢血幹細胞の採取について」ですが、末梢血幹細胞採取は白血球をふやす薬であるG-CSFを4日ないし5日投与後、血液成分連続分離装置を用いて血液中の幹細胞を含んでいる部分を取り出し、残りの血液をドナーに戻して行われます。この手技をアフェレーシスと呼んでいますが、アフェレーシスを行うに当たって、当日のドナーの状態に注意を図るとともに、終了後の検査についても正常化するまでフォローすることとされています。また、ドナーへの負担を考慮し、血液処理量はドナー体重当たり200ミリリットルとし、アフェレーシスの処理血液量の上限は250ミリリットル・パー・キログラムと規定されています。
 3ページ目の上は「骨髄液、末梢血幹細胞の原則凍結禁止について」ですが、現在、骨髄移植推進財団では、前処置開始後、患者の容体変化で移植日を延期せざるを得ない場合には、採取日程を再調整することとしていますが、採取施設と移植施設の都合が合わず、再調整が不可能な場合のみ凍結を認めることとされています。凍結の申請があった場合には、骨髄移植推進財団の医療委員会で審査され、2012年の3月から7月の間に5例申請があり、3例で凍結が承認され、その概要は表に示したとおりです。小児の2例については、当初の予定で移植が実施されています。
 参考としまして、下の段に緊急時に提供可能な造血幹細胞ソースとして臍帯血がありますが、最短での出庫実績を見てみますと、中央値で1.5日、当日執行しているバンクもあり、移植ができないという事態にはならない体制となっています。
 「骨髄液、末梢血幹細胞の品質確保について」の論点としては、現在、実際に実施されている骨髄液採取マニュアル及び末梢血幹細胞採取マニュアルに準拠する形が望ましいのではないか。より多くの幹細胞の患者への移植、ドナーへの倫理的配慮や安全性の確保の観点から、当面、骨髄液、末梢血幹細胞は原則凍結禁止とし、緊急時には臍帯血の利用等で対応するのが望ましいのではないかということが挙げられます。
 以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、前半の資料3-1で、ドナーの保護について御議論をお願いいたします。いかがでしょうか。この内容について、あるいは最後のまとめのところですね。
梅田委員。
○梅田委員 3ページに保険が出ておりますけれども、今まで、幸いなことにドナーの死亡例はございませんけれども、今、最高で1億円というのが限度になっていますね。今、車の保険ですとか、その他障害保険等々見ますと、無制限というのが結構多いかと思うのですが、1億円になっている根拠は何かありますでしょうか。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 済みません、そこの点については存じておりませんので、調べた上でまた委員会に御提出申し上げます。
○梅田委員 もし無制限にした場合に、次のページのグラフのところで、ドナーの団体障害保険料2万5,000円というのがあって、最終的にこういうところの費用は患者負担金に反映してきてしまうと思うのですね。ですから、むやみやたらに無制限がいいかどうかというのは別なのですが、金額的に余り変わりないのであれば、無制限という方向も検討されたらどうかと御提案したいと思います。
○間臓器移植対策室長 このあたりは、今、梅田委員おっしゃいましたように、保険会社にしてみると、どれぐらいのリスクがあるのかを冷静に判断して決めることだと思いますので、そういう可能性があるのかどうか、骨髄財団ともよく相談をしたいと思います。
○小澤委員長 ほかにいかがでしょうか。野村委員。
○野村委員 ドナーは最終同意の署名・捺印をした後、撤回することはできませんと書いてありまして、伺ったところ、一月前後、その間の時間があると聞いたのですけれども、その間に、同意を撤回するまでではないですけれども、不安な事項が出てきたときのフォロー体制というのは各病院されていらっしゃるとは思うのですが、されていらっしゃるのでしょうか。それがドナーの安心と、安心して提供できるよという社会的な広がりにつながっていくのではないかと思います。
 あと、同じことなのですけれども、さっきも鎌田委員がおっしゃったように、知らせていくことで患者が安心することの1つだと思うのですが、骨髄採取後の健康診断のフォローアップが実施されているということなので、こういった形でドナーに提供した後、このぐらいですごく元気になっていますよ、数値的にも何も問題ありませんというデータがありますよということも気軽に一般の人が見られると、よりドナーになってみようという安心につながるのかなと、今、思いました。
○小澤委員長 坂巻委員、いかがでしょうか。
○坂巻委員長代理 ドナーは提供することに対して不安を持っていらっしゃるのは確かです。そういう方に対しても、医師だけではなくて、HCTCという新しい職種がドナーと密にコンタクトをとることによって、不安の軽減にもなるという意味でも、このHCTCの持っている役割は大きいと思っておりますし、実際、医師でない方がドナーに接触するというのはとても重要だと思います。そういうものが現場で活用されているのは、いいことだと思っています。
○小澤委員長 ほかはいかがでしょうか。浅野委員。
○浅野委員 今日の説明でもありますように、ドナーは非常に慎重にというか、健康保護がされている。これはそうであるべきだと思うのですけれども、患者の立場から言うと、ドナーに何かあったというか、それによって本当に命にかかわることがあるので、どうあれするかということなのですが、幾つか問題提起したいと思うのです。
健康上問題があった場合には、安全の保護のために採取を中止することがあるわけですけれども、そもそもドナーになるという時点において、ドナーとしては、ぜひ患者の役に立ちたい、命を救いたいと思っているわけですね。状況としても、もし、ここのぎりぎりのところで健康とか何かのあれでだめになったらば、患者が死んでしまうかもしれないということもあるわけですね。例えば、私がドナーになったとして、採取の直前ぐらいのところでどこか疾患が見つかったということで、やめましょうとなったときに、私とすれば、いや、大丈夫です、リスクはあるかもしれないけれども、それは患者のリスクと比べたら大したことはありませんということで、やってもらうと、これはどうもだめらしいのですね。そこは何とかならないのかというのが1つ、まずあるのです。前に言ったらば、仮にそれで事故が起きた場合には、骨髄移植という体系全体が崩れてしまうから、それはドナーがやりたいということとかかわらず中止するのだというのですけれども、本当にそうなのかなというか、個別のケースを見ていくと、ドナーに対するある程度のリスクと、100%患者は死ぬというのと比べさせられた場合のドナーの意思を尊重できないだろうか。ぎりぎりの、究極の選択みたいなところなのですけれども、これは議論にならないのでしょうかということです。
 それから、似たようなところで、最終同意書に署名・捺印後は同意を撤回することはできませんと書いていますけれども、急に気が変わってやめるといったときに、罰金を科せられるわけでもないし、まさか無理やり連れて行かれて採取されるということはあり得ないので、できませんと言っても、やってしまいますね。それは余計なことですけれども、今の反対の話です。
 後のほうはいいですけれども、健康上のあれということと、ドナーの意思による強行というのはどう考えたらいいのでしょうか。これは結論が出ているのでしょうかね。
○小澤委員長 どうでしょうか。ドナーとして唯一無二ということも普通はないことですし。
○浅野委員 いえ、あるのです。
○小澤委員長 それから、患者が亡くなってしまうというのも、ちょっと論理の飛躍もあるようです。
○浅野委員 いえ、そんなことないですよ。
○小澤委員長 臍帯血移植もあったりですね。
○浅野委員 実際、そういう理由であったのですから。最初のときに発言しましたけれども、そういう人からメールをもらって、ドナーが提供する直前に心臓疾患だかが見つかって、それがだめになりましたということで、こちらは前処置まで終わって待っていると。臍帯血移植は、その例ではされなかったのですよ。実際、個別のあれではされなくて、その方は亡くなったのですね。
○小澤委員長 状況は以前とは変わってきているかなとは思うのですけれども、岡本委員、いかがですか。
○岡本委員 私の理解では、ドネーションということに関しては、健常者にメスを入れるわけですね。ですから、傷害を起こすわけなので、その妥当性を担保するためには、健常者でなくてはいけない。実際に何か異常が見つかったときには、それは健常者ではないので、それに関して、あえてドナーの意思を尊重するというスタンスは、全世界、どこもとっていないと思うのです。それを回避するためには、いかにその前のスクリーニングをしっかりやるかというところで頑張ればいい。当然それぞれの状況は変わってきますけれども、そこをしっかりとてこ入れするべきだと思います。それから、日本のガイドラインというか、ドナーの安全性に関しては、世界のガイドラインとそれこそ大きくずれるものではありませんので、グローバルスタンダードとしても同じようなことが行われているという理解でいいかと思います。
○浅野委員 ちょっと済みません。例えば、ドナーがそのときに風邪を引いたなどというのはやってしまうのですね。
○小澤委員長 坂巻委員。
○坂巻委員長代理 ドナーの安全というのは最重要ですが、我々も、全く正常な人だけというのはそうあるわけではなくて、対象の疾患ごとに、例えば、これは絶対だめとか、これは程度次第とか、いろいろございます。そういう中で、絶対だめというのはやるべきではない。それが見つかったら、例えドナーがそれでもやってくれと言っても、それは無理です。健常な方にそういう行為をすること自体、許されないと思います。ただ、グレーゾーンに関しては、私もずっと骨髄バンクに携わっているのですが、なるたけドナーの意思を尊重しつつ、安全性を阻害しないように、何人かの医者で判断しつつ、これはゴー、だめという判断をしながらやっております。ですから、何でもかんでもはじくということはございませんし、その中でドナーの意思を尊重しつつ、患者を救うということは大前提でやっております。
○浅野委員 ちょっと私は乱暴なことを言って、そんなことがまかり通るとは思っていないのですよ。ここで言うべきことなのかどうかわかりませんけれども、だからこそ、ドナーは状況が不安定ですよと。突然だめになるということがあるので、ぜひ移植をする側の医師団においてというか、医療機関において、バックアップというか、ピンチヒッターというか、さっきの臍帯血に対応するということも、実は、そういう準備がされていない移植機関もあるのです。臍帯血をやったことがないとかというと、骨髄移植がだめだから臍帯血というふうにすぐにいかないこともあるので、そういうことがないようにというか、そういうドナーを保護するがゆえに、患者が非常にリスクを負うということを回避するような準備というか、それはぜひ移植機関で、今までも徹底されていると言うのかもしれませんけれども、事例を聞くと、どうも徹底されていないということなので、ここのところで付言すればということになりますけれども、要望としてお願いしたいと思います。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 最後の浅野委員の御意見について、臍帯血を最初から第一選択で移植をされる場合もありますし、骨髄がだめになった場合にバックアップ的に使われる場合もあると思いますが、そのあたり、主治医の先生の御判断でありますが、しかし、仕組みとしてもそれをサポートするようなことを考える必要があると考えておりまして、そのあたりも議題の(3)で御提案をしたいと思います。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。「ドナーへの対応について」の2つ目のところは、ドナーが遠方の採取病院まで移動してとか、ドナーにさらに負担をかけるような内容のことも書いてありますけれども、その辺をうまく説明していただくような形で対応していただければと考えております。
 続きまして、後半の骨髄液、末梢血幹細胞の品質確保についての議論をお願いしたいと思います。資料3-2についてでありますけれども、御質問、コメント、いかがでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 済みません、すごく末梢のことかもしれませんけれども、私が最初にこれに出席したときにも申し上げたのですが、「骨髄移植」という用語のことで、法律上も「骨髄移植」と書いてあるので、いかんともしがたいのですが、こういう資料にはぜひ「骨髄移植」ではなくて、「骨髄液移植」と書いてもらいたい。3ページの凍結については、当然ながら「骨髄」の凍結と書かないから「骨髄液」と書いていますけれども、あとは、採取のところも、1ページの下のところも、「骨髄・末梢血幹細胞、骨髄採取」と書いてありますけれども、ここはちゃんと「骨髄液採取」と書く、そういう癖をつけてもらったほうがいいなと思いました。
○小澤委員長 その辺の用語、果たしてそれが本当に適切かどうかというと、また議論が出てくるかなと思うのですね。
○浅野委員 そうですか。
○小澤委員長 「骨髄移植」が本当に不正確かと言われると、輸注した骨髄液の幹細胞は最終的に骨髄のほうに生着していくことになりますし、概念としては「骨髄移植」でも間違ってはいないと思うのですけれども、いかがですか。いろいろな言葉を使うと、ますます混乱するような気もします。
○浅野委員 いえ、概念とか何とかというより、私が前にも申し上げたように、一般の方に、ドナーに対しても、かなりまずい誤解を与える。えっ、骨髄移植するの、骨髄取り出すのというふうになるから。
○小澤委員長 野村委員、その辺、いかがでしょうか。
○浅野委員 新聞記事にもちゃんと「骨髄液移植」と書いておるみたいです。
○野村委員 そういうところを突っ込まれると。私たちは、採取の仕方というのがイメージとしてぱっとあって、ブスッとやってギュッと抜くというから、液体のイメージは最初からあるはあると言えば、あるのですけれども。
○浅野委員 だから、そういう表現にしてもらいたい。
○野村委員 それイコール骨髄という感じのイメージですね。そういう意味では。
○小澤委員長 御意見、何かありますか。その辺は意見が分かれていますので。
○浅野委員 余り出ないようで。言い続けますけれども。
○坂巻委員長代理 逆に、液の移植というのはちょっとまずいかなと思います。というのは、移植するのは液ではなくて細胞です。「骨髄液移植」というのは、液を移植することになるので、不適切かなと思います。
○浅野委員 でも、凍結のところでは、当然ながら「骨髄液の凍結」と書いていますよ。細胞の凍結ではなくて。
○小澤委員長 また場を改めて議論していただくということで、よろしくお願いします。
○浅野委員 わかりました。
○小澤委員長 ほかの御意見、何かありますでしょうか。品質確保等、最後のまとめ方、よろしいでしょうか。
 山口委員。
○山口委員 造血幹細胞移植で、今、確かにG-CSFは5連投されることになっているかと思うのですけれども、PEG化したG-CSFなどだと、連投でなくてもいけるのではないか、将来的にはそういう方向が出てくるのかなと思ったのですけれども、その辺の検討はどの程度進んでいるのか教えていただければと思います。
○小澤委員長 新しいのがいろいろ出てきているのは岡本委員が詳しいでしょうけれども。
○岡本委員 宮村先生、追加があったら教えてください。多分、ドナーでは検討されていないと思うのですね。今は1回打つごとにチェックをしますね。PEGで1発打ってしまうと、白血球がどこまで上がるかということが確認できないので、現時点では、PEGは簡便ではありますけれども、安全性という点では少し慎重にあるべきだと私は思います。
○小澤委員長 宮村委員、何か。よろしいですか。
 よろしいでしょうか。それでは、資料3-1と3-2をまとめますと、これまで同様、ドナーの健康を守ることを重視すべきである。例えば、ドナーにあらかじめ比較的遠方の採取病院まで移動して検査や採取を受けることがあり得ることを説明するなど、ドナーに一層の協力をお願いすることを考える。また、現在実施されている骨髄採取マニュアル及び末梢血幹細胞採取マニュアルに準拠していく。そして、より多くの幹細胞の患者への移植、ドナーへの倫理的配慮や凍結の安全性の観点から、当面、骨髄液、末梢血幹細胞は原則凍結は禁止とし、緊急時には臍帯血を利用する等で対応すると、そういう形で御了解いただければと思います。議題2については、このような形でよろしくお願いします。
 それでは、次に、議題の3でありますけれども、「情報の一体的提供について」にまいります。まず、資料について、事務局より説明をしてもらいます。その後、これまでの議論を踏まえて、事務局に論点をまとめてもらっておりますので、あわせて説明をお願いいたします。
○間臓器移植対策室長 では、私から、お手元の資料4「情報の一体的提供について」という資料で御説明を申し上げたいと思います。
造血幹細胞のソース、骨髄、末梢血幹細胞、あるいは臍帯血にかかわらず、情報というくくりで見ますと、これまでの委員会でも各委員からさまざまな御意見をいただいております。基本的には、私どもとしては、こういうことかなと思っておりまして、つまり、移植ソースがいろいろ分かれているのはいいのだけれども、例えば、主治医のドクターからしてみても、ソースの利用に関して、いろいろなところにアクセスするのではなくて、一本でアクセスできるようにしたほうがいいのではないかという御意見。あるいは、患者の側からすると、もちろん最初に情報を入手するのは主治医の先生からだと思いますけれども、それ以外に、例えば、ネットなどで、これは参考人としてお越しいただきました長谷川誠委員もおっしゃっていましたけれども、いろいろなところを探さざるを得ない。要するに、統一的にデータをちゃんと提供してくれるところがなかなかないというお話もございました。また、患者相談窓口をしてくださっている方々にしてみましても、患者にどういう情報を御紹介できるかといったときに、参考になるサイトが分かれていると、こういうこともございまして、情報として一元化をしていくという方向はいかがなのだろうかと。患者、あるいは主治医の先生と情報とのアクセスがシンプルであるような形にしてはどうだろうかということでございます。
次の2ページをお開きいただきたいと思います。まだ完全に整理し切れていない絵で、まことに恐縮なのですけれども、2ページの上の絵のさらに上の段、現在と書いておりますが、これは非常に大雑把でございますけれども、主治医の先生が患者に治療を行う上で、いろいろなところにアクセスをしております。臍帯血の場合、骨髄、末梢血の場合とで、ルートもいろいろ違うと、こういうことになっています。
現在もこういうものを基本的にウエブでやっていくわけでございますので、下の絵のように、もうちょっとシンプルに、システム、あるいは情報を一体化して、特定のところに主治医の先生が一括の検索をかける。それは今、日赤がやっているわけですが、かつ患者登録も、臍帯血の場合も含めて、造血幹細胞移植をする可能性のある人については、最初から登録をして、その方が実際、移植を受けられたのか、どうだったのかということについて、きちんと追えるようにする。そこから、例えば、造血幹細胞のリソースを使いたいということについて、申し込みなどもできるという形にしてはどうなのだろうか。
また、ここのところに情報を集めておきますので、患者向けの情報開示、国民向けの情報開示というものも一括して行うような形にしてはどうだろうかということでございます。このあたり、主体はいろいろあるのかもしれませんけれども、システムとしては、基本的に、できるだけ一本化をしていくという形で、この情報の一元化ができます。参考人からシングル・ポイント・オブ・アクセスという御指摘もありましたけれども、主治医の先生から見ても、あるいは患者が自分で調べたいといった場合におきましても、1つのポイントで調べることができるということが実現するのではないかということを考えています。
この場合に、非常に大事な要素になりますのが、既に学会で取り組んでいただいております造血幹細胞移植一元化登録でございます。こちらにつきましては、2ページの下にありますように、関係学会、あるいは骨髄移植推進財団、日本さい帯血バンクネットワークなどが協力をして、TRUMPというシステムでもって、既にこれまで取り組んできていただいております。
3ページの上にございますように、移植学会のホームページの中で全国調査報告書というものを公開しておりまして、この中では施設別の移植件数を公開している。それから、生存曲線などにつきましても公開をしているということで、情報開示が一定なされているわけであります。ただ、患者などにとって見つけやすいかというと、これはかなり難しいということでございまして、患者向けにどういうふうに情報提供するのかということについて、もう一段の工夫が要りますし、また、医療機関の先生方、あるいは研究機関に対しましても、自分がやっておられる移植法が果たして他の医療機関でやっているものと比べてどうなのか、それが妥当なのか、よりいいやり方があるのかどうか、自分の目の前の患者と同じような病気の患者、年齢の患者、あるいは同じようなステージの患者に対して、どういう移植法がいいのだろうかというものをちゃんとわかるようにしていくことも重要な機能であります。
これも学会が企図したものだと思いますが、こういった学会のこれまでのお取り組みに対しまして、さらにサポートをして、国民に対してフィードバックしていくために、25年度予算におきましては、3ページの下にありますような造血幹細胞移植患者・ドナー登録支援事業というものを導入して、国庫補助を導入したいと思っています。
3ページの下の絵の左が現在で、右がこれからの案でございますけれども、何が違うのかといいますと、1つは、主に学会で一元化登録をやっておられるわけですが、学会で第三者機関をつくっていただきました。社団を設立していただいておりまして、ここのところにデータを集め、そこがデータを出していくという中立的な機関をつくっていただいて、その業務を担っていただこうと思っています。
この第三者機関から、関係学会、研究機関、医療機関、患者相談窓口、あるいは日赤や各バンクに対しまして、解析したデータを提供することと同時に、国民の皆さんに対しても、わかりやすい治療成績のデータの公開を、例えば、どういう疾病の場合にはどうであるとか、こういう年齢の患者の場合にはどうであるとかいったことについて開示をしていただくことを考えています。こういったデータを、もちろん第三者機関のホームページもそうでありますけれども、先ほどお話し申し上げましたような一元的なシステムのところに載せて、国民がアクセスしやすいところに載せておくことを考えてはどうかと思います。
その点につきましては、実は既に先行的に努力いただいている面がありまして、これは国立がん研究センターでございますけれども、がん情報サービスという、固形腫瘍も含めまして、がん全体につきまして提供しているものの中で、造血幹細胞移植につきましても、このような治療成績とか、生存曲線などにつきましても、4ページの下のようなものが公開されておりますが、学会のデータをもとにしておりますので、まだなかなか難しいと考えているところでございます。このあたりも、もちろん情報的なものは連携する必要があると思いますが、とにかく国民の皆さんにわかりやすい情報提供を考えていく必要があると思っています。
そこで、5ページでございますけれども、1つ、論点としまして、まずは、病気の内容、どんな病気であるか、どんな治療方法があるのか、例えば、そのうちの1つである造血幹細胞移植というものについての移植成績はどうであるか、それから、そういうような移植、あるいは治療をやってくださる医療機関はどんなところがあるのか、どんな医療機関では、どういう疾病についての治療実績が豊富なのか、患者や国民の皆さんが知りたい情報を手軽に入手できるポータルサイトのようなものが必要なのではないか。
今、私はこんなものはという情報の列挙をいたしましたけれども、本当に必要な情報、患者が欲しい情報は何なのかということにつきましては、患者相談窓口をやってくださっている方々がよく御存じだと思いますので、そういった方々の御協力もいただきながら、相談内容を順次バージョンアップしていくような仕組みをつくってはどうかというのが御提案の1つ目でございます。これは一般向けの情報ということになります。
2番目の○に書いてありますのは、特に移植成績の関係につきましては、患者とか国民向けというだけではなくて、さらに詳細な情報、医療機関ごとに、どういう患者にどういう治療をしたら、どうなっているのかといったものについても、きちんと提供して、主治医の先生が自分の患者に対して、どういう治療をすべきなのかという治療選択を考える上でのよすがにしていただくということも重要かなと考えています。さらに詳細な情報というのも、第三者機関の提供すべき情報だと考えています。また、情報の正確性は担保しなければいけませんので、どういうステージの方に、かなり病気が進行した、あるいは悪化している悪い状態で移植をされたのかどうか、年齢はどうだったのかというようなリスクの度合いなどを調整した上できちんと提供するということが重要かなと考えております。これが2点目でございます。
それから、3点目は、今度は全然違う話でございまして、ドクターから一元的な情報、一体的な情報のシステムへのアクセスを考えた場合に、現在は、骨髄移植、あるいは末梢血幹細胞移植につきましては、患者登録という仕組みがございます。これは骨髄財団に登録をするわけでございますが、骨髄財団では紙ベースで登録を処理しています。一方でさい帯血バンクは、以前申し上げましたように、ウエイティングがなくて、すぐに執行できるということもありまして、患者登録という仕組みはこれまでのところ、つくってこなかったわけであります。そうすると、移植が必要な患者について、全体像を把握するということが、どなたもなかなかできにくかったというのが現実でございますので、この際、学会でこれまで取り組んでこられました移植成績の一元化登録とあわせて、入り口のところも患者を一元的に登録をする、そして一元的に検索をする、そしていろいろな移植ソースがあるということ、骨髄で進めていたけれども、だめになったら臍帯血がある、あるいは最初から臍帯血を移植する場合に、こういうような候補があるということをきちんと提供するようなシステムを構築してはどうかということを御提案したいと思っております。
御説明は以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、「情報の一体的提供について」の御議論をお願いいたします。いかがでしょうか。
 野村委員。
○野村委員 今、御説明いただいたことが本当に全て実現できればすごいと思ってはいるのですけれども、なかなか一気には難しいのかもしれないのですけれども、要は温度を合わせていただきたいというか、患者はいいことも悪いことも全部知るべきだと思うのです。いいことだけ聞かされていれば気持ちがいいかもしれないけれども、悪いことも全部聞いた上でということが必要だと思うのです。それが全部そろってしまうと、逆に患者は不安になる。情報を得た人は不安になるというのがあると思うので、ここでも患者相談窓口にも情報を提供するとありますけれども、それが本当にリアルタイムに、こんなふうに情報がいっぱいあるんだ、知っちゃった、不安だ、どうしよう、私の場合はどうなのだろう、この疾患とか、この年月の間のデータはこうだけれども、私はその辺のどこにいるのだろうとか、データを知れば知るほど患者の不安や疑問がどんどん出てくるのが、同じ温度でタイムリーに相談できるというところの直結を同時に整備しないと、まず情報だけ出しました、後のフォローがまだ追いついていませんというのは一番危険かなと思うので、温度を合わせていただきたいなと思っています。
それは患者に限らず、国民への情報提供、この事業は社会の関心を同時に高めていかなければいけないと思っているので、例えば、今までもCMがたくさんあって、みんな心を動かされてといったときに、そのCMでもっと知りたいなと思ったときに、ネットを調べてみたら、知りたい情報がすぐ得られるぐらいに、関心に合わせた状態であって、かつ、ネットで知りたい情報があった場合には、本当に行動できそうな人はここに来てくださいねと、献血センターとかに来てくださいねといったときに、ネットと同じような温度、CMと同じような温度で職員が対応してくれるということが一番大事なところかなと思うので、整備することはすごく大変だと思うのですけれども、情報の温度を合わせた形でいくと抜け落ちがないかなと思っているのです。
○小澤委員長 いかがでしょうか。山口委員。
○山口委員 ちょっと出過ぎた話なのかもしれませんけれども、情報提供については異論はないのですけれども、これらの中の全てのものとは言いません、その一部でいいのですけれども、英語で出していただけないかと思っております。海外の規制当局、例えば、ヨーロッパなどだと、造血幹細胞移植はヨーロッパ医薬品庁が審査をしている。いろいろな会議で海外の規制当局と話したときに、情報提供を出してくれていると、海外からのフィードバックもある。そういう意味でも、一部のサマライズされたデータだけでもいいので、英語バージョンを出していただけるとありがたいなと思います。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 山口委員、それは主に移植成績についてでしょうか。
○山口委員 移植成績とか、特に臍帯血などは、日本がかなり多くバンク化されていると思うので、その辺の情報もあったほうがいいのかなと思います。
○間臓器移植対策室長 わかりました。この点につきましては、データを実際につくるのは第三者機関、データセンターでございますので、そことも今後よく相談したいということが1点と、もう一つ、このシステムといっても、プロ向けと一般の方向けで入り口が違うというか、情報のレベルが若干、説明の言葉使いとかも含めて配慮が要るのかなと思っております。特にHLAのデータまで含めた一元検索をかけるためにはパスワードとかを入れなければいけないようになっていますので、そういうような形でそこのレベルに差をつけながら、先ほど野村委員がおっしゃったことをなるほどと思いながら、難しいことですけれども、そのあたりも関係機関とよく相談しながら、実現に向けて頑張りたいと思います。
○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。坂巻委員。
○坂巻委員長代理 患者に移植のデータをお知らせするというのはとても大切なことで、私は今まで一元管理委員会に携わってきて、患者に対しての情報発信は確かに今まで余り多くなかったなと思いますが、一元管理委員会は、実はそれよりももっと多くの仕事をやっておりまして、実際の移植の解析と研究的なものも随分やっております。ワーキンググループを立ち上げて、今、どんどんエビデンスをつくっておりますので、今後もそれを続けていくという仕事は継続していかなくてはいけないと思っております。
そういう中で、今度の第三者機関というものがどういう位置づけになるのかなというのが、私、個人的にはとても気になっております。現在は学会の中に包含されている形になりますが、今後、そこから離れることになっても、アカデミックなものと切り離しては存在し得ないと思っておりますし、ここの中で働く人たちのモチベーションを保つためにも、アカデミックなものとのつながりを残しておかないといけないなと思っております。そういう中で、窓口は一本化しつつ、患者へよりわかりやすい情報を提供するというのは、私はとても大切だと思っております。
 質問なのですけれども、2ページの上の図の将来的なところで、「患者・ドナー・臍帯血情報の一体的な管理」という中に移植成績の登録というのがあるのですが、要するに、第三者機関が一体的な管理されるという枠組みの中に含まれるということなのでしょうか。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 ここは、要するに、何を実現するかということを審議会で御議論いただいているので、誰がやるかということは、それぞれの関係機関と役割分担してやることなのですが、実質的には、両者が関係を持たないといけない。つまり、入り口の患者登録のところが一本化したら、それをフォローアップ事業のほうにつなげていかないと意味がありませんので、そういう意味では、データセンターのシステムと、それから、こういう一体的な管理のシステムと連結したようなものになるのが望ましいだろうと思っています。飲み込むということではないだろうと思っています。
 あと、もう一点よろしいでしょうか。先ほどのアカデミアとの関係でございますが、それはまさしくおっしゃるとおりで、データを集める意味は、最終的には、よりよい移植、治療方法の探求ということだと思いますので、それなくしてこの事業をやる意味、国費を注ぎ込む、税金を注ぎ込む意味はないと思っています。その意味で、次回の審議会の研究のテーマにかかわるものだったので、そこは申し上げておりませんでしたが、データセンターというか、第三者機関に関しましては、情報のレベルで3層ぐらいあるのだろうと思っています。1層目が、先ほど申し上げましたような患者、国民向けの、ごく平易に、わかりやすくしたもの。ある意味では単純化しているかもしれませんが、そういうデータをきちっと出すということ。もっと個別性が強い、どこの病院のどのケースみたいなデータをクリーニングして、リスク調整もして出すというものが2つ目だと思います。第3層目は、探索研究といいましょうか、もっと深めていくようなもの。そういったものにも応えられるような活動をこの第三者機関は行うことが望ましいのではないかと思っています。
○小澤委員長 この第三者機関というのは、学会と連携していくのですか、それとも何か拠点病院の枠みたいなものをつくっていくのか、その辺はどういう感じになるのですか。
○間臓器移植対策室長 もちろん医療機関とも協力することになると思いますが、学会と近いけれども、学会とは異なる社団法人格を持ったところを設立したばかりでございます。
○小澤委員長 岡本委員。
○岡本委員 補足ですけれども、造血幹細胞移植学会でも同じようにこれを検討しております。今、間室長からお話があったように、基本的に学会とは密な連携が必要ですけれども、学会からは独立した形を考えています。しかしながら、今、一元化委員会というのが学会の中でございまして、リクエストがあったときに、どういうデータを解析するのか、どういうふうな形で結果を出すのか、どういうふうにそれを消化して、わかりやすいデータとするのかということの検討を機能としています。それと同じような委員会をしっかりそこに設けていって、メディカルでない方もぜひ入っていただいて、公平、中立な立場でしっかりとしたデータをつくっていこうとかんがえています。その中に、学会とはワーキンググループ等、しっかり連携した形で質の高いデータをつくっていくという、そういった第三者機関と考えておりますので、今、先生が言っていらっしゃる、学会が行っているアクティビティーをさらにバージョンアップするという形に加えて、学会が出しているデータだけではないものもしっかりと出していけると考えます。また、移植を決めた時点から登録することによって、将来的な移植の需要の推移といった新しいデータもつくっていくと、そういったことを目指したデータセンターと理解いただければと思います。
○小澤委員長 何か。野村委員。
○野村委員 しつこいようで申しわけないですが、ほかの委員会でも何度もしつこくこのことを言っているのですけれども、情報をわかりやすく国民に提供となっていると、大概、文言をやわらかく書いたり、易しく書けば、それに事足りるという感じの誤解を受けやすいのですけれども、そもそも、国がしていること、病院がしていることという紹介の仕方ではなくて、主語と客体をひっくり返すぐらいの、患者とかドナーは、私の場合はという、全て主語が違うので、同じ情報を紹介するにしても、根本的に文章がひっくり返るではないですけれども、そのぐらいの形で、言葉に関しては、患者もドナーも、関心のある方はすごく勉強されるので、やわらかくすればいいということではない。私も新聞を書くときに、いつもそういう形で問われていると思ってやっているものですから、そこにお金をかけるだけの価値はあると思っていますので、そのあたりをぜひよろしくお願いしたいと思います。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 ありがとうございます。国がんのほうで、今、データを出していただいておりますけれども、これは非常にロジカルにできているのですね。ですから、ユーザーオリエンテッドに考えるとどういうものになるのかというのは、おっしゃるように考えなければいけないと思っていまして、その意味でも、実際に患者から相談を受けておられる方々の御意見もよくお伺いしないといけないなというふうに、そこは謙虚に取り組んでいきたいと思います。
○小澤委員長 宮村委員。
○宮村委員 5ページの3つ目のことです。これについては非常に大事なことだと思います。患者が一番知りたいのは、臍帯血と骨髄のどちらがいいかということより以前に、自分が移植を受けたほうがいいのかどうなのか。そういうデータは、現在のところ、一元化委員会を含めて、基本的にコーホート的な解析の中で十分出ません。そういった意味で、移植に先立って患者登録を行う仕組みはどうかということは非常に大事なことだと思います。具体的に言うと、例えば、がん登録みたいなもので、初診で最初に登録しておいて、それがどうなっていくのか、そういったところまで包括的にやっていく大きいシステムができたら、これは非常にいいと思うのですが、現時点で間室長のお考えというか、イメージはどんな感じでしょうか。
○間臓器移植対策室長 この点につきましては、そこをやっていくとなると、先生よく御存じの血液学会のほうともよく接続を考えなければいけないということになると思います。最終的には、患者、あるいは主治医の先生もお求めになるのはそういうことなのだろうと思いますが、そういう形でいけるのか、段階的に整備することも含めて、よくよく考えていきたいと思っています。当面は、まず造血幹細胞移植のところからにはなると思うのですが、特にプロ向けではなくて、一般の方向けの情報提供のときには、そもそもその病気が何であり、どんな治療のオプションがあるのか、移植だけではない話から入らないと意味がないと思っておりまして、登録のところも、本当は最初のところからなのだろうと思います。そういう形で、移植を余りなさらないドクターたちの御理解も含めて、どうやってやるのかということは、関係学会ともよく御相談をしたいと思います。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 患者にとって、病気についての情報をわかりやすく得られるというのは大変有用です。だけれども、これに関して、造血幹細胞移植の治療成績みたいなものが一元的に出てきて、リスクもあれしながらということを、私、一患者として、それを見て、何か情報が得られるかどうか。使いようがないということと、下手したら有害かもしれない。あくまでも患者にかかわらせるとしたら、医者が、これ見てごらん、こういうふうになっていてと。私も骨髄移植を受ける前にインフォームドコンセントを受けました。そのときに、すごくわかりやすいのでは、この骨髄移植で10%から30%死にますと言われたのですね。これは悪い情報ですけれども、そういうことは今までの結果というか、統計的にも出ているということで、それは嫌な情報だけれども、骨髄移植を受けるに当たっての患者の1つの心構えみたいな、それを聞いて、同意書に受けますとサインするのですけれども、同じように、情報を使えるとしたら、患者が全く一人でこれを見てどうこうと、わかるものでもないし、意味がないと言ったらあれですけれども、あくまでもこの情報は、わかりやすくなどと考える必要はなくて、使われるとしたら、医師と面対して見てもらって、こうですよという説明の際の資料として使われるということではないか。ですから、情報の一体的提供について書いてある中で、患者や国民が知りたい情報を手軽に入手できるポータルサイトみたいなものが必要ではないかというと、患者とか国民にとって有用であるという前提ですけれども、本当に有用であるかどうか。もちろん患者は見てはいけないということはないのですけれども、患者は自分がこれから受ける移植がどうなのかということを知りたいわけですけれども、こういうのを見ることによって、有用な情報になるかどうかというのはちょっと疑問ですけれども、いかがでしょうか。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 有用だと思っているのですが、その意味はこういうことなのですね。患者がポータルサイトを直接見ることのみが大事だと思っておりませんで、患者はまず誰に相談するかというと、主治医の先生に相談するわけですので、その意味で、2番目の○にあるような、主治医の先生にきちんとしたデータを持っていただくということに非常に意味がある。
そうなったときに、次に患者はどういうときに情報を欲しいかというと、主治医の先生はそうおっしゃったけれども、本当はどうなのだろうかということも知りたくなったりする。そういうときに、今、活用の形としてあり得るのは、患者相談窓口に電話をする。こんなことを先生に言われたのだけれども、どうだろうか、誰かほかの先生にセカンドオピニオンを求めたほうがいいのかしらと。例えば、そういったときに、患者と同じ画面を見て、これ見て、こういうデータがあるでしょうと。まさに浅野委員がおっしゃったように、先生が使うだけではなくて、患者相談窓口の方が画面を見ながら、こうこう、こういうことだからと、この病院はこのぐらい移植をやっているのよとか、この場合にはこうなので、確かに先生おっしゃるとおり、なかなか厳しいかもしれないけれども、移植成績はこんな感じなのよとか、そういう形で電話をしながら、同じ画面を見ながらとか、例えば、そういうやり方があるのかなと思っておりまして、おっしゃるように、患者、あるいは国民の皆さんがそれを見て、ああ、全部わかりましたという活用の仕方がメーンではないかもしれません。いずれにしても、患者がいろいろなところに相談していくときに、有用な情報を必要なところにちゃんと持っていただくという意味で、かつ、それは情報開示をすること自体が移植医療に対する信頼性を高める意味で非常に重要だと思いますので、その観点からも開示してはどうかと、こういうことでございます。
○小澤委員長 先ほど宮村委員とか室長からもお話ありましたけれども、今回は主に移植成績ということだと思うのですけれども、患者が治療方法を選択していく、決めていくときには、ほかの治療法の成績などもどうかというのは非常に大切だと思うのですね。そこまで包括的なデータをここでお示しすることは難しいでしょうから、結局は主治医がうまく交通整理をしていくという形にはなるかなと思いますけれども、一応、大きな前進ということで、この情報の一体的提供についてのまとめとしましては、患者や国民が知りたい情報を手軽に入手できるポータルサイトのようなものが必要である。また、そこで提供する情報については、患者相談窓口における相談内容を踏まえるのがよい。内容については、患者会の皆さんとも相談して、患者が欲するようなものをここに盛り込んでいくという形になるかなと思います。また、移植成績については、患者や国民向けのものだけではなく、さらに詳細な情報を、医療機関、研究機関、患者相談窓口を設けている団体などに提供するのがよい。その場合には、リスクの度合いなどを調整した上で提供していく。また、移植に先立って一元的に患者登録を行う仕組みが必要である。そんなような内容のまとめになるかなと思います。
 鎌田委員。
○鎌田委員 患者が情報を得ることについては、個々の患者によって、そういう情報を求める人、求めない人がいますし、あるいは同じ人でも、そのときの状況によって全く違ってくることもあると思います。私の場合、最初に病気になったころは、今では当たり前になっているインフォームドコンセントもされない時代で、特に若い患者とかには、告知もしないほうが一般的だった。私はとても知りたかったので、一生懸命情報を集めたかったけれども、当時はインターネットも今ほど何でも情報を見られる時代ではなかったので、情報を集めること自体がとても難しかった。だけれども、自分がなぜこういう治療をしなくてはいけないのか、これからどうしていけばいいのか、ということを考えなければいけないときに、私は、自分で情報を得て、これからのことを考えたかった。そうすることが、私が闘病するためにはどうしても必要でした。そのために、いろいろな形で苦労しながら情報を得て、病気と闘ってきました。しかしながら、かつては、情報を得るのが余りいいことのように思われていなかった面もあって、それは多分、中途半端に情報を得たけれども、あやふやな知識のまま、それだけがひとり歩きするという懸念もあったからだと思うのです。でも、いろいろな情報を得られるようになったということは、患者が病と向き合うに当たっては、とても重要なことです。もちろん、情報を知りたくないという人もいるので、全ての人が知るべきだという話ではなくて、知りたいという人が知ることができるという状況がとても大事なことだと思っていますし、そういうふうになってきたということは、私はとてもありがたいことだと思っています。
ただし、中途半端な情報だけ得て、それがひとり歩きすることは避けなければなりませんから、情報を得ていくときに、情報の正確性が担保されることも大事ですし、患者が情報を得たときに、それに対するフォロー、先ほど野村委員のお話にもありましたけれども、主治医に相談したり、あるいは主治医の先生も細かい相談にいつもつき合えるわけでもないと思いますから、コーディネーターの人だったり、患者相談窓口だったり、そういったフォローする体制もますます重要になってくると思います。そういった意味で、みんながみんな、ここで情報を得るべきだという話ではなくて、必要とする人が得たい情報を得た上で闘病できることが、特に、治療して、その先生きていくことができるようになった時代であるからこそ、とても重要なものだというふうに私は感じています。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。そういうような形で、大きな前進になるかなとは思います。それでは、議題3に関しましては、このあたりとさせていただきます。
 次が議題4の「安定的な事業運営の確保について」です。まず、造血幹細胞移植の財政面を中心に、事務局より説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○間臓器移植対策室長 それでは、私から、資料5の「安定的な事業運営の確保について」に基づいて御説明を申し上げます。
 これは、骨髄バンク、さい帯血バンクの安定的な事業運営を念頭に置いてつくられております。法律上もそういうものが念頭に置かれていると思います。骨髄バンクやさい帯血バンクの財源としては、1つは国庫補助金であり、1つは診療報酬由来で医療機関からお支払いいただいているものであり、それから、寄附金であり、骨髄財団の場合には患者負担金というものもあるということでございます。
特に診療報酬由来のものと、それから、補助金について御説明しておきたいのですけれども、まず、1ページの下にありますのは、移植術につきまして、診療報酬上どう評価されているかということでございます。昨年の診療報酬改定によりまして、骨髄、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、この3つの造血幹細胞の移植につきまして、同等の評価がされるようになったということでございます。6万6,450点という形で、同等の評価がされるようになったという点が非常に重要かと思っています。
こうした中から、その一部を、と言っても、かなり大きな部分でございますけれども、各病院に協力をいただきまして、骨髄バンクやさい帯血バンクにお支払いをいただいております。それが2ページの上の表でございまして、これは平成11年度以降につきまして、採取術、それから、移植術につきまして、それぞれ何点になったのか、そこから骨髄移植推進財団、さい帯血バンクに対して幾らお支払いいただいているのかというものが出ております。いろいろな経緯があって、多く支払っていただいているわけでございますが、平成24年度、昨年の診療報酬改定を踏まえまして、学会とも御相談をし、関係病院に御理解いただいた上で、骨髄財団へお支払いいただくものとさい帯血バンクにお支払いいただくものにつきまして、移植術から40万8,000円にそろえるという取り扱いになっております。そして、骨髄移植の場合には採取がありますので、そこが4万2,000点、別途ございますけれども、移植術から40万8,000円ということでございます。したがいまして、診療報酬上の評価も一緒、それから、バンクへ支払う金額も一緒ということで、どの細胞ソースを使うかによって病院の取り分は変わらないという形をつくっていただいているわけでございます。
ちなみに、さい帯血バンクは特に財政的な問題を指摘されておりましたけれども、23年度までの金額と比較しますと、17万4,000円から、倍以上の40万8,000円になっておりますので、大きく改善していると考えております。
それから、予算のほうでございますが、造血幹細胞移植対策予算につきましては、青色が骨髄データバンク登録費で、これは日赤にお支払いしているものでございます。それから、緑色がさい帯血バンクにお支払いしているものでございます。赤色が骨髄バンクにお支払いしているものということで、ごらんのような形で、横ばいのような感じ。さい帯血バンクについては近年若干上がっておりますけれども、こういうような形になっております。
今年度の予算につきましては、3ページの上でございまして、これは既に御説明しておりますので簡単にいたしますけれども、1の骨髄移植・末梢血幹細胞移植対策の(1)骨髄移植推進財団向けにつきましては、約1,000万増額をしておりまして、これは特に患者負担金の減免を必要とする方が多くなってきておりますので、そこの部分に対して国庫補助を多くしたいということで、1,000万ほど増額をしているところでございます。それから、1の(2)の骨髄データバンク登録費につきましては、日赤向けでございますが、これは要するに、ドナー登録していくときの検査などの費用でございますけれども、これは対前年同額でございます。
それから、2の臍帯血移植対策の(1)でございますが、これは日本赤十字社に一括して出しておりますけれども、2,000万の減額になっております。実は、昨年は10バンク分の予算でございまして、25年度は8バンク分でございますので、1バンク当たりの金額にすると増額になるような仕組みになってございます。
こういうような診療報酬由来の財源、それから、補助金などを用いまして、3ページの下にございますような、骨髄バンク、さい帯血バンクに対しまして、それぞれ医療機関からの御協力、国庫補助金、あるいは患者負担金を含めまして、このような形で運営してきているところでございます。今後も、診療報酬上、採取術、移植術の適切な評価をするということ、それから、必要な予算を確保することについて、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。また、こういうのをやっていくに当たって、補助金の体系見直し、各バンクの経営の合理化も含めて、全体としてシンプルで、きちんと機能的な体制を組んでいくことが必要だと考えているところでございます。
以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、御質問、御意見等ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 本当に基本的なことで、ばかにされそうな質問ですけれども、骨髄移植にしても、採取のほうに点数がついていますね。そうすると、誰に払われるのですか。この医療費は、保険者から。
○間臓器移植対策室長 これは説明をはしょったのでおわびいたしますが、3ページの下の図を見ていただきますと、骨髄採取、あるいは移植が行われた場合には、一たん、患者が入院する移植医療機関に保険者からお金が払われます。そこから採取した病院に対して、移植医療機関からお金が払われるという仕掛けになっています。経由するような形で支払われます。
○浅野委員 お金のこともありますけれども、採取するのは健康体のドナーからですから、これ自体が医療ではないですね。ちょっと、よくわからない。これは医療保険の対象に、こんな形でかけるのですかね。
○間臓器移植対策室長 これはまさしくドナーの治療ではないということですね。患者の治療のために必要だということで、患者に診療報酬の請求がいくという形になっています。患者の治療のためにドナーから腸骨に穿刺して骨髄をいただいたということに対して、診療報酬上の評価をやっています。患者の治療に必要だということで。したがって、支払う先が、技術的に言うと、患者のいらっしゃる病院に一たん支払われる。
○浅野委員 移植医療機関に払われるわけですか。
○間臓器移植対策室長 はい。それは、要するに、ドナーの治療ではないので、そういう形になっております。
○浅野委員 そうすると、実態としては、採取した医療機関に移植した医療機関からペイバックというか、お金が払われるのですね。この金額で払われるのですか。
○間臓器移植対策室長 2ページの上でございますけれども、2万1,640点、21万6,400円が移植医療機関に一たん払われて、そこから骨髄財団に払われる4万2,000円を除いた金額、17万幾らかだと思いますが、それが移植医療機関から採取医療機関に支払われるという形になっております。
○浅野委員 この点数の金額ではないの。
○間臓器移植対策室長 そこの中から骨髄財団の取り分を除いた金額が支払われます。
○浅野委員 ああ、そうですか。
○小澤委員長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
浅野委員。
○浅野委員 今度は非常に基本的なことなのですけれども、今、骨髄を提供しているというか、それは骨髄バンクですね。患者としては、それこそ移植に使われる骨髄液が必要なのですね。だから、言ってみれば、治療のための薬みたいなものですね。薬は、製薬会社は売ってもうけるからやるのですけれども、骨髄バンクはこれでもうからないですね。まあ、ペイはされますよ。何を言いたいかというと、今、骨髄バンクはちゃんと適切に骨髄の提供をしてくれていますけれども、やーめたと言うことができるのですね。別に義務づけられているわけでも何でもないわけですから。製薬会社は、薬を提供するのをやーめたと、もちろん言えるのだけれども、それでは収入にならないから、提供というか、つくるわけですね。
何でこんなことを言うかというと、骨髄バンクはできて21年で、できたころは、周りの要望もあって、それにかかわる人もすごい使命感と高揚感を持ってやっていったわけです。いつまでも続く保証はないのですね。今やっている人に文句をつけるわけではないですよ。一応、システムとしては、法律上の義務もないのですから。営利活動でもないのですから。何でやーめたと言うかという部分に、例えば、費用負担というか、国庫補助金も出ていますけれども、こんなものでやっていられないというのだったら、使命感があれば一生懸命やるけれども、やっていられないということになるかもしれない。それから、パフォーマンスが落ちるかもしれませんね。余りドナーを集められないとか何とかいうときに、これはもうしようがないということになる。
骨髄バンクという組織というか、それのありようというのをちゃんと考えておかないと、善意とは言いませんけれども、使命感に頼ってやられているという状況は、今後ともずっと期待していいのかどうかということだとすると、何らかの義務づけということも必要ではないか。例えば、さい帯血バンクというのは、実際に移植する医療機関についているのも多いのではないですか。だから、さい帯血バンクがちゃんとやってもらうということは、医療機関としても求めるわけですから、これはやるのだけれども、骨髄バンクの場合には、運営は全く独立ですね。これは財団法人だから、そんなことをやる義務がないというか、ちょっと変なことのようですけれども、話がまとまらないので、うんと簡単に言います。ちゃんと補助金出してやりましょうと、こういう観点で言ったつもりです。だけれども、本当に、善意というか、使命感だけでやっているということでは危ういということもある。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 よくわかりました。今、国庫補助金は財団のコーディネーターなどの費用を支出するような形で、かなり大きな額を出していると思っています。それから、診療報酬由来の財源につきましては、もちろん財団の一般財源にも充てられているのですが、もう一つ、患者負担金の軽減のために利用されているという形で、財団もそれなりにいろいろ御苦労しながらやられていると思います。
これはやや踏み込み過ぎかもしれませんけれども、例えば、財団の中でも、経営的にもう少し合理化できるところがあるのではないかと思っておりまして、先ほど情報の一体的な仕組みの話を申し上げましたけれども、ああいう仕組みを個々の小さな、それぞれの組織が、スタンドアローンのもの、独立したものを持っていると、非常にコストがかかり増しになって、財団もそこで大変なお金を支出しているとかいうのはあるので、全体でみんなが協力しながら、役割分担をしながらやっていくことによって、コストも減らせるものは減らして、必要なものに使えるようにするといった工夫も、これからは財団とよく相談しながらやっていかなくてはいけないと思っています。
今回、法律で許可制ということになっておりますけれども、これは当然、許可ですから、申請があるということで、手を挙げるということなのですけれども、私がいろいろな財団の職員とお話ししている限りにおいては、それはいろいろな方がいらっしゃるでしょうけれども、モチベーションが高い方は結構いらっしゃるのではないかと思っていまして、そういう方々のやる気を削がないように、今回のシステム改革も含めて取り組んでいくことが大変重要ではないかと思っているところでございます。
○小澤委員長 それでは、よろしいでしょうか。もう時間になりましたので。これまでもお話ありましたように、大分国の支援も広がって、大きくなっていると思いますけれども、バンクがさらにしっかり運営できるように、国の一層の支援をよろしくお願いしたいと思います。浅野委員の御懸念が杞憂に終わるようにということで、よろしくお願いいたします。
 それでは、5番「その他」とありますけれども、何か追加の御意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事は以上であります。次回で基本方針の策定に向けた一連の議論について一区切りがつく予定でありますので、あわせて、これまでの議論の状況について、全体を振り返りたいと思います。
 最後に、事務局から連絡をお願いいたします。
○吉田室長補佐 本日は活発な御議論をいただき、ありがとうございました。
 次回の委員会につきましては、4月26日の10時からを予定しております。先生方におかれましては、お忙しいところ恐縮ではございますが、日程の確保に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。それでは、本日の会議を終了します。ありがとうございました。


(了)
<<照会先>>

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代表 : 03(5253)1111
内線 : 2366 ・ 2363

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