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2013年3月13日 第3回一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会 議事録

医薬食品局

○日時

平成25年3月13日(水)10時~12時半


○場所

三田共用会議所 講堂
東京都港区三田2丁目1番8号(1階)


○議題

1.一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールにいて
2.前回までの宿題事項について
3.その他

○議事

○中井薬事企画官 それでは定刻になりましたので、「第3回一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を開催させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しいところどうもありがとうございます。
 本日、事務局を務めます医薬食品局総務課の中井でございます。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、まず初めに構成員の出欠状況について御紹介させていただきます。
 本日は、遠藤座長が御欠席であります。それから、國領構成員も御欠席の御連絡を頂戴いたしております。
 また、とかしき大臣政務官にも御出席をいただいております。
 ただ、途中、中座する予定がありますことを事前に御了承お願いいたします。
 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、座席表がございまして、資料1-1として根本構成員の提出資料、資料1-2として河野構成員の提出資料、資料1-3として増山構成員の提出資料、資料1-4として國重構成員の提出資料、資料1-5として沢田構成員の提出資料です。
 それから、資料2として事務局の前回宿題事項であります「憲法22条に規定する職業選択の自由について」という資料がございます。
 それから、参考資料1として「一般用医薬品のインターネット等販売規制に関する規制改革会議の見解」についてつけてございます。
 参考資料2は、「医薬品のネットおよび通信販売に関する検討会報告書」、平成24年9月の日本チェーンドラッグストア協会の報告書を添付させていただいています。
 それから先般、前回の検討会のときに後藤構成員からいただきました当日資料について、その差しかえをきょう添付させていただいております。その差しかえについては、インターネット上は前回の差しかえとして処理させていただきたいと思っております。
 それから、増山構成員から、委員の先生方のお手元にだけカラー刷りのパンフレットを配付させていただいております。
 それから、國重構成員から「区別するための仕組み/消費者教育、啓蒙」ということで当日配付資料がございます。これについては、また全員の分がございません。インターネットでは配付するようにさせていただきたいと思っております。
 それでは、以降の進行でございますが、前回の検討会で座長代理に山本構成員が指名されておりまして、山本先生に御承諾いただきましたので、本日の進行は山本座長代理にお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
○山本座長代理 本日はお集まりいただきましてどうもありがとうございます。前回、欠席をさせていただきましたけれども、浦島太郎のような気分でここに座っておりますが、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に事務局から規制改革会議の件で御報告があると伺っております。事務局より説明をお願いいたします。
○中井薬事企画官 それでは、参考資料1を見ていただけますでしょうか。「一般用医薬品のインターネット等販売規制に関する規制改革会議の見解」ということで、平成25年3月8日にこれが出されておりますので、それについて読み上げたいと思います。
 「一般用医薬品のインターネット等販売については、これを広く認めることにより、店頭で購入することが出来ない消費者など国民が自らの判断で選択肢を広げることのできる環境を実現し、その利便性を高めるとともに、インターネットや店頭といった販売形態の別に関わらず、安全性を確保することが重要である。
 第3回規制改革会議(平成25年2月25日開催)では、厚生労働省から、本問題に対する検討状況の報告を受けたが、省内に設置された「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」」、本検討会でございますが、「で議論が重ねられている段階であり、現状、今後の対応の方向性は必ずしも明らかになっていない。」
 それから、「本問題に係る最高裁判決」、25年1月11月付の判決でありますけれども、「が出されて以降、さまざまな主体によるインターネット販売が事実上行われている。このため、規制改革会議としては、最高裁の指摘も踏まえ、早急に、
 ・インターネット等で全ての一般用医薬品の販売を可能とすること。
 ・その際、それぞれの販売形態の特性や、業界の自主的なガイドラインも踏まえ、安全性を適切に確保する仕組みを設けること。
 ・これら制度的枠組みを遅くとも半年以内に設けること
を政府に対して強く求めたい。
 最後に、「なお、規制改革会議は、一般用医薬品のインターネット等販売規制について、特に緊急性・重要性の高い最優先案件として取り組んでいる。今後とも、厚生労働省における検討の進捗状況を注意深くフォローアップしていくこととしたい。」ということの見解が出されていますので、御報告申し上げたいと思います。以上です。
○山本座長代理 それでは、ただいまの説明や資料について御質問や御意見がございましたら御発言をいただこうと思いますけれども、本日は各構成員から提出いただいている資料に基づく御説明をいただき、御議論をするのが主な議題でございますので、時間は長くても10時半までにこの話題を終えたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、御意見、御発言がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
 どうぞ、生出構成員。
○生出構成員 薬剤師会の生出でございます。
 この一般用医薬品の規制改革会議からの見解でありますが、私どもの参加しております本検討会の存在そのものを否定しかねないものかと思っておりますし、理不尽で強引過ぎるとよく感じます。
 規制改革はすばらしい利点も多々あるかと思いますが、一方、不利な点として、例えば地方におけるシャッター通り商店街であったり、大学の定員割れの問題であったり、極端な例になるかと思いますが、昨年のゴールデンウィークにネットでチケットを購入したバスが事故を起こして7人死亡したという例があったり、またこの規制改革会議のほうで最後の4つ目の丸に、一般用医薬品のインターネット等販売規制について、緊急性・重要性の高い最優先案件と書かれてありますが、一般用医薬品が規制改革によって経済性が発展するということは関連性がなかなか見つけにくいかと思っています。
 1つは、医薬品というものは、例えば風邪薬を倍飲めば倍売れるかもしれません。でも、決してそういうことはあるべきことではありませんし、ましてや規制改革で医薬品の製造量が上がったり、販売量が上がったりということと関連性が薄いものと思われますので、この規制改革会議の見解が全てのものというふうに捉えることができず、私どものルールの検討会の中できっちりと答えを出していかなければならないと改めて感じたところであります。以上です。
○山本座長代理 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。
○國重構成員 今のお話を伺って、私も憮然たる思いなんですけれども、シャッター通り商店街とネットというのは何の関係もない話で、私は新経済連盟の顧問で来ているんですけれども、楽天の副社長として申し上げると、楽天の基本的な理念というのはエンパワーメント、地方の商店街、商店をどういうふうに活性化していくか。そういうふうなところが一番大きな理念としてこれまでもやってきていますし、ネットはそういう地方の企業の活性化を阻害するというより、むしろエンパワーしていくものじゃないかと思うんです。
 それと、バスの事故の話もされましたけれども、あれはネットで売ったからこうなったということじゃなくて運行体制の問題ですから、何でもかんでもネットに引っかけて、ネットはおかしいんじゃないかというのはいかがなものかと考えております。
 この規制改革会議の見解というのは、会議の中に安念先生という憲法では我が国の最高峰の先生も入って、ここに書いてありますように「インターネットや店頭といった販売形態に別に関わらず、安全性を確保することが重要である」ということをおっしゃっているので、私も全くそのとおりだと思うんです。
 決して店頭販売をやめろとか、やるべきではないといっているのではなくて、店頭販売とネット、それぞれの役割があるんじゃないかということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
○山本座長代理 では、中川先生お願いします。
○中川構成員 この検討会は、規制改革会議の下にあるものでもないし、上でもないし、独立した自立したものだと考えております。
 事務局、それでよろしいですね。
○松岡総務課長 そのとおりでございます。
○中川構成員 それで、この規制改革会議の見解は参考として、あくまでも参考として事務局に説明いただいたと思いますので、憲法学者が入っているという御紹介でしたが、例えばインターネットや店頭といった販売経験の別にかかわらず安全性を確保するのは当たり前の話で、ただ、ネットの販売と店頭とどちらが安全性確保がしやすいとか、しにくいとか、危険性があるという議論もしなければいけませんし、それからインターネット等での全ての一般用医薬品の販売を可能にすることなどは余りにも唐突で乱暴過ぎると思います。最後の丸の「緊急性・重要性の高い最優先案件として取り組んでいる」というのは意味がわからないです。國重先生、わかりますか。なぜこれは緊急性・重要性が高いんですか。
○國重構成員 すごくよくわかると思います。規制改革の一番のポイントは、後ほど申し上げますけれども、対面なのか、ネットなのか、あるいは対面とネットのそれぞれの機能とか役割とかといったものがあるわけですね。そういったものを念頭に置いての見解じゃないかと思いますので、そこら辺のところは後ほどお話をさせていただきたいと思います。
○中川構成員 それは、緊急性・重要性が高い最優先案件なんですか。
○國重構成員 そういうことです。
○中川構成員 このネットで一般用医薬品を販売するということに関する議論は、国民の健康と命、これが最優先ですね。ネットで売りやすくする規制を廃止するということが最優先じゃないですね。それはいいですか。
○國重構成員 この会議の議論というのは、どういうふうにすれば安全性が担保できるかということだと考えていますので、ネットがどうかじゃなくて店頭販売でも安全性はどういうふうに確保したらいいのか。では、ネットではどう確保したらいいのか。主としてこれはインターネット販売等の新たなルールですから、ネットで販売するときにどういうルールでやればいいのかということを議論する場だというふうに私は理解しています。
○中川構成員 それは、ちょっと短絡的過ぎると思います。一般用医薬品の1類、2類がこれまでは禁止されていたわけですね。それが最高裁判決で少し見解が変わってきたということで、新たなルールづくりをしなければいけないという議論をしているわけです。
 そこで販売ありきでネット販売がどうあるべきかじゃなくて、どの範囲まで規制をすべきかどうか。それも含めた議論ですから、ネット販売ありきというための議論ではないです。
○山本座長代理 御発言が続いておりますけれども、きょうは國重さんのプレゼンテーションもありますので、その後でまたこの議論の続きをできればと思います。
 それでは、先ほどお手を挙げていた森さんどうぞ。
○森構成員 ドラッグストア協会の森でございます。
 規制改革会議の見解ということで今、資料が提出されておりますけれども、どうも新聞等を見ていまして一般用医薬品のインターネット販売というか、今の販売形態について薬はわかりやすいからすごくターゲットになっている気がするんですね。
 薬の規制は、この間も申しましたように酒とかたばことかお米とかの距離制限だとか、経済的なことで小売同士がなくなってはいけないとか、潰れてはいけない、倒産してはいけないというときの規制とは違っていまして、人の命にかかわる資格者、薬剤師を中心とした免許を持った者が販売しているということをまず念頭に置いて語らなければいけないと思うんです。
 それで今まで安全性を保ってきたという事実がありまして、その中で「インターネット等で全ての一般用医薬品の販売を可能にすること」というのは先ほど先生がおっしゃったように相当乱暴で、この規制改革会議に医師の方ないし薬剤師の方、そういう医療専門の人がいて、その代表者がいて、そしてこんなに安全だからインターネットで売れるよというんだったらまだしも、メンバーを見ても誰もいなくて、人の命が経済の論理で論じられているような気がしてなりません。
 それからもう一つは、先ほどこれも先生がおっしゃったように、「緊急性・重要性の高い最優先案件」と言うのであれば、これは多分に先ほど言った非常に国民にわかりやすいからターゲットにされている案件だというふうに私は読み取っているんですけれども、もしそういうことであれば今のケンコーコムさんとウェルネットさん以外は即刻1類、2類の販売は中止をして、安全性をまず担保しながら次にいかないと本当はいけないと思うんです。そこが御理解いただいていないです。
 もう一つだけお話させていただくと、先週、ケンコーコムさんじゃないですけれども、ネットで15歳未満にクリックして、15歳未満、男性、妊娠をしています、今までに薬で副作用がありましたということで買い物かごにクリックすると商品が送られてきました。
 もう一回言います。15歳未満、男性、妊娠しています、副作用がありました。薬は鎮痛薬を送ってきています。手元にあります。こういう事実があるので、ケンコーコムさんを批判しているわけでは全くなくて、今の状況は無法状態になっているので、これはとめてまずは次にいかなければいけない。
 ぜひ厚生労働省さんのほうも、また新聞各紙の皆さんもそういうことから先にとめて、安全性を担保してこの会議に臨まなければいけないということを前提に考えていただきたいと思います。以上です。
○山本座長代理 どうぞ、國重さん。
○國重構成員 前回も申し上げたんですけれども、ケンコーコムとウェルネット以外は売ってはいけないというよりも、本来であれば省令をやめなければいけないんですね。省令は違法だということを最高裁で言っているわけですから。
 それをそのまま残しておいて、だからやってはいけないというのは本末転倒なので、それでしたら私は厚労省さんにすぐ、きょうでも省令を廃止するということをお願いしたいと思います。
○山本座長代理 事務局、どうぞ。
○松岡総務課長 省令をすぐ撤廃しろという御指摘ですけれども、最高裁の判決はすぐに撤廃しろということを言っているわけではございません。一律に、1類、2類というのが売れないようにしているということがよくない。これは、法の委任の範囲を超えているということを言っているわけでございます。
 したがって、一律にそういうことをやっている、委任の範囲を超えているという状態を直していくということが必要であります。それをやるために新しいルールをつくるということが必要でございますので、この検討会で御議論いただいて、その上でルールをつくっていく。こういう形をやっていかなければいけないと考えております。
○國重構成員 そういう意味では、森さんのおっしゃった15歳、男性、妊娠という状態ではだめなんですよね。それをどういうふうにルールを決めてやるかということが、この会の一番大きなポイントじゃないかというふうに私は思います。
○山本座長代理 それが我々のミッションだろうと思います。
 では、増山さんお願いします。
○増山構成員 今、厚労省の答えていただいたところに言いたかったことがかなり含まれたんですけれども、私のほうで國重委員に少し質問というか、うまく理解できないところがあるのは、例えば政令省令をもし撤廃した場合、全くルールのないところで販売されることになりますが、そのことについてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
○國重構成員 繰り返して申し上げますけれども、そのためのルールをつくるのがこの会の目的だというふうに私は考えていますので、早急にルールを。
○増山構成員 だから、今すぐに撤廃するということになると、ルールのないところで売られることになるわけですが。
○國重構成員 オンラインドラッグ協会さん、あとは楽天市場もそうなんですけれども、一応ガイドラインを自主的に決めてそれでやっているんですね。
 だから、そのガイドラインには、15歳未満で男性というのはもうはじくようなことにしないといけないと思っているんですけれども、そのために早くルールを決めてやるということがポイントになるんじゃないかと思います。
○山本座長代理 では、小幡先生お願いします。
○小幡構成員 法的に言いますと、やはり最高裁判決が出ましたので、今の状態では、ネット販売、郵便等販売を禁止している部分については無効と言っているので、このままでは適用できないことになりますので、1回目のときに申し上げたと思いますが、拘束力というのが行政側に生じていて、速やかに何とか対応しなければいけません。今の省令のままでは実際には適用できないので、これを速やかにともかく変える必要があります。何らかの形で変えることをやらなければいけないというのが、最高裁判決の拘束力から義務づけられております。そういう意味では、もし、今の状態というのがむしろ危ない状態なのであれば、できるだけ早く何らかの対応をしなければいけないことになります。
 そういう意味で、私は二段階で、とりあえずまず1段階目でやるべきことがあるのではないかということを1回目に申し上げたのですが、それが難しいということであれば、いずれにしても速やかに検討し対応する必要があります。
 明確にはわかりませんが、規制改革会議の見解のところで緊急性と言っているのは、1月11日の最高裁判決が出ているので、それを受けて緊急にやらなければいけないということであれば、私もまさにそのとおりではないかと思います。
○山本座長代理 後藤構成員、どうぞ。
○後藤構成員 先ほどからの発言の中で、この検討会の土台の部分で多分ちょっと認識の相違がある部分が幾つかあるんじゃないかと思ったので、そこのところを申し上げたいと思います。
 1点目は、中川構成員が、この検討会はネットと対面のどちらが安全か、そういったことを議論する場というふうにおっしゃったかと思うんですけれども、この検討会というのはどちらのほうが安全だから安全じゃないほうはだめだという話ではない。そういった場ではなくて、ネットで安全に販売するためのルールづくりの場だと認識しております。
 2点目としまして、森構成員が、規制改革会議のほうで安全だから売れよと、そういうふうな安全性を証明しないといけないとおっしゃっていたかと思うんですけれども、それは逆でありまして、ネットの販売を規制するためにはネットが危険だ、ネットは安全でないということを立証しないと規制できないということだと思っております。
 3点目で、小幡構成員のおっしゃっていることはもっともだと思っていまして、特にその緊急性といいますか、今は最高裁判決が出た不完全な状況ですので、それを解消するために規制改革会議のほうから遅くとも半年以内というふうになると思うんですけれども、これはもっともだと思いまして、半年以内に省令を変える。施行させる。そういったことが必要だと思います。以上です。
○山本座長代理 では、中川さんどうぞ。
○中川構成員 私の名前が出ましたが、後藤さん、私は、ネット販売と店頭販売の違いも含めて議論する場だと申し上げたんです。それを議論するだけの場だとは言っていないです。それはいいですか。
○後藤構成員 はい。
○中川構成員 それで、この検討会は国民の健康と命を守るという観点では、私は規制改革会議よりも数段上の会議だと思います。だから、自立性と誇りを持って決めましょう。規制改革会議がこう決めたから、それに倣ってよーいどんで緊急性を持って、スピード感を持ってやるべきだということではないと思います。
○山本座長代理 では、短くお願いします。
○後藤構成員 小幡構成員がおっしゃったように、今は省令が無効になっている状態で、安全に販売するためのルールが今ないという感じになっていますので、これを緊急につくらないといけないと申し上げているんです。
○山本座長代理 岩瀬構成員、どうぞ。
○岩瀬構成員 きょうでもう3回目になるんですけれども、時間も足りないということで2時間半にしていただいて、6名の方が発表を前にしていて、今出てきた話で新しい話は小幡先生の憲法判例の解釈だけで、ただ皆さん同じことを繰り返しているだけで、かつ極めて主観的な感想めいたことを言い合っているだけなんですね。
 これは全く進歩がないです。皆さん、くれぐれも議論を前に進めるための新しい材料だとか、新しい論理構成をもって議論いただくのはいいんですが、単にそれぞれのお立場の主張を繰り返すのはもうやめませんか。それは、後藤さんたちも含めてです。皆さんもっと前を向いて議論しましょう。今、何も新しい話じゃなくて、ただ同じ感想、主観的なものを繰り返しているだけなので、私はこれでは全く前に進む気がしないし、このためにこれだけ大勢の人が集まっているんじゃないと思いますので、早く中身にいきましょう。
○山本座長代理 河野構成員、お願いします。
○河野構成員 私も、今回3回目になります。非常に重要な中身だと思って参加しておりますけれども、確かに1月11日にこの判決が出て以降、前回、2月14日の初回のときには1か月ちょっとというふうにお話申し上げました。もう既に3月半ばになりますから、もう2か月以上です。このままの状態でいつまでいくのかということで、私もそれは危惧しております。
 ここの場面でいつも話されていて、きょう私も意見発表させていただくんですけれども、利用者というか、購入者の話が全然出てこない。それぞれ皆さんお立場はあると思います。それから、これまでの経緯等もあると思います。
 でも、やはり今、御意見があったように、今の状況から本当に一般の医薬品が私たちの健康を守ってくれるのであれば、どんなふうにそのリスクを小さくした状態で私たちがそれを利用できるのか。やはりそこのところに力を入れていただければと思っております。
 それで、もう一言ですけれども、規制改革会議さんのこの見解に関しましては私もメディアの情報で知りましたので、まずは非常に驚きました。一方で、私たちがこういうふうな形で検討を加えているところでこういうふうに頭から振ってくるのは乱暴ではないかというふうな感じがしました。
 では、これで物がたくさんつくられてたくさん売れるようになるかと考えたときに、一般用医薬品は販路が広がって、逆にいうと必要な薬が必要な店舗のところに行き渡らなくなるというか、総量が変わるわけではないというふうにイメージとして思っているんです。規制緩和になったからたくさん売られるかというと、そもそもそういう種類のものではない。
 そうすると、もともとつくられる量というか、販売量が大体このぐらいと決まっているものの販路が増えると、それこそ実店舗にも物が回らなかったり、そういうふうになって、かえっていろいろ不都合もあるのかなと。
 ですから、なぜ規制改革会議がこの重要性の高い最優先案件としているのかというところは購入者としてはなかなか理解できないというか、これがどういうビジネスチャンスにつながっていくのかというのは、もともと大きさの決まっているパイの分配を変えるのかなというふうなイメージしか持っていないということだけお伝えしておきます。以上です。
○山本座長代理 ありがとうございます。この議論はこの議論にして、これはあくまでも参考ですから、我々のミッションをもっと早く進めるべきだということだと思います。
 事務局にお聞きしますけれども、きょうも構成員の方々から意見をお伺いして、一通り意見を伺った時点で具体的に前へ進む案づくりへ進むというふうに考えてよろしゅうございますか。
○松岡総務課長 構成員の方から御意見をいただいた上で、また論点の整理などをして議論を進めていくようにさせていただきたいと思います。
○山本座長代理 わかりました。それでは、我々のミッションを粛々と進めるという意味で本来の議題に入っていきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 それでは、議題1として「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールについて」ですけれども、本日は5名の構成員の方から御提出いただいた資料の御説明を順にお願いしたいと思っております。
 今回は、前回御発表いただけなかった日本漢方連盟の根本構成員に続いて、全国消費者団体連絡会の河野構成員、全国薬害被害者団体連絡協議会の増山構成員、新経済連盟の國重構成員、ECネットワークの沢田構成員の順に御発表をお願いしたいと思います。
 議論の流れですけれども、各構成員の方から順に10分程度をめどに御発表いただいて、最後に取りまとめて質疑という形をとりたいと思います。御説明の時間ですけれども、本日は5名の構成員の御意見を伺いますので、時間はできるだけ厳守していただくようによろしくお願いいたします。
 それでは、根本構成員お願いいたします。
○根本構成員 漢方連盟の根本でございます。
 前回の検討会では全く蚊帳の外になってしまいまして、新聞発表を見て漢方薬も地方に送れなくなるということに気がつきまして、慌てて本会を立ち上げたという経過がございます。このたび、この検討会に混ぜていただいたことに関しては、厚労省さんに深く御礼申し上げたいと思います。
 これから、漢方薬がどういうふうな形の販売形態をとっているかということについて、ちょっと一般の医薬品と異なるところがあるので、それについて御説明させていただきたいと思います。
 現在のところ、私どもで徹底しておりますのは、初回対面のときに「相談カード」をつくりまして、住所、氏名、年齢、電話番号、それから既往症とかアレルギーということを大体聞きまして、相談販売の記録をつくっていく。そして、担当者名もそこに記載するということでやってもらっております。
 問題になっている前の省令については、現状では我々は遵守して粛々とやっておりますが、できれば2回目以降に関してはそういう「相談カード」をもとにして、どうしても足が悪くて来られないとか、腰が痛くて来られないとか、めまいがするとか、うちに病気の人を抱えているとか、さまざまな理由で来られない方がありますものですから、そういう方に関しては電話で相談してその方に合った薬をお送りするというような形をお認めいただければ大変ありがたいと思っております。
 ここで申し上げたいのは、漢方薬をそうしたときに送るということになりますが、その送るということに関してはよく誤解を招くんですけれども、どうしても通信販売と一緒くたにされる傾向があります。ですけれども、私どもの販売方法というのは一度初回対面をしまして、できれば店頭に来ていただくことを原則にしている。
 ただ、どうしても種々の理由で来られない方に関して、その患者さんの要望によって送らせていただくということを前提にしておりますので、その辺を一般の通信販売とは区別していただきたいと思っております。
 郵送販売を電話で2回目以降了解していただきたいということが主なんですけれども、郵送販売の手段として、電話というのは非常に重要なライフラインであると思っております。これから高齢化社会がどんどん進むにつれまして、いろいろな事情で買い物難民なども出て参ります。そういうことからも患者さんの状態を把握するには、いろいろな状態を直接電話でお伺いし、具合が悪い場合は受診勧奨をするというようなことも含めまして、特に高齢者に関しては重要なライフラインではないかと思っております。
 私どもの町でも、つい隣町におりましても老夫婦、特に80過ぎの御夫婦の場合は店頭に来ても送ってほしい。持って帰るのはしんどいという方もおられますので、これからこういうことがもっと多く増えてくるのではないかと考えております。
 電話でコミュニケーションを双方向でとれるということは、専門家とその病気のユーザーとで即時の対応ができる。お互いに確認がし合えるということが非常に大事なことだと思っております。その内容をこちらに記録として残しておきまして、どういう状態かということの継続的な体調把握ができるんじゃないかと考えております。
 それから、ついでに私どもで資料にありますように「漢方・和漢薬郵送購入1,000人アンケート」というのを24年1月23日~3月9日にかけて実施いたしました。これは、漢方薬を現在郵送購入されている患者を対象にして行いまして、有効回答数は1,414です。分析に関しましては、客観性を持つために目白大学の小野寺教授にお願いしてつくったものでございます。
 そこの資料の1枚目で、郵送購入のユーザーの年齢と世帯状況を見ますと、65歳以上という人が大体27%ございます。それから、2のところでは1人暮らしの人というのが18%というようなことがございまして、高齢者の1人~2人世帯の方々がだんだんこれから増えていくだろうと思われております。
 それから、資料の5枚目です。私どもの連盟に加入している専門の薬局で、来られた方に対して相談時間を大体どれぐらいとっているかということでございますけれども、10分以上の相談が大体67%、長い場合には30分以上いろいろ患者さんと相談して薬を選んで差し上げている。それから、生活のアドバイス、服薬指導などにも時間をかけている。場合に応じては、受診勧奨をしているという状態でございます。
 最後になりますけれども、資料の7番目のところです。電話郵送がなくなると困る人が大体97%になっているということでございます。
 これが全体のきょうの私の説明でございますけれども、ともかく私どもで主張したいことは電話が非常に大きなライフラインになるということと、もう一つは漢方のユーザーの方は高齢者の方が多いということもありまして、ネットもできない方々がものすごく多いんです。そういう方たちには、ネットをどうするか以前の問題として非常に電話が重要なライフラインになっているということを御認識いただければありがたいと思っております。
 私の説明は、以上でございます。
○山本座長代理 どうもありがとうございました。
 それでは、次に河野構成員よろしくお願いいたします。
○河野構成員 全国消費者団体連絡会の河野でございます。
 資料の1-2です。表裏、字が小さくて申しわけございません。
 先ほども申し上げましたとおり、ここの検討会に2回出させていただきまして、やはり肝心の購入者の視点で余り語られていないのかなというふうに非常に感じております。前回の検討会は私が出席してはおりませんけれども、全国消団連として前回もこういった検討の場に参加させていただいておりまして、前回は一般消費者は一般用医薬品には副作用があるということは余り認識していない。また、副作用が多少あっても一般用医薬品で深刻な被害が出ていることは余り知らないし、問題はないと思っている人が多い。つまり、情報量の差がすごく大きいからということで、一般用医薬品のインターネット販売に対しては、ここに出させていただいた者が基本的には反対の立場を表明していたと思います。
 今回必要なことということでお話申し上げますと、インターネットで安全に医薬品を売ることができるのか。その方策を具体的に、かつ実務的に検討してみることが必要だと思っております。その上で、安全と、それから消費者が納得できる範囲でのみ、その検討に立った上でのみインターネット販売が納得できなければやはりインターネット販売は難しいかと思いますので、ぜひここで皆さんのさまざまなお知恵を出していただきたいというふうに購入者としては思っている次第でございます。
 それで、資料のほうにいきますけれども、そもそも論です。私もここに参加させていただくに当たって、私たちが一般用医薬品を購入するのはどういうときかと思ってみました。ちょっと体調不良である。けがだったり、病気だったりするときに、今そこに書いてあるように、病院で受診するまでもないと思ったら一般用医薬品に頼るというところだと思います。
 それで、「一般用医薬品の販売に関して不安に思うこと」ということで、これは販売チャネルは特に考えていません。つまり、一般用医薬品ということに関して思うと、まず1番として区分と定義、下に書いてあるのはもう皆さんよく御存じのことで、改めて私も確認するために書いたんですけれども、前回御説明があった指定第2類の医薬品もあるとか、その他もろもろですね。それから、情報提供にもそれぞれ義務があるとか、その辺りのことに関してもほとんどの消費者は正しく認識していないというのが現状でございます。
 それから、自分で購入した薬を使用するときの情報源というのは添付文書というのがついておりますけれども、これも私ども消費者としては恥ずかしながら記載されている情報を正しく読み解けない。または、逆に非常に折り畳まれている紙に小さな字でたくさん書いてありますけれども、読み飛ばしてしまう。それが現状でございます。
 そこには、下に書いてあるように用量ですとか、用法ですとか、副作用の情報ですとか、もし飲み続けて効果が感じられないときの対処法なども書かれているんですけれども、そのことに対してもほとんど留意していないということでございます。
 それから、3番目は非常に大きいところで、「薬には副作用リスクがある」。これもやはり私たちは十分に認識していない。実は、薬といわゆる健康食品というのがありますけれども、栄養機能食品とか特定保健用食品は除くと書きましたが、それも含めてほとんど売るものに関しては区別があいまいであるということでございます。
 それから、消費者の自己判断ですね。胃がちょっと重いから胃腸薬かなと、その辺りも含めて思い込みや勘違いで健康食品などと同じ感覚で一般用医薬品も見ているということが多いです。
 それから、総合感冒薬など、商品名が同じでも成分が異なる市販薬がある。有名な感冒薬、よくCMにかかっているようなものでも、2類であるものもあれば3類であるものもある。指定2類であるものもあるということも、私たちはほとんど知りません。
 それから、4番目も非常に重要なところで、「リスクは誰でも公平にある訳ではない」ということです。これが医薬品の販売使用で一番恐ろしいところでありまして、この辺りに関していいますと、やはり安全性が第一であると思っております。
 次に、薬のインターネット販売、そういった薬がインターネットで販売されることに対する懸念と不安を申し上げたいと思います。
 まず、2回この検討会に参加させていただきまして一番思ったことです。販売者側が期待する購入者像と、それから私たち普通に買う人間の間の実像に非常に乖離があるというふうに思いました。販売する方は、薬に対して十分な知識を持って自ら適切に判断できる消費者ならば、購入前の自己チェック欄を設けておけば正しくきちんとチェックして購入するだろうと思われていると思います。
 ただ、実際は先ほど申し上げたように、一般薬の区分ですとか副作用等の知識はほとんどないんです。前にそういえば使ったことがあるなとか、ここで買えると便利だからとか、もう一つは大きなポイントなんですけれども、安いからということがございます。ですから、逆に言うと簡単便利に買えることでリスクケースにつながるおそれがあると思っております。
 済みません。名前を出して申しわけなかったです。ケンコーコムさんのサイトに、私はいってみました。手元にプリントアウトしたものもございますけれども、チェック項目が非常に多岐にわたっていまして、そのチェック項目が何を意図してそこにチェックを入れさせるのかが整理されていなくて非常に混乱しています。
 それから、「購入するために必要な注意事項を読む(必須)」と書かれているところがあります。これは必須なんですけれども、開いても開かなくても買える状況になっていまして、現在の販売サイトではなかなか不備があると感じております。
 それからそのほか、この後は疑問点をるる述べさせていただきました。それで、とにかく懸念と不安を申し上げたいと思います。
 購入者に、先ほど申し上げたような一般医薬品の副作用リスクをどう理解させるのか。例えば、ここのところすごく人気だと思うんですけれども、花粉症のスイッチOTCという今年新しく発売されている薬があります。そこの利用者の感想のところを見ますと、去年まで病院でもらっていたのがインターネットで買えるようになった。たくさん飲んで症状がよくなるからたくさん飲みますとか、そういうコメントも書いてあるわけです。病院でもらったから副作用はないと思い込んでしまう。この辺りにも、やはり落とし穴があるかと思っております。
 それから、薬を選択する以前に、ここのところも非常に重要なことで、これがインターネット販売にかかわることかどうかということもありますけれども、自分の症状に下した診断が正しいのかどうか。薬の選択に関する自己責任を全うするだけの知識が購入者に実はないということをどう補うのかということもポイントだと思っております。
 それから、前回議論になりまして、これは関係ないというふうにちょっとよけられたかと思いますけれども、4番目の視点は非常に重要だと思っておりまして、悪意ある事業者のなりすましを防ぐための仕組みはあるのか。ネット販売は本当に距離と時間を超えてボーダーレスです。海外事業者の参入をどう考えるのか。これはTPPの問題等もありまして、簡単に国内だけでOKというわけにはいかないような内容だと思っております。
 次のページにいきます。なりすましサイトでも、それから海外サイトでも、ほとんど日本語でサイト運営がされています。本当ににせ薬とか悪徳業者などの区別がつかないというのが現状です。
 それから、これは情報として、国内でインターネット販売が禁止されていた期間内にシンガポールなど海外に別会社を設立して、その拠点を経由して医薬品のインターネット販売が続けられていたというふうな情報もございますので、こういったことが簡単にできるといった側面もあるということをひとつ押さえておかなければいけないと思っております。
 それから、やはりインターネットでは匿名性が高いので、購入者が違法目的のために大量に購入するなど、本来の目的以外に使用される懸念はないのか。
 それから、高額のものを売るとか、より大用量、それから抱き合わせで売るなど、そういったことも比較的できやすいツールだと思っておりますので、利益優先にならないかということは懸念しているところでございます。先ほど規制改革委員会のところでも発言させていただきましたけれども、最優先事項というのはやはりなかなか理解できないところでございます。
 改めまして、そこが懸念なんですけれども、インターネットでの販売に関するメリット、デメリットを考えてみました。
 購入者から見ますと、店舗がない過疎地域の方とか、仕事などで実店舗に買いに行けない人にとってみると便利であろう。それから、他人に言いづらい薬は結構ありますから、その薬の購入がしやすい。
 ただ、反面、購入履歴がしっかり残ってしまいます。販売者側のデータに残ること、これをどう考えるかというのもひとつ問題かと思っております。
 それから、ネットでの購入動機の一番は、これは行ってみてわかったのですが、実店舗より安いんですね。特にネット利用のポイントでの還元、1類の薬などは非常にもともとのお値段が高いです。そうすると、ドラッグストアで買うよりも1割以上安く買えるからやはりネットがいいなというふうな書き込みもありますし、あとはアウトレットバーゲンとか半額セールなど、つまり医薬品がそこで売られていいのかどうかというふうな販売方式でネットでは幾らでも売られているというところで、この辺りも非常に不安に思うところでございます。
 その下はインターネット販売ということで、医薬品には直接関係ありませんが、消費者としての非常に不安な部分です。3月7日付の新聞報道では「カラコンで目に障害」ということで、そこの情報にありますけれども、カラーコンタクトを買われた方で被害者の8割は眼科の受診をせず、81%が通販などで買ってしまったということです。つまり、簡単に手に入ること、利便性と安全性の担保は別問題だ。
 同様に、国民生活センターが注意喚起を出しましたけれども、インターネットサイトで見つけた経口妊娠中絶薬の安易な個人輸入と使用に関する注意喚起が出ていまして、これは国内の未承認薬です。そもそも違法ですけれども、パソコンとか携帯電話で簡単に買えた。それで、普通の日本語のホームページ上で一般消費者が容易に購入できる。当然、被害が発生しております。この辺りをどう考えるかというところも知恵の出しどころだと思っております。
 もう一つ、私たち消費者は実店舗でも買います。このことをどう考えるかですけれども、やはり実店舗では対面販売が行われますので実物を目にすることができる。それがどんな形状をしているのかということも確認できますし、それから薬剤師さん、登録販売員さんを通じてバイタルサイン、つまり顔色等、その本人が子供なのか、大人なのか、高齢者なのかも含めて意向確認ができるということはございます。
 それから、そのほかちょっとこれは問題かなと思うところが私の周囲からも出てきておりまして、薬剤師さんの雇用の問題等で実店舗での取り扱いのない薬、薬剤師さんが雇えないからうちでは第1類は扱っていないんですというお店もあるという話です。
 それから、薬剤師さんがいない時間帯には第1類は購入できないルールになっているはずなんですけれども、薬剤師さんがいなくても1類の薬が買えてしまっている場合が多々ある。その辺りをどう考えるかということも、消費者としては非常に関心があるところでございます。
 それで、まとめます。最後に、これはお願いでございます。消費者として、一般用医薬品を購入するときの安心のためにこの検討会でぜひ明らかにしていただきたいことです。
 厚労省さんの健康日本21の第2次計画に書かれているように、私たちは何が何でも病院ではなくて、自分自身の健康に責任を持って軽度な体の不調は自分で手当てする。つまり、セルフメディケーションということに対してしっかりと取り組んでいかなければいけないというふうに自覚しております。
 ただ、セルフメディケーションを上手に進めるためには、やはりサポーターが必要だと思っております。一般用医薬品についている説明書というのは正しい情報ですけれども、これは消費者にとってみますとコミュニケーションの手段であってほしいと思っております。
 それから薬の効き方には個人差、生活環境による違いがたくさんあるということです。それから、薬の効き方は他の成分、つまり薬と薬の飲み合わせですとか、薬と食品の成分、何を食べたかということの相互作用でかなり変わってくるということです。
 2番目として、販売する方にぜひ知っておいてほしいことですけれども、薬のメカニズムをぜひわかってください。これが第1です。それから、人間の体のメカニズムもわかってください。その1番と2番を担保していただいた上で、安心してネットで一般用医薬品を購入できる環境を整えるために解決すべき課題として、そこに幾つか書かせていただきました。これ以降は、やはりもっともっといろいろ条件を出し合って、私たちの間で何ができるのか、何ができないのか。できないんだったら、私たちはやはりインターネットの購入はよしとしないという視点でこの検討会に臨んでいきたいと思います。
 最終的に法改正にいくのか、省令を整えるのか。それから、事業者の方のガイドラインによるのかという辺りも含めまして、ぜひこの検討会で前向きな議論をしていただきたいと思います。以上です。
○山本座長代理 ありがとうございました。
 それでは、引き続いて増山構成員、お願いいたします。
○増山構成員 全国薬害被害者団体連絡協議会の増山と申します。
 お手元に資料は御用意していただけたでしょうか。資料1-3というのがそうです。あともう一つですが、「薬害根絶フォーラム」のチラシも一緒に入れさせていただきました。これは、私どもの団体が年に1度、薬害について薬害根絶をするにはどうしたらいいかということを皆で考えていきましょうという趣旨の中で開催されているものです。チラシの裏に加盟している団体がすべて書いてあるということで、特に団体のリーフレットもありませんので、こちらのチラシを持参させていただきました。時間のあるときに、ぜひ読んでいただければと思います。
 きょうの「一般用医薬品のネット販売について」という内容に入っていきたいと思うんですが、限られた時間でということなので、私がこの検討会に参加していて気になっていることを3つにまとめて話をさせていただこうと思います。また、なかなか慣れていないと読み飛ばしてしまったりすることもあるかと思うので、きょう資料として配っていただいたものは基本的に原稿ですので、そんなふうに思いながら見ていただければと思います。
 最初の項目ですが、多くの人々は薬害の原因というのは薬のせいだと思っているのではないだろうかと私たちは感じています。
 しかし、私たちはそうは思っていません。薬害の多くは、未知の副作用が出たときに、その副作用情報の提供、あるいは警告、薬の回収といった消費者保護の対応がとれないことで被害を拡大し、深刻化させたということが薬害裁判でこれまで指摘されています。
 その回収しない理由に、価格的根拠がないとか、因果関係がはっきりしないから回収できないんだ、警告できないんだといった理由が述べられているわけですけれども、しかしその科学的根拠を得るとか因果関係を求めるというのはどういうことかというと、結局はその副作用被害の蓄積を待つしかないといっていることに等しいわけです。これまでの薬害事件では、残念ながらきちんとその消費者保護の立場で対応することができなかったことが、その副作用被害を広げてしまったという大きな要因になっているということを皆さんにぜひ知っていただきたいと思います。
 また、そこの下の線が引いてある部分はこの項目で着目していただきたいと思っているんですけれども、医薬品は電化製品などと違い患者自身が薬のよしあしを判断することが難しい上に、その副作用情報といったネガティブな情報は薬をつくっている製薬会社に頼らざるを得ないという構造の中にあるために、なかなか問題が起きたときに情報が出てきづらいということがこれまでの薬害事件においての問題点だということを意識すると、より高い安全政策を医療行政は講じなければならない。安全策を講じなければならないと思っています。
 また、その利益を優先する企業戦略の中にある商品であるにもかかわらず、やはりこれは人々の命や健康を脅かし、時には人が亡くなるということも起こるということが非常に問題だと思っています。
 こうしたことが起きてしまうこれまでの経過の中には、やはり医療行政の中に設けなければいけないといった企業の倫理が入ってきたことによって、その制度設計の規制が緩和されるとか、医療の中にそういう企業の倫理、価値観が入ってくるということは非常に危険だというふうにも思っています。
 サリドマイド、スモン、エイズなどの薬害事件で何千という尊い命の犠牲を意味のあるものにするには、やはりぜひ薬害から学び、薬害を教訓にしていただきたいと願っています。私自身は、きちんと回収がされていれば被害を受けなかったという時期に生まれています。
 2つ目の項目にいきます。先ほどの消費者団体の指摘の中にもあったかと思うんですけれども、消費者が医薬品のリスクについてどれだけしっかりと知っているのだろうかということを、私はこれまでこのネット販売の議論の中でいつも感じることなのですが、医薬品というのは誰が飲んでも同じリスクを持っているというものではなくて、小児や妊婦あるいは高齢者など、服用する側の状態によって注意すべきことも異なり、リスクの程度も種類も違ってくると思っています。きちんとしたアドバイスがあれば避けられるリスクもあり、医薬品販売時には直接専門家からそういったアドバイスを受けられる環境が整えられているということが大事だと思っています。繰り返しになりますが、消費者を保護するという視点が制度の中に盛り込まれていなければいけないというふうに考えています。
 一般用医薬品に比べ、副作用が軽いというふうに思っている方も実は結構いらっしゃるというふうな印象を持っているんですが、実際にはSJSなど、死亡や失明など、医療用同様に重篤な副作用が起こることもあります。まずは正しい医薬品の服用には添付文章をよく読み、用量、用法を守ることが大切ですけれども、それだけでは不十分です。なぜならば、その添付文書にないけれども注意しなければいけないことがたくさんあると思っています。
 例えば、一般の方で「一錠の錠剤を服用するためにどれぐらいの水が必要か」とか、「牛乳やジュースで飲むことは避けなければならない」とか、大人の薬を子供に飲ませるときは半分にすれば大丈夫とか、そういった間違った知識、考え方を持っていらっしゃる方もいるので、そういったことが十分に知らされていないというところが今、医薬品がセルフメディケーションということで消費者の責任において買うということになれば、そういったリスクを消費者が負うことになるのではないかという危惧をしています。医薬品というのは、自らの健康を犠牲にすることでしか本当の副作用の怖さを知ることができないからです。
 最後の項目になります。これは、これからこの検討会の中で議論を深めていけば変わってくるものでもあるのかもしれませんが、現在、私が思っていることを書かせていただきました。
 消費者の薬についての知識が不十分な中で、時間や年齢を問わず医薬品にアクセスできる環境は、利便性と引きかえに消費者を不用意な副作用のリスクにさらしかねないというふうに危惧しています。ネットそのものの危うさも数多く指摘できると思います。昨日まであったネット上の薬店がきょうはないということも起こり得ることです。また、その購入者が悪質業者を見抜くということは容易ではなく、ネットであるが故のリスクを消費者が負うことになります。年齢詐称や受診勧奨をすべき状況など、柔軟に対応が求められるような場面で、本当にきちんとそういう対応ができるのだろうかということには疑問を持っております。これは、別の手段で置きかえることができるということであれば、ぜひ提案していただきたいと思います。
 「安全性を適切に確保する仕組みを設ける」と国は掲げていますけれども、そのつくったルールを本当に国自身が責任を持って監視をする。つまり、ネットでの売買というものが常時24時間行われるということになれば、それが本当にしっかりと監視できるのか。これは現実的に可能だというふうには私はちょっと思えないので、そういう問題があるのではないかということを申し上げたいと思います。
 また、安全策が十分に講じられないまま見切り発車をすれば、やはりこれは今、問題になっている原発事故と同じような道を歩むことになるのではないかという危惧もあります。ひとたび医薬品というものは被害が出たときに、ものすごくたくさんの被害者を出してしまうという特性を持っています。ですので、問題が起きたときにきちんとそれを収束するという仕組みがない限り、被害の拡大を防ぐことはできないということが特徴だと思いますので、その部分についても十分に考えていただきたいと思います。
 消費者の保護の観点からも、利点だけではなくそういったリスクについて検証し、医薬品のネット販売に踏み切るべきというふうにもし提案されるのであれば、賛成だと思われている方は少なくともネットの中で一番何が大変かというと、やはり悪質業者を排除するということが非常に困難だという問題があるかと思いますので、ぜひこうすればそれは排除できるんだという方法を示していただきたいというのが私からのお願いです。
 一瞬で国境を越え、誰もが自由にアクセスできるネットの中で、偽薬や悪質業者から消費者の努力のみで自分の身を守れというのはかなり難しいので、私自身はもう少しネット技術の進歩を待つべきではないだろうかと思っています。
 また、今回の結論の結果によっては、例えばコンビニなどの他業種からの医薬品販売参入の引き金になるということも十分に予測できることだと思います。ここで示した販売基準が医薬行政全体にどう影響するのかということも意識しながら、どう安全性、それから整合性などが担保できるかということを慎重に議論を重ねて、拙速な結論を出さないで議論を尽くしていただきたいという思いでおります。
 私のほうからは以上です。
○山本座長代理 ありがとうございました。
 それでは、引き続いて國重構成員、お願いいたします。
○國重構成員 ただいま河野さんと増山さんから非常に示唆に富んだお話があったと思います。お2人がお持ちになっているいろいろな懸念事項、これについて具体的に店頭でどうなのか、ネットでどうなのかということを具体的に議論していくのは非常に役に立つんじゃないかと思いますので、これから特に河野さんがいろいろ御指摘になったことをたたき台にして、どういうふうな対策をとっていったらいいかということを考えていけたらいいかと思います。
 それに対しての十分な回答になるかどうかわかりませんけれども、一般用医薬品のネット販売について、我々はどう考えているのかというお話をしたいと思います。
 まず、インターネットに関して皆さんいろいろおっしゃるんですけれども、インターネットというのは非常に強力な情報提供手段なわけです。2ページ目に書いておりますけれども、インターネットによる情報提供の「強み」ということで、ここに書いてあるようないろいろな強みがある。皆さんがお考えになっているよりもはるかにネットの情報提供というものは非常に効果があるのではないかと思っています。
 この中で、特に1つはトレーサビリティーがある。それから、時間的制約や地理的制約が少ない。プライバシーを尊重したコミュニケーションができる。それから、画面上の表示だけじゃなくて、メールとか電話等でのコミュニケーションも可能だというふうなことなので、インターネットの持っている強力な情報提供手段であるという特徴をどういうふうに安全性の担保のために使っていけるのかということが非常に大事なポイントになるのではないかと思っています。
 御参考に、次のページに書いているんですけれども、第2回産業競争力会議で新経済連盟代表理事の三木谷のほうから出した資料でございますが、対面原則というのはいろいろ言われていますね。これは法律になっている場合と、単なる原則として使われている場合、むしろ原則として使われている場合のほうが全然多いんですけれども、それと、ではネットで提供するものと比べてどうなんだろうかというような議論を我々もしてまいりました。
 それで、対面でなければいけないということは多分どんどんなくなってきているわけですね。具体的には、サービス等でいいますと遠隔医療の問題、医薬品のネット販売、オンラインの教育、それから金融事業でいいますと金融商品取引のときの交付資料の電子化の問題、国家の運営でいくと今、話題になっていますネット選挙の問題、あるいはいろいろな行政手続きの完全オンライン化、ネット化を進めていくというような問題、こういったものをどんどん進めていく必要があるのではないか。
 先ほど、規制改革会議で非常に重要なテーマであるというふうに書いてあったのは必ずしもネット販売の問題だけじゃなくて、こういうふうな問題を全部含めて、これからどういうふうに対応していったらいいかということを議論する必要が出てきている段階になっているのではないかと思います。
 この「備考」のところに、「ネットは対面よりも確実に情報を提供できる強力なツール」となっています。「対面よりも」というのが果たして妥当かどうかはちょっと私にもわかりませんけれども、少なくとも対面が優れていてネットが劣後するということは絶対にないのではないかと思っております。
 このいろいろなインターネットのもとで強みの一つにトレーサビリティーという、誰が何をどのぐらい買ったかということがわかるという特徴があるわけです。一つの例としてここに書いてございますけれども、今年の2月18日に消費者庁さんが「ウイルスプロテクター」で火傷を起こす事故がいろいろ発生しているということで、直ちに使用を中止するような注意喚起を行ったんです。
 これは命令ではなくて注意喚起なので、何もしなくてもいいんですけれども、楽天はこれはやはり大変な問題だ。消費者保護の観点から考えても、早急に「ウイルスプロテクター」をお買いになったお客さんに、こういうことで消費者庁から注意が出ていますよということを連絡したほうがいいのではないかということで、モールの出店者、実際にこの「ウイルスプロテクター」を売ったお店にまずこういう注意がありましたよという連絡をしました。それから、その商品をそのお店から買った消費者に対しても、皆さん大丈夫ですか、こういう注意喚起がありましたよという連絡をしました。結果として、消費者はそこでもう使うのをやめるというふうな対応ができるわけですね。それで、そういう消費者の安全性が担保できたという事例がございます。
 一般用医薬品でも、さっき増山さんがおっしゃったような重大な副作用とか、あるいはリコールが発生した場合、行政機関による情報を直接、我々は誰に売ったかがわかっているわけです。別に店頭がどうだこうだと言うつもりはないんですが、店頭の場合は来た一見のお客さんが持って帰って飲んでしまったというケースは幾らでもありますから、そういう意味でのトレーサビリティーに関してはネットのほうがはるかにあるのではないかと思っていますし、こういうふうな仕組みを使ってやっていけばかなりネットの特性といったものが生かせるのではないか。
 私は第1回目のときからずっと言っていますけれども、店頭かネットかではなくて、店頭もネットもだと思うんです。それで、そのネットをやるためにはどうしたらいいかということで、さっき申し上げたように河野さんとか増山さんの御指摘のポイントをどういうふうに処理していったらいいかということを考えていったらいいと思います。
 ワンクリックで買えると皆さんおっしゃいますけれども、6ページ目に書いてございますが、医薬品を購入する場合にいろいろな手順があるわけです。ここでこういうことをやります、こういうことをやりますというふうなそれぞれのチェックポイントがありますから、そこで我々は常にお客さんに注意喚起ができるという意味での非常に大きなメリットも同時にあるのではないかと思います。
 それからもう一つの大きな問題として、各構成員の方から御指摘のありました違法サイトの問題、これはやはり我々も大変大きな問題だと思っています。これは無許可販売、あるいは偽造処方箋薬の販売等、例えばバイアグラとか、そういったものが海外から輸入されてきて出回っているというふうな問題は確かにございます。
 ただ、これはぜひ御理解いただきたいんですけれども、ネットで売っているものは2つございまして、1つは医薬品の販売許可を持っている薬局とか薬店で販売している一般のネット販売。それからもう一つは、許認可を持たないで違法業者によるネット販売、にせ薬ですね。
 しかし、これは全く別物であって、ここで一般医薬品のネット販売を禁止しようが何をしようが、こういう違法業者というのは出てくるわけです。これをどういうふうに撲滅するかというのは、この間、申し上げたように別な議論としてやるべきじゃないかと私は思っているんですけれども、この別物とちゃんとした医薬品のネット販売をやる業者と、そうでない業者をどういうふうに区別するかということについて1枚配らせていただきました。
 「区別するための仕組み/消費者教育、啓蒙」というふうなペーパーがあると思いますけれども、我々はオンラインドラッグ協会さんのガイドラインにもありますが、薬を売る場合には医薬品の販売許可情報、例えば薬剤師の情報、登録番号は何番かというようなところを必ず書くように、それから写真も載せてお願いしますよということでやっているわけです。それで、消費者は例えばその医薬品の番号をクリックすると厚生労働省さんが持っているデータベースにアクセスできる。そこで、このお店は本当にある店なんだなということが確認できるというふうな仕組みを早急に入れてやったらいいのではないかと考えております。
 登録販売者さんの場合は、そのデータベースがまだ完全にできていないというふうに聞いていますので、これも早急に整備していただいて薬剤師、あるいは登録販売者さんがちゃんと確認できるような仕組みをつくる。逆にいうと、そこで確認できないのは無許可業者、あるいは怪しげな悪徳業者だというふうに我々が判断できることになるのではないかと思います。
 これに対して、教育という言葉がいいかどうかはわかりませんけれども、消費者に対しては常にいろいろなキャッチコピーを使って、インターネットを利用する消費者に呼びかける必要があるのではないかと我々は思っております。
 例えば、インターネットで医薬品を買う前に知ってほしいこと、こういうことを知ってくださいね。医薬品には副作用がありますよということも注意喚起をする。あるいは、偽造のED治療薬は本当に危ないですから飲まないようにしましょうねとか、こういったいろいろな情報を提供できるというのがネットの非常に大きな仕組みではないかと考えていますので、ここら辺をベースにして、我々としてもできるだけ皆さんの持っている不安を解消するにはどうしたらいいかということを皆さんと一緒に御相談をしていきたい。
 例えば、お医者さんの立場から見たら、中川先生はこれはこう考えたほうがいいんじゃないかということがあったらぜひ教えていただきたいし、チェーンドラッグ協会さんも実際にネットで販売しているんですね。その経験からいって、こんな問題があるよということがあったらぜひ御紹介いただきたいし、それを取り込みながらよりよいガイドラインを省令でするか、あるいは業界の自主的なガイドラインでするかというのはまた別な議論だと思うんですけれども、私はある程度、行政に踏み込んで省令の形でこういうルールをつくるようにしたほうがいいかと考えていますが、ぜひそういう議論をさせていただけたらと思います。以上です。
○山本座長代理 ありがとうございました。
 それでは最後になりましたが、沢田構成員よろしくお願いいたします。
○沢田構成員 ありがとうございます。きょう、私まで回ってくる時間がなくなってしまったらどうしよう、寂しいなと思っていたのですが、ちゃんと回していただけてありがたいです。
 資料の1-5に配っていただきました、「インターネットで安心してクスリを買うために」という私の基本スタンスはもうこれに尽きていて、この検討会で皆さんに御検討いただきたいことはこれだと思っております。
 初めに、ECネットワークというのは皆さん御存じないと思いますので一言だけ紹介させていただきますと、ECというのはエレクトロニックコマースです。インターネット取引のトラブル相談を10年ほど受けていまして、消費者がどんなふうにインターネットでトラブルに遭うかということは熟知しているつもりでございます。かつ、私どもの相談はインターネットを使ってやっていますので、ほんの2人しかいない組織ですけれども、全国の消費者の方、または消費者センターさんから御相談をいただいてインターネットで応じています。
 つまり、皆さんには誤解があるかもしれませんけれども、インターネットというのは双方向の相談にかなり適していて、きちんとした情報提供や、情報をいただくということに関しても非常に適したツールだというふうに私どもは思っています。
 パワーポイントであるにもかかわらず、字を小さくつくってしまって申しわけありません。
 1ページ目の下の段を見てください。私の基本スタンスとして、消費者にとっては選択肢がたくさんあることがよいことだと思っております。そこで安全性がどうかという突っ込みが入ると思いますが、ちょっと我慢して聞いていただければと思います。
 消費者にとってはという点に関して、今まで余りにも買う側の視点がなかったという河野構成員の御指摘に全く同感するところでございます。基本的には対面で買いたい人、薬局で買いたい人は薬局で対面で買えばいい、ネットで買いたい人はネットで買えばいいと思います。
 薬局で買おうとしている人に、そんなところで買わないでネットで買えというのが無謀であるのと同様に、ネットで買いたい人に対して首根っこをつかまえて、薬局に売っているんだから薬局で買えというふうに連れて行くのは余りに乱暴ではないですかということをまず申し上げたいと思っております。
 消費者は、そんなにばかじゃないと思っています。場面によっていろいろと使い分けることができる。ネットの便利さ、不便さ、危なさ、対面も同様です。それぞれの得意、不得意を見極めながら使い分けているというのが、普通の消費者の実態と思っています。
 例えば、せきがとまらない。これからちょっと発表しなければいけないのにせきがとまらないというときには今すぐ強い薬が欲しいので、薬局に飛び込んで薬剤師さんに相談しながらせきどめを買ったりします。一方、大体どこの家にも薬箱の中にお守りのように入っている薬があるかと思います。うちでいうとバファリンでしょうか。そういったものが残り少なくなってきちゃったというときには、切れる前にどこかで買っておこうと思うわけで、そのときはどこで買ってもいいわけですね。ドラッグストアで買ってもいいし、ネットで買ってもいいし、安ければそこで買うし、便利なところで買うし、ポイントが2倍になっていればそのときに買うという選択をしてもいいんじゃないかと思っています。
 次のケース、これは1類です。ガスター10を初めて買うときにはやはり心配ですから、自分の体がどうなってもいいと思っている人は余りいないと思うので一生懸命調べます。それで、仕組みとか、副作用とか、メーカーのサイトやネット薬局の説明をじっくり読んで、大体わかった。禁忌事項も自分には該当しないということで、もうこうなったらどこで買ってもいいですよね。この選択の自由は確保してほしい。
 多分、この人は思い込んでいるだけだろうと思われるかもしれませんが、結局この人は薬局に行って買ったとしても、説明は要りますかと聞かれて、いや要らないですと言って断るでしょうから、そういう意味では全然、ネットで買っても今の規制の仕組みと大きく異なることにはならないと思います。
 もちろん安全性というのは無視してはいけないわけで、賢い消費者ばかりではないという御指摘も多々あるところですから、そういった不安な要因を持っていらっしゃる方をとりこぼしてしまわないための仕組みは当然必要です。しかし、そこに対してよほどの懸念がない限りは選択の自由が優先されてもいいのかもしれないと思うわけです。
 では、よほどの懸念とは何だろうということで、ただいまの河野構成員の御指摘、増山構成員の御指摘にあるような懸念点を一つ一つ潰していくことが必要だろう。それに対して対応策を考えていくのがこの検討会のミッションだろうと思っております。その上で、安全性や信頼性や利便性に関してサービス間で競争していただくことは消費者にとっては大歓迎ということかと思います。
 1枚めくっていただきまして、これもちょっと字が小さくて恐縮ですが、右側の表に、懸念点は何か。今までの議事録などから、過去の検討会も含めていろいろ御指摘のあった懸念点を並べてみました。非常におおざっぱなものですので、これに関して今ここで詰めるということではなくて、今後一つ一つこの場で話していっていただきたいというのが御提案です。一番左は薬事法に定められている医薬品販売業者の義務、法の要求事項です。実は余りたくさんのことはなくて、許可をもらっている人しか売ってはいけない。一般用医薬品だけを売っていい、というのがまず挙げられています。
 それと、リスク区分ごとに販売従事者の縛りがあるというのと、情報提供のところ。このぐらいが薬事法で決まっている要求事項です。今までの御議論を伺っていると、ネットで販売したときにこの薬事法の要求事項を満たせないという話は多分一つもなかったんじゃないかと思います。
 ただ、具体的には、情報提供はそれで十分かとか、この人に売っていいのか。15歳の妊娠している男性に売っていいのかというようなお話は、また細かくつくっていく規律の話だと思いますので、それが省令事項として必要かどうかを決めていくのがこの場だろうと思っております。
 いちばん上の2つは、実はインターネット取引トラブルをずっと見てきた立場から言うと結構重要な懸念点です。無許可営業が増えるんじゃないかとか、模造薬品を売るサイトが増えてくるんじゃないかということ、今の状態でも違法なサイトはたくさんありますが、もしもネット販売を誰でもやっていいんだという話が間違った形で流布すると、消費者の誤認を誘発するような形で悪質なサイトが増えてくるかもしれないという懸念はあります。これについては、何らかの手当てが必要だと私自身は思っています。
 ただ、その話は、まともにやろうとする事業者の情報提供のあり方がこれで十分かという話とは全く性質の違う議論なので、これはちょっと場を分けてというか、同じこの場でいいんですけれども、回を分けて検討したほうがいいと思っております。
 情報提供のところで申し上げますと、多分、情報提供は十分にネットでも可能であろう。それを読むか、読まないかというのはまた別の問題ですし、ネットでは情報提供が不十分だという話は多分、今までの懸念点には挙がっていなかったんじゃないかと思います。法的には、書面を用いてと要求されているところが電磁的方法で可能か。ここはもしかすると、解釈で明確化しない限りちょっと難しいのかもしれませんけれども、テクニカルな話で、「書面は電磁的な方法も含む」といえば済む話だと思います。
 購入者の状態を的確に把握するためには、今、十分にできているかどうかはともかく、チェックボックス方式で、チェックがないと次に進めない。購入までいけないという仕組みを組んでいくことは可能で、これもテクニカルには問題なくできると思います。
 相談があった場合に情報提供というのは、先ほど来申し上げているように、ネットでの相談というのは、別に電話でも、メールでも、チャットでも、スカイプでも、いろいろなものを使って相談に応じることは技術的には全く可能だと思いますので、これが薬事法の要求を満たさないということはないだろうと思います。
 懸念点の次のボックスからは、薬事法の要求ではないけれども、対面ではこれができるのにネットではできないじゃないかという論調で言われている話ですね。顔色を見て受診勧奨とかができないじゃないかとか、チェックボックス方式では十分ではないんじゃないかというのは、ここに若干入るかもしれません。
 購入者の様子を見て、何となくおかしいと感じとれないというのが、ネット販売への反対理由として言われてきたかと思うのですが、これがもしも全ての一般用医薬品販売で必須とされるのであれば、むしろこれは対面も含めて、法律の要求事項として法的義務にしないとおかしい話ですね。これがネックになってネットを認められないというのであれば、代理で買いに来たというのを認めないようにしないといけないということで、両方まとめて規制を強くするということが必要なんじゃないか。これが理由だとすれば、そう思います。
 その下も似たような話で、子供が年を偽って購入してしまうんじゃないかとか、自殺目的とか、乱用とか、薬物依存とか、たくさん売ってしまうんじゃないかとかという話ですね。これも同様で、いろいろネットで工夫の余地はある。購入数量制限などは技術的にはネットは十分に可能だと思います。ただ、これを法的に義務とするのであれば、対面も同様に義務としなければいけない話かと思います。ガイドラインで済む話か、それともきちんと省令に細かく入れて法の要求事項とすべきかという議論をする必要があると思います。
 販売責任が不明確になってしまうという話もありましたが、これは現状でも通信販売等の届け出が必要で、かつ特定商取引法という法律が別途あって表示義務があるので、一応明示されることになっています。これは、いろいろな形で確認することができると思います。
 その下の、違反があるじゃないかという話は、法執行が十分にできないということで悪質サイトの話でつながってくるんですが、これは前回も申し上げたと思いますが、ネット販売を禁止することで今ある違法行為がなくなるわけではない。言っている相手が違うので、ネット販売を禁止しても根本解決には全くならない。これは、断言してもいいと思います。
 法律を守らない事業者がいるというのはすべてのケースにあるわけですが、これも全体を禁止する理由となり得るのか考える必要があると思います。
 最後に挙げた個人情報・プライバシー情報のところは、インターネットにかかわる者としてはやはりかなり重要だと思っています。例えば広告目的で第三者と共有するといったようなこと、共通のポイントカードに入って医薬品の販売情報(購入履歴)をポイントカードを運営する事業者に渡してしまうといったことに関しては厳格な規律が必要だと思います。これは、現行法で対応できる部分と、もしかしたら少し踏み込んだ規律が必要かもしれないと思っているところです。
 左のページに戻っていただいて、悪質事業者対策はやはり不可欠です。ネット販売を禁止するしないにかかわらず必要なことで、これも前回申し上げたとおり基本は法執行だと思います。
 ですが、御指摘のありましたように、国境を越えて国内に飛び込んでくる勧誘行為に対してどうやって法執行をしていくかというのは、これに限らず大きな課題です。もちろん、厚労省さんとしては麻薬の問題に以前から取り組まれていることと思いますし、ほかの省庁でも、児童ポルノとか、迷惑メールとか、賭博だとか、私どもに関連の深いところでいうと詐欺とか、マルチ商法のような悪質商法、こういったものが日本の消費者の目に触れてしまう状態をどうしたらいいかということですが、これはいろいろな問題と共通するところもあるので、法執行機関の間で国際協力など、国際的な枠組みによって対応していく話かと思います。
 現実に、WHOの中にもそういった模倣医薬品対策のワーキンググループみたいなものが立ち上がったとも聞いておりますし、インターネット販売に関するガイドラインもある。つくりかけたのか、でき上がったのかわかりませんけれども、これはもし厚労省さんに後で教えていただけたらと思うのですが、そういった取り組みもされていると思います。そういった枠組みの中で解決しなければいけない話ですね。
 かつ、現行法はほかの法律もそうですけれども、国内事業者にしか適用されないものがほとんどです。ですけれども、やろうと思えば薬事法も、これも改正が必要ですが、海外から日本の消費者向けに勧誘をする場合、特に日本語で日本人を狙い撃ちにしているようなものに関しては薬事法の規制がかかる。いけないことは海外でやっていようと何をしようといけないことだということを法に定める必要が本当はあると思っています。
 最初のところでは、十分な知識がある消費者のことを念頭に置いて申し上げましたけれども、いろいろ区別するための仕組み、新経済連盟さんから出していただいた、こういった情報ですね。表示の話が出ましたが、実はこういうものをちゃんと見て、こういう表示や情報がないところでは買ってはいけないと思っている人はいいんですね。問題は、そういうことを何も気にしないで、違法なサイトを見ても違法だと気つかずに買ってしまう人に対してどういう手当てが要るかということだと思っています。
 例えば、たばこのパッケージに警告表示がありますね。「健康のため、吸い過ぎに注意しましょう」だとか、肺がんになるぞとか、この新経済連盟さんの資料にもありますけれども、そういう警告表示のようなものをトップページの目立つところに大きなロゴのような形でつけて、厚生労働省やいろいろな警告サイトへのリンクを義務づける。これは義務づけないと意味がないので、法改正ということになると思います。すぐにできる話ではないかもしれませんが、こういったことを考えていかないといけない。これは、消費者に対して薬にはリスクがあると知らしめる啓発の意味もありますし、これを義務づけることによって、これがなかったら違法と一目でわかることが重要だと思っています。
 一目でわかる違法性というのを明らかにしておけば、いろいろな方から、ここはついていないよと通報を受けることができます。国が全てを監視するのは無理ですが、社会全体でこれを監視して、どこかが通報を受けて、通報があったら法執行をするという流れに持っていかない限りはこの問題は解決しないんじゃないか。そういったことを真面目に考えなければいけないと思っております。それは、先ほども申しましたが、情報提供の話とは分けて考えていただければと思います。
 済みません。ちょっと時間を超過していますが、最後の1ページです。「消費者目線での未来予想図」という2ページ目の下の段をごらんください。消費者としては、決して安全性を無視して利便性だけ、安ければいいとか、そういったことを言っているのではないです。むしろ消費者のために将来にわたって安全性を確保するためにはインターネットをこんなふうに使えるといいねということを言っています。
 1つ目は24時間ネット相談です。私も子供を育てているときにさんざん経験したことですが、別に山間僻地に住んでいたわけではないのですが、必ず土曜の夜、明日は病院が休みという日になると子供が熱を出す。薬局も閉まっているし、この状態は救急病院にすぐに連れて行かなければいけないのか。それとも、うちにある解熱剤を飲ませて様子を見ていて大丈夫かというのは、母親としてはものすごく気になるわけですね。
 夜中でも専門家に相談できて、例えば病院が開くまで1日待っていても、その間、子供が楽になるように副作用の少ない薬を選んで朝一番で届けてくれるとか、そういうネット薬局があったらどんなにいいかと思うわけで、先ほどから1類の薬とかは売らないことがよいことだと言われていたようにも聞こえましたが、やはり売ってほしいときは売ってほしいんです。安全性を確保した上で売ってほしいので、24時間薬剤師さんにいてほしい。相談に応じてほしいというのが望みです。
 これは、無店舗だからこそ、例えば海外に住んでいる薬剤師さんの資格を持っている方に、夜中の間、働いていただくといったようなこともネットでは実現できる。店舗と専門家が結びついた状態で現行法が組み立てられているので、将来的には規制緩和の必要があるんじゃないかと思っております。
 2点目は購入後のフォローアップということで、先ほどウイルスプロテクターの事例を國重構成員から御紹介いただきましたけれども、まさにそういう話ですね。スイッチOTCだということは知らないで、相談しながら買って、その後、薬剤師さんがフォローメールを送ってくれた。薬を飲んでどこか具合が悪くなったりしたら言ってくださいねと。先ほどの増山構成員のお話にありました情報収集の部分ですね。ちょっとでもおかしな兆候があるかどうか、ちゃんと情報を集約して副作用の被害が顕在化する前にとめるということが将来的には可能になるはずです。トレーサブルであることが大きなメリットです。リスクについても、対応可能な可能性が広がっているということだと思います。
 最後に、これはかなり先の話かもしれませんが、同様の話ですね。個々人の既往症とか服薬情報といった情報が、将来的には一元化されることが検討されていると思います。例えば年金手帳とか、母子手帳は赤ちゃんのころしか使いませんけれども、そういった形で個人に関する健康や医療に関する情報が一元化されて、必要に応じて専門家が情報にアクセスできるというふうにしていかないと、ここに挙げました例でいうと、高齢者は自分が何の薬を飲んでいるかわからない。昔の人はお薬信仰が強くて、とにかくお医者さんから出されたものはありがたいと思って全て飲むし、市販薬もすぐに買って飲むというお年寄りが結構、私の周りにもいまして、何を飲んでいるのかを聞いても本人はわからないといったようなことに対して、情報を一元的に集約できる仕組みがあればいい。
 これは個人にひもづいた、個人が特定されないと意味のない情報ですから、これに関する情報管理というのは、それと裏腹できっちりと規律づけをしないといけないと思っております。
 ちょっと散漫になり、長くなって済みません。以上です。ありがとうございます。
○山本座長代理 ありがとうございました。
 それでは、余り時間がございませんけれども、ただいまの5名の方の御発表に関しまして質問、御意見がありましたらどうぞ。
 では、岩瀬さんどうぞ。
○岩瀬構成員 皆さん、ありがとうございました。2つ質問があります。
 大きく2点、この検討会を通じて意識しなければいけないと思うことがあります。
 1つは考え方というか、プリンシパルとして、原理原則としてどこまで消費者に自由な判断をゆだねるか。どこまでパターナリスティックに守ってあげるか、強く規制をするかということが1つです。
 2つ目は、コンシスタンシーというか、一貫性ですね。対面でもネットでも同じでなければいけない。今まさに沢田さんの発表にもありましたけれども、対面とネットでも別に同じであるべきだ。この2つの観点から質問です。
 1点目は厚生労働省さんに伺いたいのですが、薬事法の36条の6の1項の4号ですか。1類についても消費者がもし説明しないでいいよといった場合は説明しないでもいいという規定があるじゃないですか。この趣旨を教えていただきたいと思います。つまり、消費者の判断、自分で責任をとる場合はその説明すら聞かなくていいよといっていることの意味合いですね。
 というのは、今の一連のお話をお伺いしていると、こんな免除規定を設けるべきじゃなくて、消費者を守るために説明を常にするべきである。それによって、その法律が意識している消費者保護のあり方というものが見えてくると思うので、この趣旨、意味合い、あるいはこの趣旨を全うすると消費者が自分で選ぶべきだという理屈になるかと思います。
 もう一つは、河野さんにお伺いするのか、生出さんにお伺いするのがいいのかちょっとわからないんですけれども、私はネットでやっていて思うのは、本当に優れた対面に絶対勝てないです。だけど、雑な対面よりはネットのほうがいいということがありまして、ちゃんと説明しない人よりは安定した説明がある。でも、きっちり丁寧にする人にはそこまで丁寧にできないということがあるかと思っています。
 そこで質問は、例えば対面でもちゃんと聞きましたという確認のサインを求めるということがあり得るのかとか、あるいは代理販売はやはり禁止で本人でなければいけませんというふうに対面もするとか、実務的に売り場はばたばたしていると思うのでそれで難しいと思うんですけれども、あるいはトレーサビリティーという観点からはその方の連絡先を必ず保存、記録する。または、クレジットカード決済とか、免許証を見せる。未成年じゃないとか、ちゃんと年齢確認をする。こういったことを、本当に消費者保護で筋を通す。
 全部やらないと、要するに対面でも聞いていないことはほとんどだと思うんです。ちゃんと聞きましたということで、例えば不動産を売買するときにはサインをすると思いますし、金融商品などでもサインを求める場合があるんですけれども、そういうサインを求める。代理を禁止する。連絡先をちゃんと教えてもらう。あるいは、身分確認をする。こういったことが今の議論、ネットに対する懸念からすると対面でもやるべきじゃないかと思うのですが、同時に列ができているときにどこまでできるかということがあるので、河野さんはどうお考えかということと、生出さんあるいは森さん、そこまではちょっとばたばたして難しいということなのか。
 その2つですね。そもそも理念として法律でどこまで保護してどこを消費者にゆだねるのかという点と、もう一つは一貫性、対面であろうがネットであろうが関係なくて、同じような取り扱いとして今のものが可能なのかどうかという2点をお答えください。
○山本座長代理 事務局のほうからお願いします。
○松岡総務課長 まず第1点目の第4項の話でございますけれども、これは当時、法律をつくったときの整理といたしましては、基本的には購入者の全てに対して情報提供を行うことは望ましいというふうに考えている。これが原則です。
 ただ、購入者が専門家であったり、何度も同じ医薬品を買い求めるようなケースが想定されますので、そういった場合に購入者自身が不要というケースを想定しています。そういうケースの場合に、購入者自身が説明は不要という意思を明確にしているのに、あえて説明を行わせるということは現実的ではないだろうということで、説明を行わないことについての責任を販売者側に求めるということは適切ではないだろうということでこういうことを規定しております。
 ただ、この省令の159条の15の第1号の第2項なりとございますけれども、基本的には情報提供する際には医薬品を購入するときに適正なものかどうかということをしっかり譲り受けようとする人の使用が適正なものかどうか。不適正なものにならないことをしっかり確認するための説明を行わせるといったようなことをしていただくようにお願いをしているところでございます。
○岩瀬構成員 そうすると、1類というのはすごくリスクの高いものなのに、もし消費者の方から、私は自分で判断できるから説明は結構です。例えばネットで買いますという限りにおいては、消費者の自己責任を尊重しているという理解でよろしいですか。省令ではなくて、法律の範囲でお答えください。
○松岡総務課長 法律で想定していますのは、専門家であったりとか、何度も買っているような人というケースを想定してこういうような規定を設けているということを当時の整理としてやっております。
○山本座長代理 今の2点目の御質問ですけれども、これはどういたしましょうか。
○岩瀬構成員 河野さんと生出さんに一言ずつ御意見を伺いたいと思います。
○山本座長代理 お答えになりますか。あるいは、ミッションの中心ですから次回ということでもいいと思うんですけれども。
○河野構成員 大丈夫です。答えます。
 薬の販売に関しまして、購入者側の自己責任をどこまで考えるかというのは非常に大きな問題だと私自身も思っています。全てにチェックをすれば担保されるかというと、そうでもありません。
○岩瀬構成員 2点目です。
○河野構成員 1つは、対面でいいますとやはり大きく違うと思うのはコミュニケーションがとれるということだと思っています。消費者はやはり納得するというところがひとつ商品というか、物を購入するときにあるんですね。そうすると、インターネットでは実物もありませんし。
 話の趣旨が違っていますか。
○岩瀬構成員 趣旨が違っていて、おっしゃることはわかるんですけれども、対面でもちゃんと聞かないで行ってしまう人もたくさんいるかもしれないので、ちゃんと守ろうとするならば対面でも一筆くださいとか。
○河野構成員 そこに行き着きますが、つまり全てが契約において成り立つかというと、消費者はそこまで賢くはないし、そこまで担保を求めるということも逆にないのではないかと思うんです。
 ですから、先ほど最初に言ったのは答えになっていないかもしれませんけれども、対面で話をして納得が得られると、そこまで確認をとらなくても使える。それは大きな対面販売の利点かと思うんです。
 つまり、インターネットではこの薬を買っていただいてありがとうございましたというところまではないわけじゃないですか。確認をして、本当に契約です。でも、それが対面販売にはあるので、そこはなかなか言いようがないところです。
 ですから、確実に例えば1類を買うときに、私はどこの誰です、年齢は何歳です、妊娠はしていませんというような確認をとって、これは大丈夫ですよねというふうなところまでは多分望まないだろう。
○生出構成員 まず第1類医薬品の定義として私が感じているのは、薬剤師責任販売者というふうに思っておりますので、薬剤師にかなり責任が重くなった医薬品になるなというふうに感じております。
 その上で、サインであったり、代理禁止であったり、身分の確認ということでありますが、サインまでは今まで検討はしておりません。ただ、代理の禁止につきましては今のところ配達というか、訪問して居宅での情報提供が禁止されている状況においては、代理を認めざるを得ない状況に今はあるというところでありますし、身分確認というよりも私ども薬剤師会としてはかかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師ということをいろいろ標榜しているところでありますから、先ほど河野さんがおっしゃったようにコミュニケーションをとってかかりつけの薬局でかかりつけの薬剤師にいつも相談できる情報をそこに共有して、薬局の中の薬歴の中にある患者さんの一部というふうに考えていただければいいかと思います。
○岩瀬構成員 それ以外はやっちゃだめということですか。
 申し上げたかったのは、全てがちゃんとした薬剤師さんでちゃんと説明できているならばいいんですけれども、私が自分の例を出したのはそうじゃないケースも結構いっぱいあるので、もしネットとか対面ではない通信販売にもそういうものを求めるのであれば、筋論としてはそううまくいかないケースとかちゃんと説明し切れないケースもあるかもしれないので、そこは対面でも本当はやるべきじゃないかという指摘でした。
○山本座長代理 実はきょうは小幡先生が12時15分に退室されるということで、前回の宿題を先にやりたいと思いますので、もうお1方だけ。
 では、先にずっと手を挙げられていた福島さんからよろしくお願いします。
○福島構成員 今の対面で販売するときの対応として、購入者から説明を要しない旨の意思の表明があった場合は説明をしなくてよいことに法律ではなっていますが、日本薬剤師会で出していた本には、専門家が必要と思ったことは必ず聞かなければならないというようなことがどこかに書かれていたと思います。教育の立場として学生には、要らないと意思表示した人にも薬剤師の判断で、このことは聞いておかなければいけないということは必ず聞くようにという教育をしています。全く聞いていないということではないと考えています。
○山本座長代理 多分、御意見はまだまだございましょうけれども。
○森構成員 現場の話をしてよろしいですか。
○山本座長代理 後でお願いします。先ほど申しましたように、時間の都合で議題2の前回までの宿題事項をやって、時間が余りましたらこちらに戻りますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、議題2の「前回までの宿題事項について」、事務局より説明をお願いいたします。
○中井薬事企画官 それでは、御説明いたしたいと思います。横置きの資料2でございます。時間もございませんが、手短に御説明したいと思います。
 「憲法22条に規定する職業選択の自由について」ということで、これまで憲法論についての御議論ということで求められておりましたので、通説に従った形でまとめた資料でございます。
 まず1.の「職業選択の自由」、大前提のところでございますけれども、憲法上の規定では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」というふうに規定されてございまして、これが職業選択の自由を保障している規定とされております。
 これについてはその次の丸ですけれども、「営業の自由」も含まれているものと考えられております。
 次の「「公共の福祉」との関係」でございますけれども、こちらは第1回の際に岩瀬構成員からも御説明があったところだと思いますが、まず職業選択の自由については2つの目的から規制を受ける人権というふうに考えておられます。
 まず1つ目が消極目的ということで、主として国民の生命、健康、危険を防止する、もしくは除去ないし緩和する目的ということ、あるいはその逆で積極目的として福祉国家の理念に基づいて特に社会的、経済的弱者を保護する目的、この積極目的、この2つの目的から規制を受ける人権と考えられています。
 このうち、前者の消極目的の規制については、まず1番として規制の必要性・合理性が認められていること。それと、より緩やかな規制手段では同じ目的は達成できないこと。これについて、それを基準としてその規制の合憲性が判断されるものと考えられております。
 他方で、2つ目の積極目的の規制につきましては、こちらは規制措置が著しく不合理であることが明白である場合、こちらに限って違憲というふうに判断されるものと考えられております。
 次の丸でございますけれども、過去の最高裁の判例を踏まえまして講学上はこの2つのように分類されるのが通説でございますが、実際にはきれいにどちらというふうに明確に分類できるものではございません。
 最後の丸でございますけれども、職業選択に対する制約についてはその制約が消極目的と位置づけられるのであれば、最初に御説明した厳格な合理性の基準によりその合憲性が判断されるものと考えてございます。
 次の2ページ目と3ページ目のところで、まずは薬局距離制限事件のほうは最初に御説明した消極目的に関する最高裁の判例でございます。
 次の3ページ目の小売市場距離制限事件、こちらについては後者の積極目的に関する規制の判例でございます。
 最後に参考として、今回ネット販売の最高裁判決についても第1回の際に御説明したとおりでございますけれども、参考としてその判決の抜粋をつけさせていただいてございます。
 簡単ではございますけれども、以上でございます。
○山本座長代理 ありがとうございました。この議題に関しましても御意見、御発言をお願いしたいと思いますが、まず最初に小幡構成員からもし何かありましたらお願いできますか。
○小幡構成員 今、事務局がまとめてくださった資料ですが、基本的には憲法の判例、通説がそのまま正確に記述されていると思います。
 それで、もう少し本件に照らしてわかりやすく言うならば、いわゆる消極目的規制、積極目的規制という分け方がありますが、消極目的規制というのは要するに国民の生命、健康の安全とか、今、我々が議論しているような話になります。
 それで、2ページ目にあります薬局の距離制限判決は、まさにこれは同じ目的なのですが、不良医薬品の供給の危険または医薬品乱用の助長の弊害の防止、そういう消極目的のための規制であれば、この薬局の距離制限はそもそも合理的な手段ではないから違憲であるといったのがこの薬局距離制限事件でございますので、目的としてはおそらく我々がここで議論しているのと同じ目的、消極目的ということになろうかと思います。
 それに対して、小売市場距離制限のほうは積極目的といわれておりまして、これは要するに中小企業、小売商が倒れないようにという中小企業の保護政策という積極目的であるという違いがございます。
 それで、1ページ目のほうに戻っていただくと、消極目的規制と2の「公共の福祉」の関係についての2つ目の丸ですね。先ほどの薬局のような消極目的規制については、立法事実に基づき規制の必要性や合理性が認められること、より緩やかな規制手段で同じ目的が達成できないこと、という厳格な合理性の基準で違憲性が判断される。
 それに対して、先ほどの積極目的規制の場合はもう少し立法府の裁量が広い。著しく不合理かどうかという判断原則になるということになります。ですから、今までの判例通説によって、客観的にみれば、消極目的規制ということになりますので、例えばネット規制の必要性、合理性が認められるか、より緩やかな規制手段ではその目的は達成できないかということが言えないと違憲になり得るというようなことになろうかと思います。
 これが、今の判例通説についての説明かと思います。
○山本座長代理 ありがとうございます。この件に関しまして、御意見はございますか。
 では、増山さんお願いします。
○増山構成員 この判決が出たときからひとつ疑問に思っていることがあって、今の解説とも多分関連するのでぜひ伺いたいのですが、この最高裁、あるいは二審の審議の中で、安全性についてインターネットが担保できているのか、いないのか。あるいは、消費者保護という視点がどのようにとられているのかということの検証というのは行われているのでしょうか。
○山本座長代理 事務局のほうからお願いします。
○松岡総務課長 この件について、安全性の問題とか、そういったことも一応議論とかということで、論証の中でいろいろこういうことでやられているとかということは裁判の中で、特に高裁の判決の中では論じられたりしているとは思います。
 ただ、そうだからといってこの最高裁の判決の言っている話は、1類、2類を一律に禁止しているということ自体が法令の委任の範囲を超えているということを言っているということでございます。したがって、安全性の観点のところはもちろん視野に置いておられるかもしれませんけれども、文面上は特にネット販売のことで最高裁の判決でどうこう言っているわけではないと考えております。
○増山構成員 今の説明についてですが、私は今の御説明で理解がこれでいいかということを確認したいと思います。
 安全性については審議の中で多少あったけれども、あくまでも法律に基づいた、法律上、整合性というんでしょうか、適正かどうかということで判断している。つまり、先ほどおっしゃっていた委任の範囲を超えているというのは薬事法の本文にないにもかかわらず、その下の省令で規定しているという判決であるという理解でいいのでしょうかという確認です。
○松岡総務課長 最高裁の判決としては委任の範囲を超えているということで、それで一律に禁止をするということの限度において委任の範囲を超えている。それで違法で無効であるという判決が下されている。専らこういう内容でございます。
○山本座長代理 後藤構成員、どうぞ。
○後藤構成員 事務局に3点ほどお伺いしたいと思います。
 1つ目は、この医薬品のネット販売を禁止するということに対する立法事実があるのか、ないのか。これをお聞かせいただきたいということです。
 2つ目として、何度かにせ薬の問題とか出るんですけれども、このにせ薬が流通する。また、インターネットがあるとそれを助長するから禁止しなければならないといった話が幾つか出ていますけれども、こういったことはこの薬局の距離制限の最後にあります観念上の想定に当たるのかどうか。
 3つ目は、この薬局の距離制限の法律自体は議員立法だったのか、閣法だったのか。
 その3点をお伺いしたいと思います。
○松岡総務課長 3点目は少し調べさせていただきますけれども、1番目の点につきましてはネット販売の規制をこういう形で1類、2類を禁止したときのものとしては、立法事実としては当時、法律をつくる際の制度検討会で議論が行われ、その報告書がまとめられたということと、それから国会での審議でこのネットについての懸念が示されていたということで、行政としては判断をしていたところでございます。
 しかしながら、その点については最高裁のほうで、例えば政府部内でもいろいろ規制改革会議に相当するようなところなどから反対意見が出たのではないか。あるいは、実際に根強い反対意見もあったといったことから、政府でそういう形で省令をつくったことについては委任の範囲を超えているという判断を下されたということで理解しております。
 それから、にせ薬とかの話については今の御質問が十分わかっていないところはございますが、偽造薬の話については、これはこれで別にある程度区分しながら御議論いただくのがよろしいかとは思っております。ただ、関連するところが出てくるということで、御意見があればそれはそれで受けとめながら御議論いただくということだと思いますけれども、一応今の話を分けながら議論していただくことが必要だと考えております。
 それから、3点目の距離制限につきましては、そこの部分については議員立法であるということでございます。
○山本座長代理 先に小幡構成員の御意見を伺いたいと思います。
○小幡構成員 今の事務局のお答えで議員立法はよろしいのですが、もう少し今年1月11日の最高裁判決について、増山構成員に対して判決文に照らして正確にお答えするとしますと、基本的には確かに委任の範囲を超えるといっているのですが、要するに職業活動の自由に当たることであるから、ここまで規制するということが法律から明確に読み取れることが必要であるのに読み取れない。したがって、委任の範囲を超えると言われたわけですが、その前のところで今の安全性についての議論ですが、若干くだりがございまして、今も少し事務局から説明がございましたが、政府部内においてすら、というところで、一般用医薬品の販売又は授与の方法として安全面で郵便等販売が対面販売より劣るとの知見は確立されておらず、薬剤師が配置されていない事実に直接起因する一般用医薬品は副作用等による事故も報告されていないとの認識、ここが事実のところなのですが、この認識を前提にして、消費者の利便性の見地からも、対面に限定すべき理由には乏しいとの趣旨の見解が根強く存在していたものといえるというふうに1月11日の最高裁判決は言っております。
 この辺りが安全についての説明であろうかと思います。認識というところで見ているわけです。
○山本座長代理 ありがとうございます。
 それでは、後藤構成員どうぞ。
○後藤構成員 要するに、先ほどの立法事実に関してはありかなしかだったらなしという認識でよろしいんですかということが1つです。
 あとは、関連上の想定について事務局のほうで御説明できないのであれば、今、私どものほうで憲法学者のほうから意見書というものをいただいております。ですから、こういったことも踏まえた意見書というものを次回提出させていただきたいと思います。
○山本座長代理 事務局のほうは、いかがでしょうか。
○松岡総務課長 まず立法事実の関係については、先ほど申し上げましたように当時、我々として立法事実に基づいて制定したと考えておりましたけれども、この点について裁判所のほうからそこについては問題があったんじゃないかという指摘を受けているということで考えております。そういう意味で、また新しいルールを立法事実に基づいて考えていく必要があるだろうということで認識しております。
 意見書の問題につきましては、また座長のほうともよく御相談をしてというふうに考えております。
○山本座長代理 では、森構成員どうぞ。
○森構成員 今の件ですけれども、これはネット販売がだめか、いいかと単純にやっているわけではなくて、利用するとしたらどうするかということの中で話をしているわけで、もう時間がないのに憲法学者が来て憲法的にどうのこうのと、過去の距離制限とかは全然安全性とは関係ないときの法律で、それが違憲だと言われただけの話です。
 これを何回も説明するのも無駄で、もっと先に進みましょう。憲法学者云々が来て、それが何なんですか。憲法学者が薬の安全性について我々よりそんなに詳しいんですかと私は思いますが、いかがでしょうか。反対します。
○山本座長代理 御意見はわかりました。また座長と相談してこの取り扱いは決めたいと思います。ほかにこの件に関して御意見があればどうぞ。
 岩瀬さん、どうぞ。
○岩瀬構成員 私は次回ちょっとお時間をいただいているので、そのときに詳しく御説明しようと思うのですが、憲法ないし最高裁判例に対する理解というのが著しく欠けているなというふうに感じています。
 まず三権分立というものがありまして、最高裁がこれが安全かどうかというのを直接判断するわけではないということで、ただ、法律が憲法上のいろいろな相対立する権利に対してきちんとどちらかを害していないかということだということですね。
 それで、今回これを通じて皆さんにお伝えしたいのは、安全性というのはすごく大切なのですが、それと同じくらい慎重に考慮しなければいけないのが職業選択の自由としての営業の自由、職業活動の自由ということなんです。
 この最高裁の判例が省令か法律かはさておき、安全性は大事なのですが、皆さんもそれを議論する際に郵便等販売を事業の柱としてきた人の職業活動の自由を相当制限するものだ。だから、それとのバランスだということをまずこの最高裁判決は言っているということは御認識ください。ですから、安全性を言われるのはいいのですが、他方でこういう反対利益とのバランスだということを明確に言っておられます。これが1つです。
 2つ目で今、我々で新しいルールをつくろうとしているのですが、それは当然この憲法の中で合憲でなければいけません。そうすると、今度は我々がつくるルールというのも当然最高裁の判例に従うものでなければいけない。そうだとすると、目的が合理的であって、かつその手段としてほかにこれはやらないと絶対安全は確保できないというくらい狭いものだというのをチェックしなければいけないということなんです。その観点から議論しましょうということだと思います。
 ちなみに、ちょっと読んでいないんですけれども、この薬局の距離の事件の判決では例えばこういうことを言っています。一律に禁止しなくても、例えば免許の取り消しなどの制裁だとか、不良医薬品の廃棄命令、施設の構造設備の改善命令、薬剤師の増員命令、管理者変更命令等の行政上の是正措置がある。さらに立ち入り検査権による強制調査権もある云々とありまして、要するにそういうものがあるけれども、さらにこうしなければいけないんだということが、イメージでネットは危ないという観念上の判断ではなくて、例えば今回の最高裁判決にもあるんですが、薬剤師が配置されていない事実に直接起因する一般用医薬品の副作用による事故の報告というデータがあるということがなければいけないということを言っているんです。
 ですから、ここから直ちにどうこういっているわけではないんですけれども、今後議論をしていく上で安全性が大事なのですが、同時に営業する人の権利にもある程度配慮しなければいけない。その際に、規制というのはほかの手段では達成できないと客観的、合理的に認めるものでなければ、仮にもう一回法律をつくっても、またケンコーコムさんが訴えたら違憲判決が出るというものなので、せっかく新しい法律をつくるならば。
(増山構成員より「はい」と発言を求める声あり)
○岩瀬構成員 説明の途中なんですけれども、よろしいですか。
 ですから、そういう法律の立てつけ、最高裁判例の意味、憲法の意味ということを、当然法律の専門家じゃないとしても、それは理解した上で今後議論を進めていきたいと思います。
○山本座長代理 では、増山さん、短くお願いします。
○増山構成員 発言中に遮って申しわけなかったのですが、ただ、時間がないのでできればきょうせっかくヒアリングを受けた人たちが実際にいるので、質問をしていただいたほうが、その人がどういう趣旨で発言したかということがわかるのではないかということを申し上げたかったので、できるだけヒアリングの内容に今の時間は集中していただきたいということで意見を申し上げます。
 それで、私のほうから質問させていただきたいのですけれども、沢田委員に質問させていただきたいと思います。実は私自身、この長いこと、一般用医薬品販売の制度改正にかかわってきた中で一番驚いたことというのは、実は消費者の方が余りにも医薬品のことについて十分に知らないまま使っているという部分です。
 先ほどスピーチの中で、消費者はそんなにばかではないというような御発言もあったんですけれども、このような質問は大変恐縮ですが、ただ、私が消費者の方たちと情報交換したときに驚いたのは、一般用医薬品の副作用で亡くなる人がいるということを御存じない方も多くて、ちょっと私のきょうのヒアリングのところにも書かせていただいたんですけれども、例えば薬を飲むのにどれくらいの水を最低限飲まなければいけないかとか、よくあるのは一度飲んだ薬だからこれから先は大丈夫だとか、あるいは一番私が心配をいつもするのは、子供に大人の薬を量を減らせば飲ませていいというふうに考えていらっしゃる方が非常に多いです。
 それはなぜかというと、きちんとなぜそれがだめなのかという理由を御存じないからで、例えば実際に沢田さんは、消費者はそんなに頭が悪くないというふうにもおっしゃって、私は頭が悪いといっているわけではなくて、十分な薬に対する知識というか、教育を受けていないことが原因でよく知らないんだと思っています。例えば、薬害被害者に対してさえ、用法用量を守らなかったから被害を受けたというふうに思っている方も本当に少なくないわけです。
 それで、質問は、なぜ子供に大人の薬を飲ませてはいけないかということを御存じでしょうか。
○沢田構成員 私自身がですか。私は知りません。
 ただ、子供に飲ませてはいけない大人の薬があるということは知っています。ですから、子供に飲ませるときには、この大人の薬は子供に飲ませていいものかどうかは調べたり、専門家に聞いたりしようと思います。
○増山構成員 今の薬の件で一言だけ、子供が飲んでいい薬かどうかというのは書いていないものが多くて、外箱を見ただけではわからないものがほとんどだというふうに理解しています。
○山本座長代理 先ほどの5名の方のことに戻っていますので、先ほど手を挙げていただいた中川構成員、森構成員の順番で御意見を伺いたいと思います。
○中川構成員 きょうのヒアリングも大変勉強になりました。特に河野さんと増山さんの内容はすばらしいと思います。増山さんに紙を出していただきましたけれども、一行の無駄もないと思います。特に1ページの「「利便性」の名の下に企業論理を持ち込むことをよしとするような制度設計や価値観を広げることは危険だと思います」。
 そして、裏の「購入者が悪質業者を見抜くことは容易ではなく、ネットであるが故のリスクを消費者が負うことになります」というのも非常に大事なことで、ぜひこれを皆さんも認識していただきたいと思います。
 それから沢田さん、「”よほどの懸念”がない限り、消費者の選択の自由を奪うべきではない」の「”よほどの懸念”」というのがちょっとわかりませんが、やはり懸念があるとだめですよ。それと、「消費者目線での未来予想図」のところの最初の段落ですが、子供が夜に熱を出して次の朝にもまだ熱が下がっていなければ副作用の少ない薬を朝一番で届けてくれるんじゃなくて、何としても医療機関に連れて行かなきゃだめです。
 最後に、國重さんにちょっとお聞きしたいのですが、インターネットの利便性についてはおっしゃるとおりです。これはそのとおりだと思います。その上でお聞きするのですが、あなたの提出された資料で三木谷さんが産業競争力会議に出された紙がありますね。そこのところに、遠隔医療もやっているんだ。医薬品ネット販売もあるというふうにありますが、インターネットの利便性と医薬品をネットで売るという意味について率直にお聞きしますが、楽天はなぜインターネットで一般用医薬品を売りたいのですか。
○國重構成員 これはまさにここに書いてあるように、インターネットだからだめ、インターネットだから危険だというふうなことではないんじゃないかということを言いたいということです。
○中川構成員 そういう質問ではなくて、企業として一般用医薬品をネットで売りたいというのはどういう目的なんですか。
○國重構成員 それは、楽天にいけばいろいろなものが買えますよということです。
○中川構成員 それも一つなんですか。一般医薬品であってもそうだということですか。
○國重構成員 そうです。しかし、医薬品の場合は安全性の担保は非常に大事ですねということは同時に申し上げます。
○中川構成員 それで、あなたが出された資料の5ページで、ネットはトレーサビリティーが非常にあるからいいんだ、強いんだという説明がありますね。私は非常に似たようなことを思い出しました。2002年~2003年にかけての小泉政権下の混合診療の全面解禁の大論争のときです。あのときは、混合診療の全面解禁の推進の方は、民間療法も含めてこの新しい一つの医療について、安全性、有効性は事後検証でいいんだと言っています。
 ところが、我々は安全性、有効性というのは事前の担保されていなければいけないと闘いました。着地としては、よく御存じのように保険外併用療養といって、将来の保険適用を見据えた上で一定の安全性、有効性が確保された上で保険外併用療養の中の評価療養に踏み込んだという着地です。
 この5ページを見ますと、もし問題があったら購入したと思われる業者にこれを連絡してやめさせる。これは事後検証なんですよ。我々はなぜネットで1類、2類は安易に売るのは危険だと言っているかというと、事前に安全性、有効性を担保しなければならない。その違いなんです。この辺が決定的に違うんです。これはやはり非常に重要な論点であると思いますのであえて申し上げているのですが、いかがですか。
○國重構成員 これは、全然論点が違うと思います。事前検証か、事後検証かではなくて、これはトレーサビリティーがあるという事例としてお話をしたということであって、それでは一般の対面の薬局が事前検証できているか、できていないかという議論と。
○中川構成員 もっと違います。全然違います。私が言っているのは、医薬品を売るには安全性、有効性を事前に担保するということが最大限努力しなきゃいけない。
○國重構成員 努力しています。
○中川構成員 このトレーサビリティーというのは売った後の検証で、危機管理としてこういうことができるという例だけの話で、全然違うんですよ。だから、ネットで1類、2類を売ることの危険性というのは対面販売とは違うんだということを言っているんです。
○國重構成員 それだったら、先ほど岩瀬構成員がおっしゃったような、前に買ったことがあるというんだったら買ったことがありますと書いて判子を押してもらうとか、サインをしてもらうとか。
○中川構成員 それもまた別の話じゃないですか。
○國重構成員 同じですよ。事前に検証しなきゃいけないんだから。
○中川構成員 なぜ聞いたのかと思いませんか。企業として、楽天という企業がなぜネットでそんなに熱心に一般用医薬品を売りたいのか。国民の健康と生命を大事にしたいからですか。それを聞いているんです。それにお答えいただけませんか。
○國重構成員 それは、両方ですよ。国民の健康、安全を管理しながら、そのツールとしてインターネットで皆さんに売っていただくということです。
○中川構成員 三木谷さんの書いた紙の中に、産業競争力の中のネットのいろいろな産業の中でネット販売と遠隔医療というのが位置づけられているので、そういう中での産業としての意味ですか。
○山本座長代理 中川先生、これもこことは直接関係ない会議の話ですので。
○中川構成員 あえて資料として出されているので。
○山本座長代理 この辺りは我々のミッションを粛々とやるということで、参考ということでいいんじゃないですか。
○國重構成員 これは、大変重要な誤解だと思うんです。楽天はマーケットプレイスを提供している会社ですから、実際に薬を売るのはケンコーコムさんなんです。楽天が売っているわけじゃないんです。
○山本座長代理 これはそのくらいにしておいて、またにしましょう。
 森構成員、どうぞ。
○森構成員 今、中川先生がほとんど私が意見として述べたいことを述べていただいたので、その部分は先生にお任せするとして、今、國重さんが言われた、楽天は場所を貸しているだけですと。
○國重構成員 だけとは言っていません。場所を提供しています。売るのはケンコーコムさんです。
○森構成員 提供をして、売るのはケンコーコム、責任もケンコーコム。楽天さんに登録しているところから現状鎮痛剤を買って、妊娠しているということをやっていても、売っている先はおたくのお客様でございます。そういうところもきちんとやらないとだめだと思います。
 またそれに反論をもらうと時間がないので、きょうはすごく参考になったというか、勉強になったのですが、全国消費者団体連合会の事務局長さんがおっしゃったことが本当の意味での国民をあらわしていると思うんです。先ほど来、沢田さんからるる説明をいただきましたが、沢田さんはネットが完璧にできるネット専門の人ですね。それで、一般の生活者というのはどのくらいの割合でそういうことが認識できているのか。ネットを見たときに、どれだけのことを判断できるのか。
 例えば、今アレグラという薬がスイッチされましたけれども、それがどれだけのものであってというところですね。あれは、今でも医療用で使われている医薬品なんです。それがネットで買えるとなったら、先ほど沢田さんの資料の中にもありましたが、ネットで買えるようになったからよかった、安いからよかったと認識するんです。ということは、ネットで医療用が買える、タミフルが買える、何とかが買える。
 そうしたときに、そのサイトがにせ薬のサイト、外国のサイトを完全に遮断できる法改正をやって、遮断してから一つの資料として論ずるんだったらいいんだけれども、現状、安全性が担保できていないにもかかわらず、それは自己責任だということでやっていったら、そこで障害が出た場合、被害が出た場合、誰が責任をとるんですか。
 楽天さんは場所を貸しているから知りません。それでいいんでしょうか。
○國重構成員 次回、もうちょっと詳しく説明したいと思いますけれども、我々は出店審査というのをやっていまして、ちゃんとオンラインドラッグ協会のルールにのっとって営業しているかどうかということを1月15日にガイドラインが出ましたので、それに従ってチェックをしています。
○森構成員 先週購入しました。
○國重構成員 それで、お買いになってどうでしたか。
○森構成員 きました。先ほど言ったように、15歳未満で、楽天さんの。
○國重構成員 それは非常に問題だと思います。
○森構成員 だから、問題なんですよ。
○國重構成員 では、そういう問題はどういうふうに処理したらいいのかという議論をぜひさせていただきたい。
○山本座長代理 わかりました。もうお1方どうぞ。
 では、野口構成員、お願いいたします。
○野口構成員 東京都の薬務課長をしています野口と申します。
 きょう、お話を伺わせていただきまして非常に参考になりました。消費者側の不安というものを解消するということがネット販売の条件だと思っておりますし、ネット販売というものが情報提供の一つの手段ということも認識をしております。
 その上で、我々自治体としてはこういったネット販売の取り締まりをする仕事をしています。その観点から言わせてもらえれば、先ほどからちょっとお話が出ていますけれども、インターネット販売でひとつ問題となっているのがインターネットオークションの話で、個人の方がどんどんヤフーとか楽天さんのサイトで売ってしまう。取り締まりをしようとしてもすぐ逃げられてしまう。それで、売っているのは個人であって、店舗というか、場所を貸している楽天さんだとか、そういう事業者には何の責任もないというところで、非常に取り締まりが難しいと思っています。
 こういったオークションについても個人の方がどんどん参加できるようなインターネット販売というのはやはりちょっと問題があると認識をしております。取り締まりがなかなかできないということです。
 それからもう一つ、なりすましというのが先ほどからお話がありましたが、本来ですと許可を持った店舗がインターネット販売をするということは多分、皆様の御理解でいいんだろうと思っていますけれども、ネットになりすました事業者をどうやって取り締まるか。ネット上でそれが違法なのかどうかがわからないと、やはりなかなか取り締まりが難しい。そういう意味では、例えば許可にするのか、それとも届け出にするのか、それぞれの業界さんの中のルールにするのかはわからないけれども、IPアドレスとかというものをある程度行政側に提供していただかないと、そのIPアドレスを確認して、それが許可を持っている業者なのかどうかというところをやはりひとつ考えていかないと、なかなか取り締まりが難しい。
 特定商取引法による表示というものが各インターネット上にありますけれども、これはもちろん正しく法律を守っていただければいいのですが、にせの表示をしている事業者というのは結構数が多いので、実態の把握というのも難しい。こういった実態の把握ができるようなシステムをつくっていかないと、やはり監視指導でもできないという部分があるので、監視指導ができないものは消費者にとってはやはり不安があるだろうなというふうな認識で捉えています。
○山本座長代理 ありがとうございました。
 まだ多分たくさん御意見はございましょうけれども、済みません。私の不手際で時間になってしまいました。次回、また御議論の続きを願えればと思います。
 それでは、議題の3番目の「その他」で事務局から連絡がございますか。
○中井薬事企画官 次回でありますけれども、3月22日金曜日10時からを予定しております。
 議題としましては、今回に引き続き構成員の方々から御意見をいただきたいということと、合わせまして幾つかの関係団体の方から御意見を申し上げたいという要望もきておりますので、そういった方々に御説明いただく機会を設けさせていただきたいと思います。
 場所等の詳細については別途御案内させていただきたいと思います。以上であります。
○國重構成員 その意見を言いたいというのは、例えばどんなところですか。
○中井薬事企画官 今のところきているのが、伝統薬の関係の方々と、あとは登録販売会社の方々とか、そういうところであります。そのほかに幾つかあると思います。
○山本座長代理 それでは、ありがとうございました。時間がぎりぎりになってしまいましたけれども、本日はこれで閉会をしたいと思います。
 どうも、本日はありがとうございました。


(了)

医薬食品局総務課

直通: 03-3595-2377

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